(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】糖ポリシアル酸化治療用タンパク質を使用する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/61 20170101AFI20220316BHJP
A61K 38/00 20060101ALI20220316BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20220316BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220316BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220316BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220316BHJP
A61K 38/36 20060101ALI20220316BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20220316BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220316BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20220316BHJP
C07K 14/745 20060101ALN20220316BHJP
C07K 14/755 20060101ALN20220316BHJP
C07K 14/54 20060101ALN20220316BHJP
C07K 14/555 20060101ALN20220316BHJP
C07K 14/515 20060101ALN20220316BHJP
C07K 14/475 20060101ALN20220316BHJP
C07K 14/50 20060101ALN20220316BHJP
C07K 14/495 20060101ALN20220316BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20220316BHJP
C07K 14/76 20060101ALN20220316BHJP
C07K 14/79 20060101ALN20220316BHJP
C12N 15/113 20100101ALN20220316BHJP
【FI】
A61K47/61 ZNA
A61K38/00
A61P31/18
A61P43/00
A61P35/00
A61P37/06
A61K38/36
A61K31/7088
A61K48/00
C07K14/47
C07K14/745
C07K14/755
C07K14/54
C07K14/555
C07K14/515
C07K14/475
C07K14/50
C07K14/495
C07K16/18
C07K14/76
C07K14/79
C12N15/113 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545297
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(85)【翻訳文提出日】2021-09-15
(86)【国際出願番号】 US2020016500
(87)【国際公開番号】W WO2020163269
(87)【国際公開日】2020-08-13
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521341581
【氏名又は名称】ゼネティック バイオサイエンシーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ロクシン,カーティス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC07
4C076CC27
4C076CC29
4C076CC35
4C076EE30
4C076EE59
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA13
4C084BA42
4C084BA44
4C084DC10
4C084NA13
4C084ZB081
4C084ZB082
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB331
4C084ZB332
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086NA05
4C086NA06
4C086NA13
4C086ZC51
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA50
4H045BA53
4H045CA40
4H045DA02
4H045DA10
4H045DA15
4H045DA20
4H045DA30
4H045DA75
4H045EA20
4H045EA50
(57)【要約】
ポリシアル酸(PSA)にコンジュゲートされた新規なタンパク質および化合物が本明細書において提供される。これらの化合物を使用する方法および様々な疾患および障害の治療方法も提供される。本明細書において提供される新規な化合物は、向上した薬力学的および/または薬物動態学的特性、向上した有効性および他の望ましい特性を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
病気を治療する方法であって、有効量のPSA-タンパク質複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、前記PSA-複合体は、第IX因子(FIX)、第VIII因子(FVIII)、第VIIa因子(FVIIa)、フォンウィルブランド因子(VWF)、第FV因子(FV)、第X因子(FX)、第XI因子(FXI)、第XII因子(FXII)、トロンビン(FII)、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子(TF)、ADAMTS 13プロテアーゼ、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-11、コロニー刺激因子-1(CSF-1)、M-CSF、SCF、GM-CSF、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、EPO、インターフェロン-α(IFN-α)、コンセンサスインターフェロン、IFN-β、IFN-γ、IFN-ω、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-31、IL-32α、IL-33、トロンボポエチン(TPO)、Ang-1、Ang-2、Ang-4、Ang-Y、アンジオポエチン様ポリペプチド1(ANGPTL1)、アンジオポエチン様ポリペプチド2(ANGPTL2)、アンジオポエチン様ポリペプチド3(ANGPTL3)、アンジオポエチン様ポリペプチド4(ANGPTL4)、アンジオポエチン様ポリペプチド5(ANGPTL5)、アンジオポエチン様ポリペプチド6(ANGPTL6)、アンジオポエチン様ポリペプチド7(ANGPTL7)、ビトロネクチン、血管内皮増殖因子(VEGF)、アンジオゲニン、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、骨形成タンパク質-1、骨形成タンパク質-2、骨形成タンパク質-3、骨形成タンパク質-4、骨形成タンパク質-5、骨形成タンパク質-6、骨形成タンパク質-7、骨形成タンパク質-8、骨形成タンパク質-9、骨形成タンパク質-10、骨形成タンパク質-11、骨形成タンパク質-12、骨形成タンパク質-13、骨形成タンパク質-14、骨形成タンパク質-15、骨形成タンパク質受容体IA、骨形成タンパク質受容体IB、骨形成タンパク質受容体II、脳由来神経栄養因子、カルジオトロフィン-1、毛様体神経栄養因子、毛様体神経栄養因子受容体、Cripto、Cryptic、サイトカイン誘導好中球走化性因子1、サイトカイン誘導好中球走化性因子2α、サイトカイン誘導好中球走化性因子2β、β内皮細胞増殖因子、エンドセリン1、表皮増殖因子、エピジェン、エピレグリン、上皮由来好中球誘引物質、線維芽細胞増殖因子4、線維芽細胞増殖因子5、線維芽細胞増殖因子6、線維芽細胞増殖因子7、線維芽細胞増殖因子8、線維芽細胞増殖因子8b、線維芽細胞増殖因子8c、線維芽細胞増殖因子9、線維芽細胞増殖因子10、線維芽細胞増殖因子11、線維芽細胞増殖因子12、線維芽細胞増殖因子13、線維芽細胞増殖因子16、線維芽細胞増殖因子17、線維芽細胞増殖因子19、線維芽細胞増殖因子20、線維芽細胞増殖因子21、線維芽細胞増殖因子(酸性)、線維芽細胞増殖因子(塩基性)、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体α1、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体α2、増殖関連タンパク質、増殖関連タンパク質α、増殖関連タンパク質β、増殖関連タンパク質γ、ヘパリン結合性表皮増殖因子、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、肝細胞癌由来増殖因子、インスリン様増殖因子1、インスリン様増殖因子受容体、インスリン様増殖因子2、インスリン様増殖因子結合タンパク質、ケラチノサイト増殖因子、白血病阻害因子、白血病阻害因子受容体α、神経増殖因子、神経増殖因子受容体、ニューロポイエチン、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4、オンコスタチンM(OSM)、胎盤増殖因子、胎盤増殖因子2、血小板由来内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子A鎖、血小板由来増殖因子AA、血小板由来増殖因子AB、血小板由来増殖因子B鎖、血小板由来増殖因子BB、血小板由来増殖因子受容体α、血小板由来増殖因子受容体β、プレB細胞増殖刺激因子、幹細胞因子(SCF)、幹細胞因子受容体、TNF、TNF0、TNF1、TNF2、トランスフォーミング増殖因子α、トランスフォーミング増殖因子β、トランスフォーミング増殖因子β1、トランスフォーミング増殖因子β1.2、トランスフォーミング増殖因子β2、トランスフォーミング増殖因子β3、トランスフォーミング増殖因子β5、潜在型トランスフォーミング増殖因子β1、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質I、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質II、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質III、胸腺間質性リンホポエチン(TSLP)、腫瘍壊死因子受容体I型、腫瘍壊死因子受容体II型、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)、インスリン、レクチンリシン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲン活性化因子、IgG、IgE、IgM、IgAおよびIgD、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、フェチュイン、黄体形成ホルモン、エストロゲン、インスリン、アルブミン、リポタンパク質、フェトプロテイン、トランスフェリン、トロンボポエチン、ウロキナーゼ、インテグリン、トロンビン、レプチン、ヒュミラ(アダリムマブ)、プロリア(デノスマブ)、あるいはその生物学的に活性な断片、誘導体またはバリアントから選択されるタンパク質に共有結合的に結合されたPSAを含む方法。
【請求項2】
HIVAを治療する方法であって、有効量のPSA-タンパク質複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、前記PSA-複合体は、gp120-gp41界面においてHIVエンベロープ糖タンパク質に結合するタンパク質に共有結合的に結合されたPSAを含む方法。
【請求項3】
病気を治療する方法であって、有効量のPSA-タンパク質複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、前記PSA-複合体は、炭酸脱水酵素IX、α-フェトプロテイン、α-アクチニン-4、A3(A33抗体に特異的な抗原)、ART-4、B7、Ba-733、BAGE、BrE3抗原、CA125、CAMEL、CAP-1、CASP-8/m、CCCL19、CCCL21、CD1、CD1a、CD2、CD3、CD4、CDS、CD8、CD1-1A、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD29、CD30,CD32b、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD45、CD46、CD54、CD55、CD59、CD64、CD66a~e、CD67、CD70、CD74、CD79a、CD80、CD83、CD95、CD126、CD133、CD138、CD147、CD154、CDC27、CDK-4/m、CDK 2A、CXCR4、CXCR7、CXCL12、HIF-1α、結腸特異的抗原p(CSAp)、CEA(CEACAM5)、CEACAM6、c-Met、DAM、EGFR、EGFRvIII、EGP-1、EGP-2、ELF2-M、Ep-CAM,Flt-1、Flt-3、葉酸受容体、G250抗原、GAGE、GROB、HLA-DR、HM1.24、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(HCG)およびそのサブユニット、HER2/neu、HMGB-1、低酸素誘導因子(HIF-1)、HSP70-2M、HST-2もしくは1a、IGF-1R、IFN-γ、IFN-α、IFN-β、IL-2、IL-4R、IL-6R、IL-13R、IL-15R、IL-17R、IL-18R、IL-6、IL-8、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-25、インスリン様増殖因子-1(IGF-1)、KC4-抗原、KS1-抗原、KS1-4、Le-Y、LDR/FUT、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)、MAGE、MAGE-3、MART-1、MART-2、NY-ESO-1、TRAG-3、mCRP、MCP-1、MIP-1A、MIP-1B、MIF、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5、MUM-1/2、MUM-3、NCA66、NCA95、NCA90、膵臓癌ムチン、胎盤増殖因子、p53、PLAGL2、前立腺性酸性ホスファターゼ、PSA、PRAME、PSMA、P1GF、ILGF、ILGF-1R、IL-6、IL-25、RS5、RANTES、T101、SAGE、S100、サバイビン、サバイビン2B、TAC、TAG72、テネイシン、TRAIL受容体、TNF-α、Tn抗原、トムゼン・フリーデンライヒ抗原、腫瘍壊死抗原、VEGFR、ED-Bフィブロネクチン、WT-1、17-lA-抗原、補体因子C3、C3a、C3b、C5a、C5、血管新生マーカー、bcl-2、bcl-6、Kras、cMET、癌遺伝子マーカーおよび癌遺伝子産物から選択されるタンパク質に共有結合的に結合されたPSAを含む方法。
【請求項4】
病気を治療する方法であって、有効量のPSA-タンパク質複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、前記PSA-複合体は、メソテリンを認識する抗体または結合タンパク質に共有結合的に結合されたPSAを含む方法。
【請求項5】
病気を治療する方法であって、有効量のPSA-タンパク質複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、前記PSA-複合体は、メタロプロテイナーゼ、スブチラーゼまたはリパーゼ、トリアシルグリセロールリパーゼ、スブチラーゼ、メタロプロテイナーゼ、コリンエステラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、ブチリルコリンエステラーゼ、トリプシン、サブチリシン、サーモリシンまたはCT、コリンエステラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、ブチリルコリンエステラーゼ、スブチラーゼ、サブチリシン、サーモリシン、リパーゼ、トリアシルグリセロールリパーゼ、メタロプロテイナーゼ、キモトリプシン、-キモトリプシンまたはトリプシンを含むエステラーゼ群、キモトリプシン-pDMAEMA(CT-pDMAEMA)複合体、メタロプロテイナーゼ-pOEGMA複合体、サーモリシン-pOEGMA複合体、サブチリシン-イオン液体ポリマー複合体、スブチラーゼ-イオン液体ポリマー複合体またはリパーゼ-pDMAA複合体を含むエステラーゼ-ポリマー複合体などの酵素ポリマー複合体からの酵素から選択されるタンパク質に共有結合的に結合されたPSAを含む方法。
【請求項6】
病気を治療する方法であって、有効量のPSA-タンパク質複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、前記PSA-複合体は、以下の抗体:トラスツズマブおよびペルツズマブなどの抗HER2モノクローナル抗体、リツキシマブ、オファツムマブ、トシツモマブおよびイブリツモマブなどの抗CD20モノクローナル抗体、オレゴボマブなどの抗CA125モノクローナル抗体、エドレコロマブなどの抗EpCAM(17-1A)モノクローナル抗体、セツキシマブ、パニツムマブおよびニモツズマブなどの抗EGFRモノクローナル抗体、ブレンツキシマブなどの抗CD30モノクローナル抗体、ゲムツズマブおよびhuMy9-6などの抗CD33モノクローナル抗体、エタラシズマブなどの抗血管新生インテグリンαvβ3モノクローナル抗体、5アレムツズマブなどの抗CD52モノクローナル抗体、エピラツズマブなどの抗CD22モノクローナル抗体、ラベツズマブなどの抗CEAモノクローナル抗体、ビバツズマブなどの抗CD44v6モノクローナル抗体、シブロツズマブなどの抗FAPモノクローナル抗体、huB4などの抗CD19モノクローナル抗体、huC242などの抗CanAgモノクローナル抗体、huN901などの抗CD56モノクローナル抗体、ダラツムマブなどの抗CD38モノクローナル抗体、DS6などの抗CA6モノクローナル抗体10、シクスツムマブおよび3B7などの抗IGF-IRモノクローナル抗体、CNTO 95などの抗インテグリンモノクローナル抗体およびB-B4などの抗シンデカン-1モノクローナル抗体を含む抗体-薬物複合体に共有結合的に結合されたPSAを含む方法。
【請求項7】
病気を治療する方法であって、有効量のPSA-タンパク質複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、前記PSA-複合体は、抗体ではない以下の結合化合物を含む結合分子-薬物複合体に共有結合的に結合されたPSAを含み、前記抗体以外の結合タンパク質は、限定されるものではないが、IFN-a、IFN-f3およびIFN-yなどのインターフェロン、トランスフェリン、表皮増殖因子(EGF)およびEGF様ドメイン、ガストリン放出ペプチド(GRP)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)、ワクシニア増殖因子(VGF)、インスリンならびにIGF-1およびIGF-2などのインスリン様増殖因子(IGF)、チロトロピン放出ホルモン(TRH)、メラニン細胞刺激30ホルモン(MSH)、ステロイドホルモン(例えば、エストロゲンおよびアンドロゲン)およびソマトスタチンなどの他の好適なホルモン、IL-2、IL-3、IL-4およびIL-6などのリンホカイン、G-CSF、M-CSFおよびGM-CSFなどのコロニー刺激因子(CSF)、ボンベシン、ガストリンおよび葉酸などの、前記リガンド-薬物複合体のための細胞結合リガンドとしても使用することができる方法。
【請求項8】
病気を治療する方法であって、有効量のPSA-トロンビン複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、前記PSA-トロンビン複合体はトロンビンに共有結合的に結合されたPSAを含む方法。
【請求項9】
前記病気は癌または自己免疫不全である、請求項1または3~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
有効量のPSA-核酸複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、前記PSA複合体は、二本鎖RNA、単鎖RNAまたは低分子干渉RNA(siRNA)から選択されるRNAオリゴヌクレオチドに共有結合的に結合されたPSAを含む、遺伝子発現障害を治療する方法。
【請求項11】
有効量のPSA-核酸複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、前記PSA複合体は、切断可能なリンカー部分を介してRNAオリゴヌクレオチドに共有結合的に結合されたPSAを含む、遺伝子発現障害を治療する方法。
【請求項12】
有効量のPSA-核酸複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、前記PSA分子は、任意にリンカーを介してRNA3’末端塩基において少なくとも1つのRNA分子にコンジュゲートされている、遺伝子発現障害を治療する方法。
【請求項13】
有効量のPSA-核酸複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、前記PSA複合体はRNAオリゴヌクレオチドに共有結合的に結合されたPSAを含み、前記RNAオリゴヌクレオチドは、ポリペプチドまたはその相補配列をコードするコード領域を含み、前記ポリペプチドは、VEGF、アポリポタンパク質B、ジストロフィンのエクソン51、SMN2、トランスサイレチン、CEP290 c.2991 + 1655A > G突然変異、KRAS、補体5(C5)タンパク質、EphA2、CTGF、TRPV1、LDHA、TGF-β1、Cox-2、KRAS G12D、P53、カスパーゼ-2、抗トロンビン、FANCA、第VIII凝固因子、第IX凝固因子、ANK1、PIG-A、UROD、アデノシンデアミナーゼ、JAK3、RAG1/2、アルテミス 、IL7R-α、IL-2Rγ、T細胞表面糖タンパク質CD3δ鎖、CD3ε、CDKN2、NF1、NF2、LIMキナーゼ、エラスチン、ALDP、CFTR、ヘプシジン、ABCA3、界面活性剤タンパク質B、ADAMTS13、α1-アンチトリプシンまたはGAAから選択される、遺伝子発現障害を治療する方法。
【請求項14】
前記遺伝子発現障害は、高血圧症、コレステロールレベルの上昇、癌、神経変性障害、精神病、嚢胞性線維症、血友病(または他の血液凝固疾患)、神経精神疾患、例えば統合失調症、双極性障害、大鬱病、パーキンソン病、アルツハイマー病および自閉スペクトラム症、色素欠乏症、アンゲルマン症候群、強直性脊椎炎、アペール症候群、シャルコー・マリー・トゥース病、先天性副腎過形成、嚢胞性線維症、ダウン症、軟骨形成不全、α1-アンチトリプシン欠乏症、抗リン脂質抗体症候群、注意欠陥多動性障害、自閉症、常染色体優性多発性嚢胞腎、シャルコー・マリー・トゥース病、猫鳴き症候群、クローン病、嚢胞性線維症、ダーカム病、デュアン症候群、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、第V因子ライデン血栓形成傾向、家族性高コレステロール血症、家族性地中海熱、脆弱X症候群、ゴーシェ病、ヘモクロマトーシス、全前脳胞症、ハンチントン病、先天性代謝異常、クラインフェルター症候群、マルファン症候群、メチルマロン酸血症、筋強直性ジストロフィー、神経線維腫症、ヌーナン症候群、骨形成不全症、パーキンソン病、フェニルケトン尿症、ポーランド症候群、ポルフィリン症、早老症、網膜色素変性症、重症複合免疫不全症、鎌状赤血球症、脊髄性筋萎縮症、テイ・サックス病、地中海貧血症、トリメチルアミン尿症、ターナー症候群、口蓋心臓顔面症候群またはウイルソン病のうちの少なくとも1つである、請求項10~13のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年2月4日に出願された米国仮特許出願公開第62/801,013号の優先権を主張し、かつその出願日の権利を有する。上記出願の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、水溶性ポリマーにコンジュゲートされたタンパク質および他の生物学的化合物、特にPSAなどの水溶性ポリマーへのコンジュゲーションにより得られる新規なタンパク質(例えば糖タンパク質)複合体に関する。本発明は、本明細書に記載されている新規なコンジュゲートされたタンパクおよび化合物および製剤の使用方法とそれらを用いた治療方法とにも関する。
【背景技術】
【0003】
PEG化またはポリシアル酸化などのポリペプチド薬物のコンジュゲーションは、血液循環中でそれらが分解するのを保護し、かつこのようにしてそれらの薬力学的および薬物動態学的プロファイルを向上させる(HarrisおよびChess, Nat Rev Drug Discov.2003;2:214-21;S.Jain,D.Hreczuk-Hirst,P.LaingおよびG.Gregoriadis,Drug Delivery Systems and Sciences(薬物送達システムおよび科学),4(No 1):3-9,2004)。シアル酸(N-アセチルノイラミン酸とも呼ばれる)およびポリシアル酸は、動物組織において広く分布されており、植物および真菌類から酵母および細菌に及ぶ範囲の他の生物種、主に糖タンパク質およびガングリオシドにおいてより少ない程度で分布されていることが分かっている。本明細書で使用される「PSA」という略語は「ポリシアル酸」という用語を指す。同様に、本明細書で使用される「mPSA」という用語は「修飾ポリシアル酸」という用語を指す。
【0004】
PSAは、N-アセチルノイラミン酸のポリマー(一般にホモポリマー)からなる。第二級アミノ基は通常アセチル基を有するが、代わりにグリコリル基を有していてもよい。ヒドロキシル基上の可能な置換基としては、アセチル、ラクチル、エチル、硫酸およびリン酸基が挙げられる。
【0005】
PSAおよびmPSAは一般に、2,8-もしくは2,9-グリコシド結合またはこれらの組み合わせ(例えば、交互の2,8-および2,9-結合)によって結合された本質的にN-アセチルノイラミン酸部分からなる直鎖状ポリマーを含む。特に好ましいPSAおよびmPSAでは、グリコシド結合はα-2,8である。そのようなPSAおよびmPSAは好都合にはコロミン酸から誘導されており、本明細書では「CA」および「mCA」とも呼ぶ。典型的なPSAおよびmPSAは、少なくとも2個、好ましくは少なくとも5個、より好ましくは少なくとも10個、最も好ましくは少なくとも20個のN-アセチルノイラミン酸部分を含む。従って、それらは5~500個のN-アセチルノイラミン酸部分、好ましくは10~300個のN-アセチルノイラミン酸部分を含んでいてもよい。PSAおよびCAは異なる糖部分を含むポリマーであってもよい。それらはコポリマーであってもよい。PSAおよびCAは、好ましくは本質的にN-アセチルノイラミン酸以外の糖部分を含んでいない。PSAおよびCAは好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%のN-アセチルノイラミン酸部分を含む。
【0006】
PSAおよびCAがN-アセチルノイラミン酸以外の部分を含む場合(例えばmPSAおよびmCAにおいて)、これらは好ましくはポリマー鎖の一方または両方の端部に位置している。そのような「他の」部分は、例えば酸化または還元による末端N-アセチルノイラミン酸部分から誘導された部分であってもよい。例えば、非還元性末端N-アセチルノイラミン酸単位が過ヨウ素酸ナトリウムとの反応によってアルデヒド基に変換されているmPSAおよび/またはmCAを調製することができる(国際公開第A-0187922号を参照)。あるいは、例えば還元性末端N-アセチルノイラミン酸単位を還元させて、還元性末端N-アセチルノイラミン酸単位における環を還元的に開環させてビシナルジオール基を形成し、これを酸化させてビシナルジオール基をアルデヒド基に変換させているmPSAおよびmCAを利用することができる(国際公開第2005/016974号を参照)。
【0007】
水溶性ポリマーとタンパク質(例えば治療用タンパク質)との共有結合を形成することによる複合体の調製は、様々な化学的方法によって行うことができる。PSAをタンパク質に結合させるための1つの手法は、タンパク質の炭水化物部分を介したポリマーのコンジュゲーションである。タンパク質中の炭水化物のビシナルヒドロキシル(OH)基を過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)により容易に酸化させて、活性なアルデヒド基を形成することができる(RothfusおよびSmith,J Biol Chem 1963;238:1402-10;van LentenおよびAshwell,J Biol Chem 1971;246:1889-94)。その後に、ポリマーを例えば活性なヒドラジド基を含む試薬の使用によって炭水化物のアルデヒド基に結合させることができる(Wilchek Mおよび Bayer EA,Methods Enzymol 1987;138:42942)。より最近の技術は、アルデヒドを反応させてオキシム結合を形成するアミノオキシ基を含む試薬の使用である(国際公開第96/40662号、国際公開第2008/025856号)。
【0008】
水溶性ポリマーを治療用タンパク質にコンジュゲートする利用可能な方法にも関わらず、化合物の薬力学的および/または薬物動態学的特性を向上させるために水溶性ポリマーを多種多様な炭水化物含有タンパク質および化合物にコンジュゲートするための材料および方法を開発することが依然として必要とされている。さらに、PSAまたはmPSAにコンジュゲートされた幅広い薬物を開発および試験して、それらが有益な特性を有するか否かを決定するという必要性については全く未だに対処されていないままである。本願において、本発明者らはPSAまたはmPSAにコンジュゲートされた数多くの特定の化合物を提供および試験することによりこの不足に対処する。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、水溶性ポリマーにコンジュゲートされた化合物(例えばタンパク質)、特にPSAまたはmPSAにコンジュゲートされた新規な化合物と、そのような化合物の使用方法とを提供する。
【0010】
本明細書において提供される新規な化合物は、好ましくは向上した薬力学的および/または薬物動態学的特性および他の望ましい特性を有する。本明細書において提供される化合物は典型的にはタンパク質であり、より典型的には血液凝固タンパク質以外の糖タンパク質である。
【0011】
使用される好ましい非限定的な水溶性ポリマーはPSAまたはmPSAであり、これらを本明細書では、本明細書中の実施形態を参照する際に単にPSAとも呼ぶ。また使用される水溶性ポリマーは、限定されるものではないが、ポリエチレングリコール(PEG)、分岐鎖状PEG、PEG誘導体、CA、mCA、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、デキストリン、ポリオキサゾリン、炭水化物、多糖、プルラン、キトサン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、澱粉、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、ポリアルキレンオキシド(PAO)、ポリアルキレングリコール(PAG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリオキサゾリン、ポリアクリロイルモルホリン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカルボキシレート、ポリビニルピロリドン、ポリホスファゼン、ポリオキサゾリン、ポリエチレン-co-マレイン酸無水物、ポリスチレン-co-マレイン酸無水物、ポリ(1-ヒドロキシメチルエチレンヒドロキシメチルホルマール)(PHF)、2-メタクリロイルオキシ-2’-エチルトリメチルアンモニウムホスフェート(MPC)であってもよい。
【0012】
以下の実施例に例示されている本発明のさらなる実施形態では、水溶性ポリマーはポリシアル酸(PSA)または修飾PSA(mPSA)である。PSAまたはmPSAは、350Da~120,000Da、500Da~100,000Da、1000Da~80,000Da、1500Da~60,000Da、2,000Da~45,000Daまたは3,000Da~35,000Daの分子量範囲を有していてもよい。PSAまたはmPSAはコロミン酸または修飾コロミン酸であってもよい。PSAまたはmPSAは典型的には約2~500または10~300個のシアル酸単位からなるが、他の数のシアル酸単位が考えられる。化合物の薬力学的および/または薬物動態学的特性を向上させるために、水溶性ポリマーを多種多様な炭水化物含有化合物にコンジュゲートするための材料および方法も本明細書に記載されている。本明細書に記載されている様々な方法によって、本明細書に記載されている化合物を調製することができる。非限定的な例は、コンジュゲーションを可能にする条件下で酸化された炭水化物部分を水溶性ポリマーに接触させることを含み、前記水溶性ポリマーはアミノオキシ基を含有し、かつオキシム結合が酸化された炭水化物部分と水溶性ポリマー上のアミノオキシ基との間で形成されるか、あるいは前記水溶性ポリマーはヒドラジド基を含有し、かつヒドラゾン結合が酸化された炭水化物部分と水溶性ポリマー上のヒドラジド基との間で形成される。また水溶性ポリマーを酸化させて水溶性ポリマーの末端シアル酸単位上にアルデヒド基を形成し、その後に酸化された水溶性ポリマーをアミノオキシリンカーと反応させてもよい。従って特定の実施形態では、ホモ二官能性もしくはヘテロ二官能性リンカーである活性化されたアミノオキシリンカーを酸化された水溶性ポリマーと反応させることにより水溶性ポリマーを調製する。ホモ二官能性リンカーは一般式NH2[OCH2CH2]nONH2(式中、n=1~50、好ましくは1~11、より好ましくは1~6である)を有していてもよい。他の好適なリンカーは「非血液凝固タンパク質の糖ポリシアル酸化(Glycopolysialylation of non-blood coagulation proteins)」という発明の名称のJainらの国際公開第2011/012850号にさらに記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0013】
本明細書において提供される水溶性ポリマーにコンジュゲートされた特定の新規な化合物を生成するために使用される方法の別の非限定的な例は、水溶性ポリマーを酸化させて水溶性ポリマーの末端単位、例えばPSAまたはmPSAの末端シアル酸単位上にアルデヒド基を形成すること、および酸化された水溶性ポリマーをアミノオキシリンカーと反応させることを含む。酸化された水溶性ポリマーをヒドラジドリンカーと反応させることによりヒドラジド基が水溶性ポリマー(例えばPSAまたはmPSA)上に形成されている特定の新規な化合物を形成してもよい。ヒドラジドリンカーは、好適にはアジピン酸ジヒドラジドもしくはヒドラジンであってもよい。特定の新規な化合物はコンジュゲートされた化合物(例えばタンパク質)中のオキシムもしくはヒドラゾン結合を還元することにより形成してもよい。本明細書に記載されている他の新規な化合物は、米国特許出願第10/276,552号、米国特許出願第10/568,111号、米国特許出願第11/660,128号、米国特許出願第11/816,823号、米国特許出願第12/375,012号、米国特許出願第12/843,284号、米国特許第6,166,687号、米国特許第8,217,154号および米国特許第9,795,683号に詳細に記載されている結合およびリンカーの使用により調製し、それら全ての内容全体が参照により組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用される「生物学的に活性な誘導体」または「生物学的に活性なバリアント」は、ペプチド骨格または基本的なポリマー単位などの結合特性および/または同じ構造的基盤などの、実質的に同じ機能的および/または生物学的特性を有する分子のあらゆる誘導体またはバリアントを含む。
【0015】
