(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-28
(54)【発明の名称】足趾保護装置
(51)【国際特許分類】
A43B 7/26 20060101AFI20220318BHJP
【FI】
A43B7/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528893
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(85)【翻訳文提出日】2021-05-20
(86)【国際出願番号】 KR2019016027
(87)【国際公開番号】W WO2020106080
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】10-2018-0145313
(32)【優先日】2018-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521219073
【氏名又は名称】金 該▲是▼
【氏名又は名称原語表記】KIM, Hae Ha
【住所又は居所原語表記】103-403 yongin-pogok-Samsung-chereville apt., pogok-ro 159-1, cheoin-ku, pogok-eup,yongin-si, Gyeonggi-do, 17027, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】特許業務法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】金 該▲是▼
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050EA26
(57)【要約】
本発明に係る足趾保護装置には、左右方向を基準としていずれか一側が他側より厚く提供される肉厚部を提供して、足趾の水ぶくれの発生が抑制される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足趾が挿入される開孔を有し、足趾の分岐部と対応するベースと、
前記ベースの反対側に置かれる終端と、
前記ベースと前記終端との間で、中空にて足趾を取り囲み、左右方向を基準としていずれか一側が他側より厚く提供される肉厚部を提供して、足趾の水ぶくれ候補に加えられるねじり力を吸収するエンクロージャと、
が含まれる、足趾保護装置。
【請求項2】
前記肉厚部は、右足の足趾のためには足趾の左側に形成され、左足の足趾のためには足趾の右側に形成される、請求項1に記載の足趾保護装置。
【請求項3】
前記肉厚部は、エンクロージャにおいて内側に隆起して該当する部分の前記エンクロージャの厚さを大きくする、請求項1に記載の足趾保護装置。
【請求項4】
前記終端は、開口する、請求項1に記載の足趾保護装置。
【請求項5】
前記ベース部の上側から足の甲方向に延長される翼部が含まれる、請求項1に記載の足趾保護装置。
【請求項6】
前記翼部は、足趾の間の間隔から延長される、請求項5に記載の足趾保護装置。
【請求項7】
前記エンクロージャの上部は、直線部として提供され、
前記エンクロージャの下部は、足趾の軟質細胞と類似する曲線形状で提供される、請求項1に記載の足趾保護装置。
【請求項8】
前記エンクロージャは、汗が排出されるようにするために少なくとも2つのホールが提供される、請求項1に記載の足趾保護装置。
【請求項9】
前記肉厚部は、前記エンクロージャの内側面部分にのみ提供される、請求項1に記載の足趾保護装置。
【請求項10】
足趾が挿入される開孔を有し、足趾の分岐部と対応するベースと、
前記ベースの反対側に置かれる終端と、
前記ベースと前記終端との間で、中空にて足趾を取り囲み、底の部分で、母趾に向かう側が小趾に向かう側より厚く提供されて、足趾の水ぶくれ候補に加えられるねじり力を吸収するエンクロージャと、
が含まれる、足趾保護装置。
【請求項11】
前記エンクロージャは、軟質で提供される、請求項10に記載の足趾保護装置。
