(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-29
(54)【発明の名称】透明ワークピースのレーザ加工
(51)【国際特許分類】
B23K 26/53 20140101AFI20220322BHJP
B23K 26/073 20060101ALI20220322BHJP
C03B 33/09 20060101ALI20220322BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
B23K26/53
B23K26/073
C03B33/09
H01L21/78 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546726
(86)(22)【出願日】2020-01-20
(85)【翻訳文提出日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 US2020014242
(87)【国際公開番号】W WO2020167415
(87)【国際公開日】2020-08-20
(32)【優先日】2019-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ジニア,マイケル ルシアン
【テーマコード(参考)】
4E168
4G015
5F063
【Fターム(参考)】
4E168AE02
4E168DA02
4E168DA03
4E168DA04
4E168DA06
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4E168EA11
4E168EA13
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4E168JA12
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4E168JA17
4E168KA03
4G015FA06
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4G015FC14
5F063AA01
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5F063DE32
5F063DE33
(57)【要約】
透明ワークピースを加工する方法は、放射ビームを生成し、対象物の中または上に欠陥を形成するステップを含む。ビームは準非回折ビームであり、焦点体積を有する。欠陥を形成するステップには、ビームを対象物に配向するステップと、対象物内に焦点体積を部分的または完全に位置決めするステップとが含まれる。ビームを生成するステップには、調整可能な遮断要素を使用して、焦点体積の上流でビームを部分的に遮断して、ビームの光軸に対して自由形状エネルギ分布の軸対称性を調整するステップ、および/または位相マスクを使用して、焦点体積の上流でビームの位相を空間変調して、自由形状エネルギ分布の幾何学形状を調整するステップが含まれる。自由形状エネルギ分布は、焦点体積と同じ場所にある対象物の領域内に多光子吸収を誘導するのに十分なエネルギを有している。誘導された多光子吸収により、欠陥が生成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
対象物(160;1100;1200;1300;1400;1500;1600;1700;1800;1900;2000)内または対象物(160;1100;1200;1300;1400;1500;1600;1700;1800;1900;2000)上に欠陥(1108;1208;1308;1408;1508;1608;1708;1808;1908;2008)を形成するステップであって、前記形成するステップが、
準非回折ビーム、および
自由形状エネルギ分布(500;600;700;800)を有する焦点体積
を含む放射ビーム(112)を前記対象物(160;1100;1200;1300;1400;1500;1600;1700;1800;1900;2000)に配向するステップ、および
前記対象物(160;1100;1200;1300;1400;1500;1600;1700;1800;1900;2000)内で前記焦点体積を部分的にまたは完全に位置決めするステップ
を含む、ステップと、
前記ビーム(112)を生成するステップであって、前記生成するステップが、
調整可能な遮断要素(404)を使用して、前記焦点体積の上流で前記ビーム(112)を部分的に遮断して、前記ビーム(112)の光軸(102;510;606;706;806)に対して前記自由形状エネルギ分布(500;600;700;800)の軸対称性を調整するステップ、および/または
位相マスク(402)を使用して、前記焦点体積の上流で前記ビーム(112)の位相を空間変調して、前記自由形状エネルギ分布(500;600;700;800)の幾何学形状を調整するステップ
を含む、ステップと
を含み、
前記自由形状エネルギ分布(500;600;700;800)が、前記焦点体積と同じ場所にある前記対象物(160;1100;1200;1300;1400;1500;1600;1700;1800;1900;2000)の領域内に多光子吸収を誘導するのに十分なエネルギを有し、前記誘導された多光子吸収が前記欠陥(1108;1208;1308;1408;1508;1608;1708;1808;1908;2008)を生成する、方法。
【請求項2】
前記欠陥(1108;1208;1308;1408;1508;1608;1708;1808;1908;2008)が、前記自由形状エネルギ分布(500;600;700;800)に実質的に類似する形状を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記調整可能な遮断要素(404)が液晶光学要素を含み、
前記部分的に遮断するステップが、前記ビーム(112)の一部を選択的に遮断するように前記液晶光学要素を調整するステップを含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記空間変調するステップが、前記位相マスク(402)の光学中心を前記光軸(102;510;606;706;806)から離れるように移動させるステップを含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記準非回折ビームが、
波長λと、
スポットサイズw
oと、
より大きいレイリー範囲Z
Rを含む断面と、
を含み、F
Dが、約10より大きい値を有する無次元発散係数である、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は、2019年2月11日に出願された米国仮特許出願第62/803789号の優先権の利益を主張し、その内容は本明細書の依拠するところであって、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、概して、ワークピースをレーザ加工するための装置および方法、より具体的には、複数のワークピースを含む選択的レーザ加工ワークピーススタックに関する。
【背景技術】
【0003】
材料のレーザ加工の分野には、様々な種類の材料の切断、穿孔、フライス加工、溶接、溶融など、種々の用途が含まれる。これらのプロセスの中でも特に注目されているものの1つが、異なる種類の基材を切断または分離するプロセスであり、これは、薄膜トランジスタ(TFT)、マイクロエレクトロニクス、MEMS、光学系、マイクロオプティクス、バイオオプティクス、電子機器用ディスプレイ材料などのガラス、サファイア、または溶融シリカなどの材料を製造する際に利用されうる。
【0004】
基材の切断および分離には、プロセス開発およびコストの観点から多くの改善の機会がある。現在市場で実施されている方法よりも、より速く、よりクリーンで、より安価で、より再現性があり、より信頼性の高い基材分離方法を用意することが非常に重要である。したがって、基材を分離するための改良された代替方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
実施形態1によれば、方法が、放射ビームを生成し、対象物内または対象物上に欠陥を形成するステップを含む。ビームは、準非回折ビームおよび焦点体積を含む。欠陥を形成するステップは、対象物にビームを配向するステップ、および対象物内で焦点体積を部分的にまたは完全に位置決めするステップを含む。ビームを生成するステップは、調整可能な遮断要素を使用して、焦点体積の上流でビームを部分的に遮断して、ビームの光軸に対して自由形状エネルギ分布の軸対称性を調整するステップ、および/または位相マスクを使用して、焦点体積の上流でビームの位相を空間変調して、自由形状エネルギ分布の幾何学形状を調整するステップを含む。自由形状エネルギ分布は、焦点体積と同じ場所にある対象物の領域内に多光子吸収を誘導するのに十分なエネルギを有する。誘導された多光子吸収は欠陥を生成する。
【0006】
実施形態2は、欠陥が、自由形状エネルギ分布に実質的に類似する形状を含む、実施形態1記載の方法を含む。
【0007】
実施形態3は、調整可能な遮断要素が液晶光学要素を含み、部分的に遮断するステップが、ビームの一部を選択的に遮断するように液晶光学要素を調整するステップを含む、実施形態1または2記載の方法を含む。
【0008】
実施形態4は、自由形状エネルギ分布が円柱部分と楕円柱部分との組み合わせを含み、それぞれがビームの光軸に沿った長手方向軸線を有する、実施形態1から3までのいずれか1つ記載の方法を含む。
【0009】
実施形態5は、自由形状エネルギ分布が、ビームの光軸に沿った長手方向軸線を有する砂時計形状を含む、実施形態1から3までのいずれか1つ記載の方法を含む。
【0010】
実施形態6は、欠陥が、損傷特徴部、空洞、またはその両方を含む、実施形態1から3までのいずれか1つ記載の方法を含む。
【0011】
実施形態7は、対象物が透明基材を含む、実施形態1から6までのいずれか1つ記載の方法を含む。
【0012】
実施形態8は、透明基材が、結晶石英、溶融シリカ、クラウンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、および/またはリン酸塩ガラス、フッ化物結晶、シリコン結晶、サファイア、ガラスセラミック、透明セラミック、ポリマー、またはプラスチックを含む、実施形態1から7までのいずれか1つ記載の方法を含む。
【0013】
実施形態9は、透明基材が半導体基材を含む、実施形態1から7までのいずれか1つ記載の方法を含む。
【0014】
実施形態10は、半導体基材が、シリコン、炭化ケイ素、ゲルマニウム、ガリウム砒素、インジウムガリウム砒素、アルミニウムガリウム砒素、窒化ガリウム、アルミニウムガリウム窒化物、リン酸インジウム、またはニオブ酸リチウムを含む、実施形態9記載の方法を含む。
【0015】
実施形態11は、透明基材が複合ウェハを含み、複合ウェハが、異なる材料の複数の層を含み、異なる材料が、ガラス、セラミック、半導体、ポリマー、またはプラスチックのいずれかを含む、実施形態1から7までのいずれか1つ記載の方法を含む。
【0016】
実施形態12は、放射が、約250nm~2.0μmの範囲の波長を含む、実施形態1から11までのいずれか1つ記載の方法を含む。
【0017】
実施形態13は、欠陥形成の速度が、1分間あたり約1000個の欠陥よりも大きい、実施形態1から12までのいずれか1つ記載の方法を含む。
【0018】
実施形態14は、空間変調するステップが、位相マスクの光学中心を光軸から離れるように移動させるステップを含む、実施形態1から13までのいずれか1つ記載の方法を含む。
【0019】
実施形態15は、準非回折ビームが、波長λと、スポットサイズw
oと、
【0020】
より大きいレイリー範囲ZRを含む断面とを含み、FDが、約10より大きい値を有する無次元発散係数である、実施形態2から14までのいずれか1つ記載の方法を含む。
【0021】
実施形態16は、自由形状エネルギ分布が、第1の断面および第2の断面を含み、第2の断面が、第1の断面に対して平行であり、かつ第1の断面とは幾何学的に異なる、実施形態2から15までのいずれか1つ記載の方法を含む。
【0022】
実施形態17によれば、基材は本体を含む。本体は、第1の表面および第2の表面と、改質領域とを含む。第1の表面は第2の表面の反対側にある。改質領域は、第1の表面と第2の表面との間に配置されている。改質領域は、エッチングされるように構成されている。改質領域は、自由形状、楕円形断面を含む断面、および準非回折ビームによって誘起された破壊された化学結合を含む。
【0023】
実施形態18は、基材が透明である、実施形態17記載の基材を含む。
【0024】
実施形態19は、基材が、結晶石英、溶融シリカ、クラウンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、および/またはリン酸塩ガラス、フッ化物結晶、シリコン結晶、サファイア、ガラスセラミック、透明セラミック、ポリマー、またはプラスチックをさらに含む、実施形態17または18記載の基材を含む。
【0025】
実施形態20は、基材が半導体材料をさらに含む、実施形態17または18記載の基材を含む。
【0026】
実施形態21は、半導体材料が、シリコン、炭化ケイ素、ゲルマニウム、ガリウム砒素、インジウムガリウム砒素、アルミニウムガリウム砒素、窒化ガリウム、アルミニウムガリウム窒化物、リン酸インジウム、またはニオブ酸リチウムを含む、実施形態20記載の基材を含む。
【0027】
実施形態22は、基材が複合ウェハをさらに含み、複合ウェハが、異なる材料の複数の層を含み、異なる材料が、ガラス、セラミック、半導体、ポリマー、またはプラスチックのいずれかを含む、実施形態17または18記載の基材を含む。
【0028】
実施形態23は、改質領域が、基材の損傷材料をさらに含む、実施形態17から22までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0029】
実施形態24は、断面が、第1の表面に対して平行であり、かつ自由形状の境界によって画定されており、かつ第1の表面から測定される距離を有し、断面のサイズは、距離の関数としてスケーリングされるかまたは一定である、実施形態17から23までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0030】
実施形態25は、中間面が、第1の表面および第2の表面から略等距離に定められており、断面のサイズは、距離が中間面に近づくにつれて減少する、実施形態17から24までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0031】
実施形態26は、中間面が、第1の表面および第2の表面から略等距離に定められており、断面のサイズは、距離が中間面に近づくにつれて増大する、実施形態17から24までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0032】
実施形態27は、断面のサイズが、第1の表面から始まる距離が第2の表面に近づくにつれて連続的に増大する、実施形態17から24までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0033】
実施形態28は、改質領域が、第1の表面または第2の表面と交差しない、実施形態17から27までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0034】
実施形態29は、基材が、別の改質領域をさらに含み、別の改質領域が、別の自由形状を含み、かつ第1の表面と第2の表面との間に配置されており、別の断面が、第1の表面に対して平行であり、かつ別の自由形状の境界によって画定されており、別の断面が、別の楕円形断面を含み、改質領域および別の改質領域が、直線および/または曲線の輪郭線に沿って略整列している、実施形態17から28までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0035】
実施形態30は、楕円形断面および別の楕円形断面の長軸が、輪郭線に沿って略整列している、実施形態29記載の基材を含む。
【0036】
実施形態31は、基材が、個別化される製造物品をさらに含み、製造物品が、当該輪郭を含む複数の輪郭によって画定されている、実施形態29または30記載の基材を含む。
【0037】
実施形態32は、基材が製造物品へと個別化される前に単一の物品として製造プロセスに供されるべく構成されるように、複数の輪郭が潜在的な分離特徴部を形成する、実施形態31記載の基材を含む。
【0038】
実施形態33は、改質領域が第1の表面に対して平行であり、かつ自由形状の境界によって画定される第1の断面および第2の断面をさらに含み、第1の断面が第2の断面とは幾何学的に異なる、実施形態17から23までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0039】
実施形態34は、自由形状が、楕円柱部分および円柱部分を含み、楕円柱部分が、円柱部分に接続されており、かつ第1の表面に近接しており、基材が、楕円柱部分と第1の表面との間の交差部に形成された開口部をさらに含む、実施形態33記載の基材を含む。
【0040】
実施形態35は、自由形状が、楕円柱部分および円柱部分を含み、円柱部分が、楕円柱部分に接続されており、かつ第1の表面に近接しており、基材が、円柱部分と第1の表面との間の交差部に形成された開口部をさらに含む、実施形態33記載の基材を含む。
【0041】
実施形態36は、改質領域が、毛細管現象を増強するように構成された破砕粒子を含む、実施形態33から35までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0042】
実施形態37は、第2の表面がコーティングを含む、実施形態33から35までのいずれか1つ記載の基材。
【0043】
実施形態38は、コーティングが、波長に基づいて放射をフィルタリングするように構成された光学フィルタを含む、実施形態37記載の基材を含む。
【0044】
実施形態39は、光学フィルタが、連続スペクトルに基づいて放射をフィルタリングするように構成された多変量光学要素を含む、実施形態38記載の基材を含む。
【0045】
実施形態40は、コーティングが反射防止コーティングを含む、実施形態37記載の基材を含む。
【0046】
