(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】座面が複数の当接要素を備えるインサート・ポケットを有する回転切削体、回転切削工具及びインサート
(51)【国際特許分類】
B23C 5/22 20060101AFI20220316BHJP
B23C 5/10 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
B23C5/22
B23C5/10 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021536718
(86)(22)【出願日】2020-01-20
(85)【翻訳文提出日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 IL2020050081
(87)【国際公開番号】W WO2020165890
(87)【国際公開日】2020-08-20
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】エルカヤム,サギ
【テーマコード(参考)】
3C022
【Fターム(参考)】
3C022KK14
(57)【要約】
工具軸回りに回転可能な切削体は、軸方向前端部に座面を有するインサート受入れポケットを有する。座面は、複数の当接要素を有し、複数の当接要素は、軸方向前向き当接面を有する軸方向当接要素と、少なくとも1つの径方向当接要素と、を含む。インサート受入れポケットの上面図において、軸方向前向き当接面は、径方向外向きポケット壁と外側締付け鋭角を形成する。回転切削工具は、切削体と、インサート受入れポケット内に取り外し可能に固着された切削インサートと、を含み、切削インサートは、座面と接触する基部面を有する。少なくとも1つの径方向当接要素は、少なくとも1つの径方向当接要素を占めるか、又は、少なくとも1つの径方向当接要素によって占められ、軸方向前向き当接面は、基部面の軸方向当接面と接触する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具軸(AT)を有する回転切削体(20)であって、前記切削体は、回転方向(R)で前記工具軸(AT)回りに回転可能であり、前記回転切削体(20)は、
前記切削体(20)の軸方向前方端(24)に設けられた少なくとも1つのインサート受入れポケット(22)を備え、
前記インサート受入れポケット(22)は、
前記回転方向(R)に面し、穴軸(A1)を有する雌ねじ穴(38)を含む座面(26)と、
前記座面(26)に横断する径方向外向きポケット壁(28)であって、前記ポケット壁(28)は、前記座面(26)から離間する壁縁部(48)を有する、径方向外向きポケット壁(28)と、
前記壁縁部(48)に接し、前記座面(26)に直交し、前記切削体(20)の前記軸方向前端部(24)に交差する第1の平面(P1)と、
前記座面(26)に関連付けられる複数の雄当接要素及び/又は雌当接要素(30;32a、32b)と、を有し、
前記複数の雄当接要素及び/又は雌当接要素(30;32a、32b)は、
軸方向前向き当接面(40)を有する軸方向当接要素(30)であって、前記軸方向前向き当接面(40)は、軸方向当接縁部(46)を有する、軸方向当接要素(30)と、
径方向内向き当接面(42a、42b)を有する少なくとも1つの径方向当接要素(32a、32b)と、を含み、
前記インサート受入れポケット(22)の上面図において、前記軸方向当接縁部(46)は、前記第1の平面(P1)と外側締付け鋭角(α)を形成する、回転切削体(20)。
【請求項2】
前記複数の当接要素(30;32a、32b)は、細長く、
前記軸方向当接要素(30)は、前記少なくとも1つの径方向当接要素(32a、32b)に横断する、請求項1に記載の回転切削体(20)。
【請求項3】
インサート受入れポケット22の上面図において、
前記穴軸(A1)は、前記締付け角度(α)によって限定される前記座面(26)の領域内に位置する、請求項1又は2に記載の回転切削体(20)。
【請求項4】
前記インサート受入れポケット(22)の上面図において、
前記軸方向前向き当接面(40)は、前記穴軸(A1)よりも前記第1の平面(P1)から遠くに全面的に位置する、請求項1~3のいずれか1項に記載の回転切削体(20)。
【請求項5】
前記インサート受入れポケット(22)の上面図において、
前記軸方向前向き当接面(40)は、前記雌ねじ穴(38)に交差する、請求項1~4のいずれか1項に記載の回転切削体(20)。
【請求項6】
前記インサート受入れポケット(22)の上面図において、
前記少なくとも1つの径方向内向き当接面(42a、42b)は、前記穴軸(A1)よりも前記第1の平面(P1)の近くに全面的に位置する、請求項1~5のいずれか1項に記載の回転切削体(20)。
【請求項7】
前記インサート受入れポケット(22)の上面図において、
前記少なくとも1つの径方向内向き当接面(42a、42b)の少なくとも1つの径方向当接縁部(50a、50b)は、前記第1の平面(P1)に平行である、請求項1~6のいずれか1項に記載の回転切削体(20)。
【請求項8】
前記複数の当接要素(30;32a、32b)は、2つの離間する径方向当接要素(32a、32b)を含み、
各前記径方向当接要素(32a、32b)は、径方向内向き当接面(42a、42b)を有し、
前記インサート受入れポケット(22)の上面図において、
前記2つの径方向当接要素(32a、32b)及び前記2つの径方向当接要素(32a、32b)のそれぞれの径方向内向き当接面(42a、42b)は、前記雌ねじ穴(38)に交差し前記第1の平面(P1)に直交する第2の平面(P2)の両側に全面的に位置する、請求項1~7のいずれか1項に記載の回転切削体(20)。
【請求項9】
前記切削体(20)は、周方向壁(36)を有する円筒形形状であり、
前記周方向壁(36)は、前記軸方向前端部(24)から軸方向後方向(DR)で延在し、
