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  • 特表-エモキシピンの多価誘導体 図1A
  • 特表-エモキシピンの多価誘導体 図1B
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  • 特表-エモキシピンの多価誘導体 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】エモキシピンの多価誘導体
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/44 20060101AFI20220316BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20220316BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220316BHJP
   C07K 14/47 20060101ALN20220316BHJP
【FI】
A61K31/44
A61P25/16
A61P25/28
C07K14/47 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021569254
(86)(22)【出願日】2020-02-07
(85)【翻訳文提出日】2021-08-31
(86)【国際出願番号】 US2020017192
(87)【国際公開番号】W WO2020163704
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】62/802,323
(32)【優先日】2019-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521353562
【氏名又は名称】アルサテック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ニコラウ,クロード
(72)【発明者】
【氏名】レーン,ジーン-マリー
(72)【発明者】
【氏名】スィナード,レナルド
(72)【発明者】
【氏名】アトイニ,ヨーゼフ
【テーマコード(参考)】
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA15
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045CA45
4H045EA50
(57)【要約】
とりわけ、パーキンソン病の、治療または防止における多価エモキシピン誘導体または関連化合物の使用が記載される。本発明は、1つの態様では、エモキシピンの多価誘導体(例えば、ポリイミノまたはポリアミドエモキシピン誘導体)の有効量をその必要のある被検体に投与することを含む、シヌクレイン病を治療または防止するための化合物および方法を提供し、方法は、α-シヌクレインの脱凝集を含む。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エモキシピンの多価誘導体の有効量を投与することを含む、シヌクレイン病を治療するまたは防止するための方法。
【請求項2】
エモキシピンの前記多価誘導体は、式Iの化合物であり:
【化1】

式中:
Xは、-NH-C(=O)-または-CH(=N)-であり;
各R、R、またはRは独立して、ハロ、ニトロ、OH、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロ(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C2-C8)ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
各tは独立して、0、1、2、3、4、または5であり;
各kは独立して、0、1、2、3、4、5、または6である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
エモキシピンの前記多価誘導体は、下記構造を有する、請求項1または2に記載の方法:
【化2】

【請求項4】
エモキシピンの前記多価誘導体は、式IIの化合物であり:
【化3】
式中:
Xは、-NH-C(=O)-または-CH(=N)-であり;
各R、R、R、またはRは独立して、ハロ、ニトロ、OH、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロ(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C2-C8)ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15であり;
各tは独立して、0、1、2、3、4、または5であり;
各kは独立して、0、1、2、3、4、5、または6である、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
エモキシピンの前記多価誘導体は、下記構造を有する、請求項4に記載の方法:
【化4】
【請求項6】
エモキシピンの前記多価誘導体は、下記構造を有する、請求項4に記載の方法:
【化5】
【請求項7】
前記シヌクレイン病は、レビー小体により特徴付けられる病状である、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記シヌクレイン病は、パーキンソン病、レビー小体型認知症、および多系統萎縮症から選択される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記パーキンソン病は、特発性パーキンソン病、脳血管性パーキンソニズム、薬剤性パーキンソニズム、レビー小体型認知症、遺伝性パーキンソン病、若年性パーキンソン病から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記α-シヌクレインの脱凝集は、無処置被検体と比べα-シヌクレイン凝集において約20%、または約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約90%、または約95%、または約100%の低減を含む、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、βアミロイドの凝集体を実質的に溶解しない、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
シヌクレイン病の治療における式Iの化合物の使用であって、
【化6】

式中:
Xは、-NH-C(=O)-または-CH(=N)-であり;
各R、R、またはRは独立して、ハロ、ニトロ、OH、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロ(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C2-C8)ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
各tは独立して、0、1、2、3、4、または5であり;
各kは独立して、0、1、2、3、4、5、または6であり;
α-シヌクレインの脱凝集を含む、
使用。
【請求項13】
前記式Iの化合物は、下記構造を有する、請求項12に記載の使用:
【化7】

【請求項14】
ヌクレイン病の治療における式IIの化合物の使用であって、
【化8】
式中:
Xは、-NH-C(=O)-または-CH(=N)-であり;
各R、R、R、またはRは独立して、ハロ、ニトロ、OH、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロ(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C2-C8)ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15であり;
各tは独立して、0、1、2、3、4、または5であり;
各kは独立して、0、1、2、3、4、5、または6であり;
α-シヌクレインの脱凝集を含む、
使用。
【請求項15】
前記式IIの化合物は、下記構造を有する、請求項14に記載の使用:
【化9】
【請求項16】
前記式IIの化合物は、下記構造を有する、請求項14に記載の使用:
【化10】
【請求項17】
式Iのエモキシピンの多価誘導体の有効量を投与することを含む、パーキンソン病の治療のための方法であって:
【化11】
式中:
Xは、-NH-C(=O)-または-CH(=N)-であり;
各R、R、またはRは独立して、ハロ、ニトロ、OH、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロ(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C2-C8)ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
各tは独立して、0、1、2、3、4、または5であり;
各kは独立して、0、1、2、3、4、5、または6である、
方法。
【請求項18】
前記式Iのエモキシピンの多価誘導体は、下記構造を有する、請求項17に記載の方法:
【化12】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年2月7日に出願された米国仮特許出願第62/802,323号(その全内容は本明細書に参照により組み込まれる)の恩典を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、一部には、シヌクレイン病の治療に関する。
【0003】
電子的に提出されたテキストファイルの説明
本出願は配列表を含む。それは、「ALS-008PC_ST25」と題するASCIIテキストファイルとして、EFS-Webを介して電子的に提出されている。配列表は1,438バイトのサイズであり、2020年2月7日頃に記録された。配列表はこれによりその全体が参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0004】
パーキンソニズムまたはパーキンソン症候群は、その人の生活の質を著しく損なう可能性のある進行性の神経変性障害の一群である。これらの疾患の顕著な特徴は、安静時振戦、硬直、動作緩慢および姿勢不安定である。パーキンソン病は、80歳を超える人口の4%を苦しめている。
【0005】
パーキンソン病の病態生理は、一部には、脳内のレビー小体と呼ばれる封入体中へのαシヌクレインタンパク質の異常な蓄積により特徴付けられるシヌクレイン病により特徴付けられる。脳全体にわたるレビー小体の分布は、個人により異なるが、しばしば、臨床症状の発現および程度と直接関連する。
