(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-28
(54)【発明の名称】長期間持続する殺菌剤洗浄組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C11D 3/48 20060101AFI20220318BHJP
C11D 1/62 20060101ALI20220318BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20220318BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20220318BHJP
C11D 1/88 20060101ALI20220318BHJP
C11D 1/38 20060101ALI20220318BHJP
C11D 1/66 20060101ALI20220318BHJP
C11D 1/75 20060101ALI20220318BHJP
C11D 3/43 20060101ALI20220318BHJP
A01N 33/12 20060101ALI20220318BHJP
A01N 25/30 20060101ALI20220318BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20220318BHJP
【FI】
C11D3/48
C11D1/62
C11D3/37
C11D3/20
C11D1/88
C11D1/38
C11D1/66
C11D1/75
C11D3/43
A01N33/12 101
A01N25/30
A01P1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547180
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(85)【翻訳文提出日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 US2020018064
(87)【国際公開番号】W WO2020168046
(87)【国際公開日】2020-08-20
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508079739
【氏名又は名称】ローディア オペレーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】セーガル, アミット
(72)【発明者】
【氏名】マミストバロワ, タマラ
(72)【発明者】
【氏名】トーレス, アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】ブレル, セリーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ラムダニ, カメル
【テーマコード(参考)】
4H003
4H011
【Fターム(参考)】
4H003AC15
4H003AE05
4H003BA12
4H003DA05
4H003DA07
4H003DB02
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB13
4H003EB28
4H003EB30
4H003ED02
4H003FA28
4H003FA34
4H011AA02
4H011AA04
4H011BA05
4H011BB04
4H011DA15
(57)【要約】
本開示は、少なくとも1つの4級アンモニウム化合物を有する抗菌成分;少なくとも1つのカチオン性モノマーAb、任意選択で少なくとも1つのアニオン性モノマーBa、及び任意選択で少なくとも1つの非イオン性モノマーCaを含む合成ポリマー;有機酸;及びカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びこれらの組み合わせから選択される界面活性剤;並びに中程度から不十分な水溶性を有する非局在化電子構造を備える低親水性-親油性バランス(HLB)非イオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む、抗菌組成物を提供する。表面に適用される場合、この組成物は良好な洗浄能力を示し、強力で長期間持続する殺菌を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.少なくとも1つの4級アンモニウム化合物を含む抗菌成分と、
b.
i.少なくとも1つのカチオン性モノマーA
bと、
ii.任意選択で少なくとも1つのアニオン性モノマーB
aと、
iii.任意選択で少なくとも1つの非イオン性モノマーC
aと、
を含む合成ポリマーと、
c.有機酸と、
d.カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びこれらの組み合わせからなる群から選択される界面活性剤と、
e.中程度から難溶の水溶性を有する非局在化電子構造を備える低親水性-親油性バランス(HLB)非イオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1つの非イオン性界面活性剤と、
を含む、硬質表面処理組成物。
【請求項2】
前記組成物から形成されるフィルムは、RSS-12hによる少なくとも3回の摩耗サイクルにおいて、少なくとも95%の微生物を死滅させる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記抗菌成分は、モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記モノマーA
bは、ジアリルジメチルアンモニウムハライドからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーB
aを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリマーは、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニルイミダゾール、アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキルアクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーC
aを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、乳酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記界面活性剤は、カチオン性アミンオキシドからなる群から選択されるカチオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記界面活性剤は、スルタイン、タウレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される両性界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
極性溶媒を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
残留抗菌作用を表面に提供する方法であって、請求項1に記載の組成物を前記表面に適用する工程を含む、方法。
【請求項12】
残留抗菌作用を有する基材であって、前記基材の少なくとも一部分は、請求項1に記載の組成物でコーティングされる基材を含む、基材。
【請求項13】
表面上又は表面での微生物コロニーの形成を実質的に減少又は制御するための、請求項1に記載の組成物の使用。
【請求項14】
前記組成物から形成されるフィルムは、環境保護庁(EPA)プロトコル#01-1A残留自己消毒活性試験の変更版に従って、少なくとも95%のグラム陽性菌及びグラム陰性菌、又はエンベロープウィルス及びノンエンベロープウィルスを死滅させる、請求項13に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年2月13日付けで出願された米国仮特許出願第62/804,923号の優先権の利益を、米国特許法第119条(e)の下において主張するものであり、当該出願の全ての開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
殺菌剤として又は殺菌活性を有する洗浄剤として市販されている抗菌組成物は、典型的には、使用時にのみ99.9%以上で細菌又はウィルスの死滅を達成する。「きれいな(clean)」表面の再汚染は、再び処理されるまで微生物が生き残り接触によって広がることを可能にする。殺菌洗浄剤市場は、現在、家庭、公共場所、及び医療環境を含む接触の多い場所での長期間持続する殺菌に対応していない。これは、きれいな家を気にかけているが、定期的に洗浄及び殺菌をする時間がない現代の健康志向の消費者に需要を生み出している。
