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▶ アリゴス セラピューティクス インコーポレイテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】二環式スルホンアミド
(51)【国際特許分類】
   C07D 515/04 20060101AFI20220316BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220316BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 38/21 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 31/513 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 31/7072 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20220316BHJP
   C07D 513/04 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 31/554 20060101ALI20220316BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20220316BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
C07D515/04 CSP
A61P1/16
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K38/21
A61K31/513
A61K31/675
A61K31/7072
A61K31/522
C07D513/04 391
A61K31/554
A61K31/7088
A61P31/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547374
(86)(22)【出願日】2020-02-12
(85)【翻訳文提出日】2021-08-13
(86)【国際出願番号】 US2020017974
(87)【国際公開番号】W WO2020167984
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】62/805,725
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521195607
【氏名又は名称】アリゴス セラピューティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【弁理士】
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】ベイゲルマン レオニド
(72)【発明者】
【氏名】スミス デヴィッド バーナード
【テーマコード(参考)】
4C072
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C072AA01
4C072BB02
4C072CC02
4C072CC16
4C072EE19
4C072FF03
4C072GG07
4C072GG10
4C072HH02
4C072UU01
4C084AA19
4C084DA22
4C084MA02
4C084NA14
4C084ZA751
4C084ZA752
4C084ZB332
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC42
4C086BC91
4C086BC94
4C086CB07
4C086DA38
4C086EA16
4C086EA17
4C086GA05
4C086GA07
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZB33
4C086ZC75
(57)【要約】
式(I)及び(II)の化合物、又は前述の薬学的に許容される塩、本明細書に記載の化合物を含む(本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩を含む)医薬組成物、及びその合成方法が本明細書に提供される。また、式(I)及び/若しくは(II)の化合物、又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩で疾患及び/又は状態を治療する方法も本明細書に提供される。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造を有する式(I)の化合物であって、
【化1】
式中、
【化2】
が、単一又は二重結合であり、
【化3】
が単一結合である場合、Z1が、CR8A9Aであり、Z2は、CR8B9Bであり、
【化4】
が二重結合である場合、Z1及びZ2が、それぞれ独立して、CR10であり、
1が、置換若しくは非置換C2~8アルケニル、又は置換若しくは非置換C2~8アルキニルであり、前記置換C2~8アルケニル及び前記置換C2~8アルキニルが、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR11Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されており、
2が、水素、重水素、又は置換若しくは非置換C1~4アルキルであり、前記置換C1~4アルキルが、ハロゲン、ヒドロキシ、及びR11Bから選択される1つ以上の置換基で置換されており、
3が、水素、重水素、又は非置換C1~4アルキルであり、
4が、水素、重水素、又は非置換C1~4アルキルであり、
5が、水素、重水素、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、シアノ、非置換C1~4ハロアルキル、又は非置換C3~8単環式シクロアルキルであり、
6が、置換フェニル又は置換ピリジルであり、前記置換フェニル及び前記置換ピリジルが、ハロゲン、シアノ、非置換C1~4ハロアルキル、及び非置換C1~4アルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されており、
7が、水素、重水素、又は非置換C1~4アルキルであり、
8A、R8B、R9A、及びR9Bが、独立して、水素、重水素、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、又はヒドロキシであり、
各R10が、独立して、水素、重水素、ハロゲン、又は非置換C1~4アルキルであり、
11A及びR11Bが、独立して、任意に置換された-O-アシル、非置換O-連結α-アミノ酸、-O-P(=O)(OH)2、又は-CH2-P(=O)(OH)2である、
式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
前記式(I)の化合物が、以下からなる群から選択される構造を有する、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【化5】
【請求項3】
【化6】
が、単一又は二重結合であり、Z1が、CR8A9Aであり、Z2が、CR8B9Bである、請求項1若しくは2に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
8Aが、水素である、請求項3に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
8Aが、重水素である、請求項3に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
8Aが、ハロゲンである、請求項3に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
8Aが、非置換C1~4アルキルである、請求項3に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
8Aが、ヒドロキシである、請求項3に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
9Aが、水素である、請求項3~8のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
9Aが、重水素である、請求項3~8のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
9Aが、ハロゲンである、請求項3~8のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
9Aが、非置換C1~4アルキルである、請求項3~8のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
9Aが、ヒドロキシである、請求項3~8のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
8Bが、水素である、請求項3~13のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
8Bが、重水素である、請求項3~13のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
8Bが、ハロゲンである、請求項3~13のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
8Bが、非置換C1~4アルキルである、請求項3~13のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項18】
8Bが、ヒドロキシである、請求項3~13のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
9Bが、水素である、請求項3~18のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項20】
9Bが、重水素である、請求項3~18のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項21】
9Bが、ハロゲンである、請求項3~18のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項22】
9Bが、非置換C1~4アルキルである、請求項3~18のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項23】
9Bが、ヒドロキシである、請求項3~18のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項24】
【化7】
が、二重結合であり、Z1及びZ2が、それぞれ独立して、CR10である、請求項1若しくは2に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項25】
10が、水素である、請求項24に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項26】
10が、重水素である、請求項24に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項27】
10が、ハロゲンである、請求項24に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項28】
10が、非置換C1~4アルキルである、請求項24に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項29】
1が、非置換C2~8アルケニルである、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項30】
1が、非置換C2~8アルキニルである、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項31】
1が、置換C2~8アルケニルであり、前記置換C2~8アルケニルが、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR11Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されている、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項32】
1が、置換C3~4アルケニルであり、前記置換C3~4アルケニルが、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR11Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されている、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項33】
前記置換アルケニルが、1つ以上のハロゲンで置換されている、請求項31若しくは32に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項34】
前記置換アルケニルが、1つ以上のヒドロキシで置換されている、請求項31若しくは32に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項35】
前記置換アルケニルが、非置換単環式C3~6シクロアルキルで置換されている、請求項31若しくは32に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項36】
前記置換アルケニルが、置換単環式C3~6シクロアルキルで置換されている、請求項31若しくは32に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項37】
前記置換アルケニルが、非置換縮合二環式C3~8シクロアルキル、非置換架橋二環式C3~8シクロアルキル、及び非置換スピロ二環式C3~8シクロアルキルから選択される非置換二環式C3~8シクロアルキルで置換されている、請求項31若しくは32に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項38】
前記置換アルケニルが、置換縮合二環式C3~8シクロアルキル、置換架橋二環式C3~8シクロアルキル、及び置換スピロ二環式C3~8シクロアルキルから選択される置換二環式C3~8シクロアルキルで置換されている、請求項31若しくは32に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項39】
前記置換アルケニルが、非置換単環式ヘテロシクリルで置換されている、請求項31若しくは32に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項40】
前記置換アルケニルが、置換単環式ヘテロシクリルで置換されている、請求項31若しくは32に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項41】
前記置換アルケニルが、R11Aで置換されている、請求項31若しくは32に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項42】
11Aが、任意に置換された-O-アシルである、請求項41に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項43】
11Aが、非置換-O-連結α-アミノ酸である、請求項41に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項44】
11Aが、-O-P(=O)(OH)2である、請求項41に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項45】
1が、置換C2~8アルキニルであり、前記置換C2~8アルキニルが、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR11Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されている、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項46】
1が、置換C3~4アルキニルであり、前記置換C3~4アルキニルが、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR11Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されている、請求項1~28のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項47】
前記置換アルキニルが、1つ以上のハロゲンで置換されている、請求項45若しくは46に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項48】
前記置換アルキニルが、1つ以上のヒドロキシで置換されている、請求項45若しくは46に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項49】
前記置換アルキニルが、非置換単環式C3~6シクロアルキルで置換されている、請求項45若しくは46に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項50】
前記置換アルキニルが、置換単環式C3~6シクロアルキルで置換されている、請求項45若しくは46に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項51】
前記置換アルキニルが、非置換縮合二環式C3~8シクロアルキル、非置換架橋二環式C3~8シクロアルキル、及び非置換スピロ二環式C3~8シクロアルキルから選択される非置換二環式C3~8シクロアルキルで置換されている、請求項45若しくは46に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項52】
前記置換アルキニルが、置換縮合二環式C3~8シクロアルキル、置換架橋二環式C3~8シクロアルキル、及び置換スピロ二環式C3~8シクロアルキルから選択される置換二環式C3~8シクロアルキルで置換されている、請求項45若しくは46に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項53】
前記置換アルキニルが、非置換単環式ヘテロシクリルで置換されている、請求項45若しくは46に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項54】
前記置換アルキニルが、置換単環式ヘテロシクリルで置換されている、請求項45若しくは46に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項55】
前記置換アルキニルが、R11Aで置換されている、請求項46若しくは47に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項56】
11Aが、任意に置換された-O-アシルである、請求項55に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項57】
11Aが、非置換-O-連結α-アミノ酸である、請求項55に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項58】
11Aが、-O-P(=O)(OH)2である、請求項55に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項59】
2が、水素である、請求項1~58のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項60】
2が、重水素である、請求項1~58のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項61】
2が、非置換C1~4アルキルである、請求項1~58のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項62】
3が、水素である、請求項1~61のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項63】
3が、重水素である、請求項1~61のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項64】
3が、非置換C1~4アルキルである、請求項1~61のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項65】
3が、置換C1~4アルキルである、請求項1~61のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項66】
4が、水素である、請求項1~65のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項67】
4が、重水素である、請求項1~65のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項68】
4が、非置換C1~4アルキルである、請求項1~65のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項69】
5が、水素である、請求項1~68のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項70】
5が、重水素である、請求項1~68のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項71】
5が、ハロゲンである、請求項1~68のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項72】
5が、非置換C1~4アルキルである、請求項1~68のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項73】
5が、シアノである、請求項1~68のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項74】
5が、非置換C1~4ハロアルキルである、請求項1~68のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項75】
5が、非置換C3~8単環式シクロアルキルである、請求項1~68のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項76】
6が、置換フェニルである、請求項1~75のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項77】
前記置換フェニルが、一置換フェニルである、請求項76に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項78】
前記置換フェニルが、二置換フェニルである、請求項76に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項79】
6が、置換ピリジルである、請求項1~75のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項80】
前記置換ピリジルが、一置換ピリジルである、請求項79に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項81】
前記置換ピリジルが、二置換ピリジルである、請求項79に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項82】
7が、水素である、請求項1~81のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項83】
7が、重水素である、請求項1~81のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項84】
7が、非置換C1~4アルキルである、請求項1~81のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項85】
以下の構造を有する式(II)の化合物であって、
【化8】
式中、
12が、置換若しくは非置換C2~8アルケニル、又は置換若しくは非置換C2~8アルキニルであり、前記置換C2~8アルケニル及び前記置換C2~8アルキニルが、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR19Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されており、
13が、水素、重水素、又は置換若しくは非置換C1~4アルキルであり、前記置換C1~4アルキルが、ハロゲン、ヒドロキシ、及びR19Bから選択される1つ以上の置換基で置換されており、
14が、水素、重水素、又は非置換C1~4アルキルであり、
15が、水素、重水素、又は非置換C1~4アルキルであり、
16が、水素、重水素、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、シアノ、非置換C1~4ハロアルキル、又は非置換C3~8単環式シクロアルキルであり、
17が、置換フェニル又は置換ピリジルであり、前記置換フェニル及び前記置換ピリジルが、ハロゲン、シアノ、非置換C1~4ハロアルキル、及び非置換C1~4アルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されており、
18が、水素、重水素、又は非置換C1~4アルキルであり、
19A及びR19Bが、独立して、任意に置換された-O-アシル、非置換O-連結α-アミノ酸、-O-P(=O)(OH)2、又は-CH2-P(=O)(OH)2であるが、
但し、R12が非置換2-ブチニルであり、R13が水素であり、R14及びR18がそれぞれ水素であり、R15がメチルであり、R16が水素である場合、R17が3,4-ジフルオロフェニルではないことを条件とする、
