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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-29
(54)【発明の名称】電極用集電体
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/66 20060101AFI20220322BHJP
   H01M 50/583 20210101ALI20220322BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20220322BHJP
【FI】
H01M4/66 A
H01M50/583
H01M50/591 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544490
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(85)【翻訳文提出日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 KR2020001337
(87)【国際公開番号】W WO2020159218
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0011674
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521018683
【氏名又は名称】ユーアンドエス エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,スン ホ
【テーマコード(参考)】
5H017
5H043
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AS08
5H017AS10
5H017BB08
5H017CC01
5H017EE04
5H017EE05
5H017EE07
5H017EE08
5H017EE10
5H017HH03
5H017HH05
5H043AA04
5H043AA05
5H043AA06
5H043BA19
5H043GA04
5H043HA22E
5H043JA15E
5H043JA22E
5H043JA23E
5H043KA06E
5H043KA09E
5H043KA22E
5H043KA44E
5H043LA02E
5H043LA21E
(57)【要約】
本発明の一実施例に係る電極用集電体は、高分子フィルム、及び、前記高分子フィルムの上面または下面のうち少なくとも一つの表面に設けられる導電材を含み、前記導電材は、電気化学的ヒューズの機能または短絡電流遮断機能を有することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子フィルム、及び、
前記高分子フィルムの上面または下面のうち少なくとも一つの表面に設けられる導電材を含み、
前記導電材は、電気化学的ヒューズの機能または短絡電流遮断機能を有することを特徴とする、電極用集電体。
【請求項2】
高分子フィルム、及び
前記高分子フィルムの上面または下面のうち少なくとも一つの表面に設けられる導電材を含み、
短絡が発生すると前記導電材は電解液と反応して前記導電材の全体厚さにわたって厚さ方向に沿って腐食されるか割れることを特徴とする、電極用集電体。
【請求項3】
高分子フィルム、及び
前記高分子フィルムの上面または下面のうち少なくとも一つの表面に設けられる導電材を含み、
短絡が発生すると電位が負極電位まで落ちながら前記導電材は全体厚さにわたって厚さ方向に沿って腐食されるか割れることを特徴とする、電極用集電体。
【請求項4】
前記導電材は、アルミニウムで形成されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電極用集電体。
【請求項5】
前記導電材は、0.6~2.4μmの厚さでコーティングまたは塗布されることを特徴とする、請求項4に記載の電極用集電体。
【請求項6】
前記高分子フィルムの上面または下面のうち少なくとも一つの表面には、少なくとも一つの金属片が設けられ、
前記金属片の表面には、前記導電材が設けられることを特徴とする、請求項5に記載の電極用集電体。
【請求項7】
前記金属片は、アルミニウムフォイルまたはSUS 316Lフォイルで設けられることを特徴とする、請求項6に記載の電極用集電体。
【請求項8】
前記金属片に接合または連結されるリードタブをさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の電極用集電体。
【請求項9】
前記導電材に存在する複数個の気孔によって短絡時に電流の流れが遮断されることを特徴とする、請求項4に記載の電極用集電体。
【請求項10】
前記高分子フィルムの表面にコーティングまたは塗布される前記導電材には、ナノサイズの気孔が複数個形成され、
内部短絡または外部短絡の発生時、複数個の前記気孔内に存在する電解液と前記導電材の反応面積が広くなりながら前記導電材が厚さ方向全体にわたって腐食される、又は、割れながら短絡電流の流れが遮断されることを特徴とする、請求項4に記載の電極用集電体。
【請求項11】
前記電極用集電体は、正極電極用であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電極用集電体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極用集電体に関し、さらに詳細には、高分子フィルムにアルミニウム金属がめっきされることで短絡時の電池の過熱現象を防止するか短絡電流パスを遮断する電気化学的ヒューズの機能を果たす正極電極用集電体に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれ、エネルギー源としての二次電池の需要が急激に増加しており、そのような二次電池のうち高いエネルギー密度と作動電位を示し、自己放電率の低いリチウム二次電池が商用化されている。
【0003】
リチウム金属二次電池は、最初に商用化された二次電池であって、リチウム金属を負極として使用する。しかし、リチウム金属二次電池は、リチウム金属負極の表面に形成されるリチウムデンドライトによりセルの体積膨張、容量及びエネルギー密度の漸進的な減少、デンドライトの持続成長による短絡発生、サイクル寿命減少とセル安定性の問題(爆発及び発火)があり、商用化されてわずか数年ぶりに生産が中断された。そこで、リチウム金属の代わりにより安定で格子や空いた空間内にリチウムをイオン状態で安定して貯蔵できる炭素系負極が使用され、前記炭素系負極の使用により本格的なリチウム二次電池の商用化及び普及が進められた。
