(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-29
(54)【発明の名称】改善された行アドレス指定装置を装備した指紋取得システム
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20220322BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
G06T1/00 400G
G09G3/20 691E
G09G3/20 622E
G09G3/20 624B
G09G3/20 621M
G09G3/20 680G
G09G3/20 612K
G09G3/20 621F
G09G3/20 622K
G09G3/20 611D
G09G3/20 611C
G09G3/20 621A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546839
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(85)【翻訳文提出日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 EP2020053019
(87)【国際公開番号】W WO2020165023
(87)【国際公開日】2020-08-20
(32)【優先日】2019-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521353724
【氏名又は名称】イゾルグ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブランション,ダビド
【テーマコード(参考)】
5B047
5C080
【Fターム(参考)】
5B047AA25
5B047AB02
5B047BA02
5B047BB04
5B047BC01
5B047CA11
5B047CB23
5B047DB01
5C080AA10
5C080BB06
5C080CC06
5C080DD08
5C080DD10
5C080DD12
5C080DD25
5C080FF03
5C080FF11
5C080FF13
5C080GG07
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080KK07
(57)【要約】
本発明は、接触表面との接触状態にある指紋を有する指の少なくとも1つの接触ポイント(PCO)の場所情報(InfoLoc)を提供するように構成された接触表面を有する指紋認識システムに関し、システムは、
-その少なくともいくつかが、指紋を表す画像を検出するための検出セル(P(i,j))を有する、M個の行を有する検出アレイを有する、接触表面の下方において配置されたTFTパネルであって、行アドレス指定システムが、アレイに統合されており、且つ、行のスキャニング方向において対応する行の検出セル(P(i,j))を行ごとに起動するように構成されている、パネルと、
-場所情報(InfoLoc)を受け取るように、且つ、アレイのM個の行のうちからの行のサブセットを1つにグループ化する、且つ、場所情報(InfoLoc)に基づいて判定された、アドレス範囲(ZA)から始まって、アレイをアドレス指定するように、アドレス指定システムに命じるように構成された計算装置(CALC)と、
を有することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触表面との接触状態にある指紋を有する指の少なくとも1つの接触ポイント(PCO)の場所情報(InfoLoc)を提供するように構成された前記接触表面を有する指紋取得システムであって、
-その少なくともいくつかが、前記指紋を表す画像を検出するための検出セル(P(i,j))を有する、M個の行を有する、検出アレイを有する、前記接触表面の下方において配置されたTFTパネルであって、行アドレス指定システムが、前記アレイに統合されており、且つ、前記行のスキャニング方向において対応する行の前記検出セル(P(i,j))を行ごとに起動するように構成されている、パネルと、
-前記場所情報(InfoLoc)を受け取るように、且つ、前記アレイの前記M個の行のうちからの行のサブセットを1つにグループ化する、且つ、前記場所情報(InfoLoc)に基づいて判定された、アドレスレンジ(ZA)から始まって前記アレイをアドレス指定するように前記アドレス指定システムに命じるように、構成された計算装置(CALC)と、
を有するシステムにおいて
前記アドレス指定システムは、M個のステージ(ET)のそれぞれが、対応する行入力に接続された出力を有する、前記M個のステージを有するシフトレジスタ(SR)と、更なるステージ(ETA)と呼称される、N個のステージを有する更なるシフトレジスタ(SSR)と、を有し、ここで、N<Mであり、前記更なるシフトレジスタ(SSR)は、前記シフトレジスタ(SR)により、前記行入力に接続されており、それぞれの更なるステージ(ETA)は、前記シフトレジスタ(SR)のステージ(ET)のグループの第1ステージ(ET)に接続されていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記計算装置(CALC)は、前記行の前記スキャニング方向において、前記アドレスレンジ(ZA)の開始に対応する、初期行(L_init)と呼称される、行を判定するように、且つ、初期の更なるステージ(ETA_init)と呼称される、更なるステージを判定するように、構成されており、前記初期の更なるステージ(ETA_init)は、前記初期行(L_init)の前記検出セル(P(i,j))を起動することができる請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記シフトレジスタ(SR)及び前記更なるシフトレジスタ(SSR)に、互いに位相が反対である第1クロック信号(CK1)及び第2クロック信号(CK2)を提供するように構成された信号生成器(GSI)を有する請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
