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特表2022-519388骨修復における固定を増強するための脱灰骨線維インプラント構成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-23
(54)【発明の名称】骨修復における固定を増強するための脱灰骨線維インプラント構成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/28 20060101AFI20220315BHJP
   A61L 27/36 20060101ALI20220315BHJP
   A61L 27/24 20060101ALI20220315BHJP
   A61L 27/18 20060101ALI20220315BHJP
   A61L 27/14 20060101ALI20220315BHJP
   A61L 27/30 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
A61F2/28
A61L27/36 110
A61L27/36 311
A61L27/24
A61L27/18
A61L27/14
A61L27/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569262
(86)(22)【出願日】2020-02-07
(85)【翻訳文提出日】2021-10-06
(86)【国際出願番号】 US2020017369
(87)【国際公開番号】W WO2020163828
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】62/803,470
(32)【優先日】2019-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/901,935
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521353595
【氏名又は名称】セラセル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】カーター,アンドリュー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】パット,ブラッドリー イ―.
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,グナー
(72)【発明者】
【氏名】マクルリー,イアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルマ,ニヒル
(72)【発明者】
【氏名】スカーボロー,ネルソン エル.
【テーマコード(参考)】
4C081
4C097
【Fターム(参考)】
4C081AB04
4C081CA161
4C081CD121
4C081CD34
4C081CF012
4C081CF21
4C081DA02
4C081DA04
4C081EA03
4C097AA04
4C097AA07
4C097AA21
4C097BB01
4C097BB04
4C097DD01
4C097DD07
4C097DD10
4C097DD12
4C097DD13
4C097EE08
4C097EE09
4C097EE11
4C097EE18
4C097EE19
4C097MM02
4C097MM03
(57)【要約】
構成物及びその作製また使用方法は、骨スクリューの固定を増強するような形状を形成する複数の線維を含むか、又はこの複数の線維が、ペグ部分及びシート部分を有する形状を形成して、腱を増強して骨修復する。複数の線維が物理的に存在することによって、初期固定をもたらす一方で、骨誘導材料の使用によって、骨スクリュー又は腱の部位の周囲の長期にわたる骨形成の促進をもたらして、骨修復する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨修復用のインプラントを含む構成物であって、
前記インプラントは、
シリンダー、チューブ、カニューレ付きシリンダー、円錐台、カニューレ付き円錐台、フレア付き端部のある円錐台若しくはフレア付き端部のあるカニューレ付き円錐台、フレア付き端部のあるチューブ、又は円錐台形の形状を形成する複数の線維
を含む、構成物。
【請求項2】
前記インプラントは近位端部及び遠位端部を有し、
前記複数の線維は、フレア付き端部のある円錐台、フレア付き端部のあるチューブ、又はフレア付き端部のあるカニューレ付き円錐台の前記形状を形成し、及び
前記フレア付き端部は前記インプラントの前記近位端部にある、請求項1に記載の構成物。
【請求項3】
前記インプラントの長さは1cm~10cmである、請求項1又は2に記載の構成物。
【請求項4】
前記インプラントの長さは4~5cmである、請求項1~3のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項5】
前記インプラントの体積は0.15cm~10cmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項6】
前記フレア付き端部は、骨スクリューを受け入れるための刻み目を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項7】
前記インプラントは脱水された状態である、請求項1~6のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項8】
前記複数の線維は、脱灰骨、コラーゲン、生体適合性ポリマー、及び再吸収性ポリマーの少なくとも1つから作製された線維を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項9】
前記複数の線維は脱灰骨線維を含む、請求項8に記載の構成物。
【請求項10】
前記再吸収性ポリマーはポリエステルである、請求項8に記載の構成物。
【請求項11】
前記複数の線維は、過酸化カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、及びそれらの混合物でコーティングされている、請求項8に記載の構成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載のインプラントを用いて、骨内でのスクリューの固定を強くするための方法であって、
任意選択的に、前記骨内での前記スクリューの位置を定めるためにガイドワイヤを配置することと、
前記骨の空洞に前記インプラントを挿入又は導入することと、
前記インプラントに前記スクリューを挿入又は導入することと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記ガイドワイヤが使用されるとき、前記インプラントの導入は、前記インプラントを、前記カニューレ付き、チューブ状、又は円錐形の前記インプラントの中を通る前記ガイドワイヤ上に置き、かつ前記インプラントを前記ガイドワイヤに沿って前記空洞内へと動かすことを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ガイドワイヤに沿って前記インプラントを動かすことは、錐、押子、タップ、及びドリルの少なくとも1つを使用することを含む、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記骨内の前記空洞は、錐、押子、タップ、及びドリルの少なくとも1つを使用して形成される、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記骨内の前記空洞は、錐又はタップを使用して形成され、骨の除去を防止し、かつ前記スクリューの固定を補強するための圧縮を生じる、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記インプラントは脱灰骨線維(DBF)を含む、請求項12~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~11のいずれか1項に記載のインプラントを用いる、骨内でのスクリューの固定を増強するための方法であって、
前記骨内での前記スクリューの位置を定めるためにガイドワイヤを配置することと、
前記骨の空洞に前記インプラントを挿入又は導入することと、
前記インプラントに前記スクリューを挿入又は導入することと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記インプラント又は前記スクリューを前記挿入又は導入することは、カニューレ付き器具を使用することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記インプラントを前記挿入又は導入することは、前記インプラントを含む開口シリンジを使用することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記インプラントは脱灰骨線維(DBF)を含む、請求項18~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記インプラントは骨誘導インプラント又は骨伝導インプラントである、請求項18~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
請求項1~11のいずれか1項に記載のインプラントを製作する方法であって、
流体中に前記複数の線維を分散させることであって、
前記複数の線維及び前記流体は、約1グラムの線維に対して約3ml~50mlの前記流体の割合にあることと、
ベント付きの型内へと、前記分散された前記複数の線維を圧入し、前記型から前記流体を排出させることと、
を含む、方法。
【請求項24】
前記複数の線維及び前記流体は、約1グラムの線維に対して約3ml~20mlの前記流体の割合にある、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記型内で前記複数の線維を加熱することさらにを含む、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記加熱することは、約35~55℃で行われる、請求項23~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記線維は凍結乾燥される、請求項23~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記複数の線維は、脱灰骨、コラーゲン、生体適合性ポリマー、及び再吸収性ポリマーの少なくとも1つで作製された線維を含む、請求項23~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記複数の線維は、脱灰骨製の線維を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
インプラントを用いて骨内でのスクリューの固定を増強するためのキットであって、
請求項1~11のいずれか1項に記載のインプラント、
を含む、キット。
【請求項31】
ガイドワイヤと、
錐又はタップと、
修復されるべき前記骨内に配置されるべきスクリューのうち少なくとも1つ、
を含む、請求項30に記載のキット。
【請求項32】
前記ガイドワイヤ及び前記錐又は前記タップは使い捨て可能である、請求項31に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本出願は、同時係属の2019年2月9日出願の米国仮特許出願第62/803,470号、及び2019年9月18日出願の米国仮特許出願第62/901,935号の優先権を主張し、それら全ての内容を参照することにより本書に援用する。
【0002】
発明の分野
[0002] 本発明の分野は、骨修復のために腱を増強するために、皮質骨から作製された骨線維インプラントであって、複数の脱灰骨線維(demineralized bone fibers)が、ペグ部分及びシート部分を有する形状を形成している、骨線維インプラントの構成物(composition)及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] 背景の説明は、本開示を理解するのに有用とし得る情報を含む。本明細書で提供されるいずれの情報も、従来技術であるか、若しくは現在特許請求されている発明に関連すること、又は具体的若しくは黙示的に言及されたいずれの刊行物も従来技術であることを承認するものではない。
【0004】
[0004] 本明細書の全ての刊行物及び特許出願は、個々のそれぞれの刊行物及び特許出願が参照することにより援用されるように具体的かつ個別に示されたかのようなものと同じ程度に、参照することにより援用される。援用した参照文献中の用語の定義又は使用が、本明細書で提供されるその用語の定義と矛盾する又はそれに反する場合、本明細書で提供されるその用語の定義が当てはめられ、かつ参照文献中のその用語の定義は当てはめられない。
【0005】
