(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】自動車両の照明システム
(51)【国際特許分類】
F21S 41/153 20180101AFI20220316BHJP
F21S 41/155 20180101ALI20220316BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20220316BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20220316BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220316BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20220316BHJP
F21W 102/10 20180101ALN20220316BHJP
F21W 103/60 20180101ALN20220316BHJP
【FI】
F21S41/153
F21S41/155
F21V23/00 140
F21S41/663
F21Y115:10
F21Y115:15
F21W102:10
F21W103:60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544560
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(85)【翻訳文提出日】2021-09-01
(86)【国際出願番号】 EP2020052363
(87)【国際公開番号】W WO2020157241
(87)【国際公開日】2020-08-06
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、アルボー
(72)【発明者】
【氏名】ソフィー、クレード
(72)【発明者】
【氏名】ターロ、ニシオ
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
(57)【要約】
本発明は、自動車両(100)の照明システムに関するものである。この照明システムは、車両の前部右側に取り付けられ、車両の前部に第1のピクセル化された光ビーム(110)を投射するように適合された少なくとも1つの第1の発光装置(105)を備える。照明システムは、車両の前部左側に取り付けられ、車両の前方に第2のピクセル化された光ビーム(120)を投射するように適合された、少なくとも1つの第2の発光装置(115)をさらに備える。高解像度ビームと呼ばれる、第1のピクセル化された光ビーム(105)および第2のピクセル化された光ビーム(110)の一方は、低解像度ビームと呼ばれるピクセル化された他方の光ビームのピクセル数の、少なくとも5倍以上、特に少なくとも10倍以上のピクセル数を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車両の照明システムであって、
- 車両の前部右側に取り付けられ、車両の前方に第1のピクセル化された光ビーム(120)を投射するように適合された、少なくとも1つの第1の発光装置(105)と、
- 車両の前部左側に取り付けられ、車両の前方に第2のピクセル化された光ビーム(110)を投射するように適合された、少なくとも1つの第2の発光装置(115)と、
を備え、
高解像度ビームと呼ばれる、第1のピクセル化された光ビーム(105)および第2のピクセル化された光ビーム(115)の一方が、低解像度ビームと呼ばれる他方のピクセル化された光ビームのピクセル数の少なくとも3倍以上のピクセル数を有することを特徴とする、照明システム。
【請求項2】
高解像度ビームと呼ばれる、前記第1のピクセル化された光ビーム(105)および前記第2のピクセル化された光ビーム(115)の一方が、低解像度ビームと呼ばれる他方のピクセル化された光ビームのピクセル数の少なくとも5倍以上、特に少なくとも10倍以上のピクセル数を有することを特徴とする、請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
一方の側に前記高解像度ビームを投射するように適合された発光装置のみを備えるとともにこれと同じ側に前記低解像度ビームを投射するように適合された発光装置を備えず、また、他方の側に前記低解像度ビームを投射するように適合された発光装置のみを備えるとともにこれと同じ他方の側に前記高解像度ビームを投射するように適合された発光装置を備えないことを特徴とする、請求項1から2のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項4】
前記低解像度ビーム(205)は前記高解像度ビーム(210)よりも大きな照明フィールドをカバーすることを特徴とする、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項5】
前記低解像度ビーム(205)は、前記高解像度ビーム(210)よりも広い角度のフィールドにわたって水平方向に広がることを特徴とする、請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項6】
前記低解像度ビーム(205)は、前記高解像度ビーム(210)よりも垂直方向に高く広がることを特徴とする、請求項1から5のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項7】
前記高解像度ビーム(210)は、前記低解像度ビーム(205)よりも垂直方向に低く広がることを特徴とする、請求項1から6のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項8】
