(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-29
(54)【発明の名称】組織の再造形器具及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20220322BHJP
A61B 18/06 20060101ALI20220322BHJP
A61B 18/08 20060101ALI20220322BHJP
A61B 18/18 20060101ALI20220322BHJP
A61B 18/24 20060101ALI20220322BHJP
A61N 7/02 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
A61B18/12
A61B18/06
A61B18/08
A61B18/18 100
A61B18/24
A61N7/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020515742
(86)(22)【出願日】2018-09-14
(85)【翻訳文提出日】2020-05-13
(86)【国際出願番号】 US2018051211
(87)【国際公開番号】W WO2020055433
(87)【国際公開日】2020-03-19
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520072187
【氏名又は名称】ハーフ ムーン メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ギフォード ハンソン エス ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】マクリーン マット
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナマーシー ガウラヴ
(72)【発明者】
【氏名】サットン ダグ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジェイムズ
【テーマコード(参考)】
4C026
4C160
【Fターム(参考)】
4C026AA01
4C026FF16
4C160JK01
4C160KK02
4C160KK15
4C160KK19
4C160KK20
4C160KK36
4C160KK39
4C160MM33
(57)【要約】
鼓動中の心臓内の心臓弁輪の寸法を減少させるための器具及び低侵襲方法。本方法の実施形態は、エネルギー送出カテーテルを心臓弁輪に近接したところで心臓中に前進させるステップを含むのが良く、エネルギー送出カテーテルは、少なくとも2つの電極を有する。次に、2つの電極を前進させてこれら2つの電極が互いに距離を置いたところで心臓弁輪中に穿刺するようにする。本方法は、近接力を2つの電極のうちの少なくとも1つに加え、それにより2つの電極相互間の距離を減少させるステップ及びエネルギーを少なくとも2つの電極相互間に加え、それにより近接力の方向において弁輪を加熱して収縮させるステップをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼓動中の心臓内の心臓弁輪の寸法を減少させるための低侵襲方法であって、
エネルギー送出カテーテルシステムを心臓弁に近接したところで前記心臓中に前進させるステップを含み、前記エネルギー送出カテーテルシステムは、少なくとも2つの電極を含み、
前記電極を前進させて前記電極が互いに距離を置いたところで前記心臓弁輪中に穿刺するようにするステップを含み、
近接力を前記電極のうちの少なくとも1つに加え、それにより前記電極相互間の前記距離を減少させるステップを含み、
エネルギーを前記電極相互間に加え、それにより前記近接力の方向において前記弁輪を加熱して収縮させるステップを含む、方法。
【請求項2】
エネルギー送出カテーテルを前進させる前記ステップは、前記電極相互間の間隔をコンパクトな間隔から伸長された間隔に広げることによって前記電極を前記エネルギー送出カテーテルから伸長させるステップをさらに含み、前記伸長間隔の状態にある前記電極相互間の間隔は、前記コンパクトな間隔の状態にある前記電極相互間の間隔よりも広い、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記電極は、非拘束時に自己伸長して互いに遠ざかるよう構成され、前記電極相互間の間隔を広げるステップは、前記少なくとも2つの電極が自己伸長して互いに遠ざかることができるようにするステップを含む、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記電極相互間の間隔を広げるステップは、前記電極相互間に介在して設けられたブラダをインフレートさせるステップを含む、請求項1~3のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項5】
前記電極相互間の間隔を広げるステップは、前記電極相互間の前記間隔を能動的に広げるための機構体を作動させるステップを含む、請求項1~4のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項6】
前記電極は、第1の電極及び第2の電極を含み、前記方法は、
前記第2の電極を前記弁輪内に埋め込んだままの状態で前記第1の電極を前記弁輪から引き抜くステップと、
前記エネルギー送出カテーテルを前記第2の電極回りに回動させるステップと、
前記第1の電極を前記心臓弁輪中に前進させるステップと、
前記第1又は前記第2の電極のうちの少なくとも一方を他方に向かって付勢する近接力を加えるステップと、
エネルギーを前記第1の電極と前記第2の電極との間に加え、それにより前記近接力の方向において前記弁輪を加熱して収縮させるステップと、をさらに含む、請求項1~5のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項7】
前記エネルギーの送出を停止させて前記弁輪が冷えることができるようにするステップと、
前記電極を前記弁輪から抜去するステップと、をさらに含む、請求項1~6のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項8】
近接力を加える前記ステップは、シースカテーテルを前記少なくとも2つの電極に向かって前進させるステップを含む、請求項1~7のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項9】
近接力を加える前記ステップは、前記ブラダをデフレートさせるステップを含む、請求項1~8のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項10】
近接力を加える前記ステップは、前記電極相互間の前記間隔を能動的に減少させる機構体を作動させるステップを含む、請求項1~9のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項11】
鼓動中の心臓内の心臓組織の寸法形状を選択的に縮小するための低侵襲方法であって、
カテーテルシステムを心臓弁に近接したところで前記心臓中に前進させるステップを含み、前記カテーテルシステムは、少なくとも2つの係合部材及びエネルギー送出機構体を含み、
前記係合部材を前進させて前記係合部材が互いに距離を置いたところで前記心臓組織に係合するようにするステップを含み、
近接力を前記係合部材に加えるステップを含み、
前記エネルギー送出部材を用いてエネルギーを前記係合部材相互間に加え、それにより前記近接力の方向において前記心臓組織を収縮させるステップを含む、方法。
【請求項12】
