IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スウィフトリンク テクノロジーズ カンパニー リミテッドの特許一覧

特表2022-520008二偏波ミリメートル波フロントエンド集積回路
<>
  • 特表-二偏波ミリメートル波フロントエンド集積回路 図1
  • 特表-二偏波ミリメートル波フロントエンド集積回路 図2
  • 特表-二偏波ミリメートル波フロントエンド集積回路 図3
  • 特表-二偏波ミリメートル波フロントエンド集積回路 図4
  • 特表-二偏波ミリメートル波フロントエンド集積回路 図5
  • 特表-二偏波ミリメートル波フロントエンド集積回路 図6
  • 特表-二偏波ミリメートル波フロントエンド集積回路 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-28
(54)【発明の名称】二偏波ミリメートル波フロントエンド集積回路
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/38 20150101AFI20220318BHJP
   H01Q 3/26 20060101ALI20220318BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20220318BHJP
   H01Q 23/00 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
H04B1/38
H01Q3/26 Z
H01Q21/24
H01Q23/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542434
(86)(22)【出願日】2020-01-14
(85)【翻訳文提出日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 US2020013556
(87)【国際公開番号】W WO2020159699
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】16/262,838
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521458638
【氏名又は名称】スウィフトリンク テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】チー タイユン
(72)【発明者】
【氏名】チェン トーマス
【テーマコード(参考)】
5J021
5K011
【Fターム(参考)】
5J021DB02
5J021DB03
5J021EA02
5J021JA05
5K011BA04
5K011BA05
5K011KA18
(57)【要約】
1つの実施形態によれば、RFフロントエンドICデバイスが、第1の組のRFチャネルに関連する第1の偏波のRF信号を送受信する第1のトランシーバアレイを含む。デバイスは、第2の組のRFチャネルに関連する第2の偏波のRF信号を送受信する第2のトランシーバアレイを含む。デバイスは、第1のトランシーバアレイの各トランシーバに結合された第1のコンバータと、第2のトランシーバアレイの各トランシーバに結合された第2のコンバータとを含む。第1のコンバータは、LO信号に基づく第1の偏波の信号をアップコンバート又はダウンコンバートする。第2のコンバータは、LO信号に基づく第2の偏波の信号をアップコンバート又はダウンコンバートする。第1及び第2のトランシーバアレイ、並びに第1及び第2のコンバータは、単一のICチップ内に実装することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)フロントエンド集積回路(IC)デバイスであって、
第1の組のRFチャネルに関連する第1の偏波のRF信号を、それぞれが前記第1の組のそれぞれのRFチャネルに関連する所定の周波数帯域のための振幅及び位相シフト設定に従って送受信する1又は2以上のトランシーバの第1のアレイ(第1のトランシーバアレイ)と、
第2の組のRFチャネルに関連する第2の偏波のRF信号を、それぞれが前記第2の組のそれぞれのRFチャネルに関連する前記所定の周波数帯域のための振幅及び位相シフト設定に従って送受信する1又は2以上のトランシーバの第2のアレイ(第2のトランシーバアレイ)と、
前記第1のトランシーバアレイの各トランシーバに結合されて、LO信号に基づく前記第1の偏波の第1の中間周波数(IF)信号を前記第1のトランシーバアレイによって送信されるように前記第1の偏波の第1のRF信号にアップコンバートし、前記第1のトランシーバアレイから受け取られた前記LO信号に基づく前記第1の偏波の第2のRF信号を前記第1の偏波の第2のIF信号にダウンコンバートする第1のコンバータと、
前記第2のトランシーバアレイの各トランシーバに結合されて、LO信号に基づく前記第2の偏波の第2のIF信号を前記第2のトランシーバアレイによって送信されるように前記第2の偏波の第2のRF信号にアップコンバートし、前記第2のトランシーバアレイから受け取られた前記LO信号に基づく前記第2の偏波の第2のRF信号を前記第2の偏波の第2のIF信号にダウンコンバートする第2のコンバータと、
を備え、前記第1のトランシーバアレイ、前記第2のトランシーバアレイ、前記第1のコンバータ及び前記第2のコンバータは、単一のICチップ内に埋め込まれる、
ことを特徴とするRFフロントエンドICデバイス。
【請求項2】
前記第1のアレイ又は前記第2のアレイの前記トランシーバの各々は、
遠隔装置にRF信号を送信する送信機と、
前記遠隔装置からRF信号を受信する受信機と、
無線でRF信号を送信又は受信するアンテナと、
RF信号を送信又は受信するために、前記送信機又は前記受信機を所与の時点で前記アンテナに結合するように構成された第1の送信/受信スイッチと、
RF信号を送信又は受信するために、所与の時点で前記送信機をコンバータの送信経路に結合し、前記受信機を前記コンバータの受信経路に結合するように構成された第2の送信/受信スイッチと、
を含み、前記コンバータは、前記第1のアレイの前記トランシーバのための前記第1のコンバータであり、前記コンバータは、前記第2のアレイの前記トランシーバのための前記第2のコンバータである、
請求項1に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項3】
前記第1のアレイの各トランシーバの前記アンテナは、前記第1の偏波に対応し、前記第2のアレイの各トランシーバの前記アンテナは、前記第2の偏波に対応する、
請求項2に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項4】
前記第1のコンバータは、
前記LO信号に基づく前記第1の偏波の第1のIF信号を前記第1の偏波の第1のRF信号にアップコンバートするアップコンバータと、
