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特表2022-519807抗凝固因子XI活性型因子XIa抗体並びにその調製方法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-25
(54)【発明の名称】抗凝固因子XI活性型因子XIa抗体並びにその調製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20220317BHJP
   C07K 16/36 20060101ALI20220317BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220317BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220317BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20220317BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220317BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20220317BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220317BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20220317BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20220317BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/36 ZNA
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 N
A61K31/7088
A61K48/00
A61K35/76
A61K35/12
A61P7/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541199
(86)(22)【出願日】2019-10-22
(85)【翻訳文提出日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 CN2019112412
(87)【国際公開番号】W WO2021022676
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】201910729990.5
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521132565
【氏名又は名称】上海博槿生物科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】MAB-LEGEND BIOTECH CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王 少雄
(72)【発明者】
【氏名】須 ▲ジュ▼華
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲ウン▼華
(72)【発明者】
【氏名】陳 永峰
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA91X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZA54
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA54
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB65
4C087BC83
4C087CA12
4C087CA20
4C087NA14
4C087ZA54
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA24
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本願は、抗凝固因子XI活性型因子XIa抗体並びにその調製方法及び使用を提供しており、前記抗体の抗原結合断片の重鎖可変領域のCDRがSEQ ID NO:1~3に示されるアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域のCDRがSEQ ID NO:4~6に示されるアミノ酸配列を含み、前記抗体は、FXIaに特異的に結合できるが、FXIに結合せず、ヒトの血液凝固の内因性経路を抑制するが、外因性経路に影響を与えない作用を有し、動静脈シャント血栓の形成を顕著に抑制できるが、出血時間及び出血量を増加させることはなく、抗血栓薬物になる潜在的な可能性がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗原結合断片であって、
前記抗原結合断片の重鎖可変領域のCDRがSEQ ID NO:1~3に示されるアミノ酸配列を含み、且つ