【0004】
現在まで、リチウム二次電池は、炭素系または非炭素系負極素材が主流となっており、ほとんどの負極材の開発は、炭素系(黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等)と非炭素系(シリコン、スズ、チタン酸化物等)素材に集中されている。
【0005】
一方、近年は、携帯用電子機器及び情報通信機器が小型化するにつれ、これらを駆動するための超小型電源システムとしてリチウム二次電池の利用が大きく期待されている。
【0006】
さらに、近年は、柔軟性(Flexibility)、低価格、作製容易性等の長所を利用した高分子系電子機器及び素子の開発及び研究が盛んに進められている。従って、小型化した機器に使用するためには、リチウム二次電池のエネルギー密度または性能は維持しながらも電池の厚さまたは重さを減らす必要がある。
【0007】
また、リチウム二次電池の厚さまたは重さを減らしても、短絡の発生時、電流パスを遮断または破壊することでリチウム二次電池の安全性を高めることができなければならない。
【0008】
本出願人は、前記のような問題点を解決するために、本発明を提案することとなった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記のような問題点を解決するために提案されたものであり、金属フォイルからなる集電体と比較して厚さまたは重さを減らすことができながらも内部短絡または外部短絡の発生時にヒューズのような機能を果たすことで温度上昇を防止し、電池の安定性を高めることができる電極用集電体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述のような課題を達成するための本発明の一実施例に係る電極用集電体は、高分子フィルム;及び、前記高分子フィルムの上面または下面のうち少なくとも一つの表面に設けられる導電材;を含み、前記導電材は、電気化学的ヒューズの機能または短絡電流遮断機能を有することができる。
【0011】
また、本発明の一実施例に係る電極用集電体は、高分子フィルム;及び、前記高分子フィルムの上面または下面のうち少なくとも一つの表面に設けられる導電材;を含み、短絡が発生すると前記導電材は電解液と反応して前記導電材の全体厚さにわたって厚さ方向に沿って腐食されるか割れ得る。
【0012】
また、本発明の一実施例に係る電極用集電体は、高分子フィルム;及び、前記高分子フィルムの上面または下面のうち少なくとも一つの表面に設けられる導電材;を含み、短絡が発生すると電位が負極電位まで落ちながら前記導電材は全体厚さにわたって厚さ方向に沿って腐食されるか割れ得る。
【0013】
前記導電材は、アルミニウムで設けられ得る。
【0014】
前記導電材は、0.6~2.4μmの厚さにコーティングまたは塗布され得る。
【0015】
前記高分子フィルムの上面または下面のうち少なくとも一つの表面には、少なくとも一つの金属片が設けられ、前記金属片の表面には、前記導電材が設けられ得る。
【0016】
前記金属片は、アルミニウムフォイルまたはSUS 316Lフォイルで設けられ得る。
【0017】
前記金属片に接合または連結されるリードタブをさらに含むことができる。
前記導電材に存在する複数個の気孔によって短絡時に電流の流れが遮断され得る。
【0018】
前記高分子フィルムの表面にコーティングまたは塗布される前記導電材には、ナノサイズの気孔が複数個形成され、内部短絡または外部短絡の発生時、前記複数個の気孔内に存在する電解液と前記導電材の反応面積が広くなりながら前記導電材が厚さ方向全体にわたって腐食されるか割れながら短絡電流の流れが遮断され得る。
【0019】
前記電極用集電体は、正極電極用である。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る電極用集電体は、金属フォイルの代わりに不導体からなる高分子フィルムを利用し、高分子フィルムの表面に導電材をコーティングまたはめっき層を形成するため、金属フォイルからなる集電体より厚さを減らすことができる。
【0021】
本発明に係る電極用集電体は、内部短絡または外部短絡の発生時、金属フォイルからなる集電体の抵抗より大きな抵抗値を有し、また高分子フィルムの表面に形成された導電材の腐食により電流の流れが妨害を受け得るため、短絡の発生時、短絡電流を低下させることができ、電池の温度が高くなることを防止して電池の安全性を向上させることができる。
【0022】
本発明に係る電極用集電体は、二次電池のエネルギー密度は高めながらも、安全性を高めることができ、短絡の発生時、電池の安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施例に係る電極用集電体を含む電極組立体を示した斜視図である。
図2】本発明の一実施例に係る電極組立体を示した分解斜視図である。
図3】本発明の一実施例に係る電極用集電体を示した斜視図である。
図4】本発明の一実施例に係る電極用集電体の形成過程を説明するための断面図である。
図5】本発明の一実施例に係る電極用集電体において導電材の厚さによって短絡時の導電材の状態変化を示す写真である。
図6図5に並べられた導電材の状態の中で、Li金属を負極電極として使用したとき、対比電圧が0.2V及び0.3Vである場合に導電材の状態を拡大して示す写真である。
図7図5に並べられた導電材の状態の中で、Li金属を負極電極として使用したとき、対比電圧が0.2V及び0.3Vである場合に導電材の状態を拡大して示す写真である。
図8図5に並べられた導電材の状態の中で、Li金属を負極電極として使用したとき、対比電圧が0.2V及び0.3Vである場合に導電材の状態を拡大して示す写真である。
図9図5に並べられた導電材の状態の中で、Li金属を負極電極として使用したとき、対比電圧が0.2V及び0.3Vである場合に導電材の状態を拡大して示す写真である。
図10】従来の金属フォイルからなる電極用集電体のLi金属を負極電極として使用したとき、対比電圧が0.2V及び0.3Vである場合に金属フォイルの表面状態を拡大して示す写真である。
図11】本発明の一実施例に係る電極用集電体を含む二次電池と従来の二次電池に対して内部短絡時の電圧及び温度変化を比較した試験結果である。
