IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特表2022-519591車両の駆動ユニットおよび車両をレベリングするための方法
<>
  • 特表-車両の駆動ユニットおよび車両をレベリングするための方法 図1
  • 特表-車両の駆動ユニットおよび車両をレベリングするための方法 図2
  • 特表-車両の駆動ユニットおよび車両をレベリングするための方法 図3
  • 特表-車両の駆動ユニットおよび車両をレベリングするための方法 図4
  • 特表-車両の駆動ユニットおよび車両をレベリングするための方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】車両の駆動ユニットおよび車両をレベリングするための方法
(51)【国際特許分類】
   B60G 17/017 20060101AFI20220316BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20220316BHJP
   B60K 7/00 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
B60G17/017
B60L15/20 S
B60K7/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545394
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(85)【翻訳文提出日】2021-09-03
(86)【国際出願番号】 EP2020051472
(87)【国際公開番号】W WO2020160900
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】19155216.5
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D-80809 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フーバ ネーメト
【テーマコード(参考)】
3D235
3D301
5H125
【Fターム(参考)】
3D235AA04
3D235BB18
3D235BB19
3D235BB23
3D235CC12
3D235FF32
3D235FF34
3D235FF35
3D235GA07
3D235GA12
3D235GA16
3D235GA35
3D235GA67
3D235GB02
3D235GB22
3D235GB42
3D301AA48
3D301AB16
3D301AB17
3D301BA03
3D301BA20
3D301CA01
3D301CA21
3D301CA47
3D301DA01
3D301DA29
3D301DB15
3D301DB21
3D301DB25
3D301DB58
3D301EA51
3D301EA58
3D301EA77
3D301EB05
3D301EB09
3D301EC01
3D301EC05
5H125AA01
5H125BA04
5H125CD00
5H125FF01
(57)【要約】
商用車用の駆動ユニット(100)は、少なくとも1つの電気モータ(111,112,113,114)と、この少なくとも1つの電気モータ(111,112,113,114)によって駆動される、アクスルをレベリングするための手段(120)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用車用の駆動ユニット(100)において、
少なくとも1つの電気モータ(111,112,113,・・・)と、
前記少なくとも1つの電気モータ(111,112,113,114)によって駆動される、アクスルをレベリングするための手段(120)と、
を備えることを特徴とする、駆動ユニット(100)。
【請求項2】
前記レベリングするための手段(120)は、前記少なくとも1つの電気モータ(111,112,113,・・・)によって作動させられる少なくとも1つのセルフロックレベリング機構(121,122,・・・)を含むことを特徴とする、請求項1記載の駆動ユニット(100)。
【請求項3】
前記駆動ユニット(100)は、車両推進エンジン(113,114)をさらに備え、
前記少なくとも1つの電気モータ(111,112)は、前記車両推進エンジン(113,114)から独立していることを特徴とする、請求項1または2記載の駆動ユニット(100)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの電気モータ(113,114)は、車両推進に寄与するように構成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の駆動ユニット(100)。
【請求項5】
前記商用車は、ホイールハブを含み、
前記電気モータ(113,114)と前記ホイールハブとの間にギアボックス(137,138)が配置されており、
前記ギアボックス(137,138)は、前記ホイールハブを駆動するための第1の出力部と、前記レベリングを作動させるための第2の出力部とを含むことを特徴とする、請求項4記載の駆動ユニット(100)。
【請求項6】
