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2022-519675放射線皮膚炎の治療のための局所用BRAF阻害剤組成物の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】放射線皮膚炎の治療のための局所用BRAF阻害剤組成物の使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20220316BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220316BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20220316BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 31/44 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 31/52 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P17/00
A61P17/02
A61P29/00
A61K31/44
A61K31/437
A61K31/52
A61K31/506
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545958
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(85)【翻訳文提出日】2021-09-20
(86)【国際出願番号】 IB2020051073
(87)【国際公開番号】W WO2020165755
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】62/804,235
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518317203
【氏名又は名称】ルトリス ファーマ エル ティー ディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】シェラッハ, ノア
(72)【発明者】
【氏名】ローヴェントン-スピアー, ノア
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084MA13
4C084MA16
4C084MA27
4C084MA28
4C084MA32
4C084MA63
4C084NA06
4C084NA14
4C084ZA89
4C084ZB11
4C084ZB26
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086BC42
4C086BC46
4C086CB05
4C086CB07
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA13
4C086MA16
4C086MA27
4C086MA28
4C086MA32
4C086MA63
4C086NA06
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZB11
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、放射線療法によって引き起こされる放射線皮膚炎の治療、予防および/または改善の方法であって、治療または予防有効量の本発明の少なくとも1つのBRAf阻害剤を含む局所用組成物を、それを必要とする対象に投与することによって放射線皮膚炎の影響を治療、予防および/または改善する方法を開示する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療および/または予防有効用量の少なくとも1つのBRaf阻害剤またはそれらの組み合わせと、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む局所用組成物を、それを必要とする対象に局所投与することによる、放射線皮膚炎の治療、予防または軽減のための使用。
【請求項2】
前記組成物が、BAY43-9006(ソラフェニブ)、LGX818(エンコラフェニブ)、PLX4032(ベムラフェニブ)、GSK2118436(ダブラフェニブ)、ARQ736、ARQ680、AZ628、C-1、C-15、C-19、C-A、CEP-32496、GDC-0879、NMS-P186、NMS-P349、NMS-P383、NMS-P396、NMS-P730、PLX3603(RO5212054)、PLX4720(ジフルオロフェニルスルホンアミン)、PF-04880594、PLX4734、RAF265、RO4987655、SB590885、ZM336372、BMS908662、WYE-130600、TAK632、MLN 2480、XL281、
式(I)の化合物であって、
式中、Rが、p-クロロフェニル、3-エチニルフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、2-フルオロ-4-ヨードフェニル、4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル、3-(1,1-ジメチルエチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル、3-(トリフルオロメトキシ)フェニル、3,5-ジヒドロキシフェニル、フェニル-3-スルホンアミドまたは3-(トリフルオロメチル)フェニル、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される化合物;
式(II)の化合物であって、
式中、RがNHR1であり、ここで、R1が、2-フルオロ-4-ヨードフェニル、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である化合物;
式(III)の化合物であって、
式中、RがNHR1であり、ここで、R1が3-エチニルフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、2-フルオロ-4-ヨードフェニル、または4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である化合物;
またはそれらの組み合わせから選択される、治療および/または予防有効用量の少なくとも1つのBRaf阻害剤;および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記BRaf阻害剤が式(I)の化合物であり、Rが3-(トリフルオロメトキシ)フェニルである、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記BRaf阻害剤が、BRafの活性を阻害し、細胞増殖を増加させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