前記係合部材を前記カテーテルシステムから伸長させる前記ステップは、前記係合部材相互間の前記距離をコンパクトな間隔から伸長された間隔に広げるステップを含み、前記伸長された間隔は、前記コンパクトな間隔よりも広い、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記係合部材は、非拘束時に自己伸長して互いに遠ざかるよう構成され、前記係合部材相互間の前記距離を広げる前記ステップは、前記係合部材が自己伸長して互いに遠ざかることができるようにするステップを含む、請求項11又は12記載の方法。
【請求項14】
前記係合部材相互間の前記距離を広げる前記ステップは、前記係合部材相互間に介在して設けられたブラダをインフレートさせるステップを含む、請求項11~13のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項15】
前記係合部材相互間の前記距離を広げる前記ステップは、前記係合部材相互間の前記間隔を能動的に広げるための機構体を作動させるステップを含む、請求項11~14のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項16】
前記係合部材は、第1の係合部材及び第2の係合部材を含み、前記方法は、
前記第2の係合部材を前記心臓組織に係合させたままの状態で前記第1の係合部材を前記心臓組織から引き抜くステップと、
前記エネルギー送出カテーテルを前記第2の係合部材回りに回動させるステップと、
前記第1の係合部材を前進させて該第1の係合部材を前記心臓組織に係合させるステップと、
前記係合部材を一緒に付勢する近接力を加えるステップと、
エネルギー及び/又は化学物質のうちの少なくとも一方を前記係合部材相互間に加え、それにより前記近接力の方向において前記心臓組織を収縮させるステップと、をさらに含む、請求項11~15のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項17】
近接力を加える前記ステップは、前記カテーテルを前記係合部材に向かって前進させるステップを含む、請求項11~16のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項18】
近接力を加える前記ステップは、前記ブラダをデフレートさせるステップを含む、請求項11~17のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項19】
近接力を加える前記ステップは、前記機構体を作動させ、それにより前記係合部材相互間の前記間隔を狭くするステップを含む、請求項11~18のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項20】
エネルギーを加える前記ステップは、双極、単極、抵抗加熱、超音波、レーザー、及びマイクロ波の群から選択されたエネルギーモダリティを加えるステップを含む、請求項11~19のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項21】
化学物質がフェノール及びグルタルアルデヒドの群から選択される、請求項11~20のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項22】
鼓動中の心臓内の腱索の長さを減少させるための低侵襲方法であって、
カテーテルシステムを心臓弁に近接したところで前記心臓中に前進させるステップを含み、前記カテーテルシステムは、少なくも2つの係合部材を含み、
前記係合部材を腱索に摺動可能に取り付けるステップを含み、
近接力を前記係合部材に加え、それにより前記係合部材相互間の間隔を狭くするステップを含み、
エネルギー及び/又は化学物質のうちの少なくとも一方を前記係合部材相互間に位置する前記腱索に加え、それにより前記近接力の方向において前記腱索を収縮させるステップを含む、方法。
【請求項23】
前記係合部材を摺動可能に取り付けた後、前記方法は、前記係合部材をコンパクトな間隔から伸長された間隔に摺動可能に広げるステップをさらに含み、前記伸長された間隔は、前記コンパクトな間隔よりも広い、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記係合部材相互間の間隔を摺動可能に広げる前記ステップは、前記係合部材相互間に介在して設けられたブラダをインフレートさせるステップを含む、請求項22又は23記載の方法。
【請求項25】
前記係合部材相互間の間隔を摺動可能に広げる前記ステップは、前記係合部材相互間の前記間隔を能動的に広げる機構体を作動させるステップを含む、請求項22~24のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項26】
近接力を加える前記ステップは、前記カテーテルシステムの送出カテーテルを前記係合部材に向かって前進させるステップを含む、請求項22~25のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項27】
近接力を加える前記ステップは、前記ブラダをデフレートさせるステップを含む、請求項24記載の方法。
【請求項28】
近接力を加える前記ステップは、前記機構体を作動させ、それにより前記係合部材相互間の前記間隔を能動的に狭くするステップを含む、請求項25記載の方法。
【請求項29】
エネルギーを加える前記ステップは、双極、抵抗加熱、超音波、レーザー、及びマイクロ波の群から選択されたエネルギーモダリティを加えるステップを含む、請求項22~28のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項30】
化学物質がフェノール及びグルタルアルデヒドの群から選択される、請求項22~29のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項31】
鼓動中の心臓内の心臓弁輪の寸法形状を減少させるための低侵襲器具であって、
細長い送出カテーテルを有し、
前記送出カテーテルによって支持された少なくとも2つの係合部材を有し、前記係合部材は、前記係合部材が前記送出カテーテル内に収納された引っ込み位置と前記係合部材が前記送出カテーテルの遠位端を越えて延びる伸長位置との間で動くことができ、
エネルギー及び/又は化学物質のうちの少なくとも一方を前記係合部材相互間に送出するよう構成された組織収縮コンポーネントを有し、
力を前記係合部材に加えるよう構成された近接機構体を有し、前記力は、近接力及び/又は分離力の群から選択される、低侵襲器具。
【請求項32】
前記組織収縮コンポーネントは、双極、抵抗加熱、超音波、レーザー、及びマイクロ波の群から選択されたエネルギーモダリティを送出するよう構成されたエネルギー送出機構体を含む、請求項31記載の低侵襲器具。
【請求項33】
前記組織収縮コンポーネントは、フェノール及びグルタルアルデヒドの群から選択された化学物質を含む、請求項31又は32記載の低侵襲器具。
【請求項34】
前記近接機構体は、前記係合部材に作動可能に連結されている、請求項31~33のうちいずれか一に記載の低侵襲器具。
【請求項35】
前記近接機構体は、前記係合部材を互いに連結するリンク装置を含む、請求項31~34のうちいずれか一に記載の低侵襲器具。
【請求項36】
前記リンク装置は、ヒンジを含む、請求項35記載の低侵襲器具。
【請求項37】
前記近接手段は、リンク装置に連結されたプルワイヤを含み、前記プルワイヤを引くと、付勢力が前記係合部材に加えられるようになっている、請求項35記載の低侵襲器具。
【請求項38】
