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特表2022-519970ガスクロマトグラフのためのキャリアガス接続デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-28
(54)【発明の名称】ガスクロマトグラフのためのキャリアガス接続デバイス
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/26 20060101AFI20220318BHJP
【FI】
G01N30/26 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021526381
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(85)【翻訳文提出日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 CN2018115823
(87)【国際公開番号】W WO2020097899
(87)【国際公開日】2020-05-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399117121
【氏名又は名称】アジレント・テクノロジーズ・インク
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】チゥー,ポォー
(57)【要約】
キャリアガス接続デバイス(100、402、404、406、408)は、ガスクロマトグラフィチャネルに供給されるキャリアガスを変えることを可能にする。キャリアガス接続デバイス(100、402、404、406、408)は、チャネルアダプタ(102、202)、キャリアブロック(104、302)及びクランプシステムを備えるとともに、2つ以上のチャネルアダプタ位置を含む。チャネルアダプタ位置の各々において、キャリアガスがキャリアブロック(104、302)からチャネルアダプタ(102、202)へ入る流体密流路が形成される。また、キャリアガス分配システム(400)、ガスクロマトグラフィ機器及びGCに供給されるキャリアガスを変える方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のキャリアブロック・キャリアガス通路及び第2のキャリアブロック・キャリアガス通路を備えたキャリアブロックであって、前記キャリアブロック・キャリアガス通路の各々が入口及び出口を有する、キャリアブロックと、
入口及び出口を有するチャネルアダプタ・キャリアガス通路を備えたチャネルアダプタと、
前記キャリアブロックを実質的に流体密封接続で前記チャネルアダプタに固定するクランプシステムと、
を備えたキャリアガス接続デバイスであって、
前記キャリアガス接続デバイスは、第1のチャネルアダプタ位置及び第2のチャネルアダプタ位置を含み、
(i)前記第1のチャネルアダプタ位置において、前記チャネルアダプタ・キャリアガス通路の入口は、前記第1のキャリアブロック・キャリアガス通路の出口と整列して、第1のキャリアガスが前記キャリアブロックから前記チャネルアダプタへ入る流体密閉流路を形成し、
(ii)前記第2のチャネルアダプタ位置において、前記チャネルアダプタ・キャリアガス通路の入口は、前記第2のキャリアブロック・キャリアガス通路の出口と整列して、第2のキャリアガスが前記キャリアブロックから前記チャネルアダプタへ入る流体密閉流路を形成する、
キャリアガス接続デバイス。
【請求項2】
前記チャネルアダプタは、手動操作により、前記チャネルアダプタ位置が一方から他方へ切り替わるように構成される、請求項1に記載のキャリアガス接続デバイス。
【請求項3】
前記チャネルアダプタは、前記キャリアブロック・キャリアガス通路における1つ又は複数の不使用の出口の流体密封栓を形成するように構成される1つ又は複数の封止面を備え、
(i)前記第1のチャネルアダプタ位置において、前記1つ又は複数の封止面は、前記第2のキャリアブロック・キャリアガス通路の出口を塞ぎ、
(ii)前記第2のチャネルアダプタ位置において、前記1つ又は複数の封止面は、前記第1のキャリアブロック・キャリアガス通路の出口を塞ぐ、
請求項1に記載のキャリアガス接続デバイス。
【請求項4】
前記チャネルアダプタは、
入口と2つ以上の出口とを有するチャネルアダプタ・ベント通路であって、前記キャリアブロックが、入口と出口とを有するキャリアブロック・ベント通路を備える、チャネルアダプタ・ベント通路、あるいは、
入口と出口とを有するチャネルアダプタ・ベント通路であって、前記キャリアブロックが、出口と2つ以上の入口とを有するキャリアブロック・ベント通路を備える、チャネルアダプタ・ベント通路、
をさらに備えた、請求項1に記載のキャリアガス接続デバイス。
【請求項5】
前記第1のキャリアブロック・キャリアガス通路及び第2のキャリアブロック・キャリアガス通路は距離D1で離間し、
前記チャネルアダプタ・ベント通路は少なくとも2つの出口を有し、前記チャネルアダプタ・ベント通路における前記少なくとも2つの出口は距離D2で離間し、D2はD1に実質的に等しい、請求項4に記載のキャリアガス接続デバイス。
【請求項6】
前記チャネルアダプタは、前記チャネルアダプタ・ベント通路における1つの入口と前記チャネルアダプタ・ベント通路における少なくとも2つの出口とを備え、前記キャリアブロックは、前記キャリアブロック・ベント通路における1つの入口と、前記チャネルアダプタ・ベント通路における1つ又は複数の不使用の出口の流体密封栓を形成するように構成される1つ又は複数の封止面と、を備えた、請求項4に記載のキャリアガス接続デバイス。
【請求項7】
前記チャネルアダプタは、前記チャネルアダプタ・ベント通路における1つの出口を備え、前記キャリアブロックは、前記キャリアブロック・ベント通路における少なくとも2つの入口と前記キャリアブロック・ベント通路における1つの出口とを備え、前記チャネルアダプタは、前記キャリアブロック・ベント通路における1つ又は複数の不使用の入口の流体密封栓を形成するように構成される1つ又は複数の封止面をさらに備えた、請求項4に記載のキャリアガス接続デバイス。
【請求項8】
前記クランプシステムは、
少なくとも1つの固定具又は整列機構と、
前記チャネルアダプタ内の少なくとも1つのチャネルアダプタ孔と、
前記キャリアブロック内の少なくとも2つのキャリアブロック孔と、
を備え、
前記チャネルアダプタ孔及び前記キャリアブロック孔は、前記固定具又は前記整列機構を受容するように構成され、
前記チャネルアダプタ孔は、前記第1のチャネルアダプタ位置において第1のキャリアブロック孔と整列され、前記チャネルアダプタ孔は、前記第2のチャネルアダプタ位置において第2のキャリアブロック孔と整列された、
請求項1に記載のキャリアガス接続デバイス。
【請求項9】
前記クランプシステムは、前記キャリアブロック内に少なくとも2つの孔セットを備え、各孔セットが、他のセットから距離D3でオフセットされた、請求項8に記載のキャリアガス接続デバイス。
【請求項10】
前記第1のキャリアブロック・キャリアガス通路の出口及び前記第2のキャリアブロック・キャリアガス通路の出口は、距離D1で離間し、D3はD1に実質的に等しい、請求項9に記載のキャリアガス接続デバイス。
【請求項11】
前記チャネルアダプタ・ベント通路の入口は、GCチャネルに直接的又は間接的に流体接続され、1つ又は複数のポンプは、前記チャネルアダプタ・キャリアガス通路の出口に直接的又は間接的に流体接続された、請求項4に記載のキャリアガス接続デバイス。
【請求項12】
前記キャリアブロックは、前記キャリアブロック・キャリアガス通路の出口の各々の周りに凹部を備え、前記凹部の各々は、流体密封シールの形成を促進するように位置するコンプライアントシール材料を備えた、請求項1に記載のキャリアガス接続デバイス。
【請求項13】
請求項1に記載のキャリアガス接続デバイスを複数備えるキャリアガス分配システムであって、
複数の前記キャリアガス接続デバイスには、第1のキャリアガス接続デバイス及び第2のキャリアガス接続デバイスが含まれ、
前記第1のキャリアガス接続デバイス及び前記第2のキャリアガス接続デバイスの各々の前記第1のキャリアブロック・キャリアガス通路は、単一の第1のキャリアガス源に流体接続された、キャリアガス分配システム。
【請求項14】
前記第1のキャリガス接続デバイス及び前記第2のキャリアガス接続デバイスの各々の前記第2のキャリアブロック・キャリアガス通路は、単一の第2のキャリアガス源に流体接続された、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
ガスクロマトグラフィチャネルを備えるガスクロマトグラフィ機器であって、前記GCチャネルは、請求項1に記載のキャリアガス接続デバイスに直接的又は間接的に流体接続される、ガスクロマトグラフィ機器。
【請求項16】
GCチャネルは、前記キャリアガス接続デバイスのチャネルアダプタに流体接続される、請求項15に記載のガスクロマトグラフィ機器。
【請求項17】
前記GC機器は、少なくとも4つのGCチャネルを備え、前記GCチャネルは互いに異なる前記キャリアガス接続デバイスに流体接続される、請求項15に記載のガスクロマトグラフィ機器。
【請求項18】
前記GC機器はマイクロGCである、請求項15に記載のガスクロマトグラフィ機器。
【請求項19】
GCに供給されるキャリアガスを変える方法であって、
第1のキャリアガスをGCチャネルに供給することによって請求項15に記載のGC機器を動作させて、前記第1のキャリアガスが、前記GCチャネルに直接的又は間接的に流体接続されたチャネルアダプタのキャリアガス通路を通って流れる、ステップと、
前記チャネルアダプタを第1のチャネルアダプタ位置から第2のチャネルアダプタ位置へ移動させるステップと、
第2のキャリアガスを前記GCチャネルに供給して、前記第2のキャリアガスが、前記チャネルアダプタの前記キャリアガス通路を通って直接的又は間接的に前記GCチャネルへ流れる、ステップと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記チャネルアダプタを前記第2のチャネルアダプタ位置にクランプすることは、前記第2のキャリアブロック・キャリアガス通路と前記チャネルアダプタ・キャリアガス通路との間の流体密封接続と、前記チャネルアダプタの封止面による前記第1のキャリアブロック・キャリアガス通路の流体密封栓と、を同時に形成し、前記流体密封栓により、前記第1のキャリアブロック・キャリアガス通路から出る前記第1のキャリアガスの流れを止める、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概略的には、ガスクロマトグラフにキャリアガスを提供するためのデバイス、及び、ガスクロマトグラフィチャネルに提供されるキャリアガスを変える方法に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
なし。
【背景技術】
【0003】