「遺伝子発現障害」という用語は、RNA治療法のための候補であることが知られている、単一遺伝子の突然変異によって引き起こされる数多くの遺伝性疾患を指す。嚢胞性線維症、血友病および多くのその他の疾患のように単一遺伝子突然変異によって引き起こされる障害は、特定の形質が子孫において現れる可能性に関して優性または劣性である可能性がある。優性対立遺伝子は対立遺伝子の1つのコピーのみを有する個体において表現型を現すが、劣性対立遺伝子の場合、個体は外に現れる状態にするために各親から1つずつの2つのコピーを有していなければならない。対照的に、多遺伝子性疾患は2つ以上の遺伝子によって引き起こされ、それぞれの疾患の症状発現は流動的であり、かつ環境因子に関連づけられることが多い。多遺伝子性疾患の例は、高血圧症、コレステロールレベルの上昇、癌、神経変性障害、精神病およびそれ以外である。またこれらの場合には、これらの遺伝子の1つ以上を表す治療用RNAはそれらの患者にとって有益であり得る。さらに、遺伝性疾患は親の遺伝子から受け継がれたものだけではなく、新しい突然変異によって引き起こされる可能性もある。またこれらの場合には、正しい遺伝子配列を表す治療用RNAは当該患者にとって有益であり得る。他の遺伝子発現障害としては、高血圧症、コレステロールレベルの上昇、癌、神経変性障害、精神病、嚢胞性線維症、血友病(または他の血液凝固疾患)、神経精神疾患、例えば統合失調症、双極性障害、大鬱病、パーキンソン病、アルツハイマー病および自閉スペクトラム症、色素欠乏症、アンゲルマン症候群、強直性脊椎炎、アペール症候群、シャルコー・マリー・トゥース病、先天性副腎過形成、嚢胞性線維症、ダウン症、軟骨形成不全、α1-アンチトリプシン欠乏症、抗リン脂質抗体症候群、注意欠陥多動性障害、自閉症、常染色体優性多発性嚢胞腎、シャルコー・マリー・トゥース病、猫鳴き症候群、クローン病、嚢胞性線維症、ダーカム病、デュアン症候群、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、第V因子ライデン血栓形成傾向、家族性高コレステロール血症、家族性地中海熱、脆弱X症候群、ゴーシェ病、ヘモクロマトーシス、全前脳胞症、ハンチントン病、先天性代謝異常、クラインフェルター症候群、マルファン症候群、メチルマロン酸血症、筋強直性ジストロフィー、神経線維腫症、ヌーナン症候群、骨形成不全症、パーキンソン病、フェニルケトン尿症、ポーランド症候群、ポルフィリン症、早老症、網膜色素変性症、重症複合免疫不全症、鎌状赤血球症、脊髄性筋萎縮症、テイ・サックス病、地中海貧血症、トリメチルアミン尿症、ターナー症候群、口蓋心臓顔面症候群およびウイルソン病が挙げられる。それらのそれぞれの遺伝子およびそれらの表現型の説明と共に、ヒト遺伝子および遺伝性疾患の現在22,993のエントリーを有するオンラインカタログがONIM(Online Mendelian Inheritance in Man)ウェブページ(http://omim.org)において入手可能であり、それぞれの配列はUniprotデータベース(http://www.uniprot.org)から入手可能である。
【0016】
いくつかの実施形態は遺伝子発現障害を治療する方法を含む。本方法は、患者に有効量のPSA-核酸複合体を投与する工程を含むことができる。PSA-複合体は、二本鎖RNA、単鎖RNAまたは低分子干渉RNA(siRNA)から選択されるRNAオリゴヌクレオチドに共有結合的に結合されたPSAを含むことができる。あるいはPSA-複合体は、切断可能なリンカー部分を介してRNAオリゴヌクレオチドに共有結合的に結合されたPSAを含むことができる。他の実施形態では、PSA分子は任意にリンカーを介してRNA3’末端塩基において少なくとも1つのRNA分子にコンジュゲートされている。あるいは、PSA-複合体はRNAオリゴヌクレオチドに共有結合的に結合されたPSAを含むことができ、このRNAオリゴヌクレオチドはポリペプチドまたはその相補配列をコードするコード領域を含み、このポリペプチドは、VEGF、アポリポタンパク質B、ジストロフィンのエクソン51、SMN2、トランスサイレチン、CEP290 c.2991 + 1655A > G突然変異、KRAS、補体5(C5)タンパク質、EphA2、CTGF、TRPV1、LDHA、TGF-β1、Cox-2、KRAS G12D、P53、カスパーゼ-2、抗トロンビン、FANCA、第VIII凝固因子、第IX凝固因子、ANK1、PIG-A、UROD、アデノシンデアミナーゼ、JAK3、RAG1/2、アルテミス、IL7R-α、IL-2Rγ、T細胞表面糖タンパク質CD3δ鎖、CD3ε、CDKN2、NF1、NF2、LIMキナーゼ、エラスチン、ALDP、CFTR、ヘプシジン、ABCA3、界面活性剤タンパク質B、ADAMTS13、α1-アンチトリプシンまたはGAAである。
【0017】
「病気(ailment)」または「疾患」という用語は、あらゆる直接外傷に起因しないヒトの一部または全ての構造または機能に悪影響を与える特定の異常な状態を指す。疾患は多くの場合、特定の症状および徴候に関連づけられる医学的状態であることが知られている。疾患は病原体などの外部因子または体内の機能不全によって引き起こされ得る。例えば免疫系の体内の機能不全は、様々な形態の免疫不全、過敏症、アレルギーおよび自己免疫不全を含む様々な異なる疾患を生じさせ得る。
【0018】
「類似体」「バリアント」または「誘導体」は、場合によっては異なる程度であるが天然に生じる分子と構造が実質的に同様であり、かつ同じ生物活性を有する化合物である。例えばポリペプチドバリアントは、参照ポリペプチドと実質的に同様の構造を共有し、かつ同じ生物活性を有するポリペプチドを指す。バリアントまたは類似体は、(i)ポリペプチドの1つ以上の末端および/または天然に生じるポリペプチド配列の1つ以上の内部領域(例えば断片)における1つ以上のアミノ酸残基の欠失、(ii)ポリペプチドの1つ以上の末端(典型的には「付加」または「融合」)および/または天然に生じるポリペプチド配列の1つ以上の内部領域(典型的には「挿入」)における1つ以上のアミノ酸の挿入または付加、または(iii)天然に生じるポリペプチド配列における他のアミノ酸の1つ以上のアミノ酸の置換を含む1つ以上の突然変異に基づいて、類似体の誘導元である天然に生じるポリペプチドと比較してそれらのアミノ酸配列の組成において異なる。例として「誘導体」は、例えば化学的に修飾されている参照ポリペプチドと同じもしくは実質的に同様の構造を共有しているポリペプチドを指す。
【0019】
バリアントまたは類似体ポリペプチドは挿入バリアントを含み、ここでは1つ以上のアミノ酸残基が本発明のタンパク質アミノ酸配列に付加されている。挿入はタンパク質の一方もしくは両方の末端に位置していてもよく、かつ/またはタンパク質アミノ酸配列の内部領域内に位置していてもよい。一方もしくは両方の末端にさらなる残基を有する挿入バリアントとしては、例えば融合タンパク質およびアミノ酸タグまたは他のアミノ酸ラベルを含むタンパク質が挙げられる。一態様では、タンパク質分子は、特に当該分子が大腸菌などの細菌細胞において組換えで発現されている場合に任意にN末端Metを含有する。
【0020】
欠失バリアントでは、本明細書に記載されているタンパク質またはポリペプチド中の1つ以上のアミノ酸残基が除去されている。欠失はタンパク質またはポリペプチドの一方もしくは両方の末端および/またはタンパク質アミノ酸配列内の1つ以上の残基の除去により達成することができる。従って欠失バリアントは、タンパク質またはポリペプチド配列の断片を含む。
【0021】
置換バリアントでは、タンパク質またはポリペプチドの1つ以上のアミノ酸残基が除去されて他の残基で置き換えられている。一態様では、置換は本質的に保存的であり、この種の保存的置換は当該技術分野でよく知られている。あるいは、本発明は非保存的置換を包含する。例示的な保存的置換は、Lehninger,[Biochemistry,第2版;Worth Publishers,Inc.,ニューヨーク(1975),pp.7177]に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0022】
血液凝固タンパク質以外の糖タンパク質などの炭水化物含有化合物の薬理学的および免疫学的特性は、水溶性ポリマー、特にPEGまたはPSAまたはmPSAによる化学的修飾およびコンジュゲーションによって向上させることができる。得られた複合体の特性は一般に、ポリマーの構造およびサイズに大きく依存する。従って、定められた狭いサイズ分布を有するポリマーが通常好ましい。具体例に使用されているPSAおよびmPSAは、狭いサイズ分布を有する最終的なPSA製剤が得られるような方法で精製することができる。
【0023】
糖タンパク質および他のタンパク質標的
本明細書に記載されているように、限定されるものではないが、サイトカイン、例えばインターロイキン、α-、β-およびγ-インターフェロン、顆粒球コロニー刺激因子を含むコロニー刺激因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)、インスリン、植物タンパク質、例えばレクチンおよびリシン、腫瘍壊死因子および関連対立遺伝子、可溶性腫瘍壊死因子受容体、インターロイキン受容体および可溶性インターロイキン受容体、増殖因子、組織増殖因子、トランスフォーミング増殖因子、例えばTGFαまたはTGFβ、および表皮増殖因子、ホルモン、ソマトメジン、色素ホルモン、視床下部放出因子、抗利尿ホルモン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、オキシントモジュリンおよびオキシントモジュリン様ペプチド、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲン活性化因子、ならびに免疫グロブリン、例えばIgG、IgE、IgM、IgAおよびIgD、モノクローナル抗体、エリスロポエチン(EPO)、血液凝固タンパク質以外の血液因子、ガラクトシダーゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、フェチュインなどの血液凝固タンパク質以外の糖タンパク質、その断片、ならびに一般な治療用糖タンパク質と共に上記タンパク質のいずれかまたはその断片を含むあらゆる融合タンパク質が本発明によって意図されている。
【0024】
本明細書において提供される数多くの特定の実施形態では、多種多様な調節経路およびシグナル伝達経路に関与するタンパク質、ポリペプチドおよびペプチドをコンジュゲートしてタンパク質-PSA複合体を調製する。特定の実施形態では、新規なタンパク質-PSA複合体を調製するために使用されるタンパク質、ペプチドおよび他の化合物は、第IX因子(FIX)、第VIII因子(FVIII)、第VIIa因子(FVIIa)、フォンウィルブランド因子(VWF)、第FV因子(FV)、第X因子(FX)、第XI因子(FXI)、第XII因子(FXII)、トロンビン(FII)、トロンボモジュリン(および類似体、例えばSolulin)、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子(TF)、ADAMTS 13プロテアーゼ、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-11、コロニー刺激因子-1(CSF-1)、M-CSF、SCF、GM-CSF、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、EPO、インターフェロン-α(IFN-α)、コンセンサスインターフェロン、IFN-β、IFN-γ、IFN-ω、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-31、IL-32α、IL-33、トロンボポエチン(TPO)、Ang-1、Ang-2、Ang-4、Ang-Y、アンジオポエチン様ポリペプチド1(ANGPTL1)、アンジオポエチン様ポリペプチド2(ANGPTL2)、アンジオポエチン様ポリペプチド3(ANGPTL3)、アンジオポエチン様ポリペプチド4(ANGPTL4)、アンジオポエチン様ポリペプチド5(ANGPTL5)、アンジオポエチン様ポリペプチド6(ANGPTL6)、アンジオポエチン様ポリペプチド7(ANGPTL7)、ビトロネクチン、血管内皮増殖因子(VEGF)、アンジオゲニン、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、骨形成タンパク質-1、骨形成タンパク質-2、骨形成タンパク質-3、骨形成タンパク質-4、骨形成タンパク質-5、骨形成タンパク質-6、骨形成タンパク質-7、骨形成タンパク質-8、骨形成タンパク質-9、骨形成タンパク質-10、骨形成タンパク質-11、骨形成タンパク質-12、骨形成タンパク質-13、骨形成タンパク質-14、骨形成タンパク質-15、骨形成タンパク質受容体IA、骨形成タンパク質受容体IB、骨形成タンパク質受容体II、脳由来神経栄養因子、カルジオトロフィン-1、毛様体神経栄養因子、毛様体神経栄養因子受容体、Cripto、Cryptic、サイトカイン誘導好中球走化性因子1、サイトカイン誘導好中球走化性因子2α、サイトカイン誘導好中球走化性因子2β、β内皮細胞増殖因子、エンドセリン1、表皮増殖因子、エピジェン、エピレグリン、上皮由来好中球誘引物質、線維芽細胞増殖因子4、線維芽細胞増殖因子5、線維芽細胞増殖因子6、線維芽細胞増殖因子7、線維芽細胞増殖因子8、線維芽細胞増殖因子8b、線維芽細胞増殖因子8c、線維芽細胞増殖因子9、線維芽細胞増殖因子10、線維芽細胞増殖因子11、線維芽細胞増殖因子12、線維芽細胞増殖因子13、線維芽細胞増殖因子16、線維芽細胞増殖因子17、線維芽細胞増殖因子19、線維芽細胞増殖因子20、線維芽細胞増殖因子21、線維芽細胞増殖因子(酸性)、線維芽細胞増殖因子(塩基性)、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体α1、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体α2、増殖関連タンパク質、増殖関連タンパク質α、増殖関連タンパク質β、増殖関連タンパク質γ、ヘパリン結合性表皮増殖因子、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、肝細胞癌由来増殖因子、インスリン様増殖因子1、インスリン様増殖因子受容体、インスリン様増殖因子2、インスリン様増殖因子結合タンパク質、ケラチノサイト増殖因子、白血病阻害因子、白血病阻害因子受容体α、エンドモルフィン(1&2)、神経ペプチド、神経増殖因子、神経増殖因子受容体、ニューロポイエチン(neuropoietin)、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4、オンコスタチンM(OSM)、胎盤増殖因子、胎盤増殖因子2、血小板由来内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子A鎖、血小板由来増殖因子AA、血小板由来増殖因子AB、血小板由来増殖因子B鎖、血小板由来増殖因子BB、血小板由来増殖因子受容体α、血小板由来増殖因子受容体β、プレB細胞増殖刺激因子、幹細胞因子(SCF)、幹細胞因子受容体、TNF、TNF0、TNF1、TNF2、トランスフォーミング増殖因子α、トランスフォーミング増殖因子β、トランスフォーミング増殖因子β1、トランスフォーミング増殖因子β1.2、トランスフォーミング増殖因子β2、トランスフォーミング増殖因子β3、トランスフォーミング増殖因子β5、潜在型トランスフォーミング増殖因子β1、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質I、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質II、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質III、胸腺間質性リンホポエチン(TSLP)、腫瘍壊死因子受容体I型、腫瘍壊死因子受容体II型、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)、インスリン、レクチンリシン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲン活性化因子、IgG、IgE、IgM、IgAおよびIgD、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、フェチュイン、黄体形成ホルモン、エストロゲン、インスリン、アルブミン、リポタンパク質、フェトプロテイン、トランスフェリン、トロンボポエチン、ウロキナーゼ、インテグリン、トロンビン、トロンボモジュリン、レプチン、アダリムマブ、デノスマブまたはエタネルセプトから選択される。これらのタンパク質およびこれらの化合物を調製する特定の方法は、「オキシム結合のための求核性触媒(Nucleophilic catalyst for oxime linkage)」という発明の名称の米国特許第9,731,024号にさらに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0025】
特定の実施形態では、新規なタンパク質-PSA複合体を調製するために使用されるタンパク質、ペプチドおよび他の化合物は、第IX因子(FIX)、第VIII因子(FVIII)、第VIIa因子(FVIIa)、フォンウィルブランド因子(VWF)、第FV因子(FV)、第X因子(FX)、第XI因子(FXI)、第XII因子(FXII)、トロンビン(FII)、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子(TF)、ADAMTS 13プロテアーゼ、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-11、コロニー刺激因子-1(CSF-1)、M-CSF、SCF、GM-CSF、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、EPO、インターフェロン-α(IFN-α)、コンセンサスインターフェロン、IFN-β、IFN-γ、IFN-ω、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-31、IL-32α、IL-33、トロンボポエチン(TPO)、Ang-1、Ang-2、Ang-4、Ang-Y、アンジオポエチン様ポリペプチド1(ANGPTL1)、アンジオポエチン様ポリペプチド2(ANGPTL2)、アンジオポエチン様ポリペプチド3(ANGPTL3)、アンジオポエチン様ポリペプチド4(ANGPTL4)、アンジオポエチン様ポリペプチド5(ANGPTL5)、アンジオポエチン様ポリペプチド6(ANGPTL6)、アンジオポエチン様ポリペプチド7(ANGPTL7)、ビトロネクチン、血管内皮増殖因子(VEGF)、アンジオゲニン、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、骨形成タンパク質-1、骨形成タンパク質-2、骨形成タンパク質-3、骨形成タンパク質-4、骨形成タンパク質-5、骨形成タンパク質-6、骨形成タンパク質-7、骨形成タンパク質-8、骨形成タンパク質-9、骨形成タンパク質-10、骨形成タンパク質-11、骨形成タンパク質-12、骨形成タンパク質-13、骨形成タンパク質-14、骨形成タンパク質-15、骨形成タンパク質受容体IA、骨形成タンパク質受容体IB、骨形成タンパク質受容体II、脳由来神経栄養因子、カルジオトロフィン-1、毛様体神経栄養因子、毛様体神経栄養因子受容体、Cripto、Cryptic、サイトカイン誘導好中球走化性因子1、サイトカイン誘導好中球走化性因子2α、サイトカイン誘導好中球走化性因子2β、β内皮細胞増殖因子、エンドセリン1、表皮増殖因子、エピジェン、エピレグリン、上皮由来好中球誘引物質、線維芽細胞増殖因子4、線維芽細胞増殖因子5、線維芽細胞増殖因子6、線維芽細胞増殖因子7、線維芽細胞増殖因子8、線維芽細胞増殖因子8b、線維芽細胞増殖因子8c、線維芽細胞増殖因子9、線維芽細胞増殖因子10、線維芽細胞増殖因子11、線維芽細胞増殖因子12、線維芽細胞増殖因子13、線維芽細胞増殖因子16、線維芽細胞増殖因子17、線維芽細胞増殖因子19、線維芽細胞増殖因子20、線維芽細胞増殖因子21、線維芽細胞増殖因子(酸性)、線維芽細胞増殖因子(塩基性)、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体α1、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体α2、増殖関連タンパク質、増殖関連タンパク質α、増殖関連タンパク質β、増殖関連タンパク質γ、ヘパリン結合性表皮増殖因子、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、肝細胞癌由来増殖因子、インスリン様増殖因子1、インスリン様増殖因子受容体、インスリン様増殖因子2、インスリン様増殖因子結合タンパク質、ケラチノサイト増殖因子、白血病阻害因子、白血病阻害因子受容体α、神経増殖因子、神経増殖因子受容体、ニューロポイエチン、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4、オンコスタチンM(OSM)、胎盤増殖因子、胎盤増殖因子2、血小板由来内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子A鎖、血小板由来増殖因子AA、血小板由来増殖因子AB、血小板由来増殖因子B鎖、血小板由来増殖因子BB、血小板由来増殖因子受容体α、血小板由来増殖因子受容体β、プレB細胞増殖刺激因子、幹細胞因子(SCF)、幹細胞因子受容体、TNF、TNF0、TNF1、TNF2、トランスフォーミング増殖因子α、トランスフォーミング増殖因子β、トランスフォーミング増殖因子β1、トランスフォーミング増殖因子β1.2、トランスフォーミング増殖因子β2、トランスフォーミング増殖因子β3、トランスフォーミング増殖因子β5、潜在型トランスフォーミング増殖因子β1、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質I、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質II、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質III、胸腺間質性リンホポエチン(TSLP)、腫瘍壊死因子受容体I型、腫瘍壊死因子受容体II型、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)、インスリン、レクチンリシン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲン活性化因子、IgG、IgE、IgM、IgAおよびIgD、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ(例えばデオキシリボヌクレアーゼI)、フェチュイン、黄体形成ホルモン、エストロゲン、インスリン、アルブミン、リポタンパク質、フェトプロテイン、トランスフェリン、トロンボポエチン、ウロキナーゼ、インテグリン、トロンビン、トロンボモジュリン、レプチン、ヒュミラ(Humira)(アダリムマブ)、プロリア(デノスマブ)あるいはその生物学的に活性な断片、誘導体またはバリアントから選択される。これらのタンパク質およびこれらの化合物を調製する特定の方法は、米国特許出願公開第20120190096号として公開されている「水溶性脂肪酸誘導体をタンパク質にコンジュゲートするための材料および方法(Materials and methods for conjugating a water soluble fatty acid derivative to a protein)」という発明の名称の米国特許出願にさらに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
特定の実施形態では、新規なタンパク質-PSA複合体を調製するために使用されるタンパク質、ペプチドおよび他の化合物は、アスパラギナーゼ、アムドキソビル(DAPD)、Antide、ベカプレルミン(becaplermin)、カルシトニン、シアノビリン、デニロイキンジフチトクス、エリスロポエチン(EPO)、EPO作動薬(例えば、国際公開第96/40749号に記載されている約10~40アミノ酸長であり、かつ特定のコア配列を含むペプチド)、ドルナーゼアルファ、赤血球造血刺激タンパク質(NESP)、凝固因子、例えば第V因子、第VII因子、第VIIa因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XII因子、第XIII因子、フォンウィルブランド因子、セレデース、セレザイム、α-グルコシダーゼ、コラーゲン、シクロスポリン、αディフェンシン、βディフェンシン、エキセンジン-4、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、トロンボポエチン(TPO)、α-1プロテイナーゼ阻害剤、エルカトニン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、フィブリノーゲン、フィルグラスチム、成長ホルモン、ヒト成長ホルモン(hGH)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、GRO-β、GRO-β抗体、骨形成タンパク質、例えば骨形成タンパク質-2、骨形成タンパク質-6、OP-1、酸性線維芽細胞増殖因子、塩基性線維芽細胞増殖因子、CD-40リガンド、ヘパリン、ヒト血清アルブミン、低分子ヘパリン(LMWH)、インターフェロン、例えばインターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターフェロンω、インターフェロンτ、コンセンサスインターフェロン、インターロイキンおよびインターロイキン受容体、例えばインターロイキン-1受容体、インターロイキン-2、インターロイキン-2融合タンパク質、インターロイキン-1受容体拮抗薬、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-4受容体、インターロイキン-6、インターロイキン-8、インターロイキン-12、インターロイキン-13受容体、インターロイキン-17受容体、ラクトフェリンおよびラクトフェリン断片、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、インスリン、プロインシュリン、インスリン類似体(例えば、米国特許第5,922,675号に記載されているモノ-アシル化インスリン)、アミリン、C-ペプチド、ソマトスタチン、オクトレオチドを含むソマトスタチン類似体、バソプレシン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、インフルエンザワクチン、インスリン様増殖因子(IGF)、インスリントロピン(insulintropin)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、プラスミノーゲン活性化因子、例えばアルテプラーゼ、ウロキナーゼ、レテプラーゼ、ストレプトキナーゼ、パミテプラーゼ、ラノテプラーゼおよびテネクテプラーゼ、神経増殖因子(NGF)、オステオプロテゲリン、血小板由来増殖因子、組織増殖因子、トランスフォーミング増殖因子-1、血管内皮増殖因子、白血病阻害因子、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、グリア増殖因子(GGF)、T細胞受容体、CD分子/抗原、腫瘍壊死因子(TNF)、単球走化性タンパク質-1、内皮増殖因子、副甲状腺ホルモン(PTH)、グルカゴン様ペプチド、ソマトトロピン、サイモシンα1、サイモシンα1 Ilb/Illa阻害剤、サイモシンβ10、サイモシンβ9、サイモシンβ4、α1-アンチトリプシン、ホスホジエステラーゼ(PDE)化合物、VLA-4(最晩期抗原4)、VLA-4阻害剤、ビスホスホネート、呼吸器合胞体ウイルス抗体、嚢胞性線維症膜貫通調節因子(CFTR)遺伝子、デオキシリボヌクレアーゼ(Dnase)、殺菌性/透過性増強タンパク質(BPI)および抗CMV抗体から選択される。例示的なモノクローナル抗体としては、エタネルセプト(IgG1のFc部分に結合されたヒト75kD TNF受容体の細胞外リガンド結合部分からなる二量体融合タンパク質)、アブシキシマブ、アフェリオモマブ(afeliomomab)、バシリキシマブ、ダクリズマブ、インフリキシマブ、イブリツモマブチウキセタン、ミツモマブ、ムロモナブ-CD3、ヨウ素131トシツモマブ複合体、オマリズマブ、リツキシマブおよびトラスツズマブ(ハーセプチン)が挙げられる。これらのタンパク質およびこれらの化合物を調製する特定の方法は、米国特許出願公開第2018021444号として公開されている「マルチアームポリマープロドラッグ(Multi-arm polymer prodrugs)」という発明の名称の米国特許出願にさらに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。新規なタンパク質-PSA複合体を調製するために使用されるものの例としては、限定されるものではないが、組換えヒトEPO(rhEPO)などのエリスロポエチン(EPO)、組換えヒトG-CSF(rhG-CSF)のようなG-CSFなどのコロニー刺激因子(CSF)、組換えヒトIFNαまたはIFNβ(rhIFNαまたはrhIFNβ)のようなIFNαおよびIFNβなどのα-インターフェロン(IFNα)、β-インターフェロン(IFNβ)またはγ-インターフェロン(IFNγ)、インターロイキン、例えば組換えヒトIL-2またはIL3(rhIL-2またはrhIL-3)のようなIL-2またはIL-3などのIL-1~IL-18、血清タンパク質、例えば第VII因子、第VIII因子、第IX因子のような第II~XIII凝固因子、α1-アンチトリプシン(A1AT)、活性化プロテインC(APC)、ヒト組織プラスミノーゲン活性化因子(hTPA)などの組織型プラスミノーゲン活性化因子(tPA)などのプラスミノーゲン活性化因子、組換えヒトAT III(rhAT III)などのAT III、ミオグロビン、ウシ血清アルブミン(BSA)などのアルブミン、増殖因子、例えば表皮増殖因子(EGF)、血小板増殖因子(PDGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、脳由来増殖因子(BDGF)、神経増殖因子(NGF)、B細胞増殖因子(BCGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、TGFαまたはTGFβ、BMP(骨形成タンパク質)などのトランスフォーミング増殖因子、ヒト成長ホルモンなどの成長ホルモン、TNFαまたはTNFβなどの腫瘍壊死因子、ソマトスタチン、ソマトトロピン、ソマトメジン、ヘモグロビン、ホルモンまたはプロホルモン、例えばインスリン、ゴナドトロピン、メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)、トリプトレリン、抗利尿ホルモン(ADH)およびオキシトシン、ならびに放出ホルモンおよび放出阻害ホルモン、副甲状腺ホルモン、甲状腺ホルモン、例えばチロキシン、チロトロピン、チロリベリン、プロラクチン、カルシトニン、グルカゴン、グルカゴン様ペプチド(GLP-1、GLP-2など)、エキセンディン-4およびエキセナチド(Extendatide)などのエキセンディン、レプチン、バソプレシン、ガストリン、セクレチン、インテグリン、糖タンパク質ホルモン(例えばLH、FSHなど)、メラノシド(melanoside)刺激ホルモン、リポタンパク質およびアポ-B、アポ-E、アポ-Laなどのアポリポタンパク質、IgG、IgE、IgM、IgA、IgDおよびその断片などの免疫グロブリン、ヒルジン、組織経路阻害剤、レクチンまたはリシンなどの植物タンパク質、ハチ毒、ヘビ毒、免疫毒素、抗原E、α-プロテイナーゼ阻害剤、ブタクサアレルゲン、メラニン、オリゴリジン(oligolysine)タンパク質、RGDタンパク質またはこれらのタンパク質の1つのための任意に対応する受容体、あるいはこれらのタンパク質または受容体のいずれかの機能的誘導体または断片が挙げられる。好ましい酵素は、例えば、炭水化物特異的酵素、タンパク分解酵素、オキシダーゼ、酸化還元酵素、転移酵素、加水分解酵素、リアーゼ、異性化酵素、キナーゼおよびリガーゼである。非限定的な具体例は、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニンデアミナーゼ、アデノシンデアミナーゼ、グルタミナーゼ、グルタミナーゼ-アスパラギナーゼ、フェニルアラニン、トリプトファナーゼ、チロシナーゼ、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、エンドトキシナーゼ(endotoxinase)、カタラーゼ、ペルオキシダーゼ、カリクレイン、トリプシン、キモトリプシン、エラスターゼ、サーモリシン、リパーゼ、ウリカーゼ、アデノシンジホスファターゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコース、グルコン酸オキシダーゼ(gluconate oxidase)、ガラクトシダーゼ、グルコセレブロシダーゼ、グルクロニダーゼ、ヒアルロニダーゼ、組織因子、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、MAPキナーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ(例えば、デオキシリボヌクレアーゼI)、リボヌクレアーゼ、ラクトフェリンおよびそれらの機能的誘導体または断片である。これらのタンパク質およびこれらの化合物を調製する特定の方法は、米国特許出願公開第2007134197号として公開されている「還元的アミノ化によって調製されるヒドロキシアルキル澱粉とタンパク質との複合体(Conjugates of hydroxyalkyl starch and a protein,prepared by reductive amination)」という発明の名称の米国特許出願にさらに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
別の態様では、抗体-薬物複合体をコンジュゲートして抗体-薬物-PSA複合体を調製する。これらの抗体およびこれらの化合物を調製する特定の方法は、国際公開第2018002902号として公開されている「抗体-薬物複合体およびそれを用いた治療方法(Antibody-drug conjugates and therapeutic methods using the same)」という発明の名称のPCTに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。これらの実施形態では、1種の好適な抗体-薬物複合体は、リンカー分子に共有結合的に結合され、次いでこれがHIVエンベロープ糖タンパク質に結合することができる1種以上の薬物に共有結合的に結合された抗体を含む。複合体を調製するための別の好適な抗体は、CD4結合部位においてHIVエンベロープ糖タンパク質に結合するものである。複合体を調製するための別の好適な抗体は、gp120-gp41界面でHIVエンベロープ糖タンパク質に結合するものである。そのような抗体としては、限定されるものではないが、米国特許出願公開第20150361160号、米国特許出願公開第20160022803号および米国特許出願公開第20150152167号に詳細に記載されている、8ANC195、35022およびPGT151から選択される抗体が挙げられる。複合体を調製するための別の好適な抗体は、限定されるものではないが、米国特許出願公開第20160009789号、PCT出願の国際公開第2013070776号、米国特許出願公開第20150158934号、米国特許出願公開第20120269821号に詳細に記載されている4E10、10E8、2F5およびZ13e1を含む、gp41膜近位外部領域(MPER)に結合するものである。さらなる抗体複合体を調製するために、HIVエンベロープ糖タンパク質に結合させる際に用いられる例示的な抗体としては、限定されるものではないが、VRC01、VRC07、VRC07-523、3BNC1 17、NIH45-46、PGV04、b12、CH31およびCH103が挙げられる。VRC07-523の例は、J.Virol,88(21):pp.12669-12682(2014年11月)に記載されている。3BNC1 17の例は米国特許出願公開第20140212458号に記載されている。NIH45-46の例は、米国特許出願公開第20150274813号に記載されている。PGV04の例は、米国特許出願公開第20130251726号に記載されている。b12の例は、米国特許出願公開第20160009789号に記載されている。CH31の例は、米国特許出願公開第20130251726号に記載されている。CH103の例は、米国特許出願公開第20140212458号に記載されている。
【0028】
さらなる抗体複合体を調製するために、HIVエンベロープ糖タンパク質に結合させる際に用いられる例示的な抗体としては、限定されるものではないが、国際公開第201210657号、国際公開第2016196975号、米国特許第8,637,036号、米国特許出願公開第2014/0322163号、国際公開第2016196975号および国際公開第2017/79479号に詳細に記載されている2G12、2F5、3BC176、3BNC60、3BNC1 17、4E10、8ANC131、8ANC195、10E8、10-1074、12A12、35022、b12、B2530、CH01-04、CH103、CH31、HJ16、M66.6、N6、N6-LS、NIH45-46、PG9、PG16、PGDM1400、PGT121、PGT128、PGT135、PGT141~PGT145、PGT151、PGV04、VRC01、VRC01-LS、VRC07、VRC07-523、VRC07-LSおよびZ13、好ましくはVRC01、VRC01-LS、N6、N6-LS、VRC07およびVRC07-523が挙げられ、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
