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  • 特表-デニム生地及びその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-25
(54)【発明の名称】デニム生地及びその使用
(51)【国際特許分類】
   D04B 1/14 20060101AFI20220317BHJP
   D06B 3/30 20060101ALI20220317BHJP
   D03D 15/208 20210101ALI20220317BHJP
   D03D 15/56 20210101ALI20220317BHJP
   D06M 13/463 20060101ALI20220317BHJP
   D06M 13/358 20060101ALI20220317BHJP
   D06P 1/38 20060101ALI20220317BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20220317BHJP
   D06M 101/06 20060101ALN20220317BHJP
【FI】
D04B1/14
D06B3/30
D03D15/208
D03D15/56
D06M13/463
D06M13/358
D06P1/38 A
A41D31/00 503B
D06M101:06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545708
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(85)【翻訳文提出日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 EP2020052440
(87)【国際公開番号】W WO2020161016
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】19155245.4
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507127314
【氏名又は名称】レンチング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モク、ワイ ピウ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、チュン ファン
(72)【発明者】
【氏名】モク、クォン ワイ
【テーマコード(参考)】
3B154
4H157
4L002
4L033
4L048
【Fターム(参考)】
3B154AA02
3B154AB02
3B154AB20
3B154AB21
3B154AB31
3B154BA08
3B154BD01
4H157AA02
4H157BA07
4H157DA01
4H157DA24
4H157EA02
4L002AA02
4L002AA05
4L002AB01
4L002AC01
4L002AC07
4L002BA00
4L002BA04
4L002BA05
4L002BB05
4L002DA04
4L002EA00
4L002EA05
4L002FA02
4L033AA02
4L033AB03
4L033BA58
4L033BA86
4L048AA08
4L048AA13
4L048AA51
4L048AB01
4L048AC01
4L048AC07
4L048AC12
4L048BA01
4L048BA02
4L048CA00
4L048CA04
4L048CA16
4L048DA01
(57)【要約】
本発明は、カチオン性改質剤で改質されたセルロース系繊維を含む第1の糸と、カチオン性改質剤で改質されていないセルロース系繊維を含む第2の糸と、から少なくともなる生地、及びデニム外観を得るためのこの生地の使用に関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
(a)カチオン性改質剤によって改質されたセルロース系繊維を含む第1の糸と、
(b)カチオン性改質剤によって改質されていないセルロース系繊維を含む第2の糸と、
からなる生地。
【請求項2】
前記生地は、前記生地の第1表面では主に第1の糸が見え、第2表面では主に第2の糸が見えるように構成されている、請求項1に記載の生地。
【請求項3】
前記生地は、ニット生地又は織物生地であり、好ましくはニット生地である、請求項1に記載の生地。