【0006】
生物学的試験は使用できないので、パーキンソン病の診断は主に、臨床症状の観察に基づく。確定診断は、死後確認を必要とする。とりわけ初期段階に、最も広く使用される治療は、ドパミン前駆体、レボドパ(L-DOPA)である。しかしながら、薬物のほとんどが、血液脳関門(BBB)に到達する前に代謝され、胃腸影響(例えば、食欲不振、悪心または嘔吐)、ジスキネジアおよび精神症状を含む、様々な副作用を引き起こす。
【0007】
パーキンソン病は、不治の病のままであり、有効な疾患修飾治療がまだ発見されていない。よって、パーキンソン病などの疾患のためのより有効な療法が、必要なままである。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、1つの態様では、有効量の、エモキシピンの多価誘導体(例えば、ポリイミノまたはポリアミドエモキシピン誘導体)をその必要のある被検体に投与することを含む、シヌクレイン病を治療または防止するための化合物および方法を提供し、方法は、α-シヌクレインの脱凝集を含む。様々な実施形態では、シヌクレイン病は、レビー小体により特徴付けられる病状、例えば、パーキンソン病、レビー小体型認知症、および多系統萎縮症である。
【0009】
様々な実施形態では、化合物は、ポリイミノまたはポリアミドエモキシピン誘導体、例えば、トリまたはテトライミノエモキシピンである。
【0010】
いくつかの実施形態では、ポリイミノまたはポリアミドエモキシピン誘導体は、式Iの化合物であり:
【化1】

式中:
Xは、-NH-C(=O)-または-CH(=N)-であり;
各R、R、またはRは独立して、ハロ、ニトロ、OH、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロ(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C2-C8)ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
各tは独立して、0、1、2、3、4、または5であり;
各kは独立して、0、1、2、3、4、5、または6である。
【0011】
様々な実施形態では、化合物は、トリイミノ-エモキシピン(「MHP-トレン(tren)トリイミン」としても知られている)である。
【0012】
さらなる実施形態では、化合物は、下記である:
【化2】
【0013】
様々な実施形態では、化合物は、テトライミノ-エモキシピンである。
【0014】
いくつかの実施形態では、ポリイミノまたはポリアミドエモキシピン誘導体は、式IIの化合物であり:
【化3】

式中:
Xは、-NH-C(=O)-または-CH(=N)-であり;
各R、R、R、またはRは独立して、ハロ、ニトロ、OH、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロ(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C2-C8)ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15であり;
各tは独立して、0、1、2、3、4、または5であり;
各kは独立して、0、1、2、3、4、5、または6である。
【0015】
さらなる実施形態では、化合物は、下記である:
【化4】
【0016】
様々な実施形態では、化合物は、ポリアミドエモキシピン誘導体である。
【0017】
さらなる実施形態では、化合物は、下記である:
【化5】
【0018】
様々な実施形態では、方法は、特発性パーキンソン病、脳血管性パーキンソニズム、薬剤性パーキンソニズム、レビー小体型認知症、遺伝性パーキンソン病、若年性パーキンソン病から選択される、パーキンソン病を治療または防止する。
【0019】
様々な実施形態では、方法は、無処置被検体と比べ、α-シヌクレイン凝集において、約20%、または約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約80%、または約85%、または約90%、または約95%、または約100%の低減を提供する。様々な実施形態では、方法は、無処置被検体と比べ、α-シヌクレイン凝集において、少なくとも約20%、または約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約75%、または約80%、または約85%、または約90%、または約95%、または約100%の低減を提供する。
【0020】
様々な実施形態では、提供される方法は、βアミロイドの凝集体を実質的に溶解しない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】1分~3日(72時間)のMHP-トレントリイミンありおよびなしでの(r70、それぞれ、明るい青色トレースおよび黄色トレース)、α-シヌクレインアミロイド線維の存在下における、482nm(λexc=450nm)でのThTの発光強度を示し、ここでヒストグラムの各組における左から右の棒は、それぞれ、下記を表す:対照ThT;MHPトレン-トリイミン;凝集体+ThT+MHPトレン-トリイミン;対照ThT+MHPトレン-トリイミン;および凝集体+ThT。
図1B】1分~3日(72時間)の、r70を有するMHP-トレントリイミン(トリイミノ-エモキシピンとしても知られている)の添加後に残されたα-シヌクレインアミロイド線維のパーセンテージを示し、ここでグラフ上の最も左の棒は、MHP-トレントリイミンなしの試料を表し、すなわち、凝集体の100%が残った。
図2】1分~3日(72時間)のエモキシピンr200、エモキシピンr100、MHP-トレントリイミン(トリイミノ-エモキシピンとしても知られている)r70(それぞれ、明るい青色トレースおよび黄色トレース)を使用した、α-シヌクレインアミロイド線維の存在下における、482nm(λexc=450nm)でのThTの発光強度を示し、ここでヒストグラムの各組における左から右の棒は、それぞれ、下記を表す:α-シヌクレイン+エモキシピンr200;α-シヌクレイン+エモキシピンr100;およびα-シヌクレイン+MHPトレン-トリイミンr70。「SOMの添加前」と題するグラフの最も左の棒は、エモキシピンまたはMHPトレン-トリイミンなしの試料を表し、すなわちα-シヌクレイン凝集体の100%が残った。
図3A】MHP-トレントリイミンなし(図2A、左)およびあり(図2B、右)の、α-シヌクレイン線維のSEM画像を示す。
図3B】MHP-トレントリイミンなし(図2A、左)およびあり(図2B、右)の、α-シヌクレイン線維のSEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、一部には、とりわけ、βアミロイドの凝集体(すなわち、β-シヌクレイン)ではなくαシヌクレインの凝集体(すなわち、α-シヌクレイン)の溶解における、エモキシピンの多価誘導体(例えば、限定はされないが、トリイミノ-エモキシピン(「MHP-トレントリイミン」としても知られている)、テトライミノ-エモキシピン、およびポリアミドエモキシピン誘導体)の新規活性の驚くべき発見に基づく。
【0023】
いくつかの態様では、本発明は、有効量の、エモキシピンのポリイミノまたはポリアミド誘導体、例えば、限定はされないが、式Iまたは式IIの化合物を投与することを含む、シヌクレイン病を治療または防止するための方法を提供し:
【化6】
式中:
Xは、-NH-C(=O)-または-CH(=N)-であり;
各R、R、またはRは独立して、ハロ、ニトロ、OH、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロ(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C2-C8)ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
各tは独立して、0、1、2、3、4、または5であり;
各kは独立して、0、1、2、3、4、5、または6であり、あるいは
【化7】
式中:
Xは、-NH-C(=O)-または-CH(=N)-であり;
各R、R、R、またはRは独立して、ハロ、ニトロ、OH、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロ(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C2-C8)ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15であり;
各tは独立して、0、1、2、3、4、または5であり;
各kは独立して、0、1、2、3、4、5、または6であり、ならびに
方法は、α-シヌクレインの脱凝集を含む。
【0024】
いくつかの態様では、本発明は、有効量の、エモキシピンの多価誘導体、例えば、限定はされないが、トリイミノ-エモキシピン(「MHP-トレントリイミン」としても知られている)、テトライミノ-エモキシピン、およびポリアミドエモキシピン誘導体を、その必要のある被検体に投与することを含む、シヌクレイン病を治療または防止するための方法を提供し、方法は、α-シヌクレインの脱凝集を含む。様々な実施形態では、シヌクレイン病は、レビー小体により特徴付けられる病状、例えば、パーキンソン病、レビー小体型認知症、および多系統萎縮症である。
【0025】
様々な実施形態では、方法は、無処置被検体と比べ、α-シヌクレイン凝集において、約20%、または約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約75%、または約80%、または約85%、または約90%、または約95%、または約100%低減を提供する。様々な実施形態では、方法は、無処置被検体と比べ、α-シヌクレイン凝集において少なくとも約20%、または約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約75%、または約80%、または約85%、または約90%、または約95%、または約100%の低減を提供する。
【0026】
様々な実施形態では、方法は、βアミロイドの凝集体を実質的に溶解しない。
【0027】
神経変性障害、例えば、パーキンソン、ハンチントンおよびアルツハイマー病、前頭側頭葉変性症(FTLD)および筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、中枢神経系における神経およびグリア細胞の内側および外側の両側でのミスフォールドタンパク質の蓄積と関連する。これらのミスフォールドタンパク質凝集体は、これらの疾患の病理学的特徴である。これらの凝集体の主要成分は、各神経変性疾患の特徴であり、例えば、パーキンソンではαシヌクレインである。
【0028】
