(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】化合物の凝縮物に関連する特性を特性評価する方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20220316BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
G01N33/68
C12Q1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544451
(86)(22)【出願日】2020-02-07
(85)【翻訳文提出日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 US2020017333
(87)【国際公開番号】W WO2020163795
(87)【国際公開日】2020-08-13
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521336185
【氏名又は名称】デューポイント セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ビューテル, ブルース アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ダンドライカー, ピーター ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ヘイル, スティーブン ポール
(72)【発明者】
【氏名】ムルコ, マーク アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ボチェク, エドガー エリック
(72)【発明者】
【氏名】ミタシュ, マテウス
(72)【発明者】
【氏名】ミトレア, ダイアナ マリア
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
【Fターム(参考)】
2G045CB01
2G045DA36
2G045FB06
2G045FB07
2G045FB12
4B063QA01
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4B063QR77
4B063QS03
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4B063QX01
(57)【要約】
試験化合物などの化合物の凝縮物に関連する特性を評価する、例えば、特性評価または決定する方法、およびその適用を提供する。例えば、標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法、標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性を決定する方法、および試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法を提供する。加えて、所望の相対凝縮物分配特性を有する化合物もしくはその一部を設計する方法、および/またはそれを識別する方法、および/またはそれを作製する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、
(a)前記試験化合物、ならびに前記標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を組み合わせるステップ;
(b)前記標的凝縮物中の前記試験化合物の量を決定するステップ
を含み、それにより前記標的凝縮物中の前記試験化合物の前記分配特性を決定する、方法。
【請求項2】
ステップ(a)の前に、前記標的凝縮物の形成を引き起こすステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、
(a)前記試験化合物の存在下で前記標的凝縮物の形成を引き起こして、前記標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を得るステップ;ならびに
(b)前記標的凝縮物中の前記試験化合物の量を決定するステップ
を含み、それにより前記標的凝縮物中の前記試験化合物の前記分配特性を決定する、方法。
【請求項4】
ステップ(a)の前に、前記試験化合物、および前駆体分子を含む前駆体組成物を組み合わせるステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(a)の前に、前記試験化合物を前駆体分子を含む前駆体組成物に添加するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記余分な凝縮物溶液中の前記試験化合物の量を決定するステップをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記標的凝縮物中の前記試験化合物の量が、前記余分な凝縮物溶液中の前記試験化合物の量が決定される前、それと同時に、またはその後に決定される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記標的凝縮物中の試験化合物の量および前記余分な凝縮物溶液中の試験化合物の量の比を決定するステップをさらに含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記標的凝縮物を前記余分な凝縮物溶液から分離するステップをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップの前に前記標的凝縮物を識別するステップをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記標的凝縮物の調節不全が、疾患に関連する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記標的凝縮物を、それらに含まれる1種または複数の高分子を識別することによって特性評価するステップをさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記識別するステップが、前記標的凝縮物中の前記1種または複数の高分子の量を決定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記標的凝縮物中の試験化合物の量および前記標的凝縮物中の前記1種または複数の高分子の量の比を決定するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記標的凝縮物が、本質的に無秩序な配列を含むタンパク質を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記標的凝縮物を可視化するために、前記標的凝縮物を標識するステップをさらに含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記標的凝縮物が、放射性標識、比色標識または蛍光標識で標識される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が細胞を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記細胞が、微生物または動物細胞である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記細胞が、調節不全であると決定される凝縮物を含む、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記細胞が、神経変性疾患または増殖性疾患の1つまたは複数の特徴を有する、請求項18から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記標的凝縮物が、細胞凝縮物である、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記細胞凝縮物が、切断体、P顆粒、ヒストン遺伝子座体、多胞体、神経RNA顆粒、核ジェム、核孔、核スペックル、核ストレス体、核内小体、Oct1/PTF/転写(OPT)ドメイン、パラスペックル、核周囲区画、PML核小体、PML発癌性ドメイン、ポリコーム体、プロセシング体、Sam68核小体、ストレス顆粒またはスプライシングスペックルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記標的凝縮物が、細胞中にある、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記細胞が、微生物または動物細胞である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記細胞が、神経変性疾患または増殖性疾患の1つまたは複数の特徴を有する、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記余分な凝縮物溶液が、細胞内液である、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記細胞内液が、サイトゾルまたはヌクレオゾルである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記標的凝縮物が、細胞中にない、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記標的凝縮物が、細胞外凝縮物である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記余分な凝縮物溶液が、細胞外液である、請求項1から22または29から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記細胞外液が、間質液である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
無細胞アッセイ法である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物が、高分子、塩および緩衝剤のうちの1種または複数を含む、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が、2種またはそれよりも多くの標的凝縮物を含む、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
1種または複数の追加の凝縮物について前記方法の前記ステップを繰り返すステップを含む、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記試験化合物が、小分子、ポリペプチドまたは核酸である、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記試験化合物が、試験化合物標識を含む、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記試験化合物標識が、放射性標識、比色標識または蛍光標識である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記試験化合物標識が蛍光標識である、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記試験化合物の量が、前記試験化合物標識を検出することによって決定される、請求項38から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記試験化合物の量が、質量分析、液体クロマトグラフィーおよび/または紫外可視分光法によって決定される、請求項1から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、複数の試験化合物を用いて請求項1から42のいずれか一項に記載の方法を行うステップを含む、方法。
【請求項44】
前記標的凝縮物中の前記複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップをさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記識別された特性を含む1種または複数の追加の試験化合物について、標的凝縮物における分配特性を決定するステップをさらに含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記識別された特性を含まない1種または複数の追加の試験化合物について、標的凝縮物における分配特性を決定するステップをさらに含む、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性を決定する方法であって、
(i)前記試験化合物の前記分配特性を、前記試験化合物を用いて請求項1から42のいずれか一項に記載の方法を行うことによって決定するステップ;
(ii)参照化合物の分配特性を、前記参照化合物を用いて請求項1から42のいずれか一項に記載の方法を行うことによって決定するステップ;ならびに
(iii)(i)および(ii)において決定された前記分配特性の比を計算するステップ
を含み、それにより前記標的凝縮物中の前記試験化合物の前記相対分配特性を決定する、方法。
【請求項50】
前記試験化合物が、試験化合物標識を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記参照化合物が、前記試験化合物標識である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を決定する方法であって、
(1)請求項49から51のいずれか一項に記載の方法を行うステップ;ならびに
(2)複数の試験化合物を用いてステップ(i)および(iii)を繰り返すステップ
を含む、方法。
【請求項53】
前記複数の試験化合物のサブセットまたはすべての前記標的凝縮物における前記相対分配特性を比較するステップをさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップをさらに含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップをさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記識別された特性を含む1種または複数の追加の試験化合物について、前記標的凝縮物における前記相対分配特性を決定するステップをさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記識別された特性を含まない1種または複数の追加の試験化合物について、前記標的凝縮物における前記相対分配特性を決定するステップをさらに含む、請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、
(a)第1の標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法を使用して決定するステップ;
(b)第2の標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を、請求項1から42のいずれか一項に記載の方法を使用して決定するステップ;ならびに
(c)前記第1の標的凝縮物および前記第2の標的凝縮物において決定された前記試験化合物の前記分配特性の比を計算するステップ
を含み、それにより前記試験化合物の前記凝縮物優先プロファイルを決定する、方法。
【請求項59】
前記第1の標的凝縮物および前記第2の標的凝縮物が、同じ組成物中にある、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記第1の標的凝縮物および前記第2の標的凝縮物が、異なる組成物中にある、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
前記第1の標的凝縮物中の前記試験化合物の前記分配特性が、前記第2の標的凝縮物中の前記試験化合物の前記分配特性が決定される前、それと同時に、またはその後に決定される、請求項58から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、
(a)第1の標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性を、請求項49から51のいずれか一項に記載の方法を使用して決定するステップ;
(b)第2の標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性を、請求項49から51のいずれか一項に記載の方法を使用して決定するステップ;ならびに
(c)前記第1の標的凝縮物および前記第2の標的凝縮物において決定された前記試験化合物の前記分配特性の比を計算するステップ
を含み、それにより前記試験化合物の前記凝縮物優先プロファイルを決定する、方法。
【請求項63】
前記第1の標的凝縮物および前記第2の標的凝縮物が、同じ組成物中にある、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記第1の標的凝縮物および前記第2の標的凝縮物が、異なる組成物中にある、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記第1の標的凝縮物中の前記試験化合物の前記相対分配特性が、前記第2の標的凝縮物中の前記試験化合物の前記相対分配特性が決定される前、それと同時に、またはその後に決定される、請求項62から64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記第1の凝縮物標的凝縮物および前記第2の標的凝縮物を可視化するために、前記第1の標的凝縮物および前記第2の標的凝縮物を標識するステップをさらに含む、請求項58から65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記第1の標的凝縮物および前記第2の標的凝縮物が、異なる標識で標識される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
1種または複数の追加の標的凝縮物について前記方法の前記ステップを繰り返すステップを含む、請求項58から67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、複数の試験化合物を用いて請求項58から68のいずれか一項に記載の方法を行うステップを含む、方法。
【請求項70】
前記複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップをさらに含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップをさらに含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性を識別するステップをさらに含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記識別された特性を含む1種または複数の追加の試験化合物について、前記相対分配特性を決定するステップをさらに含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記識別された特性を含まない1種または複数の追加の試験化合物について、前記相対分配特性を決定するステップをさらに含む、請求項72または73に記載の方法。
【請求項75】
凝縮物へ、または凝縮物からの化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法であって、
(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を請求項43に記載の方法を行うことによって決定するステップ;
(b)標的化合物中の前記複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップ;
(c)前記標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;ならびに
(d)前記識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップ
を含む、方法。
【請求項76】
凝縮物へ、または凝縮物からの化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法であって、
(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を請求項52に記載の方法を行うことによって決定するステップ;
(b)前記標的凝縮物中の前記複数の試験化合物のサブセットまたはすべての相対分配特性を比較するステップ;
(c)前記標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;ならびに
(d)前記識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップ
を含む、方法。
【請求項77】
凝縮物へ、または凝縮物からの化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法であって、
(a)複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを請求項69に記載の方法を行うことによって決定するステップ;
(b)前記複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップ;
(c)同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップ;ならびに
(d)前記識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性を識別するステップ
を含む、方法。
【請求項78】
標的凝縮物へ、または標的凝縮物からの所望の分配特性を有する化合物を設計する方法であって、
(a)前記標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を請求項43に記載の方法を行うことによって決定するステップ;
(b)前記標的凝縮物中の前記複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップ;
(c)前記標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;
(d)前記識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップ;ならびに
(e)(i)前記識別された特性を含む化合物を設計するステップ;または
(ii)前記識別された特性を含まない化合物を設計するステップ
を含み、それにより前記標的凝縮物へ、または前記標的凝縮物からの前記所望の分配特性を有する化合物を設計する、方法。
【請求項79】
標的凝縮物へ、または標的凝縮物からの所望の相対分配特性を有する化合物を設計する方法であって、
(a)前記標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を請求項52に記載の方法を行うことによって決定するステップ;
(b)前記標的凝縮物中の前記複数の試験化合物のサブセットまたはすべての相対分配特性を比較するステップ;
(c)前記標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;
(d)前記識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップ;ならびに
(e)(i)前記識別された特性を含む化合物を設計するステップ;または
(ii)前記識別された特性を含まない化合物を設計するステップ
を含み、それにより前記標的凝縮物へ、または前記標的凝縮物からの前記所望の相対分配特性を有する化合物を設計する、方法。
【請求項80】
所望の凝縮物優先プロファイルを有する化合物を設計する方法であって、
(a)複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを請求項69に記載の方法を行うことによって決定するステップ;
(b)前記複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップ;
(c)同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップ;
(d)前記識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性を識別するステップ;ならびに
(e)(i)前記識別された特性を含む化合物を設計するステップ;または
(ii)前記識別された特性を含まない化合物を設計するステップ
を含み、それにより前記所望の凝縮物優先プロファイルを有する化合物を設計する、方法。
【請求項81】
前記化合物を作製するステップをさらに含む、請求項78から80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
候補化合物の群から所望の分配特性について試験化合物をスクリーニングする方法であって、
(a)候補化合物の前記群のそれぞれの分配特性を決定するステップ;および
(b)前記所望の分配特性を有する前記試験化合物を識別するステップ
を含む方法。
【請求項83】
候補化合物の前記群のそれぞれの前記分配特性が、in vitroで決定される、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記試験化合物が、個体における疾患を処置するために有用である適切な分配特性を有する、請求項82または83に記載の方法。
【請求項85】
それを必要とする個体において疾患を処置するために有用な試験化合物を識別する方法であって、
(a)前記疾患に関連する標的凝縮物を識別するステップ;および
(b)前記標的凝縮物中の候補化合物の分配特性を決定するステップ;および
(c)前記疾患を処置するために有用な適切な分配特性を有する前記試験化合物を識別するステップ
を含む方法。
【請求項86】
標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、
(a)前記試験化合物、ならびに前記標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を組み合わせるステップ;
(b)参照対照を得るステップ;
(c)前記余分な凝縮物溶液中の前記試験化合物またはその一部のMSシグナルを質量分析技法を使用して測定するステップ;
(d)前記参照対照中の前記試験化合物またはその一部のMSシグナルを質量分析技法を使用して測定するステップ;ならびに
(e)前記余分な凝縮物溶液からの前記試験化合物の前記MSシグナル、および前記参照対照からの前記試験化合物の前記MSシグナルを比較するステップ
を含み、それにより前記標的凝縮物中の前記試験化合物の前記分配特性を決定する、方法。
【請求項87】
前記組成物と組み合わされる前記試験化合物の量が、100nMまたはそれよりも少なく、前記標的凝縮物を含む前記組成物中の前駆体分子の量が、約5μMである、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
複数の化合物を含むライブラリーであって、前記複数の化合物のそれぞれの化合物が、所望の分配特性を有する特性を含む同じ部分を含む、ライブラリー。
【請求項89】
所望の分配特性を有する試験化合物を設計する方法であって、前記試験化合物の前駆体を部分を前記化合物に結合させることによって修飾するステップを含み、前記部分が、所望の分配特性を有する特性を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/803,365号、および2019年6月25日に出願された米国仮特許出願第62/866,526号に対する優先権の利益を主張し、このそれぞれの開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、生物学的凝縮物の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