前記ギアボックス(137,138)は、前記アクスル(100)をレベリングするための前記第2の出力部を機能させるよう構成されたクラッチを含むことを特徴とする、請求項5記載の駆動ユニット(100)。
【請求項7】
前記車両は、少なくとも1つのホイールブレーキ(151,152)を含み、
前記ギアボックス(137,138)は、前記少なくとも1つのホイールブレーキ(151,152)が係合している場合にのみ、レベリングのための前記第2の出力部を機能させるよう構成されていることを特徴とする、請求項5または6記載の駆動ユニット(100)。
【請求項8】
前記車両の前記レベリングおよび推進を制御するためのユニット(160)を備えることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の駆動ユニット(100)。
【請求項9】
独立懸架を可能にするための単一のホイール(301)用のまたはリジッド車両アクスルを可能にするための2つの両側のホイール(301,302)用の支持構造を備えることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の駆動ユニット(100)。
【請求項10】
車両、特に商用車において、
請求項1から9までのいずれか1項記載の駆動ユニット(100)を備え、前記駆動ユニット(100)は、リジッドアクスルまたは独立懸架のアクスルであることを特徴とする、車両。
【請求項11】
少なくとも1つの電気モータ(111,112,113,114)を含む駆動ユニット(100)を用いて車両をレベリングするための方法であって、前記駆動ユニット(100)は、リジッドアクスルまたは独立懸架のアクスルに含まれている、方法において、
前記車両をレベリングするために、前記駆動ユニット(100)の前記少なくとも1つの電気モータ(110)を制御することを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記車両は、燃焼電気モータ(113,114)を備え、
前記燃焼電気モータ(113,114)または異なる電気エンジン(111,112,113,114)を使用して前記車両のレベリングを行う
ことを特徴とする、請求項11記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の駆動ユニットおよび車両をレベリングするための方法、特に商用車の電気アクスル用の統合された電気式レベリングに関し、アクスルは、リジッド車両アクスルまたは独立懸架のアクスルであってよい。
【0002】
商用車はレベリングを必要とすることが多い。例えば、従動アクスルの負荷変動を補償したり、トレーラを連結するためにトラクタを下げたりすることが求められている。また、車両レベルを外部ドックに合わせて調整するかまたは(例えばバスにおいて)乗車レベルを下げる必要もある。従来のレベリングは、通常、商用車で利用可能な圧縮空気を使用してばねを動かし、車両のシャーシに対して対応するアクスルを上昇または下降させる、いわゆる空気ばねによって実現されている。
【0003】
従来の商用車における圧縮空気は、内燃エンジンなどの推進エンジンの少なくともいくらかの動力を使用して発生させることができる。圧縮空気の利点は、対応するエンジンがアクスルから分離されている場合でも、それぞれのアクスルに圧縮空気を簡単に送ることができることにある。また、推進エンジンのトルクは、例えば、カルダンシャフトによってアクスルの差動ギアに伝達することもできる。ハブシャフトは、その後、ホイールハブおよびリムを駆動することができる。
【0004】
将来的には、電気商用車がますます普及し、電気駆動エンジンが従動アクスルに統合されることさえあり得る。それでも車両のレベリングのために従来のインフラストラクチャに依存したい場合には、電気エンジンに基づいて圧縮空気を発生させる必要がある。しかしながら、十分な能力をもつ電動コンプレッサは高価であり、効率が低い。したがって、従来の圧縮空気システムを置き換えることが求められており、また、これにより、これらのシステムに対して典型的な騒音レベルを大幅に低下させることも求められている。
【0005】
したがって、完全に電化されたエネルギ源に基づいて、いかなる圧縮空気インフラストラクチャをも必要とせずに、特に従動アクスルでレベリング機能を可能にするシステムが求められている。
【0006】
こういった問題の少なくとも幾つかは、請求項1の駆動ユニットまたは請求項11記載の方法によって解決される。従属請求項は、独立請求項の主題のさらに有利な実現を指す。
【0007】
本発明は、商用車用の駆動ユニットに関する。駆動ユニットは、少なくとも1つの電気モータと、この少なくとも1つの電気モータによって駆動または動力供給される、アクスルをレベリングするための手段とを含む。
【0008】
任意選択的に、レベリングするための手段は、電気モータによって作動させられる少なくとも1つのセルフロックレベリング機構を含む。セルフロック機構は、電源故障時にいかなるレベリングをも防止するように構成されていてよい。
【0009】
任意選択的に、駆動ユニットは、車両推進エンジンをさらに備え、電気モータは、車両推進エンジンから独立している。しかしながら、電気モータは、また、車両推進に寄与するように構成されていてもよい。任意選択的に、単一の電気モータのみが、(差動ギアボックスを介して)推進およびレベリング機能に使用されてよく、ギアボックスは、推進とレベリングとの切替えを実施してよい。
