(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】二次コイルトポロジー
(51)【国際特許分類】
H01F 38/14 20060101AFI20220316BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20220316BHJP
H01F 27/30 20060101ALI20220316BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20220316BHJP
B60M 7/00 20060101ALN20220316BHJP
B60L 5/00 20060101ALN20220316BHJP
B60L 53/12 20190101ALN20220316BHJP
【FI】
H01F38/14
H01F27/28 K
H01F27/30 160
H02J50/10
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545952
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(85)【翻訳文提出日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 EP2020052242
(87)【国際公開番号】W WO2020160989
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】102019102654.7
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521345431
【氏名又は名称】インドゥストリーアンラーゲン-ベトリーブスゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ エッフェンベルガー
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン シュルテ
(72)【発明者】
【氏名】ゲロルト シュニーダーズ
【テーマコード(参考)】
5E043
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5E043BA01
5H105AA17
5H105BB05
5H105CC01
5H105DD10
5H105EE12
5H125AA01
5H125AC26
5H125FF15
(57)【要約】
本発明は、複数の第1の巻線を備えた第1のコイル1と、複数の第2の巻線を備えた第2のコイル2と、を備えた、誘導型の受信システムのためのコイル装置に関するものであって、その場合に第1のコイルと第2のコイルとは、互いに対して直列に接続され、かつ、互いに対して逆向きに延びており、各巻線は、内側に配置された導体/導体部分と、外側に配置された導体/導体部分と、を有している。コイル装置の相互運用性を改良するために、第1の巻線及び第2の巻線の少なくとも一部の、内側及び外側に配置されている導体が、それぞれ1つの平面内に位置し、又は1つの平面に架け渡されるように、配置されており、これらの平面は、導体部分が第1の巻線であるか、又は、第2の巻線であるかに応じて、第1のコイルから第2のコイルへ向かう方向に、又は、その逆に、互いに分岐する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導型受信システムのためのコイル装置であって、
複数の第1の巻線を有する第1のコイル(1)と、
複数の第2の巻線を有する第2のコイル(2)と、を備え、
前記第1のコイルと前記第2のコイルとは(1;2)、互いに直列に接続されており、かつ、互いに対して逆方向に延びるように構成されており、各巻線は、内側に配置された導体/導体部分と、外側に配置された導体/導体部分と、を有し、
前記第1の巻線及び前記第2の巻線の少なくとも一部の、内側に配置された導体及び外側に配置された導体は、それぞれ1つの平面内に位置する、又は、該平面に架け渡されるように配置されており、前記第1の巻線の導体/導体部分であること、又は、前記第2の巻線の導体/導体部分であることに応じて、該平面は、前記第1のコイルから前記第2のコイルの方向へ、又は、その逆の方向へ、互いに分岐することを特徴とする、コイル装置。
【請求項2】