それぞれの更なるステージ(ETA)は、
-トークンと呼称される、ハイレベル信号を受け取るように構成された入力端子(BE)と、
-そのゲートが、前記入力端子(BE)に直接又は間接的に接続されている、且つ、そのドレインが、前記第1クロック信号(CK1)又は第2クロック信号(CK2)のうちからのクロック信号を受け取るように構成されている、第1トランジスタ(TR1)と、
-前記第1トランジスタ(TR1)のソースに接続された中間ノード(NI)であって、前記後続の更なるステージの前記入力端子に接続された中間ノード(NI)と、
-前記信号生成器(GSI)によって提供される第1抑制信号(S-inhib)によって制御される、前記更なるステージ(ETA)に接続された前記ステージ(ET)用の抑制回路(CIN)であって、前記第1抑制信号(S-inhib)がローレベルにある限り、前記トークンが、それぞれのクロックパルス(CK1、CK2)において前記後続の更なるステージに送信されるように、且つ、前記第1抑制信号がハイレベルである際には、前記トークンが、前記更なるステージ(ETA)に接続された前記ステージ(ET)に送信されるように、構成された抑制回路(CIN)と、
を有する請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記信号生成器(GSI)は、前記計算装置(CALC)によって判定された前記初期の更なるステージ(ETA_init)の前記入力端子(BE)が前記トークンを受け取った際に、前記第1抑制信号(S-inhib)がハイレベルを有するように、構成されている請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記抑制回路(CIN)は、
-そのゲートが、前記中間ノード(NI)に直接又は間接的に接続されている、且つ、そのドレインが、前記抑制信号(S-inhib)を受け取りうる、第2トランジスタ(TR2)と、
-前記第2トランジスタ(TR2)のソースに、且つ、前記シフトレジスタ(SR)のステージ(ET)に、接続された出力端子(BS)と、
を有する請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記信号生成器(GSI)は、前記抑制回路(CIN)に第2抑制信号(RESETcommand)を提供するように構成されており、前記第2抑制信号(RESETcommand)は、前記第1抑制信号(S-inhib)が前記ローレベルに変化した後に、即座に、ハイレベルを有し、且つ、前記出力端子(BS)は、そのゲートが前記第2抑制信号(RESETcommand)を受け取ることができる、第3トランジスタ(TR3)のドレインに接続されている請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記更なるシフトレジスタ(SSR)の前記更なるステージ(ETA)は、前記シフトレジスタ(SR)の前記ステージ(ET)の間において規則的な間隔を有する状態において、前記シフトレジスタ(SR)の前記ステージ(ET)に接続されている請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
それぞれの更なるステージ(ETA)は、ダイオード接続されたトランジスタ(TRD)により、ステージ(ET)に接続されている請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された行アドレス指定装置を装備した指紋取得システムに関する。本発明は、特に、画面上の任意の場所においてユーザーの指紋を認識することにより、ユーザーを識別するべく、例えば、タッチスクリーンの下方に配置された画像センサに適用される。
【背景技術】
【0002】
TFTパネルと呼称されるものにおいて使用されている検出アレイは、既知のように、行において、且つ、列において、配列された、ピクセルとも呼称される、検出セルP(i,j)から形成されている。
図1は、このような構成を示している。慣例により、検出セルP(i,j)は、行L(i)上において、且つ、列Col(j)上において位置していることに留意されたい。それぞれの検出セルP(i,j)は、一般的に、受け取られた光エネルギーに比例した状態において電荷を生成する、且つ、前記電荷をそのコンデンサ内において保存する、フォトダイオードである、光センサD(i,j)と、そのソースが電荷検出器D(i,J)に接続された薄膜トランジスタT(i,j)と、から構成されている。
【0003】
行L(i)をシーケンシャルにアドレス指定するには、行のトランジスタT(i,j)のすべてをオフ状態において維持するための1つの電圧Voffと、行のトランジスタT(i,j)のすべてをオン状態に移行させるための1つの電圧Vonと、という2つの別個の電圧の提供が必要とされる。トランジスタT(i,j)は、選択トークンによってアドレス指定されている。選択トークンは、例えば、行L(i)から行L(i+1)まで、などのように、所与の方向において、行から行へと伝播する、ローレベル(Vonよりも低い電圧Voff)との比較における、既定の時間にわたるハイレベル信号(電圧Von)である。
【0004】
選択トークンが行L(i)を伝播する時点において、トークンのハイレベルは、行のトランジスタのすべてのもののオン状態を命じている。選択トークンのハイレベルは、トランジスタの閾値電圧を上回る値を有するように構成されている。行の電荷検出器D(i,j)のそれぞれ内において保存されている電子は、電荷検出器D(i,j)と関連する列Col(j)を介して電荷積分器に送信され、これが、この値を電圧に変換している。列Col(j)は、トランジスタT(i,j)のドレインに接続されている。それぞれの列内の電荷の積分は、読み出し集積回路又はROICとも呼称される、列のすべてに共通している集積回路によって管理することができる。これは、指紋の画像が行ごとに生成されうるように、計測された値をデジタルに変換している。
【0005】
