(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】ロングストロークシートの給電機構
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20220316BHJP
B60N 2/06 20060101ALI20220316BHJP
H02G 11/00 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/06
H02G11/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529697
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(85)【翻訳文提出日】2021-05-24
(86)【国際出願番号】 CN2019121828
(87)【国際公開番号】W WO2020140660
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】201910000484.2
(32)【優先日】2019-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521225236
【氏名又は名称】延鋒安道拓座椅有限公司
【氏名又は名称原語表記】YANFENG ADIENT SEATING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 669 Kang An Rd, Kangqiao Industrial Zone, Pudong New Area Shanghai 201315 CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】張輝
(72)【発明者】
【氏名】龍勇
(72)【発明者】
【氏名】石晶晶
(72)【発明者】
【氏名】張邱威
(72)【発明者】
【氏名】王定宇
【テーマコード(参考)】
3B087
5G371
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087DE09
3B087DE10
5G371AA01
5G371BA01
5G371BA07
5G371CA01
5G371CA07
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの収納空間及び1つの開口が設けられたワイヤーハーネス収納ボックスと、折り曲げられて収納空間に収容され、第1端がワイヤーハーネス収納ボックスに相対的に固定され、第2端が開口から出てシートの下部スライドレールの滑り溝に摺設されたドラッグチェーンと、ドラッグチェーンに貫設され、第1端がワイヤーハーネスチャネルの第1端及び開口から出て給電体に接続され、第2端がワイヤーハーネスチャネルの第2端から出てシートの上部スライドレールに接続されるワイヤーハーネスとを含むロングストロークシートの給電機構を開示する。本発明では、ドラッグチェーンを採用してワイヤーハーネスをワイヤーハーネス収納ボックス及びシートの下部スライドレールの滑り溝に収容することにより、ワイヤーハーネスは、上部スライドレールと共に滑り溝を共用し、上部スライドレールの摺動に伴って一緒に移動することができ、ドラッグチェーンは、ワイヤーハーネスの移動に伴ってワイヤーハーネス収納ボックスと下部スライドレールを往復し、ロングストロークシートの給電需要を満たす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの収納空間及び前記収納空間に連通する少なくとも1つの開口が設けられたワイヤーハーネス収納ボックスと、
ワイヤーハーネスチャネルを有し、折り曲げられて前記収納空間に収容され、第1端が前記ワイヤーハーネス収納ボックスに相対的に固定され、第2端が前記開口から出てシートの下部スライドレールの滑り溝に摺設され、両端が前記ワイヤーハーネスチャネルの両端を貫通するドラッグチェーンと、
前記ドラッグチェーンに貫設され、第1端が前記ワイヤーハーネスチャネルの第1端及び前記開口から出て給電体に接続され、第2端が前記ワイヤーハーネスチャネルの第2端から出てシートの上部スライドレールに接続されるワイヤーハーネスと、を含むことを特徴とする、
ロングストロークシートの給電機構。
【請求項2】
