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特表2022-519800封止断熱タンク内の漏れを検出する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-25
(54)【発明の名称】封止断熱タンク内の漏れを検出する方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/02 20060101AFI20220317BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
F17C13/02 302
B63B25/16 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533558
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 FR2019053084
(87)【国際公開番号】W WO2020128273
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】1873381
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バグニクール ベルトラン
(72)【発明者】
【氏名】シュピッタル ローラン
(72)【発明者】
【氏名】デュポン ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ル スタン ジャン-イヴ
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172BA06
3E172BB02
3E172BD02
3E172CA10
3E172DA47
3E172KA03
(57)【要約】
【課題】 本発明は、液化ガス用のタンク内の漏れを検出するための方法に関し、前記タンクは、液化ガスを取り囲む膜を備え、膜は、壁から膜を分離する絶縁空間によって取り囲まれ、絶縁空間は、少なくとも1つのパイプを介して注入および抽出される不活性ガスで満たされる。
【解決手段】 検出方法は、パイプを介して追加および除去されたガスを測定することによって、2つの瞬間の間の不活性ガスの質量の第1の変動ΔM1を決定するステップ921と、絶縁空間内で測定された不活性ガスの2つの質量の差に対応する不活性ガスの質量の第2の変動ΔM2を計算するステップ922と、第1の変動を第2の変動と比較し931、不活性ガスの質量の第1の変動と第2の変動との間の偏差E1が第1の閾値S1より大きい場合に警告をトリガするステップとを含む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体ガス用の封止された断熱タンク(2)からの漏れを検出する方法であって、前記タンクは、前記液体ガスを取り囲む封止膜(14、15)を含み、前記封止膜は、それ自体が封止される支持壁(11)から前記封止膜を分離する絶縁空間(16、17)によって囲まれており、前記絶縁空間は固体の断熱材料および不活性ガスで充填され、前記絶縁空間は前記不活性ガスを注入および抽出するために少なくとも1つの注入ダクト(21、22)および少なくとも1つの抽出ダクト(23、24)を備えており、前記検出方法が、
第1の瞬間(t1)と第2の瞬間(t2)との間の不活性ガスの質量の第1の変動(ΔM1、ΔM3)を決定するステップ(921、923)であって、前記第1の変動は、前記第1の瞬間と前記第2の瞬間との間で、前記注入ダクトによって追加され、前記抽出ダクトによって除去される不活性ガスの総質量の結果に対応する、ステップと、
前記絶縁空間の自由体積内の圧力および温度の測定により、前記第1の瞬間における前記絶縁空間内の不活性ガスの第1の質量と、前記第2の瞬間における前記絶縁空間内の不活性ガスの第2の質量とを決定するステップと、
不活性ガスの前記第2の質量と前記第1の質量との間の差に対応する、前記第1の瞬間と前記第2の瞬間との間の不活性ガスの質量の第2の変動(ΔM2、ΔM4)を計算するステップ(922、924)と、
不活性ガスの質量の前記第1の変動を不活性ガスの質量の前記第2の変動と比較し(931、932)、不活性ガスの質量の前記第1の変動と前記第2の変動との間の差(E1、E2)が第1の閾値(S1)より大きい場合、警告をトリガするステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記封止膜が二次封止膜(14)であり、前記絶縁空間が二次絶縁空間(17)であり、前記タンクが、前記二次封止膜と前記液体ガスとの間に位置する一次封止膜を備え、前記二次封止膜と前記一次封止膜とが、固体断熱材料および不活性ガスで充填された一次絶縁空間によって分離されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記封止膜が一次封止膜(15)であり、前記絶縁空間が一次絶縁空間(16)であり、前記差が一次差(E1)であり、前記タンクが、前記一次封止膜(15)と前記支持壁(11)との間に位置する二次封止膜(14)を備え、前記一次封止膜と前記二次封止膜とが前記一次絶縁空間(16)によって分離され、前記二次封止膜と前記外壁とが、固体断熱材料および不活性ガスで充填された二次絶縁空間(17)によって分離されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記二次絶縁空間(17)は、前記不活性ガスを注入および抽出するために、少なくとも1つの注入ダクト(22)および少なくとも1つの抽出ダクト(24)を備え、前記検出方法はまた、
前記第1の瞬間(t1)と前記第2の瞬間(t2)との間の前記二次絶縁空間内の不活性ガスの質量の第3の変動(ΔM3)を決定するステップ(923)であって、前記第3の変動は、前記第1の瞬間と前記第2の瞬間との間で、前記注入ダクトによって追加され、前記抽出ダクトによって除去される不活性ガスの総質量の結果に対応する、ステップと、
前記二次絶縁空間の自由体積内の圧力および温度の測定により、前記第1の瞬間における前記二次絶縁空間内の不活性ガスの第3の質量と、前記第2の瞬間における前記二次絶縁空間内の不活性ガスの第4の質量とを決定するステップと、
不活性ガスの前記第4の質量と前記第3の質量との間の差に対応する、前記第1の瞬間と前記第2の瞬間との間の前記二次絶縁空間内の不活性ガスの質量の第4の変動(ΔM4)を計算するステップ(924)と、
不活性ガスの質量の前記第3の変動(ΔM3)を不活性ガスの質量の前記第4の変動(ΔM4)と比較し(932)、不活性ガスの質量の前記第3の変動と前記第4の変動との間の二次差(E2)が第2の閾値(S2)より大きい場合、警告をトリガするステップと
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記一次差(E1)が前記第1の閾値(S1)よりも大きい場合、および/または前記二次差(E2)が前記第2の閾値(S2)よりも大きい場合、および前記一次差(E1)と前記二次差(E2)との代数和が第3の閾値(S3)よりも小さい場合、前記二次封止膜(14)内に漏れが存在すると判定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記一次差(E1)が前記第1の閾値(S1)よりも大きい場合、および/または前記二次差(E2)が前記第2の閾値(S2)よりも大きい場合、および前記一次差(E1)と前記二次差(E2)との間の差が第4の閾値(S4)よりも大きい場合、前記一次(16)および二次(17)絶縁空間の少なくとも一方内に漏れが存在すると判定される、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
確認時間だけインクリメントされた前記第1の瞬間(t1)に対応する第3の瞬間(t3)と、前記確認時間だけインクリメントされた前記第2の瞬間(t2)に対応する第4の瞬間(t4)との間に、前記先行するステップの反復があり、前記確認時間が経過した後に前記警告が再びトリガされた場合に漏れが存在すると判定される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記タンクの充填後の所定の安定化時間よりも長い時間の後に実施される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記圧力および温度の前記測定は、前記第1の瞬間の付近および前記第2の瞬間の付近の測定時間にわたって実行され、前記第1の質量および前記第2の質量は、前記測定時間の平均質量である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記測定時間は、前記測定時間中に追加または抽出される前記不活性ガスが、前記絶縁空間内に存在する不活性ガスの総質量に対して無視できるほど短い、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記測定時間中に前記絶縁空間に不活性ガスが加えられず、かつ前記絶縁空間から不活性ガスが抽出されない、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記測定時間は、前記第1の瞬間と前記第2の瞬間とを分ける時間よりも短い、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記温度測定は、前記支持壁(11)上および前記二次封止膜(14)上の複数の位置に配置された温度センサ(111、114)によって実行される測定を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記温度測定は、前記タンク内の前記液体ガスの温度および前記液体ガスのレベルに基づいて計算される推定を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