前記近接機構体は、前記係合部材の少なくとも一部分を包囲したスリーブを含み、前記スリーブを前進させると、前記係合部材が一緒に付勢される、請求項31~37のうちいずれか一に記載の低侵襲器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織を再造形するために用いられるRF器具に関する。本明細書において開示する器具及び方法は、膠原組織を収縮させるための広い利用性を有し、特に、かかる器具及び方法は、心臓組織(例えば、心臓弁輪及び腱索)を再造形して弁を通る逆流を軽減して弁の能力を高めるのに好適である。
【背景技術】
【0002】
僧帽弁輪拡大は、特に機能性又は続発性の僧帽弁膜症において僧帽弁疾患につき良く見られる特徴である。弁輪が拡大すると、尖が引き離され、ついには、縁が心収縮期に互いにもはや接合又は付着しないようになり、その結果、逆流症が生じる。弁輪の周長全体を減少させることは、上首尾の外科的僧帽弁修復の最もありふれた要素のうちの1つである。これは、僧帽弁輪よりも小さな直径を有する弁形成リングに僧帽弁輪を縫着することによって外科的に実施できる。これは、僧帽弁輪の周長を永続的に減少させるが、このためには、相当な外傷、罹患率、及び回復時間を伴う開放又は低侵襲外科的処置が必要である。
【0003】
多くの互いに異なるカテーテル利用型僧帽弁形成術の概念が探求された。例えば、僧帽弁輪と平行に位置する冠動静脈洞内に器具が配置され又は多くのアンカーが弁輪内に配置され、次に一緒に引かれた。
【0004】
高周波(RF)エネルギーを用いる僧帽弁形成術を実施するための幾つかの技術が試みられた。例えば、電極のリングが弁輪の心房表面に当てられ、次に、RFエネルギーが対をなす電極相互間に送出されて組織を加熱して収縮させる。別の技術では、1対の互いに間隔を置いて位置する電極を輪状組織中に打ち込んでRFエネルギーを電極相互間に送出して輪状組織を収縮させる。
【0005】
他の技術は、カテーテルを介してRFエネルギーを送出して組織を再成形し、それにより他の弁改造法、例えば、腱索の長さを縮小して心臓弁尖組織それ自体を縮小する手法を実施する。しかしながら、これら技術には欠点、例えば、縮小の程度の制御に関して欠点がある。例えば、僧帽弁は、デリケートでありかつ注意深く形が整えられている組織特徴部を有し、これら特徴部は、ある特定の幾つかの方向にのみ縮小される必要のある場合がある。
【0006】
化学的に誘発されるアブレーションもまた、僧帽弁に適用された。1つのかかる試みがトマス・エー・ティメク等(Tomasz A. Timek et al.),「アブレーション・オブ・ミトラル・アニュラー・アンド・リーフレット・マッスル:イフェクツ・オン・アニュラー・アンド・リーフレット・ダイナミクス(Ablation of mitral annular and leaflet muscle: effects on annular and leaflet dynamics”」,アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー(American Journal of Physiology),2003年10月1日に開示されており、これについては、https://doi.org/10.1152/ajpheart.00179.2003 の記事PubMed 12969884 を参照されたい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】トマス・エー・ティメク等(Tomasz A. Timek et al.),「アブレーション・オブ・ミトラル・アニュラー・アンド・リーフレット・マッスル:イフェクツ・オン・アニュラー・アンド・リーフレット・ダイナミクス(Ablation of mitral annular and leaflet muscle: effects on annular and leaflet dynamics”」,アメリカン・ジャーナル・オブ・フィジオロジー(American Journal of Physiology),2003年10月1日,https://doi.org/10.1152/ajpheart.00179.2003 の記事PubMed 12969884
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現行の処置と関連した難点がある状態で、機能不全状態の心臓弁を治療するための簡単かつ効果的であり、しかも侵襲性の低い器具及び方法が要望され続けている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
鼓動中の心臓内の心臓弁輪の寸法を減少させるための低侵襲方法であって、
a.エネルギー送出カテーテルシステムを心臓弁に近接したところで心臓中に前進させるステップを含み、エネルギー送出カテーテルシステムは、少なくとも2つの電極を含み、
b.電極を前進させて2つの電極が互いに距離を置いたところで心臓弁輪中に穿刺するようにするステップを含み、
c.近接力を2つの電極のうちの少なくとも1つに加え、それにより2つの電極相互間の距離を減少させるステップを含み、
d.エネルギーを少なくとも2つの電極相互間に加え、それにより近接力の方向において弁輪を加熱して収縮させるステップを含むことを特徴とする方法。
【0010】
上記方法には、電極相互間の間隔をコンパクトな間隔から伸長された間隔に広げることによって電極をエネルギー送出カテーテルから伸長させるステップがさらに含まれ、伸長間隔の状態にある電極相互間の間隔は、コンパクトな間隔の状態にある電極相互間の間隔よりも広い。
【0011】
上記方法のうちの任意の方法において、少なくとも2つの電極は、非拘束時に自己伸長して互いに遠ざかるよう構成され、2つの電極相互間の間隔を広げるステップは、少なくとも2つの電極が自己伸長して互いに遠ざかることができるようにするステップを含む。
【0012】
上記方法のうちの任意の方法において、2つの電極相互間の間隔を広げるステップは、2つの電極相互間に介在して設けられたブラダをインフレートさせるステップを含む。
【0013】
上記方法のうちの任意の方法において、電極相互間の間隔を広げるステップは、2つの電極相互間の間隔を能動的に広げるための機構体を作動させるステップを含む。
【0014】
上記方法のうちの任意の方法において、2つの電極は、第1の電極及び第2の電極を含み、本方法は、
a.第2の電極を弁輪内に埋め込んだままの状態で第1の電極を弁輪から引き抜くステップと、
b.エネルギー送出カテーテルを第2の電極回りに回動させるステップと、
c.第1の電極を心臓弁輪中に前進させるステップと、
d.第1又は第2の電極のうちの少なくとも一方を他方に向かって付勢する近接力を加えるステップと、
e.エネルギーを第1の電極と第2の電極との間に加え、それにより近接力の方向において弁輪を加熱して収縮させるステップとを含む。
【0015】
上記方法のうちの任意の方法において、本方法は、
a.エネルギーの送出を停止させて弁輪が冷えることができるようにするステップと、
b.2つの電極を弁輪から抜去するステップと、をさらに含む。
【0016】
上記方法のうちの任意の方法において、近接力を加えるステップは、シースカテーテルを少なくとも2つの電極に向かって前進させるステップを含む。
【0017】
上記方法のうちの任意の方法において、近接力を加えるステップは、電極相互間のブラダをデフレートさせるステップを含む。
【0018】
上記方法のうちの任意の方法において、近接力を加えるステップは、2つの電極相互間の間隔を能動的に減少させる機構体を作動させるステップを含む。
【0019】
また、鼓動中の心臓内の心臓組織の寸法形状を選択的に縮小するための低侵襲方法であって、
a.カテーテルシステムを心臓弁に近接したところで心臓中に前進させるステップを含み、カテーテルシステムは、少なくとも2つの係合部材及びエネルギー送出機構体を含み、
b.係合部材を前進させて係合部材が互いに距離を置いたところで心臓組織に係合するようにするステップを含み、
c.近接力を係合部材に加えるステップを含み、