【請求項12】
足趾が挿入される開孔を有し、足趾の分岐部と対応するベースと、
前記ベースの反対側に置かれる終端と、
前記ベースと前記終端との間で、中空にて足趾を取り囲み、左右方向を基準としていずれか一側が他側より厚く提供される肉厚部を提供して、足趾の水ぶくれ候補に加えられるねじり力を吸収するエンクロージャと、
が含まれる、足趾保護装置。
【請求項13】
前記肉厚部は、右足の足趾のためには足趾の左側に形成され、左足の足趾のためには足趾の右側に形成される、請求項12に記載の足趾保護装置。
【請求項14】
前記肉厚部は、エンクロージャにおいて内側に隆起して該当する部分の前記エンクロージャの厚さを大きくする、請求項12に記載の足趾保護装置。
【請求項15】
前記エンクロージャの下には、前記水ぶくれ候補に加えられるねじり力を吸収するために、隣接する隣接足趾へと延長される翼部が提供される、請求項12に記載の足趾保護装置。
【請求項16】
前記翼部には、前記隣接足趾の側面部の少なくとも一部が置かれるように、前記エンクロージャとは異なるように、その上面が上方に凹むように形成される第1着座部が含まれる、請求項15に記載の足趾保護装置。
【請求項17】
前記翼部には、前記第1着座部から前記隣接足趾の下側部まで延長され、エッジに行くほど薄く提供され、前記隣接足趾の外形をガイドする第2着座部が含まれる、請求項15に記載の足趾保護装置。
【請求項18】
前記翼部は、前記エンクロージャの両側にそれぞれ提供される、請求項15に記載の足趾保護装置。
【請求項19】
前記翼部の中心を繋ぐ線は、前記エンクロージャの延長方向と垂直しない、請求項18に記載の足趾保護装置。
【請求項20】
強度を補強するための補強部材が前記エンクロージャの一側に設けられる、請求項12に記載の足趾保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足趾保護装置に関するものとして、足趾に生じる水ぶくれを防止する足趾保護装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
登山およびトラッキング等のような長時間の歩行および激しい運動をした時には、足の色々な箇所に水ぶくれができる。例えば、足の下面に合わない新しい靴である場合には、足の裏に水ぶくれができ、靴がきついかゆるい場合には、かかとに水ぶくれができる。
【0003】
かかとにできる水ぶくれを予防する特許として、大韓民国公開特許番号20150029603のクライミングシューズ専用サイズ補正パッドの製造方法等のような技術には、かかとを保護する技術が提示されている。
【0004】
歩行の不具合を招くもう1つの要因として、足趾に発生する水ぶくれがある。以後、これを足趾の水ぶくれという。前記足趾の水ぶくれは、足をふむ度に不具合を誘発するので、歩行者に多大な不便さを感じさせているにも関わらず、これら問題を改善する技術は、足趾に指サックを付ける技術のみがインターネットに紹介されるだけである。これら足趾用の指サックは、足趾の折れを保護する機能しかしない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国特許出願公開第20150029603号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような背景下で提案されるものとして、足趾にできる水ぶくれを予防でき、既にできている水ぶくれを痛みなく除去できる足趾保護装置を提案する。
【0007】
本発明は、患部がある足趾だけではなく、隣接する他の足趾に対しても異物感を与えることなく楽に使用できる足趾保護装置を提案する。
【0008】
