(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】ロックアセンブリ
(51)【国際特許分類】
E05B 63/08 20060101AFI20220316BHJP
E05C 1/16 20060101ALI20220316BHJP
E05B 59/00 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
E05B63/08 C
E05C1/16 B
E05B59/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531707
(86)(22)【出願日】2019-11-28
(85)【翻訳文提出日】2021-07-01
(86)【国際出願番号】 NZ2019050155
(87)【国際公開番号】W WO2020117071
(87)【国際公開日】2020-06-11
(32)【優先日】2018-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505138978
【氏名又は名称】エイエスエスエイ・アブロイ・ニュージーランド・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,ジャンピン
(57)【要約】
第1の角度方向に回転されるよう構成された、ドライブハブ;ラッチボルト係合位置を有する、ラッチボルト;施錠位置を有する、ロック;上記ロックが上記施錠位置にあるときに、上記ラッチボルトを上記ラッチボルト施錠位置に保持するよう構成された、第1の施錠部材;及び上記ロックが上記施錠位置にあるときに、上記ドライブハブが上記第1の角度方向に回転するのを防止するよう構成された、第2の施錠部材を備える、ロックアセンブリ。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の角度方向に回転するよう構成された、ドライブハブ;
ラッチボルト係合位置を有する、ラッチボルト;
施錠モードを有する、ロック;
前記ロックが前記施錠モードにあるときに、前記ラッチボルトを前記ラッチボルト係合位置に保持するよう構成された、第1の施錠部材;及び
前記ロックが前記施錠モードにあるときに、前記ドライブハブが前記第1の角度方向に回転するのを防止するよう構成された、第2の施錠部材
を備える、ロックアセンブリ。
【請求項2】
前記第1の施錠部材及び前記第2の施錠部材は、ロック係合位置を有するロックアームの一部である、請求項1に記載のロックアセンブリ。
【請求項3】
前記ラッチボルトはラッチボルトシャーシを備え、
前記第1の施錠部材は、前記ロックアームが前記ロック係合位置にあるときに、前記ラッチボルトシャーシの端部に当接するよう構成される、請求項2に記載のロックアセンブリ。
【請求項4】
前記ドライブハブは、前記ドライブハブの回転を前記ラッチボルトの移動に変換するドライブカムを備える、請求項1~3のいずれか1項に記載のロックアセンブリ。
【請求項5】
前記第2の施錠部材は、前記ロックが前記施錠モードであるとき、前記ドライブカムに当接する、請求項4に記載のロックアセンブリ。
【請求項6】
前記ドライブハブは、前記ラッチボルトを、前記ラッチボルト係合位置からラッチボルト係合解除位置に移動させる、請求項1~5のいずれか1項に記載のロックアセンブリ。
【請求項7】
前記ドライブハブは、ハンドルによって作動させられるよう構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載のロックアセンブリ。
【請求項8】
前記ロックはシリンダロックである、請求項1~7のいずれか1項に記載のロックアセンブリ。
【請求項9】
前記はロックアクチュエータと係合し、前記ロックアクチュエータはロックアームに連結される、請求項1~8のいずれか1項に記載のロックアセンブリ。
【請求項10】
前記ロックを前記施錠モードに移動させることにより、前記ロックアクチュエータが前記ロックアームを施錠位置に移動させる、請求項9に記載のロックアセンブリ。
【請求項11】
前記ロックを解錠モードに移動させることにより、前記ロックアクチュエータが前記ロックアームを解錠位置に移動させる、請求項9又は10に記載のロックアセンブリ。
【請求項12】
シュートボルトアクチュエータを更に備え、
前記シュートボルトアクチュエータは、前記シュートボルトアクチュエータがシュートボルト係合位置にあるときに前記ラッチボルトがラッチボルト係合解除位置に移動するのを防止するよう構成された、第3の施錠部材を備える、請求項1~11のいずれか1項に記載のロックアセンブリ。
【請求項13】
係合位置を有するデッドボルトを更に備える、請求項1~12のいずれか1項に記載のロックアセンブリ。
【請求項14】
施錠位置を有するデッドボルトロックを更に備え、
前記デッドボルトロックは前記施錠位置において、前記デッドボルトを前記係合位置に保持するよう構成される、請求項13に記載のロックアセンブリ。
【請求項15】
前記デッドボルトロックは前記施錠位置に向かって付勢される、請求項14に記載のロックアセンブリ。
【請求項16】
前記デッドボルトロックは、前記ロックが解錠位置にあるときに、解錠位置へと移動されるよう構成される、請求項14又は15に記載のロックアセンブリ。
【請求項17】
ラッチボルト係合位置を有する、ラッチボルト;
デイラッチであって、前記デイラッチによって前記ラッチボルトが前記ラッチボルト係合位置に保持されるデイラッチ係合位置と、前記デイラッチによって前記ラッチボルトが前記ラッチボルト係合位置に保持されないデイラッチ係合解除位置とを有する、デイラッチ;及び
解錠モードと施錠モードとの間で移動するよう構成された、ロック
を備える、ロックアセンブリであって、
前記ロックが前記施錠モードとなった後で、前記デイラッチが前記デイラッチ係合位置から前記デイラッチ係合解除位置へと移動する、ロックアセンブリ。
【請求項18】
前記デイラッチは、回転可能なデイラッチハブ、及びデイラッチプレートを備える、請求項17に記載のロックアセンブリ。
【請求項19】
前記ラッチボルトはラッチボルトシャーシを備え、
前記デイラッチプレートは、前記デイラッチが前記デイラッチ係合位置にあるときに、前記ラッチボルトシャーシの端部に当接するよう構成される、請求項18に記載のロックアセンブリ。
【請求項20】
前記ロックを前記施錠モードに移動させることにより、ロックアームが前記ラッチボルトを前記ラッチボルト係合位置に保持する、請求項17~19のいずれか1項に記載のロックアセンブリ。
【請求項21】
前記ロックを前記施錠モードに移動させることにより、前記ロックアームが前記デイラッチを前記デイラッチ係合解除位置へと押す、請求項20に記載のロックアセンブリ。
【請求項22】
前記ロックを前記施錠モードに移動させることにより、前記ロックアームが、前記ラッチボルトを前記ラッチボルト係合位置に保持した後、前記デイラッチを前記デイラッチ係合解除位置に移動させる、請求項21に記載のロックアセンブリ。
【請求項23】
デイラッチ係合位置を有する、デイラッチ;及び
第1の角度方向又は第2の角度方向に回転するよう構成された、ドライブハブ
を備える、ロックアセンブリであって、
前記デイラッチが前記デイラッチ係合位置にあるとき、前記ドライブハブは、前記第1の角度方向に回転するのを防止されるものの、前記第2の回転方向に回転するのは防止されない、ロックアセンブリ。