【0010】
任意選択的に、商用車は、ホイールハブを含み、電気モータとホイールハブとの間にギアボックスが配置されていてよい。ギアボックスは、ホイールハブを駆動するための第1の出力部と、レベリングを作動させるための第2の出力部とを含んでよい。さらに、ギアボックスは、アクスルをレベリングするための第2の出力部を機能させる/機能させないように構成されたクラッチを含んでよい。
【0011】
任意選択的に、少なくとも1つのホイールブレーキとギアボックスとを含む車両は、少なくとも1つのホイールブレーキが係合している場合にのみ、レベリングのための第2の出力部を機能させるように構成されていてよい。
【0012】
任意選択的に、駆動ユニットは、車両のレベリングおよび推進エンジンを制御するためのユニットを含む。したがって、レベリングおよび推進エンジンの両方を制御するための統合された制御ユニットが存在し得る。ユニットは電力マネージメントを含んでよい。
【0013】
任意選択的に、駆動ユニットは、独立懸架を可能にするための単一のホイール用の支持構造を含む。駆動ユニットは、また、リジッド車両アクスルを可能にするための2つの両側のホイール用の支持構造を含んでもよい。
【0014】
本発明は、さらに、前述のような駆動ユニットを有する車両、特に商用車であって、アクスルは、リジッドアクスルもしくは独立懸架のアクスルまたはその一部である、車両に関する。
【0015】
本発明は、さらに、少なくとも1つの電気モータを含む駆動ユニットを用いて車両をレベリングするための方法であって、駆動ユニットは、リジッドアクスルまたは独立懸架のアクスルであってよい、方法に関する。この方法は、アクスルを車両のシャーシに対して相対的にレベリングするために、駆動ユニットの少なくとも1つの電気モータを制御することを含む。この方法は、車両を駆動するのと同じまたは異なる電気エンジンを用いて車両をレベリングすることをさらに含んでよい。
【0016】
本発明の実施形態は、電気的に駆動される商用車アクスルに統合された電気的に作動させられるレベリングによって上記問題の少なくとも幾つかを解決する。このアクスルは、リジッドであってもよいし、車両のシャーシに固定されている独立懸架の一部であってもよい。電力は、駆動ユニットに利用可能な電源から取得することができ、アクスルをレベリングするために使用することができる。
【0017】
この機能は、特に、従動アクスルにおいて実施されるが、実施形態はこの用途に限定されない。他のアクスルは、レベリングに使用される電気モータを作動させるための付加的なの電源を含んでよい。したがって、実施形態によれば、レベリング機能は、独立したアクチュエータモータまたは1つもしくは複数の推進モータを用いて実現されてよい。そのような共有は、1つまたは複数の駆動モータとホイールハブとの間に設置された例示的なギアボックスを介して実現することができる。アクスルに複数の電気モータが利用可能な場合には、横方向のレベル制御も実施されてよい。従来の空気ばねの場合とは異なり、実施形態によれば、懸架装置のレベリング機能とばね機能とは明確に分離されている。したがって、レベリングは、いかなるタイプのばねなしでも適用可能である。
【0018】
そのようなアクスルは、電気アクスルまたはeアクスルとして知られており、差動ギアを有する1つの電気モータを有してよい。電気アクスルまたはeアクスルは、ホイールごとに2つの別々のモータを有する場合があり、その場合、差動ギアは必要ない。
【0019】
システムおよび/または方法の幾つかの例を単に例によってのみ添付の図に関して以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態による電気駆動ユニットを示す図である。
図2】二重推進電気モータと、更なる実施形態によるレベリング用の独立した電気モータとを有する電気駆動ユニットを示す図である。
図3】単一の推進電気モータと、さらに別の実施形態によるレベリング用の独立した作動モータとを有する電気駆動ユニットを示す図である。
図4】さらに別の実施形態によるレベリングのために共有される二重推進電気モータを有する電気駆動ユニットを示す図である。
図5】車両のレベリングのために共有される単一の推進電気モータを有する電気駆動ユニットのさらに別の実施形態を示す図である。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態による車両駆動ユニットを示している。駆動ユニット100は、1つの電気モータ113と、車両シャーシ200に対してアクスルをレベリングするための手段120とを含む。電気モータ113は、ギアボックス131に繋がって、推進およびレベリングに使用される。ギアボックス131は、2つの出力部と、一方の出力部で、レベリングするための手段120を電気モータ113に結合しかつ他方の出力部で、車両ホイール301を電気モータ113に結合するためのスイッチまたはクラッチとを含んでよい。レベリングするための手段120は、ばね210を介してシャーシ200または別の支持構造に繋がっている。
【0022】
さらに、車両ホイール301を制動するために、アクスルの一部として制動ユニット151が設けられてよい。レベリングするための手段120は、シャーシ200とホイール300との相対距離を変更するための機構を含んでよい。
【0023】
