(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-28
(54)【発明の名称】モノホスホリルリピドAリポソーム系癌ワクチン
(51)【国際特許分類】
A61K 39/00 20060101AFI20220318BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20220318BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220318BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20220318BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220318BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
A61K39/00 H
A61K47/36
A61P35/00
A61K9/127
A61K39/395 T
A61K39/39
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546326
(86)(22)【出願日】2020-02-10
(85)【翻訳文提出日】2021-10-06
(86)【国際出願番号】 US2020017553
(87)【国際公開番号】W WO2020163875
(87)【国際公開日】2020-08-13
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】507371168
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファンデーション インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】ミルナー、ローワン、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】セイヤー、エリアス、ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】サルート、マーク、イー.
(72)【発明者】
【氏名】サハイ、ビカシュ
(72)【発明者】
【氏名】ラグメイ、ジョアン、ピグ
(72)【発明者】
【氏名】カシオ、マシュー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
【Fターム(参考)】
4C076AA17
4C076AA19
4C076CC06
4C076EE30
4C076FF33
4C085AA03
4C085AA14
4C085FF21
(57)【要約】
一実施形態では、ワクチン組成物が投与される対象において、ジシアロガングリオシドGD3および/またはGD2に対する抗体の生成を増強するためのワクチン組成物が提供される。一実施形態では、組成物は、対象における抗体生成を刺激または増強するための有効量のジシアロガングリオシドGD3および/またはGD2を含むリポソームと、モノホスホリルリピドA(MPL)を含む有効量のアジュバントと、を含む。一例では、ワクチン組成物は、化学療法と組み合わせて対象に投与され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジサロガングリオシドGD3もしくはGD2、またはそれらの組み合わせに対する抗体の生成を増強するためのワクチン組成物であって、
対象における抗体生成を増強するための有効量のジシアロガングリオシドGD3もしくはGD2、またはGD3およびGD2の組み合わせと、
モノホスホリルリピドA(MPL)を含む有効量のアジュバントと、の混合物を含む、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、有効量のCpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG-ODN)をさらに含む、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項3】
前記組成物が、対象においてトール様受容体(TLR)を標的とする、請求項1または2に記載のワクチン組成物。
【請求項4】
前記MPLが、水中油型エマルジョンからなる、請求項1~3のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
【請求項5】
前記水中油型エマルジョンが、前記MPLを含むリポソームを含む、請求項4に記載のワクチン組成物。
【請求項6】
前記MPLが、前記リポソームの主成分である、請求項5に記載のワクチン組成物。
【請求項7】
前記リポソームが、139.9SD±57nmのサイズからなる、請求項5または6に記載のワクチン組成物。
【請求項8】
前記リポソームが、負の20~10mVのゼータ電位を含む、請求項5~7のいずれかに記載のワクチン組成物。
【請求項9】
前記ゼータ電位が、負の17.32±3.02mVである、請求項8に記載のワクチン組成物。
【請求項10】
前記組成物が、化学療法と併せて使用者に投与される、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項11】
前記組成物が、化学療法の24~72時間以内に投与される、請求項10に記載のワクチン組成物。
【請求項12】
対象において癌を治療する方法であって、
有効量の請求項1に記載の前記ワクチン組成物を対象に投与することを含み、
前記ワクチン組成物が、ジシアロガングリオシドGD3、もしくはGD2、またはそれらの組み合わせに対する抗体を生成することに有効である、方法。
【請求項13】
前記投与するステップの前に、細胞試料が対象から得られ、ジシアロガングリオシドGD3ガングリオシドおよび/またはGD2ガングリオシドが、前記細胞内で検出され、GD3および/またはGD2が、前記細胞試料中で検出され、前記対象が、有効量の請求項1に記載のワクチン組成物で治療される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記細胞試料が、癌細胞試料を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記投与ステップが、前記対象における化学療法治療レジメンと併せて行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記投与が、化学療法治療の12~240時間以内に行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記投与が、前記対象に投与される少なくとも4回のワクチン接種を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記投与が、前記対象に投与される少なくとも3回のワクチン接種を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記投与が、前記対象に投与される少なくとも2回のワクチン接種を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記投与が、皮内である、請求項10~19に記載の方法。
【請求項21】
前記投与が、CD4+T細胞応答、CD8+T細胞応答、およびB細胞応答のうちの1つ以上を含む前記対象の免疫応答をもたらす、請求項10~20に記載の方法。
【請求項22】
ELISAアッセイを介して、CD4+T細胞応答、CD8+T細胞応答、またはB細胞応答を検出することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
フローサイトメトリーを介して、CD4+T細胞応答、CD8+T細胞応答、またはB細胞応答を検出することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項24】
前記癌が、脳腫瘍、黒色腫、または肉腫を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項25】
前記肉腫が、骨肉腫を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
GD3もしくはGD2、またはGD3とGD2-ナノリポソームとの組み合わせ組成物を生成する方法であって、
リポソーム組成物を得ることであって、前記リポソーム組成物が、モノホスホリルリピドA(MPL)含有リポソームを含む、リポソーム組成物を得ることと、
有効量のジシアロガングリオシドGD3、もしくはGD2、またはそれらの自己抗原とCpGODNとの組み合わせを、前記リポソーム組成物に組み合わせることと、を含む、方法。
【請求項27】
前記リポソーム組成物の前記ナノリポソームが、139.9SD±57nmのサイズを有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記リポソーム組成物の前記ナノリポソームが、-17.32±3.02mVの平均ゼータ電位を含む、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
前記MPLが、前記リポソームの主成分を含む、請求項26~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
MPL対リポソームのモル比が、少なくとも1:10である、請求項26~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項231】
MPL対リポソームのモル比が、少なくとも1:4である、請求項26~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
MPL対リポソームのモル比が、少なくとも1:3である、請求項26~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記リポソーム組成物が、ある量のリピドA、スクアレン、レシチン、Tween80および水を組み合わせて混合物を形成することと、エマルジョンを形成するのに十分な時間、前記混合物を超音波処理することとによって生成される、請求項26~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
超音波処理の24~48時間後に、請求項26~33に記載のリポソーム組成物を、GD3もしくはGD2、またはそれらの組み合わせ、および/またはCPG-ODNと組み合わせることをさらに含む、請求項33に記載のいずれかの方法。
【請求項35】
前記化学療法治療レジメンが、白金系化合物を含む少なくとも1つの化学療法剤を含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
癌は、免疫系による破壊を逃れる能力を有するが、癌細胞の免疫監視および免疫逃避のエビデンスは、免疫系の情報に基づいた処置によって効率的かつ効果的な癌治療が達成可能であり得ることを示唆している。現在までのそのようなアプローチの結果は、一部には、複雑さ、ならびに、例えば、腫瘍反応性T細胞集団の枯渇、腫瘍における制御性T細胞による免疫抑制作用、腫瘍抗原の変異性などを含む、癌および免疫系の多くの特徴の依然として限られた理解に起因して、決定的ではなかった。
【背景技術】
【0002】