前記第1の偏波の第2のRF信号を前記第1の偏波の第2のIF信号にダウンコンバートするダウンコンバータと、
前記第1のIF信号のアップコンバート又は前記第2のRF信号のダウンコンバートを行うために、前記アップコンバータ又は前記ダウンコンバータを所与の時点で前記第1のトランシーバアレイに結合するように構成された第1の送信/受信スイッチと、
を含む、請求項1に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項5】
前記第2のコンバータは、
前記LO信号に基づく前記第2の偏波の第1のIF信号を前記第2の偏波の第1のRF信号にアップコンバートするアップコンバータと、
前記第2の偏波の第2のRF信号を前記第2の偏波の第2のIF信号にダウンコンバートするダウンコンバータと、
前記第1のIF信号のアップコンバート又は前記第2のRF信号のダウンコンバートを行うために、前記アップコンバータ又は前記ダウンコンバータを所与の時点で前記第1のトランシーバアレイに結合するように構成された第1の送信/受信スイッチと、
を含む、請求項1に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項6】
前記アップコンバータの入力ポートはIF入力ポートに結合され、前記ダウンコンバータの出力ポートはIF出力ポートに結合され、前記IF入力及び出力ポートは前記第1の偏波に対応する、
請求項4に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項7】
前記第1のコンバータは、前記アップコンバータ又は前記ダウンコンバータを所与の時点でIF IOポートに結合するように構成された第2の送信/受信スイッチをさらに含み、前記IF IOポートは前記第1の偏波に対応する、
請求項4に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項8】
前記第1のアレイと前記第1のコンバータとの間に結合されて、前記第1のアレイの前記トランシーバのためのRF信号を結合/分割する第1の電力結合器/分割器と、
前記第2のアレイと前記第2のコンバータとの間に結合されて、前記第2のアレイの前記トランシーバのためのRF信号を結合/分割する第2の電力結合器/分割器と、
をさらに備える、請求項1に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項9】
前記第1の偏波は水平偏波であり、前記第2の偏波は垂直偏波である、
請求項1に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項10】
前記第1の偏波は左回り偏波であり、前記第2の偏波は右回り偏波である、
請求項1に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項11】
無線周波数(RF)フロントエンド集積回路(IC)デバイスであって、
所定の周波数帯域内の振幅及び位相シフト設定に従って、第1のRFチャネルに関連する第1及び第2の偏波でRF信号を送受信する第1のトランシーバと、
前記所定の周波数帯域内の振幅及び位相シフト設定に従って、第2のRFチャネルに関連する前記第1及び第2の偏波でRF信号を送受信する第2のトランシーバと、
前記第1及び前記第2のトランシーバに結合されて、LO信号に基づく第1の中間周波数(IF)信号を前記第1又は前記第2のトランシーバによって送信されるように第1のRF信号にアップコンバートし、前記第1及び前記第2のトランシーバから受け取られた前記LO信号に基づく第2のRF信号を第2のIF信号にダウンコンバートするコンバータと、
を備え、前記第1のトランシーバ、前記第2のトランシーバ、前記コンバータは、単一のICチップ内に埋め込まれる、
ことを特徴とするRFフロントエンドICデバイス。
【請求項12】
前記第1又は前記第2のトランシーバの各々は、
遠隔装置にRF信号を送信する送信機と、
前記遠隔装置からRF信号を受信する受信機と、
前記第1の偏波のRF信号を無線で送信又は受信する前記第1の偏波の第1のアンテナと、
前記第1の偏波のRF信号を無線で送信又は受信する前記第2の偏波の第2のアンテナと、
RF信号を送信又は受信するために、前記送信機又は前記受信機を所与の時点で前記第1又は前記第2のアンテナに結合するように構成された第1の送信/受信スイッチと、
前記RF信号の前記第1の偏波又は前記第2の偏波を送信/受信するために、前記送信機又は前記受信機を所与の時点で前記アンテナに結合するように構成された偏波スイッチと、
RF信号を送信又は受信するために、所与の時点で前記送信機をコンバータの送信経路に結合し、前記受信機を前記コンバータの受信経路に結合するように構成された第2の送信/受信スイッチと、
を含む、請求項11に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項13】
前記第1のコンバータは、
前記LO信号に基づく第1のIF信号を第1のRF信号にアップコンバートするアップコンバータと、
第2のRF信号を第2のIF信号にダウンコンバートするダウンコンバータと、
前記第1のIF信号のアップコンバート又は前記第2のRF信号のダウンコンバートを行うために、前記アップコンバータ又は前記ダウンコンバータを所与の時点で前記第1及び第2のトランシーバに結合するように構成された第1の送信/受信スイッチと、
を含む、請求項11に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項14】
前記第1のコンバータは、前記アップコンバータ又は前記ダウンコンバータを所与の時点でIF入力/出力(IO)ポートに結合するように構成された第2の送信/受信スイッチをさらに含む、
請求項13に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項15】
前記アップコンバータの入力ポートはIF入力ポートに結合され、前記ダウンコンバータの出力ポートはIF出力ポートに結合され、前記IF入力及び出力ポートは前記第1の偏波に対応する、
請求項13に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項16】
前記第1のトランシーバと、前記第2のトランシーバと、前記コンバータとの間に結合されて前記第1のトランシーバ及び前記第2のトランシーバの前記RF信号を結合/分割する電力結合器/分割器をさらに備える、
請求項11に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項17】
前記第1の偏波は水平偏波であり、前記第2の偏波は垂直偏波である、
請求項11に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【請求項18】
