(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-28
(54)【発明の名称】大型藻類を沖合で自由浮遊式で培養するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A01G 33/00 20060101AFI20220318BHJP
【FI】
A01G33/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546260
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(85)【翻訳文提出日】2021-10-06
(86)【国際出願番号】 IL2020050139
(87)【国際公開番号】W WO2020161711
(87)【国際公開日】2020-08-13
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501177609
【氏名又は名称】ラモット・アット・テル・アビブ・ユニバーシテイ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】RAMOT AT TEL AVIV UNIVERSITY LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴルバーグ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ケモダノフ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】リベルゾン,アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
2B026
【Fターム(参考)】
2B026AA05
2B026AB02
2B026AC03
2B026AF04
(57)【要約】
本発明は、水塊、より詳細には海/沖合で大型藻類を培養するための新規な装置、システム、および方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の塊内、好ましくは海/沖合で大型藻類を栽培/培養するための装置であって、
a)前記水の塊内に配置するための栽培/培養ケージ/リアクタであって、水、気体、および栄養素が、前記水の塊から前記栽培ケージ内に、およびその逆方向に、自由に流れることを可能にする透過性壁および底部を有する栽培/培養ケージ/リアクタと、
b)気体流出口を介して前記ケージの底部から気体を流すことにより、前記ケージ内の水を底部から上部に、ひいては前記ケージ内で栽培されている前記大型藻類を混合/攪拌/懸濁させるように設計された大型藻類懸濁・混合システムとを備え、
前記大型藻類を自由浮遊式で栽培するように設計されている装置。
【請求項2】
人工光源をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記栽培ケージ内で水交換するための水ポンプをさらに備える、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記栽培ケージにおける水交換および任意選択的に乱流増強するための少なくとも1つの外部エアリフトをさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
電源をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記栽培ケージ内の水温を測定するサーモスタットに関連付けられた加熱/冷却ユニットをさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記透過性壁が非選択的透過性壁である、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記透過性壁が、前記ケージへの光の透過をさらに可能にする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記栽培ケージが、非選択的透過性透明カバーをさらに有する閉鎖ケージである、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記透過性壁および底部が、メッシュであって、大型藻類が前記ケージから出ること、ならびに魚が前記ケージに侵入すること、および/または前記メッシュを介して前記大型藻類を食べることを防ぐように設計されたメッシュで作られている、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記懸濁・混合システムが、気体吹き込み機構と、前記ケージの前記底部に本質的に配置された気体導管とを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記ケージを、水面、または前記ケージ内の水の上面が依然として太陽光に曝される所望の深さで浮遊するように維持するための浮遊装置/機構をさらに備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記ケージ内の光量を測定し、(i)前記浮遊装置/機構を使用して、前記光量に応じて前記ケージの浮遊レベルを調整する、および/または(ii)存在する場合、人工光源を作動させるように設計された光センサをさらに備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
メモリと、プロセッサであって、前記大型藻類懸濁・混合システム、存在する場合、前
記浮遊機構、存在する場合、前記人工光源、存在する場合、前記水ポンプ、存在する場合、前記少なくとも1つの外部エアリフト、および/または、存在する場合、前記加熱/冷却ユニットのうちのいずれか1つを制御するように設計されたプロセッサとを備えるコンピュータシステムにさらに関連付けられた、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
水の塊内、好ましくは海/沖合で大型藻類を栽培するための装置であって、
a)前記水の塊内に配置するための栽培/培養ケージ/リアクタであって、水、気体、および栄養素が、前記水の塊から前記栽培ケージ内に、およびその逆方向に、自由に流れることを可能にする透過性壁および底部を有する栽培/培養ケージ/リアクタと、
b)気体流出口を介して前記ケージの底部から気体を流すことにより、前記ケージ内の水を底部から上部に、ひいては前記ケージ内で栽培されている大型藻類を混合/攪拌/懸濁させるように設計された大型藻類懸濁・混合システムと、
c)前記ケージを、水面、または前記ケージ内の水の上面が依然として太陽光に曝される所望の深さで浮遊するように維持するための浮遊装置/機構と、
d)前記栽培ケージ内の水交換および任意選択的に乱流増強するための少なくとも1つの外部エアリフトと、
e)前記栽培ケージ内の水交換のための水ポンプとを備え、
前記大型藻類を自由浮遊式で栽培するように設計されている装置。
【請求項16】
人工光源および任意選択的に光センサであって、前記ケージ内の光量を測定し、(i)前記浮遊装置/機構を使用して、前記光量に応じて前記ケージの浮遊レベルを調整する、および/または(ii)前記人工光源を作動させるように設計された人工光源および任意選択的に光センサと、
電源と、
前記栽培ケージ内の水温を測定するサーモスタットに関連付けられた加熱/冷却ユニットと、
メモリと、プロセッサであって、前記浮遊機構、存在する場合、前記人工光源、前記水ポンプ、前記少なくとも1つの外部エアリフト、および/または、存在する場合、前記加熱/冷却ユニットのうちのいずれか1つを制御するように設計されたプロセッサとを備えるコンピュータシステムとのうちの少なくとも1つをさらに備える請求項15に記載の装置。
【請求項17】
水の塊内、好ましくは海/沖合で大型藻類を栽培/培養する方法であって、
(i)前記水の塊内に、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置を配置するステップと、
(ii)大型藻類の接種材料を前記栽培/培養ケージ/貯水ケージに配置するステップと、
(iii)前記培養ケージ内の水を底部から上部に攪拌/懸濁させ、それにより前記ケージ内の水の異なる部分、ひいては前記ケージ内で栽培されている前記大型藻類を、周期的に太陽光に曝すための前記大型藻類懸濁・混合システムを作動させるステップであって、
(1)前記懸濁・混合システムによって、前記培養ケージ内に流れ込む気体の量、強度、および速度が、前記大型藻類の種類、密度、および成長段階に従って決定され、(2)前記攪拌は、前記培養ケージ内の前記大型藻類の所望の密度/量が達成されるまで連続的に行われるステップとを含む方法。
【請求項18】
前記大型藻類を収穫する最終ステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記装置が、前記水ポンプおよび/または前記少なくとも1つの外部エアリフトを備え
