(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-29
(54)【発明の名称】磁気推進システムのための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H02K 7/14 20060101AFI20220322BHJP
H02K 21/12 20060101ALI20220322BHJP
H01F 7/20 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
H02K7/14 A
H02K7/14 C
H02K21/12 M
H01F7/20 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546843
(86)(22)【出願日】2020-02-14
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 US2020018456
(87)【国際公開番号】W WO2020168309
(87)【国際公開日】2020-08-20
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521353780
【氏名又は名称】パラネティックス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル,トーマス エー.
(72)【発明者】
【氏名】スタンバウ,ラリー ジー.
【テーマコード(参考)】
5H607
5H621
【Fターム(参考)】
5H607BB01
5H607BB07
5H607CC01
5H607DD06
5H607DD08
5H607FF04
5H607GG01
5H621GA16
(57)【要約】
推進システムであって、ファンブレードハウジングと、ファンブレードハウジング内の複数のファンブレードと、ファンブレードハウジングの外側に固定された、1列又は複数列の永久磁石と、1つ又は複数のファンブレードベアリングと、1つ又は複数のファンブレードベアリングに固定され、1列又は複数列の永久磁石に対応する1つ又は複数の磁場生成器であって、永久磁石を同一方向に前進させるように構成され、これにより、永久磁石が取り付けられているファンブレードハウジング及びその内部のファンブレードを、回転駆動する、1つ又は複数の磁場生成器と、を含む、推進システム。
【選択図】
図11E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
推進システムであって、
ファンブレードハウジングと、
前記ファンブレードハウジング内の複数のファンブレードと、
前記ファンブレードハウジングの外側に固定された1列又は複数列の永久磁石と、
1つ又は複数のファンブレードベアリングと、
前記1つ又は複数のファンブレードベアリングに固定され、前記1列又は複数列の永久磁石に対応する1つ又は複数の磁場生成器であって、前記永久磁石を同一方向に前進させるように構成され、これにより、前記永久磁石が取り付けられている前記ファンブレードハウジング及びその内部の前記ファンブレードを、回転駆動する、1つ又は複数の磁場生成器と、を含む、推進システム。
【請求項2】
前記1つ又は複数の磁場生成器のそれぞれは、
上面と、下面と、前記上面と前記下面との間に挟まれた内壁及び外壁と、を含むベースであって、前記上面が、前記内壁の上エッジによって画定された第1開口を含み、前記下面が、前記内壁の下エッジによって画定された第2開口を含む、ベースと、
前記内壁の一部を覆うように配置された一組の磁石であって、前記磁石のそれぞれは、前記磁石のN極とS極とを結ぶ磁石軸線が前記上面及び前記下面に対して角度を形成するように配置されている、一組の磁石と、を含む、請求項1に記載の推進システム。
【請求項3】
前記一組の磁石は、前記ベースの前記内壁内における一組の凹所位置の内部に配置されている、請求項2に記載の推進システム。
【請求項4】
前記一組の磁石は、前記ベースの前記内壁の表面上に取り付けられている、請求項2に記載の推進システム。
【請求項5】
前記内壁内に配置されたまたは前記内壁まわりに配置された前記一組の磁石のそれぞれは、台形、円形、正方形、及び/又は三角形の幾何形状を有している、請求項2に記載の推進システム。
【請求項6】
前記一組の磁石は、2つ以上の磁石を含む、請求項2に記載の推進システム。
【請求項7】
ファンブレード用エンジンカバーをさらに含み、前記ファンブレードハウジングは、前記ファンブレード用エンジンカバー内に設置され、推進ユニットを形成し、前記ファンブレード用エンジンカバーは、航空機に取り付けられるように構成されている、請求項1に記載の推進システム。
【請求項8】
一体的に動作するように構成された複数の推進ユニットをさらに含む、請求項7に記載の推進システム。
【請求項9】
前記磁場生成器に結合されたコントローラであって、所望の推力及び効率を達成するために、前記磁場生成器と前記永久磁石との間の相互作用を制御するように構成されたコントローラをさらに含む、請求項1に記載の推進システム。
【請求項10】
前記推進ユニットのそれぞれの前記磁場生成器に独立して結合されたコントローラであって、所望の推力及び効率を達成するために、前記推進ユニットのそれぞれの前記磁場生成器と前記永久磁石との間の相互作用を制御するように構成されたコントローラをさらに含む、請求項1に記載の推進システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において説明する実施形態は、磁場を生成することに関し、より具体的には、複数の極性を有した磁場を生成することに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、永久磁石、電磁石、及び超伝導磁石などの、すべての種類の磁石は、互いに反対側の端部に、逆極性の2つの磁極を生成する。これは、