前記ワイヤーハーネス収納ボックスの前記開口にドラッグチェーンアダプタが接続され、前記ドラッグチェーンアダプタの内部にドラッグチェーンが通過するターニングチャネルを有し、前記ターニングチャネルが前記ドラッグチェーンアダプタの第1側部及び第2側部を貫通し、前記第1側部が前記開口に接続され、前記第2側部がシートの下部スライドレールに接続され、前記ターニングチャネルが前記シートの下部スライドレールの滑り溝に連通することを特徴とする請求項1に記載のロングストロークシートの給電機構。
【請求項3】
前記ワイヤーハーネス収納ボックスが、平行に設けられた複数本のシートの下部スライドレールの端部に横方向に貫通して設けられることを特徴とする請求項2に記載のロングストロークシートの給電機構。
【請求項4】
前記ワイヤーハーネス収納ボックスが、直線に設けられた複数本のシートの下部スライドレールの側部に設けられることを特徴とする請求項2に記載のロングストロークシートの給電機構。
【請求項5】
前記ターニングチャネルが、L字形又はU字形を呈することを特徴とする請求項2に記載のロングストロークシートの給電機構。
【請求項6】
前記ドラッグチェーンアダプタの前記第2側部に上部開口のあるレールスロットが設けられ、前記下部スライドレールの端部が前記レールスロットに鉛直方向に係設され、前記レールスロットの上部開口にスライドレールエンドカバーが覆設されていることを特徴とする請求項2に記載のロングストロークシートの給電機構。
【請求項7】
前記ドラッグチェーンの第2端が前記ターニングチャネルに貫設され、前記ドラッグチェーンの第1端が前記ドラッグチェーンアダプタの前記第1側部に固定接続され、前記ドラッグチェーンアダプタに前記ドラッグチェーンの第1端に開放された付加チャネル及び付加開口がさらに設けられ、前記ワイヤーハーネスの第1端が前記付加チャネル及び前記付加開口の順に通過し前記給電体に接続されるようになることを特徴とする請求項2に記載のロングストロークシートの給電機構。
【請求項8】
前記シートの下部スライドレールの滑り溝の内壁の、前記ドラッグチェーンと接触する面には、嵌合して摺動するダブテール構造が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のロングストロークシートの給電機構。
【請求項9】
前記収納空間が帯状を呈し、帯状の前記収納空間の両端にそれぞれ前記開口が設けられ、前記収納空間に2つの前記ドラッグチェーンが設けられ、各前記ドラッグチェーンの両端が前記開口に対応して設けられることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のロングストロークシートの給電機構。
【請求項10】
2つの前記ドラッグチェーンが、前記収納空間の長手方向に沿って前記収納空間の縦方向の両側に設けられ、あるいは、2つの前記ドラッグチェーンが、前記収納空間の幅方向に沿って前記収納空間の横方向の両側に設けられ、前記収納空間に2つの前記ドラッグチェーンを仕切るためのセパレータが設けられていることを特徴とする請求項9に記載のロングストロークシートの給電機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート構造に係る技術分野に関し、特に、ロングストロークシートの給電機構に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の自動車のシートにおいて、シートを前後に調節するストロークは、一般的に300mmよりも小さく、クッションのX方向の長さよりも小さいので、ワイヤーハーネスを、移動過程に露出させることなく、直接車体からシートに接続することができる。しかし、MPV/SUVの中列シートは、シートの調節ストロークが一般的に大きく、クッションのX方向の長さよりも大きく、ワイヤーハーネスをシートに直接接続すると、見掛けが悪く、ワイヤーハーネスが露出し、摩耗しやすくなるなどの安全上の懸念が発生する。
現在、ロングスライドレールの給電の解決方法として、主に2種類の給電方式がある。1つの配置方式は、1本の給電レールを追加し、ワイヤーハーネスが摺動接続するための摺動体を配置する必要があり、また、同列シートは、左右に2本の給電レールを必要とし、給電レールは、車体カーペットから露出する必要があるので、見掛けが悪いなどの欠陥がある。