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特表2022-519647診断検査を容易にするための、患者IDおよび試料IDのワークフローの方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】診断検査を容易にするための、患者IDおよび試料IDのワークフローの方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20220316BHJP
   G16H 10/40 20180101ALI20220316BHJP
【FI】
G16H10/60
G16H10/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545817
(86)(22)【出願日】2020-02-03
(85)【翻訳文提出日】2021-09-09
(86)【国際出願番号】 US2020016352
(87)【国際公開番号】W WO2020163214
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】62/801,942
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】508147326
【氏名又は名称】シーメンス・ヘルスケア・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】プラブ・ラマチャンドラン
(72)【発明者】
【氏名】カレン・リム
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
5L099AA23
(57)【要約】
機器データマネージャ(IDM)であって、診断エンジンと通信し、(1)検査を実施すべき患者の識別(ID)情報を取得し、(2)患者から試料を収集するために使用すべき診断消耗品のID情報を取得し、(3)取得した患者ID情報と、取得した診断消耗品ID情報とをリンクし、(4)(a)診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を実施する前に、診断エンジンにおいて診断消耗品のID情報を特定すること、(b)診断消耗品がIDM内の患者情報にリンクされているかどうかを判定すること、および(c)リンクされている場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を診断エンジンが実施できるようにすることにより、診断エンジンを使用する検査を制限するように構成されたIDMを含むポイントオブケアシステムが提供される。多数の他の実施形態が提供される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポイントオブケアシステムであって、
診断エンジンと通信するように構成された機器データマネージャ(IDM)であって、
診断エンジンを使用して検査を実施すべき患者の識別(ID)情報を取得し、
患者から試料を収集するために使用すべき診断消耗品のID情報を取得し、
取得した患者ID情報と、取得した診断消耗品ID情報とをリンクし、
診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を実施する前に、診断エンジンにおいて診断消耗品のID情報を特定すること、
診断消耗品がIDM内の患者ID情報にリンクされているかどうかを判定すること、および
診断消耗品がIDM内の患者ID情報にリンクされている場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を診断エンジンが実施できるようにすることにより、
診断エンジンを使用する検査を制限する
ように構成されたIDM
を含む前記ポイントオブケアシステム。
【請求項2】
IDMは、
診断消耗品が、IDM内の患者ID情報にリンクされていない場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対して診断エンジンが検査を実施できないようにするように構成されている、請求項1に記載のポイントオブケアシステム。
【請求項3】
IDMは、患者ID情報および診断消耗品ID情報のうちの少なくとも1つを特定するためにバーコードをスキャンするように構成されている、請求項1に記載のポイントオブケアシステム。
【請求項4】
IDMは、患者ID情報および診断消耗品ID情報のうちの少なくとも1つをスキャンするために、IDMのカメラを使用するように構成されている、請求項3に記載のポイントオブケアシステム。
【請求項5】
診断エンジンをさらに含み、該診断エンジンは、試料に対して検査を実施し、試料に対する検査に基づき測定結果を導出するように構成されている、請求項1に記載のポイントオブケアシステム。
【請求項6】
診断エンジンは、それぞれの診断消耗品の診断消耗品ID情報を特定するために診断消耗品のバーコードをスキャンし、診断消耗品ID情報をIDMに通信するように構成されている、請求項5に記載のポイントオブケアシステム。
【請求項7】
診断エンジンは、診断消耗品が診断エンジンに挿入されたときに、診断消耗品のバーコードをスキャンするように構成されている、請求項5に記載のポイントオブケアシステム。
【請求項8】
診断消耗品が診断エンジンに挿入される前に、診断消耗品のバーコードを操作者がスキャンできるようにするバーコードスキャナを、診断エンジンが含む、請求項5に記載のポイントオブケアシステム。
【請求項9】
診断エンジンは、尿試料カップまたは試料カートリッジを含む診断消耗品を用いて収集された試料を分析するように構成されている、請求項5に記載のポイントオブケアシステム。
【請求項10】
診断エンジンはユーザインターフェースを含まない、請求項5に記載のポイントオブケアシステム。
【請求項11】
IDMは、無線通信を介して診断エンジンと通信するように構成されている、請求項1に記載のポイントオブケアシステム。
【請求項12】
IDMは、
複数の診断エンジンとインターフェース接続され、
複数の診断エンジンのうちの2つまたはそれ以上の診断エンジンについて、診断消耗品を用いて収集された試料を、複数の診断エンジンのうちの2つまたはそれ以上の診断エンジンのいずれかを使用して検査する前に、診断消耗品が患者ID情報にリンクされていることを診断エンジンにおいて確認してから、診断エンジンを用いた検査を可能にするように構成されている、請求項1に記載のポイントオブケアシステム。
【請求項13】
複数の診断エンジンは、血液ガス診断エンジン、心臓診断エンジン、凝固診断エンジン、糖尿病診断エンジン、および検尿診断エンジンのうちの少なくとも1つを含む、請求項12に記載のポイントオブケアシステム。
【請求項14】
診断エンジンを使用してポイントオブケアの診断検査を提供する方法であって、
診断エンジンを使用して検査を実施すべき患者の識別(ID)情報を取得するため、
患者から試料を収集するために使用すべき診断消耗品のID情報を取得するため、
取得した患者ID情報と、取得した診断消耗品ID情報とをリンクするために、
機器データマネージャ(IDM)を使用することと、
診断エンジンを使用する検査を制限することであって、
診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を実施する前に、診断エンジンにおいて診断消耗品のID情報を特定し、
診断消耗品がIDM内の患者ID情報にリンクされているかどうかを判定し、
診断消耗品がIDM内の患者ID情報にリンクされている場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を診断エンジンが実施できるようにする
ことにより、診断エンジンを使用する検査を制限することと
を含む前記方法。
【請求項15】
診断エンジンを使用する検査を制限することは、
診断消耗品が、IDM内の患者ID情報にリンクされていない場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対して診断エンジンが検査を実施できないようにすることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
患者のID情報を取得することおよび診断消耗品のID情報を取得することのうちの少なくとも1つは、IDMを使用してバーコードをスキャンすることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
診断エンジンを使用してポイントオブケアの診断検査を提供する方法であって、
診断エンジンを使用して検査を実施すべき患者の識別(ID)情報を取得することと、
患者から試料を収集するために使用すべき診断消耗品のID情報を取得することと、
患者ID情報と、診断消耗品ID情報とをリンクすることと、
診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を実施する前に、
診断エンジンにおいて診断消耗品のID情報をスキャンすることと、
診断消耗品が患者ID情報にリンクされているかどうかを判定することと、
診断消耗品が患者ID情報にリンクされている場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を診断エンジンが実施できるようにすることと
を含む前記方法。
【請求項18】
診断消耗品が、患者ID情報にリンクされていない場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対して診断エンジンが検査を実施できないようにすることをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
患者のID情報を取得することおよび診断消耗品のID情報を取得することのうちの少なくとも1つは、機器データマネージャを使用してバーコードをスキャンすることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
複数の診断エンジンの動作を制御するように構成された機器データマネージャ(IDM)であって、
ディスプレイと、
ディスプレイに接続されたプロセッサと、
プロセッサに接続されたメモリであって、プロセッサによって実行されたときに、
患者の識別(ID)情報および診断消耗品のID情報をIDMが取得するためのユーザインターフェースを提供すること、
ユーザインターフェースを用いて患者ID情報および診断消耗品ID情報を取得した後に、診断消耗品ID情報と患者ID情報とをリンクすること、
複数の診断エンジンから診断消耗品ID情報を受信すること、ならびに
複数の診断エンジンのうちの1つまたはそれ以上の診断エンジンから受信した診断消耗品ID情報が、IDM内の患者ID情報にリンクされていない場合には、診断消耗品を用いて収集された試料の検査を、複数の診断エンジンのうちの1つまたはそれ以上の診断エンジンにおいて防止すること
をIDMに行わせる複数のコンピュータ実行可能命令を記憶しているメモリと