【0003】
長期間持続する殺菌剤洗浄組成物を開発するための重要な技術的課題は、洗浄には汚れ除去のための効果的な界面活性剤の存在が必要であるが、このような界面活性剤の存在により、残留フィルムの耐久性又は長期間持続する性質が低下することである。残留殺菌フィルムの劣化により、12~24時間の連続殺菌を実現することは非常に困難である。
【0004】
表面の再汚れ又は汚染には、このような組成物による更なる処理が必要である。従って、繰り返し適用する必要なしに高い微生物の死滅をもたらす殺菌洗浄配合物の必要性が存在する。しかしながら、上記の要件を満たす組成物の設計は、成分間の予測不可能で複雑な相互作用を考慮すると困難な作業である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】実施例で行われたRSS-12h分析を示すフローチャートである。
【
図2】洗浄適用を所望の性能に調整するための基準の枠を提供する。
【
図3】長期間持続する殺菌剤(配合物A pH4.5)の不十分な洗浄性能を示している。
【
図4】洗浄性能におけるTSP-8EOの変動する量の影響を示している。
【
図5】ベンチマークAと比較した、TSP-4EOとTSP-8EOのブレンドを含む配合物の洗浄への影響を示している。
【
図6】乳酸の除去により基材の濡れが改善された実施形態を実証している。
【
図7】様々な非イオン性界面活性剤の洗浄への影響を示している。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、少なくとも1つの4級アンモニウム化合物を含む抗菌成分、少なくとも1つのカチオン性モノマーAb、任意選択で少なくとも1つのアニオン性モノマーBa、及び任意選択で少なくとも1つの非イオン性モノマーCaを含む合成ポリマー、有機酸、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びこれらの組み合わせから選択される界面活性剤、並びに中程度から不十分な水溶性を有する非局在化電子構造を備える低親水性-親油性バランス(hydrophilic-lipophilic balance)(HLB)非イオン性界面活性剤から選択される少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む硬質表面処理組成物を提供する。残留抗菌作用を表面に提供する方法であって、本開示の組成物を表面に適用する工程を含む、方法も提示される。本開示はまた、残留抗菌作用を有する基材であって、基材の少なくとも一部分が、本開示の組成物でコーティングされる基材を含む、基材を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、1回のみの適用で12~24時間の連続的な表面殺菌の利益を提供し、繰り返される除染の必要性を排除する洗浄組成物に関する。これらの組成物の洗浄効果は、中程度から不十分な水溶性を有する非局在化電子構造を備える低親水性-親油性バランス(HLB)非イオン性界面活性剤を含むことによって提供される。このような殺菌剤洗浄組成物は、長期間持続する殺菌を提供しながら、湿潤及び乾燥拭き取りに対して耐摩耗性である残留フィルムを提供する。
【0008】
本組成物は、繰り返し処理を必要とすることなく、12~24時間で少なくとも95%以上の微生物(例えば、細菌、ウィルス、又は真菌)の死滅(例えば、99.9%死滅)を達成する。米国環境保護庁(EPA)による24時間の長期消毒の要求を立証するために、残留自己消毒(RSS)法、EPAプロトコル#01-1A(https://www.epa.gov/sites/production/files/2015-09/documents/cloroxpcol_final.pdf)で、組成物を評価する。長期間の殺菌を検証するために、既存の全ての試験プロトコルは、再適用前に予想される接触及び拭き取りにより、典型的には、24時間の再汚染及び摩耗の最大量をエミュレートする。本明細書では、表面へのおよそ半分のレベルの摩耗及び再汚れ付着の課題を伴う中間プロトコルが、「RSS-12h」試験プロトコルとして提示される。
【0009】
一実施形態では、組成物から形成されるフィルムは、残留自己消毒(RSS)活性試験(EPAプロトコル#01-1A)に従って、少なくとも99.9%(例えば、log3減少)の微生物を死滅させる。一実施形態では、組成物から形成されるフィルムは、残留自己消毒(RSS)活性試験(EPAプロトコル#01-1A)に従って、少なくとも99.9%(例えば、log3減少)のグラム陽性菌及びグラム陰性菌を死滅させる。
【0010】
長期間持続する殺菌の要求は、RSS試験によって実証され、これは、適用された組成物を再汚染(微生物による再接種)及び摩耗(摩耗サイクル)にさらすことにより、適用された組成物にチャレンジする。再接種及び摩耗サイクルの数がおよそ半分の中間試験プロトコル(「RSS-12h」)を使用して、試験生成物を再適用する前に最大12時間耐久性のある殺菌を予測する。
図1に概説されるように、この手順では、最初の1週間(EPAプロトコル#01-1Aを参照)に渡る試験細菌(微生物)培養の調製を必要とし、その後2週目で試験が続く。
【0011】
試験では、表面に細菌を接種し、続いて生成物を基材に適用してそれを乾燥させる。基材は、ガラス、ポリカーボネート、又はスチールであり得る。次いで、この基材を摩耗にさらす-3回の「摩耗サイクル」の再接種レジメン。摩耗は1084gwt、下地に薄いポリウレタン発泡体層を有する布地で覆われた長方形のスチールブロックで行われる。各摩耗サイクルは、「乾燥」摩耗と「湿潤」摩耗で構成され、後者は、布カバーがPreval(登録商標)スプレーを使用して霧状の水で湿潤されている。各摩耗(乾燥/湿潤)は、試験基材に渡るブロックの前後の動きによって特徴付けられる。各摩耗サイクルに続いて、細菌培養物を表面に再接種する。RSS-12hには、6磨耗サイクル/6接種試験レジメンの概要を示す完全なRSS試験と比較して、3磨耗サイクル/3接種試験が含まれる。試験方法のその他全ての詳細は、EPAプロトコル#01-1Aで概説されているとおりである。
【0012】
試験基材を一晩乾燥させ、次いで最終的に再び5分間接種(消毒剤試験)し、続いて基材全体を中和する。次いで、生存する細菌を表面から収穫し、寒天プレート上で段階希釈して培養し、24~48時間に渡りコロニーを形成させる。次いで、生存する細菌を、コロニーの数としてカウントする。接種された細菌数と生存する細菌数の違いにより、対数目盛で死滅率(例えば、99.9%死滅)又はlog減少(例えば、3log減少)の有効性評価がもたらされる。本試験における細菌を、その他の微生物、例えば真菌又はウィルスと置き換えられることができる。一実施形態では、微生物は、グラム陽性菌(例えば、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus))、グラム陰性菌(例えば、エンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes))、真菌、エンベロープウィルス、ノンエンベロープウィルス、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0013】
本開示の組成物は、液体配合物である。本開示の組成物を使用する1つの好ましい方法は、組成物の層を基材に適用し、組成物を乾かす、又は組成物を乾燥させることが考えられる。組成物の層を基材に適用し、次いでそれを乾かす、又はそれを乾燥させる動作は、本明細書では、基材を「処理する」として知られている。溶媒が蒸発すると、組成物は基材上に膜を形成すると考えられる。組成物の乾燥した層は、本明細書では、「フィルム」として知られている。
【0014】
一実施形態では、組成物は、少なくとも1つの4級アンモニウム化合物を含む抗菌成分、少なくとも1つのカチオン性モノマーAb、任意選択で少なくとも1つのアニオン性モノマーBa、及び任意選択で少なくとも1つの非イオン性モノマーCaを含む合成ポリマー、有機酸、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びこれらの組み合わせから選択される界面活性剤、並びに中程度から不十分な水溶性を有する非局在化電子構造を備える低HLB非イオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。一実施形態では、組成物は、中程度から不十分な水溶性を有する非局在化電子構造を備える低HLB非イオン性界面活性剤からなる群から選択される2つ以上(例えば、3つ、4つ、5つなど)の非イオン性界面活性剤を含む。
【0015】
