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特表2022-519854連続的分析物感知および自動較正のセンサ動作を精査するための装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-25
(54)【発明の名称】連続的分析物感知および自動較正のセンサ動作を精査するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1495 20060101AFI20220317BHJP
   A61B 5/1473 20060101ALI20220317BHJP
   A61B 5/1486 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
A61B5/1495
A61B5/1473
A61B5/1486
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545766
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(85)【翻訳文提出日】2021-10-04
(86)【国際出願番号】 EP2020052673
(87)【国際公開番号】W WO2020161099
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】62/801,592
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043328
【氏名又は名称】アセンシア・ディアベティス・ケア・ホールディングス・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フアン-ピン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ディー・セルッティ
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL01
4C038KL09
4C038KM03
4C038KX02
(57)【要約】
装置および方法は、(例えば、連続的グルコース監視(CGM)センサによって実行されるような)体液中の分析物を測定するための連続的センサ動作中、初期に、その後の任意の時点で、または連続的にセンサの状態を精査するように動作する。精査の結果は、精査中に取得された電気信号から決定された較正指標を含み得る。較正指標は、センサの較正の現場調整が最初におよび/またはランダムチェックポイントで実行されるべきかどうかを示し得る。ロット間の感度変動、監視中の感度ドリフト、温度、干渉などの影響を低減するために、分析物計算中に精査電位変調パラメータも使用され得る。他の態様も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的グルコース監視(CGM)測定中の誤差を補償する方法であって、
センサと、メモリと、プロセッサとを含むCGMデバイスを提供するステップと、
前記センサに定電圧電位を印加し、前記定電圧電位から結果として生じる一次電流信号を測定し、測定された一次電流信号を前記メモリ内に記憶するステップと、
一次電流信号の測定間で、前記センサに精査電位変調シーケンスを適用し、前記精査電位変調シーケンスから結果として生じる精査電位変調電流信号を測定し、測定された精査電位変調電流信号を前記メモリ内に記憶するステップと、
各一次電流信号について、グルコース値を決定するために、前記一次電流信号と、前記一次電流信号に関連する複数の前記測定された精査電位変調電流信号とを用いるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記一次電流信号および精査電位変調電流信号が作用電極電流信号である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
一次電流信号が3分および5分ごとに測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記精査電位変調シーケンスが2つ以上の電圧ステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記精査電位変調シーケンスが4つ以上の電圧ステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記精査電位変調シーケンスが、前記定電圧電位よりも高い電圧における少なくとも1つの上昇と、前記定電圧電位よりも低い電圧における少なくとも1つの低下とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
各一次電流信号を、前記一次電流信号が測定される前または後に測定された複数の精査電位変調電流信号と関連付けるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
各一次電流信号を、複数の精査電位変調電流信号と関連付けるステップが、各一次電流信号を、前記一次電流信号が測定された直後に測定された複数の精査電位変調電流信号と関連付けるステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
グルコース値を決定するために、前記一次電流信号と、前記一次電流信号に関連する複数の前記測定された精査電位変調電流信号とを用いるステップが、前記複数の精査電位変調電流信号内の異なる精査電位変調電流信号の比率を計算するステップと、グルコース値を決定するために前記比率を使用するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
決定されたグルコース値を前記CGMデバイスのユーザに伝達するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
連続的グルコース監視(CGM)デバイスを作製する方法であって、
一次電流信号が参照CGMセンサについて測定される前または後に、前記参照CGMセンサに適用される精査電位変調シーケンスに応答して前記参照CGMセンサについて測定された複数の精査電位変調電流信号に基づいて予測式を作成するステップと、
センサと、メモリと、プロセッサとを含むCGMデバイスを提供するステップと、
前記予測式を前記CGMデバイスの前記メモリ内に記憶するステップと、
前記プロセッサによって実行されると、前記CGMデバイスに、
定電圧電位を前記センサに印加させ、前記定電圧電位から結果として生じる一次電流信号を測定させ、測定された一次電流信号を前記メモリ内に記憶させ、
一次電流信号の測定間で、精査電位変調シーケンスを前記センサに適用させ、前記精査電位変調シーケンスから結果として生じる精査電位変調電流信号を測定させ、測定された精査電位変調電流信号を前記メモリ内に記憶させ、
各一次電流信号について、グルコース値を決定するために、前記一次電流信号と、前記一次電流信号に関連する複数の前記測定された精査電位変調電流信号と、前記記憶された予測式とを使用させ、
決定されたグルコース値を前記CGMデバイスのユーザに伝達させる、
コンピュータプログラムコードを前記CGMデバイスの前記メモリ内に記憶するステップと
を含む方法。
【請求項12】
前記CGMデバイスが、前記センサと、トランスミッタ回路と、前記メモリと、前記プロセッサとを有するウェアラブル部分を含み、前記ウェアラブル部分が、前記グルコース値を計算し、ポータブルユーザデバイスに伝達するように構成された、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記CGMデバイスが、前記センサおよびトランスミッタ回路を有するウェアラブル部分と、前記メモリ、前記プロセッサ、およびレシーバ回路を有するポータブルユーザデバイスとを含み、前記ウェアラブル部分が、電流信号を測定して前記ポータブルユーザデバイスに伝達するように構成され、前記ポータブルユーザデバイスが、前記ウェアラブル部分から受信した電流信号からグルコース値を計算するように構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
連続的グルコース監視(CGM)デバイスであって、
間質液から電流信号を生成するように構成されたセンサと、
プロセッサと、
前記プロセッサに結合されたメモリと、
前記プロセッサに結合されたトランスミッタ回路と
を有するウェアラブル部分を備え、
前記メモリが、参照センサに印加された定電圧電位の印加によって生成された一次電流信号と、一次電流信号測定間で適用された精査電位変調シーケンスの適用によって生成された複数の精査電位変調電流信号とに基づく予測式を含み、
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されると、前記CGMデバイスに、
前記センサと前記ウェアラブル部分のメモリとを使用して一次電流信号を測定および記憶させ、
前記一次電流信号に関連する複数の精査電位変調電流信号を測定および記憶させ、
グルコース値を計算するために、前記一次電流信号と、前記複数の精査電位変調電流信号と、前記記憶された予測式とを使用させ、
前記グルコース値を前記CGMデバイスのユーザに伝達させる、
その中に記憶されたコンピュータプログラムコードを含む、
CGMデバイス。
【請求項15】
前記ウェアラブル部分が、
前記センサに結合され、前記センサによって生成された電流信号を測定するように構成された電流感知回路と、
前記電流感知回路に結合され、前記測定された電流信号からデジタル化された電流信号を生成するように構成されたサンプリング回路と
を含む、請求項14に記載のCGMデバイス。
【請求項16】
ポータブルユーザデバイスをさらに備え、前記ポータブルユーザデバイスが、レシーバ回路とディスプレイとを含み、前記ウェアラブル部分の前記トランスミッタ回路が、前記CGMデバイスの前記ユーザへの提示のために、グルコース値を前記ポータブルユーザデバイスの前記レシーバ回路に伝達するように構成された、請求項14に記載のCGMデバイス。
【請求項17】
連続的監視測定中に分析物濃度を決定する方法であって、
被験者の皮下にバイオセンサを挿入するステップであって、前記バイオセンサが、対向電極と、参照電極と、関心地点の分析物を酸化するように構成された化学組成を有する作用電極とを含む、ステップと、
前記作用電極から連続電流を生成するために、前記化学組成を有する前記作用電極に定電圧を印加するステップと、
前記作用電極からの一次電流信号を感知してメモリに記憶するステップと、
各一次電流信号を感知した後、精査電位変調シーケンスを前記作用電極に適用し、前記精査電位変調シーケンスに応答して生成された精査電位変調電流を感知して前記メモリに記憶するステップと、
一次電流信号と、前記一次電流信号の後に生成された精査電位変調電流とを収集するステップと、
分析物値を計算するために、前記収集された一次電流信号と精査電位変調電流とを使用するステップと
を含む方法。
【請求項18】
前記分析物がグルコースである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記作用電極からの電流信号を感知してメモリに記憶するステップが、前記作用電極からの作用電極電流信号を周期的に記録および記憶するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
分析物値を計算するために、前記収集された一次電流信号と精査電位変調電流とを使用するステップが、前記メモリから収集された精査電位変調電流の比率を決定するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記比率が、前記精査電位変調シーケンスにおける異なる電位ステップからとられた精査電位変調電流の比率を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
連続的分析物監視(CAM)センサの状態を精査し、それに基づいて前記センサを較正する方法であって、前記方法が、
前記CAMセンサに動作電圧を印加するステップと、
前記動作電圧よりも高い少なくとも1つの電圧電位ステップと、前記動作電圧よりも低い少なくとも1つの電圧電位ステップとを印加することによって、前記CAMセンサの状態を精査するステップと、
前記精査に応答して前記CAMセンサの出力電流を測定するステップと、
前記出力電流の比率を介して較正指標を計算するステップと、
前記較正指標に基づいて前記CAMセンサを較正するステップと
を含む方法。
【請求項23】
前記動作電圧がE0であり、前記動作電圧よりも高い前記少なくとも1つの電圧電位ステップがE1であり、E1-E0が0.05ボルトと0.3ボルトとの間である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記動作電圧がE0であり、前記動作電圧よりも低い前記少なくとも1つの電圧電位ステップがE2であり、E2-E0が-0.05ボルトと-0.5ボルトとの間である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記動作電圧よりも低い前記少なくとも1つの電圧電位ステップが、CAMセンサのメディエータを部分的に低減された状態に設定するように選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記出力電流の比率を介して較正指標を計算するステップが、前記動作電圧よりも高い電圧電位ステップによって生成された第1の出力電流と、前記動作電圧よりも低い電圧電位ステップによって生成された第2の出力電流との比率を決定するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記第1の出力電流が、前記動作電圧よりも高い前記電圧電位ステップの終了時に生成され、前記第2の出力電流が、前記動作電圧よりも低い前記電圧電位ステップの終了時に生成される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記動作電圧よりも低い前記少なくとも1つの電圧電位ステップの後に、前記動作電圧以上の第2の電圧電位ステップを印加するステップと、前記動作電圧以上の前記第2の電圧電位ステップの後に、動作電圧よりも低い第2の電圧電位ステップを印加するステップとをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
1つまたは複数の後続の現場較正中に使用するために、前記CAMセンサを用いるCAMデバイスのメモリ内に較正指標を記憶するステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記CAMセンサが連続的グルコース監視センサである、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
オンボディセンサに結合されたワイヤレストランスミッタと通信するワイヤレストランスミッタ/レシーバを含む管理ユニットを備える連続的分析物監視(CAM)センサ装置であって、前記管理ユニットが、プロセッサと、メモリと、ソフトウェアとをさらに備え、前記プロセッサおよび前記ソフトウェアが、
前記オンボディセンサに動作電圧を印加し、
前記動作電圧よりも高い少なくとも1つの電圧電位ステップと、前記動作電圧よりも低い少なくとも1つの電圧電位ステップとを印加することによって、前記オンボディセンサの状態を精査し、
前記精査に応答して前記オンボディセンサの出力電流を測定し、
前記出力電流の比率を介して較正指標を計算し、
前記較正指標に基づいて前記オンボディセンサを較正する
ように動作する、CAMセンサ装置。
【請求項32】
前記動作電圧がE0であり、前記動作電圧よりも高い前記少なくとも1つの電圧電位ステップがE1であり、E1-E0が0.05ボルトと0.3ボルトとの間である、請求項31に記載のCAMセンサ装置。
【請求項33】