前記軸方向前向き当接面(40)は、前記周方向壁(36)に交差する、請求項1~8のいずれか1項に記載の回転切削体(20)。
【請求項10】
前記締付け角度(α)は、少なくとも45度、多くとも75度である、請求項1~9のいずれか1項に記載の回転切削体(20)。
【請求項11】
前記軸方向前向き当接面(40)は、前記座面(26)と外側当接鈍角(β)を形成し、
前記当接角度(β)は、100度より大きい、請求項1~10のいずれか1項に記載の回転切削体(20)。
【請求項12】
前記軸方向当接要素(30)、及び前記少なくとも1つの径方向当接要素(32a、32b)の1つは、交差し、連続ブーメラン形状リブ(33)を形成し、前記リブ(33)上に、前記軸方向前向き当接面(40)、及び前記少なくとも1つの径方向内向き当接面(42a、42b)の1つの両方が形成される、請求項1~11のいずれか1項に記載の回転切削体(20)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の回転切削体(20)と、
前記少なくとも1つのインサート受入れポケット(22)内に取り外し可能に固着される少なくとも1つの切削インサート(54)と、
締付けねじ(72)と、
を備える回転切削工具(52)であって、
前記切削インサート(54)は、外周側面(60)が間に延在する、対向する上面(56)及び下面(58)と、前記上面(56)及び前記下面(58)に交差し、インサート軸(A2)を有する貫通穴(62)と、
前記上面(56)と前記外周側面(60)との交線に形成される少なくとも1つの切れ刃(64a、64b)と、を備え、
前記下面(58)は、基部面(66)と、前記基部面(66)に関連付けられる複数の雄当接要素及び/又は雌当接要素(68a、68b;70a、70b)と、を有し、
前記複数の当接要素(68a、68b;70a、70b)は、少なくとも1つの軸方向当接要素(68a、68b)と、少なくとも1つの径方向当接要素(70a、70b)と、を含み、
前記締付けねじ(72)は、前記貫通穴(62)を通過し、前記雌ねじ穴(38)を螺合し、
前記インサートの基部面(66)は、前記座面(26)と接触し、
前記少なくとも1つの径方向当接要素(32a、32b)は、前記少なくとも1つの径方向当接要素(70a、70b)を占めるか、又は、前記少なくとも1つの径方向当接要素(70a、70b)によって占められ、
前記軸方向前向き当接面(40)は、前記少なくとも1つの軸方向当接要素(68a、68b)の1つの対応する軸方向当接面(74a、74b)と接触する、回転切削工具(52)。
【請求項14】
前記穴軸(A1)は、前記インサート軸(A2)と非同軸である、請求項13に記載の回転切削工具(52)。
【請求項15】
前記複数の当接要素(68a、68b;70a、70b)は、細長く、
前記少なくとも1つの軸方向当接要素(68a、68b)は、前記少なくとも1つの径方向当接要素(70a、70b)に横断する、請求項13又は14に記載の回転切削工具(52)。
【請求項16】
前記複数の切削インサート(54)は、同数の前記インサート受入れポケット(22)内に取り外し可能に固着される、請求項13~15のいずれか1項に記載の回転切削工具(52)。
【請求項17】
前記切削インサート(54)は、2つの離間する切れ刃(64a、64b)を有し、
前記切削インサート(54)は、前記インサート軸(A2)回りに刃先交換可能である、請求項13~16のいずれか1項に記載の回転切削工具(52)。
【請求項18】
前記複数の当接要素(30;32a、32b)は、雄型要素であり、
前記複数の当接要素(68a、68b;70a、70b)は、雌型である、請求項13~17のいずれか1項に記載の回転切削工具(52)。
【請求項19】
前記インサートの外周側面(60)は、一対の対向側面(77)によって互いに接続された一対の対向端面(75)を備え、
前記インサートの下面(58)は、
前記基部面(66)内に凹み、前記対向端面(75)に開口し、前記貫通穴(62)を通過し、前記離間する径方向当接要素(70a、70b)の両方を含む単一長手方向溝(71)と、
前記基部面(66)内に凹む一対の平行な横断溝(69a、69b)と、を備え、
各前記横断溝(69a、69b)は、前記対向側面(77)に開口し、前記貫通穴(62)を回避し、前記当接要素(68a、68b)のそれぞれ1つを備え、
前記単一長手方向溝(71)は、前記横断溝(69a、69b)のそれぞれに交差し、前記横断溝(69a、69b)と溝鋭角(γ)を形成し、
前記溝鋭角(γ)は、少なくとも45度、多くとも75度である、請求項18に記載の回転切削工具(52)。
【請求項20】
前記切削インサート(54)上の径方向外向きの力(FR)の不在下、前記少なくとも1つの径方向内向き当接面(42a、42b)は、前記切削インサート(54)と接触せず、前記第1の平面(P1)に直交し前記径方向外向きポケット壁(28)の前記壁縁部(48)に交差する第3の平面(P3)で取った断面において、前記径方向外向きポケット壁(28)は、前記インサートの外周側面(60)と接触し、
前記切削インサート(54)上の十分に大きな径方向外向きの力(FR)の存在下、前記少なくとも1つの径方向内向き当接面(42a、42b)のそれぞれは、前記少なくとも1つの径方向当接要素(70a、70b)の対応する径方向当接面(76a、76b)と接触し、前記第3の平面(P3)で取った断面において、前記径方向外向きポケット壁(28)は、前記インサートの外周側面(60)と接触しない、請求項13~19のいずれか1項に記載の回転切削工具(52)。
【請求項21】
前記切削インサート(54)上の径方向外向きの力(FR)の不在下、前記径方向外向きポケット壁(28)を除き、前記インサートの外周側面(60)と接触する前記インサート受入れポケット(22)の部分はない、請求項13~20のいずれか1項に記載の回転切削工具(52)。
【請求項22】