別の態様では、抗体-薬物複合体をコンジュゲートして抗Axl抗体PSA複合体を調製する。これらの実施形態では、抗Axl抗体は、哺乳類のTAM受容体チロシンキナーゼ(RTK)のサブファミリーの一部である104~140kDaの分子量を有する894個のアミノ酸からなるタンパク質であるUFOまたはJTK11ともいうAXLタンパク質の細胞外部分にあるエピトープに結合する抗体である。これらの抗体およびこれらの化合物を調製する特定の方法は、国際公開第2018007592号として公開されている「抗Axl抗体に基づく抗体薬物複合体のための新しい投与計画(New dosage regimens for antibody drug conjugates based on anti-axl antibodies)」という発明の名称のPCTに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0030】
別の態様では、多くの細胞表面マーカーおよびそれらのリガンドに対してタンパク質-PSA複合体を調製する。例えば癌細胞は、限定されるものではないが、炭酸脱水酵素IX、α-フェトプロテイン、α-アクチニン-4、A3(A33抗体に特異的な抗原)、ART-4、B7、Ba-733、BAGE、BrE3抗原、CA125、CAMEL、CAP-1、CASP-8/m、CCCL19、CCCL21、CD1、CD1a、CD2、CD3、CD4、CDS、CD8、CD1-1A、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD29、CD30,CD32b、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD45、CD46、CD54、CD55、CD59、CD64、CD66a~e、CD67、CD70、CD74、CD79a、CD80、CD83、CD95、CD126、CD133、CD138、CD147、CD154、CDC27、CDK4/m、CDK 2A、CXCR4、CXCR7、CXCL12、HIF-1α、結腸特異的抗原p(CSAp)、CEA(CEACAM5)、CEACAM6、c-Met、DAM、EGFR、EGFRvIII、EGP-1、EGP-2、ELF2-M、Ep-CAM,Flt-1、Flt-3、葉酸受容体、G250抗原、GAGE、GROB、HLA-DR、HM1.24、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(HCG)およびそのサブユニット、HER2/neu、HMGB-1、低酸素誘導因子(HIF-1)、HSP70-2M、HST-2もしくは1a、IGF-1R、IFN-γ、IFN-α、IFN-β、IL-2、IL-4R、IL-6R、IL-13R、IL-15R、IL-17R、IL-18R、IL-6、IL-8、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-25、インスリン様増殖因子-1(IGF-1)、KC4-抗原、KS1-抗原、KS1-4、Le-Y、LDR/FUT、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)、MAGE、MAGE-3、MART-1、MART-2、NY-ESO-1、TRAG-3、mCRP、MCP-1、MIP-1A、MIP-1B、MIF、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5、MUM-1/2、MUM-3、NCA66、NCA95、NCA90、膵臓癌ムチン、胎盤増殖因子、p53、PLAGL2、前立腺性酸性ホスファターゼ、PSA、PRAME、PSMA、P1GF、ILGF、ILGF-1R、IL-6、IL-25、RS5、RANTES、T101、SAGE、S100、サバイビン、サバイビン2B、TAC、TAG72、テネイシン、TRAIL受容体、TNF-α、Tn抗原、トムゼン・フリーデンライヒ抗原、腫瘍壊死抗原、VEGFR、ED-Bフィブロネクチン、WT-1、17-lA-抗原、補体因子C3、C3a、C3b、C5a、C5、血管新生マーカー、bcl-2、bcl-6、Kras、cMET、癌遺伝子マーカーおよび癌遺伝子産物(例えば、Sensiら,Clin.Cancer Res.12(2006)5023-5032;Parmianiら,J.Immunol.178(2007)1975-1979;Novellinoら,Cancer Immunol.Immunother.54(2005)187-207を参照)を含む細胞表面マーカーおよび/またはリガンドのうちの少なくとも1つを発現することが報告されている。本明細書に報告されている方法により得られる複合体は、例えば腫瘍疾患、心血管疾患、感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、代謝(例えば内分泌)疾患、または神経系(例えば神経変性)疾患の治療のための薬の調製において使用することができる。これらの疾患の典型的かつ非限定的な例は、アルツハイマー病、非ホジキンリンパ腫、B細胞急性および慢性リンパ性白血病、バーキット・リンパ腫、ホジキンリンパ腫、毛様細胞白血病、急性および慢性骨髄性白血病、T細胞リンパ腫および白血病、多発性骨髄腫、神経膠腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症、癌腫(口腔、胃腸管、結腸、胃、気道、肺、乳房、卵巣、前立腺、子宮、子宮内膜、子宮頸部、膀胱、膵臓、骨、肝臓、胆嚢、腎臓、皮膚および精巣の癌腫など)、黒色腫、肉腫、神経膠腫および皮膚癌、急性特発性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺性症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、連鎖球菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgA腎症、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、閉塞性血栓性血管炎、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変、橋本甲状腺炎、甲状腺中毒症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ウェゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄癆、巨大細胞動脈炎/多発性筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬または線維化性肺胞炎である。これらのタンパク質は、国際公開第2016096741号として公開されている「ソルターゼを用いた酵素媒介性ポリペプチドコンジュゲーションのための新規な方法(Novel methods for enzyme mediated polypeptide conjugation using sortase)」という発明の名称のPCTに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
別の態様では、抗メソテリン抗体-PSA複合体は、メソテリンに対して反応性を有する抗体を用いてそれらをPSAとコンジュゲートして調製する。これらの実施形態では、PSA-複合体を調製するために使用される抗体が別の細胞外抗原によってマスクされていないメソテリンのエピトープを認識することが好ましい。これらの実施形態の別の態様では、抗体-PSA複合体を膵臓、卵巣、中皮腫および肺癌などの癌の治療方法に使用する。これらのタンパク質は、米国特許出願公開第20150259433号として公開されている「抗メソテリン抗体およびその使用(Anti-mesothelin antibodies and uses thereof)」という発明の名称の米国特許出願に詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0032】
別の態様では、酵素をコンジュゲートして酵素PSA複合体を調製する。これらの実施形態では、PSA複合体を調製するために使用するのに適した酵素としては、限定されるものではないが、メタロプロテイナーゼ、スブチラーゼまたはリパーゼ、トリアシルグリセロールリパーゼ、スブチラーゼ、メタロプロテイナーゼ、コリンエステラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、ブチリルコリンエステラーゼ、トリプシン、サブチリシン、サーモリシンまたはCT、コリンエステラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、ブチリルコリンエステラーゼ、スブチラーゼ、サブチリシン、サーモリシン、リパーゼ、トリアシルグリセロールリパーゼ、メタロプロテイナーゼ、キモトリプシン、-キモトリプシンまたはトリプシンを含むエステラーゼ群、キモトリプシン-pDMAEMA(CT-pDMAEMA)複合体、メタロプロテイナーゼ-pOEGMA複合体、サーモリシン-pOEGMA複合体、サブチリシン-イオン液体ポリマー複合体、スブチラーゼ-イオン液体ポリマー複合体またはリパーゼ-pDMAA複合体を含むエステラーゼ-ポリマー複合体などの酵素ポリマー複合体からの酵素が挙げられる。これらの実施形態では、酵素-ポリマー複合体によって触媒される化学反応としては、例えばエステル交換反応、加水分解反応、エナンチオ選択反応、レドックス反応、縮合反応、ポリエステル合成反応またはペプチド合成反応あるいはそれらのあらゆる組み合わせが挙げられる。これらのタンパク質は、国際公開第2016130677号として公開されている「非水性酵素-ポリマー複合体溶液および関連する方法(Non-aqueous enzyme-polymer conjugate solutions and related methods)」という発明の名称のPCT出願に詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
別の態様では、リガンド-薬物複合体をコンジュゲートしてリガンド-薬物-PSA複合体を調製する。これらの実施形態では、新規なPSA複合体を抗体-薬物複合体から調製する。これらの実施形態はPSA抗体複合体の調製および使用を含み、ここでは当該抗体は細胞毒性薬などの薬物に結合されるように修飾されている。本発明の抗体-薬物複合体のために使用することができる具体的な抗体としては、限定されるものではないが、トラスツズマブおよびペルツズマブなどの抗HER2モノクローナル抗体、リツキシマブ、オファツムマブ、トシツモマブおよびイブリツモマブなどの抗CD20モノクローナル抗体、オレゴボマブなどの抗CA125モノクローナル抗体、エドレコロマブなどの抗EpCAM(17-1A)モノクローナル抗体、セツキシマブ、パニツムマブおよびニモツズマブなどの抗EGFRモノクローナル抗体、ブレンツキシマブなどの抗CD30モノクローナル抗体、ゲムツズマブおよびhuMy9-6などの抗CD33モノクローナル抗体、エタラシズマブなどの抗血管新生インテグリンαvβ3モノクローナル抗体、5アレムツズマブなどの抗CD52モノクローナル抗体、エピラツズマブなどの抗CD22モノクローナル抗体、ラベツズマブなどの抗CEAモノクローナル抗体、ビバツズマブ(bivatuzumab)などの抗CD44v6モノクローナル抗体、シブロツズマブ(sibrotuzumab)などの抗FAPモノクローナル抗体、huB4などの抗CD19モノクローナル抗体、huC242などの抗CanAgモノクローナル抗体、huN901などの抗CD56モノクローナル抗体、ダラツムマブなどの抗CD38モノクローナル抗体、DS6などの抗CA6モノクローナル抗体10、シクスツムマブ(cixutumumab)および3B7などの抗IGF-IRモノクローナル抗体、CNTO 95などの抗インテグリンモノクローナル抗体、およびB-B4などの抗シンデカン(syndecan)-1モノクローナル抗体が挙げられる。特定の実施形態では、抗体以外の結合タンパク質もリガンド-薬物複合体のための細胞結合リガンドとして使用することができ、限定されるものではないが、IFN-a、IFN-f3およびIFN-yなどのインターフェロン、トランスフェリン、表皮増殖因子(EGF)およびEGF様ドメイン、ガストリン放出ペプチド(GRP)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)、ワクシニア増殖因子(VGF)、インスリンならびにIGF-1およびIGF-2などのインスリン様増殖因子(IGF)、チロトロピン放出ホルモン(TRH)、メラニン細胞刺激30ホルモン(MSH)、ステロイドホルモン(例えば、エストロゲンおよびアンドロゲン)およびソマトスタチンなどの他の好適なホルモン、IL-2、IL-3、IL-4およびIL-6などのリンホカイン、G-CSF、M-CSFおよびGM-CSFなどのコロニー刺激因子(CSF)、ボンベシン、ガストリンおよび葉酸が挙げられる。PSA複合体を調製するために使用されるこれらの抗体または結合タンパク質複合体は、国際公開第2016147031号として公開されている「新規な親水性リンカーおよびそのリガンド-薬物複合体(Novel hydrophilic linkers and ligand-drug conjugates thereof)」という発明の名称のPCT出願に詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
別の態様では、抗体-複合体をコンジュゲートして、さらにPSAにコンジュゲートされた抗体複合体を調製して新規な抗体複合体を提供する。この態様に係る実施形態では、PSA複合体を調製するために使用される抗体の典型的な例としては、限定されるものではないが、アブシキシマブ、リツキシマブ、バシリキシマブ、パリビズマブ、インフリキシマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、アダリムマブ、トシツモマブ-1131、セツキシマブ、イブリツキシマブチウキセタン、オマリズマブ、ベバシズマブ、ナタリズマブ、ラニビズマブ、パニツムマブ、エクリズマブ、セルトリズマブペゴール、ゴリムマブ、カナキヌマブ、カツマキソマブ(catumaxomab)、ウステキヌマブ、トシリズマブ、オファツムマブ、デノスマブ、ベリムマブ、イピリムマブおよびブレンツキシマブが挙げられる。PSA複合体を調製するために使用されるこれらの抗体または結合タンパク質複合体は、国際公開第2017137457号として公開されている「cd30腫瘍を標的にするための向上した治療指数を有する抗体-複合体および抗体-複合体の治療指数を向上させるための方法(Antibody-conjugates with improved therapeutic index for targeting cd30 tumours and method for improving therapeutic index of antibody-conjugates)」という発明の名称のPCT出願に詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
別の態様では、抗体-リファマイシン複合体をさらにPSAにコンジュゲートして新規な抗体複合体を得る。PSA複合体を調製するために使用されるこれらの抗体または結合タンパク質複合体は、国際公開第2017152083号として公開されている「抗体-リファマイシン複合体の調製のためのプロセス(Process for the preparation of an antibody-rifamycin conjugate)」という発明の名称のPCT出願に詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
特定の実施形態では、T細胞Igおよびムチンドメイン含有分子-3(Tim-3)に対して反応性を有する抗体またはその抗原結合部分をPSAにコンジュゲートして抗TIM3複合体を形成する。ムチンドメイン含有分子-3(Tim-3)に好適な抗体は米国特許出願公開第2018016336号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。別の態様では、抗TIM3/PSA抗体複合体を治療方法で使用する。一実施形態では、抗TIM3/PSA抗体複合体は、ヒトT細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有-3(TIM3)に結合し、かつ可溶性ヒトTIM3に結合し、膜結合型ヒトTIM3に結合し、かつT細胞活性化を誘導または増強する。別の態様では、調製される抗体複合体を膀胱癌、乳癌、子宮/子宮頸癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、食道癌、胃腸癌、膵臓癌、結腸直腸癌、結腸癌、腎臓癌、頭頸部癌、肺癌、胃癌、生殖細胞癌、骨癌、肝癌、甲状腺癌、皮膚癌、中枢神経系の腫瘍、リンパ腫、白血病、骨髄腫、肉腫およびウイルス関連癌を含む腫瘍および癌の増殖を阻害するための方法で使用する。
【0037】
特定の実施形態では、タンパク質トロンボスポンジン1ドメイン含有7A(THSD7A)に対して反応性を有する抗体またはその抗原結合部分をコンジュゲートして抗THSD7A複合体を形成する。THSD7Aタンパク質に好適な抗体は国際公開第2017167770号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。別の態様では、調製される抗体複合体を腎臓、前立腺、甲状腺、膀胱、食道、結腸および乳癌を含む腫瘍および癌の増殖を阻害するために方法で使用する。
【0038】
別の態様では、ペプチドおよびペプチド模倣体をPSAにコンジュゲートしてペプチドPSA複合体を調製する。特定の実施形態では、国際公開第2018015296号に記載されているペプチドおよびペプチド模倣体(これは参照により本明細書に組み込まれる)をPSAにコンジュゲートして特定のペプチドPSA複合体を調製する。複合体を調製するために使用される特定のタンパク質は可溶性アミロイド前駆体タンパク質a(sAPPa)である。このタンパク質はGABABRIa受容体に結合するのを可能にする特定の結合部位を有し、それによりGABABRIaのsushiドメイン1への特異的結合により作動薬作用を引き起こす。この受容体を活性化させることができるPSAにコンジュゲートされた可溶性アミロイド前駆体タンパク質(sAPPa)が本明細書において提供される。
【0039】
別の態様では、受容体、リガンド、二次メッセンジャーならびに関連するタンパク質および化合物などの調節経路およびシグナル伝達経路に関与するタンパク質、ポリペプチドおよびペプチドをコンジュゲートしてタンパク質-PSA複合体を調製する。特定の実施形態では、EI24タンパク質またはその断片をPSAにコンジュゲートしてE124タンパク質-PSA複合体を調製する。E124-PSA複合体を調製する際に、配列番号1(Met-Ala-Asp-Ser-Val-Lys-Thr-Phe-Leu-Gln-Asp-Leu-Ala-Arg-Gly-Ile-Lys-AspSer-Ile-Trp-Gly-Ile-Cys-Thr-Ile-Ser-Lys-Leu-Asp-Ala-Arg-Ile-Gln-Gln-Lys-Arg-Glu-Glu-Gln-Arg-Arg-Arg-Arg-Ala-Ser-Ser-Val-Leu-Ala-Gln-Arg-Arg-Ala-Gln-Ser-Ile-Glu-Arg-Lys-Gln-Glu-Ser-Glu-Pro-Arg-Ile-Val-Ser-Arg-Ile-Phe-Gln-Cys-Cys-Ala-Trp-Asn-Gly-Gly-Val-Phe-Trp-Phe-Ser-Leu-Leu-Leu-Phe-Tyr-Arg-Val-Phe-Ile-Pro-Val-Leu-Gln-Ser-Val-Thr-Ala-Arg-Ile-Ile-Gly-Asp-Pro-Ser-Leu-His-Gly-Asp-Val-Trp-Ser-Trp-Leu-Glu-Phe-Phe-Leu-Thr-Ser-Ile-Phe-Ser-Ala-Leu-Trp-Val-Leu-Pro-Leu-Phe-Val-Leu-Ser-Lys-Val-Val-Asn-Ala-Ile-Trp-Phe-Gln-Asp-Ile-Ala-Asp-Leu-Ala-Phe-Glu-Val-Ser-Gly-Arg-Lys-Pro-His-Pro-Phe-Pro-Ser-Val-Ser-Lys-Ile-Ile-Ala-Asp-Met-Leu-Phe-Asn-Leu-Leu-Leu-Gln-Ala-Leu-Phe-Leu-Ile-Gln-Gly-Met-Phe-Val-Ser-Leu-Phe-Pro-Ile-His-Leu-Val-Gly-Gln-Leu-Val-Ser-Leu-Leu-His-Met-Ser-Leu-Leu-Tyr-Ser-Leu-Tyr-Cys-Phe-Glu-Tyr-Arg-Trp-Phe-Asn-Lys-Gly-Ile-Glu-Met-His-Gln-Arg-Leu-Ser-Asn-Ile-Glu-Arg-Asn-Trp-Pro-Tyr-Tyr-Phe-Gly-Phe-Gly-Leu-Pro-Leu-Ala-Phe-Leu-Thr-Ala-Met-Gln-Ser-Ser-Tyr-Ile-Ile-Ser-Gly-Cys-Leu-Phe-Ser-Ile-Leu-Phe-Pro-Leu-Phe-Ile-Ile-Ser-Ala-Asn-Glu-Ala-Lys-Thr-Pro-Gly-Lys-Ala-Tyr-Leu-Phe-Gln-Leu-Arg-Leu-Phe-Ser-Leu-Val-Val-Phe-Leu-Ser-Asn-Arg-Leu-Phe-His-Lys-Thr-Val-Tyr-Leu-Gln-Ser-Ala-Leu-Ser-Ser-Ser-Thr-Ser-Ala-Glu-Lys-Phe-Pro-Ser-Pro-His-Pro-Ser-Pro-Ala-Lys-Leu-Lys-Ala-Thr-Ala-Gly-HIS)に係るヒトE124タンパク質の全長ポリペプチド、断片またはバリアントを利用してもよい。別の態様では、E124-PSA複合体を癌などを治療する方法で使用する。特定の実施形態において治療される特定の種類であるが非限定的な種類の癌は、乳癌、子宮頸癌、白血病、胃癌、肉腫、肝癌、肺癌、結腸直腸癌および腎癌からなる群から選択される癌である。EI24タンパク質は米国特許出願公開第20180028605号にさらに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
別の態様では、免疫系、アレルギー反応の調節に関与するタンパク質およびペプチドならびアレルギー、関連するタンパク質および化合物をコンジュゲートしてタンパク質-PSA複合体を調製する。いくつかの実施形態では、PRUNUS PERSICAのPRU P 3アレルゲンから誘導されたペプチドをコンジュゲートしてタンパク質-PSA複合体を調製する。Pru p 3タンパク質およびそのバリアントの様々な領域から開発されたアミノ酸配列Ala-Ser-Ser-Asn-Gly-lle-Arg-Asn-Val-Asn-Asn-Leu-Ala-Arg-Thr-Pro-Asp-Arg-Gln-Ala-Cys(配列番号2)を利用してPru p 3タンパク質-PSA複合体を調製する。別の態様では、Pru p 3タンパク質-PSA複合体をアレルギーの治療を含む免疫不全を治療する方法で使用する。Pru p 3タンパク質は国際公開第2017051049号にさらに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
別の態様では、腫瘍壊死因子受容体(TNF)ならびに関連するタンパク質および化合物に結合することができるタンパク質およびペプチドをコンジュゲートしてTNF結合タンパク質-PSA複合体を調製する。特定の実施形態では、腫瘍壊死因子受容体(TNF)に結合することができるこれらのタンパク質は、配列番号3(V-P-A-Q-W-F-P-R-S-I-P-E-P-S-N-L-C-Q-P-R-E-Y-Y-D-E-R-A-Q-R-R-C-S-Q-C-P-P-G-C-R-A-K-S-F-C-N-E-T-S-D-T-V-C-V-P-C-E-D-S-T-Y-T-Q-L-W-N-W-L-P-E-C-L-S-C-G-S-R-C-S-T-G-Q-V-E-T-Q-A-C-T-L-K-Q-N-R-I-C-T-C-E-P-G-R-Y-C-I-L-P-R-Q-E-G-C-Q-V-C-G-L-L-R-K-C-P-P-G-F-G-V-A-K-P-G-T-A-T-S-N-W-C-A)に係るアミノ酸配列を含む受容体または結合分子またはそのバリアントである。これは、MukaiらによるScience Signaling 3(148):ra83に記載されているヒトTNFR p80イソ型のCDR2およびCDR3結合ドメインから予測されるように、CDR2およびCDR3 TNF結合ドメインを含むウマTNFR p80ポリペプチドの切断型細胞外ドメインを表す。別の態様では、TNF結合タンパク質-PSA複合体をアレルギーまたは免疫不全を治療する方法で使用する。特定の実施形態では、TNF結合タンパク質-PSA複合体の使用によって治療される免疫不全は、炎症媒介性疾患、慢性炎症性疾患、関節炎、例えば炎症媒介性多発性関節炎、関節リウマチ、骨関節炎、多発性関節炎、若年性特発性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬、全身性脈管炎、アトピー性皮膚炎、鬱血性心不全、難治性ブドウ膜炎、気管支喘息、アレルギー状態、敗血症、ショック、糖尿病および神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、脳卒中および筋萎縮性側索硬化症を含む、TNF媒介性疾患である。PSAにコンジュゲートされるTNF結合タンパク質は、国際公開第2016119023号にさらに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
別の態様では、エリスロポエチン受容体(EPOR)ならびに関連するタンパク質および化合物に結合することができるタンパク質およびペプチドをコンジュゲートしてEPOEタンパク質-PSA複合体を調製する。特定の実施形態では、本明細書において提供されるEPOEタンパク質-PSA複合体をEPO/EPORシグナル伝達経路を阻止または阻害するために、特に癌および特に肝細胞癌を治療する方法で使用する。PSAにコンジュゲートされるEPORタンパク質は、国際公開第2017219951号にさらに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0043】
別の態様では、非タンパク質化合物をPSAにコンジュゲートして、PSAにコンジュゲートされたさらなる新規な化合物を形成する。別の態様では、これらの非タンパク質化合物PSA複合体を、例えば特に本明細書において提供される製剤または治療方法において特定のタンパク質またはペプチド-PSA複合体と組み合わせることができる。
【0044】
別の群の実施形態では、p38γタンパク質の細胞内発現を阻害することができる化合物をコンジュゲートしてp38阻害剤PSA複合体を調製する。これらの化合物は、特定の実施形態では癌の治療を含む治療方法において、他の非タンパク質化合物PSA複合体と組み合わせてタンパク質またはペプチドPSA複合体を利用してもよい。これらの実施形態を創出する目的となり、かつ特に有効な1つの特定の種類の非限定的な癌は肝癌である。
【0045】
特定の実施形態では、p38γタンパク質の細胞内発現を阻害することができる化合物は、配列番号4(Y-G-R-K-K-R-R-Q-R-R-R-A-R-V-P-K-E-T-A-L)に係るアミノ酸配列を含むペプチドである。癌および他の疾患の治療のための製剤において、当該化合物をそれ自体が新規であってもそうでなくてもよい他の化合物と組み合わせてもよい。例えば上記ペプチドを使用して、特定の実施形態に応じてPSA複合体であってもそうでなくてもよい他の化合物を任意に含む製剤で使用されるPSA複合体を形成する。新規なPSA複合体を調製するのに適した特定の化合物は、国際公開第2016198698号として公開されているPCT特許出願に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
別の態様では、CCIOと呼ばれるClar細胞10kDaタンパク質をコンジュゲートしてCCIOタンパク質-PSA複合体を調製する。特定の実施形態では、本明細書において提供されるCCIOタンパク質-PSA複合体は、A型インフルエンザ、H1N1インフルエンザおよびエボラ出血熱(EHF)としても知られているエボラウイルス疾患(EVD)を含む、ウイルス感染および特にインフルエンザ感染を治療する方法で使用する。PSAにコンジュゲートされるCCIOタンパク質は、国際公開第2016133560号として公開されているPCT特許出願にさらに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0047】
別の態様では、可溶性組換えM1タンパク質KuninポリペプチドをコンジュゲートしてKuninタンパク質-PSA複合体を調製する。この態様に係る特定の実施形態では、可溶性組換えP-セレクチンタンパク質を使用して新規なKuninタンパク質PSA複合体を形成する。別の態様では、これらの新規なKuninタンパク質PSA複合体を、特に例えば子宮内膜症の治療のための製剤および治療方法で使用する。PSAにコンジュゲートされる可溶性組換えM1タンパク質Kuninポリペプチドは、中国特許出願公開第106146669号として公開されているGuo、Sunweiらによる中国特許出願にさらに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
別の態様では、セイヨウオオマルハナバチ幼虫由来ポリペプチドをコンジュゲートしてセイヨウオオマルハナバチタンパク質-PSA複合体を調製する。別の態様では、これらの新規なセイヨウオオマルハナバチタンパク質PSA複合体を、特に例えば勃起障害および動脈硬化症の治療および/または予防のための製剤および治療方法で使用する。PSAにコンジュゲートされるセイヨウオオマルハナバチ幼虫由来ポリペプチドは、韓国特許出願公開第20150073932号として公開されているAhn Mi Young ACらによる韓国特許出願にさらに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
別の態様では、JAMA-Aとも呼ばれる接合部接着分子タンパク質をコンジュゲートしてJAMA-Aタンパク質-PSA複合体を調製する。新規なJAMA-A PSA複合体を免疫不全を治療する方法で使用する。特定の実施形態では、本明細書において提供されるJAMA-Aタンパク質-PSA複合体を関節炎および特に関節リウマチ(RA)を治療する方法で使用する。PSAにコンジュゲートされるJAMA-Aタンパク質は、中国特許出願公開第105125548号として公開されているLi Meizhangらによる中国特許出願にさらに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
別の態様では、TIPE2とも呼ばれる腫瘍壊死因子-α誘導タンパク質8様2をコンジュゲートしてTIPE2タンパク質-PSA複合体を調製する。新規なTIPE2 PSA複合体は免疫調節または免疫不全の治療の方法で使用することができる。特定の実施形態では、本明細書において提供されるTIPE2タンパク質-PSA複合体を、急性肺傷害と併発するエンドトキシン敗血症を治療する方法で使用する。PSAにコンジュゲートされるTIPE2タンパク質は、中国特許出願公開第105126106号として公開されているTao Zhen Gangらによる中国特許出願にさらに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
別の態様では、粘液透過性ペプチドをPSAにコンジュゲートして、粘膜浸透が高められている鼻腔内送達により治療用化合物の浸透および送達を向上させるための他の化合物と共に利用することができる粘液透過性ペプチドPSA複合体を調製する。これらの実施形態では、典型的に5~10個のアミノ酸からなるペプチドを使用してPSA複合体を形成することができ、多くの実施形態では当該ペプチドは約6~8アミノ酸長である。新規な粘液透過性ペプチドPSA複合体は、鼻腔内送達が望まれる多種多様な治療方法で使用することができる。PSAにコンジュゲートされる粘液透過性ペプチドは、国際公開第2018013907号として公開されているPCT特許出願にさらに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0052】
別の態様では、グルカゴン受容体選択的類似体およびそのペプチド誘導体をPSAにコンジュゲートして、向上した治療特性を有する新規なグルカゴン受容体類似体ペプチドPSA複合体を調製する。これらの実施形態では、典型的には5~15個のアミノ酸からなるペプチドを使用してPSA複合体を形成することができ、多くの実施形態では当該ペプチドは約7~10アミノ酸長であり、多くの実施形態では、9個のアミノ酸を有するペプチドを使用して新規なPSA複合体を形成する。別の態様では、本明細書において提供される新規なグルカゴン受容体類似体ペプチドPSA複合体を、特に肥満症および糖尿病を治療する方法を含む代謝疾患の治療方法で使用する。PSAにコンジュゲートされる特定のグルカゴン受容体選択的類似体およびペプチド誘導体は、米国特許出願公開第2018009871号として公開されている米国特許出願にさらに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
別の態様では、ペプチドベースの治療薬をPSAにコンジュゲートして向上した治療特性を有する新規なペプチドベースの治療薬PSA複合体を調製する。これらの実施形態で使用されるペプチドの非限定的な例としては、配列番号5(Arg-Pro-Met-Arg-Leu-Glu-Ser-Phe-Ser-Ala-Cys-Ile-Trp-Val-Lys-Ala-Thr-Asp-Val-Leu-Asn-Lys-Thr-Ile-Leu-Phe-Ser-Tyr-Gly-Thr-Lys-Arg-Asn-Pro-Tyr-Glu-Ile)および配列番号6(Gly-Gly-Gly-Phe-Asp-Glu-Thr-Leu-Ala-Phe-Ser-Gly-Arg-Leu-Thr-Gly-Phe-Asn-Ile-Trp-Asp-Ser-Val-Leu-Ser-Asn-Glu-Glu-Ile-Arg-Glu-Thr-Gly-Gly-Ala-Glu-Ser-Cys-His-Ile)が挙げられる。別の態様では、PSAにコンジュゲートされた新規なペプチドベースの治療薬を癌、特定の実施形態では乳癌、肺癌、鼻咽頭癌および上皮癌を治療する方法で使用する。PSAにコンジュゲートされる特定のペプチドベースの治療薬は、米国特許出願公開第20180002400号として公開されている米国特許出願にさらに詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
別の態様では、Tタンパク質エピトープに結合する抗体をPSAにコンジュゲートして向上した治療特性を有する新規な抗Tau抗体PSA複合体を調製する。この態様の特定の実施形態では、新規なPSAにコンジュゲートされた抗体は異常型Tauタンパク質を選択的に認識する。特定の実施形態では、正常なTauと比較した場合に異常型Tauタンパク質に対してより高い親和性を与える特定のエピトープは、配列番号7(K-H-Q-P-G-G-G)、配列番号8(K-H-V-P-G-G-G)、配列番号9(H-H-K-P-G-G-G)および配列番号10(T-H-V-P-G-G-G)から選択される異常型Tauタンパク質内で生じるアミノ酸配列を含む。別の態様では、本明細書において提供される新規な抗Tau抗体PSA複合体をアルツハイマー病および他の形態の認知症を治療および予防する方法で使用する。PSAにコンジュゲートされる特定の抗体および好ましいエピトープは、オーストラリア特許出願公開第2017272259号として公開されているオーストラリア特許出願にさらに記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
別の態様では、αヘリックス抗菌性ペプチドGVをPSAにコンジュゲートして、向上した抗菌性または他の治療特性を有する新規なαヘリックス抗菌性ペプチドPSA複合体を調製する。別の態様では、本明細書において提供される新規な抗菌性ペプチド複合体を、特に細菌感染症の治療のための治療方法で使用する。PSAにコンジュゲートされる特定のαヘリックス抗菌性ペプチドGVペプチドは、中国特許出願公開第106366162号として公開されている中国特許出願にさらに記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
別の態様では、マイクロバブルおよびGBM標的化(多形性膠芽腫標的化)を修飾するためのポリペプチドをPSAにコンジュゲートして、向上した治療特性を有する新規なポリペプチドPSA複合体を調製する。この態様の特定の実施形態では、マイクロバブルを修飾するのに適したポリペプチドは、N末端からC末端への順序で配置された親油性ドメイン、細胞死滅ドメインおよび腫瘍標的化ドメインを含み、ここでは腫瘍標的化ドメインは、親油性ドメインと細胞死滅ドメインとの間および細胞死滅ドメインと腫瘍標的化ドメインとの間に結合された低密度Aリポタンパク質ペプチド模倣ペプチドであり、柔軟な結合ペプチドによって結合されている。PSAにコンジュゲートされるマイクロバブルおよびGBM標的化を修飾するための特定のポリペプチドは、中国特許出願公開第106632688号として公開されているRen Jinghuaらによる中国特許出願にさらに記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
