(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-28
(54)【発明の名称】JAK2阻害剤の結晶形態
(51)【国際特許分類】
C07D 239/48 20060101AFI20220318BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220318BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20220318BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220318BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220318BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220318BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220318BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20220318BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20220318BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220318BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20220318BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20220318BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220318BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220318BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20220318BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20220318BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20220318BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220318BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20220318BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20220318BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20220318BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220318BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20220318BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20220318BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20220318BHJP
A61P 7/06 20060101ALI20220318BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20220318BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220318BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20220318BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20220318BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20220318BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20220318BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20220318BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
C07D239/48 CSP
A61P43/00 111
A61K31/505
A61P35/00
A61P35/02
A61P27/02
A61P29/00
A61P17/06
A61P31/12
A61P37/06
A61P9/00
A61P9/10
A61P25/00
A61P29/00 101
A61P3/10
A61P1/18
A61P11/06
A61P37/08
A61P11/00
A61P1/16
A61P7/00
A61P11/02
A61P17/00
A61P5/14
A61P1/04
A61P13/12
A61P7/06
A61P21/04
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/14
A61P17/02
A61P31/18
A61P31/20
A61P31/14
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547092
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(85)【翻訳文提出日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 US2020017764
(87)【国際公開番号】W WO2020167844
(87)【国際公開日】2020-08-20
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519209451
【氏名又は名称】インパクト バイオメディシンズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IMPACT BIOMEDICINES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100221523
【氏名又は名称】佐藤 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100221567
【氏名又は名称】石橋 真帆
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(72)【発明者】
【氏名】ロベール,ブノワ
(72)【発明者】
【氏名】ビヨー,パスカル
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA03
4C086BC42
4C086GA07
4C086GA12
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086NA20
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZA22
4C086ZA33
4C086ZA34
4C086ZA36
4C086ZA45
4C086ZA51
4C086ZA55
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA68
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZB33
4C086ZC02
4C086ZC06
4C086ZC20
4C086ZC35
4C086ZC41
4C086ZC55
(57)【要約】
本開示は、JAK2阻害剤の結晶形態、その組成物、及びJAK2媒介性障害を治療する方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物1の結晶形態。
【化1】
【請求項2】
前記形態が水和物である、請求項1の結晶形態。
【請求項3】
前記形態が、一水和物である、請求項2の結晶形態。
【請求項4】
前記一水和物は、4.3、9.6、10.0、12.4、12.7、及び17.0±0.2度の2θから選択されるそのX線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークによって特徴付けられる、請求項2の結晶形態。
【請求項5】
前記一水和物は、そのX線粉末回折パターンにおける以下のピークによって特徴付けられる、請求項2の結晶形態。
【表1】
【請求項6】
前記形態が三水和物である、請求項2の結晶形態。
【請求項7】
前記三水和物は、5.4、6.2、11.6、13.9、16.4、及び16.7±0.2度の2θから選択されるそのX線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークによって特徴付けられる、請求項6の結晶形態。
【請求項8】
前記三水和物は、そのX線粉末回折パターンにおける以下のピークによって特徴付けられる、請求項6の結晶形態。
【表2】
【請求項9】
前記形態が無水である、請求項1の結晶形態。
【請求項10】
前記無水形態は、4.3、6.2、8.6、9.7、13.6、及び17.3±0.2度の2θから選択されるそのX線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークによって特徴付けられる、請求項9の結晶形態。
【請求項11】
前記無水形態は、そのX線粉末回折パターンにおける以下のピークによって特徴付けられる、請求項9の結晶形態。
【表3】
【請求項12】
前記無水形態は、12.8、13.6、14.9、16.1、及び17.2±0.2度の2θから選択されるそのX線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークによって特徴付けられる、請求項9の結晶形態。
【請求項13】
前記無水形態は、そのX線粉末回折パターンにおける以下のピークによって特徴付けられる、請求項9の結晶形態。
【表4】
【請求項14】
前記形態が溶媒和物である、請求項1の結晶形態。
【請求項15】
前記形態が、モノイソプロパノール溶媒和物である、請求項14の結晶形態。