実施形態41は、コーティングが、基材を保護するように構成されている、実施形態37から40までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0047】
実施形態42は、改質領域が、第1の表面および第2の表面に延在しており、かつ第1の表面と第2の表面との間のスループットを提供するように構成されており、さらに改質領域と第1の表面および第2の表面との間の交差部に形成された開口部を含む、実施形態17から23までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0048】
実施形態43は、自由形状が、第1の表面および第2の表面に延在する傾斜楕円柱形状を含み、傾斜楕円柱形状が、第1の表面に対して直角とは異なる角度を定める傾斜中心軸線を含み、基材が、傾斜楕円柱形状と第1の表面および第2の表面との間の交差部に形成された開口部をさらに含む、実施形態17から23までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0049】
実施形態44によれば、基材は本体を含む。本体は、第1の表面および第2の表面と改質領域とを含む。第1の表面は第2の表面の反対側にある。改質領域は、第1の表面と第2の表面との間に配置されている。改質領域は、準非回折ビームによって誘起された破壊された化学結合を含む表面を有するエッチングされた空洞、楕円形断面を含む断面、および自由形状を含む。
【0050】
実施形態45は、基材が透明である、実施形態44記載の基材を含む。
【0051】
実施形態46は、基材が、結晶石英、溶融シリカ、クラウンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、および/またはリン酸塩ガラス、フッ化物結晶、シリコン結晶、サファイア、ガラスセラミック、透明セラミック、ポリマー、またはプラスチックをさらに含む、実施形態44または45記載の基材を含む。
【0052】
実施形態47は、基材が半導体材料をさらに含む、実施形態44または45記載の基材を含む。
【0053】
実施形態48は、半導体材料が、シリコン、炭化ケイ素、ゲルマニウム、ガリウム砒素、インジウムガリウム砒素、アルミニウムガリウム砒素、窒化ガリウム、アルミニウムガリウム窒化物、リン酸インジウム、またはニオブ酸リチウムを含む、実施形態47記載の基材を含む。
【0054】
実施形態49は、基材が複合ウェハをさらに含み、複合ウェハが、異なる材料の複数の層を含み、異なる材料が、ガラス、セラミック、半導体、ポリマー、またはプラスチックのいずれかを含む、実施形態44または45記載の基材を含む。
【0055】
実施形態50は、改質領域が、基材の損傷材料をさらに含む、実施形態44から49までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0056】
実施形態51は、改質領域が、第1の表面に対して平行であり、かつ自由形状の境界によって画定される第1の断面および第2の断面をさらに含み、第1の断面が第2の断面とは幾何学的に異なる、実施形態44から50までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0057】
実施形態52は、断面が、第1の表面に対して平行であり、かつ自由形状の境界によって画定されており、かつ第1の表面から測定される距離を有し、中間面が、第1の表面および第2の表面から略等距離に定められており、断面のサイズは、距離が中間面に近づくにつれて減少する、実施形態51記載の基材を含む。
【0058】
実施形態53は、断面が、第1の表面に対して平行であり、かつ自由形状の境界によって画定されており、かつ第1の表面から測定される距離を有し、中間面が、第1の表面および第2の表面から略等距離に定められており、断面のサイズは、距離が中間面に近づくにつれて増大する、実施形態51記載の基材を含む。
【0059】
実施形態54は、損傷材料が、毛細管現象を増強するように構成された破砕粒子を含む、実施形態51から53までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0060】
実施形態55は、第2の表面がコーティングを含む、実施形態51から53までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0061】
実施形態56は、コーティングが、波長に基づいて放射をフィルタリングするように構成された光学フィルタを含む、実施形態55記載の基材を含む。
【0062】
実施形態57は、光学フィルタが、連続スペクトルに基づいて放射をフィルタリングするように構成された多変量光学要素を含む、実施形態56記載の基材を含む。
【0063】
実施形態58は、コーティングが反射防止コーティングを含む、実施形態55記載の基材を含む。
【0064】
実施形態59は、コーティングが、基材を保護するように構成されている、実施形態55から58までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0065】
実施形態60は、改質領域が、第1の表面および第2の表面に延在し、かつ第1の表面と第2の表面との間のスループットを提供するように構成されており、さらに改質領域と第1の表面および第2の表面との間の交差部に形成された開口部を含む、実施形態44から50までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0066】
実施形態61は、自由形状が、第1の表面および第2の表面に延在する傾斜楕円柱形状を含み、傾斜楕円柱形状が、第1の表面に対して直角とは異なる角度を定める傾斜中心軸線を含み、基材が、傾斜楕円柱形状と第1の表面および第2の表面との間の交差部に形成された開口部をさらに含む、実施形態44から50までのいずれか1つ記載の基材を含む。
【0067】
実施形態62は、基材が、第1の表面および第2の表面上にそれぞれ第1のセットの導電性素子および第2のセットの導電性素子をさらに含み、改質領域が導電性材料をさらに含み、改質領域と第1のセットの導電性素子および第2のセットの導電性素子とは、信号が第1の表面および第2の表面とその要素との間で流れることを可能にする、実施形態60記載の基材を含む。
【0068】
本明細書に記載のプロセスおよびシステムの追加の特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載されており、部分的には、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および添付の図面を含めて、その説明から当業者には容易に明らかになるか、または本明細書に記載の実施形態を実践することによって認識される。
【0069】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方が種々の実施形態を説明しており、請求された主題の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図していることが理解されよう。添付の図面は、種々の実施形態のさらなる理解を提供するために記載されており、本明細書に援用されてその一部を構成している。図面は、本明細書に記載されている種々の実施形態を示しており、説明とともに、請求された主題の原理および動作を説明するのに役立つものである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図面に記載された実施形態は、その性質として図示および例示のためのものであり、特許請求の範囲によって定義される主題を限定することを意図するものではない。以下の例示的な実施形態の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照数字で示され、以下の図面と併せて読むことで理解することができる。
【
図1A】1つ以上の実施形態による、透明ワークピースにおける欠陥の輪郭の形成を示す図である。
【
図1B】1つ以上の実施形態による、透明ワークピースの加工中のレーザビーム焦点線の位置決めを示す図である。
【
図2】1つ以上の実施形態による、レーザ加工のための光学アセンブリを示す図である。
【
図3A】1つ以上の実施形態による、例示的なパルスバースト内のレーザパルスの相対強度対時間のグラフを示す図である。
【
図3B】1つ以上の実施形態による、別の例示的なパルスバースト内の時間に対するレーザパルスの相対強度のグラフを示す図である。
【
図4】1つ以上の実施形態による、レーザビームを生成するための光学アセンブリを示す図である。
【
図5】1つ以上の実施形態による自由形状エネルギ分布を示す図である。
【
図6】1つ以上の実施形態による自由形状エネルギ分布を示す図である。
【
図7】1つ以上の実施形態による自由形状エネルギ分布を示す図である。
【
図8】1つ以上の実施形態による自由形状エネルギ分布を示す図である。
【
図9】1つ以上の実施形態による自由形状エネルギ分布の断面のレーザエネルギ密度のグラフを示す図である。
【
図10】1つ以上の実施形態による自由形状エネルギ分布の断面のレーザエネルギ密度のグラフを示す図である。
【
図11】1つ以上の実施形態による基材の断面を示す図である。
【
図12】1つ以上の実施形態による基材の断面を示す図である。
【
図13】1つ以上の実施形態による基材の断面を示す図である。
【
図14】1つ以上の実施形態による基材の断面を示す図である。
【
図15】1つ以上の実施形態による基材の断面を示す図である。
【
図16】1つ以上の実施形態による基材の断面を示す図である。
【
図17】1つ以上の実施形態による基材の断面を示す図である。
【
図18】1つ以上の実施形態による基材の断面を示す図である。
【
図19】1つ以上の実施形態による基材の断面を示す図である。
【
図20】1つ以上の実施形態による基材の断面を示す図である。
【0071】
本発明の特徴および利点は、同様の参照文字が全体を通して対応する要素を識別する図面と併せて考慮されるとき、以下に記載される詳細な説明からより明らかになるであろう。図面において、同様の参照番号は、概して、同一、機能的に類似、かつ/または構造的に類似の要素を示す。さらに、概して、参照番号の左端の桁(複数可)は、参照番号が最初に表示される図面を識別する。別段明記しない限り、本開示全体を通して提供される図面は、実物大の図面として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0072】
次に、ワークピースと複数のワークピースを含むワークピーススタックとを形成およびレーザ加工するためのプロセスの実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、同じ参照番号を図面全体に使用して、同一または類似の部品が参照される。ワークピーススタックのレーザ加工は、レーザビーム(例えば、パルスレーザビーム)をワークピーススタックの少なくとも1つの透明ワークピースに配向して(例えば、集束させて)、透明ワークピースを変化させること、例えば、透明ワークピースを分離し、透明ワークピースに格子を形成することを含みうる。幾つかの実施形態では、ワークピーススタックの少なくとも1つの部分にレーザビーム焦点線を形成し、ワークピーススタックの少なくとも1つの他の部分にはレーザビーム焦点線を形成しないようにレーザビームを配向することが有利でありうる。ここで、これらの異なる部分は、ワークピーススタックの異なる深さ位置に位置している。一例として、第1の透明ワークピースのレーザビーム焦点線にレーザビームを配向し、第2の透明ワークピースのレーザビーム焦点線には配向しないことが有利でありうる。別の例として、第1の透明ワークピースの一部分にレーザビーム焦点線を形成し、第1の透明ワークピースの別の部分にはレーザビーム焦点線を形成しないようにレーザビームを配向することが有利でありうる。ここで、これらの異なる部分は、第1の透明ワークピースの異なる深さ位置に位置している。さらに、カスタム形状の欠陥を形成するための現在の方法は、レーザシステムの性能によって制限されている。
【0073】
本明細書では、レーザシステムの焦点線の形状を変更することによって、ワークピースおよびワークピーススタックのレーザ加工を可能にするか、または向上させるための実施形態について説明する。例えば、レーザシステムは、レーザの焦点線の形状を変更するために、位相マスクおよび/または調整可能な遮断要素を含んでもよい。変更された形状は、自由形状エネルギ分布と称される。自由形状エネルギ分布がワークピースに送り込まれて、ワークピースに欠陥が形成される。形成された欠陥は、自由形状エネルギ分布の形状に実質的に類似した形状を有する。さらに、本明細書に記載の方法は、既知の方法では製造できない形状の欠陥を有する基材の製造を可能にするものである。ワークピースおよび/またはワークピーススタックの種々の実施形態のレーザ加工を、添付の図面を具体的に参照して本明細書で説明する。
【0074】
本明細書で使用される場合、「レーザ加工」は、レーザビームをワークピース上および/またはワークピース内に配向することを含みうる。幾つかの実施形態では、レーザ加工は、例えば、輪郭線に沿って、改質線に沿って、または別の経路に沿って、ワークピースに対してレーザビームを並進させることをさらに含む。レーザ加工の例には、レーザビームを使用してワークピース内に延在する一連の欠陥を含む輪郭を形成すること、レーザビームを使用してワークピースに改質トラックを形成すること、および赤外線レーザビームを使用してワークピーススタックのワークピースを加熱することが含まれる。レーザ加工により、ワークピースを1つ以上の所望の分離線に沿って分離することができる。しかしながら、幾つかの実施形態では、追加の非レーザステップを利用して、例えば機械的に、ワークピースを1つ以上の所望の分離線に沿って分離することができる。
【0075】
本明細書で使用される場合、「輪郭線」は、ワークピースの表面上の直線、角度、多角形または曲線を示しうるものであり、レーザビームがワークピースの平面内を移動して対応する輪郭を形成する際に通過する経路を定める。
【0076】
本明細書で使用される場合、「輪郭」は、輪郭線に沿ってレーザを並進させることによって形成された、ワークピース内の一連の欠陥を指しうる。本明細書で使用される場合、輪郭は、基材内または基材上の仮想の2次元形状または経路を指しうる。したがって、輪郭自体は仮想形状であるが、輪郭は、例えば断層線またはクラックによって顕在化しうる。輪郭により、ワークピース内の望ましい分離面を画定できる。輪郭線に沿って種々の技術を用いてワークピースに複数の欠陥を作製することで、輪郭を形成することができる。例えば、輪郭線に沿って連続した地点にパルスレーザビームを配向することで、ワークピースに複数の欠陥を作製することができる。複数の輪郭および/または曲線の焦点線を備えたレーザを使用して、分離部の傾斜面などの複雑な形状を作製することができる。
【0077】
本明細書で使用される場合、「断層線」は、輪郭に沿って延在し、輪郭に近似する一連の近接した欠陥線を指しうる。
【0078】
本明細書で使用される場合、「欠陥」は、ワークピース内の改質された材料の領域(例えば、バルク材料に対する屈折率が変化した領域)、空隙、クラック、スクラッチ、キズ、穴、穿孔または他の変形を指しうる。これらの欠陥は、本明細書の種々の実施形態において、欠陥線または損傷トラックと称されうる。欠陥線または損傷トラックは、単一のレーザパルスまたは同じ場所での複数のパルスに対して、ワークピースの単一の位置に配向されたレーザビームによって形成されうる。輪郭線に沿ってレーザを並進させると、輪郭を形成する複数の欠陥線が生じうる。同様に、「改質領域」なる用語は、欠陥を指しうる。
【0079】
本明細書では、「ビーム断面」なる語句は、レーザビームのビーム伝搬方向に対して垂直な平面に沿ったレーザビームの断面を指しうるものであり、例えば、ビーム伝搬方向がZ方向である場合、X-Y平面に沿った断面を指しうる。
【0080】
本明細書で使用される場合、「ビームスポット」は、衝突面、すなわち、レーザ光学系に最も近接したワークピースの表面におけるレーザビームの断面(例えば、ビーム断面)を指しうる。
【0081】
本明細書で使用される場合、「衝突面」は、レーザ光学系に最も近接したワークピースの表面を指しうる。
【0082】
本明細書で使用される場合、「上流」および「下流」は、ビーム経路に沿った2つの場所または構成要素の、ビーム源に対する相対位置を指しうる。例えば、第1の構成要素が、第2の構成要素よりもレーザビームが通過する経路に沿ってレーザ光学系に近い場合、第1の構成要素は、第2の構成要素の上流にある。
【0083】
本明細書で使用される場合、「レーザビーム焦点線」または「焦点線」は、光軸に対して平行な直線状の細長い集束領域を形成する、レーザビームの相互作用(例えば、交差)する光線のパターンを指しうる。レーザビーム焦点線には、光軸に沿った異なる位置で相互作用(例えば、交差)する、収差を有する光線が含まれる。レーザビーム焦点線により、例えば、直線状の形状を有する欠陥を作製することができる。さらに、本明細書に記載のレーザビーム焦点線は、以下で数学的に詳細に定義される準非回折ビームを使用して形成される。
【0084】