本発明は、患者と患部に適応的に使用できる足趾保護装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る足趾保護装置には、足趾が挿入される開孔を有し、足趾の分岐部と対応するベースと、前記ベースの反対側に置かれる終端と、前記ベースと前記終端との間で、中空にて足趾を取り囲み、左右方向を基準としていずれか一側が他側より厚く提供される肉厚部を提供して、足趾の水ぶくれ候補に加えられるねじり力を吸収するエンクロージャと、が含まれる。本発明によれば、肉厚部によって足趾の水ぶくれの発生が抑制され、発生した水ぶくれによる痛みを減らすことができる。前記エンクロージャが足趾を取り囲むようにすることで、足趾保護装置のための別途の支持部材を必要としない利点がある。
【0010】
前記肉厚部は、右足の足趾のためには足趾の左側に形成され、左足の足趾のためには足趾の右側に形成され、両足の足趾にそれぞれ使用することができる。
【0011】
前記肉厚部は、エンクロージャにおいて内側に隆起して該当する部分の前記エンクロージャの厚さを大きくして、隣接する他の足趾が干渉を受けないようにすることができ、隣の足趾が受ける異物感を減らすことができる。
【0012】
前記終端は、開口するようにして、異物感を減らすことができ、汗が蒸発するようにすることができる。
【0013】
前記ベース部の上側から足の甲方向に延長される翼部が含まれて、長時間の歩行中に汗が出ても足趾保護装置の回転を防止することができる。
【0014】
前記翼部は、足趾の間の間隔から延長されることで、足趾保護装置の回転を防止し、異物感を減らすことができる。
【0015】
前記エンクロージャの上部は、直線部として提供され、前記エンクロージャの下部は、足趾の軟質細胞と類似する曲線形状で提供され、足趾の形状と類似するように提供されるので、便利である。
【0016】
前記エンクロージャは、汗が排出されるようにするために少なくとも2つのホールが提供され、保護装置における汗の沈着による臭いを防止することができる。
【0017】
前記肉厚部は、前記エンクロージャの内側面部分にのみ提供され、隣接する他の足趾が受ける異物感および圧迫感を減らすことができる。
【0018】
別の側面による本発明に係る足趾保護装置には、足趾が挿入される開孔を有し、足趾の分岐部と対応するベースと、前記ベースの反対側に置かれる終端と、前記ベースと前記終端との間で、中空にて足趾を取り囲み、底の部分で、母趾に向かう側が小趾に向かう側より厚く提供されて、足趾の水ぶくれ候補に加えられるねじり力を吸収するエンクロージャと、が含まれ、人の歩行中に足趾に加えられる力を吸収して、歩行およびランニングにおいて足趾に加えられる力を吸収することができる。
【0019】
前記エンクロージャは、軟質で提供されてもよい。例えば、シリコーンを使用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、歩行の累積によって発生し得る足趾の水ぶくれを防止でき、既に発生した水ぶくれは速かに除去することができる。
【0021】
本発明によれば、水ぶくれができた足趾に装着時に隣接する他の足趾に対する異物感がなく、隣接する他の足趾の不便さも除去することができる。
【0022】
本発明によれば、歩行の累積によって水ぶくれができる要因を把握し、これに対する改善により、患部にのみ適応的に機能が付与されることで、使用に不具合がない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】右足の終端に足趾が見える部位を概略的に示す図である。
【
図2】ねじり力が加えられる時に右足のそれぞれの足趾に加えられる力の方向を示す図である。
【
図3】ねじり力によって足趾が変形する所を説明する図である。
【
図4】歩行による足趾の軟質細胞組織の変形状態を示す図である。
【
図6】足趾保護装置の断面図として、保護装置の主な作用を説明する図である。
【
図7】足趾保護装置の断面図として、保護装置の主な作用を説明する図である。
【
図8】2つの翼部がある足趾保護装置の平面図である。
【
図9】別の実施例に係る足趾保護装置の斜視図である。
【
図10】別の実施例に係る足趾保護装置の右側面図である。
【
図11】足趾保護装置の断面図であり、
図10において左から右に移動しながら上下に切断した断面図として、