前記第1の偏波は左回り偏波であり、前記第2の偏波は右回り偏波である、
請求項11に記載のRFフロントエンドICデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般にモバイル装置に関する。具体的には、本発明の実施形態は、二偏波ミリメートル波(mm波)フロントエンド集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信技術が進化するにつれ、基地局及び/又はスモールセル間の無線周波数(RF)通信が有線通信の代わりになりつつある。無線通信では、基地局が、固定位置に設置された無線通信局であり、これをセルラーセルサイトの一部として通信に使用することができる。一般に、基地局及び/又はスモールセル及び/又は最終目的地間の通信は、限られた帯域幅に起因して有線通信である。例えば、通常、基地局からセルサイトへの、又はセルサイトから家庭への通信は有線ファイバー通信である。
【発明の概要】
【0003】
同様の要素を同じ参照記号によって示す添付図面の図に、本発明の実施形態を限定ではなく一例として示す。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本発明の1つの実施形態による無線通信装置の例を示すブロック図である。
図2】1つの実施形態によるRFフロントエンド集積回路の例を示すブロック図である。
図3】1つの実施形態による周波数合成器の例を示すブロック図である。
図4】1つの実施形態による、中間周波数(IF)における二重ストリーム結合送信機(TX)入力及び受信機(RX)出力入力/出力(IO)を有する二偏波ミリメートル波トランシーバフロントエンドの例を示すブロック図である。
図5】1つの実施形態による、二重ストリームTX入力及び二重ストリームRX出力を有する二偏波ミリメートル波トランシーバフロントエンドの例を示すブロック図である。
図6】1つの実施形態による、偏波スイッチとIFにおける結合I/Oとを有する二偏波ミリメートル波トランシーバフロントエンドの例を示すブロック図である。
図7】1つの実施形態による、偏波スイッチと独立したTX入力及びRX出力とを有する二偏波ミリメートル波トランシーバフロントエンドの例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
後述する詳細を参照しながら本発明の様々な実施形態及び態様について説明し、添付図面に様々な実施形態を示す。以下の説明及び図面は本発明の例示であり、本発明を限定するものとして解釈すべきではない。本発明の様々な実施形態を完全に理解できるように、数多くの具体的な詳細を説明する。しかしながら、場合によっては、本発明の実施形態を簡潔に説明するために周知の又は従来の詳細については説明しない。
【0006】
本明細書における「1つの実施形態」又は「ある実施形態」についての言及は、その実施形態に関連して説明する特定の特徴、構造又は特性を本発明の少なくとも1つの実施形態に含めることができることを意味する。本明細書の様々な箇所に出現する「1つの実施形態では」との表現は、必ずしも全てが同じ実施形態について言及しているわけではない。
【0007】
第1の態様によれば、無線周波数(RF)フロントエンド集積回路(IC)デバイスが、第1の組のRFチャネルに関連する第1の偏波のRF信号を送受信する1又は2以上のトランシーバの第1のアレイを含み、各トランシーバは、第1の組のそれぞれのRFチャネルに関連する所定の周波数帯域のための振幅及び位相シフト設定に従ってRF信号を送受信する。RFフロントエンドICデバイスは、第2の組のRFチャネルに関連する第2の偏波のRF信号を送受信する1又は2以上のトランシーバの第2のアレイを含み、各トランシーバは、第2の組のそれぞれのRFチャネルに関連する所定の周波数帯域のための振幅及び位相シフト設定に従ってRF信号を送受信する。RFフロントエンドICデバイスは、第1のトランシーバアレイの各トランシーバに結合されて、LO信号に基づく第1の偏波の第1の中間周波数(IF)信号を第1のトランシーバアレイによって送信されるように第1の偏波の第1のRF信号にアップコンバートし、第1のトランシーバアレイから受け取られたLO信号に基づく第1の偏波の第2のRF信号を第1の偏波の第2のIF信号にダウンコンバートする第1のコンバータを含む。RFフロントエンドICデバイスは、第2のトランシーバアレイの各トランシーバに結合されて、LO信号に基づく第2の偏波の第2のIF信号を第2のトランシーバアレイによって送信されるように第2の偏波の第2のRF信号にアップコンバートし、第2のトランシーバアレイから受け取られたLO信号に基づく第2の偏波の第2のRF信号を第2の偏波の第2のIF信号にダウンコンバートする第2のコンバータを含む。第1のトランシーバアレイ、第2のトランシーバアレイ、第1のコンバータ及び第2のコンバータは、単一のフロントエンドICチップ又はパッケージとして単一のICチップ内に埋め込まれる。
【0008】
1つの実施形態では、第1のアレイ又は第2のアレイのトランシーバの各々が、遠隔装置にRF信号を送信する送信機と、遠隔装置からRF信号を受信する受信機と、無線でRF信号を送信又は受信するアンテナと、RF信号を送信又は受信するために、送信機又は受信機を所与の時点でアンテナに結合するように構成された第1の送信/受信スイッチとを含む。デバイスは、RF信号を送信又は受信するために、所与の時点で送信機をコンバータの送信経路に結合し、受信機をコンバータの受信経路に結合するように構成された第2の送信/受信スイッチを含み、コンバータは、第1のアレイのトランシーバのための第1のコンバータであり、コンバータは、第2のアレイのトランシーバのための第2のコンバータである。別の実施形態では、第1のアレイの各トランシーバのアンテナが第1の偏波に対応し、第2のアレイの各トランシーバのアンテナが第2の偏波に対応する。
【0009】
別の実施形態では、第1のコンバータが、LO信号に基づく第1の偏波の第1のIF信号を第1の偏波の第1のRF信号にアップコンバートするアップコンバータと、第1の偏波の第2のRF信号を第1の偏波の第2のIF信号にダウンコンバートするダウンコンバータと、第1のIF信号のアップコンバート又は第2のRF信号のダウンコンバートを行うために、アップコンバータ又はダウンコンバータを所与の時点で第1のトランシーバアレイに結合するように構成された第1の送信/受信スイッチとを含む。
【0010】
別の実施形態では、第2のコンバータが、LO信号に基づく第2の偏波の第1のIF信号を第2の偏波の第1のRF信号にアップコンバートするアップコンバータと、第2の偏波の第2のRF信号を第2の偏波の第2のIF信号にダウンコンバートするダウンコンバータと、第1のIF信号のアップコンバート又は第2のRF信号のダウンコンバートを行うために、アップコンバータ又はダウンコンバータを所与の時点で第1のトランシーバアレイに結合するように構成された第1のスイッチとを含む。