本明細書で使用される「対象物」、「ワークピース」、「基材」などの用語は、レーザ加工の対象である対象物を指しうるものであり、これらの用語は、交換可能に使用することができる。本明細書で使用される「ワークピース」なる語句は、ガラス、ガラスセラミック、または透明な他の材料から形成されたワークピースを意味しうる。ここで、本明細書で使用される「透明」なる用語は、材料が、材料の深さ1mmあたり20%未満、例えば、特定のパルスレーザ波長の材料の深さ1mmあたり10%未満、または特定のパルスレーザ波長の材料の深さ1mmあたり1%未満の光吸収を有することを意味しうる。材料は、材料の深さ1mmあたり約20%未満の光吸収を有しうる。透明ワークピースは、約50マイクロメートル(μm)~約10mm(例えば、約100μm~約5mm、または約0.5mm~約3mm)の深さ(例えば、厚さ)を有しうる。透明ワークピースには、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩、アルカリ土アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ土ボロアルミノケイ酸塩ガラス、溶融石英、もしくは石英、サファイア、またはこれらの組み合わせなどの結晶性材料などのガラス組成物から形成されたガラスワークピースが含まれうる。透明ワークピースには、シリコン、炭化ケイ素、ゲルマニウム、ガリウム砒素、インジウムガリウム砒素、アルミニウムガリウム砒素、窒化ガリウム、アルミニウムガリウム窒化物、リン酸インジウム、またはニオブ酸リチウムなどの半導体材料が含まれうる。透明ワークピースは複合ウェハを含むことができ、複合ウェハは、異なる材料の複数の層を含み、異なる材料は、ガラス、セラミック、半導体、ポリマー、またはプラスチックのいずれかを含む。幾つかの実施形態では、透明ワークピースは、透明ワークピースをレーザ加工する前または後に、熱焼き戻しによって強化することができる。幾つかの実施形態では、ガラスはイオン交換可能であってよく、ガラス組成物は、透明ワークピースをレーザ加工する前または後に、ガラス強化のためにイオン交換に供されうる。例えば、透明ワークピースには、ニューヨーク州コーニング在のコーニング社から市販されているCorning Gorilla(登録商標)ガラス(例えば、コード2318、コード2319、およびコード2320)などのイオン交換ガラスおよびイオン交換可能なガラスが含まれてもよい。さらに、これらのイオン交換ガラスは、約6ppm/℃~約10ppm/℃の熱膨張係数(CTE)を有してもよい。他の例の透明ワークピースには、ニューヨーク州コーニング在のコーニング社から市販されているEAGLE XG(登録商標)およびCORNING LOTUS(商標)が含まれてもよい。さらに、透明ワークピースは、レーザの波長に対して透明である他の構成要素、例えば、サファイアまたはセレン化亜鉛などの結晶を含んでもよい。
【0085】
イオン交換プロセスでは、透明ワークピースの表面層のイオンは、例えば、透明ワークピースを部分的または完全にイオン交換浴に浸すことによって、同じ原子価または酸化状態を有するより大きなイオンに置き換えられる。小さいイオンを大きいイオンに置き換えることで、圧縮応力の層は、透明ワークピースの1つ以上の表面から、層の深度と称される透明ワークピース内の一定の深さまで延在する。圧縮応力は、ガラスシートの正味応力がゼロになるように、引張応力(中心張力と称される)の層によって均衡化される。ガラスシートの表面に圧縮応力が形成されると、ガラスの強度が向上し、機械的損傷に対して耐性を有するようになり、そのため、層の深度に延在しないキズであっても、ガラスシートの破壊的な故障が軽減される。幾つかの実施形態では、透明ワークピースの表面層中のより小さなナトリウムイオンは、より大きなカリウムイオンと交換される。幾つかの実施形態では、表面層のイオンおよびより大きなイオンは、Li+(ガラス中に存在する場合)、Na+、K+、Rb+、およびCs+などの一価のアルカリ金属カチオンである。あるいは表面層の一価カチオンは、Ag+、Tl+、Cu+などのアルカリ金属カチオン以外の一価カチオンで置き換えることができる。
【0086】
レーザ加工システム
ここで、
図1Aおよび
図1Bを参照すると、1つ以上の実施形態による、レーザ加工に供された例示的な透明ワークピース160を示している。特に、
図1Aは、透明ワークピース160を分離するために使用されうる複数の欠陥172を含む輪郭170の形成を示している。複数の欠陥172を含む輪郭170は、透明ワークピース160をレーザビーム112で加工することによって形成することができ、レーザビーム112は、輪郭線165に沿って並進方向101に移動する超短パルスレーザビームを含みうる。欠陥172は、例えば、透明ワークピース160の深さ方向に延在してもよく、透明ワークピース160の衝突面に直交してもよい。さらに、レーザビーム112は、最初に、衝突面上の特定の場所である衝突場所115で透明ワークピース160に接触する。
図1Aおよび
図1Bに示されているように、透明ワークピース160の第1の表面162は衝突面を含むが、他の実施形態では、レーザビーム112は代わりに透明ワークピース160の第2の表面164を最初に照射してもよいことが理解されよう。さらに、
図1Aは、レーザビーム112が、透明ワークピース160の第1の表面162上に投影されたビームスポット114を形成することを示している。
【0087】
図1Aおよび
図1Bは、ビーム経路111に沿って伝搬し、例えば非球面光学要素120(
図2)、例えばアキシコンおよび1つ以上のレンズ(例えば、以下に説明され、
図2に示されているように、第1のレンズ130および第2のレンズ132)を使用して、レーザビーム112が透明ワークピース160内のレーザビーム焦点線113に集束されうるように配向されたレーザビーム112を示している。例えば、レーザビーム焦点線113の位置は、Z軸に沿って、かつZ軸に関して制御されてもよい。さらに、レーザビーム焦点線113は、約0.1mm~約100mmの範囲、または約0.1mm~約10mmの範囲の長さを有してもよい。種々の実施形態は、約0.1mm、約0.2mm、約0.3mm、約0.4mm、約0.5mm、約0.7mm、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、または約5mm、例えば、約0.5mm~約5mmの長さlを有するレーザビーム焦点線113を有するように構成されてもよい。さらに、レーザビーム焦点線113は、以下でより詳細に定義されるように、準非回折ビームの一部であってもよい。
【0088】
動作中、レーザビーム112は、輪郭線165に沿って(例えば、並進方向101に)透明ワークピース160に対して並進されて、輪郭170の複数の欠陥172を形成することができる。レーザビーム112を透明ワークピース160に配向するかまたは局在化させることによって、透明ワークピース160内に誘導吸収が生じ、輪郭線165に沿った離間した場所で透明ワークピース160内の化学結合を破壊して欠陥172を形成するのに十分なエネルギが蓄積される。1つ以上の実施形態では、レーザビーム112は、透明ワークピース160の動き(例えば、
図2に示されているように、透明ワークピース160に連結された並進ステージ190の動き)、レーザビーム112の動き(例えば、レーザビーム焦点線113の動き)、または透明ワークピース160およびレーザビーム焦点線113の両方の動きによって、透明ワークピース160全体にわたって並進させることができる。レーザビーム焦点線113を透明ワークピース160に対して並進させることにより、複数の欠陥172を透明ワークピース160内に形成することができる。
【0089】
幾つかの実施形態では、欠陥172は、概して、輪郭170に沿って、約0.1μm~約500μm、例えば、約1μm~約200μm、約2μm~約100μm、約5μm~約20μmなどの距離だけ互いに離間されてもよい。例えば、欠陥172間の適切な間隔は、TFT/ディスプレイガラス組成物の場合、約0.1μm~約50μm、例えば、約5μm~約15μm、約5μm~約12μm、約7μm~約15μm、または約7μm~約12μmであってよい。幾つかの実施形態では、隣接する欠陥172間の間隔は、約50μm以下、45μm以下、40μm以下、35μm以下、30μm以下、25μm以下、20μm以下、15μm、10μm以下などであってもよい。
【0090】
図1Aに示されているように、輪郭170の複数の欠陥172は、透明ワークピース160内に延在しており、透明ワークピース160を輪郭170に沿って別個の部分に分離するためのクラック伝播のための経路を確立する。輪郭170を形成することには、輪郭線165に沿って(例えば、並進方向101に)透明ワークピース160に対してレーザビーム112を並進させて、輪郭170の複数の欠陥172を形成することが含まれる。1つ以上の実施形態では、レーザビーム112は、透明ワークピース160の動き、レーザビーム112の動き(例えば、レーザビーム焦点線113の動き)、または透明ワークピース160およびレーザビーム112の両方の動きによって、例えば、1つ以上の並進ステージ(例えば、
図2の並進ステージ190)を使用して、透明ワークピース160全体にわたって並進させることができる。レーザビーム焦点線113を透明ワークピース160に対して並進させることにより、複数の欠陥172を透明ワークピース160内に形成することができる。さらに、
図1Aに示されている輪郭170は直線状であるが、輪郭170はまた、非直線状(すなわち、曲率を有する)であってもよい。曲線の輪郭は、例えば、透明ワークピース160またはレーザビーム焦点線113のいずれかを、1次元ではなく2次元で、他方に対して並進させることによって生成することができる。
【0091】
幾つかの実施形態では、透明ワークピース160は、後続の分離ステップにおいてさらに作用されて、輪郭170に沿って透明ワークピース160の分離を誘起することができる。後続の分離ステップには、機械的力または熱応力によって誘起される力を使用して、輪郭170に沿ってクラックを伝播させることが含まれうる。赤外線レーザビームなどの熱源を使用して、熱応力を生成し、これによって、輪郭170に沿って透明ワークピース160を分離することができる。幾つかの実施形態では、赤外線レーザビームを使用して分離を開始し、その後、分離を機械的に終了させることができる。理論に拘束されるものではないが、赤外線レーザは、制御された熱源であり、輪郭170またはその近傍で透明ワークピース160の温度を急速に上昇させる。この急速な加熱により、輪郭170上の透明ワークピース160または輪郭170に隣接する透明ワークピース160に圧縮応力が形成されうる。加熱されたガラス表面の面積は、透明ワークピース160の全体の表面積と比較して比較的小さいので、加熱された領域は、比較的急速に冷却される。結果として生じる温度勾配は、輪郭170に沿って、そして透明ワークピース160の深さ方向に、クラックを伝播するのに十分な引張応力を透明ワークピース160に誘起し、その結果、輪郭170に沿って透明ワークピース160が完全に分離される。理論に拘束されるものではないが、局所的な温度が高いワークピースの部分においてガラスが膨張する(すなわち、密度が変化する)ことで、引張応力が生じうると考えられる。
【0092】
ガラスに熱応力を発生させるのに適した赤外線レーザは、通常、ガラスによって容易に吸収される波長を有し、典型的には、1.2μm~13μmの範囲の波長、例えば、4μm~12μmの範囲を有する。さらに、赤外線レーザビームの出力は、約10W~約1000W、例えば、100W、250W、500W、750Wなどであってよい。また、赤外線レーザビームの1/e2ビーム径は、約20mm以下、例えば、15mm、12mm、10mm、8mm、5mm、2mm以下であってよい。動作中、赤外線レーザビームの1/e2ビーム径が大きいと、レーザ加工が速くなり、出力が大きくなることがあり、一方、赤外線レーザビームの1/e2ビーム直径が小さいと、輪郭170の近傍の透明なワークピース160の部分への損傷が制限されるため、高精度の分離が容易になりうる。例示的な赤外線レーザには、炭酸ガスレーザ(「CO2レーザ」)、一酸化炭素レーザ(「COレーザ」)、固体レーザ、レーザダイオード、またはこれらの組み合わせが含まれる。
【0093】
他の実施形態では、透明ワークピース160に存在する応力により、種類、深さ、および材料特性(例えば、吸収、CTE、応力、組成など)に応じて、さらなる加熱または機械的分離ステップなしに、輪郭170に沿って自発的な分離を引き起こすことができる。例えば、透明ワークピース160が強化ガラス基材(例えば、イオン交換ガラス基材または熱強化ガラス基材)を含む場合、輪郭170の形成により、輪郭170に沿ってクラック伝播を誘起して、透明ワークピース160を分離することができる。
【0094】
再び
図1Aおよび
図1Bを参照すると、欠陥172を形成するために使用されるレーザビーム112は、強度分布I(X,Y,Z)をさらに有する。ここで、図示のように、Zは、レーザビーム112のビーム伝搬方向であり、XおよびYは、伝搬方向に直交する方向である。X方向およびY方向は断面方向と称されることもあり、XY平面は断面平面と称されることもある。断面におけるレーザビーム112の強度分布は、断面強度分布と称されうる。
【0095】
ビームスポット114または他の断面におけるレーザビーム112は、準非回折ビーム、例えば、
図2に示されている光学アセンブリ100に関して以下により詳細に説明されるように、非球面光学要素120を介してレーザビーム112(例えば、パルスビーム源などのビーム源110を使用するガウスビームなどのレーザビーム112)を伝搬させることによって以下に数学的に定義されるような低いビーム発散を有するビームを含みうる。ビーム発散とは、ビーム伝搬方向(すなわち、Z方向)におけるビーム断面の拡大率を指しうる。本明細書で論じられるビーム断面の一例は、透明ワークピース160に投影されたレーザビーム112のビームスポット114である。準非回折ビームの例として、ガウスベッセルビームおよびベッセルビームが挙げられる。
【0096】
レーザビーム112の発散をもたらす要因の1つは、回折である。他の要因としては、レーザビーム112を形成する光学システムによって引き起こされる集束もしくはデフォーカス、または界面での屈折および散乱が挙げられる。輪郭170の欠陥172を形成するためのレーザビーム112により、発散性が低く、回折が弱いレーザビーム焦点線113を形成することができる。レーザビーム112の発散は、レイリー範囲ZRによって特徴付けられ、ZRは、レーザビーム112の強度分布の分散σ2およびビーム伝搬係数M2に関連している。以下の説明では、デカルト座標系を使用して数式を示す。当業者に知られている数学的技術を使用して、他の座標系に対応する数式を得ることができる。ビーム発散に関する追加情報は、A. E. Siegman, “New Developments in Laser Resonators”, SPIE Symposium Series Vol. 1224, p.2 (1990)、およびR.Borghi and M.Santarsiero, “M2 factor of Bessel-Gauss beams”, Optics Letters, Vol.22(5), 262 (1997)と題する記事に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。さらなる情報は、“Lasers and laser-related equipment-Test methods for laser beam widths, divergence angles and beam propagation ratios-Part 1: Stigmatic and simple astigmatic beams”と題する国際規格ISO11146-1:2005(E)、“Lasers and laser-related equipment-Test methods for laser beam widths, divergence angles and beam propagation ratios-Part 2: General astigmatic beams”と題するISO11146-2:2005(E)、および“Lasers and laser-related equipment-Test methods for laser beam widths, divergence angles and beam propagation ratios-Part 3: Intrinsic and geometrical laser beam classification, propagation and details of test methods”と題するISO11146-3:2004(E)にも記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0097】
時間平均強度プロファイルI(x,y,z)を有するレーザビーム112の強度プロファイルの重心の空間座標は、式
【0098】
【0099】
【0100】
によって与えられる。
【0101】
これらはウィグナー分布の第1のモーメントとしても知られており、ISO11146-2:2005(E)のセクション3.5で説明されている。その測定方法は、ISO11146-2:2005(E)のセクション7に記載されている。
【0102】
分散は、断面(X-Y)平面における、ビーム伝搬方向の位置zの関数としてのレーザビーム112の強度分布の幅の尺度である。任意のレーザビームの場合、X方向の分散はY方向の分散とは異なることがある。ここで、
【0103】
【0104】
は、それぞれX方向およびY方向の分散を表すものとする。特に注目すべきは、近接場限界および遠方場限界の分散である。ここで、
【0105】
【0106】
は、それぞれ近接場限界におけるX方向およびY方向の分散を表すものとし、
【0107】
【0108】
は、それぞれ遠方場限界におけるX方向およびY方向の分散を表すものとする。フーリエ変換
【0109】
(vxおよびvyはそれぞれX方向およびY方向の空間周波数)の時間平均強度プロファイルI(x,y,z)を有するレーザビームの場合、X方向およびY方向の近接場および遠方場の分散は、式
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
で与えられる。
【0115】
【0116】
【0117】
は、ウィグナー分布の対角要素としても知られている(ISO11146-2:2005(E)を参照)。これらの分散は、ISO11146-2:2005(E)のセクション7で説明されている測定方法を使用して、実験用レーザビームについて定量化できる。簡単に言えば、当該測定方法では、線形不飽和ピクセル検出器を使用して、分散および重心座標を定義する積分方程式の無限積分領域に近似した有限空間領域でI(x,y)が測定される。測定領域の適切な範囲、バックグラウンド減算、および検出器のピクセル解像度は、ISO11146-2:2005(E)のセクション7に記載されている反復測定手順の収束によって決定される。式1~式6で与えられる式の数値は、ピクセル化された検出器によって測定された強度値の配列から数値的に計算される。
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
である)との間のフーリエ変換関係を介して、
【0123】
【0124】
【0125】
のように示すことができる。
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
の最小値であり、これらは、それぞれx方向およびy方向のウエスト位置z
0xおよびz
