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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】XXIII型コラーゲンアッセイ
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20220316BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20220316BHJP
   C12P 21/08 20060101ALN20220316BHJP
【FI】
C07K16/18
G01N33/53 D ZNA
C12P21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546297
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(85)【翻訳文提出日】2021-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2020053000
(87)【国際公開番号】W WO2020161242
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】1901710.2
(32)【優先日】2019-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503259129
【氏名又は名称】ノルディック・ビオサイエンス・エー/エス
【氏名又は名称原語表記】NORDIC BIOSCIENCE A/S
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】マノン-イェンセン,ティナ
(72)【発明者】
【氏名】スン,シュ
(72)【発明者】
【氏名】ホグ モルテンセン,ヨアキム
(72)【発明者】
【氏名】カルスダル,モルテン
【テーマコード(参考)】
4B064
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CA20
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA13
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA50
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、XXIII型コラーゲンを標的とするモノクローナル抗体、及び、エピトープを検出及び定量するために当該抗体を用いるイムノアッセイ及びキットを提供する。また本発明は、炎症性腸疾患をもつ患者を同定し、監視するための方法も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWHK(配列識別番号1)を有するペプチドを特異的に認識し、結合するモノクローナル抗体。
【請求項2】
請求項1に記載のモノクローナル抗体であって、当該モノクローナル抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWHK(配列識別番号1)を有する合成ペプチドに対抗して産出させたモノクローナル抗体である。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のモノクローナル抗体であって、当該抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWHKX(配列識別番号2)を有し、当該配列においてXは何らかのアミノ酸を表すペプチドを、特異的に認識又は結合しない抗体である。
【請求項4】
前記請求項のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体であって、当該抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWH(配列識別番号3)を有するペプチドを、特異的に認識又は結合しない抗体である。
【請求項5】
前記請求項のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体であって、当該抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPVQGCWNK(配列識別番号4)を有するペプチドを、特異的に認識又は結合しない抗体である。
【請求項6】
前記請求項のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体であって、当該抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPMPGCWQK(配列識別番号5)を有するペプチドを、特異的に認識又は結合しない抗体である。
【請求項7】
前記請求項のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体であって、当該モノクローナル抗体又はその断片は、下記から選ばれる1つ以上の相補性-決定領域(CDRs)を含む。
CDR-H1 : SYAMS(配列識別番号6)
CDR-H2 : SISTAGRTYYPDTVR(配列識別番号7)
CDR-H3 : PDYDYDGYIN(配列識別番号8)
CDR-L1 : RSSKSLLHSNGVTYLY(配列識別番号9)
CDR-L2 : QMSNLAS(配列識別番号10)、及び、
CDR-L3 : AQNLELPLT(配列識別番号11)
【請求項8】
前記請求項のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体であって、当該モノクローナル抗体又はその断片は、下記CDRの配列を含む軽鎖可変領域を有する。
CDR-L1 : RSSKSLLHSNGVTYLY(配列識別番号9)
CDR-L2 : QMSNLAS(配列識別番号10)、及び、
CDR-L3 : AQNLELPLT(配列識別番号11)
【請求項9】
前記請求項のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体であって、当該モノクローナル抗体又はその断片は、下記CDRの配列を含む重鎖可変領域を有する。
CDR-H1 : SYAMS(配列識別番号6)
CDR-H2 : SISTAGRTYYPDTVR(配列識別番号7)
CDR-H3 : PDYDYDGYIN(配列識別番号8)
【請求項10】