不活性ガスの質量の前記第1の変動(ΔM1)は、前記注入ダクト(21)の注入弁(25)と、前記抽出ダクト(23)の抽出弁(27)とにおける不活性ガスの質量流量に従って測定される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記注入弁(25)および/または前記抽出弁(27)における前記質量流量が、前記弁の開度に従って決定される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記注入弁(25)および/または前記抽出弁(27)におけるガスの前記質量流量が、前記弁の上流および下流の前記不活性ガスの圧力および温度に従って決定される、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記注入弁(25)および/または前記抽出弁(27)における前記質量流量は、前記弁におけるガスの質量を測定する流量計(325、327)によって測定される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記絶縁空間内の不活性ガスの前記第1または第2の質量を決定するための圧力および温度の前記測定が、前記絶縁空間の複数の領域で実行され、前記領域のすべてが前記絶縁空間の前記自由体積を形成する、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
液体ガスを取り囲む封止膜(14、15)を含む封止された断熱タンク(2)を備える液体ガス貯蔵設備であって、前記封止膜は、それ自体が封止される支持壁(11)から前記封止膜を分離する絶縁空間(16、17)によって囲まれており、前記絶縁空間は固体の断熱材料および不活性ガスで充填され、前記絶縁空間は前記不活性ガスを注入および抽出するために少なくとも1つの注入ダクト(21、22)および少なくとも1つの抽出ダクト(23、24)を備えており、前記タンクは、少なくとも1つの圧力センサ(221~224)と、前記絶縁空間の自由体積内に封入された不活性ガスの圧力および温度を決定するように構成された複数の温度センサ(111、114、130)とを備え、前記設備は、
前記注入ダクト(21、22)内および前記抽出ダクト(23、24)内の不活性ガスの流量を測定するための流量測定装置(121~128、221~228、325~328)と、少なくとも1つの漏れ検出装置(80)とを含み、前記少なくとも1つの漏れ検出装置(80)は、
前記流量測定装置(121~128、221~228、325~328)と共に、第1の瞬間(t1)と第2の瞬間(t2)との間の不活性ガスの質量の第1の変動(ΔM1、ΔM3)を決定し、前記第1の変動は、前記第1の瞬間と前記第2の瞬間との間で、前記注入ダクトによって追加され、前記抽出ダクトによって除去される不活性ガスの総質量の結果に対応し、
前記絶縁空間の自由体積内の前記少なくとも1つの圧力センサ(221~224)および前記複数の温度センサ(111、114、130)によって実行される圧力および温度測定により、前記第1の瞬間における前記絶縁空間内の前記不活性ガスの第1の質量と、前記第2の瞬間における前記絶縁空間内の不活性ガスの第2の質量とを決定し、
不活性ガスの前記第2の質量と前記第1の質量との間の差に対応する、前記第1の瞬間と前記第2の瞬間との間の不活性ガスの質量の第2の変動(ΔM2、ΔM4)を計算し、
不活性ガスの質量の前記第1の変動を不活性ガスの質量の前記第2の変動と比較し、不活性ガスの質量の前記第1の変動と前記第2の変動との間の差(E1、E2)が第1の閾値(S1)より大きい場合、警告をトリガする
ように構成されている、液体ガス貯蔵設備。
【請求項21】
前記封止膜が二次封止膜(14)であり、前記絶縁空間が二次絶縁空間(17)であり、前記タンクが、前記二次封止膜(14)と前記液体ガスとの間に位置する一次封止膜(15)を備え、前記二次封止膜(14)と前記一次封止膜(15)とが、固体断熱材料および不活性ガスで充填された一次絶縁空間(16)によって分離されている、請求項20に記載の液体ガス貯蔵設備。
【請求項22】
前記封止膜が一次封止膜(15)であり、前記絶縁空間が一次絶縁空間(16)であり、前記差が一次差(E1)であり、前記タンクが、前記一次封止膜(15)と前記支持壁(11)との間に位置する二次封止膜(14)を備え、前記一次封止膜(15)と前記二次封止膜(14)とが前記一次絶縁空間(16)によって分離され、前記二次封止膜(14)と前記支持壁(11)とが、固体断熱材料および不活性ガスで充填された二次絶縁空間(17)によって分離されている、請求項20に記載の液体ガス貯蔵設備。
【請求項23】
前記二次絶縁空間は、前記不活性ガスを注入および抽出するために少なくとも1つの注入ダクト(22)および少なくとも1つの抽出ダクト(24)を備え、タンクは少なくとも1つの圧力センサ(222、224)を備え、前記複数の温度センサのセンサ(111、114)はまた、前記二次絶縁空間(17)に封入された前記不活性ガスの温度を決定するように構成され、前記設備は、前記注入ダクト(22)内および前記抽出ダクト(24)内の不活性ガスの流量を測定するための流量測定装置(122、124、126、128、222、224、226、228、326、328)を備え、前記漏れ検出装置(80)は、請求項4から19のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成される、請求項22に記載の液体ガス貯蔵設備。
【請求項24】
請求項20から23のいずれか一項に記載の1つまたは複数の液体ガス貯蔵設備を備えることを特徴とする、液体ガス輸送船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温で液体ガスを貯蔵するための封止された断熱タンクの分野に関し、より詳細には、液体ガス用の封止された断熱タンクからの漏れを検出する方法に関する。この種のタンクは、異なるガス、例えばメタン、ブタン、エチレンなどの貯蔵または輸送に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
膜を備えた封止された断熱タンクは、特に液化天然ガス(LNG)の貯蔵に使用され、これは、大気圧で約-163℃で貯蔵される。これらのタンクは、浮遊しているまたは浮遊していない構造(例えば、GBSとして知られている、コンクリートで従来作られている陸上タンクまたは貯蔵構造)上に設置することができ、液化天然ガスを輸送するため、または浮遊しているまたは浮遊していない構造の推進のための燃料として使用される液化天然ガスを受け入れるために設計されている。
【0003】
従来技術では、封止断熱タンクは、液体ガスの貯蔵に使用され、液化天然ガスの輸送用に設計された船舶の二重船殻などの支持構造物に組み込まれている。一般に、この種のタンクは、タンクの外部から内部への厚さ方向に、支持構造上に保持された二次断熱バリアと、二次断熱バリアに抗して支持された二次封止膜と、二次封止膜に抗して支持された一次断熱バリアと、一次断熱バリアに抗して支持され、タンク内に含まれる液化天然ガスと接触するように設計された一次封止膜とを連続して有する多層構造を備える。
【0004】
漏れを検出するために、米国特許第4,404,843号明細書によれば、一次断熱バリアおよび二次断熱バリアを含む空間を不活性ガスで充填する。閉じ込めシステムに応じて、一次空間と二次空間は異なる圧力に調整されるが、常に大気圧よりも高くなる。空間内部の温度変化による圧力変化を補正したり、大気圧の変動を補正したりするために、各空間の圧力を調整し、不活性ガスを注入したり、その一部を大気に放出したりすることができる調整システムによって、一定の相対圧力範囲に維持する。
【0005】
米国特許出願公開第2017/0138536号明細書は、極低温タンクがホットスポットまたはコールドスポットを有する可能性があり、したがって、絶縁空間に出入りするガスの流れを検出するためのシステムに欠陥があり、誤警告を引き起こす可能性があることを示している。この問題を改善するために、この文献は、異なる絶縁空間に異なる不活性ガスを使用することを提案している。漏れは、関係する空間にあるべきでないガスの検出によって検出される。この検出方法は、複数の種類の不活性ガス、したがって複数の分配回路を有する必要があり、これはガス輸送船に実装するのはより複雑である。
【発明の概要】
【0006】
本発明の基礎となる概念は、先行技術の問題を排除しながら、単一の不活性ガスのみを使用することからなる。この目的のために、温度センサは、タンクの周囲に配置され、不活性ガスで満たされた絶縁空間の熱地図を決定するために、液体ガスを含むタンクの周囲全体の複数の位置に配置される。この熱地図によって、2つの所与の瞬間に絶縁空間内に存在する不活性ガスの質量を正確に計算し(方法2)、このように計算された2つの瞬間の間のガスの変動を、これら2つの瞬間の間のガスの出入りする流れで測定されたガスの量と比較する(方法1)ことが提案される。質量の保存則は、両方の方法によって決定される質量の変動が同じであることを意味する。タンクの外部へのガスの漏れは、これら2つの結果の間に不均衡をもたらす。
【0007】
一実施形態によれば、本発明は、液体ガス用の封止断熱タンクからの漏れを検出するための方法を提供する。前記タンクは、液体ガスを取り囲む封止膜を備え、封止膜は、それ自体が封止される支持壁から封止膜を分離する絶縁空間によって囲まれており、絶縁空間は固体の断熱材料および不活性ガスで充填され、絶縁空間は不活性ガスを注入および抽出するために少なくとも1つの注入ダクトおよび少なくとも1つの抽出ダクトを備えている。検出方法は、以下のステップを含む:
-第1の瞬間と第2の瞬間との間の不活性ガスの質量の第1の変動を決定するステップであって、第1の変動は、第1の瞬間と第2の瞬間との間で、注入ダクトによって追加され、抽出ダクトによって除去される不活性ガスの総質量の結果に対応する、ステップと、
-絶縁空間の自由体積内の圧力および温度の測定により、第1の瞬間における絶縁空間内の不活性ガスの第1の質量と、第2の瞬間における絶縁空間内の不活性ガスの第2の質量とを決定するステップと、
-不活性ガスの第2の質量と第1の質量との間の差に対応する、第1の瞬間と第2の瞬間との間の不活性ガスの質量の第2の変動を計算するステップと、
-不活性ガスの質量の第1の変動を不活性ガスの質量の第2の変動と比較し、不活性ガスの質量の第1の変動と第2の変動との間の差が第1の閾値より大きい場合、警告をトリガするステップ。
【0008】
「不活性ガス」という表現は、絶縁空間内に存在するガス、すなわち、従来は、最初に絶縁空間内に存在するガスである二窒素(N)などのタイプの非反応性中性ガス、および前記絶縁空間の耐用年数の間に注入されるガスを意味する。しかしながら、本発明による方法は、典型的には、特に(一次)封止膜からの漏れの際に、これらの空間への例えばメタン(CH)などの炭化水素の望ましくない導入によって、これらの絶縁空間内のガスの汚染がある場合にも依然として機能する。この最後の仮説では、「不活性ガス」という表現は、メタンなどのこれらの望ましくないガスを含む。
