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特表2022-519542pH調整剤を含む経口用ニコチン製品
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  • 特表-pH調整剤を含む経口用ニコチン製品 図1
  • 特表-pH調整剤を含む経口用ニコチン製品 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】pH調整剤を含む経口用ニコチン製品
(51)【国際特許分類】
   A24B 13/00 20060101AFI20220316BHJP
   A24B 15/42 20060101ALI20220316BHJP
   A24B 15/32 20060101ALI20220316BHJP
   A24B 15/34 20060101ALI20220316BHJP
   A24B 15/30 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
A24B13/00
A24B15/42
A24B15/32
A24B15/34
A24B15/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021544612
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(85)【翻訳文提出日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2020052437
(87)【国際公開番号】W WO2020157280
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】1950119-6
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】20190141
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510171922
【氏名又は名称】スウィーディッシュ・マッチ・ノース・ヨーロップ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】モルテン・キンドヴァル
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BB22
4B043BC11
4B043BC12
4B043BC18
4B043BC19
4B043BC26
(57)【要約】
本開示は、経口用袋入りタバコ不含ニコチン製品又は低タバコニコチン製品であって、以下のもの:(i) Na2CO3、K2CO3、NaHCO3及び/又はKHCO3、並びに(ii) 式(I):M2+(An-)m 式I(式中、M2+は、Ca2+、Mg2+、Mn2+、Zn2+及びFe2+からなる群から選択され;An-は、塩化物イオン、乳酸イオン、リンゴ酸イオン、コハク酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酒石酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、グルコン酸イオン、アルギン酸イオン、アンモニウムイオン、シュウ酸イオン、アスパラギン酸イオン、グリシン酸イオン、ピコリン酸イオン、酸化物イオン、システイン酸イオン、グルタミン酸イオン、水酸化物イオン、ラウリン酸イオン、ステアリン酸イオン、パルミチン酸イオン、ウンデシレン酸イオン、グルセプチン酸イオン、グリセロリン酸イオン、グルビオン酸イオン、グルコヘプトン酸イオン、グアニル酸イオン、イノシン酸イオン、プロピオン酸イオン、ソルビン酸イオン、サリチル酸イオン、安息香酸イオン、エリソルビン酸イオン、ギ酸イオン、ヨウ化物イオン、パンガミン酸イオン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される陰イオンであり;nは、1又は2であり;mは、1又は2であり、-(nxm)=-2である)の塩又は前記塩の水和物であり、前記塩が、充填材料の総質量に基づいて、0.1質量%~5質量%の範囲内の量で存在し、前記塩が、0.04M以上、及び/又は1g/L以上の水溶解度を有する塩又は前記塩の水和物を含む又はそれのみからなる、pH調整剤と、- 任意選択により場合によっては、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~10質量%の範囲内のタバコ材料とを含む、経口用袋入りタバコ不含ニコチン製品又は低タバコニコチン製品に関する。pH調整剤は、保管時に経口用袋入りタバコ不含ニコチン製品若しくは低タバコニコチン製品中のpHの上昇を軽減し、経口用袋入りタバコ不含ニコチン製品若しくは低タバコニコチン製品のpHが、保管時に、約9、9.2若しくは9.5の値を超えること、及び/又は保管時に±0.5pH単位を超えて変化することを予防する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填材料、及び充填材料を包み込む包装用材料からなる唾液透過性袋を含む経口用袋入りニコチン製品であって、充填材料が、以下のもの:
- 微粒子非タバコ材料と、
- ニコチン源と、
- 充填材料の総質量に基づいて、1質量%~50質量%の範囲内の量の水と、
- pH調整剤であって、以下のもの:
(i) Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、及び/又はKHCO3、並びに
(ii) 式(I):
M2+(An-)m
式I
(式中、
M2+は、Ca2+、Mg2+、Mn2+、Zn2+、及びFe2+からなる群から選択され、
An-は、塩化物イオン、乳酸イオン、リンゴ酸イオン、コハク酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酒石酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、グルコン酸イオン、アルギン酸イオン、アンモニウムイオン、シュウ酸イオン、アスパラギン酸イオン、グリシン酸イオン、ピコリン酸イオン、酸化物イオン、システイン酸イオン、グルタミン酸イオン、水酸化物イオン、ラウリン酸イオン、ステアリン酸イオン、パルミチン酸イオン、ウンデシレン酸イオン、グルセプチン酸イオン、グリセロリン酸イオン、グルビオン酸イオン、グルコヘプトン酸イオン、グアニル酸イオン、イノシン酸イオン、プロピオン酸イオン、ソルビン酸イオン、サリチル酸イオン、安息香酸イオン、エリソルビン酸イオン、ギ酸イオン、ヨウ化物イオン、パンガミン酸イオン、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される陰イオンであり、
nは、1又は2であり、
mは、1又は2であり、
-(n×m)=-2である)
の塩又は前記塩の水和物であり、
前記塩が、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~5質量%の範囲内の量で存在し、
前記塩が、0.04M以上、及び/又は1g/L以上の水溶解度を有する、
塩又は前記塩の水和物
を含む、pH調整剤と、
- 任意選択により場合によっては、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~10質量%の範囲内の量のタバコ材料と
を含む、経口用袋入りニコチン製品。
【請求項2】
前記塩が、0.045M以上、例えば0.05M以上、例えば0.06M以上、例えば0.07M以上、例えば0.8M以上、例えば0.9M以上、例えば1.0M以上の水溶解度を有する、請求項1に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項3】
前記塩が、2g/L以上、例えば3g/L以上、例えば4g/L以上、例えば5g/L以上、例えば10g/L以上、例えば50g/L以上、例えば100g/L以上、例えば150g/L以上、例えば200g/L以上、例えば250g/L以上、例えば300g/L以上、例えば350g/L以上、例えば400g/L以上、例えば450g/L以上、例えば500g/L以上、例えば600g/L以上、例えば700g/L以上の水溶解度を有する、請求項1又は2に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項4】
前記水溶解度が、10℃~40℃、例えば20℃~25℃の温度において測定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項5】
An-が、塩化物イオン、乳酸イオン、リンゴ酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、グルコン酸イオン、グルタミン酸イオン、グアニル酸イオン、イノシン酸イオン、プロピオン酸イオン、ソルビン酸イオン、安息香酸イオン、ギ酸イオン、パンガミン酸イオンのうちの1種又は複数から選択される陰イオンである、請求項1から4のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項6】
An-が、塩化物イオン、乳酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、ギ酸イオン、パンガミン酸イオンのうちの1種又は複数から選択される陰イオンである、請求項1から5のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項7】
An-が、塩化物イオン、乳酸イオン、クエン酸イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、グルコン酸イオン、安息香酸イオン、ギ酸イオンのうちの1種又は複数から選択される陰イオンである、請求項1から5のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項8】
An-が、塩化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、ギ酸イオンのうちの1種又は複数から選択される陰イオンである、請求項1から7のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項9】
An-が、塩化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、グルコン酸イオン、プロピオン酸イオン、ギ酸イオンのうちの1種又は複数から選択される陰イオンである、請求項1から5のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項10】
An-が、塩化物イオン、乳酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオンのうちの1種又は複数から選択される陰イオンである、請求項1から7のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項11】
An-が、塩化物イオン、乳酸イオン、リンゴ酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酒石酸イオン、酢酸イオン、グルコン酸イオン、アスパラギン酸イオン、グリシン酸イオンのうちの1種又は複数から選択される陰イオンである、請求項1から4のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項12】
充填材料がタバコ材料を含まない、請求項1から11のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項13】
タバコ材料が、充填材料の総質量に基づいて、0.1質量%~10質量%、例えば0.1質量%~5質量%、例えば0.1質量%~1質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から11のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項14】
水の量が、充填材料の総質量に基づいて、0.5質量%~12質量%、例えば0.5質量%~5質量%の範囲内、例えば3質量%である、請求項1から13のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項15】
水の量が、充填材料の総質量に基づいて、20質量%~50質量%、例えば20質量%~45質量%の範囲内にある、請求項1から13のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項16】
式(I)の塩又は前記塩の水和物が、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~5質量%、例えば0.1質量%~5質量%、例えば0.1質量%~3質量%、例えば0.1質量%~2質量%、例えば0.1質量%~1質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から15のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項17】
式(I)の塩又は前記塩の水和物が、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~0.3質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から16のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項18】
pH調整剤のNa2CO3、K2CO3、NaHCO3、及び/又はKHCO3が、充填材料の総質量に基づいて、1質量%~10質量%、例えば1.5質量%~4質量%又は4質量%~9質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から17のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項19】
M2+がCa2+である、請求項1から18のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項20】
M2+がMg2+である、請求項1から19のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項21】
M2+がMn2+である、請求項1から8のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項22】
M2+がZn2+である、請求項1から21のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項23】
M2+がFe2+である、請求項1から22のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項24】
式(I)の塩が、CaCl2又はその水和物を含む又はそれのみからなる、請求項1から9のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項25】
充填材料が、NaClを、例えば、充填材料の総質量に基づいて、0.1質量%~5質量、例えば0.1質量%~3質量%の範囲内の量のNaClを更に含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項26】
充填材料がMgCO3を更に含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項27】
前記製品が、更なる塩及び/又は更なるpH調整剤を含まない、請求項1から26のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項28】