ヒト生体液試料中のXXIII型コラーゲンを検出するイムノアッセイ法であって、当該方法は、ヒト生体液試料を、C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWHK(配列識別番号1)を有するペプチドを特異的に認識し、結合するモノクローナル抗体と接触させること、及び、モノクローナル抗体と試料中のペプチドの結合を検出することを含むイムノアッセイ法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記検出は定量的検出である方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の方法であって、前記イムノアッセイは競合イムノアッセイである方法。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれか一項に記載の方法であって、前記モノクローナル抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWHK(配列識別番号1)を有する合成ペプチドに対抗して産出させたモノクローナル抗体である。
【請求項14】
請求項10乃至13のいずれか一項に記載の方法であって、前記抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWHKX(配列識別番号2)を有し、当該配列においてXは何らかのアミノ酸を表すペプチドを、特異的に認識又は結合しない抗体である。
【請求項15】
請求項10乃至14のいずれか一項に記載の方法であって、前記抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWH(配列識別番号3)を有するペプチドを、特異的に認識又は結合しない抗体である。
【請求項16】
請求項10乃至15のいずれか一項に記載の方法であって、前記抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPVQGCWNK(配列識別番号4)を有するペプチドを、特異的に認識又は結合しない抗体である。
【請求項17】
請求項10乃至16のいずれか一項に記載の方法であって、前記抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPMPGCWQK(配列識別番号5)を有するペプチドを、特異的に認識又は結合しない抗体である。
【請求項18】
請求項10乃至17のいずれか一項に記載の方法であって、前記ヒト生体液試料は、炎症性腸疾患を示す医学的な徴候又は症状を有するヒト患者から得られたものである。
【請求項19】
請求項10乃至18のいずれか一項に記載の方法であって、当該方法は、患者における炎症性腸疾患の可能性を診断、及び/又は、監視、及び/又は、評価するイムノアッセイ法であって、
当該方法は、患者から得られた生体液試料をモノクローナル抗体と接触させること、モノクローナル抗体と試料中のペプチドの結合を検出し、その結合量を決定すること、及び、決定した結合量と、健常者に結び付けられる値、及び/又は、既知の疾患重症度に結び付けられる値、及び/又は、当該患者から過去に時点において得られた値との相関性を調べることを含む。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の方法であって、前記炎症性腸疾患は、クローン病又は潰瘍性大腸炎である。
【請求項21】
C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWHK(配列識別番号1)を有するペプチドを特異的に認識し、結合するモノクローナル抗体、及び、少なくとも下記のうち少なくとも1つ:
- ストレプトアビジンをコーティングしたウエルプレート;
- C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWHK(配列識別番号1)を有するN-末端ビオチニル化ペプチド;及び、
- C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWHK(配列識別番号1)を有する較正用ペプチド
を含むアッセイキット。
【請求項22】
請求項21に記載のアッセイキットであって、前記モノクローナル抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWHK(配列識別番号1)を有する合成ペプチドに対抗して産出させたモノクローナル抗体である。
【請求項23】
請求項21又は22に記載のアッセイキットであって、前記抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWHKX(配列識別番号2)を有し、当該配列においてXは何らかのアミノ酸を表すペプチドを、特異的に認識又は結合しない抗体である。
【請求項24】
請求項21乃至23のいずれか一項に記載のアッセイキットであって、前記抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWH(配列識別番号3)を有するペプチドを、特異的に認識又は結合しない抗体である。
【請求項25】
請求項21乃至24のいずれか一項に記載のアッセイキットであって、前記抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPVQGCWNK(配列識別番号4)を有するペプチドを、特異的に認識又は結合しない抗体である。
【請求項26】
請求項21乃至25のいずれか一項に記載のアッセイキットであって、前記抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPMPGCWQK(配列識別番号5)を有するペプチドを、特異的に認識又は結合しない抗体である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、XXIII型コラーゲンを標的とするモノクローナル抗体に関し、また、当該抗体を利用するイムノアッセイ及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
クローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎(UC)は、炎症性腸疾患(IBD)の2つの主要な胃腸障害であり、両者は高度の炎症応答及び腸の構造的損傷のような類似症状をもつ。CDは胃腸管の全体を侵襲し得るが、UCは主として結腸粘膜に限定される[1]。IBDの原因は十分に分かっていないが、しかし、遺伝的基盤、及び、環境要因に対する免疫系の異常応答があると信じられている。
【0003】
