IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トゥルー テンパー スポーツ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2022-519725複合材の外層に切り抜きが施されたスポーツ用具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】複合材の外層に切り抜きが施されたスポーツ用具
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/10 20150101AFI20220316BHJP
   A63B 59/70 20150101ALI20220316BHJP
   A63B 59/20 20150101ALI20220316BHJP
   A63B 59/54 20150101ALI20220316BHJP
   A63B 102/14 20150101ALN20220316BHJP
   A63B 102/22 20150101ALN20220316BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20220316BHJP
   A63B 102/18 20150101ALN20220316BHJP
【FI】
A63B53/10 A
A63B59/70
A63B59/20
A63B59/54
A63B102:14
A63B102:22
A63B102:32
A63B102:18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546292
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(85)【翻訳文提出日】2021-10-06
(86)【国際出願番号】 US2020015636
(87)【国際公開番号】W WO2020163136
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】62/802,313
(32)【優先日】2019-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500045213
【氏名又は名称】トゥルー テンパー スポーツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン ジュニア,ドナルド コリンズ
(72)【発明者】
【氏名】モルナー,ブライアン クリストファー
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002CS03
2C002MM02
2C002PP03
(57)【要約】
管状のスポーツ用具は、第1の方向に向いた繊維を含む複合材の第1の層と、複合材の第1の層に直接接触し、複合材の第1の層の半径方向外側に配置され、第1の方向とは異なる第2の方向に向いた繊維を含む、複合材の第2の層と、複合材の第2の層に直接接触し、複合材の第2の層の半径方向外側に配置され、第2の方向とは異なる第3の方向に向いた繊維を含む、複合材の第3の層であって、第2の層の一部が見えるように第3の層を貫通して形成された開口を含む、複合材の第3の層と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に向いた繊維を含む複合材の第1の層と、
複合材の前記第1の層に直接接触し、複合材の前記第1の層の半径方向外側に配置され、前記第1の方向とは異なる第2の方向に向いた繊維を含む、複合材の第2の層と、
複合材の前記第2の層に直接接触し、複合材の前記第2の層の半径方向外側に配置され、前記第2の方向とは異なる第3の方向に向いた繊維を含む、複合材の第3の層であって、前記第2の層の一部が見えるように前記第3の層を貫通して形成された開口を含む、複合材の前記第3の層と、
を備える、管状のスポーツ用具。
【請求項2】
前記管状のスポーツ用具がゴルフクラブのシャフトである、請求項1に記載の管状のスポーツ用具。
【請求項3】
前記管状のスポーツ用具が、ホッケー用のスティックのシャフトである、請求項1に記載の管状のスポーツ用具。
【請求項4】
