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特表2022-520227新規な真核細胞形質転換システムシステム及び関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-29
(54)【発明の名称】新規な真核細胞形質転換システムシステム及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/87 20060101AFI20220322BHJP
   C12N 5/07 20100101ALI20220322BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20220322BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20220322BHJP
【FI】
C12N15/87 Z
C12N5/07
C12N15/85 Z
C12N5/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546846
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(85)【翻訳文提出日】2021-09-08
(86)【国際出願番号】 IB2020000170
(87)【国際公開番号】W WO2020165656
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】62/803,639
(32)【優先日】2019-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521353816
【氏名又は名称】エクセルジェネ エス.ア.
(71)【出願人】
【識別番号】521353827
【氏名又は名称】ウーム, フローリアン, エム.
(71)【出願人】
【識別番号】521353838
【氏名又は名称】ウーム,マリア,ジ.
(71)【出願人】
【識別番号】521353849
【氏名又は名称】ロドリゲス,マリア デ ルルド
(71)【出願人】
【識別番号】521353850
【氏名又は名称】キセリャク,ディヴォル
(71)【出願人】
【識別番号】521353861
【氏名又は名称】ビュルキ,セドリック
(71)【出願人】
【識別番号】521353872
【氏名又は名称】ピュージン,シリル
(71)【出願人】
【識別番号】521353883
【氏名又は名称】ラウシン,ギョーム
(71)【出願人】
【識別番号】521353894
【氏名又は名称】ヘイモズ,ジュリー
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100163544
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 緑
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(72)【発明者】
【氏名】ウーム, フローリアン, エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウーム,マリア,ジ.
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス,マリア デ ルルド
(72)【発明者】
【氏名】キセリャク,ディヴォル
(72)【発明者】
【氏名】ビュルキ,セドリック
(72)【発明者】
【氏名】ピュージン,シリル
(72)【発明者】
【氏名】ラウシン,ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】ヘイモズ,ジュリー
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA89X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BB02
4B065BB10
4B065BB12
4B065BB14
4B065BB20
4B065BC03
4B065CA60
(57)【要約】
本発明は堅牢で、合理化され、エラーを低減し、高効率の真核細胞トランスフェクションシステムおよび関連する方法を提供する。本発明の高効率のシステムおよび方法は、細胞をトランスフェクトするために必要とされる工程の数を減少させ、そして特殊な装置の必要性を減少させる(例えば、排除する)。特に、システムおよび関連する方法は、強固なトランスフェクション効率を維持しながらトランスフェクションを合理化する能力を提供し、細胞生存率、細胞数および/またはタンパク質産生ならびに全体的な再現性を増加させる。さらに、真核細胞をトランスフェクトするための本発明の高効率システムおよび方法は、高スループットアプローチおよび/または大規模トランスフェクションの両方にトランスフェクションを利用可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正に荷電したポリマーでプレコンディショニングされた(予め調整された、ともいう)細胞トランスフェクション培地を含む真核細胞への、精製された無傷の外因性核酸のトランスフェクションを、メディエート(媒介ともいう)することができる高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項2】
前記真核細胞が、懸濁培養物または接着増殖培養物中にある、請求項1に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項3】
請求項1に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムであって、
ここで、該細胞トランスフェクション培地は、以下を含む:
5-200mg/L CaCl2(無水);
15-70mg/L MgCl2(無水);
0-0.08mg/L Fe(NO3)39H2O;
20-110mg/L MgSO4(無水);
30-100mg/L Na2HPO4;
30-300mg/L NaH2PO4 H2O;
0.002-0.07mg/L SeNa2O3;
280-500 mg/L KCL;
40-1050mg/L L-アスパラギンH2O;
20-1000mg/L L-アスパラギン酸;
50-1000mg/L L-イソロイシン;
50-1200mg/L L-ロイシン;
50-500mg/L L-メチオニン;
100-1000mg/L L-バリン;
25-1000mg/L L-フェニルアラニン;
25-430mg/L L-チロシン, 2Na, 2H2O;
100-1200mg/L L-リジン 塩酸;
50-1050mg/L L-スレオニン;
100-500mg/L L-ヒスチジン;
50-500mg/L L-セリン;
2-500mg/L L-トリプトファン;
200-5000mg/L L-アルギニン 塩酸;
25-250mg/L L-システイン;
15-150mg/L L-システイン 2塩酸;
0.003-1mg/L D-ビオチン;
0.05-5mg/L ビタミンB12;
0.05-5mg/L リボフラビン;
0.5-20mg/L 塩酸チアミン;
0.1-7mg/L D-カルシウムパントテン酸塩;
0.5-30mg/L 塩酸ピリドキシン;
1-20mg/L 葉酸;
1-150mg/L 塩化コリン;
10-1000mg/L ミオ-イノシトール;
2-100mg/L 塩酸エタノールアミン;
0.025-6mg/L プトレシン 2塩酸;
0.03-1mg/L DL-α-リポ酸;
0.01-2mg/L リノール酸;
500-8000mg/L D-グルコース;
0.001-0.02mg/L CuSO4 5H2O;
0-2mg/L FeSO4 7H2O;
0.4-2mg/L ZnSO4 7H2O;
0.00007-4.5mg/L MnSO4 H2O;
5000-7500mg/L NaCl;
0-1000mg/L L-プロリン;
0-1000mg/L L-グルタミン酸;
0-500mg/L グリシン;
0-1000mg/L ピルビン酸ナトリウム;
0-20mg/L NaOH 1Mにおけるヒポキサンチン;
0-3mg/L NaOH 1Mにおけるチミジン;
0-150mg/L L-アラニン;
0-100mg/L ベータ-アラニン;
0-100mg/L L-オルニチン;
0-1000mg/L L-タウリン;
0.9-1.1mg/L L-α-ホスファチジルコリン(任意);
0.009-0.011mg/L ヒドロコルチゾン(任意);
5300-6600mg/L HEPES(任意);
0-1100mg/L Lutrol(登録商標)またはプルロニック(登録商標)F-68;
0-7mg/L グルコン酸鉄, 2H2O;
0-200mg/L クエン酸鉄アンモニウム;
0.001-0.10mg/L CoCl2 6H2O(任意);
0.001-0.005mg/L (NH4)6Mo7O264H2O(任意);
0.000025-0.0005mg/L NiSO4 6H2O(任意);
0.02-0.4mg/L Na2SiO3 9H2O(任意);
0.000025-0.0005mg/L SnCl2 2H2O(任意);
0.0001-0.0025mg/L NH4VO3(任意);
0.5-30mg/L ニコチンアミド(B3)(任意)
0.1-20mg/L p-アミノ安息香酸(任意);
500-650mg/L L-グルタミン(任意);
2000-2200mg/L NaHCO3 (任意);
0-110mg/L クエン酸第二鉄;
0-20000mg/L 植物加水分解物;
0-20000mg/L 動物加水分解物;
0-10%mg/L血清、
またはこれらの組み合わせ。
ここで、上記記述化合物の参照リスト表は以下である;
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【請求項4】
前記正電荷ポリマーが、ポリエチレンイミンである請求項1に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項5】
前記ポリエチレンイミンが、直鎖、分枝鎖、または超分枝鎖である、請求項4に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項6】
前記ポリエチレンイミンが、直鎖である請求項5に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項7】
前記ポリエチレンイミンが、少なくとも10 KDaの重量である、請求項6に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項8】
前記ポリエチレンイミンが、25 KDaの重量である、請求項7に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項9】
前記ポリエチレンイミンが、10 KDaの重量である、請求項7に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項10】
前記真核細胞が、哺乳動物細胞、魚細胞、昆虫細胞、鳥類細胞、後生動物細胞、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項11】
前記真核細胞が、哺乳動物細胞である、請求項10に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項12】
前記哺乳動物細胞が、哺乳動物から単離された始原細胞からなる群から選択されるか、または不死化細胞株として確立された細胞である、請求項11に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項13】
前記哺乳動物細胞が、CHO細胞である、請求項12に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項14】
前記CHO細胞が、CHO K1由来細胞、CHO S由来細胞、CHO DG44由来細胞、CHOExpressTM細胞、およびCHO DUKX B11由来細胞からなる群より選択される、請求項11に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項15】
前記精製された無傷の外因性核酸が、タンパク質、カチオン性脂質、カチオン性ポリマー、リポソーム形成成分、リン酸カルシウム、塩化カルシウム、ナノ粒子、金属、ポリマー遺伝子キャリア、デンドリマー、シクロデキストリン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される成分の1つ以上を含まない、請求項1に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項16】
前記精製された無傷の外因性核酸が、DNA、RNA、PNA、LNA、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項17】
前記精製された無傷の外因性核酸が、DNAである、請求項16に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項18】