図1に示す棒磁石100を参照して説明することができる。
図1から理解されるように、棒磁石100は、S極102及びN極104という2つの磁極を有している。
図1は、また、棒磁石100によって生成された磁場106であって、N極104からS極102へと向かう向きを有した磁場106を示している。
【0003】
これらの磁極は、反発したり引き付けたりする能力を有している。例えば、第2の棒磁石のN極を、例えば磁石100のS極102に対して近づけようとした場合には、磁石100は、第2の磁石を引き付けることとなる。逆に、第2の磁石のS極を、磁石100のS極102に対して近づけようとした場合には、磁石100は、第2の磁石に対して反発することとなる。磁石100のN極104は、その逆の態様で動作することとなる、すなわち、第2の磁石の、N極に対して反発し、S極を引き付けることとなる。
【0004】
上述した磁石の特性は、デバイスを作製するために使用し得るけれども、それらの用途を制限することもでき、あるいは、少なくともそれらの効率を制限することもできる。これは、電気モータの固定子/回転子の組合せによって説明することができる。
【0005】
図2は、固定子リングを形成する複数の磁石202と、固定子リングの中央に配置された回転子磁石204と、を図示したブロック図を提示している。
図2から理解されるように、磁石202(すなわち、202a~202d)のそれぞれは、図示のように配置されたS磁極及びN磁極を有しており、回転子磁石204は、図示のように配置された磁極を有している。動作時には、固定子磁石202a及び202dのS極は、回転子磁石204のS極に対して反発することとなり、他方、固定子磁石202b及び202cのN極は、回転子磁石204のS極を引き付けることとなる。同時に、固定子磁石202b及び202cのN極は、回転子磁石204のN極に対して反発することとなり、他方、固定子磁石202d及び202aのS極は、回転子磁石204のN極を引き付けることとなる。累積効果により、回転子磁石204は、シャフト205のまわりを時計回りに回転することとなる。残念ながら、
図2から理解されるように、固定子磁石202のそれぞれは、固定子リングの外側のところに、使用されない第2の磁極を生成している。その結果、固定子の利用可能な磁場に対して、全体的な利用度合いは、せいぜい50%である。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、推進システムは、ファンブレードハウジングと、ファンブレードハウジング内の複数のファンブレードと、ファンブレードハウジングの外側に固定された1列又は複数列の永久磁石と、1つ又は複数のファンブレードベアリングと、1つ又は複数のファンブレードベアリングに固定され、1列又は複数列の永久磁石に対応する1つ又は複数の磁場生成器であって、永久磁石を同一方向に前進させるように構成され、これにより、永久磁石が取り付けられているファンブレードハウジング及びその内部のファンブレードを、回転駆動する、1つ又は複数の磁場生成器と、を含む。
【0007】
これらの特徴点や態様や実施形態は、並びに、他の特徴点や態様や及び実施形態は、以下の「詳細な説明」の項において説明する。
【0008】
特徴点、態様、及び実施形態は、添付図面と併せて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、2つの磁極を有した従来的な棒磁石を示している。
【0010】
【
図2】
図2は、固定子リングを形成する複数の磁石と、固定子リングの中央に配置された回転子磁石と、を図示したブロック図を提示している。
【0011】
【
図3】
図3は、本明細書において説明するいくつかの実施形態による、所望の磁場パターンを生成するための提案する磁気デバイスを形成するために使用され得る例示的なデバイスを示している。
【0012】
【
図4A】
図4Aは、
図3において説明したベースの磁石配置位置内に設置された一組の磁石を有した磁気デバイスと、
図1に示す磁場パターンが与えられた場合に生成されることが予想される磁場パターンと、を示している。
【0013】
【
図4B】
図4Bは、デバイスの磁石構成によって実際に生成される例示的な磁場パターンと、
図4Aに示す予想での磁場パターンと、の対比を示している。
【0014】
【
図5】
図5は、本明細書において説明するいくつかの実施形態による、3つの一次磁場を含む提案する磁気デバイスにおける近似された磁場パターンを示している。
【0015】
【
図6】
図6は、本明細書において説明するいくつかの実施形態による、
図5に示す複数の磁場パターンによって形成された磁場によって、ロッド又は他の安定化装置に取り付けられた磁石を含むデバイスを加速させるための、例示的なプロセスを示している。
【0016】
【
図7A】
図7Aは、本明細書において説明するいくつかの実施形態による、シャフトまわりに回転子ホイールを駆動するための固定子として構成された磁場生成デバイスからなる円形アレイと、一組のロッドを介して回転子ホイールに取り付けられた複数の磁石からなる円形アレイと、を含む磁気回転子-固定子デバイスを示している。
【0017】
【
図7B】
図7Bは、本明細書において説明するいくつかの実施形態による、回転子として機能する中央シャフトに取り付けられた複数の磁場生成デバイスからなる円形アレイと、対応する一組のロッドを介して回転子-固定子デバイスの外側に取り付けられ、固定子として機能する一組の磁石と、を含む代替可能な磁気回転子-固定子デバイスを示している。
【0018】
【
図7C】
図7Cは、
