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特表2022-519589ゴム代替物品および履物構成要素としてのそれらの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】ゴム代替物品および履物構成要素としてのそれらの使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 75/04 20060101AFI20220316BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20220316BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20220316BHJP
   C08L 23/12 20060101ALI20220316BHJP
   C08K 7/16 20060101ALI20220316BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20220316BHJP
   B29C 64/10 20170101ALI20220316BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20220316BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20220316BHJP
   A43B 13/04 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
C08L75/04
C08K3/013
C08L23/06
C08L23/12
C08K7/16
C08G18/10
B29C64/10
B33Y70/00
B33Y80/00
A43B13/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545390
(86)(22)【出願日】2020-02-03
(85)【翻訳文提出日】2021-09-08
(86)【国際出願番号】 US2020016412
(87)【国際公開番号】W WO2020163233
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】16/266,894
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399074983
【氏名又は名称】ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ミレロ, エドワード アール. ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】クチュコ, シンシア
(72)【発明者】
【氏名】カバガンベ, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ウィンターズ, クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】クラリック, ロナルド ジェイ. ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ドナルドソン, スーザン ファンディ
(72)【発明者】
【氏名】ブレオン, ジョナサン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ, ホンイン
(72)【発明者】
【氏名】フェン, シュードン
【テーマコード(参考)】
4F050
4F213
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4F050BA43
4F050HA55
4F050HA60
4F050HA73
4F213AA04
4F213AA11
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4J034CA05
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4J034CC22
4J034CC23
4J034CC26
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4J034JA42
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC17
4J034KD02
4J034KE02
(57)【要約】
硬化性組成物から調製されるゴム代替物品が提供される。硬化性組成物は、イソシアネート官能性プレポリマーと、少なくとも1つのポリアミンが125~250のアミン当量を有する、ポリアミンの混合物を含む硬化剤と、少なくとも5ミクロンの体積平均粒径を示す有機粒子を含む耐摩損性添加剤と、を含む。イソシアネート官能性プレポリマーは、(i)ポリイソシアネートと一級アミノ基および/もしくは二級アミノ基を有するポリアミンとの反応生成物、ならびに/または(ii)ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム代替物品であって、
(a)イソシアネート官能性プレポリマーであって、(i)ポリイソシアネートと一級アミノ基および/もしくは二級アミノ基を有するポリアミンとの反応生成物、ならびに/または(ii)ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物、を含む、イソシアネート官能性プレポリマーと、
(b)ポリアミンの混合物を含む硬化剤であって、前記硬化剤中の少なくとも1つのポリアミンが、125~250のアミン当量を有する、硬化剤と、
(c)有機粒子を含む耐摩損性添加剤であって、前記有機粒子が、少なくとも5ミクロンの体積平均粒径を示す、耐摩損性添加剤と、
を含む硬化性組成物から調製される、ゴム代替物品。
【請求項2】
125~250のアミン当量を有する前記硬化剤中の少なくとも1つのポリアミンが、二級アミノ基を含む非環状ポリアミンである、請求項1に記載のゴム代替物品。
【請求項3】
前記耐摩損性添加剤が、前記組成物の総固形分重量に基づいて、0.25~9重量パーセントの範囲の量で前記組成物中に存在する、請求項1に記載のゴム代替物品。
【請求項4】
前記イソシアネート官能性プレポリマーを調製するために使用される前記ポリイソシアネートが、脂肪族である、請求項1に記載のゴム代替物品。
【請求項5】
イソシアネート官能性プレポリマーが、300超のイソシアネート当量を有する、請求項1に記載のゴム代替物品。
【請求項6】
前記硬化剤が、125~250のアミン当量を有する5~50重量パーセントの脂肪族ポリアミンと、900~2,500のアミン当量を有する50~95重量パーセントの脂肪族ポリアミンと、を含む、請求項1に記載のゴム代替物品。
【請求項7】
前記有機粒子が、化学的に不活性であり、未処理であり、かつコーティングされていない粒子を含む、請求項1に記載のゴム代替物品。
【請求項8】
前記有機粒子が、ポリエチレン、ポリプロピレン、および/または飽和直鎖一級アルコール(平均炭素鎖長がC20~C50である)を含む、請求項1に記載のゴム代替物品。
【請求項9】
前記ゴム代替物品が、履物構成要素を含む、請求項1に記載のゴム代替物品。
【請求項10】
125~250のアミン当量を有する前記硬化剤中の少なくとも1つのポリアミンが、二級アミノ基を含む非環状ポリアミンである、請求項9に記載のゴム代替物品。
【請求項11】
前記耐摩損性添加剤が、前記組成物の総固形分重量に基づいて、0.25~9重量パーセントの範囲の量で前記組成物中に存在する、請求項9に記載のゴム代替物品。
【請求項12】
前記イソシアネート官能性プレポリマーを調製するために使用される前記ポリイソシアネートが、脂肪族である、請求項9に記載のゴム代替物品。
【請求項13】
イソシアネート官能性プレポリマーが、300超のイソシアネート当量を有する、請求項9に記載のゴム代替物品。
【請求項14】
前記硬化剤が、125~250のアミン当量を有する5~50重量パーセントの脂肪族ポリアミンと、900~2,500のアミン当量を有する50~95重量パーセントの脂肪族ポリアミンと、を含む、請求項9に記載のゴム代替物品。
【請求項15】
前記有機粒子が、化学的に不活性であり、未処理であり、かつコーティングされていない粒子を含む、請求項9に記載のゴム代替物品。
【請求項16】
前記有機粒子が、ポリエチレン、ポリプロピレン、および/または飽和直鎖一級アルコール(平均炭素鎖長がC20~C50である)を含む、請求項9に記載のゴム代替物品。
【請求項17】
前記履物構成要素が、25.4~254ミクロンの乾燥膜厚を示す、請求項9に記載のゴム代替物品。
【請求項18】
前記履物構成要素の少なくとも1つの表面に塗布された接着層をさらに備え、前記接着層が、接着促進剤および/またはエポキシ樹脂とポリチオールとの反応生成物を含む、請求項9に記載のゴム代替物品。
【請求項19】
前記接着層が、有機チタネートまたはジルコネートを含む接着促進剤を含む、請求項18に記載のゴム代替物品。
【請求項20】
前記ゴム代替物品が、前記物品が完全に形成されるまで、少なくとも2つの共反応性成分を基材上に堆積させることによって、前記物品の少なくとも1つの部分または断面層を形成することによって、前記物品を3D印刷することによって調製され、第1の共反応性成分が、前記イソシアネート官能性プレポリマー(a)を含み、第2の共反応性成分が、前記硬化剤(b)を含む、請求項1に記載のゴム代替物品。
【請求項21】
3D印刷することによって、請求項1に記載のゴム代替物品を調製する方法であって、
(a)少なくとも2つの共反応性成分を基材上に堆積させて、前記物品の断面層を形成するステップと、
(b)必要ならば、予め塗布した前記層の少なくとも一部分にわたって、前記共反応性成分の追加層を堆積させるステップと、
(c)前記物品が完全に形成されるまでステップ(b)を繰り返すステップと、
(d)必要に応じて、前記物品を前記基材から除去するステップと、を含み、第1の共反応性成分が、前記イソシアネート官能性プレポリマー(a)を含み、第2の共反応性成分が、前記硬化剤(b)を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年11月9日に出願され、「CURABLE COMPOSITIONS AND THEIR USE AS COATINGS AND FOOTWEAR COMPONENTS」と題する米国特許出願第15/346,853号の一部継続出願である。本出願はまた、2018年5月9日に出願され、「CURABLE COMPOSITIONS AND THEIR USE AS COATINGS AND FOOTWEAR COMPONENTS」と題するPCT国際特許出願第PCT/US2018/031855号の一部継続出願である。前述の特許出願の両方は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、硬化性組成物から調製されるゴム代替物品を対象とする。
【背景技術】
【0003】
背景