ガスクロマトグラフ(GC)は、試料の構成物質を分離させて試料中の分析対象物の量及び種類を示す信号を生成することで、ガス、液体又は固体試料を分析することができる。試料は、GCの注入口に、手作業により、あるいは、サンプリングデバイスを使用して、注入される。試料は、分析対象物を分離させる固定相を含む加熱されたGCカラムを通って搬送され、試料中の分析対象物の量及び種類を示す信号を生成する検出器を通って出る。試料は、既に気体状態にない場合には、注入口内で気化される。キャリアガスは、GC流路を通じて試料を移動させる。キャリアガスの流れを制御するために、流量制御モジュールが使用され得る。流量制御モジュールは、注入器及び注入口の少なくとも一方に接続され得る。キャリアガスの流れは、例えば、GC流路における流体制限を認識しつつカラムのヘッド又は流路に沿った他の場所における圧力を制御することで、直接的又は間接的に制御され得る。流量制御モジュールを追加することで、検出器又は流路に沿った別の場所にガスを供給し得る。ガスクロマトグラフィにおいて使用される典型的なキャリアガスとしては、ヘリウム、水素、窒素、及び、アルゴンとメタンとの混合物が挙げられる。典型的なカラム流量は、毎分0.5mlから毎分20mlまでの間で変動するが、圧力は、典型的には、真空から150psiまでの範囲内にある。ガスクロマトグラフは、1つ又は複数のカラム、注入口及び検出器の少なくとも1つを含み得る。GCにおいて、チャネルは、試料注入から検出器(複数可)を介した大気への又は廃物としての試料放出まで等、カラムを通る試料の単一の流路を構成する構成要素を指す。GCは、試料を、並行して又は連続的に分析する複数のチャネルを有し得る。
【0004】
ガスクロマトグラフは、限定されるものではないが、実験室GC、モバイルGC及びマイクロGC等、様々な規模及び構成で利用可能である。マイクロガスクロマトグラフは、試料を分析するための場所へ輸送可能な小型かつ低電力のGC機器である。マイクロGCは、典型的には、注入器、カラムアセンブリ、検出器及び他の構成要素を含む交換可能な独立のモジュールとして構成された1つ又は複数の分析チャネルを含む。また、各分析チャネルは、典型的には、チャネルの構成要素を通るキャリアガス及び試料の流れを制御するために流量制御モジュールを含む。
【0005】
ガスクロマトグラフは、典型的には、流量制御モジュールを介してキャリアガス源に接続される。キャリアガス源は、GC機器の外部又は内部にある加圧タンク又はキャニスタ、あるいは、GC機器の外部パネル(典型的には実験室内のガス分配システム)からの加圧ガスの供給であってよい。ガスクロマトグラフが複数のチャネルを有する場合、実施されている分析に応じて、各チャネルに対して異なるキャリアガスの使用が求められることがあり得る。典型的には、キャリアガスを流量制御モジュールに分配する方法は、手作業でチューブを切断して流量制御モジュールの各々へ経路指定し、従来のフェルールとナットとの接続を使用してそれを装着することを伴う。ユーザがGC又はチャネルに対して異なるキャリアガスの供給を望む場合にはは、一般的に、1つのキャリアガス源との流体密封接続(fluid-tight connection)を解除してコネクタ及びチューブを取り除き、チューブの測定、切断、経路指定及び接続により、異なるキャリアガス源との新たな流体密封接続を行うことを伴う。これは、キャリアガス源から正しいチャネルへのチューブの経路指定における誤りや、ナットとフェルールとの接続の形成及び解除に起因する漏出を招きやすい、手作業による手間のかかるプロセスとなり得る。複数のチャネルを含むGCの場合、流体密封接続の形成における難易度及び労力は、チャネルの数によって増大される。加えて、ユーザがGCからチャネルを除去すること、又は、一時的にチャネルを使用不能にすることを望む場合、そのチャネルへと続いていたキャリアガス線からのチューブ及びコネクタ(接続)を取り除かなければならないことがあり得る。
【0006】
マイクロGCにおいて、ポンプは、注入器内への試料の引き込みを促進するために使用され、これにより正確な量の試料をカラムに注入する。チューブは、チャネルをポンプに接続するために使用され、分析が許すのであれば、複数のチャネルが単一のポンプを共有し得る。例えば、同じ試料が複数のチャネルによって分析されており、各チャネルに対して注入されている量が同じであり、同じキャリアガスが使用される場合、それらのチャネルは、ポンプを共有することができる。ポンプが試料ループ内へ試料を引き込んでいるとき、過剰な試料ガスは、このチューブの外へポンプを通って放出される。この廃物(またはベントガス)は、気体状の試料からなる。これらのベントガス導管は、キャリアガス供給とは別個のシステムの一部である。これはまた、チャネルが設置又は除去されるとき、特にチャネルがポンプを共有するときには、各チャネルからポンプ(複数可)までのチューブの経路指定や、チューブの接続及び接続解除を必要とする。一般的に、このチューブは、継手と接続されるプラスチックチューブである。
【発明の概要】
【0007】
本発明の一態様として、キャリアガス接続デバイスが提供される。キャリアガス接続デバイスは、第1及び第2のキャリアブロック・キャリアガス通路等の複数のキャリアブロック・キャリアガス通路を備えたキャリアブロックを備え、キャリアブロック・キャリアガス通路の各々が入口及び出口を有する。これらの入口の各々は、キャリアガス源に直接的又は間接的に流体接続される。これらの出口の各々は、凹部に位置するか、コンプライアントシール材料によって囲まれるか、あるいは、その両方を適用可能である。キャリアガス接続デバイスは、チャネルアダプタも備え、チャネルアダプタは、入口及び出口を有するチャネルアダプタ・キャリアガス通路を備える。このチャネルアダプタ・キャリアガス通路の出口は、GCチャネルの流量制御モジュール等、GCチャネルに直接的又は間接的に流体接続される。キャリアガス接続デバイスは、キャリアガスがキャリアブロック・キャリアガス通路の出口からチャネルアダプタ・キャリアガス通路の入口へ流れることができるように、チャネルアダプタをキャリアブロックに実質的に流体密封接続でクランプするクランプシステムも備える。実施例の中には、キャリアガス接続デバイスが、2つ以上のチャネルアダプタ位置を含み、チャネルアダプタ位置の各々において、チャネルアダプタ・キャリアガス通路の入口が、キャリアブロック・キャリアガス通路の出口のうちの1つと整列して、キャリアブロックを出てチャネルアダプタに入るキャリアガスのための流体密閉流路を形成する一方、他のキャリアブロック・キャリアガス通路の出口が、チャネルアダプタの封止面によって塞がれるものがある。例えば、キャリアガス接続デバイスは、第1及び第2のチャネルアダプタ位置を含むことができ、(i)第1のチャネルアダプタ位置において、チャネルアダプタ・キャリアガス通路の入口は、第1のキャリアブロック・キャリアガス通路の出口と整列して、第1の種類のキャリアガスがキャリアブロックからチャネルアダプタへ入る流体密閉流路を形成し、(ii)第2のチャネルアダプタ位置において、チャネルアダプタ・キャリアガス通路の入口は、第2のチャネルアダプタ位置にある第2のキャリアブロック・キャリアガス通路の出口と整列して、第2の種類のキャリアガスがキャリアブロックからチャネルアダプタへ入る流体密閉流路を形成する。
【0008】
実施例の中には、キャリアガス接続デバイスが、GCチャネルから試料ポンプに流れるベントガスのための構成要素も有する。実施例の中には、キャリアブロックが、少なくとも1つのキャリアブロック・ベント通路を備えることが可能なものがある。キャリアブロック・ベント通路への入口は、凹部に位置するか、コンプライアントシール材料によって囲まれるか、あるいは、その両方を適用可能である。キャリアブロック・ベント通路の入口は、キャリアブロックにおいてキャリアブロック・キャリアガス通路の出口と同じ面(例えば、内面)にあってよい。キャリアブロック・ベント通路は出口も備える。この出口は、ポンプに流体接続可能である。例えば、ポンプは、試料を注入器の試料ループ内に引き込むが、その後、過剰な試料を廃棄する必要があるポンプとしてよい。GCチャネル内の注入器からの過剰な試料は、GCチャネルに流体接続されるチャネルアダプタを通って入り、キャリアブロックを通って出ることで、キャリアガス接続デバイスへ向けられてよい。キャリアブロック・ベント通路の出口は、導管への挿入のために構成されるコネクタを備えることができる。導管は、キャリアブロック・ベント通路と一体的に設けることが可能であるか、あるいは、キャリアブロック・ベント通路に恒久的又は取り外し可能に装着できる。
【0009】
本発明の別の態様として、キャリアガス分配システムが提供される。本システムは、本明細書に説明されるようなキャリアガス接続デバイスを複数(2つ、3つ又はそれ以上等)備える。例えば、キャリアガス分配システムは、第1のキャリアガス接続デバイス及び第2のキャリアガス接続デバイスを備えてよい。キャリアガス接続デバイスの各々の第1のキャリアブロック・キャリアガス通路は、単一の第1のキャリアガス源に流体接続されるか、キャリアガス接続デバイスの各々の第2のキャリアブロック・キャリアガス通路は、単一の第2のキャリアガス源に流体接続されるか、あるいは、その両方が適用可能である。キャリアガス接続デバイスの各々のチャネルアダプタは、GCチャネルに流体接続可能である。
【0010】
本発明のさらに別の態様として、ガスクロマトグラフィ機器が提供される。GC機器は、本明細書に説明されるようなキャリアガス接続デバイスのチャネルアダプタに直接的又は間接的に流体接続されるガスクロマトグラフィチャネルを備える。例えば、GC機器は、少なくとも4つのGCチャネル(又はより大きい数若しくは少ない数)を備えてよく、GCチャネルは、チャネルアダプタを介して互いに異なるキャリアガス接続デバイスに流体接続される。
【0011】
本発明の別の態様として、GCチャネルに供給されるキャリアガスを変える方法が提供される。GC機器は、本明細書に説明されるキャリアガス接続デバイスを1つ又は複数備え、キャリアガス接続デバイスは、キャリアガスをGCチャネルに供給するように構成される。本方法は、第1のキャリアガスをGCチャネルに供給することによって、第1のキャリアガスが、GCチャネルに直接的又は間接的に流体接続されたチャネルアダプタのキャリアガス通路を通って流れる、ステップを含む。また、本方法は、チャネルアダプタを第1のチャネルアダプタ位置から第2のチャネルアダプタ位置へ移動させるステップも含む。また、本方法は、第2のキャリアガスをGCチャネルに供給して、第2のキャリアガスが、チャネルアダプタ・キャリアガス通路を通って直接的又は間接的にGCチャネルへ流れる、ステップも含む。チャネルアダプタを第2のチャネルアダプタ位置でクランプすることにより、第2のキャリアブロック・キャリアガス通路とチャネルアダプタ・キャリアガス通路との間の流体密封接続と、第1のキャリアブロック・キャリアガス通路とチャネルアダプタの封止面との間の流体密封栓と、を同時に形成することができる。
【0012】
本キャリアガス接続デバイスの様々な実施例は、限定されるものではないが、ガスクロマトグラフィチャネルに提供されるキャリアガスをユーザが迅速かつ容易に変えることを可能にする等、1つ又は複数の利点又は特徴を提供する。異なるチャネルアダプタ位置間でチャネルアダプタを移動させることによって、ユーザは、キャリアガス接続デバイスを通じてGCチャネルに提供されるキャリアガスを変えることができる。別の利点は、チャネルアダプタの手動操作によりユーザがキャリアガスを変えることを可能にすることによって提供され、これは、作動バルブを使用するよりも安価であり、したがって望ましい。実施例の中には、チャネルアダプタにおいて、使用対象のキャリアブロック・キャリアガス通路との流体接続がなされるとき、不使用のキャリアブロック・キャリアガス通路が、そのチャネルに使用されていないキャリアガスの大気への漏れ出しを防ぐために自動的に塞がれるものがある。別の特徴又は利点は、容易にキャリアガスの種類を切り替えて、1つのクランプ動作によりチャネルのためのベント路を接続することができ、ガスの漏出及び誤った経路指定を最小限にすることである。
【0013】
これらや他の特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲と併せて、以下の詳細な説明から明らかになるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A】本発明のキャリアガス接続デバイスの実施例を示す図である。