式(II)の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項86】
前記式(II)の化合物が、以下からなる群から選択される構造を有する、請求項85に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩
【化9】
【請求項87】
12が、非置換C2~8アルケニルである、請求項85若しくは86に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項88】
12が、非置換C2~8アルキニルである、請求項85若しくは86に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項89】
12が、置換C2~8アルケニルであり、前記置換C2~8アルケニルが、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR19Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されている、請求項85若しくは86に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項90】
12が、置換C3~4アルケニルであり、前記置換C3~4アルケニルが、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR19Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されている、請求項85若しくは86に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項91】
前記置換アルケニルが、1つ以上のハロゲンで置換されている、請求項89若しくは90に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項92】
前記置換アルケニルが、1つ以上のヒドロキシで置換されている、請求項89若しくは90に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項93】
前記置換アルケニルが、非置換単環式C3~6シクロアルキルで置換されている、請求項89若しくは90に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項94】
前記置換アルケニルが、置換単環式C3~6シクロアルキルで置換されている、請求項89若しくは90に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項95】
前記置換アルケニルが、非置換縮合二環式C3~8シクロアルキル、非置換架橋二環式C3~8シクロアルキル、及び非置換スピロ二環式C3~8シクロアルキルから選択される非置換二環式C3~8シクロアルキルで置換されている、請求項89若しくは90に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項96】
前記置換アルケニルが、置換縮合二環式C3~8シクロアルキル、置換架橋二環式C3~8シクロアルキル、及び置換スピロ二環式C3~8シクロアルキルから選択される置換二環式C3~8シクロアルキルで置換されている、請求項89若しくは90に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項97】
前記置換アルケニルが、非置換単環式ヘテロシクリルで置換されている、請求項89又は90に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項98】
前記置換アルケニルが、置換単環式ヘテロシクリルで置換されている、請求項89若しくは90に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項99】
前記置換アルケニルが、R19Aで置換されている、請求項89又は90に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項100】
19Aが、任意に置換された-O-アシルである、請求項99に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項101】
19Aが、非置換-O-連結α-アミノ酸である、請求項99に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項102】
19Aが、-O-P(=O)(OH)2である、請求項99に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項103】
12が、置換C2~8アルキニルであり、前記置換C2~8アルキニルが、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR19Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されている、請求項85若しくは86に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項104】
12が、置換C3~4アルキニルであり、前記置換C3~4アルキニルが、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR19Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されている、請求項85若しくは86に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項105】
前記置換アルキニルが、1つ以上のハロゲンで置換されている、請求項103若しくは104に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項106】
前記置換アルキニルが、1つ以上のヒドロキシで置換されている、請求項103若しくは104に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項107】
前記置換アルキニルが、非置換単環式C3~6シクロアルキルで置換されている、請求項103若しくは104に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項108】
前記置換アルキニルが、置換単環式C3~6シクロアルキルで置換されている、請求項103若しくは104に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項109】
前記置換アルキニルが、非置換縮合二環式C3~8シクロアルキル、非置換架橋二環式C3~8シクロアルキル、及び非置換スピロ二環式C3~8シクロアルキルから選択される非置換二環式C3~8シクロアルキルで置換されている、請求項103若しくは104に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項110】
前記置換アルキニルが、置換縮合二環式C3~8シクロアルキル、置換架橋二環式C3~8シクロアルキル、及び置換スピロ二環式C3~8シクロアルキルから選択される置換二環式C3~8シクロアルキルで置換されている、請求項103若しくは104に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項111】
前記置換アルキニルが、非置換単環式ヘテロシクリルで置換されている、請求項103若しくは104に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項112】
前記置換アルキニルが、置換単環式ヘテロシクリルで置換されている、請求項103若しくは104に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項113】
前記置換アルキニルが、R19Aで置換されている、請求項103若しくは104に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項114】
19が、任意に置換された-O-アシルである、請求項113に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項115】
19Aが、非置換-O-連結α-アミノ酸である、請求項113に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項116】
19Aが、-O-P(=O)(OH)2である、請求項113に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項117】
13が、水素である、請求項85~116のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項118】
13が、重水素である、請求項85~116のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項119】
13が、非置換C1~4アルキルである、請求項85~116のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項120】
13が、置換C1~4アルキルである、請求項85~116のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項121】
14が、水素である、請求項85~120のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項122】
14が、重水素である、請求項85~120のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項123】
14が、非置換C1~4アルキルである、請求項85~120のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項124】
15が、水素である、請求項85~123のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項125】
15が、重水素である、請求項85~123のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項126】
15が、非置換C1~4アルキルである、請求項85~123のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項127】
5が、水素である、請求項85~126のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項128】
5が、重水素である、請求項85~126のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項129】
5が、ハロゲンである、請求項85~126のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項130】
5が、非置換C1~4アルキルである、請求項85~126のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項131】
5が、シアノである、請求項85~126のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項132】
5が、非置換C1~4ハロアルキルである、請求項85~126のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項133】
5が、非置換C3~8単環式シクロアルキルである、請求項85~126のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項134】
17が、置換フェニルである、請求項85~133のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項135】
前記置換フェニルが、一置換フェニルである、請求項134に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項136】
前記置換フェニルが、二置換フェニルである、請求項134に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項137】
16が、置換ピリジルである、請求項85~133のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項138】
前記置換フェニルが、一置換ピリジルである、請求項137に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項139】
前記置換フェニルが、二置換ピリジルである、請求項137に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項140】
18が、水素である、請求項85~139のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項141】
18が、重水素である、請求項85~139のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項142】
18が、非置換C1~4アルキルである、請求項85~139のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項143】
前記化合物が、以下からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、
【化10】
前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項144】
前記化合物が、以下からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、
【化11】
【化12】
【化13】
前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項145】
前記化合物が、以下からなる群から選択される、請求項85に記載の化合物、
【化14】
【化15】
【化16】
前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項146】
前記化合物が、以下からなる群から選択される、請求項85に記載の化合物、
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項147】
有効量の請求項1~146のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩、及び賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項148】
B型肝炎の治療に使用するための、請求項1~146のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項149】
D型肝炎の治療に使用するための、請求項1~146のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項150】
前記化合物が、インターフェロン、ヌクレオシド類似体、ヌクレオチド類似体、カプシド集合体調節剤、配列特異的オリゴヌクレオチド、核酸ポリマー、エントリー阻害剤、及び小分子免疫調節剤からなる群から選択される追加の薬剤と組み合わせて使用することができる、請求項148又は149に記載の化合物。
【請求項151】
前記追加の薬剤が、組換えインターフェロンアルファ2b、IFN-α、PEG-IFN-α-2a、ラミブジン、テルビブジン、アデホビルジピボキシル、クレブジン、エンテカビル、テノホビルアラフェナミド、テノホビルジソプロキシル、JNJ-6379、GLS4、ABI-HO731、JNJ-440、NZ-4、RG7907、AB-423、AB-506、ABI-H2158、REP 2139、及びREP2165からなる群から選択される、請求項150に記載の化合物。
【請求項152】
対象におけるB型肝炎を治療するための方法であって、有効量の請求項1~146のいずれか一項に記載の化合物を、B型肝炎に罹患している、治療を必要とする前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項153】
対象におけるD型肝炎を治療するための方法であって、有効量の請求項1~146のいずれか一項に記載の化合物を、D型肝炎に罹患している、治療を必要とする前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項154】
インターフェロン、ヌクレオシド類似体、ヌクレオチド類似体、カプシド集合体調節剤、配列特異的オリゴヌクレオチド、核酸ポリマー、エントリー阻害剤、及び小分子免疫調節剤からなる群から選択される追加の薬剤を投与することを更に含む、請求項152又は153に記載の方法。
【請求項155】
前記追加の薬剤が、組換えインターフェロンアルファ2b、IFN-α、PEG-IFN-α-2a、ラミブジン、テルビブジン、アデホビルジピボキシル、クレブジン、エンテカビル、テノホビルアラフェナミド、テノホビルジソプロキシル、JNJ-6379、GLS4、ABI-HO731、JNJ-440、NZ-4、RG7907、AB-423、AB-506、ABI-H2158、REP 2139、及びREP2165からなる群から選択される、請求項154に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(任意の優先権出願を参照することによる組み込み)
例えば、本出願と共に出願される出願データシート又は請求において、2019年2月14日に出願された米国仮出願第62/805,725号を含む、外国又は国内優先権の主張が確認される全ての出願が、37 CFR 1.57並びに規則4.18及び20.6に基づき、参照により本明細書に組み込まれる。
背景
【0002】
(発明の分野)
本出願は、化学、生化学、及び医学の分野に関する。式(I)及び(II)の化合物、又は前述の薬学的に許容される塩、本明細書に記載の化合物を含む(本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩を含む)医薬組成物、及びその合成方法が本明細書に開示される。また、式(I)及び/若しくは(II)の化合物、又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩で疾患及び/又は状態を治療する方法も本明細書に提供される。
【背景技術】
【0003】
B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus、HBV)は、DNAウイルスであり、Hepadnaviridaeファミリーのメンバーである。HBVは、世界中で3億を超える人に感染し、慢性肝炎、硬変、及び肝細胞癌などの肝癌及び肝疾患の原因病原体である。免疫系を増強するか、又はHBVウイルスの複製を遅らせるかのいずれかによってHBVを治療するための承認された薬物が存在するが、HBVは、承認された薬物のそれぞれに関連する欠点により問題となっている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩に関する。本明細書に開示される他の実施形態は、式(II)の化合物、又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0005】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、有効量の式(I)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩、及び/又は式(II)の化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含有し得る医薬組成物に関する。
【0006】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、HBV及び/又はHDV感染に罹患していると特定された対象に、有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み得る、HBV及び/又はHDV感染を治療する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、HBV及び/若しくはHDV感染の治療に使用するための、本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物に関する。
【0007】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、HBV及び/又はHDVに感染した細胞を、有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物と接触させることを含み得る、HBV及び/又はHDVの複製を阻害する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、HBV及び/若しくはHDVの複製の阻害に使用するための、本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物に関する。
【0008】
これら及び他の実施形態は、以下により詳細に記載される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
HBVは、約3.2キロベース(kb)対の部分二本鎖の円形DNAであり、A~Hの8つの遺伝子型に分類される。HBV複製経路は、非常に詳細に研究されている。T.J.Liang,Heptaology(2009)49(5 Suppl):S13-S21。複製の部分は、共有結合性閉環状(cccDNA)形態の形成を含む。cccDNAの存在は、宿主生物の寿命にわたってウイルスの再出現のリスクを引き起こす。HBV保有者は、数年にわたって疾患を伝播させることができる。推定3億人の人々がB型肝炎ウイルス感染と共に生きており、世界的に750,000人を超える人々が毎年肝炎B型で死亡すると推定される。加えて、免疫抑制個体又は化学療法を受けている個体は、特にHBV感染の再活性化のリスクがある。HBVは、急性及び/又は慢性であり得る。急性HBV感染は、無症候性であるか、又は症候性急性肝炎を示すかのいずれかであり得る。
【0010】
HBVは、血液、精液、及び/又は別の体液によって伝播され得る。これは、血液と血液との直接接触、無防備な性交渉、針の共有により、及び出産過程中に感染した母親から乳児に生じ得る。HBV表面抗原(HBsAg)は、この感染の存在をスクリーニングするために最も頻繁に使用される。現在利用可能な薬剤は、HBV及び/又はHDV感染を治癒しない。むしろ、薬剤は、ウイルスの複製を抑制する。
【0011】
D型肝炎ウイルス(hepatitis D virus、HDV)は、HepadnaviridaeファミリーのウイルスにおいてもDNAウイルスである。HDVは、HBVの存在下でのみ伝播することができる。HDVの伝播経路は、HBVの経路と同様である。HDVの伝播は、HBVによる同時感染(共感染)を介して、又は慢性肝炎B若しくはB型肝炎保有状態に加えて(重感染)のいずれかで生じ得る。HDVによる重感染及び共感染の両方は、HBV単独による感染と比較して、より深刻な合併症をもたらす。これらの合併症としては、急性感染症における肝臓障害を経験する可能性が高く、肝硬変への急速な進行が挙げられ、慢性感染においては肝癌を発症するリスクが増加する。B型肝炎との組み合わせにおいて、D型肝炎は、全ての肝炎感染の中で20%の最も高い致死率を有する。現在、D型肝炎のための治癒又はワクチンは存在しない。
定義
【0012】
別段の定めがない限り、本明細書で使用される全ての技術及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で参照される全ての特許、出願、公開出願、及び他の出版物は、特に明記しない限り、参照によりそれらの全体が組み込まれる。本明細書のある用語に対して複数の定義が存在する場合、特に明記しない限り、この節にある定義が優先される。
【0013】
ある基が「任意に置換」されていると記載されるときはいつでも、その基は、非置換であってもよく、又は示された置換基のうちの1つ以上で置換されていてもよい。同様に、ある基が「非置換又は置換」であると記載されるとき、置換の場合は、置換基は、示された置換基のうちの1つ以上から選択されてもよい。置換基が指示されていない場合、指示された「任意に置換された」又は「置換された」基が、重水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、(ヘテロシクリル)アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、シアノ、ハロゲン、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、ニトロ、アジド、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、アミノ、一置換アミノ基、及び二置換アミノ基から個々にかつ独立して選択される1つ以上の基で置換されてもよいことを意味する。
【0014】
本明細書で使用される場合、「a」及び「b」が整数である「Ca~Cb」は、アルキル、アルケニル若しくはアルキニル基中の炭素原子の数、又はシクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール若しくはヘテロシクリル基の環中の炭素原子の数を指す。つまり、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキルの環、シクロアルケニルの環、アリールの環、ヘテロアリールの環、又はヘテロシクリルの環は、「a」~「b」個(両端の値を含む)の炭素原子を含有することができる。したがって、例えば、「C1~C4アルキル」基は、1~4個の炭素を有する全てのアルキル基、つまり、CH3-、CH3CH2-、CH3CH2CH2-、(CH32CH-、CH3CH2CH2CH2-、CH3CH2CH(CH3)-、及び(CH33C-を指す。アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリル基に関して、「a」及び「b」が指定されていない場合、これらの定義に記載される最も広い範囲が想定される。