前記切削インサート(54)上の十分に大きな径方向外向きの力(FR)の存在下、前記第1の平面(P1)に直交し前記径方向外向きポケット壁(28)に交差するあらゆる平面で取った断面において、前記径方向外向きポケット壁(28)は、前記インサートの外周側面(60)と接触しない、請求項13~21のいずれか1項に記載の回転切削工具(52)。
【請求項23】
前記切削インサート(54)上の十分に大きな径方向外向きの力(FR)の存在下、前記インサートの外周側面(60)と接触する前記インサート受入れポケット(22)の部分はない、請求項13~22のいずれか1項に記載の回転切削工具(52)。
【請求項24】
外周側面(60)が間に延在する、対向する上面(56)及び下面(58)であって、前記下面(58)は、基部面(66)を有し、前記外周側面(60)は、一対の対向側面(77)によって互いに接続された一対の対向端面(75)を備える、対向する上面(56)及び下面(58)と、
前記上面(56)と前記外周側面(60)との交線に形成される2つの離間する切れ刃(64a、64b)と、
前記上面(56)及び前記下面(58)に交差し、インサート軸(A2)を有する貫通穴(62)であって、前記切削インサートは、前記インサート軸(A2)回りに刃先交換可能である、貫通穴(62)と、
前記基部面(66)に関連付けられ、2つの離間する軸方向当接要素(68a、68b)及び2つの離間する径方向当接要素(70a、70b)を含む複数の雄当接要素及び/又は雌当接要素(68a、68b;70a、70b)と、を備え、
前記インサートの下面(58)は、
前記基部面(66)内に凹み、前記対向端面(75)に開口し、前記貫通穴(62)を通過し、前記離間する径方向当接要素(70a、70b)の両方を含む単一長手方向溝(71)と、
前記基部面(66)内に凹む一対の平行な横断溝(69a、69b)と、を備え、
各前記横断溝(69a、69b)は、前記対向側面(77)に開口し、前記貫通穴(62)を回避し、前記径方向当接要素(68a、68b)のそれぞれ1つを備え、
前記単一長手方向溝(71)は、前記横断溝(69a、69b)のそれぞれに交差し、前記横断溝(69a、69b)と溝鋭角(γ)を形成し、
前記溝鋭角(γ)は、少なくとも45度、多くとも75度である、
片側フライス・インサート(54)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサート受入れポケットの座面に関連付けられる複数の当接要素を有する回転切削体、そのような切削体を有する回転切削工具に関し、この回転切削工具は、一般には、金属切削加工、より詳細には、ランプダウン・フライス作業及び高速フライス作業で使用される。
【背景技術】
【0002】
フライス作業で使用される切削工具の分野において、インサート受入れポケットの座面上に少なくとも1つの当接要素を有する切削体のいくつかの例がある。
【0003】
US5,542,795は、異なる側切れ刃及び横切れ刃を有する切削インサートで加工物に対しプランジ切削及び正面切削作業を実施するフライス・カッタを開示している。カッタ本体は、インサートの横切れ刃から離間する上肩部を含む、インサートを安全に受け入れる複数の凹部インサート座を有し、インサート座が、異なる形状の横切れ刃を有するインサートを受け入れるのを可能にする。カッタ本体は、側インサート切れ刃及び横インサート切れ刃に沿って切削インサートとそれぞれの座との間の相対移動を防止する支持構造体も有する。好ましい実施形態では、支持構造体は、座の上肩部に近いが離間しているインサート座内に形成される肩部と、横切れ刃に実質的に平行なインサート内の相補形凹部との組合せと共に、インサートの側切れ刃に実質的に平行な切削インサートの裏面から延在するレール状突出部と、座の底壁内の相補形細穴と、を含む。
【0004】
US6,840,716は、フライス工具を開示しており、フライス工具は、インサート受入れポケットを備えるインサート・ホルダと、インサート受入れポケット内に取り付けられる少なくとも1つの切削インサートと、を有する。インサート受入れポケットは、長手方向に延在する内壁と、内壁に隣接する後壁と、内壁及び後壁に隣接する下壁とを有する。下壁の前端部は、インサート・ホルダの中心部分に対して前方に突出する。前突出部は、下壁から上方に隆起し、インサート・ホルダの外周から内側後方に延在する。前突出部は、下壁に直交する前面を有する。切削インサートの底面内に形成した溝は、底面に直交する遠位側壁を有する。組み立てた際、切削インサートの径方向当接面は、インサート受入れポケットの径方向当接面に当接し、前突出部の前面は、溝の前遠位側壁に当接し、1つの切削インサートの後部分は、インサート受入れポケットの後壁から離間する。
【発明の概要】
【0005】
改善された回転切削体を提供することは、本発明の一目的である。
【0006】
切削体内に高レベルの安定性で取り外し可能に固着される切削インサートを有する、改善された切削工具を提供することも本発明の一目的である。
【0007】
特に、ランプダウン・フライス作業及び高速フライス作業に適する、改善された回転切削工具を提供することは、本発明の更なる目的である。
【0008】
本発明によれば、工具軸を有する回転切削体が提供され、切削体は、回転方向で工具軸回りに回転可能であり、回転切削体は、
切削体の軸方向前方端に設けられた少なくとも1つのインサート受入れポケットを備え、
インサート受入れポケットは、
回転方向に面し、穴軸を有する雌ねじ穴を含む座面と、
座面を横断する径方向外向きポケット壁であって、ポケット壁は、座面から離間する壁縁部を有する、径方向外向きポケット壁と、
壁縁部に接し、座面に直交し、切削体の軸方向前端部に交差する第1の平面と、
座面に関連付けられる複数の雄当接要素及び/又は雌当接要素と、を有し、
複数の雄当接要素及び/又は雌当接要素は、
軸方向前向き当接面を有する軸方向当接要素であって、軸方向前向き当接面は、軸方向当接縁部を有する、軸方向当接要素と、
径方向内向き当接面を有する少なくとも1つの径方向当接要素と、を含み、