図1B】本発明のキャリアガス接続デバイスの実施例を示す図である。
図1C】本発明のキャリアガス接続デバイスの実施例を示す図である。
図1D】本発明のキャリアガス接続デバイスの実施例を示す図である。
図1E】本発明のキャリアガス接続デバイスの実施例を示す図である。
図1F】本発明のキャリアガス接続デバイスの実施例を示す図である。
図1G】本発明のキャリアガス接続デバイスの実施例を示す図である。
図2】キャリアガス接続デバイスのためのチャネルアダプタの実施例を示す図である。
図3A】キャリアガス接続デバイスのためのキャリアブロックの実施例を示す図である。
図3B】キャリアガス接続デバイスのためのキャリアブロックの実施例を示す図である。
図3C】キャリアガス接続デバイスのためのキャリアブロックの実施例を示す図である。
図4】キャリアガス及びベントガス分配システムの実施例を示す図である。
図5】複数のキャリアガス接続デバイスを用いたGC機器の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本教示は、以下の詳細な説明を添付の図面と共に読むときに最もよく理解される。特徴は、必ずしも縮尺通りに描写されていない。
【0016】
本開示に照らすと、デバイス及び方法は、本教示と一致して実施され得るということに留意されたい。さらに、様々な構成要素、材料、構造体及びパラメータは、図示及び例示としてのみ含まれ、いかなる制限の意味もない。本開示に照らすと、本教示は、他の応用において実施され得、これらの用途を実施するための構成要素、材料、構造体及び設備は、添付の特許請求の範囲を外れずに決定され得る。
【0017】
キャリアガス接続デバイスは、キャリアブロック・キャリアガス通路内にキャリアガスを受容し、チャネルアダプタ・キャリアガス通路を通じてGC機器のGCチャネルへキャリアガスを通過させるように構成される。チャネルアダプタは、クランプシステム(clamping system)の使用によりキャリアブロックに装着され、キャリアガス接続デバイスは、チャネルアダプタ・キャリアガス通路及び封止面の少なくとも一方とキャリアブロック・キャリアガス通路とが一列に整列し、クランプシステムが適所にあるときに、流体密封シール及び栓の少なくとも一方が形成されるように構成される。チャネルアダプタ及びキャリアブロックがベント通路も備える場合、クランプシステムが適所にあるときに、チャネルアダプタ・ベント通路出口とキャリアブロック・ベント通路入口及び封止面の少なくとも一方とを一列に整列させることもでき、流体密封シール及び栓の少なくとも一方が形成され得る。
【0018】
本開示は、キャリアガス源とGCチャネルとの間のインタフェースを提供する新規のキャリアガス接続デバイスを提供する。本明細書で使用される場合、GCチャネルは、ガスクロマトグラフィ・カラムを指し、これには、任意選択的に、試料注入から検出器(複数可)を介した大気への又は廃物としての試料放出まで等、カラムを通る試料の流路を構成する他の構成要素を伴う場合がある。GCは、試料を、並行して又は連続的に分析する複数のチャネルを有し得る。
【0019】
図1Aは、第1のキャリアガスを第2のキャリアガスへ容易かつ迅速に変えてGCチャネルへ進ませることを可能にする第1及び第2のチャネルアダプタ位置を含むキャリアガス接続デバイス100の実施例を示す。図1Aでは、キャリアガス接続デバイス100は、キャリアブロック104にクランプされたチャネルアダプタ102を備える。キャリアガス接続デバイス100は、ユーザが、2つ(又はそれ以上)の異なるキャリアガスのうちのいずれがキャリアガス接続デバイス100によってGCチャネルへ経路指定されることになるかを選択可能にする。キャリアガス接続デバイスは、並進運動若しくは回転運動、又は、これら両方の組み合わせによって、チャネルアダプタ位置を切り替えるように構成され得る。実施例の中には、キャリアガス接続デバイスが、(アクチュエータ又はモータの使用なしに)ユーザによる手動操作のために構成され得るものがある。チャネルアダプタ102を2つのチャネルアダプタ位置のうちの一方でクランプすることによって、ユーザは、GCチャネルに供給されるキャリアガスを選択することができる。不使用のキャリアブロック・キャリアガス通路は、使用されるキャリアブロック・キャリアガス通路がチャネルアダプタ・キャリアガス通路に流体密封接続で接続されると同時に、チャネルアダプタ102の封止面によりふさがれる。図1Aでは、固定具162,164の第1のセットは、チャネルアダプタ102をキャリアブロック104にクランプするために使用され、固定具166,168の第2のセットは、デバイスを支持体に装着するために使用される。クランプシステム、及び、固定具の使用については、以下により詳細に論じられる。
【0020】
図1B及び図1Cは、チャネルアダプタ102が第1のチャネルアダプタ位置にある状態のキャリアガス接続デバイス100を示す。図1Bは、部分切断図であり、図1Cは、図1Bの一部の拡大図である。この第1のチャネルアダプタ位置では、第1のキャリアガスはチャネルアダプタ・キャリアガス通路入口に供給され、同時に、第2のキャリアガスの流れはふさがれる。より具体的には、図1B及び図1Cでは、チャネルアダプタ102は、第1のチャネルアダプタ位置においてキャリアブロック104にクランプされる。図1Bに示されるように、そのチャネルアダプタ位置では、チャネルアダプタ・キャリアガス通路入口106と、キャリアブロック104内の第1のキャリアブロック・キャリアガス通路110の出口108と、が一列に整列する。流体密封接続は、チャネルアダプタ102とキャリアブロック104との間へのクランプ力の印加等によって、入口106と出口108との間に形成される。コンプライアントシール材料112は、出口108及び/又は入口106の周囲に位置させることができ、流体密封接続の形成を促進する。図1B及び図1Cでは、コンプライアントシール材料112は、凹部113に位置する。第1のキャリアブロック・キャリアガス通路110は、第1のキャリアブロック・キャリアガス通路110の入口116に流体接続されるキャリアガス導管114等によって、第1のキャリアガス源に流体接続される。流体密封接続は、キャリアガス導管114と第1のキャリアブロック・キャリアガス通路110との間で行われるが、この接続は、常時接続あるいは解除可能であってよい。第2のキャリアブロック・キャリアガス通路120は、第2のキャリアガス導管115等によって、第2のキャリアガス源に流体接続される。流体密封接続は、キャリアガス導管115と第2のキャリアブロック・キャリアガス通路120の入口117との間で行われるが、この接続もまた、常時接続あるいは解除可能であってよい。
【0021】
図1Bでは、第1のキャリアガスは、流体密封接続を通じてキャリアガス導管114から第1のキャリアブロック・キャリアガス通路110へ流れ、同時に、チャネルアダプタ102内やデバイス100の外への第2のキャリアガスの流れは、チャネルアダプタ102の封止面118によって、阻止されるか、さもなければ閉塞される。すなわち、第2のキャリアブロック・キャリアガス通路120の出口122の流体密封栓は、チャネルアダプタ102の封止面118によって形成される。第2のキャリアガス通路120を閉塞することによって、周囲環境への、又は、少なくとも第2のキャリアガス導管115の外への第2のキャリアガスの漏出は妨げられる。さらには、そのような漏出は、第2のキャリアガス源との接続を解除することなく、又は、第2のキャリアガス源を停止することなく妨げられ、これにより、第2のキャリアガスが他のチャネルに供給されることを可能にする。図1Cは、出口122の周囲に位置し、流体密封栓の形成を促進するコンプライアントシール材料124を示す。コンプライアントシール材料124は、キャリアブロック104内の凹部123によって整列可能である。
【0022】
図1Dは、チャネルアダプタが第2のチャネルアダプタ位置にある状態のキャリアガス接続デバイス100を示し、第2のキャリアガスが、第2のキャリアブロック・キャリアガス通路の出口からチャネルアダプタ・キャリアガス通路の入口に供給される。図1Dは、部分切断図である。図1Dでは、第2のキャリアガスは、流体密封接続を通じて第2のキャリアガス導管115から第2のキャリアブロック・キャリアガス通路122へ流れる。コンプライアントシール材料124は、流体密封接続の形成を促進するために第2のキャリアブロック・キャリアガス通路122の出口(凹部123内等)に位置し得る。また、チャネルアダプタ102内やキャリアガス接続デバイス100の外への第1のキャリアガスの流れは、第1のキャリアブロック・キャリアガス通路110の出口108の流体密封栓がチャネルアダプタ102の封止面119によって形成されると、チャネルアダプタ102上の封止面119によって妨げられる。この実施例では、封止面118(図1C)及び封止面119は、互いに空間的に分離されているだけのチャネルアダプタの前面の領域であるが、それらは、他の方法で、互いに分離され得る、又は、互いに異なり得ることが意図される。コンプライアントシール材料112は、例えば凹部113に位置すること等によって、出口108の周囲に位置させることができ、これにより、流体密封栓の形成を促進する。チャネルアダプタ102は、チャネルアダプタ・キャリアガス通路140を備え、これを通ってキャリアガスが入口106から出口142まで流れることができる。
【0023】
ユーザが、異なるチャネルアダプタ位置間の切り替えをできるようにすることで(図1B及び図1Dにより図示されるように)、本キャリアガス接続デバイス100は、GCチャネルに供給されるキャリアガスの種類の容易な切り替えを可能にする。本キャリアガス接続デバイス100の利点は、流体密封接続及び流体密封栓のうち少なくとも一方からなる複数(1つの接続及び1つの栓等)が、キャリアブロック104へのチャネルアダプタ102の容易かつ効率的なクランプ(締め付け)によってなされることである。チャネルアダプタ・キャリアガス通路140は、キャリアブロックへのキャリアガス導管114又は115のうちの一方からキャリアガスを受容し、同時に、他方の不使用のキャリアガス導管をふさぎ、GCチャネルに(直接的又は間接的に)流体接続されるキャリアガス導管144にキャリアガスを供給する。
【0024】
図1B及び図1Dに示される実施例は、接続デバイスが同時に2つのキャリアガス源と流体接続されるように、2つのキャリアブロック・キャリアガス通路を備えるキャリアブロックを備える。このことが、その接続デバイスによりGCチャネルに供給されるキャリアガスの高速かつ容易な切り替えを可能にする。しかしながら、接続デバイスが同時に3つ以上のキャリアガス源と同時に流体接続され得るように、接続デバイスは、3つ以上のキャリアブロック・キャリアガス通路を有し得ることが意図される。実施例の中には、キャリアブロックが、「N」個のキャリアブロック・キャリアガス通路を備えるものがある。ここで、Nはキャリアガス源の任意の所望の数である。例えば、Nは、2~12、あるいは、2~8、あるいは、2、3、4、5又は6であり得る。キャリアブロック・キャリアガス通路は複雑なチャネル又は単純な孔であり得ることにも留意されたい。キャリアブロックのための好適な材料としては、金属(例えば、ステンレス鋼、銅、アルミニウム等)が挙げられる。実施例の中には、金属キャリアブロックが、機械加工、溶接、鋳造又は接着で形成可能なものがある。実施例の中には、例えば漏出又はガス放出に対する感受性が低い用途等の場合、キャリアブロックがプラスチックを機械加工又は鋳造して形成可能なものがある。
【0025】