一方の側部、特に、誘導型送信機システムの側部において、前記第1のコイル及び前記第2のコイル(1;2)の内側に配置された導体/導体部分を少なくとも部分的に覆い、該側部において前記第1のコイル及び前記第2のコイル(1;2)の残りの導体/導体部分(A2、A3、A4、B2、B3、B4)を少なくとも部分的に覆わないように構成されたフェライト配置(3)を特徴とする請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記第1のコイル及び前記第2のコイル(1;2)は、それぞれ螺旋状に形成されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のコイル装置。
【請求項4】
内側に配置された導体/導体部分は、互いに隣接するように、特に、少なくとも部分的に互いに対して平行になるように配置されている、ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のコイル装置。
【請求項5】
直接隣接して内側に配置されている、前記第1のコイルの導体/導体部分と前記第2のコイルの導体/導体部分との間隔は、直接隣接して外側に配置されている、前記第1のコイルの導体/導体部分と前記第2のコイルの導体/導体部分との間隔よりも大きいことを特徴とする、請求項1から請求項4の何れか1項に記載のコイル装置。
【請求項6】
直接隣接する横方向に配置された導体は、少なくとも部分的に互いに重なり合って対に配置されていることを特徴とする、請求項1から請求項5の何れか1項に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記フェライト配置(3)は、互いに平行に、かつ、離間して配置された、2つの矩形のフェライトプレート組立品(3a;3b)を有し、2つの前記フェライトプレート組立品(3a、3b)の間に、2つのコイル(1;2)のための2つの供給導体(9a;9b)が延びている、ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載のコイル装置。
【請求項8】
前記フェライトプレート組立品(3a、3b)は、複数の同一に成形されたフェライトプレート(4)、及び/又は、所定の透磁性を有する成形部品から形成されていることを特徴とする、請求項7に記載のコイル装置。
【請求項9】
前記フェライトプレート組立品(3a、3b)は、内部に前記第1のコイル及び前記第2のコイルの内側に配置された導体/導体部分が配置される凹部をそれぞれ有することを特徴とする、請求項7又は請求項8に記載のコイル装置。
【請求項10】
内側に配置された導体/導体部分が第1の平面の上に、かつ、外側に配置された導体/導体部分が第2の平面の上に配置されており、前記第1の平面は、前記第2の平面に対して平行に、かつ、離間して配置されていることを特徴とする、請求項1から請求項9の何れか1項に記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流磁場を受け取るための、特に、誘導型充電システムのための、コイル装置に関する。このコイル装置は、また、輸送手段に非接触で誘導的にエネルギを伝達するための誘導型充電システムの二次装置のために提供される。
【背景技術】
【0002】
自動車、バイク、機関車といった独自のエンジンを動力源とする車両は、以下において「輸送手段」という用語で理解される。このような車両は、鉄道に接続されていてもよく、接続されていなくてもよい。エンジンは、内燃機関、電気モータ、又は、例えば、ハイブリッド駆動装置の形式のこれら2つの組み合わせ、を含み得る。
【0003】
「誘導型充電システム」という用語は、交流磁場による非接触エネルギ伝達のためのシステムとして理解される。このシステムは、エネルギ源として一次装置(「一次システム」又は「一次要素」とも称する)と、変圧器装置に類似したエネルギ受信機として二次装置(「二次システム」又は「二次要素」とも称する)と、を含む。一次装置は、交流磁場を生成するように設計されている。二次装置は、交流磁場を受け取り、かつ、交流磁場から誘導電流を生成するように設計されている。交流磁場の生成は、一次装置の導電体、特に、コイルを流れる交流電流によって達成され、誘導電流の生成は、磁場の中に配置された二次装置の導電体によって達成される。
【0004】
