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特表2022-519596CLN3ポリヌクレオチドのアデノ随伴ウイルス送達
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】CLN3ポリヌクレオチドのアデノ随伴ウイルス送達
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/864 20060101AFI20220316BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20220316BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20220316BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 49/04 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
C12N15/864 100Z
C12N7/01 ZNA
C12N15/12
A61K35/76
A61P25/00
A61K38/17
A61K48/00
A61K47/10
A61K47/18
A61K47/02
A61K49/04 210
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545401
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(85)【翻訳文提出日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 US2020016542
(87)【国際公開番号】W WO2020163300
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】62/800,911
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
2.TWEEN
3.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】520146112
【氏名又は名称】リサーチ・インスティチュート・アット・ネーションワイド・チルドレンズ・ホスピタル
(71)【出願人】
【識別番号】516046846
【氏名又は名称】オハイオ ステート イノベーション ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー, キャスリン
(72)【発明者】
【氏名】カスパー, ブライアン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ファウスト, ケビン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AB01
4B065BA01
4B065CA44
4C076BB21
4C076CC01
4C076DD07
4C076DD23Z
4C076DD50Z
4C076EE23
4C076FF68
4C084AA02
4C084AA13
4C084BA44
4C084DC50
4C084MA65
4C084NA14
4C084ZA011
4C085HH05
4C085KB39
4C085LL13
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZA01
(57)【要約】
本開示は、セロイドリポフスチン症ニューロン3(CLN3)ポリヌクレオチドの組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)送達に関する。本開示は、ニューロンセロイドリポフスチン症またはCLN3-バッテン病のCLN3遺伝子治療のためのrAAVおよびrAAVの使用方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CLN3ポリペプチドをコードする自己相補的組換えアデノ随伴ウイルス9(scAAV9)であって、5’から3’の順序で、配列番号3のヌクレオチド配列を含むP546プロモーター、および配列番号1の前記CLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むscAAV9ゲノムを含む、自己相補的組換えアデノ随伴ウイルス9(scAAV9)。
【請求項2】
前記scAAV9ゲノムが、5’から3’の順序で、配列番号3の前記ヌクレオチド配列を含むP546プロモーター、SV40イントロン、および配列番号1の前記CLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項1に記載のscAAV9。
【請求項3】
前記scAAV9ゲノムが、5’から3’の順序で、配列番号3の前記配列を含むP546プロモーター、配列番号1の前記CLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、およびウシ成長ホルモンポリアデニル化ポリA配列を含む、請求項1に記載のscAAV9。
【請求項4】
2つのAAV逆方向末端反復をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のscAAV9。
【請求項5】
前記CLN3ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号2と少なくとも90%同一の配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のscAAV9。
【請求項6】
前記CLN3ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号2の核酸配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のscAAV9。
【請求項7】
前記scAAV9ゲノムが、配列番号4と少なくとも90%同一の核酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のscAAV9。
【請求項8】
前記scAAV9ゲノムが、配列番号4と少なくとも95%同一の核酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のscAAV9。
【請求項9】
前記scAAV9ゲノムが、配列番号4の核酸配列を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のscAAV9。
【請求項10】
前記AAV逆方向末端反復が、AAV2逆方向末端反復である、請求項1~9のいずれか一項に記載のscAAV9。
【請求項11】
rAAV9ゲノムが、一本鎖ゲノムを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のscAAV9。
【請求項12】
第1のAAV逆方向末端反復配列、配列番号3の配列を含むP546プロモーター、配列番号1のCLN3ポリペプチドをコードする核酸配列、および第2の逆方向末端反復配列を含む、核酸分子。
【請求項13】
第1のAAV逆方向末端反復配列、配列番号3のヌクレオチド配列を含むP546プロモーター、SV40イントロン、配列番号1の前記CLN3ポリペプチドをコードする核酸配列、および第2のAAV逆方向末端反復配列を含む、請求項12に記載の核酸分子。
【請求項14】
第1のAAV逆方向末端反復配列、配列番号3の前記ヌクレオチド配列を含むP546プロモーター、配列番号1の前記CLN3ポリペプチドをコードする核酸、ウシ成長ホルモンポリアデニル化ポリA配列、および第2のAAV逆方向末端反復配列を含む、請求項12に記載の核酸分子。
【請求項15】
前記CLN3ポリペプチドをコードする前記核酸が、配列番号2と少なくとも90%同一の配列を含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項16】
前記CLN3ポリペプチドをコードする前記核酸が、配列番号2の核酸配列を含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項17】
配列番号4の核酸配列と少なくとも90%同一の核酸配列を含む、請求項12~16のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項18】
配列番号4の核酸配列と少なくとも95%同一の核酸配列を含む、請求項12~16のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項19】
配列番号4の核酸配列を含む、請求項12~17のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項20】
前記AAV逆方向末端反復が、AAV2逆方向末端反復である、請求項15~20のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項21】
請求項12~20のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、自己相補的組換えアデノ随伴ウイルス9(scAAV9)。
【請求項22】
前記scAAV9が、一本鎖ゲノムを含む、請求項21に記載のscAAV9。
【請求項23】
請求項12~20のいずれか一項に記載の核酸分子を含む、rAAV粒子。
【請求項24】
前記rAAV粒子が、一本鎖ゲノムを含む、請求項23に記載のrAAV粒子。
【請求項25】
CLN3ポリペプチドをコードする組換えアデノ随伴ウイルス9(rAAV9)ウイルス粒子であって、5’から3’の順序で、P546プロモーター、および前記CLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むrAAV9ゲノムを含む、組換えアデノ随伴ウイルス9(rAAV9)ウイルス粒子。
【請求項26】
前記rAAV9ゲノムが、自己相補的ゲノムを含む、請求項25に記載のrAAV9ウイルス粒子。
【請求項27】
前記rAAV9ゲノムが、一本鎖ゲノムを含む、請求項25に記載のrAAV9ウイルス粒子。
【請求項28】
前記rAAV9ゲノムが、5’から3’の順序で、第1のAAV逆方向末端反復、前記P546プロモーター、前記CLN3ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチド、および第2のAAV逆方向末端反復を含む、請求項25~27のいずれか一項に記載のrAAV9ウイルス粒子。
【請求項29】
前記P546プロモーターが、配列番号3の核酸配列と少なくとも90%同一の配列を含む、請求項25~28のいずれか一項に記載のrAAV9ウイルス粒子。
【請求項30】
前記CLN3ポリペプチドが、配列番号1の核酸配列と少なくとも90%同一の配列を含む、請求項25~29のいずれか一項に記載のrAAV9ウイルス粒子。
【請求項31】
前記CLN3ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号2の核酸配列と少なくとも90%同一の配列を含む、請求項25~30のいずれか一項に記載のrAAV9ウイルス粒子。
【請求項32】
前記rAAV9ゲノムが、配列番号4の核酸配列と少なくとも90%同一の配列を含む、請求項25~31のいずれか一項に記載のrAAV9ウイルス粒子。
【請求項33】
前記rAAV9ゲノムが、配列番号4の核酸配列と少なくとも95%同一の配列を含む、請求項25~31のいずれか一項に記載のrAAV9ウイルス粒子。
【請求項34】
前記AAV逆方向末端反復が、AAV2逆方向末端反復である、請求項28~33のいずれか一項に記載のrAAV9ウイルス粒子。
【請求項35】
前記rAAV9ゲノムが、SV40イントロンをさらに含む、請求項25~34のいずれか一項に記載のrAAV9ウイルス粒子。
【請求項36】
前記rAAV9ゲノムが、BGHポリA配列をさらに含む、請求項25~35のいずれか一項に記載のrAAV9ウイルス粒子。
【請求項37】
5’から3’の順序で、第1のAAV逆方向末端反復、P546プロモーター、CLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および第2のAAV逆方向末端反復を含むrAAV9ゲノムを含む核酸分子。
【請求項38】
前記rAAV9が、自己相補的ゲノムを含む、請求項37に記載の核酸分子。
【請求項39】
前記rAAV9が、一本鎖ゲノムを含む、請求項37に記載の核酸分子。
【請求項40】
前記rAAV9ゲノムが、5’から3’の順序で、第1のAAV逆方向末端反復、前記P546プロモーター、前記CLN3ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチド、および第2のAAV逆方向末端反復を含む、請求項37~39のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項41】
前記P546プロモーターが、配列番号3の核酸配列と少なくとも90%同一の配列を含む、請求項37~40のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項42】
前記CLN3ポリペプチドが、配列番号1の核酸配列と少なくとも90%同一の配列を含む、請求項37または41に記載の核酸分子。
【請求項43】
前記CLN3ポリペプチドをコードする前記ポリヌクレオチドが、配列番号2の核酸配列と少なくとも90%同一の配列を含む、請求項37~42のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項44】
前記rAAV9ゲノムが、配列番号4の核酸配列と少なくとも95%同一の配列を含む、請求項37~43のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項45】
前記AAV逆方向末端反復が、AAV2逆方向末端反復である、請求項37~44のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項46】
前記rAAV9ゲノムが、配列番号4の核酸配列と少なくとも90%同一の配列を含む、請求項37~4537のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項47】
前記rAAV9ゲノムが、SV40イントロンをさらに含む、請求項377~46のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項48】
前記rAAV9ゲノムが、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリA配列をさらに含む、請求項37~47のいずれか一項に記載の核酸分子。
【請求項49】
請求項1~12、21または22のいずれか一項に記載のscAAV、請求項12~20または37~48のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項23~36のいずれか一項に記載のrAAV9ウイルス粒子、および薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤を含む、組成物。
【請求項50】
前記賦形剤が、非イオン性低浸透圧性化合物、緩衝剤、ポリマー、塩、またはこれらの組み合わせを含む、請求項49に記載の組成物。
【請求項51】
対象におけるCLN3-バッテン病を治療する方法であって、治療有効量の、請求項1~12、21もしくは22のいずれか一項に記載のscAAV、請求項12~20もしくは37~48のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項23~36のいずれか一項に記載のrAAV9ウイルス粒子、請求項37~48のいずれか一項に記載の核酸、または請求項49もしくは請求項50に記載の組成物、を含む組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項52】
前記組成物が、髄腔内、脳室内、脳実質内、静脈内、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される経路を介して投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記組成物が、髄腔内投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記組成物が、脳室内投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項55】
前記組成物が、静脈内投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
約1×1012~約1×1015vgの前記rAAV9ウイルス粒子が投与される、請求項51または55に記載の方法。
【請求項57】
約6×1013~約1.2×1014の前記rAAV9ウイルス粒子が投与される、請求項51または56に記載の方法。
【請求項58】
治療が、
(a)自己蛍光貯蔵物質のリソソーム蓄積の減少または遅延、
(b)ATPシンターゼサブユニットCのリソソーム蓄積の減少または遅延、
(c)グリア活性化(星状細胞および/またはミクログリア)活性化の減少または遅延、
(d)星状細胞増加症の減少または遅延、