ジシアロガングリオシドGD3は、ほとんどのヒト黒色腫細胞の主要な表面マーカーである。GD3に向けられたモノクローナル抗体は、GD3を認識し、1)抗体依存性細胞傷害(ADCC)または2)補体媒介性細胞傷害の2つのメカニズムのいずれかによってモノクローナル抗体の表面にかなりのレベルのGD3を発現する4つのヒト黒色腫細胞株を効果的に溶解するように使用されてきた。しかし、細胞の13%で最小レベルのGD3を発現する黒色腫細胞株は、これら2つのメカニズムのいずれかによるモノクローナル抗体にわずかな溶解を示しており、効果的なインビトロ細胞溶解には閾値レベルの抗原発現が必要であり得ることを示唆している。
【0003】
黒色腫および骨肉腫の癌の不良な予後を考えると、生存率を改善するために新規の治療アプローチが必要である。化学療法は、治療法としての効果はごくわずかであり、多くの副作用を引き起こすが、免疫療法などの他の療法はまだ初期段階にある。癌ワクチンは、腫瘍特異的抗原または腫瘍関連抗原に対する免疫応答を誘発するように設計されており、免疫系がこれらの抗原を担持する癌細胞を攻撃するよう促す。しかし、癌ワクチンの開発は、癌ワクチンの標的エピトープを頻繁に改変する癌細胞集団におけるクローン進化が進んでいるために難しい。さらに、ワクチンの摂取およびワクチン送達のタイミングにより、癌治療に対するこの免疫療法的アプローチの有効性が制限される。
【0004】
養子T細胞療法は、様々な癌の治療のための免疫療法に使用されるが、これらの治療には生細胞全体が含まれるため、化学療法後に投与する必要がある。場合によっては、これらの治療法を順番に提供するのではなく、免疫療法を含む他の治療法と化学療法とを同時に組み合わせることが有益であろう。
【発明の概要】
【0005】
例えば、GD3抗原、GD2抗原、またはそれらの組み合わせを含むナノリポソーム、ならびに対象における癌を治療または予防するためのアジュバントを含む、癌ワクチンへの異なる新規のアプローチが、本明細書に記載の実施形態で提供される。一実施形態では、アジュバントには、例えば、対象における任意の耐性を克服するのに十分に有意な免疫応答を開始するために、ナノリポソームの主成分としてモノホスホリピドA(MPL)が含まれる。
【0006】
一実施形態では、ジサロガングリオシドGD3および/またはGD2に対する抗体の生成を増強するためのワクチン組成物が提供される。ワクチン組成物には、対象における抗体生成を増強するための有効量のジシアロガングリオシドGD3および/またはGD2の混合物と、有効量のモノホスホリルリピドA(MPL)を含むアジュバントと、が含まれる。
【0007】
別の実施形態では、対象における癌を治療する方法は、本明細書に記載の有効量のワクチン組成物を対象に投与することによって対象にワクチン接種することを含み、ワクチン組成物は、ジシアロガングリオシドGD3もしくはGD2、または両方に対する抗体を生成するのに効果的である。
【0008】
さらに別の実施形態では、GD3および/またはGD2含有ナノリポソームを生成する方法が提供される。この方法は、有効量のジシアロガングリオシドGD3自己抗原および/またはGD2自己抗原と、有効量のモノホスホリルリピドA(MPL)(「第1の組成物」)とを組み合わせ、第1の組成物を超音波処理に供して、乳化された第1の組成物(「乳化組成物」)を生成することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】MPLエマルジョン中のナノリポソーム粒子濃度の分布を示すグラフである。
【
図2】ナノリポソーム粒子の低温電子顕微鏡スライドを示す。
【
図3】黒色腫のイヌおよび正常なイヌにおけるGD3ワクチン接種に対するIgGおよびIgM特異的免疫応答のグラフを示す。
【
図4】黒色腫ワクチン試験において、フェーズ1(中央値356日IQR1492~166日)およびフェーズ2中央値(1163日IQR+inf-210日(P=0.046))の生存期間を比較するカプラン・マイヤー曲線を示す。
【
図5】骨肉腫ワクチン試験のワクチンプロトコルである。
【
図6】骨肉腫ワクチン試験におけるイヌのワクチン群と対照群との間の相違を示す無病期間(DFI)のグラフである。
【
図7】骨肉腫ワクチン試験におけるDFIグラフのデータを示すチャートである。
【
図8】骨肉腫試験のフェーズ1後のワクチン群と対照群との間の全生存率をグラフで示す。
【
図9】
図8の全生存率グラフに表示されたデータを示すチャートである。
【
図10】イヌの末梢血中のM-MDSCおよびPMN-MDSCを分析するためのゲーティング戦略である。黒色腫患者の細胞の代表的なフローサイトメトリー分析。全血をCD11b、MHCIIおよびCD14抗体で染色した。死細胞を除外するために、FSCvs.SSC取得ゲートを設定した。ダブレットを除外するために、FSC-Avs.FSC-Hを使用した。CD11bvs.MHCIIを使用してCD11b+MHCII-集団を識別し、次いでCD11bvs.CD14としてゲートして、CD11b+MHCII-CD14+(M-MDSC)集団およびCD11b+MHCII-CD14-(PMN-MDSC)集団を識別した。
【
図11】
図11A~11Dは黒色腫(MM)群と対照群との間、およびワクチンの時点全体でのM-MDSCとPMN-MDSCの割合の比較を示す。AおよびBの測定値は、ベースラインであり、CおよびDのワクチン1時点に相当する。箱ひげ図、AおよびBのひげとドットは、それぞれIQR、10パーセンタイルおよび90パーセンタイル、ならびに外れ値を表す。エラーバーは、CおよびDの線散布図の標準偏差を表す。パーセントM-MDSC(A)およびPMN-MDSC(B)は、MM群において対照群と比較して有意に高かった(それぞれ、マン-ホイットニー順位和検定p=0.001およびp<0.001)。MDSCの割合は、PMN-MDSC(C)およびM-MDSC(D)の両方について、各ワクチン時点でベースライン(ワクチン1と指定)から減少した。(ANOVA
*p=0.003、
**p<0.001)。
【
図12】黒色腫(MM)群と対照群との間のMCP-1、GM-CSF、IL-10の血清中濃度の違いを示す。結果を最もよく視覚的に表示するために、y軸にはlog10スケールを使用した。MCP-1およびIL-10は、対照群と比較してMM群で有意に高かった(それぞれ、マン-ホイットニー順位和検定
*p=0.035およびp=0.046)。群間でGM-CSF濃度に有意差はなかった(マン-ホイットニー順位和検定p>0.05)。
【
図13】C57/BL6マウスにおけるB16-F10マウス黒色腫細胞株の試験の図である。3群のマウスにB16黒色腫細胞株を注射した。1群だけにGD3系ワクチンを投与し、他の群は、対照群、マウスとヒトiNKT細胞の強力で特異的な活性化因子であるα-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)群であった。
【
図14】GD3の存在について染色したA375、CML-2およびB16の黒色腫細胞から得られたデータを示す。B16黒色腫細胞を抗GD3抗体(クローンR24)(赤線)とともにインキュベートし、FITCタグ付き抗マウス二次抗体(灰色)で染色したB16細胞と染色を比較した。染色した細胞をBD Canto and FlowJo 10版で分析した。
【
図15】GalCer(IP)またはGD3系ワクチンを週4回(皮下)注射したC57BL/6マウスのデータを示す。最後のワクチン接種から1週間後、IACUCプロトコルに従ってマウスを安楽死させ、血液、脾臓、肝臓の単離した細胞を抗CD45、CD3、CD4、TCRb、CD49b、およびNK1.1抗体で染色することにより、ナチュラルキラーT細胞を評価した。染色した細胞を、BD Fortessa and FlowJo10版で分析した。(A)代表的なドットプロットは、肝臓ではNKT細胞の増加を示しているが、血液および脾臓では増加を示していない(データ不図示)。(B)収集したNKT細胞データは、ワクチン接種したマウスの肝臓において有意な増加を示している。n=4、
*<P0.05、
**<P0.01。
【
図16】C57BL/6雄マウスまたは雌マウスの左脇腹にMetrigelとともに皮下移植した10
5のB16黒色腫細胞から生じたデータを示す。これらのマウスの群に腫瘍移植の翌日から2週間、毎週胸骨にGD3系ワクチンを皮下投与した。移植から2週間後、マウスを安楽死させ、腫瘍サイズを測定した。(A)雄のマウスの腫瘍サイズおよび(B)雌のマウスの腫瘍サイズ。n=5、
*<P0.05、
****<P0.0001
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および材料を本発明の実施または試験に使用することができるが、好ましい方法および材料をここで説明する。本明細書で言及されるすべての刊行物は、参照により本書に組み込まれる。
【0011】
一般に、本明細書に記載の細胞と組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、タンパク質、および核酸化学とハイブリダイゼーションに関連して使用される命名法およびそれらの技術は、当技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。本発明の方法および技術は、特に明記しない限り、一般に、当技術分野で周知の従来の方法に従って、本明細書全体で引用および考察されている様々な一般的かつより具体的な参考文献に記載されるように実施される。例えば、Sambrook,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989);Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992,およびSupplements to 2002);Harlow and Lan,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990);Kandel,Schwartz,and Jessell,eds,Principles of Neural Science,4th ed.,McGraw-Hill/Appleton&Lange:New York,NY(2000)を参照されたい。別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
【0012】
具体的な例として、「主成分」という用語は、リポソーム中のリン脂質含有量に対するMPLのモル比を指す。この文脈において、例えば、MPLがリポソームの1:10以上の総リン脂質(MPL:リン脂質)に対するモル比を構成する場合、MPLは主成分である。より具体的な非限定的例では、MPLは、その主成分として、リポソームの少なくとも1:4のモル比を構成し得る。さらに、別の非限定的実施形態では、MPLは、リポソームの主成分として少なくとも1:3のモル比を構成し得る。
【0013】
「a」、「an」、「the」などの用語は、単一のエンティティのみを指すことを意図したものではなく、説明のために、具体的な例が使用され得る一般的なクラスを含む。本明細書の用語は、本発明の具体的な実施形態を説明するために使用されるが、それらの使用法は、特許請求の範囲に概説される場合を除いて、本発明の限界を定めるものではない。
【0014】