前記抗原結合断片の軽鎖可変領域のCDRがSEQ ID NO:4~6に示されるアミノ酸配列を含む、抗原結合断片。
【請求項2】
前記抗原結合断片の重鎖可変領域のCDRがSEQ ID NO:7~9に示される核酸配列を含み、且つ
前記抗原結合断片の軽鎖可変領域のCDRがSEQ ID NO:10~12に示される核酸配列を含む、請求項1に記載の抗原結合断片。
【請求項3】
前記抗原結合断片の重鎖可変領域がSEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含み、且つ
前記抗原結合断片の軽鎖可変領域がSEQ ID NO:14に示されるアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗原結合断片。
【請求項4】
前記抗原結合断片の重鎖可変領域がSEQ ID NO:15に示される核酸配列を含み、且つ
前記抗原結合断片の軽鎖可変領域がSEQ ID NO:16に示される核酸配列を含む、請求項1に記載の抗原結合断片。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の抗原結合断片を含む、抗凝固因子XI活性型因子XIa抗体。
【請求項6】
前記抗体は、さらに、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4の定常領域のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合せを含み、好ましくはヒトIgG1定常領域である、請求項5に記載の抗体。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか一項に記載の抗原結合断片あるいは請求項5又は6に記載の抗体をコードするDNA断片を含む、核酸分子。
【請求項8】
請求項7に記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
【請求項9】
前記発現ベクターはpcDNA3.3発現ベクターを含む、請求項8に記載の発現ベクター。
【請求項10】
請求項7に記載の核酸分子あるいは請求項8又は9に記載の発現ベクターによりトランスフェクトされる、宿主細胞。
【請求項11】
前記宿主細胞は哺乳動物細胞を含み、好ましくはチャイニーズハムスター卵巣細胞である、請求項10に記載の宿主細胞。
【請求項12】
請求項1~4のいずれか一項に記載の抗原結合断片あるいは請求項5又は6に記載の抗体の調製方法であって、
(1)抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域のDNA断片を発現ベクターに接続し、それをコンピテント細胞に移し、培養後にモノクローナル細胞をピックアップして選別するステップと、
(2)選別した発現ベクターを宿主細胞に移し、培養して上清を回収し、分離・精製し
て前記抗体を得るステップとを含む、方法。
【請求項13】
請求項1~4のいずれか一項に記載の抗原結合断片、請求項5又は6に記載の抗体、請求項7に記載の核酸分子、請求項8又は9に記載の発現ベクター、あるいは請求項10又は11に記載の宿主細胞のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合せを含む薬物組成物であって、
好ましくは、前記薬物組成物は、薬学的に許容されるベクター、賦形剤又は希釈剤のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合せをさらに含む、薬物組成物。
【請求項14】
請求項1~4のいずれか一項に記載の抗原結合断片、請求項5又は6に記載の抗体、請求項7に記載の核酸分子、請求項8又は9に記載の発現ベクター、請求項10又は11に記載の宿主細胞、あるいは請求項13に記載の薬物組成物のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合せに接続する治療剤であって、
好ましくは、前記治療剤は、薬学的に許容されるベクター、賦形剤又は希釈剤のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合せをさらに含む、治療剤。
【請求項15】
請求項1~4のいずれか一項に記載の抗原結合断片、請求項5又は6に記載の抗体、請求項7に記載の核酸分子、請求項8又は9に記載の発現ベクター、請求項10又は11に記載の宿主細胞、請求項13に記載の薬物組成物、あるいは請求項14に記載の治療剤の、抗血栓薬物の調製における、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、生物工学の分野に属し、抗体並びにその調製方法及び使用に関し、特に、抗凝固因子XI活性型因子XIa抗体並びにその調製方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
血液凝固は複雑なプロセスであり、大まかに、プロトロンビン活性化剤の形成、プロトロンビンからトロンビンへの変換、及びフィブリノーゲンからフィブリンへの変換といった3つの段階に分けられている。プロトロンビン活性化剤の形成には、2種類の異なるメカニズムがあり、それぞれが内因性経路と外因性経路であり、それらの2種類のメカニズムはトロンビン形成とフィブリン形成に纏められるため、後の両者は共通経路とも呼ばれる。凝固反応はカスケードメカニズムを用いて凝固シグナルを段階的に増幅し、その生化学的本質は血漿中の血液凝固因子の一連の酵素反応であり、上流因子がその下流因子を活性化し、最終的に可溶性フィブリノーゲン(FI)を不溶性のフィブリン(FIa)に変換する。