図12】本発明の一実施例に係る電極用集電体を含む二次電池と従来の二次電池に対して外部短絡時の電圧及び温度変化を比較した試験結果である。
図13】本発明の一実施例に係る電極用集電体の導電材の厚さによる内部短絡時の電圧及び温度変化を比較した試験結果である。
図14】本発明の一実施例に係る電極用集電体の導電材の厚さによる外部短絡時の電圧及び温度変化を比較した試験結果である。
図15】アルミニウムフォイルからなる集電体とアルミニウム導電材が高分子フィルムの表面に塗布された本発明の一実施例に係る電極用集電体の表面を拡大撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下において、添付の図面を参照して本発明に係る実施例を詳細に説明する。しかし、本発明は、実施例により制限または限定されるものではない。各図面に提示された同じ参照符号は、同じ部材を示す。
【0025】
図1は、本発明の一実施例に係る電極用集電体を含む電極組立体を示した斜視図、図2は、本発明の一実施例に係る電極組立体を示した分解斜視図、図3は、本発明の一実施例に係る電極用集電体を示した斜視図、図4は、本発明の一実施例に係る電極用集電体の形成過程を説明するための断面図、図5は、本発明の一実施例に係る電極用集電体において導電材の厚さによって短絡時の導電材の状態変化を示す写真、図6乃至図9は、図5に並べられた導電材の状態の中で、Li金属を負極電極として使用したとき、対比電圧が0.2V及び0.3Vである場合に導電材の状態を拡大して示す写真、図10は、従来の金属フォイルからなる電極用集電体のLi金属を負極電極として使用したとき、対比電圧が0.2V及び0.3Vである場合に金属フォイルの表面状態を拡大して示す写真、図11は、本発明の一実施例に係る電極用集電体を含む二次電池と従来の二次電池に対して内部短絡時の電圧及び温度変化を比較した試験結果、図12は、本発明の一実施例に係る電極用集電体を含む二次電池と従来の二次電池に対して外部短絡時の電圧及び温度変化を比較した試験結果、図13は、本発明の一実施例に係る電極用集電体の導電材の厚さによる内部短絡時の電圧及び温度変化を比較した試験結果、図14は、本発明の一実施例に係る電極用集電体の導電材の厚さによる外部短絡時の電圧及び温度変化を比較した試験結果である。
【0026】
図1及び図2には、本発明に係る電極用集電体100を含む電極組立体10が示されている。図1及び図2の場合、本発明に係る電極用集電体100は、正極集電体である。電極組立体10に使用されるために電極用集電体100の表面に正極活物質103が塗布されなければならない。
【0027】
一方、負極集電体200は、負極金属フォイル201に負極活物質203が塗布され、長手方向の一端側に負極リードタブ290が連結され得る。
【0028】
負極集電体200と本発明に係る電極用(正極)集電体100との間に分離膜300が配置される。図2に示されたような状態で分離膜300を挟んで上下にそれぞれ負極集電体200と正極集電体100を順に積むと図1のような電極組立体10となる。
【0029】
図3には、本発明の一実施例に係る電極用集電体100が示されている。電極用集電体100は、先に言及した負極用集電体200とは異なり金属フォイルを使用しない。
【0030】
図3に示されたような本発明の一実施例に係る電極用集電体(CURRENT COLLECTOR FOR ELECTRODES)100は、金属フォイルからなる集電体の抵抗より大きな抵抗値を有するため、集電体を流れる電流の限界電流値を調整でき、高分子フィルムの損傷により電流の流れが妨害を受け得るため、二次電池の内部短絡の発生時、短絡電流を低下させるか発熱を防止できる。
【0031】
本発明に係る電極用集電体100を備えたリチウム二次電池(Lithium Secondary Battery)は、Max Current Limited Battery(MCLB)の性格または概念を有し得る。以下においては、MCLBの具現を可能とする本発明に係る電極用集電体について説明する。
【0032】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、正極集電体であって、既存の電池の正極集電体、即ち、金属フォイル(metal foil)で形成された正極集電体の抵抗より高い抵抗値を有するため、限界電流を調整できるだけではなく、内部短絡時に電流パスを崩壊させることで短絡電流を低下させるか短絡時に発生する発熱現象を減らして電池の安全性を高めることができる。
【0033】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、金属フォイルを使用せず、高分子フィルム101を基本素材とし、高分子フィルム101上に薄い厚さの金属を塗布するかコーティングすることを一つの特徴とする。
【0034】
図3及び図4を参照すると、本発明の一実施例に係る電極用集電体(current collector)100は、高分子フィルム(polymer film)101;及び、前記高分子フィルム101の上面または下面のうち少なくとも一つの表面に設けられる導電材102;を含むことができる。
【0035】
ここで、前記導電材102は、電気化学的ヒューズ(electrochemical fuse)の機能を果たすことができるため、短絡防止機能を有することができる。このような導電材102の電気化学的特性については後述する。
【0036】
一方、高分子フィルム101の上面または下面のうち少なくとも一つの表面には、少なくとも一つの金属片(metal element)120が設けられ得る。ここで、導電材102は、高分子フィルム101だけではなく、金属片120の表面に設けられ得る。
【0037】
高分子フィルム101は、一定の長さは有するように帯状に設けられ得る。ここで、高分子フィルム101は、ポリエチレン(PE:polyethylene)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、ポリブチレンテレフタレート(PBT:Polybutylene terephthalate)、ポリイミド(PI:Polyimide)またはポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)等の不導体材質で設けられることが好ましい。
【0038】
