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特表2022-519522金属の磁気マーキングのための酸化物磁性粒子の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】金属の磁気マーキングのための酸化物磁性粒子の使用
(51)【国際特許分類】
   G07D 5/08 20060101AFI20220316BHJP
   G01N 27/72 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
G07D5/08
G01N27/72
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544428
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(85)【翻訳文提出日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 US2020015322
(87)【国際公開番号】W WO2020159928
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】62/798,280
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/751,970
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ロウ、カーステン
【テーマコード(参考)】
2G053
3E002
【Fターム(参考)】
2G053AA21
2G053BA02
2G053BB08
2G053BB11
2G053CB01
2G053CB24
3E002AA13
3E002CA01
3E002CA04
3E002DA04
3E002EA10
(57)【要約】
【解決手段】 コイン又は他の有価物品は、物品の電磁署名を変化させるための磁性粒子を含有し、物品を偽造しようとする偽造者の試みを挫く。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み込まれた磁性粒子を有する基材を含む有価物品であって、前記磁性粒子が、前記基材の総重量の2%未満で存在する、有価物品。
【請求項2】
前記磁性粒子が、酸化物である、請求項1に記載の有価物品。
【請求項3】
前記磁性粒子が、1000℃に加熱された後、磁気特性を示す、請求項1に記載の有価物品。
【請求項4】
前記磁性粒子が、ガーネット、マグネトプランバイト、及びフェライトから選択される、請求項3に記載の有価物品。
【請求項5】
前記磁性粒子が、フェリ磁性である、請求項1に記載の有価物品。
【請求項6】
有価コインを識別するための認証システムであって、
a)有価コイン基材と、
b)前記有価コイン基材の少なくとも一部分上に、又はその中に配置された磁性化合物であって、磁性粒子が、粒子及び基材の総重量に基づいて2重量%未満で存在する、磁性化合物と、
c)前記磁性化合物の磁気特性を検出し、磁気データを生成するように配設された、少なくとも1つの磁気センサと、
d)所定のプログラムの下で動作する処理ユニットであって、前記処理ユニットが、前記磁気データを入力し、前記磁気データを以前に記憶された基準磁気データと比較し、予め選択された判定基準を使用して前記比較から認証インジケータを導出し、前記認証インジケータを通信し、それによって、前記有価文書の認証又は認証の欠如を示す、処理ユニットと、を備える、認証システム。
【請求項7】
前記磁性化合物が、酸化物である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記磁性化合物が、1000℃に加熱された後、磁気特性を維持するものである、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記磁性粒子が、ガーネット、マグネトプランバイト、及びフェライトから選択される、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記粒子が、20マイクロメートル未満のメジアン径を特徴とするサイズ分布を有する、請求項6に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、金属の磁気マーキングに関し、より具体的には、磁気マーキングのための酸化物粒子の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの用途において、元の物品をコピー又は偽造物と区別して、元の物品を検証又は識別することが望ましい。