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特表2022-519904注入液容器と共に用いられる移送装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-25
(54)【発明の名称】注入液容器と共に用いられる移送装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/162 20060101AFI20220317BHJP
   A61J 1/20 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
A61M5/162 500Z
A61M5/162 500R
A61M5/162 500V
A61J1/20 316A
A61J1/20 316C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547789
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(85)【翻訳文提出日】2021-10-13
(86)【国際出願番号】 US2020018263
(87)【国際公開番号】W WO2020168175
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】62/806,478
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/875,840
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521358888
【氏名又は名称】ユーコン・メディカル,リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】YUKON MEDICAL, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】コロギ,トッド・エム.
(72)【発明者】
【氏名】グアラ,ジャンニ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ゴンハオ
(72)【発明者】
【氏名】マッコール,ジュニア,チャールズ・イー.
(72)【発明者】
【氏名】ジネゴ,ジェイ・シー.
(72)【発明者】
【氏名】フレイツ,ジュニア,トーマス・ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】モスラー,セオドア・ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バチェラー,スタントン・ディー.
【テーマコード(参考)】
4C047
4C066
【Fターム(参考)】
4C047AA05
4C047AA11
4C047BB03
4C047BB11
4C047BB12
4C047BB17
4C047BB24
4C047BB25
4C047BB26
4C047BB27
4C047CC05
4C047CC14
4C047DD02
4C047HH01
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066EE11
4C066EE12
4C066FF08
4C066JJ07
4C066MM04
4C066MM10
(57)【要約】
注入バッグの過剰投与/過少投与を抑制するためのバイアルアダプタ及び/又は注入セットを備える移送装置が提供される。移送装置は、注入液容器と薬剤含有容器との間のユーザー制御される移送を行う。一態様では、移送装置は、注入液容器と薬剤含有容器との間の液体移送中に使用され得るユーザー制御された通気をもたらす。
【選択図】図8A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三又コネクタ本体を備える移送装置であって、
前記三又コネクタ本体は、
(i)ストッパを有する媒体容器を受け入れるために前記三又コネクタ本体に連結されたバイアルアダプタであって、前記媒体容器と流体連通するためのバイアルスパイクを備え、前記バイアルスパイクは、少なくとも1つのバイアル管腔を備えるバイアルアダプタと、
(ii)前記三又コネクタ本体と一体のIVスパイクであって、注入液容器内への挿入のための第1の端と、第1のIV管腔と、前記第1のIV管腔に隣接して前記少なくとも1つのバイアル管腔と直接流体連通する第2のIV管腔とを有するIVスパイクと
を有する、移送装置。
【請求項2】
前記第2のIV管腔は、前記三又コネクタ本体を通り、隔離されて直接的かつ連続的に流体連通するように構成されている、請求項1に記載の移送装置。
【請求項3】
前記バイアルアダプタは、前記三又コネクタ本体と一体である、請求項1または請求項2に記載の移送装置。
【請求項4】
前記バイアルアダプタは、前記三又コネクタ本体に離脱可能に連結されている、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのバイアルスパイク管腔は、
前記第1のIV管腔又は前記第2のIV管腔に連続的に流体連通する第1の形態と、
前記三又コネクタ本体に対して前記バイアルアダプタが回転すると、前記第1のIV管腔又は前記第2のIV管腔に連続的に流体連通しない第2の形態と
の間で変更可能である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのバイアル管腔は、少なくとも2つの互いに物理的に分離されたバイアル管腔を含む、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つの物理的に分離されたバイアル管腔の少なくとも1つは、ベント、ベントフィルター、一方向弁、及び流体フィルターの少なくとも1つに直接的かつ連続的に流体連通している、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項8】
前記少なくとも2つの物理的に分離されたバイアルスパイク管腔の前記少なくとも1つは、一方向逆止弁と直接的かつ連続的に流体連通している、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項9】
前記一方向逆止弁は、前記バイアルアダプタと一体である、請求項8に記載の移送装置。
【請求項10】
前記ベントフィルターは、疎水性である、請求項7に記載の移送装置。
【請求項11】
前記三又コネクタ本体は、注入セットに連結されている、請求項1に記載の移送装置。
【請求項12】
IVセットを受け入れるために前記三又コネクタ本体に連結されたIVスパイクアダプタを更に備える、請求項1に記載の移送装置。
【請求項13】
四又コネクタ本体を備える移送装置であって、
前記四又コネクタ本体は、
(i)ストッパを有する媒体容器を受け入れるために前記四又コネクタ本体に連結された第1のバイアルアダプタであって、前記媒体容器と流体連通するための第1のバイアルスパイクを有し、前記第1のバイアルスパイクは、第1の流体管腔を備える第1のバイアルアダプタと、
(ii)ストッパを有する媒体容器を受け入れるために前記四又コネクタ本体に連結された第2のバイアルアダプタであって、前記媒体容器と流体連通するための第2のバイアルスパイクを有し、前記第2のバイアルスパイクは、第2の流体管腔を備える第2のバイアルアダプタと、
(iii)前記四又コネクタ本体と一体のIVスパイクであって、前記第1の流体管腔と直接流体連通する第1のIV管腔と、前記第1の流体管腔に隣接して前記第2の流体管腔と直接流体連通する第2のIV管腔と、前記四又コネクタ本体を通る直接流体連通を提供する注入管腔とを有するIVスパイクと
を備える、移送装置。
【請求項14】
前記注入管腔は、前記四又コネクタ本体を通り前記第1のIV管腔及び前記第2のIV管腔から物理的に隔離されている、請求項13に記載の移送装置。
【請求項15】
前記第1のバイアルアダプタは、ベント本体を更に備え、前記第2のバイアルアダプタは、第2のベント本体を更に備え、前記第1のベント本体及び前記第2のベント本体の少なくとも1つは、一方向弁又は疎水性フィルターを有する、請求項13または請求項14に記載の移送装置。
【請求項16】
前記第1のバイアルスパイクは、第1のベント管腔を更に備え、前記第2のバイアルスパイクは、第2のベント管腔を更に備え、
前記第1のベント管腔は、前記第1のベント本体に流体的に連結され、前記第2のベント管腔は、前記第2のベント本体に流体的に連結されている、請求項15に記載の移送装置。
【請求項17】
カバーを更に備え、前記カバーは、前記第1又は第2のベント本体の1つを気密形態から非密封形態に移行可能である、請求項15に記載の移送装置。
