(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-28
(54)【発明の名称】直流高速スイッチの内部アーク耐性能力を試験する方法
(51)【国際特許分類】
H01H 33/00 20060101AFI20220318BHJP
H01H 9/54 20060101ALI20220318BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
H01H33/00 A
H01H9/54 C
G01R31/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546681
(86)(22)【出願日】2019-07-25
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 CN2019097617
(87)【国際公開番号】W WO2021003775
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】201910621594.0
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517453966
【氏名又は名称】中国南方電网有限責任公司超高圧輸電公司検修試験中心
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲長▼虹
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ 旭
(72)【発明者】
【氏名】黎 ▲衛▼国
(72)【発明者】
【氏名】黄 忠康
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 勇
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ ▲暁▼▲鵬▼
【テーマコード(参考)】
2G036
5G027
5G034
【Fターム(参考)】
2G036AA13
2G036BB06
5G027AA02
5G027AA14
5G027AA22
5G034AC07
(57)【要約】
【課題】本発明は、直流高速スイッチの内部アーク耐性試験方法を提供する。
【解決手段】当該方法は、試験回路構築ステップ及び試験操作を含む。当該試験回路は、短絡回路100、整流回路200、及びアークモニタリング回路300を備える。短絡回路100は、短絡補助遮断器AB2、交流電源、及び短絡変圧器Tを備える。交流電源、短絡遵助遮断器AB2、及び短絡変圧器Tの一次コイルは、順に直列接続されてループを形成する。整流回路200は、第1電流計A1、整流弁群V、リアクトルL、整流遵助遮断器AB1、及び電流制限抵抗Rを備える。短絡回路100、整流回路200、アークモニタリング回路300の協同作用の下で直流高速スイッチの内部アーク耐性試験のシーンを等価的に模擬できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流高速スイッチの内部アーク耐性能力を試験する方法であって、
試験回路構築ステップと、試験操作ステップと、を含み、
前記試験回路は、短絡回路、整流回路、及びアークモニタリング回路を備え、
前記短絡回路は、短絡補助遮断器、交流電源、及び短絡変圧器を備え、前記交流電源、短絡補助遮断器、及び短絡変圧器の一次コイルは、順に直列接続されてループを形成し、
前記整流回路は、第1電流計、整流弁群、リアクトル、整流補助遮断器、及び電流制限抵抗を備え、前記整流弁群は前記短絡変圧器の二次コイルに接続され、第1電流計は、整流弁の、短絡変圧器の二次コイルに接続されるコイルに実装され、前記電流制限抵抗は、一方端が前記整流弁群の入力端に接続され、他方端が整流補助遮断器の一方端に接続され、前記リアクトルの一方端は前記整流弁群の出力端に接続され、