したがって、様々な実施形態では、本方法は、αシヌクレインの凝集体の溶解を促進する、または、例えば、脳でのαシヌクレインの凝集体の蓄積を防止することにより、シヌクレイン病、例えば、パーキンソン病を治療または防止する。
【0029】
レビー小体は、αシヌクレインから主に構成される、パーキンソン病の顕著な特徴である。αシヌクレインは、パーキンソン病のまれな家族性症例、および、より一般的な孤発例の発症において役割を果たす。家族性パーキンソン病においては、αシヌクレイン遺伝子の発現レベルが増加し、または、脳細胞にとって毒性でありニューロン機能障害をもたらす、タンパク質の異常な型が見出される。αシヌクレインは、レビー小体の主な構成成分であり、タンパク質凝集が孤発性パーキンソン病において役割を果たすことを示唆する。
【0030】
αシヌクレインはヒト脳において、シナプス前終末と呼ばれる特殊構造のニューロン先端部で豊富である。シナプス前終末は、シナプス小胞から化学伝達物質、神経伝達物質を放出する。神経伝達物質の放出は、ニューロン間のシグナルを中継し、正常な脳機能に不可欠である。そのため、αシヌクレインは、その異常な可溶性オリゴマー立体構造、すなわち前原線維が、シナプス機能を含む様々な細胞内標的への効果により、細胞ホメオスタシスおよび神経細胞死の破壊を媒介する毒性種であると考えられる、シナプス前神経タンパク質である。さらに、分泌されたαシヌクレインは、凝集の播種を含む、近隣細胞への有害効果を与える可能性があり、よって、おそらく疾患進行に寄与するであろう。様々な実施形態では、本方法は、被検体において凝集の播種を防止または低減する。
【0031】
ヒトαシヌクレインタンパク質は、140個のアミノ酸から構成され、SNCA遺伝子によりコードされる。いくつかの実施形態では、ヒトαシヌクレインのアミノ酸配列は、SEQ ID NO:1により示される:
SNCAMDVFMKGLSKAKEGVVAAAEKTKQGVAEAAGKTKEGVLYVGSKTKEGVVHGVATVAEKTKEQVTNVGGAVVTGVTAVAQKTVEGAGSIAAATGFVKKDQLGKEGYQDYEPEA。
【0032】
様々な実施形態では、本方法は、例えば、脳でのレビー小体の形成を防止または低減する。
【0033】
本方法により治療または防止されるパーキンソニズム状態の例としては、パーキンソン病、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症、皮質-基底核変性症、びまん性レビー小体病、パーキンソン-認知症、X連鎖ジストニア-パーキンソニズム、および続発性パーキンソニズム(環境原因、例えば、毒素、薬物、脳炎後、脳腫瘍、頭部外傷、正常圧水頭症に起因)が挙げられる。
【0034】
様々な実施形態では、本方法は、黒質内のドパミン作動性ニューロンの変性を防止または低減する。様々な実施形態では、本方法は、振戦、運動低下(例えば、動作緩慢、無動、硬直)、姿勢不安定、歩行異常および嚥下障害を防止または低減する。非運動性症状としては、自律神経および精神神経障害、例えば、嗅覚脱失、または睡眠異常が挙げられる。
【0035】
本明細書では、「治療」は、パーキンソニズム、例えば、パーキンソン病により誘発される、またはその原因の症状の療法、防止、予防、遅延または低減を含む。治療という用語はまた、振戦の遅延または発症の遅れ、疼痛の低減、動作緩慢、無動、硬直、姿勢不安定、歩行異常、嗅覚脱失、および/または睡眠異常の減少または低減、および/または生存時間の増加を指定する。治療という用語は特に、疾患進行ならびに関連する運動性および非運動性症状の制御を含む。治療という用語は、様々な実施形態では特に、αシヌクレインにより引き起こされる毒性に対する保護、またはこの毒性の低減もしくは遅延を含む。
【0036】
別記されない限り、本明細書で描かれる化学構造は、1つ以上の同位体が濃縮された原子の存在という点のみが異なる化合物を含むことが意図される。例えば、1つ以上の水素原子が重水素またはトリチウムにより置き換えられた、または、1つ以上の炭素原子が13C-または14C-濃縮炭素により置き換えられた化合物は、この発明の範囲内にある。
【0037】
「アルキル」は、炭素および水素原子のみから構成され、不飽和を含まず、1~10個の炭素原子を有する、直鎖もしくは分枝炭化水素鎖ラジカルを指す(例えば、(C1-10)アルキルまたはC1-10アルキル)。本明細書で現れる時にはいつでも、「1~10」などの数値範囲は、与えられた範囲の各整数を指し-例えば、「1~10個の炭素原子」は、アルキル基は、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、など、最大で10個を含む炭素原子から構成され得ることを意味するが、定義はまた、数値範囲が特定的に指定されていない「アルキル」という用語の出現も包含することが意図される。典型的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチルイソブチル、第三ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、セプチル、オクチル、ノニルおよびデシルが挙げられるが、決してこれらに限定されない。アルキル部分は、分子の残りに単結合により結合され得、例えば、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(Pr)、1-メチルエチル(イソ-プロピル)、n-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルエチル(t-ブチル)および3-メチルヘキシルなどである。明細書において特定的に別記されない限り、アルキル基は任意で、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、-C(O)Ra、C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(式中、tは1または2である)、-S(O)tORa(式中、tは1または2である)、S(O)tN(Ra)2(式中、tは1または2である)、またはPO3(Ra)2である、1つ以上の置換基により置換され、ここで各Raは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである。
【0038】
「アルコキシ」または「アルコキシル」という用語は、親構造に結合された直鎖、分枝、環状立体配置およびそれらの組み合わせの1~8個の炭素原子を含む、-O-アルキルまたは-アルキレン-O-アルキル基を指す。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシ、および-CH2CH2-O-CH3が挙げられるが、それらに限定されない。「低級アルコキシ」は、1~6個の炭素を含むアルコキシ基を指す。
【0039】
「アリール」または「Ar」という用語は、炭素環である共役パイ電子系を有する少なくとも1つの環を有する、6~10個の環原子を有する芳香族ラジカル(例えば、C-C10芳香族またはC-C10アリール)を指す(例えば、フェニル、フルオレニル、およびナフチル)。置換ベンゼン誘導体から形成され、環原子で自由原子価を有する二価ラジカルは、置換フェニレンラジカルとして命名される。自由原子価を有する炭素原子からの1つの水素原子の除去により、その名称が「-イル」で終わる一価多環式炭化水素ラジカルから誘導される二価ラジカルは、対応する一価ラジカルの名称に「-イデン」を付加することにより命名され、例えば、2つの結合点を有するナフチル基は、ナフチリデンと呼ばれる。本明細書で現れる時にはいつでも、「6~10」などの数値範囲は、与えられた範囲内の各整数を指し;例えば、「6~10個の環原子」は、アリール基が、6個の環原子、7個の環原子、など、最大で10個を含む環原子から構成され得ることを意味する。この用語は、単環式または縮合環多環式(すなわち、隣接する環原子対を共有する環)基を含む。明細書において特定的に別記されない限り、アリール部分は、任意で、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、トリメチルシラニル、-OR、-SR、-OC(O)-R、-N(R、-C(O)R、-C(O)OR、-OC(O)N(R、-C(O)N(R、-N(R)C(O)OR、-N(R)C(O)R、-N(R)C(O)N(R、N(R)C(NR)N(R、-N(R)S(O)(式中、tは1または2である)、-S(O)OR(式中、tは1または2である)、-S(O)N(R(式中、tは1または2である)、またはPO(Rである、1つ以上の置換基により置換され、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである。
【0040】
「ヘテロアルキル」は、任意で置換されたアルキルラジカルを含み、それらは、炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素、硫黄、リンまたはそれらの組み合わせから選択される1つ以上の骨格鎖原子を有する。数値範囲を与えることができ-例えば、C1-C4ヘテロアルキルは総鎖長を指し、この例では、4原子長である。ヘテロアルキル基は、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、C(O)Ra、C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(式中、tは1または2である)、-S(O)tORa(式中、tは1または2である)、S(O)tN(Ra)2(式中、tは1または2である)、またはPO3(Ra)2である、1つ以上の置換基で置換されてよく、ここで各Raは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである。
【0041】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、2~約12個の炭素原子の線形または分枝ラジカルを包含する。より好ましいアルケニルラジカルは、2~約6個の炭素原子を有する「低級アルケニル」ラジカルである。最も好ましい低級アルケニルラジカルは、2~約4個の炭素原子を有するラジカルである。アルケニルラジカルの例としては、エテニル、プロペニル、アリル、プロペニル、ブテニルおよび4-メチルブテニルが挙げられる。「アルケニル」および「低級アルケニル」という用語は、「cis」および「trans」配向、またはその代わりに、「E」および「Z」配向を有するラジカルを包含する。
【0042】
「シクロアルキル」という用語は、飽和炭素環基を含む。好ましいシクロアルキル基は、C3-C6環を含む。より好ましい化合物としては、シクロペンチル、シクロプロピル、およびシクロヘキシルが挙げられる。
【0043】