健康な消化管の上皮は、細菌及び抗原や毒素などを含む他の外来物質に対する保護バリアを形成する消化管上皮細胞の単層で覆われており、食物栄養素の選択的な透過性のみ有している[3,4]。上皮は、消化管の健康を維持するために重要である。しかし、CD及びUCの両者においては、腸透過性が損なわれる結果、極めて多数のバクテリアが内腔から腸管組織に侵入し、かつ、免疫細胞が血流から組織に流入して[5,6]、IBD患者の胃腸管に慢性炎症を引き起こす[7]。消化管上皮細胞間の緊密な連結は、主に、密着結合、接着結合及びデスモソームにより構成される接合複合体によって調節されている[6]。多くの研究が、IBDによる炎症が生じた腸管組織において何種類かの結合蛋白が有意に下方制御されることを示しており[8-11]、これがIBDにおける腸透過性損失の主な理由なのかもしれない。
【0004】
II型膜貫通型蛋白質の一種であるXXIII型コラーゲンは、2003年にジャクリン バンヤードらによって、ラット転移腫瘍細胞の中から発見された[12]。ヒトの非小細胞肺癌の細胞株及び淡明細胞型腎細胞癌の細胞株において、XXIII型コラーゲンは、細胞接着及び転移に関連することが分かった[13,14]。そのような細胞株におけるXXIII型コラーゲンノックアウトによって、細胞接着分子の発現が改変され、細胞接着が減損した[13,14]が、この事実は、XXIII型コラーゲンは細胞接着の調節因子であるかもしれないことを示した。XXIII型コラーゲンは、がん細胞内で発現するだけではない。胎児マウス腸管切片の染色において、腸管の上皮表面付近に発現することが見出されたが、このことは、細胞-細胞間相互作用に重要な役割があるかもしれないことを示唆した[15]。
XXIII型コラーゲンは、短い細胞質ドメイン、膜-貫通ドメイン、及び、長いエクトドメインからなる[12]。エクトドメインは、幾つかのコラーゲン性ドメインを有し、短い非コラーゲン性ドメインによって中断されている[12]。新しく合成されたXXIII型コラーゲンは、膜貫通型蛋白質として細胞表面に輸送されるか、又は、フーリンによって細胞内で開裂させられて、エクトドメインが細胞外マトリクス(ECM)に放出される[16]。しかし、開裂片の機能は未だ分かっていない。研究は、XXIII型が一連の癌において上方制御されたこと[17-19]、及び、前立腺癌[18]、非小細胞肺癌[17]及び淡明細胞型腎細胞癌[14]のバイオマーカーとして使える可能性を秘めていることを示している。しかし、他の疾病におけるXXIII型コラーゲンのバイオマーカーとしての使用は、未だ明らかになっていない。
【0005】
US 7,993,863 B(Zetterら)は、ヒトの前立腺癌及び乳癌の細胞株において発現するが、正常な成人、胎盤、肺、肝、骨格筋、腎又は膵の組織には発現しない、コラーゲン状遺伝子(CLG)生成物を記載している。配列LDQPCPVGPDGLPVPGCWHK(配列識別番号14で表される)を有するC-末端非コラーゲン領域も、記載されている。著者は、この配列が膜貫通型コラーゲンXMII及びXXVと高い同一性を有していることを言及し、悪いエピトープである可能性があると結論している。
活動性IBDの患者は、非活動性疾患と比べて腸透過性が増大していることを示す証拠がある[20]。E-カドヘリン、β-カテニンのような結合/接着蛋白は、IBD患者の活動的な炎症組織において、劇的に下方制御される。したがって、腸透過性の評価方法は、疾患の重症度を見積もるために用いることができる[5]。しかし、数少ない非侵襲性バイオマーカーが取得できるにすぎない。主に好中球によって発現される蛋白質である便中カルプロテクチンは、IBDにおいて最も有望なバイオマーカーである。それは、内視鏡によって観察される疾患活動性に相関しており[21]、再発を予測することができ[22]、治療に対する応答性を監視することができる[23]。しかし、カルプロテクチンは、主に好中顆粒球内に見られる小さなカルシウム結合蛋白質であるから、便中カルプロテクチンは腸管における炎症を測定するだけであり、組織の損傷を直接測定するものではない。密着結合性の蛋白であるクローディン-3は、尿中で測定することができ、密着結合の損失を反映できる可能性を秘めている[24]。このバイオマーカーに関しては限られた情報があるだけであり、ヒトにおける検討をさらに進める必要がある。したがって、IBDにおいて腸透過性を評価するための非侵襲性バイオマーカーについて、今なお大きな必要性がある。
【発明の概要】
【0006】
XXIII型コラーゲンは腸管の上皮層に発現するので、IBDにおいて上皮損傷の間に細胞表面から開裂するかもしれない。さらにXXIII型コラーゲンは細胞接着において重要な役割を果たしているが、その程度がIBDにおいて調整されて、細胞接着変化に寄与するかもしれず、バイオマーカーとして用いることができるかもしれない。
本発明は、XXIII型コラーゲンのエクトドメイン、特に、そのα1鎖のC末端を特異的に認識するモノクローナル抗体;及び、生体液試料中のXXIII型コラーゲンのエクトドメインを検出するためのイムノアッセイ、特に、酵素結合免疫吸着法(ELISA)を開発した。発明者らは、XXIII型コラーゲンは、細胞接着の変化のバイオマーカーとして用いることができ、クローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎(UC)のような炎症性腸疾患をもつ患者の新しい診断情報を与えることを確認した。
【0007】
したがって第1局面において、本発明は、XXIII型コラーゲンα1鎖(本明細書において標的ペプチドとも称する)のC-末端を特異的に認識し、結合するモノクローナル抗体に関するものであり、当該C-末端は、アミノ酸配列GLPVPGCWHK(配列識別番号1)(本明細書において標的配列とも称する)を有する。
好ましくは、当該モノクローナル抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWHK(配列識別番号1)を有する合成ペプチドに対抗して産出させたモノクローナル抗体である。抗体を産出するために用いられる合成ペプチドは、そのN-末端にキャリア蛋白を連結させた合成ペプチドであってもよい。キャリア蛋白の例示としては、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)のような蛋白質が挙げられるが、これに限定されない。合成ペプチドは、適切な連結基を介してキャリア蛋白に連結していてもよく、連結基としては、ペプチドのN-末端に付加された1つ以上のアミノ酸残基が挙げられる。モノクローナル抗体は、マウス又は他の哺乳類を免疫し、免疫した哺乳類から脾細胞を分離し、ハイブリドーマ細胞と融合して得られたハイブリドーマ細胞を培養し、単クローン生育を獲得するというような、当業者に知られた適切な手法を通じて産出させてもよいが、そのような手法に限定されない。