前記管状のスポーツ用具が、ホッケー用のスティックのブレードである、請求項1に記載の管状のスポーツ用具。
【請求項5】
前記管状のスポーツ用具が、ラクロス用のクロスのスティックである、請求項1に記載の管状のスポーツ用具。
【請求項6】
前記管状のスポーツ用具の一部が、野球のバットである、請求項1に記載の管状のスポーツ用具。
【請求項7】
前記第3の方向が、前記第1の方向とは異なる、請求項1に記載の管状のスポーツ用具。
【請求項8】
前記開口が、前記管状のスポーツ用具の遠位端間に位置する、請求項1に記載の管状のスポーツ用具。
【請求項9】
複合材の前記第2の層には、複合材の前記第2の層を貫通するどのような開口も含まない、請求項1に記載の管状のスポーツ用具。
【請求項10】
複合材の前記第1の層に直接接触し、複合材の前記第1の層の半径方向内側に配置され、前記第1の方向とは異なる第4の方向に向いた繊維を含む、複合材の第4の層をさらに含む、請求項1に記載の管状のスポーツ用具。
【請求項11】
複合材の前記第4の層に直接接触し、複合材の前記第4の層の半径方向内側に配置され、前記第4の方向とは異なる第5の方向に向いた繊維を含む、複合材の第5の層をさらに含む、請求項10に記載の管状のスポーツ用具。
【請求項12】
複合材の前記第1の層、前記第2の層、および前記第3の層が各々、
繊維と、
樹脂と、
前記樹脂と化学反応するエポキシと、
を含む、請求項1に記載の管状のスポーツ用具。
【請求項13】
前記繊維がグラファイト繊維を含む、請求項1に記載の管状のスポーツ用具。
【請求項14】
前記繊維がカーボン繊維を含む、請求項1に記載の管状のスポーツ用具。
【請求項15】
前記繊維がアラミド繊維を含む、請求項1に記載の管状のスポーツ用具。
【請求項16】
管状スポーツ用具を製造する方法であって、
複合材の第1の層、第2の層、および第3の層を、前記第1の層が前記第2の層の半径方向内側に配置され、前記第2の層が前記第3の層の半径方向内側に配置されるように、管状のコア部材に巻き付ける工程と、
複合材の前記第1の層、前記第2の層、および前記第3の層を硬化させて、管状のスポーツ用具を形成する工程と、
を含み、
複合材の前記第1の層が、第1の方向に向いた繊維を含み、
複合材の前記第2の層が、複合材の前記第1の層に直接接触し、前記第1の方向とは異なる第2の方向に向いた繊維を含み、
複合材の前記第3の層が、複合材の前記第2の層に直接接触し、前記第2の方向とは異なる第3の方向に向いた繊維を含み、前記第2の層が見えるように前記第3の層を貫通して形成された開口を含む、方法。
【請求項17】
複合材の前記第3の層の上に塗料を塗布することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記管状のスポーツ用具から前記管状のコア部材を除去することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記硬化の後、複合材の前記第1の層、前記第2の層、および前記第3の層を所望の長さになるように切ることをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
管状のスポーツ用具であって、
複合材の第1の層と、
複合材の前記第1の層に直接接触し、複合材の前記第1の層の半径方向外側に配置された、金属の第2の層と、
前記第2の層に直接接触し、前記第2の層の半径方向外側に配置された複合材の第3の層であって、前記第2の層の一部が見えるように前記第3の層を貫通して形成された開口を含む、複合材の前記第3の層と、を備える、管状のスポーツ用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本開示は、PCT国際出願であり、2019年2月7日に出願された米国特許仮出願第62/802,313号の利益を主張するものである。上記で言及した出願の開示内容全体を、本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、スポーツ用具に関し、特に、ゴルフクラブの複合シャフト、ホッケー用のスティックの複合シャフト、ホッケー用のスティックの複合ブレード、ラクロス用の複合クロス、野球用の複合バットおよび他の管状の複合スポーツ用具に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術の欄で提供される情報は、本開示の背景を大まかに示すことを目的としたものである。