【0009】
本発明による方法およびシステムは、有利には、絶縁空間内に存在する、または前記空間から出るガスの性質を分析することができる1つまたは複数のセンサを備えることができ、例えばこれらのガス、すなわち二窒素(N)、または例えばメタン(CH)の性質により質量の計算を改良することができる。これらのセンサは、有利には、液体ガスの輸送体(船舶)または貯蔵ユニット(陸上または海上)に従来存在するガスを分析するためのシステムに接続される。
【0010】
本発明に関連して本出願で使用される「船舶」という用語は、2つの港または地理的領域間を移動する輸送機に限定されず、それはまた、荷船またはFSRU(「浮遊式貯蔵および再ガス化ユニット」)などの静的ボート、または陸上に位置する貯蔵および/または処理構造も含むことができることが理解されよう。
【0011】
本発明は、以下のように表現することもできる。
【0012】
本発明は、液体ガス用の封止断熱タンクの絶縁空間からの漏れを検出するための方法を提供する。前記タンクは、液体ガスを取り囲む封止膜を備え、封止膜は、それ自体が封止される支持壁から封止膜を分離する絶縁空間によって囲まれており、絶縁空間は固体の(任意選択で多孔性の)断熱材料および不活性ガスで充填され、絶縁空間は不活性ガスを注入および抽出するために少なくとも1つの注入ダクトおよび少なくとも1つの抽出ダクトを備えている。検出方法は、以下のステップを含む:
-方法1:注入および抽出の流れに基づく時間に基づく積分、次いで積分された流れの微分によって、第1の瞬間と第2の瞬間との間の不活性ガスの質量の第1の変動を決定するステップと、
-方法2:絶縁空間の自由体積内の圧力および温度の測定により、第1の瞬間tにおける絶縁空間内の不活性ガスの第1の質量と、第2の瞬間tにおける絶縁空間内の不活性ガスの第2の質量とを決定するステップと、
-不活性ガスの第2の質量と第1の質量との間の差に対応する、第1の瞬間tと第2の瞬間tとの間の不活性ガスの質量の第2の変動を計算するステップと、
-不活性ガスの質量の第1の変動を不活性ガスの質量の第2の変動と比較し、不活性ガスの質量の第1の変動と第2の変動との間の差が第1の閾値より大きい場合、オペレータに警告するステップ。
【0013】
この種の方法のおかげで、極低温タンクの絶縁空間からの漏れを検出することが可能である。したがって、本発明は、主にブタンによって構成される液体石油ガス(LPG)を貯蔵するために使用されるタンクに使用することができる。極低温タンク内での輸送または貯蔵は、-44℃、大気圧で行うことができ、単純な絶縁空間のみを有するタンクを必要とすることができる。
【0014】
主にメタンで構成される液化天然ガス(LNG)の場合、貯蔵温度は-162℃であり、二重絶縁空間を必要とする。一実施形態によれば、漏れを検出するための方法の主題は、単一の絶縁空間、または両方で使用することができる。
【0015】
この目的のために、第1の実施形態によると、封止膜が二次封止膜であり、絶縁空間が二次絶縁空間であり、タンクが、二次封止膜と液体ガスとの間に位置する一次封止膜を備え、二次封止膜と一次封止膜とが、固体(任意選択で、多孔質)断熱材料および不活性ガスで充填された一次絶縁空間によって分離されている。
【0016】
この目的のために、第2の実施形態によると、封止膜が一次封止膜であり、絶縁空間が一次絶縁空間であり、差が一次差であり、タンクが、一次封止膜と支持壁との間に位置する二次封止膜を備え、一次封止膜と二次封止膜とが一次絶縁空間によって分離され、二次封止膜と支持壁とが、固体(任意選択で、多孔質)断熱材料および不活性ガスで充填された二次絶縁空間によって分離されている。
【0017】
二重膜タンクの好ましい態様によれば、漏れの検出のための方法は、両方の絶縁空間上で実行される。したがって、第2の実施形態は、不活性ガスを注入および抽出するために少なくとも1つの注入ダクトおよび少なくとも1つの抽出ダクトが二次絶縁空間に設けられており、検出方法が以下のステップも含むように変更される:
-第1の瞬間と第2の瞬間との間の二次絶縁空間内の不活性ガスの質量の第3の変動を決定するステップであって、第3の変動は、第1の瞬間と第2の瞬間との間で、注入ダクトによって追加され、抽出ダクトによって除去される不活性ガスの総質量の結果に対応する、ステップと、
-二次絶縁空間の自由体積内の圧力および温度の測定により、第1の瞬間における二次絶縁空間内の不活性ガスの第3の質量と、第2の瞬間における二次絶縁空間内の不活性ガスの第4の質量とを決定するステップと、
-不活性ガスの第4の質量と第3の質量との間の差に対応する、第1の瞬間と第2の瞬間との間の二次絶縁空間内の不活性ガスの質量の第4の変動を計算するステップと、
-不活性ガスの質量の第3の変動を不活性ガスの質量の第4の変動と比較し、不活性ガスの質量の第3の変動と第4の変動との間の二次差が第2の閾値より大きい場合、警告をトリガするステップ。
【0018】
(両方の絶縁空間における漏れの検出を伴う)二重膜タンクのこの好ましいモードの異なる提示によれば、この第2の実施形態は、不活性ガスを注入および抽出するために二次絶縁空間に少なくとも1つの注入ダクトおよび少なくとも1つの抽出ダクトが設けられており、検出プロセスはまた、以下のステップを含む:
-第1の瞬間t1と第2の瞬間t2との間の二次絶縁空間内の不活性ガスの質量の第3の変動を、注入および抽出の流量に基づく時間ベースの積分、次いで積分された流量の微分によって決定するステップであって、第3の変動は、第1の瞬間t1と第2の瞬間t2との間で、注入ダクトによって追加され、抽出ダクトによって除去される不活性ガスの総質量の結果に対応する、ステップと、
-二次絶縁空間の自由体積内の圧力および温度の測定により、第1の瞬間t1における二次絶縁空間内の不活性ガスの第3の質量と、第2の瞬間t2における二次絶縁空間内の不活性ガスの第4の質量とを決定するステップと、
-不活性ガスの第4の質量と第3の質量との間の差に対応する、第1の瞬間t1と第2の瞬間t2との間の二次絶縁空間内の不活性ガスの質量の第4の変動を計算するステップと、
-不活性ガスの質量の第3の変動を不活性ガスの質量の第4の変動と比較し、不活性ガスの質量の第3の変動と第4の変動との間の二次差が第2の閾値より大きい場合、オペレータに警告するステップ。
【0019】
2つの絶縁空間で測定することにより、差の間の相関を調べることによって誤検出のリスクを低減することができる。一次差が第1の閾値よりも大きい場合、および/または二次差が第2の閾値よりも大きい場合、および一次差と二次差との代数和が第3の閾値よりも小さい場合、二次封止膜内に漏れが存在すると判定することができる。
【0020】
さらに、差が互いに補正する場合、これは漏れが二次封止膜内にあることを意味し得る。一次差が第1の閾値よりも大きい場合、および/または二次差が第2の閾値よりも大きい場合、および一次差と二次差との代数差が第4の閾値よりも大きい場合、一次絶縁空間と二次絶縁空間の少なくとも一方内に漏れが存在すると判定することができる。逆に、一次差と二次差との間のこの差が小さい場合、これは、系統的エラー状況の可能性を示す。
【0021】
使用される閾値は、計算チェーン上の累積測定不確実性に従って決定される。コストを削減するために、温度センサの数は最小限の数に削減され、同時にすべての絶縁空間体積の熱画像を良好にマッピングすることを可能にする。ただし、絶縁空間の熱伝導率は比較的低く、これは主な機能、つまりタンクを断熱することに関連している。しかしながら、タンクの外部温度または内部温度の変化中、熱伝播は遅い速度で発生するため、一時的な段階に関連する追加の測定リスクをもたらす。
【0022】
起こり得る一時的なエラーの影響を受けないようにするために、確認時間だけインクリメントされた第1の瞬間に対応する第3の瞬間と、確認時間だけインクリメントされた第2の瞬間に対応する第4の瞬間との間に、先行するステップの反復があり、確認時間が経過した後に前記警告が再びトリガされた場合に漏れが存在すると判定することが可能である。
【0023】
タンクの充填中の温度の著しい変化を考慮して、この方法は、タンクの充填後の所定の安定化時間よりも長い時間の後に実行される。
【0024】
異なる実施形態によると、圧力および温度の測定は、第1の瞬間の付近、例えば、後、および第2の瞬間の付近、例えば、後、の測定時間にわたって実行されることができ、第1の質量および第2の質量は、測定時間の平均質量である。測定時間は、測定時間中に追加または抽出される不活性ガスが、絶縁空間内に存在する不活性ガスの総質量に対して無視できるほど短いことがある。好ましくは、測定時間中に絶縁空間に不活性ガスが加えられず、かつ絶縁空間から不活性ガスが抽出されない。測定時間は、第1の瞬間と第2の瞬間とを分ける時間よりも短いことがある。例えば、第1および第2の測定は、一定期間にわたってスライド式に計算される。
【0025】
一実施形態によると、温度測定は、支持壁上および二次封止膜上の複数の位置に配置された温度センサによって実行される測定を含むことができる。温度測定は、液相または気相のタンク内に収容された液体の温度に基づいて計算される推定を含むことができる。
【0026】
別の実施形態によると、不活性ガスの質量の第1の変動は、注入ダクトの注入弁と、抽出ダクトの抽出弁とにおける不活性ガスの質量流量に従って測定される。
【0027】
注入弁および/または抽出弁における質量流量は、例えば注入弁および/または抽出弁の開度に応じて、いくつかの方法で決定することができる。注入弁および/または抽出弁におけるガスの質量流量が、前記弁の上流および下流の不活性ガスの圧力および温度に従って決定され得る。変形として、注入弁および/または抽出弁における質量流量は、前記弁におけるガスの質量を測定する流量計によって測定され得る。
【0028】
精度を向上させるために、絶縁空間内の不活性ガスの第1または第2の質量を決定するための圧力および温度の測定が、絶縁空間の複数の領域で実行され、領域のすべてが絶縁空間の自由体積を形成する。
【0029】