【請求項18】
少なくとも1つの一方向弁を更に備え、前記少なくとも1つの一方向弁は、前記ベント本体に着座されている、請求項15に記載の移送装置。
【請求項19】
前記第1のバイアルアダプタ及び/又は前記第2のバイアルアダプタは、前記コネクタ本体に一体化されるか又は離脱可能に連結されている、請求項13から請求項18のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項20】
前記四又コネクタ本体は、注入セットに連結されている、請求項13から請求項18のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項21】
IVセットを受け入れるために前記四又コネクタ本体に連結されたIVスパイクアダプタを更に備える、請求項13から請求項18のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項22】
前記ベント管腔は、前記流体管腔から流体的に隔離されている、請求項13から請求項18のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項23】
前記第1のバイアルアダプタ及び前記第2のバイアルアダプタの少なくとも1つは、前記流体管腔と流体連通する流体フィルターを更に備える、請求項20から請求項22のいずれか一項に記載の移送装置。
【請求項24】
密封されたバイアルと注入液容器との間で液体を移送する方法であって、
四又コネクタ本体を準備するステップであって、
前記四又コネクタ本体は、
前記四又コネクタ本体によって受け入れられる第1のバイアルアダプタであって、
第1のベント本体と、
近位端及び遠位端を有する第1のスパイクであって、前記近位端は前記第1のハウジングから突出し、前記第1のスパイクは流体管腔及びベント管腔を有し、前記ベント管腔は前記ベント本体と流体連通する第1のスパイクと、
前記第1のバイアルアダプタから突出し、前記第1のスパイクの一部を少なくとも部分的に取り囲み、バイアル又は容器を受け入れるように構成されたシュラウドと
を備える第1のバイアルアダプタと、
前記四又コネクタ本体によって受け入れられる第2のバイアルアダプタであって、
第2のベント本体と、
近位端及び遠位端を有する第2のスパイクであって、前記近位端は前記第2のハウジングから突出し、前記第2のスパイクは流体管腔及びベント管腔を有し、前記ベント管腔は前記ベント本体と流体連通する第2のスパイクと、
前記第2のバイアルアダプタから突出し、前記第2のスパイクの一部を少なくとも部分的に取り囲み、バイアル又は容器を受け入れるように構成されたシュラウドと
を備える第2のバイアルアダプタと、
前記第1のベント本体又は前記第2のベント本体の一方又は両方に連結され、対応する前記ベント本体に対して気密形態をもたらすように構成され、対応する前記ベント本体を気密形態から非密封形態に移行可能である少なくとも1つのカバーと、
前記四又コネクタ本体と一体であって、前記第1のバイアルアダプタの前記流体管腔と流体連通する第1のIV管腔と、前記第1のIV管腔に隣接して前記第2のバイアルアダプタの前記流体管腔と直接流体連通する第2のIV管腔とを有するIVスパイクと
を備える四又コネクタ本体を準備するステップと、
前記密封されたバイアルの少なくとも1つが薬剤を含み、前記密封されたバイアルと前記第1のバイアルアダプタ及び前記第2のバイアルアダプタとの間に流体連通をもたらすステップと、
前記IVスパイクと前記注入液容器との間に流体連通をもたらすステップと、
前記第1のベント本体又は前記第2のベント本体の一方又は両方の前記少なくとも1つのカバーを、対応するベント本体の前記非密封形態をもたらすように操作するステップと
を含む方法。
【請求項25】
前記第1のベント本体及び前記第2のベント本体の少なくとも1つは、一方向弁又は疎水性フィルターを備える、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、注入液容器、例えば、静脈注射用(IV)バッグ等と共に用いられる移送装置に関する。一態様では、移送装置は、注入液容器と薬物含有容器との間でユーザーによって制御される流体移送を行うようになっている。一態様では、移送装置は、ユーザー制御された通気をもたらすようになっており、この通気は注入液容器と薬物含有容器との間の液体移送中に使用され得る。
【背景技術】
【0002】
注入液を含んで静脈注射用(IV)ポート又は投与ポートを有する注入液容器と共に用いられる製品が市販されている。注入液容器は、注入液バッグ、注入液ボトル等の形態をとる。移送装置は、雄コネクタを備えて薬剤を含有する添加剤移送装置と共に用いられることも意図されている。従来の移送装置は、IVスパイク及びコネクタを有する注入セットと共に用いられることも意図されている。しかし、このような従来の移送装置は、ベーパーロックの影響を受け、これによって、薬剤が注入液に不完全にしか移送されず、その結果、高濃度の未希釈薬剤が注入液ラインに導入される状況又は注入液容器の液体が適切に投与されない状況をもたらすおそれがある。これらの状況のいずれも、リスク及び不安をもたらすことになる。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様では、三又コネクタ本体を備える移送装置が提供される。三又コネクタ本体は、(i)ストッパを有する媒体容器を受け入れるために三又コネクタ本体に連結されたバイアルアダプタであって、媒体容器と流体連通するためのバイアルスパイクを備え、バイアルスパイクは、少なくとも1つのバイアル管腔を備えるバイアルアダプタと、(ii)三又コネクタ本体と一体のIVスパイクであって、注入液容器内への挿入のための第1の端と、第1のIV管腔と、第1のIV管腔に隣接して少なくとも1つのバイアル管腔と直接流体連通する第2のIV管腔とを有するIVスパイクとを有している。他の態様では、第2のIV管腔は、三又コネクタ本体を通り、隔離されて直接的かつ連続的に流体連通するように構成されている。更に他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、バイアルアダプタは、コネクタ本体と一体である。更に他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、バイアルアダプタは、コネクタ本体に離脱可能に連結されている。
【0004】
更に他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、少なくとも1つのバイアルスパイク管腔は、第1のIV管腔又は第2のIV管腔に連続的に流体連通する第1の形態と、三又コネクタ本体に対してバイアルアダプタが回転すると、第1のIV管腔又は第2のIV管腔に連続的に流体連通しない第2の形態との間で変更可能である。
【0005】
更に他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、バイアルスパイクは、少なくとも2つの互いに物理的に分離されたバイアル管腔を含んでいる。更に他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、少なくとも2つの物理的に分離されたバイアル管腔の少なくとも1つは、ベント又は流体フィルターと直接的かつ連続的に流体連通している。更に他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、少なくとも2つの物理的に分離されたバイアル管腔の少なくとも1つは、一方向逆止弁と直接的かつ連続的に流体連通している。更に他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、一方向逆止弁は、バイアルアダプタと一体である。
【0006】
更に他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、バイアルアダプタは、疎水性のベントフィルターを更に備えている。更に他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、三又コネクタ本体は、注入セットに連結されている。更に他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、IVスパイクは、他の移送装置のIVスパイクに連結されている。更に他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、移送装置は、IVセットを受け入れるために三又コネクタ本体に連結されたIVスパイクアダプタを更に備えている。
【0007】