別の態様では、筋肉もしくは腱再生または動脈形成を促進するためのPEDF由来ペプチド/ポリペプチドをPSAにコンジュゲートして、向上した治療特性を有する新規なPEDF由来ポリペプチドPSA複合体を調製する。筋肉もしくは腱再生を促進するためのPEDF由来ペプチド/ポリペプチドは合成であってもよく、それらは少なくとも20アミノ酸長、約29~30アミノ酸長を含む様々な長さであってもよく、あるいは代わりとしてそれらが常にではないが典型的に5~50アミノ酸長であるように、より多いまたは少ないアミノ酸を有する。筋肉もしくは腱再生または動脈形成を促進するための特定のPEDF由来ポリペプチドは、日本特許出願公開第2017165745号として公開されているTsao Yeou-Pingらによる日本特許出願に詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
別の態様では、SERCAカルシウムポンプの活性を促進するためのペプチドをPSAにコンジュゲートして、向上した治療特性を有する新規なSERCAカルシウムポンプ活性化ペプチドPSA複合体を調製する。これらの実施形態に適したペプチドは、M-A-E-K-E-S-T-S-P-H-L-M-V-P-I-L-L-L-V-G-W-I-V-G-C-I-I-V-I-Y-I-V-F-F(配列番号11)、M-A-E-K-A-E-S-T-S-P-H-L-M-V-P-I-L-L-L-V-G-W-I-V-G-C-I-I-V-I-Y-I-V-F-F(配列番号12)、M-A-E-K-E-S-T-S-P-H-L-I-V-P-I-L-L-L-V-G-W-I-V-G-C-I-I-V-I-Y-I-V-F-F(配列番号13)およびM-A-E-K-A-E-S-T-S-P-H-L-I-V-P-I-L-L-L-V-G-W-I-V-G-C-I-I-V-I-Y-I-V-F-F(配列番号14)を含む。別の態様では、本明細書において提供されるSERCAカルシウムポンプの活性を促進するためのペプチドの新規なPSA複合体を治療方法、特に心臓および心血管系疾患を治療する方法で使用する。特定のSERCAカルシウムポンプの活性を促進するためのペプチドは、米国特許出願公開第20170298107A1号として公開されている米国特許出願に詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
別の態様では、興奮性神経毒性関連損傷のための治療用ペプチドをPSAにコンジュゲートして、中枢神経系損傷の治療を含む向上した神経治療特性を有する新規な神経治療用ペプチドPSA複合体を調製する。新規なPSA複合体の調製に使用される1種の特定のペプチドは、Y-E-K-L-L-D-T-E-I(配列番号15)のアミノ酸配列またはその機能的バリアントを有する。新規な複合体の調製に使用される興奮性神経毒性関連損傷に有用なペプチドは、国際公開第2017185249号として公開されているPCT出願により詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
別の態様では、SALL4ペプチドを使用してPSA複合体を調製する。これらの実施形態では、網膜芽細胞腫結合タンパク質4(RBBp4)に結合する治療用ペプチドをPSAにコンジュゲートして、結合するとSALL4-RBBp4相互作用を阻止する新規なペプチド複合体を形成する。別の態様では、網膜芽細胞腫の治療のために開発されて本明細書に記載されているPSAにコンジュゲートされた新規なペプチドを使用する方法の実施形態を含む、SALL4の調節異常によって媒介される障害を有する対象を治療するための方法も提供される。新規な複合体の調製に使用される網膜芽細胞腫結合タンパク質4(RBBp4)に結合するのに適したペプチドは、国際公開第2017190032号として公開されているPCT出願により詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0061】
別の態様では、NFKB必須調節因子(NEMO)結合ドメインCARGO配列に結合させたペプチド複合体を使用して、向上した透過性および他の治療特性を有するペプチドPSA複合体を調製する。別の態様では、ブドウ膜炎またはドライアイ疾患を有する対象を治療するための方法も提供される。新規な複合体の調製に使用される好適なペプチドは、国際公開第2017189826号として公開されているPCT出願により詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
別の態様では、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体ペプチドおよび類似体ペプチドに結合されたペプチド複合体を使用して、向上した治療特性を有するペプチドPSA複合体を調製する。配列H-S-Q-G-T-F-T-S-D-Y-S-K-Y-L-D-S-R-R-A-Q-D-F-V-Q-W-L-M-N-T(配列番号16)およびそのバリアントを有するGLP-1と類似性を有するペプチドを使用して特定の新規なGLP-1ペプチド-PSA複合体を調製する。これらのペプチドの特定の実施形態では、数30または末端アミノ酸(典型的にはC末端)は、E-E-P-S-S-G-A-P-P-P-S-OH(配列番号17)、E-P-S-S-G-A-P-P-P-S-OH(配列番号18)、G-A-P-P-P-S-OH(配列番号19)、G-G-P-S-S-G-A-P-P-P-S-OH(配列番号20)、G-P-S-S-G-A-P-P-P-S-OH(配列番号21)、K-R-N-K-N-P-P-P-S-OH(配列番号22)、K-R-N-K-N-P-P-S-OH(配列番号23)、K-R-N-K-P-P-I-A--OH(配列番号24)、K-R-N-K-P-P-P-A-OH(配列番号25)、K-R-N-K-P-P-P-S-OH(配列番号26)、K-S-S-G-K-P-P-P-S-OH(配列番号27)、P-E-S-G-A-P-P-P-S-OH(配列番号28)、PK-S-G-A-P-P-P-S-OH(配列番号29)、P-K-S-K-A-P-P-P-S-NH2(配列番号30)、P-K-S-K-A-P-P-P-S-OH(配列番号31)、P-K-S-K-E-P-P-P-S-NH2(配列番号32)、P-K-S-K-E-P-P-P-S-OH(配列番号33)、P-K-S-K-QP-P-P-S-OH(配列番号34)、P-K-S-K-S-P-P-P-S-NH2(配列番号35)、P-K-S-K-S-P-P-P-S-OH(配列番号36)、P-R-N-K-N-N-P-P-S-OH(配列番号37)、P-S-K-G-A-P-P-P-S-OH(配列番号38)、P-S-S-G-A-P-P-P-S-E-OH(配列番号39)、P-S-S-G-A-P-P-P-S-NH2(配列番号40)、PS-S-G-A-P-P-P-S-OH(配列番号41)、P-S-S-G-A-P-P-P-S-S-OH(配列番号42)、P-S-S-G-E-P-PP-S-OH(配列番号43)、P-S-S-G-K-K-P-P-S-OH(配列番号44)、P-S-S-G-K-P-P-P-S-NH2(配列番号45)、P-S-S-G-K-P-P-P-S-OH(配列番号46)、P-S-S-G-S-P-P-P-S-OH(配列番号47)、P-S-S-K-A-P-P-P-S-OH(配列番号48)、P-S-S-K-E-P-P-P-S-OH(配列番号49)、P-S-S-K-G-A-P-P-P-S-OH(配列番号50)、P-S-S-K-Q-P-P-P-S-OH(配列番号51)、P-S-S-K-S-P-P-P-S-OH(配列番号52)、S-G-A-P-P-P-S-OH(配列番号53)およびS-S-G-A-P-P-P-S-OH(配列番号54)からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドで置換されている。別の態様では、本明細書において提供される新規なGLP-1ペプチド-PSA複合体を使用して糖尿病を含む様々な代謝疾患を治療する。新規なGLP-1PSAおよび関連する複合体の調製に使用される他の好適なペプチドは、米国特許第10,010,614号、米国特許第9,982,029号、米国特許第9,839,692号、米国特許第9,988,430号、米国特許第7,067,488号および国際公開第2017200944号として公開されているPCT出願により詳細に記載されており、それら全てが参照により本明細書に組み込まれる。
【0063】
別の関連する態様では、向上した望ましい製剤および送達特性を有する新規なGLP-1およびGLP-1類似体ポリシアル酸化化合物が本明細書において提供される。特定の実施形態では、本明細書において提供されるGLP-1およびGLP-1類似体ポリシアル酸化化合物および製剤は向上した鼻腔内送達能力を有する。別の関連する態様では、非ポリシアル酸化GLP-1およびGLP-1類似体と比較した場合に、新規および/または向上した治療的使用を有する新規なGLP-1およびGLP-1類似体ポリシアル酸化化合物が本明細書において提供される。
【0064】
別の関連する態様では、特定の実施形態は、特定の組織および細胞型においてポリシアル酸化GLP-1およびGLP-1類似体の効果と組み合わせたポリシアル酸部分の効果の結果として相乗的活性を示すと考えられる。例えば、ポリシアル酸またはPSA部分それ自体は、特定の神経組織において抗炎症性特性を有することが報告されている。
【0065】
従って、本明細書中の他の実施形態では、ニューロン障害または疾患の治療に有用な本明細書において提供される他のポリシアル酸化化合物の使用と組み合わせたかそれと共に抗炎症剤としてPSAを使用するニューロン障害(例えば神経変性)を治療する方法が提供される。特定の実施形態において治療される例示的な神経変性疾患としては、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、認知機能障害、脱髄疾患、網膜変性疾患、レビー小体を有する認知症、パーキンソン病、睡眠時随伴症、糖尿病性神経障害(例えば網膜症)または多発性硬化症が挙げられる。好適なポリシアル酸は、「ポリシアル酸ならびに神経変性および神経炎症性疾患の治療のための使用(Polysialic acid and use for treatment of neurodegenerative and neuroinflammatory disorders)」という発明の名称のNewmannらの国際特許出願第PCT/EP2014/055445号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
特定の実施形態では、例えばパーキンソン病の治療に有用なポリシアル酸化エキセナチド化合物が提供される。1つのレポートでは、エキセンディン-4/エキセナチドは潜在的パーキンソン病治療薬として探求された。Aviles-Olmo,I.ら,Extendatide and the treatment of patients with Parkinson’s disease(エキセナチドおよびパーキンソン病を有する患者の治療),J.Clin Invest.,3013,123(6):2730-2736.doi:10.1172/JC168295を参照されたく、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
別の態様では、本明細書において提供される特定の実施形態は、抗炎症剤として使用するため、および炎症を伴う疾患および障害の治療のための本質的にポリシアル酸化合物からなるかそれからなる製剤を使用する。従って、いくつかの実施形態は治療用化合物に共有結合的に結合されたか治療用化合物と組み合わせられたポリシアル酸を使用し、他の実施形態は他の治療用化合物なしにポリシアル酸化合物を使用する。
【0068】
別の態様では、ヒト上皮増殖因子受容体(HER)を過剰発現する癌の治療に有用なペプチドDNA複合体を使用して、向上した治療特性を有するペプチドPSA複合体を調製する。特定の実施形態では、1種以上のヒト上皮増殖因子受容体(HER)結合ペプチド、リンカーおよび単鎖ポリヌクレオチドを含むペプチド-ポリヌクレオチドキメラを使用して新規なPSA複合体を形成する。別の態様では、新規な(HER)結合キメラPSA複合体を癌、特にヒト上皮増殖因子受容体を過剰発現する癌を治療する方法で使用する。新規なPSA複合体の調製で使用される他の好適なペプチドおよび化合物は、国際公開第2017200787号として公開されているPCT出願により詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0069】
別の態様では、癌を治療するための抗菌ペプチドTP4を使用して向上した治療特性を有するペプチドPSA複合体を調製する。アミノ酸配列F-I-H-H-I-I-G-G-L-F-S-A-G-K-A-I-H-R-L-I-R-R-R-R-R(配列番号55)またはそのバリアントを有するTP4ペプチドを使用して新規なペプチドPSA複合体を調製する。別の態様では、本明細書において提供されるTP4 PSA複合体を、例えば悪性MDR癌、再発性癌または転移性癌すなわちトリプルネガティブ乳癌(TNBC)を含む癌を治療する組成物および方法で使用する。新規なPSA複合体の調製で使用される他の好適なペプチドおよび化合物は、台湾特許出願公開第201725048号として公開されている台湾特許出願により詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0070】
別の態様では、ポロ様キナーゼ1ポロボックスドメインのペプチドおよび模倣体結合作動薬を使用して、向上した治療特性を有するペプチドPSA複合体を調製する。別の態様では、本明細書において提供されるポロ様キナーゼ1ポロボックスドメインPSA複合体を、限定されるものではないが、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、底細胞癌、膀胱癌、骨癌、脳腫瘍、乳癌、子宮頸癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、食道癌、ユーイング肉腫ファミリー、網膜芽細胞腫、胃癌、胃腸腫瘍、神経膠腫、頭頸部癌、肝細胞(肝臓)癌、ホジキンリンパ腫、膵島細胞腫瘍(膵臓内分泌部)、腎臓(腎細胞)癌、喉頭癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、リンパ腫、髄芽細胞腫、黒色腫、膵臓癌、前立腺癌、腎癌、直腸癌および甲状腺癌を含む癌を治療する組成物および方法で使用する。この態様に係る新規なPSA複合体の調製で使用される特定の好適なペプチドおよび化合物は、国際公開第2017082924号として公開されているPCT出願により詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
別の態様では、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)に特異的なタンパク質を使用して向上した治療特性を有するPSA複合体を調製する。特定の実施形態では、CGRPに結合するhNGAL突然変異タンパク質を使用して本明細書中のPSA複合体を調製する。別の態様では、新規なCGRP結合ポリペプチドPSA複合体を、片頭痛および関連疾患の治療などのための治療方法で使用する。この態様に係る新規なPSA複合体の調製で使用される好適なCGRP結合ポリペプチドは、台湾出願公開第201725212号として公開されている台湾出願により詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
別の態様では、虚血および虚血再灌流損傷の治療および/または予防のためのペプチドを使用して向上した治療特性を有するPSA複合体を調製する。別の態様では、本明細書において提供される新規な虚血および虚血再灌流損傷ペプチドPSA複合体を、虚血および虚血再灌流損傷および関連障害の治療方法で使用する。この態様に係る新規なPSA複合体の調製で使用される特定のペプチドバリアントおよび化合物は、国際公開第2017117381号として公開されているPCT出願により詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
別の態様では、血液脳関門を横切る免疫グロブリンの送達を支援するためのペプチドを使用して新規なPSAペプチド複合体を形成する。この態様に係る特定の実施形態では、血液脳障壁を横切る免疫グロブリンの送達を支援するためのペプチドは、血液脳関門物質に共有結合的に結合したリンカー部分に共有結合的に結合した免疫グロブリン親和性リガンドを有する。これらの実施形態における好適な血液脳関門物質としては、1つまたは2つの保存的アミノ酸置換を有する配列L-R-V-R-L-A-S-H-L-R-K-L-R-K-R-L-L-R-D-A(配列番号56)を有するペプチドまたはそのバリアントが挙げられる。この態様に係る新規なPSA複合体の調製で使用される血液脳障壁を横切る免疫グロブリンの送達を支援するための特定のペプチドは、米国特許出願公開第20170058017A1号として公開されている米国出願により詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
別の態様では、テロメラーゼ転位置のペプチド阻害剤を使用して向上した治療特性を有するPSA複合体を調製する。この態様に係る特定の実施形態では、テロメラーゼ転位置の好適なペプチド阻害剤は、R-R-R-G-G-Xj-A-S-R-S-L-P-L-P-K-R-P-R-Rまたはそのバリアントを含み、ここではXiは、アスパラギン酸(配列番号57)およびグルタミン酸(配列番号58)からなる群から選択されるリン酸化模倣残基である。これらの実施形態の別の態様では、化学療法剤を受けている対象における心臓もしくは血管毒性を治療または予防するための組成物および方法であって、心臓もしくは血管毒性が化学療法剤の投与に付随するものである組成物および方法が、テロメラーゼ転位置のペプチド阻害剤にコンジュゲートされた新規なPSAを用いて提供される。この態様に係る新規なPSA複合体の調製で使用されるテロメラーゼ転位置の特定のペプチド阻害剤は、国際公開第2017040309号として公開されているPCT出願により詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0075】
別の態様では、治療用ポリペプチドまたはポリヌクレオチドの体細胞または組織への送達のための細胞透過性複合体に関する組成物および方法を使用して、向上した治療特性を有するPSA複合体を調製する。この態様に係る特定の実施形態では、好適な細胞透過性送達複合体は、細胞透過性ペプチド、核局在化シグナル、エフェクター部分および任意にエピトープタグを有し、これらは一緒に本明細書において提供される新規なPSA複合体を調製するために使用される化合物を形成する。この態様に係る好適な細胞透過性ペプチドとしては、限定されるものではないが、タンパク質形質導入ドメイン、ショウジョウバエアンテナペディア(Antp)ペプチドおよびポリアルギニン(Arg8)ペプチドを含むHIV TATタンパク質またはその断片が挙げられる。別の態様では、これらの新規な複合体を様々な治療薬を送達するための組成物および方法で使用する。この態様に係る細胞透過性複合体は、国際公開第2017048466号として公開されているPCT出願により詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
別の態様では、HIV融合タンパク質を標的にするポリペプチドを使用して向上した治療特性を有するPSA複合体を調製する。この態様に係る好適なHIV融合を標的にするポリペプチドは3つの活性ドメインを含み、ここでは1つのドメインは抗CD4アドネクチンタンパク質であり、第2のドメインはgp41結合部分であり、第3のドメインはHIV融合ペプチド阻害部分である。別の態様では、HIV融合タンパク質を標的にするポリペプチドの新規なPSA複合体を使用してHIVおよび関連するウイルス感染および関連障害を治療する。この態様に係るHIV融合を標的にするポリペプチドは、国際公開第2016171980号として公開されているPCT出願により詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0077】
別の態様では、癌細胞に住みつく、分布する、標的にする、方向づけられる、蓄積する、遊走する、および/または結合するペプチドを使用して新規な癌標的ペプチドPSA複合体を調製する。別の態様では、癌細胞に住みつく、分布する、標的にする、方向づけられる、蓄積する、遊走する、および/または結合するペプチドのPSA複合体を、癌および関連障害を治療するための方法および製剤で使用する。特定の実施形態では、本開示のペプチドはオーストラリア特許出願公開第2016283391号に列挙されている配列を含むことができる。複合体のために使用するための他の好適なペプチドは、「治療用ペプチドおよびその使用方法(Therapeutic peptides and methods of use thereof)」という発明の名称であり、オーストラリア特許出願公開第2016283391(A1)号として公開されているオーストラリア特許出願に詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0078】
別の態様では、カルボキシル末端ペプチドおよび長時間作用性インターフェロンを使用して新規なPSA複合体を調製する。好適な新しいカルボキシル末端ペプチドは、アミノ酸配列S-S-G-S-S-S-S-S-S-S-K-A-P-P-P-S-L-P-S-P-S-R-L-P-G-P-S-D-T-P-I-L-P-Q-N-G-S(配列番号59)またはそのバリアントを有する。PSA複合体を調製する際に使用するための他の好適なペプチドとしては、中国特許出願公開第106397570号として公開されている中国特許出願に記載されているものが挙げられ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0079】
別の態様では、インテグリン結合ペプチドをPSAにコンジュゲートして向上した治療特性を有する新規なインテグリン結合ペプチドPSA複合体を調製する。この態様の特定の実施形態では、好ましいインテグリン結合ペプチドは、アミノ酸配列VGDLTYLK(配列番号60)およびVGDLTYLKK(配列番号61)を有する。別の態様では、本明細書において提供される新規なインテグリン結合ペプチドPSA複合体を、癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、慢性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、放射線誘発肺線維症および慢性創傷性皮膚疾患を含む疾患および障害の治療方法で使用する。特定の実施形態では、本明細書において提供される新規なインテグリン結合ペプチドPSA複合体を使用して膵臓癌、乳癌、結腸直腸癌、前立腺癌、口腔扁平上皮癌を治療する。PSAにコンジュゲートされる特定のインテグリン結合ペプチドは、国際公開第2017218569号として公開されているPCT特許出願にさらに記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
別の態様では、好ましくは前記ムラミルペプチドは、ムラミン酸およびアラニン、イソグルタミン、グルタミン酸からなる群から選択されるアミノ酸またはそれらの塩を含むムラミルペプチドに結合することができる抗体、結合タンパク質または抗原結合断片を用いて新規なPSA複合体を調製する。別の態様では、ムラミルペプチドまたは誘導体もしくは類似体に結合する抗体などの新規なPSA複合体を、限定されるものではないが、自己免疫疾患または炎症性疾患を治療することを含む治療方法で使用する。PSA複合体を調製するのに有用な他の好適な抗体は、米国特許出願公開第2017342136号として公開されている米国特許出願に詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
別の態様では、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘発リガンド(TRAIL)を用いて新規なPSA複合体を調製して、向上した抗腫瘍活性、浸透および他の治療特性を有するPSA複合体を調製する。PSA複合体を調製するのに有用な好適なペプチドおよびタンパク質は、米国特許出願公開第2017247427号として公開されている米国特許出願に詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0082】
別の態様では、エゾアワビの臓器から分離された抗炎症性ペプチドを用いて新規なPSA複合体を調製して、治療特性を有するPSA複合体を調製する。特定の態様では、調製される新規なPSA複合体は、炎症性および免疫系疾患および障害の治療で使用することができる。PSA複合体を調製するのに有用な好適なペプチドは、中国特許出願公開第10544010号として公開されているQian Zhongjiによる中国特許出願に詳細に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0083】
別の態様では、ペプチド毒素を用いて新規なPSA複合体を調製して、向上した治療特性を有するか他の望ましい特性を有する新規な複合体を調製する。PSAにコンジュゲートするための新規なPSA-毒素複合体を形成するのに適したペプチド毒素としては、ボツリヌス毒素(AおよびB)ならびにコノトキシン(例えば、α、δ、κ、μ、ω、ジコノチド、レコノチド(Leconotide)など)が挙げられる。好適なボツリヌス神経毒素は、米国特許第7,780,967号、米国特許第7,758,873号、米国特許第9,220,783号および米国特許第9,598,685号に記載されており、それら全てが参照により本明細書に組み込まれる。ボツリヌス神経毒素生物活性を決定するための方法は米国特許第9,212,355号に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。通常は魚食性海生巻貝に存在する合成のω-コノトキシンMVIIAであることが報告されているレコノチド(leconotide)は、PSAペプチド複合体を調製するための特に好適なコノトキシンである。ジコノチドはPSAペプチド複合体を調製するための別の特に好適なコノトキシンであり、McGivern,J.,Neuropsychiatric Dis.Treat.,2007,3(I),69-85および米国特許第7,524,812号に記載されており、それら全てが参照により本明細書に組み込まれる。PSA複合体を調製する際に使用するための好適なジコノチドペプチド配列は、配列番号62(C-K-G-K-G-A-K-C-S-R-L-M-Y-D-C-C-T-G-S-C-R-S-G-K-C)およびその類似体を含む。
【0084】
別の態様では、カンナビノイドを用いて新規なPSA複合体を調製して、治療特性を有するか他の望ましい特性を有するPSAペプチド複合体を調製する。好適なカンナビノイドとしては、限定されるものではないが、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(cannabichromevarin)(CBCV)、カンナビゲロバリン(cannabigerovarin)(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビエルソイン(CBE)、カンナビシトラン(cannabicitran)(CBT)が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書において提供されるカンナビノイド-PSA複合体は、肥満症、食欲不振、嘔吐、疼痛、神経因性疼痛、多発性硬化症、神経保護、炎症、癌、パーキンソン病、ハンチントン病、トゥレット障害、アルツハイマー病、てんかん、双極性障害、統合失調症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、鬱病、不安症および不眠症などの病気、疾患または障害を治療する方法で使用される。特定の実施形態では、本明細書において提供されるPSA-カンナビノイドを、例えば溶解性を促進するための水および非水性成分(例えば油、脂質および脂肪酸など)を有する実質的に非水性の製剤などとして製剤化する。
【0085】
本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体は疾患の重症度を、例えば少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%低下させる。本実施形態のなお他の態様では、本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体は腫瘍のサイズを、例えば約5%~約100%、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%または約50%~約70%減少させる。
【0086】
本明細書に開示されている医薬組成物は、個体への通常の投与を可能にするのに十分な量でPSA-タンパク質複合体を含んでもよい。本実施形態の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも30mg、少なくとも35mg、少なくとも40mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも55mg、少なくとも60mg、少なくとも65mg、少なくとも70mg、少なくとも75mg、少なくとも80mg、少なくとも85mg、少なくとも90mg、少なくとも95mg、少なくとも100mg。少なくとも200mg、少なくとも300mg、少なくとも400mg、少なくとも500mg、少なくとも600mg、少なくとも700mg、少なくとも800mg、少なくとも900mg、少なくとも1g、少なくとも2g、少なくとも3g、少なくとも4g、少なくとも5g、少なくとも6g、少なくとも7g、少なくとも8g、少なくとも9g、少なくとも10g、少なくとも15g、少なくとも20g、少なくとも25g、少なくとも50g、少なくとも100gのPSA-タンパク質複合体であってもよい。
【0087】
本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば少なくとも5mg、少なくとも10mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも50mg、少なくとも75mg、少なくとも100mg、少なくとも200mg、少なくとも300mg、少なくとも400mg、少なくとも500mg、少なくとも600mg、少なくとも700mg、少なくとも800mg、少なくとも900mg、少なくとも1g、少なくとも2g、少なくとも3g、少なくとも4g、少なくとも5g、少なくとも6g、少なくとも7g、少なくとも8g、少なくとも9g、少なくとも10g、少なくとも15g、少なくとも20g、少なくとも25g、少なくとも50g、少なくとも100gのPSA-タンパク質複合体であってもよい。本実施形態のなお他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば約5mg~約100mg、約10mg~約100mg、約50mg~約150mg、約100mg~約250mg、約150mg~約350mg、約250mg~約500mg、約350mg~約600mg、約500mg~約750mg、約600mg~約900mg、約750mg~約1,000mg、約850mg~約1,200mg、約250mg~約10g、約500mg~約7.5g、約1g~約5g、約250mg~約2.5g、約500mg~約2.5gまたは約1,000mg~約1,500mgの範囲であってもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば約10mg~約250mg、約10mg~約500mg、約10mg~約750mg、約10mg~約1,000mg、約10mg~約1,500mg、約50mg~約250mg、約50mg~約500mg、約50mg~約750mg、約50mg~約1,000mg、約50mg~約1,500mg、約100mg~約250mg、約100mg~約500mg、約100mg~約750mg、約100mg~約1,000mg、約100mg~約1,500mg、約200mg~約500mg、約200mg~約750mg、約200mg~約1,000mg、約200mg~約1,500mg、約5mg~約1,500mg、約5mg~約1,000mgまたは約5mg~約250mgの範囲であってもよい。
【0088】
本明細書に開示されている医薬組成物中の本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体の最終濃度は、所望のどんな濃度であってもよい。本実施形態の一態様では、医薬組成物中のPSA-タンパク質複合体の最終濃度は治療的有効量であってもよい。本実施形態の他の態様では、医薬組成物中のPSA-タンパク質複合体の最終濃度は、例えば少なくとも0.00001mg/mL、少なくとも0.0001mg/mL、少なくとも0.001mg/mL、少なくとも0.01mg/mL、少なくとも0.1mg/mL、少なくとも1mg/mL、少なくとも10mg/mL、少なくとも25mg/mL、少なくとも50mg/mL、少なくとも100mg/mL、少なくとも200mg/mL、少なくとも500mg/mL、少なくとも700mg/mL、少なくとも1,000mg/mLまたは少なくとも1,200mg/mLであってもよい。本実施形態の他の態様では、当該溶液中の本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体の濃度は、例えば最大で1,000mg/mL、最大で1,100mg/mL、最大で1,200mg/mL、最大で1,300mg/mL、最大で1,400mg/mL、最大で1,500mg/mL、最大で2,000mg/mL、最大で2,000mg/mLまたは最大で3,000mg/mLであってもよい。本実施形態の他の態様では、医薬組成物中のPSA-タンパク質複合体の最終濃度は、例えば約0.00001mg/mL~約3,000mg/mL、約0.0001mg/mL~約3,000mg/mL、約0.01mg/mL~約3,000mg/mL、約0.1mg/mL~約3,000mg/mL、約1mg/mL~約3,000mg/mL、約250mg/mL~約3,000mg/mL、約500mg/mL~約3,000mg/mL、約750mg/mL~約3,000mg/mL、約1,000mg/mL~約3,000mg/mL、約100mg/mL~約2,000mg/mL、約250mg/mL~約2,000mg/mL、約500mg/mL~約2,000mg/mL、約750mg/mL~約2,000mg/mL、約1,000mg/mL~約2,000mg/mL、約100mg/mL~約1,500mg/mL、約250mg/mL~約1,500mg/mL、約500mg/mL~約1,500mg/mL、約750mg/mL~約1,500mg/mL、約1,000mg/mL~約1,500mg/mL、約100mg/mL~約1,200mg/mL、約250mg/mL~約1,200mg/mL、約500mg/mL~約1,200mg/mL、約750mg/mL~約1,200mg/mL、約1,000mg/mL~約1,200mg/mL、約100mg/mL~約1,000mg/mL、約250mg/mL~約1,000mg/mL、約500mg/mL~約1,000mg/mL、約750mg/mL~約1,000mg/mL、約100mg/mL~約750mg/mL、約250mg/mL~約750mg/mL、約500mg/mL~約750mg/mL、約100mg/mL~約500mg/mL、約250mg/mL~約500mg/mL、約0.00001mg/mL~約0.0001mg/mL、約0.00001mg/mL~約0.001mg/mL、約0.00001mg/mL~約0.01mg/mL、約0.00001mg/mL~約0.1mg/mL、約0.00001mg/mL~約1mg/mL、約0.001mg/mL~約0.01mg/mL、約0.001mg/mL~約0.1mg/mL、約0.001mg/mL~約1mg/mL、約0.001mg/mL~約10mg/mLまたは約0.001mg/mL~約100mg/mLの範囲であってもよい。
【0089】
本明細書の態様は部分的に、疾患に罹患している個体を治療することを開示している。本明細書で使用される「治療する」という用語は、個体における疾患の臨床的症状を減少または除去すること、あるいは個体における疾患の臨床的症状の発症を遅らせるまたは予防することを指す。例えば「治療する」という用語は、病気の症状または疾患の重症度を例えば少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%低下させることを意味することができる。当業者であれば、特定の疾患に関連づけられた適当な症状または指標を知っており、個体がPSA-タンパク質複合体による本明細書に開示されている治療のための候補であるか否かを決定する方法を知っている。
【0090】
本実施形態の態様では、本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体の治療的有効量は、疾患に伴う症状を例えば少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%減少させる。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体の治療的有効量は、疾患に伴う症状を例えば最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%または最大で100%減少させる。本実施形態のなお他の態様では、本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体の治療的有効量は、疾患に伴う症状を例えば約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%または約30%~約50%減少させる。
【0091】