を含む前記IDM。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条(e)項の下で、2019年2月6日出願の米国特許仮出願第62/801,942号の利益を主張する。上に引用した特許出願の内容全体は、参照により明示的に本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、診断検査に関し、より詳細には、診断検査を容易にするための、患者識別(ID)および試料IDのワークフローの方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ポイントオブケア検査は、治療または他の処置が提供される場所で実施される医用診断検査として定義可能である。また、ポイントオブケア検査は、患者の傍らで行われる検査、遠隔検査、サテライト検査、および迅速診断検査と呼ばれることもある。ポイントオブケア検査の結果は、比較的迅速に入手可能にすることができ、それによりそれらの結果に対して遅延なく対処することができる。これは、患者、医師、および治療チームが検査結果をより迅速に受け取れる可能性を高め、これにより、より適切で、より速やかな臨床管理決定を下せるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポイントオブケア検査のための改善されたシステム、方法、および装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態において、診断エンジンと通信するように構成された機器データマネージャ(IDM)であって、(1)診断エンジンを使用して検査を実施すべき患者の識別(ID)情報を取得し、(2)患者から試料を収集するために使用すべき診断消耗品のID情報を取得し、(3)取得した患者ID情報と、取得した診断消耗品ID情報とをリンクし、(4)(a)診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を実施する前に、診断エンジンにおいて診断消耗品のID情報を特定すること、(b)診断消耗品がIDM内の患者ID情報にリンクされているかどうかを判定すること、および(c)診断消耗品がIDM内の患者ID情報にリンクされている場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を診断エンジンが実施できるようにすることにより、診断エンジンを使用する検査を制限するように構成されたIDMを含むポイントオブケアシステムが提供される。
【0006】
いくつかの実施形態において、診断エンジンを使用してポイントオブケアの診断検査を提供する方法は、(1)診断エンジンを使用して検査を実施すべき患者の識別(ID)情報を取得するため、(2)患者から試料を収集するために使用すべき診断消耗品のID情報を取得するため、かつ(3)取得した患者ID情報と、取得した診断消耗品ID情報とをリンクするために、機器データマネージャ(IDM)を使用することを含む。この方法は、(4)診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を実施する前に、診断エンジンにおいて診断消耗品のID情報を特定し、(5)診断消耗品がIDM内の患者ID情報にリンクされているかどうかを判定し、(6)診断消耗品がIDM内の患者ID情報にリンクされている場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を診断エンジンが実施できるようにすることにより、診断エンジンを使用する検査を制限することをさらに含む。
【0007】
いくつかの実施形態において、診断エンジンを使用してポイントオブケアの診断検査を提供する方法は、(1)診断エンジンを使用して検査を実施すべき患者の識別(ID)情報を取得することと、(2)患者から試料を収集するために使用すべき診断消耗品のID情報を取得することと、(3)患者ID情報と、診断消耗品ID情報とをリンクすることと、(4)診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を実施する前に、(a)診断エンジンにおいて診断消耗品のID情報をスキャンすることと、(b)診断消耗品が患者ID情報にリンクされているかどうかを判定することと、(c)診断消耗品が患者ID情報にリンクされている場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を診断エンジンが実施できるようにすることとを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、診断エンジンを使用してポイントオブケアの診断検査を提供する方法は、(1)診断エンジンを使用して検査を実施すべき患者の識別(ID)情報を取得するために機器データマネージャ(IDM)を使用することと、(2)患者から試料を収集するために使用すべき診断消耗品のID情報をスキャンするために、IDMを使用することと、(3)患者ID情報と、IDM内の診断消耗品ID情報とをリンクすることと、(4)診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を実施する前に、(a)診断エンジンにおいて診断消耗品のID情報をスキャンすることと、(b)スキャンしたID情報をIDMに通信することと、(c)診断消耗品が、IDM内の患者ID情報にリンクされていることを確認することと、(d)診断消耗品がIDM内の患者ID情報にリンクされている場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を実施するように診断エンジンに指示することとを含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、複数の診断エンジンの動作を制御するように構成された機器データマネージャ(IDM)は、(1)ディスプレイと、(2)ディスプレイに接続されたプロセッサと、(3)プロセッサに接続されたメモリであって、プロセッサによって実行されたときに、(a)患者の識別(ID)情報および診断消耗品のID情報をIDMが取得するためのユーザインターフェースを提供すること、(b)ユーザインターフェースを用いて患者ID情報および診断消耗品ID情報を取得した後に、診断消耗品ID情報と患者ID情報とをリンクすること、(c)複数の診断エンジンから診断消耗品ID情報を受信すること、ならびに(d)複数の診断エンジンのうちの1つまたはそれ以上から受信した診断消耗品ID情報が、IDM内の患者ID情報にリンクされていない場合に、診断消耗品を用いて収集された試料の検査を、複数の診断エンジンのうちの1つまたはそれ以上において防止することを、IDMに行わせる複数のコンピュータ実行可能命令を記憶しているメモリとを含む。
【0010】
いくつかの実施形態において、複数の診断エンジンと通信する機器データマネージャ(IDM)であって、複数の診断エンジンを使用して、複数の試料に対して、複数の検査を実施できるようにするために、複数の診断エンジンのそれぞれと通信するように構成されたIDMによって実施される方法が提供される。この方法は、(1)検査を実施すべき患者の識別(ID)情報を、IDMのユーザインターフェースを介して取得することと、(2)患者から試料を収集するために使用すべき診断消耗品のID情報を、IDMのユーザインターフェースを介して取得することと、(3)取得した患者ID情報と、取得した診断消耗品ID情報とを、IDM内でリンクすることと、(4)複数の診断エンジンを使用する検査を制限することであって、(a)複数の診断エンジンのうちのいずれかの中で、診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査の実施を可能にする前に、診断エンジンから診断消耗品のID情報を受信し、(b)診断消耗品ID情報が、IDM内の患者ID情報にリンクされているかどうかを判定し、(c)診断消耗品ID情報が、IDM内の患者ID情報にリンクされている場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を診断エンジンが実施できるようにすることにより、検査を制限することとを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、(1)試料に対して検査を実施し、その試料に対する検査に基づき測定結果を導出するように構成された診断エンジンと、(2)診断エンジンと電子通信する機器データマネージャ(IDM)であって、(a)診断エンジンを使用して検査を実施すべき患者の識別(ID)情報を取得し、(b)患者から試料を収集するために使用すべき診断消耗品のID情報を取得し、(c)取得した患者ID情報と、取得した診断消耗品ID情報とをリンクし、(d)(i)診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を実施する前に、診断エンジンにおいて診断消耗品のID情報を特定すること、(ii)診断消耗品がIDM内の患者ID情報にリンクされているかどうかを判定すること、および(iii)診断消耗品がIDM内の患者ID情報にリンクされている場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を診断エンジンが実施できるようにすることにより、診断エンジンを使用する検査を制限するように構成されたIDMとを含むポイントオブケアシステムが提供される。
【0012】
本発明の他の構成および態様は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図面からより完全に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本開示の実施形態により提供される例示的なポイントオブケアシステムを示す図である。
図1B】本開示の実施形態により提供される例示的な診断エンジンを示す図である。
図2A】本開示の実施形態による、患者情報の例示的なデータ構造を示す図である。
図2B】本開示の実施形態による、診断消耗品情報の例示的なデータ構造を示す図である。
図2C】本開示の実施形態による、患者ID情報が診断消耗品ID情報にリンクされている例示的なデータ構造を示す図である。
図3A】本明細書で開示する実施形態による、患者ID情報および診断消耗品ID情報を収集し、患者ID情報と診断消耗品ID情報とをリンクするための例示的な方法を示す図である。
図3B】本明細書で開示する実施形態による、診断エンジンを用いた検査を可能にする前に、患者ID情報と診断消耗品ID情報とがリンクされていることを確保するための例示的な方法を示す図である。
図4-1】図4A図4Pは、本明細書で開示する実施形態による、図1Aのポイントオブケアシステムの機器データマネージャのユーザインターフェースの動作中の例示的な表示画面レイアウトを示す図である。
図4-2】図4-1の続き。
図4-3】図4-2の続き。
図4-4】図4-3の続き。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上に述べたように、ポイントオブケアシステムは、患者、医師、および治療チームが検査結果を迅速に受け取れるようにし、これにより、より適切で、より速やかな臨床管理決定を下せるようになる。しかし、有益であるために、検査結果は、正しい患者に正確に関連付けられなくてはならない。このことは、多くの検査が多数の患者に対して実施される多忙な臨床場面では、より一層困難になる。本明細書に提示する実施形態は、ポイントオブケア検査中に実施された検査結果が、正しい患者に関連付けられることを確保しやすくする。
【0015】