【0011】
別の実施形態では、アップコンバータの入力ポートがIF入力ポートに結合され、ダウンコンバータの出力ポートがIF出力ポートに結合され、IF入力及び出力ポートは第1の偏波に対応する。別の実施形態では、第1のコンバータが、アップコンバータ又はダウンコンバータを所与の時点でIF IOポートに結合するように構成された第2の送信/受信スイッチをさらに含み、IF IOポートは第1の偏波に対応する。
【0012】
1つの実施形態では、デバイスが、第1のアレイと第1のコンバータとの間に結合されて、第1のアレイのトランシーバのためのRF信号を結合/分割する第1の電力結合器/分割器と、第2のアレイと第2のコンバータとの間に結合されて、第2のアレイのトランシーバのためのRF信号を結合/分割する第2の電力結合器/分割器とを含む。1つの実施形態では、第1の偏波が水平偏波であり、第2の偏波が垂直偏波である。1つの実施形態では、第1の偏波が左回り偏波であり、第2の偏波が右回り偏波である。
【0013】
第2の態様によれば、RFフロントエンドICデバイスが、所定の周波数帯域内の振幅及び位相シフト設定に従って、第1のRFチャネルに関連する第1及び第2の偏波でRF信号を送受信する第1のトランシーバを含む。デバイスは、所定の周波数帯域内の振幅及び位相シフト設定に従って、第2のRFチャネルに関連する第1及び第2の偏波でRF信号を送受信する第2のトランシーバを含む。デバイスは、第1及び第2のトランシーバに結合されて、LO信号に基づく第1の中間周波数(IF)信号を第1又は第2のトランシーバによって送信されるように第1のRF信号にアップコンバートし、第1及び第2のトランシーバから受け取られたLO信号に基づく第2のRF信号を第2のIF信号にダウンコンバートするコンバータを含む。第1のトランシーバ、第2のトランシーバ及びコンバータは、単一のICチップ内に埋め込むことができる。
【0014】
1つの実施形態によれば、第1又は第2のトランシーバの各々が、遠隔装置にRF信号を送信する送信機と、遠隔装置からRF信号を受信する受信機とを含む。
トランシーバは、第1の偏波のRF信号を無線で送信又は受信する第1の偏波の第1のアンテナと、第1の偏波のRF信号を無線で送信又は受信する第2の偏波の第2のアンテナとを含む。
トランシーバは、RF信号を送信又は受信するために、送信機又は受信機を所与の時点で第1又は第2のアンテナに結合するように構成された第1の送信/受信スイッチと、RF信号の第1の偏波又は第2の偏波を送信/受信するために、送信機又は受信機を所与の時点でアンテナに結合するように構成された偏波スイッチと、RF信号を送信又は受信するために、所与の時点で送信機をコンバータの送信経路に結合し、受信機をコンバータの受信経路に結合するように構成された第2の送信/受信スイッチとを含む。
【0015】
1つの実施形態では、第1のコンバータが、LO信号に基づく第1のIF信号を第1のRF信号にアップコンバートするアップコンバータと、第2のRF信号を第2のIF信号にダウンコンバートするダウンコンバータと、第1のIF信号のアップコンバート又は第2のRF信号のダウンコンバートを行うために、アップコンバータ又はダウンコンバータを所与の時点で第1及び第2のトランシーバに結合するように構成された第1の送信/受信スイッチとを含む。別の実施形態では、第1のコンバータが、アップコンバータ又はダウンコンバータを所与の時点でIF入力/出力(IO)ポートに結合するように構成された第2の送信/受信スイッチをさらに含む。別の実施形態では、アップコンバータの入力ポートがIF入力ポートに結合され、ダウンコンバータの出力ポートがIF出力ポートに結合される。
【0016】
1つの実施形態では、デバイスが、第1のトランシーバと、第2のトランシーバと、コンバータとの間に結合されて第1のトランシーバ及び第2のトランシーバのRF信号を結合/分割する電力結合器/分割器をさらに含む。1つの実施形態では、第1の偏波が水平偏波であり、第2の偏波が垂直偏波である。1つの実施形態では、第1の偏波が左回り偏波であり、第2の偏波が右回り偏波である。
【0017】
図1は、本発明の1つの実施形態による無線通信装置の例を示すブロック図である。図1を参照すると、単純に無線装置とも呼ばれる無線通信装置100が、数ある中でもとりわけ、(単純にRFフロントエンドモジュールとも呼ばれる)mm波フロントエンドモジュール101と、モデム又はベースバンドプロセッサ102とを含む。モデムは、IF-ベースバンド周波数(IF/BF)ダウンコンバータと、BF/IFアップコンバータと、ベースバンドプロセッサ(例えば、デジタル処理プロセッサ又はDSP)とを含むことができる。無線装置100は、例えば携帯電話機、ラップトップ、タブレット、ネットワーク家電装置(例えば、モノのインターネット又はIOT家電装置)などのいずれかの種類の無線通信装置とすることができる。或いは、無線装置100は、基地局、セルラータワー、又はネットワーク/サブネットワークのいずれかのリンクなどを表すこともできる。
【0018】
無線受信機回路において、mm波RFフロントエンドなどのRFフロントエンドは、アンテナと、ミキサーステージを含むそれ以下との間の全ての回路の総称である。RFフロントエンドは、元々の着信RF周波数における信号がさらに低い中間周波数に変換される前にこれらの信号を処理する受信機内の全てのコンポーネントから成る。マイクロ波及び衛星受信機では、RFフロントエンドがしばしば低ノイズブロック(LNB)又は低ノイズダウンコンバータ(LND)と呼ばれ、アンテナからの信号をより扱い易い中間周波数で受信機の残り部分に転送できるようにアンテナ又はその付近に配置されることが多い。ベースバンドプロセッサは、全ての無線機能(アンテナを必要とする全ての機能)を管理する、ネットワークインターフェイス内のデバイス(チップ又はチップの一部)である。
【0019】
1つの実施形態では、RFフロントエンドモジュール101が、二偏波ICチップのための第1及び第2のRFトランシーバ(例えば、mm波RFトランシーバ)アレイを含む。これらのRFトランシーバの各々は、複数のmm波アンテナのうちの1つを介した特定の偏波のために、特定の周波数帯域(例えば、非重複周波数範囲などの特定の周波数範囲)内のコヒーレントなRF信号(例えば、mm波信号)を送受信する。例えば、第1のトランシーバアレイは、複数の周波数帯域内のRF信号を第1の偏波で送信/受信することができ、第2のトランシーバアレイは、複数の周波数帯域内のRF信号を二偏波の第2の偏波で送信/受信することができる。
【0020】