この背景技術に記載した範囲での、現行の発明者の業績、ならびに、そうでなければ出願時における先行技術としては適さないかもしれない説明の態様については、明示的にも黙示的にも、これを本開示に対する先行技術として認めるものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スポーツによって、使用する用具のタイプも異なる。例えば、ゴルフの競技ではゴルフ用のクラブとボールが使用され、ラクロスの競技ではラクロス用のクロスとボールが使用され、ホッケーの競技ではホッケー用のスティックとパックが使用され、野球の競技では野球用のバットとボールが使用されるといった具合である。ゴルフでは、ゴルフ用のボールを打つのにゴルフクラブが使用される。ラクロスでは、ラクロス用のボールをパスしたり、シュートしたり、運んだりするのにラクロス用のクロスが使用される。野球では、野球ボールに当てるのに野球用のバットが使用される。ホッケーでは、ホッケー用のパックのパス、ディフレクション、シュートにホッケー用のスティックが使用される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある特徴では、管状のスポーツ用具が、第1の方向に向いた繊維を含む複合材の第1の層と、複合材の第1の層に直接接触し、複合材の第1の層の半径方向外側に配置され、第1の方向とは異なる第2の方向に向いた繊維を含む、複合材の第2の層と、複合材の第2の層に直接接触し、複合材の第2の層の半径方向外側に配置され、第2の方向とは異なる第3の方向に向いた繊維を含む、複合材の第3の層であって、第2の層の一部が見えるように第3の層を貫通して形成された開口を含む、複合材の第3の層と、を含む。
【0006】
別の特徴では、管状のスポーツ用具がゴルフクラブのシャフトである。
【0007】
別の特徴では、管状のスポーツ用具が、ホッケー用のスティックのシャフトである。
【0008】
別の特徴では、管状のスポーツ用具が、ホッケー用のスティックのブレードである。
【0009】
別の特徴では、管状のスポーツ用具が、ラクロス用のクロスのスティックである。
【0010】
別の特徴では、管状のスポーツ用具の一部が、野球のバットである。
【0011】
別の特徴では、第3の方向が、第1の方向とは異なる。
【0012】
別の特徴では、開口が、管状のスポーツ用具の遠位端間に位置する。
【0013】
別の特徴では、複合材の第2の層は、複合材の第2の層を貫通するどのような開口も含まない。
【0014】
別の特徴では、複合材の第4の層が、複合材の第1の層に直接接触し、複合材の第1の層の半径方向内側に配置され、第1の方向とは異なる第4の方向に向いた繊維を含む。
【0015】
別の特徴では、複合材の第5の層が、複合材の第4の層に直接接触し、複合材の第4の層の半径方向内側に配置され、第4の方向とは異なる第5の方向に向いた繊維を含む
【0016】
別の特徴では、複合材の第1の層、第2の層および第3の層が各々、繊維と、樹脂と、樹脂と化学反応するエポキシと、を含む。
【0017】
別の特徴では、繊維がグラファイト繊維を含む。
【0018】
別の特徴では、繊維がカーボン繊維を含む。
【0019】
別の特徴では、繊維がアラミド繊維を含む。
【0020】
ある特徴では、管状スポーツ用具を製造する方法は、複合材の第1の層、第2の層、および第3の層を、第1の層が第2の層の半径方向内側に配置され、第2の層が第3の層の半径方向内側に配置されるように、管状のコア部材に巻き付ける工程と、複合材の第1の層、第2の層、および第3の層を硬化させて、管状のスポーツ用具を形成する工程と、を含み、複合材の第1の層が、第1の方向に向いた繊維を含み、複合材の第2の層が、複合材の第1の層に直接接触し、第1の方向とは異なる第2の方向に向いた繊維を含み、複合材の第3の層が、複合材の第2の層に直接接触し、第2の方向とは異なる第3の方向に向いた繊維を含み、第2の層が見えるように第3の層を貫通して形成された開口を含む。
【0021】
別の特徴では、この方法は、複合材の第3の層の上に塗料を塗布することをさらに含む。
【0022】
別の特徴では、この方法は、管状のスポーツ用具から管状のコア部材を除去することをさらに含む。
【0023】