【0003】
血液凝固因子XIの活性型因子XIa(Factor XIa,FXIa)は、内因性血液凝固経路に関与するプロトロンビン凝固因子XI(Factor XI,FXI)が切断されて生成されたトロンビンである。ヒトFXI遺伝子は染色体4(4q32-35)にあり、全長は23kbで15個のエクソンが含まれる。ヒトFXIタンパク質の分子量は160kDでホモダイマー構造であり、各サブユニットは、1本の重鎖と1本の軽鎖を含む607個のアミノ酸で構成され、そのうち、重鎖には4つのAppleドメイン(A domain)が含まれ、軽鎖は主に酵素活性領域である。人体内のFXIタンパク質は主に肝細胞により合成され、血漿中のFXIの濃度は約5μg/mLで、半減期は約52時間である。凝固経路で、FXIは活性化された血液凝固因子FXII(FXIIa)及びトロンビン(thrombin)により活性化され、FXIaが生成され、さらにFIX及び下流の血液凝固反応が活性化されることができる。
【0004】
FXI欠損症のヒトは、通常、自発的な出血を引き起こしなく、出血なし、又はごくわずかな出血傾向がある。最近の疫学研究は、FXI欠損症が虚血性脳卒中による死亡のリスクと負の関係があることを示している。FXI欠損症の人々では、血栓による虚血性脳卒中の発症率は、正常な人々よりも明らかに低くなる。それに対して、FXIの発現レベルが高い人々では、静脈血栓の発症率は正常な人々よりも高くなる。一例とするFXIアンチセンス核酸のヌクレオチドの第II相臨床試験では、200mgのFXIアンチセンス核酸のヌクレオチドは、膝関節置換手術を受ける患者の深部静脈血栓の発症率を大幅に減らすことができ、且つ被験者の人々の出血リスクを増加させない。これにより、FXIとその内因性血液凝固経路は、病的状態での体内の血栓形成に重要な役割を果たす可能性があることがわかった。したがって、FXI、特にその活性型FXIaは、理想的な抗血栓治療標的である。
【0005】
CN104684932Aは、血液凝固因子XI及び/又はその活性型因子XIaに結合できる抗体及びその用途を開示しており、前記モノクローナル抗体は血小板の凝集を抑制し、それによって止血を損害することなく血栓の形成を抑制することができるが、前記モノクローナル抗体はFXIとFXIaの両方ともに結合作用がある。
【0006】
CN107922505Aは、血液凝固因子XI抗体及びその使用方法を開示しており、前記抗体は、FXI及び/又はFXIaの触媒ドメイン内に結合し、FXI又はFXIaに特異的に結合する機能を有さない。
【0007】
したがって、従来の技術における血液凝固因子XI抗体は、FXIとFXIaの両方ともに結合作用を有し、FXIaに特異的な結合機能を有さず、そして、FXIaはFXIよりも理想的な抗血栓治療標的であり、選別によりFXIaに特異的に結合する抗体を得ることは、病理学的血栓治療の分野で非常に重要である。
【発明の概要】
【0008】
従来技術の不足について、本願は、抗凝固因子XI活性型因子XIa抗体並びにその調製方法及び使用を提供しており、前記抗体は、FXIaに特異的に結合できるが、FXIに結合せず、抗血栓薬物になる潜在的な可能性がある。
【0009】
この目的を達成するために、本願は下記の技術案を講じた。
第1の態様では、本願は抗原結合断片を提供しており、前記抗原結合断片の重鎖可変領域のCDRがSEQ ID NO:1~3に示されるアミノ酸配列を含み、
前記抗原結合断片の軽鎖可変領域のCDRがSEQ ID NO:4~6に示されるアミノ酸配列を含み、
SEQ ID NO:1に示されるアミノ酸配列はELSMHであり、
SEQ ID NO:2に示されるアミノ酸配列はGFDPEDGETIYAQKFQGであり、
SEQ ID NO:3に示されるミノ酸配列はDRPVRGVIPYYYYYGMDVであり、
SEQ ID NO:4に示されるアミノ酸配列はSGSRSNIGSRPVNであり、
SEQ ID NO:5に示されるアミノ酸配列はIDHQRPSであり、
SEQ ID NO:6に示されるアミノ酸配列はAAWDDSLDAYVである。
【0010】
好ましくは、前記抗原結合断片の重鎖可変領域のCDRがSEQ ID NO:7~9に示される核酸配列を含み、
SEQ ID NO:7に示される核酸配列はGAATTATCCATGCACであり、
SEQ ID NO:8に示される核酸配列は
GGTTTTGATCCTGAAGATGGTGAAACAATCTACGCACAGAAGTTCCAGGGCであり、
SEQ ID NO:9に示される核酸配列は
GATCGGCCGGTTCGGGGAGTTATTCCTTACTACTACTACTACGGTATGGACGTCである。
【0011】
好ましくは、前記抗原結合断片の軽鎖可変領域のCDRがSEQ ID NO:10~12に示される核酸配列を含み、
SEQ ID NO:10に示される核酸配列は
TCTGGAAGCCGCTCCAACATCGGAAGTAGGCCTGTAAACであり、
SEQ ID NO:11に示される核酸配列はATTGATCATCAGCGGCCCTCAであり、