前記アークモニタリング回路は、第1電圧計、第2電圧計、第2電流計、及び特徴バラメータ総合モニタリング装置を備え、前記整流補助遮断器の他方端は、被試験遮断器に接続されるように構成され、前記特徴バラメータ総合モニタリング装置は、被試験遮断器をモニタリングすることで試験に必要なパラメータを取得するように構成され、前記第2電流計は、一方端が前記電流制限抵抗の他方端に接続され、他方端がそれぞれ被試験遮断器及びグランドに接続され、前記第1電圧計は、一方端が第2電流計の、被試験遮断器に接続される回線に接続され、他方端が接地され、前記第2電圧計は、一方端が整流補助遮断器の、被試験遮断器に接続される回線に接続され、他方端が接地され、
前記試験操作ステップは、試験回路パラメータ配置サブステップと、短絡電流発生サブステップと、整流サブステップと、アーク試験及び状態モニタリングサブステップとを含み、
前記試験回路パラメータ配置サブステップでは、
試験電流要求値及び発電機定格電圧に基づいて短絡変圧器の変圧比を調整し、更に、整流試験回路における乾式リアクトルを調節することにより、被試験遮断器側で直流振幅値I
dcの短絡電流が発生可能にし、
前記短絡電流発生サブステップでは、
試験回路に短絡が発生する前に、被試験遮断器が閉極位置にあり、試験開始後、短絡補助遮断器を閉極させて回路を短絡させ、短絡変圧器によって短絡電流をコイルの巻き数比に応じて増幅させ、試験で要求される短絡電流を生成して整流回路の整流弁に入力し、第1電流計によって電流振幅値をリアルタイムで記録し、
前記整流サブステップでは、
交流短絡電流をコンバータバルブによって整流した後、整流補助遮断器の閉極によって直流電流として出力し、乾式リアクトルと電流制限抵抗器とによって調節した後、試験要求を満たす電流振幅値I
dcを生成し、
前記アーク試験及び状態モニタリングサブステップでは、
アークモニタリング回路において、定格直流電流が被試験遮断器を流れた後、被試験遮断器を開極するように制御し、接触子の快速な相対開極運動につれて、アーク接触子の間で直流電弧が発生し、接触子が所定位置まで開極した後、直流電弧がアーク接触子の間でアブレーションし続け、試験要求時間t
ac維持した後、短絡補助遮断器によって交流短絡回路を遮断して電源側エネルギー供給を切断し、被試験遮断器T0のアーク接触子の電弧が徐々に減衰して最終的に消滅するようにし、これで1回の試験が終了し、試験要求値に応じてn回の試験を行い、試験間隔が、被試験遮断器の温度が環境温度まで回復するのに必要な時間を基準とし、試験過程において、被試験遮断器の動的抵抗、ガス組成変化、開閉極速度、及び消弧室赤外温度上昇量をそれぞれ記録し、nは、正整数である
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記アークモニタリング回路は、特徴バラメータ総合モニタリング装置を更に備え、前記特徴バラメータ総合モニタリング装置は、被試験遮断器をモニタリングすることで、試験に必要なパラメータを取得するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記整流弁群は、6パルス又は12パルスに設置されるように、制御可能なコンバータアームからなるブリッジコンバータバルブによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記特徴バラメータ総合モニタリング装置が被試験遮断器をモニタリングすることは、
被試験遮断器T0の開極時の時間-接触子速度、時間-接触子ストロークの曲線を取得するための機械特性モニタリングと、
被試験遮断器のアーク耐えにおける熱放射による消弧室の表面温度上昇の変化状況を取得するための赤外モニタリングと、
被試験遮断器の内部アーク耐え過程におけるSF6ガス組成の発生、変化の過程を取得するためのガス組成モニタリングと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記交流電源は交流発電機であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記リアクトルは乾式リアクトルであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験回路に関し、具体的に直流高速スイッチの内部アーク耐性試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直流高速スイッチ(High speed switch、HSS)は、主に多端フレキシブル直流送電システムに用いられている。直流高速スイッチを配置する目的は、直流システムの第3ステーションのオンライン投入・退出及び直流回線故障の高速な隔離を図り、全直流システムの信頼性及び利用可能性を向上させることにある。