別の特徴では、この方法は、硬化の後、複合材の第1の層、第2の層、および第3の層を所望の長さになるように切ることをさらに含む。
【0024】
ある特徴では、管状のスポーツ用具が、複合材の第1の層と、複合材の第1の層に直接接触し、複合材の第1の層の半径方向外側に配置された、金属の第2の層と、第2の層に直接接触し、第2の層の半径方向外側に配置された複合材の第3の層であって、第2の層の一部が見えるように第3の層を貫通して形成された開口を含む、複合材の第3の層と、を備える。
【0025】
本開示を適用可能なさらに別の領域が、詳細な説明、特許請求の範囲および図面から明らかになるであろう。詳細な説明と具体例については、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0026】
本開示は、詳細な説明および添付の図面から、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、ゴルフクラブのシャフトなどの管状のスポーツ用具を製造するのに使用される(未硬化の)複合材と管とを含む、例示図を含む。
図2図2は、複合材の断面図を含む。
図3図3は、複合材の上に配置された管の平面図を含む。
図4図4は、管に巻き付けられた複合材を示す断面図を含む。
図5図5は、複合材の外層の例を示す平面図を含む。
図6図6は、外層を貫通して形成された少なくとも1つの開口を含む複合材の外層の上に配置された管の平面図を含む。
図7図7は、管に巻き付けられた外層を示す断面図を含む。
図8図8は、外層から文字が切り抜かれた、硬化および塗装前のゴルフシャフトを例示した図を含む。
図9A図9Aは、硬化およびクリア塗料での塗装後の、図8のゴルフシャフトを例示した図を含む。
図9B図9Bは、硬化およびクリア塗料での塗装後の、外層からパターンが切り抜かれたゴルフシャフトを例示した図を含む。
図10図10は、ホッケー用のスティックを含む例示図を含む。
図11図11は、1つ以上の開口を含むホッケー用のスティックのブレード部の複合材の外層を例示した図を含む。
図12図12は、1つ以上の開口を含むホッケー用のスティックのブレード部の複合材の外層を例示した図を含む。
図13A図13Aは、1つ以上の開口を含むホッケー用のスティックのグリップ部の複合材の外層を例示した図を含む。
図13B図13Bは、1つ以上の開口を含むホッケー用のスティックのグリップ部の複合材の外層を例示した図を含む。
図14図14は、1つ以上の開口を含むラクロス用のクロスのグリップ部の複合材の外層を例示した図を含む。
図15図15は、複合材の外層を貫通して少なくとも1つの開口が形成されたスポーツ用具を製造する例示的な方法を含む。
図16図16は、1つ以上の開口を含む野球用のバットの胴部の複合材の外層を例示した図を含む。
【0028】
図面では、類似および同一の少なくとも一方の要素を識別するために、参照符号を繰り返して用いることがある。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、ゴルフクラブのシャフトを製造するのに使用される(未硬化の)複合材100と管104とを含む、例示図を含む。管104は、マンドレルと呼ばれる場合もある。複合材100は、複数の異なる層を含む。図2は、複合材100の断面図を含む。6つの層204、208、212、216、220、および224を含む複合材の例が提供されているが、使用する層を7層以上または5層以下にしてもよい。
【0030】
各々の層は、複合材の繊維、エポキシ、および樹脂を含むものであってもよい。例えば、各々の層は、グラファイト繊維、エポキシ、および樹脂を含むものであってもよい。エポキシは、樹脂と化学的に反応する。ある層の複合材の繊維の方向が、隣接する層の複合材の繊維の方向と異なっていてもよい。例えば、層208の複合材の繊維を第1の方向に配置してもよく、層204の複合材の繊維を、第1の方向とは異なる第2の方向に配置してもよく、層212の複合材の繊維を、第3の方向とは異なる第3の方向に配置してもよい。繊維の方向については、例えば、ゴルフクラブのシャフトが所望の構造的な(例えば、ねじり、曲げなどの)特性になるように選択すればよい。例えば、第1の方向は、管104と平行(例えば、管104の長手方向の軸に対して0度)であってもよい。第2の方向は、例えば、第1の方向に対して垂直(例えば、第1の方向に対して90度)であってもよい。第3の方向は、第1の方向の30度または45度左か右のうち一方であってもよい。第4の方向は、第1の方向の30度または45度左か右のうち他方であってもよい。ここでは複数の方向の例を示したが、他の適切な方向を使用してもよい。様々な実施形態において、1つ以上の層は、織られた(非方向性の)繊維を有していてもよい。これらの繊維は、例えば、グラファイト、カーボン、アラミド、ガラスまたは他の適切なタイプの繊維であればよい。