特許文献1は、電力を無線で伝達するための装置を記載し、第1の巻線経路を有する第1のコイル及び第2の巻線経路を有する第2のコイルを含む。この装置は、第1のコイル及び第2のコイルを所定の巻線パターンで保持するように構成された保持装置を備える。第1の巻線経路及び第2の巻線経路は、それぞれ複数の連続する巻線グループを備える。各複数の連続する巻線グループにおいて、連続する巻線の少なくとも一部は、所定の数の巻線のための保持装置上の直前の巻線の上に配置される。開示されたコイル構成は、送信機又は受信機の何れとしても機能することができる。
【0005】
基本的に、2つの異なるコイルトポロジーが電磁誘導のために使用される。第1のコイルトポロジーは、円形コイル、すなわち、中心周りに少なくとも1回転するコイルである。第2のコイルトポロジーは、第1の中心の周りに1つ以上の巻きがある第1のコイルと、第2の中心の周りに1つ以上の巻きがある第2のコイルと、を備える双極コイル(ダブルDコイルとしても知られている)である。第1のコイルは、直列の第2のコイルに電気的に接続され、かつ、第2のコイルに対して逆向きに巻かれている。
【0006】
従来技術は、コイル配置が最適に機能し、かつ、最適なエネルギ伝達を可能にする特定の磁場パターンのためだけに設計されるという欠点を示す。技術的には、このようなコイルの配置には相互運用性の問題を有する。このことは、例えば、あるメーカーの2次コイルを有する車両は、別のメーカーの1次コイルを有する固定装置上では、高損失(相互運用性)なしでは充電できないことを意味する。
【0007】
従って、生成される各磁場パターンについて、少なくとも1つの一次コイルから少なくとも1つの二次コイルへの最適なエネルギ伝達を達成するために、特定の二次コイルトポロジーが好ましい。
【0008】
二次コイルの相互運用性を改良するために、現状では、それぞれ対応する磁場パターンの受信により適した、付加的な受信コイルが付加されている。しかしながら、このようなコイル配置は、高重量かつ高コストの欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の課題は、誘導型受信システムのための改良されたコイル装置、すなわち、費用対効果が良く、かつ、単純な構造を同時に有する、より高い相互運用性を有する二次コイルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、請求項1に記載のコイル装置を提供する。このコイル装置は、特に、第1の巻線パスA又は複数の第1の巻線を有する第1のコイルと、第2の巻線パスB又は複数の第2の巻線を有する第2のコイルと、を備えるように構成されており、第1のコイルと第2のコイルとは、互いに直列に接続されており、かつ、互いに対して逆向きに形成されている。このことは、特に、2つの巻線パスが次のように、2つのコイルを通って流れる電流が、第1の巻線パス内では時計方向に、第2の巻線パス内では反時計方向に、又は、それぞれの逆に、流れるように構成されていることを意味する。各巻線は、内側に配置された導体/導体部分と、外側に配置された導体/導体部分と、を有しており、これらは、特に互いに対して平行に配置されている。本発明に係るコイル装置は、第1の巻線及び第2の巻線の少なくとも一部の、内側に配置された導体及び外側に配置された導体は、これらが、それぞれ1つの平面内に位置する、又は、1つの平面に架け渡されるように配置されており、導体/導体部分が、第1の巻線の導体/導体部分である又は前記第2の巻線の導体/導体部分であるかに応じて、これらの平面は、第1のコイルから第2のコイルへ、又は、その逆の方向へ、互いに分岐する。
【0012】
これに関連して、本発明に係るコイル装置は、円形コイルと双極コイルの両方の異なる磁場パターンとのより高い相互運用性を有することが見出された。これによって、コイル装置は、その適用範囲に関してより柔軟とされ、従って、多数の異なる一次コイルと共に使用され得る。
【0013】
別の利点は、コイル装置の改善された、すなわち、増加されたアライメントオフセット(Alignment Offset)とされている。このことは、常に最高の伝達効率を達成するために、コイル装置を一次コイルに対して中央又は特定の点に配置する必要がないことを意味する。換言すると、コイル装置は、一次コイルに対して所定の点からオフセットされている場合、従来技術と比較して、伝達効率のより小さな低下を示し、伝達効率は、ほぼ一定のままとされている。従って、コイル装置の位置合わせは、より簡単になり、一定のエネルギ伝達は、二次コイルと一次コイルとの間の位置のずれに対してより耐性がある。
【0014】