別の実施形態によると、本発明は、液体ガスを取り囲む封止膜を含む封止された断熱タンクを備える液体ガス貯蔵設備を提供し、封止膜は、それ自体が封止される支持壁から封止膜を分離する絶縁空間によって囲まれており、絶縁空間は固体の(任意選択で多孔性の)断熱材料および不活性ガスで充填され、絶縁空間は不活性ガスを注入および抽出するために少なくとも1つの注入ダクトおよび少なくとも1つの抽出ダクトを備えている。タンクは、少なくとも1つの圧力センサと、絶縁空間の自由体積内に封入された不活性ガスの圧力および温度を決定するように構成された複数の温度センサとを備える。設備は、注入ダクト内および抽出ダクト内の不活性ガスの流量を測定するための流量測定装置、および少なくとも1つの漏れ検出装置を備える。少なくとも1つの漏れ検出装置は、
-第1の瞬間t1と第2の瞬間t2との間の不活性ガスの質量の第1の変動を、流量測定装置と共に決定するステップであって、第1の変動は、第1の瞬間と第2の瞬間との間で、注入ダクトによって追加され、抽出ダクトによって除去される不活性ガスの総質量の結果に対応し、
-絶縁空間の自由体積内の少なくとも1つの温度センサおよび複数の温度センサによって実行される圧力および温度測定により、第1の瞬間t1における絶縁空間内の不活性ガスの第1の質量と、第2の瞬間t2における絶縁空間内の不活性ガスの第2の質量とを決定し、
-不活性ガスの第2の質量と第1の質量との間の差に対応する、第1の瞬間t1と第2の瞬間t2との間の不活性ガスの質量の第2の変動を計算し、
-不活性ガスの質量の第1の変動を不活性ガスの質量の第2の変動と比較し、不活性ガスの質量の第1の変動と第2の変動との間の差が第1の閾値より大きい場合、(例えば、オペレータに警告することによって)警告をトリガする
ように構成される。
【0030】
二重膜タンク設備のために、封止膜は二次封止膜であり得、絶縁空間が二次絶縁空間であり得、タンクが、二次封止膜と液体ガスとの間に位置する一次封止膜を備えることができ、二次封止膜と一次封止膜とが、固体(任意選択で、多孔質)断熱材料および不活性ガスで充填された一次絶縁空間によって分離されている。
【0031】
二重膜タンクの変形の設備によると、封止膜が一次封止膜であり得、絶縁空間が一次絶縁空間であり得、差が一次差であり得、タンクが、一次封止膜と支持壁との間に位置する二次封止膜を備えることができ、一次封止膜と二次封止膜とが一次絶縁空間によって分離され、二次封止膜と支持壁とが、固体(任意選択で、多孔質)断熱材料および不活性ガスで充填された二次絶縁空間によって分離されている。
【0032】
異なる実施形態によれば、二次絶縁空間は、不活性ガスを注入および抽出するために、少なくとも1つの注入ダクトおよび少なくとも1つの抽出ダクトを備える。タンクは、少なくとも1つの圧力センサを備える。複数の温度センサのセンサはまた、二次絶縁空間内に封入された不活性ガスの温度を決定するように構成される。設備は、注入ダクト内および抽出ダクト内の不活性ガスの流量を測定するための流量測定装置を備える。漏れ検出装置は、異なる方法を実施するように構成される。
【0033】
好ましい実施形態によれば、液体ガス貯蔵設備は、液体ガス輸送船に搭載され、輸送船は、1つまたは複数の液体ガス貯蔵設備を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明は、添付の図面を参照して、純粋に非限定的な例示として提供される、本発明の複数の特定の実施形態の以下の説明から、よりよく理解され、その他の目的、詳細、特徴および利点がより明らかになるであろう。
【0035】
図1】タンクを内蔵し、漏れ検出装置を備えた船舶の一例を示す図である。
【0036】
図2図1の船舶のタンクを横断面で概略的に示す図である。
【0037】
図3図1の船舶のタンクを長手方向断面で概略的に示す図である。
【0038】
図4】液体ガス用の封止断熱タンクの壁の一例を示す図である。
【0039】
図5】ガス流量計算(方法1)の第1の実施形態を示す図である。
【0040】
図6】ガス流量計算(方法1)の第2の実施形態を示す図である。
【0041】
図7】低減された数の温度センサによる一次封止膜の温度の計算のためのモードを示す図である。
【0042】
図8】漏れ検出装置の機能図である。
【0043】
図9図8の装置の動作フローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
ここで、本発明を主な実施形態によって説明し、その周りに様々な変形形態が言及または説明される。この目的のために、同じ要素を説明するために、すべての図および説明において単一の参照が使用される。
【0045】
図1は、大気圧に近い圧力で液体ガスを受け取るように設計された複数のタンク2を有するメタンタンカー1を表す。タンク2の各々は、ガス状雰囲気の圧力に依存する液化温度、すなわち約-162℃の温度の天然ガスで輸送される流体を維持するために、封止断熱タンクである。このタイプのタンクは、異なる技術、例えば、両方とも本出願人に属する商標名Mark III(登録商標)で販売されている技術または商標名NO96(登録商標)で販売されている技術を使用することによって製造することができる。
【0046】
タンク2のうちの1つは、図2および図3によって説明される。図2は、海と接触する外壁10と、二重膜タンク2の支持壁として機能する内壁11とによって構成された二重船殻を備える船舶1の横断面を示す。図2に示すこの非限定的な実施形態では、二重船殻はタンク2を取り囲み、液体ドーム12およびガスドーム13として一般に知られている2つの突出部を有し、タンクと荷役ターミナルとの間の液体および気体流体の交換を確実にし、タンクを検査し、ならびに既知の技術に従ってパイプを通過させることを可能にする。内壁11は、液体ドームおよびガスドームを含めて封止されなければならない。
【0047】
内壁11は、第一に断熱を確実にするために、第二に二次封止膜14の支持体として機能するために、この内壁に固定された断熱ブロックで覆われている。他の断熱ブロックは、第一に断熱を確実にするために、そして第二に一次封止膜15の支持体として機能するために、二次封止膜14上に配置される。一次封止膜15は、液体ガスおよび気体天井と接触しており、タンクの有用な容積を画定する。二次封止膜14は、一次封止膜からの漏れの場合に安全装置として機能する。また、一次封止膜15と二次封止膜14との間の空間が一次絶縁空間16を構成し、二次封止膜と内壁11との間の空間が二次絶縁空間17を構成する。
【0048】
タンク2はまた、液体ガスを制御するための配管を支持する金属構造30と、タンクから液体ガスを空にするための少なくとも1つのポンプ31と、タンクを低部および/または高部から充填することを可能にする配管とを備える。タンクはまた、タンク内に位置し、液体ガスの自発的な気化から生じるガス用の蒸気回収装置32を備える。タンクは、例えば、気相の温度を低下させるために使用される噴霧器など、図示されていない多くの他の要素を含むことができる。
【0049】
図4は、NO96(登録商標)ブランド名技術によるタンク壁の実施形態を示す。断熱ブロック41は、二次絶縁空間17内で、固定装置43によって重合および固定され得る樹脂ストリップ42上に配置される。重合可能な樹脂ストリップ42は、内壁11に提供される理論的表面と製造公差から生じる不完全な表面との差を補い、内壁11上の断熱ブロック41の力を比較的均一に分散させる目的を果たす。特定のシステムでは、重合可能な樹脂製のこれらのストリップはまた、二重シェルに対する断熱パネルの保持を確実にする。固定装置43は、内壁11上の断熱ブロック41の固定を確実にする。次に、二次封止膜14が断熱ブロック41上に堆積される。図示の例では、二次封止膜14はインバーで作製されている。これは、互いに隣接して配置され、隆起した縁部で互いに溶接される長いストリップに堆積される。次いで、断熱ブロック44が二次封止膜14上に配置され、この二次封止膜を介して固定手段43によって二次絶縁空間の断熱ブロック41上に固定される。次に、一次封止膜15が断熱ブロック44上に堆積され固定される。一例として、一次封止膜15は、隆起した縁部によって互いに溶接されたインバーストリップで作製することもできる。
【0050】
非常に多くの変形形態が、二重膜タンクを製造することを可能にする。膜14および15は、トリプレックスまたはエンボス加工されたステンレス鋼で作ることができる。断熱ブロック41および44は、同一であっても異なっていてもよい。それらは、木材、ポリマーフォーム、グラスウールなどの高絶縁材料で作られている。固定システムの複数の変形も知られている。さらに、固定システム43における熱伝導を低減するために、断熱ブロック間の隙間をグラスウールまたは別のタイプの断熱材料で充填することが可能である。
【0051】
一次絶縁空間16および二次絶縁空間17は断熱材料で充填されているが、ガスの存在を可能にする特定の自由体積が残っている。安全上の理由から、絶縁空間16および17内の空気は、不活性ガス、例えば窒素によって置き換えられる。この窒素による不動態化は、第1の絶縁空間内および第2の絶縁空間内の天然ガスの漏れの場合に可燃性である混合物の発生を回避することを可能にする。この目的のために、一次絶縁空間16および二次絶縁空間17には、注入ダクト21および22と、不活性ガスを抽出するためのダクト23および24とが設けられている。注入ダクト21および22は、例えば、液体ドームの高さに配置され、注入弁25および26によって圧力下で窒素貯蔵に接続される。抽出ダクト23および24は、例えばガスドームの高さに配置され、大気、または抽出弁27および28によって排出されたガスを燃焼させることを可能にする装置に接続される。
【0052】
絶縁空間が窒素で満たされているため、それらは漏れの検出にも関与する。窒素のわずかな加圧は、大気圧に対して一次空間16および二次空間17内で行われる。一次絶縁空間16と二次絶縁空間17との間にも圧力差が存在し得る。絶縁空間間の加圧の差は数十ミリバールであり、漏れの方向および/または膜の予圧などの様々な理由で確立される。各空間の圧力をそれに割り当てられた圧力範囲に維持するために、これらの2つの絶縁空間16および17に対して圧力調整が実行される。
【0053】