(e)MRIによって測定された脳容積損失の減少または遅延、
(f)発作の発症の減少または遅延、
(g)UBDRS評価尺度のうちの1つ以上における安定化、進行の減少もしくは遅延、または改善、から選択されるCLN3-バッテン病の1つ以上の症状を減少させ、前記減少、安定化、または改善が、前記組成物を投与する前の前記対象または未処置のCLN3-バッテン病患者と比較してである、請求項51~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記rAAV9ウイルス粒子を投与した後、前記対象をトレンデレンベルク体位に置くことをさらに含む、請求項51~58に記載の方法。
【請求項60】
CLN3疾患の治療を必要とする対象におけるCLN3疾患を治療する方法であって、請求項1~12、21または22のいずれか一項に記載のscAAV、請求項12~20または37~48のいずれか一項に記載の核酸分子、請求項23~36のいずれか一項に記載のrAAV9ウイルス粒子を含む組成物を、それを必要とする対象の脳または脊髄に送達することを含む、方法。
【請求項61】
前記組成物が、髄腔内注射、脳室内注射、脳実質内注射、静脈内注射、またはこれらの組み合わせによって送達される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記組成物の髄腔内注射後に、前記対象をトレンデレンベルク体位に置くことをさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記組成物が、非イオン性低浸透圧性造影剤を含む、請求項60~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記非イオン性低浸透圧性造影剤が、イオビトリドール、イオヘキソール、イオメプロール、イオパミドール、イオペントール、イオプロミド、イオベルソール、イオキシラン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6363に記載の方法。
【請求項65】
前記脳または脊髄に送達することが、脳幹への送達を含む、請求項60~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
前記脳または脊髄に送達することが、小脳への送達を含む、請求項60~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記脳または脊髄に送達することが、視覚皮質への送達を含む、請求項60~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記脳または脊髄に送達することが、運動皮質への送達を含む、請求項60~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記脳または脊髄に送達することが、神経細胞、グリア細胞、または両方への送達を含む、請求項60~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記脳または脊髄に送達することが、ニューロン、下位運動ニューロン、ミクログリア細胞、乏突起膠細胞、星状細胞、シュワン細胞、またはこれらの組み合わせへの送達を含む、請求項60~69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
治療が、
(a)自己蛍光貯蔵物質のリソソーム蓄積の減少、
(b)ATPシンターゼサブユニットCのリソソーム蓄積の減少、
(c)グリア活性化(星状細胞および/またはミクログリア)活性化の減少、
(d)星状細胞増加症の減少、
(e)MRIによって測定された脳容積損失の減少、
(f)発作の発症の減少、および
(g)UBDRS評価尺度のうちの1つ以上における安定化、進行の減少、または改善のうちの1つ以上をもたらし、前記減少、安定化、または改善が、前記組成物を送達する前の前記対象または未処置のCLN3-バッテン病患者と比較してである、請求項60~70のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年2月4日に出願された米国仮特許出願第62/800,911号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の参照による組み込み
本出願は、開示の別個の部分として、コンピュータ可読形式の配列表(ファイル名:2020年1月31日に作成された53576_SeqListing.txt、26,705バイト、ASCIIテキストファイル)を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、セロイドリポフスチン症ニューロン3(CLN3)ポリヌクレオチドの組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)送達に関する。本開示は、ニューロンセロイドリポフスチン症(NCL)またはCLN3-バッテン病のCLN3遺伝子治療のためのrAAVおよびrAAVの使用方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
ニューロンセロイドリポフスチン症(NCL)は、一群の重度の神経変性障害である。
【0005】
CLN3遺伝子における変異は、若年型NCLまたはCLN3-バッテン病を引き起こし(Kitzmu et al.,Human Molecular Genetics 2008;17(2):303-312、Munroe et al.,Am J Hum Genet.1997;61:310-316)、これはまたシュピールマイアー-シェーグレン-フォークト病とも呼ばれている。変異はリソソーム貯蔵クリアランスプロセスを妨害する。現時点で、67の疾患を引き起こす変異が報告されている。しかしながら、患者の85%が1.02kbの欠失についてホモ接合性であり、これはエクソン7およびエクソン8の喪失をもたらす。患者に見られるCLN3変異は、主にタンパク質(バテニン(battenin))の量または機能性の減少を引き起こす。
【0006】
CLN3-バッテン病の典型的な発症年齢は4~7歳で、潜伏性であるが急速に進行性の視力喪失を伴う。若年型NCLを有する子供は、数ヶ月間で通常の視力から失明へと移行するが、その後数年間明暗の認識を維持することができる。認知力および運動機能の低下は通常、攻撃性(8~10歳)などの行動上の問題、およびその後の発作(10~12歳)と共に、次の(7~10歳)の後に起こる。パーキンソン病の特徴は11~13歳の間に発症する。心臓伝導異常は、疾患の後期にある個体において報告されている。CLN3-バッテン病に罹患している個体には表現型の多様性が高いが、全員が低視力または進行性失明を共通して有する。さらに、82人の患者で検証されている統一バッテン病評価尺度(UBDRS)の物理的なサブスケールは、年間2.86ポイント(2.27~3.45、p<0.0001)の着実かつ測定可能な減少を示している。平均生存期間は通常、症状の発症から終末までの15年間である。
【0007】
CLN3-バッテン病に対する治療方針は、疾患を改善するための努力において広範囲にわたっている。これらには、AMPA受容体を標的とするEGIS-8332およびタラムパネルなどの薬物療法、早期終止変異のリードスルーを可能にする薬物、蓄積された貯蔵物質の破壊を補助する薬物(シスタゴン/システアミン)、さらには免疫抑制療法(ミコフェノール酸、プレドニゾロン)が挙げられる。酵素補充療法および幹細胞療法もまた評価されている。多くの治療手段が研究されてきたが、臨床現場で評価されたものはほとんどない。進行を遅延させるか、または疾患を治癒するのに利用可能なものはない。患者および家族は、症状および緩和ケアを改善するための治療に頼っている。
【0008】
Cln3Δex7/8マウスモデルは、CLN3-バッテン病患者において最も一般的な疾患を引き起こす変異:CLN3遺伝子からエクソン7および8を排除する約1kbの変異、を模倣するために2000年代初頭に作成された(Cotman et al.,Hum Mol Genet.2002;11(22):2709-2721、Mole et al.,Eur J Paediatr Neurol.2001;5:7-10)。この変異は、患者の85%においてホモ接合型で、さらに患者の15%において他の対立遺伝子の点変異と組み合わせたヘテロ接合型変異として見られる。エクソンの喪失はフレームシフト変異を生じさせることが予測され、それにより喪失または減少した活性を有する、短い不完全な(truncated)タンパク質産物がもたらされる(Lerner et al.,Cell.1995 Sep 22;82(6):949-57、Kitzmuller et al.,Hum Mol Genet.2008 Jan 15;17(2):303-12)。彼らの最初の研究において、Cotmanらは、CLN3Δex7/8マウスモデルがCLN3疾患のいくつかの側面を首尾よく再現したことを実証した。CLN3Δex7/8動物は、種々の時点で神経系に自己蛍光貯蔵物質およびATPシンターゼサブユニットCを蓄積し、そして10ヶ月齢から脳内で星状細胞反応性を示した。その後の研究は、小脳におけるグルタミン酸受容体機能の変化を詳述しており、これは加速ロータロッドアッセイにおける運動障害に対応していた(Cotman et al.,Hum Mol Genet.2002;11(22):2709-2721)。行動的には、CLN3Δex7/8マウスは、若年および成熟の両方の時点で特徴付けられており、新生児および若年成体マウスでは神経発達運動遅延が見られ、10~12ヶ月齢で歩行および後肢握りの障害が見られた(Cotman et al.,Hum Mol Genet.2002;11(22):2709-2721、Osorio et al.,Genes Brain Behav.2009 Apr;8(3):337-345)。CLN3Δex7/8マウスは、機能的視覚障害を有するようには見えないが、12ヶ月齢の対照と比較した場合、わずかな生存障害を示している(Cotman et al.,Hum Mol Genet.2002;11(22):2709-2721、Seigel et al.,Mol Cell Neurosci.2002 Apr;19(4):515-27)。まとめると、最も頻繁なヒト変異を保有するCLN3Δex7/8マウスモデルは、CLN3-バッテン病と一致する多数の細胞的および行動的変化を示し、それを療法を試験するための適切なモデルにしている。
【0009】
したがって、CLN3-バッテン病の治療に対する当該技術分野における必要性が残っている。
【発明の概要】
【0010】
本明細書に提供されるのは、組換えAAVを使用するCLN3遺伝子治療のための方法および製品である。
【0011】
本明細書に提供されるのは、5’から3’の順序で、P546プロモーター、およびCLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、rAAV9ゲノムを含む、CLN3ポリペプチドをコードする組換えアデノ随伴ウイルス9(rAAV9)である。いくつかの実施形態では、rAAV9ゲノムは、自己相補的ゲノムを含む。いくつかの実施形態では、rAAV9ゲノムは、一本鎖ゲノムを含む。
【0012】
配列番号1に記載のCLN3ポリペプチドをコードする自己相補的組換えアデノ随伴ウイルス9(scAAV9)が提供され、この中で、scAAV9のゲノムは、5’から3’の順序で、第1のAAV逆方向末端反復、配列番号3の配列を含むP546プロモーター、配列番号1に記載のCLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および第2のAAV逆方向末端反復を含む。CLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号2と少なくとも90%同一であり得る。
【0013】
また提供されるのは、5’から3’の順序で、第1のAAV逆方向末端反復、配列番号3の配列を含むP546プロモーター、SV40イントロン、配列番号1のCLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および第2のAAV逆方向末端反復を含むゲノムを有するscAAV9;5’から3’の順序で、第1のAAV逆方向末端反復、配列番号3の配列を含むP546プロモーター、配列番号1のCLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ウシ成長ホルモンポリアデニル化ポリA配列、および第2のAAV逆方向末端反復を含むゲノムを有するscAAV9である。例示的な実施形態では、scAAV9は、配列番号4に記載の遺伝子カセットを含むゲノムを有する。
【0014】
配列番号1に記載のCLN3ポリペプチドをコードする一本鎖組換えアデノ随伴ウイルス9(ssAAV9)が提供され、この中で、ssAAV9のゲノムは、5’から3’の順序で、第1のAAV逆方向末端反復、配列番号3の配列を含むP546プロモーター、配列番号1に記載のCLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および第2のAAV逆方向末端反復を含む。CLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号2と少なくとも90%同一であり得る。また提供されるものは、5’から3’の順序で、第1のAAV逆方向末端反復、配列番号3の配列を含むP546プロモーター、SV40イントロン、配列番号1のCLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および第2のAAV逆方向末端反復を含むゲノムを有するssAAV9;5’から3’の順序で、第1のAAV逆方向末端反復、配列番号3の配列を含むP546プロモーター、配列番号1のCLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、ウシ成長ホルモンポリアデニル化ポリA配列、および第2のAAV逆方向末端反復を含むゲノムを有するssAAV9である。
【0015】
配列番号4に記載の核酸配列は、図1Aに提供される遺伝子カセットである。提供されるのは、配列番号4の核酸配列と少なくとも90%同一、または配列番号4の核酸配列と少なくとも95%同一、または配列番号4の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を含むscAAV9ゲノムまたはssAAV9ゲノムを有するrAAV9である。
【0016】
第1のAAV逆方向末端反復、配列番号3の配列を含むP546プロモーター、配列番号1のCLN3ポリペプチドをコードする核酸配列、および第2のAAV逆方向末端反復を含む核酸分子もまた提供される。いくつかの実施形態では、CLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、配列番号2と少なくとも90%同一であり得る。
【0017】
また提供されるのは、第1のAAV逆方向末端反復、配列番号3のヌクレオチド配列を含むP546プロモーター、SV40イントロン、配列番号1のCLN3ポリペプチドをコードする核酸配列、および第2のAAV逆方向末端反復を含む核酸分子である。さらに提供されるのは、第1のAAV逆方向末端反復、配列番号3の配列を含むP546プロモーター、配列番号1のCLN3ポリペプチドをコードする核酸、ウシ成長ホルモンポリアデニル化ポリA配列、および第2のAAV逆方向末端反復を含むポリヌクレオチドである。提供されるポリヌクレオチドのいずれにおいても、CLN3ポリペプチドは、配列番号2に記載の核酸配列、または配列番号2と少なくとも90%同一の配列によってコードされ得る。
【0018】
これらのポリヌクレオチドのいずれかを含むrAAV9、scAAV9、またはssAAV9が提供される。一本鎖ゲノムを有するrAAVもまた提供される。
【0019】
さらに提供されるのは、CLN3ポリペプチドをコードするrAAV9ウイルス粒子であり、ここでrAAV9ゲノムは5’から3’の順序で、第1のAAV逆方向末端反復、配列番号3と少なくとも90%同一の核酸配列を含むP546プロモーター、配列番号1と少なくとも90%同一のCLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および第2のAAV逆方向末端反復を含む。提供されるrAAV9粒子は、配列番号1と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含むCLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み得る。加えて、rAAV9ウイルス粒子は、配列番号4の核酸配列と少なくとも90%同一、配列番号4の核酸配列と少なくとも95%同一、または配列番号4の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を含むAAV9ゲノムを含み得る。rAAV9ウイルス粒子のいずれも、SV40イントロン、および/またはBGHポリA配列をさらに含み得る。
【0020】
提供されるrAAV、ssAAV、およびscAAVのいずれにおいても、AAV逆方向末端反復は、AAV2逆方向末端反復であり得る。
【0021】
また提供されるのは、5’から3’の順序で、第1のAAV逆方向末端反復、配列番号3と少なくとも90%同一の核酸配列を含むP546プロモーター、および配列番号1と少なくとも90%同一のCLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むrAAV9ゲノムを含む核酸分子である。提供される核酸分子は、自己相補的ゲノムまたは一本鎖ゲノムを含み得る。