【0003】
直流高速スイッチは、一般的に開放柱式遮断器の形態を採用し、操作機構は、油圧又はばねを採用可能である。多端システムに合わせて制御を協調させ、送電側、受電側のオンライン投入及び退出を図るために、機器の肝心な性能パラメータの協調は、非常に高く要求され、主に以下の特点を有する。
【0004】
(1)1.05p.u.以上のシステム定格搬送容量の固有長期間オーバーロード能力(最高環境温度において)を具備すべきである。
(2)強い直流アーク耐性能力を具備する。
(3)直流回線の無負荷充電電流を転送する能力を具備する。
(4)高い開極速度、確実な機械動作特性を具備し、不動作、誤動作が発生しない。
【0005】
直流高速スイッチの運転状況は、主に定常オン、オフ過渡過程、定常オフ及びオン過渡過程の4種を含む。HSSの4種の運転状況では、以下の能力を具備することが要求されている。
【0006】
1.HSS開極状態において、開放口の両側のコンバータステーションがアンロックされ、両側の直流電圧が何れも定格直流電圧に達して安定し、この時、HSSが確実に閉極可能である。
2.HSS閉極状態において、開放口の一側のコンバータステーションがロックされ、最初の時にロック側直流電圧が一定に保持され、HSSが確実に開極可能であるが、極線PT 抵抗放電等により、ロック側の対地電圧が徐々に低下していく。そのため、高速スイッチのブレードがオフされる前に、HSSは、徐々に高くなる端間電圧に耐えられるものでなければならない。
3.直流回線に故障が発生した場合、HSS電源側のコンバータステーションが快速に位相シフトし、HSSロード側のコンバータステーションが快速にロックされ、HSS開極動作前に、100ms程度の時間の瞬時大電流に耐える必要があり、振幅が数十kAまで達する。HSSは、電流が0に減衰した後で、開極する。
4.短時間の内部アーク耐性能力を具備する。例えば、烏東徳フレキシブル直流プロジェクトでは、3125A、400ms、5回の内部アークに対する耐えは要求され、雲南省―貴州省接続プロジェクトでは、3786A、400ms、5回の内部アークに対する耐えは要求され、且つ5回のアークの後でも絶縁外皮に破損が発生しないことは要求される。
5.HSSは、確実な高速閉極、開極の機械性能を具備する必要がある。例えば、烏東徳プロジェクトでは、閉極時間<100ms、開極時間<30msが要求される。
6.HSSは、直流電流又は故障電流をオン・オフする性能を有する必要がない。しかし、直流回線の残留電流をオン・オフする能力を有する必要がある。それは、一般的に、20A程度である。
【0007】
したがって、HSSを応用する前に、その全体の肝心な性能、特に直流アーク耐性能力に対して試験審査評価を行う必要がある。しかし、従来では、直流アーク耐性能力の試験審査方法はなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記従来技術の不足を克服し、HSSを応用する前に、HSSに対して試験を行うことでその直流アーク耐性能力が要求に適うか否かを判断する直流高速スイッチの内部アーク耐性試験方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を果たすべく、本発明の解決手段は、以下のようになる。
直流高速スイッチの内部アーク耐性試験方法は、
試験回路構築ステップと、試験操作ステップと、を含み、
前記試験回路は、短絡回路、整流回路、及びアークモニタリング回路を備え、
前記短絡回路は、短絡補助遮断器、交流電源、及び短絡変圧器を備え、前記交流電源、短絡補助遮断器、及び短絡変圧器の一次コイルは、順に直列接続されてループを形成し、