【0008】
好ましい実施形態において、当該モノクローナル抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWHKX(配列識別番号2)を有し、当該配列においてXは何らかのアミノ酸を表すペプチドを、特異的に認識又は結合しない。それゆえモノクローナル抗体は、標的ペプチド内の標的アミノ酸配列がC-末端において1つ以上のアミノ酸によって延伸されてなる、延長された変異体を、好ましくは特異的に認識又は結合しない。
好ましい実施形態において、当該モノクローナル抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWH(配列識別番号3)を有するペプチドを、特異的に認識又は結合しない。それゆえモノクローナル抗体は、標的ペプチド内の標的アミノ酸配列がC-末端において1つ以上のアミノ酸を切り詰めてなる、標的ペプチドの短縮された変異体を、好ましくは特異的に認識又は結合しない。
好ましい実施形態において、当該モノクローナル抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPVQGCWNK(配列識別番号4)を有するペプチドを、特異的に認識又は結合しない。それゆえモノクローナル抗体は、XIII型コラーゲンに由来するペプチドを、好ましくは特異的に認識又は結合しない。
好ましい実施形態において、当該モノクローナル抗体は、C-末端アミノ酸配列GLPMPGCWQK(配列識別番号5)を有するペプチドを、特異的に認識又は結合しない。それゆえモノクローナル抗体は、XXV型コラーゲンに由来するペプチドを、好ましくは特異的に認識又は結合しない。
【0009】
当該モノクローナル抗体又はその断片は、好ましくは下記から選ばれる1つ以上の相補性-決定領域(CDRs)を含むものであってもよい。
CDR-H1 : SYAMS(配列識別番号6)
CDR-H2 : SISTAGRTYYPDTVR(配列識別番号7)
CDR-H3 : PDYDYDGYIN(配列識別番号8)
CDR-L1 : RSSKSLLHSNGVTYLY(配列識別番号9)
CDR-L2 : QMSNLAS(配列識別番号10)、及び、
CDR-L3 : AQNLELPLT(配列識別番号11)
好ましくは、当該モノクローナル抗体又はその断片は、上記の列挙されたCDR配列のうち少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ又は6つを含む。
【0010】
好ましくは、当該モノクローナル抗体又はその断片は、下記CDRの配列を含む軽鎖可変領域を有する。
CDR-L1 : RSSKSLLHSNGVTYLY(配列識別番号9)
CDR-L2 : QMSNLAS(配列識別番号10)、及び、
CDR-L3 : AQNLELPLT(配列識別番号11)
好ましくは、当該モノクローナル抗体又はその断片は、CDRsの間にフレームワーク配列を含む軽鎖を有し、当該フレームワーク配列は、下記軽鎖配列(CDRsは太字かつ下線を付して示し、フレームワーク配列は斜字体で示す。)内のCDRs間に存在するフレームワーク配列と実質的に同一のもの又は実質的に類似するものである。
【0011】
【化1】
【0012】
好ましくは、当該モノクローナル抗体又はその断片は、下記CDRの配列を含む重鎖可変領域を有する。
CDR-H1 : SYAMS(配列識別番号6)
CDR-H2 : SISTAGRTYYPDTVR(配列識別番号7)
CDR-H3 : PDYDYDGYIN(配列識別番号8)
好ましくは、当該モノクローナル抗体又はその断片は、CDRsの間にフレームワーク配列を含む重鎖を有し、当該フレームワーク配列は、下記軽鎖配列(CDRsは太字かつ下線を付して示し、フレームワーク配列は斜字体で示す。)内のCDRs間に存在するフレームワーク配列と実質的に同一であるか又は実質的に類似する。
【0013】
【化2】
【0014】
本明細書において、抗体のCDRs間に存在するフレームワークのアミノ酸配列は、他の抗体のCDRs間に存在するフレームワークのアミノ酸配列に対し、少なくとも70%、80%、90%、又は、少なくとも95%の同一性又は類似性を有する場合には、当該他の抗体のCDRs間に存在するフレームワークのアミノ酸配列と実質的に同一のもの又は実質的に類似するものである。類似する又は同一のアミノ酸は、連続していてもよいし、非連続であってもよい。
フレームワーク配列は、一つ以上のアミノ酸の置換、挿入、及び/又は欠失を含んでいてもよい。アミノ酸置換は、置換されたアミノ酸が元のアミノ酸と類似する化学的性質を有することを意味する保存的な置換であってもよい。当業者は、どのアミノ酸が類似する化学的性質を共有しているのか理解しているであろう。例えば、アミノ酸の以下のグループは、大きさ、帯電性、極性等の点で、類似する化学的性質を共有している:グループ1 Ala、Ser、Thr、Pro、Gly;グループ2 Asp、Asn、Glu、Gln;グループ3 His、Arg、Lys;グループ4 Met、Leu、Ile、Val、Cys;グループ5 Phe、Thy、Trp。
【0015】
CLUSTALプログラムのようなプログラムは、アミノ酸配列を比較するために用いることができる。このプログラムは、アミノ酸配列を比較して、いずれかの適切な配列内に空間を挿入することによって、最適なアラインメントを見つけ出す。最適なアラインメントのために、アミノ酸の同一性又は類似性(同一性に加えて、アミノ酸タイプの保存性)を計算することが可能である。BLASTxのようなプログラムは、類似する配列の最も長い区間を整列し、適合する部位に値を割り振る。このようにして対比を得ることが可能であり、それぞれ異なるスコアをもち、類似性がある幾つかの領域が発見される。本発明において、この2つのタイプの分析を用いることが考えられる。同一性又は類似性は、好ましくはフレームワーク配列の全長に亘って計算される。
【0016】
ある一定の好ましい実施形態において、モノクローナル抗体又はその断片は、軽鎖可変領域配列:
【0017】
【化3】
【0018】
及び/又は、重鎖可変領域配列:
【0019】
【化4】
【0020】
を含んでいてもよい。(CDRsは太字かつ下線付き;フレームワーク配列は斜字体)
【0021】
第2局面において、本発明は、ヒト生体液試料中のXXIII型コラーゲンを検出するイムノアッセイ法に関するものであり、当該方法は、ヒト生体液試料を、本発明の第1局面に係るモノクローナル抗体と接触させること、及び、モノクローナル抗体と試料中ペプチドの結合を検出することを含む。