【0022】
さらに提供されるのは、5’から3’の順序で、第1のAAV逆方向末端反復、配列番号3と少なくとも90%同一の核酸配列を含むP546プロモーター、配列番号1と少なくとも90%同一のCLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、および第2のAAV逆方向末端反復を含む、rAAV9ゲノムを含む核酸分子である。提供される核酸分子は、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含むCLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み得る。加えて、核酸分子は、配列番号4の核酸配列と少なくとも90%同一、配列番号4の核酸配列と少なくとも95%同一、配列番号4の核酸配列と少なくとも98%同一である核酸配列を含むAAV9ゲノムを含み得る。提供される核酸分子のいずれも、SV40イントロン、および/またはBGHポリA配列をさらに含み得る。
【0023】
さらに提供されるのは、本明細書に記載のscAAV9、本明細書に記載のssAAV9、本明細書に記載の核酸分子、または本明細書に記載のrAAVウイルス粒子、および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む組成物である。場合によっては、薬学的に許容される賦形剤は、非イオン性低浸透圧性化合物、緩衝剤、ポリマー、塩、またはこれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーはコポリマーである。いくつかの実施形態では、コポリマーはポロキサマーである。例えば、組成物は、非イオン性低浸透圧性化合物を含む薬学的に許容される賦形剤を少なくとも含み得る。例えば、薬学的に許容される賦形剤は、約20~40%の非イオン性低浸透圧性化合物、または約25%~約35%の非イオン性低浸透圧性化合物を含む。例示的な組成物は、20mMのトリス(pH8.0)、1mMのMgCl、200mMのNaCl、0.001%のポロキサマー188、および約25%~約35%の非イオン性低浸透圧性化合物中に配合されたscAAVを含む。別の例示的組成物は、1×PBSおよび0.001%プルロニックF68中に配合されたscAAVを含む。
【0024】
またさらに提供されるのは、治療有効量の本明細書に開示されるrAAV9ウイルス粒子のいずれか、本明細書に開示されるscAAV9のいずれか、本明細書に開示されるssAAV9のいずれか、本明細書に記載の核酸分子のいずれか、または本明細書に記載の組成物のいずれか、を含む組成物を対象に投与することを含む、対象におけるCLN3-バッテン病の治療方法である。
【0025】
提供される方法のいずれにおいても、組成物、rAAV9、ssAAV9、scAAV9および/または核酸分子は、髄腔内、脳室内、脳実質内、静脈内、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される経路を介して投与される。
【0026】
治療有効量の本明細書に開示されるrAAV9ウイルス粒子のいずれか、本明細書に開示されるscAAV9のいずれか、本明細書に開示されるssAAV9のいずれか、本明細書に記載の核酸分子のいずれか、または本明細書に記載の組成物のいずれかの、CLN3-バッテン病の治療を必要とする対象におけるCLN3-バッテン病の治療用の薬剤の調製のための使用である。
【0027】
またさらに提供されるのは、治療有効量の本明細書に開示されるrAAV9ウイルス粒子のいずれか、本明細書に開示されるscAAV9のいずれか、本明細書に開示されるssAAV9のいずれか、本明細書に記載の核酸分子のいずれかを含む組成物、またはCLN3-バッテン病の治療を必要とする対象におけるCLN3-バッテン病を治療するための記載された組成物のいずれかである。
【0028】
髄腔内経路によって投与されるscAAV9、ssAAV9、もしくはrAAV9の例示的な用量は、対象あたり約1×1011vgのscAAV9、ssAAV9、もしくはrAAV9ウイルス粒子から対象あたり約2×1015vgまでであるか、または対象あたり約1×1011vgのscAAV9、ssAAV9、もしくはrAAV9ウイルス粒子から対象あたり約1×1015vgのscAAV9、ssAAV9、もしくはrAAV9ウイルス粒子までであるか、または対象あたり約1×1012vgのscAAV9、ssAAV9、もしくはrAAV9ウイルス粒子から対象あたり約1×1014vgのscAAV9、ssAAV9、もしくはAAV9ウイルス粒子までであるか、または対象あたり約1×1012vgのscAAV9、ssAAV9、もしくはrAAV9ウイルス粒子から対象あたり約1×1015vgのscAAV9、ssAAV9、もしくはAAV9ウイルス粒子までである。例えば、約1×1013vgのscAAV9、ssAAV9、もしくはAAV9ウイルス粒子を対象に投与するか、または約1.5×1013のscAAV9、ssAAV9、もしくはAAV9ウイルス粒子を対象に投与するか、または約3.4×1013のscAAV9、ssAAV9、もしくはAAV9ウイルス粒子を対象に投与するか、または約6×1013vgのscAAV9、ssAAV9、もしくはAAV9ウイルス粒子を対象に投与するか、または約1.2×1014のscAAV9、ssAAV9、もしくはAAV9ウイルス粒子を対象に投与するか、または約2×1014のscAAV9、ssAAV9、もしくはAAV9ウイルス粒子を対象に投与する。
【0029】
処置のための方法、薬剤または組成物は、処置前の対象または未処置のCLN3-バッテン病患者と比較して、(a)自己蛍光性貯蔵物質のリソソーム蓄積の減少または遅延、(b)ATPシンターゼサブユニットCのリソソーム蓄積の減少または遅延、(c)グリア活性化(星状細胞および/またはミクログリア)活性化の減少または遅延、(d)星状細胞増加症の減少または遅延、(e)MRIにより測定した脳容積損失の減少または遅延、(f)発作の発症の減少または遅延、ならびに(g)CLN3バッテン病の進行および/または改善を評価するために使用される尺度、例えば、統一バッテン病評価システム(UBDRS)評価尺度またはハンブルク運動および言語尺度のうちの1つ以上の安定化、進行の減少もしくは遅延、または改善のうちの1つ以上を対象にもたらす。対象は、本明細書に開示されるrAAV9、ssAAV9、またはscAAVもしくは核酸分子を投与した後に、トレンデレンベルク体位に保持され得る。
【0030】
またさらに提供されるのは、本明細書に開示されるrAAVウイルスのいずれか1つ、本明細書に開示されるscAAV9のいずれか、本明細書に開示されるssAAV9のいずれか、本明細書に記載の核酸分子のいずれかを含む組成物、または本明細書に記載の組成物のいずれかもしくは本明細書に記載の薬剤のいずれかを、治療を必要とする患者の脳または脊髄に送達することを含む、治療を必要とする対象におけるCLN3疾患を治療する方法である。
【0031】
提供される方法または使用のいずれにおいても、組成物または薬剤は、髄腔内、脳室内、脳実質内、または静脈内注射、またはこれらの組み合わせによって送達することができる。提供される方法のいずれも、本明細書に開示される組成物、rAAV9ウイルス粒子もしくはscAAVまたは核酸分子の髄腔内注射後に、患者をトレンデレンベルク体位に置くことをさらに含み得る。
【0032】
提供される方法または使用のいずれにおいても、組成物または薬剤は、非イオン性低浸透圧性造影剤を含み得る。例えば、組成物は、イオビトリドール、イオヘキソール、イオメプロール、イオパミドール、イオペントール、イオプロミド、イオベルソール、イオキシラン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される非イオン性低浸透圧性造影剤を含む。
【0033】
投与される組成物または薬剤は、薬学的に許容される賦形剤を含み得る。例えば、薬学的に許容される賦形剤は、約20~40%の非イオン性低浸透圧性化合物、または約25%~約35%の非イオン性低浸透圧性化合物を含む。例示的な組成物は、20mMのトリス(pH8.0)、1mMのMgCl、200mMのNaCl、0.001%のポロキサマー188、約25%~約35%の非イオン性低浸透圧性化合物中に配合されたscAAVを含む。別の例示的組成物は、1×PBSおよび0.001%プルロニックF68中に配合されたscAAVを含む。
【0034】
提供される方法または使用のいずれにおいても、組成物または薬剤が脳または脊髄に送達されるとき、組成物は脳幹に送達されてもよく、または小脳に送達されてもよく、または視覚皮質に送達されてもよく、または運動皮質に送達されてもよい。さらに、提供される方法または使用のいずれにおいても、組成物または薬剤が脳または脊髄に送達されるとき、組成物は神経細胞、グリア細胞、またはその両方に送達されてもよい。例えば、脳または脊髄に送達することは、ニューロン、下位運動ニューロン、ミクログリア細胞、乏突起膠細胞、星状細胞、シュワン細胞、またはこれらの組み合わせなどの神経系の細胞への送達を含む。
【0035】
組成物または薬剤の方法、使用もしくは投与は、処置前の対象または未処置の対象と比較して、(a)自己蛍光性貯蔵物質のリソソーム蓄積の減少または遅延、(b)ATPシンターゼサブユニットCのリソソーム蓄積の減少または遅延、(c)グリア活性化(星状細胞および/またはミクログリア)活性化の減少または遅延、(d)星状細胞増加症の減少または遅延、(e)MRIにより測定した脳容積損失の減少または遅延、(f)発作の発症の減少または遅延、ならびに(g)CLN3バッテン病の進行および/または改善を評価するために使用される尺度、例えば、統一バッテン病評価システム(UBDRS)評価尺度またはハンブルク運動および言語尺度のうちの1つ以上の安定化、進行の減少もしくは遅延、または改善のうちの1つ以上を対象にもたらす。
【0036】
本明細書中の見出しは、読者の便宜のためであり、限定的であることを意図しない。
【0037】
本明細書における「may」および「can」の使用は、請求項内に含まれる様々な実施形態を説明するためのものであり、請求項の範囲についての不確実性を示すためのものではない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】scAAV9.P546.CLN3遺伝子カセットの概略図(図1A)およびscAAV9.P546.CLN3の産生に使用されるプラスミド構築物pAAV.P546.CLN3.KANの概略図(図1B)を提供する。AAV2由来の逆方向末端反復(ITR)構造間にP546プロモーターの制御下でヒトCLN3 cDNAを挿入した。SV40イントロン(ヒトCLN3 cDNAの上流)およびウシ成長ホルモンポリアデニル化(BGHポリA)ターミネーター配列(ヒトCLN3 cDNAの下流)は、mRNAプロセシングを助け、導入遺伝子発現を増強する。プラスミド構築物pAAV.P546.CLN3.KANの配列を配列番号5に記載する。このゲノムは、AAV9キャプシドタンパク質にパッケージングされている。
図2】scAAV9.P546.CLN3を注射したCLN3Δex7/8マウスにおけるヒトCLN3転写産物の存在を示す画像を提供する。
図3】scAAV9.P546.CLN3を注射したCLN3Δex7/8マウスにおける注射後2ヶ月でのASM蓄積の早期減少を示すグラフを提供する。示されている全てのグラフのy軸は、ASM蓄積の総面積を表す。黒い棒は、野生型マウス(WT-PBS)を表し、薄い灰色の棒は、PBS注射CLN3Δex7/8マウスを表し、濃い灰色マウスは、scAAV9.P546.CLN3注射CLN3Δex7/8マウスを表す。
図4】PBS注射野生型マウス(「WT」)、PBS注射CLN3Δex7/8(「CLN3」)、およびscAAV9.P546.CLN3注射CLN3Δex7/8(「CLN3-AAV」)における様々な脳領域において、注射後4ヶ月および6ヶ月でASMの蓄積が著しく減少することを示す、scAAV9.P546.CLN3を注射したCLN3Δex7/8マウスのグラフを提供する。
図5】scAAV9.P546.CLN3のICV投与により、4ヶ月齢および6ヶ月齢のCLN3Δex7/8マウスの脳におけるミトコンドリアタンパク質ATPシンターゼサブユニットCの異常なリソソーム蓄積が減少したことを示す画像およびグラフを提供する。ATPシンターゼサブユニットCについて染色され、6ヶ月の時点でDAB染色によって可視化された凍結組織切片の代表的な画像が、上のパネルに提供される。下パネルのグラフは、PBS注射WT(「WT」)、PBS注射CLN3Δex7/8(「CLN3」)、およびscAAV9.P546.CLN3注射CLN3Δex7/8(「CLN3-AAV」)マウスの、皮質の体性感覚1バレル野(S1BF)における注射後4ヶ月(4M)および6ヶ月(6M)での、ならびに後内側腹側核/後外側腹側核(VPM/VPL)における注射後4ヶ月および6ヶ月でのサブユニットCの蓄積の定量化を提供する。N=5であり、未処置CLN3Δex7/8動物とscAAV9.P546.CLN3処置動物との間、ならびに野生型動物間で、p≦0.0001であり、注射後4ヶ月および6ヶ月でのSIBFにおける野生型と処置されたCLN3Δex7/8マウス間でp≦0.5である。
図6】scAAV9.P546.CLN3のICV投与が、4ヶ月齢および6ヶ月齢のCLN3Δex7/8マウスの脳における星状細胞増加症を減少させたことについての画像およびグラフを提供する。上部:活性化星状細胞のマーカーとしてGFAPについて染色し、DAB染色で可視化した固定組織切片の代表的な画像(6ヶ月時点)である。下部:PBS注射WT(「WT」)、PBS注射CLN3Δex7/8(「CLN3」)、およびscAAV9.P546.CLN3注射CLN3Δex7/8(「CLN3-AAV」)マウスの注射後4ヶ月および6ヶ月でのGFAP陽性領域の定量化である。各群および時点についてN=5である。S1BF=バレル皮質。VPM/VPL=後内側腹側核/後外側腹側核。
図7】scAAV9.P546.hCLN3のICV投与が、4ヶ月齢および6ヶ月齢のCLN3Δex7/8マウスの脳におけるミクログリアの活性化を減少させたことについての画像およびグラフを提供する。上部:活性化ミクログリアのマーカーとしてCD68について染色し、DAB染色で可視化した固定組織切片の代表的な画像(6ヶ月時点)である。下部:PBS注射WT(「WT」)、PBS注射CLN3Δex7/8(「CLN3」)、およびscAAV9.P546.CLN3注射CLN3Δex7/8(「CLN3-AAV」)マウスの注射後4ヶ月および6ヶ月でのCD68陽性領域の定量化である。各群および時点についてN=5である。S1BF=バレル皮質。VPM/VPL=後内側腹側核/後外側腹側核。
図8】注射後18ヶ月までの野生型およびPBSまたは処置CLN3Δex7/8マウスのロータロッド分析を示すグラフを提供する。両性別の全てのマウス(上部パネル)、雄のみ(中央パネル)、雌のみ(下部パネル)である。
図9】注射後18ヶ月までの野生型およびPBSまたはscAAV9.P546.CLN3処置CLN3Δex78マウスのモリス水迷路の遂行能力を示すグラフを提供する。全てのマウス(上部パネル)、雄のみ(中央パネル)、雌のみ(下部パネル)である。
図10】ポールクライミングアッセイにおけるscAAV9.P546.CLN3処置CLN3Δex7/8マウスおよびPBS処置マウスの遂行能力を示すグラフである。ポールクライミングアッセイでは、マウスを垂直なポールの上に向けて置き、マウスが向きを変えて下降する時間と共に落下する回数が、バランスおよび敏捷性を測定する。全てのマウス(上部パネル)、雄のみ(中央パネル)、雌のみ(下部パネル)である。
図11】scAAV9.P546.CLN3処置CLN3Δex7/8マウスが、PBS処置CLN3Δex7/8マウスと比較して、垂直ポールからの落下頻度が低いことを示すグラフを提供する。マウスを垂直なポールの上に向けて置き、向きを変えようとしながら落下した回数の計数値を、バランスおよび敏捷性について測定する。全てのマウス(上部パネル)、雄のみ(中央パネル)、雌のみ(下部パネル)である。
図12】scAAV9.P546.GFPの注射から3週間後の、様々な脳領域ならびに末梢マウス組織におけるGFPタンパク質の免疫蛍光ウエスタンブロット検出を示す画像を提供する。
図13】3×1013vgのscAAV9.P546.CLN3の髄腔内腰椎注射から12週間後の4歳のカニクイザル(Cynomolgus Macaque)の様々な脳領域におけるヒトCLN3の発現の逆転写定量的PCRを示すグラフを提供する。これらの値は、腰髄4~7中のCLN3タンパク質のレベルに対して正規化した。
図14】scAAV9.P546.CLN3遺伝子カセットの核酸配列(配列番号4)を提供する。AAV2 ITR核酸配列はイタリック体で示されており(5’ITRは配列番号6として記載され、3’ITRは配列番号9として記載されている)、P546プロモーター核酸配列(配列番号3))は一重線で下線が引かれており、SV40イントロン核酸配列(配列番号7)は二重線で下線が引かれており、ヒトCLN3 cDNA配列の核酸配列(配列番号2)は太字で示されており、BGHポリAターミネーターの核酸配列(配列番号8)は点線で下線を引かれている。
図15】全長のAAV9.P546.CLN3の核酸配列(配列番号5)を提供する。
