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特表2022-519939無機ガルバニック絶縁バリアを介する超高速高電圧過渡現象に対する高耐性を達成するためのプロセス及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-25
(54)【発明の名称】無機ガルバニック絶縁バリアを介する超高速高電圧過渡現象に対する高耐性を達成するためのプロセス及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20220317BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20220317BHJP
【FI】
H01L27/04 C
H01L21/90 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558644
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(85)【翻訳文提出日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 US2020025746
(87)【国際公開番号】W WO2020205752
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】62/826,047
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/832,356
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】ジェフェリー アラン ウェスト
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ダイヤー ボニフィールド
(72)【発明者】
【氏名】武井 与志広
(72)【発明者】
【氏名】杉本 光宏
【テーマコード(参考)】
5F033
5F038
【Fターム(参考)】
5F033GG03
5F033HH08
5F033HH09
5F033HH11
5F033HH18
5F033HH23
5F033HH32
5F033HH33
5F033KK08
5F033KK09
5F033KK11
5F033KK18
5F033KK23
5F033KK32
5F033KK33
5F033MM13
5F033PP15
5F033PP27
5F033QQ48
5F033RR04
5F033RR06
5F033RR08
5F033RR14
5F033RR15
5F033RR23
5F033SS15
5F033VV10
5F033XX00
5F033XX37
5F038AC05
5F038AC14
5F038AC15
5F038AC16
5F038AC18
5F038EZ20
(57)【要約】
マイクロ電子デバイス(100)が、上側プレート(132)及び下側プレート(130)を有する高電圧構成要素(104)を含む。上側プレートは、上側プレートと、マイクロ電子デバイスの基板(102)の表面における低電圧要素(106)との間の主誘電体(136)によって下側プレートから絶縁されている。上側プレートと主誘電体との間に低バンドギャップ誘電体層(140)が配置される。低バンドギャップ誘電体層は、屈折率が2.11~2.23のシリコン窒化物の少なくとも1つのサブ層(144)を含む。低バンドギャップ誘電体層は、上側プレートを越えて、上側プレートの周りに連続的に延在する。低バンドギャップ誘電体層は、上側プレートから低バンドギャップ誘電体層の厚みの少なくとも2倍の距離で上側プレートを囲む絶縁ブレイク(150)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ電子デバイスであって、
前記マイクロ電子デバイスの高電圧コンデンサの下側プレート、
前記高電圧コンデンサの上側プレート、
前記下側プレートと前記上側プレートとの間に配置される少なくとも2ミクロンの厚みの主誘電体、及び
前記主誘電体と前記上側プレートとの間に配置される低バンドギャップ誘電体層、
を含み、
前記低バンドギャップ誘電体層が、2.11~2.23の範囲の屈折率を有するシリコン窒化物の少なくとも第1のサブ層を含み、
前記低バンドギャップ誘電体層が、前記低バンドギャップ誘電体層の厚みの少なくとも2倍の距離だけ、前記上側プレートを超えて前記上側プレートの周りに連続的に延在し、
前記低バンドギャップ誘電体層において絶縁ブレイクがあり、そのため前記絶縁ブレイクにおいて前記低バンドギャップ誘電体層が連続せず、
前記絶縁ブレイクが前記上側プレートを囲んでいる、
マイクロ電子デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のマイクロ電子デバイスであって、前記低バンドギャップ誘電体層が、前記第1のサブ層と前記下側プレートとの間に配置される第2のサブ層をさらに含み、前記第2のサブ層が、前記主誘電体層のバンドギャップエネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギーを有する、マイクロ電子デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載のマイクロ電子デバイスであって、前記低バンドギャップ誘電体層に近接する前記主誘電体の部分が、二酸化シリコンベースの誘電体材料を含み、前記第2のサブ層がシリコンオキシナイトライドを含む、マイクロ電子デバイス。
【請求項4】