前記DNAが、環状である、請求項17に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項19】
前記DNAが、直鎖状である、請求項17に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項20】
前記精製された無傷の外因性核酸が、RNAである、請求項16に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項21】
前記RNAが、mRNA、rRNA、hn-RNA、mi-RNA、sn-RNA、核小体低分子RNA、長鎖非翻訳RNA、ガイドRNA、マイクロRNA、CRISPR RNA、アンチセンスRNA、低分子干渉RNA、低分子ヘアピンRNA、エンハンサーRNA(enhancer RNA)、遺伝子発現を妨害することができる任意のRNA、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項20に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項22】
前記真核細胞が、一過性にトランスフェクトされる、請求項1に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項23】
前記真核細胞が、安定にトランスフェクトされる、請求項1に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項24】
真核細胞をトランスフェクトする高効率の方法であって、
精製された無傷の外因性の核酸の真核細胞へのトランスフェクションをメディエートすることができる、正に荷電したポリマーでプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を得るステップと、
真核細胞を前記プレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地と組み合わせて、細胞補充された(cell-supplemented)プレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を生成するステップと、
前記精製された無傷の外因性の核酸が高効率の方法で前記真核細胞にトランスフェクトされるように、前記細胞を補充されたプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を精製された無傷の外因性の核酸と組み合わせるステップとを含む、
真核細胞をプレコンディショニングする高効率の方法。
【請求項25】
前記正に荷電したポリマーが、ポリエチレンイミンである、請求項24に記載の真核細胞をトランスフェクトする高効率の方法。
【請求項26】
前記真核細胞が、一過性にトランスフェクトされる、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記真核細胞が、安定にトランスフェクトされる、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記細胞トランスフェクション培地が、以下を含む、請求項24に記載の方法;
5-200mg/L CaCl2(無水);
15-70mg/L MgCl2(無水);
0-0.08mg/L Fe(NO3)39H2O;
20-110mg/L MgSO4(無水);
30-100mg/L Na2HPO4;
30-300mg/L NaH2PO4 H2O;
0.002-0.07mg/L SeNa2O3;
280-500 mg/L KCL;
40-1050mg/L L-アスパラギンH2O;
20-1000mg/L L-アスパラギン酸;
50-1000mg/L L-イソロイシン;
50-1200mg/L L-ロイシン;
50-500mg/L L-メチオニン;
100-1000mg/L L-バリン;
25-1000mg/L L-フェニルアラニン;
25-430mg/L L-チロシン, 2Na, 2H2O;
100-1200mg/L L-リジン 塩酸;
50-1050mg/L L-スレオニン;
100-500mg/L L-ヒスチジン;
50-500mg/L L-セリン;
2-500mg/L L-トリプトファン;
200-5000mg/L L-アルギニン 塩酸;
25-250mg/L L-システイン;
15-150mg/L L-システイン 2塩酸;
0.003-1mg/L D-ビオチン;
0.05-5mg/L ビタミンB12;
0.05-5mg/L リボフラビン;
0.5-20mg/L 塩酸チアミン;
0.1-7mg/L D-カルシウムパントテン酸塩;
0.5-30mg/L 塩酸ピリドキシン;
1-20mg/L 葉酸;
1-150mg/L 塩化コリン;
10-1000mg/L ミオ-イノシトール;
2-100mg/L 塩酸エタノールアミン;
0.025-6mg/L プトレシンン 2塩酸;
0.03-1mg/L DL-α-リポ酸;
0.01-2mg/L リノール酸;
500-12000mg/L D-グルコース;
0.001-0.02mg/L CuSO4 5H2O;
0-2mg/L FeSO4 7H2O;
0.4-2mg/L ZnSO4 7H2O;
0.00007-4.5mg/L MnSO4 H2O;
5000-7500mg/L NaCl;
0-1000mg/L L-プロリン;
0-1000mg/L L-グルタミン酸;
0-500mg/L グリシン;
0-1000mg/L ピルビン酸ナトリウム;
0-20mg/L NaOH 1Mにおけるヒポキサンチン;
0-3mg/L NaOH 1Mにおけるチミジン;
0-150mg/L L-アラニン;
(0-100mg/L ベータ-アラニン);
0-100mg/L L-オルニチン;
0-1000mg/L L-タウリン;
0.9-1.1mg/L L-α-ホスファチジルコリン(任意);
0.009-0.011mg/L ヒドロコルチゾン(任意);
5300-6600mg/L HEPES(任意);
900-1100mg/L Lutrol(登録商標)またはプルロニック(登録商標)F-68;
0-7mg/L グルコン酸鉄, 2H2O(任意);
0-200mg/L クエン酸鉄アンモニウム(任意);
0.001-0.10mg/L CoCl2 6H2O(任意);
0.001-0.005mg/L (NH4)6Mo7O264H2O(任意);
0.000025-0.0005mg/L NiSO4 6H2O(任意);
0.02-0.4mg/L Na2SiO3 9H2O(任意);
0.000025-0.0005mg/L SnCl2 2H2O(任意);
0.0001-0.0025mg/L NH4VO3(任意);
0.5-30mg/L ニコチンアミド(B3)(任意)
0.1-20mg/L p-アミノ安息香酸(任意);
500-650mg/L L-グルタミン(任意);
2000-2200mg/L NaHCO3 (任意);
0-110mg/L クエン酸第二鉄;
100-20000mg/L 植物加水分解物(任意);
100-20000mg/L 動物加水分解物(任意);
0.1-10%mg/L血清(任意)、
またはこれらの組み合わせ。
ここで、上記記述化合物の参照リスト表は以下である;
【表2-1】

【表2-2】
【表2-3】
【請求項29】
前記ポリエチレンイミンが、直鎖状、分枝状、または超分枝状である、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記ポリエチレンイミンが、直鎖状である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ポリエチレンイミンが、少なくとも10 KDaの重量である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ポリエチレンイミンが、25 KDaの重量である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ポリエチレンイミンが、10 KDaの重量である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記真核細胞が、哺乳動物細胞、魚細胞、昆虫細胞、鳥類細胞、後生動物細胞、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記真核細胞が、哺乳動物細胞である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記哺乳動物細胞が、哺乳動物から単離された始原細胞からなる群から選択されるか、または不死化細胞株として確立された細胞である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記哺乳動物細胞が、CHO細胞である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記CHO細胞が、CHO K1由来細胞、CHO S由来細胞、CHO DG44由来細胞、CHOExpressTM細胞、およびCHO DUKX B11由来細胞からなる群より選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記昆虫細胞が、Drosophila melanogaster; Spodoptera frugiperda; Trichoplusia ni、およびそれらの任意の組み合わせ由来の細胞のすべての種からなる群より選択される、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記精製された無傷の外因性核酸が、タンパク質、カチオン性脂質、カチオン性ポリマー、リポソーム形成成分、リン酸カルシウム、塩化カルシウム、ナノ粒子、金属、ポリマー遺伝子キャリア、デンドリマー、およびシクロデキストリン、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含まない、請求項24に記載の方法。
【請求項41】
前記精製された無傷の外因性核酸が、DNA、RNA、PNA、LNA、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記核酸がDNAである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記DNAが環状である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記DNAが直鎖状である、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記精製された無傷の外因性核酸がRNAである、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記RNAが、mRNA、rRNA、hn-RNA、mi-RNA、sn-RNA、核小体低分子RNA、長鎖非翻訳 RNA、ガイドRNA、マイクロRNA、CRISPR RNA、アンチセンスRNA、低分子干渉RNA、ショートヘアピンRNA、エンハンサーRNA(enhancer RNA)、および遺伝子発現を妨害することができる任意のRNA、またはこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記プレコンディショニングされたトランスフェクション培地が、低温安定性であり、前記培地がさらに少なくとも30日間4℃に保持され、精製された無傷の外因性核酸によるレシピエント真核細胞の少なくとも10パーセントのトランスフェクションをメディエートする能力を保持することができる、請求項32に記載の方法。
【請求項48】
前記培地が、凍結安定性であり、前記プレコンディショニングされたトランスフェクション培地が、少なくとも30日間凍結され、精製された無傷の外因性核酸による少なくとも10パーセントのレシピエント真核細胞のトランスフェクションをメディエートする能力をさらに保持することができる、請求項32に記載の方法。
【請求項49】
前記培地が、凍結安定性であり、前記プレコンディショニングされたトランスフェクション培地が、少なくとも30日間凍結され、精製された無傷の外因性核酸による少なくとも10パーセントのレシピエント真核細胞のトランスフェクションをメディエートする能力をさらに保持することができる、請求項33に記載の方法。
【請求項50】
以下を含む請求項8または9に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムを含む真核細胞の高効率トランスフェクションのためのキット;
真核細胞が、哺乳動物細胞、昆虫細胞、魚細胞および鳥細胞からなる群より選択される、HECTシステムのプレコンディショニングされたトランスフェクション培地に適合する真核細胞;および、
前記真核細胞に適合するDNAベクター。
【請求項51】
前記真核細胞が、哺乳動物細胞である、請求項50に記載のキット。
【請求項52】
