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  • 特表-磁気センサ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】磁気センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20220316BHJP
【FI】
G01D5/245 W
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545913
(86)(22)【出願日】2019-02-06
(85)【翻訳文提出日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 EP2019052908
(87)【国際公開番号】W WO2020160766
(87)【国際公開日】2020-08-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517258925
【氏名又は名称】フラバ ベスローテン ヴェンノーツハップ
【氏名又は名称原語表記】FRABA B.V.
【住所又は居所原語表記】Jan Campertstraat 11,6416 SG Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】レーケン, ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077PP13
2F077TT87
(57)【要約】
少なくとも2本のインパルスワイヤ(12a、12b、12c)と、少なくとも2本のインパルスワイヤ(12a、12b、12c)を半径方向で囲むコイルアセンブリ(13、13´)であって、センサ素子(14、14´)および補助磁場を生成するように構成されたフィードバック素子(16、16´)を形成するコイルアセンブリ(13、13´)と、コイルアセンブリ(13、13´)に電気的に接続されたエネルギー貯蔵器(18)と、エネルギー貯蔵器(18)および前記フィードバック素子(16、16´)に電気的に接続されたスイッチング素子(22)と、を備える磁気センサ装置(10、10´)が知られている。本発明によれば、外部電源なしで管理可能であり、特にエネルギー効率よく動作する磁気センサ装置(10、10´)を作成するために、制御ユニット(24)が設けられ、スイッチング素子(22)を電気的に制御することを可能とする。制御ユニット(24)は、必要に応じて制御されるコイルアセンブリ(13。13´)のフィードバック素子(16、30)における補助磁場の生成を可能にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2本のインパルスワイヤ(12a、12b、12c)と、
前記少なくとも2本のインパルスワイヤ(12a、12b、12c)を半径方向で囲むコイルアセンブリ(13、13´)であって、センサ素子(14、14´)および補助磁場を生成するように構成されたフィードバック素子(16、16´)を形成するコイルアセンブリ(13、13´)と、
前記コイルアセンブリ(13、13´)に電気的に接続されたエネルギー貯蔵器(18)と、
前記エネルギー貯蔵器(18)および前記フィードバック素子(16、16´)に電気的に接続されたスイッチング素子(22)と、を備える磁気センサ装置(10、10´)であって、
前記スイッチング素子(22)を電気的に制御する制御ユニット(24)が設けられることを特徴とする、磁気センサ装置(10、10´)。
【請求項2】
前記制御ユニット(24)は、前記コイルアセンブリ(13、13´)の前記センサ素子(14、14´)における電圧パルスによって制御されるように構成され、所定の遅延時間経過後にトリガ信号を提供するように構成された遅延モジュール(26)を備える、請求項1に記載の磁気センサ装置(10、10´)。
【請求項3】
前記制御ユニット(24)は、前記エネルギー貯蔵器(18)の現在の充電状態を検出するように構成された充電状態検出モジュール(28)を備え、前記制御ユニット(24)は、前記充電状態検出モジュール(28)により検出された前記充電状態に応じて前記スイッチング素子(22)を制御するように構成される、請求項1または2に記載の磁気センサ装置(10、10´)。
【請求項4】
前記制御ユニット(24)は、前記遅延モジュール(26)の前記トリガ信号に応答して、前記充電状態検出モジュール(28)による充電状態検出を開始するように構成される、請求項2または3に記載の磁気センサ装置(10、10´)。
【請求項5】
前記制御ユニット(24)は、検出された前記充電状態が充電状態しきい値を下回るときに、前記スイッチング素子(22)を制御するように構成される、請求項3または4に記載の磁気センサ装置(10、10´)。
【請求項6】