別の給電方式は、シートのスライドレールの側面にワイヤーハーネス収納ボックスを追加し、ワイヤーハーネスがワイヤーハーネス収納ボックスから伸び出した後にシートのスライドレールの端部からスライドレールに進入してシートに接続され、ロングストロークを必要とする列が1つしかない場合、複数のワイヤーハーネス収納槽が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術に存在又は潜在したいくつかの問題に鑑みて、本発明は、ロングストロークシートの前後の調節を実現することができ、ワイヤーハーネスとシートがレールを共用し、ワイヤーハーネスを収納ボックス及びシートスライドレールの内部に隠し、異物によるワイヤーハーネスへの破壊を防止し、ワイヤーハーネスの露出を回避することもできるロングストロークシートの給電機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が上記目的を実現するために採用する技術手段は、少なくとも1つの収納空間及び前記収納空間に連通する少なくとも1つの開口が設けられたワイヤーハーネス収納ボックスと、ワイヤーハーネスチャネルを有し、折り曲げられて前記収納空間に収容され、第1端が前記ワイヤーハーネス収納ボックスに相対的に固定され、第2端が前記開口から出てシートの下部スライドレールの滑り溝に摺設され、両端が前記ワイヤーハーネスチャネルの両端を貫通するドラッグチェーンと、前記ドラッグチェーンに貫設され、第1端が前記ワイヤーハーネスチャネルの第1端及び前記開口から出て給電体に接続され、第2端が前記ワイヤーハーネスチャネルの第2端から出てシートの上部スライドレールに接続されるワイヤーハーネスとを含むロングストロークシートの給電機構である。
【0005】
本発明の有利な効果は以下のとおりである。
ワイヤーハーネス収納ボックスを用いてドラッグチェーンを収容し、ワイヤーハーネスがドラッグチェーンに貫設され、ドラッグチェーンの一端がワイヤーハーネス収納ボックスに相対的に固定され、ドラッグチェーンの他端がワイヤーハーネス収納ボックスから伸び出してシートの下部スライドレールの滑り溝に摺設され、ワイヤーハーネスの一端が給電体(例えば、自動車中央制御システム)に接続され、ワイヤーハーネスの他端がドラッグチェーンから出てシートの上部スライドレールに接続されることにより、ワイヤーハーネスは、ドラッグチェーンによってワイヤーハーネス収納ボックス及びシートの下部スライドレールに収容され、ワイヤーハーネスとシートは下部スライドレールを共用し、上部スライドレールが下部スライドレールに沿って移動することに伴って、ワイヤーハーネスは、上部スライドレールの移動に伴って一緒に下部スライドレールに沿って移動することができ、ワイヤーハーネス収納ボックスにおけるドラッグチェーンは、ワイヤーハーネスの移動に伴って伸び出し又は引っ込められ、ロングストロークシートの給電需要を満たす。
【0006】
いくつかの実施例において、前記ワイヤーハーネス収納ボックスの前記開口にドラッグチェーンアダプタが接続され、前記ドラッグチェーンアダプタの内部にドラッグチェーンが通過するターニングチャネルを有し、前記ターニングチャネルが前記ドラッグチェーンアダプタの第1側部及び第2側部を貫通し、前記第1側部が前記開口に接続され、前記第2側部がシートの下部スライドレールに接続され、前記ターニングチャネルが前記シートの下部スライドレールの滑り溝に連通する。
いくつかの実施例において、前記ワイヤーハーネス収納ボックスが、平行に設けられた複数本のシートの下部スライドレールの端部に横方向に貫通して設けられる。
いくつかの実施例において、前記ワイヤーハーネス収納ボックスが、直線に設けられた複数本のシートの下部スライドレールの側部に設けられる。
いくつかの実施例において、前記ターニングチャネルが、L字形又はU字形を呈する。
いくつかの実施例において、前記ドラッグチェーンアダプタの前記第2側部に上部開口のあるレールスロットが設けられ、前記下部スライドレールの端部が前記レールスロットに鉛直方向に係設され、前記レールスロットの上部開口にスライドレールエンドカバーが覆設されている。
いくつかの実施例において、前記ドラッグチェーンの第2端が前記ターニングチャネルに貫設され、前記ドラッグチェーンの第1端が前記ドラッグチェーンアダプタの前記第1側部に固定接続され、前記ドラッグチェーンアダプタに前記ドラッグチェーンの第1端に開放された付加チャネル及び付加開口がさらに設けられ、前記ワイヤーハーネスの第1端が前記付加チャネル及び前記付加開口の順に通過し前記給電体に接続されるようになる。
いくつかの実施例において、前記シートの下部スライドレールの滑り溝の内壁の、前記ドラッグチェーンと接触する面には、嵌合して摺動するダブテール構造が設けられている。
いくつかの実施例において、前記収納空間が帯状を呈し、帯状の前記収納空間の両端にそれぞれ前記開口が設けられ、前記収納空間に2つの前記ドラッグチェーンが設けられ、各前記ドラッグチェーンの両端が前記開口に対応して設けられる。