d.エネルギー送出部材を用いてエネルギーを係合部材相互間に加え、それにより近接力の方向において心臓組織を収縮させるステップを含むことを特徴とする方法。
【0020】
心臓組織の寸法形状を選択的に縮小するための上記方法には、係合部材相互間の距離をコンパクトな間隔から伸長された間隔に広げることによって係合部材をカテーテルシステムから伸長させるステップがさらに含まれ、伸長された間隔は、コンパクトな間隔よりも広い。
【0021】
心臓組織の寸法形状を選択的に縮小するための上記方法のうちの任意の方法において、係合部材は、非拘束時に自己伸長して互いに遠ざかるよう構成され、係合部材相互間の距離を広げるステップは、係合部材が自己伸長して互いに遠ざかることができるようにするステップを含む。
【0022】
心臓組織の寸法形状を選択的に縮小するための上記方法のうちの任意の方法において、係合部材相互間の距離を広げるステップは、係合部材相互間に介在して設けられたブラダをインフレートさせるステップを含む。
【0023】
心臓組織の寸法形状を選択的に縮小するための上記方法のうちの任意の方法において、係合部材相互間の距離を広げるステップは、係合部材相互間の間隔を能動的に広げるための機構体を作動させるステップを含む。
【0024】
心臓組織の寸法形状を選択的に縮小するための上記方法のうちの任意の方法において、係合部材は、第1の係合部材及び第2の係合部材を含み、本方法は、
a.第2の係合部材を心臓組織に係合させたままの状態で第1の係合部材を心臓組織から引き抜くステップと、
b.エネルギー送出カテーテルを第2の係合部材回りに回動させるステップと、
c.第1の係合部材を前進させてこれを心臓組織に係合させるステップと、
d.係合部材のうちの少なくとも一方を近接経路に沿って他方の係合部材に向かって動かすステップと、
e.エネルギー及び/又は化学物質のうちの少なくとも一方を係合部材相互間に加え、それにより近接力の方向において心臓組織を収縮させるステップと、をさらに含む。
【0025】
心臓組織の寸法形状を選択的に縮小するための上記方法のうちの任意の方法において、係合部材のうちの少なくとも一方を近接経路に沿って他方の係合部材に向かって動かすステップは、カテーテルを係合部材に向かって前進させるステップを含む。
【0026】
心臓組織の寸法形状を選択的に縮小するための上記方法のうちの任意の方法において、係合部材のうちの少なくとも一方を近接経路に沿って他方の係合部材に向かって動かすステップは、ブラダをデフレートさせるステップを含む。
【0027】
心臓組織の寸法形状を選択的に縮小するための上記方法のうちの任意の方法において、係合部材のうちの少なくとも一方を近接経路に沿って他方の係合部材に向かって動かすステップは、機構体を作動させ、それにより係合部材相互間の間隔を狭くするステップを含む。
【0028】
上記方法のうちの任意の方法において、エネルギーを加えるステップは、(双極、単極、抵抗加熱、超音波、レーザー、及びマイクロ波の)群から選択されたエネルギーモダリティを加えるステップを含む。
【0029】
心臓組織の寸法形状を選択的に縮小するための上記方法のうちの任意の方法において、化学物質が(フェノール及びグルタルアルデヒドの)群から選択される。
【0030】
また、鼓動中の心臓内の心臓弁輪の寸法形状を減少させるための低侵襲器具であって、
a.細長い送出カテーテルを有し、
b.送出カテーテルによって支持された少なくとも2つの係合部材を有し、係合部材は、係合部材が送出カテーテル内に収納された引っ込み位置と係合部材が送出カテーテルの遠位端を越えて延びる伸長位置との間で動くことができ、
c.エネルギー及び/又は化学物質のうちの少なくとも一方を係合部材相互間に送出するよう構成された組織収縮コンポーネントを有し、
d.力を係合部材に加えるよう構成された近接機構体を有し、力は、近接力及び/又は分離力の群から選択されることを特徴とする低侵襲器具。
【0031】
上記器具において、組織収縮コンポーネントは、群(双極、抵抗加熱、超音波、レーザー、及びマイクロ波)から選択されたエネルギーモダリティを送出するよう構成されたエネルギー送出機構体を含む。
【0032】
上記器具のうちの任意の器具において、組織収縮コンポーネントは、群(フェノール及びグルタルアルデヒド)から選択された化学物質を含む。
【0033】
上記器具のうちの任意の器具において、組織収縮コンポーネントは、係合部材に作動可能に連結されている。
【0034】
上記器具のうちの任意の器具において、近接機構体は、係合部材を互いに連結するリンク装置を含む。
【0035】
上記器具のうちの任意の器具において、リンク装置は、ヒンジを含むのが良い。
【0036】
上記器具のうちの任意の器具において、近接手段は、リンク装置に連結されたプルワイヤを含み、プルワイヤを引くと、付勢力が係合部材に加えられるようになっている。
【0037】
上記器具のうちの任意の器具において、近接機構体は、係合部材の少なくとも一部分を包囲したスリーブを含み、スリーブを前進させると、係合部材が一緒に付勢される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図4A】選択的方向において心臓組織を収縮させるためのエネルギー送出器具及び方法を示す図である。
【
図4B】選択的方向において心臓組織を収縮させるためのエネルギー送出器具及び方法を示す図である。
【
図4C】選択的方向において心臓組織を収縮させるためのエネルギー送出器具及び方法を示す図である。
【
図4D】選択的方向において心臓組織を収縮させるためのエネルギー送出器具及び方法を示す図である。
【
図5A】選択的方向において心臓組織を収縮させるための方法を示す図である。
【
図5B】選択的方向において心臓組織を収縮させるための方法を示す図である。
【
図5C】選択的方向において心臓組織を収縮させるための方法を示す図である。
【
図5D】選択的方向において心臓組織を収縮させるための方法を示す図である。
【
図7A】
図1~
図3のエネルギー送出器具のオプションとしての特徴を示す図である。
【
図7B】
図1~
図3のエネルギー送出器具のオプションとしての特徴を示す図である。
【
図7C】
図1~
図3のエネルギー送出器具のオプションとしての特徴を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、膠原組織一般を収縮させるのに有用であり、本発明は、心臓組織、例えば、心臓弁の弁輪及び/又は腱索を制御された予測可能な仕方で収縮させて弁を通る逆流を軽減するのに特に有用である。
【0040】
弁形成術
既存の幾つかの僧帽弁形成技術は、膠原線維を移行温度まで加熱することによって膠原線維を収縮させる。エネルギーを加えて膠原組織を弛緩状態で加熱することにより、膠原組織が収縮し、この収縮が典型的には、あらゆる方向で起こることが知られている。一般に、収縮率は、線維の配向方向において大きい。しかしながら、膠原組織がある特定の引っ張り度下にある状態で膠原組織を加熱すると、その結果として、膠原が引っ張り方向とは異なる寸法方向において収縮する場合が多い。これは、僧帽弁輪に加わる心室圧力の作用が僧帽弁輪に相当大きな張力を誘起するので、僧帽弁手技にとって特に難題となる。僧帽弁輪の全体的堅さ及び筋性心室組織を含む周囲の組織の性質はまた、エネルギーを加えた後であってもコラーゲンをその元の形状に保持する傾向がある。さらに、弁輪内の膠原組織は、加熱時に恐らくは収縮しない他の組織、例えば、筋によって包囲されている。その結果、既存の僧帽弁輪形成技術は、膠原線維を所望の仕方では収縮させることができない。
【0041】