請求項4に記載のマイクロ電子デバイスであって、前記主誘電体が、二酸化シリコンベースの誘電体材料を含む複数の金属間誘電体(IMD)層と、二酸化シリコンベースの誘電体材料を含むレベル間誘電体(ILD)層とを含む、マイクロ電子デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載のマイクロ電子デバイスであって、前記絶縁ブレイクの外に配置される低電圧構成要素を更に含む、マイクロ電子デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載のマイクロ電子デバイスであって、前記低電圧構成要素が、70nm未満の厚みのゲート誘電体層を有する金属酸化物半導体トランジスタである、マイクロ電子デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のマイクロ電子デバイスであって、前記低バンドギャップ誘電体層が、前記絶縁ブレイクの外に配置される部分を含む、マイクロ電子デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載のマイクロ電子デバイスであって、前記絶縁ブレイクの外に配置される前記低バンドギャップ誘電体層の前記部分が、前記マイクロ電子デバイスの低電圧要素に接する、マイクロ電子デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載のマイクロ電子デバイスであって、前記絶縁ブレイクにおける前記低バンドギャップ誘電体層の端部が誘電体材料で覆われている、マイクロ電子デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載のマイクロ電子デバイスであって、前記第1のサブ層の前記シリコン窒化物が約600nmの厚みを有する、マイクロ電子デバイス。
【請求項11】
マイクロ電子デバイスを形成する方法であって、
前記マイクロ電子デバイスの高電圧構成要素の下側プレートを形成すること、
前記下側プレートに近接して少なくとも2ミクロンの厚みの主誘電体を形成すること、
前記下側プレートとは反対側で主誘電体に近接する、2.11~2.23の範囲の屈折率を有するシリコン窒化物の層を含む低バンドギャップ誘電体層を形成すること、
前記低バンドギャップ誘電体層に近接して前記高電圧構成要素の上側プレートを形成すること、
前記低バンドギャップ誘電体層に絶縁ブレイクを形成することであって、そのため、前記低バンドギャップ誘電体層が前記絶縁ブレイクにおいて連続しておらず、前記絶縁ブレイクが上側プレートを囲むようにすること、
を含む、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記低バンドギャップ誘電体層を形成する工程が、前記シリコン窒化物と前記主誘電体との間にシリコンオキシナイトライド層を形成することを更に含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記低バンドギャップ誘電体層に近接する前記主誘電体の部分が、二酸化シリコンベースの誘電体材料を含む、方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法であって、前記主誘電体が、二酸化シリコンベースの誘電体材料を含む複数のIMD層と、二酸化シリコンベースの誘電体材料を含むILD層とを含む、方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法であって、前記絶縁ブレイクの外に配置される低電圧構成要素を形成することをさらに含む、方法。
【請求項16】
前記低電圧構成要素が、70nm未満の厚みのゲート誘電体層を有するMOSトランジスタである、方法。
【請求項17】
請求項11に記載の方法であって、前記絶縁ブレイクを形成する工程が、前記絶縁ブレイクのための領域内の前記低バンドギャップ誘電体層を除去する工程を含み、前記絶縁ブレイクの外に配置される前記低バンドギャップ誘電体層の一部を残す、方法。
【請求項18】
前記絶縁ブレイクの外に配置される前記低バンドギャップ誘電体層の部分が、前記マイクロ電子デバイスの低電圧要素に接する、方法。
【請求項19】
請求項11に記載の方法であって、前記絶縁ブレイクにおいて、前記低バンドギャップ誘電体層の端部上に誘電体材料を形成する工程をさらに含む、方法。
【請求項20】
デバイスであって、
各々が高電圧コンデンサを有する第1及び第2の半導体ダイであって、前記高電圧コンデンサが、
下側プレートと、
上側プレートと、
前記下側プレートと前記上側プレートとの間に配置される主誘電体と、
前記主誘電体と前記上側プレートとの間に配置されるシリコン窒化物層と、
前記第1及び第2の半導体ダイの前記高電圧コンデンサによって提供される絶縁障壁と並列に接続される積層インダクタ、
を有し、
前記シリコン窒化物層が、2.11~2.23の範囲の屈折率を有し、
前記シリコン窒化物層が、前記シリコン窒化物層の厚みの少なくとも2倍の距離だけ、側プレートの周りに連続的に側プレートを越えて延在し、
前記低バンドギャップ誘電体層が、前記低バンドギャップ誘電体層の厚みの少なくとも2倍の距離だけ、前記上側プレートを越えて前記上側プレートの周りに連続的に延在し、
前記低バンドギャップ誘電体層において絶縁ブレイクがあり、そのため前記絶縁ブレイクにおいて前記低バンドギャップ誘電体層が連続せず、
前記絶縁ブレイクが前記上側プレートを囲んでいる、
デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロ電子デバイスの分野に関する。より詳細には、本発明は、マイクロ電子デバイスにおける高電圧構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
100ボルトより大きい電位で動作可能な、高電圧ノードを有する高電圧構成要素を備えるマイクロ電子デバイスは、高電圧ノードと、高電圧ノードを低電圧構成要素から分離する数ミクロンの厚みの主誘電体との間に、薄い低バンドギャップ誘電体層を有し得る。主誘電体の厚みの通常10パーセント未満の厚みを有する低バンドギャップ誘電体層は、主誘電体より小さなバンドギャップエネルギーを有し、高電圧ノードの角部におけるピーク電界を減少させることによって主誘電体に対する信頼性を提供する。低バンドギャップ誘電体層は、デバイスの高電圧性能及び信頼性を高める可能性があり、その程度は、層の屈折率値を変化させることによって調整することができる。
【発明の概要】
【0003】
以下は、本発明の一つ又は複数の態様の基本的な理解を提供するために、簡略化した発明の概要を提示する。この概要は、本発明の広範な概観ではなく、本発明の鍵となる又は決定的な要素を識別することも、本発明の範囲を詳述することも意図していない。むしろ、この概要の主な目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、本発明の幾つかの概念を簡略化した形式で提示することである。