他の例では、四又コネクタ本体を備える移送装置が提供される。四又コネクタ本体は、(i)ストッパを有する媒体容器を受け入れるために四又コネクタ本体に連結された第1のバイアルアダプタであって、媒体容器と流体連通するための第1のバイアルスパイクを有し、第1のバイアルスパイクは、第1の流体管腔を備える第1のバイアルアダプタと、(ii)ストッパを有する媒体容器を受け入れるために四又コネクタ本体に連結された第2のバイアルアダプタであって、媒体容器と流体連通するための第2のバイアルスパイクを有し、第2のバイアルスパイクは、第2の流体管腔を備える第2のバイアルアダプタと、(iii)四又コネクタ本体と一体のIVスパイクであって、第1の流体管腔と直接流体連通する第1のIV管腔と、第1の流体管腔に隣接して第2の流体管腔と直接流体連通する第2のIV管腔と、四又コネクタ本体を通る直接流体連通を提供する注入管腔とを有するIVスパイクとを備えている。
【0008】
一態様では、IVスパイクの注入管腔は、四又コネクタ本体を通り、隔離されて直接的かつ連続的に流体連通するように構成されている。
【0009】
他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、第1のバイアルアダプタは、ベント本体を更に備え、第2のバイアルアダプタは、第2のベント本体を更に備え、第1のベント本体及び第2のベント本体の少なくとも1つは、一方向弁又は疎水性フィルターを有している。第1のバイアルスパイクは、第1のベント管腔を更に備え、第2のバイアルスパイクは、第2のベント管腔を更に備え、第1のベント管腔は、第1のベント本体に流体的に連結され、第2のベント管腔は、第2のベント本体に流体的に連結されている。
【0010】
他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、第1のバイアルアダプタ及び第2のバイアルアダプタは、四又コネクタ本体に一体化されている。他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、第1のバイアルアダプタ及び第2のバイアルアダプタは、四又コネクタ本体に離脱可能に連結されている。
【0011】
他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、移送装置は、カバーを更に備え、カバーは、第1又は第2のベント本体の1つを気密形態から非密封形態に移行可能である。
【0012】
他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、第1のバイアルアダプタは、ベント本体を更に備え、第2のバイアルアダプタは、第2のベント本体を更に備え、第1のベント本体及び第2のベント本体の少なくとも1つは、一方向弁又は疎水性フィルターを備えている。
【0013】
他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、装置は、少なくとも1つの一方向弁を備え、少なくとも1つの一方向弁は、ベント本体に着座している。
【0014】
他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、四又コネクタ本体は、注入セットに連結されている。更に他の態様では、単独で又は先行する態様のいずれか1つと組合わせて、移送装置は、IVセットを受け入れるために四又コネクタ本体に連結されたIVスパイクアダプタを更に備えている。
【0015】
他の態様では、密封されたバイアルと注入液容器との間で液体を移送する方法が提供される。本方法は、四又コネクタ本体を準備するステップを含んでいる。四又コネクタ本体は、四又コネクタ本体によって受け入れられる第1のバイアルアダプタを備えている。第1のバイアルアダプタは、第1のベント本体と、近位端及び遠位端を有する第1のスパイクであって、近位端は第1のハウジングから突出し、第1のスパイクは流体管腔及びベント管腔を有し、ベント管腔はベント本体と流体連通する第1のスパイクとを備えている。シュラウドが、第1のバイアルアダプタから突出し、第1のスパイクの一部を少なくとも部分的に取り囲み、バイアル又は容器を受け入れるように構成されている。四又コネクタ本体は、四又コネクタ本体によって受け入れられる第2のバイアルアダプタも有している。第2のバイアルアダプタは、第2のベント本体と、近位端及び遠位端を有する第2のスパイクであって、近位端は第2のハウジングから突出し、第2のスパイクは流体管腔及びベント管腔を有し、ベント管腔はベント本体と流体連通する第2のスパイクとを備えている。シュラウドが、第2のバイアルアダプタから突出し、第2のスパイクの一部を少なくとも部分的に取り囲み、バイアル又は容器を受け入れるように構成されている。
【0016】
四又コネクタ本体は、第1のベント本体又は第2のベント本体の一方又は両方に連結され、対応するベント本体に対して気密形態をもたらすように構成され、対応するベント本体を気密形態から非密封形態に移行可能である少なくとも1つのカバーと、四又コネクタ本体と一体であって、第1のバイアルアダプタの流体管腔と流体連通する第1のIV管腔と、第1のIV管腔に隣接して第2のバイアルアダプタの流体管腔と直接流体連通する第2のIV管腔とを有するIVスパイクとを更に備えている。
【0017】
本方法は、密封されたバイアルと第1のバイアルアダプタ及び第2のバイアルアダプタとの間に流体連通をもたらすステップと、IVスパイクと注入液容器との間に流体連通をもたらすステップとを更に含んでいる。本方法は、第1のファイル本体又は第2のベント本体の一方又は両方のカバーを対応するベント本体が非密封形態となるように操作し、通気をもたらすステップを含んでいる。
【0018】
他の例では、単独で又は先行する例のいずれか1つと組合わせて、第1のベント本体及び第2のベント本体の少なくとも1つは、一方向弁又は疎水性フィルターを備えている。
【0019】
以下、添付の図面を参照して、非限定的な例のみに基いて本開示を説明する。なお、添付の図面において、同様の部品には同様の番号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】本開示において開示及び記載される移送装置の分解図である。
図1B図1Aの移送装置の部分分解図である。
図1C図1Aの移送装置の1C-1C線に沿った断面図である。
図2A】本開示において開示及び記載される移送装置の側面図である。
図2B図2Aの移送装置の反対側の側面図である。
図2C図2Aの移送装置の上面図である。
図2D図2Bの移送装置の2D-2D線に沿った部分断面図である。
図3A】薬剤容器及び注入液バッグの流体アクセス制御が行われる移送装置の斜視図である。
図3B図3Aの移送装置の分解図である。
図3C図3Aの移送装置のオン/オフ位置のそれぞれを示す斜視図である。
図3D図3Aのオフ位置にある移送装置の3D-3D線に沿った断面図である。
図4】本開示において開示及び記載される二重容器移送装置の斜視図である。
図5】本開示において開示及び記載される二重容器移送装置の分解図である。
図6A図4の二重容器移送装置の上面図である。
図6B図6Aの二重容器移送装置の6B-6B線に沿った断面図である。
図7A】IVスパイク及びバイアル容器スパイクカバーが省略された図4の二重容器移送装置の斜視図である。
図7B】IVスパイク管腔を示す図4の二重容器移送装置の分解上面斜視図である。
図8A】本開示において開示及び記載されるユーザによって制御される通気を行う二重容器移送装置の斜視図である。
図8B】本開示において開示及び記載される一方向弁を備える二重容器移送装置の斜視図である。
図9】本開示において開示及び記載される図8Aの二重容器移送装置の分解図である。
図10A図8Aの二重容器移送装置の上面図である。
図10B図10Aの二重容器移送装置の10B-10B線に沿った断面図である。
図11A】本開示において開示及び記載される例示的なカバーアセンブリ及びユーザーによって制御されるカバーを示す図である。
図11B】本開示において開示及び記載される例示的なカバーアセンブリ及びユーザーによって制御されるカバーを示す図である。
図11C】本開示において開示及び記載される例示的なカバーアセンブリ及びユーザーによって制御されるカバーを示す図である。
図12】IVバッグ/注入液バッグと、本開示において開示及び記載される例示的な移送装置と、薬剤/媒体バイアル又は容器と、注入セットとを備える投与セットを示す図である。
図13】IVバッグ/注入液バッグと、本開示において開示及び記載される例示的な二重容器移送装置と、複数の薬剤/媒体バイアル又は容器と、注入セットとを備える投与セットを示す図である。