mm波技術では、MM波が30GHz~300GHzの周波数スペクトルを占める。フロントエンドICチップ101は、RFトランシーバに結合された全帯域又は広帯域周波数合成器をさらに含むことができる。別の実施形態では、1又は2以上のコンバータを介して合成器をRFトランシーバに結合することができる。広帯域周波数合成器は、(単複の)コンバータが広周波数帯域(例えば、24~43GHz)内のRF信号をRFトランシーバのために混合、変調及び/又は復調できるようにするために、局部発振器(LO)信号を生成して(単複の)コンバータに提供することができる。RFトランシーバアレイ、コンバータ及び広帯域周波数合成器は、単一のICチップ内に単一のRFフロントエンドICチップ又はパッケージとして統合することができる。
【0021】
なお、RFフロントエンドモジュールの例としてmm波フロントエンドモジュールを利用するのは例示目的にすぎない。同様に、RFトランシーバの例としてはmm波トランシーバを利用する。しかしながら、本出願全体を通じて説明する技術は、他の周波数スペクトル又は周波数帯域における他のRF回路にも適用することができる。なお、RFトランシーバは、(単複の)コンバータと共に単一のモジュール内に統合することができる。
【0022】
図2は、本発明の1つの実施形態によるRFフロントエンド集積回路の例を示すブロック図である。RFフロントエンドICデバイス101は、mm波フロントエンドICデバイスとすることができる。図2を参照すると、RFフロントエンド101は、数ある中でもとりわけ、1又は2以上のRFトランシーバ211~213に結合された広帯域又は全帯域周波数合成器200を含む。RFトランシーバ211~213の各々は、mm波アンテナ221~223のうちの1つを介して、変動振幅及び位相シフトを有するmm波信号などのコヒーレントなRF信号を送受信するように構成される。トランシーバアレイは、トランシーバ211~213の各々に正しい振幅及び位相シフト設定を提供することによって、1又は複数のビームを(ビーミング方向、或いは放射角又は放射方向と呼ばれる)所望の方向に操作することができる。1つの実施形態では、トランシーバ211~213の各々が、広帯域周波数合成器200からLO信号を受信するように構成される。LO信号は、特定の周波数帯域(例えば、24~43GHz帯)のために生成される。LO信号は、対応する周波数帯域内のmm波信号を送受信する目的でトランシーバ211~213毎に混合、変調、復調を行うために利用される。
【0023】
或いは、RFトランシーバ211~213の各々は、非重複又は最小重複(minimum overlapped)周波数範囲などの異なる周波数帯域に関連することもできる。各トランシーバは、周波数合成器200によって生成される対応する周波数帯域のための特定のLO信号を使用して、対応する周波数帯域内のRF信号を送受信するように構成される。
【0024】
別の実施形態では、合成器200を、1又は2以上のコンバータ(図示せず)を介して1又は2以上のRFトランシーバ211~213に結合することができ、アンテナ221~223を、例えば垂直又は水平直線偏波、或いは左回り又は右回り偏波などの特定の偏波になるように配向することができる。その後、RFトランシーバ211~213の各々を、mm波アンテナ221~223のうちの1つを介して、変動振幅及び位相シフトを有するmm波信号などのコヒーレントなRF信号を特定の偏波のために送受信するように構成することができる。トランシーバは、トランシーバ211~213の各々に正しい振幅及び位相シフト設定を提供することによって、1又は複数のビームを特定の偏波のために(ビーミング方向、或いは放射角又は放射方向と呼ばれる)所望の方向に操作することができる。1つの実施形態では、トランシーバ211~213の1又は2以上のコンバータ(図示せず)が、広帯域周波数合成器200からLO信号を受信するように構成される。LO信号は、特定の周波数帯域(例えば、24~43GHz帯)のために生成される。LO信号は、対応する周波数帯域内のmm波信号を送受信する目的でトランシーバ211~213毎にRF信号を混合、変調、復調するために利用される。
【0025】
或いは、RFトランシーバ211~213の各々は、異なる周波数帯域の特定の偏波に関連することもできる。各トランシーバは、周波数合成器200によって生成される対応する周波数帯域のための特定のLO信号を使用して、対応する周波数帯域内の特定の偏波のためのRF信号を送受信するように構成される。
【0026】
図3は、1つの実施形態による周波数合成器の例を示すブロック図である。1つの実施形態では、周波数合成器200が、クロック基準信号に基づいて所定の周波数帯域に関連するLO信号を生成する位相ロックループ(PLL)回路231と、1又は2以上のLO信号をバッファリングして(単複の)コンバータ及び/又は(単複の)トランシーバに供給する、PLL回路に結合されたLOバッファリングデバイス232とを含む。
【0027】
PLLは、入力信号の位相に関連する位相を有する出力信号を生成する制御システムである。複数の異なるタイプが存在するが、最初は可変周波数発振器及び位相検出器から成る電子回路として視覚化することが容易である。発振器は周期信号を生成し、位相検出器は、その信号の位相を入力周期信号の位相と比較して、位相を整合状態に保つように発振器を調整する。出力信号を比較のために入力信号に向けて戻すことは、出力が入力に向かって「フィードバック」されてループを形成するため、フィードバックループと呼ばれる。入力及び出力位相をロックステップ(lock step)で保持することは、入力及び出力周波数を同じに保つことも意味する。この結果、位相ロックループは、信号を同期させることに加えて、入力周波数を追跡することも、又は入力周波数の倍数である周波数を生成することもできる。これらの特性は、コンピュータクロック同期、復調及び周波数合成に使用される。位相ロックループは、無線機、遠隔通信、コンピュータ及びその他の電子用途において広く採用されている。位相ロックループは、信号を復調し、ノイズの多い通信チャネルから信号を回復し、入力周波数の倍数における安定周波数を生成し(周波数合成)、又はマイクロプロセッサなどのデジタル論理回路において正確な時間のクロックパルスを分配するために使用することができる。
【0028】
図4は、1つの実施形態による、中間周波数(IF)における二重ストリーム結合送信機(TX)入力及び受信機(RX)出力入力/出力(IO)を有する二偏波ミリメートル波トランシーバフロントエンドの例を示すブロック図である。RFフロントエンドICデバイス400は、上述したようなRFフロントエンドICデバイス101を表すことができる。1つの実施形態では、RFフロントエンドICデバイス400が、(「H」によって示す)第1の偏波(例えば、水平偏波)回路と、(「V」によって示す)第2の偏波(例えば、垂直偏波)回路とを含む。H回路は、水平偏波IF IOと、水平偏波のRF信号を送受信するように配向されたアンテナとに結合される。V回路は、垂直偏波IF IOと、垂直偏波のRF信号を送受信するように配向されたアンテナとに結合される。H回路は、偏波の違いを除いてV回路に酷似するが、独立したH及びV回路は、例えば2倍のデータ帯域幅などの二重ストリームをサポートする。以下の段落では、例示の目的でH回路についてのみ説明する。なお、いくつかの実施形態では、第1の偏波を左回り偏波とし、第2の偏波を右回り偏波とすることもできる。