行から行への選択トークンの伝播は、一般に「行ドライバ」又は「ゲートドライバ」と呼称される、行アドレス指定装置又は行スキャナによって管理されている。行制御回路は、シフトレジスタである。(欧州特許第0586398B1号明細書)は、液晶ディスプレイ内において使用されるシフトレジスタの一例について記述している。本出願は、ディスプレイアレイではなく、検出アレイに適用されるが、原理は同一である。
図2を参照すれば、それぞれのステージETは、入力端子Bini(i=0~3)と、アレイの個々の行にそれ自体が接続されている出力端子Bouti(i=0~3)と、を有する。読み出し集積回路に統合されうる、信号生成器GSIが、互いに位相が反対である2つのクロック信号CK1、CK2を生成している。それぞれのステージETi(i=0~3)は、第1クロック信号CK1を受け取ることができる第1クロック端子Bck1-i(i=1~3)と、第2クロック信号CK2を受け取ることができる第2クロック端子Bck2-i(i=0~3)と、を有する。パルスSTVext(「トークン」と呼称される)は、第1ステージET0の入力端子Bin0によって受け取られており、且つ、例えば、第1クロック信号CK1の、第1クロックパルスにおいて、トークンは、上述のように、対応する行の検出セル内において保存されている情報を読み出すように、出力端子Bout0により、行L(0)に送信されている。
【0006】
第2ステージET1の入力端子Bin1は、第1ステージET0の出力端子Bout0に接続されている。第2クロック信号CK2は、第2ステージET1により、第2クロック端子Bck2-1において受け取られている。この結果、トークンが、第2行L(1)に送信されている。第1クロック信号CK1及び第2クロック信号CK2は、アレイの読み取りにおいて不感時間が存在しないように、互いに位相がオフセットされている。
【0007】
従って、トークンは、アレイの行のすべてが読み取られる時点まで、ステージからステージに伝播している。
【0008】
反対の位相を有する2つのクロック信号とは異なる、その他のクロックシステムも、本発明の範囲を逸脱することなしに、想定されうる。例えば、2つ超のクロック信号を使用するシフトレジスタ、或いは、場合によっては、単一のクロック信号を使用するシフトレジスタも、想定されうる。
【0009】
行アドレス指定装置は、当初、例えば、柔軟な層によってアレイに接続された状態において、アレイの外側において配置されていた。単一のN型又はP型のTFTトランジスタを使用することにより、アレイ内において直接的に実装された行アドレス指定装置が、最近になって登場している。アレイは、例えば、アモルファスシリコン(a-Si)、TFT、多結晶シリコン、有機半導体、或いは、アモルファスガリウムインジウム酸化亜鉛(Ga2O3-In2O3-ZnO)タイプの、基板上において層を堆積させることにより、形成することができる。
【0010】
一般にGOA(gate driver on array)と呼称されるアレイ内において統合されたこれらのアドレス指定装置は、製造費用及びフットプリントにける節約を可能にしており、且つ、外部アドレス指定装置との比較において、接続エラーの制限を可能にしている。GOAの一例については、(仏国特許第2975213号明細書)において記述されている。
【0011】
但し、現在使用されているGOAは、1つのステージから別のものへの運動の観点において相当に限られた速度しか有しておらず、これは、TFT技術に関連している。具体的には、シフトレジスタ内における1つのステージから別のものへの運動は、10~20マイクロ秒を必要とする一方で、この遅延は、外部アドレス指定装置に一般に使用される技術である、CMOS技術を使用した場合には、100ナノ秒に過ぎない。
【0012】
スマートフォン又は任意のその他の等価な装置のタッチスクリーン上の指紋認識用途の場合に、アレイの行の数は、ほぼ2000個に等しいが、この数が装置ごとに変化しうることは明らかである。従って、指が画面の底部において配置されている場合に、選択トークンがシフトレジスタのステージのすべてにおいて伝播するためには、約40ミリ秒だけ、所要することになろう。また、指紋認識法における実行時間は、一般には3~6である、データを集約するのに必要とされる多くの再読取り動作の数だけ、増大しうる。指紋を認可されているものと比較するのに必要とされる時間が、これらの遅延を更に増大させる。
【0013】
従って、指紋認識法は、迅速に実行されなければならず、具体的には、それを超えた場合に、ユーザーが、レイテンシー時間と、従って、待機の感覚と、を検出することが経験的に確立されている遅延である、200ミリ秒未満において、実行されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許第0586398号明細書
【特許文献2】仏国特許第2975213号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明は、最も少ない数の可能な新しい制御信号を追加しつつ、アレイの望ましい場所において行のスキャニングを開始することを可能にするGOA行アドレス指定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
従って、本発明の主題の1つは、タッチスクリーンとの接触状態にある指紋を有する指の少なくとも1つの接触ポイントの場所情報を提供するように構成された接触表面を有する指紋取得システムであり、システムが、
-その少なくともいくつかが、指紋を表す画像を検出するための検出セルを有する、M個の行を有する検出アレイを有する、タッチスクリーンの下方において配置されたTFTパネルであって、行アドレス指定システムが、アレイ内に統合されており、且つ、行のスキャニング方向において対応する行の検出セルを行ごとに起動するように、構成されている、パネルと、
-場所情報を受け取るように、且つ、アレイのM個の行のうちからの行のサブセットを1つにグループ化する、且つ、場所情報に基づいて判定された、アドレスレンジから始まって、アレイをアドレス指定するべくアドレス指定システムに命じるように、構成された計算装置と、
を有することを特徴としている。
【0017】