前記経口用袋入りニコチン製品の前記充填材料が、それを精製水中に分散した場合に、7~10、例えば8~9、例えば8、8.3、8.5、又は8.8のpHを有する、請求項1から27のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項29】
充填材料の少なくとも一部が水不溶性である、請求項1から28のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項30】
微粒子非タバコ材料が、マイクロクリスタリンセルロース及び任意選択により場合によってはマルチトールを含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項31】
充填材料が、トウモロコシ繊維、オート麦繊維、トマト繊維、大麦繊維、ライ麦繊維、テンサイ繊維、ソバ繊維、小麦繊維、マメ繊維、じゃがいも繊維、リンゴ繊維、ココア繊維、竹繊維、柑橘繊維、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、1種又は複数の水不溶性繊維を含む、請求項1から30のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項32】
ニコチン源が、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン一酒石酸塩、ニコチン酒石酸水素塩、ニコチン酒石酸水素塩二水和物、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛一水和物、ニコチンサリチル酸塩、ニコチンポラクリレックスのうちの1種又は複数である、請求項1から31のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項33】
ニコチン源が、ニコチン酒石酸水素塩及び/又はニコチン酒石酸水素塩二水和物である、請求項1から32のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項34】
前記経口用袋入りニコチン製品の前記充填材料のpHが、保管時に、例えば、
60%~75%の相対湿度において、
22℃~30℃の温度において、及び/又は
15週間の時間のあいだ行われる保管時に、9.5を超えない及び/又は±0.5pH単位以下しか変化しない、
請求項1から33のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項35】
充填材料を含む経口用袋入りニコチン製品中のpHを、前記製品を保管した場合に、例えば、60%~75%の相対湿度において、22℃~30℃の温度において、及び/又は15週間の時間のあいだ保管した場合に、制御するための、請求項1から34のいずれか一項において定義される式(I)の塩又は前記塩の水和物の使用であって、
前記充填材料が、式(I)の前記塩又はその水和物と、以下のもの:
- 微粒子非タバコ材料と、
- ニコチン源と、
- 充填材料の総質量に基づいて、1質量%~50質量%、例えば1質量%~45質量%の範囲内の量の水と、
- Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、及び/又はKHCO3を含む又はそれのみからなるpH調整剤と、
- 任意選択により場合によって、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~10質量%の範囲内のタバコ材料と
を含む、使用。
【請求項36】
前記の制御が、前記製品中のpHの上昇を緩和すること、前記製品中のpHが9.5の値を超えるのを防止すること、及び/若しくは前記製品中のpHが±0.5pH単位を超えて変化することを防止することを含む又はそれのみからなる、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
式(I)の塩が、請求項1から11のいずれか一項において定義されたものである、請求項35又は36に記載の使用。
【請求項38】
式(I)の塩、Na2CO3、NaHCO3、K2CO3、及び/又はKHCO3が、充填材料の総質量に基づいて、1質量%~15質量%、例えば1質量%~10質量%、例えば1質量%~9質量%、例えば1~7質量%、又は例えば1質量%~5質量%の総量で存在する、請求項35から37のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タバコを含まない又は少量のタバコしか含まない経口用袋(パウチ)入りニコチン製品、その製造方法、及び前記製品を保管する際にpHの上昇を弱化させるpH調整剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的に、経口用無煙タバコ製品は、消費者の口腔で使用されて、製品中のタバコからのニコチンの充足感をもたらす。タバコに加え、経口用無煙タバコ製品は、水、塩、pH調整剤、並びにフレーバー、及び保湿剤等の追加成分を一般に含む。一般に、これらの製品は、嗅ぎタバコと呼ばれる。嗅ぎタバコは、乾燥していてもよく又は湿っていてもよく、バラバラの形態又は袋入り形態で提供されてもよい。湿潤嗅ぎタバコは、2つのタイプ、すなわちアメリカン嗅ぎタバコ及びスカンジナビア嗅ぎタバコに分類される。アメリカン湿潤嗅ぎタバコは、湿らせた粉砕タバコ又は刻みタバコの発酵過程を通して一般に製造される。スカンジナビアン型湿潤嗅ぎタバコ(スヌース)は、発酵させる代わりに、熱処理過程(低温殺菌)を使用して一般に製造される。加熱処理は、タバコ調製物中の生物体の少なくとも一部を分解、破壊又は変性するために行われる。
【0003】
タバコを含まない又は少量のタバコしか含まない経口用袋入りニコチン製品は、とりわけ、その魅力のある外観、フレッシュ感及び味感のために、今や消費者間で益々人気が高まっている。更に、この種の製品は、ユーザーが、タバコに曝露されることなく、ニコチンを楽しむことが可能となる。
【0004】
WO2012/134380は、遊離塩形態のニコチンを含有する袋、すなわち経口用袋入りニコチン含有非タバコ嗅ぎタバコ製品を開示している。この製品は、少なくとも1種の遊離ニコチン塩の粉末、少なくとも1種のpH調整剤、及び少なくとも1種の充填剤、及び水不溶性袋を含み、前記袋は、唾液及びそこに溶解した上記粉末の部分に対して透過性であり、前記製品は、精製水に接触すると、少なくとも6のpHをもたらす。
【0005】
EP3087852は、長方形形状を有する経口用袋入り製品を開示している。この経口袋入り製品は、経口用袋入り非タバコニコチン含有嗅ぎタバコ製品であってもよい。この製品の充填材料は、ニコチン若しくはその塩、並びに多糖及び/又はマイクロクリスタリンセルロース等の1種又は複数の充填剤を含む微粒子材料とすることができる。塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム及びそれらの任意の組合せ等の塩は、味感へのその影響のために主に添加され得るが、製品の保存可能期間の改善に寄与する保存作用も有することが記載されている。塩化ナトリウム等の塩は、製品の水分活性を低下させ、したがって、微生物の成長を防止する。
【0006】
pHは、ヒト等の消費者の口腔において、粘膜からのニコチンの摂取量の調節に寄与することが知られている。pH調整剤は、遊離塩基の形態で存在するニコチンの量を増加させるために必要であり、遊離塩基は、消費者の口腔内の粘膜から吸収され得る。しかし、アルカリpHは、製品からのニコチン抽出量を低下させる。特に、非常に高いpHは、製品の味感に負の影響を及ぼし、また、口内粘膜に有害である。一方、酸性pHは、ニコチンの移動度及び製品からの抽出量を改善するが、口腔内でのニコチン摂取量は低下し、口内健康にはよくない。したがって、多くの場合、経口用袋入りニコチン製品のpHをpH7~10等の中性又はわずかにアルカリに調整することが望ましい。一般に、これは、炭酸ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウムを含むpH調整剤を使用して達成される。
【0007】
不運なことに、経口用無煙タバコの嗅ぎタバコ製品等の嗅ぎタバコ製品のpHは、保管時に低下することが見出されている。pH低下を弱化するため、製品は、冷蔵を保ってもよく、かつ/又は炭酸ナトリウム及び/若しくは炭酸水素ナトリウムの量を増加してもよい。しかし、これは製品の取り扱いを一層、不便にし、製品の味感に望ましくない影響を及ぼす恐れがある。
【0008】
WO2009/082331は、pH安定性を製品に付与し、その中の細菌及び真菌の成長を予防する炭酸マグネシウムを含むタバコ製品又は非タバコ製品を開示している。
【0009】
WO2015/193379は、炭酸マグネシウムを含むタバコ製品又は非タバコ製品を開示している。この組成物は、包装材料によって囲まれており、この材料は、炭酸マグネシウムを含む。このように、口内pHは、前記製品の使用の間、安定である。図1は、経口用無煙タバコ製品の使用中の口内pHが、使用中に低下することを示している。
【0010】
WO2018/233795は、ニコチンと水溶性組成物との組合せ物を含む、マトリックス組成物を含有するニコチンの袋を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO2012/134380
【特許文献2】EP3087852
【特許文献3】WO2009/082331
【特許文献4】WO2015/193379
【特許文献5】WO2018/233795
【特許文献6】WO2012/069505
【特許文献7】WO2017/125405
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Federal Register/74巻、第4号/712~719頁/2009年1月7日、水曜日/Notices「Total Moisture determination」
【非特許文献2】AOAC(Association of Official Analytical Chemics)、Official Methods of Analysis 966.02:「Moisture in Tobacco」(1990)、第5版、K. Helrich(編)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、タバコを全く含まない又は少量のタバコしか含まない経口用袋入りニコチン製品であって、その製品において、保管時にpHが変化しない、限られた範囲内でしか変化しない、及び/又は約7~約10の範囲内に維持されている、経口用袋入りニコチン製品が必要とされている。
【0014】
本開示の目的は、上で議論した課題の少なくとも1つを軽減すること、並びにこれまで公知の技術により実現されていない利点及び態様を実現することである。更に、本開示の目的は、タバコを全く含まない又は少量のタバコしか含まない経口用袋入りニコチン製品中のpHの上昇等の、pHの変化を予防、低下及び/又は弱化させることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示は、充填材料、及び充填材料を包み込む包装用材料からなる唾液透過性袋を含む経口用袋入りニコチン製品であって、充填材料が、以下のもの:
- 微粒子非タバコ材料と、
- ニコチン源と、
- 充填材料の総質量に基づいて、1質量%~45質量%の範囲内の量の水と。
- pH調整剤であって、以下のもの:
(i) Na2CO3、K2CO3、NaHCO3及び/又はKHCO3、並びに
(ii) 式(I):
M2+(An-)m
式I
(式中、
M2+は、Ca2+、Mg2+、Mn2+、Zn2+、及びFe2+からなる群から選択され、
An-は、塩化物イオン、乳酸イオン、リンゴ酸イオン、コハク酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酒石酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、グルコン酸イオン、アルギン酸イオン、アンモニウムイオン、シュウ酸イオン、アスパラギン酸イオン、グリシン酸イオン、ピコリン酸イオン、酸化物イオン、システイン酸イオン、グルタミン酸イオン、水酸化物イオン、ラウリン酸イオン、ステアリン酸イオン、パルミチン酸イオン、ウンデシレン酸イオン、グルセプチン酸イオン、グリセロリン酸イオン、グルビオン酸イオン、グルコヘプトン酸イオン、グアニル酸イオン、イノシン酸イオン、プロピオン酸イオン、ソルビン酸イオン、サリチル酸イオン、安息香酸イオン、エリソルビン酸イオン、ギ酸イオン、ヨウ化物イオン、パンガミン酸イオン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される陰イオンであり、
nは、1又は2であり、
mは、1又は2であり、
-(nxm)=-2である)
の塩又は前記塩の水和物であり、
前記塩が、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~5質量%の範囲内の量で存在し、
前記塩が、約0.04M以上、及び/又は1g/L以上の水溶解度を有する、
塩又は前記塩の水和物
を含む又はこれらのみからなる、pH調整剤と、
- 任意選択により場合によっては、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~10質量%の範囲内の量のタバコ材料と
を含む又はこれらのみからなる、経口用袋入りニコチン製品を提供する。
【0016】
本開示はまた、充填材料を含む経口用袋入りニコチン製品中のpHを、前記製品が保管される場合に、例えば、60%~75%の相対湿度で、22℃~30℃の温度で、及び/又は15週間の時間の間保管される場合に制御するための、本明細書に記載されている式Iの塩又は前記塩の水和物の使用であって、
前記充填材料が、以下の:
- 微粒子非タバコ材料と、
- ニコチン源と、
- 充填材料の総質量に基づいて、1質量%~45質量%の範囲内の量の水と、
- Na2CO3、K2CO3、NaHCO3及び/若しくはKHCO3を含む又はこれらからなるpH調整剤と、
- 任意選択により場合によっては、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~10質量%の範囲内のタバコ材料と
を含む、使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】30℃の温度及び75%の相対湿度で保管を行った場合の、CaCl2を含まない又はCaCl2を増量して含む乾燥経口用袋入りニコチン製品に関する、保管時間(週数)の関数としての、pHの値(pH単位)を示すグラフである。
図2】22℃の温度及び60%の相対湿度で保管を行った場合の、スヌースの2種の試料に関する、保管時間(週数)の関数としての、pHの値(pH単位)を示すグラフである。
図3】22℃の温度及び60%の相対湿度で保管を行った場合の、CaCl2を含まない又はCaCl2を増量して含む湿潤経口用袋入りニコチン製品に関する、保管時間(週数)の関数としての、pHの値(pH単位)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
用語「タバコ材料」は、本明細書において、タバコの葉若しくは葉身及び茎等のタバコの葉の部分のタバコ抽出物及び/又は繊維材料に関して使用されている。葉及び葉の部分は、細かく分割されていてよく(砕解されていてよく)、例えば、粉砕されていてよく、切断されていてよく、破砕されていてよく又はたたかれていてよく、葉の部分は、タバコ材料中の規定された割合でブレンドされ得る。
【0019】
「タバコ」とは、本明細書で使用する場合、タバコ(Nicotiana)属の任意のメンバーの任意の部分、例えば葉、茎及び柄を意味する。タバコは、完全体でもよく、粉砕されてもよく、たたかれてもよく、切断されてもよく、粉砕されてもよく、硬化されてもよく、熟成されてもよく、発酵されてもよく、又は他の方法で処理されてもよく、例えば、造粒されてもよく、又はカプセル封入されてもよい。
【0020】
「経口」及び「経口使用」とは、すべての文脈において、口内留置等の、ヒトの口腔内で使用するために記載されているものとして、本明細書において使用されている。