前記整流回路は、第1電流計、整流弁群、リアクトル、整流補助遮断器、及び電流制限抵抗を備え、前記整流弁群は前記短絡変圧器の二次コイルに接続され、第1電流計は、整流弁の、短絡変圧器の二次コイルに接続されるコイルに実装され、前記電流制限抵抗は、一方端が前記整流弁群の入力端に接続され、他方端が整流補助遮断器の一方端に接続され、前記リアクトルの一方端は、前記整流弁群の出力端に接続され、
前記アークモニタリング回路は、第1電圧計、第2電圧計、第2電流計、及び特徴バラメータ総合モニタリング装置を備え、前記整流補助遮断器の他方端は、被試験遮断器に接続されるように構成され、前記特徴バラメータ総合モニタリング装置は、被試験遮断器をモニタリングすることで試験に必要なパラメータを取得するように構成され、前記第2電流計は、一方端が前記電流制限抵抗の他方端に接続され、他方端がそれぞれ被試験遮断器及びグランドに接続され、前記第1電圧計は、一方端が第2電流計の、被試験遮断器に接続される回線に接続され、他方端が接地され、前記第2電圧計は、一方端が整流補助遮断器の、被試験遮断器に接続される回線に接続され、他方端が接地され、
前記試験操作ステップは、試験回路パラメータ配置サブステップと、短絡電流発生サブステップと、整流サブステップと、アーク試験及び状態モニタリングサブステップとを含み、
前記試験回路パラメータ配置サブステップでは、
試験電流要求値及び発電機定格電圧に基づいて短絡変圧器の変圧比を調整し、更に整流試験回路における乾式リアクトルを調節することにより、被試験遮断器側で直流振幅値Idcの短絡電流が発生可能にし、
前記短絡電流発生サブステップでは、
試験回路に短絡が発生する前に、被試験遮断器が閉極位置にあり、試験開始後、短絡補助遮断器を閉極させて回路を短絡させ、短絡変圧器によって短絡電流をコイルの巻き数比に応じて増幅させ、試験で要求される短絡電流を生成して整流回路の整流弁に入力し、第1電流計によって電流振幅値をリアルタイムで記録し、
前記整流サブステップでは、
交流短絡電流をコンバータバルブによって整流した後、整流補助遮断器の閉極によって直流電流として出力し、乾式リアクトルと電流制限抵抗器とによって調節した後、試験要求を満たす電流振幅値Idcを生成し、
前記アーク試験及び状態モニタリングサブステップでは、
アークモニタリング回路において、定格直流電流が被試験遮断器を流れた後、被試験遮断器を開極するように制御し、接触子の快速な相対開極運動につれて、アーク接触子の間で直流電弧が発生し、接触子が所定位置まで開極した後、直流電弧がアーク接触子の間でアブレーションし続け、試験要求時間tac維持した後、短絡補助遮断器によって交流短絡回路を遮断して電源側エネルギー供給を切断し、被試験遮断器T0のアーク接触子の電弧が徐々に減衰して最終的に消滅するようにし、これで1回の試験が終了し、試験要求値に応じてn回の試験を行い、試験間隔が、被試験遮断器の温度が環境温度まで回復するのに必要な時間を基準とし、試験過程において、被試験遮断器の動的抵抗、ガス組成変化、開閉極速度、及び消弧室赤外温度上昇量をそれぞれ記録し、nは、正整数である。
【0010】
前記アークモニタリング回路は、特徴バラメータ総合モニタリング装置を更に備え、前記特徴バラメータ総合モニタリング装置は、被試験遮断器をモニタリングすることで、試験に必要なパラメータを取得するように構成されている。
【0011】
前記整流弁群は、6パルス又は12パルスに設置されるように、制御可能なコンバータアームからなるブリッジコンバータバルブによって構成されている。
【0012】
前記特徴バラメータ総合モニタリング装置が被試験遮断器をモニタリングすることは、
被試験遮断器T0の開極時の時間-接触子速度、時間-接触子ストロークの曲線を取得するための機械特性モニタリングと、
被試験遮断器のアーク耐えにおける熱放射による消弧室の表面温度上昇の変化状況を取得するための赤外モニタリングと、
被試験遮断器の内部アーク耐え過程におけるSF6ガス組成の発生、変化の過程を取得するためのガス組成モニタリングと、を含む。
【0013】
前記交流電源は交流発電機である。
【0014】