図16】scAAV9.p546.CLN3処置により、24ヶ月齢までのqPCRで測定したCln3Δ7/8マウスの大脳皮質および脊髄におけるhCLN3転写産物の発現レベルが上昇することを示すデータを提供する。平均±SEM、各月の通常の一元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001
図17】scAAV9.p546.CLN3処置により、24ヶ月齢までのRNAscope(赤色蛍光)で測定したCln3Δ7/8マウスの脳全体に安定したhCLN3転写産物が産生されることを示す画像を提供する。20倍で撮影した画像。
図18】scAAV9.p546.CLN3処置が、24ヶ月齢までのCln3Δ7/8マウスの脳の2つの領域でASMの蓄積を防止および減少したことを示すデータを提供する。平均±SEM、各月の通常の一元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。20倍で撮影した画像。
図19】scAAV9.p546.CLN3処置が、24ヶ月齢までのCln3Δ7/8マウスの脳の2つの領域で大量のサブユニットC蓄積(ASMの構成要素)を防止したことを示すデータを提供する。平均±SEM、各月の通常の一元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。20倍で撮影した画像。
図20】scAAV9.p546.CLN3処置が、24ヶ月齢までのCln3Δ7/8の脳の2つの領域で星状細胞の活性化(GFAP)を防止したことを示すデータを提供する。平均±SEM、各月の通常の一元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。20倍で撮影した画像。
図21】scAAV9.p546.CLN3処置が、時点に応じて、24ヶ月齢までのCln3Δ7/8の脳の2つの領域でかなりのミクログリアの活性化(CD68)を防止したことを示すデータを提供する。平均±SEM、各月の通常の一元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。20倍で撮影した画像
図22】scAAV9.CB.CLN3処置が、6ヶ月齢および12ヶ月齢のCln3Δ7/8マウスの様々なバッテン病の病状を予防するのに同様に効果的であることを示すデータを提供する。平均±SEM、通常の二元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図23】24ヶ月齢まで測定したCln3Δ7/8に赤血球異常がないことを示すデータを提供する。平均±SEM、通常の二元配置分散分析
図24】24ヶ月齢まで測定したCln3Δ7/8マウスに白血球異常がないデータを提供する。平均±SEM、通常の二元配置分散分析
図25】scAAV9.p546.CLN3処置マウスは、12ヶ月齢の性別に基づいて、海馬のCA3領域で異なるレベルのサブC蓄積を示すことを示す。平均±SEM、テューキーの事後検定を伴う通常の二元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図26】scAAV9.p546.CLN3マウスが、複数の時点で性別に基づいて、梨状皮質(PIRC)にわずかに異なるレベルのサブC蓄積を示すことを示す。平均±SEM、テューキーの事後検定を伴う通常の二元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図27】scAAV9.p546.CLN3マウスが、複数の時点で性別に基づいて、網様視床核(RTN)に異なるレベルのサブC蓄積を示すことを示す。平均±SEM、テューキーの事後検定を伴う通常の二元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図28】scAAV9.p546.CLN3マウスが、12ヶ月で性別に基づいて、体性感覚皮質に異なるレベルのサブC蓄積を示すことを示す。平均±SEM、テューキーの事後検定を伴う通常の二元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図29】scAAV9.p546.CLN3マウスが、12ヶ月で性別に基づいて、視床のVPM/VPLに異なるレベルのサブC蓄積を示すことを示す。平均±SEM、テューキーの事後検定を伴う通常の二元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図30】scAAV9.p546.CLN3マウスが、12ヶ月で性別に基づいて、扁桃体基底外側部(BLA)に異なるレベルのサブC蓄積を示すことを示す。平均±SEM、テューキーの事後検定を伴う通常の二元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図31】scAAV9.p546.CLN3マウスが、12ヶ月および18ヶ月で性別に基づいて、歯状回(DG)の多形層に異なるレベルのサブC蓄積を示すことを示す。平均±SEM、テューキーの事後検定を伴う通常の二元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図32】scAAV9.p546.CLN3マウスが、12ヶ月および18ヶ月で性別に基づいて、手綱(Hab)に異なるレベルのサブC蓄積を示すことを示す。平均±SEM、テューキーの事後検定を伴う通常の二元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図33】scAAV9.p546.CLN3マウスが、12ヶ月および18ヶ月で性別に基づいて、背内側核(MD)で異なるレベルのサブC蓄積を示すことを示すデータを提供する。平均±SEM、テューキーの事後検定を伴う通常の二元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図34】scAAV9.p546.CLN3マウスが、性別に基づく脳梁膨大後部皮質(Retrosplenial Cortex)(RSC)のサブC蓄積レベルに差がないことを示す。平均±SEM、テューキーの事後検定を伴う通常の二元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図35】scAAV9.p546.CLN3マウスが、6ヶ月で性別に基づいて、体性感覚皮質(S1BF)で異なるレベルの活性化ミクログリア(CD68)を示すことを示す。平均±SEM、テューキーの事後検定を伴う通常の二元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図36】scAAV9.p546.CLN3マウスが、性別に基づいて、VPM-VPL、視床で異なるレベルのミクログリア(CD68)活性化を示すことを示す。平均±SEM、テューキーの事後検定を伴う通常の二元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図37】scAAV9.p546.CLN3マウスが、性別に基づいて、背内側核(MD)で異なるレベルの活性化ミクログリア(CD68)を示すことを示す。平均±SEM、テューキーの事後検定を伴う通常の二元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
図38】scAAV9.p546.CLN3マウスが、性別に基づいて、内側下核(Submedial Nucleus)(SM)で異なるレベルの活性化ミクログリア(CD68)を示すことを示す。平均±SEM、テューキーの事後検定を伴う通常の二元配置分散分析、*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本開示は、CLN3-バッテン病を治療するための方法および製品を提供する。本方法は、遺伝子送達ベクターとしてrAAVを使用して対象にCLN3ポリヌクレオチドを送達することを伴う。
【0040】
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、複製欠損パルボウイルスであり、その一本鎖DNAゲノムは、145ヌクレオチドの逆方向末端反復(ITR)を含む約4.7kbの長さであり、ウイルスそれ自体またはその誘導体を指すように使用することができる。この用語は、他に特定されない限り、全てのサブタイプおよび天然に存在する形態および組換え形態の両方を包含する。AAVの複数の血清型がある。AAVの血清型はそれぞれ特定のクレードと関連しており、そのメンバーは血清学的および機能的類似性を共有している。したがって、AAVはクレードによって称されてもよい。例えば、AAV9配列は「クレードF」配列と呼ばれる(Gao et al.,J.Virol.,78:6381-6388(2004)。本開示は、特定のクレード、例えばクレードF内の任意の配列の使用を企図する。AAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列は知られている。例えば、AAV-1の完全なゲノムは、GenBank受入番号NC_002077に提供されており、AAV-2の完全なゲノムは、GenBank受入番号NC_001401およびSrivastava et al.,J.Virol.,45:555-564{1983)に提供されており、AAV-3の完全なゲノムは、GenBank受入番号NC_1829に提供されており、AAV-4の完全なゲノムは、GenBank受入番号NC_001829に提供されており、AAV-5ゲノムは、GenBank受入番号AF085716に提供されており、AAV-6の完全なゲノムは、GenBank受入番号NC_001862に提供されており、AAV-7およびAAV-8ゲノムの少なくとも一部は、それぞれ、GenBank受入番号AX753246およびAX753249に提供されており、AAV-9ゲノムは、Gao et al.,J.Virol.,78:6381-6388(2004)に提供されており、AAV-10ゲノムは、Mol.Ther.,13(1):67-76(2006)に提供されており、AAV-11ゲノムは、Virology,330(2):375-383(2004)に提供されており、AAV-12ゲノムの一部は、GenBank受入番号DQ813647に提供されており、AAV-13ゲノムの一部は、GenBank受入番号EU285562に提供されている。AAV rh.74ゲノムの配列は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9,434,928号に提供されている。AAV-B1ゲノムの配列は、Choudhury et al.,Mol.The.,24(7):1247-1257(2016)に提供されている。ウイルスDNA複製(rep)、カプシド形成/パッケージング、および宿主細胞染色体組み込みを指示するCis作用配列は、ITR内に含有される。3つのAAVプロモーター(それらの相対マップ位置に対してp5、p19、およびp40と名付けられる)は、repおよびcap遺伝子をコードする2つのAAV内部オープンリーディングフレームの発現を駆動する。単一のAAVイントロンの差異的スプライシング(ヌクレオチド2107および2227における)と相まって、2つのrepプロモーター(p5およびp19)により、rep遺伝子から4つのrepタンパク質(rep78、rep68、rep52、およびrep40)が産生される。repタンパク質は、最終的にウイルスゲノムの複製に関与する複数の酵素特性を有する。cap遺伝子は、p40プロモーターから発現され、3つのカプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3をコードする。選択的スプライシングおよび非コンセンサス翻訳開始部位は、3つの関連カプシドタンパク質の産生に関与する。単一コンセンサスポリアデニル化部位は、AAVゲノムのマップ位置95に位置する。AAVの生活環および遺伝学は、Muzyczka,Current Topics in Microbiology and Immunology,158:97-129(1992)において概説されている。
【0041】
AAVは、例えば、遺伝子治療において、外来DNAを細胞に送達するためのベクターとして魅力的である固有の特徴を有する。培養中の細胞のAAV感染は、非細胞変性であり、ヒトおよび他の動物の自然感染は、サイレントかつ無症候性である。さらに、AAVは、多くの哺乳動物細胞を感染させ、インビボで多くの異なる組織を標的化する可能性を可能にする。さらに、AAVは、緩徐に分裂する細胞および非分裂細胞を形質導入し、転写的に活性な核エピソーム(染色体外要素)として本質的にそれらの細胞の寿命にわたって存続し得る。天然のAAVプロウイルスゲノムは、組換えゲノムの構築を実現可能にするプラスミド中のクローン化DNAとして感染性である。さらに、AAV複製、ゲノムキャプシド形成および組み込みを指示するシグナルがAAVゲノムのITR内に含まれるので、ゲノムの内部約4.3kb(複製および構造キャプシドタンパク質、rep-capをコードする)のいくつかまたは全てを置換することができるプロモーター、目的のDNAおよびポリアデニル化シグナルを含む遺伝子カセットのような外来DNAと接触させる。場合によっては、repおよびcapタンパク質は、トランスで提供される。AAVの別の重要な特徴は、それが極めて安定した頑健なウイルスであることである。これは、アデノウイルスを不活性化するために使用される条件(56℃~65℃で数時間)に容易に耐え、AAVの低温保存の重要性を低くする。AAVは、凍結乾燥され得る。最後に、AAV感染細胞は、重複感染に耐性でない。
【0042】
本明細書で使用される「AAV」という用語は、野生型AAVウイルスまたはウイルス粒子を指す。「AAV」、「AAVウイルス」、および「AAVウイルス粒子」という用語は、本明細書では互換的に使用される。「rAAV」という用語は、組換えAAVウイルスまたは組換え感染性のカプセル化ウイルス粒子を指す。「rAAV」、「rAAVウイルス」、および「rAAVウイルス粒子」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0043】
「rAAVゲノム」という用語は、修飾されている天然のAAVゲノムに由来するポリヌクレオチド配列を指す。いくつかの実施形態では、rAAVゲノムは、天然のcapおよびrep遺伝子を除去するために修飾されている。いくつかの実施形態では、rAAVゲノムは内因性5’および3’逆方向末端反復(ITR)を含む。いくつかの実施形態では、rAAVゲノムは、AAVゲノムが由来するAAV血清型とは異なるAAV血清型からのITRを含む。いくつかの実施形態では、rAAVゲノムは、逆方向末端反復(ITR)によって5’末端および3’末端に隣接した目的の導入遺伝子(例えばCLN3をコードするポリヌクレオチド)を含む。いくつかの実施形態では、rAAVゲノムは「遺伝子カセット」を含む。例示的な遺伝子カセットを図1Aおよび配列番号4の核酸配列に記載する。rAAVゲノムは、本明細書で「scAAVゲノム」と呼ばれる自己相補的(sc)ゲノムであり得る。あるいは、rAAVゲノムは、本明細書で「ssAAVゲノム」と呼ばれる一本鎖(ss)ゲノムであり得る。
【0044】
「scAAV」という用語は、自己相補的ゲノムを含むrAAVウイルスまたはrAAVウイルス粒子を指す。「ssAAV」という用語は、一本鎖ゲノムを含むrAAVウイルスまたはrAAVウイルス粒子を指す。
【0045】
本明細書で提供されるrAAVゲノムは、CLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み得る。CLN3ポリペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むか、または配列番号1に記載のアミノ酸配列と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、CLN3活性(例えば、リソソーム自己蛍光貯蔵物質のクリアランスの増加、ATPシンターゼサブユニットCのリソソーム蓄積の減少、ならびに例えば治療前の患者と比較して治療した場合の患者における星状細胞およびミクログリアの活性化の減少のうちの少なくとも1つ)を有するポリペプチドをコードする。
【0046】
本明細書で提供されるrAAVゲノムは、場合によっては、CLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含み、このポリヌクレオチドは、配列番号2に記載のヌクレオチド配列を含むか、または配列番号2に記載のヌクレオチド配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるポリヌクレオチドであり、CLN3活性(例えば、リソソーム自己蛍光貯蔵物質のクリアランスの増加、ATPシンターゼサブユニットCのリソソーム蓄積の減少、ならびに例えば治療前の患者と比較して治療した場合の患者における星状細胞およびミクログリアの活性化の減少のうちの少なくとも1つ)を有するポリペプチドをコードする。
【0047】
本明細書に提供されるrAAVゲノムは、いくつかの実施形態では、CLN3活性を有するポリペプチドをコードし、かつストリンジェントな条件下で配列番号2の核酸配列、またはその相補体にハイブリダイズするポリヌクレオチド配列を含む。「ストリンジェントな」という用語は、ストリンジェントとして当該技術分野において一般に理解される条件を指すために使用される。ハイブリダイゼーションストリンジェシーは、主に、温度、イオン強度、およびホルムアミドなどの変性剤の濃度によって決定される。ハイブリダイゼーションおよび洗浄のためのストリンジェントな条件の例は、0.015Mの塩化ナトリウム、65~68℃での0.0015Mのクエン酸ナトリウム、または42℃での0.015Mの塩化ナトリウム、0.0015Mのクエン酸ナトリウム、および50%ホルムアミドである。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,(Cold Spring Harbor,N.Y.1989)を参照されたい。