前記哺乳動物細胞が、哺乳動物、チャイニーズハムスター卵巣細胞、ヒト胚性腎臓細胞、ヒト子宮頸癌細胞、ヒト前立腺癌細胞、ヒト副腎皮質癌細胞、ヒト慢性骨髄性白血病細胞、ヒト前立腺癌細胞、ヒト乳癌細胞、ヒト骨癌細胞、ヒト神経芽腫細胞、ヒト急性骨髄性白血病細胞、またはヒト神経膠芽腫細胞、サル腎臓上皮細胞、マウス胚頭蓋冠細胞、ラット下垂体腫瘍細胞、ラット褐色細胞腫細胞、およびイヌ腎臓上皮細胞から単離された始原細胞からなるグループから選択される、請求項51に記載のキット。
【請求項53】
前記哺乳動物細胞が、CHO細胞である、請求項52に記載のキット。
【請求項54】
前記CHO細胞が、CHO K1由来細胞、CHO S由来細胞、CHO DG44由来細胞、CHOExpressTM細胞、およびCHO DUKX B11由来細胞からなる群より選択される、請求項53に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国仮特許出願番号62/803,639, 平成31年2月11日出願の優先権を主張する。その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
今日の生物学的薬物療法製剤(生物学的製剤)の多くは、例えば組換え哺乳類細胞を用いて、遺伝的に形質転換された(トランスジェニックまたは組換え)真核細胞を用いて生産される。実際、特殊な試薬および装置に関して、トランスジェニック真核細胞または組換え真核細胞の生産のための市場は、2022年までに売上高が10億ドルを超えると予想される。この内容において関心のある生物学的製剤は、抗体、酵素、融合分子などの組換えタンパク質、ならびにウイルス様粒子、レトロウイルス様ベクター、および任意の他のタンパク質、DNAまたはRNAなどのより複合物質である。
【0003】
例えば、組換え真核細胞のような、目的の遺伝子を発現するように形質転換細胞を作製する推定上の処理は、使用される核酸構築物の適切な設計および適切な細胞株の選択から始まる、多段階の多日連続のプロセスである。その後の工程は、培養中の選択された細胞の増殖、および細胞膜を介した細胞への核酸の導入を含む。このプロセスは、典型的にはトランスフェクションと呼ばれる。トランスフェクションが成功した後、細胞を、核酸によってコードされる遺伝子を発現する条件下で増殖させ、次いで、遺伝子産物(例えば、タンパク質産物)を、使用のために回収する。
【0004】
哺乳動物細胞トランスフェクションが初めて成功してから50年以上が経過したにもかかわらず、哺乳動物細胞のような真核細胞への核酸の導入は、まれにしか予測可能な結果をもたらさない複雑で非常に誤りがちな手順のままであった。特定の試薬および装置を必要とする多数の化学的、物理的、およびウイルス的方法が使用されてきた。これらの方法の欠点は多く、当業者に周知であり、これには、労力および時間がかかること、ならびに、特殊な装置および技術、核酸、試薬および細胞の煩わしい調製、細胞の長期かつ制御困難な前培養、レシピエント細胞への損傷(例えば、細胞毒性)、核酸への損傷、低いトランスフェクション効率、低い遺伝子発現速度、および低い産物回収が必要であることが含まれる。核酸と対応するトランスフェクション試薬との間のいくつかの反応は十分に理解されておらず、多数の物理的および化学的パラメーターによって影響され得るので、異なる時間枠にわたって行われるトランスフェクションのための新鮮な試薬の繰り返しの、かつ面倒な調製が、実験の再現性を減少させる可能性も存在している。
【0005】
このような複合調製方法はまた、1つ以上の真核細胞培養において多数の核酸構築物のハイスループット試験を実施するか、または大量の製品の産生のために細胞のトランスフェクションおよびその後の大規模な細胞からの製品回収を実施するために、法外な努力が必要である。したがって、当技術分野では、培養された真核細胞(哺乳動物、昆虫、または魚細胞など)に所望の核酸をトランスフェクトするための、合理化された、ロバストな、誤差を低減する、より予測可能な、および/または高効率のアプローチが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明は堅牢で、合理化され、エラーを低減し、高効率の真核細胞トランスフェクションシステムおよび関連する方法を提供する。本発明の高効率のシステムおよび方法は、細胞をトランスフェクトするために必要とされる工程の数を減少させ、そして特殊な装置の必要性を減少させる(例えば、排除する)。特に、システムおよび関連する方法は、強固なトランスフェクション効率を維持しながらトランスフェクションを合理化する能力を提供し、細胞生存率、細胞数および/またはタンパク質産生ならびに全体的な再現性を増加させる。さらに、真核細胞をトランスフェクトするための本発明の高効率システムおよび方法は、高スループットアプローチおよび/または大規模トランスフェクションの両方にトランスフェクションを利用可能にする。
【0007】
そのようなものとして、本発明の1つの態様は正に荷電したポリマー(例えば、ポリエチレンイミン)でプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を含む真核細胞への、精製された無傷の外因性核酸のトランスフェクションを媒介し得る、高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムを提供する。
【0008】
本発明の別の態様は、高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)方法を提供する。
この方法は精製された無傷の外因性核酸の真核細胞へのトランスフェクションを媒介することができる正に荷電したポリマーでプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を得る工程と、真核細胞を前記プレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地と組み合わせて、細胞補足されたプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を生成する工程と、前記精製された無傷の外因性の核酸が高効率の様式で前記真核細胞にトランスフェクトされるように、前記細胞補足されたプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を、精製された無傷の外因性の核酸と組み合わせる工程とを含む。
【0009】
別の態様において、本発明は、本発明のプレコンディショニングされた真核細胞トランスフェクション培地; 前記プレコンディショニングされたトランスフェクション培地と適合する真核細胞を含む真核細胞、ここで、前記真核細胞は、哺乳動物細胞、昆虫細胞、魚細胞および鳥類細胞からなる群より選択される; ならびに前記真核細胞と適合するDNAベクター、を含む真核細胞の高効率トランスフェクションのためのキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の利点は以下の詳細な説明から明らかであり、この説明は添付の図面と組み合わせて考慮されるべきであり、これらの図面は、いずれの方法でも、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0011】
図1図1は、本発明の特定の実施形態で使用するための市販のpcDNATM3.1(Invitrogen)のプラスミド地図である。このプラスミドの改変版は、哺乳動物細胞におけるタンパク質の発現をサポートすることができる。
図2図2は、本発明の特定の実施形態において使用するためのExcellGeneベクターpA3のプラスミド地図である。哺乳類細胞における免疫グロブリン(IgG)の発現をサポートすることができる。
図3図3は、市販のpEGFP-N1(Clonetech)のプラスミド地図であり、本発明の特定の実施形態で使用するためのものである。それは、哺乳動物細胞における緑色蛍光タンパク質(GFP)の発現をサポートすることができる。
図4図4は、本発明の特定の実施形態で使用するためのExcellGeneベクターp4Tx(登録商標)(pXLGCHOM4Tx(登録商標)とも呼ばれる)のプラスミド地図である。このプラスミドの改変型(すなわち、所望のタンパク質をコードするDNAの挿入後)は、哺乳動物細胞におけるタンパク質の発現をサポートし得る。
図5図5は、市販のpIEXTM-10(Novagen, Darmstadt)のプラスミド地図である。増強された緑色蛍光タンパク質(E-GFP)または腫瘍壊死因子受容体-Fc融合タンパク質(TNFR-Fc)の遺伝子の発現をサポートする。このベクターの改変版は、昆虫細胞がタンパク質の発現のために使用される場合、本発明の特定の実施形態において使用された。
図6図6は、2つのバージョンの細胞トランスフェクション培地(CHO-M4Tx(登録商標)およびCHO-M4Tx(登録商標)1(登録商標)、ExcellGene)を用いた、pGFP-N1ベクターを用いたチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHOExpressTM、ExcellGene)のトランスフェクションの結果を、本発明の特定の実施形態において使用するためのプレコンディショニングなしの対照トランスフェクション(pcd)と比較して示す。
図7図7はトランスフェクションの結果、例えば、異なるプロバイダー(CHOM4Tx(登録商標)、ExcellGene、CD-CHO、FreestyleTM、ThermoFisher)由来の細胞培養培地を使用する、本発明の特定の実施形態において使用するための、pA3ベクターでのチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHOExpressTM、CHO S)のmg/Lにおける生成物収率を示す。CHOExpressTM細胞は、トランスフェクションの前にProCHO5TM (Lonza)中で増殖させ、CHO S細胞は、トランスフェクションの前にCD-CHO培地中で増殖させた(pcd:プレコンディショニングされた)。
図8図8は、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHOExpressTM)について、-22 ℃および4 ℃で35日間まで保存したプレコンディショニングされたトランスフェクション培地(CHOM4TxTM、ExcellGene)を使用し、pEGFP-N1発現ベクターを用いての、トランスフェクションの結果、例えば、3日後にタンパク質GFPを発現する細胞のパーセンテージを示す。
図9図9はチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHOExpressTM)について、-22 ℃および4 ℃で28日間まで保存したプレコンディショニングされたトランスフェクション培地(CHOM4TxTM)を使用し、pA3発現ベクターを用いての、トランスフェクションの結果、例えば、mg/L IgGで示される7日後の産物収率を、示す。
図10図10は、E-GFPまたはTNFR-FcのためのDNAがクローニングされたpIEXTM-10ベクターのバージョン (トランスフェクションにおけるベクターの比率9:1)を用いた、SF-9細胞の、プレコンディショニングされた昆虫細胞培地(Fly-M4Tx(登録商標)-SF9、ExcellGene)での、コ・トランスフェクションの結果を示す。
図11図11は、TNFR-Fc融合タンパク質の発現(mg/L)およびGFPの発現(蛍光を示す細胞%)(トランスフェクションにおけるベクターの比率9:1)のために、同じpIEX(登録商標)-10修飾ベクターを使用した、個別にプレコンディショニングされた昆虫細胞培地(Fly-M4Tx(登録商標)-SF9、Fly-M4Tx(登録商標)-S2)での、SF9細胞およびS2細胞とのコ・トランスフェクションの結果を示す。
図12図12は異なるプレコンディショニングされた培地〔CHOM4Tx(登録商標)ACF1、CHOM4Tx(登録商標)ACF2、CHOM4Tx(登録商標)CD、ExcellGeneおよびプレコンディショニングされたRPMI培地(ペプトンを添加した) 〕でトランスフェクトした場合における、CHOExpress(登録商標)細胞のトランスフェクション後の最大に達成された細胞密度(4日目)を示す。CDは化学的に定義された培地であるExcellGene培地Flexicho(登録商標)を表し、ACF1/ACF2は、トランスフェクション培地に2g/Lまたは3g/Lで添加された大豆ペプトン(Hypep(登録商標)1510、Kerry)の添加を指す。RPMIは、市販のRPMI1640(Sigma-Aldrich)である。RPMI培地に添加されたペプトンは、2g/Lで添加された、同じHypep(登録商標)1510である。
図13図13は、異なるバージョンのプレコンディショニングされた培地(CHOM4Tx(登録商標)ACF1、CHOM4Tx(登録商標)ACF2、CHOM4Tx(登録商標)CD、pcd RPMI+pept)でトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHOExpress(登録商標))へのトランスフェクションのIgG収率に関する結果を示す。CDはExcellGene培地を表し、化学的に定義された培地であるFlexicho(登録商標)、ACF1/ACF2は、2g/Lまたは3g/Lでトランスフェクション培地に添加されるダイズペプトン(Hypep(登録商標)1510、Kerry)の添加を指す。RPMIは、市販のRPMI1640(Sigma-Aldrich)である。