図14】IVバッグ/注入液バッグと、本開示において開示及び記載されるユーザーによって制御される通気を行う例示的な二重容器移送装置と、複数の薬剤/媒体バイアル又は容器と、注入セットとを備える投与セットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、薬剤が薬剤容器内に残留する可能性又は希釈された薬剤が注入ラインに残留する可能性を低減又は排除しながら、薬剤容器又はバイアルから注入液容器への医薬品又は薬剤の効果的かつ実質的に完全な移送を可能にする移送装置を提供するものである。
【0022】
本明細書に用いられる「流体(fluid)」という用語は、気体、液体、又は気体と液体との組合せを意味している。本明細書の全体を通して、「液体(liquid)」という用語は、懸濁液、水中油型エマルション、油中水型エマルション、及び固形物の大きさ及び量とは無関係に溶解、分散、又は含有された固形物を含むか又は含まない液体を含んでいる。
【0023】
当業者によって理解されるように、流体移送装置は、1つの容器から他の容器への流体の導入をもたらすものであり、流体制御装置は、少なくとも2つの流路間において流れを迂回、計量、又は遮断するための流れ制御手段を備えるものである。
【0024】
本明細書の全体を通して、「媒体(media)」という用語は、固形物、半固形物、エマルション、液体、又はそれらの組合せを含んでいる。例えば、媒体は、凍結乾燥薬剤、懸濁化薬剤、又はエマルション化薬剤とすることができる。
【0025】
本明細書の全体を通して、「シュラウド(shroud)」及び「スカート(skirt)」という用語は、特に明記しない限り、任意の請求項の範囲に対していかなる明示的又は黙示的な限定をすることなく、置換え可能に用いられる。
【0026】
本明細書の全体を通して、「薬剤容器(medicament container)」、「バイアル(vial)」、「薬剤バイアル/容器(medicament vial/container)」及び「媒体容器(media container)」という語句は、特に明記しない限り、任意の請求項の範囲に対していかなる明示的又は黙示的な限定をすることなく、置換え可能に用いられる。
【0027】
以下、本明細書に開示及び記載される装置及び方法の各態様の図面及び関連する特徴について説明する。
【0028】
図1A,1B,1Cは、それぞれ、移送装置100の分解図、部分分解図、及び1C-1C線に沿った断面図を示している。移送装置100は、バイアルアダプタ101に連結するように構成された三又コネクタ本体150を備えている。三又コネクタ本体150から突出しているのは、取外し可能なキャップ102と共に示されるIVスパイク122である。IVスパイク122は、注入液容器に挿入するように構成され、管腔壁122aによって互いに物理的に分離された2つの管腔123,124を有している。三又コネクタ本体の反対側の端に連結されてそこから突出しているのは、テーパ状の開口部146である。テーパ状の開口部146は、ねじ切り式の閉鎖部材144内において終端する注入ポート143の開端145によって受け入れられるようになっている。
【0029】
IVスパイク122は、表面125から突出している。表面125は、キャップ102を取り付けるための手段をもたらし、注入液容器内へのIVスパイクの挿入を終端させるように機能する。
【0030】
バイアルアダプタ101は、単一の中心流体管腔131を有するバイアルスパイク200を取り囲む遠位側環状縁115を備え、保持/受入突起又はフィンガー(116)を支持している。バイアルスパイク200は、保護キャップ202を有するものとして示されている。一態様では、バイアルアダプタ101は、図1Bに示されるように、互いに略対向して配置された4つのフィンガー116を有し、4つの開口が、遠位側環状縁(115)に接続された4つのセグメント120によって画定されている。他のシュラウド構成が用いられてもよい。バイアルスパイク200は、ハウジングに近接して一体化され、バイアルと連通するために遠位端の近位で開口している。流体管腔131が、スパイクの遠位端又はスパイクの側面の近位で開口している。スパイク200は、プラスチック、金属、又は複合材料から構成されているとよい。スパイク200は、バイアル又は薬物容器の閉鎖部を容易に貫通するように設計されており、例えば、挿入を容易にするために尖っており及び/又は斜めにカットされている。
【0031】
図1Bの部分分解図及び図1Cに示される1C-1C線に沿った図1Aの縦断面図を参照すると、バイアルアダプタ101は、環状シート130から突出するテーパ状のコネクタ128を備えている。コネクタ128は、コネクタ本体150の雌コネクタ127内に可逆的に受入れ可能である。コネクタ本体150は、その全体にわたって、バイアルアダプタ101の翼部材130aに対応する受容開口129を有している。コネクタ128及びコネクタ127は、例えば、接着剤によって又は音波溶着又は溶剤溶着によって互いに恒久的に連結されていてもよい。
【0032】
バイアルアダプタ101がコネクタ本体150に連結されると、テーパ状のコネクタ128は、IVスパイク122の管腔124と直接的かつ連続的に流体連通する管腔131を介する流体連通をもたらすことになる。バイアルアダプタ101がコネクタ本体150に連結された時、管腔131は、IVスパイク122の管腔123と直接的又は連続的に流体連通せず、それらの間の流体連通を実質的に隔離又は阻止することになる。
【0033】
図2A,2Bを参照すると、これらの図は、それぞれ、バイアルアダプタ201を有する移送装置100’の側面図、反対側の側面図、上面図、及び2D-2D線に沿った部分断面図を示している。移送装置100’は、移送装置100と同一の構成要素、すなわち、コネクタ本体150、IVスパイク122、キャップ102、及び注入ポート143を有しているが、バイアルアダプタ201が大気との一方向連通のためのベント402をアダプタ201のベントハウジング409内に備える点において、移送装置100と異なっている。図2Dは、図2Dの断面線2D-2Dに沿ったバイアルアダプタのみの断面図を示している。一例では、ベント402は、以下に更に詳細に説明するユーザーによって作動されるカバー(図示せず)を備えている。装置100’に入る空気を濾過するために、抗菌フィルター407が用いられてもよい。一例では、抗菌フィルター407は、疎水性であり、液体が移送装置100,100’から出るのを防止又は排除するようになっている。
【0034】
ベントは、注入容器の圧搾によって液量の移送中に流体及び媒体容器内に蓄積される圧力を緩和することによって、及び移送中に生じるエアロック又は液体ロックを防止又は排除することによって、本開示の移送装置の使用中の更なる安全性をもたらすものである。もしエアロック又は液体ロックが生じたなら、その結果として、移送ラインへの希釈されていない薬剤の導入(過剰投与)又は移送ラインへの部分的に希釈された薬剤の導入(過少投与)が生じる可能性がある。一例では、ユーザーによって制御されるベントが通気のために設けられる。他の例では、注入液容器の圧搾中に装置を通る液量の放出を防止又は排除しながら空気が装置内に入るのを可能にするために、一方向弁が設けられる。
【0035】
代替的に、流体の流れを制限することができる任意の手段、例えば、逆止弁による一方向流体連通が用いられてもよい。逆止弁は、バイアルアダプタのベント管腔を通る本質的に一方向流体移送をもたらすために、用いられるとよい。逆止弁が組み込まれることによって、(ユーザーによる圧搾中に)IVバッグから押し出される空気が移送装置から大気に排出され、これによって、調製/移送中のエアロック又は液体ロックを低減又は排除することが可能になる。開口が、注入液容器と協働して配置された逆止弁と連通しているとよい。これによって、移送装置、注入液容器、及び薬物容器内の圧力バランスをもたらし、注入液容器に対するバイアルの内容物の効果的かつ実質的に完全な混合及び/又は移送を促進する。一例では、空気逆止弁又は弁付き通気孔、及び/又は二重管腔バイアルスパイク401が、バイアルアダプタ201に接続されるか又は一体とされる。例示的な一方向弁として、例えば、LOGICA社(Oldenburg, Germany)の空気弁、例えば、Air valve V2000が挙げられる。
【0036】
バイアルスパイク200は、ハウジングに近接して一体化され、バイアルと連通するためにその遠位端の近位で開口している。バイアルスパイク200は、少なくとも2つの管腔412,413を備えている。これらの管腔は、いずれも、スパイクの遠位端の近位で開口し、互いに独立して機能する。管腔412,413の開口は、バイアルスパイク200の遠位端又はスパイクの側面に位置しているとよく、又は1つの管腔の開口がスパイクの遠位端に位置し、他の管腔の開口がスパイクの側面に位置していてもよい。バイアルスパイク200の遠位端に近接した管腔412,413の開口の相対位置は、同じであってもよいし、又は異なっていてもよい。バイアルスパイク200は、プラスチック、金属、又は複合材料から構成されているとよい。バイアルスパイク200は、バイアル又は薬物容器の閉鎖部を容易に貫通するように設計され、例えば、挿入を容易にするために尖っており及び/又は斜めにカットされている。