【0004】
マイクロ電子デバイスが、上側プレートと下側プレートとを有する高電圧構成要素を含む。上側プレートは、マイクロ電子デバイスの基板の表面近傍に形成される主誘電体によって、下側プレートから絶縁されている。上側プレートと主誘電体との間に低バンドギャップ誘電体層が配置される。低バンドギャップ誘電体層は、シリコン窒化物の少なくとも1つのサブ層を含む。シリコン窒化物のサブ層は、2.11~2.24の屈折率(RI)を有する。低バンドギャップ誘電体層は、上側プレートを越えて、上側プレートの周りに連続的に延在する。低バンドギャップ誘電体層は、上側プレートから低バンドギャップ誘電体層の厚みの少なくとも2倍の距離で上側プレートを囲む絶縁ブレイク(isolation break)を有する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】高電圧構成要素を含む例示のマイクロ電子デバイスの断面である。
【0006】
図2A】製造の連続的段階で示された、図1のマイクロ電子デバイスの断面である。
図2B】製造の連続的段階で示された、図1のマイクロ電子デバイスの断面である。
図2C】製造の連続的段階で示された、図1のマイクロ電子デバイスの断面である。
図2D】製造の連続的段階で示された、図1のマイクロ電子デバイスの断面である。
図2E】製造の連続的段階で示された、図1のマイクロ電子デバイスの断面である。
図2F】製造の連続的段階で示された、図1のマイクロ電子デバイスの断面である。
【0007】
図3A】絶縁ブレイクにおける図1のマイクロ電子デバイスの断面であり、絶縁ブレイク及び高電圧ノードを形成する代替の方法を示す。
図3B】絶縁ブレイクにおける図1のマイクロ電子デバイスの断面であり、絶縁ブレイク及び高電圧ノードを形成する代替の方法を示す。
図3C】絶縁ブレイクにおける図1のマイクロ電子デバイスの断面であり、絶縁ブレイク及び高電圧ノードを形成する代替の方法を示す。
【0008】
図4】降伏電圧Vbd対屈折率(RI)のグラフである。
【0009】
図5】種々のRIにおける故障率対ピーク電圧Vpkのグラフである。
【0010】
図6】様々なパラメータ対RIのグラフである。
図7】様々なパラメータ対RIのグラフである。
図8】様々なパラメータ対RIのグラフである。
図9】様々なパラメータ対RIのグラフである。
図10】様々なパラメータ対RIのグラフである。
【0011】
図11】高電圧構成要素を含む別の例示のマイクロ電子デバイスの断面である。
【0012】
図12図1及び図11の高電圧構成要素を含むISOデバイスを備えてパッケージされた積層インダクタを有するマルチチップモジュールMCMの3次元(等角)図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を添付の図を参照して説明する。図は、一定の縮尺で描かれておらず、単に本発明を例示するために提供されているに過ぎない。本発明の幾つかの態様が、例示のための例示の応用例に関連して以下に記載される。本発明の理解を提供するために、多くの具体的な詳細、関係、及び方法が記載されていることを理解されたい。しかしながら、当業者であれば、本発明が1つ又は複数の特定の詳細なしに又は他の方法を用いて実施され得ることを容易に認識し得るであろう。他の場合において、本発明を曖昧にすることを避けるために、周知の構造又は動作は詳細には示されていない。幾つかの行為が別の順で及び/又は他の行為又は事象と同時に起こり得るので、本発明は図示される行為又は事象の順に限定されない。また、本発明に従った手法を実装するために、図示されるすべての動作又は事象が必要とされるわけではない。
【0014】
マイクロ電子デバイスが、上側プレート(典型的には高電圧ノード)及び下側プレート(典型的には低電圧ノード)を有する高電圧コンデンサを含む。上側プレートは、上側プレートと、マイクロ電子デバイスの基板の表面に形成される低電圧要素との間の主誘電体によって、下側プレートから絶縁されている。上側プレートと主誘電体との間に低バンドギャップ誘電体層が配置される。低バンドギャップ誘電体層は、主誘電体のバンドギャップエネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギーを有する少なくとも1つのサブ層を含む。低バンドギャップ誘電体層は、上側プレートを越えて、上側プレートの周りに連続的に延在する。低バンドギャップ誘電体層は、上側プレートから低バンドギャップ誘電体層の厚みの少なくとも2倍の距離で上側プレートを囲む絶縁ブレイクを有する。絶縁ブレイクは、マイクロ電子デバイスの上側プレートと低電圧要素との間に位置する。
【0015】
IC製造業者にとって一般的であるように、コストを低減しつつ、製品の信頼性を向上させるために、プロセスを単純化し最適化するための継続的な努力がなされている。そのような努力の結果、ほとんどすべてのパラメータについて高い電圧能力を保ちながら、金属レベルの数を7から5に減らすことができることが分かった。しかし、そういったデバイスは、8kV(IEC/EN 61000‐4‐2、レベル4)の国際電気標準会議の静電放電(IEC‐ESD)耐性規格に適合しないという限界が明らかになった。IEC‐ESD絶縁バリア試験は、典型的にはIC製造業者が構成要素レベルで実施しない、システムレベルの超高速過渡電圧試験である。低バンドギャップ誘電体層の厚み、主コンデンサ誘電体の厚み、及び低バンドギャップ誘電体層の熱アニーリングなど、IEC‐ESD性能を改善するために多くの潜在的な要因を調べたが、いずれも解決策とはならなかった。
【0016】