認証特徴部は、オバート又はコバートとすることができる。オバート特徴部は、検査時に検出することができるものであり、その結果、偽造者が重複することが比較的容易である。コバート特徴部は、検出及び重複するためにより強靭であるが、実装するためにより硬くすることができる。例えば、コインなどの金属物品は、導電率測定によって認証することができる。しかし、コストの理由から、今日の多くのコインは、ニッケル又は銅などの別の金属でめっきされた軟質鋼コアで生成されている。鋼コアは、概して、めっき金属からの任意の磁気信号をマスクし、従来の導電性測定によって認証を困難にする磁気信号を生成する。
【0003】
コイン及び他の有価物品は、自販機及び類似の機械によって認識され、受け付けられるか、拒否されるかのいずれかの必要がある。この識別プロセスは、コイン受容体において行われ、概して、受容体の機構を通って移動する際に、コイン又は物品の様々な物理的特性を測定することを伴う。
【0004】
現在使用中のほとんどのコイン受容体は、コインが可変電磁界を妨害するときに生じる信号に依存する。例えば、コインは、アンテナをそれぞれ放出及び受容するように作用する2つのコイルの間で移動する。受信コイルによってピックアップされた信号は、次に、コインの電磁署名(electromagnetic signature、EMS)と呼ばれるものを生成するための独自のアルゴリズムを使用して分析される。そのEMSに基づいて、コインは受け付けられるか、拒否されるかのいずれかである。
【0005】
コイン受容体に影響を及ぼす一般的な問題は、電磁署名(EMS)が異なるコインに関して非常に類似し得るという事実である。異なる額面金額のコイン又は異なる管轄で発行されたコインのEMSが類似している場合、不正の機会がある。
【0006】
EMSセンサは、自販機業界で広く採用されている。原則として、コイン又は他の有価物品のEMSの任意の変化は、システムに新たなセンサを追加する費用がかかる工程を取るのではなく、検出アルゴリズムを変更することのみを伴うであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、容易に適合され、変更されて偽造者を挫くことができる物品及びシステムを、それらを使用して提供することが望ましい。他の望ましい特徴及び特性は、以降の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0008】
物品の電磁署名を変化させるための磁性粒子を含有し、それによって物品を偽造しようとする偽造者の試みを挫く、コイン又は他の有価物品が提供される。
【0009】
有価物品を識別するための認証システムであって、有価物品基材と、有価コイン基材の少なくとも一部分上に、又はその中に配置されたフェリ磁性化合物と、フェリ磁性化合物の磁気特性を検出し、磁気データを生成するように配設された、少なくとも1つの磁気センサと、所定のプログラムの下で動作する処理ユニットと、を含む、認証システムが提供される。動作中、処理ユニットは、磁気データを入力し、磁気データを以前に記憶された基準磁気データと比較し、予め選択された判定基準を使用して比較から認証インジケータを導出し、認証インジケータを通信する。
【0010】
コイン、トークン、カジノチップ、メダリオンなどの有価物品を受け付ける任意の機械又は装置を含む、自販機又は同様の装置を操作するための方法が提供される。本方法は、有価物品を機械又は装置のコイン受容体に受け付け、物品の電磁署名(EMS)を測定することを含む。本方法は、処理ユニット内の測定されたEMSを、所定の署名に自動的に比較することを更に伴う。非限定的な実施形態では、物品のEMSが所定の署名に一致しない場合、機械は、物品を挿入したユーザに物品を戻す。
【0011】
これらの方法及びシステムでは、コイン、トークン、メダリオン、カジノノチップとして使用される有価物品は、有価物品基材と、有価物品基材上又はその内部に配置された粒子の形態でのある量のフェリ磁性材料とを含有することを特徴とする。様々な実施形態では、粒子は、有価物品の重量に基づいて2重量%未満のレベルで、有価物品中に存在する。粒子の存在は、物品の測定された電磁署名(EMS)の変化をもたらす。認証システム内のセンサは、変更されたEMSに応答するようにプログラム又は再プログラムすることができ、それによってシステムが有価物品を識別することを可能にする。重要なことに、有価物品は拒否され、偽造であると判定された場合にユーザに返却され得る。代替的に、物品は、犯罪活動の証拠として潜在的な使用のためにシステムによって保持され得る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の「発明を実施するための形態」は、本質的に単なる例示であり、本発明又は本発明の用途及び使用を限定することを意図するものではない。更に、前述の背景技術又は以下の詳細な説明で提示される、いずれの理論によっても拘束されることは意図していない。