前記低解像度ビーム(205)は、前記高解像度ビーム(210)よりも高い光度最大値を呈することを特徴とする、請求項1から7のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項9】
前記第1のピクセル化された光ビーム(120)および前記第2のピクセル化された光ビーム(110)のピクセルのスイッチONおよびOFFを選択的に制御するように適合された、前記少なくとも1つの第1の発光装置(105)および前記少なくとも1つの第2の発光装置(115)の制御モジュール(125)をさらに備えたことを特徴とする、請求項1から8のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項10】
前記第1のピクセル化された光ビーム(205)および前記第2のピクセル化された光ビーム(210)は、少なくとも部分的に重なっていることを特徴とする、請求項1から9のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項11】
前記制御モジュール(125)は、前記低解像度ビーム(305)の少なくとも1つのスイッチOFFされたピクセルに対応する領域内で、前記高解像度ビーム(325)の少なくとも1つのピクセルをスイッチONするように適合されていることを特徴とする、請求項10を組み合わせた請求項9に記載の照明システム。
【請求項12】
前記第1の発光装置(105)および前記第2の発光装置(115)は、前記車両の前方に、前方から来る車両や歩行者等に対応する暗部を投射するように適合されていることを特徴とする、請求項10から11のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項13】
前記第1のピクセル化された光ビーム(405)と前記第2のピクセル化された光ビーム(410)とが互いに分離されていることを特徴とする、請求項1から9のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項14】
前記高解像度ビーム(410)は、前記低解像度ビーム(405)よりも垂直方向に低く広がっていることを特徴とする、請求項13に記載の照明システム。
【請求項15】
前記高解像度ビーム(410)および前記低解像度ビーム(405)は、互いに横方向に配置されていることを特徴とする、請求項13または14のいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項16】
前記第1の発光装置(105)および前記第2の発光装置(115)は、画像、パターン、ロゴ、図面、シンボル、文字などのうちの少なくとも1つを路面に投射するために、車両の前方に投射するように適合されていることを特徴とする、請求項15に記載の照明システム。
【請求項17】
車両の前方に前記低解像度ビーム(120)を投射するように適合された前記発光装置(105)は、ステアリングホイール(130)が配置されている車両の同じ側に取り付けられており、車両の前方に高解像度ビーム(110)を投射するように適合された発光装置(115)は、車両の他の側に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から16のうちのいずれか一項に記載の照明システム。
【請求項18】
請求項1から17のうちのいずれか一項に記載の照明システムを搭載していることを特徴とする自動車両。
【請求項19】
車両の前方に前記低解像度ビーム(120)を投射するように適合された前記発光装置(105)は、ステアリングホイール(130)が配置されている車両の同じ側に取り付けられ、車両の前方に前記高解像度ビーム(110)を投射するように適合された前記発光装置(115)は、車両の他の側に取り付けられていることを特徴とする、請求項18に記載の自動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明システムに関し、より詳細には、車両用のフロントヘッドランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車両は、自動車両の前方を照らすためのフロントヘッドランプを備えている。フロントヘッドランプは、自動車両の前側の右部分および左部分に取り付けられるように構成されている。各ヘッドランプは、その前部の右に少なくとも1つの発光装置を含み、その前部の左に少なくとも1つの発光装置を含む。ここで、右と左は、車両の通常の循環方向と、運転位置に座っているユーザーに対して定義されている。これらの発光装置は、特に、ロービームおよび/またはハイビームタイプの光ビーム、および、DRL(daytime running lamp(昼間走行ランプ))、ポジションランプ、または方向指示ランプとも呼ばれる昼光色の信号ビームを放射するように適合されている。
【0003】
上述のビームに加えて、これらの発光装置は、車両の前方に高度な機能を投射するためにますます頻繁に適応されている。これらの光装置の分野における最近の開発により、高度な機能を投射するためにピクセル化された光ビームを生成することが可能になっている。ピクセル化された光ビームとは、既知の方法で、「ピクセル」と呼ばれる基礎光サブビームに細分化された光ビームのことである。このようなピクセル化された光ビームを用いて、光装置は、例えばステージ上にパターンを投射するなど、局所的な照明機能を実行することもできる。このような機能は、適応型照明の分野で知られている。例えば、グレアフリー照明は、前方から来る車両に対応する領域を暗くして、この他のユーザーを眩惑しないようにすることで知られている。また、別の例としては、装備した車両の前方を同じ方向に向かって走行する車両がある。この場合、この種の照明の目的は、対応する領域を暗くすることで、サイドミラーや内部ミラーへの反射によるユーザーの眩しさを避けることである。また、運転中の照明として、地面のマークや道路標識を強調して運転者に見えるようにしたり、運転者の可視情報を道路上に投射したりすることが知られている。