【0015】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、完全飽和(二重結合又は三重結合のない)炭化水素基を含む直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖を指す。アルキル基は、1~20個の炭素原子を有してもよい(本明細書中に現れる場合は常に、「1~20」などの数値範囲は、所与の範囲内の各整数を指し、例えば、「1~20個の炭素原子」とは、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大20個の炭素原子からなってもよいことを意味するが、この定義は、数値範囲が指定されていない用語「アルキル」の存在も含む)。アルキル基はまた、1~10個の炭素原子を有する中間サイズのアルキルであってもよい。アルキル基はまた、1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであってもよい。化合物のアルキル基は、「C1~C4アルキル」又は類似の表記で表示されてもよい。一例にすぎないが、「C1~C4アルキル」は、アルキル鎖中に1~4個の炭素原子が存在する、すなわち、アルキル鎖がメチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、及びt-ブチルから選択されることを示す。典型的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、三級ブチル、ペンチル及びヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、置換又は非置換であってもよい。
【0016】
本明細書で使用するとき、「アルケニル」は、直鎖又は分枝状の炭化水素鎖中に1つ以上の二重結合を含有するアルキル基を指す。アルケニルの長さは異なり得る。例えば、アルケニルは、C2~4アルケニル、C2~6アルケニル、又はC2~8アルケニルであり得る。アルケニル基の例としては、アレニル、ビニルメチル及びエテニルが挙げられる。アルケニル基は、非置換であっても置換であってもよい。
【0017】
本明細書で使用するとき、「アルキニル」は、直鎖状又は分枝状の炭化水素鎖中に1つ以上の三重結合を含有するアルキル基を指す。アルキニルの長さは異なり得る。例えば、アルキニルは、C2~4アルキニル、C2~6アルキニル、又はC2~8アルキニルであり得る。アルキニルの例としては、エチニル及びプロピニルが挙げられる。アルキニル基は、非置換であっても置換であってもよい。
【0018】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、完全に飽和した(二重結合又は三重結合なし)単環式又は多環式炭化水素環系を指す。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合により接合されてもよい。シクロアルキル基は、環中に3~10個の原子を含有することができる。環中に3~8個の原子又は環中に3~6個の原子。シクロアルキル基は、非置換であっても置換であってもよい。典型的なシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられるが、決してこれらに限定されない。
【0019】
本明細書で使用される場合、「シクロアルケニル」は、少なくとも1つの環中に1つ以上の二重結合を含有する、単環式又は多環式炭化水素環系を指すが、2つ以上が存在する場合、二重結合は、全ての環全体にわたって完全に非局在化したπ電子系を形成することができない(そうでなければ、その基は、本明細書に定義される「アリール」である)。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合により結合されてもよい。シクロアルケニル基は、環中に3~10個の原子又は環中に3~8個の原子を含有することができる。シクロアルケニル基は、非置換であっても置換であってもよい。
【0020】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、全ての環全体にわたって完全に非局在化したπ電子系を有する、炭素環式(全てが炭素の)単環式又は多環式芳香環系(2つの炭素環が化学結合を共有する縮合環系を含む)を指す。アリール基中の炭素原子の数は異なり得る。例えば、アリール基は、C6~C14アリール基、C6~C10アリール基、又はC6アリール基であってもよい。アリール基の例としては、ベンゼン、ナフタレン、及びアズレンが挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0021】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、1個以上のヘテロ原子(例えば、1~5個のヘテロ原子)、つまり、窒素、酸素、及び硫黄が挙げられるが、これらに限定されない、炭素以外の元素を含有する、単環式、二環式、及び三環式芳香環系(完全に非局在化したπ電子系を有する環系)を指す。ヘテロアリール基の環中の原子の数は異なり得る。例えば、ヘテロアリール基は、環中に4~14個の原子、環中に5~10個の原子、又は環中に5~6個の原子を含有することができる。更に、「ヘテロアリール」という用語は、少なくとも1つのアリール環及び少なくとも1つのヘテロアリール環、又は少なくとも2つのヘテロアリール環など、2つの環が少なくとも1つの化学結合を共有する、縮合環系を含む。ヘテロアリール環の例としては、フラン、フラザン、チオフェン、ベンゾチオフェン、フタラジン、ピロール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、チアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、インドール、インダゾール、ピラゾール、ベンゾピラゾール、イソオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、プリン、プテリジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、シンノリン、及びトリアジンが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。
【0022】
本明細書で使用される場合、「ヘテロシクリル」は、1~5個のヘテロ原子と共に炭素原子が当該環系を構成する単環式、二環式、及び三環式環系を指す。複素環は、そのように位置している1つ以上の不飽和結合を任意に含有し得るが、完全に非局在化したπ電子系は、全ての環全体にわたって発生しない。ヘテロシクリル基の環中の原子の数は異なり得る。例えば、ヘテロシクリル基は、環中に4~14個の原子、環中に5~10個の原子、又は環中に5~6個の原子を含有することができる。ヘテロ原子は、酸素、硫黄、及び窒素が挙げられるが、これらに限定されない、炭素以外の元素である。複素環は、ラクタム、ラクトン、環状イミド、環状チオイミド、及び環状カルバメートなどのオキソ系及びチオ系を含むように定義するために、1つ以上のカルボニル又はチオカルボニル官能基を更に含有してもよい。2つ以上の環からなる場合、環は、縮合により接合されてもよい。加えて、ヘテロシクリル中の任意の窒素は、四級化されていてもよい。ヘテロシクリル基は、置換されていても非置換であってもよい。そのような「ヘテロシクリル」基の例としては、1,3-ジオキシン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,2-ジオキソラン、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキソラン、1,3-オキサチアン、1,4-オキサチイン、1,3-オキサチオラン、1,3-ジチオール、1,3-ジチオラン、1,4-オキサチアン、テトラヒドロ-1,4-チアジン、2H-1,2-オキサジン、マレイミド、スクシンイミド、バルビツール酸、チオバルビツール酸、ジオキソピペラジン、ヒダントイン、ジヒドロウラシル、トリオキサン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、オキサゾリジノン、チアゾリン、チアゾリジン、モルホリン、オキシラン、ピペリジンN-オキシド、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、ピロリドン、ピロルジオン、4-ピペリドン、ピラゾリン、ピラゾリジン、2-オキソピロリジン、テトラヒドロピラン、4H-ピラン、テトラヒドロチオピラン、チオモルホリン、チオモルホリンスルホキシド、チオモルホリンスルホン、及びそれらのベンゾ縮合類似体(例えば、ベンズイミダゾリジノン、テトラヒドロキノリン、及び3,4-メチレンジオキシフェニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書で使用される場合、「アリール(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として結合されるアリール基を指す。アリール(アルキル)の低級アルキレン及びアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。例としては、ベンジル、2-フェニル(アルキル)、3-フェニル(アルキル)、及びナフチル(アルキル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール(アルキル)」は、低級アルキレン基を介して置換基として結合されるヘテロアリール基を指す。ヘテロアリール(アルキル)の低級アルキレン及びヘテロアリール基は、置換されていても非置換であってもよい。例としては、2-チエニル(アルキル)、3-チエニル(アルキル)、フリル(アルキル)、チエニル(アルキル)、ピロリル(アルキル)、ピリジル(アルキル)、イソオキサゾリル(アルキル)、イミダゾリル(アルキル)、及びそれらのベンゾ縮合類似体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
「(ヘテロシクリル)アルキル」は、低級アルキレン基を介して置換基として結合される複素環式基を指す。ヘテロアリシクリル(アルキル)の低級アルキレン及びヘテロシクリルは、置換されていても非置換であってもよい。例としては、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル(メチル)、ピペリジン-4-イル(エチル)、ピペリジン-4-イル(プロピル)、テトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル(メチル)、及び1,3-チアジナン-4-イル(メチル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
「低級アルキレン基」は、直鎖-CH2-連結基であり、それらの末端炭素原子を介して分子断片を接続するように結合を形成する。例としては、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン(-CH2CH2CH2-)、及びブチレン(-CH2CH2CH2CH2-)が挙げられるが、これらに限定されない。低級アルキレン基は、低級アルキレン基の1つ以上の水素を、「置換」の定義で列挙される置換基で置き換えることによって置換され得る。
【0027】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」は、式-ORを指し、式中、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であり、本明細書に定義される。アルコキシの非限定的なリストは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、1-メチルエトキシ(イソプロポキシ)、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、フェノキシ、及びベンゾキシである。アルコキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0028】
本明細書で使用される場合、「アシル」は、カルボニル基を介して置換基として結合される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)を指す。例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ベンゾイル、及びアクリルが挙げられる。アシルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0029】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシアルキル」は、水素原子のうちの1つ以上がヒドロキシ基によって置換されたアルキル基を指す。代表的なヒドロキシアルキル基としては、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシプロピル、及び2,2-ジヒドロキシエチルが挙げられるが、これらに限定されない。ヒドロキシアルキルは、置換又は非置換であってもよい。
【0030】
本明細書で使用される場合、「ハロアルキル」は、水素原子のうちの1つ以上がハロゲンによって置き変えられたアルキル基を指す(例えば、モノ-ハロアルキル、ジ-ハロアルキル、及びトリ-ハロアルキル)。そのような基としては、クロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1-クロロ-2-フルオロメチル、及び2-フルオロイソブチルが挙げられるが、これらに限定されない。ハロアルキルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ハロアルコキシ」は、O-アルキル基を指し、式中、水素原子のうちの1つ以上がハロゲンによって置き換えられる(例えば、モノ-ハロアルコキシ、ジ-ハロアルコキシ、及びトリ-ハロアルコキシ)。そのような基としては、クロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1-クロロ-2-フルオロメトキシ、及び2-フルオロイソブトキシが挙げられるが、これらに限定されない。ハロアルコキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0032】
「スルフェニル」基は、「-SR」基を指し、式中、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。スルフェニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0033】
「スルフィニル」基は、「-S(=O)-R」基を指し、式中、Rは、スルフェニルに関して定義されるものと同じであってもよい。スルフィニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0034】
「スルホニル」基は、「SO2R」基を指し、式中、Rは、スルフェニルに関して定義されるものと同じであってもよい。スルホニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0035】
「O-カルボキシ」基は、「RC(=O)O-」基を指し、式中、Rは、本明細書に定義される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。O-カルボキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0036】
「エステル」及び「C-カルボキシ」という用語は、「-C(=O)OR」基を指し、式中、Rは、O-カルボキシに関して定義されるものと同じであってもよい。エステル及びC-カルボキシは、置換されていても非置換であってもよい。
【0037】
「チオカルボニル」基は、「-C(=S)R」基を指し、式中、Rは、O-カルボキシに関して定義されるものと同じであってもよい。チオカルボニルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0038】
「トリハロメタンスルホニル」基は、「X3CSO2-」基を指し、式中、各Xはハロゲンである。
【0039】
「トリハロメタンスルホンアミド」基は、「X3CS(O)2N(RA)-」基を指し、式中、各Xはハロゲンであり、RAは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)である。
【0040】
本明細書で使用される場合、「アミノ」という用語は、-NH2基を指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を指す。
【0042】
「シアノ」基は、「-CN」基を指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、「アジド」という用語は、-N3基を指す。
【0044】
「イソシアナト」基は、「-NCO」基を指す。
【0045】
「チオシアナト」基は、「-CNS」基を指す。
【0046】
「イソチオシアナト」基は、「-NCS」基を指す。
【0047】
「メルカプト」基は、「-SH」基を指す。
【0048】
「カルボニル」基は、C=O基を指す。
【0049】
「S-スルホンアミド」基は、「-SO2N(RAB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。S-スルホンアミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0050】
「N-スルホンアミド」基は、「RSO2N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-スルホンアミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0051】
「O-カルバミル」基は、「-OC(=O)N(RAB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。O-カルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0052】
「N-カルバミル」基は、「ROC(=O)N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-カルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0053】
「O-チオカルバミル」基は、「-OC(=S)-N(RAB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。O-チオカルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0054】
「N-チオカルバミル」基は、「ROC(=S)N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-チオカルバミルは、置換されていても非置換であってもよい。
【0055】
「C-アミド」基は、「-C(=O)N(RAB)」基を指し、式中、RA及びRBは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。C-アミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0056】
「N-アミド」基は、「RC(=O)N(RA)-」基を指し、式中、R及びRAは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アリール(アルキル)、ヘテロアリール(アルキル)、又はヘテロシクリル(アルキル)であってもよい。N-アミドは、置換されていても非置換であってもよい。
【0057】
本明細書で使用される場合、「ハロゲン原子」又は「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素などの元素周期律表の第7列の放射安定性原子のうちのいずれか1つを意味する。
【0058】
「α-アミノ酸」という用語は、当業者に理解されるように使用される。α-アミノ酸の例としては、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、トリプトファン、及びバリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
「-O連結α-アミノ酸」は、その主鎖カルボン酸基からヒドロキシを介して結合しているα-アミノ酸を指す。α-アミノ酸が-O-連結α-アミノ酸に結合している場合、その主鎖カルボン酸基からのヒドロキシの一部である水素は存在せず、α-アミノ酸は酸素を介して結合する。-O-連結α-アミノ酸は、置換されていても非置換であってもよい。
【0060】
置換基の数が指定されない場合(例えば、ハロアルキル)、1つ以上の置換基が存在してもよい。例えば、「ハロアルキル」は、同じ又は異なるハロゲンのうちの1つ以上を含んでもよい。別の例として、「C1~C3アルコキシフェニル」は、1個、2個、又は3個の原子を含有する同じ又は異なるアルコキシ基のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0061】
本明細書で使用される場合、任意の保護基、アミノ酸、及び他の化合物の略語は、別途記載のない限り、その一般的な使用、認識されている略語、又はIUPAC-IUB Commission on Biochemical Nomenclature(Biochem.11:942~944(1972)参照)と一致する。
【0062】
「薬学的に許容される塩」という用語は、それが投与される生物に著しい刺激をもたらさず、かつ化合物の生物活性及び特性を無効にしない化合物の塩を指す。いくつかの実施形態では、塩は、化合物の酸付加塩である。薬学的塩は、化合物を、無機酸、例えば、ハロゲン化水素酸(例えば、塩酸又は臭化水素酸)、硫酸、硝酸、及びリン酸と反応させることによって得ることができる。薬学的塩はまた、化合物を有機酸、例えば、脂肪族若しくは芳香族カルボン酸若しくはスルホン酸、例えば、ギ酸、酢酸、コハク酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、又はナフタレンスルホン酸と反応させることによっても得ることができる。薬学的塩はまた、化合物を塩基と反応させて、塩、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウム又はマグネシウム塩、有機塩基の塩、例えば、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、C1~C7アルキルアミン、シクロへキシルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、並びにアルギニン及びリシンなどのアミノ酸を有する塩を形成することによって得ることができる。
【0063】
本願で使用される用語及び語句並びにこれらの変化形、特に添付の特許請求の範囲にあるものは、特に明記しない限り、限定的ではなく非限定的であると解釈されるべきである。上記の例として、「含むこと」という用語は、「限定することなく含むこと」、「含むが、これらに限定されないこと」などを意味するよう解釈されるべきである。本明細書で使用される場合、「備えること」という用語は、「含むこと」、「含有すること」、又は「特徴とする」と同義語であり、包括的又は非限定的であり、追加の列挙されていない要素又は方法の工程を除外しない。「有すること」という用語は、「少なくとも有すること」と解釈されるべきである。「含む」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである。「例」という用語は、説明中の項目の例示的な例を提供するために使用され、その網羅的又は限定的なリストではない。加えて、「備えること」という用語は、「少なくとも有すること」又は「少なくとも含むこと」という語句の同意語として解釈されるものとする。化合物又は組成物の文脈で使用される場合、「備えること」という用語は、化合物又は組成物が少なくとも列挙された特徴又は構成要素を含むが、追加の特徴又は構成要素も含んでもよいことを意味する。
【0064】
本明細書の実質的にいかなる複数形及び/又は単数形の用語の使用に関しても、当業者は、文脈及び/又は用途に応じて適切に、複数形から単数形、及び/又は単数形から複数形に変換することができる。様々な単数形/複数形の入れ替えは、明確にするために本明細書で明示的に記載され得る。不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。
【0065】
1つ以上のキラル中心を有する本明細書に記載の任意の化合物において、絶対立体化学が明示的に示されない場合、各中心が独立して、R配置若しくはS配置、又はこれらの混合物であってもよいことが理解される。したがって、本明細書に提供される化合物は、鏡像異性的に純粋な、鏡像異性的に豊富な、ラセミ混合物、ジアステレオマー的に純粋な化合物、ジアステレオマー的に豊富な化合物、又は立体異性混合物であってもよい。加えて、E又はZと定義され得る幾何異性体を生成する1つ以上の二重結合を有する、本明細書に記載の任意の化合物において、各二重結合が独立して、E又はZ、これらの混合物であってもよいことが理解される。同様に、記載の任意の化合物において、全ての互変異性型もまた含まれるよう意図されることが理解される。
【0066】
本明細書に開示される化合物が充填されていない原子価を有する場合、その原子価が、水素又はその同位体、例えば、水素-1(プロチウム)及び水素-2(重水素)で充填されることを理解されたい。
【0067】