硬化性組成物は、多くの場合、多種多様な産業において、コーティングおよび成形または押出成形された物品として使用される。かかる産業としては、車、トラック、スポーツユーティリティビークル、オートバイなどの陸上機;ボート、船舶、および潜水艦などの水上機;飛行機およびヘリコプターなどの航空機、商用機器ならびに壁および屋根を含む構造物などの産業用機器;建設ビークルならびに壁および屋根を含む構造物などの構築物、軍用ビークルなどの軍用車両、ならびに壁および屋根を含む軍用構造物、例えば、弾薬ケースおよびバッテリー筐体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0004】
硬化性組成物はまた、履物および他の産業においてゴム代替材として使用することもできる。靴などの履物は、一般にアッパーおよびソールの2つの部品に分けられる。アッパーは、足を快適に囲むように設計された履物の一部であり、インソール、必要に応じて、ミッドソール、およびアウトソールを典型的に含むソールは、牽引、保護、緩衝、および/または耐久性のある摩耗面を提供するように設計された履物の一部である。
【0005】
アッパーは、典型的には、多くの異なる構成要素で構成され、多くの場合、異なる材料で作製される。かかる材料には、例えば、天然皮革、合成皮革、ビニル、およびナイロンなどの布地が含まれ、他の布も使用され得る。多くのアッパー構成要素、特に「つま先」は、靴の通常の使用中でも摩耗および/または摩損を経験することがある。
【0006】
同様に、ソールは、多くの場合、異なる材料で作製された異なる構成要素を含む。ミッドソールは、典型的には、エチレン酢酸ビニル(EVA)フォームまたはTPUフォームなどのポリウレタンフォームなどのフォームで作製される。これらの材料は、身体活動中に足および脚によって生み出される力などの印加された負荷下で弾性的に圧縮する。多くの靴、特に運動靴は、例えば、ミッドソール、アウトソールなどの別の靴構成要素内の充填された緩衝装置またはブラダーを含む。ブラダーは、履物の着用者に追加の緩衝を提供するために耐性圧縮可能なポリマー性材料で作製された膨張性挿入物であり得る。これらのブラダーは、例えば、ゲル、水、または空気もしくは窒素などの他の流体で充填することができる。アウトソールは、多くの場合、シリカ充填ゴム組成物などの合成ゴムおよび/または天然ゴムで作製される。アウトソールはまた、靴の通常の使用中でも摩耗および/または摩損を経験することもある。
【0007】
したがって、摩耗、摩損、および/または他の損傷に対する靴構成要素ならびに他の消費者物品の耐性および/または耐久性の改善が所望される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
本発明は、ゴム代替物品であって、(a)イソシアネート官能性プレポリマーであって、(i)ポリイソシアネートと一級アミノ基および/もしくは二級アミノ基を有するポリアミンとの反応生成物、ならびに/または(ii)ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物、を含む、イソシアネート官能性プレポリマーと、(b)ポリアミンの混合物を含む硬化剤であって、硬化剤中の少なくとも1つのポリアミンが、125~250のアミン当量を有する、硬化剤と、(c)有機粒子を含む耐摩損性添加剤と、を含む硬化性組成物から調製された、ゴム代替物品を対象とする。有機粒子は、少なくとも5ミクロンの体積平均粒径を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
本明細書で使用するとき、別途明示的に指定されない限り、値、範囲、量、またはパーセンテージを表すものなどのすべての数は、用語が明示的に現れなくても、「約」という語によって前置きされているかのように読み取られ得る。本明細書に列挙される任意の数値範囲は、その中に含有されるすべてのサブ範囲を含むことが意図されている。複数形は、単数形を包含し、逆もまた同様である。「含む」および同様の用語は、オープンエンドであり、すなわち、それらは、「含むが、これらに限定されない」ことを意味する。例えば、本発明は、「a」ポリウレア、「a」ポリウレタン、「a」イソシアネート、「a」アミン、「a」ポリオール、「a」ポリチオール、「a」プレポリマー、「a」触媒などの点で特許請求の範囲を含む、本明細書に記載されているが、そのようなもののすべての混合物を使用することができる。また、本明細書で使用するとき、「ポリマー」という用語は、プレポリマー、オリゴマー、ならびにホモポリマーおよびコポリマーの両方を指すことを意味し、接頭辞「ポリ」とは、2つまたは2つより多くを指す。
【0010】
本明細書における任意のモノマー(複数可)への言及は、一般に、別のモノマーまたはポリマーなどの別の重合性化合物と重合させることができるモノマーを指す。別途示されない限り、モノマー成分が互いに反応して化合物を形成すると、化合物は、モノマー成分の残基を含むことを理解されたい。
【0011】
本発明のゴム代替物品を調製するために使用される硬化性組成物は、(a)イソシアネート官能性プレポリマーを含む。イソシアネート官能性プレポリマーは、(i)ポリイソシアネートと一級アミノ基および/もしくは二級アミノ基を有するポリアミンとの反応生成物、ならびに/または(ii)ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物を含む。リストで使用されるとき、「および/または」という語句は、リスト中の各個々の構成要素、および構成要素の任意の組み合わせを含む代替的な実施形態を包含することを意味することに留意されたい。例えば、リスト「A、B、および/またはC」は、A、またはB、またはC、またはA+B、またはA+C、もしくはB+C、またはA+B+Cを含む7つの別の実施形態を包含することを意味する。また、本明細書で使用するとき、「イソシアネート官能性プレポリマー」は、ポリイソシアネートと、ポリアミンおよび/もしくはポリオール、ならびに必要に応じて、チオールなどの他のイソシアネート反応性基との反応生成物を指し、イソシアネート官能性プレポリマーは、少なくとも1つの遊離イソシアネート官能基(NCO)を有する。本発明に従って、イソシアネート官能性プレポリマーの組み合わせを使用することができる。イソシアネート官能性プレポリマーを調製するために使用される反応混合物は、通常、任意のリン含有ポリオールを本質的に含まない。硬化性組成物はまた、通常、リン含有ポリオールまたはその反応生成物を本質的に含まない。特許請求の範囲を含む本明細書全体で使用するとき、「本質的に含まない」とは、化合物が意図的に組成物中に存在しないことを意味し、化合物が組成物中に存在する場合、化合物は、0.1重量パーセント未満、通常は微量未満の量で偶発的に存在する。
【0012】
本明細書で使用するとき、「硬化する」および「硬化性」という用語は、組成物の任意の架橋性成分が、化学反応を介して少なくとも部分的に架橋されているか、または架橋されていてもよい組成物を指す。例えば、架橋性成分の架橋密度(すなわち、架橋の程度)は、完全な架橋の5%~100%、例えば、少なくとも5%、または少なくとも35%、または少なくとも50%、および多くとも100%、または多くとも85%の範囲である。当業者は、架橋の存在および程度、すなわち、架橋密度は、窒素下で行われるPolymer Laboratories MK III DMTA分析装置を使用した動的機械的熱分析(DMTA)などの種々の方法によって決定できることを理解するであろう。
【0013】
本明細書で使用するとき、「イソシアネート」という用語は、ヒドロキシル基、チオール基、またはアミン官能基などの反応性基と共有結合を形成することができる遮断されていないイソシアネート化合物を含む。したがって、イソシアネートは、「遊離イソシアネート」を指すことができる。あるいは、イソシアネートは、任意の既知の遮断剤で遮断し得る。
【0014】
イソシアネート官能性プレポリマーの調製に使用するのに好適なポリイソシアネートは、当技術分野で既知のもののうちの1つまたは1つより多くを含むことができる。好適なポリイソシアネートの非限定的な例としては、単量体、二量体、三量体、および/またはオリゴマーポリイソシアネートを挙げることができる。例えば、イソシアネートは、C-C20直鎖、分岐状、環状、芳香族、脂肪族、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0015】
イソシアネート官能性プレポリマーを調製するために使用されるポリイソシアネートは、多くの場合、脂肪族である。好適なポリイソシアネートの例としては、3,3,5-トリメチル-5-イソシアナト-メチル-シクロヘキシルイソシアネートであるイソホロンジイソシアネート(IPDI);シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’-メチレンジシクロヘキシルジイソシアネート(H12MDI)などの水素化材料;1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、1,7-ヘプタメチレンジイソシアネート、2,2,4-および2,4,4-トリメチレンヘキサメチレンジイソシアネート、1,10-デカメチレンジイソシアネート、および2-メチル-1,5-ペンタメチレンジイソシアネートなどのポリメチレンイソシアネート;ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0016】
芳香族ポリイソシアネートの例としては、フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、クロロフェニレン2,4-ジイソシアネート、ビトルエンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、アルキル化ベンゼンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネートなどのメチレン中断芳香族ジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートなどのアルキル化類似体を含む4,4’-異性体(MDI)、ポリマー性メチレンジフェニルジイソシアネート;テトラメチルキシリルジイソシアネートなどの混合アラルキルジイソシアネート、OCN-C(CH-CC(CH-NCO;およびこれらの混合物が挙げられる。
【0017】
イソシアネート官能性プレポリマーを調製するために使用されるポリイソシアネートは、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオンなどの二量体、1,6-ヘキサンジイソシアネートのビウレットおよびイソシアヌレートなどの三量体、ならびにイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート、ならびにアロホネートを含むことができる。カルボジイミドおよびウレトン-イミン、ならびにそれらの混合物を含む修飾イソシアネートも使用することができる。好適な材料としては、Covestro LLCからDESMODURという名称で入手可能なものが挙げられ、DESMODUR N 3200、DESMODUR N 3300、DESMODUR N 3400、DESMODUR N 3900、およびDESMODUR XP 2580が挙げられるが、これらに限定されない。Vencorex Chemicalsから入手可能なTOLONATE HDT LV2もまた好適である。イソシアネート官能性アクリルも使用することができる。