図10の1‐1’線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。本発明の思想は、実施例に制限されるものではなく、本発明の思想を理解する当業者であれば、同じ思想の範囲内に含まれる別の実施例を構成要素の付加、変更、削除および追加等によって容易に提案できるが、これもまた本発明の思想の範囲内に含まれるものとする。
【0025】
実施例の説明に先立って、足趾にできる水ぶくれの要因に対して、発明者が研究した結果に対して説明する。
【0026】
まず、第1要因として、人は直立歩行をするので、大きい荷重が単一の足に加えられ、歩を移す動作中に特定の時点では全ての荷重が足趾に集中する。例えば、いずれか1つの足の足趾には、他の足のかかとが着地する直前に最も大きい荷重が加えられる。
【0027】
第2要因として、人の足は一直線に平行するものではなく、所定の角度で外側に向かって両足は傾斜(開いて)して置かれる場合が多い。これは、重心の拡張および起立姿勢の維持のために安定した効果を奏することはできるが、足趾においては動的な特性を誘発し、足趾にさらに疲労を加重する問題として作用する。
【0028】
具体的に、前記第2要因は、歩行者が進む方向と足が向かう方向の不一致を作り、足趾が全体として一方向に押される力を作り出す。
【0029】
詳しくは、第1要因が最も大きく作用する瞬間、即ち、他の足のかかとが着地する直前として、いずれか1つの足趾に最大の力が加えられる瞬間(以下、「最大トーションの瞬間」という)には、足趾が押される力が最も大きく作用する。この時、力の方向は、足首を中心として足の裏が進行方向の外側に回転するねじり力(torsional force)を発生させる。よって、右足には上方から見た時に時計周り方向のねじりが発生し、左足には上方から見た時に反時計周り方向のねじりが発生する。このような現象は、人の身体構造において特徴的に現れる現象である。
【0030】
前記最大トーションの瞬間は、足趾に反復的な衝撃を与え、結局足趾に水ぶくれを発生させる要因となる。
【0031】
図1は、右足の終端に足趾が見える部位を概略的に示す図面である。
【0032】
一方、全ての図面の視点は、客観的観察者の基準ではなく、足趾に水ぶくれがある人の視点を基準とした。よって、図面を理解において、足趾の断面を進行方向の後側で観察する図面であると理解することができる。
【0033】
図1を参照すると、1は一番大きい足趾であり、5は一番小さい足趾である。また、矢印において、点線は歩行時の進行方向を表し、実線はねじり力の方向である。
【0034】
図2は、前記ねじり力が加えられる時に右足のそれぞれの足趾に加えられる力の方向を示す。
図2を参照すると、人が歩行する時、地面6に当たって発生するねじり力は、足趾が右側に押される力を引き起こす。この時、足趾の中央には足趾の骨があるので、結局足趾の骨を取り囲む軟質細胞組織が変形するしかない。
【0035】
図3は、前記ねじり力によって足趾が変形する位置を表す部分として、
図3を参照すると、ハッチング部分は、ねじり力が加えられる時に各足趾の軟質細胞組織が変形して満たされる箇所を表す。即ち、前記ねじり力が加えられる時はハッチング箇所に前記軟質細胞組織が満たされ、ねじり力がない時には足趾が再び元の状態に戻る。
【0036】
このような歩行動作が繰り返されると、結局は足趾の軟質細胞組織が変形する。特に、表皮細胞は、剥離が生じて体液が漏れて足趾の水ぶくれができる。ここで、前記足趾の水ぶくれは、足趾の末節に主に発生する。該当する部分に、前記第1要因および前記第2要因によって荷重が集中するからである。
【0037】
図4は、継続する歩行によって足趾の軟質細胞組織が変形した状態を示す図面である。
【0038】
図4を参照すると、各足趾に加えられる反復荷重が足趾の軟質細胞組織の変形を作り、水ぶくれ候補21、31、41、51が発生したことを見ることができる。前記水ぶくれ候補のうち実際水ぶくれまで発展するのは、人の歩行習慣や外科的形態にもよるが、主に第4趾4および第3趾3で見られる。
【0039】