【0029】
1つの実施形態では、RFフロントエンドICデバイス400のH回路がトランシーバアレイ301を含み、トランシーバ301の各々はRFチャネルのうちの1つに対応する。RFトランシーバ301の各々は、所定の周波数帯域内のそれぞれのビーム方向に従ってRF信号を送受信するように構成された位相シフタを含む。RFフロントエンドICデバイスは、コンバータ405に結合されたPLL231をさらに含む。PLL231は、トランシーバ301の各々がそのそれぞれのRFチャネル内でRF信号を送受信するようにコンバータ405がIF信号をアップコンバートしてRF信号をダウンコンバートできるように、コンバータ405のためのLO信号を生成する。
【0030】
コンバータ405は、電力結合器/分割器406を介してトランシーバ301の各々に結合されたアップコンバータ401をさらに含む。アップコンバータ401は、LO信号に基づく第1のIF信号をトランシーバ301によって送信されるように第1のRF信号にアップコンバートするように構成される。RFフロントエンドICデバイス400は、電力結合器/分割器406を介してトランシーバ301の各々に結合されたダウンコンバータ402をさらに含む。ダウンコンバータ402は、トランシーバ301から受け取られたLO信号に基づく第2のRF信号を第2のIF信号にダウンコンバートするように構成される。コンバータ405は、所与の時点で第1のRF信号を送信するように又は第2のRF信号を受信するように切り替わる第1の送信/受信スイッチ(例えば、送信/受信スイッチ404)をさらに含む。コンバータ405は、コンバータ405のIF IOポートと、アップコンバータ401と、ダウンコンバータ402との間に結合された第2の送信/受信スイッチ(例えば、送信/受信スイッチ403)をさらに含む。送信/受信スイッチ403は、所与の時点で第1のIF信号を送信するように又は第2のIF信号を受信するように切り替わる。
【0031】
1つの実施形態では、アップコンバータ401が、第1のIF信号を受信するIFIQ生成器311と、PLL231からLO信号を受け取ってLO信号に基づくLOIQ信号を生成するLOIQ生成器314と、IFIQ生成器311及びLOIQ生成器314に結合されたアップコンバートミキサー313とを含む。アップコンバートミキサー313は、第1のIF信号及びLOIQ信号に基づく第1のRF信号を生成するように構成される。1つの実施形態では、アップコンバータ401が、IFIQ生成器311とアップコンバートミキサー313との間に結合されて第1のIF信号を増幅させるIF増幅器312をさらに含む。アップコンバータ401は、第1のRF信号を複数の第1のRF副信号に分割する電力分割器406に結合することができ、各第1のRF副信号は、トランシーバ301のうちの1つに供給されて送信される。
【0032】
1つの実施形態では、ダウンコンバータ402が、PLL231からLO信号を受け取ってLO信号に基づくLOIQ信号を生成するLOIQ生成器314と、LOIQ生成器314に結合されたダウンコンバートミキサー322とを含む。ダウンコンバートミキサー322は、トランシーバ301から受け取られた第2のRF信号及びLOIQ信号に基づくIFIQ信号を生成するように構成される。ダウンコンバータ402は、ダウンコンバートミキサー322から受け取られたIFIQ信号に基づく第2のIF信号を生成するIFIQ合成器325をさらに含む。1つの実施形態では、ダウンコンバータ402が電力結合器406に結合される。電力結合器406は、トランシーバ301から受け取られた第2のRF副信号を合成して第2のRF信号を生成するように構成され、各第2のRF副信号は、トランシーバ301のうちの1つに対応する。ダウンコンバータ402は、IFIQ合成器325とダウンコンバートミキサー322との間に結合されてIFIQ信号を増幅させるIF増幅器324をさらに含むことができる。
【0033】
1つの実施形態では、トランシーバ301の各々が、遠隔装置にRF信号を送信する送信機(例えば、送信機303)と、遠隔装置からRF信号を受信する受信機(例えば、受信機304)と、所与の時点で送信機又は受信機をアンテナのうちの1つに結合するように構成された第1の送信/受信スイッチ(例えば、スイッチ306)と、所与の時点で送信機をコンバータ405の送信経路(又はアップコンバート経路)に結合し、受信機をコンバータ405の受信経路(又はダウンコンバート経路)に結合するように構成された第2の送信/受信スイッチ(例えば、スイッチ307)とを含む。各アンテナは、トランシーバ301のうちの1つに対応することができる。なお、コンバータ405(例えば、アップコンバータ401及びダウンコンバータ402)は、H回路の全てのトランシーバ301によって利用され共有される。他の実施形態では、各トランシーバが、コンバータ405の機能及び/又は動作と同一又は同様の機能及び/又は動作を有する対応するコンバータを有することができる。
【0034】
1つの実施形態によれば、送信機303の各々は、位相シフタ(例えば、位相シフタ411A~411B、まとめて位相シフタ411と呼ぶ)を含む。位相シフタ411は、RF信号などの信号位相を所望の方向にシフトさせるように構成される。また、送信機303の各々は、可変利得増幅器(例えば、可変利得増幅器412A~412B、まとめて可変利得増幅器412と呼ぶ)を含むこともできる。可変利得増幅器412は、位相シフタ411による位相シフト動作に起因する振幅変動を補償するように構成される。1つの実施形態では、特定のシフトした位相に応答して、可変利得増幅器412が、位相がシフトしたことに基づいてルックアップテーブル(図示せず)を調べて、可変利得増幅器412の利得値を取得して振幅補償のために利得を調整するように構成される。
【0035】
1つの実施形態によれば、受信機304の各々は、位相シフタ(例えば、位相シフタ413A~413B、まとめて位相シフタ413と呼ぶ)を含む。位相シフタ413の機能又は動作は、位相シフタ411と同一又は同様である。受信機304の各々は、可変利得増幅器(例えば、可変利得増幅器414A~414B、まとめて可変利得増幅器414と呼ぶ)をさらに含むことができる。可変利得増幅器414の機能又は動作は、可変利得増幅器412と同一又は同様である。
【0036】
1つの実施形態では、電力分割器406が、ミキサー313からRF信号を受け取り、RF信号をRF副信号と呼ばれるさらに電力の低い複数のRF信号(例えば、ミキサー313から受け取られた元々の信号電力の1/NのRF信号、ここでのNは送信機313の数を表す)に分割するように構成される。その後、RF副信号は、送信機303に供給されて処理される。また、電力結合器406は、例えば全てのRF副信号の電力を合計して信号強度を高めることによって、全ての受信機304からのRF副信号を結合するようにも構成される。その後、この結合RF信号は、ミキサー322に供給されて処理される。