図14図14は、細胞がプレコンディショニングされたCHOM4Tx(登録商標)培地(ExcellGene)でトランスフェクトされたときの、CHOExpressTM細胞(ExcellGene)の上清における7または14日後のIgGの収率を示し、そこでは、リッチに、化学的に定義された濃縮培地の組成物が、トランスフェクション後、動物成分を含まない培地に添加された(CHOM4Tx(登録商標)PM1、CHOM4Tx(登録商標)PM2、ExcellGene)。
【発明を実施するための形態】
【0012】
タンパク質産生の進歩における既存の努力にもかかわらず、これらの公知の/既存の努力はトランスフェクション効率、トランスフェクション再現性、トランスフェクション結果の予測可能性、細胞生存率、タンパク質産生、または非常に少量(例えば、μlまたはnl量)から大容量のバイオリアクターまでの範囲の細胞培養物において産生されるタンパク質の品質に対する任意の有意な改善をまだもたらしていない。対照的に、本発明の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム、培地、および方法は、高いトランスフェクション効率、高い細胞生存率、およびタンパク質収率をもたらす、ロバスト(強固)で、合理的で、再現性があり、予測可能で、ユーザフレンドリーなシステムおよび方法を提供する。
【0013】
本発明の高効率のシステム、培地、および方法は、細胞をトランスフェクトするために必要とされる工程の数を減少させ、そして特殊な装置の必要性を減少させる(例えば、排除する)。特に、システム、培地、および関連する方法は強固で、効率的で、再現性のあるトランスフェクション効率、細胞生存率、および/またはタンパク質産生を維持しながら、トランスフェクションを合理化する能力を提供する。さらに、真核細胞をトランスフェクトするための本発明の高効率のシステム、培地、および方法はまた、高スループットアプローチおよび大規模トランスフェクションの両方のためにトランスフェクションを利用可能かつ再現可能にする、外因性核酸の任意の特殊化されたまたは複雑な調製の必要性を減少させる(例えば、排除する)。
【0014】
システム、培地、および方法を含む本発明は、便宜上、以下に記載される以下の定義を参照して記載される。特に明記しない限り、本明細書で使用される以下の用語は、以下のように定義される:
【0015】
I. 定義
本明細書で使用されるように、用語「a」、「an」、「the」および本発明の文脈(特に特許請求の範囲の文脈)で使用される同様の用語は本明細書で別段の指示がない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。
【0016】
用語「約」は、それが修正する用語の程度または幅に関して本明細書で使用され、そのような程度は、修正された用語の100%またはほぼ100%であり得るが、正確にはそうではない; 業界で受け入れられた基準は、どのように「近い:near」100%が定義されるかの定量的側面を定義するのに役立つ。特定の実施形態では用語「約」は±2%、±1%または±0.5%を示す。特定の実施形態では例えば、言語「約19%」は正確に19%であろう; 代替の特定の実施形態では言語「約19%」が19%±2%、19%±1%、または19%±0.5でありうる。
【0017】
用語「真核生物」は当技術分野で十分に理解されており、本明細書では、核を含む細胞、例えば真核細胞を記載するために使用される。真核細胞としては哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞または動物細胞)、昆虫細胞、魚細胞、植物細胞、真菌細胞、および鳥類細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
用語「外因性核酸」は本明細書において、細胞(例えば、真核細胞または原核細胞)に導入される核酸(例えば、DNAまたはRNA)を記載するために使用される。外因性核酸は、レシピエント細胞に既に存在するDNAまたはRNA配列と0%~100%同一であるか、または相補的であるヌクレオチド配列を有し得る。
【0019】
用語「高効率」は、以下の利点のうちの1つ以上を含む、本発明の真核細胞トランスフェクションシステムおよび方法の利点を記載するために本明細書中で使用され、以下の利点のうちの1つ以上を含む:
(1)既存の方法/システムと比較して、成功裏にトランスフェクトされた細胞のパーセンテージの増加(例えば、トランスフェクトされた細胞の30%以上、例えば、トランスフェクトされた細胞の50%以上、例えば、トランスフェクトされた細胞の75%以上、または例えば、トランスフェクトされた細胞の99%以上);
(2)既存の方法/システムと比較して、成功裏にトランスフェクトされた細胞から回収された産物の量の増加(例えば、少なくとも2倍の増加、例えば、少なくとも5倍の増加、例えば、少なくとも10倍の増加、例えば、少なくとも20倍の増加、例えば、少なくとも50倍の産物回収の増加), 例えば、少なくとも100倍の増加、または例えば、少なくとも500倍の増加;
(3)既存の方法/システムと比較して、トランスフェクション後の細胞生存率の増加、例えば、50%以上の細胞生存率、例えば、60%以上の細胞生存率、例えば、80%以上の細胞生存率、例えば、90%以上の細胞生存率、または例えば、99%以上の細胞生存率;
(4)既存の方法/システムと比較して、産生期(production phase)においてトランスフェクション後の細胞数の増加(細胞/ml)、例えば、10%以上の細胞数、例えば、20%以上の細胞数、例えば、30%以上の細胞数、例えば、50%以上の細胞数、例えば、75%以上の細胞数、例えば、150%以上の細胞数、300%以上の細胞数、例えば、500%以上の細胞数;
(5)実験内の既存の方法/システムと比較して、実験内トランスフェクションのより高い再現性、例えば、実験内再現性(すなわち、複数のトランスフェクションが同じ種細胞培養で実行される場合)、または例えば、実験間再現性(すなわち、異なる供給源からの種細胞培養で行われる場合、または異なる日に行われる場合);および
(6)既存の方法/システムと比較して、面倒な核酸保護手順の排除、例えば、限定されないが、デンドリマー、シクロデキストリン、またはカチオン性ポリマー、例えば、DEAE-デキストラン、例えば、ポリエチレンイミン、例えば、ポリリジンなど、ナノ粒子、金属、リン酸カルシウム-DNA複合体の形成、ウイルスキャリアベクターの使用、リポソーム、と共に若しくは内に、核酸のカプセル化または会合を含む。
【0020】
用語「哺乳動物細胞」は、また、当技術分野でよく理解されており、哺乳動物由来の任意の初代細胞、初代細胞培養物、または培養細胞系を記載するために本明細書で使用される。用語「動物細胞」は、また、当技術分野でよく理解されており、本明細書では、魚類、は虫類、または鳥類種などの哺乳動物または非哺乳動物種に由来する任意の初代細胞または培養細胞を記載するために使用され、後生動物、例えば、2つ以上の細胞を有する真核生物種などの非脊椎動物種に由来する細胞を含む。
【0021】
「核酸」という用語は、当技術分野で知られており、本明細書では、デオキシリボ核酸(DNA)(例えば、一本鎖もしくは二本鎖)、もしくはリボ核酸(RNA)、またはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの両方の混合物を含むポリマー(DNA-RNAハイブリッド)、ペプチド核酸(PNA)、もしくはロックド(locked)核酸(LNA)などの天然または合成ポリマーを記載するために使用される。本明細書中で使用される場合、この用語は、真核細胞へのトランスフェクションのために意図されるDNA、RNA、DNA-RNAハイブリッド、PNAまたはLNAのすべての形態および型を包含する。
【0022】
用語「ポリエチレンイミン」(PEI)は、当技術分野で公知であり、本明細書では、アミン基および2つの炭素脂肪族スペーサー、例えば(C2H5N)nから構成される繰り返し単位のポリマーを記載するために使用される。PEIのポリマー性質のために、ポリマーは、分子量が約800Da~約25KDa~1000KDa若しくはそれ以上の範囲であり得る。PEIポリマーは、アシル化または脱アシル化されていてもよい。PEIのポリマーは例えば、直鎖状、例えば、
【化1】
、若しくは、分岐状、例えば、
【化2】
である。
【0023】
ここで、破線は、モノマー単位がポリマー鎖中の別のモノマー単位に連結する位置を表す。
これらのポリマーはまた、超分岐および/または樹枝状であり得る。特定の実施形態では、所与の量のPEIポリマー(例えば、25 KDaのPEIポリマー)は多分散性、すなわち、25 KDaの平均分子量を有する異なる分子量の範囲の分子を含む。特定の実施形態では、本発明の開示におけるPEIポリマーの分子量の同定がPEIポリマーの合成が均一ではなく、「平均」分子量を有するポリマーの分布を生成した可能性がある、多分散性であると理解されるべきである。
【0024】
用語「プレコンディショニングされた」は、本明細書中では1つ以上のさらなる項目(例えば、核酸、化合物、溶液、または細胞)の導入前に、別の薬剤または成分(例えば、プレコンディショニング剤)で処理され、コンディショニングされ、または曝露された2つ以上の成分の組み合わせの特徴を記載するために使用される。例えば、特定の実施形態において、本発明の細胞トランスフェクション培地は別の化合物または溶液(例えば、トランスフェクションのために標的化された真核細胞、または例えば、精製された無傷の外因性核酸)に培地を曝露する前に、ポリエチレンイミンと予め混合されるか、またはポリエチレンイミンに予め曝露される、つまり「プレコンディショニング」される。
【0025】
用語「精製された無傷の」は、本明細書中では真核細胞トランスフェクションにおいて通常使用される化合物、分子、化学物質、および処置を含まないという特徴を有し、そして伝統的な方法論におけるトランスフェクションを容易にするために必要とされ得る、外因性核酸の形態および状態を記載するために使用される。例えば、本発明のシステムおよび方法において利用される、精製された無傷の核酸は、リポソーム、デンドリマー、シクロデキストリン、またはカチオン性ポリマー(例えば、DEAE-デキストラン、ポリリジン、ポリエチレンイミンなど)、ナノ粒子、金属、リン酸カルシウム-DNA複合体の形成、ウイルスキャリアベクターの使用、ウイルスタンパク質カプセル剤からはフリー(free)(例えば、本質的にフリー)である。精製された無傷の外因性核酸は、本質的に溶媒を含まない(solvent free)形態(例えば、純粋な、沈殿した物質のペレットとして)で存在し得るか、または水溶液(例えば、精製水)、またはTE緩衝剤(例えば、10mM Tris 1mM EDTA緩衝剤など)に溶解され得る。
【0026】
「レシピエント細胞」という用語は、本明細書において、トランスフェクションプロセス、例えば、本発明の真核細胞への核酸導入の非常に効率的な方法に供される細胞、例えば、哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞)を記載するために使用され、外因性核酸、例えば、外因性DNAの最初の直接レシピエントである。
【0027】
用語「種」は、本明細書において、特定の細胞型の関連する変異体を記載するために使用される。例えば、最初のチャイニーズハムスター卵巣細胞は、1950年代後半に単離され、不死化された;その時以来、元のCHO細胞、CHO-oriの多数の変異または種が、CHO-K1、CHO-S、CHO-DXB11、CHO-DG 44などのように生じた。本明細書中で使用される場合、CHOは、CHO細胞のあるタイプとして当該分野で言及されるCHO細胞の全ての種を包含する。例えば、CHO-K1、CHO-S、CHO-DXB11、CHOExpressTM、およびCHO-DG 44は、CHO細胞の種の全ての例である。
【0028】
用語「トランスフェクション」は、当該分野で公知であり、そして本明細書中で使用されて、核酸(例えば、外因性核酸(例えば、外因性DNA))の真核細胞への意図的な導入を記載するのに使われる。真核細胞は、一過性にトランスフェクトされても安定にトランスフェクトされてもよい。一過性にトランスフェクトされた真核細胞は外因性の核酸(例えば、外因性のDNA)を取り込み、そして発現し、ここで、核酸(例えば、外因性のDNA)は一般に、トランスフェクトされた細胞のゲノムに組み込まれない。対照的に、安定なトランスフェクションについては、外因性の核酸(例えば、外因性のDNA)は、安定にトランスフェクトされたレシピエント細胞のゲノムに挿入される(incorporated into)〔例えば、組み込まれる(integrated into)〕; 外因性の核酸(例えば、外因性のDNA)は、ゲノムが核および/または細胞分裂の前に複製されるたびに複製され、そして細胞(例えば、娘細胞)の多世代にパススルーされる。安定にトランスフェクトされた真核細胞は、組換え細胞とも呼ばれることがある。
【0029】
II.