SEQ ID NO:12に示される核酸配列は
GCAGCATGGGATGACAGCCTGGATGCTTATGTCである。
【0012】
好ましくは、前記抗原結合断片の重鎖可変領域がSEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列を含み、
SEQ ID NO:13に示されるアミノ酸配列は
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKVSGYTLTELSMHWVRQAPGKGLEWMGGFDPEDGETIYAQKFQGRVTMTEDTSTDTAYMELSSLRSEDTAVYYCATDRPVRGVIPYYYYYGMDVWGQGTLVTVSSである。
【0013】
好ましくは、前記抗原結合断片の軽鎖可変領域がSEQ ID NO:14に示されるアミノ酸配列を含み、
SEQ ID NO:14に示されるアミノ酸配列は
QSALTQPPSASGTPGQTVTISCSGSRSNIGSRPVNWYQHLPGTAPKLLIYIDHQRPSGVPDRFSGSKSGTSASLAISGLQSDDEADYYCAAWDDSLDAYVFGTGTKVTVLである。
【0014】
好ましくは、前記抗原結合断片の重鎖可変領域がSEQ ID NO:15に示される核酸配列を含み、
SEQ ID NO:15に示される核酸配列は
CAGGTCCAGCTGGTACAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCAAGGTTTCCGGATACACCCTCACTGAATTATCCATGCACTGGGTGCGACAGGCTCCTGGAAAAGGGCTTGAGTGGATGGGAGGTTTTGATCCTGAAGATGGTGAAACAATCTACGCACAGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACCATGACCGAGGACACATCTACAGACACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCAACAGATCGGCCGGTTCGGGGAGTTATTCCTTACTACTACTACTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCCTGGTCACCGTCTCGAGCである。
【0015】
好ましくは、前記抗原結合断片の軽鎖可変領域がSEQ ID NO:16に示される核酸配列を含み、
SEQ ID NO:16に示される核酸配列は
CAGTCTGCCCTGACTCAGCCACCCTCAGCGTCTGGGACCCCCGGGCAGACGGTCACCATCTCTTGCTCTGGAAGCCGCTCCAACATCGGAAGTAGGCCTGTAAACTGGTACCAGCACCTCCCAGGAACGGCCCCCAAACTCCTCATCTATATTGATCATCAGCGGCCCTCAGGGGTCCCTGACCGATTCTCTGGCTCCAAGTCTGGCACCTCAGCCTCCCTGGCCATCAGTGGGCTCCAGTCTGACGATGAGGCTGATTATTACTGTGCAGCATGGGATGACAGCCTGGATGCTTATGTCTTCGGAACTGGGACCAAGGTCACCGTCCTAである。
【0016】
第2の態様では、本願は抗凝固因子XI活性型因子XIa抗体を提供しており、前記抗体は第1の態様に記載の抗原結合断片を含む。
【0017】
好ましくは、前記抗体は、さらに、ヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4の定常領域のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合せを含み、好ましくはヒトIgG1定常領域である。
【0018】
本願によれば、ヒト血漿中のFXI及びFXIaの濃度は、それぞれ約5μg/mL(30nM)及び0.6ng/mL(4pM)であり、同時に、人体内での約52時間のFXIの半減期に基づいて肝臓で新たに合成されたFXIは1日あたり~16mgに達することができ、これにより、人体内のFXIの濃度はFXIaの濃度よりもはるかに高いこ
とがわかり、したがって、FXIには結合せず、FXIaのみに結合する抗体を選別することで、FXIaとFXIの両方に結合する抗体よりも、臨床応用時の投与量をはるかに低くすることができる。また、FXIaのみに結合する抗体は、FXIaとFXIの両方に結合できる抗体よりも臨床的な安全性が高い。
【0019】
本願では、抗体はFXIaに強い結合力を持っているが、FXIに結合せず、活性化部分トロンボプラスチン時間を増加させることができ、プロトロンビン時間に顕著な影響を与えず、人の血液凝固の内因性経路を抑制するが、外因性経路に影響しない作用を有する。
【0020】
第3の態様では、本願は核酸分子を提供しており、前記核酸分子は第1の態様に記載の抗原結合断片及び/又は第2の態様に記載の抗体をコードするDNA断片を含む。
【0021】
第4の態様では、本願は発現ベクターを提供しており、前記発現ベクターは第3の態様に記載の核酸分子を含む。
【0022】
好ましくは、前記発現ベクターはpcDNA3.3発現ベクターを含む。