前記動作電圧がE0であり、前記動作電圧よりも低い前記少なくとも1つの電圧電位ステップがE2であり、E2-E0が-0.05ボルトと-0.5ボルトとの間である、請求項31に記載のCAMセンサ装置。
【請求項34】
前記動作電圧よりも低い前記少なくとも1つの電圧電位ステップが、前記CAMセンサのメディエータを部分的に低減された状態に設定するように選択される、請求項31に記載のCAMセンサ装置。
【請求項35】
前記プロセッサおよびソフトウェアが、前記動作電圧よりも高い電圧電位ステップによって生成された第1の出力電流と、前記動作電圧よりも低い電圧電位ステップによって生成された第2の出力電流との比率を決定することによって、較正指標を計算するように動作する、請求項31に記載のCAMセンサ装置。
【請求項36】
前記第1の出力電流が、前記動作電圧よりも高い前記電圧電位ステップの終了時に生成され、前記第2の出力電流が、前記動作電圧よりも低い前記電圧電位ステップの終了時に生成される、請求項35に記載のCAMセンサ装置。
【請求項37】
前記プロセッサおよびソフトウェアが、前記動作電圧よりも低い前記少なくとも1つの電圧電位ステップの後に、前記動作電圧以上の第2の電圧電位ステップを印加し、前記動作電圧以上の前記第2の電圧電位ステップの後に、動作電圧よりも低い第2の電圧電位ステップを印加するように動作する、請求項31に記載のCAMセンサ装置。
【請求項38】
前記プロセッサおよびソフトウェアが、1つまたは複数の後続の現場較正中に使用するために、前記CAMセンサ装置の前記メモリ内に較正指標を記憶するように動作する、請求項31に記載のCAMセンサ装置。
【請求項39】
前記CAMセンサが連続的グルコース監視センサである、請求項31に記載のCAMセンサ装置。
【請求項40】
分析物濃度を決定するための連続的分析物監視中に精査電位変調を適用する方法であって、
連続的センサ動作中に分析物センサに一定の動作電圧を印加するステップと、
前記連続的センサ動作の各サイクルにおいて、前記一定の動作電圧とは異なる少なくとも1つの精査電位変調ステップを適用するステップと、
分析物濃度に応じて、各サイクルにおける前記一定の動作電圧からの一次電流と、各サイクルにおける少なくとも1つのコンパニオン精査電位変調電流とを測定するステップと、
前記一次電流と、前記少なくとも1つの精査電位変調ステップからの前記少なくとも1つのコンパニオン精査電位変調電流とから、分析物濃度を決定するステップと
を含む方法。
【請求項41】
分析物濃度を決定するステップが、工場較正なしに、製造リリースの中心感度から少なくとも±25%のセンサ感度変動に対応するステップを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
分析物濃度を決定するステップが、背景信号の変化の影響に少なくとも5倍対応するステップを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
分析物濃度を決定するステップが、現場較正なしに日々の感度変化に対応するステップを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
分析物濃度を決定するステップが、30分以下のウォームアップ時間で分析物濃度を決定するステップを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
少なくとも1つの精査電位変調ステップを適用するステップが、電位変調ステップのシーケンスを適用するステップを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記一次電流および前記少なくとも1つのコンパニオン精査電位変調電流が、作用電極電流信号である、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
一次電流信号を3分および5分ごとに測定するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
少なくとも1つの精査電位変調ステップを適用するステップが、2つ以上の電圧ステップを含む精査電位変調シーケンスを適用するステップを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項49】
前記精査電位変調シーケンスが4つ以上の電圧ステップを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つの精査電位変調ステップが、前記一定の動作電圧よりも高い電圧における少なくとも1つの上昇と、前記一定の動作電圧に戻る電圧における少なくとも1つの低下とを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項51】
連続的分析物監視(CAM)デバイスであって、
被験者の皮下に挿入され、間質液から電流信号を生成するように構成されたセンサと、
プロセッサと、
前記プロセッサに結合されたメモリと
を有するウェアラブル部分を備え、
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されると、前記CAMデバイスに、
前記センサから一次電流を生成するように前記センサに定電圧を印加させ、
前記定電圧に応答して生成された一次電流信号を感知させて前記メモリに記憶させ、
一次電流信号を感知する間に、前記センサに精査電位変調シーケンスを適用させ、精査電位変調シーケンスに応答して生成された精査電位変調電流を感知させて前記メモリに記憶させ、
少なくとも一週間の時間期間にわたって分析物値を計算するために、一次電流信号と精査電位変調電流とを使用させる、
その中に記憶されたコンピュータプログラムコードを含み、
前記CAMデバイスが、前記時間期間中に現場較正を用いない、
CAMデバイス。
【請求項52】
前記CAMデバイスが、30分以下のウォームアップ時間を有する、請求項51に記載のCAMデバイス。
【請求項53】
前記CAMデバイスが工場較正されていない、請求項51に記載のCAMデバイス。
【請求項54】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されると、前記CAMデバイスに、
精査電位変調電流の比率を計算させ、
分析物値を計算するために、前記比率と一次電流信号とを使用させる、
その中に記憶されたコンピュータプログラムコードを含む、請求項51に記載のCAMデバイス。
【請求項55】
前記センサが、対向電極と、参照電極と、分析物を酸化し、間質液から電流信号を生成するように構成された化学組成を有する作用電極とを含み、前記メモリが、プロセッサによって、実行されると、前記CAMデバイスに、
前記作用電極から連続電流を生成するために、前記化学組成を有する前記作用電極に定電圧を印加させ、
前記作用電極からの一次電流信号を感知して前記メモリに記憶させ、
各一次電流信号を感知した後、精査電位変調シーケンスを前記作用電極に適用させ、前記精査電位変調シーケンスに応答して生成された精査電位変調電流を感知して前記メモリに記憶させ、
一次電流信号と、前記一次電流信号の後に生成された精査電位変調電流とを収集させ、
分析物値を計算するために、前記収集された一次電流信号と精査電位変調電流とを使用させる、
その中に記憶されたコンピュータプログラムコードを含む、請求項51に記載のCAMデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年2月5日に出願した、「APPARATUS AND METHODS FOR PROBING SENSOR OPERATION OF CONTINUOUS ANALYTE SENSING AND AUTO-CALIBRATION」と題する米国仮特許出願第62/801,592号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、体液中の分析物の連続的センサ監視に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、連続的グルコース監視(CGM:continuous glucose monitoring)などの、生体内または生体外のサンプルにおける連続的分析物感知は、医療デバイスの分野、より具体的には糖尿病治療における日常的な感知動作となっている。例えば、血液サンプルを取得するために指を刺すなどして、個別の感知で全血サンプル中の分析物を測定するバイオセンサについて、サンプルの温度、および血液サンプルのヘマトクリットが、誤差の主な原因となる可能性がある。しかしながら、連続的生体内感知動作において使用されるセンサなど、比較的一定の温度を有する非全血環境において配置されたセンサについて、他のセンサ誤差源が存在する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、CGMセンサの現場較正の改善された装置および方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様によれば、センサの感度または動作条件に関してセンサを精査し、センサの動作条件に関する感度指標を抽出し、必要に応じて工場較正以外の現場較正を提供し得る装置および方法が提供される。
【0006】
いくつかの実施形態において、センサと、メモリと、プロセッサとを含むCGMデバイスを提供するステップと、センサに定電圧電位を印加し、定電圧電位から結果として生じる一次電流信号を測定し、測定された一次電流信号をメモリ内に記憶するステップと、一次電流信号の測定間で、センサに精査電位変調シーケンスを適用し、精査電位変調シーケンスから結果として生じる精査電位変調電流信号を測定し、測定された精査電位変調電流信号をメモリ内に記憶するステップと、各一次電流信号について、グルコース値を決定するために、一次電流信号と、一次電流信号に関連する複数の測定された精査電位変調電流信号とを用いるステップとを含む、連続的グルコース監視(CGM)測定中の誤差を補償する方法が提供される。
【0007】
いくつかの実施形態において、一次電流信号が参照CGMセンサについて測定される前または後に、参照CGMセンサに適用される精査電位変調シーケンスに応答して参照CGMセンサについて測定された複数の精査電位変調電流信号に基づいて予測式を作成するステップと、センサと、メモリと、プロセッサとを含むCGMデバイスを提供するステップと、予測式をCGMデバイスのメモリ内に記憶するステップと、プロセッサによって実行されると、CGMデバイスに、(a)定電圧電位をセンサに印加させ、定電圧電位から結果として生じる一次電流信号を測定させ、測定された一次電流信号をメモリ内に記憶させ、(b)一次電流信号の測定間で、精査電位変調シーケンスをセンサに適用させ、精査電位変調シーケンスから結果として生じる精査電位変調電流信号を測定させ、測定された精査電位変調電流信号をメモリ内に記憶させ、(c)各一次電流信号について、グルコース値を決定するために、一次電流信号と、一次電流信号に関連する複数の測定された精査電位変調電流信号と、記憶された予測式とを使用させ、(d)決定されたグルコース値をCGMデバイスのユーザに伝達させる、コンピュータプログラムコードをCGMデバイスのメモリ内に記憶するステップとを含む、連続的グルコース監視(CGM)デバイスを作製する方法が提供される。
【0008】
いくつかの実施形態において、間質液から電流信号を生成するように構成されたセンサを有するウェアラブル部分と、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリと、プロセッサに結合されたトランスミッタ回路とを含む連続的グルコース監視(CGM)デバイスが提供される。メモリは、参照センサに印加された定電圧電位の印加によって生成された一次電流信号と、一次電流信号測定間で適用された精査電位変調シーケンスの適用によって生成された複数の精査電位変調電流信号とに基づく予測式を含む。メモリは、プロセッサによって実行されると、CGMデバイスに、(a)センサとウェアラブル部分のメモリとを使用して一次電流信号を測定および記憶させ、(b)一次電流信号に関連する複数の精査電位変調電流信号を測定および記憶させ、(c)グルコース値を計算するために、一次電流信号と、複数の精査電位変調電流信号と、記憶された予測式とを使用させ、(d)グルコース値をCGMデバイスのユーザに伝達させる、メモリ内に記憶されたコンピュータプログラムコードも含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、被験者の皮下にバイオセンサを挿入するステップであって、バイオセンサが、対向電極と、参照電極と、関心地点の分析物を酸化するように構成された化学組成を有する作用電極とを含む、ステップと、作用電極から連続電流を生成するために、化学組成を有する作用電極に定電圧を印加するステップと、作用電極からの一次電流信号を感知してメモリに記憶するステップと、各一次電流信号を感知した後、精査電位変調シーケンスを作用電極に適用し、精査電位変調シーケンスに応答して生成された精査電位変調電流を感知してメモリに記憶するステップと、一次電流信号と、一次電流信号の後に生成された精査電位変調電流とを収集するステップと、分析物値を計算するために、収集された一次電流信号と精査電位変調電流とを使用するステップとを含む、連続的監視測定中に分析物濃度を決定する方法が提供される。
【0010】
いくつかの実施形態において、連続的分析物監視(CAM)センサに動作電圧を印加するステップと、動作電圧よりも高い少なくとも1つの電圧ステップと、動作電圧よりも低い少なくとも1つの電圧ステップとを印加することによって、CAMセンサの状態を精査するステップと、精査に応答してCAMセンサの出力電圧を測定するステップと、出力電流の比率を介して較正指標を計算するステップと、較正指標に基づいてCAMセンサを較正するステップとを含む、CAMセンサの状態を精査し、それに基づいてセンサを較正する方法が提供される。
【0011】
いくつかの実施形態において、オンボディセンサに結合されたワイヤレストランスミッタと通信するワイヤレストランスミッタ/レシーバを含む管理ユニットを含む連続的分析物監視(CAM)センサ装置が提供され、管理ユニットは、プロセッサと、メモリと、ソフトウェアとをさらに備え、プロセッサおよびソフトウェアが、(a)オンボディセンサに動作電圧を印加し、(b)動作電圧よりも高い少なくとも1つの電圧ステップと、動作電圧よりも低い少なくとも1つの電圧ステップとを印加することによって、オンボディセンサの状態を精査し、(c)精査に応答してオンボディセンサの出力電流を測定し、(d)出力電流の比率を介して較正指標を計算し、(e)較正指標に基づいてオンボディセンサを較正するように動作する。
【0012】
いくつかの実施形態において、連続的センサ動作中に分析物センサに一定の動作電圧を印加するステップと、連続的センサ動作の各サイクルにおいて、一定の動作電圧とは異なる少なくとも1つの精査電位変調ステップを適用するステップと、分析物濃度に応じて、各サイクルにおける一定の動作電圧からの一次電流と、各サイクルにおける少なくとも1つのコンパニオン精査電位変調電流とを測定するステップと、一次電流と、少なくとも1つの精査電位変調ステップからの少なくとも1つのコンパニオン精査電位変調電流とから、分析物濃度を決定するステップとを含む、分析物濃度を決定するための連続的分析物監視中に精査電位変調を適用する方法が提供される。
【0013】
いくつかの実施形態において、被験者の皮下に挿入され、間質液から電流信号を生成するように構成されたセンサを有するウェアラブル部分と、プロセッサと、プロセッサに結合されたメモリとを含む連続的分析物監視(CAM)デバイスが提供される。メモリは、プロセッサによって実行されると、CAMデバイスに、(a)センサから一次電流を生成するようにセンサに定電圧を印加させ、(b)定電圧に応答して生成された一次電流信号を感知させてメモリに記憶させ、(c)一次電流信号を感知する間に、センサに精査電位変調シーケンスを適用させ、精査電位変調シーケンスに応答して生成された精査電位変調電流を感知させてメモリに記憶させ、(d)少なくとも一週間の時間期間にわたって分析物値を計算するために、一次電流信号と精査電位変調電流とを使用させる、その中に記憶されたコンピュータプログラムコードを含む。CAMは、時間期間中に現場較正を用いない。