前記コイルアセンブリ(13´)は、前記センサ素子(14´)および前記フィードバック素子(16´)の両方を形成する単一コイル(32)を備える、請求項1から5までのいずれか1項に記載の磁気センサ装置(10、10´)。
【請求項7】
前記エネルギー貯蔵器(18)はコンデンサである、請求項1から6までのいずれか1項に記載の磁気センサ装置(10、10´)。
【請求項8】
前記スイッチング素子(22)は半導体スイッチである、請求項1から7までのいずれか1項に記載の磁気センサ装置(10、10´)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2本のインパルスワイヤと、そのインパルスワイヤを半径方向で囲むコイルアセンブリを備える磁気センサ装置に関する。コイルアセンブリは、センサ素子、補助磁場を生成するように構成されたフィードバック素子、コイルアセンブリに電気的に接続されたエネルギー貯蔵器、およびエネルギー貯蔵器とフィードバック素子とに電気的に接続されたスイッチ素子を含む。
【背景技術】
【0002】
磁気センサ装置は、例えば、シャフトの回転を検出する回転角測定システムで使用される。通常、少なくとも1つの永久磁石がシャフトに固定され、その永久磁石の磁場が磁気センサ装置により検出される。この目的のために、磁気センサ装置は、少なくとも1つの磁気双安定インパルスワイヤ(ウィーガンドワイヤとも称される)を備えており、そのインパルスワイヤは、特定のトリガ磁場強度を超えると、外部磁場の影響により磁化方向が急激に反転する。それにより、インパルスワイヤを半径方向で取り囲み、コイルアセンブリのセンサ素子を構成するセンサコイルにおいて、後段の電子システムによって評価され得る短い電圧インパルスが生成される。ここで、生成された電圧インパルスの電気エネルギーは、少なくとも部分的に、磁気センサ装置のエネルギー供給に使用され得る。インパルスワイヤの磁化方向の反転は、以下、インパルスワイヤが「起動する」とも称する。
【0003】
特許文献1から、複数のインパルスワイヤを含む磁気センサ装置が公知である。ここで、複数のインパルスワイヤは、コイルアセンブリで十分なエネルギーを生成して磁気センサ装置のエネルギーの自給自足動作を可能にする。したがって、磁気センサ装置には、外部からエネルギーを供給する必要はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許発明第19925884号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
製造によって、複数のインパルスワイヤは、インパルスワイヤが外部磁場の異なる局所磁場強度で、したがって、シャフトのわずかに異なる回転角位置で起動するように、様々な起動磁場強度を有し得る。このことから、シャフトの所定の回転角位置で少なくとも1つの第1インパルスワイヤが起動され、少なくとも1つの第2インパルスワイヤが起動しない可能性がある。その結果、一方では、磁気センサ装置の測定結果が誤認される可能性があり、他方では、外部エネルギー供給のない磁気センサ装置おいて、後段の電子システムを適切に運用するために必要な電気エネルギーが十分に生成されないことがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくとも1つのインパルスワイヤが起動しきい値を超えたときに、すべてのインパルスワイヤを確実に起動するために、本開示の磁気センサ装置は、エネルギー貯蔵器とフィードバック素子と有するコイルアセンブリ、およびスイッチ素子を含む。ここで、コイルアセンブリは、フィードバック素子を構成する別個のフィードバックコイルを含み得、また、フィードバック素子は、センサコイルにより構成可能である。コイルアセンブリのセンサ素子において生成された電気エネルギーは、比較的低い起動しきい値を有する第1のインパルスワイヤによりエネルギー貯蔵器に蓄積される。蓄積されたエネルギーは、その後、コイルアセンブリのフィードバック素子に補助磁場を生成するために使用され、その補助磁場は、外部磁場と同時に発生し、外部磁場に対して整流される。ここで、総磁場、つまり外部磁場と補助磁場の合計は、残りのすべてのインパルスワイヤの起動磁場強度を超える。これにより、少なくとも1つのインパルスワイヤの起動しきい値を超えると、磁気センサ装置のすべてのインパルスワイヤが起動することが保証される。
【0007】
特許文献1の記載によれば、スイッチ素子は、好ましくは、一方では、コイルアセンブリのフィードバック素子を介して貯蔵エネルギーが放電されることを防止し、他方では、コイルアセンブリのセンサ素子で電圧インパルスが発生したときに、コイルアセンブリのフィードバック素子を介して貯蔵エネルギーのパルス放電を可能にする。磁気センサ装置のそのような構成では、第1のインパルスワイヤの各々の起動が、コイルアセンブリのフィードバック素子を介してのエネルギー貯蔵器の放電と、その結果としての補助磁場の生成と、を生じさせる。これは、残りのインパルスワイヤが外部磁場によりすでに起動されているかどうかとは無関係である。外部磁場によりすべてのインパルスワイヤがすでに起動されていると、電気エネルギーはフィードバックコイルで不必要に消費されるため、磁気センサ装置のエネルギー供給ができなくなる。
