(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-29
(54)【発明の名称】ポリヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
C12N 15/56 20060101AFI20220322BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20220322BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20220322BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20220322BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20220322BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220322BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20220322BHJP
A61K 35/761 20150101ALI20220322BHJP
C12N 9/24 20060101ALN20220322BHJP
A61K 38/47 20060101ALN20220322BHJP
【FI】
C12N15/56 ZNA
C12N7/01
C12N15/864 100Z
A61P25/16
A61P3/00
A61K48/00
A61K35/76
A61K35/761
C12N9/24
A61K38/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545956
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(85)【翻訳文提出日】2021-10-04
(86)【国際出願番号】 GB2020050251
(87)【国際公開番号】W WO2020161483
(87)【国際公開日】2020-08-13
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521345464
【氏名又は名称】フリーライン セラピューティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】ナスワミ、アミット
(72)【発明者】
【氏名】マッキントッシュ、ジェニー
(72)【発明者】
【氏名】コルバウ、ロムアルド
(72)【発明者】
【氏名】キア、アザデ
(72)【発明者】
【氏名】ミランダ、カルロス
【テーマコード(参考)】
4B050
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B050CC04
4B050DD11
4B050LL01
4B065AA90Y
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
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4B065BA01
4B065CA31
4B065CA44
4C084AA13
4C084DC22
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZC21
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA13
4C087NA14
4C087ZA02
4C087ZC21
(57)【要約】
本発明は、GCaseタンパク質又はその断片をコードするGBAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、コード配列の一部分が野生型ではない、ポリヌクレオチドに関する。本発明は更に、本発明のポリヌクレオチドを含む組換えゲノムを含むウイルス粒子、該ポリヌクレオチド又はウイルス粒子を含む組成物、並びに該ポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の方法及び使用に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GBAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、該GBAヌクレオチド配列がβ-グルコセレブロシダーゼ(GCase)タンパク質又はその断片をコードし、GBAヌクレオチド配列の少なくとも一部分が野生型ではなく、場合により、野生型ではないGBAヌクレオチド配列の該一部分が、コドンが最適化されており、更に場合により、GBAヌクレオチド配列がGCaseタンパク質又はその断片をコードし:
(i)配列番号1~8のいずれか1のヌクレオチド配列と100%同一である;
(ii)配列番号1~8のいずれか1のヌクレオチド配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは少なくとも100%同一である;及び/又は
(iii)GCase活性を有するGCaseタンパク質をコードする配列番号1~8のいずれか1の変異体であって、該変異体は、それが、GCaseタンパク質が配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、若しくは最大10のアミノ酸置換を有するようにヌクレオチド置換を含むことを除いて、配列番号1~8にそれぞれ同一である
配列を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項2】
GBAヌクレオチド配列が:
(i)配列番号1若しくは配列番号5のヌクレオチド配列と100%同一である;
(ii)配列番号1若しくは配列番号5のヌクレオチド配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、若しくは少なくとも99.8%同一である;及び/又は
(iii)GCase活性を有するGCaseタンパク質をコードする配列番号1若しくは配列番号5の変異体であって、該変異体は、それが、GCaseタンパク質が配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、若しくは最大10のアミノ酸置換を有するようにヌクレオチド置換を含むことを除いて、配列番号1若しくは配列番号5とそれぞれ同一である
配列を含む、請求項1のポリヌクレオチド
【請求項3】
変異体が配列番号1の変異体であり、配列番号1の変異体が:
(i)それが、GCaseタンパク質が配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、若しくは最大10のアミノ酸置換を有するようにヌクレオチド置換を含むことを除いて、配列番号1と同一である;
(ii)配列番号1の配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、最大10、最大20、若しくは最大30のヌクレオチド置換を有する;
(iii)配列番号1の配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、若しくは最大6のヌクレオチド置換を有する;
(iv)配列番号1の配列と比較して、最大4のヌクレオチド置換を有し、及び/若しくは配列番号25の野生型アミノ酸GCase配列と比較して、最大3のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする;
(v)配列番号1の配列と比較して、最大3のヌクレオチド置換を有し、及び/若しくは配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大2のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする;並びに/又は
(vi)配列番号1の配列と比較して、1のヌクレオチド置換を有し、及び/若しくは配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大1のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする
請求項1又は2のポリヌクレオチド。
【請求項4】
変異体が配列番号5の変異体であり、配列番号5の変異体が:
(i)それが、GCaseタンパク質が、配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、若しくは最大10のアミノ酸置換を有するようにヌクレオチド置換を含むことを除いて、配列番号5と同一である;
(ii)配列番号5の配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、最大10、最大20、若しくは最大30のヌクレオチド置換を有する;
(iii)配列番号5の配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、若しくは最大6のヌクレオチド置換を有する;
(iv)配列番号5の配列と比較して、最大4のヌクレオチド置換を有し、及び/若しくは配列番号25の野生型アミノ酸GCase配列と比較して、最大3のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする;
(v)配列番号5の配列と比較して、最大3のヌクレオチド置換を有し、及び/若しくは配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大2のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする;並びに/又は
(vi)配列番号5の配列と比較して、1のヌクレオチド置換を有し、及び/若しくは配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大1のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする
請求項1又は2のポリヌクレオチド
【請求項5】
GBAヌクレオチド配列が:
(i)配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大3のアミノ酸置換;
(ii)配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大2のアミノ酸置換;及び/又は
(iii)配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大1のアミノ酸の置換
を有するGCaseタンパク質をコードする、上記請求項のいずれか1項のポリヌクレオチド
【請求項6】
GBAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、GBAヌクレオチド配列がGCaseタンパク質又はその断片をコードし、配列番号1~8のいずれか1の少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1300、1494未満、1611未満、1000~1494、1000~1611、1300~1494、1300~1611、約1494、又は約1611のヌクレオチドの断片と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である配列を含む、ポリヌクレオチド。
【請求項7】
GBAヌクレオチド配列の少なくとも一部分が、コドンが最適化されている、上記請求項のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
(a)コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の少なくとも一部分が、ヒト肝細胞における発現のためにコドンが最適化されている;
(b)コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、連続する一部分である;
(c)GBAヌクレオチド配列は、ヒト肝細胞における発現のためにコドンが最適化されている;
(d)コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、長さが少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1300、1494未満、1000~1494、1300~1494、若しくは約1494のヌクレオチドである;
(e)コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、成熟GCaseタンパク質に対応する;
(f)コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、シグナルペプチドの全部若しくは一部分をコードしない;
(g)GBAヌクレオチド配列若しくはコドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、野生型GBAヌクレオチド配列の対応する一部分と比較してCpG数が低下しており;場合により、GBAヌクレオチド配列若しくはコドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、40未満、20未満、18未満、10未満、若しくは5未満のCpGを含み、更に場合により、GBAヌクレオチド配列若しくはコドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、100ヌクレオチドあたり5未満、4未満、3未満、若しくは2未満のCpGを含み、更に場合により、GBAヌクレオチド配列若しくはコドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、CpGを含まず、好ましくは野生型GBAヌクレオチド配列が配列番号9である;
(h)コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、配列番号1~4のいずれか1の少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1300、1494未満、1000~1494、1300~1494、若しくは約1494のヌクレオチドの断片と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一である;並びに/又は、
(i)コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、配列番号1と少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一である
請求項7のポリヌクレオチド。
【請求項9】
GBAヌクレオチド配列が、コドンが最適化されていない一部分を含み、場合により:
(a)コドンが最適化されていない一部分が、GCaseシグナルペプチドの全部若しくは一部分をコードする。
(b)コドンが最適化されていない一部分が、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、200未満、170未満、140未満、若しくは約117のヌクレオチドである。及び/又は
(c)コドンが最適化されていない一部分が、1以上のCpGを含む
上記請求項のいずれか1項のポリヌクレオチド。
【請求項10】
ポリヌクレオチドが転写調節エレメントを更に含み、場合により、転写調節エレメントが肝臓特異的プロモーター及び/又はエンハンサーを含む、上記請求項のいずれか1項のポリヌクレオチド。
【請求項11】
転写調節エレメントがA1ATプロモーター又はA1ATプロモーターの断片を含み、場合により:
(a)A1ATプロモーター若しくはA1ATプロモーターの断片が、長さが少なくとも100、少なくとも120、少なくとも150、少なくとも180、255未満、100~255、150~225、150~300、若しくは180~255のヌクレオチドであり、更に場合により、A1ATプロモーターの断片が、長さが180~255のヌクレオチドである;
(b)A1ATプロモーター若しくはA1ATプロモーターの断片が、長さが少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、500未満、200~500、250~500、350~450、若しくは約418のヌクレオチドであり、更に場合により、A1ATプロモーターの断片が、長さが350~450のヌクレオチドである;及び/又は
(c)ポリヌクレオチドが、配列番号15若しくは配列番号12と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一であるプロモーターを含む
請求項10のポリヌクレオチド。
【請求項12】
エンハンサーがHCRエンハンサー又はHCRエンハンサーの断片であり、場合により:
(a)HCRエンハンサー又はHCRエンハンサーの断片が、長さが少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、192未満、80~192、90~192、100~250、若しくは117~192のヌクレオチドの断片であり、更に場合により、HCRエンハンサーの断片が、長さが117~192のヌクレオチドである;
(b)HCRエンハンサー又はHCRエンハンサーの断片が、長さが少なくとも150、少なくとも190、少なくとも230、400未満、150~400、190~370、230~340、250~340若しくは約321のヌクレオチドの断片であり、更に場合により、HCRエンハンサーの断片が、長さが250~340のヌクレオチドである;
(c)ポリヌクレオチドが、配列番号16若しくは配列番号11と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一であるエンハンサーを含む
請求項10又は11のポリヌクレオチド。
【請求項13】
転写調節エレメントが、配列番号14又は10と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%又は100%同一である、請求項10のポリヌクレオチド。
【請求項14】
GBAヌクレオチド配列によってコードされるGCaseが、他の点では同一の参照ポリヌクレオチド中の野生型GBAヌクレオチド配列によってコードされるGCaseと比較して、より高いレベルでヒト肝細胞において発現し、場合により、GBAヌクレオチド配列によってコードされるGCaseは、他の点では同一の参照ポリヌクレオチド中の野生型GBAヌクレオチド配列によってコードされるGCaseと比較して、ヒト肝細胞において少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、又は少なくとも1.5倍高く発現し、更に場合により、参照ポリヌクレオチドが配列番号9の野生型GBAヌクレオチド配列を含み、場合により、参照ポリヌクレオチドが配列番号13のプロモーターを含む、上記請求項のいずれか1項のポリヌクレオチド。
【請求項15】
上記請求項のいずれか1のポリヌクレオチドを含む組換えゲノムを含むウイルス粒子。
【請求項16】
AAV、アデノウイルス、又はレンチウイルスのウイルス粒子であり、場合によりAAVのウイルス粒子である、請求項15のウイルス粒子。
【請求項17】
前記ウイルス粒子が、肝臓指向性又はCNS指向性のキャプシドを含む、請求項15又は16のウイルス粒子。
【請求項18】
肝臓指向性キャプシドが、配列番号19、20又は24の少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、600~736、650~736、又は700~736のアミノ酸の断片と、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、で配列を含み、場合により、肝臓指向性キャプシドが、配列番号19又は20と少なくとも99%同一の配列を含む
請求項17のウイルス粒子。
【請求項19】
CNS指向性キャプシドが、配列番号21の少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、600~736、650~736又は700~736のアミノ酸の断片と、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、で配列を含み、場合により、CNS指向性キャプシドが、配列番号21と少なくとも99%同一の配列を含む、請求項17のウイルス粒子。
【請求項20】
組換えゲノムが:
a)AAV2 ITR;
b)ポリA配列;及び/又は
c)イントロン;
を更に含み、場合により、組換えゲノムが一本鎖である、請求項15~19のいずれか1項のウイルス粒子
【請求項21】
Huh-7細胞への形質導入時に、ウイルス粒子が、形質導入された細胞におけるGCase活性が、配列番号9のGBAヌクレオチド配列を含む、他の点では同一のウイルス粒子で形質導入された細胞における、GCase又はその断片の活性よりも高いように、GCase又はその断片を発現する、場合により、Huh-7細胞への形質導入時に、ウイルス粒子が、形質導入された細胞におけるGCase活性が、配列番号9のGBAヌクレオチド配列を含む、他の点では同一のウイルス粒子で形質導入された細胞におけるGCase又はその断片の活性よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、又は少なくとも20倍高いようにGCase又はその断片を発現する、更に場合により、活性が、GCaseに特異的な蛍光測定基質を用いて測定される、請求項15~20のいずれか1項のウイルス粒子。
【請求項22】
上記請求項のいずれか1のポリヌクレオチド又はウイルス粒子と、医薬的に許容される賦形剤とを含む組成物。
【請求項23】
治療方法における使用のための、上記請求項のいずれか1項のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物。
【請求項24】
治療方法が、有効量の請求項1~22のいずれか1項のポリヌクレオチド、組成物又はウイルス粒子を患者に投与することを含む、請求項23の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物。
【請求項25】
治療方法が、GCase欠損に関連する疾患の治療方法である、請求項23~24のいずれか1項の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、又は組成物。
【請求項26】
治療方法がパーキンソン病の治療方法である、請求項23~24のいずれか1項の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、又は組成物。
【請求項27】
治療方法がゴーシェ病の治療方法であり、場合により:
(i)ゴーシェ病がゴーシェ病I型、II型若しくはIII型である;及び/又は
(ii)患者が、酵素補充療法の一部として、以前に患者が処置されている組換えGCaseに対する抗体若しくは阻害剤を有する
請求項23~24のいずれか1項の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、又は組成物。
【請求項28】
被験体においてGBAヌクレオチド配列を発現させ、且つ安定なGCase活性を達成する方法における使用のための、請求項1~22のいずれか1項のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物。
【請求項29】
被験体においてGBAヌクレオチド配列を発現させ、且つGCase酵素補充療法からの生物学的利用能と比較して、より高いGCaseの生物学的利用能を提供する方法における使用のための、請求項1~22のいずれか1項のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物であって、生物学的利用能が投与から2週間の期間に亘って測定される、ポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物。
【請求項30】
安定したGCase活性を達成すること、及び/又はより高い生物学的利用能を提供することにより、被験体における疾患の治療がもたらされる、請求項28又は29の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物。
【請求項31】
(i)GCase活性及び/若しくは生物学的利用能が、GCaseに特異的な蛍光基質を用いて測定される;
(ii)GCase活性が、被験体の血清若しくは血漿において測定される;
(iii)GCase活性が、被験体のマクロファージにおいて測定される;
(iv)GCase活性が、被験者において、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、若しくは少なくとも9μmol/時間/mlのレベルで安定である;
(v)GCase活性が、被験体において少なくとも3μmol/時間/mlのレベルで安定である;
(vii)GCase活性が、被験体において少なくとも5μmol/時間/mlのレベルで安定である;
(vii)GCase活性が、被験体において少なくとも9μmol/時間/mlのレベルで安定である;
(viii)方法が、有効用量のポリヌクレオチド、ウイルス粒子若しくは組成物を被験体に投与することを含む;
(ix)安定したGCase活性が、健常被験体のGCase活性と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、若しくは少なくとも50%のGCase活性である;
(x)安定したGCase活性が、健常被験体のGCase活性と比較して、10%~100%、20%~90%、30%~70%、40%~70%、若しくは50%~70%のGCase活性である;
(xi)安定したGCase活性が、投与から少なくとも5週間安定である;
(xii)安定したGCase活性が、投与から少なくとも10週間安定である;
(xiii)安定したGCase活性が、投与から少なくとも15週間安定である;
(xiv)安定したGCase活性が、投与から少なくとも20週間安定である。
(xv)安定したGCase活性が、投与から少なくとも25週間安定である;
(xvi)安定したGCase活性が、投与から少なくとも30週間安定である;
(xvii)安定したGCase活性が、投与から少なくとも35週間安定である;
(xviii)安定したGCase活性が、投与後少なくとも40週間安定である;
(xix)方法が、投与後の同一時点で同一アッセイにおいて測定される場合、有効用量のGCase酵素補充療法を施された被験体において測定された活性と比較した場合に、被験体の肝臓、脾臓、及び/若しくは骨髄において、投与後少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、若しくは少なくとも35週間で、より高い活性を達成する;並びに/又は
(xx)方法が、投与後の同一時点で同一アッセイにおいて測定される場合、有効用量のGCase酵素補充療法を施された被験体において測定された生物学的利用能と比較した場合に、肝臓、脾臓及び/若しくは骨髄被験体において、投与後少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、若しくは少なくとも35週間の期間に亘って、より高いGCaseの生物学的利用能を達成する
請求項28~30のいずれかの、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物。
【請求項32】
疾患がゴーシェ病であり、場合によりゴーシェ病がゴーシェ病I型、II型又はIII型である、請求項30~31のいずれかの、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物。
【請求項33】
GCase欠損に関連する疾患又は状態に罹患している被験体において、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルを低下させる方法における使用のための、請求項1~22のいずれか1項のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物であって、場合により、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルを低下させることにより、GCase欠損に関連する疾患又は状態の治療がもたらされる、ポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物。
【請求項34】
(i)ヘキソシルセラミド及び/若しくはヘキソシルスフィンゴシンレベルが、請求項1~22のいずれか1項のポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物の投与時のヘキソシルセラミド及び/若しくはヘキソシルスフィンゴシンレベルと比較した場合、1/2以上、1/3以上、1/4以上、1/5以上、1/6以上か、1/2~1/3、1/2~1/4、1/2~1/5、1/2~1/6、若しくは1/3~1/5に、低減される;