好ましい実施形態では、コイル装置は、コイル装置の中央に配置された巻線パスセクション、すなわち、一方の側部、特に誘導送信機システム又は一次コイルの側部で、第1のコイル及び第2のコイルの内側に配置された導体を少なくとも部分的に覆うように構成されたフェライト配置をさらに含んでおり、この側部の第1のコイル及び第2のコイルの残りの巻線パスセクションを少なくとも部分的に覆わない、又は、全く覆わない。フェライト配置は、より良い磁場誘導を促進し、それゆえ、より効果的なエネルギ伝達を促進する。このことは、特に、中央に配置された巻線パスセクションを少なくとも部分的に覆うことによって発生し、このことは、中間導体上に配置された少なくとも1つのフェライト配置によって達成され、それゆえ、ソレノイドコイルを模倣する。
【0015】
中央に配置された導体が1つ又は複数のフェライト配置によって完全に覆われている実施形態もあるが、好ましくは、巻線パスセクションの少なくとも50%が覆われている。フェライト配置は、また、2つの対向し、外部に配置された第1のコイル及び第2のコイルの導体まで延在することができ、それゆえ、特に、少なくとも部分的に同じものを覆うことができる。
【0016】
さらに、残りの巻線パスセクション、すなわち、中央又は内部に配置された導体を除く全ての導体部分も、特に、内側に配置された巻線パスセクションが覆われている側は、フェライト配置によって全く覆われない。
【0017】
フェライト配置は、同様に、コイルのための保持装置として用いられる利点を有する。従って、フェライト配置は、例えば、磁場誘導、特に、漂遊磁界減少及びコイル導体の位置決めと保持のような、複数の機能を実行する。
【0018】
好ましい実施形態において、第1のコイル及び第2のコイルは、それぞれ、特に少なくとも1つの表面上で、螺旋状に形成されている。この場合に、それぞれのコイルの1つの巻線から後続の巻線へと巻線の直径が増加する。このことは、コイル装置の高さを管理し、又は、減少させ、かつ、特に、平坦に形成する、という利点を有する。この場合に、巻線は、円形、方形、矩形又は他の任意の幾何学的形状を描くことができる。
【0019】
コイル装置の特に均質な形状を作り出すために、内側に配置された導体/導体部分は、互いに隣接し、かつ、特に少なくとも部分的に互いに対して平行になるように配置されている。この形状は、均質とされ、かつ、空間利用において効率的とされる。さらに、例えば、円形コイルによる相互運用性が改善される。
【0020】
好ましくは、第1のコイル及び第2のコイルの直接隣接して内側に配置されている導体/導体部分の間の間隔は、第1のコイルと第2のコイルの直接隣接して外側に配置されている導体/導体部分の間の間隔よりも大きい。このことは、双極コイルの特性は支配的でなく、それゆえ、コイル装置は、この形状のみに、かつ、これに応じた磁場のみに方向づけされない、という利点を有する。
【0021】
さらに、第1のコイル及び第2のコイルの直接隣接する側部に配置された導体が、対をなして少なくとも部分的に互いに重ねて配置されている場合に、効果的であることが明らかにされている。これによって、対応するパスセクションの幅を縮小し、それゆえ、コイル装置の幅と長さにおける寸法又は延びを低減することができる。特に、本発明に係るフェライト配置に基づいて、対応するパスセクション内において導体を互いに重ねて配置し、又は、互いに積み重ねることは、コイル装置の高さに関する空間利用がフェライト配置によって定められるため、利点になる。また、特に、フェライト配置の高さ及び導体の直径に応じて、3つ以上の導体を互いに重ねて配置することも可能である。
【0022】
好ましくは、フェライト配置は、2つの矩形の、互いに対して平行に、かつ、離間して配置されたフェライトプレート組立品(又は、フェライト成形物、又は、フェライト装置)を備え、フェライトプレート組立品の間に、2つのコイルのための2つの供給導体を延在させてもよい。このことは、重量を削減し、同時に、供給導体用の空間を提供するという利点を有する。2つのフェライトプレート組立品は、互いに対して同一に形成され、かつ、コイル装置に対して対称に配置され得るので、これに対応する磁場はネガティブな影響を受けない。
【0023】
さらに、フェライトプレート組立品が、複数の同一に形成又は構成されたフェライトプレート、及び/又は、所定の透磁性を有する成形部品から形成されている場合に、有利であることが明らかにされている。既知のフェライトプレートの他に、成形部品が使用されてもよい。フェライトプレート組立品の代わりに、又は、これに加えて、フェライト配置としてフェライトコンクリートを使用することも、可能であり、フェライトコンクリートは、コンクリートと同様に流動的にかき混ぜられ、硬化させる前に所定の型内へ流し込むことができる。このコンクリートは、より低い透磁性を有するが、幾何学的又は構造的に対応するように寸法設計することによってフェライトプレート組立品の特性に適合し得る。