0yで生じ、λは、レーザビーム112の波長である。式(7)および式(8)は、
【0131】
【0132】
が、レーザビーム112のウエスト位置(例えば、レーザビーム焦点線113のウエスト部分)に関連する最小値から、いずれかの方向にzとともに2次関数的に増大することを示している。さらに、軸対称のビームスポット114を含み、軸対称の強度分布I(x,y)を含む本明細書に記載の実施形態では、
【0133】
であり、非軸対称のビームスポット114を含み、非軸対称の強度分布I(x,y)を含む本明細書に記載の実施形態では、
【0134】
【0135】
【0136】
である。
【0137】
式(7)および式(8)は、ビーム伝搬係数M
2に関して書き直すことができる。ここで、x方向およびy方向の個別のビーム伝搬係数
【0138】
【0139】
は、
【0140】
【0141】
【0142】
のように定義される。
【0143】
式(9)および式(10)を再構成し、式(7)および式(8)に代入すると、
【0144】
【0145】
【0146】
のようになり、これは、
【0147】
【0148】
【0149】
のように書き直すことができ、式中、レイリー範囲ZRxおよびZRyは、それぞれx方向およびy方向で、式
【0150】
【0151】
【0152】
で与えられる。
【0153】
レイリー範囲は、レーザビームの分散が(ビームウエストの位置での分散と比較して)2倍になる距離(ISO11146-1:2005(E)のセクション3.12で定義されているビームウエストの位置に対する距離)に対応しており、レーザビームの断面積の発散の尺度である。さらに、軸対称のビームスポット114を含み、軸対称の強度分布I(x,y)を含む本明細書に記載の実施形態では、ZRx=ZRyであり、非軸対称のビームスポット114を含み、非軸対称の強度分布I(x,y)を含む本明細書に記載の実施形態では、ZRx≠ZRy、すなわち、ZRx<ZRyまたはZRx>ZRyである。レイリー範囲は、光強度がビームウエスト位置(最大強度の位置)で観察された値の半分に減衰するビーム軸に沿った距離としても観察されうる。レイリー範囲が大きいレーザビームは発散性が低く、レイリー範囲が小さいレーザビームに比べてビーム伝搬方向の距離に応じて緩慢に拡大する。
【0154】
上記の式は、レーザビームを表す強度プロファイルI(x,y,z)を使用することにより、(ガウスビームだけでなく)任意のレーザビームに適用できる。ガウスビームのTEM00モードの場合、強度プロファイルは、式
【0155】
【0156】
で与えられ、式中、woは半径である(ビーム強度がビームウエスト位置zoでのビームのピークビーム強度の1/e2に減少する半径として定義される)。式(17)および上記の式から、TEM00ガウスビームに対して、結果
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
が得られ、式中、Z
R=Z
Rx=Z
Ryである。ガウスビームの場合、
【0165】
であることにさらに注意されたい。
【0166】
ビーム断面は、形状および寸法によって特徴付けられる。ビーム断面の寸法は、ビームのスポットサイズによって特徴付けられる。ガウスビームの場合、スポットサイズは、ビームの強度が最大値の1/e2に減少する半径方向の範囲として定義されることが多く、これは式(17)でw0として示される。ガウスビームの最大強度は、強度分布の中心(x=0およびy=0(デカルト)またはr=0(円柱))で生じ、スポットサイズを決定するために使用される半径方向の範囲は中心を基準にして測定される。
【0167】
軸対称(ビーム伝搬軸線Zに関して回転対称)断面を有するビームは、ISO11146-1:2005(E)のセクション3.12で規定されているように、ビームウエスト位置で測定される単一の寸法またはスポットサイズによって特徴付けることができる。ガウスビームの場合、式(17)は、スポットサイズがwoに等しいことを示している。式(18)から、これは、2σ0xまたは2σ0yに対応する。円形断面などの軸対称断面を有する軸対称ビームの場合、σ0x=σ0yである。したがって、軸対称ビームの場合、断面寸法は単一のスポットサイズパラメータで特徴付けることができ、ここで、wo=2σ0である。スポットサイズは、軸対称ビームとは異なり、σ0x≠σ0yである非軸対称ビーム断面に対しても同様に定義できる。したがって、ビームのスポットサイズが非軸対称である場合、2つのスポットサイズパラメータを使用して、非軸対称ビームの断面寸法を特徴付ける必要がある。x方向およびy方向にそれぞれwoxおよびwoyがあり、ここで
【0168】
【0169】
【0170】
である。
【0171】
さらに、非軸対称ビームの軸(任意の回転角)の対称性の欠如は、σ0xおよびσ0yの値の計算結果がX軸およびY軸の配向の選択に依存することを意味する。ISO11146-1:2005(E)では、これらの参照軸を出力密度分布の主軸と称しており(セクション3.3~3.5)、以下の説明では、X軸およびY軸がこれらの主軸と一致していると仮定する。さらに、断面においてX軸およびY軸を回転させうる角度φ(例えば、X軸およびY軸の基準位置に対するX軸およびY軸の角度)を使用して、非軸対称ビームのスポットサイズパラメータの最小値(wo,min)および最大値(wo,max)を定義することができ、すなわち
【0172】
【0173】
【0174】
であって、ここで、2σ0,min=2σ0x(φmin,x)=2σ0y(φmin,y)および2σ0,max=2σ0x(φmax,x)=2σ0y(φmax,y)である。ビーム断面の軸方向の非対称性の大きさは、アスペクト比によって定量化できる。ここで、アスペクト比は、wo,maxとwo,minとの比率として定義される。軸対称ビーム断面は1.0のアスペクト比を有するが、楕円形およびその他の非軸対称ビーム断面は、1.0より大きいアスペクト比を有し、例えば、1.1より大きい、1.2より大きい、1.3より大きい、1.4より大きい、1.5より大きい、1.6より大きい、1.7より大きい、1.8より大きい、1.9より大きい、2.0より大きい、3.0より大きい、5.0より大きい、10.0より大きいなどのアスペクト比を有する。
【0175】
ビーム伝搬方向(例えば、透明ワークピース160の深さ寸法)における欠陥172の均一性を促進するために、低発散性のレーザビーム112を使用することができる。1つ以上の実施形態では、低発散性のレーザビーム112を利用して、欠陥172を形成することができる。上述のように、発散は、レイリー範囲によって特徴付けることができる。非軸対称ビームの場合、主軸XおよびYのレイリー範囲はそれぞれX方向およびY方向の式(15)および式(16)で定義され、ここで、任意の実際のビームの場合、
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
がレーザビームの強度分布によって決定されることが示されうる。対称ビームの場合、レイリー範囲はX方向とY方向とで同じであり、式(22)または式(23)で表される。発散性が低いことは、レイリー範囲の値が大きく、レーザビームの回折が弱いことと相関している。
【0180】
ガウス強度プロファイルを有するビームは、欠陥172を形成するためのレーザ加工にはあまり好ましくない可能性がある。なぜなら、利用可能なレーザパルスエネルギがガラスなどの材料を改質しうるのに十分に小さいスポットサイズ(約1~5μmまたは約1~10μmなどのマイクロメートルの範囲のスポットサイズなど)に集束されたとき、これらは高度に回折し、短い伝搬距離で著しく発散するためである。低発散性を実現するために、パルスレーザビームの強度分布を制御または最適化して回折を低減することが望ましい。パルスレーザビームは、非回折または弱回折であってもよい。弱回折レーザビームには、準非回折レーザビームが含まれる。代表的な弱回折レーザビームとして、ベッセルビーム、ガウスベッセルビーム、エアリービーム、ウェーバービーム、およびマシュービームが挙げられる。
【0181】
非軸対称ビームの場合、レイリー範囲ZRxおよびZRyは等しくない。式(15)および式(16)は、ZRxおよびZRyがそれぞれσ0xおよびσ0yに依存することを示している。上記において、σ0xおよびσ0yの値はX軸およびY軸の配向に依存することに注意されたい。ZRxおよびZRyの値はこれに応じて変化し、それぞれが主軸に対応する最小値および最大値を有しており、ZRxの最小値をZRx,min、ZRyの最小値をZRy,minとすると、任意のビームプロファイルに対して、ZRx,minおよびZRy,minは、式
【0182】
【0183】
および
【0184】
【0185】
で与えられる。
【0186】
レーザビームの発散は、レイリー範囲が最も小さい方向に短い距離で発生するため、欠陥172を形成するために使用されるレーザビーム112の強度分布は、ZRxおよびZRyの最小値(または軸対称ビームの場合、ZRの値)が可能な限り大きくなるように制御されうる。ZRxの最小値ZRx,minおよびZRyの最小値ZRy,minは、非軸対称ビームでは異なるため、損傷領域を形成する際に、ZRx,minおよびZRy,minの小さい方を可能な限り大きくする強度分布のレーザビーム112を使用することができる。
【0187】
様々な実施形態では、ZRx,minおよびZRy,minの小さい方(または軸対称ビームの場合、ZRの値)は、50μm以上、100μm以上、200μm以上、300μm以上、500μm以上、1mm以上、2mm以上、3mm以上、5mm以上、50μm~10mmの範囲、100μm~5mmの範囲、200μm~4mmの範囲、300μm~2mmの範囲などである。
【0188】
ここで特定されているZRx,minおよびZRy,minの小さい方の値および範囲(または軸対称ビームの場合、ZRの値)は、式(27)で定義されたスポットサイズパラメータwo,minを調整することにより、ワークピースが透明となる種々の波長で実現できる。様々な実施形態では、スポットサイズパラメータwo,minは、0.25μm以上、0.50μm以上、0.75μm以上、1.0μm以上、2.0μm以上、3.0μm以上、5.0μm以上、0.25μm~10μmの範囲、0.25μm~5.0μmの範囲、0.25μm~2.5μmの範囲、0.50μm~10μmの範囲、0.50μm~5.0μmの範囲、0.50μm~2.5μmの範囲、0.75μm~10μmの範囲、0.75μm~5.0μmの範囲、0.75μm~2.5μmの範囲などである。
【0189】
非回折ビームまたは準非回折ビームは、概して、半径に対して非単調に減少するような複雑な強度プロファイルを有している。ガウスビームと同様に、非軸対称ビームの有効スポットサイズwo,effは、非軸対称ビームに対して、強度が最大強度の1/e2に減少する、最大強度(r=0)の半径方向位置からの任意の方向の最短半径方向距離として定義できる。さらに、軸対称ビームの場合、wo,effは、強度が最大強度の1/e2に減少する最大強度(r=0)の半径方向位置からの半径方向距離である。非軸対称ビームの有効スポットサイズwo,effまたは軸対称ビームのスポットサイズwoに基づくレイリー範囲の基準は、次の非軸対称ビームの式(31)または軸対称ビームの式(32)を使用して、損傷領域を形成するための非回折ビームまたは準非回折ビームとして、
【0190】
【0191】
【0192】
のように特定でき、式中、FDは、少なくとも10、少なくとも50、少なくとも100、少なくとも250、少なくとも500、少なくとも1000、10~2000の範囲、50~1500の範囲、100~1000の範囲の値を有する無次元発散係数である。式(31)を式(22)または式(23)と比較すると、非回折または準非回折ビームの場合、有効ビームサイズが2倍になる式(31)のZRx,min,ZRy,minの小さい方の距離は、典型的なガウスビームプロファイルを使用した場合に予想される距離のFD倍であることがわかる。無次元発散係数FDにより、レーザビームが準非回折であるかどうかを判別するための基準が提供される。本明細書で使用されるように、レーザビームの特性が、FD≧10の値で式(31)または式(32)を満たす場合、レーザビーム112は準非回折であると見なされる。FDの値が増大するにつれて、レーザビーム112は、より完全に近い非回折状態に近づく。さらに、式(32)は式(31)を単純化したものに過ぎないため、式(31)は軸対称および非軸対称パルスレーザビーム112の両方について無次元発散係数FDを数学的に記述していることを理解すべきである。
【0193】
ここで
図2を参照すると、1つ以上の実施形態による、非球面光学要素120(例えば、アキシコン122)を使用して、準非回折のレーザビーム112を生成し、透明ワークピース160にレーザビーム焦点線113を形成するための光学アセンブリ100を示している。光学アセンブリ100は、レーザビーム112を出力するビーム源110、第1のレンズ130および第2のレンズ132を含む。ビーム源110は、レーザビーム112、例えば、パルスレーザビームまたは連続波レーザビームを出力するように構成された既知または未開発の任意のビーム源110を含みうる。幾つかの実施形態では、ビーム源110は、例えば、1064nm、1030nm、532nm、530nm、355nm、343nm、もしくは266nm、または215nmの波長を含むレーザビーム112を出力することができる。さらに、透明ワークピース160に欠陥172を形成するために使用されるレーザビーム112は、選択されたパルスレーザ波長に対して透明である材料に良好に適しうる。
【0194】
さらに、透明ワークピース160は、例えば、非球面光学要素120を通過し、その後、第1のレンズ130および第2のレンズ132の両方を通過した後、ビーム源110によって出力されたレーザビーム112が透明ワークピース160を照射するように、位置決めすることができる。光軸102は、ビーム源110と透明ワークピース160との間に(
図2に示されている実施形態ではZ軸に沿って)延在し、ビーム源110がレーザビーム112を出力する際、レーザビーム112のビーム経路111は、光軸102に沿って延在する。
【0195】
欠陥172を形成するための適切なレーザ波長は、透明ワークピース160による線形吸収および散乱の複合損失が十分に低い波長である。実施形態では、当該波長での透明ワークピース160による線形吸収および散乱による複合損失は、20%/mm未満、または15%/mm未満、または10%/mm未満、または5%/mm未満、または1%/mm未満である。ここで、「/mm」なる寸法は、レーザビーム112のビーム伝搬方向(例えば、Z方向)における透明ワークピース160内の距離1ミリメートルあたりを意味する。多くのガラスワークピースに対応する代表的な波長として、Nd3+の基本波長および高調波波長(例えば、1064nm付近の基本波長ならびに532nm、355nm、および266nm付近の高次高調波波長を有するNd3+:YAGまたはNd3+:YVO4)が挙げられる。他の紫外、可視、および赤外部分のスペクトルの波長のうち、所与の基材材料の線形吸収および散乱損失の要件を組み合わせて満たすものも使用できる。
【0196】
動作中、ビーム源110によって出力されたレーザビーム112により、透明ワークピース160に多光子吸収(MPA)を生成することができる。MPAでは、同一または異なる周波数の2つ以上の光子が同時に吸収され、分子は、ある状態(通常は基底状態)からより高いエネルギの電子状態(つまり、イオン化)に励起される。分子の下側状態と上側状態との間のエネルギ差は、関与する光子のエネルギの合計に等しくなる。誘導吸収とも称されるMPAは、例えば、線形吸収よりも数桁弱い2次または3次(またはそれ以上の次数)のプロセスでありうる。線形吸収と異なる点は、2次誘導吸収の強さが例えば光強度の2乗に比例する場合があり、非線形光学プロセスであることである。
【0197】
輪郭170(
図1Aおよび
図1B)を作製する穿孔ステップでは、非球面光学要素120、第1のレンズ130、および第2のレンズ132と組み合わせて、ビーム源110(例えば、超短パルスレーザなどのパルスビーム源)を利用し、透明ワークピース160を照射して、レーザビーム焦点線113を生成することができる。レーザビーム焦点線113は、上記で定義したガウスベッセルビームまたはベッセルビームなどの準非回折ビームを含み、透明ワークピース160を完全にまたは部分的に穿孔して、透明ワークピース160に欠陥172を形成することができ、これにより、輪郭170が形成されうる。レーザビーム112がパルスレーザビームを含む実施形態では、個々のパルスのパルス持続時間は、約1フェムト秒~約200ピコ秒の範囲、例えば、約1ピコ秒~約100ピコ秒、5ピコ秒~約20ピコ秒であり、個々のパルスの繰り返し率は、約1kHz~4MHzの範囲、例えば約10kHz~約3MHzの範囲、または約10kHz~約650kHzの範囲でありうる。
【0198】
ここで、
図3Aおよび
図3Bを参照すると、パルスレーザビームを含む実施形態では、パルスは、2つのサブパルス300A以上のパルスバースト300で生成することができる(例えば、パルスバーストあたり3個のサブパルス、4個のサブパルス、5個のサブパルス、10個のサブパルス、15個のサブパルス、20個のサブパルス、またはそれ以上、例えば、パルスバースト300あたり1~30個のサブパルス、もしくはパルスバースト300あたり5~20個のサブパルスなど)。理論によって制限されることを意図するものではないが、パルスバーストは短くて速いサブパルスのグループであり、単一パルス操作を使用して容易にアクセスできない時間スケールで、材料との光エネルギ相互作用(すなわち、透明なワークピース160の材料中のMPA)を生成する。理論によって制限されることをさらに意図するものではないが、パルスバースト(つまりパルスのグループ)内のエネルギは保存される。一例として、100μJ/バーストのエネルギおよび2つのサブパルスを有するパルスバーストの場合、100μJ/バーストエネルギは2つのパルスに分割され、サブパルスあたりの平均エネルギは50μJになり、100μJ/バーストのエネルギおよび10個のサブパルスを有するパルスバーストの場合、100μJ/バーストは10個のサブパルスに分割され、サブパルスあたりの平均エネルギは10μJになる。さらに、パルスバーストのサブパルス間のエネルギ分布は均一である必要はない。実際、幾つかの場合には、パルスバーストのサブパルス間のエネルギ分布は指数関数的減衰の形状であり、パルスバーストの第1のサブパルスは最も多くのエネルギを含み、パルスバーストの第2のサブパルスはわずかに少ないエネルギを含み、パルスバーストの第3のサブパルスはさらに少ないエネルギを含む。しかしながら、個々のパルスバースト内の他のエネルギ分布も可能であり、各サブパルスの正確なエネルギは、透明なワークピース160に異なる量の改質をもたらすように調整することができる。