(ii)ヘキソシルセラミド及び/若しくはヘキソシルスフィンゴシンレベルの低下が、有効用量のGCase酵素補充療法を施された被験体において達成された低下よりも甚だしい(場合により、ヘキソシルセラミド及び/若しくはヘキソシルスフィンゴシンレベルが投与後少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、又は少なくとも12週間で測定されるときに);
(iii)ヘキソシルセラミド及び/若しくはヘキソシルスフィンゴシンレベルが被験体のマクロファージにおいて測定される;
(iv)ヘキソシルセラミド及び/若しくはヘキソシルスフィンゴシンレベルが被験体の脾臓において測定される;
(v)ヘキソシルセラミド及び/若しくはヘキソシルスフィンゴシンレベルが被験体の肝臓において測定される;
(vi)ヘキソシルセラミド及び/若しくはヘキソシルスフィンゴシンレベルが被験体の血清中で測定される;
(vii)ヘキソシルセラミド及び/若しくはヘキソシルスフィンゴシンレベルが、質量分析によって測定される;及び/又は
(viii)疾患がゴーシェ病であり、場合により、ゴーシェ病がゴーシェ病I型、II型若しくはIII型である
請求項33の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物。
【請求項35】
患者が、酵素補充療法の一部として、以前に患者が処置されている組換えGCaseに対する抗体又は阻害剤を有する、請求項23~34のいずれか1項の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、又は方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、β-グルコセレブロシダーゼ(GCase)をコードするGBAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含むウイルス粒子、及び該ポリヌクレオチドを利用する治療に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ゴーシェ病(GD)は、マクロファージ-単球系の細胞にグルコセレブロシドが沈着することを特徴とする常染色体劣性脂質蓄積症である。GDは、酵素β-グルコセレブロシダーゼ(GCase)の活性及び/又は産生を損うハウスキーピングのGBA遺伝子における変異によって引き起こされる。
【0003】
GDには、同定されている特定の変異を特徴とする3の主要な型があり、それぞれの型が異なる臨床症状を示し得る。GD1型は中枢神経系にほとんど又はまったく関与していないが、主に脾臓及び肝臓の肥大、血球数の減少、出血の問題、骨疾患等の内臓症状を特徴としている。過去20年間、酵素補充療法がGD1型のための標準治療として浮かび上がってきた。その高コスト(~200,000米ドル又は~150,000英ポンド/患者/年)に加えて、GDでの酵素補充療法治療では、一般に、生涯にわたって隔週で1以上の注射が必要である。これは、高い割合のGD患者の高レベルの治療負担があらわになることにつながる。
【0004】
従って、GDの治療のための効果的な治療ベクター、即ち高レベルのGCase発現を可能にするものを提供する必要がある。
【0005】
本願は、GCaseをコードするGBAポリヌクレオチドを含むウイルス粒子を投与することを含む、GDを治療するための遺伝子治療アプローチに関する。本明細書に記載のポリヌクレオチド及びウイルス粒子は、野生型GCaseをコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドと比較して、より高いGCase発現を提供できる。かかる遺伝子治療アプローチにより、頻繁で生涯にわたるGCaseの静脈内注射の必要性が回避される。
【発明の概要】
【0006】
発明の要旨
本出願は、GCaseをコードするGBAヌクレオチド配列への特定の改変が、インビトロ及び/又はインビボで発現したGCaseポリペプチドの発現レベル及び活性を改善するのを促進できることを実証する。例えば、本出願は、コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列を用いることにより、コードされたGCaseタンパク質の発現及び/又は活性を改善できることを実証する。かかる改変された(即ち、非野生型)及び/又はコドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列は、コードされたGCaseタンパク質の発現及び/又は活性における更なる改善を提供するために更に改変され得る。更なる改変としては、CpGモチーフの除去及び/又は特定のプロモーター及び/又はエンハンサー配列を含む特定の遺伝子調節エレメントの使用等のGBAヌクレオチド配列における更なる改変の提供が挙げられ得る。GBAヌクレオチド配列に対するかかる改善は、GDの治療におけるかかるヌクレオチドの有効性を改善できると考えられている。
【0007】
これらの改変は、例えば肝臓において高度に発現する、GCaseポリペプチド又はその断片をコードするGBAヌクレオチド配列を提供する。実施例中で実証される通り、本発明のポリヌクレオチドは、野生型GBAよりも高いレベルでGCase活性を発現する。
【0008】
従って、本発明の第1の態様においては、GBAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、該GBAヌクレオチド配列がβ-グルコセレブロシダーゼ(GCase)タンパク質又はその断片をコードし、GBAヌクレオチド配列の少なくとも一部分が野生型ではない、ポリヌクレオチドが提供される。
【0009】
本発明の第2の態様においては、GBAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、該GBAヌクレオチド配列がGCaseタンパク質又はその断片をコードし、配列番号1~8の少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1300、1494未満、1611未満、1000~1494、1000~1611、1300~1494、1300~1611、又は約1494のヌクレオチドの断片と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である配列を含む、ポリヌクレオチドが提供される。
【0010】
本発明の第3の態様においては、本発明のポリヌクレオチドを含む組換えゲノムを含むウイルス粒子が提供される。
【0011】
本発明の第4の態様においては、本発明のポリヌクレオチド又はウイルス粒子と、医薬的に許容される賦形剤とを含む組成物が提供される。
【0012】
本発明の第5の態様においては、有効量の本発明のポリヌクレオチド又はウイルス粒子を患者に投与することを含む、治療方法が提供される。
【0013】
本発明の第6の態様においては、治療方法における使用のための医薬の製造における、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の使用が提供される。
【0014】
本発明の第7の態様においては、被験体において安定なGCase活性を達成するための医薬の製造における、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の使用が提供される。
【0015】
本発明の第8の態様においては、被験体において、GCase酵素補充療法からの生物学的利用能と比較して、より高いGCaseの生物学的利用能を提供するための医薬の製造における、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の使用であって、生物学的利用能が投与から2週間の期間に亘って測定される、ポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物が提供される。
【0016】
本発明の第9の態様においては、被験体に、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物を投与することにより、該被験体において、安定なGCase活性を達成する方法が提供される。
【0017】
本発明の第10の態様においては、被験体に、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物を投与することにより、該被験体において、GCase酵素補充療法からの生物学的利用能と比較して、より高いGCaseの生物学的利用能を提供する方法であって、生物学的利用能が投与から2週間の期間に亘って測定される、方法が提供される。
【0018】
本発明の第11の態様においては、被験体においてGBAヌクレオチド配列を発現させ、且つ安定なGCase活性を達成する方法における使用のための、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物が提供される。
【0019】
本発明の第12の態様においては、被験体においてGBAヌクレオチド配列を発現させ、且つGCase酵素補充療法からの生物学的利用能と比較して、より高いGCaseの生物学的利用能を提供する方法における使用のための、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物であって、生物学的利用能が投与から2週間の期間に亘って測定される、ポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物が提供される。
【0020】
本発明の第13の態様においては、GCase欠損に関連する疾患又は状態に罹患している被験体において、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルを低下させるための医薬の製造における、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の使用が提供される。
【0021】
本発明の第14の態様においては、GCase欠損に関連する疾患又は状態に罹患している被験体に、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物を投与することにより、該被験体において、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルを低下させる方法が提供される。
【0022】
本発明の第15の態様においては、GCase欠損に関連する疾患又は状態に罹患している被験体において、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルを低下させる方法における使用のための、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物であって、場合により、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルを低下させることにより、GCase欠損に関連する疾患又は状態の治療がもたらされる、ポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図の説明
【
図1】
図1-コンストラクトFLF-PL01、FLF-PL28、及びFLF-PL64由来のGBAカセットの模式図。LSP-S及びLSP-L:肝臓特異的プロモーター;GBAwt:野生型ヒトGBAヌクレオチド配列;GBAco:コドンが最適化されているヒトGBAヌクレオチド配列(シグナルペプチドをコードするストレッチを除いて、その末端は点線で表される)。
【
図2】
図2-AAV2/8-FLF-PL28注射後の用量依存的な肝臓発現及びマウス血流へのヒトGCaseの分泌。(A)AAV2/8-PL28注射の12週間後にGCaseについて染色したマウス肝臓の代表的な画像。DAB(3,3’-ジアミノベンジジン)を用いてGCaseを可視化し、ヘマトキシリンを対比染色として用いた。(B)漸増用量のAAV2/8-PL28で処置したマウスの血清における活性アッセイによって測定されたGCaseのレベル。各治療群中、n=5、C57BL/6マウス。エラーバーは平均±SDを示す。
【
図3】
図3-Huh-7細胞へのトランスフェクションに際して、試験した各GBAのコドンが最適化されているコンストラクト(FLF-PL16からFLF-PL36、「16」から「36」)について観察された相対的GCaseレベル。各コンストラクトは、3~5回の実験で独立に試験した。ここに示すデータは、野生型GBAコンストラクトFLF-PL01(「01」)と比較したGCase活性を表している。エラーバーは平均±SDを表す。
【
図4】
図4-ベクターAAV2/8-FLF-PL-01、21、28、30、36及び37の注射に際しての、マウス血流に存在するGCase活性の測定(コンストラクトの説明については実施例5を参照)。(A)試験したGBAコンストラクトの注射後8週間でマウス血清中に見出されるGCase活性レベル。(B)コンストラクトFLF-PL01及びFLF-PL28の注射後4、8、12、及び36週間でマウス血清において観察されたGCase活性レベル。エラーバーは平均±SDを表し、1実験群あたりn=5~8の動物。*p≦0.05;**p≦0.001(一元配置分散分析)。
【
図5】
図5-野生型マウスにAAV2/8-FLF-PL28を注射した後の、脾臓及び骨髄組織におけるGCaseの取り込みレベル。GBAについて染色した脾臓及び骨髄組織の代表的な画像を、ナイーブ又は注射後4週間のAAV2/8-PL28処置マウスで示す。DAB(3,3’-ジアミノベンジジン)を用いてGBAを視覚化し、ヘマトキシリンを対比染色として用いた。
【
図6】
図6-野生型マウスへのAAV2/8-FLF-PL28の注射に際して、脾臓において観察されたヒトGCaseと標準的なマウスマクロファージマーカーF4/80の共局在レベル。GBA及びF4/80抗体で染色された脾臓組織の代表的な免疫蛍光画像。DAPI(青)を用いて核を可視化した。
【
図7】
図7-AAV2/8-FLF-PL28及びFLF-PL64の注射から4週間後にマウス血流おいて見出されるGCase活性のレベル。GCase活性を、2x10
12vg/kgの用量での注射の4週間後に採取したマウス血清について測定した。エラーバーは平均±SDを表す。各治療群において、N=5、C57BL/6マウス。
【
図8】
図8-治療後5週間のマウスにおいて観察された、AAV2/8-FLF-PL28及びFLF-PL64注射後の脾臓、骨髄及び肺において観察された取り込みレベル。
【
図10】
図10-AAV-FLF-PL64による形質導入後の、ヒト由来細胞株によるGCase分泌のレベル。細胞を、ベクターAAV-FLF-PL64を用いて1x10
5vg/細胞のMOIで形質導入した。(A)活性のあるGBAのレベルは、基質として4MU-Glcを用いて蛍光測定で測定した。(B)各細胞株についての形質導入レベルを、polyA配列に特異的なプライマーを用いるqPCRによって取得した。各細胞株についてのブランク値を差し引いて、活性のあるGCaseのレベルについての値を取得した。エラーバーは、デュプリケートのウェルの平均±SDを表す。
【
図11】
図11:(A)野生型マウスにおける酵素補充療法(VPRIV(登録商標)(60U/kg))の薬物動態及び半減期の算出。1フェーズ減衰モデル方程式:Y0は、X(時間)がゼロのときのYの値である。プラトーは、時間無限大におけるYの値である。Kは速度定数である。タウは時定数である。半減期はX軸の時間単位である。スパンはY0とプラトーとの間の差である。(B)の酵素補充療法(VPRIV(60U/kg)、黒塗)の単回注射後及びFLF-PL64による遺伝子治療を野生型マウスへ施した後の、GCase活性の血清薬物動態プロファイルの比較。
【
図12】
図12:VPRIV又はFLF-PL64の投与後のマウス肝臓、脾臓及び骨におけるGCase免疫染色。DAB(3,3’-ジアミノベンジジン)を用いてGCaseを可視化し、ヘマトキシリンを対比染色として用いた。FLF-PL64の試料を注射後5週間で取得した一方、VPRIV処置の試料は、表示した時間に採取した。各画像は、各治療群についてn=5、C57BL/6マウスを表す。すべての写真は同じ倍率である。
【
図13】
図13:ベラグルセラーゼアルファ(VPRIV(登録商標))(ERTと表示)又はAAV-GBA(AAV-FLF-PL64)の投与に際して、gba
9v/nullマウス肝臓(a)、白血球(b)、脾臓(c)、及び骨髄(d)において観察されたGCase活性の増大。ERTの試料を、組織への取り込みのピークに対応する最後の注射の1~2時間後に採取した。AAV-GBA(AAV-FLF-PL64)の試料を、注射の12週間後に、定常状態の取り込みレベルに対応して採取した。GCase活性を、野生型の健常マウス(20週齢)において測定された活性のパーセンテージとして表す。すべてのマウスを、症状顕在化前の8週齢で処置した。ERTは、60U/kgの用量で、2週間ごとに注射により投与。AAV-FLF-PL64は2x10
12vg/kgの用量で注射。n=10。
****P≦0.0001
【
図14】
図14:AAV-GBA(AAV-FLF-PL64)遺伝子治療では、gba
9v/nullマウスの肝臓における活性化マクロファージと炎症を低下させる。上パネル:各群からの代表的な画像を表すH&E染色肝臓切片。貯蔵細胞は円により同定される。左下パネル:ビヒクル対照群と比較した、AAV-FLF-PL64及びERT処置群において計数した貯蔵細胞間の比較を示すグラフ。右下パネル:抗CD68抗体で染色後の、ビヒクル対照群と比較したAAV-FLF-PL64及びERT処理群中で計数したCD68陽性細胞を示すグラフ。AAV-GBA(AAV-FLF-PL64)は2x10
12vg/kgの用量で注射;試料は注射後12週間で採取、ERTは用量60U/kgで、2週間ごとに注射により投与。ERT試料は、最後の注射の1~2時間後に採取した。平均±SEM、(n=10)、
**P≦0.005、
****P≦0.0005
【
図15】
図15:AAV-GBA(AAV-FLF-PL64)遺伝子治療では、gba
9v/nullマウスにおいて、ベラグルセラーゼアルファ(VPRIV(登録商標)、ERTと表示)よりも良好な基質クリアランスが示される。AAV-FLF-PL64及びERT治療群における肝臓、脾臓、及び骨髄中のヘキソシルセラミド及びヘキソシルスフィンゴシンレベルのLC/MS分析。レベルを、ビヒクル対照群において測定されたレベルに正規化した。AAV-GBA(AAV-FLF-PL64)は2x10
12vg/kgの用量で注射;試料は注射後12週間で採取;ERTは用量60U/kgで、2週間ごとに注射により投与。ERT試料は、最後の注射の1~2時間後に採取した。平均±SEM、(n=10)、
**P≦0.005、
****P≦0.0005
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
一般的な定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0025】
一般に、用語「含む」は、含むが、これに限定されないという意味であることが意図される。例えば、語句「GBAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド」は、ポリヌクレオチドがGBAヌクレオチド配列を有するが、ポリヌクレオチドが更なるヌクレオチドを含有し得ることを意味すると解釈されるべきである。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態においては、単語「含む」は、語句「からなる」と置換される。用語「からなる」は、限定的であることが意図される。例えば、語句「GBAヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチド」は、ポリヌクレオチドがGBAヌクレオチド配列を有し、更なるヌクレオチドを有さないことを意味すると理解されるべきである。
【0027】
本明細書で用いられる場合、値の範囲を定義するために2端点を指すときの「~」は、「間及び含む」を意味すると解釈されるべきである。従って、「5~10」として定義される範囲には、5超10未満のすべての値並びに、離散値5及び10自体が含まれる。
【0028】
用語、「タンパク質」及び「ポリペプチド」は、本明細書では交換可能に用いられ、アミノ酸の、任意の長さのポリマー鎖を指すことが意図される。
【0029】
本発明の目的のために、2の配列(2のポリヌクレオチド配列又は2のポリペプチド配列等)の同一性のパーセントを特定するために、配列は、最適な比較の目的のためにアラインされる(例、第2の配列との最適なアラインメントのために、ギャップが、第1の配列に導入され得る)。次いで、各位置でヌクレオチド又はアミノ酸の残基が比較される。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置と同じヌクレオチド又はアミノ酸の残基で占められている場合、その位置でヌクレオチド又はアミノ酸は同一である。2の配列間の同一性のパーセントは、配列によって共有される同一位置の数の関数(即ち、%同一性=同一の位置の数/参照配列内の位置の総数x100)である。
【0030】
典型的には、配列比較は参照配列の長さの全てにわたって行われる。例えば、ユーザーが、ある特定の(「試験」)配列が配列番号1と95%同一であるか否かを決定したい場合、配列番号1が参照配列になる。例えば、配列が配列番号1(参照配列の例)と少なくとも80%同一であるか否かを評価するためには、当業者は、アラインメントを配列番号1の長さの全てにわたって行い、試験配列中のどれだけの位置が配列番号1のものと同一であったかを特定する。少なくとも80%の位置が同一である場合、試験配列は、配列番号1と少なくとも80%同一である。該配列が配列番号1より短い場合、ギャップ又は抜けている位置は、同一でない位置であると見なされるべきである。
【0031】
当業者は、2の配列間の相同性又は同一性を決定するために利用可能な異なるコンピュータプログラムを認識している。例えば、配列の比較及び2の配列間の同一性のパーセントの決定は、数学的アルゴリズムを用いて達成し得る。一実施形態においては、2のアミノ酸配列又は核酸配列間の同一性のパーセントは、Accelrys GCG software package(http://www.accelrys.com/products/gcg/で入手可能)のGAPプログラムに組み込まれているNeedleman and Wunsch(1970)アルゴリズムを用い、Blosum 62マトリックス又はPAM250マトリックスのいずれか、並びにギャップ重み16、14、12、10、8、6、又は4、長さの重み1、2、3、4、5、又は6を用いて決定される。
【0032】
本発明の目的のために、用語「断片」は、配列の連続部分を指す。例えば、配列番号5の、50のヌクレオチドの断片は、配列番号の5の、連続する50のヌクレオチドを指す。
【0033】
ポリヌクレオチド
一態様においては、本発明は、GBAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、GBAヌクレオチド配列が、β-グルコセレブロシダーゼ(GCase)タンパク質又はその断片をコードするコード配列を含み、GBAヌクレオチド配列の少なくとも一部分が野生型ではない、ポリヌクレオチドを提供する。
【0034】
ポリヌクレオチドは、以下の特徴のうちの1以上を更に含み得る。GBAヌクレオチド配列、又は野生型ではない、GBAヌクレオチド配列の一部分は、コドンが最適化されている場合がある。ポリヌクレオチドは、(更に)コドンが最適化されていない一部分を含み得る。ポリヌクレオチドは、イントロン又はイントロンの断片を含み得る。
【0035】
用語、「ポリヌクレオチド」は、任意の長さの、ヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、又はそれらの類似体のポリマー形態を指す。例えば、ポリヌクレオチドは、DNA(デオキシリボヌクレオチド)又はRNA(リボヌクレオチド)を含み得る。ポリヌクレオチドは、DNAからなり得る。ポリヌクレオチドはmRNAであり得る。ポリヌクレオチドはRNA又はDNAを含み得るので、T(チミン)ヌクレオチドへのすべての言及はU(ウラシル)と置換され得る。
【0036】
GCaseをコードするGBAヌクレオチド配列
一態様においては、本明細書中に提供されるポリヌクレオチドは、GBAヌクレオチド配列を含む。GBAヌクレオチド配列は、典型的には、β-グルコセレブロシダーゼ(GCase)タンパク質又はその断片をコードする。
【0037】
用語「コードする配列」は、コードされるポリペプチドをコードするコドンを含むオープンリーディングフレームを含むヌクレオチド配列を指す。例えば、GCaseタンパク質又はその断片をコードするヌクレオチド配列は、GCaseタンパク質又はその断片のアミノ酸配列をコードするコドンを含む。野生型GCaseタンパク質をコードするGBAヌクレオチド配列の例が、配列番号9中に提供される。
【0038】
GBAヌクレオチド配列は、非コードヌクレオチド(例えば、イントロン)によって中断され得るが、ポリペプチドをコードするヌクレオチドのみが、GBAヌクレオチド配列の一部であると見なされるべきである。例えば、GCaseタンパク質をコードするGBAヌクレオチド配列は、それらのコドンが配列中で連続しているか、又は1以上の非コードヌクレオチドによって分離されているかに関係なく、そのコード配列から発現するGCaseタンパク質の一部を形成するアミノ酸をコードする任意のコドンを含む。言い換えれば、非コードヌクレオチドのストレッチによって中断されたコードヌクレオチドのストレッチを含有するGBAポリヌクレオチドは、直接並置された(即ち、非コードストレッチを差し引いた)非連続コーディングストレッチからなる「GBAヌクレオチド配列」を含むと見なされる。しかしながら、本明細書において、終止コドンは、全長コード配列の一部であると見なされる。
【0039】
本明細書に記載のGCaseをコードするGBAヌクレオチド配列及び/又はGCaseコード配列は、シグナルペプチドについてのコドンも含み得る。いくつかのタンパク質、特に異なる組織に輸送されるタンパク質が、シグナルペプチドを伴って発現することは周知である。シグナルペプチドはタンパク質配列のN末端(この場合はコード配列の5’末端)にあり得、多くのシグナルペプチドは細胞のプロセシングを受けて切断される。従って、本明細書では、成熟タンパク質又はポリペプチド(成熟GCaseタンパク質又はポリペプチド等)は、シグナルペプチドがプロセシングされて、除去/切断(従って、もはやポリペプチドの一部を形成しない)された後、得られたタンパク質又はポリペプチドであると見なされる。
【0040】
以下の表は、各アミノ酸をコードするコドンを記載する。
【0041】
【0042】
対応するRNAコドンは、上記の表におけるTの代わりにUを含有する。
【0043】
本発明の一態様は、GBAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、GBAヌクレオチド配列がGCaseタンパク質又はその断片をコードし、配列番号1~8のいずれか1の少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1300、1494未満、1611未満、1000~1494、1000~1611、1300~1494、1300~1611、又は約1494のヌクレオチドの断片と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である配列を含む、ポリヌクレオチドを提供する。場合により、GBAヌクレオチド配列の全部又は一部分がコドンが最適化されている。一実施形態においては、GBAヌクレオチド配列は、配列番号1~8の少なくとも1300のヌクレオチドの断片と少なくとも98%同一である配列を含む。一実施形態においては、GBAヌクレオチド配列は、配列番号1~8の少なくとも1300のヌクレオチドの断片と少なくとも99%同一である配列を含む。
【0044】
一例においては、GBAヌクレオチド配列は、配列番号1と少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である配列を含み得る。一実施形態においては、GBAヌクレオチド配列は、配列番号1の少なくとも1300のヌクレオチドの断片と少なくとも98%同一である配列を含む。一実施形態においては、GBAヌクレオチド配列は、配列番号1の少なくとも1300のヌクレオチドの断片と少なくとも99%同一である配列を含む。GBAヌクレオチド配列は、配列番号5と少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%又は100%同一である配列を含み得る。GBAヌクレオチド配列は、配列番号1と少なくとも98%同一である(配列a sequence that is at least 98% identical SEQ ID NO:1)配列を含み得る。GBAヌクレオチド配列は、配列番号1と少なくとも99%同一である配列を含み得る。GBAヌクレオチド配列は、配列番号5と少なくとも98%同一である配列を含み得る。GBAヌクレオチド配列は、配列番号5と少なくとも99%同一である配列を含み得る。一実施形態においては、GBAヌクレオチド配列は、配列番号1を含み得る。別の実施形態においては、GBAヌクレオチド配列は、配列番号5を含み得る。