本明細書で使用される「動物」、「患者」、または「対象」という用語は、特定の治療のレシピエントとなる任意の動物(例えば、哺乳動物(ヒト、霊長類、イヌ、ウシ、雌ウシ、ウマ、カンガルー、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、ウサギ、げっ歯類、およびトランスジェニック非ヒト動物)などを含むがこれらに限定されない、を意味する。典型的には、「動物」、「対象」および「患者」という用語は、本明細書では、ヒト対象またはげっ歯類に関連して言い換え可能で使用される。好ましい動物、患者、または対象は、ヒトである。
【0015】
ヒト、哺乳動物、哺乳動物対象、動物、獣医対象、プラセボ対象、研究対象、実験対象、細胞、組織、器官、または生体液に適用される「投与」という用語は、対象、細胞、組織、器官、または生体液などへの外因性リガンド、試薬、プラセボ、小分子、医薬品、治療薬、診断薬、または組成物の接触を指すが、これらに限定されない。
【0016】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、意図された生物学的効果を生み出すのに十分なワクチン組成物または混合物の量を指す。
【0017】
本明細書で使用される「癌」という用語は、その独自の特性である正常な制御が喪失し、無秩序な成長、分化の欠如、局所組織浸潤、および/または転移をもたらす細胞の過剰増殖として定義される。例としては、黒色腫、結腸癌、十二指腸癌、前立腺癌、乳癌、卵巣癌、腺管癌、肝癌、膵臓癌、肝臓癌、肉腫、腎癌、子宮内膜癌、精巣癌、胃癌、異形成口腔粘膜、ポリープ症、甲状腺癌、頸部癌、頭頸部癌、浸潤性口腔癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、中皮腫、移行性および扁平上皮細胞尿癌、脳癌、神経芽細胞腫、および神経膠腫が挙げられるが、これらに限定されない。非限定的実施形態では、癌は、本明細書で考察されるように、脳腫瘍、肉腫、特に骨肉腫、または黒色腫を指し得る。
【0018】
本明細書で使用される場合、「ワクチン」という用語は、適応免疫応答の細胞、すなわち、B細胞および/またはT細胞に効果をもたらすことによって疾患の経過に影響を及ぼす組成物を指す。ワクチンの効果には、例えば、細胞媒介性免疫の誘導またはその抗原に対するT細胞の応答の変化が含まれ得る。ワクチンは、治療的投与または予防的投与に使用することができる。ワクチン組成物の効果は、抗体レベル、例えば、IgMおよびIgGのレベル、または対象における他の抗体を試験することによって測定することもできる。他の例では、ワクチン組成物の効果は、細胞媒介性細胞傷害が発生したかどうかを識別することによるものを含み得る。本明細書に記載の特定の実施形態では、ワクチンは、自然免疫応答、すなわち、インバリアントナチュラルキラー細胞(iNKT細胞)に効果をもたらし得る。GD3は、自己抗原として説明されることが多く、したがって、アジュバント系免疫療法として使用するには、自己抗原に対する体の耐性を克服するために免疫応答の強化が必要である。本明細書で使用されるGD3という用語は、正常な神経細胞およびメラノサイトの表面に正常なレベルで見出され、発現されるガングリオシドを含むが、それらは、例えば、骨肉腫、黒色腫などを含む癌組織において高レベルで発現されることが本明細書で見出されている。GD3は、ガングリオシドであり、細胞外領域に伸びるその様々なグリカンにより、そのセラミド脂質を介して原形質膜に固定される。本明細書で使用される用語GD3は、GD3またはGD3タンパク質模倣物を指す。
【0019】
本明細書で使用される「GD2」という用語は、GD3と同様に、正常な神経細胞およびメラノサイトの表面に正常なレベルで見出され、発現されるガングリオシドを含むが、それらは、例えば、骨肉腫、黒色腫、および他の癌を含む癌組織において高レベルで発現されることが本明細書で見出されている。GD2は、例えば、ヒト脳またはウシの脳などの神経組織から供給でき、Sigma Aldrich(www.sigmaaldrich.com/catalog/product)またはMy BioSource.com(https://www.mybiosource.com/ganglioside/ganglioside-gd2/654273)から入手可能である。本明細書で使用される用語GD2は、GD2またはGD2タンパク質模倣物を指す。
【0020】
一非限定的実施形態では、本明細書に記載のGD2模倣物は、EDPSHSLGLDAALFMまたはRCNPNMEPPRCWAAEGDのアミノ酸配列を含み得る。一非限定的実施形態では、本明細書に記載のGD3模倣物は、RHAYRSMAEWGFLYSのアミノ酸配列を含み得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、GD3またはGD2を含むワクチン組成物が、本明細書で提供され得る。しかし、他の実施形態では、ワクチン組成物は、GD3またはGD2のいずれかを含み得る。本明細書で参照される「GD3」はまた、GD3模倣物を含むと解釈され、本明細書で参照される「GD2」はまた、Popa et al.に記載のD2模倣物を含むと解釈される。ファージペプチドライブラリーから選択されるGD3レプリカペプチドは、GD3ガングリオシド抗体応答を誘導する。Federation of European Biochemical Societies Letters 580(2006)1398-1404.18 January 2006.Elsevier BV doi:10.1016/j.febslet.2006.01.063により発表された。
【0022】
本明細書で使用される場合、「併せて」という用語は、同時にまたはほぼ同時タイミングを指す。併せては、化学療法治療の投与から12~240時間以内、または化学療法治療前の12~240時間以内、または化学療法治療後の12~240時間以内が含まれ得る。
【0023】
請求項に記載の方法に関連する本明細書で使用される「細胞試料」という用語は、癌細胞試料を含む。
【0024】
本明細書に記載の実施形態としては、対象に投与される化学療法治療レジメンを含む方法が挙げられる。化学療法治療レジメンは、1つ以上の化学療法剤の対象への投与を含む。本明細書で使用される「化学療法剤」という用語としては、白金系化合物、ビンカアルカロイド、タキサン、プロテアソーム阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、および抗腫瘍抗生物質が挙げられるが、これらに限定されない様々な既知の種類の化学療法を含み得る。非限定的実施形態では、白金系化合物としては、シスプラチン、カルボプラチン、またはオキサリプラチンを挙げることができる。非限定的実施形態では、ビンカアルカロイドとしては、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンブラスチン、またはビノレルビンを挙げることができる。タキサンとしては、例えば、パクリタキセルまたはドセタキセルを挙げることができる。プロテアソーム阻害剤としては、例えば、ボルテゾミブが挙げられることができる。
【0025】
本明細書で使用される「増強」という用語は、質または量の増加、刺激、または強化を指す。一非限定的例では、対象へのワクチンの投与は、対象において抗体の産生を増強し得る。いくつかの非限定的実施形態では、抗体の産生を増強することは、提示された抗原に対する抗体の産生を刺激することを含み得る。別の非限定的例では、抗体の産生を増強することは、関連する抗原に対する対象の免疫寛容または免疫抑制を克服するのに十分な抗体の増加を含み得る。
【0026】
概要
その転移の可能性の結果として、悪性黒色腫は、従来の治療プロトコルに対する反応が悪い。ヒトおよびイヌの黒色腫は、侵襲性で転移性の高い癌である。ヒトおよびイヌの両粘膜形態は、いくつかの遺伝的および病理組織学的特徴を共有しており、イヌを貴重な自然発生疾患の動物モデルにしている。ヒトおよびイヌの両方において、悪性黒色腫は、疾患経過の初期に、転移率の高い侵襲性の癌である[62、93]。ヒトの粘膜黒色腫および非UV誘発皮膚黒色腫は、病理組織学的および遺伝的特徴をイヌの粘膜黒色腫および皮膚悪性黒色腫と共有しているが、イヌ(経口)とヒトの粘膜黒色腫間の変異プロファイルにおける類似点および相違点が明らかにされている[94]。変異プロファイルにおけるこれらの相違は、腫瘍の挙動に影響し、したがって治療に対する反応に影響を与え得る。それにもかかわらず、イヌの粘膜黒色腫は、免疫療法の標的が両方の種、例えばGD3で発生することが既知である自然発生の癌における免疫療法剤の研究のための大型動物のトランスレーショナルモデルとして貴重な役割を果たしている[43、94]。免疫療法の成功の重要な要因は、腫瘍誘発性の宿主免疫寛容および免疫回避を克服することであり、これにより腫瘍免疫学と抑制性腫瘍微小環境に関する研究が増加している[23]。この中で、骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)は、免疫エフェクター細胞の機能をブロックする重要なプレーヤーとして最近浮上している。[86].
【0027】
骨髄由来サプレッサー細胞(MDSC)は、免疫抑制能力を備えた骨髄由来の細胞の不均一集団であり、多くのヒトの癌において増加し、腫瘍の免疫回避に寄与する。癌に関連する拡大のために最初に識別されたMDSCは、炎症、外傷、敗血症などの他の病的状態で拡大することが示されているが、健康な動物には少数しか存在しない(Gabrilovich and Nagaraj、2009;Goulart et al.,2012)。MDSCは、アルギナーゼ1(ARG1)、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)、活性酸素種(ROS)、IL-10、TGF-βおよびIFN-γなどの免疫抑制メディエータの生成を含む、宿主免疫応答を調節できる様々なメカニズムを有する(Gabrilovich et al.,2012;Khaled et al.,2013)。複数の要因が、癌のMDSCの増加に関与していることが明らかにされている(Gabrilovich et al.,2012;Khaled et al.,2013)。特に、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)は、骨髄刺激を介してMDSC形成を促進することが判明しており(Dolcetti et al.,2009;Lechner et al.,2010;Zhao et al.,2016)、および単球走化性タンパク質(MCP-1、ケモカイン(CCモチーフ)リガンド2またはCCL2としても既知である)は、腫瘍形成および転移を促進するMDSCを含む腫瘍微小環境内の細胞に直接影響を与えることが明らかにされている(Zhang et al.,2010)。さらに、MCP-1/CCR2経路は、MDSCの腫瘍への移動および腫瘍の成長に重要な役割を果たしていることが判明している(Huang et al.,2007)。
【0028】
マウスでは、MDSCは、CD11bおよびGR1(顆粒球マーカー)の特徴的な共発現によって定義されるが、ヒト白血球にはGR1に類似したマーカーがなく、現在まで、MDSC特有のマーカーは識別されていない(Bronte et al.,2016;Khaled et al.,2013;Mandruzzato et al.,2016)。それにもかかわらず、細胞表面マーカーの形態および表現型発現の分析における進歩は、ヒトおよびマウスの両方における単球(M-MDSC)および多形核(PMN-MDSC)の少なくとも2つの主要なMDSCサブセットの識別をもたらし、主要なサブセットの拡大のパターンは、様々なヒトの癌型間で変化することが明らかにされている(Khaled et al.,2013;Marvel and Gabrilovich,2015)。