駆動ユニット100は、独立懸架の一部またはリジッドアクスルの一部であってよい。図示された駆動ユニット100は、特に、電気モータ113によって駆動される電気駆動アクスルを含んでよい。更なる実施形態によれば、独立した複数の作動モータが設けられてよく、1つはレベリング用の電気モータであり、1つは推進用の電気モータである。
【0024】
図2は、第1、第2、第3および第4の電気モータ111,112,113,114を含む駆動ユニット100の実施形態を示している。さらに、第1のレベリング手段121および第2のレベリング手段122は、商用車の各側で利用可能である。第1のレベリング手段121は、第1のレベリング手段121を車両シャーシ200に接続する第1のばね211に接続されている。第2のレベリング機構122は、同様に車両シャーシ200に接続されている第2のばね212に接続されている。
【0025】
この実施形態によれば、第1の電気モータ111は、第1のレベリング手段121を駆動し、第2の電気モータ112は、第2のレベリング手段122を駆動する。アクチュエータモータ(第1および第2の電気モータ111,112)の回転は、それぞれのレベリング機構121,122に伝達され、これらのレベリング機構121,122は、モータ回転位置を、アクスルに結合されたそれぞれのばね211,212の可変アクスル支持オフセットに変換する。ばね211,212の他端は、車両シャーシ200に懸架されている。
【0026】
さらに、第1および第2の電気モータ111,112から独立している第3の電気モータ113および第4の電気モータ114は、車両の各側のホイール301,302を駆動するための燃焼エンジンとして利用可能である。左側では、第3の電気モータ113と第1のホイール301との間に、第1のギアボックス131および第1のブレーキ151が駆動系に沿って配置されている。同様に、右側では、第4の電気モータ114と車両の第2のホイール302との間に、第2のギアボックス132および第2のブレーキ152が駆動系に沿って配置されている。したがって、図2の実施形態によれば、駆動電気モータ113,114は、レベリングするための手段121,122を駆動する第1の電気モータ111および第2の電気モータ112とは別個の電気モータである。
【0027】
当然ながら、図1の実施形態においても、独立した電気モータ111,113は、図2に示すように、推進用およびレベリング用に(例えば、車両の左側を駆動かつレベリングするために)使用されてよい。
【0028】
本発明によれば、レベリング手段121,122は、電気的に駆動される商用車駆動ユニット100(いわゆるeアクスル)に統合されてよく、図2は、車両の各側にレベリングを提供するための独立したアクチュエータ111,112を有する二重モータ駆動アクスルを有する例示的なリジッドアクスルを示している。更なる2つの推進電気モータ113,114は、レベリングとは独立して、適切なギアボックス131,132を介して車両を駆動する。しかしながら、ギアボックス131,132は、停止時にのみレベリングを可能にするように構成されていてよい。
【0029】
さらに、アクチュエータモータ111,112および駆動モータ113,114のすべてまたは少なくとも幾つかは、共通の制御およびパワーエレクトロニクス160を共有してよい。したがって、制御を1つのユニット160に統合して、レベリングと推進とを切り替えることができる。電子制御ユニット160は、駆動電気モータ113,114だけでなく、レベリング機構121,122を作動させるために使用される作動電気モータ111,112をも制御してよい。
【0030】
図3は、1つの推進電気モータ113がギアボックス131を介して差動ギア135に接続されるが、レベリングは、図2のように独立した作動モータ111,112によって実施される別の実施形態を示す。この場合にも、第1および第2のレベリング手段121,122は、第1および第2の作動モータ111,112によって作動させられて、アクスル100をシャーシ200に対して下降/上昇させる。
【0031】
図4は、さらに別の実施形態を示しており、レベリング機構121,122を作動させるために、二重駆動電気モータ113,114が同様に使用される。この目的を達成するために、図2の実施形態のギアボックス131,132はそれぞれ、別のギアボックス137,138によって置き換えられ、これらのギアボックス137,138は、一方の側がそれぞれの駆動電気モータ113,114によって駆動されるが、他方の側に2つの出力部を含み、このうち、第1の出力部は、それぞれの駆動系147,148のためのものであり、第2の出力部は、それぞれのレベリング機構121,122を駆動するためのものである。
【0032】
したがって、この実施形態では、二重推進モータ113,114は、推進およびレベリング機能のために共有されている。通常、車両の運動中にレベリングは必要ないので、推進モータ113,114は、車両が停止している間にレベリングに使用することができ、推進モータ113,114は、必要な動力をレベリング機構121,122に伝達することができる。これを可能にするために、スイッチが、出力部を従動ホイール301,302またはレベリング機構121,122に向けて切り替えるために利用可能であり得る。そのようなスイッチ機能は、単一入力および二重出力式の分割ギアボックスによって実施することができ、(図2に示すような)車両制御ユニット160を使用して制御することができる。クラッチが含まれてもよく、ギアボックス137,138の2つの出力部の選択は、電気作動式クラッチによって実現されてよい。
