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特表2022-519762歯を改質するための方法および組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】歯を改質するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/00 20060101AFI20220316BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 8/22 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 8/28 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 8/21 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
A61K8/00
A61Q11/00
A61K8/22
A61K8/24
A61K8/29
A61K8/28
A61K8/25
A61K8/21
A61K8/26
A61K8/27
A61K8/19
A61K8/86
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547173
(86)(22)【出願日】2020-02-17
(85)【翻訳文提出日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 US2020018523
(87)【国際公開番号】W WO2020168329
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】62/806,488
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/966,691
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500015397
【氏名又は名称】ザ・テキサス・エイ・アンド・エム・ユニバーシティ・システム
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 充利
(72)【発明者】
【氏名】リャン,ホン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】サイモン,ブラッドリー
(72)【発明者】
【氏名】オッパーマン,リン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA032
4C083AB151
4C083AB171
4C083AB191
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB221
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB272
4C083AB281
4C083AB282
4C083AB291
4C083AB292
4C083AB322
4C083AB332
4C083AB352
4C083AB411
4C083AB441
4C083AB471
4C083AB502
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC272
4C083AC302
4C083AC582
4C083AC712
4C083AC781
4C083AC792
4C083AC811
4C083AC852
4C083AD041
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD242
4C083AD262
4C083AD352
4C083AD412
4C083AD432
4C083AD572
4C083AD622
4C083AD632
4C083AD642
4C083AD652
4C083AD662
4C083BB55
4C083CC41
4C083EE31
4C083EE32
4C083EE35
(57)【要約】
本発明の開示の実施態様は、歯に物体を適用することによって歯を改質する方法であって、物体は、歯の上に物体から放出される組成物を含み、組成物は、歯への改質作用、例えば歯のホワイトニング、歯の修復、歯のメンテナンス、またはそれらの組合せを有する、上記方法に関する。本発明の開示の追加の実施態様は、本発明の開示の物体に関する。本発明の開示の物体は、チュアブルの形態であってもよく、例えばチューイングトイまたはチューインガムの形態であってもよい。本発明の開示の物体はまた、こすりつけまたはブラッシングによって局所的に適用することができる形態であってもよい。本発明の開示の物体はまた、歯の改質作用以外の作用を有する第2の組成物、例えば物体の咀嚼を誘引する第2の組成物を含んでいてもよい。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯に物体を適用することを含む、歯を改質する方法であって、
該物体は組成物を含んでなり、該組成物は該物体から歯の上に放出され、該組成物は歯への改質作用を有し、前記改質作用は、歯のホワイトニング、歯の修復、歯のメンテナンス、またはそれらの組合せからなる群より選択される、上記方法。
【請求項2】
前記物体が、多孔質材料、木材、ファブリック、チュアブルな物体、チューイングトイ、ガム、こすりつけまたはブラッシングによって局所的に適用可能な物体、ペースト、液体、リンス、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記物体が、チュアブルの形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記物体が、チューイングトイの形態である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記物体が、チューインガムの形態である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記物体が、こすりつけまたはブラッシングによって局所的に適用可能な形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、歯のホワイトニング作用を有する組成物、歯の修復作用を有する組成物、歯のメンテナンス作用を有する組成物、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が、過酸化水素、過酸化カルバミド、フッ化物を含有する材料、リンを含有する材料、リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム(ZrP)、α-リン酸ジルコニウム、γ-リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、γ-リン酸チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、ヒドロキシアパタイト(HAP)、カオリナイト、ベントナイト、金、銀、シリカ、セリア、アルミナ、ジルコニア、アルミン酸カルシウム、炭化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化鉄、酸化マグネシウム、塩化亜鉛、フッ化ナトリウム、それらの水和した塩、それらのアミンをインターカレートした材料、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、約0.1:1~約0.1:100の有機物質:無機物質の質量比率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が、約0.1:1~約1:2の有機物質:無機物質の質量比率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物が、アミンをインターカレートしたリン酸ジルコニウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記アミンが、アミンベースのポリマーを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アミンベースのポリマーが、ポリエーテルアミン、ジェファミン、ジェファミンM600、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、粒子の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記粒子が、リン酸カルシウム粒子、二酸化ジルコニウム粒子、ヒドロキシアパタイト粒子、カオリナイト粒子、ベントナイト粒子、クロイジット粒子、金粒子、銀粒子、シリカ粒子、セリア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、アルミン酸カルシウム粒子、炭化ホウ素粒子、炭化ケイ素粒子、窒化ケイ素粒子、酸化鉄粒子、酸化マグネシウム粒子、塩化亜鉛粒子、フッ化ナトリウム粒子、リン酸ジルコニウム粒子、リン酸ジルコニウム粒子、リン酸チタン粒子、それらの水和した塩、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記粒子が、アミンをインターカレートしたリン酸ジルコニウム粒子を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記粒子が、機能化剤で機能化される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記機能化剤が、有機分子である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記有機分子が、ポリマー、アミンベースのポリマー、ポリエチレングリコール、界面活性剤、エリスリトール、ソルビトール、グリセロール、香味物質、トリクロサン、ラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記機能化剤が、界面活性剤である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記物体が、第2の組成物を含み、該第2の組成物が、歯の改質作用以外の作用を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の組成物が、前記物体の咀嚼を誘引することが可能である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の組成物が、矯味矯臭剤、着色剤、テクスチャリング剤、ミキサー、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記適用が、前記物体を咀嚼すること、前記歯の上に前記物体をこすりつけること、前記歯の上に前記物体をブラッシングすること、前記物体で前記歯を濯ぐこと、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記適用が、前記物体を咀嚼することを含み、前記物体が咀嚼されるときに、前記組成物が歯の上に放出される、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