図7Bにおいて説明した磁気回転子-固定子デバイスに基づく磁気回転子-固定子デバイスの別の例を示している。
【0019】
【
図8A】
図8Aは、磁場パターン500aの第1N極へと入る前における、電磁デバイスの初期位置を示している。
【0020】
【
図8B】
図8Bは、磁場パターン500aの第1N極によって引き付けられた後に、電磁デバイスが第1N極磁場へと完全に入ったことを示している。
【0021】
【
図8C】
図8Cは、電磁デバイスが、S極の吸引力を受けて、第1N極磁場から、磁場パターン500aの中央のS極磁場内へと、駆動されたことを示している。
【0022】
【
図8D】
図8Dは、電磁デバイスが、磁場510aへと完全に入ったこと、及び、デバイスの極性が同じままであること、を示している。
【0023】
【
図8E】
図8Eは、電磁デバイスが、磁場パターン500aの第2N極磁場508a内に入ったこと、及び、デバイス800の極性が同じままであること、を示している。
【0024】
【
図8F】
図8Fは、電磁デバイスが、S-NからN-Sへと、再び極性をスイッチングして戻したことを示している。
【0025】
【
図8G】
図8Gは、電磁デバイスが、極性をスイッチングした後に、第2磁場パターン500bの第1N極磁場内へと駆動されたことを示している。
【0026】
【
図8H】
図8Hは、電磁デバイスを、磁場パターン500bの第2S極磁場を横切って駆動することを容易とするよう、N-SからS-Nへと極性を再びスイッチングしたことを示している。
【0027】
【
図9A】
図9Aは、放物線形状の内壁を有したベースと、内壁内の対応する一組の磁石配置位置の内部に設置された一組の磁石と、を含む提案する磁場生成デバイスの例示的な実施形態を示している。
【0028】
【
図9B】
図9Bは、本明細書において説明するいくつかの実施形態による、表面実装磁石を使用した代替可能な磁場生成デバイスを示している。
【0029】
【
図10A】
図10Aは、本明細書において説明するいくつかの実施形態による、2つの同様のサイズの開口と、3つの磁極を有した関連する磁場パターンと、を含む提案する磁気デバイスの別の例に関する断面図を示している。
【0030】
【
図10B】
図10Bは、本明細書において説明するいくつかの実施形態による、2つの開口に2つの遷移境界を有した磁気デバイスに関する斜視図を示している。
【0031】
【
図10C】
図10Cは、本明細書において説明するいくつかの実施形態による、2つの永久磁石1及び2が、2つの遷移境界に懸架されているすなわち位置1及び位置2に懸架されている磁気デバイス1000を使用した磁気懸架を示している。
【0032】
【
図11A-F】
図11A~
図11Fは、本明細書において説明する磁気デバイスを使用して構築されたファン又は推進システムを示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書において説明するいくつかの実施形態は、放物線形状を形成するように配置された複数の磁石を含む装置又はデバイスに関する。磁石は、永久磁石、電磁石、超伝導磁石、又はこれらの組合せ、とすることができる。本明細書において説明するように複数の磁石が放物線形状で配置されている時には、それら磁石は、装置から外向きにかつ互いに逆向きに延びる同一極性の磁力がなす2つの一次磁場と、装置の実質的に中心に位置した反対極性の第3磁場と、を生成することができる。
【0034】
図3は、本明細書において説明するいくつかの実施形態による、所望の磁場パターンを生成するための提案する磁気デバイスを形成するために使用され得る例示的なデバイス300を示している。
図3から理解されるように、デバイス300は、少なくとも2つの開口を含むリング形状を有したベース302を含む。より具体的には、ベース302は、上面307と、下面305と、これら面305及び307どうしの間に挟まれた内壁311及び外壁313と、を有している。上面307は、この場合には円形形状を有した開口308をさらに含み、他方、下面305は、図示の例では同様に円形形状を有した開口310を含む。注目すべきは、上面307内の開口308が、下面305内の開口310よりも大きな直径を有していることである。その結果、内壁311は、放物線形状又は角度付き形状を有することができる。
図3の実施形態におけるベース302は、リング形状/円形形状を有するように示されているけれども、デバイス300の他の実施形態は、例えば、正方形、五角形、六角形、又は他の多角形、の開口を含むがこれらに限定されない非円形の開口を有した他の閉じた形状を有したベースを有することができる。よって、本開示の実施形態は、
図3に示すリング形状のベースを使用することには限定されない。
【0035】
ベース302は、それぞれが磁石を収容し得る複数の磁石配置位置304を、さらに含む。
図3から理解されるように、複数の磁石配置位置304は、内壁311と外壁313との間に位置しており、リング形状のベース302まわりにおいて実質的に均等な間隔で配置されている。例えば、一対をなす隣接する磁石配置位置どうしの間の距離は、「d」と表すことができる。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、複数の磁石配置位置304は、不均等な間隔でリング形状のベース302まわりに配置することができる。各磁石配置位置304が、内壁311上に磁石を受領するための開口を含むことに、留意されたい。したがって、内壁311が放物線形状又は角度付き形状を有する場合には、各磁石配置位置304の開口も、また、放物線形状又は角度付き形状を有することができる。そのような実施形態では、内壁311が放物線形状又は角度付き形状であることのために、各磁石配置位置304は、下側部分314よりも薄い上側部分312を有することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、各磁石配置位置304のうちの、ベース302の中実部分の内部に埋め込まれている背面壁は、ベース302の外壁313に対して角度付きのものとして設定することができる。これらの実施形態では、磁石配置位置304内に設置される磁石の表面も、また、放物線形状又は角度付き形状を有することができる。いくつかの実施形態では、内壁内の凹所として構成された磁石配置位置を使用することに代えて、提案する磁気デバイスのベースは、内壁まわりにおける一組の磁石配置位置を使用する。これらの磁石配置位置は、