[0005] 世界中で、骨粗しょう症は、年間890万超の骨折を引き起こしており、3秒毎に骨粗しょう症性骨折を生じている。世界中で2億人の女性-およそ、60歳の女性の10分の1、70歳の女性の5分の1、80歳の女性の5分の2、及び90歳の女性の3分の2-が骨粗しょう症になっていると推定されている。ヨーロッパ、アメリカ合衆国及び日本では、推定7500万人が骨粗しょう症になっている。2000年には、推定900万人が新しく骨粗しょう症性骨折を起こしており、そのうちの160万人が股関節の骨折、170万人が前腕の骨折、及び140万人が臨床的に脊椎の骨折であった。ヨーロッパ及びアメリカ大陸が、これら全ての骨折の51%を占めたが、残りのほとんどは、西太平洋地域及び東南アジアで発生した。世界中で、50歳超の女性の3人に1人、50歳超の男性の5人に1人が、骨粗しょう症性骨折を経験する。
【0006】
[0006] 現代の脊椎手術技術は、骨折及び/又は変形の場合、骨粗しょう症の椎骨において固定を達成しかつそれを維持する際に、困難に直面する。骨-スクリューの境界面は、一般に、最も緩みや故障を起こしやすい領域である。スクリューのピッチ及び直径など、多くの物理的要因が、椎弓根スクリューの最終的な固定強度に影響を及ぼし得るが、宿主要因も少なくとも同等の影響を与える。椎弓根スクリューは、腎性骨ジストロフィー及び骨粗しょう症に起因して骨の強度が低下することにより、患者の体内で緩むことが明らかにされている。これらの場合のかなりの部分が、外科的固定術を試みた後に、突発故障する。その結果、一部の脊椎外科医が、骨折及び/又はひどい変形のある骨粗しょう症の患者に対し、安定化手術を行うことを拒絶する可能性がある。骨粗しょう症の骨における椎弓根スクリュー構造物の保持能力を高めるために、増強のための様々なセメントの追加及び拡張可能なスクリューなどの新規のスクリュー設計の使用を含め、多くの試みが行われてきた。ポリメチルメタクリレート(PMMA)セメントの使用によって、引き抜き強度を150%まで高めることが示されている。伝統的な椎弓根スクリュー固定を増強するためのセメントの使用は、一般的に、多数の研究で報告されているように、頭側-尾側方向における引き抜き及び/又はトグル故障に対する抵抗を高めるが、脊柱管突出又は血流障害などの合併症の可能性がある。
【0007】
[0007] PMMAスクリュー増強の使用のさらなる著しい欠点は、非生物学的修復であり、修正又は再手術を非常に困難にすることである。これは、「後戻りできない(bridge burning)」処置である。
【0008】
[0008] 初期の固定強度及び後続する緩み及び故障の同様の問題は、骨粗しょう症や別の状況で骨が弱くなった患者で発生することが多い股関節骨折などの整形外科的処置におけるスクリューの使用で存在する。
【0009】
[0009] さらに、周囲の骨に、特にその骨が弱くなっているときに、効果的かつ迅速に結合するインプラントへの望みがある。これを促すために、多孔質のイングロース面(ingrowth surface)の使用を含む、様々な戦略が用いられる。しかしながら、インプラントの緩みは、整形外科医にとって、問題及び懸念事項のままである。
【0010】
[0010] 腱又は靭帯組織又はグラフトすなわち移植片が、回旋筋腱板修復の場合のように骨と並置して、又は前十字靭帯修復のように骨トンネル(bone tunnels)内のいずれかに配置されるとき、腱-骨付着部(tendon-bone enthesis)の創造又は再創造は、整形外科医にとって、問題及び懸念事項である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
発明の概要
[0011] 本発明人らは、好都合なことに、例えば、脱灰骨の複数の線維(すなわち、脱灰骨線維(DBF:demineralized bone fibers)、コラーゲンすなわち膠原線維、合成ポリマー、再吸収性線維)で構成されかつ適切な形状に形成され得るインプラントの使用によって、骨へのインプラント及び組織の固定を高める構成物及び方法を発見した。本発明のいくつかの実施形態によるインプラントは、i)組織と骨との間の境界面に配置され得るか、又はii)スクリュー挿入前に骨の穴内に配置され得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[0012] 本発明のいくつかの実施形態では、構成物及び方法が、本明細書で開示するような線維インプラントを使用する際の、骨内でのスクリューの固定を向上させるために提供される。例えば、線維インプラントは、適切な形状に形成される複数の線維で構成され得る。本明細書で開示するようなインプラント、キット、又は方法を使用して、インプラントが、修復される骨内の穴に入れられる。より具体的には、インプラントは骨の穴に入れられ、そこに、骨スクリューが配置される。スクリューの挿入前に、骨の穴にインプラントを入れることによって、インプラント同士が接触し、かつより密度が高い物質を提供し、そこにスクリューが固定され得、それにより、穴からスクリューを引き戻すために必要な挿入トルク及び力を増大させる。そのようなものとして、骨スクリューの挿入前に骨の穴に提供されたインプラントは、スクリューが穴から外れる機会を減少させ、かつよりしっかりとした効果的な骨修復を可能にする。例えば、脱灰骨線維(DBF)が骨誘導及び骨伝導を兼ねているとき、DBF線維インプラントには、インプラントの周囲で局所的な骨成長を増加させ、かつさらに、長期の及びおそらくは永久的な骨修復の可能性を増大させるという追加的な恩恵がある。さらに、他の線維形態(例えば、膠原線維、生体適合性ポリマー線維、及び/又は再吸収性ポリマー線維)も、骨誘導インプラント及び/又は骨伝導インプラントとし得る。これらの線維インプラントの恩恵は、スクリューが、骨粗しょう症の骨に、又は、修正手術の場合のように、既存のスクリューの穴に埋め込まれているときに、特に関連性を示す。
【0013】
[0013] 特に、本発明の主題は、骨修復用のインプラント又はスクリュー固定を含み、インプラントは、シリンダー、チューブ、カニューレ付きすなわちカニューレのように貫通孔を有するシリンダー、円錐台、カニューレ付き円錐台、フレア付き端部のある円錐台若しくはフレア付き端部のあるカニューレ付き円錐台、フレア付き端部のあるチューブ、又は円錐台形の形状を形成する複数の線維を含む。好ましい実施形態では、複数の線維は、脱灰皮質骨から切断される。さらに、インプラントは、近位端部及び遠位端部を有する。スクリュー固定では、好ましくは、複数の線維は、フレア付き端部のある円錐台、フレア付き端部のあるチューブ、又はフレア付き端部のあるカニューレ付き円錐台の形状を形成し、及びフレア付き端部は、インプラントの近位端部にある。インプラントの長さは、1cm~10cmとし得る。好ましくは、インプラントの長さは、4~5cmである。一層好ましくは、インプラントの長さは4cmである。長さ1~10cmのインプラントの体積はまた、0.15cm~10.0cmの体積を有し得る。一層好ましくは、インプラントの体積は0.15cm~2cmとし得る。
【0014】
[0014] 一般に、インプラントのフレア付き端部は、骨スクリューを受け入れるための刻み目が設けられている。
【0015】
[0015] 他の典型的な実施形態では、インプラントは脱水された状態である。
【0016】
[0016] 本発明の主題はまた、上記及び本明細書で開示するインプラントを用いる、骨内でのスクリューの固定を増強する方法を含み、ここでは、任意選択的に、ガイドワイヤが、骨内でのスクリューの位置を定めるために配置され得、それに続いて、骨の空洞にインプラントを挿入又は提供し、その後、インプラントにスクリューを挿入又は導入する。
【0017】
[0017] 具体的には、ガイドワイヤが使用されるとき、方法は、カニューレ付き、チューブ状、又は円錐形のインプラントを通っているガイドワイヤ上にインプラントを配置すること、及びインプラントをガイドワイヤに沿って空洞内へと動かすことを含んで、インプラントの配置を促し、かつまたインプラントの座屈の発生を防止する又は減少させる。ガイドワイヤに沿ってインプラントを動かすために、あつらえの押子、錐、タップ、及び/又はドリルが使用され得る。さらに、骨内の空洞は、錐、タップ、及び/又はドリルを使用して形成され得る。錐又はタップを使用する空洞の形成は、骨のどんな除去の発生も減少させ、かつ骨内でのスクリューの固定を補強するための圧縮を誘発する。骨内の空洞には、追加的な脱灰骨線維(DBF)、生体適合性ポリマー線維、膠原線維、及び/又は再吸収性ポリマー線維が提供され得る。
【0018】
[0018] 好ましい実施形態では、本開示のインプラントのうちの1つを用いる、骨内でのスクリューの固定を増強する方法は、骨内でのスクリューの位置を定めるためにガイドワイヤを配置し、それにより、インプラントの座屈の発生を減少させること、骨の空洞にインプラントを挿入又は導入すること、及びインプラントにスクリューを挿入又は導入することを含み、インプラント又はスクリューを挿入又は導入することは、インプラントが入れられているカニューレ付き器具又は開口シリンジを使用することを含む。インプラントは、脱灰骨線維(DBF)、生体適合性ポリマー線維、膠原線維、及び/又は再吸収性ポリマー線維で作製され得、かつインプラントは、本明細書で開示するような、同じ又は異なるタイプの追加的な線維を備え得る。DBF線維製のインプラントは、骨誘導及び骨伝導の双方とし得る。
【0019】
[0019] 本発明の主題はまた、線維インプラントを製作する方法を含む。本開示の線維インプラントを製作する方法は、複数の線維(DBF、生体適合性ポリマー線維、膠原線維、及び/又は再吸収性ポリマー線維)を流体中に分散させることであって、線維及び流体は、約1グラムの線維に対して約3ml~約50mlの流体の割合にあること、分散された複数の線維を、ベント付きの型内へと圧入させ、それにより、型から流体を排出させることを含む。好ましくは、線維及び流体は、1グラムの線維に対して約3ml~20mlの流体の割合にある。一層好ましくは、線維及び流体は、1グラムの線維に対して約3ml~10mlの流体の割合にある。
【0020】
[0020] 追加的な実施形態では、上記及び本明細書で開示した方法はまた、型内の複数の線維を加熱することを含む。好ましくは、加熱は、約35~55℃で行う。いくつかの実施形態では、方法はまた、複数の線維を凍結乾燥することを含む。
【0021】
[0021] 本発明人らはまた、骨内でのスクリューの固定を増強するためのキットを考えており、キットは、上記及び本明細書で開示したような本開示の線維インプラントのうちの少なくとも1つを含む。考えたキットはまた、ガイドワイヤ、錐又はタップ、及び/又は修復される骨内に配置されるスクリューを含み得る。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ、錐、及び/又はタップは使い捨てできる。
【0022】
[0022] スクリュー固定に加えて、本開示の主題の本発明人らは、骨に腱を外科的に再び取り付けるのに好都合なインプラントを発見した。本開示のインプラントは:1)骨誘導及び骨伝導インプラントを提供して腱付着部(enthesis)の再生を促すこと、2)縫合糸アンカーの有効性を増強すること、及び3)他のインプラントとは異なり、手術中に自己安定化させることが、同時にできる。それゆえ、本発明の実施形態の態様は、インプラントを使用することによる骨へのインプラント及び組織の固定を高める手段に関し、これは、例えば、脱灰骨、コラーゲン、ポリマー、及び/又は再吸収性ポリマーの線維で構成され、かつ適切な形状に形成され得る。特に、複数の線維製のインプラントは、ペグ部分及びシート部分を有する。本発明のいくつかの実施形態によれば、縫合糸アンカーは、インプラントのペグ部分に入れられ得、その後、インプラント及び縫合糸アンカーを保持するために縫合糸アンカードライバーが使用されて、それらの組み合わせを、治療中の関節内に導入できるようにする。縫合糸アンカーを受け入れかつ縫合糸アンカーが適所にねじ留めされるように配置された空洞内にインプラントのペグ部分を入れることによって、インプラントのシート部分は、骨層(bone bed)上の所望の箇所に保持され、そこに腱が再び取り付けられる。このようにして、縫合糸は、修復をもたらすために、腱を再接近させて縛り付けるために使用され得る。より大規模な修復のために、複数のインプラントが使用され得る。
【0023】
[0023] 本発明のいくつかの実施形態では、インプラントは、断裂した回旋筋腱板組織と骨との間の境界面に配置される。本発明のいくつかの実施形態によるインプラントは、腱と骨との一体結合(integration)を高めかつ腱付着部の再構成を促す働きをする。
【0024】
[0024] 本発明の典型的な実施形態は、腱と骨とを再び取り付けるためのインプラントを含み、複数の線維製のインプラントは、脱灰骨から切断され、複数の線維は、ペグ部分及びシート部分を有する連続的な形状を形成する。特に、ペグ部分は、閉鎖端部及び開放端部を備えるチューブ状形状を有し、かつ最初に閉鎖端部を骨の空洞に挿入できる。シート部分は、2つの側面を有し、及び第1の側面は、空洞に隣接する骨の表面の領域に接触している。典型的な実施形態では、シート部分の第2の側面は、腱に接触し、それにより、シート部分は、腱と骨との間の境界面を形成する。
【0025】
[0025] 特定の実施形態では、インプラントのペグ部分の長さは、約10~50ミリメートル(mm)である。ペグ部分の直径は、約3~10mmとし得る。
【0026】
[0026] 他の特定の実施形態では、インプラントのシート部分は、骨の表面上に扇状に広がって空洞の開放端部を取り囲んでいる限り、任意の形状であるとし得る。例えば、ペグ部分の領域を取り囲むシート部分全体は、長方形、正方形、円、又はそれらの不完全な形の形状及び又は同様のものとし得、かつ長方形、正方形、円、又はそれらの不規則な形を形成する外周を有する。さらに、シート部分は、特定の多角形を形成しなくてもよく、直線の辺の外周を有する。直線の辺は、それぞれ、独立して、5~20mmの長さを有し得る。シート部分が円形を有する例示的な実施形態では、円形の直径は約5~20mmとし得る。追加的又は代替的な実施形態では、シート部分の厚さは約0.5~5mmとし得る。