【0014】
本開示のこれらおよび他の実施形態による依然として他の態様、特徴、および利点が、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、および添付図面から容易に明らかになり得る。したがって、本明細書における図面および説明は、本質的に例示的なものとみなされるべきであり、限定的なものとみなされるべきではない。
【0015】
以下に説明する図面は、例示的な目的のためのものであり、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。図面は、いかようにも開示の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の1つまたは複数の実施形態による、連続的グルコース監視(CGM)センサの印加電圧E0対時間のグラフである。
図2】本開示の1つまたは複数の実施形態による、CGMセンサの出力電流対時間のグラフである。
図3】本開示の1つまたは複数の実施形態による、初期精査期間中の変化するCGMセンサ入力電位変調ステップ対時間のグラフである。
図4】本開示の1つまたは複数の実施形態による、中間精査期間中の変化するCGMセンサ入力電位変調ステップ対時間のグラフである。
図5A】本開示の1つまたは複数の実施形態による、酸化還元種(メディエータ)の酸化還元プラトーおよびその近傍での電流-電圧関係のグラフである。
図5B】本開示の1つまたは複数の実施形態による、図3および図4に示す精査電圧変調の前、最中、および後の電流に関する典型的な電流-時間関係のグラフである。
図6A】1つまたは複数の実施形態によるCGMセンサ装置のブロック図である。
図6B】1つまたは複数の実施形態によるCGMセンサ装置のブロック図である。
図7A】本開示の1つまたは複数の実施形態による、連続的グルコース監視(CGM)センサの印加電圧E0対時間のグラフである。
図7B】本明細書で提供される実施形態において用いられ得る精査電位変調の例示的なシーケンスを示し、段階的な精査電位変調を示す図である。
図7C】本明細書で提供される実施形態において用いられ得る精査電位変調の例示的なシーケンスを示し、2つの連続するシーケンスにおける1つのステップダウン/アップ精査電位変調を示す図である。
図7D】本明細書で提供される実施形態において用いられ得る精査電位変調の例示的なシーケンスを示し、非対称ステップ精査電位変調を示す図である。
図7E】本明細書で提供される実施形態において用いられ得る精査電位変調の例示的なシーケンスを示し、線形スキャン/三角形精査電位変調を示す図である。
図7F】本明細書で提供される実施形態において用いられ得る精査電位変調の例示的なシーケンスを示し、一定の動作電位に戻る直接ステップが続く1ステップ電位変調を示す図である。
図8A】本明細書で提供される実施形態による、精査電位変調の第1のサイクル中に図7Bの精査電位変調によって生成された作用電極(WE)電流対時間の例示的なグラフである。
図8B】精査後の最初の6時間における図8Aの精査電位変調電流の減衰を示すWE電流対時間のグラフである。
図9A】本明細書で提供される実施形態による、一定のグルコース濃度における精査電位変調の3つの連続するサイクルに応答して図7Cの精査電位変調によって生成された作用電極(WE)電流対時間の例示的なグラフである。
図9B】一定のグルコース濃度における異なる7日間(Day1~Day7)にとられた図7Cの精査電位変調に応答するWE電流のグラフである。
図10】例示的な実施形態による、作用電極電流対精査電位変調時間のグラフである。
図11A】本明細書で提供される実施形態による、背景信号としての異なるアセトアミノフェン濃度における異なるグルコース濃度に応答する、精査電位変調あり(ppm)および精査電位変調なし(nppm)のCGMセンサの時間的応答電流を示す、作用電極電流対時間のグラフである。
図11B】単純な多変量回帰に基づく図11AのWE電流に関する予測グルコース濃度対時間のグラフである。
図11C】本明細書で説明するように精査電位変調あり(ppm)の4つのレベルのアセトアミノフェンにおける直線性の応答線を示すWE電流対グルコース溶液濃度のグラフである。
図11D】(精査電位変調を使用して決定された)図11CのWE電流に基づく予測グルコース濃度対グルコース溶液濃度のグラフである。
図11E】精査電位変調なし(nppm)の4つのレベルのアセトアミノフェンにおける直線性の応答線を示すWE電流対グルコース溶液濃度のグラフである。
図11F】(精査電位変調を使用せずに決定された)図11EのWE電流に基づく予測グルコース濃度対グルコース溶液濃度のグラフである。
図11G】本明細書で提供される実施形態による、0.2mg/dLのアセトアミノフェン背景レベルに対する初期精査電位変調電流相関を示す図である。
図11H】本明細書で提供される実施形態による、0.2mg/dLのアセトアミノフェン背景レベルに対する終期精査電位変調電流相関を示す図である。
図12A】本明細書で提供される実施形態による、精査電位変調を受けた3つのセンサ(センサppm-1、ppm-2、およびppm-3)と精査電位変調を受けなかった1つのセンサ(センサnppm-1)とに関する作用電極電流対経過時間のグラフである。
図12B】本明細書で提供される実施形態による、7日目における3つのセンサ(ppm-1、ppm-2、ppm-3)に関する作用電極電流対グルコース濃度を示す図である。
図12C】本明細書で提供される実施形態による、1日目、7日目、および14日目における1つのセンサ(センサppm-1)に関する作用電極電流対グルコース濃度を示す図である。
図12D】本明細書で提供される実施形態による、長期監視の9日目の一部の間の、温度変動を伴う3つのセンサの作用電極(一次電流)を示す図である。
図13A】本明細書で提供される実施形態による、精査電位変調の使用によりグルコース値における差が減少し、全体的なグルコース精度が上昇した、17日間にわたる出力グルコース値を示す図である。
図13B】本明細書で提供される実施形態による、精査電位変調の使用による異なるセンサの3つのグルコース応答線の改善を示す図である。
図13C】本明細書で提供される実施形態による、精査電位変調の使用によるウォームアップ中の非線形特性の除去を示す図である。
図13D】本明細書で提供される実施形態による、精査電位変調の使用による温度効果の低減を示す図である。
図13E】本明細書で提供される実施形態による、精査電位変調の使用による異なるセンサ間の感度効果の低減を示す図である。
図13F】本明細書で提供される実施形態による、精査電位変調の使用による異なるセンサ間の感度効果の低減を示す図である。
図14A】本明細書で提供される実施形態による例示的なCGMデバイスの高レベルブロック図である。
図14B】本明細書で提供される実施形態による別の例示的なCGMデバイスの高レベルブロック図である。
図15】本明細書で提供される実施形態による例示的なグルコースセンサの側面概略図である。
図16】本明細書で提供される実施形態による、連続的グルコース監視(CGM)測定中の誤差を補償する例示的な方法のフローチャートである。
図17】本明細書で提供される実施形態による、連続的グルコース監視(CGM)デバイスを作製する例示的な方法のフローチャートである。
図18】本明細書で提供される実施形態による、連続的監視測定中に分析物濃度を決定する例示的な方法のフローチャートである。
図19】本明細書で提供される実施形態による、連続的分析物監視(CAM)センサの状態を精査し、それに基づいてセンサを較正する例示的な方法のフローチャートである。
図20】本明細書で提供される実施形態による、連続的分析物監視(CAM)センサから分析物濃度を決定し、それに基づいてセンサを較正する例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、添付図面に示す本開示の例示的な実施形態を詳細に参照する。可能な限り、同じ参照番号は、同じまたは類似の部分を指すために、図面全体を通して使用される。本明細書で説明する様々な実施形態の特徴は、特に断りのない限り、互いに組み合わされ得る。
【0018】
「電圧」、「電位」、および「電圧電位」という用語は、交換可能に使用される。「電流」、「信号」、および「電流信号」も交換可能に使用され、「連続的分析物監視」および「連続的分析物感知」も同様である。本明細書で使用される場合、精査電位変調は、センサへの精査電位ステップ、パルス、または他の電位変調の適用など、連続的分析物感知中にセンサに印加される一定の電圧電位に対して周期的に行われる意図的な変更を指す。一次データポイントまたは一次電流は、連続的分析物感知中にセンサに印加される定電圧電位において分析物に応答して生成される電流信号の測定値を指す。精査電位変調(ppm)電流は、連続分析物感知中にセンサに適用される精査電位変調に応答して生成される電流信号の測定値を指す。参照センサは、例えば、BGMの読み取り値によって表される参照グルコース濃度に応答して、一次データポイントおよびppm電流(例えば、その後、連続的分析物監視(CAM)デバイス内に記憶され、分析物濃度を決定するために連続的分析物感知中に使用される予測式を決定する目的のために測定される一次電流およびppm電流)を生成するために使用されるセンサを指す。
【0019】
連続的な生体内感知動作において使用されるセンサなど、比較的一定の温度を有する非全血環境において配置されたセンサについて、センサ誤差は、センサの短期および長期の感度と、その後の較正方法に関連する場合がある。このような連続的感知動作に関連するいくつかの問題/課題、すなわち、(1)長い慣らし(ウォームアップ)時間、(2)工場出荷時または現場での較正、および(3)連続的感知動作中の感度の変化が存在する。これらの課題/問題は、見たところ、初期減衰(慣らし/ウォームアップ時間)において表されるセンサ感度、センサ製造中の環境に対するセンサの感受性による感度の変化、およびその後にセンサが配置される環境/条件に関連する。
【0020】
本開示の1つまたは複数の実施形態によれば、装置および方法は、サンプル分析物に対する連続的センサ動作の初期開始状態を精査し、センサの連続的感知動作中のその後の任意の時点においてセンサ状態を精査するように動作する。精査シーケンスの結果は、初期および/またはランダムチェックポイントのいずれかにおけるセンサの較正の現場での調整が必要かどうかを示す、精査シーケンスから取得された電気信号から決定される較正指標を含み得る。いくつかの実施形態において、精査方法の出力およびその較正指標は、連続的センサ動作のための現場較正を内部的に提供し得る(ならびに/または、以下に説明する実施形態において、精査方法は、現場較正の必要性を低減および/もしくは排除し得る)。
【0021】
本明細書で説明する実施形態は、分析物センサに印加される定電圧に対して精査電位変調を適用するためのシステムおよび方法を含む。電圧、電位、および電圧電位という用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0022】
分析物センサから分析物濃度を連続的に正確に決定するために用いられ得る予測式のためのパラメータを定式化する方法が提供される。さらに、精査電位変調(ppm)自己充足(self-sufficient)信号(例えば、精査電位変調の適用から結果として生じる作用電極電流)の使用により、分析物濃度を決定するための方法および装置が提供される。そのような方法および装置は、(1)異なる背景干渉信号の影響を克服し、(2)異なるセンサ感度の影響を平準化または除去し、(3)(長期)連続的監視プロセスの開始時のウォームアップ時間を短縮し、(4)連続的監視プロセスにわたるセンサ感度変化を補正し、および/または(5)センサ出力電流に対する温度の影響を補正しながら、分析物濃度決定を可能にし得る。これらおよび他の実施形態について、図1図20を参照して以下に説明する。
【0023】
通常は一定の印加電圧で動作する連続的グルコース監視(CGM)バイオセンサについて、メディエータからの電流は、標的分析物グルコースの酵素酸化の結果として連続的に測定される。実際には、電流は、典型的には、連続的と呼ばれていても、3~15分ごと、または別の一定の間隔で測定または感知される。CGMセンサが最初にユーザに挿入/移植されるときに、30分から数時間続き得る初期の慣らし時間が存在する。一度CGMセンサが慣らされた後、その感度は、様々な理由のために依然として変化し得る。したがって、その感度における任意の変化を識別するために、その初期の間、および慣らし時間後に、センサの動作状態を感知する必要がある。
【0024】
CGMセンサ動作は、CGMセンサがユーザの皮下に挿入/移植された後、印加電圧E0で開始する。印加電圧E0は、通常、メディエータの酸化還元プラトー上の点にある。グルコースオキシダーゼの酵素による酸素の自然のメディエータについて、過酸化水素H2O2(酵素反応の酸化生成物)の酸化プラトーは、約100~150mMの塩化物濃度の媒体中のAg/AgCl参照電極に対して約0.5~0.8ボルトの範囲である。グルコースセンサの動作電位は、プラトー領域内の0.55~0.7ボルトに設定され得る。図1は、そのような固定電位(印加電圧)E0を示し、図2は、減衰を伴う初期状態および安定状態におけるセンサ出力電流の典型的な挙動を示し、センサは、配置中のグルコースの上/下の変化を記録する。具体的には、図1は、連続的感知動作中の作用電極電圧対時間のグラフ100を示し、図2は、作用電極電流対時間のグラフ200を示す。
【0025】
図1は、精査電位変調を使用する初期精査および中間精査の時間における位置も示す。例示的な精査電位変調を図3および図4にさらに示す。精査電位変調およびそれらに隣接するクラスタ電位ステップは、さらに以下のように定義され得る。
【0026】
精査電位:センサ状態/環境の初期精査について、いくつかの実施形態において、精査は、センサ挿入および初期印加電圧の0~5分後に開始し得る。他の初期精査開始時間も使用され得る。いくつかの実施形態において、精査電位変調は、ベース電位E0からの少なくとも1つの順方向電位ステップを含み得る。すなわち、順方向ステップ電位E1は、E0よりも高く、ΔE1,0=E1-E0>0であり、0.05~0.3ボルトのオーダである。精査電位変調は、ΔE2,0=E2-E0および-0.05~-0.5ボルトのオーダであるように、少なくとも1つの逆方向電位ステップE2も含み得、すなわち、E2は、E1およびE0よりも大幅に低く、ここで、ΔE2,1=E2-E1<0およびΔE2,0=E2-E0<0である。
【0027】
図5Aおよび図5Bは、例示的な相対的電位ステップ(グラフ500A)と、上記で説明した後方/前方電位ステップ中の典型的な電流挙動(グラフ500B)とを示す。電位E2は、メディエータを部分的に還元された状態に設定するように設計される。電位ステップ終期電流の比率i1,t/i2,tは、センサの状態および感度の評価を提供し得る。すなわち、i1,t(同様にi0,t、i3,t)は、メディエータの還元状態の酸化からの拡散制限電流を提供し、i2,tは、センサ感度に関連する反応電流を提供する。追加の電位ステップは、E0以上であるがE1未満である順方向電位ステップE3と、E3からE0に戻る別の逆方向電位ステップとを含み得る。この精査電位シーケンスは、最終精査電位ステップがE0に戻った後、固定電位E0において進行中の電流監視に対して最小限の摂動を有するように設計される。精査電位変調後、通常の電流記録頻度が再開し得る。
【0028】
精査期間および休止期間:いくつかの実施形態において、複数の精査電位変調(この例では電位ステップ)を含む1つの精査シーケンスのタイミングは、5~100秒のオーダであり得、ここで、各電位ステップは、個々のステップについて等しいまたは等しくないステップサイズを有する1~20秒の持続時間を有し得る。この1つの精査期間は、例えば、1~30分の休止期間によって区切られ得る。そのような精査方式の例は、1精査サイクルが15分で、14.5分の休止期間によって区切られた3~5ステップの精査グループについて30秒の精査期間によって表され得る。長期センサ応答電流は、1~15分ごとの頻度において測定され得るが、精査電位変調の電流サンプリング間隔は、精査電位変調のステップ持続時間に応じて、0.1~5秒のオーダであり得る。