前記組成物が局所投与用に製剤化される、請求項1に記載の使用。
【請求項6】
前記組成物が、ゲル、ヒドロゲル、軟膏、クリーム、ペースト、フォーム、スプレー、ローション、液体または皮膚パッチの形態である、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記組成物中の前記BRAf阻害剤が、前記組成物の総重量の1%w/w~5%w/wの濃度で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
前記組成物中の前記BRAf阻害剤が、前記組成物の総重量の0.1%w/w~10%w/wの濃度で存在する、請求項1~6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
前記放射線皮膚炎の重症度を軽減するか、または拡大を予防する、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記皮膚有害反応の重症度を、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)version 5.0によって、または放射線治療腫瘍学グループ(RTOG)のグレーディングスケールに従って定義した場合、グレード4からグレード3、2、1または0まで低下させる、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記皮膚有害反応の重症度を、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)version 5.0、または対応するRTOGグレードによって定義した場合、グレード3からグレード2、1または0まで低下させる、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
前記皮膚有害反応の重症度を、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)version 5.0、または対応するRTOGグレードによって定義した場合、グレード2からグレード1または0まで低下させる、請求項9に記載の使用。
【請求項13】
前記皮膚有害反応の重症度を、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)version 5.0、または対応するRTOGグレードによって定義した場合、グレード1からグレード0まで低下させる、請求項9に記載の使用。
【請求項14】
前記皮膚有害反応が、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)version 5.0、または対応するRTOGグレードによって定義した場合、グレード0からグレード1、2、3、または4まで上昇するのを予防する、請求項9に記載の使用。
【請求項15】
前記皮膚有害反応が、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)version 5.0、または対応するRTOGグレードによって定義した場合、グレード1からグレード2、3、または4まで上昇するのを予防する、請求項9に記載の使用。
【請求項16】
前記皮膚有害反応が、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)version 5.0、または対応するRTOGグレードによって定義した場合、グレード2からグレード3または4まで上昇するのを予防する、請求項9に記載の使用。
【請求項17】
前記皮膚有害反応が、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)version 5.0、または対応するRTOGグレードによって定義した場合、グレード3からグレード4まで上昇するのを予防する、請求項9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年2月12日に出願された米国仮特許出願第62/804,235号の優先権を主張し、その全内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、治療および/または予防有効量の少なくとも1つのBRaf阻害剤またはそれらの組み合わせと、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む組成物を、それを必要とする対象に投与することによる、放射線皮膚炎の治療方法に関する。
【背景技術】
【0003】
放射線療法(RT)は、依然として癌治療の不可欠な構成要素であり、癌患者のほぼ50%が、病気の経過中のある時点でRTを受けている。RTを受けている人のうちの95%ほどが、何らかの形態の放射線皮膚炎または放射線誘発性皮膚損傷を経験する可能性がある。放射線皮膚炎は、急性紅斑および落屑として、または皮膚萎縮、毛細血管拡張および線維症を含む慢性的な影響として現れ得る。これらの皮膚の変化は、RTの特徴と患者固有の危険因子との組み合わせから生じる。放射線の総線量の低減および先進の放射線照射モードの使用は、皮膚に対する放射線影響の重症度を軽減するのに役立ち得るが、放射線皮膚炎は、依然としてRTの最も一般的な副作用の1つである。この状態は、治療中および治療後の両方で患者の生活の質に影響を及ぼす可能性がある。重症の場合、放射線の線量の制限、または治療スケジュールの中断のリスクがあり、それは治療の有効性に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、治療中および治療後の放射線誘発性皮膚損傷の管理は、癌治療の重要な側面である。放射線照射の技術的進歩および皮膚反応の管理への関心の高まりにもかかわらず、放射線皮膚炎の管理におけるゴールドスタンダードは存在しない。
【0004】
放射線皮膚炎は、一部の良性状態については、放射線療法の副作用であり得る。
【0005】
治療の経過中および放射線が終了した後に放射線によって引き起こされる放射線皮膚炎の軽減に役立つ、予防および治療の新規方法の開発に対する当技術分野で満たされていない需要がある。
【0006】
BRafは、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達経路および細胞増殖の調節に関与するプロテインキナーゼである。BRafの変異は、無制御細胞増殖および悪性腫瘍をもたらし得る、MAPK経路を介した構成的シグナル伝達を誘発し得る。
【0007】
BRaf阻害剤の使用は、BRafの下流エフェクターであるリン酸化ERKの阻害またはレベルの低下によって判定され得るように、MAPKシグナル伝達の阻害に関連することが実証されている。しかし、逆説的に、BRaf阻害剤は、BRAF野生型細胞において反対にMAPKシグナル伝達の活性化の効果を誘導し、細胞増殖を誘導できることがさらに観察されている。(N.Shelach、米国特許出願第20180369247号明細書)
【発明の概要】
【0008】