【0045】
GBAヌクレオチド配列は、GCase活性を有するGCaseタンパク質をコードする配列番号1の配列又は配列番号1の変異体を含み得る。これらの例においては、配列番号1の変異体は、それが、GCaseタンパク質が配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、又は最大10のアミノ酸置換を有するように、ヌクレオチド置換を含むことを除いて、配列番号1と同一である。これらの例においては、配列番号1の変異体は、配列番号1の配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、最大10、最大20、又は最大30のヌクレオチド置換を有し得る。配列番号1の変異体は、配列番号1の配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、又は最大6のヌクレオチド置換を有し得る。一例においては、配列番号1の変異体は、配列番号1の配列と比較して、最大4のヌクレオチド置換を有し、及び/又は配列番号25の野生型アミノ酸GCase配列と比較して、最大3のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする。一例においては、配列番号1の変異体は、配列番号1の配列と比較して、配列番号1の配列と比較して、最大3のヌクレオチド置換を有し、及び/又は配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大2のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする。一例においては、配列番号1の変異体は、配列番号1の配列と比較して、1のヌクレオチド置換を有し、及び/又は配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大1のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする。
【0046】
GBAヌクレオチド配列は、GCase活性を有するGCaseタンパク質をコードする配列番号5の配列又は配列番号5の変異体を含み得る。これらの例においては、配列番号5の変異体は、それが、GCaseタンパク質が、配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、又は最大10のアミノ酸置換を有するようにヌクレオチド置換を含むことを除いて、配列番号5と同一である。これらの例においては、配列番号5の変異体は、配列番号5の配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、最大10、最大20、又は最大30のヌクレオチド置換を有し得る。配列番号5の変異体は、配列番号5の配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、又は最大6のヌクレオチド置換を有し得る。一例においては、配列番号5の変異体は、配列番号5の配列と比較して、最大4のヌクレオチド置換を有し、及び/又は配列番号25の野生型アミノ酸GCase配列と比較して、最大3のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする。一例においては、配列番号5の変異体は、配列番号5の配列と比較して、最大3のヌクレオチド置換を有し、及び/又は配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大2のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする。一例においては、配列番号5の変異体は、配列番号5の配列と比較して、1のヌクレオチド置換を有し、及び/又は配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大1のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする。
【0047】
GCaseタンパク質又はその断片
ポリヌクレオチドは、GCaseタンパク質又はその断片をコードするGBAヌクレオチド配列を含む。
【0048】
β-グルコセレブロシダーゼ(GCase)は、細胞膜に豊富に存在する、糖脂質代謝における中間体である化学物質、グルコセレブロシドのベータ-グルコシド結合を加水分解するグルコシルセラミダーゼ活性(EC3.2.1.45)を有する酵素である。(GCaseをコードする)GBA遺伝子における変異は、ゴーシェ病(GD)として現れる、多くの重要な臓器に浸潤するマクロファージ中のグルコセレブロシドの蓄積をもたらし得る。典型的な野生型GCaseポリペプチドは、配列番号9によってコードされる。
【0049】
GCase(例、配列番号9によってコードされる配列番号25のGCase)は、最初に、シグナルペプチド(配列番号25のアミノ酸残基1~39及び配列番号9のコドン1~39)及び成熟GCaseポリペプチド領域を含む前駆体の「未成熟」形態として発現する。プロセシング後、GCaseの「成熟した」形態はシグナルペプチドを欠いている。用語「成熟GCase」又は「成熟GCaseポリペプチド」は、配列番号1~4によってコードされるGCase等の、シグナルペプチドを含まないGCaseポリペプチドを指す。典型的なGCaseシグナルペプチドは、配列番号17のヌクレオチド配列によってコードされ得、そして配列番号18のポリペプチド配列を有し得る。
【0050】
GCase又はその断片は、変異体GCase又はその断片、即ち、配列番号25と同一の配列を有さないGCaseであり得る。一実施形態においては、本発明のポリペプチド及び/若しくはGBAヌクレオチド配列によってコードされるGCase又はその断片は、配列番号25と、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である;又は、長さが少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、536以下、497以下、300~536、若しくは300~497のアミノ酸の配列番号25の断片と少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一である。一実施形態においては、GCaseタンパク質又はその断片は、配列番号25と、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一である;又は、長さが約497のアミノ酸の配列番号25の断片と、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一である。GCaseタンパク質又はその断片は、配列番号25の配列を有し得る。好ましくは、GCaseタンパク質又はその断片は、配列番号18のシグナルペプチドを含まない。好ましくは、GCaseタンパク質又はその断片は機能的である。機能的なGCaseタンパク質又は断片は、グルコセレブロシドの加水分解を実行するものである。
【0051】
GBAヌクレオチド配列は、配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、又は最大5のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードし得る。かかる例においては、GBAヌクレオチド配列は、配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大3のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードし得る。GBAヌクレオチド配列は、配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大2のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードし得る。GBAヌクレオチド配列は、配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大1のアミノ酸置換を有する変異体GCaseタンパク質をコードし得る。
【0052】
GBAヌクレオチド配列によってコードされるGCaseタンパク質又は断片が機能的であるか否かを決定することは当業者の能力の範囲内である。当業者は、単にGCaseヌクレオチド配列を発現させ、発現したタンパク質が活性があるか否かを試験することを要するのみである。例えば、当業者は、作動可能なプロモーターに連結されたGBAヌクレオチド配列を含む本発明のウイルス粒子を調製し、GCaseタンパク質又はその断片の発現に好適な条件下で細胞をウイルス粒子で形質導入できる。発現したGCaseタンパク質又はその断片の活性(量)は、実施例1に記載の「血清GBA活性アッセイ」等の蛍光測定アッセイを用いて解析され得る。
【0053】
例えば、好適な蛍光発生アッセイは以下の通りである。β-グルコセレブロシダーゼ(酸性β-グルコシダーゼ;GCase)活性は、4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルコピラノシド(4MU-Glc)を基質として蛍光光度法で測定され得る。簡単に言うと、血清試料(0.5μL、1:50に希釈)は、50mMクエン酸ナトリウム、25mMタウロコール酸、pH~5.75、6mM 4MU-Glcで、37℃で30分間アッセイされ得る。次いで、相対蛍光レベル(RFU)は、それぞれ365nm及び445nmの励起波長及び発光波長を用いて評価され得る。GCaseは、4-メチルウンベリフェロン(4-MU)標準曲線に基づいて、ナノモル/時間/mL血清として表される。
【0054】
GBAヌクレオチド配列の一部分は野生型ではない
GBAヌクレオチド配列の一部分、例えば、GCaseタンパク質又はその断片をコードするコード配列は、野生型ではない場合がある。野生型GCaseをコードするGBAヌクレオチド配列は、配列番号9で表され、配列番号9とは配列が異なる一部分を含むGBAヌクレオチド配列は、野生型ではない一部分を含む。
【0055】
一実施形態においては、野生型ではないGBAヌクレオチド配列の一部分は、コドンが最適化されている。コドン最適化は、特定の組織における、及び/又は特定の生物におけるヌクレオチド配列、例えばGBAヌクレオチド配列の発現を改善できる。例えば、ヌクレオチド配列がヒト肝臓における発現のためにコドンが最適化されている場合、ヌクレオチド配列は、ヒトの肝臓において(コドンが、同じアミノ酸に特異的な他のtRNA分子種よりも豊富なtRNA種に対応するという意味で)好都合であり得るかかるコドンの数を増やすように改変される。当業者は、特に「好ましいコドン」がいくつかの位置にすでに存在している可能性があるため、コドンが最適化されている配列は、すべてのコドンを変更することを必要としない場合があることを理解する。
【0056】
かかるコドン最適化は、他の要因に曝される場合がある。例えば、CpGの存在は発現に悪影響を与えると理解され得るため、ユーザーは、そうすることでCpGが配列に導入される位置で優先コドンを用いないことを決定する場合がある。これは依然としてコドン最適化と見なされる。一実施形態においては、Cヌクレオチドで終わる優先コドンは、配列内の次のコドンがGで始まる、コドンが最適化されているコード配列の一部分に含まれない。例えば、コドンCTCはロイシンをコードする。CTCが優先コドンであるスキームにおいては、それは、コドンGTT等の、配列内の次のコドンがGで始まる、ロイシンのコードのために用いられてはならない。(又は、可能であれば、最初の位置におけるGを回避するよう、次のコドンが選択される)。
【0057】
ヌクレオチド配列の一部分において用いられる各コドンの頻度を決定することは簡単である。当業者は、その一部分の配列を、コドン使用頻度を調べて結果を検討する、すぐに利用できる1のアルゴリズムに入力することを要するのみである。或いは、ユーザーは単にそれらを計数できる。
【0058】
一実施形態においては、本発明のポリヌクレオチドは、ヒスチジンをコードするコドンの67%がCACであり、ヒスチジンをコードするコドンの33%がCATであるGBAヌクレオチド配列を含む。
【0059】
場合により、コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分は、ヒト肝細胞における発現のためにコドンが最適化されている。場合により、GBAヌクレオチド配列はヒト肝臓における発現のためにコドンが最適化される。場合により、コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分は、連続する一部分である。
【0060】
コドンが最適化されている一部分は、GCaseタンパク質の一部又は全体をコードする配列に対応し得る。例えば、コード配列は、成熟GCaseタンパク質の一部ではないシグナルペプチドを含む全長(配列番号9等)であり得、コード配列全体がコドンが最適化され得る。従って、本明細書における「GBA配列の一部分がコドンが最適化されている」への言及は、「GBA配列の少なくとも一部分がコドンが最適化されている」を意味すると理解されるべきである。場合により、コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分は、長さが少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1300、1600未満、1500未満、1000~1600、1000~1500、1300~1500、若しくは約1494のヌクレオチドである。場合により、コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分は、成熟GCaseタンパク質をコードする(に対応する)。例えば、GBAヌクレオチド配列は、前駆体GCaseタンパク質(即ち、シグナルペプチドを含む)をコードし得、そしてコドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が成熟GCaseタンパク質に対応する場合、シグナルペプチドはコドンが最適化されていない。
【0061】
従って、いくつかの実施形態においては、GBAヌクレオチド配列の一部分は、コドンが最適化されていない場合があり、例えば、コード配列の一部分は、肝臓における発現のためにコドンが最適化されていない。いくつかの実施形態においては、コドンが最適化されていない一部分は、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、200未満、170未満、140未満、又は約117のヌクレオチドである。いくつかの実施形態においては、GBAヌクレオチド配列におけるコドンが最適化されていない一部分は、シグナルペプチドをコードする一部分である。
【0062】
上記の通り、部分的又は全体的にコドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列を提供することにより、コードされたポリペプチド(即ち、GCaseポリペプチド)が高レベルで発現することを確実にできる。本発明のGBAヌクレオチド配列等のポリヌクレオチド配列からの、又は本発明のウイルス粒子からのGCaseの発現は、一般に、プロモーター配列又はポリヌクレオチド配列の上流の、及び/又はそれに作動可能に連結されている領域の存在を必要とすることは、当業者によって理解される。従って、一実施形態においては、本発明は、GBAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、GBAヌクレオチド配列が、該GBAヌクレオチド配列がプロモーター配列に作動可能に連結される場合に、ヒト肝細胞において高レベルで発現するGCaseポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態においては、プロモーター配列は、転写調節エレメントの一部であり得る。いくつかの実施形態においては、プロモーター配列は、肝臓特異的プロモーター配列であり得る。一実施形態においては、プロモーター配列は、配列番号12を有するプロモーターである。別の実施形態においては、プロモーター配列は、配列番号15を有するプロモーターである。
【0063】
本発明のポリヌクレオチド又はベクターと、配列番号9のGBAヌクレオチド配列を含む参照ポリヌクレオチド又はウイルス粒子等の参照(比較)ポリヌクレオチド又はベクター(参照ポリヌクレオチド又はベクターは、GBAヌクレオチド配列が異なることを除いて、本発明のポリヌクレオチド又はベクターと同一であり得る)との間で比較を行うことも当業者によって理解される。言い換えれば、比較される異なるGBAヌクレオチド配列は、同一のプロモーター配列に作動可能に連結され得る。いくつかの実施形態においては、試験される異なるGBAヌクレオチド配列は、異なる(特定の)プロモーター配列に作動可能に連結され得る。
【0064】
従って、一実施形態においては、GBAヌクレオチド配列によってコードされるGCaseポリペプチドは、ヒト肝細胞において、参照野生型GBA配列と比較してより高いレベルで発現する。参照野生型GBAヌクレオチド配列は、配列番号9であり得る。一実施形態においては、GBAヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドは、配列番号9のGBAヌクレオチド配列及び配列番号13のプロモーターエレメント(ここで、配列番号9のGBAヌクレオチド配列及び配列番号13のプロモーターエレメントは、好ましくは作動可能に連結されている)を含むヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドと比較して、ヒト肝細胞において、より高いレベルで発現する。一実施形態においては、GBAヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドは、配列番号9のGBAヌクレオチド配列及び配列番号10の転写調節エレメント(ここで、配列番号9のGBAヌクレオチド配列及び配列番号10のプロモーターエレメントは、好ましくは作動可能に連結されている)を含むヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドと比較して、ヒト肝細胞において、より高いレベルで発現する。かかる実施形態においては、GBAヌクレオチド配列によってコードされるGCaseは、ヒト肝細胞において、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、又は少なくとも1.5倍高く発現し得る。一実施形態においては、GBAヌクレオチド配列によってコードされるGCaseポリペプチドは、ヒト肝細胞において、配列番号13のプロモーターに作動可能に連結された配列番号9のGBAヌクレオチド配列を含む、他の点では同一の参照ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドと比較して、より高い又は統計的有意差無しのレベルで発現する(該2のポリヌクレオチドは、同一方法及び同一量で細胞に送達される)。
【0065】
一実施形態においては、GBAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド配列が被験体、又はマウス等の非ヒト哺乳動物に投与される場合、GCaseは、配列番号12、13又は15のプロモーターエレメントに作動可能に連結された配列番号9のGBAヌクレオチド配列を含む、他の点では同一のヌクレオチド配列によってコードされるGCaseと比較して、(例えば、投与後4又は8又は12週間で)被験体又は非ヒト動物の血清中に、より高いレベルで存在する(GBAヌクレオチドを含むポリヌクレオチドは、同一方法及び同一量で投与される。
【0066】
当業者は、いくつかの細胞を、GBAヌクレオチド配列を含むウイルス粒子で形質導入し、いくつかの細胞を、参照配列を含む粒子で形質導入することにより、GCaseが、参照配列(例えば、配列番号9等の野生型GBAヌクレオチド配列)と比較して、より高いレベルで、ある特定のGBAヌクレオチド配列(例えば、コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列)から発現するか否かを決定し得る。細胞は、GBAヌクレオチド配列によってコードされるGCaseタンパク質又はその断片を発現するのに好適な条件下で培養され得、発現したGCaseタンパク質のレベルが比較され得る。発現するGCaseタンパク質のレベルは、「GCaseタンパク質又はその断片」という表題の節に記載の蛍光測定アッセイ、又はGCase特異的抗体を用いるELISAを用いて評価され得る。好適な細胞としては、Huh-7細胞等の培養ヒト肝細胞が挙げられる。
【0067】
上記の通り、CpG(即ち、CGジヌクレオチド)の存在は、発現効率を低下させ得る。これは、CpGがメチル化されている場合があり、それらのメチル化が遺伝子サイレンシングを引き起こし、それによって発現が低下する場合があるためである。また、高いCpG含有量がTLR応答を引き起こし、抗AAV免疫応答のリスクを増大させる可能性がある。この理由のため、コドンが最適化されているコード配列の一部分は、参照野生型GBAヌクレオチド配列(配列番号9等)の対応する一部分と比較して、低減した数のCpGを含むことが好ましい。一実施形態においては、コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分(これは、GBAヌクレオチド配列のすべてであり得る)は、40未満、20未満、10未満、又は5未満のCpGを含む。一実施形態においては、コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分(これは、GBAヌクレオチド配列のすべてであり得る)は、100ntあたり5未満、4未満、3未満、又は2未満のCpGを含む。いくつかの実施形態においては、コドンが最適化されているコード配列の一部分は、CpGを含まない(即ち、含有するCGジヌクレオチドが無し(0)である)。
【0068】
一実施形態においては、コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分は、配列番号1~4の少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1300、1494未満、1000~1494、1300~1494、又は約1494のヌクレオチドの断片と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%少なくとも99.8%、若しくは100%同一である。一実施形態においては、コドンが最適化されているコード配列の一部分は、配列番号1~4と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である。一実施形態においては、コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分は、配列番号1の少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1300、1494未満、1000~1494、1300~1494、又は約1494のヌクレオチドの断片と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である。一実施形態においては、コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分は、配列番号1の少なくとも1300のヌクレオチドの断片と少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である。一実施形態においては、コドンが最適化されているコード配列の一部分は、配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である。
【0069】
本発明は、GCaseタンパク質又はその断片をコードするGBAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを提供し、GBA配列は、配列番号1と、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である配列を含む。場合により、配列番号1と少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、又は少なくとも99.8%同一である配列はコドンが最適化されている。
【0070】
コドンが最適化されていないコード配列の一部分
一実施形態においては、GBAヌクレオチド配列は、コドンが最適化されていない一部分を含む。コドンが最適化されていない一部分は、連続する一部分であり得る。
【0071】
従って、当該技術分野において理解されるように、コドンが最適化されていない一部分は、野生型配列と比較して、より多数の好ましいコドンを含むように改変されていない。連続する、コドンが最適化されていないポリヌクレオチド配列は、野生型配列である。
【0072】
場合により、コドンが最適化されていない一部分は、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、200未満、170未満、140未満、又は約117のヌクレオチドである。いくつかの実施形態においては、GBAヌクレオチド配列におけるコドンが最適化されていない一部分は、シグナルペプチドの全部又は一部をコードする(に対応する)一部分である。場合により、コドンが最適化されていない一部分は、GCaseシグナルペプチドの全部又は一部をコードする。いくつかの実施形態においては、GBAヌクレオチド配列においてコドンが最適化されていない一部分は、配列番号17の配列を有する一部分である。
【0073】
ポリヌクレオチドは、転写調節エレメントを更に含み得る。
ポリヌクレオチドは、転写調節エレメントを含み得る。
【0074】
一実施形態においては、転写調節エレメントは、配列番号10と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である。一実施形態においては、ポリヌクレオチドは、配列番号10と少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である転写調節エレメントを含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号10と少なくとも98%同一の転写調節エレメントを含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号10の転写調節エレメントを含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号10から成る転写調節エレメントを含む。
【0075】
別の実施形態においては、転写調節エレメントは、配列番号14と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である。一実施形態においては、ポリヌクレオチドは、配列番号14と少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である転写調節エレメントを含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号14と少なくとも98%同一の転写調節エレメントを含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号14の転写調節エレメントを含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号14から成る転写調節エレメントを含む。
【0076】
すべて肝臓特異的転写調節エレメントであるHLP2、HLP1、LP1、HCR-hAAT、ApoE-hAAT、及びLSP等の任意の適切な転写調節エレメントが用いられ得る。これらの転写調節エレメントは、以下の参考文献:HLP1:McIntosh J.et al.,Blood 2013 Apr 25,121(17):3335-44;LP1:Nathwani et al.,Blood.2006 April 1,107(7):2653-2661;HCR-hAAT:Miao et al.,Mol Ther.2000;1:522-532;ApoE-hAAT:Okuyama et al.,Human Gene Therapy,7,637-645(1996);及び LSP:Wang et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.1999 March 30,96(7):3906-3910.においてより詳細に記載されている。
【0077】
転写調節エレメントは、HLP2、HLP1、LP1、HCR-hAAT、ApoE-hAAT、及びLSPからのプロモーターエレメント及び/又はエンハンサーエレメント等のプロモーター及び/又はエンハンサーを含み得る。これらの各転写調節エレメントは、プロモーター、エンハンサー、及び場合により他のヌクレオチドを含む。
【0078】