本発明は、心臓組織を掴んでこれを所望の収縮方向において近接させることによって既存の僧帽弁形成技術の欠点を開示することが期待される。組織を近接させている間又はその後のいずれかにおいて組織にエネルギーが加えられる。所望の収縮は、周方向である場合があり(例えば、心臓弁輪に沿ってぐるりと)、あるいは、別の方向である場合がある。例えば、組織は組織を近接させることにより、心臓組織の受ける張力が減少し、それにより膠原組織が所望の方向に優先的に収縮する。組織を近接させる力は、エネルギー送出の停止後ちょっとの間維持されるのが良い。この組織は、予備近接なしの場合よりも所望の方向にさらに収縮することになり、そしてこの組織は、エネルギーが加えられて器具が取り除かれた後においても所望の方向における収縮度の多くを保持することになる。
【0042】
図1は、送出カテーテル120及びオプションとしての案内カテーテル122を有するエネルギー送出器具100を示している。この器具100は、複数のピンの形をした電極102(個別的に第1の電極102a及び第2の電極102bとして示されている)を遠位端部のところに有する。電極102は、別個独立に送り進められるとともに/あるいは引っ込められるのが良く、それにより電極が輪状組織中に挿入されるとともに/あるいは電極が輪状組織から抜去されるのが良い。例えば、押す動作を用いて(例えば、プッシュロッド又はプッシュワイヤ)電極を前進させるが良くかつ/あるいは電極102はこれら電極に係合してこれら電極を回転によって輪状組織中に前進させるねじ山付き表面104を有するのがよい。電極102は、導電性の非粘着性被膜106を有するのが良く、その結果、電極を組織の加熱後に組織から容易に引っ込めることができる。電極102は、近接力を加えて2つの電極を一緒に引くと、これら電極が曲げに抵抗するよう比較的堅いのが良い。
【0043】
第1及び第2の電極102a,102bは、それぞれ、個々の案内管108a,108b内に納められるのが良く、カテーテル100は、案内管108a,108bを一緒に引くことができる近接機構体110をさらに有するのが良い。例えば、近接機構体は、組織中に自然に生じる張力に打ち勝つのに十分な力で案内管108a,108bを一緒に引くことができる。幾つかの実施形態では、近接機構体110は、カテーテルを通って延びるプルワイヤ111W及び
図1に示されているように遠位先端部の近位側に位置するヒンジ112を含む。これら実施形態は、第1の電極102aと第2の電極102bとの間に弧状近接動作(矢印A
Aで示されている)を生じさせる。幾つかの実施形態では、
図2に示されているように、近接機構体110は、直線状近接動作(矢印A
Lで示されている)を第1の電極102aと第2の電極102bとの間に生じさせてこれら電極を近接させたときに第1の電極102aと第2の電極102bとの間に一定の配向状態を維持するように構成されたリンク装置114によって連結されている。例えば、
図2の近接機構体110は、近接動作の動作部分全体を通じて第1の電極102aと第2の電極102bとの間に平行な関係を維持することができる。例えば、
図2に示された幾つかの実施形態では、近接機構体110は、ウォームギヤ(図示せず)などを含むねじ山付き機構体111Sである。しかしながら、
図2に示された実施形態は、ねじ山付き機構体111Sがリンク装置114を作動させるためのプルワイヤ111Wに取って代わることができる。
【0044】
図3は、近接機構体110が第1及び第2の電極102a,102b周りに位置する収縮部材116及び第1の電極102aと第2の電極102bとの間に介在して設けられた拡張部材118を含む器具100を示している。収縮部材116は、2つの電極102a,102bを一緒に引き(近接される)、他方、拡張部材116は、電極102a,102bを互いに離す。幾つかの実施形態では、拡張部材116は、弾性スリーブであり、拡張部材118は、バルーン118などである。拡張部材118は、電極102a,102bを互いに離すための収縮部材116の付勢力に打ち勝つよう構成されている。例えば、拡張部材118がバルーンである場合、バルーンを、流体、例えば、生理的食塩水などでインフレートさせることにより、収縮部材116の近接力に打ち勝ち、それにより電極102a,102bを互いにさらに分離させる。バルーンからの流体の何割かを引き出すことによってバルーンをデフレートさせることにより、収縮部材116からの近接力は、バルーンの拡張力に打ち勝つことができ、それにより電極102を近接させることができる。収縮部材116は、電極102a,102b及び/又は管108a,108bを相互接続する1つ又は2つ以上の付勢部材、例えば、ばね、エラストマー部材、ウォームギヤなどを弾性スリーブに代えて含むことができる。当業者によって理解されるように、電極102相互間の間隔を調節するために多くの別の機構体を用いることができる。
【0045】
図1~
図3に示されたカテーテル100は、第1の電極102aのところに位置する第1のセンサ130a及び第2の電極102bのところに位置する第2のセンサ130b(ひとまとめに「センサ130」という)をさらに有するのが良い。センサ130は、電極102のうちの一方又は両方中に埋め込まれたインピーダンスセンサ又はサーミスタであるのが良い。センサ130は、電極102a,102bを介してエネルギーを組織に加える前、加えている間及び/又は加えた後、組織の状態を判定するために組織の温度又はインピーダンスをモニタするのが良い。センサ130は、電極動作を保証し、電極接触を保証し、収縮の程度を制御し、過剰治療を避けるなどするために信号をコントローラに送るのが良い。例えば、センサ130からの信号を用いると、電極の相対間隔に基づいて組織に送出された全エネルギーを求め又は電極相互間の距離を推定することができる。
【0046】
電極102a,102bは、中実の部材(例えば、ソリッドワイヤ)であっても良く、あるいは、長手方向ルーメン(例えば、中空ワイヤ、図示せず)及び遠位側孔(図示せず)を備えた管であっても良い。例えば、ルーメンは、電極102a,102bの長手方向全長にわたって延びるのが良く、側孔は、ルーメン中に導入された流体が孔を通って出るようにルーメンと流体連通状態にあるのが良い。エネルギーを電極102a,102b経由で加えて有効加熱領域を広げるとともに電極102a,102bのところの組織乾燥の程度を制御しながら、ルーメン及び孔を経て生理的食塩水又は高張食塩水を注入するのが良い。変形例として、電極102a,102bをこれらを通る流体の循環により冷却して介在する組織が加熱されている間、電極の過熱を阻止しても良い。
【0047】
図4A~
図4Dは、
図1に示された器具100の動作原理の一例を示している。当業者であれば理解されるように、
図2及び
図3に示された器具100は、類似した仕方で動作する。使用にあたり、エネルギー送出カテーテル120の遠位端部を最初に心臓組織、例えば、僧帽弁輪の近くに又はこれに当てて位置決めする。(
図4A参照。)エネルギー送出カテーテル120を経中隔又は経心房方式により弁輪の左心房表面に導入しても良く、あるいは、これを経大動脈又は経心尖方式により弁輪の心室表面に送り当てても良い。エネルギーカテーテル120又は案内カテーテル122は、カテーテル120の先端部120aを適当な輪状組織の近傍に又はこれと接触した状態に位置決めするよう操作されるのが良い。次に、第1の電極102aを
図4Aに示されているように輪状組織中に前進させる。第1又は第2の電極102a,102bを互いに別個独立に輪状組織中に前進させても良く、あるいは、組織中に一緒に前進させても良い。電極102は、エネルギー送出カテーテル120を案内カテーテル122から抜き、あるいはエネルギー送出カテーテル120を案内カテーテル122から伸長させ、そして次にエネルギー送出カテーテル120を管108a,108bに対して引き抜くことによって、露出される。エネルギー送出カテーテル120を引き抜くと、電極102a,102bを自己付勢してさらに動き離れさせるのが良い。次に、第2の電極102bを組織中に前進させるのが良い。(