本開示は、放射線皮膚炎の治療方法であって、局所的予防および/または治療有効量の本明細書で定義されるグループA~Dの少なくとも1つのBRaf阻害剤を含む組成物を、それを必要とする対象に投与することによる方法を提供する。本開示はまた、グループA~DのBRaf阻害剤を含む組成物、ならびに局所用BRaf阻害剤および本開示の組成物を使用した、放射線療法によって誘発される皮膚有害反応を治療する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】MIA PaCa細胞の増殖に対する化合物C-1の効果を示す。
図2】MIA PaCa細胞の増殖に対する化合物ベムラフェニブの効果を示す。
図3】MIA PaCa細胞の増殖に対する化合物LUT-012の効果を示す。
図4】MIA PaCa細胞の増殖に対する化合物LUT-013の効果を示す。
図5】MIA PaCa細胞の増殖に対する化合物LUT-014の効果を示す。
図6】MIA PaCa細胞の増殖に対する化合物LUT-015の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の局所用BRaf阻害剤および組成物を使用して放射線皮膚炎を治療する方法が、本明細書で提供される。
【0011】
放射線皮膚炎は、放射線皮膚炎(radiodermatitis)、X線皮膚炎、放射線皮膚損傷または放射線熱傷としても知られている、主に癌治療に使用される放射線療法の副作用である。その症状には、発赤、かゆみ、剥離、皮剥け、痛み、水疱形成、線維症、瘢痕化および皮膚潰瘍が含まれる。これらは深刻な症状であり、患者の治療を継続する意欲および生活の質に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0012】
放射線皮膚炎は、放射線療法の過程が完了した後も続くため、その後も治療を継続する必要がある。
【0013】
放射線皮膚炎を治療するいくつかの公知の方法は、皮膚軟化剤、コルチコステロイド、水ベースドレッシング、注射用アミフォスチンおよび銀ベースドレッシング/軟膏、および二次皮膚感染症用の抗生物質である。上記の公知の治療方法のうち、アミフォスチンがおそらく最も効果的であるが、注射可能な投与方法が欠点である。
【0014】
本発明者らは、周知の逆説的効果の機械論的議論に基づいて、局所用BRaf阻害剤が放射線皮膚炎の治療に使用され得ることに気付いた。
【0015】
N.Shelachは、「Use of BRaf Inhibitors for Treating Cutaneous Reactions」と題する同時係属中の特許出願PCT/IL 2017/050301において、MAPKのこの逆説的な活性化が、EGFRまたはPI3K阻害剤による治療によって誘発される皮膚有害反応を治療するために使用され得ることを示した。
【0016】
理論に束縛されることを望むものではないが、本発明者らは、同じ機構の異なる態様が局所用BRaf阻害剤による放射線皮膚炎の治療に役立ち得ることを理論化する。これはおそらく、BRaf阻害剤の細胞増殖の肯定的な影響によるものである(実施例1参照)。
【0017】
BRaf変異細胞におけるBRaf阻害剤の使用は、BRafおよびMAPKの下流エフェクターである細胞増殖の阻害に関連することが実証されている。
【0018】
しかし、BRaf阻害剤は、BRaf野生型細胞において逆説的にMAPKシグナル伝達の活性化という逆の効果を誘発し、細胞増殖を誘発できることがさらに観察されている。逆説的なMAPK活性化の根底にある機構は、野生型BRafおよびc-Rafの二量体化、ならびにその後のMAPK経路活性化および細胞増殖をもたらす非阻害Rafプロテインのトランス活性化に起因している。
【0019】
Carnahan J.ら(Mol.Cancer Ther.9(8)2010年8月)は、選択的かつ強力なRaf阻害剤が正常な細胞増殖を逆説的に刺激できることを実証した。Smith A.L.ら、J.Med.Chem.2009、52、6189-6192によって開示された経口で生物学的に利用可能な一連のキナーゼ阻害剤は、強力な生化学的活性を示した。例えば、系列(C-1)の化合物1は、有意な効力を示した(WTB-Raf Ki=1nmol/L、V 600EB-Raf Ki=1nmol/L、C-Raf Ki=0.3nmol/L)。
【0020】
Carnahanらは、野生型B-Rafおよび変異K-rasを有する細胞では、Raf阻害剤への曝露により、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達の用量依存的かつ持続的な逆説的活性化が生じることを発見した。BRafの阻害は、細胞周期への侵入および増殖の促進をもたらした。
【0021】
いくつかの実施形態では、放射線皮膚炎の治療、予防または軽減方法であって、治療および/または予防有効量の少なくとも1つのBRaf阻害剤またはそれらの組み合わせと、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む局所用組成物を、それを必要とする対象に投与することによる方法が提供される。
【0022】
本発明の組成物に使用される少なくとも1つのBRaf阻害剤は、いくつかの構造的および機能性グループA~Dに属する。
【0023】
A.市販のBRaf阻害剤であり、BAY 43-9006(ソラフェニブ)、LGX 818(エンコラフェニブ)、PLX4032(ベムラフェニブ)、GSK2118436(ダブラフェニブ)、ARQ736、ARQ680、AZ628、C-1、C-15、C-19、C-A、CEP-32496、GDC-0879、NMS-P186、NMS-P349、NMS-P383、NMS-P396、NMS-P730、PLX 3603(RO5212054)、PLX4720(ジフルオロフェニル-スルホンアミン)、PF-04880594、PLX4734、RAF265、RO4987655、SB590885、ZM336372、BMS908662、WYE-130600、TAK632、MLN 2480、XL281から選択される。
【0024】
C-1、C-15、C-19、C-A、C-A、およびZM336372は、例えば、Carnahanら(Mol.Cancer Ther.2010年8月;9(8):2399-410)およびSmithら(J.Med.Chem.、2009、52(20)、pp 6189-619)に開示され、以下の分子構造を含む。
【0025】
B.式(I)のBRaf阻害剤であって、
式中、Rは、p-クロロフェニル、3-エチニルフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、2-フルオロ-4-ヨードフェニル、4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル、3-(1,1-ジメチルエチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル、3-(トリフルオロメトキシ)フェニル、3,5-ジヒドロキシフェニル、フェニル-3-スルホンアミドもしくは3-(トリフルオロメチル)フェニル、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される。
【0026】