前記適用が、歯の上に前記物体をこすりつけるかまたはブラッシングすることを含み、前記物体が歯の上にこすりつけられるかまたはブラッシングされるときに、前記組成物が歯の上に放出される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物が、歯の表面上で固体フィルムを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記フィルムが、100nm~5μmの範囲の厚さを有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記フィルムが、歯の表面上のトライボフィルムの形態である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記改質作用が、歯のメンテナンスを含み、歯のメンテナンスは、ひび割れからの保護、表面完全性の改善、歯の分解の防止、抗微生物特性の提供、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記改質作用が、歯の修復を含み、歯の修復は、ひび割れの充填、歯の再建、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記改質作用が、歯のホワイトニングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記物体が、対象の歯に適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記対象が、イヌ、ネコ、ラット、アレチネズミ、ハムスター、モルモット、ウサギ、ヒト、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
組成物を含む物体であって、
該組成物は前記物体から歯の上に放出可能であり、該組成物は、歯への改質作用を有し、該改質作用は、歯のホワイトニング、歯の修復、歯のメンテナンス、またはそれらの組合せからなる群より選択される、上記物体。
【請求項36】
多孔質材料、木材、ファブリック、チュアブルな物体、チューイングトイ、ガム、こすりつけまたはブラッシングによって局所的に適用可能な物体、ペースト、液体、リンス、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項35に記載の物体。
【請求項37】
チュアブルの形態である、請求項35に記載の物体。
【請求項38】
チューイングトイの形態である、請求項37に記載の物体。
【請求項39】
チューインガムの形態である、請求項37に記載の物体。
【請求項40】
こすりつけまたはブラッシングによって局所的に適用可能な形態である、請求項35に記載の物体。
【請求項41】
前記組成物が、歯のホワイトニング作用を有する組成物、歯の修復作用を有する組成物、歯のメンテナンス作用を有する組成物、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項35に記載の物体。
【請求項42】
前記組成物が、過酸化水素、過酸化カルバミド、フッ化物を含有する材料、リンを含有する材料、リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム(ZrP)、α-リン酸ジルコニウム、γ-リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、γ-リン酸チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、ヒドロキシアパタイト(HAP)、カオリナイト、ベントナイト、金、銀、シリカ、セリア、アルミナ、ジルコニア、アルミン酸カルシウム、炭化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化鉄、酸化マグネシウム、塩化亜鉛、フッ化ナトリウム、それらの水和した塩、それらのアミンをインターカレートした材料、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項35に記載の物体。
【請求項43】
前記組成物が、約0.1:1~約0.1:100の有機物質:無機物質の質量比率を有する、請求項35に記載の物体。
【請求項44】
前記組成物が、約0.1:1~約1:2の有機物質:無機物質の質量比率を有する、請求項35に記載の物体。
【請求項45】
前記組成物が、アミンをインターカレートしたリン酸ジルコニウムを含む、請求項35に記載の物体。
【請求項46】
前記アミンが、アミンベースのポリマーを含む、請求項45に記載の物体。
【請求項47】
前記アミンベースのポリマーが、ポリエーテルアミン、ジェファミン、ジェファミンM600、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項45に記載の物体。
【請求項48】
前記組成物が、粒子の形態である、請求項35に記載の物体。
【請求項49】
前記粒子が、リン酸カルシウム粒子、二酸化ジルコニウム粒子、ヒドロキシアパタイト粒子、カオリナイト粒子、ベントナイト粒子、クロイジット粒子、金粒子、銀粒子、シリカ粒子、セリア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、アルミン酸カルシウム粒子、炭化ホウ素粒子、炭化ケイ素粒子、窒化ケイ素粒子、酸化鉄粒子、酸化マグネシウム粒子、塩化亜鉛粒子、フッ化ナトリウム粒子、リン酸ジルコニウム粒子、リン酸ジルコニウム粒子、リン酸チタン粒子、それらの水和した塩、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項48に記載の物体。
【請求項50】
前記粒子が、アミンをインターカレートしたリン酸ジルコニウム粒子を含む、請求項48に記載の物体。
【請求項51】
前記粒子が、機能化剤で機能化される、請求項48に記載の物体。
【請求項52】
前記機能化剤が、有機分子である、請求項48に記載の物体。
【請求項53】
前記有機分子が、ポリマー、アミンベースのポリマー、ポリエチレングリコール、界面活性剤、エリスリトール、ソルビトール、グリセロール、香味物質、トリクロサン、ラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項48に記載の物体。
【請求項54】
前記物体が、第2の組成物を含み、前記第2の組成物が、歯の改質作用以外の作用を有する、請求項35に記載の物体。
【請求項55】
前記第2の組成物が、前記物体の咀嚼を誘引することが可能である、請求項54に記載の物体。
【請求項56】
前記第2の組成物が、矯味矯臭剤、着色剤、テクスチャリング剤、ミキサー、またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項54に記載の物体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2019年2月15日付けで出願された米国仮特許出願第62/806,488号、および2020年1月28日付けで出願された米国仮特許出願第62/966,691号の優先権を主張する。前述の出願のそれぞれの全体は、参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
[0002]歯の修復の従来の方法は、多数の制約がある。例えば、動物のための多くの歯の修復手順は、高価であり、ストレスが多く、危険な外科手術を伴う。追加の歯の修復手順は、バイオミネラリゼーションおよび再石灰化を必要とし、これらは、実際に行われるまでには長い時間を必要とする。歯の変色に対処する方法も、歯のエナメル質への損傷の可能性などの多数の制約がある。したがって、歯を再建しホワイトニングするための代替の材料および方法が必要である。本発明の開示の多数の実施態様が、前述の必要性に対処するものである。
【発明の概要】
【0003】
[0003]一部の実施態様において、本発明の開示は、歯を改質する方法に関する。一部の実施態様において、本発明の開示の方法は、歯に物体を適用することによって行われ、物体は、物体から歯の上に放出される組成物を含む。組成物は、歯への改質作用、例えば歯のホワイトニング、歯の修復、歯のメンテナンス、またはそれらの組合せを有する。本発明の開示の追加の実施態様は、本発明の開示の目的に関する。
【0004】
[0004]一部の実施態様において、本発明の開示の物体は、チュアブルの形態であり、例えばチューイングトイ(chew toy)またはチューインガムの形態である。一部の実施態様において、本発明の開示の物体は、こすりつけまたはブラッシングによって局所的に適用可能な形態である。
【0005】
[0005]一部の実施態様において、本発明の開示の組成物としては、これらに限定されないが、歯のホワイトニング作用を有する組成物、歯の修復作用を有する組成物、歯のメンテナンス作用を有する組成物、またはそれらの組合せが挙げられる。一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、アミンをインターカレートしたリン酸ジルコニウムを含む。一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、粒子の形態、例えばアミンをインターカレートしたリン酸ジルコニウム粒子の形態である。
【0006】
[0006]一部の実施態様において、本発明の開示の物体はまた、歯の改質作用以外の作用を有する第2の組成物も含む。例えば、一部の実施態様において、第2の組成物は、物体の咀嚼を誘引することが可能である。一部の実施態様において、第2の組成物としては、これらに限定されないが、矯味矯臭剤、着色剤、テクスチャリング剤、ミキサー、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0007】