図1B及び図1Dでは、キャリアブロックへのキャリアガス導管114又は115は、キャリアブロック・キャリアガス通路の各々への入口をキャリアガス源に接続する。実施例の中には、各キャリアブロック・キャリアガス通路が、異なるキャリアガス源に接続されるものがある。キャリアガス源は、キャリアガスを充填されたキャニスタ若しくはタンク、又は、実験室において典型的に見られるもの等のガス分配システムに接続されるパネル若しくはポートの形態をとり得る。キャニスタは、GCに搭載されて、、あるいは、GCの外部に、含まれ得る。キャリアガス導管は、キャリアガス源をキャリアブロックに接続するために、及び、チャネルアダプタをGCチャネル又は他の構成要素に接続するために、使用される。キャリアガス導管は、金属チューブ等の任意の好適な材料で形成され得る。チューブ又は他のキャリアガス導管は、汚染物質(プラスチックの揮発等)を試料流路内にもたらさないように、また、キャリアガス内への空気拡散を回避するように、ガス放出しない材料(ステンレス鋼等)で構成されるべきである。キャリアガス導管は、フェルール等のコネクタ若しくは他の圧縮継手を使用して、又は、ろう付け若しくは溶接等の恒久的な方法を使用して、キャリアブロック・キャリアガス通路入口に接続され得る。キャリアガス導管の場合、流体密封シールを有すること、及び、キャリアガス内への空気の拡散を回避すること、が重要であるため、好適な接続技術としては、漏出の可能性を最小限にするろう付けや、チューブの取り外しが可能という利点を有するナット及びフェルールが挙げられる。また、キャリアガス導管は、真空ろう付けによってキャリアブロック・キャリアガス通路入口に接続され得る。この真空ろう付けは、より良好な外観をもたらし、空間を節約するが、ほとんどの場合、キャリアガス導管の取り外しができなくなる。また、キャリアガス導管は、溶接によってキャリアブロック・キャリアガス通路入口に接続され得るが、外観は真空ろう付けより劣る。キャリアガス導管は、ガス源に直接的又は間接的に流体接続され得る。複数のキャリアガス接続デバイスが存在する実施例には、キャリアガス導管が、各キャリアガス接続デバイスのキャリアブロック間に接続可能となるものがある。例えば、キャリアガス導管を第1のキャリアブロックのキャリアガス通路の出口に装着し、キャリアガス導管の他端は、第2のキャリアブロック上のキャリアガス通路の入口に装着することができる。あるいは、キャリアブロックへのキャリアガス導管は、別のキャリアブロックのキャリアガス導管及びキャリアガス源の少なくとも一方に一体として(with a union)装着可能である。
【0026】
また、本キャリアガス接続デバイスは、ベントガス(試料廃物)のための通路を備えることができる。この通路は、キャリアガス接続デバイスが、GCチャネルと試料ポンプとの接続を可能にするとともに、GC機器から過剰な試料ガス(ベントガス)の放出を可能にする。図1E図1F及び図1Gに示されるように、チャネルアダプタ102は、チャネルアダプタ・ベント通路入口146及びチャネルアダプタ・ベント通路出口148、150を有するチャネルアダプタ・ベント通路145も備える。図1E及び図1Gは、部分切断図であり、図1Fは、図1Eの拡大である。チャネルアダプタ・ベント通路は図2にも示され、その入口及び出口の配置は、その図内においてより明白に見ることができる。図1Eでは、チャネルアダプタ・ベント通路145は、キャリアブロック104のキャリアブロック・ベント通路152と流体接続される1つの出口150を有し、チャネルアダプタ・ベント通路145の他方の出口148は、キャリアブロック104上の第1のキャリアブロック封止面154によって遮られる。図1Eは、第1のチャネルアダプタ位置におけるキャリアガス接続デバイスを示す一方、図1Gは、第2のチャネルアダプタ位置におけるデバイスを示す。これらは、図1B及び図1Dに関して前述した同じチャネルアダプタ位置である。結果として、チャネルアダプタ位置の各々において、キャリアブロックからチャネルアダプタ内へのキャリアガスの流れのための流体密封接続は、チャネルアダプタからキャリアブロック内へのベントガスの流れのための流体密封接続と同時に行われる。ここに示される実施例では、チャネルアダプタ・ベント通路出口は、キャリアガス種類を切り替えるために異なる位置間でチャネルアダプタを移動させたときに場所を変える。キャリアブロック・ベント通路入口は1つしか存在しないため、チャネルアダプタを第1の位置から第2の位置へ移動させて、キャリアブロック上の封止面が不使用のチャネルアダプタ・ベント通路出口を塞いだときに、第2のチャネルアダプタ・ベント出口及びキャリアブロック上の封止面により、チャネルアダプタ・ベント通路出口と、キャリアブロック・ベント通路入口と、が一列に整列することを可能にする。
【0027】
前述のように、チャネルアダプタ及びキャリアブロックは、使用されていない通路出口を塞ぐように構成される1つ又は複数の封止面を備え得る。封止面は、実質的に平坦な表面、又は、通路出口に係合するように構成される表面を含むか、あるいは、これらの表面で構成可能である。例えば、封止面は、コンプライアントシール材料を受容するように構成される凹部、又は、キャリアブロック・キャリアガス通路出口若しくはチャネルアダプタ・ベント通路出口に挿入するように構成されるストッパ等の突起を含んでよい。ある表面上の封止面は、その表面に位置する通路入口や出口の一側に位置し得るか、あるいは、その表面に位置する通路入口や出口の両側に、例えば0°及び180°(又は90°及び270°、又は、他の度数の組み合わせ)等で位置し得る。例えば、チャネルアダプタは、チャネルアダプタ・キャリアガス通路入口の周囲ないし両側に位置する複数の封止面を有し得る。同様に、キャリアブロックは、キャリアブロック・ベント通路入口の周囲ないし両側に位置する複数の封止面を有し得る。実施例の中には、ベント通路出口のための栓として作用する2*(N-1)個の封止面及びキャリアガス通路出口のための2*(N-1)個の封止面のうち少なくとも一方が存在するものがある。ここで、Nはチャネルアダプタ位置の数である。
【0028】
図1Gでは、チャネルアダプタ・ベント通路出口148は、キャリアブロック・ベント通路152と流体接続され、チャネルアダプタ・ベント通路出口150は、第2のキャリアブロック封止面156によって遮られる。キャリアブロック封止面154,156の各々及びキャリアブロック・ベント通路152は、それぞれ流体密封栓又は流体密封接続の形成を促進するために位置するコンプライアントシール材料を有し得る。また、キャリアブロック・ベント通路152は、その入口にコンプライアントシール材料を有し得る。ベントガスは、ベント導管158によってチャネルアダプタに供給され、ベントガス導管160へ輸送される。ベント導管158の他端は、GCチャネルに流体接続することができる。
【0029】
実施例の中には、チャネルアダプタが、1つの入口及びN個の出口を有するベント通路を備えるものがある。ここで、Nは(前述のように)キャリアガス・チャネルアダプタ位置の数である。出口は、同じベント通路の一部であり(すなわち、接続され)、複数の出口が設けられる。さもなければ、チャネルアダプタ位置が、並進若しくは回転運動、又は、両方の組み合わせ(後述するようにキャリアブロック・ベント通路入口の周りでの回転運動とは別に)により変わったとき、チャネルアダプタ・ベント通路出口は、位置を変えて、もはやキャリアブロック・ベント通路入口と一列に整列しなくなる。これに対応するため、複数の出口が、キャリアガス接続デバイスの複数のチャネルアダプタ位置に応じたチャネルブロックベント通路のために設けられる。キャリアブロック上の封止面は、特定のチャネルアダプタ位置でキャリアブロック・ベント通路入口と一列に整列しない余分なチャネルアダプタ・ベント通路出口を塞ぐことができる。実施例の中には、キャリアガス接続デバイスがキャリアブロック・ベント通路入口の周りでの回転運動によってチャネルアダプタ位置を切り替えるように構成されて、チャネルアダプタ位置が切り替えられたときに、チャネルアダプタ・ベント通路出口が動かなくてもよいものがある。そのような実施例においては、チャネルアダプタ・ベント通路は複数ではなく1つの出口を有するので十分であり得る。実施例の中には、キャリアブロックのキャリアガス通路出口は、キャリアブロックのベント通路入口の周りの一定半径の弧に位置するものがある。加えて、キャリアガス通路入口及び封止面が、チャネルアダプタ上のベント通路出口の周りの同じ一定半径の弧に位置するものがある。キャリアガスを切り替えるための線形並進ではなく、キャリアブロック上のベント通路入口の周りでチャネルアダプタを回転させれば、チャネルアダプタ上のベント通路出口は、キャリアブロックの合わせベント通路入口と一列に整列したままであり、チャネルアダプタのキャリアガス通路入口が1つのチャネルアダプタ位置から別のチャネルアダプタ位置へ移動する。そのような実施例では、キャリアブロックは、チャネルアダプタのベント通路を塞ぐように構成される封止面を有することが必要とされず、チャネルアダプタは、1つのみのベント通路出口を必要とすることになる。
【0030】
ベントガス導管は、任意の好適な方法でキャリアガス接続デバイスに接続され得る。注入して分析される試料の量ではなく、廃物として放出される試料の部分だけに着目するベントガス導管の場合、流体密封シール及びガス放出はあまり重要ではない。ベントガス導管をチャネルアダプタ・ベント通路の入口に接続するための好適な接続技術としては、タケノコ継手、ルアーロック式コネクタ、押し込み式継手又はグルー接着が挙げられる。ベント導管は、金属又はプラスチックであってよく、圧縮継手、フェルール若しくは他の知られているコネクタを使用して、又は、導管及びキャリアブロックの材料が許す場合には、接着剤、溶接若しくはろう付け等の恒久的な方法によって、キャリアブロックに装着され得る。同じ種類のキャリアガスを使用しつつ同じ体積の同じ試料を複数のチャネルに同時に注入する等、GCチャネルが試料ポンプの共有を可能にする分析を実施している場合、ベント導管は、例えば、第1のキャリアブロックのキャリアブロック・ベント通路の出口にベント導管を装着させ、ベント導管の他端を、第2のキャリアブロック上のキャリアブロック・ベント通路の入口に装着させることで、各キャリアガス接続デバイスのキャリアブロック間で接続可能であり、あるいは、あるキャリアブロックへのベント導管は、別のキャリアブロックのベント導管に一体として装着可能である。別個のポンプが各チャネルに必要とされる場合、ベント導管は、他のチャネルのベント導管とは独立してポンプに装着され得る。実施例の中には、チャネルアダプタにおいて、キャリアブロック・ベント通路の1つ又は複数の入口と一列に整列して、それと流体密封接続を形成するように構成される1つ又は複数の出口を有するチャネルアダプタ・ベント通路をさらに備えたものがある。実施例の中には、キャリアブロックにおいて、キャリアブロック・ベント通路への複数の入口を備えることが可能なものがあり(例えば、2つの入口が1つの出口を有する通路へ収束する)、チャネルアダプタにおいて、1つのチャネルアダプタ位置にあるときはキャリアブロック・ベント通路の第1の入口と一列に整列し、別のチャネルアダプタ位置にあるときはキャリアブロック・ベント通路の第2の入口と一列に整列して、これら入口と流体密封接続を形成するチャネルアダプタ・ベント通路の1つの出口を備えることが可能なものがある。これらの実施例では、チャネルアダプタが、チャネルアダプタ位置を変えるときに不使用のキャリアブロック・ベント通路入口を塞ぐための封止面を備えてもよい。
【0031】