しかしながら、本発明者らは、シリコン窒化物がより低い屈折率(RI)を有する場合に、低バンドギャップ層においてシリコン窒化物層を用いる高電圧コンデンサのIEC‐ESD耐圧性能の予期せぬ大幅な改善を見出した。より低いRIは、過渡電圧サージ保護を1000倍遅く劣化させるので、より低いRIがそのようなコンデンサの超高速過渡降伏電圧の増大をもたし得ることは直感に反するものであった。図4は、代表的な非生産試験構造に対するRIの関数としてIEC‐ESD降伏電圧 Vbdを提示している。ここでは、正の極性で12パルス、続いて負の極性で12パルスの、1.2nsの立ち上がりと1.2nsの立ち下がりの過渡電圧パルスを用いて、IEC‐ESD Vbdが得られた。シリコン窒化物層のRIを2.26から2.08に下げると、Vbd特性は、約10kVから約13kVへの明瞭な増加を示した。図5は、強化された絶縁規格VDE‐884‐11に規定されているように、1.2μsの立ち上がり、50μsの立ち下がりの25電圧パルスと、その後続く同程度の立ち上がり及び立ち下がり時間を有する反対の極性の25パルスとを用いて得られるRIの5つの値について、代表的な容量性絶縁デバイスの故障率対ピーク電圧(Vpk)として、サージ能力を提示する。これらの図は、より高いRI値(>2.23)に対して最良のサージ性能が達成される一方で、2.23未満の、例えば約2.0~2.1のRIで最良のIEC‐ESD能力が達成されることを示している。そのため、本発明者らは、優れたHV性能を提供する頂部高電圧(HV)コンデンサプレートの下のSiN層が、サージ能力及びIEC‐ESD過渡能力の両方に対して同時に最適化されない可能性があると判断した。
【0017】
以下に詳述するように、本発明者らは、2.11~2.23、例えば2.17±0.04の範囲の屈折率を有する低バンドギャップ誘電体層内のシリコン窒化物を用いて、サージ保護及びIEC‐ESD性能のバランスが取れると判断した。プラズマ中にSiH+NH+Arを流すCVDプロセスを用いてもよい。SiH/NHのガス流量比は、約2.17の屈折率を得るように選択される。温度、RFパワー、チャンバー圧もRIに影響する。多くの異なった堆積ツールに適用可能であり得る主要な製造パラメータに依存するRIの全般的傾向が図6~10に示されている。図6はRI対シラン流量を表し、図7はRI対アンモニア流量を表し、図8は、RI対反応物シャワーヘッドと基板表面との間の間隔を表し、図9はRI対堆積圧を表し、図10はRI対堆積パワーを表す。
【0018】
図1に移ると、高電圧構成要素を含む例示のマイクロ電子デバイス100の断面が提示されている。デバイス100の種々の態様は、以下に記載される、低バンドギャップ誘電体層のための文脈を提供するために、黙示の制約なしに記載される。本例では、マイクロ電子デバイス100が集積回路100として説明される。スタンドアロン構成要素又はハイブリッド回路など、マイクロ電子デバイス100のための他の構成も本例の範囲内にある。マイクロ電子デバイス100は、シリコンウェハなどの基板102上に形成される。マイクロ電子デバイス100は、図1において高電圧コンデンサ104として示される高電圧構成要素104、及び場合によっては、70ナノメートル未満の厚みのゲート誘電体層110を有する金属酸化物半導体(MOS)トランジスタ106として示される、24ボルト又はそれ以下で動作する低電圧構成要素106を含む。マイクロ電子デバイス100は、高電圧構成要素104の周りにファラデーケージ108を任意選択で含み得る。
【0019】
マイクロ電子デバイス100の要素を横方向に隔離するために基板102内にフィールド酸化物112が形成され得る。基板102の上にプレメタル誘電体(PMD)層114が形成される。PMD層114を介してコンタクト116が配置されて、低電圧構成要素106及びファラデーケージ108のための電気接続を提供する。
【0020】
PMD層114の上に複数の金属レベル118が配置される。金属レベル118は、低電圧構成要素106及びファラデーケージ108に接続される金属相互接続120を含む。二酸化シリコンベースの誘電体材料の金属間誘電体(IMD)層122が、各金属レベル118内の金属相互接続部120間に配置される。金属レベル118の間にビアレベル124が配置される。ビアレベル124は、金属相互接続120を接続する金属ビア126を含む。金属ビア126は、各ビアレベル124内の二酸化シリコンベースの誘電体材料のレベル間誘電体(ILD)層128を介して配置される。例えば低誘電率材料など、IMD層122及びILD層128のための他の誘電体材料も、本例の範囲に含まれる。IMD層122及びILD層128は、場合によっては、シリコン窒化物などの異なる誘電性材料のキャップ層及びエッチング停止層を含み得る。IMD層122は、複数の金属レベル118を形成するために使用されるプロセスシーケンスに応じて、対応するILD層128の一部であってもよい。
【0021】
高電圧コンデンサ104の下側プレート130として表される、高電圧構成要素下側プレート130が、例えば図1に示されるような第1の金属レベル118など、金属レベル118のうちの1つに配置される。高電圧コンデンサ104の上側プレート132として表される高電圧構成要素プレート132が、例えば図1に示されているような上側金属レベル134など、別の金属レベル134に配置される。下側プレート130と側プレート132との間の組み合わされたIMD層122及びILD層128は、高電圧構成要素104の主誘電体136を提供する。本例では、主誘電体136は、高電圧コンデンサ104のコンデンサ誘電体136である。コンデンサ誘電体136の厚み138は、例えば3μm以上など、少なくとも2μmであり、下側プレート130及び場合によっては基板102に対する、上側プレート132の所望の動作電圧によって決定され得る。例えば、上側プレート132が、下側プレート130に対して1000ボルトrmsで動作するように設計されたバージョンの高電圧コンデンサ104は、厚み138が16μm~20μmのコンデンサ誘電体136を有し得る。屈折率が2.11~2.23の範囲内のシリコン窒化物を使用すると、前述のように、バランスの取れたサージ保護を備えたIEC‐ESD性能が大幅に改善されるという予想外の利点が得られる。
【0022】