[0007]本発明の開示の物体は、様々な方式で歯に適用することができる。例えば、一部の実施態様において、適用プロセスとしては、これらに限定されないが、物体を咀嚼すること、歯の上に物体をこすりつけること、歯の上の物体をブラッシングすること、物体で歯を濯ぐこと、またはそれらの組合せが挙げられる。一部の実施態様において、適用プロセスとしては、物体が咀嚼されるときに組成物が歯の上に放出されるような方式で、物体を咀嚼することが挙げられる。一部の実施態様において、適用プロセスは、物体が歯の上にこすりつけられるかまたはブラッシングされるときに、組成物が歯の上に放出されるような方式で、歯の上に物体をこすりつけるかまたはブラッシングすることを含む。
【0008】
[0008]一部の実施態様において、組成物が、歯の表面上で固体フィルムを形成する。一部の実施態様において、フィルムは、100nm~5μmの範囲の厚さを有する。一部の実施態様において、フィルムは、歯の表面上のトライボフィルムの形態である。
【0009】
[0009]本発明の開示の方法および物体は、歯への様々な改質作用を有し得る。例えば、一部の実施態様において、改質作用としては、歯のメンテナンス、例えばひび割れからの保護、表面完全性の改善、歯の崩壊の防止、抗微生物特性の提供、またはそれらの組合せが挙げられる。一部の実施態様において、改質作用としては、歯の修復、例えばひび割れの充填、歯の再建、またはそれらの組合せが挙げられる。一部の実施態様において、改質作用としては、歯のホワイトニングが挙げられる。
【0010】
[0010]本発明の開示の方法は、様々な対象の歯に本発明の開示の物体を適用するのに利用することができる。例えば、一部の実施態様において、対象としては、これらに限定されないが、イヌ、ネコ、ラット、アレチネズミ、ハムスター、モルモット、ウサギ、ヒト、またはそれらの組合せが挙げられる。一部の実施態様において、対象としては、イヌが挙げられる。一部の実施態様において、対象としては、ヒトが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】[0011]図1Aは、歯を改質する方法を例示する。
図1B】[0012]図1Bは、歯を改質するための物体を描写する。
図2】[0013]図2は、摩擦咀嚼(tribo-mastication)プロセスを要約する画像を提供する。このセットアップでは、2本の犬歯:「ディスク」型の歯および「ピン」型の歯を使用した。「ディスク」型の歯をエポキシ(斜線のブロック)中にシールし、表面のエナメルをポリッシングした。「ピン」型の歯を押し下げ、往復動作で「ディスク」型の歯とこすり合わせる。灰色の材料は、修復剤の配置を表す。
図3】[0014]図3は、ZrのX線質量減衰係数を示す。このプロットで使用されたデータは、国立標準技術局データベース(National Institute of Standards and Technology database :NIST)から収集された。
図4】[0015]図4は、疑似食品を用いた摩擦咀嚼プロセス(ボーンミル)から生じたエナメル摩耗の痕跡の干渉計の画像を示す。スケールバーのサイズは100μmであった。
図5A】[0016]図5Aは、S0を含む修復剤を用いた摩擦咀嚼プロセスの後のエナメル表面の干渉計の画像を示す。
図5B図5Bは、S2.5を含む修復剤を用いた摩擦咀嚼プロセスの後のエナメル表面の干渉計の画像を示す。
図5C図5Cは、S5を含む修復剤を用いた摩擦咀嚼プロセスの後のエナメル表面の干渉計の画像を示す。
図5D図5Dは、S10を含む修復剤を用いた摩擦咀嚼プロセスの後のエナメル表面の干渉計の画像を示す。
図6A】[0017]図6Aは、S0(図6Aおよび6B)およびS5(図6Cおよび6D)を用いて生成したトライボフィルムの原子間力顕微鏡(AFM)の高さ(図6Aおよび6C)および相(図6Bおよび6D)の画像を示す。カラーバーの単位は、図6Aおよび6Cではnmであり、図6Bおよび6DではmVであった。
図6B図6Bは、S0(図6Aおよび6B)およびS5(図6Cおよび6D)を用いて生成したトライボフィルムの原子間力顕微鏡(AFM)の高さ(図6Aおよび6C)および相(図6Bおよび6D)の画像を示す。カラーバーの単位は、図6Aおよび6Cではnmであり、図6Bおよび6DではmVであった。
図6C図6Cは、S0(図6Aおよび6B)およびS5(図6Cおよび6D)を用いて生成したトライボフィルムの原子間力顕微鏡(AFM)の高さ(図6Aおよび6C)および相(図6Bおよび6D)の画像を示す。カラーバーの単位は、図6Aおよび6Cではnmであり、図6Bおよび6DではmVであった。
図6D図6Dは、S0(図6Aおよび6B)およびS5(図6Cおよび6D)を用いて生成したトライボフィルムの原子間力顕微鏡(AFM)の高さ(図6Aおよび6C)および相(図6Bおよび6D)の画像を示す。カラーバーの単位は、図6Aおよび6Cではnmであり、図6Bおよび6DではmVであった。
図7】[0018]図7は、エナメル表面から収集されたラマンスペクトル、ならびにS0およびS5から生成されたトライボフィルムを示す。2つのピークは、リン酸基に起因するものであった。
図8】[0019]図8は、修復剤S5を用いた摩擦咀嚼プロセスの後のピン型の歯の3次元レンダリングを示す。二重エネルギーのkエッジ技術から計算されたZr元素の分布を、金色としてレンダリングした。図8Aは、歯の先端を示す。図8Bは、表面のひび割れに入り込んだ修復剤を示す断面のレンダリングを示す。スケールバーの長さは、4μmである。
図9】[0020]図9は、S5によって生成されたトライボフィルムからのスクラッチ試験結果を示す。赤色の部分がトライボフィルムであった。スクラッチ形成後、エナメル基板上に深い溝が形成されたものの、フィルムの一部がそれでもなお存在している。
図10】[0021]図10は、本発明の開示の態様に従って修復されたイヌの歯を例示する。
図11】[0022]図11は、修復された後のイヌの歯の局所解剖学を示す画像を例示する。
図12】[0023]図12は、イヌの歯の上の修復フィルム生成を例示する。
図13】[0024]図13は、イヌの歯のプロファイルを例示する。
図14】[0025]図14は、スクラッチ形成は歯からフィルムを除去しないことを例示する。
図15】[0026]図15は、ヒト歯の上のフィルム生成を例示する(A:イメージ、B:プロファイル)。
図16】[0027]図16は、フィルムによってコーティングされている領域を例示する。
図17】[0028]図17は、スクラッチ形成は歯からフィルムを除去しないことを例示する。
図18】[0029]図18は、歯の上に構築されたフィルムの画像を例示する。
図19】[0030]図19は、より優れた耐摩耗性と硬度を有する提唱された材料を例示する(チャートは、Materials Selection in Mechanical Design、第3版、Michael F.Ashbyから適合させた)。
図20】[0031]図20は、本発明の開示の態様によるヒト歯のホワイトニングを例示する。
図21】[0032]図21は、ホワイトニングした歯と標準的なホワイトニングスケールとの比較を例示する。ガラスチューブ内部の歯を、こすりつけによってホワイトニングした。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0033]前述の一般的な説明と以下の詳細な説明はどちらも例示的および説明的であり、特許請求された主題を制限するものではないことが理解されるものとする。本出願において、単数形の使用は複数形を含み、「1つの(a)」または「1つの(an)」という語は、「少なくとも1つの」を意味し、「または」の使用は、特に別段の規定がない限り、「および/または」を意味する。さらに、用語「含む(including)」、加えて「含む(includes)」および「含まれる」などの他の形態の使用は、非限定的である。「エレメント」または「構成要素」などの用語はまた、特に別段の規定がない限り、1つの単位を含むエレメントまたは構成要素と、1つより多くの単位を含むエレメントまたは構成要素の両方も包含する。
【0013】
[0034]本明細書において使用される章の見出しは、系統化する目的のためであり、記載された主題を限定するものとして解釈されないものとする。本出願で引用された全ての文書、または文書の一部、これらに限定されないが、特許、特許出願、論文、書籍、および専門書などは、それによりそれらの全体があらゆる目的で参照により明示的に本明細書に組み入れられる。組み入れられた文献および類似の資料の1つまたはそれより多くが、本出願における用語の定義と矛盾するように用語を定義する場合、本出願が優先する。
【0014】
[0035]歯のエナメル質は、体のなかで最も固く最も高密度な構造である。歯のエナメル質は、嚥下の前に食品をかみ砕くことを可能にし、通常の口腔細菌や他の有害な口腔内の物質から歯の内部を保護する。
【0015】
[0036]歯の損傷は、生活の質を低下させる可能性がある主要な健康状態の脅威である。極端な場合、歯の損傷は、生命を脅かす可能性がある。歯は、体のなかで最も固い組織であるが、それでもなお機械的な摩擦や酸による侵食を受ける。このような損傷は、処置されなければ、歯の喪失または感染を引き起こす可能性がある。
【0016】
[0037]加えて、エナメル層が除去されると、過敏な象牙質を環境因子にさらすことになる。これは順に、歯痛や感染の原因になり得る。
[0038]象牙質の露出またはエナメル層の崩壊の原因としては、これらに限定されないが、外傷、歯根尖周囲の炎症、エナメル質形成不全、形成異常、無機質過剰、遺伝的な障害(例えば、遺伝性エナメル質形成不全症(amylogenesis imperfecta)または象牙質形成不全症(dentiongenesis imperfect))、または歯科疾患が挙げられる。実際に、歯科疾患は、イヌとネコの両方で報告される広く蔓延した普及している疾患であり続けている。
【0017】
[0039]イヌなどの動物において、徹底的な咀嚼は、歯の損傷に密接に関連する。実際に、エナメル層は、イヌではヒトよりかなり薄く、したがって、より過剰な摩耗を受けやすい。このような摩耗は順に、象牙質や髄質の曝露に至る可能性があり、これが痛みを引き起こす。例えば、米国のペットの飼い主は、矯正歯科処置は、非常に痛く、およそ92%の症例において痛みのための薬物の投与を必要とすることを報告している。
【0018】
[0040]従来の歯の修復プロセスは、修復材料を適用するための外科手術を含む。しかしながら、このような手術は、高価であり、ストレスがかかる可能性がある。加えて、修復材料は、処置された歯の咬耗の原因になり得る。