、前記方法が、前記培養ケージ内の水交換増強のために前記水ポンプおよび/または前記少なくとも1つの外部エアリフトを作動させ、その結果、前記ケージ内の栄養素レベルを上昇させるステップをさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
水を前記ケージに、任意選択的に前記水の塊の遠隔地から圧送することによって、前記培養ケージ内の水を能動的に交換するステップをさらに含む、請求項17から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
(i)前記培養ケージ内の水温を調整する、および/または前記培養ケージに到達する光の量を調整するステップをさらに含む、請求項17から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
装置を前記水の塊内に配置するステップ(i)が、前記装置を沖合に配置することを意味する、請求項17から21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海洋農業の分野に関する。より具体的には、本発明は、水塊、例えば、海/沖合などで大型藻類を培養するための装置および方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
農業は、食品、生化学物質、およびバイオ燃料用のバイオマスを生産するための主要な方法であるが、2020年の欧州におけるバイオリファイナリーに関する戦略的共同研究のためのロードマップは、「欧州におけるバイオマス生産のための重要な課題は土地の利用可能性である」ことを示している。したがって、エネルギー作物の培養のための耕作可能な土地が限られている国は、海洋大型藻類養殖を、バイオリファイナリーにおける下流処理のための持続可能な供給原料バイオマスを提供することができる有用な代替手段と見なす可能性がある(Jung他、2013年;Suganya他、2016年;Goh他、2010年;Ben Yahmed他、2016年)。例えば、開発途上国の農村地域用の大型藻類バイオリファイナリー設計の方法が開発されている(Golberg他、2012年および2014年)。それにもかかわらず、バイオマスの持続可能な生産は、大型藻類のバイオリファイナリーの分野における重要な課題として残っている(Skjermo他、2014年;Roesijadi他、2008年;Jiang他、2011年)。
【0003】
大型藻類の沖合での培養は、耕作可能な土地および乏しい淡水資源を使用せずに、バイオエネルギーおよびバイオ製品を生産するための持続可能な戦略の1つである(Lehahn他、2016;Fernand他、2016年)。沖合海洋バイオマス培養の概念には、コンブの養殖場、干潟の養殖場、浮遊式海藻培養設備(Bird、1987a年および1987b年)、環状培養システム(Buck他、2004年)、および最近では風力発電基地統合システム(Buck他、2017年)、および水中ロープ(Camus他、2016年)が含まれる。
【0004】
温度、光、混合、および栄養素の主要な培養パラメータが制御されたときに、陸上光バイオリアクタにより高いバイオマス収穫高を達成できたことに続いて(Zijffers他、2010年;Cuaresma他、2011年)、理論的に可能である沖合での集約的な培養方法が提案された(Golberg他、2015年;Hirayama他、2004年)。しかしながら、沖合で重要なパラメータを制御する集約的方法は、この分野では実証されていない。
【0005】
しかしながら、現在のシステムおよび装置は、以下のような厄介な欠点および短所を抱えている。すなわち、沖合で活性ガスまたは栄養素の交換ができないこと、沖合での培養のために全量の水を使用できないこと、動きにより着生植物を積極的に除去できないこと、全ての植物に均一に光が当たるわけではないため、光を十分に使用できないこと、である。
【発明の概要】
【0006】
したがって、既知のシステムおよび方法の問題を克服する、沖合での大型藻類の集約的培養のための方法、装置、およびシステムが必要とされている。
【0007】
第1の態様では、本発明は、海/沖合などの水の塊(水塊)内で大型藻類を栽培するための開放水域装置を提供し、前記装置は、(a)水/水塊内に配置するための栽培/培養ケージ/リアクタであって、水、気体、および栄養素が、水塊から栽培ケージ内に、およ
びその逆方向に、自由に流れることを可能にする透過性壁および底部を有する栽培/培養ケージ/リアクタと、(b)気体流出口を介してケージの底部から気体を流すことにより、ケージ内の水を底部から上部に、ひいてはケージ内で栽培されている大型藻類を混合/攪拌/懸濁させるように設計された大型藻類懸濁・混合システムとを備え、大型藻類を自由浮遊式で栽培するように設計されている。
【0008】
本発明の装置は、任意の数の方法で変更されてもよく、一体であってもなくても、本明細書で定義される追加の付加機器および補足機器を備えてもよい。そのような追加の付加機器は、例えば、電源、および/またはケージを、水面、もしくはケージ内の水の上面が依然として太陽光に曝される所望の深さで浮遊するように維持するための浮遊装置/機構を備えてもよい。したがって、上記の装置の構造的構成要素を備える任意のシステム、ならびに任意選択的に装置内にさらに備えられる1つ以上の他の構成要素も、本発明の一部と見なされるべきである。
【0009】
したがって、第2の態様では、本発明は、海/沖合などの水の塊内で大型藻類を栽培するためのシステムを提供し、前記システムは、(a)水/水塊内に配置するための栽培/培養ケージ/リアクタであって、水、気体、および栄養素が、水塊から栽培ケージ内に、およびその逆方向に、自由に流れることを可能にする透過性壁および底部を有する栽培/培養ケージ/リアクタと、(b)気体流出口を介してケージの底部から気体を流すことにより、ケージ内の水を底部から上部に、ひいてはケージ内で栽培されている大型藻類を混合/攪拌/懸濁させるように設計された大型藻類懸濁・混合システムと、(c)電源と、(d)ケージを、水面、またはケージ内の水の上面が依然として太陽光に曝される所望の深さで浮遊するように維持するための浮遊装置/機構とを備え、大型藻類を自由浮遊式で栽培するように設計されている。
【0010】
第3の態様では、本発明は、海/沖合などの水の塊内で大型藻類を栽培するための方法に関し、前記方法は、(i)水の塊内に上記で定義された装置を配置するステップと、(ii)大型藻類の接種材料を栽培/培養ケージ/貯水ケージ内に配置するステップと、(iii)培養ケージ内の水を底部から上部に攪拌/懸濁させ、それによりケージ内の水の異なる部分、ひいてはケージ内で栽培されている大型藻類を周期的に太陽光に曝すための大型藻類懸濁・混合システムを作動させるステップであって、(1)懸濁・混合システムによって、培養ケージに流れ込む気体の量、強度、および速度が、大型藻類の種類、密度、および成長段階に従って決定され、(2)攪拌は、培養ケージ内で大型藻類の所望の密度/量が達成されるまで連続的に行われるステップと、(iv)大型藻類を収穫するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本発明のいくつかの実施形態による培養リアクタの図であり、攪拌、混合、および水交換による集約を伴うリアクタの概略設計図である。
【
図1B】本発明のいくつかの実施形態による培養リアクタの図であり、集約的培養のための例示的なリアクタのが画像である。
【
図1C】本発明のいくつかの実施形態による培養リアクタの図であり、培養リアクタのための水交換増強のための外部エアリフトを示している。
【
図2A】外部エアリフトが使用された実際の培養リアクタの画像であり、例示的なリアクタを示している。
【
図2B】外部エアリフトが使用された実際の培養リアクタの画像であり、培養場所における藻類を含むリアクタの配備を示している。
【
図2C】外部エアリフトが使用された実際の培養リアクタの画像であり、天日乾燥したアオサ類バイオマスを示している。
【
図3A】粗放的培養のためのケージの図であり、ケージ(上下の角度)の画像である。
【
図3B】粗放的培養のためのケージの図であり、制御された条件下での陸上培養のための培養ボトル/コンテナの図であり、測定された葉状体の速度の軌跡を概略的に示している。
【
図4A】培養リアクタ内の照度を示すグラフまたはプロファイルであり、情報は15分ごとに連続的に記録された。
【
図4B】培養リアクタ内の温度を示すグラフまたはプロファイルであり、情報は15分ごとに連続的に記録された。
【
図5】曝気培養ケージおよび非曝気培養ケージ内における温度プロファイルを示すグラフである(2017年6~7月)。
【
図6A】本発明による培養リアクタにおける藻類の一日の成長率を示すグラフであり、海における集約的および粗放的な培養システムにおけるアオサ類の成長を示している(n=3)。
【
図6B】本発明による培養リアクタにおける藻類の一日の成長率を示すグラフであり、最小、最大、および平均測定値を示している。