【0023】
第5の態様では、本願は宿主細胞を提供しており、前記宿主細胞に第3の態様に記載の核酸分子及び/又は第4の態様に記載の発現ベクターがトランスフェクトされる。
【0024】
好ましくは、前記宿主細胞は哺乳動物細胞を含み、好ましくはチャイニーズハムスター卵巣細胞である。
【0025】
第6の態様では、本願は、第1の態様に記載の抗原結合断片及び/又は第2の態様に記載の抗体の調製方法を提供しており、前記方法は、
(1)抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域のDNA断片を発現ベクターに接続し、それをコンピテント細胞に移し、培養後にモノクローナル細胞をピックアップして選別するステップと、
(2)選別した発現ベクターを宿主細胞に移し、培養して上清を回収し、分離・精製して前記抗体を得るステップとを含む。
【0026】
第7の態様では、本願は薬物組成物を提供しており、前記薬物組成物は第1の態様に記載の抗原結合断片、第2の態様に記載の抗体、第3の態様に記載の核酸分子、第4の態様に記載の発現ベクター、あるいは第5の態様に記載の宿主細胞のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合せを含む。
【0027】
好ましくは、前記薬物組成物は、薬学的に許容されるベクター、賦形剤又は希釈剤のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合せをさらに含む。
【0028】
第8の態様では、本願は治療剤を提供しており、前記治療剤は第1の態様に記載の抗原結合断片、第2の態様に記載の抗体、第3の態様に記載の核酸分子、第4の態様に記載の発現ベクター、第5の態様に記載の宿主細胞、あるいは第7の態様に記載の薬物組成物のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合せに接続する。
【0029】
好ましくは、前記治療剤は、薬学的に許容されるベクター、賦形剤又は希釈剤のいずれか1種又は少なくとも2種の組み合せをさらに含む。
【0030】
第9の態様では、本願は第1の態様に記載の抗原結合断片、第2の態様に記載の抗体、第3の態様に記載の核酸分子、第4の態様に記載の発現ベクター、第5の態様に記載の宿
主細胞、第7の態様に記載の薬物組成物、あるいは第8の態様に記載の治療剤の、抗血栓薬物の調製における使用を提供する。
【0031】
従来の技術に比べて、本願は以下の有益な効果を有する。
(1)本願の14624モノクローナル抗体はFXIaに強い結合力を有し、EC50は0.056nMであるが、FXIに結合せず、14624モノクローナル抗体はFXIaに高い親和性を有し、Kは2.314E-11Mである。
(2)本願の14624モノクローナル抗体はaPTTを増加させるが、PTに顕著な影響を与えず、人の血液凝固の内因性経路を抑制するが、外因性経路に影響を与えない作用を有する。
(3)本願の14624モノクローナル抗体は、FXIaを介したFIXのその活性型FIXaへの変換に対して顕著な抑制作用を有し、FXIを介したFIXaの生成を抑制できる。
(4)本願の14624モノクローナル抗体は、FXIaに対して特異的な抑制作用を有し、内因性及び外因性の血液凝固経路上の他の血液凝固因子への特異的な結合を有さない。
(5)本願の14624モノクローナル抗体は、動静脈シャント血栓の形成を顕著に抑制できるが、出血時間及び出血量を増加させることはなく、aPTTを顕著に高めることができるが、PT及び血小板数に影響を与えない。
(6)本願の14624モノクローナル抗体は、抗血栓薬物とする潜在的な可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1(A)はモノクローナル抗体14624と抗原ヒトFXIaの結合曲線であり、図1(B)はモノクローナル抗体14624とFXIの結合曲線である。
図2図2(A)はヒト血漿中で活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)に対するモノクローナル抗体14624の影響であり、図2(B)はヒト血漿中でプロトロンビン時間(PT)に対するモノクローナル抗体14624の影響である。
図3図3(A)はカニクイザル血漿中で活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)に対するモノクローナル抗体14624の影響であり、図3(B)はカニクイザル血漿中でプロトロンビン時間(PT)に対するモノクローナル抗体14624の影響である。
図4図4(A)はニュージーランド白ウサギ血漿中で活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)に対するモノクローナル抗体14624の影響であり、図4(B)はニュージーランド白ウサギ血漿中でプロトロンビン時間(PT)に対するモノクローナル抗体14624の影響である。
図5図5(A)は、FXIaと14624抗体のマルチサイクル動的試験曲線であり、図5(B)はFXIaとN110D抗体のマルチサイクル動的試験曲線である。
図6図6は、ヒトFXIa加水分解S-2366を抑制するモノクローナル抗体14624の濃度-応答曲線である。