低バンドギャップ誘電体層140が、主誘電体136と、下側プレート130とは反対側の上側プレート132との間に配置される。低バンドギャップ誘電体層140は、主誘電体136の、上側プレート132に近接する部分のバンドギャップエネルギーよりも小さいバンドギャップエネルギーを有する、少なくとも1つの誘電体サブ層を含む。本例では、低バンドギャップ誘電体層140は、主誘電体136に接する厚み200nm~600nmのシリコンオキシナイトライドの第1のサブ層142と、第1のサブ層142と上側プレート132との間で両者に接する、厚み400nm~800nm(例えば600nm)のシリコン窒化物の第2のサブ層144とを含む。シリコンオキシナイトライドの第1のサブ層142は、主誘電体136の二酸化シリコンベース誘電体材料よりも低いバンドギャップエネルギーを有し、シリコン窒化物の第2のサブ層144は、第1のサブ層142よりも低いバンドギャップエネルギーを有する。低バンドギャップ誘電体層140は、低バンドギャップ誘電体層140の厚み148の少なくとも2倍である距離146だけ上側プレート132を超えて上側プレート132の周りに連続的に延在する。上側プレート132に接する低バンドギャップ誘電体層140には、絶縁ブレイク150が存在し、絶縁ブレイク150は上側プレート132を囲んでいる。絶縁ブレイク150の位置は、距離146よりも上側プレート132に近接してはいない。低バンドギャップ誘電体層140の任意選択の低電圧部分152が絶縁ブレイク150の外に配置され得、低バンドギャップ誘電体層140の低電圧部分152が、絶縁ブレイク150によって、上側プレート132に接する低バンドギャップ誘電体層140から分離されるようにし得る。低バンドギャップ誘電体層140の低電圧部分152は、ファラデーケージ108など、低バンドギャップ誘電体層140まで延在するマイクロ電子デバイス100の低電圧要素に接してもよい。絶縁ブレイク150は、上側プレート132とマイクロ電子デバイス100の任意の低電圧要素との間に位置し、そのため、上側プレート132に接する低バンドギャップ誘電体層140は、いかなる低電圧要素にも接しない。絶縁ブレイク150は、有利にも、上側プレート132からマイクロ電子デバイス100の低電圧要素への低バンドギャップ誘電体層140の界面を介する漏れ電流を防止する。存在する場合、低バンドギャップ誘電体層140の低電圧部分152は、上側プレート132に接する低バンドギャップ誘電体層140から、少なくとも1μmである隔離距離154だけ横方向に分離される。この距離は、絶縁ブレイク150を形成するためのリソグラフィプロセスにおいて有利にプロセスマージンを提供するために10μm~25μmとし得る。絶縁ブレイク150を備えた低バンドギャップ誘電体層140を形成することは、1000ボルト又はそれ以上で動作する高電圧構成要素104の場合に特に有利であり、そのため、絶縁ブレイク150を備えた低バンドギャップ誘電体層140を有さない構成要素は、マイクロ電子デバイス100の有用な実施形態を無効にする程度に信頼性が低くなり得る。
【0023】
上側プレート132は上側IMD層156内に配置され、上側IMD層156は、絶縁ブレイク150において、低バンドギャップ誘電体層140の端部を覆う。上側IMD層156は、主誘電体136と同様に二酸化シリコンを含み得る。
【0024】
上側プレート132は、図1に示されるように、マイクロ電子デバイス100のボンドパッド158に接続されてもよく又はその一部であってもよい。ポリイミド、シリコン窒化物、シリコンオキシナイトライド、及び/又は二酸化シリコンの保護オーバーコート160が、上側プレート132の上に配置されてもよく、又は、図1に示されるように上側プレート132の端部と重なってもよい。上側プレート132への電気接続162がワイヤボンド162を介して成され得る。低バンドギャップ誘電体層140の低電圧部分152は、有利にも、電気接続162から上側プレート132への電界から、低電圧構成要素106を遮蔽することができる。
【0025】
マイクロ電子デバイス100の動作の間、上側プレート132と下側プレート130との間に高い電圧電位差が印加されると、低バンドギャップ誘電体層140は、有利にも、上側プレート132の角部付近の電界を減少させることによって、主誘電体136に対する信頼性を提供する。絶縁ブレイク150は、有利にも、上側プレート132からマイクロ電子デバイス100の低電圧要素への低バンドギャップ誘電体層140を介する漏れ電流を防止することによって信頼性を提供する。
【0026】
図2A図2Fは、製造の連続的段階で示された、図1のマイクロ電子デバイスの断面である。図2Aを参照すると、マイクロ電子デバイス100は基板102上に形成され、基板102は、シリコンウェハ又は他の半導体基板であってもよく、又はサファイア又は酸化アルミニウムセラミックなどの誘電体基板であってもよい。基板102が半導体基板である本例の或るバージョンにおいて、フィールド酸化物112が、基板102内のマイクロ電子デバイス100の要素を横方向に隔離するように形成され得る。フィールド酸化物112は、シャロートレンチアイソレーション(STI)プロセス、シリコンの局所酸化(LOCOS)プロセス又は他の方法によって形成され得る。
【0027】
低電圧構成要素106は、基板102内及びその上に形成される。低電圧構成要素106は、高電圧構成要素104に近接していてもよく、ファラデーケージ108によって高電圧構成要素104から分離されていてもよい。
【0028】
PMD層114は基板102の上に形成される。PMD層114は誘電体層積層を含み得、誘電体層積層は、プラズマエンハンスト化学気相成長(PECVD)プロセスによって形成される10~100nmの厚みのシリコン窒化物又は二酸化シリコン窒化物PMDライナ、一般的に化学機械研磨(CMP)プロセスによって平坦化される、一般的に100nm~1000nmの厚みの、PECVDプロセスによって形成される、二酸化シリコン窒化物、リン珪酸ガラス(PSG)又はボロンリン珪酸ガラス(BPSG)の層、及び、別のPECVDプロセスによって形成される、シリコン窒化物、炭化シリコン窒化物、又は炭化シリコン窒化物などの一般的に10~100nmの厚みの硬質材料である、任意のPMDキャップ層を含む。PMD層114を介してコンタクトホールが形成されて、例えば、低電圧構成要素106及びファラデーケージ108において、及び場合によっては高電圧構成要素104において、基板102を露出させる。電気接続を提供するために、コンタクト116がコンタクトホール内に形成される。コンタクト116は、それぞれスパッタプロセス及びCVDプロセスを用いて、チタン及び窒化チタンのライナを形成し、コンタクトホールを充填するためにCVDプラズマプロセスを用いてライナ上にタングステン層を形成し、エッチバック及び/又はCMPプロセスを用いて、PMD層114の頂部表面からタングステン及びライナを除去することによって、形成され得る。