【
図6C】本発明による培養リアクタにおける藻類の一日の成長率を示すグラフであり、成長生産性を示している。
【
図6D】本発明による培養リアクタにおける藻類の一日の成長率を示すグラフであり、最小、最大、および平均測定値を示している。
【
図7】内陸において制御された状態で、空気による攪拌および混合ありおよびなしで、1.5L培養ボトルで培養されたアオサ類バイオマスのDGRを示すグラフであり、海水および過剰な栄養素を毎日交換した。
【
図8A】2つの培養ケージ(一方は集約的培養であり、他方は粗放的培養である(2017年5月))から収穫されたバイオマスの酸加水分解物中の単糖含有量を示すグラフであり、単糖の濃度を示している。集約的培養についてはn=6、粗放的培養についてはn=10である。単糖は、Gal-ガラクトース、Glu-グルコース、GluA-グルクロン酸、SA-他の糖酸、Rha-ラムノース、Xyl-キシロース、Fru-フルクトース、およびUA-ウロン酸である。
【
図8B】2つの培養ケージ(一方は集約的培養であり、他方は粗放的培養である(2017年5月))から収穫されたバイオマスの酸加水分解物中の単糖含有量を示すグラフであり、2つの培養方法間の含有量の比較のためのp値(スチューデント-t)を示している。集約的培養についてはn=6、粗放的培養についてはn=10である。単糖は、Gal-ガラクトース、Glu-グルコース、GluA-グルクロン酸、SA-他の糖酸、Rha-ラムノース、Xyl-キシロース、Fru-フルクトース、およびUA-ウロン酸である。
【
図9A】集約的培養または粗放的培養(2017年5月)である培養ケージから収穫されたバイオマス間の単糖含有量の比較を示すグラフである。単糖は、Gal-ガラクトース、Glu-グルコース、GluA-グルクロン酸、SA-他の糖酸、Rha-ラムノース、Xyl-キシロース、Fru-フルクトース、UA-ウロン酸である。
【
図9B】集約的培養または粗放的培養(2017年5月)である培養ケージから収穫されたバイオマス間の単糖含有量の比較を示すグラフである。単糖は、Gal-ガラクトース、Glu-グルコース、GluA-グルクロン酸、SA-他の糖酸、Rha-ラムノース、Xyl-キシロース、Fru-フルクトース、UA-ウロン酸である。
【
図9C】集約的培養または粗放的培養(2017年5月)である培養ケージから収穫されたバイオマス間の単糖含有量の比較を示すグラフである。単糖は、Gal-ガラクトース、Glu-グルコース、GluA-グルクロン酸、SA-他の糖酸、Rha-ラムノース、Xyl-キシロース、Fru-フルクトース、UA-ウロン酸である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
人口の増加により、食料を栽培し、エネルギーを生産するための新しい改善された方法
を見つける必要に迫られている。しかし、耕作可能な土地は少なく、減少している。1つの解決策は、大型藻類の沖合での栽培であるが、それ自体が問題および困難を有する。本発明は、効率的で費用効果の高い沖合での大型藻類培養のための新規な装置、システム、および方法を提供する。
【0013】
流れていない水の中での培養は、成長および生産性の低下、ならびに成長した植物の急速な腐敗をもたらすことが知られている。したがって、成長および収穫高を増加させ、成長した植物の望ましくない死を防ぐために、培養タンク内の水は絶えず混合され、好ましくは時々交換される必要がある。空気などによる水の攪拌は、培養リアクタ内の水および浮遊する藻類の運動を引き起こし、それによって遮光による限界をさらに減少させ、光および利用可能な溶解栄養素への曝露を増加させ、それによって光合成および生産性を高める。空気による攪拌はまた、競合的な大型藻類を食べる生物および珪藻類などの着生植物の発生を防止しうる。
【0014】
本明細書および以下の実施例は、アオサ類の大型藻類の栽培を明示的に示しているが、本発明の装置および方法は、任意の種類の藻類および大型藻類の栽培に適していることに留意すべきである。
【0015】
特に、自然では、アオサ類は主に硬質基材に付着して成長する。しかしながら、水柱内で浮遊した状態で成長することも分かっている。したがって、藻類バイオマスの自由浮遊式培養は、広い栽培面積の代わりに、培養のために水塊を使用することを可能にし、それによって培養に必要な面積を減らすことができる。本明細書で使用される「培養」という用語は、沖合での培養を含む、大型藻類を栽培するためのあらゆるタイプの水耕農業を指す。
【0016】
したがって、第1の態様では、本発明は、水の塊(水塊)内、好ましくは海/沖合で大型藻類を栽培するための開放水域装置を提供し、前記装置は、(a)水中に配置するための栽培/培養ケージ/リアクタであって、水、気体、および栄養素が、水塊から栽培ケージ内に、およびその逆方向に、自由に流れることを可能にする透過性壁および底部を有する栽培/培養ケージ/リアクタと、(b)気体流出口を介してケージの底部から気体を流すことにより、ケージ内の水を底部から上部に、ひいてはケージ内で栽培されている大型藻類を混合/攪拌/懸濁させるように設計された大型藻類懸濁・混合システムとを備え、大型藻類を自由浮遊式で栽培するように設計されている。
【0017】
特定の実施形態では、本明細書に開示される開放水域装置は、(a)水中に配置するための栽培ケージであって、水、気体、および栄養素が、ケージの近くの水の塊内に流れ込む任意の廃水流または他の流れを含むケージを取り囲む水から、栽培ケージ内に、およびその逆方向に、自由に流れることを可能にする透過性壁および底部を有する栽培ケージと、(b)気体流出口(すなわち、内部エアリフト)を介してケージの底部から空気や酸素などの気体を流すことによって、ケージ内の水を底部から上部に、ひいてはケージ内で栽培されている大型藻類を攪拌/懸濁させるように設計された懸濁システムであって、(1)栽培ケージ内の水の異なる部分、ひいてはケージ内で栽培されている大型藻類を周期的に太陽光に曝すこと、(2)任意選択的に、ケージ内の水を曝気すること、(3)水塊から栽培ケージ内に、およびその逆方向に、水流を発生させることを可能にする懸濁システムと、(c)任意選択的に、培養ケージを、水面、またはケージ内の水の上面が依然として太陽光に曝される所望の深さで浮遊するように維持するための浮遊装置/機構とを備え、大型藻類を自由浮遊式で栽培するように設計されている。
【0018】
好ましい実施形態では、本発明の装置は、例えば、外海により提供される本物の海水および天然栄養素および曝気を使用することによって、栽培コストおよび複雑さを低減する
ために、外海または沖合で大型藻類を栽培/培養することを目的とする。しかし、この装置は、自然および人工の湖および河川、人工タンク、ならびに貯水場を含む任意の海洋環境で、大型藻類を栽培/培養するために使用することができる。
【0019】
本明細書で使用される「自由に流れる水」という用語は、指定された栽培場所に従って理解されるべきであり、したがって、海水、淡水、工場または石油掘削用施設などからの廃水、工業用水、または使用済み水を指しうる。
【0020】
本明細書で使用される「自由浮遊式」という用語は、大型藻類が浮遊状態で、すなわち静止した非可動の基部に固定されていない状態で、栽培ケージ内で成長することを意味する。さらに、この用語は、大型藻類が、カプセル、例えば、ゼラチンカプセルまたはプラスチックバブルなどの浮遊基材に付着している間にケージ内で成長する可能性も含む。このような構成は、大型藻類が密着するプラットフォームを提供する一方で、浮遊状態で大型藻類を栽培することを可能にする。
【0021】
本明細書で互換的に使用される「水面」および「水の上面」という用語は、水の塊の上面を指し、本発明の装置のケージが本質的に最上水位に位置する/浮遊することを説明することを意図している。特定の実施形態では、水の塊が海または海洋である場合、水面は海水面である。
【0022】
本発明の装置の栽培ケージは、上記の実施形態のいずれか1つによれば、所望の形状、例えば、箱形、U字形、円柱形などであってもよく、必要性や大型藻類の種類、および農業従事者の快適性に応じて、任意のサイズであってもよい。例えば、栽培ケージの体積は、1~10,000、50,000、100,000、250,000、500,000、または1,000,000リットルまで変化しうる。栽培ケージが大きいほど、ケージ内で栽培している大型藻類の効率的な乱流/懸濁を維持するために、より多くの気体出口が必要であることに留意されたい。同様に、使用される場合、より多くの水ポンプ、外部エアリフト、およびより大きな加熱/冷却ユニットが必要とされる。
【0023】
栽培ケージの多くの可能な構成および形状のために、培養ケージの「壁」と「底部」との間の境界は曖昧であるか、または全くない場合があり、すなわち、ケージの底部および壁は単一のユニットを構成する場合があることにさらに留意されたい。また、ケージが円柱形を有する場合、ケージの「壁」、「底部」、および「上部」の区別がないかもしれない。
【0024】