高分子フィルム101は、50μm以下の厚さを有し、1.4μm以上、50μm以下の厚さを有することが好ましい。本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、既存の金属フォイル集電体を使用する場合より電池の厚さまたは重さを減らすことができるが、厚さが1.4μm以上、50μm以下である不導体の高分子フィルム101を集電体100の基本構成として使用することで、本発明の一実施例に係る電極用集電体100を備えたリチウム二次電池の全体的な厚さまたは重さを減らすことができる。
【0039】
一方、リードタブ190を金属片120に溶接して固定するようになるが、高分子フィルム101がリードタブ190の溶接温度より低い温度で溶けなければリードタブ190が結合され得ない。従って、高分子フィルム101は、リードタブ190を溶接する過程で溶けることができる程度の融点を有することが好ましい。
【0040】
図3及び図4を参照すると、高分子フィルム101の表面には、金属片120が設けられ得る。図4に示されたように、金属片120は、高分子フィルム101の両表面のいずれにも設けられるか、またはいずれか一面にのみ設けられ得る。
【0041】
金属片120は、高分子フィルム101上でリードタブ190を溶接する位置を確保する役割を果たすことができる。即ち、金属片120は、リードタブ190の連結部のような役割を果たすことができる。
【0042】
また、金属片120は、集電体100の伝導性を確保する役割を果たすことができる。仮に、高分子フィルム101の長さが長い場合に、電流が高分子フィルム101に沿って流れなければならないが、高分子フィルム101の長さが長い場合は、別途の電流パス(path)が必要となることもある。このような場合、即ち、高分子フィルム101が長く形成された場合に、金属片120は、伝導性を高めるか電流パスの役割を果たすことができる。
【0043】
金属片120は、5μm以上の厚さを有するように形成されることが好ましい。ここで、金属片120は、高分子フィルム101の一部分にのみ設けられることで十分である。高分子フィルム101に形成される金属片120の個数または位置等には制限がない。ただし、金属片120にリードタブ190が溶接される場合であれば、電極組立体の形態を考慮してリードタブ190が溶接される金属片120の位置を決定することが好ましい。
【0044】
上述のように、金属片120は、5μm以上の厚さを有する金属薄膜または金属フォイルの形態を有することが好ましいが、必ずしもこのような形態に限定されるものではない。即ち、金属片120は、薄膜、フォイルまたはメッシュ(mesh)の形態に設けられ得る。
【0045】
金属片120は、アルミニウムフォイル(foil)またはSUS 316Lフォイルで設けられることが好ましい。
【0046】
このように、本発明の一実施例に係る電極用集電体100の金属片120は、リードタブ190の溶接位置を確保するか、高分子フィルム101の長さが長い場合、伝導性を確保する電気パスの役割を果たすことができる。
【0047】
一方、金属片120を高分子フィルム101の表面に貼り付けるために、高分子フィルム101と向かい合わせるか向かい合う金属片120の一面には、接着層(図4参照)130が形成され得る。
【0048】
接着層130は、ポリ酢酸ビニル(PVA:Poly Vinyl Acetate)、ポリビニルアルコール(PVA:Poly Vinyl Alcohol)、エチレン酢酸ビニル(EVA:Ethylene Vinyl Acetate)、アクリレート(Acrylate)、Acid modified PP等のように接着成分を有する材質で形成され、50μmより小さな厚さを有することが好ましい。ここで、接着層130は、上述の高分子とともに2層以上の高分子の組み合わせで形成されてもよい。
【0049】
また、接着層130は、高分子(polymer)材質で形成された高分子層になることもできる。ここで、接着層130または高分子層は、金属片120の全体表面にわたって設けられるか、金属片120の表面のうち一部にのみ設けられて高分子フィルム101に接合され得る。
【0050】
一方、高分子フィルム101と向かい合わせるか向かい合う金属片120の一面には、クロメート(chromate)処理を含む表面処理が形成され得る。金属片120の表面に表面処理を必須的にしなければならないが、金属片120を高分子フィルム101に貼り付ける前に金属片120の表面にクロムコーティング(chromate処理)をするかNon-Cr処理(Nonクロメート処理またはバインダー処理)または同時処理することもできる。
【0051】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100において、EVA接着層130が貼り付けられた金属片120を85℃の電解液に入れて24時間経過した後、金属片120と接着層130の接着状態を確認してみた。使用した電解液の組成は、LiPF6 1.1M、EC/EMC:1/2(v/v%)+Additiveである。その結果、電解液を85℃で保管しても接着状態が維持されることが分かった。
【0052】
高分子フィルム101に金属片120が設けられた部分の厚さは、金属片120を含んで120μm以下となり、金属片120を除く部分または金属片120がない部分の厚さは、100μm以下であることが好ましい。
【0053】
一方、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、高分子フィルム101および/または金属片120の表面に設けられる導電材(conductive material)102を含むことができる。
【0054】
導電材102は、アルミニウム(Al)金属で設けられなければならない。導電材102は、集電体100の最も外面を形成する導電層(conductive layer)ともいえる。
【0055】
前記導電材102は、正極電極用集電体100の限界電流または最大電流を調節するか下げるように形成され得る。言い換えれば、導電材102は、集電体100の伝導性(conductivity)を制御するために高分子フィルム101と金属片120の表面にめっきまたはコーティングされるアルミニウムであり、高分子フィルム101および/または金属片120の表面にめっきまたはコーティングされた状態に重点を置く場合は、導電材102は導電層ともいえる。以下において、導電材102は、導電層を含む概念であることを明らかにしておく。
【0056】