【0024】
好ましくは、フェライトプレート組立品は、それぞれ、その中に第1のコイル及び第2のコイルの内側に配置された導体/導体部分が配置されている凹部を有する。このことは、コイル装置の高さを低減し、かつ、必要とされる空間を縮小する利点を有する。さらなる有利な実施形態において、フェライト配置は、第1のコイル及び第2のコイルの外側に配置された導体/導体部分を越えて延在する。フェライト配置のこの付加的な延びは、装置を安定させると共に、漂遊磁場の削減、すなわち、1つ又は複数のコイルへの磁場の合焦にも役に立つ。
【0025】
磁場形状又は磁場の進行をさらに改良するために、内側に配置されている導体/導体部分が第1の平面上に、かつ、外側に配置されている導体/導体部分が第2の平面上に配置されており、第1の平面は、第2の平面に対して平行かつ離間して配置されている。
【0026】
本発明に係るコイル装置は、二次システムにも、一次システムにも組み込まれ得る。すなわち、このコイル装置は、受信装置として、送信装置又は送受信装置(例えば、トランシーバ)としても、用いられてもよい。
【0027】
以下に記述する図は、本発明の好ましい実施形態に関するものであって、制限するものではなく、むしろ、図示されるコイル装置の特徴を追加的に説明し、かつ、明らかにするために用いられる。これらの特徴は、個々に、又は、組み合わせて、上述した実施形態と組み合わせることができる。異なる図面に同じ参照符号で示された特徴は、同一とし得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係るコイル装置の好ましい実施例の平面図を示す。
【
図2A】
図1の2つの等しいフェライト配置を示しており、これらは、それぞれ複数の同一の形状及び大きさのフェライトプレートを有する。
【
図2B】
図1のフェライト配置に沿った縦断面図を示す。
【
図2C】重量と厚みの異なる3つの異なるフェライトプレートの選択を示す。
【
図3】さらに好ましい実施例に係るコイル装置の縦断面図を示す。
【
図4】
図3のコイル装置の幅に沿った3つの異なる横断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、第1のコイル1と第2のコイル2を有する、本発明に係る好ましい実施例としてのコイル装置を平面図で示す。コイル1、2は、共通の電気的導体を備え、それゆえ、電気的に直列に接続されている。コイル1、2は、螺旋形状とされ、並べて配置されており、かつ、2つの電流供給導体、又は、電流接続部9a、9bを介して電気的に接触可能又は、接続可能とされている。いくつかのよりマイナーな細部を除いて、2つのコイル1、2は、互いに対して軸対称となるように配置され、かつ、成形されている。各コイル1、2は、その専用の巻線パスA、Bをそれぞれ有しており、この巻線パスは、それぞれ共通の電気的導体の一部を形成し、かつ、それぞれ4つのパスセクション又は導体部分に分割されている。第1のコイル1は、第1のパスセクションA1、第2のパスセクションA2、第3のパスセクションA3及び第4のパスセクションA4の領域に分割されており、これらのパスセクションA1からA4は、反時計回りに連続的に配置されている。第2のコイル2は、第1のパスセクションB1、第2のパスセクションB2、第3のパスセクションB3及び第4のパスセクションB4の領域に分割されており、これらのパスセクションB1からB4は、時計回りに連続的に配置されている。従って、以下のパスセクションは、コイルの内部で対向して配置されている:パスセクションA2及びA4(第1のコイルの側方に配置された導体/導体部分とも称する)、パスセクションA1及びA3(第1のコイルの内側及び外側に配置された導体/導体部分とも称する)、パスセクションB2及びB4(第2のコイルの側方に配置された導体/導体部分とも称する)、並びに、パスセクションB1及びB3(第2のコイルの内側及び外側に配置された導体/導体部分とも称する)。さらに、第1のコイル及び第2のコイル1、2のパスセクションA1及びB1が互いに直接的に隣接している。本発明において、パスセクションは、コイルの1つの領域を画定し、その領域内において、この領域内に配置されている導体/導体部分は、その配置と成形に関する所定の特性を備える。この画定部分に対する相違点は、導体が曲がり部分又はカーブを描き、かつ、次の巻線パスセクション内へ通じている、異なる巻線パスセクションの間の移行境界内に存在する。