一実施形態においては、転写調節エレメントは、ヒトアポリポプロテインE(ApoE)肝臓遺伝子座制御領域(HCR;Miao et al(2000),Molecular Therapy 1(6):522)、又はその断片であるエンハンサーを含む。一実施形態においては、転写調節エレメントは、長さが少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、192未満、80~192、90~192、100~250、又は117~192のヌクレオチドの断片である、HCRエンハンサーの断片を含む。場合により、HCRエンハンサーの断片は、長さが100~250のヌクレオチドである。別の実施形態においては、HCRエンハンサーの断片は、長さが少なくとも150、少なくとも190、少なくとも230、400未満、150~400、190~370、230~340、250~340、又は約321のヌクレオチドの断片である。場合により、HCRエンハンサーの断片は、長さが250~340のヌクレオチドの断片である。
【0079】
好適なHCRエンハンサーエレメント断片が、配列番号11及び16に記載される。場合により、転写調節エレメントは、長さが少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、192未満、80~192、90~192、100~250、又は117~192のヌクレオチドであるエンハンサーを含み、該エンハンサーは、配列番号11と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。場合により、転写調節エレメントは、長さが117~192のヌクレオチドであるエンハンサーを含み、エンハンサーは、配列番号11と、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。場合により、転写調節エレメントは、配列番号11の少なくとも90、少なくとも100、又は少なくとも110のヌクレオチドの断片と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一であるエンハンサーを含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号11と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一であるエンハンサーを含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号11と、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一であるエンハンサーを含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号11のエンハンサーを含む。場合により、転写調節エレメントは、長さが321ヌクレオチド以下、192ヌクレオチド以下、又は117ヌクレオチド以下であるHCRエンハンサーの断片を含み、且つ配列番号11を含む。
【0080】
別の実施形態においては、転写調節エレメントは、長さが少なくとも150、少なくとも190、少なくとも230、400未満、150~400、190~370、230~340、250~340、又は約318ヌクレオチドであり、エンハンサーは、配列番号16と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%少なくとも99.8%、又は100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。場合により、転写調節エレメントは、長さが250~340のヌクレオチドのエンハンサーを含み、エンハンサーは、配列番号16と、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一のポリヌクレオチド配列を含む。場合により、転写調節エレメントは、配列番号16の少なくとも250ヌクレオチドの断片と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一であるエンハンサーを含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号16と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一であるエンハンサーを含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号16と、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一であるエンハンサーを含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号16のエンハンサーを含む。
【0081】
一実施形態においては、転写調節エレメントは、ヒトアルファ-1抗トリプシンプロモーター(A1AT;Miao et al(2000),Molecular Therapy 1(6):522)であるプロモーター、又はその断片を含む。場合により、A1ATプロモーターの断片は、長さが少なくとも100、少なくとも120、少なくとも150、少なくとも180、255未満、100~255、150~225、150~300、又は180~255のヌクレオチドである(Optionally, a fragment of an A1AT promoter which is at least 100,at least 120,at least 150,at least 180,less than 255,between 100 and 255, between 150 and 225,between 150 and 300,or between 180 and 255 nucleotides in length.)。場合により、A1ATプロモーターの断片は、長さが150~300のヌクレオチドである。別の実施形態においては、A1ATプロモーターの断片は、長さが少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、500未満、200~500、250~500、又は350~450のヌクレオチドである。場合により、A1ATプロモーターの断片は、長さが350~450のヌクレオチドである。
【0082】
好適なA1ATプロモーター断片は、配列番号12及び15に記載されている。場合により、転写調節エレメントは、長さが少なくとも100、少なくとも120、少なくとも150、少なくとも180、255未満、100~255、150~225、150~300、若しくは180~255のヌクレオチドであるプロモーターを含み、プロモーターは、配列番号12と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。場合により、転写調節エレメントは、長さが180~255のヌクレオチドであるプロモーターを含み、プロモーターは、配列番号12と、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。場合により、ポリヌクレオチドは、少なくとも100、少なくとも120、又は少なくとも150の配列番号12の断片と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一であるプロモーターを含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号12と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一であるプロモーターを含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号12と、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一であるプロモーターを含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号12のプロモーターを含む。場合により、転写調節エレメントは、長さが418ヌクレオチド以下、255ヌクレオチド以下、又は185ヌクレオチド以下であるA1ATプロモーターの断片を含み、且つ配列番号12を含む。
【0083】
別の実施形態において、転写調節エレメントは、長さが少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、500未満、200~500、250~500、350~450、又は約418のヌクレオチドであるプロモーターを含み、プロモーターは、配列番号15と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一であるポリヌクレオチド配列を含む。場合により、転写調節エレメントは、長さが350~450のヌクレオチドであるプロモーターを含み、プロモーターは、配列番号15と、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%が同一であるポリヌクレオチド配列を含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号15の少なくとも350ヌクレオチドの断片と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一であるプロモーターを含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号15と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一であるプロモーターを含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号15と少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一であるプロモーターを含む。場合により、ポリヌクレオチドは、配列番号15のプロモーターを含む。
【0084】
ポリヌクレオチドが肝臓における発現を目的としている場合、プロモーターは肝臓特異的プロモーターであり得る。場合により、プロモーターはヒト肝臓特異的プロモーターである。
【0085】
「肝臓特異的プロモーター」は、一般に、他の細胞と比較して、肝細胞においてより高いレベルの発現を提供するプロモーターである。例えば、当業者は、肝細胞(Huh-7細胞等)におけるポリヌクレオチドの発現を、他の組織からの細胞における該ポリヌクレオチドの発現と比較することによって、プロモーターが肝臓特異的プロモーターであるか否かを決定できる。他の組織からの細胞と比較して、肝細胞において発現レベルが高い場合、プロモーターは肝臓特異的プロモーターである。場合により、転写調節エレメント又はプロモーターは、それが、他の少なくとも1の器官又は組織からの細胞と比較して肝細胞においてより高いレベルのタンパク質発現を促進し、転写調節エレメント又はプロモーターが、他の少なくとも1の器官又は組織からの細胞において、転写調節エレメント又はプロモーターが肝細胞においてタンパク質発現を促進するレベルの、40%未満、30%未満、25%未満、15%未満、10%未満、又は5%未満のレベルでタンパク質発現を促進する場合、肝臓特異的である。場合により、他の少なくとも1の器官又は組織からの細胞は、腎臓細胞、膵臓細胞、乳房細胞、神経芽細胞腫細胞、肺細胞、及び初期B細胞のうちの少なくとも1である。場合により、他の少なくとも1の器官又は組織からの細胞は、腎臓細胞、膵臓細胞、乳房細胞、神経芽細胞腫細胞、肺細胞、及び初期B細胞である。場合により、他の少なくとも1の器官又は組織からの細胞は、HEK293T細胞、PANC1細胞、BxPC-3細胞、MCF7細胞、1643細胞、MRC-9細胞、及び697細胞のうちの少なくとも1である。場合により、他の少なくとも1の器官又は組織からの細胞は、HEK293T細胞、PANC1細胞、BxPC-3細胞、MCF7細胞、1643細胞、MRC-9細胞、及び697細胞である。
【0086】
一実施形態においては、本発明のポリヌクレオチドは、肝臓で特異的に発現するGCaseを提供し得る。かかる例においては、ポリヌクレオチドは、他の少なくとも1の組織の種類又は器官中よりも、肝細胞において実質的により多くのGCase発現を促進し得る。一例においては、肝臓において特異的に発現するGCaseを提供する本発明のポリヌクレオチドは、肝臓特異的プロモーターを含む。
【0087】
場合により、本発明のポリヌクレオチドは、他の少なくとも1の器官又は組織からの細胞と比較して、GCaseが、同一アッセイで測定される場合、肝細胞におけるGCase発現レベルの40%未満、30%未満、25%未満、15%未満、10%未満、又は5%未満のレベルで、他の1の器官又は組織において発現するように、肝細胞においてより高いレベルで発現する、GCaseを提供し得る。
【0088】
場合により、他の少なくとも1の器官又は組織からの細胞は、腎臓細胞、膵臓細胞、乳房細胞、神経芽細胞腫細胞、肺細胞、及び初期B細胞のうちの少なくとも1である。場合により、他の少なくとも1の器官又は組織からの細胞は、腎臓細胞、膵臓細胞、乳房細胞、神経芽細胞腫細胞、肺細胞、及び初期B細胞である。場合により、他の少なくとも1の器官又は組織からの細胞は、HEK293T細胞、PANC1細胞、BxPC-3細胞、MCF7細胞、1643細胞、MRC-9細胞、及び697細胞のうちの少なくとも1である。場合により、他の少なくとも1の器官又は組織からの細胞は、HEK293T細胞、PANC1細胞、BxPC-3細胞、MCF7細胞、1643細胞、MRC-9細胞、及び697細胞である。
【0089】
ポリヌクレオチドを含むウイルス粒子
本発明は更に、本発明のポリヌクレオチドを含む組換えゲノムを含むウイルス粒子を提供する。本発明の目的のために、用語「ウイルス粒子」は、ビリオンの全部又は一部を指す。例えば、ウイルス粒子は組換えゲノムを含み、更にキャプシドを含み得る。ウイルス粒子は、遺伝子治療ベクターであり得る。本明細書中、用語「ウイルス粒子」及び「ベクター」は交換可能に用いられる。本出願の目的のために、「遺伝子治療」ベクターは、遺伝子治療で用いられ得るウイルス粒子、即ち、投与後の宿主細胞において、GBAヌクレオチド配列等の導入遺伝子を発現するために必要なすべての機能的要素を含むウイルス粒子である。
【0090】
好適なウイルス粒子としては、パルボウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、又は単純ヘルペスウイルスが挙げられる。パルボウイルスは、アデノ随伴ウイルス(AAV)であり得る。ウイルス粒子は、好ましくは、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター又はレンチウイルスベクターである。より好ましくは、ウイルス粒子はAAVウイルス粒子である。用語、AAV及びrAAVは、文脈で明らかにそうでないと示唆されない限り、本明細書中、交換可能に用いられる。
【0091】
すべての既知のAAV血清型のゲノム構成は非常に似ている。AAVのゲノムは、長さが約5,000ヌクレオチド未満の線状の一本鎖DNA分子である。逆方向末端反復配列(ITR)は、非構造的な複製(Rep)タンパク質及び構造(VP)タンパク質についての特有のコードヌクレオチド配列に隣接する。VPタンパク質(VP1、-2、及び-3)がキャプシドを形成する。末端の約145nt(ITR)は自己相補的であり、T字型ヘアピンを形成するエネルギー的に安定な分子内二重鎖が形成され得るように構成されている。これらのヘアピン構造は、ウイルスDNA複製の起点として機能し、細胞のDNAポリメラーゼ複合体のためのプライマーとして機能する。哺乳動物細胞における野生型(wt)AAV感染に続いて、Rep遺伝子(即ち、Rep78及びRep52タンパク質をコードする)は、それぞれP5プロモーター及びP19プロモーターから発現し、両方のRepタンパク質はウイルスゲノムの複製における機能を有する。Rep ORFにおけるスプライシングイベントにより、4のRepタンパク質(即ち、Rep78、Rep68、Rep52、及びRep40)の発現がもたらされる。しかし、哺乳動物細胞においては、Rep78及びRep52タンパク質をコードする、スプライシングされていないmRNAが、AAVベクターの産生に十分であることが示されている。また、昆虫細胞においては、Rep78及びRep52タンパク質が、AAVベクターの産生に十分である。
【0092】
本発明の組換えウイルスゲノムは、ITRを含み得る。本発明のAAVベクターは1のITRのみで機能することが可能である。従って、ウイルスゲノムは少なくとも1のITRを含むが、より典型的には2のITRを含む(一般的に、ウイルスゲノムのいずれの端にも1、つまり5’末端に1、及び3’末端に1)。本発明のポリヌクレオチドと1以上のITRとの間に介在配列があり得る。ポリヌクレオチドは、正規の2のITRの間に位置するか、又は2のD領域で改変されたITRのいずれかの側に位置して、ウイルス粒子に組み込まれ得る。
【0093】
本発明において、AAVベクターの産生のために使用され得るAAV配列は、任意のAAV血清型のゲノムに由来し得る。一般的に、AAV血清型は、アミノ酸及び核酸レベルで有意な相同性のゲノム配列を有し、同一の一式の遺伝的機能を提供し、実質的に物理的及び機能的に同等のビリオンを生成し、実質的に同一のメカニズムによって複製及び集合する。さまざまなAAV血清型のゲノム配列及びゲノム類似性の概要については、例えば、GenBankアクセッション番号U89790;GenBankアクセッション番号J01901;GenBankアクセッション番号AF043303;GenBankアクセッション番号AF085716;Chiorini et al,1997;Srivastava et al,1983;Chiorini et al,1999;Rutledge et al,1998;及びWu et al,2000を参照。本発明においては、AAV血清型1、2、3、3B、4、5、6、7、8、9、10、11又は12が用いられ得る。AAV血清型由来の配列は、遺伝子治療ベクターの作製に用いられる場合に変異又は操作され得る。
【0094】
場合により、AAVベクターは、AAV1、AAV2、AAV4及び/又はAAV6に由来するITR配列を含む。好ましくは、ITR配列はAAV2 ITR配列である。本明細書において、用語、AAVx/yは、AAVxからの少なくともITR、(ここで、xは、AAV血清型番号)及びAAVyからの少なくともキャプシド(ここで、yは、同一か又は異なる血清型の番号)等のゲノム成分を含むウイルス粒子を指す。例えば、AAV2/8ベクターは、ITRを含む、AAV2株に由来するウイルスゲノムの一部分、及びAAV8株に由来するキャプシドを含み得る。
【0095】
一実施形態においては、ウイルス粒子は、キャプシドを含むAAVウイルス粒子である。AAVキャプシドは、一般的には、VP1、VP2、VP3の3タンパク質から形成される。VP1のアミノ酸配列はVP2の配列を含む。VP2の一部を形成しないVP1の一部分は、VP1unique又はVP1Uと称される。VP2のアミノ酸配列はVP3の配列を含む。VP3の一部を形成しないVP2の一部分は、VP2unique又はVP2Uと称される。場合により、ウイルス粒子は、肝臓指向性又はCNS指向性のキャプシドを含む。ウイルス粒子(キャプシド)が特定の組織に指向性であるか否かは、例えば、ルシフェラーゼ等のマーカー遺伝子を発現するかかる粒子を投与し、複数の時点でインビボで画像化することによって評価され得る(例えば、Zincarelli et al(2008).,Molecular Therapy,16:1073-1080に記載の通りに)。特に他の組織での発現が少ないのとは対照的に、肝臓又はCNS組織でそれぞれ強いマーカー発現をドライブする粒子は、肝臓又はCNS指向性であると見なされる。
【0096】
いくつかの実施形態においては、肝臓指向性キャプシドは、AAV3又はAAV3B由来のキャプシドであり得る。場合により、肝臓指向性キャプシドは、配列番号19、20又は24の少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、600~736、650~736、又は700~736のアミノ酸の断片と、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%同一の配列を含む。場合により、肝臓指向性キャプシドは、配列番号19と、少なくとも99%同一の配列を含む。場合により、肝臓指向性キャプシドは、配列番号20と、少なくとも99%同一の配列を含む。場合により、肝臓指向性キャプシドは、配列番号24と、少なくとも99%同一の配列を含む。場合により、CNS指向性キャプシドは、配列番号21の少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、600~736、650~736、又は700~736のアミノ酸の断片と、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%同一の配列を含む。場合により、CNS指向性キャプシドは、配列番号21と少なくとも99%同一の配列を含む。本発明のウイルス粒子は、ウイルスITR及びウイルスキャプシドが、異なるAAV血清型等の異なるパルボウイルスに由来する「ハイブリッド」粒子であり得る。好ましくは、ウイルスITR及びキャプシドは、AAVの異なる血清型に由来し、その場合、かかるウイルス粒子は、トランスキャプシド化又は偽型化として知られる。同様に、パルボウイルスは、「キメラ」キャプシド(例、異なるパルボウイルス、好ましくは異なるAAV血清型由来の配列を含有する)又は「標的化」キャプシド(例、指向性)を有し得る。
【0097】
いくつかの実施形態においては、組換えAAVゲノムは、機能的末端分離部位(TRS)を含む完全なITRを含む。かかるAAVゲノムは、1又は2の分離可能なITR、つまり、部位特異的なニッキングが発生して、DNAポリメラーゼがITRを巻き戻し、複製するための基質として機能できる遊離の3’ヒドロキシル基を作製できる機能的TRSを含有するITRを含有し得る。好ましくは、組換えゲノムは一本鎖である(即ち、それは一本鎖形態でウイルス粒子にパッケージングされる)。場合により、組換えゲノムは、自己相補的構成でパッケージングされず、即ち、ゲノムは、ウイルス粒子内でアニーリングする実質的な自己相補的部分を有する、単一の、共有結合的に連結されたポリヌクレオチド鎖を含まない。代替的に、組換えゲノムは「単量体二重鎖」形態でパッケージングされ得る。「単量体二重鎖」は、WO2011/122950に記載されている。ゲノムは、ウイルス粒子内でアニーリングする2の実質的に相補的であるが、非共有結合的に連結されたポリヌクレオチドとしてパッケージングされ得る。
【0098】
ウイルス粒子は、ポリA配列を更に含み得る。ポリA配列は、機能的なGCaseタンパク質をコードするヌクレオチド配列の下流に位置し得る。ポリA配列は、ウシ成長ホルモンポリA配列(bGHpA-配列番号23)であり得る。ポリA配列は、長さが250~270のヌクレオチドであり得る。
【0099】
ウイルス粒子は、ウイルスイントロン配列等のイントロン配列、場合によりSV40イントロン配列(配列番号22)を更に含み得る。
【0100】
一実施形態においては、ウイルス粒子は、プロモーターエレメントを含むポリヌクレオチド配列、SV40イントロン配列等のイントロン配列、GBAヌクレオチド配列、及びbGHpA配列等のポリA配列を含む。かかる実施形態においては、SV40イントロン配列等のイントロン配列は、プロモーターエレメントとGBAヌクレオチド配列との間に位置し得る。かかる実施形態においては、bGHpA配列等のポリA配列は、GBAヌクレオチド配列の下流に位置し得る。
【0101】
本発明のウイルス粒子は、場合により、宿主細胞においてGCaseを高度に発現する。例えば、Huh-7細胞における形質導入において、本発明のウイルス粒子は、Huh-7細胞の同等の集団に同等の量で形質導入された、配列番号9のGBAヌクレオチド配列を含み、他の点では同一のウイルス粒子と比較して、より高いレベルでGCaseタンパク質又はその断片を発現する。場合により、本発明のウイルス粒子は、Huh-7細胞の集団への形質導入後、配列番号9のGBAヌクレオチド配列及び配列番号10の転写調節エレメント又は配列番号12のプロモーターを含むウイルス粒子よりも高いレベルでGCaseタンパク質を発現する。場合により、本発明のウイルス粒子は、Huh-7細胞の集団への形質導入後、Huh-7細胞の同等の集団に同等の量で形質導入された、配列番号9のGBAヌクレオチド配列及び配列番号10の転写調節エレメント又は配列番号12のプロモーター配列を含む同等のウイルス粒子よりも、高いレベルでGCaseタンパク質を発現する。場合により、ウイルス粒子は、Huh-7細胞の集団への形質導入後、Huh-7細胞の同等の集団に同等の量で形質導入された、配列番号9のGBAヌクレオチド配列及び配列番号13のプロモーターエレメントを含むウイルス粒子と同等のレベル(即ち、統計的有意差なしのレベル)でGCaseタンパク質を発現する。かかる実施形態においては、用語「同等のウイルス粒子」は、該同等のウイルス粒子が異なるGBAヌクレオチド配列及び異なる転写調節エレメントを含むことを除いて、本発明のAAVウイルス粒子と同一のウイルス粒子を指す。場合により、同等のウイルス粒子は、本発明のAAVウイルス粒子と同一の転写調節エレメントを含む。場合により、活性は、上記の蛍光測定アッセイ等の発色アッセイを用いて評価される。
【0102】
一実施形態においては、ポリヌクレオチド配列を含むウイルス粒子であって、該ポリヌクレオチド配列が:
a)配列番号5と、少なくとも98%の配列同一性を有するGBAヌクレオチド配列であって
b)配列番号14と、少なくとも98%の配列同一性を有する転写調節配列;
に作動可能に連結されている配列:
を含み、ウイルス粒子が、配列番号20と、少なくとも98%の同一性を有するキャプシドを更に含む、
ウイルス粒子が提供される。
【0103】
一実施形態においては、ポリヌクレオチド配列を含むウイルス粒子であって、該ポリヌクレオチド配列が:
a)配列番号5と、少なくとも98%の配列同一性を有するGBAヌクレオチド配列であって
b)配列番号10と、少なくとも98%の配列同一性を有する転写調節配列;
に作動可能に連結されている配列:
を含み、ウイルス粒子が、配列番号20と、少なくとも98%の同一性を有するキャプシドを更に含む。
ウイルス粒子が提供される。
【0104】
組成物、方法及び使用
本発明の更なる態様において、本発明のポリヌクレオチド又はベクター/ウイルス粒子及び医薬的に許容される賦形剤を含む組成物が提供される。
【0105】
医薬的に許容される賦形剤は、担体、希釈剤及び/又は他の医薬品(medicinal agent)、医薬品(pharmaceutical agent)又は補助剤等を含み得る。場合により、医薬的に許容される賦形剤は、生理食塩水を含む。場合により、医薬的に許容される賦形剤は、ヒト血清アルブミンを含む。
【0106】
本発明は更に、被験体においてGBAヌクレオチド配列を発現させ、且つ安定なGCase活性を達成する、及び/又はGCase酵素補充療法からの生物学的利用能と比較して被験体においてより高いGCaseの生物学的利用能を提供する、方法であって、生物学的利用能が、投与から2週間の期間に亘って測定され、該方法が、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の被験体への投与を含む、方法を提供する。
【0107】
本発明は更に、治療方法における使用のための本発明のポリヌクレオチド、ベクター/ウイルス粒子又は組成物を提供する。場合により、治療方法は、有効量の本発明のポリヌクレオチド又はベクター/ウイルス粒子を患者に投与することを含む。
【0108】
本発明は更に、有効量の本発明のポリヌクレオチド又はベクター/ウイルス粒子を患者に投与することを含む治療方法を提供する。
【0109】
本発明は更に、治療方法における使用のための医薬の製造における、本発明のポリヌクレオチド、ベクター/ウイルス粒子又は組成物の使用を提供する。場合により、治療方法は、有効量の本発明のポリヌクレオチド又はベクター/ウイルス粒子を患者に投与することを含む。場合により、治療方法は遺伝子治療である。「遺伝子治療」は、それが投与される宿主において導入遺伝子(GBAヌクレオチド配列等)を発現できる本発明のベクター/ウイルス粒子を投与することを含む。
【0110】
場合により、治療方法は、GCase欠損に関連する疾患を治療する方法である。上記の通り、GCase欠損は、多くの重要な臓器に浸潤し、シヌクレオパチー(synucleopathy)(WO08/144591中に記載)又はパーキンソン病等のさまざまな疾患を引き起こし得る、マクロファージ中のグルコセレブロシドの蓄積をもたらす。場合により、治療方法は、パーキンソン病又はシヌクレオパチーを治療する方法である。
【0111】