【請求項4】
タックアンドミスステッチ構造タイプのニット生地である、請求項1に記載の生地。
【請求項5】
前記生地は、デニムタイプの織物生地である、請求項1に記載の生地。
【請求項6】
前記生地はグレージュ(greige)生地である、請求項1に記載の生地。
【請求項7】
前記生地はデニム外観となるように染色されている、請求項1に記載の生地。
【請求項8】
前記第1の糸はリヨセル繊維を30~80%(w/w)含む、請求項1に記載の生地。
【請求項9】
前記第2の糸はセルロース系繊維からなり、好ましくはリヨセル繊維100%からなる、請求項1に記載の生地。
【請求項10】
前記生地は第3の糸、特にエラスタン糸を含む、請求項1に記載の生地。
【請求項11】
塩の不在下で、pH6.0~8.0(好ましくはpH6.5~7.5)で反応性染料を用いて生地を染色することにより、デニム外観を有する生地の製造における、請求項1に記載の生地の使用。
【請求項12】
前記反応性染料は、生地に要求される色を得るための、複数の染料の混合物からなる組成物である、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
染色は、特に、請求項1に記載の生地を含む仕立て衣類(tailored garment)の後染め(piece dyeing)である、請求項11に記載の使用。
【請求項14】
衣類(特にジーンズ、ジャケット、シャツ、及びブラウス)の製造における、請求項1に記載の生地の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも、カチオン性改質剤で改質されたセルロース系繊維を含む第1の糸と、カチオン性改質剤で改質されていないセルロース系繊維を含む第2の糸と、からなる生地(fabric)、及びデニムの外観を得るためのこの生地の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
デニムは、着心地がよく、ファッショナブルで、耐久性に優れたカジュアルな繊維生地(textile fabric)の一種であり、あらゆる年齢層及びあらゆる国で人気がある。その典型的でユニークな外観、特にウォッシュアウト効果及び耐久性のある生地としての評判により、デニムで作られた衣服はカルトアイテムとしての地位を確立している。
【0003】
そのために必要なのが、インディゴでの染色及び生地の構造であり、衣服における生地の外表面は青色であり、内表面は白色であるものが主流となっている。
【0004】
伝統的なデニムは、縦糸(warp)と横糸(weft)を交差させて織ることで、色落ちする特徴を持つ生地構造になっており、通常は硬くて重い、高密度の生地である。生地の構造は、3/1又は2/1のツイルと1/1のシャンブレーが一般的である。図1に代表的な生地の構造を示す。
【0005】
外側が顕著に着色されており、内側が顕著に白いという典型的なデニムの外観を得るためには、色糸と白糸を使って織らなければならない。通常、色糸は縦糸(warp yarn)として、白糸は横糸(weft yarn)として使用される。デニムを織る際には、材料である着色された縦糸60%が衣類の外側に、白色の横糸40%が内側にくるように織られる。これは、つまり、少なくとも2種類の糸をストックしておかなければならないことを意味している。また、様々に着色された生地が必要な場合は、目的の生地の色に染めた糸をさらにストックしておかなければならない。糸の染色は一般的に特殊な染色装置を用いて行われるため、例えば生地の染色又は後染め染色(piece dyeing)に比べてコストがかかる。さらに、デニム様染色に適した色は、非常に限られている。
【0006】
伝統的には、デニムの染色にはインディゴ染料(indigo dyestuff)が一般的に使われる。インディゴ顔料は水に溶けない建染め染料(vat dye)の一種である。インディゴ顔料はセルロース系繊維に対して親和性を有しない。水酸化ナトリウム及び亜硫酸ナトリウム等の化学薬品を大量に使用して、インディゴを繊維に親和性のあるロイコ型の一種である水溶性形態に変換する必要がある。1kgのインディゴ顆粒をロイコ型に変換するためには、0.8kgの亜硫酸水素ナトリウム及び0.67kgの水酸化ナトリウムが必要となる。典型的なインディゴ糸染色プロセスのワークフローは以下の通りである:プレウェッティング(prewetting)-リンス-精練(scouring)-リンス-糸の藍染め(yarn indigo dyeing)(ロープ染色(rope dyeing))-リンス/柔軟化(softening)-再ビーム延伸(rebeaming)。