一実施形態では、非イオン性界面活性剤は、HLB値が9未満の非局在化電子構造を備える非イオン性界面活性剤からなる群から選択される。一実施形態では、非イオン性界面活性剤は、HLB値が8未満の非局在化電子構造を備える非イオン性界面活性剤からなる群から選択される。一実施形態では、非イオン性界面活性剤は、HLB値が7未満の非局在化電子構造を備える非イオン性界面活性剤からなる群から選択される。一実施形態では、非イオン性界面活性剤は、異なるHLB値の組み合わせを有する。一実施形態では、中程度から不十分な水溶性を有する非局在化電子構造を備える低HLB非イオン性界面活性剤は、トリスチリルフェノールエトキシレート、テルペンアルコキシレート、アルカノールアミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。一実施形態では、中程度から不十分な水溶性を有する非局在化電子構造を備える低HLB非イオン性界面活性剤は、アミン界面活性剤からなる群から選択される。一実施形態では、非イオン性界面活性剤は、低度のエトキシル化(例えば、8つ未満のエチレンオキシド(EO)部位)を有するトリスチリルフェノールエトキシレートである。
【0016】
一実施形態では、組成物のpHは、約0~約5.5の範囲である。別の実施形態では、組成物のpHは、5.5未満である。別の実施形態では、組成物のpHは、2~4.9の範囲である。更に別の実施形態では、組成物のpHは、3~4.8の範囲である。一実施形態では、組成物のpHは、0.5~3の範囲である。
【0017】
本開示の抗菌性組成物は、少なくとも1つの4級アンモニウム化合物を含む。一実施形態では、4級アンモニウム化合物は、抗菌性「クアット(quat)」である。用語「4級アンモニウム化合物」又は「クアット」は、一般に、以下の式:
(式中、R1~R4は、同様又は相違、置換又は非置換、飽和又は不飽和、分枝又は非分枝、及び環状又は非環式であり得、且つ、エーテル、エステル、又はアミド結合を含み得るアルキル基であり、これらは、芳香族又は置換芳香族基であり得る)を有する任意の組成物を指す。一実施形態では、基R1、R2、R3、及びR4は、各々、C20未満の鎖長を有する。X
-は、アニオン性対イオンである。用語「アニオン性対イオン」は、4級アンモニウムを有する塩を形成し得る任意のイオンを含む。適切な対イオンの例としては、塩化物、臭化物、フッ化物、及びヨウ化物などのハロゲン化物、スルホネート、プロピオネート、メトサルフェート、サッカリネート、エトサルフェート、ヒドロキシド、アセテート、ホスフェート、カーボネート、バイカーボネート、及びニトレートが挙げられる。一実施形態では、アニオン性対イオンは、塩化物である。
【0018】
いくつかの実施形態では、20未満又はC2~C20の炭素鎖を有する4級アンモニウムが、本開示の組成物に含まれる。他の実施形態では、C6~C18、C12~C18、C12~C16、及びC6~C10の炭素鎖を有する4級アンモニウムが、本開示の組成物に含まれる。本開示で有用な4級アンモニウム化合物の例としては、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウムクロライド、オクチルデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、及びジデシルジメチルアンモニウムクロライドが挙げられるが、これらに限定されない。単一の4級アンモニウム又は2つ以上の4級アンモニウムの組み合わせが、本開示の組成物中に含まれ得る。本開示において有用な4級アンモニウム化合物の更なる例としては、ベンゼトニウムクロライド、エチルベンジルアルコニウムクロライド、エチルベンゼトニウムクロライド、ミリスチルトリメチルアンモニウムクロライド、メチルベンゼトニウムクロライド、セタルコニウムクロライド、セトリモニウムクロライド(CTAB)、カルニチン、ドファニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド(TEAB)、ドミフェンブロマイド、ベンゾドデシニウムブロマイド、ベンゾキソニウムクロライド、コリン、デナトニウム、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0019】
いくつかの実施形態では、R基の性質、アニオン、及び存在する4級窒素原子の数に応じて、抗菌性4級アンモニウム化合物は、以下のカテゴリの1つに分類され得る:モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、ヘテロ芳香族アンモニウム塩、ポリ置換4級アンモニウム塩、ビス4級アンモニウム塩、及びポリマー4級アンモニウム塩。各カテゴリを、本明細書で議論する。
【0020】
モノアルキルトリメチルアンモニウム塩は、長鎖アルキル基である1つのR基を含み、残りのR基は、短鎖アルキル基、例えばメチル又はエチル基などである。モノアルキルトリメチルアンモニウム塩のいくつかの非限定的な例としては、Rhodaquat(登録商標)M242C/29及びDehyquart(登録商標)Aの商標名で市販されているセチルトリメチルアンモニウムブロマイド、Arquad(登録商標)16として市販されているアルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルアリールトリメチルアンモニウムクロライド、並びにAmmonyx(登録商標)DMEとして市販されているセチルジメチルエチルアンモニウムブロマイドが挙げられる。
【0021】
モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩は、長鎖アルキル基である1つのR基、ベンジルラジカルである第2のR基を含み、残りの2つのR基は、短鎖アルキル基、例えばメチル又はエチル基などである。モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩のいくつかの非限定的な例としては、Lonza Inc.からBarquat(登録商標)として市販されているアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、及びLonza Inc.からLonzagard(登録商標)として市販されているベンゼトニウムクロライドが挙げられる。更に、モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩は、置換されることができるこのような塩の非限定的な例としては、ドデシルジメチル-3,4-ジクロロベンジルアンモニウムクロライドが挙げられる。最後に、Stepan CompanyからBTC(登録商標)2125Mとして市販されており、Lonza Inc.からBarquat(登録商標)4250として市販されているアルキルジメチルベンジル及びアルキルジメチル置換ベンジル(エチルベンジル)アンモニウムクロライドの混合物がある。その他の例としては、N,N-ベンジルジメチルオクチルアンモニウムクロライド、Ν,Ν-ベンジルジメチルデシルアンモニウムクロライド、N-ドデシル-N-ベンジル-N,N-ジメチルアンモニウムクロライド、N-テトラデシル-N-ベンジル-N,N-ジメチルアンモニウムクロライド、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-N-ベンジルアンモニウムクロライド、N,N-ジメチルN-ベンジルN-オクタデシルアンモニウムクロライドが挙げられる。
【0022】
ジアルキルジメチルアンモニウム塩は、長鎖アルキル基である2つのR基を含み、残りのR基は、短鎖アルキル基、例えばメチル基などである。ジアルキルジメチルアンモニウム塩のいくつかの非限定的な例としては、Lonza Inc.からBardac(登録商標)22として市販されているジデシルジメチルアンモニウムハライド、Lonza Inc.からBardac(登録商標)2250として市販されているジデシルジメチルアンモニウムクロライド、Lonza Inc.からBardac(登録商標)LF及びBardac(登録商標)LF-80として市販されているジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、並びにLonza Inc.からBardac(登録商標)2050及び2080として市販されているジデシル及びジオクチルジメチルアンモニウムクロライドとの混合物として販売されているオクチルデシルジメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。
【0023】
ヘテロ芳香族アンモニウム塩は、長鎖アルキル基である1つのR基を含み、残りのR基は、いくつかの芳香族系により提供される。従って、R基が結合している4級窒素は、ピリジン、キノリン、又はイソキノリンなどの芳香族系の一部である。ヘテロ芳香族アンモニウム塩のいくつかの非限定的な例としては、Zeeland Chemical Inc.からSumquat(登録商標)6060/CPCとして市販されているセチルピリジニウムハライド、The Dow Chemical CompanyからDowicil(登録商標)200として市販されている1-[3-クロロアルキル]-3,5,7-トリアザ-1-アゾニアアダマンタン、及びアルキル-イソキノリニウムブロマイドが挙げられる。