【0037】
上記の実施形態のいくつかでは、コンバータ405(例えば、アップコンバータ401及びダウンコンバータ402)の機能がトランシーバ301によって共有されるので、トランシーバ毎の専用コンバータに比べてRFフロントエンドICデバイスの物理的サイズ及びDC電力消費量を低減することができる。しかしながら、可変利得増幅器412によって実行されるルックアップ動作が待ち時間を発生させ、これによって特定の状況次第ではRFフロントエンドICデバイスのビーム切り替え性能に影響が及ぶことがある。また、図示の構成は、所与の時点で1つのビームの送信又は受信しか行うことができない。
【0038】
図5は、1つの実施形態による、二重ストリームTX入力及び二重ストリームRX出力を有する二偏波ミリメートル波トランシーバフロントエンドの例を示すブロック図である。図5を参照すると、RFフロントエンドICデバイス500は、上述したようなRFフロントエンドICデバイス101を表すことができる。RFフロントエンドICデバイス500は、図4の送信/受信スイッチ403を除いて図4のRFフロントエンドICデバイス400に類似することができる。例えば、RFフロントエンドICデバイス500は、(「H」によって示す)第1の偏波(例えば、水平偏波)回路と、(「V」によって示す)第2の偏波(例えば、垂直偏波)回路とを含む。H回路は、水平偏波RX IF出力と、水平偏波TX IF入力と、水平偏波のRF信号を送受信するように水平に配向されたアンテナとに結合される(例えば、IFIQ合成器325は、RX IF出力ポートに直接出力を行い、IFIQ生成器311は、TX IF入力ポートから入力を受け取る)。V回路は、垂直偏波RX IF出力と、垂直偏波TX IF入力と、垂直偏波のRF信号を送受信するように垂直に配向されたアンテナとに結合される。H回路は、偏波の違いを除いてV回路に酷似するが、独立したH回路及びV回路は、例えば2倍のデータ帯域幅などの二重ストリームをサポートする。なお、いくつかの実施形態では、第1の偏波を左回り偏波とし、第2の偏波を右回り偏波とすることもできる。
【0039】
図6は、1つの実施形態による、偏波スイッチとIFにおける結合I/Oとを有する二偏波ミリメートル波トランシーバフロントエンドの例を示すブロック図である。図6を参照すると、RFフロントエンドICデバイス600は、上述したようなRFフロントエンドICデバイス101を表すことができる。RFフロントエンドICデバイス600は、図6の偏波スイッチ601の追加、並びにH回路及びV回路の結合を除いて、図4のRFフロントエンドICデバイス400に類似することができる。例えば、図4のH回路及びV回路は全ての点で類似するので、図6に示すようにこれらの機能を組み合わせて1つの回路内にH回路及びV回路を収納することができる。しかしながら、図示の構成は、同じストリーム情報を有する二重ストリームの送信又は受信しか行うことができない。図6に示すように、1つの実施形態では、トランシーバ301の各々が偏波スイッチ601を含む。偏波スイッチは、第1のアンテナ(例えば、H偏波)と、第2のアンテナ(例えば、V偏波)と、T/Rスイッチ306との間に結合される。偏波スイッチは、所与の時点でそれぞれのトランシーバの送信機又は受信機を第1又は第2のアンテナに結合してRF信号の第1の偏波又は第2の偏波を送信/受信するように構成される。
【0040】
図7は、1つの実施形態による、偏波スイッチと独立したTX入力及びRX出力とを有する二偏波ミリメートル波トランシーバフロントエンドの例を示すブロック図である。図7を参照すると、RFフロントエンドICデバイス700は、上述したようなRFフロントエンドICデバイス101を表すことができる。RFフロントエンドICデバイス700は、H回路及びV回路の結合を除いて図5のRFフロントエンドICデバイス500に類似することができる。例えば、図5のH回路及びV回路は全ての点で類似するので、図7に示すようにこれらの機能を組み合わせて1つの回路内にH回路及びV回路を収納することができる。しかしながら、図示の構成は、同じストリーム情報を有する二重ストリームの送信又は受信しか行うことができない。図7に示すように、1つの実施形態では、トランシーバ301の各々が偏波スイッチ601を含む。偏波スイッチは、第1のアンテナ(例えば、H偏波)と、第2のアンテナ(例えば、V偏波)と、T/Rスイッチ306との間に結合される。偏波スイッチは、所与の時点でそれぞれのトランシーバの送信機又は受信機を第1又は第2のアンテナに結合してRF信号の第1の偏波又は第2の偏波を送信/受信するように構成される。
【0041】
上記の明細書では、本発明の実施形態をその特定の例示的な実施形態を参照しながら説明した。特許請求の範囲に示す本発明の幅広い趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明に様々な修正を行えることが明白であろう。従って、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で捉えるべきである。
【符号の説明】
【0042】
231 位相ロックループ(PLL)回路
232 LOバッファリングデバイス
301A、B トランシーバアレイ
303A、B 送信機
304A、B 受信機
306A、B 第1の送信/受信スイッチ
311 IFIQ生成器
312 IF増幅器
313 アップコンバートミキサー
314 LOIQ生成器
322 ダウンコンバートミキサー
324 IF増幅器
325 IFIQ合成器
401 アップコンバータ
402 ダウンコンバータ
403 第2の送信/受信スイッチ
404 第1の送信/受信スイッチ
405 コンバータ
406 電力結合器/分割器
411A、B 位相シフタ
412A、B 可変利得増幅器
413A、B 位相シフタ
414A、B 可変利得増幅器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)フロントエンドデバイスであって、
第1のRFチャネルに関連する第1の偏波及び第2の偏波のRF信号を送受信する第1のトランシーバと、
第2のRFチャネルに関連する第1の偏波及び第2の偏波のRF信号を送受信する第2のトランシーバと、
前記第1のトランシーバ及び前記第2のトランシーバに結合されたコンバータと、
前記第1及び第2のトランシーバの各々と前記コンバータとの間に結合された電力結合器/分割器と、
を備え、
前記第1のトランシーバは、
第1の送信機と、
第1の受信機と、
前記第1の送信機及び前記第1の受信機に結合された第1の送信/受信スイッチと、
前記第1の送信/受信スイッチに結合された第1の偏波スイッチと、