【0018】
イソシアネート官能性プレポリマー(a)中の樹脂固形分の総重量に基づいて、過剰量、多くの場合、10重量パーセント超でポリイソシアネートを使用することが有利である。過剰のポリイソシアネートは、硬化性組成物中の可塑剤として機能する。
【0019】
ポリイソシアネートを、(i)一級および/もしくは二級アミノ基を有するポリアミン、ならびに/または(ii)ポリオールと反応させる。ポリアミンおよびポリオールは、アクリル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリブタジエン、および/またはポリエーテルなどの当技術分野で既知のもののいずれかであり得る。ポリエーテルが最も多く使用される。好適なポリエーテルとしては、例えば、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、ブチレンオキシド、またはこれらの混合物に由来する、骨格に結合した2つもしくは2つより多くの一級および/または二級アミノ基を有するポリオキシアルキレンアミンが挙げられる。かかるアミンの例としては、JEFFAMINE D-230、D-400、D-2000、HK-511、ED-600、ED-900、ED-2003、T-403、T-3000、T-5000、SD-231、SD-401、SD-2001、およびST-404(Huntsman Corporationから)などのJEFFAMINEの名称で入手可能なものが挙げられる。かかるアミンは、200~7500の範囲のおよその数平均分子量を有する。本明細書で使用するとき、ポリマーおよびオリゴマーの数または重量平均分子量は、ポリスチレン標準を使用するゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。
【0020】
ヒドロキシル基を有する好適なポリエーテルとしては、ポリアルキレンエーテルポリオールなどのポリエーテルポリオールが挙げられ、以下の構造式を有するものを含む:
【化1】
または
【化2】
式中、置換基R1は、混合置換基を含む1~5個の炭素原子を含有する水素または低級アルキルであり、nは、典型的には、2~6であり、mは、8~100または100を超える。ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリ(オキシテトラエチレン)グリコール、ポリ(オキシ-1,2-プロピレン)グリコール、およびポリ(オキシ-1,2-ブチレン)グリコールが含まれる。
【0021】
また、様々なポリオール、例えば、エチレングリコール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールAなどのようなジオールのオキシアルキル化から形成されるポリエーテルポリオール、またはトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのような他のより高いポリオールも有用である。示されるように利用することができるより高い官能性のポリオールは、例えば、スクロースまたはソルビトールなどの化合物のオキシアルキル化によって作製することができる。1つの一般的に利用されるオキシアルキル化方法は、ポリオールを、酸性または塩基性触媒の存在下で、アルキレンオキシド、例えば、プロピレンオキシドまたはエチレンオキシドと反応させることである。特定のポリエーテルポリオールとしては、Invista Corporationから入手可能なTERATHANE(例えば、TERATHANE 250、TERATHANE 650、TERATHANE 1000)、およびTERACOL、ならびにLyondell Chemical Co.から入手可能なPOLYMEGの名前で販売されるものが挙げられる。また、イソシアネート官能性プレポリマーにも有用なのは、ポリエステルポリオール、ブタジエンジオール、およびトリオール、ならびにそれらの飽和バージョン、塩素化オレフィンポリオール、ヒドラジド、およびポリアミドポリオール、ならびにポリウレタンポリオールである。
【0022】
イソシアネート官能性プレポリマーは、典型的には、1,300~20,000、多くの場合、1,400~15,000、または4,000~15,000、または5,000~10,000の重量平均分子量を有する。加えて、イソシアネート官能性プレポリマーは、通常、300超、多くの場合400~1,000超のイソシアネート当量を有する。
【0023】
本発明のゴム代替物品を調製するために使用される硬化性組成物は、イソシアネート官能性プレポリマーと組み合わせて、モノマーポリイソシアネートなどの非プレポリマーイソシアネートをさらに含み得る。非プレポリマーイソシアネートは、イソシアネート官能性プレポリマーを形成するために使用されるポリイソシアネートと同一であり得るか、または異なり得、上記に開示されるもののうちの1つもしくは1つより多くを含み得る。イソシアネートの組み合わせを使用する場合、イソシアネートは、例えば、実質的に適合性であるべきであり、イソシアネート官能性プレポリマーは、非プレポリマーイソシアネートと実質的に適合性であることができる。本明細書で使用するとき、「実質的に適合性」とは、経時的に実質的に均質であり、かつ経時的に実質的に均質なままである他の材料とブレンドを形成する材料の能力を意味する。例えば、イソシアネート官能性プレポリマーの形成におけるイソシアネートと有機材料との反応は、イソシアネートを適合させるのを助ける。
【0024】
本発明のゴム代替物品を調製するために使用される硬化性組成物は、(b)次にポリアミンの混合物を含む硬化剤をさらに含む。混合物中の少なくとも1つのポリアミンは、125~250のアミン当量を有する。かかるポリアミンは、硬化性組成物に硬度を提供する。好適なポリアミンは、当技術分野で既知のものを含むことができる。好適なポリアミンの非限定的な例としては、一級および二級アミン、ならびに本明細書に開示されるもののいずれかなどのそれらの混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。アミン末端化ポリ尿素も使用され得る。三級アミン官能基を含むアミンは、アミンが少なくとも2つの一級および/または二級アミノ基をさらに含むことを条件として使用することができる。
【0025】
125~250のアミン当量を有する混合物中の少なくとも1つのポリアミンは、二級アミノ基を含む非環状ポリアミンであり得る。かかる非環状ポリアミンを硬化性組成物中に含めることは、以下に記載されるような無機粒子が、耐摩損性添加剤として硬化性組成物中に含まれないとしても、硬化性組成物から作製されたコーティング層または構成要素の耐摩損性を著しく改善させることが分かった。本明細書で使用するとき、「非環状ポリアミン」という用語は、1分子当たり1つより多くのアミノ基を含む分子を指し、アミノ基は、分子が環状部分を含まない1つまたは1つより多くの直鎖または分岐鎖状脂肪族有機部分によって連結されている。二級アミノ基を含む、125~250のアミン当量を有する好適な非環状ポリアミンとしては、DESMOPHEN NH 1220(Covestro LLC)の名前で入手可能なものなどのアスパラギンエステル官能性アミンが挙げられる。
【0026】
ポリアミンの混合物は、例えば、二官能基、三官能基、またはより高い官能基アミンなどの少なくとも2つの官能基を有するポリアミン、およびそれらの組み合わせを含み得る。ポリアミンは、脂環式などの芳香族もしくは脂肪族、またはそれらの混合物であり得る。好適な一級ポリアミンとしては、エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,3-ジアミノペンタン(DYTEK EP、Invista)、1,6-ジアミノヘキサン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン(DYTEK A、Invista)、2,5-ジアミノ-2,5-ジメチルヘキサン、2,2,4-および/もしくは2,4,4-トリメチル-1,6-ジアミノヘキサン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,3-および/もしくは1,4-シクロヘキサンジアミン、1-アミノ-3,3,5-トリメチル-5-アミノメチル-シクロヘキサン(イソホロンジアミンもしくはIPDA)、2,4-および/もしくは2,6-ヘキサヒドロトルエンジアミン、2,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM-20、Air Products)ならびに3,3’-ジアルキル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン(DIMETHYL DICYKANもしくはLAROMIN C260、BASF;ANCAMINE 2049、Air Products)および3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンなど)、2,4-および/もしくは2,6-ジアミノトルエン、3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン、3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミン、3,5-ジメチルチオ-2,4-トルエンジアミン、3,5-ジメチルチオ-2,4-トルエンジアミン、2,4’-および/もしくは4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ジプロピレントリアミン、ビスヘキサメチレントリアミン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
二級脂環式ジアミンも本発明で使用され得る。好適な脂環式ジアミンとしては、JEFFLINK 754(Huntsman Corporation)、CLEARLINK 1000(Dorf-Ketal Chemicals,LLC)、およびアスパラギンエステル官能性アミン、例えば、DESMOPHEN NH 1420、およびDESMOPHEN NH 1520(Covestro LLC)などのDESMOPHENの名前で市販されているものが挙げられる。本発明で使用することができる他の好適な二級アミンとしては、本明細書に記載されるものなどの一級アミン官能性を含む材料のアクリロニトリルとの反応生成物が挙げられる。例えば、二級アミンは、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンとアクリロニトリルとの反応生成物であり得る。あるいは、二級アミンは、POLYCLEAR 136(BASF/Hansen Group LLCから入手可能)などのイソホロンジアミンとアクリロニトリルとの反応生成物であり得る。脂肪族二級ジアミンは、多くの場合、最大200、より多くの場合、最大162のアミン当量を有する。