【請求項16】
前記モノイソプロパノール溶媒和物は、7.2、10.4、10.8、13.2、及び17.5±0.2度の2θから選択されるそのX線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークによって特徴付けられる、請求項15の結晶形態。
【請求項17】
前記モノイソプロパノール溶媒和物は、そのX線粉末回折パターンにおける以下のピークによって特徴付けられる、請求項15の結晶形態。
【表5】
【請求項18】
前記形態が、テトライソプロパノール溶媒和物である、請求項14の結晶形態。
【請求項19】
前記テトライソプロパノール溶媒和物は、5.3、6.4、8.2、10.5、15.3、及び15.7±0.2度の2θから選択されるそのX線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークによって特徴付けられる、請求項18の結晶形態。
【請求項20】
前記テトライソプロパノール溶媒和物は、そのX線粉末回折パターンにおける以下のピークによって特徴付けられる、請求項18の結晶形態。
【表6】
【請求項21】
前記形態がヘテロ溶媒和物である、請求項1の結晶形態。
【請求項22】
前記形態が水-イソプロパノールヘテロ溶媒和物である、請求項21の結晶形態。
【請求項23】
前記水-イソプロパノールヘテロ溶媒和物は、7.3、7.6、10.4、10.8、及び17.5±0.2度の2θから選択されるそのX線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークによって特徴付けられる、請求項22の結晶形態。
【請求項24】
前記水-イソプロパノールヘテロ溶媒和物は、そのX線粉末回折パターンにおける以下のピークによって特徴付けられる、請求項22の結晶形態。
【表7】
【請求項25】
前記形態がヘキサフルオロイソプロパノール溶媒和物である、請求項14の結晶形態。
【請求項26】
前記ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒和物は、4.3、6.0、6.9、10.9、11.5、14.7、及び17.1±0.2度の2θから選択されるそのX線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークによって特徴付けられる、請求項25の結晶形態。
【請求項27】
前記ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒和物は、そのX線粉末回折パターンにおける以下のピークによって特徴付けられる、請求項25の結晶形態。
【表8】
【請求項28】
前記形態がエタノール溶媒和物である、請求項14の結晶形態。
【請求項29】
前記エタノール溶媒和物は、5.3、10.6、及び15.9±0.2度の2θから選択されるそのX線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークによって特徴付けられる、請求項28の結晶形態。
【請求項30】
前記エタノール溶媒和物は、そのX線粉末回折パターンにおける以下のピークによって特徴付けられる、請求項28の結晶形態。
【表9】
【請求項31】
請求項1~30のいずれか1項の結晶形態を含む、実質的に不純物を含まないサンプル。
【請求項32】
少なくとも約90重量%の化合物1を含む、請求項31のサンプル。
【請求項33】
少なくとも約95重量%の化合物1を含む、請求項31のサンプル。
【請求項34】
少なくとも約99重量%の化合物1を含む、請求項31のサンプル。
【請求項35】
約5.0%以下の全有機不純物を含む、請求項31のサンプル。
【請求項36】
約3.0%以下の全有機不純物を含む、請求項31のサンプル。
【請求項37】
約1.5%以下の全有機不純物を含む、請求項31のサンプル。
【請求項38】
約1.0%以下の全有機不純物を含む、請求項31のサンプル。
【請求項39】
約0.5%以下の全有機不純物を含む、請求項31のサンプル。
【請求項40】
生物学的サンプルにおいてJAK2キナーゼまたはその変異体の活性を阻害する方法であって、前記生物学的サンプルを請求項1~30のいずれか1項の結晶形態またはその組成物と接触させるステップを含む、前記方法。
【請求項41】
患者においてJAK2キナーゼまたはその変異体の活性を阻害する方法であって、請求項1~30のいずれか1項の結晶形態またはその組成物を前記患者に投与するステップを含む、前記方法。
【請求項42】
JAK2媒介性の疾患または障害を治療することを、それを必要とする患者において行うための方法であって、請求項1~30のいずれか1項の結晶形態またはその薬学的に許容される組成物を、前記患者に投与するステップを含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年2月12日に出願されたフランスの出願FR1902018の優先権を主張するものであり、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、プロテインキナーゼの阻害剤として有用な化合物及びその組成物を提供する。
【背景技術】
【0003】
近年、疾患に関連する酵素及び他の生体分子の構造をよりよく理解することにより、新しい治療薬の探索が大いに助けられてきた。広範囲にわたる研究の対象となっている酵素の重要なクラスの1つは、プロテインキナーゼである。
【0004】
プロテインキナーゼは、細胞内の様々なシグナル伝達プロセスの制御に関与する構造的に関連する酵素の大きなファミリーを構成する。プロテインキナーゼは、その構造と触媒機能が保存されているため、共通の祖先遺伝子から進化したと考えられている。ほとんどすべてのキナーゼには、同様の250~300アミノ酸の触媒ドメインが含まれている。キナーゼは、それらがリン酸化する基質(例えば、タンパク質-チロシン、タンパク質-セリン/スレオニン、脂質など)によってファミリーに分類され得る。
【0005】
一般に、プロテインキナーゼは、ヌクレオシド三リン酸からシグナル伝達経路に関与するタンパク質受容体へのホスホリル転移をもたらすことにより、細胞内シグナル伝達を媒介する。これらのリン酸化イベントは、標的タンパク質の生物学的機能を調整または調節できる分子のオン/オフスイッチとして機能する。これらのリン酸化イベントは、最終的にはさまざまな細胞外及びその他の刺激に応答してトリガーされる。このような刺激の例には、環境及び化学的ストレスシグナル(例えば、浸透圧ショック、熱ショック、紫外線放射、細菌エンドトキシン、及びH2O2)、サイトカイン(例えば、インターロイキン-1(IL-1)及び腫瘍壊死因子α(TNF-α))、及び成長因子(例えば、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、及び線維芽細胞成長因子(FGF))が含まれる。細胞外刺激は、細胞の成長、移動、分化、ホルモンの分泌、転写因子の活性化、筋収縮、糖代謝、タンパク質合成の制御、及び細胞周期の調節に関連する1つ以上の細胞応答に影響を与える可能性がある。
【0006】
多くの疾患は、上記のようにプロテインキナーゼを介したイベントによってトリガーされる異常な細胞応答に関連している。これらの疾患は、自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、代謝性疾患、神経性及び神経変性疾患、がん、心血管疾患、アレルギー及び喘息、アルツハイマー病、及びホルモン関連疾患を含むが、これらに限定されない。したがって、治療薬として有用なプロテインキナーゼ阻害剤を見つける必要性が残っている。
【発明の概要】
【0007】
いくつかの実施形態において、本開示は、化合物1の1つ以上の結晶形態を提供する。
【化1】
【0008】
いくつかの実施形態において、化合物1は、骨髄増殖性障害を治療するのに有用である。いくつかの実施形態において、骨髄増殖性障害は、骨髄線維症、真性多血症及び本態性血小板血症から選択される。いくつかの実施形態において、骨髄線維症は、原発性骨髄線維症または続発性骨髄線維症から選択される。いくつかの実施形態において、続発性骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症及び本態性血小板血症後の骨髄線維症から選択される。
【0009】
いくつかの実施形態において、本開示は、生物学的サンプルを化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)、またはその組成物と接触させるステップを含む、前記生物学的サンプルにおいてJAK2キナーゼまたはその変異体の活性を阻害する方法を提供する。
【0010】
別の実施形態において、本開示は、化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)、またはその組成物を患者に投与するステップを含む、前記患者においてJAK2キナーゼまたはその変異体の活性を阻害する方法に関する。他の実施形態において、本開示は、JAK2媒介性の疾患または障害を治療することを、それを必要とする患者において行う方法を提供し、方法は、化合物1、またはその組成物を、前記患者に投与するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】化合物1の形態AのFT-ラマンスペクトルを示す。
【
図2】化合物1の形態AのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【
図3A】化合物1の形態Aの熱重量分析(TGA)パターンを示す。
【
図3B】化合物1の形態Aの示差走査熱量測定(DSC)パターンを示す。
【
図4】化合物1の形態BのFT-ラマンスペクトルを示す。
【
図5】化合物1の形態BのXRPDパターンを示す。
【
図6A】化合物1の形態BのTGAパターンを示す。
【
図6B】化合物1の形態BのDSCパターンを示す。
【
図7】化合物1の形態CのXRPDパターンを示す。
【
図8】化合物1の形態DのXRPDパターンを示す。
【
図9】化合物1の形態EのXRPDパターンを示す。
【
図10】化合物1の形態FのXRPDパターンを示す。
【
図11】化合物1の形態FのTGAパターンを示す。
【
図12】化合物1の形態Fの動的蒸気吸着(DVS)等温線を示す。
【
図13】化合物1の形態GのXRPDパターンを示す。
【
図14】化合物1の形態GのTGAパターンを示す。
【
図16】化合物1の形態HのXRPDパターンを示す。
【
図17】化合物1の形態HのTGAパターンを示す。
【