本実施形態のなお他の態様では、本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体の治療的有効量は一般に、約0.001mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲である。本実施形態の態様では、本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体の有効量は、例えば少なくとも0.001mg/kg/日、少なくとも0.01mg/kg/日、少なくとも0.1mg/kg/日、少なくとも1.0mg/kg/日、少なくとも5.0mg/kg/日、少なくとも10mg/kg/日、少なくとも15mg/kg/日、少なくとも20mg/kg/日、少なくとも25mg/kg/日、少なくとも30mg/kg/日、少なくとも35mg/kg/日、少なくとも40mg/kg/日、少なくとも45mg/kg/日または少なくとも50mg/kg/日であってもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体の有効量は、例えば約0.001mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約15mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約20mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約25mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約30mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約35mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約40mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約45mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約50mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約75mg/kg/日または約0.001mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってもよい。本実施形態のなお他の態様では、本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体の有効量は、例えば約0.01mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約15mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約20mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約25mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約30mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約35mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約40mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約45mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約50mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約75mg/kg/日または約0.01mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体の有効量は、例えば約0.1mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約15mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約20mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約25mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約30mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約35mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約40mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約45mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約50mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約75mg/kg/日または約0.1mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってもよい。
【0092】
本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体の有効量は、例えば、約1mg/kg/日~約10mg/kg/日、約1mg/kg/日~約15mg/kg/日、約1mg/kg/日~約20mg/kg/日、約1mg/kg/日~約25mg/kg/日、約1mg/kg/日~約30mg/kg/日、約1mg/kg/日~約35mg/kg/日、約1mg/kg/日~約40mg/kg/日、約1mg/kg/日~約45mg/kg/日、約1mg/kg/日~約50mg/kg/日、約1mg/kg/日~約75mg/kg/日または約1mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってもよい。本実施形態のなお他の態様では、本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体の有効量は、例えば約5mg/kg/日~約10mg/kg/日、約5mg/kg/日~約15mg/kg/日、約5mg/kg/日~約20mg/kg/日、約5mg/kg/日~約25mg/kg/日、約5mg/kg/日~約30mg/kg/日、約5mg/kg/日~約35mg/kg/日、約5mg/kg/日~約40mg/kg/日、約5mg/kg/日~約45mg/kg/日、約5mg/kg/日~約50mg/kg/日、約5mg/kg/日~約75mg/kg/日または約5mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってもよい。
【0093】
液体および半固体製剤中の本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体の濃度は、典型的に約50mg/mL~約1,000mg/mLであってもよい。本実施形態の態様では、本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体の治療的有効量は、例えば約50mg/mL~約100mg/mL、約50mg/mL~約200mg/mL、約50mg/mL~約300mg/mL、約50mg/mL~約400mg/mL、約50mg/mL~約500mg/mL、約50mg/mL~約600mg/mL、約50mg/mL~約700mg/mL、約50mg/mL~約800mg/mL、約50mg/mL~約900mg/mL、約50mg/mL~約1,000mg/mL、約100mg/mL~約200mg/mL、約100mg/mL~約300mg/mL、約100mg/mL~約400mg/mL、約100mg/mL~約500mg/mL、約100mg/mL~約600mg/mL、約100mg/mL~約700mg/mL、約100mg/mL~約800mg/mL、約100mg/mL~約900mg/mL、約100mg/mL~約1,000mg/mL、約200mg/mL~約300mg/mL、約200mg/mL~約400mg/mL、約200mg/mL~約500mg/mL、約200mg/mL~約600mg/mL、約200mg/mL~約700mg/mL、約200mg/mL~約800mg/mL、約200mg/mL~約900mg/mL、約200mg/mL~約1,000mg/mL、約300mg/mL~約400mg/mL、約300mg/mL~約500mg/mL、約300mg/mL~約600mg/mL、約300mg/mL~約700mg/mL、約300mg/mL~約800mg/mL、約300mg/mL~約900mg/mL、約300mg/mL~約1,000mg/mL、約400mg/mL~約500mg/mL、約400mg/mL~約600mg/mL、約400mg/mL~約700mg/mL、約400mg/mL~約800mg/mL、約400mg/mL~約900mg/mL、約400mg/mL~約1,000mg/mL、約500mg/mL~約600mg/mL、約500mg/mL~約700mg/mL、約500mg/mL~約800mg/mL、約500mg/mL~約900mg/mL、約500mg/mL~約1,000mg/mL、約600mg/mL~約700mg/mL、約600mg/mL~約800mg/mL、約600mg/mL~約900mg/mLまたは約600mg/mL~約1,000mg/mLであってもよい。
【0094】
投与は単回投与または累積(連続投与)であってもよく、当業者によって容易に決定することができる。例えば、疾患の治療は本明細書に開示されている医薬組成物の有効用量の1回投与を含んでもよい。あるいは疾患の治療は、例えば1日1回、1日2回、1日3回、数日に1回または1週間に1回などの様々な時間間隔にわたって行われる医薬組成物の有効用量の複数回投与を含んでもよい。投与のタイミングは、個体の症状の重症度などの因子に応じて個体ごとに異なってもよい。例えば本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体を含む医薬組成物の有効用量は不確定期間にわたって、あるいは個体がもはや治療法を必要としなくなるまで個体に1日1回投与することができる。当業者であれば、個体の状態を治療過程を通して監視することができること、および投与される本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体を含む医薬組成物の有効量をそれに応じて調整することができることを認識しているであろう。
【0095】
一実施形態では、本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体は、同じ治療を受けていない患者と比較した場合に、癌に罹患している個体における疾患の重症度を例えば少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%低下させることができる。本実施形態の他の態様では、PSA-タンパク質複合体は、同じ治療を受けていない患者と比較した場合に、癌に罹患している個体における疾患の重症度を例えば約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%または約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%または約50%~約70%低下させることができる。
【0096】
さらなる実施形態では、PSA-タンパク質複合体およびその誘導体は、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月またはそれ以上の半減期を有する。
【0097】
一実施形態では、PSA-タンパク質複合体の投与期間は、1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月またはそれ以上である。さらなる実施形態では、投与を停止する期間は、1日、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、4ヶ月間、5ヶ月間、6ヶ月間、7ヶ月間、8ヶ月間、9ヶ月間、10ヶ月間、11ヶ月間、12ヶ月またはそれ以上である。
【0098】
本実施形態の態様では、本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体の治療的有効量は、個体における疾患の重症度を例えば少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%低下させるか維持する。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体の治療的有効量は、個体における疾患の重症度を例えば最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%または最大で100%低下させるか維持する。本実施形態のなお他の態様では、本明細書に開示されているPSA-タンパク質複合体の治療的有効量は、個体における疾患の重症度を例えば約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%または約30%~約50%低下させるか維持する。
【0099】
医薬組成物またはPSA-タンパク質複合体は個体に投与する。個体は典型的には人間であるが、限定されるものではないが、飼い慣らされているか否かに関わらずイヌ、ネコ、トリ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、爬虫類および他の動物を含む動物であってもよい。典型的には、治療のための候補であるあらゆる個体は、疾患が良性または悪性であるかに関わらず個体が罹患している疾患のためのいくつかの形態の治療法による候補である。癌に関しては、最も一般的な種類の癌としては、限定されるものではないが、膀胱癌、乳癌、結腸および直腸癌、子宮内膜癌、腎臓癌、腎癌、白血病、肺癌、黒色腫、非ホジキンリンパ腫、膵臓癌、前立腺癌、胃癌および甲状腺癌が挙げられる。術前評価は典型的には処置の全ての関連するリスクおよび利点を開示する徹底的なインフォームド・コンセントに加えて、日常的な病歴および身体検査を含む。
【0100】
ガングリオシド
本発明の実施形態では、ガングリオシドを水溶性ポリマー、例えばPEGまたはPSAまたはmPSAにコンジュゲートする。ガングリオシドは、細胞認識および細胞間コミュニケーションにおいて機能することができる特徴的な表面マーカーを細胞に提供することが知られている。それらは治療薬として有用である。
【0101】
本発明の複合体はガングリオシドおよび水溶性ポリマーを含んでいてもよく、ガングリオシドは、1つ以上のシアル酸が糖鎖上に結合されているスフィンゴ糖脂質(セラミドおよびオリゴ糖)を含む。ガングリオシドは、いくつのシアル酸単位が分子上に存在するかに従って分類することができる。ガングリオシドの例はGM1、GM2およびGM3(モノシアロガングリオシド)、GD1a、GD1b、GD2およびGD3(ジシアロガングリオシド)、GT1b(トリシアロガングリオシド)およびGQ1(テトラシアロガングリオシド)である。
【0102】
本発明での使用のために、好ましいガングリオシドは、グルコースに結合されたセラミドであって、このグルコースが第1のガラクトースに結合され、これがN-アセチルガラクトサミンに結合され、これが第2のガラクトースに結合されているセラミドを含む。この第2のガラクトースは1つのシアル酸に結合させることができる。第1のガラクトースは1つ、2つ、3つまたは4つのシアル酸に結合させることができる。シアル酸は、モノマー(ガラクトース分子のそれぞれの上に1つ)またはオリゴシアル酸(2-4シアル酸)のいずれかとして第1のガラクトースに結合されていてもよい。
【0103】
投与した場合に、治療用ガングリオシドは長期間にわたって血中を循環する必要がある。標的組織に対するそれらの作用がより有効になるように、ガングリオシドを例えば本発明の方法によってポリシアル酸化させることができる。
【0104】
薬物送達システム
本発明のさらなる実施形態では、薬物送達システムを水溶性ポリマー、例えばPEGまたはPSAまたはmPSAにコンジュゲートする。一般に、薬物送達システム(DDS)はあらゆる分子もしくは粒子状実体であり、これはそのような実体に会合された薬物の運命および効果を制御することができる。DDSは2つの一般的な種類に分けることができる。第1の種類は、高分子(MDDS)、例えば抗体、新糖タンパク質ならびにポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリリジンおよび重合されたシアノアクリル酸アルキルなどの合成ポリマーを含む。薬物を所望の部位に向けるためのモノクローナル抗体を含む様々な高分子担体との薬物の会合は、例えばGregoriadisによってNature 265,407-411(1977)に記載されている。第2の種類は粒子状DDS(PDDS)であり、これは例えばナノ球体またはマイクロスフェアを含み、これはアルブミンなどの生分解性材料またはデキストランおよびシアノアクリル酸アルキルポリマーなどの半生分解性材料、あるいは非イオン性界面活性剤またはリポソームから形成されたベシクルを含み、その詳細については、例えばGregoriadisのNIPS,4,146-151(1989)を参照されたい。
【0105】
薬物は、DDSに共有結合的に結合させるかその中に受動的に封入させることができる。例えば、界面活性剤ベシクルまたはリポソームを含むPDDSは、界面活性剤または脂質分子の層の適当な組み合わせから形成されることで、親水性もしくは疎水性の薬学的に活性な化合物を封入してもよい。薬学的に活性な化合物は通常、結合によってMDDSに共有結合的に結合されており、この結合は例えば活性化合物がその機能を行う前後に体内で溶解されても溶解されなくもよい。
【0106】
MDDSの多くは、その表面にある受容体を介して標的細胞または組織によって認識される内因性(例えば抗体)または獲得性(例えば新糖タンパク質)能力を有する。典型的には、そのようなDDSは注射すると標的によって特異的に取り込まれる。しかし特異的な取込みは、他の(治療法にとって)無関係な組織によって取り込まれる大量のDDSにより制限される。この理由は、抗体および他のDDSタンパク質(標的に対するそれらの特異性とは無関係)が他のタンパク質のように、それらの生物学的寿命の終了時に異化されなければならないからである。
【0107】
高分子型MDDS中に使用される合成ポリマーは、例えばポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)ポリリジンおよび重合されたシアノアクリル酸アルキルである。これらは適当なリソゾーム酵素によって細網内皮系(RES)または他の組織において異化される場合がある。いくつかの手段によって、例えばRESまたは他の組織によるDDSの取込みを減少させることによって、あるいはRESによって取り込まれたらリソゾーム酵素による分解を減少させることにより、そのような生分解性高分子型DDSの異化作用の速度を低下させることが望ましい。
【0108】
粒子状DDS(PDDS)は原則として、RESによって循環から除去される。RESのそれらの性向により、PDDSは、これらの組織への薬物の送達のために使用されることが多い。但し多くの場合、PDDSはRESの組織以外の組織に向けられることが望ましい。この目標を達成するために、PDDSのRES妨害を阻止するか遅らせなければならない。
【0109】
本発明に使用するためのDDSは最初にグリコンを含んでいなくてもよい。1つの選択肢はグリコンをDDS構造の中に追加するかそれ以外の方法で組み込むことである。そのような場合の例は、マンノシル化またはガラクトシル化脂質を組み込んでいるリポソームである。これらの糖リポソームは、活性体をそれぞれマンノースもしくはガラクトース受容体を発現している組織に向ける。
【0110】
例えば、(肝臓の実質細胞と同様に)標的組織による取込みがより有効になるように、DDSが長期間にわたって血中を循環する必要がある場合、それらは有利には本発明の方法によってポリシアル酸化される。
【0111】
一実施形態では、本明細書に開示されている医薬組成物は、有効成分の薬学的に許容される組成物内への処理を容易する薬学的に許容される担体を任意に含んでいてもよい。本明細書で使用される「薬理学的に許容される担体」という用語は「薬理学的担体」と同義であり、投与された場合に実質的に長期間または恒常的有害作用を有しないあらゆる担体を意味し、かつ「薬理学的に許容される媒体、安定化剤、希釈液、添加剤、補助剤または賦形剤」などの用語を包含する。そのような担体は一般に活性化合物と混合されるか、活性化合物を希釈または封入することができ、かつ固体、半固体もしくは液体薬剤であってもよい。当然ながら有効成分は可溶性であってもよく、あるいは所望の担体または希釈液中の懸濁液として送達することができる。限定されるものではないが、水、生理食塩水、グリシンおよびヒアルロン酸などの水性媒体、限定されるものではないが、マンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、滑石、セルロース、グルコース、スクロースおよび炭酸マグネシウムなどの固体担体、溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌薬および抗真菌薬、等張剤および吸収遅延剤またはあらゆる他の不活性成分を含む、様々な薬学的に許容される担体のいずれを使用することができるが、これらに限定されるものではない。薬理学的に許容される担体の選択は投与様式によって決まってもよい。いずれかの薬理学的に許容される担体が有効成分と適合しない場合を除いて、薬学的に許容される組成物におけるその使用が意図されている。そのような医薬担体の特定の使用の非限定的な例は、「Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems(医薬剤形および薬物送達システム)」(Howard C.Anselら編,Lippincott Williams&Wilkins Publishers,第7版.1999);「REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY(レミントン:科学および薬学の実務)」(Alfonso R.Gennaro編,Lippincott,Williams&Wilkins,第20版.2000);「Goodman&Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(Goodman&Gilmanの治療における薬理学の基本)(Joel G.Hardmanら編,McGraw-Hill Professional,第10版.2001);および「Handbook of Pharmaceutical Excipients(医薬賦形剤のハンドブック)」(Raymond C.Roweら,APhA Publications,第4版 2003)に記載されている。これらのプロトコルは常法であり、あらゆる改訂版が当業者の範囲内であり、かつ本明細書における教示の一部をなす。
【0112】
一実施形態では、本明細書に開示されている医薬組成物は、限定されるものではないが緩衝液、防腐剤、等張化剤、塩、抗酸化剤、オスモル濃度調整剤、生理的物質、薬理学的物質、増量剤、乳化剤、湿潤剤、着香料および着色料などを含む、限定されるものではないが他の薬学的に許容される成分(または医薬成分)を任意に含んでいてもよいが、これらに。一実施形態では、得られる製剤が薬学的に許容される限り、様々な緩衝液およびpH調整手段を使用して本明細書に開示されている医薬組成物を調製することができる。そのような緩衝液としては、限定されるものではないが、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、中性緩衝食塩水、リン酸緩衝食塩水およびホウ酸緩衝液が挙げられる。当然ながら、酸または塩基を使用して必要に応じて組成物のpHを調整することができる。一実施形態では、薬学的に許容される抗酸化剤としては、限定されるものではないが、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチルヒドロキシアニソールおよびブチルヒドロキシトルエンが挙げられる。有用な防腐剤としては、限定されるものではないが、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、安定化オキシクロロ組成物ならびに例えばDTPAまたはDTPAビスアミド、カルシウムDTPAおよびCaNaDTPAビスアミドなどのキレート剤が挙げられる。一実施形態では、医薬組成物において有用な等張化剤は、限定されるものではないが、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの塩、マンニトールまたはグリセリンおよび他の薬学的に許容される等張化剤が挙げられる。一実施形態では、本医薬組成物は塩として提供してもよく、限定されるものではないが、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸などを含む多くの酸と共に形成することができる。塩は対応する遊離塩基形態よりも水性もしくは他のプロトン性溶媒により可溶性である傾向がある。当然ながら、薬理学の技術分野で知られているこれらおよび他の物質を医薬組成物に含めることができる。
【0113】
一実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物(例えばPSA-タンパク質複合体)またはそのような治療用化合物を含む組成物は、局所、腸内もしくは非経口投与経路を用いる局所もしくは全身送達のいずれかのために製剤化してもよい。さらなる実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物はそれ自体を医薬組成物として製剤化してもよく、あるいは単一の医薬組成物として本明細書に開示されている1種以上の他の治療用化合物と共に製剤化してもよい。
【0114】
一実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物または組成物製剤において、そのような治療用化合物を吸入製剤に調製してもよい。一実施形態では、腸内もしくは非経口投与に適した吸入製剤としては、限定されるものではないが、エアロゾル、乾燥粉末が挙げられる。さらなる実施形態では、そのような投与を目的とした本明細書に開示されている治療用化合物または組成物は、医薬組成物の製造のための当該技術分野に公知のあらゆる方法に従って調製してもよい。
【0115】
一実施形態では、そのような吸入剤形において、当該治療用化合物を加圧式(PDI)または他の定量噴霧式吸入器(MDI)に使用するための液体噴射剤中のエアロゾルとして送達するために調製してもよい。一実施形態では、PDIまたはMDIに使用するのに適した噴射剤としては、限定されるものではないが、CFC-12、HFA-134a、HFA-227、HCFC-22(ジフルオロクロロメタン)、HFA-152(ジフルオロエタンおよびイソブタン)が挙げられる。また一実施形態では、治療用化合物をネブライザーまたは他のエアロゾル送達システムを用いて送達してもよい。一実施形態では、治療用化合物を乾燥粉末吸入器(DPI)に使用するための乾燥粉末として送達するために調製してもよい。一実施形態では、吸入器に使用するための乾燥粉末は通常、100pm、90pm、80pm、70pm、60pm、50pm、40pm、30pm、20pmおよび10pm未満の質量中央空気動力学径を有する。一実施形態では、約5pm~約0.5pmの範囲の空気動力学径を有する微小粒子は一般に呼吸細気管支に蓄積され、約2pm~約0.05pmの範囲の空気動力学径を有するより小さい粒子は肺胞に蓄積される可能性が高い。一実施形態では、DPIは受動的送達機序であってもよく、これは粒子を肺に導入するための個体の吸息、すなわち能動的送達機序に依存し、粉末を個体に送達するための機序を必要とする。一実施形態では、吸入製剤のための本明細書に開示されている治療用化合物の治療的有効量は、約0.0001%(w/v)~約90%(w/v)、0.0001%(w/v)~約80%(w/v)、0.0001%(w/v)~約70%(w/v)、0.0001%(w/v)~約60%(w/v)、0.0001%(w/v)~約50%(w/v)、0.0001%(w/v)~約40%(w/v)、0.0001%(w/v)~約30%(w/v)、0.0001%(w/v)~約20%(w/v)、0.0001%(w/v)~約10%(w/v)、約0.001%(w/v)~約90.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約80.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約70.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約60.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約0.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約40.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約30.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約20.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約10.0%(w/v)または約0.01%(w/v)~約90.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約80.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約70.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約60.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約50.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約40.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約30.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約20.0%(w/v)または約0.01%(w/v)~約10.0%(w/v)であってもよい。また一実施形態では、吸入製剤中の吸入製剤のための本明細書に開示されている治療用化合物の治療的有効量は、0.0001%(w/v)~約90%(w/v)、0.0001%(w/v)~約80%(w/v)、0.0001%(w/v)~約70%(w/v)、0.0001%(w/v)~約60%(w/v)、0.0001%(w/v)~約50%(w/v)、0.0001%(w/v)~約40%(w/v)、0.0001%(w/v)~約30%(w/v)、0.0001%(w/v)~約20%(w/v)、0.0001%(w/v)~約10%(w/v)、約0.001%(w/v)~約90.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約80.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約70.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約60.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約0.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約40.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約30.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約20.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約10.0%(w/v)または約0.01%(w/v)~約90.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約80.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約70.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約60.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約50.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約40.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約30.0%(w/v)約0.01%(w/v)~約20.0%(w/v)または約0.01%(w/v)~約10.0%(w/v)であってもよい。
【0116】
一実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物またはそのような治療用化合物を含む組成物は固体製剤に調製してもよい。一実施形態では、腸内もしくは非経口投与に適した固体製剤としては、限定されるものではないが、カプセル、錠剤、丸剤、トローチ、ロゼンジ、経口溶解ストリップ、吸入または無菌注射溶液もしくは分散液への再構成に適した粉末および顆粒が挙げられる。一実施形態では、上記製剤のそれぞれとしては、限定されるものではないが、即時放出製剤、徐放製剤(限定されるものではないが、ワックスマトリックスが挙げられる)、ビーズ製剤(限定されるものではないが、あるビーズが放出した直後に、より後の時間で別のビーズが放出するダブルビーズ製剤が挙げられる)、球状経口薬物吸収システム(「SODAS」)、浸透圧経口放出システム(「OROS」)、咀嚼錠、パッチ(限定されるものではないが、送達最適化熱力学(「DOT」)が挙げられる)、スプリンクル製剤またはプロドラッグを挙げることができる。一実施形態では、そのような投与を目的とした本明細書に開示されている治療用化合物または組成物は、医薬組成物の製造のための当該技術分野に公知のあらゆる方法に従って調製してもよい。一実施形態では、そのような固体剤形において当該治療用化合物を、(a)限定されるものではないが、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1種の不活性な通常の賦形剤(または担体)、または(b)例えば限定されるものではないが、澱粉、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、イソマルトおよびケイ酸などの充填剤または増量剤、(c)限定されるものではないが、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアカシアなどの結合剤、(d)例えばグリセロールなどの湿潤剤、(e)限定されるものではないが、寒天、炭酸カルシウム、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、タピオカ澱粉、アルギン酸、特定のケイ酸塩および炭酸ナトリウム複合体などの崩壊剤、(f)限定されるものではないが、パラフィンなどの溶解遅延剤、(g)限定されるものではないが、第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、(h)限定されるものではないが、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、(i)限定されるものではないが、カオリンおよびベントナイトなどの吸着剤、(j)限定されるものではないが、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体のポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムまたはそれらの混合物などの滑沢剤および(k)緩衝剤と混合してもよいが、これらに限定されない。一実施形態では、錠剤はコーティングされていなくてもよく、あるいは胃腸管における崩壊および吸収を遅らせ、それにより長期間にわたって持続的作用を与えるために公知の技術によってコーティングされていてもよい。さらなる実施形態では、限定されるものではないが、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を用いてもよい。一実施形態では、固体製剤中の本明細書に開示されている治療用化合物の治療的有効量は典型的には、約0.0001%(w/v)~約90%(w/v)、0.0001%(w/v)~約80%(w/v)、0.0001%(w/v)~約70%(w/v)、0.0001%(w/v)~約60%(w/v)、0.0001%(w/v)~約50%(w/v)、0.0001%(w/v)~約40%(w/v)、0.0001%(w/v)~約30%(w/v)、0.0001%(w/v)~約20%(w/v)、0.0001%(w/v)~約10%(w/v)、約0.001%(w/v)~約90.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約80.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約70.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約60.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約0.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約40.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約30.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約20.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約10.0%(w/v)または約0.01%(w/v)~約90.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約80.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約70.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約60.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約50.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約40.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約30.0%(w/v)約0.01%(w/v)~約20.0%(w/v)または約0.01%(w/v)~約10.0%(w/v)であってもよい。