高分子フィルム101および/または金属片120の表面にめっきまたはコーティングされる導電材102のコーティング量またはコーティング厚さを調節することで集電体100を流れる電流の最大量を制御または下げることができ、これによって、リチウム二次電池の安全性を高めることができ、短絡時の電池の安全性を確保することができる。
【0057】
言い換えれば、高分子フィルム101および/または金属片120の表面に形成された導電材102の厚さまたは量によって電極用集電体100を流れる限界電流または最大電流が調節され得る。このように、本発明の一実施例に係る電極用集電体100の導電材102によってリチウム二次電池(Lithium Secondary Battery)のMax Current Limited Battery(MCLB)の性格または概念が具現され得る。
【0058】
また、物理的な内部短絡または外部短絡の発生時、高分子フィルム101が溶けることがあり、急激な電流の発生を妨害し得るため、電池の安全性を向上させることができる。
【0059】
前記導電材102は、多様な方式により高分子フィルム101および/または金属片120の表面に形成され得る。例えば、導電材102であるアルミニウム金属は、スパッタリング(sputtering)または蒸発コーティング(evaporation coating)によって高分子フィルム101および/または金属片120の表面に形成され得る。アルミニウムは、よく酸化するため、電解めっきによって高分子フィルム101および/または金属片120の表面に導電材102を形成することは容易ではない。
【0060】
導電材102がコーティングされる量(重さ)または厚さによって集電体100の伝導性を制御するか電池の安全性を確保することができるため、めっきまたはコーティングするとき、導電材102の厚さまたは重さを制御乃至調節できる方式を使用する必要がある。
【0061】
導電材102は、高分子フィルム101のいずれか一面にのみ形成されるか両面のいずれにも形成されてもよい。このとき、導電材102は、最小断面基準0.5μm、最大断面基準2.5μmの厚さに形成されることが好ましい。
【0062】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、導電材102によって電流の流れが可能であるため、高分子フィルム101の表面に導電材102がコーティングされた状態がよく維持されなければならない。このために、高分子フィルム101の表面処理をして導電材102と高分子フィルム101の結着力を高めることが好ましい。
【0063】
導電材102と高分子フィルム101間の結着力がよくなければ、電解液が注入された状態で導電材102が高分子フィルム101の表面から分離または離脱され得るため、導電材102と高分子フィルム101間の結着力を高めることが重要である。
【0064】
高分子フィルム101の表面には、導電材102との接着力または結着力を高めるための表面処理が形成され得る。
【0065】
導電材102と高分子フィルム101の結着力を高めるために、高分子フィルム101の表面にコロナ処理をするようになる。
【0066】
一方、金属片120がアルミニウムで設けられる場合、アルミニウムの耐食性を強化するために、アルミニウム上にクロム(Cr)をコーティングするクロメート処理をし、金属片120の接着力を向上させるために、エポキシタイプのNon-Crをコーティングする処理をクロメート処理の上にすることができる。ここで、Non-Cr処理は、ジルコニウム(Zr)を含む化合物層またはシリコン(Si)を含む化合物層をコーティングすることである。クロメート処理とNon-Cr処理の厚さは、数nm~数十nmであることが好ましい。
【0067】
一方、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、外部機器との連結のためのリードタブ190を備えることができる。
【0068】
既存の金属フォイル集電体は、金属フォイルに直接リードタブを溶接できるが、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、既存の金属フォイルに対応する構成が高分子フィルム101であるため、高分子フィルム101に直接リードタブを溶接することが不可能である。本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、金属片120を高分子フィルム101の表面に貼り付け、金属片120にリードタブ190を溶接することでこのような問題を解決できる。
【0069】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100において、リードタブ190は、超音波溶接(ultrasonic welding)、レーザ溶接(laser welding)またはスポット溶接(spot welding)によって金属片120に溶接され得る。
【0070】
リードタブ190を金属片120に溶接するとき、溶接熱によって金属片120の下にある高分子フィルム101は溶けるようになる。高分子フィルム101が溶けるため、反対側の金属片120とリードタブ190が電気的に連結され得る。
【0071】
金属片120及び導電材102は、高分子フィルム101の両面に設けられ得、高分子フィルム101の両面に設けられた金属片120は、同じ位置に形成され得る。
【0072】
高分子フィルム101の上下両面に金属片120が位置する場合、同一位置乃至対称となる位置に金属片120が設けられることが好ましい。接着層130によって高分子フィルム101の上下両面同一位置に金属片120が貼り付けられた後に高分子フィルム101と金属片120の表面に導電材102がコーティングされ得る。このとき、導電材102は、高分子フィルム101の上下両面のいずれにもコーティングされ、高分子フィルム101の上下両面に設けられた金属片120の表面にも導電材102がコーティングされる。
【0073】
図4を参照すると、高分子フィルム101の上下両面に設けられた金属片120のいずれか一つの金属片120にリードタブ190が連結され得る。リードタブ190は、金属片120の表面に導電材102が塗布またはコーティングされた状態に金属片120に連結され得る。
【0074】
高分子フィルム101の両面に設けられた金属片120のいずれか一つの金属片120にリードタブ190を溶接するとき、高分子フィルム101が溶けることで高分子フィルム101の両面に設けられた金属片120が互いに連結され、その結果、リードタブ190が高分子フィルム101の両面に設けられた導電材102と同時に電気的に連結され得る。