【0030】
すべての巻線パスセクションA1からA4及びB1からB4は、そこに配置されている導体が、本質的にまっすぐ、かつ、互いに対して平行となるように配置されていることを特徴としている。巻線パスセクションA1及びB1は、これらのセクション内において、導体が、それぞれその中央にある種の段部又は曲がり部分を有しているため、例外を示している。段部の機能は、第1のコイル又は第2のコイルの新しい巻き又は回路を開始し、コイル装置の中心へ向かって巻きの直径を増加させ、これに伴って共通の導体の残りの部分を、特にセクションA1とB1内において、真っ直ぐかつ平行に成形することを許容することとされている。2つの隣接する導体の間の間隔は、パスセクションA1及びB1内では常に等しい大きさとされ、特に、パスセクションA3及びB3における導体の間の間隔よりも大きい。パスセクションA1及びB1内における導体の間隔がより大きいことによって、双極コイルトポロジーの特性が弱められる。セクションA3及びB3における特殊性は、導体の配置とされている:例えば、セクションB1、B2及びB4内において導体は、コイルの外側の端部に沿っているが、同じ導体は、セクションB3内ではコイルの内側の端部に、又は、コイル開口部に配置されている。セクションB1、B2及びB4内の内側の導体については、逆のことが言え、これらは、セクションB3内ではコイル又はコイル装置の外側の端部に配置されている。パスセクションA2、A4、B2及びB4内において、導体は、コイル装置の幅が減少するために、互いに対をなして重ねて配置されている。コイル装置は、さらに、2つの等しく形成されたフェライトプレート組立品3a及び3bからなるフェライト配置3を有する。ここで、他の実施形態においては、2つよりも多い、かつ/又は、異なる形状、かつ/若しくは、大きさに形成されたフェライトプレート組立品を使用し得ることに留意されたい。フェライトプレート組立品3a及び3bは、それぞれ2つのコイル1と2を通り、かつ、コイル装置の全長にわたって、すなわち、第1のコイル1の左側端部から第2のコイル2の右側端部まで完全に延在する。フェライト配置の高さに応じて、コイル装置をよりコンパクトに形成するために、2つ以上の導体を互いに重ねて配置することも、もちろん可能とされている。コイル装置の一方の側において、フェライトプレート組立品3a及び3bの間においてコイル装置の中心へ向けて延びており、そして、最終的に、それぞれ時計方向と反時計方向とに螺旋状に形成され、すなわち、複数回巻かれることによってコイル1及び2を形成する、電流供給導体9a及び9bが見受けられる。
【0031】
図2Aは、
図1の2つのフェライトプレート組立品3a及び3bを平面図で示しており、これらはそれぞれ同一に形成された複数のフェライトプレート4から形成されている。各フェライトプレート4は、長さ90mm、幅30mm及び高さ9mmとされている。各フェライトプレート組立品3a及び3bは、それぞれ長さ380mm、幅90mmとされ、210mmの幅をカバーすることができるように、互いに対して平行に配置されている。すなわち、フェライトプレート組立品3a及び3bは、互いに30mm離間されている。フェライトプレート4は、互いに対して隙間なく、平行かつ面一となるように配置されている。
【0032】
図2Bは、上記
図2Aに記載されているフェライトプレート組立品3a及び3bの縦断面図を示しており、コイル1、2の導体も示されている。ここでは、巻線パスセクションA1、A3、B1及びB3からなる導体も描画されており、すなわち、第1のコイル及び第2のコイルの内側及び外側に配置された導体/導体部分が示されている。フェライト配置は、第1の上方側の平面内におけるフェライトプレート4aと、第2の下方側の平面内におけるフェライトプレート4bと、を備える。パスセクションA3、B3内の導体は、それぞれ直接連続的に配置されているが、パスセクションA1、B1内の導体は、互いに等間隔で離間して配置されている。パスセクションA1とB1内の導体は、第1の上方側の平面上に、そして、パスセクションA3とB3内の導体は、第2の下方側の平面上に配置されている。下方側に配置されているフェライトプレート4bの全長は、2つのフェライトプレートの長さに基づいて180mmとされている。第1の平面内におけるフェライトプレート4aからなる2つのフェライトプレート配置は、それぞれ120mmの長さを有しており、この場合に第1の平面上の2つの配置の間隔は140mmとされている。