【0019】
[0041]さらに、動物における損傷を受けたエナメルの歯科再建または修復を実行するために、慣例的に全身麻酔が必要である。しかしながら、全身麻酔の投与は、動物にとって麻酔関連の死亡を起こしやすく、飼い主に情緒的および金銭的な苦悩をもたらす可能性がある。
【0020】
[0042]現在使用されている歯科再建プロセスに代わるものは、損傷を受けた歯のエナメル質の再石灰化である。特定には、バイオミネラリゼーションプロセスは、インビトロまたはインビボでヒドロキシアパタイトナノ粒子を歯に適用し、固いエナメル組織を形成するために使用されるものであった。追加の再石灰化前駆体としては、カゼインホスホペプチドで安定化された無定形リン酸カルシウム、フッ化物を含むアメロゲニン、およびヒドロキシアパタイト(HAP)を含むポリドーパミンが挙げられた。従来の歯科処置とは異なり、前述の方法は、歯それ自体とほぼ同一な材料で歯を修復することができる。
【0021】
[0043]しかしながら、バイオミネラリゼーションおよび再石灰化プロセスは、実際に行われるまでには長い時間を必要とする。これらは通常、歯の摩耗速度と合わないため、これは、このような長期プロセスの臨床的な応用に対する大きな課題を提示する。さらに、バイオミネラリゼーションおよび再石灰化プロセスに利用される材料の多くは、特に固い材料を咀嚼する場合、高い咬合力に耐えられない。
【0022】
[0044]別の関連する歯関連の問題は、歯の変色であった。歯のホワイトニングに利用されてきた多くの材料および方法が、歯科医や個人によって使用された。しかしながら、前述の材料および方法の多くは、歯のエナメルおよび健康状態にとって有害である。これらの材料および方法に関連する有害作用としては、歯の過敏症、歯肉または粘膜の炎症、エナメルまたは象牙質の酸化、修復材料の崩壊、剪断および引張接着強度の低減、局所炎症、および歯の過敏症が挙げられる。
【0023】
[0045]したがって、歯を再建したりホワイトニングしたりするための代替の材料および方法が必要である。本発明の開示の多数の実施態様は、前述の必要性に対処するものである。
【0024】
[0046]一部の実施態様において、本発明の開示は、歯を改質する方法に関する。図1Aで例示される一部の実施態様において、本発明の開示の方法は、歯の上に歯改質組成物を含む物体を適用することを含む(工程10)。その後、組成物は、物体から歯の上に放出される(工程12)。本組成物は、歯のホワイトニング(工程16)、歯の修復(工程17)、および歯のメンテナンス(工程18)などの歯への様々な改質作用を有し得る。
【0025】
[0047]本発明の開示の追加の実施態様は、歯改質組成物を含む物体に関する。図1Bで例示される一部の実施態様において、本発明の開示の物体は、歯の上の物体20から放出可能な歯改質組成物22を含む物体20を含む。組成物22は、歯のホワイトニング、歯の修復、および歯のメンテナンスなどの歯への様々な改質作用を有し得る。
【0026】
[0048]本明細書においてより詳細に記載される通り、本発明の開示の方法および物体は、多数の実施態様を有し得る。特定には、様々な物体および様々な組成物は、歯に様々な改質作用を付与するために、様々な方式で様々な歯に適用することができる。
【0027】
[0049]物体
[0050]本発明の開示において、物体は、一般的に、本発明の開示の組成物を含み、歯の上にそれを放出することができる材料を指す。本発明の開示の物体は、様々な形態であり得る。例えば、一部の実施態様において、本発明の開示の物体としては、これらに限定されないが、多孔質材料、木材、ファブリック、チュアブルな物体、チューイングトイ、ガム、こすりつけまたはブラッシングによって局所的に適用可能な物体、ペースト、液体、リンス、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0028】
[0051]一部の実施態様において、本発明の開示の物体は、チュアブルの形態である。例えば、一部の実施態様において、本発明の開示の物体は、チューイングトイの形態である。より具体的な実施態様において、本発明の開示の物体は、イヌ、ネコ、および他の哺乳動物が咀嚼を介して歯を改質することを助けるチューイングトイの形態である。一部の実施態様において、チューイングトイは、それらが本発明の開示の組成物を含むことを除いて、標準的なチューイングトイ(chew todays)に似ている。一部の実施態様において、チューイングトイは、本発明の開示の組成物でコーティングされているか、または本発明の開示の組成物から作製される。一部の実施態様において、チューイングトイは、3次元(3D)プリント可能なチューイングトイである。
【0029】
[0052]一部の実施態様において、本発明の開示の物体は、ガムの形態である。より具体的な実施態様において、本発明の開示の物体は、ヒトが咀嚼を介して歯を改質することを助けることができるチューインガムの形態である。一部の実施態様において、チューインガムは、それが本発明の開示の組成物を含むことを除いて、標準的なチューインガムに似ている。一部の実施態様において、チューインガムは、本発明の開示の組成物でコーティングされているか、または本発明の開示の組成物から作製される。
【0030】
[0053]一部の実施態様において、本発明の開示の物体は、こすりつけまたはブラッシングによって局所的に適用可能な形態である。例えば、一部の実施態様において、本発明の開示の物体は、ヒトまたは他の動物が歯の上に練り歯磨きを適用することを介して歯を改質することを助けることができる練り歯磨きの形態である。一部の実施態様において、練り歯磨きは、それが本発明の開示の組成物を含むことを除いて、標準的な練り歯磨きに似ている。一部の実施態様において、練り歯磨きは、本発明の開示の組成物でコーティングされているか、または本発明の開示の組成物から作製される。
【0031】
[0054]組成物
[0055]本発明の開示の物体は、様々な組成物を含んでいてもよい。例えば、一部の実施態様において、好適な組成物としては、歯への改質作用を有し得る組成物を挙げることができる。一部の実施態様において、本組成物としては、これらに限定されないが、歯のホワイトニング作用を有する組成物、歯の修復作用を有する組成物、歯のメンテナンス作用を有する組成物、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0032】
[0056]一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、これらに限定されないが、過酸化水素、過酸化カルバミド、フッ化物を含有する材料、リンを含有する材料、リン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム(ZrP)、α-リン酸ジルコニウム、γ-リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、γ-リン酸チタン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、ヒドロキシアパタイト(HAP)、カオリナイト、ベントナイト、金、銀、シリカ、セリア、アルミナ、ジルコニア、アルミン酸カルシウム、炭化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化鉄、酸化マグネシウム、塩化亜鉛、フッ化ナトリウム、それらの水和した塩、それらのアミンをインターカレートした材料、またはそれらの組合せを含む。
【0033】
[0057]一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、アミンをインターカレートしたリン酸ジルコニウムを含む。一部の実施態様において、アミンは、アミンベースのポリマーである。一部の実施態様において、アミンベースのポリマーとしては、これらに限定されないが、ポリエーテルアミン、ジェファミン(Jeffamine)、ジェファミンM600、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0034】
[0058]一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、アミンをインターカレートしたリン酸ジルコニウムおよび二酸化ジルコニウムを含む。一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、アミンをインターカレートしたリン酸ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、およびリン酸カルシウムを含む。一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、二酸化ジルコニウムを、組成物の最大40wt%の濃度で含む。
【0035】
[0059]本発明の開示の組成物は、様々な有機および無機材料を、様々な質量比率で有し得る。例えば、一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、約0.1:1~約0.1:100の有機物質:無機物質の質量比率を有する。一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、約0.1:1~約1:2の有機物質:無機物質の質量比率を有する。一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、約1:2の有機物質:無機物質の質量比率を有する。
【0036】
[0060]一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、約0.1:100~約1:1の有機物質:無機物質の質量比率を有する。一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、約0.1:100の有機物質:無機物質の質量比率を有する。一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、約1:1の有機物質:無機物質の質量比率を有する。一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、約4:1の有機物質:無機物質の質量比率を有する。
【0037】
[0061]本発明の開示の組成物は、様々な形態であり得る。例えば、一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、粒子、シート、層状構造、またはそれらの組合せの形態であり得る。
【0038】