【0075】
高分子フィルム101の上下両面に金属片120と導電材102が設けられた状態で高分子フィルム101の上面に設けられた金属片120にリードタブ190を超音波溶接、レーザ溶接またはスポット溶接するようになると、高分子フィルム101の一部が溶け得る。リードタブ190を溶接する時に発生する溶接熱が高分子フィルム101の融点より高ければ、溶接過程で高分子フィルム101は溶け得る。
【0076】
このように高分子フィルム101が溶けた部分では高分子フィルム101が存在しないため上下の金属片120同士で直接接触し得る。このとき、金属片120も溶接熱によって溶融した状態であるため、上下の金属片120同士で接合するようになる。従って、高分子フィルム101が溶けてない部分で上下の金属片120同士で直接溶融結合されるため、いずれか一つの金属片120に溶接されるリードタブ190が上下の金属片120だけではなく、高分子フィルム101の上下面に形成された導電材102と電気的に連結され得る。
【0077】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、溶接熱によって高分子フィルム101の一部が溶けても金属片120が高分子フィルム101と連結された状態を維持するため、リードタブ190を連結することが可能である。
【0078】
ただし、場合によっては、高分子フィルム101が溶けていない状態でもリードタブ190を金属片120に溶接できる。
【0079】
一方、リードタブ190が溶接された部位で金属片120と導電材102の電気的連結が弱くなり得る。例えば、溶接熱によって金属片120の表面に形成された導電材102が溶けるようになると、金属片120と導電材102の電気的連結が悪くなり得る。本発明は、リードタブ190が溶接された部位で金属片120と導電材102の電気的連結が弱くなることを防止するか、金属片120と導電材102の電気的連結を強化するために、タブカバー部材(図示しない)が利用され得る。
【0080】
前記タブカバー部材は、リードタブ190、金属片120及び導電材102が互いに電気的に連結された部位を覆う伝導性テープ(conductive tape)形態であることが好ましい。
【0081】
前記タブカバー部材の内面及び外面のうち、リードタブ190、金属片120及び導電材102と接触しない外面は、非伝導性を帯びる材質で形成されることが好ましい。前記タブカバー部材は、伝導性材質を含んで金属片120と導電材102を電気的に連結するか、金属片120と導電材102との間の伝導性を強化できる。
【0082】
一方、本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、二次電池の正極として使用される集電体であって、既存の金属フォイルからなる集電体とは異なり二次電池の安全性を高めることができる。なぜなら、高分子フィルム101に塗布またはコーティングされた導電材102があたかもヒューズのように短絡電流遮断の機能を果たすためである。
【0083】
一般に、二次電池に内部短絡または外部短絡が発生すると、短絡電流によって二次電池の温度が上がる発熱現象が生じ、また発熱のため電池が爆発する等の危険性がある。これに対して、正極として本発明の一実施例に係る電極用集電体100を使用する二次電池に内部短絡または外部短絡が発生しても、二次電池の温度が上がることを防止し、短絡電流を遮断することで電池の安全性を確保することができる。
【0084】
正極として本発明の一実施例に係る電極用集電体100を使用する二次電池に短絡が発生すると、アルミニウム金属が導電材102として高分子フィルム101に塗布またはコーティングされた正極電極用集電体100の電位が負極電位近く(即ち、<0.3volt、負極Li金属)に低くなると、アルミニウム導電材102が電解質と反応するようになると、導電材102があたかも腐食されたように割れながら短絡電流を遮断することができる。
【0085】
高分子フィルム101に塗布またはコーティングされた導電材102が電流パス(pass)の機能を果たすようになるが、短絡の発生時、導電材102が電解液と反応しながら腐食されたように細かく割れると、電流パスが遮断されるため、短絡電流がそれ以上流れなくなる。
【0086】
本発明の一実施例に係る正極電極用集電体100の場合、短絡の発生時、電流パスを遮断できる理由は、高分子フィルム101の表面に形成されたアルミニウム導電材102の厚さが非常に薄いため、導電材102の深さ方向または厚さ方向全体に対して導電材102が電解質と反応して腐食されるか割れて短絡電流パスを遮断することができる。
【0087】
本発明の発明者らは、本発明の一実施例に係る正極電極用集電体100等を対象に内部短絡、外部短絡試験等を行い、その結果、電池の安全性を確保できる導電材102の最適な厚さ範囲を見出すことができた。以下においては、短絡試験の結果及び導電材102の最適な厚さ範囲について説明する。
【0088】
図5は、短絡の発生時、電極用集電体100のアルミニウム導電材102のコーティング厚さ、そして電極用集電体100の電位(短絡の発生時、負極電位に近接して落ちる電位)別に電極用集電体を放置したとき、導電材102の変化状態を示す写真である。
【0089】
図5において、7Pass、14Pass、21Pass及び28Passは、それぞれアルミニウム導電材102の厚さを意味する(図6乃至図9参照)。ここで、Passは、高分子フィルム101の表面にアルミニウム導電材102を塗布またはコーティングした回数を意味する。7Pass、14Pass、21Pass及び28Passの場合、導電材102のコーティング厚さは、それぞれ約0.6μm、約1.2μm、約1.8μm及び約2.4μmである。図5を参照すると、各厚さ別に電極用集電体100としてLi金属を負極電極として使用して電圧が0.2volt、0.3volt、0.5voltに維持した状態で放置するとき、導電材102の状態変化差を示す。図5の写真は、PET材質の高分子フィルム101にアルミニウム導電材102が塗布された正極電極用集電体100及びリチウム金属からなる負極集電体を備えた二次電池を図5の各条件の電圧で12時間放置した場合、アルミニウム導電材102が塗布された正極電極用集電体を撮影したものである。
【0090】
図5を参照すると、電極用集電体100の電圧が低いほど導電材102の割れ現象が激しいことが分かる。即ち、0.3volt、0.5voltの場合は、導電材102の形態が全体的に残っているが、0.2voltの場合は、導電材102のない部分が多く見えることを確認することができる。