ミトコンドリア、リソソームおよび小胞体などの膜結合オルガネラに加えて、細胞は、それらおよびそれらのすぐ周辺の溶液の間に膜を含まない別個の亜区画を含有する。多くのこれらの膜が少ない分子集合体は、液-液相分離または凝縮と称されるプロセスにより形成されることが示されている。このプロセスの間に、生体高分子を含む溶液は、これらの高分子の一部が富化された凝縮物、およびこれらの高分子が比較的枯渇した周囲の相の異なる相に分離する。いくつかの細胞凝縮物が認識されている。加えて、相分離凝縮物は、溶液中または細胞外などの細胞の外側で形成され得る(Alberti et al., J Mol Biol, 430(23), 2018, 4806-4820;Muiznieks et al., J Mol Biol, 430(23), 2018, 4741-4753)。しかしながら、凝縮物への化合物の分配もしくは凝縮物からの化合物の排除を支配する機構、またはさまざまな凝縮物の間での化合物の分配の相違については、ほとんど知られていないか、またはまったく知られていない。
【0004】
さまざまな凝縮物が、細胞プロセスをモジュレートするために重要であることが公知である。例えば、凝縮物は、凝縮物の内側での反応を加速させるために上昇した濃度で分子を一緒にすることができ、または凝縮物中の分子を隔離することができ、周囲の媒体中のそれらの濃度を低減する。異常な凝縮物の機能は、神経変性疾患および増殖性疾患などのさまざまなヒト疾患にも関わっている(Naumann et al., Nat Commun, 9(1), 2018, 335;Wegmann et al., EMBO J, 37(7), 2018, e98049;Aguzzi et al., Trends Cell Biol, 26(7), 2016, 547-558)。しかしながら、化合物を分配する凝縮物を支配する機構の理解の欠如に加えて、凝縮物と相互作用する試験化合物を識別する方法、凝縮物との相互作用を改善する化合物を設計する方法、およびそのような情報を疾患の処置を改善するために使用し得る方法に関して、ほとんどまたはまったく知られていない。
特許出願および出版物を含む本明細書に引用されるすべての参考文献は、それらの全体が参照によって組み込まれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Naumann et al., Nat Commun, 9(1), 2018, 335
【非特許文献2】Wegmann et al., EMBO J, 37(7), 2018, e98049
【非特許文献3】Aguzzi et al., Trends Cell Biol, 26(7), 2016, 547-558
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一部の態様では、本明細書において、標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、(a)試験化合物、ならびに標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を組み合わせるステップ;(b)標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する、方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、ステップ(a)の前に、標的凝縮物の形成を引き起こすステップをさらに含む。
【0007】
一部の態様では、本明細書において、標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、(a)試験化合物を標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物に添加するステップ;ならびに(b)標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する、方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、ステップ(a)の前に、標的凝縮物の形成を引き起こすステップをさらに含む。
【0008】
一部の態様では、本明細書において、標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、(a)試験化合物の存在下で標的凝縮物の形成を引き起こして、標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を得るステップ;ならびに(b)標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する、方法が提供される。
【0009】
一部の態様では、本明細書において、標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、(a)試験化合物を前駆体分子を含む組成物に添加するステップ;(b)標的凝縮物の形成を引き起こして、標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を得るステップ;ならびに(c)標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する、方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、ステップ(a)の前に、試験化合物、および前駆体分子を含む前駆体組成物を組み合わせるステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、ステップ(a)の前に、試験化合物を前駆体分子を含む前駆体組成物に添加するステップをさらに含む。
【0010】
一部の実施形態では、本方法は、余分な凝縮物溶液中の試験化合物の量を決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、標的凝縮物中の試験化合物の量は、余分な凝縮物溶液中の試験化合物の量が決定される前、それと同時に、またはその後に決定される。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物中の試験化合物の量および余分な凝縮物溶液中の試験化合物の量の比を決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物を余分な凝縮物溶液から分離するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップの前に標的凝縮物を識別するステップをさらに含む。
【0011】
一部の実施形態では、標的凝縮物の調節不全は、疾患に関連する。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物を、それらに含まれる1種または複数の高分子を識別することによって特性評価するステップをさらに含む。一部の実施形態では、識別するステップは、標的凝縮物中の1種または複数の高分子の量を決定することを含む。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物中の試験化合物の量および標的凝縮物中の1種または複数の高分子の量の比を決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、標的凝縮物は、本質的に無秩序な配列を含むタンパク質を含む。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物を可視化するために、標的凝縮物を標識するステップをさらに含む。一部の実施形態では、標的凝縮物は、放射性標識、比色標識、化学的反応性標識または蛍光標識で標識される。
【0012】
一部の実施形態では、組成物は、細胞を含む。一部の実施形態では、細胞は、微生物または動物細胞である。一部の実施形態では、細胞は、調節不全であると決定される凝縮物を含む。一部の実施形態では、細胞は、神経変性疾患または増殖性疾患の1つまたは複数の特徴を有する。
【0013】
一部の実施形態では、標的凝縮物は、細胞凝縮物である。一部の実施形態では、細胞凝縮物は、切断体、P顆粒、ヒストン遺伝子座体、多胞体、神経RNA顆粒、核ジェム、核孔、核スペックル、核ストレス体、核内小体、Oct1/PTF/転写(OPT)ドメイン、パラスペックル、核周囲区画、PML核小体、PML発癌性ドメイン、ポリコーム体、プロセシング体、シグナル伝達クラスター、Sam68核小体、ストレス顆粒またはスプライシングスペックルである。一部の実施形態では、標的凝縮物は、細胞中にある。一部の実施形態では、細胞は、微生物または動物細胞である。一部の実施形態では、細胞は、神経変性疾患または増殖性疾患の1つまたは複数の特徴を有する。一部の実施形態では、余分な凝縮物溶液は、細胞内液である。一部の実施形態では、細胞内液は、サイトゾルまたはヌクレオゾルである。
【0014】
一部の実施形態では、標的凝縮物は、細胞中にない。一部の実施形態では、標的凝縮物は、細胞外凝縮物である。一部の実施形態では、余分な凝縮物溶液は、細胞外液である。一部の実施形態では、細胞外液は、間質液である。
【0015】
一部の実施形態では、本方法は、無細胞アッセイ法である。一部の実施形態では、組成物は、細胞を含まない。一部の実施形態では、組成物は、高分子、塩および緩衝剤のうちの1種または複数を含む。
【0016】
一部の実施形態では、組成物は、2種またはそれよりも多くの標的凝縮物を含む。一部の実施形態では、本方法は、1種または複数の追加の凝縮物について方法のステップを繰り返すステップをさらに含む。
【0017】
一部の実施形態では、試験化合物は、小分子、ポリペプチドまたは核酸である。一部の実施形態では、試験化合物は、試験化合物標識を含む。一部の実施形態では、試験化合物標識は、放射性標識、比色標識、化学的反応性標識または蛍光標識である。一部の実施形態では、試験化合物標識は、蛍光標識である。一部の実施形態では、試験化合物の量は、試験化合物標識を検出することによって決定される。一部の実施形態では、試験化合物の量は、質量分析、液体クロマトグラフィー、定量的蛍光顕微鏡法および分光法、核磁気共鳴分光法、ラマン分光法ならびに/または紫外可視分光法によって決定される。
【0018】
一部の態様では、本明細書において、標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、複数の試験化合物を用いて本明細書に記載の分配特性を決定する方法を行うステップを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、識別された特性を含む1種または複数の追加の試験化合物について、標的凝縮物における分配特性を決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、識別された特性を含まない1種または複数の追加の試験化合物について、標的凝縮物における分配特性を決定するステップをさらに含む。
【0019】
一部の態様では、本明細書において、標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性を決定する方法であって、(i)試験化合物の分配特性を、試験化合物を用いて本明細書に記載の分配特性を決定する方法を行うことによって決定するステップ;(ii)参照化合物の分配特性を、参照化合物を用いて本明細書に記載の分配特性を決定する方法を行うことによって決定するステップ;ならびに(iii)(i)および(ii)において決定された分配特性の比を計算するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性を決定する、方法が提供される。一部の実施形態では、試験化合物は、試験化合物標識を含む。一部の実施形態では、参照化合物は、試験化合物標識である。
【0020】
一部の態様では、本明細書において、標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を決定する方法であって、(1)標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性を決定する方法を行うステップ;ならびに(2)複数の試験化合物を用いてステップ(i)および(iii)を繰り返すステップを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、複数の試験化合物のサブセットまたはすべての標的凝縮物における相対分配特性を比較するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、識別された特性を含む1種または複数の追加の試験化合物について、標的凝縮物における相対分配特性を決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、識別された特性を含まない1種または複数の追加の試験化合物について、標的凝縮物における相対分配特性を決定するステップをさらに含む。
【0021】
一部の態様では、本明細書において、試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、(a)第1の標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を本明細書に開示の方法に従って決定するステップ;(b)第2の標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を本明細書に開示の方法に従って決定するステップ;ならびに(c)第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物において決定された試験化合物の分配特性の比を計算するステップを含み、それにより試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する、方法が提供される。一部の実施形態では、第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物は、同じ組成物中にある。一部の実施形態では、第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物は、異なる組成物中にある。一部の実施形態では、第1の標的凝縮物中の試験化合物の分配特性は、第2の標的凝縮物中の試験化合物の分配特性が決定される前、それと同時に、またはその後に決定される。
【0022】
一部の態様では、本明細書において、試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、(a)第1の標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性を本明細書に開示の方法に従って決定するステップ;(b)第2の標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性を本明細書に開示の方法に従って決定するステップ;ならびに(c)第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物において決定された試験化合物の分配特性の比を計算するステップを含み、それにより試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する、方法が提供される。一部の実施形態では、第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物は、同じ組成物中にある。一部の実施形態では、第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物は、異なる組成物中にある。一部の実施形態では、第1の標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性は、第2の標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性が決定される前、それと同時に、またはその後に決定される。
【0023】
一部の態様では、本明細書において、試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、(a)試験化合物を第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物を含む組成物に添加するステップ;(b)第1の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップ;(c)第2の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップ;ならびに(d)第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物において決定された試験化合物の量の比を計算するステップを含み、それにより試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する、方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、ステップ(a)の前に、第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物の形成を引き起こすステップをさらに含む。
【0024】
一部の態様では、本明細書において、試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、(a)試験化合物を前駆体分子を含む組成物に添加するステップ;(b)組成物中で第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物の形成を引き起こすステップ;(c)第1の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップ;(d)第2の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップ;ならびに(e)第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物において決定された試験化合物の量の比を計算するステップを含み、それにより試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する、方法が提供される。一部の実施形態では、第1の標的凝縮物中の試験化合物の量は、第2の標的凝縮物中の試験化合物の量が決定される前、それと同時に、またはその後に決定される。
【0025】
一部の実施形態では、本方法は、第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物を組成物から分離するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、第1の凝縮物および/または第2の凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップの前に第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物を識別するステップをさらに含む。
【0026】
一部の実施形態では、第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物の調節不全は、疾患に関連する。一部の実施形態では、本方法は、第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物を、それらに含まれる1種または複数の高分子を識別することによって特性評価するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物を可視化するために、第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物を標識するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、第1の凝縮物標的凝縮物および第2の標的凝縮物を可視化するために、第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物を標識するステップをさらに含む。一部の実施形態では、第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物は、異なる標識で標識される。一部の実施形態では、第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物は、放射性標識、比色標識、化学的反応性標識または蛍光標識で標識される。
【0027】
一部の実施形態では、組成物は、細胞を含む。一部の実施形態では、細胞は、微生物または動物細胞である。一部の実施形態では、細胞は、調節不全であると決定される凝縮物を含む。一部の実施形態では、細胞は、神経変性疾患または増殖性疾患の1つまたは複数の特徴を有する。
【0028】
一部の実施形態では、第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物は、細胞凝縮物である。一部の実施形態では、第1の標的凝縮物は、切断体、P顆粒、ヒストン遺伝子座体、多胞体、神経RNA顆粒、核ジェム、核孔、核スペックル、核ストレス体、核内小体、Oct1/PTF/転写(OPT)ドメイン、パラスペックル、核周囲区画、PML核小体、PML発癌性ドメイン、ポリコーム体、プロセシング体、シグナル伝達クラスター、ウイルス凝縮物、Sam68核小体、ストレス顆粒またはスプライシングスペックルである。一部の実施形態では、第2の標的凝縮物は、切断体、P顆粒、ヒストン遺伝子座体、多胞体、神経RNA顆粒、核ジェム、核孔、核スペックル、核ストレス体、核内小体、Oct1/PTF/転写(OPT)ドメイン、パラスペックル、核周囲区画、PML核小体、PML発癌性ドメイン、ポリコーム体、プロセシング体、シグナル伝達クラスター、ウイルス凝縮物、Sam68核小体、ストレス顆粒またはスプライシングスペックルである。一部の実施形態では、第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物は、細胞中にある。
【0029】
一部の実施形態では、第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物は、細胞外凝縮物である。
【0030】
一部の実施形態では、組成物は、細胞を含まない。一部の実施形態では、組成物は、高分子、塩および緩衝剤のうちの1種または複数を含む。
【0031】
一部の実施形態では、組成物は、1種または複数の追加の標的凝縮物を含む。一部の実施形態では、本方法は、1種または複数の追加の標的凝縮物について方法のステップを繰り返すステップをさらに含む。
【0032】
一部の態様では、本明細書において、複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、複数の試験化合物を用いて本明細書に記載の凝縮物優先プロファイルを決定する方法を行うステップを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性を識別するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、識別された特性を含む1種または複数の追加の試験化合物について、相対分配特性を決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、識別された特性を含まない1種または複数の追加の試験化合物について、相対分配特性を決定するステップをさらに含む。
【0033】
一部の態様では、本明細書において、凝縮物へ、または凝縮物からの化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を本明細書に記載の方法に従って決定するステップ;(b)標的化合物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;ならびに(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップを含む、方法が提供される。
【0034】
一部の態様では、本明細書において、凝縮物への化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を本明細書に記載の方法に従って決定するステップ;(b)標的化合物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;ならびに(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップを含む、方法が提供される。
【0035】
一部の態様では、本明細書において、凝縮物へ、または凝縮物からの化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を本明細書に記載の方法に従って決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての相対分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;ならびに(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップを含む、方法が提供される。
【0036】
一部の態様では、本明細書において、凝縮物への化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を本明細書に記載の方法に従って決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての相対分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;ならびに(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップを含む、方法が提供される。
【0037】
一部の態様では、本明細書において、凝縮物へ、または凝縮物からの化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法であって、(a)複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを本明細書に記載の方法に従って決定するステップ;(b)複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップ;(c)同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップ;ならびに(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性を識別するステップを含む、方法が提供される。
【0038】
一部の態様では、本明細書において、凝縮物への化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法であって、(a)複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを本明細書に記載の方法に従って決定するステップ;(b)複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップ;(c)同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップ;ならびに(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性を識別するステップを含む、方法が提供される。
【0039】