本発明の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム
【0030】
本発明の一実施形態は、正に荷電したポリマー、例えばポリエチレンイミンでプレコンディショニングされた(以下、予め調整された と同義)細胞トランスフェクション培地を含む真核細胞への、精製された無傷の外因性核酸のトランスフェクションを媒介することができる高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムを提供する。本発明のシステムは、精製された無傷の外因性核酸の真核細胞へのトランスフェクションを媒介する能力を有する; しかし、これは、このような潜在能力または媒介能力を有するためにアクチュアルな媒介を必要としない。
【0031】
本発明のHECTシステムおよび方法の特別な利点は、正に荷電したポリマー、例えば、ポリエチレンイミン(例えば、10 KDa PEI、または例えば、25 KDa PEI、または例えば、40 KDa PEI)でプレコンディショニングされたトランスフェクション培地が、他の実験工程を要件とせずに、精製された無傷の外因性核酸、例えば、裸のDNA、または例えば、裸のRNAで真核細胞をトランスフェクションする能力である。真核細胞膜および核酸が両方とも負に荷電しており、細胞膜または核酸のいずれか(または両方)の改変を必要とし、細胞膜を横切って細胞内への細胞外性核酸の移動を可能にすると仮定すると、細胞膜を改変するために以前に使用されてきた従来の方法はしばしば、力、機械的または電気的、化学的、または感染性因子に依存し、これらの各々は、細胞、および場合によっては核酸への損傷の高いリスクを有する。
【0032】
PEIの溶液は、製造が煩わしいことが知られており、調製のためにほぼ1日を要し(例えば、実施例1Cを参照のこと)、性質において非常に粘稠である。実際、既存の方法では、PEI溶液を完全かつ均質に作製し、それらを核酸溶液と効率的に混合することは困難であった。核酸分子を粘性PEI溶液と混合するまさにその機構は、核酸に剪断または他の損傷をもたらしたことが知られている。さらに、最良のトランスフェクション効率を生じる核酸対PEIの比は、各PEIおよび核酸調製物について決定され得、そして細胞型およびその対応する培地を考慮しなければならない。さらに、核酸溶液がPEI溶液に曝露される時間の量は、トランスフェクションに影響を及ぼし得、また最適化される必要があり得る。さらに、PEIは真核細胞に対して毒性であり、特に種々の細胞内プロセスに影響を及ぼし、しばしば細胞の死をもたらすことが示されている。従って、核酸:PEI複合体を使用する真核細胞のトランスフェクションは所望の核酸との均質な混合物を調製することから、細胞毒性の最小量での適切な細胞トランスフェクションを可能にするためのPEI対核酸の正確な比の決定まで、かなりの努力を必要とする。
【0033】
このようにして、PEIが真核細胞をトランスフェクトするために伝統的な様式で使用された場合に生じる2つの主要な困難(すなわち、粘度および毒性)は、本発明のシステムおよび方法において提供される溶液によって克服された。
【0034】
本発明の単純化されたHECTシステムおよび方法は粘度および毒性の問題に対処し、外因性核酸をPEIと混合する必要性を排除し(したがって、核酸とPEIとの最適曝露時間を決定する必要性も排除し)、細胞毒性を減少させ、トランスフェクション後の細胞生存率および細胞増殖、トランスフェクション効率、ならびに所望の産物(例えば、タンパク質、または例えば、ウイルス粒子)の発現を増加させる。
【0035】
本発明の真核細胞トランスフェクションシステム、方法およびプレコンディショニングされた培地によって提供される他の利点には、真核細胞、例えば哺乳動物細胞のトランスフェクションに必要な時間および材料の量の削減、例えば、ステップ数の削減、例えば、当技術分野における標準的なおよび慣用の方法と比較して必要な「ハンドオン」実験時間の量の削減、および特殊なトランスフェクション装置の必要性の削減が含まれる。
【0036】
本発明の真核細胞トランスフェクションシステム、方法およびプレコンディショニングされた培地のさらなる利点は、細胞増殖ならびに細胞トランスフェクションをサポートおよび促進するプレコンディショニングされた培地の能力を含み、複数のタイプの培地、特殊な試薬、培地交換、「ハンドオン」実験時間、および細胞への中断(disruption)の必要性を削減させる。
【0037】
最後に、活性および効率を失うことなく、アリコートにおいて、最適化されたプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を長期間にわたって保存する能力によって、同時にまたは長期間にわたって広げて繰り返し行われる実験におけるトランスフェクションは、より高い再現性を有する。
【0038】
このようなアプローチは、また、実験における唯一の変異体は、変異体プレカルチャーに由来する細胞のようなものであり、一方、プレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地は、実験ごとに同じままであるので、トランスフェクション前の異なる培養条件の効果を区別し得る。
【0039】
特定の実施形態において、高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムは、低温安定性であり、ここで、培地(例えば、プレコンディショニングされた培地)はさらに、4℃(例えば、少なくとも30日)に保持され得、そして精製された無傷の外因性核酸によるレシピエント真核細胞の少なくとも10%のトランスフェクションを媒介する能力を保持する。
【0040】
特定の実施形態では低温安定培地、例えば、プレコンディショニングされた培地は、細胞増殖をサポートし促進する能力を保持する。特定の実施形態では、正に荷電したポリマーは、ポリエチレンイミンであり、ポリエチレンイミンは分子量25 KDaである。特定の実施形態では、正に荷電したポリマーはポリエチレンイミンであり、ポリエチレンイミンは分子量10 KDaである。特定の実施形態では、正に荷電したポリマーはポリエチレンイミンであり、ポリエチレンイミンは分子量40 KDaである。特定の他の実施形態では、正に荷電したポリマーが例えば、1KDa~50KDa、例えば、10KDa~40KDaの範囲の平均分子量を有する、異なる平均分子量のポリエチレンイミンの混合物、または例えば、10 KDaおよび25 KDaのPEIの混合物である。
【0041】
本発明の特定の実施形態では、高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムが凍結安定であり、ここで、培地(例えば、プレコンディショニングされた培地)はさらに、例えば、少なくとも30日または60日、または90日、凍結され得、そして精製された無傷の外因性核酸でレシピエント真核細胞の少なくとも10%のトランスフェクションを媒介する能力を保持する。
【0042】
特定の実施形態では、凍結安定培地、例えば、プレコンディショニングされた培地は細胞増殖をサポートおよび促進する能力を保持する。特定の実施形態では、正に荷電したポリマーはポリエチレンイミンであり、ポリエチレンイミンは分子量10 KDaである。特定の実施形態では、正に荷電したポリマーはポリエチレンイミンであり、ポリエチレンイミンは分子量25 KDaである。特定の実施形態では、正に荷電したポリマーはポリエチレンイミンであり、ポリエチレンイミンは分子量40 KDaである。特定の他の実施形態では、正に荷電したポリマーが例えば、1KDa~50KDa、例えば、10KDa~40KDaの範囲の平均分子量を有する、異なる平均分子量のポリエチレンイミンの混合物、または例えば、10 KDaおよび25 KDaのPEIの混合物である。
【0043】
本発明の特定の実施形態では、高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムが真核細胞をさらに含むことができる。そのようなものとして、1つの特定の実施形態において、本発明は、正に荷電したポリマーでプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を含む真核細胞への、精製された無傷の外因性核酸のトランスフェクションをメデイエート(媒介ともいう)することができる高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム、及びおよび真核細胞(例えば、CHO細胞、HEK293細胞、昆虫細胞(例えば、SF9、S2またはHiFive細胞)を提供する。
【0044】
本発明の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムの特定の実施形態では、真核細胞のトランスフェクションが一過性トランスフェクションである。
【0045】
本発明の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムの特定の実施形態では、真核細胞のトランスフェクションは安定なトランスフェクションである。
【0046】
A. 培地(メディア)
本発明のシステムおよび方法における使用に適した培地は、真核細胞、例えば、哺乳動物初代細胞、哺乳動物細胞株、昆虫細胞株、魚細胞株、または鳥類細胞株の増殖に使用される任意の培地である。
【0047】
本明細書に記載される発明に照らして、本発明のシステムおよび方法において使用され得る市販の培地は、限定されないが、以下が選ばれる全てのバージョン及び多様な変種である;ProCHOTMまたはPowerCHOTMAdvance(Lonza)、例えば、ProCHO5TM、CDCHO、CD FortiCHOTM、CD OptiCHOTM (ThermoFisher Scientific)、FreestyleTMCHO(ThermoFisher Scientific)、Hycell CHO HyClone(登録商標)(GE Life Sciences)、DMEM-Dulbecco's Modified Eagle 培地(ThermoFisher Scientific)、RPMI 培地(ThermoFisher Scientific、Sigma-Aldrich, Gibco, etc)、MEM-Minimum Essential Media(GibcoTM)、IMDM-Iscove's Modified Dulbecco’s 培地(ThermoFisher Scientific)、Opti-MEMTMReduced Serum Media(GibcoTM)、CHO DHFR-培地(Sigma Aldrich)、EXCELL(登録商標)ハイブリドーマ培地(Sigma Aldrich)、EXCELL(登録商標)CHO media(Sigma Aldrich)、EXCELL(登録商標)CHOZN(登録商標)培地(Sigma Aldrich)、EXCELL(登録商標)昆虫細胞培地(Sigma Aldrich)など。
【表I】
【0048】
本発明の特定の実施形態では、培地はProCHO5TM(Lonza)である。本発明の特定の実施形態では、培地はCD-CHO(ThermoFisher Scientific)である。本発明の特定の実施形態において、培地は、Freestyle TM培地(ThermoFisher Scientific)である。本発明の特定の実施形態において、培地は、FlexiCHO(登録商標)-CDMまたはその変異体(ExcellGene SA)である。本発明の特定の実施形態では、培地はFlexiHEK(登録商標)-CDMまたはその変異体(ExcellGene SA)である。本発明の特定の実施形態では、培地がFlexiFly(登録商標)-S2、FlexiFly(登録商標)-SF9、FlexiFly(登録商標)-Hi5、またはそれらの変異体(ExcellGene SA)である。