【0037】
バイアルスパイク200は、管腔131と直接的及び連続的に流体連通する流体管腔412を有している。一方、ベント管腔413は、ベント402と直接的かつ連続的に流体連通しており、管腔131と直接流体連通していない。流体管腔412は、管腔壁401によってベント管腔413から物理的に隔離され、これによって、管腔412と管腔413との間の流体連通は、制限又は阻止されている。一例では、バイアルアダプタ201は、コネクタ本体150の雌コネクタ(図示せず)に受け入れられる先細の雄コネクタ128を有している。他の例では、バイアルアダプタ201は、図2Dに示されるように、コネクタ本体150の雄コネクタによって受け入れられる雌コネクタ127を有している。一例では、バイアルアダプタ201は、コネクタ本体150の雌コネクタ127によって受け入れられる先細の雄コネクタ128を有している。ユーザーがバイアルアダプタを把持するためのバイアルアダプタ201の把持面126が示されている。把持面上の平行特徴部が、把持手段として機能する。
【0038】
ユーザーによって通気が制御されるバイアルアダプタ及びフィルターを有する本開示の移送装置100’によって、流れ方向に対する圧力負荷が弁の機能に影響を及ぼさないこと、及び/又は細菌フィルターの濡れが弁によって効果的に防止されることが示された。対照的に、空気弁又は逆止弁のないフィルター付きバイアルアダプタは、圧力下でフィルターが急速に飽和し、その有効性が低下することが見いだされた。本開示の移送装置100’の空気弁(又は空気逆止弁)402は、圧力下でのフィルターの飽和を回避又は排除する。
【0039】
図3A,3B,3C,3Dを参照すると、これらの図は、それぞれ、バイアルアダプタ201bを有する移送装置300の側面図、複数の分解図、及び3D-3D線に沿った部分断面図を示している。移送装置300は、移送装置100,100’と同一の構成要素、具体的には、コネクタ本体150、IVスパイク122、キャップ102、及び注入ポート143を備えているが、バイアルアダプタ301が雌コネクタ127を介してバイアルアダプタ201bとIVスパイク122の管腔123との間の流れ制御を行うという点において、移送装置100及び100’と異なっている。
【0040】
具体的には、バイアルアダプタ301は、図3A,3B,3C,3Dに示されるように、バイアルへ/バイアルからの流体連通の制御をもたらすようになっている。従って、図示される移送装置300は、薬剤容器とIVスパイク122及び/又は注入ポート143との間のベントのない流れ制御を行うことができる。任意選択的な位置ずれ点を備える流体管腔133を有するように構成されたスパイク200が示されている。代替的に、移送装置300は、移送装置100’の前述の特徴と組み合わせることによって、通気と組み合わせて流れ制御を行うように構成されてもよい。
【0041】
図3Bに示されるように、バイアルアダプタ301は、突出する先細の雄コネクタ231を有するハウジング210を備えている。雄コネクタ231は、流体通路233を有している。ハウジング210の突出壁226によって部分的に取り囲まれた先細のコネクタ231は、コネクタ本体150の突出する雌コネクタ127によって受け入れられるようになっている。代替的に、バイアルアダプタの流体管腔は、ハウジング210の対応する嵌合接続部をコネクタ本体150に取り付けるための雄型又は雌側ルアー接続部を備えていてもよい。他の接続部、例えば、ネジ付き接続部が用いられてもよい。例えば、バイアルアダプターは、シリンジによって流路にアクセスするための無針コネクタと置き換えられてもよい。
【0042】
静止ハウジング210と回転可能なバイアルアダプタ201bとの間に位置しているのは、シール機構335である。シール機構335は、関連する静止ハウジング210と回転可能なバイアルアダプタ201bとの間に位置する外側環状リング205及び内側環状リング206と開口209を備えている。外側環状リング205と内側環状リング206との組合せが、回転可能なバイアルアダプタ201bの隆起した三日月状の表面208と真っすぐに並ぶ三日月状の開口207を画定する。外側環状リング205は、隆起した三日月状の表面208を取り囲むシート204によって受け入れられ、これによって、流体シールを形成する。内側環状リング206及び開口209は、第1の形態から第2の形態に回転可能に移行する。第1の形態では、バイアルスパイク200の少なくとも1つのバイアルスパイク管腔133が、IVスパイク122の管腔124と連続的に流体連通する。第2の形態では、バイアルアダプタがコネクタ本体に対してバイアルスパイク200の長軸を中心として回転した時に、少なくとも1つのバイアルスパイク管腔133がIVスパイク122の管腔124と連続的に流体連通せず、これによって、図3C,3Dに示されるように、バイアルスパイク200のスパイク管腔133の流体経路への流体アクセスが阻止される。このシール機構は、シュラウドの位置と無関係に、安全な流体制御をもたらす。流れ方向に対する圧力負荷は、装置300の流体制御の機能に実質的に影響を及ぼさない。シール機構は、スタンバイ位置において閉じている。ハウジング210を再配置するための再流は、必要とされない。
【0043】
IVバッグ/流体経路と薬剤/媒体容器との間の流体連通のアクセスの制御を選択するため、回転可能なバイアルアダプタの適切な位置決めを支援するために、回転可能なバイアルアダプタ201b及び関連する静止ハウジング210上に配置されたマーク(indicia)(118a,118b,118c)が示されている。一態様では、記号又は色彩がマークとして用いられてもよい。凸状領域及び凹状領域のような他のマークが用いられてもよい。バイアルアダプタ201bを配向制御するための及び流れ制御装置のハウジング210からの離脱を防止するためのキーウェイ(211)が示されている。
【0044】
[二重容器移送装置]
図4は、二重容器移送装置400の斜視図を示している。図5は、二重容器移送装置400の分解図である。図6Aは、二重容器移送装置400の上面図を示し、図6Bは、二重容器移送装置400の6B-6B線に沿った断面図を示している。図7Aは、IVスパイク及びバイアル容器スパイクカバーが省略された図4の二重容器移送装置の斜視図を示し、図7Bは、IVスパイク322の管腔323,324a,324bを示す装置400の分解上面図である。
【0045】
図4,5,6B及び図7Aー7Bに示されるように、二重容器装置400は、2つ以上のバイアル容器に独立してアクセスする能力が追加されている点を除けば、装置100と同様の構造を有している。一例では、装置400は、同時に2つ以上のバイアル容器にアクセスすることができる。
【0046】
具体的には、装置400は、2つのバイアルアダプタ101a,101bに連結するように構成された四又コネクタ本体350を備えている。2つのバイアルアダプタ101a,101bの各々に対するコネクタ本体350の連結は、前述の装置100における連結と同様である。四又コネクタ本体350の表面325から突出しているのは、取外し可能なキャップ102と共に示されるIVスパイク322である。IVスパイク322は、注入液容器内に挿入するように構成され、3つの管腔323,324a,324bを有している。
【0047】
四又コネクタ本体の反対側の端に連結されてそこから突出しているのは、先細の開口部346である。先細の開口部346は、ねじ切り式の閉鎖部材144内において終端する注入ポート143の開端145によって受け入れられるようになっている。管腔323は、スパイク322の遠位端から先細の開口部346までその長さに沿って、管腔壁322aによって管腔324a,324bから物理的に分離されている。
【0048】
各バイアルアダプタ101a,101bは、コネクタ本体350の雌コネクタ327a,327bによってそれぞれ可逆的に受入れ可能な先細の雄コネクタ328a,328bを備えている。しかし、この構成は、雌/雄の関係が逆のコネクタであってもよい。コネクタ本体350は、バイアルアダプタ101a,101bの翼部材130bに対応する受入開口129を有している。コネクタ328a,328b及びコネクタ327a,327bは、例えば、接着剤によって又は溶剤溶着又は音波溶着によって恒久的に連結されていてもよい。
【0049】