【請求項24】
前記ドライブハブを前記第2の角度方向に回転させることは、デッドボルト及び/又は1つ以上のシュートボルトとの係合に対応する、請求項23に記載のロックアセンブリ。
【請求項25】
前記ドライブハブを前記第1の角度方向に回転させることは、前記デッドボルト及び/又は1つ以上の前記シュートボルトの係合解除に対応する、請求項23又は24に記載のロックアセンブリ。
【請求項26】
前記ドライブハブを前記第1の角度方向に回転させることは、係合解除位置へのラッチボルトの移動に対応する、請求項23~25のいずれか1項に記載のロックアセンブリ。
【請求項27】
前記デイラッチはデイラッチプレートを備え、前記デイラッチプレートは、前記デイラッチ係合位置において前記デイラッチプレートが前記ドライブハブの縁部と整列するように構成される、請求項23~26のいずれか1項に記載のロックアセンブリ。
【請求項28】
前記デイラッチプレートと前記ドライブハブの前記縁部との間の当接により、前記ドライブハブが前記第1の角度方向に回転するのが防止される、請求項27に記載のロックアセンブリ。
【請求項29】
施錠モード及び解錠モードを有する、ロック;並びに
係合解除位置及び係合位置を有するデッドボルト
を備える、ロックアセンブリであって、
前記ロックが前記施錠モードにあるとき、前記デッドボルトは前記係合解除位置から前記係合位置に移動できる、ロックアセンブリ。
【請求項30】
前記ロックが前記解錠モードにあるとき、前記デッドボルトは前記係合解除位置から前記係合位置に移動できる、請求項29に記載のロックアセンブリ。
【請求項31】
前記ロックが前記施錠モードにあるとき、前記デッドボルトは前記係合位置から前記係合解除位置に移動できない、請求項29又は30に記載のロックアセンブリ。
【請求項32】
係合位置を有するデッドボルトロックを更に備え、前記係合位置では、前記デッドボルトが係合位置に保持される、請求項29~31のいずれか1項に記載のロックアセンブリ。
【請求項33】
前記デッドボルトロックは前記係合位置へと付勢される、請求項32に記載のロックアセンブリ。
【請求項34】
前記デッドボルトロックは、前記ロックが解錠モードに移動されると、係合解除位置に移動するよう構成される、請求項32又は33に記載のロックアセンブリ。
【請求項35】
前記デッドボルトは、ドライブハブの回転によって前記係合位置と前記係合解除位置との間で移動されるよう構成される、請求項29~34のいずれか1項に記載のロックアセンブリ。
【請求項36】
前記ドライブハブは、ハンドルによって回転されるよう構成される、請求項35に記載のロックアセンブリ。
【請求項37】
実質的に図面のうちの1つ以上を参照して開示されているような、ロックアセンブリ。
【請求項38】
請求項1~37のいずれか1項に記載のロックアセンブリを備える、ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロックアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
ドアは、上記ドアの固定を可能とするロックアセンブリを有することが多い。これは、許可されていない人物によってドアが開けられるのを防止できる。ロックアセンブリは、セキュリティの向上のために複数の施錠ポイントを含む場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ドアに好適なロックアセンブリを提供するために、過去に多数の試みが実施されてきた。しかしながら一部のドアには、既存のロック構成が完全に好適ではない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の例示的実施形態では:第1の角度方向に回転するよう構成された、ドライブハブ(drive hub);ラッチボルト係合位置を有する、ラッチボルト;施錠位置を有する、ロック;上記ロックが上記施錠位置にあるときに、上記ラッチボルトを上記ラッチボルト係合位置に保持するよう構成された、第1の施錠部材;及び上記ロックが上記施錠位置にあるときに、上記ドライブハブが上記第1の角度方向に回転するのを防止するよう構成された、第2の施錠部材を備える、ロックアセンブリが提供される。
【0005】
第2の例示的実施形態では:ラッチボルト係合位置を有する、ラッチボルト;デイラッチ(daylatch)であって、上記デイラッチによって上記ラッチボルトが上記ラッチボルト係合位置に保持されるデイラッチ係合位置と、上記デイラッチによって上記ラッチボルトが上記ラッチボルト係合位置に保持されないデイラッチ係合解除位置とを有する、デイラッチ;及び解錠位置と施錠位置との間で移動するよう構成された、ロックを備える、ロックアセンブリが提供され、上記ロックが上記施錠位置となった後で、上記デイラッチが上記デイラッチ係合位置から上記デイラッチ係合解除位置へと移動する。
【0006】
第3の例示的実施形態では:デイラッチ係合位置を有する、デイラッチ;及び第1の角度方向又は第2の角度方向に回転するよう構成された、ドライブハブを備える、ロックアセンブリが提供され、上記デイラッチが上記デイラッチ係合位置にあるとき、上記ドライブハブは、上記第1の角度方向に回転するのを防止されるものの、上記第2の回転方向に回転するのは防止されない。
【0007】
第4の例示的実施形態では:施錠位置及び解錠位置を有する、ロック;並びに係合解除位置及び係合位置を有するデッドボルトを備える、ロックアセンブリが提供され、上記ロックが上記施錠位置にあるとき、上記デッドボルトは上記係合解除位置から上記係合位置に移動できる。
【0008】
本発明の様々な好ましい実施形態を示す図面を参照して、本発明を例として説明する。しかしながらこれらは例示のためにのみ提供されており、本発明は図面の特定の細部及び対応する説明に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、ある実施形態によるロックアセンブリの外面図を示す。
【
図2】
図2は、ラッチボルトが係合位置にあり、ロックアクチュエータが解錠位置にあり、デッドボルト及びシュートボルト(shootbolt)が係合解除位置にある、ロックアセンブリを示す。
【
図3】
図3は、ハンドルが固定方向に操作されている、
図2のロックアセンブリを示す。
【
図4】
図4は、ハンドルが固定方向に操作された後の、
図3のロックアセンブリを示す。
【
図5】
図5は、ハンドルが解放方向に操作されている間の、
図4のロックアセンブリを示す。
【
図6】
図6は、ロックが固定方向に操作されている間の、
図2のロックアセンブリを示す。
【
図7】
図7は、ロックが完全に固定方向に操作された後の、
図6のロックアセンブリを示す。
【
図8】
図8は、ハンドルが固定方向に操作されている間の、
図7のロックアセンブリを示す。
【
図9】
図9は、ハンドルが完全に固定方向に操作された後の、
図8のロックアセンブリを示す。
【
図10】
図10は、ロックが完全に解放方向に操作された後の、
図9のロックアセンブリを示す。
【
図11】
図11は、デイラッチを係合位置へと移動させた後の、
図2のロックアセンブリを示す。
【
図13】
図13は、上側シュートボルトアクチュエータ、下側シュートボルトアクチュエータ、及び歯車を示す。
【
図14】