【0028】
本発明において硬化剤(b)に使用することができる他のポリアミンとしては、Hexion,Inc.から入手可能な、イソホロンジアミンとCARDURA E-10Pとの反応生成物などの、モノもしくはポリエポキシドとの一級ポリアミンの付加物が挙げられる。
【0029】
多くの場合、硬化剤(b)は、125~250のアミン当量を有する5~50重量パーセントの脂肪族ポリアミンと、900~2,500のアミン当量を有する50~95重量パーセントの脂肪族ポリアミンと、を含む。例えば、硬化剤は、約161のアミン当量を有する20重量パーセントのCLEARLINK 1000と、約1902のアミン当量を有する三官能性脂肪族アミンである80重量パーセントのJEFFAMINE T-5000と、を含む。
【0030】
二級アミノ基を含む125~250のアミン当量を有する非環状ポリアミンが、硬化剤(b)中に含まれる場合、硬化剤(b)は、多くの場合、硬化性組成物中のポリアミンの総重量に基づいて、1~20重量パーセント、例えば、1.5~15重量パーセント、または2~12.5重量パーセント、または3~10重量重量パーセントの該非環状ポリアミンを含む。例えば、硬化剤は、多くの場合、約8重量パーセントのDESMOPHEN NH 1220、約234のアミン当量を有する非環状アミン、約8重量パーセントのCLEARLINK 1000、約161のアミン当量を有する脂環式アミン、および約1902のアミン当量を有する三官能性脂肪族アミンである約84重量パーセントのJEFFAMINE T-5000を含む。
【0031】
硬化剤(b)は、ヒドロキシル官能基を有する追加の樹脂をさらに含んでもよい。例としては、上記に開示されるポリエーテルポリオールなどのポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールが挙げられる。TERATHANE 650は、多くの場合、硬化剤中の追加の樹脂として使用される。かかる樹脂は、使用されるとき、硬化剤中の固形分の総重量に基づいて、2~15重量パーセントの量で存在し得る。
【0032】
本発明のゴム代替物品を調製するために使用される硬化性組成物は、(c)耐摩損性添加剤をさらに含む。耐摩損性添加剤は、有機粒子を含む。多くの場合、粒子は、化学的に不活性であり、未処理であり、かつコーティングされていない粒子である。「化学的に不活性」とは、粒子が硬化性組成物中の任意の他の成分と化学的に反応しないことを意味する。有機粒子は、5~60ミクロン、または5~30ミクロン、または5~10ミクロン、または5~7.5ミクロン、または9.75~60ミクロンなどの少なくとも5ミクロンの体積平均粒径を示す。耐摩損性添加剤は、無機粒子をさらに含み得る。無機粒子は、典型的には、少なくとも90ミクロン、多くの場合、少なくとも95ミクロンの体積平均粒径を示す。これらのサイズ範囲内の粒径は、別途示されない限り、Sympatec GmbHから入手可能なHELOS粒径分析器を使用して、ISO 13320:2009に従ってレーザー回折を介して、およびFraunhofer Enhanced Evaluationを使用して測定される。あるいは、硬化性組成物は、硬化性組成物中の固形分の総重量に基づいて、5重量パーセント未満、例えば、4重量パーセント未満、例えば、3重量パーセント未満、例えば、2重量パーセント未満、例えば、1重量パーセント未満、例えば、0重量パーセントの、アルミナを含み、かつ90ミクロンまたは少なくとも90ミクロンの体積平均粒径を有する無機粒子を含み得る。あるいは、組成物は、本質的に無機粒子を含み得ない。
【0033】
好適な有機粒子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、および飽和直鎖一級アルコール(平均炭素鎖長がC20~C50である)が挙げられる。かかる飽和直鎖一級アルコールとしては、Baker Hughes,Inc.から入手可能なUNILINアルコールが挙げられる。PETROLITE 5000 T6などのPETROLITEとして、Baker Hughes,Inc.から入手可能な5.0~7.5ミクロンの体積平均粒径を有する、ポリエチレンおよびポリプロピレンの粒子状コポリマーも使用され得る。
【0034】
好適な無機粒子としては、とりわけ、未処理アルミナ、例えば、Micro Abrasives Corporationからの製品のMICROGRITラインで市販されているものが挙げられる。また、各種の粒子の組み合わせも可能である。
【0035】
無機粒子が耐摩損性添加剤中に含まれる場合の意図される用途に応じて、耐摩損性添加剤中の有機粒子対無機粒子の重量比は、1:99~99:1、例えば10:90~90:10、50:50、または10:40未満の範囲であり得る。耐摩損性添加剤は、典型的には、硬化性組成物中の固形分の総重量に基づいて、少なくとも0.25重量パーセント、または少なくとも0.5重量パーセント、または少なくとも2重量パーセント、および多くとも20重量パーセント、または多くとも10重量パーセント、または多くとも9重量パーセント、または多くとも5重量パーセントの量で硬化性組成物中に存在する。耐摩損性添加剤は、典型的には、硬化性組成物中の固形分の総重量に基づいて、0.5~8重量パーセント、または1~7重量パーセント、または1.5~6重量パーセント、または2~5重量パーセントの量で硬化性組成物中に存在する。
【0036】
本発明のゴム代替物品を調製するために使用される硬化性組成物は、1つまたは1つより多くの追加の構成成分を含み得る。追加の構成成分としては、例えば、アミン官能性材料、アミノシランなどのような接着促進剤、ハロゲン化ポリオレフィン(例えば、塩素化ポリオレフィン)、または有機チタネートもしくはジルコネートが挙げられ得る。1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ-5-エン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン、および/または1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンを含む三級アミンは、接着促進剤として好適な例示的なアミン官能性材料である。接着促進剤として使用するためのアミノシランの例は、y-アミノプロピルトリエトキシシラン(Momentive Performance ChemicalsからSILQUEST A1100として市販されている)である。Momentive Performance ChemicalsからのSILQUEST A1110およびA LINK 35も使用され得る。他の好適なアミン官能性接着促進剤としては、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-2H-ピリミド-(1,2-A)-ピリミジン、ヒドロキシエチルピペラジン、N-アミノエチルピペリジン、ジメチルアミンエチルエーテル、テトラメチルイミノプロポイルアミン(Air Products and Chemicals,Inc.からPOLYCAT(登録商標)15として市販されている、IPDIとジメチルアミンとの付加物などの遮断されたアミン、メラミン自体などのメラミン、またはイミノメラミン樹脂(例えば、Allnexから入手可能なCYMEL(登録商標)220もしくはCYMEL(登録商標)303)が挙げられる。金属含有接着促進剤は、アルミニウムキレート複合体(例えば、King Industriesから入手可能なK-Kat 5218)などの金属キレート複合体、またはオクタン酸第一スズなどのスズ含有組成物ならびにジブチルスズジラウレートおよびジブチルスズジアセテートなどの有機スズ化合物を含み得る。他の接着促進剤としては、リン酸塩素などの塩、エポキシ化ヒドロキシル末端処理ポリブタジエン樹脂などのブタジエン樹脂(例えば、Atofina Chemicals,Inc.から入手可能なPOLY bd(登録商標)605E)、ポリエステルポリオール(例えば、Solvay America,Inc.から入手可能なポリエステルトリオールであるCAPA(登録商標)3091、および芳香族ウレタンアクリレートオリゴマーなどのウレタンアクリレート組成物(例えば、Sartomer Company,Inc.から入手可能なCN999)が挙げられ得る。好適な有機チタネート接着促進剤としては、テトラn-ブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ブチルイソプロピルチタネート、およびチタンアセチルアセトネートが挙げられる。好適な有機ジルコネート接着促進剤としては、ヒドロキシ基と反応可能なものが挙げられ、これにより架橋が促進され、これらは、Tyzor 212、Tyzor LA、Tyzor 215、Tyzor 223、Tyzor 227、Tyzor 282などのDorfketal Chemicals(I)Pvt.Ltd.から市販されている。代替的または付加的に、硬化性組成物は、エポキシ樹脂とポリチオールとの反応生成物を含み得る。好適なエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAのポリグリシジルエーテル、ポリカプロラクトン修飾ビスフェノールAエポキシ樹脂、およびビスフェノールFジエポキシドなどの1つまたは1つより多くのポリエポキシドが挙げられる。エポキシ樹脂はまた、エポキシ二量体付加物を含み得る。好適なポリチオールとしては、例えば、Bruno Bock Chemische Fabrik GmbH&Co.KGからTHIOCUREという名称で入手可能なものなどのポリ(メルカプトプロピオネート)が挙げられる。
【0037】
本発明によるゴム代替物品を調製するために使用される硬化性組成物は、組成物に所望の特性を付与する任意の追加の樹脂および/または添加剤をさらに含むことができる。例えば、組成物は、組成物から形成されるコーティングに追加の柔軟性を付与する樹脂および/または添加剤をさらに含み得る。可撓性ポリウレタン樹脂は、当技術分野において既知であり、また、例えば、参照により本明細書の適切な部分に組み込まれる、米国特許出願第11/155,154号、同第11/021,325号、同第11/020,921号、同第12/056,306号、および同第12/056,304号にも記載されている。ポリウレタン自体は、組成物に添加することができるか、またはポリウレタンは、硬化性組成物中にインサイチュ形成することができる。本明細書に記載のアミンおよびイソシアネート成分が反応するのとほぼ同じ方法で、ヒドロキシル官能性成分をイソシアネートと反応させることによって、ポリウレタンを形成することができることが理解されるであろう。したがって、ヒドロキシル官能性成分は、インサイチュポリウレタン形成のためのアミン成分と混合するか、またはそれに加えて使用することができる。
【0038】