いくつかの実施例において、2つの前記ドラッグチェーンが、前記収納空間の長手方向に沿って前記収納空間の縦方向の両側に設けられ、あるいは、2つの前記ドラッグチェーンが、前記収納空間の幅方向に沿って前記収納空間の横方向の両側に設けられ、前記収納空間に2つの前記ドラッグチェーンを仕切るためのセパレータが設けられている。
【0007】
本発明の実施例における技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例を説明するために必要な図面を簡単に説明する。以下に説明する図面は、当然ながら、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、進歩性のある労働を費やすことなく、これらの図面により他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施例に係るロングストロークシートの給電機構の全体構造模式図である。
【
図2】本発明の第1実施例に係るロングストロークシートの給電機構の分解構造模式図である。
【
図3】本発明の第1実施例におけるドラッグチェーンアダプタの構造の拡大模式図である。
【
図4】本発明の第1実施例におけるドラッグチェーンとドラッグチェーンアダプタとの接続構造の模式図及び図中におけるA-Aでの断面拡大模式図である。
【
図5】本発明の第1実施例におけるドラッグチェーンアダプタとワイヤーハーネス収納ボックスとの接続構造の模式図である。
【
図6】本発明の第1実施例におけるドラッグチェーンアダプタとシートの下部スライドレールとの接続構造の模式図である。
【
図7】本発明の第1実施例におけるシートの下部スライドレールとドラッグチェーンとの接続構造の模式図である。
【
図8】本発明の第1実施例に係るロングストロークシートの給電機構の取付工程の模式図である。
【
図9】本発明の第1実施例に係るロングストロークシートの給電機構の、シートが最先端に位置する時の使用状態の模式図である。
【
図10】本発明の第1実施例に係るロングストロークシートの給電機構の、シートが中間に位置する時の使用状態の模式図である。
【
図11】本発明の第1実施例に係るロングストロークシートの給電機構の、シートが最後端に位置する時の使用状態の模式図である。
【
図12】本発明の第2実施例に係るロングストロークシートの給電機構の全体構造模式図である。
【
図13】本発明の第3実施例に係るロングストロークシートの給電機構の全体構造模式図である。
【
図14】本発明の第4実施例に係るロングストロークシートの給電機構の全体構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、特定の具体的なケースにより本発明の実施形態を説明する。当業者は、本明細書の開示内容により、本発明の他の利点及び効果を容易に理解することができる。本発明は、さらに他の異なる具体的な実施形態により実施又は応用することができる。本明細書における各項の細部は、異なる観点と応用に基づいて、本発明の精神から逸脱することなく、様々な修飾又は変更を行うこともできる。
【0010】
以下、図面及び具体的な実施例によって、本発明をさらに詳細に説明する。
図1、
図2及び
図4を参照する。
図1は、本発明の第1実施例に係るロングストロークシートの給電機構の全体構造模式図を示し、
図2は、本発明の第1実施例に係るロングストロークシートの給電機構の分解構造模式図を示し、
図4は、本発明の第1実施例におけるドラッグチェーンとドラッグチェーンアダプタとの接続構造の模式図及び図中におけるA-Aでの断面拡大模式図を示す。図示したように、本発明の実施例は、底部にロングストロークスライドレールが設けられたシートに応用し、特に、底部がロングストロークスライドレールに沿って移動可能な自動車シートに適用するロングストロークシートの給電機構を提供する。シートの底部が上部スライドレールに接続され、下部スライドレールが車体の床面に固定され、上部スライドレールが下部スライドレールに沿って摺動可能である。シートの給電機構は、一端が給電体(例えば、自動車中央制御システム又は車体における他の電源又は外部電源)に接続され、他端がシートの制御システムに接続される(例えば、制御システムに直接接続され又は上部スライドレールによってシートの制御システムに電気的に接続される)通電ワイヤーハーネスを採用し、シート給電機構の給電を実現する。
【0011】
図1、
図2及び
図4に示すように、当該ロングストロークシートの給電機構は、主に、ワイヤーハーネス収納ボックス11、ドラッグチェーン12及びワイヤーハーネスの3つの部分で構成され、ワイヤーハーネス収納ボックス11に少なくとも1つの収納空間及び当該収納空間に連通する少なくとも1つの開口110が設けられる。