【0029】
ヒトの実験室と研究との間の解釈および比較を改善するために、PMN-MDSCについてCD11b+CD14-CD15+(またはCD66b+)およびM-MDSCについてCD11b+CD14+HLA-DRlow/-CD15-の最小表現型定義が、MDSCの識別を確認するために推奨されるT細胞抑制アッセイによる免疫抑制能力の機能実証により最近提案された(Bronte et al.,2016)。MDSCは、腫瘍免疫回避および宿主腫瘍耐性に大きく貢献しており、サイトカインメディエータとともに、治療的介入の魅力的な標的となっている(Gabrilovich and Nagaraj,2009)。しかし、これまでのところ、イヌのMDSCに関する研究はわずかしか発表されておらず、このモデルの標的としてこれらの細胞を調査する能力が制限されている。
【0030】
免疫療法は、依然としてヒトの黒色腫の治療における重要な治療選択肢であり、結果を改善する試みの中で多くの異なる治療法が使用されてきた(Lindsay et al.,2015)。同様に、黒色腫の患犬に使用される免疫療法戦略は様々であり、大部分はワクチン投与を介する能動的な特異免疫を使用している(Alexander et al.,2006;Bergman et al.,2003;Dow et al.,1998;Finocchiaro et al.,2015;Helfand et al.,1999,1994;Hogge et al.,1999;MacEwen et al.,1999,1986;von Euler et al.,2008;Watanabe et al.,2010)。これまでの研究では、黒色腫細胞表面のジシアロガングリオシドGD3がイヌの黒色腫細胞株で高度に発現し、ジシアロガングリオシドGD3系ワクチンは、忍容性が高く、正常なイヌに適切な自然免疫応答と適応免疫応答を誘導することが示されている[2]。MDSCおよびMCP-1/CCR2経路の腫瘍促進能力により、MDSCを治療的介入の魅力的な標的とし、それらの効果を軽減することで、免疫療法の反応の改善に役立ち得る。
【0031】
治療標的としてこれらの細胞を調査するために、MDSCのさらなる特徴づけおよび個々のイヌの癌におけるそれらの役割が、本明細書に記載されるように判定された。本明細書での発見により、フローサイトメトリープロトコルを使用して、正常なイヌ、皮膚および指の黒色腫を有するイヌにおける抗体と適合する市販の抗体を使用して、MDSCサブセットの主要な変化を識別および特徴付けた。実現可能性の調査により、公開されたプロトコルを要約し、将来の免疫療法介入研究のベースラインを確立した。さらに、MDSCサブセットの変化を、さらなる細胞傷害性癌治療の非存在下で、本明細書に記載のGD3系ワクチンの実施形態の投与に応じて経時的に比較した。最後に、ケモカインMCP-1およびサイトカインGM-CSFおよびIL-10の血清発現プロファイルを、GD3系ワクチン実施形態の投与に応じてそれらのレベルの相関とともに評価した。
【0032】
前述のように、MDSCは、免疫療法の結果を改善するための貴重な標的として本明細書で識別されている。イヌのMDSCに関する現在の情報はわずかであり、MDSCの研究のためのトランスレーショナルモデルとしてのそれらの使用は限定される。本明細書では、GD3系能動免疫療法に応じてMDSCおよびサイトカインの経時変化を評価するために、悪性黒色腫のイヌにおける主要なMDSCサブセット(単球と多形核)およびサイトカイン顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、インターロイキン10(IL-10)および単球走化性タンパク質-1(MCP-1)の特徴付けを行った。
【0033】
免疫療法は現在、癌の治療における主要な研究分野であり、免疫系を使用して腫瘍の発症を予防し、または発症した腫瘍を拒絶することを目的とする。免疫療法の最大の課題は、免疫系にもかかわらず腫瘍が発症することであり、これは、一部には、免疫細胞の効果的な浸潤を妨げる免疫抑制性腫瘍微小環境が原因であると考えられている(Tikoo and Haass、2015;Vesely et al.,2011)。免疫抑制性腫瘍微小環境に対抗することは、腫瘍回避のメカニズムを妨げ、免疫療法の有効性を改善するための潜在的な方法である。MDSCは最近、これらの主要なプレーヤーの1つとして浮上してきた(Tcyganov et al.,2018;Tsai et al.,2014)。本明細書の実施形態では、黒色腫を有するイヌ由来の全血試料でフローサイトメトリープロトコルを使用して、さらなる細胞傷害性癌治療の非存在下で、GD3系ワクチン実施形態の投与に応じてMDSCサブセットおよび潜在的な影響力のあるサイトカインの経時変化を比較する。
【0034】
本明細書に記載の実施形態は、MPL(モノホスホリルリピドA)を含むリポソームと組み合わされたGD3抗原ワクチンを含み、この場合、MPLは、リポソームの主成分である。ワクチンの実施形態は、免疫系を刺激するために化学療法治療中に送達され得る癌ワクチンを提供する。
【0035】
一実施形態では、例えば、GD3およびアジュバントを含む皮内ワクチン接種が設計されている。ワクチンの実施形態は、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG-ODN)配列、および自然免疫系のトール様受容体(TLR)を標的とするためのアジュバントを含む。ワクチンにCpG-ODN配列を含め、GD3濃度を上げると、注射部位の炎症反応が増加する。
【0036】
本明細書の試験に記載されるように、ワクチン接種されたイヌにおけるGD3のIgGおよびIgM抗体は、経時的に増加する力価を示した。細胞媒介性細胞傷害は、ワクチン接種されたイヌの末梢血単核細胞でのみ検出された。腫瘍抗原GD3(既知の弱い自己抗原)をアジュバントと組み合わせると、自然免疫および適応免疫応答による耐性を克服する結果になった。
【0037】
GD3抗原ワクチンは、特に、黒色腫に対して、および手術と化学療法が標準治療である骨肉腫では、有益である。GD3抗原を含むナノサイズのMPLリポソームは、少なくとも部分的には、少なくとも負の17のゼータ電位の結果として、安定の増加をもたらし、ナノリポソームが安定する。
【0038】
脂質および糖脂質のメディエータは、アポトーシスを含むストレスへの適応応答の重要なメッセンジャである。哺乳類細胞では、酸性スフィンゴ糖脂質であるガングリオシドGD3の細胞内蓄積が、アポトーシスプログラム中の重要な事象であるミトコンドリア損傷に寄与する。GD3は、ほとんどの正常組織に見られる微量のガングリオシドであるその発現は、癌および神経変性障害などの発症中、およびそれらの病的状態で増加し、これらの疾患の治療または予防に使用するための標的を提供する。
【0039】
本明細書に記載のワクチン組成物は、癌、特に肉腫または黒色腫腫瘍を治療および/または予防および/または制御するために哺乳動物、特にヒトへの投与に有用である。いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物、特にヒトを含み得、さらに、いくつかの非限定的実施形態では、神経変性障害、脳腫瘍を含む癌、黒色腫もしくはいくつかの例では肉腫と診断された、またはこれらを発症するリスクのあるヒトを含み得る。
【0040】
本明細書に記載のガングリオシドを含むワクチン組成物は、癌を患っている患者、または癌を患うリスクのある患者に投与することができる。治療用途では、ガングリオシド(GD3)およびリポソームMPLおよび/または核酸組成物は、癌抗原、またはより具体的には癌イディオタイプに対する効果的な自然免疫応答および/または適応免疫応答を誘発するのに十分な量で患者に投与されて、症状および/または合併症を少なくとも部分的に阻止または遅延させる。これを達成するために十分な量は、「治療上有効な用量または量」として定義される。この使用に有効な量は、例えば、投与される特定の組成物、投与方法、治療される疾患のステージおよび重症度、患者の体重および健康状態全般、ならびに処方する医師の判断に依存することになる。
【0041】
本明細書に記載の少なくともいくつかの実施形態では、ガングリオシドは、セラミドと、1つ以上のシアル酸が糖鎖上に連結されているセラミドおよびオリゴ糖と、MPLと、ODNであるCpG(非メチル化CpGジヌクレオチド)と、を含む。
【0042】
本発明のワクチン組成物の実施形態はまた、純粋に予防剤として使用され得る。一般に、最初の予防的免疫化の投与量は、一般に、単位投与量範囲で生じる。1つの具体的な非限定的な例において、投与量は、約300μLのMPL、150μLのGD3(GD3は、1mLの水溶液中1mgの150μLを含み得る)および26.8μLのCPG ODN(CpG ODNは、1mLの水溶液中5mgを26.8μLであり得る)を一用量に含むことができ、または非限定的実施形態では、複数のサブパートで含むことができる。したがって、一実施形態では、MPLは、MPL-GD3-CpG ODNの組み合わせの60%を超えて構成され、それ自体、本明細書に記載のワクチン組成物の主成分である。
【0043】
ワクチンの免疫原性は、患者の血液試料から得られたGD3特異的抗体(IgGおよびIgM)の比活性を測定することによって評価することができる(Milner 2006)。インビトロ細胞傷害性アッセイを、インビトロで黒色腫細胞の死滅を示したワクチン接種されたイヌ由来の末梢単核細胞(PBMC)を使用して行った。さらに、GD3系ワクチンは、対照と比較した場合、マウスC57BL/6黒色腫モデルのナチュラルキラー細胞(NKT)を増加させることが明らかになった(AACR Milner 2018)。NKT細胞は、GD3などの脂質抗原に関連する癌内のエフェクター細胞(癌死滅細胞)として識別される。免疫学的エンドポイントに加えて、経時的な原発腫瘍サイズ、転移までの期間、および全生存を、例えば、X線検査、CTおよび超音波を含む当技術分野で既知である標準的画像検査方法を使用して測定した。
【0044】
最初の治療的免疫化の投与量は、一般に数週間から数ヶ月にわたって単位投与量で生じ、上述のように患者の血液試料から得られたGD3特異的抗体(IgGおよびIgM)を測定することによって判定される患者の反応および状態に応じて投与され得る。
【0045】
本発明の組成物は、生命を脅かすまたは潜在的に生命を脅かす状況を含む深刻な病状で使用することができる。そのような場合、最小量の異物および本発明の組成物の比較的非毒性の性質の結果として、これらの記載された投与量と比べてこれらの組成物のかなりの過剰を投与することもあり得、望ましいこともあり得る。
【0046】
治療的治療のための組成物は、非経口、局所、経口、髄腔内または局所投与を目的としている。好ましくは、組成物は、非経口的に、例えば、静脈内、皮下、皮内、または筋肉内に投与される。したがって、本発明は、許容される担体、好ましくは水性担体に溶解または懸濁されたガングリオシドの溶液を含む非経口投与用の組成物を提供する。様々な水性担体、例えば、水、緩衝水、0.8%生理食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸などを使用することができる。これらの組成物は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌することができ、または滅菌濾過することができる。得られた水溶液は、そのまま使用するためにパッケージするか、または凍結乾燥することができ、凍結乾燥した調製物は、投与前に滅菌溶液と混合される。組成物は、pH調整剤および緩衝剤、等張化剤、湿潤剤、保存剤などの生理学的条件に近づけるために必要とされる薬学的に許容される補助物質、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンラウリン酸モノエステル、トリエタノールアミンオレアートなどを含み得る。