【0029】
金属レベル118及びIMD層122、並びに、ビアレベル124及びILD層128は、幾つかの方法のうちの任意のものによって形成され得る。本例の或るバージョンにおいて、金属レベル118の任意のものが、下にあるPMD層114又はILD層128の上にアルミニウムベースの相互接続金属層を形成することによって形成され得る。アルミニウムベースの相互接続金属層は、チタン、チタンタングステン、又は窒化チタンの接着層と、接着層上の、200nm~数ミクロンの厚みの、数パーセントのシリコン、チタン、及び/又は銅を含むアルミニウム層と、場合によっては、アルミニウム層上のチタン又は窒化チタンの反射防止層とを含み得る。フォトレジストを含む相互接続エッチマスクが、金属相互接続部120のための領域を覆う相互接続金属層の上に形成され、塩素ラジカルを用いるプラズマエッチングなどのエッチングプロセスが、相互接続エッチマスクによって露出された領域における相互接続金属層を除去するために用いられて、金属相互接続部120が残される。対応するIMD層122が、その後、金属相互接続120間に形成される。IMD層122は、テトラエトキシシラン(TEOS)としても知られるオルトケイ酸テトラエチルを用いるPECVDプロセスによって、二酸化シリコンベースの誘電体材料の層を堆積し、その後、レジストエッチバックプロセス又はCMPプロセスによって誘電体材料を平坦化することによって形成されてもよく、その結果、IMD層122が、図1に示されるように金属相互接続120を覆うようにする。IMD層122は、場合によっては、メチルシルセスキオキサン(MSQ)を含む溶液でマイクロ電子デバイス100をスピンコーティングし、続いて、溶液をベーキングして揮発性材料を除去することによって形成される二酸化シリコンベースの誘電体材料を含み得る。
【0030】
本例の別のバージョンにおいて、金属レベル118の任意のものが、IMD層122が最初に形成される単一ダマシンプロセスによって形成され得、相互接続トレンチが、金属相互接続120のための領域においてIMD層122を介して形成される。IMD層122は、順次のPECVDプロセスによって形成される、エッチ停止層、主層、及びキャップ層を含む、誘電体層の積層であり得る。窒化タンタルのライナが、CVDプラズマプロセスによってIMD層122の上に形成され、コンフォーマルライナとして相互接続トレンチ内に延在する。スパッタされた銅のシード層がライナ上に形成され、電気めっきされた銅がシード層上に形成されて、相互接続トレンチを充填する。銅CMPプロセスがIMD層122の頂部表面から銅及びライナを除去し、相互接続トレンチ内に金属相互接続120が残される。
【0031】
さらなるバージョンにおいて、金属相互接続120はリフトオフプロセスによって形成されてもよく、リフトオフプロセスでは、フォトレジストなどの有機材料のリフトオフパターンが、金属相互接続120のための開口を有する対応する下側ILD層128の上に形成される。金属相互接続120のための金属層が、リフトオフパターンの上に、及び開口内のILD層128上に堆積される。リフトオフパターンはその後、溶剤噴霧を用いて除去され、リフトオフパターン上の金属層を取り、金属相互接続120を残す。
【0032】
本例の或るバージョンにおいて、対応するビア126及びILD層128を含む、ビアレベル124の任意のものが、コンタクト116について説明したものと同様のプロセスによって形成され得る。別のバージョンにおいて、対応するビア126及びILD層128を含むビアレベル124は、金属相互接続120及びIMD層122を含む金属レベル118について説明したように単一ダマシンプロセスによって形成されてもよい。
【0033】
本例の代替バージョンにおいて、金属レベル118及び対応する下側のビアレベル124のうちの任意のものが、デュアルダマシンプロセスによって同時に形成され得る。デュアルダマシンプロセスにおいて、ILD層128が形成され、対応するIMD層122が、ILD層128の上に形成される。相互接続トレンチがIMD層122を介して形成され、ビアホールが、例えば、トレンチ先行シーケンス、ビア先行シーケンス、又は部分的ビア先行シーケンスとし得る、一連のパターニング及びエッチング工程によって、ILD層128を介して形成される。ライナ、シード層、及び電気めっきされた銅充填金属が、IMD層122の上に形成され、同時にビアホール及び相互接続トレンチを充填する。後続の銅CMPプロセスが、IMD層122の頂部表面から銅及びライナを除去し、相互接続トレンチ内の金属相互接続120とビアホール内のビア126とを残す。
【0034】
本例の別のバージョンにおいて、金属レベル118の任意のものが、マスクめっきプロセスによって形成され得る。チタンの接着層及び銅のシード層が、関連するILD層128の頂部表面上に形成される。接着層は、ビア126又はコンタクト116の、下にあるものとの電気的コンタクトを成す。フォトレジストのめっきマスクが、金属相互接続120のための領域を露出するように、シード層の上に形成される。電気めっきオペレーションが、めっきマスクによって露出された領域におけるシード層上に、銅を所望の厚みまでめっきする。めっきマスクは、例えばアッシングによって又は溶剤に溶解することによって、除去される。めっきされた銅の外側のシード層及び接着層は、例えば、反応性イオンエッチング(RIE)プロセスによって除去され、めっきされた銅並びに下にあるシード層及び接着層を残して、金属相互接続120を提供する。
【0035】
高電圧構成要素104の下側プレート130は、場合によっては最も低い金属レベル118である、下側金属レベル118のうちの1つに形成される。下側プレート130は、金属レベル118内の金属相互接続120と同時に形成され得る。あるいは、下側プレート130は、場合によっては金属相互接続120とは別に形成されてもよい。下側プレート130の上のILD層128及びIMD層122は、高電圧構成要素104の主誘電体136を提供する。
【0036】