図9A及び
図9Bに関連して詳細に後述するように、表面実装磁石を収容するために使用することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、ベース302は、また、ベース302の中実リング構造内に形成されたギャップ306であって、ベース302の中心をベース302の外部の空間に接続するギャップ306を、含む。このようなギャップ306の機能及び使用については、詳細に後述する。明示的には図示していないけれども、各磁石配置位置304は、磁石を収容することができる。磁石が磁石配置位置304内へと適切に設置された時には、提案する磁気デバイス300が形成される。
【0038】
図4Aは、
図3において説明したベース302の磁石配置位置304内に設置された一組の磁石402(すなわち、402a及び402b)を有した磁気デバイス400と、
図1に示す磁場パターンが与えられた場合に生成されることが予想される磁場パターンと、を示している。注目すべきは、例示的なデバイス400では、各磁石402のN極が、ベース302の中心を向いているとともに、ベース302の上面寄りに配置されていることであり、他方、各磁石402のS極が、ベース302の中心から離隔する向きを向いているとともに、ベース302の下面寄りに配置されていることである。したがって、各磁石402は、磁石のN極とS極とを結ぶ磁石軸線(磁石402を通過する点線の直線で図示されている)が上面及び下面に対して角度を形成するようにして、配置されている。様々な実施形態では、N極とS極とを結ぶ磁石軸線と、上面及び下面と、の間に形成される角度は、0度~90度である。様々な実施形態では、一組の磁石は、2つの、又は3つの、又はそれより多数の、個別の永久磁石を含むことができる。いくつかの実施形態では、一組の磁石は、内壁まわりにおいて、連続した磁気構造を形成する。
【0039】
図4Aに示すデバイス構成では、磁石が、図示のような磁極を有した磁場404を生成することが予想される、すなわち、デバイス400の中央に形成された組合せ型のN極と、デバイス400の反対側の端部に形成された2つのS極と、を有した磁場404を生成することが予想される。しかしながら、
図4Aに示す磁場パターンは、説明する構成に基づいてデバイス400によって実際に生成されるものではない。
【0040】
図4Bは、デバイス400の磁石構成によって実際に生成される例示的な磁場パターンを示している。より具体的には、
図4Bは、デバイス400の断面図を表しており、ここで、デバイス400の右側の鉛直方向エッジが、
図3に示すベース302の上面307に対応しており、他方、デバイス400の左側の鉛直方向エッジが、
図3に示すベース302の下面305に対応している。
図4Bから理解されるように、3つの一次磁場406、408、410が生成される。より具体的には、N磁極の代わりにS磁極という極性を有した第1の一次磁場410が、ベース302の実質的に中央に形成される。図示の例では、磁場410は、上面の上部開口と、下面の下部開口と、ベース302の内壁と、によって囲まれた開放空間内に実質的に位置している。
【0041】
また、
図4Bに示すように、N磁極という極性を有した第2の一次磁場408が、ベース302の上側開口から、すなわち大きい方の開口から外向きに形成され、そして、同様にN磁極という極性を有した第3の一次磁場406が、ベース302の下側開口から、すなわち小さい方の開口から外向きに、一次磁場410とは反対側で、形成されている。
【0042】
いくつかの実施形態では、第1の一次磁場410と第2の一次磁場408との間の境界は、ベース302の大きい方の開口(右側において濃い鉛直方向ラインとして図示されている)の近傍にあり、第1の一次磁場410と第3の一次磁場406との間の境界は、リング形状のベース302の小さい方の開口(左側において濃い鉛直方向ラインとして図示されている)の近傍にある。また、開口308が、開口310よりもサイズが大きいために(
図4Bにおける2本の濃いライン416、418によっても示されている)、第2の磁場408に関する磁気的影響領域が、第3の磁場406に関する磁気的影響領域よりも、大幅に大きくなり得ることに、留意されたい。いくつかの実施形態では、ベース302の開口308及び310は、第2の磁場408及び第3の磁場406のそれぞれに関する磁気的影響領域を制御するために、所望のサイズ及び幾何形状に構成することができる。
【0043】
例示的なデバイス400は、2つのN磁極の間に1つのS磁極を形成するように構成されているけれども、デバイス400の代替可能な設計では、
図4Bに示す構成の逆で磁石を設置することができる。そのような設計では、N磁極からなる第1の一次磁場410’が、ベース302の実質的に中央に形成されるようにして、他方、S磁極からなる、第2の一次磁場408’及び第3の一次磁場406’が、第1の一次磁場410の両側に形成されるようにして、3つの一次磁場406’、408’、及び410’が生成される。
【0044】
また、