有価物品
【0013】
これらとしては、物品が本物であるかどうかという問題が存在するのに十分に価値がある任意の品目が挙げられる。特に物品の額面が高いほど、そのような品目をコイン、カジノトークン、記念メダリオン、及び地下鉄のトークンなどの品目を悪徳行為者が偽造するための経済的な動機が存在する。これらを挫くために、物品を識別することとして知られているプロセスにおいて、どの物品が純粋であるかを検出するために、システムが適所に置かれる。
【0014】
同様の懸念事項は、有価物品が製造されるブランクに適用される。通常、ブランクは、一連のスタンピング、エンボス加工及び他の仕上げ工程でブランクから調製される、完成品の全ての金属及び貴金属を含有する。このため、本明細書で使用するとき、有価物品としてはまた、ブランク及び他の中間構造、並びに最終製品が挙げられる。
有価物品基材
【0015】
現在の教示では、磁性粒子は、有価物品基材上又はその中に配置される。基材は、いくつかの形態を取る。
【0016】
コイン及び他の有価物品は、多種多様な材料で作製される。それらは通常、金属又は合金であり、通常はディスク形状である。いくつかは、地金型金貨であり、金及び銀のような有価金属から作製される。他のものは、例えば、日々の取引における金銭として使用され、これらは、それらが作製された金属の価値からではなく、むしろ、政府、又はカジノのような民間団体にかかわらず、発行機関によってそれに置かれた価値により、それらの経済価値を引き出す。金属は、有価物品の基材を構成する。
【0017】
注記した金及び銀以外の、基材用の材料の非限定的な例としては、鋼(例えば、オーステナイト鋼及びクロム-ニッケル鋼)、クロム-ニッケル合金、銅ニッケル合金、チタン及びチタン合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金(青銅及び黄銅など)、亜鉛及び亜鉛合金が挙げられる。
【0018】
様々な実施形態では、基材は、コイン又は他の有価物品全体の形態を取る。これは、例えば、純金又は純銀で作製された地金型金貨の場合、事実であろう。他の実施形態では、基材は、他の一般的により薄い金属層で代替的にめっきされたディスク又はコアを形成する。代替的に又は追加的に、基材は、コアによって、又はそのようなコアに適用されるめっき層によって表される。二金属性及び三金属性物品は、異なる金属組成を有し、これらのいずれも、現在の教示の基材として機能することができる。例えば、それらは、1ユーロコインによって例示される、同心リング内に配設することができる。これらの同心リングはまた、好適な基材を提供する。
【0019】
粒子は、そのような有価物品基材に組み込まれるか、又はその上に配置され得る。それらは、物品の電磁署名を変更し、それによって非本物性物品の識別を可能にするように機能する。
磁性粒子
【0020】
磁性粒子は、広範な材料を包含する。好ましくは、1000℃を超える温度などの高温に加熱された後であっても磁気特性を示す又は呈する磁性粒子が選択される。いくつかの状況では、これは、磁性粒子が、1000℃超の温度で熱平衡に達するのに十分な時間にわたって1000℃以上に加熱したときに溶融しないことを意味する。これにより、粒子は、基材の製造において経験される温度に耐え、仕上げ工程ではブランク上で実施される。様々な実施形態では、酸化物材料は、一般に、そのような高温に耐えることができるため使用される。非限定的な例としては、磁鉄鉱及び磁赤鉄鉱などの酸化鉄が挙げられる。
【0021】
他の好適な磁性粒子は、ガーネット、マグネトプランバイト、及びフェライトから誘導される。フェライトという用語は、酸化鉄から誘導された磁性鉄含有材料を示すために使用される。いくつかの実施形態では、フェライトはスピネル構造を採用する。様々な実施形態では、これらは、多量の酸化鉄及び少量の他の金属(BA.Mn、Ni、及びZnなど)を含有するセラミック化合物である。様々な実施形態において、粒子はフェリ磁性粒子である。フェリ磁性酸化物の使用は、酸化に対して安定であり、金属粒子で予想されるようには、酸処理下に溶解することが予想されないという利点を有する。更に、これらは固体の状態技術によって調製され、必要な粒径分布に調製又は粉砕され得る。