[0062]一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、粒子の形態である。一部の実施態様において、粒子は、約100nm~約5μmの範囲の直径を有する。一部の実施態様において、粒子は、約100nm~約1μmの範囲の直径を有する。一部の実施態様において、粒子は、約1μmの直径を有する。
【0039】
[0063]一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、粒子の形態であり、このような粒子としては、これらに限定されないが、リン酸カルシウム粒子、二酸化ジルコニウム粒子、ヒドロキシアパタイト粒子、カオリナイト粒子、ベントナイト粒子、クロイジット(cloisite)粒子、金粒子、銀粒子、シリカ粒子、セリア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、アルミン酸カルシウム粒子、炭化ホウ素粒子、炭化ケイ素粒子、窒化ケイ素粒子、酸化鉄粒子、酸化マグネシウム粒子、塩化亜鉛粒子、フッ化ナトリウム粒子、リン酸ジルコニウム粒子、リン酸ジルコニウム粒子(例えば、アミンをインターカレートしたリン酸ジルコニウム粒子)、リン酸チタン粒子、それらの水和した塩、またはそれらの組合せが挙げられる。一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、リン酸ジルコニウム粒子の形態である。
【0040】
[0064]一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、ヒドロキシアパタイトおよびジェファミンM-600をインターカレートしたリン酸ジルコニウム粒子の形態である。一部の実施態様において、ヒドロキシアパタイトと、ジェファミンM-600をインターカレートしたリン酸ジルコニウム粒子との質量比率は、約0:1~約1:1の範囲である。一部の実施態様において、ヒドロキシアパタイトと、ジェファミンM-600をインターカレートしたリン酸ジルコニウム粒子との質量比率は、0:1、0.25:1、0.5:1、または1:1である。
【0041】
[0065]一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、ヒドロキシアパタイトおよびアミンをインターカレートしたリン酸ジルコニウム粒子の形態である。一部の実施態様において、本開示の組成物は、リン酸チタン粒子の形態である。一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、二酸化ジルコニウムおよびアミンをインターカレートしたリン酸ジルコニウム粒子の形態である。
【0042】
[0066]一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、封入された形態である。一部の実施態様において、封入された形態としては、これらに限定されないが、溶解可能なナノスフェア、マイクロスフェア、カプセル、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0043】
[0067]一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、層状構造の形態である。一部の実施態様において、層状構造は、約2層~約20層を含有する。一部の実施態様において、層状構造は、約2層~約10層を含有する。一部の実施態様において、層状構造中の層は、少なくともファンデルワールス力によって一緒に保持される。
【0044】
[0068]一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、機能化剤で機能化される。一部の実施態様において、機能化剤は、有機分子である。一部の実施態様において、有機分子としては、これらに限定されないが、ポリマー、アミンベースのポリマー、ポリエチレングリコール、界面活性剤、エリスリトール、ソルビトール、グリセロール、香味物質、トリクロサン、ラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの組合せが挙げられる。一部の実施態様において、有機分子としては、これらに限定されないが、ジェファミン(ED-600、ED-400)、ポリエチレングリコール(PEG)コポリマー(例えば、mPEG12-NH、mPEG-NH)、界面活性剤(例えば、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩(carboyxlate)、ドキュセート、PFOS、パーフルオロブタンスルホン酸塩、PFOA、PFO、CTAB、CPC、BAC、BZT、DODABなど)、エリスリトール、ソルビトール、香味物質、トリクロサン、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセロール、またはそれらの組合せが挙げられる。一部の実施態様において、有機分子としては、界面活性剤が挙げられる。
【0045】
[0069]本発明の開示の組成物は、本発明の開示の物体と様々な方式で会合していてもよい。例えば、一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、本発明の開示の物体の表面上にコーティングされる。一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、本開示の物体と絡み合っている。一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、本発明の開示の物体内に分散されている。
【0046】
[0070]一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、本発明の開示の物体内に封入されていてもよい。一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、溶解可能なナノスフェア、マイクロスフェア、カプセルまたは他の材料の形態で、本発明の開示の物体内に封入されていてもよい。より具体的な実施態様において、本発明の開示の組成物は、チュアブルなトイまたはガム内に封入されているか(例えば、何らかのガムの内部は、柔らかい中心部分である)、または物体内の溶解可能なナノスフェア、マイクロスフェア、カプセルまたは他の材料内に封入されている(例えば、チュアブルなもの、ペーストまたは液体)。
【0047】
[0071]第2の組成物
[0072]一部の実施態様において、本発明の開示の物体はまた、第2の組成物を含んでいてもよい。第2の組成物は、一般的に、歯の改質作用以外の作用を有する組成物を指す。例えば、一部の実施態様において、本発明の開示の第2の組成物は、物体(例えば、チュアブルな物体)の咀嚼を誘引することが可能である。一部の実施態様において、本発明の開示の第2の組成物としては、これらに限定されないが、矯味矯臭剤、着色剤、テクスチャリング剤、ミキサー、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0048】
[0073]一部の実施態様において、本発明の開示の第2の組成物は、ミキサーを含む。一部の実施態様において、ミキサーとしては、これらに限定されないが、ヒドロキシアパタイト、フッ化カルシウム、ジルコニア、シリカ、アルミン酸カルシウム、酸化亜鉛ユージノール、酸化亜鉛、ポリカルボキシレート、アルギン酸ナトリウム、ポリエーテル、シリコーン、寒天、水酸化カルシウム、ガラスアイオノマー、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン、硫酸バリウム、イッテルビウム、アマルガム、複合樹脂、歯科用コンポマー、ジメタクリレート単量体、二機能性樹脂、磁器、アクリル樹脂、またはそれらの組合せを挙げることができる。
【0049】
[0074]歯への物体の適用
[0075]本発明の開示の組成物は、様々な方式で歯に適用することができる。例えば、一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、物体を咀嚼すること、歯の上に物体をこすりつけること、歯の上に物体をブラッシングすること物体で歯を濯ぐこと、またはそれらの組合せによって歯に適用される。
【0050】
[0076]一部の実施態様において、歯の上への物体の適用は、物体を咀嚼することによって行われる。一部の実施態様において、組成物は、物体が咀嚼されるときに歯の上に放出される。
【0051】
[0077]一部の実施態様において、歯の上への物体の適用は、歯の上に物体をこすりつけるかまたはブラッシングすることによって行われる。一部の実施態様において、組成物は、物体が歯の上にこすりつけられるかまたはブラッシングされるときに、歯の上に放出される。
【0052】
[0078]本発明の開示の物体は、歯の様々な領域に適用することができる。例えば、一部の実施態様において、本発明の開示の物体は、歯の表面上に適用される。一部の実施態様において、本発明の開示の物体は、歯のエナメル質上に適用される。
【0053】
[0079]本発明の開示の物体の歯への適用は、歯への様々な構造的な作用を有し得る。例えば、一部の実施態様において、組成物は、適用の結果として、歯の表面上で固体フィルムを形成する。一部の実施態様において、フィルムは、歯の表面上に所定の厚さを形成する。一部の実施態様において、フィルムは、100nm~5μmの範囲の厚さを有する。一部の実施態様において、フィルムは、最大約1μmの厚さを有する。一部の実施態様において、フィルムは、一様のフィルムの形態である。一部の実施態様において、フィルムは、トライボフィルムの形態である。一部の実施態様において、形成されたトライボフィルムは、連続的な滑らかなフィルムの形態である。一部の実施態様において、形成されたトライボフィルムは、有機および無機材料からなる。
【0054】
[0080]本発明の開示の組成物は、様々なメカニズムを介して歯の上に適用することができる。例えば、一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、摩擦咀嚼プロセスを介して歯の上に適用される。一部の実施態様において、組成物は、摩擦機械的な力によって剥離し、崩壊する。
【0055】
[0081]一部の実施態様において、歯の上への本発明の開示の物体の適用は、歯の上での本発明の開示の組成物の重合をもたらす。例えば、一部の実施態様において、適用プロセス中、本開示の組成物と結合したいずれのポリマー鎖も、重合した状態になる。一部の実施態様において、歯の上への本発明の開示の物体の適用は、ファンデルワールス力を介した本発明の開示の組成物の凝集(例えば、粒子凝集)をもたらす。