【0031】
様々な実施形態において、層224は、複合材とは異なる材料で作られていてもよい。例えば、層224は、アルミニウム箔、銅箔、鋼箔またはステンレス鋼箔などの金属箔を含んでもよい。ここでは例としてアルミニウム、銅、鋼およびステンレス鋼を示したが、別の適切な材料を使用してもよい。層224が金属箔で作られていると、曲げ特性、ねじり特性などの1つ以上の構造的な特性を達成しやすくなる場合がある。また、層224が非繊維材料(例えば、金属)で作られている例では、層224の両面に樹脂材料を塗布してもよい。
【0032】
管104は、固体(例えば、金属)であってもよいし、中空であってもよい。管104は、例えば、円錐台形または円錐形であってもよい。様々な実施形態において、複合材100は、管104の端を越えてのびていてもよい。管104は、スポーツ用具の種類ごとに形状が異なっていてもよい。
【0033】
図3に示すように、管104は、複合材100の上に配置される。複合材100は、管104に巻き付けられる。図4は、管104に巻き付けられた複合材100を示す図である。複合材100を管104に巻き付けたら、この複合材100と管104を、例えばプラテンプレスを用いてプレスして圧延してもよい。
【0034】
図5は、複合材の例示的な(未硬化の)外層504の平面図を含む。外層504も、複合材の繊維、エポキシ、および樹脂を含む。しかしながら、外層504の一部(例えば、内側)が切り抜かれている。すなわち、外層504を貫通する1つ以上の穴(開口)が形成されている。例えば、図5の例では、外層504から「cut out」という言葉を切り抜いた様子を示している。他の単語、文字、ロゴ(商標または非商標)、画像、パターンなど、他のものを外層504から切り抜くことができる。様々な実施形態では、外層504から切り抜く1つ以上のアイテムを示すユーザ入力に応答して、切断装置(例えば、CNCルータなどのコンピュータ数値制御(CNC)切断機)によって外層504を切り抜いてもよい。
【0035】
外層504の繊維の方向は、外層504が設けられる(繊維を含む層224の例では)層224の繊維の方向と同じであってもよいし、異なっていてもよい。外層504の繊維の方向と層224の繊維の方向とが異なることで、外層504から切り抜いたアイテムが、より見えやすく、印象的になる場合がある。単なる例にすぎないが、外層504の繊維の方向と、層224の繊維の方向とが90度離れていてもよい。金属箔を含む層224の例では、外層504から切り抜かれたアイテムを通して、金属箔が見える。
【0036】
外層504と切り抜かれたアイテムが、ゴルフクラブのシャフトなどのスポーツ用具の1つ以上の構造的な(例えば、ねじり、曲げなどの)特性をより良くすることがある。これに加えてまたはこれに代えて、外層504と切り抜かれたアイテムが、ゴルフクラブのシャフトなどのスポーツ用具の1つ以上の美的特性をより良くすることができる。
【0037】
図6に示すように、管104は、外層504の上に配置される。外層は、管104に巻き付けられる。図7は、管104に巻き付けられた外層504を示す。外層504を管104に巻き付けたら、この外層504と管104を、例えばプラテンプレスを用いて、ここでもプレスおよび圧延してもよい。様々な実施形態では、外層504を複合材100の上に(例えば、224の真下に)重ねてもよいし、外層504と複合材100を同時に管104に巻き付けてもよい。この例では、1回のロールプレスを行うことができる。外層504と複数の層の厚さが等しくてもよいし、1つ以上の層の厚さが1つ以上の他の層の厚さと異なっていてもよい。
【0038】