【0027】
[0027] ペグ部分及びシート部分を有する、本明細書で説明したような複数の線維製のインプラントは、脱灰骨線維(DBF)、コラーゲン、ポリマー、及び/又は再吸収性ポリマー線維で作製され得る。好ましくは、インプラントは複数のDBF線維で作製される。
【0028】
[0028] 本発明の主題はまた、本明細書で開示するようなインプラントを使用して、骨への腱の再取り付けを増強する方法を含む。方法は、インプラントのペグ部分内に縫合糸アンカーを配置すること、任意選択的に、骨上に、出血している骨層を準備すること、骨内に空洞を生じること、インプラントのペグ部分を骨内の空洞内に配置すること、縫合糸アンカーを適所にねじ留めすること、及び縫合糸を使用して、腱を再接近させて縛り付け、骨への腱の再取り付けを生じることを含む。
【0029】
[0029] 本発明の主題はまた、本開示のインプラントを作製するための方法を含む。典型的な実施形態では、本開示のインプラントを作製するための方法は、ベント付きの型内へと圧力を用いて(圧力下で)複数の線維を分散させ、それにより、型から流体を排出させることを含む。この方法は、さらに、型内で複数の線維を加熱することを含み得る。複数の線維の加熱は、35℃~55℃又は45℃~55℃で行い得る。例示的な実施形態では、線維(例えば、脱灰骨線維)は凍結乾燥される。
【0030】
[0030] 本発明人らはまた、腱と骨との再取り付け処置を増強する方法を考えており、ここでは、本明細書で開示するようなインプラントは、腱と骨との間に配置される。
【0031】
[0031] 考えた主題のさらなる実施形態は、整形外科用の骨インプラントの外科的な配置を容易にする方法を含み、ここで、方法は、ペグ部分を備える整形外科用の骨インプラントを増強することを含む。整形外科用の骨インプラントは、当業界で公知の既存のシートインプラントとし得る。そのようなものとして、方法は、シート形態を修正すること、又はシート形態の製造プロトコルを、それに取り付けられるペグ部分を含むように、修正することを含み得る。
【0032】
[0032] 本発明の主題の態様は、増強インプラントを含み、インプラント(例えば、シートインプラント)は、安定化部分を有するように修正される。安定化部分は、必要な外科的修復のためにインプラントを配置するために使用される縫合糸の有効性を高め得る。さらに、安定化部分は、インプラントが外科的に配置されている及び/又は適所に繋がれている間のインプラントの安定性を高め得る。例えば、安定化部分はペグ部分とし得る。ペグ部分は、中実としても、又は開放及び閉鎖端部があるチューブ状(例えば、中空)としてもよい。
【0033】
図面の簡単な説明
[0033] 特許又は特許出願は、カラーで示された少なくとも1つの図面を含む。カラーの図面の本特許又は特許出願公開の写しは、要請しかつ必要料金を支払うと、特許庁によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】[0034]本発明の実施形態によるスクリュー固定及び送達デバイスの増強用のインプラントを示し、ここで、インプラント1は、送達器具2(ここには、任意選択的な保護キャップ4が含まれていてもよく、使用前に取り除かれている)のチューブ状部分内に入れられて、プランジャー3を使用してデバイスから押し出される。
図2】[0035]本発明のいくつかの実施形態による、インプラント1の変形例を示し、シリンダーの前部は、挿入を容易にするためにドーム形5を有する。
図3】[0036]本発明のいくつかの実施形態による、インプラント1の変形例を示し、シリンダーの後部は、インプラントの中心へのスクリューの挿入を容易にするための中心窪み6を有する。
図4】[0037]本発明のいくつかの実施形態による、シリンダー状インプラントを生産するように設計されたシリンダー状型7及びプランジャー8を示す。
図5】[0038]本発明のいくつかの実施形態による、図4の型7の変形例を示し、プランジャー8は、中心へのスクリュー挿入を容易にする中心窪みをインプラントに生じるスパイク9を有する。
図6】[0039]本発明のいくつかの実施形態による、図4の型7のさらなる変形例を示し、シリンダー状型7の遠位端部は、ドーム状インプラントを導入するためにドーム状窪み11を有する。
図7】[0040]半シリンダー状窪み13のある型12を示す。DBFは、型内へ湿式堆積され(wet laid)、及びインプラントは、2つの隣接する半シリンダー状窪みから形成されている。本発明のいくつかの実施形態によれば、インプラント14は、このようにして、可撓性の保管用トレイ15内に保管され得、かつ手術時に、一緒に折り曲げられて、シリンダー状インプラント16を生じる。
図8】[0041]シート型17、及びそれから生産されたシート18を示す。本発明のいくつかの実施形態によれば、シートの厚さ及び密度は、使用されるDBFの量及び蓋と型の底との間の間隔を変更することによって、制御される。
図9】[0042]本発明のいくつかの実施形態による、インプラント20の多孔質面に形成されたDBFのシート19を示す。
図10】[0043]本発明のいくつかの実施形態による、骨トンネルになると予定された移植片の領域にDBFシート22が縫いつけられた膝窩腱移植片21を示す。
図11】[0044]腱23と骨24との間に配置されたDBFのシート22を示す。本発明のいくつかの実施形態による、腱を再び取り付けるために使用される、縫合糸25a及び縫合糸アンカー25bも示されている。
図12】[0045]本発明のいくつかの実施形態による、股関節ステムを取り囲みかつ股関節ステム27と周囲の骨28との間の境界面を形成する形状に形成されているDBFインプラント26を示す。
図13】[0046]本発明のいくつかの実施形態による、スクリュー固定を増強するためのインプラント1の変形例の断面図を示し、挿入を支援するためのドーム状端部5に加えて、インプラントの拡張近位端部29がある。
図14】[0047]本発明のいくつかの実施形態による、スクリュー固定を増強するためのインプラント1の変形例の断面図を示し、インプラントは、その遠位端部30において直径がより小さい。
図15a】[0048]本発明のいくつかの実施形態による、スクリュー固定を増強するためのインプラント31の変形例を示し、インプラントは、直角プリズム(rectangular prism)の形態にある。
図15b】[0049]本発明のいくつかの実施形態による、本開示のインプラントの変形例を示し、ここでは、中心部分32は、強度を増すために、緻密化すなわち高密度化されている。
図15c】[0050]本発明のいくつかの実施形態による、本開示のインプラントの変形例を示し、ここでは、断面33は半円形である。
図15d】[0051]本発明のいくつかの実施形態による、本開示のインプラントの変形例を示し、ここでは、直角プリズムは、中心34においてより細くなっている。
図15e】[0052]本発明のいくつかの実施形態による、本開示のインプラントの変形例を示し、ここでは、直角プリズムが、中心34においてより細くなっており、かつ半円形断面33を有している。
図15f】[0053]本発明のいくつかの実施形態による、本開示のインプラントの変形例を示し、ここでは、インプラント31が挿入されているドリル穴35の側面の断面図であり、挿入は、押子36を使用して達成され、インプラントは、穴に収まるために必要なものよりも長い。
図15g】[0054]本発明のいくつかの実施形態による、本開示のインプラント31が挿入されているドリル穴35の側面の断面図を示し、挿入は、押子36を使用して達成され、インプラントは、ちょうど穴に収まるために必要な長さである。
図15h】[0055]本発明のいくつかの実施形態による、穴を見下ろして、インプラントが挿入されたとき、空間充填インプラントを形成していることを示す、図15cのインプラントの端面図である。
図15i】[0056]本発明の実施形態による、テーパ付き穴内の図15eのインプラントの断面図であり、インプラントの形状は、テーパ付き穴内の空間充填インプラントを形成する。
図16】[0057]本発明のいくつかの実施形態による、DBF線維のウォーターアシスト射出成形用の装置の断面図を示し、DBF線維37がシリンジ38に詰め込まれ、シリンジの遠位端部がアダプター39に収まり、それに切り離し可能な型40が取り付けられ、その型は、その遠位端部の方へテーパが付けられており、かつその長さ部分に沿ってベント41、及び取り外し自在なベント付きエンドキャップ42を有し、及び切り離し可能な型は、DBF射出後に取り除かれ、かつオーブン又は凍結乾燥器に入れられて乾燥される。
図17】[0058]本発明のいくつかの実施形態による、DBF線維のウォータージェットアシスト射出成形用の装置の断面図を示し、DBF線維37はホッパー43に詰め込まれ、ホッパーは、切り離し可能な型40に取り付けられており、型は、その遠位端部の方へ向かってテーパが付けられており、その長さ部分に沿ってベント41、及び取り外し自在なベント付きエンドキャップ42を有し、ウォータージェット44は、DBFを強制的にホッパーから型内に入れるように作動され、及び切り離し可能な型は、DBF射出後に取り除かれ、かつオーブン又は凍結乾燥器に入れられて乾燥される。
図18】[0059]ウォーターアシスト射出成形プロセスのカニューレ付きインプラントの製造を導入する、図16に示す装置の変形例の断面図を示す。DBF線維37は、シリンジ38に詰め込まれ、シリンジの遠位端部はアダプター39に収められ、それに切り離し可能な型40が取り付けられ、その型は、その遠位端部の方へテーパが付けられており、かつその長さ部分に沿ってベント41、及びガイドワイヤ44を保持する働きもする取り外し自在なベント付きエンドキャップ43を有する。
図19】[0060]どのように、DBF射出後に図18の切り離し可能な型から取り出され、かつキャップ45が、ガイドワイヤを中心に位置決定するデバイスの近位端部に配置されているかを示す。その後、本発明のいくつかの実施形態によれば、型は、乾燥のためにオーブン又は凍結乾燥器に入れられる。
図20】[0061]図20a~20eは、カニューレ付きインプラントの移植用の空洞を生じる外科的移植技術のステップを示す。実演するために、骨粗しょう症の骨の合成発泡類似体46が使用される(Sawbones Inc.)。図20aでは、ガイドワイヤ47が骨内に入れられる。図20bでは、カニューレ付き錐48が、ガイドワイヤを通すようにかぶさって配置される。図20c及び図20dでは、錐は、骨に押し込まれて回転させられて、図20eに示すような空洞49を形成することが示されている。図20fでは、その後、錐が取り除かれ、及びインプラント50が、錐のサイズに対応するように選択される。
図21】[0062]図21a~21iは、インプラント配置ステップ及びスクリュー挿入ステップを示す。図21aでは、インプラント50は、ガイドワイヤ47を通しているようにその上に配置されていることを示す。図21b及び図21cでは、インプラントは、空洞49内へ押し込まれていることが分かる。図21dは、カニューレ付きドライバー52が、ガイドワイヤを通すようにかぶさって配置されかつインプラント50を空洞内へ押し込むように使用される状態の、カニューレ付き椎弓根スクリュー51を示す。図21eは、錐48が押子として使用される代替的な方法を示す。図21f及び図21gは、骨に挿入されているスクリューを示す。スクリューがドライバー52に十分に挿入されると、ガイドワイヤ47は、図21hに示されているように、取り除かれる。図21iでは、説明のための処置の一部ではないが、スクリューは、取り除かれており、インプラント50の配置を示すことができるようにしている。
図22】[0063]インプラント50の断面を示す。インプラントは、カニューレ付き中心挿入部53を有する。インプラント54の本体は、遠位端部が細くなっている円錐台である。近位端部にあるフレア付き上部55には窪み56が設けられている。
図23】[0064]非カニューレ付きインプラントの断面を示す。インプラント54の本体は、遠位端部が細くなっている円錐台である。近位端部にあるフレア付き上部55には窪み56が設けられている。
図24】[0065]acl増強において使用するための本発明のインプラントの断面を示す。インプラントは円錐台57であり、遠位端部は、近位端部よりも細い。カニューレ付き中心領域58にはフレアが付けられて、近位端部にある開口部が、遠位端部よりも大きくなるようにしている。
図25】[0066]図25a~25eは、acl増強において使用するためのデバイスを示す。図25aでは、デバイスの構成要素59は、2枚のシートのDBFである。図25bは、それらのスロットを互いに嵌めて、十字形60を作っていることを示す。図25cは、十字形のデバイス60内に位置決めされた膝窩腱移植片の4つのストランド61を示す。移植に備えて移植片をかがり縫いすることは、図25dに示すように、シートを移植片の外側周囲に一致させかつそれを適所に保持するのに役立つ。図25eに示すように、移植片の各端部に1つのデバイスが配置される。