【0021】
本明細書で使用する場合、用語「水分含量」とは、言及されている調製物、組成物、又は製品中の、水及び他のオーブン揮発物(例えば、プロピレングリコール)等の、オーブン揮発成分の総量を指す。水分含量は、言及されている調製物、組成物又は製品の総質量の質量%(wt%)として、本明細書において示されている。一部の繊維材料は、吸湿特性を示すことがある。吸湿性材料は、周囲水分及び温度に依存する平衡水分含量を維持する。本明細書において言及されている水分含量は、Federal Register/74巻, 第4号/712~719頁/2009年1月7日, 水曜日/Notices「Total Moisture determination」及びAOAC(Association of Official Analytical Chemics), Official Methods of Analysis 966.02:「Moisture in Tobacco」(1990), 第5版, K. Helrich(編)という参照文献に基づいた方法を使用することによって決定することができる。この方法では、水分含量は、水分の蒸発前及び脱水の完了後の、22℃の温度及び60%の相対湿度(RH)と本明細書において定義されている周囲条件において、2.5±0.25gの試料を採り、この試料を秤量することによる重量測定法により決定される。メトラートレドの水分分析器HB43(ハロゲン加熱技術を用いる天秤)を、本明細書に記載されている実験に使用した(言及した参照文献と同様のオーブン及び天秤を使用する代わり)。この試料を105℃まで加熱する(言及した参照文献と同様の99.5±0.5℃の代わり)。この測定は、質量変化が90秒間の時間フレームの間に、1mg未満となった場合、停止する。次に、試料の質量%としての水分含量は、水分分析器HB43によって自動的に計算される。
【0022】
「フレーバー」又は「風味剤」は、以下に限定されないが、エッセンシャルオイル、単一フレーバー化合物、複合フレーバー剤、及び抽出物を含めた、ニコチン製品のアロマ及び/又は味感に影響を及ぼすよう使用される物質に関して、本明細書において使用される。
【0023】
本明細書で使用する場合、「%w/w」、「w/w%」、「質量%(wt%)」、「質量%(weight %)」又は「質量%(% by weight)」は、言及されている調製物、組成物、又は製品の総質量の、言及されている成分の質量%を指す。
【0024】
本明細書で使用する場合、「乾燥質量%」、「乾燥質量に対する質量%」等の言及は、乾燥成分、すなわち水分含量を除く、言及されている調製物、組成物又は製品のすべての成分の総質量を基準にした、言及されている成分の質量%を指す。
【0025】
本明細書で使用する場合、「湿潤質量%」、「湿潤質量に対する質量%」等の言及は、成分、すなわち水分含量を含む、言及されている調製物、組成物、又は製品のすべての成分の総質量を基準にした、言及されている成分の質量%を指す。したがって、「総質量に対する質量%」とは、本明細書で使用する場合、「湿潤質量に対する質量%」と同じである。
【0026】
本明細書で使用する場合、用語「経口使用向けの袋入りニコチン製品」又は「経口用袋入りニコチン製品」は、経口使用向けの唾液透過性袋材料に包装されている、1ポーションのニコチン含有充填材料を指す。経口用袋入りニコチン製品の例の2つは、経口用袋入りニコチン非タバコ製品及び経口用袋入り低タバコニコチン製品である。
【0027】
本明細書で使用する場合、用語「経口用袋入りニコチン非タバコ製品」、「経口用袋入りタバコ不含ニコチン製品」又は「タバコ不含の経口用袋入りニコチン製品」は、経口使用向けの唾液透過性袋材料に包装されている、1ポーションのニコチン含有充填材料であって、タバコが前記製品に含まれていない、1ポーションのニコチン含有充填材料を指す。
【0028】
本明細書で使用する場合、用語「経口用袋入り低タバコニコチン製品」とは、経口使用向けの唾液透過性袋材料に包装された、1ポーションのニコチン含有充填材料であって、充填材料の総質量に基づいて、約0.1質量%~約10質量%又は約0.1質量%~約5質量%の範囲内のタバコ材料の量が前記製品に含まれている、1ポーションのニコチン含有充填材料を指す。
【0029】
本明細書で使用する場合、用語「非微粒子」とは、微粒子形態にはない成分を指す。例えば、本明細書に記載されている風味剤は、液体、油又はそれらの混合物等の、非微粒子風味剤であってもよい。
【0030】
本明細書で使用する場合、用語「微粒子非タバコ材料」とは、粒子を含む非タバコ材料を指す。粒子は、50~500μmの範囲内の平均粒子サイズを有することができる。
【0031】
本明細書において開示されている経口用袋入りニコチン製品は、口内留置(例えば、上側若しくは下側歯肉と唇若しくは頬との間に袋入り製品を置くことによる)等の口腔において使用するよう意図されており、したがって、経口使用向けの1ポーションの包装(袋入り)製品とも称されることがある。経口用袋入りニコチン製品は、サイズが整えられて、上側若しくは下側歯肉と唇若しくは頬の間のユーザーの口内で心地よくかつ控えめに適合するようになされている。
【0032】
本明細書において開示されている経口用袋入りニコチン製品は、実質的に長方形の形状(製品を平面に置いた際に、上から見た場合)等の長楕円形状を有してもよい。このような場合、製品の縦方向は、実質的に長方形の製品の長さに相当し、製品の横方向は、実質的に長方形の製品の幅に相当する。
【0033】
経口用袋入りニコチン製品(充填材料及び包装用材料を含む)の総質量は、約0.3~約1.5gの範囲内にあることができる。
【0034】
本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の充填材料は、粉末又は顆粒として提供されてもよい。したがって、包装用材料の唾液透過性袋によって囲まれた充填材料は、非圧縮形態で提供されてもよい。
【0035】
経口用袋入りニコチン製品の袋は、不織材料等の、任意の好適な唾液透過性(及び好ましくは非水溶性)包装用材料から作製され得る。包装用材料(本明細書において、袋材料をとも呼ばれる)は、ビスコースレーヨンステープルファイバー等の再生されたセルロースのステープルファイバー及びポリアクリレート等の結合剤を含む、不織材料とすることができる。
【0036】
経口用袋入り(すなわち1ポーション包装された)ニコチン製品は、例えば、WO2012/069505に記載されている、容器中又はパターン中に無作為に置かれ得る。代替として又は更に、経口用袋入りニコチン製品はそれぞれ、サシェ中に入れられてもよい。
【0037】
本開示は、充填材料、及びその充填材料を包み込む包装用材料からなる唾液透過性袋を含む経口用袋入りニコチン製品であって、充填材料が、以下のもの:
- 微粒子非タバコ材料と、
- ニコチン源と、
- 充填材料の総質量に基づいて、約1質量%~約50質量%の範囲内の量の水、及び
- pH調整剤であって、以下のもの:
(i) Na2CO3、K2CO3、NaHCO3及び/又はKHCO3、並びに
(ii) 式(I):
M2+(An-)m
式I
(式中、
M2+は、Ca2+、Mg2+、Mn2+、Zn2+、及びFe2+からなる群から選択され、
An-は、塩化物イオン、乳酸イオン、リンゴ酸イオン、コハク酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酒石酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、グルコン酸イオン、アルギン酸イオン、アンモニウムイオン、シュウ酸イオン、アスパラギン酸イオン、グリシン酸イオン、ピコリン酸イオン、酸化物イオン、システイン酸イオン、グルタミン酸イオン、水酸化物イオン、ラウリン酸イオン、ステアリン酸イオン、パルミチン酸イオン、ウンデシレン酸イオン、グルセプチン酸イオン、グリセロリン酸イオン、グルビオン酸イオン、グルコヘプトン酸イオン、グアニル酸イオン、イノシン酸イオン、プロピオン酸イオン、ソルビン酸イオン、サリチル酸イオン、安息香酸イオン、エリソルビン酸イオン、ギ酸イオン、ヨウ化物イオン、パンガミン酸イオン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される陰イオンであり、
nは、1又は2であり、
mは、1又は2であり、
-(nxm)=-2である)
の塩又は前記塩の水和物であり、
前記塩が、充填材料の総質量に基づいて、約0.05質量%~約5質量%の範囲内の量で存在し、
前記塩が、約0.04M以上、及び/又は1g/L以上の水溶解度を有している、
塩又は前記塩の水和物
を含む又はこれのみからなる、pH調整剤と、
- 任意選択により場合によっては、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~10質量%の範囲内の量のタバコ材料と
を含む又はこれらのみからなる、経口用袋入りニコチン製品を提供する。
【0038】
本明細書に記載されている式Iの塩中、nは、値1を有することができ、mは、値2を有することができることが理解されよう。それに代えて、nは、値2を有することができ、mは、値1を有することができる。したがって、-(nxm)=-2である。
【0039】
本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の陰イオンAn-は、以下のもの:塩化物イオン、乳酸イオン、リンゴ酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、グルコン酸イオン、グルタミン酸イオン、グアニル酸イオン、イノシン酸イオン、プロピオン酸イオン、ソルビン酸イオン、安息香酸イオン、ギ酸イオン、パンガミン酸イオンの1種又は複数から選択され得る。したがって、例えば、M2+はCa2+であることができる。
【0040】
更に、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の陰イオンAn-は、以下のもの:塩化物イオン、乳酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、ギ酸イオン、パンガミン酸イオンの1種又は複数から選択され得る。したがって、例えば、M2+はMg2+であることができる。
【0041】
更に、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の陰イオンAn-は、以下のもの:塩化物イオン、乳酸イオン、クエン酸イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、グルコン酸イオン、安息香酸イオン、ギ酸イオンの1種又は複数から選択され得る。したがって、例えば、M2+はMn2+であることができる。
【0042】
一例として、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の陰イオンAn-は、以下のもの:塩化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、ギ酸イオンの1種又は複数から選択され得る。更なる例では、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の陰イオンAn-は、以下のもの:塩化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、グルコン酸イオン、プロピオン酸イオン、ギ酸イオンの1種又は複数から選択され得る。したがって、例えば、M2+はZn2+であることができる。
【0043】
更なる例では、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の陰イオンAn-は、以下のもの:塩化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、グルコン酸イオン、プロピオン酸イオン、ギ酸イオンの1種又は複数から選択され得る。別の例では、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の陰イオンAn-は、以下のもの:塩化物イオン、乳酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオンの1種又は複数から選択され得る。したがって、例えば、M2+はFe2+であることができる。
【0044】
更なる別の例では、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の陰イオンAn-は、以下のもの:塩化物イオン、乳酸イオン、リンゴ酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酒石酸イオン、酢酸イオン、グルコン酸イオン、アスパラギン酸イオン、グリシン酸イオンの1種又は複数から選択され得る。したがって、例えば、M2+はCa2+であることができる。
【0045】
本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品のpH調整剤は、pHを約7~約10の範囲内にすることができる。このpHは、製品の製造直後等の、製品の製造後に達成され得る。更に、このpHは、本明細書に記載されている保管時等の、製品の保管時に実現される。本明細書に記載されている通り、約7~約10の、例えば約7~約9.5、例えば約7~約9.2、例えば約7~約9、例えば約8~約9の範囲内のpHを達成及び/又は維持することは、これにより、口内粘膜に負に影響を及ぼすことなく、良好なニコチン抽出量及び味感を可能にするので、大きな利点である。
【0046】
pH調整剤として、Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、及び/又はKHCO3を含む、無煙タバコ製品の保管は、製品pHの低下をもたらす。対照的に、本発明者らは、pH調整剤として、Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、及び/又はKHCO3を含む経口用袋入りタバコ不含ニコチン製品及び経口用袋入り低タバコニコチン製品の保管時に、pHが上昇することを見出した。驚くべきことに、pHのこのような上昇は、Na2CO3、K2CO3、NaHCO3及び/又はKHCO3を本明細書に記載されている式Iの塩と組合せることによって弱化されることが見出された。
【0047】
任意の特定の理論によって拘束されることを望むものではないが、式Iの塩は、水及びpH調整剤の炭酸イオンから水酸化物イオンが形成するのを防止することによって作用すると考えられる。代わりに、式Iの塩は、pH調整剤の炭酸イオンと反応し、低水溶解度を有する炭酸塩を形成すると考えられる。例えば、式Iの塩がCaCl2である場合、式CaCO3である炭酸塩が形成し得る。その結果、pH調整剤が組み込まれる経口用袋入りニコチン製品のpH又はその内部のpHは、式Iの塩のない対応する製品に比べると、それほど上昇しない。
【0048】
式Iの塩は、約0.04M以上の、例えば約0.045Mより大きい、例えば約0.05Mより大きい水溶解度を有することができる。更に又はそれに代えて、式Iの塩は、約0.045M以上、例えば約0.05M以上、例えば約0.06M以上、例えば約0.07M以上、例えば約0.8M以上、例えば約0.9M以上、例えば約1.0M以上の水溶解度を有することができる。更に、式Iの塩は、約10M以下、例えば約5Mより小さな、例えば約3Mより小さな水溶解度を有することができる。
【0049】
更に、式Iの塩は、約1g/L以上の、例えば約2g/L以上、例えば約3g/L以上、例えば約4g/L以上、例えば約5g/L以上、例えば約10g/L以上、例えば約50g/L以上、例えば約100g/l以上、例えば約150g/L以上、例えば約200g/L以上、例えば約250g/L以上、例えば約300g/L以上、例えば約350g/L以上、例えば約400g/L以上、例えば約450g/L以上、例えば約500g/L以上、例えば約600g/L以上、例えば約700g/L以上の水溶解度を有することができる。更に、式Iの塩は、約1キログラム/L以下、例えば約900g/L、例えば約800g/L等の水溶解度を有することができる。本明細書では、「g」はグラムを表し、Lはリットルを表す。