本発明のゴム代替物品を調製するために使用される硬化性組成物は、必要に応じて、ガラス繊維、安定剤、増粘剤、触媒、着色剤、酸化防止剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、レオロジー改質剤、流動添加剤、帯電防止剤、および表面コーティングの分野において周知である他の性能または特性改質剤、ならびにそれらの混合物などの当技術分野において標準的な材料を含み得る。好適なレオロジー改質剤には、ベントナイト粘土、ヒュームドシリカ、BYK411(Chemieから入手可能)、またはそれらの組み合わせなどの有機および/もしくは無機ベースのポリマーであり得る固体および/もしくは液体レオロジー改質剤が含まれる。
【0039】
本発明のゴム代替物品を調製するために使用される硬化性組成物は、着色剤を含み得る。本明細書で使用するとき、「着色剤」という用語は、組成物に色ならびに/または他の不透明度および/もしくは他の視覚効果を付与する任意の物質を意味する。着色剤は、個別の粒子、分散体、溶液、および/またはフレークなどの任意の好適な形態で組成物に添加することができる。本発明のゴム代替物品には、単一の着色剤または2つもしくは2つより多くの着色剤の混合物を使用することができる。粒子状着色剤は、耐摩損性添加剤(c)中に存在する粒子とは異なることに留意されたい。以下の実施例に示すように、粒子状着色剤は、好適であるとみなされる硬化性組成物に十分な耐摩損性を付与しないことが分かっている。
【0040】
着色剤の例としては、顔料、染料、およびチント、例えば、塗料業界で使用されるもの、および/またはDry Color Manufacturers Association(DCMA)に記載されるもの、ならびに特殊効果組成物が挙げられる。着色剤は、例えば、使用条件下で不溶性であるが、湿潤可能である、細かく分割された固体粉末を含み得る。着色剤は、有機であっても無機であってもよく、凝集または非凝集であってもよい。着色剤は、粉砕または単純混合によって組成物に組み込むことができる。着色剤は、アクリル粉砕ビヒクルなどの粉砕ビヒクルを使用して、粉砕によって組成物に組み込むことができ、その使用は、当業者にとってよく知られているであろう。
【0041】
例示的な顔料および/または顔料組成物としては、カルバゾールジオキサジン粗顔料、アゾ、モノアゾ、ジアゾ、ナフトールAS、塩型(レーキ)、ベンゾイミダゾロン、縮合体、金属錯体、イソインドリノン、イソインドリンおよび多環式フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、アントラキノン、インダンスロン、アントラピリミジン、フラバンスロン、ピランスロン、アンサンスロン、ジオキサジン、トリアリールカルボニウム、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロールレッド(「DPPBOレッド」)、二酸化チタン、黒色炭素、炭素繊維、黒鉛、他の導電性顔料および/または充填剤、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。「顔料」および「着色充填剤」という用語は、互換的に使用することができる。
【0042】
例示的な染料としては、酸性染料、アゾ染料、塩基性染料、直接染料、分散染料、反応性染料、溶媒染料、硫黄染料、媒染染料、例えば、バナジン酸ビスマス、アントラキノン、ペリレン、アルミニウム、キナクリドン、チアゾール、チアジン、アゾ、インジゴイド、ニトロ、ニトロソ、オキサジン、フタロシアニン、キノリン、スチルベン、ならびにトリフェニルメタンなどの溶媒系および/または水系であるものが挙げられる。
【0043】
例示的なチントとしては、Degussa,Inc.から市販されているAQUA-CHEM 896、Eastman Chemical,Inc.のAccurate Dispersions部門から市販されているCHARISMA COLORANTSおよびMAXITONER INDUSTRIAL COLORANTSなどの水系キャリアまたは水混和性キャリア中に分散した顔料が挙げられる。
【0044】
上述のように、着色剤は、ナノ粒子分散体を含む分散体の形態であり得る。ナノ粒子分散体は、所望の可視色および/または不透明度および/または視覚効果を生成する1つまたは1つより多くの高度に分散したナノ粒子着色剤および/または着色剤粒子を含むことができる。ナノ粒子分散体は、70nm未満、または30nm未満などの150nm未満の粒子径を有する顔料または染料などの着色剤を含むことができる。ナノ粒子は、0.5mm未満の粒子径を有する粉砕媒体で原料の有機顔料および/または無機顔料を粉砕するステップによって生成することができる。例示的なナノ粒子分散体およびそれらの作製方法は、米国特許第6,875,800B2号に特定されている。ナノ粒子分散体はまた、結晶化、沈殿、気相凝縮、および化学的摩擦(すなわち、部分溶解)によっても生成することができる。コーティング内のナノ粒子の再凝集を最小限に抑えるために、樹脂コーティングされたナノ粒子の分散体を使用することができる。本明細書で使用するとき、「樹脂コーティングされたナノ粒子の分散体」とは、ナノ粒子およびナノ粒子上の樹脂コーティングを含む、目立たない「複合材料微粒子」が分散している連続相を指す。樹脂コーティングされたナノ粒子の例示的な分散体およびそれらの作製方法は、2004年6月24日に出願された米国特許出願第10/876,031号および2003年6月24日に出願された米国仮出願第60/482,167号に特定されている。
【0045】
本発明のゴム代替物品を調製するために使用される組成物中に使用され得る例示的な特殊効果組成物としては、反射率、真珠光沢、金属光沢、リン光、蛍光、フォトクロミズム、感光性、サーモクロミズム、ゴニオクロミズム、および/または色変化などの1つもしくは1つより多くの外観効果を生成する顔料および/または組成物が挙げられる。追加の特殊効果組成物は、反射性、不透明度、またはテクスチャなどの他の知覚可能な特性を提供することができる。特殊効果組成物は、コーティングが異なる角度で見られる場合、コーティングの色が変化するように、カラーシフトを生成することができる。例示的な色効果組成物は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,894,086号に特定されている。追加の色効果組成物としては、透明コーティングされた雲母および/もしくは合成雲母、コーティングされたシリカ、コーティングされたアルミナ、透明液晶顔料、液晶コーティング、ならびに/または任意の組成物を挙げることができ、干渉は、材料内の屈折率の差から生じ、材料の表面と空気との間の屈折率の差によるものではない。
【0046】
1つまたは1つより多くの光源に曝露したときにその色を可逆的に変える感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物を、本発明の組成物に使用することができる。フォトクロミック組成物および/または感光性組成物は、指定された波長の放射線に曝露することによって活性化することができる。組成物が励起されると、分子構造が変化し、変えられた構造は、組成物の元の色とは異なる新しい色を示す。放射線への曝露が除去されるとき、フォトクロミック組成物および/または感光性組成物は、組成物の元の色が戻る休止状態に戻ることができる。フォトクロミックおよび/または感光性組成物は、非励起状態では無色であり、励起状態では色を示すことができる。フルカラーチェンジは、20秒~60秒などのミリ秒から数分以内に現れ得る。例示的なフォトクロミックおよび/または感光性組成物としては、フォトクロミック染料が挙げられる。
【0047】
感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物は、共有結合などによって、ポリマーおよび/または重合性成分のポリマー性材料に関連付けることができ、かつ/またはそれらに少なくとも部分的に結合することができる。ポリマーおよび/もしくは重合性成分に関連付けられ、かつ/またはそれらに少なくとも部分的に結合された感光性組成物および/またはフォトクロミック組成物は、組成物からの移行が最小限である。
【0048】
一般的には、着色剤は、所望の特性、視覚、および/または色効果を付与するのに十分な任意の量で硬化性組成物中に存在することができる。着色剤は、組成物の総重量に基づいて、3~40重量パーセントまたは5~35重量パーセントなどの本組成物の1~65重量パーセントを含み得る。
【0049】
本発明のゴム代替物品を調製するために使用される硬化性組成物は、例えばコーティングとして基材に塗布されるとき、関連する基材の色と一致する色を有し得る。本明細書で使用するとき、「一致する」および同様の用語は、カラーマッチングを指す場合、本発明のコーティング組成物の色が、所望の色または関連する基材の色に実質的に対応することを意味する。これは、目視で観察することも、分光機器を使用して確認することもできる。例えば、硬化性組成物のための基材が、ポリマー性ブラダーまたはアッパー構成要素などの履物構成要素である場合、硬化性組成物の色は、別の履物構成要素の色と実質的に一致し得る。例えば、本発明のゴム代替物品でコーティングされたつま先は、靴のアッパー、ミッドソール、および/またはアウトソールの残りの部分に色を合わせることができる。この一致を目視で観察することも、分光機器を使用して確認することもできる。
【0050】
硬化性組成物は、典型的には、使用前に構成要素が硬化するのを防止するために、複数包装システムとして調製される。「複数包装システム」という用語は、様々な構成要素が、コーティングとして基材に塗布するなど、使用直前まで別に維持される組成物を意味する。本発明の組成物は、通常、2パッケージ(「2K」)組成物として調製され、イソシアネート官能性プレポリマー(a)は、第1のパッケージであり、硬化剤(b)は、第2のパッケージである。本発明のゴム代替物品は、コーティングとしての使用に好適であるか、またはそれらは、成形され、キャストされ、3D印刷され、あるいは他の方法で製造物品に成形され得る。
【0051】
組成物は、周囲条件で硬化することができるが、組成物の硬化を促進するために、または接着などの特性を増強するために、加熱された空気または熱硬化を組成物に適用することができる。「周囲」条件は、熱または他のエネルギーを印加しないことを意味し、例えば、硬化性組成物がオーブン中でベーキングすることなく熱硬化反応、強制空気の使用、照射などを受けて、反応を促す場合、反応は、周囲条件下で生じると言われる。通常、周囲温度は、典型的な室温72°F(22.2℃)などの60~90°F(15.6~32.2℃)の範囲である。あるいは、組成物は、硬化性膜形成組成物を少なくとも部分的に硬化させるのに十分な時間、化学線または上昇した温度に曝露され得る。典型的な化学線条件は、1.5~2.0mW/cmの照射強度で、315~400nm(UVA)である。組成物は、典型的には、約45秒~約12時間の範囲の期間で、周囲温度で硬化することができる。例えば、組成物は、約45秒~約12時間の範囲の期間で、72°F(22.2℃)で硬化することができる。より良い接着性などの他の所望の特性を達成するために周囲温度およびベーキングを組み合わせて利用する場合、組成物は、典型的には、約45秒~約30分の期間放置し、続いて最大約140°F(60℃)の温度で約20分~約12時間の範囲の期間調整(硬化)させることが可能である。