図19】化合物1の形態IのXRPDパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のある特定の態様の一般的な説明
2009年5月5日に発行された米国特許7,528,143(「’143特許」)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれ、真性多血症、本態性血小板血症及び骨髄線維症(例えば、原発性骨髄線維症、及び真性多血症後骨髄線維症や本態性血小板血症後骨髄線維症などの続発性骨髄線維症)を含む骨髄増殖性障害の治療に有用な特定の2,4-二置換ピリミジン化合物を記載している。そのような化合物にはN-tert-ブチル-3-[(5-メチル-2-{[4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドが含まれる。
【化2】
【0013】
N-tert-ブチル-3-[(5-メチル-2-{[4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドは、化合物番号LVIIとして指定され、その合成は、‘143特許の実施例90に詳しく記載されている。
【0014】
N-tert-ブチル-3-[(5-メチル-2-{[4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドは、様々なアッセイ及び治療モデルにおいて活性があり、ヤヌスキナーゼ2(JAK2)の阻害を示す。したがって、N-tert-ブチル-3-[(5-メチル-2-{[4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]ベンゼンスルホンアミド、及びその塩、水和物または溶媒和物は、JAK2の活性に関連する1つ以上の障害を治療するのに有用である。
【0015】
いくつかの実施形態において、本開示は、化合物1の1つ以上の結晶形態を提供する。
【化3】
【0016】
化合物1の結晶形態は、純粋なまたは非溶媒和形態、水和形態、及び/または溶媒和形態で存在し得ることが理解されよう。いくつかの実施形態において、化合物1の結晶形態は、純粋なまたは非溶媒和結晶形態であるので、結晶構造に組み込まれた水または溶媒を有さない。いくつかの実施形態において、化合物1の結晶形態は、水和形態または溶媒和形態である。いくつかの実施形態では、化合物1の結晶形態は、水和物/溶媒和物形態(本明細書では「ヘテロ溶媒和物」とも呼ばれる)である。
【0017】
したがって、いくつかの実施形態において、本開示は、化合物1の1つ以上の結晶性無水形態を提供する。
【化4】
【0018】
いくつかの実施形態において、本開示は、化合物1の1つ以上の結性水和物形態を提供する。
【化5】
【0019】
いくつかの実施形態において、本開示は、化合物1の1つ以上の結晶性溶媒和物形態を提供する。
【化6】
【0020】
いくつかの実施形態において、本開示は、化合物1の結晶形態を含む、実質的に不純物を含まないサンプルを提供する。本明細書で使用される場合、「実質的に不純物を含まない」という用語は、サンプルが著しい量の異物を含まないことを意味する。いくつかの実施形態において、化合物1の結晶形態を含むサンプルは、アモルファス化合物1を実質的に含まない。ある特定の実施形態では、サンプルは、少なくとも約90重量%の化合物1の結晶形態を含む。ある特定の実施形態では、サンプルは、少なくとも約91重量%、少なくとも約92重量%、少なくとも約93重量%、少なくとも約94重量%の化合物1の結晶形態を含む。ある特定の実施形態では、サンプルは、少なくとも約95重量%の化合物1の結晶形態を含む。さらに他の実施形態では、サンプルは、少なくとも約99重量%の化合物1の結晶形態を含む。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、サンプルは、少なくとも約95、97、97.5、98.0、98.5、99、99.5、99.8重量パーセント(wt%)の化合物1の結晶形態を含み、ここで、パーセントはサンプルの総重量に基づいている。いくつかの実施形態によれば、化合物1の結晶形態を含むサンプルは、約5.0%以下の全有機不純物を含む。いくつかの実施形態において、化合物1の結晶形態を含むサンプルは、約3.0%以下の全有機不純物を含む。いくつかの実施形態において、化合物1の結晶形態を含むサンプルは、約1.5%以下の全有機不純物を含む。いくつかの実施形態において、化合物1の結晶形態を含むサンプルは、約1.0%以下の全有機不純物を含む。いくつかの実施形態において、化合物1の結晶形態を含むサンプルは、約0.6%以下の全有機不純物を含む。いくつかの実施形態において、化合物1の結晶形態を含むサンプルは、約0.5%以下の全有機不純物を含む。いくつかの実施形態では、全有機不純物のパーセントは、HPLCによって測定される。
【0022】
化合物1は、少なくとも9つの異なる結晶形態、または多形で存在し得ることが見出された。
【0023】
いくつかの実施形態において、本開示は、化合物1の結晶性水和物形態を提供する。いくつかのそのような実施形態において、化合物1の結晶性水和物形態は、一水和物である。いくつかの実施形態において、化合物1の結晶性一水和物形態は、4.3、9.6、10.0、12.4、12.7、及び17.0±0.2度の2θから選択されるそのX線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークによって特徴付けられる。いくつかのそのような実施形態において、化合物1の結晶性一水和物形態は形態Aである。
【0024】
いくつかの実施形態において、形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおける以下のピークによって特徴付けられる。
【表1】
【0025】
いくつかの実施形態において、形態Aは、
図1に示されるFT-ラマンスペクトルによって特徴付けられる。
【0026】
いくつかの実施形態において、形態Aは、
図2に示されるXRPDパターンによって特徴付けられる。
【0027】
いくつかの実施形態において、形態Aは、
図3Aに示されるTGAパターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Aは、
図3Bに示されるDSCパターンによって特徴付けられる。
【0028】
いくつかの実施形態において、本開示は、化合物1の結晶性三水和物形態を提供する。いくつかのそのような実施形態において、化合物1の結晶性三水和物形態は、5.4、6.2、11.6、13.9、16.4、及び16.7±0.2度の2θから選択されるそのX線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークによって特徴付けられる。いくつかのそのような実施形態において、化合物1の結晶性三水和物形態は形態Bである。
【0029】
いくつかの実施形態において、形態Bは、そのX線粉末回折パターンにおける以下のピークによって特徴付けられる。
【表2】
【0030】
いくつかの実施形態において、形態Bは、
図4に示されるFT-ラマンスペクトルによって特徴付けられる。
【0031】
いくつかの実施形態において、形態Bは、
図5に示されるXRPDパターンによって特徴付けられる。
【0032】
いくつかの実施形態において、形態Bは、
図6Aに示されるTGAパターンによって特徴付けられる。いくつかの実施形態において、形態Bは、
図6Bに示されるDSCパターンによって特徴付けられる。
【0033】
いくつかの実施形態において、本開示は、化合物1の結晶性無水形態を提供する。いくつかのそのような実施形態において、化合物1の結晶性無水形態は、4.3、6.2、8.6、9.7、13.6、及び17.3±0.2度の2θから選択されるそのX線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークによって特徴付けられる。いくつかのそのような実施形態において、化合物1の結晶性無水形態は形態Cである。
【0034】
いくつかの実施形態において、形態Cは、そのX線粉末回折パターンにおける以下のピークによって特徴付けられる。
【表3】
【0035】
いくつかの実施形態において、本開示は、不活性雰囲気下で形態Aを約40℃から約80℃加熱することを含む、化合物1の結晶性無水形を調製する方法を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、形態Cを調製する方法を提供し、この方法は、
(a) 形態Aを提供すること、及び
(b) 不活性雰囲気下で形態Aを約40℃から約80℃に加熱すること
を含む。
【0036】
いくつかの実施形態において、形態Cは、
図7に示されるXRPDパターンによって特徴付けられる。
【0037】
いくつかの実施形態において、本開示は、12.8、13.6、14.9、16.1、及び17.2±0.2度の2θから選択されるそのX線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークによって特徴付けられる化合物1の結晶性無水形態を提供する。いくつかのそのような実施形態において、化合物1の結晶性無水形態は形態Dである。
【0038】
いくつかの実施形態において、形態Dは、そのX線粉末回折パターンにおける以下のピークによって特徴付けられる。
【表4】
【0039】
いくつかの実施形態において、本開示は、不活性雰囲気下で形態Bを約25℃から約70℃加熱することを含む、化合物1の結晶性無水形を調製する方法を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、本開示は、形態Dを調製する方法を提供し、この方法は、
(c)形態Bを提供すること、及び
(d)不活性雰囲気下で形態Bを約25℃から約70℃に加熱すること
を含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、形態Dは、
図8に示されるXRPDパターンによって特徴付けられる。
【0041】
いくつかの実施形態において、本開示は、化合物1の結晶性溶媒和物形態を提供する。いくつかのそのような実施形態では、化合物1の結晶性溶媒和物形態は、モノ溶媒和物である。いくつかの実施形態では、化合物1の結晶性モノ溶媒和物形態は、モノイソプロパノール溶媒和物である。いくつかのそのような実施形態において、化合物1の結晶性モノイソプロパノール溶媒和物形態は、7.2、10.4、10.8、13.2、及び17.5±0.2度の2θから選択されるそのX線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークによって特徴付けられる。いくつかのそのような実施形態において、化合物1の結晶性モノイソプロパノール溶媒和物形態は形態Eである。