【0008】
したがって、外部エネルギー供給を必要とせず、特定のエネルギー効率の良い方法で動作する磁気センサ装置を提供することが目的である。
【0009】
この目的は、主請求項1の特徴を有する磁気センサ装置によって達成される。
【0010】
本発明によれば、スイッチ素子を電気的に制御するための制御ユニットが提供される。制御ユニットは、スイッチ素子のスイッチング状態の意図的な制御を可能にし、このことは、必要に応じて補助磁場を意図的に生成することを可能にする。制御ユニットは、別個のアセンブリとして提供し得るが、代替として、磁気センサ装置の電子アセンブリに統合し得る。例えば、磁気センサ装置は、マイクロコントローラまたはいわゆるフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として、回転角を検出する評価ユニットおよび制御ユニットの両方を構成するディジタル回路を備え得る。ここで、制御ユニットは、ディジタル回路にプログラムされたアルゴリズムおよび/またはプログラムとして実現されると考え得る。
【0011】
例えば、制御ユニットは、コイルアセンブリのセンサ素子のインパルスワイヤによって生成される総電気エネルギーに応じて、補助磁場の意図的な生成を可能にする。ここで、補助磁場は、コイルアセンブリで生成された電気エネルギーが特定の最小エネルギー値を下回るときにのみ生成される。ここで、最小エネルギー値は、あらかじめ決められて固定された値、あるいは、磁気センサ装置の現在のエネルギー要件に適合され得る可変値のいずれかであり得る。いずれにしても、制御ユニットによるスイッチ素子の意図的な制御により、外部磁場がすべてのインパルスワイヤを起動するために不十分なときにのみ補助磁場が生成されることを保証する。これにより、補助磁場を生成するために必要なエネルギーが最小限に抑えられ、コイルアセンブリのインパルスワイヤを起動することで生成される電気エネルギーの大部分が、磁気センサ装置のエネルギー供給に提供される。
【0012】
さらに、制御ユニットは、外部磁場の時間プロファイルと同期するように、補助磁場の生成時間を適応させ得る。例えば、補助磁場は、外部磁場が最大であるときに意図的に生成するように構成されているので、比較的小さな補助磁場でもすべてのインパルスワイヤを起動するのに十分である。特にここでは、制御ユニットは、例えば、現在のシャフト回転速度に応じて、補助磁場の生成時間を連続的に適応させることが可能である。
【0013】
本発明による制御ユニットの提供により、補助磁場の生成に必要な電気エネルギーは最小限であり、その結果、インパルスワイヤで生成されてエネルギー供給に使用され得る電気エネルギーは最小限である。したがって、本発明による磁気センサ装置は、外部エネルギー供給を必要とせず、特にエネルギー効率の良い方法で動作する。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、制御ユニットは、遅延モジュールを含む。遅延モジュールは、コイルアセンブリに直接または間接的に接続されて、コイルアセンブリのセンサ素子の電圧インパルスで制御されるように構成される。遅延モジュールは、コイルアセンブリのセンサ素子の電圧インパルスによって制御されるときに、所定の遅延時間が経過すると起動信号を提供するように構成される。遅延モジュールは、補助磁場を生成するためにスイッチ素子が制御される時間の意図的な設定および/または適応を可能にする。遅延モジュールは、抵抗、コンデンサ、コイルなどの単純で安価なアナログ部品で全体を構成し得る。遅延時間は、使用する部品の特性とそれらの電気的相互接続に依存する。あるいは、遅延モジュールは、ディジタル回路(例えば、マイクロコントローラまたはFPGA)によって構成することもでき、遅延時間は、好ましくは電子的に設定し得る。
【0015】
有利なことに、制御ユニットは、エネルギー貯蔵器の現在の充電状態の検出に適用される充電状態検出モジュールを備える。ここで、充電状態検出モジュールは、充電状態を検出するために、必ずしもエネルギー貯蔵器に電気的に接続されている必要はない。例えば、充電状態検出モジュールは、エネルギー貯蔵器の充電状態に正比例する電気特性値を検出し得る。例えば、エネルギー貯蔵器に存在する電圧を評価することにより、エネルギー貯蔵器の充電状態を簡単な方法で検出し得る。制御ユニットはさらに、充電状態検出モジュールにより検出されたエネルギー貯蔵器の充電状態に応じてスイッチ素子を制御するように構成される。エネルギー貯蔵器の充電状態は、一方では、インパルスワイヤで生成された電気エネルギーに依存し、他方では、磁気センサ装置のエネルギー消費に依存する。そのため、充電状態に応じたスイッチ素子の制御は、補助磁場の生成の特に効率的な制御を可能にして、特にエネルギー効率の良い磁気センサ装置を提供する。