「ヘテロシクリル」(または「ヘテロシクロ」)という用語は、飽和、部分飽和および不飽和ヘテロ原子含有環ラジカルを包含し、ヘテロ原子は、窒素、硫黄および酸素から選択され得る。それは、-O-O-、-O-S-または-S-S-部分を含有する環を含まない。「ヘテロシクリル」基は、1~4個の置換基、例えば、ヒドロキシル、Boc、ハロ、ハロアルキル、シアノ、低級アルキル、低級アラルキル、オキソ、低級アルコキシ、アミノおよび低級アルキルアミノを有し得る。
【0044】
「ハロ」、「ハロゲン化物」、または、「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味することが意図される。
【0045】
「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族」または「HetAr」は、窒素、酸素および硫黄から選択される1つ以上の環ヘテロ原子を含む5~18員芳香族ラジカル(例えば、C5-C13ヘテロアリール)を指し、これは、単環式、二環式、三環式または四環式環系であってよい。本明細書で現れる時にはいつでも、「5~18」などの数値範囲は、与えられた範囲内の各整数を指し-例えば、「5~18個の環原子」は、ヘテロアリール基が、5個の環原子、6個の環原子、など、最大で18個を含む環原子から構成され得ることを意味する。自由原子価を有する原子からの1つの水素原子の除去により、その名称が「-イル」で終わる一価ヘテロアリールラジカルから誘導される二価ラジカルは、対応する一価ラジカルの名称に「-イデン」を付加することにより命名され-例えば、2つの結合点を有するピリジル基は、ピリジリデンである。N含有「ヘテロ芳香族」または「ヘテロアリール」部分は、環の骨格原子の少なくとも1つが窒素原子である芳香族基を指す。多環式ヘテロアリール基は、縮合されてよく、または、されていなくてもよい。ヘテロアリールラジカル中のヘテロ原子(複数可)は、任意で酸化される。1つ以上の窒素原子が存在する場合、それらは任意で四級化される。ヘテロアリールは、環(複数可)の任意の原子を介して分子の残りに結合され得る。ヘテロアリールの例としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズインドリル、1,3-ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾキサゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾチエノ[3,2-d]ピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シノリニル、シクロペンタ[d]ピリミジニル、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]シノリニル、6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-c]ピリダジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラザニル、フラノニル、フロ[3,2-c]ピリジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリダジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリジニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソキサゾリル、5,8-メタノ-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、ナフチリジニル、1,6-ナフチリジノニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、5,6,6a,7,8,9,10,10a-オクタヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジニル、ピリジニル、ピリド[3,2-d]ピリミジニル、ピリド[3,4-d]ピリミジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、5,6,7,8-テトラヒドロベンゾ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,5-c]ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアピラニル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、チエノ[2,3-d]ピリミジニル、チエノ[3,2-d]ピリミジニル、チエノ[2,3-c]ピリジニル、およびチオフェニル(すなわちチエニル)。明細書において特定的に別記されない限り、ヘテロアリール部分は任意で、独立してアルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、トリメチルシラニル、-ORa、-SRa、-OC(O)-Ra、-N(Ra)2、C(O)Ra、C(O)ORa、-OC(O)N(Ra)2、-C(O)N(Ra)2、-N(Ra)C(O)ORa、-N(Ra)C(O)Ra、N(Ra)C(O)N(Ra)2、N(Ra)C(NRa)N(Ra)2、-N(Ra)S(O)tRa(式中、tは1または2である)、-S(O)tORa(式中、tは1または2である)、S(O)tN(Ra)2(式中、tは1または2である)、またはPO3(Ra)2である、1つ以上の置換基により置換され、ここで各Raは独立して、水素、アルキル、フルオロアルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキルである。
【0046】
本明細書では、「置換された」は、言及された基は、個々に、かつ独立して、例えば、下記から選択される結合された1つ以上の追加の基、ラジカルまたは部分を有し得ることを意味する:アシル、アルキル、アルキルアリール、シクロアルキル、アラルキル、アリール、炭水化物、炭酸、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、エステル、チオカルボニル、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、オキソ、パーハロアルキル、パーフルオロアルキル、リン酸、シリル、スルフィニル、スルホニル、スルホンアミジル、スルホキシル、スルホン酸、尿素、およびアミノ(一および二置換されたアミノ基を含む)、およびそれらの保護誘導体。置換基自体が置換されてもよく、例えば、シクロアルキル置換基はそれ自体、その環炭素の1つ以上でハロゲン化物置換基を有し得る。「任意で置換された」という用語は、特定の基、ラジカルまたは部分による任意的な置換を意味する。
【0047】
本発明の方法および組成物を使用してパーキンソン病を治療する有効性は、様々な方法により評価できる。例えば、有効性は、振戦、動作緩慢、四肢の硬直および筋緊張、姿勢不安定を含む、疾患の運動症状のモニタリングと評価により評価できる。加えて、有効性は、例えば、発話、認知、気分、挙動、および思考を含む精神神経症状の改善についてのモニタリングにより評価できる。
【0048】
様々な実施形態では、本方法は、Movement Disorders Vol. 23, No. 15, 2008, pp. 2129-2170(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において記載される統一パーキンソン病評価尺度により測定される、疾患症状の改善を示す。
【0049】
様々な実施形態では、本方法は、MDS-UPDRS Movement Disorders. 22 (1): 41-47(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)により測定される、疾患症状の改善を示す。様々な実施形態では、本方法は、下記の尺度および下位尺度において改善を示す:(1)日常生活の非運動面経験、(2)日常生活の運動面経験、(3)運動検査、および(4)運動合併症(例えば、各下位尺度評価は正常に向かって低減される(例えば、4から0、または4から1、または4から2、または4から3、または3から0、または3から1、または3から2、または2から1、または2から0、または1から0、ここで、0=正常、1=ごく軽度、2=軽度、3=中程度、および4=重度)。
【0050】
様々な実施形態では、本方法は、エモキシピンの多価誘導体の使用に関する。様々な実施形態では、化合物は、ポリイミノまたはポリアミドエモキシピン誘導体である。様々な実施形態では、ポリイミノまたはポリアミドエモキシピン誘導体は、式Iまたは式IIの化合物であり:
【化8】
式中:
Xは、-NH-C(=O)-または-CH(=N)-であり;
各R、R、またはRは独立して、ハロ、ニトロ、OH、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロ(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C2-C8)ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
各tは独立して、0、1、2、3、4、または5であり;
各kは独立して、0、1、2、3、4、5、または6であり;
【化9】
式中:
Xは、-NH-C(=O)-または-CH(=N)-であり;
各R、R、R、またはRは独立して、ハロ、ニトロ、OH、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロ(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C2-C8)ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15であり;
各tは独立して、0、1、2、3、4、または5であり;
各kは独立して、0、1、2、3、4、5、または6である。
【0051】
さらなる実施形態では、化合物は、トリイミノ-エモキシピン(「MHP-トレントリイミン」としても知られている)、テトライミノ-エモキシピン、またはポリアミドエモキシピン誘導体である。
【0052】
いくつかの実施形態では、化合物は、下記である:
【化10】
【0053】
いくつかの実施形態では、化合物は、下記である:
【化11】
【0054】
いくつかの実施形態では、化合物は、下記である:
【化12】
【0055】
様々な実施形態では、本方法は、本治療または防止のためのエモキシピンの多価誘導体(例えば、ポリイミノまたはポリアミドエモキシピン誘導体)または関連化合物の使用に関する。いくつかの実施形態では、本方法は、式Iまたは式IIの化合物の使用に関し:
【化13】
式中:
Xは、-NH-C(=O)-または-CH(=N)-であり;