ここで、水ぶくれ候補は、足趾の末節の真下に位置する膨らんだ部分が該当する。例えば、足趾の末節骨の一番目の関節が置かれる部分と隣接する部分である。勿論、人毎に水ぶくれ候補の正確な位置は少しずつ異なるが、末節の内側に置かれることが分かる。本開示において、水ぶくれ候補の位置は、明細書の内容をつらぬく重要なポイントとして、本開示内容のみによって定義されることが好ましい。
【0040】
足趾に水ぶくれが発生した後には、歩行者に多大な不便さを感じさせるので、それ以上運動をすることができなくなる。
【0041】
実施例は、上記のような背景下で提案されるものとして、足趾に水ぶくれが発生しなくするか、発生した水ぶくれも痛みなく楽に除去できる足趾保護装置と言える。
【0042】
【0043】
図5を参照すると、実施例に係る足趾保護装置は、足趾が挿入される入口端として開孔100を有するベースと、前記入口端の反対側に提供される終端110と、前記ベースと終端110との間に足趾を取り囲むエンクロージャ120が含まれる。前記エンクロージャの内部は、空いており、足趾が前記エンクロージャの中に入ってその内面が足趾に面接することができる。これために、前記足趾保護装置の材質は、軟質のシリコーン等のような材質が好ましい。
【0044】
使用者は、前記開孔100を通じて足趾を差し入れ、前記ベースが足趾が分岐する下端に当たるように挿入することができる。即ち、前記足趾保護装置の全長L1は、各足趾の長さに近くなるように提供されてもよい。
【0045】
前記終端110は、閉じられていてもよく、開放されていてもよい。前記終端110が開放されている場合には、通風、および足趾の干渉による異物感を減らす等の効果を得ることができる。前記終端110が閉じられている場合には、足趾の保護装置への挿入位置をより正確に決定し、歩行中にも位置が変わらないようにする利点がある。
【0046】
前記足趾保護装置のエンクロージャ120の形状は、ベース端S1と先端S3は足趾の本来の形状と同様に提供されてもよい。反面、略中央の作用部分S2は水ぶくれ候補21~51を内側に押し寄せる肉厚部が提供される。前記肉厚部は、エンクロージャ120の内部において左側下の部分が該当する。
図6と
図7において、実線でハッチングされたエンクロージャの内部空間の左側下の部分がそれに該当する。
【0047】
前記肉厚部は、前記足趾の水ぶくれができる位置で、足趾の水ぶくれを起こす押され現象が足趾までは及ばないように足趾の内側の下と対応するエンクロージャを厚くするための盾となる。
【0048】
前記肉厚部は、前記ねじり力が加えられても前記水ぶくれ候補を初めからなくす役割をし、既にできている水ぶくれに対しは、全体範囲に弱い圧迫を加えて速かに水ぶくれが除去されるようにすることもできる。
【0049】
前記足趾保護装置のエンクロージャ120の直径は、ベース端S1と先端S3に比べて、前記作用部分S2が一番大きく提供される。
【0050】
前記作用部分S2の内部に前記肉厚部が提供されるだけではなく、その外部にも足趾の水ぶくれ候補が水ぶくれとなる現象を防ぐために翼部121、122が提供される。
【0051】
【0052】
図6を参照すると、水ぶくれ候補が発生する側の隣接足趾と足趾保護装置が取付けられる足趾との間で、前記エンクロージャの厚さは厚く提供されて、ねじり力を前記エンクロージャが吸収して水ぶくれ候補が水ぶくれとなることを防止することができる。これによって、足趾に水ぶくれができないようにすることができる。ここで、エンクロージャが厚くなる部分は、水ぶくれ候補が置かれる箇所と対応する箇所として、エンクロージャの左右側の下部が該当する。
【0053】
前記エンクロージャ120の内側には肉厚部が他の部分に比べて隆起する形状で提供される。前記肉厚部の外側には1つの翼部121が外側に延長されている。前記翼部121は、前記エンクロージャの下側部に提供される。本実施例では、前記翼部121は、肉厚部の外側に提供される。前記翼部は、前記足趾の水ぶくれができる位置で足趾の水ぶくれを起こす押され現象が足趾までは及ばないようにエンクロージャを厚くするための盾となる。
【0054】