【0029】
精査電位変調の電流減衰定数:例示的な精査電位変調位置、およびそれらの電位ステップ内のそれらの典型的な電流減衰挙動を、図5Aおよび図5Bに示す。精査電位変調(PPM)電流は、一般に、
【0030】
【数1】
【0031】
によって、ステップ電位の大きさに比例し、ここで、ΔEは、電位ステップであり、RSは、作用電極と参照電極または組み合わされた参照/対向電極との間の溶液抵抗であり、Cdは、電極表面の静電容量であり、tは、初期ステップ電位後の時間である。ΔE/RSによって特徴付けられる最初の電流スパイクの後、電流は、ほぼ指数関数的に減衰する(exp(-t/RSCd))。したがって、ΔE>0の場合、ステップ電位電流は、正になり、ΔE<0の場合、ステップ電位電流は、負になる。そのような挙動を、4つの電位ステップについて図5Bに示す。各精査電位変調について、センサ電極、酵素/膜カプセル化、およびセンサの環境に特徴的な減衰がある。この減衰は、減衰定数
【0032】
【数2】
【0033】
によって特徴付けられ得、ここで、in,0は、En(n=1,2,3,...)におけるステップの初期電流を示し、in,tは、各電位ステップに関する時間tにおけるステップの終期電流を示す。減衰は、i1,t/i1,0、i2,t/i2,0、i3,t/i3,0、およびi4,t/i4,0の比率によっても定義され得、ここで、in,0は、初期ステップ電流であり、in,tは、各電位ステップの時間tにおける終期ステップ電流である。これらの減衰定数は、センサ感度変化、または慣らし時間中のセンサの酵素/膜状態の変化を反映し得る。
【0034】
電位ステップ終期電流の比率:E0、E1、およびE3からの電位ステップ終期電流は、電流の十分な減衰後に、互いに近くなるべきである。これは、E0、E1、およびE3が、拡散制限電流による酸化還元プラトーにあるために生じる。しかしながら、E2が酸化還元プラトーにおける拡散制限電流よりもはるかに低い電流の領域にあるので、E2に関する電位ステップ終期電流は、E0、E1、およびE3からのものよりも大幅に小さくなり得る。特に、i1,t/i2,tの比率は、近くの時間におけるセンサの相対的な感度を示し得、i3,t/i2,tも同様であり得る。これらの比率と、工場較正からのi1,t/i2,tおよびi3,t/i2,tの平均比率との比較は、センサの相対的な感度と、したがって、現場較正の基礎とを提供し得る。この比率は、様々な段階におけるセンサ状態も提供し得る。したがって、工場較正は、センサの応答曲線(例えば、勾配および切片の較正定数セット、センサ電流信号と分析物濃度とに関連する多項式の係数など)だけでなく、精査電位変調から得られる較正指標にも基づき得る。勾配および切片の較正定数は、分析物の参照濃度の生体外投与でのみ得られ得るが、本明細書で説明する較正指標は、動作電位E0よりも高い電位ステップおよび低い電位ステップを用いて生体内電位変調(または他のタイプの精査電位変調)を介して生成され得、追加の較正要素として工場較正に追加され得る。例えば、いくつかの実施形態において、較正定数は、勾配および切片の複数のセットを含み得、較正指標は、勾配および切片の異なるセットと相関され得る。これらの定数および指標は、センサ動作中の現場較正のために、センサシステムのメモリ内に記憶され得る。
【0035】
初期精査:精査方式が15分ごとに適用される場合、その後、通常の印加電圧E0に戻る間、最初の1時間は、センサに特徴的な指標の4つの異なるセットを提供し、そのような短期間内のグルコース濃度を予測するために、異なる較正定数が適用され得る。4つの連続的な精査電位変調から生成された精査指標が慣らし時間に沿って変化するので、一般的な電流挙動が依然として減衰している場合でも、その後の電流挙動を予測し、したがって、精査指標の傾向と工場較正定数とに基づいてグルコース判定を提供するために、初期減衰電流の傾向が確立され得る。この手法は、いくつかの実施形態において、全体的なセンサ慣らし/ウォームアップ時間を約3時間から1時間に短縮するのを助け得る。初期精査は、他の時間間隔(例えば、センサに特徴的な指標の4つよりも少ないまたは多い異なるセットが取得され得るように、15分ごとよりも少ない、または15分ごとよりも多い時間間隔)において実行され得る。
【0036】
中間精査:いくつかの実施形態において、精査電位変調は、長期監視電流へのアンカーを提供するために、毎日定期的に適用され得る。例えば、センサが比較的低い変動状態にあるとき、精査電位変調の1つまたは複数のセットが適用され得る。精査電位変調から生成された精査指標がセンサ感度における変化を示す場合、変化を補正するために感度調製が適用され得る。これは、現場較正(内部較正)のステップである。
【0037】
センサシステムインテリジェンス:精査電位変調方式は、初期などのルーチンとして適用され得、または定期的に適用され得る。精査電位変調の適用は、電位変調を開始し、現場センサ較正のために使用されるべき指標の計算を実行するために、いくつかの組み込みインテリジェンス(例えば、CGMセンサの管理ユニットのマイクロプロセッサ上で動作するソフトウェア)を用い得る。
【0038】
図6Aおよび図6Bは、1つまたは複数の実施形態によるCGM装置600を示す。CGM装置600は、ワイヤレストランスミッタ/レシーバユニット604を有する管理ユニット602と、ユーザの身体611(例えば、胴体)に取り付け可能なセンサパッド609において受け入れられるオンボディセンサ607に結合されたワイヤレストランスミッタ605とを含む。ワイヤレストランスミッタ605は、センサ読み取り値と他のデータとを、ワイヤレストランスミッタ/レシーバユニット604に伝達する。カニューレ、針、またはセンサ構成要素613(例えば、分析物センサ)、挿入セットの使用など、公知の手段を介してユーザの身体611に挿入され、ユーザの間質液中のグルコースレベルの実質的に連続的な感知を可能にするために、オンボディセンサ607とインターフェースする。管理ユニット602は、ハウジング606と、グルコース読み取り値および/または傾向を表示する表示画面608と、管理ユニット602の様々な機能を制御するための複数のボタンを含み得るユーザインターフェース610とを有する。図6Bに示すように、管理ユニット602はまた、アンテナ612と、プロセッサ614(例えば、マイクロプロセッサであり得る)と、メモリ616と、ソフトウェア618と、充電式バッテリ620と、バッテリ充電器622と、アナログインターフェース624と、ケーブルコネクタ626とを含む。プロセッサ614、メモリ616、およびソフトウェア618は、CGMセンサ(例えば、オンボディセンサ607)の感度および動作状態に関するCGMセンサの精査と、CGMセンサの動作状態に関する感度指標の抽出および記憶と、上記で説明したようなCGM装置600の必要に応じた現場較正調製とを実行するように動作可能である。
【0039】
本明細書で説明する実施形態は、(例えば、グルコースなどの生物学的サンプル分析物を監視するための)連続的感知動作において皮下バイオセンサの作用電極に印加される定電圧電位に対する周期的な摂動として、精査電位変調を用いる。前の実施形態は、センサの挿入後の初期時間期間中、および中間時間期間における精査電位変調の使用について説明しているが、精査電位変調は、他の時間期間において使用され得る。例えば、連続的グルコース監視などの連続的感知動作中、センサ作用電極電流は、典型的には、グルコース値決定のために3~15分ごとに(またはなにか他の頻度で)サンプリングされる。これらの電流測定値は、連続的感知動作中の分析物決定のために使用される一次電流および/または一次データポイントを表す。いくつかの実施形態において、自己充足電流のグループが各一次データポイントにセンサ/電極のステータスおよび/または状態に関する情報を伴わせるように、各一次電流測定後に精査電位変調の周期的サイクルが用いられ得る。
【0040】
精査電位変調は、連続的分析物監視中に通常使用される定電圧電位とは異なる電位における1つまたは複数のステップを含み得る。例えば、精査電位変調は、定電圧電位よりも上または下の第1の電位ステップ、定電圧電位よりも上もしくは下の第1の電位ステップおよび次いで定電圧電位に戻る電位ステップ、定電圧電位よりも上および/または下の一連の電位ステップ、電圧ステップ、電圧パルス、同じもしくは異なる持続時間のパルス、方形波、正弦波、三角波、または任意の他の電位変調を含み得る。
【0041】
説明したように、連続的分析物感知において使用される従来のバイオセンサは、センサの作用電極(WE)に一定の電位を印加することによって動作する。この条件下で、WEからの電流は、定期的に(例えば、3~15分ごと、またはなにか他の時間間隔で)記録される。このようにして、バイオセンサは、印加された電位の変化ではなく、分析物濃度の変化にのみ起因する電流を生成する。すなわち、異なる電位の印加に関連する非定常電流は、存在しない。この手法は、連続的感知動作を単純化するが、センサへの定電位の印加からのデータストリームにおける電流信号は、センサステータス/状態に関する最小限の情報しか提供しない。すなわち、センサへの定電位の印加からのセンサ電流信号は、ロットごとの感度のばらつき、初期信号減衰による長いウォームアップ時間、長期監視プロセスにわたるセンサ感度の変化、変動する背景干渉信号からの影響など、センサによる長期連続的監視に関連する問題に関連する情報をほとんど提供しない。
【0042】
本明細書で説明する実施形態は、分析物センサに印加される定電圧に対して精査電位変調を適用するためのシステムおよび方法を含む。分析物センサから分析物濃度を連続的に正確に決定するために用いられ得る予測式のためのパラメータを定式化する方法が提供される。さらに、精査電位変調(ppm)自己充足信号の使用により、分析物濃度を決定するための方法およびシステムが提供される。そのような方法およびシステムは、(1)異なる背景干渉信号の影響を克服し、(2)異なるセンサ感度の影響を平準化または除去し、(3)(長期)連続的監視プロセスの開始時のウォームアップ時間を短縮し、(4)連続的監視プロセスにわたるセンサ感度変化を補正し、および/または(5)センサ出力電流に対する温度の影響を補正しながら、分析物濃度決定を可能にし得る。これらおよび他の実施形態について、図7A図19を参照して以下に説明する。
【0043】
図7Aは、本開示の1つまたは複数の実施形態による、連続的グルコース監視(CGM)センサに対する印加電圧E0対時間のグラフを示す。一次データポイントの測定が行われ、その後の精査電位変調が適用され得る例示的な時間が示されている。図7Aに示すように、分析物センサの作用電極に印加される定電圧電位E0は、この例では約0.55ボルトであり得る。他の電圧電位も使用され得る。図7Aは、一定の印加電圧でとられた一次データポイントの典型的なサイクルの例を示す。一次データポイントは、連続的グルコース監視中に、一定の印加電圧において、3~15分などの一定の間隔で測定またはサンプリングされ、ユーザのグルコース値を計算するために使用されるデータポイントである。一次データポイントは、例えば、連続的分析物監視中に分析物センサについて測定された作用電極電流であり得る。図7Aは、一次データポイントを示していないが、各一次データポイントが測定される時間および電圧を示している。例えば、図7Aにおける円702は、E0の電圧においてバイアスされたセンサについて第1の一次データポイント(例えば、第1の作用電極電流)が測定される時間/電圧(3分/0.55ボルト)を表す。同様に、図7Aにおける円704は、E0の電圧においてバイアスされたセンサについて第2の一次データポイント(例えば、第2の作用電極電流)が測定される時間/電圧(6分/0.55ボルト)を表す。
【0044】
図7B図7C図7D図7E、および図7Fは、本明細書で提供される実施形態による、使用され得る精査電位変調の例示的なシーケンスを示す。電位プロファイルの上の三角形は、本実施形態の例として、精査電位変調電流が測定される時間を示す。例えば、それぞれ、図7Bは、段階的な精査電位変調を示し、図7Cは、2つの連続するシーケンスにおける1つのステップダウン/アップ精査電位変調を示し、図7Dは、非対称ステップ精査電位変調を示し、図7Eは、線形スキャン/三角形精査電位変調を示し、図7Fは、一定の動作電位に戻る直接ステップが続く1ステップ電位変調を示す。他の精査電位変調タイプも使用され得る。これらの図において、「一次電圧」は、通常のセンサ動作の下での一定の印加電位を示し、「一次データ」は、分析物濃度を示すものとして定期的に記録される一次データポイント(例えば、電流信号)のタイミングを示し、「精査電圧」は、一次/一定の印加電位に摂動として適用される精査電位変調電位を示し、「精査データ」は、精査電位変調によって生成され、指定されたサンプリングレートにおいて記録された電流信号のタイミングを示す。図7B図7Eは、4つ以上のステップの精査電位変調を示しているが、より少ないまたはより多い(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8など)精査電位変調ステップが使用され得ることが理解されよう。
【0045】
精査電位変調は、一次データポイントが測定される前または後に適用され得る。図7B図7Eの実施形態において、精査電位変調は、各一次データポイントが測定された直後(例えば、一次データポイントが3分、6分、9分などにおいて測定された後)にセンサに適用される。
【0046】
例示的な一次データポイントおよび精査電位変調についてここで説明する。主に電圧パルスまたは電圧ステップに関して説明するが、前述のように他のタイプの精査電位変調が使用され得ることが理解されよう。図7Aを参照すると、Ag/AgClなどの参照電極に対して分析物センサ(例えば、グルコースをH2O2などの生成物に酸化/変換するためのグルコースオキシダーゼなどの化学組成を有するグルコースセンサ)の作用電極に0.55Vが印加される。他のセンサタイプおよび/または電極材料も使用され得る。作用電極を流れる連続電流は、一次データポイント/電流信号として、3分の固定サンプリング周波数で定期的に測定される。他のサンプリング周波数も使用され得る。
【0047】
各一次データポイントが測定された後、例えば、センサ/電極のステータスおよび/または状態を精査するために、作用電極に精査電位変調が適用され得る。図7B図7Fの実施形態において、以下に説明する精査電位変調は、各一次データポイントが測定された後に適用される。具体的には、図7B図7Fにおいて、精査電位変調は、一次データポイントが3分(円702)および6分(円704)において測定された後に使用される。各一次データポイントが測定された後(例えば、0分後、3分後、6分後、9分後、12分後、15分後、18分後など)、同様の精査電位変調が使用され得る。前述のように、他の実施形態において、精査電位変調は、一次データポイントを測定する前に適用され得る(例えば、精査電位変調電流が減衰するまで、一次データポイントが測定されていないと仮定する)。いくつかの実施形態において、精査電位変調は、一次データポイントを測定する前および後に適用され得る。
【0048】
図7Bを参照すると、各一次データポイントが測定された後、6つの電圧ステップ(ステップ1~6)が使用され得る。図示の実施形態において、各ステップは、6秒続き、結果として生じる作用電極電流信号は、2秒ごとに測定される(結果として電位ステップごとに3つの電流信号の測定値を生じる)。電圧、ステップ持続時間、および/またはサンプリングレートにおいて他のステップも使用され得る。
【0049】
ステップ1:0.55V=>0.6V
【0050】
ステップ2:0.6V=>0.45V
【0051】
ステップ3:0.45V=>0.3V
【0052】
ステップ4:0.3V=>0.45V
【0053】
ステップ5:0.45V=>0.6V