図4B参照。)近接力を加えて2つの電極102a,102bを一緒に引き、それにより電極102a,102b相互間で輪状組織を締め、それにより弁輪の全体的直径を減少させる。(
図4C参照。)例えば、電極102a,102bを10mm離隔させた状態で輪状組織中に挿入し、次に2mm~8mm、又は3mm~7mm、又は約5mmの離隔距離まで一緒に引いても良い。
図4A~
図4Cで示された器具100は、
図1を参照して上述したプルワイヤ111Wを用いて電極102a,102bを一緒に引くが、近接機構体は、2つの電極を近接させるために
図2及び
図3を参照して上述したようなウォームギヤ、リンク装置などを用いるのが良い。
【0048】
電極102a,102bを所望の距離だけ互いに離隔させた後、次に、エネルギーを電極102a,102b相互間に加えて所望の時間の間(例えば、15秒間)組織を加熱し、ついには、コラーゲンを適切に変形させ、その結果、弁輪が新たな小さい周長を保持するようにする。エネルギーは、双極RFエネルギーであっても良く、単極RFエネルギーであっても良く、レーザーエネルギーであっても良く、超音波エネルギーであっても良く、電極の抵抗加熱であっても良く、マイクロ波エネルギーであっても良く、あるいは他のエネルギーモダリティであっても良い。エネルギーを電力及び時間に基づいて加えて組織の望ましくない破壊を生じさせないで所望の収縮量を引き起こす。例えば、エネルギーを10W~100W、15W~85W、20W~70W、25W~55W、10W、15W、20W、25W、30W、40W、45W、50W、55W、60W、65W、70W、75W、80W、85W、90W、95W若しくは100W又はこれらの間の任意の適当なワット数で加えることができる。加うるに、エネルギーを5秒~300秒、10秒~240秒、10秒~60秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、35秒、40秒、45秒、50秒、55秒、又は60秒の間加えることができる。化学物質(例えば、フェノール、グルタルアルデヒド又は他の固定化学薬品)を第1及び第2の電極102a,102b経由の電磁又は機械的エネルギーの送出に加えて又はこれに代えて、2つの電極相互間の心臓組織に加えるのが良い。
【0049】
双極RFエネルギーは、組織を加熱してこの組織が所望の領域で収縮するようにするために2つの電極相互間に自然に差し向けられるという利点を有するが、他のエネルギーモダリティもまた利用することができる。例えば、単極RFエネルギー、レーザーエネルギー、超音波エネルギー、電極の抵抗加熱、マイクロ波エネルギー、又は他のエネルギーモダリティをRFエネルギーに加えて又はこれに代えて、上述のカテーテル100のうちの任意のものに用いることができる。加うるに、組織を所望の形状に形成するよう化学的方法、例えば、少量のフェノール、グルタルアルデヒド又は他の固定化学薬品の注入もまた用いることができる。
【0050】
図4A~
図4Cを参照して上述したプロセスを弁輪の互いに異なる領域で繰り返し実施して選択的された領域にある弁輪の周長をさらに減少させ、それにより弁輪を選択的に再形成して接合又は付着を促進するのが良い。例えば、
図4Dを参照すると、組織を近接させ、弁輪の第1の領域で加熱し、収縮させ、そして十分に冷却した後、電極102a,102bのうちの少なくとも一方を組織から引き抜いて輪状組織の別の区分に動かすのが良い。弁輪の第1の領域の一方の側又は他方の側に位置する隣接した組織を治療することが望ましい場合、第2の電極102bが組織内に留まった状態で第1の電極102aを組織から抜去するのが良く、そして次に、エネルギー送出カテーテル120を第2の電極102b回りに180°回転させる(回動させる)のが良く、その結果、第1の電極102aは、第2の電極102bの他方の側に位置する。次に、第1の電極102aを新たな場所で組織中に前進させるのが良く、その結果、第1及び第2の電極102a,102bが第1の領域に隣接して位置する弁輪の第2の領域をまたぐようにする。次に、エネルギーを第1及び第2の電極102a,102b経由で弁輪の第2の領域に加えることによって治療を続行するのが良い。このように、カテーテルを常時弁輪に取り付けられたままの状態で、弁輪組織の一領域から隣の領域に「歩かせる」のが良い。これは、電極102a,102bの再位置決めを極めて迅速かつ簡単にすることが期待される。
【0051】
上記実施形態のうちの任意のものでは、案内カテーテル122を用いてエネルギー送出カテーテル120を僧帽弁輪上に又はその近くに位置決めするのが良い。例えば、案内カテーテル120を大腿静脈中に挿入して心臓の心房中隔を横切って前進させるのが良く、ついには、案内カテーテル122の先端部122aが左心房内に位置決めされるようにする。エネルギー送出カテーテル120は、この時点において案内カテーテル122の内側に位置するのが良い。次に、案内カテーテル122を先端部122aが僧帽弁上の場所に向かって開くまでたわめるのが良い。次に、エネルギー送出カテーテル120を案内カテーテル122に通して遠位側に前進させるのが良く、ついには、電極102が僧帽弁のところに又はその近くに位置するようにする。電極102a,102bのうちの一方又は両方を
図4Aを参照して上述したように輪状組織中に前進させるのが良い。例えば、第1の電極102aがいったん定位置に固定されると、案内カテーテル122を引き抜いて2つの電極が側方に動いて互いに離れるようにすることができる。エネルギー送出カテーテル120を回転させるのが良く、ついには、第2の電極102bが僧帽弁上に位置決めされ、そして第2の電極102bを
図4を参照して上述したように弁輪中に前進させるのが良い。2つの電極102a,102bを互いに向かって引き寄せるのが良く、ついには、これら電極が組織を所望の引っ張り状態に配置する距離だけ間隔を置いて配置されるようにする。次に、エネルギーを第1及び第2の電極102a,102b経由で組織に送出するのが良い。十分な量のエネルギーが第1の電極102aと第2の電極102bとの間の組織に送出された後、第1電極102aを抜去し、そして順次行われる治療のために弁輪の隣接の区分のところに再位置決めするのが良い。
図4Dは、弁輪の結果として生じる輪状収縮の一例を示している。
【0052】
上記実施形態のうちの幾つかを改造すると、2つの電極を必要とするので代わりに、単一の電極及び/又は化学送出器具を用いることができる。例えば、2つの能動電極102a,102bを備える代わりに、
図1~
図3を参照して上述したカテーテル100は、案内管108a,108bから伸長するよう構成された電気的に不作動なアーム及びアーム相互間に伸長するよう構成された単極電極及び/又は化学的注入針を有するのが良い。動作にあたり、近接機構体110は、案内管108a,108bを互いに引き寄せて上述したように電気的に不作動のアームを互いに近くに動かすのが良く、次に、(a)単極電極を用いて電気的エネルギーをアーム相互間に位置する組織に加えるのが良くかつ/あるいは(b)化学的収縮剤を化学的注入針経由でアーム相互間に位置する組織に加えるのが良い。
【0053】
僧帽弁形成術を実施するためにこの概念を説明したが、この概念は、同様に、三尖弁輪に適用することができる。三尖弁輪の弾性は、僧帽弁輪よりもさらに一層顕著であり、したがって、各セグメントをエネルギー送出前に一層圧縮しても良い。例えば、各セグメントをエネルギー送出前にその前処置長さの1/3まで圧縮しても良い。
【0054】
腱索短縮術
僧帽弁逸脱又は逆流症は、過剰に長い腱索に由来する場合がある。腱索は、心収縮期中、ぴんと張っていてかつ直線状であり、心拡張期中は、ぐにゃぐにゃしていてかつ曲がりくねるようになる。エネルギーを加えて腱索を加熱して収縮させることによって腱索を短くすることが従来提案された。従来技術では、電極を腱索に当てて配置し、そして腱索が適当に収縮するまでエネルギーを加える。これは、非制御型の方法であり、この非制御型方法の結果として容易に、腱索の過剰な収縮が生じる場合があり、この過剰な収縮は、結局のところ、尖を「テザリング(tethering)」するとともに弁の閉鎖を阻止することになる場合がある。さらに、腱索を制御するとともに多大な収縮がどのように起こっているかを可視化することは困難な場合がある。