船体の内壁11、一次封止膜15または二次封止膜14が破断すると、漏れが発生する可能性がある。漏れの種類に応じて、異なる場合が生じる可能性がある。不活性ガスは、一方の空間から他方の空間へ、または外部へ、またはタンクへと移動することができる。液化天然ガスまたは水もまた、一次絶縁空間16または二次絶縁空間17の一方に浸透することができる。それらの構成の結果として、二重膜タンクは、単純な漏れが危険ではないという利点を有する。実際、絶対に回避したい漏れは、船体への天然ガスの漏れである。一次封止膜が破裂した場合、二次封止膜は安全装置として機能する。この安全性を保証するために、二次封止膜および内壁11の完全性を保証することが不可欠であり、したがって、二次封止膜が封止され、したがって無傷であることを定期的または継続的に保証することが不可欠である。
【0054】
これを検証するために、各空間16、17に存在する不活性ガスの量と、各空間に実際に投入された不活性ガスの量とが対応していることを検証して、一次空間16および二次空間17の漏れを検出することが提案されている。
【0055】
流れによる質量変化の測定(方法1)
【0056】
絶縁空間に注入され、そこから抽出される不活性ガスの量の測定によって、2つの瞬間の間に追加され、除去される量を決定することが可能である。変動の第1の測定は、2つの瞬間t1とt2との間の絶縁空間16および17への不活性ガスの追加量および/または除去量の変動を得るために実行される。
【0057】
この変動の第1の測定は、異なる方法で実行することができる。第1の実施形態によれば、注入ダクト21、22および抽出ダクト23、24に配置された圧力センサ221、222、223、224、225、226、227、228によって圧力差を決定する一方で、注入弁25、26および抽出弁27、28の開放の割合/レベルを知ることで十分である。変形例は、上述の圧力センサ221、222、223 224、225、226、227および228の代わりに、弁の上流および下流の異なる圧力の分析的決定からなることができる。
【0058】
注入弁25、26および抽出弁27、28の各々の上流および下流に配置された温度センサ121から128に対する補完として、当業者に知られている式(上流/下流圧力、弁特性または「VC」、および上流温度でのガスの密度に応じて)に基づいて、この情報は、弁の開口のレベルに応じてそれらの質量流量を決定することを可能にする。
【0059】
所与のレベルの開口部で費やされる時間は、各絶縁空間に追加されるか、または各絶縁空間から抽出される量を決定することを可能にする。追加されたガスの合計から、2つの瞬間t1とt2との間に抽出されたガスの合計を減算することにより、各絶縁空間について、これらの2つの空間間のガスの質量の変化を、開口のレベルに従って、したがって弁25から28の質量流量に従って決定することが可能になり、その主な役割は、絶縁空間の圧力を作動圧力の範囲内に自動的に維持することである。弁25~28が手動で操作される場合、流れの測定に別の方法を使用することが好ましい場合がある。
【0060】
図6によって示される第2の例によれば、流量計325~328は、例えば注入弁25、26の上流および抽出弁27、28の下流で、注入ダクト21、22および抽出ダクト23、24上に配置される。流量計325~328は、各絶縁空間16または17に注入または抽出されるガスの量を測定または計算することを可能にする。2つの瞬間t1とt2との間で抽出されたガスの合計よりも注入されたガスの合計が少ないことにより、各絶縁空間について、これらの2つの瞬間t1とt2との間のガスの量の変動を正確に決定することが可能になる。
【0061】
各絶縁空間に注入される、または各絶縁空間から抽出されるガスの量の計算は、第1および第2の例の組み合わせた適用、言い換えれば、注入ダクト21、22または抽出ダクト23、24に配置された圧力センサ221、222、223 224、225、226、227および/または228を使用する一方で、注入弁25、26または抽出弁27、28の弁の開口の割合/レベルと、注入ダクト21、22または抽出ダクト23、24に配置された流量計325~328のうちの1つまたは複数を把握することにより導出することができる。
【0062】
方法1の前述の2つの実施形態が異るように、すなわちより概略的に表現される場合、以下に与えられる提示が考慮され得る。
【0063】
上述の第1の例では、少なくとも、
-一次絶縁空間16および二次絶縁空間17の各々のための入力弁の上流の圧力センサ(従来から一次絶縁空間16および二次絶縁空間17の入力弁の下流に圧力センサが既に存在することを理解されたい)と、
-一次絶縁空間16および二次絶縁空間17の各々のための出力弁の下流の圧力センサ(一次絶縁空間16および二次絶縁空間17の上流に圧力センサが既に存在するという知識において)と、
-一次絶縁空間16および二次絶縁空間17の各々のための入力弁の上流の温度センサと、
-一次絶縁空間16および二次絶縁空間17の各々のための出力弁の上流の温度センサと
を有する必要がある。
【0064】
温度センサおよび弁の両側に配置された圧力センサの対は、一次絶縁空間16および二次絶縁空間17のそれぞれの入力および出力の流れを測定/計算することを可能にする。
【0065】
上述の第2の例では、少なくとも、
-一次絶縁空間16および二次絶縁空間17の各々に対して、入力弁の上流(または下流)に設置された流量計と、
-一次絶縁空間16および二次絶縁空間17の各々のために出力弁の上流(または下流)に設置された流量計と
を有する必要がある。
【0066】
タンクの両側の流量計は、一次絶縁空間16および二次絶縁空間17のそれぞれの流入流および流出流を測定することを可能にする。
【0067】
質量評価による質量変化測定(方法2)
【0068】
この変動の最初の測定を検証するために、同じ2つの瞬間(t1およびt2)に絶縁空間16および17内に実際に存在する不活性ガスの正確な量を測定する必要がある。各絶縁空間16、17に実際に存在する不活性ガスの量の測定は、不活性ガスの体積、温度および圧力を考慮して行われる。しかしながら、タンクのサイズ、ならびに絶縁空間16および17の性質を考慮して、温度および圧力が絶縁空間の内部で均一ではないことを考慮に入れなければならない。
【0069】
理想的には、不活性ガスの正確な量を決定するために、絶縁空間16または17の各要素体積に加えられる温度および圧力を決定して、そこから含まれるガスの量を推定する必要がある。そして、各基本空間に含まれるガスの量の総和により、絶縁空間16または17に含まれるガスの総量を求めることができる。
【0070】
実際には、各絶縁空間を複数の容積に分割することが可能であり、その温度および圧力は、限られた数のセンサで比較的正確に決定または推定することが可能である。センサの数が多いほど、推定がより正確になることが理解されよう。
【0071】
センサの数を決定するために、上述の例では、一次膜14および二次膜15ならびに内壁11が、それらの薄い厚さおよび高いレベルの熱伝導率を考慮して、いずれの側が関係する位置であるかにかかわらず均一な温度にあるという事実が考慮されている。また、均質な環境によって分離された2つの温度測定点間では、これら2つの測定点間の温度の線形勾配が考慮される。
【0072】
温度センサ111は、外壁11上の異なる位置に配置される。典型的には、内壁11を構成する各面に少なくとも1つの温度センサ111が配置される。温度センサ114は、同じ二次封止膜14上の異なる位置に配置される。典型的には、二次封止膜14を構成する各面に少なくとも1つの温度センサ114が配置される。一次封止膜の温度は、タンク2の内部の温度によって決定される。いくつかの温度センサ130は、例えば、流体30の充填および排出のためのラインを保持するための構造上に固定され、その液相および気相の流体の温度を測定することを可能にする。別個の設備はまた、タンクの充填レベル(液相を流体102の気相から分離する界面の高さ位置)を連続的に決定することを可能にする。
【0073】
内壁11の任意の点の温度は、その点の近傍に位置する温度センサ111に従って加重平均を計算するための式を適用することによって決定することができる。好ましくは、温度の強い変動の影響を受けやすい場所により多くの温度センサが配置される。典型的には、船舶の中間デッキの形態で製造することができる内壁11の上面は、他の面よりも多い複数の温度センサ111を備える。実際、液体12およびガス13のドームは、タンク2の上部にあり、保持構造30と、注入ダクト21、22および抽出ダクト23、24ならびに蒸気回収器32の交差部材とを支持し、これらは、輸送されるガスに関連する温度にあり、したがって低温であるが、太陽の熱下にもあり、したがって他の場所よりも高い温度にある。
【0074】
二次封止膜14の任意の点の温度はまた、その点の近傍に位置する温度センサ114による加重平均の計算によって決定される。センサ114の数はまた、関連する面の温度の推定される均一性に依存する。
【0075】
二次絶縁空間17は、二次封止膜14と内壁11との間に固体(任意選択的に多孔性)の絶縁材料で充填されている。均質な固体材料では、特定の確立時間の後、温度勾配が材料の2点間で線形である平衡状態に達する。二次絶縁空間17の点の温度は、内壁11および二次封止膜14に対するこの点の位置に依存する。温度は、内壁11に最も近い点と二次封止膜14との間の単純な加重平均によって計算することができる。
【0076】
一次封止膜15の温度は、液相および気相の流体の温度によって決定される。流体は、(タンクの内圧に応じて)その液相とその気相との間の平衡温度でタンク内に維持される。実験的測定は、気相中のガスの温度が、液体ガスの表面からの距離に応じて温度上昇層内で層状になることを示している。
【0077】
タンク2の底部からタンクの上部まで、一次封止膜15の温度は、同じ高さでの貨物の温度である。温度センサ130の位置に対応するタンクの高さについて、温度は、温度センサ130によって測定された温度に対応する。他の高さについては、既知の温度間で温度間の線形補間が実行される。図7は、温度センサ130およびレベルセンサ102によって生成された、タンク2内のこのタイプの温度の近似を示す。この近似は、測定点の高さに応じた一次封止膜15の温度を与える。
【0078】
一次絶縁空間16は、二次封止膜14と一次封止膜15との間に固体(任意選択的に多孔性)の断熱材料で充填される。一次絶縁空間16のある点の温度は、一次封止膜15および二次封止膜14に対するこの点の位置に依存する。
【0079】
注入ダクト21、22および抽出ダクト23、24に配置された圧力センサ221、222、223および224は、一次絶縁空間16および二次絶縁空間17の上部の圧力を測定することを可能にする。このようにして測定された圧力は、絶縁空間16および17の任意の点におけるガスの圧力と考えることができる。一例では、絶縁空間16、17内のガスの高さに応じて圧力を補正することができる。