【0004】
しかし、このような高度な機能を実現する装置は、非常にコストが高い。また、一般的には消費電力も大きい。また、ビームの精度が高いため、慎重かつ複雑なアライメントが必要となり、コストがさらに上昇してしまう。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、自動車両の既知の照明システムの上述の欠点を解決することである。特に、本発明の目的は、低解像度および高解像度を有する2つの異なるピクセル化されたビームを投射することができる照明システムを提供し、照明システムが、車両に要求される光度を満たしつつ、高度な照明機能を効果的に実行することができるようにすることである。
【0006】
本発明の他の目的は、従来の照明システムよりも低コストで、両方のフロントヘッドランプから同じ解像度タイプのピクセル化された光ビームを投射する照明システムを提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、従来の照明システムと比べて消費電力が少ない照明システムを提供することである。
【0008】
本発明の非限定的な一実施形態によれば、車両の前部右側に取り付けられ、車両の前方に第1のピクセル化された光ビームを投射するように適合された少なくとも1つの第1の発光装置を備えた自動車両の照明システムが提供される。照明システムは、車両の前部左側に取り付けられ、車両の前方に第2のピクセル化された光ビームを投射するように適合された、少なくとも1つの第2の発光装置をさらに備えている。第1のピクセル化された光ビームおよび第2の光ビームの一方(高解像度ビームと呼ばれる)は、低解像度ビームと呼ばれる他方のピクセル化された光ビームのピクセル数の少なくとも3倍以上のピクセル数を有する。
【0009】
本発明の非限定的な一実施形態によれば、第1のピクセル化された光ビームおよび第2の光ビームの一方(高解像度ビームと呼ばれる)は、低解像度ビームと呼ばれる他方のピクセル化された光ビームのピクセル数の、少なくとも5倍以上、特に少なくとも10倍以上のピクセル数を有する。
【0010】
好ましくは、第1の発光装置は、車両の前部右側にのみ取り付けられるように適合され、第2の発光装置は、車両の前部左側にのみ取り付けられるように適合される。言い換えれば、第1および第2の発光装置を備えた照明システムは、一方の側に高解像度ビームを投射するように適合された発光装置のみを備えるとともにこれと同じ側には低解像度ビームを投射するように適合された発光装置がなく、また、他方の側に低解像度ビームを投射するように適合された発光装置のみを備えるとともにこれとこの同じ他方の側には高解像度ビームを投射するように適合された発光装置がない。そして、高解像度ビームを投射するように適合された発光装置が、車両に搭載される発光システムの一対の発光装置、一般的には左右のヘッドランプのうち、一方の側にのみ設けられているので、照明システムの全体的なコストが低減される。
【0011】
本発明の非限定的な一実施形態によれば、低解像度のビームは、高解像度のビームよりも大きな照明フィールドをカバーする。
【0012】
本発明の非限定的な一実施形態によれば、低解像度のビームは高解像度のビームよりも広い角度のフィールドにわたって水平方向に広がる。
【0013】
本発明の非限定的な一実施形態によれば、低解像度のビームは高解像度のビームよりも垂直方向に高く広がる。
【0014】
本発明の非限定的な一実施形態によれば、高解像度ビームは、低解像度ビームよりも垂直方向に低く広がる。
【0015】
本発明の1つの非限定的な実施形態によれば、低解像度ビームは、高解像度ビームよりも高い光度最大値を呈する。
【0016】
本発明の1つの非限定的な実施形態によれば、照明システムは、前記少なくとも1つの第1の発光装置および前記少なくとも第2の発光装置の制御モジュールを備え、当該制御モジュールは、第1のピクセル化された光ビームおよび第2のピクセル化された光ビームのピクセルのスイッチON/OFFを選択的に制御するように適合されている。
【0017】
本発明の非限定的な一実施形態によれば、第1のピクセル化された光ビームと第2のピクセル化された光ビームは、少なくとも部分的に重なって(オーバーラップして)いる。
【0018】
本発明の非限定的な一実施形態によれば、制御モジュールは、低解像度ビームの少なくとも1つのスイッチOFFされたピクセルに対応する領域内で、高解像度ビームの少なくとも1つのピクセルをスイッチONするように適合されている。
【0019】
本発明の非限定的な一実施形態によれば、高解像度ビームの少なくとも1つのスイッチONされたピクセルは、低解像度ビームの1つのスイッチONされたピクセルのエッジ(端縁)に連続しているか、または重なっている。
【0020】
本発明の1つの非限定的な実施形態によれば、第1の発光装置および第2の発光装置は、車両の前方に、前方から来るかまたは前方に位置する車両、歩行者などに対応する暗部を投射するように適合されている。言い換えれば、第1の発光装置および第2の発光装置は、この他のユーザーを眩惑しないように、まぶしさのない(グレアフリーな)ハイビームを車両の前方に投射するように適合されている。
【0021】
本発明の1つの非限定的な実施形態によれば、第1のピクセル化された光ビームと第2のピクセル化された光ビームとは、互いに分離されている。
【0022】
本発明の非限定的な一実施形態によれば、高解像度ビームは、低解像度ビームよりも垂直方向に低く広がっている。
【0023】
本発明の非限定的な一実施形態によれば、高解像度ビームと低解像度ビームは、互いに横方向に配置されている。