前述のように、キャリアガス接続デバイスは、複数のチャネルアダプタ位置を含むように構成できる。チャネルアダプタは、線形若しくは並進運動、回転運動又はそれらの組み合わせ等の手動操作によって、1つのチャネルアダプタ位置を別のチャネルアダプタ位置へ変化させ、あるいは、切り替えることができる。実施例の中には、チャネルアダプタがチャネルアダプタ位置にクランプされたときに、チャネルアダプタ・ベント通路出口、キャリアブロック・ベント通路入口及び封止面は、それらが流体密封シール及び流体密封栓のうち少なくとも一方を形成するように位置する。例えば、チャネルアダプタの並進運動は、単一のキャリアブロック・ベント通路入口が複数のチャネルアダプタ・ベント通路出口のうちの1つと一列に整列するという結果をもたらし得る(実施例によっては、前述のように、複数のキャリアブロック・ベント通路入口のうちの1つが、単一のチャネルアダプタ・ベント通路出口と一列に整列するものもある)。
【0032】
図2は、内部特徴を見ることができるように部分的に透過したチャネルアダプタ202を示す。チャネルアダプタ202は、入口206及び出口208を有するチャネルアダプタ・キャリアガス通路204を規定する。入口206は、キャリアブロックからキャリアガスを受容し、出口208は、GCチャネルに(直接的又は間接的に)流体接続される。図2において、キャリアガス導管210又はキャリアガスをGCチャネルへ流すための他の導管は、キャリアガス導管210の一部をチャネルアダプタ・キャリアガス通路204内へ挿入すること等によって、出口208に流体接続される。キャリアガス導管をチャネルアダプタに接続する代替の方法は前述の通りである。チャネルアダプタ202は、チャネルアダプタ202の孔212,214に挿通される2つの固定具(図示省略)を備える。以下に説明されるような代替のクランプシステムは、固定具及び孔の代わりに使用され得る。
【0033】
実施例の中には、チャネルアダプタ・キャリアガス通路入口206が、第1のアダプタ面ないし他の表面に位置し、チャネルアダプタ・キャリアガス通路出口208が、同じチャネルアダプタ面ないし表面、又は、第2のアダプタ面ないし表面に位置するものがある。チャネルアダプタ・キャリアガス通路204の長さ、断面又は形状は、任意の所望値とすることができる。例えば、実施例の中には、より容易な機械加工のために、より大きい断面が望まれる場合がある一方、フィルタがキャリアガス流路に含まれるとき等に、より小さい断面が望まれる場合がある。実施例の中には、キャリアガス流路が、0.5mm~2mmの範囲、あるいは1mm~1.5mm、あるいは0.7mm又は0.8mmの直径を有するものがある。実施例の中には、第1及び第2のアダプタ面が、実質的に平行であるか、実質的に垂直であるか、あるいは、同一面上若しくは同一表面上で、又は、相違する面若しくは相違する表面上で、相互に所望角度をなすことが可能なものがある。実施例の中には、第1の面が、第2の面に実質的に垂直であるか、又は、第2の面に対して別の角度をなすものがある。
【0034】
チャネルアダプタ202は、注入中に試料ポンプを通じて引き込まれる過剰な試料ガス等、GCチャネルから排気されるガスを受容するチャネルアダプタ・ベント通路216も備える。チャネルアダプタ・ベント通路216は、チャネルアダプタ・ベント通路入口218及び2つのチャネルアダプタ・ベント通路出口220,221(又は、チャネルアダプタ位置の数に応じて異なる数の出口)を備える。GCから(例えばGCチャネルから)のベントガスは、ベントチューブ222に挿入されるコネクタ224を有すること等によって、チャネルアダプタ・ベント通路入口218に流体接続されるベントチューブ222を通って進む。ベントチューブ222(これはガスが排気されるのに適した任意の導管に相当する)及びチャネルアダプタ・ベント通路入口218は、真空ろう付け、フェルールとナット若しくはネジとの接続、タケノコ継手、糊付け、押し込み式継手、又は、それらの組み合わせによって接続可能である。好適なベントチューブとしては、可撓性であり、タケノコ継手の全長にわたって挿入するのが容易であるポリウレタンチューブが挙げられる。ガスは、チャネルアダプタがその第1のチャネルアダプタ位置にあるとき、チャネルアダプタ・ベント通路216を通って出口220へ進む。図2に示されるように、チャネルアダプタ・ベント通路216は、複数のチャネルアダプタ・ベント通路出口220,221を有するように分裂又は分岐可能である。チャネルアダプタ・ベント通路出口220,221は、(図2に示されるとともに、以下で詳細に後述されるように)距離D2で直線的に離間し得る。
【0035】
チャネルアダプタは、キャリアブロックに関して前述したものと同じ材料から形成され得る。本キャリアガス接続デバイスにおいて、チャネルアダプタは、キャリアブロックと同じ材料又は異なる材料から形成され得る。本デバイスの実施例の中には、チャネルアダプタが、キャリアブロックの内面と対になる(一致する)ように構成される内面を有し(その逆も然り)、チャネルアダプタ及びキャリアブロックが、それらの内面の反対側に外面を有するものがある。外面は、内面と実質的に平行であり得るか、又は、斜めに配設され得る。
【0036】
前述のように、キャリアガス接続デバイスはキャリアブロックも備える。図3Aは、キャリアブロック302をより詳細に示す。キャリアブロックは、キャリアガスを受容するための少なくとも2つのキャリアブロック・キャリアガス通路304,306を備える。第1のキャリアブロック・キャリアガス通路304は、第1のキャリアガス源導管308への接続等によって、第1のキャリアガス源に流体接続されるように構成される。第2のキャリアブロック・キャリアガス通路306は、第2のキャリアガス源導管309に流体接続されるように構成される。キャリアブロック・キャリアガス通路304,306は、概略的には、入口から出口まで(通路は複数の入口及び複数の出口のうち少なくとも一方を有し得るが)、キャリアブロック302を通る流路を規定する。複数のキャリアブロック・キャリアガス通路は、入口、出口、及び流路のうち少なくとも1つを共有するように合流又は分裂可能である。キャリアブロック・キャリアガス通路入口は、導管を受容するように構成される開口部とすることができ、あるいは、導管若しくは別の構造体に挿入され得るコネクタを備えることができる。例えば、キャリアガスを供給する導管は、キャリアブロック・キャリアガス通路内へ延び得る。実施例の中には、第1のキャリアブロック・キャリアガス通路304又はその出口が、(図3Cに示されるように)距離D1で第2のキャリアブロック・キャリアガス通路306(又はその出口)から離間するものがある。D1は、キャリアブロックと一緒に使用することが企図される導管(チューブ)及びコンプライアントシール材料のサイズを考慮して選択され得る。例として、企図されるチューブサイズが16分の1インチである場合、D1は約4.4mmであり得る。別の例として、企図されるチューブサイズが32分の1インチである場合、D1は、約2.0mmであり得る。実施例の中には、D1を、1mm~9mm、あるいは2mm~6mmの範囲とするものがある。実施例の中には、3つ以上のキャリアガス通路出口を有するキャリアブロックの場合、各キャリアガス通路出口は、その隣接するキャリアガス通路出口から距離D1にあり得る。加えて、不使用のキャリアガス通路出口をふさぐように適合されるチャネルアダプタ上の各封止面は、その隣接する封止面及びキャリアガス通路入口の少なくとも一方のいずれかから距離D1で離間し得る。
【0037】
キャリアブロック・キャリアガス通路入口は、導管を受容する開口部、又は、導管に挿入可能なコネクタとすることができる。キャリアガス導管は、キャリアガス通路内へ延びてもよく、それらは、恒久的又は取り外し可能に装着できる。キャリアブロックの実施例の中には、キャリアブロック・キャリアガス通路への入口がキャリアブロックの第1の面に配設可能であり、出口が第2の面に配設可能なものがある。実施例の中には、第2の面は、第1の面と実質的に平行である。実施例の中には、キャリアブロック・キャリアガス通路の入口及び出口がキャリアブロックの単一面に配設されたものがある。図3Aに示されるように、キャリアガス通路は、入口から出口まで、キャリアブロックを通る流路を備え、出口が第2の面310にあるものとすることができる。実施例の中には、第2の面310が第1の面と実質的に平行であるものがあり、他の実施例の中には、通路の入口及び出口が単一面に位置するものがある。キャリアブロック・キャリアガス通路出口312,314は、凹部316,318に位置するか、あるいは、Oリング等のコンプライアントシール材料によって囲まれるか、あるいは、これらの両方であってよい。凹部316,318は、コンプライアントシール材料を整列させることができ、コンプライアントシール材料の厚さに対する凹部の深さが、コンプライアントシール材料の圧縮の量を決定づけることになる。例えば、Oリング340,342(図3Bに示される)は、キャリアブロック・キャリアガス通路のキャリアブロック・キャリアガス通路出口312,314の周囲で凹部316,318内に配置可能である。
【0038】
本キャリアガス接続デバイスはクランプシステムも備え、クランプシステムは、チャネルアダプタ及びキャリアブロックから独立可能であるか、又は、チャネルアダプタ及びキャリアブロックの少なくとも一方によって全体的若しくは部分的に構成可能である。クランプシステムは、キャリアブロック上の通路入口及び出口や栓とこれらに対応するチャネルアダプタ上の通路入口及び出口や栓とのシール及び整列の少なくとも一方を行う力を提供する。クランプシステムは、1つ又は複数の固定具と、チャネルアダプタ及びキャリアブロック内で固定具を受容するように構成された1つ又は複数の孔と、とすることができる。固定具が、ボルト、スクリュー又はピン等であるときは、孔は、クリアランス孔又はねじ孔であり得る。実施例の中には、キャリアブロックが複数セットの孔を規定し、第1のセットが第1のチャネルアダプタ位置に対応し、第2のセットが第2のチャネルアダプタ位置に対応するものがある。固定具がボルトであるとき、クランプシステムは、ボルトに対応するねじ山を有するナットを備えることができる。キャリアブロック及びチャネルアダプタをクランプする代替の方法が企図される。例えば、チャネルアダプタ及びキャリアブロックに挿入されるスクリュー又は他の固定具の代わりに、クランプ又はホルダがそれらを一緒にクランプし、キャリアブロックの通路とチャネルアダプタとの間に流体密封接続を形成するのに十分なクランプ力を提供することができる。クランプは、キャリアブロック又はチャネルアダプタを貫通しない外部クランプとすることができる。実施例の中には、チャネルアダプタ及びキャリアブロックが、それらを一緒にクランプするように構成される連結機構を有し、そのような機構を全体的又は部分的にクランプシステムとすることが可能なものがある。例えば、キャリアブロックは、スナップフィット、摩擦フィット、又は、他の任意の好適な方法で、チャネルアダプタに固定され得る。クランプシステムは、2つ、3つ、4つ若しくはそれより多い整列孔と、対応する数の固定具と、を備えるか、又は、クランプするための1つの固定具と、回転を妨げるとともに残りの整列機能を提供するためのピン若しくは他の機構と、を備えることができる。実施例の中には、クランプシステムが、クランプするための1つの固定具と、チャネルアダプタの回転を妨げて入口と出口との整列を提供するためのピン若しくは他の機構と、を備えるものがある。実施例の中には、クランプシステムが、キャリアブロック及びチャネルアダプタ内の整列孔を貫通する2つの固定具を備えるものがある。
【0039】