前記翼部121は、外側に行くほど薄くなる形状として、隣接する足趾が異物感なく楽に置かれるようにする。前記翼部121と前記肉厚部との間に厚く提供される部分は、前記ねじり力が加えられる時に変形を吸収する部分として作用する。よって、足趾において水ぶくれ候補21~51は初めから発生しなくなる。前記翼部121の下面は、フラットに提供されてもよい。
【0055】
上記のような特徴をさらに得るために、前記翼部121の上側部は、変曲方向がエンクロージャの他の部分とは反対側に上方に凹み、隣接足趾の側面部が置かれる第1着座部124を提供することができる。前記第1着座部121と前記肉厚部との間の厚さは厚く設けられて、足趾の水ぶくれ候補には変形が生じないようにし、水ぶくれができないようにすることがある。前記翼部121は、エッジ部に行くほど薄く提供される。前記翼部121の下側部は、隣接する足趾の下側部まで延長される第2着座部123を提供することができる。これによれば、第2着座部123が隣接する足趾の外形と類似する曲面で提供されて変形をガイドして、隣接する足趾の水ぶくれ候補の反対側に生じ得る水ぶくれを未然に防止することができる。
【0056】
前記翼部121の形状が隣の足趾と対応するので、前記エンクロージャ120が足趾において回転することを防止することもできる。
【0057】
参考として、図面において点線矢印は、隣接する足趾を表す。
【0058】
一方、補強部材140は、軟質で提供される足趾保護装置の材質のゆえ、前記エンクロージャのねじりや回転を防止するためのものである。前記補強部材140は、前記ねじり力が加えられる翼部を補強するように、比較的硬質のプラスチック板を一部に取付けるか、エンクロージャを提供する軟質部材自体の厚さを厚くすることにより達成できる。
【0059】
【0060】
図7を参照して、肉厚部が提供される反対側にも前記翼部が提供されることが特徴として、異なる部分である。本実施例によれば、他側の翼部122は、自分と対応する足趾の水ぶくれ候補に加えられるねじり力を吸収するので、1つの足趾保護装置により2つの足趾に発生する水ぶくれを防止することができる。
【0061】
よって、2つの翼部121、122の形状は、全体的には同一であると言える。
【0062】
上記別の実施例において、前記翼部121、122の形状が異なることが分かるが、これは、翼部の位置が異なるからである。
図8の足趾保護装置の平面図を参照して、より具体的に説明する。
【0063】
図8を参照すると、足趾の方向(一点鎖線)と水ぶくれ候補21~51を繋ぐ方向(実線)は、直角ではなく角度αで交差する。よって、翼部121、122を繋ぐ線はそれに応じて斜めに提供されるべきであるからである。
【0064】
以上の実施例を開示した発明者は、試作品の製作および着用を繰り返して、足趾保護装置に対して別の実施例を用意した。以下、具体的に説明する。
【0065】
【0066】
まず、足趾が細い人には問題がなかったが、足趾が太い人には翼部等足趾の下の部分で異物感が大きい問題がある。
【0067】
前記翼部が足趾保護装置の回転を防止する役割をすることができるが、前記ねじり力が翼部を含む足趾保護装置の下方に加えられ、かえって足趾保護装置を回転させる力を作用する場合があった。これは、足趾に汗が出て足趾保護装置が足趾にぴったりな場合に多く発生した。
【0068】
前記足趾保護装置に汗が出る場合に、足趾保護装置の材質をなしている部材に湿気が溜まり臭いがする等の問題があった。
【0069】
足趾の前記軟質細胞組織は、実際に既にかなり変形して、三角形形状となっていることを確認することができた。このように、三角形となるほどに足趾は互いに密接接触しているので、足趾の間に余裕空間がない。よって、足趾保護装置は、足趾の間の間隔に体積が大きい部材を介入させることが、かえって不便さを感じさせた。
【0070】
上記のような問題を改善する実施例を発明者はさらに研究した。ここで、周知されたい事項がある。上記の改善事項は、足趾が厚く、汗が多い人の場合にのみ発生し、足趾が細く、汗がない人の場合には大きく問題とならない。よって、元の実施例も好ましく用いることができるという点を参照する必要がある。