【0054】
ステップ6:0.6V=>0.55V
【0055】
ステップ6に続いて、次の一次データポイントが測定され、精査電位変調シーケンスが繰り返されるまで、0.55Vの定電圧が再開される。
【0056】
図7Cを参照すると、各一次データポイントが測定された後、6つの電圧ステップ(ステップ1~6)が使用され得る。図示の実施形態において、各ステップは、6秒続き、結果として生じる作用電極電流信号は、2秒ごとに測定される(結果として電位ステップごとに3つの電流信号の測定値を生じる)。電圧、ステップ持続時間、および/またはサンプリングレートにおいて他のステップも使用され得る。
【0057】
ステップ1:0.55V=>0.6V
【0058】
ステップ2:0.6V=>0.25V
【0059】
ステップ3:0.25V=>0.6V
【0060】
ステップ4:0.6V=>0.45V
【0061】
ステップ5:0.45V=>0.6V
【0062】
ステップ6:0.6V=>0.55V
【0063】
ステップ6に続いて、次の一次データポイントが測定され、精査電位変調シーケンスが繰り返されるまで、0.55Vの定電圧が再開される。
【0064】
図7Dを参照すると、各一次データポイントが測定された後、4つの電圧ステップ(ステップ1~4)が使用され得る。図示の実施形態において、各ステップは、6秒続き、結果として生じる作用電極電流信号は、2秒ごとに測定される(結果として電位ステップごとに3つの電流信号の測定値を生じる)。電圧、ステップ持続時間、および/またはサンプリングレートにおいて他のステップも使用され得る。
【0065】
ステップ1:0.55V=>0.65V
【0066】
ステップ2:0.65V=>0.35V
【0067】
ステップ3:0.35V=>0.6V
【0068】
ステップ4:0.6V=>0.55V
【0069】
ステップ4に続いて、次の一次データポイントが測定され、精査電位変調シーケンスが繰り返されるまで、0.55Vの定電圧が再開される。
【0070】
図7Eを参照すると、各一次データポイントが測定された後、6つの線形に変化する電圧ステップ(ステップ1~6)が使用され得る。図示の実施形態において、各ステップは、6秒続き、結果として生じる作用電極電流信号は、2秒ごとに測定される(結果として電位ステップごとに3つの電流信号の測定値を生じる)。電圧、ステップ持続時間、および/またはサンプリングレートにおいて他のステップも使用され得る。
【0071】
ステップ1:0.55V=>0.6Vの線形スキャン、0.00833V/秒のスキャンレート
【0072】
ステップ2:0.6V=>0.25Vの線形スキャン、0.05833V/秒のスキャンレート
【0073】
ステップ3:0.25V=>0.6Vの線形スキャン、0.05833V/秒のスキャンレート
【0074】
ステップ4:0.6V=>0.45Vの線形スキャン、0.025V/秒のスキャンレート
【0075】
ステップ5:0.45V=>0.6Vの線形スキャン、0.025V/秒のスキャンレート
【0076】
ステップ6:0.6V=>0.55Vの線形スキャン、0.00833V/秒のスキャンレート
【0077】
ステップ6に続いて、次の一次データポイントが測定され、精査電位変調シーケンスが繰り返されるまで、0.55Vの定電圧が再開される。
【0078】
上記の精査電位変調の例について、他のタイミングおよび/または印加電圧も使用され得る。例えば、異なるバイオセンサメディエータのための他の電位ステップシーケンスが考案され得る。
【0079】
図7Fを参照すると、作用電極に1つの電位変調ステップが適用され、その後、0.55Vの元の定電圧に直接戻る。
【0080】
図8Aは、本明細書で提供される実施形態による、精査電位変調の第1のサイクル中に図7Bの精査電位変調によって生成される作用電極(WE)電流対時間の例示的なグラフである。この例では、CGMグルコースセンサが100mg/dLグルコース溶液中に置かれた。図8Bは、最初の6時間における図8Aの精査電位変調電流の減衰を示すWE電流対時間のグラフである。1秒/ポイントのサンプルレートが全体を通して使用された。図8Bは、すべての精査電位変調(PPM)電流の概要を提供し、ここで、プロファイルの外側の輪郭は、明確な減衰挙動を示し、これは、PPM電流が、センサ挿入および活性化後のセンサ電流の減衰性質に関する情報を埋め込んでいることを示す。PPM電流は、センサ電流の減衰に関する情報を埋め込んでいるので、PPM電流は、センサ感度の過渡的な性質を補正するために、自己充足情報として使用され得る。次いで、センサがメタ定常状態に達するのを待つ代わりに、以下に示すように、ウォームアップ時間が短縮され得る。
【0081】
図9Aは、本明細書で提供される実施形態による、精査電位変調の3つの連続するサイクルに応答して図7Cの精査電位変調によって生成された作用電極(WE)電流対時間の例示的なグラフである。この例では、CGMグルコースセンサが100mg/dLグルコース溶液中に置かれた。図9Bは、異なる7日間(Day1~Day7)にとられた図7Cの精査電位変調に応答するWE電流のグラフである。1秒/ポイントのサンプルレートが全体を通して使用された。同様のWE電流応答が、Day1とDay1~Day7を通して観察される。
【0082】
上記の図8A図8B図9A、および図9Bの2つの例に見られるように、いくつかの実施形態において、精査領域および非精査電位変調領域の電流信号は、1秒/ポイントなどの固定サンプリングレートにおいて測定され得る。他の実施形態において、異なるサンプリングレートが使用され得る。例えば、一次データポイントは、1、2、3、5、10、または15分のより遅いサンプルレートにおいて測定され得、精査電位変調電流は、各電位ステップ内で0.5、1、2、3、または5秒のサンプルレートにおいて測定され得る。一次データポイントは、ランダム信号ノイズを低減するために、60、30、20、10、または5秒などの周期的サンプル時間(例えば、3分ごと)の近い時間範囲内で、一定の印加電圧において複数の信号の平均としてさらに測定され得る。A-D変換速度に応じて、周期的サンプル時間(例えば、1秒ごと)の0.1、0.2、または0.5秒以内の精査電位変調電流についても同じことが行われ得る。他のサンプルレートおよび/またはサンプリング方式も使用され得る。
【0083】
図8A図8B図9A、および図9Bから、精査電位変調電流(「ppm」または「PPM」電流)の大きさは、定常電流(精査電位変調摂動なしで測定された非精査または「nppm」または「NPPM」電流)よりも実質的に大きいことがわかる。理論に縛られることを望むことなしに、精査電位変調の目標は、精査電位変調の影響なしに一次データポイントを測定しながら、センサステータス/状態情報を取得するために、摂動された出力電流を短時間で作成することである。すなわち、WE電流が定電圧E0において生成された平坦な電流プロファイルに戻ったときに、一次データポイントが測定される。精査電位変調によって生成されたppm電流内に埋め込まれたセンサ/電極のステータス/状態に関する豊富な情報が存在すると仮定される。前述のように、精査電位変調は、一次データポイントが測定される前または後に適用され得る。いくつかの実施形態において、精査電位変調出力電流は、一次データポイントとして測定された平坦な電流プロファイルの少なくとも片側において生成され得る。他の実施形態において、精査電位変調出力電流は、一次データポイントとして測定された平坦な電流プロファイルの両側において生成され得る。さらに他の実施形態において、負および正の精査電位変調出力電流は、一次データポイントとして測定された平坦な電流プロファイルの両側において生成され得る。
【0084】
精査電位変調電流の説明
図10は、例示的な実施形態による、作用電極電流対精査電位変調時間のグラフを示す。図10を参照すると、図10の作用電極電流を生成するために使用される精査電位変調ステップは、以下のシーケンスであり、すなわち、固定/一定電圧(例えば、0.55ボルト)からの順方向ステップに2つの逆方向ステップが続き、2つの順方向ステップが続き、図7Bの精査電位変調ステップと同様に、定電位(例えば、0.55ボルト)への復帰を容易にするための小さい逆方向ステップで終了する。精査電位変調出力電流は、(例えば、図7Bを参照して説明したように)1サイクル中の0.55ボルトの定電位において記録された一次電流、または一次データポイントに従い得る。精査電位変調(ppm)出力電流および非精査(nppm)出力電流(例えば、精査電位変調なしの定電位による電流)が図10においてラベル付けされている。図示の実施形態において、ppm電流とnppm電流の両方が、2秒/ポイントの同じサンプリングレートにおいて測定される(i11、i12、i13、i21、i22、i23などの、電圧ステップあたり3つの電流信号の測定値を結果として生じる)。他のサンプリングレートも使用され得る。図において、i10、i11、i12、i13、121、i22、i23などは、i1.0、i1.1、i1.2、i2.1、i2.2、i2.3などと表記される場合がある。
【0085】
精査電位変調は、作用電極に印加される定電位に電位摂動として周期的に(例えば、一次データポイントが測定された後に)適用されるので、各一次データポイントは、ppm電流のグループを伴い得る。いくつかの実施形態において、精査電位変調を適用する期間は、1分から数時間まで変化し得、いくつかの実施形態では、周期的な分析物濃度が報告される約3分から15分まで変化し得る。1つの特定の実施形態において、精査電位変調を適用する期間は、3分(例えば、各一次データポイントが3分間隔で測定された後)である。一次データポイント間の最小時間は、例えば、各精査電位変調サイクル後に定電位からの出力電流がどれくらい早く安定するかに基づいて設定され得る。
【0086】
例として、精査電位変調の使用による精度の改善は、CGMセンサが背景信号を表す4つの異なるレベル、0.2mg/dL、0.6mg/dL、1.2mg/dL、および1.8mg/dLのアセトアミノフェンを有するグルコース溶液中に浸漬された生体外の実験室での研究からのデータセットによって実証される。これらの4つのレベルのアセトアミノフェンは、0.55Vにおいて参加可能な種の代用分子としてアセトアミノフェンを使用して干渉種からの異なる背景信号をシミュレートするために使用され、ならびに、その後の、PPM電流を使用して異なる背景信号の影響を補正した結果をシミュレートするために使用される。0.2mg/dLのアセトアミノフェン濃度は、干渉する背景信号の通常レベルと同等であるとみなされ、0.6mg/dLは、高レベルであるとみなされる。1.2mg/dLおよび1.8mg/dLのアセトアミノフェン濃度は、非常に高レベルであるとみなされる。背景アセトアミノフェンの各レベルに対して、50、100、200、300、450mg/dLの5つのレベルのグルコース濃度における1つの直線性実行が行われた。
【0087】
図11Aは、本明細書で提供される実施形態による、上記で説明したサンプルに対する、精査電位変調あり(ppm)(曲線1102)および精査電位変調なし(nppm)(曲線1104)のCGMセンサの時間応答電流(一次データポイント)を示す、作用電極電流対時間のグラフである。このグラフは、用いられるセンサが異なる感度を有することを除いて、ppmありの一次データポイントの電流プロファイルがppmなしの一次データポイントの電流プロファイルと同様に挙動することを示す。この挙動は、精査電位変調が一次データポイントに影響を及ぼさないことをもう一度示すが、以下にさらに説明するセンサの状態/変化に関する追加情報を提供する。図11Bは、単純な多変量回帰に基づく、図11AのWE電流に関する予測グルコース濃度対時間のグラフである。図11Cは、本明細書で説明するような精査電位変調あり(ppm)の4つのレベルのアセトアミノフェンにおける直線性の応答線を示す、WE電流対グルコース溶液濃度のグラフである。図11Dは、(精査電位変調を使用して決定された)図11CのWE電流に基づく予測グルコース濃度対グルコース溶液濃度のグラフである。図11Eは、精査電位変調なし(nppm)の4つのレベルのアセトアミノフェンにおける線形性の応答線を示す、WE電流対グルコース溶液濃度のグラフである。図11Fは、(ppm電流を使用せずに決定された)図11EのWE電流に基づく予測グルコース濃度対グルコース溶液濃度のグラフである。線形回帰式は、増加する切片が増加するアセトアミノフェンレベルからの影響を表す、4つのレベルのアセトアミノフェン(AA)に対応する4本の線について、図11C図11D図11E、および図11Fにおける下側の線から上側の線へと漸進的に示されている。
【0088】
表1は、PPMを使用するセンサとPPMを使用しないセンサとについて、一次データポイントと計算されたグルコースとに関して、図11C図11D図11E、および図11Fからの応答線(勾配および切片)を要約している。精査電位変調(PPM)法および非PPM法に関する出力グルコース値は、4つのレベルのアセトアミノフェンのすべてのデータから導出される予測式(以下に説明する)から計算される。
【0089】
【表1】
【0090】
表1から、2つのセンサの平均応答勾配は、製造時の個々のセンサ感度の問題であり得、変動し得るが、干渉する背景物質としての追加のアセトアミノフェン(AA)の影響は、切片の大幅な増加を生じさせることがわかる。切片への影響は、大きいが、PPMデータセットおよび非PPMデータセットについて同様である。グルコースの予測式への入力情報の一部としてPPM電流を使用すると、参照グルコースに対する出力グルコースの相関関係(「相関勾配」とも呼ばれる勾配によって表される)は、1に近づいており、これは、予測されることである。予測式がレベル1および2からのデータに基づいている場合、追加のアセトアミノフェンの最大効果は、±6mg/dL以内である。出力グルコースに対するこのレベルの影響は、他の要因の影響の範囲内であり、すなわち、この影響は、毎日の感度変化などの他の要因による影響にくらべて非常に小さい。一方、非PPMデータの出力グルコースの相関勾配は、低いアセトアミノフェン電流および高いアセトアミノフェン電流の全体的な重み付け効果により、少なくとも10%減少し、1未満である。すなわち、4つのデータセット(アセトアミノフェンレベル1、2、3、および4)にわたって統計的平均線を引くと、相関勾配は、レベル4のアセトアミノフェンデータセットからの上昇した切片によって影響を受ける。追加されたアセトアミノフェンの大きい影響は、PPM電流などの追加情報なしでは除去することができない。このように、PPM電流が使用されないときの出力グルコースへの最大の影響は、最大80mg/dLもの誤差であり、これは、70mg/dLのグルコースでは110%、100mg/dLのグルコースでは80%となる。
【0091】
3分間で記録された一次データポイントプロファイルを、4つのアセトアミノフェン背景の各々における5つのグルコースレベルで図11Aに示す。精査電位変調からの精査電位変調(ppm)データについて、(非精査電位変調(nppm)データポイントと同じ形式で)一次データポイントのみが示されている。すなわち、図11Aのppmデータについて、アセトアミノフェンおよびグルコースの刺激に対する定動作電圧生成電流の応答のみが示されている。2つのセンサは、異なる感度を有するように示されており、これは、PPM法および非PPM法に関連するのではなく、製造時の個々のセンサ感度に関連する。加えて、0.2mg/dLの通常レベルから1.8mg/dLの最高レベルに増加する背景アセトアミノフェンの影響は、50mg/dLの低レベルのグルコースにおいで見られる。精査電位変調(ppm)データおよび非精査電位変調(nppm)データの2つのデータセットは、精査電位変調データ(ppm)および非精査電位変調(nppm)のための予測式を導出するために、ターゲットおよび一次データポイントとしてグルコース濃度を使用し、ppmデータが存在した場合、一次データポイントに続く18のppm電流(電圧ステップごとに3つ)を回帰の入力として使用して、単純な多変量回帰で分析された。例えば、ペンシルベニア州ステートカレッジのMinitab, LLCから入手可能なMinitabソフトウェアなどの統計ソフトウェアが回帰分析に使用され得る。