【0042】
いくつかの実施形態において、形態Eは、そのX線粉末回折パターンにおける以下のピークによって特徴付けられる。
【表5】
【0043】
いくつかの実施形態において、形態Eは、
図9に示されるXRPDパターンによって特徴付けられる。
【0044】
いくつかの実施形態では、化合物1の結晶性溶媒和物形態は、四溶媒和物である。いくつかの実施形態では、化合物1の結晶性四溶媒和物形態は、テトライソプロパノール溶媒和物である。いくつかの実施形態において、化合物1の結晶性テトライソプロパノール溶媒和物形態は、5.3、6.4、8.2、10.5、15.3、及び15.7±0.2度の2θから選択されるそのX線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークによって特徴付けられる。いくつかのそのような実施形態において、化合物1の結晶性テトライソプロパノール溶媒和物形態は形態Fである。
【0045】
いくつかの実施形態において、形態Fは、そのX線粉末回折パターンにおける以下のピークによって特徴付けられる。
【表6】
【0046】
いくつかの実施形態において、形態Fは、
図10に示されるXRPDパターンによって特徴付けられる。
【0047】
いくつかの実施形態において、形態Fは、
図11に示されるTGAパターンによって特徴付けられる。
【0048】
いくつかの実施形態において、形態Fは、
図12に示されるDVS等温線によって特徴付けられる。
【0049】
いくつかの実施形態では、化合物1の結晶性溶媒和物形態は、ヘテロ溶媒和物である。いくつかの実施形態では、化合物1の結晶性ヘテロ溶媒和物形態は、水-イソプロパノールヘテロ溶媒和物である。いくつかの実施形態において、化合物1の結晶性水-イソプロパノールヘテロ溶媒和物形態は、7.3、7.6、10.4、10.8、及び17.5±0.2度の2θから選択されるそのX線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークによって特徴付けられる。いくつかのそのような実施形態において、化合物1の結晶性水-イソプロパノールヘテロ溶媒和物形態は形態Gである。
【0050】
いくつかの実施形態において、形態Gは、そのX線粉末回折パターンにおける以下のピークによって特徴付けられる。
【表7】
【0051】
いくつかの実施形態において、形態Gは、
図13に示されるXRPDパターンによって特徴付けられる。
【0052】
いくつかの実施形態において、形態Gは、
図14に示されるTGAパターンによって特徴付けられる。
【0053】
いくつかの実施形態において、形態Gは、
図15に示されるDVS等温線によって特徴付けられる。
【0054】
いくつかの実施形態では、化合物1の結晶性溶媒和物形態は、ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒和物である。いくつかの実施形態において、化合物1の結晶性ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒和物形態は、4.3、6.0、6.9、10.9、11.5、14.7、及び17.1±0.2度の2θから選択されるそのX線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークによって特徴付けられる。いくつかのそのような実施形態において、化合物1の結晶性ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒和物形態は形態Hである。
【0055】
いくつかの実施形態において、形態Hは、そのX線粉末回折パターンにおける以下のピークによって特徴付けられる。
【表8】
【0056】
いくつかの実施形態において、形態Hは、
図16に示されるXRPDパターンによって特徴付けられる。
【0057】
いくつかの実施形態において、形態Hは、
図17に示されるTGAパターンによって特徴付けられる。
【0058】
いくつかの実施形態において、形態Hは、
図18に示されるDVS等温線によって特徴付けられる。
【0059】
いくつかの実施形態では、化合物1の結晶性溶媒和物形態は、エタノール溶媒和物である。いくつかの実施形態において、化合物1の結晶性エタノール溶媒和物形態は、5.3、10.6、及び15.9±0.2度の2θから選択されるそのX線粉末回折パターンにおける1つ以上のピークによって特徴付けられる。いくつかのそのような実施形態において、化合物1の結晶性エタノール溶媒和物形態は形態Iである。
【0060】
いくつかの実施形態において、形態Iは、そのX線粉末回折パターンにおける以下のピークによって特徴付けられる。
【表9】
【0061】
いくつかの実施形態において、形態Iは、
図19に示されるXRPDパターンによって特徴付けられる。
【0062】
使用、製剤化及び投与
薬学的に許容される組成物
別の実施形態によれば、本開示は、化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)及び薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを含む組成物を提供する。ある特定の実施形態では、本開示の組成物中の化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)の量は、生物学的サンプルまたは患者において、JAK2またはその変異体を測定可能に阻害することに有効であるようなものである。ある特定の実施形態では、本開示の組成物は、かかる組成物を必要とする患者に投与するために製剤される。いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、患者への経口投与のために製剤される。
【0063】
化合物及び組成物は、本発明の方法によれば、本明細書で提供される障害(すなわち、JAK2媒介性疾患または障害)を治療する、またはその重症度を低下させるのに有効な、任意の量及び任意の投与経路を使用して投与される。必要とされる正確な量は、対象の人種、年齢、及び全身状態、感染の重症度、特定の薬剤、その投与様式などに応じて対象ごとに異なる。化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)は、好ましくは、投与の容易さ及び投与量の均一性のために、単位剤形で製剤される。
【0064】
本開示の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入噴霧によって、局所的に、直腸的に、経鼻的に、頬側に、腟に、腹腔内に、大槽内に、または移植されたリザーバを介して投与され得る。いくつかの実施形態において、組成物は、経口的、腹腔内、または静脈内に投与される。
【0065】
本開示の組成物の滅菌の注射可能な形態は、水性または油性の懸濁液であってもよい。これらの懸濁液は、好適な分散剤または湿潤剤、及び懸濁剤を使用して、当該技術分野で公知の技術に従って製剤され得る。滅菌の注射可能な調製物はまた、非毒性の非経口で許容される希釈剤または溶媒中、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液として、滅菌の注射可能な溶液または懸濁液であってもよい。利用されてもよい許容されるビヒクル及び溶媒の中には、水、リンゲル液、及び等張塩化ナトリウム溶液がある。さらに、溶媒または懸濁媒には、無菌の固定油が従来用いられている。
【0066】
この目的では、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含め、任意の無刺激固定油を用いることができる。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、注射剤の調製に有用であり、同様に、オリーブ油またはヒマシ油などの天然の薬学的に許容される油が、特にそれらのポリオキシエチル化型において、有用である。これらの油の溶液または懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤または分散剤、例えばカルボキシメチルセルロース、またはエマルジョン及び懸濁液を含む薬学的に許容される剤形の製剤に一般的に使用されている同様の分散剤を含んでもよい。薬学的に許容される固体、液体、または他の剤形の製造で一般的に使用される、他の一般的に使用される界面活性剤、例えば、Tween、Span、及び他の乳化剤、またはバイオアベイラビリティ向上剤もまた、製剤の目的で使用され得る。
【0067】
注射用製剤は、例えば、細菌を保持するフィルターに通して濾過することにより、または使用前に無菌水もしくは他の無菌注射用媒体に溶解もしくは分散され得る無菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌され得る。
【0068】
化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)の効果を延長させるために、多くの場合、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を緩徐化させることが望ましい。これは、難水溶性を有する結晶質または非晶質の物質の液体懸濁液の使用によって達成することができる。化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)の吸収速度は、したがってその溶解速度に依存し、溶解速度は、次いで結晶サイズ及び結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口投与される化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)の吸収遅延は、化合物を油ビヒクルに溶解または懸濁させることによって達成される。注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作られる。化合物のポリマーに対する比、及び用いられる特定のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度が制御され得る。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)及びポリ(酸無水物)が含まれる。注射用デポー製剤はまた、体組織に適合するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)を封入することによっても調製される。