【0022】
好ましくは、上記の検出は定量的検出である。したがって当該方法は、モノクローナル抗体と試料中ペプチドの結合を検出し、その結合量を決定することを含んでいてもよい。
好ましくは、当該イムノアッセイは競合イムノアッセイである。
好ましくは、当該イムノアッセイは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)である。好ましくは、ELISAは競合ELISAである。
ヒト生体液試料としては、例えば血液、血清、血漿又は尿が挙げられる。好ましくは試料は、血清又は血漿である。
【0023】
ヒト生体液試料は、炎症性腸疾患を示す医学的な徴候又は症状を有するヒト患者から得られた試料であってもよい。好ましくは生体液試料は、クローン病(CD)又は潰瘍性大腸炎(UC)を示す医学的な徴候又は症状を有するヒト患者から得られた試料である。好ましくは生体液試料は、活動性炎症性腸疾患、例えば活動性クローン病(CD)又は活動性潰瘍性大腸炎(UC)を示す医学的な徴候又は症状を有するヒト患者から得られた試料である。
【0024】
当該方法は、患者における炎症性腸疾患の可能性を診断、及び/又は、監視、及び/又は、評価するイムノアッセイ法であって、当該方法は、患者から得られた生体液試料をモノクローナル抗体と接触させること、モノクローナル抗体と試料中ペプチドの結合を検出し、その結合量を決定すること、及び、決定した結合量と、健常者に結び付けられる値、及び/又は、既知の疾患重症度に結び付けられる値、及び/又は、当該患者から過去に時点において得られた値との相関性を調べることを含む。
好ましくは炎症性腸疾患は、クローン病又は潰瘍性大腸炎である。好ましくは炎症性腸疾患は、活動性炎症性腸疾患、例えば活動性クローン病(CD)又は活動性潰瘍性大腸炎(UC)である。
【0025】
第3局面において、本発明は、本発明の第1局面に係るモノクローナル抗体、及び、少なくとも下記のうち少なくとも1つ:
- ストレプトアビジンをコーティングしたウエルプレート;
- C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWHK(配列識別番号1)を有するN-末端ビオチニル化ペプチド;及び、
- C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWHK(配列識別番号1)を有する較正用ペプチド
を含むアッセイキットに関するものである。
【0026】
当該キットは、炎症性腸疾患のリスクを診断又は予測するために用いらるものであってもよく、好ましくは、本発明の第2局面に係る方法と共に用いられる。
好ましくは炎症性腸疾患は、クローン病又は潰瘍性大腸炎である。炎症性腸疾患は、好ましくは活動性炎症性腸疾患、例えば活動性クローン病又は活動性潰瘍性大腸炎である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
定義
本明細書において用語「ペプチド」及び「ポリペプチド」は、同じ意味で使用される。
本明細書において用語「モノクローナル抗体」は、抗体全体、及び、その断片であって、例えばFab断片、Fv断片、又は、当業者に知られているような他の断片のように、抗体全体の結合特異性を保有しているものを称する。同じ結合特異性を保有する抗体は、同じ相補性-決定領域(CDR)を含んでいてもよい。抗体のCDRは、Kabatら[28]に記載されているような当技術分野において公知の方法を用いて決定することができる。
【0028】
抗体は、実施例に記載されたB細胞クローンから産出させることができる。抗体のアイソタイプは、ヒトIgM、IgG又はIgAアイソタイプ、又は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又は、IgG4サブクラスに特異的なELISAによって決定することができる。他の適した方法もアイソタイプの同定に用いることができる。
【0029】
産出させた抗体のアミノ酸配列は、標準的な手技を用いて決定することができる。例えば、RNAを細胞から分離し、これを用いて逆転写によりcDNAを産出させることができる。そして抗体の重鎖及び軽鎖を増幅するプライマーを用いて、cDNAをPCRにかける。例えば、全てのVH(可変重鎖)配列のためのリーダー配列に特異的なプライマーは、予め決定されているアイソタイプの定常領域内に配置されている配列と結合するプライマーと一緒に用いることができる。軽鎖は、カッパ又はラムダ鎖の3’末端と結合するプライマーと、Vカッパ又はVラムダのリーダー配列に対しアニールするプライマーとを一緒に用いて増幅させることができる。全長の重鎖及び軽鎖を産出させて、配列決定することができる。
【0030】
本明細書において用語「C-末端」はポリペプチドの先端、すなわち、ポリペプチドのC-終末の先端であることを称するものであり、その一般的な方向を意味するものとは解釈されない。同様に、用語「N-末端」はポリペプチドの先端、すなわち、ポリペプチドのN-終末の先端であることを称するものであり、その一般的な方向を意味するものとは解釈されない。
本明細書において用語「競合イムノアッセイ」は、試料中に(たとえ少しでも)存在する標的ペプチドの抗体に対する結合が、既知量の標的ペプチド(例えば、固定された基質に結合されているか、又は、標識されている)と競合するイムノアッセイを称するものであり、当業者に知られた手技である。
【0031】
本明細書において用語「ELISA」(酵素結合免疫吸着アッセイ)は、試料中に(たとえ少しでも)存在する標的ペプチドを、ホースラディッシュパーオキシダーゼやアルカリフォスファターゼのような酵素に連結させた抗体を用いて検出するイムノアッセイを称する。そして酵素の活性を、測定可能な生成物を発生させる基質と共にインキュベートすることによって評価する。そうすることにより、試料中の標的ペプチドの存在及び/又は量が、検出及び/又は定量される。ELISAは、当業者に知られた手技である。
【0032】
本明細書において用語「結合量」は、モノクローナル抗体と標的ペプチド間の結合の定量化(quantification)を称するものであり、当該定量化は、生体液試料中の標的ペプチドの測定値を、標準ペプチドの既知濃度の標準試料を用いて作成された較正曲線と比較することにより決定される。C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWHK(配列識別番号1)を有する標的ペプチドを生体液中で測定する本明細書に記載された特異的アッセイにおいて、較正曲線は、C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWHK(配列識別番号1)を有する較正ペプチドの既知濃度の標準試料を用いて作成される(当該較正ペプチドは、特にアミノ酸配列GLPVPGCWHK(配列識別番号1)からなるものであってもよい。)。生体液試料中で測定された値は較正曲線と比較されて、試料中の標的ペプチドの実際の量が決定される。