本明細書に記載の化合物が同位体で標識され得ることが理解される。重水素などの同位体での置換は、例えば、インビボ半減期の増加又は必要投与量の低減など、より大きい代謝安定性に起因するある特定の治療上の利点をもたらし得る。化合物構造中に表される各化学元素は、前述の元素の任意の同位体を含んでもよい。例えば、化合物構造において、水素原子は、化合物中に存在すると明確に開示され得るか、又は理解され得る。水素原子が存在し得る化合物の任意の位置において、水素原子は、水素-1(プロチウム)及び水素-2(重水素)が挙げられるが、これらに限定されない、水素の任意の同位体であってもよい。したがって、本明細書における化合物に対する言及は、文脈が明確にそうでないと示さない限り、全ての可能な同位体形態を包含する。
【0068】
値の範囲が提供される場合、上限及び下限、並びにその範囲の上限と下限との間に介在する各値が、実施形態内に包含されることが理解される。
化合物
【0069】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、以下の式(I)の化合物:
【化1】
(式中、
【化2】
は、単一又は二重結合を示し、
【化3】
が単一結合である場合、Z1は、CR8A9Aであってもよく、Z2は、CR8B9Bであってもよく、
【化4】
が二重結合である場合、Z1及びZ2は、それぞれ独立して、CR10であってもよく、R1は、置換若しくは非置換のC2~8アルケニル、又は置換若しくは非置換C2~8アルキニルであってもよく、置換C2~8アルケニル及び置換C2~8アルキニルは、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR11Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されており、R2は、水素、重水素、又は置換若しくは非置換C1~4アルキルであってもよく、置換C1~4アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシ、及びR11Bから選択される1つ以上の置換基で置換されており、R3は、水素、重水素、又は非置換C1~4アルキルであってもよく、R4は、水素、重水素、又は非置換C1~4アルキルであってもよく、R5は、水素、重水素、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、シアノ、非置換C1~4ハロアルキル、又は非置換C3~8単環式シクロアルキルであってもよく、R6は、置換フェニル又は置換ピリジルであってもよく、置換フェニル及び置換ピリジルは、ハロゲン、シアノ、非置換C1~4ハロアルキル、及び非置換C1~4アルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で置換され得、R7は、水素、重水素、又は非置換C1~4アルキルであってもよく、R8A、R8B、R9A、及びR9Bは、独立して、水素、重水素、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、又はヒドロキシであってもよく、各R10は、独立して、水素、重水素、ハロゲン、又は非置換C1~4アルキルであってもよく、R11A及びR11Bは、独立して、任意に置換された-O-アシル、非置換O-連結α-アミノ酸、-O-P(=O)(OH)2、又は-CH2-P(=O)(OH)2であってもよい)、又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0070】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、1つ以上のキラル中心を含み得る。本明細書で提供されるように、絶対立体化学が明示的に示されない場合、各中心は、独立して、(R)配置若しくは(S)配置、又はこれらの混合物であってもよい。当業者であれば、R1及びR2が結合している炭素は、キラル中心であり得ることを認識する。いくつかの実施形態では、R1及びR2が結合している炭素の立体化学は、(R)である。他の実施形態では、R1及びR2が結合している炭素の立体化学は、(S)である。式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩は、以下から選択される構造を有し得る:
【化5】
【0071】
式(I)に示されるように、
【化6】
は、単一又は二重結合であってもよい。
【化7】
が単一結合である場合、Z1は、CR8A9Aであってもよく、Z2は、CR8B9Bであってもよく、これにより、式(I)は、
構造:
【化8】
を有する。いくつかの実施形態では、Z1は、CH2であってもよい。いくつかの実施形態では、Z2は、CH2であってもよい。いくつかの実施形態では、R8A及び/又はR8Bは、重水素であってもよい。いくつかの実施形態では、R8A及び/又はR8Bは、ハロゲン(F又はClなど)であってもよい。いくつかの実施形態では、R8A及び/又はR8Bは、非置換C1~4アルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、R8A及び/又はR8Bは、ヒドロキシであってもよい。いくつかの実施形態では、R9A及び/又はR9Bは、重水素であってもよい。いくつかの実施形態では、R9A及び/又はR9Bは、ハロゲン(F又はClなど)であってもよい。いくつかの実施形態では、R9A及び/又はR9Bは、非置換C1~4アルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、R9A及び/又はR9Bは、ヒドロキシであってもよい。R8A、R8B、R9A、及び/又はR9Bが、非置換C1~4アルキルである場合1~4アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、又はtert-ブチルであってもよい。
【0072】
【化9】
が二重結合である場合、Z1及びZ2は、それぞれ独立して、CR10であってもよく、式(I)の化合物又は薬学的に許容される塩は、
【化10】
であってもよく、式中、各R10は、独立して、水素、重水素、ハロゲン、及び非置換C1~4アルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、Z1は、CHであってもよい。別の実施形態では、Z1は、CDであってもよい。いくつかの実施形態では、Z2は、CHであってもよい。他の実施形態では、Z2は、CDであってもよい。Z1及び/又はZ2に結合した置換基はまた、F又はClなどのハロゲンであってもよい。いくつかの実施形態では、Z1は、非置換のC1~4アルキルが結合されていてもよい。いくつかの実施形態では、Z2は、非置換C1~4アルキルが結合されていてもよい。非置換C1~4アルキルの例は、前の段落を含む、本明細書に記載される。2つのR10基が存在する場合、いくつかの実施形態では、R10基は、同じであってもよい。他の実施形態では、2つのR10基が存在する場合、R10基は、異なってもよい。
【0073】
様々なアルケニル及びアルキニルは、式(I)の7員環に結合されてもよく、本明細書に提供される。アルケニルは、2~8個の炭素、2~5個の炭素、又は3~4個の炭素を有することができる。いくつかの実施形態では、R1は、非置換C2~8アルケニルであってもよい。他の実施形態では、R1は、非置換C2~8アルケニルであってもよい。更に他の実施形態では、R1は、置換C2~8アルケニルであり、置換C2~8アルケニルは、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR11Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。更に他の実施形態では、R1は、置換C3~4アルケニルであってもよく、置換C3~4アルケニルは、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR11Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0074】
置換アルケニルの例としては、1つ以上のハロゲン(F及び/又はClなど)で置換された置換アルケニル、1つ以上のヒドロキシで置換された置換アルケニル、非置換単環式C3~6シクロアルキルで置換された置換アルケニル、置換単環式C3~6シクロアルキルで置換された置換アルケニル、非置換縮合二環式C3~8シクロアルキル、非置換架橋二環式C3~8シクロアルキル、及び非置換スピロ二環式C3~8シクロアルキルから選択される非置換二環式C3~8シクロアルキルで置換された置換アルケニル、置換縮合二環式C3~8シクロアルキル、置換架橋二環式C3~8シクロアルキル、及び置換スピロ二環式C3~8シクロアルキルから選択される置換二環式C3~8シクロアルキルで置換された置換アルケニル、非置換単環式ヘテロシクリルで置換された置換アルケニル、置換単環式ヘテロシクリルで置換された置換アルケニル、並びにR11Aで置換された置換アルケニルが挙げられる。
【0075】
1がアルケニルである場合、アルケニルは、単一の二重結合を含むことができる。二重結合の位置は異なり得る。いくつかの実施形態では、二重結合は、末端炭素と末端炭素に隣接する炭素との間に位置し得る。いくつかの実施形態では、二重結合は、式(I)の7員環に隣接する炭素と、式(I)の7員環から離れた次の炭素との間に位置し得る。
【0076】
アルキニルは、2~8個の炭素を有し得る。いくつかの実施形態では、R1のアルキニルは、C2~8アルキニルであってもよい。他の実施形態では、R1のアルキニルは、C2~5アルキニルであってもよい。更なる実施形態では、R1のアルキニルは、C3~5アルキニルであってもよい。いくつかの実施形態では、R1は、置換C2~8アルキニルであってもよく、置換C2~8アルキニルは、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR11Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、R1は、置換C3~5アルキニルであってもよく、置換C3~5アルキニルは、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR11Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0077】
1の本明細書に記載のアルキニルは、1つ以上のハロゲン(例えば、F又はCl)で置換された置換アルキニル、1つ以上のヒドロキシで置換された置換アルキニル、非置換単環式C3~6シクロアルキルで置換された置換アルキニル、置換単環式C3~6シクロアルキルで置換された置換アルキニル、非置換縮合二環式C3~8シクロアルキル、非置換架橋二環式C3~8シクロアルキル、及び非置換スピロ二環式C3~8シクロアルキルから選択される非置換二環式C3~8シクロアルキルで置換された置換アルキニル、置換縮合二環式C3~8シクロアルキル、置換架橋二環式C3~8シクロアルキル、及び置換スピロ二環式C3~8シクロアルキルから選択される置換二環式C3~8シクロアルキルで置換された置換アルキニル、非置換単環式ヘテロシクリルで置換された置換アルキニル、置換単環式ヘテロシクリルで置換された置換アルキニル、並びにR11Aで置換された置換アルキニルであってもよい。当業者であれば、R1が、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、又は任意に置換された単環式ヘテロシクリルで置換されている場合、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、及び任意に置換された単環式ヘテロシクリルは、R1の2つの水素を置き換えることによってR1を置換してもよいことを理解するであろう。例えば、R1が、R1の2つの水素を置き換えることによってテトラヒドロピラン(単環式ヘテロシクリル)で置換されたC3-アルケニルである場合、R1は、構造
【化11】
を有してもよく、テトラヒドロピラン部分は、スピロ様式で結合される。いくつかの実施形態では、R1は、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、又は任意に置換された単環式ヘテロシクリルで置換されており、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、又は任意に置換された単環式ヘテロシクリルは、1つの水素を置き換える。他の実施形態では、R1は、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、又は任意に置換された単環式ヘテロシクリルで置換されており、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、又は任意に置換された単環式ヘテロシクリルは、前述の部分がスピロ様式で結合されるように、2つの水素を置き換える。
【0078】
1のアルキニルは、単一の三重結合を含むことができる。三重結合の位置は異なり得る。いくつかの実施形態では、三重結合は、末端炭素と末端炭素に隣接する炭素との間に位置し得る。いくつかの実施形態では、三重結合は、式(I)の7員環に隣接する炭素と、式(I)の7員環から離れた次の炭素との間に位置し得る。
【0079】
1が、本明細書に記載され、R11Aで置換された置換アルケニル又は置換アルキニルである場合、R11Aは、任意に置換された-O-アシルプロドラッグ、又は非置換-O-連結α-アミノ酸プロドラッグであってもよい。任意に置換された-O-アシルの例は、-O-C(=O)R11A1であり、式中、R11A1は、任意に置換されたC1~6アルキル、又は任意に置換されたC6若しくはC14アリールであってもよい。いくつかの実施形態では、R11Aは、-O-C(=O)R11A1であってもよく、式中、R11A1は、非置換C1~6アルキルであってもよい。
【0080】
アルファ-アミノ酸は当業者に既知であり、本明細書に記載のものを含む。いくつかの実施形態では、R11Aは、-O-連結グリシン、-O-連結バリン、-O-連結ロイシン、又は-O-連結イソロイシンであってもよい。本明細書で提供されるように、R11Aは、ホスフェート又はホスホネートであってもよい。いくつかの実施形態では、R11Aは、-O-P(=O)(OH)2であってもよい。他の実施形態では、RUAは、-CH2-P(=O)(OH)2であってもよい。
【0081】
2に関して、いくつかの実施形態では、R2は、水素であってもよい。他の実施形態では、R2は、重水素であってもよい。更なる他の実施形態では、R2は、非置換C1~4アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、及びtert-ブチルであってもよい。いくつかの実施形態では、R2は、置換C1~4アルキルであってもよく、置換C1~4アルキルは、ハロゲン(例えば、F又はCl)、ヒドロキシ、及びR11Bから選択される1つ以上の置換基で置換され得る。R13の例としては、置換C1~4アルキルを始め、-CF3、-CHF2、-CH2OH、及び-CH(OH)CH3を含む。
【0082】
11Aと同様に、R11Bは、任意に置換された-O-アシルプロドラッグ、又は非置換-O-連結α-アミノ酸プロドラッグであってもよい。R11Bの任意に置換された-O-アシルは、-O-C(=O)R11B1であってもよく、式中、R11B1は、任意に置換されたC1~6アルキル、又は任意に置換されたC6若しくはC14アリールであってもよい。いくつかの実施形態では、R11Bは、-O-C(=O)R11B1であってもよく、式中、R11B1は、非置換C1~6アルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、R11Bは、-O-連結グリシン、-O-連結バリン、-O-連結ロイシン、又は-O-連結イソロイシンであってもよい。R11A及び/又はR11Bの例示的な-O-連結α-アミノ酸としては、
【化12】
【化13】
が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
ホスフェート又はホスホネートは、R11Bで存在し得る。いくつかの実施形態では、R11Bは、-O-P(=O)(OH)2であってもよい。他の実施形態では、R11Bは、-CH2-P(=O)(OH)2であってもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、R3は、水素であってもよい。他の実施形態では、R3は、重水素であってもよい。更なる他の実施形態では、R3は、本明細書に記載されるものなどの、非置換C1~4アルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、R3は、メチルであってもよい。
【0085】
式(I)の5員環は、非置換であるか、又は非置換C1~4アルキル、シアノ、及び/又は非置換C1~4ハロアルキルで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、R4は、水素であってもよい。他の実施形態では、R4は、重水素であってもよい。更なる他の実施形態では、R4は、非置換C1~4アルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、R5は、水素であってもよい。他の実施形態では、R5は、重水素であってもよい。更なる他の実施形態では、R5は、ハロゲン(例えば、F又はCl)であってもよい。また更なる他の実施形態では、R5は、本明細書に記載されるものなどの、非置換C1~4アルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、R5は、シアノであってもよい。他の実施形態では、R5は、非置換のC1~4ハロアルキルであってもよい。好適なC1~4ハロアルキルの例は、CF3である。更なる他の実施形態では、R5は、非置換C3~8単環式シクロアルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、R4はメチルであってもよく、R5は水素であってもよい。
【0086】
式(I)のC-アミドは、本明細書に記載される置換フェニル又は置換ピリジルを含み得る。いくつかの実施形態では、R6は置換フェニルであってもよく、フェニルは、ハロゲン、シアノ、非置換C1~4ハロアルキル、及び非置換C1~4アルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で置換され得る。他の実施形態では、R6は置換ピリジルであってもよく、ピリジルは、ハロゲン、シアノ、非置換C1~4ハロアルキル、及び非置換C1~4アルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で置換され得る。R6のフェニル及びピリジルは、本明細書に記載される、1つ以上の置換基で置換され得る。いくつかの実施形態では、R6は、一置換フェニルであってもよい。他の実施形態では、R6は、二置換フェニルであってもよい。いくつかの実施形態では、R6のフェニルは、パラ位及び/又はメタ位で置換され得る。いくつかの実施形態では、R6のフェニルは、3,4-二置換フェニルであってもよい。更なる他の実施形態では、R6は、一置換ピリジルであってもよい。また更なる他の実施形態では、R6は、二置換ピリジルであってもよい。いくつかの実施形態では、ピリジルは、ピリジルの窒素に隣接する炭素上で置換され得る。R6上で置換され得る非置換C1~4アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、又はtert-ブチルであってもよい。非置換C1~4ハロアルキルの例は、CF3、CHF2、及びCH2Fである。いくつかの実施形態では、R6は、F及び/又はClで置換され得る。いくつかの実施形態では、R6は、F、Cl、及び/又はBrで置換され得る。いくつかの実施形態では、R6は、CF3で置換され得る。いくつかの実施形態では、R6は、CH3で置換され得る。R6が二置換されている場合、2つの基は同じであるか、又は異なってもよい。
【0087】
式(I)のC-アミドの他の基R7は、水素、重水素、又は非置換C1~4アルキルであり得る。いくつかの実施形態では、R7は、水素であってもよい。他の実施形態では、R7は、重水素であってもよい。更なる他の実施形態では、R7は、非置換C1~4アルキルであってもよい。
【0088】
式(I)の化合物(その薬学的に許容される塩を含む)の例としては、以下:
【化14】
が挙げられ、式中、各Ra1、各Ra2、各Ra3、各Ra4、各Ra5、各Ra6、各Ra7、及び各Ra8は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、シアノ、CF3、CHF2、CH2F、F、Cl、及びBrから独立して選択される。
【0089】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、以下の式(II)の化合物:
【化15】
(式中、R12は、置換若しくは非置換C2~8アルケニル、又は置換若しくは非置換C2~8アルキニルであってもよく、置換C2~8アルケニル及び置換C2~8アルキニルは、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR19Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく、R13は、水素、重水素、又は置換若しくは非置換のC1~4アルキルであってもよく、置換C1~4アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシ、及びR19Bから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく、R14は、水素、重水素、又は非置換C1~4アルキルであってもよく、R15は、水素、重水素、又は非置換C1~4アルキルであってもよく、R16は、水素、重水素、ハロゲン、非置換C1~4アルキル、シアノ、非置換C1~4ハロアルキル、又は非置換C3~8単環式シクロアルキルであってもよく、R17は、置換フェニル又は置換ピリジルであってもよく、置換フェニル及び置換ピリジルは、ハロゲン、シアノ、非置換C1~4ハロアルキル、及び非置換C1~4アルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で置換され得、R18は、水素、重水素、又は非置換C1~4アルキルであってもよく、R19A及びR19Bは、独立して、任意に置換された-O-アシル、非置換O-連結α-アミノ酸、-O-P(=O)(OH)2、又は-CH2-P(=O)(OH)2であってもよい)、又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0090】
式(II)の化合物、又はその薬学的に許容される塩は、以下の構造を有し得る:
【化16】
【0091】
12上に存在する基は、C2~8アルケニル又はC2~8アルキニルであってもよい。いくつかの実施形態では、R12は、C2~8アルケニルであってもよい。他の実施形態では、R12は、C2~5アルケニルであってもよい。更なる他の実施形態では、R12は、C3~4アルケニルであってもよい。いくつかの実施形態では、R12は、非置換C2~8アルケニルであってもよい。本明細書で提供されるように、いくつかの実施形態では、R12は、置換C2~8アルケニルであってもよく、置換C2~8アルケニルは、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR19Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、R12は、置換C3~4アルケニルであってもよく、置換C3~4アルケニルは、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR19Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0092】
12の置換アルケニルの例としては、1つ以上のハロゲン(例えば、F及び/又はCl)で置換された置換アルケニル、1つ以上のヒドロキシで置換された置換アルケニル、非置換単環式C3~6シクロアルキルで置換された置換アルケニル、置換単環式C3~6シクロアルキルで置換された置換アルケニル、非置換縮合二環式C3~8シクロアルキル、非置換架橋二環式C3~8シクロアルキル、及び非置換スピロ二環式C3~8シクロアルキルから選択される非置換二環式C3~8シクロアルキルで置換された置換アルケニル、置換縮合二環式C3~8シクロアルキル、置換架橋二環式C3~8シクロアルキル、及び置換スピロ二環式C3~8シクロアルキルから選択される置換二環式C3~8シクロアルキルで置換された置換アルケニル、非置換単環式ヘテロシクリルで置換された置換アルケニル、置換単環式ヘテロシクリルで置換された置換アルケニル、並びにR19Aで置換された置換アルケニルが挙げられる。
【0093】
12がアルケニルである場合、アルケニルは、単一の二重結合を含むことができる。二重結合の位置は異なり得る。いくつかの実施形態では、二重結合は、末端炭素と末端炭素に隣接する炭素との間に位置し得る。いくつかの実施形態では、二重結合は、式(I)の7員環に隣接する炭素と、式(I)の7員環から離れた次の炭素との間に位置し得る。
【0094】
いくつかの実施形態では、R12は、非置換C2~8アルキニルであってもよい。他の実施形態では、R12は、置換C2~8アルキニルであってもよく、置換C2~8アルキニルは、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR19Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。アルキニルは、2~8個の炭素、3~6個の炭素、又は3~5個の炭素を有することができる。いくつかの実施形態では、R12は、置換C3~5アルキニルであってもよく、置換C3~5アルキニルは、ハロゲン、ヒドロキシ、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、任意に置換された単環式ヘテロシクリル、及びR19Aから独立して選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0095】