【0069】
いくつかの実施形態では、提供される薬学的に許容される組成物は、経口投与用に製剤化される。そのような製剤は、食物と共に投与してもよく、食物なしで投与してもよい。いくつかの実施形態において、本開示の薬学的に許容される組成物は、食物なしで投与される。他の実施形態において、本開示の薬学的に許容される組成物は、食物と共に投与される。
【0070】
本開示の薬学的に許容される組成物は、限定するものではないが、カプセル、錠剤、水性懸濁液または溶液を含む、経口的に許容される任意の剤形で経口投与され得る。経口使用のための錠剤の場合、よく使用される担体は、乳糖及びコーンスターチを含む。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も、一般的には添加される。カプセル形態での経口投与では、有用な希釈剤は、乳糖及び乾燥コーンスターチを含む。水性懸濁液が経口使用に必要とされるとき、活性成分は、乳化剤及び懸濁剤と組み合わされる。所望の場合、ある特定の甘味剤、香味剤、または着色剤を添加してもよい。
【0071】
経口投与のための固体剤形は、カプセル、錠剤、丸剤、粉末、及び顆粒を含む。そのような固体剤形において、化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される賦形剤もしくは担体、及び/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、及びアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリン及びベントナイト粘土などの吸収剤、及び/またはi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物などの滑沢剤と混合される。カプセル、錠剤、及び丸剤の場合、剤形は緩衝剤も含み得る。
【0072】
同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟質及び硬質の充填されたゼラチンカプセル中の充填剤として用いることもできる。錠剤、ドラジェ、カプセル、丸剤、及び顆粒の固体剤形は、腸溶コーティングなどのコーティング及びシェル、ならびに医薬製剤技術分野で周知の他のコーティングを用いて調製することができる。これらは場合により乳白剤を含んでもよく、また、腸管のある特定の部分のみで、すなわち優先的に、場合により遅延した様式で、活性成分(複数可)を放出するように、組成物の一部であってもよい。使用され得る埋封組成物の例は、ポリマー物質及びワックスを含む。同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟質及び硬質の充填されたゼラチンカプセル中の充填剤として用いることもできる。
【0073】
化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)は、上記の1つ以上の賦形剤を有するマイクロカプセル化形態であってもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸剤、及び顆粒剤の固形投薬形態は、薬学的製剤分野で周知の腸溶コーティング、放出制御コーティング、及び他のコーティングなどのコーティング及び殻を用いて調製され得る。そのような固形投薬形態において、化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)は、スクロース、ラクトース、またはデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合され得る。常法に従って、そのような投薬形態はまた、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウム及びマイクロ結晶性セルロースなどの錠剤化滑沢剤及び他の錠剤化補助剤を含み得る。カプセル、錠剤、及び丸剤の場合、投薬形態はまた、緩衝剤も含み得る。それらは、任意に不透明化剤を含有し得、または好ましくは、腸管のある特定の部分においてのみ、任意に、遅延された様式で、活性成分(複数可)を放出する組成物であり得る。使用され得る埋封組成物の例は、ポリマー物質及びワックスを含む。
【0074】
経口投与のための液体剤形は、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、及びエリキシル剤を含むが、これに限定されない。化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒などの当該技術分野で一般的に使用されている不活性希釈剤、可溶化剤及び乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物を含み得る。不活性希釈剤以外に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味剤、香味剤、及び芳香剤などのアジュバントを含み得る。
【0075】
あるいは、本開示の薬学的に許容される組成物は、直腸への投与のための坐剤の形態で投与され得る。これらは、化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)を、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、それにより直腸内で溶けて薬物を放出する好適な非刺激性賦形剤と混合することにより調製され得る。そのような物質は、ココアバター、みつろう、及びポリエチレングリコールを含む。
【0076】
直腸または膣投与用の組成物は、好ましくは、環境温度では固体であるが体温では液体であり、したがって直腸または膣腔内で溶融し、その中で活性化合物を放出する好適な非刺激性賦形剤または担体、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、または坐剤ワックスと、化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)とを混合することにより調製することができる坐剤である。
【0077】
本開示の薬学的に許容される組成物は、特に治療の標的が、目、皮膚、または下部腸管の疾患など、局所的適用により容易に到達可能な領域または器官を含むとき、局所的に投与してもよい。好適な局所製剤は、これらの区域または器官のそれぞれのために容易に調製される。
【0078】
下部腸管への局所的適用は、直腸坐剤製剤(上記参照)または好適な浣腸製剤で行うことができる。局所的な経皮パッチもまた使用され得る。
【0079】
局所的適用の場合、提供される薬学的に許容される組成物は、1以上の担体に懸濁または溶解した化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)を含む好適な軟膏に製剤され得る。化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)の局所投与のための担体には、ミネラルオイル、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックス及び水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、提供される薬学的に許容される組成物は、1以上の薬学的に許容される担体に懸濁または溶解した化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)を含む好適なローションまたはクリームに製剤され得る。好適な担体は、限定するものではないが、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコール、及び水を含む。
【0080】
眼用の場合、提供される薬学的に許容される組成物は、等張のpH調節された無菌食塩水中の微粉化懸濁液として、または好ましくは、等張のpH調節された無菌食塩水溶液として製剤されてもよく、塩化ベンジルアルコニウムなどの保存剤を含んでも含まなくてもよい。あるいは、眼用の場合、薬学的に許容される組成物は、ペトロラタムなどの軟膏に製剤され得る。
【0081】
本発明の薬学的に許容される組成物は、鼻腔エアロゾルまたは吸入によって投与されてもよい。かかる組成物は、医薬製剤の技術分野で周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールもしくは他の好適な保存剤、バイオアベイラビリティを高めるための吸収促進剤、フッ化炭素、及び/または他の従来の可溶化剤もしくは分散剤を用いて、食塩水溶液として調製され得る。
【0082】
化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)の局所的投与または経皮投与のための剤形は、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、噴霧剤、吸入剤、またはパッチを含む。化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)は、薬学的に許容される担体及び必要に応じて任意の必要な保存剤またはバッファーと無菌条件下で混合される。眼科用製剤、点耳薬、及び点眼薬もまた、本発明の範囲内にあることが企図される。更に、本開示は、身体への化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)の制御された送達を提供する更なる利点を有する経皮パッチの使用を企図する。そのような剤形は、適切な媒体に化合物を溶解または分配することによって作製され得る。吸収向上剤もまた、皮膚への化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)の流動を増加させるために使用され得る。速度は、速度制御膜を用いるか、あるいは化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)をポリマーマトリックスもしくはゲルに分散させるかのいずれかにより、制御され得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、遊離塩基N-tert-ブチル-3-[(5-メチル-2-{[4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドと同等のモルの量の化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)を含む。例えば、N-tert-ブチル-3-[(5-メチル-2-{[4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)フェニル]アミノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]ベンゼンスルホンアミドの100mg製剤(すなわち、化合物1の溶媒和されていない遊離塩基の親、MW=524.26)は、117.30mgの形態A(MW=614.22)を含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、本開示は、化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)、及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤は、結合剤及び滑沢剤から選択される。