インサート受入れポケットの上面図において、軸方向当接縁部は、第1の平面と外側締付け鋭角を形成する。
【0009】
また、本発明によれば、回転切削工具を提供し、回転切削工具は、
上述した種類の回転切削体と、
少なくとも1つのインサート受入れポケット内に取り外し可能に固着される少なくとも1つの切削インサートと、
締付けねじと、を備え、
切削インサートは、外周側面が間に延在する、対向する上面及び下面と、上面及び下面に交差し、インサート軸を有する貫通穴と、上面と外周側面との交線に形成される少なくとも1つの切れ刃と、を備え、
下面は、基部面と、基部面に関連付けられる複数の雄当接要素及び/又は雌当接要素と、を有し、
複数の当接要素は、少なくとも1つの軸方向当接要素と、少なくとも1つの径方向当接要素と、を含み、
締付けねじは、貫通穴を通過し、雌ねじ穴を螺合し、
インサートの基部面は、座面と接触し、
少なくとも1つの径方向当接要素は、少なくとも1つの径方向当接要素を占めるか、又は、少なくとも1つの径方向当接要素によって占められ、
軸方向前向き当接面は、少なくとも1つの軸方向当接要素の1つの対応する軸方向当接面と接触する。
【0010】
次に、より良好に理解するため、単に例として、添付の図面を参照しながら本発明を説明する。図面において、一点鎖線は、部材を部分的に見るための切断部の境界を表す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のいくつかの実施形態による回転切削体の斜視図である。
【
図2】
図1に示す回転切削体の第1の側面図である。
【
図3】
図1に示す回転切削体の第2の側面図である。
【
図4】
図1に示す回転切削体のインサート受入れポケットの上面図である。
【
図5】本発明のいくつかの実施形態による切削工具の分解斜視図である。
【
図6】
図5に示す切削工具のインサート受入れポケットの上面図である。
【
図7】
図5に示す切削工具の切削インサートの斜視図である。
【
図9a】
図6に示す切削工具の線IX-IXに沿って取った断面図であり、切削インサート上の径方向外向きの力は不在である。
【
図9b】
図6に示す切削工具の線IX-IXに沿って取った断面図であり、切削インサート上に十分に大きな径方向外向きの力が存在する。
【
図10a】
図6に示す切削工具の線X-Xに沿って取った断面図であり、切削インサート上の径方向外向きの力は不在である。
【
図10b】
図6に示す切削工具の線X-Xに沿って取った断面図であり、切削インサート上に十分に大きな径方向外向きの力が存在する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1から
図4に示すように、本発明の一態様は、回転切削体20に関し、回転切削体20は、工具軸AT回りに回転方向Rで回転可能であり、軸方向前端部24に少なくとも1つのインサート受入れポケット22を有する。
【0013】
インサート受入れポケット22は、回転方向Rに面する座面26と、座面26に横断する径方向外向きポケット壁28と、座面26に関連付けられる複数の雄当接要素及び/又は雌当接要素30;32a、32bと、を有する。径方向外向きポケット壁28は、座面26から離間する上壁縁部48を有する。
【0014】
用語「関連付けられる」の使用は、明細書全体及び特許請求の範囲にわたって、複数の雄当接要素及び/又は雌当接要素30;32a、32b並びに座面26に対して、複数の雄当接要素30;32a、32bが座面26上に配設される(即ち、座面26から突出する)可能性、並びに複数の雌当接要素30;32a、32bが座面26内に配設される(即ち、座面26内に凹んでいる)可能性を含むことを了解されたい。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態では、インサート受入れポケット22は、軸方向前向きポケット壁34を有することができ、軸方向前向きポケット壁34は、座面26に横断し、径方向外向きポケット壁28から離間する。
【0016】
また、本発明のいくつかの実施形態では、
図2及び
図3に示すように、軸方向前向きポケット壁34は、複数の雄当接要素及び/又は雌当接要素30;32a、32bの軸方向後方に全面的に位置することができる。
【0017】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、回転切削体20は、周方向壁36を有する円筒形形状とすることができ、周方向壁36は、軸方向前端部24から軸方向後方向DRで延在する。
【0018】
図4に示すように、座面26は、穴軸A1を有する雌ねじ穴38を含む。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態では、座面26は、平坦とすることができる。
【0020】
また、本発明のいくつかの実施形態では、穴軸A1は、座面26に交差することができる。
【0021】
図4に示すように、複数の当接要素30;32a、32bは、軸方向前向き当接面40を有する軸方向当接要素30と、径方向内向き当接面42a、42bを有する少なくとも1つの径方向当接要素32a、32bと、を含む。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、複数の当接要素30;32a、32bは、細長くてよく、軸方向当接要素30は、少なくとも1つの径方向当接要素32a、32bに横断することができる。
【0023】
また、本発明のいくつかの実施形態では、複数の当接要素30;32a、32bは、例えばリブ又は隆起部の形態の雄型要素とすることができる。
【0024】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、複数の当接要素30;32a、32bは、2つの離間する径方向当接要素32a、32b、即ち、前方径方向当接要素32aと後方径方向当接要素32bとを含むことができる。各径方向当接要素32a、32bは、それぞれの前方径方向内向き当接面42a又は後方径方向内向き当接面42bを有することができる。