【0071】
図9は、別の実施例に係る足趾保護装置の斜視図であり、
図10は、別の実施例に係る足趾保護装置の右側面図である。図面の実施例は、右足の足趾に適用することができる。
【0072】
別の実施例で特別に言及されない内容は、元の実施例の内容と衝突または併合適用ができない内容を除いては、別の実施例にもそのまま適用することができる。逆の場合も同様に、他の実施例の内容も元の実施例と衝突または併合適用ができない内容を除いては、元の実施例に適用可能であろう。
【0073】
図9および
図10を参照すると、別の実施例に係る足趾保護装置200は、一端に終端110が提供されるエンクロージャ220と、エンクロージャ220の他端の開孔100の上側に提供される翼部210が含まれる。
【0074】
前記翼部210は、足趾保護装置の内側終端から足の甲に延長される。前記翼部210は、汗がほとんど出ない足の甲に接して延長されることで、エンクロージャ220の回転を防止することができる。即ち、歩行時に前記ねじり力が加えられる際に、エンクロージャ220が回転しようとする時、前記翼部210の左右端部(
図10において、紙面上の翼部の上下端部)が足の甲および足趾の間の間隔に引っかかってエンクロージャ220が回転しないようにすることができる。
【0075】
前記翼部210は、使用者が実施例に係る足趾保護装置を足趾に挿入する際に、使用者が掴むことができる部分でもある。これにより、使用者は、容易に足趾保護装置をつかんで足趾に着用または抜き出すことができる。
【0076】
前記エンクロージャ220および前記翼部210には少なくとも2つのホールが穿孔されて、足趾からの汗が排出されるようにすることができる。
【0077】
前記エンクロージャ220の上部は、略直線部230として提供され、実際の足趾の形状に対応することができる。前記直線部230は、一般的な意味で一方向に延長される真っ直ぐな線を指しよりも、工学的および産業的な意味で足趾の各節の凹凸と対応する形状の凹凸を含むものと理解することができる。
【0078】
前記エンクロージャ220の下部は、略曲線部240として提供されてもよい。前記曲線部240は、実際の足趾の末節の膨らんだ下部形状と類似する形状で提供されてもよい。前記曲線部240により、足趾保護装置は、足趾において水ぶくれができる末節の形状と対応する形状を維持して、水ぶくれの発生を最大限抑制し、前記ねじり力による足趾保護装置の回転を防止することができる。
【0079】
図10において、矢印で「insert」と表示した部分は、開孔を指すものとして、足趾が挿入される方向を表示する。
【0080】
【0081】
図11を参照すると、前記終端110と近い部分は、エンクロージャ220をなす壁の厚さが全ての方向においてほぼ類似または同一に薄く提供される。例えば、前記開孔100と近い部分において、前記エンクロージャは円形枠の形態に提供される。
【0082】
図12を参照すると、前記ねじり力によって水ぶくれが生じ得る位置では、前記エンクロージャ220の厚さが厚くなって肉厚部250が提供される。前記肉厚部250は、水ぶくれが生じ得る部分の変形、即ち、ひずみ(strain)を吸収することができ、水ぶくれが生じ得る部分の先が尖点をなして突出することを防止することができる。
【0083】
前記肉厚部250は、厚さは漸増し、水ぶくれが生じ得る部分の尖点と対応する部分は一番厚く提供されてもよい。
【0084】
前記肉厚部250が提供されるものの、エンクロージャ220の内側面部分にのみ形成され、エンクロージャ220の外側面側の部分は左右方向を基準として対称し、略円形に提供される。
【0085】
【0086】
図12と
図13の中央では、前記肉厚部250の厚さが最も厚い形状で提供される。勿論、足趾の長さ方向に前記肉厚部の厚さが同一に維持されてもよい。これは、足趾の形状および足趾にできる水ぶくれの具体的な様態に応じて異なるように提供することができる。実施例は、中央の部分が一番膨らむように提供されるものと提示されている。
【0087】