バイアルアダプタ101a,101bがそれぞれコネクタ本体350に連結されると、先細のコネクタ328a,328bが、IVスパイク322の管腔324a,324bにそれぞれ直接的かつ連続的に流体連通する管腔331a,331bを介した流体連通をもたらす。しかし、1つのバイアルアダプタ101a,101bがコネクタ本体350に連結されても、管腔131は、IVスパイク322の管腔324a又は324bと直接的及び/又は連続的に流体連通せず、それらの間の流体連通が実質的に隔離又は阻止されることになる。
【0050】
管腔324a,324bは、それらの管腔の全長に沿って互いに物理的に分離されている。管腔324aは、コネクタ本体350の流体管腔331a及びバイアルアダプタ101aの管腔133aに流体的に連結されている。同様に、管腔324bは、コネクタ本体350の流体管腔331b及びバイアルアダプタ101bの管腔133bに流体的に連結されている。この構成によって、バイアルスパイク200と対応するIV流体管腔324a,324bの間のそれぞれの流体通路は、互いに隔離されることになる。1つ又は複数のバイアルアダプタ101a,101bは、それぞれ、装置100’について前述したように、大気に対して一方向連通をもたらすベント及び/又は逆止弁を備えることができる。
【0051】
[ユーザーによって制御可能な通気]
図8A-10Bは、ユーザによって制御される通気機能を有する装置500a,500bに関連している。一例では、通気機能は、1つ又は複数のバイアルスパイク200のベント管腔に流体連通する、ハウジング311a,311bのベント本体305内のベント及び任意選択的なベントフィルターによってもたらされる。少なくとも1つのベント本体305は、ユーザーによって制御されるベントカバー375を有している。ベントカバー375は、以下に説明するように、ベントが閉じた第1の状態からベントが大気に開く第2の状態に移行することが可能である。他の例では、通気機能は、少なくとも1つのベント本体305内に着座する一方向通気弁によってもたらされる。任意選択的に、一方向弁395の一方又は両方が、ユーザーによって制御されるベントカバー375を有していてもよい。ベントカバー375は、以下に説明するように、一方向弁が閉じた第1の状態から一方向弁が大気に開く第2の状態に移行することができる。
【0052】
図8Aを参照すると、完全な組立状態にある例示的な装置500aの斜視図が示されている。制御通気は、ハウジング311aのバイアルアダプタ101aに対して第1の状態にあり、ハウジング311bのバイアルアダプタ101bに対して第2の状態にあり、これについては、装置500の分解図である図9及び図10A-10Bを参照して、以下に更に詳細に説明する。図10Aは、断面線10B-10Bを示す装置500の上面図である。図10Bは、断面線10B-10Bに沿った装置500の断面図である。
【0053】
図8Aを参照すると、完全な組立状態にある例示的な装置500aの斜視図が示されている。制御通気は、ハウジング311aのバイアルアダプタ101aに対して第1の状態にあり、ハウジング311bのバイアルアダプタ101bに対して第2の状態にあり、これについては、装置500の分解図である図9及び図10A-10Bを参照して、以下に更に詳細に説明する。装置500aは、ハウジング311a,311bのベント本体305の1つに連結された制御可能なベントカバー375を除けば、装置400と同様である。一例では、制御可能なベントカバー375(図示せず)は、ハウジング311a及び311bのベント本体305の1つに連結されている。
【0054】
図8Bを参照すると、完全な組立状態にある例示的な装置500bの斜視図が示されている。制御通気は、ベント本体305内に着座した一方向弁395によってもたらされる。装置500bは、ハウジング311a’及び311b’の一方又は両方のベント本体305内に着座した一方向弁395を除けば、装置500aと同様である。なお、カバー375のない装置500bが示されているが、装置500aについて述べたように、カバー375が用いられてもよい。従って、装置500bは、一方向弁395及び制御可能なベントカバー375(図示せず)を有することができる。他の例では、装置500bは、ハウジング311a’のベント本体305の1つに連結された制御可能なベントカバー375及びハウジング311b’のベント本体305に連結された一方向弁395を備えることができる。
【0055】
一例では、制御可能なベントカバー375(図示せず)は、一方向弁395を覆うために及び通気を阻止するために、ハウジング311a,311bのベント本体305の一方又は両方に連結されている。一例では、制御可能なベントカバー375は、一方向弁395の両方を閉じるために、ハウジング311a、311bの両方のベント本体305に連結されている。図示されないが、装置500a又は500bは、一方向弁395を備える1つのベント本体305と、制御可能なベントカバー375を備えるベントフィルターを有する他の1つのベント本体を備えるように構成されてもよい。図示されないが、代替的に、装置500a,500bは、制御可能なベントカバー375を備える一方向弁395を有する1つのベント本体と、制御可能なベントカバー375を備えるベントフィルターを有する他のベント本体を備えるように構成されてもよい。
【0056】
図9,10A,10Bを参照すると、ハウジング311a,311bを有する2つのバイアルアダプタ101a、101bに連結するように構成された四又コネクタ本体350を備える装置500aが示されている。装置500aは、ハウジング311a,311bのそれぞれに設けられた制御可能なベントカバー375を除けば、装置400と同様である。2つのバイアルアダプタ101a,101bの各々に対するコネクタ本体350の連結は、前述の装置400における連結と同様である。四又コネクタ本体350の面325から突出しているのは、取外し可能なキャップ102と共に示されるIVスパイク322である。IVスパイク322は、注入液容器に挿入するように構成され、3つの管腔323,324a、及び324bを有している。2つのバイアルアダプタ101a,101bの各々は、スパイク200を備え、各スパイクは、少なくとも2つの管腔(例えば、流体管腔133a,133b、及びベント管腔134a、134b)を備えている。各スパイクは、容器閉鎖要素、例えば、薬剤バイアルの突刺可能な隔壁を貫通するように及び装置500を介した流体連通をもたらすように構成されている。
【0057】
一例では、両方のハウジング311a,311bは、例えば、流体がベントフィルター304とベント管腔134a,134bとの間の空間に入った場合にエアロックを防止するエアロック防止特徴部(図示せず)を備えている。例えば、ベントが流体によって浸された場合、エアロック防止特徴部によってオリフィスの高さを延ばし、流体が逆方向に排出されるのを促進する。他の例では、スパイク200内においてベント管腔134a,134bの開口が流体管腔133a、133bの開口から垂直方向に転置しており、これによって、装置100が容器と係合して反転された時、ベント管腔の開口が容器の液面より上方に位置し、その一方、ベント管腔134a,134bの開口は、液面より下方に位置して容器の隔壁に隣接する液体を受けるように構成され、その結果、最大量の液体がスパイク200を通して容器から移送されることになる。
【0058】
ベント本体305は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、環状オレフィンコポリマーのような硬質プラスチックによって構成されているとよい。一例では、ベント本体305は、1つの弁395又はフィルター304を有するベントハウジングを受け入れるように構成されている。
【0059】
図10Bは、図10Aの断面線10B-10Bに沿った断面図であり、コネクタ本体350に連結されたハウジング311a,311bを示している。ハウジング311a,311bは、それぞれ、独立してスパイク200の流体管腔133a,133bとIVスパイク322の流体管腔324a,324bとの間に流体連通をもたらすものである。図示されるコネクタ本体350は、ストッパを有する媒体容器を受け入れるためにコネクタ本体に連結された第1のバイアルアダプタ101aを有するハウジング311aを備える四又コネクタ本体である。第1のバイアルアダプタ101aは、第1の流体管腔133aを有する第1のバイアルスパイク200を備えている。第2のバイアルアダプタ101bも、ストッパを有する媒体容器を受け入れるために、コネクタ本体350に連結されている。第2のバイアルアダプタは、第2のバイアルスパイク200を備えている。第2のバイアルスパイク200は、第2の流体管腔133bを有している。装置500a,500bは、コネクタ本体350と一体のIVスパイク323も備えている。IVスパイク323は、バイアルアダプタ101aのスパイク200の第1の流体管腔133aと直接流体連通する第1のIV流体管腔324aを有している。IVスパイク323の第2のIV流体管腔324bは、第1のIVスパイク管腔324aに隣接し、バイアルアダプタ101bのバイアルスパイク200の第2の流体管腔133bと直接流体連通している。IVスパイクは、コネクタ本体及び中心流体管腔131と直接流体連通する注入管腔323も有している。