図4Bに示すように、3つの一次磁場406~410に加えて、いくつかの追加的な磁場効果412及び414が存在し得る。しかしながら、本明細書における説明の目的のために、デバイス400によって生成される磁場は、上述した3つの一次磁場によって近似することができる。
図5は、本明細書において説明するいくつかの実施形態による、3つの一次磁場406~410を含む磁気デバイス400における近似された磁場パターン500を示している。
図5に示すように、デバイス400によって生成される磁場パターン500は、両側に位置した2つのN極と、それら2つのN極の間に位置した1つのS極と、を含む。開示するデバイス400の磁場特性は、様々な利点を達成するために様々な用途で使用することができ、例えば、電気モータで使用する時には、電気モータの効率を向上させることができる。
【0045】
図3に関連して上述したように、デバイス300又は400のベース302は、また、ベース302内にギャップ306を含むこともできる。そのようなギャップは、例示的な用途において、別の磁石を加速するために使用することができる。
図6は、本明細書において説明するいくつかの実施形態による、
図5に示す複数の磁場パターン500によって形成された磁場606によって、ロッド604又は他の安定化装置に取り付けられた磁石602を含むデバイス600を加速させるための、例示的なプロセスを示している。
【0046】
より具体的には、磁場606は、磁場パターン500a及び500bからなるアレイを含み、それぞれの磁場パターンは、ベース302と一組の磁石402とを含む
図4A及び
図4Bのデバイス400の実例によって生成される。磁場606を生成する、複数のデバイス400からなるアレイを、直列に配置し得ること、あるいは、互いに連結し得ること、に留意されたい。2つの磁場パターン500a及び500bのみが図示されているけれども、デバイス400の2つの実例よりもはるかに多くのものを、一緒に配置することができ、これにより、磁石600をより長い距離にわたって加速させるよう、対応したより長い磁場パターン500のアレイを生成する、デバイス400からなるより長いアレイを、形成することができる。例えば、デバイス400からなるこのより長いアレイは、磁場パターン500の7個の実例を含む
図6の挿入図に示すように、円形パターンで構成することができる。この例では、磁石602は、円形経路608まわりにおける円形移動でもって加速/推進され得る。別の例では、複数の磁場パターン500を直線的な態様で構成することができ、これにより、磁石602を直線的な経路(図示せず)で加速/推進することができる。これらすべての例では、磁石602が磁場パターン500のアレイを通過する時には、比較的細いロッド604は、デバイス400の各実例における各ベース302の各ギャップ306を通過することができ、他方、より広い磁石602は、ベース302の中央における各ベース302の開口を通過する。
【0047】
次に、磁石602を磁場606によってどのように加速するかについて、より詳細に考察する。
図6から理解されるように、磁石602が、最初に磁場パターン500aの左側に配置された時には、磁石602のS極が、磁場パターン500aの磁場506aのN極に引き付けられることとなる。この相互作用は、デバイス600を、
図6において右向きに加速させることができる。磁石602が磁場506aへと入った時には、磁場506aは、磁石602のN極に対して反発し始め、これが、磁石602を、右向きにさらに加速させる。磁石602が、最初に、磁石602のS極に対しての、磁場パターン500aのS極すなわち磁場510aによる反発効果に打ち勝ち得るほどに充分に加速された場合には、磁場510aは、磁石602のN極を引き付け続けつつ、磁石602のS極に対して反発し始めることとなる。他方、磁場パターン500aの第2のN極すなわち磁場508aは、磁石602のS極を引き付け始める。磁石602が磁場508aへと入った後には、磁場508aは、磁石602のN極に対して反発し始め、これにより、磁石602は、右向きに加速され続け、磁場パターン500aから導出される。
【0048】
よって、磁場パターン500a内の3つの一次磁場と、磁石602の各磁極と、の間の相互作用により、デバイス600を、
図6において左から右へと駆動することができる。上述したように、ベース302内のギャップ306は、ロッド604を収容するように構成することができ、これにより、磁場パターン500aを生成するデバイス400の第1実例を通して、デバイス600が障害なく移動することを可能とする。次に、デバイス400の第1実例に直列に配置されたあるいはそのような第1実例に連結されたデバイス400の第2実例であって、磁場パターン500bによって表されているデバイス400の第2実例が、プロセスを継続する。デバイス400の複数の実例は、後述するように、円形アレイ又は直線状アレイを含むがこれらに限定されない様々な構成で、連結することができる。
【0049】
図7Aは、本明細書において説明するいくつかの実施形態による、シャフト702まわりに回転子ホイール704を駆動するための固定子として構成された磁場生成デバイス410a~410lからなる円形アレイと、一組のロッド706a~706lを介して回転子ホイール704に取り付けられた磁石700a~700lからなる円形アレイと、を含む磁気回転子-固定子デバイス710を示している。磁気回転子-固定子デバイス710は、
図6に示す例示的なシステムよりも多くの磁場生成デバイス400の実例及び多くの磁石700を含むけれども、駆動原理は、
図6に関連して上述したプロセスと本質的に同じである。回転子ホイール704が回転する際には、細いロッド706のそれぞれは、各デバイス410の各ベース302における各ギャップ306(図示せず)を通過することができ、他方、各磁石700は、各ベース302の中央における開口を通過する。