複合材100と外層504を(例えば、熱および圧力の少なくとも一方で)硬化させて外層504と複合材100の層を接着し、ゴルフクラブのシャフトなどのスポーツ用具を作製することができる。そして硬化の前または後に、管104を除去することができる。このゴルフシャフトを、硬化後に所望の長さになるように切ってもよい。硬化後に、外層504の上に塗料を1層以上塗布してもよい。外層504から切り抜かれたアイテムの視認性を維持するために、塗料は透明な塗料または半透明の塗料であってもよい。
【0039】
図8は、外層から「HZRDUS」を切り抜いた状態で、硬化および塗装前のゴルフシャフトを例示した図を含む。図9Aは、硬化させてクリア塗料で塗装した後の、図8のゴルフシャフトを例示した図を含む。図9Bは、硬化させてクリア塗料で塗装した後の、外層からパターンを切り抜いたゴルフシャフトを例示した図を含む。
【0040】
図10は、ホッケー用のスティック10を含む例示図を含む。ホッケー用のスティック10は、プレーヤー14が握るグリップ部12(すなわち、シャフト)と、ホッケーパック18またはボールを制御するのに使用されるブレード部16(すなわち、ブレード)とを含む。ホッケー用のスティック10は、ゴールキーパーのポジションを含む、ホッケーチームのあらゆるポジションに適応することができる。言い換えれば、ホッケー用のスティック10は、ゴールキーパーが用いるホッケー用のスティックであってもよいし、他のポジションで使用するように構成されたホッケー用のスティックであってもよい。また、ここでは例としてアイスホッケー用スティックを示すが、本願は、フィールドホッケー用のスティック、ローラーホッケー用のスティック、その他の種類のスポーツ用具にも適用可能である。
【0041】
グリップ部12は、細長く、長手方向にまっすぐであっても構わない。いくつかの実施形態では、カバー(例えば、カーボン繊維を有する複合材)の中に埋め込まれてカバーに包まれた中空のコアを、グリップ部12は含むことができる。外層504(1つ以上のアイテムが外層から切り抜かれている)は、グリップ部12の外層であってもよい。図13Aおよび図13Bは、グリップ部12に「cut out」が形成された外層504を例示した図を含む。図14は、ラクロス用のクロスのグリップ部に「cut out」が形成された外層504を例示した図を含む。外層から切り抜かれた1つ以上のアイテムは、ホッケー用のスティックまたはラクロス用のクロスのグリップ部の任意の1つ以上の側面に配置することができる。
【0042】
グリップ部12は、ブレード接続端13を含む。グリップ部12のブレード接続部13には、ブレード部16が固定されている。このブレード部16は、任意の適切な方法を用いて、ブレード接続端13に固定することができる。グリップ部12とブレード部16とを別々に製造し、あとから一体にすることができる。あるいは、グリップ部12とブレード部16を一緒に製造してもよい。
【0043】
ブレード部16は主に、ホッケーパック18を受けて移動させる(例えば、パス、シュートなど)のに使用できる前面20と、同じくホッケーパック18を受けて移動させるのに使用できる後面22と、を含む。ブレード部16は、グリップ部12のブレード接続端13に接続される第1の端28も含む。ブレード部16は、第1の端28とは反対側にある第2の端30も含む。
【0044】
また、ブレード部16は、上縁24と、上縁24とは反対側にある下縁26とを含む。上縁24は一般に、競技面(例えば、氷)から離れている。下縁26は、競技面に接触することもある。
【0045】
上縁24および下縁26は、どちらもブレード部16の第1の端28と第2の端30との間に延在する。前面20が凹状で後面22が凸状になるように、第1の端28と第2の端30との間で、上縁24および下縁26と前面20および後面22を湾曲させることができる。
【0046】
ブレード部16は、1つ以上のコア部材に巻き付けられるカバーを含む。カバーは、上述したゴルフクラブのシャフトと同様に1以上の複合材の層を含む。外層504(1つ以上のアイテムが切り抜かれている)は、ブレード部16の外層であってもよい。外層504から切り抜かれた1つ以上のアイテムは、前面20、後面22、または、前面20と後面22の両方に、位置させることができる。図11および図12は、「cut out」がブレード部16に形成されている外層504を例示した図を含む。
【0047】