【0117】
一実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物またはそのような治療用化合物を含む組成物は、半固体製剤に調製してもよい。一実施形態では、局所投与に適した半固体製剤としては、限定されるものではないが、軟膏(ointment)、クリーム、軟膏(salve)およびジェルが挙げられる。一実施形態では、そのような投与を目的とした本明細書に開示されている治療用化合物または組成物は、医薬組成物の製造のための当該技術分野に公知のあらゆる方法に従って調製してもよい。一実施形態では、半固体製剤中の本明細書に開示されている治療用化合物の治療的有効量は典型的には、約0.0001%(w/v)~約90%(w/v)、0.0001%(w/v)~約80%(w/v)、0.0001%(w/v)~約70%(w/v)、0.0001%(w/v)~約60%(w/v)、0.0001%(w/v)~約50%(w/v)、0.0001%(w/v)~約40%(w/v)、0.0001%(w/v)~約30%(w/v)、0.0001%(w/v)~約20%(w/v)、0.0001%(w/v)~約10%(w/v)、約0.001%(w/v)~約90.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約80.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約70.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約60.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約0.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約40.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約30.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約20.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約10.0%(w/v)または約0.01%(w/v)~約90.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約80.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約70.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約60.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約50.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約40.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約30.0%(w/v)約0.01%(w/v)~約20.0%(w/v)または約0.01%(w/v)~約10.0%(w/v)であってもよい。また一実施形態では、半固体製剤中の本明細書に開示されている治療用化合物の治療的有効量は典型的には、約0.0001%(w/v)~約90%(w/v)、0.0001%(w/v)~約80%(w/v)、0.0001%(w/v)~約70%(w/v)、0.0001%(w/v)~約60%(w/v)、0.0001%(w/v)~約50%(w/v)、0.0001%(w/v)~約40%(w/v)、0.0001%(w/v)~約30%(w/v)、0.0001%(w/v)~約20%(w/v)、0.0001%(w/v)~約10%(w/v)、約0.001%(w/v)~約90.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約80.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約70.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約60.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約0.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約40.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約30.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約20.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約10.0%(w/v)または約0.01%(w/v)~約90.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約80.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約70.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約60.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約50.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約40.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約30.0%(w/v)約0.01%(w/v)~約20.0%(w/v)または約0.01%(w/v)~約10.0%(w/v)であってもよい。
【0118】
一実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物またはそのような治療用化合物を含む組成物は、液体製剤に調製してもよい。一実施形態では、腸内もしくは非経口投与に適した液体製剤としては、限定されるものではないが、溶液、シロップ、エリキシル剤、分散液、乳濁液および懸濁液が挙げられる。一実施形態では、そのような投与を目的とした本明細書に開示されている治療用化合物または組成物は、限定されるものではないが、医薬組成物の製造のための当該技術分野に公知のあらゆる方法に従って調製してもよい。一実施形態では、そのような液体剤形において本明細書に開示されている治療用化合物または組成物を、限定されるものではないが、(a)好適な水性および非水性担体、(b)希釈液、(c)限定されるものではないが水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、限定されるものではないが菜種油およびオリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルなどの溶媒、および/または限定されるものではないが界面活性剤またはレシチンのようなコーティング剤などの流動化剤と混合してもよい。分散液および懸濁液の場合、特定の粒径を維持することにより流動性を制御することもできる。一実施形態では、液体製剤中の本明細書に開示されている治療用化合物の治療的有効量は典型的には、約0.0001%(w/v)~約90%(w/v)、0.0001%(w/v)~約80%(w/v)、0.0001%(w/v)~約70%(w/v)、0.0001%(w/v)~約60%(w/v)、0.0001%(w/v)~約50%(w/v)、0.0001%(w/v)~約40%(w/v)、0.0001%(w/v)~約30%(w/v)、0.0001%(w/v)~約20%(w/v)、0.0001%(w/v)~約10%(w/v)、約0.001%(w/v)~約90.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約80.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約70.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約60.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約0.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約40.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約30.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約20.0%(w/v)、0.001%(w/v)~約10.0%(w/v)または約0.01%(w/v)~約90.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約80.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約70.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約60.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約50.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約40.0%(w/v)、約0.01%(w/v)~約30.0%(w/v)約0.01%(w/v)~約20.0%(w/v)または約0.01%(w/v)~約10.0%(w/v)であってもよい。
【0119】
一実施形態では、シロップおよびエリキシル剤は、限定されるものではないが、甘味料、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースを用いて製剤化してもよい。さらなる実施形態では、そのような製剤は限定されるものではないが、粘滑剤、防腐剤、着香料および着色料も含有していてもよい。
【0120】
一実施形態では、液体懸濁液は、限定されるものではないが本明細書に開示されている治療用化合物を水性懸濁液の製造に適した賦形剤を含む混合物に懸濁させることにより製剤化してもよい。一実施形態では、そのような賦形剤は、例えば限定されるものではないが、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、天然ガム、寒天、トラガカントガムおよびアラビアガムのための懸濁化剤であり、分散剤または湿潤剤は天然に生じるリン脂質、例えばレシチンまたはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えば限定されるものではないがステアリン酸ポリオキシエチレン、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えば限定されるものではないがヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと脂肪酸から誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えば限定されるものではないがモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンであってもよい。
【0121】
一実施形態では、油性懸濁液は、本明細書に開示されている治療用化合物を(a)限定されるものではないが、扁桃油、落花生油(arachis oil)、アボカド油、キャノーラ油、ヒマシ油、ヤシ油、トウモロコシ油、綿実油、グレープシードオイル、ヘーゼルナッツ油、ヘンプオイル、亜麻仁油、オリーブ油、パーム油、落花生油(peanut oil)、菜種油、米糠油、サフラワー油、胡麻油、大豆油(soybean oil)、大豆油(soya oil)、ヒマワリ油、クルミ油、麦芽油またはそれらの組み合わせなどの植物油、(b)限定されるものではないが、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはそれらの組み合わせなどの飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸またはそれらの組み合わせ、(c)限定されるものではないが、液体パラフィンなどの鉱油、(d)界面活性剤(surfactant)または界面活性剤(detergent)を含む混合物に懸濁させることにより製剤化してもよい。一実施形態では、油性懸濁液は増粘剤、例えば蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含有していてもよい。一実施形態では、上に記載されている甘味料および着香料を添加して味のよい経口製剤を提供してもよい。一実施形態では、これらの組成物はアスコルビン酸などの抗酸化剤の添加により保存されていてもよい。
【0122】
一実施形態では、水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1種以上の防腐剤を含む混合物中で組み合わせられた治療用化合物を提供する。
【0123】
一実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物は水中油型乳濁液の形態であってもよい。一実施形態では、油相は本明細書に開示されている植物油または本明細書に開示されている鉱油またはそれらの混合物であってもよい。さらなる実施形態では、好適な乳化剤は、限定されるものではないが、アラビアガムまたはトラガカントガムなどの天然に生じるゴム、天然に生じるリン脂質、例えばダイズ、レシチン、脂肪酸とヘキシトール無水物とから誘導されたエステルまたは部分エステル、例えば限定されるものではないがモノオレイン酸ソルビタン、および前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンであってもよい。
【0124】
また一実施形態では、本明細書に開示されている治療用化合物またはそのような治療用化合物を含む組成物は、時間をかけた制御放出プロファイルを達成するために薬物送達プラットフォームに組み込まれていてもよい。一実施形態では、そのような薬物送達プラットフォームは、ポリマーマトリックス、典型的には限定されるものではないが、生分解性、生体内分解性および/または生体吸収性ポリマーマトリックス内に分散された本明細書に開示されている治療用化合物を含む。一実施形態では、本明細書で使用される「ポリマー」という用語は、合成のホモポリマーまたはコポリマー、天然に生じるホモポリマーまたはコポリマーならびに限定されるものではないが、直鎖状、分岐鎖状または星形構造を有するその合成的修飾または誘導体を指す。一実施形態ではコポリマーは、限定されるものではないが、ランダム、ブロック、セグメント化、テーパードブロック、グラフトまたはトリブロックなどの任意の形態で配置させることができる。一実施形態では、ポリマーは一般に縮合ポリマーである。一実施形態では、ポリマーは、架橋剤を導入するか側鎖残基の疎水性を変えることによりそれらの機械的特性または分解特性を向上させるためにさらに修飾することができる。一実施形態では、架橋結合されている場合には、ポリマーは通常75%、65%、55%、45%、35%、25%、15%または5%未満で架橋結合されており、通常は1%未満で架橋結合されている。
【0125】
一実施形態では、好適なポリマーとしては、限定されるものではないが、アルギン酸塩、脂肪族ポリエステル、ポリアルキレンオキサレート、ポリアミド、ポリアミドエステル、ポリ無水物、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシ脂肪族カルボン酸、ポリオルトエステル、ポリオキサエステル、ポリペプチド、ポリホスファゼン、多糖およびポリウレタンが挙げられる。一実施形態では、ポリマーは通常、少なくとも約10%(w/w)、少なくとも約20%(w/w)、少なくとも約30%(w/w)、少なくとも約40%(w/w)、少なくとも約50%(w/w)、少なくとも約60%(w/w)、少なくとも約70%(w/w)、少なくとも約80%(w/w)または少なくとも約90%(w/w)の薬物送達プラットフォームを含む。一実施形態では、生分解性、生体内分解性および/または生体吸収性ポリマーおよび薬物送達プラットフォームを調製するのに有用な方法の例は限定されるものではないが、例えばDrost,制御放出製剤(Controlled Release Formulation),米国特許第4,756,911号;Smithら,徐放薬物送達装置(Sustained Release Drug Delivery Devices),米国特許第5,378,475号;WongおよびKochinke,親水性および疎水性薬剤を組み合わせることによる薬物の制御放出のための製剤(Formulation for Controlled Release of Drugs by Combining Hyrophilic and Hydrophobic Agents),米国特許7,048,946;Hughesら,眼の局所治療法のための組成物および方法(Compositions and Methods for Localized Therapy of the Eye),米国特許出願公開第2005/0181017号;Hughes,降圧脂質含有生分解性眼内インプラントおよび関連する方法(Hypotensive Lipid-Containing Biodegradable Intraocular Implants and Related Methods),米国特許出願公開第2005/024444号;Altmanら,絹フィブロインヒドロゲルおよびその使用(Silk Fibroin Hydrogels and Uses Thereof),米国特許出願公開第2011/0008437号に記載されており、そのそれぞれの内容全体が参照により組み込まれる。
【0126】
一実施形態では、マトリックスを含むポリマーは、限定されるものではないが、絹フィブロイン、ケラチンまたはコラーゲンなどのポリペプチドである。さらなる実施形態では、マトリックスを含むポリマーは、限定されるものではないが、セルロース、アガロース、エラスチン、キトサン、キチンまたはグリコサミノグリカン様コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸またはヒアルロン酸などの多糖である。さらに別の実施形態では、マトリックスを含むポリマーは、限定されるものではないが、D-乳酸、L-乳酸、ラセミ乳酸、グリコール酸、カプロラクトンおよびそれらの組み合わせなどのポリエステルである。
【0127】
当業者は、好適な開示されている薬物送達プラットフォームを形成するのに適したポリマーの選択はいくつかの因子によって決まることを理解している。適当なポリマーの選択におけるより関連する因子は、限定されるものではないが、ポリマーの薬物との適合性、所望の薬物放出速度、埋め込み部位におけるプラットフォームの所望の生分解速度、埋め込み部位におけるプラットフォームの所望の生体内分解速度、埋め込み部位におけるプラットフォームの所望の生体吸収速度、プラットフォームのインビボでの機械的性能、処理温度、プラットフォームの生体適合性および患者忍容性が挙げられる。限定されるものではないがポリマーのインビトロおよびインビボ挙動をある程度決める他の関連する因子としては、化学的組成、成分の空間分布、ポリマーの分子量および結晶化度が挙げられる。
【0128】
投与
一実施形態では本発明のコンジュゲートされた化合物は、静脈内、筋肉内または腹膜内注射などの注射によって投与してもよい。本組成物は治療用、診断用および/または同様の薬剤として有用であり得る。
【0129】
本発明のコンジュゲートされた化合物を含む組成物をヒトもしくは試験動物に投与するために、一態様では、本組成物は1種以上の薬学的に許容される担体を含む。「薬学的に」または「薬理学的に許容される」という用語は、以下に記載するように凝集および切断生成物などのタンパク質分解を阻害し、かつまた当該技術分野でよく知られている経路を用いて投与した場合にアレルギーまたは他の有害反応を生じさせない安定な分子実体および組成物を指す。「薬学的に許容される担体」としては、上に開示されている薬剤を含むありとあらゆる臨床的に有用な溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌薬および抗真菌薬、等張剤および吸収遅延剤などが挙げられる。
【0130】
本明細書で使用される「有効量」は、臨床的に定義されている障害を有する哺乳類を治療するのに適した用量を含む。
【0131】
本組成物は経口、局所、経皮、非経口、吸入スプレー、膣内、直腸内または頭蓋内注射により投与してもよい。本明細書で使用される非経口という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、槽内注射または注入技術を含む。特定の部位における静脈内、皮内、筋肉内、乳房内、腹膜内、クモ膜下腔内、球後、肺内注射投与および/または外科移植も意図されている。一般に組成物は発熱物質ならびにレシピエントに有害であり得る他の不純物を本質的に含まない。
【0132】
本組成物の単回もしくは複数回投与は、治療する医師によって選択される用量レベルおよびパターンにより行うことができる。疾患の予防または治療のための適当な投与量は、上記のとおり治療される疾患の種類、疾患の重症度および経過、薬物が予防もしくは治療目的のどちらのために投与されるか、過去の治療法、患者の病歴および薬物に対する応答および担当医の指示によって決まる。
【0133】
本発明は、有効量の本明細書に定義されているコンジュゲートされた化合物またはタンパク質を含む医薬組成物にも関する。本医薬組成物は、薬学的に許容される担体、希釈液、塩、緩衝液または賦形剤をさらに含んでいてもよい。本医薬組成物は、臨床的に定義されている障害を治療するために使用することができる。本発明の医薬組成物は溶液または凍結乾燥した製品であってもよい。本医薬組成物の溶液を任意の好適な凍結乾燥プロセスに供してもよい。
【0134】
さらなる態様としては、本発明は、対象への投与のためのその使用を容易にするような方法で包装された本発明の組成物を含むキットを含む。一実施形態では、そのようなキットは、本方法を実施する際の化合物または組成物の使用について記載しているラベルが容器に貼り付けられているかパッケージに含まれている状態で密閉瓶もしくは容器などの入れ物に包装された本明細書に記載されている化合物または組成物(例えば、コンジュゲートされたタンパクを含む組成物)を含む。一実施形態では、本キットは、コンジュゲートされたタンパクを含む組成物を有する第1の容器と、第1の容器中の組成物のための生理学的に許容される再構成溶液を有する第2の容器とを含む。一態様では、本化合物または組成物は単位剤形で包装されている。本キットは特定の投与経路に従って本組成物を投与するのに適した装置をさらに含んでいてもよい。好ましくは、本キットは治療用タンパク質またはペプチド組成物の使用について記載しているラベルを含む。
【0135】
一実施形態では、誘導体は未変性の治療用化合物の完全な機能的活性を保持しており、未変性の治療用化合物と比較してインビボにおいて引き延ばされた半減期を提供する。別の実施形態では、誘導体は、未変性の化合物に対して少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、110、120、130、140、150、200または500パーセント(%)の生物活性を保持している。
【0136】
一実施形態では、薬物送達プラットフォームは、徐放(sustained release)薬物送達プラットフォームおよび徐放(extended release)薬物送達プラットフォームの両方を含む。一実施形態では、「徐放(sustained release)」という用語は、約7日間またはそれ以上の期間にわたる本明細書に開示されている治療用化合物の放出を指す。一実施形態では、「徐放(extended release)」という用語は、約7日未満の期間にわたる本明細書に開示されている治療用化合物の放出を指す。
【0137】
一実施形態では、徐放薬物送達プラットフォームは、限定されるものではないが、投与後約3日間、投与後約7日間、投与後約10日間、投与後約15日間、投与後約20日間、投与後約25日間、投与後約30日間、投与後約45日間、投与後約60日間、投与後約75日間または投与後約90日間の期間にわたって治療用化合物を放出する。別の実施形態では、徐放薬物送達プラットフォームは、限定されるものではないが、投与後少なくとも3日間、投与後少なくとも7日間、投与後少なくとも10日間、投与後少なくとも15日間、投与後少なくとも20日間、投与後少なくとも25日間、投与後少なくとも30日間、投与後少なくとも45日間、投与後少なくとも60日間、投与後少なくとも75日間または投与後少なくとも90日間の期間にわたって、実質的にゼロ次放出速度で本明細書に開示されている治療用化合物を放出する。
【0138】
一実施形態では、PSA-治療用化合物は、限定されるものではないが、徐放組成物を含む長時間作用性組成物の形態である。一実施形態は、投与される患者に時間をかけて当該治療用化合物を与える、限定されるものではないが徐放カプセル、錠剤または他の固体もしくは液体製剤を含む。長時間作用性組成物は、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間、28時間、30時間、32時間、34時間、36時間、40時間、48時間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、2週間、3週間または4週間にわたって患者に与えることができる。長時間作用性製剤は、4時間ほどの短期間または4週間ほどの長期間、4時間ほどの短期間または3週間ほどの長期間、4時間ほどの短期間または2週間ほどの長期間、4時間ほどの短期間または1週間ほどの長期間、4時間ほどの短期間または6日間ほどの長期間、4時間ほどの短期間または5日間ほどの長期間、4時間ほどの短期間または4日間ほどの長期間、4時間ほどの短期間または3日間ほどの長期間、4時間ほどの短期間または2日間ほどの長期間、4時間ほどの短期間または1日ほどの長期間、4時間ほどの短期間または20時間ほどの長期間、4時間ほどの短期間または16時間ほどの長期間、4時間ほどの短期間または14時間ほどの長期間、4時間ほどの短期間または12時間ほどの長期間、4時間ほどの短期間または10時間ほどの長期間、4時間ほどの短期間または8時間ほどの長期間、4時間ほどの短期間または6時間ほどの長期間にわたってポリシアル酸化治療用化合物の活性を与えることができる。
【0139】
一実施形態では、徐放薬物送達プラットフォームは、限定されるものではないが、投与後約3日間、投与後約7日間、投与後約10日間、投与後約15日間、投与後約20日間、投与後約25日間、投与後約30日間、投与後約45日間、投与後約60日間、投与後約75日間または投与後約90日間の期間にわたって本明細書に開示されている治療用化合物を放出する。本実施形態の他の態様では、徐放薬物送達プラットフォームは、限定されるものではないが、投与後少なくとも3日間、投与後少なくとも7日間、投与後少なくとも10日間、投与後少なくとも15日間、投与後少なくとも20日間、投与後少なくとも25日間、投与後少なくとも30日間、投与後少なくとも45日間、投与後少なくとも60日間、投与後少なくとも75日間または投与後少なくとも90日間の期間にわたって、実質的に一次放出速度で本明細書に開示されている治療用化合物を放出する。
【0140】
一実施形態では、薬物送達プラットフォームは、限定されるものではないが、投与後約1日、投与後約2日間、投与後約3日間、投与後約4日間、投与後約5日間、投与後約6日間または投与後約7日間またはそれ以上の期間にわたって本明細書に開示されている治療用化合物を放出する。さらなる実施形態では、薬物送達プラットフォームは、限定されるものではないが、投与後最大で1日、投与後最大で2日間、投与後最大で3日間、投与後最大で4日間、投与後最大で5日間、投与後最大で6日間または投与後最大で7日間またはそれ以上の期間にわたって、実質的にゼロ次放出速度で本明細書に開示されている治療用化合物を放出する。
【0141】
一実施形態では、薬物送達プラットフォームは、限定されるものではないが、投与後約1日、投与後約2日間、投与後約3日間、投与後約4日間、投与後約5日間、投与後約6日間または投与後約7日間またはそれ以上の期間にわたって、ある放出速度で本明細書に開示されている治療用化合物を放出する。さらなる実施形態では、薬物送達プラットフォームは、例えば投与後最大で1日、投与後最大で2日間、投与後最大で3日間、投与後最大で4日間、投与後最大で5日間、投与後最大で6日間または投与後最大で7日間またはそれ以上の期間にわたって、実質的に一次放出速度で本明細書に開示されている治療用化合物を放出する。
【0142】
シアル酸およびPSA
本明細書で使用される「シアル酸部分」は、水溶液または懸濁液に可溶性であり、かつPSA-タンパク質複合体を薬学的に有効な量で投与した際に哺乳類に対して副作用などの悪影響をほとんどまたは全く有しないシアル酸モノマーまたはポリマー(「多糖」)を含む。PSAおよびmPSAは、一態様では1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、125、150、200、300、400または500個のシアル酸単位を有するものとして特徴づけられる。特定の態様では、異なるシアル酸単位は鎖状に組み合わせられている。
【0143】
本発明の一実施形態では、PSAまたはmPSA化合物のシアル酸部分は高親水性であり、別の実施形態では、当該化合物全体が高親水性である。親水性は主にシアル酸単位のペンダントカルボキシル基ならびにヒドロキシル基によって与えられる。糖単位はアミン、ヒドロキシルまたは硫酸基などの他の官能基あるいはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。これらの基は天然に生じる糖化合物上に存在していてもよく、あるいは誘導体多糖化合物の中に導入されていてもよい。本発明の方法および複合体に使用されるPSAおよびmPSAは、上の本発明の背景技術の箇所に記載されているようにさらに特徴づけてもよい。
【0144】
天然に生じるポリマーPSAは、広いサイズ分布(例えばSigma C-5762)および高多分散性(PD)を示す多分散製剤として利用可能である。多糖はエンドトキシンを同時精製するという固有のリスクを有する細菌において通常生成されるので、長いシアル酸ポリマー鎖の精製がエンドトキシン含有量を増加させる可能性を高める場合がある。1~4個のシアル酸単位を有する短いPSA分子は合成により調製することもでき(Kang SHら,Chem Commun.2000;227-8;Ress DKおよびLinhardt RJ,Current Organic Synthesis.2004;1:31-46)、従って高エンドトキシンレベルというリスクが最小限に抑えられる。但し、エンドトキシンを含んでもいなく狭いサイズ分布および低い多分散性を有するPSA製剤を今日では製造することができる。本発明のための特定の使用の多糖化合物は一態様では細菌によって生成されるものである。これらの天然に生じる多糖のいくつかは糖脂質として知られている。一実施形態では、多糖化合物は実質的に末端ガラクトース単位を含んでいない。
【0145】
様々な実施形態では、本化合物は化学量論量(例えば、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:7、1:8、1:9または1:10など)でPSAまたはmPSA化合物に結合または会合されている。様々な実施形態では、1~6、7~12または13~20個のPSAおよび/またはmPSA単位が本化合物に結合されている。さらに他の実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個またはそれ以上のPSAおよび/またはmPSA単位が本化合物に結合されている。
【0146】
任意に、本化合物はグリコシル化部位(すなわち、未変性グリコシル化部位以外の部位)を導入するために修飾されている。そのような修飾は当該技術分野で知られている標準的な分子生物学的技術を用いて達成してもよい。さらに1つ以上の炭水化物部分を介したコンジュゲーションの前に本化合物は、インビボまたはインビトロにおいてグリコシル化されていてもよい。
【0147】
アミノオキシ結合
本発明の一実施形態では、オキシム基を形成するためにヒドロキシルアミンまたはヒドロキシルアミン誘導体とアルデヒド(例えば、過ヨウ素酸ナトリウムによる酸化後の炭水化物部分上)との反応を化合物の複合体の調製に適用する。例えば糖タンパク質を最初に過ヨウ素酸ナトリウム(NaIO4)などの酸化剤により酸化させる(Rothfus JAおよびSmith EL.,J Biol Chem 1963,238,1402-10;ならびにVan Lenten LおよびAshwell G.,J Biol Chem 1971,246,1889-94)。例えば糖タンパク質の過ヨウ素酸酸化は、1928に記載されている古典的なマラプラード反応、すなわち活性アルデヒド基を形成するためのビシナルジオールの過ヨウ素酸による酸化に基づいている(Malaprade L.,Analytical application,Bull Soc Chim France,1928,43,683-96)。そのような酸化剤のためのさらなる例は、四酢酸鉛(Pb(OAc)4)、酢酸マンガン(MnO(Ac)3)、酢酸コバルト(Co(OAc)2)、酢酸タリウム(TlOAc)、硫酸セリウム(Ce(SO4)2)(米国特許第4,367,309号)または過ルテニウム酸カリウム(KRuO4)である(Markoら,J Am Chem Soc 1997,119,12661-2)。「酸化剤」とは、炭水化物中のビシナルジオールを酸化し、それにより生理的反応条件下で活性アルデヒド基を生成することができる穏やかな酸化化合物を意味する。
【0148】
第2の工程は、アミノオキシ基を含むポリマーを酸化された炭水化物部分に結合させてオキシム結合を形成する。本発明の一実施形態では、この工程は触媒量の求核性触媒アニリンまたはアニリン誘導体の存在下で行うことができる(Dirksen A.,Dawson PE,Bioconjugate Chem.2008;Zeng Yら,Nature Methods 2009;6:207-9)。アニリン触媒はオキシム結合を劇的に加速し、非常に低い濃度の試薬の使用を可能にする。本発明の別の実施形態では、オキシム結合をNaCNBH3による還元により安定化させてアルコキシアミン結合を形成する。
【0149】
本発明の一実施形態では、PSAまたはmPSAとタンパク質とをコンジュゲートするための反応工程は別々に、かつ連続的に行う(すなわち、出発物質(例えば、タンパク質、ポリマーなど)、試薬(例えば、酸化剤、アニリンなど)および反応生成物(例えば、タンパク質上の酸化された炭水化物、活性化されたアミノオキシポリマーなど)は個々の反応工程間で分離されている)。
【0150】
アミノオキシ技術に関するさらなる情報は、以下の参考文献:欧州特許第1681303A1号「ヒドロキシアルキルデンプン化エリスロポエチン(HASylated erythropoietin)」、国際公開第2005/014024号「オキシム結合基によって結合されたポリマーとタンパク質との複合体(conjugates of a polymer and a protein linked by an oxime linking group)」、国際公開第96/40662号「アミノオキシ含有リンカー化合物および複合体におけるそれらの適用(aminooxy-containing linker compounds and their application in conjugates)」、国際公開第2008/025856号「修飾タンパク質(Modified proteins)」、Peri Fら,Tetrahedron 1998,54,12269-78、Kubler-Kielb JおよびPozsgay V., J Org Chem 2005,70,6887-90、Lees Aら,Vaccine 2006,24(6),716-29ならびにHeredia KLら,Macromoecules 2007,40(14),4772-9に記載されており、それらのそれぞれの内容全体が組み込まれる。
【0151】