【0047】
本明細書に記載のGD3/MPL組成物の実施形態のヒト単位剤形は、典型的には、許容される担体、好ましくは水性担体のヒト単位用量を含み、そのような組成物をヒトに投与するために使用されることが当業者によって既知である流体の量で投与される医薬組成物に含まれる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,17th Edition,A.Gennaro,Editor,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1985を参照されたい)。
【0048】
本明細書に記載の組成物の実施形態は、GD3/MPLまたは他の組成物の実施形態をリンパ組織などの特定の組織に標的化する、または感染細胞に選択的に標的化する、および/または組成物の半減期を増加させるのに役立つリポソームを介して投与することができる。リポソームには、エマルジョン、発泡体、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質分散液、層状層などが含まれ得る。これらの調製物において、送達されるガングリオシドは、リポソームの一部として、単独で、または癌細胞に行き渡っている受容体に結合する分子と併せて組み込まれる。したがって、本明細書の実施形態に記載の所望のガングリオシド、すなわちGD3で満たされたまたは装飾されたリポソームのいずれか、およびMPLは、樹状細胞(すなわち、ランゲルハンス細胞(LC))などの抗原提示細胞(APC)に送達される。その後、APCは、CD1bを介してGD3を免疫系に提示し、次いでCD1bは、iNKT細胞を活性化する。これらのiNKT細胞は、GD3を発現する癌細胞に移動し、癌細胞上で細胞殺傷効果を刺激する。本発明に記載の実施形態に従って使用するためのリポソームは、標準的な小胞形成脂質から形成することができ、これは一般に中性リン脂質および負に荷電したリン脂質ならびにコレステロールなどのステロールを含む。脂質の選択は、一般に、血流中のリポソームのサイズ、酸の不安定性、およびリポソームの安定性を考慮することによって導かれる。様々な方法が、例えば、Szoka,et al.,Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9:467(1980)、および米国特許第4,235,871号、同4,501,728号、同4,837,028号、および同5,019,369号に記載されるように、リポソームを調製するために利用可能である。代替的な実施形態では、本明細書に記載の本発明概念に従ってリポソームを形成するための新規の方法が提供される。特に、対象への投与のために本明細書で考察される組成物で使用するための新規ナノリポソームを形成するための方法が記載されている。
【0049】
免疫系の細胞を標的とするために、リポソームに組み込まれるリガンドは、例えば、所望の免疫系細胞の細胞表面決定因子に特異的な抗体またはそのフラグメントを含み得る。本明細書に記載の組成物を含むリポソーム懸濁液は、静脈内に、局部的に、局所的に、または他の方法で、とりわけ、投与方法、送達される組成物、および治療される疾患の段階に応じて変化する用量で投与され得る。
【0050】
固体組成物の場合、従来の無毒の固体担体を使用してもよく、例えば、これらに限定されないが、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルカム、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0051】
一実施形態では、ジシアロガングリオシドGD3に対する抗体の産生を増強するためのワクチン組成物が提供される。組成物は、対象における抗体産生を増強するための有効量のジシアロガングリオシドGD3の混合物と、モノホスホリルリピドA(MPL)を含む有効量のアジュバントとを含み得る。さらなる実施形態では、組成物は、有効量のCpGオリゴデオキシヌクレオチド(CpG-ODN)を含み得る。さらに別の実施形態では、アジュバントは、適応免疫系および/または自然免疫系の活性化において、対象のトール様受容体(TLR)を標的とする。
【0052】
MPLには、抗原提示細胞を活性化し、サイトカインカスケードを誘導する能力を有する。MPLは単球およびマクロファージを活性化することも示されている(3)。これらの細胞を活性化することにより、ワクチン抗原は、より容易に貪食、処理、かつ提示される。MPLはまた、Tヘルパー細胞1型(Th1)サイトカインIL-2およびインターフェロンγの産生を直接刺激する。いくつかの非限定的実施形態では、MPLが主成分である組成物が提供され得る。
【0053】
本明細書に記載のワクチン組成物または混合物の実施形態は、皮下に、皮内に、真皮内に、静脈内に、動脈内に、腫瘍内に、非経口に、腹腔内に、筋肉内に、眼内に、骨内に、硬膜外に、硬膜内などに投与することができる。多くの場合、ワクチン接種の最も一般的な経路は、皮下(SC)、皮内(ID)、静脈内(IV)、腫瘍内(IT)、および腹腔内(IP)である。本明細書に記載の実施形態では、皮内注射が最も効果的である。局所炎症は、局所免疫刺激を引き起こし、その後に全身性免疫応答に発展する。これは、筋肉内注射または皮下注射でさえ発生する可能性がはるかに低い。ワクチンが緩衝液および/または薬理学的に許容される塩と適合性がある限り、これらは、1つ以上の添加剤と好適に混合された水溶液中で調製することができる。通常の保管および使用条件下では、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐために、限られた量の保存剤および/または抗生物質を含み得る。
【0054】
さらに、いくつかの実施形態では、組成物は、水中油型エマルジョンを含み得る。エマルジョンは、注射部位に組織損傷を引き起こし、非特異的炎症、マクロファージの誘引、および免疫学的カスケードの開始という結果になり得る。エマルジョン中の油滴に結合する抗原は、本質的により粒子状になりやすい。粒子は、リンパ節に閉じ込められやすく、マクロファージおよび樹状細胞に取り込まれ、抗原提示が強化される。MPLは、両親媒性であるため、油滴と結合し、油と水の界面に沿って分布することにより、水中油型エマルジョンのアジュバント活性を補完および強化する。さらなる実施形態では、水中油型エマルジョンには、MPLを含むリポソームが含まれている。
【0055】
本明細書に記載のリポソームは、139.9SD±57nmのサイズを含み得る。いくつかの非限定的実施形態では、リポソームは、負の20~10mVのゼータ電位を含み、別の実施形態では、ゼータ電位は、負の17.32±3.02mVであり得る。
【0056】
本明細書に記載の他の実施形態は、癌、例えば、対象の黒色腫および/または肉腫を治療する方法を含み、実施形態では本明細書に記載のワクチン組成物の有効量を対象に投与することによって対象にワクチン接種することを含み、ワクチン組成物は、ジシアロガングリオシドGD3に対する抗体を生成することに効果的である。投与は、対象における化学療法治療レジメンと併せて行われ得る。いくつかの例において、化学療法治療と併せた投与は、化学療法治療の24~72時間以内を含み得、これは、化学療法治療前の24~72時間、または化学療法治療後の24~72時間を含み得る。併せて、化学療法治療中に行われる投与も含まれる。
【0057】
一実施形態では、投与は、少なくとも4回のワクチン接種を含み得る。別の実施形態では、投与は、少なくとも3回のワクチン接種を含み得る。さらに別の実施形態では、投与は、少なくとも2回のワクチン接種を含み得る。投与は、対象の複数の投与部位で行われ得る。いくつかの例では、投与部位での局所反応を識別するために、複数部位投与が行われ得る。一例では、投与部位は、細針吸引物サンプリングのために容易にアクセス可能な流入領域リンパ節を有する部位でなされ得る。非限定的例では、部位は、左肩、右肩、および1つの臀部投与部位を含み得る。
【0058】
別の実施形態では、GD3-リポソーム組成物を生成する方法が提供される。特定の実施形態では、リポソームは、ナノリポソームを含む。一実施形態では、この方法は、リポソーム組成物を得ることであって、該リポソーム組成物がモノホスホリルリピドA含有リポソームを含むリポソーム組成物を得ることと、有効量のジシアロガングリオシドGD3自己抗原およびCpG ODNをリポソーム組成物に組み合わせることとを含む。一実施形態では、乳化組成物中のナノリポソームは、139.9SD±57nmのサイズを有し得る。別の実施形態では、組成物中のナノリポソームは、-17.32±3.02mVの平均ゼータ電位を含み得る。
【0059】
別の実施形態では、GD3-リポソーム組成物を生成する方法は、ある量のリピドA、スクアレン、レシチン、Tween80および水を組み合わせて混合物を形成することと、エマルジョンを形成するのに十分な時間、この混合物を超音波処理することと、をさらに含み得る。さらに別の実施形態では、この方法は、GD3およびCpG-ODNを組み合わせる前に、リポソーム組成物を少なくとも24時間または48時間保存することを含み得る。
【0060】
材料および方法
実施例1の材料および方法
本明細書に記載の実施形態では、新規ナノリポ-GD3組成物の調製は、MPL(Sigma Aldrich,St.Louis,MO(L6895)、5mgボトル)、CPG-ODN(Alpha Diagnostics,San Antonio TX(ODN2007-5))B型)およびGD3(Matreya LLC,State College PA,(SPL1504,GD3NH4+塩)を含む。MPL製剤を調製し[4]、超音波処理する。いくつかの実施形態では、ナノリポ-GD3免疫療法は、成分(300μLのMPL、150μLのGD3および26.8μLのCPG ODN 2007)を組み合わせることにより、ワクチン接種時に新たに調製される。調製されたエマルジョン(476.8μL)を含む組成物は、皮内投与され得る。いくつかの実施形態では、投与は、3つの別々の部位(例えば、左右の肩および左臀部)でなされ得る。3つの別々の投与部位により、ワクチン接種部位での局所反応を追跡することができ、必要に応じて、細針吸引物サンプリングのために流入領域リンパ節に容易にアクセス可能である。
【0061】
リポソームの調製
スクアレンとレシチンの組み合わせ(SQ+L)を、600mgのレシチンを5mLのスクアレンに添加することによって作製する。500μLのSQ+Lを、5mgのLipid-A粉末(Sigma Aldrich,St.Louis,MO(L6895))プラス(4.5mLのH2OプラスTween80[250μL])に添加して、MPLを得る。次いで、この混合物を超音波処理して、冷蔵する[4]。
【0062】
通常のイヌにおける臨床試験(2006)
通常のイヌの試験では、ワクチンの実施形態には、RIBIアジュバントが含まれる。イヌは、アジュバントからの局所反応を示し、GD3特異的IgMおよびIgG反応を示した。これらの試験の結果、自己免疫は見られず、色素脱失のエビデンスも認められなかった。黒色腫および骨肉腫を有するイヌを用いてさらなる試験を行い、本明細書の実施形態に記載のMPLアジュバントを含めた。