【0022】
有利なことに、いくつかの酸化物は、構造を無傷に維持しながら、それらの組成物を変更することによって調整することができる。図示するために、イットリウム鉄ガーネットは、いくらかのイットリウム(Y)をガドリニウム(Gd)と交換することによって変更して、例えば、Y Fe12、YGd Fe12、YGd Fe12、及びGdFe12を得ることができる。これはまた、イオンの磁気モーメントと共に磁気特性を変化させ、異なる構造タイプ及びその中でイオンを交換する可能性を適用することによって、フェリ磁性材料の一般分野において多くの変異型が可能である。
【0023】
様々な実施形態では、磁性粒子は、ガーネットから選択される。特にガーネット材料では、磁気特性を変更させるだけでなく、セキュリティのフォレンシックレベルを追加するために、希土類イオンを変動させることによって、磁性粒子の組成を変更させることができる。例示するために、Y3+をLu3+と交換すると、イオンは磁気モーメントを担持しないため、磁気特性の実際の変化を予測しない。しかしながら、化学的差異は、例えば、元素分析又は他の化学的若しくは物理的手段によって検出可能であろう。また、Gd3+、Tb3+、及びDy3+からなる群のイオンは、あまりにも磁気特性が近いので、1つ又は別の群でドープされたコインのEMSを測定することによって、それらが区別可能であることを予測しないであろう。このような別の群は、イオンTm3+及びYb3+からなる。
組成物
【0024】
磁性粒子を物品基材に組み込んで、EMSの変化を提供して、有価物品の識別を可能にする。一態様では、磁性粒子の量は、組成物を配合することによって、また、それが電磁署名に十分な差を与えるかどうかを実験的に確認することによって、経験的に決定される。特定の実施形態では、磁性粒子の量は、有価物品の重量に基づいて、2重量%未満又は1重量%未満に限定される。最小量は、磁性粒子の磁気モーメントに応じて、100ppm又は約0.1重量%である。例示として、約0.1%(1000ppmである)は、イットリウム鉄ガーネット(YIG)のような材料の最小値として妥当である。しかし、他のガーネット及びマグネトプランバイトは、YIGよりも高い磁気モーメントを有するため、100ppm以上などのより低いレベルで使用することが可能である。一般に、より高いレベルがより良好なEMS差を与える可能性が高いが、更に他の要因を考慮しなければならないため、より低いレベルが好ましい。例えば、磁性材料は、高導電性ではない傾向があり、そのため、より少ない量は、識別機構の全体的な動作を補助する。コイン又は他の物品の構造的及び化学的一体性も考慮される必要がある。コインの外観さえ、高すぎる負荷で変化する可能性があり、高すぎる負荷が基材構造に欠陥が生じる場合、耐薬品性が低下する傾向がある。これらの全ての理由から、驚くべきことに、2重量%未満の磁性粒子の負荷が、これらの状況において好ましいことが見出された。
粒子サイズ
【0025】
磁性粒子の粒径は、かなり広い範囲内で変動することができ、例えば、粒子のメジアン径は、0.5マイクロメートル~100マイクロメートルの範囲であり得る。特定の実施形態では、50マイクロメートル以下、20マイクロメートル以下、10マイクロメートル以下、又は5マイクロメートル以下のメジアン径を有することが好ましい。特に好ましいのは、0.5~3マイクロメートルのメジアン径である。これらの粒径は、様々な供給元から市販されているレーザー回折粒径分析装置によって決定することができる。様々な実施形態では、超音波エネルギーを使用して、サンプルを前処理して、一次粒径を測定する。代替的に、粒子は、最大直径が20マイクロメートル以下であるサイズ分布を有することができる。粒子サイズが低い側にある場合、有価物品を作製するための特定の技術が可能になる。例えば、磁性粒子は、粒子が組み込まれる金属層の厚さよりも小さい寸法(ほとんど球状の直径など)を有するべきである。より小さい粒子(例えば、メジアン径又は最大直径が20マイクロメートル未満である分布を有するもの)は、基材の金属によってより容易に包囲することができ、物品に摩耗及び化学的攻撃に対してより耐性のある構造体を与えることができる。
【0026】
小さい粒径(例えば、5μm未満のメジアン径を有する粒子)は、より均質な分布を可能にし、したがって偽造者の検出及び分析がより困難になるであろうという追加の利点を有する。0.5~3マイクロメートルの特に好ましいメジアン径を有する粒子を適用することは、非常に均質な分布をもたらし、したがって、基材の(表面)にわたって調べたときに非常に均質な応答信号にもつながる。
製造技術
【0027】