図26】[0067]acl増強に使用するためのデバイスを示す。図26aでは、デバイスの構成要素59は、一方が他方よりも幅広の2枚のシートのDBFである。図26bは、それらのスロットを互いに嵌めて、十字形60を作っていることを示す。図26cは、十字形のデバイス60内に位置決めされた膝窩腱移植片の4つのストランド61を示す。移植に備えて移植片をかがり縫いすることは、図25dに示すように、シートを移植片の外側周囲に一致させかつそれを適所に保持するのに役立つ。図26eに示すように、移植片の各端部に1つのデバイスが配置される。
図27】[0068]図27aは、腱(図示せず)の周りに巻き付くような形状にされた2つのDBFシート62及び63から製作されたデバイスの変形例を示す。図27bは、DBFシートから製作されたデバイスの写真であり、及び図27cは、2ストランド移植片と一緒に使用され得る、単一のDBFシートを使用する変形例である。
図28】[0069]図28aは、4つの穴65が設けられた、DBFシート64から製作されたacl増強用のデバイスを示す。図28bは、4つの穴65及び4つの切り欠き部66が設けられた、DBFシート64から製作されたacl増強用のデバイスを示す。移植片の4つのストランド61は、かがり縫いする前に、穴に通されて、図28cにおける移植片の移植準備を整える。
図29】[0070]図24のデバイスの外科的使用を示す。デバイス57は、脛骨トンネル内に引き入れられる前に、腱移植片の4つのストランド61の範囲内に配置される。その後、締まりスクリュー67がデバイスに挿入される。
図30】[0071]図30a~30dは、骨への腱の再取り付けを増強するデバイスを示す。脱灰骨線維から製作されるデバイス68が図30aに示されている。デバイスは、骨内の穴に配置されることを目的とした「ペグ」69、縫合糸アンカーを受け入れるように設計される、そのペグ内の空洞70、及び腱と骨との間に載置されることを目的としたシート領域71を有する。図30bでは、デバイス68を受け入れるために、骨に欠損部を生じることを目的とした拡張器72が示されている。拡張器は、作られる穴の深さを示す深さマーク73を有する。図30cは、それを埋め込むために使用されるドライバー74に装着された縫合糸アンカー25bを示す。図30dでは、縫合糸アンカーは、デバイス内の空洞70に導入されている。縫合糸アンカー25bは、デバイスに起因して、図面には示されていないことに留意されたい。
図31】[0072]図31aでは、骨24は、2つのデバイス68を受け入れるように準備されている。2つの穴75が骨に作られている。図31bでは、縫合糸アンカー25bは、骨にデバイス68を導入するために使用されており、及び縫合糸25aは、骨に腱23を再び取り付けるために使用されている。デバイスのシート領域71は、腱23と骨24との間に置かれる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
詳細な説明
[0073] 本発明の実施形態の態様は、脱灰骨線維(DBF)、コラーゲン、ポリマー、及び/又は再吸収性ポリマー線維のインプラントを使用して、骨の修復及び治癒を増強するためのアプローチに関する。
【0036】
[0074] いくつかの態様では、本発明の実施形態は、線維インプラントと、線維インプラントの形成方法と、骨粗しょう症や別の状況で弱くなった骨におけるスクリューの固定を増強するために、好適な形状及びサイズにされたシリンダー状線維インプラントを含むキットとを含む。このアプローチは、骨スクリューの配置前に、それと一緒に配置されるべきインプラント対象の、修復が必要とされている骨の穴に挿入され得る脱灰骨線維(DBF(商標))のシリンダーを含む。シリンダーは、スクリューの穴と同じ直径となるようなサイズにされる。手術時、デバイスの存在によって、スクリューを挿入するために必要とされるトルクを増大させ、かつスクリューの位置を変えるために必要とされるだろう引き抜き力を増大させる。DBF材料を使用することの追加的な恩恵は、骨誘導であることであり、かつスクリュー周囲の局部的な骨形成を促進させ、固定を長期的に強化することである。DBFインプラントは、スクリューの挿入前に、骨の穴に配置される。
【0037】
[0075] 他の態様では、本発明の実施形態は、DBF、コラーゲン、ポリマー、及び/又は再吸収性ポリマー線維のインプラントと、DBF、コラーゲン、ポリマー、及び/又は再吸収性ポリマー線維のインプラントの形成方法と、修復される靭帯又は腱と骨との間の境界面として使用するための、好適に形成されたDBF、コラーゲン、ポリマー、及び/又は再吸収性ポリマー線維のインプラントを含むキットとを含む。例えば、DBFのシートは、acl(前十字靭帯(anterior cruciate ligament))手術などの軟組織靭帯置換の骨トンネルにおいて使用され得、ここで、膝窩腱又は腱の自家移植片は、骨トンネル内に固定される。さらに、DBFのシートはまた、回旋筋腱板修復に使用され得、そこでは、DBFシートが、骨と、再び取り付けられる腱との間の骨層に配置される。
【0038】
[0076] 本明細書では「インプラント」、「線維インプラント」、「本開示のインプラント」などの用語は、本明細書で開示しかつ米国特許第9,486,557号及び米国特許第9,572,912号、及び国際公開第2016/123583号(それらの内容全体を本願明細書に援用する)に開示されているような脱灰骨線維(DBF)を使用して作製された好適な形状にされた線維インプラントを指すために、交換可能に使用される。例えば、本開示全体を通して示すように、好適な形状にされたDBFインプラントは、DBFのシート、シリンダー状の、又は円錐台形態のDBFを含む。
【0039】
[0077] さらに、コラーゲン、ポリマー、及び/又は再吸収性ポリマー線維のインプラントに関しては、DBFのための本明細書で開示した方法に追従して、コラーゲン、ポリマー、及び/又は再吸収性ポリマー線維で置き換えて又はそれらを追加して、作製される。DBF線維を本明細書では例示するが、これらの他の線維の形態も、本開示の線維インプラントを形成するために、使用され得る。
【0040】
[0078] 再吸収性ポリマーは、体内で再吸収できかつ室温で線維又は粒子を形成するために物理的強度のある生体適合性ポリマーである。再吸収性ポリマーの非限定的な例は、絹、コラーゲン(I~V型及びそれらの混合物を含む)、及びタンパク質であって、以下のアミノ酸:アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンのうちの1種以上を含むタンパク質;多糖類、例えばアルギン酸、アミロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース、キチン、キトサン、シクロデキストリン、デキストラン、デキストリン、ゼラチン、ゲラン(gellan)、グルカン、ヘミセルロース、ヒアルロン酸、誘導体化(derivatized)ヒアルロン酸、酸化セルロース、ペクチン、プルラン、セファロース、キサンタン及びキシラン;再吸収性ポリエステル、例えばヒドロキシ酸から作製された再吸収性ポリエステル(ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ポリ(ジオキサノン)(dioxanones)、ポリカプロラクトン、及び以下のモノマー単位:グリコール酸(glycolic)、乳酸(lactic)の1種以上を備えるポリエステルのような再吸収性ポリエステルを含む);炭酸トリメチレン、p-ジオキサノン、又はε-カプロラクトン、並びにジオール及び二酸から作製された再吸収性ポリエステル;ポリカーボネート;チロシンポリカーボネート;ポリアミド(合成及び天然ポリアミド、ポリペプチド、及びポリ(アミノ酸)を含む);ポリエステルアミド;ポリ(アルキレンアルキレート)(alkylene alkylates);ポリエーテル(ポリエチレングリコール、PEG、及びポリエチレンオキシド、PEOなど);ポリビニルピロリドンすなわちPVP;ポリウレタン;ポリエーテルエステル;ポリアセタール;ポリシアノアクリレート;ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー;ポリアセタール、ポリケタール(polyketals);ポリホスフェート;(リン含有)ポリマー;ポリホスホエステル(polyphosphoesters);ポリアルキレンオキサレート(polyalkylene oxalates);ポリアルキレンスクシネート(polyalkylene succinates);ポリ(マレイン酸);生体適合性コポリマー(ブロックコポリマー又はランダムコポリマーを含む);及び親水性若しくは水溶性ポリマー、例えば他の生体適合性若しくは生分解性ポリマーのブロックを備える、ポリエチレングリコール、(PEG)若しくはポリビニルピロリドン(PVP)、例えば、ポリ(ラクチド)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、若しくはポリカプロラクトン又はこれらの組み合わせを含む。再吸収性ポリマーはまた、架橋ポリマーを含み、及び例えば、架橋コラーゲン、並びに機能化ポリマー(functionalized polymers)を含む。いくつかの実施形態では、再吸収性ポリマーは再吸収性ポリエステルである。
【0041】
[0079] さらなる実施形態では、DBM、合成ポリマー、コラーゲン、又は再吸収性ポリマー線維は、カルシウムイオンドナー化合物で(例えば、少なくとも一部が)コーティングされ得る。カルシウムイオンドナー化合物の例は、過酸化カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、及びそれらの混合物を含む。
【0042】
[0080] 脱灰骨基質(DBM:demineralized bone matrix)ベースの製品の人気は、骨形成細胞に分化する移植片部位に存在するいくつかの細胞型を刺激する、固有の非コラーゲンタンパク質の発現により骨形成を誘導する能力に基づいている。骨形成プロセスのこの誘導は、「骨誘導(osteoinduction)」と呼ばれ、かつ天然に存在する骨形態形成タンパク質(BMP)によるものである。DBMはまた、「骨伝導」として公知のプロセス全体を通して、これらの細胞が集まって(populate)、広がるための足場を導入する。脱灰骨線維(DBF)として公知の線維の形態の脱灰骨は、DBMの骨伝導能を最適にしかつ高めることが示されている物理的形態を有する。本発明のいくつかの実施形態では、DBF線維を製造するような構成物及び方法は、米国特許第9,486,557号及び米国特許第9,572,912号(上記)に開示されている。DBM又はDBFが、骨を形成できる骨形成原細胞と組み合わせられるとき、骨の治癒の3つの機序(例えば、骨誘導、骨伝導、及び骨形成)が組み合わせられる。
【0043】
[0081] 例示的な実施形態では、DBFインプラントは、インプラントが、予め形成された穴に押し込まれることができるように十分に剛性となるように、乾燥される。DBF線維は、乾燥前に成形プロセス又は湿式堆積(wet laying)プロセスを使用して、求められるいずれかのインプラント形状に簡単に形成され得る。任意選択的に、加熱ステップが用いられ得、これは、インプラントの骨誘導性に影響を及ぼすことなく、形成されるDBFインプラントにさらに大きな凝集力を与えることが示されている。
【0044】
[0082] 設計の変形及び高度化は、骨の穴へのDBFインプラントの挿入を支援するために、DBFインプラントの遠位端部の付形又はドーム形成を含む。そのような設計の例は、図2のDBFインプラント5に例示される。いくつかの実施形態では、DBFインプラントの近位端部は、図13におけるフレア29が付けられてもよい。この特徴は、インプラントがドリル穴に押し込まれすぎるのを防止するのを助け得る。また、骨の皮質に追加的なDBF線維を提供し、かつ骨のその領域の治癒を促し得る。骨の皮質の再構成は、脊椎手術における椎弓根スクリュー固定に特に重要であり、その理由は、スクリューのトグル留めは、負荷を生じ、それゆえ故障の主要なモードであり、かつ皮質は、この負荷のモードに対して最大な抵抗を生じるからである。
【0045】
[0083] インプラントは、不均一なシリンダー、すなわち円錐台とし得、図14の断面図に示すような遠位端部30は、インプラントの近位端部よりも幅が狭くなる。インプラントは、スクリューの挿入前に穴に配置される。
【0046】
[0084] 図15aに示すような、直角プリズム(rectangular prism)31の形状にあるインプラントも、スクリュー固定の増強に使用され得る。直角プリズムは、個別に形成されても、又は型内で形成された材料18のシートから切断されてもよい。単純なロッド36を使用して、ドリル穴へのインプラントの挿入を支援してもよい。インプラントの区域32の緻密化を行って、強化区域を提供して、挿入を支援し得る。半円形断面33を備える直角プリズムの形状のインプラント31が、穴をより効果的に塞ぐことができる。これは、半円形断面33がドリル穴35に配置された状態のインプラント31の上面図である図15hに示されている。インプラントは、スクリューの挿入前に、穴に配置される。
【0047】
[0085] 場合によっては、修正処置においてなどスクリューが骨から取り除かれるときに形成される穴、又は錐によって形成された穴に、インプラントを配置することが望ましい。これらの場合、穴の遠位端部は、一般的に、近位端部よりも直径が小さいとし得る。図15d又は図15eに示すような形状のインプラントが、この場合に使用されるように設計されている。インプラントは、スクリューの挿入前に、穴に配置される。
【0048】