【0025】
また更に、本発明のいくつかの実施形態では、軸方向前向き当接面40は、周方向壁36に交差することができる。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態では、複数の当接要素30;32a、32bは、単一軸方向当接要素30のみを含み得ることを了解されたい。
【0027】
図4に示すように、複数の当接要素30;32a、32bに加えて、座面26は、座面26から突出するノブ44を含むことができる。ノブ44は、複数の当接要素30;32a、32bの全てから離間する。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態では、ノブ44は、周方向壁36と連続することができる。
【0029】
本発明によれば、インサート受入れポケット22の上面図において、
図4に示すように、軸方向前向き当接面40の軸方向当接縁部46は、第1の平面P1と外側締付け鋭角αを形成し、第1の平面P1は、径方向外向きポケット壁28の壁縁部48に接し、軸方向前端部24に交差する。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態では、インサート受入れポケット22の上面図において、軸方向当接縁部46は、軸方向当接要素30に沿って線形に延在することができる。
【0031】
また、本発明のいくつかの実施形態では、インサート受入れポケット22の上面図において、壁縁部48は線形とすることができ、第1の平面P1は、壁縁部48を含むことができる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態では、インサート受入れポケット22の上面図は、座面26に直交して取ることができ、第1の平面P1は、座面26に直交し得ることを了解されたい。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態では、締付け角度αは、少なくとも45度、多くとも75度とし得る。
【0034】
用語「外側角度」の使用は、明細書全体及び特許請求の範囲を通じて、構成要素が上に形成される部材の外側に測定された2つの表面構成要素の間の角度を指すことを了解されたい。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態では、インサート受入れポケット22の上面図において、
図4に示すように、穴軸A1は、締付け角度αによって限定される座面26の領域内に位置することができる。
【0036】
穴軸A1が座面26直交することがない他の本発明の実施形態(図示せず)の場合、インサート受入れポケット22の上面図において、穴軸A1は、穴軸A1と座面26が画定する仮想平面との交差点に位置するとみなし得ることを了解されたい。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態では、
図4に示すように、ノブ44は、締付け角度αによって限定される座面26の領域内に位置することができる。
【0038】
図4に示すように、インサート受入れポケット22の上面図において、軸方向前向き当接面40は、穴軸A1よりも第1の平面P1から遠くに全面的に位置することができる。
【0039】
また、
図4に示すように、インサート受入れポケット22の上面図において、軸方向前向き当接面40は、雌ねじ穴38に交差することができる。
【0040】
更に、
図4に示すように、インサート受入れポケット22の上面図において、少なくとも1つの内向き当接面42a、42bは、穴軸A1よりも第1の平面P1の近くに全面的に位置することができる。
【0041】
また更に、
図4に示すように、インサート受入れポケット22の上面図において、少なくとも1つの径方向内向き当接面42a、42bの少なくとも1つの径方向当接縁部50a、50bは、第1の平面P1に平行とすることができる。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態では、インサート受入れポケット22の上面図において、少なくとも1つの径方向当接縁部50a、50bは、径方向当接要素32a、32bに沿って線形に延在することができる。
【0043】
図2に示すように、回転切削体20の第1の側面図において、径方向外向きポケット壁28の壁縁部48は、工具軸ATとゼロ又は第1のポケット鋭角δ1を形成することができ、第1のポケット角度δ1は、15度未満とすることができる。
【0044】
図3に示すように、回転切削体20の第2の側面図において、座面26は、工具軸ATとゼロ又は第2のポケット鋭角δ2を形成することができ、第2のポケット角度δ2は、30度未満とすることができる。
【0045】
複数の当接要素30;32a、32bが2つの離間する径方向当接要素32a、32bを含む本発明の実施形態の場合、インサート受入れポケット22の上面図において、
図4に示すように、2つの径方向当接要素32a、32b及びそれぞれの径方向内向き当接面42a、42bは、第1の平面P1に直交し雌ねじ穴38に交差する第2の平面P2の両側に全面的に位置することができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態では、第2の平面P2は、穴軸A1を含むことができる。
【0047】
また、本発明のいくつかの実施形態では、前方径方向当接要素32aは、軸方向前端部24に交差することができ、後方径方向当接要素32bは、軸方向当接要素30に交差することができる。
【0048】
図面からわかるように、細長い軸方向当接要素30及び細長い後方径方向当接要素32bは、鈍角で交差し、連続ブーメラン形状リブ33を形成し、リブ33上に、軸方向前向き当接面40及び後方径方向内向き当接面42bの両方が形成される。後方径方向内向き当接面42bが第1の平面P1に平行である実施形態では、軸方向前向き当接面40は、後方径方向内向き当接面42bと外側締付け鋭角αも形成する。