ポイントオブケア検査は、治療または他の処置が提供される場所で実施される医用診断検査として定義可能である。ポイントオブケアのシステムまたはデバイスは、たとえば病院、介護施設、クリニック、または個人患者の自宅に配置することができる。また、ポイントオブケア検査は、本明細書において、患者の傍らで行われる検査、遠隔検査、サテライト検査、および/または迅速診断検査と呼ばれることもある。
【0016】
ポイントオブケア検査中に、患者試料が収集され、本明細書において診断エンジンと呼ばれる検査デバイスを使用して分析される。例示的な患者試料は、尿、血液、血漿、唾液、脳脊髄液、胸膜液、鼻咽頭液などを含んでよい。患者試料は、診断消耗品を使用して収集され、この診断消耗品は、血液もしくは別の体液が保管されるたとえば試料カートリッジまたは他の試料容器、尿カップ、尿ストリップもしくはラテラルフローストリップといった検査ストリップを含むことができる。このような診断消耗品は、必ずではないが、通常は単回使用の消耗品である。
【0017】
本明細書に提示する実施形態によれば、検査に使用される診断エンジンは、機器データマネージャ(IDM)と呼ばれるセントラルインターフェースユニットによって制御可能である。たとえば、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2017年11月20日出願の「Multiple Diagnostic Engine Environment」という名称の米国特許仮出願第62/588,689号(代理人整理番号2017P24633)は、複数の診断エンジンと、この複数の診断エンジンのそれぞれと電子通信するIDMとを含むポイントオブケアシステムについて記載している。複数の診断エンジンのそれぞれは、患者から受け取った、診断消耗品を用いて収集された試料に対して検査を実施してよい。IDMは、複数の診断エンジンのそれぞれと通信して、複数の異なる試料に対して、複数の診断エンジンを使用して複数のユーザによって実質的に同時に複数の検査を実施できるようにし、複数の診断エンジンによる検査を管理するため、かつ複数の診断エンジンのそれぞれによって実施された検査の測定結果を受信するための、単一のユーザインターフェースを提示するように構成される。
【0018】
本明細書に記載のいくつかの例示的な実施形態において、ポイントオブケアシステムは、IDMで制御されかつ/またはIDMにインターフェース接続される1つもしくはそれ以上の診断エンジンを含むことができる。IDMは、検査を実施すべき患者の識別(ID)情報を取得するために使用可能である。また、IDMは、患者からの試料を収集および/または保管するために使用すべき診断消耗品のID情報を取得するために使用可能である。いくつかの実施形態において、IDMは、カメラを使用して、患者のリストバンド上のバーコードを撮像し、患者ID情報を取得してよく、かつ/または診断消耗品上のバーコードを撮像して、診断消耗品ID情報を取得してよい。次いで、IDMは、患者ID情報と診断消耗品ID情報とをリンクする。たとえば、患者ID情報と診断消耗品ID情報は、IDM内のメモリおよび/またはデータベース(もしくは他のデータ構造)において互いにリンクさせることが可能である。診断エンジンを使用して検査されるそれぞれの患者は、患者にリンクされた1つまたはそれ以上の診断消耗品を有してよい。たとえば、患者ID情報と診断消耗品ID情報は、試料収集の直前にリンクさせることが可能である。
【0019】
診断消耗品を用いて試料を収集した後、ポイントオブケアシステム内の診断エンジンを使用して患者の試料に対して検査を実施する前に、検査すべき試料を有する診断消耗品のID情報が、診断エンジンにおいてスキャンされる。たとえば、診断エンジン内の、または診断エンジンの近傍のバーコードスキャナを使用して、診断消耗品ID情報を取得することができる。代替的に、診断消耗品が診断エンジンに装着されたときに、診断エンジン内のカメラまたは他のスキャナが、診断消耗品をスキャンしてよい。この診断消耗品ID情報は、IDMに提供され、IDMは、診断消耗品が患者にリンクされているかどうか(たとえば、スキャンされた診断消耗品ID情報が、IDM内の患者ID情報にリンクされているかどうか)を判定する。診断消耗品ID情報が、IDM内の患者ID情報にリンクされている場合には、IDMは、診断消耗品を用いて収集された試料に対して診断エンジンが検査を実施できるようにする。診断消耗品ID情報が、IDM内の患者ID情報にリンクされていない場合には、IDMは、診断消耗品を用いて収集された試料に対して診断エンジンが検査を実施することを防止する。
【0020】
いくつかの実施形態において、診断消耗品は、試料を保持するカートリッジまたは容器であってよく、このカートリッジまたは容器が、診断エンジン内に直接配置される。代替的に、診断消耗品は、試料が診断エンジンによって分析される前に、試料を単に保持するだけでもよい。たとえば、尿カップが、本明細書に記載するように、患者ID情報にリンクされた診断消耗品IDを含んでよい。診断エンジンにおいて、尿カップの診断消耗品IDがスキャンされて、尿カップがIDM内の患者情報にリンクされていることを、検査前に確保することができる。次いで、検査ストリップを使用して、尿カップから試料の一部を収集し、診断エンジン内で検査することができる。いくつかの実施形態において、検査ストリップは、IDM内の患者情報にリンクされたバーコードまたは他のID情報を含んでいなくてもよい。しかし、他の実施形態において、検査ストリップは、診断エンジンによって分析される前に、患者ID情報にリンクされなくてはならない診断消耗品ID情報(たとえば、スキャン可能なバーコード)を含んでいてもよい。
【0021】
診断消耗品は、患者試料を保有する器を含んでよい。いくつかの実施形態において、試料を収容している診断消耗品は、それ自体が診断エンジンに挿入されて検査することができる。1つまたはそれ以上の他の実施形態において、診断消耗品は、別の診断消耗品を使用する前に、試料を保持していてよい。たとえば、第1の診断消耗品は、尿カップとすることができ、尿カップは、尿ストリップなどの第2の診断消耗品を使用する前に、試料を保持している。次いで、尿ストリップを、診断エンジンによって分析することができる。2つまたはそれ以上の診断消耗品を使用して試料を収容するかつ/または試料を診断エンジンに提供するような実施形態では、それぞれの診断消耗品がID情報(たとえば、スキャン可能なバーコード)を含んでもよいし、または診断消耗品のサブセットがID情報を含んでもよく、このID情報を、患者ID情報にリンクし、診断エンジンにおける検査の前にスキャンすることができる。いくつかの実施形態において、診断消耗品は、試料を保持し、それを直接診断エンジンに提供してよい。たとえば、血液ガス分析装置は、診断消耗品(たとえば、シリンジ)から血液を抜き取るための針を使用してよい。
【0022】
試料を取得したタイミングで、患者ID情報と診断消耗品ID情報とをリンクし、次いで、検査すべき試料を有する任意の診断消耗品がIDM内の患者にリンクされていることを、診断エンジンを用いた検査の前に確認することにより、検査結果が、正しい患者に関連付けられることが知れられている。上記その他の実施形態は、図1図4Pを参照しながら以下で説明する。
【0023】
図1Aは、本開示の実施形態により提供される例示的なポイントオブケア(POC)システム100を示す。図1Aを参照すると、POCシステム100は、1つまたはそれ以上の診断エンジン104a~nと通信するIDM102を含んでよい。任意の数の診断エンジンが使用可能である(たとえば、1個、2個、3個、5個、10個など)。
【0024】
いくつかの実施形態において、IDM102は、メモリ108と、カメラ110と、ユーザインターフェース112とに接続されたプロセッサ106を含んでよい。プロセッサ106は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、埋め込みマイクロコントローラ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、マイクロコントローラとして機能するように構成されたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのコンピュータリソースとすることができるが、これらに限定されない。
【0025】
メモリ108は、揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリのうちの1つまたは複数などの任意の適切な種類のメモリとすることができるが、これらに限定されない。たとえば、メモリ108は、揮発性メモリと不揮発性メモリなどの異なる種類のメモリの組合せを含んでよい。揮発性メモリは、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)またはダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)を含んでよいが、これらに限定されない。不揮発性メモリは、電気的プログラム可能読取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリなどを含んでよいが、これらに限定されない。メモリ108は、記憶された複数の命令を有し、これらの命令は、プロセッサ106によって実行されたときに、記憶された複数の命令のうちの1つまたはそれ以上によって指定される様々な動作をプロセッサ106に実行させる。
【0026】
カメラ110は、以下でさらに説明するように、患者ネームタグ(たとえば、リストバンド)、診断消耗品などのバーコードまたは他の識別情報を撮像することができる任意の適切な撮像デバイスを含んでよい。いくつかの実施形態において、カメラ110は、IDM102と通信するバーコードリーダであってよい。たとえば、カメラ110は、無線の(たとえば、Bluetooth(登録商標)、WiFi、もしくは他の無線プロトコルの)バーコードリーダであってよい。
【0027】
ユーザインターフェース112は、たとえば、表示画面、タッチパネルおよび/またはタッチ画面、オーディオスピーカ、ならびにマイクロフォンのうちの1つまたはそれ以上を含んでよい。ユーザインターフェース112は、IDM102によって制御可能であり、ユーザインターフェース112の機能は、メモリ108に記憶されたコンピュータ実行可能命令(たとえば、プログラムコードまたはソフトウェア)によって少なくとも部分的に実装されてよく、かつ/またはIDM102のプロセッサ106によって実行されてよい。いくつかの実施形態において、IDM102は、1つまたはそれ以上の診断エンジン102a~nから1つまたはそれ以上の測定結果を受信し、その測定結果を処理して計算結果を導出し、計算結果および/または患者情報などの他の情報を、ユーザインターフェース112を介して提示してよい。たとえば、ユーザインターフェース112は、1つまたはそれ以上の計算結果をユーザインターフェース112のユーザに提示するように構成することができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、ユーザインターフェース112は、診断エンジンに依存しない設計であってよく、これは、何個の診断エンジンに関連付けられた結果でも、いかなる種類の診断エンジンに関連付けられた結果でも提示できることを意味する。ユーザインターフェース112は、複数の診断エンジンが同時に、同じインターフェースを使用して動作できるようにしてよい。1つまたはそれ以上の実施形態において、ユーザインターフェース112のユーザは、検査を開始し、患者情報を入力または閲覧し、ログイン資格情報を入力し、特定の検査について残り時間を閲覧し、かつ/または所与の診断エンジン102a~nによって実施された検査に基づく計算結果を閲覧することが可能であってよい。