【0048】
本明細書に提供されるrAAVゲノムは、いくつかの実施形態では、CLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドに隣接する1つ以上のAAV ITRを含む。CLN3ポリヌクレオチドは、遺伝子カセットを形成するために標的細胞内で機能的である転写制御要素(プロモーター、エンハンサおよび/またはポリアデニル化シグナル配列が含まれるが、これらに限定されない)に作動可能であるように結合されている。プロモーターの例は、ニワトリβアクチンプロモーターおよびP546プロモーターである。シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)長い末端反復(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン-バーウイルス即時型プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ならびにヒト遺伝子プロモーター(例えば、限定されないが、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、伸長因子-1aプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、およびクレアチンキナーゼプロモーター)が挙げられるが、これらに限定されない追加のプロモーターが本明細書で企図される。本明細書にさらに提供されるのは、P546転写促進活性を有するプロモーターである、配列番号3に記載のP546プロモーター配列、および配列番号3に記載のヌクレオチド配列と少なくとも65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一のプロモーター配列である。転写制御因子の他の例は、組織特異的制御因子、例えば、ニューロン内での特異的発現を可能にするか、または星状細胞内での特異的発現を可能にするプロモーターである。例としては、ニューロン特異的エノラーゼおよびグリア線維性酸性タンパク質プロモーターが挙げられる。誘導性プロモーターもまた企図される。誘導性プロモーターの非限定的な例としては、メタロチオネインプロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、およびテトラサイクリン調節プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子カセットはまた、哺乳動物細胞中で発現されたときにCLN3 RNA転写産物のプロセシングを容易にするためのイントロン配列を含んでもよい。このようなイントロンの一例は、SV40イントロンである。「パッケージング」とは、AAV粒子の組立およびキャプシド形成をもたらす一連の細胞内事象を指す。「産生」という用語は、充填細胞によるrAAV(感染性のカプセル化されたrAAV粒子)の産生プロセスを指す。
【0049】
AAV「rep」および「cap」遺伝子は、それぞれアデノ随伴ウイルスの複製タンパク質およびキャプシド形成タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を指す。AAV repおよびcapは、本明細書においてAAV「パッケージング遺伝子」と呼ばれる。
【0050】
AAVについての「ヘルパーウイルス」は、AAV(例えば、野生型AAV)が哺乳動物細胞によって複製およびパッケージングされることを可能にするウイルスを指す。アデノウイルス、ヘルペスウイルス、およびワクシニアなどのポックスウイルスを含む、AAVに対する様々なこのようなヘルパーウイルスは、当該技術分野において既知である。アデノウイルスは、いくつかの異なるサブグループを包含し得るが、サブグループCのアデノウイルス5型が最も一般的に使用される。ヒト、非ヒト哺乳動物、およびトリ起源の多数のアデノウイルスが知られており、ATCCなどの寄託機関から入手可能である。ヘルペス科のウイルスには、例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)およびエプスタイン-バーウイルス(EBV)、ならびにサイトメガロウイルス(CMV)および偽狂犬病ウイルス(PRV)が含まれ、これらはATCCなどの寄託機関からも入手可能である。
【0051】
「ヘルパーウイルス機能」とは、(本明細書に記載の複製およびパッケージングのための他の要件と併せて)AAV複製およびパッケージングを可能にするヘルパーウイルスゲノムにコードされている機能を指す。本明細書中に記載されるように、「ヘルパーウイルス機能」は、ヘルパーウイルスを提供すること、または例えば必要な機能をコードするポリヌクレオチド配列をトランスでプロデューサー細胞に提供することによることを含む多くの方法で提供され得る。
【0052】
本明細書で提供されるrAAVゲノムは、AAV repおよびcap DNAを欠く。本明細書に企図されるrAAVゲノム(例えば、ITR)内のAAV DNAは、組換えウイルスを導出するのに好適な任意のAAV血清型からであり得、AAV血清型AAV-1、AAV-2、AAV-3、AAV-4、AAV-5、AAV-6、AAV-7、AAV-8、AAV-9、AAV-10、AAV-11、AAV-12、AAV-13、AAV rh.74、およびAAV-B1が挙げられるが、これらに限定されない。上記に記載されるように、様々なAAV血清型のゲノムのヌクレオチド配列が、当該技術分野において既知である。キャプシド変異を有するrAAVも企図される。例えば、Marsic et al.,Molecular Therapy,22(11):1900-1909(2014)を参照されたい。本明細書中の修飾キャプシドもまた企図され、グリコシル化および脱アミド化などの種々の翻訳後修飾を有するキャプシドを含む。アスパラギンまたはグルタミン側鎖を脱アミド化してアスパラギン残基をアスパラギン酸またはイソアスパラギン酸残基に変換すること、およびグルタミンをグルタミン酸またはイソグルタミン酸に変換することは、本明細書に提供されるrAAVキャプシドにおいて企図される。例えば、Giles et al.Molecular Therapy,26(12):2848-2862(2018)を参照されたい。本明細書中の修飾キャプシドはまた、治療を必要とする罹患組織および臓器にrAAVを指向させる標的化配列を含むと企図される。
【0053】
本明細書に提供されるDNAプラスミドは、本明細書に記載されるrAAVゲノムを含む。DNAプラスミドは、AAV9キャプシドタンパク質を用いて感染性ウイルス粒子中にrAAVゲノムを組み立てるために、AAVのヘルパーウイルス(例えば、アデノウイルス、E1欠損アデノウイルス、またはヘルペスウイルス)による感染を許容できる細胞に導入される。パッケージングされるべきrAAVゲノム、repおよびcap遺伝子、およびヘルパーウイルス機能が細胞に提供されるrAAVを産生する技術は、当該技術分野において標準的である。rAAV粒子の産生は、以下の成分、rAAVゲノム、rAAVゲノムから分離した(すなわち、その中に存在しない)AAV repおよびcap遺伝子、ならびにヘルパーウイルス機能が、単一細胞(本明細書でパッケージング細胞と表される)内に存在することを必要とする。AAVのrepおよびcap遺伝子は、組換えウイルスが由来し得る任意のAAV血清型に由来してもよく、rAAVゲノムITRとは異なるAAV血清型に由来してもよい。偽型rAAVの生成は、例えば、WO01/83692に開示され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。様々な実施形態では、AAVキャプシドタンパク質は、組換えrAAVの送達を増強するために修飾され得る。キャプシドタンパク質に対する修飾は、一般的に当該技術分野において既知である。例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み入れられる、US2005/0053922およびUS2009/0202490を参照されたい。
【0054】
パッケージング細胞を生成する方法は、rAAVの産生に必要な成分を全て安定して発現する細胞株を作成することである。例えば、AAV repおよびcap遺伝子を欠くrAAVゲノム、rAAVゲノムから分離したAAV repおよびcap遺伝子、およびネオマイシン耐性遺伝子などの選択可能なマーカーを含むプラスミド(または複数のプラスミド)が、細胞のゲノムに組み込まれてもよい。rAAVゲノムは、GCテーリング(Samulski et al.,1982,Proc.Natl.Acad.S6.USA,79:2077-2081)、制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含有する合成リンカーの付加(Laughlin et al.,1983,Gene,23:65-73)、または直接平滑末端ライゲーション(Senapathy&Carter,1984,J.Biol.Chem.,259:4661-4666)などの手順により細菌プラスミドに導入されてもよい。その後、パッケージング細胞株は、アデノウイルスなどのヘルパーウイルスに感染させられ得る。この方法の利点は、細胞が選択可能であり、rAAVの大規模産生に好適であることである。好適な方法の他の例は、rAAVゲノムならびに/またはrepおよびcap遺伝子をパッケージング細胞に導入するためにプラスミドではなくアデノウイルスまたはバキュロウイルスを用いる。
【0055】
rAAV粒子の生産の一般原則は、例えば、Carter,1992,Current Opinions in Biotechnology,1533-539、およびMuzyczka,1992,Curr.Topics in Microbial.and Immunol.,158:97-129)に概説されている。様々なアプローチは、Ratschin et al.,Mol.Cell.Biol.4:2072(1984)、Hermonat et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6466(1984)、Tratschin et al.,Mo1.Cell.Biol.5:3251(1985)、McLaughlin et al.,J.Virol.,62:1963(1988)、およびLebkowski et al.,1988 Mol.Cell.Biol.,7:349(1988)、Samulski et al.(1989,J.Virol.,63:3822-3828)、米国特許第5,173,414号、WO95/13365および対応する米国特許第5,658,776号、WO95/13392、WO96/17947、PCT/US98/18600、WO97/09441(PCT/US96/14423)、WO97/08298(PCT/US96/13872)、WO97/21825(PCT/US96/20777)、WO97/06243(PCT/FR96/01064)、WO99/11764、Perrin et al.(1995)Vaccine 13:1244-1250、Paul et al.(1993)Human Gene Therapy 4:609-615、Clark et al.(1996)Gene Therapy 3:1124-1132、米国特許第5,786,211号、米国特許第5,871,982号、および米国特許第6,258,595号に記載されている。前述の文書は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれ、rAAV粒子産生に関する文書の部分を特に強調する。
【0056】
本明細書でさらに提供されるのは、感染性rAAV粒子を産生するパッケージング細胞である。一実施形態では、パッケージング細胞は、HeLa細胞、293細胞、およびPerC.6細胞(同種293株)などの安定して形質転換された癌細胞であり得る。別の実施形態では、パッケージング細胞は、形質転換された癌細胞ではない細胞、例えば、低継代293細胞(アデノウイルスのE1で形質転換されたヒト胎児腎細胞)、MRC-5細胞(ヒト胎児線維芽細胞)、WI-38細胞(ヒト胎児線維芽細胞)、Vero細胞(サル腎細胞)、およびFRhL-2細胞(アカゲザル胎児肺細胞)であり得る。
【0057】
本開示のrAAVゲノムを含むrAAV(例えば、感染性キャプシド化rAAV粒子)も本明細書に提供される。rAAVのゲノムは、AAVのrepおよびcap DNAを欠いており、すなわち、rAAVのゲノムのITR間にAAVのrepまたはcap DNAが存在しない。rAAVゲノムは自己相補的(sc)ゲノムであり得る。scゲノムを有するrAAVは、本明細書中でscAAVと称される。rAAVゲノムは一本鎖(ss)ゲノムであり得る。一本鎖ゲノムを有するrAAVは、本明細書中でssAAVと称される。
【0058】
本明細書に提供される例示的なrAAVは、「scAAV9.P546.CLN3」と命名されるscAAVである。scAAV9.P546.CLN3 scAAVは、P546プロモーターの制御下にあるヒトCLN3 cDNAを含むscAAVゲノムを含む(配列番号3)。scAAVゲノムはまた、SV40イントロン(ヒトCLN3 cDNAの上流)およびウシ成長ホルモンポリアデニル化(BGHポリA)ターミネーター配列(ヒトCLN3 cDNAの下流)を含む。このscAAV9.P546.CLN3遺伝子カセットの配列を配列番号4に記載する。scAAVゲノムは、AAV9キャプシドにパッケージ化されており、AAV2 ITR(1つのITRはP546プロモーターの上流にあり、他のITRはBGHポリAターミネーター配列の下流にある)を含む。
【0059】
rAAVは、当該技術分野で標準的な方法によって、例えば、カラムクロマトグラフィーまたは塩化セシウム勾配によって精製され得る。ヘルパーウイルスからrAAVベクターを精製するための方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、Clark et al.,Hum.Gene Ther.,10(6):1031-1039(1999)、Schenpp and Clark,Methods Mol.Med.,69 427-443(2002)、米国特許第6,566,118号、およびWO98/09657に開示される方法を含み得る。
【0060】
rAAVを含む組成物もまた提供される。組成物は、CLN3ポリペプチドをコードするrAAVを含む。組成物は、対象とした異なるポリペプチドをコードする2つ以上のrAAVを含み得る。いくつかの実施形態では、rAAVはscAAVまたはssAAVである。
【0061】
本明細書で提供される組成物は、rAAVと、薬学的に許容される1つまたは複数の賦形剤を含む。許容される賦形剤は、レシピエントにとって非毒性であり、好ましくは、用いられる投与量および濃度で不活性であり、リン酸塩[例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)]、クエン酸塩、もしくは他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸などの抗酸化剤;低分子量ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンもしくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールもしくはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;および/またはTween、ポロキサマー188などのコポリマー、プルロニック(例えば、プルロニックF68)もしくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で提供される組成物は、イオビトリドール、イオヘキソール、イオメプロール、イオパミドール、イオペントール、イオプロミド、イオベルソール、またはイオキシランなどの非イオン性低浸透圧性化合物を含有する薬学的に許容される水性賦形剤を含むことができ、非イオン性低浸透圧性化合物を含有する水性賦形剤は、以下の特性:約180mgl/mL、約322mOsm/kg水の蒸気圧浸透圧法による重量オスモル濃度、約273mOsm/Lの容量オスモル濃度、20℃で約2.3cpのおよび37℃で約1.5cpの絶対粘度、ならびに37℃で約1.164の比重のうちの1つ以上を有することができる。例示的な組成物は、約20~40%の非イオン性低浸透圧性化合物、または約25%~約35%の非イオン性低浸透圧性化合物を含む。例示的な組成物は、20mMのトリス(pH8.0)、1mMのMgCl、200mMのNaCl、0.001%のポロキサマー188、および約25%~約35%の非イオン性低浸透圧性化合物中に配合されたscAAVまたはrAAVウイルス粒子を含む。別の例示的組成物は、1×PBSおよび0.001%プルロニックF68中に配合されたscAAVを含む。
【0062】