【0085】
一実施形態において、結合剤は、微結晶セルロースである。いくつかのそのような実施形態では、微結晶セルロースは、ケイ酸化微結晶セルロースである。
【0086】
いくつかの実施形態において、結合剤は、フマル酸ステアリルナトリウムである。
【0087】
いくつかの実施形態では、組成物は、以下を含む。
【表10】
【0088】
ある特定の実施形態では、組成物は、以下を含む。
【表11】
【0089】
化合物及び薬学的に許容される組成物の使用
本明細書に記載の化合物及び組成物は、一般に、1つ以上の酵素のキナーゼ活性の阻害に有用である。本明細書に記載の化合物及び組成物によって阻害され、本明細書に記載の方法が有用であるキナーゼの例には、JAK2またはその変異体が含まれる。
【0090】
JAK2キナーゼまたはその変異体の阻害剤として利用される化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)の活性は、インビトロ、インビボ、または細胞株においてアッセイされ得る。インビトロアッセイは、活性化されたJAK2キナーゼまたはその変異体のリン酸化活性及び/またはその後の機能的結果、あるいはATPアーゼ活性のいずれかの阻害を決定するアッセイを含む。
【0091】
一実施形態によれば、本発明は、生物学的サンプルにおいてプロテインキナーゼ活性を阻害する方法に関し、方法は、前記生物学的サンプルを化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)、またはその組成物と接触させるステップを含む。
【0092】
別の実施形態によれば、本発明は、生物学的サンプルにおいてJAK2キナーゼまたはその変異体の活性を阻害する方法を提供し、方法は、前記生物学的サンプルを化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)、またはその組成物と接触させるステップを含む。
【0093】
別の実施形態によれば、本発明は、患者においてJAK2キナーゼまたはその変異体の活性を阻害する方法に関し、方法は、化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)、またはその組成物を前記患者に投与するステップを含む。他の実施形態において、本開示は、JAK2媒介性の疾患または障害を治療することを、それを必要とする患者において行うための方法を提供し、化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)、またはその薬学的に許容される組成物を、前記患者に投与するステップを含む。そのような障害は、本明細書に詳細に記載されている。
【0094】
本明細書記載の結晶形態は、例えば、骨髄増殖性障害、増殖性糖尿病性網膜症、並びに、固形腫瘍及び他の種類のがんを含む他の血管新生関連障害、眼疾患、炎症、乾癬、及びウイルス感染を含むがこれらに限定されない様々な障害の治療に有用である。治療できるがんの種類には、消化管/胃腸管癌、結腸癌、肝臓癌、皮膚癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、リンパ腫、白血病(急性骨髄性白血病及び慢性骨髄性白血病)、腎臓癌、肺癌、筋肉癌、骨癌、膀胱癌または脳癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
治療できる疾患及び障害のいくつかの例には、眼の血管新生、乳児血管腫;臓器低酸素症、血管過形成、臓器移植拒絶反応、ループス、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬、1型糖尿病及び糖尿病による合併症、炎症性疾患、急性膵炎、慢性膵炎、喘息、アレルギー、成人呼吸困難症候群、心血管疾患、肝臓疾患、その他の血液疾患、喘息、鼻炎、アトピー性皮膚炎、皮膚炎、自己免疫性甲状腺障害、潰瘍性大腸炎、クローン病、転移性黒色腫、カポジ肉腫、多発性骨髄腫、サイトカインに関連する状態、並びに、糸球体腎炎、硬化性皮膚炎、慢性甲状腺炎、グレイブス病、自己免疫性胃炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、アトピー(例えば、アレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、またはアレルギー性鼻炎)、慢性活動性肝炎、重力筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、移植片対宿主疾患を含むその他の自己免疫疾患、運動神経疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、脳虚血を含む神経変性疾患、または外傷性損傷、ストライキ、グルタミン酸神経毒性もしくは低酸素症によって引き起こされる神経変性疾患;脳卒中、心筋虚血、腎虚血、心臓発作、心肥大、アテローム性動脈硬化症及び動脈硬化症、臓器低酸素症、及び血小板凝集における虚血性/再灌流障害も含まれる。
【0096】
治療できるいくつかの追加の疾患及び障害としては、細胞媒介性過敏症(アレルギー性接触皮膚炎、過敏性肺炎)、リウマチ性疾患(例えば、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、若年性関節炎、シェーグレン症候群、強皮症、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎)、ウイルス性疾患(エプスタインバーウイルス、B型肝炎、C型肝炎、HIV、HTLVI、水痘帯状疱疹ウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス)、食物アレルギー、皮膚炎症、及び固形腫瘍によって誘発される免疫抑制なども挙げられる。
【0097】
いくつかの実施形態において、化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)は、骨髄増殖性障害を治療するのに有用である。いくつかの実施形態において、骨髄増殖性障害は、原発性骨髄線維症、真性多血症及び本態性血小板血症から選択される。いくつかの実施形態において、骨髄増殖性障害は、原発性骨髄線維症及び続発性骨髄線維症から選択される。いくつかの実施形態において、骨髄増殖性障害は、続発性骨髄線維症である。いくつかのそのような実施形態において、続発性骨髄線維症は、真性多血症後の骨髄線維症及び本態性血小板血症後の骨髄線維症から選択される。
【0098】
いくつかの実施形態において、提供される方法は、以前にJAK2阻害剤で治療された患者に、化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)を投与することを含む。いくつかのそのような実施形態において、提供される方法は、以前にルキソリチニブ(JAKAFI(登録商標))で治療された患者に、化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)を投与することを含む。
【0099】
いくつかの実施形態において、提供される方法は、ルキソリチニブに反応しない骨髄増殖性障害に罹患している、またはそれと診断された患者に、化合物1(例えば、結晶性無水形態、結晶性水和物形態、結晶性溶媒和物形態、または結晶性ヘテロ溶媒和物形態)を投与することを含む。いくつかの実施形態において、患者は、ルキソリチニブに対して難治性または耐性のある骨髄増殖性障害に罹患している、またはそれと診断されている。
【0100】
いくつかの実施形態では、患者は、ルキソリチニブ治療中または治療後に再発した。
【0101】
いくつかの実施形態では、患者はルキソリチニブに対して不耐性である。いくつかの実施形態において、ルキソリチニブに対する患者の不耐性は、血液学的毒性(例えば、貧血、血小板減少症など)または非血液学的毒性によって証明される。
【0102】
いくつかの実施形態において、患者は、ヒドロキシ尿素に対して不十分な反応を示したか、またはヒドロキシ尿素に対して不耐性である。
【0103】
いくつかの実施形態において、患者は、ルキソリチニブによる治療中に、ルキソリチニブ治療中の任意の時点での反応の欠如、疾患の進行、または反応の喪失の1つ以上を示しているかもしくは経験しているか、または示したかもしくは経験した。いくつかの実施形態において、疾患の進行は、ルキソリチニブ治療中の脾臓サイズの増加によって証明される。
【0104】
いくつかの実施形態において、以前にルキソリチニブで治療された患者は、骨髄増殖性障害に関連するか、または骨髄増殖性障害を示す体細胞変異またはクローンマーカーを有する。いくつかの実施形態において、体細胞変異は、JAK2変異、CALR変異またはMPL変異から選択される。いくつかの実施形態では、JAK2変異はV617Fである。いくつかの実施形態において、CALR変異は、エクソン9における変異である。いくつかの実施形態において、MPL変異は、W515K及びW515Lから選択される。
【0105】
いくつかの実施形態において、本開示は、再発性または難治性の骨髄増殖性障害を治療する方法を提供し、ここで、骨髄増殖性障害は、ルキソリチニブに対して再発性または難治性である。
【0106】
いくつかの実施形態において、骨髄増殖性障害は、中リスクの骨髄線維症及び高リスクの骨髄線維症から選択される。
【0107】
いくつかの実施形態において、中リスクの骨髄線維症は、原発性骨髄線維症、真性多血症後(PV後)の骨髄線維症、及び本態性血小板血症後(ET後)の骨髄線維症から選択される。いくつかの実施形態において、骨髄線維症は、中リスク1(中1リスクとも呼ばれる)である。いくつかの実施形態において、骨髄線維症は、中リスク2(中2リスクとも呼ばれる)である。
【0108】