【0091】
図5において、各写真の下に記載の抵抗値は、アルミニウム導電材102が形成された電極用集電体100で測定された抵抗値を示す。マルチメータ(Multimeter)の測定端子の間の距離が1cmとなるように測定端子を電極用集電体100の表面に接触させて抵抗を測定した。負極電位に近いほど抵抗値が大きいことが分かるが、抵抗が大きくて電流が流れられないことを意味する。
【0092】
図6乃至図9には、短絡時の導電材の状態を拡大した写真が提示されている。図6は、厚さが約0.6μmであるアルミニウム導電材102が形成された電極用集電体100の電圧が0.2volt及び0.3voltであるとき、導電材が腐食されたか割れた状態を示す写真である。電圧が0.2voltである場合は、導電材がほとんど腐食されたように割れて抵抗が急激に大きくなったのに対して、電圧が0.3voltである場合は、導電材がある程度割れてはいるが、抵抗が1.3Ωであるので、電流が流れられる状態であることが分かる。従って、アルミニウム導電材102が塗布された電極用集電体100の電圧が0.3voltより小さな電圧になるとき、導電材102が全体厚さにわたって完全に腐食されたように割れることが分かる。
【0093】
図7は、厚さが約1.2μmであるアルミニウム導電材102が形成された電極用集電体100の電圧が0.2volt及び0.3voltであるとき、導電材が腐食されたか割れた状態を示す写真である。電圧が0.2voltである場合は、導電材がほとんど腐食されたように割れて抵抗が急激に大きくなったのに対して、電圧が0.3voltである場合は、導電材がある程度割れてはいるが、抵抗が0.8Ωであるので、電流が流れられる状態であることが分かる。従って、アルミニウム導電材102が塗布された電極用集電体100の電圧が0.3voltより小さな電圧になるとき、導電材102が全体厚さにわたって完全に腐食されたように割れることが分かる。
【0094】
図8は、厚さが約1.8μmであるアルミニウム導電材102が形成された電極用集電体100の電圧が0.2volt及び0.3voltであるとき、導電材が腐食されたか割れた状態を示す写真である。電圧が0.2voltである場合は、導電材がほとんど腐食されたように割れて抵抗が急激に大きくなったのに対して、電圧が0.3voltである場合は、導電材がある程度割れてはいるが、抵抗が0.5Ωであるので、電流が流れられる状態であることが分かる。従って、アルミニウム導電材102が塗布された電極用集電体100の電圧が0.3voltより小さな電圧になるとき、導電材102が全体厚さにわたって完全に腐食されたように割れることが分かる。
【0095】
図9は、厚さが約2.4μmであるアルミニウム導電材102が形成された電極用集電体100の電圧が0.2volt及び0.3voltであるとき、導電材が腐食されたか割れた状態を示す写真である。電圧が0.2voltである場合は、導電材がほとんど腐食されたように割れて抵抗が急激に大きくなったのに対して、電圧が0.3voltである場合は、導電材がある程度割れてはいるが、抵抗が0.3Ωであるので、電流が流れられる状態であることが分かる。従って、アルミニウム導電材102が塗布された電極用集電体100の電圧が0.3voltより小さな電圧になるとき、導電材102が全体厚さにわたって完全に腐食されたように割れることが分かる。
【0096】
図6乃至図9に示された導電材102の状態変化、即ち、短絡の発生時、導電材の厚さ方向に沿って腐食されたように割れる現象が導電材の全体厚さにわたって発生することを確認した。
【0097】
このように、本発明の一実施例に係る正極電極用集電体100を使用した二次電池に短絡が発生すると、電極用集電体の電位が負極電位まで落ちながら導電材は全体厚さにわたって厚さ方向に沿って導電材が電解質と反応しながら腐食されるか割れるため、短絡電流パスを遮断できるようになる。
【0098】
一方、図10は、厚さが12μmであるアルミニウム金属フォイルからなる正極集電体のリチウム金属対比電位が0.2volt及び0.3voltである場合、短絡の発生時の表面状態を撮影した写真である。図10の導電材の状態は、図6乃至図9の導電材の状態と異なることを確認することができる。図10を参照すると、アルミニウム金属フォイルからなる集電体の場合は、短絡が発生してもフォイルの表面に微細な損傷のみがあるだけで、フォイルの全体厚さにわたっては全体的な損傷がなく、抵抗が0.2Ωであるので、電流が流れられる程度に集電体の全体的な形態が維持されることが分かる。従って、アルミニウム金属フォイルからなる従来の電極用集電体は、短絡の発生時に短絡電流パスを遮断できず、その結果、電池の内部発熱現象が進められて電池の温度が高くなるようになる。
【0099】
図11乃至図14は、本発明の一実施例に係る電極用集電体100と従来の金属フォイルからなる電極用集電体を使用した二次電池に対して釘貫通試験または外部短絡試験を行った場合、温度変化、電圧変化を示す実験結果である。このとき、二次電池の製造時、正極活物質はリチウムコバルトオキサイド(LCO:Lithium Cobalt Oxide)を使用し、負極活物質は黒鉛(Graphite)を使用した。
【0100】
図11は、本発明の一実施例に係る正極アルミニウムコーティング電極用集電体100と負極銅フォイル集電体を備えた二次電池(図11の(a)及び(b)参照)と、正極アルミニウムフォイル集電体と負極銅コーティング電極用集電体を備えた二次電池(図11の(c)及び(d)参照)と、正極アルミニウムフォイル集電体と負極銅フォイル集電体を備えた二次電池(図11の(e)参照)に対する釘貫通試験(Nail penetration test、nail diameter=3mm)の結果である。ここで、負極銅コーティング電極用集電体は、高分子フィルムに銅を導電材としてコーティングした電極用集電体であって、負極として使用された集電体を意味する。
【0101】
図11を参照すると、(a)と(b)の電圧及び温度が(c)と(d)の電圧及び温度、(e)の電圧及び温度より小さいことが分かる。図11の(a)と(b)の場合は、最大温度がそれぞれ26.2℃と32.2℃程度であるのに対して、(c)と(d)の場合は、最大温度がそれぞれ54.7℃と63.1℃程度であり、(e)の場合は、最大温度が81.3℃程度である。従って、内部短絡の発生時、本発明の一実施例に係るアルミニウム導電材がコーティングされた電極用集電体100を正極電極用集電体として使用した電池の安全性が最も優れることが分かる。