一部の態様では、本明細書において、標的凝縮物へ、または標的凝縮物からの所望の分配特性を有する化合物を設計する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を本明細書に記載の方法に従って決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップ;ならびに(e)(i)識別された特性を含む化合物を設計するステップ;または(ii)識別された特性を含まない化合物を設計するステップを含み、それにより標的凝縮物へ、または標的凝縮物からの所望の分配特性を有する化合物を設計する、方法が提供される。一部の実施形態では、化合物を設計するステップは、識別された特性を含む部分を結合させ、それにより所望の分配特性を化合物に付与することを含む。一部の実施形態では、化合物を設計するステップは、識別された特性を含む部分を除去し、それにより所望の分配特性を化合物に付与することを含む。一部の実施形態では、化合物を設計するステップは、第1の部分を識別された特性を含む第2の部分に変更し、それにより所望の分配特性を化合物に付与することを含む。一部の実施形態では、化合物は、全体的または部分的に、モデリング、コンピューターおよび/または計算に基づく技法、例えば、バイオインフォマティクス、ケモインフォマティクス、および/または人工知能(AI)に基づく技法を含むアプローチを使用して、設計される。
【0040】
一部の態様では、本明細書において、標的凝縮物への所望の分配特性を有する化合物を設計する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を本明細書に記載の方法に従って決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップ;ならびに(e)識別された特性を含む化合物を設計するステップを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、化合物を設計するステップは、識別された特性を含む部分を結合させ、それにより所望の分配特性を化合物に付与することを含む。一部の実施形態では、化合物を設計するステップは、第1の部分を識別された特性を含む第2の部分に変更し、それにより所望の分配特性を化合物に付与することを含む。一部の実施形態では、化合物は、全体的または部分的に、モデリング、コンピューターおよび/または計算に基づく技法、例えば、バイオインフォマティクス、ケモインフォマティクス、および/または人工知能(AI)に基づく技法を含むアプローチ使用して、設計される。
【0041】
一部の態様では、本明細書において、標的凝縮物へ、または標的凝縮物からの所望の相対分配特性を有する化合物を設計する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を本明細書に開示の方法に従って決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての相対分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップ;ならびに(e)(i)識別された特性を含む化合物を設計するステップ;または(ii)識別された特性を含まない化合物を設計するステップを含み、それにより標的凝縮物へ、または標的凝縮物からの所望の相対分配特性を有する化合物を設計する、方法が提供される。一部の実施形態では、化合物を設計するステップは、識別された特性を含む部分を結合させ、それにより所望の相対分配特性を化合物に付与することを含む。一部の実施形態では、化合物を設計するステップは、識別された特性を含む部分を除去し、それにより所望の分配特性を化合物に付与することを含む。一部の実施形態では、化合物を設計するステップは、第1の部分を識別された特性を含む第2の部分に変更し、それにより所望の分配特性を化合物に付与することを含む。一部の実施形態では、化合物は、全体的または部分的に、モデリング、コンピューターおよび/または計算に基づく技法、例えば、バイオインフォマティクス、ケモインフォマティクス、および/または人工知能(AI)に基づく技法を含むアプローチを使用して、設計される。
【0042】
一部の態様では、本明細書において、所望の相対分配特性を有する化合物を設計する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を本明細書に記載の方法に従って決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての相対分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップ;ならびに(e)識別された特性を含む化合物を設計するステップを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、化合物を設計するステップは、識別された特性を含む部分を結合させ、それにより所望の相対分配特性を化合物に付与することを含む。一部の実施形態では、化合物を設計するステップは、第1の部分を識別された特性を含む第2の部分に変更し、それにより所望の分配特性を化合物に付与することを含む。一部の実施形態では、化合物は、全体的または部分的に、モデリング、コンピューターおよび/または計算に基づく技法、例えば、バイオインフォマティクス、ケモインフォマティクス、および/または人工知能(AI)に基づく技法を含むアプローチを使用して、設計される。
【0043】
一部の態様では、本明細書において、所望の凝縮物優先プロファイルを有する化合物を設計する方法であって、(a)複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを本明細書に開示の方法に従って決定するステップ;(b)複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップ;(c)同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性を識別するステップ;ならびに(e)(i)識別された特性を含む化合物を設計するステップ;または(ii)識別された特性を含まない化合物を設計するステップを含み、それにより所望の凝縮物優先プロファイルを有する化合物を設計する、方法が提供される。一部の実施形態では、本方法は、化合物を作製するステップをさらに含む。一部の実施形態では、化合物を設計するステップは、識別された特性を含む部分を結合させ、それにより所望の凝縮物優先プロファイルを化合物に付与することを含む。一部の実施形態では、化合物を設計するステップは、識別された特性を含む部分を除去し、それにより所望の分配特性を化合物に付与することを含む。一部の実施形態では、化合物を設計するステップは、第1の部分を識別された特性を含む第2の部分に変更し、それにより所望の分配特性を化合物に付与することを含む。一部の実施形態では、化合物は、全体的または部分的に、モデリング、コンピューターおよび/または計算に基づく技法、例えば、バイオインフォマティクス、ケモインフォマティクス、および/または人工知能(AI)に基づく技法を含むアプローチを使用して、設計される。
【0044】
一部の態様では、本明細書において、所望の凝縮物優先プロファイルを有する化合物を設計する方法であって、(a)複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを本明細書に記載の方法に従って決定するステップ;(b)複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップ;(c)同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性、例えば、化学部分またはモチーフを識別するステップ;ならびに(e)識別された特性を含む化合物を設計するステップを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、化合物を設計するステップは、識別された特性を含む部分を結合させ、それにより所望の凝縮物優先プロファイルを化合物に付与することを含む。一部の実施形態では、化合物を設計するステップは、第1の部分を識別された特性を含む第2の部分に変更し、それにより所望の分配特性を化合物に付与することを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法によって設計された複数の化合物が提供される。一部の実施形態では、化合物は、全体的または部分的に、モデリング、コンピューターおよび/または計算に基づく技法、例えば、バイオインフォマティクス、ケモインフォマティクス、および/または人工知能(AI)に基づく技法を含むアプローチを使用して、設計される。一部の実施形態では、本方法は、化合物を作製するステップをさらに含む。
【0045】
一部の態様では、本明細書において、候補化合物の群から所望の分配特性について試験化合物をスクリーニングする方法であって、(a)候補化合物の群のそれぞれの分配特性を決定するステップ;および(b)所望の分配特性を有する試験化合物を識別するステップを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、候補化合物の群のそれぞれの分配特性は、in vitroで決定される。一部の実施形態では、試験化合物は、個体における疾患を処置するために有用である適切な分配特性を有する。
【0046】
一部の態様では、本明細書において、それを必要とする個体において疾患を処置するために有用な試験化合物を識別する方法であって、(a)疾患に関連する標的凝縮物を識別するステップ;および(b)標的凝縮物中の候補化合物の分配特性を決定するステップ;および(c)疾患を処置するために有用な適切な分配特性を有する試験化合物を識別するステップを含む、方法が提供される。
【0047】
一部の態様では、本明細書において、標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、(a)試験化合物、ならびに標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を組み合わせるステップ;(b)参照対照を得るステップ;(c)余分な凝縮物溶液中の試験化合物またはその一部のMSシグナルを質量分析技法を使用して測定するステップ;(d)参照対照中の試験化合物またはその一部のMSシグナルを質量分析技法を使用して測定するステップ;ならびに(e)余分な凝縮物溶液からの試験化合物のMSシグナル、および参照対照からの試験化合物のMSシグナルを比較するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する、方法が提供される。一部の実施形態では、組成物と組み合わされる試験化合物の量は、100nMまたはそれよりも少なく、標的凝縮物を含む組成物中の前駆体分子の量は、約5μMである。
【0048】
一部の態様では、本明細書において、複数の化合物を含むライブラリーであって、複数の化合物のそれぞれの化合物が、所望の分配特性を有する特性を含む同じ部分を含む、ライブラリーが提供される。
【0049】
一部の態様では、本明細書において、所望の分配特性を有する試験化合物を設計する方法であって、試験化合物の前駆体を、部分を化合物に結合させることによって改変するステップを含み、部分が、所望の分配特性を有する特性を含む、方法が提供される。
【0050】
本明細書に記載の実施の形態および詳細の変更は、本開示の範囲から逸脱することなく行い得ることは当業者にも理解されるであろう。加えて、さまざまな利点、態様および目的をさまざまな実施への参照とともに記載するが、本開示の範囲は、そのような利点、態様および目的を参照することによって、限定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】
図1は、凝縮物中の色素の分配の例示的な蛍光画像を示す。色素番号10は、凝縮物中で富化されないが、他の色素は、凝縮物中で富化される。
【0052】
【
図2】
図2Aおよび2Bは、色素の存在下(
図2A)および非存在下(
図2B)で強度を測定するために選択された例示的な凝縮物の内側および外側の領域を表す。
【0053】
【
図3】
図3は、実験の2つの異なる日からのFUS-SNAP凝縮物におけるそれぞれの色素について決定された平均の内部の強度と外部の強度(I-内部:I-外部)の比を示す。エラーバーは、2つの独立した実験の標準偏差を示す。
【0054】
【
図4】
図4は、実験の2つの異なる日からのPGL-3凝縮物におけるそれぞれの色素について決定された平均の内部の強度と外部の強度(I-内部:I-外部)の比を示す。エラーバーは、2つの独立した実験の標準偏差を示す。
【0055】
【
図5】
図5は、PGL-3凝縮物におけるそれぞれの色素について平均I-内部:I-外部比の比に対するFUS-SNAP凝縮物におけるそれぞれの色素についての平均I-内部:I-外部比の比を示す(FUS-SNAP:PGL-3比)。
【0056】
【
図6】
図6は、FUS-GFPチャネル、ローダミン800チャネルおよび他の画像の統合を使用する、ローダミン800の存在下または非存在下でのGFPタグ標識FUS凝縮物の蛍光画像を示す。
【0057】
【
図7】
図7は、蛍光に基づくアッセイおよび質量分析に基づくアッセイの両方を使用する例示的な化合物の上清(凝縮物の外側)中の化合物の画分のヒストグラムを示す。
【0058】
【
図8】
図8は、さまざまな化合物濃度で評価された例示的な化合物の上清中の化合物の画分のヒストグラムを示す。
【0059】
【
図9】
図9Aおよび9Bは、目的の単一化合物を有する系および目的の化合物を含む化合物の混合物を有する系において測定された凝縮物の外側の目的の化合物の画分のヒストグラムを示す。フルオレセインは、
図9Aにおける目的の化合物である。ローダミンBは、
図9Bにおける目的の化合物である。
【0060】
【
図10】
図10は、いくつかのマルチプレックスな系におけるある特定の化合物についての上清中の化合物の画分のヒストグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
本発明は、一部の態様では、試験化合物などの化合物の凝縮物に関連する特性を評価する、例えば、特性評価または決定する方法、およびその適用を含む。
【0062】
本出願の開示は、部分的に、化合物の凝縮物に関連する特性を評価する、例えば、決定または特性評価する方法の本発明者らの固有の洞察に基づいており、そのような方法は、例えば、凝縮物との所望の相互作用(相互作用の欠如を含む)が可能な化合物またはその部分を識別、特性評価および開発するために有用であり得る。一部の実施形態では、凝縮物との所望の相互作用は、化合物に関連する所望の生物活性を生じる。一部の態様では、本出願の開示は、部分的に、化合物の凝縮物に関連する特性、例えば、標的凝縮物についての試験化合物の分配特性を決定するために、質量分析などの定量的技法の使用に関する本発明者らの知見および発見に基づく。そのような方法は、例えば、簡単および複雑な系の両方における使用のために適切なハイスループット様式で、標的凝縮物についての試験化合物の分配特性の正確かつ信頼のおける決定を可能にする。加えて、例えば、これらの方法は、仮説がなく(すなわち、公知の標識された化合物もしくは凝縮物、またはその成分を必要としない)、高度な化合物のマルチプレックス化に適合し、化合物の富化を必要とせず、凝縮物からの化合物の抽出を必要とせず、同型系および異型系において使用することができ、より少量の化合物および/または凝縮物の前駆体高分子を用いて行うことができ、これは、より生物学的に関連するモデルを表し、出発物質および試薬の使用を低減する。これらの方法は、試験化合物またはその一部の識別を可能にし、これは、所望の分配特性を有する1種もしくは複数の化合物のさらなる識別および/または設計を導くために使用することができ、したがって、改善された効能、治療指数および/または安全性を有する標的化合物を識別するための方法を提供する。試験化合物またはその一部の識別はまた、そのような知識を使用するある特定の薬物開発の適用の進歩、例えば、所望の分配特性を有する化合物の特権ライブラリーの開発、ならびに創薬およびスクリーニングのためのモデリングおよび/または計算に基づく技法を可能にする。
【0063】
本明細書に記載されるように、化合物の凝縮物に関連する特性を評価する方法は、試験化合物の分配特性を決定する方法、試験化合物の相対分配特性を決定する方法、試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法、凝縮物の会合に関連する化合物の特性を識別する方法、所望の凝縮物の会合を有する化合物を設計する方法、および個体における疾患を処置するために有用な化合物を識別する方法を含む、多くの方法およびその形態に適用され得る。本明細書に記載の方法の形態は、例えば、単一の試験化合物またはその一部と単一の標的凝縮物との相互作用を評価する、単一の試験化合物またはその一部と複数の標的凝縮物との相互作用を評価する、および複数の試験化合物またはそのサブセットと単一の標的凝縮物との相互作用を評価するためのアッセイを含む。本明細書に記載されるように、本発明者らの固有の洞察は、例えば、個体における疾患の処置のために有用な化合物、例えば、薬学的に許容される化合物の識別、開発および最適化を可能にする。
【0064】
したがって、一部の態様では、本発明は、標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、(a)試験化合物を標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物に添加するステップ;(b)標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する、方法を含む。
【0065】
他の態様では、本発明は、標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、(a)試験化合物を前駆体分子を含む組成物に添加するステップ;(b)標的凝縮物の形成を引き起こして、標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を得るステップ;(c)標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する、方法を含む。
【0066】
他の態様では、本発明は、標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、複数の試験化合物を使用して本明細書に記載のいずれか1つまたは複数の方法を行うステップを含む、方法を含む。
【0067】
一部の実施形態では、本発明は、凝縮物への化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を決定する方法を行うことによって決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;ならびに(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップを含む、方法を含む。一部の実施形態では、本発明は、標的凝縮物への所望の分配特性を有する化合物を設計する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を決定する方法を行うことによって決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップ;ならびに(e)識別された特性を含む化合物を設計するステップを含む、方法を含む。
【0068】
他の態様では、本発明は、標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性を決定する方法であって、(i)試験化合物の分配特性を試験化合物を用いて本明細書に記載のいずれか1つまたは複数の方法を行うことによって決定するステップ;(ii)参照化合物の分配特性を参照化合物を用いて本明細書に記載のいずれか1つまたは複数の方法を行うことによって決定するステップ;ならびに(iii)(i)および(ii)において決定された分配特性の比を計算するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性を決定する、方法を含む。一部の実施形態では、本方法は、複数の試験化合物を用いてステップ(i)および(iii)を繰り返すステップをさらに含む。一部の実施形態では、本発明は、標的凝縮物への化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を決定する方法を行うことによって決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての相対分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;ならびに(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップを含む、方法を含む。一部の実施形態では、本発明は、所望の相対分配特性を有する化合物を設計する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を決定する方法を行うことによって決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての相対分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップ;ならびに(e)識別された特性を含む化合物を設計するステップを含む、方法を含む。
【0069】
他の態様では、本発明は、試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、(a)試験化合物を第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物を含む組成物に添加するステップ;(b)第1の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップ;(c)第2の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップ;ならびに(d)第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物において決定された試験化合物の量の比を計算するステップを含み、それにより試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する、方法を含む。
【0070】
他の態様では、本発明は、試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、(a)試験化合物を前駆体分子を含む組成物に添加するステップ;(b)組成物中で第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物の形成を引き起こすステップ;(c)第1の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップ;(d)第2の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップ;(e)第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物において決定された試験化合物の量の比を計算するステップを含み、それにより試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する、方法を含む。
【0071】
他の態様では、本発明は、複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、複数の試験化合物を使用して試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定するための本明細書に記載のいずれか1つまたは複数の方法を行うステップを含む、方法を含む。一部の実施形態では、本発明は、凝縮物への化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法であって、(a)複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法を行うことによって決定するステップ;(b)複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップ;(c)同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップ;ならびに(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性を識別するステップを含む、方法を含む。一部の実施形態では、本発明は、所望の凝縮物優先プロファイルを有する化合物を設計する方法であって、(a)複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法を行うことによって決定するステップ;(b)複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップ;(c)同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性を識別するステップ;ならびに(e)識別された特性を含む化合物を設計するステップを含む、方法を含む。
定義
【0072】
本明細書を解釈する目的で、以下の定義を適用し、適する場合はいつでも、単数形で使用される用語は、複数形も含み、その逆も同様である。下記で説明される任意の定義が、参照によって本明細書に組み込まれる任意の文書と矛盾する場合、説明する定義が支配するものとする。
【0073】
「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すために互換的に使用され、最小長さに限定されない。アミノ酸残基のそのようなポリマーは、天然または非天然アミノ酸残基を含有することができ、限定されるものではないが、ペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸残基の二量体、三量体および多量体を含む。全長タンパク質およびその断片は両方ともこの定義に包含される。この用語は、ポリペプチドの翻訳後修飾、例えば、グリコシル化、シアリル化、アセチル化、リン酸化なども含む。
【0074】
「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」および「含む(including)」という用語、ならびに他の類似の形態、ならびにそれらの文法的同等物は、本明細書で使用される場合、意味が同等であること、かつこれらの語のいずれか1つに続く1つもしくは複数の項目が、そのような1つもしくは複数の項目の網羅的なリストであることを意味しないか、またはリストにある1つもしくは複数の項目のみに限定されることを意味しないという点でオープンエンドであることを意図する。例えば、成分A、BおよびCを「含む(comprising)」物品は、成分A、BおよびCからなることができ(すなわち、のみを含有する)、または成分A、BおよびCだけでなく1種もしくは複数の他の成分を含有することができる。そのため、「含む(comprise)」およびその類似の形態、ならびにそれらの文法的同等物は、「本質的にからなる(consisting essentially of)」または「からなる(consisting of)」の実施形態の開示を含むことが意図および理解される。
【0075】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別のことを示さない限り、その範囲の上限と下限との間の、下限の単位の10分の1に至るまでのそれぞれの介在する値、ならびにその規定された範囲内の任意の他の規定の値または介在する値が、規定された範囲内の任意の具体的な限定が除外されない限り、本開示内に包含されることが理解される。規定された範囲が、限定値の一方または両方を含む場合、そのような含まれる限定値のいずれかまたは両方を除外する範囲も、本開示に含まれる。
【0076】
本明細書において、「約」の値またはパラメーターへの言及は、その値またはパラメーターそれ自体を対象とする変動を含む(および記載する)。例えば、「約X」に言及する記述は、「X」の記述を含む。
【0077】
添付の特許請求の範囲を含んで、本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「または」および「the」は、文脈が明確に別のことを示さない限り、複数の指示対象を含む。
【0078】
本明細書において使用されるセクションの見出しは、構成的な目的のためのみであって、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