【0199】
理論によって制限されることをさらに意図するものではないが、1つ以上の輪郭170の欠陥172が少なくとも2つのサブパルスを有するパルスバーストで形成される場合、輪郭170に沿って透明ワークピース160を分離するのに必要な力(すなわち、最大破壊抵抗)は、単一パルスレーザを使用して形成された同一の透明ワークピース160内の隣接する欠陥172間の同じ間隔を有する輪郭170の最大破壊抵抗と比較して減少する。例えば、単一のパルスを使用して形成された輪郭170の最大破壊抵抗は、2つ以上のサブパルスを有するパルスバーストを使用して形成された輪郭170の最大破壊抵抗よりも少なくとも2倍大きい。さらに、単一パルスを使用して形成された輪郭170と2つのサブパルスを有するパルスバーストを使用して形成された輪郭170との間の最大破壊抵抗の差は、2個のサブパルスを有するパルスバーストと3個のサブパルスを有するパルスバーストとを使用して形成された輪郭170との間の最大破壊抵抗の差よりも大きい。このように、パルスバーストを使用して、単一パルスレーザを使用して形成された輪郭170よりも容易に分離する輪郭170を形成することができる。
【0200】
さらに
図3Aおよび
図3Bを参照すると、パルスバースト300内のサブパルス300Aは、約1ナノ秒~約50ナノ秒の範囲、例えば、約10ナノ秒~約30ナノ秒、例えば、約20ナノ秒の範囲の持続時間によって分離されていてよい。他の実施形態では、パルスバースト300内のサブパルス300Aは、最大100ピコ秒の持続時間(例えば、0.1ピコ秒、5ピコ秒、10ピコ秒、15ピコ秒、18ピコ秒、20ピコ秒、22ピコ秒、25ピコ秒、30ピコ秒、50ピコ秒、75ピコ秒、またはこれらの間の任意の範囲)で分離されていてもよい。所与のレーザの場合、パルスバースト300内の隣接するサブパルス300A間の時間分離T
p(
図3B)は、比較的均一(例えば、互いに約10%以内)であってもよい。例えば、幾つかの実施形態では、パルスバースト300内の各サブパルスは、後続のサブパルスから約20ナノ秒(50MHz)だけ時間的に分離されている。さらに、各パルスバースト300間の時間は、約0.25マイクロ秒~約1000マイクロ秒、例えば、約1マイクロ秒~約10マイクロ秒、または約3マイクロ秒~約8マイクロ秒であってもよい。
【0201】
本明細書に記載のビーム源110の例示的な実施形態の幾つかでは、時間分離T
b(
図3B)は、約200kHzのバースト繰り返し率を含むレーザビーム112を出力するビーム源110の場合、約5マイクロ秒である。レーザバーストの繰り返し率は、バーストの最初のパルスから次のバーストの最初のパルスまでの時間T
bに関連している(レーザバーストの繰り返し率=1/T
b)。幾つかの実施形態では、レーザバースト繰り返し率は、約1kHz~約4MHzの範囲であってもよい。実施形態では、レーザバースト繰り返し率は、例えば、約10kHz~650kHzの範囲であってもよい。各バーストの最初のパルスから次のバーストの最初のパルスまでの時間T
bは、約0.25マイクロ秒(バースト繰り返し率4MHz)~約1000マイクロ秒(バースト繰り返し率1kHz)、例えば、約0.5マイクロ秒(バースト繰り返し率2MHz)~約40マイクロ秒(バースト繰り返し率25kHz)、または約2マイクロ秒(バースト繰り返し率500kHz)~約20マイクロ秒(バースト繰り返し率50kHz)であってもよい。正確なタイミング、パルス持続時間、およびバースト繰り返し率は、レーザの設計によって異なりうるが、幾つかの実施形態では、高強度の短いパルス(T
d<20ピコ秒、幾つかの実施形態ではT
d≦15ピコ秒)が特に良好に機能することが示されている。
【0202】
バースト繰り返し率は、約1kHz~約200kHzなど、約1kHz~約2MHzの範囲であってもよい。パルスバースト300のバーストまたは生成は、サブパルス300Aの放出が均一で安定した流れではなく、パルスバースト300の密集したクラスタ内で行われるタイプのレーザ動作である。パルスバーストレーザビームは、透明ワークピース160の材料がその波長で実質的に透明になるように、操作される透明ワークピース160の材料に基づいて選択された波長を有しうる。材料で測定したバーストあたりの平均レーザ出力は、材料の厚さ1mmあたり少なくとも約40μJでありうる。例えば、実施形態では、バーストあたりの平均レーザ出力は、約40μJ/mm~約2500μJ/mm、または約500μJ/mm~約2250μJ/mmであってもよい。特定の例では、厚さ0.5mm~0.7mmのCorning EAGLE XG(登録商標)透明ワークピースの場合、約300μJ~約600μJのパルスバーストにより、ワークピースを切断および/または分離することができ、これは、約428μJ/mm~約1200μJ/mmの例示的な範囲に対応する(つまり、0.7mmのEAGLE XG(登録商標)ガラスの場合は300μJ/0.7mm、0.5mmのEAGLE XG(登録商標)の場合は600μJ/0.5mm)。
【0203】
透明ワークピース160を改質するために必要なエネルギは、パルスエネルギであり、これはパルスバーストエネルギ(すなわち、各パルスバースト300が一連のサブパルス300Aを含むパルスバースト300内に含まれるエネルギ)の観点から、または単一のレーザパルス(その多くはバーストを含みうる)に含まれるエネルギの観点から説明することができる。パルスエネルギ(例えば、パルスバーストエネルギ)は、約25μJ~約750μJ、例えば、約50μJ~約500μJ、または約50μJ~約250μJであってよい。幾つかのガラス組成物について、パルスエネルギ(例えば、パルスバーストエネルギ)は、約100μJ~約250μJであってもよい。しかしながら、ディスプレイまたはTFTガラス組成物の場合、パルスエネルギ(例えば、パルスバーストエネルギ)はより高くなりうる(例えば、透明なワークピース160の特定のガラス組成に応じて、約300μJ~約500μJ、または約400μJ~約600μJ)。
【0204】
理論によって制限されることを意図するものではないが、パルスバーストを生成しうるパルスレーザビームを含むレーザビーム112を使用することは、透明材料、例えばガラス(例えば、透明ワークピース160)を切断または改質するのに有利である。単一パルスレーザの繰り返し率によって時間的に離間して配置された単一パルスの使用とは対照的に、バースト内のパルスの高速シーケンス全体にパルスエネルギを拡散するバーストシーケンスの使用により、単一パルスレーザでは不可能な、より大きなタイムスケールでの高強度の物質との相互作用が可能になる。パルスバーストを使用すると、(単一パルス動作とは対照的に)欠陥172のサイズ(例えば、断面サイズ)が増大し、これは、1つ以上の輪郭170に沿って透明なワークピース160を分離する際に隣接する欠陥172との接続を容易にし、これにより、意図しないクラックの形成が最小限に抑えられる。さらに、パルスバーストを使用して欠陥172を形成すると、各欠陥から透明なワークピース160のバルク材料へと外向きに延在するクラックの配向のランダム性が高まり、欠陥172から外向きに延在する個々のクラックが、欠陥172の分離が輪郭170に沿うように輪郭170の分離に影響を与えたり、別様で偏ったりすることがなく、意図しないクラックの形成を最小限に抑えることができる。
【0205】
再び
図2を参照すると、非球面光学要素120は、ビーム源110と透明ワークピース160との間のビーム経路111内に位置決めされる。上述のように、動作中、非球面光学要素120を介してレーザビーム112、例えば入射ガウスビームを伝搬させることで、非球面光学要素120を越えて伝搬するレーザビーム112の部分が準非回折となるように、レーザビーム112を変化させることができる。非球面光学要素120は、非球面形状を含む任意の光学要素を含みうる。幾つかの実施形態では、非球面光学要素120は、アキシコンレンズ、例えば、負屈折アキシコンレンズ、正屈折アキシコンレンズ、反射アキシコンレンズ、回折アキシコンレンズ、プログラム可能な空間光変調器アキシコンレンズ(例えば、位相アキシコン)などの円錐波面生成光学要素を含んでいてよい。
【0206】
幾つかの実施形態では、非球面光学要素120は、その形状が数学的にz’=(cr2/1)+(1-(1+k)(c2r2))1/2+(a1r+a2r2+a3r3+a4r4+a5r5+a6r6+a7r7+a8r8+a9r9+a10r10+a11r11+a12r12)と記述される少なくとも1つの非球面を含む。ここで、z’は非球面の表面たるみであり、rは非球面と光軸102との間の半径方向(例えば、X方向またはY方向)の距離であり、cは非球面の表面曲率(つまり、ci=1/Ri、ここでRは非球面の表面半径)であり、kは円錐定数であり、係数aiは、非球面を表す1次から12次の非球面係数または高次の非球面係数(多項式非球面)である。一例の実施形態では、非球面光学要素120の少なくとも1つの非球面は、それぞれ、-0.085274788、0.065748845、0.077574995、-0.054148636、0.022077021、-0.0054987472、0.0006682955である係数a1~a7を含み、非球面係数a8~a12は0である。この実施形態では、少なくとも1つの非球面は円錐定数k=0を有する。ただし、a1係数の値が非ゼロであるため、これは、値が非ゼロの円錐定数kを有することと同じである。したがって、等価表面は、非ゼロである円錐定数k、非ゼロである係数a1、または非ゼロkのおよび非ゼロ係数のa1の組み合わせを特定することによって記述できる。さらに、幾つかの実施形態では、少なくとも1つの非球面は、非ゼロの値(すなわち、a2,a3…,a12≠0のうちの少なくとも1つ)を有する少なくとも1つの高次非球面係数a2~a12によって記述または定義される。一例の実施形態では、非球面光学要素120には、非ゼロである係数a3を含む、立方体形状の光学要素などの3次非球面光学要素が含まれる。
【0207】
幾つかの実施形態では、非球面光学要素120が(
図2に示されるように)アキシコン122を含む場合、アキシコン122は、約1.2°、例えば、約0.5°~約5°、または約1°~約1.5°、さらには約0.5°~約20°の角度を有するレーザ出力面126(例えば、円錐面)を有することができ、当該角度は、レーザビーム112がアキシコン122に入るレーザ入力表面124(例えば、平坦な表面)に対して測定された角度である。さらに、レーザ出力面126は、円錐形の先端で終端する。さらに、非球面光学要素120は、レーザ入力面124からレーザ出力面126まで延在し、円錐形の先端で終端する中心線軸125を含む。他の実施形態では、非球面光学要素120は、ワキシコン、空間光変調器などの空間位相変調器、または回折光学格子を含んでもよい。動作中、非球面光学要素120は、入射レーザビーム112(例えば、入射ガウスビーム)を準非回折ビームに成形し、その後、当該準非回折ビームは、第1のレンズ130および第2のレンズ132を通して配向される。
【0208】
さらに
図2を参照すると、第1のレンズ130は、第2のレンズ132の上流に位置決めされており、第1のレンズ130と第2のレンズ132との間のコリメーション空間134内でレーザビーム112をコリメートすることができる。さらに、第2のレンズ132は、レーザビーム112を透明ワークピース160に集束させることができ、透明ワークピース160は、撮像面104に位置決めすることができる。幾つかの実施形態では、第1のレンズ130および第2のレンズ132はそれぞれ、平凸レンズを含む。第1のレンズ130および第2のレンズ132がそれぞれ平凸レンズを含む場合、第1のレンズ130および第2のレンズ132の曲率は、それぞれコリメーション空間134側を向いていてもよい。他の実施形態では、第1のレンズ130は、他のコリメートレンズを含むことができ、第2のレンズ132は、メニスカスレンズ、非球面、または別のより高次の補正された集束レンズを含むことができる。
【0209】
現在のワークピースをレーザ加工するための方法は、ワークピースに単純な円柱形の欠陥を形成することに限定されている。また、既存の構成要素(電気トレースなど)を使用してワークピースをレーザ加工すると、構成要素が偶発的にレーザに露光し、デバイスに欠陥が生じる可能性がある。自由形状の焦点線を生成する利点は、ワークピースにカスタムの欠陥形状を選択的に形成できることである。また、これにより、より高速な製造が可能となり、かつ/または透明な物品の製造コストを削減することができる。本明細書で論じられる幾つかの実施形態では、自由形状を有する準非回折ビームの焦点線を生成するための光学アセンブリおよび方法が提示される。本明細書で論じられる他の実施形態では、光学アセンブリおよび方法を使用して製造された基材物品が提示される。
【0210】
図4は、1つ以上の実施形態による、レーザビームを生成するための光学アセンブリ400を示している。別段明示しない限り、以下の
図4の構造の説明は、
図2で使用されたものと同じ構造要素の一部、特に同じ番号を共有する要素を使用している。
図4を参照すると、説明を容易にし、明確にするために、ワークピースおよび並進テーブルに関連する要素は示されていない。
図2について説明した構造要素に加えて、幾つかの実施形態では、光学アセンブリ400は、位相マスク402、空間光変調器404、および望遠鏡セクション406を含む。
図4は、空間光変調器404の3つの可能な位置を示しており、これについて以下に説明する。望遠鏡セクション406は、第1のレンズ130、第2のレンズ132、コリメーション空間134を含み、本実施形態では、空間光変調器404を含む。幾つかの実施形態では、位相マスク402または空間光変調器404のいずれかが、光学アセンブリ400から省略可能である。
【0211】
幾つかの実施形態では、位相マスク402は、非球面光学要素120の上流に配置されている。空間光変調器404は、第1のレンズ130の下流および第2のレンズ132の上流に配置されている。別の実施形態では、位相マスク402および空間光変調器404は、例えば所与のレーザ設計の構造的制約のために、異なる位置に配置される。したがって、例えば、空間光変調器404は、所望により、第1のレンズ130の上流または第2のレンズ132の下流に配置することができる。
【0212】
当業者は、位相マスク402および空間光変調器404について他の配置が可能であることを理解するであろう。例えば、幾つかの実施形態では、位相マスク402は、光軸102上に実質的に一致した光学中心(図示せず)を有する。位相マスク402は、位相マスク402の光学中心を光軸102に対して中心からずらすように、光軸102に対して垂直に移動させることができる。幾つかの実施形態では、位相マスク402は、非球面光学要素120の上流に配置されている。空間光変調器404は、第1のレンズ130の下流および第2のレンズ132の上流に配置されている。幾つかの実施形態では、位相マスク402および空間光変調器404は、例えば、所与のレーザ設計の構造的制約のために、異なる位置に配置される。したがって、例えば、空間光変調器404は、所望により、第1のレンズ130の上流または第2のレンズ132の下流に配置することができる。当業者は、位相マスク402および空間光変調器404について他の配置が可能であることを理解するであろう。幾つかの実施形態では、位相マスク402は、光軸102上に実質的に一致した光学中心(図示せず)を有する。位相マスク402は、位相マスク402の光学中心を光軸102に対して中心からずらすように、光軸102に対して垂直に移動させることができる。
【0213】
空間光変調器404は、その機能により、レーザビーム112の一部を調整し、選択的に遮断させるため、調整可能な遮断要素と称されることもある。幾つかの実施形態では、空間光変調器404は液晶要素である。液晶要素は、調整可能なピクセルのグリッドを含む。各ピクセルは、電気入力に応答してレーザビーム112の一部の送信を遮断または許可するようにプログラムすることができる。
【0214】
他の実施形態では、空間光変調器404は、レーザビーム112を遮断または送信する非透過性部分および透過性部分の固定パターンを有する本体である。空間光変調器404は、空間光変調器404を透過するレーザビーム112の空間分布を調整するように、並進および/または回転させることができる。固定された透過性/遮断パターンを有する調整可能な遮断要素の例は、米国特許出願公開第2018/0093914号明細書に記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0215】
幾つかの準非回折レーザシステムでは、レーザビーム焦点線(例えば、レーザビーム焦点線113)は円柱として成形される。当該円柱は、半径woおよび長さZR(例えば、レイリー長)の円形断面を有する。幾つかの実施形態では、レーザシステムは、(楕円形または非対称の断面を有する)楕円柱に成形されたレーザビーム焦点線を生成することができる。非軸対称断面は、遮断要素を使用して、焦点線(例えば、レーザビーム焦点線113)の上流のレーザ(例えば、レーザビーム112)を遮断することによって実現することができる。遮断要素の幾つかの例は、米国特許出願公開第2018/0093914号明細書に記載されている。本明細書に開示されている実施形態は、自由形状、すなわち、単一の円柱または単一の楕円柱とは異なる体積を有するレーザビーム焦点線113を生成しうるレーザシステムおよび方法を提供する。例えば、自由形状として、砂時計形状、楕円形の断面を有する砂時計形状、逆砂時計形状、楕円形断面の逆砂時計形状、円錐、楕円形断面の円錐、または楕円形断面および円形断面の組み合わせが挙げられる。かかるレーザビーム焦点線113は自由形状を有するので、レーザビーム焦点線113はまた、自由形状エネルギ分布を有するとも称されうる。レーザエネルギの体積である自由形状エネルギ分布の境界は、レーザ強度によって画定されることが理解されよう。特に、自由形状エネルギ分布とは、透明な材料においてレーザ吸収が誘導(例えば、多光子吸収)される閾値を超えるレーザ強度を含む体積である。各材料は、レーザ波長の関数として固有の閾値強度を有しうるので、当業者は、閾値強度が透明材料に依存することを理解するであろう。
【0216】