前記リアクトルは乾式リアクトルである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、従来技術よりも、以下の有利な作用効果を有する。
【0016】
短絡回路、整流回路、アークモニタリング回路の協同作用の下で直流高速スイッチの内部アーク耐性試験のシーンを等価的に模擬でき、等価模擬回路により、遮断器のSF6定格気圧において、システム運転状態に誤動作、誤トリッピングが発生したときに遮断器によって耐えられるシステム負荷直流電流のアブレーションの性能を検証可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施例に係る直流高速スイッチの内部アーク耐性試験回路の電気回路原理図である。
【
図2】遮断器の消弧室の接触子アブレーション状態の評価システム模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、図面及び具体的な実施形態を組み合わせて本発明の内容について更に詳細に説明する。
【0019】
(実施例)
図1-4に示すように、本実施例に係る直流高速スイッチの内部アーク耐性試験方法は、主に試験回路構築ステップ及び試験操作ステップという2つのステップを含む。
【0020】
ただし、当該試験回路は、主に、3つの回路、即ち、短絡回路100、整流回路200、アークモニタリング回路300によって構成されている。
【0021】
当該短絡回路100は、補助遮断器AB2、交流発電機G及び短絡変圧器Tを備え、当該交流発電機G、短絡補助遮断器AB2、及び短絡変圧器Tの一次コイルは、順に直列接続されてループを形成する。
【0022】
当該整流回路200は、第1電流計A1、整流弁群V、乾式リアクトルL、整流補助遮断器AB1、及び電流制限抵抗Rを備える。当該整流弁群Vは、当該短絡変圧器Tの二次コイルに接続され、第1電流計A1は、整流弁Vの、短絡変圧器Tの二次コイルに接続されるコイルに実装され、当該電流制限抵抗Rは、一方端が前記整流弁群Vの入力端に接続され、他方端が整流補助遮断器AB1の一方端に接続され、前記リアクトルLの一方端は、前記整流弁群Vの出力端に接続されている。
【0023】
当該アークモニタリング回路300は、第1電圧計V1、第2電圧計V2、第2電流計A2、及び特徴バラメータ総合モニタリング装置30を備える。当該整流補助遮断器AB1の他方端は、被試験遮断器T0に接続されるように構成され、当該特徴バラメータ総合モニタリング装置30は、被試験遮断器T0をモニタリングすることで、試験に必要なパラメータを取得するように構成されている。当該第2電流計A2は、一方端が前記電流制限抵抗Rの他方端に接続され、他方端がそれぞれ被試験遮断器T0及びグランドに接続され、当該第1電圧計V1は、一方端が第2電流計A2の、被試験遮断器T0に接続される回線に接続され、他方端が接地され、当該第2電圧計V2は、一方端が整流補助遮断器AB1の、被試験遮断器T0に接続される回線に接続され、他方端が接地される。
【0024】
短絡回路、整流回路、アークモニタリング回路の協同作用の下で直流高速スイッチの内部アーク耐性試験のシーンを等価的に模擬できる。等価模擬回路により、遮断器のSF6定格気圧において、システム運転状態に誤動作、誤トリッピングが発生したときに遮断器によって耐えられるシステム負荷直流電流のアブレーションの性能を検証可能である。
【0025】
ただし、当該試験回路では、被試験遮断器(即ち、被試験遮断器T0)が閉極位置から開極を開始し、被試験遮断器のアーク接触子の間で直流電流電弧Idc(具体的な振幅は、具体プロジェクトの最も厳しい故障状況に応じた算出値を基準とし、一般的に3000-5000A範囲である)を流れる。
【0026】
持続時間がtac(具体的な時間は、具体プロジェクトのフレキシブル直流弁保護ロック時間定数を基準とし、一般的に300-500ms範囲である)である。
【0027】
合計n回のアーク耐え試験が行われ、具体的な回数は、プロジェクトの機器に対する電気寿命要求に応じて定められる。
【0028】
初期状態時に、被試験遮断器T0が閉極状態であり、補助遮断器AB1、AB2が開極状態である。
【0029】