光は、大型藻類の栽培に不可欠な要素である。したがって、栽培ケージ内の全ての大型藻類が十分な量の光、例えば、太陽光に、毎日十分な時間曝されることを確実にすることが不可欠である。水は必ずしも光を遮断しないので、透明/光透過性壁を有する栽培ケージを使用し、光がケージの上面からだけでなく、壁を透過して大型藻類を照らすことができるようにすることが有益でありうる。したがって、上記の実施形態のいずれかの装置の特定の実施形態では、栽培ケージへの光の透過を可能にするために、栽培ケージの透過性壁は透明/光透過性である。本明細書で使用される「透明」および「光透過性」という用語は、必要に応じて任意の波長または所望の波長で光を通過させる物体の能力を互換的に指す。例えば、透明壁は、紫外線、または光合成に最適な約400nm~約700nmの波長の光のみの通過を可能にするように設計されてもよい。
【0025】
浮遊装置/機構は、光の条件およびケージ内の大型藻類に到達する光の量、水温、海の状態(海が波打っている場合、損傷の可能性を防ぐためにケージの深さを深くすることが賢明となりうる)、水の粘度および透明度(水がより透明であるとき、ケージは、依然として十分な量の太陽光を受けながら、より深く配置することができる)、大型藻類の量、
種類、および成長段階などの様々な条件に応じて、必要に応じて培養ケージを所望の深さに配置するために使用することができる。
【0026】
本発明の装置の特定の実施形態では、透過性壁は非選択的透過性壁である。あるいは、透過性壁は選択的であり、すなわち、特定の塩、栄養素、または大型藻類に有害または損傷を与えると考えられる任意の他の物質の通過を制限するように設計される。
【0027】
上記で説明したように、栽培されている大型藻類を絶えず光に曝し、水を曝気し、ケージ内の栄養素を均一にするために、培養ケージ内で水を混合することが望ましい。これは、ケージに出入りする水の自由な流れによって部分的に達成される。しかしながら、これを一定にし、均一な混合を得るために、大型藻類懸濁・混合システムが使用される。それにもかかわらず、特定の条件下では、例えば、ケージ内の大型藻類の量が一定のレベルを超えて増加したとき、栄養素のレベルが低下したとき、またはケージ内の温度が特定の値まで上昇したとき、混合を増加させる必要がありうる。これは、水ポンプおよび/またはエアリフトなどの任意の適切な手段によって行うことができる。さらに、特定のシナリオでは、例えば、ケージ内の大型藻類の密度が高いこと、周囲の水の中の栄養素の含有量の不足、または水流の不足により、栽培ケージからの廃棄物の間隔、ならびにケージの壁を通る水の自由な流れによる、栽培ケージ内への栄養素および酸素やCO2などの気体の導入が不十分であることがありうる。このように、例えば、圧送によって周囲からケージ内に淡水を導入することによって、栽培ケージに入り込み、積極的に水を交換することが必要な場合がある。したがって、特定の実施形態では、上記の実施形態のいずれかの装置は、例えば、ケージの外側から、任意選択的に遠隔地、例えば、ケージから数メートル離れた場所から、栽培ケージ内の水を淡水と交換するための水ポンプをさらに備える。
【0028】
上述したように、ケージの壁は透水性であり、ケージの外側から内側、およびその逆方向の自由な水の流れを可能にする。しかしながら、上述したように、特定の条件下では、そのような水流は十分ではない可能性があり、例えば、より多くの栄養素および廃棄物の除去および/または温度調整を必要とするケージ内の大量の大型藻類、ケージ内のより迅速な水交換の必要性を高める含水量などに起因して、水の循環/置換を増加させる必要がある。
【0029】
したがって、特定の実施形態では、上記の実施形態のいずれかの装置は、ケージの外側からの淡水との水交換と、任意選択的に栽培ケージ内における乱流増強とのための少なくとも1つの外部エアリフトをさらに備える。そのような外部エアリフトは、栽培ケージの外部に、例えば、その底部に配置された気体ポンプおよび気体流出口を備えてもよい。外部エアリフトは、(a)ケージ内の水の富栄養化、(b)ケージからの廃棄物の除去、(c)任意選択的に、ケージ内の水の攪拌などの様々な条件を改善することを可能にする。
【0030】
上記のように、特定の条件下では、ケージ内の水循環を増加させる必要がありうる。エアリフトは、それを達成する1つの選択肢である。エアリフトの利点の1つは、より低い位置の水塊から水を持ってくるように設計することができ、それにより、より低温でより栄養豊富な水を下方から送達することができ、ケージ内の温度制御と栄養レベルの両方を補助できることである。特に、エアリフトからの水の流れは、ケージ内の大型藻類の攪拌および混合をさらに補助することができ、空気を用いる大型藻類の懸濁および混合システムと組み合わせた場合に、相乗効果を有することができる。
【0031】
本明細書に記載の本発明の装置は、その操作、大型藻類の成長、バイオマス生産、および栽培したバイオマスの含有量を改善するために、様々な方法で変更されうる。例えば、装置は、太陽からの光が不十分である場合に大型藻類に光を照射するための、または殺菌のために紫外線を照射するための人工光源をさらに備えてもよい。これはまた、所望の波
長の光を照射して、大型藻類の成長を改善し、および/または細菌もしくはウイルスを除去するために使用されうる。
【0032】
特定の実施形態では、本発明の装置は、人工光源をさらに備える。上述したように、人工光源の目的は、大型藻類の栽培/培養を最大化し、気象(曇り、雨など)への依存を低減するために、太陽光に加えて代替的または補助的な光源を提供することである。そのような人工光源の別の使用目的は、栽培した大型藻類内の特定のタンパク質もしくは他の生成物の生産を増強するため、または衛生、すなわちウイルスもしくは細菌を死滅させるため、またはそれらの繁殖を阻害するためなどの特定の目的のために特定の波長を提供することである。特定の実施形態では、人工光源をケージの内部に配置して、ケージ内で栽培する大型藻類への光の照射を可能にする。代替的または補足的な実施形態では、人工光源はケージの外部に配置される。人工光源は、ケージの底部、側壁、および/または上部、またはそれらの任意の組み合わせに配置されてもよい。
【0033】
栽培ケージでの大型藻類の栽培は、ケージの総重量を経時的に増加させうる。これは、栽培過程の開始時にある深さで浮遊しうるケージが、大型藻類が成長し、その質量が増加するにつれて沈む可能性があることを意味する。したがって、栽培ケージの浮遊状態を期間中に調整する必要がありうる。これは、培養ケージに浮遊ユニット(例えば、ブイ)を追加することによって、またはケージに接続された浮遊バルーンを膨張させることによって行うことができる。あるいは、ケージは、ケージの高さ/深さを一定に維持する固定されたフレームに接続されてもよい。大型藻類を収穫する場合またはそれを希釈する場合、逆の問題が生じうる。
【0034】
したがって、特定の実施形態では、本明細書の実施形態のいずれか1つの装置は、栽培ケージを、水面の高さ、またはケージ内の水の上面が依然として太陽光に曝される所望の深さに維持するように設計された浮遊装置/機構を備える。浮遊装置は、ケージの浮遊の高さ/深さを調整するために、気体を充填または放出することができる膨張式容器を備えてもよいことに留意されたい。あるいは、ケージは、ケージの浮遊の高さ/深さを制御するために、(潜水艦のように)水を充填または放出することができるタンクを備えてもよい。特に、ケージの浮遊は、必要に応じて、および/または本発明の装置に関連する様々な一体型または外部センサから受信したデータに従って、手動および/または自動で制御されてもよい。浮遊装置/機構は、ケージの一体部分、または付加機器、またはケージが取り付けられる完全に別個のユニットであってもよい。
【0035】
特定の実施形態では、本明細書の実施形態のいずれかによる装置は、ケージ内の光量を測定し、(i)浮遊装置/機構を使用して、光量に応じてケージの浮遊の高さ/深さを調整する、および/または(ii)存在する場合、人工光源を作動させるように設計された光センサをさらに備える。そのような浮遊機構は、装置の一体部分であってもよく、例えば、ケージの壁、底部、または上部のフレームおよび/または一部を構成することに留意されたい。特に、装置がそのような浮遊機構を含まない場合、装置は、ケージを所望の位置および深さに維持するように設計されたそのような機構または外部フレーム/ロープ/重りに接続されてもよい。
【0036】
本明細書の実施形態のいずれかの装置の別の変形例は、栽培ケージ内の温度を測定するサーモスタットに関連する加熱/冷却ユニットの使用である。そのような加熱/冷却ユニットは、栽培ケージ内の水温を制御し、それを最適またはほぼ最適な栽培温度に調整するのを補助することができる。特定の実施形態では、加熱/冷却ユニットは、例えば、周囲の水を栽培ケージに圧送して、ケージ内の現在の水の温度を変更、すなわち低下または上昇させることによって、栽培ケージ内の水を加熱または冷却するために外部の水を使用する。そのような外部の水は、栽培ケージに対して離れた場所から、例えば、ケージの数メ