有利には、アドレス指定システムは、M個のステージを有するシフトレジスタであって、M個のステージのそれぞれが、対応する行入力に接続された出力を有する、シフトレジスタと、更なるステージと呼称される、N個のステージを有する、更なるシフトレジスタと、を有し、この場合に、N<Mであり、更なるシフトレジスタは、シフトレジスタによって行入力に接続されており、それぞれの更なるステージは、シフトレジスタのステージのグループの第1ステージに接続されている。
【0018】
有利には、計算装置は、行のスキャニング方向において、アドレスレンジの開始に対応する、初期行と呼称される行を判定するように、且つ、初期の更なるステージと呼称される、更なるステージを判定するように、構成されており、初期の更なるステージは、初期行の検出セルを起動することができる。
【0019】
有利には、システムは、シフトレジスタ及び更なるシフトレジスタに互いに位相が反対である第1クロック信号及び第2クロック信号を提供するように構成された信号生成器を有する。
【0020】
有利には、それぞれの更なるステージは、
-トークンと呼称される、ハイレベル信号を受け取るように構成された入力端子と、
-そのゲートが入力端子に直接又は間接的に接続されている、且つ、そのドレインが、第1クロック信号又は第2クロック信号のうちからクロック信号を受け取るように構成されている、第1トランジスタと、
-第1トランジスタのソースに接続された中間ノードであって、後続の更なるステージの入力端子に接続された中間ノードと、
-信号生成器によって提供される第1抑制信号によって制御される、更なるステージに接続されたステージ用の抑制回路であって、第1抑制信号がローレベルである限り、トークンが、それぞれのクロックパルスにおいて後続の更なるステージに送信されるように、且つ、第1抑制信号がハイレベルにある際には、トークンが、更なるステージに接続されたステージに送信されるように、構成されている、抑制回路と、
を有する。
【0021】
有利には、信号生成器は、計算装置によって判定された初期の更なるステージの入力端子がトークンを受け取った際に、第1抑制信号がハイレベルを有するように、構成されている。
【0022】
有利には、抑制回路は、
-そのゲートが中間ノードに直接又は間接的に接続されている、且つ、そのドレインが抑制信号を受け取ることができる、第2トランジスタと、
-第2トランジスタのソースに、且つ、シフトレジスタのステージに、接続された出力端子と、
を有する。
【0023】
有利には、信号生成器は、第2抑制信号を抑制回路に提供するように構成されており、第2抑制信号は、第1抑制信号がローレベルに変化した後に、即座に、ハイレベルを有し、且つ、この場合に、出力端子は、そのゲートが第2抑制信号を受け取ることができる第3トランジスタのドレインに接続されている。
【0024】
有利には、更なるシフトレジスタの更なるステージは、シフトレジスタのステージの間において規則的な間隔を有する状態において、シフトレジスタのステージに接続されている。
【0025】
有利には、それぞれの更なるステージは、ダイオード接続されたトランジスタにより、ステージに接続されている。
【0026】
添付図面は、本発明を示している。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】従来技術による、行における且つ列における検出セルの配列を示しており、これについては、既に説明済みである。
【
図2】従来技術による、シフトレジスタを概略的に示しており、これについては、既に説明済みである。
【
図3】本発明による指紋取得システムを概略的に示す。
【
図4】本発明による更なるシフトレジスタの回路図を示す。
【
図5】本発明による行アドレス指定装置の動作を示すタイミング図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図3は、本発明による指紋取得システムを概略的に示している。指紋認識は、例えば、電話機をアンロックするべく、或いは、さもなければ、支払などのアプリケーションの使用を保護するべく、装置上において実行されており、この装置は、
図3においては、スマートフォンタイプの電話機によって表されている。本発明は、電話機上における指紋認識に限定されるものではなく、且つ、任意のタイプの電子装置上において実装することができる。
【0029】
取得システムは、図示されてはいない接触表面を有する。また、電子装置は、接触表面との組合せにおいて表示機能を内蔵していてもよく、これらの組立体が、タッチスクリーンを形成している。
【0030】
ユーザーの指が装置の表面との接触状態となった際に、電子装置内において構成された計算装置CALCが、接触表面上の指の接触ポイントPCOを検出する。検出は、例えば、抵抗性又は容量性技術の使用などの、様々な方法で実行することができる。いずれのケースにおいても、接触ポイントPCOは、接触表面のプレーン内のポイントの座標に対応している。いくつかの有効接触ポイントをもたらす、長い時間にわたる接触の場合に、計算装置CALCは、処理の残りの部分に使用されるべき接触点が、有効接触ポイント(例えば、上部ポイント又は下部ポイント)のうちの1つに、或いは、その座標が有効接触ポイントの座標の平均値に対応している概念的接触ポイントに、対応していると見なすことができる。
【0031】
上述の検出アレイは、接触表面の下方において配置され、且つ、TFTパネルに統合されている。検出アレイは、M個の行を有する。行の少なくともいくつかは、検出セルを有する。行のすべては、アレイ内に統合されたアドレス指定装置によって駆動されている。アドレス指定装置は、M個のステージを有するシフトレジスタSRを有する。それぞれのステージは、アレイの行に接続されている。このようなステージは、例えば、仏国特許第2975213号明細書の
図3に示されている。
【0032】
本発明による、且つ、
図3に示されている、システムは、シフトレジスタSRが、指紋が検出されるべきゾーンに対応する、アレイの既定の行から、通常使用されるクロック信号CK1及びCK2により、アレイ内においてトークンを送信することを許容している。従って、特定のシフトレジスタSR内の起動信号の伝播を回避することにより、時間節約が得られる。
【0033】