【0024】
本発明の1つの非限定的な実施形態によれば、第1の発光装置および第2の発光装置は、路面描画機能を実行するように適合されている。例えば、路面描画機能は、画像、パターン、ロゴ、図面、シンボル、文字などのうちの少なくとも1つを、車両の前方の路面に投射することを含む。
【0025】
本発明の非限定的な一実施形態によれば、車両の前方に低解像度ビームを投射するように適合された発光装置は、車両のステアリングホイールが配置されている側と同じ側に取り付けられ、車両の前方に高解像度ビームを投射するように適合された発光装置は、車両の他の側に取り付けられる。それにより、事故の際に発生する可能性のある損傷のコストを削減することができる。さらに、高解像度のビームを投射する発光装置を車両の反対側に取り付けることで、高価な発光装置が衝撃を受ける確率を低減することができる。
【0026】
本発明の非限定的な一実施形態によれば、本発明による照明システムを備える自動車両が提供される。
【0027】
本発明の非限定的な一実施形態によれば、本発明による照明システムを有する自動車両が提供され、この照明システムは、低解像度ビームおよび高解像度ビームを投射するために、少なくとも1つの第1の発光装置、および少なくとも1つの第2の発光装置を備えている。
【0028】
本発明の非限定的な一実施形態によれば、自動車両は、車両の前部右側に取り付けられ、車両の前方に第1のピクセル化された光ビームを投射するように適合された少なくとも1つの第1の発光装置と、車両の前部左側に取り付けられ、車両の前方に第2のピクセル化された光ビームを投射するように適合された少なくとも1つの第2の発光装置とを備えている。前記第1のピクセル化された光ビームおよび前記第2の光ビームの一方は、高解像度ビームと呼ばれ、低解像度ビームと呼ばれる他方のピクセル化された光ビームのピクセル数の、少なくとも5倍3倍、特に少なくとも10倍以上のピクセル数を有している。
【0029】
本発明の非限定的な一実施形態によれば、低解像度ビームを車両前方に投射するように適合された発光装置は、車両のステアリングホイールが配置されている側と同じ側に取り付けられ、高解像度ビームを車両前方に投射するように適合された発光装置は、車両の他の側に取り付けられている。
【0030】
このように、前照灯の左右から低解像度と高解像度の2つの異なるピクセルの光ビームを投射できる照明システムを提供することで、車両に必要な光度を実現しながら、照明システムのコストと消費電力を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
説明を完成させるために、また、本発明をよりよく理解するために、一連の図面を提供する。前記図面は、本明細書の不可欠な部分を形成し、本発明の実施形態を示しているが、これは本発明の範囲を制限するものとして解釈されるべきではなく、単に本発明をどのように実施することができるかの例示として解釈されるべきである。図面は、以下の特徴を備える。
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態による、発光素子を搭載した自動車両車両の概略上面図である。
【
図2a】本発明の一実施形態による、車両の前方に配置された仮想垂直スクリーンへの低解像度ビームおよび高解像度ビームの投射を示している。
【
図2b】本発明の一実施形態による、車両の前方に配置された仮想垂直スクリーンへの低解像度ビームおよび高解像度ビームの投射を示している。
【
図3a】本発明の一実施形態による、低解像度ビームおよび高解像度ビームによって形成される照明領域の概略図である。
【
図3b】本発明の一実施形態による、低解像度ビームおよび高解像度ビームによって形成される照明領域の概略図である。
【
図3c】本発明の一実施形態による、
図3bに示した円形領域の拡大図である。
【
図3d】本発明の一実施形態による、
図3bに示した円形領域の拡大図である。
【
図3e】本発明の一実施形態による、
図3bに示した円形領域の拡大図である。
【
図4】本発明の別の実施形態による、低解像度ビームと高解像度ビームによって形成される照明領域の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、照明システムは、一対の前側ヘッドランプを備える。一対の前側ヘッドランプは、車両の前部の左右に取り付けられるように構成されている。照明システムは、少なくともシーン(これは照明システムにより照明されうる車両環境である)の一部に対してグローバ照明機能を実現することができる。グローバル照明によって良好に照明されるシーンの部分は運転視野であってもよく、これが運転者に見えるように、あるいはより見えるようにされ、運転が支援され、あるいは運転が可能とされる。したがって、全体照明は、例えばハイビームの機能またはロービームの機能であってもよい。
【0035】
各前側ヘッドランプは、少なくとも1つの発光装置を含む。ヘッドランプの一方は、第1のピクセル化された光ビームを生成するための少なくとも1つの第1の発光装置を含んでいてもよく、他方のヘッドランプは、第2のピクセル化された光ビームを生成するための少なくとも1つの第2の発光装置を含んでいてもよい。第1のピクセル化された光ビームおよび第2のピクセル化された光ビームは、一方向(水平方向または垂直方向)に広がるか、または水平方向および垂直方向の両方に広がる複数のピクセルを備えている。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に係る、発光装置を備える自動車両100の概略上面図である。自動車両100は、一対の前側ヘッドランプを有する照明システムを備えている。一対の前側ヘッドランプは、車両100の前部の右側および左側に取り付けられるように構成されている。