【0080】
絶縁空間16および17は、タンク製造業者に知られているサイズおよび形状を有する。また、これらの空間を満たす固体材料は、それらの多孔度および固体材料を含まない自由空間と同様に知られている。この知見に基づき、各絶縁空間16、17の任意の基本空間について、気体を充填できる自由体積を決定することができる。この基本体積の基本質量は、例えば、完全ガスの法則から導出される以下の式によって推定することができる。
【0081】
【数1】
【0082】
この場合、不活性ガスの密度ρは、以下により決定される:
【0083】
【数2】
【0084】
ここで、MNは窒素のモル質量(この場合、この例では、望ましくないガスが存在するという仮説は考慮されていない)、Pは基本空間の窒素圧力、Rは完全気体の普遍定数、Tは基本空間の温度、φは基本空間の環境の平均多孔度、dVは基本空間の体積である。
【0085】
すべての基本質量の合計により、絶縁空間16および17の各々に存在する不活性ガスの総質量を決定することが可能になる。
【0086】
各絶縁空間を特定の特性を有する複数の体積に分割することを使用してガスの質量の決定を行うことも可能であり、これにより計算を簡単にすることができる。これは、不活性ガスが絶縁空間16および17の各々の中を循環することを可能にする自由空間を特徴付けることになる。断熱ブロック41および44が独立気泡発泡体で作られる場合、多孔度は約1%である。一例として、グラスウールで満たされた断熱ブロック間の隙間は、約85%の多孔度を有する。さらに、膜の近傍には、膜がステンレス鋼で作られている場合、前記膜の平面および/または膜の伸縮継手に対して垂直に生成された溶接継手に対応する自由空間がある。このように定義された自由体積は既知であり、互いに独立してモデル化することができる。
【0087】
膜の近くの自由空間の寸法が小さいことを考慮して、これらの自由空間内の不活性ガスはすべて膜と同じ温度であり、これにより、関係する体積が既知であるため、膜の平均温度に従ってガスの質量を決定することが可能になる。絶縁空間内の温度場は、温度が絶縁空間の厚さ方向に直線的に分布するという法則によって近似することができる。環境の多孔度を考慮することによって、自由空間に含まれるガスの質量を決定することが可能である。絶縁空間16または17の自由空間に含まれるガスの質量の合計は、前記絶縁空間に含まれるガスの総質量を与える。
【0088】
さらに単純化された変形例によれば、各絶縁空間16または17の半分と膜14または15または内壁11との間に位置する各自由半空間内に位置する不活性ガスの自由体積が決定される。次に、対応する質量のガスを得るために、膜14もしくは15または内壁11の平均温度を、その近傍の自由な半分の空間に適用し、次いで、各空間内のガスの質量を得るために、それを関係する絶縁空間の他の質量のガスに加える。
【0089】
使用される質量計算方法に関係なく、そこから第2の変動測定値を推定することができるようにするために、質量測定は瞬間t1で実行されなければならず、質量測定は瞬間t2で実行されなければならない。第2の変動測定値はまた、絶縁空間16および17に追加および/または除去される不活性ガスの量に対応し、これは第1の変動測定値と比較することができる。
【0090】
質量計算の精度の理由から、液体ガスのレベル、圧力および温度の測定値は、測定期間にわたって平均化することができる。実際、これらの測定値の1つの一時的な変動は質量計算を改ざんする可能性があるが、一時的な変動の影響を受けないためには、短い測定期間にわたって平均値をとるだけで十分である。一例として、液体ガスは、波が形成される自由液体表面を有する。これにより、レベル測定装置102が影響を受ける可能性がある。また、一例として、絶縁空間の1つに窒素が注入または抽出されると、弁の温度が局所的かつ一時的に低下し、このタイプの動作の直前もしくは直後または動作中に測定が行われる場合、誤った測定が行われる可能性がある。同様に、タンクのサイズが大きいということは、絶縁空間内のガスの実際の循環が瞬間的ではないことを意味する。窒素の追加または抽出後の圧力平衡は即時ではなく、数十秒かかることがある。
【0091】
これにより、測定誤差の影響を受けないように、例えば5~15mn程度の測定期間を設けることができる。測定期間は、第1の瞬間t1および第2の瞬間t2の周辺に配置することができる。例えば、期間の一方は第1の瞬間t1の後に開始し、期間の他方は第2の瞬間t2の前に終了し、第2の瞬間t2は第1の瞬間t1の後に行われる。好ましくは、測定瞬間t1とt2との間の差は、測定期間よりもはるかに大きい。
【0092】
最も正確な測定を得るためには、測定期間中に不活性ガスを追加および抽出しないことが好ましい。しかしながら、これは、測定期間中に何らかの動作が禁止されている場合にのみ可能であり、必ずしも可能にする必要はない。別の可能性は、測定を連続的に実行し、ある期間にわたってスライドする方法で平均測定値を作成することである。スライド手段の中から測定期間を選択するために使用することができる基準は、スライド期間中にガスを追加および抽出しないこと、またはスライド期間中にガスを追加または抽出することが無視できるほどわずかであることからなる。
【0093】
漏れの検出
【0094】
異なる測定原理を説明したので、次に、漏れがどのように検出されるかについて説明しなければならない。図8は、主にマンマシンインタフェース81、計算ユニット82、および入出力インタフェース回路83を備える漏れ検出装置80の機能図を示す。マンマシンインタフェース81は、測定値および漏れ警告の結果を表示すると共に、適用可能であればシステムとの相互作用を可能にするために使用される。計算ユニット82は、プログラムを実施し、一時的および永続的に情報を記憶するために、マイクロプロセッサおよびメモリを備える。入出力インタフェース回路83は、タンク2上に配置されたすべてのセンサ、特にレベルセンサ102、温度センサ111~130の一部または全部、圧力センサ221~228の一部または全部、任意選択で流量計325~328、ならびに注入弁制御入力25、26および抽出弁制御入力27、28に接続された回路である。
【0095】
特定の実施形態によれば、漏れ検出装置80は、船舶1の制御室に配置された標準的なコンピュータであり、入出力インタフェース83は、センサと通信し、弁を制御することを可能にする標準的な通信インタフェースボードである。このタイプの通信ボードは、例えば、すべてのセンサが同様である場合、標準的なUSBと互換性を有することができ、またはセンサがこのタイプの通信インタフェースを備えている場合、Wi-FiまたはZigbeeタイプの無線通信ボードとすることができる。
【0096】
計算ユニット82によって実施されるプログラムのうち、第1のプログラムは測定の実施に関する。計算のために選択されたオプションに応じて、この第1のプログラムは、測定が実行されるたびにトリガされるか、または継続的に実行され、実行された測定値を定期的に記憶し、その後使用される。重要なことは、測定プログラムが前述の方法の1つに従って測定を実行することを可能にし、後述する第2の漏れ検出プログラムの実施を可能にすることである。
【0097】
図9は、漏れ検出装置80によって実施される漏れ検出方法の一実施形態を示す。図9による方法は、各絶縁空間16および17に固有の2つの独立したループを含む。
【0098】
第1のループは、前述の2つの計算モードに従って一次絶縁空間16内の不活性ガスの質量の変動を決定することを可能にするすべてのデータを検索するように設計された2つのデータ取得ステップ911および912を実行する。第1のデータ取得ステップは、注入ダクト21および抽出ダクト23によって瞬間t1とt2との間に注入および抽出されたガスの流れの測定値を取り出すことからなる。実装された測定プログラムに応じて、このタイプのステップ911は、瞬間t1で流量測定開始をトリガして瞬間t2で測定の終了を示すことによって、またはこれらの2つの瞬間の間のガスの注入および抽出に対応する瞬間t1と瞬間t2との間に実行されたすべての流量測定値を読み取って組み込むことによって実行することができる。
【0099】
第2のデータ取得ステップ912は、瞬間t1およびt2の一次絶縁空間に固有の圧力および温度測定値を取り出すことからなる。実装された測定プログラムに応じて、このタイプのステップ912は、瞬間t1(または瞬間t1に続く期間にわたって)および瞬間t2(または瞬間t1に先行する期間にわたって)で圧力測定および温度測定をトリガすることによって、または瞬間t1およびt2の周辺で行われた測定を読み取り、それらを適切な測定期間に組み込むことによって実行することができる。
【0100】
典型的には、t1とt2とを分離する期間は、漏れを区別することができるほど十分に長くなければならないが、有用な検出を可能にするためにはかなり短くなければならない。例えば、t1とt2とを分離する持続時間は、1~数時間である。
【0101】
第1および第2データ取得ステップ911、912の後に、第1計算ステップ921および第2計算ステップ922が行われる。第1の計算ステップ921は、不活性ガスの質量の第1の変動ΔM1を決定するために、第1のデータ取得ステップ911中に注入ダクト21および抽出ダクト23によって瞬間t1とt2との間に注入または抽出されたガスの流れの測定値を使用する。不活性ガスの質量のこの第1の変動ΔM1は、第1の瞬間t1と第2の瞬間t2との間で、注入ダクト21によって追加され、抽出ダクト23によって除去される不活性ガスの総質量の結果である。
【0102】
第2の計算ステップ922は、不活性ガスの質量の第2の変動ΔM2を決定するために、第2のデータ取得ステップ912の間に検索された瞬間t1およびt2の一次絶縁空間に固有の圧力および温度測定値を使用する。不活性ガスの質量のこの第2の変動ΔM2は、第1の瞬間t1に一次絶縁空間16に含まれる不活性ガスの第1の質量を決定することによって、第2の瞬間t2に一次絶縁空間16に含まれる不活性ガスの第2の質量を前述の計算方法のうちの1つを使用して決定することによって得られ、次いで、第2のガスの質量と第1のガスの質量との間の差、すなわち、以下を計算することによって得られる。
【0103】
[数3]
ΔM2=mass(t2)-mass(t1).