化合物の凝縮物に関連する特性を評価する方法
【0079】
本出願の一部の態様では、試験化合物などの化合物の凝縮物に関連する特性を評価する方法およびその適用が提供される。一部の実施形態では、本明細書に記載の「凝縮物」は、1種もしくは複数のタンパク質および/または他の高分子の相分離(相分離のすべての段階を含む)によって形成される非膜性の被包性区画を指す。
【0080】
化合物の凝縮物に関連する特性を評価するための技法、ならびにその多くの方法および形態への適用をより詳細に下記に記載する。当業者は、提供された記載を考慮して、いくつかの実施形態が、本出願の開示の範囲および精神内で可能であることを認識する。
【0081】
一部の態様では、本明細書において、試験化合物の分配特性を決定する方法であって、標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップは、それにより、標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する。
【0082】
一部の態様では、本明細書において、試験化合物の相対分配特性を決定する方法であって、標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップ、標的凝縮物中の参照化合物の量を決定するステップ、ならびに標的凝縮物中の試験化合物および参照化合物の量の比を計算するステップを含む、方法が提供される。
【0083】
加えて、一部の態様では、本明細書において、試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、第1の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップ、第2の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップ、ならびに第1および第2の標的凝縮物中の試験化合物の量の比を計算するステップを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法は、第1の標的凝縮物中の試験化合物の分配特性または相対分配特性を決定するステップ、第2の標的凝縮物中の試験化合物の分配特性または相対分配特性を決定するステップ、ならびに第1および第2の標的凝縮物中の試験化合物の分配特性または相対分配特性の比を計算するステップを含む。
【0084】
一部の実施形態では、本方法は、複数の試験化合物について本方法のステップを繰り返すステップをさらに含む。例えば、一部の実施形態では、本方法は、少なくとも約2、3、4、5、10、15、20、25、40、50、75、100、250、500、1,000、10,000、100,000またはそれよりも多くの化合物のいずれかについて、本方法のステップを繰り返すステップを含む。
【0085】
一部の実施形態では、本方法は、試験化合物、ならびに標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を組み合わせるステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、試験化合物を標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物に添加するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物の形成を引き起こすステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、試験化合物、および凝縮物前駆体分子を含む前駆体組成物を組み合わせるステップ、ならびに次いで標的凝縮物の形成を引き起こすステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、試験化合物を凝縮物前駆体分子を含む組成物に添加するステップ、および次いで標的凝縮物の形成を引き起こすステップをさらに含む。
【0086】
一部の実施形態では、本方法は、試験化合物、および細胞を含む組成物を組み合わせるステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、試験化合物、および細胞を含む組成物を組み合わせるステップ、ならびに次いで標的凝縮物の形成を引き起こすステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、細胞を含む組成物中の標的凝縮物の形成を引き起こすステップ、ならびに次いで試験化合物および組成物を組み合わせるステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、化合物を細胞に進入させるステップをさらに含む。
【0087】
一部の実施形態では、本方法は、試験化合物を細胞を含む組成物に添加するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、試験化合物を細胞を含む組成物に添加するステップ、および次いで標的凝縮物の形成を引き起こすステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、細胞を含む組成物中の標的凝縮物の形成を引き起こすステップ、および次いで試験化合物を組成物に添加するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、化合物を細胞に進入させるステップをさらに含む。
【0088】
一部の実施形態では、本方法は、例えば、凝縮物または余分な凝縮物溶液中の標的化合物を定量化する目的のために、標的凝縮物を余分な凝縮物溶液から分離するステップをさらに含む。無細胞溶液では、凝縮物は、典型的には、余分な凝縮物溶液よりも高密度で、沈降する。したがって、一部の実施形態では、標的凝縮物を余分な凝縮物溶液から分離するステップは、上清を沈殿物から分離することを含む。一部の実施形態では、本方法は、組成物を遠心分離するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、凝縮物を沈降させるステップを含む。
化合物の凝縮物に関連する特性を決定するための技法
【0089】
一部の態様では、本明細書において、化合物の凝縮物に関連する特性を決定する方法であって、標的凝縮物の存在、形成および/またはモジュレーションに起因して余分な凝縮物溶液から枯渇する試験化合物の量を決定するステップ(枯渇の欠如が存在することを決定するステップを含む)を含む、方法が提供される。一部の実施形態では、化合物の凝縮物に関連する特性を決定する方法は、質量分析に基づく技法の使用を含む(例えば、試験化合物の量を決定するため)。一部の実施形態では、化合物の凝縮物に関連する特性を決定する方法は、液体クロマトグラフィー(例えば、HPLC)、顕微鏡法、定量的画像解析、定量的蛍光顕微鏡法および分光法、核磁気共鳴分光法、ラマン分光法ならびに/または紫外可視分光法のうちのいずれか1つまたは複数の使用を含む(例えば、試験化合物の量を決定するため)。一部の実施形態では、そのような方法は、標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物中の試験化合物の、分配特性、相対分配特性ならびに/または凝縮物優先プロファイルの決定において有用である。
【0090】
一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物の存在および/または形成に起因して系から枯渇する試験化合物の量を決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、余分な凝縮物溶液中にあり、かつ標的凝縮物の前駆体分子と関連しない試験化合物の量を決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、例えば、標的凝縮物中で関連する試験化合物の量を決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物の前駆体分子と関連する試験化合物の量を決定するステップを含む。一部の実施形態では、標的凝縮物の存在および/または形成に起因して系から枯渇する試験化合物の量を使用して、凝縮物に関連する特性、例えば、標的凝縮物についての試験化合物の分配特性を決定する。
【0091】
一部の実施形態では、本方法は、例えば、余分な凝縮物溶液からの試験化合物またはその一部のMSシグナルおよび参照対照からの試験化合物またはその一部のMSシグナルの比を介して、余分な凝縮物溶液からの試験化合物またはその一部のMSシグナル、および参照対照からの試験化合物またはその一部のMSシグナルを比較するステップを含む。一部の実施形態では、余分な凝縮物溶液からの試験化合物のMSシグナルおよび参照対照からの試験化合物のMSシグナルの比は、枯渇値を表す。一部の実施形態では、枯渇値は、標的凝縮物の存在および/または形成に起因して系から枯渇する試験化合物の量を代表する。一部の実施形態では、本方法は、質量分析技法を使用して、余分な凝縮物溶液中の試験化合物またはその一部のMSイオンシグナルを得る、例えば、測定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、質量分析技法を使用して、参照対照中の試験化合物またはその一部のMSイオンシグナルを得る、例えば、測定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、試験化合物、ならびに標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を組み合わせるステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、試験化合物の存在下で標的凝縮物の形成を引き起こして、標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を得るステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、例えば、組成物中の標的凝縮物のペレット化を介して、標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物中の標的凝縮物を分離するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、参照対照を得る、例えば、生じさせるステップをさらに含む。
【0092】
一部の実施形態では、標的凝縮物および余分な凝縮物溶液、またはそれらの前駆体を含む組成物に添加される試験化合物の量は、余分な凝縮物溶液からの試験化合物の総量の比較的少ない枯渇を決定することができるような量に基づく(余分な凝縮物中の化合物の量の測定値、および参照対照中の化合物の量の測定値を比較することによって決定するなど)。一部の実施形態では、標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物に添加される試験化合物の量は、組成物中の標的凝縮物および/または1種もしくは複数のその前駆体分子の量に基づく。一部の実施形態では、標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物に添加される試験化合物の量は、標的凝縮物の化合物の容量に基づく。一部の実施形態では、試験化合物の量は、約1μMもしくはそれよりも少ない、例えば、約900nMもしくはそれよりも少ない、800nMもしくはそれよりも少ない、700nMもしくはそれよりも少ない、600nMもしくはそれよりも少ない、500nMもしくはそれよりも少ない、450nMもしくはそれよりも少ない、400nMもしくはそれよりも少ない、350nMもしくはそれよりも少ない、300nMもしくはそれよりも少ない、250nMもしくはそれよりも少ない、200nMもしくはそれよりも少ない、150nMもしくはそれよりも少ない、125nMもしくはそれよりも少ない、100nMもしくはそれよりも少ない、90nMもしくはそれよりも少ない、80nMもしくはそれよりも少ない、70nMもしくはそれよりも少ない、60nMもしくはそれよりも少ない、50nMもしくはそれよりも少ない、40nMもしくはそれよりも少ない、30nMもしくはそれよりも少ない、20nMもしくはそれよりも少ない、10nMもしくはそれよりも少ない、9nMもしくはそれよりも少ない、8nMもしくはそれよりも少ない、7nMもしくはそれよりも少ない、6nMもしくはそれよりも少ない、5nMもしくはそれよりも少ない、4nMもしくはそれよりも少ない、3nMもしくはそれよりも少ない、2nMもしくはそれよりも少ない、または1nMもしくはそれよりも少ないのいずれかである。一部の実施形態では、試験化合物の下限は、試験化合物の量を測定するために使用される分析法に基づく。一部の実施形態では、組成物中の前駆体分子の量は、約1μM~約10μMであり、試験化合物は、約1μMまたはそれよりも少ない、例えば、約900nMもしくはそれよりも少ない、800nMもしくはそれよりも少ない、700nMもしくはそれよりも少ない、600nMもしくはそれよりも少ない、500nMもしくはそれよりも少ない、450nMもしくはそれよりも少ない、400nMもしくはそれよりも少ない、350nMもしくはそれよりも少ない、300nMもしくはそれよりも少ない、250nMもしくはそれよりも少ない、200nMもしくはそれよりも少ない、150nMもしくはそれよりも少ない、125nMもしくはそれよりも少ない、100nMもしくはそれよりも少ない、90nMもしくはそれよりも少ない、80nMもしくはそれよりも少ない、70nMもしくはそれよりも少ない、60nMもしくはそれよりも少ない、50nMもしくはそれよりも少ない、40nMもしくはそれよりも少ない、30nMもしくはそれよりも少ない、20nMもしくはそれよりも少ない、10nMもしくはそれよりも少ない、9nMもしくはそれよりも少ない、8nMもしくはそれよりも少ない、7nMもしくはそれよりも少ない、6nMもしくはそれよりも少ない、5nMもしくはそれよりも少ない、4nMもしくはそれよりも少ない、3nMもしくはそれよりも少ない、2nMもしくはそれよりも少ない、または1nMもしくはそれよりも少ないのいずれかである。
【0093】
一部の実施形態では、本方法は、参照対照の使用、および/または参照対照を調製する方法を含む。本明細書に記載の参照対照は、標的凝縮物の存在および/または形成に起因して系から枯渇する試験化合物の量を決定するために有用な参照測定値を提供する。一部の実施形態では、組成物が、(i)標的凝縮物に含まれてそれと関連するある量の試験化合物、(ii)濃度などのある量の余分な凝縮物溶液中の試験化合物を含んで、(a)ある量の標的凝縮物、(b)余分な凝縮物溶液、(c)濃度などのある量の余分な凝縮物溶液中の標的凝縮物の前駆体高分子、および(d)濃度などのある量の組成物中の試験化合物を含む場合、参照対照は、濃度などのある量の余分な凝縮物溶液中の標的凝縮物の前駆体高分子、および濃度などのある量の組成物中の試験化合物を含む。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物からの、濃度などのある量の余分な凝縮物溶液中の標的凝縮物の前駆体高分子またはその一部を測定するステップを含む。
【0094】
一部の実施形態では、参照対照は、組成物が標的凝縮物のペレット化に付された後に、余分な凝縮物溶液中に存在するある量の前駆体高分子に基づいて、ある量の標的凝縮物の前駆体高分子を含む。一部の実施形態では、参照対照は、組成物が標的凝縮物のペレット化に付された後に、余分な凝縮物溶液中の前駆体高分子の濃度として、同じ濃度の前駆体高分子を有する。一部の実施形態では、参照対照は、標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物と組み合わされる濃度と同じ濃度で試験化合物を含む。一部の実施形態では、参照対照は、実質的に標的凝縮物を含まない。一部の実施形態では、本方法は、参照対照中の試験化合物の量を決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、参照対照中の試験化合物の量を決定するステップは、質量分析に基づく技法を使用して、参照対照中の試験化合物またはその一部の量を測定することを含む。
【0095】
種々の質量分析に基づく技法が、本明細書に記載の方法のために適切である。一部の実施形態では、質量分析に基づく技法は、1種または複数の化合物、例えば、1種または複数の試験化合物の1種または複数のイオン種のMSシグナルを測定することを含む。一部の実施形態では、MSシグナルは、試験化合物のイオンの1種または複数の電荷状態などの試験化合物の1種または複数のイオン種のものである。一部の実施形態では、MSシグナルは、質量-電荷(m/z)測定に由来する。一部の実施形態では、MSシグナルは、イオン化強度である。一部の実施形態では、MSシグナルは、ピーク高さである。一部の実施形態では、MSシグナルは、ピーク面積、例えば、MSイオンシグナルに対応するシグナルの積分である。一部の実施形態では、MSシグナルは、ピーク体積、例えば、MSイオンシグナルに対応するシグナルの積分である。一部の実施形態では、MSシグナルは、試験化合物のイオンの測定シグナルの累積測定値である。一部の実施形態では、質量分析に基づく技法は、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)技法、液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析(LC/MS)技法、および/または直接試料導入技法(例えば、直接スプレー)を含む。一部の実施形態では、質量分析に基づく技法は、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)を含む。一部の実施形態では、質量分析に基づく技法は、データに依存する取得、データに依存しない取得、選択された反応モニタリング(SRM)、および複数反応モニタリング(MRM)から選択される取得技法を含む。
【0096】
本出願によって考慮される液体クロマトグラフィー技法は、質量分析技法に適合する、前駆体高分子および/または試験化合物を分離するための方法を含む。一部の実施形態では、液体クロマトグラフィー技法は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)技法を含む。一部の実施形態では、液体クロマトグラフィー技法は、高流量液体クロマトグラフィー技法を含む。一部の実施形態では、液体クロマトグラフィー技法は、低流量液体クロマトグラフィー技法、例えば、マイクロ流量液体クロマトグラフィー技法またはナノ流量液体クロマトグラフィー技法を含む。一部の実施形態では、液体クロマトグラフィー技法は、質量分析計と連結されたオンライン液体クロマトグラフィー技法を含む。一部の実施形態では、キャピラリー電気泳動(CE)技法またはエレクトロスプレーもしくはMALDI技法を使用して、試料を質量分析計に導入してもよい。一部の実施形態では、直接試料導入技法を使用して、試料を質量分析計に導入してもよい。一部の実施形態では、質量分析技法は、イオン化技法を含む。本出願によって考慮されるイオン化技法は、前駆体高分子および/または試験化合物を帯電させることができる技法を含む。一部の実施形態では、イオン化技法は、エレクトロスプレーイオン化である。一部の実施形態では、イオン化技法は、ナノエレクトロスプレーイオン化である。一部の実施形態では、イオン化技法は、大気圧化学イオン化である。一部の実施形態では、イオン化技法は、大気圧光イオン化である。一部の実施形態では、イオン化技法は、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)である。一部の実施形態では、質量分析技法は、エレクトロスプレーイオン化、ナノエレクトロスプレーイオン化またはマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)技法を含む。
【0097】
オンライン液体クロマトグラフィー技法に連結され得る本出願によって考慮される質量分析計は、高分解能質量分析計および低分解能質量分析計を含む。したがって、一部の実施形態では、質量分析計は、飛行時間型(TOF)質量分析計である。一部の実施形態では、質量分析計は、四重極飛行時間型(Q-TOF)質量分析計である。一部の実施形態では、質量分析計は、四重極イオントラップ飛行時間型(QIT-TOF)質量分析計である。一部の実施形態では、質量分析計は、イオントラップである。一部の実施形態では、質量分析計は、シングル四重極である。一部の実施形態では、質量分析計は、トリプル四重極(QQQ)である。一部の実施形態では、質量分析計は、オービトラップである。一部の実施形態では、質量分析計は、四重極オービトラップである。一部の実施形態では、質量分析計は、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FT)質量分析計である。一部の実施形態では、質量分析計は、四重極フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(Q-FT)質量分析計である。一部の実施形態では、質量分析技法は、陽イオンモードを含む。一部の実施形態では、質量分析技法は、陰イオンモードを含む。一部の実施形態では、質量分析技法は、飛行時間型(TOF)質量分析技法を含む。一部の実施形態では、質量分析技法は、四重極飛行時間型(Q-TOF)質量分析技法を含む。一部の実施形態では、質量分析技法は、イオン移動度質量分析技法を含む。一部の実施形態では、イオントラップ、またはシングルもしくはトリプル四重極アプローチなどの低解像度質量分析技法が適している。
【0098】
一部の実施形態では、質量分析に基づく技法は、前駆体高分子および/または試験化合物の得られたMSシグナルを処理することを含む。一部の実施形態では、質量分析に基づく技法は、ピーク検出を含む。一部の実施形態では、質量分析に基づく技法は、イオン化強度を決定することを含む。一部の実施形態では、質量分析に基づく技法は、ピーク高さを決定することを含む。一部の実施形態では、質量分析に基づく技法は、ピーク面積を決定することを含む。一部の実施形態では、質量分析に基づく技法は、ピーク体積を決定することを含む。
【0099】
一部の実施形態では、質量分析に基づく技法は、試験化合物を識別することを含む。
【0100】
したがって、例えば、一部の実施形態では、標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、余分な凝縮物溶液からの試験化合物のイオンのMSシグナル、および参照対照からの試験化合物のイオンのMSシグナルを比較するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する、方法が提供される。一部の実施形態では、標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法は、(a)余分な凝縮物溶液中の試験化合物またはその一部のMSシグナルを質量分析技法を使用して得る、例えば、測定するステップ;(b)参照対照中の試験化合物またはその一部のMSイオンシグナルを質量分析技法を使用して得る、例えば、測定するステップ;ならびに(c)余分な凝縮物溶液からの試験化合物のイオンのMSシグナル、および参照対照からの試験化合物のイオンのMSシグナルを比較するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する。
【0101】
一部の実施形態では、本明細書において、小分子試験化合物(1,000Daもしくはそれよりも小さい、および/またはリピンスキーのルールオブファイブを満足する、治療用小分子など)の凝縮物に関連する特性を決定する方法であって、標的凝縮物の存在、形成および/またはモジュレーションに起因して余分な凝縮物溶液から枯渇する小分子試験化合物の量を決定するステップ(枯渇の欠如が存在することを決定するステップを含む)を含む、方法が提供される。一部の実施形態では、標的凝縮物中の小分子試験化合物の分配特性を決定する方法であって、余分な凝縮物溶液からの小分子試験化合物のイオンのMSシグナル、および参照対照からの小分子試験化合物のイオンのMSシグナルを比較するステップを含み、それにより標的凝縮物中の小分子試験化合物の分配特性を決定する、方法が提供される。一部の実施形態では、標的凝縮物中の小分子試験化合物の分配特性を決定する方法は、(a)余分な凝縮物溶液中の小分子試験化合物またはその一部のMSシグナルを質量分析技法を使用して得る、例えば、測定するステップ;(b)参照対照中の小分子試験化合物またはその一部のMSイオンシグナルを質量分析技法を使用して得る、例えば、測定するステップ;ならびに(c)余分な凝縮物溶液からの小分子試験化合物のイオンのMSシグナル、および参照対照からの小分子試験化合物のイオンのMSシグナルを比較するステップを含み、それにより標的凝縮物中の小分子試験化合物の分配特性を決定する。
【0102】
一部の実施形態では、本明細書において、治療用化合物(外因性化合物、小分子、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、核酸、抗体もしくはその断片、細胞培養で生成された化合物を含む合成的に生成された化合物、または凝縮物前駆体高分子ではない化合物のいずれかあるいはそれらのいずれかの組合せなど)の凝縮物に関連する特性を決定する方法であって、標的凝縮物の存在、形成および/またはモジュレーションに起因して余分な凝縮物溶液から枯渇する治療用化合物の量を決定するステップ(枯渇の欠如が存在することを決定するステップを含む)を含む、方法が提供される。一部の実施形態では、標的凝縮物中の治療用化合物の分配特性を決定する方法であって、余分な凝縮物溶液からの治療用化合物のイオンのMSシグナル、および参照対照からの治療用化合物のイオンのMSシグナルを比較するステップを含み、それにより標的凝縮物中の治療用化合物の分配特性を決定する、方法が提供される。一部の実施形態では、標的凝縮物中の治療用化合物の分配特性を決定する方法は、(a)余分な凝縮物溶液中の治療用化合物またはその一部のMSシグナルを質量分析技法を使用して得る、例えば、測定するステップ;(b)参照対照中の治療用化合物またはその一部のMSイオンシグナルを質量分析技法を使用して得る、例えば、測定するステップ;ならびに(c)余分な凝縮物溶液からの治療用化合物のイオンのMSシグナル、および参照対照からの治療用化合物のイオンのMSシグナルを比較するステップを含み、それにより標的凝縮物中の治療用化合物の分配特性を決定する。
【0103】
一部の実施形態では、標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、(a)試験化合物、ならびに標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を組み合わせるステップ;(b)参照対照を得る、例えば、調製するステップ;(c)余分な凝縮物溶液中の試験化合物またはその一部のMSシグナルを質量分析技法を使用して測定するステップ;(d)参照対照中の試験化合物またはその一部のMSシグナルを質量分析技法を使用して測定するステップ;(e)余分な凝縮物溶液からの試験化合物のMSシグナル、および参照対照からの試験化合物のMSシグナルを比較するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する、方法。
【0104】
一部の実施形態では、標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、(a)試験化合物、ならびに標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を組み合わせるステップ;(b)参照対照を得る、例えば、調製するステップ;(c)余分な凝縮物溶液中の試験化合物またはその一部のMSシグナルを質量分析技法を使用して測定するステップ;(d)参照対照中の試験化合物またはその一部のMSシグナルを質量分析技法を使用して測定するステップ;(e)余分な凝縮物溶液からの試験化合物のMSシグナル、および参照対照からの試験化合物のMSシグナルを比較するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する、方法。
【0105】