図2Bを参照すると、低バンドギャップ誘電体層140は、高電圧構成要素104の主誘電体136を含む、ILD層128及びIMD層122の上に形成される。低バンドギャップ誘電体層140は、シリコン窒化物の少なくとも1つの層を含む。本例では、ビス(ターシャリブチルアミノ)シラン(BTBAS)及びTEOS又はNO及びNHを用いたPECVD反応により、200nm~600nmの厚みのシリコンオキシナイトライド(酸化シリコン窒化物又はSiONと呼ばれることもある)の第1サブ層142を形成することにより、低バンドギャップ誘電体層140の形成が進行する。第1のサブ層142中の窒素及び酸素の原子分率は、窒素含有及び酸素含有供給ガスの相対ガス流量を調整することによって選択することができる。低バンドギャップ誘電体層140の形成は、400nm~800nmの厚みのシリコン窒化物の第2のサブ層144を、~375℃のプラズマ中でSiH+NH+Arを流すCVDプロセスによって形成することによって続く。本例の他のバージョンにおいて、低バンドギャップ誘電体層140は、シリコン窒化物の1つのサブ層のみから構成され得る。幾つかの重要なパラメータは、ガス比、RFパワー、及び圧力などのRIに影響する。RIと様々なパラメータとの相互作用を図6図10に示す。シリコン窒化物は、2.11~2.24の範囲のRIを有し、表1に示すパラメータを用いて形成され得る。
【0037】
さらなるバージョンにおいて、低バンドギャップ誘電体層140は、2つ以上のサブ層を有し得る。低バンドギャップ誘電体層140のサブ層に使用され得る誘電体材料は、表2の誘電体材料を含み得る。
【0038】
シリコン酸化窒化物、シリコン酸化炭化窒化物、及びシリコン炭化窒化物など、表2の様々な可変の化学量材料のバンドギャップは、酸素、窒素、及び/又は炭素の相対原子分率に応じて変化し得る。シリコンリッチであるシリコン含有誘電性材料のバージョンは、所望未満の電気インピーダンスに起因して、低バンドギャップ誘電体層140のサブ層としての性能が劣る可能性がある。
【0039】
図2Cを参照すると、低バンドギャップ誘電体層140が形成された後に、低バンドギャップ誘電体層140を介するビア126が形成される。低バンドギャップ誘電体層140を介するビア126は、図2Aを参照して説明した方法のうちの任意のものによって形成され得る。
【0040】
図2Dを参照すると、低バンドギャップ誘電体層140の上の金属相互接続120及び上側プレート132が形成される。低バンドギャップ誘電体層140の上の金属相互接続120は、図2Aを参照して説明した方法のうちの任意のものを用いて形成され得る。上側プレート132は、低バンドギャップ誘電体層140の上の金属相互接続120と同時に形成されてもよく、又は別個に形成されてもよい。
【0041】
図2Eを参照すると、絶縁ブレイク150は、低バンドギャップ誘電体層140を介して形成される。絶縁ブレイク150は、低バンドギャップ誘電体層140、低バンドギャップ誘電体層の上の金属相互接続120、及び上側プレート132の上に絶縁エッチマスクを形成し、低バンドギャップ誘電体層140を介して下側ILD層128内にエッチングして、下側プレート132及び低バンドギャップ誘電体層140の低電圧部分152の下に低バンドギャップ誘電体層140を残すことによって形成され得る。絶縁ブレイク150を形成する他の方法を以下に説明する。
【0042】
図2Fを参照すると、絶縁ブレイク150に当接して、低バンドギャップ誘電体層140の上にIMD層156が形成される。低バンドギャップ誘電体層140の上のIMD層156は、図2Aを参照して説明した方法のうちの任意のものによって形成され得る。絶縁ブレイク150に当接するためにIMD層156を形成することは、有利にも、上側プレート132からマイクロ電子デバイス100の低電圧要素への低バンドギャップ誘電体層140の界面を介する漏れ電流を防止する。マイクロ電子デバイス100の形成が、保護オーバーコート160の形成で続き、続いて図1の構成を提供する。
【0043】
図3A図3Cは、絶縁ブレイクにおける図1のマイクロ電子デバイスの断面であり、絶縁ブレイク及び高電圧ノードを形成する別の方法を示す。図3Aを参照すると、マイクロ電子デバイス100は、図2A図2Cに関連して記載されるように製造される。低バンドギャップ誘電体層140は、主誘電体136の頂部においてILD層128の上に形成される。本例では、低バンドギャップ誘電体層140は、ILD層128上に形成される第1のサブ層142と、第1のサブ層142上に形成される第2のサブ層144とを含む。第2のサブ層144の形成の後、酸化プロセス、例えば、NOプラズマプロセスが、第2のサブ層144の頂部において酸素リッチ頂部領域164を形成する。酸素リッチ頂部領域164は30nm未満の厚みとし得る。第2のサブ層144の下側領域166は、酸化プロセスによって実質的に変化しない。
【0044】
相互接続金属168の層が、低バンドギャップ誘電体層140上に形成される。相互接続金属168の層は、スパッタプロセス又は反応性スパッタプロセスによって形成される、厚み2nm~15nmのチタン、チタングステン、又は窒化チタンの接着層170を含む。相互接続金属層168は、接着層170上に形成されたアルミニウム層172をさらに含む。アルミニウム層172は、2%までのシリコン、チタン、及び/又は銅を含み得る。アルミニウム層172は、スパッタプロセスによって形成される200nm~数ミクロンの厚みとし得る。相互接続金属168の層は、アルミニウム層172上に反応性スパッタプロセスによって形成される、厚み10nm~20nmの窒化チタンの反射防止層174も含む。相互接続金属層168の他の構成も本例の範囲内である。
【0045】
相互接続マスク176が、相互接続金属168の層の上に形成されて、低バンドギャップ誘電体層140の上の図1の上側プレート132及び金属相互接続120のための領域を覆う。相互接続マスク176は、フォトリソグラフィプロセスによって形成されたフォトレジストを含み得、反射防止層及び/又はハードマスク層を含むこともできる。図3は、続いて形成される上側プレート132上の相互接続マスク176の一部を示す。
【0046】