【0050】
この明細書では、「M」は、モル濃度、すなわち、1リットルあたりのモル数(すなわち、モル/L又はmol/L)を表す。したがって、溶解度は、溶液1リットルあたりのモル数で測定されてもよい。溶液は、水で式Iの塩を溶解する等の、混合からもたらされる溶液とすることができる。更に又は代替的に、溶液は、g/L、すなわち溶液の1リットルあたりのグラム数で測定されてもよい。溶液は、水での式Iの塩の溶解からもたらされる溶液とすることができる。更に又は代替的に、溶液は、式Iの塩が添加された溶液であってもよい。
【0051】
本明細書に記載されている式Iの塩の水溶解度等の、本明細書に記載されている水溶解度は、約10℃~約40℃、例えば約20℃~約25℃の温度で測定されてもよい。更に、水溶解度は、大気圧、例えば約101,325Pa、すなわち101,325パスカルの圧力で測定され得る。
【0052】
本経口用袋入りニコチン製品は、タバコを含まない、すなわち経口用袋入りニコチン非タバコ製品とすることができる。
【0053】
それに代えて、本経口用袋入りニコチン製品は、少量のタバコ材料しか含んでいなくてもよく、それにより、経口用袋入り低タバコニコチン製品を提供する。経口用袋入り低タバコニコチン製品のタバコ材料の量は、充填材料の総質量に基づいて、約0.1質量%~約10質量%、例えば約0.1質量%~約5質量%、例えば約0.1質量%~約1質量%の範囲内とすることができる。このような少量のタバコしか存在しないことは、本明細書に記載されている経口用袋入りタバコ不含製品によって示されるものと実質的に異なる程度に製品のpHに影響を及ぼすことはない。
【0054】
タバコ材料は、本明細書に記載されている形態で提供され得る。
【0055】
更に、タバコ材料は、精製済みタバコ材料、例えば、漂白済みタバコ材料又はタバコ抽出物であってもよい。
【0056】
本明細書に記載されているタバコ材料は、1種、2種、又はそれより多い微粒子非タバコ材料を含んでもよい。
【0057】
本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の充填材料の水の量は、充填材料の総質量に基づいて、約0.5質量%~約12質量%、例えば約0.5質量%~約5質量%、例えば約0.5質量%~約3質量%の範囲内、例えば約3質量%の量で存在することができる。水の量が、本明細書に記載されている通り、約0.5質量%~約12質量%又は約0.5質量%~約3質量%の範囲内にある場合、本経口用袋入りニコチン製品は、乾燥している、すなわち乾燥経口用袋入りニコチン製品と見なすことができる。
【0058】
あるいは、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の充填材料の水分含量は、充填材料の総質量に基づいて、約20質量%~約50質量%、例えば20質量%~45質量%の範囲内とすることができる。水の量が、本明細書に記載されている通り、約20質量%~約45質量%の範囲内にある場合、本経口用袋入りニコチン製品は、湿潤している、すなわち湿潤経口用袋入りニコチン製品と見なすことができる。
【0059】
驚くべきことに、本明細書に記載されているpH調整剤は、保管された場合に、経口用袋入りニコチン製品中のpHの上昇を低下、防止、及び/又は弱化することが発見された。本経口用袋入りニコチン製品は、乾燥していてもよく、又は湿潤していてもよい。保管は、本明細書に記載されている通りとすることができる。
【0060】
本明細書に記載されているpH調整剤の、式Iの塩又は前記塩の水和物は、充填材料の総質量に基づいて、約0.05質量%~約10質量%、例えば約0.05質量%~約7質量%、例えば約0.05質量%~約5質量%、例えば約0.05質量%~約3質量%、例えば約0.05質量%~約2質量%、例えば約0.05質量%~約1質量%の範囲内の量で存在することができる。例えば、式Iの塩又はこの塩の水和物は、充填材料の総質量に基づいて、約0.05質量%~約0.3質量%又は約0.1質量%~約0.3質量%の範囲内の量で存在することができる。
【0061】
本明細書に記載されているpH調整剤のNa2CO3、K2CO3、NaHCO3、及び/又はKHCO3は、経口用袋入りニコチン製品の充填材料の総質量に基づいて、約1質量%~約10質量%、例えば約1.5質量%~約4質量%、又は約4質量%~約9質量%の範囲内の量で存在することができる。
【0062】
式Iの塩の二価金属イオンM2+は、Ca2+又はMg2+であることができる。あるいは、二価金属イオンM2+は、Mn2+、Zn2+、又はFe2+であることができる。例えば、式の塩の二価金属イオンM2+は、Mn2+であってもよい。更なる例では、式の塩の二価金属イオンM2+は、Zn2+であってもよい。更なる例では、式の塩の二価金属イオンM2+は、Fe2+であってもよい。
【0063】
本明細書に記載されている式Iの塩は、CaCl2又はその水和物を含んでもよく、又はこれのみからなってもよい。更に又はそれに代えて、本明細書に記載されている式Iの塩は、MgCl2及び/若しくはZnCl2、又は上記の塩のいずれかの水和物を含んでもよく、又はこれらのみからなってもよい。更に、本明細書に記載されている式Iの塩は、MnCl2及び/若しくはFeCl2、又は上記の塩の水和物を含んでもよく、又はこれのみからなってもよい。
【0064】
本明細書に記載されている式Iの塩の陰イオンAn-は、乳酸イオンであってもよい。したがって、乳酸カルシウム及び/又は乳酸亜鉛を含む、又はこれのみからなる本明細書に記載されている式Iの塩が記載されている。更に、式Iの塩は、乳酸マグネシウム及び/又は乳酸鉄を含んでもよく、又はこれのみからなってもよい。上記の塩のいずれも、水和物の形態で提供されてもよいことが理解されよう。
【0065】
本明細書に記載されている式Iの塩の陰イオンAn-は、酢酸イオンであってもよい。したがって、酢酸カルシウム及び/又は酢酸亜鉛を含む、又はこれのみからなる本明細書に記載されている式Iの塩が記載されている。更に、式Iの塩は、酢酸マグネシウム及び/又は酢酸鉄を含んでもよく、又はこれのみからなってもよい。上記の塩のいずれも、水和物の形態で提供されてもよいことが理解されよう。
【0066】
一例では、pH調整剤は、Na2CO3及びCaCl2を含む又はこれらのみからなる。更なる例では、pH調整剤は、Na2CO3、NaHCO3、及びCaCl2を含む又はこれらのみからなる。更なる例では、pH調整剤は、K2CO3及びCaCl2を含む又はこれらのみからなる。更なる例では、pH調整剤は、NaHCO3及びCaCl2を含む又はこれらのみからなる。更なる例では、pH調整剤は、KHCO3及びCaCl2を含む又はこれらのみからなる。
【0067】
一例では、pH調整剤は、(i) Na2CO3及びNaHCO3、並びに(ii) CaCl2又はそれらの水和物を含む又はこれのみからなる。
【0068】
本明細書に記載されているpH調整剤は、経口用袋入りニコチン製品の充填材料の総質量に基づいて、約4質量%~約9質量%の量で存在していてもよい。更に、水の量は、経口用袋入りニコチン製品の充填材料の総質量に基づいて、約0.5質量%~約12質量%又は約0.5質量%~約3質量%の範囲内にあってもよく、かつ/又は充填材料の量は、経口用袋入りニコチン製品の充填材料の総質量に基づいて、約60質量%~約90質量%又は約30質量%~約85質量%の範囲内にあってもよい。更に、非微粒子非タバコ材料は、マルチトール及び/若しくはマイクロクリスタリンセルロースを含んでもよく、又はこれらのみからなってもよい。一例では、非微粒子非タバコ材料は、マイクロクリスタリンセルロース及び場合によりマルチトールを含む又はそれのみからなる。
【0069】
本明細書に記載されているpH調整剤は、(i) Na2CO3及び(ii) CaCl2又はそれらの水和物を含んでもよく、又はそれのみからなってもよい。pH調整剤は、経口用袋入りニコチン製品の充填材料の総質量に基づいて、約1.5質量%~約4質量%の量で存在していてもよい。更に、水の量は、経口用袋入りニコチン製品の充填材料の総質量に基づいて、約20質量%~約45質量%の範囲内にあってもよく、かつ/又は充填材料の量は、経口用袋入りニコチン製品の充填材料の総質量に基づいて、約30質量%~約90質量%又は約30質量%~約85質量%の範囲内にあってもよい。更に、非微粒子非タバコ材料は、セルロース及び/若しくはマイクロクリスタリンセルロースを含んでもよく、又はそれのみからなってもよい。
【0070】
本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品は、塩化ナトリウム、すなわちNaClを含まなくてもよい。それに代えて、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品は、充填材料の総質量に基づいて、約0.1質量%~約5質量%、例えば約0.1質量%~約3質量%の範囲内の量のNaClを含むことができる。
【0071】
本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品は、MgCO3を更に含むことができる。更に又はそれに代えて、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品は、CaCO3及び/又はドロマイトを含んでもよい。
【0072】
本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品は、更なる塩及び/又は更なるpH調整剤を含まなくてもよい。
【0073】
本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の充填材料は、充填材料の総質量に基づいて、約30質量%~約90質量%、例えば約30質量%~約85質量%、例えば約30質量%~約80質量%、例えば約60質量%~約90質量%の範囲内の微粒子非タバコ材料を含んでもよい。更に、本明細書に記載されている充填材料は、水不溶性充填材料であってもよく、場合により水溶性充填材料を更に含んでもよい。したがって、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の充填材料の少なくとも一部は、水不溶性、例えば室温及び/又は大気圧において水不溶性であることができる。
【0074】
微粒子非タバコ材料は、水不溶性、水溶性、又はそれらの組合せであってもよい。
【0075】
微粒子非タバコ材料は、糖アルコール、例えばマルチトール、並びに/又はセルロース、例えばマイクロクリスタリンセルロース及び/若しくは粉末セルロースを含んでもよく、又はそれのみからなってもよい。例えば、微粒子非タバコ材料は、マルチトール及び/又はマイクロクリスタリンセルロースを含んでもよい。
【0076】
更に又はそれに代えて、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の充填材料は、トウモロコシ繊維、オート麦繊維、トマト繊維、大麦繊維、ライ麦繊維、テンサイ繊維、ソバ繊維、小麦繊維、マメ繊維、じゃがいも繊維、リンゴ繊維、ココア繊維、竹繊維、柑橘繊維及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、1種又は複数の水不溶性繊維を含んでもよい。一例では、水不溶性繊維は、非タバコ微粒子材料の一部を形成することができる。
【0077】
充填材料は、1種、2種、又はそれより多いニコチン源を含んでもよい。
【0078】
本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の充填材料は、充填材料の総質量に基づいて、ニコチン源を約1.0質量%~約10質量%の範囲内で含んでもよい。
【0079】
ニコチン源は、ニコチン塩及び/又はニコチン塩基とすることができる。ニコチン塩基等のニコチン源はイオン交換樹脂、例えばポラクリレックスに、例えば塩架橋によって結合していてもよい。それに代えて又は更に、イオン交換樹脂は、ニコチン源、例えばニコチン塩基のための固体支持体として機能することができる。
【0080】
ニコチン塩基、例えば油性液体の形態のニコチン塩基は、合成的に製造されてもよく、又はタバコから抽出されてもよい。
【0081】
本明細書に記載されているニコチン源は、以下のもの:ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン一酒石酸塩、ニコチン酒石酸水素塩、ニコチン酒石酸水素塩二水和物、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛一水和物、ニコチンサリチル酸塩、ニコチンポラクリレックスのうちの1種又は複数を含んでもよく、又はそれのみからなってもよい。
【0082】
ニコチン源は、ニコチン塩、例えば、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン一酒石酸塩、ニコチン酒石酸水素塩、ニコチン酒石酸水素塩二水和物、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛一水和物、及びニコチンサリチル酸塩、並びにそれらの任意の組合せからなる群から選択されるニコチン塩であってもよい。
【0083】
特に、充填材料は、ニコチン酒石酸水素塩及び/又はニコチン酒石酸水素塩二水和物を含んでもよい。
【0084】
袋入り(パウチ)製品あたりのニコチン源、例えばニコチン塩及び/又はニコチン塩基の量は、ニコチン塩基として算出して、約0.1mg~約20mgの範囲内、例えば約0.5mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約2.5mg、約3.0mg、約3.5mg、約4.0mg、約4.5mg、約5.0mg、約6.0mg、約7.0mg、約8.0mg、約9.0mg、約10mg、約12mg、約14mg、約16mg、約18mg、又は約20mgのニコチンであることができる。
【0085】
本明細書において開示されている経口用袋入りニコチン製品中の充填材料のニコチン塩は、固形形態及び/又は溶解形態で存在するニコチン塩であることができる。
【0086】
本明細書において開示されているニコチン源は、本明細書において開示されている微粒子非タバコ材料表面に吸着されていてもよく、又は吸着されていなくてもよい。「表面に吸着されている」という表現は、ニコチン源が、非タバコ微粒子材料の外側表面に付着していることを意味することが理解されよう。ニコチン源が非タバコ微粒子材料表面に吸着されている場合、ニコチン源は、前記非タバコ微粒子材料の任意の空隙内に実質的に浸透することなく、前記非タバコ微粒子材料の外側表面に付着している。
【0087】
それに代えて又は更に、本明細書において開示されているニコチン源は、本明細書に記載されているタバコ材料に吸収されていてもよく、かつ/又はタバコ材料の表面に吸着されていてもよい。
【0088】
本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の充填材料は、風味剤を更に含んでもよい。充填材料は、1種、2種、又はそれより多い風味剤を含んでもよい。例えば、風味剤は、カプセル封入されていない作用剤であってもよい。更に又はそれに代えて、風味剤は、カプセル封入されていてもよい。カプセル封入されていない風味剤及びカプセル封入されている風味剤は、同一であってもよく、又は異なっていてもよい。本明細書で使用する場合、カプセル封入されている風味剤は、カプセル内に含まれている風味剤である。したがって、カプセル封入されていない風味剤は、カプセル内に含まれていない。
【0089】
本明細書において開示されている経口用袋入りニコチン製品中の充填材料の風味剤は、疎水性風味剤であることができる。
【0090】
本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の充填材料の風味剤は、油、液体、凍結乾燥材料、噴霧乾燥材料、又はそれらの混合物であることができる。一例では、風味剤は、油及び/又は液体である。