【0033】
更なる実施形態によれば、上昇が停止状態でのみ実施されることを保証するために、駆動系147,148に向かうギアボックス137,138の第1の出力部は、(例えば、パーキングブレーキによって)能動的に制動されてよい。したがって、レベリング機構121,122の出力トルクを可能にするために、ホイールブレーキによる反力トルクを使用することができる。言い換えれば、ブレーキトルクが存在する場合にのみ、レベリング機構121,122を機能させることができる。
【0034】
他のすべての構成要素は、図2の実施形態と同じ方法で配置することができる。ここでは繰り返す必要はない。
【0035】
図5は、ここでもギアボックス131および差動ギア135を介してホイール301,302に結合する単一の駆動モータ113のみが利用可能であるという点で図3の実施形態と同様の実現を表すさらに別の実施形態を示す。ただし、この実施形態では、単一の駆動電気モータ113が、レベリング機構121,122のために付加的に使用される。このために、別のレベリングギアボックス139は、トルクを駆動電気モータ113から第1のレベリング機構121に伝達する。第1のレベリング機構121もトルクを(例えば、接続部123を介して)第2のレベリング機構122に伝達するように構成されてよい。それにより、単一の推進電気モータ113は、専用のギアボックス139を使用し、駆動力を電気モータ113からレベリング機構121,122に伝達することによって、レベリング作動に使用することができる。この場合にも、車両が停止している場合または車両制御ユニット(図5には示さず)によって提供される明示的な制御信号の場合にのみレベリングを可能にするためのスイッチが含まれてよい。
【0036】
この上昇機構は、特に、両側を同じように上昇させる場合(例えば、トラクタをトレーラに結合する場合)に使用することができる。
【0037】
さらに、すべての実施形態における上昇機構121,122は、たとえ上昇作動がオフに切り替えられたとしても、車両を支持するためのセルフロックを含んでよい。このセルフロック機構は、例えば、車両の意図しない下降を防止するウォームギアボックスまたは他の任意のラッチ機構を含んでよい。特に、電源に故障がある場合、レベリング機構121,122は、レベリングの意図しない作動を防ぐために遮断され得る。
【0038】
さらに有利な実施形態は、以下のうちの少なくとも1つに関する。
【0039】
少なくとも1つの電気モータを具備した商用車駆動ユニットであって、電気モータが、アクスルのレベリング作動を実現するように構成されている、商用車駆動ユニット。
【0040】
商用車駆動ユニットは、さらに、電気モータが少なくとも1つのレベリング機構を作動させることを特徴としてよい。
【0041】
商用車駆動ユニットは、さらに、レベリング機構がセルフロックであることを特徴としてよい。
【0042】
商用車駆動ユニットは、さらに、電気モータが車両推進から独立していることを特徴としてよい。
【0043】
商用車駆動ユニットは、さらに、推進電気モータがレベリング作動のために共有されることを特徴としてよい。
【0044】
商用車駆動ユニットは、さらに、アクスル内で推進eモータとホイールハブとの間にギアボックスが配置されていて、このギアボックスが、ホイールを駆動するための第1の出力部と、レベリングを作動させるための第2の出力部とを有することを特徴としてよい。
【0045】
商用車駆動ユニットは、ギアボックスのレベリング用の第2の出力部がクラッチによって機能することができることを特徴としてよい。
【0046】
商用車駆動ユニットは、さらに、ギアボックスのレベリング用の第2の出力部が、ホイールブレーキがアクティブである場合にのみ機能することができることを特徴としてよい。
【0047】
商用車駆動ユニットは、さらに、推進機能およびレベリング機能のための制御およびパワーエレクトロニクスが共有かつ/または統合されることを特徴としてよい。
【0048】
本明細書および図面は、開示の原理を単に例証するものである。したがって、当業者は、本明細書に明示的に記載または示されていないが、開示の原理を具体化し、その範囲内に含まれる様々な機構を案出可能であることが理解されよう。
【0049】
さらに、各実施形態は、個別の例としてそれ自体成立し得るが、他の実施形態では、規定された特徴を異なって組み合わせることができ、すなわち、一実施形態で説明された特定の特徴は、他の実施形態でも実現され得ることに留意されたい。そのような組み合わせは、特定の組み合わせが意図されていないことが述べられていない限り、本明細書の開示によって包含される。
【符号の説明】
【0050】
100 車両(商用車)用の駆動ユニット
111,112 レベリング用の1つまたは複数の電気モータ/作動モータ
113,114 1つまたは複数の推進電気モータ
120 レベリングするための手段
121,122 レベリング機構
131,132,・・・ ギアボックス
151,152,・・・ ホイールブレーキ
160 電子制御ユニット
200 車両のシャーシ
211,212 ばね
301,302 ホイール
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】