例えば、クランプシステムの実施例には、チャネルアダプタ102内のクリアランス孔及びキャリアブロック104内のねじ孔に挿入される、図1A内の固定具162,164が含まれる。クリアランス孔及びねじ孔は、図1Aでは見えないため、固定具を受容するためのキャリアブロック内の孔を示す図3A及び図3Bを参照する。図3Aでは、キャリアブロック302は、複数セットの孔を備え、異なる孔セットは異なるチャネルアダプタ位置に対応する。例えば、孔320及び322はキャリアブロック302内の第1孔セットであり、孔321及び323は第2孔セットである。第1孔セットの孔320,322が、チャネルアダプタをキャリアブロックにクランプするために使用されるとき、チャネルアダプタは第1の位置にある。第2孔セットの孔321,323が使用されるとき、チャネルアダプタは第2の位置にある。チャネルアダプタ(図3Aにおいて図示省略)は、キャリアブロック上の孔セットに対応する孔を、例えば場所及びサイズの少なくとも一方を対応させる等して、有する。実施例の中には、チャネルアダプタが純粋な並進により1つのチャネルアダプタ位置から別の位置へ動くように構成される場合等、キャリアブロックが2つの孔セットを備え、これらの孔セットが距離D3で離間又はオフセットしたものがある(図3Cに示される)。実施例の中には、孔セットが、第1及び第2のキャリアブロック・キャリアガス通路304,306間の距離D1と実質的に同じ方向に、かつ、実質的に同じ距離でオフセットするように、D3とD1とが実質的に等しいものがある。キャリアブロックにおけるクランプシステムの孔セットは、キャリアブロック・キャリアガス通路304,306と実質的に同じ距離でオフセットするため、各孔セットは、第1及び第2のチャネルアダプタ位置に対応する。
【0040】
チャネルアダプタ内の単一の孔セットは、チャネルアダプタがチャネルアダプタ位置間を移動した場合に、異なる時刻にキャリアブロック内の異なる孔セットと一列に整列可能である。図3A図3Cのキャリアブロックにおける孔セットは2つの孔を備えるが、これは例示であり、孔セットは、1つ、3つ、4つ、又は任意の所望の数の孔を有することができる。キャリアブロック302は、ボルト、スクリュー又は他の固定具を、チャネルアダプタのクリアランス孔と、(i)ねじ孔320,322又は(ii)ねじ孔321,323と、に挿入することによって、チャネルアダプタに取り外し可能に固定され得る。実施例の中には、両方の孔セットのすべての孔が、直線的ないし線状に配置されるものがある。キャリアブロックにおける所与の孔セットの孔は、互いに任意の所望の距離で離間可能だが、1つの孔セットの孔(320,322)間の距離は、この実施例における別のセットの穴(321,323)間の距離と実質的に同じである。キャリアブロック及びチャネルアダプタをクランプする代替の方法には、例えば流体密封接続を形成するクランプ力を提供するクランプ又はホルダ等が考えられる。実施例の中には、固定具がチャネルアダプタとキャリアブロックとを整列させる役割も果たすものがあるが、チャネルアダプタ及びキャリアブロックを整列させるための代替の整列機構及びデバイスの少なくとも一方も考えられる。
【0041】
実施例の中には、例えば、チャネルアダプタが、回転により、又は、回転と並進との組み合わせにより、1つのチャネルアダプタ位置から別のチャネルアダプタ位置へ移動するように構成される場合等で、キャリアブロック上において固定具のための孔やキャリアガス出口が回転軸から等距離のところになくてもよいものがあり、固定具のための孔セットは、キャリアガス出口間の距離と同じ距離でオフセットする必要がない。そのような実施例においては、第1のチャネルアダプタ位置と第2のチャネルアダプタ位置との間の相対変換(回転及び並進の少なくとも一方)が、封止面及びベント通路出口(適用可能な場合には)の数を最小限にするために、第2のチャネルアダプタ位置と第3のチャネルアダプタ位置との間の相対変換(回転及び並進の少なくとも一方)に等しくなければならないと規定することで、入口、出口及び封止面の数を低減することができる(以てデバイスを簡略化する)。使用されているキャリアガス通路出口、使用されている固定具のための孔(クランプシステム又は整列機構において孔が用いられる場合)、及び、チャネルアダプタ上のベント通路出口(チャネルアダプタがその特定のチャネルアダプタ位置に位置するとき)の間のパターン又は間隔は、1つのチャネルアダプタ位置から第2の(又は第Nの)チャネルアダプタ位置までで同じである。例えば、図3Aを参照すると、チャネルアダプタが第1のチャネルアダプタ位置にあるときの、孔320、孔322、及びキャリアブロック・キャリアガス通路出口312(及びチャネルアダプタに存在するときにはチャネルアダプタ・ベント通路出口220)の間のパターン又は間隔は、孔321、孔323、及びキャリアブロック・キャリアガス通路出口314(及びチャネルアダプタに存在するときはチャネルアダプタ・ベント通路出口221)の間のパターン又は間隔と実質的に同じである。この方法では、キャリアガス接続デバイスは、入口及び出口がチャネルアダプタ位置のすべてにおいて一列に整列するように構成可能である。さらなる例として、キャリアブロック上のベント入口がチャネルアダプタ位置を切り替えるための回転の中心である場合の実施例の中には、キャリアガス出口がベント通路の周りの一定半径の弧上に位置可能なものがあり、固定具のための孔セットは、同じ一定半径の弧又は異なる一定半径の弧のいずれかになければならない。これが異なる一定半径の弧であった場合、固定具の孔セット間の距離D3とキャリアガス出口間の距離D1とを実質的に同じ距離とするのではなく、固定具の孔セット間の角度及びキャリアガス出口間の角度を実質的に同じとすることができる。
【0042】
図3Aに示される実施例では、キャリアブロックは、入口332を有する少なくとも1つのキャリアブロック・ベント通路330も備える。入口332は、凹部334に配設されるか、あるいは、コンプライアントシール材料によって囲まれるか、あるいは、その両方に該当する。ベント通路入口332は、キャリアブロック・キャリアガス通路出口304,306とキャリアブロック302の同じ面に示される。ベント通路330は出口も備える(見えてない)。キャリアブロック・キャリアガス通路への入口のように、ベント通路の出口は、実質的に流体密封接続で挿入又は接合されるベント導管を有するように構成可能である。ベント通路330は、ベントガス導管336への挿入のために構成されたコネクタ337(図3B)を備えることができる。ベントガス導管は、通路と一体であり得るか、恒久的な又は取り外し可能な装着が可能である。
【0043】
キャリアブロック・ベント通路330は、ベントガス導管336と流体連通可能である。キャリアブロック302は、チャネルアダプタ・ベント通路出口の不使用の出口を塞ぐための第1の封止面350も備える。キャリアブロックは、チャネルアダプタが異なるチャネルアダプタ位置に動かされたときに、チャネルアダプタ・ベント通路出口のうち異なる不使用の出口を塞ぐための第2の封止面352も備える。封止面350,352は、単に、キャリアブロック302の面上の平坦な表面とすることができる。実施例の中には、封止面350,352が凹部351,353を備え、この凹部351,353に、図3Bに示されるようにコンプライアントシール材料354,358が位置するものがある。また、コンプライアントシール材料356は、凹部334内のベント通路330に位置可能である。図3A及び図3Bは、キャリアブロック上のコンプライアントシール材料及び凹部の少なくとも一方を示すが、コンプライアントシール材料及び凹部の少なくとも一方がチャネルアダプタに位置し得ることも考えられる。実施例の中には、キャリアブロックがGC機器内で静止したままである場合等、コンプライアントシール材料及び凹部をキャリアブロックに位置させることが好ましいというものがある。そのような実施例においては、チャネルアダプタが1つのチャネルアダプタ位置から異なるチャネルアダプタ位置へ移動したときに、コンプライアントシール材料は適所に留まる可能性が高い。そのような実施例における別の利点は、キャリアブロックの出口及び入口のすべてを開放した使用から(from use by capping off)チャネルを外すようにチャネルアダプタをチャネルキャップ・プレート(以下において詳細に説明される)に交換しても、コンプライアントシール材料が存在する、ということである。
【0044】
前述の実施例の中には、キャリアブロック及びチャネルアダプタの少なくとも一方において、通路の入口や出口、又は、流路や導管は、例えば弾性かつ本質的に流体不浸透性の材料等、コンプライアントシール材料によって囲まれるものがある。実施例の中には、コンプライアントシール材料がOリングの形態になるものがある。コンプライアントシール材料は、本デバイス内の入口又は出口に好適な任意の形状とすることができる。例えば、コンプライアントシール材料は、トロイダル形状のOリング、矩形断面を有するガスケット、金属ガスケット、又は、別の形状のコンプライアントシール材料としてよい。複数のシールが同じ表面上に形成される必要がある状況では、コンプライアントシール材料は、複数のOリング及びガスケットの少なくとも一方の機能を統合することができ、また、複数の孔を有することができる。実施例の中には、コンプライアントシール材料をフッ素エラストマ材料にできるものがある。コンプライアントシール材料は、キャリアガスに応じて、ベント通路が存在する場合には、注入される試料又は溶媒の種類(フッ素ポリマ、ブナN、EPDM、又は、極端な場合にはコンプライアント・オーバめっき(compliant over-plating)を伴う金属等)に応じて、様々なゴムとすることができる。また、コンプライアントシール材料は、これが許容可能であれば、化学的に不活性なコーティングで被覆されてもよい。実施例の中には、封止面が銅若しくはアルミニウムなどの軟質金属で形成可能なものがあり、あるいは、PEEK若しくはナイロンなどの材料を使用可能なものがある。軟質金属、PEEK又はナイロンが使用されるときには、そのような材料はシールを形成するために使用されるとき永久変形を起こすことがあるため、チャネルアダプタが除去され再設置されるときにはいつも、それを交換することが望ましい場合もある。
【0045】
キャリアブロック上の凹部又は他の機構は、コンプライアントシール材料を整列させ、接続デバイスの組み立て中におけるキャリアブロック上へのコンプライアントシール材料の保持を促進することができる。凹部深さを特定することで、チャネルアダプタの封止面がキャリアブロック内のキャリアブロック・キャリアガス通路の出口を含む面上に到達する前に、コンプライアントシール材料がどれくらい圧縮して流体密封シールを形成するかを決定可能である。コンプライアントシール材料がOリングの形態である実施例の中には、流体密封シールを形成するために、Oリングが、15%から25%まで、又は、20%まで、圧縮しなければならない。あるいは、Oリングの代わりに、平坦又は円筒のガスケットを弾性シールとして使用することができ、異なる圧縮比率を選択し得る。
【0046】
さらなる代替案としては、キャリアガス接続デバイスが、チャネルアダプタにおける2つのベント通路出口、又は、キャリアブロックにおける2つのベント入口を備える必要がないように、Oリングが、より大きい又は非円形のものにされる。例えば、Oリングが、チャネルアダプタを1つのチャネルアダプタ位置から別のチャネルアダプタ位置へ移動したときに、チャネルアダプタ・ベント通路出口が依然としてOリング内にあり、キャリアブロックのベント通路入口に流体接続されるような形状及び大きさの少なくとも一方を有している場合には、チャネルアダプタ・ベント通路の第2の出口(存在する場合には第3の出口等も)に加えて、チャネルアダプタ・ベント通路の第2の出口(存在する場合には第3の出口や他の出口も)のためのキャリアブロック上の封止面及びOリングも省略することができる。
【0047】