有価物品を作製する1つの方法は、2種類の粒子を含有する組成物を提供することであり、一方は基材金属であり、他方は磁性粒子である。好ましい実施形態では、磁性粒子は、粒子の総重量に基づいて2重量%未満で、組成物中に存在する。粉末冶金プロセスでは、2つの材料を含有する組成物を焼結して、後で最終物品に加工することができるブランクを作製する。
【0028】
別の方法は、コインブランクのコアなどの既存の基材上にめっきされている層に磁性粒子を組み込むことを伴う。他の技術では、より硬い磁性酸化物粒子をより軟質の金属基材に打ち込むことができる。ここで、酸化物は、基材の軟質金属上に予め配置することができ、磁性粒子(例えば、本明細書に記載の酸化物材料)は、圧延又は剥離によって基材に押し込まれる。別の実施形態では、磁性粒子は、金属の2つの層の間に提供され得、クラッド構造は、圧延によって作製される。別の実施形態では、磁性酸化物粒子は、金属シート上に置かれた(正確に充填された、可燃性の軟質プラスチック)フィルム内に提供され、圧延プロセスでは、粒子は金属に押し込まれる。別の実施形態では、粒子は、金属上に印刷され、次いで、圧延されるか又は打ち込まれ得、これは、それが巻かれる前にシート上で、又はそれが打ち込まれる前にパッド印刷又はスタンピングによってコインブランク上に、連続的に実施することができる。
方法及びシステム
【0029】
現在の教示によれば、有価物品の認証(コイン、トークン、メダリオンなど)は、磁気データと所定の基準磁気データとの比較によって決定される。これらの特性は、同じ時間及び場所に評価され得るか、又はシステムに応じて異なる時間で評価され得る。本発明の認証システムは、磁性粒子の磁気特性を検出し、磁気データを生成するように配設された、少なくとも1つの磁気センサを含む。これらのセンサは、処理のためにデジタル値に変換することができるように、低ノイズ電子機器によって十分なレベルまで増幅され得る信号を生成する。好適な磁気センサとしては、当業者によって決定される必要な磁気応答を有する任意の磁力計又は他の装置が挙げられる。
【0030】
コンピュータなどの1つ以上の処理ユニットを使用して、基準データを記憶し、試験データを収集、相関、及び識別し得る。例えば、1つ以上の処理ユニットは、所定のプログラムの下で動作し、処理ユニットは、単一の値の物品の試験磁気データを読み取り又は入力し、予め記憶された基準磁気データと試験磁気データとを比較し、予め選択された判定基準を使用して、比較結果から認証インジケータを導出する。処理ユニットの一部であってもなくてもよい出力ユニットは、次いで、認証インジケータを通信して、試験有価物品の認証又は認証の欠如を示す。
【0031】
上記の本発明の詳細な説明において、少なくとも1つの例示的な実施形態を提示したが、膨大な数の変形例が存在する点を理解されたい。例示的な実施形態(複数可)は、あくまで実例にすぎず、いかなる意味でも発明の範囲、適用可能性、又は構成の限定を目的としていない点もまた理解されるはずである。むしろ、前述の「発明を実施するための形態」は、本発明の例示的な実施形態を実施するための簡便なロードマップを当業者に提供するだろう。添付の「特許請求の範囲」に記載の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態で説明した要素の機能及び構成に様々な変更を加えることができるものと理解される。
【手続補正書】
【提出日】2021-07-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み込まれた磁性粒子を有する基材を含む有価物品であって、前記磁性粒子が、前記基材の総重量の2%未満で存在する、有価物品。
【請求項2】
前記基材が、金属を含む、請求項1に記載の有価物品。
【請求項3】
有価コインを識別するための認証システムであって、
a)有価コイン基材と、
b)前記有価コイン基材の少なくとも一部分上に、又はその中に配置された磁性化合物の粒子であって、前記基材が、金属を含み、前記粒子が、粒子及び基材の総重量に基づいて2重量%未満で存在する、磁性化合物の粒子と、
c)前記磁性化合物の前記磁気特性を検出し、磁気データを生成するように配設された、少なくとも1つの磁気センサと、
d)所定のプログラムの下で動作する処理ユニットであって、前記処理ユニットが、前記磁気データを入力し、前記磁気データを以前に記憶された基準磁気データと比較し、予め選択された判定基準を使用して前記比較から認証インジケータを導出し、前記認証インジケータを通信し、それによって、有価文書の認証又は認証の欠如を示す、処理ユニットと、を備える、認証システム。
【国際調査報告】