【0024】
ポリ置換4級アンモニウム塩は、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、モノアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、又はヘテロ芳香族アンモニウム塩であり、この場合、その分子のアニオン部分は、大きな高分子量(MW)の有機イオンである。ポリ置換4級アンモニウム塩のいくつかの非限定的な例としては、アルキルジメチルベンジルアンモニウムサッカリネート、及びジメチルエチルベンジルアンモニウムシクロヘキシルスルファメートが挙げられる。
【0025】
ビス4級アンモニウム塩は、一般式:
(式中、R基は、長鎖又は短鎖アルキル、ベンジルラジカルであり得る、又は芳香族系により提供され得る。Zは、各第4窒素に結合した炭素-水素鎖である)を有する2つの対称4級アンモニウム部位を含む。ビス4級アンモニウム塩のいくつかの非限定的な例としては、1,10-ビス(2-メチル-4-アミノキノリニウムクロライド)-デカン、及び1,6-ビス[1-メチル-3-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)-プロピルジメチルアンモニウムクロライド]ヘキサン、又はトリクロビソニウムクロライドが挙げられる。
【0026】
一実施形態では、4級アンモニウム化合物は、8つの炭素~約20の炭素、8つの炭素~約18の炭素、約10~約18の炭素、及び約12~約16の炭素などの中鎖~長鎖アルキルR基であり、可溶性で良好な抗菌剤を提供する。
【0027】
一実施形態では、4級アンモニウム化合物は、2つの炭素~約12の炭素、3つの炭素~約12の炭素、又は6つの炭素~約12の炭素などのR基を有する短いジアルキル鎖4級アンモニウム化合物である。
【0028】
組成物は、1つ以上の4級アンモニウム化合物を約100~約20,000ppm含み得る。様々な実施形態では、組成物は、約500~約20,000ppm、約500~約10,000ppm、約100~約500ppm、又は約500~約5000ppmの1つ以上の4級アンモニウム化合物を含む。
【0029】
本開示の組成物での使用に適したポリマーは、少なくとも1つのカチオン性モノマーAb、任意選択で少なくとも1つのアニオン性モノマーBa、及び任意で少なくとも1つの非イオン性モノマーCaを有する合成ポリマーを含む。一実施形態では、合成ポリマーは、そのホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、ブロックコポリマー、ランダムポリマー、直鎖ポリマー、櫛型ポリマー又は分岐ポリマーを含む。
【0030】
これらのタイプのモノマーの任意の組み合わせを使用することができる。例えば、適切なポリマーとしては、タイプAbの少なくとも1つのモノマー及びタイプBaの少なくとも1つのモノマーを含む、これらからなる、又は本質的にこれらからなるポリマー、タイプAbの少なくとも1つのモノマー及びタイプCaの少なくとも1つのモノマーを含む、これらからなる、又は本質的にこれらからなるポリマー、及び、3つのタイプのモノマーのそれぞれの少なくとも1つを含む、これらからなる、又は本質的にこれらからなるポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
一実施形態では、カチオン性モノマーAbは、式-NR3+のアンモニウム基を含み、この場合、Rは、同一であり又は異なり、水素原子、1~10の炭素原子を含むアルキル基、又はベンジル基を表し、任意選択で、ヒドロキシル基を有し、アニオン(対イオン)を含む。アニオン性対イオンの例は、塩化物及び臭化物などのハロゲン化物、硫酸塩、水素硫酸塩(hydrosulphate)、硫酸アルキル(例えば、1~6の炭素原子を含む)、スルホン酸塩、リン酸塩、硝酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、ギ酸塩、及び酢酸塩である。
【0032】
カチオン性モノマーA
bの例には、以下が含まれるが、これらに限定されない:
【0033】
ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(DADMAC)又は対応するブロマイドなどのジアリルジメチルアンモニウムハライド。或いは、対イオンは、硫酸塩、硝酸塩、又はリン酸塩であり得る。1つ以上のCH
3基は、C
2~
12、例えばC
2~
6アルキル基で置き換えられ、又は1つ以上のCH
2基は、2~12の炭素原子、例えば、2~6の炭素原子を有するアルキル基で置き換えられるものなどの同様のモノマー単位を使用することができる。言い換えれば、他の同様の市販のモノマー又はこのようなモノマーを含むポリマーを使用することができる。
【0034】
N,N,N-トリメチル-3-((2-メチル-1-オキソ-2-プロペニル)アミノ)-1-プロパナミニウムハライド、例えばクロライド(MAPTAC、メタクリル-アミド(プロピル)-トリメチルアンモニウムハライドとしても知られる)。
【0035】
カチオン性モノマーA
bの更なる例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
1.アミノアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、
2.少なくとも1つの2級、3級又は4級アミン官能基、或いは窒素原子、ビニルアミン又はエチレンイミンを含む複素環式基を含む、特に、(メタ)アクリレート、及び(メタ)アクリルアミド誘導体を含むモノマー
3.ジアリルジアルキルアンモニウム塩、
4.これらの混合物、これらの塩、及びこれらに由来するマクロモノマー、
5.ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジテルチオブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、
6.エチレンイミン、ビニルアミン、2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、
7.トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートクロライド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートメチルサルフェート、ジメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレートベンジルクロライド、4-ベンゾイルベンジルジメチルアンモニウムエチルアクリレートクロライド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリルアミド(2-(アクリロキシ)エチルトリメチルアンモニウム、TMAEAMSとも呼ばれる)クロライド、トリメチルアンモニウムエチル(メタ)アクリレート(2-(アクリロキシ)エチルトリメチルアンモニウム、TMAEAMSとも呼ばれる)メチルサルフェート、トリメチルアンモニウムプロピル(メタ)アクリルアミドクロライド、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、
8.ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、
9.以下の式A(II):
を有するモノマー(式中、R1は、水素原子又はメチル基又はエチル基であり、R
2、R
3、R
4、R
5、及びR
6は、同一であり又は異なり、直鎖又は分岐C
1~C
6、好ましくはC
1~C
4、アルキル、ヒドロキシアルキル又はアミノアルキル基であり、mは、0~10の整数、例えば1であり、nは、1~6、好ましくは2~4の整数であり、Zは、-C(O)O-又は-C(O)NH-基又は酸素原子を表し、Aは、(CH
2)
p基を表し、pは、1~6、好ましくは2~4の整数であり、Bは、直鎖又は分岐C
2~C
12、典型的にはC
3~C
6、任意選択で1つ以上のヘテロ原子又はヘテロ基、特にO又はNHによって中断され、任意選択で1つ以上のヒドロキシル又はアミノ基、好ましくはヒドロキシル基によって置換されるポリメチレン鎖を表し、Xは、同一であり又は異なり、対イオン、及びその混合物、及びそれから誘導されるマクロモノマーを表す)。
【0036】
他のカチオン性モノマーは、一般式A(I):
の化合物を含む(式中、R
1及びR
4は、互いに独立して、水素原子或いは直鎖又は分岐C
1~C
6アルキル基を表し、R
2及びR
3は、互いに独立して、アルキル基が、直鎖又は分岐C