図1から分かるように、照明システムは、車両100の前部左側に取り付けられ、第1のピクセル化された光ビーム120を車両の前方に投射するように適合された、少なくとも1つの第1の発光装置105を備えている。照明システムは、車両100の前部右側に取り付けられ、車両の前方に第2のピクセル化された光ビーム110を投射するように適合された、少なくとも1つの第2の発光装置115をさらに備えている。
【0037】
照明システムは、少なくとも1つの第1の発光装置105および少なくとも1つの第2の発光装置115に結合された制御モジュール125をさらに含む。従って、制御モジュール125は、ピクセル化された光ビーム110、120の生成および/または投射を制御することができる。一態様では、制御モジュール125は、照明装置、すなわちヘッドランプ、特に右および左のヘッドランプの一方に統合することができる。制御モジュール125は、プロセッサ(または「Central Processing Unit」の頭文字をとったCPU、文字通り「CPU」)を含んでいてもよく、プロセッサは、光源を制御するための信号を生成するステップをプロセッサが実行することを可能にする命令を含むコンピュータプログラムが格納されたメモリに結合される。これにより、制御モジュール125は、例えば、各ピクセルの発光を個別に制御することができる。
【0038】
一実施形態では、高解像度ビームと呼ばれる第1のピクセル化された光ビーム120および第2のピクセル化された光ビーム110の一方は、低解像度ビームと呼ばれるピクセル化された光ビームの他方のピクセル数の少なくとも5倍以上、特に少なくとも10倍以上のピクセル数を有する。この例では、120が低解像度ビームであり、110が高解像度ビームである。
【0039】
一実施形態では、低解像度のビームは高解像度のビームよりも大きな照明フィールド(光に照らされる領域)をカバーする。
【0040】
ピクセル化された光ビームは、車両のヘッドランプ、あるいは光源すなわち少なくとも1つの発光装置を含む照明システム、によって投射されてもよい。光源は、光源から放射されたピクセル化された光ビームを道路上に投射するように配置された光学系(装置に内蔵されているか否かを問わない)と協働するように適合されていてもよい。同じ光源が、グローバル照明と画像を放射してもよい。ある具体的な実施形態では、光源は、個別に制御可能な光源からなる複数のユニットに分割される。光源、すなわち各光源ユニットによって放射された各ピクセルは、ピクセル化されて投射された光ビームの1ピクセルに対応させることができる。したがって、光源の各ピクセルの光強度、ひいてはシーンの各ピクセルの照明を個別に制御することができる。
【0041】
一実施形態では、少なくとも1つの第1の発光装置または少なくとも1つの第2の発光装置は、グレアフリーのハイビームの一種であるマトリクスビームを生成するための、いわゆるマトリクスビームモジュールを備えている。マトリックスビームは、車両100の前部に配置された仮想の垂直スクリーン、例えば車両の前部から25メートルの距離に投射され、例えば(フランス国特許公報)FR 1.306.770という参照番号で公開されている特許に示されているように、一列に配置された複数のセグメントから構成される。最近の公知のマトリクスビームモジュールは、1つまたは複数の光源(特に半導体光源)と、1つまたは複数の反射鏡、1つまたは複数のレンズ、1つまたは複数の光ガイド、または(1つまたは複数の)反射鏡、(1つまたは複数の)レンズおよび/または(1つまたは複数の)光ガイドの組み合わせからなる光学系と、を備えている。典型的な角度的な広がりは、モジュールの光軸から水平方向に+/-20°程度である。ビームは4~20個のセグメントから構成されている。本願では、このようなモジュールをマトリクスビームモジュールと呼ぶ。
【0042】
一実施形態では、少なくとも1つの第1の発光装置または少なくとも1つの第2の発光装置は、ピクセルビームを生成するためのいわゆるピクセルビームモジュールを備えている。ピクセルビームは、少なくとも2つの行と2つの列からなるマトリクス状に配置された複数のピクセルで構成され、少なくとも1つの行はハイビームゾーンにある。また、ピクセルのサイズは、マトリクスビームのセグメントに比べて小さくすることができ、これによりビームの解像度を向上させることができる。ピクセルの幅および/または高さは、1つの行の中で、または行同士の間で変化させることができる。この種のピクセルビームの例は、(ドイツ国特許公報)DE 10 2007 052 745という参照番号で公開されている特許に記載されている。最近の既知のピクセルビームモジュールは、1つまたは複数の光源、特に半導体光源と、1つまたは複数の反射器(リフレクタ)、1つまたは複数のレンズ、1つまたは複数の光ガイド、または(1つまたは複数の)反射器、(1つまたは複数の)レンズ、および/または(1つまたは複数の)光ガイドの組み合わせからなる光学系と、を備えている。このようなモジュールは、本願ではピクセルビームモジュールと呼ばれる。
【0043】
一実施形態では、少なくとも1つの第1の発光装置または少なくとも1つの第2の発光装置は、DMD(「Digital Mirror Device」の略語)を備えており、回転変調ミラーマイクロフォンが所定の方向に所望の発光強度を提供する。
【0044】
一実施形態では、少なくとも1つの第1の発光素子または少なくとも1つの第2の発光素子は、その前方に液晶が配置された面光源からなるLCD(「Liquid Crystal Displays」の略)を備えている。液晶の動きにより光の通過を可能にしたり不可能にしたりすることができ、これによりピクセル化された光ビームが形成される。
【0045】