これを目的として、本発明によるシステムは、こちらもアレイ内に統合された、更なるシフトレジスタSSRを使用している。更なるシフトレジスタSSRは、N個の更なるステージETAを有しており、この場合に、N<Mである。有利には、比率M/Nは、20に等しくてもよい。従って、2000行のアレイの、且つ、従って、2000ステージのシフトレジスタの、場合には、更なるシフトレジスタSSRは、100個の更なるステージを有しうる。本発明の特に有利な一実施形態において、比率M/Nは、200に等しくてもよい。従って、2000行のアレイの、且つ、従って、2000ステージのシフトレジスタの、場合には、更なるシフトレジスタSSRは、10個の更なるステージを有しうる。従って、更なるシフトレジスタSSRのフットプリントは、小さく、これは、例えば、アレイのコーナーにおいて位置しうる。これは、具体的には、入出力パッドの近傍において位置しうる。
【0034】
有利には、更なるシフトレジスタSSRの更なるステージETAは、シフトレジスタSRのステージETの間において規則的な間隔を有する状態において、シフトレジスタSRのステージETに接続されている。従って、それぞれの更なるステージETAは、同一の数のステージETを1つにグループ化し、これにより、更なるシフトレジスタの実装を相対的に容易にしている。上述の例において、間隔は、比率N/Mに対応している(200)。
【0035】
一変形として、ステージの間の間隔は、不規則であってもよく、例えば、更なるステージETAは、上部及び下部部分との比較において、検出器の中心において、相対的に少ない数のステージETを1つにグループ化しうる。
【0036】
計算装置CALCは、例えば、ASIC(「application-specific integrated circuit」の略号)又はFPGA(「field-programmable gate array」の略号)回路、或いは、適切にプログラミングされたプロセッサなどの、専用の回路であってよい。最後のケースにおいては、計算装置は、その他の機能をも実行する中央プロセッサであってよい。計算装置CALCは、接触表面のプレーン内におけるポイントの座標の形態において、接触表面から、場所情報InfoLocを受け取っている。ユーザーの指紋の分析を要する、アドレスレンジZAは、場所情報InfoLocに基づいて計算装置CALCによって定義されている。具体的には、指紋認識手順において指によって占有される表面の最大寸法については、指紋センサの分野において既知である。
【0037】
通常、500dpi(「dots per inch」の略号)の分解能を有する検出器の場合には、拇印が、約15ミリメートルにわたって、指の長さに対応する次元に沿って計測されうる、という知識により、300行にわたる指紋の画像を取得することで十分である。
【0038】
従って、計算装置CALCは、接触ポイントPCOに対応するアレイの行を判定し、且つ、アレイの行のスキャニング方向において前に位置する100及び50行と、行のスキャニング方向において後に位置する100及び50行と、を判定している。
【0039】
接触表面の接触ポイントPCOに対応するアレイの行の判定は、アレイの分解能(2つの連続的なピクセルの間の間隔)Res1と接触表面の分解能(2つの連続的な検出要素の間の間隔)Res2が異なりうる、という、事実にリンクされた、アライメント手順と呼称されるものを使用することができる。
【0040】
接触表面のxyプレーン内における指の押下は、(0、0)が、例えば、タッチスクリーンの左上隅などの、接触表面のコーナーとなるように配置することにより、横軸上においては、(x*Res2)において、且つ、縦軸上においては、(y*Res2)において、配置されている。
【0041】
コーナー(例えば、左上隅)におけるピクセル(0、0)との関係における、TFTアレイ上の対応するポイントは、次式において特定され、
xTFT=(x*Res2)/Res1+deltaX/Res1、及び、
yTFT=(y*Res2)/Res1+deltaY/Res1
ここで、DeltaX及びDeltaYは、工場において計測された、接触表面の(0、0)との関係におけるTFTアレイの(0、0)のシフトである。
【0042】
従って、接触ポイントPCOに対応するアレイLiPCOの行は、「yTFT」と「y」の間の関係から推定される。
【0043】
当然のことながら、計算装置CALCは、例えば、接触ポイントPCOの前の200個及び後の200個などの、接触ポイントPCOの前又は後の異なる数の行を有するアドレスレンジを定義することができる。
【0044】
指紋の通常の寸法を考慮するべく、接触ポイントPCOの前において考慮される必要がある行の数として、NBlignesAVが定義され、且つ、接触ポイントPCOの後において考慮される必要がある行の数として、NBlignesAPが定義される。
【0045】
例えば、NBlignesAV=NBlignesAP=150である。
【0046】
中間行Li_interという名称は、#Ligne_inter=#LiPCO-NBlignesAVとなるような行に対して付与され、この場合に、#Ligne_interは、中間行の数を表記し、且つ、#LiPCOは、接触ポイントPCOに対応するアレイLiPCOの行の数を表記している。
【0047】
慣例により、初期行L_initは、アレイの行のスキャニング方向において中間行L_interを有する行のグループの更なるステージETAに(シフトレジスタSRのステージETを介して)接続された行に対して付与される名称である。
【0048】
慣例により、「初期の更なるステージ(ETA_init)」は、初期行(L_init)の検出セル(P(i,J))を起動しうる更なるステージに対して付与される名称である。それぞれの更なるステージETAは、シフトレジスタSRのステージETの第1グループに接続されている。上述の例において、それぞれの更なるステージETAは、200ステージETを1つにグループ化し、且つ、従って、200行を1つにグループ化しており、且つ、初期の更なるステージは、第1の更なるステージが初期パルスSTVextを受け取ったものであることを考慮することにより、第5の更なるステージに対応している。