【0060】
この配置は、流体管腔133b,324bの流体経路から隔離された流体管腔133a,324aの流体経路をもたらすことになる。更に、中心管腔141に至る流体管腔323の経路は、流体管腔324a,324b,133a,133bのそれぞれの経路から物理的に隔離されている。
【0061】
各バイアルアダプタ101a、101bは、コネクタ本体350の雄コネクタ382によって受入可能な雌コネクタ372を有するものとして示されているが、この構成は、雄/雌の関係が逆のコネクタ連結であってもよい。装置500の各バイアルアダプタ101a,101bは、恒久的にコネクタ本体350に接続されてもよいし、又は可逆的にコネクタ本体350に接続されてもよい。
【0062】
ベント本体305は、スパイク200のベント管腔と流体連通する開口307を有している。開口307は、カバーアセンブリ375a、375bを受け入れるように構成されている。図11A,11Bに示されるように、カバーアセンブリ375a,375bは、ベント本体305の開口307に受け入れられるように寸法決めされたカバー本体385を備えている。カバー本体385は、カバー本体を通る開口377を画定し、カバー本体の一端390は、開いた形態で示されるヒンジ355を介してカバー375に連結されている。一例では、開口377は、フィルター304又は一方向弁395を受け入れて気密シールをもたらすように構成されている。他の例では、開口部377は、図8Bに示されるように、一方向弁395を受け入れてカバー375又はヒンジ355を備えることなく気密シールをもたらすように構成されている。図11Cは、閉じた形態にあるカバー375を有するカバーアセンブリ37a、37bを示し、これにより開口377に気密シールをもたらしている。
【0063】
一例では、カバーアセンブリ375a、375bは、略円筒状である。一例では、カバー375は、カバー本体385の開口377によって受け入れられて気密シールをもたらすように構成された環状壁365を有している。カバー本体385、カバー375、及び環状壁365は、ポリエチレン、ポリエチレンコポリマー、ポリプロピレン、ポリプロピレンコポリマー、ゴム、シリコーン、又は熱可塑性エラストマーから構成されている。
【0064】
一例では、カバー375、壁365、及びカバー本体385は、ベント本体305と同一材質であるがベント本体305よりも軟質かつ柔軟な(低デュロメータの)材料から構成され、例えば、圧入、溶媒接合等によってベント本体305の開口307に一体化されている。なお、ベント本体305、開口307,377、及び壁365にはテーパを付すことができる。
【0065】
ベントカバー375は、壁365が開口377と漏止め及び気密の関係にある第1の状態から、壁365が開口377から取り外された第2の状態に移行するように構成されている。第2の状態では、ベント本体305を介して開口377とスパイク200のベント管腔134a,134bとの間に流路がそれぞれ形成される。一例では、ベントカバー375の第1の状態から第2の状態への移行は可逆的である。他の例では、ベントカバー375の第1の状態から第2の状態への移行は不可逆的である。一例では、カバー375は、ベント本体305から完全に取り外し可能である。他の例では、ベントカバー375のヒンジ355は、ベントカバー375の第1の状態から第2の状態への移行を可能にするように及びカバーとベント本体305との間の物理的接続を維持するように構成されている。タブ特徴部360によって、ユーザは、例えば、片手の親指又は親指以外の指を用いて、ベントカバー375を第1の状態から第2の状態に容易に移行させることが可能である。
【0066】
第1のハウジング311aのベント本体305は、カバー本体385を受け入れるようになっている。カバー本体385の開口377は、第1の状態においてベントカバー375の壁365を受け入れ、これによって、密封関係をもたらすことになる。ベント管腔134a,134bと大気との間の流体連通は、ベントカバー375を介して制御され、第1の状態では、ベント本体305及びスパイク200のベント管腔134a,134bを通る大気への流体アクセスが遮断され、第2の状態では、スパイク200のベント管腔134a,134bを介してベント本体305及び開口部307を通る大気への流体アクセスがもたらされる。
【0067】
ベント本体305と共に示されているのは、任意選択的なベントフィルター304である。ベントフィルター304は、所定の用途に適するどのような適切な材料、微細孔度、疎水性、及び効率のものから構成されてもよい。ベントフィルターの微細孔度の一般的な範囲は、0.02μMから150μM(ミクロン)の間である。一態様では、ベントフィルター304は、円板状である。他の形状のベントフィルター304が用いられてもよい。
【0068】
粒子は、バイアル内に存在することもあるし、又は流体の除去/移送プロセス中に薬剤内に混入されることもある。バイアル内に存在し得る粒子の例として、薬剤堆積物、脂質、非溶解固形物、結晶化された薬剤成分、ガラス、プラスチック破片、ゴム破片、隔壁粒子、及び種々の他の汚染物質が挙げられる。これらの粒子は、種々の大きさ及び形状を有し、薬剤に応じて疎水性及び/又は親水性、及び/又は部分的又は完全にイオン化された塩の形態を有することもある。加えて、バイアルアクセススパイクの挿入によって、バイアルのストッパーの剥離又はコアリングが生じる可能性もある。多くの場合、これらの粒子は目に見えない大きさであり、見過ごされることになる。患者に注射された粒子は、合併症、例えば、静脈炎、臓器の損傷、及び血管の閉塞を引き起こす可能性がある。これは、単独で又は制御される通気の必要性と組合わせて、流体濾過の技術的な課題を呈することになる。
【0069】
従って、上記の技術的課題に対する技術的解決策は、共同譲渡された米国特許第9,585,812号に記載されるように、流体濾過機能を組み込むことによって対処されることになる。なお、この開示内容は、参照することによって、装置100,100’,300,500に組み入れられるものとする。
【0070】
[投与セット]
図12は、IVバッグ/注入液バッグ、本開示において開示及び記載される例示的な移送装置300、薬剤/媒体バイアル又は容器、及び注入セットを備える投与セットを示している。総合的に、本開示の装置(100,100’,300)、注入液バッグ10、媒体容器20、及び従来の注入セット18は、例えば、キット50として組み合わせて用いられる。キット50の使用は、以下の通りである。IVスパイク122がIVポート16(又は14)に密封状態を保って挿入され、バイアルアダプタ101,201,301が媒体容器20にスナップ嵌合され、これによって、バイアルスパイクが媒体容器のストッパー21を貫通し、注入液バッグ10の注入液12の導入を可能にする。このような添加は、典型的には、注入液バッグ10を圧搾して注入液12を媒体容器20内に強制的に流入させ、次いで、バイアル内容物の移送を促進させるために注入液バッグ10を反転させることによって、達成される。媒体容器20が凍結乾燥薬剤22を含む場合、注入液によって、薬剤が調製される。この薬剤の調製は、注入液を媒体容器20内に強制的に流入させ、次いで、バイアル内容物をIVバッグ10に戻すサイクルを何度か繰り返すことによって、達成されるとよい。次いで、ねじ切り式閉鎖部材144を取り外した後、注入セット18の注入ラインスパイク19が、移送装置の注入ポート143に密封状態を保って挿入される。
【0071】
移送装置100,100’,300は、IVポート143を有するものとして示されているが、このような装置は、(図示されないが)、チューブが直接接続されるIVポート143に代わって、一体注入セットを有するものとして構成されてもよい。
【0072】
移送装置300の使用は、薬剤添加物を注入液バッグ10に添加させるという点に関して移送装置100、100’の使用と同様である。しかし、装置300は、バイアル20と注入液バッグ10及び/又は注入セット18との間にアクセス制御をもたらすように構成されている。具体的には、図3Cを参照すると、バイアル20をバイアルアダプタ301に接続した後、ハウジング210を(断面線3D-3Dと同一直線上の)長軸を中心に回転させることができる。第1の形態では、装置300の通路233は、スパイク管腔133にアクセスし、装置300とバイアル20との間の流体連通が可能になる。第2の形態では、装置300の通路233は、スパイク管腔133と真っすぐに並ばず、装置300とバイアル20との間の流体連通が阻止される。