1~C
6鎖、好ましくはメチル基である、アルキル、ヒドロキシアルキル、又はアミノアルキル基を表し、n及びmは、1~3の整数であり、Xは、同一であり得又は異なり得、ポリマーの水溶性又は水分散性の性質と互換性のある対イオンを表す)。一実施形態では、Xは、ハロゲン化物アニオン、硫酸アニオン、硫酸水素アニオン、リン酸アニオン、硝酸アニオン、クエン酸アニオン、ギ酸アニオン、又は酢酸アニオンの群から選択される。
【0037】
本発明で使用されるポリマーは、電荷及び表面吸着がpHによって決定されるポリマー両性電解質構造を有し得る。一実施形態では、ポリマーは、アクリル酸アミン官能性ポリマーである。適切な親水性ポリマーの例は、米国特許第6,569,261号明細書、米国特許第6,593,288号明細書、米国特許第6,703,358号明細書及び米国特許第6,767,410号明細書に記載されており、これらの文書の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。これらの文書は、重合単位の形態で、(1)少なくとも1つのアミン官能性モノマー、(2)酸性の性質を有する少なくとも1つの親水性モノマー、及び(3)任意選択で、エチレン性不飽和を有する少なくとも1つの中性親水性モノマーを含む水溶性又は水分散性コポリマーを記載している。コポリマーは、4級アンモニウムアクリルアミド酸コポリマーを含む。
【0038】
アニオン性モノマーBaの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、α-エタクリン酸、β,β-ジメタクリル酸、メチレンマロン酸、ビニル酢酸、アリル酢酸、エチリデン酢酸、プロピリデン酢酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、N-メタクリロイララニン、N-アクリロイルヒドロキシグリシン、スルホプロピルアクリレート、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、ホスホエチルアクリレート、ホスホノエチルアクリレート、ホスホプロピルアクリレート、ホスホノプロピルアクリレート、ホスホエチルメタクリレート、ホスホノエチルメタクリレート、ホスホプロピルメタクリレート及びホスホノプロピルメタクリレート、並びにこれらの酸のアンモニウム及びアルカリ金属塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
非イオン性モノマーCaの例としては、アルキルアクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)、
N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニルイミダゾール、アクリルアミド、及び
、メタクリルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
本開示の組成物での使用に適したポリマーの例は、DMAEMA、MAPTAC及びメチルアクリル酸を含む、これらからなる、又はこれらから本質的になるポリマーである。
【0041】
適切なポリマーとしては、例えば、Solvay,Novecareから入手可能な、Mirapol(登録商標)Surf-SHO、Mirapol(登録商標)Surf-S110、Mirapol(登録商標)HSC-310、Mirapol(登録商標)CP-412、Mirapol(登録商標)Surf-S200又はMirapol(登録商標)Surf-S500として商標名Mirapol(登録商標)で販売されているものが挙げられる。
【0042】
他の適切なポリマーとしては、例えば、SurfacareからPolyquat(登録商標)7又はPQ7の商標名で、或いはLubrizolからMerquat(登録商標)Sの商標名で販売されているものなどの、DADMAC及びアクリルアミドを含む、これらからなる、又はこれらから本質的になるポリマーが挙げられる。他の適切なポリマーとしては、DADMAC及びメタクリルアミド及び/又はアクリル酸又はメタクリル酸を含む、これらからなる、又は本質的にこれらからなるポリマーが挙げられる。
【0043】
MAPTAC及びアクリルアミド又はメタクリルアミドを含む、これらからなる、又は本質的にこれらからなるポリマーも、本開示の組成物での使用に適している。MAPTAC及びビニルピロリドンを含む、これらからなる、又は本質的にこれらからなるポリマー、例えば、Polyquat(登録商標)28も適している。適切なポリマーとしては、Polyquart(登録商標)Pro(polyquat28とシリコンである)及びBASFのPolyquart(登録商標)Ampo140の商標名で販売されているものが挙げられる。
【0044】
他の適切なポリマーとしては、MAPTAC及びアクリル酸又はメタクリル酸を含む、これらからなる、又はこれらから本質的になるポリマー、例えば、Polyquat(登録商標)Ampho、例えば、Polyquat(登録商標)Ampho149の商標名で販売されているものが挙げられる。
【0045】
DMAEMA及びビニルピロリドンを含む、これらからなる、又は本質的にこれらからなるポリマーは、本開示の組成物での使用に適している。このようなポリマーの例は、BRB InternationalによってPQ11の名前で販売されている。
【0046】
他の適切なポリマーとしては、商標名Polyquat(登録商標)5で販売されているポリマーなどの、DMAEMA及びアクリルアミドを含む、これらからなる、又は本質的にこれらからなるポリマーが挙げられる。
【0047】
一実施形態では、ポリマーの分子量は、約130,000g/モルから約200万g/モルの範囲である。
【0048】
一実施形態では、組成物中のポリマーの量は、約200ppmから約4000ppmの範囲である。
【0049】
本開示の組成物は、1つ以上の有機酸を更に含む。一実施形態では、有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、シュウ酸、グルタル酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、フマル酸、酢酸、安息香酸、プロピオン酸、ソルビン酸、酒石酸、ギ酸、及び1つ以上のこのような有機酸の混合物から選択される。別の実施形態では、対イオン酸は、例えば、ポリ(アクリル酸)又は他のポリカルボン酸(例えば、無水マレイン酸、メタクリル酸など)などのポリマー酸、或いはこれらのホモポリマー又はコポリマー(例えば、メチルメタクリレート、ブチルアクリレートなど)、例えば、Solvayから入手可能なRhodoline(登録商標)シリーズのものなどであり得る。組成物は、500~7,000ppmの1つ以上の有機酸を含み得る。
【0050】
本開示の組成物において、界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、及びこれらの組み合わせから選択される。カチオン性界面活性剤は、水に溶解して実効カチオン電荷(net cationic charge)をもたらす界面活性剤である。一実施形態では、存在する場合、カチオン性界面活性剤は、カチオン性アミンオキシド、カチオン性ベタイン、プロピオネート、アンホ酢酸塩、及びこれらの組み合わせから選択される。アミンオキシド、プロピオネート、アンホ酢酸塩、及びベタインは、本開示の酸性pH条件においてカチオン性である。一実施形態では、プロピオネートは、カチオン性C8~C22プロピオネート、及びこれらの塩から選択される。別の実施形態では、カチオン性C8~C22プロピオネートは、アルキルアンホ(ジ)プロピオネート、アルキルアミノプロピオネート、アルキルアンホプロピオネート、これらの塩、及びこれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、カチオン性アンホ酢酸塩は、以下の式:
に従うアンホ酢酸塩、及び以下の式:
に従うジアンホ酢酸塩(式中、Rは8~18の炭素原子の脂肪族基であり、Mはナトリウム、カリウム、アンモニウム、又は置換アンモニウムなどのカチオンである)から選択される。ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸二ナトリウム、及びココアンホ二酢酸二ナトリウムが、いくつかの実施形態では好ましい。
【0051】
一実施形態では、ベタインは、カチオン性C8~C22ベタイン及びこれらの塩から選択される。更なる実施形態では、カチオン性C8~C22ベタインは、アルキルジメチルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルアンホ(ジ)酢酸塩、これらの塩、及びこれらの組み合わせから選択される。本明細書において、カチオン性界面活性剤についての「これらの塩」を参照する場合、これらは、任意の適切な塩であり得る。一実施形態では、塩は、Na、K、又はNH4などの一価のカチオンに基づく塩である。一実施形態では、塩は、例えば、Na又はKなどのアルカリ金属に基づく塩である。代替的な塩、例えば、Ca及びMgなどのアルカリ土類金属塩の使用も検討されるが、このような塩を使用する場合は、生成物の溶解度に注意する必要があろう。