12の置換C2~8アルキニルの例としては、1つ以上のハロゲン(例えば、F又はCl)で置換された置換アルキニル、1つ以上のヒドロキシで置換された置換アルキニル、非置換単環式C3~6シクロアルキルで置換された置換アルキニル、置換単環式C3~6シクロアルキルで置換された置換アルキニル、非置換縮合二環式C3~8シクロアルキル、非置換架橋二環式C3~8シクロアルキル、及び非置換スピロ二環式C3~8シクロアルキルから選択される非置換二環式C3~8シクロアルキルで置換された置換アルキニル、置換縮合二環式C3~8シクロアルキル、置換架橋二環式C3~8シクロアルキル、及び置換スピロ二環式C3~8シクロアルキルから選択される置換二環式C3~8シクロアルキルで置換された置換アルキニル、非置換単環式ヘテロシクリルで置換された置換アルキニル、置換単環式ヘテロシクリルで置換された置換アルキニル、並びにR19Aで置換された置換アルキニルが挙げられる。R12が、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、又は任意に置換された単環式ヘテロシクリルで置換されている場合、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、及び任意に置換された単環式ヘテロシクリルは、R12の2つの水素を置き換えることによってR12を置換してもよい。例えば、R12が、R12.の2つの水素を置き換えることによってオキセタン(単環式ヘテロシクリル)で置換されたC3-アルケニルである場合、R12は、構造
【化17】
を有し得る。いくつかの実施形態では、R12は、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、又は任意に置換された単環式ヘテロシクリルで置換されており、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、又は任意に置換された単環式ヘテロシクリルは、1つの水素を置き換える。他の実施形態では、R12は、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、又は任意に置換された単環式ヘテロシクリルで置換されており、任意に置換された単環式C3~6シクロアルキル、任意に置換された二環式C3~8シクロアルキル、又は任意に置換された単環式ヘテロシクリルは、前述の部分がスピロ様式で結合されるように、2つの水素を置き換える。
【0096】
12のアルキニルは、単一の三重結合を含むことができる。三重結合の位置は異なり得る。いくつかの実施形態では、三重結合は、末端炭素と末端炭素に隣接する炭素との間に位置し得る。いくつかの実施形態では、三重結合は、式(I)の7員環に隣接する炭素と、式(I)の7員環から離れた次の炭素との間に位置し得る。
【0097】
12が、R19Aで置換された置換アルケニル又はR19Aで置換された置換アルキニルである場合、R19Aは、任意に置換された-O-アシルプロドラッグ、又は非置換-O-連結α-アミノ酸プロドラッグであってもよい。R12が、置換アルケニル、又は任意に置換された-O-アシルで置換された置換アルキニルである場合、任意に置換された-O-アシルは、構造-O-C(=O)R19A1を有し得、式中、R19A1は、任意に置換されたC1~6アルキル、又は任意に置換されたC6若しくはC14アリールであってもよい。いくつかの実施形態では、R19Aは、-O-C(=O)R19A1であってもよく、式中、R19A1は、非置換C1~6アルキルであってもよい。
【0098】
12のアルケニル及び/又はアルキニルが置換されている場合、前述のそれぞれは、当該技術分野において既知であり、本明細書に記載されるものなどの、非置換-O-連結α-アミノ酸で置換され得る。いくつかの実施形態では、R19Aは、-O-連結グリシン、-O-連結バリン、-O-連結ロイシン、又は-O-連結イソロイシンであってもよい。ホスフェート又はホスホネートは、R19Aで存在し得る。いくつかの実施形態では、R19Aは、-O-P(=O)(OH)2であってもよい。他の実施形態では、R19Aは、-CH2-P(=O)(OH)2であってもよい。
【0099】
本明細書で提供されるように、R13は、水素、重水素、又は置換若しくは非置換C1~4アルキルであってもよく、置換C1~4アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシ、及びR19Bから選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、R13は、水素であってもよい。他の実施形態では、R13は、重水素であってもよい。更なる他の実施形態では、R13は、非置換C1~4アルキルであってもよい。また更なる他の実施形態では、R13は、ハロゲン(例えば、F又はCl)、ヒドロキシ、及びR19Bから選択される1つ以上の置換基で置換された置換C1~4アルキルであってもよい。R13の例としては、置換C1~4アルキルを始め、-CF3、-CHF2、-CH2OH、及び-CH(OH)CH3が挙げられる。いくつかの実施形態では、R19Bは、-O-P(=O)(OH)2であってもよい。他の実施形態では、R19Bは、-CH2-P(=O)(OH)2であってもよい。
【0100】
12及びR13に好適なC1~4アルキルは、本明細書に記載され、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、又はtert-ブチルを含む。R13が、R19Bで置換された置換C1~4アルキルである場合、R19Bは、任意に置換された-O-アシルプロドラッグ、又は非置換-O-連結α-アミノ酸プロドラッグであってもよい。R19Bの任意に置換された-O-アシルは、-O-C(=O)R19B1であってもよく、式中、R19B1は、任意に置換されたC1~6アルキル、又は任意に置換されたC6若しくはC14アリールであってもよい。いくつかの実施形態では、R19Bは、-O-C(=O)R19B1であってもよく、式中、R19B1は、非置換C1~6アルキルであってもよい。
【0101】
本明細書に記載されるように、R12及びR13は、-O-連結グリシン、-O-連結バリン、-O-連結ロイシン、又は-O-連結イソロイシンなどの-O-連結α-アミノ酸を含むことができる。R19A及び/又はR19Bが、-O-連結α-アミノ酸である場合、いくつかの実施形態では、R19A及び/又はR19Bは、
【化18】
から選択され得る。
【0102】
いくつかの実施形態では、R14は、水素であってもよい。他の実施形態では、R14は、重水素であってもよい。更なる他の実施形態では、R14は、本明細書に記載されるものなどの、非置換C1~4アルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、R14は、メチルであってもよい。
【0103】
式(II)は、非置換であるか、又は非置換C1~4アルキル、シアノ、及び/又は非置換C1~4ハロアルキルで置換されていてもよい5員環を含む。いくつかの実施形態では、R15は、水素であってもよい。他の実施形態では、R15は、重水素であってもよい。更なる他の実施形態では、R15は、非置換C1~4アルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、又はtert-ブチル)であってもよい。いくつかの実施形態では、R16は、水素であってもよい。他の実施形態では、R16は、重水素であってもよい。更なる他の実施形態では、R16は、ハロゲン(例えば、F又はCl)であってもよい。また更なる他の実施形態では、R16は、本明細書に記載されるものなどの、非置換C1~4アルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、R16は、シアノであってもよい。他の実施形態では、R16は、CF3などの非置換C1~4ハロアルキルであってもよい。更なる他の実施形態では、R16は、非置換C3~8単環式シクロアルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、R15はメチルであってもよく、R16は水素であってもよい。
【0104】
式(II)の-C(=O)NR1718部分は、本明細書に記載される置換フェニル又は置換ピリジルを含み得る。いくつかの実施形態では、R17は置換フェニルであってもよく、フェニルは、ハロゲン、シアノ、非置換C1~4ハロアルキル、及び非置換C1~4アルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で置換され得る。他の実施形態では、R17は置換ピリジルであってもよく、ピリジルは、ハロゲン、シアノ、非置換C1~4ハロアルキル、及び非置換C1~4アルキルから独立して選択される1つ以上の置換基で置換され得る。R17のフェニル及びピリジルは、本明細書に記載される、1つ以上の置換基で置換され得る。いくつかの実施形態では、R17は、一置換フェニルであってもよい。他の実施形態では、R17は、二置換フェニルであってもよい。いくつかの実施形態では、R17のフェニルは、パラ位及び/又はメタ位で置換され得る。いくつかの実施形態では、R17のフェニルは、3,4-二置換フェニルであってもよい。更なる他の実施形態では、R17は、一置換ピリジルであってもよい。また更なる他の実施形態では、R17は、二置換ピリジルであってもよい。いくつかの実施形態では、ピリジルは、ピリジルの窒素に隣接する炭素上で置換され得る。R17上で置換され得る非置換C1~4アルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、又はtert-ブチルであってもよい。非置換C1~4ハロアルキルの例は、CF3、CHF2、及びCH2Fである。いくつかの実施形態では、R17は、F及び/又はClで置換され得る。いくつかの実施形態では、R17は、F、Cl、及び/又はBrで置換され得る。いくつかの実施形態では、R17は、CF3で置換され得る。いくつかの実施形態では、R17は、CH3で置換され得る。R17が二置換されている場合、2つの基は同じであるか、又は異なってもよい。いくつかの実施形態では、R17は、2つのフルオロで置換することができない。例えば、いくつかの実施形態では、R17は、3,4-ジフルオロフェニルとすることができない。
【0105】
本明細書に記載されるように、-C(=O)NR1718のR18基は、水素、重水素、又は非置換C1~4アルキルであってもよい。いくつかの実施形態では、R18は、水素であってもよい。他の実施形態では、R18は、重水素であってもよい。また更なる他の実施形態では、R18は、非置換C1~4アルキルであってもよい。
【0106】
式(II)の化合物(その薬学的に許容される塩を含む)のいくつかの例としては、以下:
【化19】
が挙げられ、式中、各Ra9、各Ra10、各Ra11、及び各Ra12は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、シアノ、CF3、CHF2、CH2F、F、Cl、及びBrから独立して選択される。
【0107】
いくつかの実施形態では、R12が非置換2-ブチニルであり、R13が水素であり、R14及びR18がそれぞれ水素であり、R15がメチルであり、R16が水素である場合、R17は、3,4-ジフルオロフェニルとすることができない。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物は、
【化20】
又はその薬学的に許容される塩とすることができない。いくつかの実施形態では、式(II)の化合物は、
【化21】
又はその薬学的に許容される塩とすることができない。
【0108】
式(I)及び(II)について、例示的なR1、R2、R12、R13、R6、及びR17部分としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
【表1】
【0109】
式(I)及び(II)の化合物、又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩の例としては、以下:
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0110】
本明細書で提供されるように、式(I)及び(II)の化合物は、1つ以上のキラル中心を含んでもよく、したがって、化合物は、鏡像異性体及び/又はジアステレオマーとして存在し得る。
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
、又は前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩。
合成
【0111】
本明細書に記載の化合物と共に、式(I)及び(II)の化合物は、様々な方法で調製されてもよい。式(I)及び(II)の化合物を調製するための一般的な合成経路は、本明細書に記載の化合物を合成するために使用される出発材料のいくつかの例と共に、本明細書に示され、記載される。本明細書に表示及び記載される経路は、例示的なものにすぎず、いかなる方法でも特許請求の範囲を制限することを意図するものでなく、そのように解釈されるべきではない。当業者であれば、開示される合成の変更を認識し、本明細書の開示に基づく代替経路を考案することができるものであり、このような修正及び代替経路は全て、特許請求の範囲内である。
【化40】
【0112】
スキーム1に示すように、塩化スルホニルをピロリル環に添加することができる。次いで、塩化スルホニルを、アミンを利用してスルホンアミドに変換することができる。好適な塩基を使用して、7員環を形成することができ、C-カルボキシは、塩基及びR6-NH2などの当業者に既知の条件を使用して、C-アミドに変換することができる。スキーム1では、Rxは、R1であり得るか、又は当業者に既知の方法を使用して、合成の適切な工程中に、RxをR1に変換することができる。
【化41】
【0113】
本明細書に記載の二環式スルホンアミドも、スキーム2に示されるように調製することができる。スキーム1に示すように塩化スルホニルを添加した後、ピロリルに結合した塩化スルホニルをアミンと反応させることによって、スルホンアミドを調製することができる。C-アミドは、好適な塩基及びR6-NH2を使用して、アミド化反応によって形成することができる。触媒及び塩基、例えばパラジウム触媒を使用して、飽和7員環を形成することができる。飽和7員環に結合したヒドロキシアルキル基は、当業者に既知の方法(IBXなど)を使用して、アルデヒドに酸化することができる。次いで、R1基をアルデヒドに添加して、グリニャール反応などの好適な条件を使用して第二級アルコールを形成することができる。当業者に既知のWittig反応条件を使用して、アルデヒドをアルケニル誘導体に変換することができる。
【化42】
【0114】
スキーム3に示されるように、化合物は、ニッケル、パラジウム、及び/又は白金触媒などの触媒、並びにH2を使用して水素化することができる。C-カルボキシ基は、水素化前又は水素化後のアミド化反応によりC-アミドに変換することができる。スキーム3では、Rxは、R1であり得るか、又は当業者に既知の方法を使用して、合成の適切な工程中に、RxをR1に変換することができる。
【化43】
【0115】
スキーム4において、「PG」は保護基を表す。スキーム4に示されるスルホンアミドは、例えば、好適なアミン及び塩基を使用して、本明細書に記載されるように得ることができる。Mitsunobu反応条件を利用して、保護アミノアルコールを使用して、例えば、パラメトキシベンジル保護基を使用して、7員酸素含有環を形成することができる。C-カルボキシのアミド化はN-アミドを形成し、保護基を除去することにより、最終化合物を得ることができる。
【化44】
【0116】
示される二環式スルホンアミドは、スキーム1に記載したのと同様の方法で調製することができる。塩化スルホニルをピロリルに添加することができる。スルホンアミドの形成は、好適なアミン及び塩基を使用して達成することができる。好適な塩基を使用して、7員環を形成することができる。C-カルボキシは、塩基及びR17-NH2を利用して変換することができる。
医薬組成物
【0117】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、有効量の本明細書に記載の化合物(例えば、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容される塩)、及び薬学的に許容される担体、賦形剤、又はこれらの組み合わせを含むことができる、医薬組成物に関する。本明細書に記載の医薬組成物は、ヒト及び/又は獣医学的用途に好適である。
【0118】
本明細書で使用される場合、「担体」は、細胞又は組織への化合物の組み込みを促進する化合物を指す。例えば、限定することなく、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)は、対象の細胞又は組織への多くの有機化合物の取り込みを促進する、一般的に利用される担体である。
【0119】
本明細書で使用される場合、「希釈剤」は、薬理活性はないが、薬学的に必要又は望ましい可能性がある、医薬組成物中の成分を指す。例えば、希釈剤は、製造及び/又は投与には質量が小さ過ぎる、効力のある薬物のかさ増しのために使用されてもよい。それはまた、注射、摂取、又は吸入によって投与される薬物を溶解させるための液体であってもよい。当該技術分野において一般的な希釈剤の形態は、限定するものではないが、ヒト血液の組成を模したリン酸緩衝生理食塩水などの、緩衝水溶液である。
【0120】
本明細書で使用される場合、「賦形剤」は、限定するものではないが、かさ、稠度、安定性、結合能力、潤滑、崩壊能力などを組成物に提供するために、医薬組成物に添加される、不活性の物質を指す。「希釈剤」は、ある種の賦形剤である。
【0121】
医薬組成物は、経口投与のための錠剤、カプセル、又は溶液、直腸又は膣投与のための坐剤、注射による投与のための減菌溶液又は懸濁液などの様々な形態で製剤化されてもよい。注射剤は、液体溶液若しくは懸濁液、注射前の液体の溶液若しくは懸濁液に好適な固体形態、又はエマルションとしてのいずれかで、従来の形態で調製することができる。
【0122】
適切な製剤設計は、選択される投与経路による。本明細書に記載の化合物の製剤設計及び投与のための技術は、当業者に既知である。経口、直腸、局所、エアロゾル、注射、並びに筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、くも膜下、直接心室内、腹腔内、鼻腔内、及び眼内注射を含む、非経口送達が挙げられるが、これらに限定されない、化合物を投与する複数の技術が当該技術分野において存在する。医薬組成物は、一般に、意図される具体的な投与経路に合わせて調整される。
【0123】
また、全身的よりも局所的に、例えば、多くの場合、デポー又は持続放出製剤において化合物を感染部位に直接注射することによって化合物を投与することができる。更に、標的化した薬物送達システムで、例えば、組織特異的抗体でコーティングされたリポソームで化合物を投与することができる。リポソームは、臓器に対して標的化され、かつ臓器により選択的に取り込まれ得る。
【0124】
本明細書に開示される医薬組成物は、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、ドラジェ作製、水簸、乳化、封入、捕捉、又は錠剤化プロセスによって、それ自体が既知である方法で製造され得る。本明細書に記載されるように、医薬組成物で使用される化合物は、薬学的に適合する対イオンを有する塩として提供されてもよい。
使用方法
【0125】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、HBV及び/又はHDV感染に罹患していると特定された対象に、有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与することを含み得る、HBV及び/又はHDV感染を治療する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、HBV及び/又はHDV感染を治療するための薬剤の製造において、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用に関する。本明細書に記載の更なる他の実施形態は、HBV及び/若しくはHDV感染の治療のための、本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩の使用、又は本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物に関する。
【0126】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、HBV及び/又はHDVに感染した細胞を、有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物と接触させることを含み得る、HBV及び/又はHDV感染を治療する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、HBV及び/又はHDV感染を治療するための薬剤の製造において、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用に関する。本明細書に記載の更なる他の実施形態は、HBV及び/若しくはHDV感染の治療のための、本明細書に記載される本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩の使用、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物に関する。
【0127】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、HBV及び/又はHDVに感染した細胞を、有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物と接触させることを含み得る、HBV及び/又はHDVの複製を阻害する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、HB V及び/又はHDVの複製を阻害するための薬剤の製造において、本明細書に記載される化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用に関する。本明細書に記載の更なる他の実施形態は、HB V及び/若しくはHDVの複製の阻害のための、本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用の使用に関する。
【0128】
いくつかの実施形態では、HBV感染は、急性HBV感染であり得る。いくつかの実施形態では、HBV感染は、慢性HBV感染であり得る。
【0129】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、肝硬変に罹患している対象に、有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与すること、及び/又は肝硬変に罹患している対象においてHBV及び/若しくはHDVに感染した細胞を、それらと接触させることを含み得る、HBV及び/又はHDV感染のために開発された、肝硬変を治療する方法に関する。本明細書に記載される他の実施形態は、有効量の化合物又はその薬学的に許容される塩で肝硬変を治療するための薬剤の製造における、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩の使用に関する。本明細書に記載の更なる他の実施形態は、肝硬変を治療するための、本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用に関する。
【0130】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、肝癌に罹患している対象に、有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与すること、及び/又は肝癌に罹患している対象においてHBV及び/若しくはHDVに感染した細胞を、それらと接触させることを含み得る、HBV及び/又はHDV感染のために開発された、肝癌(肝細胞癌など)を治療する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、肝癌(肝細胞癌など)を治療するための薬剤の製造において、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩の使用に関する。本明細書に記載の更なる他の実施形態は、肝癌(肝細胞癌など)を治療するための、本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用に関する。
【0131】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、肝臓障害に罹患している対象に、有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を投与すること、及び/又は肝臓障害に罹患している対象においてHBV及び/若しくはHDVに感染した細胞を、それらと接触させることを含み得る、HBV及び/又はHDV感染のために開発された、肝臓障害を治療する方法に関する。本明細書に記載の他の実施形態は、肝臓障害を治療するための薬剤の製造において、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩の使用に関する。本明細書に記載の更なる他の実施形態は、肝臓障害を治療するための、本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩、又は有効量の本明細書に記載される化合物若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の使用に関する。
【0132】
HBV及び/又はHDV感染の治療方法の有効性を判定するための様々な指標も、当業者に既知である。好適な指標の例としては、HBV DNAの低減によって示されるウイルス負荷(又は負荷)(例えば、血清中<105コピー/mLの低減)、HBV表面抗原(HBsAg)及びHBVe-抗原(HBeAg)の低減、血漿ウイルス負荷の低減、ウイルス複製の低減、血清変換に対する時間の短縮(患者血清中で検出不能なウイルス)、療法に対する持続的なウイルス応答の速度の増加、肝機能の改善、及び/又は臨床転帰における罹患率若しくは死亡率の減少が挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療すること」、「治療」、「治療的」、及び「療法」という用語は、必ずしも疾病又は病態の完全な治癒又は消滅を意味するとは限らない。疾病又は病態の任意の望ましくない兆候又は症状の任意の程度の任意の軽減が、治療及び/又は療法と見なされ得る。更に、治療は、対象の健康又は外観についての総合的な感覚を悪化させ得る行為を含み得る。