ートル下から(通常はより冷たい水である)、または近くの流れ(流れの種類に応じてより冷たいまたはより温かい水を有しうる)から圧送することができる。したがって、特定の実施形態では、本明細書の実施形態のいずれか1つの装置は、栽培ケージ内の水温を測定するサーモスタットに関連付けられた加熱/冷却ユニットをさらに備える。
【0037】
上記で説明したように、培養ケージ/リアクタ内の水温調整は、大型藻類および/またはその中の特定の成分の最適な栽培条件を促進するのを助ける。それはまた、例えば、細菌/ウイルスの繁殖および増殖を阻害する温度を維持することによって、感染症を低減するのに役立ちうる。特に、ケージ内の水温は、周囲の水の温度、水流、太陽光、ケージ内の大型藻類の量、および任意のエアリフトまたは水ポンプの動作などに依存する。それにもかかわらず、加熱/冷却ユニットの存在は、培養ケージ/リアクタ内の水温の制御にさらに役立つことができる。特定の実施形態では、人工光源は加熱ユニットとしても機能しうる。
【0038】
さらに別の可能な変形例は、異なるポンプ、懸濁・混合システム、人工光源、および加熱/冷却ユニットなどの装置の異なる構成要素に電力を供給するための内部電源/電力供給装置の使用である。そのような電源/電力供給装置は、充電式電池および/またはソーラーパネルであってもよい。したがって、特定の実施形態では、本明細書の実施形態のいずれか1つの装置は、電源をさらに備える。電源は、外部電源を供給する、および/または電池を交換する必要なく、装置を自律させることを可能にするために、太陽光または水などを用いる充電式電源であってもよい。
【0039】
特定の実施形態では、例えば、波または流れによる、ケージからの大型藻類の意図しない漏出を防止するため、および/または大型藻類およびその成長を損傷する可能性のある、例えば、魚類および鳥類または他の汚染物質のケージへの意図しない侵入を防止するために、培養ケージを閉鎖したままにすることが望ましい。したがって、栽培ケージは、必要に応じて取り外し/開放することができる蓋またはカバーを装備してもよい。したがって、本明細書の実施形態のいずれかの装置の特定の実施形態では、栽培ケージは、非選択的透過性および透明(光透過性)カバー/蓋をさらに有する閉鎖ケージである。
【0040】
栽培ケージは、常設の上部/「屋根」部分を有する閉鎖ケージであってもよい。この上部部分は、非選択的透過性および透明であってもよい。特定の実施形態では、ケージは、壁または底部の1つ(または複数)に開口部を含み(または開閉可能な上部を通して)、それを通して大型藻類は、栽培のためにケージに挿入され、最終的に、例えば、収穫のために必要に応じて取り出される。
【0041】
特定の実施形態では、栽培ケージの透過性壁、底部、および任意選択のカバーは、大型藻類がケージから出ること、および魚がケージに侵入すること、および/またはメッシュを介して大型藻類を食べることを防ぐように設計された(高密度)メッシュで作られる。特定の実施形態では、栽培ケージの透過性壁、底部、および任意選択のカバーは、非選択的透過性壁である。
【0042】
本発明の装置は、外海、人工海水貯水場/貯水槽、廃水貯水場/貯水槽、淡水の貯水場、河川、工業用水などの任意の水環境で大型藻類を栽培するために使用することができる。したがって、ケージの透過性壁は、海水、淡水、廃水、または使用済み水などの任意の種類の水の通過および自由な流れを可能にする。特定の実施形態では、培養ケージの透過性壁は、ケージへの光の透過をさらに可能にする。
【0043】
本明細書で使用される「水の塊」および「水塊」という用語は、海洋、海および湖のような大きな自然のもの、ならびに貯水場および沼のようなより小さなものなど、水の有意
な蓄積を互換的に指す。水の塊は、静止しているかまたは収容されている必要はなく、川、流れ、水路、および水がある場所から別の場所に移動する他の地理的特徴を含みうる。水の塊には、海水、淡水、廃水の人工貯水場、および工業用水の貯水槽などの人工的な水の蓄積、ならびに人工的な湖、川、および流れも含まれる。
【0044】
上述のように、本発明の装置は、ケージ内で水を混合し、続いてケージ内で栽培されている大型藻類を混合するように設計された一体型の懸濁・混合システムを備え、それにより全ての大型藻類の(太陽)光への曝露を可能にし、培養ケージ内の栄養素の均一性を維持する。この懸濁・混合システムは、例えば、栽培ケージの底部の気体流出口を介して、ケージの底部から気体(例えば、空気、酸素など)を流すことに基づく。気体を流すための実際の機構は、本発明の装置の一部ではなく外部機構であってもよく、または本発明の装置の一体部分であってもよい。したがって、本明細書の実施形態のいずれかの装置の特定の実施形態では、懸濁・混合システムは、本質的にケージの底部に配置された気体吹き込み機構および気体導管を備える。
【0045】
本明細書で使用される「気体」または「空気」という用語は、空気、酸素、窒素などの任意の気体状物質を互換的に指す。気体吹き込み機構の非限定的な例には、空気ポンプ、圧縮機、または気体を排出する圧縮気体容器さえ含まれる。気体導管の配置は、ケージの形状およびサイズに応じて決定され、ケージ内の水および微細藻類の最適な攪拌および混合を可能にすることに留意されたい。例えば、装置は、ケージの底部の中央に配置された単一の導管を備えてもよい(
図1Aに示す)。あるいは、2本の平行な導管が、ケージの底部で均等に離間されてもよい。導管は、混合を改善するためにケージの底部に直接配置されてもよく、または上方に配置されてもよい。各気体導管は、一列の空気孔または平行な二列の空気孔を有してもよく、均一な混合を容易にする2本の空気流を発生させる。特定の実施形態では、ケージのフレームは空気導管を構成する。
【0046】
上記の実施形態のいずれかの装置に対する全ての変更および追加は、装置に装着され/取り付けられ/接続され/関連付けられるか、またはその一体部分として設計される付加機器として設計されてもよい。
【0047】
栽培ケージに流れ込む気体の流速および量は、光の強度、水の濁度、栽培ケージ内の大型藻類の量/密度、ケージ内の水の中の栄養素および気体含有量、大型藻類の成長段階などの様々なパラメータに従って、手動および/または自動で制御することができる。例えば、大型藻類の密度が増加し、および/または光の強度が減少すると、ケージ内の水の乱流を増加させるために、流れ込む気体の量が増加する。そのようなパラメータは、本発明の装置に関連する一体型または外部型センサを使用して測定してもよく、例えば、装置の一体部分でありうるコンピュータシステムによって制御してもよい。したがって、特定の実施形態では、本明細書の実施形態のいずれかの装置は、メモリおよびプロセッサを備えるコンピュータシステムをさらに含む。そのようなコンピュータシステムは、存在する場合、例えば、光センサ、温度センサおよびサーモスタット、重量センサ、または任意の他の測定装置/センサから受信したデータに基づいて、例えば、浮遊機構、人工光源、水ポンプ、外部エアリフト、および/または加熱/冷却ユニットなどの、装置内のおよび/またはそれに関連する様々なシステムおよびユニットのいずれか1つを制御するように設計されている。
【0048】
特定の実施形態では、上記の実施形態のいずれかの装置は、メモリと、プロセッサであって、大型藻類懸濁・混合システム、浮上機構、人工光源、水ポンプ、外部エアリフト、および/または加熱/冷却ユニットのうちのいずれか1つを制御するように設計されたプロセッサとを備えるコンピュータシステムをさらに備えるか、またはそれに関連付けられる。コンピュータシステムは、装置の一体部分であってもよく、またはケーブルを介して
直接、または無線通信を介して遠隔的に、それに関連付けられてもよい。特定の実施形態では、コンピュータシステムのいくつかの構成要素は装置内に統合され、他の構成要素は遠隔に配置され、装置内の構成要素に有線または無線で関連付けられる。
【0049】
特定の実施形態では、本発明は、海/沖合で大型藻類を栽培するための開放水域装置を提供し、前記装置は、(a)海水中に配置するための栽培/培養ケージ/リアクタであって、海水、気体、および栄養素が、海から栽培ケージ内に、およびその逆方向に、自由に流れることを可能にする透過性壁および底部を有する栽培/培養ケージ/リアクタと、(b)気体流出口を介してケージの底部から気体を流すことにより、ケージ内の海水を底部から上部に、ひいてはケージ内で栽培されている大型藻類を混合/攪拌/懸濁させるように設計された大型藻類懸濁・混合システムと、(c)ケージを、海水面、またはケージ内の海水の上面が依然として太陽光に曝される所望の深さで浮遊するように維持するための浮遊装置/機構と、(d)栽培ケージ内の海水交換および任意選択的に乱流増強するための少なくとも1つの外部エアリフトと、(e)栽培ケージにおける海水交換のための水ポンプとを備え、大型藻類を自由浮遊式で栽培するように設計されている。
【0050】