図7図7は、ヒトFXIaを介したFIX活性化応答に対するモノクローナル抗体14624の抑制作用である。
図8図8は、モノクローナル抗体14624、14627と抗原ヒトPK、PKa、FXII、FXIIa、FIX、FIXa、FX、FXa、FVIIa及びThrombinの結合曲線である。
図9図9は、ニュージーランド白ウサギの動静脈シャントにより形成された血栓の重量に対するモノクローナル抗体14624の抑制作用である。
図10図10は、ニュージーランド白ウサギの動静脈シャント血栓の形成に対するモノクローナル抗体14624の抑制作用である。
図11図11(A)はニュージーランド白ウサギの出血時間に対するモノクローナル抗体14624の影響であり、図11(B)はニュージーランド白ウサギの出血量に対するモノクローナル抗体14624の影響である。
図12図12は、ニュージーランド白ウサギの活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)に対するモノクローナル抗体14624の影響である。
図13図13は、ニュージーランド白ウサギのプロトロンビン時間(PT)に対するモノクローナル抗体14624の影響である。
図14図14は、ニュージーランド白ウサギの血小板数に対するモノクローナル抗体14624の影響である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本願で採用される技術的手段及びその効果をさらに説明するために、実施例及び図面を参照しながら、本願をさらに説明する。ここで説明する具体的実施形態は、本願を説明するためのものに過ぎず、本願を限定するものではないことを理解できる。
【0034】
実施例に、具体的技術又は条件が明確に示されていない場合、本分野内の文献で説明される技術又は条件に従うか、あるいは製品の説明書に従う。メーカーが示されていないあらゆる試薬又は機器は、いずれも正式なチャネルを通じて購入できる通常の製品である。
【0035】
実施例1 抗体分子の選別及び構築
ビオチン標識のヒト天然ファージFabライブラリーにより選別された抗原FXIaとFXI(Enzyme Research Laboratories)を用いて、標識キットはEZ-Link Sulfo-NHS-LC-Biotinylation kit(Thermo Scientific,Cat.NO:21435)であり、Zebaの脱塩カラム(Thermo Scientific,Cat.NO:89891)を用いて脱塩した。
【0036】
抗体の選別策略は、FXIaに結合するが、FXIに結合しないFab断片を選択し、選別及び配列した後、20個の固有の配列を取得し、PCRにより重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の配列をそれぞれ増幅し、それをpcDNA3.3発現ベクターに挿入し、CHO細胞をトランスフェクトし、培養細胞から分泌された上清を精製し、全長のIgG1モノクローナル抗体14624を得ることであり、前記モノクローナル抗体14624の配列情報はSEQ ID NO:1~16に示される。
【0037】
陽性対照とするクローン076D-M007-H04-CDRL3-N110Dの軽鎖及び重鎖可変領域の配列は、Bayer社の米国特許US9783614B2に由来し、軽鎖及び重鎖可変領域の配列を合成した後、同様に、pcDNA3.3発現ベクターに挿入し、CHO細胞をトランスフェクトし、培養細胞から分泌された上清を精製し、全長のIgG1モノクローナル抗体N110Dを得て、陽性対照抗体とした。
【0038】
実施例2 抗ヒトFXIa完全ヒトモノクローナル抗体14624の特異的機能の検証
抗ヒトFXIa完全ヒトモノクローナル抗体14624と血液凝固因子FXIa又はFXIの結合力をELISAにより検出した。
【0039】
結果は図1(A)及び表1に示すように、本願の14624モノクローナル抗体は、FXIaに強い結合を有し、EC50は0.056nMであり、陽性の照合抗体N110Dに相当し、図1(B)に示すように、本願の14624モノクローナル抗体はFXIに結合しながった。
【0040】
【表1】
【0041】
実施例3 活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)とプロトロンビン時間(PT)の、ヒト血漿中の抗体の抗血液凝固活性に対する決定
aPTTは、内因性及び共通経路の血液凝固因子の活性を検出するために用いられ、PTは、外因性及び共通経路の血液凝固因子の活性を検出するために用いられる。具体的な手順は次のとおりである。
90μLの標準ヒト血漿(Dade Behring Diagnostics, Co.,Ltd.)及び10μLの異なる濃度(0~8μM)の検出される抗体を取って混合し、5分間インキュベートしてから、aPTTキット及びPTキット(Dade Behring Diagnostics, Co.,Ltd.)を用いてCA-600全自動血液凝固分析装置(Sysmex Ltd.)で分析して検出した。
【0042】
図2(A)及び図2(B)に示すように、本願の14624モノクローナル抗体は活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)を増加でき、低濃度範囲内で一定の濃度依存性を示しているが、プロトロンビン時間(PT)に顕著な影響を与えず、これは、モノクローナル抗体14624がヒトの血液凝固の内因性経路を抑制できるが、外因性経路に影響を与えないことを示した。