パラメータ偏差要求は、下記のようになる。直流振幅値Idcとプロジェクト要求との偏差が±10%であり、持続時間が0.5sを超えてはならず、Idc
2tの偏差が0~10%である。
【0030】
具体的に、当該整流弁群Vは、制御可能なコンバータアームからなるブリッジコンバータバルブVによって構成され、6パルス又は12パルスに設置されてもよい。当該特徴バラメータ総合モニタリング装置が被試験遮断器をモニタリングすることは、
被試験遮断器T0の開極時の時間-接触子速度、時間-接触子ストロークの曲線を取得するための機械特性モニタリングと、
被試験遮断器のアーク耐えにおける熱放射による消弧室の表面温度上昇の変化状況を取得するための赤外モニタリングと、
被試験遮断器の内部アーク耐え過程におけるSF6ガス組成の発生、変化の過程を取得するためのガス組成モニタリングと、を含む。
【0031】
具体的に、当該試験操作ステップは、以下のサブステップを含む。
【0032】
1)試験回路のパラメータの配置
試験電流要求値及び発電機定格電圧に基づいて短絡変圧器の変圧比を調整し、更に整流試験回路における乾式リアクトルを調節することにより、被試験遮断器側で直流振幅値Idcの短絡電流が発生可能にする。
2)短絡電流の生成
試験回路に短絡が発生する前に、被試験遮断器が閉極位置にある。試験開始後、補助遮断器AB2を閉極させて回路を短絡させ、短絡変圧器Tによって短絡電流をコイルの巻き数比に応じて増幅させ、試験で要求される短絡電流を生成して整流回路の整流弁に入力し、電流計A1によって電流振幅値をリアルタイムで記録する。
3)整流
整流回路において、制御可能なコンバータアームからなるブリッジコンバータバルブVは、6パルス又は12パルスに設置可能である。交流短絡電流をコンバータバルブによって整流した後、補助遮断器AB1の閉極によって直流電流として出力し、乾式リアクトルLと電流制限抵抗器Rとによって調節した後、試験要求を満たす電流振幅値Idcを生成する。
4)アーク試験及び状態モニタリング
アークモニタリング回路において、定格直流電流が被試験遮断器T0を流れた後、被試験遮断器T0を開極するように制御し、接触子の快速な相対開極運動につれて、アーク接触子の間で直流電弧が発生し、接触子が所定位置まで開極した後、直流電弧がアーク接触子の間でアブレーションし続け、試験要求時間tac維持した後、補助遮断器AB2によって交流短絡回路を遮断して電源側エネルギー供給を切断し、被試験遮断器T0のアーク接触子の電弧が徐々に減衰して最終的に消滅することになり、これで1回の試験が終了する。試験要求値に応じてn回の試験を行い、試験間隔は、人身傷害を回避するように、被試験遮断器の温度が環境温度まで回復するのに必要な時間を基準とするべきである。
【0033】
試験過程において、動的抵抗、ガス組成変化、開閉極速度、及び消弧室の赤外温度上昇などの肝心なパラメータをそれぞれ記録し、これらのパラメータに基づいて、被試験遮断器の直流アーク耐性能力性能が要求に適うか否かを分析する。
【0034】
具体的に、当該動的抵抗は、肝心な特徴バラメータを4つ含み、具体的に以下のように定義する。
【0035】
1)アーク接触子有効接触状態:遮断器の開閉極過程において、アーク接触子の接触抵抗が、ある閾値(当該値は、動的接触抵抗の測定値を参照して与えられてもよい)以下であるときに、アーク接触子が有効接触状態であると考えられ、接触抵抗が当該値より大きいときに、アーク接触子が無効接触で、分離状態(絶対分離ではなく、データ分析を便利にするためのものである)であると考えられる。動的抵抗のテストの時に試験電流が2000A以上に達するため、アーク接触子の金属が絶対分離する際、暫くのアーク放電現象が発生するので、テスト手段によって接触抵抗が無限大である時を接触子の絶対分離時刻とすることは、不精確である。したがって、本発明は、ただ試験データの傾向分析を便利にするため、ある閾値をアーク接触子の接触境界値として定義する。
2)有効接触変位L(mm):遮断器の開閉極過程において、主接触子が分離した直後、アーク接触子の接触抵抗が閾値(2000μΩ)以下であるときに対応する接触変位は、有効接触変位と称される。