【0007】
藍染めは、現在でも排水処理施設のある染色工場で行われており、水処理に高いコストがかかっている。さらに、生地の湿潤摩擦堅牢度(wet rubbing fastness)も低い。典型的なインディゴ糸の染色工場では、1日10トンのインディゴ糸を以下のようなレシピで染色している:インディゴ顔料4g/l;ハイドロサルファイトナトリウム3.2g/l;水酸化ナトリウム2.68g/l;ピックアップ70%、ディップ10回で、1日あたりインディゴ280kg、ハイドロサルファイトナトリウム224kg、水酸化ナトリウム188kgを消費し、そのほとんどを水流に入る前に処理する必要がある。世界には1000を超えるインディゴ糸の染色工場がある。
【0008】
織物デニムは硬い手触りのため、ファッションデザイン、特にタイトフィット衣類又はシームレス衣類の分野では用途が限られている。しかし、最近の顧客は、デニムらしさだけでなく、柔らかさ、着心地の良さ、及び軽さなどを求めている。ニットデニムは、織物デニムよりもはるかに優れた特性を提供することが可能である。
【0009】
典型的なデニム生地の編みプロセスのワークフローは以下の通りである:藍染された糸と藍染されていない糸を編み機に導入する―編む―生地精練-酵素処理-柔軟化-ステンタードレッシング(Stenter dressing)。
【0010】
ニットデニムには特殊なインディゴニット糸を使用することが必要であるが、コストの他に、そのような糸を入手できないことが、この市場を開拓するための重要な障害の一つとなっている。第二に、インディゴニット糸を使用すると、藍染めされた繊維及び糸の表面の摩擦堅牢度が低いため、編み工程中、ガイドローラー及びフィーダーに着色された繊維の粉が付着してしまう。洗浄のために必要な機械の停止時間は、生産効率を著しく低下させる。また、次の生産段階に入る前に汚染を完全に取り除かないと、その糸を使った生地の品質が著しく低下してしまう。
【0011】
綿の従来の反応性染色では、これらの問題を解決できない。綿に対する反応性染料では洗い流し効果が得られず、糸の染色により生じる一般的な問題も無くなっていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような先行技術に鑑み、解決すべき課題は、環境を汚染することなく、経済的な方法で典型的なデニム外観を有する生地を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の目的は、
少なくとも、
(a)カチオン性改質剤で改質されたセルロース系繊維を含む第1の糸と、
(b)カチオン性改質剤で改質されていないセルロース系繊維を含む第2の糸と、
からなる生地を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、デニムの代表的な生地の構造を示す。
図2図2は、本発明の好ましい実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
カチオン性改質剤で改質されたセルロース系繊維を含む糸は、水系の実質的に無色のカチオン性架橋改質剤を用いて、パッケージ染色機で処理することにより製造することが可能である。「実質的に無色」とは、本発明の文脈では、ヒトの目で見ることが可能な色を有しないことを意味する。
【0016】
好適な無色のカチオン性架橋改質剤は、セルロースと反応可能な官能基を2つ以上、6つ以下有する。好ましくは、無色のカチオン性架橋改質剤は、トリメチルアンモニウム化合物及びカチオン性トリアジン化合物を含む群のうちの1つである。適切なカチオン性架橋改質剤は、ダウケミカル社(The Dow Chemical Company)から「Ecofast(商標)CR-2000」の商品名で市販されている。液比は1:4~1:10である。カチオン性改質剤の投与量(乾燥物質で計算)は、2~4g/Lの水酸化ナトリウムで生地の重量(o.w.f)に対して1%~10%である。処理温度は40~80℃で20~40分である。
【0017】
好ましくは、生地の構造は、生地の第1表面では主に第1の糸が見え、第2表面では主に第2の糸が見えるようになっている。これは、デニム生地の光学的外観の典型的な例である。
【0018】
生地は、第3の糸、特にエラスタン糸を含んでいてもよい。典型的な糸は、Roica(商標)エラスタン繊維を100%含み、糸番手が20デニールである糸である。