【0052】
両性界面活性剤は、塩基性及び酸性親水基と有機疎水基の両方を含む。一実施形態では、存在する場合、両性界面活性剤は、スルタイン、タウレート、及びこれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、組成物は、1つ以上のカチオン性及び両性界面活性剤の組み合わせを含む。
【0053】
本明細書に記載の成分に加えて、組成物は、極性担体溶媒(例えば、水)、キレート剤、香料、防腐剤、染料、腐食防止剤、ビルダー、洗浄溶媒、及び抗菌組成物に有用であることが知られている他の成分も含み得る。
【0054】
本開示に従う組成物は、殺菌剤洗浄組成物と他の成分の水の相対比率のみが異なる濃縮液の両方を含む。濃縮液は、希釈なし(濃縮液:水1:0)から、非常に薄い希釈(例えば、1:10,000)まで使用することができる。一実施形態では、希釈の範囲は、約1:1~約1:1,000である。別の実施形態では、希釈の範囲は、約1:1~約1:500である。更に別の実施形態では、希釈の範囲は、約1:10~約1:128である。
【0055】
残留抗菌作用を表面に提供する方法であって、本開示の組成物を表面に適用する工程を含む、方法も開示される。
【0056】
組成物は、手で行う方法と機械で行う方法及びこれらの組み合わせを含む任意の方法により、表面へ適用され得る。例えば、組成物は、噴霧(ポンプ、エアロゾル、圧力など)、注入、展延、計測(例えば、竿又は棒で)、ぬぐい取り、拭き取り、ブラッシング、ディッピング、機械的適用、その他の適用方法、又はこれらの組み合わせによって適用され得る。
【0057】
一実施形態では、本開示の組成物は「噴霧及び拭き取り」用途での使用に適切である。このような用途では、ユーザは一般に、有効量の洗浄組成物をポンプを使用して適用し、その後数分以内に布、タオル、又はスポンジ、通常は使い捨てのペーパータオル又はスポンジで処理部位を拭き取る。
【0058】
本開示の組成物はまた、本明細書に記載されているものであっても、濃縮物又は超濃縮物の形態であっても、湿潤ワイプを使用して硬質表面に適用することができる。ワイプは、織られた性質又は不織の性質のものであり得る。布地基材は、研磨性又は非研磨性の洗浄パッドの形態で、不織又は織られたポーチ、スポンジを含めることができる。このような布地は、この分野では商業的に知られており、ワイプと呼ばれることが多い。このような基材は、樹脂結合、水流交絡、熱結合、メルトブローン、ニードルパンチ、又は前者の任意の組み合わせであり得る。
【0059】
不織布は、木材パルプ繊維と、よく知られた乾燥フォーム又は湿潤レイプロセスによって形成された織物長の合成繊維の組み合わせであり得る。レーヨン、ナイロン、オーロン、及びポリエステル、並びにこれらのブレンドなどの合成繊維を使用することができる。木材パルプ繊維は、不織布の約30~約60重量%、好ましくは約55~約60重量%を含む必要があり、残りは合成繊維である。木材パルプ繊維は、吸収性、摩耗、及び汚れの貯留をもたらすが、合成繊維は、基材の強度及び弾力性をもたらす。
【0060】
本開示の組成物はワイプに吸収され、飽和ワイプを形成する。次いで、ワイプをポーチに個別に密封し、必要に応じて開けることができる、又は必要に応じて、多数のワイプを容器に入れて使用することもできる。容器は、閉じたとき、組成物からの任意の成分の蒸発を防ぐために十分に密封されている。
【0061】
残留抗菌作用を有する基材であって、基材の少なくとも一部分が、本開示の組成物でコーティングされる基材を含む、基材もまた提供される。本開示の配合物は、任意の基材の適用によって使用することができる。いくつかの適切な基材としては、例えば、カウンタートップ、鏡、シンク、トイレ、電気のスイッチ、ドアノブ、壁、床、天井、パーテーション、手すり、コンピュータ画面、キーボード、機器などが挙げられる。適切な基材は、例えば、食品調製区域、家庭、工業環境、建築環境、医療環境、シンク、トイレなどを含む様々な環境で見られ得る。基材はいかなる材料からもなり得る。いくつかの適切な基材組成物としては、例えば、プラスチック(例えば、ラミネート及び壁装材を含む)、フォルマイカ、金属、ガラス、セラミックタイル、紙(例えば、壁紙など)、布地、完成又は未完成の木材などが挙げられる。
【0062】
表面上又は表面での微生物コロニーの形成を実質的に減少又は制御するための、本開示の組成物の使用もまた提供される。一実施形態では、組成物から形成されるフィルムは、RSS-12hによる少なくとも3摩耗サイクルについて、少なくとも95%の微生物を死滅させる。別の実施形態では、組成物から形成されるフィルムは、環境保護庁(EPA)プロトコル#01-1A残留自己消毒活性試験(例えば、24時間の要求について6摩耗サイクル)に従って、少なくとも95%の微生物を死滅させる。別の実施形態では、組成物から形成されるフィルムは、RSS-12hによる少なくとも3摩耗サイクルについて、少なくとも99.9%の微生物を死滅させる。更に別の実施形態では、組成物から形成されるフィルムは、環境保護庁(EPA)プロトコル#01-1A残留自己消毒活性試験(例えば、24時間の要求について6摩耗サイクル)に従って、少なくとも99.9%の微生物を死滅させる。
【0063】
一実施形態では、組成物から形成されるフィルムは、RSS-12hによる少なくとも3摩耗サイクルについて、少なくとも95%のグラム陽性菌及びグラム陰性菌、真菌、又はエンベロープウィルス及びノンエンベロープウィルスを死滅させる。別の実施形態では、組成物から形成されるフィルムは、環境保護庁(EPA)プロトコル#01-1A残留自己消毒活性試験(例えば、24時間の要求について6摩耗サイクル)に従って、少なくとも95%のグラム陽性菌及びグラム陰性菌、真菌、又はエンベロープウィルス及びノンエンベロープウィルスを死滅させる。別の実施形態では、組成物から形成されるフィルムは、RSS-12hによる少なくとも3摩耗サイクルについて、少なくとも99.9%のグラム陽性菌及びグラム陰性菌、真菌、又はエンベロープウィルス及びノンエンベロープウィルスを死滅させる。更に別の実施形態では、組成物から形成されるフィルムは、環境保護庁(EPA)プロトコル#01-1A残留自己消毒活性試験(例えば、24時間の要求について6摩耗サイクル)に従って、少なくとも99.9%のグラム陽性菌及びグラム陰性菌、真菌、又はエンベロープウィルス及びノンエンベロープウィルスを死滅させる。
【0064】
特定の実施形態が議論されているが、本明細書は、単に例示的なものであり、限定するものではない。本明細書を検討すると、本開示の多くの変形が、当業者には明らかであろう。
【0065】
別段の規定がない限り、本明細書で使用される技術的な用語及び科学的な用語の全ては、本明細書が関係する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0066】
明細書及び請求項において使用するとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈がそうでないと明確に示さない限り、複数への言及を含む。
【0067】
本明細書で使用する場合、特に指示がない限り、用語「約」又は「およそ」は、当業者によって決定される特定の値についての許容可能なエラーを意味し、これは、値がどのように測定又は決定されるかに部分的に依存する。特定の実施形態では、用語「約」又は「およそ」は、1、2、3、又は4標準偏差内を意味する。特定の実施形態では、「約」又は「およそ」という用語は、指定された値又は範囲の50%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.05%以内を意味する。
【0068】
また、本明細書に記載される任意の数値範囲は、そこに包含される全ての部分的な範囲を含むことを意図することが理解されよう。例えば、「1~10」の範囲は、列挙された最小値である1と、列挙された最大値である10との間及びそれを含む全ての部分的な範囲を含むことを意図する、即ち、1以上の最小値及び10以下の最大値を有する。開示されている数値範囲は連続しているため、最小値と最大値の間の全ての値が含まれる。特に明記しない限り、本出願で指定された様々な数値範囲は概算値である。
【0069】
本開示は以下の実施例を参照することにより更に説明する。以下の実施例は単に例示であって、限定することを意図したものではない。
【実施例】
【0070】
洗浄のためのASTM手順