【0092】
精査電位変調(ppm)データについて、背景アセトアミノフェンを増加させる影響は、図11Cに示すように、4つの直線性実行の応答線の切片において最も明白であり、勾配に対するわずかな影響が観察された。しかしながら、図11Dにおける予測グルコースプロットは、4本の線の事実上1本の線への折りたたみ(collapse)を示しており、この1本の線には、予測式が多数の精査電位変調(ppm)電流を組み込んでいる。一方、異なる背景アセトアミノフェンレベルの影響は、(精査電位変調なしの)一次データポイントのみでは克服することができず、図11Eのグルコース信号応答における4本の別々の線は、図11Fにおける予測グルコースの4本の別々の線に変換される。この比較は、精査電位変調電流が背景信号の変動による影響を補正するための豊富な情報を提供する一方で、一定の印加電圧からの電流が背景信号の変動の影響を非常に受けやすいことを示す。
【0093】
非精査電位変調(nppm)データについて、一次データポイントだけでは、背景アセトアミノフェン濃度の実質的な変化を克服することができず、したがって、背景干渉種からの有意な影響を有する出力グルコース値を与える。精査電位変調(ppm)データについて、各一次データポイントに付随する精査電位変調(ppm)電流のグループが存在する。回帰によるグルコース予測式のレビューは、19の入力(印加された定電圧からの一次データポイント、および18の精査電位変調(ppm)電流)のうちの11がグルコース予測式において有意に選択されたことを示す。重要な精査電位変調(ppm)電流は、電圧ステップ1~5からのものであった。したがって、これらの精査電位変調(ppm)電流は、センサおよび/または作用電極出力電流に対する様々な影響との微妙な相関関係を有する自己充足情報電流である。その後、これらの精査電位変調(ppm)電流は、4つのレベルのアセトアミノフェンからの異なる背景信号を補正するグルコースのための予測式を定式化するのを助ける。
【0094】
単純回帰または多変量回帰に基づく例示的な予測式を以下に提供する。これらの式の中で、一次電流は、i10とラベル付けされている。一次電流は、作用電極に印加される定電圧電位に応答する電流である。一次電流は、典型的には、例えば、任意の精査電位変調の適用の前に測定される。すなわち、いくつかの実施形態において、精査電位変調は、一次電流が測定された後に作用電極に適用される。任意の数(例えば、1、2、3、4、5、6など)の精査電位変調ステップが適用され得る。精査電位変調ステップの適用は、作用電極電流に非線形応答を引き起こし、これは、図7B図7Eを参照して前に説明したように、応答電流が変化する複数回(例えば、2回、3回、4回、またはそれ以上)測定され得る。以下に提供する予測式内で、精査電位変調電流は、ixyとラベル付され、ここで、xは、電圧ステップを示し、yは、電圧ステップ内のどの位置(例えば、時間)で電流が測定されるかを示す。例えば、i11は、第1の電圧ステップ中に記録された3つの電流のうちの第1の電流であり、i13は、第1の電圧ステップ中に記録された3つの電流のうちの第3の電流である。同様に、i63は、第6の電圧ステップ中に記録された3つの電流のうちの第3の電流である。前述のように、i10は、一次電流、または精査電位変調が適用される前の時間0において測定された電流である。
【0095】
一次データポイント電流のみが使用される非精査電位変調(nppm)データについて、nppm予測式G_ref_nppmは、以下の式(3)における単純回帰に基づく。すなわち、グルコースを表すために利用可能な1つの信号i10のみが存在する。一次データポイント間の時間(ppmデータが測定される時間)において追加のデータ信号が測定された場合であっても、0.55Vの定電圧のみが使用されるので、i10に続く電流は、依然としてi10と同じ情報を含む。
(3)G_ref_nppm(mg/dL)=-43.147657+6.14967*i10
【0096】
一次データポイント電流と精査電位変調電流の両方が使用される精査電位変調(ppm)データについて、異なる電位変調ステップにおいて生成された電流は、一次データポイントを測定するために使用される一定の動作電圧からの一般に一定の出力電流とは異なる。これらのppm電流は、様々な方法でi10と相関する。これらの相関関係の例として、方法で提供されるように、0.2mg/dLのアセトアミノフェン背景レベルについての初期および終期の電位変調電流の相関関係の2つのグラフを図11Gおよび図11Hに示す。これらの微妙な関係は、多変量回帰によって式(4)におけるグルコースの予測式G_ref_ppmに組み込まれる。
(4)G_ref_ppm(mg/dL)=39.07108-11.663917*i11+18.212602*i13-9.318668*i21+13.896986*i22-9.519628*i23-1.947934*i31+13.389696*i32-12.395404*i33-2.851515*i41+9.183032*i42-2.944314*i51
【0097】
式(3)および(4)は、単なる例であることに留意されたい。他の予測式も使用され得る。
【0098】
別の例において、精査電位変調なしで用いられる同じ監視におけるCGMセンサとともに、3つのCGMセンサが、精査電位変調が3分ごとに周期的に適用されながら長期(17日間)の安定性監視を受けた。3回の直線性実行が、時間0(17日間の開始直後)、7日目、および14日目に行われた。直線性実行以外の時間において、CGMセンサは、450mg/dLの一定のグルコース溶液に曝された。4つのセンサに関する一次データポイントの生の電流プロファイルを図12Aに示し、図12Aは、精査電位変調を受けた3つのセンサ(センサppm-1、ppm-2、およびppm-3)および精査電位変調を受けなかった1つのセンサ(センサnppm-1)の作用電極電流対経過時間のグラフを示す。精査電位変調を用いる3つのセンサ(ppm)および精査電位変調を用いないセンサ(nppm)は、作用電極電流が上下に移動するときに一時的に互いに追従することがわかる。相対感度は、17日間の監視全体を通して維持される。ppm電流およびnppm電流のこのプロットは、一次電流(一次データポイントを生成するために使用される一定の動作電圧から生じる電流)に対する精査電位変調の長期的な悪影響がないことを示す。
【0099】
決定されたグルコース濃度における誤差に寄与するか、精度に影響を及ぼし得る少なくとも4つの要因、(1)初期段階において正確な分析物濃度を報告するセンサシステムの能力を制限する初期センサ電流減衰またはウォームアップ時間、(2)異なるセンサまたはセンサの異なるロット間の個々のセンサ感度、(3)監視時間にわたるセンサの感度変化、および(4)アセトアミノフェンの投薬などの干渉物質の摂取による背景信号の変化が存在する。
【0100】
精査電位変調を用いた3つのセンサは、一次データ情報のみが利用可能であった場合にグルコース値を正確に決定するために、較正定数(勾配および切片)の3つの異なるセットで異なる感度を有した。3つのセンサ感度(slope_1=0.107、Slope_2=0.1532、Slope_3=0.1317)は、低から高まで50%も異なり、これは、有意な感度のばらつきを表す。例えば、図12Bは、本明細書で提供される実施形態による、7日目における3つのセンサ(ppm-1、ppm-2、ppm-3)の作用電極電流対グルコース濃度を示す。工場較正の従来の方法は、グルコース計算のために、ロット定数などによってリリーステスト時の感度をセンサ性能にリンクさせる。上下に移動する電流信号などの任意の感度変化がある場合、工場で割り当てられた較正定数(勾配および切片)は、決定されたグルコース濃度に誤差をもたらす。
【0101】
センサ電流の初期の減衰は、CGMセンサの自然な傾向であり、より後の時間、例えば、センサ挿入後の1、2、または3時間以上まで、グルコース読み取り値が報告されるのを妨げる(例えば、図2参照)。この初期の静止時間は、CGMセンサのウォームアップ時間と呼ばれる。このウォームアップ時間を短縮することができる場合、CGMシステムは、挿入後30分、さらには15分、10分、または5分など、適度に短い時間においてグルコース読み取り値を提供し得る。
【0102】
監視時間にわたる感度変化が、例えば、図12Cに見られ得、図12Cは、本明細書で提供される実施形態による、1日目、7日目、および14日目におけるセンサのうちの1つ(センサppm-1)の作用電極電流対グルコース濃度を示す。図12Cに示すように、センサの感度は、時間とともに変化する(例えば、減少する)。
【0103】
センサ電流は、図12Dに示すように、温度にも依存し、図12Dは、長期監視の9日目の部分の間の温度変動を伴う3つのセンサの作用電極(一次電流)を示す。
【0104】
精査電位変調(ppm)電流は、センサ情報を含むので、感度差、初期ウォームアップ時間、および監視中の感度変化の問題は、より正確に決定された分析物濃度を提供するように克服され得る。例えば、予測グルコース式は、例えば、多変量回帰を使用して、精査電位変調電流および一次データポイント電流などの入力パラメータを用いて導出され得る。(以下の例は、電圧電位ステップを用いるが、他のタイプの精査電位変調も同様に用いられ得ることが理解されよう。)図12Aの提供された例について、入力パラメータは、(以下に定義される)以下のタイプ、(1)一次データポイント電流i10および精査電位変調電流i11~i63、(2)一次データポイント電流の温度クロスタームi10Tおよび精査電位変調(ppm)電流の温度クロスタームi11T~i63T、(3)精査電位変調シーケンスにおける6つのステップに関する各電位ステップ内の精査電位変調(ppm)電流比R1、R2、R3、R4、R5、およびR6、(4)xタイプパラメータ、(5)yタイプパラメータ、(6)zタイプパラメータ、ならびに/または(7)追加パラメータのクロスタームであり得る。これらの用語は、以下のように定義される。
【0105】
精査電流:精査電位変調電流i11、i12、i13、...、i61、i62、i63であり、ixy形式の第1の桁(x)は、電位ステップを示し、第2の桁(y)は、電位ステップの適用後に行われた電流測定(例えば、第1、第2、または第3の測定)を示す。
【0106】
Rパラメータ:これらの比は、1つの電位ステップ内の第1のppm電流によって終期ppm電流を除算することによって計算される。例えば、R1=i13/i11、R2=i23/i21、R3=i33/i31、R4=i43/i41、R5=i53/i51、およびR6=i63/i61である。
【0107】
xタイプパラメータ:このタイプのパラメータの一般的な形式は、より前の電位ステップの終期ppm電流によってより後の電位ステップの終期ppm電流を除算することによって与えられる。例えば、パラメータx61は、i63/i13によって決定され、ここで、i63は、ステップごとの3つの記録された電流におけるステップ6の終期ppm電流であり、i13は、ステップ1の終期ppm電流である。加えて、x61=i63/i13、x62=i63/i23、x63=i63/i33、x64=i63/i43、x65=i63/i53、x51=i53/i13、x52=i53/i23、x53=i53/i33、x54=i53/i43、x41=i43/i13、x42=i43/i23、x43=i43/i33、x31=i33/i13、x32=i33/i23、およびx21=i23/i13である。
【0108】
yタイプパラメータ:このタイプのパラメータの一般的な形式は、より前の電位ステップの第1のppm電流によってより後の電位ステップの終期ppm電流を除算することによって与えられる。例えば、パラメータy61は、i63/i11によって決定され、ここで、i63は、ステップごとの3つの記録された電流におけるステップ6の終期ppm電流であり、i11は、ステップ1の第1のppm電流である。加えて、y61=i63/i11、y62=i63/i21、y63=i63/i31、y64=i63/i41、y65=i63/i51、y51=i53/i11、y52=i53/i21、y53=i53/i31、y54=i53/i41、y41=i43/i11、y42=i43/i21、y43=i43/i31、y31=i33/i11、y32=i33/i21、およびy21=i23/i11である。
【0109】
zタイプパラメータ:このタイプのパラメータの一般的な形式は、より前の電位ステップの終期ppm電流によってより後の電位ステップの第1のppm電流を除算することによって与えられる。例えば、パラメータz61は、i61/i13によって決定され、ここで、i61は、ステップごとの3つの記録された電流におけるステップ6の第1のppm電流であり、i13は、ステップ1の終期ppm電流である。加えて、z61=i61/i13、z62=i61/i23、z63=i61/i33、z64=i61/i43、z65=i61/i53、z51=i51/i13、z52=i51/i23、z53=i51/i33、z54=i51/i43、z41=i41/i13、z42=i41/i23、z43=i41/i33、z31=i31/i13、z32=i31/i23、およびz21=i21/i13である。
【0110】
温度クロスターム:温度クロスタームは、他のパラメータに、基礎となる電流が測定された温度を乗算することによって計算される。例えば、R1T=(i13/i11)*T、y61T=(i63/i11)*Tなどである。
【0111】
同等または類似の情報を担持するppm電流差もしくは相対差、または中間ppm電流の比率などの他のタイプのパラメータも使用され得る。
【0112】
異なるセンサ感度、初期ウォームアップ時間、長期にわたる感度変化、および異なる量の干渉物質の摂取による異なる背景信号の問題を克服する可能性を実証するために、上記のパラメータは、それらの温度クロスタームとともに、単純な形式における多変量回帰の入力として使用される。追加の用語/パラメータが、回帰分析において提供される場合がある。
【0113】
以下の式5は、図12A図12Dの3回の直線性実行による17日間の長期監視における3つのセンサからのppmデータ(ppm-1、ppm-2、ppm-3)を用いてグルコースを予測するための回帰式を示す。図11Gおよび図11Hに示す個々のppm電流間の微妙な関係に加えて、以前に定義した異なる比率パラメータも選択され、予測式に組み込まれ得る。この多変量回帰から結果として得られる式における選択されたパラメータは、定電圧電位のみが使用されるときには利用できない、「自己充足情報」パラメータとも呼ばれる、精査電流および関連するパラメータである。式5におけるパラメータおよび/または係数は、単なる例である。他の数および/またはタイプのパラメータおよび/または係数も使用され得る。
(5)G_ref(mg/dL)=-3428.448+27.64708*i10-19.990456*i11+5.820128*i13-1.933492*i21+5.18382*i31-5.131074*i32-3.451613*i33+5.493953*i41+23.541526*i43+.41852*i51-1.125275*i10T+.673867*i11T+.196962*i21T-.202042*i31T+.271105*i32T-.102746*i41T-0.047134*i42T-.889602*i43T+.06569*i52T-.374561*i63T+2158.6*R1+5210.274*R3+3880.969*x62+195.9686*x51+2939.115*x53+500.49*x54+2519.018*x42-2445.111*z53-320.966*z41+9593.727*y64+4002.55*y53-2736.6*y54-11649.06*y41-43811.72*y43+978*y31-66.3105*R4T+62.13563*x61T-170.8194*x62T+19.64226*x52T-75.8533*x53T-61.46921*x42T+10.023384*z52T+72.26341*z53T-5.7766*z54T-4.099989*z41T+16.754378*z32T-18.354153*z21T+309.6468*y61T-1538.808*y65T+83.124865*y51T