【0052】
本発明のゴム代替物品は、A)少なくとも1つのコーティング可能な表面を有する基材と、B)基材の少なくとも1つの表面に塗布され、かつその上で硬化される膜形成組成物から形成されるコーティング層と、を備えるコーティングされた基材を形成するために使用され得る。膜形成組成物は、上記の硬化性組成物から調製される。
【0053】
好適な基材の非限定的な例としては、金属、天然および/または合成石、セラミック、ガラス、レンガ、セメント、コンクリート、シンダーブロック、木材および複合材、ならびにそれらの積層体;壁材、ドライウォール、シートロック、セメントボード、プラスチック、紙、PVC、屋根材、例えば、シングル、屋根材複合材および積層材、ならびに屋根材ドライウォール、スタイロフォーム(登録商標)、プラスチック複合材、アクリル複合材、弾道複合材、アスファルト、ガラス繊維、土壌、砂利などを挙げることができる。金属としては、アルミニウム、冷間圧延鋼、電気亜鉛めっき鋼、熱浸亜鉛めっき鋼、チタン、および合金を挙げることができるが、これらに限定されず、ポリマー性材料としては、TPO、SMC、TPU、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、およびポリアミド(ナイロン)を挙げることができるが、これらに限定されない。基材は、プライミングされた金属および/またはプラスチックであり得、すなわち、有機または無機層が、基材に塗布される。エチレン酢酸ビニル(EVA)フォームまたはポリウレタン(TPUなど)フォームなどの布地、革、およびフォームを含む履物に一般的に使用される材料もまた、好適な基材である。
【0054】
硬化性組成物は、少なくとも1つの他のコーティングを有する裸の(例えば、処理されていない、コーティングされていない)基材、前処理された基材、および/またはコーティングされた基材に塗布され得る。例えば、基材の表面は、基材表面とコーティング層との間の接着を増強するために、硬化性組成物の塗布前にプラズマ処理されてもよい。あるいは、接着促進剤および/またはエポキシ樹脂とポリチオールとの反応生成物を含む接着層または結束層を、基材とコーティング層との間に配置してもよい。好適な接着促進剤および反応生成物としては、既に上記したものが挙げられる。例えば、接着層中の接着促進剤は、有機チタネートまたは有機ジルコネートを含み得る。別の例では、接着層中のエポキシ樹脂とポリチオールとの反応生成物は、例えば、米国特許出願第62/560,998号に記載されている通りである。エポキシチオール接着層において、層は、典型的には、第1の成分がエポキシ化合物を含み、第2の成分がポリチオール硬化剤および硬化触媒を含む、2つの成分組成物を含む。ポリチオール硬化剤は、エポキシ化合物と化学反応する。好適なエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールAのポリグリシジルエーテル、ポリカプロラクトン修飾ビスフェノールAエポキシ樹脂、およびビスフェノールFジエポキシドなどの1つまたは1つより多くのポリエポキシドが挙げられる。エポキシ樹脂はまた、エポキシ二量体付加物を含み得る。好適なポリチオールとしては、例えば、Bruno Bock Chemische Fabrik GmbH&Co.KGからTHIOCUREという名称で入手可能なものなどのポリ(メルカプトプロピオネート)が挙げられる。
【0055】
別の例では、硬化性組成物は、複数層コーティング複合材に塗布され得る。基材に塗布される第1のコーティングは、表面コーティング基材のための当技術分野において既知の種々のコーティング組成物から選択され得る。非限定的な例としては、電気沈着性膜形成組成物、プライマー組成物、顔料化または非顔料化モノコート組成物、顔料化または非顔料化ベースコート組成物、透明トップコート組成物、工業用コーティング組成物などが挙げられ得る。
【0056】
組成物は、3D印刷、噴霧、浸漬/浸水、ブラッシング、押出、分配、またはフローコーティングを含むいくつかの方法のうちの1つまたは1つより多くによって基材に塗布され得る。基材がフローリングを含む場合、それらは、ほとんどの場合、噴霧によって塗布される。空気噴霧および静電噴霧のための従来の噴霧技術および機器、ならびに手動または自動のいずれかの方法は、以下に記載されるように使用することができる。コーティング層は、典型的には、1~25ミル(25.4~635ミクロン)、多くの場合5~80ミル(127~2032ミクロン)の乾燥膜厚を有する。硬化条件は、上記の通りであり得る。
【0057】
硬化性組成物が基材に噴霧塗布されるとき、組成物は、二成分混合装置を使用して調製され得る。この実施例では、イソシアネートおよびアミンが、高圧衝撃混合装置に添加される。イソシアネートが「A側」に添加され、アミンが「B側」に添加される。A側ストリームおよびB側ストリームは、互いに衝突し、コーティングされていない基材またはコーティングされた基材の少なくとも一部分上に直ちに噴霧される。イソシアネートとアミンとが反応して、コーティングされていない基材またはコーティングされた基材への塗布時に硬化するコーティング組成物を生成する。A側および/またはB側はまた、塗布の前に、例えば、60℃などの≦70℃の温度に加熱することができる。加熱は、2つの成分の間のより良い粘度の一致を促進し、したがって、より良い混合を促進し得るが、硬化反応が生じるために必要ではない。A側および/またはB側は、7℃~14℃などの≦23℃の温度で塗布され得る。
【0058】
当技術分野で既知の塗布装置である「静的混合チューブ」アプリケータは、本発明と共に使用され得る。この装置では、イソシアネートおよびアミンは、それぞれ別のチャンバ中に保管される。圧力が印加されると、成分のそれぞれは、体積比で1:1の比率で混合チューブに持ち込まれる。成分の混合は、チューブ内の蛇行またはコルクスクリュー経路を介して行われる。チューブの出口端は、反応混合物のスプレー塗布に有用な噴霧能力を有し得る。あるいは、流体反応混合物は、ビーズとして基材に塗布され得る。静的混合チューブアプリケータは、Plas-Pak Industries Inc.またはCammda Corporationから市販されている。
【0059】
イソシアネートとアミンとの体積混合比は、得られたイソシアネートとアミンとの反応混合物が1:1の体積混合比で基材に塗布することができるようにしてもよい。本明細書で使用するとき、「体積混合比1:1」は、体積混合比が、成分ごとに最大20%、または最大10%、または最大5%変動することを意味する。
【0060】
組成物の硬化速度を制御するために、イソシアネート基とアミン基との当量の比が選択され得ると考えられる。アミン基に対するイソシアネート基の当量の比(反応指数としても既知)が、1超、例えば、1.01~1.10:1、または1.03~1.10:1、または1.05~1.08:1、または1.01~1.4~1、または1.01~1.5、または1.3もしくは1.3超~1である場合、硬化および接着の利点が生じ得ることが分かっている。「1:1体積比」という用語は、体積比が、成分ごとに最大20%、または最大10%、または最大5%変動することを意味する。
【0061】
米国特許公開第2007/0160851号の段落[0037]および[0038]に記載されるものなどの市販の混合装置を使用することができる。
【0062】
さらに、本発明のゴム代替物品の形成における硬化性組成物を、3D印刷によって堆積または押出することが可能である。好適な方法および機器は、例えば、米国特許出願第15/680,846号に記載されている。3D印刷において、3次元オブジェクトは、典型的には、少なくとも2つの共反応性成分を基材上に堆積させ、その後、物品が完全に形成されるまで、下に堆積された部分または層の少なくとも一部にわたって、必要に応じて、オブジェクトの1つまたは1つより多くの追加の部分または層を堆積させることによって、オブジェクトの少なくとも1つの部分または断面層を形成することによって作製される。基材が製造目的のためだけの支持基材である場合、完成品は、基材から除去される。あるいは、基材は、ゴム代替物品が構成要素である製造されたオブジェクトの一部であり得る。例えば、基材は、靴のミッドソールであり得る。
【0063】
本発明において、イソシアネート官能性プレポリマーは、第1のポンプによって第1の成分としてミキサーに提供され得、硬化剤は、第2のポンプによって第2の成分として該ミキサーに提供され得、硬化性組成物を提供し得、これは、次に、該ミキサーに接続されたノズルを通して堆積/押出され得る。耐摩損性添加剤は、第1の成分もしくは第2の成分に含まれ得るか、またはミキサー中に形成された混合物に含まれ得る。さらに、添加剤製造プロセスが加熱ラインを含有しない場合、イソシアネート官能性プレポリマーは、液体でなければならない。イソシアネート官能性プレポリマーを作製するために使用されるジオールのいくつかは、芳香族または脂肪族ジオール、例えば、ポリカーボネート、ポリエーテルグリコール、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリブタジエン、ポリアミド、シロキサンジオール、アルキドジオール、およびアクリルジオールであり得る。
【0064】
コーティングとして基材に硬化性組成物を塗布し、かつコーティングされた基材を形成するように硬化した後、コーティングされた基材は、Taber IndustriesからのS-42サンドペーパーストリップおよび2つの1,000グラムの重量を使用して、1,000サイクルのTABER摩損試験に供した後、0.33cm未満のコーティング損失を示す。TABER摩損試験は、以下の実施例に記載されるように行われる。
【0065】
本発明のゴム代替物品は、ゴムが従来使用される任意の用途、例えば、バンパー、フェンダー、フード、ドア、パネル、トリムなどを含む自動車部品およびアクセサリーなどの自動車部品;特殊な床面およびランニングトラックなどの運動器具、ボールの構成要素(バスケットボール、野球ボール、ゴルフボール、ラクロスボールなどのためのコア、表面コーティングなど);胸部保護具およびヘルメット構成要素などのスポーツおよび他の用途のための保護器具、アイスホッケー、フィールドホッケー、ラクロスなどのためのグリップおよび/またはバットなどのスティック構成要素などに使用され得る。
【0066】
本発明のゴム代替物品は、上述の硬化性組成物のいずれかから調製される履物および/または履物構成要素としての使用に特に好適である。硬化性組成物は、履物構成要素上のコーティングとして使用され得るか、または履物もしくは履物構成要素自体の物品全体を形成するために使用され得る。本明細書で使用するとき、「履物」および「靴」という用語は、運動靴およびスポーツ靴、男性および女性のドレス靴、男性および女性のカジュアル靴、子供の靴、サンダル、鼻緒付きサンダル、ブーツ、ワークブーツ、屋外履物、整形外科靴、スリッパなどを含む。「履物構成要素」という用語は、アウトソール、ミッドソール、ポリマー性ブラダー、アッパー材料、およびシューライナーを含む靴の任意の構成要素を含む。これらの構成要素は、いくつかの異なる材料または基材から作製されることが認識されるであろう。特定の例では、本発明に従ってコーティングされた履物構成要素は、靴のアッパーのすべてまたは一部を形成する。本発明によりコーティングされたアッパーの特に好適な部分は、つま先である。「つま先」は、典型的には比較的高いレベルの摩耗および/または摩損を経験する靴の前部を指すものとして理解されるであろう。驚くべきことに、本発明のゴム代替組成物で靴のこの部分をコーティングすることにより、摩耗および/または摩損に対する耐性が改善することが発見された。