【0029】
ユーザインターフェース112は、異なる種類の診断エンジン間で共通の画面および要素を使えるようにして、POCシステム100の効率を改善することができる。なぜなら、ユーザインターフェース112のユーザは、単一のインターフェースを学習するだけでよいからである。共通の要素は、ユーザインターフェース112に表示されてよい。追加的または代替的に、製品固有の指示などの特定の指示を、ユーザインターフェース112に表示することができ、これらの指示には、単一のホーム画面からアクセス可能である。
【0030】
いくつかの実施形態において、ユーザインターフェース112は、検査の状況または計算結果を表示してよい。ユーザインターフェース112は、複数の検査の状況または計算結果を同時に表示してよい。たとえば、ユーザが、第1の患者に対して尿検査を、第2の患者に対して血液検査を実施している場合、ユーザは、尿検査および血液検査の状況または計算結果のうちの1つまたはそれ以上を、単一の画面で閲覧可能であってよい。第1の企業によって製造された検尿診断エンジンで尿検査が実施され、第2の企業によって製造された血液検査診断エンジンで血液検査が実施されている場合でも、これに該当してよい。一例において、ユーザインターフェース112は、ユーザインターフェース112の異なる2人のユーザに関連付けられた計算結果を同時に表示するように構成することができる。たとえば、ユーザインターフェース112は、ユーザインターフェース112の第1のユーザによって開始された、第1の患者に関する血液検査結果と、ユーザインターフェース112の第2のユーザによって開始された、第1の患者または第2の患者に関する尿検査結果とを、同時に表示することができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、IDM102は、取外し可能な記憶装置、ローカルプリンタなど(図示せず)、1つまたはそれ以上の他の構成要素を含んでよい。
【0032】
診断エンジン104a~nは、1つまたはそれ以上の検査を実施してよい。たとえば、診断エンジン104a~nは、体液試料などの試料の1つまたはそれ以上の特性を特定するために、1つまたはそれ以上の検査を実施してよい。いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上の診断エンジン104a~nは、血液試料に関連するHbA1cレベルなど、血液試料の1つまたはそれ以上の特性を特定するように構成された糖尿病診断エンジンであってもよいし、または尿試料内の1つまたはそれ以上の代謝産物の存在など、尿試料の1つまたはそれ以上の特性を特定するように構成された検尿診断エンジンであってもよい。他の診断エンジンを使用することもできる。
【0033】
それぞれの診断エンジン104a~nは、メモリ116に接続されたプロセッサ114を含んでよい。場合により、スキャナ118(たとえば、カメラ、バーコードリーダなど)も、プロセッサ114に接続可能である。診断エンジン104a~nのうちの1つまたはそれ以上に含めることができる他の例示的な構成要素は、図1Bの診断エンジン104に示してある(たとえば、無線回路120、加熱要素122、混合手段124、光センサ126、ポンプ128、試薬130など)。診断エンジン104a~nのうちの所与の診断エンジンは、場合により任意の数または任意の組合せのこれらの要素を含んでよいことを理解されたい。たとえば、診断エンジンは、複数の光センサ126を含んでいるがポンプ128を含んでいなくてもよい。診断エンジン104a~nは、分離手段または当業者によって理解されるような任意の他の構成要素など、本明細書において図示していないもしくは記載していない他の構成要素を含んでよいことが、さらに理解される。さらに、第1の種類の診断エンジン(たとえば、糖尿病診断エンジン)は、第2の種類の診断エンジン(たとえば、検尿診断エンジン)とは異なる数および/または異なる組合せの構成要素を含んでよい。
【0034】
プロセッサ114は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、埋め込みマイクロコントローラ、DSP、マイクロコントローラとして機能するように構成されたFPGAなどのコンピュータリソースとすることができるが、これらに限定されない。メモリ116は、揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリのうちの1つまたはそれ以上などである任意の適切な種類のメモリとすることができるが、これらに限定されない。たとえば、メモリ116は、揮発性メモリと不揮発性メモリなどの異なる種類のメモリの組合せを含んでよい。メモリ116は、記憶された複数の命令を有し、これらの命令は、プロセッサ114によって実行されたときに、記憶された複数の命令のうちの1つまたはそれ以上によって指定される様々な動作をプロセッサ114に実行させる。
【0035】
プロセッサ114は、試料を処理するように構成可能である。たとえば、プロセッサ114は、診断エンジン104a~nに挿入された(たとえば、診断消耗品上にまたはその中に含まれた)試料に対して検査を実施するための命令を、ユーザから受け取り、その試料に対する検査の測定結果を表す1つまたはそれ以上の値を出力するように構成することができる。一実施形態において、プロセッサ114は、10秒など、所与の期間内に、1つまたはそれ以上の測定値を導出するように構成されたリアルタイムプロセッサとすることができる。追加的または代替的に、プロセッサ114は、検査試料からの測定値に基づき、測定結果を導出するように構成された非リアルタイムプロセッサとすることができる。一例において、診断エンジン104a~nのうちの1つまたはそれ以上は、測定値をリアルタイムで取得するように構成されたリアルタイムプロセッサと、測定値を処理して測定結果を導出するように構成された非リアルタイムプロセッサなど、複数のプロセッサを含んでよい。
【0036】
プロセッサ114は、診断エンジン104a~nの様々な構成要素(たとえば、加熱要素122、混合手段124、光センサ126、ポンプ128、試薬130など)を制御してよく、これらの構成要素からフィードバックを受け取ってもよい。プロセッサ114は、診断エンジン104a~nを適切な動作条件内に保つように、適宜(リアルタイムで)診断エンジン104a~nの1つまたはそれ以上の特性を調整してよく、診断エンジン104a~nによって実施された検査の測定結果を取得してよい。
【0037】
再び図1Aを参照すると、IDM102のメモリ116は、診断エンジン104a~nのうちの1つまたはそれ以上によって受信または導出された情報を記憶するように構成することができる。たとえば、メモリ116は、診断エンジン104a~nによって実施された検査の測定結果を表す1つまたはそれ以上の値を記憶するように構成することができる。一実施形態において、1つまたはそれ以上の診断エンジン104a~nは、限られた処理能力およびメモリ能力を含む場合があり、それにより診断エンジン104a~nは、特定の種類の試料だけを処理し、その試料に対する検査の測定値および/または測定結果を表す1つまたはそれ以上の値をメモリ116に記憶し、測定結果をIDM102に送信するように構成される。
【0038】
無線回路120(図1B)は、POCシステム100の1つまたはそれ以上の他の構成要素と診断エンジン104a~nとが通信できるようにしてよい。たとえば、無線回路120は、IDM102へのBluetooth(登録商標)接続またはWiFi接続(これも無線回路を含んでよいが、別途図示しない)を介して、診断エンジン104a~nが測定結果を通信できるようにしてよい。追加的または代替的に、プリンタ、情報科学管理プログラム、または任意の他の種類の情報システム(別途図示しない)に、情報を通信してよい。
【0039】
説明したように、診断エンジン104a~nのうちの1つまたはそれ以上は、1つまたはそれ以上の構成要素を含んでよく、これらの構成要素は、プロセッサ114と通信してよく、プロセッサ114によって制御されてもよい。たとえば、図1Bに示すように、診断エンジン104a~nは、検査試料を加熱するように構成された加熱要素122、検査試料の1つまたはそれ以上の構成要素を混合するように構成された混合手段124、検査試料の1つまたはそれ以上の光学特性を特定するように構成された光センサ126、および試料の少なくとも一部分を診断エンジン104a~nの1つの場所から別の場所に移動させるように構成されたポンプ128のうちの1つまたはそれ以上を含んでよい。
【0040】
いくつかの実施形態において、診断エンジン104a~nは、物理的構成要素(たとえば、加熱要素122、混合手段124、光センサ126、ポンプ128、試薬130など)を含むのみならず、これらの構成要素の使用を駆使して測定結果を得る一連の工程を制御してもよい。たとえば、糖尿病診断エンジンは、混合手段124を使用して試料を混合し、加熱要素122を使用して、試料を所望の温度(たとえばセ氏80度)まで加熱し、混合手段124を使用して試料を再び混合し、光センサ126を使用して試料の光学的読取り値を取得してよい。
【0041】
それぞれの診断エンジン104a~nは、診断消耗品(たとえば、血液または別の体液が保管されている試料カートリッジ、尿ストリップまたはラテラルフローストリップなどの検査ストリップ)の形態で試料を受け取るように構成することができる。診断エンジンは、検査中に、試料と直接接触するように構成することができる。これらの種類の診断エンジンの例は、いわゆる「ベンチトップ型」の血液ガス分析装置(たとえば、ニューヨーク州タリータウンのシーメンスヘルスケアダイアグノスティクス社から市販されているRapidPoint500)、および自動尿化学分析装置(たとえば、ニューヨーク州タリータウンのシーメンスヘルスケアダイアグノスティクス社から市販されているClinitek Novus)を含む。代替的に、診断エンジン104a~n、およびその物理的構成要素は、試料と直接接触するのではなく、間接的に(たとえば光学的に)接触してもよい。
【0042】
試料は、先行技術において既知の方法のうちの任意の1つまたは既知の方法の組合せを使用して、患者から取得することができる。たとえば、血液試料を取得するために、シリンジを使用して、患者の静脈から血液を抜き出すことができる。追加的または代替的に、血液試料を(たとえば遠心分離によって)分離させて、血清試料を分離し取得することができる。追加的にまたは場合により、血液試料は、被検者の指の1つを(たとえば滅菌した針で)軽く刺し、次いで、所望の量の血液を収集することによって取得可能である。
【0043】
試料の収集に続き、診断エンジン104a~nのうちの所与の1つによって受けられるように構成された、本明細書において診断消耗品と総称される試料容器または他の消耗品に、試料が配置される。たとえば、診断消耗品は、特定量の試料を受けるように構成されたプラスチックまたはガラスの容器であってもよいし、または少量の試料を受けるように構成された検査ストリップであってもよい。診断消耗品は、診断エンジン104a~nに挿入可能な任意の量の試料を受けるように構成された任意の種類の容器を含んでよいことを理解されたい。