【0056】
[0082]歯の改質作用
[0083]本発明の開示の組成物は、様々な歯の改質作用を有し得る。例えば、一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、歯のホワイトニング、歯の修復、歯のメンテナンス、またはそれらの組合せを提供する。
【0057】
[0084]一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、歯のメンテナンスを提供する。一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、歯をひび割れから保護すること、歯の表面完全性を改善すること、歯の分解を防止すること、抗微生物特性の提供、またはそれらの組合せによって、歯のメンテナンスを提供する。
【0058】
[0085]一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、歯の修復を提供する。一部の実施態様において、歯の修復としては、歯のあらゆるひび割れの充填、歯の再建、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0059】
[0086]一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、歯のホワイトニングを提供する。一部の実施態様において、歯のホワイトニングとしては、歯のあらゆる着色の消去、歯の白色の外観、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0060】
[0087]一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、いかなるフォローアップ手順、例えば成形、グライディング、または研磨も必要とせずに、歯の改質作用を提供する。
【0061】
[0088]対象
[0089]一部の実施態様において、本発明の開示の物体は、対象の歯に適用される。本発明の開示の物体は、様々な対象の歯に適用することができる。例えば、一部の実施態様において、対象としては、これらに限定されないが、イヌ、ネコ、ラット、アレチネズミ、ハムスター、モルモット、ウサギ、ヒト、またはそれらの組合せが挙げられる。一部の実施態様において、対象としては、イヌが挙げられる。一部の実施態様において、対象としては、ヒトが挙げられる。
【0062】
[0090]適用および利点
[0091]一部の実施態様において、本発明の開示の方法および物体は、全身麻酔を必要とする現在使用される歯科再建プロセスの、商業的に入手可能で便利な代用品を提供する。例えば、一部の実施態様において、本発明の開示の組成物は、商業的に入手可能なチューイングトイまたは他のチュアブルな物体に適用することができる。したがって、通常の咀嚼の間、本発明の開示の組成物は、全身麻酔に関連するリスク、コストおよび苦痛をもたらすことなく、損傷を受けた歯を再建することができる。
【0063】
[0092]さらに、一部の実施態様において、本発明の開示の方法および物体は、自己再建を介して、歯科疾患、歯科用感染、および歯痛の発生を低減することができ、さらに、全身麻酔に関連するリスクおよび苦痛を低減することができる。さらに、一部の実施態様において、本発明の開示の方法および物体は、歯の修復や再建に現在利用可能な侵襲性技術の、手ごろで、便利で、有効な代用品を提供することができる。
【0064】
[0093]例えば、一部の実施態様において、本発明の開示の物体および組成物は、入院、全身麻酔、または歯科医(例えば、動物の歯科医)を必要としないエナメル再建材料を提供する。より具体的な実施態様において、ペットは、物体を咀嚼することによって、自宅で、ストレスがない環境で、自身のエナメルを再建することができる。
【0065】
[0094]さらに、一部の実施態様において、本発明の開示の物体および方法は、歯の白さと健康を維持するための、低コストの、長続きする、生体適合性の代用品を提供する。さらに、本発明の開示の物体および方法は、使用が簡単であり得る。例えば、一部の実施態様において、本発明の開示の物体および方法は、物体を咀嚼すること、口の中で物体を濯ぐこと、または物体を練り歯磨きとして利用することを介して、自宅で毎日使用することができる。
【0066】
[0095]ここで、本発明の開示のより詳細な実施態様とこのような実施態様の裏付けを提供する実験結果について述べる。しかしながら、出願人は、以下の開示は、単に例示の目的のためであり、特許請求された主題の範囲をどのような形であれ限定するものとして意図しないことを指摘する。
【実施例
【0067】
[0096]実施例1.歯科再建のためのナノ材料
[0097]この実施例において、出願人は、様々な組成物が、歯の修復において効果的であることを実証する。出願人による先行調査から、α-リン酸ジルコニウム(α-ZrP)が、トライボフィルムを形成するのに有効な添加剤であることが見出された(Daiら、Lubricants 2016、4(3)、28;Xiaoら、Appl. Surf. Sci.2015、329、384~389;Heら、Colloids Surf. Physicochem. Eng. Asp.2014、452、32~38;およびChenら、J. Tribol.2018、141(3))。特定には、出願人は、α-リン酸ジルコニウムナノ粒子が独特な層状構造を有することを見出した。さらに、各層の間に、層を一緒に保持するファンデルワールス力が存在した。このような粒子は、剪断力下で剥離し、それによって低い摩擦が生じる。
【0068】
[0098]粒子と表面との間の化学反応は、機械的な力によって誘発された。これまでに、トライボフィルムの概念を使用する歯の修復または表面の改変が報告されている。この実施例において、出願人は、機能化したナノ粒子を使用して、歯のエナメル質を再建する、改変する、および保護するための新規のアプローチを報告する。この新しい方法は、こすりつける表面間のトライボケミカルな相互作用の有効性から着想を得たものである。出願人は、トライボフィルムの形成およびナノ粒子-ポリマーバイオミネラリゼーションを介した歯科再建材料を設計した。結果は、リン無機物の固体フィルムが、摩耗した歯に最大1μmの厚さでうまくこすりつけられたことを示す。このようなフィルムはまた、歯表面のひび割れを充填して表面完全性を改善することにおいても有効である。
【0069】
[0099]実施例1.1.材料
[00100]この実施例で使用された全ての無機物質試薬を、シグマアルドリッチ(Sigma Aldrich)から購入した。この調査で使用された有機アミンM-600は、ハンツマン(Huntsman)社によって提供された。この調査における材料の合成は、以下の手順を使用した。α-ZrPナノ粒子およびHAPナノ粒子を水熱法で合成した。α-ZrPの場合、50mlの食品グレード12Mリン酸および5gの塩化ジルコニル八水和物(ZrOCl・8HO)を一定の撹拌条件下で混合した。次いでPTFE内殻オートクレーブ中に混合物を密封し、24時間にわたり200℃のオーブンに移した。
【0070】
[00101]HAPの前駆体を以下の手順で調製した:12mlの0.25M硝酸カルシウム溶液(Ca(NO)を、一定の撹拌および50~60℃下で、20mlの0.15Mリン酸水素二ナトリウム(NaHPO)溶液に一滴ずつ添加した。次いでこの混合物のpHを水酸化アンモニウムで8~10に調整した。この混合物をPTFE内殻オートクレーブ中に置き、160℃のオーブンに12時間置いた。水熱反応後、生成物を脱イオン水で洗浄し、3回の遠心分離によって回収した。
【0071】
[00102]洗浄したナノ粒子を、真空炉中、70℃で12時間乾燥させた。合成されたα-ZrPを、ポリエーテルアミンM-600でインターカレートした。合成された1mmolのα-ZrPをまず、超音波槽を用いて1時間にわたり5mlの脱イオン水に分散させた。続いて、この分散液に0.4MのM-600溶液を一滴ずつ添加した。
【0072】
[00103]摩擦修復ペーストは、HAPナノ粒子とM-600アミンをインターカレートしたα-ZrPとの混合物であった。インターカレートしたα-ZrPの合成された分散液をまず、HAPナノ粒子と混合した。インターカレーション前のα-ZrPに対する質量比率での使用されたHAPナノ粒子の量は、0:1、0.25:1および0.5:1であった(生産された修復剤を、それぞれS0、S2.5およびS5とラベルした)。生成物を10分かけて遠心分離した。遠心分離機プロセスの後、チューブを傾けて上清を除去し、沈殿を回収した。次いでこれらの沈殿を、以下のセクションに記載される摩擦咀嚼プロセスで使用した。
【0073】
[00104]全てのイヌの犬歯を、テキサスA&M大学獣医教育病院(Texas A&M veterinary medical teaching hospital)から得た。実験の前に、過酸化水素(H)および脱イオン(DI)水中で歯を洗浄した。残留した軟部組織を小さいナイフで除去した。
【0074】
[00105]実験のために「ディスク」サンプルをイヌの歯から作製した。サンプルを作製するために、イヌの歯をまずエポキシ樹脂ディスク中に遠心面を上にして密封した。次いで、この面のエナメルを慎重に露出させ、サンドペーパーでグライディングし3μmのサイズのダイヤモンドペーストでポリッシングした。
【0075】
[00106]ウシ用のボーンミルを使用して、固い食品を食べる間の咀嚼プロセスをシミュレートした。ウシの割った大腿骨を高圧の鍋で4時間煮て、空気乾燥した。次いで煮た骨を乳鉢と乳棒でグライディングし、次いで脱イオン水と1:1の質量比率で混合した。
【0076】
[00107]実施例1.2.実験手順
[00108]歯の咀嚼およびグライディングの動きをシミュレートするために、摩擦咀嚼プロセスを使用した。このプロセスをピン-オン-ディスク型摩擦計(CSMインスツルメンツ(CSM instruments))で実行した。図2に、この摩擦咀嚼実験のセットアップを例示する。このセットアップで、2本のイヌの犬歯を使用した。歯の一方をピンとして使用し、他方をディスクとして使用した。ピン上の垂直の力は1Nであった。ピン型の歯を、ディスク型の歯の上で、2mmの振幅および1cm/秒の最大速度でシヌソイド形の往復動作で移動させた。
【0077】
[00109]摩擦咀嚼プロセスの前に、修復剤を、歯の摩擦対(tribopair)の間に置いた。100サイクル後に動きを止めた。プロセスの後、サンプルを脱イオン水で洗浄し、空気乾燥させた。
【0078】