【0067】
履物構成要素はまた、上述の硬化性組成物でコーティングされたポリマー性ブラダーを含み得る。ポリマー性ブラダーは、例えば、プラズマ、水、または空気、窒素などを含む気体などの他の流体で充填することができる。かかるブラダーは、履物業界で既知であり、例えば、米国特許第6,944,973号、同第6,119,371号、同第5,713,141号、同第5,952,065号、同第5,353,459号、同第4,506,460号、および同第4,219,945号に記載されている。
【0068】
本発明の特定の実施例では、ポリマー性ブラダーは、ミッドソール内に含有され、本発明のゴム代替物品で少なくとも部分的にコーティングされたミッドソールである。例えば、組成物は、穿刺不全からブラダーを保護するために、窒素充填ポリマー性ブラダーを含有するミッドソールの下側に塗布することができる。他の実施例では、ポリマー性ブラダーは、アウトソール内に含有される。
【0069】
履物構成要素はまた、上記の硬化性組成物を含むアウトソールであり得る。アウトソールは、硬化性組成物のシートをキャストし、かつシートを所望の形状および形態に後処理し、硬化性組成物を型中でキャストし、硬化性組成物を型中に噴霧し、3D印刷し、または成分を射出成形することによって形成され得る。アウトソールは、予め形成され、その後、ミッドソールに接着的に取り付けられ得る。硬化性組成物を含むミッドソールとアウトソールとの間の接着は、硬化性組成物中に接着促進剤を含めるステップと、硬化性組成物を塗布する前にミッドソールの表面を処理するステップ(プラズマ処理など)と、および/またはアウトソールをミッドソールに適用する前に、接着促進剤および/またはエポキシ樹脂とポリチオールとの反応生成物を含む接着層をミッドソールおよび/またはアウトソールの少なくとも1つの表面に塗布するステップと、によって強化され得る。予め形成されたアウトソールを適用する前に(またはアウトソールがインサイチュで形成されている場合、硬化性組成物の塗布前に)溶媒でミッドソールを拭くことが望ましい場合があり、好適な溶媒としては、アセトン、MEK、イソプロパノールなどのようなコーティングされている基材に対して無害であるものが挙げられる。ミッドソールがフォームを含む場合、米国特許出願第11/448,627号に記載されているように、アウトソールの適用前に、成分を粉末に浸漬することが望ましい場合がある。
【0070】
履物構成要素の乾燥膜厚は、20~1,000ミル(508~25,400ミクロン)、または40~150ミル(1,016~3,810ミクロン)、または60~100ミル(1,524~2,540ミクロン)、または500~750ミル(12,700~19,050ミクロン)の範囲であり得る。これらの層が、比較的「厚い」ことが理解されるであろう。本発明の組成物はまた、0.1~15ミル未満(2.54~381ミクロン未満)、または0.1~10(2.54~254ミクロン)、または0.5~3(12.7~76.2ミクロン)、または1~2ミル(25.4~50.8ミクロン)などのより薄い層としても塗布することができる。これらの範囲内のエンドポイントのいずれも組み合わせることができる。使用され得る無機粒子は、硬化性組成物中の耐摩損性添加剤に使用される有機粒子よりも非常に大きいため、アウトソールの乾燥膜厚は、各タイプの粒子の相対量に応じて変動する。例えば、有機粒子対無機粒子の重量比が10:40未満である場合、アウトソールの乾燥膜厚は、典型的には、508~25,400ミクロンである。有機粒子対無機粒子の重量比が少なくとも40:10である場合、アウトソールの乾燥膜厚は、典型的には、25.4~254ミクロンである。
【0071】
本明細書に記載されるように調製されたアウトソールなどの履物構成要素は、典型的には、特に雨または雪などの湿った状態で、使用者に良好な牽引力を提供する。この構成要素はまた、典型的な天然および/または合成ゴム製のアウトソールと比較して、典型的には、強化された耐摩耗性および/または耐摩損性を示す。
【0072】
本発明による履物構成要素で観察される耐摩耗性は、靴のアウトソールのトレッドおよび他の部分に特に関連するが、特に、サービス中などのプレイ中につま先が多くの場合、引きずられる靴、特にテニス用に使用される靴のつま先にも特に関連する。多くの場合、着用者が、つま先を摩損することにより、美観、または靴自体が損なわれ、最終的にはつま先に穴が空く可能性がある。本発明の履物構成要素は、典型的には、S-42サンドペーパーストリップおよび2つの1,000グラムの重量を使用して、1,000サイクルのTABER摩損試験に供した後、0.33cm未満の材料損失を示す。
【0073】
上述の特徴および実施例、ならびにそれらの組み合わせのそれぞれは、本発明に包含されると言ってもよい。したがって、本発明は、以下の非限定的な態様に引き出される:
1. ゴム代替物品であって、
(a)イソシアネート官能性プレポリマーであって、(i)ポリイソシアネートと一級アミノ基および/もしくは二級アミノ基を有するポリアミンとの反応生成物、ならびに/または(ii)ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物、を含む、イソシアネート官能性プレポリマーと、
(b)ポリアミンの混合物を含む硬化剤であって、硬化剤中の少なくとも1つのポリアミンが、125~250のアミン当量を有する、硬化剤と、
(c)有機粒子を含む耐摩損性添加剤であって、有機粒子が、少なくとも5ミクロンの体積平均粒径を示す、耐摩損性添加剤と、を含む硬化性組成物から調製される、ゴム代替物品。
2. 125~250のアミン当量を有する硬化剤中の少なくとも1つのポリアミンが、二級アミノ基を含む非環状ポリアミンである、態様1に記載のゴム代替物品。
3. 耐摩損性添加剤が、組成物の総固形分重量に基づいて、0.25~9重量パーセントの範囲の量で組成物中に存在する、態様1または態様2に記載のゴム代替物品。
4. イソシアネート官能性プレポリマーを調製するために使用されるポリイソシアネートが、脂肪族である、先行する態様のいずれかに記載のゴム代替物品。
5. イソシアネート官能性プレポリマーが、300超のイソシアネート当量を有する、先行する態様のいずれかに記載のゴム代替物品。
6. 硬化剤が、125~250のアミン当量を有する5~50重量パーセントの脂肪族ポリアミンと、900~2,500のアミン当量を有する50~95重量パーセントの脂肪族ポリアミンと、を含む、先行する態様のいずれかに記載のゴム代替物品。
7. 耐摩損性添加剤の有機粒子が、化学的に不活性であり、未処理であり、かつコーティングされていない粒子を含む、先行する態様のいずれかに記載のゴム代替物品。
8. 有機粒子が、ポリエチレン、ポリプロピレン、および/または飽和直鎖一級アルコール(平均炭素鎖長がC20~C50である)を含む、先行する態様のいずれかに記載のゴム代替物品。
9. ゴム代替物品が、履物構成要素を含む、先行する態様のいずれかに記載のゴム代替物品。
10. 該履物構成要素が、25.4~254ミクロンの乾燥膜厚を示す、態様9に記載のゴム代替物品。
11. 履物構成要素の少なくとも1つの表面に塗布された接着層をさらに備え、接着層が、接着促進剤および/またはエポキシ樹脂とポリチオールとの反応生成物を含む、態様9または10に記載のゴム代替物品。
12. 接着層が、有機チタネートまたはジルコネートを含む接着促進剤を含む、態様9~11のいずれかに記載のゴム代替物品。
13. 該ゴム代替物品が、物品が完全に形成されるまで、少なくとも2つの共反応性成分を基材上に堆積させることによって、物品の少なくとも1つの部分または断面層を形成することによって、物品を3D印刷することによって調製され、第1の共反応性成分が、イソシアネート官能性プレポリマー(a)を含み、第2の共反応性成分が、硬化剤(b)を含む、態様1~12のいずれかに記載のゴム代替物品。
14. 3D印刷することによって、態様1~12のいずれかに記載のゴム代替物品を調製する方法であって、
(a)少なくとも2つの共反応性成分を基材上に堆積させて、物品の断面層を形成するステップと、
(b)必要ならば、予め塗布した層の少なくとも一部分にわたって、共反応性成分の追加層を堆積させるステップと、
(c)物品が完全に形成されるまでステップ(b)を繰り返すステップと、
(d)必要に応じて、物品を基材から除去するステップと、を含み、第1の共反応性成分が、イソシアネート官能性プレポリマー(a)を含み、第2の共反応性成分が、硬化剤(b)を含む、方法。
【実施例
【0074】
実施例A
イソシアネート官能性プレポリマーを、以下に記載されるように、以下の構成成分から調製した:
【表1】
【0075】
撹拌器、温度プローブ、凝縮器、および窒素入口チューブを装備し、かつ窒素ガスでブランケットした好適な反応容器に、合計1,000グラムのイソホロンジイソシアネートを入れた。フラスコの内容物を40℃に加熱し、次いで2,217グラムのJEFFAMINE D2000を70分間にわたって添加し、その間に温度は、約56℃に上昇した。供給が完了した後、0.65グラムのジブチルスズジラウレートを添加し、混合物を70℃に加熱した。混合物を70℃で2.5時間保持し、その間、イソシアネート当量は、1当量当たり約500グラムに達した。最終材料は、ASTM D2572「ウレタン材料またはプレポリマー中のイソシアネート基のための標準試験方法」によって測定した際に、505.8の測定されたイソシアネート当量、およびゲル透過クロマトグラフィーによって測定した際に、ポリスチレン標準に対して約5,300の重量平均分子量(Mw)を有した。
【0076】
実施例B
イソシアネート官能性プレポリマーを、以下に記載されるように、以下の構成成分から調製した:
【表2】
【0077】
撹拌器、温度プローブ、凝縮器、および窒素入口チューブを装備し、かつ窒素ガスでブランケットした好適な反応容器に、合計450グラムのイソホロンジイソシアネートを入れた。室温(23℃)で、1,668グラムのJEFFAMINE D2000を25分にわたって添加し、その間に温度は、約62℃まで上昇した。供給が完了した後、0.43グラムのジブチルスズジラウレートを添加し、混合物を30分間保持した後、混合物を70℃に加熱した。混合物を70℃で1時間保持し、その間にイソシアネート当量は、1当量当たり約1,000グラムに達した。最終材料は、ASTM D2572「ウレタン材料またはプレポリマー中のイソシアネート基のための標準試験方法」によって測定した際に、1025の測定されたイソシアネート当量、およびゲル透過クロマトグラフィーによって測定した際に、ポリスチレン標準に対して約6,800の重量平均分子量(Mw)を有した。
【0078】
実施例C