図14は、ドライブコア(drive core)及びドライブギア(drive gear)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
いくつかの実施形態では、ロックアセンブリは、典型的にはラッチボルト、デッドボルト、上側シュートボルト、及び下側シュートボルトである、4つの施錠ポイントを有する。これらは、典型的にはハンドル、デイラッチハンドル、及びロックである3つのインタフェースのうちの1つ以上を用いて、係合、係合解除、及び所定の位置での施錠が可能である。
【0011】
例えば、ハンドルをある方向に回転させると、ラッチボルト、デッドボルト、及びシュートボルトを係合解除できる。ハンドルを解放すると、ラッチボルトは再係合されるが、デッドボルト及びシュートボルトは係合解除されたままである。ハンドルをもう1つの方向に回転させると、デッドボルト及びシュートボルトが再係合される。
【0012】
デイラッチハンドルが係合されているとき、ハンドルを回転させることによってラッチボルトを係合解除することはできない。その代わりに、デイラッチハンドルを最初に回転させなければならないか、ロックを施錠した後で解錠しなければならない。
【0013】
ロックアクチュエータが係合されているとき、ハンドルを回転させることによってラッチボルト、デッドボルト、及びシュートボルトを係合解除することはできない。代わりに、ロックを最初に解錠しなければならない。
【0014】
このように、ロックアセンブリは、複数の施錠モードを提供する。これはロックアセンブリに、高いレベルのセキュリティ及びユーザビリティを提供する。
【0015】
外面図
図1は、一実施形態によるロックアセンブリの外面図を示す。
【0016】
ロックアセンブリは、係合位置と係合解除位置との間で移動できるラッチボルト310を有する。係合位置では、ラッチボルト310はロックアセンブリのハウジング110の外側に延在する。ロックアセンブリをドアに設置すると、ラッチボルト310は、任意に縦枠(jamb)上のストライクの孔を通って、ドア枠の縦枠の凹部内へと延在できる。これによってドアが開くのを阻止し、これによってドアをドア枠に対して保持する。係合解除位置では、ラッチボルト310はロックアセンブリのハウジング110内に略引き込まれる。ロックアセンブリをドアに設置すると、係合解除位置のラッチボルト310は縦枠と係合しないため、ドア枠に対するドアの移動を阻止しない。
【0017】
ラッチボルト310は第1の施錠ポイントを提供する。
【0018】
ロックアセンブリは、係合位置と係合解除位置との間で移動できるデッドボルト410を有する。係合位置では、デッドボルト410はロックアセンブリのハウジング110の外側に延在する。ロックアセンブリをドアに設置すると、デッドボルト410は、ドア枠の縦枠の凹部内、又はストライクの凹部内へと延在できる。これはラッチボルト310のための凹部とは異なる凹部であってよい。これにより、ドアの解放が阻止されることで、ドアがドア枠に対して保持される。係合解除位置では、デッドボルト410は実質的にロックアセンブリのハウジング110内に引き込まれる。ロックアセンブリをドアに設置すると、係合解除位置のデッドボルト410は縦枠と係合しないため、ドア枠に対するドアの移動を阻止しない。
【0019】
デッドボルト410は第2の施錠ポイントを提供する。
【0020】
デッドボルト410は、ラッチボルト310と独立して係合でき、従って一方が係合位置となる間、他方が係合解除位置となる。
【0021】
ロックアセンブリは、上側シュートボルト及び下側シュートボルトを有する。これらはそれぞれ、ボルトレシーバ211、221を介して、上側シュートボルトアクチュエータ210及び下側シュートボルトアクチュエータ220に接続される。例えばシュートボルトは、ボルトレシーバ211、221内へとねじ込むことができる。シュートボルト(従ってシュートボルトアクチュエータ210、220)はそれぞれ、係合位置及び係合解除位置を有する。係合位置では、シュートボルトはロックアセンブリのハウジング110に対して伸長する。ロックアセンブリをドアに設置すると、シュートボルトはドア枠の凹部内へと延在する。上側シュートボルトは上枠(lintel)の凹部内へと延在し、下側シュートボルトは下枠(sill)の凹部内へと延在する。これらはドアが揺動するのを阻止することによって、ドア枠に対してドアを保持する。係合解除位置では、シュートボルトはロックアセンブリのハウジング110に対して引き込まれる。これにより、上側シュートボルトアクチュエータ210及び下側シュートボルトアクチュエータ220を、完全にロックアセンブリのハウジング110内とすることができる。ロックアセンブリをドアに設置すると、係合解除位置にあるシュートボルトはドア枠と係合しないため、ドア枠に対するドアの移動を阻止しない。
【0022】
シュートボルトは、第3及び第4の施錠ポイントを提供する。
【0023】
シュートボルトはデッドボルト410と同時に、ただしラッチボルト310とは独立して、係合及び係合解除できる。
【0024】
図示されているロックアセンブリは、ドアのほぞ穴に設置するためのほぞ穴ロックアセンブリである。ハウジング110はカバー111及びベース112を有し、これらは例えばアパーチャ113を通るねじによって一体に締結される。カバー111は
図15に示されている。
【0025】
ドライブハブ510へのアクセスのために、ドライブハブアパーチャ115がカバー111及びベース112に設けられる。デイラッチハブ610へのアクセスのために、デイラッチハブアパーチャ116がカバー111及びベース112に設けられる。ロック710を両側に通過させて両側からアクセスできるようにするために、ロックアパーチャ117がカバー111及びベース112に設けられる。
【0026】
ハウジングは、例えばねじ穴122を介してねじ121によって一方の側部に固定された、フロントプレート(face plate)120を有してよい。フロントプレート120は、ラッチボルト310を通過させるラッチボルトアパーチャ123と、デッドボルト410を通過させるデッドボルトアパーチャ124とを有する。デッドボルトアパーチャ124は、デッドボルト410が外向きに枢動できるようにサイズ設定されていてよい。フロントプレートをドアのほぞ穴の各端部においてねじで固定できるよう、フロントプレート120にねじ穴125を設けてよい。
【0027】
内部図
図2~12は、カバー111の下側を見た場合の、異なる複数の状態におけるロックアセンブリの一実施形態の断面図を示す。分かりやすくするために、ハンドル及びデイラッチハンドルを省略している。
【0028】
ラッチボルト
ラッチボルト310は、ドア枠に対してドアを保持するために使用される。ラッチボルト310は角度付き面311を有することができ、これにより、ドアを閉鎖したときにラッチボルト310がドア枠に打ち付けられる代わりに内向きに付勢される。反対側の面312は平坦であってよく、これにより、この面312はドア縦枠の凹部に当たって、ラッチボルト310を係合解除することなくドアが解放されるのを防止する。ラッチボルト310は、ラッチボルト310がハウジング110の外に延在している係合位置と、ラッチボルト310の大半又は全体がハウジング110内に引き込まれている係合解除位置との間で、直線経路に沿って移動する。
【0029】
ラッチボルト310はラッチボルトシャーシ320に接続される。これは、ねじ又は他の締結具をラッチボルト310のねじ穴313に通すことによって実施できる。これは、ラッチボルトシャーシのねじ穴321に係合して、ラッチボルト310とラッチボルトシャーシ320とを一体に固定できる。