3)累積接触抵抗Raccu(μΩ*mm):有効接触変位に対応するサンプリング時刻における接触抵抗の累積値である。試験機器のサンプリングレートが20kであり、即ち、0.05msごとに、対応する接触抵抗値が得られる。有効接触変位の曲線範囲内の接触抵抗に対して積分を行うと、累積接触抵抗μΩ*mmは取得可能である。
4)平均接触抵抗Rave(μΩ/mm):累積接触抵抗を有効接触変位で除算すると、平均接触抵抗μΩ/mmを取得可能であり、接触子のアブレーション後の接触抵抗及び有効接触変位の変化状況を比較的に良好に体現させることが可能となる。
【0036】
アーク試験の前後及び毎回の試験間隔の何れにも、遮断器アーク接触子の動的抵抗を測定し、アーク接触子のアブレーション状態特徴バラメータを記録し、アーク接触子の電弧アブレーションに耐える度合いを評価すると、以下の表の記録を完成させる。
【0037】
【0038】
アーク接触子の有効接触変位Lが0~5mmの区間であるときに、平均接触抵抗は、有効接触変位の増加に従って快速に降下する傾向を呈し、接触変位が5mmより大きくなった後、平均接触抵抗の変化は、徐々に安定になっていく。
【0039】
アーク耐え試験の前後は、アーク接触子のサイズ長さ、重量変化を記録すべきである。
【0040】
試験見本機を分解し、動、静アーク接触子のポートサイズ及び部品重量を測定する。
【0041】
【0042】
【0043】
ただし、遮断器の消弧室の接触子アブレーション状態評価方法は、具体的に
図2に示すように、以下のステップを含む。
【0044】
第1ステップでは、ユーザは、動的抵抗テスト技術によって遮断器消弧室特徴バラメータを取り出して評価システムへ入力する。入力データは、下記の1)~3)を含む。
【0045】
1)評価すべき遮断器の台帳情報:遮断器スケジューリング番号、相、電圧レベル、遮断器型番、メーカ、運営投入時間。
2)当該型番の遮断器の初期特徴バラメータ:アーク接触子の有効接触変位L(mm)、アーク接触子の累積接触抵抗Raccu(μΩ*mm)、アーク接触子の平均接触抵抗Rave(μΩ/mm)。
3)評価すべき遮断器の現在状態における特徴バラメータ:アーク接触子の有効接触変位L(mm)、アーク接触子の累積接触抵抗Raccu(μΩ*mm)、アーク接触子の平均接触抵抗Rave(μΩ/mm)。
【0046】
第2ステップでは、データベース(累積エネルギーアブレーショ指紋データベース、接触子特徴バラメータ関連データベース、接触子アブレーション状態専門家データベース)に基づいて、第1ステップで入力された評価すべき遮断器の初期状態、現在状態の特徴バラメータに対して総合評価を行い、アーク接触子の現在アブレーション状態に対応する累積開閉エネルギー、特徴量関連曲線の定量的な差分をそれぞれ取得する。
【0047】
第3ステップでは、第2ステップで総合分析された結果に基づいて、特徴バラメータの算出を完成し、遮断器の現在アーク接触子の有効接触変位と初期有効接触変位との比の区間を判別する。
【0048】
第4ステップでは、現在の遮断器消弧室状態を評価する。現在アーク接触子の有効接触変位と初期有効接触変位との比が80~100%範囲内である場合に、正常アブレーション状態となり、比が60~80%範囲内である場合に、軽度アブレーション状態となり、比が40~60%範囲内である場合に、中度アブレーション状態となり、比が20~40%範囲内である場合に、重度アブレーション状態となり、比が<20%範囲内である場合に、異常状態となる。
【0049】
遮断器に内部アーク試験を行う過程では、消弧室のSF6ガスの複数種の特徴組成の生成、増加等の変化傾向を記録する。当該データは、当該型番の遮断器の運転時に重要な点検修理依拠とすることが可能で、遮断器のノズルのアブレーションの度合いを評価する重要指標でもある。
【0050】
その一方、被試験遮断器の開閉極速度モニタリングは、遮断器の操作機構のクランクアームに取り付けられる通常の速度センサを採用してもよい。被試験遮断器T0の開閉極動作時に、開閉極速度v-時間t-動作ストロークlのデータを特徴バラメータ総合モニタリング装置にリアルタイムで伝送して総合処理すると、機械特性の測定は完了可能である。
【0051】