【0134】
本明細書で使用される場合、「対象」とは、治療、観察、又は実験の対象である動物を指す。「動物」には、冷血及び温血の脊椎動物及び無脊椎動物、例えば、魚、甲殻類、爬虫類、及び特に、哺乳類が含まれる。「哺乳類」には、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、霊長類、例えば、サル、チンパンジー、及び類人猿、並びに特に、ヒトが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、対象はヒトである。
【0135】
「有効量」という用語は、示される生物学的又は医学的応答を誘発する、活性化合物又は薬剤の量を示すために使用される。例えば、化合物の有効量は、疾患の症状を緩和若しくは回復させるか、又は治療されている対象の生存を延長するために必要とされる量であり得る。この応答は、組織、系、動物又はヒトにおいて生じ得、治療されている疾患の兆候又は症状の緩和を含む。有効量の決定は、本明細書に提供される開示を考慮して、十分当業者の能力の範囲内である。用量として必要とされる本明細書に開示される化合物の有効量は、投与経路、治療されているヒトを含む動物の種類、及び考慮中の特定の動物の身体特性によって決まる。用量は、所望の効果を達成するように合わせて調整され得るが、体重、食生活、併用投薬、及び医療分野の当業者が認識するであろう他の要因などの要因によって決まる。
【0136】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩の有効量は、持続的なウイルス応答、例えば、治療の完了12ヶ月後の持続的なウイルス応答を達成するのに有効な量である。
【0137】
HBV及び/又はHDV感染と臨床的に診断された対象には、「ナイーブ」対象(例えば、HBV及び/又はHDVに対して以前治療されていない対象)、及びHBV及び/又はHDVの前治療に失敗した対象(「治療不成功」対象)が含まれる。治療不成功対象には、「非応答者」(ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)レベルの十分な低減を達成しなかった対象、例えば、抗HBV及び/又は抗HDV療法を開始した6ヶ月以内にベースラインから1 log10を超える減少を達成できなかった対象)、及び「再発者」(ALTレベルが増加した、HBV及び/又はHDVに対して以前に治療された対象、例えば、ALT>上正常限界の2倍、及びハイブリダイゼーションアッセイによる検出可能な血清HBV DNA)が含まれる。対象の更なる例としては、無症候性であるHBV及び/又はHDV感染を有する対象が挙げられる。
【0138】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩は、HBV及び/又はHDVに罹患している治療不成功対象に提供され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩は、HBV及び/又はHDVに罹患している非応答者の対象に提供され得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩は、HBV及び/又はHDVに罹患している再発者の対象に提供され得る。いくつかの実施形態では、対象は、HBeAg陽性の慢性B型肝炎を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は、HBeAg陰性の慢性B型肝炎を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は肝硬変を有し得る。いくつかの実施形態では、対象は無症候性であってもよく、例えば、対象は、HBV及び/又はHDVに感染している可能性があるが、ウイルス感染のいずれの症状も示さない。いくつかの実施形態では、対象は、免疫不全であり得る。いくつかの実施形態では、対象は、化学療法を受けていてもよい。
【0139】
HBV及び/又はHDVを治療するために使用されている薬剤の例としては、免疫調節剤、及びヌクレオシド/ヌクレオチドが挙げられる。免疫調節剤の例としては、インターフェロン(PEG-IFN-α-2aを含む、IFN-α及びPEG化インターフェロン)が挙げられ、ヌクレオシド/ヌクレオチドの例としては、ラミブジン、テルビブジン、アデホビルジピボキシル、クレブジン、エンテカビル、テノホビルアラフェナミド、及びテノホビルジソプロキシルが挙げられる。しかしながら、インターフェロン治療に関連する欠点のいくつかは、有害な副作用、皮下投与の必要性、及び高コストである。式(I)及び/若しくは(II)の化合物、又は前述のいずれかの薬学的に許容される塩の潜在的な利点は、有害な副作用が少なく、有害な副作用の発生の遅延、及び/又は有害な副作用の重症度の低減であり得る。ヌクレオシド/ヌクレオチド治療による欠点は、交差耐性を含む耐性の発達であり得る。
【0140】
耐性は、治療不成功の原因となり得る。本明細書で使用される場合、「耐性」という用語は、抗ウイルス剤に対する応答の遅延、減弱、及び/又は無効を示すウイルス株を指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩は、1つ以上の抗HBV及び/又は抗HDV剤に対して耐性のあるHBV及び/又はHDV株に感染した対象に提供することができる。耐性が発達し得る抗ウイルス剤の例としては、ラミブジン、テルビブジン、アデホビルジピボキシル、クレブジン、エンテカビル、テノホビルアラフェナミド、及びテノホビルジソプロキシルが挙げられる。いくつかの実施形態では、対象が本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩で治療されたときの、耐性HBV及び/又はHDV株の発達は、記載されものなどの、他のHBV及び/又はHDV抗ウイルス剤に対するHBV及び/又はHDV株耐性の発達と比較して遅延される。
【0141】
投与量は、所望の効果及び治療指標に応じて広く変動し得る。あるいは、投与量は、当業者に理解されるように、患者の表面積に基づいて計算されてもよい。正確な投与量は薬物ごとに決定されるが、ほとんどの場合、投与量に関するいくらかの一般化を行うことができる。成人ヒト患者の1日投与レジメンは、例えば、各活性成分0.01mg~3000mg、好ましくは、1mg~700mg、例えば、5~200mgの経口投与量であり得る。投与量は、対象の必要に応じて、単回でもよく、1日以上にわたって2回以上続いてもよい。
【0142】
化合物のヒト投与量が少なくともいくつかの病態に対して確立されている場合、その同じ投与量が使用されてもよく、又は確立されたヒト投与量の約0.1%~500%、より好ましくは約25%~250%である投薬量が使用されてもよい。新たに発見された医薬組成物の場合と同様に、ヒト投与量が確立されていない場合、好適なヒト投与量は、動物における毒性試験及び有効性試験によって認定された、ED50若しくはID50値、又はインビトロ若しくはインビボ研究に由来する他の適切な値から推測することができる。
【0143】
薬学的に許容される塩の投与の場合、投与量は、遊離塩基として計算され得る。当業者によって理解されるように、ある特定の状況において、特に侵襲性の疾患又は感染を効果的かつ積極的に治療するために、上記の、好ましい投与量範囲を超えるか、又ははるかに超えさえする量で、本明細書に開示の化合物を投与することが必要である場合がある。
【0144】
投与量及び間隔は、活性部分が調節作用又は最小有効濃度(minimal effective concentration、MEC)を維持するのに十分である血漿レベルを提供するように、個々に調節されてもよい。MECは、各化合物で異なるが、インビトロデータから推定できる。MECを達成するために必要な投与量は、個々の特性及び投与経路によって決まる。しかしながら、血漿濃度を測定するためにはHPLCアッセイ又はバイオアッセイが使用され得る。投与間隔もまたMEC値を使用して決定され得る。組成物は、10~90%の期間、好ましくは30~90%、最も好ましくは50~90%にわたって、MECを超える血漿レベルを維持するレジメンを使用して投与されるべきである。局所投与又は選択的取り込みの場合、薬物の有効局所濃度は、血漿濃度に関係しない場合がある。
【0145】
主治医が、毒性又は臓器機能不全により、投与をどのように及びいつ終了、中断、又は調節するのかを知ることに留意されたい。反対に、主治医は、臨床応答が適切ではない(毒性を除外する)場合、治療をより高いレベルに調節することも知っている。対象となる疾患の管理において投与される用量の大きさは、治療しようとする病態の重症度並びに投与経路によって変動する。病態の重症度は、例えば、部分的には、標準的な予後評価方法によって評価されてもよい。更に、用量及び恐らく投薬回数はまた、個々の患者の年齢、体重、及び応答によっても変化する。上記で考察されるものに匹敵するプログラムが、獣医学で使用されてもよい。
【0146】
本明細書に開示の化合物は、既知の方法を使用して有効性及び毒性を評価できる。例えば、ある特定の化学部分を共有する特定の化合物又は化合物のサブセットについての毒性学は、哺乳動物などの細胞株(ヒト細胞株を含む)に対するインビトロ毒性を決定することによって確立され得る。そのような研究の結果は、多くの場合、哺乳動物、又は特にヒトなどの動物における毒性を予測する。あるいは、マウス、ラット、ウサギ、又はサルなどの動物モデルにおける特定の化合物の毒性は、既知の方法を使用して決定されてもよい。特定の化合物の有効性は、インビトロ方法、動物モデル、又はヒト臨床試験などのいくつかの認められている方法を使用して確立され得る。有効性を決定するためのモデルを選択する場合、当業者は、適切なモデル、用量、投与経路、及び/又はレジメンを選択するにあたり最先端の技術を指針とすることができる。
組み合わせ療法
【0147】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩は、複製HBV及び/又はHDVを治療及び/又は阻害するための1つ以上の追加の薬剤と組み合わせて使用することができる。追加の薬剤としては、インターフェロン、ヌクレオシド/ヌクレオチド類似体、カプシド集合体調節剤、配列特異的オリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチド及びsiRNAなど)、核酸ポリマー(nucleic acid polymers、NAP)(HBsAgレベルを低減するSTOPS(商標)化合物及び他の核酸ポリマーなど)、エントリー阻害剤及び/又は小分子免疫調節剤が挙げられるが、これらに限定されない。追加の薬剤の例としては、組換えインターフェロンアルファ2b、IFN-α、PEG-IFN-α-2a、ラミブジン、テルビブジン、アデホビルジピボキシル、クレブジン、エンテカビル、テノホビルアラファエナミド、テノホビルジソプロキシル、JNJ-6379、GLS4、ABI-HO731、JNJ-440、NZ-4、RG7907、AB-423、AB-506、及びABI-H2158が挙げられる。NAPの例としては、REP2139、REP2165、及び2019年11月7日出願の米国出願第16/676,929号(前述の米国出願に記載のSTOPS(商標)化合物の開示の目的のために参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているそれらのSTOPS(商標)化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩は、単一の医薬組成物において1つ以上の追加の薬剤と共に投与され得る。いくつかの実施形態では、化合物又はその薬学的に許容される塩は、2つ以上の別個の医薬組成物として1つ以上の追加の薬剤と共に投与することができる。更に、1つ以上の追加の薬剤を伴う本明細書に記載される化合物又はその薬学的に許容される塩の投与順序は、異なり得る。
【実施例
【0149】
特許請求の範囲を決して限定するものではない、更なる実施形態が、以下の実施例において更に詳細に開示される。
実施例1
【化45】
【0150】
THF(20mL)中のエチル4-(クロロスルホニル)-3-フルオロ-1-メチルピロール-2-カルボキシレート(1000mg、3.7mmol、1.00当量)及び(2S)-1-ヒドロキシブタ-3-エン-2-アミニウムクロリド(687.4mg、5.6mmol、1.50当量)の撹拌溶液/混合物に、DIEA(2.39g、18.5mmol、5.00当量)を、室温(rt)で、N2雰囲気下で滴加した。結果として生じたものを、室温で、N2雰囲気下で一晩撹拌した。混合物を、H2O(30mL)で希釈し、EtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(1×30mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し、生成物(エチル3-フルオロ-4-[[(2S)-1-ヒドロキシブタ-3-エン-2-イル]スルファモイル]-1-メチルピロール-2-カルボキシレート(1.2914g、88%))をオフホワイト色の固体として得た。LC-MS(カラム:HALO C18、3.0*30mm、2.0um;カラムオーブン:40C;移動相A:水/0.1%FA、移動相B:ACN/0.1%FA;流量:1.5mL/分;勾配:1.2分で5%B~100%B、0.5分間保持;254nm):室温=0.569分)。(ES,m/z):321[M+H]+、正確な質量=320。
【0151】
DMF(10mL)中のエチル3-フルオロ-4-[[(2S)-1-ヒドロキシブタ-3-エン-2-イル]スルファモイル]-1-メチルピロール-2-カルボキシレート(250.70mg、0.783mmol、1.00当量)の撹拌溶液に、LiHMDS(THF中1.0mo/L、2.40mL、2.400mmol、3.00当量)を、室温で滴加した。混合物を120℃で1時間攪拌した。混合物を室温に冷却し、H2O(10mL)で希釈し、その後EtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(20mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。濾液を減圧下で濃縮した。残留物を、PE/EtOAc(3:1)で溶出した、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、エチル(3S)-3-エテニル-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H-1λ6-ピロロ[3,4-b][1,4,5]オキサチアゼピン-6-カルボキシレート(31.6mg)をオフホワイト色の固体として得た。LC-MS(カラム:Ascentis Express C18、3.0*50mm、2.7um;
カラムオーブン:40C;移動相A:水/0.1%FA、移動相B:ACN/0.1%FA;流量:1.2mL/分;勾配:2.0分で10%B~100%B、0.6分間保持;254nm):室温=1.004分)。(ES,m/z):301[M+H]+、正確な質量=300。
【0152】
THF(3mL)中のエチル(3S)-3-エテニル-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H-11λ6-ピロロ[3,4-b][1,4,5]オキサチアゼピン-6-カルボキシレート(31.60mg、0.105mmol、1.00当量)及び5-アミノ-2-フロベンゾニトリル(17.19mg、0.126mmol、1.20当量)の撹拌溶液に、LiHMDS(THF中1.0mol/L、0.65mL、6.00当量)を、室温(rt)で、N2雰囲気下で滴加した。混合物を室温で12時間攪拌し、H2O(10mL)で希釈し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(20mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させた。濾過後、濾液を減圧下で濃縮した。残留物を、PE/EtOAc(1:1)で溶出した、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、化合物1(20.2mg)をオフホワイト色の固体として得た。LC-MS(カラム:ACE Excel 3 SuperC18、3.0*50mm、3.0um;カラムオーブン:40C;移動相A:水/5mM NH4HCO3、移動相B:ACN;流量:1.2mL/分;勾配:2.1分で10%B~95%B、0.6分間保持;254nm):室温=3.064分)。(ES,m/z):391[M+H]+、正確な質量=390。1H-NMR:(DMSO-d6,300MHz,ppm):δ9.56(s,1H),8.20(dd,J=5.7,2.6Hz,1H),8.12-8.01(m,1H),7.92(d,J=9.6Hz,1H),7.59-7.49(m,2H),5.93-5.78(m,1H),5.42(d,J=17.4Hz,1H),5.29(d,J=10.7Hz,1H),4.69(d,J=12.7Hz,1H),4.41-4.29(m,1H),3.93(dd,J=12.7,9.3Hz,1H),3.85(s,3H)。
実施例2
【化46】
【0153】
CH3CN(30mL)中の(2R)-2-アミノブタ-3-エン-1-オール塩酸塩(1.46g、11.814mmol、1.30当量)の溶液に、DIPEA(3.52g、27.235mmol、3.00当量)、エチル3-ブロモ-4-(クロロスルホニル)-1-メチルピロール-2-カルボキシレート(3.00g、9.075mmol、1.00当量)を添加した。溶液を80℃で1時間撹拌した。混合物を濃縮した。残留物を、EA/PE(40:60)を用いてシリカゲルカラム上に適用した。エチル3-ブロモ-4-[[(2R)-1-ヒドロキシブタ-3-エン-2-イル]スルファモイル]-1-メチルピロール-2-カルボキシレート(3.1g、89.60%)を白色の固体として得た。LC-MS(カラム:Ascentis Express C18、3.0*50mm、2.7um;カラムオーブン:40C;移動相A:水/0.1%FA、移動相B:ACN/0.1%FA;流量:1.2mL/分;勾配:2.0分で10%B~100%B、0.6分間保持;254nm;室温=1.295分)。(ES,m/z):381[M+H]+、正確な質量=380.0。
【0154】
THF(3.00mL)中のエチル3-ブロモ-4-[[(2R)-1-ヒドロキシブタ-3-エン-2-イル]スルファモイル]-1-メチルピロール-2-カルボキシレート(100mg、0.262mmol、1.00当量)の溶液に、5-アミノ-2-フルオロベンゾニトリル(53.56mg、0.393mmol、1.50当量)及びLiHMDS(THF中1mol/L、12.59mL、12.590mmol、48.00当量)を添加した。溶液を25℃で一晩撹拌した。次いで、反応物を水(10mL)でクエンチした。溶液をEA(2×10mL)で抽出した。混合物をブライン(1×10mL)で洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残留物を、EA/PE(40:60)を用いてシリカゲルカラム上に適用した。3-ブロモ-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-4-[[(2R)-1-ヒドロキシブタ-3-エン-2-イル]スルファモイル]-1-メチルピロール-2-カルボキサミド(66.8mg、52.95%)を赤色の固体として得た。LC-MS(カラム:HALO C18、3.0*30mm、2.0um;移動相A:水/0.05%TFA、移動相B:ACN/0.05%TFA;流量:1.5mL/分;勾配:1.2分で5%B~100%B、0.5分間保持;254nm;室温=1.408分)。(ES,m/z):471[M+H]+、正確な質量=470.0。
【0155】
DMF(3.00mL)中の3-ブロモ-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-4-[[(2R)-1-ヒドロキシブタ-3-エン-2-イル]スルファモイル]-1-メチルピロール-2-カルボキサミド(0.20g、0.424mmol、1.00当量)の溶液に、DIEA(71.30mg、0.552mmol、1.30当量)及びPd(t-Bu3P)2(43.37mg、0.085mmol、0.20当量)を添加した。混合物に130℃で1時間マイクロ波照射を照射した。溶液を水(15mL)で希釈した。溶液をEA(2×15mL)で抽出した。混合物をブライン(1×15mL)で洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残留物を、CH2Cl2/CH3OH(120:1)を用いてシリカゲルカラム上に適用した。(3R)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-(ヒドロキシメチル)-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H-1λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(63.1mg、36.18%)を赤色の固体として得た。LC-MS(カラム:Shim-pack XR-ODS、3.0*50mm、2.2um;移動相A:水/0.05%TFA、移動相B:ACN/0.05%TFA;流量:1.2mL/分;勾配:2.0分で5%B~100%B、0.7分間保持;254nm;室温=1.356分)。(ES,m/z):391[M+H]+、正確な質量=390.1。
【0156】
MeOH(6mL)中の(3R)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-(ヒドロキシメチル)-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H-11λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(200.00mg、0.512mmol、1.00当量)の溶液に、TEA(103.68mg、1.025mmol、2.00当量)、Pd/C(100.00mg、10%)を添加した。溶液を、H2(1atm)雰囲気下で、25℃で2時間撹拌した。濾過により濾液を回収し、濃縮した。粗生成物をACNでスラリーにした。固体を濾過により回収した。オフホワイト色の固体としての(3R)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-(ヒドロキシメチル)-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H,5H-1λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(76.2mg、37.90%)。LC-MS(カラム:Shim-pack XR-ODS、3.0*50mm、2.2um;移動相A:水/0.05%TFA、移動相B:ACN/0.05%TFA;流量:1.2mL/分;勾配:1.1分で5%B~100%B、0.7分間保持;254nm;室温=1.445分)。(ES,m/z):393[M+H]+、正確な質量=392.1。
【0157】
ACN(40.00mL)中の(3R)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-(ヒドロキシメチル)-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H,5H-1λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(400mg、1.019mmol、1.00当量)の溶液に、続いて80℃でIBX(570.87mg、2.039mmol、2.00当量)を添加した。溶液を80℃で40分間撹拌した。固体を濾過し、混合物を濃縮した。残留物を、CH2Cl2/CH3OH(110:1)を用いてシリカゲルカラム上に適用した。化合物A(300mg、75.39%)を黄色の固体として得た。LC-MS(カラム:YMC-Triart C18、3.0um、50*3.0mm;カラムオーブン:40C;移動相A:0.04%NH4OH、移動相B:ACN;流量:1.2mL/分;勾配:2.1分で10%B~95%B、0.6分間保持;254nm;室温=0.826分)。(ES,m/z):391[M+H]+、正確な質量=390.1 1H-NMR:1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.60(m,1H),9.54(s,1H),8.20(m,1H),7.98-7.94(m,1H),7.57-7.54(m,2H),5.82(m,1H),4.74-4.22(m,1H),3.69(s,3H),3.11-3.01(m,1H),2.87-2.67(m,1H),2.09(s,1H),1.56-1.32(m,1H)。
実施例3
【化47】
【0158】