【0030】
ラッチボルトシャーシ320はハウジング110内に静置され、ラッチボルトシャーシ320がラッチボルトアパーチャ123に比較的近接する係合位置と、ラッチボルトシャーシ320がラッチボルトアパーチャ123から比較的離れている係合解除位置との間を、直線経路に沿って移動する。係合位置であっても、ラッチボルトシャーシ320は典型的には、ハウジング110の外側に延在しない。ラッチボルト310とラッチボルトシャーシ320とが接続されているため、ラッチボルト310及びラッチボルトシャーシ320のうちの一方の、係合位置と係合解除位置との間での移動によって、他方の、係合位置と係合解除位置との間での同時移動を発生させることができる。
【0031】
別個のラッチボルト310及びラッチボルトシャーシ320によって、角度付き面311がドアの閉鎖方向に向かって配向されるようにラッチボルト310を回転させることができる。これにより、方向指定のない(non‐handed)ロックアセンブリが提供される。しかしながら場合によっては、ラッチボルト310及びラッチボルトシャーシ320は一体形成される。
【0032】
ばね322はラッチボルトシャーシ320(従ってラッチボルト310)を係合位置に向かって付勢する。これを達成するために、ばね322は、ラッチボルトアパーチャ123の反対側のハウジング110の内壁を押圧してよい。
【0033】
ラッチボルトシャーシ320は、ばね322によって印加される力の方向と略直行する面324を備えた肩部323を有する。肩部323の面324に印加される力を用いて、ばね322の付勢に抵抗することにより、ラッチボルトシャーシ320(従ってラッチボルト310)を係合解除位置に向かって移動させることができる。力が除去されると、ラッチボルトシャーシ320及びラッチボルト310は典型的には、ばね322によって係合位置に戻るように付勢される。
【0034】
ラッチボルトシャーシ320は、肩部323の面324と対向する当接部325を有する。当接部325に印加された力は、ラッチボルトシャーシ320、従ってラッチボルト310が、係合解除位置へと移動するのを阻止できる。
【0035】
更なる当接面を提供するために、ラッチボルトシャーシの端部326は平坦であってよい。
【0036】
デッドボルト
デッドボルト410は、ドア枠に対してドアを保持するために使用され、力が印加された場合であっても破損、反り、又は他の損傷に耐えられるように、比較的厚く頑丈なものであってよい。デッドボルトは、鋼鉄等の比較的強度が高い金属で作製されていてよい。
【0037】
デッドボルト410は、1つの縁部411において面取り加工されていてよい。デッドボルト410が係合する際、この面取り加工により、デッドボルトを、ドア縦枠の凹部内でより良好に整列させることができ、従ってデッドボルト410のずれを原因として発生し得る損傷のリスクを低減できる。更に、面取り加工された縁部411が上記凹部に接触すると、ドアは枠内へ、そして枠内のシールに対して、牽引される。これにより、ドアの密閉が改善される。
【0038】
デッドボルト410は、枢動点420を介してロックアセンブリに固定される。例えば枢動点420は、ねじ、リベット、又はポストであってよい。デッドボルト410は、デッドボルト410が少なくとも部分的にハウジング110の外側に延在する係合位置と、デッドボルト410の大半又は全体がハウジング110内となる係合解除位置との間で、枢動点420に関して枢動する。係合位置の範囲は、デッドボルト410がデッドボルトアパーチャ124の上側を押圧することによって、画定され得る。
【0039】
デッドボルトの一方の側部には歯412が設けられる。歯412に印加された力は、デッドボルト410を係合位置と係合解除位置との間で、枢動点420に関して枢動させることができる。
【0040】
デッドボルト410のノッチ413は、更なる支承面414を提供する。支承面414に印加された力は、デッドボルト410を係合位置に向かって移動させる、又はデッドボルト410を係合位置に保持することができる。
【0041】
施錠位置と解錠位置との間で枢動点731に関して枢動する、デッドボルトロック730が設けられる。枢動の範囲は、チャネル733内を移動するピン732によって制限できる。デッドボルトロック730は、ノッチ413にフィットしてデッドボルト410の支承面414を押圧できる、拡張部分734を有する。
【0042】
デッドボルトロック730が施錠位置にあるとき、拡張部分734は支承面414に当接する。これにより、デッドボルト410が係合位置に保持される。(例えばハンドルを用いて、又はデッドボルト410に対する直接の圧力によって)デッドボルト410を係合解除位置に向かって移動させる試みは、拡張部分734によって抵抗されることになる。
【0043】
デッドボルトロック730が解錠位置にあるとき、拡張部分734はノッチ413と整列しないため、デッドボルト410の移動を阻止しない。
【0044】
デッドボルトロック730を施錠位置に向かって付勢するために、ばね735を設けてよい。その係合解除位置にあるデッドボルト410は、デッドボルトロック730をその解錠位置に保持できる。
【0045】
シュートボルト
上側シュートボルトアクチュエータ210は、一方の端部に、シュートボルトを保持できるボルトレシーバ211を備える。ボルトレシーバ211には、シュートボルト上のねじ山と係合するように、ねじ山を形成してよい。ラック(rack)212が上側シュートボルトアクチュエータ210の他方の端部に配置される。ラック212は多数の歯213を有する。歯213の一方の側部に印加された力は、上側シュートボルトアクチュエータ210(従って保持されているシュートボルト)を、係合位置と係合解除位置との間で直線状に移動させることができる。係合位置では、上側シュートボルトアクチュエータ210は部分的にハウジング110の上側から外に延在している。これにより、保持されたシュートボルトがドア枠の上枠の凹部に入り、ドアが開くのを阻止する。係合解除位置では、上側シュートボルトアクチュエータ210の大半又は全体がハウジング110内に引き込まれる。これにより、保持されたシュートボルトが上枠の凹部から引き出される。
【0046】
ブロック214は、上側シュートボルトアクチュエータ210から延在する。上側シュートボルトアクチュエータ210が係合位置にあるとき、ブロック214はラッチボルトシャーシ320の当接部325に当接するよう位置決めされる。従って、上側シュートボルトアクチュエータ210が係合位置にあることにより、ラッチボルトシャーシ320が係合解除位置に移動するのを防止できる。
【0047】
下側シュートボルトアクチュエータ220は、一方の端部に、シュートボルトを保持できるボルトレシーバ221を備える。ボルトレシーバ221には、シュートボルト上のねじ山と係合するように、ねじ山を形成してよい。ラック222が下側シュートボルトアクチュエータ220の他方の端部に配置される。ラック222は多数の歯223を有する。歯223一方の側部に印加された力は、下側シュートボルトアクチュエータ220(従って保持されているシュートボルト)を、係合位置と係合解除位置との間で直線状に移動させることができる。係合位置では、下側シュートボルトアクチュエータ220は部分的にハウジング110の下側から外に延在している。これにより、保持されたシュートボルトがドア枠の下枠の凹部に入り、ドアが開くのを阻止する。係合解除位置では、下側シュートボルトアクチュエータ220の大半又は全体がハウジング110内に引き込まれる。これにより、保持されたシュートボルトが下枠の凹部から引き出される。