【0063】
実施例2の材料および方法
C57/BL6マウスのB16-F10マウス黒色腫細胞株は、自然発生的な高転移性腫瘍の同系モデルを提供する。
図13の図形に示すように、3つの群のマウスにB16黒色腫細胞株を注射した。1つの群だけにGD3系ワクチンを投与し、他の群は、対照群、マウスとヒトiNKT細胞の強力で特異的な活性化因子であるα-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)群であった。これらのC57BL/6マウスに、週一回4週間ワクチン接種し、その後1週間安静させた(
図13を参照されたい)。次いで、NKT細胞の評価のためマウスを安楽死させ、血液、肝臓、脾臓を収集した。酵素消化後に得られた肝臓の単細胞懸濁液を作製することによって肝臓リンパ球を収集した。収集したリンパ球を、CD3、CD4、TCRβ、NK1.1、CD49bおよび死細胞について染色した。これらの実験では、未処理マウスおよびα-ガラクトシルセラミド(α-GalCer)処理マウスを対照として使用した。腫瘍のサイズおよび質量のみを記録した。
【0064】
マウス、ヒト、およびイヌの黒色腫細胞上の同様の標的発現(GD3)の証拠を、フローサイトメトリーを使用して
図14に記述した。GD3アジュバントワクチンの皮下注射で処置されたマウスは、肝臓においてNKT細胞(NK1.1+CD49b+CD3+CD4+TCRb+)の増加を示したが、未処置のマウスと比較した場合、脾臓および血液における増加を示すことができなかった(
図15Aを参照されたい)。α-GalCerで処置されたマウスはまた、肝臓においてNKT細胞の蓄積を示したが、ワクチン処置したマウスから得られた肝臓における増加は、α-GalCer処置マウスと比較して5~10倍高かった(
図15Bを参照されたい)。対照と比較したGD3ワクチン群における雄マウスと雌マウスの間の腫瘍重量およびサイズの統計的差異の偶然の発見(
図16B~Cを参照されたい)が剖検で発見された。興味深いことに、性別間の生存率の違いは、自然発生の粘膜黒色腫のGD3ワクチンでも認められ(2)、不妊化された雌は、去勢手術済み雄イヌよりも長生きした(
図16Aを参照されたい)。
【0065】
本明細書では、GD3をナノリポソームと組み合わせると、経時的にマウスのiNKT細胞が増加することが示されている。iNKT細胞は、GD3に対する免疫応答に特異的である(以下を参照されたい:Rowan J.Milner.A protective GD3-based vaccine increases NKT-cells in a C57BL/6 murine model.In:Proceedings of the Fourth CRI-CIMT-EATI-AACR International Cancer Immunotherapy Conference:Translating Science into Survival;Sept 30-Oct 3,2018;New York,NY.Philadelphia(PA):AACR;Cancer Immunol Res 2019;7(2 Suppl):Abstract nr A204)。
【0066】
実施例3~4の材料および方法
ワクチン臨床試験
黒色腫ワクチン試験:ワクチンプロトコル
フェーズIでは、65匹のイヌを登録し(表5)、3つの異なる部位で毎月3回(皮内)ワクチン接種した。CBCと血清および病期分類のX線写真と免疫モニタリングを行った。経過観察は、ワクチン接種後1ヵ月に、次いで進行するまで6ヵ月ごとに行った。この試験では、主にステージIIIの口腔高悪性度黒色腫(70%)が生じた。
【0067】
フェーズIIでは、65匹のイヌを登録し(表5)、4つの異なる部位で毎月4回(皮内)ワクチン接種した。CBCおよび血清ならびに病期分類のX線写真および免疫モニタリングを行った。経過観察は、ワクチン接種後1ヵ月に、次いで進行するまで6ヵ月ごとに行った。臨床試験と同様に、主にステージIIIの口腔高悪性度黒色腫(70%)が生じた。
【0068】
フェーズIII(オープンエンド)では、400匹のイヌを登録し(表5)、4つの異なる部位で毎月4回(皮内)ワクチン接種し、その後、毎月1回6回の追加免疫を行った。CBCと血清および病期分類のX線写真と免疫モニタリングを行った。経過観察は、最初のワクチン接種の1ヵ月後、次いで、進行するまで6ヵ月ごとに行った。臨床試験と同様に、主にステージIIIの口腔高悪性度黒色腫(70%)が生じた。
【0069】
骨肉腫ワクチン試験:ワクチンプロトコル
骨肉腫ワクチンプロトコルを
図5に示す。骨肉腫ワクチン試験には、2つのフェーズが含まれた。ワクチン群には25匹のイヌが含まれた(n=25)。フェーズIでは、すべての骨肉腫イヌは、切断術を受け、続いてカルボプラチンの初回投与を行い、続いてカルボプラチンの2週間後にGD3ワクチン接種(x4)を行った。イヌを病期分類および他の状態に関して黒色腫の場合と同様に経過観察した。
【0070】
フェーズIIでは、すべての骨肉腫イヌは、切断術を受け、続いてカルボプラチンの初回投与を行い、続いてカルボプラチンの2週間後にGD3ワクチン接種(x6)を行った。イヌを病期分類および他の状態に関して黒色腫の場合と同様に経過観察した。骨肉腫ワクチン試験の結果を
図6~9に示す。
【0071】
実施例5~9の材料および方法
試験対象集団
患犬を前向きに2つの群集団に登録した。第1の患者群は、口腔、指、または皮膚の黒色腫(黒色腫集団、MMと略す)の細胞学的または病理組織学的診断を受けたイヌで構成されていた。黒色腫集団の追加の選択基準は、化学、CBC、尿検査、3つの視野の胸部X線写真、および入手可能な場合は局所リンパ節吸引物を用いた試験登録から2週間以内の病期分類であり、最低4ヵ月の生存期間が期待された。すべての患者は、口腔黒色腫のイヌを対象とした世界保健機関(WHO)のスキームに従って、試験登録時にステージ分類された(表1)(Owen,1980)。ステージI~IV疾患の患者は、黒色腫集団登録の対象となった。
【0072】
さらに、腫瘍を有糸分裂指数(MI)のためにコード化し、高MIまたは低MIのいずれかとして、10高倍率視野あたりの有糸分裂像の数として定義した。以前に公開された情報に基づいて、口腔/粘膜皮膚腫瘍の場合、MI≧4のカットオフ、皮膚/指の腫瘍の場合、MI≧3のカットオフを用いて、高MI腫瘍を定義した(Smedley et al.,2011)。除外基準には、あらゆる免疫修飾薬(例えば、プレドニゾロン、栄養補助食品、例えばアロエベラ、既存の内分泌疾患、例えば副腎皮質機能亢進症)の使用、黒色腫以外の既存の任意の癌または任意の活動性感染症の存在が含まれた。
【0073】
第2の群は、病院の教職員所有の年齢、体重、性別が適合するイヌで構成され、健康診断、CBC、および腫瘍の無病歴(対照集団)に基づいて臨床的に健康であると判定された。除外基準には、既存の内分泌疾患または活動性感染症を含むが、これらに限定されない、既知の全身性疾患、およびNSAIDSを含むが、予防薬(例えば、ノミ、ダニ、フィラリアの予防)を除く、任意の処方薬または栄養補助食品の現在または最近(1ヵ月以内)の使用が含まれる。
【0074】
ワクチン調製および投与
ワクチンは、前述のとおり(Milner et al.,2006)、市販の試薬Salmonella enterica血清型minnesota Re 595(MPL)アジュバント(Sigma,MS,USA[製品番号L6895])からのモノホスホリルリピドA、シトシン-ホスフェート-グアニン(CpG)オリゴデオキシヌクレオチド配列を含むオリゴデオキシヌクレオチド(CpG-ODN)(Alpha Diagnostic International,TX,USA[カタログ番号ODN2007]CpG-ODN配列5’-TCG TCG TTG TCG TTT TGT CGT T-3’)およびGD3(Matreya LLC、Pleasant Gap,PA,USA[カタログ番号1504])から調製した。ワクチン調製は、投与直前に行った。
【0075】
ワクチンは、一連の4回の注射で、4週間ごとに黒色腫集団に皮内投与された。次のように、3つの別々のワクチン接種部位を順番に使用した:0週目に左肩、4週目に右肩、8週目に右臀部、12週目に左肩。ワクチン投与に続発する急性皮膚反応またはその後の皮膚合併症が発生した場合のモニタリングを可能にするために、別々のワクチン接種部位を選択した。
【0076】
試料捕集
黒色腫集団では、各ワクチンの時点と、4回目のワクチン接種の1ヵ月後の再ステージ分類時に採血した。正常な対照集団の場合、血液試料は、単一時点で収集した。すべての血液試料を頸静脈穿刺によって収集し、血清分離管とヘパリン管に分けた。血清を少なくとも30分間凝固させた後、1640gで8分間遠心分離し、2つの試料に分注し、最初に-20℃で凍結した後、-80℃に移して長期保存し、サイトカイン分析のためにバッチで使用した。ヘパリン処理した全血をフローサイトメトリー分析に使用し、すべての試料を収集から24時間以内に処理した。ヘパリン処理した血液試料は、処理が1時間以上遅れた場合、処理するまで4℃で保存した。
【0077】
フローサイトメトリー分析
フローサイトメトリー分析は、多形核骨髄由来サプレッサー細胞(PMN-MDSC)サブセットをCD11b+MHCII-CD14-細胞集団として、単球骨髄由来サプレッサー細胞(M-MDSC)サブセットをCD11b+MHCII-CD14+細胞集団として定義した公開プロトコル(Goulart et al.,2012)に基づいた。MDSCサブセットの評価のために、全血試料を一次非結合マウス抗イヌCD11b抗体(AbD Serotec、クローンCA16.3E10)またはマウスIgG1アイソタイプ対照(AbD Serotec)とともに30分間インキュベートし、次いでRPE結合ウサギF(ab’)抗マウスIgG(AbD Serotec)二次抗体とともに30分間インキュベートした。
【0078】
特に明記しない限り、すべてのインキュベーションは、暗所で、4℃で行った。間接染色後、細胞を洗浄し、FITC結合ラット抗イヌMHCII(AbD Serotec、クローンYKIX334.2)およびAlexa fluor 647結合マウス抗ヒトCD14抗体(AbD Serotec、クローンTUK4)またはアイソタイプ対照(AbD Serotec)で製造元のプロトコルに従って30分間染色した。抗CD11bおよび抗MHCIIクローンは、製造元が標的とするイヌとして販売されており、ならびに以前のいくつかの研究で反応性を示している(Brodersen et al.,1998;Goulart et al.,2012;Lana et al.,2006;Rao et al.,2011)。抗CD14クローンは、以前のいくつかの研究でイヌの交差反応性を示している(Goulart et al.,2012;Jacobsen et al.,1993;Lana et al.,2006)。次いで、細胞を2回洗浄した後、赤血球をBD Pharmlyse赤血球溶解緩衝液(BD,Franklin Lakes,NJ USA)で溶解し、室温で、25分間暗所でインキュベートした。次いで、抗体標識細胞を2回洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで、室温で20分間固定した後、最終洗浄を行って過剰なパラホルムアルデヒドを除去して、フローサイトメトリー分析のためにFACS緩衝液に再懸濁した。陰性対照および補償対照のために、各患者に対して未染色試料と単一染色試料をそれぞれ調製した。