各R、R、またはRは独立して、ハロ、ニトロ、OH、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロ(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C2-C8)ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
各tは独立して、0、1、2、3、4、または5であり;
各kは独立して、0、1、2、3、4、5、または6であり、
【化14】
式中:
Xは、-NH-C(=O)-または-CH(=N)-であり;
各R、R、R、またはRは独立して、ハロ、ニトロ、OH、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロ(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C2-C8)ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15であり;
各tは独立して、0、1、2、3、4、または5であり;
各kは独立して、0、1、2、3、4、5、または6である。
【0056】
いくつかの実施形態では、本方法は、本治療または防止のためのトリイミノ-エモキシピン、テトライミノ-エモキシピン、またはポリアミドエモキシピンまたは関連化合物の使用に関する。
【0057】
様々な実施形態では、本方法は、本治療または防止のための、下記の使用に関する:
【化15】
【0058】
様々な実施形態では、本方法は、本治療または防止のための、下記の使用に関する:
【化16】
【0059】
様々な実施形態では、本方法は、本治療または防止のための、下記の使用に関する:
【化17】
【0060】
いくつかの実施形態では、本発明は、シヌクレイン病の治療のための薬剤の調製のための、式Iまたは式IIの化合物の使用を企図し、
【化18】

式中:
Xは、-NH-C(=O)-または-CH(=N)-であり;
各R、R、またはRは独立して、ハロ、ニトロ、OH、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロ(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C2-C8)ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
各tは独立して、0、1、2、3、4、または5であり;
各kは独立して、0、1、2、3、4、5、または6であり、または
【化19】
式中:
Xは、-NH-C(=O)-または-CH(=N)-であり;
各R、R、R、またはRは独立して、ハロ、ニトロ、OH、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロ(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C2-C8)ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15であり;
各tは独立して、0、1、2、3、4、または5であり;
各kは独立して、0、1、2、3、4、5、または6でり、
ここで治療は、α-シヌクレインの脱凝集を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、本発明は、シヌクレイン病の治療のための薬剤の調製のための、下記構造を有する化合物の使用を企図し:
【化20】

ここで治療は、α-シヌクレインの脱凝集を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、本発明は、シヌクレイン病の治療のための薬剤の調製のための下記構造を有する化合物の使用を企図し:
【化21】

ここで治療は、α-シヌクレインの脱凝集を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、本発明は、シヌクレイン病の治療のための薬剤の調製のための下記構造を有する化合物の使用を企図し:
【化22】

ここで治療は、α-シヌクレインの脱凝集を含む。
【0064】
様々な実施形態では、本発明は、有効量の式Iの化合物を、その必要のある被検体に投与することを含む、シヌクレイン病を治療または防止するための方法を企図し:
【化23】
式中:
Xは、-NH-C(=O)-または-CH(=N)-であり;
各R、R、またはRは独立して、ハロ、ニトロ、OH、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロ(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C2-C8)ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
各tは独立して、0、1、2、3、4、または5であり;
各kは独立して、0、1、2、3、4、5、または6である。
【0065】
いくつかの実施形態では、本発明は、有効量の化合物を、その必要のある被検体に投与することを含む、シヌクレイン病を治療または防止するための方法を企図し、化合物は下記である:
【化24】
【0066】
様々な実施形態では、本発明は、有効量の式IIの化合物を、その必要のある被検体に投与することを含む、シヌクレイン病を治療または防止するための方法を企図し:
【化25】

式中:
Xは、-NH-C(=O)-または-CH(=N)-であり;
各R、R、R、またはRは独立して、ハロ、ニトロ、OH、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシ、ハロ(C1-C6)アルキル、(C2-C6)アルケニル、(C3-C8)シクロアルキル、(C2-C8)ヘテロシクロ、アリール、またはヘテロアリールであり;
nは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15であり;
各tは独立して、0、1、2、3、4、または5であり;
各kは独立して、0、1、2、3、4、5、または6である。
【0067】
いくつかの実施形態では、本発明は、有効量の化合物をその必要のある被検体に投与することを含む、シヌクレイン病を治療または防止するための方法を企図し、化合物は下記である:
【化26】
【0068】
いくつかの実施形態では、本発明は、有効量の化合物をその必要のある被検体に投与することを含む、シヌクレイン病を治療または防止するための方法を企図し、化合物は下記である:
【化27】
【0069】
様々な実施形態では、本方法は、本治療または防止のための、エモキシピンまたは関連化合物の使用に関する。
【0070】
様々な実施形態では、本方法は、本治療または防止のための3-ヒドロキシ-6-メチルピコリン酸メチル(MHPエステル)または関連化合物の使用に関する。
【0071】
様々な実施形態では、本明細書で記載される化合物の酸および塩が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される化合物は、アニオンである。対応物種は、対イオンであってよく、本明細書で記載される化合物の対イオンとの組み合わせは酸または塩である。本明細書で記載される化合物の対イオンとしては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:カチオン水素種、例えばプロトン;一価無機カチオン、例えばリチウム、ナトリウム、およびカリウム;二価無機カチオン、例えばマグネシウム、カルシウム、マンガン、亜鉛、銅および鉄;多価無機カチオン、例えば鉄;四級窒素種、例えばアンモニウム、シクロヘプチルアンモニウム、シクロオクチルアンモニウム、N,N-ジメチルシクロヘキシルアンモニウム、および他の有機アンモニウムカチオン;スルホニウム種、例えばトリエチルスルホニウムおよび他の有機スルホニウム化合物;有機カチオン、例えばピリジニウム、ピペリジニウム、ピペラジニウム、キヌクリジニウム、ピロリウム、トリピペラジニウム、および他の有機カチオン;ポリマーカチオン、例えばオリゴマー、ポリマー、ペプチド、タンパク質、正電荷を持つイオノマー、ならびにポリマーのペンダント基、鎖末端、および/またはバックボーンにスルホニウム、四級窒素および/または荷電有機金属種を有する他の高分子種。
【0072】
発明は、純粋にイオン性である対形成に制限されず;実際に、対形成イオンは、対の2つの成分間である程度の共有結合または配位結合の特性を示す可能性があることが当技術分野で知られている。発明の化合物は、単一型の対イオンを含んでよく、または、混合対イオンを含んでよく、任意でエモキシピンの多価誘導体の化合物がその1つであるアニオンの混合物を含み得る。組成物は任意で、クラウンエーテル、クリプタンド、および対イオンをキレート化する、または別様に錯化できる他の種を含み得る。発明の化合物は同様に任意で、酸性大環状分子または、水素結合または他の分子引力により発明の化合物を錯化できる他の種を含み得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載される化合物は、修飾された、すなわち、共有結合が化合物の活性を阻止しないように化合物への任意の型の分子の共有結合により、修飾された誘導体を含む。例えば、限定はされないが、誘導体は、とりわけ、グリコシル化、脂質化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への結合、などにより修飾された化合物を含む。多くの化学修飾のいずれもが、公知の技術、例えば、限定はされないが、特定の化学開裂、アセチル化、またはホルミル化により実施できる。加えて、誘導体は、1つ以上の非古典的アミノ酸を含んでよい。
【0074】
さらに他の実施形態では、本明細書で記載される化合物は、化学リンカーなどのエフェクター部分、例えば蛍光染料、酵素、基質、生物発光材料、放射性材料、および化学発光部分などの検出可能部分、または、例えばストレプトアビジン、アビジン、ビオチン、細胞毒、細胞傷害性薬物、およびターゲティング剤などの機能性部分を付加するように修飾され得る。
【0075】
さらに他の実施形態では、本発明は、本明細書で記載される化合物およびその薬学的に許容されるエステル、プロドラッグ、塩、溶媒和物、鏡像異性体、立体異性体、活性代謝物、共結晶、および他の生理的機能誘導体を提供する。
【0076】