図3において、ブロックY0~Y9は、様々な行の1つのグループ化を示している。
【0049】
本発明によるシステムは、アレイのM行のうちから行のサブセットをアドレス指定することを可能にしている。サブセットは、少なくともアドレスレンジZAを有しており、これは、場所情報InfoLocに基づいて判定されている。
【0050】
計算装置CALCは、前記信号生成器が、要求されているクロック信号の数を生成するように、信号生成器GSIに命じている。計算装置CALCは、命令信号「CommandeGSI」を送信することにより、信号生成器GSIと通信している。信号生成器GSIは、レベルコンバータに結合された、例えば、FPGA回路などの、専用の回路を有することができる。FPGAは、計算装置CALCによって送信されたコマンド信号CommnadeGSIを受け取っている。FPGAは、論理信号を低電圧(例えば、0~3.3V)において生成している。レベルコンバータは、FPGAの低電圧とアレイの高電圧(Von、Voff)が互換性を有することを保証している。
【0051】
アレイ上におけるそれぞれの新しい読み取り動作ごとに、計算装置CALCは、新しいパルスSTVextを生成するように、信号生成器GSIに命じている。計算装置CALCは、パルスSTVextが生成された時点から始まって、生成されなければならない第1クロック信号CK1及び第2クロック信号CKの上昇エッジの数を判定している。
【0052】
計算装置は、アドレスレンジZAの第1行の、並びに、更に具体的には、アドレスレンジZAの第1行が配置されているステージETのグループの第1ステージETの、位置に基づいて、上昇エッジの数を判定している。
【0053】
信号生成器GSIは、第1抑制信号と呼称される、信号S-inhibを生成している。第1抑制信号S-inhibは、トークンが初期の更なるステージETAinit内において伝播する時点において、初期の更なるステージETAinitが接続されているクロック信号がハイレベルを有している際にのみ、ハイレベルを有する。この条件は、計算装置CALCによって検証されている。次いで、第1抑制信号S-inhibは、クロック信号の降下エッジにおいてローレベルに戻るように変化している。
【0054】
図3に示されている例においては、アドレスレンジZAは、行800において始まっており、これは、更なるシフトレジスタSSRの更なるステージの1つに接続されており、これは、このケースにおいては、5つ目のもの(ETA4)である。アレイは、行800から始まることにより、アドレス指定されている。従って、計算装置CALCは、第5の更なるステージETA4が、初期の更なるステージETAinitであるものと見なしている。第1の更なるステージETA0が、第1クロックパルスCK1によって起動されていると仮定することにより、第2の更なるステージETA1は、第2クロックパルスCK2によって起動されることになり、且つ、以下同様である。第5の更なるステージETA4は、第1クロックパルスCK1によって起動されており、これは、第5の上昇エッジ(CK1/CK2)に対応している。この結果、計算装置CALCは、第1抑制信号S-inhibを更なるシフトレジスタに供給している。
【0055】
次いで、信号生成器GSIは、第2抑制信号RESETcommandを生成しており、これは、第1抑制信号S-inhibがローレベルに変化した後に、即座に、ハイレベルを有する。第2抑制信号RESETcommandは、更なるシフトレジスタ内におけるトークンの伝播の抑制を可能にしている。従って、これは、初期の更なるステージETAinitに接続されているステージから始まって、シフトレジスタ内においてのみ伝播している。
【0056】
それぞれの更なるステージは、第1クロック信号CK1、第2信号CK2、第1抑制信号S-inhib、及び第2抑制信号RESETcommandを受け取っている。初期パルスSTVextは、第1の更なるステージETA0にのみ送信されている。
【0057】
有利には、それぞれの更なるステージETAは、ダイオード接続された、即ち、そのゲートがそのドレインに接続された、トランジスタTRDにより、ステージETに接続されている。従って、第2抑制信号RESTcommandが印加された際に、ダイオード接続されたトランジスタTRDは、同時に、トークンを送信した初期の更なるステージETA_initを隔離しつつ、シフトレジスタSR内におけるトークンの伝達を可能にしている。具体的には、ダイオード接続されたトランジスタTRDは、正の電圧Vonのみを伝達しており、初期の更なるステージETA_initがVoffにリセットされた際に、トークンを受け取ったシフトレジスタSRの行は、その状態をVonにおいて維持している。
【0058】
図3においては、その上部において指紋の認識を要する電子装置の外側に、本発明を形成しているいくつかの要素が示されている。この描画は、概略的なものであり、具体的には、更なるシフトレジスタSSRがGOAに統合され、計算装置CALC及び信号生成器GSIは、GOAに接続された回路内において配置することができる。
【0059】
図4には、更なるシフトレジスタのそれぞれの更なるステージETAの回路図が示されている。
【0060】
更なるステージは、伝播回路CPRと抑制回路CINに分解される。伝播回路CPRは、仏国特許第2975213号明細書の
図3に示されているステージに類似した構造を有し、且つ、類似した方式で動作している。
【0061】
出力信号Out_nは、レベルnの更なるステージETAの伝播回路CPRの出力を表している。伝播回路CPRは、入力信号Out_n-1を入力において受け取り、且つ、出力信号Out_nを提供している。
【0062】
行アドレス指定装置の分野において、入力信号のパルスは、一般にトークンと呼称され、且つ、入力端子BEにおいて受け取られている。本発明によるシステムにおいては、トークンは、トークンが次いでアレイ内において伝播しうる、初期の更なるステージETA_initが、初期の更なるステージETA_initに接続されたレジスタから始まっている限り、更なるステージから更なるステージに伝播している。トークンは、先行する更なるステージの出力信号によって送信されている。第1の更なるステージの場合には、トークンは、信号生成器GSIにより、生成することができる(信号STVext)。