図4及び
図5に示されるインサート受入れポケット22は、雄型当接要素30;32a、32bを有する。しかし、他の実施形態では、雌軸方向当接要素及び雌後方径方向当接要素は、連続ブーメラン形状溝を形成するように交差し得ることを理解されたい。
【0049】
図5及び
図6に示すように、本発明の別の態様は、回転切削工具52に関し、回転切削工具52は、回転切削体20の少なくとも1つのインサート受入れポケット22内に取り外し可能に固着した少なくとも1つの切削インサート54を有する。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態では、複数の切削インサート54は、同数のインサート受入れポケット22内に取り外し可能に固着することができる。
【0051】
また、本発明のいくつかの実施形態では、回転切削工具52は、フライス工具とすることができる。
【0052】
図5~
図8に示すように、切削インサート54は、外周側面60が間に延在する、対向する上面56及び下面58と、上面56及び下面58に交差し、インサート軸A2を有する貫通穴62と、を有することができる。外周側面60は、一対の対向側面77によって互いに接続された一対の対向端面75を備えることができる。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態では、切削インサート54は、好ましくは、炭化タングステン等の超硬合金の成形プレス及び焼結によって製造することができ、被覆しても、被覆しなくてもよい。
【0054】
また、本発明のいくつかの実施形態では、上面56及び下面58は互いに異なってよい。
【0055】
図5~
図8に示すように、少なくとも1つの切れ刃64a、64bは、上面56と外周側面60との交線に形成することができる。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態では、切削インサート54は、2つの離間する切れ刃64a、64bを有することができ、切削インサート54は、インサート軸A2回りに刃先交換可能とすることができる。
【0057】
また、本発明のいくつかの実施形態では、切削インサート54は、インサート軸A2回りにN回の回転対称を呈することができる。
【0058】
切れ刃が下面58と外周側面60との交線に形成されないため、切削インサート54を「片側」インサート又は「非可逆的」インサートと称することができる。
【0059】
図7及び
図8に示すように、下面58は、基部面66と、基部面66に関連付けられる複数の雄当接要素及び/又は雌当接要素68a、68b;70a、70bとを有することができる。
【0060】
用語「関連付けられる」の使用は、明細書全体及び特許請求の範囲にわたって、複数の雄当接要素及び/又は雌当接要素68a、68b;70a、70b並びに基部面66に対して、複数の雄当接要素68a、68b;70a、70bが基部面66上に配設される(即ち、基部面66から突出する)可能性、並びに複数の雌当接要素68a、68b;70a、70bが基部面66内に配設される(即ち、基部面66内に凹んでいる)可能性を含むことを了解されたい。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態では、基部面66は、平坦とすることができる。
【0062】
また、本発明のいくつかの実施形態では、複数の当接要素68a、68b;70a、70bは、少なくとも1つの軸方向当接要素68a、68bと、少なくとも1つの径方向当接要素70a、70bと、を含むことができる。
【0063】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、複数の当接要素68a、68b;70a、70bは細長でよく、少なくとも1つの軸方向当接要素68a、68bは、少なくとも1つの径方向当接要素70a、70bに横断することができる。
【0064】
また更に、本発明のいくつかの実施形態では、複数の当接要素68a、68b;70a、70bは、例えば溝又は通路の形態の雌型要素とすることができる。
【0065】
複数の雌型当接要素68a、68b;70a、70bを設けると、切削インサート54の全重量の低減に寄与することも了解されたい。重量の低減は、切削インサート54が高い遠心力を受ける高速フライス作業では非常に重要である。
【0066】
図6、
図9a、
図9b、
図10a及び
図10bに示すように、回転切削工具52の組立て位置では、締付けねじ72は、貫通穴62を通過し、雌ねじ穴38を螺合し、インサートの基部面66は、座面26と接触し、少なくとも1つの径方向当接要素32a、32bは、少なくとも1つの径方向当接要素70a、70bを占めるか、又は、少なくとも1つの径方向当接要素70a、70bによって占められ、軸方向前向き当接面40は、少なくとも1つの軸方向当接要素68a、68bの1つの対応する軸方向当接面74a、74bと接触する。
【0067】
回転切削工具52の組立て位置では、軸方向前向き当接面40に接触する軸方向当接面74a、74bは、有効軸方向当接面74a、74bと説明することができる。
【0068】
単一締付けねじ72のみが、それぞれのインサート受入れポケット22内で切削インサート54の取付けに関与し得ることを了解されたい。
【0069】
図7及び
図8に示すように、本発明のいくつかの実施形態では、複数の当接要素68a、68b;70a、70bは、2つの離間する軸方向当接要素68a、68bを含むことができる。
【0070】
本発明のそのような実施形態では、軸方向前向き当接面40に接触しない軸方向当接要素68a、68aの軸方向当接面74a、74bは、非有効軸方向当接面74a、74bと説明することができる。
【0071】
また、本発明のそのような実施形態では、非有効軸方向当接面74a、74bは、インサート受入れポケット22のあらゆる表面と接触することがない。