【0048】
歯車230はデッドボルト410と同軸であり、枢動点420に関して枢動する。歯車230の歯は、上側シュートボルトアクチュエータ210のラック212及び下側シュートボルトアクチュエータ220のラック222と噛合する。
【0049】
歯車230は、デッドボルト410及び歯車230のうちの一方が枢動点420に関して枢動することによって、他方が枢動するように、デッドボルト410に連結できる。これにより、デッドボルト、上側シュートボルトアクチュエータ210、及び下側シュートボルトアクチュエータ220の全てが同時に、それぞれの係合位置と係合解除位置との間で移動する。
【0050】
図13には、上側シュートボルトアクチュエータ210、下側シュートボルトアクチュエータ220、及び歯車230が更に詳細に示されている。
【0051】
ドライブハブ
ドライブハブ510は、ハウジング110の各側からドライブハブアパーチャ115を通してアクセス可能である。ドライブハブ510は多角形(例えば正方形)であり、ハンドルの同形状のスピンドルを受承する。ハンドルを操作すると、スピンドルはドライブハブ510を回転させる。ドライブハブ510の回転の範囲は、ニュートラル位置から各軸方向に約40°まで等に制限されていてよい。
【0052】
ハンドルは典型的には2方向に操作できる。固定方向(反時計回り等の第1の角度方向)では、上記操作によってデッドボルト410及びシュートボルトを係合させることができる。解放方向(時計回り等の第2の角度方向)では、上記操作によってデッドボルト410、シュートボルト、及びラッチボルト310を係合解除できる。
【0053】
ドライブハブ510は、ハンドルと協調して回転する同軸のドライブカム520及びドライブコア530を有する。ドライブハブ510をニュートラル位置へと付勢するために、ばね550が設けられる。従って、ユーザがハンドルを操作すると、ドライブハブ510は各軸方向に、最大回転範囲まで回転できる。これはユーザがばね550による付勢に抵抗しているためである。ユーザがハンドルを解放すると、ドライブハブ510はニュートラル位置に戻ることができる。
【0054】
ドライブカム520は、ラッチボルトシャーシ320の肩部323の面324と相互作用するためのフィンガ521を有する。ドライブカム520を第1の方向(例えば時計回り)に回転させると、フィンガ521は面324を押圧する。これにより、ラッチボルトシャーシ320が係合解除位置に向かって移動される。従って、解放方向のドライブハブ510の最大回転範囲を、ラッチボルトシャーシ320が係合解除位置へと完全に移動するための側方移動の量と整合させることができる。
【0055】
(ハンドルを解放することによって)ドライブカム520がニュートラル位置に戻ると、フィンガ521は面324に接触しなくなるため、ばね322に抵抗しなくなる。従って、ハンドルを解放すると、ラッチボルトシャーシ320及びラッチボルト310は係合位置に戻ることができる。
【0056】
ドライブカム520は、回転方向と直交する縁部522を有する。使用時、別の要素が縁部522に当接した場合に、ドライブカム520が少なくとも一方向に回転するのを阻止できる。
【0057】
ドライブコア530は同軸のドライブギア540と相互作用する。例えば、ドライブコア530の歯531は、ドライブギア540の支承面541を押圧できる。これはロストモーション構成となり得、従ってドライブコア530の回転量の一部を、ドライブギア540の回転に変換できない。これにより、ドライブギア540を移動させることなく、ドライブコア530を(例えばハンドルを解放することによって)ニュートラル位置に戻すことができる。
【0058】
ドライブギア540は、一方の端部に、デッドボルトの歯412と噛合する歯542を有する。ドライブギア540が回転すると、この噛合によってデッドボルト410も回転する。これにより、ハンドルの操作によってデッドボルトを係合位置と係合解除位置との間で移動させることができる。更に歯車230により、ハンドルの操作によってシュートボルトを係合位置と係合解除位置との間で移動させることができる。
【0059】
場合によっては、デッドボルト410の歯412及びドライブギア540の歯542を省略してよい。その代わりに、デッドボルト410とドライブギア540とをピンで連結してよく、これにより、ドライブギア540の回転を、上記ピンを介して、デッドボルト410の回転に変換する。
【0060】
図14には、ドライブコア530及びドライブギア540が更に詳細に示されている。
【0061】
デイラッチ
ロックアセンブリはデイラッチを有し、これは、上記デイラッチが係合解除されるまで、ラッチボルトが係合解除されるのを防止するものである。
【0062】
デイラッチハブ610は、ハウジング110の片側からデイラッチハブアパーチャ116を通してアクセス可能である。デイラッチハブ610は多角形(例えば正方形)であり、デイラッチハンドル又は掛けがね(snib)の同形状のスピンドルを受承する。デイラッチハブ610は、デイラッチプレート620の凹部621にフィットするカム611を有する。
【0063】
デイラッチプレート620は一方の端部にデイラッチブロック622を有する。デイラッチブロック622は、ラッチボルトシャーシ320の端部326に当接できるラッチボルト当接面623を有する。デイラッチプレート620は、施錠位置と解錠位置との間を直線状に移動する。施錠位置では、デイラッチブロック622のラッチボルト当接面623はラッチボルトシャーシ320の端部326と一直線上に配置される。ラッチボルトシャーシ320を係合解除位置に移動させようとすると、端部326はデイラッチブロック622のラッチボルト当接面623に当接することになる。これにより、係合解除位置へのラッチボルトシャーシ320の移動が阻止され、これにより、ラッチボルトシャーシ320(従ってラッチボルト310)は係合位置にロックされる。解錠位置では、デイラッチブロック622のラッチボルト当接面623はラッチボルトシャーシ320の端部326と整列せず、従って係合解除位置へのラッチボルトシャーシ320の移動を阻止しない。
【0064】
デイラッチハンドルを操作すると、カム611と凹部621との相互作用により、デイラッチプレート620が施錠位置と解錠位置との間で移動する。デイラッチハンドルの最大回転範囲は約90°であってよい。上記最大回転範囲は、デイラッチプレート620が、ハウジング110の内面又はラッチボルトシャーシ320の一部分を押圧することによって制限できる。
【0065】
デイラッチブロック622は、ドライブカム520の縁部522の一部と当接するドライブハブ当接面624を有する。施錠位置では、デイラッチブロック622のドライブハブ当接面624は、ドライブカム520の縁部522の少なくとも一部と一直線上に配置される。(ドライブハブ510を回転させるために)ハンドルを操作しようとすると、縁部522はドライブハブ当接面624に押し付けられる。これにより、ドライブカム520、従ってドライブハブ510、ドライブコア530、及びハンドルのスピンドルの、解放方向の回転が阻止される。解錠位置では、デイラッチブロック622のドライブハブ当接面624は縁部522と整列せず、従ってドライブカム520、ドライブコア530、及びハンドルのスピンドルの回転を阻止しない。