幾つかの実施形態では、レーザビーム焦点線113の変更は、位相マスク402および/または空間光変調器404の調整によって実現される。位相マスク402により、例えば、レーザビーム112の選択された断面部分の位相を遅延させる。異なる位相を有するレーザビーム112の異なる部分が再結合してレーザビーム焦点線113を形成する際に、位相マスク402によって導入される位相調整により、レーザビーム焦点線113に沿って建設的および/または破壊的な干渉の領域が生成される。建設的および/または破壊的な干渉の場所を制御することにより、自由形状エネルギ分布を有するレーザビーム焦点線113の生成が可能になる。空間光変調器404は、光がどのように到達してレーザビーム焦点線113を形成するかを制御する同様の機能を有し、空間光変調器404は、位相を制御する代わりに、レーザビーム112の選択された断面部分を遮断または送信させる。位相マスク402および空間光変調器404のいずれかまたは両方を使用して、レーザビーム焦点線113の自由形状を実現することができる。
【0217】
図5は、1つ以上の実施形態による自由形状エネルギ分布500を示している。幾つかの実施形態では、自由形状エネルギ分布500は、楕円柱部分502および円柱部分504を含む。楕円柱部分502は、長軸506と、光軸510に沿った長手方向軸線508とを有する楕円形断面を含む。円柱部分504は、光軸510に沿った長手方向軸線512を含む。明確化のために、自由形状エネルギ分布500は、楕円柱部分502と円柱部分504との間に鋭いコントラストを有するものとして示されている。しかしながら、楕円柱部分502と円柱部分504との間に段階的な移行部が存在しうることも理解されよう。段階的な移行部は、例えば、自由形状エネルギ分布500を生成するレーザシステムの光学的制限に起因して存在しうる。
【0218】
幾つかの実施形態では、自由形状エネルギ分布500は、楕円柱部分502が円柱部分504の上流に配置されるように配向されている。他の実施形態では、反対の配向が生じ、楕円柱部分502が円柱部分504の下流に存在する。これらの配向の選択は、代替のタイプの非球面光学要素120(例えば、アキシコン)を使用することによって実現される。例えば、一般的なアキシコンは、平坦面を有し、平坦面の反対側には、突出した(凸状の)円錐断面を有する。別の実施形態では、代わりに、逆アキシコン、または中空のアキシコンを使用することができる。逆アキシコンは、平坦な側面および窪んだ(凹状の)円錐部分を有するものである。アキシコンおよび逆アキシコンを切り替えることにより、上流/下流の円柱部分(例えば、楕円形または円形)が制御される。
【0219】
図6は、1つ以上の実施形態による自由形状エネルギ分布600を示している。幾つかの実施形態では、自由形状エネルギ分布600は、砂時計形状602を含む。砂時計形状602は、光軸606に沿った長手方向軸線604を含む。砂時計形状602は、長手方向軸線604に沿ってサイズが変化し、より広い部分が隣接するウエスト608を有する円形断面を含む。明確化のために、自由形状エネルギ分布600は、上部および下部の境界に急峻なカットオフを有するものとして示されている。上部と下部との境界は段階的に変化しうる可能性もあることが理解されよう。段階的な移行部は、例えば、自由形状エネルギ分布600を生成するレーザシステムの光学的制限に起因して存在しうる。
【0220】
図7は、1つ以上の実施形態による自由形状エネルギ分布700を示している。幾つかの実施形態では、自由形状エネルギ分布700は、砂時計形状702を含む。砂時計形状702は、光軸706に沿った長手方向軸線704を含む。砂時計形状702は、長軸708を有する楕円形断面を含み、長手方向軸線704に沿ってサイズがスケーリングされている。砂時計形状702はウエストを有し、当該ウエストはより広い部分に隣接している。明確化のために、自由形状エネルギ分布700は、上部および下部の境界に急峻なカットオフを有するものとして示されている。上部と下部との境界は段階的に変化しうる可能性があることも理解されよう。段階的な移行部は、例えば、自由形状エネルギ分布700を生成するレーザシステムの光学的制限に起因して存在しうる。
【0221】
図8は、1つ以上の実施形態による自由形状エネルギ分布800を示している。幾つかの実施形態では、自由形状エネルギ分布800は、逆砂時計形状(例えば、花瓶形状またはダイアモンド形状)802を含む。逆砂時計形状802は、光軸806に沿った長手方向軸線804を含む。逆砂時計形状802は、長軸808を有する楕円形断面を含み、これは、長手方向軸線804に沿ってサイズがスケーリングされている。当業者は、
図6および
図7に示される砂時計の実施形態について示したように、円形断面も可能であることを理解するであろう。逆砂時計形状802は、広い中央部分を有し、当該部分は、より狭い部分に隣接している。
図5~
図8に示される自由形状エネルギ分布は、例えば、位相マスクおよび/または空間光変調器(例えば、
図4の位相マスク402および/または空間光変調器404)の調整によって実現される。
【0222】
本明細書に記載のレーザシステムおよび方法を使用して、透明材料内に欠陥を形成することができる。例えば、
図1Aを参照して、欠陥172は、輪郭線165に沿って透明ワークピース160を切断または分割するという文脈で説明された。この用途および他の用途では、円柱とは異なる形状の欠陥を形成することが有利な場合がある。本明細書に記載のレーザシステムおよび方法の実施形態を使用して、隠れた分離特徴部を形成することができる。隠れた分離特徴部には、所望のクラック伝播を促進し、ワークピース内に完全に留まる(すなわち、欠陥が透明ワークピースの表面に到達しない)特定の形状の欠陥が含まれる。自由形状の欠陥を形成するために、基材上の領域が自由形状エネルギ分布に露光される。自由形状エネルギ分布は、自由形状エネルギ分布と同じ場所にあるワークピースの領域にMPAを誘起するのに十分なエネルギを有している。
【0223】
図9は、1つ以上の実施形態による自由形状エネルギ分布、例えば自由形状エネルギ分布500(
図5)の断面のレーザエネルギ密度のグラフを示している。レーザエネルギ密度はバイナリ値で表され、値1は、MPAを生じる閾値を超えるレーザエネルギ密度に対応し、値0は、MPAを誘起するには不十分なレーザエネルギに対応している。z軸は、レーザ伝搬の方向に対応する(例えば、
図5の光軸510)。y軸は、長軸506の方向に沿っている(
図5)。x軸は、長軸506に対して垂直な短軸に対応する(
図5)。
図9のグラフは、自由形状エネルギ分布500(
図5)の断面のレーザ強度を示しており、y=0で定義された平面上に断面がある。
図10は、1つ以上の実施形態による自由形状エネルギ分布500(
図5)の別の断面のレーザエネルギ密度のグラフを示している。
図10のグラフは、x=0で定義された平面上にある自由形状エネルギ分布500の断面に対応している。当業者は、自由形状エネルギ分布600(
図6)、自由形状エネルギ分布700(
図7)、および自由形状エネルギ分布800(
図8)が、対応するレーザエネルギ密度のグラフ表示を有することを理解するであろう。
【0224】
レーザ加工の方法
ワークピースをレーザ加工するための方法では、本明細書に開示されるレーザシステム、例えば、光学アセンブリ400が使用される。幾つかの実施形態では、本方法は、放射ビームを生成し、対象物の中または対象物の上に欠陥を形成することを含む。放射ビームは、準非回折ビームと自由形状エネルギ分布を有する焦点体積とを含む。欠陥を形成するステップは、ビームを対象物に配向すること、および焦点体積を部分的または完全に対象物内に位置決めすることを含む。ビームを生成するステップは、断面の上流の放射ビームを部分的に遮断すること、および/または断面の上流の放射ビームの位相を空間変調することを含む。
【0225】
幾つかの実施形態では、放射ビームを部分的に遮断するステップは、調整可能な遮断要素(例えば、
図4の空間光変調器404)を使用して実行される。放射ビームを部分的に遮断するステップは、放射ビームの一部を選択的に遮断するように調整可能な遮断要素を調整することを含む。これにより、放射ビームの光軸に対する自由形状エネルギ分布の軸対称性を調整できる。放射ビームの位相を変調するステップは、位相マスク(例えば、
図4の位相マスク402)を使用して実行される。放射ビームを空間変調するステップは、位相マスクの光学中心を光軸から離れるように移動させることを含む。これにより、自由形状エネルギ分布の幾何学形状を調整できる。自由形状エネルギ分布は、焦点体積と同じ場所にある対象物の領域で少なくともMPAを誘起するのに十分なエネルギを有している。その結果、誘起されたMPAにより、自由形状エネルギ分布に実質的に類似した形状を含む欠陥が生成される。
【0226】
幾つかの実施形態では、準非回折ビームには、波長λ、スポットサイズw
o、および断面が含まれる。断面は、
【0227】
より大きいレイリー範囲ZRを含み、ここで、FDは、約10より大きい値を有する無次元発散係数である。
【0228】
幾つかの実施形態では、自由形状エネルギ分布は、第1の断面と、第1の断面に対して平行な第2の断面とを含む。第1の断面は第2の断面とは幾何学的に異なる。換言すると、第1および第2の断面は、第1または第2の断面のいずれかをスケーリングしても第1および第2の断面を同一にすることができないように成形されている。例えば、幾つかの実施形態では、自由形状エネルギは別個の円柱部分および楕円柱部分(例えば、
図5の自由形状エネルギ分布500)に分かれている。円柱および楕円柱はそれぞれ、光軸に沿った長手方向軸線を有している。
【0229】
幾つかの実施形態では、自由形状エネルギ分布には、光軸に沿った長手方向軸線を有する砂時計形状が含まれる。砂時計形状は、円形断面(例えば、
図6の自由形状エネルギ分布600)または楕円形断面(例えば、
図7の自由形状エネルギ分布700)を有しうる。幾つかの実施形態では、自由形状エネルギ分布には、光軸に沿った長手方向軸線を有する逆砂時計形状(例えば、
図8の自由形状エネルギ分布800)が含まれる。逆砂時計形状は、円形断面または楕円形断面を有しうる。
【0230】
幾つかの実施形態では、放射は、約250nm~2.0μmの範囲の波長を含む。幾つかの実施形態では、形成された欠陥は、損傷特徴部、空洞、またはその両方を含む。欠陥形成の速度は、1分あたり約1000個の欠陥より大きい。幾つかの実施形態では、欠陥は、単一のレーザパルスを使用して形成されうる。幾つかの実施形態では、欠陥は、ワークピースに対して放射ビームをラスタリングすることなく形成されうる。
【0231】
幾つかの実施形態では、欠陥は、損傷特徴部、空洞、またはその両方を含む。幾つかの実施形態では、対象物は透明基材を含む。
【0232】
レーザ加工物品
幾つかの実施形態では、本明細書に開示される方法により、既知の方法では製造が困難な、あるいは不可能な透明なレーザ加工物品を製造することができる。また、本方法により、より高速な製造が可能となり、かつ/または透明な物品の製造コストを削減することができる。透明物品は、例えば、より精密なクラック伝播特徴部または隠れた(例えば、潜在的/遅発性の)クラック伝播特徴部を有する基材上の電子デバイス、カスタム形状のレセプタクルを備えた医療用ウェルプレート、絶縁破壊が高く、気密シールが改良された回路基板など、様々な用途に合わせて調整することができる。
【0233】
さらなる実施形態を論じる前に、エッチング技術を簡単に説明することが有益である。基材内に形成された欠陥は、(例えば、エッチングによって)くり抜かれるか、または欠陥内に損傷材料として残されうる。基材には、用途に応じて、中空の欠陥を形成するか、または欠陥を固体材料として残すかを選択できるという利点がある。中空の欠陥が望ましいシナリオでは、レーザ露光によって欠陥が形成された後、基材がエッチングされる。例えば、基材は液体エッチャントに浸漬される。エッチャントは所与の速度で基材を溶解することができるが、欠陥領域と接触しているエッチャントは、欠陥のない材料よりも速い速度で欠陥材料を溶解する。この現象は、選択的エッチングと称される。理論に拘束されることを望むものではないが、選択的エッチングは、基材材料のレーザ露光によって誘起された欠陥内の化学結合の破壊によって促進されうる。自由形状エネルギ分布により、基材内のカスタム形状の選択的エッチングが可能になる。
【0234】
図11は、1つ以上の実施形態による基材1100の断面を示している。幾つかの実施形態では、基材1100(例えば、透明ワークピース)は、本体1102、第1の表面1104、第2の表面1106、および複数の欠陥1108(例えば、改質領域)を含む。複数の欠陥1108は、少なくとも第1の欠陥1108aおよび第2の欠陥1108bを含む。第1の欠陥1108aおよび第2の欠陥1108bは、第1の表面1104と第2の表面1106との間に配置される。特に、第1の欠陥1108aおよび第2の欠陥1108bは、部分的に(例えば、表面、凹部と交差して)または完全に本体1102内に配置される。第1の欠陥1108aおよび第2の欠陥1108bは、互いに所定の距離だけ離れている。幾つかの実施形態では、第1の欠陥1108aおよび第2の欠陥1108bは、エッチングされるように構成される。第1の欠陥1108aおよび第2の欠陥1108bは、基材1100の損傷材料を含みうる。他の実施形態では、第1の欠陥1108aおよび第2の欠陥1108bはエッチングされ、そのため、ボイド(例えば、空洞)および/または基材材料の残りの粒子を有する。
【0235】
図12は、1つ以上の実施形態による基材1200の断面を示している。幾つかの実施形態では、基材1200は、本体1202、第1の表面1204、第2の表面1206、および第1の欠陥1208を含む。第1の欠陥1208は、断面1210を含む。基材1200は、第1の表面1204および第2の表面1206から略等距離に定められた中間面1212を含む。幾つかの実施形態では、基材1200は、第2の欠陥1214を含む。第2の欠陥1214は、断面1216を含む。基材1200は、輪郭1218(例えば、損傷特徴部または分離特徴部)を含む。
【0236】
幾つかの実施形態では、第1の表面1204は、第2の表面1206の反対側にある。第1の表面1204は、第2の表面1206に対して実質的に平行である。第1の欠陥1208および第2の欠陥1214(例えば、改質領域)は、第1の表面1204と第2の表面1206との間に配置される。断面1210および断面1216は、第1の表面1204に対して平行である。幾つかの実施形態では、第1の欠陥1208および第2の欠陥1214には自由形状が含まれる。第1の欠陥1208の自由形状には、(例えば、自由形状エネルギ分布800を使用して形成された)楕円形断面を有する逆砂時計形状が含まれる。断面1210は、第1の欠陥1208の楕円形断面と称される。すなわち、断面1210は、欠陥1208の自由形状の境界によって画定される。第2の欠陥1214の自由形状には、(例えば、自由形状エネルギ分布800を使用して形成された)楕円形断面を有する逆砂時計形状が含まれる。断面1216は、第2の欠陥1214の楕円形断面と称される。すなわち、断面1216は、欠陥1208の自由形状の境界によって画定されるか、または取り囲まれている。他の実施形態では、断面1210および断面1216は円形である。
【0237】
第1の欠陥1208および第2の欠陥1214の逆砂時計形状は、別の方法で説明することができる。例えば、断面1210は、略中間面1212で示されているが、断面1210は、実際には、第1の表面1204から任意の距離で描かれてもよい。断面1210が中間面1212からさらに離れて(例えば、第1の表面1204の近傍に)描かれた場合、断面1210のサイズは小さくなる。このシナリオでは、断面1210のサイズは、第1の表面1204から測定され、第1の表面1204に対して垂直に測定された断面1210の距離の関数としてスケーリングされる「スライド」パラメータと見なすことができる。幾つかの実施形態では、断面1210のサイズは、断面1210の距離が中間面に近づくにつれて増大する。これは、断面1210の距離が第1の表面1204から中間面に近づいても、第2の表面1206から中間面に近づいても同様であり、逆砂時計形状を表現している。当業者は、(例えば、
図2の焦点線113によって生成された)円柱状欠陥のシナリオにおいて、断面のサイズが、第1、第2、または中間の表面/平面から任意の距離で実質的に一定のままであることを理解するであろう。
【0238】
幾つかの実施形態では、第1の欠陥1208および第2の欠陥1214は、輪郭1218に沿って整列している。輪郭1218は、直線または曲線である。輪郭1218はまた、直線部分および曲線部分の両方を有しうる。幾つかの実施形態では、断面1210および断面1216はそれぞれ長軸を含む。楕円形断面では、特に楕円形断面の長軸の方向で、クラック伝播が好ましい方向に促進される。したがって、断面1210および断面1216の長軸は、輪郭1218に沿って略整列している。
【0239】
図13は、1つ以上の実施形態による基材1300の断面を示している。幾つかの実施形態では、基材1300は、本体1302、第1の表面1304、第2の表面1306、および第1の欠陥1308を含む。第1の欠陥1308は、断面1310を含む。基材1300は、第1の表面1304および第2の表面1306から略等距離に定められた中間面1312を含む。幾つかの実施形態では、基材1300は、第2の欠陥1314を含む。第2の欠陥1314は、断面1316を含む。基材1300は、輪郭1318を含む。
【0240】
幾つかの実施形態では、第1の表面1304は、第2の表面1306の反対側にある。第1の表面1304は、第2の表面1306に対して実質的に平行である。第1の欠陥1308および第2の欠陥1314は、第1の表面1304と第2の表面1306との間に配置される。断面1310および断面1316は、第1の表面1304に対して平行である。幾つかの実施形態では、第1の欠陥1308および第2の欠陥1314には、自由形状が含まれる。第1の欠陥1308の自由形状には、(例えば、自由形状エネルギ分布700を使用して形成された)楕円形断面を有する砂時計形状が含まれる。断面1310は、第1の欠陥1308の楕円形断面と称される。すなわち、断面1310は、第1の欠陥1308の自由形状の境界によって画定される。第1の欠陥1308の自由形状には、(例えば、自由形状エネルギ分布700を使用して形成された)楕円形断面を有する砂時計形状が含まれる。断面1316は、第2の欠陥1314の楕円形断面と称される。すなわち、断面1316は、第2の欠陥1314の自由形状の境界によって画定されるか、または取り囲まれている。他の実施形態では、断面1310および断面1316は円形である。