本開示の方法で投与されるrAAVの投薬量は、例えば、特定のrAAV、投与モード、投与の時間、治療目標、個体、および標的とされる細胞型に応じて異なることになり、当該技術分野における標準の方法によって決定され得る。投薬量は、ウイルスゲノム(vg)の単位で表されてもよい。本明細書で企図される投薬量は、約1×1011、約1×1012、約1×1013、約1.1×1013、約1.2×1013、約1.3×1013、約1.5×1013、約2×1013、約2.5×1013、約3×1013、約3.4×1013、約3.5×1013、約4×1013、約4.5×1013、約5×1013、約6×1013、約1×1014、約1.2×1014、約2×1014、約3×1014、約4×1014、約5×1014、約1×1015、約1×1016まで、またはそれ以上の総ウイルスゲノムを含む。約1×1011~約1×1015vg、約1×1012~約1×1015vg、約1×1012~約1×1014vg、約1×1013~約6×1014vg、および約6×1013~約1.2×1014vgの投薬量も企図される。本明細書中に例示される用量は、6×1013vgである。本明細書に例示される他の用量は1.2×1014である。
【0063】
標的細胞(神経系の細胞、神経細胞またはグリア細胞が挙げられるが、これらに限定されない)にrAAVを形質導入する方法が提供される。神経系の細胞は、ニューロン、下位運動ニューロン、ミクログリア細胞、乏突起膠細胞、星状細胞、シュワン細胞、またはこれらの組み合わせを含む。
【0064】
「形質導入」という用語は、レシピエント細胞による機能性ポリペプチドの発現をもたらす、本開示の複製欠損rAAVを介した、インビボまたはインビトロのいずれかでの、標的細胞へのCLN3ポリヌクレオチドの投与/送達を指すように使用される。本開示のrAAVによる細胞の形質導入は、rAAVによってコードされるポリペプチドまたはRNAの持続的発現をもたらす。したがって、本開示は、髄腔内、脳室内、脳実質内、または静脈内経路、またはこれらの任意の組み合わせによって、CLN3ポリペプチドをコードするrAAVを対象に投与/送達する方法を提供する。髄腔内送達は、脳または脊髄のくも膜の下の空間への送達を指す。いくつかの実施形態では、髄腔内投与は槽内投与による。
【0065】
髄腔内投与が本明細書に例示される。これらの方法は、標的細胞(神経細胞および/またはグリア細胞を含むが、これらに限定されない)に本明細書に記載の1つ以上のrAAVを形質導入することを含む。いくつかの実施形態では、CLN3ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むrAAVウイルス粒子は、患者の脳および/または脊髄に投与もしくは送達される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、脳に送達される。送達が企図される脳の領域としては、運動皮質、視覚皮質、小脳、および脳幹が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、脊髄に送達される。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、ニューロンまたは下位運動ニューロンに送達される。ポリヌクレオチドは、神経細胞およびグリア細胞に送達され得る。グリア細胞は、ミクログリア細胞、乏突起膠細胞、または星状細胞である。いくつかの実施形態では、ポリヌクレオチドは、シュワン細胞に送達される。
【0066】
本明細書で提供される方法のいくつかの実施形態では、患者は、rAAVの投与後トレンデレンベルク体位(低頭位(head down position))に保持される(例えば、約5、約10、約15または約20分間)。例えば、患者は、低頭位で約1度~約30度、約15~約30度、約30~約60度、約60~約90度、または約90~約180度傾けられてもよい。
【0067】
本明細書で提供される方法は、本明細書で提供されるrAAVを含む組成物の有効用量または有効複数用量をそれを必要とする対象(例えば、ヒト患者を含むが、これに限定されない動物)に投与する工程を含む。用量がCLN3-バッテン病の発症前に投与される場合、投与は予防的である。用量がCLN3-バッテン病の発症後に投与される場合、投与は治療的である。有効用量は、疾患に関連する少なくとも1つの症状を緩和(排除または減少)する用量であり、疾患の進行を遅らせ、または予防する用量であり、疾患の範囲を縮小する用量であり、疾患の寛解(部分的または完全な)をもたらす用量であり、および/または生存を延長させる用量である。処置前の対象と比較して、または未処置の対象と比較して、本明細書で提供される方法は、CLN3バッテン病の進行および/または改善を評価するために使用される尺度、例えば、統一バッテン病評価システム(UBDRS)またはハンブルク運動および言語尺度のうちの1つ以上の安定化、進行の減少、または改善をもたらす。UBDRS評価尺度(Marshall et al.,Neurology.2005 65(2):275-279)[UBDRS身体評価尺度、UBDRS発作評価尺度、UBDRS行動評価尺度、UBDRS能力評価尺度、UBDRS症状発現順序、およびUBDRS臨床全般印象(CGI)を含む]、小児の生活の質の尺度(PEDSQOL)は、運動機能、言語機能、認知機能、および生存を量る。処置前の対象と比較して、または未処置の対象と比較して、本明細書で提供される方法は、以下の:自己蛍光貯蔵物質のリソソーム蓄積の減少または遅延、ATPシンターゼサブユニットCのリソソーム蓄積の減少または遅延、グリア活性化(星状細胞および/またはミクログリア)活性化の減少または遅延、星状細胞増加症の減少または遅延、およびMRIによって測定された脳容積損失の減少または遅延のうちの1つ以上をもたらし得る。
【0068】
併用療法も提供される。本明細書で使用される組み合わせは、同時治療または連続治療のいずれかを含む。本明細書に記載の方法と標準的な薬物療法との組み合わせが特に企図される。さらに、本発明に従って使用するための組成物の組み合わせ(例えば、scAAV9.P546.CLN3と本明細書に開示される造影剤との組み合わせ)(同時治療または連続治療のいずれか)が具体的に企図される。
【0069】
出生後の送達を必要とする対象への送達が企図されるが、胎児への子宮内送達も企図される。
【実施例
【0070】
以下の実施例は特定の実施形態を説明するが、当業者には変形および修正が発生するであろうことが理解される。したがって、特許請求の範囲に見られるそのような制限のみが、本発明に課せられるべきである。
【0071】
実施例では、P546プロモーターの制御下でCLN3 cDNAを保有する自己相補的AAV(scAAV9.P546.CLN3と命名)を産生した。P546プロモーターは、MeCP2プロモーターの短縮型であり、ニューロンおよび星状細胞の両方において中程度のレベルで導入遺伝子の発現を可能にする。この遺伝子治療ベクターの有効性を、ヒト患者に最も頻繁に見られる変異を有するCLN3Δex7/8ノックインマウスモデルにおいて試験した。scAAV9.P546.CLN3の安全性および有効性を、CLN3Δex7/8ノックインマウスモデル、野生型マウス、および非ヒト霊長類においてインビボで評価した。マウスおよび非ヒト霊長類からのデータは、視床、海馬、線条体、扁桃体、髄質、および小脳などの深部脳構造を含む脳および脊髄全体にわたる星状細胞およびニューロンの効率的な形質導入を明らかに実証している。
【0072】
実施例1
scAAV9.P546.CLN3の産生
2つのNot1制限部位の間のヒトCLN3のオープンリーディングフレーム(配列番号2)を含むDNAを、Eurofin Genomics,USAによって合成し、次いで、二本鎖AAV2-ITRベースの産生プラスミドに挿入した。AAV2 ITR間に挿入されたCLN3 DNAを示すプラスミド構築物の概略図[5’ITRは、McCarty et al.,Gene Therapy 8:1248-1254(2001)で以前に記載されたように修飾され、scAAVが生成された]を図1に示す。プラスミド構築物はまた、P546プロモーター、SV40キメライントロン、およびウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナルを含む。
【0073】
scAAV9.P546.CLN3を、HEK293細胞中のアデノウイルスヘルパープラスミドpHelper(Stratagene,Santa Clara,CA)と共に、二本鎖AAV2-ITRベースの産生プラスミドと、前述の([Gao et al.,J.Virol.,78:6381-6388(2004)]Rep2Cap9配列をコードするプラスミドを用いて、一過性トリプルプラスミドトランスフェクション法により、cGMP条件下で産生した。ウイルスを2つの塩化セシウム密度勾配精製工程により精製し、PBSに対して透析して、ウイルスの凝集を防ぐために0.001%プルロニック-F68と配合し、4℃で保存した。全てのscAAV調製物を、Taq-Man技術を使用した定量的PCRによって滴定した。scAAVの純度は、4~12%ドデシル硫酸ナトリウム-アクリルアミドゲル電気泳動および銀染色(Invitrogen,Carlsbad,CA)によって評価した。
【0074】
実施例2
CLN3Δex7/8マウスにおけるCSF送達scAAV9.P546.CLN3の長期有効性試験
細胞標的化および発現
マウスにおけるウイルス導入ヒトCLN3の発現および体内分布を確認するために、scAAV9.P546.CLN3を1×PBSおよび0.001%Pluronic F68中に配合するか、または20mMのトリス(pH8.0)、1mMのMgCl2、200mMのNaCl、0.001%のポロキサマー188中に配合し、生後36時間以内に脳室内(ICV)注射により、CLN3Δex7/8マウスに投与し、発現を様々な時点で監視した。等量のPBSを注射した野生型マウスおよびCLN3Δex7/8マウスを対照とした。有効投与量は、NCHウイルスベクターコアタイター(titer)を使用して2.2×1010vg/マウスであった。
【0075】
詳細な脳内分布プロファイルを得るために、RNAscopeインサイチューハイブリダイゼーション技術を使用して、脳、頸髄、胸髄、および腰髄中のヒトCLN3 mRNAを特異的に特定した。この技術は、scAAV9によってコードされるヒト導入遺伝子のみを検出するために、RNAインサイチューハイブリダイゼーションを特異的プローブと使用することを伴う。強いシグナルは、PBS注射対照においてシグナルがなかったことと比較して、scAAV9.P546.CLN3で注射したCLN3Δex7/8マウスの特に皮質(領域A~C)で、注射後4ヶ月および6ヶ月の時点で観察された。分析は、AAV9送達CLN3導入遺伝子が、皮質、視床、後脳、小脳、および脊髄を含む脳の様々な領域において適切なレベルで発現されることを実証した。小脳において、シグナルは、プルキンエニューロンにおいて特に強かった。導入遺伝子の発現は、4ヶ月および6ヶ月の時点で、逆転写PCRによって脳および脊髄の全領域においても検出された(図2)。
【0076】
まとめると、CLN3Δex7/8マウスからの組織に対して行われた逆転写PCRデータおよびRNAscope分析は、scAAV9.P546.CLN3の単回ICV注射が、脳および脊髄全体における注射後最長6ヶ月のヒトCLN3の標的化および発現の成功をもたらしたことを確認した。これは、CLN3-バッテン病の病因に不釣り合いに関与している細胞を特異的に標的とするためのscAAV9のICV媒介送達の妥当性を確認する。CLN3Δex7/8マウスモデルにおける発現データは、定量的RT-PCRによるヒト導入遺伝子の検出のために同じプライマーを使用して野生型マウスにおける研究においてさらに確認された。
【0077】
scAAV9.P546.CLN3の送達後の病理の改善
自己蛍光貯蔵物質(ASM)の蓄積
自己蛍光貯蔵物質(ASM)の蓄積はバッテン病の進行に対する特徴的な組織学的マーカーである(Mole et al.,Biochim Biophys Acta-Mol Basis Dis.2015;1852(10):2237-2241、Cotman et al.,Clin Lipidol.2012 Feb;7(1):79-91、Seehafer et al.,Neurobiol Aging.2006;27:576-588)。ASMの蓄積は、バッテン病の多くの形態に対する疾患進行の強力な指標である(Bosch et al.,J Neurosci.2016;36(37):9669-9682、Morgan et al.,PloS One.2013;8(11):e78694)。本明細書では、ASMの減少が治療の成功の指標として使用されることが企図される。ASMは、CLN3-バッテン病の最も早期に検出可能な疾患の徴候の1つであり、2ヶ月齢までにCLN3Δex7/8マウスの多数の脳領域ですでに見られた(図3)。
【0078】
蛍光画素面積の自動定量化は、2ヶ月齢のscAAV9.P546.CLN3注射CLN3Δex7/8マウスにおいて体性感覚皮質および視床における蓄積ASMの有意な減少を確認した。この初期の時点で、運動皮質および視覚皮質におけるASM蓄積のより高い変動性が、PBS処置CLN3Δex7/8マウスにおいて見られたので、分析の統計的検出力は、これら2つの領域についてより低かった。注射後4ヶ月および6ヶ月で、4つの脳領域全てが、PBS処置CLN3Δex7/8マウスと比較してASM蓄積の非常に有意な減少を示した(図4)。scAAV9.P546.CLN3注射CLN3Δex7/8マウスを野生型動物と比較すると、わずかに高いASMレベルは、注射後4ヶ月でscAAV9.P546.CLN3注射CLN3Δex7/8マウスの体性感覚および視覚皮質において見出されたが、一方、運動皮質および視床において野生型とscAAV9.P546.CLN3注射CLN3Δex7/8マウスとの間に有意差は見られなかった。注射後6ヶ月で、全ての領域が野生型マウスおよびscAAV9.P546.CLN3処置CLN3Δex7/8マウスにおいて匹敵する低レベルのASMを示し、これはPBS処置CLN3Δex7/8マウスと比較してはるかに低く、ASM蓄積における長期持続性および高効率減少を確認した(p≦0.0001)。PBSとscAAV9.P546.CLN3処置動物との間の(群あたりN=10)、注射後4ヶ月での視覚皮質(p≦0.001)、注射後6ヶ月での運動皮質(p≦0.001)以外の全てについてp≦0.0001であった。
【0079】
ミトコンドリアタンパク質ATPシンターゼサブユニットCの蓄積
野生型およびCLN3Δex7/8PBS注射マウスまたはscAAV9.P546.CLN3注射マウスの脳組織を、ATPシンターゼサブユニットCの蓄積について分析した。健康な個体では、このタンパク質は、ミトコンドリア膜の呼吸鎖の一部であるが、バッテン病を患っている患者では、このタンパク質はリソソーム内に異常に蓄積する(Palmer et al.,Am J Med Genet.1992;42(4):561-567)。CLN3Δex7/8マウスでは、野生型動物と比較して、視床の後内側腹側核および後外側腹側核(VPM/VPL領域)においてサブユニットCの蓄積が4ヶ月齢までに明らかになり、これは、NCLマウスモデルでは多くの場合早期に影響を受ける脳領域である(Morgan et al.,PLoS One.2013;8(11):e78694、Pontikis et al.,Neurobiol Dis.2005;20(3):823-836)。未処置動物は、体性感覚皮質および視床のVPM/VPL領域に蓄積したATPシンターゼサブCについて強いシグナルを示したが、scAAV9.P546.CLN3処置動物は、注射後4ヶ月および6ヶ月の両方での野生型動物に匹敵する最小のシグナルを示した(図5)(PBSとscAAV9.P546.CLN3処置動物との間でp≦0.0001)。
【0080】
グリア細胞および星状細胞の活性化
貯蔵物質の異常な蓄積およびATPシンターゼサブCの蓄積に加えて、ヒト患者および動物モデルの両方における疾患進行の他の組織学的マーカーには、星状細胞およびミクログリアの活性化が含まれる(Cotman et al.,Hum Mol Genet.2002;11(22):2709-2721、Morgan et al.,PLoS One.2013;8(11):e78694、Pontikis et al.,Neurobiol Dis.2005;20(3):823-836、Palmer et al.,Am J Med Genet.1992;42(4):561-567)。特に、反応性ミクログリアは、CLN3-バッテン病の後期におけるニューロン細胞死の主な原因であり得る、IL1-β26などの炎症誘発性メディエーターを放出するようにプライミングされる。活性化星状細胞は、4ヶ月および6ヶ月の時点でグリア原線維酸性タンパク質(GFAP)について染色することによって、視床のVPM/VPLおよび体性感覚皮質切片において特定された。体性感覚皮質については、体性感覚皮質の皮質層IV内のバレル皮質で定量化を行った。注射後6ヶ月の代表的な画像を図6に示す。
【0081】
GFAP陽性領域の処置後4ヶ月および6ヶ月の定量化は、星状細胞の活性化が、PBS注射CLN3Δex7/8マウスと比較して、scAAV9.P546.CLN3注射CLN3Δex7/8マウスの両方の脳領域において有意に減少したことを示している(図6)。これらの脳領域におけるscAAV9.P546.CLN3注射CLN3Δex7/8マウスにおけるGFAP染色のレベルは、PBS処置CLN3Δex7/8マウスと比較してはるかに低かったが、これらは、分析されたほとんどの領域について、注射後4ヶ月および6ヶ月の両方で野生型レベルを超えたままであった。