【0019】
本発明に係る生地は、ニット生地又は織物生地のいずれかであり、好ましくはニット生地である。
【0020】
本発明の好ましい実施形態では、生地は、タックアンドミスカム(tuck and miss cam)技術に従って編まれたタックアンドミスステッチ(tuck and miss stich)構造タイプのニット生地であり、これは、ニット技術によって本発明のデニム効果を達成するために重要である。
【0021】
本発明のこの実施形態では、一般的なプロセスルートは以下の通りとなる:
糸の準備(第1の糸はカチオン性改質剤で改質され、第2の糸はカチオン性改質剤で改質されない)→タックアンドミスカム技術による第1及び第2の糸の丸編み(circular knitting)→生地の染色→酵素処理→柔軟化→ステンタードレッシング。
【0022】
典型的な編み機及び機械の仕様としては、Terrotのシングルジャージージャカード機、モデルSHS-90が挙げられ、シリンダー径:26インチ、針ゲージ:28G、送り数:42、回転:反時計回りのものが挙げられる。しかし、本発明に係る特徴が実現されれば、機械の種類及び仕様は同じように機能し得る。
【0023】
好ましい実施形態では、第1の糸は、30~80%のリヨセル含有率を有していてもよい。リヨセルが30%よりも少ないと、所望の「退色(fading)」又は「ウォッシュダウン(wash down)」効果が見られず、リヨセルが80%より多いと、フィブリル化の際に生地又は衣服が汚れて見える。典型的な組成は、リヨセル繊維が50%、綿繊維が50%である。しかし、上記の範囲内のバリエーションは可能であり、効果的でもある。
【0024】
糸の種類(紡績方法、糸の番手など)は、最終的に得られる生地の種類に大きく左右され、当業者であればどの糸を選択すべきかがわかるであろう。ニットデニムには、リングスピン糸が適しており、例えば、第1の糸の糸番手はNe 30/2であってよい。
【0025】
第1の糸は、カチオン性改質剤で処理されていてよい。カチオン性改質剤の濃度は、水溶液中で0.5~5%(w/w)、好ましくは1.0~3.5%(w/w)、最も好ましくは1.5~2.5%(w/w)であり得る。この処理により、第1の糸は、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、及びその他の染色助剤を使わずに反応性染料を吸収することが可能となる。
【0026】
好ましい実施形態では、第2の糸はリヨセル繊維100%で構成される。得るべき感触に応じて、綿、モダール(modal)等の他のセルロース系繊維とブレンドすることも可能である。糸番手(yarn count)は、MVS紡績法に準拠して紡績されたNe 10であってもよい。第2の糸は、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、及びその他の染色助剤を使用しないと、反応性染料を吸収することができない。
【0027】
図2は、本発明の好ましい実施形態を示したものである。ニット、タックアンドミスカムを使用した円形シングルジャージー横編機を使用して、生地上に均一なツイルパターンを構築し、生地の裏側と表側を含むデュアルプライド・デニムを製造する。裏側面は、丸編み機の調整により、表側面とは異なる編み目の長さで、張力・引張力を変化させて緩く編まれている。生地上にテリーツイル(terry twill)効果及びツイルのみによる効果が得られるようにカム配列が設定される。表側は、高密度プログラムで編み機を調整することにより、高いテンション/引張強度を有するように(with high tension/tensile force)コンパクトに構成されている。
【0028】
図2は以下を示す(左から右に向かって):
(a)表側(暗色)及び裏側(明色)の写真;
(b)生地の断面(B=糸1=第1の糸;W=糸2=第2の糸);
c./d. 編み針の移動動作を制御する編み機プログラム。
【0029】
本発明の別の好ましい実施形態では、生地は、デニムタイプの織布である。好ましくは、第1の糸は縦糸であり、第2の糸は横糸である。
【0030】
特に好ましい実施形態では、この生地はグレージュ(greige)、すなわち本質的に無色又は無染色の生地である。
【0031】