【0091】
本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の充填材料は、充填材料の総質量に基づいて、約0.5質量%~約3質量%の範囲内の風味剤を含むことができる。
【0092】
記載されている経口用袋入りニコチン製品の充填材料は、保湿剤、例えばポリプロピレングリコールを含んでいてもよい。
【0093】
本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品では、微粒子非タバコ材料、ニコチン源、水、pH調整剤、場合によりタバコ材料、場合により風味剤、及び場合により保湿剤が、均一に混合されてもよい。
【0094】
アナタビンは、ナス(Solanaceae)科の植物に見出される少量のアルカロイドの1種であり、これは、とりわけタバコ植物に含まれる。本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン非タバコ製品は、タバコを含んでいないことがあり、すなわち、タバコ材料を含んでいなくてもよく、次に、それ故にアナタビンを含まなくてもよい。それに代えて、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品は少量のタバコ材料を、本明細書に記載されている通り、例えば約0.1質量%~約10質量%含むことができ、したがって、前記タバコ材料中に存在するアナタビンを除いて、いかなるアナタビンも含んでいなくてもよい。
【0095】
本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品は、グリセリド類、例えばトリグリセリドを含まなくてもよい。それに代えて、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品は、グリセリド類、例えばトリグリセリドを含んでもよい。
【0096】
本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の充填材料は、以下の工程:
- 微粒子非タバコ材料、ニコチン源、例えばニコチン塩、及び水を含む混合物であって、前述の成分を任意の順序で混合することによりもたらされる混合物を準備する工程
を含む方法によって製造することができ、
この場合に、本明細書で定義されているpH調整剤を、前述の工程のいずれかの前、その間、及び/又はその後に添加し、任意選択により、風味剤を、前述の工程のいずれかの前、その間、及び/又はその後に添加してもよく、任意選択により、保湿剤を、前述の工程のいずれかの前、その間、及び/又はその後に添加してもよく、任意選択により、タバコ材料を、前述の工程のいずれかの間及び/又はその後に添加してもよい。微粒子非タバコ材料、ニコチン源、水、任意選択による風味剤、任意選択による保湿剤、及び任意選択によるタバコ材料の量は、本明細書に記載されている通りであることができる。
【0097】
更に、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の充填材料は、以下の工程:
- 微粒子非タバコ材料、ニコチン源、pH調整剤、水、及び任意選択により場合によってはタバコ材料を含む混合物を含む又はこの混合物のみからなる粉末を準備する工程と、
- 前記粉末を造粒する工程と
を含む方法を使用して製造することができる。
【0098】
本方法は、包装用材料の唾液透過性袋の中に充填材料を取り囲む工程を更に含むことができる。
【0099】
本明細書に記載されている方法により得た、若しくはこの方法により得ることができる充填材料及び/又は経口用袋入りニコチン製品も提供される。
【0100】
経口用袋入りニコチン製品、例えば前記経口用袋入りニコチン製品の充填材料のpHは、それが精製水中に分散されている場合、約7.0~約10.0の範囲内であることができ、例えば約7~約9の範囲内のpHであり、例えば約7~約9.5、例えば約7~約9.2、例えば約8~約9、例えば約8、例えば約8.3、例えば約8.5、又は例えば約8.8であってもよい。本明細書に記載されている通り、これらのpHの値は、口内粘膜に負に影響を及ぼさないと同時に、ニコチン抽出量及び味感にとって好都合である。pHは、本明細書に記載されている通りに測定することができる。更に、本経口用袋入りニコチン製品は、製造時及び/又は保管時にも、これらのpHの値を示すことができる。
【0101】
例えば、充填材料のpHは、水、例えば蒸留水の100ミリリットルを5.0グラムの充填材料に添加して混合物を得て、次いで、前記混合物を撹拌、例えば、約5分間、100rpmで撹拌し、次に、前記混合物の少なくとも一部についてpHを測定することによって測定することができる。本明細書に記載されている充填材料のpHは室温で、例えば大気圧において、室温で測定することができる。pH計を、測定に使用することができる。本明細書では、「rpm」は、1分間あたりの回転数を表す。本明細書では、室温は、約20℃~約25℃、例えば約22℃の温度を意図している。大気圧は、約101,325Pa、すなわち101,325パスカルの圧力であることができる。
【0102】
したがって、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品であって、保管時に前記製品のpHが、約10を超えない、約9.5を超えない、又は約9を超えない、経口用袋入りニコチン製品が提供される。更に又は代わりに、経口用袋入りニコチン製品のpHは、保管時に、±0.5pH単位以内しか変化しない。保管は、約22℃~約30℃の温度で及び/又は約15週間の時間、約60%~約75%の相対湿度で行うことができる。一例では、保管は、約30℃の温度で及び/又は約15週間の時間、約75%の相対湿度で行われる。更なる例では、保管は、約30℃で及び/又は約15週間の時間、行われる。
【0103】
本明細書に記載されている保管は、経口用袋入りニコチン製品に好適な、包装及び/又は消費者向け容器等の容器中で行われ得る。したがって、本明細書に記載されている容器は、消費者のポケット又はハンドバッグ中で都合よく運ばれるように適合されていてもよく、かつ/又は本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品等の任意の既知のタイプの嗅ぎタバコ製品を包装するためにも使用され得る。容器は、プラスチック製及び/又は金属製であってもよい。更に、容器は、任意の所望の形状又は幾何形態を有することができる。例えば、容器は、円筒の形態を有することができる。容器は、内部空間を画定する上部及び底部を備えることができる。底部は、底部面、及び前記底部面から延在する周囲壁を備えることができる。上部は、容器の底部から脱着可能な蓋の形態、又はヒンジ付き蓋の形態にあってもよく、又は他には、容器の底部に取り付けられていてもよい。例えば、蓋は、スナップフィットにより底部に取り付けられていてもよい。容器は、不正開封防止機能付きであってもよい。一例では、容器は、その全体が本明細書に組み込まれている、WO2017/125405に記載されている通りとすることができる。更なる例では、容器は、ノルウェー第085548号の意匠登録に示されている通りとすることができる。
【0104】
本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品のpH調整剤の成分(i)は、以下のもの:Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、KHCO3のうちの1種若しくは複数を含んでもよく、又はそれのみからなっていてもよい。更に、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品のpH調整剤は、以下のもの:
(i) Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、KHCO3のうちの1種又は複数、及び
(ii) 本明細書に記載されている式Iの塩
のみからなっていてもよい。
【0105】
例えば、本明細書に記載されているpH調整剤又は経口用袋入りニコチン製品中のpH調整剤は、以下のものを含むか、以下のもののみからなることができる:
(i) Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、及び/又はKHCO3、並びに
(ii) 式(I):
M2+(An-)m
式I
(式中、
M2+は、Ca2+、Mg2+、Mn2+、Zn2+、及びFe2+からなる群から選択され、
An-は、塩化物イオン、乳酸イオン、リンゴ酸イオン、コハク酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酒石酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、グルコン酸イオン、アルギン酸イオン、アンモニウムイオン、シュウ酸イオン、アスパラギン酸イオン、グリシン酸イオン、ピコリン酸イオン、酸化物イオン、システイン酸イオン、グルタミン酸イオン、水酸化物イオン、ラウリン酸イオン、ステアリン酸イオン、パルミチン酸イオン、ウンデシレン酸イオン、グルセプチン酸イオン、グリセロリン酸イオン、グルビオン酸イオン、グルコヘプトン酸イオン、グアニル酸イオン、イノシン酸イオン、プロピオン酸イオン、ソルビン酸イオン、サリチル酸イオン、安息香酸イオン、エリソルビン酸イオン、ギ酸イオン、ヨウ化物イオン、パンガミン酸イオン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される陰イオンであり、
nは、1又は2であり、
mは、1又は2であり、
-(nxm)=-2である。)
の塩又は前記塩の水和物。
【0106】
一例では、本明細書に記載されているpH調整剤であって、
M2+が、Ca2+及びMg2+からなる群から選択され、かつ/又は、
An-が、塩化物イオン、乳酸イオン、リンゴ酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酒石酸イオン、酢酸イオン、グルコン酸イオン、アスパラギン酸イオン、及びグリシン酸イオンからなる群から選択される、
pH調整剤が提供される。
【0107】
一例では、本明細書に記載されているpH調整剤であって、
M2+が、Mn2+、Zn2+、及びFe2+からなる群から選択され、かつ/又は、
An-が、塩化物イオン、乳酸イオン、リンゴ酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酒石酸イオン、酢酸イオン、グルコン酸イオン、アスパラギン酸イオン、及びグリシン酸イオンからなる群から選択される、
pH調整剤が提供される。
【0108】
特定の一例では、本明細書に記載されているpH調整剤は、(i) Na2CO3及び/又はNaHCO3、並びに(ii) CaCl2を含む又はこれらのみからなる。更なる例では、pH調整剤は、(i) K2CO3及び/又はKHCO3、並びに(ii) CaCl2を含んでもよく、又はこれらのみからなってもよい。CaCl2は、水和物、例えば、一水和物の形態で存在することができる。
【0109】
本明細書に記載されている通り、式Iの塩を含まない経口用袋入りニコチン製品は、保管した場合、そのpHが上昇する。予期せぬことに、式Iの塩が、Na2CO3、K2CO3、NaHCO3及び/又はKHCO3と、例えば本明細書に記載されている量で、組み合わされる場合、これは、以下の点を可能にするpH調整剤をもたらす:
(i) 前記製品が保管された場合、経口用袋入りニコチン製品のpHの上昇を、軽減する、低下させる、予防する、及び/又は弱化させる等の制御を行うこと、
(ii) 経口用袋入りニコチン製品のpHが、前記製品が保管された場合、約9、約9.2、又は約9.5の値を超えるのを防止すること、及び/又は
(iii) 前記製品が保管された場合、経口用袋入りニコチン製品のpHが±0.5pH単位を超えて変化すること、例えば、初期のpHの値から±0.5pH単位を超えて変化することを防止すること。
したがって、pH調整剤は、以下の点の1つ以上を可能にする。
(i) 前記の製品が保管された場合、経口用袋入りニコチン製品のpHの上昇を、軽減する、低下させる、予防する、及び/又は弱化させる等の制御を行うこと、
(ii) 経口用袋入りニコチン製品のpHが、前記製品が保管された場合に、約9、約9.2、又は約9.5の値を超えるのを防止すること、
(iii) 前記の製品が保管された場合に、経口用袋入りニコチン製品のpHが±0.5pH単位を超えて変化すること、例えば、初期のpHの値から±0.5pH単位を超えて変化することを防止すること。
【0110】
本明細書において使用する表現「±0.5pH単位」は、+0.5pH単位及び/又は-0.5pH単位を意図することができることが理解されよう。
【0111】
したがって、充填材料を含む経口用袋入りニコチン製品中の又はそのpHを、前記の製品が保管された場合に、例えば、60%~75%の相対湿度で、22℃~30℃の温度で、及び/又は15週間の時間の間保管された場合に、制御するための、本明細書に記載されている式Iの塩又は前記塩の水和物の使用を提供し、
ここで、前記の充填材料が、式Iの前記塩又はその水和物と、以下のもの:
- 微粒子非タバコ材料と、
- ニコチン源と、
- 充填材料の総質量に基づいて、1質量%~45質量%の範囲内の量の水と、
- Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、及び/又はKHCO3を含む又はそれのみからなるpH調整剤と、
- 任意選択により場合によっては、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~10質量%の範囲内のタバコ材料と
を含む。
【0112】
式Iの塩又はその水和物は、充填材料の他の成分と混合されてもよい。例えば、式Iの塩又はその水和物は、充填材料の他の成分と実質的に均一に混合されてもよい。
【0113】
充填材料の成分の量は、本明細書に記載されている通りとすることができることが理解されよう。例えば、式Iの塩、例えば、CaCl2、Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、及び/又はKHCO3は、本明細書に記載されている量で存在することができる。一例では、式Iの塩、例えば、CaCl2、Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、及び/又はKHCO3は、前記経口用袋入りニコチン製品の充填材料の総質量に基づいて一定の量、例えば1質量%~15質量%、例えば1質量%~10質量%、例えば1質量%~9質量%、例えば1~7質量%、又は例えば1質量%~5質量%の総量で存在することができる。
【0114】
制御は、以下の事項:
(i) 前記の製品が保管された場合、前記製品中の又はそのpHの上昇を緩和すること、
(ii) 前記製品中の又はそのpHが、前記製品が保管された場合、約9、約9.2、又は約9.5の値を超えることを防止すること、及び/又は
(iii) 前記製品が保管された場合、前記製品中の又はそのpHが±0.5pH単位を超えて変化すること、例えば、対応する新しく調製した製品のpHと比べて±0.5pH単位を超えて変化することを防止すること
を含んでもよく、又はこれらの事項のみからなってもよい。
したがって、制御は、以下の事項:
(i) 前記製品が保管された場合、前記製品中の又はそのpHの上昇を緩和すること、
(ii) 前記製品中の又はそのpHが、前記製品が保管された場合、約9、約9.2、又は約9.5の値を超えることを防止すること、
(iii) 前記製品が保管された場合、前記製品中の又はそのpHが±0.5pH単位を超えて変化すること、例えば、対応する新しく調製した製品のpHと比べて±0.5pH単位を超えて変化することを防止すること
のうちの1つ若しくは複数を含んでもよく、又はそれのみからなってもよい。
【0115】