一部の実施形態では、標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、(a)試験化合物、ならびに標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を組み合わせるステップ;(b)試験化合物および組成物をインキュベートするステップ;(c)組成物中の標的凝縮物を遠心分離技法を使用してペレット化するステップ;(d)参照対照を得る、例えば、調製するステップ;(e)余分な凝縮物溶液中の試験化合物またはその一部のMSシグナルを質量分析技法を使用して測定するステップ;(f)参照対照中の試験化合物またはその一部のMSシグナルを質量分析技法を使用して測定するステップ;(g)余分な凝縮物溶液からの試験化合物のMSシグナル、および参照対照からの試験化合物のMSシグナルを比較するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する、方法。
【0106】
一部の実施形態では、標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、(a)試験化合物、ならびに標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を組み合わせるステップ;(b)試験化合物および組成物をインキュベートするステップ;(c)組成物中の標的凝縮物を遠心分離技法を使用してペレット化するステップ;(d)参照対照を得る、例えば、調製するステップ;(e)余分な凝縮物溶液中の試験化合物またはその一部のMSシグナルを質量分析技法を使用して測定するステップ;(f)参照対照中の試験化合物またはその一部のMSシグナルを質量分析技法を使用して測定するステップ;(g)余分な凝縮物溶液からの試験化合物のMSシグナル、および参照対照からの試験化合物のMSシグナルを比較するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する、方法。
【0107】
本明細書に記載の方法または方法のステップのいずれかの一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物を含む単一組成物中の複数の試験化合物のそれぞれについての凝縮物に関連する特性を決定するために適切である。例えば、一部の実施形態では、(a)複数の試験化合物、ならびに標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を組み合わせるステップ;ならびに(b)余分な凝縮物溶液からの複数の試験化合物の第1の試験化合物のイオンのMSシグナル、および参照対照からの第1の試験化合物のイオンのMSシグナルを比較するステップを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、余分な凝縮物溶液からの複数の試験化合物のそれぞれの試験化合物のイオンのMSシグナルは、参照対照からのそれぞれ個々の試験化合物のイオンのそれぞれのMSシグナルと比較される。一部の実施形態では、参照対照は、複数の化合物を含む。一部の実施形態では、複数の試験化合物中の化合物の数は、それぞれの化合物の量を測定するために使用される分析方法の能力によってのみ制限される。一部の実施形態では、複数の試験化合物は、少なくとも5個の化合物、例えば、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900または1,000個の化合物のいずれかを含む。一部の実施形態では、本方法は、余分な凝縮物溶液中の試験化合物またはその一部のそれぞれのMSシグナルを質量分析技法を使用して得る、例えば、測定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、参照対照中の試験化合物またはその一部のそれぞれのMSシグナルを質量分析技法を使用して得る、例えば、測定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、余分な凝縮物溶液または参照対照のいずれか中の試験化合物のそれぞれのMSシグナルは、単一の質量分析において得られる。
試験化合物および分析
【0108】
一部の実施形態では、試験化合物は、小分子、ポリペプチド、ペプチド模倣物、脂質または核酸である。一部の実施形態では、試験化合物は、承認された化合物、例えば、米国食品医薬品局によって医療的処置のために承認された化合物である。一部の実施形態では、試験化合物は、新規化合物である。一部の実施形態では、試験化合物は、帯電している。一部の実施形態では、試験化合物は、疎水性である。一部の実施形態では、試験化合物は、親水性である。一部の実施形態では、試験化合物は、小分子である。一部の実施形態では、小分子は、アルカロイド、グリコシド、フェナジン、フェノール、ポリケチド、テルペンまたはテトラピロールである。一部の実施形態では、試験化合物は、抗体である。一部の実施形態では、標的凝縮物は、細胞外凝縮物であり、試験化合物は、抗体である。一部の実施形態では、試験化合物は、核酸である。一部の実施形態では、試験化合物は、RNA、例えば、siRNA、miRNA、mRNAまたはlnRNAである。一部の実施形態では、試験化合物は、siRNA、miRNAまたはmRNAである。一部の実施形態では、試験化合物は、天然に存在しない化合物である。一部の実施形態では、試験化合物は、タンパク質である。
【0109】
一部の実施形態では、本明細書の方法は、2種またはそれよりも多くの試験化合物を添加するステップを含む。一部の実施形態では、2種またはそれよりも多くの化合物は、小分子、ポリペプチド、脂質または核酸のいずれかからそれぞれ選択される。一部の実施形態では、2種またはそれよりも多くの試験化合物は、連続して、または同時に添加される。
【0110】
一部の実施形態では、試験化合物は、標識を含む。一部の実施形態では、標識は、放射性標識、比色標識、発光標識、化学的反応性標識(クリックケミストリーにおいて使用される成分の部分など)または蛍光標識である。一部の実施形態では、試験化合物は、標識を含む小分子である。一部の実施形態では、試験化合物は、フルオロフォアを含む小分子である。一部の実施形態では、試験化合物は、標識を含むポリペプチドである。一部の実施形態では、試験化合物は、フルオロフォアを含むポリペプチドである。一部の実施形態では、試験化合物は、標識を含む核酸である。一部の実施形態では、試験化合物は、フルオロフォアを含む核酸である。試験化合物標識は、共有結合的または非共有結合的に、試験化合物とコンジュゲートし得る。
【0111】
試験化合物の量を決定する方法は公知である。一部の実施形態では、試験化合物の量を決定するステップは、試験化合物を定量的に検出することを含む。一部の実施形態では、試験化合物の量を決定するステップは、試験化合物標識を定量的に検出することを含む。一部の実施形態では、試験化合物の量を決定するステップは、試験化合物の活性を検出すること、および検出される活性の量を引き起こすのに必要な試験化合物の量を計算することを含む。一部の実施形態では、試験化合物の量は、質量分析、液体クロマトグラフィーおよび/または紫外可視分光法によって決定される。一部の実施形態では、試験化合物の量は、蛍光顕微鏡法によって決定される。検量線を使用して、試験化合物の量を決定するのを補助してもよい。あるいは、または加えて、試験化合物の量は、参照化合物と比較してもよい。一部の実施形態では、参照化合物は、試験化合物標識である。
【0112】
凝縮物中の化合物、例えば、試験化合物または参照化合物の量を決定するステップを含む本明細書に記載の方法は、凝縮物中の化合物の量を決定するための直接的および間接的な技法を包含すると予測される。一部の実施形態では、凝縮物中の化合物の量は、直接的に決定される。一部の実施形態では、凝縮物中の化合物の量は、間接的に決定される。一部の実施形態では、凝縮物中の化合物の量は、凝縮物に関連しない化合物の量、例えば、余分な凝縮物溶液中の化合物の量の決定を介して決定される。一部の実施形態では、凝縮物中の化合物の量は、レポーター化合物の量の決定を介して決定される。一部の実施形態では、レポーター化合物は、凝縮物と関連する。一部の実施形態では、レポーター化合物は、凝縮物と関連しない。
【0113】
標的凝縮物中の試験化合物の量は、他の溶液中の試験化合物の量、または組成物に添加される量と比較することができる。したがって、一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物中の試験化合物の量を、組成物に添加される量、および/または余分な凝縮物溶液中の量、および/または細胞中の試験化合物の量、および/または第2の標的凝縮物中の試験化合物の量と比較するステップをさらに含む。
【0114】
一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物中の試験化合物の量を組成物に添加される量と比較するステップをさらに含む。一部の実施形態では、比較するステップは、標的凝縮物中の試験化合物の量、および組成物に添加される試験化合物の量の比またはパーセンテージを計算することを含む。
【0115】
一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物中の試験化合物の量を余分な凝縮物溶液中の試験化合物の量と比較するステップをさらに含む。一部の実施形態では、比較するステップは、標的凝縮物中の試験化合物の量、および余分な凝縮物溶液中の試験化合物の量の比またはパーセンテージを計算することを含む。一部の実施形態では、本方法は、余分な凝縮物溶液中の試験化合物の量を決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、標的凝縮物中の試験化合物の量は、余分な凝縮物溶液中の試験化合物の量が決定される前、それと同時に、またはその後に決定される。
【0116】
一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物中の試験化合物の量を細胞中の試験化合物の量と比較するステップをさらに含む。一部の実施形態では、比較するステップは、標的凝縮物中の試験化合物の量、および細胞中の試験化合物の量の比またはパーセンテージを計算することを含む。一部の実施形態では、本方法は、細胞中の試験化合物の量を決定するステップをさらに含む。
【0117】
一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物中の試験化合物の量を第2の標的凝縮物中の試験化合物の量と比較するステップをさらに含む。一部の実施形態では、比較するステップは、標的凝縮物中の試験化合物の量、および第2の標的凝縮物中の試験化合物の量の比またはパーセンテージを計算することを含む。一部の実施形態では、本方法は、第2の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、第1の標的凝縮物中の試験化合物の量は、第2の標的凝縮物中の試験化合物の量が決定される前、それと同時に、またはその後に決定される。
【0118】
一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物中の試験化合物の量を標的凝縮物中の1種または複数の高分子の量と比較するステップをさらに含む。一部の実施形態では、比較するステップは、標的凝縮物中の試験化合物の量、および標的凝縮物中の1種または複数の高分子の量の比またはパーセンテージを計算することを含む。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物中の1種または複数の高分子の量を決定するステップをさらに含む。一部の実施形態では、標的凝縮物中の試験化合物の量は、標的凝縮物中の1種または複数の高分子の量が決定される前、それと同時に、またはその後に決定される。
【0119】
凝縮物を形成する方法は、公知であり、凝縮物によって変わり得る。例えば、凝縮物は、組成物の温度を変えること、例えば、より低温もしくはより高温に組成物を曝露することによって;組成物中の塩含有量を変えること、例えば、組成物中の塩を希釈すること、もしくは組成物に塩を添加することによって;前駆体高分子の濃度を増加させること、例えば、組成物中に核酸、例えば、RNAを添加することによって;組成物中に緩衝剤を添加すること、または組成物中の緩衝剤を変えること;組成物のイオン強度を変えること;pHを変えること、例えば、等電点から離れて1単位より低くまでpHを変えること;またはクラウディング剤、例えば、PEGもしくはデキストランを添加することによって、形成することができる。凝縮物を形成する一部の例示的な方法は、Alberti et al., J Mol Biol, 430(23), 2018, 4806-4820にも開示されており、これは参照によって本明細書に組み込まれる。
組成物
【0120】
一部の実施形態では、組成物は、細胞を含む。一部の実施形態では、標的凝縮物は、細胞中にある。一部の実施形態では、余分な凝縮物溶液は、細胞内液、例えば、サイトゾルまたはヌクレオゾルである。
【0121】
一部の実施形態では、組成物は、細胞を含む。一部の実施形態では、標的凝縮物は、細胞中にない。一部の実施形態では、標的凝縮物は、細胞外凝縮物、例えば、細胞外基質中の凝縮物である。一部の実施形態では、細胞外液は、間質液または血漿である。
【0122】
一部の実施形態では、細胞は、微生物または動物細胞である。一部の実施形態では、細胞は、ヒト細胞である。一部の実施形態では、細胞は、ニューロンである。一部の実施形態では、細胞は、がん細胞である。一部の実施形態では、細胞は、誘導多能性幹細胞(iPS細胞)、HeLa細胞またはHEK293細胞であるか、またはそれらに由来する。一部の実施形態では、細胞は、調節不全であると決定される凝縮物を含む。一部の実施形態では、細胞は、疾患に関連する突然変異を含む。一部の実施形態では、細胞は、神経変性疾患または増殖性疾患の1つまたは複数の特徴を有する。一部の実施形態では、細胞は、アルセネート(および/または凝縮物をモジュレートすることが公知の別の化合物)、温度変化またはpH変化により処理される。一部の実施形態では、細胞は、蛍光タンパク質で標識されたタンパク質を発現する。一部の実施形態では、タンパク質は、標的凝縮物中で濃縮されることが公知のタンパク質である。一部の実施形態では、細胞は、第1のタンパク質および第2のタンパク質を発現し、ここで、第1のタンパク質は、第1の標識で標識され、第1のタンパク質は、第1の標的凝縮物中で濃縮されることが公知であり、第2のタンパク質は、第2の標識で標識され、第2のタンパク質は、第2の標的凝縮物中で濃縮されることが公知であり、第1の標識および第2の標識は、識別可能である。一部の実施形態では、細胞は、第1のタンパク質および第2のタンパク質を発現し、ここで、第1のタンパク質は、第1の蛍光タンパク質で標識され、第1のタンパク質は、第1の標的凝縮物中で濃縮されることが公知であり、第2のタンパク質は、第2の蛍光タンパク質で標識され、第2のタンパク質は、第2の標的凝縮物中で濃縮されることが公知であり、第1の蛍光タンパク質および第2の蛍光タンパク質は、識別可能である。
【0123】
一部の実施形態では、組成物は、細胞を含まない。一部の実施形態では、組成物は、無細胞である。一部の実施形態では、組成物は、凝縮物に組み込まれ得る、および/または凝縮物に組み込まれている、非相分離成分である前駆体分子を含む。凝縮物は、わずかな成分だけから無細胞系において形成することができる。例えば、組成物は、凝縮物を形成することができる、タンパク質またはタンパク質断片、例えば、タンパク質またはペプチドの一部を含んでいてもよい。一部の実施形態では、組成物は、低複雑性ドメインもしくは本質的に無秩序な配列を含む、タンパク質またはタンパク質断片を含む。一部の実施形態では、組成物は、核酸のオリゴマーまたはポリマー、例えば、RNAを含む。一部の実施形態では、組成物は、小分子を含む。一部の実施形態では、組成物は、緩衝剤を含む。一部の実施形態では、組成物はまた、1種もしくは複数の塩、および/または1種もしくは複数の高分子クラウディング剤(例えば、ポリエチレングリコールまたはデキストラン)を含んでいてもよい。
【0124】
一部の実施形態では、組成物は、前駆体分子を含む細胞を含む。一部の実施形態では、組成物は、細胞を含み、本方法は、細胞中で標的凝縮物を形成するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、細胞の温度を変えるステップ、例えば、より低温もしくはより高温に組成物を曝露するステップ;細胞の塩含有量を変えるステップ;細胞の周囲で、緩衝剤を添加または変化させるステップ;細胞のpHを変えるステップ;またはクラウディング剤、例えば、PEGもしくはデキストランを細胞に添加するステップを含む。一部の実施形態では、組成物は、細胞を含み、細胞は、標的凝縮物が標的凝縮物を形成させるおよび/または改変する突然変異を含む。一部の実施形態では、突然変異は、以下の1つまたは複数を改変する:標的凝縮物のサイズ、標的凝縮物の形状、標的凝縮物の1種または複数の成分の濃度、および標的凝縮物内の成分の不均一な分布。一部の実施形態では、組成物は、細胞を含み、細胞は、凝縮物を形成させる突然変異を含む。
【0125】
一部の実施形態では、組成物は、複数の凝縮物を含む。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20または25個の凝縮物のいずれかを含む。一部の実施形態では、組成物は、2種またはそれよりも多くの標的凝縮物を含む。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20または25個の標的凝縮物のいずれかを含む。一部の実施形態では、本方法は、1種または複数の追加の標的凝縮物、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20または25個の標的凝縮物のいずれかについての方法のステップを繰り返すステップを含む。一部の実施形態では、組成物は、同じ凝縮物の種類の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20または25個の凝縮物のいずれか、例えば、同じ組成および/または分配特性を有する凝縮物を含む。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20または25個の異なる凝縮物の種類のいずれか、例えば、同じ組成および/または分配特性を有さない凝縮物を含む。
凝縮物
【0126】
多くの凝縮物が、当技術分野において周知である。公知の凝縮物の例としては、切断体、P顆粒、ヒストン遺伝子座体、多胞体、神経RNA顆粒、核ジェム、核孔、核スペックル、核ストレス体、核内小体、Oct1/PTF/転写(OPT)ドメイン、パラスペックル、核周囲区画、PML核小体、PML発癌性ドメイン、ポリコーム体、プロセシング体、シグナル伝達クラスター、ウイルス凝縮物、Sam68核小体、ストレス顆粒またはスプライシングスペックルが挙げられる。多くの凝縮物は、顕微鏡法を使用して識別することができる。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物を識別するステップをさらに含む。
【0127】
本明細書に記載の方法において使用される凝縮物は、天然に存在していてもよく、または天然に存在しなくてもよい。例えば、一部の実施形態では、凝縮物は、天然に存在する。一部の実施形態では、凝縮物は、天然に存在しない。一部の実施形態では、凝縮物は、人工である。一部の実施形態では、凝縮物は、合成である。一部の実施形態では、凝縮物は、半合成である。一部の実施形態では、凝縮物は、改変されている。一部の実施形態では、凝縮物は、改変された凝縮物であり、改変された凝縮物の親凝縮物は、1種または複数の凝縮物成分を添加、除去および/または置換することによって改変される。
【0128】
本明細書に記載の方法が2種多くの凝縮物を評価する一部の実施形態では、2種またはそれよりも多くの凝縮物の第1の凝縮物および第2の凝縮物は、凝縮物の任意の組合せであってもよい。一部の実施形態では、第1の凝縮物は、改変された凝縮物である。一部の実施形態では、第1の凝縮物は、改変された凝縮物であり、第2の凝縮物は、第1の凝縮物の親凝縮物である。一部の実施形態では、第1の凝縮物は、第1の系、例えば、第1の組成物中の標的凝縮物であり、第2の凝縮物は、第2の系、例えば、第2の組成物中の標的凝縮物である。一部の実施形態では、第1の凝縮物は、正常な凝縮物であり、第2の凝縮物は、調節不全の凝縮物である。
【0129】
一部の実施形態では、試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、(a)試験化合物、および第1の標的凝縮物を含む第1の組成物を組み合わせるステップ;(b)試験化合物、および第2の標的凝縮物を含む第2の組成物と組み合わせるステップ;(c)第1の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップ;ならびに(d)第2の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップを含み、それにより試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する、方法が提供される。
【0130】
一部の実施形態では、試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、(a)試験化合物を第1の標的凝縮物を含む第1の組成物に添加するステップ;(b)試験化合物を第2の標的凝縮物を含む第2の組成物に添加するステップ;(c)第1の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップ;および(d)第2の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップを含み、それにより試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する、方法が提供される。
【0131】
凝縮物の識別は、標識の使用によって補助することができる。例えば、色素または標識された化合物を、凝縮物に添加することができる。一部の実施形態では、色素または標識された化合物は、標的凝縮物に優先的に進入することができる。一部の実施形態では、標識は、放射性標識、比色標識、化学的反応性標識または蛍光標識である。一部の実施形態では、組成物は、第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物を含み、第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物は、それぞれ、異なる標識で標識され、例えば、第1の標的凝縮物は、RFPで標識され、第2の標的凝縮物は、GFPで標識される。
【0132】
一部の凝縮物は、特異的高分子を含んでいてもよい。したがって、一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物中の高分子を特性評価するステップをさらに含む。一部の実施形態では、高分子は、タンパク質またはタンパク質断片である。一部の実施形態では、タンパク質またはタンパク質断片は、低複雑性ドメインもしくは本質的に無秩序な配列を含む。一部の実施形態では、高分子は、転写因子またはRNA結合タンパク質である。一部の実施形態では、高分子は、タウ、FUS、ハンチンチンタンパク質、hnRNPA1、TDP43、PGL-3、またはそれらの断片もしくは凝集物である。一部の実施形態では、高分子は、核酸、例えば、RNAまたはDNAである。一部の実施形態では、高分子は、RNAである。
【0133】
一部の実施形態では、標的凝縮物は、細胞凝縮物である。多くの細胞凝縮物が、記載されており、さらに多くが、形成されることは公知であるが、いまだに記載されていない。一部の実施形態では、細胞凝縮物は、切断体、P顆粒、ヒストン遺伝子座体、多胞体、神経RNA顆粒、核ジェム、核孔、核スペックル、核ストレス体、核内小体、Oct1/PTF/転写(OPT)ドメイン、パラスペックル、核周囲区画、PML核小体、PML発癌性ドメイン、ポリコーム体、プロセシング体、シグナル伝達クラスター、ウイルス凝縮物、Sam68核小体、ストレス顆粒またはスプライシングスペックルである。一部の実施形態では、標的凝縮物は、標的凝縮物中の標的化合物の量が決定されるときに、細胞中にある。
【0134】
一部の実施形態では、標的凝縮物は、細胞外凝縮物である。細胞外凝縮物は、反応を促進するためまたは分子を隔離するために、細胞、例えば、細胞外マトリックスまたは血漿の外側の生物学的溶液中で形成され得る(Muiznieks et al., J Mol Biol, 430(23), 2018, 4741-4753)。
【0135】
さまざまな凝縮物の調節不全は、疾患に関連し得る。例えば、細胞凝縮物および無細胞凝縮物の実験に基づいて、肉腫(FUS)において融合したタンパク質中の疾患関連突然変異は、運動神経疾患の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の発生に直接寄与する異常な相分離挙動を引き起こすことが示されている(Naumann et al., Nat Commun, 9(1), 2018, 335)。したがって、一部の実施形態では、標的凝縮物の調節不全は、疾患に関連する。一部の実施形態では、調節不全は、以下の1つまたは複数の変化を含む:標的凝縮物のサイズ、標的凝縮物の形状、標的凝縮物の1種または複数の成分の濃度、および凝縮物内の成分、例えば、凝縮物のシェルの代わりにコアに位置する成分の不均一な分布。一部の実施形態では、変化は、類似の非調節不全標的凝縮物と比較される。
試験化合物の分配に関連する化合物の特性を決定する方法
【0136】
一部の実施形態では、本発明は、縮合物中の化合物またはその一部の分配に関連する、例えば、凝縮物の表面および/またはコアに関連する、化合物の特性を識別する方法を含む。
【0137】
一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を本明細書に開示の方法を行うことによって決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、凝縮物による化合物もしくはその一部の分配に全体的または部分的に寄与する、化合物もしくはその一部の特質を識別または決定するステップを含む。
【0138】
一部の実施形態では、標的凝縮物における所望の、例えば、類似の分配特性を有する化合物またはその一部の分配に関連する化合物の特性を識別するステップは、所望の、例えば、類似の分配特性を有する試験化合物の共通の部分またはモチーフを識別することを含む。一部の実施形態では、化合物またはその一部の化合物の特性は、電荷および疎水性のうちの1つまたは複数に基づく。
【0139】
一部の実施形態では、化合物の分配特性は、凝縮物中の化合物の量、例えば、相対量を決定すること、または凝縮物優先プロファイルなどの1種または複数の凝縮物と比較することに基づく。例えば、一部の実施形態では、本方法は、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を本明細書に記載の方法を行うことによって決定するステップ;および(b)凝縮物における所望の分配特性、例えば、類似の分配特性を有する試験化合物またはその一部を識別するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を本明細書に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;および(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップを含む。
【0140】
一部の実施形態では、本方法は、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を本明細書に記載の方法を行うことによって決定するステップ;および(b)凝縮物における所望の相対分配特性、例えば、類似の相対分配特性を有する試験化合物またはその一部を識別するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を本明細書に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての相対分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;および(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップを含む。