[0086] 本発明の実施形態によるインプラントは、ドリル穴に手で簡単に配置され得るが、場合によっては、図1に示すシリンジ様デバイスに予め組み込まれるように外科医に提供されるインプラントを有することが望ましいとし得ることが想定される。この図に示すように、インプラント1は、シリンジ2の本体内に保持される。この実施形態では、インプラントは、保管及び輸送中にインプラントを適所に維持するために、取り外し自在のキャップ4を含み、かつ任意選択的に、インプラントの事前の水和(pre hydration)を可能にするルアーフィッティングを有し得る。インプラント送達では、シリンジの遠位端部は、ドリル穴の所に置かれ、かつインプラントを押し出すようにプランジャー3が使用される。再使用可能なインプラント送達システムも使用されてもよい。
【0049】
[0087] インプラントを受け入れるための穴は、穿孔術(drilling)、穿刺術(tapping)によって、若しくは錐を使用することによって形成され得るか、又はスクリューを取り除くことによって存在し得る。
【0050】
[0088] 本発明のいくつかの実施形態によるインプラントの変形例では、インプラントには、その長さ部分を通して穴が設けられおり、インプラントが、ガイドワイヤに沿って送達され得るようにする。
【0051】
[0089] インプラントの近位端部を、骨にある穴又は空洞に押し込むとき、骨に対するインプラントの摩擦によって引き起こされる座屈力がある。これに対応するために、設計にいくつかの要因が組み込まれ得る。第1に、図22及び図23に示すように、インプラントは、遠位端部の幅が近位端部よりも狭い円錐台の形態にあるとし得る。第2に、錐が、それ自体が円錐台の全体的な形の空洞を骨に設けるために使用され、作られた空洞が、インプラントと同じ寸法となるようにする。第3に、外部デバイスは、支持及び挿入での座屈に対する抵抗をもたらすために使用され得る。これは、シリンジの筒がインプラントに支持をもたらす上記で開示したような開口シリンジとし得るか、又はガイドワイヤを通すようにかぶさってカニューレ付きインプラントを配置することによるとし得る。
【0052】
[0090] インプラントが、骨内の深すぎる位置へと変えるのを防止することも望ましいとし得る。図22及び図23に示す設計では、フレア付き上部55は、これが発生するのを防止するように作用する。
【0053】
[0091] 本発明のインプラントを使用するための手術手技は、図20及び図21にまとめられている。Sawbones, Inc.によって生産された骨粗しょう症の骨の合成の類似体46は、骨粗しょう症の骨の代用物としてFDAなどによって受け入れられている。ガイドワイヤ47が骨に配置される。図20bに示すように、その後、カニューレ付き錐48がガイドワイヤを通すようにかぶさって置かれる。錐は、使用されるインプラントと同じ寸法である。錐を使用するさらなる恩恵は、骨組織を除去するのではなく、むしろ、骨組織を横方向に押して、緻密化した骨層(densified bone layer)を形成し、それ自体が固定を支援するようにする。図20c及び図20dでは、錐は、骨内へと押されて回転されて、図20eに示すような空洞49を形成することを示す。その後、錐は取り除かれ、及びインプラント50は、錐のサイズに対応するものが選択される。インプラントがフレア付き端部を有する場合、錐も対応する特徴を有し得る。
【0054】
[0092] 図21は、インプラント配置ステップ及びスクリュー挿入ステップを示す。図21aでは、インプラント50は、ガイドワイヤ47を通すようにその上に配置されていることが示されている。図21b及び図21cでは、インプラントは、空洞49内に押し込まれていることが示され得る。図21dは、カニューレ付きドライバー52がガイドワイヤを通すようにかぶさって置かれかつインプラント50を空洞に押し込むために使用される状態の、カニューレ付き椎弓根スクリュー51を示す。図21eは、錐48が押子として使用される代替的な方法を示す。図21f及び図21gは、骨に挿入されているところのスクリューを示す。ガイドワイヤは、インプラントの中心にスクリュー軌道を維持するのを助け、スクリューの全周でDBFが横方向に押されるようにするという、さらなる目的に適う。
【0055】
[0093] スクリューが十分に挿入されると、図21hに示すように、ドライバー52及びガイドワイヤ47は、取り除かれる。
【0056】
[0094] 図21iでは、スクリューは、インプラント50の配置を示すことができるように、除去されている。DBF線維は、スクリューが挿入されるときに、それによって、所望の通りの横方向に位置を変えられる。スクリューが挿入されるときに、インプラントのどんな下方への移動にもさらに抵抗するのを助けるという、円錐台及びフレア付き端部のさらなる利点がある。
【0057】
[0095] フレア付き設計の別の有利な面は、ある量のDBFが、骨の表面上に位置決めされることである。これは、例えば、椎弓根にアクセスするために皮質骨が除去されている、椎弓根内の領域である。使用中、椎弓根スクリューへの負荷がかかることは、スクリューを「トグル」させて、負荷を緩める傾向がある。この動きに抵抗できる骨の主な部位は、皮質表面であり、皮質の再構成をシミュレーションするのを支援し得るDBFの配置が有益である。所望の場合、錐は、インプラントのフレア付き部分全体が骨表面に位置決めされるように設計され得る。
【0058】
[0096] インプラントは、それと一緒に使用されることを意図するスクリューと同じ長さとしても、又はより短くてもよい。
【0059】
[0097] 処置が、ガイドワイヤを使用して行われることが望まれる場合、デバイス、錐又はドリル、スクリュー及びスクリュードライバーは全て、ガイドワイヤを通すようにかぶさっての使用に対応するように、カニューレ付きである。
【0060】
[0098] インプラントは、ガイドワイヤ及び錐を備えるキットとして供給され得る。キットはまた、スクリューを含み得る。ガイドワイヤ及び錐は、無菌の使い捨ての単回使用アイテムとして供給されても、又は再使用可能であるように設計されていてもよい。
【0061】
[0099] インプラントは、骨に挿入できるようにするために、ある程度の剛性を有することに依存し、かつそのようなものとして、これは、乾燥状態のDBFを使用することによって、最良に達成される。ひとたび骨内で適所になると、線維は水和する。この効果は、線維を膨潤させて、さらなる固定をもたらすことである。
【0062】
[00100] 本発明の他の実施形態では、図8を参照して説明すると、薄いシート18の形態のDBFも、インプラントと周囲の骨との間の境界面の機能を果たすように、使用され得る。DBFシートは、インプラントを周囲の骨に合わせるのを促し、かつそれに続いて、その骨誘導性によって、骨形成、及び周囲組織とインプラントとの一体結合を刺激する。
【0063】
[00101] 水和された薄いシートの形態のDBFはまた、同様の効果のために、移植前に、スクリュー又はインプラントの表面上に押圧され得る。
【0064】
[00102] 薄いシートの形態のDBFはまた、膝窩腱又は腱の自家移植片が骨トンネル内に固定されるacl(前十字靭帯)手術などの軟組織靭帯置換の骨トンネル内での骨形成を刺激するために使用され得る。この使用法では、図10に示すように、DBFのシート22は、DBFが移植片のトンネル部分内にあるように位置決めされている状態で、患者の体内への移植前に、膝窩腱移植片21に縫合され得、かつ任意選択的に、その一致を支援するように水和され得る。DBF材料の骨誘導性は、骨を刺激して、移植片治癒を促す。シートは、膝窩腱若しくは腱束の外側に単に巻き付けられても、又は個々の腱間にDBFをもたらすように組み込まれてもよい。縫合糸は、DBFシートを適所に保持するように使用され得、かつ既存の移植片準備ステップ中に適所にかがり縫いされ得る。
【0065】
[00103] 骨トンネル内の移植片の至る所で骨形成を刺激すること、並びに腱骨境界面の形成を刺激することが望ましい。この目的のために、移植片のストランド内にDBFを有することが望ましい。これを達成するための1つの手段は、2枚のDBFシートを使用し、かつそれらにスロットを配置して、それらのスロットが互いに嵌められて十字形を形成し得るようにすることである。どのようにこれが行われ得るかの例を、図25図26及び図27に示す。最も一般的な移植片は、4個のストランドを使用するが、図27cの設計は、DBFの1枚のシートを使用して、どの程度単純に設計を2ストランド移植片に適合させ得るかを示している。
【0066】
[00104] デバイスの代替的なフォーマットは、DBFのシートを使用し、かつ図28a及び図28bに示すように、そこに、移植片のストランドが通され得る穴を開ける又はパンチすることである。
【0067】
[00105] 脛骨トンネル(tibial tunnel)に特に好適である増強の代替的な方法として、図24に示されているもののような円錐形のインプラント57が、図29に示されているように、移植片の4つのストランド内に配置され得る。その後、締まりスクリューがインプラント内に挿入され、かつ適所にねじ留めされて、腱の固定に影響を及ぼす。
【0068】
[00106] 他の腱と骨との境界面の増強はまた、DBFのシートを使用することによって生じ得る。図11は、DBFシート22が、骨24と、再び取り付けられる腱23との間の骨層に配置される、回旋筋腱板修復を示す図である。DBFシートの性質は、従来の縫合糸アンカー固定技術を修正する必要がないようなものである。図11では、修復は、縫合糸25aを縫合糸アンカー25bと一緒に使用して付着されることが示され得る。
【0069】
[00107] 回旋筋腱板修復は、一般的に、関節鏡処置として行われるため、関節は、可視化を支援するために食塩水によって膨らませることができる。腱の補強に使用されるいくつかのパッチ製品があり、これは、上述の例のDBFシートに意図した用途ではないが、本発明人らのシートは、全パッチ製品が有する使用における同様の困難がある、すなわち、それらの浮揚性によって、関節内で浮く傾向をそれらにもたらす。関節鏡によるこれらのシートの操作は、極めて困難であり、手術に追加的な時間及び複雑さをもたらす。これにより、困難の程度に起因して、一部の外科医が製品を使用できないようにする。場合によっては、シート製品の使用を簡単にすることを試みる、高度(すなわち複雑かつ高価)な補助器具が開発される。
【0070】
[00108] 本発明の主題の態様は、増強されたインプラントを含み、インプラント(例えば、シートインプラント)は、安定化部分を有するように修正されている。安定化部分は、インプラントを必要な外科的修復の位置に配置するために使用される縫合糸の有効性を高め得る。さらに、安定化部分は、インプラントが、手術によって配置され及び/又は適所に繋がれている間は、インプラントの安定性を高め得る。例えば、安定化部分は、ペグ部分とし得る。ペグ部分は、中実としても、又は開放及び閉鎖端部のあるチューブ状(例えば、中空)としてもよい。
【0071】
[00109] それゆえ、本開示の主題の本発明人らは:1)修復される骨部位のためのパッチの機能を果たすこと、2)縫合糸アンカーの有効性を増強すること、及び3)他のインプラントとは異なり、手術中に自己安定化することが、同時にできる、好都合なインプラントを発見した。それゆえ、本発明の実施形態の態様は、例えば、脱灰骨の線維で構成されかつ適切な形状に形成され得る、インプラント、及びインプラントの使用による組織の骨への固定を改善する手段に関する。特に、複数の線維製のインプラントは、ペグ部分及びシート部分を有する。
【0072】
[00110] 図30aに示すインプラントデバイス68は、関節内のシート様のデバイスの操作に関連する問題を克服する。デバイスのシート部分71は、そこに「ペグ」69が形成されている。ペグは、縫合糸アンカー25bを受け入れるための空洞70を有する。これらのインプラントが使用される手術手技は、拡張器72又は他の器具が空洞を形成するために使用されることである。拡張器上のマーク73は、外科医が、空洞の所望の深さに到達させるのを支援する。関節鏡手術で使用するための縫合糸アンカー25bは、一般的に、縫合糸が予め組み込まれて供給され、かつ挿入ドライバー74に取り付けられる。デバイスのペグ69は、拡張器を使用して形成された空洞の寸法に適合するサイズであり、及びデバイス内の空洞70は、縫合糸アンカー25bを受け入れるようなサイズにされている。縫合糸アンカーは、空洞70に挿入され、かつわずかに回転されて、アンカーのねじ山をデバイスに係合させる。これは、縫合糸アンカー上にデバイスをロックする働きをする。その後、縫合糸アンカードライバーは、デバイスのペグ部を骨内の空洞内へと操作するために使用され得る。
【0073】
[00111] デバイスのシート又は上部は、複数の縫合糸アンカーが使用されるときに、使用される複数のデバイスが腱骨境界面において隣接するシートを形成するような、サイズにされている。それゆえ、例えば外科医が縫合糸アンカー間に10mmの間隔を望んだ場合、選択されたデバイスは、幅10mmであるか、又は幅10mmにトリミングされて、隣接するデバイス/縫合糸アンカーの組み合わせが、隣接するシートを形成するようにする。同様に、2列の縫合糸アンカーがある複列固定技術が用いられた場合、デバイスのシート部分の寸法は、適切なサイズにされて、重なり合わない隣接するシートが形成されたであろう。
【0074】