【0044】
1つまたはそれ以上の診断エンジン104a~nによって検査可能な体液は、尿、血液、血漿、唾液、脳脊髄液、胸膜液、鼻咽頭液などを含むが、これらに限定されない。血液試料は、COおよびOの分圧の測定値ならびに/または血液中の電解質および/もしくは代謝産物の濃度を取得するために、定期的に分析することができる。このような測定を行うために、堅い層状のセンサアセンブリおよび電気回路を活用する複数の異なる診断エンジンを提供することができる。このようなセンサアセンブリは、一次的な臨床指標、たとえばpCO、pO、pH、Na+、K+、Ca+、Cl-、グルコース、乳酸、およびヘモグロビンの値のモニタリングにより、内科患者の状態を評価するために使用することができる。しかし、試料は、これらの種類の試料に限定されず、診断エンジン104a~nは、任意の種類の試料を処理するように構成可能であることを理解されたい。
【0045】
診断エンジン104a~nは、化学センサを含んでよい。たとえば、診断エンジン104a~nは、化学的種類、血液ガスレベル、pHレベル、特定の化学物質の存在、特定の化学物質の量などの化学特性、もしくは他の特性に反応する化学表面、集積回路構造体、微小電気機械構造体、光センサ、または別のデバイスを含んでよい。たとえば、診断エンジン104a~nは、化学的または生物学的な認識要素(透過膜の有無を問わない)、および、電気化学的要素(電流測定もしくは電位差測定)、電気的要素(イオン感応電界効果トランジスタ、コンダクタンス、インピーダンス、電位、もしくは電流)、光学的要素(ルミネセンス、フルオレセンス、もしくは屈折率)、熱的要素、および/または圧電要素などの信号変換器要素を含んでよい。増幅要素または処理要素を、分析物反応性の認識要素および/または信号変換器要素に一体化してもよい。膜捕捉、物理吸着、基質捕捉、反応室、共有結合、または暴露のための別の物理構造を使用することにより、生物学的な認識相(酵素、抗体、受容体、DNA、もしくは他の化学物質)と対象の分析物との相互作用がもたらされて、センサと変換器とのインターフェースまたは電極において、電荷もしくは光学的変化が生じる。現在既知の、または今後開発される任意の化学的センサ、たとえば免疫センサ、オプトロード、化学的カナリア、共振ミラー、血糖測定器、生体素子、および/またはバイオコンピュータが使用可能である。
【0046】
POCシステム100は、複数の診断エンジン104a~nおよび/または複数の異なる種類の診断エンジン104a~nを含んでよい。たとえば、POCシステム100は、第1の種類の試料(たとえば、血液試料)を検査するように構成された第1の診断エンジン104aと、第2の種類の試料(たとえば、尿試料)を検査するように構成された第2の診断エンジン104bとを含んでよい。POCシステム100は、任意の数の異なる種類および異なる組合せの試料を検査するために、任意の数の診断エンジン104a~nを含んでよい。例示的な診断エンジン104a~nは、血液ガス診断エンジン、心臓診断エンジン、凝固診断エンジン、糖尿病診断エンジン、検尿診断エンジン、および血圧診断エンジンを含むが、これらに限定されない。
【0047】
血液ガス診断エンジンは、血液試料を受け取り、この血液試料の1つまたはそれ以上の特性を特定するように構成することができる。たとえば、血液ガス診断エンジンは、血液試料中の水素イオン(pH)、二酸化炭素の分圧(pCO)、および酸素の分圧(pO)のうちの1つまたはそれ以上を測定するように構成することができる。また、血液ガス診断エンジンは、血液試料中の電解質および代謝産物の存在および/または濃度を測定するように構成されることも可能である。
【0048】
心臓診断エンジンは、試料を受け取り、1つまたはそれ以上の心臓健康状態マーカを測定するように構成することができる。一実施形態において、心臓診断エンジンは、血液試料を受け取ってよく、血液試料中の総コレステロール、低比重リポ蛋白(LDL)コレステロール、高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール、トリグリセリド、非HDLコレステロール、および高感度C反応性蛋白のうちの1つまたはそれ以上を測定するように構成することができる。さらに、心臓診断エンジンは、血液試料中のトロポニンレベルを検査および/または測定するように構成することができる。
【0049】
凝固診断エンジンは、血液試料を受け取り、1つまたはそれ以上の血液凝固特性を測定するように構成することができる。凝固診断エンジンは、以下の検査、すなわちプロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、および活性凝固時間(ACT)のうちの1つまたはそれ以上を実施してよい。凝固診断エンジンは、反応室において1つまたはそれ以上の電極に化学膜を塗布してよく、これにより血液試料中にトロンビンを生じさせることができる。試料内でのトロンビンの生成を加速させるために、活性剤が存在してもよい。
【0050】
糖尿病診断エンジンは、試料内の1つまたはそれ以上の糖尿病マーカを測定するように構成することができる。一実施形態において、糖尿病診断エンジンは、モノクローナル抗体の凝集反応を使用して、患者のHbA1cレベルを測定することができる。追加的または代替的に、糖尿病診断エンジンは、アポリクローナルヤギ抗ヒトアルブミン抗血清を使用して血液試料中のアルブミンレベルを検査し、ベネディクトベーレ化学反応を使用して、試料のクレアチニンレベルを検査するように構成することができる。いくつかの実施形態において、IDM102は、血液試料中のクレアチニンレベルに対するアルブミンレベルの割合を計算してよい。
【0051】
尿検査診断エンジンは、尿試料を受け取り、尿試料の1つまたはそれ以上の特性を検査するように構成することができる。例示的な方法は、クロマトグラフ検出パッドの使用、(血液中の分析物の濃度に応じて変色可能な)比色試薬パッドの使用、および尿の画像が顕微鏡下に置かれ、画像認識アルゴリズムが試料中の物質を識別する光学検査システムの使用を含むことができる。
【0052】
本明細書で検討するように、図1Aに示すPOCシステム100は、任意の数および任意の組合せの、異なる診断エンジン104a~nの種類を含んでよい。それぞれの診断エンジン104a~nは、検査試料を受け取り、試料に対して検査を実施し、その検査の測定結果をIDM102に送信するように構成することができる。また、それぞれの診断エンジン104a~nは、1つまたはそれ以上の測定結果を、診断エンジンのメモリ116に記憶するように構成されることも可能である。
【0053】
IDM102は、診断エンジン104a~nのうちの1つまたはそれ以上から、1つまたはそれ以上の測定結果を入力として受信するように構成することができる。測定結果は、たとえば、1つまたはそれ以上の診断エンジン104a~nとIDM102との間の通信接続132を介して受信することができる。一実施形態において、接続132は、無線接続を含んでよい。たとえば、接続132は、Bluetooth(登録商標)接続を含んでよい。しかし、接続132は、ZigBee接続、WiFi接続など、任意の種類の無線接続であってよいことを理解されたい。別の実施形態において、接続132は、ハードワイヤード接続を含んでよい。接続132は、USBケーブル、または任意の他の適切な通信ケーブルインターフェース技術によって行うことができる。測定結果は、診断エンジン104a~nによって実施された検査の測定結果を表す1つまたはそれ以上の値を含んでよい。たとえば、IDM102は、糖尿病診断エンジンから、血液試料のHbA1c値を表す単一の値を受信してもよいし、または心臓診断エンジンから、血液試料の総コレステロールレベル、LDLコレステロールレベル、HDLコレステロールレベル、およびトリグリセリドレベルに対応した複数の値を受信してもよい。
【0054】
IDM102は、検査を開始するための命令、ソフトウェアアップデート、または1つもしくはそれ以上の検査結果を導出する際に診断エンジン104a~nのプロセッサ114によって使用可能な診断エンジンプロトコルに対する変更などの情報を、任意の診断エンジン104a~nに通信するように構成することができる。診断エンジン104a~n自体の制御は、診断エンジン104a~nに関連付けられたプロセッサ114によって、および/または診断エンジン104a~nにおいて1人またはそれ以上のユーザから受信した命令によって、実施することができる。
【0055】
IDM102のプロセッサ106は、POCシステム100の様々な高レベルの処理機能を実施してよい。このような高レベルの機能は、メモリ108などのコンピュータ読取り可能媒体に記憶されたコンピュータ実行可能命令(たとえば、プログラムコード)を実行することによって、実施することができる。IDM102は、任意の適切なコンピューティングデバイス、たとえばタブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント、または他の据え置き型もしくは手持ち型のコンピューティングデバイスを含んでよい。
【0056】
いくつかの実施形態において、プロセッサ106は、診断エンジン104a~nから測定結果を受信すると、測定結果を処理し、それによりPOCシステム100のユーザに計算結果を提示できるようにするように構成することができる。たとえば、IDM102は、診断エンジン104a~nから、1つまたはそれ以上の値(たとえば、測定結果)を受信してよい。プロセッサ106は、どの値が特定の健康状態マーカに対応するかを特定するように構成することができ、POCシステム100のユーザにこれらの値をどのように提示するかを特定してよい。プロセッサ106は、受信した値と、記憶もしくは受信された1つまたはそれ以上の他の値とを比較することにより、計算結果を導出するように構成することができ、血液試料のHDLコレステロールに対するトリグリセリドの割合など、1つの値に対する別の値の割合を計算して、計算結果を導出するように構成することができる。
【0057】
いくつかの実施形態において、プロセッサ106は、診断エンジン104a~nから受信した測定値を、(たとえば、ユーザインターフェース112を介して)ユーザに表示可能な計算結果に変換するように構成された非リアルタイムプロセッサであってよい。たとえば、プロセッサ106は、検査が完了したとき、診断エンジン104a~nのプロセッサ114から1つまたはそれ以上の測定結果を受信し、上で検討したように情報を処理するように構成することができる。
【0058】
一実施形態において、1つまたはそれ以上の診断エンジン104a~nのための電力は、IDM102によって供給可能である。追加的または代替的に、1つまたはそれ以上の診断エンジン104a~nが、IDM102に電力を供給してよい。
【0059】
IDM102のメモリ108は、診断エンジン104a~nのいずれかから受信した測定結果および/またはIDM102によって導出された1つまたはそれ以上の計算結果を記憶するように構成することができる。メモリ108は、任意の数の測定結果もしくは計算結果(たとえば、1000個の結果)を、それらが削除される前に記憶するように構成されてもよいし、または所定の期間(たとえば1年)の間、測定結果もしくは計算結果を記憶するように構成されてもよい。メモリ108は、先に説明したように、1人またはそれ以上の患者に関連付けられた情報をさらに記憶してよい。たとえば、メモリ108は、患者に関連付けられた識別子、患者の姓、患者の名、患者の性別、および患者の生年月日などの患者情報を記憶してよい。