C.式(II)のBRaf阻害剤であって、
式中、RはNHR1であり、ここでR1は、2-フルオロ-4-ヨードフェニル、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0027】
D.式(III)のBRaf阻害剤であって、
式中、RはNHR1であり、ここでR1は、3-エチニルフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、2-フルオロ-4-ヨードフェニル、もしくは4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル、またはその薬学的に許容される塩もしくはまたは溶媒和物、
またはそれらの組み合わせ、および薬学的に許容される担体または賦形剤である。
【0028】
優れたBRaf阻害剤は、Rが3-(トリフルオロメトキシ)フェニルである、式(I)の化合物である。
【0029】
式(I)、(II)および(III)の化合物は、Shelach Nによる、国際公開第2019/026065号に開示された。
【0030】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、細胞増殖を増加させる。
【0031】
組成物
いくつかの実施形態では、上記グループA~Dの少なくとも1つのBRaf阻害剤を含む医薬組成物が本明細書で提供される。
【0032】
いくつかの他の実施形態では、上記医薬組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1%w/w~約1%w/wのグループA~Dの少なくとも1つのBRaf阻害剤、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、またはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、医薬組成物は、本明細書に開示されるグループA~DのBRaf阻害剤の少なくとも1つを、組成物の総重量の約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%または1%w/w(それらの間の値および範囲を含む)含み得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、組成物の総重量に基づいて、約0.1%~約0.2%、約0.1%~約0.3%、約0.1%~約0.4%、約0.1%~約0.5%、約0.1%~約0.6%、約0.1%~約0.7%、約0.1%~約0.8%、約0.2%~約0.9%、約0.2%~約1%、約0.25%~約0.5%、約0.25%~約0.7%、約0.25%~約0.8%、約0.5%~約0.75%または約0.5%~約1%w/w(それらの間の値および範囲を含む)の、本明細書に開示されるいずれかのBRaf阻害剤を含み得る。
【0034】
いくつかの他の実施形態では、上記医薬組成物は、組成物の総重量に基づいて、約1%w/w~約5%w/wのグループA~Dの少なくとも1つのBRaf阻害剤、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、またはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、医薬組成物は、約1%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、1.9%、2.0%、2.1%、2.2%、2.3%、2.4%、2.5%、2.6%、2.7%、2.8%、2.9%、3.0%、3.1%、3.2%、3.3%、3.4%、3.5%、3.6%、3.7%、3.8%、3.9%、4%、4.1%、4.2%、4.3%、4.4%、4.5%、4.6%、4.7%、4.8%、4.9%、または5%w/w(それらの間の値および範囲を含む)の、本明細書に開示されるグループA~DのBRaf阻害剤のいずれかを含み得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、組成物の総重量に基づいて、約1%~約3%、約1%~約4%、約1.5%~約5%、約1.5%~約4.5%、約1.5%~3.5%、約1.5%~約3%、約2%~約5%、約2%~約4.5%、約2%~約4%、約2.5%~約5%、約2.5%~約4.5%、約2.5%~約4%、約3%~約5%、約3.5%~約5%w/w(それらの間の値および範囲を含む)の、本明細書に開示されるいずれかのBRaf阻害剤を含み得る。
【0036】
いくつかの他の実施形態では、医薬組成物は、組成物の総重量に基づいて、約5%w/w~約10%w/wのグループA~DのうちのBRaf阻害剤、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、またはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、医薬組成物は、約5%、5.1%、5.2%、5.3%、5.4%、5.5%、5.6%、5.7%、5.8%、5.9%、6%、6.1%、6.2%、6.3%、6.4%、6.5%、6.6%、6.7%、6.8%、6.9%、7%、7.1%、7.2%、7.3%、7.4%、7.5%、7.6%、7.7%、7.8%、7.9%、8%、8.1%、8.2%、8.3%、8.4%、8.5%、8.6%、8.7%、8.8%、8.9%、9%、9.1%、9.2%、9.3%、9.4%、9.5%、9.6%、9.7%、9.8%、9.9%、または10%w/w(それらの間の値および範囲を含む)の、本明細書に開示されるグループA~DのBRaf阻害剤のいずれかを含み得る。
【0037】
いくつかの他の実施形態では、医薬組成物は、組成物の総重量の約5%~約9%、約5%~約8.5%、約5%~約8%、約5%~約7.5%、約5%~約7%、約6%~約10%、約6%~約9%、約6%~約8.5%、約6%~約8%、約7%~約10%、約7%~約9.5%、約7%~約8.5%、約7.5%~約10%、約8%~約10%w/w(それらの間の値および範囲を含む)の、本明細書に開示されるいずれかのBRaf阻害剤を含み得る。
【0038】
いくつかの他の実施形態では、医薬組成物は、合計8つの組成物の約1%~約10%、約1%~約8%、約1%~約7%、約2%~約8%、約2%~約7%、約2%~約6%、約2.5%~約7.5%、約2.5%~約5.5%、約3%~約8%、約3%~約7%、約4%~約8%、約4%~約7%、約4.5%~約7.5%、約4.5%~約7%、または約4.5%~約6.5%w/w(それらの間の値および範囲を含む)の、本明細書に開示されるいずれかのBRaf阻害剤を含み得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される化合物のいずれか1つを含む医薬組成物は、局所投与用に製剤化される。局所投与は、放射線皮膚炎に罹患しているかまたは放射線療法によって治療される対象の皮膚領域への、組成物の局所塗布を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、グループA~Dの少なくとも1つのBRaf阻害剤、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物、またはそれらの組み合わせ、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む局所用医薬組成物が本明細書で提供される。局所投与用の組成物(局所用組成物)は、ゲル、ヒドロゲル、軟膏、クリーム、ペースト、フォーム、スプレー、ローション、液体、または皮膚パッチの形態であり得、開示の化合物のいずれかを本明細書に記載される任意の量で含み得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、局所用医薬組成物は、式:
の、本明細書に開示される任意の量のBRaf阻害剤(コード名LUT014)、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される任意のw/w%量のLUT 014、および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む局所用医薬組成物が本明細書で提供される。LUT014を含む局所用組成物は、軟膏、クリーム、ペースト、ゲル、ヒドロゲル、フォーム、スプレー、ローション、液体および皮膚パッチから選択される剤形で製剤化され得る。
【0043】
別の局所用剤形は、ペーストである。ペーストは、デンプン、酸化亜鉛、炭酸カルシウムおよびタルクなどの微粉末固体を高い割合で含有する、堅い半固体局所用剤形である。ペーストの他の成分は基剤であり、これは炭化水素、吸収成分、水混和性成分または水溶性成分であり得る。ペーストは、軟膏よりも油分が少ない。
【0044】
本開示において有用な局所用組成物は、溶液として製剤化され得る。そのような組成物は、好ましくは約1%~約50%の皮膚軟化剤を含有する皮膚軟化剤を含み得る。本明細書で使用される場合、「皮膚軟化剤」という用語は、乾燥の予防または軽減、ならびに皮膚の保護に使用される材料を指す。いくつかの適切な皮膚軟化剤が知られており、本開示において使用され得る。例えば、Sagarin,Cosmetics,Science and Technology,2nd Edition,Vol.1,pp.32-43(1972)、およびInternational Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook、eds.Wenninger and McEwen,pp.1656-61,1626,および1654-55(The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Assoc.、Washington,D.C.,7th Edition,1997)(以下、「ICI Handbook」)は、適切な材料の多くの例を含む。
【0045】
ローションは、このような溶液から作製することができる。ローションは、典型的には、約1%~約20%(例えば、約5%~約10%)の皮膚軟化剤、および約50%~約90%(例えば、約60%~約80%)の水を含む。
【0046】
溶液から製剤化され得る別のタイプの製品は、クリームである。クリームは、典型的には、約5%~約50%(例えば、約10%~約20%)の皮膚軟化剤、および約45%~約85%(例えば、約50%~約75%)の水を含む。
【0047】
溶液から製剤化され得るさらに別のタイプの製品は、軟膏である。軟膏は、動物もしくは植物油または半固体炭化水素の単純な基剤を含み得る。軟膏は、約2%~約10%の皮膚軟化剤および約0.1%~約2%の増粘剤を含み得る。本明細書で有用な増粘剤または粘度増加剤のより完全な開示は、Sagarin,Cosmetics,Science and Technology,2 nd Edition,Vol.1,pp.72-73(1972)およびICI Handbook pp.1693-1697に見出すことができる。
【0048】
本開示において有用な局所用組成物は、エマルジョンとして製剤化され得る。局所用組成物のための担体がエマルジョンである場合、担体の約1%~約10%(例えば、約2%~約5%)が乳化剤を含む。乳化剤は、非イオン性、アニオン性またはカチオン性であり得る。適切な乳化剤は、例えば、McCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition,pp.317-324(1986)およびICI Handbook,pp.1673-1686に開示されている。
【0049】
ローションおよびクリームは、エマルジョンとして製剤化することができる。そのようなローションおよびクリームは、0.5%~から約5%の乳化剤を含み得る。クリームは、約1%~約20%(例えば、約5%~約10%)の皮膚軟化剤、約20%~約80%(例えば、30%~約70%)の水、および約1%~約10%(例えば、約2%~約5%)の乳化剤を含み得る。
【0050】
本開示の局所用組成物は、ゲル(例えば、適切なゲル化剤を使用する水性、アルコール、アルコール/水、または油ゲル)として製剤化することもできる。水性ゲルに適したゲル化剤には、天然ガム、アクリル酸およびアクリレートポリマーおよびコポリマー、ならびにセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース)が含まれるが、これらに限定されない。油に適したゲル化剤には、限定されないが、水素化ブチレン/エチレン/スチレンコポリマーおよび水素化エチレン/プロピレン/スチレンコポリマーが含まれる。ゲル組成物は、約0.1重量%~5重量%のこのようなゲル化剤を含み得る。
【0051】
上記の担体および賦形剤に加えて、グリセロールトリオレエート、アセチル化スクロースジステアレート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレン(1)モノステアレート、グリセロールモノオレエート、スクロースジステアレート、ポリエチレングリコール(50)モノステアレート、オクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、デカグリセリンペンタ-イソステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ヒドロキシル化ラノリン、ラノリン、トリグリセリルジイソステアレート、ポリオキシエチレン(2)オレイルエーテル、カルシウムステアロイル-2-ラクチラート、メチルグルコシドセスキステアレート、ソルビタンモノパルミテート、メトキシポリエチレングリコール-22/ドデシルグリコールコポリマー(Elfacos E200)、ポリエチレングリコール-45/ドデシルグリコールコポリマー(Elfacos ST9)、ポリエチレングリコール400ジステアレート、およびラノリン誘導ステロール抽出物、ステアリン酸グリコールおよびステアリン酸グリセロール;セチルアルコール、ラノリンアルコールなどのアルコール;ミリスチン酸イソプロピルなどのミリスチン酸エステル;パルミチン酸セチル;コレステロール;ステアリン酸;プロピレングリコール;グリセリン、ソルビトールなど含む、他の皮膚軟化剤および界面活性剤を局所用組成物に組み込むことができる