さらなる特定の実施形態では、上記の装置は、(a)ケージ内の光量を測定するように設計され、(i)浮遊装置/機構を使用して、光量に応じてケージの浮遊高さ/深さを調整する、および/または(ii)存在する場合、人工光源を作動させる一体型人工光源および任意選択的に光センサと、(b)電源と、(c)栽培ケージ内の水温を測定するサーモスタットに関連付けられた加熱/冷却ユニットと、(d)メモリと、プロセッサであって、浮遊機構、人工光源、水ポンプ、外部エアリフト、および/または加熱/冷却ユニットのうちのいずれか1つを制御するように設計されたプロセッサとを備えるコンピュータシステムとのうちの少なくとも1つをさらに備える。
【0051】
本発明はさらに、海/沖合などの水の塊内で大型藻類を栽培するための開放水域システムを提供し、前記システムは、(a)水の中に配置するための栽培/培養ケージ/リアクタであって、水、気体、および栄養素が、水塊から栽培ケージ内に、およびその逆方向に、自由に流れることを可能にする透過性壁および底部を有する栽培/培養ケージ/リアクタと、気体流出口を介してケージの底部から気体を流すことによって、ケージ内の水を底部から上部に、ひいてはケージ内で栽培されている大型藻類を混合/攪拌/懸濁させるように設計された大型藻類懸濁・混合システムとを備える本明細書中の実施形態のいずれかによる装置と、(b)電源と、(c)ケージを、水の上面、またはケージ内の水の上面が依然として太陽光に曝される所望の深さで浮遊するように維持するための浮遊装置/機構とを備え、大型藻類を自由浮遊式で栽培するように設計されている。
【0052】
特定の実施形態では、上記のシステムは、一体型人工光源と、光センサであって、ケージ内の光量を測定し、(i)浮遊装置/機構を使用して、光量に応じてケージの浮遊レベルを調整する、および/または(ii)存在する場合、人工光源を作動させるように設計された光センサとのうちの少なくとも1つをさらに備える。
【0053】
さらなる特定の実施形態では、上記のシステムは、(a)栽培ケージ(ケージの外側からの淡水を備える)内で水交換するための水ポンプと、(b)栽培ケージ内での水交換(ケージの外側からの淡水との)、および任意選択的に乱流増強するための少なくとも1つの外部エアリフトとのうちの少なくとも1つをさらに備える。
【0054】
またさらなる特定の実施形態では、上記のシステムは、栽培ケージ内の水温を測定するサーモスタットに関連付けられた加熱/冷却ユニットをさらに備える。
【0055】
特定の実施形態では、上記の実施形態のいずれかによるシステムは、メモリと、プロセ
ッサであって、浮遊機構、光源、水ポンプ、外部エアリフト、および/または、例えば、光センサ、温度センサおよびサーモスタット、重量センサ、または任意の他の測定装置/センサから受信したデータに基づく加熱/冷却ユニットのうちのいずれか1つを制御するように設計されたプロセッサとを備えるコンピュータシステムをさらに備える。
【0056】
本発明は、上記の実施形態のいずれかの装置またはシステムを使用して、海/沖合などの水の塊(水塊)内で大型藻類を栽培する方法をさらに提供し、前記方法は、(i)上記の実施形態のいずれか1つによる培養装置を水塊内に配置するステップと、(ii)大型藻類の接種材料を栽培/培養ケージ/リザーバケージに配置するステップと、(iii)培養ケージ内の水を底部から上部に攪拌/懸濁させ、それによってケージ内の水の異なる部分、ひいてはケージ内で栽培されている大型藻類を周期的に太陽光に曝すための大型藻類懸濁・混合システムを作動するステップであって、(1)懸濁・混合システムによって、培養ケージに流れ込む気体の量、強度、および速度が、例えば、大型藻類の種類、密度、および成長段階、水の粘度および透明度、ならびにケージ内の水の中の栄養素と酸素の量、またはそれらの任意の組み合わせに従って決定され、(2)培養ケージ内の大型藻類の所望の密度/量が達成されるまで、攪拌が連続的に行われるステップと、(iv)任意選択的に、大型藻類を収穫するステップとを含む。
【0057】
大型藻類を収穫する最終ステップは必要に応じて行われることに留意すべきである。収穫は、栽培ケージ内のバイオマス全体、または成長し続けてより多くのバイオマスを生成するのに十分な大型藻類を残したその一部でありうる。
【0058】
上記の方法の特定の実施形態では、培養装置は、水ポンプおよび/または少なくとも1つの外部エアリフトをさらに備え、方法は、栽培ケージ内の水交換増強のために水ポンプおよび/または少なくとも1つの外部エアリフトを作動させ、その結果、ケージ内の栄養素レベルを上昇させ、任意選択的にケージ内から廃棄物を除去するステップをさらに含む。このような外部エアリフトは、ケージ内の水の攪拌を補助してもよい。
【0059】
さらなる特定の実施形態では、上記の方法は、任意選択的に、例えば、ケージから数メートル離れた水塊などの遠隔地から、栽培ケージ内に水を圧送することによって、(必要に応じて)栽培ケージ内の水、栄養素、および/または廃棄物を能動的に交換するステップをさらに含む。そのような水交換は、ケージ内の気体および栄養素の濃度を増加させ、ケージ内の廃棄物の濃度を減少させることができる。これはまた、ケージ内の水の温度制御を補助することができる。
【0060】
さらなる特定の実施形態では、上記の方法は、(i)培養ケージ内の水温を、例えば、水塊の遠隔/深い場所からケージ内に水を圧送すること、および/または加熱/冷却システムを作動させることによって調整する、および/または、例えば、ケージに関連付けられた人工光源を作動させること、培養ケージの高さ/深さを制御すること、および/またはケージ内の水と大型藻類との混合速度を制御することによって、培養ケージに到達する光の量を調整するステップをさらに含む。
【実施例】
【0061】
本発明の実現可能性を証明するための予備実験では、本出願人は、イスラエルのテルアビブの浅瀬に配備された約2m3のケージを使用し、空気およびより深い水の層からエアリフトポンプによって供給される水とバイオマスを攪拌および混合した。選択された大型藻類は、緑藻類であるアオサ類であった。アオサ類は、(i)イスラエル海岸では一般的であり、(ii)高いバイオマス生産性を示し、(iii)タンパク質およびデンプンを生産することが知られており、(iv)いくつかの種類のアオサ類は、バイオマス発酵により、アセトン、エタノール、ブタノール、およびポリヒドロキシアルカノエートになる
ことが実証されているためである。
【0062】
材料および方法
培養場所
アオサ類の培養場所は、イスラエルのテルアビブ(北緯32°07’00’’、東経34°49’00’’)の発電所の近くの浅い沿岸地域に位置した。この場所では、バイオマスの培養場所の状態を連続的に監視することが可能であった。
【0063】
大型藻類バイオマスの接種材料
本研究で使用したモデル海藻は、アオサ属に属する。これは、イスラエルの地中海の海岸内にある潮間帯および浅瀬に見られる世界的に分布する緑色海洋性大型藻類である。本研究で使用したアオサ類の正確な分類学的状態は、2つの形態学的および遺伝的に類似したタイプ、すなわちUlva rigidaとUlva fasciataの混合を示唆している(Krupnik他、2018年)。試験片は、流れている海水、空気による攪拌、および1mMのNH4Clと0.1mMのNaH2PO4の毎週の添加を供給された40Lのガラス繊維槽内で、イスラエルのハイファにあるイスラエル海洋学・陸水学研究所(IOLR:Israel Oceanographic&Limnological
Research)の屋外海藻収集所で培養された在庫から採取した。各栄養素を添加し、水交換を24時間停止して、栄養素取り込みを可能にした。
【0064】
攪拌、空気混合、および水交換を行うケージでの沖合培養
アオサ類バイオマスの成長促進における攪拌、空気混合、および外部水交換の可能性を試験するために、一定の曝気のために底部に空気流出口101を備えた浮遊ケージ100を備える培養システムを設計した(
図1A)。実験的なU字形の骨組み100(実用体積1.785m
3、総照射面積2m
2、
図1B)は、高密度ポリエチレンパイプ(φ=50および35mm)と、魚により食べられることを効果的に防止するGinigar社製の防虫ネット(25メッシュ、
図1B)から構築された。バイオマスの装填密度(培養開始時の1kgm
-3から収穫時の4.5kgm
-3までの範囲)に応じて、40~45LPM/リアクタ、または20~22.5LPMm
-3の水に、ポリエチレンパイプ(φ=20mm)を通して、ケージの底部に空気を供給した。HDPE単壁波形パイプ(φ=20mm)および4/7PVCパイプから作製された4つのエアリフト102を使用して、深さ1mからケージに追加の水を圧送した(
図1C)。エアリフト102は、1日当たり11.03m
3の水を圧送し、これはケージ/培養リアクタ内の618.2%/日の水交換に等しい。
【0065】
システムは海岸から約30mのところに設置された(
図2A~
図2B)。その点での平均流量を測定し、6~8cms
-1の範囲にあることが分かった。2mmの穴を通した中央底部パイプを介して午前6時から午後6時まで空気を供給した。収穫のために、プーリを使用してリアクタを水から取り出し、吊るして余分な水を重力によって除去し、続いてバイオマスを空気および太陽で乾燥させた(