ドラッグチェーン12の内部には、ワイヤーハーネスチャネルを有し、当該ワイヤーハーネスチャネルの両端がドラッグチェーン12の両端を貫通し、ドラッグチェーンが折り曲げられた後にワイヤーハーネス収納ボックス11の内部の収納空間に収容され、ドラッグチェーン12の第1端121がワイヤーハーネス収納ボックス11に相対的に固定され、ドラッグチェーン12の第2端122が、ワイヤーハーネス収納ボックス11上の開口110から出てシートの下部スライドレール21の滑り溝に摺設される。ワイヤーハーネスがドラッグチェーン12の内部のワイヤーハーネスチャネルに貫設され、ワイヤーハーネスの第1端がワイヤーハーネスチャネルの第1端及びワイヤーハーネス収納ボックス11における開口110から出て給電体に接続されるようになり、ワイヤーハーネスの第2端がワイヤーハーネスチャネルの第2端から出てシートの上部スライドレール22に接続され、シートの上部スライドレール22がシートの下部スライドレール21に摺設されることができ、シートの上部スライドレール22は、当該ワイヤーハーネスをシートの制御システムに電気的に接続することができる。
【0012】
本発明の実施例に係るロングストロークシートの給電機構は、ワイヤーハーネス収納ボックスを用いてドラッグチェーンを収容し、ワイヤーハーネスがドラッグチェーンに貫設され、ドラッグチェーンの一端がワイヤーハーネス収納ボックスに相対的に固定され、ドラッグチェーンの他端がワイヤーハーネス収納ボックスから伸び出してシートの下部スライドレールの滑り溝に摺設され、ワイヤーハーネスの一端が給電体(例えば、自動車中央制御システム)に接続され、ワイヤーハーネスの他端がドラッグチェーンから出てシートの上部スライドレールに接続されることにより、ワイヤーハーネスは、ドラッグチェーンによってワイヤーハーネス収納ボックス及びシートの下部スライドレールに収容され、ワイヤーハーネスとシートは下部スライドレールを共用し、上部スライドレールが下部スライドレールに沿って移動することに伴って、ワイヤーハーネスは、上部スライドレールの移動に伴って一緒に下部スライドレールに沿って移動することができ、ワイヤーハーネス収納ボックスにおけるドラッグチェーンは、ワイヤーハーネスの移動に伴って伸び出し又は引っ込められ、ロングストロークシートの給電需要を満たす。
【0013】
好適には、
図3~7を組み合わせて参照する。
図3は、本発明の第1実施例におけるドラッグチェーンアダプタの構造の拡大模式図を示し、
図5は、本発明の第1実施例におけるドラッグチェーンアダプタとワイヤーハーネス収納ボックスとの接続構造の模式図を示し、
図6は、本発明の第1実施例におけるドラッグチェーンアダプタとシートの下部スライドレールとの接続構造の模式図を示し、
図7は、本発明の第1実施例におけるシートの下部スライドレールとドラッグチェーンとの接続構造の模式図を示す。
図示したように、本発明の実施例に係るロングストロークシートの給電機構は、ドラッグチェーンアダプタ14をさらに含む。ドラッグチェーンアダプタ14は、ワイヤーハーネス収納ボックス11の開口110とシートの下部スライドレール21との間に接続され、
図3に示すように、ドラッグチェーンアダプタ14の周囲の底部にアンカープレート140が設けられ、これらのアンカープレート140には穴が開けられており、ネジにより車体の床面に固定される。当該ドラッグチェーンアダプタ14の内部には、ドラッグチェーンが通過するターニングチャネル15を有する。当該ターニングチャネル15は、ドラッグチェーンアダプタ14の第1側部及び第2側部を貫通し、当該第1側部は、ワイヤーハーネス収納ボックス11の開口110に接続され、当該第2側部は、シートの下部スライドレール21に接続され、ターニングチャネル15は、シートの下部スライドレール21の滑り溝に連通する。
ドラッグチェーン12の第2端は、当該ターニングチャネル15に貫設され、ターニングチャネル15は、その幅が1本のドラッグチェーンの幅に合わせられ、ドラッグチェーンを案内する作用を果たすことができ、ドラッグチェーンアダプタに入ったドラッグチェーンは、当該ターニングチャネルの経路に沿って方向を変えることができる。ドラッグチェーン12の第1端は、ドラッグチェーンアダプタ14の第1側部に固定接続され、当該ドラッグチェーンアダプタ14の第1側部にソケットが形成され、当該ソケットのサイズがワイヤーハーネス収納ボックスの開口110のサイズに合わせられ、接続時に、当該ソケットが開口110に外嵌される。ドラッグチェーン12の第1端が当該ソケットを通り抜けてドラッグチェーンアダプタの内部に伸び込み、ドラッグチェーンアダプタに当該ドラッグチェーンの第1端に開放された付加チャネル及び付加開口143がさらに設けられる。