【0043】
実施例4 活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)とプロトロンビン時間(PT)での非ヒト血漿中の抗体の抗血液凝固活性の検出
実施例3の方法に従って、カニクイザル血漿(cyno plasma)及びニュージーランド白ウサギ血漿(rabbit plasma)中のモノクローナル抗体14624の抗血液凝固活性を検出した。
【0044】
図3(A)及び図3(B)に示すように、モノクローナル抗体14624はサル血漿に活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)を増加でき、低濃度範囲内で一定の濃度依存性を示しているが、プロトロンビン時間(PT)に顕著な影響を与えず、図4(A)及び図4(B)に示すように,モノクローナル抗体14624はウサギ血漿にも同様に活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)を増加でき、低濃度範囲内で一定の濃度依存性を示しているが、プロトロンビン時間(PT)に顕著な影響を与えない。これは、モノクローナル抗体14624はカニクイザル及びニュージーランド白ウサギのFXIaに対して交差反応性を有することを示した。ヒト、カニクイザル及びニュージーランド白ウサギの血漿のaPTT倍増加に必要な濃度値は表2に示すとおりである。
【0045】
【表2】
【0046】
実施例5 ヒトFXIaに対する抗FXIa抗体の親和性の検出
本実施例では、BIAcore T200を用いて、表面プラズモン共鳴(SPR)検出法により、FXIaとモノクローナル抗体14624の間の親和性をリアルタイムで定量的に検出し、抗FXIa抗体とFXIaの結合及び解離の動的特性を評価した。具体的な手順は次のとおりである。
(1)抗体の捕捉:検出される抗体を1×PBS緩衝液で1μg/mLに希釈し、流速を10μL/minに設定し、Protein Aチップで抗体を捕捉する時間は15sであり、それぞれN110D抗体及び14624抗体をFc2及びFc4チャネルに捕捉した。
(2)サンプル試験条件:手動モードでFXIaと抗体の結合特性を初期測定及び評価を行い、10nMをFXIaの最高分析濃度として確定し、2倍の勾配で希釈し、0nM、0.01953nM、0.039625nM、0.078125nM、0.15625nM、0.3125nM、0.625nM、1.25nM、2.5nM、5nM及び10nMの合計10個の分析濃度を設定し、サンプル分析時に流速を30μL/min、結合時間を120s、解離時間を600sに設定した。
(3)再生条件:他の実験を参照し、手動モードで初期測定と評価を行い、Protein Aチップで検出される抗体とFXIaの結合力を分析するときに、再生緩衝液としてGly-HCl緩衝液(pH=1.5)を用いることを確定し、再生時の流速を30μL/minに設定し、30秒間再生した。
(4)動的パラメータの測定:実験はマルチサイクルで実行され、その応答信号は分析時間を横軸とし、応答値を縦軸とし、得られたデータをBIAcore T200分析ソフトウェアによりフィッティングし、使用されるフィッティングモデルは1:1 Langmuir結合モデルであり、結合速度定数、解離速度定数、結合及び解離定数などの動的定数を確定した。
【0047】
固定された14624抗体及びN110D抗体のFXIaに結合するSPRグラフは図5(A)及び図5(B)に示すように、FXIaの濃度が徐々に増加するにつれて、抗体の応答は徐々に増加していた。表3はFXIaに対する抗体の解離定数(KD)であり、K≦10-7Mのときに高親和性と認められるため、N110D抗体及び14624抗体はいずれもFXIaとの高親和性を有した。
【0048】
【表3】
【0049】
実施例6 FXIaに対する抗体の機能的な中和
本実施例では、FXIaを用いてその特異的化学基質S-2366(Diapharma Inc.)を酵素切断し、マイクロプレートリーダーを用いて酵素切断した生成物の吸光度の変化を継続的に監視し、ヒトFXIaの活性を確定した。抗FXIa抗体の活性に対する抑制を検出するために、FXIaを緩衝液(50mMのHEPES(pH=7.4)、145mMのNaCl、5mMのKCl、0.1%のPEG8000、0.1のBSA)で最終濃度の2.5nMに希釈し、異なる濃度の抗体と室温条件で5分間インキュベートしてから、抗体-抗原混合溶液にS-2366を加え、最終濃度を4mMにし、即時にSpetraMax 190マイクロプレートリーダー(Molecular Devices Inc.)によって吸光度の405nmでの連続変化を動的モードで15秒ごとに30分間継続的に監視し、得られたデータをGraphPad Prismソフトウェアで分析した。
【0050】
結果は図6及び表4に示すように、抗体濃度の対数値を横軸とし、酵素反応速度を縦軸としてプロットし、Graphpad Prismの4パラメータ方程式で曲線をフィッティングしてIC50値を得て、IC50は、酵素反応速度を50%抑制したときの抗体濃度を示し、IC50値が小さいほど、抗体の活性に対する抑制が強くなり、14624はN110Dよりも強いFXIa酵素活性に対する抑制能力を有することを示した。