【0060】
図2Aは、メモリ108に記憶することができる患者情報の例示的なデータ構造200、たとえばデータベースまたはルックアップテーブルを示す。図2Aを参照すると、データ構造200は、患者の姓、患者の名、患者の生年月日、患者の住所などの患者情報を、患者IDに関連付けることができる。いくつかの実施形態において、メモリ108は、患者の検査結果(図示せず)を患者情報とともに記憶することができ、それによりそれらの情報が後日検索できるようになる。
【0061】
以下でさらに説明するように、メモリ108は、診断消耗品情報も記憶することができ、試料収集の前に(たとえば、診断消耗品を使用して試料を収集する直前に)、患者ID情報と診断消耗品ID情報とをリンクしてよい。たとえば、図2Bは、診断消耗品IDや、その診断消耗品に対して/を用いて実施すべき検査など、メモリ108に記憶することができる診断消耗品情報の例示的なデータ構造202、たとえばデータベースまたはルックアップテーブルを示す。図2Cは、データベースまたはルックアップテーブルなどの例示的なデータ構造204を示し、このデータ構造では、患者ID情報が診断消耗品ID情報にリンクされており、これらの情報は、(たとえば、試料収集の前に)メモリ108に記憶させることができる。
【0062】
図1AのPOCシステム100の作動方法を、図1A図4Pを参照しながらここで説明し、このうちの図3Aは、本明細書で開示する実施形態による、患者ID情報および診断消耗品ID情報を収集し、IDM102内で患者ID情報と診断消耗品ID情報とをリンクするための例示的な方法300を示しており、図3Bは、本明細書で開示する実施形態による、任意の診断エンジン104a~nを用いた検査を可能にする前に、患者ID情報と診断消耗品ID情報とがIDM102内でリンクされていることを確保するための例示的な方法310を示しており、図4A図4Pは、本明細書で開示する実施形態による、図1AのPOCシステム100内のIDM102のユーザインターフェース112の動作中の例示的な表示画面レイアウトを示している。
【0063】
図3Aを参照すると、方法300は、POCシステム100によって実施可能であり、患者のID情報を取得すること(ブロック302)と、診断消耗品のID情報を取得すること(ブロック304)と、患者ID情報と診断消耗品ID情報をリンクすること(ブロック306)とを含む。いくつかの実施形態において、方法300は、患者から試料が収集される直前に(たとえば、採血の前、指を刺す前、採尿前などに)実施することができる。
【0064】
患者ID情報は、IDM102に入力され、メモリ108に記憶させることができる。いくつかの実施形態において、患者ID情報は、IDM102のユーザインターフェース112を介して手動で入力することができる。他の実施形態では、患者に関連付けられた事務書類上またはリストバンド上のバーコードをスキャンすることなどにより、IDM102のカメラ110が、患者ID情報をスキャンしてIDM102に取り込み、メモリ108に記憶してよい。1つまたはそれ以上の実施形態において、サーバに前もって記憶されている患者情報を(たとえば、IDM102のメモリ108に記憶することを目的として)検索するために、バーコードをスキャンし、使用することができる。符号化された患者ID情報を有するバーコード136を含む例示的なリストバンド134が、図1Aに示してある。いくつかの実施形態では、IDM102のメモリ108に記憶することを目的として患者ID情報を取得するために、リストバンド134のバーコード136が、カメラ110または別の撮像デバイスによってスキャンすることができる。
【0065】
例示的な患者ID情報は、患者の氏名、生年月日、性別、住所、メールアドレス、アレルギー、病歴などを含んでよい。メモリ108のデータベースまたはルックアップテーブルに記憶された例示的な患者情報が、図2Aに示してある。
【0066】
診断消耗品ID情報も同様に、IDM102に入力され、メモリ108に記憶させることができる。いくつかの実施形態において、診断消耗品ID情報は、IDM102のユーザインターフェース112を介して手動で入力することができる。他の実施形態では、試料カートリッジ上、尿(試料)カップ上、検査ストリップ上、または他の診断消耗品上のバーコードをスキャンすることなどにより、IDM102のカメラ110が、診断消耗品ID情報をスキャンしてIDM102に取り込み、メモリ108に記憶してよい。診断消耗品ID情報とともに符号化されたバーコード140を含む例示的な診断消耗品138が、図1Aに示してある。いくつかの実施形態では、IDM102のメモリ108に記憶することを目的として診断消耗品ID情報を取得するために、診断消耗品138のバーコード140が、カメラ110または別の撮像デバイスによってスキャンすることができる。
【0067】
例示的な診断消耗品ID情報は、診断消耗品ID番号、診断消耗品に対して実施すべき検査の種類、診断消耗品IDがスキャンされた時間、キャリブレーション情報、有効期限、ロット番号などを含む。メモリ108のデータベースまたはルックアップテーブルに記憶される例示的な診断消耗品情報は、図2Bに示してある。
【0068】
IDM102内で、患者ID情報と診断消耗品ID情報とをリンクしてよい。たとえば、患者ID情報と診断消耗品ID情報は、データベースまたはルックアップテーブル(たとえば、図2Cに示すような)などにおいて、ともにメモリ108に記憶させることができる。患者ID情報と診断消耗品ID情報とを、他のやり方でリンクしてよい。患者ID情報と診断消耗品ID情報とをIDM102内で恒久的にリンクすることにより、診断消耗品に対して実施される診断検査が、正しい患者に常に関連付けられることを確保しやすくなり、これについては以下で説明する。
【0069】
多忙なポイントオブケア環境では、多くの患者が、多数の異なる診断エンジンを使用した検査のために、試料を提供している。患者が診断消耗品を使用して試料を提供すると、(診断消耗品の形態の)試料は、他の患者の試料とともに診断エンジンに移送されることがある。場合によっては、1つまたはそれ以上の診断エンジンに、試料(たとえば、診断消耗品)の長い列ができることがある。試料収集時に/試料収集の間近に、それぞれの診断消耗品をIDM102内で患者にリンクさせることにより、検査結果が正しい患者に関連付けられることを確保しやすくなる。
【0070】
図3Bを参照すると、方法310は、試料収集の後など、試料検査がこれから実施される際に、POCシステム100によって実施可能である。たとえば、診断消耗品を使用した試料の収集が完了すると、方法310は、検査すべき試料を有する診断消耗品のID情報を取得すること(ブロック312)と、診断消耗品が有効であることを確認すること(ブロック314)とを含んでよい。たとえば、図1Aの診断エンジン104a~nのうちの1つの診断エンジンのスキャナ118などのバーコードスキャナを使用して、診断消耗品上のバーコードをスキャンし、その診断消耗品ID情報を特定してよい。いくつかの実施形態では、診断消耗品を検査のために診断エンジンに挿入することにより、診断消耗品上のバーコードがスキャンされる。代替的に、診断エンジンの一部であるか診断エンジンとは分離された、別個のバーコードスキャナを使用して、診断消耗品ID情報を取得してよい。次いで診断エンジンは、スキャンされた診断消耗品ID情報をIDM102に提供してよい。
【0071】
IDM102が診断消耗品のID情報を受信すると、IDM102は、診断消耗品が有効かどうかを判定してよい。たとえば、IDM102は、診断消耗品のID番号が有効なID番号かどうかや、使用されている診断エンジンに適した種類の診断消耗品に相当するかどうかなどを判定してよい。有効でない場合には、方法310は終了し(ブロック316)、そうでない場合には、方法310は、診断消耗品ID情報が、IDM102内で患者ID情報にリンクされているかどうかを判定すること(ブロック318)を含む。たとえば、IDM102は、メモリ108にアクセスして、診断消耗品ID情報が患者ID情報にリンクされているかどうかを判定してよい。リンクされていない場合には、その診断消耗品を用いて収集された試料を診断エンジンが検査することが防止(または他のやり方で制限もしくは限定)されてよく、方法310は終了し(ブロック316)、そうでない場合には、診断消耗品ID情報が患者ID情報にリンクされているか他のやり方で関連付けられているなら、IDM102は、その診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を診断エンジンが実施できるようにする(ブロック320)。たとえば、診断エンジンが検査を開始すべきであることを示す命令を、IDM102が診断エンジンに対して発行してよい。検査に続き、診断エンジンからの検査結果がIDM102に通信され、かつ/または患者ID情報とともに記憶させることができ、これについては以下で説明する。
【0072】
いくつかの実施形態において、無効な診断消耗品が検出されたこと、または診断消耗品がIDM102内の患者にリンクされていなかったことのいずれかに起因して、方法310がブロック316で終了したときには、その診断消耗品を用いて収集された試料に対するあらゆる検査を診断エンジンが実施することが防止され、または他のやり方で制限される。たとえば、IDM102は、エラーが生じたことを操作者に警告したり、無効なまたは未リンクの診断消耗品にフラグ設定したりするために、ユーザインターフェース112を使用してよい。
【0073】
図4A図4Pは、本明細書に提示する実施形態による診断消耗品を用いて収集された試料の検査中に、図1AのIDM102のユーザインターフェース112によって表示される例示的な表示画面レイアウト400a~pを示す。図4A図4Pの表示画面レイアウト400a~pは、単なる例に過ぎない。他の画面レイアウト、アイコン、情報、画面レイアウトの順序、および/または内容などを使用してよい。図4A図4Pの表示画面レイアウト400a~pを作成したり、IDM102のユーザから入力を受信したり、IDM102と診断エンジン104a~nとの間で情報を通信したりするためのコンピュータプログラムコードおよび/または命令は、たとえばメモリ108に記憶され、IDM102のプロセッサ106によって実行することができる。
【0074】
図4Aを参照すると、初期画面レイアウト400aは、IDM102が動作状態にあり入力を受信する準備ができていることを示している。ユーザがログインアイコンを選択した後、ユーザインターフェース112は、図4Bに示す画面レイアウト400bを表示し、この画面レイアウト400bにおいて、ユーザは、ユーザ認証情報を入力および/または他のやり方で提供して、検査に進むことができる。例示的なユーザ認証情報は、操作者IDおよびパスワード、スキャン可能なバーコードを有する従業員バッジに含まれた情報、無線自動識別(RFID)タグに含まれた情報、2要素認証情報(たとえばパスワードと、テキスト、電子メール、もしくはスマートフォンのアプリケーションなどによって送信されるワンタイムコード)などを含んでよい。いくつかの実施形態において、ユーザは、(たとえば、名札、リストバンドなどの)バーコードをスキャンすることにより、操作者ID情報を入力してよい。たとえば、IDM102のカメラ110または別の撮像デバイスを使用してバーコードをスキャンし、IDM102に操作者ID情報を提供してよい。代替的に、操作者ID情報は、(たとえば、キーボードや、タッチスクリーンなどを介して)手動で入力することができる。