実施例の中には、チャネルアダプタ・ベント通路出口(図2内の出口220,221等)やキャリアブロックのベント通路入口及び封止面の間におけるパターン又は間隔が、キャリアブロックのキャリアブロック・キャリアガス通路出口の間におけるパターン又は間隔と実質的に同じものがあり、その結果として、チャネルアダプタ・ベント通路出口220,221は、チャネルアダプタがチャネルアダプタ位置のうちの1つにおいて固定されるときはいつも、キャリアブロック・ベント通路入口又は封止面と整列される。実施例の中には、チャネルアダプタが純粋な並進により1つのチャネルアダプタ位置から別のチャネルアダプタ位置へ移動するように構成された場合などにおいて、出口220,221間の距離D2を、D1に実質的に等しくすることができるものがある(D1は、キャリアブロックの2つのキャリアブロック・キャリアガス通路間の距離である)。キャリアブロックの封止面350及び352(図3Aに示されるような)は、各々、キャリアブロック・ベント通路330の入口332から距離D2で離間し、その結果として、封止面350,352のうちの一方は、不使用のチャネルアダプタ・ベント通路出口と一列に整列されることになる。したがって、チャネルアダプタ・ベント通路出口の間におけるパターン又は間隔がキャリアブロック・キャリアガス通路出口の間のパターン又は間隔と実質的に同じである場合(D2がD1に実質的に等しい場合等)、キャリアブロック・キャリアガス通路出口のうちの1つがチャネルアダプタ・キャリアガス通路入口と一列に整列されるときはいつでも、チャネルアダプタ・ベント通路出口のうちの1つは、キャリアブロック・ベント通路入口と一列に整列されることになる。この構成は、流体密封接続の形成を促進し、廃物又は他のベントガスがキャリアガス接続デバイスの外へ流れることを可能にする。
【0048】
キャリアブロックは、キャリアブロックをGC機器に装着するように構成される1つ又は複数の突起又は機構を含み得る。例えば、図3Bに示されるように、キャリアブロックは、これとチャネルアダプタとの係合を妨げたり導管と干渉したりすることなくキャリアブロック302を(固定具347,348などによって)支持体に固定するように構成されたフランジ344,346を含む。突起又は機構は、クリアランス孔を有することができ、その結果として、クリアランス孔を貫通する固定具がキャリアブロックを支持体に装着する。突起又は機構は、キャリアブロックとチャネルアダプタとの係合の妨げや導管との干渉を回避するように構成可能である。支持体は、GC機器、又は、その一部(GC機器のためのハウジング、ケース、筐体等)であってよい。
【0049】
前述のように、本キャリアガス分配システムの別の利点又は特徴は、キャリアブロックに蓋をすることで、キャリアガスのためのチューブ及びベント導管の再経路指定を行う必要なしに、チャネルを容易に設置及び除去できることである。例えば、チャネルキャップ・プレートはチャネルアダプタと置換可能である。チャネルキャップ・プレートは、チャネルを除去したときのキャリアブロックと対になるように構成される。実施例の中には、チャネルキャップ・プレートが、いかなる通路も含まないが、クランプのための1つ又は複数の孔を備え、チャネルキャップ・プレートの表面が、キャリアブロック・キャリアガス通路出口及びキャリアブロック・ベント通路入口をシールする又は塞ぐようにキャリアブロックと対になるものがある。チャネルキャップ・プレートは、チャネルアダプタと同じクランプシステムを使用するように構成可能である。
【0050】
本キャリアガス接続デバイスは、キャリアガスを変更することが望ましい場合、あるいは、キャリアガスを変更する能力を有することが望ましい場合のある1つ又は複数のGCチャネルを有するGC機器に備えることができる。キャリアガス接続デバイスは、このデバイスのキャリアブロックをGC機器のハウジング又はケースに搭載すること等によって、GC機器に取り付け可能である。図4は、キャリアガス及びベント分配システム400の実施例を示す。システム400は、本明細書で説明されるキャリアガス接続デバイスを4つ(4つのキャリアブロックによって表される)備え、すなわち、キャリアガス接続デバイス402,404,406,408を備える。4つ(又は、これより大きい数若しくは小さい数、例えば、2、3、5、6、8、12、若しくは16等)のキャリアガス接続デバイスの各々は、複数のキャリアガス源に流体接続される。システム400は、第1のキャリアガス源410及び第2のキャリアガス源412に流体接続される。この実施例において、流体接続は、キャリアガス導管で、キャリアガス源410,412とキャリアブロック・キャリアガス通路入口とを接続することによって行われる。第1のキャリアガス導管420,421,422,423,424からなる1つの導管セットは、単一のキャリアガス源(例えば、第1のキャリアガス源)から複数のキャリアブロックへキャリアガス(例えば、第1のキャリアガス)を供給するために、直列又は並列で接続可能である。同様に、第2のキャリアガス導管430,431,432,433,434からなる1つの導管セットは、単一の源から複数のキャリアブロックへ第2のキャリアガスを供給するために、直列又は並列で接続可能である。キャリアガス導管は、1つ又は複数の導管接合部426,427,428において流体接続されてよい。第1のキャリアガス導管420,421,422,423及び424は、これらの接合部426,427,428において互いに流体接続され、第2のキャリアガス導管430,431,432、433及び434は、これらの接合部426,427,428において互いに流体接続される。ただし、第1及び第2のキャリアガス導管は、互いに流体接続されない。
【0051】
システム400は、チャネル又は注入器等のGC機器の他の構成要素内へ試料ガスを引き込むためのポンプ414も備えることができる。ポンプ414を通過した試料ガスは、典型的には、放出可能な廃物とみなされる。本システム400において、GCチャネルからのベントガスは、ベント導管を通ってチャネルアダプタ・ベント通路入口へ流れ、キャリアブロック・ベント通路を通って、ポンプに直接的又は間接的に接続されたベント導管内へ流れる。したがって、放出される試料ガス(すなわち、廃棄ガス)は、GCチャネルから出て、廃物として又は大気へ放出されるように試料ポンプへと経路指定可能である。ベントガスは、複数のGCチャネルから複数のキャリアガス接続デバイス402,404,406,408へ流れ、次いで、ベントガス導管416,417,418を通ってポンプモジュール414へ流れる。ポンプモジュール414は、1つ又は複数の試料ポンプを備える。複数のキャリアブロックからのベントガス導管は、各GCチャネルに専用のポンプに接続可能であり、あるいは、GC分析が許す場合には、例えば、同じ量かつ同じ種類の試料が複数チャネルに同時に注入され、それらのチャネルが同じキャリアガスを使用している場合には、共有ポンプに直列又は並列で接続可能である。例えば、図4は、キャリアガス接続デバイス402と関連付けられた第1のGCチャネルが第1のポンプを使用し、キャリアガス接続デバイス406及び408と関連付けられた第2及び第3のGCチャネルが第2のポンプを共有し、キャリアガス接続デバイス404と関連付けられた第4のGCチャネルが、ポンプモジュール414内の第1のポンプ又は第2のポンプのいずれか一方を使用できる状況を図示する。実施例の中には、キャリアガス接続デバイスのキャリアブロックのベント通路出口の各々が単一のポンプに流体接続されるものがある。
【0052】
図5は、本明細書に説明されるキャリアガス接続デバイスをいくつか(M個)備えるガスクロマトグラフィ機器の実施例を示す。M個のキャリアガス接続デバイス(Mは、2、3、4、5、6、8、12若しくは16、又は、これらより大きい数若しくは小さい数とすることができる)の各々は、N個のキャリアガス源に流体接続され、N個のチャネルアダプタ位置を有する。キャリアガス接続デバイスの各々は、本明細書で説明されるように、キャリアブロック及びチャネルアダプタを備え、GCチャネルに流体接続される。この実施例では、各GCチャネルは、キャリアガス接続デバイスからのキャリアガスの流れを制御する流量制御モジュールを備える。流量制御モジュールは注入器に接続される。注入器は、特定の量の試料を捕捉し、それを、分析対象物を分離する固定相を含むGCカラムへ供給し、試料中の分析対象物の量及び種類を示す信号を生成する検出器を通って出る。加えて、各GCチャネルからのベントガス(廃棄試料及びキャリアガスの少なくとも一方であってよい)は、チャネルから出て、そのGCチャネルと関連付けられたキャリアガス接続デバイスへ経路指定可能となっている。
【0053】
本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施例を説明する目的のためであり、限定の意図がないことを理解されたい。加えて、定義された用語は、本教示の技術分野において共通して理解され許容されるように定義される用語の技術的及び科学的意味である。
【0054】
用語「通路」には、一般的に、流体が進むための流路を規定するように構成される任意の構造体が包含される。通路は、典型的には、入口及び出口を有するが、実施例の中には、複数の入口を有する通路が1つの出口へと収束する又は合流する場合や1つの入口を有する通路が複数の出口へと分岐する又は分裂する場合等、通路が複数の入口及び複数の出口の少なくとも一方を有するものがある。例えば、通路は、ブロック内の孔若しくは孔セットであってよい。あるいは、通路は、基板からの材料除去や、互いに接着された2つ以上の層等の基板の組み合わせによって、基板内に形成されるチャネルであってよい。あるいは、通路は、別の構成要素の内側若しくは外側のチューブであってよい。通路の幾何形状は、多様であり、円形、矩形、正方形、D形状、台形又は他の多角形断面を含む。通路は、異なる幾何形状を含んでよい(例えば、一部分では矩形断面であるが別の部分では台形断面)。
【0055】
用語「導管」には、一般的に、流体が1つの点(例えば、導管の注入口)から別の点(例えば、導管の出口)へ進むための流路を規定するチューブ等の任意の構造体も包含されるが、導管は、流体を中間点にも同様に供給することができる。導管は、可撓性又は剛性を有するか、あるいは、ある程度は、若しくは、ある部分は、可撓性及び剛性の両方であり得る。典型的には、導管は、長尺及び線状の少なくとも一方であり、1つの構成要素(キャリアガス源など)から別の構成要素(ブロックなど)までの流路を提供する。
【0056】
用語「ブロック」には、一般的に、ブロック内に形成されるチャネル又はブロック内で支持されるチャネルなど、1つ又は複数の通路を備える任意の構造体が包含される。実施例の中には、ブロックが複数の通路を備え、それにより、別個の流体がブロックを通って流れることが可能なものがある。実施例の中には、ブロックが、1つ又は複数の内部流路、及び、1つ又は複数の外部流路のうち、少なくとも一方と連通状態にあるマニホールドを備えたものがある。用語「キャリアブロック」は、一般的には、ブロック内の1つ又は複数の通路内へキャリアガスを受容し、かつ、通路を、チャネルアダプタの流路などの別の流路と整列させるように構成された構造体を指す。キャリアブロックは、チャネルアダプタ及び他の構成要素の少なくとも一方のための支持体を提供可能であり、そのような構成要素をキャリアブロックに付加するための機構を有することができる。実施例の中には、キャリアブロックが、チャネルアダプタに係合するように構成される第1の面又は他の表面と第1の面に対向する第2の面又は表面とを備えたものがある。第2の面は、キャリアガス源からの導管又はベント導管等、1つ又は複数の導管に係合するように構成される。第1及び第2の表面は、本質的に、互いに対して平行又は斜めであり得る。キャリアブロックは、機器に又は機器内に接続デバイスを取り付けるための機構も提供可能である。
【0057】