場合により、治療方法は、ゴーシェ病(GD)、例えば、GD I型、II型又はIII型等のリソソーム蓄積障害を治療する方法である。好ましくは、リソソーム蓄積障害は、打撲傷、倦怠感、貧血、血小板数の低下、及び肝臓及び脾臓の肥大を特徴とする。場合により、治療方法は、GD、例えば、GD I型を治療する方法である。いくつかの実施形態においては、患者は、GD、例えば、GD I型に罹患している患者である。場合により、患者は、患者が以前に酵素補充療法の一部として処置されている組換えGCaseに対する抗体又は阻害剤(例えば、イミグルセラーゼ、ベラグルセラーゼアルファ又はタリグルセラーゼアルファ)を有する。場合により、ポリヌクレオチド及び/又はベクター/ウイルス粒子は静脈内投与される。場合により、ポリヌクレオチド及び/又はベクター/ウイルス粒子は、患者への一度だけの投与(即ち、単回投与)用である。
【0112】
上記の方法でGDを「治療」する場合、これは、GD I型の1以上の症状が改善されることを意味する。GD I型の症状が完全に治療され、それがもはや患者に存在しないことを意味しないが、一部の方法ではこれが当てはまる場合がある。従って、すべての場合において、用語「治療」は用語「改善」に置き換えられ得る。治療方法は、治療前よりも重症度が低いGD I型の1以上の症状をもたらす場合がある。場合により、治療方法は、投与前の状況と比較して、患者の血液中の循環GCaseの量/濃度、並びに/又は患者のある特定の量の血液及び/若しくはマクロファージ内で検出可能なGCase活性の全体的なレベルの増大をもたらす。一実施形態においては、治療方法は、投与前の状況と比較して、ヘモグロビン濃度の増大;血小板数の増大;脾臓サイズの減少;肝臓サイズの減少のうちの1以上をもたらす。
【0113】
更に、本発明の方法は、ゴーシェ病等の疾患を「予防」し得る。ゴーシェ病は一般に様々な組織におけるグルコセレブロシダーゼの蓄積と関連しており、本発明の方法が若い被験体(ティーンエイジャー、若年成人、子供又は乳児等)に実施される場合、ゴーシェ病の罹患を防ぐことが可能であるはずである。従って、すべての場合において、用語「治療」は、用語「予防」に置き換えられ得る。
【0114】
「治療有効量」は、投与量で、及び必要な期間の間に(機能的GCase産生を、GD、例えば、GD I型の症状を改善するのに十分なレベルでもたらすために)被験体における機能的GCaseのレベルを上げる等の所望の治療結果を達成するために有効な量を指す。
【0115】
場合により、ベクター/ウイルス粒子は、患者の体重1kgあたり1x1011未満の、1x1012未満の、5x1012未満の、2x1012未満の、1.5x1012未満の、3x1012未満の、1x1013未満の、2x1013未満の、又は3x1013未満のベクターゲノムの用量で投与される。場合により、投与されるベクター/ウイルス粒子の用量は、被験体が、GDに罹患していない健常被験体のレベルの10%~90%、20%~80%、30%~70%、25%~50%、20%~150%、30%~140%、40%~130%、50%~120%、60%~110%又は70%~100%のレベルでGCaseを発現するように選択される。
【0116】
場合により、ポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物を投与された患者は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8又は少なくとも9μmol/時間/mlのGCase活性レベルを有し得る。場合により、GCase活性は、GCaseに特異的な蛍光基質を用いて測定される。場合により、GCase活性は、4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルコピラノシド(4MU-Glc)を基質として蛍光測定で測定される。場合により、GCase活性は、被験体の血清、血漿、マクロファージ、脾臓、肝臓、及び/又は骨髄において測定される。
【0117】
一実施形態においては、GCase活性は、基質として4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルコピラノシド(4MU-Glc)を用いて、蛍光測定で、以下:(1)血清試料が採取されるか、又は組織(肝臓、脾臓、骨髄)が回収され、急速冷凍及び溶解される;(2)組織溶解物又は血清/血漿試料を50mMクエン酸ナトリウム、25mMタウロコール酸、pH=5.75、6mM 4MU-Glcで、37℃で30分間混合する;(3)1体積(100μl)の停止溶液(0.5Mグリシン、0.3M NaOH、pH10.0)を加えることにより、反応を停止する;(4)相対蛍光レベル(RFU)は、それぞれ365nmと445nmの励起波長及び発光波長を用いてSpectramax I3X(Molecular devices)で評価され、次いで、蛍光レベルは4-メチルウンベリフェロン(4-MU、Sigma-Aldrich)標準曲線に基づいてナノモル/時間/mLに変換された。
【0118】
場合により、ポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物を投与された患者は、投与後の同一時点で同一アッセイで測定された場合で、有効用量のGCase酵素補充療法を施された被験体で測定された活性と比較した場合、投与後少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、又は少なくとも35週間でより高いGCase活性レベルを有し得る。場合により、ポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物を投与された患者は、投与後の同一時点で同一アッセイで測定された場合で、有効用量のGCase酵素補充療法を施された被験者で測定された活性と比較した場合、投与後少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、又は少なくとも35週間で、10倍、20倍、50倍、100倍又は1000倍、高いGCase活性レベルを有し得る。
【0119】
場合により、投与されるベクター/ウイルス粒子の用量は、GCase酵素補充療法からの生物学的利用能と比較した場合、被験体に対するGCaseの生物学的利用能がより高いように選択される。生物学的利用能は、当該技術分野における任意の既知の方法を介して測定(例、推定又は算出)され得る。GCaseの生物学的利用能は、被験体の血清、マクロファージ、脾臓、肝臓、及び/又は骨髄において測定され得る。一例においては、生物学的利用能は、実施例8による曲線下面積(「AUC」)法を用いて推定され得る。一例においては、生物学的利用能は、被験体の血清、血漿、マクロファージ、脾臓、肝臓及び/又は骨髄において入手できるトータルGCase活性を推定することにより推定され得る。場合により、それは定義された期間にわたって算出され、その期間中のGCaseのトータル活性又は濃度を指す。場合により、GCase活性は、GCaseに特異的な蛍光基質を用いて測定される。場合により、GCase活性は、4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルコピラノシド(4MU-Glc)を基質として蛍光測定で測定される。場合により、GCase活性は、被験体の血清、血漿、マクロファージ、脾臓、肝臓、及び/又は骨髄において測定され得る。
【0120】
場合により、GCase活性は被験体の白血球において測定される。場合により、生物学的利用能は投与から2週間の期間にわたって測定される。場合により、生物学的利用能は投与から5週間の期間にわたって測定される。場合により、生物学的利用能は血清中で測定される。一例においては、被験体におけるより高いGCaseの生物学的利用能は、投与後の同一時点で同一アッセイで測定される場合で、有効用量のGCase酵素補充療法を施された被験体で測定された生物学的利用能と比較した場合、投与後少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、又は少なくとも35週間の期間にわたって達成される。
【0121】
場合により、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物を投与された患者(例えば、GCase欠損に関連する疾患又は状態に罹患している患者)では、投与後、好ましくは投与後6週間、8週間、10週間、又は12週間でヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルが測定される時、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルが低下し得る。ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルは、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の投与時の(出発)ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルと比較した場合、1/2以上、1/3以上、1/4以上、1/5以上、1/6以上か、1/2~1/3、1/2~1/4、1/2~1/5、1/2~1/6、又は1/3~1/5に、低下している場合がある。例えば、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の投与後(例えば、投与後6週間、8週間、10週間又は12週間)、患者におけるヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルは、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の投与時の(開始)ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルと比較した場合、50%以下、40%以下、30%以下、25%以下、20%以下であり得る。場合により、患者は、健常被験体又はGCase欠損に関連する疾患又は状態を有さない被験体と比較した場合に、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルが増大している場合がある。例えば、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルは、患者/被験体の脾臓、肝臓及び/又は骨髄において測定される。ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルは、患者/被験体の血清及び/又は白血球(例、マクロファージ)において測定され得る。ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルを測定する方法は当該技術分野で公知であり、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンのレベルは、好ましくは、質量分析(LC/MS分析)を用いて、例えば実施例9に記載の方法によって測定される。場合により、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベル(例えば、患者/被験体の血清、白血球(例、マクロファージ)、脾臓、肝臓、及び/又は骨髄中)の低下は、好ましくは、治療開始後、少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、又は少なくとも12週間後にヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルが測定される場合、GCase酵素補充療法から達成される低下よりも甚だしい。例えば、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の投与から少なくとも6週間(例、6週間)、少なくとも8週間(例、8週間)、少なくとも10週間(例、10週間)、又は少なくとも12週間(例、12週間)後のレベルは、GCase酵素補充療法の最初の実施からそれぞれ少なくとも6週間(例、6週間)、少なくとも8週間(例、8週間)、少なくとも10週間(例、10週間)、又は少なくとも12週間(例、12週間)後のレベルと比較され得る。特定の例として、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルは、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の投与後少なくとも12週間(例、12週間)後に測定され、GCase酵素補充療法の最初の実施後少なくとも12週間(例、12週間)に測定されたレベルと比較され得る。好ましくは、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンのレベルは、投与後の同一時点で同一アッセイで測定される。場合により、GCase酵素補充療法は、2週間ごとに実施され得る。場合により、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の投与後の被験体(又は患者)におけるヘキソシルセラミドレベルは、該ヘキソシルセラミドレベル(例えば、血清、白血球(例、マクロファージ)、肝臓及び/又は脾臓中)が、健常被験体又はGCase欠損に関連する疾患又は状態に罹患していない被験体において測定されたヘキソシルセラミドレベルの、200%、150%、又は125%以下であるように低下する。一例においては、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルの低下は、それぞれ、グルコシルセラミド及び/又はグルコシルスフィンゴシンレベルの低下を表し得る。例えば、ヘキソシルセラミドの低下は、グルコシルセラミドの低下を表し得る。更なる例として、ヘキソシルスフィンゴシンレベルの低下は、グルコシルスフィンゴシンレベルの低下を表し得る。
【0122】
一例においては、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルの低下は、それぞれ、グルコシルセラミド及び/又はグルコシルスフィンゴシンの低下である。言い換えれば、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物を投与された患者(例えば、GCase欠損に関連する疾患又は状態に罹患している患者)は、好ましくは、投与後、グルコシルセラミド及び/又はグルコシルスフィンゴシンレベルが、6週間、8週間、10週間、又は12週間で測定される場合、投与後、グルコシルセラミド及び/又はグルコシルスフィンゴシンレベルが低下している場合がある。グルコシルセラミド及び/又はグルコシルスフィンゴシンレベルは、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の投与時の(出発)グルコシルセラミド及び/又はグルコシルスフィンゴシンレベルと比較した場合、1/2以上、1/3以上、1/4以上、1/5以上、1/6以上か、1/2~1/3、1/2~1/4、1/2~1/5、1/2~1/6、又は1/3~1/5に、低下している場合がある。例えば、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の投与後(例えば、投与後6週間、8週間、10週間又は12週間)、患者におけるグルコシルセラミド及び/又はグルコシルスフィンゴシンレベルは、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の投与時の(出発)グルコシルセラミド及び/又はグルコシルスフィンゴシンレベルと比較した場合、50%以下、40%以下、30%以下、25%以下、20%以下であり得る。場合により、患者は、健常被験体又はGCase欠損に関連する疾患又は状態を有さない被験体と比較した場合に、グルコシルセラミド及び/又はグルコシルスフィンゴシンレベルが増大している可能性がある。例えば、グルコシルセラミド及び/又はグルコシルスフィンゴシンレベルは、患者/被験体の脾臓、肝臓及び/又は骨髄において測定される。グルコシルセラミド及び/又はグルコシルスフィンゴシンレベルは、患者/被験体の血清及び/又は白血球(例、マクロファージ)において測定され得る。グルコシルセラミド及び/又はグルコシルスフィンゴシンレベルを測定する方法は当該技術分野において公知であり、グルコシルセラミド及び/又はグルコシルスフィンゴシンのレベルは、好ましくは、質量分析(LC/MS分析)を用いて、例えば実施例9に記載の方法によって測定される。場合により、グルコシルセラミド及び/又はグルコシルスフィンゴシンレベル(例えば、患者/被験体の血清、白血球(例、マクロファージ)、脾臓、肝臓、及び/又は骨髄中)の低下は、好ましくは、グルコシルセラミド及び/又はグルコシルスフィンゴシンレベルが、治療開始後少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、又は少なくとも12週間後に測定される場合、GCase酵素補充療法から達成される低下よりも甚だしい。例えば、発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の投与から少なくとも6週間(例、6週間)、少なくとも8週間(例、8週間)、少なくとも10週間(例、10週間)、又は少なくとも12週間(例えば、12週間)後のレベルは、GCase酵素補充療法の最初の実施からそれぞれ少なくとも6週間(例、6週間)、少なくとも8週間(例、8週間)、少なくとも10週間(例、10週間)、又は少なくとも12週間(例、12週間)後のレベルと比較され得る。特定の例として、グルコシルセラミド及び/又はグルコシルスフィンゴシンレベルは、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の投与後少なくとも12週間(例、12週間)後に測定され、GCase酵素補充療法の最初の実施後少なくとも12週間(例、12週間)で測定されたレベルと比較され得る。好ましくは、グルコシルセラミド及び/又はグルコシルスフィンゴシンのレベルは、投与後の同一時点で同一アッセイで測定される。場合により、GCase酵素補充療法は、2週間ごとに実施され得る。場合により、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の投与後の被験体(又は患者)におけるグルコシルセラミドレベルは、該グルコシルセラミドレベル(例えば、血清、白血球(例、マクロファージ)、肝臓及び/又は脾臓中)が、健常被験体又はGCase欠損に関連する疾患又は状態に罹患していない被験体で測定されたグルコシルセラミドレベルの、200%、150%、又は125%以下であるように低下する。
【0123】
場合により、本発明のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物を投与された患者(例えば、GCase欠損に関連する疾患又は状態に罹患している患者)は、好ましくは、細胞が投与後少なくとも6週間(例、6週間)、少なくとも8週間(例、8週間)、少なくとも10週間(例、10週間)、又は少なくとも12週間(例、12週間)後に係数される場合、投与後に肝臓における貯蔵細胞及び/又は活性化マクロファージの数の低下を示し得る。肝臓における貯蔵細胞及び/又は活性化マクロファージの数の低下は、炎症の低下、従って治療上の利益の兆候であり得る。活性化されたマクロファージの数は、CD68陽性細胞の数を測定することによって示されるか、又は推定され得る。貯蔵細胞及びCD68陽性細胞の同定は、当技術分野で知られている方法、例えば、実施例9に記載の方法によって行われ得る。
【0124】
「GCase酵素補充療法」は、被験体へのGCaseポリペプチドの投与を含む任意の療法を指し得る。GCaseポリペプチドは、配列番号25のアミノ酸配列を有するGCaseポリペプチド等の野生型であり得る。GCaseポリペプチドは、任意の好適な用量で、場合により40~100、50~80、60~70、又は約60U/kg体重の用量で投与され得る。GCaseポリペプチドは、任意の適切な経路、場合により静脈内注射又は皮下注射を介して、投与され得る。
【0125】
少なくともX%(例、少なくとも20%)のGCase活性レベルは、例えば、脾臓又は骨髄の試料から測定された通常のGCaseレベルの範囲の少なくともX%(例、20%)であるGCase活性レベルを指す。当業者は、健常被験体からの対照試料との比較により、通常の臨床診療において決定される、正常なGCase活性レベルの%への言及によって何が意味されるかを容易に理解するであろう。
【0126】
用語「安定したGCase活性」又は「安定したGCase活性レベル」は、少なくとも5週間の連続期間にわたって特定のレベル以上で持続するGCase活性レベルを指す。言い換えれば、活性は、上記の活性レベルを超えて変動する可能性があるが、規定された最小閾値を超えている限り、依然として安定していると言われる。いくつかの実施形態においては、GCase活性レベルは、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、又は少なくとも50週間の連続期間に、特定のレベル以上で持続する。例えば、活性レベルが少なくとも5週間の連続期間にわたって少なくとも20%で持続する場合、患者は少なくとも20%の安定したGCase活性レベルを有する。かかる例においては、GCase活性レベルは、少なくとも5週間後に少なくとも20%であり続ける可能性があり、従って、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30又は少なくとも40、又は少なくとも50週間の累積連続期間にわたって少なくとも20%で持続する。GCase活性レベルが少なくとも5週間の連続期間にわたって特定のレベル以上で持続する場合、患者は安定したGCase活性レベルを有する。場合により、ポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物が投与された患者は、健常被験体のGCase活性と比較して、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%又は少なくとも50%の安定したGCase活性レベルを有し得る。場合により、ポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物が投与された患者は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8又は少なくとも9μmol/時間/mlの安定したGCase活性レベルを有し得る。場合により、GCase活性は、GCaseに特異的な蛍光基質を用いて測定される。場合により、GCase活性は、4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルコピラノシド(4MU-Glc)を基質として蛍光測定で測定される。場合により、GCase活性は、被験体の血清、マクロファージ、脾臓、肝臓、及び/又は骨髄において測定される。
【0127】
場合により、GCase活性レベルは、ポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の投与から少なくとも5週間、少なくとも10週間、少なくとも15週間、少なくとも20週間、少なくとも30週間、少なくとも40週間、又は少なくとも50週間後に安定である。例えば、患者がポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物を投与される時から少なくとも5週間後に患者が少なくとも20%の安定したGCase活性レベルを有する場合、投与から最初の少なくとも5週間後、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30又は少なくとも40、又は少なくとも50週間の連続期間にわたって、少なくとも20%で持続する少なくとも20%のGCase活性レベルが存在する。
【0128】
場合により、GCase活性レベルは、ポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の投与後、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも4、又は少なくとも50週間の時点で、特定のレベル(例えば、20%、25%、30%、35%、若しくは40%;及び/又は少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8又は少なくとも9μmol/時間/ml)以上である。例えば、GCase活性レベルは、ポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の投与後、約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51又は52週間の時点で、特定のレベル(例、20%、25%、30%、35%、若しくは40%;及び/又は少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、又は少なくとも9μmol/時間/ml)以上である。
【0129】
これより、本発明を、以下の実施例を参照して説明するが、これらは単に例示的なものであり、決して本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【0130】
【0131】
本発明の態様
本発明を、以下の態様において更に説明する。
1.GBAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、該GBAヌクレオチド配列がβ-グルコセレブロシダーゼ(GCase)タンパク質又はその断片をコードし、GBAヌクレオチド配列の少なくとも一部分が野生型ではない、ポリヌクレオチド。
2.野生型ではないGBAヌクレオチド配列の一部分が、コドンが最適化されている、態様1のポリヌクレオチド。
3.GBAヌクレオチド配列がGCaseタンパク質又はその断片をコードし、配列番号1~8のいずれか1のヌクレオチド配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一である配列を含む、態様1又は2のポリヌクレオチド。
4.GBAヌクレオチド配列が、GCase活性を有するGCaseタンパク質をコードする配列番号1又は配列番号1の変異体配列を含む、態様1~3のいずれか1のポリヌクレオチド。
5.配列番号1の変異体が、それが、GCaseタンパク質が配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、又は最大10のアミノ酸置換を有するようにヌクレオチド置換を含むことを除いて、配列番号1と同一である、態様4のポリヌクレオチド。
6.配列番号1の変異体が、配列番号1の配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、最大10、最大20、又は最大30のヌクレオチド置換を有する、態様1又は2のポリヌクレオチド。
7.配列番号1の変異体が、配列番号1の配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、又は最大6のヌクレオチド置換を有する、態様4~6のいずれか1のポリヌクレオチド。
8.配列番号1の変異体が、配列番号1の配列と比較して、最大4のヌクレオチド置換を有し、及び/又は配列番号25の野生型アミノ酸GCase配列と比較して、最大3のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする、態様4~7のいずれか1のポリヌクレオチド。
9.配列番号1の変異体が、配列番号1の配列と比較して、最大3のヌクレオチド置換を有し、及び/又は配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大2のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする、態様4~8のいずれか1のポリヌクレオチド。
10.配列番号1の変異体が、配列番号1の配列と比較して、1のヌクレオチド置換を有し、及び/又は配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大1のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする、態様4~9のいずれか1のポリヌクレオチド。
11.GBAヌクレオチド配列が、GCase活性を有するGCaseタンパク質をコードする配列番号5又は配列番号5の変異体の配列を含む、態様1~3のいずれか1のポリヌクレオチド。
12.配列番号5の変異体が、それが、GCaseタンパク質が、配列番号25の野生型GCase配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、又は最大10のアミノ酸置換を有するようにヌクレオチド置換を含むことを除いて、配列番号5と同一である、態様11のポリヌクレオチド。
13.配列番号5の変異体が、配列番号5の配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大6、最大7、最大8、最大9、最大10、最大20、又は最大30のヌクレオチド置換を有する、態様11又は12のポリヌクレオチド。
14.配列番号5の変異体が、配列番号5の配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、最大5、又は最大6のヌクレオチド置換を有する、態様11~13のいずれか1のポリヌクレオチド。