【0241】
第1の欠陥1308および第2の欠陥1314の砂時計形状は、別の方法で説明することができる。例えば、断面1310は、第1の表面1304の近傍に示されているが、断面1310は、実際には、第1の表面1304から任意の距離で描かれてもよい。断面1310が中間面1312からさらに離れて描かれる場合、断面1310のサイズは増大する。このシナリオでは、断面1310のサイズは、第1の表面1304から測定され、第1の表面1204に対して垂直に測定された断面1310の距離の関数としてスケーリングされる「スライド」パラメータと見なすことができる。幾つかの実施形態では、断面1310のサイズは、断面1310の距離が中間面に近づくにつれて減少する。これは、断面1310の距離が第1の表面1304から中間面に近づいても、第2の表面1306から中間面に近づいても同様であり、砂時計形状を表現している。
【0242】
幾つかの実施形態では、第1の欠陥1308および第2の欠陥1314は、輪郭1318に沿って整列している。輪郭1318は、直線または曲線である。輪郭1318はまた、直線部分および曲線部分の両方を有しうる。幾つかの実施形態では、断面1310および断面1316はそれぞれ、長軸を含む。楕円形断面では、特に楕円形断面の長軸の方向で、クラック伝播が好ましい方向に促進される。したがって、断面1310および断面1316の長軸は、輪郭1318に沿って略整列している。
【0243】
さらに、
図12および
図13によって説明される実施形態では、示された砂時計(または逆砂時計)欠陥の代わりに、円錐形の欠陥が含まれてもよい。これは、例えば、自由形状エネルギ分布600、自由形状エネルギ分布700、または自由形状エネルギ分布800を拡張して、自由形状エネルギ分布の砂時計(または逆砂時計)形状の半分のみがワークピースの内側にあり、残りの半分が外側になるようにすることによって実現することができる。したがって、幾つかの実施形態では、円錐を表しており、欠陥の断面のサイズは、断面1310の距離が第1の表面から始まって第2の表面に近づくにつれて連続的に増大する。
【0244】
幾つかの実施形態では、
図12および
図13の輪郭は、レーザ加工によって、具体的には、秩序だった欠陥を形成することによって生成される。これらの輪郭の用途は、1つの大きな物品から小さな物品を大量生産することである。例えば、メートルまたはそれ以上のオーダーの寸法を有するガラスの基材がレーザ加工される。次に、基材は、数百または数千の小さな長方形に切断され、これは、例えば、タッチディスプレイ用の画面デジタイザ(例えば、スマートフォンまたはタブレット)になりうる。理想的には、より大型の基材に製造プロセスを適用することが最も効率的で便利である。スクリーンデジタイザの例では、スクリーン上の電子部品を大型基材上に一度に適用してから、小さなデバイスにダイシングすることで、大量生産の時間を大幅に短縮することができる。幾つかの場合には、電子機器の製造プロセスを完了した後に大型基材をレーザ加工すると、電子部品の偶発的なレーザ露光、過度の局所加熱、クリーンな環境の悪化が生じる場合がある。これらは全て、重要な電子機能を損傷し、個々のデバイスを動作不能にする可能性がある。
【0245】
解決策としては、大型基材をレーザ加工してから他の製造ステップを行うことが考えられうる。大型基材は、輪郭の構造的完全性が低下するため、通常、レーザ加工の直後に小さな物品に分離する必要がある。この状態で基材上に製造プロセスが試みられた場合、輪郭の構造的完全性が低下すると、他の製造ステップ中に基材が不用意に分離してしまう可能性がある。そのため、大型基材上での製造は非常に困難であり、一般的には、小型の分離したデバイスが個別に製造されている。
【0246】
輪郭での構造的完全性の低下の1つの理由は、欠陥が基材の表面に「到達する」か、または表面と交差することである(
図1の欠陥172を参照)。形成された欠陥は、上面から下面へと延在しうる。本開示の実施形態では、遅発性または潜在的な損傷特徴部を形成する隠れた欠陥を可能にする製品および方法が提供される。「隠れた」なる用語は、欠陥が視認できないことを意味しない場合があることが理解されよう。幾つかの実施形態では、「隠れた」なる用語は、欠陥が基材の表面と交差しないかまたは基材の表面にアクセスしないように透明ワークピース内に欠陥を位置決めすることを指しうる。
【0247】
図12を参照すると、幾つかの実施形態では、第1の欠陥1208および第2の欠陥1214は、第1の表面1204および/または第2の表面1206と交差していない。基材1200は、個別化される製造物品をさらに含む。製造物品は、複数の輪郭によって画定される。複数の輪郭には、輪郭1218が含まれる。幾つかの実施形態では、複数の輪郭により、基材が製造物品へと分離される前に単一のより大きな物品として製造プロセスに供されうるように、潜在的な分離特徴部が形成される。
図13に表される実施形態には、これらの特徴部も含まれうる。潜在的な分離特徴部の形成を可能にすることにより、基材は、より大きなワークピースとして他の製造ステップ(例えば、フォトリソグラフィ、エッチングなど)に供することができ、大きなワークピースから分離された小さな物品の大量処理をより速く行うことができる。
【0248】
基材は、液体溶液(例えば、ウェルプレート)に懸濁された物質の光学的測定のために製造されてもよい。
図14は、1つ以上の実施形態による基材1400の断面を示している。基材1400は、本体1402、第1の表面1404、第2の表面1406、欠陥1408、および開口部1410を含む。欠陥1408は、(例えば、
図5の自由形状エネルギ分布500によって形成された)楕円柱部分1408aおよび円柱部分1408bを含む。幾つかの実施形態では、基材1400は、コーティング1412を含む。
【0249】
幾つかの実施形態では、欠陥1408の楕円柱部分1408aは、円柱部分1408bに接続されている。楕円柱部分1408aは、第1の表面1404に近接している。開口部1410は、楕円柱部分1408aと第1の表面1404との間の交差部に配置されている。基材1400がエッチングされていないウェルプレートとして提供されるシナリオ(例えば、後でエッチングされる)では、開口部1410は、後続のエッチングにおいて、楕円柱部分1408aと第1の表面1404との間の交差部に形成されることが理解されるべきである。
【0250】
幾つかの実施形態では、コーティング1412は、波長に基づいて放射をフィルタリングするように構成された光学フィルタである。光学フィルタは、連続スペクトルに基づいて放射をフィルタリングするように構成された多変量光学要素(例えば、多変量光学フィルタなど)を含む。幾つかの実施形態では、コーティング1412は、反射防止コーティングである。幾つかの実施形態では、コーティング1412は、衝撃によって引き起こされる損傷から基材1400を保護するように構成された保護層である。
【0251】
幾つかの実施形態では、欠陥1408は、第1の表面1404に対して平行な第1および第2の断面を含む。第1および第2の断面は、欠陥1408の自由形状の境界によって画定される。第1および第2の断面は、互いに幾何学的に異なっている。
【0252】
図15は、1つ以上の実施形態による基材1500の断面を示している。基材1500は、本体1502、第1の表面1504、第2の表面1506、欠陥1508、および開口部1510を含む。欠陥1508は、(例えば、
図5の自由形状エネルギ分布500によって反転して形成された)楕円柱部分1508aおよび円柱部分1508bを含む。幾つかの実施形態では、基材1500は、コーティング1512を含む。欠陥1508は、基材1500の破砕粒子1514を含む。
【0253】
幾つかの実施形態では、楕円柱部分1508aは、円柱部分1508bに接続されている。円柱部分1508bは、第1の表面1504に近接している。開口部1510は、円柱部分1508bと第1の表面1504との間の交差部に配置されている。基材1500がエッチングされていないウェルプレートとして提供されるシナリオ(例えば、後でエッチングされる)では、開口部1510は、後続のエッチングにおいて、円柱部分1508aと第1の表面1504との間の交差部に形成されることが理解されるべきである。
【0254】
コーティング1512の構造および機能は、コーティング1412(
図14)について説明されたものと同じである。幾つかの実施形態では、破砕粒子1514は、欠陥1508に配置された液体サンプルの毛細管作用を増強するように構成される。明確化のために幾つかの図には示していないが、破砕粒子1514は、他の図(例えば、
図14、
図16および
図17)に表された実施形態において使用されてもよい。
【0255】
幾つかの実施形態では、欠陥1508は、第1の表面1504に対して平行な第1および第2の断面を含む。第1および第2の断面は、欠陥1508の自由形状の境界によって画定される。第1および第2の断面は、互いに幾何学的に異なっている。
【0256】
図16は、1つ以上の実施形態による基材1600の断面を示している。基材1600は、本体1602、第1の表面1604、第2の表面1606、欠陥1608、および開口部1610を含む。幾つかの実施形態では、基材1600は、コーティング1612を含む。欠陥1608は、基材1600の破砕粒子1614を含む。
【0257】
欠陥1608は、(例えば、
図6の自由形状エネルギ分布600、または
図7の700によって形成された)砂時計形状を含む。開口部1610は、欠陥1608と第1の表面1604との間の交差部に配置されている。基材1600がエッチングされていないウェルプレートとして提供されるシナリオ(例えば、後でエッチングされる)では、開口部1610は、後続のエッチングにおいて、欠陥1608と第1の表面1604との間の交差部に形成されることが理解されるべきである。コーティング1612の構造および機能は、コーティング1412(
図14)について説明されたものと同じである。
【0258】
図17は、1つ以上の実施形態による基材1700の断面を示している。基材1700は、本体1702、第1の表面1704、第2の表面1706、欠陥1708、および開口部1710を含む。幾つかの実施形態では、基材1700は、コーティング1712を含む。欠陥1708は、基材1700の破砕粒子1714を含む。
【0259】
欠陥1708は、(例えば、
図8の自由形状エネルギ分布800によって形成された)逆砂時計形状を含む。開口部1710は、欠陥1708と第1の表面1704との間の交差部に配置されている。基材1700がエッチングされていないウェルプレートとして提供されるシナリオ(例えば、後でエッチングされる)では、開口部1710は、後続のエッチングにおいて、欠陥1708と第1の表面1704との間の交差部に形成されることが理解されるべきである。コーティング1712の構造および機能は、コーティング1412(
図14)について説明されたものと同じである。
【0260】
また、幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるレーザシステムおよび方法により、プリント回路用途で使用するための基材の製造が可能となる。高周波動作、例えばマイクロ波、遠赤外線、およびより高い周波数の動作が可能な誘電特性を有する回路が求められている。樹脂および半導体ベースの基材は、基材上の回路構成要素が高周波で動作すると、しばしば絶縁破壊を起こす。例えば、溶融シリカは樹脂または半導体よりも桁違いに大きい絶縁耐力を有しているため、溶融シリカはこの問題を解決するのに適した基材でありうる。溶融シリカはまた、一般的な電子プリント回路基板ほど多くの高周波放射を吸収することはない。溶融シリカおよびその他のガラス状の基材では、ボードの一方の表面から反対側の表面への電気スループットを提供しながら、十分な気密シールを形成するスルービアを製造することが困難な場合がある。本開示のレーザシステムおよび方法により、高周波用途で回路基板として使用できる基材の製造が可能となる。
【0261】
図18は、1つ以上の実施形態による基材1800の断面を示している。基材1800は、本体1802、第1の表面1804、第2の表面1806、欠陥1808、開口部1810、および開口部1812を含む。幾つかの実施形態では、欠陥1808は、導電性材料を含む。基材1800は、導電性素子1814および導電性素子1816(例えば、電気信号を輸送するための電気トレース)をさらに含む。
【0262】
幾つかの実施形態では、欠陥1808は、(例えば、
図6の自由形状エネルギ分布600、または
図7の700によって形成された)砂時計形状を含む。砂時計形状では、欠陥1808が導電性のスループット材料で充填された場合、気密封止が強化される。開口部1810は、欠陥1808と第1の表面1804との間の交差部に配置されている。開口部1812は、欠陥1808と第2の表面1806との間の交差部に配置されている。基材1800がエッチングされていない基材として提供される(例えば、後でエッチングされる)シナリオでは、開口部1810および開口部1812は、後続のエッチングにおいて、上述した場所に形成されることになる。
【0263】
欠陥1808内の導電性材料は、金属堆積技術を使用して堆積される。導電性素子1814が、第1の表面1804上に配置されている。導電性素子1816は、第2の表面1806上に配置されている。導電性素子1814および導電性素子1816は、欠陥1808の導電性材料を介して互いに電気的に結合されている。
【0264】
図19は、1つ以上の実施形態による基材1900の断面を示している。基材1900は、本体1902、第1の表面1904、第2の表面1906、欠陥1908、開口部1910、および開口部1912を含む。幾つかの実施形態では、欠陥1908は、導電性材料を含む。基材1900は、導電性素子1914および導電性素子1916をさらに含む。
【0265】
幾つかの実施形態では、欠陥1908は、(例えば、
図8の自由形状エネルギ分布800によって形成された)逆砂時計形状を含む。開口部1910は、欠陥1908と第1の表面1904との間の交差部に配置されている。開口部1912は、欠陥1908と第2の表面1906との間の交差部に配置されている。基材1900がエッチングされていない基材として提供される(例えば、後でエッチングされる)シナリオでは、開口部1910および開口部1912は、後続のエッチングにおいて、上述した場所に形成されることになる。
【0266】
欠陥1908内の導電性材料は、金属堆積技術を使用して堆積される。導電性素子1914が、第1の表面1904上に配置されている。導電性素子1916は、第2の表面1906上に配置されている。導電性素子1914および導電性素子1916は、欠陥1908の導電性材料を介して互いに電気的に結合されている。
【0267】
図20は、1つ以上の実施形態による基材2000の断面を示している。基材2000は、本体1902、第1の表面2004、第2の表面2006、欠陥2008、開口部2010、および開口部2012を含む。幾つかの実施形態では、欠陥2008は、導電性材料を含む。基材2000は、導電性素子2014および導電性素子2016をさらに含む。
【0268】
幾つかの実施形態では、欠陥2008は、傾斜円柱形状または傾斜楕円柱形状(例えば、斜方円柱)を含む。円柱形状の角度付けは、欠陥2008を形成するために使用されるレーザシステムの位相マスク(例えば、
図4の位相マスク402)および/または空間光変調器(例えば、
図4の空間光変調器404)を調整することによって実現される。開口部2010は、欠陥2008と第1の表面2004との間の交差部に配置されている。開口部2012は、欠陥2008と第2の表面2006との間の交差部に配置されている。基材2000がエッチングされていない基材として提供される(例えば、後でエッチングされる)シナリオでは、開口部2010および開口部2012は、後続のエッチングにおいて、上述した場所に形成されることになる。
【0269】
欠陥2008内の導電性材料は、金属堆積技術を使用して堆積される。導電性素子2014が、第1の表面2004上に配置されている。導電性素子2016は、第2の表面2006上に配置されている。導電性素子2014および導電性素子2016は、欠陥2008の導電性材料を介して互いに電気的に結合されている。
【0270】
図18~
図20によって説明される実施形態はまた、代替の方法で説明されうる。例えば、基材(例えば、基材1800)は、第1および第2のセットの導電性素子の(例えば、導電性素子1814および導電性素子1816)をさらに含む。第1および第2のセットの導電性素子は、信号が第1および第2の表面(例えば、第1の表面1804および第2の表面1806)とその要素との間を流れることを可能にするように構成される。
【0271】
さらに、
図16~
図19によって説明される実施形態では、示されている砂時計(または逆砂時計)欠陥の代わりに、円錐形の欠陥が含まれうる。これは、例えば、自由形状エネルギ分布600、自由形状エネルギ分布700、または自由形状エネルギ分布800を拡張して、自由形状エネルギ分布の砂時計(または逆砂時計)形状の半分のみがワークピースの内側にあり、残りの半分が外側になるようにすることによって実現することができる。
【0272】
前述の説明を考慮して、ワークピースおよびワークピーススタックのレーザ加工は、レーザシステムの焦点体積の形状(例えば、自由形状エネルギ分布)を変更することによって向上されうることが理解されるべきである。例えば、レーザシステムは、レーザの自由形状エネルギ分布の形状を変更するために、位相マスクおよび/または調整可能な遮断要素を含みうる。変更された自由形状エネルギ分布がワークピースに送られ、ワークピースに欠陥が形成される。形成された欠陥は、自由形状エネルギ分布の形状に実質的に類似した形状を有する。さらに、本明細書に記載の方法により、既知の方法では製造できない形状の欠陥を有する透明基材の製造が可能となる。
【0273】