いくつかの実施形態において、高リスクの骨髄線維症は、原発性骨髄線維症、真性多血症後(PV後)の骨髄線維症、及び本態性血小板血症後(ET後)の骨髄線維症から選択される。
【0109】
いくつかの実施形態では、本開示は、包装材料及び包装材料内に収容される医薬組成物を含む製品を提供する。いくつかの実施形態では、包装材料は、医薬組成物が上記で特定された1つ以上の障害の治療に使用できることを示すラベルを含む。
【0110】
実施例1:溶解度評価
溶解度を、溶媒システムの選択とその後の結晶形態スクリーニング実験のための対応する投薬ストラテジーを容易にするために、一連の多様な溶媒中で評価した。形態Aの溶解度を、室温、及び該当する場合は40℃で、溶媒の少量を一定量のAPI(10.0mg)に溶解点または最大容量1.8mLに達するまで注入することにより、12の溶媒で視覚的に推定した。表1に示すように、形態Aは、DMSO、MeOH、及び水には高い溶解度(100mg/mL超)を示すが、評価した他のすべての溶媒には低い溶解度(5mg/mL以下)を示す。
表1:室温及び40℃での12の溶媒における形態Aの推定溶解度
【表12】
【0111】
実施例2:結晶形態スクリーン
FT-ラマン分光法:ラマンスペクトルは、1064nm Nd:YVO4励起レーザー、InGaAs及び液体N2冷却Ge検出器、ならびにMicroStageを備えたNicolet NXR9650またはNXR 960分光計(Thermo Electron)を使用して収集した。すべてのスペクトルは、Happ-Genzelアポダイゼーション関数と2レベルのゼロフィリングを使用して、ガラスカバーを介して4cm-1の解像度、64スキャンで取得された。
【0112】
X線粉末回折(PXRD):PXRD回折図は、Niフィルター処理されたCuKa(45kV/40mA)放射及び0.02°2θのステップサイズとX’celerator(商標)RTMS(リアルタイムマルチストリップ)検出器を使用して、PANalytical X’ Pert Pro回折計で取得された。入射ビーム側の構成:固定発散スリット(0.25°)、0.04 rad Sollerスリット、散乱防止スリット(0.25°)、及び10mmビームマスク。回折ビーム側の構成:固定発散スリット(0.25°)及び0.04rad Sollerリット。
【0113】
示差走査熱量測定(DSC):DSCは、オートサンプラーと40mL/分のN2パージ未満の冷蔵冷却システムを備えたTA Instruments Q100示差走査熱量計を使用して実施した。特に明記されていない限り、DSCサーモグラムは、圧着されたAlパンで15℃/分で得られた。
【0114】
熱重量分析(TGA):特に明記されていない限り、TGAサーモグラムは、TA Instruments Q500熱重量分析装置を使用してAlパンで40mL/分のN2パージ未満で15℃/分で取得された。
【0115】
IRオフガス検出による熱重量分析(TGA-IR):TGA-IRは、ガスフローセルとDTGS検出器を有する外部TGA-IRモジュールを備えたNicolet 6700 FT-IR分光計(Thermo Electron)に接続されたTA Instruments Q5000熱重量分析装置を使用して実施した。特に明記されていない限り、TGAは、PtまたはAlパンで60mL/分のN2の流量及び15℃/分の加熱速度で実施された。IRスペクトルは、各時点で4cm-1の解像度と32回のスキャンで収集された。
【0116】
変調示差走査熱量測定(mDSC):mDSCは、オートサンプラーと40mL/分のN2パージ下の冷蔵冷却システムを備えたTA Instruments Q200示差走査熱量計を使用して実施した。mDSCサーモグラムは、60秒ごとに±0.32℃の変調を使用し、5.00分間等温保持した後、2.00℃/分で200℃まで昇温して取得した。サンプルの準備は、圧着されたAlパンで行われた。
【0117】
凍結乾燥:凍結乾燥は、Virtis Lyo-Centre Benchtop 3.5DBTZL(シリアル番号:41712)で実施した。ユニットは、10mtorr未満の圧力と-100℃未満の凝縮器温度で操作された。
【0118】
イオンクロマトグラフィー(IC):イオンクロマトグラフィーは、Dionex ICS-3000で実行された。カラム:Dionex IonPac AS12A 4x200mm。検出:抑制された導電率、22mAのサプレッサー電流を備えたASRS 300。1.5mL/分の溶離液(2.7mM Na2CO3/0.3mM NaHCO3)。
【0119】
溶媒の選択:結晶形態スクリーンには48の溶媒システムが係っていた。溶媒は、極性、誘電率、双極子モーメント、及び水素結合ドナー/アクセプター属性の多様なセットを提供するために、純粋な及びバイナリ混合物として利用された。さまざまな水活性を有する含水溶剤も含まれている。
【0120】
結晶化モード:結晶形態スクリーニング試験では、アモルファス入力材料を使用して次の結晶化モードを採用した。
(1)温度を45℃と5℃の間で3日間循環させながら懸濁液を攪拌する(TC、n=48)
(2) 清澄化した溶液を45℃から5℃に冷却した後、4日間保持する(RC、n=48)
(3) 室温で7~10日かけて溶液から溶媒をゆっくりと蒸発させる(EV、n=48;形態A入力)。
【0121】
スクリーニング製品の分析:FT-ラマン分光法が、サンプルの分析とグループ分けの主要な方法として選択された。グループ分けからの代表的なサンプルが、それらの一意性を検証するためにPXRDによって分析された。可能/実用的な場合、固有の形態の代表的なサンプルが、偏光顕微鏡、DSC、及び/またはTGA-IRによってさらに特徴づけられた。
【0122】
スクリーンの結果:形態Aは、スクリーニング実験の主要なアウトプットとして観察された。水和形態である形態Bは、15の異なるスラリー及び蒸発実験で観察された。表2に示すように、化合物1の結晶形態スクリーンは次の形態を生成した。
表2-予備の結晶形態スクリーン
【表13】
【表14】
【0123】
形態Aの特徴付け:形態Aは白色の粉末であり、ラマン(
図1)及びPXRD分析(
図2)によって結晶性であると判断された。DSCは、25~150℃の広くて浅い吸熱と、それに続く216.4℃での分解に伴う吸熱を示している(
図3B)。TGA-IR分析では、幅広いDSC吸熱(
図3A)に対応する25~150℃(1当量、一水和物)から2.9%の水の放出が示された。
【0124】
形態Bの特徴付け:形態Bは、スクリーニング中に観察された水和物形態である。ラマン(
図4)及びPXRD(
図5)分析は、形態Bが結晶性であることを示している。DSCは、TGA-IR(
図6A)により、水の9.4%の重量損失(3.4当量)に関連する25~110℃の幅広い吸熱(
図6B)を示している。また、DSC分析では、147.7℃での小さい低エネルギーの吸熱が示されている。形態BはICによって、ジHCl塩であることが確認された。
【0125】
実施例3.形態A及びBの相対的安定性試験
相対的安定性試験が、さまざまな水分活性レベルでの安定した水和物を決定するために、25℃で一水和物形態Aと水和物形態Bに対して行われた。
【0126】
形態Aの飽和懸濁液を指定された溶媒系において過剰の形態Aを攪拌することによって調製した。懸濁液を25℃で一晩撹拌した。清澄ろ過を行い、濾液を約10mgの形態Aと約10mgの形態Bを含む2mLバイアルに加えた。得られた懸濁液を25℃で7日間撹拌し、単離し、真空下で45分間乾燥させ、FT-ラマンで分析した。
【0127】
形態Aは熟成試験の後に得られた。試験の要約結果を表3に示し、形態Aが水分活性範囲全体にわたって25℃で安定した水和物であることを示している。
表3-競合熟成研究の結果
【表15】
【0128】
実施例4.追加の結晶形態スクリーン
計測
高解像度X線粉末回折(高解像度XRPD):高解像度の図は、X’Celerator検出器と組み合わせたBragg-Brentano(垂直θ-2θ構成)パラフォーカシングジオメトリを使用して、Panalytical X’Pert Pro MPD粉末回折計で環境条件で記録される。密閉された銅陽極X線管が使用され、45kV及び40mAレベルで動作する。入射ビームモノクロメータ(ヨハンソンタイプ:対称的に切られた湾曲したゲルマニウム(111)結晶)は、純粋なCuΚα1放射線(λ=1.54060Å)を生成する。生成物の薄層が単結晶シリコンウェーハ上に堆積され、系統的な消滅によってブラッグ反射を妨げるSi(510)結晶学的配向に従って切り出される。より多くの結晶子を回折位置にもたらし、そのようにして測定に対する粒子統計の影響を減らすために、サンプルスピナーが使用される。スピナーの回転速度は毎秒1回転に設定される。角度範囲は、2θで0.017°のステップサイズで、2θで2から50°まで広がる。ステップごとに500~5000秒の可変カウント時間を使用した。
【0129】
X線粉末回折(XRPD):XRPD分析は、Bragg-Brentano(垂直θ-2θ構成)パラフォーカシングジオメトリを使用して、Siemens-Bruker D5000 Matic粉末回折計で行われる。サンプルフィーダーにより、作業の自動化が可能になる。十分な量の生成物が入手できる場合、粉末は凹型のステンレス鋼サンプルホルダーにトップロードされる。それ以外の場合、製品の薄層が単結晶シリコンウェーハ上に堆積され、系統的な消滅によってブラッグ反射を妨げるSi(510)結晶学的配向に従って切り出される。45kV及び40mAレベルで動作する密閉されたコバルト陽極X線管が使用される。通常、CoKα1(λ=1.7890Å)及びCoKα2(λ=1.7929Å)の2本の線が放射される。検出器と試料の間に配置された鉄β-フィルターは、CoKβ(λ=l.6208Å)放射線を完全に除去しておらず、これは、検出器での回折ビームの約1%に貢献している(メーカーのデータ)。一次ビームは、平行板コリメータ(0.2mm Sollerスリット)を通過し、次に発散スリット(0.2mm)を通過する。ブラウン50Mマルチカナル線形検出器がセットアップを完了する。この検出器は角度2θで8°幅の検出ウィンドウを有する。ダイアグラムは、角度2θで2から50.0°のスキャン、2θで1度当たり20秒のカウント時間、並びに圧力、温度及び相対湿度などの周囲環境条件で記録すべきである。
【0130】