【0141】
一部の実施形態では、本方法は、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを本明細書に記載の方法を行うことによって決定するステップ;および(b)凝縮物における所望の凝縮物優先プロファイル、例えば、類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物またはその一部を識別するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、(a)複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを本明細書に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップ;(c)同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップ;および(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性を識別するステップを含む。
【0142】
本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、標的凝縮物中の同じもしくは類似の分配特性、相対分配特性または凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップは、標的凝縮物の任意の部分に会合する2種またはそれよりも多くの試験化合物を識別することを含む。本明細書に記載の方法の一部の実施形態では、標的凝縮物中の同じもしくは類似の分配特性、相対分配特性または凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップは、標的凝縮物の任意の部分に会合しない2種またはそれよりも多くの試験化合物を識別することを含む。
【0143】
一部の実施形態では、本明細書に開示の方法は、本明細書に記載の方法を使用して識別および/または設計された化合物を作製するステップをさらに含む。
所望の分配特性を有する化合物を設計する方法
【0144】
一部の実施形態では、本発明は、標的凝縮物に関する所望の分配特性を有する化合物を設計する方法を含む。一部の実施形態では、本発明は、標的凝縮物に対する所望の分配特性を有する化合物を設計する方法を含む。
【0145】
一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物に関する所望の分配特性を含む化合物もしくはその一部を識別または決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物に関する所望の分配特性に全体的または部分的に寄与する、化合物もしくはその一部の特質を識別または決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物に対する所望の分配特性を含む化合物もしくはその一部を識別または決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物に対する所望の分配特性に全体的または部分的に寄与する、化合物もしくはその一部の特質を識別または決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、識別された化合物またはその一部を改変して、所望の分配特性を最適化するステップを含む。
【0146】
一部の実施形態では、所望の分配特性を有する化合物を設計する方法は、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物のそれぞれについての分配特性を本明細書に記載の方法を行うことによって決定するステップ;および(b)標的凝縮物における所望の、例えば、類似の分配特性を有する複数の試験化合物もしくはその一部のうちの1種または複数を識別するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、所望の分配特性を有する複数の試験化合物の化合物もしくはその一部を選択および/または設計するステップを含む。
【0147】
一部の実施形態では、標的凝縮物に関する所望の分配特性に関連する化合物の特性を識別する方法は、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を本明細書に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;および(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップを含む。
【0148】
一部の実施形態では、凝縮物への化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法は、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を本明細書に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;および(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップを含む。
【0149】
一部の実施形態では、標的凝縮物において同じまたは所望の、例えば、類似の分配特性を有する試験化合物またはその一部を識別するステップは、所望の、例えば、類似の分配特性を有する試験化合物の共通の部分またはモチーフを識別することを含む。一部の実施形態では、化合物またはその一部の化合物の特性は、電荷および疎水性のうちの1つまたは複数に基づく。
【0150】
一部の実施形態では、識別された試験化合物またはその一部は、所望の分配特性を有する1種もしくは複数の化合物の識別および/または設計についての基礎として使用することができる。一部の実施形態では、1種または複数の化合物は、特権ライブラリーを表す。一部の実施形態では、特権ライブラリーは、1種または複数の化合物のセットを含み、セットは、識別された化合物もしくはその一部を含む部分を含む、特権ライブラリーの一部または全体である。一部の実施形態では、特権ライブラリーのそれぞれの化合物は、類似の分配特性、例えば、互いに少なくとも約20%以内の分配特性を有する。一部の実施形態では、特権ライブラリーのそれぞれの化合物は、分配特性の閾値に適合するか、またはそれを超える。一部の実施形態では、特権ライブラリーは、少なくとも約10化合物、例えば、少なくとも約25化合物、50化合物、150化合物、200化合物、250化合物、300化合物、350化合物、400化合物、450化合物、500化合物、1,000化合物、1,500化合物、2,000化合物、2,500化合物、3,000化合物、3,500化合物、4,000化合物、4,500化合物、5,000化合物、10,000化合物、20,000化合物、30,000化合物、40,000化合物または50,000化合物のいずれかを含む。一部の実施形態では、特権ライブラリーのセットのそれぞれの化合物は、個体への投与のために適切である。一部の実施形態では、特権ライブラリーのそれぞれの化合物は、1,000Da未満、例えば、500Daまたはそれよりも低い分子量を有する。一部の実施形態では、特権ライブラリーのそれぞれの化合物は、リピンスキーのルールオブファイブを満足する。一部の実施形態では、特権ライブラリーは、単一組成物中に存在する化合物を含む。一部の実施形態では、特権ライブラリーを使用して、標的凝縮物の標的化に有用な1種または複数の化合物を識別することができ、1種または複数の化合物は、1つまたは複数の伝統的な薬物スクリーニング法を使用して特権ライブラリーから識別される。
【0151】
一部の実施形態では、化合物を設計するステップは、化合物に対する識別された特性を含む部分を付加し(結合させる、例えば、共有結合的に結合させるなど)、それにより所望の分配特性を化合物に付与することを含む。一部の実施形態では、化合物を設計するステップは、識別された特性を含む部分を除去し、それにより所望の分配特性を化合物に付与することを含む。一部の実施形態では、化合物は、全体的または部分的に、モデリング、コンピューターおよび/または計算に基づく技法、例えば、バイオインフォマティクス、ケモインフォマティクス、および/または人工知能(AI)に基づく技法を含むアプローチを使用して、設計される。
【0152】
一部の実施形態では、本方法は、凝縮物に関連する特性を介して識別された特性、例えば、化学構造またはモチーフを含む部分を結合させることに基づいて、試験化合物またはその一部を設計するステップを含み、それにより所望の分配特性を試験化合物に付与する。一部の実施形態では、識別された特性は、全体的または部分的に、試験化合物の凝縮物に関連する特性、例えば、分配特性をモジュレートする、例えば、試験化合物が試験凝縮物中で分配される程度を増加または減少させる。一部の実施形態では、試験化合物を設計する方法は、任意の数の位置および/または立体化学的配向で、試験化合物の前駆体に対する凝縮物に関連する特性を介して識別された特性を含む部分を結合させるステップを含む。一部の実施形態では、試験化合物を設計する方法は、凝縮物に関連する特性を介して識別された特性を含む部分を除去するステップを含む。一部の実施形態では、試験化合物を設計する方法は、任意の数の位置および/または立体化学的配向で、試験化合物の前駆体に対する凝縮物に関連する特性を介して識別された特性を含む別の部分に部分を変化させるステップを含む。一部の実施形態では、試験化合物を設計する方法は、試験化合物の前駆体に対する凝縮物に関連する特性を介して識別された特性を含む2つ以上の部分を結合させる、除去するおよび/または変化させるステップを含む。一部の実施形態では、試験化合物は、化合物標識(例えば、クリックケミストリーにおいて使用される成分の部分)などの部分のモジュレーション(結合させる、除去する、変化させるなど)を促進する特徴を含む。
【0153】
一部の実施形態では、識別された試験化合物またはその一部は、所望の生物活性を有する1種もしくは複数の化合物の識別および/または設計についての基礎として使用することができる。一部の実施形態では、1種または複数の化合物は、特権ライブラリーを表す。一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、凝縮物に関連する特性を介して識別された特性、例えば、化学構造もしくはモチーフを含む部分を結合させること、除去させることまたは変化させることに基づいて、試験化合物またはその一部を設計するステップを含み、それにより所望の生物活性を試験化合物に付与する。一部の実施形態では、前駆体化合物の所望の生物活性は、前駆体化合物の凝縮物に関連する特性をモジュレートすることによって改善される。一部の実施形態では、前駆体化合物の望ましくない生物活性は、前駆体化合物の凝縮物に関連する特性をモジュレートすることによって減少する。
【0154】
一部の実施形態では、凝縮物に関連する特性データ、例えば、分配特性データ、および/または識別された試験化合物またはその一部を使用して、1つまたは複数のルールのセットを生成することができる。一部の実施形態では、1つまたは複数のルールのセットは、所望の分配特性を有する化合物の、モデリング、コンピューターおよび/または計算に基づく技法、例えば、バイオインフォマティクス、ケモインフォマティクス、および/または人工知能(AI)に基づく識別を含むアプローチを使用して、1種もしくは複数の化合物の識別および/または設計についての基礎として使用することができる。1つまたは複数のルールのセットを決定および/または適用するためのコンピューターソフトウェアも提供される。
【0155】
一部の実施形態では、化合物の分配特性は、凝縮物中の化合物の量、例えば、相対量を決定すること、または凝縮物優先プロファイルなどの1種または複数の凝縮物と比較することに基づく。例えば、一部の実施形態では、所望の相対分配特性を有する化合物を設計する方法は、標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を本明細書に記載の方法を行うことによって決定するステップを含む。一部の実施形態では、所望の相対分配特性を有する化合物を設計する方法は、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を本明細書に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての相対分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップ;および(e)識別された特性を含む化合物を設計するステップを含む。一部の実施形態では、所望の相対分配特性を有する化合物を設計する方法は、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を本明細書に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての相対分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップ;および(e)識別された特性を含まない化合物を設計するステップを含む。
【0156】
一部の実施形態では、所望の凝縮物優先プロファイルを有する化合物を設計する方法は、複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを本明細書に開示の方法を行うことによって決定するステップを含む。一部の実施形態では、所望の凝縮物優先プロファイルを有する化合物を設計する方法は、(a)複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを本明細書に開示の方法を行うことによって決定するステップ;(b)複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップ;(c)同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性を識別するステップ;および(e)識別された特性を含む化合物を設計するステップを含む。一部の実施形態では、所望の凝縮物優先プロファイルを有する化合物を設計する方法は、(a)複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを本明細書に開示の方法を行うことによって決定するステップ;(b)複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップ;(c)同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性を識別するステップ;および(e)識別された特性を含まない化合物を設計するステップを含む。
【0157】
一部の実施形態では、本明細書に開示の方法は、本明細書に記載の方法を使用して識別および/または設計された化合物を作製するステップをさらに含む。
試験化合物をスクリーニングする方法
【0158】
一部の実施形態では、本発明は、候補化合物の群から所望の分配特性について試験化合物をスクリーニングする方法であって、(a)候補化合物の群のそれぞれの分配特性を決定するステップ;および(b)所望の分配特性を有する試験化合物を識別するステップを含む、方法を含む。
【0159】
一部の実施形態では、所望の分配特性は、標的凝縮物に関連する分配特性に基づく。一部の実施形態では、所望の分配特性は、複数の標的凝縮物に関連する分配特性に基づく。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物を識別または決定するステップを含む。一部の実施形態では、標的凝縮物は、疾患に関連する。一部の実施形態では、疾患に関連する標的凝縮物は、当技術分野において公知である。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物、例えば、疾患に関連する標的凝縮物を得るステップを含む。
【0160】
一部の実施形態では、標的凝縮物中の候補化合物、例えば、2種以上の候補化合物の群の分配特性は、本明細書に記載の方法に従って決定される。一部の実施形態では、候補化合物の群は、少なくとも約2、5、10、15、50、75、100、150、200、300、400または500個の候補化合物のいずれかである。一部の実施形態では、標的凝縮物中の候補化合物の分配特性は、in vitroで決定される。一部の実施形態では、標的凝縮物中の候補化合物の分配特性は、細胞系において決定される。一部の実施形態では、標的凝縮物中の候補化合物の分配特性は、非細胞系、例えば、標的凝縮物またはその成分を含む組成物で決定される。
【0161】
一部の実施形態では、所望の分配特性を有する試験化合物またはその一部を識別するステップは、標的凝縮物の任意の一部と関連する、例えば、標的凝縮物の外部、表面および/またはコアと関連する、試験化合物またはその一部を識別することを含む。一部の実施形態では、所望の分配特性は、個体における疾患を処置するために有用である適切な分配特性である。
【0162】
一部の実施形態では、本発明は、それを必要とする個体における疾患を処置するために有用な試験化合物を識別する方法を含む。一部の実施形態では、本方法は、(a)疾患に関連する標的凝縮物を識別するステップ;および(b)標的凝縮物中の候補化合物の分配特性を決定するステップ;および(c)疾患を処置するために有用な適切な分配特性を有する試験化合物またはその一部を識別するステップを含む。
【0163】
一部の実施形態では、本方法は、疾患に関連する標的凝縮物を識別または決定するステップを含む。一部の実施形態では、疾患に関連する標的凝縮物は、当技術分野において公知である。一部の実施形態では、本方法は、疾患に関連する標的凝縮物を得るステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、疾患に関連する1種または複数の標的凝縮物を識別または決定するステップを含む。
【0164】
一部の実施形態では、試験化合物をスクリーニングする方法は、(a)第2の化合物の存在下で試験化合物の分配特性を決定するステップ;および(b)第2の化合物の非存在下で試験化合物の分配特性を決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、第2の化合物の存在下での試験化合物の分配特性、および第2の化合物の非存在下での試験化合物の分配特性を比較するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、第2の化合物の存在または非存在下で試験化合物の分配特性の変化を決定するステップをさらに含む。
【0165】
一部の実施形態では、試験化合物をスクリーニングする方法は、(a)試験化合物の存在下で第2の化合物の分配特性を決定するステップ;および(b)試験化合物の非存在下で第2の化合物の分配特性を決定するステップを含む。一部の実施形態では、本方法は、試験化合物の存在下での第2の化合物の分配特性、および試験化合物の非存在下での第2の化合物の分配特性を比較するステップをさらに含む。一部の実施形態では、本方法は、第2の化合物の分配特性を変化させる試験化合物の能力を決定するステップをさらに含む。
【0166】
一部の実施形態では、標的凝縮物中の候補化合物、例えば、1種または複数の候補化合物の分配特性は、本明細書に記載の方法に従って決定される。一部の実施形態では、本方法は、標的凝縮物について、複数の候補化合物の分配特性を決定するステップを含む。一部の実施形態では、複数の候補化合物は、少なくとも約2、5、10、15、50、75、100、150、200、300、400または500個の候補化合物のいずれかである。一部の実施形態では、標的凝縮物中の候補化合物の分配特性は、in vitroで決定される。一部の実施形態では、標的凝縮物中の候補化合物の分配特性は、細胞系において決定される。一部の実施形態では、標的凝縮物中の候補化合物の分配特性は、非細胞系、例えば、標的凝縮物またはその成分を含む組成物において決定される。
【0167】
一部の実施形態では、疾患を処置するために有用な適切な分配特性を有する試験化合物またはその一部を識別するステップは、標的凝縮物の任意の一部と関連する、例えば、標的凝縮物の外部、表面および/またはコアと関連する、試験化合物またはその一部を識別することを含む。
【0168】
一部の実施形態では、化合物、例えば、候補化合物の群からの化合物について、識別、決定、設計および/またはスクリーニングするステップを含む本明細書に開示の方法は、化合物の追加のパラメーターに基づいて化合物を評価するステップをさらに含む。一部の実施形態では、化合物を識別するステップは、化合物の凝縮物に関連する特性、ならびに1つまたは複数の追加のパラメーター、例えば、分子量および医薬品の効用を評価すること、例えば、特性評価または決定することに基づく。
【0169】
一部の実施形態では、本明細書に開示の方法は、本明細書に記載の方法を使用して識別、設計および/またはスクリーニングされた化合物を作製するステップをさらに含む。
例示的な実施形態
【0170】
提供される実施形態には、以下がある。
【0171】
実施形態1.標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、(a)試験化合物を標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物に添加するステップ;ならびに(b)標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する、方法。
【0172】
実施形態2.ステップ(a)の前に、標的凝縮物の形成を引き起こすステップをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
【0173】
実施形態3.標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、(a)試験化合物を前駆体分子を含む組成物に添加するステップ;(b)標的凝縮物の形成を引き起こして、標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を得るステップ;ならびに(c)標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する、方法。
【0174】
実施形態4.余分な凝縮物溶液中の試験化合物の量を決定するステップをさらに含む、実施形態1から3のいずれか一項に記載の方法。
【0175】
実施形態5.標的凝縮物中の試験化合物の量が、余分な凝縮物溶液中の試験化合物の量が決定される前、それと同時に、またはその後に決定される、実施形態4に記載の方法。
【0176】
実施形態6.標的凝縮物中の試験化合物の量および余分な凝縮物溶液中の試験化合物の量の比を決定するステップをさらに含む、実施形態4または5に記載の方法。
【0177】
実施形態7.標的凝縮物を余分な凝縮物溶液から分離するステップをさらに含む、実施形態1から6のいずれか一項に記載の方法。
【0178】
実施形態8.標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップの前に標的凝縮物を識別するステップをさらに含む、実施形態1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0179】
実施形態9.標的凝縮物の調節不全が、疾患に関連する、実施形態1から8のいずれか一項に記載の方法。
【0180】
実施形態10.標的凝縮物を、それらに含まれる1種または複数の高分子を識別することによって特性評価するステップをさらに含む、実施形態1から9のいずれか一項に記載の方法。
【0181】
実施形態11.標的凝縮物が、本質的に無秩序な配列を含むタンパク質を含む、実施形態1から10のいずれか一項に記載の方法。
【0182】
実施形態12.標的凝縮物を可視化するために、標的凝縮物を標識するステップをさらに含む、実施形態1から11のいずれか一項に記載の方法。
【0183】
実施形態13.標的凝縮物が、放射性標識、比色標識または蛍光標識で標識される、実施形態12に記載の方法。
【0184】
実施形態14.組成物が細胞を含む、実施形態1から13のいずれか一項に記載の方法。
【0185】
実施形態15.細胞が、微生物または動物細胞である、実施形態14に記載の方法。
【0186】
実施形態16.細胞が、調節不全であると決定される凝縮物を含む、実施形態14または15に記載の方法。
【0187】
実施形態17.細胞が、神経変性疾患または増殖性疾患の1つまたは複数の特徴を有する、実施形態14から16のいずれか一項に記載の方法。
【0188】
実施形態18.標的凝縮物が、細胞凝縮物である、実施形態1から17のいずれか一項に記載の方法。
【0189】
実施形態19.細胞凝縮物が、切断体、P顆粒、ヒストン遺伝子座体、多胞体、神経RNA顆粒、核ジェム、核孔、核スペックル、核ストレス体、核内小体、Oct1/PTF/転写(OPT)ドメイン、パラスペックル、核周囲区画、PML核小体、PML発癌性ドメイン、ポリコーム体、プロセシング体、Sam68核小体、ストレス顆粒またはスプライシングスペックルである、実施形態18に記載の方法。
【0190】
実施形態20.標的凝縮物が、細胞中にある、実施形態1から19のいずれか一項に記載の方法。
【0191】
実施形態21.余分な凝縮物溶液が、細胞内液である、実施形態1から20のいずれか一項に記載の方法。
【0192】
実施形態22.細胞内液が、サイトゾルまたはヌクレオゾルである、実施形態21に記載の方法。
【0193】
実施形態23.標的凝縮物が、細胞外凝縮物である、実施形態1から17のいずれか一項に記載の方法。
【0194】
実施形態24.余分な凝縮物溶液が、細胞外液である、実施形態23のいずれかに記載の方法。
【0195】
実施形態25.細胞外液が、間質液である、実施形態24に記載の方法。
【0196】
実施形態26.組成物が細胞を含まない、実施形態1から13のいずれか一項に記載の方法。
【0197】
実施形態27.組成物が、高分子、塩および緩衝剤のうちの1種または複数を含む、実施形態1から26のいずれか一項に記載の方法。
【0198】
実施形態28.組成物が、2種またはそれよりも多くの標的凝縮物を含む、実施形態1から27のいずれか一項に記載の方法。
【0199】
実施形態29.1種または複数の追加の凝縮物について方法のステップを繰り返すステップを含む、実施形態1から28のいずれか一項に記載の方法。
【0200】
実施形態30.試験化合物が、小分子、ポリペプチドまたは核酸である、実施形態1から29のいずれか一項に記載の方法。
【0201】
実施形態31.試験化合物が、試験化合物標識を含む、実施形態1から30のいずれか一項に記載の方法。
【0202】
実施形態32.試験化合物標識が、放射性標識、比色標識または蛍光標識である、実施形態31に記載の方法。
【0203】
実施形態33.試験化合物標識が蛍光標識である、実施形態31または32に記載の方法。
【0204】
実施形態34.試験化合物の量が、試験化合物標識を検出することによって決定される、実施形態31から33のいずれか一項に記載の方法。
【0205】
実施形態35.試験化合物の量が、質量分析、液体クロマトグラフィーおよび/または紫外可視分光法によって決定される、実施形態1から34のいずれか一項に記載の方法。
【0206】
実施形態36.標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、複数の試験化合物を用いて実施形態1から35のいずれか一項に記載の方法を行うステップを含む、方法。
【0207】
実施形態37.標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップをさらに含む、実施形態36に記載の方法。
【0208】
実施形態38.標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップをさらに含む、実施形態37に記載の方法。
【0209】