【0073】
図13は、IVバッグ/注入液バッグ、例示的な二重容器移送装置400、複数の薬剤/媒体バイアル又は容器、及び注入セットを含む投与セットを示している。移送装置400の使用は、薬剤添加物を注入液バッグ10に添加するという点に関して、移送装置100、100’の使用と同様であるが、装置400は、ユーザーが媒体容器20の一方又は両方を使用(アクセス)する選択肢を有している。これに対し各媒体容器は、対応するバイアルスパイク200a,200bを密封する環状シート75を有する取外し可能なカバー202a,202bを有し、カバー202a,202bの1つが取り外されていない場合、装置400は、前述の装置100,100’として機能する。一例では、装置400は、異なる薬剤を含む複数の容器20を用いることができ、及び/又は二重薬剤投与手法を用いることができる。本開示の装置400、注入液バッグ10、2つの媒体容器20、及び従来の注入セット18は、例えば、キット50aとして組み合わせて用いられる。キット50aの使用は、以下の通りである。IVスパイク322がIVポート16(又は14)に密封状態を保って挿入され、バイアルアダプター101a及び/又は101bが対応する媒体容器20にスナップ嵌合され、これによって、バイアルスパイク200a,200bが媒体容器のストッパ21を貫通し、その結果、注入液バッグ10の注入液12を各容器20に導入することが可能になる。このような添加は、通常、注入液バッグ10を圧搾して注入液12を一方又は両方の媒体容器20内に強制的に流入させ、次いで、一方又は両方のバイアル内容物の移送を促進させるために注入液バッグ10を反転させることによって、達成される。媒体容器20が凍結乾燥薬剤22を含む場合、注入液によって、薬剤が調製される。この薬剤の調製は、注入液を媒体容器20内に強制的に流入させ、次いで、バイアル内容物をIVバッグ10に戻すサイクルを何度か繰り返すことによって、達成されるとよい。次いで、ねじ切り式閉鎖部材144を取り外した後、注入セット18の注入ラインスパイク19が、移送装置の注入ポート143に密封状態を保って挿入される。
【0074】
図14は、IVバッグ/注入液バッグ、本開示において開示及び記載されるユーザーによって制御される通気手段を有する例示的な二重容器移送装置500a、複数の薬剤/媒体バイアル又は容器、及び注入セットを備える投与セットを示している。装置500a、注入液バッグ10、2つの媒体容器20、及び従来の注入セット18は、例えば、キット50bとして組み合わせて用いられる。
【0075】
移送装置500a及びキット50bの使用は、薬剤添加物を注入液バッグ10に添加するという点に関して移送装置400及びキット50aの使用と同様であるが、装置500aは、媒体容器20の一方又は両方と注入液バッグ10及び/又は注入セット18との間に独立して通気を行う手段を備えている。従って、密封されたバイアルと注入液容器との間において液体を移送する方法は、以下の通りである。
【0076】
図14に示されるように、四又コネクタ本体350は、該コネクタ本体によって受け入れられる第1のバイアルアダプタ101aを有している。第1のバイアルアダプタは、カバー375を有するベント本体305を備えている。バイアルアダプタ101aのカバー375は、対応するベント本体を可逆的に気密にするように構成され、具体的には、ベント本体を気密形態から非密封形態に移行可能である。スパイク200は、近位端及び遠位端を有すると共に、流体管腔133a及びベント管腔134aを有している。ベント管腔は、ベント本体に流体連通している。アダプタ101aのカバー375は、ベント本体に気密形態をもたらすものとして示されている。シュラウド115が、第1のバイアルアダプタ101aから突出し、スパイク200の一部を少なくとも部分的に取り囲んでいる。シュラウドは、バイアル又は容器20を受け入れるように構成されている。
【0077】
四又コネクタ本体350は、第2のバイアルアダプタ101bを更に受け入れる。第2のバイアルアダプタ101bは、カバー75を有するベント本体305を備えている。バイアルアダプタ101bのカバー375は、対応するベント本体を気密形態から非密封形態に移行可能である。バイアルアダプタ101bは、流体管腔133b及びベント管腔134bを有するスパイク200を備えている。ベント管腔は、ベント本体に流体連通している。シュラウド115が、第2のバイアルアダプタ101bから突出し、スパイク200の一部を少なくとも部分的に取り囲んでいる。アダプタ101bのシュラウドは、更なるバイアル又は容器を受け入れるように構成されている。
【0078】
図示されるように、アダプタ101bのカバー375は、ベント本体305が非密封形態にある状態で示されているが、第1のバイアルアダプタ又は第2のバイアルアダプタのカバー375の一方又は両方において、対応するベント本体を気密形態又は非密封形態としてもよい。
【0079】
四又コネクタ本体350は、該コネクタ本体と一体のIVスパイク322を更に備えている。IVスパイクは、第1のバイアルアダプタ101aの流体管腔133aと流体連通する第1のIV流体管腔324aと、第2のバイアルアダプタ101bの流体管腔133aと直接流体連通する(第1のIV流体管腔に隣接する)第2のIV流体管腔324bとを有している。バイアルアダプターは、対応する媒体容器20にスナップ嵌合され、各容器20内への注入液バッグ10の注入液12の導入を可能にするために、バイアルスパイク200が媒体容器のストッパー21を貫通する。密封されたバイアルと第1のバイアルアダプター及び第2のバイアルアダプタとの間の流体連通が行われ、一方又は両方の媒体容器に対するIVスパイク322と注入液容器10との間の流体連通が達成される。一例では、密封されたバイアルの少なくとも1つは、薬剤22を含んでいる。他の例では、薬剤22は、(例えば、注入液容器10の液体12を用いて)調製可能であり、バイアル20の少なくとも1つは、減圧下にある。
【0080】
調製は、典型的には、注入液バッグ10を圧搾して注入液12を一方又は両方の媒体容器20に流入させ、次いで、一方又は両方のバイアル内容物の移送を促進させるために注入液バッグ10を反転させることによって、達成される。一方又は両方の媒体容器20が凍結乾燥薬剤22を含む場合、注入液によって、薬剤が調製される。この薬剤の調製は、注入液を媒体容器20内に強制的に流入させ、次いで、バイアル内容物をIVバッグ10に戻すサイクルを何度か繰り返すことによって、達成されてもよい。
【0081】
第1のバイアルアダプタ101a又は第2のバイアルアダプタ101bの一方又は両方の(ユーザーによって制御される)カバー375を操作してベント本体を非密封形態に移行させることによって、IVスパイク322がIVポート16(又は14)内に密封状態を保って挿入される前又は後のいずれかに、システムの通気が達成される。具体的には、薬剤の十分な調製、混合、又は希釈が行われた後又はその最中に、ベントカバー375は、非密封形態に操作され、すなわち、第2の状態に移行され、これによって、ベントを開いて、任意選択的なベントフィルター304を有するベント本体305を通るスパイク200のベント管腔134a又は134bを介するいずれかのバイアル20の独立した吸気を可能にする。一例では、1つのベントカバー375のみが開かれる。他の例では、両方のベントカバー375が開かれる。次いで、患者への薬剤送達のために、ねじ切り式閉鎖部材144(図示せず)が取り外された後、注入セット18の注入ラインスパイク19が、移送装置の注入ポート143内に密封状態を保って挿入される。
【0082】
一例では、一方又は両方の媒体容器、例えば、バイアル20は、減圧下に保持された薬剤を含んでいる。一例では、バイアル20の減圧は、バイアル内に含まれる薬剤の調製、混合、又は希釈のためになされるバイアル20内への注入液バッグ10の希釈液の流入を促進させる。
【0083】
移送装置100,100’,300,400,500a,500bは、IVポート143を有するものとして示されているが、このような装置は、(図示されないが)、チューブが直接接続されるIVポート143に代わって、一体注入セットを有するものとして構成されてもよい。
【0084】
本開示を限られた数の実施形態に関して説明してきたが、本開示の多くの変形形態、修正形態、及び他の用途が添付の請求項の範囲内においてなされてもよいことを理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14
【国際調査報告】