【0063】
第1トランジスタTR1は、オン状態にある際に、クロック信号CK1(或いは、奇数が付番されている更なるステージの場合には、CK2)のパルスを送信している。従って、そのドレインは、信号生成器GSIに接続されている。ブーストコンデンサCb1が、第1トランジスタTR1のゲートとソースの間に接続されている。このようなコンデンサは、第1トランジスタTR1が、弱いオン状態から十分なオン状態に変化した際に、ドレイン/ソース電圧を2×Vonにおいて伝達することを可能にする「ブートストラップ」効果の責任を担っている。
【0064】
事前充電トランジスタTR4が、第1トランジスタTR1のゲートの事前充電を可能にしている。従って、事前充電トランジスタTR4のソースは、第1トランジスタTR1のゲートに接続されている。制御トランジスタTR5は、第1トランジスタTR1のゲートの放電を可能にしている。従って、制御トランジスタTR5のドレインは、第1トランジスタTR1のゲートに接続されている。制御トランジスタTR5は、レベルn+1の、後続の更なるステージの出力信号Out_n+1によって制御されている。従って、制御トランジスタTR5のゲートは、レベルn+1の、後続の更なるステージの出力信号Out_n+1に接続されている。最後の更なるステージの制御トランジスタTR5のゲートは、特定の信号によって制御することができる。具体的には、特定の信号は、第2抑制信号RESETcommandであってよい。この結果、制御トランジスタTR5のソースは、電圧Voffにバイアスされている。
【0065】
放電トランジスタTR6は、レベルnの更なるステージの出力Out_nに接続することができる。この結果、トークンが行に送信された際の出力Out_nの放電が相対的に容易になる。放電トランジスタTR6のゲートは、制御トランジスタTR5のゲートに接続されている。但し、(約10のレベルの)更なるステージの相対的に小さな数に起因し、放電トランジスタTR6の存在は、必須ではない。具体的には、放電トランジスタTR6が、望ましくないトークンの発生を防止するべく、第1トランジスタのソースの電圧をゼロにリセットしている。但し、更なるステージの非常に小さな数に伴い、望ましくないトークンの発生の可能性は小さい。
【0066】
補償コンデンサC3を第2クロック信号CK2と事前充電トランジスタTR4のソースの間において配置することができる。この結果、第1トランジスタTR1のドレインに印加される第1クロック信号CK1のスイッチングの際に、第1トランジスタTR1のゲートとドレインの間における浮遊容量の影響を補償することが可能になる。但し、(約10のレベルの)更なるステージの相対的に小さな数に起因して、この存在は、必須ではなく、且つ、従って、浮遊干渉の蓄積の破壊性は、従来のシフトレジスタのステージにおけるものよりも格段に小さい。具体的には、1000ステージのレベルを有するシフトレジスタにおいては、補償コンデンサを伴うことなしに、浮遊干渉は、この多くのステージにより、アレイの末尾において乗算されることになり、且つ、これは、受け入れ不能となろう。
【0067】
中間ノードNIが、伝播回路CPRの出力において配置されている。出力信号Out_nを中間ノードNIにおいて引き出すことができる。中間ノードNIは、後続の更なるステージの入力端子に接続されている。
【0068】
更なるステージETAに接続されたステージETの抑制回路CINは、更なるステージが、更なるステージETAに接続されたステージETを抑制し、且つ、従って、トークンを後続の更なるステージに送信することを許容しており、或いは、セルがアドレス指定されるようにトークンをアレイに送信することを許容している。これを目的として、抑制回路CINは、計算装置CALCによって提供される出力信号Out_n及び第1抑制信号S-inhibを受け取っている。計算装置CALCは、トークンが初期の更なるステージETA_init内に配置された際に、抑制信号S-inhibのパルスを送信している。計算装置CALCは、
図3に示されているように、クロック信号CK1及びCK2の生成を命じている。従って、これは、上昇エッジが抑制信号S-inhibにおいて生成されるべき時点を判定することができる。
【0069】
抑制回路CINは、そのゲートが中間ノードNIに接続されている、且つ、そのドレインが抑制信号S-inhibを受け取ることができる、第2トランジスタTR2を有する。有利には、ダイオード接続された事前充電トランジスタTR7が、中間ノードと第2トランジスタTR2のゲートの間において配置されている。事前充電トランジスタTR7は、第2トランジスタTR2のゲートの事前充電を可能にしている。
【0070】
出力端子BSは、第2トランジスタTR2のソースに、且つ、シフトレジスタSRの対応するステージETに、接続されている。中間ノードNIによって送信されたトークンが出力端子に送信された際に、検証信号STVnの上昇エッジが、出力端子BSにおいて生成される。
【0071】
有利には、第2ブーストコンデンサCb2が、第2トランジスタTR2のゲートとソースの間において接続されている。このようなコンデンサは、第2トランジスタTR2が、弱いオン状態から十分なオン状態に変化した際に、ドレイン/ソース電圧を2×Vonにおいて伝達することを可能にする「ブートストラップ」効果の責任を担っている。
【0072】
第2放電トランジスタTR8をレベルnの更なるステージの出力端子BSに接続することができる。この結果、第2トランジスタTR2の放電が相対的に容易になる。これは、後続の更なるステージOut_n+1の出力信号によって制御されている。最後の更なるステージの放電トランジスタTR8のゲートは、第2抑制信号RESTcommandによって制御することができる。
【0073】