【0102】
図12は、本発明の一実施例に係る正極アルミニウムコーティング電極用集電体100と負極銅フォイル集電体を備えた二次電池(図12の(a)及び(b)参照)と、正極アルミニウムフォイル集電体と負極銅コーティング電極用集電体を備えた二次電池(図12の(c)及び(d)参照)と、正極アルミニウムフォイル集電体と負極銅フォイル集電体を備えた二次電池(図12の(e)参照)に対する外部短絡試験の結果である。図11の結果と同様に、(a)と(b)の電圧及び温度が(c)と(d)の電圧及び温度より小さいことが分かる。図12の(a)と(b)の場合は、最大温度がそれぞれ27.9℃と26.6℃程度であるのに対して、(c)と(d)の場合は、最大温度がそれぞれ60.9℃と86.2℃程度であり、(e)の場合は、最大温度が94.8℃程度である。従って、外部短絡の発生時、本発明の一実施例に係るアルミニウム導電材がコーティングされた電極用集電体100を正極電極用集電体として使用した電池の安全性が最も優れることが分かる。
【0103】
図13は、本発明の一実施例に係る電極用集電体100において、導電材の塗布量(コーティング厚さ)による釘貫通試験の結果である。図13の(a)、(b)、(c)及び(d)は、それぞれ導電材の塗布量(コーティング厚さ)が約0.6μm、1.2μm、1.8μm及び2.4μmである時の釘貫通試験の結果である。図13を参照すると、最大温度がそれぞれ26.48℃、27.52℃、28.29℃、27.81℃程度であるので、内部短絡が発生しても電池の発熱が大きくなく、安全であることを確認することができる。
【0104】
図14は、本発明の一実施例に係る電極用集電体100において、導電材の塗布量(コーティング厚さ)による外部短絡試験の結果である。図14の(a)、(b)及び(c)は、それぞれ導電材の塗布量(コーティング厚さ)が1.2μm、1.8μm及び2.4μmである時の外部短絡試験の結果である。図14を参照すると、最大温度がそれぞれ28.17℃、27.28℃、29.00℃程度であるので、外部短絡が発生しても電池の発熱が大きくなく、安全であることを確認することができる。
【0105】
一方、図15は、アルミニウムフォイルからなる電極集電体とアルミニウム導電材が高分子フィルムの表面に塗布された本発明の一実施例に係る電極用集電体の表面を拡大撮影した写真である。
【0106】
図15の(a)と(b)は、それぞれアルミニウムフォイルからなる電極集電体の表面を20,000倍、50,000倍拡大して撮影したSEM(Scanning Electron Micrograph;走査電子顕微鏡)写真であり、(c)と(d)は、それぞれアルミニウム導電材が高分子フィルムの表面に塗布された本発明の一実施例に係る電極用集電体の表面を20,000倍、50,000倍拡大して撮影したSEM写真である。
【0107】
図15の(a)と(b)の場合は、表面にクラック(Crack)のような不規則的な形態や気孔なしに比較的に滑らかな形態である。これに対して、図15の(c)と(d)の場合は、表面にクラックのような不規則的な形態があるか、複数個の気孔がある形態である。図15の(a)と(b)から見られる表面と図15の(c)と(d)から見られる表面の形態が明確に異なることを確認することができる。
【0108】
本発明の一実施例に係る電極用集電体100は、高分子フィルム101の表面にアルミニウム導電材102がスパッタリング(sputtering)または蒸着(evaporation)方式で塗布またはコーティングされるが、このような方式で形成されるアルミニウム導電材102には、ナノサイズの気孔(pore)が複数個形成されるか、クラックのような不規則的な形態(以下、「気孔」という)が表面に存在し得る。なぜなら、高分子フィルム101にスパッタリングまたは蒸着されるアルミニウムの微細粒子が隙間なしに100%密着した状態でスパッタリングまたは蒸着されるのではなく、アルミニウム粒子の間に微細な隙間が存在するようになるが、このような隙間が気孔となるのである。これに対して、既存の金属フォイルからなる電極集電体の場合は、金属フォイルは圧延箔であるため気孔が全く存在しない。
【0109】
ここで、本発明の一実施例に係る電極用集電体100の場合は、電解液がアルミニウム導電材102に存在する複数個の気孔に染み込むようになるが、電解液は、導電材102の全体または一部の厚さにわたって気孔内に存在できるようになる。このような状態で短絡が発生するようになると、導電材102の気孔内に存在する電解液と導電材102が反応する面積を広くさせるため、導電材102がその厚さ方向に容易に腐食されるか割れ得るようになり、その結果、短絡電流が流れられなくなる。このように、導電材102に存在する複数個の気孔がヒューズのような役割を果たすようになり、短絡時、短絡電流の流れが遮断され得る。
【0110】
上述のように、本発明の一実施例に係る正極電極用集電体100は、導電材102を最小断面基準0.5μm、最大断面基準2.5μmの厚さに高分子フィルム101の表面に形成することで、このような電極用集電体100を正極として使用する二次電池のエネルギー密度は高めながらも、安全性を高めることができ、短絡の発生時、電池の安全性を確保することができる。
【0111】
以上のように、本発明の一実施例においては、具体的な構成要素等のような特定の事項と限定された実施例及び図面により説明されたが、これは、本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものであるだけで、本発明は、前記の実施例に限定されるものではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正及び変形が可能である。従って、本発明の思想は、説明された実施例に限定されて定められてはならず、後述する請求の範囲だけではなく、この請求の範囲と均等であるか等価的変形のある全てのものは、本発明思想の範疇に属するといえる。
図1
図2
図3
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図5
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図7
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図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】