THF(6mL)中の(3R)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-ホルミル-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H,5H-1λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(250mg、0.640mmol、1.00当量)の溶液に、0℃で撹拌しながらブロモ(エチニル)マグネシウム(THF中0.5mol/L、6.40mL、3.200mmol、5.00当量)を滴加した。溶液を0℃で2時間撹拌した。次いで、反応物を水(8mL)でクエンチした。溶液をEA(2×15mL)で抽出し、ブライン(1×15mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残留物を、CH2Cl2/CH3OH(120:1)を用いてシリカゲルカラム上に適用した。粗生成物を分取HPLCにより精製した(条件:2#SHIMADZU(HPLC-01)):カラム、XBridge Prep C18 OBDカラム、30*50mm、5um、13nm;移動相、水(10M MOL/L NH4HCO3)及びACN(9分で30%相B~最大38%))。これにより、キラル分取HPLCにより精製したラセミ生成物を得た(条件:カラム:CHIRALPAK IG、3*25cm、5um;移動相A:Hex(8mmol/L NH3・MeOH)-HPLC、移動相B:EtOH--HPLC;流量:40mL/分;勾配:20分で40B~40B;254/220nm;RT1:11.42;RT2:11.706。(3R)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-[(1R)-1-ヒドロキシプロパ-2-イン-1-イル]-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H,5H-1λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(1mg、0.36%、化合物2A)を白色の固体として得、(3S)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-[(1R)-1-ヒドロキシプロパ-2-イン-1-イル]-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H,5H-1λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(7.8mg、2.90%、化合物2D)を白色の固体として得た。2つの他の生成物(9.6mg)の混合物も得られた。
【0159】
生成物(9.6mg)の混合物を、キラル分取HPLCにより精製した(条件:カラム:CHIRALPAK IA、2*25cm、5um;移動相A:MTBE(10mM NH3・MeOH)-HPLC、移動相B:EtOH-HPLC;流量:20mL/分;勾配:11分で10B~10B;220/254nm;RT1:7.657;RT2:9.222。(3R)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-[(1S)-1-ヒドロキシプロパ-2-イン-1-イル]-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H,5H-1λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(3.3mg、1.23%、化合物2B)を白色の固体として得、(3S)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-[(1S)-1-ヒドロキシプロパ-2-イン-1-イル]-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H,5H-1λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(1mg、0.37%、化合物2C)を白色の固体として得た。当業者であれば、化合物2A、2B、2C、及び2Dは、ジアステレオマーであることを理解する。化合物2A、2B、2C、及び2Dのそれぞれについて示される立体化学は、相対的であり、絶対的ではない。
【0160】
化合物2A:LC-MS(カラム:HALO C18、3.0*30mm、2.0um;カラムオーブン:40℃;移動相A:水/0.05%TFA、移動相B:ACN/0.05%TFA;流量:1.5mL/分;勾配:1.2分で5%B~100%B、0.5分間保持;254nm;室温=1.110分)。(ES,m/z)417[M+H]+、正確な質量=416.1。1H-NMR:(400MHz,DMSO-d6)δ10.61(s,1H),8.20(dd,J=5.8,2.7Hz,1H),7.97(ddd,J=9.2,4.9,2.7Hz,1H),7.55(t,J=9.1Hz,1H),7.45(s,1H),6.92(d,J=10.2Hz,1H),5.61(d,J=5.9Hz,1H),4.25(td,J=5.6,2.2Hz,1H),3.70(s,3H),3.54(td,J=10.0,4.9Hz,1H),3.34(d,J=2.2Hz,1H),3.13-3.03(m,1H),2.86-2.75(m,1H),2.08(q,J=7.8,6.5Hz,1H),1.52(q,J=12.4Hz,1H)。
【0161】
化合物2B:LC-MS(カラム:ACE Excel 3 SuperC18,3.0*50mm、3.0um;カラムオーブン:40C;移動相A:水/5mM N NH4HCO3、移動相B:ACN;流量:1.2mL/分;勾配:2.1分で10%B~95%B、0.6分間保持;254nm;室温=1.458分)。(ES,m/z):417[M+H]+、正確な質量=416.1。1H-NMR:(400MHz,DMSO-d6,)δ10.61(s,1H),8.20(dd,J=5.8,2.7Hz,1H),7.97(ddd,J=9.2,4.9,2.7Hz,1H),7.55(t,J=9.1Hz,1H),7.46(s,1H),7.06(d,J=10.2Hz,1H),5.72(d,J=6.5Hz,1H),4.13(td,J=6.7,2.2Hz,1H),3.70(s,3H),3.49(q,J=9.9Hz,1H),3.35(d,J=2.1Hz,1H),3.09(dd,J=15.3,6.6Hz,1H),2.83-2.72(m,1H),2.21(dd,J=14.3,6.7Hz,1H),1.39(q,J=12.3Hz,1H)。
【0162】
化合物2C:LC-MS(カラム:ACE Excel 3 SuperC18,3.0*50mm、3.0um;カラムオーブン:40C;移動相A:水/5mM NH4HCO3、移動相B:アセトニトリル;流量:1.2mL/分;勾配:2.1分で10%B~95%B、0.6分間保持;254nm;室温=1.460分)。(ES,m/z):417[M+H]+、正確な質量=416.1。1H-NMR:(400MHz,DMSO-d6)δ10.61(s,1H),8.20(dd,J=5.8,2.7Hz,1H),7.97(ddd,J=9.3,4.9,2.7Hz,1H),7.55(t,J=9.1Hz,1H),7.46(s,1H),7.06(d,J=10.2Hz,1H),5.72(d,J=6.5Hz,1H),4.13(td,J=6.7,2.2Hz,1H),3.70(s,3H),3.49(q,J=9.6Hz,1H),3.36(d,J=2.1Hz,1H),3.09(dd,J=15.1,6.6Hz,1H),2.78(dd,J=15.2,12.3Hz,1H),2.21(dd,J=14.3,6.6Hz,1H),1.39(q,J=12.4Hz,1H)。
【0163】
化合物2D:LC-MS(カラム:ACE Excel 3 SuperC18,3.0*50mm、3.0um;カラムオーブン:40C;移動相A:水/5mM NH4HCO3、移動相B:アセトニトリル;流量:1.2mL/分;勾配:2.1分で10%B~95%B、0.6分間保持;254nm;室温=1.453分)。(ES,m/z):417[M+H]+、正確な質量=416.1。1H-NMR:(400MHz,DMSO-d6)δ10.61(s,1H),8.20(dd,J=5.9,2.7Hz,1H),7.97(ddd,J=9.3,4.9,2.7Hz,1H),7.55(t,J=9.1Hz,1H),7.45(s,1H),6.92(d,J=10.2Hz,1H),5.62(d,J=6.0Hz,1H),4.25(td,J=5.6,2.2Hz,1H),3.70(s,3H),3.54(td,J=10.2,5.3Hz,1H),3.34(d,J=2.1Hz,1H),3.13-3.03(m,1H),2.86-2.75(m,1H),2.07(d,J=5.0Hz,1H),1.52(q,J=12.4Hz,1H)。
実施例4
【化48】
【0164】
THF(7.00mn)中の(3R)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-ホルミル-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H,5H-1λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(350mg、0.897mmol、1.00当量)の溶液に、0℃で攪拌しながらブロモ(プロパ-1-イン-1-イル)マグネシウム(8.97mL、4.485mmol、5.00当量、THF中0.5mol/L)を滴加した。溶液を0℃で2時間撹拌した。反応物を水(10mL)でクエンチした。溶液をエチルアセテート(2×15mL)で抽出した。混合物をブライン(1×15mL)で洗浄した。混合物を濃縮した。残留物を、CH2Cl2/CH3OH(120:1)を用いてシリカゲルカラム上に適用した。粗生成物を分取HPLCにより精製した(条件:2#SHIMADZU(HPLC-01)):カラム、XBridge Prep OBD C18カラム、30*150mm 5um;移動相、水(10M MOL/L NH4HCO3)及びACN(9分で30%相B~最大52%))。これにより、キラル分取HPLCにより精製したラセミ生成物を得た(条件:(分取HPLC-009):カラム、CHIRALPAK IE、2*25cm、5 um;移動相、Hex(8mmol/L NH3・MeOH)及びEtOH-(19分で50%EtOH-を保持))。(3R)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-[(1R)-1-ヒドロキシブタ-2-イン-1-イル]-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H,5H-1λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(2mg、0.51%,化合物3A)を固体として得、(3S)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-[(1R)-1-ヒドロキシブタ-2-イン-1-イル]-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H,5H-1λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(2mg、0.51%、化合物3D)を白色の固体として得た。2つの他の生成物の混合物(27.3mg)も得られた。
【0165】
生成物の混合物(27.3mg)を、キラル分取HPLCにより精製した(条件:カラム:CHIRAL ART Cellulose-SB、2*25cm、5um;移動相A:Hex(8mmol/L NHH3・MeOH)HPLC、移動相B:EtOH--HPLC;流量:20mL/分;勾配:16分で35B~35B;220/254nm;RT1:10.984;RT2:12.642)。これにより、(3R)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-[(1R)-1-ヒドロキシブタ-2-イン-1-イル]-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H,5H-1λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(5.6mg、1.45%、化合物3B)を白色の固体として得、(3S)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-[(1S)-1-ヒドロキシブタ-2-イン-1-イル]-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H,5H-1λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(10.7mg、2.74%、化合物3C)を白色の固体として得た。当業者であれば、化合物3A、3B、3C、及び3Dは、ジアステレオマーであることを理解する。化合物3A、3B、3C、及び3Dのそれぞれについて示される立体化学は、相対的であり、絶対的ではない。
【0166】
化合物3A:LC-MS(カラム:Shim-pack XR-ODS、3.0*50mm、2.2um;移動相A:水/0.05%TFA、移動相B:ACN/0.05%TFA;流量:1.2mL/分;勾配:2.0分で5%B~100%B、0.7分間保持;254nm;室温=1.337分間、(ES、m/z):431[M+H]+、正確な質量=430.1。1H-NMR:(400MHz,DMSO-d6)δ10.61(s,1H),8.20(dd,J=5.8,2.7Hz,1H),7.97(ddd,J=9.2,4.9,2.7Hz,1H),7.55(t,J=9.1Hz,1H),7.46(s,1H),6.83(d,J=10.3Hz,1H),5.44(d,J=5.6Hz,1H),4.22(dq,J=5.6,2.4Hz,1H),3.70(s,3H),3.50(td,J=10.8,5.4Hz,1H),3.08(dd,J=15.7,6.3Hz,1H),2.78(dd,J=15.3,12.3Hz,1H),2.15-2.05(m,1H),1.79(d,J=2.1Hz,3H),1.48(m,1H)。
【0167】
化合物3B:LC-MS(カラム:Kinetex C18 100A 50*3.0mm、2.6um;カラムオーブン:40C;移動相A:水/0.05%TFA、移動相B:ACN/0.05%TFA;流量:1.2mL/分;勾配:2.1分で5%B~100%B、0.6分間保持;254nm;室温=1.295分、(ES、m/z):431[M+H]+、正確な質量=430.1。1H-NMR:(400MHz,DMSO-d6)δ10.60(s,1H),8.20(dd,J=5.8,2.7Hz,1H),7.97(ddd,J=9.3,4.9,2.7Hz,1H),7.55(t,J=9.1Hz,1H),7.45(s,1H),6.94(d,J=10.2Hz,1H),5.48(d,J=6.3Hz,1H),4.14(ddt,J=6.2,4.1,2.3Hz,1H),3.70(s,3H),3.51-3.40(m,1H),3.08(dd,J=15.2,6.6Hz,1H),2.82-2.72(m,1H),2.17(dd,J=14.4,6.7Hz,1H),1.82(d,J=2.1Hz,3H),1.41(m,1H)。
【0168】
化合物3C:LC-MS(カラム:Kinetex C18 100A 50*3.0mm、2.6um;カラムオーブン:40C;移動相A:水/0.05%TFA、移動相B:ACN/0.05%TFA;流量:1.2mL/分;勾配:2.1分で5%B~100%B、0.6分間保持;254nm;室温=1.283分、(ES、m/z):431[M+H]+、正確な質量=430.1。1H-NMR:(400MHz,DMSO-d6)δ10.60(s,1H),8.20(dd,J=5.8,2.7Hz,1H),7.97(ddd,J=9.2,4.9,2.7Hz,1H),7.55(t,J=9.1Hz,1H),7.45(s,1H),6.94(d,J=9.7Hz,1H),5.48(d,J=6.2Hz,1H),4.14(ddq,J=6.1,4.1,2.1Hz,1H),3.70(s,3H),3.46(td,J=10.3,5.5Hz,1H),3.13-3.03(m,1H),2.78(dd,J=15.1,12.4Hz,1H),2.17(dd,J=14.3,6.7Hz,1H),1.82(d,J=2.1Hz,3H),1.44-1.32(m,1H)。
【0169】
化合物3D:LC-MS(カラム:Kinetex C18 100A 50*3.0mm、2.6um;カラムオーブン:40C;移動相A:水/0.05%TFA、移動相B:ACN/0.05%TFA;流量:1.2mL/分;勾配:2.1分で5%B~100%B、0.6分間保持;254nm;室温=1.293分、(ES、m/z):431[M+H]+、正確な質量=430.1。1H-NMR:(400MHz,DMSO-d6)δ10.60(s,1H),8.20(dd,J=5.8,2.7Hz,1H),7.97(ddd,J=9.2,4.9,2.7Hz,1H),7.55(t,J=9.1Hz,1H),7.45(s,1H),6.94(d,J=9.7Hz,1H),5.48(d,J=6.2Hz,1H),4.14(ddq,J=6.1,4.1,2.1Hz,1H),3.70(s,3H),3.46(td,J=10.3,5.5Hz,1H),3.13-3.03(m,1H),2.78(dd,J=15.1,12.4Hz,1H),2.17(dd,J=14.3,6.7Hz,1H),1.82(d,J=2.1Hz,3H),1.44-1.32(m,1H)。
実施例5
【化49】
【0170】
THF(8.00mL)中の(3R)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-ホルミル-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H,5H-1λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(430mg、1.101mmol、1.00当量)の溶液に、0℃で撹拌しながらブロモ(エチニル)マグネシウム(THF中1mol/L、5.51mL、5.5mmol、5.00当量)を滴加した。溶液を0℃で2時間撹拌した。次いで、反応物を水(8mL)でクエンチした。溶液をエチルアセテート(2×15mL)で抽出した。混合物をブライン(1×15mL)で洗浄した。混合物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。残留物を、CH2Cl2/CH3OH(120:1)を用いてシリカゲルカラム上に適用した。粗生成物を分取HPLCにより精製した(条件:2#SHIMADZU(HPLC-01)):カラム、XBridge Prep OBD C18カラム、30*150mm 5um;移動相、水(10M MOL/L NH4HCO3)及びACN(9分で25%相B~最大50%))。これにより、キラル分取HPLCにより精製したラセミ生成物を得た(条件:(分取HPLC-009):カラム、CHIRALPAK IC、2*25cm、5um;移動相A:Hex(8mmol/L NH3・MeOH)-HPLC、移動相B:EtOH-HPLC;流量:20mL/分;勾配:18分で30B~30B;220/254nm;RT1:4.178;RT2:11.194)。(3R)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-[(1R)-1-ヒドロキシプロパ-2-エン-1-イル]-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H,5H-1λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(1.8mg、0.38%、化合物4A)を白色の固体として得、(3S)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-[(1R)-1-ヒドロキシプロパ-2-エン-1-イル]-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H,5H-1λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(8.6mg、1.83%、化合物4D)を白色の固体として得た。2つの他の生成物の混合物(13mg)も得られた。
【0171】
生成物の混合物(13mg)を、キラル分取HPLCにより精製した(条件:カラム:CHIRALPAK IE、2*25cm、5um;移動相A:Hex(8mmol/L NH3・MeOH)-HPLC、移動相B:EtOH--HPLC;流量:18mL/分;勾配:17分で50B~50B;220/254nm;RT1:10.973;RT2:14.752)。(3R)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-[(1S)-1-ヒドロキシプロパ-2-エン-1-イル]-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H,5H-1λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(1mg、0.21%、化合物4B)を白色の固体として得、(3S)-N-(3-シアノ-4-フルオロフェニル)-3-[(1S)-1-ヒドロキシプロパ-2-エン-1-イル]-7-メチル-1,1-ジオキソ-2H,3H,4H,5H-1λ6-ピロロ[3,4-f][1,2]チアゼピン-6-カルボキサミド(1mg、0.21%、化合物4D)を白色の固体として得た。当業者であれば、化合物4A、4B、4C、及び4Dは、ジアステレオマーであることを理解する。化合物4A、4B、4C、及び4Dのそれぞれについて示される立体化学は、相対的であり、絶対的ではない。
【0172】
化合物4A:LC-MS(カラム:ACE Excel 3 Super C18,3.0*50mm、3.0um;カラムオーブン:40C;移動相A:水/5mM NH4HCO3、移動相B:ACN;流量:1.2mL/分;勾配:2.1分で10%B~95%B、0.6分間保持;254nm;室温=2.457分)。(ES,m/z):419[M+H]+、正確な質量=418.1。1HNMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.60(s,1H),8.19(dd,J=5.8,2.7Hz,1H),7.96(ddd,J=9.1,4.8,2.7Hz,1H),7.55(t,J=9.2Hz,1H),7.45(s,1H),6.95(d,J=10.3Hz,1H),5.96(ddd,J=17.2,10.5,5.2Hz,1H),5.24(dt,J=17.3,1.8Hz,1H),5.12(dd,J=10.4,1.9Hz,1H),5.04(d,J=5.7Hz,1H),3.93-3.86(m,1H),3.70(s,3H),3.38(t,J=8.8Hz,1H),3.06(dd,J=15.2,6.5Hz,1H),2.82-2.70(m,1H),2.11(dd,J=14.2,6.6Hz,1H),1.38(m,1H)。
【0173】
化合物4B:LC-MS(カラム:ACE Excel 3 Super C18,3.0*50mm、3.0um;カラムオーブン:40C;移動相A:水/5mM NH4HCO3、移動相B:ACN;流量:1.2mL/分;勾配:2.1分で10%B~95%B、0.6分間保持;254nm;室温=1.307分)。(ES,m/z):419[M+H]+、正確な質量=418.1。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.60(s,1H),8.19(dd,J=5.8,2.7Hz,1H),7.96(ddd,J=9.2,4.8,2.6Hz,1H),7.55(t,J=9.1Hz,1H),7.45(s,1H),6.95(d,J=10.3Hz,1H),5.96(ddd,J=17.3,10.5,5.2Hz,1H),5.24(dt,J=17.2,1.9Hz,1H),5.12(dt,J=10.5,1.8Hz,1H),5.04(d,J=5.6Hz,1H),3.90(q,J=5.9Hz,1H),3.70(s,3H),3.43-3.33(m,1H),3.06(dd,J=15.0,6.7Hz,1H),2.82-2.70(m,1H),2.11(dd,J=15.1,7.2Hz,1H),1.35(d,J=12.8Hz,1H)。
【0174】
化合物4C:LC-MS(カラム:ACE Excel 3 Super C18,3.0*50mm、3.0um;カラムオーブン:40C;移動相A:水/5mM NH4HCO3、移動相B:ACN;流量:1.2mL/分;勾配:2.1分で10%B~95%B、0.6分間保持;254nm:室温=2.450分)。(ES,m/z):419[M+H]+、正確な質量=418.1。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.60(s,1H),8.19(dd,J=5.7,2.7Hz,1H),7.96(ddd,J=9.2,4.9,2.7Hz,1H),7.55(t,J=9.1Hz,1H),7.45(s,1H),6.78(d,J=10.4Hz,1H),5.92(ddd,J=17.1,10.5,5.0Hz,1H),5.24(dt,J=17.2,1.9Hz,1H),5.10(dt,J=10.4,1.9Hz,1H),5.01(d,J=5.2Hz,1H),4.04(d,J=4.9Hz,1H),3.69(s,3H),3.55(t,J=11.8Hz,1H),3.05(dd,J=15.1,6.4Hz,1H),2.84-2.72(m,1H),1.90(dd,J=14.2,6.6Hz,1H),1.43(d,J=12.4Hz,1H)。
【0175】
化合物4D:LC-MS(カラム:ACE Excel 3 Super Cl 8,3.0*50mm、3.0um;カラムオーブン:40C;移動相A:水/5mM NH4HCO3、移動相B:ACN;流量:1.2mL/分;勾配:2.1分で10%B~95%B、0.6分間保持;254nm;室温=1.307分)。(ES,m/z):419[M+H]+、正確な質量=418.1。1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.60(s,1H),8.19(dd,J=5.8,2.7Hz,1H),7.96(ddd,J=9.2,4.8,2.7Hz,1H),7.55(t,J=9.2Hz,1H),7.45(s,1H),6.79(d,J=10.4Hz,1H),5.92(ddd,J=17.2,10.5,5.0Hz,1H),5.24(dt,J=17.2,1.9Hz,1H),5.10(dt,J=10.6,1.8Hz,1H),5.01(d,J=5.2Hz,1H),4.04(q,J=4.9Hz,1H),3.69(s,3H),3.55(ddd,J=14.1,10.2,3.9Hz,1H),3.10-3.00(m,1H),2.78(t,J=13.7Hz,1H),1.90(dd,J=14.2,6.4Hz,1H),1.40(d,J=12.8Hz,1H)。
実施例6