【0033】
図2Cには、本質的に高さと重量が異なるタイプのフェライトプレートが示されている。全てのフェライトプレートは、90mmの長さと30mmの幅とを有する。
図1のコイル装置内で2つのフェライト配置3a、3bのために使用された、9mmの高さを有する28個のフェライトプレートは、3.3kgの全体重量を有する。ここで開示された実施形態のために、異なる形状、及び/又は、大きさに形成されたフェライトプレートが使用されてもよい点に留意されたい。
【0034】
図3は、
図1又は
図2Bのコイル装置と比較して、追加的な特徴を有する、さらに好ましい実施例に係るコイル装置の縦断面図を示す。コイル装置全体は、23mmの高さを有する。長さが420mmで、幅が300mmの3mm厚のGRPカバープレート8が、コイル装置の上方側に配置されている。その下方側には、高さと幅とがそれぞれ18mmとされたFRPフレームプロファイル7が、コイル装置の端部において、右と左に配置されている。これらの間にコイルと、
図1及び
図2Bにおいて既に説明されているフェライトプレート4a、4bを有するフェライト配置と、が配置されている。コイル装置の下方側には、GRPカバープレート8と同じ幅と長さの厚さ2mmのアルミニウムプレート6が配置されている。
【0035】
図2Bにおいて説明したように、コイル装置の第1の平面内に、巻線パスセクションA1及びB1からなる導体が示されている。これらの導体と下方側のフェライトプレート4bとの間に、厚さ1mmから2mmのグラスファイバ織物層10が配置されている。第2の平面内には、巻線パスセクションA3及びB3の導体が配置されており、かつ、グラスファイバ織物層10によって、フェライトプレート4a及びアルミニウムプレート6から離間されている。巻線パスセクションA3及びB3の導体とフェライトプレート4bとの間には、厚さ9mmのプラスチック層5が配置されており、これは、スペーサ及び構造支持部材として機能する。プラスチック層5は、幅55mm、高さ9mmとされている。巻線パスセクションA3及びB3の幅は、それぞれ45mmとされている。
【0036】
図4は、
図3のコイル装置の幅に沿った3つの異なる横断面図を示す。
図4の上方側の図面は、上述した巻線パスセクションA1及びB1の間の境界線を通り、コイル装置の中心を通る横断面を示す。特に、下方側の平面上の供給導体9bと巻線パスセクションA1又はB1からなる導体が示されている。
図4の中央の図面には、コイル装置の長さの約4分の1の部分における横断面が示されている。中央における、2つの供給導体9a及び9bと、パスセクションA2とA4内に対をなして重ねて配置された導体と、が認識される。フェライトプレート4aの下方側には、プラスチック層5も示されている。
図4の一番下方側の図には、コイル装置の最も外側における横断面図が示されており、横断面は、パスセクションA3を通って延びており、かつ、パスセクションA3からなる導体Aが示されている。さらに、供給導体9a及び9bが配置されている。
【符号の説明】
【0037】
1 第1のコイル
2 第2のコイル
3 フェライト配置
3a 第1のフェライトプレート組立品
3b 第2のフェライトプレート組立品
4 フェライトプレート
4a 第1の上方側の平面内におけるフェライトプレート
4b 第2の下方側の平面内におけるフェライトプレート
5 プラスチック層
6 アルミニウムプレート
7 FRP(繊維強化プラスチック)フレームプロファイル
8 GRP(グラスファイバ強化プラスチック)カバープレート
9a 供給導体
9b 供給導体
10 グラスファイバ織物層
A1 第1のコイルの第1のパスセクション又は内側に配置された導体/導体部分
A2 第1のコイルの第2のパスセクション又は側方に配置された導体/導体部分
A3 第1のコイルの第3のパスセクション又は外側に配置された導体/導体部分
A4 第1のコイルの第4のパスセクション又は側方に配置された導体/導体部分
B1 第2のコイルの第1のパスセクション又は内側に配置された導体/導体部分
B2 第2のコイルの第2のパスセクション又は側方に配置された導体/導体部分
B3 第2のコイルの第3のパスセクション又は外側に配置された導体/導体部分
B4 第2のコイルの第4のパスセクション又は側方に配置された導体/導体部分
A 第1のコイルの第1の巻線パス
B 第2のコイルの第2の巻線パス
【国際調査報告】