【0079】
試料は、Becton Dickinson Canto 3レーザフローサイトメータ(BD,Franklin Lakes,NJ USA)で分析し、試料ごとに100,000件の事象を収集した。品質対照は、製造元のセットアップビーズ(BD,Franklin Lakes,NJ,USA[カタログ番号642412])を使用して、最初の起動時に毎日行った。取得ゲートは、RBC/死細胞を除外するように設定した。補償は、単一の染色試料と未染色対照に基づいて設定された。収集後の分析は、FlowJo Single Cell分析ソフトウェア(Tree Star,Ashland,OR,USA)を使用して行った。分析ゲートを、未染色対照に基づいて設定した。集団のフローサイトメトリーゲーティングでは、前方散乱(FSC)および側方散乱(SSC)の取得ゲートを最初に設定して、死細胞を除外した。FSC-AreaおよびFSC-Heightを使用して、ダブレットを除外し、単一細胞集団を識別した。次に、CD11b対MHCIIを使用してCD11b+MHCII-集団を識別し、次いでCD11b対CD14としてゲートして、CD11b+MHCII-CD14+(推定M-MDSC)およびCD11b+MHCII-CD14-(推定PMN-MDSC)集団(Goulart et al.,2012)を識別した。推定PMN-MDSCおよび推定M-MDSCの数は、単一細胞集団のパーセンテージとして計算した。
【0080】
サイトカイン測定
GMCSF、IL-10、およびMCP-1の連続血清濃度は、カスタマイズされたMilliplex MAPイヌサイトカイン/ケモカインキット(CCYTOMAG-90K、EMD Millipore Corporation,Billerica,MA,USA)を使用して、内部品質対照とともに測定した。4℃で一晩インキュベートし、磁気プレートウォッシャを使用した。すべての試料、標準、品質対照は、重複して分析した。プレートをBio-Plex(登録商標)MAGPIX(商標)マルチプレックスリーダおよび付属のBio-Plex Managerソフトウェアバージョン6.1(Bio-Rad Laboratories,Hercules,CA,USA)を使用して読み取った。アッセイ内およびアッセイ間の変動係数、ならびに検出可能な最小濃度は、http://www.millipore.comにおいて、オンラインで閲覧することができる。
【0081】
単一のイヌ黒色腫細胞株(レミ)をT75フラスコからトリプシン処理し、トリパンブルー排除色素を使用してカウントした。生細胞(1x106)は、Falcon#2052チューブ(BD,Franklin Lakes,NJ,USA)で、250×重力で遠心沈殿させた。上清を除去し、4つのアリコートに分割し、最初に-20°Cで凍結し、次いでサイトカインキット分析が行われるまで長期保存用に-80℃に移した。
【0082】
統計解析
データが正規分布していない場合は、対応のない両側スチューデントのt検定またはノンパラメトリックウィルコクソン順位和(マン-ホイットニー)検定を使用して、2つの群間の量的差異を分析した。2つを超える群間の差異は、ランクでANOVAを使用して分析した。ワクチン時点でのMDSCの割合を比較するために、反復測定の一元配置分散分析を使用した。カテゴリデータの比較には、カイ二乗分析を使用した。サイトカインの統計分析には、マン-ホイットニー順位和検定を使用し、試料濃度の結果が0.0pg/mLの値を示した場合、製造元がリストした最小検出可能濃度に濃度を調整した。すべての分析はSigma-Plotソフトウェア(SigmaPlot for Windows、バージョン13;Systat Software,Erkrath,Germany)を使用して行い、p値<0.05は、統計的に有意であると見なした。
【0083】
患者の特徴
平均集団年齢10.56歳(SD±3.43)、体重中央値27.3kg(IQR 12.25~35.75)の去勢手術済み雄19匹と避妊手術済み雌14匹を含む33頭のイヌを黒色腫集団に登録した。対照集団には、平均年齢8.98歳(SD±2.75)、体重中央値20.6kg(IQR 12.25~29.43)の去勢手術済み雄13匹と避妊手術済み雌17匹を含む30匹のイヌを登録した。対照(n=30)および黒色腫集団の特徴を表2に要約する。代表的な犬種は、混合犬種、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、ビーグル、ヨークシャーテリア、ミニチュアシュナウザー、他の犬種であった。性別、体重、性別、年齢に関して、黒色腫と対照集団の間に統計的有意性はなかった(p>0.05)。
【0084】
フロリダ大学黒色腫ワクチン試験に登録された30匹の健康な対照および33匹の患者から収集された全血および血清は、表面上多形核-MDSC(CD11b+MHCII-CD14-)サブセットおよび単球-MDSC(CD11b+MHCII-CD14+)サブセットを評価するために、イヌ特異的CD11b、MHCIIおよび抗ヒトCD14抗体を用いた公開フローサイトメトリープロトコルを使用したフローサイトメトリーによって分析した。IL-10、MCP-1、および両方の推定MDSCサブセットは、黒色腫イヌと対照群で有意に上昇した。両方の推定MDSCサブセットは、GD3系免疫療法投与後に有意に減少したが、サイトカインの有意な変化は経時的に見られなかった。発明者らが知る限り、これはイヌの黒色腫における推定単球MDSCの増加を記述した最初の報告である。これは、ヒトの悪性黒色腫データと一致しており、治療的介入研究の貴重な潜在的モデルとしてイヌを支持している。
【実施例】
【0085】
実施例1:ナノサイズの二層リポソーム免疫療法(ナノリポ-GD3)の調製および予備データ
通常のイヌにおける試験の1つのアプローチは、アジュバント系GD3免疫療法によって誘発される免疫応答を測定することであった[2]。GD3は正常組織よりも腫瘍において高レベルで発現するが[3]、自己抗原と見なされ、したがって自己抗原に対する身体の耐性を克服するために免疫増強を必要とする。結果として、免疫増強を伴う免疫療法が本明細書で提供されている。一試験では、正常なイヌが弱い自己抗原(GD3)と見なされるものに反応するという仮説が検証された。この実施形態では、アジュバントは、CpGオリゴデオキシヌクレオチド((CpG-ODN)(Coley Pharmaceuticals,2007 CpG-ODN配列5’-TCG TCG TTG TCG TTT TGT CGT T-3’))配列、およびRIBIアジュバントMPL(登録商標)+TDM+CWSアジュバントシステム(Sigma,MS,USA[製品番号M6661RIBI])を含み、両アジュバントは、自然免疫系のトール様受容体(TLR)を標的とすることが既知である。10匹のイヌのコホートから、4匹にGD3とアジュバントを4週間間隔で皮内に3回ワクチン接種し、4匹にRIBIアジュバントのみを、および2匹にリン酸緩衝生理食塩水を接種した。ワクチン接種部位で皮膚反応についてキャリパー測定値を収集し、GD3に対するIgM抗体およびIgG抗体、ならびに黒色腫細胞株に対する細胞媒介性細胞傷害について血清をアッセイした。
【0086】
この試験の結果により、ワクチン接種部位の反応、IgMおよびIgGレベル、およびワクチン接種イヌと非ワクチン接種イヌとの間の細胞媒介性細胞傷害の間に有意差(P<0.05)が見られた。ワクチンにCpG-ODN配列およびGD3を追加すると、注射部位の炎症反応が上昇した。この試験の結果から、腫瘍抗原GD3(既知の弱い自己抗原)とアジュバント(TLRを標的とする)を組み合わせることにより、この正常なイヌの集団における自然免疫応答と適応免疫応答によって耐性が克服されることが識別された。皮膚反応は、有意であり、アジュバントに起因した。いくつかの実施形態では、モノホスホリルリピドA(MPL)の水中油型エマルジョンが、RIBIアジュバントの代わりに使用された。超音波処理によってワクチンのモノホスホリルリピドA(MPL)成分を乳化すると、139.9SD±57nmの安定したナノサイズの粒子が生成されることも本明細書で見出された(
図1を参照されたい)。これらのナノ粒子の安定性は、安定性試験によって確認されている。
【0087】
ナノ粒子を低温電子顕微鏡法でさらに調査し、その結果、二脂質層状リポソームを識別した(
図2を参照されたい)。リポソームの主成分としてMPLを組み込むことは、本明細書で識別された新規の発見である[4-6]。本明細書で提供される実施形態におけるナノサイズのリポソームの安定化の増強は、平均電位負17.32±3.02mVのゼータ電位によってもたされ、抗原提示細胞によるリポソームの取り込みに寄与する。エマルジョンの安定化および凝集に対する保護をもたらすゼータ電位の結果として、本明細書に記載のリポソームの実施形態は安定している。[6]。
【0088】
実施例2:GD3系保護ワクチンは、C57BL/6マウスモデルのNKT細胞を増加させる
NKT細胞は、免疫系全体を調節するために様々なサイトカインおよびケモカインを産生することができる。20年前の発見後、NKT細胞の活性化は、様々な感染症および非感染症において重要な保護的役割を果たしていることが示された。これらの細胞は、自然免疫細胞と適応免疫細胞との間の架け橋を形成する。これらの細胞の活性化および維持は、CD1受容体上の樹状細胞による脂質分子の提示に依存する。ワクチン中の標的抗原は脂質(GD3)であるため、標的抗原はNKT細胞の活性化のためにCD1受容体上に提示される可能性が非常に高い。検証済みの好適なイヌのCD1受容体試薬が不足しているため、イヌのGD3系ワクチンに見られる仮想保護の背後にあるメカニズムを定義することができなかった(1)。マウスモデルでは、NKT細胞は十分に特徴付けられており、GD3系ワクチンによるNKT細胞の選択的活性化の可能性を理解する機会を提供する。我々のデータは、GD3およびα-GalCerでワクチン接種されたマウスの肝臓においてNKT細胞の増加を明らかにしたが、ワクチン接種されたマウスと正常な対照との間で、血液および脾臓に識別可能な違いは見出せなかった。GD3ワクチンを接種したC57BL/6マウスおよび好適な対照においてB16黒色腫細胞株を使用したさらなる調査により、腫瘍微小環境におけるNKT応答を識別し得る。
【0089】
GD3系ワクチンおよびα-GalCerは、双方ともマウス肝臓においてNKT細胞を増加させたが、GD3は、α-GalCerの5~10倍のNKT数を増加させた。さらに、末梢血中のNKT数の変化をモニタリングすることは、細胞数が少ないために有益ではないことがあり得る。
【0090】
ヒト、イヌおよびマウスの(B16)黒色腫細胞上でのGD3発現を示す
図14を参照されたい。GD3の存在について、A375、CML-2およびB16黒色腫細胞を染色した。B16黒色腫細胞を抗GD3抗体(クローンR24)(赤線)とともにインキュベートし、FITCタグ付き抗マウス二次抗体(灰色)で染色したB16細胞とこの染色を比較した。染色した細胞をBD Canto and FlowJo10vで分析した。
【0091】