一実施形態では、少なくとも1つの第1の発光装置または少なくとも1つの第2の発光装置は、光ビームを走査システムに送るためのレーザースキャンタイプの機構を備えており、走査システムは、フォトルミネッセンス材料を有するプレートなどの波長変換装置の表面上にそれを分配する。
【0046】
一実施形態では、少なくとも1つの第1の発光装置または少なくとも1つの第2の発光装置は、1つまたは複数の発光源を備えている。一実施形態では、発光源は、少なくとも1つの発光素子を備えたソリッドステート光源(「solid-state lighting」の略)である。その例として、発光素子、発光ダイオードすなわちLED(「Light Emitting Diode」の頭文字)、有機発光ダイオードすなわちOLED(「Organic Light-Emitting Diode」の頭文字)、またはポリマーLEDすなわちPLED(「Polymer Light-Emitting Diode」の頭文字)が挙げられる。また、発光源は、半導体光源であってもよい。各発光素子または発光素子群は、ピクセル(ピクセル)を形成してもよく、材料に電気が供給されると発光することができる。発光素子は、それぞれが半導体であってもよく、つまり、それぞれが少なくとも1つの半導体材料を有していてもよい。
【0047】
一実施形態では、少なくとも1つの第1の発光装置または少なくとも1つの第2の発光装置の光源は、固体発光モノリシック導体を備えている。光源は、例えば、(複数の)ピクセルのモノリシックマトリクスであってもよい。また、光源は、例えば、(複数の)LEDのモノリシックマトリクスであってもよい。モノリシックマトリクスは、同一基板上(例えば基板の同一面上)に配置された少なくとも50個の発光素子、例えば100個以上、1000個以上、あるいは数千個の発光素子を備えている。
【0048】
上述の各技術はそれぞれ異なるピクセル化された光ビームを提供し、各ピクセルは要求に応じて制御することができる。一例として、LCD、DMD、レーザースキャン技術は、モノリシック光源技術で提供されるピクセル数の少なくとも5~10倍のピクセルを有するビームを提供することができるが、これに限定されるものではない。さらにモノリシック光源技術は、ピクセル技術によって提供されるピクセル数よりも少なくとも5倍から10倍多いピクセルを有するビームを提供することができる。
【0049】
前述したように、本発明によれば、各前面ヘッドランプは、少なくとも1つの発光装置105,115すなわち光源を含む。ヘッドランプの一方は、第1のピクセル化された光ビーム120を生成するために少なくとも1つの第1の発光装置105を含んでいてもよく、また、他方のヘッドランプは、第2のピクセル化された光ビーム110を生成するために少なくとも1つの第2の発光装置115を含んでもよい。第1のピクセル化された光ビーム120および第2のピクセル化された光ビーム110は、異なる解像度を有する。一実施形態では、高解像度ビームにおける第1のピクセル化された光ビームおよび第2のピクセル化された光ビームのうち、一方のピクセル化された光ビームは高解像度ビームであり、他方のピクセル化された光ビームは高解像度ビームである。上述したように、この例では、120は低解像度ビームであり、110は高解像度ビームである。
【0050】
一例では、少なくとも1つの第1の発光装置105は、第1のピクセル化された光ビーム120を生成して投射するために先に定義したようなマトリクスビームモジュールを備え、少なくとも1つの第2の発光装置115は、第2のピクセル化された光ビーム110を生成して投射するためにDMDを備えているが、その逆でもよい。
【0051】
別の例では、少なくとも1つの第1の発光装置105は、第1のピクセル化された光ビーム120を生成して投射するためのマトリクスビームモジュールを備え、少なくとも1つの第2の発光装置115は、第2のピクセル化された光ビーム110を生成して投射するための先に定義したようなピクセルビームモジュールを備えているが、その逆でもよい。
【0052】
別の例では、少なくとも1つの第1の発光装置105は、第1のピクセル化された光ビーム120を生成して投射するためのモノリシック光源を備え、少なくとも1つの第2の発光装置115は、、第2のピクセル化された光ビーム110を生成して投射するためのDMDを備えているが、その逆でもよい。例えば、左ハンドル車の場合、左側のヘッドランプにモノリシック光源を搭載し、右側のヘッドランプにDMDを搭載してもよい。
【0053】
別の例では、少なくとも1つの第1の発光装置105は、第1のピクセル化された光ビーム120を生成して投射するためのマトリックスビームモジュールを備え、少なくとも1つの第2の発光装置115は、第2のピクセル化された光ビーム110を生成して投射するためのモノリシック光源を備えているが、その逆でもよい。例えば、左ハンドル車の場合、左側のヘッドランプにモノリシック光源を搭載し、右側のヘッドランプにマトリクスビームモジュールを搭載してもよい。
【0054】
理解を目的として、上記では技術の組み合わせのいくつかについてのみ言及した。しかしながら、これとは異なる技術の組み合わせを、低解像度のビームと高解像度のビームを前面ヘッドランプから投射できるように、車両のヘッドランプに組み込むことができる。
【0055】
一実施形態では、事故時に発生する可能性のある損害のコストを削減するために、低解像度ビームを車両前方に投射するように適合された発光装置を、車両のステアリングホイール130が配置されている側と同じ側に取り付け、高解像度ビームを車両前方に投射するように適合された発光装置を、車両の他方の側に取り付けてもよい。さらに、高解像度ビームを投射する発光装置を車両の他方の側に取り付けることにより、この高価な発光装置が衝撃を受ける確率を低減することができる。
【0056】
図2aおよび
図2bは、本発明の一実施形態による、車両の前方に配置された仮想垂直スクリーンへの低解像度ビームおよび高解像度ビームの投射を示す図である。特に、