ASTM洗浄方法D4488は、弾力性のある床及び洗える壁に使用されている製品の性能を試験することを目的としている。この方法は、汚れの調製、洗浄のためのセットアップ、及び硬い表面の洗浄条件下での性能の評価を含む。直線洗浄能力装置を使用して表面を洗浄する。この方法は、消費者が汚れてから洗浄する表面の方法に類似するように設計されている。この試験は、全てのタイプの多目的家庭用洗浄剤の洗浄効果を試験するために使用される。
【0071】
基材の調製:この試験プロトコルでは、塗料ローラーを使用してラテックス塗料で二重コーティングされたメゾナイトタイルを調製する必要がある。この塗料は、内装用アクリルフラットホワイトでなければならない。塗料のブランドは、汚れを吸収できるように多孔性が高いことが顧客によって事前に決定されている。ASTM法では、伝統的にCalifornia Paints Brandが必要であるが、これはその後廃止された。次いで、タイルを45℃で24時間乾燥させてから、汚れを適用する。翌日、中央の試験領域に約3.5インチの長さで鉛筆で印を付け、チーズクロスで汚れを適用する必要がある場所の境界を示す。
【0072】
チーズクロスの調製:チーズクロスを使用して、汚れを基材に適用する。チーズクロスは、18インチ×36インチの寸法にカットし、次いで半分に数回折りたたんで、最終的に2.5インチ×2インチのピースを提供し、これを大きい2インチのバインダークリップに固定する必要がある。
【0073】
スポンジの調製:表面の汚れの洗浄にはセルローススポンジを使用する。スポンジは、以下に説明するように、摩耗試験機のスポンジボックスにぴったりと収まるように4つのピースにカットされる。次いで、製品を適用する前に、スポンジを完全に洗浄し、絞って半乾燥させる。
【0074】
汚れの調製:33%の植物性ショートニングのブレンドは、33%のラード、33%の植物油、及び1%のカーボンブラックと組み合わされる。混合物を75℃で30分間温め、試験の24時間前に適用することにより、汚れを新しくする。
【0075】
汚れの基材への適用:油とカーボンブラックのブレンドを加熱して均質にしたら、一定の熱と混合を維持しながら、チーズクロスを使用して基材に適用できる。チーズクロスを加熱した混合物に数分間浸してチーズクロスに吸収させ、次いで適度な速度で合計6回のストロークで下向きに適用する。基材への汚れの適用は、スクラブ装置の洗浄方向に対して垂直に適用される。チーズクロスは、各ストロークの間に加熱した混合物に浸される。
【0076】
洗浄試験:15gの洗浄剤をセルローススポンジの表面全体に均一にピペットで分注する。次いで、スポンジボックスに入れ(総重量約350g)、直線洗浄装置に固定されたボードに置く。スポンジが一貫した方法で表面を通ることができるように、所定のサイクル数と速度が確立され、通常合計5サイクルである。
【0077】
汚れブレンド比:当初、ウォールボード洗浄法が実施されたとき、ラード、油、ショートニング、及びカーボンブラックの汚れの比は、ASTM法のものとは異なっていた。変更された比(30%の野菜ショートニング、30%のラード、30%の植物油、及び10%のカーボンブラック)は、カーボンブラックの量がより多い試験プロトコルのために最初に実施された。更なるカーボンブラックを使用して、試験した様々な製品間の違いを視覚化した。これは、カーボンブラックの粒子サイズ及び配合物中のポリマーとのその凝集挙動などの複数の要因が原因である可能性がある。
【0078】
基材塗料:ASTM法に従って、塗料の種類は、California Paints(Item 53300)によってアクリルフラットホワイト内装塗料であるように指定された。供給業者は、耐スクラブ性がないために試験方法で概説された正確な版をもはや製造しなくなったことから、代替のフラットホワイト塗料が使用された。今後、Behr Pro Dead FlatPaintを試験に使用することを決定した。
【0079】
カーボンブラックの供給業者:ASTM法では、Acros Carbonlampを使用する必要があるが、この正確なグレードが廃止されたため、様々なタイプのカーボンブラックを試した。様々な洗浄剤間で、洗浄のばらつきが良好なカーボンブラック(Panther 405)のグレードを特定した。
【0080】
汚れの適用:洗浄プロトコルの開発段階では、50ミル(1ミル=1/1000インチ)のドローダウンバーを使用した。汚れは上端のボードと平行にピペットで分注し、次いでドローダウンバーから1ストロークで流動コーティングされた。その後、ASTMプロトコルに更に準拠するように、この形態の適用から切り替えた。
【0081】
比較例1-現行の殺菌剤洗浄ベンチマークの評価
殺菌洗浄剤として市場で容易に入手できるすぐに使用できるトリガースプレー(trigger spray)のベンチマークを、ASTM D4488ウォールボード洗浄試験で洗浄性能を試験した。これらの製品は全て、細菌及びウィルスが99.9%超死滅すると主張しており、効率的な殺菌剤である。しかしながら、ベンチマークA(「クアット(quat)」系万能洗浄剤-APC)は、ベンチマークB(漂白剤系APC)、ベンチマークC(クエン酸系浴室洗浄剤-BC)及び「HarshFree」ベンチマークD(過酸化物系APC)と比較して、炭素質の脂っこい汚れを取り除くのに非常に効果的である。これらの洗浄殺菌剤はいずれも、RSS-12h又はRSS-24hプロトコルに合格する必要がある長期間持続する洗浄殺菌をもたらさない。殺菌洗浄剤は、洗浄適用を所望の性能に調整するための基準の枠をもたらす。(
図2)。
【0082】
比較例2-長期間持続する殺菌剤の洗浄効果
長期間持続する殺菌配合物Aの組成を表1に示す。配合物Aから調製されたフィルムは、残留自己消毒(RSS)法の変更版、EPAプロトコル#01-1Aである、上記のE.アエロゲネス(E.aerogenes)を用いたRSS-12hプロトコルを使用して評価された。全てのフィルムを150マイクロリットルの配合物を(1×1)インチのスチール基材上にピペットで分注することにより調製し、空気乾燥させた。配合物Aは、4.82LR(log減少-3より大きい)でRSS-12hに合格する強力な配合物を提供し、これは長期間持続する殺菌剤である。配合物Aは、以下に詳述するように、pH制御において更なる乳酸でpH4.5を有し、ここで、加えられたアミンオキシドは、カチオン性であり、透明で安定した溶液を与える。配合物Aは、非イオン性界面活性剤を含まない。
【0083】
【0084】
配合物Aは、上記のようにASTM D4488によって洗浄性能について更に評価され、最高性能の洗浄剤であるベンチマークAと比較された。
図3でわかるように、配合物Aは、ベンチマークAの洗浄効果と比較して性能が劣る。ベンチマークAは、汚れのほぼ約70%を除去したが、配合物Aはほぼ30%を除去した。
【0085】
実施例3-低HLBトリスチリルフェノールエトキシレート(TSP-xEO)の添加
配合物Aにおけるトリスチリルフェノールエトキシレート界面活性剤の添加は、カーボンブラックの分散の即時の改善を示した。組成物をpH4.5に維持しながら、異なる濃度のTSP-8EOを配合物A(表2)に添加することの洗浄性能への影響を検討した。
【0086】
【0087】
添加したTSP-8EOの様々な濃度での洗浄性能が
図4に示されている。TSP-8EOを添加すると、0.5%を超える濃度での洗浄が大幅に向上する。
【0088】
実施例4-様々なクアット濃度のRSS-12hへの影響
配合物B(表3)は、Mirapol(登録商標)HSC-310を使用して調製し、クエン酸の濃度を調整し、TSP-8EOを減少させた。配合物Bは、市場で最も効果的な殺菌洗浄剤の1つであるベンチマークA(
図5)と非常に類似した洗浄を示した。
【0089】
【0090】
摩耗とRSS-12hに対する酸を最小化することの影響を検討した。配合物Bは、更なる多価クエン酸及びGLDAを維持しながら、組成物中の乳酸を除去するように更に適合された(配合物C-表3)。配合物から乳酸を除去すると、RSS-12hに使用されたスチールタイルに興味深い濡れパターンが生じた。配合物A及びBで見られたものとは対照的に、角への生成物の濡れは観察されなかった。乳酸がない場合、生成物は表面でより濡れていた(
図6)。この改善された濡れ効果は、耐摩耗性とRSS-12hについて試験するときに望ましいものである。
【0091】
上記の配合物の試料は、RSS-12hに対して準備された。これらの試料は、乳酸ありとなしの場合の配合物BとCを含んだ。配合物C(乳酸なし)は、4.55のlog減少を示し、RSS-12hに合格した。3を超えるlog減少を達成すると、殺菌洗浄剤は、3回の湿潤摩耗と3回の乾燥摩耗の後に99.9%の残留死滅における12時間要求となる。乳酸(配合物C)を除去したため、洗浄効果に影響はなく、pH4.0でも、長期間持続する殺菌を提供しながら、市場をリードするベンチマークAと同等の性能であった。
【0092】