[00112] 図31bは、手術手技の第1のステップを示す。腱が再び取り付けられる骨75の表面が、バリ又は同様のもので処理されて、出血している骨層を形成し、通常の医療のように、治癒の可能性を最大にする。拡張器、又は同様のもの(図示せず)が使用されて、デバイス68及び縫合糸アンカーを受け入れるための空洞76を開ける。上述の通り、縫合糸アンカーは、デバイス68に挿入されてから回転され、アンカーのねじ山をデバイスに係合しかつそれら2つをロックするようにする。デバイスは、空洞76に挿入され、かつ下向きに押されて十分にそこに載置するようにする。その後、縫合糸アンカーがねじ留めされる。アンカードライバーが取り除かれて、縫合糸の使用に備えた状態にする。追加的なアンカー及びデバイスが、修復中の断裂のサイズによって必要とされる場合、挿入される。デバイスは、縫合糸アンカーによって適所に保持され、かつ手術の完了には、デバイスの追加的な操作は必要とされない。修復を完了するために、縫合糸を腱に通しかつ糸結び前に縫合糸を使用して組織を再接近させる現在の処置が、行われる。デバイスは、腱と骨との間に挟まれており、そこでは、腱付着部の再生の改善を刺激する所望の効果を有し得る。
【0075】
[00113] このデバイスの好ましい実施形態のデバイスでは、乾燥又は凍結乾燥されている。この形態では、デバイスは、硬く、かつ空洞への挿入が最も簡単である。
【0076】
[00114] デバイス68の追加的な恩恵は、デバイスのペグ部分が、縫合糸アンカーの固定強度を増強する働きをすることである。これは、患者の骨の質が悪いときに、特に重要である。外科医が、より直径の小さい縫合糸アンカーを使用できるようにし得る。
【0077】
[00115] デバイス68のペグ部分は、一緒に使用される縫合糸アンカーに適合するように設計される。そのようなものとして、ペグの長さは、縫合糸アンカーに求められる空洞の深さに対応し、かつ10~50mmで変化し得る。同様に、ペグの直径は、縫合糸アンカーに求められる空洞の直径に対応し、かつ3~10mmで変化し得る。
【0078】
[00116] デバイスのシート部分71は、多数の縫合糸アンカーが使用されるときに、骨層75が十分に被覆されるようなサイズにされる。これは、外科医が、使用前に、デバイスを、求められるサイズにトリミングすることによって、又は入手可能な範囲の製品サイズから適切なサイズを選択することによって、達成され得る。シート部分は、長方形、正方形又は丸いとし得る。正方形及び長方形のデバイスでは、辺の寸法は、5~20mmで変化する。丸いデバイスでは、シート部分は、直径が5~20mmとなる。デバイスのシート部分の厚さは、0.5mm~5mmで変化する。
【0079】
[00117] インプラント用の送達デバイスとして縫合糸アンカーを使用することによって、追加的な器具の必要が回避される。デバイスの初期固定をもたらすためにアンカー穴を使用するという設計は、シートデバイスを導入し、及びそれを所望の箇所に保持する手段を、非常に単純な手段にして提供し、追加的な器具、又は関節への追加的な入口を全く必要としない。
【0080】
[00118] 縫合糸アンカー間に使用される間隔に適合する、デバイスの上部、又はシートのサイジングによって、複数のサイズのデバイスの必要性が回避される。これは、さらに、より大きなシートインプラントを所望のサイズに切断することに関連付けられる無駄を回避することを意味する。
【0081】
[00119] 腱付着部を被覆するためのこのモジュール式アプローチは好ましいが、所望の場合には、1つ又は2つのペグを有した、より大きなシートインプラントが提供され得る。
【0082】
[00120] この設計の使用のために与えられた例は、回旋筋腱板修復のための例であったが、当業者には、利用可能性は、これよりも一般的であり、かつ腱と骨を再び取り付ける若しくは修復するあらゆる場合に、又は手術中にシートインプラントが適所に保持される必要があるあらゆる場合に、利用できることが理解される。それゆえ、本発明人らは、さらに、ペグ部分を備えるいずれのシートインプラントも増強し、それにより、インプラントを外科的な配置を容易にすることを考える。いずれの既存のシートインプラントも、既に製造されているシートインプラントを修正することによって、又は既存のシートインプラントの製造プロトコルを修正することによって、ペグ部分を組み込んで、外科的な配置中の安定性を高めたインプラントを導入するように改善され得ることが考えられる。
【0083】
[00121] 本発明のいくつかの実施形態では、DBFシートは、一次骨折修復において又は偽関節(non-union)を治療するための処置においてのいずれかで、骨-対-骨の修復を増強するために使用され得る。これらの場合には、DBFシートは、2つの(又はそれを上回る)骨片間に、順応性(malleable)のある境界面を形成する。
【0084】
[00122] DBFシートはまた、骨膜の周りに巻き付けられて、外傷性骨折での骨片又は移植片を適所に保持し得、かつ骨膜代替物の機能を果たし得る。DBFシートの骨誘導性及び骨伝導性が、治癒を促す。
【0085】
[00123] 多くの関節置換術では、ステムが、髄内管に形成された空洞に配置される。股関節全置換術又は肩関節置換術などでのインプラントの周囲の骨への一体結合を強化することが望ましいことが多い。DBFは、インプラントステム27の形状に一致するシース26に形成され得る。そして、DBFは、ステムの、増強、又は周囲の骨へ固定するための刺激をもたらす。
【0086】
[00124] 起こり得るさらなる問題点は、特に修正手術の場合、骨が不十分であり、かつ外科医が骨移植片の使用を求める可能性があることである。これらの場合には、DBFシースは、厚さ数mmまでの厚さの範囲で提供され、骨移植片代替物として使用し得る。
【0087】
[00125] 本発明のいくつかの実施形態では、シート形態のDBFは、関節置換術の脛骨トレイ及び寛骨臼カップの構成要素の固定を増強するために使用され得る。この後者の場合には、シートは、カップ形状に成形され得る。
【0088】
[00126] 本発明のいくつかの実施形態では、インプラントにおいて使用されるDBFは、移植片を順応性にしかつ非硬質にする鉱物除去処理によってミネラル成分が除去された骨を使用する。そのため、骨は、米国特許第9,486,557号及び同第9,572,912号(上記)に開示されているように、さらに、長軸に沿って切断することによって線維に形成されて、その内部の膠原線維がそれらの自然な線維状に維持されるようにする。その後、この材料は、チューブ内に配置されて、インプラントデバイスを形成し、かつスクリューの穴への送達を容易にし得る。
【0089】
[00127] DBFからシリンダー状インプラントを形成するいくつかの方法は、国際公開第2016/123583号にも開示されており、その内容全体を参照することにより本書に援用する。
【0090】
[00128] いくつかの実施形態では、骨線維を作製する方法は、骨全体を脱灰し、かつそれに続いて、脱灰骨内の膠原線維の向きに対して平行な方向に脱灰骨を切断し、長尺状の骨線維を形成することを含む。本発明の骨材料は、ヒト(同種移植片)又は動物(異種移植片)の皮質骨に由来し、かつ骨線維の幾何学的形状が制御されていることに基づいて、有用性が高い移植片をもたらすように処理される。獣医用途では、同じ種、例えば、イヌ患者にはイヌからの骨(同種移植片)、並びに他の種からの骨(異種移植片)が使用され得る。当業者には、脱灰骨線維以外の線維が、本発明の骨移植片を作製するために使用され得ることが明らかである。そのような線維は、再吸収性ポリマー又は生体活性ガラス又はそれらの混合物から作製され得、かつ脱灰骨線維(DBF)の代わりに又はそれの添加物として使用され得る。移植片を準備する方法は、再現できる結果での効率及び均一性を高め、かつ機器に対する条件及び結果として生じるコストを削減する。本発明のいくつかの実施形態によるインプラントデバイスの形態は、移植片の形態を維持するために異物を追加する必要がない。これらの特性の改善は、本開示に基づいて、当業者には明らかである。
【0091】
[00129] 線維は、効率的に機能できる最小長よりも長い必要がある。線維は、短すぎる場合、凝集力のある乾燥インプラントを形成するように互いに絡まり合わない。また、移植後、及びスクリュー配置後の空洞内での動きを防止するために、スクリューは、線維を適所に保持するように、スクリューのねじ山のピッチよりも長い必要がある。最小長は、正確には定義できないが、約15mm(例えば、10~20mm)である。長さ4cmまでの線維は、絡み合うように十分な長さを有し、かつ好ましくは幅500~1500ミクロン及び厚さ50~300ミクロンである。
【0092】
[00130] いくつかの用途には、DBFは、移植時により硬いインプラントにするために、乾燥され得ることも重要である。
【0093】
[00131] DBF線維のさらなる恩恵は、湿潤時にその完全性を保持するインプラントを形成するために処理される、それらの能力である。
【0094】
線維の処理
[00132] 所望の形状又は形態の線維を生じるための、脱灰骨線維、合成ポリマー線維、膠原線維、又は再吸収性ポリマー線維の処理は、任意の好適な方法を使用して実施され得る。特異的に脱灰された骨線維の処理は、本明細書で開示するような任意の好適な方法を使用して実施され得る。これらの形態のうちのいくつかを作製するために、骨線維は、理想的にはそれらの水和状態で、集められ、かつ圧力型を使用して圧縮され得、圧力は、求められる形状を形成するのに十分であるが、線維構造の多孔性を失うほど高くはない。いくつかの実施形態では、骨線維は、不織製造又は製紙の当業者にはよく理解されているように、湿式堆積(wet lay)技術を使用して形成される。湿式堆積技術を使用して、切断された骨線維は、水溶液中に懸濁されて骨線維スラリーを形成する。任意の好適な生体適合性水溶液が使用され得る。生体適合性水溶液の非限定的な例は:水、食塩水、及び/又はリン酸緩衝食塩水(PBS)などの塩を含む溶液、リンガー溶液、乳酸加リンガー溶液、及びデキストロース5%の食塩水を含む。本発明のいくつかの実施形態では、切断された線維は、食塩水内に入れられて、骨線維が絡み合ったスラリーを生じる。骨線維スラリーは、メッシュスクリーン(孔が設けられている)上に浮遊させられ、食塩水が排出されて、湿式堆積プロセスを生じ、脱灰骨線維のシートがメッシュスクリーン上に形成されるようにする。スクリーンは、スクリーンに三次元形状を与えるように曲線を付けて作られて、シリンダー状ペレットが直接作られ得るか、又はシートが作られるように平坦である。その後、結果として生じるデバイスは、加熱及び/又は真空又は凍結乾燥(フリーズドライ)などの他の手段を使用して乾燥され得る。いくつかの実施形態では、乾燥前、シートは、型内に配置され、かつ規定の厚さ及び形状へと圧縮されて、その後乾燥される。本明細書で説明するように、結果として生じる製品の密度、多孔性及び全体寸法は、様々な型及び技術を使用して制御され得る。
【0095】
[00133] 水和線維はまた、単に、シリンダー状型穴に入れられ、かつ図4図5及び図6に示すように、プランジャー又はプッシュロッドを使用して軽く圧縮され得る。これらの変形例では、特徴は、シリンダー状型の2つの端部のプロファイルを修正するために提供される。設定量の線維がシリンダー状型に導入され、かつプランジャーを使用して、プランジャーが押される深さを制御することによって、求められる密度に線維を圧縮する。プランジャーに、図9の6(図5の9)に示すようなスパイクがある場合、スパイクは、窪み、部分的な穴、又はインプラントの長さ部分を貫通する穴を形成するように設計され得る。この後者の場合には、インプラントは、チューブの形態となる。
【0096】
[00134] いくつかの実施形態では、真空オーブンが使用され、それにより、真空引きすることによって、水分を除去し、かつインプラントを乾燥させる。
【0097】
[00135] いくつかの実施形態では、加熱ステップは、インプラントを金属や他の高熱伝導性面と接触するように配置し、アニーリング/架橋の程度がその表面で高められるようにすることによって、始められる。
【0098】
[00136] 他の実施形態では、骨線維は、さらに、真空乾燥及び/又は凍結乾燥を含み得る第2の乾燥ステップにおいて処理される。
【0099】
[00137] いくつかの実施形態では、圧縮、加熱、及び乾燥の量は、再水和速度及び再膨張速度を修正するように、調整され得る。例えば、加熱しなければ、再水和は非常に迅速であるが、35℃~55℃又は45℃~55℃での約1時間の加熱によって、非常にゆっくりとした再水和及び再膨張を引き起こす。他の態様では、加熱は、35℃、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、又は55℃のいずれかで生じ得る。これらのプロセスを変更することによって、本明細書で開示するような骨線維構成物は、梱包、出荷、開梱及び移植片部位への配置の最中に、それらの製造された形状を保持し得るが、移植片部位への配置後、DBFは、水分を迅速に吸収し始め(30秒以下)、かつ約2分以内で完全に再水和/再膨張され、好ましくは30秒以内で完全に再水和/再膨張され得る。
【0100】
[00138] 他の実施形態では、骨線維は、ある程度の水分を保持してもよく、かつ水分を通さない梱包内に配置され得る。さらに、乾燥されかつ成形された骨線維インプラントは、梱包後に滅菌され得る。インプラントの滅菌は、任意の好適な方法を使用して実施され得る。例えば、滅菌は、電子線又はガンマ線によって実施され得る。或いは、無菌製造は、最終滅菌の必要性を回避するために使用され得る。
【0101】