【0066】
このように、デイラッチブロック622を用いてハンドルを所定の位置にロックできる。デイラッチの係合時(即ちデイラッチハンドルを回転させてデイラッチプレート620を施錠位置に配置したとき)、ハンドルを解放方向に操作できないため、ドアを開くことができない。従ってデイラッチは2つの施錠ポイント、即ち:ラッチボルトシャーシ320がラッチボルト当接面623によって係合位置にロックされた1つの施錠ポイント;及びハンドルがドライブハブ当接面624によって所定の位置にロックされた1つの施錠ポイントを提供する。これらの施錠ポイントのうちの1つが損なわれた場合であっても、他方によって、ラッチボルト310は依然として、デイラッチが係合解除されるまで所定の位置に保持される。
【0067】
ロック
ロックアセンブリは更に、ロック710を有する。ロック710は、ロックのハウジングに対して回転されるシリンダロックであってよい。カム711はシリンダと協調して回転できる。場合によっては、シリンダ及びカム711を作動させるために、好適な鍵をロック710に挿入して回転させる必要がある。上記鍵は、シリンダが所定の位置にあるときにのみ、挿入又は取り外しが可能なものであってよい。適切でない鍵は、ピンのずれを生じさせて、シリンダ及びカム711の回転を阻止する場合がある。他の場合には、サムターン、掛けがね、又は鍵ではない他の作動装置を用いてもよい。
【0068】
ロック710は、固定方向及び解放方向に操作することによって、それぞれ施錠及び解錠できる。これは、カム711をロック710のハウジングに対して固定方向及び解放方向に回転させることを意味する。
【0069】
カム711は、ロックアクチュエータ720のカム凹部721と係合する。ロックアクチュエータ720は、チャネル内を移動するピン722によって画定される経路に沿って、施錠位置と解錠位置との間で直線状に移動する。ロックアクチュエータ720の状態のインジケータを提供できる1つのピン722は、カバー111のチャネル114内で移動してよい。
【0070】
ロックアクチュエータ720が解錠位置にあり、カム711が第1の固定方向(例えば反時計回り)に回転するとき、カム711は、約225°回転した後、カム凹部721に入る。カム711を更に回転させると、カム711がカム凹部721の側部を押圧する。これにより、ロックアクチュエータ720が施錠位置に向かって強制移動される。約300°回転した後、ロックアクチュエータ720は施錠位置に到達する。カム711を更に回転させると、カムはカム凹部721から出る。そしてカム711は1回転を完了し、その開始位置に戻ることができる。
【0071】
ロックアクチュエータ720が施錠位置にあり、カム711が第2の解放方向(例えば時計回り)に回転するとき、カム711は、約60°回転した後、カム凹部721に入る。カム711を更に回転させると、カム711がカム凹部721の側部を押圧する。これにより、ロックアクチュエータ720が解錠位置に向かって強制移動される。約135°回転した後、ロックアクチュエータ720は解錠位置に到達する。カム711を更に回転させると、カムはカム凹部721から出る。そしてカム711は1回転を完了し、その開始位置に戻ることができる。
【0072】
ロック710は、ロックアクチュエータ720が施錠位置にあるときに施錠モードとなり、ロックアクチュエータ720が解錠位置にあるときに解錠モードとなると考えることができる。これは、ロックアクチュエータ720を施錠位置又は解錠位置に移動させた後にロック710及びカム711が同一の物理的構成となることができる場合であっても、そのようになり得る。従ってロック710の施錠及び解錠モードは、ロックアクチュエータ720の施錠及び解錠位置によって画定できる。
【0073】
ロックアクチュエータ720が解錠位置にあるとき、カム711を固定方向に回転させると、カム711はロックアクチュエータ720に当接する。ロックアクチュエータ720が施錠位置にあるとき、カム711を解放方向に回転させると、この場合もまたカム711はロックアクチュエータ720に当接する。これにより、ロックアクチュエータ720の施錠状態又は解錠状態に基づいて、カム711の回転方向が制限される。
【0074】
カム711が回転する際にユーザにフィードバックを提供するために、ロケータアーム760を設けてよい。1つ又は複数のデテント761が、カム711が回転の特定の点に到達したときに、触覚及び/又は聴覚的フィードバックを提供する。これらは、ロックアクチュエータ720がそれぞれ施錠及び解錠位置に到達する時点に対応していてよい。開始位置から離れるように少なくとも一方向に回転する間に、ロケータアーム760をカム711に対して付勢するために、ばねを設けてよい。これにより、鍵を取り外すために好適な位置にカム711を配置するのを補助する。
【0075】
ロックアクチュエータ720は、連結具750によってロックアーム740に連結される。ロックアクチュエータ720の連結ピン724は、連結具750の第1のチャネル751に受承される。ロックアーム740の連結ピン741は、連結具750の第2のチャネル752に受承される。連結具750は枢動点753に関して枢動する。連結具750は、ロックアクチュエータ720の連結ピン724と、ロックアーム740の連結ピン741とを、互いから一定の距離に確実に維持する。従って、ロックアクチュエータ720及びロックアーム740のうちの一方がある直線方向に移動すると、他方が連結具750によって反対の直線方向に移動する。
【0076】
従ってロックアーム740は、ロックアクチュエータ720の施錠位置に対応する施錠位置と、ロックアクチュエータ720の解錠位置に対応する解錠位置との間の、直線経路に沿って移動する。この直線経路は、ピンが直線状のチャネル742内を移動することによって更に保証できる。
【0077】
ロックアーム740が施錠位置にあるとき、ドライブハブブロック743は、ドライブカム520の縁部522の少なくとも一部と一直線上に配置される。ドライブハブ510を回転させるためにハンドルを解放方向に操作しようとすると、縁部522はドライブハブブロック743に押し付けられる。これにより、ドライブカム520、従ってドライブハブ510、ドライブコア530、及びハンドルのスピンドルの回転が阻止される。ハンドルを固定方向に操作しようとすると、縁部522はドライブハブブロック743から離れるように移動することになる。よって、ロックアーム740が施錠位置にある場合であっても、ハンドルは依然として固定方向に移動できる。
【0078】
更に、ラッチボルトブロック744は、ラッチボルトシャーシ320の端部326の少なくとも一部と一直線上に配置される。ラッチボルトシャーシ320をその係合解除位置に向かって移動させようとすると、ラッチボルトシャーシ320の端部326はラッチボルトブロック744に当接する。これにより、ロックアーム740がその施錠位置にあるとき、ラッチボルトシャーシ320(従ってラッチボルト310)の、その係合解除位置に向かう移動が阻止される。
【0079】
解錠位置では、ロックアーム740のドライブハブブロック743は縁部522と整列しないため、ドライブカム520、ドライブコア530、及びハンドルのスピンドルの、いずれの方向の回転も阻止しない。
【0080】