【0114】
式5を図12A図12Dのデータに適用した後の回帰の結果は、図13A図13Fにおける改善されたグルコース精度でさらに実証され得る。図12Aの3つのセンサppm-1、ppm-2、およびppm-3(各々が異なる感度を有する)に対応して、図13Aは、17日間にわたる出力グルコース値を示し、ここで、グルコース決定のための予測式(式5)に供給する精査電位変調信号により、グルコース値における差は、減少し、全体的なグルコース精度は、向上した。加えて、17日間の監視にわたる感度変化および温度の影響による電流プロファイルのしわも平滑化されている。図12B図13Bとを比較すると、図13Bは、センサppm-1、ppm-2、およびppm-3の3本のグルコース応答線を示す。大きく異なる感度を有する3つのセンサは、実質的に互いに重なり合うグルコース出力線を生成し、これは、3つのセンサ間の感度差の平準化をさらに示す。センサppm-1、ppm-2、およびppm-3が、製造からの3つの異なるリリースセンサロットを表し、中心から±25%の範囲の感度を有する場合、補正のためのppm電流を使用する本明細書で提供される方法は、これらの方法が異なるセンサ感度に適応し、工場較正または現場較正に頼る必要なしに高精度のCGMグルコース決定を提供し得ることを実証している。
【0115】
加えて、図12C図13Cとを比較すると、図12Cの30~40分のオーダの遅いウォームアップ時間による初期の非線形挙動とは異なり、50mg/dLの初期グルコースにおける図13Cに示す出力グルコース値は、回帰により除去されるので非線形特性を示さず、5~10分という早い段階で正確なグルコース読み取り値を提供するための初期起動時間を作る。図12Dに示す温度の影響は、図13Dにおいて除去されていることが示されており、3つのセンサppm-1、ppm-2、およびppm-3からのグルコースプロファイルは、実質的に重なり合っている。感度差を平準化し、ウォームアップ時間を短縮する効果は、図13E(監視の開始時の生の電流)および図13F(ppm電流からの入力を用いて式5の予測式によって計算されたグルコース)にさらに見ることができる。定常状態のグルコース濃度プロファイルは、約1時間で生成され、3つのセンサのグルコースファイルは、すぐに整列する。
【0116】
要約すると、本明細書で説明する精査電位変調(ppm)を用いることは、異なるセンサロット間の感度差、連続的監視時間期間全体にわたる感度変化、異なるレベルによる干渉種による背景変動、ならびに挿入および活性化直後のグルコース信号の非線形効果に適応するのに十分な自己充足情報を提供する(短縮されたウォームアップ時間を提供する)。これは、ppm信号を用いて、工場較正および/または現場較正なしで達成され得る。
【0117】
図14Aは、本明細書で提供される実施形態による例示的なCGMデバイス1400の高レベルブロック図を示す。図14Aには示していないが、様々な電子構成要素および/または回路が、限定はしないがバッテリなどの電源に結合されるように構成されていることが理解されるべきである。CGMデバイス1400は、CGMセンサ1404に結合されるように構成され得るバイアス回路1402を含む。バイアス回路1402は、連続DCバイアスなどのバイアス電圧を、CGMセンサ1404を介して分析物含有流体に印加するように構成され得る。この例示的な実施形態において、分析物含有流体は、ヒト間質液であり得、バイアス電圧は、CGMセンサ1404の1つまたは複数の電極1405(例えば、作用電極、背景電極など)に印加され得る。
【0118】
バイアス回路1402はまた、図7B図7Eに示すような精査電位変調シーケンス、または別の精査電位変調シーケンスをCGMセンサ1404に適用するように構成され得る。例えば、精査電位変調シーケンスは、図1図6を参照して上記で説明したように、初期および/もしくは中間の時間期間に適用され得、または図7A図13Fを参照して上記で説明したように、各一次データポイントについて適用され得る。精査電位変調シーケンスは、例えば、一次データポイントの測定の前、後、または前後に適用され得る。
【0119】
いくつかの実施形態において、CGMセンサ1404は、2つの電極を含み得、バイアス電圧および精査電位変調は、電極の対にわたって適用され得る。そのような場合、電流は、CGMセンサ1404を介して測定され得る。他の実施形態において、CGMセンサ1404は、作用電極、対向電極、および参照電極などの3つの電極を含み得る。そのような場合、バイアス電圧および精査電位変調は、作用電極と参照電極との間に適用され、電流は、例えば、作用電極を介して測定され得る。CGMセンサ1404は、グルコース含有溶液と反応する化学物質を含み、これは、電荷キャリアの濃度と、CGMセンサ1404の時間依存性インピーダンスとに影響を与える。例示的な化学物質は、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼなどを含む。いくつかの実施形態において、フェリシアン化物またはフェロセンなどのメディエータが用いられ得る。
【0120】
バイアス回路1402によって生成および/または印加される連続バイアス電圧は、例えば、参照電極に対して約0.1~1ボルトの範囲であり得る。他のバイアス電圧も使用され得る。例示的な精査電位変調値については、前に説明した。
【0121】
精査電位変調および一定のバイアス電圧に応答する分析物含有流体中のCGMセンサ1404を通る精査電位変調(ppm)電流および非精査電位変調(nppm)電流は、CGMセンサ1404から電流測定(Imeas)回路1406(電流感知回路とも呼ばれる)に伝達され得る。電流測定回路1406は、(例えば、適切な電流-電圧変換器(CVC)を使用して)CGMセンサ1404から伝達された電流の大きさを示す大きさを有する電流測定信号を感知および/または記録するように構成され得る。いくつかの実施形態において、電流測定回路1406は、CGMセンサ1404から伝達された電流が通過する、既知の公称値と既知の公称精度(例えば、いくつかの実施形態では、0.1%~0.5%、またはさらに0.1%未満)とを有する抵抗器を含み得る。電流測定回路106の抵抗器にわたって発生する電圧は、電流の大きさを表し、電流測定信号(または生のグルコース信号SignalRaw)と呼ばれる場合がある。
【0122】
いくつかの実施形態において、サンプル回路1408は、電流測定回路1406に結合され得、電流測定信号をサンプリングするように構成され得、電流測定信号を表すデジタル化された時間領域サンプルデータ(例えば、デジタル化されたグルコース信号)を生成し得る。例えば、サンプル回路1408は、アナログ信号である電流測定信号を受信し、それを出力として所望のビット数を有するデジタル信号に変換するように構成された任意の適切なA/Dコンバータ回路であり得る。サンプル回路1408によって出力されるビット数は、いくつかの実施形態では16であり得るが、他の実施形態では、より多いまたはより少ないビットが使用され得る。いくつかの実施形態において、サンプル回路1408は毎秒約10サンプルから毎秒1000サンプルの範囲内のサンプリングレートにおいて電流測定信号をサンプリングし得る。より速いまたはより遅いサンプリングレートも使用され得る。例えば、約10kHz~100kHzなどのサンプリングが使用され得、信号対雑音比を低減するためにダウンサンプリングされ得る。任意の適切なサンプリング回路が使用され得る。
【0123】
依然として図11Aを参照すると、プロセッサ1410は、サンプリング回路1408に結合され得、メモリ1412にさらに結合され得る。いくつかの実施形態において、プロセッサ1410およびサンプル回路1408は、有線経路を介して(例えば、シリアル接続またはパラレル接続を介して)互いに直接通信するように構成される。他の実施形態において、プロセッサ1410およびサンプル回路1408の結合は、メモリ1412を介して行われ得る。この構成において、サンプル回路1408は、デジタルデータをメモリ1412に書き込み、プロセッサ1410は、デジタルデータをメモリ1412から読み取る。
【0124】
メモリ1412は、(電流測定回路1406および/またはサンプル回路1408からの)一次データポイント(nppm電流)および精査電位変調(ppm)電流に基づいてグルコース値を決定する際に使用するための1つまたは複数の予測式1414(例えば、式5)をその中に記憶し得る。例えば、いくつかの実施形態において、各々がCGM収集データの異なるセグメント(時間期間)での使用のための2つ以上の予測式がメモリ1412内に記憶され得る。いくつかの実施形態において、メモリ1412は、参照センサに印加される定電圧電位の印加によって生成された一次電流信号(例えば、図12Aのppm-1、ppm-2、および/またはppm-3)と、一次電流信号測定間に適用される精査電位変調シーケンスの適用によって生成された複数の精査電位変調電流信号とに基づく予測式を含み得る。
【0125】
追加的または代替的に、メモリ1412は、前に説明したように現場較正中に使用するための精査電位変調電流に基づいて計算された較正指標をその中に記憶し得る。
【0126】
メモリ1412はまた、その中に複数の命令を記憶し得る。様々な実施形態において、プロセッサ1410は、限定はしないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、組み込みマイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラとして機能するように構成されたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの計算リソースであり得る。
【0127】
いくつかの実施形態において、メモリ1412内に記憶された複数の命令は、プロセッサ1410によって実行されると、プロセッサ1410に、(a)CGMデバイス1400に(バイアス回路1402、CGMセンサ1404、電流測定回路1406、および/またはサンプル回路1408を介して)間質液からの電流信号(例えば、一次電流信号および精査電位変調電流信号)を測定させ、(b)電流信号をメモリ1412内に記憶させ、(c)精査電位変調シーケンス内の異なるパルス、電圧ステップ、もしくは他の電圧変化からの電流の比率(および/または他の関係)などの較正指標および/もしくは予測式パラメータを計算させ、(d)予測式を使用してグルコース値(例えば、濃度)を計算するために、計算された予測式パラメータを使用させ、(e)較正指標を計算させ、(e)グルコース値をユーザに伝達させ、ならびに/または(f)計算された較正指標に基づいて現場較正を実施させる命令を含み得る。
【0128】
メモリ1412は、限定はしないが、揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリのうちの1つまたは複数などの、任意の適切なタイプのメモリであり得る。揮発性メモリは、限定はしないが、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)またはダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)を含み得る。不揮発性メモリは、限定はしないが、電気的プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ(例えば、NOR構成もしくはNAND構成のいずれか、および/または積層された配置もしくは平面配置のいずれか、および/またはシングルレベルセル(SLC)、マルチレベルセル(MLC)、もしくは組み合わせのSLC/MLC配置のいずれかのタイプ)、抵抗性メモリ、フィラメントメモリ、金属酸化物メモリ、相変化メモリ(カルコゲナイドメモリなど)、または磁気メモリを含み得る。メモリ112は、例えば、シングルチップまたはマルチチップとしてパッケージ化され得る。いくつかの実施形態において、メモリ112は、1つまたは複数の他の回路とともに、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC)をなどの集積回路内に埋め込まれ得る。
【0129】
上記のように、メモリ1412は、プロセッサ1410によって実行されると、プロセッサ1410に、記憶された複数の命令のうちの1つまたは複数によって指定された様々なアクションを実行させる複数の命令を有し得る。メモリ1412は、複数の命令のうちの1つまたは複数の命令の実行に応答するプロセッサ1410による読み取り動作または書き込み動作のために使用され得る1つまたは複数の「スクラッチパッド」記憶領域のために予約された部分をさらに有し得る。
【0130】
図14Aの実施形態において、バイアス回路1402、CGMセンサ1404、電流測定回路1406、サンプル回路1408、プロセッサ1410、および予測式1414を含むメモリ1412は、CGMデバイス1400のウェアラブルセンサ部分1416内に配置され得る。いくつかの実施形態において、ウェアラブルセンサ部分1416は、(外部機器を使用せずに)グルコース濃度情報などの情報を表示するためのディスプレイ1417を含み得る。ディスプレイ1417は、限定はしないが、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、または有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどの、任意の適切なタイプの人間が知覚可能なディスプレイであり得る。
【0131】
依然として図14Aを参照すると、CGMデバイス1400は、ポータブルユーザデバイス部分1418をさらに含み得る。プロセッサ1420およびディスプレイ1422は、ポータブルユーザデバイス部分1418内に配置され得る。ディスプレイ1422は、プロセッサ1420に結合され得る。プロセッサ1420は、ディスプレイ1422によって示されるテキストまたは画像を制御し得る。ウェアラブルセンサ部分1416およびポータブルユーザデバイス部分1418は、通信可能に結合され得る。いくつかの実施形態において、ウェアラブルセンサ部分1416およびポータブルユーザデバイス部分1418の通信結合は、例えば、ウェアラブルセンサ部分1416内の送信/受信回路TxRx1424aおよびポータブルユーザデバイス1418内の送信/受信回路TxRx1424bなどのトランスミッタ回路および/またはレシーバ回路を介するワイヤレス通信によるものであり得る。そのようなワイヤレス通信は、限定はしないが、Bluetooth(登録商標)通信プロトコルなどの標準ベースの通信プロトコルを含む、任意の適切な手段によるものであり得る。様々な実施形態において、ウェアラブルセンサ部分1416とポータブルユーザデバイス部分1418との間のワイヤレス通信は、代替的には、近距離通信(NFC)、無線周波数(RF)通信、赤外線(IR)通信、または光通信によるものであり得る。いくつかの実施形態において、ウェアラブルセンサ部分1416およびポータブルユーザデバイス部分1418は、1つまたは複数のワイヤによって接続され得る。
【0132】
ディスプレイ1422は、限定はしないが、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、または有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどの、任意の適切なタイプの人間が知覚可能なディスプレイであり得る。
【0133】