一実施形態では、本明細書で記載される化合物は、薬学的に許容される塩、すなわち、ヒトおよび他の動物の組織と接触して使用するのに好適であり、過度の毒性、刺激作用、アレルギー応答などがなく、合理的な効果/リスク比に見合う、それらの塩の形態である。薬学的に許容される塩は、当技術分野でよく知られている。塩は、化合物の最終単離および精製中にその場で、あるいは遊離塩基官能基を好適な酸と、または遊離酸官能基を適切なアルカリ性部分と反応させることにより別個に調製できる。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩、などが挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、などが挙げられ、ならびに無毒性アンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンカチオンとしては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0077】
本明細書で記載される化合物、または本発明により使用されるそれらの薬学的に許容される塩は、化合物中の1つ以上の非対称またはキラル中心の存在により立体異性を示し得る。本発明は、様々な立体異性体およびそれらの混合物を企図する。所望の鏡像異性体は、市販のキラル開始材料からの、当技術分野でよく知られた方法によるキラル合成により得ることができ、または、鏡像異性体の混合物から、公知の技術を使用した分割により得られ得る。
【0078】
溶媒和物は本明細書では、そのような作用薬の生物学的有効性を保持する作用薬の薬学的に許容される溶媒和物形態を指す。溶媒和物の例としては、例えば、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、またはエタノールアミンと組み合わせられた本発明の化合物が挙げられる。
【0079】
プロドラッグは本明細書では、生理的条件下で、または、加溶媒分解により、または、代謝的に(例えば、インビボ)薬学的に活性な特定の作用薬に変換される作用薬を指す。
【0080】
活性代謝物は本明細書では、特定の作用薬の体内での代謝により生成される薬理学的に活性な生成物を指す。
【0081】
共結晶は本明細書では、それらの安定性が非共有結合性相互作用による、2つ以上の分子の物理的結合を指す。この分子複合体の1つ以上の成分は、結晶格子における安定なフレームワークを提供する。場合によっては、ゲスト分子が、結晶格子内に無水物または溶媒和物として組み入れられる。
【0082】
1つの態様では、本発明は、本明細書で記載される化合物、および薬学的に許容される担体または賦形剤を提供する。医薬組成物は、所望の使用および投与経路に適切な任意の好適な形態であってよい。医薬賦形剤は液体、例えば、水および油であってよく、石油、動物、植物、または合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱物油、ゴマ油などを含む。医薬賦形剤は、例えば、生理食塩水、アカシアゴム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイダルシリカ、尿素などであってよい。1つの実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、被検体に投与される時、無菌である。水は、本明細書で記載される任意の作用薬が静脈内投与される時に、有用な賦形剤である。生理食塩溶液ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液もまた、液体賦形剤として、特に注射溶液のために使用できる。好適な医薬賦形剤としてはまた、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。好適な医薬賦形剤の他の例は、参照により本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences 1447-1676 (Alfonso R. Gennaro eds.,第19版 1995)に記載される。
【0083】
加えて、本発明の医薬組成物は、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤、および分散剤などのアジュバントを含み得る。さらに、助剤、安定剤、増粘剤、潤滑剤、および着色剤を含めることができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌薬および抗真菌薬、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸、などを包含することにより確保され得る。医薬組成物はまた、等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム、などを含み得る。
【0084】
必要に応じ、医薬組成物はまた、可溶化剤を含んでよい。また、作用薬は、当技術分野で知られている好適なビヒクルまたは送達装置を用いて送達されてよい。投与のための組成物は任意で、注射部位での疼痛を軽減させるために、例えば、リドカインなどの局所麻酔薬を含んでよい。
【0085】
本発明の医薬組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、点滴剤、錠剤、丸薬、ペレット、カプセル、液体を含むカプセル、粉末、徐放性製剤、坐薬、エマルジョン、エアロゾル、噴霧剤、懸濁液の形態、または使用に好適な任意の他の形態をとることができる。1つの実施形態では、医薬組成物は、カプセルの形態である。別の実施形態では、医薬組成物は、錠剤の形態である。
【0086】
いくつかの実施形態では、上記化合物のいずれかの投与は、経口、静脈内、および非経口のいずれか一つである。様々な実施形態では、投与経路としては、例えば、下記が挙げられる:経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、舌下、鼻腔内、脳内、腟内、経皮、直腸、吸入、または、例えば、耳、鼻、目、もしくは皮膚への局所。いくつかの実施形態では、投与は経口的に、または、非経口注射により実施される。投与方法は、施術者の裁量に委ねることができ、一部には、医学的状態の部位に依存する。様々な実施形態では、投与は、本明細書で記載される任意の作用薬の血流中への放出をもたらす。
【0087】
本明細書で記載されるいずれの化合物および/または医薬組成物も、経口投与されてよい。そのような化合物および/または医薬組成物はまた、任意の他の好都合な経路により、例えば、静脈内注入またはボーラス注射により、上皮または皮膚粘膜内層(例えば、口腔粘膜、直腸および腸管粘膜、など)を介する吸収により投与ができ、追加の治療薬と一緒に投与できる。投与は、全身または局所であってよい。いくつかの実施形態では、投与は、例えば、感染部位での化合物の加水分解を回避するために感染部位で実施されない。様々な送達系、例えば、リポソーム、微小粒子、マイクロカプセル、カプセル、などにおける封入が知られており、かつ、使用できる。特定の実施形態では、治療の必要な領域へ局所投与することが望ましい可能性がある。
【0088】
様々な実施形態では、本発明の化合物は、WO2006/102748号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように製剤化される。
【0089】
1つの実施形態では、本明細書で記載される化合物および/または本明細書で記載される医薬組成物は、ルーチン手順にしたがい、ヒトへの経口投与に適合された組成物として、製剤化される。経口投与のための固体剤形としては、例えば、カプセル、錠剤、丸薬、粉末、および顆粒が挙げられる。そのような剤形では、活性化合物は、少なくとも1つの不活性な、薬学的に許容される賦形剤または担体、例えば、クエン酸ナトリウム、リン酸二カルシウム、など、および/またはa)フィラーまたは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、ケイ酸、微結晶セルロース、およびBakers Special Sugar、など、b)バインダ、例えば、例として、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、およびヒドロキシメチルセルロースなど、c)保水剤、例えば、グリセロール、など、d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある一定のケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリマー、例えば、クロスポビドン(架橋ポリビニルピロリドン)、クロスカルメロースナトリウム(架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、デンプングリコール酸ナトリウム、など、e)溶解遅延剤、例えば、パラフィン、など、f)吸収促進剤、例えば、四級アンモニウム化合物、など、g)湿潤剤、例えば、例として、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール、など、h)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイト粘土、など、ならびに、i)潤滑剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリルなど、ならびにそのような賦形剤の混合物と混合される。当業者であれば、特定の賦形剤は、経口剤形において2つ以上の機能を有し得ることを認識するであろう。経口剤形、例えば、カプセルまたは錠剤の場合、剤形はまた、緩衝剤を含み得る。
【0090】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒の固体剤形は、腸溶コーティングおよび医薬製剤化分野でよく知られた他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製できる。それらは任意で、不透明剤を含んでよく、また、活性材料成分(複数可)のみを、または優先的に、腸管のある部分において、任意で、遅延様式で、放出する組成物のものであってよい。使用することができる埋め込み用組成物の非限定的な例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0091】
活性化合物はまた、適切な場合、上記賦形剤の1つ以上を含む、マイクロカプセル化形態であってよい。
【0092】
経口投与のための液体剤形としては、薬学的に許容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が挙げられる。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシ、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、およびそれらの混合物などの、当技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤を含み得る。不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化および懸濁剤、甘味、香味、および芳香剤などのアジュバントを含んでよい。懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、およびトラガント、およびそれらの混合物としての懸濁剤を含み得る。