別の特に好ましい実施形態では、この生地はデニム外観となるように染められている。したがって、本発明の好ましい実施形態は、本質的に青色であり、好ましくは藍染めの綿生地に匹敵する青色の色合い(shade)を有する生地である。しかし、他の色(例えば赤、黒、緑など)も一種のデニム外観を有するものとして受け入れられる。一般的に、デニム外観の重要な態様は、ウォッシュアウト効果である。
【0032】
好ましくは、第1の糸はリヨセル繊維を30~80%(w/w)含み、残りは綿であることが好ましい。
【0033】
好ましくは、第2の糸はセルロース系繊維、特にリヨセル繊維で構成されている。得るべき感触に応じて、綿、モダール等の他のセルロース系繊維とブレンドすることも可能である。特に好ましい実施形態では、第2の糸は100%リヨセル繊維で構成されている。
【0034】
さらに好ましい実施形態では、本発明に係る生地は、特にエラスタン繊維から作られる、第3の糸を含む。
【0035】
本発明の更なる目的は、塩の不在下(すなわち、染色浴が本質的に水(タブ水(tab water)のように、天然ミネラル分のみを含むもの)と反応性染料又は反応性染料の混合物とのみからなる状態)で、pH6.0~8.0(好ましくはpH6.5~7.5)で反応性染料を用いて上記の生地を染色することにより、デニム外観を有する生地を製造するプロセスにおいて、上記の生地を使用することである。水源によっては、本発明に係るプロセスで使用する前に、まず水のpHを上述の範囲に調整する必要があり得る。
【0036】
本発明によれば、反応性染料は、単一の反応性染料であっても、生地に要求される色を得るのに好適な方法でブレンドされた複数の反応性染料の混合物からなる組成物であってもよい。
【0037】
好ましい実施形態では、本発明に係る使用は、特に、本発明に係る生地を含む仕立て衣類(tailored garment)の後染め(piece dyeing)である。
【0038】
本発明の更なる目的は、衣類、特にジーンズ、ジャケット、シャツ及びブラウスの製造のための、本発明に係る生地の使用を提供することである。これにより、それらの衣類は、デニム外観を示すであろう。
【0039】
次に、本発明を実施例によって説明する。これらの実施例は、本発明の範囲を何ら限定するものではない。また、本発明には、同じ発明概念に基づく他の実施形態も含まれる。
【実施例
【0040】
<実施例1>
カチオン性処理(糸):
第1の糸は、リヨセル繊維(オーストリアのLenzing Aktiengesellschaft社製、商品名「テンセル(TENCEL)(商標)リヨセル」)50%と綿繊維50%から構成されていた。糸番手はNe 30/2で、リングスパン方式である。
【0041】
第1の糸はパッケージ染色機で処理される。カチオン性架橋改質剤は、ダウケミカル社(The Dow Chemical Company)から「Ecofast(商標)CR-2000」の商品名で市販されている。カチオン性改質剤の濃度は、水酸化ナトリウム2g/Lを含む処理液中で、糸の3%o.w.f(すなわち「生地の重量に対して」)である。液比は1:6である。処理温度は80℃で30分である。
【0042】
<実施例2>
生地の編み:
第1の糸は、実施例1の糸であった。第2の糸は、リヨセル繊維(オーストリアのLenzing Aktiengesellschaft社製、商品名「テンセル(商標)リヨセル」)100%から構成されていた。糸番手はMVS紡績法でNe 10である。第3の糸はRoicaのスパンデックス100%であり、糸番手は20デニールであった。
【0043】
編み機の仕様は以下の通りであった:Terrot社製のシングルジャージージャカード機、モデルSHS-90、シリンダー径:26インチ、針ゲージ:28G、フィーダー数:42、回転:反時計回り。このようにして得られた編み機プログラムと生地の構造は、図2の通りである。
【0044】
<実施例3>
染色及び仕上げプロセス(生地)
グレージュの生地は、染色プロセスの前に190℃のステンター(stenter)で2分間のヒートセットが行われる。染色プロセスはガーメントダイ法(garment dyeing method)で行われ、条件は以下の通りである:
液比: 1:10
精練(scouring)プロセス:60℃で20分
染色プロセス:60℃で30分
染色レシピ:
Avitera Deep Blue SE:生地の2重量%
Avitera Red SE:生地の0.2重量%
酵素洗浄プロセス:50℃で30分
酵素洗浄レシピ:Tanazyme CM 1g/l
酢酸 0.2ml/l
柔軟化プロセス:40℃で30分
柔軟化レシピ:1% Persoftal Nano SIL

図1
図2
【国際調査報告】