イソシアネート官能性プレポリマーを、以下に記載されるように、以下の構成成分から調製した:
【表3】
【0079】
撹拌器、温度プローブ、凝縮器、および窒素入口チューブを装備し、かつ窒素ガスでブランケットした好適な反応容器に、合計850グラムのイソホロンジイソシアネートを入れた。室温(22℃)で、2,346グラムのJEFFAMINE D2000を70分にわたって添加し、その間に温度は、約57℃まで上昇した。供給が完了した後、0.64グラムのジブチルスズジラウレートを添加し、混合物を15分間保持した後、混合物を70℃に加熱した。混合物をこの温度で1.25時間保持し、その間、イソシアネート当量は、1当量当たり約650グラムに達した。最終材料は、ASTM D2572「ウレタン材料またはプレポリマー中のイソシアネート基のための標準試験方法」によって測定した際に、653の測定されたイソシアネート当量、およびゲル透過クロマトグラフィーによって測定した際に、ポリスチレン標準に対して約5,300の重量平均分子量(Mw)を有した。
【0080】
実施例D
イソシアネート官能性プレポリマーを、以下に記載されるように、以下の構成成分から調製した:
【表4】
【0081】
撹拌器、温度プローブ、凝縮器、および窒素入口チューブを装備し、かつ窒素ガスでブランケットした好適な反応容器に、合計760グラムのイソホロンジイソシアネートを入れた。室温(22℃)で、1,356.4グラムのJEFFAMINE D2000を70分にわたって添加し、その間に温度は、約56℃まで上昇した。供給が完了した後、0.42グラムのジブチルスズジラウレートを添加し、混合物を15分間保持した後、混合物を70℃に加熱した。混合物をこの温度で2時間保持し、その間、イソシアネート当量は、1当量当たり約404グラムに達した。最終材料は、ASTM D2572「ウレタン材料またはプレポリマー中のイソシアネート基のための標準試験方法」によって測定した際に、403の測定されたイソシアネート当量、およびゲル透過クロマトグラフィーによって測定した際に、ポリスチレン標準に対して約4,600の重量平均分子量(Mw)を有した。
【0082】
実施例E
イソシアネート官能性プレポリマーを、以下に記載されるように、以下の構成成分から調製した:
【表5】
【0083】
撹拌器、温度プローブ、凝縮器、および窒素入口チューブを装備し、かつ窒素ガスでブランケットした好適な反応容器に、合計575グラムのイソホロンジイソシアネートを入れた。室温(22℃)で、1,935.2グラムのJEFFAMINE D2000を60分にわたって添加し、その間に温度は、約57℃まで上昇した。供給が完了した後、0.51グラムのジブチルスズジラウレートを添加し、混合物を15分間保持した後、混合物を70℃に加熱した。混合物をこの温度で1.5時間保持し、その間、イソシアネート当量は、1当量当たり約865グラムに達した。次に、215.7gのDesmodur XP2580および182.7gのTolonate HDT LV2を添加し、材料を混合した。1時間後、最終材料は、ASTM D2572「ウレタン材料またはプレポリマー中のイソシアネート基のための標準試験方法」によって測定した際に、599の測定されたイソシアネート当量を有し、ポリマーは、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定した際に、ポリスチレン標準に対して約5,400の重量平均分子量(Mw)を有した。
【0084】
実施例F
イソシアネート官能性プレポリマーを、以下に記載されるように、以下の構成成分から調製した:
【表6】
【0085】
撹拌器、温度プローブ、凝縮器、および窒素入口チューブを装備し、かつ窒素ガスでブランケットした好適な反応容器に、合計355グラムのイソホロンジイソシアネートを入れた。室温(21℃)で、598.4グラムのArcol Polyol PPG 725を30分間にわたって添加し、温度上昇は、観察されなかった。供給が完了した後、0.062グラムのジブチルスズジラウレートを添加し、混合物を10分間保持した後、混合物を80℃にゆっくりと加熱した。温度が100℃に上昇し、混合物をこの温度で2時間保持し、その間、イソシアネート当量は、1当量当たり約585グラムに達した。温度を80℃に低下させ、353.0gのDesmodur XP2580および1059.3gのTolonate HDT LV2を添加し、さらに温度を60℃に低下させた。1時間後、材料は、1当量当たり約259グラムの測定されたイソシアネート当量を有した。次に、780.7gのメチルアミルケトンを添加し、最終混合物は、ASTM D2572「ウレタン材料またはプレポリマー中のイソシアネート基のための標準試験方法」によって測定した際に、1当量当たり約341グラムのイソシアネート当量を有し、ポリマーは、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定した際に、ポリスチレン標準に対して約1,400の重量平均分子量(Mw)を有した。
【0086】
配合物の例
実施例1および5は、同一の組成物(異なるバッチ)を有する対照例であり、本発明の組成物で使用されるような研磨成分を含有しない。実施例2~4は、比較例であり、それらは、耐摩損性添加剤として無機粒子を含有するが、有機粒子は含まない。実施例6および7は、本発明に従って調製した組成物を示す。硬化性組成物を、以下の構成成分から調製した:
【表7】
【表8】
【0087】
「A」側:合計100グラムのイソシアネート官能性プレポリマーを使用した。場合によっては、1つまたは1つより多くのプレポリマーを混合して、所望の特性を達成した。噴霧粘度を達成するために、塗布前に内容物を60℃に保った。
【0088】
「B」側:アミン成分を、上記実施例に列挙した構成成分から調製した。実施例1では、すべての構成成分をジルコアビーズと一緒に混合し、LAUミキサーで3時間粉砕する。実施例2~7では、所望の比率のJEFFAMINE T5000およびTiOを使用してプレペーストを混合し、ジルコアビーズを使用してLAU中で3時間粉砕する。ペーストを濾過し、残りの樹脂成分と共に所望のレベルのTiOおよびJEFFAMINE T5000レベルをもたらすために使用した。次いで、アルミナまたはPETROLITE 5000 T6粒子を添加し、カウルズブレードを使用して混合した。
【0089】
本発明のポリ尿素コーティング組成物は、イソシアネート官能性「A」側成分およびアミン官能性「B」側成分を以下の方法で合わせることによって調製した:
【0090】
ポリ尿素コーティング組成物の遊離膜を、静的混合チューブおよび空気圧アプリケータガン(Plas-Pak Industriesから入手可能)を装備した二重筒状シリンジ中にA側およびB側を装入し、成分をポリエチレンシート上に1:1の比率で注入し、次いで、約60~80ミルで、Gardco調整可能マイクロメータ膜アプリケータで即座に延伸することによって生成した。膜特性(ヤング率、伸長、およびガラス転移温度)を試験する前に、膜を104°Fで1日間休止した。
【0091】
室温(23℃)で50mm/分の引き上げ速度を有するINSTRON 4443を使用して、係数および伸長特性を測定した。ガラス転移温度を、TA Instruments 2980 DMA動的機械分析装置を使用して測定した。DMA試験パラメータには、引張膜モード、20μmの振幅、1Hzの周波数、40cNmのクランプ力、および3℃/分の加熱速度が含まれた。
【0092】
硬度値は、静的混合チューブおよび空気圧アプリケータガンを装備した二重筒状シリンジ中にA側およびB側を装入し、成分を型に1:1の比率で注入して、直径約6cmおよび厚さ0.2cmの丸い「パック」を形成することによって決定した。104°Fで1日間休止した後、パックを試験した。ポリ尿素パックの硬度を、周囲条件でショアDデュロメーター(Pacific Transducer Corp.モデル212)で測定した。
【0093】
TABER摩損試験:コーティングをプライミングされたパネルに延伸法により塗布し、中央に穴を開けて4インチ×4インチのピースに切断した。次いで、パネルを秤量し、固定速度で垂直軸上で回転する平坦なターンテーブルプラットフォーム(Taber回転プラットフォーム摩損試験機)に実装した。2つのTaber研磨ホイールを、サンドペーパ(Taber Industries製S-42)で覆い、2つの1,000グラムの錘の特定の圧力で適用し、試験片表面の上に下げた。ターンテーブルが回転すると、ホイールは、試料によって、水平軸を中心に反対方向に駆動された。各試料に対して2つの500サイクルラン(72rpm)を行い、各セットの500サイクル後に質量を記録した。cc単位の体積損失を、コーティングの質量損失および密度を使用して計算し、比較のために以下の表に示すようにプロットした。
【表9】
【0094】
上記表1に見られるように、有機粒子は、無機粒子と組み合わせて使用しない場合、すなわち0%の無機粒子で0~10%の有機粒子でも、耐摩損性を改善することが観察された。
【0095】
実施例G
イソシアネート官能性ポリマーを、以下に記載されるように、以下の構成成分から調製した:
【表10】
【0096】
撹拌器、温度プローブ、凝縮器、および窒素入口チューブを装備し、かつ窒素ガスでブランケットした好適な反応容器に、合計600.2グラムのイソホロンジイソシアネートおよび0.563gのジブチルスズジラウレートを入れた。室温(23℃)で、2,213.3グラムのPolymeg 2000を75分にわたって添加し、その間に反応発熱は、約60℃に達した。供給が完了した後、混合物を70℃にゆっくりと加熱した。反応物をこの温度で90分間保持し、その間、イソシアネート当量は、1当量当たり約910グラムに達した。次に、228.2gのDesmodur XP2580および196.3gのTolonate HDT LV2を添加し、混合物を約30分間撹拌し、その後、材料は、ASTM D2572「ウレタン材料またはプレポリマー中のイソシアネート基のための標準試験方法」によって測定した際に、1当量当たり約622グラムの測定されたイソシアネート当量を有し、ポリマーは、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定した際に、ポリスチレン標準に対して約7,960の分子量(Mw)を有した。
【0097】
実施例8(対照)~10は、ウレタン官能性プレポリマーを使用した有機耐摩損性成分の性能を示す。
【表11】
【表12】
【0098】
表2のデータは、本発明の硬化性組成物の耐摩損性が、かなり少量の耐摩損性添加剤が使用され、かつ耐摩損性添加剤が無機粒子を含まない場合でも、二級アミノ基を含む125~250のアミン当量を有する非環状ポリアミンを硬化剤に含めることによって、著しく改善することができることを示す。
【0099】
本発明の具体例は、詳細に記載されているが、本開示の全体的な教示に照らして、それらの詳細に対する様々な修正および代替案が開発され得ることが当業者によって理解されるであろう。したがって、開示される特定の構成は、添付の特許請求の範囲の全容ならびにその任意のおよびすべての等価物を与える本発明の範囲についてのみ例示であり、限定ではないことを意味する。

【国際調査報告】