【0052】
方法
放射線皮膚炎として知られる、放射線療法の副作用を治療、予防および/または改善する方法が本明細書で提供される。
【0053】
いくつかの実施形態では、放射線皮膚炎は、放射線療法によって誘発される皮膚病学的または皮膚の有害反応である。
【0054】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象における放射線療法によって引き起こされる放射線皮膚炎を治療、改善および/または予防する方法であって、グループA~Dの少なくとも1つのBRaf阻害剤と、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む組成物の治療および/または予防有効量を投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0055】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象における放射線療法によって引き起こされる放射線皮膚炎を治療、改善および/または予防する方法であって、グループAの少なくとも1つのBRaf阻害剤と、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む組成物の治療および/または予防有効量を投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0056】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象における放射線療法によって引き起こされる放射線皮膚炎を治療、改善および/または予防する方法であって、グループBの少なくとも1つのBRaf阻害剤と、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む組成物の治療および/または予防有効量を投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0057】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象における放射線療法によって引き起こされる放射線皮膚炎を治療、改善、および/または予防する方法であって、本明細書に開示される任意のw/w%量のグループBの少なくとも1つのBRaf阻害剤(式(I)、式中、Rは3-(トリフルオロメトキシ)フェニルである、コード名LUT014)と、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む組成物の治療および/または予防有効量を投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0058】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象における放射線療法によって引き起こされる放射線皮膚炎を治療、改善および/または予防する方法であって、グループCの少なくとも1つのBRaf阻害剤と、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む組成物の治療および/または予防有効量を投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0059】
いくつかの実施形態では、それを必要とする対象における放射線療法によって引き起こされる放射線皮膚炎を治療、改善および/または予防する方法であって、グループDの少なくとも1つのBRaf阻害剤と、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む組成物の治療および/または予防有効量を投与することを含む方法が本明細書で提供される。
【0060】
いくつかの実施形態では、対象は、ヒト、イヌおよび/またはネコなどの哺乳動物である。
【0061】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、治療および/または予防有効量の本開示の化合物/組成物の局所投与を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、本開示の1つ以上の化合物を約0.1mg/日~約1mg/日で局所投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、本開示の1つ以上の化合物を、約0.1mg/日、約0.2mg/日、約0.3mg/日、約0.4mg/日、約0.5mg/日、約0.6mg/日、約0.7mg/日、約0.8mg/日、約0.9mg/日または約1mg/日(それらの間の値および範囲を含む)で局所投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、本開示の1つ以上の化合物を、約0.1mg/日~約0.5mg/日、約0.2mg/日~約0.8mg/日、約0.2mg/日~約0.5mg/日、約0.5mg/日~約1mg/日(それらの間の値および範囲を含む)で局所投与することを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、本開示の1つ以上の化合物を約1mg/日~約5mg/日で局所投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、本開示の1つ以上の化合物を、約1mg/日、約1.5mg/日、約2mg/日、約2.5mg/日、約3mg/日、約3.5mg/日、約4mg/日、約4.5mg/日、または約5mg/日(それらの間の値および範囲を含む)で局所投与することを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、本開示の1つ以上の化合物を約5mg/日~約10mg/日で局所投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、本開示の1つ以上の化合物を、約5mg/日、約5.5mg/日、約6mg/日、約6.5mg/日、約7mg/日、約7.5mg/日、約8mg/日、約8.5mg/日、約9mg/日、約9.5mg/日、または約10mg/日(それらの間の値および範囲を含む)で局所投与することを含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、本開示の1つ以上の化合物を、約1mg/日~約10mg/日、約1mg/日~約8mg/日、約2mg/日~約8mg/日、約2.5mg/日~約7.5mg/日、約3mg/日~約8mg/日、約3mg/日~約6mg/日、または約4mg/日~約8mg/日(それらの間の値および範囲を含む)で局所投与することを含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、投与される化合物の量は、化合物の性質、投与様式、および/または皮膚反応の重症度によって決まる。患者に投与する必要がある予防および/または治療有効量は、当技術分野で公知の用量設定臨床試験によって決定することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、放射線皮膚炎反応の重症度を軽減する。