【0050】
図7Bは、本明細書において説明するいくつかの実施形態による、回転子として機能する中央シャフト712に取り付けられた磁場生成デバイス420a~420hからなる円形アレイと、対応する一組のロッド716a~716hを介して回転子-固定子デバイス720の外側部分に取り付けられ、固定子として機能する一組の磁石714a~714hと、を含む代替可能な磁気回転子-固定子デバイス720を示している。
【0051】
図7Cは、
図7Bにおいて説明した磁気回転子-固定子デバイス720に基づく磁気回転子-固定子デバイス730の別の例を示している。
図7Cから理解されるように、磁気回転子-固定子デバイス730は、一組をなす複数の互いに同一のサブ部分730a~730eを含み、サブ部分730のそれぞれは、
図7Bにおいて説明した磁気回転子-固定子デバイス720と同様の態様で構成されている。
【0052】
いくつかの実施形態では、
図6における磁石602が電磁石である場合には、磁石602の極性を、有利には、スイッチングすることができあるいは電磁的にオフとすることができ、これにより、上記の動作を補助することができる。これは、
図8A~
図8Hに関連して図示されており、
図8A~
図8Hを参照して、デバイス800の極性をスイッチングしながら、デバイス400の3つの実例における磁場パターン500a~500cからなるアレイによって、電磁デバイス800を左から右へと駆動するためのプロセスについて、説明する。
【0053】
図8Aは、磁場パターン500aの第1N極へと入る前における、電磁デバイス800の初期位置を示している。
図8Aから理解されるように、デバイス800は、上述したように、磁場パターン500aの影響下において左から右へと駆動されるよう、図示のようなN-Sの磁気極性の向きを有することができる。
図8Bは、磁場パターン500aの第1N極によって引き付けられた後に、電磁デバイス800がN極磁場506aへと完全に入ったことを示している。より具体的には、
図8Bでは、デバイス800の極性が、初期的なN-Sから、S-Nへと、スイッチングされた直後であり、これにより、デバイス800は、磁場パターン500aの中央のS極内へとさらにそのS極を横切って、容易に駆動される。この第1のスイッチング操作は、磁場パターン500aのN極が、磁場パターン500aのS極からの反発力に打ち勝つのに充分な推進力を提供しない時には、有用なものであり得る。
【0054】
図8Cは、電磁デバイス800が、S極の吸引力を受けて、磁場506aから、磁場パターン500aの中央のS極磁場510a内へと、駆動されたことを示しており、他方、
図8Dは、電磁デバイス800が、磁場510aへと完全に入ったこと、及び、デバイス800の極性が同じままであること、を示している。
【0055】
図8Eは、電磁デバイス800が、磁場パターン500aの第2N極磁場508a内に入ったこと、及び、デバイス800の極性が同じままであること、を示している。デバイス800が、S極磁場510aを出て、N極磁場508aへと入った際には、次なる磁場パターン500bのN極磁場506bがデバイス800を押し戻し始めていないポイントが存在することに、留意されたい。一実施形態では、これは、デバイス800のN極が、磁場パターン500aのN極磁場506aと相互作用したままとされているポイントである。これは、デバイス800の極性を、S-NからN-Sへとスイッチングするための、あるいは、すべての電磁的なものを一斉にオフとして惰性で使用可能とするための、所望のポイントとすることができる。
【0056】
図8Fは、電磁デバイス800が、S-NからN-Sへと、再び極性をスイッチングして戻したことを示しており、その結果、磁場パターン500aのN極磁場508aは、デバイス800のN極に対して反発することとなり、磁場パターン500bのN極磁場506bは、デバイス800のS極を引き付けることとなる。理解されるように、この状態は、
図8Gに図示されているように、デバイス800を磁場パターン500bの磁場506b内へと駆動する
図8Aに図示した初期状態と同様であり、上記のプロセスを繰り返すことができる。
図8Hから理解されるように、デバイス800の極性は、デバイス800を、磁場パターン500bの第2S極磁場510bを横切って駆動することを容易にするよう、N-SからS-Nへと再びスイッチングされている。
【0057】
図6に関連して説明した非スイッチングプロセスと比較して、上述した電磁的オフと組み合わせたスイッチング操作は、動作をはるかに効率的なものとすることができる。様々な実施形態では、デバイス400の隣接した実例どうしの間の間隔と、スイッチングのタイミングとは、動作において、及び、動作効率の向上度合いにおいて、重要な役割を果たす。
【0058】
上述したプロセスに関する代替可能な実施形態では、電磁石800の極性をスイッチングすることに代えて、プロセスのいくつかのポイントにおいて、磁気を一時的にオフとしてもよく、これにより、電磁デバイス800が磁極から磁極へと移動することを容易とすることができる。例えば、
図8Bでは、スイッチングに代えて、電磁デバイス800の磁気を一時的にオフとしてもよく、これにより、電磁デバイス800をS極磁場510a内へと駆動するための推進を可能としてもよい。電磁デバイスがS極へと完全に入った後に、磁気をオンに戻すことができ、これにより、電磁デバイス800のS極とN極磁場508aとの間の吸引力を活性化するとともに、電磁デバイス800のS極とS極磁場510aとの間の反発力を活性化して、電磁デバイス800を、第2N極磁場508a内へと効率的に駆動することができる。いくつかの他の実施形態では、極性のスイッチングと、磁気のオンオフと、を組み合わせて、同じ操作とすることができる。
【0059】