【0055】
図5A~
図5Dは、エネルギー送出機構体501(個別的に第1のエネルギー送出機構体501a及び第2のエネルギー送出機構体501bとして示されている)を有する器具500を用いて腱索を選択的にかつ制御可能に加熱して収縮させるための手技を示している。第1及び第2のエネルギー送出機構体501a,501bは、1つ又は2つ以上の腱索をある特定の距離を置いた状態で2つの場所で把持するよう構成されている。次に、エネルギー送出機構体501a,501bを所望の収縮長さだけ近接させるのが良く、次にエネルギーをエネルギー送出機構体501a,501b相互間に送出してエネルギー送出機構体501a,501b相互間に位置する腱索の部分を収縮させる。例えば、第1のエネルギー送出機構体501aは、一方の極性で付勢されるのが良く、第2のエネルギー送出機構体501bは、逆の極性で付勢されるのが良く、その結果、電流が第1のエネルギー送出機構体501aと第2のエネルギー送出機構体501bとの間に位置する腱索の領域を通って流れるようにする。
【0056】
鼓動中の心臓内の腱索又は腱索群を把持することは、難題である場合がある。例えば、既存のカテーテル利用システムを操作してかかる腱索を把持し、その結果、電極を所望の距離だけ互いに離隔させるようにすることは困難な場合がある。この難題の一解決策が
図5A~
図5Dに示されている。
図5Aを参照すると、第1及び第2のエネルギー送出機構体501a,501bを当初、場合によってはカテーテルの軸線に対して斜めの角度をなして互いに密接させ、それにより、案内カテーテル530を通る送出を可能にするためにこれらの断面プロフィールを最小限に抑える。エネルギー送出要素501a,501bは、それぞれジョー502a,502bを有するのが良く、ジョー502a,502bは、(a)索を受け入れるために開いており、(b)索に沿って摺動することができる状態で索を保持するよう部分的に閉じられ、そして(c)索がジョー502a,502bに対して摺動するのを阻止するために索を把持するよう完全に閉じられるよう構成されている。
図5A及び
図5Bを一緒に参照すると、第1及び第2のエネルギー送出機構体501a,501bを索(
図5A)の第1の領域のところで互いに近くに配置されるのが良く、次に第1のエネルギー送出機構体501aを第2のエネルギー送出機構体501bから動かして離すのが良く、それにより第1及び第2のエネルギー送出機構体501a,501bを索(
図5B)に沿って互いに離隔させる。次に、第1及び第2のジョー502a,502bを索に当ててしっかりとクランプし、次に互いに密接させ(近接させ)、その結果、ある特定の量のたるみSが
図5Cに示されているように索中に引き起こされるようにする。次に、エネルギーを第1及び第2のエネルギー送出機構体501a,501b相互間に加えて
図5Dに示されているように索の長手方向において索を優先的にかつ制御可能に収縮させるのが良い。索が所望の長さを達成した後、ジョー502a,502bを解除して(例えば、開いて)索を放出するのが良い。次に、弁の性能を評価し直すのが良く、必要ならば、エネルギーを再び加えて索をさらに収縮させても良く、あるいは他の索を収縮させても良い。
【0057】
経心房、経大動脈、経心尖、又は経中隔方式を用いて器具500を索のところに配置するのが良い。この設定では、超音波イメージング、特に三次元経食道イメージングが手技を管理する上で非常に役に立つであろう。この器具は、索の把持及び短縮されるべき長さの視覚的確認方式を備えた外科的環境においても使用できる。
【0058】
エネルギーは、第1のジョー502aと第2のジョー502bとの間に加えられる双極RFエネルギーであっても良く、単極RFエネルギーであっても良く、レーザーエネルギーであっても良く、超音波エネルギーであっても良く、電極の抵抗加熱であっても良く、マイクロ波エネルギーであっても良く、あるいは他のエネルギーモダリティであっても良い。双極エネルギーは、エネルギーを2つのジョー相互間の組織に差し向けるという利点を有することができる。化学物質(例えば、フェノール、グルタルアルデヒド又は他の固定化学薬品)をエネルギー送出に加えて又はエネルギー送出に代えて、2つのジョー502a,502b相互間の心臓組織に塗布するのが良い。
【0059】
図6は、
図5A~
図5Dを参照して上述した器具500のエネルギー送出機構体501の幾つかの実施形態を示している。幾つかの実施形態では、エネルギー送出機構体501は、第1のジョー部分503a及び第2のジョー部分503bを備えたジョー502を有し、第1及び第2のジョー部分503a,503bは、それぞれ、第1及び第2の電気接点504a,504b(まとめて「接点504」として示されている)を有する。第1及び第2のジョー部分503a,503bの各々は、それぞれシャフト506a,506b及びそれぞれ把持部分508a,508bを有するのが良い。シャフト506a,506bは、器具の長さに沿って長手方向に伸長し、そして把持部分508a,508bを互いに近づけたり遠ざけたりするために操作されるよう構成されている。シャフト506a,506b及び把持部分508a,508bは、導電性であるのが良く、かつ接点504a,504bの領域を除き、誘電体で被覆されるのが良い。変形例として、シャフト506a,506b及び把持部分508a,508bは、誘電体で作られるのが良く、別々の導電性接点504a,504b及び電線がシャフト506a,506b内に又はシャフト506a,506b上に位置する。エネルギー送出機構体501は、コイル状スリーブ522をさらに含むのが良く、シャフト506a,506b及び把持部分508a,508bがかかるスリーブを貫通するのが良い。作動にあたり、コイル状スリーブ522を把持部分508a,508bに向かって遠位側に摺動状態で前進させることによって把持部分508a,508bを閉鎖しても良く(例えば、互いにクランプしても良く)、あるいは、コイル状スリーブを近位側に摺動させ(引っ込めて)把持部分508a,508bから遠ざけることによって開いても良い(例えば、離しても良い)。したがって、把持部分508a,508bは、それぞれ、滑らかな曲がり部509a,509bに沿ってシャフト506a,506bから伸長してコイル状スリーブ522の運動により把持部分508a,508bの開閉を容易にするのが良い。エネルギー送出機構体は、幾つかの実施形態では、電気接点504a,504bのうちの一方だけを有しても良い。
【0060】
作動にあたり、共通の極性を一方のエネルギー送出機構体501の単一のジョー502内の両方の接点504a,504bに印加するのが良い。したがって、2つのエネルギー送出機構体501を
図5A~
図5Dを参照して上述したように用いて索中に双極RFエネルギーを加えるのが良い。あるいは、共通電極をエネルギー送出機構体501a,501bのうちの一方に代えて使用しても良い。加うるに、単一エネルギー送出機構体501の接点504a,504bを互いに逆の極性で付勢させてエネルギーを接点504a,504b相互間の索の領域に集中させても良い。
【0061】
尖再形成