被試験遮断器T0で内部アーク耐性試験を行うとき、アーク接触子が電弧tarcのアブレーションに耐え続けるため、電弧の温度上昇が絶縁ガスを介して消弧室の絶縁外皮に熱放射され、消弧室の表面の数Kの温度上昇変化を引き起こす。したがって、試験過程において、赤外放射温度測定技術に基づいて赤外モニタリング装置を採用し、遮断器の消弧室の絶縁外皮の温度上昇変化をリアルタイムでモニタリングし、データを特徴バラメータ総合モニタリング装置に伝送して総合分析評価を行う。タイプ試験において、温度上昇テストデータは、運転後の重要な状態評価依拠となる。
【0052】
遮断器は、2つの消弧室を有し、各消弧室の温度測定点はそれぞれ、上下層、左中右位置で合計6点を取り、詳細は
図3に示される。
【0053】
温度測定が完了した後、温度上昇(K)データは、以下のように記録されている。
【0054】
【0055】
温度上昇評価フローは、
図4に示すように、以下の1~5を含む。
【0056】
1.遮断器にアーク耐え試験を行う過程では、消弧室の絶縁外皮温度を赤外モニタリングし、上下層、左中右で点を配置する原則に従って温度上昇テストを行い、各点の温度上昇をT2として記録し、消弧室の分散点の温度上昇について分散根処理を行って平均値T1を得る。
2.局所過熱により消弧室の温度上昇が平均値T1 maxを超えることがあるか否かを判定し、超えない場合に、正常と評価し、超える場合に、次の評価へ進む。
3.正常アーク耐性におけるキャリア導体の温度上昇に基づいて、実測された外皮の温度上昇に対して逆推算を行い、キャリア導体の温度上昇算出値を得る。
4.消弧室の外皮の分散点テスト値のうち、第1限界値T2 max1を超えるものがあるか否かを判定し、そうであれば、消弧室のキャリア導体の接触が異常であると評価し、そうでなければ、次の評価へ進む。
5.消弧室の外皮の分散点テスト値のうち、第1限界値T2 max2を超えるものがあるか否かを判定し、そうであれば、消弧室のキャリア導体の接触が注意値に達し、他の補助評価手段を採用すべきであると評価し、そうでなければ、温度上昇評価は終了する。
【0057】
試験要求値に応じて、n回の内部アーク耐えを経る。試験を行う過程では、被試験遮断器T0は、明らかな外部効果が発生しない場合、即ち、試験品が爆発しなく、且つそのハウジングに穴やクラックが発生しない場合、内部アーク耐え性能要求を満たすことを意味する。
【0058】
上記実施例は、単に本発明の技術思想及び特点を説明するためのものであり、当業者が本発明の内容を理解して実施可能であることを目的とし、本発明の保護範囲を制限するわけにはいかない。本発明内容の実質に基づいてなされた如何なる等価的な変化や修飾も、本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2021-08-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
1.遮断器にアーク耐え試験を行う過程では、消弧室の絶縁外皮温度を赤外モニタリングし、上下層、左中右で点を配置する原則に従って温度上昇テストを行い、各点の温度上昇をT2として記録し、消弧室の分散点の温度上昇について分散根処理を行って平均値T1を得る。
2.局所過熱により消弧室の温度上昇が平均値T1 maxを超えることがあるか否かを判定し、超えない場合に、正常と評価し、超える場合に、次の評価へ進む。
3.正常アーク耐性におけるキャリア導体の温度上昇に基づいて、実測された外皮の温度上昇に対して逆推算を行い、キャリア導体の温度上昇算出値を得る。
4.消弧室の外皮の分散点テスト値のうち、第1限界値T2 max1を超えるものがあるか否かを判定し、そうであれば、消弧室のキャリア導体の接触が異常であると評価し、そうでなければ、次の評価へ進む。
5.消弧室の外皮の分散点テスト値のうち、第2限界値T2 max2を超えるものがあるか否かを判定し、そうであれば、消弧室のキャリア導体の接触が注意値に達し、他の補助評価手段を採用すべきであると評価し、そうでなければ、温度上昇評価は終了する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】