PSAの抗体への結合に関するさらなる情報は以下の参考文献:Konterman R.およびDubel S.,Antibody Engineering,2010,V.1,第2版,Springer Protocals,ISBN-13:978-3642011436;Zhang Bら:Unveiling a glycation hot spot in a recombinant humanized monoclonal antibody(組換えヒト化モノクローナル抗体における糖化ホットスポットの解明),Anal Chem.,2008,80,2379-2390;Miller AKら,Characterization of site-specific glycation during process development of a human therapeutic monoclonal antibody(ヒト治療用モノクローナル抗体のプロセス開発中の部位特異的糖化の特性評価),J.Pharm.Sci.,2011,100,2543-2550に記載されており、それらのそれぞれの内容全体が組み込まれる。
【0152】
本発明の利点としては、複合体の高い回収、コンジュゲートされていないタンパク質と比較してコンジュゲートされている糖タンパク質の活性の高い保持および高いコンジュゲーション効率が挙げられる。
【0153】
生理活性アッセイ
様々なバイオアッセイは、標的タンパク質の活性に対するポリシアル酸化の効果を決定するのに有用である。修飾前の標的タンパク質と、ポリシアル酸/PSAの結合後の標的タンパク質との間で比較を行う。例えば本明細書においてポリシアル酸化されている酵素は、酵素活性を試験することにより修飾された標的タンパク質の活性を試験するのに特に適している。本明細書中のポリシアル酸化されている抗体またはその結合断片のために標準的な抗体-リガンド結合アッセイを利用し、かつ修飾された抗体と修飾されていない抗体とを比較する。他の標的タンパク質のために標的のためのバイオアッセイを利用して、本明細書中のポリシアル酸化標的タンパク質の活性を測定してもよい。適当な高感度アッセイが特定の標的タンパク質のために必要とされる。当該アッセイは、関連化合物による干渉なしにポリシアル酸化標的タンパク質のための特異的な読み出しも提供しなければならない。多種多様な標的に適用可能なバイオアッセイ方法は本明細書中の実施例に記載されている。本発明に従ってポリシアル酸化されている特定の標的タンパク質に関連する特定のバイオアッセイも上記特許および特許出願の中で本明細書に記載されており、特定の標的タンパク質に関連するものとして参照により本明細書に組み込まれる。
【0154】
本明細書中の治療用PSAタンパク質は様々なインビトロアッセイを用いて同定することができる。好ましくは、これらのアッセイは、複数の候補を同時にスクリーニングするのを可能にするハイスループットアッセイである。いくつかの実施形態では、生体分子相互作用をBIACORE(登録商標)システムによりリアルタイムで監視することができ、これはSPRを使用して、最大300nmの表面の屈折率の変化によりガラス支持体上の薄い金膜の表面における光の共鳴角度の変化を検出する。BIACORE(登録商標)分析により、結合速度定数、解離速度定数、平衡解離定数および親和定数を生成する。BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴システム(Biacore社)を用いて結合および解離速度定数を評価することより結合親和性を得る。標的の共有結合のためにバイオセンサーチップを活性化させる。次いでこの標的を希釈してチップの上に注入して、固定化材料の応答単位でシグナルを得る。共鳴単位(RU)でのシグナルは固定化材料の質量に比例しているので、これはマトリックス上の様々な固定化標的密度を表す。
【0155】
細胞ベースアッセイを使用して、本明細書において提供される様々なポリシアル酸化タンパク質の生物活性を特徴づけ、測定および比較することができる。いくつかの実施形態では、細胞ベースアッセイは酵素結合免疫吸着法(ELISA)である。ELISAキットは、Cell Sciences(登録商標)(マサチューセッツ州カントン)などの数多くの提供源から市販されている。ELISAキットを使用するための方法は当該技術分野で知られており、当該キットは一般に、例えば試料、標準物質、較正曲線を準備して実験を行う方法に関する取扱説明書を含む。別の実施形態では、細胞ベースアッセイは均一時間分解蛍光測定法(HTRF(登録商標))である。HTRF(登録商標)キットはCisbio International社(マサチューセッツ州ベッドフォード)から市販されている。HTRF(登録商標)キットを使用するための方法は当該技術分野で知られており、当該キットは一般に例えば試料、標準物質、較正曲線を準備して実験を行う方法に関する取扱説明書を含む。均一時間分解蛍光細胞ベースアッセイは米国特許第5,527,684号(その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)、およびCisbio HTRF(登録商標)Product Centerから利用可能な文献参照番号62AM4PEB rev02(2007年8月)に記載されている。www.htrf.com/products/gpcr/camp/を参照されたく、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0156】
次に、以下の実施例を参照しながら本発明について例示する。
【実施例】
【0157】
実施例1:アミノオキシ-PSAポリマーの調製
1.3gの酸化されたコロミン酸(23kDa)を18mLの50mM酢酸ナトリウム(pH5.5±0.02)に溶解した。20倍モルの過剰な1,11-ジアミノ-3,6,9-トリオキサウンデカン(3,6,9-トリオキサ-ウンデカン-1,11-ジオキシアミンともいう)を最小量の50mM酢酸ナトリウム(pH5.5±0.02)に溶解し、PSA溶液に添加した。最終的なコロミン酸濃度は62.5mg/mlであった。この反応混合物を穏やかなミキサー(1分当たり22回の振動)上で22±1.0℃で2±0.1時間インキュベートした。この後に、5.00mg/mlの最終濃度にするために0.65mLのNaCNBH3溶液(160mg/ml)を上記反応混合物に添加した。これを混合のために十分な上部空き高を有するエンドトキシンを含まない気密容器に入れて、振盪機(1分当たり22回の振動)上、4.0±1.0℃で3.0±0.20時間インキュベートした。精製のために、この試料を2mMトリエタノールアミン(pH8.0±0.02)で希釈して20mg/mlの最終的なコロミン酸濃度にした。反応混合物を脱塩して、過剰な1,11-ジアミノ-3,6,9-トリオキサウンデカン、NaCNBH3および反応副生成物を除去した。この後に20mMトリエタノールアミン緩衝液(pH8.0±0.02)を用いてSephadex G25カラムで脱塩した。脱塩した試料のpHをpH7.8~8.0に調整し、20mM TEA(pH8.0)で1回、2mMトリエタノールアミン(TEA)(pH8.0)で2回限外濾過/透析濾過した。この試料を凍結乾燥して-80℃で貯蔵した。
【0158】
あるいは、脱塩および限外濾過/透析濾過(UF/DF)工程の間に、高い塩の存在下で精製を行った。高い塩でのイオン交換クロマトグラフィも使用して高純度アミノオキシ-PSAを調製した。類推により異なる分子量のアミノオキシ-PSAを合成した。
【0159】
実施例2:ジアミノオキシ-PSAのエリスロポエチン(EPO)への結合
0.2mgのEPOを10mMのNaIO4により4℃で30分間酸化した。5mMの最終濃度までNaHSO3を添加して酸化を停止した。23kDaのジアミノオキシポリマーと共に酸化されたEPOを用いてコンジュゲーション反応を行った。反応混合物中のポリマーの最終濃度は1.25mMであった。反応混合物中のEPOの最終濃度は0.125mg/mlであった。反応混合物の最終的なpHは約5.75であった。50mMまたは3.17mg/mlの濃度までシアノ水素化ホウ素ナトリウムを反応混合物に添加した。この反応を4℃で24時間行った。未精製の複合体をSDS PAGEを用いて特性評価した。PAGE SDSにおいて当該複合体についてバンドのシフトが認められた。
【0160】
実施例3:求核性触媒として機能するためのアニリンを用いたジアミノオキシ-PSAのEPOへの結合
0.2mgのEPOを10mM NaIO4により4℃で30分間酸化した。5mMの最終濃度までNaHSO3を添加してこの酸化を停止した。ジアミノオキシPSAポリマー(22kDa)と共に酸化されたEPOを用いてコンジュゲーション反応を行った。反応混合物中のポリマーの最終濃度は1.25mMであった。反応混合物の最終的なpHは約5.75であった。50mMまたは3.17mg/mlの濃度までシアノ水素化ホウ素ナトリウムを反応混合物に添加した。反応系における最終的なタンパク質濃度は0.125mg/mlであった。84.21μlの200mMアニリン溶液を1.6mLの反応混合物に添加した。この反応を4℃で一晩行った。当該複合体をSDS PAGEを用いて特性評価した。当該複合体においてバンドのシフトが認められた。当該複合体の活性に対してアニリンの有害作用は観察されなかった。
【0161】
実施例4:ヒドラジド-PSAのエリスロポエチンへの結合
エリスロポエチン(EPO)の酸化のために、NaIO4を10mMの濃度で使用した。EPO(1mg)を4℃で30分間pH5.75で酸化し、次いで5mMの最終濃度までNaHSO3を添加して酸化を停止した。ヒドラジド-PSAポリマーと共に酸化されたEPOを用いてコンジュゲーション反応を行った。コンジュゲーションのために使用したヒドラジド-PSAの分子量は24.34kDaであった。反応混合物中のヒドラジド-PSAの最終濃度は1.25mMであった。反応混合物中のEPOの最終濃度は0.125mg/mlであった。反応混合物の最終的なpHは約5.75であった。50mMまたは3.17mg/mlの濃度までシアノ水素化ホウ素ナトリウムを反応混合物に添加した。この反応を4℃で24時間行った。複合体をSDS PAGEおよびウエスタンブロット法を用いて特性評価した。PAGE SDSでは当該複合体についてバンドのシフトが認められ、ウエスタンブロット法から陽性の結果が得られた。
【0162】
実施例5:アミノオキシ-PSAのNGFへの結合
10mlのHepes緩衝液(pH6)(50mMのHepes、5mMのCaCl2、150mMのNaCl、0.01%のTween)に溶解した10mgの神経増殖因子(NGF)に、50μlの10mM過ヨウ素酸ナトリウムを添加した。この混合物を暗所において4℃で30分間振盪し、100μlの水性1Mグリセロール溶液の添加により4℃で30分間失活させた。次いで20.0mgのアミノオキシ-PSA(18.8kD)を添加し、この混合物を4℃で一晩振盪した。8Mの酢酸アンモニウムを含有する緩衝液(8Mの酢酸アンモニウム、50mMのHepes、5mMのCaCl2、350mMのNaCl、0.01%のTween80、pH6.9)を添加してイオン強度を増加させて、2.5M酢酸アンモニウムの最終濃度を得た。次に、反応混合物をHiTrap Butyl FF(GE Healthcare社、コネチカット州フェアフィールド)カラムに充填し、これを平衡化緩衝液(2.5Mの酢酸アンモニウム、50mMのHepes、5mMのCaCl2、350mMのNaCl、0.01%のTween80、pH6.9)で平衡化した。この生成物を溶出緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、0.01%のTween80、pH7.4)で溶出し、この溶出液を30,000MWCOでVivaspin(Sartorius社、ドイツのゲッティンゲン)装置を用いた遠心濾過により濃縮した。
【0163】
実施例6:アミノオキシ-PSAのインターフェロン-α(IFN-α)への結合
10mlのHepes緩衝液(pH6)(50mMのHepes、5mMのCaCl2、150mMのNaCl、0.01%のTween)に溶解した10mgインターフェロン-α(IFN-α)に、50μlの10mM過ヨウ素酸ナトリウムを添加した。この混合物を暗所において4℃で30分間振盪し、100μlの水性1Mグリセロール溶液の添加により4℃で30分間失活させた。次いで20.0mgのアミノオキシ-PSA(18.8kD)を添加し、この混合物を4℃で一晩振盪した。8Mの酢酸アンモニウムを含有する緩衝液(8Mの酢酸アンモニウム、50mMのHepes、5mMのCaCl2、350mMのNaCl、0.01%のTween80、pH6.9)を添加してイオン強度を増加させて、2.5Mの最終酢酸アンモニウム濃度を得た。次に、反応混合物をHiTrap Butyl FF(GE Healthcare社、コネチカット州フェアフィールド)カラムに充填し、これを平衡化緩衝液(2.5Mの酢酸アンモニウム、50mMのHepes、5mMのCaCl2、350mMのNaCl、0.01%のTween80、pH6.9)で平衡化した。この生成物を溶出緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、0.01%のTween80、pH7.4)で溶出し、この溶出液を30,000MWCOでVivaspin(Sartorius社、ドイツのゲッティンゲン)装置を用いた遠心濾過により濃縮した。
【0164】
実施例7:アミノオキシ-PSAのTPA(組織プラスミノーゲン活性化因子)への結合
10mlのHepes緩衝液(pH6)(50mMのHepes、5mMのCaCl2、150mMのNaCl、0.01%のTween)に溶解した10mgのTPAに、50μlの10mM過ヨウ素酸ナトリウムを添加した。この混合物を暗所において4℃で30分間振盪し、100μlの水性1Mグリセロール溶液の添加により4℃で30分間失活させた。次いで20.0mgのアミノオキシ-PSA(18.8kD)を添加し、この混合物を4℃で一晩振盪した。8Mの酢酸アンモニウムを含有する緩衝液(8Mの酢酸アンモニウム、50mMのHepes、5mMのCaCl2、350mMのNaCl、0.01%のTween80、pH6.9)を添加してイオン強度を増加させて、2.5Mの最終酢酸アンモニウム濃度を得た。次に、反応混合物をHiTrap Butyl FF(GE Healthcare社、コネチカット州フェアフィールド)カラムに充填し、これを平衡化緩衝液(2.5Mの酢酸アンモニウム、50mMのHepes、5mMのCaCl2、350mMのNaCl、0.01%のTween80、pH6.9)で平衡化した。この生成物を溶出緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、0.01%のTween80、pH7.4)で溶出し、この溶出液を30,000MWCOでVivaspin(Sartorius社、ドイツのゲッティンゲン)装置を用いた遠心濾過により濃縮した。
【0165】
実施例8:アミノオキシ-PSAのトロンボポエチン(TPO)への結合
10mlのHepes緩衝液(pH6)(50mMのHepes、5mMのCaCl2、150mMのNaCl、0.01%のTween)に溶解した10mgのTPAに、50μlの10mM過ヨウ素酸ナトリウムを添加した。この混合物を暗所において4℃で30分間振盪し、100μlの水性1Mグリセロール溶液の添加により4℃で30分間失活させた。次いで20.0mgのアミノオキシ-PSA(18.8kD)を添加し、この混合物を4℃で一晩振盪した。8Mの酢酸アンモニウムを含有する緩衝液(8Mの酢酸アンモニウム、50mMのHepes、5mMのCaCl2、350mMのNaCl、0.01%のTween80、pH6.9)を添加してイオン強度を増加させて、2.5Mの最終酢酸アンモニウム濃度を得た。次に、反応混合物をHiTrap Butyl FF(GE Healthcare社、コネチカット州フェアフィールド)カラムに充填し、これを平衡化緩衝液(2.5Mの酢酸アンモニウム、50mMのHepes、5mMのCaCl2、350mMのNaCl、0.01%のTween80、pH6.9)で平衡化した。この生成物を溶出緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、0.01%のTween80、pH7.4)で溶出し、この溶出液を30,000MWCOでVivaspin(Sartorius社、ドイツのゲッティンゲン)装置を用いた遠心濾過により濃縮した。
【0166】
実施例9:アミノオキシ-PSAのトロンビンへの結合
10mlのHepes緩衝液(pH6)(50mMのHepes、5mMのCaCl2、150mMのNaCl、0.01%のTween)に溶解した10mgのトロンビンに、50μlの10mM過ヨウ素酸ナトリウムを添加した。この混合物を暗所において4℃で30分間振盪し、100μlの水性1Mグリセロール溶液の添加により4℃で30分間失活させた。次いで20.0mgのアミノオキシ-PSA(18.8kD)を添加し、この混合物を4℃で一晩振盪した。8Mの酢酸アンモニウムを含有する緩衝液(8Mの酢酸アンモニウム、50mMのHepes、5mMのCaCl2、350mMのNaCl、0.01%のTween80、pH6.9)を添加してイオン強度を増加させて、2.5Mの最終酢酸アンモニウム濃度を得た。次に、反応混合物をHiTrap Butyl FF(GE Healthcare社、コネチカット州フェアフィールド)カラムに充填し、これを平衡化緩衝液(2.5Mの酢酸アンモニウム、50mMのHepes、5mMのCaCl2、350mMのNaCl、0.01%のTween80、pH6.9)で平衡化した。この生成物を溶出緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、0.01%のTween80、pH7.4)で溶出し、この溶出液を30,000MWCOでVivaspin(Sartorius社、ドイツのゲッティンゲン)装置を用いた遠心濾過により濃縮した。
【0167】
実施例10:アミノオキシ-PSAのFGFへの結合
10mlのHepes緩衝液(pH6)(50mMのHepes、5mMのCaCl2、150mMのNaCl、0.01%のTween)に溶解した10mgの線維芽細胞増殖因子(FGF)に、50μlの10mM過ヨウ素酸ナトリウムを添加した。この混合物を暗所において4℃で30分間振盪し、100μlの水性1Mグリセロール溶液の添加により4℃で30分間失活させた。次いで20.0mgのアミノオキシ-PSA(18.8kD)を添加し、この混合物を4℃で一晩振盪した。8Mの酢酸アンモニウムを含有する緩衝液(8Mの酢酸アンモニウム、50mMのHepes、5mMのCaCl2、350mMのNaCl、0.01%のTween80、pH6.9)を添加してイオン強度を増加させて、2.5Mの最終酢酸アンモニウム濃度を得た。次に、反応混合物をHiTrap Butyl FF(GE Healthcare社、コネチカット州フェアフィールド)カラムに充填し、これを平衡化緩衝液(2.5Mの酢酸アンモニウム、50mMのHepes、5mMのCaCl2、350mMのNaCl、0.01%のTween80、pH6.9)で平衡化した。この生成物を溶出緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、0.01%のTween80、pH7.4)で溶出し、この溶出液を30,000MWCOでVivaspin(Sartorius社、ドイツのゲッティンゲン)装置を用いた遠心濾過により濃縮した。
【0168】
実施例11:アミノオキシ-PSAのTGF-βへの結合
10mlのHepes緩衝液(pH6)(50mMのHepes、5mMのCaCl2、150mMのNaCl、0.01%のTween)に溶解した10mgのトランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)に、50μlの10mM過ヨウ素酸ナトリウムを添加した。この混合物を暗所において4℃で30分間振盪し、100μlの水性1Mグリセロール溶液の添加により4℃で30分間失活させた。次いで20.0mgのアミノオキシ-PSA(18.8kD)を添加し、この混合物を4℃で一晩振盪した。8Mの酢酸アンモニウムを含有する緩衝液(8Mの酢酸アンモニウム、50mMのHepes、5mMのCaCl2、350mMのNaCl、0.01%のTween80、pH6.9)を添加してイオン強度を増加させて、2.5Mの最終酢酸アンモニウム濃度を得た。次に、反応混合物をHiTrap Butyl FF(GE Healthcare社、コネチカット州フェアフィールド)カラムに充填し、これを平衡化緩衝液(2.5Mの酢酸アンモニウム、50mMのHepes、5mMのCaCl2、350mMのNaCl、0.01%のTween80、pH6.9)で平衡化した。この生成物を溶出緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、0.01%のTween80、pH7.4)で溶出し、この溶出液を30,000MWCOでVivaspin(Sartorius社、ドイツのゲッティンゲン)装置を用いた遠心濾過により濃縮した。
【0169】
実施例12:アミノオキシ-PSAのPDGFへの結合
10mlのHepes緩衝液(pH6)(50mMのHepes、5mMのCaCl2、150mMのNaCl、0.01%のTween)に溶解した10mgの血小板由来増殖因子(PDGF)に、50μlの10mM過ヨウ素酸ナトリウムを添加した。この混合物を暗所において4℃で30分間振盪し、100μlの水性1Mグリセロール溶液の添加により4℃で30分間失活させた。次いで20.0mgのアミノオキシ-PSA(18.8kD)を添加し、この混合物を4℃で一晩振盪した。8Mの酢酸アンモニウムを含有する緩衝液(8Mの酢酸アンモニウム、50mMのHepes、5mMのCaCl2、350mMのNaCl、0.01%のTween80、pH6.9)を添加してイオン強度を増加させて、2.5Mの最終酢酸アンモニウム濃度を得た。次に、反応混合物をHiTrap Butyl FF(GE Healthcare社、コネチカット州フェアフィールド)カラムに充填し、これを平衡化緩衝液(2.5Mの酢酸アンモニウム、50mMのHepes、5mMのCaCl2、350mMのNaCl、0.01%のTween80、pH6.9)で平衡化した。この生成物を溶出緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、0.01%のTween80、pH7.4)で溶出し、この溶出液を30,000MWCOでVivaspin(Sartorius社、ドイツのゲッティンゲン)装置を用いた遠心濾過により濃縮した。
【0170】
実施例13:アミノオキシ-PSAのVEGFへの結合
10mlのHepes緩衝液(pH6)(50mMのHepes、5mMのCaCl2、150mMのNaCl、0.01%のTween)に溶解した10mgの血管内皮増殖因子(VEGF)に、50μlの10mM過ヨウ素酸ナトリウムを添加した。この混合物を暗所において4℃で30分間振盪し、100μlの水性1Mグリセロール溶液の添加により4℃で30分間失活させた。次いで20.0mgのアミノオキシ-PSA(18.8kD)を添加し、この混合物を4℃で一晩振盪した。8Mの酢酸アンモニウムを含有する緩衝液(8Mの酢酸アンモニウム、50mMのHepes、5mMのCaCl2、350mMのNaCl、0.01%のTween80、pH6.9)を添加してイオン強度を増加させて、2.5Mの最終酢酸アンモニウム濃度を得た。次に、反応混合物をHiTrap Butyl FF(GE Healthcare社、コネチカット州フェアフィールド)カラムに充填し、これを平衡化緩衝液(2.5Mの酢酸アンモニウム、50mMのHepes、5mMのCaCl2、350mMのNaCl、0.01%のTween80、pH6.9)で平衡化した。この生成物を溶出緩衝液(50mMのHepes、5mMのCaCl2、0.01%のTween80、pH7.4)で溶出し、この溶出液を30,000MWCOでVivaspin(Sartorius社、ドイツのゲッティンゲン)装置を用いた遠心濾過により濃縮した。
【0171】
実施例14:ジアミノオキシ(3-オキサペンタン-1,5-ジオキシアミンリンカー)-PSAのトロンボモジュリンへの結合
トロンボモジュリンの酸化のために、NaIO4を2mMの濃度で使用する。3mgのトロンボモジュリンを4℃で30分間5.75の酸性のpHで酸化し、次いで2mMの最終濃度までNaHSO3を添加して酸化を停止した。このコンジュゲーション反応は、ジアミノオキシPSAポリマー(23kDa)と共に酸化されたトロンボモジュリンを用いて行う。反応混合物中のポリマーの最終濃度を決定する。反応混合物の最終的なpHは約5.75であった。50mMまたは3.17mg/mlの濃度までシアノ水素化ホウ素ナトリウムを反応混合物に添加した。この反応を4℃で2時間行った。複合体をSDS PAGEおよびウエスタンブロット法を用いて特性評価した。SDS PAGEでの当該複合体についてのバンドのシフトは陽性の結果を示している。
【0172】
実施例15:表面プラズモン共鳴(SPR)によるトロンボポエチン(TPO)結合親和性の決定
TPO結合親和性を、以下のようにBiacore機器(GE Healthcare社、スウェーデンのウプサラ)を用いて分析する。
【0173】
TPOを3種類の密度でCMSバイオセンサーチップのフローセル上に固定化する。調査用のTPO試料を泳動用緩衝液(10mMのHepes、150mMのNaCl、0.05%のSurfactant P20、pH7.4)により一連の7種類の希釈度に希釈し(所与のタンパク質値に従って0.1~50nM×)、次いで50μL/分の一定の流速で「単一サイクル」モードを用いてチップに適用する。結合の時間は4分であり、解離の時間は10分であった。各サイクル後に、TPOをチップから除去し(「再生」)、その実験を新しいTPO試料で繰り返す。結合および解離定数を「Bioevaluation」プログラムのLangmuirモデルを用いて決定する。以下の反応速度パラメータ:結合速度定数ka、解離速度定数kdおよび平衡解離定数KDを決定する。結合はRmax、すなわち飽和時に計算された最大結合も評価して決定する。反応速度の結果は3種類の異なるTPO固定レベルの平均から計算する。
【0174】
Biacore技術を使用して、TPOと腫瘍壊死因子受容体との間での複合体形成の速度を決定する。この目的のために、TPOを3種類の異なるレベルでセンサチップ表面に固定化し、調査用のTPOおよびトロンボポエチン受容体を緩衝液中で再緩衝化し、試料を単一サイクルモードにおいて5種類の異なる濃度で注入する。固定化TPOとトロンボポエチン受容体との間では均一な1:1相互作用であると仮定して、Biacore T200機器の「Bioevaluation」プログラムのLangmuirモデルを用いて、結合および解離定数を決定する。
【0175】
結合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)および平衡解離定数(=kd/ka)などのTPOとトロンボポエチン受容体との相互作用を記述する反応速度パラメータを決定し、さらなる評価およびデータ比較を行う。PSA修飾タンパク質からのデータを未修飾のものと比較する。
【0176】
実施例16:表面プラズモン共鳴(SPR)によるCD20結合親和性の決定
CD20結合親和性を、以下のようにBiacore機器(GE Healthcare社、スウェーデンのウプサラ)を用いて分析する。
【0177】
CD20を3種類の密度でCMSバイオセンサーチップのフローセル上に固定化する。調査用のTPO試料を泳動用緩衝液(10mMのHepes、150mMのNaCl、0.05%のSurfactant P20、pH7.4)で一連の7種類の希釈度に希釈し(所与のタンパク質値に従って0.1~50nM×)、次いで50μL/分の一定の流速で「単一サイクル」モードを用いてチップに適用する。結合の時間は4分であり、解離の時間は10分であった。各サイクル後に、TPOをチップから除去し(「再生」)、その実験を新しいTPO試料で繰り返す。結合および解離定数を「Bioevaluation」プログラムのLangmuirモデルを用いて決定する。以下の反応速度パラメータ:結合速度定数ka、解離速度定数kdおよび平衡解離定数KDを決定する。結合はRmax、すなわち飽和時に計算された最大結合も評価して決定する。反応速度の結果は3種類の異なるTPO固定レベルの平均から計算する。
【0178】
Biacore技術を使用して、CD20とCD20受容体との間での複合体形成の速度を決定する。この目的のために、CD20を3種類の異なるレベルでセンサチップ表面に固定化し、調査用のCD20およびCD20受容体を緩衝液中で再緩衝化し、試料を単一サイクルモードにおいて5種類の異なる濃度で注入する。固定化CD20とCD20受容体との間では均一な1:1相互作用であると仮定して、Biacore T200機器の「Bioevaluation」プログラムのLangmuirモデルを用いて、結合および解離定数を決定する。
【0179】
結合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)および平衡解離定数(=kd/ka)などのCD20とCD20受容体との相互作用を記述する反応速度パラメータを決定し、さらなる評価およびデータ比較を行う。PSA修飾タンパク質からのデータを未修飾のものと比較する。
【0180】
実施例17:表面プラズモン共鳴(SPR)によるトロンビン結合親和性の決定
トロンビン結合親和性を、以下のようにBiacore機器(GE Healthcare社、スウェーデンのウプサラ)を用いて分析する。
【0181】
トロンビンを3種類の密度でCMSバイオセンサーチップのフローセル上に固定化する。調査用のトロンビン試料を泳動用緩衝液(10mMのHepes、150mMのNaCl、0.05%のSurfactant P20、pH7.4)で一連の7種類の希釈度に希釈し(所与のタンパク質値に従って0.1~50nM×)、次いで50μL/分の一定の流速で「単一サイクル」モードを用いてチップに適用する。結合の時間は4分であり、解離の時間は10分であった。各サイクル後に、トロンビンをチップから除去し(「再生」)、その実験を新しいトロンビン試料で繰り返す。結合および解離定数を「Bioevaluation」プログラムのLangmuirモデルを用いて決定する。以下の反応速度パラメータ:結合速度定数ka、解離速度定数kdおよび平衡解離定数KDを決定する。結合はRmax、すなわち飽和時に計算された最大結合も評価して決定する。反応速度の結果は3種類の異なるTNF固定レベルの平均から計算する。
【0182】
Biacore技術を使用して、トロンビンとトロンボモジュリンとの間での複合体形成の速度を決定する。この目的のために、トロンビンを3種類の異なるレベルでセンサチップ表面に固定化し、調査用のトロンビンおよびトロンボモジュリン(または類似体、例えばSolulin)を緩衝液中で緩衝化し、試料を単一サイクルモードにおいて5種類の異なる濃度で注入する。固定化トロンビンとトロンボモジュリンとの間では均一な1:1相互作用であると仮定して、Biacore T200機器の「Bioevaluation」プログラムのLangmuirモデルを用いて、結合および解離定数を決定する。
【0183】
結合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)および平衡解離定数(=kd/ka)などのTNFと腫瘍壊死因子受容体との相互作用を記述する反応速度パラメータを決定し、さらなる評価およびデータ比較を行う。PSA修飾タンパク質からのデータを未修飾のものと比較する。
【0184】
実施例18:表面プラズモン共鳴(SPR)による腫瘍壊死因子(TNF)結合親和性の決定
TNF結合親和性を、以下のようにBiacore機器(GE Healthcare社、スウェーデンのウプサラ)を用いて分析する
【0185】
TNFを3種類の密度でCMSバイオセンサーチップのフローセル上に固定化する。調査用のTNF試料を泳動用緩衝液(10mMのHepes、150mMのNaCl、0.05%のSurfactant P20、pH7.4)で一連の7種類の希釈度に希釈し(所与のタンパク質値に従って0.1~50nM×)、次いで50μL/分の一定の流速で「単一サイクル」モードを用いてチップに適用する。結合の時間は4分であり、解離の時間は10分であった。各サイクル後に、TNFをチップから除去し(「再生」)、その実験を新しいTNF試料で繰り返す。結合および解離定数を「Bioevaluation」プログラムのLangmuirモデルを用いて決定する。以下の反応速度パラメータ:結合速度定数ka、解離速度定数kdおよび平衡解離定数KDを決定する。結合はRmax、すなわち飽和時に計算された最大結合も評価して決定する。反応速度の結果は3種類の異なるTNF固定レベルの平均から計算する。
【0186】
Biacore技術を使用して、TNFと腫瘍壊死因子受容体との間での複合体形成の速度を決定する。この目的のために、TNFを3種類の異なるレベルでセンサチップ表面に固定化し、調査用のTNFおよび腫瘍壊死因子受容体を緩衝液の中に再緩衝化し、試料を単一サイクルモードにおいて5種類の異なる濃度で注入する。固定化TNFと腫瘍壊死因子受容体との間では均一な1:1相互作用であると仮定して、Biacore T200機器の「Bioevaluation」プログラムのLangmuirモデルを用いて、結合および解離定数を決定する。
【0187】
結合速度定数(ka)、解離速度定数(kd)および平衡解離定数(=kd/ka)などのTNFと腫瘍壊死因子受容体との相互作用を記述する反応速度パラメータを決定し、さらなる評価およびデータ比較を行う。PSA修飾タンパク質からのデータを未修飾のものと比較する。
【0188】
実施例19:活性化プロテインCアッセイによるトロンボモジュリンに結合した際のトロンビン活性の決定
供給会社名を含む以下の材料を利用する。6~8週齢の雄のC57BL6Jマウスは、例えばJackson Laboratoriesから得て、ヒトAPCはHaemotologic Technologies社(米国バーモント州エセックス・ジャンクション)から、Spectrazyme PCaはAmerican Diagnostica社から、ウシトロンビンはGE Amersham Biosciences社から、組換えヒルジンはEMD Chemicals社から、ベンズアミジンHCl水和物およびウシ血清アルブミンV型はFisher Scientific社から、ブタの腸粘膜からのヘパリンはSigma社から、インビトロ実験のための96ウェルCostar(cat#3595)プレートおよびインビボ実験のための8ウェルEIA/RIA Corningストリップ(cat#2590)はFisher Scientific社から得ることができ、ヒトAPCに対するマウスモノクローナル抗体は商業的供給源から得ることができる。トロンボモジュリン活性の発色決定を使用する多くの現在の抗体は、Salemら,Journal of Biological Chemistry,Vol.259,No.19,pp.12246-12251(1984)に基づいており、これは参照により本明細書に組み込まれる。また市販されている発色アッセイBIOPHEN Protein C2.5もいくつかの実験で使用されており、Hyphen BioMed(オハイオ州ウェストチェスター)から得ることができる。
【0189】
インビトロでのヒトプロテインCの用量応答。ヒトプロテインC(32.25、64.5および322.5nM)を、1.7mL極小遠心管中でsTM(29.3nM)およびウシトロンビン(7.36nM)の0.1mLのPBS(w/Ca2+)溶液と共に10分間インキュベートする。25μlの一定分量を除去し、25μlの組換えヒルジン[0.25U/μl]に添加して96ウェルプレート内の各ウェルにおいてトロンビン活性を失活させる。50μlのスペクトラザイム(2μM)溶液を添加し、60分でのODを決定する。3つの独立した実験からの60分時点の値を平均する(N=3±SD)。ヒトプロテインCおよびウシトロンビンのモル濃度をそれぞれ62MWおよび36.7kDaに基づいて計算する。
【0190】
インビトロでのトロンボモジュリンの用量応答。ヒトプロテインC(64.5nM)を、1.7mLの極小遠心管中でsTM(0.293、2.93、29.3および1470nM)およびウシトロンビン(7.36nM)の0.1mLのPBS(w/Ca2+)溶液と共に10分間インキュベートする。25μlの一定分量を除去し、96ウェルプレート内の各ウェルに入れ、25μlの組換えヒルジン[0.25U/μl]および50μLのスペクトラザイム(2μM)溶液を添加し、60分でのODを決定する。60分時点での独立した実験の値を平均した(N=3±SD)。
【0191】
インビボでのヒトプロテインCの用量応答。25gマウスの場合、1.5mLの平均血液体積であると仮定する。sTM(29.3nM)およびウシトロンビン(7.36nM)を10分間プレインキュベートし、C57BL6Jマウスの頸静脈に注射した。その直後、ヒトプロテインC(32.25、64.5または322.5nM)を対側の頸静脈に注射する。10分後、血液を下大静脈から3.8%クエン酸ナトリウムおよびベンズアミジンHCl(v/v2:1)の中に採取し、600μlの採取した血液あたり100μlのクエン酸ナトリウム混合物を添加した。血液を1500×gで5分間遠心分離する。血漿を回収し、液体窒素中で急速冷凍し、使用するまで-80℃で貯蔵した。
【0192】
インビボでのトロンボモジュリンの用量応答。sTM(0.293、2.93、29.3および1470nM)およびウシトロンビン(7.36nM)を10分間プレインキュベートした後、C57BL6Jマウスの頸静脈に注射する。その直後、ヒトプロテインC(64.5nM)を対側の頸静脈に注射する。10分後、血液を下大静脈から3.8%クエン酸ナトリウムおよびベンズアミジンHCl(v/v2:1)の中に採取した。600μlの血液あたり100μlのクエン酸ナトリウム:ベンズアミジンHCl混合物を添加する。血漿を上記のとおり調製した。好適かつ関連するPKCアッセイ方法は、Camemolla,R.ら,J Immunol Methods.,2012年10月31日;384,(1-2),21-24,およびXu,H.ら,C.J Biol Chem 2005;280(9):7956-7961にも記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0193】