抑制回路CINは、第3トランジスタTR3を更に有する。第3トランジスタTR3は、信号生成器GSIによって提供される第2抑制信号RESTcommandにより、制御されている。第2抑制信号RESETcommandは、第1抑制信号S-inhibがローレベルに変化した後に、即座に、ハイレベルを有する。出力端子BSは、第3トランジスタTR3のドレインに接続されている。従って、第2抑制信号RESETcommandは、初期の更なるステージETA_initの検証信号が、初期の更なるステージETA_initが接続されているシフトレジスタSRのステージに送信されたら、検証信号STVnをVoffにおいて維持しており、アレイの読み取り時間の全体を通じて、これを実行している。
【0074】
図5は、本発明による行アドレス指定装置の動作を示すタイミング図を示している。
図5に示されている図においては、接触表面によって送信された場所情報InfoLocにより、第4の更なるレジスタが起動信号STV3を送信しうることを計算装置CALCが検出したものと見なすことができる。これは、例えば、シフトレジスタSRの20ステージが、更なるシフトレジスタSSRのそれぞれの更なるステージに装着された状態における、2000行アレイの場合の、行600~800において開始しているアドレスレンジに対応しうる。
【0075】
パルスSTVextが、第1の更なるステージETA0の入力端子BEにおいて提供されている。同時に、第1クロック信号CK1は、ハイレベル(Vonにおける電圧)を有しており、従って、出力信号Out0は、ハイレベルを有する。第1抑制信号S-inhibは、ローレベル(Voffにおける電圧)であることから、トークンは、第2の更なるステージETA1に送信される。第2クロック信号CK2は、ハイレベルを有しており、従って、出力信号Out1は、ハイレベルを有する。第1抑制信号S-inhibは、依然としてローレベルにあることから、トークンは、第3の更なるステージETA2に送信される。第1クロック信号CK1は、ハイレベルを有しており、従って、出力信号Out2は、ハイレベルを有する。第1抑制信号S-inhibは、依然としてローレベルを有していることから、トークンは、第4の更なるステージETA3に送信される。
【0076】
計算装置は、第4の更なるステージETA3を初期の更なるステージETA_initであるものと識別している。従って、第1抑制信号S-inhibは、トークンが第4の更なるステージETA3において伝播している時点においては、ハイレベルを有する。出力Out3は、ハイレベルを有しており、且つ、第1抑制信号S-inhibも、ハイレベルを有していることから、起動信号STV3は、Vonに変化する。次いで、トークンは、第4の更なるステージETA3に接続されたシフトレジスタSRのステージETに送信することができる。アレイは、このステージと関連する行から始まることにより、アドレス指定することができる。従って、この例においては、4つのクロックパルスにおいて、アレイは、行600から始まることにより、アドレス指定されている。更には、クロック信号は、シフトレジスタに使用されるものであり、且つ、従って、更なるクロック信号生成器を提供するニーズは、存在していない。
【0077】
第1抑制信号S-inhibがローレベルに戻ったら即座に、計算装置CALCは、第2抑制信号RESETcommandを電圧Vonに設定する。従って、第3トランジスタTR3は、オン状態にスイッチングし、且つ、後続の更なるステージは、アレイ上における最後の読み取り動作の時点まで、抑制される。
【0078】
一実施形態において、アレイは、アレイの最後の行までアドレス指定することができる。計算装置CALCは、アレイの行の合計数に関係する情報を有しており、従って、アレイの最後の行に到達した際に、計算装置CALCは、シフトレジスタSRへのクロック信号の送信を停止するように、信号生成器GSIに命じている。
【0079】
一代替肢として、計算装置CALCは、場所情報InfoLocに基づいて、アレイの読み取りの停止を命じることもできる。具体的には、場所情報InfoLocに基づいて、計算装置CALCは、アドレスレンジZAの最後の行を判定することができる。計算装置CALCは、アドレスレンジZAの最後の行に到達した際に、シフトレジスタSRへのクロック信号の送信を停止するように、信号生成器GSIに命じている。
【0080】
図3によって示されている例を再度参照すれば、例えば、アドレスレンジZAの末尾における行が、行番号1240に対応している場合に、計算装置CALCは、トークンが更なるシフトレジスタSSRにおいて伝播するように、5つのクロックパルスを生成するように、且つ、次いで、トークンがグループY4及びY5において伝播するように、400個のクロックパルスを生成するように、且つ、最後に、トークンが行番号1200~1240において伝播するように、40個のクロックパルスを生成するように、信号生成器GSIに命じている。従って、計算装置CALCは、445個のクロックパルスの後に、クロック信号の生成を停止するように信号生成器GSIに命じている。
【0081】
本発明によるシステムは、数千行を有する大きなアレイを有する検出器に特に適している。
【0082】
本発明によるシステムは、ウィンドウ処理機能を有することを可能にしており、これは、検出器に固有の機能である。この機能は、TFTパネルディスプレイにおいては、特に必要とされてはいない。
【0083】
この機能は、具体的には、2つのコマンドと、意図されている用途に応じて適合されうる小さな更なるシフトレジスタと、のみをTFTパネルに統合されたゲートドライバに追加することにより、実質的に費用なしで追加される。10個の更なるステージのみを有する更なるシフトレジスタにより、アレイをアドレス指定する際に大きな時間の節約を実現することができる。
【0084】
更には、更なるシフトレジスタの小さなサイズに起因して、更なるシフトレジスタがアレイの未使用の場所において統合されうる場合には、アレイの面積の増大は、わずかであり、或いは、場合によっては、まったく増大しない。現在、アレイが製造されている清浄室においては、障害を生成しうる埃の粒子の数は、アレイのサイズに比例していることから、障害の数も、アレイのサイズに比例している。アレイの効率は、アレイのサイズが増大するのに伴って減少している。従って、本発明によるシステムは、仮に影響を及ぼす場合にも、アレイの効率には、ほとんど影響を及ぼさない。
【国際調査報告】