[00139] 他の実施形態では、本発明の主題はまた、厚さ0.5mm~5mmのDBFシートを作製するために使用され得る、図8に示すような単純な型を含み、ここでは、型の蓋は、型17(DBFスラリー内の液体の排出のために、穴が設けられている型)に配置され得、ここで、蓋は、DBFが湿式堆積された後、DBFと接触しており、かつDBFの圧縮の程度、それゆえシートの密度を規定し得る。
【0102】
[00140] 乾燥されるDBFシートは、再水和時の湿潤強度が低く、及びDBFシート湿潤強度の改善は、45~55℃のオーブンに型を配置し、かつシートを2時間まで熱処理することによって、影響を受け得る。
【0103】
[00141] いくつかの実施形態では、骨線維ペレットは、湿潤した線維をシリンダー状型に直接加えることによって、形成される。シリンダー状型の例は、図4に示すような金属チューブである。骨線維ペレット形状は、最小侵襲手術で一般的に使用されるようなカニューレを使用して移植片部位に送達され得るため、有用である。骨線維ペレットはチューブを通過できる。シリンダー状型に線維が詰め込まれる。詰め物(tamp)を使用して、線維をある程度圧縮する。いくつかの実施形態では、線維が詰め込まれたシリンダー状型は、加熱、真空、及び/又は凍結乾燥によって乾燥される。乾燥後、骨線維インプラントは、より凝集力があって、減少した体積へと収縮する。乾燥後、骨線維ペレットは、乾燥時に発生する収縮に起因して、簡単に型から押し出され得る。
【0104】
[00142] 湿式堆積技術は、骨線維からの異なる形状の製造に使用され得るが、テキスタイル線維と一緒に使用され得る任意の他の成形又は形成技術が使用され得ることが認識される。賦形剤有り及び無しの線維は、任意の形状への圧縮を使用して、直接成形され得る。いくつかの実施形態では、賦形剤は、インプラントの潤滑性を高めるように選択され得、この処置の間での送達を容易にし、かつさらに摩擦又は結合を減少させる。
【0105】
[00143] 長いシリンダー状インプラントは、従来の湿式堆積プロセスを使用して簡単に生産されはしないかもしれない。代替的な方法として、インプラントは、図7に示すように、ドレナージ用穴が至る所にある、2つの結合した半シリンダー状の窪みが設けられた型12に湿式堆積され得る。インプラント14は、可撓性の保管用トレイ15内にこのようにして保管され得、かつ手術時に、一緒に折り曲げられて、シリンダー状インプラント16を作り出し得る。
【0106】
[00144] 或いは、図7に示すものなどの型内で生産された半シリンダー状インプラントは、湿式堆積後及び熱処理ステップ前に、一緒に折り曲げられ得る。このとき、シリンダーの2つの半体は、絡まり合って、互いに結合する。
【0107】
[00145] 或いは、スクリュー固定を増強するためのインプラントは、2つの半体に形成され得、インプラントが、インプラントの遠位端部になる部分で折られる。そのような設計の選択は、図15a~15iに示されている。最も単純なフォーマットは、直角プリズム31である。変形例は、以下の通り示される:図15bでは、強度を高めるために、中心部分32が緻密化される;図15cでは、断面33が半円形である;図15dでは、直角プリズムが、中心34において幅が狭くなっている;及び図15eでは、直角プリズムは、中心34において幅が狭くなっており、かつ半円形断面33を有する。図15fは、インプラント31が挿入されている状態の、ドリル穴35の側面の断面図を示し、挿入は、押子36を使用することによって、達成される。インプラントは、穴に収まるのに必要な長さよりも長い。図15gは、インプラント31が挿入された状態の、ドリル穴35の側面の断面図を示し、挿入は、押子36を使用することによって達成され、ここでは、インプラント31が、穴から突出することなく穴に収まるのにちょうど必要な長さであるか又はほぼその長さである。さらに、図15hは、穴に挿入されたときに、図15cに示すインプラントが、空間充填インプラントを形成することを示す、穴を見下ろす端面図である。及び図15iは、テーパ付き穴に挿入される図15eのインプラントの断面図であり、こここで、インプラントの形状は、テーパ付き穴内で空間充填するように設計されている。
【0108】
[00146] 引き続き図15a~15iを参照して説明すると、これらの設計のインプラントは、求められるインプラント寸法を規定する、窪みが設けられた型を用いて湿式堆積法を使用して製作され得る。DBFは、40℃~53℃の温度に30~150分間加熱されて、インプラントを乾燥させ、かつ線維の凝集力を高め得る。乾燥後、個々のインプラントは、湿式堆積型から切り抜かれる。
【0109】
[00147] 本発明の実施形態によるインプラント設計の使用は、例えば図15bの32に示すようなインプラントの折り目に作用する押子を使用することによって、穴へのインプラントの挿入を容易にできる。
【0110】
[00148] 整形外科及び脊椎手術におけるスクリュー固定の増強での使用に求められるサイズ及び形状のインプラントを作製しようとするときにぶつかる特定の困難がある。所望の又は求められるインプラント寸法は、直径約2~7mm及び長さ1~7cmである。インプラントが十分な機械的完全性を有することができるようにするために、及びインプラントを移植可能にするために、DBF線維は、凝集力のあるインプラントをもたらすように十分なサイズである必要がある。現在入手可能なDBFは、長さ約4cmであり、及び幅500~1000ミクロンが、機械的な完全性をもたらすことができるが、線維サイズは、これまでに特定された製造法を使用して、求められるサイズにDBFを処理することを困難にする。この問題は、インプラントが直径約5mm未満であり、かつ1.5cmよりも長いことが求められるとき、深刻になる。下記の実施例1のインプラントの製作は、可能ではあるが、極めて時間がかかり、かつ困難な処理であったため、効率的な製造プロセスには繋がらない。さらに、図15a~15iに示す設計の成形部分は、湿式堆積されたDBFが、型の溝を横切ってではなく、溝内に湿式堆積されることを必要とする。線維が1つのインプラントの空洞から別の空洞まで横切る場合、線維は、その部分を型から取り除くときに、切断される。これがあまりにも多くの線維で発生する場合、その部分の凝集強さは失われてしまう。これらの理由で、サイズは幅約5mmであり、それを下回ると、インプラントは、この方法論を使用して生産できない。
【0111】
[00149] 湿式堆積プロセスは、元々、二次元シートのような製品を作製するために線維が処理される製紙及びテキスタイルで使用するために、開発された。流体を排出すると、線維は、型の表面上に積もり、かつそのようなものとして、生産されつつあるシートの平面に対して全体的に平行な平面内にある。この処理は、ある程度のむらに対応し、かつ卵ケースのような形状を作製するために使用され得るが、シリンダー形状の製作には全く不適切である。
【0112】
[00150] 本発明の実施形態によれば、過剰な流体中に線維を分散させることによって、流体及び線維は、小径及び長尺の型に向けられ得る。直径約2~約5mm及び長さ約4~5cmのインプラントの体積は、0.15cmから10.0cmまでである。一般に、インプラントの体積は、約0.15cmから2.0cmまでである。さらに、インプラントの長さは、骨修復部位の必要性に応じて、長さ2cmから長さ10cmまでとし得る。インプラントの長さは、長さ3cm~10cm、長さ4cm~10cm、長さ4cm~9cm、長さ4cm~8cm、長さ4cm~7cm、長さ4cm~6cm、又は長さ4cm~5cmとし得る。骨スクリューを受け入れて固定するために、インプラント(例えば、図15iの31、又は図30a及び図30dの68)の長さは、骨スクリューの長さに対応し得る。それゆえ、円錐、チューブ状、又はカニューレ付き形状のインプラントの長さは、骨スクリュー、又は追加的な脱灰骨線維(DBF)を含む任意の骨修復材料を受け入れるのに好適な長さを有し得る。
【0113】
[00151] それらの型を塞ぐために求められるDBFの質量は、約0.15グラム~1グラムであり、かつ本明細書で開示するような線維に対する流体の割合で、シリンジ中の約20mlの流体に分散され得る。型への流体中での線維の分散は、射出圧力による、又は真空並びに必要に応じて重力によるとし得る。任意の好適な緩衝流体が使用され得る。例えば、リン酸緩衝食塩水(PBS)、並びに水又は任意の生体適合性の緩衝液若しくは液体が、線維の分散に使用され得る。
【0114】
[00152] 従来の製作方法とは対照的に、重力流に頼るのではなく、希釈された線維及び流体分散体に、上昇した圧力が加えられる。これにより、型穴の入口に絡まり合った塊を形成するのではなく、線維を、下方へとより細い直径の構造に強制的に流す。線維は分散されているため、型に導入されたときは圧縮されていない。それゆえ、線維のスラリー懸濁液は、好都合なことに、型に導入されかつ入れられ、これは、なぜなら線維懸濁液が、重力流を上回るが、線維が塊になる又は圧縮するほどの圧力/力ではない割合で、型に射出されるか又は押し出されるためである。例えば、本明細書で開示するような割合を有する線維懸濁液の15mlのスラリーは、約1~5秒で型に導入される。そのようなものとして、線維のスラリーは、約3ml/秒から15ml/秒までの流量で型に入れられる又はもたらされる。
【0115】
[00153] 図16は、DBF線維の水-又は流体-アシスト射出成形用の装置を示す。求められる質量のDBF線維37が、シリンジ38に詰め込まれる。その後、好適な流体(例えば、水、食塩水、又はリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む緩衝食塩水)がシリンジに追加される。そして、シリンジの遠位端部が、切り離し可能な型40が取り付けられているアダプター39に収められる。型は、インプラントを求められる寸法に作製できるようにし、及び型は、シリンダー状、リブ付き、及び/又はテーパ付きとし得る。従来の射出成形のように、シリンダーは、小さなテーパ又は抜き勾配を有して、成形部分を取り出すことができるようにする。型は、その遠位端部の方へ向かってテーパが付けられ、かつその長さ部分に沿ってベント41、及び取り外し自在なベント付きエンドキャップ42を有して、流体がDBF混合物から流出できるようにする。切り離し可能な型は、DBF射出後に取り除かれ、かつオーブン又は凍結乾燥器に入れられて乾燥される。複数の部分を製作できるようにするために、1つのアダプター及びシリンジを備える複数の型が、使用されてもよい。
【0116】
[00154] 本発明のいくつかの実施形態では、流体(例えば、食塩水)対DBFの割合は、約3mlの流体対1グラムのDBFである。他の実施形態では、流体対DBFの割合は、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50mlの流体対1グラムのDBFである。さらに他の実施形態では、流体対DBFの割合は、約200ml未満の流体対1グラムDBFである。好都合なことに、約3~200ml、3~150ml、3~100ml、3~50ml、3~20ml、又は3~10mlの流体対1グラムのDBFの範囲内にある流体対DBFの割合は全て、DBFを水和させるのに十分な流体を提供し、所望の形状へのDBFインプラントの付形及び形成を容易にしながら、同様に、流体を完全に除去できるようにして、乾燥DBFインプラントを生産する。
【0117】
[00155] 本発明のいくつかの実施形態では、DBF線維のウォータージェットアシスト射出成形が使用される。図17に示すように、DBF線維37は、ホッパー43に詰め込まれる。ホッパーは、切り離し可能な型40に取り付けられ、及び型は、その遠位端部の方へ向かってテーパが付けられており、かつその長さ部分に沿ってベント41、及び取り外し自在なベント付きエンドキャップ42を有する。手動のウォータージェット44が作動されて、DBFをホッパーから型内へ押し込む。切り離し可能な型は、DBF射出後に取り除かれ、かつオーブン又は凍結乾燥器に入れられて乾燥される。
【0118】
[00156] 図30a及び図30dを参照して説明すると、本開示のウォーターアシスト射出成形プロセスはまた、スクリュー固定デバイス68などのDBFインプラントを作製するために使用され得る。
【0119】
[00157] より具体的な実施形態では、ウォータージェットのノズルは、直径約0.1~1cmである。一般に、ノズル直径は、直径約1mm~5mmであり、及びより典型的には、ノズル直径は、直径約2mm~4mmである。流体流量は、約1ml/分、1分当たり30ml、又は好ましくは1分当たり約1000mlまでとし得る。
【0120】
[00158] 当業者は、射出成形されたポリマー部分を製作するために使用されるような多数個取り射出成形型と同様の、複数の型に至る複数のファンネルを備える装置を簡単に予想し得る。
【0121】
[00159] 本開示のインプラントは、それらの乾燥状態において、空洞、スクリュー穴、錐穴、又はドリル穴に挿入され得る。さらに、本開示のインプラントは、シリンジ又はシリンジ様挿入デバイスに収納され得る。インプラントがシリンジ又はシリンジ様挿入デバイス内にある状態では、インプラントは、横方向安定性を有し得、それにより、手術部位(例えば、空洞又は穴)に押し込まれている最中の、インプラントの曲げ又は座屈を防止するか又は減少させる。
【0122】
[00160] 本発明のいくつかの実施形態では、DBFの絡み合いを、液体スラリー中にある間に線維を攪拌することによって、増加させ得る。渦を生じることによって、線維は旋回されて、絡まり合うように誘発される。この絡み合いは、不織の「一続き」の線維を生じ、これは、押し出されてから長さが切断され、かつそのままで、又は本開示で説明されるようにさらにペレットに処理されて、使用され得る。