【0104】
第1の比較ステップ931は、不活性ガスの質量の第1の変動ΔM1と不活性ガスの質量の第2変動ΔM2との第1の差E1を計算し、この第1の差E1を第1の閾値S1と比較するために使用される。典型的には、第1の差E1は、不活性ガスの質量の第1の変動ΔM1と第2の変動ΔM2との間の単純な差である。第1の差E1は、同じ変動の2つの測定モード間の差を表す。一次絶縁空間が無傷である場合、言い換えれば、漏れがない場合、この第1の差は実質的に0でなければならない。しかしながら、測定誤差および計算誤差はわずかな差を示す可能性がある。また、第1の閾値S1は、測定チェーンに依存する最大誤差に対応すると決定される。第1の差E1と第1の閾値S1との比較は、絶対値として行われる。第1の差E1が第1の閾値S1より大きい場合、それは漏れが可能であることを意味し、第1の警告ステップ941が実行される。一方、第1の差E1が第1の閾値S1以下である場合、それは明らかに漏れがないことを意味し、第1の差E1はプロセスの残りの部分のために記憶される。第1のループは、冗長測定によって再開するために、確認期間だけインクリメントされた時点t1およびt2に対応する第3の瞬間t3および第4の瞬間t4で終了する。
【0105】
第1の警告ステップ941は、第1の差分E1が大きすぎるという警告として機能し、したがって、この差分測定値に注意を喚起するために視覚的または聴覚的な警告を断続的に発生させることができる。しかしながら、第1の差E1が大きすぎても、この差は漏れではなく、特定の測定条件に起因し得る場合がある。これは、特に、局所的に、急速に、および著しく変化し得る温度を有する一時的な相の間の場合であり、一方、測定および計算条件は、材料中の温度平衡を考慮する。したがって、漏れがあると直ちに結論付けるべきではなく、警告Aは、その後の再使用の目的で、第1の差E1ならびに瞬間t1およびt2と共に記憶される。他の検証により、漏れ、特に後に実行される試験ステップ950および960を特徴付けることが可能になる。変形例によれば、視覚的または聴覚的警告をトリガする前に、大きすぎる第1の差E1で警告Aが既に1回または数回記憶されているかどうかがメモリ内で検証される。
【0106】
第2のループは、第1のループと同一であるが、二次絶縁空間に対して実行される。データを取得する第3のステップ913は、データを取得する第1のステップ911と同様であるが、注入22および抽出24によって注入または抽出されたガスの流れの測定のために、瞬間t1とt2との間にダクトを設ける。データを取得する第4のステップ914は、データを取得する第2のステップ912と同様であるが、瞬間t1およびt2における二次絶縁空間に固有の圧力および温度測定値についてのものである。計算の第3のステップ923は、計算の第1のステップ921と同様であり、第1の瞬間t1と第2の瞬間t2との間に注入ダクト22によって追加され、抽出ダクト24によって除去される不活性ガスの総質量の結果である不活性ガスの質量の第3の変動ΔM3を計算する。計算の第4のステップ924は、計算の第1のステップ922と同様であるが、第1の瞬間t1に二次絶縁空間17に含まれる不活性ガスの第3の質量を決定することによって、第2の瞬間t2に二次絶縁空間17に含まれる不活性ガスの第4の質量を決定することによって、次いで、第4のガスの質量と第3のガスの質量との間の差、すなわち、以下を計算することによって得られる、不活性ガスの質量の第4の変動ΔM4を計算する。
【0107】
[数4]
ΔM4=mass(t2)-mass(t1)
【0108】
比較の第2のステップ932は、比較の第1のステップ931と同様であるが、不活性ガスの質量の第3の変動ΔM3と不活性ガスの質量の第4の変動ΔM4との間の第2の差E2を計算し、この第2の差E2を第2の閾値S2と比較する。典型的には、第2の差E2は、不活性ガスの質量の第3の変動ΔM3と第4の変動ΔM4との差である。第2の差E2は、同じ変形例の二つの測定モード間の差を表し、二次絶縁空間17の無傷を表す。第2の閾値S2は、最大測定誤差に対応すると判定される。第2の差E2と第2の閾値S2との比較は、絶対値として行われる。第2の差E2が第2の閾値S2よりも大きい場合、それは漏れの可能性があることを意味し、第2の警告ステップ942が実行される。第2の差E2が第2の閾値S2よりも大きくない場合、それは明らかに漏れがないことを意味し、第2の差E2はプロセスの継続のために記憶される。第2のループは、確認時間だけインクリメントされた瞬間t1およびt2に対応する第3の瞬間t3および第4の瞬間t4において再開するために終了する。
【0109】
第2の警告ステップ942は、第1の警告ステップ941と同様であるが、第2差E2に関連する。警告Aは、その後の再使用のために、第2の差E2および瞬間t1およびt2と共に記憶される。次いで、試験ステップ950および960が実行される。変形例によれば、視覚的または聴覚的警告をトリガする前に、警告Aが既に1回または数回、大きすぎる第2の差E2で記憶されているかどうかをメモリ内で検証する。
【0110】
試験ステップ950は、第1の差E1もしくは第2の差E2、または第1のおよび第2の差E1およびE2が大きすぎるために漏れが検出される可能性を検証するステップである。このステップの間に、これらの差E1およびE2の変動が補償されるかどうかを検証するために、第1の差E1と第2の差E2との比較が行われる。言い換えると、差E1またはE2が、絶縁空間16または17の一方におけるガスの損失を示し、他の差E2またはE1が、絶縁空間17または16の他方におけるガスの増加を示す場合、2つの空間の間に漏れが存在し、この漏れが二次封止膜14内に位置する可能性が高い。試験を実行するために、第1の差E1および第2の差E2の代数和が実行される。二次膜に漏れがある場合、第1の差E1は第2の差E2の反対でなければならず、したがってそれらの合計は0でなければならない。絶対値としての和と第3の閾値S3との比較が行われる。合計が閾値S3よりも大きい場合、試験は関連性がなかったと考えられ、瞬間t3およびt4において処理を再開するために少なくとも確認時間待機することが可能である。反対に、合計が第3の閾値S3よりも低い場合、警告ステップ970が実行されなければならない。
【0111】
警告ステップ970は、さらなる検証のために、言及F4を有する警告Aを記憶する。言及F4は、二次封止膜内の可能性のある漏れの特定、ならびに瞬間t1およびt2を含む。さらに、二次封止膜の漏れを乗組員に警告するために、視覚的または聴覚的警告をトリガすることができる。視覚的または聴覚的警告は、言及F4で記録された第2の警告がある場合にのみトリガすることができる。この警告ステップ970の終わりに、瞬間t3およびt4において処理を再開するために、少なくとも確認時間の間待機する。
【0112】
試験ステップ960は、第1の差E1もしくは第2の差E2、または第1のおよび第2の差E1およびE2が大きすぎるために漏れが検出される可能性を検証するステップである。このステップの間に、これらの差E1およびE2が実質的に等しいか否かを検証するために、第1の差E1と第2の差E2との比較が行われる。これらの差E1およびE2が実質的に等しい場合、2つの別個の壁に2つの同一の漏れがあり、可能性は低いが、または系統誤差を生じさせている測定状況があるかのいずれかである。これは、例えば、測定値が本来よりも明らかに誤っている一時的な段階に対応する。一方、第1のおよび第2の差E1およびE2が等しくない場合、これは漏れの検出の確率を強化する。第1の差E1と第2の差E2との代数差が計算される。そして、この差分を絶対値として第4の閾値S4と比較する。差が第4の閾値S4以下である場合、第1のおよび第2の差E1およびE2は実質的に等しく、最も良いのは、瞬間t3およびt4において処理を再開するために少なくとも確認時間だけ待つことである。一方、差が第4の閾値S4より大きい場合、警告ステップ980が実行されるべきである。
【0113】
警告ステップ980は、後続の検証のために、言及F3を有する警告Aを記憶する。言及F3は、第4の閾値よりも大きい差E1およびE2、ならびに瞬間t1およびt2の識別を含む。さらに、乗組員に潜在的な漏れを警告するために、視覚的または聴覚的警告をトリガすることができる。視覚的または聴覚的警告は、言及F3で記録された第2の警告がある場合にのみトリガすることができる。この第3の警告ステップ980の終わりに、瞬間t3およびt4において処理を再開するために、少なくとも確認時間の間待機する。
【0114】
図9では、データ取得のステップ911~914が並行して実行され、その後に計算ステップ921~924が続く。しかしながら、これらのステップは、取得ステップで行われる測定が同じ瞬間t1およびt2で行われ、第1の計算ステップ921が第1の取得ステップ911の後に行われ、第2の計算ステップ922が第2の取得ステップ912の後に行われ、第3の計算ステップ923が第3の取得ステップ913の後に行われ、第4の計算ステップ924が第4の取得ステップ914の後に行われる限り、任意の順序で連続して行うことができる。
【0115】