図2C)。
【0066】
2つの実験を行った。第1の実験は、2017年4月20日に開始し、2017年5月29日に終了した。第2の実験は、2017年6月15日に開始し、2017年7月12日に終了した。2kgの藻類バイオマスのサンプリングを、2週間ごとに行った。毎日の成長率(DGR%)を、以下の式に従って計算した。
【数1】
ここで、Nは測定間の日数(d)であり、m
outは各成長期間の終了時にグラム単位で測定された乾燥重量(DW)であり、m
inは接種材料のDW(g)である。標準プロトコルを使用し、全ての表面水が除去されるまで(<1mL分離)、電気遠心分離機(Beswin Portable Washer Spin Dryer CE-88(6.0kg)2800RPMステンレススチール筐体)で藻類バイオマスを遠心分離することにより、表面水を除去した。一定の重量になるまで(測定値の結果の違いが5%未満)、40℃で乾燥させた。乾燥物は、105℃で3時間乾燥させることにより決定した。
【0067】
粗放的培養
粗放的培養の実験のために、2cmの葉状体の層を2層のネット(イガイ繁殖・甲殻類包装用のTENAXチューブ状ネット、ポリプロピレン製、メッシュ構成-菱形、32 G 223中性、74 N 140 緑、Gallo Plastik社、イタリア)の間に配置し、攪拌・混合せず周囲の海と自由に水交換する培養ケージ100に入れた。ケージ100(0.15×0.3m、全照射面積0.045m
2)は、ポリエチレン(D=32mm)および高密度ポリエチレン(HDPE)(D=6mm)パイプおよびTENAX(Gallo Plastik社、イタリア)ネットから構築され(
図3A)、完全な照射を可能にし、魚により藻類が食べられることを防止した。ケージ100は、ロープに接続され、海岸から約30m、曝気、攪拌、および混合培養ケージから約10mの距離に配置された。曝気ケージとは異なり、バイオマスは、曝気をせずに単層で約10cmの深さに保持された。新鮮重量(FW)で20gのアオサ類を、(サンプリング後)2週間ごとに各ケージに装填した。
【0068】
制御された陸上培養システムでのアオサ類の成長率に対する空気による攪拌の効果の決定
制御された環境でのアオサ類バイオマスの成長率に対する空気による攪拌の効果をよりよく理解するために、バイオマスを、改良キャップを備えたポリエチレンテレフタレート(PET)プラスチックボトル(1.5L)で培養し、水交換および空気供給を可能にした(
図3B)。ボトルあたりFWで5グラムのアオサ類を装填した。人工海水(塩分3.5%、pH8.2)に、21.4mgL
-1のNH
4NO
3および4mgL
-1のH
3PO
4を供給した(Haifa Chemicals社、イスラエル)。午前6時から午後6時まで、ボトルあたり0.36LPMで空気を供給した。栄養素を含む水を毎日交換した。総培養時間は一実験あたり7日間であった。2つの別個の実験を行った。第1の実験は、2018年6月12日から2018年6月19日に行った(空気による攪拌および混合をするボトルで3回、攪拌および混合をしないボトルで3回)。第2の実験は、2018年6月19日から2018年6月26日までに行った(曝気したボトルで6回、曝気しないボトルで6回)。ストップウォッチを備えた3つのボトルで、半サイクルおよび全サイクルで、単一の葉状体について葉状体回転速度を測定した(
図3B)。
【0069】
日射量および温度
日射量および温度を、バイオマスを含む曝気ケージの内側の40cmの深さに設置された、Onset HOBO Pendant(登録商標)温度/光64Kデータロガー(Onset Inc、マサチューセッツ州、アメリカ)を使用して、15分ごとに測定した。追加のセンサを、曝気しない平らなケージの内側に約10cmの深さで設置した。陸上システムでは、2つのセンサを用いて、水中およびボトルの外側で温度および照射量を測定した。μmolesm-2s-1へのルクス変換は、測定されたルクス値に、太陽光照射量に使用される定数である0.019を乗じることによって行った(http://www.egc.com/useful_info_lighting.php)。
【0070】
培養場所での栄養素測定
栄養素を測定するために、2週間ごとにバイオマスのサンプリング/装填のときに培養
場所で50mlの水をサンプリングした。二重にサンプリングしてから、1時間未満で栄養素分析を行った。アンモニア、亜硝酸塩、硝酸塩、およびリン酸塩を、製造業者(LaMotte社、メリーランド州、アメリカ)によって供給されるキットおよびプロトコルを備えるSMART3カロリーメータ(LaMotte社、メリーランド州、アメリカ)を使用して、定量化した。
【0071】
バイオマス組成分析
灰分析のために、バイオマス(DW)を、予め計量した清潔なるつぼに入れ、マッフル炉(Thermolyneマッフル炉、Thermo Scientific社、マサチューセッツ州、アメリカ)内にて550℃で3時間燃やした。最終的に、るつぼを炉から取り出し、乾燥器内に保持して、室温で冷却し、計量した。分析は3回行った。全タンパク質の定量化のために、自動ケルダールシステムを用いて、AOAC 981.10に従って、タンパク質の含有量を決定した。タンパク質計算係数として5を使用した(Angell他、2016年)。分析は、認証された食品化学会社(AminoLab社、レホヴォト、イスラエル)によって行われた。カロリー値分析のために、2017年5月3日および17日に収穫し、40℃で恒量まで乾燥させた20グラム(DW)のバイオマスを、イスラエル電力公社の認証された研究室において、ASTM D5865-13(石炭およびコークスの総カロリー値の標準試験方法)に従い、エネルギー含有量について分析した。元素分析、CHNSは、イスラエル工科大学化学解析・界面化学部のテクニオンで、Thermo Scientific社製のCHNS分析器(Flash2000)を使用して行った。
【0072】
単糖の定量化のために、バイオマスを、2%の硫酸、固体対溶媒比が1:20で、10mL遠心分離管(Nalgene(商標)Oak Ridge高速PPCO遠心分離管(Thermo-Fisher Scientific社、カリフォルニア州、アメリカ))に入れ、30分間、121℃で、オートクレーブ(Tuttnauer社製、2540MLV、オランダ)内で加水分解した。加水分解物中の単糖含有量を、分析カラム(Aminopack 10)およびその対応するガードカラムを備えたDionex ICS-5000プラットフォーム(Dionex、Thermo Fischer Scientific社、マサチューセッツ州、アメリカ)を使用して、HPAEC-PAD(パルスアンペロメトリック検出と組み合わせた高圧陰イオン交換クロマトグラフィー)によって定量化した。AgClの参照電極を有する電気化学検出器を、検出に使用した。分析は、4.8mMのKOHの定組成流を使用して20分間行われた。次いで、カラムを各実行の間に100mMのKOHで洗浄し、注入前に4.8mMのKOHで再平衡化した。カラム温度は30℃に保持し、流速は0.25mLmin
-1とした。内部標準を用いて各糖について較正曲線を作成した。この研究では、ラムノース、アラビノース、ガラクトース、グルコース、キシロース、グルクロン酸、マンニトール、フコース、およびマンノースを定量化した。3つの溶離剤(NaOH、超純水、および酢酸ナトリウム)を含むプログラムを使用して、グルクロン酸およびウロン酸誘導体の含有量を監視した(表1)。アルドビオウロン酸およびイズロン酸(本明細書ではウロン酸誘導体として記載する)を表すと仮定された全試料において、2つのさらなるピークが観察された。分析前に、各藻類サンプルを二重に加水分解した。各加水分解物をHPICで二重に分析した。全てのデータは、特定の単糖バイオマス(μgの単糖mg
-1DW(乾燥重量)バイオマス)の重量分率として報告される。
【表1】
【0073】
統計分析
統計分析は、Excel(バージョン13、マイクロソフト社、ワシントン州、アメリカ)のデータ分析パッケージ、およびRソフトウェア(バージョン2015、RStudio Inc.、ボストン、マサチューセッツ州、アメリカ)を用いて行った。標準偏差(±STDEV)をエラーバーで示す。群間比較のために、オンテールのスチューデント-t分析を行った。
【0074】
結果と考察
海での培養時の環境パラメータ
深さ40cmの曝気リアクタ/ケージにおける照射および温度プロファイルを
図4Aおよび
図4Bに示す。重要なことに、培養ケージ内の温度は、培養期間中に約24℃から32°Cに上昇した。混合および非混合の曝気ケージにおける平均温度を比較すると、7月まで、曝気ケージの温度は、非曝気ケージよりも少なくとも2℃低いことが示された(
図5)。これらのレベル(30℃に近い)の温度はアオサ類の成長を遅らせるので(De Casablanca他、1998年;De Casabianca他、2002年)、これは重要である。測定された栄養素レベルを表2に示す(示されたデータは二重測定の平均である)。栄養素レベルの大きな変動(NH