図16は、1つ以上の開口を有する外層504を含む野球用のバット1604を含む例示した図である。野球用のバット1604は、プレーヤーが握るグリップ部1608と、ボールを打つ/接触させるために使用されるヘッド部または胴部1612とを含む。グリップ部1608と胴部1612は、互いに一体にされた別個のピースであってもよいし、継ぎ目のない単一のピースであってもよい。ここでは、胴部1612の外層504に開口を形成した例を図16に示したが、これに加えてまたはこれに代えて、1つ以上の開口をグリップ部1608の外層504に形成してもよい。
【0048】
図15は、ゴルフクラブのシャフト、ホッケー用のスティックのシャフト、ホッケー用のスティックのブレード、ラクロス用のクロスまたは野球用のバットなどのスポーツ用具を製造する例示的な方法を含む。この方法は、複合材の1つ以上の内層(例えば、100)を、1つ以上のコア部材(例えば、管104、ホッケー用のスティックのシャフトまたはブレードを形成するのに用いられるコアまたは別の適切なタイプの管状のコア部材)に巻き付ける1504で開始される。1508では、例えばプラテンプレスを使用して、1つ以上の内層をコア部材に向かってプレスしてもよい。また、熱を加えてもよい。
【0049】
1512では、1つ以上のアイテム(すなわち、外層504を貫通して形成される1つ以上の開口)が切り抜かれた外層504を、内層とコア部材に巻き付ける。1516では、例えばプラテンプレスを使用して、外層をコア部材に向かってプレスしてもよい。また、熱を加えてもよい。
【0050】
1520では、外層と内層を硬化させる。外層および内層を、例えば、少なくとも所定の温度で少なくとも所定の時間加熱することによって硬化させてもよい。任意に(例えば、ゴルフクラブのシャフトの例では)、1524で外層を切って塗装を施す。
【0051】
上記の説明は、本質的に例示的なものにすぎず、どのような形であっても、本開示、その応用または用途を制限することを意図するものではない。本開示の広い教示内容を、様々な形態で実施することができる。したがって、本開示には特定の例が含まれるとはいえ、本開示の真の範囲はそのように限定されるべきではない。なぜなら、図面、明細書および以下の特許請求の範囲を検討すれば、他の改変例も明らかになるからである。ある方法の1以上の工程が、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(または同時に)実行されてもよいことが理解されるべきである。さらに、各実施形態を、特定の特徴を有するものとして上述したが、本開示のいずれかの実施形態に関して記載されたそれらの特徴は、いずれか1つ以上を、他の実施形態のいずれかの特徴に実装できる、および、それらの特徴と組み合わせることができる、の少なくとも一方である。その組み合わせが、明示的に記載されていない場合も同様である。言い換えれば、記載された実施形態は相互に排他的ではなく、1つ以上の実施形態を入れ替えても、本開示の範囲内にとどまる。
【0052】
要素間の空間的および機能的関係は、「接続され(connected)」、「かみ合い(engaged)」、「結合され(coupled)」、「隣接して(adjacent)」、「隣り合って(next to)」、「の上に(on top of)」、「上に(above)」、「下に(below)」および「配置されて(disposed)」を含む様々な用語を用いて記述される。「直接(direct)」であることが明記されていない限り、第1の要素と第2の要素との間の関係が上記開示に記載されている場合、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在要素が存在しない直接的な関係であり得るが、第1の要素と第2の要素との間に1つ以上の介在要素が(空間的にまたは機能的に)存在する間接的な関係であってもよい。本明細書で使用する場合、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」という言い回しは、包含的論理和を用いた論理的「AまたはBまたはC」を意味すると解されるべきであり、「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、Cのうちの少なくとも1つ」を意味するとは解されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
【国際調査報告】