ラッチボルトブロック744は、ロックアセンブリの第1の施錠部材と考えることができ、ドライブハブブロック743は、ロックアセンブリの第2の施錠部材と考えることができる。
【0081】
このようにして、ロック710の操作は、ロックアクチュエータ720、連結具750、及びロックアーム740を介して、解放方向のハンドルの回転を防止できる。これにより、ロック710を使用するだけでドアを(少なくともある程度)固定できる。
【0082】
更にハンドルは依然として固定方向には自由に移動できる。これによりユーザは、ロック及びハンドルを操作して、ドアを完全に固定できる。
【0083】
状態
図2~12は、ロックアセンブリの異なる複数の状態を示す。これらの状態の間の遷移は、ハンドル、デイラッチハンドル、及びロック710のうちの1つ以上の操作によって引き起こすことができる。
【0084】
ハンドルの使用
図2は、ラッチボルト310が係合位置にあり、デッドボルト410及びシュートボルトアクチュエータ210、220がそれぞれの係合解除位置にあり、デイラッチブロック622、ロックアクチュエータ720、及びロックアーム740がそれぞれの解錠位置にある、ロックアセンブリの状態を示す。
【0085】
この状態では、ハンドルは各方向に自由に回転でき、唯一の固定はラッチボルト310によるものである。従ってドアは、ハンドルの操作によっていずれの側から開けることができる。
【0086】
図3は、ハンドルを固定方向(例えば反時計回り)に操作している間の、
図2のロックアセンブリの状態を示す。ラッチボルト310は係合位置にあるままである。ハンドルの回転は、ドライブコア530及びドライブギア540を回転させ、この回転は、デッドボルト410をその係合位置に向かって移動させる。更にデッドボルト410の回転は、歯車230を回転させ、この回転は、シュートボルトアクチュエータ210、220をそれぞれの係合位置に向かって移動させる。従って、単一のハンドルの使用により、ラッチボルト310、デッドボルト410、及びシュートボルトの4つの施錠ポイントの係合が実施される。
【0087】
更に、上側シュートボルトアクチュエータ210のブロック214は、ラッチボルトシャーシ320の面324と整列するように移動される。これにより、ハンドルの使用以外によってラッチボルト310が内側に押されるのが防止される。
【0088】
図4は、ハンドルを完全に固定方向に操作してからハンドルを解放した後の、
図3のロックアセンブリの状態を示す。ばね550によって、ハンドル及びドライブハブ510がニュートラル位置に戻るように移動される。しかしながら、ドライブコア530とドライブギア540との間のロストモーションにより、ドライブギアは
図3と同一の位置のままとなっている。ラッチボルト310、デッドボルト410、及びシュートボルトアクチュエータ210、220は、それぞれの係合位置にあり、デイラッチブロック622、ロックアクチュエータ720、及びロックアーム740は、それぞれの解錠位置にある。
【0089】
図5は、ハンドルを解放方向(例えば時計回り)に操作している間の、
図4のロックアセンブリの状態を示す。ハンドルの回転は、ドライブカム520、ドライブコア530、及びドライブギア540を回転させる。
【0090】
ラッチボルト310は、ラッチボルトシャーシ320の肩部323に対してドライブカム520のフィンガ521を操作することによって、係合解除位置に向かって移動される。
【0091】
デッドボルト410は、ドライブコア530の歯531を操作してドライブギア540の支承面541を押圧することによって、係合解除位置に向かって移動される。その結果、シュートボルトアクチュエータ210、220は、ラック212、222に対して歯車230を操作することによって、その係合解除位置に向かって移動される。
【0092】
ハンドルを完全に解放方向に操作してからハンドルを解放した後、ロックアセンブリは
図2の状態となる。
【0093】
ロックの使用
図6は、ロック710を固定方向(例えば反時計回り)に操作している間の、
図2のロックアセンブリの状態を示す。これは、好適な鍵をロック710に挿入し、固定方向に回転させることによって実施できる。
【0094】
ロック710のカム711は、ロックアクチュエータ720のカム凹部721内に配置される。カム711の回転により、ロックアクチュエータ720をその施錠位置に向かって下方に押す。これによりロックアーム740は、連結具750によってその施錠位置に移動される。
【0095】
ロックアーム740のドライブハブブロック743は、ドライブカム520の縁部522の少なくとも一部と一直線上に移動される。これにより、ドライブカム520(従ってハンドル)が時計回りに回転するのが防止されるが、反時計回りの回転は阻止されない。
【0096】
施錠位置のロックアーム740は、デッドボルトロック730と整列していない。しかしながらデッドボルトロック730は、デッドボルト410がデッドボルトロック730に当接してばね735に抵抗しているため、解錠位置にあるままである。
【0097】
図7は、ロック710を完全に固定方向に操作した後の、
図6のロックアセンブリの状態を示す。(鍵が存在する場合)鍵をロック710から取り外すことができる。ラッチボルト310は係合位置にあるままであり、デッドボルト410及びシュートボルトアクチュエータ210、220はそれぞれの係合解除位置にあるままであり、デイラッチブロック622はその解錠位置にあるままである。
【0098】
従って、更なる固定ポイントの係合なしに、ロック710を用いてハンドル及びラッチボルトをロックできる。
【0099】
図8は、ハンドルを固定方向(例えば反時計回り)に操作している間の、
図7のロックアセンブリの状態を示す。ラッチボルト310は係合位置にあるままである。ハンドルの回転は、ドライブコア530及びドライブギア540を回転させる。ドライブハブブロック743は解放方向の回転のみを阻止するため、ドライブハブブロック743はこの回転を阻止しない。これにより、デッドボルト410はその係合位置に向かって移動される。更にデッドボルト410の回転は歯車230を回転させ、この回転は、シュートボルトアクチュエータ210、220をそれぞれの係合位置に向かって移動させる。
【0100】
図9は、ハンドルを完全に固定方向に操作してから解放した後の、
図8のロックアセンブリの状態を示す。
【0101】
ばね550により、ハンドル及びドライブハブ510はニュートラル位置に戻るように移動される。
【0102】
デッドボルトロック730は施錠位置に移動している。これは、ばね735がデッドボルトロック730を施錠位置に向かって付勢すること、並びにロックアーム740及びデッドボルト410がばね735による付勢に抵抗しなくなっていることによって発生する。従ってデッドボルトロック730の拡張部分734は、デッドボルト410のノッチ413内に配置される。従ってデッドボルト410は、デッドボルトロック730によって係合位置にロックされる。
【0103】
ロックアーム740のドライブハブブロック743は、ドライブカム520の縁部522と整列する。これにより、ドライブカム520(従ってハンドル)が時計回りに回転するのが防止される。
【0104】
ロックアーム740のラッチボルトブロック744は、ラッチボルトシャーシ320の端部326と一直線上に配置される。これにより、ラッチボルトシャーシ320(従ってラッチボルト310)が、それぞれの係合解除位置に向かって移動されるのが防止される。