【0016】
製造に起因するインパルスワイヤの特性ばらつきにより、個々のインパルスワイヤの起動時間の間で時間遅延が発生し得る。本発明の特に有利な実施形態によれば、制御ユニットは、遅延モジュールの起動信号に応答して充電状態検出モジュールによる充電状態の検出を開始するように構成される。したがって、充電状態の検出は、第1のインパルスワイヤの起動時間に対して、時間遅延が明らかに発生する。充電状態の検出が遅れることで、補助磁場を生成する前に、残りのインパルスワイヤが外部磁場により起動されないことが確定する。これにより、特に、補助磁場の不必要な生成が確実に防止され、よって、エネルギー効率の高い磁気センサ装置が作成される。
【0017】
特に好ましくは、制御ユニットは、充電状態しきい値未満の充電状態が検出されたときにスイッチ素子を制御して補助磁場を生成するように構成される。ここで、充電状態しきい値は、好ましくは、充電状態しきい値からエネルギー貯蔵器に蓄積された電気エネルギーが、磁気センサ装置の信頼できる動作を十分に保証するように定義される。この構成では、補助磁場は(すべてのインパルスワイヤが起動されたかどうかとは無関係に)、エネルギー貯蔵器に蓄積されたエネルギーが磁気センサ装置のエネルギー供給を保証するためには低すぎると判断されたときにのみ生成される。常にすべてのインパルスワイヤが起動されることを保証するために、充電状態しきい値を、すべてのインパルスワイヤが起動されなかったときには到達しない値に定義し得る。これにより、比較的一定の振幅を有するセンサ信号が生成され、特に簡素で信頼性の高い回転角の決定が可能になる。
【0018】
好ましくは、コイルアセンブリは、インパルスワイヤを半径方向で囲み、センサ素子とフィードバック素子の両方を兼ねる単一コイルを備える。このことは、特に小型で安価な磁気センサ装置の実現を可能にする。さらに、この構成では、センサコイルと別個のフィードバックコイルを備えたコイルアセンブリと比較して、インパルスワイヤが起動されたときにコイルアセンブリのセンサ素子がより高い電圧が生成され、より多くの電気エネルギーが生成される。
【0019】
本発明の好ましい実施形態によれば、エネルギー貯蔵器は、簡素で安価なコンデンサである。
【0020】
好ましくは、スイッチ素子は安価であり、制御ユニットにより電気的に制御することが容易な半導体スイッチである。
【0021】
以下に、本発明による磁気センサ装置の2つの例示的な実施形態について、添付の図面に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明による磁気センサ装置の第1の例示的な実施形態である、コイルアセンブリがセンサコイルおよび別個のフィードバックコイルを備える構成の概略図である。
図2図2は、本発明による磁気センサ装置の第2の例示的な実施形態である、コイルアセンブリがセンサ素子およびフィードバック素子の両方を兼ねる単一コイルを備える構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に、コイルアセンブリ13により半径方向を囲まれた3本のインパルスワイヤ12a、12b、12cを有する磁気センサ装置10を示す。コイルアセンブリ13は、センサ素子14を構成するセンサコイル15を備え、別個の、フィードバック素子16を構成するフィードバックコイル17を備える。ここで、フィードバックコイル17は、センサコイル15と同じ巻回方向を有する。3本のインパルスワイヤ12a、12b、12cは、本質的に互いに平行に延在する。3本のインパルスワイヤ12a、12b、12cは、外部磁場が特定の起動磁場強度を超えると、外部磁場の影響により磁化方向が急激に反転する磁気双安定材料で形成される。このようなインパルスワイヤは、ウィーガンドワイヤとも称される。ここで、インパルスワイヤ12a、12b、12c毎の磁化方向の反転は、それぞれがセンサ素子14に電圧インパルスを誘起する。
【0024】
フィードバック素子16の通電により、インパルスワイヤ12a、12b、12cに作用する補助磁場が生成され得る。ここで、フィードバック素子16の通電に際して、外部磁場よりも強い総磁場がインパルスワイヤ12a、12b、12cに作用するように、補助磁場は外部磁場と比較して調整される。
【0025】
磁気センサ装置10は、本例示的な実施形態では、単一のコンデンサで構成されるエネルギー貯蔵器18をさらに備える。エネルギー貯蔵器18の第1のコネクタは、センサ素子14の第1の端部に電気的に接続され、エネルギー貯蔵器18の第2のコネクタは、ダイオード20を介してセンサ素子14の第2の端部に電気的に接続される。ここで、ダイオード20は、センサ素子14の第2の端部からエネルギー貯蔵器18の第2のコネクタに向かう電流は流すが、エネルギー貯蔵器18の第2のコネクタからセンサ素子14の第2の端部に向かう逆電流は遮断する。