[00110]次いでスクラッチ試験をサンプルに行い、フィルムの機械的性能を定性的に評価した。このスクラッチ試験には、鋼の針を備えた同じ摩擦計が使用された。針を1Nの力で歯のディスクサンプルに押し込み、形成されたトライボフィルムにわたり手動でひっかいた。
【0079】
[00111]トライボフィルム堆積後、修復剤の作用を特徴付けた。形成されたトライボフィルムの形態学的特徴および微細構造を、干渉計(Zygo NewView 600、Zygo社)およびAFM(Nano-R2、パシフィックナノテクノロジー(Pacific Nanotechnology))の密接モード(close-contact mode)によって特徴付けた。トライボフィルムのラマンスペクトル結果を、532nmレーザーを備えたiHR550分光計(堀場サイエンティフィック(HORIBA Scientific)、ニュージャージー州エジソン)を用いて収集した。2つのスペクトル、すなわちトライボフィルムから1つのスペクトル、さらにポリッシングされた歯表面からもう1つのスペクトルを収集した。
【0080】
[00112]次いで摩擦咀嚼プロセスを経たピン型の歯を、シンクロトロンマイクロX線CT(μ-XCT)を用いて分析した。これらの実験を、ローレンスバークレー国立研究所(Lawrence Berkeley National Laboratory)のビームライン(Beam line)8.3.2装置で実行した。全てのサンプルを、LuAG:Ceシンチレーターを用いて画像化した。断層画像再構成を、トモピー(tomopy)トモグラフィープラグインを備えたXi-CAMを使用して実行した。
【0081】
[00113]コーティングの画像化を、二重エネルギーのkエッジ技術を用いて達成した。試験の前に、照射X線エネルギーを、純粋なα-ZrPナノ粒子サンプルを用いてZrのX線吸収端に較正した。図3で例示されるように、Zr元素によるX線吸収は約18KeVを超えた。2つの照射エネルギーを使用して、同じサンプルの2つの別個の断層画像:18.2KeVおよび17.8KeVを撮った。
【0082】
[00114]図3で例示されるように、サンプルを17.8KeVで照射した場合、Zr元素は18.2KeVで照射されたものより明るかった。したがって、2つのデータセット間の引き算は、出願人の修復トライボフィルムの分布であるZr元素の分布を解明することができる。次いで実験から収集したデータをAvizoソフトウェアを用いてレンダリングした。
【0083】
[00115]実施例1.3.結果および考察
[00116]歯サンプルが疑似食品を用いた摩擦咀嚼プロセスを経たら、エナメルの摩耗が起こった。図4A~Bに摩耗痕跡の干渉計画像を示す。摩耗痕跡の内部に、エナメル小柱が突き出していた。ボーンミル粒子での摩損によって軟部組織が除去されたと考えられる。類似の化学組成(HAP)にもかかわらず、ボーンミルは、このプロセスでエナメル表面に付着できない。
【0084】
[00117]全ての修復剤につき、摩擦咀嚼プロセスの後にトライボフィルムを形成した。図5A~Dに、干渉計の局所解剖学的な画像を示す。図5A~Dの中心に示されるフィルムは、修復剤を用いて実行された摩擦咀嚼プロセスの結果であった。
【0085】
[00118]添加剤が含まれないと、摩擦学的なピン-オン-ディスクの摩耗が、ディスク表面上に溝が生成する原因と予想される。ここで、その代わりに、100nm~1マイクロメートルの範囲の厚さを有するフィルムを生成した。このフィルムを生成する圧力を、約100MPaになるように計算した。このフィルムの生成が、歯の摩耗を防止した。
【0086】
[00119]このトライボフィルムの厚さおよび被覆率は、HAPナノ粒子の量で制御することができる。HAPの量を増加させると、生成したトライボフィルムの厚さが増加した。修復剤S0を用いたところ、フィルム厚さはわずか約100nmであったが、S10の場合にHAP:ZrPの質量比率を1:1に増加させた場合、2μmに増加した。トライボフィルムの被覆率もこの質量比率によって変化した。
【0087】
[00120]S0の場合、連続的なフィルムが生産され、サンプルS2.5およびS5はまた、ほぼ完全に摩耗痕跡を覆うトライボフィルムを生成することもできる。さらに、ZrPおよびHAPの比率を質量比率で1:2に増加させると、トライボフィルムをまったく形成することができない。多すぎるHAPナノ粒子の添加はまた、修復剤がそのトライボフィルム形成特性を失う原因にもなり得る。このために、出願人は、S5が、フィルム被覆率とフィルム厚さとのちょうどよい妥協案であると結論付ける。
【0088】
[00121]図6A~Dで示されるように、原子間力顕微鏡(AFM)画像から、インターカレートしたα-ZrPトライボフィルムの微細構造が解明された。図5Aおよび5CにトライボフィルムのAFMの高さおよび相マップを示す。S0を用いて生成したトライボフィルムは、約200nmのサイズを有する多くのフレーク状の粒子からなっていた(図6A~B)。この結果は、堆積が、約1μmのサイズを有するZrP粒子の直接的な堆積ではないことを示す。インターカレーションプロセスがZrP層間のファンデルワールス力を減少させるため、それらは、摩擦咀嚼プロセス中に剪断力によりより容易に剥離させることができる。したがって剥離し機能化された2次元シートは、トライボフィルムのビルディングブロックになる。
【0089】
[00122]HAPナノ粒子を含むことは、得られたトライボフィルムの微細構造を変化させた。粒子のフレーク状の凝集体の代わりに、より規則的な細胞様の構造が形成された(図6C~D)。この細胞様構造は、ほぼ同一なサイズの粒状物からなっていたが、これはHAPナノ粒子である可能性が極めて高い。HAPナノ粒子は、摩擦咀嚼プロセス後も生き残り、ZrPに付着したM600によって一緒に接着される。
【0090】
[00123]前述の結果はさらに、HAPナノ粒子を含むことがなぜフィルムの厚さを増加させたが被覆率を減少させたのかを説明する。この実施例において、HAPは、インターカレートしたα-ZrPなしでトライボフィルムを形成できない。したがって、より高い濃度のHAPは、インターカレートしたα-ZrPが歯表面と接触する可能性を減少させると予想される。
【0091】
[00124]生成したフィルムは、歯の表面にどのような外来の無機官能基も導入しなかった。摩擦化学的プロセスは、リン酸基を化学的に改質することがわかっていた。ラマンの結果は、歯のエナメル質とトライボフィルム両方の2つのピークしか示さなかった(図7)。両方のピークは-PO基から生じたものである。ラマンスペクトルから追加の化学物質は検出されなかった。
【0092】
[00125]表面のみの代わりに歯全体に対する修復剤の修復能力を特徴付けるために、マイクロX線CTを使用した。図10A~Bで示されるように、Zr元素の密度分布を再構築された歯の画像上に重ねた。歯は、S5剤を用いた摩擦咀嚼プロセス後のピン型のイヌの歯の先端であった。この実施例には、先端にひび割れを有する歯を選択した。接触領域において、歯の先端を包むフィルムが形成された。加えて、出願人は、先端のひび割れの内部にZr元素が存在することを見出した。
【0093】
[00126]前述の結果に基づいて、出願人は、純粋なインターカレートしたα-ZrPの、この実施例の歯修復剤に関するトライボフィルム形成メカニズムを提唱する。ナノ粒子を剥離し、摩擦機械的な力によって崩壊させた。その後、剥離したナノ粒子に結合したポリマー鎖を、剪断下で、この剥離した層に再び結合させた。
【0094】
[00127]ポリマー鎖を機械的な力でグラインドさせることにより、重合プロセスを起こすことができる。この機械化学的な重合プロセスは、トライボフィルム成長の駆動力になり得る。
【0095】
[00128]HAPナノ粒子が導入されると、ポリマー鎖はさらにHAP結晶と相互作用し、歯表面上でHAP結晶に接着し、それによって厚い密着した歯修復トライボフィルムが形成される。スクラッチ試験下で、生成したフィルムのスクラッチ抵抗は、歯それ自体の特性に等しいかまたはそれより高かった(図9A~B)。スチール製の針でスクラッチすることにより、歯表面とトライボフィルム表面の両方からの材料の損失が起こった。しかしながら、スクラッチにもかかわらずサンプル表面からトライボフィルムは除去または剥離されなかった。保護されていないエナメル表面上の深い溝と比較すると、このトライボフィルムは、優れた硬度および耐摩耗性を示す。
【0096】
[00129]実施例1.4.結論
[00130]この実施例において、出願人は、ヒトおよびペットの歯を修復およびメンテナンスするための簡単な1工程手順を提供する。保護膜の修復および形成は、石灰化のためのナノ粒子、ポリマー、およびバイオマテリアルからなる材料の機械的なこすりつけ(咀嚼)を介して可能になった。2つの歯の間での疑似摩擦咀嚼の後、歯の修復剤は、厚さが最大2μmのトライボフィルムを形成することができる。形成された修復フィルムは、エナメル表面に匹敵する硬度を有する。表面修復に加えて、この新しい修復剤は、エナメル表面上のひび割れに入ることができる。
【0097】
[00131]さらに、出願人は、ポリエーテルで修飾されたナノ粒子が、水溶液中でのトライボフィルムの形成を誘導できることを見出した。このような保護膜の形成は、歯のエナメル質内部でポリエーテルとHAPとの間の親和性に寄与し得る。
【0098】
[00132]実施例2.歯自己再建のための組成物
[00133]この実施例において、出願人は、チュアブルな物体を提供し、これは、チュアブルな物体と会合した組成物を含み、この組成物は、チュアブルな物体が咀嚼されるときに歯の上に放出される。この実施例において、この組成物は、HAPナノ粒子およびM-600アミンをインターカレートしたZrPナノ粒子の水性ペーストであった。この実施例において、出願人はまた、組成物を含むチュアブルな物体を咀嚼することを含む、材料を歯に適用する方法であって、組成物は、チュアブルな物体が咀嚼されるときに歯の上に放出される、方法も提供する。
【0099】
[00134]この実施例は、咀嚼を介して歯の摩耗したスポットを直すことができるナノ材料を設計および製作することを記載する。自己修復または自己保護機能は、ナノ材料の機械的触媒特性、摩擦化学的特性、または機械的化学特性に基づく。歯科的な自己再建は、ナノ粒子、エナメル、骨、およびカルシウムを含有する化合物間の咀嚼を引き起こす化学反応によって達成することができる。咀嚼プロセス中、いかなるフォローアップ手順、例えば成形、グライディング、または研磨も行わずに、固体の、長持ちする、高度に摩耗耐性の厚いコーティングを生成することができる。
【0100】