本明細書で使用される場合、「約」なる用語は、量、サイズ、配合、パラメータ、ならびに他の量および特性が正確ではなく、正確である必要がないが、公差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、および当業者に知られている他の要因を反映して、必要に応じて、概算であるか、かつ/またはより大きいかもしくはより小さくてもよいことを意味する。範囲の値または端点を説明する際に「約」なる用語が使用される場合は、参照される特定の値または端点が含まれる。明細書の範囲の数値または端点が「約」を記載しているかどうかにかかわらず、「約」で就職されたものと「約」で就職されていないものとの2つの実施形態が記載されている。さらに、各範囲の端点は、他の端点に関して、また他の端点から独立して、有意であることが理解されよう。
【0274】
本明細書で使用される方向の用語(例えば、上方、下方、右方、左方、前方、後方、頂部方向、底部方向)は、描かれた図を参照してのみ作成され、絶対的な配向を意味するものではない。
【0275】
別段の明示がない限り、本明細書に記載されている方法は、そのステップが特定の順序で実行されることを要求するものとして解釈されることも、装置固有の配向が要求されることも決して意図されない。したがって、方法クレームがそのステップが従うべき順序を実際に記載していない場合、またはいずれかの装置クレームが実際に個々の構成要素に対する順序または方向付けを記載していない場合、またはステップが特定の順序に限定されることが特許請求の範囲もしくは説明に具体的に記載されていない場合、または装置の構成要素に対する特定の順序もしくは方向付けが記載されていない場合には、いかなる点においても、順序または方向付けを推測することを意図していない。これは、ステップの配置、動作フロー、構成要素の順序に関するロジックの順序もしくは構成要素の方向付けと、文法的な構成または句読点に由来する明白な意味と、本明細書に記載されている実施形態の数または種類とを含む、解釈の可能性のある非明示的な根拠に当てはまる。
【0276】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「a」が冠された構成要素への言及は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、2つ以上のかかる構成要素を有する態様を含む。
【0277】
請求された主題の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に対して種々の修正および変形が行われうることは当業者には明らかであろう。したがって、本明細書は、本明細書に記載の種々の実施形態の修正および変形を包含することを意図しているが、かかる修正および変形は、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内にある。
【0278】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0279】
実施形態1
方法であって、
対象物内または対象物上に欠陥を形成するステップであって、前記形成するステップが、
準非回折ビーム、および
自由形状エネルギ分布を有する焦点体積
を含む放射ビームを前記対象物に配向するステップ、および
前記対象物内で前記焦点体積を部分的にまたは完全に位置決めするステップ
を含む、ステップと、
前記ビームを生成するステップであって、前記生成するステップが、
調整可能な遮断要素を使用して、前記焦点体積の上流で前記ビームを部分的に遮断して、前記ビームの光軸に対して前記自由形状エネルギ分布の軸対称性を調整するステップ、および/または
位相マスクを使用して、前記焦点体積の上流で前記ビームの位相を空間変調して、前記自由形状エネルギ分布の幾何学形状を調整するステップ
を含む、ステップと
を含み、
前記自由形状エネルギ分布が、前記焦点体積と同じ場所にある前記対象物の領域内に多光子吸収を誘導するのに十分なエネルギを有し、前記誘導された多光子吸収が前記欠陥を生成する、方法。
【0280】
実施形態2
前記欠陥が、前記自由形状エネルギ分布に実質的に類似する形状を含む、実施形態1記載の方法。
【0281】
実施形態3
前記調整可能な遮断要素が液晶光学要素を含み、
前記部分的に遮断するステップが、前記ビームの一部を選択的に遮断するように前記液晶光学要素を調整するステップを含む、実施形態1または2記載の方法。
【0282】
実施形態4
前記自由形状エネルギ分布が円柱部分と楕円柱部分との組み合わせを含み、それぞれが前記ビームの光軸に沿った長手方向軸線を有する、実施形態1から3までのいずれか1つ記載の方法。
【0283】
実施形態5
前記自由形状エネルギ分布が、前記ビームの光軸に沿った長手方向軸線を有する砂時計形状を含む、実施形態1から3までのいずれか1つ記載の方法。
【0284】
実施形態6
欠陥が、損傷特徴部、空洞、またはその両方を含む、実施形態1から5までのいずれか1つ記載の方法。
【0285】
実施形態7
前記対象物が、透明基材を含む、実施形態1から6までのいずれか1つ記載の方法。
【0286】
実施形態8
前記透明基材が、結晶石英、溶融シリカ、クラウンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、および/またはリン酸塩ガラス、フッ化物結晶、シリコン結晶、サファイア、ガラスセラミック、透明セラミック、ポリマー、またはプラスチックを含む、実施形態1から7までのいずれか1つ記載の方法。
【0287】
実施形態9
前記透明基材が、半導体基材を含む、実施形態1から7までのいずれか1つ記載の方法。
【0288】
実施形態10
前記半導体基材が、シリコン、炭化ケイ素、ゲルマニウム、ガリウム砒素、インジウムガリウム砒素、アルミニウムガリウム砒素、窒化ガリウム、アルミニウムガリウム窒化物、リン酸インジウム、またはニオブ酸リチウムを含む、実施形態9記載の方法。
【0289】
実施形態11
前記透明基材が、複合ウェハを含み、前記複合ウェハが、異なる材料の複数の層を含み、前記異なる材料が、ガラス、セラミック、半導体、ポリマー、またはプラスチックのいずれかを含む、実施形態1から7までのいずれか1つ記載の方法。
【0290】
実施形態12
前記放射が、約250nm~2.0μmの範囲の波長を含む、実施形態1から11までのいずれか1つ記載の方法。
【0291】
実施形態13
欠陥形成の速度が、1分間あたり約1000個の欠陥よりも大きい、実施形態1から12までのいずれか1つ記載の方法。
【0292】
実施形態14
前記空間変調するステップが、前記位相マスクの光学中心を前記光軸から離れるように移動させるステップを含む、実施形態1から13までのいずれか1つ記載の方法。
【0293】
実施形態15
前記準非回折ビームが、
波長λと、
スポットサイズw
oと、
【0294】
より大きいレイリー範囲ZRを含む断面と、
を含み、FDが、約10より大きい値を有する無次元発散係数である、実施形態1から14までのいずれか1つ記載の方法。
【0295】
実施形態16
前記自由形状エネルギ分布が、第1の断面および第2の断面を含み、
前記第2の断面が、前記第1の断面に対して平行であり、かつ前記第1の断面とは幾何学的に異なる、実施形態1から15までのいずれか1つ記載の方法。
【0296】
実施形態17
基材であって、
第1の表面、および前記第1の表面の反対側にある第2の表面と、
前記第1の表面と前記第2の表面との間に配置された改質領域と、
を含む本体を含み、前記改質領域が、
自由形状、
楕円形断面を含む断面、および
準非回折ビームによって誘起された破壊された化学結合
を含み、前記改質領域がエッチングされるように構成されている、基材。
【0297】
実施形態18
前記基材が透明である、実施形態17記載の基材。
【0298】
実施形態19
前記基材が、結晶石英、溶融シリカ、クラウンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、および/またはリン酸塩ガラス、フッ化物結晶、シリコン結晶、サファイア、ガラスセラミック、透明セラミック、ポリマー、またはプラスチックをさらに含む、実施形態17または18記載の基材。
【0299】
実施形態20
前記基材が半導体材料をさらに含む、実施形態17または18記載の基材。
【0300】
実施形態21
前記半導体材料が、シリコン、炭化ケイ素、ゲルマニウム、ガリウム砒素、インジウムガリウム砒素、アルミニウムガリウム砒素、窒化ガリウム、アルミニウムガリウム窒化物、リン酸インジウム、またはニオブ酸リチウムを含む、実施形態20記載の基材。
【0301】
実施形態22
前記基材が複合ウェハをさらに含み、前記複合ウェハが、異なる材料の複数の層を含み、前記異なる材料が、ガラス、セラミック、半導体、ポリマー、またはプラスチックのいずれかを含む、実施形態17または18記載の基材。
【0302】
実施形態23
前記改質領域が、前記基材の損傷材料をさらに含む、実施形態17から22までのいずれか1つ記載の基材。
【0303】
実施形態24
前記断面が、前記第1の表面に対して平行であり、かつ前記自由形状の境界によって画定されており、かつ前記第1の表面から測定される距離を有し、
前記断面のサイズは、前記距離の関数としてスケーリングされるかまたは一定である、実施形態17から23までのいずれか1つ記載の基材。
【0304】
実施形態25
中間面が、前記第1の表面および前記第2の表面から略等距離に定められており、前記断面のサイズは、前記距離が前記中間面に近づくにつれて減少する、実施形態17から24までのいずれか1つ記載の基材。
【0305】
実施形態26
中間面が、前記第1の表面および前記第2の表面から略等距離に定められており、前記断面のサイズは、前記距離が前記中間面に近づくにつれて増大する、実施形態17から24までのいずれか1つ記載の基材。
【0306】
実施形態27
前記断面のサイズは、前記第1の表面から始まる前記距離が前記第2の表面に近づくにつれて連続的に増大する、実施形態17から24までのいずれか1つ記載の基材。
【0307】
実施形態28
前記改質領域が、前記第1の表面または前記第2の表面と交差しない、実施形態17から27までのいずれか1つ記載の基材。
【0308】
実施形態29
前記基材が、別の改質領域をさらに含み、
前記別の改質領域が、別の自由形状を含み、かつ前記第1の表面と前記第2の表面との間に配置されており、
別の断面が、前記第1の表面に対して平行であり、かつ前記別の自由形状の境界によって画定されており、
前記別の断面が、別の楕円形断面を含み、
前記改質領域および前記別の改質領域が、直線および/または曲線の輪郭に沿って略整列している、実施形態17から28までのいずれか1つ記載の基材。
【0309】
実施形態30
前記楕円形断面および前記別の楕円形断面の長軸が、前記輪郭に沿って略整列している、実施形態29記載の基材。
【0310】
実施形態31
前記基材が、個別化される製造物品をさらに含み、前記製造物品が、前記輪郭を含む複数の輪郭によって画定されている、実施形態29または30記載の基材。
【0311】
実施形態32
前記基材が前記製造物品へと個別化される前に単一の物品として製造プロセスに供されるべく構成されるように、前記複数の輪郭が潜在的な分離特徴部を形成する、実施形態31記載の基材。
【0312】
実施形態33
前記改質領域が、前記第1の表面に対して平行であり、かつ前記自由形状の境界によって画定される第1の断面および第2の断面をさらに含み、前記第1の断面が前記第2の断面とは幾何学的に異なる、実施形態17から24までのいずれか1つ記載の基材。
【0313】
実施形態34
前記自由形状が、楕円柱部分および円柱部分を含み、
前記楕円柱部分が、前記円柱部分に接続されており、かつ前記第1の表面に近接しており、
前記基材が、前記楕円柱部分と前記第1の表面との間の交差部に形成された開口部をさらに含む、実施形態17から33までのいずれか1つ記載の基材。
【0314】
実施形態35
前記自由形状が、楕円柱部分および円柱部分を含み、
前記円柱部分は、前記楕円柱部分に接続されており、かつ前記第1の表面に近接しており、
前記基材が、前記円柱部分と前記第1の表面との間の交差部に形成された開口部をさらに含む、実施形態17から33までのいずれか1つ記載の基材。
【0315】
実施形態36
前記改質領域が、毛細管現象を増強するように構成された破砕粒子を含む、実施形態33から35までのいずれか1つ記載の基材。
【0316】
実施形態37
前記第2の表面がコーティングを含む、実施形態17から36までのいずれか1つ記載の基材。
【0317】
実施形態38
前記コーティングが、波長に基づいて放射をフィルタリングするように構成された光学フィルタを含む、実施形態37記載の基材。
【0318】
実施形態39
前記光学フィルタが、連続スペクトルに基づいて放射をフィルタリングするように構成された多変量光学要素を含む、実施形態38記載の基材。
【0319】
実施形態40
前記コーティングが反射防止コーティングを含む、実施形態37記載の基材。
【0320】
実施形態41
前記コーティングが、前記基材を保護するように構成されている、実施形態37から40までのいずれか1つ記載の基材。
【0321】
実施形態42
前記改質領域が、前記第1の表面および前記第2の表面に延在しており、かつ前記第1の表面と前記第2の表面との間のスループットを提供するように構成されており、さらに前記改質領域と前記第1の表面および前記第2の表面との間の交差部に形成された開口部を含む、実施形態17から23までのいずれか1つ記載の基材。
【0322】
実施形態43
前記自由形状が、前記第1の表面および前記第2の表面に延在する傾斜楕円柱形状を含み、
前記傾斜楕円柱形状が、前記第1の表面に対して直角とは異なる角度を定める傾斜中心軸線を含み、
前記基材が、前記傾斜楕円柱形状と前記第1の表面および前記第2の表面との間の交差部に形成された開口部をさらに含む、実施形態17から23までのいずれか1つ記載の基材。
【0323】
実施形態44
基材であって、
第1の表面、および前記第1の表面の反対側にある第2の表面と、
前記第1の表面と前記第2の表面との間に配置された改質領域と、
を含む本体を含み、前記改質領域が、
準非回折ビームによって誘起された破壊された化学結合を含む表面を有するエッチングされた空洞、
楕円形断面を含む断面、および
自由形状
を含む、基材。
【0324】
実施形態45
前記基材が透明である、実施形態44記載の基材。
【0325】
実施形態46
前記基材が、結晶石英、溶融シリカ、クラウンガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、および/またはリン酸塩ガラス、フッ化物結晶、シリコン結晶、サファイア、ガラスセラミック、透明セラミック、ポリマー、またはプラスチックをさらに含む、実施形態44または45記載の基材。
【0326】
実施形態47
前記基材が半導体材料をさらに含む、実施形態44または45記載の基材。
【0327】
実施形態48
前記半導体材料が、シリコン、炭化ケイ素、ゲルマニウム、ガリウム砒素、インジウムガリウム砒素、アルミニウムガリウム砒素、窒化ガリウム、アルミニウムガリウム窒化物、リン酸インジウム、またはニオブ酸リチウムを含む、実施形態47記載の基材。
【0328】
実施形態49
前記基材が複合ウェハをさらに含み、前記複合ウェハが、異なる材料の複数の層を含み、前記異なる材料が、ガラス、セラミック、半導体、ポリマー、またはプラスチックのいずれかを含む、実施形態44または45記載の基材。
【0329】
実施形態50
前記改質領域が、前記基材の損傷材料をさらに含む、実施形態44から49までのいずれか1つ記載の基材。
【0330】
実施形態51
前記改質領域が、前記第1の表面に対して平行であり、かつ前記自由形状の境界によって画定される第1の断面および第2の断面をさらに含み、前記第1の断面が前記第2の断面とは幾何学的に異なる、実施形態44から50までのいずれか1つ記載の基材。
【0331】
実施形態52
前記断面が、前記第1の表面に対して平行であり、かつ前記自由形状の境界によって画定されており、かつ前記第1の表面から測定される距離を有し、
中間面が、前記第1の表面および前記第2の表面から略等距離に定められており、
前記断面のサイズは、前記距離が前記中間面に近づくにつれて減少する、実施形態44から51までのいずれか1つ記載の基材。
【0332】
実施形態53
前記断面が、前記第1の表面に対して平行であり、かつ前記自由形状の境界によって画定されており、かつ前記第1の表面から測定される距離を有し、
中間面が、前記第1の表面および前記第2の表面から略等距離に定められており、
前記断面のサイズは、前記距離が前記中間面に近づくにつれて増大する、実施形態44から51までのいずれか1つ記載の基材。
【0333】
実施形態54
前記損傷材料が、毛細管現象を増強するように構成された破砕粒子を含む、実施形態51から53までのいずれか1つ記載の基材。
【0334】
実施形態55
前記第2の表面がコーティングを含む、実施形態51から53までのいずれか1つ記載の基材。
【0335】
実施形態56
前記コーティングが、波長に基づいて放射をフィルタリングするように構成された光学フィルタを含む、実施形態55記載の基材。
【0336】
実施形態57
前記光学フィルタが、連続スペクトルに基づいて放射をフィルタリングするように構成された多変量光学要素を含む、実施形態56記載の基材。
【0337】
実施形態58
前記コーティングが反射防止コーティングを含む、実施形態55記載の基材。
【0338】
実施形態59
前記コーティングが、前記基材を保護するように構成されている、実施形態55から58までのいずれか1つ記載の基材。
【0339】
実施形態60
前記改質領域が、前記第1の表面および前記第2の表面に延在し、かつ前記第1の表面と前記第2の表面との間のスループットを提供するように構成されており、さらに前記改質領域と前記第1の表面および前記第2の表面との間の交差部に形成された開口部を含む、実施形態44から50までのいずれか1つ記載の基材。
【0340】
実施形態61
前記自由形状が、前記第1の表面および前記第2の表面に延在する傾斜楕円柱形状を含み、
前記傾斜楕円柱形状が、前記第1の表面に対して直角とは異なる角度を定める傾斜中心軸線を含み、
前記基材が、前記傾斜楕円柱形状と前記第1の表面および前記第2の表面との間の交差部に形成された開口部をさらに含む、実施形態44から50までのいずれか1つ記載の基材。
【0341】
実施形態62
前記基材が、前記第1の表面および前記第2の表面上にそれぞれ第1のセットの導電性素子および第2のセットの導電性素子をさらに含み、前記改質領域が導電性材料をさらに含み、前記改質領域と前記第1のセットの導電性素子および前記第2のセットの導電性素子とは、信号が前記第1の表面および前記第2の表面とその要素との間で流れることを可能にする、実施形態60記載の基材。
【国際調査報告】