3 0.09~2.16ppm、NO
3
-0.44~2.11ppm、NO
2 0.13~1.53、およびPO
4
-3 0.05~0.99ppm)が観察された。
【表2】
【0075】
成長率および面積生産性
バイオマスを2週間ごとに計量し、収穫高を収穫した。第1および第2の実験では、最初の2週間の培養後に、最も高い成長率(19.2%および4.1%)を測定した。これは、両方の群の接種中に蓄積した栄養素の結果でありうる。さらに、より高いレベルのNH
3およびNO
3
-が、2017年5月9日、2017年6月15日、および2017年6月28日に観察され、成長を支援することができた。より低い温度でより高い成長率が観察され(温度が24~26℃である場合、10.6~19.2%のDGRが観察された)、より高い温度(26~32℃)でより低い成長率が観察された。興味深いことに、成長率は、同じ時期の粗放的培養ケージと比較して、集約的培養ケージでより高かった(
図6A)。その結果、海での大型藻類の空気による攪拌、混合、および外部水の栽培ケージへの供給(本明細書では集約的培養と呼ぶ)は、全季節で最高の収穫高をもたらすことが観察された(
図6Cおよび以下の表3)。最も高い収穫高は、2017年5月3日の13
日間の培養後に観察され、33.72gDW日
-1m
-2(6.74gC日
-1m
-2、0.33gN日
-1m
-2)、または37.79gDW日
-1m
-3であった。比較すると、2017年1月から2017年7月までの粗放的培養における最高収穫高は、2017年1月の15gDW日
-1m
-2であった。おそらく高温のために(
図5)、粗放的培養ケージでは5月から7月まで成長はなかった(
図6A)。
【0076】
重要なことに、混合を伴うがケージ外からの外部給水を伴わない培養ケージで、空気による攪拌を行った培養(
図1C)では、2017年1月から5月まで粗放的システムで成長が観察された場合に、バイオマスの損失をもたらした。これは、攪拌、空気混合、および栄養素およびより冷たい水を供給する外部水流が、成長率の増大において複合的な役割を果たすことを示唆する。光阻害の減少、栄養素の供給の増強、気体交換の増強、および流体力学的刺激などの成分間の複雑な相互作用のために、各成分が成長率の増大にどの程度寄与するかを分析することは困難である。さらに、リアクタ内の空気およびバイオマスの移動は、有害なウイルスまたは細菌の発生を防止する可能性がある。さらに、より深い水の層からのエアリフトポンプ102を使用した給水は、典型的には、培養リアクタ100内の温度を低下させ、温度阻害要因に対して作用する。
【表3】
【0077】
前述の結合した相互作用のいくつかを明らかにするために、培養リアクタ間で変更されたパラメータが曝気のみである、陸上システムにおける一連の実験を行った。制御された環境での実験は、21.9℃(夜間)~40.53℃(日中)の気温、21.6℃(夜間)~37.4℃(日中)の水温、および942μmolesm
-2s
-1の最大日射強度(リアクタの外側)の下で、曝気による混合(5.8~8.6rpm)が、DGRを7.6±2.6%から29.9±2.9%に増加させることを示した(p値<2.8・10
-5)。これらの結果は、制御された陸上システムでは、栄養素が過剰に利用可能な場合、空気による攪拌および混合がアオサ類バイオマスの成長率を増加させることを示し(
図7)、照射および温度などの他のパラメータが等しい場合、成長の促進のために空気による攪拌、混合、および栄養素供給の組み合わせが必要であることを裏付けた。
【0078】
沖合でのアオサ類の培養に関する以前の研究は、藻類を魚のケージの下流、およびケージの-15%上流で培養した場合、最大17%のDGRを報告した(Korzen他、2015年)。さらに、以前の研究では、陸上タンク、ロープ、および噴霧システムについて、アオサ類の栽培のための様々な方法も比較した。攪拌を伴うタンクでのアオサ類の栽培に関する研究では、10~45%のDGRが報告され(Msuya他、2010年;Bruhn他、2011年;Angell他、2014年;Gomez Pinchetti他、1998年;Copertino他、2009年;Hiraoka他、2008年)、肥料流などの窒素に富む廃水で高い値が達成された(Nielsen他、2012年
)。
【0079】
培養されたアオサ類バイオマスの組成分析
集約的培養ケージから2017年5月3日および17日に収穫された最高収穫高33.72(gDW日-1m-2)および15.86(gDW日-1m-2)の試料の乾燥物の灰含有率は、それぞれ38.47±0.01%および37.87±0.01%であった。
【0080】
収穫したバイオマスは、実験室条件で栽培したバイオマスと比較して、有意に低いタンパク質含有量を有していた(海の集約的培養ケージで2.9~6.2%のタンパク質、粗放的培養ケージで0.53~9.08%のタンパク質に対し、実験室で33%のタンパク質)。低タンパク質(5.9~17%)が様々な種類のアオサ類の複数の天然資源について報告されており、高タンパク質含有量を維持するために正確な窒素制御が必要であることを示唆している。
【0081】
集約的培養ケージから収穫されたバイオマスの元素組成は、全培養期間中、以下のように変化した。C% 19.6~22.5、H% 3.7~4.6、N% 0.65~1.4、およびS% 3.54~6.74(表4)。これらは、粗放的ケージで培養されたバイオマスの組成と有意に異ならなかった(表5)。これらの結果は、本研究で達成された最大成長率(DW:FW比0.15を仮定)で、6.74gCm
-2d
-1(25gCO
2m
-2d
-1)および0.34gNm
-2d
-1での沖合培養を使用して、アオサ類が、2つの重要な気候変動要因である炭素および窒素を捕捉する可能性を示している。イスラエル環境保護省によれば、2030年のイスラエルの国家としての温室効果ガス排出削減目標は、一人当たり2.7トンのCO
2(2005年の排出量から26%)である。したがって、これらの目的を達成するために、集約的に培養する大型藻類のアオサ類を使用する場合、約0.108km
2の海域を一人当たりに割り当てるべきである。
【表4】
【0082】
炭水化物含有量の分析(表6~7)は、グルコースが主要な炭水化物であり、その後に、ラムノース、キシロース、およびウロン酸誘導体が続くことを示し、これは、海から収穫された種と、建物に組み込まれた陸上リアクタで培養された同じ種に関する本発明者らの以前のデータと一致する。集約的培養ケージにおけるより沖合での長い培養(39日間対18日間)は、フルクトース、グルコース、ラムノース、ウロン酸誘導体、およびキシロースのより低い含有量をもたらす(表5)。バイオマスの総炭素含有量は培養時間とともに変化しなかったので(表4)、本発明者らは、沖合培養下では、炭素がセルロースなどの繊維中に貯蔵され、現在使用されているプロトコルによって加水分解されないことを示唆する。
【0083】
2017年5月3日、17日、および29日に収穫された適合バイオマスの単糖含有量の比較(
図9A~
図9C、表6~表7)は、培養の集約化がフルクトース含有量の有意な増加(p値<0.5)、およびグルクロン酸、ウロン酸、および他の糖酸の有意な減少(p値<0.5)をもたらすことを示す(
図8A~
図8B)。
【表5】
【表6】
【表7】
【0084】
集約的に培養したアオサ類バイオマスのエネルギー含有量
燃料としての乾燥バイオマスのエネルギー的に高い発熱量(HHV)は、5月3日およ
び9日に行った収穫について、8.46MJkgDW
-1(残存水分(RM%)11.21%であり、5月17日に行った収穫について、13MJkgDW
-1(残存水分(RM%)13.79%であった。したがって、観察された最大値で、アオサ類バイオマスは、1日当たり2MJm-2を生産する、または直接燃焼のために23Wm-2の最大出力密度を発生させることができる。
【0085】
結論
本研究は、空気による攪拌および混合、ならびに外部給水を伴う集約的な沖合リアクタにおけるアオサ類バイオマスの沖合培養の実現可能性を試験した。この集約的方法は、2017年5月~7月の間にアオサ類バイオマスの生産を可能にしたが、粗放的な沖合システムでは成長が見られなかったことが示された。さらに、空気による攪拌および混合は、攪拌および混合なしの同じシステムと比較して、制御された陸上ベースのシステムにおけるアオサ類の成長率を増加させた。複数の結合機構が、光阻害の減少、栄養素や水の流れの増強、気体交換の増強、および流体力学的刺激を含む変化をもたらしうる。リアクタ内の空気およびバイオマスの移動はまた、無菌ゾーンの発生、および有害なレベルのウイルスまたは細菌の発生、または成長を阻害する光合成副産物の排出を防止する可能性がある。さらに、エアリフトポンプを使用した、より深い層からの給水は、リアクタの温度を低下させる。本発明者らの知見は、耕作可能な土地および淡水なしで使用可能なバイオマスを生産する沖合培養システムの設計のための新しい方向性を示す。
【0086】
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