図5に示すように、当該付加チャネルはドラッグチェーンアダプタの内部に位置し、その形状もターニングチャネルの形状に類似し、当該付加開口143はドラッグチェーンアダプタの第2側部の表面に位置し、ワイヤーハーネスの第1端は、当該付加チャネル及び当該付加開口143の順に通過してドラッグチェーンアダプタから出て、さらに給電体に接続されることができる。ここで、ターニングチャネルの第1端の開口もドラッグチェーンアダプタの第1端の当該ソケットに位置し、付加チャネルの第1端の開口と並列に設けられる。
【0014】
図6に示すように、ドラッグチェーンアダプタ14の第2側部に上部開口のあるレールスロット141が設けられ、シートの下部スライドレール21の一端の端部は、上から下へと当該レールスロット141に係設され、シートの下部スライドレール21の両側は、それぞれレールスロット141の両側の翼板に当接され、シートの下部スライドレール21の底部は、レールスロット141の底部の底板に置かれる。
さらに、
図1及び
図2に示すように、シートの下部スライドレール21の端部がレールスロット141に係合された後、レールスロット141の上部開口にスライドレールエンドカバー142がさらに覆設され、当該スライドレールエンドカバー142の両側の翼板は、スナップによりレールスロット141の両側の翼板の係合口144に接続され、
図3及び
図1に示すように、スライドレールエンドカバー142とレールスロット141との間のスナップ接続により、脱着しやすくなる。当該スライドレールエンドカバー142は、遮蔽の作用を果たし、機構の外観をきれいで美しくする一方、シートの上部スライドレールの摺動ストロークに対する規制作用をさらに果たし、上部スライドレールが摺動中にワイヤーハーネス収納ボックス又はドラッグチェーンアダプタに衝突することを防止することができる。
【0015】
図1及び
図2に示すように、本実施例におけるワイヤーハーネス収納ボックス11は、平行に設けられた複数本のシートの下部スライドレール21の前端の端部に横方向に貫通して設けられ、当該ワイヤーハーネス収納ボックス11における収納空間は、帯状の一字形を呈し、ワイヤーハーネス収納ボックス11はシートの下部スライドレール21のそれぞれに垂直であり、ドラッグチェーンアダプタ14はL字形を呈し、そのうちのターニングチャネル15もL字形を呈することによって、ドラッグチェーンアダプタ14を通過した後に90度曲がって、ドラッグチェーンは、ワイヤーハーネス収納ボックス11とシートの下部スライドレール21との間をスムーズに往復することができる。
帯状の収納空間の両端にそれぞれ開口110が設けられ、2つの開口110にそれぞれドラッグチェーンアダプタ14が接続され、かつ、ドラッグチェーンアダプタ14によって所在の位置のシートの下部スライドレール21の端部に接続される。収納空間において2本のドラッグチェーン12が収容される。2本のドラッグチェーン12の中部は180度曲げられて収納空間に収納され、2本のドラッグチェーン12の両端はそれぞれ開口110に位置し、2本のドラッグチェーン12の第1端は所在の端部のドラッグチェーンアダプタに対応して接続され、2本のドラッグチェーン12の第2端は所在の端部のシートの下部スライドレール21の滑り溝に対応して摺設される。このようにして、複数のロングストロークシートが1つのワイヤーハーネス収納ボックスを共用することを実現し、車体の床面に複数の収納ボックスを設ける必要を回避することができる。本実施例において、ワイヤーハーネス収納ボックスの両端の端部に開口を設けることで複数本のシートの下部スライドレールのうちの最外側に位置する2本のシートの下部スライドレールを接続する。
【0016】
図12に、本発明の第2実施例に係るロングストロークシートの給電機構の全体構造模式図を示す。
図12に示すように、当該実施例におけるワイヤーハーネス収納ボックス11の長さを短くする以外、他の構造を変更しない。ワイヤーハーネス収納ボックス11の両端の開口は、それぞれドラッグチェーンアダプタ14によって4本のシートの下部スライドレール21における1番目、3番目のシートの下部スライドレール21の端部に接続される。このような場合は、比較的短いストロークが要求されるシートに適用する。ワイヤーハーネス収納ボックス11のサイズを小さくし、コストを低減させるために、2本の近いシートの下部スライドレール21を選択してそれらにワイヤーハーネスの入口を設けてもよい。