【0093】
非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下および関節内注射および注入)に好適な剤形としては、例えば、溶液、懸濁液、分散物、エマルジョン、などが挙げられる。それらはまた、滅菌固体組成物(例えば、凍結乾燥組成物)の形態で製造でき、それらは、使用直前に滅菌注射用媒体に溶解または懸濁できる。それらは、例えば、当技術分野で知られている懸濁または分散剤を含み得る。非経口注射のためのこの発明の医薬組成物は、薬学的に許容される滅菌水溶液または非水溶液、分散物、懸濁液またはエマルジョン、ならびに、使用直前に滅菌注射溶液または分散物に再構成するための滅菌粉末を含む。好適な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、など)、およびそれらの好適な混合物、植物油(例えば、オリーブ油)およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。適正な流動性が、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用により、分散物の場合必要とされる粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により維持され得る。
【0094】
いずれの本明細書で記載される化合物および/または本明細書で記載される医薬組成物も、制御放出または徐放手段により、または当業者に知られている送達装置により投与できる。例としては、米国特許第3,845,770号;3,916,899号;3,536,809号;3,598,123号;4,008,719号;5,674,533号;5,059,595号;5,591,767号;5,120,548号;5,073,543号;5,639,476号;5,354,556号;および5,733,556号(その各々がその全体として参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものが挙げられるが、それらに限定されない。そのような剤形は、様々な割合で所望の放出プロファイルを提供するための、例えば、ヒドロプロピルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、Eudragit、他のポリマーマトリクス、ゲル、透過膜、浸透圧系、多層コーティング、微小粒子、リポソーム、ミクロスフェア、またはそれらの組み合わせを使用して1つ以上の活性材料成分の制御放出または徐放を提供するために有用であり得る。好適な制御放出または徐放性製剤は、本明細書で記載される作用薬の活性材料成分と共に使用するために容易に選択できる。よって、発明は、限定はされないが、錠剤、カプセル、ジェルキャップ、およびカプレット(制御放出または徐放に適合されている)などの経口投与に好適な単一単位剤形を提供する。
【0095】
本明細書で記載される化合物および/または本発明の医薬組成物を含む製剤は便宜上、単位剤形で提供でき、薬学分野で知られている方法のいずれかにより調製され得る。そのような方法は一般に、治療薬を担体(1つ以上の副成分を構成する)と会合させる工程を含む。典型的には、製剤は、均一にかつ密接に、治療薬を液体担体、微細化固体担体、または両方と会合させ、次いで、必要に応じて、生成物を所望の製剤の剤形に成形すること(例えば、湿式または乾式顆粒化、粉末ブレンド、など、続いて、当技術分野で知られている従来の方法を使用する打錠)により調製される。
【0096】
本発明に従い投与される本明細書で記載される化合物および/または本発明の医薬組成物の実際の用量は、特定の化合物、特定の剤形、および投与方法に従い、変動する可能性があることが認識されるであろう。本作用薬(inositpresent agents)の作用を改変する可能性のある多くの因子(例えば、体重、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄速度、被検体の状態、合剤、遺伝的素因および反応感度)は、当業者であれば、考慮できる。投与は連続して、または、1つ以上の別個の投与で、最大耐量内で実施できる。ある条件についての最適投与速度は、当業者により従来の用法用量試験を使用して確認できる。
【0097】
本明細書で記載される化合物および/または本発明の医薬組成物の個々の用量は、例えば、単位剤形あたり約0.01mg~約1,000mg、約0.01mg~約950mg、約0.01mg~約900mg、約0.01mg~約850mg、約0.01mg~約800mg、約0.01mg~約750mg、約0.01mg~約700mg、約0.01mg~約650mg、約0.01mg~約600mg、約0.01mg~約550mg、約0.01mg~約500mg、約0.01mg~約450mg、約0.01mg~約400mg、約0.01mg~約350mg、約0.01mg~約300mg、約0.01mg~約250mg、約0.01mg~約200mg、約0.01mg~約150mg、約0.01mg~約100mg、約0.1mg~約90mg、約0.1mg~約80mg、約0.1mg~約70mg、約0.1mg~約60mg、約0.1mg~約50mg、約0.1mg~約40mg、約0.1mg~約30mg、約0.1mg~約20mg、約0.1mg~約10mg、約0.1mg~約5mg、約0.1mg~約3mg、または約0.1mg~約1mgを含む、単位剤形(例えば、錠剤またはカプセル)で投与できる。例えば、単位剤形は、約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、または約1,000mg(それらの間の全ての値および範囲を含む)であってよい。
【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載される化合物および/または本発明の医薬組成物は、1日あたり約0.01mg~約1,000mg、1日あたり約0.01mg~約950mg、1日あたり約0.01mg~約900mg、1日あたり約0.01mg~約850mg、1日あたり約0.01mg~約800mg、1日あたり約0.01mg~約750mg、1日あたり約0.01mg~約700mg、1日あたり約0.01mg~約650mg、1日あたり約0.01mg~約600mg、1日あたり約0.01mg~約550mg、1日あたり約0.01mg~約500mg、1日あたり約0.01mg~約450mg、1日あたり約0.01mg~約400mg、1日あたり約0.01mg~約350mg、1日あたり約0.01mg~約300mg、1日あたり約0.01mg~約250mg、1日あたり約0.01mg~約200mg、1日あたり約0.01mg~約150mg、1日あたり約0.1mg~約100mg、1日あたり約0.1mg~約95mg、1日あたり約0.1mg~約90mg、1日あたり約0.1mg~約85mg、1日あたり約0.1mg~約80mg、1日あたり約0.1mg~約75mg、1日あたり約0.1mg~約70mg、1日あたり約0.1mg~約65mg、1日あたり約0.1mg~約60mg、1日あたり約0.1mg~約55mg、1日あたり約0.1mg~約50mg、1日あたり約0.1mg~約45mg、1日あたり約0.1mg~約40mg、1日あたり約0.1mg~約35mg、1日あたり約0.1mg~約30mg、1日あたり約0.1mg~約25mg、1日あたり約0.1mg~約20mg、1日あたり約0.1mg~約15mg、1日あたり約0.1mg~約10mg、1日あたり約0.1mg~約5mg、1日あたり約0.1mg~約3mg、または1日あたり約0.1mg~約1mgの量で投与される。
【0099】
様々な実施形態では、本明細書で記載される化合物および/または本発明の医薬組成物は、約0.01mg、約0.02mg、約0.03mg、約0.04mg、約0.05mg、約0.06mg、約0.07mg、約0.08mg、約0.09mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約2mg、約3mg、約4mg、約5mg、約6mg、約7mg、約8mg、約9mg約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、約700mg、約750mg、約800mg、約850mg、約900mg、約950mg、または約1,000mg(それらの間の全ての値および範囲を含む)の1日用量で投与される。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載される化合物および/または本発明の医薬組成物の好適な投与量は、約0.01mg/kg~約10mg/kg被検体体重の範囲、例えば、約0.01mg/kg、約0.02mg/kg、約0.03mg/kg、約0.04mg/kg、約0.05mg/kg、約0.06mg/kg、約0.07mg/kg、約0.08mg/kg、約0.09mg/kg、約0.1mg/kg、約0.2mg/kg、約0.3mg/kg、約0.4mg/kg、約0.5mg/kg、約0.6mg/kg、約0.7mg/kg、約0.8mg/kg、約0.9mg/kg、約1mg/kg、約1.1mg/kg、約1.2mg/kg、約1.3mg/kg、約1.4mg/kg、約1.5mg/kg、約1.6mg/kg、約1.7mg/kg、約1.8mg/kg、1.9mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg体重(それらの間の全ての値および範囲を含む)である。他の実施形態では、式I、Ia、またはIbの化合物(例えばピリドキサールリン酸、エモキシピン、3-ヒドロキシ-6-メチルピコリン酸メチル(MHPエステル)または関連化合物)の好適な投与量は、約0.01mg/kg~約10mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約9mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約8mg/kg体重の範囲、約0.01mg/kg~約7mg/kg体重の範囲、0.01mg/kg~約6mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg~約5mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg~約4mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg~約3mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg~約2mg/kg体重の範囲、約0.05mg/kg~約1.5mg/kg体重の範囲、または約0.05mg/kg~約1mg/kg体重の範囲である。