[00135]図10A~Bで示されるように、本発明の開示の組成物を数分間こすりつけることによって、イヌの歯を修復した。画像は、顕微鏡断層撮影を介して得たものであり、オレンジ色は、フィルム中のZrのトレースであった。元素がイヌの歯の上のひび割れや溝を通り抜け、均一に全体を覆った。
【0101】
[00136]修復フィルムは、長持ちし、スクラッチ耐性を有する。図11A~Bは、修復された後のイヌの歯の局所解剖学図を示す画像を例示する。こすりつけの方向は、上下の適用により実行される。こすりつけによって表面が構築される。その後、こすりつけた領域にわたりスクラッチ試験を実行する。スクラッチ試験は、フィルムをその場にとどめたまま剥き出しの歯をひっかくことを示す。
【0102】
[00137]図12A~Bは、イヌの歯の上での修復フィルム生成を例示する。赤色は、高い表面積を示す。図13は、イヌの歯のプロファイルを例示する。図14A~Bは、スクラッチはフィルムを除去しないことを例示する。図15A~Bは、ヒト歯の上のフィルム生成を例示する。図16は、フィルムによってコーティングされている領域を例示する。図17は、スクラッチはフィルムを除去しないことを例示する。図18は、歯の上に構築されたフィルムの画像を例示する。図19は、より優れた耐摩耗性および硬度を有する提唱された材料を例示する。
【0103】
[00138]実施例2.1.イヌ用のグリニーズ(Greenies)デンタルトリーツ(Dental Treats)のオリジナルフレーバー
[00139]成分:小麦粉、グリセリン、コムギグルテン、ゼラチン、水、粉末セルロース、レシチン、無機物質(リン酸二カルシウム、塩化カリウム、炭酸カルシウム、マグネシウムアミノ酸キレート、亜鉛アミノ酸キレート、鉄アミノ酸キレート、銅アミノ酸キレート、マンガンアミノ酸キレート、セレン、ヨウ化カリウム)、天然の鳥肉のフレーバー、塩化コリン、フルーツジュース色素、ビタミン(dl-アルファ酢酸トコフェロール[ビタミンE源]、ビタミンB12サプリメント、D-パントテン酸カルシウム[ビタミンB5]、ナイアシンサプリメント、ビタミンAサプリメント、リボフラビンサプリメント[ビタミンB2]、ビタミンD3サプリメント、ビオチン、硝酸チアミン[ビタミンB1]、塩酸ピリドキシン[ビタミンB6]、葉酸)、およびターメリック色素。
【0104】
[00140]実施例2.2.イヌ用のグリニーズデンタルトリーツのブルーベリーフレーバー
[00141]成分:小麦粉、グリセリン、コムギグルテン、ゼラチン、水、粉末セルロース、レシチン、天然のフレーバー、無機物質(リン酸二カルシウム、塩化カリウム、炭酸カルシウム、マグネシウムアミノ酸キレート、亜鉛アミノ酸キレート、鉄アミノ酸キレート、銅アミノ酸キレート、マンガンアミノ酸キレート、セレン、ヨウ化カリウム)、乾燥ブルーベリー、塩化コリン、フルーツジュース色素、ビタミン(dl-アルファ酢酸トコフェロール[ビタミンE源]、ビタミンB12サプリメント、d-パントテン酸カルシウム[ビタミンB5]、ナイアシンサプリメント、ビタミンAサプリメント、リボフラビンサプリメント[ビタミンB2]、ビタミンD3サプリメント、ビオチン、硝酸チアミン[ビタミンB1]、塩酸ピリドキシン[ビタミンB6]、葉酸)、およびターメリック色素。
【0105】
[00142]実施例2.3.イヌ用のグリニーズデンタルトリーツの「フレッシュ」フレーバー
[00143]成分:小麦粉、グリセリン、コムギグルテン、ゼラチン、水、粉末セルロース、レシチン、天然のフレーバー、無機物質(リン酸二カルシウム、塩化カリウム、炭酸カルシウム、マグネシウムアミノ酸キレート、亜鉛アミノ酸キレート、鉄アミノ酸キレート、銅アミノ酸キレート、マンガンアミノ酸キレート、セレン、ヨウ化カリウム)、乾燥スペアミント、塩化コリン、フルーツジュース色素、ビタミン(dl-アルファ酢酸トコフェロール[ビタミンE源]、ビタミンB12サプリメント、D-パントテン酸カルシウム[ビタミンB5]、ナイアシンサプリメント、ビタミンAサプリメント、リボフラビンサプリメント[ビタミンB2]、ビタミンD3サプリメント、ビオチン、硝酸チアミン[ビタミンB1]、塩酸ピリドキシン[ビタミンB6]、葉酸)、およびターメリック色素。
【0106】
[00144]実施例2.4.ネコ用のグリニーズデンタルトリーツのマグロフレーバー
[00145]成分:チキンミール、米粉、小麦粉、トウモロコシグルテンミール、オートムギ繊維、鳥肉の脂肪、(混合トコフェロールと共に保存された)、天然の鳥肉のフレーバー、グルコン酸ナトリウム、マグロフレーバー、すりつぶした亜麻仁、乾燥ビール酵母(Brewer's Dried Yeast)、すりつぶした亜麻仁、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸亜鉛、硫酸第一鉄、硫酸銅、酸化マンガン、ヨウ素酸カルシウム、亜セレン酸ナトリウム、炭酸コバルト、ビタミンAサプリメント、ビタミンD3サプリメント、ビタミンEサプリメント、ナイアシン、D-パントテン酸カルシウム、硝酸チアミン、リボフラビンサプリメント、塩酸ピリドキシン、葉酸、メナジオン重亜硫酸ナトリウム複合体、ビオチン、ビタミンB12サプリメント、クエン酸、タウリン、混合トコフェロールおよび銅クロロフィリンナトリウム。
【0107】
[00146]実施例2.5.ネコ用のグリニーズデンタルトリーツのサーモンフレーバー
[00147]成分:チキンミール、米粉、小麦粉、トウモロコシグルテンミール、オートムギ繊維、鳥肉の脂肪、(混合トコフェロールと共に保存された)、サーモンミール、天然の鳥肉のフレーバー、グルコン酸ナトリウム、すりつぶした亜麻仁、乾燥ビール酵母、すりつぶした亜麻仁、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸亜鉛、硫酸第一鉄、硫酸銅、酸化マンガン、ヨウ素酸カルシウム、亜セレン酸ナトリウム、炭酸コバルト、ビタミンAサプリメント、ビタミンD3サプリメント、ビタミンEサプリメント、ナイアシン、D-パントテン酸カルシウム、硝酸チアミン、リボフラビンサプリメント、塩酸ピリドキシン、葉酸、メナジオン重亜硫酸ナトリウム複合体、ビオチン、ビタミンB12サプリメント、クエン酸、タウリン、混合トコフェロール、および銅クロロフィリンナトリウム。
【0108】
[00148]実施例2.6.イヌ用のペディグリー(Pedigree)のデンタルスティックス(Dental Stix)ベーコンフレーバー
[00149]成分:米粉、小麦デンプン、グリセリン、ゼラチン、アラビアゴム、炭酸カルシウム、天然の鳥肉のフレーバー、粉末セルロース、トリポリリン酸ナトリウム、ヨウ素添加塩、塩化カリウム、塩化コリン、L-アスコルビル-2-ポリリン酸(ビタミンC源)、ビタミンAサプリメント、ナイアシン、D-パントテン酸カルシウム、葉酸、ビタミンD3サプリメント、ビタミンB12サプリメント、リボフラビン(ビタミンB2)、塩酸ピリドキシン(ビタミンB6)、dl-アルファ酢酸トコフェロール(ビタミンE源)、硝酸チアミン(ビタミンB1)、ソルビン酸カリウム(保存剤)、スモークフレーバー、硫酸亜鉛、緑茶抽出物、ターメリック、酸化鉄および硫酸銅。
【0109】
[00150]実施例2.7.ブルーバッファロー(Blue Buffalo)デンタルボーンのナチュラルフレーバー
[00151]成分:ジャガイモ、粉末セルロース、植物性グリセリン、水、ゼラチン、エンドウマメタンパク質、ヒマワリレシチン、天然のフレーバー、オートムギの外皮、ヒマワリ油、亜麻仁、ニンジン、炭酸カルシウム、乾燥ビート(色のために添加された)、プロピオン酸亜鉛、ブルーベリー、パセリ、クエン酸および混合トコフェロールと共に保存された乾燥アルファルファミール、およびローズマリー油。
【0110】
[00152]実施例3.歯のホワイトニングのための方法および組成物
[00153]この実施例において、出願人は、物体(例えば、チュアブルな物体)を提供し、これは、物体と会合した組成物を含み、組成物は、歯の上に放出される(例えば、物体が咀嚼されるときに)。その後、組成物は、歯を白くする。組成物(すなわち、ホワイトニング材料)は、物体に添加してもよい(例えば、噛む物体、例えば、ガムおよびキャンディー、例えばグミベア(gummy bear)など、またはペーストもしくは液体)。この実施例において、組成物(すなわち、ホワイトニング材料)は、酸化ジルコニウムナノ粒子およびM-600インターカレートしたZrPナノ粒子の混合物を含有する水性ペーストである。組成物(すなわち、ホワイトニング材料)は、適用(例えば、咀嚼、こすりつけ、マッサージおよび/またはブラッシング)が一旦始まると有効になり得る。組成物(すなわち、ホワイトニング材料)は、歯に毎日適用してもよい。
【0111】
[00154]この実施例はまた、歯に本発明の開示の物体を適用することによって歯をホワイトニングする方法であって、物体は、本発明の開示の組成物を含み、適用することで歯の上に組成物が放出され、組成物は、歯へのホワイトニング作用を有する、方法も提供する。適用は、本発明の開示の組成物を含むチュアブルな物体を咀嚼することを含み、組成物は、チュアブルな物体が咀嚼されるときに歯の上に放出される。
【0112】
[00155]図20~21で示されるように、歯の上に本発明の開示の組成物を数分間こすりつけることによって、ヒト歯を修復した。通常の抜歯された歯と比較して、歯は白く見えた。
【0113】
[00156]追加の実験結果および実施例は、米国仮特許出願第62/806,488号および62/966,691号に開示されている。前述の仮特許出願に記載の実験結果の全体は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0114】
[00157]さらなる詳細がなくとも、当業者は、本明細書に記載の説明を使用して本発明の開示をその最大限まで利用することができると考えられる。本明細書に記載される実施態様は、例示的として解釈され、開示されていないものを限定するとして決して解釈されないものとする。実施態様を示し、説明したが、それらの多くのバリエーションおよび改変が、本発明の本質および教示から逸脱することなく当業者によってなすことができる。したがって、保護の範囲は、上に記載された説明によって限定されないが、請求項の主題の全ての均等物を含む特許請求の範囲によってのみ限定される。本明細書において引用された全ての特許、特許出願および公報の開示は、それらが本明細書に記載のものと一致し、それを補う手順または他の詳細を提供する程度に、ここでの参照により本明細書に組み入れられる。
【符号の説明】
【0115】
20 物体
22 歯改質組成物
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】