【0082】
グリア活性化はまた、活性化ミクログリアのマーカーとして抗CD68染色を使用して、VPM/VPLおよび体性感覚皮質切片において決定した。CD68は、食作用などの炎症誘発性機能についてプライミングされた細胞においてアップレギュレーションされるリソソームタンパク質である(Seehafer et al.,J Neuroimmunol.2011;230:169-172)。星状細胞で観察されたものと同様に、グリア活性化は、4ヶ月後に、PBS注射CLN3Δex7/8マウスと比べて、AAV9注射CLN3Δex7/8マウスのVPM/VPLおよび体性感覚皮質領域において有意に減少した(図7)。体性感覚皮質において、scAAV9.P546.CLN3による処置は、CD68染色を野生型マウスに匹敵するレベルまで減少させた。6ヶ月の時点で、VPM/VPL領域において、PBS処置CLN3Δex7/8マウスと比較してscAAV9.P546.CLN3処置のCD68染色のレベルに有意な改善は見られなかったが、それでもなおscAAV9.P546.CLN3処置マウスの体性感覚皮質における反応性グリアの有意な減少が見られた(図7)。
【0083】
scAAV9.P546.CLN3の送達後の行動の改善
ヒトCLN3-バッテン病患者では、運動機能障害および認知機能障害などの神経障害が、CLN3-バッテン病(遅発性小児性バッテン病)などの早期発症型疾患変種と比較して非常に遅れて明らかになり、これは短く不完全なCLN3タンパク質の残存機能に起因する可能性がある(Kitzmuller et al.,Hum Mol Genet.2008 Jan 15;17(2):303-12)。この表現型の遅延はまた、CLN3Δex7/8マウスモデルにも存在する。2ヶ月齢から開始し、2ヶ月間隔で継続するscAAV9.P546.CLN3の有効性試験では、マウスは、運動機能および協調運動を試験するための加速ロータロッドアッセイおよびポールクライミング、ならびに学習および記憶を評価するためのモリス水迷路を含む、一連の行動試験パラダイムを受けた。現在、動物は注射後10ヶ月間追跡調査されており、研究は進行中である。このマウスモデルを特徴付けるこれまでの刊行物は、神経発達行動の初期遅延、それに続く正常化、およびその後の生後10~12ヶ月頃からの低下を示している(Osorio et al.,Genes Brain Behav.2009 Apr;8(3):337-345)。
【0084】
ロータロッド分析は、注射後18ヶ月までの野生型およびPBSまたは処置CLN3Δex7/8マウスの間の統計的な有意差を示さなかった。
【0085】
ロータロッドアッセイを2ヶ月毎に行った。マウスを加速ホイール上に置いて、マウスが落下するまでの時間を測定した。各時点において、マウスを午前中に訓練し、試験を午後に4時間後に行った。以前に公表された(Bosch et al.,J Neurosci.2016;36(37):9669-9682)データとは異なり、注射後18ヶ月まで野生型マウスおよびPBS CLN3Δex7/8マウスの遂行能力に有意差は観察されなかった。しかしながら、PBS処置CLN3Δex7/8マウスに対し雌WTマウスでは、注射後2ヶ月で落下するまでの潜時(latency)における有意差が観察された。以前のデータと比較したこの矛盾は、試験プロトコルの設計および/またはハウジングの環境要因にある可能性が最も高い。この研究で使用されている現在のプロトコルは、各時点で1日にのみ動物を試験しているのに対し、以前に公表されたデータは4日間にわたって試験を繰り返していた。さらに、この研究で使用されたプロトコルは、以前に公表されたデータと比較してわずかに低い開始速度(40rpmに対し36rpm)および午前の訓練と午後の試験期間との間のより長い時間間隔で行われた(2時間の休息に対し4時間の休息)。さらに、午前中の訓練の設定も異なっていた:以前の研究では、マウスは5分間、午前中だけ5rpmで回転する車輪で訓練されたが、現在の研究の動物は、2秒毎に0.3rpmまでの車輪の加速をもたらす午後のテストで適用されたのと全く同じ設定で行われた。まとめると、記載した設定を用いて、注射後18ヶ月までに、野生型動物と比較して、未処置マウスまたはscAAV9.P546.CLN3処置CLN3Δex7/8マウスでは、加速ロータロッドホイールを保持する能力の障害は観察されなかった(図8の上部パネル)。
【0086】
モリス水迷路分析は、注射後2、4、16、および18ヶ月での、野生型とCLN3Δex7/8マウスとの間に統計的に有意な差を示した。
【0087】
モリス水迷路試験では、動物を、隠れたプラットフォームを含む水で満たされたプールに置いた。訓練の後、方向定位のために環境の手がかりを使って隠されたプラットフォームを見つけるのに動物がかかった時間を、学習および記憶能力の兆候として測定した。注射後2ヶ月および4ヶ月で、野生型動物とPBSまたはscAAV9.P546.CLN3処置CLN3Δex7/8マウスとの間に統計的差異が観察され、これは疾患のこの時点で学習および記憶がこの試験で測定可能であるよう損なわれたことを示し、その結果、動物が隠れたプラットフォームを見つけるまでの潜時が生じた。さらに、16ヶ月および18ヶ月で、野生型と、PBSまたはscAAV9.P546.CLN3処置CLN3Δex7/8マウスとの間で、潜時におけるより有意な統計的差異を観察した(図9、左上パネル)。16ヶ月での潜時の増加はまた、PBS処置CLN3Δex7/8マウスについての水泳速度の増加と相関していた(図9、右上パネル)。加えて、性別で分類すると、16ヶ月および18ヶ月で雄の野生型動物とscAAV9.P546.CLN3処置CLN3Δex7/8マウスとの間に潜時の統計的差異を観察した(図9、左中央パネル)が、一方scAAV9.P546.CLN3処置CLN3Δex7/8雄マウスの水泳速度は、16ヶ月で有意に減少した(図9、右中央パネル)。scAAV9.P546.CLN3処置雌CLN3Δex7/8マウスは、18ヶ月で、野生型またはPBS処置CLN3Δex7/8マウスと比較して有意に増加した潜時を示した(図9、左下パネル)が、一方、PBS処置CLN3Δex7/8雄マウスの水泳速度は、16ヶ月で有意に増加した(図9、右下パネル)。
【0088】
ポールクライミングアッセイは、PBS注射動物と比較して、scAAV9.P546.CLN3処置CLN3Δex7/8の改善された遂行能力を示した。
【0089】
ポールクライミングテストは、マウスを上向きにして置いたときにマウスが垂直ポール上で向きを変えるのに要する時間間、ならびに下向きにして置いたときにポールを下降する時間を測定する。さらに、向きを変えようとするか、または下降しようとしている間にポールから落下する回数も測定されることがある。この試験は、協調運動およびバランス能力を評価する。
【0090】
注射後10ヶ月および12ヶ月で、scAAV9.P546.CLN3動物は、PBS処置動物と比較して、ポールの下降が有意に速かった(図10、左上パネル)。注射後10ヶ月および12ヶ月で、PBS処置CLN3Δex7/8動物がポールを下降するのに要する時間において統計的に有意な差が見られたが、一方野生型とscAAV9.P546.CLN3処置CLN3Δex7/8とでは区別できなかった(図10、左上のパネル)。動物が上向きから下向きに向きを変えるのにかかる時間に関して、2つの統計的に有意な差が見られた。2ヶ月および16ヶ月齢で、野生型動物は、scAAV9.P546.CLN3およびPBS処置CLN3Δex7/8マウスの両方と比較して有意に早く向きを変えた。この差は、野生型と比較して差が見られなかった雌(図10、左下パネル)と比較して雄マウス(図10、左中央パネル)においてより顕著であった。2ヶ月および16ヶ月の時点は、このパラメーターの違いが研究群間で観察された唯一の時点であった(図10、左上パネル)。
【0091】
追加の統計的に有意な差は、ポールからの落下の平均回数において見られ、PBS処置CLN3Δex7/8の雄および雌マウスは、野生型およびscAAV9.P546.CLN3処置動物と比べて、より頻繁に落下した(図11)。上部グラフ:scAAV9.P546.CLN3処置動物とPBS処置動物との間で落下の回数において、有意差が2ヶ月目に見られた。統計的に有意な差もまた、注射後16ヶ月で野生型マウスとPBS処置CLN3Δex7/8マウスとの間で観察した。中央グラフ:雄のみである。PBS処置CLN3Δex7/8マウスは、注射後16ヶ月で最大の統計的有意性を伴って、他の処置群よりも頻繁にポールから落下した。下部グラフ:雌については、注射後8ヶ月で落下における差は有意であったが、この傾向は研究全体を通して見られた。各処置群についてN=5(5M/5F)であった。興味深いことに、ポールからの落下における差は、18ヶ月全体にわたって見られ、早い時点(4ヶ月)ならびに8ヶ月および16ヶ月で統計的に有意であった。8ヶ月時点で、この差は雌においてのみ統計的に有意であったが、明らかな傾向は雄においても存在し、雄では注射後16ヶ月で統計的に有意であった。一般に、PBS処置CLN3Δex7/8の雄は、他の処置群よりも頻繁にポールから落下した。
【0092】
まとめると、CLN3Δex7/8マウスのscAAV9.P546.CLN3による処置が、ASM物質、ならびにATPシンターゼサブユニットCの蓄積(両方ともCLN3-バッテン病の進行の主要な特徴である)を防止するという強力な証拠がある。これらのデータは、グリア(星状細胞およびミクログリア)活性化における強力な減少と相関している。疾患経過の早い段階ではあるが、行動表現型の改善への最初の傾向が明らかになってきている:scAAV9.P546.CLN3処置CLN3Δex7/8マウスは、より速く動いて落下しにくかったために、PBS処置動物と比べて、垂直ポールを下降することでより能力が高かった。全体として、これらのデータはこの疾患の治療戦略としてのscAAV9.P546.CLN3遺伝子治療を支持している。
【0093】
実施例3
マウスにおけるscAAV9.P546.GFPを用いた発現研究
P546プロモーターは、ニワトリ-ベータ-アクチン(CBA)プロモーターと同様の様式でCNS全体にわたって導入遺伝子の発現を可能にする。2つのプロモーターを並べて比較するために、生後1日目に、マウスに1×PBSおよび0.001%の%プルロニックF68または20mMのトリス(pH8.0)、1mMのMgCl2、200mMのNaCl、0.001%ポロキサマー188中に配合したscAAV9.CB.GFPまたはscAAV9.P546.GFPのいずれかを、動物あたり5×1010ウイルスゲノムで注射した。3週間後、動物を犠死させ、脳を蛍光解剖顕微鏡下に直接置いた。蛍光画像から、GFP分布は類似しているが、scAAV9.CB.GFPを受容した動物と比較してscAAV9.P546.GFPを受容した動物において蛍光レベルが低いことが明らかであって、P546プロモーターが、CBAプロモーターと比べて、導入遺伝子のより適度な発現レベルをもたらすことを確認した。
【0094】
別のマウスにscAAV9.P546.GFPを注射し、200日間生存させた。200日後、動物を犠死させ、全脳矢状切片をGFP発現について染色した。注射後の200日目であっても、GFP導入遺伝子の広範な発現が、皮質、海馬、中脳、髄質、扁桃体、および小脳を含む脳全体にわたって観察され、さらにP546プロモーターがCNS遺伝子治療のための優れた候補であることを示唆する。
【0095】
GFP蛍光およびGFP免疫蛍光染色からのデータは、様々な組織および脳領域からのウエスタンブロットデータによってさらに裏付けられた。GFP発現は、scAAV9.P546.GFPで処置したマウス(n=3)でリカーシステムを用いる蛍光ウエスタンブロットで、注射後3週間目に容易に検出可能であったが、一方対照として使用されたPBS注射動物(n=1)ではバンドは検出されなかった。導入遺伝子発現は、全脳溶解物、ならびに皮質、髄質、中脳、海馬、小脳および脊髄を含む領域特異的溶解物において明らかであった。
【0096】
さらに、GFP発現は、心臓および肝臓でも確認されたが、肺および脾臓はほとんどまたはまったく転写産物発現を示さなかった(図12)。scAAV9.P546.GFPによるウエスタンブロットデータは、マウスおよび非ヒト霊長類安全性研究からの発現データと一致し、ここでは非常に類似した発現プロファイルが見られた。さらに、脳および末梢臓器におけるこの発現パターンは、scAAV9.CB.GFPで見られるパターンに匹敵する。
【0097】
まとめると、免疫染色およびウエスタンブロット技術を用いたマウスにおける広範な発現分析は、P546プロモーターが、強力なCBAプロモーターと比較してより適度な発現レベルを可能にしながら、神経系全体にわたって非常に類似かつ長期持続的発現プロファイルをもたらすことを示している。
【0098】
実施例4
非ヒト霊長類におけるscAAV9.P546.CLN3を用いた発現研究
3.4×1013vgのscAAV9.P546.CLN3の単回用量を、1×PBSおよび0.001%のプルロニックF68中に入れ、3匹の3~4歳のカニクイザルに投与した。
【0099】
scAAV9.P546.CLN3を注射したカニクイザルの脳組織における標的化分析では、ヒトCLN3導入遺伝子に特異的であり、かつ内因性非ヒト霊長類CLN3 RNAと交差反応しないプライマーを使用して、標的をRNAレベルに関して分析した。注射の12週間後に犠死させたカニクイザルの1匹の様々な脳領域からの組織における逆転写定量的PCRは、脊髄、皮質、視床、線条体、小脳、および網膜の全てのレベルでヒトCLN3の発現を明らかにし、さらにP546プロモーターによるscAAV9の広範な到達および脳ならびに脊髄全体の転写産物の発現を強調した(図13)。注目すべきことに、ベクター由来のヒトCLN3の検出に使用されるプライマーは、内因性のNHP CLN3転写産物と交差反応しない。したがって、ゼロへの正規化は不可能であったため、生理食塩水を注射した動物または注射していない動物に対してではなく1に設定した腰髄に見られるベクター由来CLN3 RNAレベルに対して正規化を行った。アクチンを正規化遺伝子として使用した。
【0100】
まとめると、非ヒト霊長類からのデータは、単回髄腔内腰椎注射後に、scAAV9が神経系を通過し、CNSの広い領域に到達する可能性が高いことを証明している。注目すべきことに、scAAV9.P546.CLN3の髄腔内注射によって処置された全ての非ヒト霊長類は、治療によく耐え、注射後6ヶ月までのいかなる時点でも、いずれの動物においても有害作用は観察されなかった。
【0101】
実施例5
scAAV9.P546.CLN3遺伝子治療の臨床試験
scAAV9.P546.CLN3は、CLN3-バッテン病のヒト患者に髄腔内で送達されるであろう。
【0102】
臨床試験用のscAAVは、実施例1に記載されているようにcGMP条件下で、HEK293細胞の三重トランスフェクション法を利用して、Nationwide Children’s Hospital臨床製造施設により製造される。
【0103】
参加のために選択された患者は、遺伝子型によって決定されるCLN3疾患と診断された3~10歳であろう。第1のコホート(n=3)は、患者あたり6×1013vgの総scAAVの一回限りの遺伝子導入用量を受けるであろう。scAAV9.P546.CLN3は、1mMのMgCl、200mMのNaCl、0.001%のポロキサマー188トリス(pH8.0)中に20mMで配合され、腰椎嚢のくも膜下棘腔に至る突起間への腰椎穿刺によって挿入された髄腔内カテーテルを介して一度に送達されるであろう。安全性は、臨床的根拠に基づき、かつ安全性ラベルを検討することにより評価されるであろう。遺伝子導入後30日目の安全性データの検討を可能にするために、各被験者の登録の間に最低4週間があるであろう。安全性の懸念がなければ、注射後1ヶ月で第3の被験者が評価された後、4人の追加被験者の第2のコホートが登録されることになる。コホート2における各被験者(n=4)は、1.2×1014vgの総scAAVの漸増用量を受けることになる。次の被験者への投与の前に、5つの時点(1、2、7、14、および21日目)からの安全性分析の検討ならびにDSMB検討を可能にするために、コホート1の完了からコホート2の開始までの間に少なくとも6週間のウィンドウがあるであろう。
【0104】
疾患進行は、UBDRS尺度(上記の発明を実施するための形態において言及した)および小児生活の質(PEDSQOL)尺度を使用する生活の質に対する治療の影響、および長期生存の可能性を用いて測定されるであろう。
【0105】
全ての患者が3年間の試験を完了したときに、有効性に関する一次分析が評価されるであろう。有効性を決定する根拠は、CLN3-バッテン病のために特別に開発された確立された統一バッテン病評価尺度(UBDRS)に基づいて、疾患の安定化または進行の減少によるものであろう。3年間の試験期間の終了時に、FDAガイダンスに従って、患者を5年間にわたって毎年監視するであろう。
【0106】
実施例6
Cln3Δ7/8マウスモデルでの追加研究
実施例で記載されているように、2匹の野生型(WT)およびCln3Δ7/8マウスに、生後1日目に脳室内(ICV)注射を介してPBS、scAAV9.p546.CLN3、またはscAAV9.CB.CLN3遺伝子治療のいずれかを投与した。この研究では、マウスに5x1010vg/動物(4μL容量)を投与した。
【0107】