本明細書において用語「PRO-C23」は、C-末端アミノ酸配列GLPVPGCWHK(配列識別番号1)を有するXXIII型コラーゲンエクトドメインを称する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図面
図1】:PRO-C23抗体10F6特異性 A)XIII型、XXIII型、及び、XXV型コラーゲンのC-末端に関する配列アラインメント。抗体は、XXIII型コラーゲンの531から540残基を認識する。B)異なるペプチドに対するPRO-C23抗体特異性。選択ペプチド(GLPVPGCWHK(配列識別番号1))、延伸したペプチド(GLPVPGCWHKA(配列識別番号16))、切り詰めたペプチド(GLPVPGCWH)、XIII型コラーゲン由来のペプチド(GLPVQGCWNK(配列識別番号4))、及び、XXV型コラーゲン由来のペプチド(GLPMPGCWQK(配列識別番号5))に対する反応性を、PRO-C23アッセイにおいて試験した。C)第1抗体として10F6を用いた遺伝子組み換えXXIII型コラーゲンのウエスタンブロット結果
図2】:3種類の血漿及び血清(N=16)におけるPRO-C23レベルの相関
図3】:ラットDSSモデルにおけるPRO-C23レベル A)コントロールラット(n=8)及びDAI≧5のDSSラット(n=8)におけるPRO-C23血清レベルB)PRO-C23の血清レベルは、大腸炎の誘導時に増加し、腸炎症状態の反転時にベースライン方向に復帰した。データは、中央値±95%信頼区間として与えられる。*アスタリスク(*)は統計学的有意差であることを表す。 *P<0.05。
図4】:ヒト集団1におけるPRO-C23レベル データは、中央値±95%信頼区間として与えられる。*アスタリスク(*)は統計学的有意差であることを表す。 *P<0.05。
図5】:ヒト集団2(CD)及び3(UC)におけるPRO-C23レベル データは、中央値±95%信頼区間として与えられる。*アスタリスク(*)は統計学的有意差であることを表す。 *p<0.05。**p<0.01。***p<0.001。
【実施例
【0034】
実施例
様々な実施形態が、以下の実施例において記載及び開示されている。それらの実施例は、本開示の理解を助けるために提示されており、いかなる場合であっても以下に述べるクレームで特定された発明の範囲を限定するために解釈すべきではない。以下に述べる実施例は、記述された実施形態をどのように作り、使用するのかについての完全な開示及び記述を当業者に提供するように提示されており、本開示を限定することを意図するものではなく、また、後述の実験が実施された全ての又は唯一の実験であることを意味することを意図するものでもない。用いた数値(例えば、量、温度など)について正確さを確保するために努力したが、実験的な誤り及び偏りが多少あることを考慮すべきである。別途示さない限り、部は重量部、分子量は重量平均分子量、温度はセ氏、及び、圧力は大気圧または大気圧付近である。
【0035】
方法
PRO-C23に関する抗体の開発
XXIII型コラーゲンα1鎖の最後10個のアミノ酸(531'GLPVPGCWHK'540、(配列識別番号1)、ジェンスクリプト、米国)を免疫原ペプチドとして用い、特異的モノクローナル抗体を産出させた。4-6週齢のBalb/Cマウスを、スティミューンアジュバント(サーモフィッシャー、米国)でエマルジョン化した免疫原(KLH-CGG-GLPVPGCWHK(配列識別番号1))100μgを用いて免疫した。2週間隔ごとに連続的に免疫処置を行った。最も高い抗血清力価及び最高のペプチド反応性を有するマウスを、融合のために選定した。マウス脾細胞をSP2/0ミエローマ細胞と融合させた。融合細胞を、96ウエルプレート内で産出させて、CO2-インキュベータ内でインキュベートした。選択ペプチドに特異的で、かつ、延伸したペプチド(GLPVPGCWHKA(配列識別番号16))、切り詰めたペプチド(GLPVPGCWH)との交差反応性を有していないだけでなく、選択から外したペプチド(GLPVQGCWNK(配列識別番号4)、XIII型コラーゲン、GLPMPGCWQK(配列識別番号5)、XXV型コラーゲン)(ジェンスクリプト、米国)との交差反応性も有していない細胞株を選定し、サブクローニングを行った。最後に、IgGカラムを用いて抗体を精製した。
【0036】
産出させた抗体の配列を決定し、CDRsを決定した。
鎖の配列は、次のとおりである:
CDRsは下線かつ太字
定常領域は斜字体:
【0037】
重鎖:アミノ酸配列(454aa)
【0038】
【化5】
【0039】
軽鎖:アミノ酸配列(219aa)
【0040】
【化6】
【0041】
PRO-C23アッセイ及び技術的評価
アッセイ開発に使用するELISAプレートは、ロッシュが供給しているストレプトアビジンコーティング品であった(cat.:11940279)。すべてのELISAプレートを、モレキュラーデバイスが供給するELISAリーダー、スペクトラマックスM、(カナダ、米国)で分析した。ライトニングリンクHRP標識化キットを使用し、製造者(イノババイオサイエンス、バブラハム、ケンブリッジ、英国)の指示に従って、選択したモノクローナル抗体をホースラディッシュパーオキシダーゼ(HRP)で標識化した。96-ウェル ストレプトアビジンプレートを、ビオチン-GLPVPGCWHK(配列識別番号1)(ジェンスクリプト、米国)でコーティングし、20℃で30分間インキュベートした。20μLの標準ペプチド又は試料を適切なウエルに添加した後、HRPを結合させたモノクローナル抗体10F6を200μL添加し、4℃で20時間インキュベートした。最後に、テトラメチルベンジジン(TMB)(ケム-エン-テック cat.:438OH)100μLを添加し、プレートを20℃で15分間、暗所でインキュベートした。前記すべてのインキュベーション工程において、300rpmで振とうした。各インキュベーション工程の後で、プレートを5回洗浄した。TMB反応を、停止溶液(1% H2SO4)を100μL添加することにより停止させて450nmで測定し、650nmをリファレンスとした。
【0042】