【0075】
有効な操作者IDがIDM102に提供され、かつ/またはIDM102によって認証されると、IDM102を使用して、診断消耗品(図4D)に関連付けられる患者ID情報(図4C)を収集してよい。図4Cの表示画面レイアウト400cに示すように、患者ID情報は、手動でIDM102に入力されても、カメラ110もしくは別の撮像デバイスを使用してスキャンしても、他のやり方でIDM102に提供してもよい。いくつかの実施形態において、患者情報は、前もって記憶された患者情報のリストまたはデータベース(たとえば、図2Aのデータ構造)から取得することができる。患者情報は、データ構造200(図2A)など、たとえばIDM102のメモリ108に記憶させることができる。
【0076】
患者ID情報が提供されると、図4Dの表示画面レイアウト400dに示すように、診断消耗品ID情報(たとえば、試料ID情報)がIDM102によって取得される。診断消耗品ID情報は、手動でIDM102に入力しても、カメラ110または別の撮像デバイスを使用してスキャンしても、他のやり方でIDM102に提供してもよい。いくつかの実施形態において、それぞれの診断消耗品、たとえば、血液が保存されている試料カートリッジ、尿カップ、尿ストリップもしくはラテラルフローストリップといった検査ストリップなどに、図1Aの診断消耗品138のバーコード140などのスキャン可能なバーコードを提供してよい。いくつかの実施形態において、診断消耗品ID情報は、図2Bのデータ構造202など、IDM102のメモリ108に記憶させることができる。先に説明したように、IDM102は、患者ID情報と診断消耗品ID情報とをリンクすることができる。たとえば、患者ID情報と診断消耗品ID情報とは、図2Cのデータ構造204など、IDM102のメモリ108に記憶させることができる。
【0077】
患者および診断消耗品について患者ID情報と診断消耗品ID情報とがIDM102内でリンクされると、その診断消耗品を使用して患者から試料を収集してよく、その診断消耗品を、診断エンジン104a~nのうちの1つによる検査のために送ってよい。たとえば、尿、血液、血漿、唾液、脳脊髄液、胸膜液、鼻咽頭液、または他の試料である。
【0078】
診断消耗品を用いて試料が収集され、検査のために診断エンジンに到着すると、診断消耗品が診断エンジンにおいてスキャンされる。いくつかの実施形態において、図4Eの表示画面レイアウト400eに示すように、IDM102はユーザインターフェース112を使用して、診断消耗品をスキャンするよう技術者に指示してよい。たとえば、診断消耗品が診断エンジンに挿入されたときに、診断エンジン内のバーコードリーダ(たとえば、図1Aの診断エンジン104a~nのスキャナ118)が、診断消耗品をスキャンしてよい。代替的に、診断エンジンの内部または外部の別の撮像デバイスを使用して、診断消耗品上のバーコードをスキャンしてよい。いくつかの実施形態において、診断消耗品ID情報は、キーボード、タッチスクリーンなどを介して、手動で入力することができる。スキャンされた(または他のやり方で取得された)診断消耗品ID情報は、次いで診断エンジンにより、接続132(図1A)などを介してIDM102に通信される。
【0079】
図3Bを参照しながら先に検討したように、IDM102は、診断エンジンによって提供された診断消耗品ID情報が、IDM102内の患者(たとえば、患者ID情報)にリンクされているかどうかを判定してよい。リンクされていれば、IDM102は、診断消耗品を使用して収集された試料に対して診断エンジンが検査を実施できるようにしてよい。しかし、診断エンジンによって提供された診断消耗品IDが、IDM102内の患者(たとえば、患者ID情報)にリンクされていない場合には、IDM102は、診断消耗品を使用して収集された試料に対する検査を診断エンジンが実施できないようにするか、他のやり方でそれを制限してよい。たとえば、IDM102および/または診断エンジンは、警報またはアラームを発したり、診断消耗品を診断エンジンから排出したりしてよい。
【0080】
診断消耗品がIDM102内の患者にリンクされていると仮定して、ユーザインターフェース112は、図4Fおよび図4Gのそれぞれ例示的な表示画面レイアウト400fおよび400gに示すように、診断消耗品を診断エンジンに装着するよう技術者に指示してよい。いくつかの実施形態において、図4Hの表示画面レイアウト400hに示すように、封止タブ、カバーなどを取り外すことなどにより、かつ/または図4Iの表示画面レイアウト400iに示すように、診断エンジンの蓋もしくはカバーを閉じることなどにより、検査に備えて診断消耗品を準備するよう、ユーザインターフェース112は技術者に指示してよい。
【0081】
診断消耗品が診断エンジン内に装着されると、図4Jの表示画面レイアウト400jに示すように、検査を開始してよい。たとえば、使用中のIDM102または診断エンジンが、検査を開始してよい。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェース112は、実施されている検査の種類(たとえば、図4JのHbA1C測定)や、検査の経過時間、残り時間などを表示してよい。
【0082】
検査が完了すると、測定結果を診断エンジンからIDM102に通信することができる。いくつかの実施形態において、IDM102は、診断エンジンから1つまたはそれ以上の測定結果を受け取り、その測定結果を処理して計算結果を導出し、図4Kの画面レイアウト400kに示すように、計算結果および患者情報などの他の情報を、ユーザインターフェース112を介して提示してよい。代替的に、診断エンジンが、計算結果をIDM102に提供して、ユーザインターフェース112を介して表示できるようにしてよい。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェース112は、ユーザが結果を印刷したり、結果にコメントを付けたりすることを可能にしてよい。
【0083】
(たとえば、診断消耗品が高温であることが原因で、または他の理由により)診断消耗品を検査した診断エンジンから、その診断消耗品を取り外す準備ができていない場合には、ユーザインターフェース112は、図4Lの表示画面レイアウト400lに示すように、診断消耗品を取り外すべきでないことを示してよい。同様に、診断消耗品を検査した診断エンジンから、その診断消耗品を取り外す準備ができている場合には、ユーザインターフェース112は、図4Mの表示画面レイアウト400mに示すように、診断消耗品を取り外してよいことを示してよい。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェース112は、診断消耗品を取り外すための段階的な指示、たとえば診断エンジンの蓋もしくはカバーを上げる(図4M)、解放機構、もしくは診断エンジン内に診断消耗品を固定するために使用された他の機構を押す(図4N)、診断エンジンから診断消耗品を回収する(図4O)、および/または診断エンジンの蓋もしくはカバーを閉じる(図4P)を提供してよい。(たとえば、図4M図4N図4O、および図4Pのそれぞれ表示画面レイアウト400m、400n、400o、および400pを参照)。他の、より少数の、および/または異なるユーザインターフェース画面、レイアウト、情報などを使用して、図3Aおよび/または図3Bの方法300および/または310の様々な工程を実施してよい。
【0084】
試料を取得したタイミングで、患者ID情報と診断消耗品ID情報とをリンクし、次いで、検査すべき試料を有する任意の診断消耗品がIDM内の患者にリンクされていることを、診断エンジンを用いた検査の前に確認することにより、検査結果が、正しい患者に適切に関連付けられる。
【0085】
POCシステム100および本明細書に記載の任意の構成要素は、「オープンシステム」の一部であってよいことを理解されたい。たとえば、IDM102は、様々な製造業者により作られた診断エンジン104a~nに接続し、それと通信するように構成することができる。IDM102は、様々な診断エンジンとIDM102が通信できるようにする新規のソフトウェアをダウンロードまたはインストールするように構成することができる。いくつかの実施形態において、ユーザインターフェース112は、1つまたはそれ以上の新規の診断エンジンをIDM102に追加できるようにするアイコンを含んでよい。一例において、所与の診断エンジンは、単一のIDM102によってのみ制御可能であってよい。別の例において、診断エンジンは、複数のIDM102によって制御可能であってよい。
【0086】
一例において、診断エンジン104a~nとIDM102のどちらも、同じ製造業者が開発することができる。別の例において、診断エンジン104a~nは、診断エンジンのユーザインターフェースとワールドインターフェースとの両方を活用する製造業者の外部パートナが開発することができる。IDMソフトウェアは、そのような診断エンジンに対応するために、アップデートされる必要がある。別の例において、診断エンジン104a~nは、診断エンジンのワールドインターフェースのみを活用し、ユーザインターフェースは活用しない製造業者の外部パートナが開発することができる。別の例において、診断エンジン104a~nは、他の外部デバイスのハードウェアおよびソフトウェアと協働して機能する仮想エンジンであってよい。一例において、これは血圧モニタとすることができ、この血圧モニタは、IDM102が血圧モニタからの結果を他の測定結果または計算結果と組み合わせて新規の計算結果を導出できるようにする。別の例において、診断エンジン104a~nは、データを取得し操作することができるアプリケーションだけを含む仮想エンジンであってよい。たとえば、診断エンジンは、質問事項を患者に提示したり、周囲温度や湿度を測定したりしてよい。これらの結果を他の測定結果または計算結果と組み合わせて新規の計算結果を導出することができる。
【0087】
いくつかの実施形態において、診断エンジンはユーザインターフェースを含んでいないことがある。このような実施形態では、診断エンジンへの/からの通信は、たとえばIDM102のユーザインターフェース112を介して実行することができる。
【0088】
上述した説明は、本発明の例示的な実施形態を開示するに過ぎない。上記に開示した装置および方法の、本発明の範囲内に含まれる修正は、当業者にとって容易に明らかになろう。したがって、本発明は、その例示的な実施形態に関して開示されてきたが、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨および範囲内に、他の実施形態が含まれてよいことを理解されるべきである。
例示的な実施形態
【0089】
1.診断エンジンを使用してポイントオブケアの診断検査を提供する方法であって、
診断エンジンを使用して検査を実施すべき患者の識別(ID)情報を取得するため、
患者から試料を収集するために使用すべき診断消耗品のID情報を取得するため、
取得した患者ID情報と、取得した診断消耗品ID情報とをリンクするために、
機器データマネージャ(IDM)を使用することと、
診断エンジンを使用する検査を制限することであって、
診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を実施する前に、診断エンジンにおいてその診断消耗品のID情報を特定し、