また、特定の実施形態では、磁石-ロッドデバイスを、実際に固定位置とし得ること、及び、磁場生成デバイスを、磁場どうしの間の相互作用という同じ原理の下で磁石-ロッドデバイスを右から左へと駆動し得るように構成し得ることに、留意すべきである。
【0060】
図9Aは、放物線形状又は角度付きの内壁を有したベースと、内壁内の対応する一組の磁石配置位置の内部に設置された一組の磁石と、を含むデバイス300又はデバイス400の例示的な実施形態であるデバイス900Aを示している。
【0061】
図9Bは、本明細書において説明するいくつかの実施形態による、表面実装磁石を使用した代替可能な磁場生成デバイス900Bを示している。
図9Bから理解されるように、デバイス900Bは、デバイス900Bのベースと実質的に同一のベースを含む。しかしながら、デバイス900Aの場合のように凹所内に設置される磁石を使用することに代えて、デバイス900Bは、デバイス900Bの内壁の表面に直接的に取り付けられた一組の表面実装磁石902を使用している。注目すべきは、これらの磁石のそれぞれが、内壁の放物線形状を呈することである。いくつかの実施形態では、磁石902のそれぞれは、内壁を最大に被覆することを容易にするよう、台形形状を有している。内壁の被覆率を増大させることにより、より強い強度を有した所望の3つの磁場パターンを生成することができる。
【0062】
図4Bに戻って参照すると、
図4Bに示すデバイス400の別の重要な態様又は特性は、N極406及び408と、S極410と、の界面に関する。2本の濃いライン416及び418が示す2つの開口にほぼ位置しているこれら2つの界面は、磁場が極性を変える位置であることに、留意されたい。デバイス400がこれら開口を有していることの結果として、これらの界面に対しては、すなわち、N極とS極との間の遷移境界に対しては、物体がアクセス可能となる。対照的に、
図1の棒磁石100などの永久磁石の場合には、磁石自体の内部に位置しているため、これらの位置に対しては、アクセスすることができない。
【0063】
デバイス400の構成は、N極406とS極410との間に、又はN極408とS極410との間に、開口416及び418よりも小さい別の磁石が挿入された場合には、その磁石は、磁極どうしの界面の正にその位置で「位置合わせ」されるとともに、開口416又は418のところで浮游する又は「懸架される」ようなものとなっている。注目すべきは、この特性が、デバイス400が鉛直方向に配置されているかあるいは水平方向に配置されているかに関係がなく、デバイス400の向きに影響されないことである。浮游している磁石に対して圧力を印加し、その後、その圧力を解除した場合には、磁石は実質的に同じ位置へと戻るように傾斜することとなる。よって、このような磁石とデバイス400との組合せを使用することにより、力測定変換器を作製することができる。その上、この組合せデバイスを使用することにより、また、とりわけ、他のタイプの、変換器、バルブ、スピーカ、マイクロフォン、ポンプ、を作製することもできる。また、この組合せデバイスの極性を急に予約した時には、位置合わせされた磁石が、懸架されている空間内で反転されることとなることに、留意されたい。この追加的な特性を利用することにより、この特性を利用し得る、モータ、ファン、フローデバイス、及び他のデバイス、を作製することができる。
【0064】
図10Aは、本明細書において説明するいくつかの実施形態による、2つの開口と、3つの磁極を有した関連する磁場パターンと、を含む提案する磁気デバイス1000の別の例に関する断面図を示している。この図では、2つの遷移境界は、それぞれ「位置1」及び「位置2」として示されている。
図10Bは、本明細書において説明するいくつかの実施形態による、2つの開口に2つの遷移境界を有した磁気デバイス1000に関する斜視図を示している。
【0065】
図10Cは、本明細書において説明するいくつかの実施形態による、2つの永久磁石1及び2が、完全な忠実さで2つの遷移境界に懸架されているすなわち位置1及び位置2に懸架されている磁気デバイス1000を使用した磁気懸架を示している。注目すべきは、
図10Bの磁気デバイス1000は、ギャップを示しているけれども、磁気デバイス1000の他の実施形態は、デバイスが上述したように永久磁石を懸架するために使用される時には、ギャップを有する必要がないことである。
【0066】
上述した例示的なデバイス及びシステムに加えて、デバイス400などの提案する磁気デバイスの磁場特性を利用する多数の他のデバイス及び機械を設計することができる。例えば、運動エネルギを貯蔵するために、効率的なフライホイールを設計することができる、若しくは、デバイス400を、また、電磁部品を冷却するためのファンブレードとして使用することもできる。
【0067】
例えば、本明細書において説明する特定の実施形態は、動力源として電流を使用するような、例えば、航空機、ドローン、及び他の飛行デバイス、に対して推進力を提供する。従来的には、プロペラ又はファンブレードを駆動する電気モータは、プロペラ又はファンブレードの後方又は前方のいずれかの位置に配置されている。そのため、電動モータ自体が、プロペラ又はファンブレード内への空気流を、実際に阻害してしまう。加えて、従来的な設計では、推力重量比、及び、冗長性の欠如が、問題点となっている。
【0068】
しかしながら、後述するように電気モータをファンブレードと一体化させることにより、空気流を阻害することなく、電気モータを冗長化して設計し得るとともに、ファンブレードを駆動する中央シャフトやギアやベルトが不要であることのために、さらに軽量化されて、推力重量比が向上する。さらに、そのような構成は、複数のモータを、直列に接続することを可能とするとともに、毎分あたりの異なる回転数で動作することを可能とし、これにより、所望の効率及び推力を得ることができる。