図2aは、車両100の前方に配置された仮想垂直スクリーンへの低解像度ビームの投射によって形成される照明領域ないし配光パターンを示している。スクリーンから照明システムまでの距離は、10mから50mの間で選択することができる。例えば、距離は25m、または100フィートである。また、スクリーンは、照明システムを中心とした球体の一部であってもよい。球体の半径は、前述の距離と同じ値とすることができる。
【0057】
図2aの参照番号205は、低解像度ビームの投射によって形成される照明領域を示す。
図2aに示す例では、低解像度ビーム205は16個のピクセル207で構成されている。
図2aからわかるように、ピクセルは4行4列からなるマトリクスに配置されている。別の例では、低解像度ビーム205は、16個より多いかあるいは少ない数のピクセルから構成することができ、ピクセルは、同じ数の行および列を有するマトリクス、あるいは異なる数の行および列を有するマトリクスに配置することができる。
図2aに示すピクセルは互いに同じサイズであるが、各ピクセルが幅および/または高さの点で異なるサイズであってもよいことが当業者には理解される。
【0058】
本発明の一実施形態では、第1のピクセル化された光ビーム120と第2のピクセル化された光ビーム115は、
図2bから分かるように、少なくとも部分的に重なっている。
図2bは、車両100の前方、例えば車両の前面から25メートルの距離に配置された仮想垂直スクリーンに、高解像度ビームと低解像度ビームとが投射されることによって形成される配光パターンを示している。
図2bの参照番号210は、高解像度ビームピクセル215を有する高解像度ビームの投射によって形成された照明領域を示し、低解像度ビームのトレース(透写)が参照番号205で示されている。
図2b中の点線は、低解像度ビームのトレースに対応する。
【0059】
ロービームとハイビームの投射は、水平軸(H)と垂直軸(V)を基準にして示されている。水平軸と垂直軸の交点、すなわち投射されたビームの中心は、車両のヘッドランプの光軸に相当する。
【0060】
図2bから分かるように、低解像度ビーム205は、高解像度ビーム210よりも広い角度のフィールド(投射野)にわたって水平方向に広がっている。さらに、
図2bから分かるように、低解像度ビーム205は、高解像度ビーム210よりも垂直方向に高く広がっており、すなわち、低解像度ビーム205の上端は、高解像度ビーム210の上端よりも高い。さらに、
図2bからわかるように、高解像度ビーム210は、低解像度ビーム205よりも垂直方向に低く広がっており、すなわち、高解像度ビーム210の下端は、低解像度ビーム205の下端よりも低くなっている。
【0061】
照明システムは、低解像度のビームのビーム角度位置を、水平方向、すなわち水平線(H-H線)に沿って、および/または垂直方向、すなわち垂直線(V-V線)に沿って調整するレベリング機構(図示せず)をさらに備えている。照明システムは、水平線(H-H線)に沿って、および/または垂直方向、すなわち垂直線(V-V線)に沿って、高解像度のビームの角度位置ビームを調整するレベリング機構(図示せず)をさらに備えてもよい。別の実施形態では、低解像度ビームの角度位置に応じた高解像度ビームの角度位置の調整は、レベリング機構を用いずに、所定の方向に対応するピクセルのキャリブレーション(較正)、特に電子キャリブレーションによって行われる。これにより、両ビームのアライメントを簡素化し、機械的な照準の余分なコストを回避することができる。
【0062】
一実施形態では、低解像度のビームは高解像度のビームよりも高い光度を呈する。例えば、マトリクスビーム技術で120ルクスを作成することは、DMDライト技術と比べて高価ではない。一方で、高解像度のマトリクスビームモジュールを作るのは非常に高価であり、DMDで多くのピクセルからなるビームを作るのはそれほど高価ではない。
【0063】
図3aおよび
図3bは、本発明の一実施形態による、低解像度ビームと高解像度ビームによって形成される照明領域の概略図である。
【0064】
図3aは、車両の前部に配置された仮想垂直スクリーン上に低解像度ビームを投射するように構成された少なくとも1つの発光装置によって得られる光分布パターンの例を示している。このスクリーンは、
図2aおよび
図2bの文脈で説明したスクリーンと同様である。この例では、低解像度ビームは、マトリクスビームである。
【0065】
図3aの参照番号305は、低解像度ビームを示している。この例では、低解像度ビーム305はマトリクスビームであり、ビームのセグメントは1列に配置されている。ここで、
図3a中のハッチングされた領域310は、低解像度ビーム305の光が照射されない非照射領域を表しており、つまり、制御モジュール125が操作されて1つ以上の低解像度セグメントがスイッチOFFされている。ハッチングされた領域以外の領域315は、低解像度ビーム305の光が照射されている照射領域を表しており、つまり、制御モジュールが1つまたは複数の低解像度セグメントをスイッチONするように操作されている。参照数字320は、制御モジュール125によって検出された先行車両または進入車両の光、例えばヘッドランプまたはリアランプを示す。また、制御モジュール125は、歩行者や先行車両などの存在を検出し、車両100のヘッドランプ内に搭載された光源の動作を制御することで、歩行者や先行車両などへのグレアを抑制するように配光パターンを変更するように構成されていてもよい。
【0066】
図3bは、低解像度ビーム305(
図3bの点線で示す)と高解像度ビーム(
図3bの実線で示す)とを組み合わせて、車両前方、例えば車両前部から25mの距離に配置された仮想垂直スクリーンに投射することにより得られた配光パターンの一例を示している。