用語「チャネルアダプタ」には、一般的に、キャリアガスがGCチャネルへ流れるための1つ又は複数の通路を備え、かつ、キャリアブロックと相対運動するために構成された、任意の構造体が包含される。
【0058】
本開示では、用語「実質的な」又は「実質的に」は、当業者にとって許容可能な限度又は程度までを意味する。用語「およそ」及び「約」は、当業者にとって許容可能な限度又は量までを意味する。用語「約」は、一般的には、示された数のプラスマイナス15%を指す。例えば、「約10」は、8.5~11.5の範囲を示し得る。例えば、「ほぼ同じ」は、当業者が、比較されているアイテムが同じであると考えることを意味する。値の範囲が本開示において明記されている場合、その範囲の上限と下限との間の中間値としては、文脈が明白に別のことを示さない限り、下限の単位の10分の1の値までもが具体的に開示されているということを理解されたい。記載範囲内の任意の値又は中間値と記載範囲内の他の任意の値又は他の中間値との間のより小さな範囲はそれぞれ、本発明に包含される。これらのより小さい範囲の上限及び下限は、個別に記載範囲に含まれたり除外されたりしてよい。また、より小さい範囲の上限又は下限の少なくとも一方がその範囲に含まれるか、その範囲に上限及び下限のいずれも含まれない場合でも、その範囲は本発明に包含されるが、記載範囲で任意の限度が具体的に除外されていることの影響を受ける。記載範囲により小さな範囲の上限及び下限の少なくとも一方が含まれる場合、それらの含まれた限度のうちのいずれか又は両方を除外した範囲もまた、本発明に含まれる。
【0059】
別途規定のない限り、本明細書で使用される技術的及び科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に説明されるものと同様又は同等の任意の方法及び材料は、本教示の実践又は試験においても使用され得、いくつかの例示的な方法及び材料がこれより説明される。本明細書で参照されるすべての特許及び刊行物は、参照により明示的に組み込まれる。
【0060】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、用語「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明白に別のことを示さない限り、単数形指示物及び複数形指示物の両方を含む。例えば、「a conduit(導管)」は、1つの導管及び複数の導管を含む。別途記載のない限り、用語「第1」、「第2」、「第3」、及び他の序数は、本デバイス及び方法の異なる要素を区別するために本明細書では使用され、数値限定をもたらすことは意図されない。第1及び第2のチャネルアダプタ位置への言及は、デバイスが2つのチャネルアダプタ位置のみを有することを意味すると解釈されるべきではない。第1及び第2の要素を有するデバイスは、別途記載のない限り、第3、第4、第5などを含み得る。
【実施例
【0061】
ここに開示された主題に従って提供される例示的な実施例には、限定されるものではないが、以下が含まれる。
【0062】
[実施例1]
第1及び第2のキャリアブロック・キャリアガス通路を備えたキャリアブロックであって、キャリアブロック・キャリアガス通路の各々が入口及び出口を有する、キャリアブロックと、入口及び出口を有するチャネルアダプタ・キャリアガス通路を備えたチャネルアダプタと、キャリアブロックを実質的に流体密封接続でチャネルアダプタに固定するクランプシステムと、を備えたキャリアガス接続デバイス。キャリアガス接続デバイスは、第1及び第2のチャネルアダプタ位置を含む(さらに、3つ、4つ又はそれ以上のチャネルアダプタ位置をさらに含むことができる)。(i)第1のチャネルアダプタ位置において、チャネルアダプタ・キャリアガス通路の入口は、第1のキャリアブロック・キャリアガス通路の出口と整列して、第1のキャリアガスがキャリアブロックからチャネルアダプタへ入る流体密閉流路を形成する。(ii)第2のチャネルアダプタ位置において、チャネルアダプタ・キャリアガス通路の入口は、第2のキャリアブロック・キャリアガス通路の出口と整列して、第2のキャリアガスがキャリアブロックからチャネルアダプタへ入る流体密閉流路を形成する。
【0063】
[実施例2]
チャネルアダプタは、手動操作により、チャネルアダプタ位置が一方から他方へ切り替わるように構成される、実施例1に記載のキャリアガス接続デバイス。
【0064】
[実施例3]
チャネルアダプタは、キャリアブロック・キャリアガス通路における1つ又は複数の不使用の出口の流体密封栓を形成するように構成される1つ又は複数の封止面を備えた、実施例1又は2に記載のキャリアガス接続デバイス。実施例の中には、第1のチャネルアダプタ位置において、それらの封止面のうちの1つ又は複数は、第2のキャリアブロック・キャリアガス通路の出口を塞ぎ、第2のチャネルアダプタ位置において、それらの封止面のうちの1つ又は複数は、第1のキャリアブロック・キャリアガス通路の出口を塞ぐ。
【0065】
[実施例4]
チャネルアダプタは、入口と2つ以上の出口とを有するチャネルアダプタ・ベント通路であって、キャリアブロックが入口と出口とを有するキャリアブロック・ベント通路を備える、チャネルアダプタ・ベント通路か、あるいは、入口と出口とを有するチャネルアダプタ・ベント通路であって、キャリアブロックが出口と2つ以上の入口とを有するキャリアブロック・ベント通路を備える、チャネルアダプタ・ベント通路をさらに備えた、実施例1から3のいずれか1つに記載のキャリアガス接続デバイス。
【0066】
[実施例5]
第1及び第2のキャリアブロック・キャリアガス通路は距離D1で離間し、チャネルアダプタ・ベント通路は少なくとも2つの出口を有し、チャネルアダプタ・ベント通路における少なくとも2つの出口は距離D2で離間し、D2はD1に実質的に等しい、実施例4に記載のキャリアガス接続デバイス。
【0067】
[実施例6]
チャネルアダプタは、チャネルアダプタ・ベント通路における1つの入口とチャネルアダプタ・ベント通路における少なくとも2つの出口とを備え、キャリアブロックは、キャリアブロック・ベント通路における1つの入口と、チャネルアダプタ・ベント通路における1つ又は複数の不使用の出口の流体密封栓を形成するように構成される1つ又は複数の封止面と、を備えた、実施例4に記載のキャリアガス接続デバイス。
【0068】
[実施例7]
チャネルアダプタは、チャネルアダプタ・ベント通路における1つの出口を備え、キャリアブロックは、キャリアブロック・ベント通路における少なくとも2つの入口とキャリアブロック・ベント通路における1つの出口とを備え、チャネルアダプタは、キャリアブロック・ベント通路における1つ又は複数の不使用の入口の流体密封栓を形成するように構成される1つ又は複数の封止面をさらに備えた、実施例4に記載のキャリアガス接続デバイス。
【0069】
[実施例8]
クランプシステムは、少なくとも1つの固定具又は整列機構と、チャネルアダプタ内の少なくとも1つの孔と、キャリアブロック内の少なくとも2つの孔と、を備える、実施例1から7のいずれか1つに記載のキャリアガス接続デバイス。チャネルアダプタ孔及びキャリアブロック孔は、固定具又は整列機構を受容するように構成される。チャネルアダプタ孔は、第1のチャネルアダプタ位置において第1のキャリアブロック孔と整列され、チャネルアダプタ穴は、第2のチャネルアダプタ位置において第2のキャリアブロック孔と整列される。
【0070】
[実施例9]
クランプシステムは、キャリアブロック内に少なくとも2つの孔セットを備え、各孔セットが、他のセットから距離D3でオフセットされた、実施例8に記載のキャリアガス接続デバイス。
【0071】
[実施例10]
第1及び第2のキャリアブロック・キャリアガス通路の出口は、距離D1で離間し、D3はD1に実質的に等しい、実施例9に記載のキャリアガス接続デバイス。
【0072】
[実施例11]
チャネルアダプタ・ベント通路の入口は、1つ又は複数のポンプに直接的又は間接的に流体接続され、1つ又は複数のポンプは、チャネルアダプタ・キャリアガス通路の出口に直接的又は間接的に流体接続される、実施例4に記載のキャリアガス接続デバイス。
【0073】
[実施例12]
キャリアブロックは、キャリアブロック・キャリアガス通路の出口の各々の周りに凹部を備え、凹部の各々は、流体密封シールの形成を促進するように位置するコンプライアントシール材料を備えた、実施例1から11のいずれか1つに記載のキャリアガス接続デバイス。
【0074】
[実施例13]
実施例1から12のいずれか1つに記載のキャリアガス接続デバイスを複数備えるキャリアガス分配システム。複数のキャリアガス接続デバイスには、第1のキャリアガス接続デバイス及び第2のキャリアガス接続デバイスが含まれ(あるいは、3つ、4つ、5つ又はそれ以上のデバイスをさらに備えることができる)、第1及び第2のキャリアガス接続デバイスの各々の第1のキャリアブロック・キャリアガス通路は、単一の第1のキャリアガス源に流体接続される。
【0075】
[実施例14]
第1及び第2のキャリアガス接続デバイスの各々の第2のキャリアブロック・キャリアガス通路は、単一の第2のキャリアガス源に流体接続される、実施例13に記載のシステム。
【0076】
[実施例15]
ガスクロマトグラフィチャネルを備えるガスクロマトグラフィ機器であって、GCチャネルは、実施例1から12のいずれか1つのキャリアガス接続デバイスに直接的又は間接的に流体接続される、ガスクロマトグラフィ機器。
【0077】
[実施例16]
GCチャネルは、キャリアガス接続デバイスのチャネルアダプタに流体接続される、実施例15に記載のガスクロマトグラフィ機器。
【0078】
[実施例17]
GC機器は、少なくとも4つのGCチャネルを備え、GCチャネルは互いに異なるキャリアガス接続デバイスに流体接続される、実施例15又は16に記載のガスクロマトグラフィ機器。
【0079】
[実施例18]
GC機器はマイクロGCである、実施例15から17のいずれか1つに記載のガスクロマトグラフィ機器。
【0080】
[実施例19]
GCに供給されるキャリアガスを変える方法であって、第1のキャリアガスをGCチャネルに供給することによって実施例15から18のいずれか1つに記載のGC機器を動作させて、第1のキャリアガスが、GCチャネルに直接的又は間接的に流体接続されたチャネルアダプタのキャリアガス通路を通って流れる、ステップと、チャネルアダプタを第1のチャネルアダプタ位置から第2のチャネルアダプタ位置へ移動させるステップと、第2のキャリアガスをGCチャネルに供給して、第2のキャリアガスが、チャネルアダプタのキャリアガス通路を通って直接的又は間接的にGCチャネルへ流れる、ステップと、を含む方法。
【0081】
[実施例20]
チャネルアダプタを第2のチャネルアダプタ位置でクランプすることは、第2のキャリアブロック・キャリアガス通路とチャネルアダプタ・キャリアガス通路との間の流体密封接続と、チャネルアダプタの封止面によるキャリアブロックの第1のキャリアガス通路の流体密封栓と、を同時に形成し、流体密封栓により、第1のキャリアガス通路から出る第1のキャリアガスの流れを止める、実施例19に記載の方法。
【0082】
例示的又は好ましい実施例の先の説明は、本発明を実施例によって規定されるように制限するのではなく、例証と見なされるべきである。容易に理解されるように、数値変動及び上に明記される特徴の組み合わせは、実施例において明記されるような本発明から逸脱することなく利用され得る。そのような変動は、本発明の範囲から逸脱すると見なされず、すべてのそのような変動は、以下の実施例の範囲内に含まれることが意図される。本明細書に列挙されるすべての参照文献は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
【国際調査報告】