本明細書に記載されている保管は、約60%~約75%の相対湿度で、約22℃~約30℃の温度で、及び/又は約15週間の時間、行うことができる。一例では、保管は、約75%の相対湿度で、約30℃の温度で、及び/又は約15週間の時間、行われる。更なる例では、保管は、約30℃で、及び/又は約15週間の時間行われる。
【0116】
本開示はまた、前記製品が保管された場合に、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品、例えば、経口用袋入りニコチン製品中の又は製品のpHを制御する方法を提供する。この制御は、本明細書に記載されている通りであることができる。その方法は、本明細書に記載されているpH調整剤の使用を含む。本方法は、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の調製と、その後の前記製品の保管を含むことができるか、又はそれらのみからなることができる。保管は、本明細書に記載されている通りであることができる。
【0117】
本明細書に記載されているpHの制御は、保管安定性の改善、例えば、本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品の保管安定性の改善をもたらすことができる。特に、保管安定性は、式Iの塩を含んでいない対応する経口用袋入りニコチン製品に関して改善され得る。
【0118】
本明細書に記載されている経口用袋入りニコチン製品は、1ポーションが包装された経口用ニコチン製品と考えることができることが理解されよう。充填材料は、粒子、顆粒、ビーズ、粉末、例えば、乾燥粉末又は湿潤粉末、乾燥混合物、又は湿潤混合物の形態であることができる。更に、本開示はまた、本明細書に記載されている充填材料、すなわち、任意の包装、例えば、袋(パウチ)を除いた充填材料を対象とする。
【実施例
【0119】
実施例1:実質的に乾燥した経口用袋入りタバコ不含ニコチン製品
無水塩化カルシウム(Merck GmbH社(ドイツ国)により供給)、ニコチン酒石酸水素塩二水和物(Siegfried AG(スイス国)社により供給)、炭酸水素ナトリウム(TATA Chemicals社(英国)社により供給)及び炭酸ナトリウム(Novacarb(フランス国)社により供給)を、以下の表1Aによる糖アルコール及びセルロース繊維等の充填剤と混合することによって5つの顆粒を調製した。
【0120】
【表1】
【0121】
表1A中の水分含量は、参照文献であるFederal Register/74巻, 第4号/712~719頁/2009年1月7日, 水曜日/Notices「Total Moisture determination」及びAOAC(Association of Official Analytical Chemics), Official Methods of Analysis 966.02:「Moisture in Tobacco」(1990), 第5版, K. Helrich(編)中の方法を使用して、本明細書に記載されている通りに決定した。
【0122】
上記の顆粒は、水透過性の不織袋材料を使用して、それぞれ0.4gのポーション袋に包装した。この袋は、経口用袋を封入するのに好適なプラスチックの缶中に包装した。このプラスチックの缶は、WO2017/125405に記載されたものである。pHは、本明細書において記載されている方法を使用して、保管前に、新しい試料について分析した。このプラスチックの缶は、この後に、保管するため、気候キャビネット(VC0100、Votsch Industrietechnik社)に移した。キャビネットの条件は、35℃及び75%RHに設定した。保管は、15週間行った。2、4、6、8、10、及び15週間後、各試料からの缶を、気候キャビネットから取り出し、袋のpHを本明細書において規定されている方法を使用して分析した。本明細書では、「g」はグラムを表し、「RH」は相対湿度を表す。
【0123】
これらの結果が、図1及び表1Bに示されている。塩化カルシウムを含まない参照品(試料1)は、15週間の保管後に、1pH単位を超えて上昇したことを観察できる。したがって、CaCl2のない経口用袋入りタバコ不含ニコチン製品のpHは、保管時に上昇した。対照的に、塩化カルシウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸ナトリウムの組合せ物を含有する試料2~5のpHは、保管時に0.45pH単位以下しか上昇しない。更に、保管後、試料2~5のpHは、7.40~8.61であった。したがって、pHの上昇は、CaCl2等の塩の存在下では小さかった。
【0124】
【表2】
【0125】
実施例2:スヌース(snus)製品
これは、保管時にスヌースのpHがどのように変化するかを示す比較例である。
【0126】
スヌース(GR One及びGeneral one)の2つのバッチを、表2に開示されている製造スケール装置及び組成を使用して、標準スヌース製造手順で調製した。タバコ、繊維、及び水をブレンダー中で混合した。このブレンド物を100℃まで加熱し、温度を4.5時間、85~100℃の間に維持した。冷却前に、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、プロピレングリコール、及び追加の水を添加し、混合してスヌースブレンドにした。冷却後に、フレーバー及び追加の塩化ナトリウムの最後の追加物を添加し、スヌースブレンドに混合した。このスヌースを水透過性の不織袋材料中に包装し、この袋を、経口用袋を封入するのに好適なプラスチック缶中に包装した。プラスチック缶は、ノルウェー第085548号の意匠登録に示されている通りだった。
【0127】
pHは、本明細書において記載されている方法を使用して、保管前に新しい試料について解析した。このプラスチック缶を、これ以降、保管するため、気候キャビネットに移した。キャビネット条件は、22℃及び60%RHに設定した。保管を17週間行った。1、3、5、10、及び17週間後、各試料からの缶を、気候キャビネットから取り出し、袋のpHを本明細書において規定されている方法を使用して分析した。
【0128】
これらの結果が、図2に示されている。どちらのスヌース試料でも、pH値は、保管の間のスヌースにとって典型的なpHのなりゆきに従うことが観察できる。これは、pHが安定して低下することを意味している。17週間の保管後に、pHは、初期値と比較すると、ほぼ0.6pH単位だけ低下した。したがって、スヌースを含むタバコのpHは、保管時に低下する。
【0129】
【表3】
【0130】
実施例3:湿潤経口用タバコ不含ニコチン製品
湿潤経口用ニコチン製品の2つのバッチ(Ang-124及びAng-125)を、表3A中の組成に従い、実験室スケール(1バッチあたり500g)で調製した。乾燥成分(ニコチン酒石酸水素塩、炭酸ナトリウム、塩化カルシウム(Ang-124の場合だけ)、セルロース、塩化ナトリウム及び甘味剤)を、実験室用ミキサー(Kenwood社)中で混合して、均一な粉末ブレンド物にした。水、グリセロール、及び植物油を添加し、次いで連続混合した。水は、この組成物の総量に基づいて約30~40質量%の量で存在した。
【0131】
この後に、フレーバー及び甘味剤を添加し、そのブレンド物を混合して、最終的な経口用ニコチンブレンドにした。pHは、本明細書において記載されている方法を使用して、保管前に新しい試料について解析した。
【0132】
【表4】
【0133】
経口ニコチンブレンド物の2つの試料を、経口用袋入りニコチン製品のために好適なプラスチック缶中に分配した。この後、保管するために、側面ラベルを用いてこのプラスチック缶を密封し、気候キャビネットに移した。プラスチック缶は、ノルウェー第085548号の意匠登録に示されている通りであった。キャビネットの条件は、22℃及び60%RHに設定した。保管は、15週間行った。2、4、8、10、及び15週間後、各試料からの缶を気候キャビネットから取り出し、袋のpHを本明細書において規定されている方法を使用して分析した。
【0134】
結果が、図3及び表3Bに示されている。塩化カルシウムのない参照品(Ang-125)のpHは、15週間の保管時に、0.86pH単位だけ上昇したことがわかる。対照的に、塩化カルシウムを含む試料(Ang-124)のpHは、保管時、0.40pH単位しか上昇しなかった。試料Ang-124の保管後のpHは、9.04であった。したがって、pHの上昇は、CaCl2等の塩の存在下では、小さかった。
【0135】
【表5】
【0136】
<pHを測定する方法>
上記の実施例の充填材料のpHは、125mlのビーカー中、5.0グラムの充填材料に100mlの蒸留水を添加し、得られた混合物を室温で100rpmにて磁気撹拌器で約5分間撹拌し、次にそれから得られる抽出物のpHを(製造業者の指示書に従って)較正済みのpHメーターを用いて測定することによって測定した。読取り値の正確さのために、試料溶液を1時間以内に分析した。本明細書では、「rpm」は、1分間あたりの回転数を表す。本明細書では、室温は、約20℃~約25℃、例えば約22℃の温度を意図している。
【0137】
項目
1. 充填材料、及び充填材料を包み込む包装用材料からなる唾液透過性袋を含む経口用袋入りニコチン製品であって、充填材料が、以下のもの:
- 微粒子非タバコ材料と、
- ニコチン源と、
- 充填材料の総質量に基づいて、1質量%~45質量%の範囲内の量の水と、
- pH調整剤であって、以下のもの:
(i) Na2CO3、K2CO3、NaHCO3及び/又はKHCO3、並びに
(ii) 式(I):
M2+(An-)m
式I
(式中、
M2+は、Ca2+、Mg2+、Mn2+、Zn2+、及びFe2+からなる群から選択され、
An-は、陰イオンであり、前記陰イオンは、CO3 2-あるいはHCO3 -ではなく、
nは、1又は2であり、
mは、1又は2であり、
-(nxm)=-2である)
の塩であり、水溶解度、例えば、約20℃~約25℃の温度で、0.04M以上の水溶解度を有する、塩
を含む、pH調整剤と、
- 任意選択により場合によっては、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~10質量%の範囲内のタバコ材料と
を含む、経口用袋入りニコチン製品。
【0138】
2. 充填材料、及びその充填材料を包み込む包装用材料からなる唾液透過性袋を含む経口用袋入りニコチン製品であって、充填材料が、以下の:
- 微粒子非タバコ材料と、
- ニコチン源と、
- 充填材料の総質量に基づいて、1質量%~45質量%の範囲内の量の水と、
- pH調整剤であって、以下のもの:
(i) Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、及び/又はKHCO3、並びに
(ii) 式(I):
M2+(An-)m
式I
(式中、
M2+は、Ca2+、Mg2+、Mn2+、Zn2+、及びFe2+からなる群から選択され、
An-は、Cl-、Br-、I-、F-、及び4.7以上のpKaを有する有機酸の共役塩基から選択される陰イオンであり、
nは、1又は2であり、
mは、1又は2であり、
-(nxm)=-2である)
の塩であり、約0.04M以上の水溶解度、例えば、約20℃~約25℃の温度における水溶解度を有しており、かつ/又は充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~7質量%、例えば0.05質量%~5質量%の範囲内の量で存在する、塩
を含む、pH調整剤と、
- 任意選択により場合によっては、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~10質量%の範囲内のタバコ材料と
を含む、経口用袋入りニコチン製品。
【0139】
3. 充填材料、及び充填材料を包み込む包装用材料からなる唾液透過性袋を含む経口用袋入りニコチン製品であって、充填材料が、以下の:
- 微粒子非タバコ材料と、
- ニコチン源、
- 充填材料の総質量に基づいて、1質量%~50質量%の範囲内の量の水と、
- pH調整剤であって、以下のもの:
(i) Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、及び/又はKHCO3、並びに
(ii) 式(I):
M2+(An-)m
式I
(式中、
M2+は、Ca2+、Mg2+、Mn2+、Zn2+、及びFe2+からなる群から選択され、
An-は、塩化物イオン、乳酸イオン、リンゴ酸イオン、コハク酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酒石酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、グルコン酸イオン、アルギン酸イオン、アンモニウムイオン、シュウ酸イオン、アスパラギン酸イオン、グリシン酸イオン、ピコリン酸イオン、酸化物イオン、システイン酸イオン、グルタミン酸イオン、水酸化物イオン、ラウリン酸イオン、ステアリン酸イオン、パルミチン酸イオン、ウンデシレン酸イオン、グルセプチン酸イオン、グリセロリン酸イオン、グルビオン酸イオン、グルコヘプトン酸イオン、グアニル酸イオン、イノシン酸イオン、プロピオン酸イオン、ソルビン酸イオン、サリチル酸イオン、安息香酸イオン、エリソルビン酸イオン、ギ酸イオン、ヨウ化物イオン、パンガミン酸イオン及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される陰イオンであり、
nは、1又は2であり、
mは、1又は2であり、
-(nxm)=-2である)
の塩又は前記塩の水和物であり、前記塩が、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~5質量%の範囲内の量で存在する、塩又は前記塩の水和物
を含む、pH調整剤と、
- 任意選択により場合によっては、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~10質量%の範囲内のタバコ材料と
を含む、経口用袋入りニコチン製品。
【0140】
4. 前記pH調整剤が、以下のもの:
(i) Na2CO3及び任意選択により場合によってはNaHCO3、並びに
(ii) 式(I)の塩又はその水和物
を含む又はこれらのみからなる、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0141】
5. An-が、塩化物イオン、乳酸イオン、リンゴ酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酒石酸イオン、酢酸イオン、グルコン酸イオン、アスパラギン酸イオン及びグリシン酸イオンからなる群から選択される、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0142】
6. 式(I)の前記塩又はその水和物が、約0.04M以上、例えば約0.045Mより高い、例えば約0.05Mより高い水溶解度、例えば約20℃~約25℃の温度における水溶解度を有する、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0143】
7. 充填材料がタバコ材料を含まない、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0144】
8. タバコ材料が、充填材料の総質量に基づいて、約0.1質量%~約10質量%、例えば約0.1質量%~約5質量%、例えば約0.1質量%~約1質量%の範囲内の量で存在する、項目1から6のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0145】
9. タバコ材料が、タバコ繊維、粉砕タバコ、及び/又は嗅ぎタバコ、例えばスヌースとして提供される、項目1から6又は8のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0146】
10. タバコ材料が、精製済みタバコ材料、例えば漂白タバコ材料を含む又はこれのみからなる、項目1から6又は8から9のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0147】