【0068】
皮膚有害反応の重症度を等級分けするために最も一般的に使用されるシステムは、放射線治療腫瘍学グループ(RTOG)グレーディングスケール、および国立がん研究所の有害事象共通用語規準(CTCAE)version 5.0であり、これは以下に示す6つのグレードを認定する。
【0069】
皮膚炎放射線: </u>(CTCEA version 5の72ページから転載):
グレード0-変化なし
グレード1-かすかな紅斑または乾性落屑
グレード2-中程度~活発な紅斑;斑状の湿性落屑;ほとんどは皮膚のひだ、および皺に限られる;中程度の浮腫
グレード3-皮膚のひだおよび皺以外の領域における湿性落屑;軽微な外傷または摩耗によって誘発される出血
グレード4-生命を脅かす結果;全層真皮の皮膚壊死または潰瘍;関与部位からの自然出血;皮膚移植を必要とする
【0070】
グレード5-死亡
放射線皮膚炎のRTOGグレーディングスケール:
グレード0-変化なし
グレード1-かすかな紅斑;乾性落屑;脱毛;発汗の減少
グレード2-穏やかな、または明るい紅斑;中程度の浮腫;斑状の湿性落屑
グレード3-皮膚のひだ以外の領域における湿性落屑;圧痕性浮腫
グレード4-潰瘍形成;出血;壊死
グレード5-死亡
【0071】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示された方法は、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)version 5.0によって、または放射線治療腫瘍学グループ(RTOG)のグレーディングスケールに従って定義した場合、皮膚の有害反応の重症度をグレード4からグレード3、2、1または0まで低下させる。
【0072】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、NCI-CTCAE version 5.0によって、または放射線治療腫瘍学グループ(RTOG)のグレーディングスケールに従って定義した場合、皮膚の有害反応の重症度をグレード3からグレード2、1または0まで低下させる。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、NCI-CTCAE version 5.0によって、または放射線治療腫瘍学グループ(RTOG)のグレーディングスケールに従って定義した場合、皮膚の有害反応の重症度をグレード2からグレード1または0まで低下させる。
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、NCI-CTCAE version 5.0によって、または放射線治療腫瘍学グループ(RTOG)のグレーディングスケールに従って定義した場合、皮膚の有害反応の重症度をグレード1からグレード0まで低下させる。
【0075】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、皮膚有害反応の発生を部分的または完全に予防する。
【0076】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、NCI-CTCAE version 5.0によって、または放射線治療腫瘍学グループ(RTOG)のグレーディングスケールに従って定義した場合、グレード4、グレード3、グレード2、またはグレード1の皮膚有害反応の発症を部分的に、または完全に予防する。
【0077】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、皮膚有害反応の増大を予防する。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、NCI-CTCAE version 5.0によって、または放射線治療腫瘍学グループ(RTOG)のグレーディングスケールに従って定義した場合、皮膚有害反応のグレード0からグレード1、2、3または4への上昇を予防する。
【0078】
別の実施形態では、本明細書に開示される方法は、NCI-CTCAE version 5.0によって、または放射線治療腫瘍学グループ(RTOG)のグレーディングスケールに従って定義した場合、皮膚有害反応のグレード1からグレード2、3または4への上昇を予防する。
【0079】
別の実施形態では、本明細書に開示される方法は、NCI-CTCAE version 5.0によって、または放射線治療腫瘍学グループ(RTOG)のグレーディングスケールに従って定義した場合、皮膚有害反応のグレード2からグレード3または4への上昇を予防する。
【0080】
別の実施形態では、本明細書に開示される方法は、NCI-CTCAE version 5.0によって、または放射線治療腫瘍学グループ(RTOG)のグレーディングスケールに従って定義した場合、皮膚有害反応のグレード3からグレード4への上昇を予防する。
【0081】
いくつかの実施形態では、治療および/または予防有効用量の少なくとも1つのBRaf阻害剤またはそれらの組み合わせと、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む局所用組成物の、それを必要とする対象に局所投与することによる、放射線皮膚炎の治療、予防または軽減のための使用が提供される。
【0082】
いくつかの実施形態では、前記組成物が、BAY43-9006(ソラフェニブ)、LGX818(エンコラフェニブ)、PLX4032(ベムラフェニブ)、GSK2118436(ダブラフェニブ)、ARQ736、ARQ680、AZ628、C-1、C-15、C-19、C-A、CEP-32496、GDC-0879、NMS-P186、NMS-P349、NMS-P383、NMS-P396、NMS-P730、PLX3603(RO5212054)、PLX4720(ジフルオロフェニルスルホンアミン)、PF-04880594、PLX4734、RAF265、RO4987655、SB590885、ZM336372、BMS908662、WYE-130600、TAK632、MLN 2480、XL281、
式(I)の化合物であって、
式中、Rが、p-クロロフェニル、3-エチニルフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、2-フルオロ-4-ヨードフェニル、4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル、3-(1,1-ジメチルエチル)-1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル、3-(トリフルオロメトキシ)フェニル、3,5-ジヒドロキシフェニル、フェニル-3-スルホンアミドまたは3-(トリフルオロメチル)フェニル、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物からなる群から選択される化合物;
式(II)の化合物であって、