ここで図14Bを参照すると、図14Aに示す実施形態と同様であるが、構成要素の異なる分割を有する例示的なCGMデバイス1450が示されている。CGMデバイス1450において、ウェアラブルセンサ部分1416は、CGMセンサ1404に結合されたバイアス回路1402と、CGMセンサ1404に結合された電流測定回路1406とを含む。CGMデバイス1450のポータブルユーザデバイス部分1418は、プロセッサ1420に結合されたサンプル回路1408と、プロセッサ1420に結合されたディスプレイ1422とを含む。プロセッサ1420は、その中に記憶された予測式1414を含み得るメモリ1412にさらに結合される。いくつかの実施形態において、CGMデバイス1450内のプロセッサ1420はまた、例えば、図14AのCGMデバイス1400のプロセッサ1410によって実行される上記で説明した機能を実行し得る。CGMデバイス1450のウェアラブルセンサ部分1416は、サンプル回路1408、プロセッサ1410、メモリ1412などがそこに含まれていないので、図14AのCGMデバイス1400よりも小さく、軽量であり、したがって、侵襲性が低い可能性がある。他の構成要素構成も使用され得る。例えば、図14BのCGMデバイス1450の変形として、サンプル回路1408は、(ポータブルユーザデバイス1418がウェアラブルセンサ部分1416からデジタル化グルコース信号を受信するようにウェアラブルセンサ部分1416上に残っていてもよい)。
【0134】
図15は、本明細書で提供される実施形態による例示的なグルコースセンサ1404の側面概略図である。いくつかの実施形態において、グルコースセンサ1404は、作用電極1502と、参照電極1504と、対向電極1506と、背景電極1508とを含み得る。作用電極は、(電荷キャリアの濃度と、CGMセンサ1404の時間依存性インピーダンスとに影響を与える)還元酸化反応においてグルコース含有溶液と反応する化学物質をコーティングされた導電層を含み得る。いくつかの実施形態において、作用電極は、プラチナまたは表面が粗面化されたプラチナから形成され得る。他の作用電極材料も使用され得る。作用電極1502のための例示的な化学触媒(例えば、酵素)は、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼなどを含む。酵素成分は、例えば、グルタルアルデヒドなどの架橋剤によって電極表面に固定化され得る。電極と酵素層とを含む内部構成要素全体を保護するために、酵素層に外膜層が塗布され得る。いくつかの実施形態において、フェリシアン化物またはフェロセンなどのメディエータが用いられ得る。他の化学触媒および/またはメディエータも使用され得る。
【0135】
いくつかの実施形態において、参照電極1504は、Ag/AgClから形成され得る。対向電極1506および/または対向電極1508は、プラチナ、金、パラジウムなどの適切な導体で形成され得る。他の材料も、参照電極、対向電極、および/または背景電極のために使用され得る。いくつかの実施形態において、背景電極1508は、作用電極1502と同一であり得るが、化学触媒およびメディエータがない。対向電極1506は、分離層1510(例えば、ポリイミドまたは別の適切な材料)によって他の電極から分離され得る。
【0136】
主に連続的グルコース監視中のグルコース濃度決定に関して説明したが、本明細書で説明する実施形態は、他の連続的分析物監視システム(例えば、コレステロール、乳酸塩、尿酸、アルコール、または他の分析物監視システム)とともに使用され得ることが理解されよう。例えば、式5と同様の1つまたは複数の予測式が、精査電位変調出力電流およびそれらの関連するクロスタームの使用を通して監視されるべき任意の分析物について開発され得る。同様に、精査電位変調出力電流は、他の分析物について測定され得、現場較正中に使用するための較正指標を計算するために使用され得る。
【0137】
図16は、本明細書で提供される実施形態による、連続的グルコース監視(CGM)測定中に誤差を補償する例示的な方法のフローチャートである。方法1600は、例えば、図14Aのウェアラブルセンサ部分1416などの、センサと、メモリと、プロセッサ(ブロック1602)とを含むCGMデバイスを提供するステップを含む。方法1600はまた、定電圧電位をセンサに印加するステップ(ブロック1604)と、定電圧電位から結果として生じる一次電流信号を測定するステップ(ブロック1606)と、測定された一次電流信号をメモリ内に記憶するステップ(ブロック1608)とを含む。図7Aを参照して説明したように、定電圧電位は、分析物センサの作用電極に印加され得る。定電圧電位に応答して、一次電流信号がセンサによって生成され、測定され、メモリ(例えば、メモリ412)内に記憶され得る。
【0138】
一次電流信号の測定の間に、方法1600は、精査電位変調シーケンスをセンサに適用するステップ(ブロック1610)と、精査電位変調シーケンスから結果として生じる精査電位変調電流信号を測定するステップ(ブロック1612)と、測定された精査電位変調電流信号をメモリ内に記憶するステップ(ブロック1614)とを含む。例えば、図7B図7Cは、一次電流信号測定の間に適用され得る例示的な精査電位変調シーケンスを示し、結果として、測定され、メモリ内に記憶され得る精査電位変調電流を生じる。各一次電流信号について、方法1600は、グルコース値を決定するために、一次電流信号と、一次電流信号に関連する複数の測定された精査電位変調電流信号とを用いるステップ(ブロック1616)を含み得る。いくつかの実施形態において、前に説明したように、一次電流信号と、各一次電流信号の後に(および/または前に)測定された精査電位変調電流とに基づいてグルコース値を計算するために、式5と同様の予測式が使用され得る。グルコース値または他の分析物値を決定するために一次電流信号とともに使用される精査電位変調電流は、一次電流信号に「関連する」と呼ばれる場合がある。例えば、一次電流信号の前または後に測定された精査電位変調電流は、(グルコース値または他の分析物値を計算するために使用される場合)一次電流信号と関連し得る。
【0139】
図17は、本明細書で提供される実施形態による、連続的グルコース監視(CGM)デバイスを作製する例示的な方法1700のフローチャートである。方法1700は、一次電流信号が参照CGMセンサについて測定される前または後に参照CGMセンサに適用された精査電位変調シーケンスに応答して参照CGMセンサについて測定された複数の精査電位変調電流信号に基づいて予測式を作成するステップ(ブロック1702)を含む。例えば、参照CGMセンサは、BGM読み取り値によって表される参照グルコース濃度に応答して一次データポイントおよびppm電流(例えば、その後CGMデバイス内に記憶され、連続的グルコース監視中に使用される予測式を決定する目的のために測定される一次電流およびppm電流)を生成するために使用される1つまたは複数のCGMセンサを含み得る。
【0140】
方法1700はまた、センサと、メモリと、プロセッサとを含むCGMデバイスを提供するステップ(ブロック1704)と、予測式をCGMデバイスのメモリ内に記憶するステップ(1706)と、コンピュータプログラムコードをCGMデバイスのメモリ内に記憶するステップ(ブロック1708)とを含み、コンピュータプログラムコードは、プロセッサによって実行されると、CGMデバイスに、(a)定電圧電位をセンサに印加させ、定電圧電位から結果として生じる一次電流信号を測定させ、測定された一次電流信号をメモリ内に記憶させ、(b)一次電流信号の測定の間に、精査電位変調シーケンスをセンサに適用させ、精査電位変調シーケンスから結果として生じる精査電位変調電流信号を測定させ、測定された精査電位変調電流信号をメモリ内に記憶させ、(c)各一次電流信号について、グルコース値を決定するために、一次電流信号と、一次電流信号に関連する複数の測定された精査電位変調電流信号と、記憶された予測式とを使用させ、(d)決定されたグルコース値をCGMデバイスのユーザに伝達させる。
【0141】
図18は、本明細書で提供される実施形態による、連続的グルコース監視中に分析物濃度を決定する例示的な方法1800のフローチャートである。方法800は、バイオセンサを被験者の皮下に挿入するステップであって、バイオセンサが、対向電極と、参照電極と、分析物を酸化するように構成された化学組成を有する作用電極とを含む、ステップ(ブロック1802)と、作用電極から連続する電流の流れを生成するように、化学組成を有する作用電極に定電圧を印加するステップ(1804)と、作用電極からの一次電流信号を感知し、メモリに記憶するステップ(1806)と、各一次電流信号を感知した後、精査電位変調シーケンスを作用電極に適用し、精査電位変調シーケンスに応答して生成された精査電位変調電流を感知し、メモリに記憶するステップ(1808)と、一次電流信号と、一次電流信号の後に生成された精査電位変調電流とを収集するステップ(1810)と、分析物値を計算するために、収集された一次電流信号と精査電位変調電流とを使用するステップ(1812)とを含む。
【0142】
図19は、本明細書で提供される実施形態による、連続的分析物監視(CAM)センサの状態を精査し、それに基づいてセンサを較正する例示的な方法1900のフローチャートである。方法1900は、動作電圧をCAMセンサに印加するステップ(ブロック1902)と、動作電圧よりも高い少なくとも1つの電圧電位ステップと、動作電圧よりも低い少なくとも1つの電圧電位ステップとを印加することによって、CAMセンサの状態を精査するステップ(ブロック1904)と、精査に応答してCAMセンサの出力電流を測定するステップ(ブロック1906)と、出力電流の比率を介して較正指標を計算するステップ(ブロック1908)と、較正指標に基づいてCAMセンサを較正するステップ(ブロック1910)とを含む。
【0143】
図20は、本明細書で提供される実施形態による、分析物濃度の決定のための連続的分析物監視中に精査電位変調を適用する例示的な方法2000のフローチャートである。方法2000は、連続的センサ動作中に分析物センサに一定の動作電圧を印加するステップ(ブロック2002)を含む。例えば、0.55ボルトまたは別の適切な値などの定電圧電位が、センサの作用電極に印加され得る。ブロック2004は、連続的センサ動作の各サイクルにおいて、一定の動作電圧とは異なる少なくとも1つの精査電位変調ステップを提供するステップを含む。図7B図7Fに示すように、例えば、精査電位変調電流を生成するために、電圧ステップの精査電位変調シーケンスがセンサの作用電極に適用され得る。ブロック2006は、分析物濃度に応答して、各サイクルにおける一定の動作電圧、および各サイクルにおける少なくとも1つのコンパニオン精査電位変調電流から一次電流を測定するステップを含む。例えば、一次データポイント(例えば、一定の動作電圧によって引き起こされる電流信号)の各測定に続いて、精査電位変調電流が、精査電位変調シーケンスの適用によって生成され得、これらの精査電位変調電流が(一次データポイントに対する「コンパニオン」精査電位変調電流として)測定され得る。ブロック2008は、一次電流、および少なくとも1つの精査電位変調ステップからの少なくとも1つのコンパニオン精査電位変調電流から分析物濃度を決定するステップを含む。
【0144】
いくつかの実施形態において、分析物濃度を決定するステップは、工場較正なしに製造リリースの中心感度から少なくとも±25%のセンサ感度変動に対応するステップを含み得る。すなわち、センサ間の大きい感度変動は、工場較正を使用せずに、ppm電流を使用して対応され得る。さらに、いくつかの実施形態において、分析物濃度を決定するステップは、背景信号の変化の影響に少なくとも5倍対応するステップを含み得る。例えば、分析物濃度は、図11A図11Fを参照して前に説明したように、背景干渉信号の5倍の変化にもかかわらず、ppm電流を使用することによって正確に決定され得る。
【0145】
いくつかの実施形態において、分析物濃度を決定するステップは、現場較正なしに日々の感度変化に対応するステップを含み得る。例えば、分析物濃度は、(現場較正を使用せずに)図13A図13Dを参照して説明したように、日々の感度変化にもかかわらず、ppm電流を使用することによって正確に決定され得る。同様に、いくつかの実施形態において、分析物濃度を決定するステップは、前に説明したように(例えば、図12C参照)、30分以下のウォームアップ時間で分析物濃度を決定するステップを含み得る。
【0146】
前述のように、連続的グルコース監視中のグルコース濃度決定に関して主に説明したが、本明細書で説明する実施形態は、他の連続的分析物監視システム(例えば、コレステロール、乳酸塩、尿酸、アルコール、または他の分析物監視システム)とともに使用され得ることが理解されよう。例えば、いくつかの実施形態において、被験者の皮下に挿入され、間質液から電流信号を生成するように構成されたセンサを有するウェアラブル部分(例えば、ウェアラブルセンサ部分1416)と、プロセッサ(例えば、プロセッサ1410)と、プロセッサに結合されたメモリ(例えば、メモリ412)とを含む連続的分析物監視(CAM)デバイスが提供され得る。メモリは、プロセッサによって実行されると、CAMデバイスに、(a)センサから一次電流を生成するようにセンサに定電圧を印加させ、(b)定電圧に応答して生成された一次電流信号を感知させてメモリに記憶させ、(c)一次電流信号を感知する間に、精査電位変調シーケンスをセンサに適用させ、精査電位変調シーケンスに応答して生成された精査電位変調電流を感知させてメモリに記憶させ、(d)少なくとも1週間(例えば、7~14日間)の時間期間にわたって、分析物値を計算するために一次電流信号と精査電位変調電流とを使用させる、そこに記憶されたコンピュータプログラムコードを含み得る。いくつかの実施形態において、精査電位変調電流を使用することによって、CAMデバイスは、異なるレベルの干渉物質によるセンサ感度の変化または背景信号の変化に対応するなどのために、連続的分析物監視中のどの時点でも現場較正を使用する必要がない(例えば、7~14日間、フィンガースティックまたは現場較正を行わない)。いくつかの実施形態において、精査電位変調電流を使用することによって、CAMデバイスは、30分以下、場合によっては5~15分以下のウォームアップ時間を有し得る。同様に、いくつかの実施形態において、精査電位変調電流の使用は、CAMデバイスが(例えば、ロット間の変動に対応するために)工場較正される必要性を排除し得る。
【0147】
前述の説明は、本開示の例示的な実施形態を開示する。本開示の範囲内にある上記で開示した装置および方法の変更は、当業者には容易に明らかであるはずである。したがって、本開示を、例示的な実施形態に関連して開示してきたが、他の実施形態が、以下の特許請求の範囲によって定義されるように本開示の範囲内にあり得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0148】
100,200,500A,500B グラフ
600 CGM装置
602 管理ユニット
604 ワイヤレストランスミッタ/レシーバユニット
605 ワイヤレストランスミッタ
606 ハウジング
607 オンボディセンサ
608 表示画面
609 センサパッド
610 ユーザインターフェース
611 ユーザの身体
612 アンテナ
613 センサ構成要素
614 プロセッサ
616 メモリ
618 ソフトウェア
620 充電式バッテリ
622 バッテリ充電器
624 アナログインターフェース
626 ケーブルコネクタ
702,704 円
1102,1104 曲線
1400 CGMデバイス
1402 バイアス回路
1404 CGMセンサ、グルコースセンサ
1405 電極
1406 電流測定(Imeas)回路、電流測定回路
1408 サンプル回路
1410 プロセッサ
1412 メモリ
1414 予測式
1416 ウェアラブルセンサ部分
1417 ディスプレイ
1418 ポータブルユーザデバイス部分、ポータブルユーザデバイス
1420 プロセッサ
1422 ディスプレイ
1424a,1424b 送信/受信回路TxRx
1450 CGMデバイス
1502 作用電極
1504 参照電極
1506 対向電極
1508 背景電極
1510 分離槽
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図11G
図11H
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】