【0072】
2つの離間する軸方向当接要素68a、68bが雌型要素である本発明の実施形態の場合、単一雄型軸方向当接要素30は、2つの軸方向当接要素68a、68bの第1の軸方向当接要素を占め、ノブ44は、2つの軸方向当接要素68a、68bの第2の軸方向当接要素を占めることができる。
【0073】
図6に示すように、切削インサート54が2つの離間する切れ刃64a、64bを有し、切削インサート54がインサート軸A2回りに刃先交換可能である本発明の実施形態の場合、回転切削工具52の組立て位置において、2つの離間する切れ刃64a、64bのうち1つのみを有効切れ刃64a、64bとして説明することができる。
【0074】
図7及び
図8に示すように、本発明のいくつかの実施形態では、複数の当接要素68a、68b;70a、70bは、2つの離間する径方向当接要素70a、70bを含むことができる。
【0075】
2つの離間する径方向当接要素70a、70bが雌型要素である本発明の実施形態の場合、2つの離間する雄型径方向当接要素32a、32bは、2つの径方向当接要素70a、70bを占めることができる。
【0076】
図7及び
図8に示されるインサートにおいて、複数の当接要素68a、68b;70a、70bは雌型である。したがって、インサートの下面58は、単一長手方向溝71を有し、長手方向溝71は、基部面66内に凹み、対向端面75に開口し、貫通穴62を通過し、2つの離間する径方向当接要素70a、70bを備える。インサートの基部面66は、基部面66内に凹む一対の平行な横断溝69a、69bを有し、各横断溝69a、69bは、対向側面77に開口し、貫通穴62を回避し、径方向当接要素68a、68bのそれぞれの1つを備える。重要なことには、単一長手方向溝71は、溝鋭角γに交差し、横断溝69a、69bのそれぞれと溝鋭角γを形成する。溝鋭角γは、少なくとも45度、多くとも75度である。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態では、穴軸A1は、インサート軸A2と同軸でなくてよい。
【0078】
穴軸A1がインサート軸A2と非同軸である本発明の実施形態の場合、貫通穴62は、雌ねじ穴38に対して偏心し得ることを了解されたい。
【0079】
雌ねじ穴38に対する貫通穴62の偏心関係は、締付けねじ72を締結する際、径方向外向きポケット壁28とインサートの外周側面60との間の接触を促進することを了解されたい。
【0080】
雌ねじ穴38に対する貫通穴62の偏心関係は、締付けねじ72を締結する際、軸方向当接要素30の軸方向前向き当接面40と、少なくとも1つの軸方向当接要素68a、68bの1つの軸方向当接面74a、74bと、の間の接触を促進することを更に了解されたい。
【0081】
穴軸A1が、締付け角度αによって限定される座面26の領域内に位置する本発明の実施形態の場合、切削インサート54は、有利には、高レベルの安定性でそれぞれのインサート受入れポケット22内で締め付け得ることを了解されたい。
【0082】
また、締付け角度αが少なくとも45度、多くとも75である本発明の実施形態の場合、切削インサート54は、有利には、高レベルの安定性でそれぞれのインサート受入れポケット22内で締め付け得ることを了解されたい。
【0083】
更に、インサート受入れポケット22の上面図において、軸方向前向き当接面40が雌ねじ穴38に交差する本発明の実施形態の場合、切削インサート54は、有利には、それぞれのインサート受入れポケット22内で締め付けることができ、フライス作業中、特にランプダウン・フライス作業の間、穴軸A1回りの回転変位レベルを低減することを了解されたい。
【0084】
図9aに示すように、切削インサート54上の径方向外向きの力FRの不在下、第1の平面P1に直交し径方向外向きポケット壁28の壁縁部48に交差する第3の平面P3で取った断面において、径方向外向きポケット壁28は、インサートの外周側面60と接触することができる。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態では、第3の平面P3は、第2の平面P2と一致することができる。
【0086】
また、
図9aに示すように、切削インサート54上の径方向外向きの力FRの不在下、少なくとも1つの径方向内向き当接面42a、42bは、切削インサート54と接触することがない。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態では、
図9aに示すように、少なくとも1つの径方向内向き当接面42a、42bは、座面26に直交することができる。
【0088】
切削インサート54上の径方向外向きの力FRの不在下、
図9aに示すように、少なくとも1つの径方向内向き当接面42a、42bのそれぞれと、径方向内向き当接面42a、42bのそれぞれと、に隣接する径方向当接要素70a、70bとの間の第1の最小間隙G1があり得ることを了解されたい。
【0089】
第1の最小間隙G1は、0.05~0.20mmの間の範囲を有し得ることを了解されたい。
【0090】
図9aは、本発明の理解を促進するため、第1の最小間隙G1を誇張した規模で示すことを更に了解されたい。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態では、切削インサート54上の径方向外向きの力FRの不在下、少なくとも1つの径方向当接要素32a、32bは、切削インサート54と接触することがない。
【0092】
また、本発明のいくつかの実施形態では、切削インサート54上の径方向外向きの力FRの不在下、径方向外向きポケット壁28以外、インサート受入れポケット22がインサートの外周側面60と接触する部分がない。
【0093】
したがって、切削インサート54上の径方向外向きの力FRの不在下、軸方向前向きポケット壁34は、インサートの外周側面60から離間し得ることを了解されたい。