15.配列番号5の変異体が、配列番号5の配列と比較して、最大4のヌクレオチド置換を有し、及び/又は配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大3のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする、態様11~14のいずれか1のポリヌクレオチド。
16.配列番号5の変異体が、配列番号5の配列と比較して、最大3のヌクレオチド置換を有し、及び/又は配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大2のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする、態様11~15のいずれか1のポリヌクレオチド。
17.変異体が、配列番号5の配列と比較して、1のヌクレオチド置換を有し、及び/又は配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大1のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする、態様11~16のいずれか1のポリヌクレオチド。
18.GBAヌクレオチド配列が、配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、1、最大2、最大3、最大4、又は最大5のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
19.GBAヌクレオチド配列が、配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大3のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
20.GBAヌクレオチド配列が、配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大2のアミノ酸置換を有するGCaseタンパク質をコードする、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
21.GBAヌクレオチド配列が、配列番号25の野生型GCaseアミノ酸配列と比較して、最大1のアミノ酸置換を有する変異体GCaseタンパク質をコードする、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
22.GBAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、GBAヌクレオチド配列がGCaseタンパク質又はその断片をコードし、配列番号1~8のいずれか1の少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1300、1494未満、1611未満、1000~1494、1000~1611、1300~1494、1300~1611、約1494、又は約1611のヌクレオチドの断片と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である配列を含む、ポリヌクレオチド。
23.GBAヌクレオチド配列が、配列番号1~8のいずれか1の少なくとも1300のヌクレオチドの断片と少なくとも98%同一である配列を含む、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
24.GBAヌクレオチド配列が、配列番号1~8のいずれか1の少なくとも1300のヌクレオチドの断片と少なくとも99%同一である配列を含む、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
25.GBAヌクレオチド配列が、配列番号1~8のいずれか1のヌクレオチド配列と少なくとも98%同一である配列を含む、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
26.GBAヌクレオチド配列が、配列番号1~8のいずれか1のヌクレオチド配列と少なくとも99%同一である配列を含む、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
27.GBAヌクレオチド配列が、配列番号1の少なくとも1300のヌクレオチドの断片と少なくとも98%同一である配列を含む、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
28.GBAヌクレオチド配列が、配列番号1の少なくとも1300のヌクレオチドの断片と少なくとも99%同一である配列を含む、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
29.GBAヌクレオチド配列が、配列番号1と少なくとも98%同一である配列を含む、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
30.GBAヌクレオチド配列が、配列番号1と少なくとも99%同一である配列を含む、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
31.GBAヌクレオチド配列が、配列番号5と少なくとも98%同一である配列を含む、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
32.GBAヌクレオチド配列が、配列番号5と少なくとも99%同一である配列を含む、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
33.GBAヌクレオチド配列の少なくとも一部分が、コドンが最適化されている、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
34.コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の少なくとも一部分が、ヒト肝細胞における発現のためにコドンが最適化されている、態様33のポリヌクレオチド。
35.GBAヌクレオチド配列が、ヒト肝細胞における発現のためにコドンが最適化されている、態様33のポリヌクレオチド。
36.コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、連続する一部分である、態様2~35のいずれか1のポリヌクレオチド。
37.コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、長さが少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1300、1494未満、1000~1494、1300~1494、又は約1494のヌクレオチドである、態様2~36のいずれか1のポリヌクレオチド。
38.コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、成熟GCaseタンパク質に対応する、態様2~37のいずれか1のポリヌクレオチド。
39.コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、シグナルペプチドの全部又は一部分をコードしない、態様2~38のいずれか1のポリヌクレオチド。
40.GBAヌクレオチド配列又はコドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、野生型GBAヌクレオチド配列の対応する一部分と比較してCpG数が低下している、態様2~39のいずれか1のポリヌクレオチド。
41.GBAヌクレオチド配列又はコドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、40未満、20未満、18未満、10未満、若しくは5未満のCpGを含む、態様40のポリヌクレオチド。
42.GBAヌクレオチド配列又はコドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、100ヌクレオチドあたり5未満、4未満、3未満、若しくは2未満のCpGを含む、態様41のポリヌクレオチド。
43.GBAヌクレオチド配列若しくはコドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、CpGを含まない、態様41又は42のポリヌクレオチド。
44.野生型GBAヌクレオチド配列が配列番号9である、態様40~43のいずれか1のポリヌクレオチド。
45.コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、配列番号1~4のいずれか1の少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1300、1494未満、1000~1494、1300~1494、又は約1494のヌクレオチドの断片と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である、態様2~44のいずれか1のポリヌクレオチド。
46.コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、配列番号1~4のいずれか1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である、態様45のポリヌクレオチド。
47.コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、配列番号1の少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1300、1494未満、1000~1494、1300~1494、又は約1494のヌクレオチドの断片と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%少なくとも99.8%、又は100%同一である、態様2~46のいずれか1のポリヌクレオチド。
48.コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である、態様47のポリヌクレオチド。
49.コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、配列番号1の少なくとも1300のヌクレオチドの断片と少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である、態様2~48のいずれか1のポリヌクレオチド。
50.コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、配列番号1と少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である、態様49のポリヌクレオチド。
51.GBAヌクレオチド配列が、コドンが最適化されていない一部分を含む、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
52.コドンが最適化されていない一部分が、GCaseシグナルペプチドの全部又は一部分をコードする、態様51のポリヌクレオチド。
53.コドンが最適化されていない一部分が、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、200未満、170未満、140未満、又は約117のヌクレオチドである、態様51又は52のポリヌクレオチド。
54.コドンが最適化されていない一部分が、1以上のCpGを含む、態様51~53のいずれか1のポリヌクレオチド。
55.ポリヌクレオチドが転写調節エレメントを更に含む、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
56.転写調節エレメントが肝臓特異的プロモーターを含む、態様55のポリヌクレオチド。
57.転写調節エレメントがA1ATプロモーター又はA1ATプロモーターの断片を含む、態様55又は56のポリヌクレオチド。
58.A1ATプロモーター又はA1ATプロモーターの断片が、長さが少なくとも100、少なくとも120、少なくとも150、少なくとも180、255未満、100~255、150~225、150~300、又は180~255のヌクレオチドである、態様57のポリヌクレオチド。
59.A1ATプロモーターの断片が、長さが180~255のヌクレオチドである、態様58のポリヌクレオチド。
60.ポリヌクレオチドが、配列番号12又は配列番号15と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一であるプロモーターを含む、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
61.ポリヌクレオチドが、配列番号12又は配列番号15と少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一であるプロモーターを含む、態様60のポリヌクレオチド。
62.ポリヌクレオチドが、配列番号12又は配列番号15のプロモーターを含む、態様61のポリヌクレオチド。
63.転写調節エレメントが、長さが418ヌクレオチド以下、255ヌクレオチド以下、又は185ヌクレオチド以下であるA1ATプロモーターの断片を含む、態様55~62のいずれか1のポリヌクレオチド。
64.転写調節エレメントが、エンハンサーを含む、態様55~63のいずれか1のポリヌクレオチド。
65.エンハンサーがHCRエンハンサー又はHCRエンハンサーの断片である、態様64のいずれか1のポリヌクレオチド。
66.HCRエンハンサー又はHCRエンハンサーの断片が、長さが少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、192未満、80~192、90~192、100~250、又は117~192のヌクレオチドの断片である、態様65のポリヌクレオチド。
67.HCRエンハンサーの断片が、長さが117~192のヌクレオチドである、態様66のポリヌクレオチド。
68.ポリヌクレオチドが、配列番号11又は配列番号16と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一であるエンハンサーを含む、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
69.ポリヌクレオチドが、配列番号11又は配列番号16と、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一であるエンハンサーを含む、態様68のポリヌクレオチド。
70.ポリヌクレオチドが、配列番号11又は配列番号16のエンハンサーを含む、態様69のポリヌクレオチド。
71.転写調節エレメントが、長さが321ヌクレオチド以下、192ヌクレオチド以下、又は117ヌクレオチド以下であるHCRエンハンサーの断片を含み、且つ配列番号11を含む、態様55~70のいずれか1のポリヌクレオチド。
72.転写調節エレメントが、配列番号10と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である、態様55~71のいずれか1のポリヌクレオチド。
73.転写調節エレメントが、配列番号10の配列を有する、態様72のポリヌクレオチド。
74.(i)GBAヌクレオチド配列が、配列番号1又は5と少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%若しくは100%同一である配列を含む;並びに
(ii)ポリヌクレオチドが、配列番号12と少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一であるプロモーター、及び/又は配列番号11と少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一であるエンハンサーエレメントを含む
上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
75.(i)GBAヌクレオチド配列が、配列番号1又は5と少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%若しくは100%同一である配列を含む;並びに
(ii)ポリヌクレオチドが、配列番号10と少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一である転写調節エレメントを含む
上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
76.A1ATプロモーター又はA1ATプロモーターの断片が、長さが少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、500未満、200~500、250~500、350~450、若しくは約418のヌクレオチドである、態様57のポリヌクレオチド。
77.A1ATプロモーター又はA1ATプロモーターの断片が、長さが350~450のヌクレオチドである、態様76のポリヌクレオチド。
78.HCRエンハンサー又はHCRエンハンサーの断片が、長さが少なくとも150、少なくとも190、少なくとも230、400未満、150~400、190~370、230~340、250~340若しくは約321のヌクレオチドの断片である、態様65のポリヌクレオチド。
79.HCRエンハンサー又はHCRエンハンサーの断片が、長さが250~340のヌクレオチドである、態様78のポリヌクレオチド。
80.転写調節エレメントが、配列番号14と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である、態様55~79のいずれか1のポリヌクレオチド。
81.転写調節エレメントが、配列番号14の配列を有する、態様80のポリヌクレオチド。
82.(i)GBAヌクレオチド配列が、配列番号1又は5と少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%若しくは100%同一である配列を含む;並びに
(ii)ポリヌクレオチドが、配列番号14と少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一である転写調節エレメントを含む
態様1~56又は76~79のいずれか1のポリヌクレオチド。
83.(i)GBAヌクレオチド配列が、配列番号1又は5と少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%若しくは100%同一である配列を含む;並びに
(ii)ポリヌクレオチドが、配列番号15と少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一であるプロモーター、及び/又は配列番号16と少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一であるエンハンサーエレメントを含む
態様1~56又は76~79のいずれか1のポリヌクレオチド。
84.GBAヌクレオチド配列によってコードされるGCaseが、野生型GBAヌクレオチド配列であって、他の点では同一の参照ポリヌクレオチド中の配列によってコードされるGCaseと比較して、より高いレベルでヒト肝細胞において発現する、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
85.GBAヌクレオチド配列によってコードされるGCaseが、参照ポリヌクレオチド中の野生型GBAヌクレオチド配列によってコードされるGCaseと比較して、ヒト肝細胞において少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、又は少なくとも1.5倍高く発現する、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
86.参照ポリヌクレオチドが配列番号9の野生型GBAヌクレオチド配列を含む、態様84又は85のポリヌクレオチド。
87.参照ポリヌクレオチドが配列番号13のプロモーターを含む、態様86のポリヌクレオチド。
88.GBAヌクレオチド配列によってコードされるGCaseが、ヒト肝細胞において、配列番号9のGBAヌクレオチド配列を含み、配列番号13のプロモーターに作動可能に連結された、他の点では同一の参照ポリヌクレオチドによってコードされるGCaseと比較して、より高い又は統計的有意差無しのレベルで発現する、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
89.ポリヌクレオチドが、DNA又はRNAを含む、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
90.上記態様のいずれか1のポリヌクレオチドを含む組換えゲノムを含むウイルス粒子。
91.AAV、アデノウイルス、又はレンチウイルスのウイルス粒子である、態様90のウイルス粒子。
92.AAVのウイルス粒子である、態様91のウイルス粒子。
93.前記ウイルス粒子が、肝臓指向性又はCNS指向性のキャプシドを含む、態様90~92のいずれか1のウイルス粒子。
94.肝臓指向性キャプシドが、配列番号19又は20の少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、600~736、650~736、又は700~736のアミノ酸の断片と、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%同一の配列を含む、態様93のウイルス粒子。
95.肝臓指向性キャプシドが、配列番号19と少なくとも99%同一の配列を含む、態様94のウイルス粒子。
96.肝臓指向性キャプシドが、配列番号20と少なくとも99%同一の配列を含む、態様94のウイルス粒子。
97.CNS指向性キャプシドが、配列番号21の少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、600~736、650~736又は700~736のアミノ酸の断片と、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも99.5%同一の配列を含む、態様93のウイルス粒子。
98.CNS指向性キャプシドが、配列番号21と少なくとも99%同一の配列を含む、態様97のウイルス粒子。
99.組換えゲノムが:
a)AAV2 ITR;
b)ポリA配列;及び/又は
c)イントロン;
を更に含む、態様90~98のいずれか1のウイルス粒子。
100.組換えゲノムが一本鎖である、態様99のウイルス粒子。
101.Huh-7細胞への形質導入時に、ウイルス粒子が、形質導入された細胞におけるGCase活性が、配列番号9のGBAヌクレオチド配列を含む、他の点では同一のウイルス粒子で形質導入された細胞における、GCase又はその断片の活性よりも高いように、GCase又はその断片を発現する、態様90~100のいずれか1のウイルス粒子。
102.Huh-7細胞への形質導入時に、ウイルス粒子が、形質導入された細胞におけるGCase活性が、配列番号9のGBAヌクレオチド配列を含む、他の点では同一のウイルス粒子で形質導入された細胞におけるGCase又はその断片の活性よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、又は少なくとも20倍高いようにGCase又はその断片を発現する、態様99~101のいずれか1のウイルス粒子。
103.活性が、GCaseに特異的な蛍光測定基質を用いて測定される、態様101~102のいずれか1のウイルス粒子。
104.上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド又はウイルス粒子と、医薬的に許容される賦形剤とを含む組成物。
105.治療方法における使用のための、上記態様のいずれか1項のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物。
106.治療方法が、有効量の態様1~104のいずれか1のポリヌクレオチド、組成物又はウイルス粒子を患者に投与することを含む、態様105の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物。
107. 有効量の態様1~104いずれか1のポリヌクレオチド、組成物又はウイルス粒子を患者に投与することを含む、治療方法。
108.治療方法における使用のための医薬の製造における、態様1~104いずれか1のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の使用。
109.治療方法が、有効量の態様1~104のいずれか1のポリヌクレオチド又はウイルス粒子を患者に投与することを含む、態様108の使用。
110.治療方法が、GCase欠損に関連する疾患の治療方法である、態様105~109のいずれか1のポリヌクレオチド、ウイルス粒子、組成物、使用又は方法。
111.治療方法がパーキンソン病の治療方法である、態様105~109のいずれか1のポリヌクレオチド、ウイルス粒子、組成物、使用又は方法。
112.治療方法がゴーシェ病の治療方法である、態様105~109のいずれか1のポリヌクレオチド、ウイルス粒子、組成物、使用又は方法。
113.ゴーシェ病がゴーシェ病I型である、態様112のポリヌクレオチド、ウイルス粒子、組成物、使用又は方法。
114.ゴーシェ病がゴーシェ病II型である、態様112のポリヌクレオチド、ウイルス粒子、組成物、使用又は方法。
115.ゴーシェ病がゴーシェ病III型である、態様112のポリヌクレオチド、ウイルス粒子、組成物、使用又は方法。
116.患者が、酵素補充療法の一部として、以前に患者が処置されている組換えGCaseに対する抗体又は阻害剤を有する、態様112~115のいずれか1のポリヌクレオチド、ウイルス粒子、組成物、使用又は方法。
117.被験体において安定なGCase活性を達成するための医薬の製造における、態様1~104のいずれか1のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の使用。
118.被験体において、GCase酵素補充療法からの生物学的利用能と比較して、より高いGCaseの生物学的利用能を提供するための医薬の製造における、態様1~104のいずれか1のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の使用であって、生物学的利用能が投与から2週間の期間に亘って測定される、ポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物。
119.被験体に、態様1~104のいずれか1のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物を投与することにより、該被験体において、安定なGCase活性を達成する方法。
120.被験体に、態様1~104のいずれか1のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物を投与することにより、該被験体において、GCase酵素補充療法からの生物学的利用能と比較して、より高いGCaseの生物学的利用能を提供する方法であって、生物学的利用能が投与から2週間の期間に亘って測定される、方法。
121.被験体において、安定なGCase活性を達成すること、又は、被験体において、より高いGCaseの生物学的利用能を提供することにより該被験体における疾患が治療される、態様117~120のいずれか1の方法又は使用。
122.GBAヌクレオチド配列を発現し、被験体において安定なGCase活性を達成する方法における使用のための、態様1~104のいずれか1のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物。
123.被験体においてGBAヌクレオチド配列を発現させ、且つGCase酵素補充療法からの生物学的利用能と比較して、より高いGCaseの生物学的利用能を提供する方法における使用のための、態様1~104のいずれか1のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物であって、生物学的利用能が投与から2週間の期間に亘って測定される、ポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物。
124.安定したGCase活性を達成すること、及び/又はより高い生物学的利用能を提供することにより、被験体における疾患の治療がもたらされる、態様122又は123の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、又は組成物。
125.GCase活性及び/又は生物学的利用能が、GCaseに特異的な蛍光基質を用いて測定される、態様117~124のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
126.GCase活性が、被験体の血清又は血漿において測定される、態様117~125のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