【0049】
本発明の特定の実施形態では、培地が市販の培地に成分を添加することによって改変される、又は購入されるのでなく実験室で作製されてもよい。1つの特定の実施形態では、成分、任意成分、および培地の製剤に使用する量の範囲の代表的な選択を表1に開示する。好ましい細胞型または細胞株を扱う当業者は、細胞型または細胞株に最も適した成分および量を知っており、認識する。
【0050】
表1:哺乳動物細胞を増殖させ、トランスフェクトするための培地を調製するための、本発明の特定の実施形態における使用に適切な例示的な培地成分および量の範囲(プレコンディショニングされる前)。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0051】
表2:哺乳動物細胞を増殖させ、トランスフェクトするための培地を調製するための、本発明の特定の実施形態における使用に適切な例示的な培地成分および量の範囲(プレコンディショニングされる前)。
【表2-1】
【表2-2】
【0052】
本発明の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムのある実施態様において、培地(プレコンディショニングされる前)は、以下を含む:
【表A-1】
【表A-2】
【表A-3】
【0053】
本発明の別の実施態様は、例えば、細胞の添加前および外因性核酸の添加前に、正に荷電したポリマー(例えば、ポリエチレンイミン(PEI)またはポリリジンなど)で、プレコンディショニングされた、例えば、細胞トランスフェクション培地、例えば、上記に参照された培地のいずれか、または例えば、表2による任意の培地を含む、本発明の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムを提供する。
【0054】
別の実施態様は、本発明の高効率の真核細胞トランスフェクション(HECT)システムを提供し、例えば、それは、細胞増殖をさらにサポートおよび促進することができる細胞トランスフェクション培地、例えば、上記に参照された培地のいずれか、または例えば、表1に記載のいずれかの培地、または例えば、表2に記載のいずれかの培地、または、例えば、表1および表2に記載の成分の組み合わせに記載のいずれかの培地を含み、細胞の添加前および外因性核酸の添加前に、正に荷電したポリマー(例えば、ポリエチレンイミン(PEI)またはポリリジンなど)でプレコンディショニングされる。
【0055】
本発明の特定の実施態様では、高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムは長期間安定である。特定の実施態様において、本発明はレシピエント真核細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞または動物細胞)への精製された無傷の外因性核酸のトランスフェクションをメディエートする能力を保持しながら、長期間(例えば、30日以上、例えば、60日以上、例えば、90日以上、例えば、180日以上、または例えば、350日以上)保存され得るPEIを含む、プレコンディショニングされたトランスフェクション培地を提供する。
【0056】
特定の実施態様では、長期安定HECTシステムが、精製された無傷の外因性核酸の、レシピエント真核細胞の少なくとも5%、例えば、レシピエント細胞の約10%-約20%、例えば、レシピエント細胞の約20%-約30%、例えば、レシピエント細胞の約30%-約40%、例えば、レシピエント細胞の約40%-約50%、例えば、レシピエント細胞の約50%-約60%、例えば、レシピエント細胞の約60%-約70%、例えば、レシピエント細胞の約70%-約80%、例えば、レシピエント細胞の約80%-約90%、例えば、レシピエント細胞の約90%-約95%、またはそれ以上でのトランスフェクションをメディエートする能力を保持することができる。
【0057】
特定の実施態様では、HECTシステムが、直鎖状25 KDa PEIを含む。特定の実施態様では、HECTシステムが、約30mg/Lの直鎖状25 KDaのPEIを含むProCHO5TM培地を含む。特定の実施態様では、HECTシステムがDMSOをさらに含む。特定の実施態様では、HECTシステムがCHOM4Tx(登録商標)培地(ExcellGene)を含む。
【0058】
本発明の特定の実施態様において、高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムは、低温安定性である。特定の実施態様において、本発明は、レシピエント真核細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞または動物細胞)への、精製された無傷の外因性核酸のトランスフェクションをメディエートする能力を保持しながら、約4℃、長期(例えば、30日以上、例えば、60日以上、例えば、90日以上、例えば、180日以上、または例えば、350日以上)で保存され得る、10 KDaのPEIを含むプレコンディショニングされたトランスフェクション培地を提供する。
【0059】
特定の実施態様では、低温安定HECTシステムが、精製された無傷の外因性核酸の、レシピエント真核細胞の少なくとも5%、例えば、レシピエント細胞の約10%-約20%、例えば、レシピエント細胞の約20%-約30%、例えば、レシピエント細胞の約30%-約40%、例えば、レシピエント細胞の約40%-約50%、例えば、レシピエント細胞の約50%-約60%、例えば、レシピエント細胞の約60%-約70%、例えば、レシピエント細胞の約70%-約80%、例えば、レシピエント細胞の約80%-約90%、例えば、レシピエント細胞の約90%-約95%、またはそれ以上でのトランスフェクションをメディエートする能力を保持することができる。
【0060】
特定の実施態様では、HECTシステムが、約11.6mg/Lの直鎖状10 KDa PEIを含むProCHO5TM培地を含む。特定の実施態様では、HECTシステムがDMSOをさらに含む。特定の実施態様では、HECTシステムが、ExcellGeneのCHOM4Tx(登録商標)培地を含む。
【0061】
本発明の特定の実施態様では、高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムは凍結安定である。特定の実施態様において、本発明は、レシピエント真核細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞または動物細胞)への、精製された無傷の外因性核酸のトランスフェクションをメディエートする能力を保持しながら、約-20℃、長期(例えば、30日以上、例えば、60日以上、例えば、90日以上、例えば、180日以上、または例えば、350日以上)で保存され得るPEIを含むプレコンディショニングされたトランスフェクション培地を提供する。
【0062】
特定の実施態様では、凍結安定HECTシステムが、精製された無傷の外因性核酸の、レシピエント真核細胞の少なくとも5%、例えば、レシピエント細胞の約10%-約20%、例えば、レシピエント細胞の約20%-約30%、例えば、レシピエント細胞の約30%-約40%、例えば、レシピエント細胞の約40%-約50%、例えば、レシピエント細胞の約50%-約60%、例えば、レシピエント細胞の約60%-約70%、例えば、レシピエント細胞の約70%-約80%、例えば、レシピエント細胞の約80%-約90%、例えば、レシピエント細胞の約90%-約95%、またはそれ以上でのトランスフェクションをメディエートする能力を保持することができる。
【0063】
特定の実施態様では、HECTシステムが直鎖状10 KDa PEIを含む。特定の実施態様では、HECTシステムが、約11.6mg/Lの直鎖状10 KDa PEIを含むProCHO5TM培地を含む。特定の実施態様では、HECTシステムがDMSOをさらに含む。特定の実施態様では、HECTシステムがExcellGene開発のトランスフェクション培地CHOM4Tx(登録商標)を含む。
【0064】
本発明の特定の実施態様では、高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムは凍結安定である。特定の実施態様において、本発明はレシピエント真核細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞または動物細胞)への、精製された無傷の外因性核酸のトランスフェクションをメディエートする能力を保持しながら、約-20℃、長期(例えば、30日以上、例えば、60日以上、例えば、90日以上、例えば、180日以上、または例えば、350日以上)で保存され得る、直鎖25 KDaのPEIを含む、プレコンディショニングされたトランスフェクション培地を提供する。
【0065】
特定の実施態様において、本発明はレシピエント真核細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞または動物細胞)への、精製された無傷の外因性核酸のトランスフェクションをメディエートする能力を保持しながら、約-20℃、長期(例えば、30日以上、例えば、60日以上、例えば、90日以上、例えば、180日以上、または、例えば、350日以上)で保存され得る、直鎖10 KDaのPEIを含む、プレコンディショニングされたトランスフェクション培地を提供する。
【0066】
特定の実施態様において、本発明はレシピエント真核細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞または動物細胞)への、精製された無傷の外因性核酸のトランスフェクションをメディエートする能力を保持しながら、約-20℃、長期(例えば、30日以上、例えば、60日以上、例えば、90日以上、例えば、180日以上、または例えば、350日以上)で保存され得る、直鎖40 KDaのPEIを含む、プレコンディショニングされたトランスフェクション培地を提供する。
【0067】
特定の実施態様では、凍結安定HECTシステムが、精製された無傷の外因性核酸の、レシピエント真核細胞の少なくとも5%、例えば、レシピエント細胞の約10%-約20%、例えば、レシピエント細胞の約20%-約30%、例えば、レシピエント細胞の約30%-約40%、例えば、レシピエント細胞の約40%-約50%、例えば、レシピエント細胞の約50%-約60%、例えば、レシピエント細胞の約60%-約70%、例えば、レシピエント細胞の約70%-約80%、例えば、レシピエント細胞の約80%-約90%、例えば、レシピエント細胞の約90%-約95%、またはそれ以上でのトランスフェクションをメディエートする能力を保持することができる。
【0068】
特定の実施態様では、HECTシステムが30mg/Lの直鎖状25 KDa PEIを含む。特定の実施態様では、HECTシステムが約30mg/Lの直鎖状25 KDaのPEIを含むProCHO5TM培地を含む。特定の実施態様では、HECTシステムがDMSOをさらに含む。特定の実施態様では、HECTシステムがExcellGeneのトランスフェクション培地CHOM4Tx(登録商標)-1を含む。
【0069】