を含み、
前記第1の偏波スイッチは、前記第1の送信機又は前記第1の受信機を、前記第1の偏波で配向された第1のアンテナ又は前記第2の偏波で配向された第1のアンテナに結合するように構成され、
前記第1の送信/受信スイッチは、前記第1の送信機及び前記第1の受信機を所与の時点で前記第1の偏波スイッチに結合するように構成され、
前記第2のトランシーバは、
第2の送信機と、
第3の受信機と、
前記第2の送信機及び前記第2の受信機に結合された第2の送信/受信スイッチと、
前記第2の送信/受信スイッチに結合された第2の偏波スイッチと、
を含み、
前記第2の偏波スイッチは、前記第2の送信機又は前記第2の受信機を、前記第1の偏波で配向された第2のアンテナ又は前記第2の偏波で配向された第2のアンテナに結合するように構成され、
前記第2の送信/受信スイッチは、前記第2の送信機及び前記第2の受信機を所与の時点で前記第2の偏波スイッチに結合するように構成され、
前記コンバータは、
局部発振器(LO)信号に基づく第1の中間周波数(IF)信号を前記第1又は前記第2のトランシーバによって前記第1の偏波又は前記第2の偏波で送信されるように第1のRF信号にアップコンバートするアップコンバータと、
前記LO信号に基づいて前記第1又は前記第2のトランシーバから受け取られた前記第1の偏波又は前記第2の偏波での第2のRF信号を第2のIF信号にダウンコンバートするダウンコンバータと、
を含み、
前記電力結合器/分割器は、前記第1及び第2のトランシーバのそれぞれの間で交換されるRF信号の結合及び分割を行うように構成される、
ことを特徴とするRFフロントエンドデバイス。
【請求項2】
前記第1のトランシーバは、前記第1の送信機及び前記第1の受信機に結合された第3の送信/受信スイッチをさらに含み、該第3の送信/受信スイッチは、前記第1の送信機又は前記第1の受信機に関連する信号を前記コンバータが処理するように、前記第1の送信機又は前記第1の受信機を所与の時点で前記コンバータに結合するように構成される、
請求項1に記載のRFフロントエンドデバイス。
【請求項3】
前記第1の送信/受信スイッチが、前記第1の偏波で配向された前記第1のアンテナ又は前記第2の偏波で配向された前記第1のアンテナに前記第1の偏波スイッチを介して前記第1の送信機を結合した時に、前記第3の送信/受信スイッチは、前記第1の送信機を前記コンバータに結合するように構成される、
請求項2に記載のRFフロントエンドデバイス。
【請求項4】
前記第1の送信/受信スイッチが、前記第1の偏波で配向された前記第1のアンテナ又は前記第2の偏波で配向された前記第1のアンテナに前記第1の偏波スイッチを介して前記第1の受信機を結合した時に、前記第3の送信/受信スイッチは、前記第1の受信機を前記コンバータに結合するように構成される、
請求項3に記載のRFフロントエンドデバイス。
【請求項5】
前記第2のトランシーバは、前記第2の送信機及び前記第2の受信機に結合された第4の送信/受信スイッチをさらに含み、該第4の送信/受信スイッチは、前記第2の送信機又は前記第2の受信機に関連する信号を前記コンバータが処理するように、前記第2の送信機又は前記第2の受信機を所与の時点で前記コンバータに結合するように構成される、
請求項2に記載のRFフロントエンドデバイス。
【請求項6】
前記第2の送信/受信スイッチが、前記第1の偏波で配向された前記第2のアンテナ又は前記第2の偏波で配向された前記第2のアンテナに前記第2の偏波スイッチを介して前記第2の送信機を結合した時に、前記第4の送信/受信スイッチは、前記第2の送信機を前記コンバータに結合するように構成される、
請求項5に記載のRFフロントエンドデバイス。
【請求項7】
前記第2の送信/受信スイッチが、前記第1の偏波で配向された前記第2のアンテナ又は前記第2の偏波で配向された前記第2のアンテナに前記第2の偏波スイッチを介して前記第2の受信機を結合した時に、前記第4の送信/受信スイッチは、前記第2の受信機を前記コンバータに結合するように構成される、
請求項6に記載のRFフロントエンドデバイス。
【請求項8】
前記コンバータは、前記電力結合器/分割器と、前記アップコンバータと、前記ダウンコンバータとの間に結合された第5の送信/受信スイッチをさらに含み、該第5の送信/受信スイッチは、前記アップコンバータ又は前記ダウンコンバータを所与の時点で前記電力結合器/分割器に結合するように構成される、
請求項5に記載のRFフロントエンドデバイス。
【請求項9】
前記第1の送信機又は前記第2の送信機がそれぞれ前記第3及び第4の送信/受信スイッチを介して前記電力結合器/分割器に結合された時に、前記第5の送信/受信スイッチは、前記アップコンバータを前記電力結合器/分割器に結合するように構成される、
請求項8に記載のRFフロントエンドデバイス。
【請求項10】
前記第1の受信機又は前記第2の受信機がそれぞれ前記第3及び第4の送信/受信スイッチを介して前記電力結合器/分割器に結合された時に、前記第5の送信/受信スイッチは、前記ダウンコンバータを前記電力結合器/分割器に結合するように構成される、
請求項9に記載のRFフロントエンドデバイス。
【請求項11】
ベースバンドプロセッサに結合されたIF入力及び出力(I/O)インターフェイスをさらに備え、前記コンバータは、前記IF I/Oインターフェイスと、前記アップコンバータと、前記ダウンコンバータとの間に結合された第6の送信/受信スイッチをさらに含む、
請求項8に記載のRFフロントエンドデバイス。
【請求項12】
前記第5の送信/受信スイッチが前記電力結合器/分割器に前記アップコンバータを結合した時に、前記第6の送信/受信スイッチは、前記アップコンバータを前記IF I/Oインターフェイスに結合するように構成される、
請求項11に記載のRFフロントエンドデバイス。
【請求項13】
前記第5の送信/受信スイッチが前記電力結合器/分割器に前記ダウンコンバータを結合した時に、前記第6の送信/受信スイッチは、前記ダウンコンバータを前記IF I/Oインターフェイスに結合するように構成される、
請求項12に記載のRFフロントエンドデバイス。
【請求項14】
前記電力結合器/分割器は、前記第1のRF信号を前記第1及び第2の送信機によって送信されるように第1のRF副信号の組に分割するように構成され、前記電力結合器/分割器は、前記第1及び第2の受信機から受け取られた第2のRF信号の組を前記第2のRF信号に合成するように構成される、
請求項1に記載のRFフロントエンドデバイス。
【請求項15】
前記第1及び第2のトランシーバは、前記電力結合器/分割器に結合された複数のトランシーバのうちの2つであり、前記複数のトランシーバの各々は、複数のRFチャネルのうちの1つに対応し、前記複数のトランシーバの各々は、前記第1の偏波及び前記第2の偏波に対応する特定のアンテナペアに関連する、
請求項1に記載のRFフロントエンドデバイス。
【国際調査報告】