以上を基礎とし、さらにワイヤーハーネス収納ボックスの周囲に開口を開設してドラッグチェーンを設け、ドラッグチェーンアダプタにより対応位置のシートの下部スライドレールに接続してもよいことに容易に想到できる。ドラッグチェーンアダプタにおけるターニングチャネルの形状を少し調整するだけで、より多くのシートのレールのワイヤーハーネスを合わせてワイヤーハーネス収納ボックスに収納することを実現しやすい。また、ワイヤーハーネス収納ボックスの形状も直線状の一字形に限定されず、曲線状又は他の任意の形状であってもよい。ワイヤーハーネス収納ボックスに収容されるドラッグチェーンは、図示したように完全に180度曲げられることに限定されず、90度、135度、360度又は他の任意の角度曲げられてもよい。ひいては、ドラッグチェーンを、蚊取線香の形状でワイヤーハーネス収納ボックスに迂回させてもよい。
【0017】
さらに、
図13に、本発明の第3実施例に係るロングストロークシートの給電機構の全体構造模式図を示す。
図13に示すように、当該実施例におけるワイヤーハーネス収納ボックス11の幅を増加させる(元のワイヤーハーネス収納ボックスの幅の2倍に広げてもよい)こと以外、他の構造を変更しない。ワイヤーハーネス収納ボックスの幅の中間位置にセパレータを設けて内部の収納空間を2つの空間に仕切り、2本のドラッグチェーンを2つの空間に並列に置いて2本のドラッグチェーン同士の干渉を防止することができる。あるいは、一端のみに開口が設けられた2本のワイヤーハーネス収納ボックスを用いて2本のドラッグチェーンを個別に置くこともできる。2つのドラッグチェーンアダプタ14を用いてそれぞれ対応端のワイヤーハーネス収納ボックスの開口とシートの下部スライドレール21の端部との間に接続される。このような場合は、比較的長いシートストロークが要求され、ワイヤーハーネス収納ボックスをダブル収納空間の構造にする場合に適用し、より長いドラッグチェーン及びワイヤーハーネスを収容し、より長いストロークのシートの給電需要を満たすことができる。
【0018】
また、さらに
図14に、本発明の第4実施例に係るロングストロークシートの給電機構の全体構造模式図を示す。
図14に示すように、当該実施例において、2本又は複数本のシートの下部スライドレールは直線に設けられ、この時、ワイヤーハーネス収納ボックス11の取付位置を変更する以外、他の構造が変更されない。ワイヤーハーネス収納ボックスがシートの下部スライドレール21の一側又は両側の側部に設けられ、好ましくは、ワイヤーハーネス収納ボックス11がシートの下部スライドレール21の側部に一体的に成型され、省空間化を実現してもよく、シートの下部スライドレールによりワイヤーハーネス収納ボックスを固定してもよい。この時、ワイヤーハーネス収納ボックス11の両端の開口でのドラッグチェーンアダプタ14の第1側部及び第2側部は、ワイヤーハーネス収納ボックス11の同一側に位置し、ドラッグチェーンアダプタ14におけるターニングチャネル15はU字形を呈し、両側のワイヤーハーネス収納ボックス及びシートの下部スライドレールを貫通する。
当該実施例におけるドラッグチェーンアダプタの第2側部は、シートの下部スライドレールの端部に直接固定接続されることにより、ワイヤーハーネス収納ボックス、ドラッグチェーンアダプタ及びシートの下部スライドレールを一体的に成型することができる。2本のドラッグチェーン12の第1端は、一端のドラッグチェーンアダプタ14に一対一で対応して固定接続され、ドラッグチェーン12の第2端は、対応端のドラッグチェーンアダプタを通り抜けて対応端のシートの下部スライドレールの滑り溝に摺設される。ワイヤーハーネスの一端は給電体に接続され、ワイヤーハーネスの他端は、ドラッグチェーンの第2端から出てシートの上部スライドレールに接続される。ワイヤーハーネスは、ワイヤーハーネス収納ボックス及びシートの下部スライドレールに完全に隠される。ワイヤーハーネスは、シートの上部スライドレールとシートの下部スライドレールを共用することができ、これにより、ワイヤーハーネスは、シートの上部スライドレールに伴って移動し、ドラッグチェーンは、ワイヤーハーネスの移動に伴ってワイヤーハーネス収納ボックスとシートの下部スライドレールとの間を往復し、ロングストロークシートの給電需要を満たす。
【0019】
さらに、
図7を組み合わせて参照する。
図7は、本発明の一実施例におけるシートの下部スライドレール21とドラッグチェーン12との接続構造の模式図を示す。
図7に示すように、シートの下部スライドレール21の滑り溝の内側壁にダブテール溝211が設けられている。当該ダブテール溝211とドラッグチェーン12における突起120とは嵌合して摺動し、ダブテール構造が構成され、ドラッグチェーン12がシートの下部スライドレール21内を摺動する時、ドラッグチェーン12の規制力を向上させ、異音を低減させ、ドラッグチェーン12の摺動の安定性を向上させることができる。