11. 水の量が、充填材料の総質量に基づいて、約0.5質量%~約12質量%、例えば約0.5質量%~約5質量%の範囲内の量で、例えば約3質量%で存在する、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0148】
12. 水の量が、充填材料の総質量に基づいて、約20質量%~約50質量%、例えば20質量%~45質量%の範囲内で存在する、項目1から10のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0149】
13. 式(I)の塩又は前記塩の水和物が、充填材料の総質量に基づいて、約0.05質量%~約5質量%、例えば約0.05質量%~約3質量%、例えば約0.05質量%~約2質量%、例えば約0.05質量%~約1質量%の範囲内の量で存在する、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0150】
14. 式(I)の塩又は前記塩の水和物が、充填材料の総質量に基づいて、約0.05質量%~約0.3質量%の範囲内の量で存在する、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0151】
15. pH調整剤のNa2CO3、K2CO3、NaHCO3、及び/又はKHCO3が、充填材料の総量に基づいて、約1質量%~約10質量%、例えば約1.5質量%~約4質量%、又は例えば約4質量%~約9質量%の範囲内の量で存在する、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0152】
16. M2+が、Ca2+又はMg2+である、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0153】
17. M2+が、Mn2+、Zn2+、又はFe2+である、項目1から15のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0154】
18. 式Iの塩又はその水和物が、CaCl2又はその水和物を含む又はこれのみからなる、項目1から16のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0155】
19. 充填材料がNaClを、例えば、充填材料の総質量に基づいて、約0.1質量%~約5質量%、例えば約0.1質量%~約3質量%の範囲内の量のNaClを更に含む、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0156】
20. 充填材料が、CaCO3、MgCO3、及び/又はドロマイトを更に含む、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0157】
21. 前記製品が、更なる塩及び/又は更なるpH調整剤を含まない、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0158】
22. 精製水中に分散させた場合、約7~約10、例えば約7~約9.5、例えば約7~約9.2、例えば約7~約9、例えば約8~約9、例えば約8、例えば約8.3、例えば約8.5、又は例えば約8.8のpHを有する、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0159】
23. 保管時、例えば、
約60%~約75%の相対湿度で、
約22℃~約30℃の温度で、及び/又は
約15週間の時間の間に
行われる保管時に、前記経口用袋入りニコチン製品のpHが、約9、又は約9.2、又は約9.5の値を超えない、及び/又は±0.5pH単位以下しか変化しない、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0160】
24. 微粒子非タバコ材料が、充填材料の総質量に基づいて、約30質量%~約90質量%、例えば約30質量%~約85質量%、例えば約30質量%~約80質量%の範囲内の量で存在する、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0161】
25. 微粒子非タバコ材料が、糖アルコール、例えばマルチトール、並びに/又はセルロース、例えばマイクロクリスタリンセルロース及び/若しくは粉末セルロースを含む、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0162】
26. 微粒子非タバコ材料が、マルチトール及び/又はマイクロクリスタリンセルロースを含む、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0163】
27. 充填材料が、トウモロコシ繊維、オート麦繊維、トマト繊維、大麦繊維、ライ麦繊維、テンサイ繊維、ソバ繊維、小麦繊維、マメ繊維、じゃがいも繊維、リンゴ繊維、ココア繊維、竹繊維、柑橘繊維及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、1種又は複数の水不溶性繊維を含む、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0164】
28. 前記水不溶性繊維が、前記微粒子非タバコ材料の一部分を形成する、項目27による経口用袋入りニコチン製品。
【0165】
29. 充填材料が、充填材料の総質量に基づいて、ニコチン源を約1.0質量%~約10質量%の範囲内で含む、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0166】
30. ニコチン源が、イオン交換樹脂に結合した、ニコチン塩、ニコチン塩基、及び/又はニコチン、例えばニコチンポラクリレックスである、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0167】
31. ニコチン塩が、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン一酒石酸塩、ニコチン酒石酸水素塩、ニコチン酒石酸水素塩二水和物、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛一水和物、及びニコチンサリチル酸塩、並びにそれらの任意の組合せからなる群から選択される、項目30による経口用袋入りニコチン製品。
【0168】
32. 袋入り製品あたりのニコチン塩の量が、ニコチン塩基として計算して、約0.1mg~約20mgの範囲内、例えば、約0.5mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約2.5mg、約3.0mg、約3.5mg、約4.0mg、約4.5mg、約5.0mg、約6.0mg、約7.0mg、約8.0mg、約9.0mg、約10mg、約12mg、約14mg、約16mg、約18mg、又は約20mgのニコチンであることができる、項目30又は項目31による経口用袋入りニコチン製品。
【0169】
33. ニコチン源が、固体形態及び/又は溶解形態で存在するニコチン塩である、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0170】
34. ニコチン源が、微粒子非タバコ材料表面に吸着されている、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0171】
35. 充填材料が、風味剤を更に含む、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0172】
36. 風味剤が、疎水性風味剤である、項目35による経口用袋入りニコチン製品。
【0173】
37. 風味剤が、油、液体、凍結乾燥材料、噴霧乾燥材料、又はそれらの混合物である、項目35又は36のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0174】
38. 充填材料が、充填材料の総質量に基づいて、風味剤を約0.5質量%~約3質量%の範囲内の量で含む、項目35から37のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0175】
39. 風味剤が、カプセル封入されている、及び/又はカプセル封入されていない、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0176】
40. カプセル封入した風味剤が、カプセル封入されていない風味剤と同一であるか、又はこれと異なる、項目39による経口用袋入りニコチン製品。
【0177】
41. 保湿剤、例えば、ポリプロピレングリコール及び/又はグリセロールを更に含む、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0178】
42. 微粒子非タバコ材料、ニコチン源、水、pH調整剤、場合によりタバコ材料、場合により風味剤、及び場合により保湿剤が、均一に混合されている、前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0179】
43. アナタビンを含まない、項目1から7又は11から42のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0180】
44. タバコ材料中に存在するアナタビンの他にアナタビンを含まない、項目1から6又は8から42のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品。
【0181】
45. 前記項目のいずれか1つによる経口用袋入りニコチン製品を含む包装容器。
【0182】
46. 以下の工程:
- 微粒子非タバコ材料、ニコチン源、例えばニコチン塩、及び水を含む混合物を準備する工程であって、前記混合物を、微粒子非タバコ材料、ニコチン源及び水を任意の順序で混合することにより準備する工程
を含む、項目1から45のいずれか1つに定義されている、充填材料を製造する方法であって、
項目1から41のいずれか1つに定義されているpH調整剤が、前述の工程のいずれかの前、その間。及び/又はその後に添加され、場合により、風味剤が、前述の工程のいずれかの前、その間、及び/又はその後に添加され、場合により、保湿剤が、前述の工程のいずれかの前、その間、及び/又はその後に添加され、場合によりタバコ材料が、前述の工程のいずれかの前、その間、及び//はその後に添加される、方法。
【0183】
47. 以下の工程:
- 微粒子非タバコ材料、ニコチン源、pH調整剤、水、及び場合によりタバコ材料を含む混合物を含む又はこの混合物のみからなる粉末を準備する工程と、
- 前記粉末を造粒する工程と
を含む、項目1から46のいずれか1つに定義されている、充填材料を製造する方法。
【0184】
48. 充填材料を、包装用材料の唾液透過性袋で取り囲む工程を更に含む、項目46又は47による方法。
【0185】
49. 項目46又は47の方法により得られた又は得ることができる充填材料。
【0186】
50. 項目48による方法により得られた又は得ることができる経口用袋入りニコチン製品。
【0187】
51. 経口用袋入りニコチンタバコ不含製品、すなわちタバコを含まない経口用袋入りニコチン製品が保管される、例えば、本明細書に記載した包装容器中に保管される場合において、前記の経口用袋入りニコチンタバコ不含製品、すなわちタバコを含まない経口用袋入りニコチン製品中の又はそのpHを制御するための、前記項目のいずれか1つに定義されている式(I)の塩の使用。
【0188】
52. 前記制御が、
(i) 前記pHの上昇の緩和、
(ii) 前記pHが、約9の値、又は約9.2の値、又は約9.2の値を超えるのを防止すること、及び/又は
(iii) 前記pHが、±0.5pH単位を超える変化を防止すること
を含む又はこれらからなる、項目51による使用。
【0189】
53. 前記製品が保管される場合、経口用袋入りニコチンタバコ不含製品中のpHの上昇を緩和するための、前記項目のいずれか1つに定義されている式(I)の塩の使用。
【0190】
54. 経口用袋入りニコチンタバコ不含製品のpHが、前記製品が保管された場合に、約9の値、又は約9.2の値、又は約9.5の値を超えるのを防止するための、前記項目のいずれか1つに定義されている式(I)の塩の使用。
【0191】
55. 前記製品が保管される場合、経口用袋入りニコチンタバコ不含製品中のpHが、±0.5pH単位を超えて変化するのを防止するための、前記項目のいずれか1つに定義されている式(I)の塩の使用。
【0192】
56. 経口用袋入りニコチンタバコ不含製品が、Na2CO3、NaHCO3、K2CO3、及び/又はKHCO3を含む、項目51から55のいずれか1つによる使用。
【0193】
57. 前記製品が、
約60%~約75%の相対湿度で、
約22℃~約30℃の温度で、及び/又は
約15週間の時間の間、
保管される、項目51から56のいずれか1つによる使用。
【0194】
58. 経口用袋入りニコチンタバコ不含製品が、本明細書に記載した充填材料、例えば、以下のもの:
- 微粒子非タバコ材料と、
- ニコチン源と、
- 充填材料の総質量に基づいて、1質量%~45質量%の範囲内の量の水と、
- Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、及び/又はKHCO3を含む又はこれらのみからなるpH調整剤と
を含む充填材料を含む、項目51から57のいずれか1つによる使用。
【0195】
59. 製品が貯蔵、例えば本明細書に記載した包装容器中で貯蔵されている場合に、経口用袋入りニコチン低タバコ製品、すなわち本明細書に記載した量でタバコ材料を含む経口用袋入りニコチン製品中のpHを制御するための、前記項目のいずれか1つに定義されている式(I)の塩の使用。
【0196】
60. 前記制御が、以下:
(i) 前記製品中の又はそのpHの上昇を緩和すること、
(ii) 前記製品中の又はそのpHが、約9の値、又は約9.2の値、又は約9.5の値を超えるのを防止すること、及び/又は
(iii) 前記製品中の又はそのpHが、±0.5pH単位を超える変化を防止すること
を含む又はこれらのみからなる、項目59による使用。
【0197】
61. 製品が保管される場合、経口用袋入りニコチン低タバコ製品中の又はそのpHの上昇を緩和するための、前記項目のいずれか1つに定義されている式(I)の塩の使用。
【0198】
62. 経口用袋入りニコチン低タバコ製品中の又はそのpHが、前記製品が保管される場合、約9の値、又は約9.2の値、又は約9.5の値を超えるのを防止するための、前記項目のいずれか1つに定義されている式(I)の塩の使用。
【0199】
63. 経口用袋入りニコチン低タバコ製品中の又はそのpHが、前記製品が保管される場合、±0.5pH単位を超えて変化するのを防止するための、前記項目のいずれか1つに定義されている式(I)の塩の使用。
【0200】
64. 前記経口用袋入り低タバコニコチン製品が、充填材料、及び任意選択により場合によっては前記充填材料を取り囲む唾液透過性袋を含み、充填材料が、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~10質量%、例えば0.1質量%~10質量%、例えば0.1質量%~5質量%、例えば0.1質量%~3質量%、例えば0.1質量%~2質量%、例えば0.1質量%~1質量%の範囲内の量のタバコ材料を含む、項目59から63のいずれか1つによる使用。
【0201】
65. 経口用袋入りニコチン低タバコ製品が、本明細書に記載されている充填材料、例えば、以下のもの:
- 微粒子非タバコ材料と、
- ニコチン源と、
- 充填材料の総質量に基づいて、1質量%~45質量%の範囲内の量の水と、
- Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、及び/又はKHCO3を含む又はこれらのみからなるpH調整剤と、
- 充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~10質量%の範囲内のタバコ材料と