実施形態39.識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップをさらに含む、実施形態38に記載の方法。
【0210】
実施形態40.識別された特性を含む1種または複数の追加の試験化合物について、標的凝縮物における分配特性を決定するステップをさらに含む、実施形態39に記載の方法。
【0211】
実施形態41.標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性を決定する方法であって、(i)試験化合物の分配特性を、試験化合物を用いて実施形態1から35のいずれか一項に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(ii)参照化合物の分配特性を、参照化合物を用いて実施形態1から35のいずれか一項に記載の方法を行うことによって決定するステップ;ならびに(iii)(i)および(ii)において決定された分配特性の比を計算するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性を決定する、方法。
【0212】
実施形態42.試験化合物が、試験化合物標識を含む、実施形態41に記載の方法。
【0213】
実施形態43.参照化合物が、試験化合物標識である、実施形態42に記載の方法。
【0214】
実施形態44.標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を決定する方法であって、(1)実施形態41から43のいずれか一項に記載の方法を行うステップ;ならびに(2)複数の試験化合物を用いてステップ(i)および(iii)を繰り返すステップを含む、方法。
【0215】
実施形態45.複数の試験化合物のサブセットまたはすべての標的凝縮物における相対分配特性を比較するステップをさらに含む、実施形態44に記載の方法。
【0216】
実施形態46.標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップをさらに含む、実施形態45に記載の方法。
【0217】
実施形態47.識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップをさらに含む、実施形態46に記載の方法。
【0218】
実施形態48.識別された特性を含む1種または複数の追加の試験化合物について、標的凝縮物における相対分配特性を決定するステップをさらに含む、実施形態47に記載の方法。
【0219】
実施形態49.試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、(a)試験化合物を第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物を含む組成物に添加するステップ;(b)第1の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップ;(c)第2の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップ;ならびに(d)第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物において決定された試験化合物の量の比を計算するステップを含み、それにより試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する、方法。
【0220】
実施形態50.ステップ(a)の前に、第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物の形成を引き起こすステップをさらに含む、実施形態49に記載の方法。
【0221】
実施形態51.試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、(a)試験化合物を前駆体分子を含む組成物に添加するステップ;(b)組成物中で第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物の形成を引き起こすステップ;(c)第1の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップ;(d)第2の標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップ;ならびに(e)第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物において決定された試験化合物の量の比を計算するステップを含み、それにより試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する、方法。
【0222】
実施形態52.第1の標的凝縮物中の試験化合物の量が、第2の標的凝縮物中の試験化合物の量が決定される前、それと同時に、またはその後に決定される、実施形態49から51のいずれか一項に記載の方法。
【0223】
実施形態53.第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物を組成物から分離するステップをさらに含む、実施形態49から52のいずれか一項に記載の方法。
【0224】
実施形態54.第1の凝縮物および/または第2の凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップの前に第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物を識別するステップをさらに含む、実施形態49から53のいずれか一項に記載の方法。
【0225】
実施形態55.第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物の調節不全が、疾患に関連する、実施形態49から54のいずれか一項に記載の方法。
【0226】
実施形態56.第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物を、それらに含まれる1種または複数の高分子を識別することによって特性評価するステップをさらに含む、実施形態49から55のいずれか一項に記載の方法。
【0227】
実施形態57.第1の凝縮物標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物を可視化するために、第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物を標識するステップをさらに含む、実施形態49から56のいずれか一項に記載の方法。
【0228】
実施形態58.第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物が、異なる標識で標識される、実施形態57に記載の方法。
【0229】
実施形態59.第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物が、放射性標識、比色標識または蛍光標識で標識される、実施形態57または58に記載の方法。
【0230】
実施形態60.組成物が細胞を含む、実施形態49から56のいずれか一項に記載の方法。
【0231】
実施形態61.細胞が、微生物または動物細胞である、実施形態60に記載の方法。
【0232】
実施形態62.細胞が、調節不全であると決定される凝縮物を含む、実施形態60または61に記載の方法。
【0233】
実施形態63.細胞が、神経変性疾患または増殖性疾患の1つまたは複数の特徴を有する、実施形態60から62のいずれか一項に記載の方法。
【0234】
実施形態64.第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物が、細胞凝縮物である、実施形態49から56のいずれか一項に記載の方法。
【0235】
実施形態65.第1の細胞凝縮物が、切断体、P顆粒、ヒストン遺伝子座体、多胞体、神経RNA顆粒、核ジェム、核孔、核スペックル、核ストレス体、核内小体、Oct1/PTF/転写(OPT)ドメイン、パラスペックル、核周囲区画、PML核小体、PML発癌性ドメイン、ポリコーム体、プロセシング体、Sam68核小体、ストレス顆粒またはスプライシングスペックルである、実施形態64に記載の方法。
【0236】
実施形態66.第2の細胞凝縮物が、切断体、P顆粒、ヒストン遺伝子座体、多胞体、神経RNA顆粒、核ジェム、核孔、核スペックル、核ストレス体、核内小体、Oct1/PTF/転写(OPT)ドメイン、パラスペックル、核周囲区画、PML核小体、PML発癌性ドメイン、ポリコーム体、プロセシング体、Sam68核小体、ストレス顆粒またはスプライシングスペックルである、実施形態64または65に記載の方法。
【0237】
実施形態67.第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物が、細胞中にある、実施形態49から66のいずれか一項に記載の方法。
【0238】
実施形態68.第1の標的凝縮物および/または第2の標的凝縮物が、細胞外凝縮物である、実施形態49から63のいずれか一項に記載の方法。
【0239】
実施形態69.組成物が細胞を含まない、実施形態49から59のいずれか一項に記載の方法。
【0240】
実施形態70.組成物が、高分子、塩および緩衝剤のうちの1種または複数を含む、実施形態49から69のいずれか一項に記載の方法。
【0241】
実施形態71.組成物が、1種または複数の追加の標的凝縮物を含む、実施形態49から70のいずれか一項に記載の方法。
【0242】
実施形態72.方法が、1種または複数の追加の標的凝縮物について方法のステップを繰り返すステップを含む、実施形態49から71のいずれか一項に記載の方法。
【0243】
実施形態73.複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、複数の試験化合物を用いて実施形態49から72のいずれか一項に記載の方法を行うステップを含む、方法。
【0244】
実施形態74.複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップをさらに含む、実施形態73に記載の方法。
【0245】
実施形態75.同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップをさらに含む、実施形態74に記載の方法。
【0246】
実施形態76.識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性を識別するステップをさらに含む、実施形態75に記載の方法。
【0247】
実施形態77.識別された特性を含む1種または複数の追加の試験化合物について、相対分配特性を決定するステップをさらに含む、実施形態76に記載の方法。
【0248】
実施形態78.凝縮物への化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を実施形態36に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)標的化合物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;ならびに(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップを含む、方法。
【0249】
実施形態79.凝縮物への化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を実施形態44に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての相対分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;ならびに(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップを含む、方法。
【0250】
実施形態80.凝縮物への化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法であって、(a)複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを実施形態73に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップ;(c)同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップ;ならびに(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性を識別するステップを含む、方法。
【0251】
実施形態81.標的凝縮物に対する所望の分配特性を有する化合物を設計する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を実施形態36に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップ;ならびに(e)識別された特性を含む化合物を設計するステップを含む、方法。
【0252】
実施形態82.所望の相対分配特性を有する化合物を設計する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を実施形態44に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての相対分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップ;ならびに(e)識別された特性を含む化合物を設計するステップを含む、方法。
【0253】
実施形態83.所望の凝縮物優先プロファイルを有する化合物を設計する方法であって、(a)複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを実施形態73に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップ;(c)同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性を識別するステップ;ならびに(e)識別された特性を含む化合物を設計するステップを含む、方法。
【0254】
実施形態84.化合物を作製するステップをさらに含む、実施形態81から83のいずれか一項に記載の方法。
【0255】
実施形態85.候補化合物の群から所望の分配特性について試験化合物をスクリーニングする方法であって、(a)候補化合物の群のそれぞれの分配特性を決定するステップ;および(b)所望の分配特性を有する試験化合物を識別するステップを含む、方法。
【0256】
実施形態86.候補化合物の群のそれぞれの分配特性が、in vitroで決定される、実施形態85に記載の方法。
【0257】
実施形態87.試験化合物が、個体における疾患を処置するために有用である適切な分配特性を有する、実施形態85または85に記載の方法。
【0258】
実施形態88.それを必要とする個体において疾患を処置するために有用な試験化合物を識別する方法であって、(a)疾患に関連する標的凝縮物を識別するステップ;(b)標的凝縮物中の候補化合物の分配特性を決定するステップ;および(c)疾患を処置するために有用な適切な分配特性を有する試験化合物を識別するステップを含む、方法。
さらなる例示的な実施形態
【0259】
提供される実施形態には、以下もある。
【0260】
E1.標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、(a)試験化合物、ならびに標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を組み合わせるステップ;(b)標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する、方法。
【0261】
E2.ステップ(a)の前に、標的凝縮物の形成を引き起こすステップをさらに含む、実施形態E1に記載の方法。
【0262】
E3.標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、(a)試験化合物の存在下で標的凝縮物の形成を引き起こして、標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を得るステップ;ならびに(b)標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する、方法。
【0263】
E4.ステップ(a)の前に、試験化合物、および前駆体分子を含む前駆体組成物を組み合わせるステップをさらに含む、実施形態E3に記載の方法。
【0264】
E5.ステップ(a)の前に、試験化合物を前駆体分子を含む前駆体組成物に添加するステップをさらに含む、実施形態E3に記載の方法。
【0265】
E6.余分な凝縮物溶液中の試験化合物の量を決定するステップをさらに含む、実施形態E1からE5のいずれか一項に記載の方法。
【0266】
E7.標的凝縮物中の試験化合物の量が、余分な凝縮物溶液中の試験化合物の量が決定される前、それと同時に、またはその後に決定される、実施形態E6に記載の方法。
【0267】
E8.標的凝縮物中の試験化合物の量および余分な凝縮物溶液中の試験化合物の量の比を決定するステップをさらに含む、実施形態E6またはE7に記載の方法。
【0268】
E9.標的凝縮物を余分な凝縮物溶液から分離するステップをさらに含む、実施形態E1からE8のいずれか一項に記載の方法。
【0269】
E10.標的凝縮物中の試験化合物の量を決定するステップの前に標的凝縮物を識別するステップをさらに含む、実施形態E1からE9のいずれか一項に記載の方法。
【0270】
E11.標的凝縮物の調節不全が、疾患に関連する、実施形態E1からE10のいずれか一項に記載の方法。
【0271】
E12.標的凝縮物を、それらに含まれる1種または複数の高分子を識別することによって特性評価するステップをさらに含む、実施形態E1からE11のいずれか一項に記載の方法。
【0272】
E13.識別するステップが、標的凝縮物中の1種または複数の高分子の量を決定することを含む、実施形態E12に記載の方法。
【0273】
E14.標的凝縮物中の試験化合物の量および標的凝縮物中の1種または複数の高分子の量の比を決定するステップをさらに含む、実施形態E13に記載の方法。
【0274】
E15.標的凝縮物が、本質的に無秩序な配列を含むタンパク質を含む、実施形態E1からE14のいずれか一項に記載の方法。
【0275】
E16.標的凝縮物を可視化するために、標的凝縮物を標識するステップをさらに含む、実施形態E1からE15のいずれか一項に記載の方法。
【0276】
E17.標的凝縮物が、放射性標識、比色標識または蛍光標識で標識される、実施形態E16に記載の方法。
【0277】
E18.組成物が細胞を含む、実施形態E1からE17のいずれか一項に記載の方法。
【0278】
E19.細胞が、微生物または動物細胞である、実施形態E18に記載の方法。
【0279】
E20.細胞が、調節不全であると決定される凝縮物を含む、実施形態E18またはE19に記載の方法。
【0280】
E21.細胞が、神経変性疾患または増殖性疾患の1つまたは複数の特徴を有する、実施形態E18からE20のいずれか一項に記載の方法。
【0281】
E22.標的凝縮物が、細胞凝縮物である、実施形態E1からE21のいずれか一項に記載の方法。
【0282】
E23.細胞凝縮物が、切断体、P顆粒、ヒストン遺伝子座体、多胞体、神経RNA顆粒、核ジェム、核孔、核スペックル、核ストレス体、核内小体、Oct1/PTF/転写(OPT)ドメイン、パラスペックル、核周囲区画、PML核小体、PML発癌性ドメイン、ポリコーム体、プロセシング体、Sam68核小体、ストレス顆粒またはスプライシングスペックルである、実施形態E22に記載の方法。
【0283】
E24.標的凝縮物が、細胞中にある、実施形態E1からE23のいずれか一項に記載の方法。
【0284】
E25.細胞が、微生物または動物細胞である、実施形態E24に記載の方法。
【0285】
E26.細胞が、神経変性疾患または増殖性疾患の1つまたは複数の特徴を有する、実施形態E24またはE25に記載の方法。
【0286】
E27.余分な凝縮物溶液が、細胞内液である、実施形態E1からE26のいずれか一項に記載の方法。
【0287】
E28.細胞内液が、サイトゾルまたはヌクレオゾルである、実施形態E27に記載の方法。
【0288】
E29.標的凝縮物が、細胞中にない、実施形態E1からE21のいずれか一項に記載の方法。
【0289】
E30.標的凝縮物が、細胞外凝縮物である、実施形態E29に記載の方法。
【0290】
E31.余分な凝縮物溶液が、細胞外液である、実施形態E1からE22またはE29からE30のいずれか一項に記載の方法。
【0291】
E32.細胞外液が、間質液である、実施形態E31に記載の方法。
【0292】
E33.無細胞アッセイ法である、実施形態E1からE17のいずれか一項に記載の方法。
【0293】
E34.組成物が、高分子、塩および緩衝剤のうちの1種または複数を含む、実施形態E1からE33のいずれか一項に記載の方法。
【0294】
E35.組成物が、2種またはそれよりも多くの標的凝縮物を含む、実施形態E1からE34のいずれか一項に記載の方法。
【0295】
E36.1種または複数の追加の凝縮物について方法のステップを繰り返すステップを含む、実施形態E1からE35のいずれか一項に記載の方法。
【0296】
E37.試験化合物が、小分子、ポリペプチドまたは核酸である、実施形態E1からE36のいずれか一項に記載の方法。
【0297】
E38.試験化合物が、試験化合物標識を含む、実施形態E1からE37のいずれか一項に記載の方法。
【0298】
E39.試験化合物標識が、放射性標識、比色標識または蛍光標識である、実施形態E38に記載の方法。
【0299】
E40.試験化合物標識が蛍光標識である、実施形態E38またはE39に記載の方法。
【0300】
E41.試験化合物の量が、試験化合物標識を検出することによって決定される、実施形態E38からE40のいずれか一項に記載の方法。
【0301】
E42.試験化合物の量が、質量分析、液体クロマトグラフィーおよび/または紫外可視分光法によって決定される、実施形態E1からE41のいずれか一項に記載の方法。
【0302】
E43.標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、複数の試験化合物を用いて実施形態E1からE42のいずれか一項に記載の方法を行うステップを含む、方法。
【0303】
E44.標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップをさらに含む、実施形態E43に記載の方法。
【0304】
E45.標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップをさらに含む、実施形態E44に記載の方法。
【0305】
E46.識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップをさらに含む、実施形態E45に記載の方法。
【0306】
E47.識別された特性を含む1種または複数の追加の試験化合物について、標的凝縮物における分配特性を決定するステップをさらに含む、実施形態E46に記載の方法。
【0307】
E48.識別された特性を含まない1種または複数の追加の試験化合物について、標的凝縮物における分配特性を決定するステップをさらに含む、実施形態E46またはE47に記載の方法。
【0308】
E49.標的凝縮物中の試験化合物の相対的分配特性を決定する方法であって、(i)試験化合物の分配特性を、試験化合物を用いて実施形態E1からE42のいずれか一項に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(ii)参照化合物の分配特性を、参照化合物を用いて実施形態E1からE42のいずれか一項に記載の方法を行うことによって決定するステップ;ならびに(iii)(i)および(ii)において決定された分配特性の比を計算するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性を決定する、方法。
【0309】
E50.試験化合物が、試験化合物標識を含む、実施形態E49に記載の方法。
【0310】
E51.参照化合物が、試験化合物標識である、実施形態E50に記載の方法。
【0311】
E52.標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を決定する方法であって、(1)実施形態E49からE51のいずれか一項に記載の方法を行うステップ;ならびに(2)複数の試験化合物を用いてステップ(i)および(iii)を繰り返すステップを含む、方法。
【0312】
E53.複数の試験化合物のサブセットまたはすべての標的凝縮物における相対分配特性を比較するステップをさらに含む、実施形態E52に記載の方法。
【0313】
E54.標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップをさらに含む、実施形態E53に記載の方法。
【0314】
E55.識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップをさらに含む、実施形態E54に記載の方法。
【0315】
E56.識別された特性を含む1種または複数の追加の試験化合物について、標的凝縮物における相対分配特性を決定するステップをさらに含む、実施形態E55に記載の方法。
【0316】
E57.識別された特性を含まない1種または複数の追加の試験化合物について、標的凝縮物における相対分配特性を決定するステップをさらに含む、実施形態E55またはE56に記載の方法。
【0317】
E58.試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、(a)第1の標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を、実施形態E1からE42のいずれか一項に記載の方法を使用して決定するステップ;(b)第2の標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を、実施形態E1からE42のいずれか一項に記載の方法を使用して決定するステップ;ならびに(c)第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物において決定された試験化合物の分配特性の比を計算するステップを含み、それにより試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する、方法。
【0318】
E59.第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物が、同じ組成物中にある、実施形態E58に記載の方法。
【0319】
E60.第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物が、異なる組成物中にある、実施形態E58に記載の方法。
【0320】
E61.第1の標的凝縮物中の試験化合物の分配特性が、第2の標的凝縮物中の試験化合物の分配特性が決定される前、それと同時に、またはその後に決定される、実施形態E58からE60のいずれか一項に記載の方法。
【0321】
E62.試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、(a)第1の標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性を、実施形態E49からE51のいずれか一項に記載の方法を使用して決定するステップ;(b)第2の標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性を、実施形態E49からE51のいずれか一項に記載の方法を使用して決定するステップ;ならびに(c)第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物において決定された試験化合物の分配特性の比を計算するステップを含み、それにより試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する、方法。