【化50】
【0176】
トルエン(40mL)中の5(1)(4g、13.72mmol、1当量)の溶液に、-78℃で、N2下で、アリル(ブロモ)マグネシウム(Et2O中1M、34.30mL、2.5当量)を滴加した。混合物を-78℃で2時間撹拌した。反応物を、飽和NH4Cl(40mL)でクエンチし、次いで、ゆっくりと15℃に温め、EtOAc(30mL×3)で抽出した。合わせた有機層を減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);40gのSepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、40mL/分で0~30%エチルアセテート/石油エーテル勾配の溶出液)により精製して、無色の油状物として5(2)(0.94g、2.82mmol、20.54%)を得た。
【0177】
MeOH(30mL)中の5(2)(3.39g、10.16mmol)の溶液に、15℃でHCl/ジオキサン(4M、17.84mL、20当量)を添加した。混合物を15℃で1時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して、褐色の油状物として粗5(3)(1.4g、HCl塩)を得、これを更に精製することなく次の工程に使用した。
【0178】
THF(25mL)中の粗5(3)(450mg、2.97mmol、1.5当量)の溶液に、10℃でDIPEA(1.28g、9.89mmol、1.72mL、5当量)を添加した。混合物を10℃で1時間攪拌した。塩化スルホニル(533.54mg、1.98mmol、1当量)を混合物に添加し、次いで、10℃で15時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して、残留物を得、これをフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);12gのSepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、20mL/分で0~45%エチルアセテート/石油エーテル勾配の溶出液)により精製して、褐色の油状物として5(4)(150mg、21.76%の430.55μmol)を得た。
【0179】
DMF(3mL)中の5(4)(150mg、430.55μmol、1当量)の溶液に、10℃でLiHMDS(1M、1.5mL、3.48当量)を滴加した。混合物を80℃で5時間撹拌した。反応物を、10℃で飽和NH4Cl水溶液(15mL)を添加することによりクエンチした。次いで、混合物をH2O(15mL)で希釈し、EtOAc(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);4gのSepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、20mL/分で0~25%のエチルアセテート/石油エーテル勾配の溶出液)により精製して、黄色の油状物として5(5)(130mg、307.36μmol、71.39%収率、77.64%純度)を得た。エナンチオマーをキラルHPLCにより分離した。
【0180】
THF(8mL)中の5(5)(130mg、395.88μmol、1当量)及び5-アミノ-2-フルオロ-ベンゾニトリル(75.45mg、554.23μmol、1.4当量)の溶液に、10℃でLiHMDS(1M、1.58mL、4当量)を添加した。添加後、混合物を10℃で2時間攪拌した。TLC(石油エーテル:エチルアセテート(2:1))は、出発材料が完全に消費されたことを示した。反応物を、飽和NH4Cl水溶液(15mL)及びH2O(10mL)でクエンチし、次いでEtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(40mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、残留物を得た。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);4gのSepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、20mL/分で0~35%のエチルアセテート/石油エーテル勾配の溶出液)により精製して、褐色の固体として5(6)(100mg、223.57μmol、56.47%収率、93.55%純度)を得た。エナンチオマーの化合物5A及び化合物5Bを、キラルHPLCにより分離した。化合物5A及び5Bのそれぞれについて示される立体化学は、相対的であり、絶対的ではない。
実施例7
【化51】
【0181】
DMF(5mL)中の6(1)(0.50g、2.18mmol、1当量)及びPPh3(1.72g、6.54mmol、3当量)の溶液に、ナトリウム2-クロロ-2,2-ジフルオロ-アセテート(997.46mg、6.54mmol、3.0当量)を、100℃で、N2下で添加した。混合物を100℃で2時間加熱した。混合物をH2O(20mL)で希釈し、EtOAc(3×25mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(25mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得、これをフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);20gのSepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~3%エチルアセテート/石油エーテル勾配の溶出液)により精製して、無色の油状物として5(2)(0.53g、2.01mmol、92.31%収率)を得た。
【0182】
HCl/EtOAc(4M、1.8mL、3.58当量)中の6(2)(0.530g、2.01mmol、1当量)の溶液を、15℃で0.5時間撹拌した。混合物を濃縮して乾固させ、粗6(3)(0.32g、2.01mmol、99.62%収率、HCl塩)を淡黄色の固体として得、これを精製せずに次の工程に直接使用した。
【0183】
THF(20mL)中の6(3)(0.250g、2.03mmol、1.22当量)及びDIPEA(1.08g、8.34mmol、1.45mL、5当量)の混合物を、15℃で1時間攪拌した。塩化スルホニル(0.450g、1.67mmol、1当量)を添加した。混合物を15℃で15時間撹拌した。混合物を濃縮して残留物を得、これをフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);20g SepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~90%エチルアセテート/石油エーテル勾配の溶出液)により精製して、黄色の固体として6(4)(0.48g、80.73%)を得た。
【0184】
THF(5mL)中の6(4)(0.25g、701.62μmol、1当量)、5-アミノ-2-フルオロ-ベンゾニトリル(143.26mg、1.05mmol、1.5当量)の溶液に、15℃でLiHMDS(THF中1M、3.5mL、3.5mmol、4.99当量)を滴加した。混合物を15℃で3時間撹拌した。反応物を、飽和NH4Cl水溶液(10mL)及びH2O(5mL)でクエンチした。混合物をEtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、残留物を得た。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);4gのSepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、30~65%エチルアセテート/石油エーテル勾配の溶出液)により精製して、粗生成物(310mg)を紫色の固体として得た。粗生成物(190mg)をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);4gのSepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、10~50%エチルアセテート/石油エーテル勾配の溶出液)により再精製して、紫色の固体として6(5)(180mg)を得た。
【0185】
DMF(2mL)中の6(5)(0.11g、246.43μmol、1当量)の溶液に、CsF(149.73mg、985.72μmol、4当量)を添加した。混合物を100℃で16時間攪拌した。混合物をH2O(15mL)で希釈し、EtOAc(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×15mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、残留物を得た。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);12gのSepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、25mL/分で0~100%エチルアセテート/石油エーテル勾配の溶出液)により精製し、粗生成物(35mg)を赤色のゴムとして得、これを分取HPLC(Instrument:BK;カラム:Xtimate C18 150*25mm*5μm;条件:水(0.05%HCl)-ACN;開始B:35;終了B:65;勾配時間(分):11.5;100%B保持時間(分):2;流量(ml/分):25)により再精製して、化合物6A(1.4mg)を白色の固体として得た。
実施例8
【化52】
【0186】
DCM(200mL)中の1-ヒドロキシプロパン-2-オン(20g、269.98mmol、18.52mL、1当量)及びイミダゾール(25.73g、377.98mmol、1.4当量)の溶液に、0℃でTBSCl(44.76g、296.98mmol、36.39mL、1.1当量)を添加した。混合物を20℃で12時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物をH2O(200mL)で希釈し、EtOAcで抽出した(3×150mL)。合わせた有機層をブライン(200mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗7(2)(47g、249.55mmol、92.43%収率)を黄色の油状物として得て、これを更に精製することなく次の工程に使用した。
【0187】
THF(370mL)中の粗(2)(37g、196.45mmol、1当量)の混合物に、15℃でテトライソプロポキシチタン(139.59g、491.14mmol、144.95mL、2当量)及び2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(23.81g、196.45mmol、1当量)を添加した。混合物を70℃で14時間撹拌した。15℃に冷却した後、混合物を撹拌しながらブライン(400mL)に注いだ。得られた懸濁液を珪藻土で濾過し、EtOAc(6×50mL)で洗浄した。濾液を濃縮して残留物を得た。残留物にH2O(200mL)を添加した混合物をEtOAc(3×150mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(200mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、粗生成物を得、これをフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);220gのSepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、100mL/分で0~15%エチルアセテート/石油エーテル勾配の溶出液)により精製して、黄色の油状物として7(3)(9g、30.87mmol、15.71%収率)を得た。
【0188】
トルエン(50mL)中の(3)(5g、17.15mmol、1当量)の溶液に、-78℃で、N2下で、ブロモ(ビニル)マグネシウム(2-MeTHF中1.6M、32.16mL、3当量)を添加した。混合物を-78℃で2時間撹拌した。反応物を、-78℃で、飽和NH4Cl(100mL)でクエンチした。混合物をゆっくりと15℃に温めた。次いで、混合物を濾過し、EtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(100mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);40gのSepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、40mL/分で0~20%エチルアセテート/石油エーテル勾配の溶出液)により精製して、黄色の油状物として7(4)(1.5g、4.69mmol、27.37%収率)を得た。
【0189】
MeOH(15mL)中の7(4)(1.5g、4.69mmol、1当量)の溶液に、15℃でHCl/ジオキサン(4M、11.73mL、10当量)を添加した。混合物を15℃で1時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物をMTBE(30mL)で希釈し、H2O(3×60mL)で抽出した。合わせた水層を減圧下で濃縮して、7(5)(620mg、4.51mmol、95.99%収率、HCl塩)を褐色の油状物として得、これを更に精製することなく次の工程に使用した。
【0190】
THF(25mL)中の7(5)(400mg、2.91mmol、1.5当量)の溶液に、10℃でDIPEA(1.25g、9.69mmol、1.69mL、5当量)を添加した。混合物を10℃で1時間撹拌した。次いで、混合物に塩化スルホニル(522.60mg、1.94mmol、1当量)を添加した。混合物を10℃で19時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);12gのSepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、30mL/分で0~50%エチルアセテート/石油エーテル勾配の溶出液)により精製して、褐色の油状物として7(6)(170mg、508.43μmol、26.24%収率)を得た。
【0191】
DMF(4mL)中の7(6)(170mg、508.43μmol、1当量)の溶液に、10℃でLiHMDS(1M、1.77mL、3.48当量)を添加した。混合物を80℃で6時間攪拌した。TLC(石油エーテル:エチルアセテート(1:1))は、出発材料が完全に消費されたことを示した。反応物を、10℃で飽和NH4Cl水溶液(15mL)でクエンチした。次いで、混合物をH2O(15mL)で希釈し、EtOAc(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、残留物を得た。残留物をフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);4gのSepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~25%エチルアセテート/石油エーテルの溶出液;20mL/分で勾配)により精製して、黄色の油状物として7(7)(130mg、370.37μmol、72.85%収率、89.56%純度)を得た。
【0192】
THF(8mL)中の7(7)(130mg、413.54μmol、1当量)及び5-アミノ-2-フルオロ-ベンゾニトリル(78.81mg、578.96μmol、1.4当量)の溶液に、10℃でLiHMDS(1M、1.65mL、4当量)を添加した。混合物を10℃で2時間攪拌した。TLC(石油エーテル:エチルアセテート(2:1))は、出発材料が完全に消費されたことを示した。反応物を、飽和NH4Cl水溶液(15mL)及びH2O(10mL)でクエンチした。次いで、混合物をEtOAc(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(40mL)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮して残留物を得、これをフラッシュシリカゲルクロマトグラフィー(ISCO(登録商標);4gのSepaFlash(登録商標)シリカフラッシュカラム、0~35%エチルアセテート/石油エーテルの溶出液;20mL/分で勾配)により精製して、7(8)(100mg、58.62%収率、98.03%純度)を褐色の固体として得た。エナンチオマーの化合物7A及び化合物7BをキラルHPLCにより更に分離した。化合物7A及び7Bのそれぞれについて示される立体化学は、相対的であり、絶対的ではない。
実施例9
追加の化合物
【0193】
前述の合成は例示的なものであり、表1に提供されるものを含む多数の追加の化合物を調製するための出発点として使用することができる。本明細書に示され記載されるこれらの合成スキームを含む様々な方法で調製することができる式(I)及び(II)の化合物の例を以下に提供する。当業者であれば、開示される合成の変更を認識し、本明細書の開示に基づいて経路を考案することができるものであり、このような修正及び代替経路は全て、特許請求の範囲内である。
表1
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【表2-11】
【表2-12】
【表2-13】
【表2-14】
【表2-15】
【表2-16】
【表2-17】
【表2-18】
【表2-19】
【表2-20】
【表2-21】
【表2-22】
表1の化合物のそれぞれについて示される立体化学は、相対的であり、絶対的ではない。
【化53】
【化54】
【化55】
【化56】
【化57】
【化58】
(前述のうちのいずれかの薬学的に許容される塩を含む)。
実施例A
HepG2.2.15細胞を使用したHBV-DNA抗ウイルスアッセイ
【0194】
以下のアッセイ手順は、HBV抗ウイルスアッセイを説明する。このアッセイは、HBVゲノムでトランスフェクトされたHepG2.2.15細胞、及びエンドポイントとして細胞外HBV DNAの定量化を使用する。細胞生存率は、PromegaからのCellTiter-Glo(登録商標)試薬を使用して、細胞内ATP含量を測定することによって、並行して評価される。
【0195】
0日目に、HepG2.2.15細胞を、96ウェルプレートに、6.0x104細胞/ウェルの密度(0.1mL/ウェル)で播種した。細胞を37℃及び5%CO2でインキュベートした。
【0196】
1日目に、試験品を希釈し、細胞培養ウェル(2つ組で、8つの濃度、4倍希釈)に添加した。GLS4、テノホビル、及びソラフェニブを参照化合物として使用した。化合物を含有する100μlの培養培地をプレートに添加し、ウェルあたりの最終全容積を200μlとした。培養培地中のDMSOの最終濃度は0.5%であった。化合物処理のプレートマップを以下に示す。細胞を37℃及び5%CO2で3日間培養した。
化合物処理のプレートマップ
【表3】
【0197】
4日目に、化合物を含む培養培地でプレートをリフレッシュした。
【0198】
7日目に、CellTiter-Glo(登録商標)を使用して細胞生存率を評価し、細胞培養の上清を、qPCRによるHBV DNAの決定のために回収した。
qPCRによるHBV DNAの定量化
【0199】
細胞外DNAを、製造業者のマニュアルによりQIAamp 96 DNA Blood Kitを用いて単離した。次いで、ABI-7900HTで、RocheからのFastStart Universal MasterMixを使用して、表2に指定されるHBV特異的プライマー及びプローブを用いて、qPCRによりHBV DNAを定量化した。PCRサイクルプログラムは、95℃で10分間、続いて95℃で15秒間及び60℃で1分間の40サイクルからなった。
【表4】
【0200】
DNA標準を、10~1×107コピー/μLの範囲の濃度でpAAV2HBV1.3プラスミドを希釈することにより調製し、Ct値対HBVプラスミドDNA標準の濃度をプロットすることによって標準曲線を生成するために使用した。各試料中のHBV DNAの量を、標準曲線から内挿することによって決定した。
細胞生存率
【0201】
上清を採取した後、細胞生存率を製造業者のマニュアルに従ってCellTiter-Glo(登録商標)により検出した。簡潔に述べると、50μLの新しい細胞培養培地を培養プレートに添加し、続いて各ウェルに50μLのCellTiter-Gloを添加した。プレートを室温で10分間インキュベートした。発光シグナルを、BioTek Synergy 2プレートリーダー上に収集した。
【0202】
データ分析
細胞生存率を以下のように計算した:%細胞生存率=(試験試料の発光値-ブランクの平均発光値)/(0.5%DMSO対照の平均発光値-ブランクの平均発光)×100%。HBV DNA阻害を以下のように計算した:100-(試験試料のHBV DNAコピー数-ETVのHBV DNAコピー数)/0.5%DMSO対照のHBV DNAコピー数-ETVのHBV DNAコピー数)×100%。CC50、EC50、及びEC90値は、「log(アゴニスト)対応答-可変勾配」を使用して、GraphPad Prismにより適合された用量応答曲線によって決定された。
【0203】
式(I)及び式(II)の化合物は、表3に示すようにHBVに対して活性であり、ここで、「A」は、EC50<1μMを示し、「B」は、≧1μM及び<10μMのEC50を示し、「C」は、EC50≧10μM及び<50μMを示す。
【表5】

*ジアステレオマーの少なくとも2が示された活性を有することを示す
実施例B
HepG2.117細胞を使用したHBV-DNA抗ウイルスアッセイ
【0204】
以下のアッセイ手順は、Tet-offプロモーターの制御下で安定して組み込まれた遺伝子型D HBVゲノムを保有するHepG2.117細胞、及びエンドポイントとして細胞内HBV DNA定量化を使用する、HBV抗ウイルスアッセイを説明する。細胞生存率はATPlite(Perkin Elmer)を使用して、細胞内ATP含量を測定することによって、並行して評価される。
【0205】
0日目に、HepG2.117細胞(1μg/mLの最終濃度で培地中に存在するドキシサイクリンを用いた通常の細胞培養に維持される)を、pgRNAの転写及び後のHBV粒子の形成を誘導するために、ドキシサイクリンなしの培地において、2.0×104細胞/ウェルの密度(0.1mL/ウェル)で96ウェルプレート(透明な底の白)に播種した。細胞を37℃及び5%CO2でインキュベートした。
【0206】
1日目に培地を各ウェルから除去し、試験品を、ドキシサイクリンなしの培養培地に希釈し、100μLを細胞培養ウェル(9つの濃度、4倍希釈)に添加した。各プレートについて、6つの未処理(単にDMSO)ウェルが含まれた。培養培地中のDMSOの最終濃度は2%.であった。各プレートを2つ組で調製した(HBV DNA抽出用に1つ、ATPlite測定用に1つ)。細胞を37℃及び5%CO2で3日間インキュベートした。
【0207】
4日目に、ATPliteを使用して細胞生存率を評価し、細胞溶解物を、HBV DNA抽出及び後のqPCRによる定量化のために調製した。
qPCRによるHBV DNAの定量化
【0208】
各ウェルから培地を除去し、H2O中の100μLの0.33%NP-40を各ウェルに添加した。プレートを密封し、4℃で5分間インキュベートし、激しくボルテックスし、短時間遠心分離した。次に、各ウェルのPCRプレート中の65μLのQuickExtract DNA抽出溶液(Epicentre)に35μLの溶解物を添加した。PCRプレートを65℃で6分間、98℃で2分間インキュベートし、最後に4℃に冷却した。次いで、CFX96装置(Bio-Rad)で、Bio-Rad S SO Advanced Universal Probes Supermixを使用して、表4に指定されるHBV特異的プライマー及びプローブを用いてqPCRによりHBV DNAを定量化した。PCRサイクルプログラムは、95℃で3分間、続いて95℃で10秒間及び60℃で30秒間の40サイクルからなった。
【表6】
【0209】
DNA標準を、10^2~10^8コピー/入力(すなわち4μLあたり)の範囲の濃度でアンプリコンに対応するIDT gBlockを希釈することにより調製し、Cq値対HBV DNA標準濃度をプロットすることにより標準曲線を生成するために使用した。各試料中のHBV DNAの量を、標準曲線から内挿することによって決定した。
細胞生存率
【0210】
他のプレートを使用して、製造業者のマニュアルに従ってATPliteにより細胞生存率を定量化した。簡潔に述べると、50μLの細胞溶解溶液を培養プレートに添加し、5分間振盪させ、続いて各ウェルに50μLの基質を添加し、更に振盪させた。プレートを室温で10分間インキュベートし、続いて発光シグナルをVarioSkan Lux(ThermoFisher)プレートリーダーで測定した。
データ分析
【0211】
細胞生存率を以下のように計算した:%細胞生存率=(試験試料の発光値)/(2%DMSO対照の平均発光値)×100%。HBV DNA阻害を以下のように計算した:100-(試験試料のHBV DNAコピー数)/(2%DMSO対照の平均HBV DNAコピー数)×100%。このアッセイの優れた動的ウィンドウにより、エンテカビルに対する正規化は必要ではなかった。CC50、EC50、及びEC90値は、「log(アゴニスト)対応答-可変勾配」を使用して、GraphPad Prismにより適合された用量応答曲線によって決定された。
【0212】
式(I)及び(II)の化合物は、表5に示すようにHBVに対して活性であり、ここで、「A」は、EC50<1nMを示し、「B」は、≧1nM及び<10nMのEC50を示し、「C」は、EC50≧10nM及び<100nMを示し、「D」は、EC50≧100nM及び<1000nMを示す。
【表7】
【0213】
上文は、明確さと理解のために、図及び実施例としてある程度詳細に記述されているが、本開示の趣旨を逸脱することなく数多くの様々な修正がなされ得ることが、当業者によって理解されるであろう。したがって、本明細書に開示される形態は例示にすぎず、本開示の範囲を限定することは意図されていないが、それどころか本発明の真の範囲及び趣旨に沿った全ての修正及び代替案を包含することも明確に理解するべきである。
【国際調査報告】