温度及び相対湿度X線粉末回折:試験は、Bragg-Brentanoパラフォーカシング(θ-θ)ジオメトリとAnton-PaarTTK450温度室を備えたSiemens-Bruker D5000回折計を使用して行われる。ある特定の試験では、乾燥窒素またはRHストリームが使用される。粉末は、凹型のステンレス鋼サンプルホルダーに入れられる。45kV及び40mAレベルで動作する密閉されたコバルト陽極X線管が使用される。通常、CoKα1(λ=1.7890Å)及びCoKα2(λ=1.7929Å)の2本の線が放射される。検出器と試料の間に配置された鉄β-フィルターは、CoKβ(λ=l.6208Å)放射線を完全に除去しておらず、これは、検出器での回折ビームの約1%に貢献している(メーカーのデータ)。ビームは、平行度を向上させるために、Sollerスリットを使用して照準を合わせる。可変発散スリットは、サンプルの照明領域を一定に保つ。1mmのコリメータは、チューブとサンプル間の拡散を制限する。ブラウン50Mマルチカナル線形検出器がセットアップを完了する。この検出器は角度2θで8°幅の検出ウィンドウを有する。温度を0.05℃/秒の速度で上昇させる。ダイアグラムは通常、角度2θで1.5から50.0度のスキャン、2θで1度あたり10~15秒のカウント時間の条件で記録される。要求された温度に達すると、データは等温モードで取得される。
【0131】
FTIR分光計(TGA-FTIR)に組み合わせた同時熱重量分析:分析は、TG209C Netzsch InstrumentとTensor 27 Bruker FTIR分光計を組み合わせて使用して行われる。このシステムにより、発生した化合物(水と溶媒)の熱重量分析(TGA)とFTIR化学同定を同時に行うことができる。発生したガスは、発生した生成物の凝縮を防ぐために、476Kに加熱された移送ラインを介してFTIR分光計に運ばれる。5~10mgのサンプル質量がアルミニウムるつぼに堆積される。TGA-FTIR分析は、10mL/分の乾燥窒素流下で実施される。通常、サンプルは5K/分の速度で298から520~570Kに加熱される。4000から700cm-1のスペクトル領域、4cm-1の分解能及び20スキャン/スペクトルがFTIRスペクトルの記録に使用される。FTIRで分析する溶媒ごとに、溶媒の種類に関連する特定の波数範囲を選択する必要がある。
【0132】
熱重量分析:分析は、T.A.機器TGAQ500またはTGAQ5000アナライザーで行われる。質量校正は、10及び100mgの認定質量で実行され、機器は、アルメル及びニッケル標準(それぞれ154℃及び354℃のキュリーポイント)で温度校正される。サンプルは60mL/分の一定の窒素流にさらされ、温度範囲は5℃/分の速度で20~250℃である。製品の量は2~5mgの間にある。粉末は、プラチナパンに配置されているオープンなアルミニウムサンプルパンに堆積される。
【0133】
示差走査熱量測定(DSC):分析は、T.A.機器Q1000(またはQ200)アナライザーを使用して窒素流下で行われる。熱量計はインジウムと鉛で温度校正される(開始温度はそれぞれ156.6℃と327.5℃である)。エネルギー校正は、認定されたインジウム校正器(28.45J/gの融解エンタルピー)を使用して行われる。機械式コンプレッサーを使用して、55mL/分の一定の窒素流の下で5℃/分の速度で0~270℃の温度プログラムを取得及び平衡化する(それぞれ50mL/分)。分析される製品の量は1~5mgであり、圧着またはアルミニウムのサンプルパンに入れられる。
【0134】
吸湿/脱着等温線:すべての実験は、DVS-1自動重量分析蒸気吸着分析装置(Surface Measurement Systems Ltd.、ロンドン、英国)で実施された。DVSは、±0.1μgの質量分解能で超微量天秤を記録するCahn D200を使用して、蒸気の取り込みと損失を重量分析で測定する。制御された相対湿度は、さまざまな比率の乾燥及び水飽和キャリアガスストリームを混合することによって生成される(マスフローコントローラーによって監視される)。システム全体を温度制御されたインキュベーターで囲むことにより、温度を±0.1℃で一定に維持した。約10mgのサンプルサイズが使用された。水蒸気にさらされる前に、存在する表面水をすべて除去し、乾燥したベースライン質量を確立するために、サンプルを0%相対湿度(RH)で乾燥させた。次に、サンプルを増加している相対湿度にさらし、相対湿度は、5%RHずつ0%から95%RH(または90%RH)に上昇させた。各段階で、相対湿度が増加または減少する前に、サンプルの質量を平衡状態に達させた(dm/dt比(m=質量、NS=時間)が30分間で3.3 10-4mg/秒の値を超えなかったときに平衡が確立されたことを考慮)。平衡状態に達しなかった場合、相対湿度の変化は600分後に自動的に発生した。2つの連続したサイクルが記録された。完全な吸湿及び脱着プロファイルから、DVS Advanced Analysis Suite v3.6を使用して等温線を計算した。すべての実験は25.0℃で実施された。
【0135】
多形スクリーニングは、さまざまな溶媒、過飽和、温度、及び水分活性で実行された。一般的に、
・室温でのゆっくりとした蒸発、大気圧または真空下での高温での蒸発、還流温度での溶解、それに続く室温でのゆっくりとした冷却による結晶化
・非溶媒の添加による沈殿、共沸蒸留による溶媒移動
・無水溶媒または水性溶媒中の室温での純粋な形態または形態の混合物のスラリー化
という条件が使用された。
【0136】
XRPDの結果を使用した結晶化研究によって同定された多形を表4に示す。
表4:結晶化研究の結果
【表16】
【0137】
実施例5:形態A及び形態Bの可変温度T-XRPD分析:
実施例4で同定された結晶形態を、以下のように特徴づけた。
【0138】
加熱下での形態Aの構造的挙動を、窒素雰囲気下でT-XRPDによってその場で試験した。温度を室温から230℃まで10℃ずつ上げた。熱によるXRPD図の構造変化が観察される(
図7)。40℃から80℃まで、形態Aの脱水形態に対応して、形態Cの出現が記録される。次に、80℃から90℃の間で構造変化が観察された。90℃で、別の無水結晶相に対応する新しいXRPDパターンが現れる。160℃から170℃の間で、主要な構造変化が観察された。
【0139】
加熱下での形態Bの構造的挙動を、窒素雰囲気下でT-XRPDによってその場で試験した。温度を室温から160℃まで10℃ずつ上げた。水分子の熱による損失と結晶格子の膨張によるXRPDダイアグラムの変化が、室温から70℃まで観察され、その結果、形態Dが生成された(
図8)。90℃から120℃の間で、構造変化が観察されなかった。最後に、130℃では、XRPDダイアグラムは平坦で、アモルファス物質に似ている。
【0140】
実施例6:結晶形態の特性付け
実施例4で同定された結晶形態を以下のように特徴づけた。
【0141】
形態F:テトライソプロパノール溶媒和物のXRPDを
図10に示す。
【0142】
テトライソプロパノール溶媒和物のDVSが、25℃での「0%P/P
0」前処理の後、25℃で行われた(
図12)。分圧が増加しているイソプロパノールにサンプルがさらされると、非常にわずかで連続的なイソプロパノール吸着が0~45%P/P
0(IPA)(45%P/P
0(IPA)で2.1%)で測定される。50~55%P/P
0(IPA)の間では、25%に達する重要なイソプロパノールの取り込みが観察される。60%P/P
0(IPA)から90%P/P
0(IPA)の間では、3%に達する継続的なイソプロパノールの取り込みが観察される。90%P/P
0(IPA)と40%P/P
0(IPA)の間では、3%に達する非常にわずかで継続的なイソプロパノールの損失が観察される。その後、35%P/P
0(IPA)と0%P/P
0(IPA)の間では、30%に達する非常に重要なイソプロパノールの損失が観察される。DVS後のテトライソプロパノール溶媒和物サンプルのXRPDは新しい形態を明らかにし、この新しい形態は、XRPDによってモノイソプロパノール溶媒和物形態Eとして特徴付けられた(
図9)。
【0143】
形態FのTGA-IR曲線を
図11に示す。3モルのイソプロパノールに対応する22%の最初の重量減少が、室温から約90℃まで記録される。1モルのイソプロパノールに対応する7%の2回目の重量減少が、90℃から約160℃まで記録される。210℃を超えると、熱分解が観察される。
【0144】
形態G:水:イソプロパノールヘテロ溶媒和物のXRPDパターンを
図13に示す。
【0145】
水:イソプロパノールヘテロ溶媒和物のTGA-IR曲線を
図14に示す。水の吸着に対応する3%の最初の重量減少が、室温から約100℃まで記録される。0.5モルのイソプロパノールに対応する5%の2回目の重量減少が、100℃から約160℃まで記録される。210℃を超えると、熱分解が観察される。
【0146】
水:イソプロパノールヘテロ溶媒和物のDVSは、25℃での「0%RH」前処理(部分的な脱水であり、25℃での前処理で観察される)の後、25℃で実行される(
図15)。25℃、0%RHで1日暴露した後、サンプルの部分的な脱水と脱溶媒和が観察され、7.7%の水とIPAが失われた。漸増する相対湿度にサンプルがさらされると、重要で継続的な水の吸着が5~65%RH(65%RHで7.4%)の間で測定される。70~90%RHの間では、0.7%に達するわずかで継続的な水分取り込みが観察される。90%RHと10%RHの間では、2.5%に達する継続的な水分取り込みが観察される。10%RHで、7.1%に達する重要な水分損失が測定される。0%RHでは、最初のサイクルと2番目のサイクルの差が記録され(0.6%に達する)、これは、結晶相の構造変化に対応する可能性がある。
【0147】
形態H:ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒和物のXRPDパターンを
図16に示す。
【0148】
ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒和物のTGA曲線を
図17に示す。60℃から約100℃で14.8%の最初の重量減少が記録される(0.5モルのヘキサフルオロイソプロパノールに対応する可能性が高く、TGA-IRまたはTGA-MS測定は行わなかった)。8.5%の2回目の重量減少が、100℃から約160℃まで記録される。180℃を超えると、熱分解が観察される。
【0149】
DVS曲線は、ヘキサフルオロイソプロパノール溶媒和物で25℃で実行される(
図18)。窒素下で6時間後、5%の重量減少が記録される(25℃での前処理で部分的な脱溶媒和が観察される)。最初の吸着サイクル中に、重要な重量損失が0~75%RH(約30%)で記録される。この重量損失は、水蒸気によって引き起こされる溶媒交換による脱溶媒和を示す構造変化に対応する。形態Hが形態Bに変換されることが確認される。
【0150】
形態I:エタノール溶媒和物のXRPDパターンを
図19に示す。形態Iは、環境条件下での風化性溶媒和物である。
【国際調査報告】