127.GCase活性が、被験体のマクロファージにおいて測定される、態様117~126のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
128.GCase活性が、被験者において、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、又は少なくとも9μmol/時間/mlのレベルで安定である、態様117~127のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
129.GCase活性が、被験体において少なくとも3μmol/時間/mlのレベルで安定である、態様117~128のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
130.GCase活性が、被験体において少なくとも5μmol/時間/mlのレベルで安定である、態様117~129のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
131.GCase活性が、被験体において少なくとも9μmol/時間/mlのレベルで安定である、態様117~130のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、又は方法。
132.方法が、有効用量のポリヌクレオチド、ウイルス粒子若しくは組成物を被験体に投与することを含む、態様117~131のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
133.安定したGCase活性が、健常被験体のGCase活性と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%のGCase活性である、態様117~132のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
134.安定したGCase活性が、健常被験体のGCase活性と比較して、10%~100%、20%~90%、30%~70%、40%~70%、又は50%~70%のGCase活性である、態様117~133のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
135.安定したGCase活性が、投与から少なくとも5週間安定である、態様117~134のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
136.安定したGCase活性が、投与から少なくとも10週間安定である、態様117~135のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
137.安定したGCase活性が、投与から少なくとも15週間安定である、態様117~136のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
138.安定したGCase活性が、投与から少なくとも20週間安定である、態様117~137のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
139.安定したGCase活性が、投与から少なくとも25週間安定である、態様117~138のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
140.安定したGCase活性が、投与から少なくとも30週間安定である、態様117~139のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
141.安定したGCase活性が、投与から少なくとも35週間安定である、態様117~140のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
142.安定したGCase活性が、投与後少なくとも40週間安定である、態様117~141のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
143.方法が、投与後の同一時点で同一アッセイにおいて測定される場合、有効用量のGCase酵素補充療法を施された被験体において測定された活性と比較した場合に、被験体の肝臓、脾臓、及び/又は骨髄において、投与後少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、若しくは少なくとも35週間で、より高い活性を達成する、態様117~142のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
144.方法が、投与後の同一時点で同一アッセイにおいて測定される場合、有効用量のGCase酵素補充療法を施された被験体において測定された生物学的利用能と比較した場合に、肝臓、脾臓及び/又は骨髄被験体において、投与後少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、若しくは少なくとも35週間の期間に亘って、より高いGCaseの生物学的利用能を達成する、態様117~143のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
145.GCase酵素補充療法が、配列番号25の配列を有するGCaseポリペプチドの投与を含む、態様118、120又は123~144のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
146.GCase酵素補充療法が、40~100、50~80、60~70、又は約60U/kg体重の用量でのGCaseポリペプチドの投与を含む、態様145の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
147.疾患がゴーシェ病である、態様121又は124~146のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
148.ゴーシェ病がゴーシェ病I型である、態様147の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
149.ゴーシェ病がゴーシェ病II型である、態様147の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
150.ゴーシェ病がゴーシェ病III型である、態様147の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
151.患者が、酵素補充療法の一部として、以前に患者が処置されている組換えGCaseに対する抗体又は阻害剤を有する、態様117~150のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
152.GCase欠損に関連する疾患又は状態に罹患している被験体において、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルを低下させるための医薬の製造における、態様1~104のいずれか1のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物の使用。
153.GCase欠損に関連する疾患又は状態に罹患している被験体に、態様1~104のいずれか1のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物を投与することにより、該被験体において、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルを低下させる方法。
154.被験体におけるヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンのレベルを低下させることにより、GCase欠損に関連する疾患又は状態が治療される、態様152又は153の使用又は方法。
155.GCase欠損に関連する疾患又は状態に罹患している被験体において、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルを低下させる方法における使用のための、態様1~104のいずれか1のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物であって、場合により、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルを低下させることにより、GCase欠損に関連する疾患又は状態の治療がもたらされる、ポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物。
156.ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルが、態様1~104のいずれか1のポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物の投与時のヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルと比較した場合、1/2以上、1/3以上、1/4以上、1/5以上、1/6以上か、1/2~1/3、1/2~1/4、1/2~1/5、1/2~1/6、若しくは1/3~1/5に、低減される、態様152~155のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
157.ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルの低下が、有効用量のGCase酵素補充療法を施された被験体において達成された低下よりも甚だしい(場合により、ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルが投与後少なくとも6週間、少なくとも8週間、少なくとも10週間、または少なくとも12週間で測定されるときに)、態様152~156のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
158.GCase酵素補充療法が、配列番号25の配列を有するGCaseポリペプチドの投与を含む、態様157の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
159.GCase酵素補充療法が、40~100、50~80、60~70、又は約60U/kg体重の用量でのGCaseポリペプチドの投与を含む、態様158の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
160.ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルが被験体のマクロファージにおいて測定される、態様152~159のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
161.ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルが被験体の脾臓において測定される、態様152~160のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
162.ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルが被験体の肝臓において測定される、態様152~161のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
163.ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルが被験体の血清中で測定される、態様152~162のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
164.ヘキソシルセラミド及び/又はヘキソシルスフィンゴシンレベルが、質量分析によって測定される、態様152~163のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
165.疾患がゴーシェ病である、態様152~164のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
166.ゴーシェ病がゴーシェ病I型である、態様165の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用は方法。
167.ゴーシェ病がゴーシェ病II型である、態様165の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
168.ゴーシェ病がゴーシェ病III型である、態様165の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
169.患者が、酵素補充療法の一部として、以前に患者が処置されている組換えGCaseに対する抗体又は阻害剤を有する、態様152~168のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、若しくは組成物、使用又は方法。
【0132】
本発明の更なる態様
本発明を、以下の態様においても説明する。
1.GBAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、該GBAヌクレオチド配列がβ-グルコセレブロシダーゼ(GCase)タンパク質又はその断片をコードし、GBAヌクレオチド配列の少なくとも一部分が野生型ではなく、場合により、野生型ではないGBAヌクレオチド配列の該一部分が、コドンが最適化されており、更に場合により、GBAヌクレオチド配列がGCaseタンパク質又はその断片をコードし、
配列番号1~8のいずれか1のヌクレオチド配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である配列を含む、ポリヌクレオチド。
2.GBAヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドであって、GBAヌクレオチド配列がGCaseタンパク質又はその断片をコードし、配列番号1~8のいずれか1の少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1300、1494未満、1611未満、1000~1494、1000~1600、1300~1494、1300~1611、約1494、又は約1611のヌクレオチドの断片と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、又は100%同一である配列を含む、ポリヌクレオチド。
3.GBAヌクレオチド配列の少なくとも一部分が、コドンが最適化されている、態様1又は2のいずれか1のポリヌクレオチド。
4.(a)コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の少なくとも一部分が、ヒト肝細胞における発現のためにコドンが最適化されている;
(b)コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、連続する一部分である;
(c)コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、長さが少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1300、1494未満、1000~1494、1300~1494、若しくは約1494のヌクレオチドである;
(d)コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、成熟GCaseタンパク質に対応する;
(e)コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、シグナルペプチドの全部若しくは一部分をコードしない;
(f)GBAヌクレオチド配列若しくはコドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、野生型GBAヌクレオチド配列の対応する一部分と比較してCpG数が低下しており;場合により、GBAヌクレオチド配列若しくはコドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、40未満、20未満、18未満、10未満、若しくは5未満のCpGを含み、更に場合により、GBAヌクレオチド配列若しくはコドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の部分が、100ヌクレオチドあたり5未満、4未満、3未満、若しくは2未満のCpGを含み、更に場合により、GBAヌクレオチド配列若しくはコドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、CpGを含まず、好ましくは野生型GBAヌクレオチド配列が配列番号9である;並びに/又は
(g)コドンが最適化されているGBAヌクレオチド配列の一部分が、配列番号1~4のいずれか1の少なくとも1000、少なくとも1200、少なくとも1300、1494未満、1000~1494、1300~1494、若しくは約1494のヌクレオチドの断片と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%少なくとも99.8%、若しくは100%同一である
態様3のポリヌクレオチド。
5.GBAヌクレオチド配列が、コドンが最適化されていない一部分を含み、場合により:
(a)コドンが最適化されていない一部分が、GCaseシグナルペプチドの全部若しくは一部分をコードする。
(b)コドンが最適化されていない一部分が、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、200未満、170未満、140未満、若しくは約117のヌクレオチドである。及び/又は
(c)コドンが最適化されていない一部分が、1以上のCpGを含む
上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
6.ポリヌクレオチドが転写調節エレメントを更に含み、場合により、転写調節エレメントが肝臓特異的プロモーター及び/又はエンハンサーを含む、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
7.転写調節エレメントがA1ATプロモーター又はA1ATプロモーターの断片を含み、場合により:
(a)A1ATプロモーター若しくはA1ATプロモーターの断片が、長さが少なくとも100、少なくとも120、少なくとも150、少なくとも180、255未満、100~255、150~225、150~300、若しくは180~255のヌクレオチドであり、更に場合により、A1ATプロモーターの断片が、長さが180~255のヌクレオチドである;
(b)A1ATプロモーター若しくはA1ATプロモーターの断片が、長さが少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、500未満、200~500、250~500、350~450、若しくは約418のヌクレオチドであり、更に場合により、A1ATプロモーターの断片が、長さが350~450のヌクレオチドである;
(c)ポリヌクレオチドが、配列番号12若しくは配列番号15と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一であるプロモーターを含む
態様6のポリヌクレオチド。
8.エンハンサーがHCRエンハンサー又はHCRエンハンサーの断片であり、場合により:
(a)HCRエンハンサー又はHCRエンハンサーの断片が、長さが少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、192未満、80~192、90~192、100~250、若しくは117~192のヌクレオチドの断片であり、更に場合により、HCRエンハンサーの断片が、長さが117~192のヌクレオチドである;
(b)HCRエンハンサー又はHCRエンハンサーの断片が、長さが少なくとも150、少なくとも190、少なくとも230、400未満、150~400、190~370、230~340、250~340若しくは約321のヌクレオチドの断片であり、更に場合により、HCRエンハンサーの断片が、長さが250~340のヌクレオチドである;
(c)ポリヌクレオチドが、配列番号11若しくは配列番号16と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%、若しくは100%同一であるエンハンサーを含む
態様6又は7のポリヌクレオチド。
9.転写調節エレメントが、配列番号19又は14と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.8%又は100%同一である、態様6のポリヌクレオチド。
10.GBAヌクレオチド配列によってコードされるGCaseが、野生型GBAヌクレオチド配列であって、他の点では同一の参照ポリヌクレオチド中の配列によってコードされるGCaseと比較して、より高いレベルでヒト肝細胞において発現し、場合により、GBAヌクレオチド配列によってコードされるGCaseは、野生型GBAヌクレオチド配列であって、他の点では同一の参照ポリヌクレオチド中の配列によってコードされるGCaseと比較して、ヒト肝細胞において少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、又は少なくとも1.5倍高く発現し、更に場合により、参照ポリヌクレオチドが配列番号9の野生型GBAヌクレオチド配列を含み、場合により、参照ポリヌクレオチドが配列番号13のプロモーターを含む、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド。
11.上記態様のいずれか1のポリヌクレオチドを含む組換えゲノムを含むウイルス粒子。
12.AAV、アデノウイルス、またはレンチウイルスのウイルス粒子であり、場合によりAAVのウイルス粒子である、態様11のウイルス粒子。
13.前記ウイルス粒子が、肝臓指向性又はCNS指向性のキャプシドを含む、態様11~12のいずれか1のウイルス粒子。
14.肝臓指向性キャプシドが、配列番号19、20又は24の少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、600~736、650~736、又は700~736のアミノ酸の断片と、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、で配列を含む、態様13のウイルス粒子。
15.CNS指向性キャプシドが、配列番号21の少なくとも600、少なくとも650、少なくとも700、600~736、650~736又は700~736のアミノ酸の断片と、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、で配列を含む、態様13のウイルス粒子。
16.組換えゲノムが:
a)AAV2 ITR;
b)ポリA配列;及び/又は
c)イントロン;
を更に含み、場合により、組換えゲノムが一本鎖である、態様11~19のいずれか1のウイルス粒子。
17.Huh-7細胞への形質導入時に、ウイルス粒子が、形質導入された細胞におけるGCase活性が、配列番号9のGBAヌクレオチド配列を含む、他の点では同一のウイルス粒子で形質導入された細胞における、GCase又はその断片の活性よりも高いように、GCase又はその断片を発現する、場合により、Huh-7細胞への形質導入時に、ウイルス粒子が、形質導入された細胞におけるGCase活性が、配列番号9のGBAヌクレオチド配列を含む、他の点では同一のウイルス粒子で形質導入された細胞におけるGCase又はその断片の活性よりも少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも10倍、又は少なくとも20倍高いようにGCase又はその断片を発現する、更に場合により、活性が、GCaseに特異的な蛍光測定基質を用いて測定される、態様11~16のいずれか1のウイルス粒子。
18.上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド又はウイルス粒子と、医薬的に許容される賦形剤とを含む組成物。
19.治療方法における使用のための、上記態様のいずれか1のポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物。
20.治療方法が、有効量の態様1~17のいずれか1のポリヌクレオチド、組成物又はウイルス粒子を患者に投与することを含む、態様19の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子又は組成物。
21.治療方法が、GCase欠損に関連する疾患の治療方法である、態様19~20のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、又は組成物。
22.治療方法がパーキンソン病の治療方法である、態様19~20のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、又は組成物。
23.治療方法がゴーシェ病の治療方法である、態様19~20のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、又は組成物。
24.ゴーシェ病がゴーシェ病I型、II型若しくはIII型である、態様23の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、又は組成物。
25.患者が、酵素補充療法の一部として、以前に患者が処置されている組換えGCaseに対する抗体若しくは阻害剤を有する、態様23~24のいずれか1の、使用のためのポリヌクレオチド、ウイルス粒子、又は組成物。
【0133】
実施例
実施例1-方法
特記されない限り、下記の実施例においては、以下の一般的な方法に従った。
【0134】
rAAVの産生
AAV2/8粒子を、AAV Rep及びCap及びアデノウイルスヘルパー機能をコードするプラスミド、並びにGBAコンストラクトを含有する組換えゲノムによるHEK293T細胞の一過的トランスフェクションによって産生させた。AAV2/8粒子はaPOROS CaptureSelectアフィニティーカラムにより精製し、qPCRにより力価測定し、アルカリゲル分析により特性評価した。
【0135】
マウス研究計画
肝細胞特異的プロモーターの転写制御下にあるGBA導入遺伝子を保有するAAVウイルス粒子を、6~8週齢の野生型(C57BL/6)雄性マウスの尾静脈に投与した。AAV用量は、本明細書中、各研究について、6x1011vg/kg~6x1012vg/kgの範囲であった。各実験について、治療効果の対照として機能するよう、追加の動物群を未治療のままにした。導入遺伝子発現の動態と持続性を評価するために、注射後のさまざまな時間間隔(4、8、及び12週間)で血清GCaseレベルを測定した。AAV治療後最大12週間マウスを追跡調査し、生化学的及び病理学的解析のために屠殺した。
【0136】
血清及び組織のGBA活性アッセイ
β-グルコセレブロシダーゼ(酸性β-グルコシダーゼ;GCase)活性は、4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルコピラノシド(4MU-Glc)を基質として蛍光測定で測定した。血清試料はマウスの血液から入取し、-80℃で保存した。組織(肝臓、脾臓、骨髄)を採取し、急速凍結して溶解した。β-グルコセレブロシダーゼ(酸性β-グルコシダーゼ、GCase)活性は、4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルコピラノシド(4MU-Glc)を基質として蛍光光度法で測定した。アッセイの日に、血清を希釈し(0.5μL、1:50)、50mMクエン酸ナトリウム、25mMタウロコール酸、pH=5.75、6mM 4MU-Glc中で、37℃で30分間アッセイした。組織試料については、組織タンパク質溶解物を直接アッセイした。1体積(100μl)の停止溶液(0.5Mグリシン、0.3M NaOH、pH10.0)を加えることにより、反応を停止した。相対蛍光レベル(RFU)を、Spectramax I3X(Molecular devices)を用いて、それぞれ365nm及び445nmの励起波長及び発光波長を用いて評価した。次いで、蛍光レベルを、4-メチルウンベリフェロン(4-MU、Sigma-Aldrich)の標準曲線に基づいて、ナノモル/時間/mL(血清)又はnmol/時間/mg全タンパク質(組織)に変換した。
【0137】
ベクターゲノムコピー数
rAAV注射後の肝細胞あたりのベクターゲノム数を決定するために、DNAを、QIAGEN DNeasy Blood and Tissue Kit(QIAGEN)を用いて、製造業者の指示に従って凍結肝臓試料から単離した。DNA単離後、LSP-SプロモーターとLSP-Lプロモーターの両方に共通の領域に結合するプライマーセットを用いてqPCRを行い、AAVコピー数の推定を可能にした。