C57BL/6マウスにGalCer(IP)またはGD3系ワクチンを週4回(皮下)注射した。最後のワクチン接種から1週間後、IACUCプロトコルに従ってマウスを安楽死させ、単離した細胞を抗CD45、CD3、CD4、TCRb、CD49b、およびNK1.1抗体で染色することにより、ナチュラルキラーT細胞を血液、脾臓、肝臓で評価した。染色した細胞をBD Fortessa and FlowJo10vで分析した。(A)代表的なドットプロットは、肝臓ではNKT細胞の増加を示しているが、血液および脾臓では増加していない(データ不図示)。(B)収集したNKT細胞データは、ワクチン接種したマウスの肝臓において有意な増加を示している。
図15に示すように、n=4、
*<P0.05、
**<P0.01。
【0092】
10
5のB16黒色腫細胞を、Metrigelを用いて左脇腹のC57BL/6雄または雌マウスの皮下に移植した。これらのマウスの群に、腫瘍移植の翌日から2週間、毎週胸骨にGD3系ワクチンを皮下投与した。移植から2週間後、マウスを安楽死させ、腫瘍サイズを測定した。結果として、
図16Aは、雄マウスの腫瘍サイズを示し、
図16Bは、雌マウスの腫瘍サイズを示す。n=5、
*<P0.05、
****<P0.0001
【0093】
実施例3:黒色腫のイヌおよび正常なイヌにおけるGD3ワクチン接種に対するIgGおよびIgMの特異的免疫応答
図3は、黒色腫ワクチン試験の結果を示す。検証したGD3のIgMおよびIgGの免疫応答を正常なイヌと比較し、結果を
図3に示す。IgGおよびIgMは、一時的な増加を示した。臨床例および反復ワクチン接種と一致するエビデンスは、メモリーT細胞応答の欠如を裏付けている。4回のワクチンは、手術単独の2~3倍の生存率を改善した(Boston et al.,2014)(
図4-カプランの生存曲線を参照されたい)。ケモカインCCL2(MCP-1)の有意な上昇は、正常なイヌと比較してワクチン接種されたイヌにおいて見られた。副作用は、認められなかった。対象の1%が、(皮内)注射時に痛みを示すことがある。
【0094】
図4のカプラン・マイヤー曲線は、フェーズ1(中央値356日IQR 1492-166日)とフェーズ2中央値(1163日 IQR+inf-210日(P=0.046))間の生存期間の比較を示す。丸は、黒色腫ワクチン試験の打ち切りデータ(IQR-四分位範囲)を表す。
【0095】
実施例4:骨肉腫ワクチン試験-無病生存率および転移までの期間
骨肉腫ワクチン試験のワクチンプロトコルの概略図を
図5に示す。
図6は、骨肉腫ワクチン試験の無病期間(転移までの期間)をグラフで示す。症例のうち5例は、1~3回のワクチンを接種し、早期に失敗し、結果から除外した。無病区間グラフの生存データを
図7に示す。比較して、
図8は、骨肉腫ワクチン試験(フェーズI)におけるワクチン群と対照群との間の全生存率(n=30(-5)x30)をグラフで示す。フェーズ1は、4回のワクチンと4~6ラウンドのカルボプラチンを完了した25匹のイヌを含んでいた。25匹のイヌのうち8匹は、依然として生存しており、450日~1258日(5症例>551日)に及んだ。551日の生存期間中央値(75%221日、25%に達していなかった)を維持したことは、750日(CIの下限が526日、CIの上限が975日)を意味する。打ち切り14症例-8症例は依然として生存、1症例は追跡調査不能、5症例は他の原因で死亡。
図9は、
図8のグラフに示した全生存データを含む表を示す。
【0096】
RT-qPCRおよびRNA FISHの両方の試験を行い、GD3シンターゼおよびGD2シンターゼの発現を識別した。細胞内のGD2/GD3のレベルは、RT-qPCRおよびRNA-Scope(RNA FISH)で検出されたGD2/GD3シンターゼと相関しており、データに相関が見られた。RT-qPCR、RNA-Scope、およびフローサイトメトリーを使用して、組織内のGD2およびGD3を観察した。
【0097】
実施例5:ベースラインを示すイヌのMDSCサブセットのフローサイトメトリーによる特徴づけ
黒色腫集団および対照集団の末梢血中のMDSCのパーセンテージをフローサイトメトリーによって評価して、Goulard et al 2012によって特徴づけられたように各集団に存在するMDSCサブセットを特徴付けた。市販の抗体をベースにして、
図10に外形を描いたゲーティング戦略を使用して、多形核骨髄由来サプレッサー細胞(PMN-MDSC)サブセットをCD11b+MHCII-CD14-細胞集団と定義し、単球骨髄由来サプレッサー細胞(M-MDSC)サブセットをCD11b+MHCII-CD14+細胞集団と定義した。最初のワクチン接種前のベースラインでの黒色腫集団におけるこれらのMDSCサブセットを対照集団と比較した。黒色腫群と対照群の両方で、M-MDSCは、全単一細胞集団の比較的小さな部分を構成したが、対照集団と比較して黒色腫集団で有意に増加することがわかった(p<0.001)(
図11A)。黒色腫集団では、PMN-MDSCは、単一細胞集団の大部分を構成し、対照集団と比較して有意に増加した(p<0.001)(
図11B)
【0098】
実施例6:ステージ、解剖学的位置、および有糸分裂指数と比較したMDSCサブセット
黒色腫の集団を、黒色腫の既知の予後因子(Smedley et al.,2011)であるステージ、解剖学的位置、および有糸分裂指数(表2)に従って分類し、次いでPMN-MDSCおよびM-MDSCの集団に関してこれらを評価した。黒色腫集団内には、15匹のステージIのイヌ、8匹のステージIIのイヌ、6匹のステージIIIのイヌ、4匹のステージIVのイヌがいた。任意のステージ間、またはグループ化されたステージI/IIとグループ化されたステージIII/IVとの間で、MDSCサブセットに有意差はなかった。これらのイヌのうち25匹は口腔腫瘍、4匹は指腫瘍、4匹は皮膚腫瘍であった。口腔/粘膜皮膚、指、皮膚の腫瘍部位を有する患犬間のMDSCサブセットに有意差は見られなかった。
【0099】
有糸分裂指数の評価のために黒色腫集団の32匹の患犬の病理組織診断が利用可能であった。1匹の患犬は細胞診のみを受けており、分析のこの部分から除外した。口腔/粘膜皮膚腫瘍についてMIが≧4の場合、または皮膚/指の腫瘍についてMIが≧3の場合、高MIとして分類し、これらのカットオフより下の腫瘍は、低MIとして分類した。23匹のイヌは高MI腫瘍を有し、9匹は低MI腫瘍を有していた。高MI腫瘍と低MI腫瘍のPMN-MDSCとM-MDSCとの割合に有意差はなかった。
【0100】
実施例7:GD3系免疫療法ワクチン投与によるMDSCサブセットの減少
GD3系ワクチンを4回投与した後、黒色腫のイヌのMDSCサブセットに経時的な変化があったかどうかを判定するために、4回のワクチン接種時のそれぞれのワクチン接種前に、および4回目のワクチン接種の1ヵ月後に、血液試料を収集した。次いで、PMN-MDSCおよびM-MDSCの識別および定量化のためにフローサイトメトリーを使用して試料を分析した。PMN-MDSCとM-MDSCの両方の割合は、ベースラインの最初のワクチン接種時と比較した場合、2回目のワクチン接種時からワクチン接種後1ヵ月まで、各時点で大幅に減少した((すべてのPMN-MDSC時点で、p<0.001でああり、M-MDSC第2のワクチン時点についてはp=0.003であり、他のすべてのM-MDSC時点ではp<0.001であった)、
図11Cおよび11Dを参照されたい)。
【0101】
実施例8:黒色腫集団および対照集団におけるサイトカインおよびケモカインのプロファイル
黒色腫のイヌのサイトカインおよびケモカインの変化をモニタリングするために、4回のワクチン接種時のそれぞれでワクチン接種前、および4回目のワクチン接種の1ヵ月後に収集した血清試料をIL-10、GM-CSF、MCP-1について分析した。ベースラインでの黒色腫集団および対照集団のサイトカイン濃度の中央値を表3に要約する。
【0102】
IL-10およびMCP-1の両方の血清レベルは、対照集団と比較して黒色腫集団のベースラインで有意に高かった(それぞれp=0.046およびp=0.035)が、GM-CSFでは高くなかった(p=0.354)(
図12)。黒色腫集団内では、評価した5つの時点の間で、GM-CSF、IL-10、およびMCP-1の血清レベルに有意差はなかった。
【0103】
MCP-1のパイロット評価をイヌの転移性黒色腫細胞株(Remi)を使用して行い、腫瘍細胞がMCP-1を生成できるかどうか、およびどの濃度で生成できるかを確認した。Remi細胞株のMCP-1濃度は、577.735pg/mLであり、これは、黒色腫集団で見られる血清MCP-1濃度の中央値529.32pg/mLと類似していた。
【0104】
実施例9:黒色腫集団および対照集団における試験登録時の血球数
全血球計算(CBC)データを両集団で評価して、フローサイトメトリー分析から除外する必要があり得る可能性のある極端な外れ値を識別するために、全体的な細胞分布を調べた。極端な外れ値は識別されなかった。次いで、両郡の試験登録時および黒色腫集団のワクチン接種前に収集したベースラインCBCデータを集団間の有意差について比較することができた。両郡の中央値、平均値、および範囲を表4に要約する。
【0105】
白血球数(WBC)、好中球数および血小板数の中央値は、対照集団と比較して黒色腫集団で有意に高かった(それぞれ、p=0.036、p=0.002、およびp=0.025)。黒色腫集団においてWBC(8.23x103/uL、IQR6.405~11.77)、好中球数(5.99x103/uL、IQR4.33~7.519)および血小板数(295x103/uL、IQR225~391.5)の中央値はすべて基準範囲内であったので、この所見の臨床的な意義は不明である。同様に、対照集団のWBC(7.165x103/uL、IQR6.405~11.77)、好中球(4.58x103/uL、IQR4.33~7.519)、血小板数(230.5x103/uL、IQR225~391.5)の中央値も基準範囲内であった。黒色腫集団の5匹のイヌ(15%)は、成熟した好中球増加(9.24~26x103/uLの範囲、基準範囲2.7~8.9x103/uL)を特徴とする白血球増加症(13.4~30.4x103/uLの範囲、基準範囲5~13x103/ul)であった。黒色腫集団の8匹のイヌ(24%)は、軽度から中等度の血小板増加症であった(402~709x103/uLの範囲;基準範囲134~396x106/uL)。両郡集団間で、リンパ球、単球、好酸球、または好塩基球の数に有意差はなかった。
【0106】
平均赤血球数(RBC)およびヘマトクリット中央値は、対照集団と比較した場合、黒色腫集団において有意に低かった(それぞれ、p=0.007およびp=0.014)。黒色腫集団(6.556×106/uL、SD±0.879)および対照群(7.139×106/uL、SD±0.777)の平均RBCは、基準範囲内にとどまった。同様に、黒色腫集団(44.4%、IQR40.3~49.9)および対照集団(48.25%、IQR43.9~52.675)のヘマトクリット中央値も基準範囲内であった。黒色腫集団の4匹のイヌ(12%)は、RBC数が基準範囲(4.69~5.64x106/uLの範囲、基準範囲5.7~8.3x106/uL)をわずかに下回り、同時にヘマトクリットがわずかに減少した(33.4~39.8%の範囲、基準範囲40~56%)。すべての貧血は非再生性であり、2匹は、軽度の小球性正色素性貧血であり、2匹は、正球性正色素性貧血であることが判明した。
【0107】
表
【0108】
【0109】
【0110】
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【0112】
【0113】
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【国際調査報告】