【0069】
上述したように、本明細書において説明する実施形態は、動力源として電流を使用する航空機やドローンや又は他の飛行デバイスに対して、推進力を提供することができる。その結果、これらの実施形態は、とりわけ、冗長性、重量、効率、推力、製造コスト、メンテナンス、及びサイズ、を含めた、電気駆動型の航空機やドローンや又は他の飛行デバイスに関連したいくつかの問題点に対して、対処することができる。電気モータとファンブレードを単一の構成部材へと一体化することにより、推力重量比、メンテナンスの容易さ、冗長性、及び製造コスト、を含めて、従来的な電動航空機モータの設計よりも、効率性が得られる。
【0070】
発電機、バッテリ、ソーラーパネル、燃料電池、又はこれら電流源の任意の組合せ、によって生成された電流を使用して、本明細書において説明する電動航空機モータは、このエネルギを、航空機やドローンや又は他の飛行デバイスによって使用される機械的な推力へと変換し、これにより、飛行を達成する。同様の実施形態は、潜水可能な又は潜水不可能な船舶に対して、推進力を提供することができる。
【0071】
電気モータをファンブレードに一体化することにより、空気流を阻害することなく、電気モータを冗長化して設計し得るとともに、ファンブレードを駆動する中央シャフトやギアやベルトが不要であり、重量を低減することができる。
【0072】
本明細書において説明する特定の実施形態は、以下の構成要素を含む、すなわち、1.ファンブレードハウジング1101と、2.ファンブレード1102と、3.ファンブレードハウジング用ベアリング1103と、4.ファンブレードハウジング用エンジンカバー1104と、5.永久磁石用取付部材1105と、6.電磁石1106と、7.直列接続されたファンブレードハウジング1107と、8.永久磁石1108と、9.電磁石用電流コントローラ1109と、を含む。
【0073】
図11A~
図11Fに示すように、このようなファン又は推進システムは、以下の態様で構築することができる。すなわち、ファンブレード1102を、ファンブレードハウジング1101内に挿入し、所定位置に固定する。所望の推力を得るために、ブレードのサイズ及び個数を変更し得ることに、留意すべきである。
図11A及び
図11Bを参照されたい。ファンブレードハウジング1101は、
図11C及び
図11Dに示すように、ファンブレードハウジング用ベアリング1103内へと挿入され、これにより、ファンブレード1102は、ベアリング内において自由に回転することができる。
【0074】
次に、永久磁石用取付部材1105が、ファンブレードハウジング1101に取り付けられ、永久磁石1108が、永久磁石用取付部材1105に取り付けられ、さらに、電磁石1106が、ファンブレードハウジング用ベアリング1103に取り付けられる。上述したように、電磁石1106は、永久磁石1108が電磁石1106を通過することを可能とする開口を含むことができる。完成したファンブレードハウジング1101は、その後、ファンブレードハウジング用エンジンカバー1104内へと挿入され、その後、全体を、車両に対して取り付けることができる。
【0075】
また、電磁石用電流コントローラ1109が、電磁石1106に対してのインターフェイスを形成し得ることにも、留意すべきである。
【0076】
上述したように構成された後においては、永久磁石1108は、上述したようにして電磁石用電流コントローラ1109によって制御される電磁石1106と相互作用し、これにより、ファンブレードハウジング1101を回転駆動する。言い換えれば、電磁石1105は、永久磁石を同じ方向に前進させる磁場を生成し、これにより、これらが取り付けられているハウジング1101を、回転駆動する。ハウジング1101が回転駆動される際には、ファンブレードハウジング1101の内部に位置したファンブレード1102が、空気を吸い込み、背面から押し出すことにより、航空機の推力を生成する。推力又は効率を変更するために、
図11Gに示すように、複数のファンブレードハウジング1101を、一緒に接続することができ、これにより、直列接続されたファンブレードハウジングを形成することができる。ファンブレードハウジング1101のそれぞれは、所望の推力及び効率を達成するために、毎分あたりの異なる回転数でもって独立的に回転することができる。
【0077】
永久磁石用取付部材1105や永久磁石1108や又は電磁石1106の個数を変更することにより、動力が増減することとなる。追加的なファンブレードハウジング用ベアリング1103により、回転するファンブレードハウジング1101に、増大した安定性を追加することができる。異なるサイズ又は異なる個数のファンブレード1102をファンブレードハウジング1101に追加することにより、ファンブレードハウジング1101を通過する空気流が変化することとなる。
図11Gに示すように、複数のファンブレードハウジング1101を一緒に接続することにより、個々のファンブレードハウジング1101が、毎分あたりの異なる回転数でもって独立的に回転させることを可能とし、これにより、所望の推力及び効率を達成することができる。電磁石用電流コントローラ1109を使用して、永久磁石1108と電磁石1106との間の相互作用を変更することができ、これにより、所望の推力及び効率を達成することができる。
【0078】
特定の実施形態について上記において説明したけれども、説明した実施形態が例示に過ぎないことは、理解されよう。したがって、本明細書において説明するシステム及び方法は、説明した実施形態に基づいて限定されるべきではない。むしろ、本明細書において説明するシステム及び方法は、上記の説明及び添付図面と併せて、以下の特許請求の範囲に鑑みてのみ、限定されるべきである。
【国際調査報告】