【0105】
上側シュートボルトアクチュエータ210のブロック214は、ラッチボルトシャーシ320と整列する。これにより、ハンドルの使用以外によってラッチボルト310が内側に押されるのが防止される。
【0106】
ばね550によって、ハンドル及びドライブハブ510がニュートラル位置に戻るように移動される。しかしながら、ドライブコア530とドライブギア540との間のロストモーションにより、ドライブギアは
図3と同一の位置のままとなっている。ラッチボルト310、デッドボルト410、及びシュートボルトアクチュエータ210、220は、それぞれの係合位置にあり、デイラッチブロック622、ロックアクチュエータ720、及びロックアーム740は、それぞれの解錠位置にある。
【0107】
従って、ハンドル及びロック710の両方をそれぞれの固定位置に操作することにより、ロックアセンブリは、複数の外部施錠ポイント(即ちラッチボルト、デッドボルト、及びシュートボルト)並びに複数の内部施錠ポイント(即ちロックアーム740のドライブハブロック743及びラッチボルトブロック744、上側シュートボルトアクチュエータ210のブロック214、並びにデッドボルトロック730)を用いて、ドアを固定する。これにより、ロックアセンブリに高いレベルのセキュリティが提供される。
【0108】
図10は、ロック710を完全に解放方向に操作した後の、
図9のロックアセンブリの状態を示す。
【0109】
ロック710のカム711は、ロックアクチュエータ720のカム凹部721内で上向きに、その解錠位置に向かって押された。これにより、ロックアーム740もまた、連結具750によってその施錠位置へと移動された。
【0110】
従ってドライブハブブロック743は、ドライブハブ510が解放方向に回転するのを阻止しなくなり、またラッチボルトブロック744は、ラッチボルトシャーシ320がその係合解除位置に向かって移動するのを阻止しなくなっている。更にロックアームはデッドボルトロック730を押圧し、デッドボルトロック730を解錠位置へと枢動させる。
【0111】
しかしながら、ラッチボルト310、デッドボルト410、及びシュートボルトは、ハンドルを
図5に示されているような解放位置に操作してロックアセンブリを
図2の状態とするまでは、係合したままである。
【0112】
デイラッチの使用
デイラッチの目的は、ユーザがラッチボルトを所定の位置にロックできるようにすることである。そうすると、外側のユーザは、単にハンドルを作動させるだけではドアを開けることができなくなる。これにより、ロックを用いてドアを施錠する必要なしに、ある程度のセキュリティを実現できる。
【0113】
デイラッチは、デイラッチハンドルを固定方向に操作することによって係合され、またデイラッチハンドルを反対の解放方向に回転させることによって係合解除できる。デイラッチハンドルは、ドアの片側のみに設けてよい。
【0114】
図11は、デイラッチの係合後の、
図2のロックアセンブリの状態を示す。
【0115】
デイラッチプレート620はその施錠位置に移動される。これにより、デイラッチブロック622はラッチボルトシャーシ320と整列する。ラッチボルトシャーシ320をその係合解除位置に向かって移動させようとすると、ラッチボルトシャーシ320の端部326がデイラッチブロック622のラッチボルト当接面623に当接することになる。これにより、ラッチボルトシャーシ320(従ってラッチボルト310)がそれぞれの係合解除位置に移動するのが阻止される。
【0116】
更にデイラッチブロック622は、ドライブカム520とも整列する。ドライブカム520を(例えばハンドルを操作することによって)解放方向に回転させようとすると、ドライブカム520の縁部522は、デイラッチブロック622のドライブハブ当接面624に当接することになる。これにより、ドライブカム520及びハンドルを用いてラッチボルト310を係合解除位置に向かって移動させるのが阻止される。
【0117】
従ってデイラッチは、ラッチボルトに対する2つの独立した施錠ポイントを提供し、ロック710を用いないラッチボルトの施錠の確実な手段を提供する。
【0118】
その後、デイラッチハンドルを解放方向に移動させると、ロックアセンブリは
図2に示されている状態に戻ることになる。これにより、デイラッチの係合及び係合解除の簡単な様式が提供される。
【0119】
デイラッチは、デイラッチハンドルを用いて外側から係合解除することはできない。これは、デイラッチハンドルが典型的には内側にしか設けられていないためである。しかしながら、外側のユーザはロック710を用いてデイラッチを係合解除できる。特にユーザは、ロック710を施錠する(即ちカム711を完全に固定方向に回転させる)ことによって、デイラッチを係合解除する。次にユーザはロック710を解錠して(即ちカム711を完全に解放方向に回転させて)、ハンドルを用いてドアを開けることができる。
【0120】
図12は、ロック710を固定方向に操作している間の、
図11のロックアセンブリの状態を示す。
【0121】
カム711の回転により、ロックアクチュエータ720はその施錠位置に向かって下向きに押される。これにより、ロックアーム740は連結具750によってその施錠位置に向かって移動される。
【0122】
ロックアーム740のデイラッチ当接面745は、デイラッチプレート620のロックアーム当接面625を押圧する。ロックアーム740がその施錠位置に向かって移動すると、デイラッチプレート620はその解錠位置に向かって強制移動される。その間、ドライブハブ510は、デイラッチブロック622のドライブハブ当接面624及びロックアーム740のドライブハブブロック743のうちの一方又は両方によって、解放方向の回転が阻止されたままである。従って、ロック710の使用によってデイラッチが係合解除されている間、ドライブハブ510を解放方向に回転させることはできない。
【0123】
ロック710を完全に固定方向に操作した後、デイラッチは係合解除される。従ってロックアセンブリは、
図7に示されているような状態となる。
【0124】
このように、ロック710を用いてデイラッチを係合解除できる。その後、ロック710を解錠して、ドアを開けられるようにすることができる。
【0125】
解釈
本発明の複数の実施形態の説明により本発明を例示し、これらの実施形態を詳細に説明したが、これは、添付の請求項の範囲を上記詳細に限定する、又は多少なりとも制限するものと解釈されるべきではない。追加の利点及び改変は、当業者には容易に明らかとなるだろう。従って本発明はその広範な態様において、ここで図示並びに説明した特定の詳細、代表例としての装置及び方法、並びに例示的な実施例に限定されない。よって、一般発明概念の精神又は範囲から逸脱することなく、上述の詳細を発展させることができる。
【0126】
用語「…を備える(comprise、comprises、comprising)」は、様々な管轄の下で、排他的な意味に起因するものである場合も、包括的な意味に起因するものである場合もあることが知られている。本明細書の目的に関して、特段の記載がない限り、これらの用語は包括的な意味を有することが意図されており、即ちこれらの用語は、その使用が直接言及されている列挙された構成部品を含むことを意味し、かつ場合によっては他の明記されていない構成部品又は要素も含むことを意味するものと解釈されることになる。
【国際調査報告】