【0094】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、切削インサート54上の径方向外向きの力FRの不在下、ノブ44が占める軸方向当接要素68a、68bと接触するノブ44の部分はない。
【0095】
図10aに示すように、切削インサート54上の径方向外向きの力FRの不在下、軸方向前向き当接面40の軸方向当接縁部46に交差する第4の平面P4で取った断面において、軸方向前向き当接面40は、対応する軸方向当接面74a、74bと接触することができる。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態では、
図10aに示すように、軸方向前向き当接面40は、穴面26と外側当接鈍角βを形成することができる。
【0097】
また、本発明のいくつかの実施形態では、当接角βは、100度よりも大きくてよい。
【0098】
当接角度βが100度よりも大きい本発明の実施形態の場合、軸方向当接要素30、及び軸方向当接要素30と接触する軸方向当接要素68a、68bは、有利には強固であり得ることを了解されたい。
【0099】
図9bに示すように、切削インサート54上の十分に大きな径方向外向きの力FRの存在下、例えば、30,000毎分回転数といった高速フライス作業の間、切削インサート54は、少なくとも1つの径方向内向き当接面42a、42bのそれぞれが、少なくとも1つの径方向当接要素70a、70bの対応する径方向当接面76a、76bと接触し得るまで、再配置を受けることができる。
【0100】
インサート受入れポケット22が少なくとも1つの径方向当接要素32a、32bを有する本発明の実施形態の場合、大きな径方向外向きの力FRの存在下、切削インサート54は、有利には、それぞれのインサート受入れポケット22内に締め付けることができ、径方向変位は低レベルであり、第1の最小間隙G1に相当する大きさであることを了解されたい。
【0101】
また、
図9bに示すように、切削インサート54上の十分に大きな外方力FR径方向の存在下、第3の平面P3で取った断面図において、径方向外向きポケット壁28は、インサートの外周側面60と接触することがない。
【0102】
切削インサート54上の十分に大きな径方向外方力FRの存在下、
図9bに示すように、径方向外向きポケット壁28と、インサートの外周側面60と、の間の第1の最小間隙G2があり得ることを了解されたい。
【0103】
第2の最小間隙G2は、0.05~0.20mmの間の範囲を有し得ることを了解されたい。
【0104】
図9bは、本発明の理解を促進するため、第2の最小間隙G2を誇張した規模で示すことを更に了解されたい。
【0105】
切削インサート54上の十分に大きな径方向外向きの力FRの存在下、第4の平面P4で取った断面において、
図10bに示すように、軸方向前向き当接面40は、軸方向前向き当接面40に対応する軸方向当接面74a、74bとの接触を維持し得ることをまた更に了解されたい。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態では、切削インサート54上の十分に大きな径方向外向きの力FRの存在下、第1の平面P1に直交し径方向外向きポケット壁28に交差するあらゆる平面で取った断面において、径方向外向きポケット壁28は、インサートの外周側面60と接触することがない。
【0107】
また、本発明のいくつかの実施形態では、切削インサート54上の十分に大きな径方向外向きの力FRの存在下、インサート受入れポケット22がインサートの外周側面60と接触する部分がない。
【0108】
したがって、切削インサート54上の十分に大きな径方向外向きの力FRの存在下、軸方向前向きポケット壁34は、インサートの外周側面60から離間し得ることを了解されたい。
【0109】
複数の当接要素30;32a、32bが2つの離間する径方向当接要素32a、32bを含み、複数の当接要素68a、68b;70a、70bが2つの離間する径方向当接要素70a、70bを含む本発明の実施形態の場合、切削インサート54上の十分に大きな径方向外向きの力FRの存在下、2つの径方向当接要素32a、32bの2つの径方向内向き当接面42a、42bは、2つの径方向当接要素70a、70bの2つの対応する径方向当接面76a、76bと接触し得る。
【0110】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、切削インサート54上の十分に大きな径方向外向きの力FRの存在下、ノブ44のそれぞれの軸方向当接要素68a、68bと接触し得るノブ44の部分はない。
【0111】
切削インサート54上の径方向外向きの力FRの不在下、及び切削インサート54上の十分に大きな径方向外向きの力FRの存在下、ノブ44のそれぞれの軸方向当接要素68a、68bと接触し得るノブ44の部分がない本発明の実施形態の場合、ノブ44は、それぞれのインサート受入れポケット22内の切削インサート54の取付け又は配置に関与するのではなく、機械加工作業の間に切削チップがそれぞれの軸方向当接要素68a、68bに進入するのを防ぎ、関連付けられる非作動軸方向当接面74a、74bを保護することを了解されたい。
【0112】
切削インサート54上の径方向外向きの力FRの不在下、及び十分に大きな径方向外向きの力FRの存在下の両方で、軸方向前向きポケット壁34がインサートの外周側面60から離間する本発明の実施形態の場合、外周側面60は、有利には、それぞれのインサート受入れポケット22内での切削インサート54の軸方向当接に関連する制約なく構成することができ、したがって、インサート受入れポケット22に適合するより広範なインサート形状、及びこれらのインサートの最小外周研削を可能にする。
【0113】
本発明は、ある程度の詳細まで説明しているが、以下で請求する本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく様々な代替形態及び修正形態を行い得ることを理解されたい。
【国際調査報告】