僧帽弁逆流症は、後尖中に過剰のゆるんだ組織が存在するので起こる場合が多い。メイヨー・クリニック(Mayo Clinic)のドワイト・マクグーン(Dwight McGoon)博士は、後尖の自由縁のP2区分のV字形区分を切除し、そして切断された縁を互いに縫着する技術を開発した。最近になって、外科医は、過剰組織を単純に心室中に織り込んで尖を切断することなくその区分の縁を互いに縫着させたが、この技術は、「フォルドプラスティ(foldoplasty)」又は「ダンコプラスティ(dunkoplasty)」と呼ばれる場合がある。RFエネルギーを用いて尖を収縮させる幾つかの試みが実施されたが、既存の技術は、収縮の方向性の適切な制御をもたらさない。過剰の後尖組織に起因した僧帽弁逸脱のある大抵の患者に関し、尖をその自由縁から弁輪への方向(前側‐後側方向)ではなく、その自由縁の外側‐内側方向に沿って収縮させることが望ましい。本発明は、外側‐内側方向における収縮を促進しながら前側‐後側方向における収縮を阻止する機構体を提供する。さらに、RFエネルギーは、逸脱の量を減少させることができる仕方で尖の弾性モジュラスを加減することができる(例えば、尖を剛性にすることができる)。
【0062】
図7A~
図7Cは、エネルギーの印加及び/又は化学物質の塗布により尖の制御された収縮を行うための器具600を示している。
図7Aに示されているように、器具600は、左心房中に導入可能なカテーテル620及びエネルギー送出要素602(個別的に第1のエネルギー送出要素602a及び第2のエネルギー送出要素602bとして示されている)を備えた2つのエネルギー送出アーム601(個別的に第1のアーム601a及び第2のアーム601bとして示されている)を有する。エネルギー送出要素602a,602bは、心臓弁の生まれつきの尖、例えば、僧帽弁の後尖に圧接されるよう構成されるのが良く、エネルギー送出要素602a,602bの各々は、電極604及び孔606を有するのが良い。エネルギー送出要素602a,602bは、孔606を通って送られる吸引力で個別的に尖に当てて固定されるのが良い。エネルギー送出要素602a,602bは、オプションとして、尖の自由縁を覆い包み、そして尖をエネルギー送出要素602に圧接させるよう構成された延長部608を有するのが良い。電極604は、可撓性であるのが良く、例えば、導電性メッシュであるのが良く、その結果、これら電極を尖にしっかりと当てて保持することができるようになっている。(
図7Bを参照されたい。)変形例として、電極604は、より剛性の導電性要素であっても良い。エネルギー送出要素602は、組織に係合し、そして
図7Bに示されているようにエネルギーが送出されている間、この組織が電極604の長さに沿って収縮するのを阻止する表面特徴部609a、例えば、粗さ、セレーション、小さなスパイクなどを有するフェース609をさらに有するのが良い。器具600は、エネルギーを加える前に2本のアーム601を一緒に引き、又は組織が収縮しているときにアーム601が自由に互いに密接することができるようにするよう設計されたプルワイヤシステム611を含む近接機構体610をさらに有するのが良い。近接機構体は、変形例として、
図2及び
図3を参照して上述した近接機構体110のうちの任意のものであって良い。エネルギーは、双極RFエネルギーであっても良く、単極RFエネルギーであっても良く、レーザーエネルギーであっても良く、超音波エネルギーであっても良く、電極の抵抗加熱であっても良く、マイクロ波エネルギーであっても良く又は他のエネルギーモダリティであっても良い。化学物質(例えば、フェノール、グルタルアルデヒド又は他の固定化学薬品)がエネルギー送出に加えて又はこれに代えて、2つのエネルギー送出要素602相互間に位置する心臓組織に塗布されるのが良い。(
図7Cを参照されたい。)
【0063】
これら概念の外科的用途
本発明に従って上述した尖形成術、腱索短縮術、及び尖再形成技術は、開放外科的技術及び低侵襲外科的技術にも利用可能である。例えば、
図8は、先端部に尖った電極702を備えた1対の外科用鉗子を有する器具700を有しており、外科医は、1対の外科用鉗子を輪状組織中に挿入することができる。電極702は、組織を近接させるとともにエネルギーを送出するために用いられる。電極702は、鉗子本体704から電気的に絶縁されており、その結果、エネルギーを電極702相互間に送出することができる。変形例として、電極702及びアーム706は、恐らくは被覆スリーブによりカテーテル又は単一シャフト式器械など(図示せず)に取り付けられても良い。これにより、「ポート‐アクセス(Port-Access)」手術のための胸腔鏡ポートを通る挿入が可能であるとともに/あるいは鼓動中の心臓手術のために左心房の壁に設けられた巾着縫合糸用石灰層を通る挿入が可能である。カテーテル又は器械シャフトは、血流中への空気の導入を阻止するとともに器具からの血液の逆流を阻止するためにフラッシングされるよう設計されているのが良い。幾つかの実施形態では、カテーテルは、3~10mmの全体的なシャフト直径を有するのが良く、シャフトは、種々の外科的角度に対応するよう可撓性に作られているのが良い。カテーテルは、使い捨て器具であっても良くあるいは再使用可能な器具であっても良い。同様に、上述の他の概念は、外科的環境における使用に合わせて修正変更されても良い。エネルギーは、双極RFエネルギーであっても良く、単極RFエネルギーであっても良く、レーザーエネルギーであっても良く、超音波エネルギーであっても良く、電極の抵抗加熱であっても良く、マイクロ波エネルギーであっても良く、あるいは他のエネルギーモダリティであっても良い。化学物質(例えば、フェノール、グルタルアルデヒド又は他の固定化学薬品)をエネルギー送出に加えて又はこれに代えて、2つの電極相互間の心臓組織に加えるのが良い。
【0064】
これら概念と他の技術の組み合わせ
注目されるべきこととして、僧帽弁修復を行う際、幾つかの互いに異なる修復技術を同一の手技で実施することが望ましい場合が多い。例えば、本開示で説明した心臓組織収縮技術を腱索収縮手技、MitraClip(登録商標)器具(アボット・バスキュラー(Abbott Vascular))若しくは他の器具による切縁修復、又は手技と組み合わせることができる。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼓動中の心臓内の心臓弁輪の寸法形状を減少させるための低侵襲器具であって、
細長い送出カテーテルを有し、
前記送出カテーテルによって支持された少なくとも2つの係合部材を有し、前記係合部材は、前記係合部材が前記送出カテーテル内に収納された引っ込み位置と前記係合部材が前記送出カテーテルの遠位端を越えて延びる伸長位置との間で動くことができ、
エネルギー及び/又は化学物質のうちの少なくとも一方を前記係合部材相互間に送出するよう構成された組織収縮コンポーネントを有し、
力を前記係合部材に加えるよう構成された近接機構体を有し、前記力は、近接力及び/又は分離力の群から選択される、低侵襲器具。
【請求項2】
前記組織収縮コンポーネントは、双極、抵抗加熱、超音波、レーザー、及びマイクロ波の群から選択されたエネルギーモダリティを送出するよう構成されたエネルギー送出機構体を含む、請求項
1記載の低侵襲器具。
【請求項3】
前記組織収縮コンポーネントは、フェノール及びグルタルアルデヒドの群から選択された化学物質を含む、請求項
1又は
2記載の低侵襲器具。
【請求項4】
前記近接機構体は、前記係合部材に作動可能に連結されている、請求項
1~
3のうちいずれか一に記載の低侵襲器具。
【請求項5】
前記近接機構体は、前記係合部材を互いに連結するリンク装置を含む、請求項
1~
4のうちいずれか一に記載の低侵襲器具。
【請求項6】
前記リンク装置は、ヒンジを含む、請求項
5記載の低侵襲器具。
【請求項7】
前記近接手段は、リンク装置に連結されたプルワイヤを含み、前記プルワイヤを引くと、付勢力が前記係合部材に加えられるようになっている、請求項
5記載の低侵襲器具。
【請求項8】
前記近接機構体は、前記係合部材の少なくとも一部分を包囲したスリーブを含み、前記スリーブを前進させると、前記係合部材が一緒に付勢される、請求項
1~
7のうちいずれか一に記載の低侵襲器具。
【国際調査報告】