図3Bを参照すると、相互接続エッチングプロセスが、相互接続マスク176によって露出された領域における相互接続金属168の層を除去して、低バンドギャップ誘電体層140の上の図1の上側プレート132及び金属相互接続120を残す。本例では、相互接続エッチングプロセスがさらに、相互接続マスク176によって露出された領域における、低バンドギャップ誘電体層140の第2のサブ層144の全てではないが一部を除去する。相互接続マスク176は、その後、例えばアッシングプロセスによって除去される。相互接続エッチングプロセスが完了し相互接続マスク176が除去された後、第2のサブ層144の少なくとも10nmが、相互接続マスク176によって露出された領域に残る。
【0047】
図3Cを参照すると、絶縁エッチングマスク178が、上側プレート132及び低バンドギャップ誘電体層140の上に形成されて、絶縁ブレイク150のための領域を露出させる。絶縁エッチングマスク178は、フォトリソグラフィプロセスによって形成されたフォトレジストを含み得る。絶縁ブレイク150のための領域は、図1に関連して説明したように、距離146だけ上側プレート132から横方向に分離される。絶縁ブレイク150のための領域の幅154は、図1に関連して説明されている。幅154は、所望のレベルのプロセスマージンを有する絶縁エッチングマスク178の形成のためのフォトリソグラフィプロセスを有利に容易にするために、10μm~25μmとし得る。絶縁エッチングプロセスが、絶縁エッチングマスク178によって露出された領域における、第1のサブ層142、第2のサブ層144、及びILD層128の一部を除去する。絶縁エッチングマスク178は、その後、例えばアッシングプロセスによって除去される。
【0048】
図11は、図1のマイクロ電子デバイス100の幾つかの特性を共有する、別の例示のマイクロ電子デバイス1100の断面である。図11において、図1の構造的特徴に類似する構造的特徴は同じ特徴参照符号のままであるが、様々の材料置換が先の議論の範囲内でなされ得る。基板102はスペースを節約する省略されている。デバイス1100は、4つのビアレベルを有する5つの金属レベルM1~M5を含む。金属要素及びビアの特徴インデックスは、明確にするために省略されている。金属特徴及びビアは前述のように、IMD層122及びILD層128内に配置される。これらの誘電体層は、明確にするために、組み合わせインデックス122/128によって表されている。高電圧コンデンサ104は、M2層内に形成された下側プレート130と、M5層内に形成された上側プレート132とを含む。高電圧コンデンサ104はファラデーケージ1110によって囲まれ、ファラデーケージ1110は、関連するビアレベルを介してM5からM1への連続チェーンを含み、示されないコンタクトにおいて下にある基板に接地される。ファラデーケージ1110の外側の回路要素1120は、アナログ・デジタル変換器、高電圧コンデンサ104にわたるデータのデジタル送信又は受信などの、デバイスの他の属性をサポートしてもよい。スクライブシール構造1130が、スタックされたM1~M5特徴及び関連するビアを含む。上側IMD層156は前述のように、例えば1.5μmのSiOであり、M5レベルを覆う。第1の保護オーバーコート160’、例えば2.8μmのSiONが上側IMDレベル156を覆い、第2の保護オーバーコート160”、例えば10μmのポリイミドが第1の保護オーバーコート160’を覆う。この例では、ワイヤボンド162が上側プレート132に直接形成されている。
【0049】
低バンドギャップ誘電体層140が、上側プレート132を含むM5特徴と、M5層が形成される誘電体層122/128との間に配置される。本例における低バンドギャップ誘電体層140は、SiONの第1のサブ層142と、シリコン窒化物の第2のサブ層144とを含み、両方とも前述のように形成され得る。低バンドギャップ誘電体層140は、前述のように距離146だけ、上側プレート132を超えて上側プレート132の周りに継続して延在し、上側プレート132を囲む絶縁ブレイク152において終わる。低バンドギャップ誘電体層140の低電圧部分152が、上側プレート132から延在する低バンドギャップ誘電体層140部分から距離154だけ離間している。低電圧部分152はスクライブシール1130まで延び、これを越えて延在する。
【0050】
図12は、本明細書に記載される例に従った1つ又は複数の高電圧コンデンサを含むマルチチップモジュール(MCM)1200を含む、別の実施例を図示する。パッケージ基板1210が、複数のデバイスダイ、例えば、デバイスダイ1220、1230間の絶縁された電力伝送を提供し得る積層変圧器1240を支持する。第1及び第2のデバイスダイ1220、1230のそれぞれは、本明細書に記載される原理に従って構成される高電圧コンデンサ1250の1つ又は複数の例を含み得る。また、デバイスダイ1220、1230は、本明細書に記載される原理に従って構成される高電圧コンデンサの1つ又は複数の例(図示せず)を含み得る。特に、高電圧コンデンサ1250は、前述した低バンドギャップ誘電体層140を含む。デバイス1200は、より低いバンドギャップエネルギーと、2.11~2.24の範囲の、例えば2.14±0.04の屈折率を有するシリコン窒化物サブ層144に関連する改良された高電圧性能とから利点を得ることが期待される。高電圧コンデンサ1250は、低バンドギャップ誘電体層140を含まないSiOコンデンサを用いる場合と比較して、システムの全体的なIEC‐ESD性能を改善する。ラミネート変圧器及びデバイスダイ1220、1230のこの組み合わせで2300Vの改善を得ることができる。異なるデバイス構成及び/又は機能性を有する他のタイプのMCMも本開示の範囲内である。
【0051】
本発明の種々の実施例を上述してきたが、これらは例示のためにのみ提示されたものであり、制約として提示されたものではないことを理解されたい。本明細書に記載された開示に従って、開示された実施例に対する多くの変更が、本発明の趣旨又は範囲を逸脱することなく成され得る。そのため、本発明の幅及び範囲は、上述の実施例の任意のいずれにおいても限定されるべきではない。そうではなく、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従って定義されるべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】