【0123】
[00161] 実質的に空間充填するように、移植後に膨潤するインプラントでは、線維の処理条件が、制御され得る。例えば、いくつかの実施形態では、線維は、線維を圧縮状態にするために、圧縮、加熱、及び/又はそうでなければ乾燥され、湿潤すると、線維が膨張及び膨潤できるようにする。
【0124】
[00162] 本発明のいくつかの実施形態では、インプラントシステムパッケージ又はインプラントキットは、例えば、図4に示すような、シリンダー状型及びプランジャーを含む。
【0125】
賦形剤及び添加剤
[00163] 添加剤は、本発明の実施形態によるインプラントの生物学的特性又は他の特性を変えるために考慮される。添加剤の非限定的な例は、増殖因子、例えば骨形成タンパク質(BMPs:bone morphogenetic proteins)、例えばBMP-1、BMP-2、BMP-3、BMP-4、BMP-5、BMP-6、BMP-7、BMP-8、BMP-9、BMP-10、BMP-11、BMP-12、BMP-13、BMP-15、BMP-16、BMP-17、及びBMP-18;血管内皮増殖因子(VEGFs:Vascular Endothelial Growth Factors)、例えばVEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D及びVEGF-E;結合組織増殖因子(CTGFs:Connective Tissue Growth Factors)、例えばCTGF-1、CTGF-2、及びCTGF-3;オステオプロテゲリン(Osteoprotegerin)、形質転換増殖因子β(TGF-βαs:Transforming Growth Factor betas)、例えばTGF-β-1、TGF-β-2、及びTGF-β-3、及び腫瘍壊死因子の阻害物質(例えば、抗TNF-α)を含む。モルフォゲンはまた、米国特許第6,630,153号(その内容全体を本願明細書に援用する)に開示されているように、血小板由来増殖因子(PDGFs:Platelet Derived Growth Factors)、例えばPDGF-A、PDGF-B、PDGF-C、PDGF-D、及びGDF-5;rhGDF-5;及びLIM石灰化タンパク質(LIM mineralization protein)、インスリン関連の増殖因子-I(IGF-I)、インスリン関連の増殖因子-II(IGF-II)、線維芽細胞増殖因子(FGF:fibroblast growth factor)及びβ-2-ミクログロブリン(BDGF II)を含み得る。それらをコード化するポリヌクレオチドも、遺伝子治療作用物質として投与され得る。好ましい生物活性物質は、遺伝子組み換えヒト骨形成タンパク質(rhBMPs:recombinant human bone morphogenetic proteins)であり、なぜなら、それらは比較的無制限の供給で入手可能であり、かつ感染症をうつさないためである。いくつかの実施形態では、骨形成タンパク質は、rhBMP-2、rhBMP-4、rhBMP-7、又はそれらのヘテロダイマーである。BMPは、Wyeth(Madison、N.J.)から入手可能であり、かつまた当業者によって、Wozney et al.への米国特許第5,366,875号;Wang et al.への米国特許第4,877,864号;Wang et al.への米国特許第5,108,922号;Wang et al.への米国特許第5,116,738号;Wang et al.への米国特許第5,013,649号;Wozney et al.への米国特許第5,106,748号;及びWozney et al.へのPCT特許出願、国際公開第93/00432号;Celeste et al.への国際公開第94/26893号;及びCeleste et al.への国際公開第94/26892号(それらの内容全体を参照することにより本書に援用する)に説明されているように、準備され得る。
【0126】
[00164] ペルフルオロカーボンなどの酸素化添加剤は、本開示のインプラント中のDBF材料の骨形成及び治癒をさらに促進させるために使用され得る。いくつかの実施形態では、骨修復DBFインプラント組成物は、ペルフルオロカーボン(PFC)などの酸素化材料を含む。いくつかの実施形態では、DBFインプラント組成物は、酸素発生化合物、例えば過酸化物(例えば、過酸化水素、過酸化マグネシウム、過酸化カルシウム)、過塩素酸(perchlorates)(例えば、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム)、過炭酸塩(percarbonates)(例えば、過炭酸ナトリウム)、又は過ホウ酸塩(perborates)(例えば、過ホウ酸ナトリウム)を含む。
【0127】
[00165] 追加的な恩恵に関し、海綿若しくは皮質骨破片及び/又は脱灰海綿若しくは皮質骨破片がDBFに添加され得る。骨破片に加えて又はその代わりに、石灰化骨線維がDBFに添加され得る。骨破片に加えて、石灰化骨線維、又はその代わりに、リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、又は他の合成骨移植片材料がDBFに添加され得る。
【0128】
[00166] 本発明のいくつかの実施形態によれば、患者への、スクリュー増強のためのインプラントの導入は、スクリューを受け入れるようにドリルで開けられた穴にインプラントを入れることによって、成し遂げられる。インプラントは、修復されかつ空間充填する穴に収まるようなサイズにされている、すなわち、インプラントは、穴とほぼ同じ長さ及び直径である。インプラントは、直接手で穴に入れられても、又はインプラントを押し出すプランジャーを備える、インプラントを保持するためのシリンダー状要素を有する送達器具を使用することによって入れられてもよい。それゆえ、送達器具は、カニューレ付きとし得る。
【0129】
[00167] 本発明のいくつかの実施形態では、インプラントは、治療される穴の深さよりも長く、かつこれらの場合には、外科医は、インプラントを所望の長さに切断し得る。
【0130】
[00168] スクリューを受け入れるように設計されたインプラントの端部に刻み目を形成しておくと、スクリューを中心へ入れることを容易にし得る。さらに、インプラントを、カニューレ付きでも又はチューブ状にして、ガイドワイヤにわたるスクリュー配置をさらに容易し得る。
【0131】
[00169] 本発明のいくつかの実施形態では、インプラントは、チューブ内に形成及び保管され得る。送達チューブの端部への詰め込みを容易にするために、長尺状部材(例えば、カニューレ)の端部には凹部が形成されて、保管用チューブを正しいアライメントに保持する。
【0132】
[00170] いくつかの実施形態では、複数のインプラントが、送達チューブに取り付けられていてインプラントを簡単に展開できるように構成されたホルダー内に、保管される。
【0133】
[00171] 送達チューブは、直線であっても又は湾曲していてもよい。後者の場合、プランジャーは可撓性であり、任意の好適な材料、例えば、ニチノールワイヤ又は編組ニチノールワイヤで作製される。
【0134】
[00172] DBFインプラントは、プッシュロッドによって、凸状近位端部及び凹状遠位端部を備えた形状にされ得る。或いは、インプラントは、送達チューブの端部に別個の手段によって導入され得る。場合によっては、ペレット形状を有するインプラントは、送達チューブに導入するのがより簡単となり得る。
【0135】
[00173] 手術時に、移植に先立って、少量の任意の好適な水溶性造影剤がインプラントに注入されて、移植を行っている最中を可視化し得る。水溶性造影剤の例は、イオパミドールである。
【0136】
[00174] 手術時に、移植に先立って、少量の滅菌水、リン酸緩衝食塩水、骨髄穿刺液、及び/又は血液がインプラントに注入されて、インプラントを水和させる。
【実施例
【0137】
実施例
[00175] 以下の実施例は、ヒト皮質骨を使用している。本明細書で説明するように、ヒト又は動物のいずれかの骨が、皮質骨源として使用され得る。線維は、米国特許第9,486,557号及び米国特許第9,572,912号(上記)に説明されているような手法を使用して生産された。
【0138】
実施例1
[00176] 1mlの使い捨てのプラスチック製シリンジを型として使用した。プランジャーを取り外し、かつ0.25グラムのDBFをシリンジの端部に導入して、プランジャーを使用して、線維を約4cmの長さに軽く圧縮した。プランジャーを取り外し、シリンジの先端を、メスを使用して切り落とした。インプラントを27℃で一晩真空乾燥した。結果として得られたインプラントは、直径約4.5mmであった。
【0139】
実施例2
[00177] 実施例1からの3つのインプラントを、スクリュー引き抜き増強の試験に使用した。骨減少性の骨の代用物としてスクリュー引き抜きを試験するためにしばしば使用される、Sawbonesの1インチ当たり10個の細孔の発泡体を、使用した。発泡体ブロックに、直径5mmの穴を6個、ドリルで開けた。実施例1からのインプラントを、それら穴のうちの3つに入れた。5.5mmの椎弓根スクリューを6個の穴に挿入した。MTS引張試験機を、スクリューを穴から引き抜くために必要な力を記録するために使用した。得られたデータを下記の表1に示す。
【0140】
[00178]
【表1】
【0141】
実施例3
[00179] 15グラムのDBF線維を、10cm×11cmの平型に湿式堆積させて、DBFのシートを生産した。型を55℃に2時間加熱して、線維を結合させ、かつシートを乾燥させた。シートは厚さ約1mmである。シートの一部分は、ACL又は回旋筋腱板固定の増強に使用するのに好適である。
【0142】
実施例4
[00180] 実施例3のシートの一部分を、膝関節形成術からの脛骨トレイの形状に切断し、水和させ、かつ多孔質のコーティングされた脛骨トレイの表面上へと押しつけた。
【0143】
実施例5
[00181] 約3cm×1cmの実施例3のシートの部分を水和させ、かつ6mm直径の椎弓根スクリューのねじ部分に巻き付けた。DBFは、スクリューの表面に順応した。
【0144】
実施例6
[00182] ウォーターアシスト射出成形(WAIM:water assisted injection molding)を使用してインプラントを作製するための装置を、図16に示す概略図に従って製作した。遠位端部が除去された20mlシリンジを、3Dプリントしたアダプターに入れた。3つの切り離し可能な型サイズを使用し、それぞれのサイズは、長さ5cmであり、直径が:3.5mmから3mmに減少した;4.5mmから4mmに減少した;及び5.5mmから4.5mmに減少した。DBFを20mlシリンジに入れ、かつシリンジをPBSで満たした。シリンジの端部を、アダプター内に配置し、かつプランジャーを下方に押して、DBFを型に射出した。使用されるDBF量は、それぞれ3.5、4.5及び5.5mmの直径で0.45グラム、0.6グラム及び1.05グラムであった。成形後、型を真空オーブンに入れ、かつ真空下で、0.5L/分の空気の流れで、一晩、乾燥させた。エンドキャップの除去後、乾燥したインプラントを、単に、型から押し出すことによって、除去できた。インプラントの直径は、型の直径よりも直径が約0.75mm小さかった。
【0145】
実施例7
[00183] 実施例3からのシートの一部分を、図25aに示すようにスロットが切り込まれている、それぞれ2cm×5cmの2片に切断した。その後、シートを再水和させ、かつ4個の3mm直径のロッドを使用して、図27aの十字形を形成した。乾燥後のインプラントが図27bに示される。このインプラントは、acl移植片の固定の増強に使用するのに好適であった。
【0146】
実施例8
[00184] 実施例3からのシートの一部分を、約2cm×5cmの一片に切断した。その後、シートを再水和させ、かつ2つの3mm直径のロッドを使用して付形してから、再び乾燥させた。図27cのインプラントを形成した。このインプラントは、2ストランドacl移植片の固定の増強に使用するのに好適であった。
【0147】
[00185] 本発明を、いくつかの例示的な実施形態を参照して図示しかつ説明したが、当業者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、以下の特許請求の範囲に定義されるように、様々な修正及び変更が説明の実施形態になされ得ることを理解する。
【0148】
[00186] さらに、「外」、「内」、「上側」、「下側」、「~の下」「~の上」、「垂直」、「水平」などの相対語及び同様の用語が、1つの要素と別の要素との空間的な関係を説明するために使用されたが、これらの用語は、図面(図)に示す向きに加えて、デバイスの様々な要素及び構成要素の異なる向きを含むことを意図することが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15a
図15b
図15c
図15d
図15e
図15f
図15g
図15h
図15i
図16
図17
図18
図19
図20a
図20b
図20c
図20d
図20e
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図21a
図21b
図21c
図21d
図21e
図21f
図21g
図21h
図21i
図22
図23
図24
図25
図26
図27a
図27b
図27c
図28
図29
図30a
図30b
図30c
図30d
図31a
図31b
【国際調査報告】