【0051】
【表4】
【0052】
実施例7 FXIaを介したFIXのその活性型FIXaへの変換に対する抗体の抑制作用
最終濃度が200nMのヒトFIX、最終濃度が5nMのヒトFXIa及び1μMの検出される抗体を緩衝液(50mMのHEPES(pH=7.4)、145mMのNaCl、5mMのKCl、5mMのCaCl、0.1%のPEG8000、0.1%のBSA)に室温でインキュベートし、それぞれ0、15、30、45及び60分後、50μLの反応溶液をサンプル添加用緩衝液で反応停止させ、サンプルを10%非還元SDS-PAGEに入れて電気泳動により分離してから、PVDF膜に転写した。マウス抗ヒトFIX
IgG(Haematologic Technologies, Inc.)を用いてWesternブロッティングを行い、FIX及びFIXaの発現レベルを検出した。
【0053】
図7に示すように、IgG1 isotype照合に比べて、14624及び陽性抗体N110DはいずれもFXIを介したFIXaの生成を抑制できた。
【0054】
実施例8 FXIaに対する抗体の特異的抑制作用
本実施例では、ELISAを用いて血液凝固因子PK、PKa、FXII、FXIIa、FIX、FIXa、FX、FXa、FVIIa、Thrombinと濃度を段階希釈した抗体の結合能力を分析した。
【0055】
図8に示すように、検出される抗体及び陽性対照抗体と内因性及び外因性血液凝固経路上の他の血液凝固因子とはいずれも特異的な結合を有さない。
【0056】
実施例9 ニュージーランドウサギの動静脈バイパス血栓の形成に対する抗体の影響
オスのニュージーランドウサギ30匹を、体重に応じてランダムに5群に分け、それぞれに6匹を入れ、投与量は、それぞれ生理食塩水陰性対照群(IgG1 isotype)を10mg/kg、陽性対照群(N110D)を1mg/kg、抗体の低投与量群を1mg/kg、抗体の高投与量群を3mg/kgにし、投与経路は耳静脈への単回静脈内ボーラス注射であった。
【0057】
投与前(pre-perfusion)及び投与後(post-perfusion)の30分間ですべての動物から血液サンプルを収集してプロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)及び血小板数(PLT)を検出し、すべてのニュージーランドウサギの首に動静脈バイパス血流が形成されてから2分後、耳の静脈の同じ位置に3mmの切口を切開し、動物の出血時間と出血量を記録し、投与した30分後、血栓の湿重量を記録して血栓の形成に対する抑制率を計算した。
【0058】
統計ソフトウェアSPSS13.0を用いてデータを処理し、計量資料を平均値±標準誤差で表し、具体的な分析プロセスは次のとおりである。
Levene’sを用いて分散の均一性をチェックし、分散の均一性がある場合(P>0.05)、一元配置分散分析(One-way ANOVA)を用いて統計して分析し、ANOVAが統計的に有意である場合(P≦0.05)、LSD test(パラメータ法)をさらに用いて比較して分析し、分散が均一でない場合(P≦0.05)、Kruskal-Wallisを用いてチェックし、Kruskal-Wallisにより統計的に有意であるとチェックした場合(P≦0.05)、さらにMann-Whitney法を用いて平均間のペアワイズ比較を行った。
【0059】
図9図10図11(A)及び図11(B)に示すように、抗体の低投与量群と高投与量群はいずれも動静脈シャント血栓の重量(thrombus weight)及び血栓の形成(thrombus inhibition)を顕著に抑制できるが、出血時間(bleeding time)及び出血量(bleeding amount)を増加させない。
【0060】
図12図13及び図14に示すように、照合群に比べて、抗体の低投与量群及び高投与量群はいずれもaPTTを顕著に高めることができるが、PT及び血小板数を増加させない。
【0061】
要するに、本願の14624モノクローナル抗体は、FXIaに強い結合を有するが、FXIに結合せず、FXIaに高い親和性を有し、14624モノクローナル抗体はaPTTを増加させるが、PTに顕著な影響を与えず、人の血液凝固の内因性経路を抑制するが、外因性経路に影響を与えない作用を有し、FXIを介したFIXaの生成を抑制でき、FXIaに対して特異的な抑制作用を有し、内因性及び外因性の血液凝固経路上の他の血液凝固因子への特異的な結合を有せず、動静脈シャント血栓の形成を顕著に抑制し、aPTTを高めることができ、抗血栓薬物になる潜在的な可能性がある。
【0062】
本願は、上記実施例によって本願の詳細な方法を説明したが、本願は上記詳細な方法に限定されるものではなく、すなわち、本願は上記詳細な方法でしか実施できないことを意味しないことを、出願人はここに声明する。当業者であれば、本願に対するすべての改良、本願の製品の各原料における同等置換及び補助成分の添加、具体的形態の選択等は、いずれも本願の保護範囲と開示範囲に入ることが分かるはずである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【配列表】
2022519807000001.app
【国際調査報告】