【0067】
一実施形態では、制御モジュール125が車両100の前方に歩行者、先行車両あるいはそれに類するものの存在を検出するたびに、制御モジュール125は、低解像度ビーム305の少なくとも1つのスイッチOFFされたセグメントに対応する領域内の高解像度ビーム325の少なくとも1つのピクセルをスイッチONするように適合されている。このことは、
図3bから明確に分かる。特に、参照数字330は、低解像度ビーム305の1つ以上のセグメントをOFFにすることによって生じる暗部を低減するために、高解像度ビーム325の少なくとも1つのピクセルが、低解像度ビーム305の少なくとも1つのスイッチOFFされたセグメントに対応する領域の内側、ここでは領域310内でスイッチONされている領域を示す。参照数字331は、他のユーザーを眩惑しないように、高解像度ビームと低解像度ビーム305の両方がスイッチOFFされている領域を示す。
図3b上で見えるように、残りの非照射領域331は、低解像度ビーム305の非照射領域310に比べてサイズが小さくなっている。それにより、シーンの照明を改善し、かつ、非グレア機能を有することができる。このように、本実施形態の照明システムは、車両情報取得装置で検出された歩行者や先行車両等が存在する領域に対応するセグメントやピクセルをOFFにすることで、歩行者や先行車両等へのグレアを抑制することができる。一方で、本発明による照明システムを搭載した車両の運転者にとっては、シーンの被照明部分が増えるため、シーンの照明が向上する。
【0068】
さらに、3つの異なる実施形態について
図3bの円内の要素の拡大図に対応する
図3c、3dおよび3eに関連して説明するように、高解像度ビーム325の少なくとも1つのスイッチONされたピクセルは、低解像度ビーム305の少なくとも1つのスイッチONされたセグメントのエッジ(端縁)に連続しているか、またはオーバーラップしていることが、
図3bから注目される。これらの図において、参照数字340は、照射領域315と非照射領域310との間の境界線である低解像度ビーム305のスイッチONされたセグメントのエッジである。一方の側には、領域315のスイッチONされたセグメントがある。他方の側には、領域310のスイッチOFFされたセグメントがある。
【0069】
図3cの実施形態では、高解像度ビームのいくつかのスイッチONされたピクセルは低解像度ビーム305の照射領域315にあり、高解像度ビームのいくつかのスイッチONされたピクセルは低解像度ビーム305の非照射領域310にある。いくつかの高解像度ピクセルは、低解像度セグメントのエッジ340と同じ場所にあるエッジを有する。
【0070】
図3dに示す別の実施形態では、高解像度ビームのいくつかのスイッチONピクセルが低解像度ビーム305の照射領域315にあり、高解像度ビームのいくつかのスイッチONピクセルが低解像度ビーム305の非照射領域310にある。この実施形態では、一部の高解像度ピクセルが低解像度ピクセルのエッジ340に重なる。この本実施形態では、低解像度ピクセルのエッジ340に重なる高解像度ピクセルは、低解像度ビーム305の照射領域315でスイッチONされたピクセルだけとすることができる。これに代えて、追加の高解像度ピクセルが、低解像度ビーム305の照明領域315で照明され、この照明領域315に完全に含まれてもよい。
【0071】
さらに別の実施形態では、高解像度ビームのスイッチONされたピクセルは、
図3eに示すように、低解像度ビーム305の非照射領域310にのみ存在する。この実施形態では、いくつかの高解像度ピクセルは、低解像度セグメントのエッジ340と同じ場所にあるエッジを有しており、低解像度ビーム305の照射領域315では、高解像度ビームのピクセルはスイッチONされていない。
【0072】
図3c、3d、3eは、特定の例に関連して説明されているが、これらのビームが少なくとも部分的に重なっている限り、あらゆる種類の低解像度ビームおよび高解像度ビームに適用されることは明らかである。
【0073】
本発明の別の実施形態によれば、第1のピクセル化された光ビーム110および第2のピクセル化された光ビーム120は、
図4から分かるように、互いに分離されるように投射され、すなわち、投射された低解像度ビーム405および高解像度ビーム410は互いに分離されている。この実施形態によるビームの投射は、一方ではグレアの抑制、他方では路面描画機能のような高度な照明機能の実行を容易にする。例えば、路面描画機能とは、画像、パターン、ロゴ、図面、シンボル、文字などの少なくとも1つを車両の前方の路面に投射することを含む。
【0074】
一実施形態では、高解像度ビーム410は、低解像度ビーム405よりも垂直方向に低く広がっている(延びている)。この実施形態によるビームのこのタイプの投射は、一方でグレアフリーのハイビームを実行し、他方で路面描画機能を実行するように適合される。例えば、低解像度ビーム405がグレアフリー機能を実行するように適合され、高解像度ビーム410が路面描画機能を実行するように適合されていてもよい。
【0075】
別の実施形態では、低解像度ビーム405と高解像度ビーム410は、互いに横方向に配置されるように投射される。この実施形態によるこの種のビームの投射は、一方の側で高解像度路面描画機能を実行し、他方の側で低解像度路面描画機能を実行するように適合されている。
【0076】
別の実施形態によれば、本発明は、低解像度ビームおよび高解像度ビームを生成するために、少なくとも1つの第1の発光装置および少なくとも1つの第2の発光装置を有する照明システムを有する自動車両100を開示する。
【0077】
すなわち、本発明では、解像度の異なる2種類のピクセルの光ビームを投射することで、車両に必要な光度を実現しつつ、コストや消費電力を低減することができる照明システムを提供する。
【国際調査報告】