本発明の特定の実施態様において、長期安定性、低温安定性、および凍結安定性の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)系のPEIを含むプレコンディショニングされたトランスフェクション培地は、細胞増殖をサポートおよび促進することがさらに可能である。
【0070】
本発明の特定の実施態様において、プレコンディショニングされたトランスフェクション培地は昆虫細胞(例えば、SF-9細胞、S2細胞、またはHi-5細胞)をトランスフェクトするように設計されるが、他の昆虫細胞に関して限定することを意図しない。したがって、特定の実施態様では、昆虫細胞をトランスフェクトするように設計された本発明の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムが、昆虫細胞の増殖をサポートおよび促進することがさらに可能な細胞トランスフェクション培地、例えばFly-M4Tx(登録商標)(ExcellGene SA)、例えば上記に参照した培地のいずれか、または例えば表3に記載のいずれかの培地、例えば表1および表2に記載の成分の組み合わせによるいずれかの培地を含み、これらは、昆虫細胞の添加前および外因性核酸の添加前に、正に荷電したポリマー(例えばポリエチレンイミン(PEI)またはポリリジンなど)でプレコンディショニングされる。
【0071】
表3: 昆虫細胞を増殖およびトランスフェクトするための培地を調製するための(プレコンディショニングされる前の)、本発明の特定の実施態様における使用に適切な例示的な培地成分および量の範囲。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0072】
B. 正に荷電したポリマー
【0073】
本発明のシステムおよび方法は、細胞トランスフェクションのために正に荷電したポリマーを利用する。正に荷電したポリマーは、本発明のシステムおよび方法に適応するのに十分な細胞トランスフェクション培地を予め調整する(プレコンディショニングする)のに適した、任意の公知の正に荷電したポリマーから選択することができる。
【0074】
特定の実施態様では、正に荷電したポリマーが、任意のポリアルキレンイミン、ジアルキルアミノアルキルデキストラン、ポリリジン、樹枝状ポリリジン、高分岐ポリリジン類似体、ポリアルギニン、PDMAEMAs〔ポリ(2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート) 〕、ポリアミドアミン、ポリアミドアミンデンドリマー(PAMAM)、ポリアシルヒドラゾン、キトサン、カチオン性セルロース、カチオン性デキストラン、スペルミン、デキストラン-スペルミン、スペルミジン、および類似のポリカチオン性物質、ならびにそれらの誘導体またはそれら組み合わせからなる群より選択される。
【0075】
さらに、本発明のHECTシステムおよび方法における使用に適した正に荷電したポリマーの量は、精製された無傷の外因性核酸の真核細胞へのトランスフェクションをもたらす培地をプレコンディショニングされるのに十分な任意の量のポリマーである。
【0076】
本発明の特定の実施態様では、正に荷電したポリマーが、ポリアルキレンイミン、ジアルキルアミノアルキルデキストラン、ポリリジン、樹枝状ポリリジン、高分岐ポリリジン類似体およびその誘導体、任意の天然に存在するポリカチオン(キトサン、カチオン性セルロース、カチオン性デキストラン、スペルミン、デキストラン-スペルミン、およびその誘導体など)、ならびにそれらの任意の誘導体またはそれらの組合せからなる群から選択される。
【0077】
本発明のある態様において、正電荷ポリマーはポリエチレンイミンである。特定の実施態様では、ポリエチレンイミンが直鎖、分枝鎖または超分枝鎖である。特定の実施態様では、ポリエチレンイミンは直鎖状である。一実施態様では、培地をプレコンディショニングするために使用される正に帯電したポリマーが1mg/L培地から50mg/L培地の終濃度で添加される。
【0078】
本発明のある態様において、ポリエチレンイミンは、分子量が少なくとも10 KDaである。特定の実施態様では、ポリエチレンイミンが分子量25 KDaである。特定の別の実施態様では、ポリエチレンイミンが分子量10 KDaである。特定の実施態様ではポリエチレンイミンが異なる平均分子量の2つ以上のPEIの混合物、例えば、10 KDa分子量および25 KDa分子量PEIの混合物、25 KDa分子量および40 KDa分子量PEIの混合物、10 KDa分子量および40 KDa分子量PEIの混合物、または10 KDa分子量、25 KDa分子量および40 KDa分子量PEIの混合物である。
【0079】
1つの実施態様では、本発明のHECTシステムおよび方法の実施に使用するのに適したPEIは、直鎖状である。特定の実施態様では、直鎖状PEIは脱アシル化されている。特定の実施態様では、直鎖状PEIが少なくとも800ダルトン、例えば、1-5KDa、例えば、5-10KDa、例えば、10-15KDa、例えば、15-20KDa、例えば、20-25KDa、例えば、25-30KDa、例えば、30-40KDa、例えば、40-50KDa、またはそれ以上の平均分子量を有する。特定の実施態様では、直鎖状PEIが少なくとも5 KDa、例えば、5-10KDa、例えば、10-15KDa、例えば、15-20KDa、例えば、20-25KDa、例えば、25-30KDa、例えば、30-40KDa、例えば、40-50KDa、またはそれ以上の平均分子量を有する。特定の実施態様では、直鎖状PEIが少なくとも10 KDa、例えば、10-15KDa、例えば、15-20KDa、例えば、20-25KDa、例えば、25-30KDa、例えば、30-40KDa、例えば、40-50KDa、またはそれ以上の平均分子量を有する。特定の実施態様では、直鎖状PEIが少なくとも20 KDa、例えば、20-25KDa、例えば、25-30KDa、例えば、30-40KDa、例えば、40-50KDa、例えば、50-100KDa、またはそれ以上の平均分子量を有する。一実施態様では、直鎖状PEIが約10 KDaの平均分子量を有する。別の実施態様では、直鎖状PEIが約25 KDaの平均分子量を有する。
【0080】
一実施態様では、PEIが、1mg/L培地-50mg/L培地の終濃度で添加される直鎖状10 KDa PEIである。別の実施態様では、直鎖状10 KDa PEIを、2mg/L培地から40mg/L培地の終濃度で添加する。別の実施態様において、直鎖状10 KDa PEIは、3mg/L培地-30mg/L培地の終濃度で添加される。さらに別の実施態様において、直鎖状10 KDa PEIは、4mg/L培地-20mg/L培地の終濃度で添加される。別の実施態様において、直鎖状10 KDa PEIは、5mg/L培地-10mg/L培地の終濃度で添加される。別の実施態様において、直鎖状10 KDa PEIは、6mg/L培地-10mg/L培地の終濃度で添加される。別の実施態様において、直鎖状10 KDa PEIは、7mg/L培地-10mg/L培地の終濃度で添加される。別の実施態様において、直鎖状10 KDa PEIは、8mg/L培地-10mg/L培地の終濃度で添加される。別の実施態様において、直鎖状10 KDa PEIは、8mg/L培地-9mg/L培地の終濃度で添加される。別の実施態様において、直鎖状10 KDa PEIは、9mg/L培地-10mg/L培地の終濃度で添加される。
【0081】
別の実施態様では、PEIが、1mg/L培地-50mg/L培地の終濃度で添加される直鎖状25 KDa PEIである。別の実施態様において、直鎖状25 KDa PEIは、2mg/L培地-40mg/L培地の終濃度で添加される。別の実施態様において、直鎖状25 KDa PEIは、3mg/L培地-30mg/L培地の終濃度で添加される。さらに別の実施態様において、直鎖状25 KDa PEIは、4mg/L培地-20mg/L培地の終濃度で添加される。別の実施態様において、直鎖状25 KDa PEIは、5mg/L培地-10mg/L培地の終濃度で添加される。別の実施態様では、直鎖状25 KDa PEIは、6mg/L培地から10mg/L培地の終濃度で添加される。別の実施態様において、直鎖状25 KDa PEIは、7mg/L培地-10mg/L培地の終濃度で添加される。別の実施態様において、直鎖状25 KDa PEIは、8mg/L培地-10mg/L培地の終濃度で添加される。別の実施態様において、直鎖状25 KDa PEIは、8mg/L培地から9mg/L培地の終濃度で添加される。別の実施態様において、直鎖状25 KDa PEIは、9mg/L培地-10mg/L培地の終濃度で添加される。
【0082】
C. 精製された無傷の外来性核酸
【0083】
本発明の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムおよび方法の特定の実施態様において、精製された無傷の外因性核酸は、タンパク質、カチオン性脂質、カチオン性ポリマー、リポソーム形成成分、リン酸カルシウム、塩化カルシウム、ナノ粒子、金属、ポリマー遺伝子キャリア、デンドリマー、シクロデキストリン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される成分の1つ以上を含まない。
【0084】
特定の実施態様において、精製された無傷の外因性核酸は、タンパク質、カチオン性脂質、カチオン性ポリマー、リポソーム形成成分、リン酸カルシウム、塩化カルシウム、ナノ粒子、金属、ポリマー遺伝子キャリア、デンドリマー、およびシクロデキストリンからなる群より選択されるすべての成分を含まない。
【0085】
特定の実施態様では、精製された無傷の外因性核酸が、本質的に溶媒を含まない形態(例えば、物質のペレットとして)で存在し得るか、または水溶液(例えば、精製水)、またはTE緩衝剤(例えば、10mM Tris 1mM EDTA緩衝剤など)に溶解され得る。
【0086】
一実施態様では、真核細胞(例えば、ヒト細胞または動物細胞、昆虫細胞、魚細胞、植物細胞、真菌細胞、および鳥類細胞などの哺乳動物細胞)のトランスフェクションに適した精製された無傷の核酸は、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)の天然または合成ポリマー、またはデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチド(DNA-RNAハイブリッド)、ペプチド核酸(PNA)、またはロックド核酸(LNA)などの両方の混合物を含むバイオポリマーの任意のタイプまたは形態である。
【0087】
特定の実施態様では、DNAバイオポリマーには環状DNA形態、例えばプラスミド、直鎖状DNA、例えば増幅DNA産物、例えばDNAウイルスゲノムなどが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施態様において、本発明のHECTシステムおよび方法を使用して細胞にトランスフェクトされるDNAバイオポリマーは、プラスミドDNAである。特定の実施態様では、RNAバイオポリマーには、メッセンジャーRNA、例えばmRNA、トランスファーRNA、例えばtRNA、リボソームRNA、例えばrRNA、異種核RNA、例えばhn-RNA、低分子核内RNA、例えばsn-RNA、核小体低分子RNA、遺伝子の転写または翻訳を妨害することができる任意のタイプのRNA、例えば低分子干渉RNA、例えばsiRNA、マイクロRNA、例えばmiRNA、例えばmiRNA、例えば長鎖非翻訳RNA、例えばガイドRNA、例えばCRISPR RNA、例えば短鎖ヘアピンRNA、例えばアンチセンスRNA、例えばエンハンサーRNA、RNAウイルスゲノムなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0088】