検出の下限(LLOD)は、21個のゼロサンプル(すなわち、緩衝液)から決定し、平均+3x標準偏差であると計算された。検出の上限(ULOD)は、Standard Aの10回測定により、平均-3x標準偏差であると決定された。イントラ-アッセイ変動及びインター-アッセイ変動は、10点のQCサンプルを独立して10回繰り返し行って得られた平均変動であった。希釈回収率を、4つの血清サンプル及び4つの血漿サンプルにおいて決定し、100%サンプルから希釈されたサンプルの回収率として計算された。血清と血漿の間の相関を、16個体から得られた血清と当該血清に対応するヘパリン血漿、クエン酸血漿、EDTA血漿において決定した(イノベーティブリサーチ、米国)。
【0043】
遺伝子組み換えヒトXXIII型コラーゲンを用いるウエスタンブロッティング
遺伝子組み換えヒトXXIII型コラーゲン(R&Dシステム、4165-CL)を80mMのDTTを含有するサンプルバッファー中に希釈し、10%SDS-PAGEゲル上で流し、次いで、ニトロセルロース膜上に転写した。それから、ニトロセルロース膜を5%スキムミルクパウダーを含有するTBS-T中に、室温で1時間インキュベートすることにより、非特異的結合をブロックした。引き続き、1μg/mlの10F6、又は、TBS-Tミルク中に希釈された市販XXIII型コラーゲン抗体(R&Dシステム、MAB4165)を用いて、一晩インキュベートした。それから、膜をTBS-Tで3回洗浄し、次いで、第2のパーオキシダーゼ結合抗体中でインキュベートした。最後に、TBS-T中で3回洗浄してから、得られた膜を、ECLシステム(GEヘルスケア、cat# RPN2109)を用いて可視化した。
【0044】
DSSラットモデル
雄のSprague-Dawleyラット、12週齢、を2群に分けた:6%DSS群(12尾のラット)と、コントロール群(9尾のラット)。DSS群の飲料水にDSSを6%の割合で5日間にわたり添加することによって、DSS群に急性大腸炎を誘発させた。5日後、DSSを飲料水から取り除いた。6%DSS群ラットの半数、及び、コントロールラット3尾を6日目に屠畜し、大腸を取り出した。残余のラットを、16日目に屠畜するまでの間、DSS誘発大腸炎から回復させた。血液サンプルを、ベースライン時、6日目、7日目及び16日目に採取した。疾患活動性指標(DAI)を毎日評点し、大腸炎の進展を評価した。以下のパラメータに基づいた:体重減少、便の硬さ、及び、便中の血液又は直腸の出血。DSSラットにおける体重減少の評点は、週齢を合わせたコントロールの平均体重と比較した:評点0=0-4%体重減少;評点1=5-10.9%体重減少;評点2=11-15.9%体重減少;評点3=16-20%体重減少。便の硬さ:評点0=正常かつ良好な形状;評点1=軟調かつ粘調であり、基部に尾引きが見られる便;評点2=非常に軟調かつ形状がない;評点4=下痢かつ水様便。便中の血液又は直腸の出血:評点0=正常色の便;評点2=赤味を帯びた便;評点4=血便又は直腸からの出血。各パラメータの評点を集計した日別の合計DAI評点は、0から12の間で変動した。評点5以上は、高い疾患活動性であると考えられた。
【0045】
IBD集団
3つの異なる集団を測定し、PRO-C23アッセイの生物学的関連性を評価した。血清サンプルを、説明同意書と地域の倫理委員会の承認を得た後に採集した。集団1において、CD及びUCの患者由来の血清は、商業販売者であるレプロセル(米国)から得たが、健康な提供者由来の血清は、バレイバイオメディカル(米国)から得た(表1)。集団2及び集団3において、CD及びUC患者由来の血清がそれぞれ得られた(表2)。いずれの集団についても、健康な提供者、CD及びUC患者の間の被験者構成(性別及び年齢)に統計学的有意差はなかった。
【0046】
【表1】
【0047】
年齢と性別の比較は、クルスカル-ワリス検定を用いて行った。
P-値0.05未満は、有意差ありだと考えられる。
略語:CD:クローン病、UC:潰瘍性大腸炎
【0048】
【表2】
【0049】
年齢と性別の比較は、マン-ホイットニーU検定又はフィッシャーズ エグザクト検定を用いて行った。
P-値0.05未満は、有意差ありだと考えられる。
略語:CD:クローン病
【0050】
統計
統計分析を、メドカルク(MedCalc)バージョン14及びグラフパッドプリズム(GraphPad Prism)バージョン7を用いて実施した。バイオマーカーレベルは、中央値±95%信頼区間として得られた。DSSラットとコントロールの間のPRO-C23の差は、2標本t検定によって決定された。ヒト集団において、年齢及び性別の比較はクルスカル-ワリス検定により行った。患者と健康なコントロールの間のPRO-C23の差は、マン-ホイットニーt検定によって決定された。バイオマーカーの診断能力を、信頼区間(CI)95%における受信者動作特性(ROC)の曲線下面積(AUC)によって調査した。適切なカットオフ値を得るために、ROC曲線に基づいて感度及び特異性を決定した。有意なしきい値を、P<0.05として設定した。
【0051】
結果
PRO-C23アッセイの特性評価
XXIII型コラーゲンと同様に、XIII型及びXXV型コラーゲンも膜貫通コラーゲンであり、それらのC-末端において高度に類似する配列を共有している(図1A)。抗体の特異性を十分に調査するために、一連の系列のペプチドを合成し、それらを抑制試験に含めた。選択された抗体10F6は、XXIII型コラーゲンのC-末端の最後10個のアミノ酸531'GLPVPGCWHK'540(配列識別番号1)を特異的に認識したが、しかし、延伸したペプチドGLPVPGCWHKA(配列識別番号16)、切り詰めたペプチドGLPVPGCWH(配列識別番号3)、XIII型コラーゲンC-末端ペプチドGLPVQGCWNK(配列識別番号4)、又は、XXV型コラーゲンC-末端ペプチドGLPMPGCWQK(配列識別番号5)を認識しなかった(図1B)。遺伝子組み換えXXIII型コラーゲンエクトドメイン(4165-CL、R&Dシステム)のウエスタンブロットは、選択された抗体10F6が、60kD前後のXXIII型コラーゲンエクトドメインを認識することを示すとともに、リファレンスとした市販の抗体(MAB4165、R&Dシステム)の結果も示した(図1C)。
【0052】
PRO-C23競合ELISAは、0.38ng/ml(LLOD)から18.73ng/ml(ULOD)に亘る測定範囲を与えた。インター-アッセイ及びイントラ-アッセイの変動は、それぞれ8.1%及び3.5%であった。ヒト血清における希釈回収率及び添加回収率を表3に示す。血清中の値と3種の血漿中の値の間の相関は、相対的に高く(図2、P<0.0001)、PRO-C23レベルは血液の調製方法とは無関係であることを示した。
【0053】