診断消耗品がIDM内の患者ID情報にリンクされているかどうかを判定し、
診断消耗品がIDM内の患者ID情報にリンクされている場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を診断エンジンが実施できるようにする
ことにより、診断エンジンを使用する検査を制限することと
を含む方法。
【0090】
2.患者のID情報を取得することおよび診断消耗品のID情報を取得することのうちの少なくとも1つは、IDMを使用してバーコードをスキャンすることを含む、実施形態1に記載の方法。
【0091】
3.IDMを使用してバーコードをスキャンすることは、IDMのカメラを使用してバーコード情報を特定することを含む、実施形態2に記載の方法。
【0092】
4.診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を診断エンジンで実施する前に、その診断消耗品のID情報を特定することは、診断消耗品の診断消耗品ID情報を特定するために、診断エンジンを使用して診断消耗品のバーコードをスキャンすることを含む、実施形態1に記載の方法。
【0093】
5.診断エンジンを使用して診断消耗品のバーコードをスキャンすることは、診断消耗品が診断エンジンに挿入されたときに、診断消耗品のバーコードをスキャンすることを含む、実施形態4に記載の方法。
【0094】
6.診断消耗品が診断エンジンに挿入される前に、診断消耗品のバーコードを操作者がスキャンできるようにするバーコードスキャナを、診断エンジンが含む、実施形態4に記載の方法。
【0095】
7.IDMは、無線通信を介して診断エンジンと通信するように構成されている、実施形態1に記載の方法。
【0096】
8.診断エンジンは、尿試料カップまたは試料カートリッジを含む診断消耗品を用いて収集された試料を分析するように構成されている、実施形態1に記載の方法。
【0097】
9.診断エンジンはユーザインターフェースを含まない、実施形態1に記載の方法。
【0098】
10.IDMは、
複数の診断エンジンとインターフェース接続され、
複数の診断エンジンのうちの2つまたはそれ以上の診断エンジンについて、診断消耗品を用いて収集された試料を、複数の診断エンジンのうちの2つまたはそれ以上の診断エンジンのいずれかを使用して検査する前に、その診断消耗品が患者ID情報にリンクされていることを診断エンジンにおいて確認してから、診断エンジンを用いた検査を可能にするように構成されている、実施形態1に記載の方法。
【0099】
11.複数の診断エンジンは、血液ガス診断エンジン、心臓診断エンジン、凝固診断エンジン、糖尿病診断エンジン、および検尿診断エンジンのうちの少なくとも1つを含む、実施形態10に記載の方法。
【0100】
12.診断エンジンを使用してポイントオブケアの診断検査を提供する方法であって、
診断エンジンを使用して検査を実施すべき患者の識別(ID)情報を取得するために機器データマネージャ(IDM)を使用することと、
患者から試料を収集するために使用すべき診断消耗品のID情報をスキャンするために、IDMを使用することと、
患者ID情報と、IDM内の診断消耗品ID情報とをリンクすることと、
診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を実施する前に、
診断エンジンにおいて診断消耗品のID情報をスキャンすることと、
スキャンしたID情報をIDMに通信することと、
診断消耗品が、IDM内の患者ID情報にリンクされていることを確認することと、
診断消耗品がIDM内の患者ID情報にリンクされている場合には、その診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を実施するように診断エンジンに指示することと
を含む方法。
【0101】
13.診断消耗品が、IDM内の患者ID情報にリンクされていない場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対して診断エンジンが検査を実施できないようにすることをさらに含む、実施形態12に記載の方法。
【0102】
14.患者のID情報を取得することおよび診断消耗品のID情報を取得することのうちの少なくとも1つは、IDMを使用してバーコードをスキャンすることを含む、実施形態12に記載の方法。
【0103】
15.複数の診断エンジンの動作を制御するように構成された機器データマネージャ(IDM)であって、
ディスプレイと、
ディスプレイに接続されたプロセッサと、
プロセッサに接続されたメモリであって、プロセッサによって実行されたときに、
患者の識別(ID)情報および診断消耗品のID情報をIDMが取得するためのユーザインターフェースを提供すること、
ユーザインターフェースを用いて患者ID情報および診断消耗品ID情報を取得した後に、診断消耗品ID情報と患者ID情報とをリンクすること、
複数の診断エンジンから診断消耗品ID情報を受信すること、ならびに
複数の診断エンジンのうちの1つまたはそれ以上の診断エンジンから受信した診断消耗品ID情報が、IDM内の患者ID情報にリンクされていない場合には、その診断消耗品を用いて収集された試料の検査を、複数の診断エンジンのうちの1つまたはそれ以上の診断エンジンにおいて防止すること
をIDMに行わせる複数のコンピュータ実行可能命令を記憶しているメモリと
を含むIDM。
【0104】
16.メモリは、患者ID情報と診断消耗品ID情報とをデータベースにおいてリンクするようプロセッサに指示するコンピュータ実行可能命令を含む、実施形態15に記載のIDM。
【0105】
17.診断エンジンから受信した診断消耗品ID情報がIDM内の患者ID情報にリンクされている場合には、診断エンジンによる検査を開始させるコンピュータ実行可能命令を、メモリが含む、実施形態15に記載のIDM。
【0106】
18.複数の診断エンジンと通信する機器データマネージャ(IDM)であって、複数の診断エンジンを使用して、複数の試料に対して、複数の検査を実施できるようにするために、複数の診断エンジンのそれぞれと通信するように構成されたIDMによって実施される方法であって、
検査を実施すべき患者の識別(ID)情報を、IDMのユーザインターフェースを介して取得することと、
患者から試料を収集するために使用すべき診断消耗品のID情報を、IDMのユーザインターフェースを介して取得することと、
取得した患者ID情報と、取得した診断消耗品ID情報とを、IDM内でリンクすることと、
複数の診断エンジンを使用する検査を制限することであって、
複数の診断エンジンのうちのいずれかの中で、診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査の実施を可能にする前に、診断エンジンから診断消耗品のID情報を受信し、
診断消耗品ID情報が、IDM内の患者ID情報にリンクされているかどうかを判定し、
診断消耗品ID情報が、IDM内の患者ID情報にリンクされている場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を診断エンジンが実施できるようにする
ことによって、複数の診断エンジンを使用する検査を制限することと
を含む方法。
【0107】
19.診断消耗品が、IDM内の患者ID情報にリンクされていない場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対して診断エンジンが検査を実施できないようにすることをさらに含む、実施形態18に記載の方法。
【0108】
20.ポイントオブケアシステムであって、
試料に対して検査を実施し、その試料に対する検査に基づき測定結果を導出するように構成された診断エンジンと、
診断エンジンと電子通信する機器データマネージャ(IDM)であって、
診断エンジンを使用して検査を実施すべき患者の識別(ID)情報を取得し、
患者から試料を収集するために使用すべき診断消耗品のID情報を取得し、
取得した患者ID情報と、取得した診断消耗品ID情報とをリンクし、
診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を実施する前に、診断エンジンにおいて診断消耗品のID情報を特定すること、
診断消耗品がIDM内の患者ID情報にリンクされているかどうかを判定すること、および
診断消耗品がIDM内の患者ID情報にリンクされている場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対する検査を診断エンジンが実施できるようにすることにより、
診断エンジンを使用する検査を制限する
ように構成されたIDMと
を含むポイントオブケアシステム。
【0109】
21.IDMは、
診断消耗品が、IDM内の患者ID情報にリンクされていない場合には、診断消耗品を用いて収集された試料に対して診断エンジンが検査を実施できないようにするように構成されている、実施形態20に記載のポイントオブケアシステム。
【0110】
22.IDMは、患者ID情報および診断消耗品ID情報のうちの少なくとも1つを特定するためにバーコードをスキャンするように構成されている、実施形態20に記載のポイントオブケアシステム。
【0111】
23.IDMは、患者ID情報および診断消耗品ID情報のうちの少なくとも1つをスキャンするために、IDMのカメラを使用するように構成されている、実施形態22に記載のポイントオブケアシステム。
【0112】
24.診断エンジンは、それぞれの診断消耗品の診断消耗品ID情報を特定するために診断消耗品のバーコードをスキャンし、試料ID情報をIDMに通信するように構成されている、実施形態20に記載のポイントオブケアシステム。
【0113】
25.診断エンジンは、診断消耗品が診断エンジンに挿入されたときに、診断消耗品のバーコードをスキャンするように構成されている、実施形態24に記載のポイントオブケアシステム。
【0114】
26.診断消耗品が診断エンジンに挿入される前に、診断消耗品のバーコードを操作者がスキャンできるようにするバーコードスキャナを、診断エンジンが含む、実施形態24に記載のポイントオブケアシステム。
【0115】
27.IDMは、無線通信を介して診断エンジンと通信するように構成されている、実施形態20に記載のポイントオブケアシステム。
【0116】
28.診断エンジンは、尿試料カップまたは試料カートリッジを含む診断消耗品を用いて収集された試料を分析するように構成されている、実施形態20に記載のポイントオブケアシステム。
【0117】
29.診断エンジンはユーザインターフェースを含まない、実施形態20に記載のポイントオブケアシステム。
【0118】
30.IDMは、
複数の診断エンジンとインターフェース接続され、
それぞれの診断エンジンについて、診断消耗品を用いて収集された試料を検査する前に、その診断消耗品が患者ID情報にリンクされていることを診断エンジンにおいて確認してから、診断エンジンを用いた検査を可能にするように構成されている、実施形態20に記載のポイントオブケアシステム。
【0119】
31.複数の診断エンジンは、血液ガス診断エンジン、心臓診断エンジン、凝固診断エンジン、糖尿病診断エンジン、および検尿診断エンジンのうちの少なくとも1つを含む、実施形態30に記載のポイントオブケアシステム。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
【国際調査報告】