また、比較のステップ931および932ならびに警告ステップ941および942は、より連続して実行することができる。重要なことは、第1の差E1および第2の差E2を計算すること、第1の差E1が第1の閾値S1より大きい場合、第1の差E1の値を有する警告Aを記憶すること、および/または第2の差E2が第2の閾値S2より大きい場合、第2の閾値E2の値を有する警告Aを記憶することである。
【0116】
試験ステップ950および960ならびに警告ステップ970および980は、並行してまたは順次に実行することができる。場合によっては、試験ステップ950または960を省略することができる。
【0117】
漏れの確認
【0118】
前述のように、プロセスは、漏れの可能性を検出し、警告を発することを可能にする。前述のように、誤検出の原因は一時的な温度状態と関連付けることができる。目安として、タンク2の充填中、一次封止膜15の温度は、タンクが以前に排水されていた場合、80℃、さらには160℃を超えて変化し得る。この種の温度変化は、各材料の温度の線形分布に対応する熱平衡状態に達するために、一次絶縁空間16を通って、次いで二次絶縁空間17を通って伝播される。絶縁空間16および17の特定の特徴は断熱性であることからなり、これは高レベルの熱抵抗に対応し、したがって温度の変化の伝播を遅くする。したがって、温度の著しい変化中またはその後に行われる測定は、温度変化の一時的な状態に関連する誤差によって汚染され得る。一時的な状態に関連するこのエラーは、誤警告の原因となり得る。
【0119】
一時的な状態の影響を回避するための手段は、温度センサの数をかなり増やすことと、計算による温度の決定を減らすこととからなる。主な欠点は、この一時的なエラーの影響を完全に受けないようにするために、センサの数が非常に多くなければならず、機器のコストが許容できないことである。したがって、このタイプのエラーは、別の方法で修正されなければならない。
【0120】
タンクの充填に関連する温度の変動は比較的大きい。第1の可能性は、タンクを充填した後、警告を考慮する前に、安定化時間、例えば2日間にわたって待機することである。
【0121】
さらに、タンクの充填とは別に、船舶の2つのタンク間の液体ガスの部分的な移動、または数時間で数十度の外部温度の変動など、実質的な温度変動を引き起こす条件があり得る。この種の条件は、数時間にわたって測定値を改ざんする可能性がある。
【0122】
したがって、確認時間が経過した後に、方法を繰り返して自動的に警告を確認することが好ましい。したがって、確認時間だけインクリメントされた瞬間t1およびt2に対応する瞬間t3およびt4において、プロセスが繰り返される。確認時間は、t1とt2とを隔てる期間と等しいか、またはそれより大きくすることができる。さらに、警告Aが記録されるたびに、警告条件および警告瞬間に対応する瞬間が記録される。したがって、漏れ検出装置は、それ自体で警告が繰り返されたかどうかをチェックし、前記警告が繰り返された場合にのみ視覚的または聴覚的警告をトリガすることができる。視覚的または聴覚的警告をトリガする前に警告が繰り返される回数は、例えば警告のタイプに応じて、システム内で構成することができる。過度の差E1またはE2に単に関連付けられた警告は、第2の基準が考慮される警告F3またはF4よりも多くの反復を必要とする場合がある。
【0123】
視覚的または聴覚的な警告を発生させる場合、警告を人間が確認しなければならないことが理解されよう。特に、警告を確認または無効にするために、特定のパラメータを変更することが可能である。表示として、確認時間が例えば1日であり、t1とt2との間の時間が、強い熱を伴う緯度でのピーク日照時間9時間~12時間に対応する場合、時間の特定の選択はそれ自体が誤警告の原因となり得、これは、一時的な状態で実行される測定に対応する。乗組員は、漏れを確認するために、t1とt2とを分ける時間と、確認時間とに、計測条件を変更して漏洩が確認されたか否かを確認するための行動をとることができる。
【0124】
さらに、記録された警告を分析することにより、漏れを無効にしたり、漏れの位置を特定したりすることも可能になる。絶縁空間16、17は、大気圧に対して、また、タンクの圧力に対してわずかに過圧または低圧の状態にある。また、2つの絶縁空間の間の圧力が異なっており、漏れがある場合には、この漏れは、最も高い圧力から最も低い圧力に向かう一定の方向に向かう必要がある。第1のおよび第2の差E1およびE2は、ガスが漏れているかどうか、またはガスが注入および抽出ダクトの外側の関連する絶縁空間に到達しているかどうかを示し、これも漏れの方向に対応する。第1の差E1および第2の差E2に関する方向の決定がガスの可能な方向と適合しない場合、警告は誤警告である。一方、第1の差E1および第2の差E2に関する判定が、ガスの可能な方向と一致する場合、警告を確認することができる。
【0125】
したがって、警告を複数回確認した後、漏れの強い可能性、ならびに漏れが位置する壁を決定することが可能になる。実際、警告F3および警告F4が複数の方法で確認される場合、漏れは二次封止膜上にある。警告F3が差E1で確認され、警告F4が確認されない場合、漏れは一次封止膜内にある。警告F3が差E2で確認され、警告F4が確認されない場合、漏れは二次封止膜内にある。
【0126】
さらに、ガス輸送船は、存在すべきでないガスの存在を検出するために、タンク内および各絶縁空間内にガスタイプの検出器を有することができる。二次空間における酸素または水の存在の検出は、船体の内壁における漏れを示す。一次空間内のメタン、エタン、ブタン、またはプロパンなどのタイプの炭化水素の検出、または液体ガスタンク内の窒素の検出は、一次封止膜からの漏れを示す。これらの異なる検出手段を用いることで、漏れの確認の冗長性を得ることができる。
【0127】
他の変異体
【0128】
本発明は、各空間に固有の2つの差E1およびE2を得るために、2つの異なる方法に従ってガスの質量の変動の計算を実行する二重膜タンクに関して説明されている。特に二次封止膜で漏れを検出するために、二重膜タンクを備えたこのタイプの装置を使用することが特に有利であるが、単一の絶縁空間でのみ漏れを検出するために簡略化されたシステムを使用することが可能である。
【0129】
二重膜タンクの場合、前述のように、外部ガスの存在による漏れの検出は、絶縁空間16および17ならびにタンク2内で実行することができる。検出の冗長性を追加することなく、漏れを検出するための他の手段と組み合わせて二次封止膜内の漏れのみを検出することが望まれる場合、絶縁空間の1つにおける変動の測定値の使用で十分であり得る。したがって、単一の差E1またはE2が測定され、試験ステップ950および960ならびに警告ステップ970および980は実行されない。実際に、差E1またはE2を複数確認することにより、測定が行われている絶縁空間における漏れの強い確率を決定することが可能になる。漏れを検出するための他の手段が漏れを示さない場合、漏れは二次封止膜内にのみ存在し得る。単一の空間における質量の変動の二重検出の使用は、二次封止膜の漏れの検出を改善することを可能にし、これは、冗長なシステムを有することが望まれない場合に十分であると考えることができる。
【0130】
別の変形形態によれば、本発明は、例えば液体石油ガス(LPG)タンクなどの単一の絶縁空間のみを有するタンクに適用することができる。この場合、算出する差分は1つにすることができる。このタイプのシステムは、単独で、または別の漏れ検出装置と冗長に使用することができる。
【0131】
説明は、複数のタンクを有する輸送船を指す。漏れ検出装置80は、タンクの数を乗算することができ、または必要に応じて、各タンクで本方法を実施するのに必要なセンサを備えた複数のタンクと共に単一の漏れ検出装置を使用することができる。この最後の場合、漏れ検出装置は、タンクが存在する回数だけ漏れ検出アルゴリズムを実施する。
【0132】
また、本発明は輸送船に限定されない。実際、これは、1つまたは複数のタンクを備える任意のタイプの液体ガス貯蔵設備に適用される。設置タンクは、1つまたは2つの絶縁空間を有するタンクとすることができる。漏れ検出装置は、必ずしも船舶の制御室ではないタンクの監視のための場所に遠隔配置することができる。
【0133】
本発明を複数の特定の実施形態に関連して説明してきたが、本発明は決してこれらに限定されず、記載された手段のすべての技術的等価物、ならびにこれらが本発明の範囲内にある場合にはそれらの組み合わせを含むことが理解されよう。
【0134】
動詞「含む(contain)」、「備える(comprise)」または「含む(include)」およびそれらの活用形の使用は、特許請求の範囲に記載されているもの以外の要素またはステップの存在を排除するものではない。要素またはステップに対する不定冠詞「a」または「an」の使用は、特に明記しない限り、複数のそのような要素またはステップの存在を排除しない。
【0135】
特許請求の範囲において、括弧内のいかなる参照も、特許請求の範囲の限定として解釈することはできない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】