【表3】
【0054】
DSSラットモデルにおけるPRO-C23バイオマーカー
PRO-C23断片の生物学的関連性を調査するために、DSS誘発大腸炎のラットモデルを用いた。血清サンプル中のPRO-C23バイオマーカーを測定した。6日目及び7日目に疾患活動性指標が高い(DAI>5)DSSラットは、コントロールと比べて有意に高いPRO-C23血清レベル(p>0.05、図3A)を有していた。PRO-C23の血清レベルは、大腸炎の誘導時に増加し、腸炎症状態の反転時にベースライン方向に復帰した(図3B)。
【0055】
ヒトIBD集団におけるPRO-C23バイオマーカー
3つの独立したヒト集団から得られた血清中のPRO-C23を測定した。集団1において、PRO-C23を、10名のCD患者及び10名のUC患者、それと一緒に年齢を合わせた10名の健康な提供者について、定量した。その結果、CD患者及びUC患者は、健康な提供者と比べて、有意に高いレベルのPRO-C23(p<0.05、図4)を有していた。これらの患者について、疾患の活動性の情報は得られなかった。集団2及び集団3には、44名のCD患者及び29名のUC患者、それと一緒に年齢を合わせた29名の健康な提供者が含まれていた。PRO-C23レベルは、健康な提供者と比べて、活動性CD患者及び活動性UC患者において上昇した(CD:p<0.05、UC:p<0.001、図5)。
【0056】
考察
上皮損傷中に、XXIII型コラーゲンが細胞表面から開裂し得るという仮説が立てられた。また、XXIII型コラーゲンの損失は、IBDにおける上皮接着の変化に寄与し、IBDのバイオマーカーとして用いることができるであろう。それゆえに、XXIII型コラーゲンのエクトドメインを測定するPRO-C23ELISAが開発された。
抗体は、XXIII型コラーゲンのC-末端配列のみ認識し、XIII型コラーゲン及びXXV型コラーゲンのC-末端は類似の配列を示すが、これに対する交差反応を有しない。このデータにより、抗体の特異性があることを明確に確認した。その後、抗体を競合ELISAに応用し、ヒト血清及び血漿測定のために最適化した。データによって、XXIII型のエクトドメインが、血液の調製方法に関係なく、競合ELISAによって普遍的に検出できることを実証した。
【0057】
バイオマーカーをインビボ研究においてさらに検証するために、PRO-C23バイオマーカーをDSS誘発大腸炎のラットモデルにおいて測定した。DSSによって腸管上皮細胞の傷害を引き起こすことができる。動物は、下痢、直腸出血、体重減少のようなIBD様の徴候を示す[25、26]。DSSが改変された密着結合蛋白の発現を誘導することを示した研究もある[27]。したがって、DSSラットモデルは、PRO-C23バイオマーカーを検証するために適切な動物モデルになるであろう。XXIII型コラーゲンは、活動性疾患を持つラットにおいて上昇し、疾患の活動性との弱い相関があることが分かった。この知見は、XXIII型コラーゲンのエクトドメインが、DSSラットの疾患活動性に関連して普遍的に発見されることを示した。
PRO-C23バイオマーカーをさらに検証するために、2つのヒト集団において測定を行った。PRO-C23は、活動性症状があるヒトのCD患者(集団2)及びUC患者(集団3)において上昇した。これらのデータは、XXIII型コラーゲンのエクトドメイン放出が活動性の腸損傷において増強されることを示唆しており、動物モデルにおける結果と一致した。
【0058】
XXIII型コラーゲンは、前立腺癌の再発[18]、非小細胞肺癌[17]及び淡明細胞型腎細胞癌[14]のバイオマーカーとして使える可能性を秘めていることが示唆されている。これらの癌組織において、特に転移組織において、有意に高い発現が認められた。XXIII型コラーゲンは、細胞-細胞接着及び細胞-間質接着を助長すると信じられている[13]。肺癌及び淡明細胞型腎細胞癌の細胞株におけるXXIII型コラーゲンのサイレンシングは、改変された接着蛋白の発現、及び、細胞接着の能力減少、及び、遊走を示した[13、14]。しかし、XXIII型コラーゲンは、他の組織内にも存在しており、その機能及び他の疾患においての用途については未知である。本発明者らの知る限りでは、これは、XXIII型コラーゲンレベルがIBDにおいて変調したことを示した最初の研究である。その結果によって、XXIII型コラーゲンは、腸管内の細胞接着においても重要な役割を果たしており、IBDの病理に貢献し得ることが示された。
【0059】
結論
データは、上皮PRO-C23バイオマーカーは、CD患者における疾患活動性の非侵襲性代用マーカーとして使用することができ、それによって患者のモニタリングを支援できることを示している。活動性症状があるCD患者及びUC患者の血清においては、非活動性症状と比べて、より高レベルのPRO-C23が測定された。
本明細書中に認知される過去の教示は、その全てが参照されることにより本明細書の一部を構成する。本明細書中に記載されているいかなる先行刊行物の認知も、その教示がオーストラリア又はほかの場所において公衆に通じる一般的な知識であったことを認容又は表明したものであると理解すべきではない。
【0060】
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図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
2022519728000001.app
【手続補正書】
【提出日】2021-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
好ましくは、当該モノクローナル抗体又はその断片は、下記CDRの配列を含む重鎖可変領域を有する。
CDR-H1 : SYAMS(配列識別番号6)
CDR-H2 : SISTAGRTYYPDTVR(配列識別番号7)
CDR-H3 : PDYDYDGYIN(配列識別番号8)
好ましくは、当該モノクローナル抗体又はその断片は、CDRsの間にフレームワーク配列を含む重鎖を有し、当該フレームワーク配列は、下記重鎖配列(CDRsは太字かつ下線を付して示し、フレームワーク配列は斜字体で示す。)内のCDRs間に存在するフレームワーク配列と実質的に同一であるか又は実質的に類似する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
【化2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
【化4】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
【化5】

【国際調査報告】