別の実施形態では、クアット含有量の減少が検討された。長期間持続する殺菌を達成しながら、許容できる残留感を得るために実行可能な最小量のクアットを有することが望ましい。配合物Dは、表4に示されるように、半分(5000ppm)のクアットで透明な安定した組成物である。
【0093】
【0094】
配合物Dは、RSS-12h試験で3.99のlog減少を示した。3を超えるlog減少を達成すると、洗浄殺菌剤は、3回の湿潤摩耗と3回の乾燥摩耗の後に99.9%の残留死滅における12時間要求となる。クアットが減少したため、洗浄効果がわずかに低下した。しかしながら、pH4.0でも、配合物Dの性能は、長期間持続する殺菌を提供しながら、ほとんどのベンチマーク(ベンチマークAを除く)と同等であった。
【0095】
実施例5-様々なクアット濃度の殺菌洗浄剤用のRSS-24h
RSS-24hの性能は、配合物E及びFを使用して検討された(表5)。
【0096】
【0097】
配合物Eは、2.76LRでRSS-24hにほぼ合格している。配合物Fは、3.76LRでRSS-24hにうまく合格している。配合物Fにおける混合された非イオン性界面活性剤(TSP-4EO+TSP-8EO)のHLBは、配合物Eの場合よりも小さい。配合物は又、優れた洗浄性能を提供する。
【0098】
表5.1に示されるように、RSS-24hの更なる性能向上は、4EOと混合した場合でも8EOの混合物の代わりにトリスチリルフェノールエトキシレート-6.5EOなどの低HLB非イオン性界面活性剤を使用して達成できる。配合物Gと配合物Hは両方とも、ステンレススチール上のE.アエロゲネス(E.aerogenes)に対して、それぞれ3.95LRと4.18LRでRSS-24hに合格する。両方の配合物はpH4.5である。
【0099】
【0100】
抗菌性能に関する配合物の有効性を更に評価するために[すぐに使用できる(RTU)用途]、配合物Hの液体をヒトコロナウィルス(ATCC VR-740、229E株)に対する殺ウィルス有効性について試験した。ウィルス有効性試験については、EPAは、ウィルス用に改良されたAOAC使用希釈試験(Use-Dilution Test)又はASTME1053を推奨している。配合物は、5%のウシ胎児血清の有機汚れ負荷で10分間の曝露時間で試験された。回収率は、WI-38(ヒト肺)細胞株で試験された。試験ウィルスの完全な不活化が実証された。ウィルス力価における3.00以上のlog10減少が、ウェル毎及び担体毎に接種された容量毎に実証された(PASSED)。全ての試験対照の結果は、有効な試験の受け入れ基準を満たした。
【0101】
洗浄性能を向上させながら「クアット」濃度を3000ppm未満に下げることにより、低HLB非イオン性トリスチリルフェノールエトキシレートの強力な使用を更に検討した(表5.2)。「クアット」濃度の低減は、配合物の危険性プロファイルを改善するために望ましい。ポリマー濃度を増加させながら、界面活性剤の濃度を全体的に増加させることにより、更に改善された洗浄性能が達成される。表5.2に概説されている配合物I、J、Kは全て、RSS-24hに合格し、優れた洗浄性能を提供する。
【0102】
【0103】
また、RSS-24h性能における性能が、ポリマーの種類をいろいろ変えて検討された。上記のポリマーMirapol(登録商標)HSC-310は、アクリル酸/DADMACコポリマー(アニオンカチオン)である。表5.3は、他の3つのポリマーHSC-500(ポリスルホベタイン)、HSC-500VPA(ポリスルホベタインビニルホスホン酸コポリマー)及びHSC-2(アクリル酸のエチルエステル/DADMACコポリマー)の使用を概説している。HSC-500(スルホベタイン)にはカチオン性部位とアニオン性部位が同時に存在し、HSC-500VPAには更なるホスホン酸アニオンがあり、HSC-2にはより疎水性の非イオン性/カチオン性がある。クエン酸が添加されたHSC-500の別の市販形態は、Mirapol(登録商標)Surf S500として本明細書に概説されている。表5.3に概説されている使用濃度で、ステンレススチール上でエンテロバクター・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)を使用してRSS-24hを実施した場合、配合物Lは、1.81LR(98.45%死滅)を示し、配合物Mでは3.15LR(99.93%死滅)に、配合物Nでは4.66LR(99.998%死滅)に改善した。配合物L、M、及びNは、それぞれpH5.5、5.5、及び4.2を有する。「クアット」(ADBAC+DDAC)濃度は、配合物N(5000ppm)から配合物O(2900ppm)、更に配合物P(1000ppm)に更に減少した。全ての配合物N、O、及びPは、pH4.2である。1000ppmの「クアット」(ADBAC+DDAC)濃度でも、配合物Pは、「完全な死滅」を示し、RSS-24hでは4.66LR超又は99.99%の死滅を示している。
【0104】
【0105】
実施例6-長期間持続する希釈可能な濃縮物
配合物Q及びR(表6)を希釈し、洗浄性能とRSS-12hについてスチール上でE.アエロゲネス(E.aerogenes)を用いて試験した。
【0106】
洗浄性能は、同様の希釈係数で他の希釈可能な濃縮物ベンチマークと同等であった。表6は、QとRの30倍希釈(それぞれQ-30XとR-30X)及びRの更なる60倍希釈(R-60X)を示している。希釈された組成物の100マイクロリットルが、RSS-12hにおいてスチール基材上で適用された。配合物Qは、配合物R(16%w/w)と比較して総活性が高いが、RSS-12hの結果は、配合物Rの30倍希釈及び60倍希釈でさえ3LR超を示している。
【0107】
【0108】
実施例7-改善された環境プロファイル
別の実施形態では、濃縮物の環境プロファイルを更に改善するために、配合物を適合させて危険性成分を低減した。これらの組成物は、配合物S及びTとして表7に示されている。DDACは除去され(より慢性的な環境危険性)、ADBACは低減した量(15900ppm対18000ppm)で使用された。次いで、これらの組成物を更に30倍に希釈し(S-30X及びT-30X)、スチール基材上で適用し(100マイクロリットル)、E.アエロゲネス(E.aerogenes)を用いてRSS-12hプロトコルによって試験した。これらの環境的に改善された組成物は、3LR超でRSS-12hに合格する。
【0109】
【0110】
実施例8-非イオン性界面活性剤
洗浄性能を変えるために、3つの非イオン性界面活性剤を0.5%の活性物で配合物Aに加えた。配合物Aにアルコールエトキシレート(Rhodasurf(登録商標)BC-630及びRhodasurf(登録商標)91-6)を添加したが、洗浄性能は向上しなかった。対照的に、トリスチリルフェノールエキソキシレート8-EOは、同じ使用濃度で洗浄性能の劇的な改善を示した(
図7)。
【0111】
開示された主題について、その特定の実施形態の詳細な説明に関して説明した。このような詳細が、添付の特許請求の範囲に含まれる範囲を除き、開示された主題の範囲に対する制限と見なされることを意図するものではない。
【0112】
従って、本明細書で記載される例示的実施形態は、上記の目的及び利点、並びにそこに固有の目的及び利点を達成するために適切に調整されている。本明細書に記載される例示的な実施形態は、本明細書の教示の利益を有する当業者に明らかな、異なっている同等の方法で修飾及び実施され得るので、上記で開示された特定の実施形態は、単なる例示である。更に、以下の特許請求の範囲に記載されている場合を除き、本明細書に示されている構造又は設計の詳細に対する制限は意図されていない。従って、上記で開示された特定の例示的な実施形態は、変更、組み合わせ、又は修飾されてもよく、全てのこのような変形は、本明細書で説明される例示的な実施形態の範囲及び精神の範囲内であると見なされることは明らかである。本明細書で例示的に開示された、本明細書で記載される例示的な実施形態は、本明細書で具体的に開示されない要素及び/又は本明細書で開示される任意選択的な要素の非存在下で実施され得る。様々な成分又は工程を「含む(comprising)」、「含む(containing)」、又は「含む(including)」という用語で、組成物及び方法を説明するが、組成物及び方法もまた、様々な成分、物質及び工程「から本質的になる」又は「からなる」ことができる。本明細書で使用する場合、用語「から本質的になる」は、列挙された成分、物質、又は工程、及び組成物又は方法の基本的且つ新規な特性に実質的に影響を与えないこのような更なる成分、物質、又は工程を含むことを意味すると解釈されるものとする。いくつかの実施形態では、列挙された成分又は物質「から本質的になる」本開示の実施形態による組成物は、組成物の基本的且つ新規な特性を変更する更なる成分又は物質を含まない。本明細書及び参照により本明細書に組み込まれ得る1つ以上の特許又はその他の文献における単語又は用語の使用法に矛盾がある場合、本明細書と一致する定義が採用されるべきである。
【国際調査報告】