注射の方法とタイミングは、CLN3-バッテン病患者に関連する特定のニューロン集団をターゲットにするように選択された。動物は、手順中に低体温によって鎮静され、完全に回復するまで監視され、以前に記載されたように遺伝子型が決定された(Morgan et al.PLoS One 8、およびLaboratory,TJ Protocol 18257:Standard PCR Assayを参照されたい)。
【0108】
統計分析はGraphPad Prismを使用して行い、詳細は図の凡例に記載されている。一般に、二元配置分散分析は適切な事後検定で使用され、外れ値はROUT法で除去された(Q=0.1~1%)。必要に応じて、対応のないt検定を使用した。
【0109】
脳におけるhCLN3転写産物の発現と分布
定量的PCRを実施して、処置したマウスの脳内のhCLN3転写産物を測定した。全RNAおよびcDNAは以前に記載されたように生成された(Cain et al.Mol Ther.,2019を参照されたい)。2^-デルタ-デルタCt法を使用して、ハウスキーピング対照としてGapdhに正規化されたヒトCLN3転写産物の相対的な遺伝子発現を計算した。hCLN3フォワードプライマー配列:CGCTAGCATCTCATCAGGCCTTG(配列番号11)、hCLN3リバースプライマー配列:AGCATGGACAGCAGGGTCTG(配列番号12)。
【0110】
図16に示すように、scAAV9.p546.CLN3処置により、24ヶ月齢までのqPCRで測定した場合、Cln3Δ7/8マウスの大脳皮質および脊髄におけるhCLN3転写産物の発現レベルが上昇した。したがって、scAAV9.p546.CLN3の単回の新生児ICV投与は、hCLN3の持続的かつ十分に標的化された発現をもたらす。
【0111】
加えて、RNAscopeを実行して、処置したマウスの脳内のCLN3転写産物を検出した。マウスをCO安楽死させ、心臓をPBSで灌流した。脳を収集し、1mmの矢状脳ブロックに配置した。脳を正中線と正中線の3mm右でスライスした。3mmの矢状片を-50°Cのイソペンタンで瞬間冷凍し、16μmのクリオスタットで切片化し、スライド上に配置した。次に、スライドをメーカーが推奨するプロトコル(ACDBioマニュアル320293および320513)に従って処理した。切片は、ヒト特異的CLN3プローブ(ACDBioカタログ番号470241)で標識され、これはマウスとヒトCLN3の間の相同性がほとんどないCLN3遺伝子の領域(領域631-1711)の20個のダブルZペアで構成されていた。スライドを、hCLN3プローブに550nmフルオロフォアをタグ付けしたAmp4-FL-AltCを使用して、RNAscope Fluorescent Multiplex Kit(ACDBioカタログ番号320850)で蛍光標識し、スライドをDAPIで対比染色して核を標識した。組織切片を、退色防止封入剤(Dako faramount、Agilent)を使用してカバースリップの下のスライドにマウントした。スライドを、画像化前に暗所に保管した。切片を、NIS-Elements Advanced Researchソフトウェア(v4.20)を備えたNikon NiE顕微鏡を使用して画像化および分析した。
【0112】
図17に示すように、scAAV9.p546.CLN3処置により、24ヶ月齢までのRNAscope(赤色蛍光)で測定した場合、Cln3Δ7/8マウスの脳全体に安定したhCLN3転写産物が生成する。定量的PCTおよびRNAscopeアッセイにより、scAAV9.p546の単回の、新生児のICV投与が、hCLN3の持続的かつ十分に標的化された発現をもたらすことを確認する。scAAV9.p546.CLN3遺伝子治療は、24ヶ月齢までの脳および脊髄全体でhCLN3遺伝子発現を増加させる。
【0113】
古典的なバッテン病の病理
scAAV9.p546.CLN3の投与が、Cln3Δ7/8マウスの脳における古典的なバッテン病の病状を予防したかどうかを判断するために、ICV投与後に貯蔵物質の蓄積(ASM)とグリア反応性を調べた。野生型およびCLN3Δ7/8マウスを、CO安楽死させ、PBSで灌流し、組織を4%PFAで固定した。固定された脳を、50μmのビブラトーム(Leica VT10008)で切片化した。切片を、標準的な蛍光抗体法およびDAB染色プロトコルで処理した。一次抗体には、抗CD68(AbD Serotec、MCA1957、1:2000)、抗GFAP(Dako、Z0334、1:8000)、および抗ATPシンターゼサブユニットC(Abcam、ab181243、1:1000)が含まれていた。二次抗体には、抗ラットおよび抗ウサギビオチン化が含まれていた(Vector Labs、BA-9400、1:2000)。切片を、20倍のAperioスライド走査型顕微鏡を使用して画像化および分析した。画像を、視床のVPM/VPLと体性感覚皮質の2/3層から抽出し、各動物の複数の組織から複数の画像が撮影された。免疫反応性の総面積は、ImageJの閾値分析を使用して定量化した。
【0114】
図18は、scAAV9.p546.CLN3処置が、24ヶ月齢までのCln3Δ7/8マウスの脳の2つの領域でASMの蓄積を防止および減少することを示している。図19は、scAAV9.p546.CLN3処置が、24ヶ月齢までのCln3Δ7/8マウスの脳の2つの領域で、おおむね大量のサブユニットCの蓄積(ASMの構成要素)を防止したことを示している。図20は、scAAV9.p546.CLN3処置が、24ヶ月齢までのCln3Δ7/8の脳の2つの領域で星状細胞の活性化(GFAP+)をおおむね防止することを示している。図21は、scAAV9.p546.CLN3処置が、時点に応じて、24ヶ月齢までのCln3Δ7/8の脳の2つの領域でミクログリアの活性化(CD68+)を防止することを示している。したがって、scAAV9.p546.CLN3は、記憶物質の蓄積やグリア反応性を含む、Cln3Δ7/8マウスの脳における古典的なバッテン病の病状を予防した。図22は、scAAV9.CB.CLN3処置が、6ヶ月齢および12月齢のCln3Δ7/8マウスの様々なバッテン病の病状を予防するのに同様に効果的であることを示している。
【0115】
加えて、scAAV9.p546.CLN3による処置は、ICV投与後24ヶ月まで測定した場合、赤血球(CBC)異常または白血球(WBC)異常を引き起こさなかった。図23は、次のCBCパラメーターのデータを提供する:RBC数、ヘモグロビン、ヘマトクリット値、平均赤血球容積、平均赤血球ヘモグロビン、平均赤血球ヘモグロビン濃度、RBC分布、血小板数、および平均血小板容積。図24は、次のWBCパラメーターのデータを提供する:WBC数、リンパ球数パーセント、単球パーセント、顆粒パーセント。
【0116】
scAAV9.p546.CLN3遺伝子治療は、ASM、サブユニットC、GFAPおよびCD68の発現を含む、Cln3Δ7/8マウスの24ヶ月齢までのCLN3-バッテン病の細胞の特徴の多くを予防する。加えて、scAAV9.CB.CLN3遺伝子治療は、ASM、サブユニットC、GFAP、CD68の発現など、Cln3Δ7/8マウスの24ヶ月齢までのCLN3-バッテン病の細胞の特徴の多くを予防する。
【0117】
実施例7
Cln3Δ7/8マウスモデルにおける性に基づく組織病理学的分析
実施例2に記載されるように、野生型(WT)およびCln3Δ7/8マウスに、生後1日目に脳室内(ICV)注射を介して、PBS、scAAV9.p546.CLN3、またはscAAV9.CB.CLN3遺伝子治療のいずれかを投与した。この研究では、マウスに5x1010vg/動物(4μL容量)を投与した。
【0118】
野生型およびCLN3Δ7/8マウスを、CO安楽死させ、PBSで灌流し、組織を4%PFAで固定した。固定された脳を、50μmのビブラトーム(Leica VT10008)で切片化した。切片を、標準的な蛍光抗体法およびDAB染色プロトコルで処理した。一次抗体には、抗CD68(AbD Serotec、MCA1957、1:2000)および抗ATPシンターゼサブユニットC(Abcam、ab181243、1:1000)が含まれていた。二次抗体には、抗ラットおよび抗ウサギビオチン化が含まれていた(Vector Labs、BA-9400、1:2000)。切片を、20倍のAperioスライド走査型顕微鏡を使用して画像化および分析した。画像は次の領域から抽出された:海馬のCA2/CA3領域、海馬歯状回の多形層、扁桃体基底外側部、手綱、視床網様体核、視床後外側腹側核/後内側腹側核、視床背内側および内側下領域、梨状皮質、脳梁膨大後部皮質、および体性感覚皮質の2/3層で、各動物の複数の組織から複数の画像が撮影されている。免疫反応性の総面積は、ImageJの閾値分析を使用して定量化した。
【0119】
図25は、scAAV9.p546.CLN3で処置されたマウスが、12ヶ月齢で性別に基づいて、海馬のCA3領域に異なるレベルのサブC蓄積を示すことを示す。12ヶ月齢で、処置された雌のCln3Δ7/8マウスは野生型よりも有意に多くのサブCを蓄積したが、処置された雄におけるサブC蓄積は野生型と異ならなかった。ただし、この違いは、分析された他のどの時点でも見られなかった。
【0120】
図26は、scAAV9.p546.CLN3で処置されたマウスが、複数の時点で性別に基づいて、梨状皮質(PIRC)でわずかに異なるレベルのサブC蓄積を示したことを示す。12ヶ月齢で、処置された雌の変異体CLN3マウスは野生型よりも有意に多くのサブCを蓄積し、AAV処置はPBS変異体レベル未満の蓄積を妨げなかったが、処置された雄のサブC蓄積は野生型と異ならなかった。しかしながら、この相関関係は分析された他のどの時点でも見られず、処置された雌のサブC蓄積が野生型と有意差がなく、未処置の変異マウスよりも有意に低かった18ヶ月齢の所見と一致しなかった。18ヶ月齢で、処置を受けた雄のサブC蓄積は、WTレベルよりも大幅に高くなる。
【0121】
図27は、scAAV9.p546.CLN3処置マウスが、複数の時点の性別に基づいて、網様視床核(RTN)で異なるレベルのサブC蓄積を示したことを示す。6ヶ月齢で、処置された雌の変異体CLN3マウスは野生型よりも有意に多くのサブCを蓄積したが、処置された雄におけるサブCの蓄積は野生型と異ならなかった。12ヶ月齢で、処置された雄は野生型レベルのままであったが、処置された雌は野生型マウスと未処置の変異マウスの両方よりも有意に多くのサブCを有している。処置された雌の変異体と未処置の変異体との間のこの違いは18ヶ月では存在せず、サブCはWTよりも有意に高かったが、雄と雌の両方で未処置の変異体よりも有意に低かった。
【0122】
図28は、scAAV9.p546.CLN3処置マウスが、12ヶ月で性別に基づいて、体性感覚皮質で異なるレベルのサブC蓄積を示すことを示す。12ヶ月齢では、AAVによる処置は、未処置の変異体の雌と比較してサブC蓄積を減少させなかったが、処置された雄におけるサブC蓄積は防止され、野生型と異ならなかった。ただし、この違いは、分析された他のどの時点でも見られなかった。
【0123】
図29は、scAAV9.p546.CLN3で処置されたマウスが、12ヶ月で性別に基づいて、視床のVPM/VPLに異なるレベルのサブC蓄積を示したことを示す。6ヶ月齢で、処置された雌は未処置の変異体の雌よりも有意に少ないサブCを蓄積したが、野生型の雌よりも有意に多かった。この違いは12ヶ月から18ヶ月まで続いたが、分析したどの時点でも野生型と処置された雄との間に違いはなかった。
【0124】
図30は、scAAV9.p546.CLN3で処置されたマウスが、12ヶ月で性別に基づいて、扁桃体基底外側部(BLA)で異なるレベルのサブC蓄積を示すことを示す。12ヶ月齢で、AAVは処置された雌の動物におけるサブC蓄積を有意に防止しなかった。18ヶ月の時点で、処置された雌のサブC蓄積は野生型よりも有意に高いままであったが、未処置の雌よりも低かった。18ヶ月までに、処置された雄は、野生型の雄よりも有意に多くのサブCを有し始め、雌群で見られたものと同様の結果になった。
【0125】
図31は、scAAV9.p546.CLN3処置マウスが、12ヶ月および18ヶ月で性別に基づいて、歯状回(DG)の多形層に異なるレベルのサブC蓄積を示したことを示す。12ヶ月齢で、処置された雌は、野生型の雌および未処置の変異体の雌の両方よりも有意に多くのサブCを蓄積したように見えた。生の画像(図示せず)は、閾値処理の結果に影響を与える可能性のある歯状回の多形層を取り囲む暗くなった顆粒細胞層を明らかにした。この暗い部分は、この群にのみ存在し、12ヶ月の時点でのみ存在した。この増加は、雌では18ヶ月で見られなくなったが、処置された雄では18ヶ月で、野生型雄よりも多くのサブC蓄積を示し始めた。
【0126】
図32は、scAAV9.p546.CLN3処置マウスが、12ヶ月および18ヶ月で性別に基づいて、手綱に異なるレベルのサブC蓄積を示すことを示す。12ヶ月齢で、処置された雌は未処置の変異体の雌よりも有意に少ないサブCを蓄積したが、野生型の雌よりも有意に多かった。この違いは18ヶ月でも見られたが、分析したどの時点でも野生型と処置された雄との間に違いはなかった。
【0127】
図33は、scAAV9.p546.CLN3で処置されたマウスが、12ヶ月および18ヶ月で性別に基づいて、背内側核に異なるレベルのサブC蓄積を示したことを示す。12ヶ月齢で、処置された雌は未処置の変異体の雌よりも有意に少ないサブCを蓄積したが、野生型の雌よりも有意に多かった。この違いは18ヶ月でも見られたが、分析したどの時点でも野生型と処置された雄との間に違いはなかった。
【0128】
図34は、scAAV9.p546.CLN3で処置されたマウスが、性別に基づいて脳梁膨大後部皮質(RSC)のサブC蓄積レベルに差がないことを示す。分析したどの時点でも、野生型と処置された雄との間に違いはなかった。
【0129】
図35は、scAAV9.p546.CLN3で処置されたマウスが、6ヶ月で性別に基づいて、体性感覚皮質(S1BF)で異なるレベルの活性化ミクログリア(CD68)を示したことを示す。6ヶ月齢で、処置された雌は野生型および未処置の雌と比較してミクログリアの活性化が増加したが、処置された雄は野生型よりも高いが未処置よりは低い。12ヶ月齢と18ヶ月齢で性差は見られなかった。
【0130】
図36は、scAAV9.p546.CLN3で処置されたマウスが、性別に基づいてVPM-VPL、視床で異なるレベルのミクログリア活性化を示すことを示す。6ヶ月齢で、処置された雌は野生型および未処置の雌と比較してミクログリアの活性化が増加するが、処置された雄は野生型よりも高いが未処置よりは低い。この違いは12ヶ月においても見られる。同様のことが18ヶ月の雌群でも見られるが、処置された雄はこの時点で野生型と有意差はなかった。
【0131】
図37は、scAAV9.p546.CLN3マウスが、性別に基づいて背内側核(MD)で異なるレベルの活性化ミクログリア(CD68)を示すことを示す。6ヶ月齢で、処置された雌は野生型および未処置の雌と比較してミクログリアの活性化が増加し、処置された雄は野生型よりも高かったが、未処置の雄と異ならなかった。12ヶ月齢および18ヶ月齢の両方で、処置された雄は野生型よりもミクログリアの活性化が高く、未処置の雄よりも活性化が低かったが、処置は雌には影響を与えなかったようである。
【0132】
図38は、scAAV9.p546.CLN3で処置されたマウスが、性別に基づいて、内側下核(SM)で異なるレベルの活性化ミクログリアを示したことを示す。6ヶ月齢で、処置された雌は野生型および未処置の雌と比較してミクログリアの活性化が増加したが、処置された雄は未処置の雄と有意差はなく、どちらも野生型よりも活性が高かった。12ヶ月までに、処置はどちらの性においてもミクログリアの活性化の程度に影響を与えないようであった。18ヶ月までに、処置された雄はミクログリアの活性化が野生型レベルに減少したが、処置された雌は未処置の雌と同程度に活性化されたままであった。
【0133】
前述のデータは、scAAV9.p546.CLN3処置動物が、Cln3Δ7/8マウス脳のいくつかの領域でATP合成酵素サブユニットCの蓄積およびCD68ミクログリアの活性化に関し性別に基づいて病状が異なることを示す。性別による病理学的差異の違いは、雌特有のものであるように思われる。12ヶ月の時点で、違いの大部分が最も一貫して見られ、多くは12ヶ月でのみ示され、18ヶ月で示されなくなる。
【0134】
本明細書では本発明の好ましい実施形態を示し、記載してきたが、そのような実施形態が例としてのみ提供されていることは当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換を思い付くであろう。本明細書に記載の実施形態に対する様々な代替形態を採用してもよいことを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲の範囲内の方法および構造ならびにそれらの同等物がそれによって包含されることが意図される。
【0135】
本出願で参照される全ての文書は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5-1】
図5-2】
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図8
図9
図10
図11
図12
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図15-1】
図15-2】
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
【配列表】
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【国際調査報告】