【0101】
発明のある実施形態によれば、本明細書で記載される化合物および/または医薬組成物は、例えば、1日1回超、約1日1回、約一日おき、約3日ごと、約週に1回、約2週間に1回、約1ヶ月に1回、約2ヶ月に1回、約3ヶ月に1回、約6ヶ月に1回、または約1年に1回投与され得る。
【0102】
本化合物の投与は、1つ以上の追加の治療薬(例えば、1、または2、または3、または4、または5つの追加の治療薬)と組み合わせてよい。そのような組み合わせは、本化合物および/または1つ以上の追加の治療薬のより低い用量で、相乗作用および/または相加的な効果および/または強力な効果をもたらし得る。本化合物および追加の治療薬の共投与は、同時または連続であってよい。さらに、本化合物を含む医薬組成物は、追加の治療薬を含み得る(例えば、共製剤により)。さらに、いくつかの実施形態では、本化合物は、1つ以上の追加の治療薬を用いる治療を受けている患者に投与され得る。さらに、いくつかの実施形態では、本化合物は、患者の1つ以上の追加の治療薬を用いる現在の治療に取って代わってよい。
【0103】
1つの実施形態では、追加の治療薬および本化合物は、被検体に同時に投与される。「同時に」という用語は、本明細書では、追加の治療薬および本化合物が、約60分以下、例えば、約30分以下、約20分以下、約10分以下、約5分以下、または約1分以下の時間分離で投与されることを意味する。追加の治療薬および本化合物の投与は、単一製剤(例えば、追加の治療薬および本化合物を含む製剤)または別々の製剤(例えば、追加の治療薬を含む第1の製剤および本化合物を含む第2の製剤)の同時投与によってでよい。
【0104】
共投与は、それらの投与のタイミングが、追加の治療薬および本化合物の薬理活性が時間内に重なり、それにより組み合わされた治療効果を発揮するようなものである場合、追加の治療薬が同時に投与されることを要求しない。例えば、追加の治療薬および本化合物は、連続して投与されてよい。「連続して」という用語は本明細書では、追加の治療薬および本化合物が約60分超の時間分離で投与されることを意味する。例えば、追加の治療薬および本化合物の連続投与の間の時間は、約60分超、約2時間超、約5時間超、約10時間超、約1日超、約2日超、約3日超、または約1週間超離されてよい。最適投与時間は、投与される追加の治療薬および本化合物の代謝、排泄速度、および/または薬力学的活性に依存する可能性がある。追加の治療薬または本化合物のいずれかが、最初に投与され得る。
【0105】
共投与はまた、追加の治療薬が被検体に同じ投与経路により投与されることを要求しない。むしろ、各治療薬は、任意の適切な経路により、例えば、非経口的に、または、非経口的にではなく、投与されてよい。
【0106】
様々な実施形態では、追加の治療薬は、パーキンソン病治療薬である。例えば、様々な実施形態では、パーキンソン病治療薬は任意で、下記の1つ以上から選択される:レボドパ(例えば、トルカポン、エンタカポン、カルビドパ、またはベンセラジドと組み合わせて)、本明細書で記載されるドパミンアゴニスト(例えば、アポモルヒネ、ブロモクリプチン、ペルゴリド、プラミペキソール、ロピニロール、ピリベジル、カベルゴリン、アポモルヒネおよびリスリド)、本明細書で記載されるMAO-B阻害剤(例えば、デプレニル、例えば、セレギリンおよびラサギリン)、ピリベジル、プラミペキソール(例えば、ミラペックス、ミラペキシン、SIFROL)、ブロモクリプチン(例えば、パーロデル、CYCLOSET、BROTIN)、ロピニロール(例えば、レキップ、REPREVE、RONIROL、ADARTREL)、スマニロール(例えばPNU-95,666)、アプリンドール(aplindore)(例えば、DAB-452)、アマンタジン、抗コリン薬(例えば、アーテン、Cogentin)、クエチアピン、コリンエステラーゼ阻害剤、モダフィニル、チロシンヒドロキシラーゼ、N-フェニル-7-(ヒドロキシルイミノ)シクロプロパ[b]クロメン-1a-カルボキサミド(PHCCC)、および非ステロイド性抗炎症薬。
【0107】
様々な実施形態では、「患者」および「被検体」という用語は、同じ意味で使用される。いくつかの実施形態では、被検体および/または動物は、哺乳類、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、雌ウシ、ブタ、ウサギ、ヒツジ、または非ヒト霊長類、例えば、サル、チンパンジー、またはヒヒである。
【0108】
様々な実施形態では、発明の方法は、ヒト被検体の治療において有用である。いくつかの実施形態では、ヒトは、小児ヒトである。他の実施形態では、ヒトは、成人ヒトである。他の実施形態では、ヒトは、老人ヒトである。他の実施形態では、ヒトは、患者または被検体と呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、ヒトは、女性である。いくつかの実施形態では、ヒトは、男性である。
【0109】
発明は、本明細書で記載される化合物および/または医薬組成物の投与を簡単にすることができるキットを提供する。キットは、本明細書で記載される製剤の少なくとも1つを含む、材料または構成要素の組み合わせである。キット中で構成される構成要素の正確な性質は、その意図された目的に依る。1つの実施形態では、キットは、ヒト被検体を治療する目的のために構成される。
【0110】
使用説明書が、キット中に含められ得る。使用説明書は典型的には、例えば、パーキンソン病を治療する、などの望ましい結果に影響を及ぼすキットの構成要素の使用において採用される技術を説明する具体的な表現を含む。任意で、キットはまた、他の有用な構成要素、例えば、希釈剤、緩衝液、薬学的に許容される担体、シリンジ、カテーテル、アプリケーター、ピペットまたは測定ツール、包帯材料または当業者により容易に認識され得る他の有用な道具を含む。
【0111】
キット内に集められる材料および構成要素は、それらの操作性および有用性を保存する任意の好都合で好適な様式で、施術者ストアに提供することができる。例えば、構成要素は、室温、冷蔵温度、または凍結温度で提供されてよい。構成要素は典型的には、好適なパッケージング材料中に包含される。様々な実施形態では、パッケージング材料は、好ましくは、無菌の、汚染物質を含まない環境を提供するために、よく知られた方法により構成される。パッケージング材料は、キットおよび/またはその構成要素の内容物および/または目的を示す外部ラベルを有し得る。
【0112】
この発明は、下記の非限定的な実施例によりさらに説明される。
【0113】
実施例
実施例1:テトライミノ-エモキシピンによるα-シヌクレイン脱凝集に関連する実験
テトライミノ-エモキシピンによるα-シヌクレインの脱凝集
αシヌクレイン凝集体の溶解についてのテトライミノ-エモキシピンの活性を測定するアッセイを、実施する。
【0114】
実施例2:テトライミノ-エモキシピン誘導体およびポリアミドエモキシピン誘導体の合成
本発明のポリアミドエモキシピン誘導体およびテトライミノ-エモキシピン誘導体を、それぞれ、下記の形成様式により合成する:
【化28】
【0115】
実施例3:トリイミノ-エモキシピン誘導体の合成
本発明のトリイミノ-エモキシピン(MHP-トレントリイミンとしても知られている)誘導体を、下記の形成様式により合成する:
【化29】
【0116】
実施例4:トリイミノ-エモキシピン(「MHP-トレントリイミン」としても知られている)を用いたαシヌクレイン脱凝集
MHP-トレントリイミン(すなわち、トリイミノ-エモキシピン)を使用するα-シヌクレイン線維の脱凝集を、研究した。MHP-トレントリイミン:α-シヌクレインの比は、70であった(r70)。
【0117】
蛍光測定を、1分~数日、MHP-トレントリイミンの添加後異なる時間でMHP-トレントリイミンあり、なしで、凝集体の存在下にてチオブラビン(thiovlavin)T(ThT)の発光を比較することにより実施した(目的のλ発光=482nm、λ励起=450nm)。蛍光測定はまた、凝集体およびエモキシピンまたはMHP-トレントリイミンのいずれかの存在下にてチオブラビン(thiovlavin)T(ThT)の発光を比較することにより実施した。結果(図1A-1B、図2および下記1-2を参照されたい)は、エモキシピンと比べてMHP-トレントリイミンを使用すると、より高い可溶化パーセンテージを示す。興味深いことに、MHP-トレントリイミンは、遅い効果(例えば、1分後、27%の可溶化)を示したが、MHP-トレントリイミンの可溶化度は、一定に増加し、3日後、最終的に86%に到達した。よって、トリイミン分子の長期有効性は、そのトリアミド類似体のものより良好である。
【表1】
【表2】
【0118】
走査型電子顕微鏡(SEM)像も記録し、結果は、トリイミン分子なしの試料は、「超凝集」構造を示し(図3A)、一方でトリイミン分子を有する試料は、明らかな線維または大きな凝集体を示さず-小さな点のみが視認可能であり、十中八九、α-シヌクレインモノマーを示すことを、示す(図3B)。
【0119】
等価物
発明について、その特定の実施形態と関連して記載してきたが、さらに改変できることが理解されるであろう。本出願は、一般に、発明の原理に従い、発明が属する分野内の公知のまたは普通の慣行の範囲内にある、上記で明記される本質的な特徴に適用され得る、および、添付の特許請求の範囲を継ぐ本開示からのそのような逸脱を含む発明のいずれの変更、使用、または適合も包含することが意図される。
【0120】
当業者であれば、単にルーチン実験のみを使用して、本明細書で特定的に記載される特定の実施形態の多くの等価物を認識し、または、確認できるであろう。そのような等価物は、下記特許請求の範囲内に包含されることが意図される。
【0121】
参照による引用
本明細書で言及される全ての特許および刊行物はこれにより、その全体が参照により組み込まれる。
【0122】
本明細書で記載される刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のためだけに提供される。本発明は先行発明を理由にそのような刊行物に先行しないということを容認するものと解釈されるべきものは、本明細書には何もない。
【0123】
本明細書では、見出しは全て、単に、組織化するためのものであり、開示内容をいかなる形においても制限することを意図しない。いずれの個々のセクションの内容も、全てのセクションに同じように適用可能である。
図1A
図1B
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2022519779000001.app
【国際調査報告】