【0026】
このように、ダイオード20は、センサユニット14のインパルスワイヤ12a、12b、12cにより生成される電圧インパルスによるエネルギー貯蔵器18の充電を可能にし、センサ素子14が電圧を生成しないときにセンサ素子14を介してエネルギー貯蔵器18が放電することを防止する。
【0027】
磁気センサ装置10は、電気的に制御可能なスイッチ素子22と、スイッチ素子22を電気的に制御する制御ユニット24と、をさらに備える。本例示的な実施形態では、スイッチ素子22は、例えば、バイポーラトランジスタまたは電界効果トランジスタである半導体スイッチである。スイッチ素子22の第1のコネクタは、エネルギー貯蔵器18の第2のコネクタに電気的に接続され、スイッチ素子22の第2のコネクタは、フィードバック素子16の第1の端部に電気的に接続される。フィードバック素子16の第2の端部は、エネルギー貯蔵器18の第1の端部に電気的に接続されている。スイッチ素子22のスイッチング状態、すなわちスイッチ素子22を流れる電流を電気的に制御し得るスイッチ素子22の制御コネクタは、制御ユニット24に接続されている。その結果、フィードバック素子16の通電、すなわち補助磁場の生成は、スイッチ素子22の制御コネクタを介して電気的に制御することができる。
【0028】
制御ユニット24は、センサ素子14に直接または間接的に接続された遅延モジュール26を備え、この遅延モジュール26は、センサ素子14の電圧インパルスにより制御されるように構成される。遅延モジュール26は、所定の遅延時間が経過したときに制御ユニット24に起動信号を提供するように構成される。したがって、起動信号は、電圧インパルスに対して所定の時間遅延でセンサ素子14に提供される。ここで、本例示的な実施形態では、遅延モジュール26の遅延時間は、制御ユニットにより電子的に設定し得る。
【0029】
制御ユニット24は、エネルギー貯蔵器18の現在の充電状態を検出可能な充電状態検出モジュール28をさらに備える。ここで、本例示的な実施形態では、充電状態検出モジュール28は、エネルギー貯蔵器18の電圧に等しいか、または少なくとも正比例する電圧を検出し、検出された電圧からエネルギー貯蔵器の充電状態を決定する。そして、検出されたエネルギー貯蔵器の充電状態は、制御ユニット24に提供される。
【0030】
本例示的な実施形態では、制御ユニット24は、遅延ユニット26の起動信号に応答して、充電状態検出モジュール28により、エネルギー貯蔵器の充電状態の検出が開始されるように構成される。検出されたエネルギー貯蔵器の充電状態は、制御ユニット24により評価される。検出されたエネルギー貯蔵器の充電状態が、所定の充電状態しきい値を下回ると、制御ユニット24はスイッチ素子22を制御して、フィードバック素子16を一時的に通電して補助磁場を生成する。ここで、本例示的な実施形態では、充電状態しきい値は、制御ユニット24により、磁気センサ装置10の後段の電子システム30により決定されるシャフト回転速度に適応可能である。
【0031】
図2に、本発明による代替の磁気センサ装置10´を示す。磁気センサ装置10´は、コイルアセンブリ13´が、センサ素子14´とフィードバック素子16´の両方を構成する単一の多目的コイル32のみで構成されるという点で、図1に示される磁気センサ装置10と本質的に異なる。
【0032】
多目的コイル32の第1の端部は、エネルギー貯蔵器18の第1の端部に接続されている。多目的コイル32の第2の端部は、ダイオード20およびスイッチ素子22の両方に電気的に接続されている。エネルギー貯蔵器18は、多目的コイル32内のインパルスワイヤの起動時に生成される電圧インパルスによって、ダイオード20を介して充電し得る。さらに、エネルギー貯蔵器18に蓄積された電気エネルギーでスイッチ素子22を制御することで通電可能な多目的コイル32は、インパルスワイヤ12a、12b、12cに作用する補助磁場を生成する。
【0033】
本出願の保護の範囲は、記載された例示的な実施形態に限定されないことを理解されたい。特に、保護の範囲は、例示的な実施形態に示される構成要素の電気的な相互接続に限定されない。さらに、本発明による磁気センサ装置は、異なる数のインパルスワイヤを含み得る。制御装置と後段の電子システムが単一の電気回路で構成されていることも想到し得る。
【符号の説明】
【0034】
10、10´ 磁界センサ装置
12a、12b、12c インパルスワイヤ
13、13´ コイルアセンブリ
14、14´ センサ素子
15 センサコイル
16、16´ フィードバック素子
17 フィードバックコイル
18 エネルギー貯蔵器
20 ダイオード
22 スイッチング素子
24 制御ユニット
26 遅延モジュール
28 充電状態検出モジュール
30 後処理電子機器
32 多目的コイル
図1
図2
【国際調査報告】