式中、RがNHR1であり、ここで、R1が、2-フルオロ-4-ヨードフェニル、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である化合物;
式(III)の化合物であって、
式中、RがNHR1であり、ここで、R1が3-エチニルフェニル、3-クロロ-4-フルオロフェニル、2-フルオロ-4-ヨードフェニル、または4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である化合物;
またはそれらの組み合わせから選択される、治療および/または予防有効用量の少なくとも1つのBRaf阻害剤;および薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、上記の使用が提供される。
【0083】
いくつかの実施形態では、BRaf阻害剤が式(I)の化合物であり、Rが3-(トリフルオロメトキシ)フェニルである上記の使用が提供される。
【0084】
いくつかの実施形態では、BRaf阻害剤がBRafの活性を阻害し、細胞増殖を増加させる、上記の実施形態のいずれか1つの使用が提供される。
【0085】
いくつかの実施形態では、治療および/または予防有効用量の少なくとも1つのBRaf阻害剤またはそれらの組み合わせと、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む本開示の局所用組成物の、それを必要とする対象に局所投与することによって放射線皮膚炎を治療、予防または軽減するための使用が提供され、前記組成物は、局所投与用に製剤化される。
【0086】
いくつかの実施形態では、局所用組成物がゲル、ヒドロゲル、軟膏、クリーム、ペースト、フォーム、スプレー、ローション、液体または皮膚パッチの形態である上記の使用が提供される。
【0087】
いくつかの実施形態では、組成物中のBRaf阻害剤が組成物の総重量の1%w/w~5%w/wの濃度で存在する、本開示の組成物のいずれか1つの使用が提供される。
いくつかの実施形態では、組成物中のBRaf阻害剤が組成物の総重量の0.1%w/w~10%w/wの濃度で存在する、本開示の組成物のいずれか1つの使用が提供される。
【0088】
いくつかの実施形態では、放射線皮膚炎の重症度を軽減するか、または増大を予防する、本開示の組成物のいずれか1つの使用が提供される。
【0089】
いくつかの実施形態では、皮膚有害反応の重症度を、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)version 5.0によって、または放射線治療腫瘍学グループ(RTOG)のグレーディングスケールに従って定義した場合、グレード4からグレード3、2、1または0まで低下させる、本開示の組成物のいずれか1つの使用が提供される。
【0090】
いくつかの実施形態では、皮膚有害反応の重症度を、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)version 5.0、または対応するRTOGグレードによって定義した場合、グレード3からグレード2、1または0まで低下させる、本開示の組成物のいずれか1つの使用が提供される。
【0091】
いくつかの実施形態では、皮膚有害反応の重症度を、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)version 5.0、または対応するRTOGグレードによって定義した場合、グレード2からグレード1または0まで低下させる、本開示の組成物のいずれか1つの使用が提供される。
【0092】
いくつかの実施形態では、皮膚有害反応の重症度を、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)version 5.0、または対応するRTOGグレードによって定義した場合、グレード1からグレード0まで低下させる、本開示の組成物のいずれか1つの使用が提供される。
【0093】
いくつかの実施形態では、皮膚有害反応が、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)version 5.0、または対応するRTOGグレードによって定義した場合、グレード0からグレード1、2、3または4まで上昇するのを予防する、本開示の組成物のいずれか1つの使用が提供される。
【0094】
いくつかの実施形態では、皮膚有害反応が、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)version 5.0、または対応するRTOGグレードによって定義した場合、グレード1からグレード2、3、または4まで上昇するのを予防する、本開示の組成物のいずれか1つの使用が提供される。
【0095】
いくつかの実施形態では、皮膚有害反応が、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)version 5.0、または対応するRTOGグレードによって定義した場合、グレード2からグレード3、または4まで上昇するのを予防する、本開示の組成物のいずれか1つの使用が提供される。
【0096】
いくつかの実施形態では、皮膚有害反応が、国立がん研究所有害事象共通用語規準(NCI-CTCAE)version 5.0、または対応するRTOGグレードによって定義した場合、グレード3からグレード4まで上昇するのを予防する、本開示の組成物のいずれか1つの使用が提供される。
【実施例1】
【0097】
化合物-LUT 012、LUT 013、LUT 014、LUT 015、LUT 016、LUT 017、LUT-019、LUT 020、C-1、およびベムラフェニブ-のMIA PaCa細胞の増殖に対する効果
【0098】
本実施例では、MIA PaCa 2 K-ras細胞の増殖に対する化合物の効果を調査した。ERKリン酸化を誘発する化合物は、Mia PaCa細胞の増殖も誘発すると予想された。
【0099】
細胞を、96ウェルプレート内の飢餓培地に5000細胞/ウェルで、37°C、5%CO で24時間播種した。試験される化合物を、0.002μM~10μMの範囲の異なる濃度で添加した。対照は、未処理細胞および0.1% DMSOのビヒクルであった。細胞を37°C、5% COで72時間インキュベートし、次いで、ATPlite増殖キット(Perkin-Elmer)を用いて増殖を試験した。各結果は、6つのウェルの平均を表す。結果を、DMSO対照と比較して超過した増殖の割合として示す。
【0100】
最も高い増殖をもたらした化合物の濃度をDMSOと比較した。DMSOを100%として計算した。72時間後、DMSO対照と比較して誘発された増殖%は、C-1では30%、LUT013では173%、LUT014では116%、LUT015では29%、LUT016では110%、LUT017では174%、LUT012では20%、LUT019では7%、LUT020では12%であった。ベムラフェニブは、DMSOと比較して12%の増殖を示した(図1図6を参照のこと)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】