実施例20:抗体ベースのELISAによるヒトAPCの検出
20mMのHepes、150mMのNaCl、5mMのCaCl2、(pH7.5)中の抗ヒトAPC mAb 1555(5μg/mL)を高結合EIA/RIA8ウェルストリップに4℃で一晩結合させる。ウェルを20mMのHepes、150mMのNaCl、5mMのCaCl2、0.05%のTween-20(pH7.5)で2回洗浄し、20mMのHepes、150mMのNaCl、5mMのCaCl2、1%BSA(pH7.5)により室温で1時間ブロックする。次いでウェルをそれぞれ5分間で2回洗浄する。ヒトAPC標準物質[0~3200ng/mL]を、20mMのHepes、150mMのNaCl、15mMのCaCl2、0.1%のBSA、2U/mLのヘパリン、20mMのベンズアミジンHCl(pH7.5)(100μl/well)で1:4に希釈したマウス血漿中で調製した。バックグラウンド(抗体非特異性)を下げるために、ヒトAPC抗体[50μg/mL]でスパイクしたヒトAPC標準物質を平行して調製する。様々な用量のヒトPCまたはsTMが与えられたマウスからの血漿試料を標準物質と同様に調製する。標準物質および試料を室温で1時間インキュベートし、それぞれ5分間で4回洗浄する。100μlの1μMスペクトラザイム溶液(コーティング緩衝液で1:10に希釈されている)を各ウェルに添加し、405nmでのODを1分ごとに2時間測定した。ヒトAPCの生の値を過剰な抗ヒトAPC mAb[50μg/mL]の存在下で得られたヒトAPC値から差し引く。次いでAPC値を標準曲線に基づく一次方程式から推定する。ヒトAPC値[ng/mL]は、N=3~4±SDの平均として報告する。
【0194】
実施例21:脳血栓モデルにおけるPSA-トロンボモジュリン類似体(Solulin)活性
この実験では、本発明に従って調製した様々なPSA-トロンボモジュリンをマウス脳血栓モデルにおける生物活性について試験および比較する。これらの実験はSu,E.J.ら,2011,Journal of Thrombosis and Haemostasis,9,1174-1182,DOI:10.1111/j.1538-7836.2011.04269.xに記載されている方法に従って行い、これは参照により本明細書に組み込まれる。供給会社名を含む以下の材料を利用する。6~8週齢の雄C57BL6Jマウスは、例えばJackson Laboratoriesから得、ヒトAPCはHaemotologic Technologies社(米国バーモント州エセックス・ジャンクション)から得ることができ、Spectrazyme PCaはAmerican Diagnostica社から得ることができる。
【0195】
虚血性脳卒中モデル。雄(10週間)を抱水クロラール(450mg/kg)で麻酔し、解剖顕微鏡下にしっかりと固定して置く。左側のMCAを記載されているように露出し、レーザードップラーフロープローブ(N型:Transonic Systems社、米国ニューヨーク州イサカ)をMCAの分岐部から1.5mm背側正中に位置する大脳皮質の表面に置く。このプローブを流速計(TransonicモデルBLF21)に接続し、相対的組織灌流単位(TPU)を連続的なデータ取得プログラム(windaq社、dataq、米国オハイオ州アクロン)を用いて記録した。ローズベンガル(RB)(Fisher社)を乳酸リンゲル液で10mg/mLに希釈し、次いで尾静脈に注射する(50mg/kg)。3.5mWの緑色光レーザー(540nm;Melles Griot、米国ニューメキシコ州アルバカーキ)を6cm離れたところからMCAに向け、大脳皮質のTPUを記録した。TPUが予備閉塞レベルの<20%に低下し、かつレーザーの中止後10分以内にリバウンドしない場合に、安定な閉塞が達成される。
【0196】
PSA-Solulinの送達および脳血流量の追跡。PSA-Solulinを、尾静脈に挿入され、かつGenie Plusシリンジポンプ(Kent Scientific社、米国コネチカット州トリントン)に接続された26-G Abbocath(登録商標)-T血管カテーテル(Hospira社、米国イリノイ州レイクフォレスト)を介して投与する。マウスにRB注射の30分前あるいはMCAOから30分または60分後のいずれかに乳酸リンゲル液(対照)またはSolulinを投与する。量を決定する。
【0197】
全ての脳血流量(CBF)の追跡はRB注射の10分前に開始し、この時間での平均CBFを100%とみなし、これを使用してCBFを正規化する。0時間はRB注射時に設定する。MCAOから72時間後に、動物を抱水クロラール(450mg/kg)で再度麻酔し、手術部位を再度露出し、ドップラーフロープローブを前と同じように同じ位置に再度取り付けて72時間のCBFデータを得た。
【0198】
脳卒中体積を決定するために、脳を取り出して2mm厚の冠状方向切片に切断して、4%の2,3,5-トリフェニルテトラゾリウム塩化物(TTC)のリン酸緩衝食塩水(PBS)溶液を用いて37℃で20分間染色し、次いで10分間にわたって4%パラホルムアルデヒド溶液で固定する。NIH Image Jで以下の式:V%脳卒中=Σ(病変部の面積)/Σ(同側半球の面積)×100(式中、V%脳卒中は同側半球の割合として計算される脳卒中体積である)を用いて、これらの切片を分析する。
【0199】
ヘモグロビンアッセイ。MCAOから24時間に脳を取り出し、MCAOに対して同側半球と対側半球に分離し、各半球を氷上のPBS中で均質化した。均質化および混合後に、試料を23℃で5分間インキュベートし、次いで25000gおよび4℃で30分間遠心分離し、上澄みの吸光度を410nmで読み取り、精製したヘモグロビン標準(Sigma-Aldrich社、米国ミズーリ州セントルイス)に対してヘモグロビンを定量化する。
【0200】
免疫組織化学。MCAOから72時間後に安楽死させた媒体およびSolulin処置した動物からのパラフィン包埋した切片(5μm)を、Apoptagキット(Oncor社、米国メリーランド州ゲーサーズバーグ)を用い、製造業者の説明書に従って調べる。
【0201】
また本明細書の態様は以下のように記載することができる。
【0202】
病気、癌または免疫不全を治療する方法であって、有効量のPSA-タンパク質複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、PSA-複合体は、第IX因子(FIX)、第VIII因子(FVIII)、第VIIa因子(FVIIa)、フォンウィルブランド因子(VWF)、第FV因子(FV)、第X因子(FX)、第XI因子(FXI)、第XII因子(FXII)、トロンビン(FII)、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子(TF)、ADAMTS 13プロテアーゼ、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-11、コロニー刺激因子-1(CSF-1)、M-CSF、SCF、GM-CSF、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、EPO、インターフェロン-α(IFN-α)、コンセンサスインターフェロン、IFN-β、IFN-γ、IFN-ω、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-31、IL-32α、IL-33、トロンボポエチン(TPO)、Ang-1、Ang-2、Ang-4、Ang-Y、アンジオポエチン様ポリペプチド1(ANGPTL1)、アンジオポエチン様ポリペプチド2(ANGPTL2)、アンジオポエチン様ポリペプチド3(ANGPTL3)、アンジオポエチン様ポリペプチド4(ANGPTL4)、アンジオポエチン様ポリペプチド5(ANGPTL5)、アンジオポエチン様ポリペプチド6(ANGPTL6)、アンジオポエチン様ポリペプチド7(ANGPTL7)、ビトロネクチン、血管内皮増殖因子(VEGF)、アンジオゲニン、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、骨形成タンパク質-1、骨形成タンパク質-2、骨形成タンパク質-3、骨形成タンパク質-4、骨形成タンパク質-5、骨形成タンパク質-6、骨形成タンパク質-7、骨形成タンパク質-8、骨形成タンパク質-9、骨形成タンパク質-10、骨形成タンパク質-11、骨形成タンパク質-12、骨形成タンパク質-13、骨形成タンパク質-14、骨形成タンパク質-15、骨形成タンパク質受容体IA、骨形成タンパク質受容体IB、骨形成タンパク質受容体II、脳由来神経栄養因子、カルジオトロフィン-1、毛様体神経栄養因子、毛様体神経栄養因子受容体、Cripto、Cryptic、サイトカイン誘導好中球走化性因子1、サイトカイン誘導好中球走化性因子2α、サイトカイン誘導好中球走化性因子2β、β内皮細胞増殖因子、エンドセリン1、表皮増殖因子、エピジェン、エピレグリン、上皮由来好中球誘引物質、線維芽細胞増殖因子4、線維芽細胞増殖因子5、線維芽細胞増殖因子6、線維芽細胞増殖因子7、線維芽細胞増殖因子8、線維芽細胞増殖因子8b、線維芽細胞増殖因子8c、線維芽細胞増殖因子9、線維芽細胞増殖因子10、線維芽細胞増殖因子11、線維芽細胞増殖因子12、線維芽細胞増殖因子13、線維芽細胞増殖因子16、線維芽細胞増殖因子17、線維芽細胞増殖因子19、線維芽細胞増殖因子20、線維芽細胞増殖因子21、線維芽細胞増殖因子(酸性)、線維芽細胞増殖因子(塩基性)、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体α1、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体α2、増殖関連タンパク質、増殖関連タンパク質α、増殖関連タンパク質β、増殖関連タンパク質γ、ヘパリン結合性表皮増殖因子、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、肝細胞癌由来増殖因子、インスリン様増殖因子1、インスリン様増殖因子受容体、インスリン様増殖因子2、インスリン様増殖因子結合タンパク質、ケラチノサイト増殖因子、白血病阻害因子、白血病阻害因子受容体α、神経増殖因子、神経増殖因子受容体、ニューロポイエチン、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4、オンコスタチンM(OSM)、胎盤増殖因子、胎盤増殖因子2、血小板由来内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子A鎖、血小板由来増殖因子AA、血小板由来増殖因子AB、血小板由来増殖因子B鎖、血小板由来増殖因子BB、血小板由来増殖因子受容体α、血小板由来増殖因子受容体β、プレB細胞増殖刺激因子、幹細胞因子(SCF)、幹細胞因子受容体、TNF、TNF0、TNF1、TNF2、トランスフォーミング増殖因子α、トランスフォーミング増殖因子β、トランスフォーミング増殖因子β1、トランスフォーミング増殖因子β1.2、トランスフォーミング増殖因子β2、トランスフォーミング増殖因子β3、トランスフォーミング増殖因子β5、潜在型トランスフォーミング増殖因子β1、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質I、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質II、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質III、胸腺間質性リンホポエチン(TSLP)、腫瘍壊死因子受容体I型、腫瘍壊死因子受容体II型、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)、インスリン、レクチンリシン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲン活性化因子、IgG、IgE、IgM、IgAおよびIgD、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、フェチュイン、黄体形成ホルモン、エストロゲン、インスリン、アルブミン、リポタンパク質、フェトプロテイン、トランスフェリン、トロンボポエチン、ウロキナーゼ、インテグリン、トロンビン、レプチン、アダリムマブ、デノスマブまたはエタネルセプトから選択されるタンパク質に共有結合的に結合されたPSAを含む方法。
【0203】
病気、癌または免疫不全を治療する方法であって、有効量のPSA-タンパク質複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、PSA-複合体は、第IX因子(FIX)、第VIII因子(FVIII)、第VIIa因子(FVIIa)、フォンウィルブランド因子(VWF)、第FV因子(FV)、第X因子(FX)、第XI因子(FXI)、第XII因子(FXII)、トロンビン(FII)、プロテインC、プロテインS、tPA、PAI-1、組織因子(TF)、ADAMTS 13プロテアーゼ、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-11、コロニー刺激因子-1(CSF-1)、M-CSF、SCF、GM-CSF、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)、EPO、インターフェロン-α(IFN-α)、コンセンサスインターフェロン、IFN-β、IFN-γ、IFN-ω、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-31、IL-32α、IL-33、トロンボポエチン(TPO)、Ang-1、Ang-2、Ang-4、Ang-Y、アンジオポエチン様ポリペプチド1(ANGPTL1)、アンジオポエチン様ポリペプチド2(ANGPTL2)、アンジオポエチン様ポリペプチド3(ANGPTL3)、アンジオポエチン様ポリペプチド4(ANGPTL4)、アンジオポエチン様ポリペプチド5(ANGPTL5)、アンジオポエチン様ポリペプチド6(ANGPTL6)、アンジオポエチン様ポリペプチド7(ANGPTL7)、ビトロネクチン、血管内皮増殖因子(VEGF)、アンジオゲニン、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンC、骨形成タンパク質-1、骨形成タンパク質-2、骨形成タンパク質-3、骨形成タンパク質-4、骨形成タンパク質-5、骨形成タンパク質-6、骨形成タンパク質-7、骨形成タンパク質-8、骨形成タンパク質-9、骨形成タンパク質-10、骨形成タンパク質-11、骨形成タンパク質-12、骨形成タンパク質-13、骨形成タンパク質-14、骨形成タンパク質-15、骨形成タンパク質受容体IA、骨形成タンパク質受容体IB、骨形成タンパク質受容体II、脳由来神経栄養因子、カルジオトロフィン-1、毛様体神経栄養因子、毛様体神経栄養因子受容体、Cripto、Cryptic、サイトカイン誘導好中球走化性因子1、サイトカイン誘導好中球走化性因子2α、サイトカイン誘導好中球走化性因子2β、β内皮細胞増殖因子、エンドセリン1、表皮増殖因子、エピジェン、エピレグリン、上皮由来好中球誘引物質、線維芽細胞増殖因子4、線維芽細胞増殖因子5、線維芽細胞増殖因子6、線維芽細胞増殖因子7、線維芽細胞増殖因子8、線維芽細胞増殖因子8b、線維芽細胞増殖因子8c、線維芽細胞増殖因子9、線維芽細胞増殖因子10、線維芽細胞増殖因子11、線維芽細胞増殖因子12、線維芽細胞増殖因子13、線維芽細胞増殖因子16、線維芽細胞増殖因子17、線維芽細胞増殖因子19、線維芽細胞増殖因子20、線維芽細胞増殖因子21、線維芽細胞増殖因子(酸性)、線維芽細胞増殖因子(塩基性)、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体α1、グリア細胞株由来神経栄養因子受容体α2、増殖関連タンパク質、増殖関連タンパク質α、増殖関連タンパク質β、増殖関連タンパク質γ、ヘパリン結合性表皮増殖因子、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子受容体、肝細胞癌由来増殖因子、インスリン様増殖因子1、インスリン様増殖因子受容体、インスリン様増殖因子2、インスリン様増殖因子結合タンパク質、ケラチノサイト増殖因子、白血病阻害因子、白血病阻害因子受容体α、神経増殖因子、神経増殖因子受容体、ニューロポイエチン、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4、オンコスタチンM(OSM)、胎盤増殖因子、胎盤増殖因子2、血小板由来内皮細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、血小板由来増殖因子A鎖、血小板由来増殖因子AA、血小板由来増殖因子AB、血小板由来増殖因子B鎖、血小板由来増殖因子BB、血小板由来増殖因子受容体α、血小板由来増殖因子受容体β、プレB細胞増殖刺激因子、幹細胞因子(SCF)、幹細胞因子受容体、TNF、TNF0、TNF1、TNF2、トランスフォーミング増殖因子α、トランスフォーミング増殖因子β、トランスフォーミング増殖因子β1、トランスフォーミング増殖因子β1.2、トランスフォーミング増殖因子β2、トランスフォーミング増殖因子β3、トランスフォーミング増殖因子β5、潜在型トランスフォーミング増殖因子β1、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質I、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質II、トランスフォーミング増殖因子β結合タンパク質III、胸腺間質性リンホポエチン(TSLP)、腫瘍壊死因子受容体I型、腫瘍壊死因子受容体II型、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子受容体、ホスホリパーゼ活性化タンパク質(PUP)、インスリン、レクチンリシン、プロラクチン、絨毛性ゴナドトロピン、卵胞刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、組織プラスミノーゲン活性化因子、IgG、IgE、IgM、IgAおよびIgD、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、フェチュイン、黄体形成ホルモン、エストロゲン、インスリン、アルブミン、リポタンパク質、フェトプロテイン、トランスフェリン、トロンボポエチン、ウロキナーゼ、インテグリン、トロンビン、レプチン、ヒュミラ(アダリムマブ)、プロリア(デノスマブ)、あるいはその生物学的に活性な断片、誘導体またはバリアントから選択されるタンパク質に共有結合的に結合されたPSAを含む方法。
【0204】
HIVAを治療する方法であって、有効量のPSA-タンパク質複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、PSA-複合体は、gp120-gp41界面においてHIVエンベロープ糖タンパク質に結合するタンパク質に共有結合的に結合されたPSAを含む方法。
【0205】
病気、癌または免疫不全を治療する方法であって、有効量のPSA-タンパク質複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、PSA-複合体は、炭酸脱水酵素IX、α-フェトプロテイン、α-アクチニン-4、A3(A33抗体に特異的な抗原)、ART-4、B7、Ba-733、BAGE、BrE3抗原、CA125、CAMEL、CAP-1、CASP-8/m、CCCL19、CCCL21、CD1、CD1a、CD2、CD3、CD4、CDS、CD8、CD1-1A、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD29、CD30,CD32b、CD33、CD37、CD38、CD40、CD40L、CD45、CD46、CD54、CD55、CD59、CD64、CD66a~e、CD67、CD70、CD74、CD79a、CD80、CD83、CD95、CD126、CD133、CD138、CD147、CD154、CDC27、CDK-4/m、CDK 2A、CXCR4、CXCR7、CXCL12、HIF-1α、結腸特異的抗原p(CSAp)、CEA(CEACAM5)、CEACAM6、c-Met、DAM、EGFR、EGFRvIII、EGP-1、EGP-2、ELF2-M、Ep-CAM,Flt-1、Flt-3、葉酸受容体、G250抗原、GAGE、GROB、HLA-DR、HM1.24、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(HCG)およびそのサブユニット、HER2/neu、HMGB-1、低酸素誘導因子(HIF-1)、HSP70-2M、HST-2もしくは1a、IGF-1R、IFN-γ、IFN-α、IFN-β、IL-2、IL-4R、IL-6R、IL-13R、IL-15R、IL-17R、IL-18R、IL-6、IL-8、IL-12、IL-15、IL-17、IL-18、IL-25、インスリン様増殖因子-1(IGF-1)、KC4-抗原、KS1-抗原、KS1-4、Le-Y、LDR/FUT、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)、MAGE、MAGE-3、MART-1、MART-2、NY-ESO-1、TRAG-3、mCRP、MCP-1、MIP-1A、MIP-1B、MIF、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、MUC5、MUM-1/2、MUM-3、NCA66、NCA95、NCA90、膵臓癌ムチン、胎盤増殖因子、p53、PLAGL2、前立腺性酸性ホスファターゼ、PSA、PRAME、PSMA、P1GF、ILGF、ILGF-1R、IL-6、IL-25、RS5、RANTES、T101、SAGE、S100、サバイビン、サバイビン2B、TAC、TAG72、テネイシン、TRAIL受容体、TNF-α、Tn抗原、トムゼン・フリーデンライヒ抗原、腫瘍壊死抗原、VEGFR、ED-Bフィブロネクチン、WT-1、17-lA-抗原、補体因子C3、C3a、C3b、C5a、C5、血管新生マーカー、bcl-2、bcl-6、Kras、cMET、癌遺伝子マーカーおよび癌遺伝子産物から選択されるタンパク質に共有結合的に結合されたPSAを含む方法。
【0206】
病気、癌または免疫不全を治療する方法であって、有効量のPSA-タンパク質複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、PSA-複合体は、メソテリンを認識する抗体または結合タンパク質に共有結合的に結合されたPSAを含む方法。
【0207】
病気、癌または免疫不全を治療する方法であって、有効量のPSA-タンパク質複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、PSA-複合体は、メタロプロテイナーゼ、スブチラーゼまたはリパーゼ、トリアシルグリセロールリパーゼ、スブチラーゼ、メタロプロテイナーゼ、コリンエステラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、ブチリルコリンエステラーゼ、トリプシン、サブチリシン、サーモリシンまたはCT、コリンエステラーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、ブチリルコリンエステラーゼ、スブチラーゼ、サブチリシン、サーモリシン、リパーゼ、トリアシルグリセロールリパーゼ、メタロプロテイナーゼ、キモトリプシン、-キモトリプシンまたはトリプシンを含むエステラーゼ群、キモトリプシン-pDMAEMA(CT-pDMAEMA)複合体、メタロプロテイナーゼ-pOEGMA複合体、サーモリシン-pOEGMA複合体、サブチリシン-イオン液体ポリマー複合体、スブチラーゼ-イオン液体ポリマー複合体またはリパーゼ-pDMAA複合体を含むエステラーゼ-ポリマー複合体などの酵素ポリマー複合体からの酵素から選択される、タンパク質に共有結合的に結合されたPSAを含む方法。
【0208】
病気、癌または免疫不全を治療する方法であって、有効量のPSA-タンパク質複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、PSA-複合体は、以下の抗体:トラスツズマブおよびペルツズマブなどの抗HER2モノクローナル抗体、リツキシマブ、オファツムマブ、トシツモマブおよびイブリツモマブなどの抗CD20モノクローナル抗体、オレゴボマブなどの抗CA125モノクローナル抗体、エドレコロマブなどの抗EpCAM(17-1A)モノクローナル抗体、セツキシマブ、パニツムマブおよびニモツズマブなどの抗EGFRモノクローナル抗体、ブレンツキシマブなどの抗CD30モノクローナル抗体、ゲムツズマブおよびhuMy9-6などの抗CD33モノクローナル抗体、エタラシズマブなどの抗血管新生インテグリンαvβ3モノクローナル抗体、5アレムツズマブなどの抗CD52モノクローナル抗体、エピラツズマブなどの抗CD22モノクローナル抗体、ラベツズマブなどの抗CEAモノクローナル抗体、ビバツズマブなどの抗CD44v6モノクローナル抗体、シブロツズマブなどの抗FAPモノクローナル抗体、huB4などの抗CD19モノクローナル抗体、huC242などの抗CanAgモノクローナル抗体、huN901などの抗CD56モノクローナル抗体、ダラツムマブなどの抗CD38モノクローナル抗体、DS6などの抗CA6モノクローナル抗体10、シクスツムマブおよび3B7などの抗IGF-IRモノクローナル抗体、CNTO 95などの抗インテグリンモノクローナル抗体およびB-B4などの抗シンデカン-1モノクローナル抗体を含む抗体-薬物複合体に共有結合的に結合されたPSAを含む方法。
【0209】
病気、癌または免疫不全を治療する方法であって、有効量のPSA-タンパク質複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、PSA-複合体は、抗体ではない以下の結合化合物を含む結合分子-薬物複合体に共有結合的に結合されたPSAを含み、抗体以外の結合タンパク質は、限定されるものではないが、IFN-a、IFN-f3およびIFN-yなどのインターフェロン、トランスフェリン、表皮増殖因子(EGF)およびEGF様ドメイン、ガストリン放出ペプチド(GRP)、血小板由来増殖因子(PDGF)、トランスフォーミング増殖因子(TGF)、ワクシニア増殖因子(VGF)、インスリンならびにIGF-1およびIGF-2などのインスリン様増殖因子(IGF)、チロトロピン放出ホルモン(TRH)、メラニン細胞刺激30ホルモン(MSH)、ステロイドホルモン(例えば、エストロゲンおよびアンドロゲン)およびソマトスタチンなどの他の好適なホルモン、IL-2、IL-3、IL-4およびIL-6などのリンホカイン、G-CSF、M-CSFおよびGM-CSFなどのコロニー刺激因子(CSF)、ボンベシン、ガストリンおよび葉酸などの、リガンド-薬物複合体のための細胞結合リガンドとしても使用することができる方法。
【0210】
病気、癌または免疫不全を治療する方法であって、有効量のPSA-トロンビン複合体をそれを必要とする患者に投与することを含み、PSA-トロンビン複合体はトロンビンに共有結合的に結合されたPSAを含む方法。
【0211】
本発明者(ら)に公知の本発明を実施するための最良の形態を含む本発明の特定の実施形態が本明細書に記載されている。当然ながら、これらの記載されている実施形態に対する変形は、上記説明を読めば当業者に明らかになるであろう。本発明者(ら)は、当業者がそのような変形を適宜用いることを期待しており、本発明者(ら)は、本明細書に具体的に記載されているものとは異なる方法で本発明が実施されることを意図している。従って本発明は、本明細書に添付されている特許請求の範囲に列挙されている主題の全ての修正および均等物を適用法により認められるものとして含む。さらに、本明細書に特に記載がない限り、あるいは文脈と明らかに矛盾しない限り、その全ての可能な変形における上記実施形態の任意の組み合わせが本発明によって包含される。
【0212】
本発明の他の実施形態、要素または工程のグループ化は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。各グループの構成要素は個々に、あるいは本明細書に開示されている他のグループの構成要素との任意の組み合わせで言及および特許請求することができる。グループの1つ以上の構成要素は、便宜上および/または特許性のためにグループに含めたり、そこから削除したりすることができるものと予想される。任意のそのような包含または削除が生じた場合、本明細書は、そのグループを修正されたものとして含み、従って、添付の特許請求の範囲に使用されている全てのマーカッシュ群の記載を満たすものとみなされる。
【0213】
特に記載がない限り、本明細書および特許請求の範囲に使用されている特性、項目、量、パラメータ、性質および用語などを表わす全ての数は、「約」という用語により、全ての場合に修正されるものとして理解されるべきである。本明細書で使用される「約」という用語は、そのように修飾された特性、項目、量、パラメータ、性質または用語が、その記載されている特性、項目、量、パラメータ、性質または用語の値の上下±10%の範囲を包含することを意味する。従って特に矛盾した記載がない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、変動し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとするものではなく、各数値の表示は、少なくとも、報告されている有効数字の数を考慮し、かつ通常の丸め技術を適用して解釈されるべきである。本発明の広い範囲を示す数値範囲および数値が近似値であっても、具体例に示されている数値範囲および数値は、可能な限り正確に報告されている。但し、あらゆる数値範囲または数値は本質的に、それらのそれぞれの試験測定値に認められる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を含む。本明細書における値の数値範囲の記載は単に、その範囲に含まれる各個別の数値を個々に述べるのを省略する方法としての役割を担うものである。特に本明細書に記載がない限り、数値範囲の各個々の値は、あたかも本明細書に個々に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。同様に本明細書で使用される「実質的に」という用語は特に矛盾した記載がない限り、そのように修飾されている特性、項目、量、パラメータ、性質の近似値を示すことが意図されている程度に関する用語であり、当業者によって理解および解釈することができる範囲を包含する。
【0214】
一実施形態または一実施形態の態様を参照する際の「~してもよい」または「~することができる」という用語の使用は、「~しなくてもよい」または「~することはできない」という二者択一的な意味もそれにより有する。従って、本明細書が一実施形態または一実施形態の態様を本発明の主題の一部として含めてもよいこと、あるいは含めることができることを開示している場合、否定的限定または排他的条件も明示的に意味されており、一実施形態または一実施形態の態様を本発明の主題の一部として含めなくてもよい、あるいは含めることができないことを意味する。同様の方法で、一実施形態または一実施形態の態様に言及する際の「任意に」という用語の使用は、そのような実施形態またはそのような実施形態の態様を本発明の主題の一部として含めてもよいこと、または本発明の主題の一部として含めなくてもよいことを意味する。そのような否定的限定または排他的条件が適用されるか否かは、否定的限定または排他的条件が特許請求されている主題に列挙されているか否かに基づく。
【0215】
本発明を記載する文脈(特に、以下の特許請求の範囲の文脈)に使用されている「1つの(a)」「1つの(an)」「その(前記)(the)」という用語および同様の言及は、本明細書に特に記載がない限り、あるいは文脈と明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含するものとして解釈されるべきである。さらに、特定される要素のための「第1の」「第2の」「第3の」などの序数標識は、それらの要素を区別するために使用されており、特に具体的な記載がない限り、そのような要素の必要な数または限定された数を指示または暗示するものではなく、そのような要素の特定の位置または順序を指示するものではない。本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書に特に記載がない限り、あるいは文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書に提供されているありとあらゆる例または例を表わす言葉(例えば「など」)の使用は、単に本発明をより明らかにするためのものであり、特許請求の範囲に別段の記載がない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中のいずれの言葉も、本発明の実施に必須なあらゆる特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0216】
特許請求の範囲に使用されている場合は、出願の際であるのか補正による追加の際であるのかに関わらず、非限定的移行句「~を含む(comprising)」は(「~を備える(含む)(including)」、「~を含有する(含む)(containing」)および「~を有する(having)などのその同等の非限定的移行句」と共に)、単独または列挙されていない主題と組み合わせた全ての明示的に列挙されている要素、限定、工程および/または特徴を包含し、列挙されている要素、限定および/または特徴は必須であるが、他の列挙されていない要素、限定および/または特徴が追加されてもよく、特許請求の範囲内の構成をなお形成している。本明細書に開示されている具体的な実施形態は、「~を含む(comprising)」の代わりまたは補正として限定的移行句「~からなる(consisting of)」または「本質的に~からなる(consisting essentially of)」を用いて特許請求の範囲においてさらに限定されている場合がある。特許請求の範囲で使用されている場合、出願の際であるのか補正による追加の際であるのかに関わらず、限定的移行句「~からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲において明示的に列挙されていないあらゆる要素、限定、工程または特徴を排除する。「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という限定的移行句は、特許請求の範囲を明示的に列挙されている要素、限定、工程および/または特徴ならびに特許請求されている主題の基本的および新規な特性に実質的に影響を与えないあらゆる他の要素、限定、工程および/または特徴に限定する。従って、「~を含む(comprising)」という非限定的移行句の意味は、具体的に列挙されている要素、限定、工程および/または特徴ならびにあらゆる任意のさらなる明記されていないものを全て包含するものとして定義される。「~からなる(consisting of)」という限定的移行句の意味は、特許請求の範囲に具体的に列挙されている要素、限定、工程および/または特徴のみを含むものとして定義されるが、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という限定的移行句の意味は、特許請求の範囲に具体的に列挙されている要素、限定、工程および/または特徴ならびに特許請求されている主題の基本的および新規な特性に実質的に影響を与えない要素、限定、工程および/または特徴のみを含むものとして定義される。従って、「~を含む(comprising)」という非限定的移行句は(その同等の非限定的移行句と共に)、その意味の範囲内で極限の場合として、「~からなる(consisting of)」または「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という限定的移行句によって明記されている特許請求されている主題を含む。従って、「~を含む(comprising)」という語句と共に本明細書に記載されているかそのように特許請求されている実施形態は、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」および「~からなる(consisting of)」という語句のために明示的または本質的に明白に記載され、使用可能であり、かつ支持されている。
【0217】
本明細書で言及および特定されている全ての特許、特許公開公報および他の刊行物の内容全体が、例えば、本発明に関して使用され得るそのような刊行物に記載されている組成物および方法論を記載および開示するために参照により個々に、かつ明示的に本明細書に組み込まれる。これらの刊行物は単に、本出願の出願日より前のそれらの開示のために提供されている。この点に関してはいずれも、本発明者(ら)が、先願発明により、あるいはあらゆる他の理由のために、そのような開示に先行する権利がないということを認めるものとして解釈されるべきではない。これらの文献の日付に関する全ての記載または内容に関する表現は、本出願人に利用可能な情報に基づくものであり、これらの文献の日付または内容の正確性に関するいかなる承認も構成するものではない。
【表1】
【手続補正書】
【提出日】2021-10-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】