を含む充填材料を含む、項目59から64のいずれか1つによる使用。
【0202】
66. 前記製品が、
約60%~約75%の相対湿度において、
約22℃~約30℃の温度において、及び/又は
約15週間の時間のあいだ、
保管される、項目59から65のいずれか1つによる使用。
【0203】
67. 式(I)の塩、Na2CO3、NaHCO3、K2CO3、及び/又はKHCO3が、充填材料の総質量に基づいて、1質量%~15質量%、例えば1質量%~10質量%、例えば1質量%~9質量%、例えば1~7質量%、又は例えば1質量%~5質量%の総量で存在する、項目51から66のいずれか1つによる使用。
【0204】
68. 本明細書に記載されている充填材料、例えば項目1から44のいずれか1つに定義されている充填材料。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2020-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填材料、及び充填材料を包み込む包装用材料からなる唾液透過性袋を含む経口用袋入りニコチン製品であって、充填材料が、以下のもの:
- 微粒子非タバコ材料と、
- ニコチン源と、
- 充填材料の総質量に基づいて、1質量%~50質量%の範囲内の量の水と、
- pH調整剤であって、以下のもの:
(i) Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、及び/又はKHCO3、並びに
(ii) 式(I):
M2+(An-)m
式I
(式中、
M2+は、Ca2+、Mg2+、Mn2+、Zn2+、及びFe2+からなる群から選択され、
An-は、塩化物イオン、乳酸イオン、リンゴ酸イオン、コハク酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酒石酸イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、グルコン酸イオン、アルギン酸イオン、アンモニウムイオン、シュウ酸イオン、アスパラギン酸イオン、グリシン酸イオン、ピコリン酸イオン、酸化物イオン、システイン酸イオン、グルタミン酸イオン、水酸化物イオン、ラウリン酸イオン、ステアリン酸イオン、パルミチン酸イオン、ウンデシレン酸イオン、グルセプチン酸イオン、グリセロリン酸イオン、グルビオン酸イオン、グルコヘプトン酸イオン、グアニル酸イオン、イノシン酸イオン、プロピオン酸イオン、ソルビン酸イオン、サリチル酸イオン、安息香酸イオン、エリソルビン酸イオン、ギ酸イオン、ヨウ化物イオン、パンガミン酸イオン、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される陰イオンであり、
nは、1又は2であり、
mは、1又は2であり、
-(n×m)=-2である)
の塩又は前記塩の水和物であり、
前記塩が、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~5質量%の範囲内の量で存在し、
前記塩が、0.04M以上、及び/又は1g/L以上の水溶解度を有する、
塩又は前記塩の水和物
を含む、pH調整剤と、
- 任意選択により場合によっては、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~10質量%の範囲内の量のタバコ材料と
を含み、
前記経口用袋入りニコチン製品の前記充填材料のpHが、保管時に、例えば、
60%~75%の相対湿度において、
22℃~30℃の温度において、及び/又は
15週間の時間のあいだ行われる保管時に、9.5を超えない及び/又は±0.5pH単位以下しか変化しない、
経口用袋入りニコチン製品。
【請求項2】
前記塩が、0.045M以上、例えば0.05M以上、例えば0.06M以上、例えば0.07M以上、例えば0.8M以上、例えば0.9M以上、例えば1.0M以上の水溶解度を有する、請求項1に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項3】
前記塩が、2g/L以上、例えば3g/L以上、例えば4g/L以上、例えば5g/L以上、例えば10g/L以上、例えば50g/L以上、例えば100g/L以上、例えば150g/L以上、例えば200g/L以上、例えば250g/L以上、例えば300g/L以上、例えば350g/L以上、例えば400g/L以上、例えば450g/L以上、例えば500g/L以上、例えば600g/L以上、例えば700g/L以上の水溶解度を有する、請求項1又は2に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項4】
前記水溶解度が、10℃~40℃、例えば20℃~25℃の温度において測定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項5】
An-が、塩化物イオン、乳酸イオン、リンゴ酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、グルコン酸イオン、グルタミン酸イオン、グアニル酸イオン、イノシン酸イオン、プロピオン酸イオン、ソルビン酸イオン、安息香酸イオン、ギ酸イオン、パンガミン酸イオンのうちの1種又は複数から選択される陰イオンである、請求項1から4のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項6】
An-が、塩化物イオン、乳酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、ギ酸イオン、パンガミン酸イオンのうちの1種又は複数から選択される陰イオンである、請求項1から5のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項7】
An-が、塩化物イオン、乳酸イオン、クエン酸イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、グルコン酸イオン、安息香酸イオン、ギ酸イオンのうちの1種又は複数から選択される陰イオンである、請求項1から5のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項8】
An-が、塩化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、ギ酸イオンのうちの1種又は複数から選択される陰イオンである、請求項1から7のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項9】
An-が、塩化物イオン、酢酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、グルコン酸イオン、プロピオン酸イオン、ギ酸イオンのうちの1種又は複数から選択される陰イオンである、請求項1から5のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項10】
An-が、塩化物イオン、乳酸イオン、硫酸イオン、硝酸イオンのうちの1種又は複数から選択される陰イオンである、請求項1から7のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項11】
An-が、塩化物イオン、乳酸イオン、リンゴ酸イオン、クエン酸イオン、アスコルビン酸イオン、酒石酸イオン、酢酸イオン、グルコン酸イオン、アスパラギン酸イオン、グリシン酸イオンのうちの1種又は複数から選択される陰イオンである、請求項1から4のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項12】
充填材料がタバコ材料を含まない、請求項1から11のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項13】
タバコ材料が、充填材料の総質量に基づいて、0.1質量%~10質量%、例えば0.1質量%~5質量%、例えば0.1質量%~1質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から11のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項14】
水の量が、充填材料の総質量に基づいて、0.5質量%~12質量%、例えば0.5質量%~5質量%の範囲内、例えば3質量%である、請求項1から13のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項15】
水の量が、充填材料の総質量に基づいて、20質量%~50質量%、例えば20質量%~45質量%の範囲内にある、請求項1から13のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項16】
式(I)の塩又は前記塩の水和物が、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~5質量%、例えば0.1質量%~5質量%、例えば0.1質量%~3質量%、例えば0.1質量%~2質量%、例えば0.1質量%~1質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から15のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項17】
式(I)の塩又は前記塩の水和物が、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~0.3質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から16のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項18】
pH調整剤のNa2CO3、K2CO3、NaHCO3、及び/又はKHCO3が、充填材料の総質量に基づいて、1質量%~10質量%、例えば1.5質量%~4質量%又は4質量%~9質量%の範囲内の量で存在する、請求項1から17のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項19】
M2+がCa2+である、請求項1から18のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項20】
M2+がMg2+である、請求項1から19のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項21】
M2+がMn2+である、請求項1から8のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項22】
M2+がZn2+である、請求項1から21のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項23】
M2+がFe2+である、請求項1から22のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項24】
式(I)の塩が、CaCl2又はその水和物を含む又はそれのみからなる、請求項1から9のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項25】
充填材料が、NaClを、例えば、充填材料の総質量に基づいて、0.1質量%~5質量、例えば0.1質量%~3質量%の範囲内の量のNaClを更に含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項26】
充填材料がMgCO3を更に含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項27】
前記製品が、更なる塩及び/又は更なるpH調整剤を含まない、請求項1から26のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項28】
前記経口用袋入りニコチン製品の前記充填材料が、それを精製水中に分散した場合に、7~10、例えば8~9、例えば8、8.3、8.5、又は8.8のpHを有する、請求項1から27のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項29】
充填材料の少なくとも一部が水不溶性である、請求項1から28のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項30】
微粒子非タバコ材料が、マイクロクリスタリンセルロース及び任意選択により場合によってはマルチトールを含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項31】
充填材料が、トウモロコシ繊維、オート麦繊維、トマト繊維、大麦繊維、ライ麦繊維、テンサイ繊維、ソバ繊維、小麦繊維、マメ繊維、じゃがいも繊維、リンゴ繊維、ココア繊維、竹繊維、柑橘繊維、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される、1種又は複数の水不溶性繊維を含む、請求項1から30のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項32】
ニコチン源が、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン一酒石酸塩、ニコチン酒石酸水素塩、ニコチン酒石酸水素塩二水和物、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛一水和物、ニコチンサリチル酸塩、ニコチンポラクリレックスのうちの1種又は複数である、請求項1から31のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項33】
ニコチン源が、ニコチン酒石酸水素塩及び/又はニコチン酒石酸水素塩二水和物である、請求項1から32のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項34】
前記経口用袋入りニコチン製品の前記充填材料のpHが60%~75%の相対湿度において、
22℃~30℃の温度において、及び/又は
15週間の時間のあいだ行われる保管時に、9.5を超えない及び/又は±0.5pH単位以下しか変化しない、
請求項1から33のいずれか一項に記載の経口用袋入りニコチン製品。
【請求項35】
充填材料を含む経口用袋入りニコチン製品中のpHを、前記製品を保管した場合に、例えば、60%~75%の相対湿度において、22℃~30℃の温度において、及び/又は15週間の時間のあいだ保管した場合に、制御するための、請求項1から34のいずれか一項において定義される式(I)の塩又は前記塩の水和物の使用であって、
前記充填材料が、式(I)の前記塩又はその水和物と、以下のもの:
- 微粒子非タバコ材料と、
- ニコチン源と、
- 充填材料の総質量に基づいて、1質量%~50質量%、例えば1質量%~45質量%の範囲内の量の水と、
- Na2CO3、K2CO3、NaHCO3、及び/又はKHCO3を含む又はそれのみからなるpH調整剤と、
- 任意選択により場合によって、充填材料の総質量に基づいて、0.05質量%~10質量%の範囲内のタバコ材料と
を含む、使用。
【請求項36】
前記の制御が、前記製品中のpHの上昇を緩和すること、前記製品中のpHが9.5の値を超えるのを防止すること、及び/若しくは前記製品中のpHが±0.5pH単位を超えて変化することを防止することを含む又はそれのみからなる、請求項35に記載の使用。
【請求項37】
式(I)の塩が、請求項1から11のいずれか一項において定義されたものである、請求項35又は36に記載の使用。
【請求項38】
式(I)の塩、Na2CO3、NaHCO3、K2CO3、及び/又はKHCO3が、充填材料の総質量に基づいて、1質量%~15質量%、例えば1質量%~10質量%、例えば1質量%~9質量%、例えば1~7質量%、又は例えば1質量%~5質量%の総量で存在する、請求項35から37のいずれか一項に記載の使用。
【国際調査報告】