図14を参照すると、前記肉厚部250の位置を超えると、前記エンクロージャ220は再び同じ厚さの形状で維持される。ただし、足趾の形状が、
図14がある部分は、上下には直線で延長される部分があるので、
図11のように円形で提供されるよりは、上下に延長される楕円形状で提供されてもよい。
【0088】
図15を参照すると、足趾を取り囲むエンクロージャ220の部分は終わり、前記翼部210がエンクロージャ220の上側から後方にさらに延長される。前記翼部210の始まりの部分は、足趾の根元部分を上側で取り囲むように曲線で提供される。前記翼部210は、後方に行くほどさらに拡張する。前記翼部210は、足趾の間に挟まれることで、足趾保護装置の回転が防止される。
【0089】
図16を参照すると、前記翼部210は、平面の足の甲と対応する形状として直線型で提供される。前記翼部210は、上述したように足の甲の少なくとも一部を覆って、足趾保護装置の回転が防止される。
【0090】
上記全ての実施例の足趾保護装置を着用して歩行を継続したところ、水ぶくれが発生しないことを確認できた。
【0091】
上記全ての実施例の実施例の足趾保護装置を、足趾に水ぶくれが発生した状態で着用すると、水ぶくれに加えられる刺激がなくなるか弱くなって、水ぶくれによる痛みがなくなり楽に歩行できることを確認できた。ただし、この場合には、水ぶくれが足趾の他方に拡大することを確認できたが、水ぶくれ内部の体液の量は同一であり、水ぶくれの二次元的な範囲しか拡大しないことを見ることができた。この場合にも、水ぶくれによる痛みは全くなくなるので、歩行の困難はなかった。さらに、水ぶくれが大きくならないことにより、水ぶくれが早く除去される効果を得ることができた。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明によれば、長時間の歩行によって発生する足趾の水ぶくれを容易に防止することができる。また、安価で容易に製作することができるので、その使用が大変期待されるものである。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足趾が挿入される開孔を有し、足趾の分岐部と対応するベースと、
前記ベースの反対側に置かれる終端と、
前記ベースと前記終端との間で、中空にて足趾を取り囲み、左右方向を基準としていずれか一側が他側より厚く提供される肉厚部を提供して、足趾の水ぶくれ候補に加えられるねじり力を吸収するエンクロージャと、
が含まれる、足趾保護装置。
【請求項2】
前記肉厚部は、右足の足趾のためには足趾の左側に形成され、左足の足趾のためには足趾の右側に形成される、請求項1に記載の足趾保護装置。
【請求項3】
前記肉厚部は、
前記エンクロージャにおいて内側に隆起して該当する部分の前記エンクロージャの厚さを大きくする、請求項1に記載の足趾保護装置。
【請求項4】
前記終端は、開口する、請求項1に記載の足趾保護装置。
【請求項5】
前記ベース部の上側から足の甲方向に延長される翼部が含まれる、請求項1に記載の足趾保護装置。
【請求項6】
前記翼部は、足趾の間の間隔から延長される、請求項5に記載の足趾保護装置。
【請求項7】
前記エンクロージャの上部は、直線部として提供され、
前記エンクロージャの下部は、足趾の軟質細胞
部分と類似する曲線形状で提供される、請求項1に記載の足趾保護装置。
【請求項8】
前記エンクロージャは、汗が排出されるようにするために少なくとも2つのホールが提供される、請求項1に記載の足趾保護装置。
【請求項9】
前記肉厚部は、前記エンクロージャの内側面部分にのみ提供される、請求項1に記載の足趾保護装置。
【請求項10】
前記エンクロージャは底の部分で、母趾に向かう側が小趾に向かう側より厚く提供されて、足趾の水ぶくれ候補に加えられるねじり力を吸収す
る、請求項1に記載の足趾保護装置。
【請求項11】
前記エンクロージャの下には、前記水ぶくれ候補に加えられるねじり力を吸収するために、隣接する隣接足趾へと延長される翼部が提供される、
請求項1に記載の足趾保護装置。
【国際調査報告】