【0020】
以下、上述した第1実施例を例として、
図8によって本発明に係るロングストロークシートの給電機構の取付工程をさらに説明する。
図8は、本発明の第1実施例に係るロングストロークシートの給電機構の取付工程の模式図を示す。
図8に示すように、ロングスライドレールの取付工程は、ドラッグチェーン12をドラッグチェーンアダプタ14と接続し、ワイヤーハーネスをドラッグチェーン12の内部に貫設し、ドラッグチェーンの両端にワイヤーハーネス継手を取り付け、ワイヤーハーネス継手をそれぞれワイヤーハーネスの両端に接続するステップS1と、ドラッグチェーン12をワイヤーハーネス収納ボックス11に入れて、給電アセンブリを形成するステップS2と、給電アセンブリを車体の床面に取り付け、ドラッグチェーンアダプタの底部及び/又はワイヤーハーネス収納ボックスの底部にアンカープレートを設け、アンカープレートに穴を開けてネジにより車体の床面に固定するステップS3と、給電アセンブリを完全に遮蔽することができ、ドラッグチェーンアダプタの第2側部のレールスロット141のみを露出するように、車体のカーペットを床面に被覆するステップS4と、シートの下部スライドレール21を上から下へとレールスロット141に取り付けるステップS5と、ワイヤーハーネスの第2端のワイヤーハーネス継手をシートの上部スライドレールと接続するステップS6と、スライドレールエンドカバー142を取り付けて、組立を完成させるステップS7とを含む。
【0021】
さらに
図9~11を組み合わせて参照する。
図9は、本発明の第1実施例に係るロングストロークシートの給電機構の、シートが最先端に位置する時の使用状態の模式図を示し、
図10は、本発明の第1実施例に係るロングストロークシートの給電機構の、シートが中間に位置する時の使用状態の模式図を示し、
図11は、本発明の第1実施例に係るロングストロークシートの給電機構の、シートが最後端に位置する時の使用状態の模式図を示す。
図示したように、上記ステップによって組み立てられたロングスライドレールを使用する時、シートが移動し、シート底部のシートの上部スライドレール22がシートの下部スライドレール21に沿って移動し、シートの上部スライドレール22が
図9の位置から
図11の位置まで移動することができる(元の経路に沿って戻ることができる)。この過程中に、ワイヤーハーネス及びドラッグチェーン12の一端は、シートの上部スライドレールに接続されるので、シートの上部スライドレールに伴って一緒に移動することができ、かつ、ワイヤーハーネス及びドラッグチェーン12が、シートの下部スライドレール21の滑り溝を移動し、シートの上部スライドレール22と滑り溝を共用し、ワイヤーハーネス収納ボックス11におけるドラッグチェーン12は、シートの下部スライドレール21に向けて移動し続ける。シートが戻ると、ドラッグチェーン12は、さらにシートの下部スライドレール21から逆方向に移動し、ワイヤーハーネス収納ボックス11に戻ることができる。
【0022】
説明すべき点は、本明細書に添付されている図面に示された構造、比率、大きさなどは、すべて明細書の開示内容と組み合わせて、当業者に読んで理解されるためのものに過ぎず、本発明の実施可能な限定条件を限定するためのものではないので、技術的には、実質的な意義を有しておらず、いかなる構造の修飾、比率関係の変更又は大きさの調整も、本発明によって発生可能な効果及び達成可能な目的に影響を与えない限り、本発明に開示されている技術内容に含まれ得る範囲内に入るはずであることである。また、本明細書に表現されている「上」、「下」、「左」、「右」、「中間」及び「一」などのような用語も、明確に説明しやすくするためのものに過ぎず、本発明の実施可能な範囲を限定するためのものではない。その相対的関係の変更又は調整も、技術内容を実質的に変更しない限り、本発明の実施可能な範疇とみなされるはずである。
以上に述べたのは、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明をいかなる形式で制限することをも意図しない。本発明は、既に好ましい実施例により以上のように開示されたが、これらの好ましい実施例は本発明を限定するためのものではない。当業者であれば、本発明の技術手段から逸脱しない範囲内で、以上に開示された技術内容により少し変更又は修飾を加えて均等に変化する等価の実施例にすることができる。本発明の技術的実体により以上の実施例に対して行ういかなる簡単な変更、均等変化及び修飾は、本発明の技術手段の内容から逸脱しない限り、いずれも本発明の技術手段の範囲に属する。
【国際調査報告】