【0138】
免疫組織化学
ウサギ抗ヒトGCase(Abcam ab125065;1:100)を用いて、マウス組織中のGCaseを可視化した。ラット抗F4/80(Abcam ab6640;1:100)を用いて、マウスマクロファージを可視化した。ホルマリン固定マウス組織をキシレン及びエタノール洗浄で脱パラフィンした後、VentanaCC1の製品使用の推奨に従って抗原を賦活化した。免疫組織化学染色は、Ventana Discovery XT機器を用い、Ventana DAB Map検出キット(760-124)を用いて行った。切片をヘマトキシリンで対比染色した。FITC及びテキサスレッド結合二次抗体を、免疫蛍光染色中に用いた。DAPIを用いて核を可視化した。共焦点蛍光顕微鏡(Zeiss)によってシグナルを可視化した。
【0139】
Huh-7トランスフェクション及び効力アッセイ
トランスフェクションの前日、肝臓の肝細胞株Huh-7をウェルあたり3x105細胞の細胞密度で12ウェルプレートにプレーティングした。トランスフェクションのために、FuGENEをプラスミド1μgあたり4μlの比率で用い、10%の血清(ウシ胎児血清、FBS)の存在下でHuh-7細胞に一晩添加した。トランスフェクション培地を交換し、細胞をインスリン-トランスフェリン-セレン(ITS、ThermoFisher Scientific)及び25mM Hepes緩衝液を添加した培地で24時間インキュベーションした。Huh-7細胞の形質導入を、血清の存在下で24時間、定められた感染多重度(MOI)で行い、その後、培地を交換し、新鮮な培地中で24時間インキュベーションした。上記の通り、20μlの培地を用いて、4MU-Glcを基質として用いてGCase活性を測定した。
【0140】
統計分析
Prism 7(Graph Pad)ソフトウェアを用いて統計解析を行った。カラム解析は一元配置分散分析により行った。P値及び試料サイズは図の説明に示す。
【0141】
生物学的利用能(AUC)を概算するために、GraphPadPrismにおいて、1フェーズ減衰モデル方程式:Y=(Y0-プラトー)*exp(-K*X)+プラトーを用いた。Y0は、X(時間)がゼロのときのYの値であり、Yと同じ単位で表される。プラトーは、時間無限大におけるYの値であり、Yと同じ単位で表される。Kは、速度定数であり、X軸の時間単位の逆数で表される(即ち、Xが分単位の場合、Kは分-1で表される)。タウは時定数であり、X軸と同じ単位で表され、Kの逆数として計算される。半減期はX軸の時間単位であり、ln(2)/Kとして計算される。スパンは、Y0とプラトーの差であり、Y値と同じ単位で表される。AUCの計算のために、線形台形法を用いた。AUCはU*h/Lとして表され、1ユニットは37℃で1μmol/hの4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルコピラノシド基質を加水分解するのに必要な酵素の量として定義される。
【0142】
実施例2-GBAコンストラクト
肝臓指向性遺伝子治療アプローチをゴーシェ病(GD)の治療に用い得るか否かを評価するために、(GenBankアクセッション番号NM_000157.3;配列番号9に見出される通りの)ヒトの全長GBAコード配列を、肝臓特異的プロモーターにドライブされるアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにクローニングした。FLF-PL01 AAVコンストラクト(
図1A)においては、GBA野生型配列(GBAwt、非コドン最適化)が、本明細書中「LSP-S」(配列番号10)と称される肝臓特異的プロモーターによってドライブされる。発現に最適な配列を決定するために、いくつかの異なるコドン最適化戦略を用いて配列を設計した。一例のAAVコンストラクト(FLF-PL28)においては、GBAコドン配列が最適化されていて、同じ肝臓特異的プロモーターLSP-Sによってドライブされる(
図1B)。FLF-PL64コンストラクトはFLF-PL28と同じGBAコドン最適化配列を含有するが、LSP-Sの代わりに本明細書中「LSP-L」(配列番号14)と称されるより長い転写調節エレメントを含有する点で異なる(
図1C)。
【0143】
実施例3-野生型GBA導入遺伝子発現の解析
(野生型)GBAコンストラクトFLF-PL01が肝臓での発現及びそれに続くβ-グルコセレブロシダーゼ(GCase)の血流への分泌をもたらし得るか否かを評価するために、FLF-PL01をAAV2/8に偽型化した。rAAV粒子は、マウスで用いる前に、上記の通り産成及び力価測定し、アルカリゲル解析によって特性解析した。8週齢の野生型(C57BL/6)マウスを、6x1011~6x1012v/kgの範囲の用量でAAV2/8-FLF-PL01の単回注射で処置した。対照(ナイーブ)マウスは未治療のままにした。AAV注射の4、8、及び12週間後に血清試料を採取し、循環する活性のあるGCaseレベルを評価するために用いた。GCase活性を測定し、免疫組織化学染色を上記の通り行った。切片をヘマトキシリンで対比染色した。
【0144】
野生型マウスにAAV2/8-FLF-PL01を注射すると、処置動物の肝臓においてヒトGCaseの発現が増大した(
図2A)。肝臓におけるGCase発現レベルの増大が、ベクター用量の増大につれて観察でき、6x10
11vg/kgのベクター用量の群で約12倍、2x10
12vg/kgの用量で43倍、6x10
12vg kgの用量で57倍の増大が観察された(
図2B)。このデータは、AAV2/8-FLF-PL01が、GCaseの発現を、血流へのGCaseの有意な放出と、GDに罹患した組織におけるマクロファージへのアクセスの可能性をもたらすレベルまでドライブしたことを示している。
【0145】
実施例4-コドンが最適化されているコンストラクトからのインビトロGCase発現の解析
成熟GCaseタンパク質(シグナルペプチドをコードする領域ではない)に対応するストレッチ全体でコドンが最適化されているGBA配列を作製するために、様々な肝臓発現配列のコドン使用表を用いた。次いで、1の、かかる、コドンが最適化されているGBA配列(「FLF-PL36」)を除いて、得られた配列を更に手動で変更して、CpG、潜在的スプライス部位、未成熟終止コドン、及び不要なアミノ酸置換を除去した。21の、コドンが最適化されているGBA配列を作製し、ヒト肝細胞株Huh-7におけるトランスフェクションに際してGCase発現レベルについて試験した。Huh-7細胞をウェルあたり3x10
5の細胞密度で12ウェルプレートにプレーティングし、上記の通りトランスフェクトした。20マイクロリットルの培地を用いて、4MU-Glcを基質として用いてGCase活性を測定した。この解析の結果により、Huh-7細胞におけるトランスフェクションに際して(野生型GBA配列、FLF-PL01と比較して)、GCaseの発現の増大を実証したGBAコドン最適化(FLF-PL21、-PL28、-PL30、及び-PL36)の特定が可能になった。(
図3)。
【0146】
実施例5-コドンが最適化されているコンストラクトからのインビボGCase活性の解析
実施例4で同定された4のコンストラクト(FLF-PL21、FLF-PL28、FLF-PL30及びFLF-PL36)を、AAV2/8として偽型化し、2×1012vg/kgの用量で野生型マウスに注射した。実験には、コドンが最適化されていないコンストラクトFLF-PL01、及び強力な合成プロモーターCAGによってドライブされる、FLF-PL01と同じ野生型GBA配列を含有するコンストラクト(FLF-PL37)も含めた。対照(ナイーブ)マウスは未治療のままにした。注射後最大36週間の時点で、動物を屠殺し、血清及び組織試料を採取した。
【0147】
図4Aは、LSP-Sプロモーター(FLF-PL01)によってドライブされるコドンが最適化されていないGBA配列、やはりLSP-Sプロモーターによってドライブされる、コドンが最適化されているGBAコンストラクト(FLF-PL21、FLF-PL28、FLF-PL30及びFLF-PL36)、及びCAGプロモーターによってドライブされる、GBAのコドンが最適化されていない配列(FLF-PL37)のいずれかを注射したマウスで見出される、GCase活性の注射後8週間の結果を示す。4の、GBAのコドンが最適化されているコンストラクトはすべて、FLF-PL01と比較して、マウスに注射したときに血流に存在するGCase活性のレベルの増大を示した(
図4A)。FLF-PL28コンストラクトは、同じLSP-Sプロモーターによってドライブされる、コドンが最適化されていないコンストラクト(FLF-PL01)と比較して、血流へのGCase放出における最大の増大(約6倍)を示した。FLF-PL01と比較した、FLF-PL28によってドライブされるGCaseのレベルの上昇は、36週間の研究期間を通して観察された(
図4B)。
【0148】
特に注目すべきことに、肝臓特異的プロモーターを含有するFLF-PL28を注射したマウスで観察されたGCaseのレベルが、野生型GBA配列が、遍在する強力なCAGプロモーターから発現するFLF-PL37コンストラクトによってドライブされるGCaseレベルと同じだけ高かった(
図4A)。
【0149】
最終段階で、脾臓と骨髄を採取し、ホルマリン中で固定した後、パラフィン包埋した。パラフィン切片に対して行ったGBA免疫染色解析により、循環GCaseレベルと整合して、GCaseの組織取り込みが、非コドン最適化コンストラクトFLF-PL01と比較して、FLF-PL28GBAコドン最適化コンストラクトで処理したマウスにおいて増大することを示している(
図5)。
【0150】
FLF-PL28による肝臓指向性GBA発現に際して、脾臓におけるマクロファージ取り込みのレベルを評価するために、マウス汎マクロファージマーカーF4/80及びGBA抗体による免疫蛍光解析を行った。F4/80陽性細胞の大部分は、ヒト特異的GBAの発現を示し、脾臓におけるGCase取り込みの大部分がマクロファージで起こることが示唆されている(
図6)。
【0151】
実施例6-インビボGCase活性に対するプロモーターの効果の解析
プロモーター改変がGBAコドン最適化配列からの発現を更に増大させることができるか否かを試験するために、FLF-PL28からのGBAコンストラクトを肝臓特異的プロモーター(本明細書では「LSP-L」と称される;配列番号14)下に配置し、コンストラクトFLF-PL64を作製した(実施例2、
図1C)。
【0152】
AAV2/8ベクターを新しいコンストラクトで調製し、2x1012vg/kgの用量で野生型マウスに注射した。対照(ナイーブ)マウスは未治療のままにした。5週間後、動物を屠殺し、血清及び組織を採取した。
【0153】
血清中のGCase活性解析により、AAV2/8-FLF-PL64が、AAV2/8-FLF-PL28で処置されたマウスと比較して、マウス血流中のGCaseの発現の増大(約2.5倍、P=0.0001、一元配置分散分析)をもたらすことが示される(
図7)。
【0154】
コンストラクトFLF-PL28と同様に、FLF-PL64は、脾臓、骨髄及び肺等の(such spleen,bone marrow and lung)GD標的組織へのGCaseの確固とした取り込みを可能にする(
図8)。
【0155】
実施例7-GBAコンストラクトによるAAVベクターからの肝臓発現選択性
肝細胞株に対するLSP-Lプロモーターの選択性を解析するために、さまざまな組織から8のヒト由来細胞株を選択した。各細胞株とその起源の詳細を、以下の表にまとめる。
【0156】
【0157】
上記の表1に記載されている8のヒト由来細胞株を、10%FBSを添加したDMEM、IMDM、又はRPMI培地のいずれかで増殖させた。各細胞株について、2x104細胞/ウェルを、AAV-FLF-PL64(肝臓指向性キャプシドを有するAAV=配列番号20)で、1x105vg/細胞の感染多重度(MOI)で形質導入した。すべての実験はデュプリケートで実施した。懸濁液中の細胞を計数し、無血清培地(300μl/ウェル)中で形質導入し、48ウェルプレートに入れた。接着細胞株については、培地を吸引し、続いてPBS(1X)で洗浄し、5mlのTripLEで37℃、5%CO2で5分間処理して細胞を解離させた。5mlの完全培地を加えることにより反応を停止させた。解離した細胞は、Countess(商標)II Automated Cell Counter(ThermoFisher)を用いて計数し、遠心分離(250xgで5分間)した後、2x105細胞/mlの密度で完全培地に再懸濁した。これらの細胞を96ウェルプレート(2x104細胞/ウェル)にプレーティングし、形質導入前に5時間接着させた。形質導入ミックスをX-VIVO培地(50μl/ウェル)で調製し、細胞に加えた。3時間後、100μl/ウェルの完全培地を加えた。形質導入の1日後、各細胞株についての培地を完全培地(+25mM HEPES(分泌解析のため))に交換した。
【0158】
GCase活性は、4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルコピラノシド(4MU-Glc)を基質として蛍光測定で測定した。
【0159】
各細胞株についての培養上清からGCase活性を測定し、AAV-FLF-PL64による形質導入後に分泌されたGCaseのレベルを測定した(
図10)。LSP-LプロモーターがGBA導入遺伝子をドライブする場合、GCase分泌はHUH-7細胞株で唯一検出された。HUH-7細胞で観察された活性のあるGCaseのレベルは、約5.0nmol/時間/ml[5.1±0.1nmol/時間/ml]であった。解析した他の細胞株のいずれについても、検出可能なレベルの活性のあるGCaseは観察されなかった。
【0160】
実施例8-ERT療法との比較
本実施例の目標は、マウスに単回注射として投与した場合において、FLF-PL64とVPRIV(登録商標)(60U/kg体重)とを比較することであった。VPRIV(登録商標)は、天然酵素であるGCase(即ち、配列番号25)と同じアミノ酸配列及び類似のグリコシル化パターンを含有し、従って好適な比較を提供する。酵素補充療法(ERT)を受けている患者は、典型的には、隔週でERTのIV注入(注入時間は1~2時間、VPRIV(登録商標)の臨床用量は60U/kg)で治療される。
【0161】
注入用の溶液を調製するためのVPRIV(登録商標)粉末(400ユニット、Shire)を入手し、冷蔵下及び光からの保護下で再構成するまで維持した。製造業者による推奨の通り、1のバイアル(400U)を4.3mlの滅菌水で再構成し、100U/mlの溶液を得た。再構成後、VPRIV溶液を使い捨てのアリコートとして即急速凍結し、後に用いるために(-80℃)で保存した。
【0162】
VPRIV(登録商標)(60U/kg体重)又はFLF-PL64(AAV2/8粒子、2x1012vg/kgとして製剤化)のいずれかの単回IV注射を野生型マウスに施した。血清及び組織中の活性のあるGCaseのレベルを、最大1週間のさまざまな時点で、また注射後3週間及び5週間でも測定した。活性のあるGCaseのレベルを、4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルコピラノシド(4MU-Glc)を用いて蛍光測定で測定した。
【0163】
図11(A)に示す通り、VPRIVはマウスの血液から急速に除去される。VPRIVは、注射後2分で12.7μmol/時間/mlのCmaxに達した。推定半減期は約5.6分である。注射後約20分で、血清中には残存レベルの活性のあるGCaseしか検出できなかった。これらのレベルは、研究期間の残りの間、未処理の対照に近いままであった。VPRIVとFLF-PL64との比較を、GCaseの発現が安定しているマウスを解析することによって行った(
図11B)。FLF-PL64での処理によっても、マウス血液中の活性のあるGCaseのレベル増大がもたらされた(Cmax 9.4μmol/時間/ml)(
図11B)。しかし、活性のあるGCaseのレベルは、VPRIV(登録商標)注射後に観察されたほど高くはなかったものの、これらのレベルは研究期間中一定のままであった。以下の表2は、ERT又はFLF-PL64のいずれかの注射後のマウスにおける2週間の間隔内で予測される生物学的利用能を示している。
【0164】
【0165】
図12は、VPRIV(登録商標)又はAAV2/8-FLF-PL64の投与後のマウス肝臓、脾臓、及び骨髄におけるGCase免疫染色を示す。各動物群についての代表的な画像を示す。DAB(3,3’-ジアミノベンジジン)を用いてGCaseを可視化し、ヘマトキシリンを対比染色として用いた。FLF-PL64で処置した試料は、注射後5週間目で取得したが、VPRIV(登録商標)で処置した試料は表示の通り採取した。画像の半定量的解析を以下の表3に示す。
【0166】
【0167】
実施例9-治療の可能性に関するインビボ研究
1.方法
マウスの方法
本研究においては、ゴーシェ病モデルとして、Gba1変異D409V/D409V(9V/9V)を保有する9V/nullマウスを用いた。9V/nullマウスの寿命はほぼ正常で、内臓の異常(炎症及び貯蔵細胞)並びに基質の蓄積が伴う(Xu et al.Am J Pathol.2003 Nov;163(5):2093-101;Xu et al.PLoS One.2010 May 20;5(5):e10750)。9V/nullマウスは、Gba1変異D409V/D409V(9V/9V)を保有するマウスとGba1 null/WTとを交配することによって作製した。各同腹子で約2の9V/nullが生じる。9V/null及びWTマウスの系統背景は、C57BL/6、129SvEvBrd及びFVBである。複数の同腹子からの9V/nullマウスを、各処置群に順次、無作為に割り当てた。雄性及び雌性の両方のマウスを、各群に登録し、群内の性別の釣り合わせるようにした。すべてのマウスは病原体のない条件下で飼育し、毎日モニタリングし、毎週体重を測定した。すべてのAAV処置マウスは正常な成長及び体重増加を示した。
【0168】
研究の終わりに、マウスをペントバルビタール(100mg/kg)で安楽死させた。マウスを生理食塩水で経心的に灌流した。次に、肝臓、脾臓、及び肺を摘出した。
【0169】
AAV/VPRIVの調製及び投与
AAV8-FLF-PL64のアリコートを-80℃で保存した。注射前に、アリコートを氷上で解凍し、X-VIVO 10(Lonza,pH7.4,4℃)で希釈し、低速で短時間ボルテックスにより穏やかに混合した。希釈したAAVは注射前に氷上に保ち、2時間以内に用いた。
【0170】
VPRIV(登録商標)を再懸濁して分注し(25、50、100μl)、-80℃で保存した。注射前に、アリコートを氷上で解凍し、酸性化したX-VIVO 10(Lonza,pH5.5,4℃)で表示された用量に希釈し、低速で短時間のボルテックスにより穏やかに混合した。希釈した酵素は注射前に氷上に保ち、2時間以内に用いた。
【0171】
AAV(2x1012vg/kg)及びビヒクル(X-vivo)を、8週齢の9V/nullマウスに、5μL/g体重(BW)の表示用量で1回投与した。WTマウスにはビヒクルを投与した。AAV及びビヒクルの投与は、短時間のイソフルラン下で、マウスへ、尾静脈を介して行った。VPRIV(登録商標)を、バイオバブルルームで、イソフルラン及び酸素の混合物で麻酔された9V/nullマウスに、60U/kg及び2.5μL/g BWで、尾静脈ボーラス注射によって投与した。8週齢から開始して、7回の注射のために、隔週で投与した。
【0172】
組織採取
血液(約100μLまで)を、12週齢、16週齢、及び20週齢で、尾静脈から、0.5M EDTA(5μL)を含有するチューブに採取した。新たに採取した血液試料を氷上に保ち、血漿に分離して2時間以内にGCase活性についてアッセイした。VPRIV(登録商標)処置群からの各血漿収集及び活性アッセイを、予定された酵素注射後2時間以内に行った。血液の一部(約400μL)を別に処理して、GCase活性アッセイ用の白血球(WBC)を単離した。採取したWBCは-80℃で保存した。
【0173】
実験の終了時(20週齢)に、組織(肝臓、肺、脾臓、骨髄)を採取した。VPRIV(登録商標)群からの組織採取は、最終的に予定されている酵素注射後2時間以内に行った。肝臓、肺、脾臓の試料を4の部分に分け、3部分を個別のチューブで凍結し、GCase活性アッセイ、タンパク質及び基質解析に先立ち-80℃で保存した。残りの部分は、組織学的解析のために10%ホルマリン中で固定した。マウスの両脚の大腿骨及び脛骨から骨髄細胞を採取し、GCase活性及び基質アッセイのために-80℃の冷凍庫に保存した2本のチューブ中に凍結した。
【0174】
GCase活性アッセイ
Precellys Evolution組織ホモジナイザーを用いて4℃で2サイクル(各20秒、30秒間隔)の間、組織を1%タウロコール酸ナトリウム及び1%Triton X-100(Tc/Tx)でホモジナイズした。細胞(骨髄(BM)及び白血球(WBC))を1%Tc/Tx中で4℃での超音波処理によりホモジナイズした。組織及び細胞の溶解物(2μL)をアッセイ混合物中の反応緩衝液(0.025Mクエン酸-リン酸緩衝液、pH5.6)で希釈(5x)した。希釈した溶解物(10μL)(試料ごとにトリプリケートで)を反応プレートに充填した。GCase活性を、37℃で1時間インキュベーションした2mMコンズリトールBエポキシド(Millipore.CA)の存在下及び非存在下で、4-メチルウンベリフェリル-β-D-グルコピラノシド(4MU-グルコース,4mM)(Biosynth AG,Switzerland)を用いて蛍光測定で測定した。タンパク質濃度は、BCA Protein Assay Reagent(Pierce,Rockford,IL)を用いて測定した。
【0175】
血漿を0.025Mクエン酸-リン酸緩衝液、pH5.6中に希釈した。GCase活性は、上記の通り4-メチルウンベルリフェリル-β-D-グルコピラノシド(4MU-グルコース,4mM)(Biosynth AG,Switzerland)を用いて蛍光測定で測定した。
【0176】
基質解析
凍結組織の重量を量り、3.6mLのメタノール/クロロホルム/H2O(2:1:0.6v/v/v)中でホモジナイズした。溶解物のアリコート(500μL)をLC/MS解析に供した。定量化されたヘキソシルセラミド及びヘキソシルスフィンゴシンを、組織重量によって正規化した。
【0177】
血漿を水中に希釈(40μL血漿+60μL水)し、LC/MS解析に供した。基質レベルを血漿量によって正規化した。
【0178】
骨髄細胞を200μLの水に懸濁し、超音波処理及びボルテックスして細胞溶解物を作成した。160μLの溶解物をLC/MS解析に供した。残りの溶解物をタンパク質濃度について測定した。基質レベルをmgタンパク質によって正規化した。
【0179】
ヘキソシルセラミド及びヘキソシルスフィンゴシン濃度を解析するために、LC/MS解析を行った。このマウスモデルではガラトシルセラミド及びガラトシルスフィンゴシンのレベルが非常に低いため、測定されたヘキソシルセラミド及びヘキソシルスフィンゴシンの濃度は、それぞれグルコシルセラミドとグルコシルスフィンゴシンのレベルを表している。
【0180】
組織学解析
肝臓、肺、脾臓及び骨髄を生理食塩水灌流マウスから摘出し、ホルマリン(10%)中で固定し、パラフィン包埋した。固定した組織を4μmの切片に切断し、スライド上にマウントした。
【0181】
貯蔵細胞数
Autostainner(Leica Autostainner XL)により、組織切片をヘマトキシリン及びエオシン(H&E)で染色した。染色した組織をAperio AT2(Leica,40X)でスキャンした。組織画像をAperio ImageScope(V12.4.0.0543)で処理した。1マウスあたり肝臓及び肺からの20Xの倍率の10枚の写真(500μm X 800μm画像)を解析用に選択した。各画像から貯蔵細胞を計数した。データグラフのために、10枚の画像からの細胞数の平均を算出した。「貯蔵細胞」の定義は、細胞(マクロファージ)のサイズに基づいており、例えば、肝臓中の貯蔵細胞のサイズは>10μm、肺中は>15μmである。
【0182】
CD68染色及び定量化
組織切片を、Discover Ultra自動IHC/ISHスライド染色機中でウサギ抗マウスCD68抗体(1:25.Abcam Ab53444)で染色した。組織を、細胞核に対してヘマトキシリンで対比染色した。染色した組織をAperio AT2(Leica,40X)でスキャンし、画像をAperio ImageScope(V12.4.0.0543)により取得した。
【0183】
20倍の倍率(500μm X 800μm)での肝臓及び肺の画像を定量解析用に用いた。1マウスあたり肝臓又は肺の5画像からのIHCシグナルを、Image J(Fiji,v5.1)を用いて解析した。データグラフのために、1マウスあたりの平均CD68シグナルを算出した。
【0184】
統計解析
データを、スチューデントのt検定又は一元配置分散分析によって解析した。図のグラフと統計解析は、PRISM 8ソフトウェア(PRISMバージョン8.0.1)によって作製した。
【0185】
2.結果
GCase活性
9V/nullマウス中の活性のあるGCaseレベルを回復するためのAAV-FLF-PL64処置を、細胞及び組織中のGCase活性を測定することによって研究した。白血球(WBC)、骨髄、及び組織の試料を、マウスが20週齢のときに、上記の通りの実験終了時(即ち、AAV-FLF-PL64注射の12週間後又は最後のVPRIV(登録商標)投与時)に採取した。
【0186】
VPRIV(登録商標)は、試験したすべての細胞及び組織で活性を増大させることが示された(
図13)。上記の通り、VPRIV(登録商標)治療群の組織は、最後の注射後2時間以内に採取した。これは、VPRIV(登録商標)が組織内でC-maxにある期間内であることを示す以前のデータと一致している。
【0187】
AAV-FLF-PL64も、たった1回の投与後に、すべての組織中でGCase活性を有意に増大させることが示された(
図13)。Vehicle-9V/nullと比較して、肝臓のGCase活性は4.7倍増大し、脾臓のGCase活性は2.5倍増大した。白血球においては、GCase活性がAAV-FLF-PL64治療群において7~9倍有意に増大するととらえられた。特に、白血球におけるGCase活性レベルはWT活性レベルの約82%に達した。
【0188】
組織の組織学
9V/nullマウスにおける内臓病状は、泡沫状マクロファージを貯蔵細胞として計数し、活性化マクロファージ上のCD68染色シグナルを定量することによって測定した。貯蔵細胞は、H&E染色した肝臓切片中で計数した。CD68シグナル(茶色)の強度は、抗CD68抗体で染色された肝臓及び肺の切片で定量化した。
【0189】
肝臓中のサイズが10μm以上の貯蔵細胞は、各マウスの1組織あたり10枚の画像から計数した。肝臓においては、AAV-FLF-PL64処置群及びVPRIV(登録商標)群において貯蔵細胞の数が検出不能であった。(
図14)
【0190】
肝臓におけるCD68のシグナルも、AAV-FLF-PL64治療群で有意に減少した。AAV-FLF-PL64処理により、CD68のシグナルがビヒクル-9V/nullレベルの約25%に低下した。比較すると、VPRIV群におけるCD68のシグナルはビヒクル-9V/nullのレベルの約37%であった。(
図14)
【0191】
基質の蓄積
9V/nullマウスは、肝臓、肺及び脾臓に糖脂質基質の蓄積を起こすことが知られている(Xu etal.PLoS One.2010 May 20;5(5):e10750)。例えば、本研究では、対照のVehicle-9V/null群におけるヘキソシルセラミドが、WTレベルを、肝臓において7.97倍、脾臓において3.57倍上回っていることが示された(データ示さず)。
【0192】
AAV-FLF-PL64処理群では、Vehicle-9V/nullと比較して、肝臓及び脾臓においてヘキソシルセラミド及びヘキソシルスフィンゴシンの有意な低下が示された(
図15)。特に、AAV-FLF-PL64処理群では、ヘキソシルセラミドレベルが、肝臓において野生型レベルの1.20倍に、脾臓において野生型レベルの1.03倍に低下した(データ示さず)。骨髄の解析に際しては、同様の、WTレベルに近い低下が見られた(データ示さず)。
【0193】
一方、VPRIV(登録商標)処置では、肝臓におけるヘキソシルセラミドの有意な低下のみが示され、他の試験組織ではヘキソシルセラミドレベルの有意な変化は示されなかった。VPRIV(登録商標)は、試験した組織のいずれにおいてもヘキソシルフィンゴシンレベルに何ら有意な影響を与えているようではなかった。
【0194】
本発明は例として記載しているが、該例は決して限定することを意味するものではなく、以下の特許請求の範囲内で変更を行い得ることは、当然に理解される。本発明の各実施形態の好ましい特徴は、他の実施形態のそれぞれについて、必要な変更を加えて行う。本明細書中に引用される特許及び特許出願を含むがこれらに限定されないすべての刊行物は、個々の刊行物が参照により本明細書に組み込まれることが具体的且つ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【配列表】
【国際調査報告】