【0322】
E63.第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物が、同じ組成物中にある、実施形態E62に記載の方法。
【0323】
E64.第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物が、異なる組成物中にある、実施形態E62に記載の方法。
【0324】
E65.第1の標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性が、第2の標的凝縮物中の試験化合物の相対分配特性が決定される前、それと同時に、またはその後に決定される、実施形態E62からE64のいずれか一項に記載の方法。
【0325】
E66.第1の凝縮物標的凝縮物および第2の標的凝縮物を可視化するために、第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物を標識するステップをさらに含む、実施形態E58からE65のいずれか一項に記載の方法。
【0326】
E67.第1の標的凝縮物および第2の標的凝縮物が、異なる標識で標識される、実施形態E66に記載の方法。
【0327】
E68.方法が、1種または複数の追加の標的凝縮物について方法のステップを繰り返すステップを含む、実施形態E58からE67のいずれか一項に記載の方法。
【0328】
E69.複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを決定する方法であって、複数の試験化合物を用いて実施形態E58からE68のいずれか一項に記載の方法を行うステップを含む、方法。
【0329】
E70.複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップをさらに含む、実施形態E69に記載の方法。
【0330】
E71.同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップをさらに含む、実施形態E70に記載の方法。
【0331】
E72.識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性を識別するステップをさらに含む、実施形態E71に記載の方法。
【0332】
E73.識別された特性を含む1種または複数の追加の試験化合物について、相対分配特性を決定するステップをさらに含む、実施形態E72に記載の方法。
【0333】
E74.識別された特性を含まない1種または複数の追加の試験化合物について、相対分配特性を決定するステップをさらに含む、実施形態E72またはE73に記載の方法。
【0334】
E75.凝縮物へ、または凝縮物からの化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を実施形態E43に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)標的化合物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;ならびに(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップを含む、方法。
【0335】
E76.凝縮物へ、または凝縮物からの化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を実施形態E52に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての相対分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;ならびに(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップを含む、方法。
【0336】
E77.凝縮物へ、または凝縮物からの化合物の分配に関連する化合物の特性を識別する方法であって、(a)複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを実施形態E69に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップ;(c)同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップ;ならびに(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性を識別するステップを含む、方法。
【0337】
E78.標的凝縮物へ、または標的凝縮物からの所望の分配特性を有する化合物を設計する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の分配特性を実施形態E43に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップ;ならびに(e)(i)識別された特性を含む化合物を設計するステップ;または(ii)識別された特性を含まない化合物を設計するステップを含み、それにより標的凝縮物へ、または標的凝縮物からの所望の分配特性を有する化合物を設計する、方法。
【0338】
E79.標的凝縮物へ、または標的凝縮物からの所望の相対分配特性を有する化合物を設計する方法であって、(a)標的凝縮物中の複数の試験化合物の相対分配特性を実施形態E52に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)標的凝縮物中の複数の試験化合物のサブセットまたはすべての相対分配特性を比較するステップ;(c)標的凝縮物において同じまたは類似の相対分配特性を有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の相対分配特性に加えて共通して有する特性を識別するステップ;ならびに(e)(i)識別された特性を含む化合物を設計するステップ;または(ii)識別された特性を含まない化合物を設計するステップを含み、それにより標的凝縮物へ、または標的凝縮物からの所望の相対分配特性を有する化合物を設計する、方法。
【0339】
E80.所望の凝縮物優先プロファイルを有する化合物を設計する方法であって、(a)複数の試験化合物の凝縮物優先プロファイルを実施形態E69に記載の方法を行うことによって決定するステップ;(b)複数の試験化合物のサブセットまたはすべての凝縮物優先プロファイルを比較するステップ;(c)同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルを有する試験化合物を識別するステップ;(d)識別された試験化合物のサブセットまたはすべてが、同じまたは類似の凝縮物優先プロファイルに加えて共通して有する特性を識別するステップ;ならびに(e)(i)識別された特性を含む化合物を設計するステップ;または(ii)識別された特性を含まない化合物を設計するステップを含み、それにより所望の凝縮物優先プロファイルを有する化合物を設計する、方法。
【0340】
E81.化合物を作製するステップをさらに含む、実施形態E78からE80のいずれか一項に記載の方法。
【0341】
E82.候補化合物の群から所望の分配特性について試験化合物をスクリーニングする方法であって、(a)候補化合物の群のそれぞれの分配特性を決定するステップ;および(b)所望の分配特性を有する試験化合物を識別するステップを含む方法。
【0342】
E83.候補化合物の群のそれぞれの分配特性が、in vitroで決定される、実施形態E82に記載の方法。
【0343】
E84.試験化合物が、個体における疾患を処置するために有用である適切な分配特性を有する、実施形態E82またはE83に記載の方法。
【0344】
E85.それを必要とする個体において疾患を処置するために有用な試験化合物を識別する方法であって、(a)疾患に関連する標的凝縮物を識別するステップ;および(b)標的凝縮物中の候補化合物の分配特性を決定するステップ;および(c)疾患を処置するために有用な適切な分配特性を有する試験化合物を識別するステップを含む方法。
【0345】
E86.標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する方法であって、(a)試験化合物、ならびに標的凝縮物および余分な凝縮物溶液を含む組成物を組み合わせるステップ;(b)参照対照を得るステップ;(c)余分な凝縮物溶液中の試験化合物またはその一部のMSシグナルを質量分析技法を使用して測定するステップ;(d)参照対照中の試験化合物またはその一部のMSシグナルを質量分析技法を使用して測定するステップ;ならびに(e)余分な凝縮物溶液からの試験化合物のMSシグナル、および参照対照からの試験化合物のMSシグナルを比較するステップを含み、それにより標的凝縮物中の試験化合物の分配特性を決定する、方法。
【0346】
E87.組成物と組み合わされる試験化合物の量が、100nMまたはそれよりも少なく、標的凝縮物を含む組成物中の前駆体分子の量が、約5μMである、実施形態E86に記載の方法。
【0347】
E88.複数の化合物を含むライブラリーであって、複数の化合物のそれぞれの化合物が、所望の分配特性を有する特性を含む同じ部分を含む、ライブラリー。
【0348】
E89.所望の分配特性を有する試験化合物を設計する方法であって、試験化合物の前駆体を部分を化合物に結合させることによって修飾するステップを含み、部分が、所望の分配特性を有する特性を含む、方法。
【0349】
当業者は、いくつかの実施形態が、本出願の開示の範囲および精神内で可能であることを認識する。本開示を、下記の実施例によってさらに説明し、これは、範囲または精神において、本開示をここに記載の特定の手順に限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0350】
(実施例1)
溶液に基づく凝縮物中の1種または複数の化合物の特性評価
凝縮物を、溶液中で形成する。例えば、高濃度の塩、および凝縮物を形成することができる高濃度の1種または複数のタンパク質を含む溶液を、生理学的な塩の状態を模倣する緩衝液に希釈する。
【0351】
あるいは、凝縮物を形成することができる1種または複数のタンパク質を含む溶液を、緩衝液に希釈し、クラウディング剤を添加する。特異的な一実施形態では、凝縮物を形成することができるタンパク質を、25mMのTris-HCl(pH7.4)、150mMのKCl、2.5%のグリセロールおよび0.5mMのDTTを含有する緩衝液中の10%のデキストランと混合する。
【0352】
試験化合物を、凝縮物形成の前または後に、溶液に添加する。凝縮物形成の後に添加する場合、溶液を、インキュベートして、試験化合物の分配を可能にする。
【0353】
凝縮物の密度は、典型的には、周囲の溶液よりも高く、その結果、凝縮物は沈降する。一部の例では、凝縮物は画像化される。例えば、凝縮物中で濃縮されることが公知の色素または標識化タンパク質を使用して、凝縮物を可視化する。
【0354】
一部の例では、上清液体を、凝縮物から除去する。一部の例では、上清液体を分析して、存在する化合物の量を決定する。
【0355】
凝縮物を分析して、存在する化合物の量を決定する。一部の例では、凝縮物中の化合物の上清中の化合物に対する比を計算する。
(実施例2)
溶液に基づくFUSおよびPGL-3凝縮物中の色素化合物の特性評価
【0356】
種々の例示的な試験化合物を、例示的な方法を使用してアッセイして、分配特性、相対分配特性および凝縮物優先プロファイルを決定した。この実施例について、使用した例示的な試験化合物は色素であったが、しかしながら、試験化合物は色素に限定されない。全手順を、異なる日において、異なる順序で、2回の独立した実験で2回行った。
試料調製
【0357】
すべての色素ストックを、100%のDMSO中の1mM溶液として保管した。使用した色素を表1に示す。色素を、希釈緩衝液(DB:14.7mMのTris、pH7.25、1mMのDTT)に溶解して、1.1765%のDMSO中の11.765μMの色素を得た。17μlの色素を、384ウェルの非結合プレート(Greiner)に分注した。
表1.アッセイ色素
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0358】
SNAPタグ化FUSタンパク質またはタグなしのPGL-3タンパク質のいずれかを室温で少なくとも10分間解凍し、緩衝液を分配緩衝液(PB:50mMのTris pH7.25、500mMのKCl、5%のグリセロール、および1mMのDTT)に交換した。次いで、タンパク質を33.3μMにPBに希釈した。3μlのタンパク質溶液を、384ウェルプレートに添加して、相分離を開始し、75mMのKCl、0.75%のグリセロール、20mMのTris、1mMのDTTおよび1%のDMSO中の20μlの5μMのタンパク質および10μMの色素、または色素なし対照反応のために、75mMのKCl、0.75%のグリセロール、20mMのTris、1mMのDTT中の20μlの5μMのタンパク質を得た。
画像化
【0359】
回転ディスク共焦点顕微鏡を使用して、試料の画像を得た。60倍の油高NA対物レンズを使用して、凝縮物の液滴を捕捉した。レーザー出力を20%に設定し、曝露時間を、それぞれの色素に特異的な蛍光発光強度に調整した。曝露時間は1~1000msの範囲であった。適当なフィルター設定を使用し、それぞれの色素の励起および発光スペクトルに合わせた。それぞれの色素について使用したチャネルを表1に示す。ウェルあたり3画像を取得した。例示的な画像を
図1に示す。色素の非存在下でのタンパク質の液滴の背景シグナルを、すべての適用される画像化条件について記録した。
画像およびデータの解析
【0360】
蛍光強度を、画像分析ソフトウェアFijiを手動で使用することによって、画像ごとに1つの例示的な標的凝縮物の内部(内側強度、I-内部)および例示的な標的凝縮物の隣の領域(外側強度、I-外部)を測定した。測定された領域を表す例を
図2Aに示す。3つのI-内部および3つのI-外部の値を、それぞれの実験においてそれぞれの色素について全体で測定し、平均した。実験の1日におけるFUS-SNAP凝縮物について測定されたI-内部およびI-外部の値を、表2および表3にそれぞれ示す。実験の1日におけるPGL-3凝縮物について測定されたI-内部およびI-外部の値を、表4および表5にそれぞれ示す。すべての値は、同じ顕微鏡条件で取得された背景画像(色素対照なし)に基づいて、背景補正した。例示的な背景画像を
図2Bに示し、測定されたI-内部またはI-外部の背景測定値を表3~5に示す。
表2. FUS-SNAP凝縮物の内側の色素の測定値
【表2-1】
【表2-2】
表3. FUS-SNAP凝縮物の外側の色素の測定値
【表3】
表4. PGL-3凝縮物の内側の色素の測定値
【表4】
表5. PGL-3凝縮物の外側の色素の測定値
【表5-1】
【表5-2】
【0361】
標的凝縮物中および標的凝縮物の外側で測定された平均強度の比を、I-内部をI-外部で除算することによって計算したが、I-外部をI-内部で除算することも使用し得る。次いで、実験の2つの異なる日から決定したI-内部:I-外部比を平均した。個々の日および平均のI-内部:I-外部比を表6に示す。FUS-SNAP凝縮物の平均I-内部:I-外部比を
図3に示し、PGL-3凝縮物の平均I-内部:I-外部比を
図4に示す。2つの実験間の標準偏差を、
図3および
図4のエラーバーによって表す。
【0362】
FUS-SNAPのI-内部:I-外部のPGL-3のI-内部:I-外部に対する比も計算し、表6および
図5に示す。
表6.色素強度の計算比
【表6-1】
【表6-2】
N/A:誤差が色素の低シグナルに起因して多すぎたので、適用されない
【0363】
試験したすべての化合物は、PGL-3によって形成された凝縮物よりもFUS-SNAP凝縮物に分配されることが好ましいと思われる。化合物番号1(DAPI)、番号11(フルオレセイン-12-UTP)、番号16(ローダミンB)、番号17(ローダミン101内塩)および番号18(ローダミン800)は、4またはそれよりも高いFUS-SNAP凝縮物についてのI-内部:I-外部比を有する。化合物番号11、番号16、番号17および番号18は、好ましくは、PGL-3と比較して、3またはそれよりも高い比で、FUS-SNAP凝縮物中に分配された。
(実施例3)
FUS凝縮物中の分配された化合物およびFUSの共局在化
【0364】
実施例2において凝縮物に分配された化合物を確認するために、9.3の平均I-内部:I-外部比を有する、FUS、色素番号18(ローダミン800)を含有する凝縮物をさらに評価した。
試料調製
【0365】
FUS-GFP凝縮物を、色素18を使用して、実施例2におけるFUS-SNAPについての記載の通り調製した。
画像化
【0366】
回転ディスク共焦点顕微鏡を使用して、試料の画像を得た。60倍の油高NA対物レンズを使用して、凝縮物の液滴を捕捉した。レーザー出力を20%に設定し、曝露時間を、それぞれの色素に特異的な蛍光発光強度に調整した。曝露時間は1~1000msの範囲であった。適当なフィルター設定を使用して、色素およびGFPの励起および発光スペクトルに合わせた。色素なしでFUS-GFPを含有する凝縮物の対照画像を取得した。
結果
【0367】
得られた画像を
図6に示す。GFP標識FUSを、色素の存在下または非存在下、凝縮物中で検出した。色素18を凝縮物中で検出し、FUSタンパク質および色素は凝縮物中で共局在化した。色素なし対照について、蛍光は、ローダミン800チャネルを使用して画像を得た場合に、凝縮物中で検出されなかった。
(実施例4)
質量分析アッセイを使用する化合物のセットの分配特性の決定
【0368】
質量分析に基づく方法を開発して、例示的な試験化合物の分配特性を測定した。質量分析に基づく方法からの測定値を、実施例2において開示された蛍光に基づくアッセイを使用して得られた測定値と比較した。
方法
【0369】
タンパク質緩衝液を調製した(50mMのTris、pH7.25、500mMのKCl、1mMのDTTおよび5%のグリセロール)。高い塩濃度のタンパク質緩衝液は、そこに含有される高分子、例えば、タンパク質の相分離を防止する。70μMのFUS-SNAPタンパク質のストック溶液の20μlのアリコートを、タンパク質緩衝液中で調製した。FUS-SNAPタンパク質のストック溶液のアリコートを、凍結し、使用前まで保管した。希釈緩衝液を調製した(14.7mMのTris、pH7.25および1mMのDTT)。
【0370】
70μMのFUS-SNAPタンパク質のストック溶液のアリコートを、室温で約10分間、解凍した。タンパク質のストック溶液のアリコートは、目に見える沈殿物がない澄明に見えた。解凍したタンパク質のストック溶液を、遠心分離フィルター(Millipore、UFC30VV00)を使用して濾過した。簡潔には、タンパク質のストック溶液のアリコートを、ファイルされた遠心分離に添加し、室温で1分間、20,000rcfで遠心分離した。フロースルーを収集した。フロースルーのタンパク質濃度を測定し、33.3μMのFUS-SNAPの溶液を、濾過したフロースルーおよび希釈緩衝液を希釈することによって調製した。
【0371】
40μLの試験反応物を、PCR管またはPCRストリップ(8ウェル;AXYGEN(商標)8-ストリップPCR管、0.2mL)中で、以下を使用して調製した:(i)1%の最終DMSO濃度を得るために、所与の濃度で試験化合物およびDMSOを有する34μLの希釈緩衝液、ならびに(ii)6μLの33.3μMのFUS-SNAP濾過タンパク質溶液。40μLの反応物の最終濃度は、試験化合物を含有する反応物、所望の試験化合物濃度について、5μMのFUS-SNAP、75mMのKCl、20mMのTris、0.75%のグリセロール、1mMのDTT、1%のDMSOであった。
【0372】
40μLの参照反応物を、試験化合物についての記載の通り調製したが、試験化合物はこの段階で添加しなかった。
【0373】
試験反応物および参照反応物を、室温で15分間インキュベートした。試験反応物内では、FUS-SNAPタンパク質(凝縮相)の凝縮された高密度液滴(mMのタンパク質濃度)が、FUS-SNAP希薄相の低濃縮溶液(μMのタンパク質濃度)の環境に存在すると予想される。試験化合物は、凝縮相に分配されてもよく、または分配されなくてもよく、外側の濃度の低減(希薄相中の試験化合物)および内側の濃度の増加(液滴中の試験化合物)を引き起こす。高密度液滴の体積は、反応物の総体積よりも少なくとも1000倍小さい、例えば、20μLの反応物中に20nLの凝縮相であると推定される。
【0374】
15分のインキュベーション時間の後、試験反応物および参照反応物を処理して、上清(希薄相)から凝縮物(高密度液滴)を分離した。簡潔には、試験反応物および参照反応物を、20℃の冷却した遠心分離機において、10,000rcfで10分間遠心分離した。PCRストリップを使用する場合、使用するローターはエッペンドルフF-45-48-5-PCRであった。それぞれの管からの35μLの上清を除去し、凝縮物を含有するペレットを乱さないように注意深く新しい管に移した。
【0375】
参照反応物について、既知量の試験化合物を、上清(凝縮物に関連しないタンパク質を含有する)を含有する管に添加し、その結果、最終化合物濃度は、試験反応物中の化合物の初期濃度と同じである。参照反応物は、試験反応物の上清中のタンパク質の量を測定すること、および得られた情報に基づいて上清溶液を再現することによって形成することもできる。参照反応物からの上清に添加された既知量の化合物を使用して、試験反応物の質量分析シグナルを較正した。
【0376】
加えて、化合物を、形成された凝縮物中の化合物の量を直接測定するために、試験反応物から抽出した。ある量の試験化合物を含む上清を、凝縮されたタンパク質を含むペレットから分離した。簡潔には、それぞれのPCR管の蓋をはさみで取り除き、それぞれのPCR管を1.5mLのエッペンドルフ管に逆さまに配置した。次いで、管を、標準卓上遠心分離機において、2,000rcfで5秒間遠心分離した。PCRストリップを使用した場合、PCRストリップを、エッペンドルフマイクロプレート96/V-PP(カタログ番号951040188)に逆さまに塞ぎ、4,500rcfで1分間遠心分離することができる。その後、化合物を、ACN:MeOH(1:1)の溶液を使用して、それぞれのペレットから単離した。試料は、必要により超音波処理してもよい。
【0377】
試験反応物および参照反応物からの得られた試料を、質量分析によって分析した。関連の上清試験反応物および参照反応物の間の対応するMSシグナルの積分間の比は、形成された凝縮物への分配に起因する試験化合物の枯渇を反映した。
【0378】
試験化合物の分配特性も、実施例2に開示の蛍光に基づくアッセイ方法を使用して決定した。
結果
【0379】
ローダミン101(Rho101)、ローダミン800(Rho808)、ローダミンB(Rho B)、ローダミン123(Rho123)およびフルオレセインを、上記の議論の通り、蛍光に基づくアッセイおよび質量分析に基づくアッセイの両方を使用して評価した。
図7に示されるように、2つの試験方法は、すべての試験化合物について良好に一致する分配特性の測定値を生じた。測定値を使用して、凝縮物に関連する化合物濃度の凝縮物に関連しない化合物濃度に対する比を、それぞれの化合物について計算した。外相に対して1/1000の凝縮物の体積分率を使用した。結果を表7に提示する。
表8.外の化合物濃度に対する内の化合物濃度の比
【表8】
【0380】
加えて、ペレット化した凝縮物試料を処理して、それら中の試験化合物を抽出および定量化した。結果は、凝縮物中の試験化合物の量および上清中の試験化合物の量の合計が、試験反応物に添加された試験化合物の合計量と一致することを実証した(データは提示しない)。
【0381】
本明細書において実証されるように、質量分析に基づくアッセイは、化合物の分配特性を定量的に決定するための頑強で鋭敏なアッセイである。この技法は、ハイスループット選別として有用である。ある特定の追加平均は、この質量分析に基づくアッセイについて理解される。例えば、質量分析に基づくアッセイは、蛍光化合物に限定されず、仮説がない技法であり(すなわち、試験化合物の識別はアッセイの前に公知である必要はない)、液滴の内側で起こり得る蛍光消光に限定されず、実施例5において実証されるように、容易にマルチプレックス化できる。
(実施例5)
【0382】
この実施例は、上清中の試験化合物の測定において、試験反応物中で異なる濃度の試験化合物を使用する影響を評価する。
【0383】
試験反応物および参照対照を、実施例4に記載の通り調製した。フルオレセイン(FUS凝縮物に分配されないとして識別された)およびローダミン101(FUS凝縮物に分配されるとして識別された)を、0.01μM、0.1μM、1μMおよび10μMで、別々の試験反応物で評価した。
結果
【0384】
図8に示されるように、フルオレセインは、試験した濃度のいずれでもFUS凝縮物に分配されず、フルオレセインの分配特性は濃度非依存性である。ローダミン101は、より低い化合物濃度でFUS凝縮物に分配されるのが観察された(
図8を参照されたい;0.01μMおよび0.1μM)。データは、平均±SD、N=3の技術反復を表す。
図8に図示されるように、分配特性の検出効率は、低減された化合物濃度について改善する。凝縮物に分配する化合物の量は少なくあり得るので、試験反応物に添加されるよりも少ない量の試験化合物を使用することで、参照対照と比べて上清化合物濃度の小さな変化の検出を可能にし得る。
(実施例6)
マルチプレックス質量分析枯渇アッセイ
【0385】
この実施例は、複数の試験化合物を含む研究系についての実施例4に開示の質量分析に基づくアッセイの使用を実証する。
方法
【0386】
FUS-SNAPタンパク質反応物および参照反応物を、実施例4に記載の通り調製した。試験反応物について、フルオレセインおよびローダミンBを含む4種の化合物のセットを使用して、0.01μM、0.1μMおよび1μMの濃度で単一化合物を有する試験反応物、ならびに4種の化合物すべての混合物を有する試験反応物を作出した。すべての試料は三反復で調製した。すべての試料を、実施例4に記載の質量分析に基づくアッセイを使用して分析した。
結果
【0387】
図9Aに示されるように、単一化合物試験反応物についてのFUS-SNAP凝縮物の外側の測定されたフルオレセインの画分は、4種の化合物の混合物の存在下でFUS-SNAP凝縮物の外側の測定されたフルオレセインの画分と一致した。
図9Bに示されるように、単一化合物試験反応物についてのFUS-SNAP凝縮物の外側の測定されたローダミンB(Rho B)の画分は、4種の化合物の混合物の存在下でFUS-SNAP凝縮物の外側の測定されたローダミンBの画分と一致した。これは、質量分析に基づく技法を、例えば、より多くの複合体系のハイスループットおよび/または研究を可能にする、マルチプレックスアッセイのために使用することができることを実証する。
(実施例7)
質量分析に基づくアッセイを使用するマルチプレックス化
【0388】
この実施例は、複数の試験化合物を含む研究系についての実施例4に開示の質量分析に基づくアッセイの使用をさらに実証する。
方法
【0389】
FUS-SNAPタンパク質反応物および参照反応物を、実施例4に記載の通り調製した。試験反応物について、フルオレセインおよびローダミン101を個々にアッセイし、プールした化合物の3つのセットもアッセイした。第1のプールは、10化合物(フルオレセインを含む)を有し、第2のプールは、15化合物(フルオレセインおよびローダミン101を含む)を有し、第3のプールは、20化合物(フルオレセインおよびローダミン101を含む)を有していた。すべての試料を三反復で調製およびアッセイした。すべての試料を、実施例4に記載の質量分析に基づくアッセイを使用して分析した。
結果
【0390】
図10に示されるように、例えば、凝縮物の存在に起因する上清中の試験化合物の枯渇を測定する記載のアッセイは、化合物のプールサイズとは独立して、個々の化合物の分配特性を測定することができる。これらの結果は、化合物を大きなプールサイズで混合することができ、個々に評価された単一化合物の分配特性測定に匹敵する測定が依然として可能であることを実証する。したがって、本明細書に記載の質量分析に基づくアッセイは、ハイスループットスクリーニングを可能にする。
【国際調査報告】