本発明の特定の実施態様において、精製された無傷の外因性核酸は、DNA、RNA、PNA、LNA、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0089】
本発明の特定の実施態様では、精製された無傷の外因性核酸はDNAである。特定の実施態様では、DNAは環状である。特定の実施態様では、DNAはスーパーコイルDNAである。別の特定の実施態様では、DNAは直鎖状である。別の特定の実施態様では、精製された無傷の外因性核酸が直鎖状および/または環状DNAおよび/またはスーパーコイルDNAの混合物である。さらに別の実施態様では、精製された無傷の外因性核酸が剪断DNAをさらに含む。
【0090】
本発明の特定の実施態様では、精製された無傷の外因性核酸はRNAである。特定の実施態様では、RNAがmRNA、rRNA、hn-RNA、mi-RNA、sn-RNA、核小体低分子RNA、長鎖非翻訳RNA、ガイドRNA、マイクロRNA、CRISPR RNA、アンチセンスRNA、低分子干渉RNA、ショートヘアピンRNA、エンハンサーRNA、遺伝子発現を干渉することができる任意のRNA、および/またはそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0091】
本発明の特定の実施態様において、外因性核酸はレシピエント細胞(例えば、真核細胞、例えば、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞または動物細胞)、昆虫細胞、魚細胞、植物細胞、真菌細胞、または鳥類細胞)に既に存在するDNAまたはRNA配列と0%-100%同一であるか、または相補的であるヌクレオチド配列を有する。
【0092】
一実施態様では、外因性の核酸の配列がレシピエント細胞に既に存在する配列と全部または一部が同一ではなく、例えば、外因性の核酸はレシピエント細胞に既に存在するDNA若しくはRNA配列とは異なる、例えば、100%が異なる(0%が同一)、99%-90%が異なる(1%-10%が同一)、89%-80%が異なる(11%-20%が同一)、79%-70%が異なる(21%-30%が同一)、69%-60%が異なる(31%-40%が同一)、59%-50%が異なる(41%-50%が同一)、49%-40%が異なる(51%-60%が同一)、39%-30%が異なる(61%-70%が同一)、29%-20%が異なる(71%-80%が同一)、19%-10%が異なる( 81%-90%は同一)、9%-1%は異なる(91%-99%は同一)、0.5%は異なる(99.5%は同一)、0.1%は異なる(99.9%は同一)、さらに0.01%は異なる(99.99%は同一)。
【0093】
D. 細胞
【0094】
本発明のHECTシステムおよび方法と共に使用するのに適した真核細胞は外因性核酸でトランスフェクトすることができる任意の真核細胞、例えば、哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞)、動物細胞(例えば、魚細胞、後生動物細胞、または鳥類細胞)、昆虫細胞、植物細胞、または真菌細胞である。
【0095】
本発明の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムおよび方法の特定の実施態様において、真核細胞は哺乳動物細胞、例えば、培養された哺乳動物細胞である。ある実施態様において、哺乳動物細胞は動物から単離された始原細胞、例えば、哺乳動物から単離された始原細胞、例えばハムスターから単離された始原細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(例えば、CHO)細胞);ヒトから(例えば、ヒト胚性腎臓細胞、ヒト子宮頸癌細胞、ヒト前立腺癌細胞、ヒト副腎皮質白血病細胞、ヒト慢性骨髄性白血病細胞、ヒト前立腺癌細胞、ヒト肺癌細胞、ヒト骨癌細胞、ヒト神経芽腫細胞、ヒト急性骨髄性白血病細胞、またはヒト膠芽腫細胞);サルから(例えば、サル腎臓上皮細胞);マウスから(例えば、マウス胚性頭蓋冠細胞);ラットから(例えば、ラット下垂体腫瘍細胞またはラット褐色細胞腫細胞);およびイヌから(例えば、イヌ腎臓上皮細胞)選択される。
【0096】
特定の実施態様では、哺乳動物細胞はCHO細胞である。特定の実施態様では、CHO細胞がCHO-ori由来細胞、CHO K1由来細胞、CHO S由来細胞、CHO DG44由来細胞、CHOExpressTM細胞、およびCHO DUKX B11由来細胞からなる群より選択される。
【0097】
本発明の特定の実施態様において、本発明の実施における使用に適切な哺乳動物細胞株は、任意の型または種のヒト胚性腎臓(HEK293)細胞;ヒト子宮頸癌細胞(例えば、HeLa細胞);ヒト前立腺癌細胞(例えば、DU145); ヒト副腎皮質白血病細胞(例えば、H295R);ヒト慢性骨髄性白血病細胞(例えば、KBM-7細胞);ヒト前立腺癌細胞(例えば、LNCaP細胞、例えば、PC3細胞);ヒト乳癌細胞(例えば、MCF-7細胞、例えば、MDA-MB-468細胞、例えば、T-47D細胞);ヒト骨癌細胞(例えば、SaOS-2細胞);ヒト神経芽膠芽腫細胞(例えば、SH-SY5Y);ヒト急性骨髄性白血病細胞(例えば、THP-1細胞);ヒト神経芽膠芽腫細胞(例えば 、U87);サル腎臓上皮細胞(例えば、Vero細胞);マウス胚性カルバリウム細胞(例えば、MC3T3細胞);ラット下垂体腫瘍細胞(例えば、GH3);ラット褐色膠芽腫細胞(例えば、PC12細胞);イヌ腎臓上皮細胞(例えば、MDCK細胞)など、を含むが、これらに限定されない。
【0098】
本発明の特定の実施態様において、哺乳動物細胞は、単離されたヒトリンパ球、末梢血単核細胞、腫瘍浸潤性Tリンパ球などの、初代哺乳動物細胞であるが、これらに限定されない。
【0099】
本発明の特定の実施態様では、本発明のHECTシステムおよび方法が非哺乳動物真核細胞系を利用して実施することができる。1つの実施態様において、本発明の実施における使用に適切な非哺乳動物真核細胞系は、昆虫、魚または鳥類種に由来する細胞または細胞系を含む。
特定の実施態様では本発明を実施する際に使用するのに適した昆虫細胞系にはDrosophila melanogaster、例えば、Schneider 2細胞; Spodoptera frugiperda、例えば、Sf9細胞、例えば、Sf21細胞; Trichoplusia ni、例えば、High Five細胞など、由来のすべての種の細胞が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施態様では本発明を実施する際に使用するのに適した魚細胞系には限定されるものではないが、ゼブラフィッシュフィン線維芽細胞のすべての種、例えばAB9細胞が含まれる。特定の実施態様において、本発明の実施における使用に適切な鳥類細胞株はニワトリ胚線維芽細胞(CEF);ウズラ線維芽細胞(例えば、QT-6細胞);アヒル胚細胞(DE);ウズラ線維肉腫細胞(QF);ガチョウ胚上皮細胞株(GEE);ニワトリ線維芽細胞株(例えば、DF-1)などを含むが、これらに限定されない。
【0100】
本発明の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムの特定の実施態様では、真核細胞が、培養物、例えば懸濁培養物または接着増殖培養物中にある。
【0101】
本発明の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムの特定の実施態様では、真核細胞が懸濁培養(例えば、付着培養または固定床バイオリアクターでの培養に限定されない)とは異なる培養、例えば、特殊なバイオリアクターにおけるオルガノイドの形成をサポートする培養中にある。
【0102】
一実施態様では、真核細胞トランスフェクションシステム、方法、およびプレコンディショニングされた培地を使用して、レシピエント細胞を一過性にトランスフェクトする。別の実施態様において、真核細胞トランスフェクションシステム、方法、およびプレコンディショニングされた培地は、レシピエント細胞を安定にトランスフェクトするために使用される。本発明の開示に照らして、当業者は所望のレシピエント細胞を一過性または安定にトランスフェクトするために必要な適応を知り、そして認識する。
【0103】
III. 本発明の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)法
【0104】
本発明のシステムは、本明細書に記載されるように、精製された無傷の外因性核酸の真核細胞へのトランスフェクションをメディエートすることができる、正に荷電したポリマーでプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を含み、高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)の方法において、使用することができる。
【0105】
そのようなものとして、本発明の1つの実施態様は、以下のステップを含む、高度に効率的な真核細胞トランスフェクション(HECT)方法を提供する;
例えば、本明細書に記載の本発明の培地に従って、精製された無傷の外因性核酸の真核細胞へのトランスフェクションをメディエートすることができる、正に荷電したポリマーでプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を得る工程;
真核細胞をプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地と組み合わせて、細胞を補充されたプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を生成する工程;そして、
該細胞を補充されたプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を、精製された無傷の外因性の核酸と組み合わせて、精製された無傷の外因性の核酸が、非常に効率的な様式で真核細胞にトランスフェクトされる工程。
【0106】
本発明の別の実施態様は、以下の工程を含む、高度に効率的な真核細胞トランスフェクション(HECT)方法を提供する;
例えば本明細書に記載の本発明の培地に従って、精製された無傷の外因性核酸の真核細胞へのトランスフェクションをメディエートすることができる、正に荷電したポリマーでプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を得る工程;
プレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を、精製された無傷の外因性の核酸と組み合わせて、核酸を補充されたプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を生成する工程;および
真核細胞を、精製された無傷の外因性の核酸を含むプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地と組み合わせて、精製された無傷の外因性の核酸が、高効率の様式で真核細胞にトランスフェクトされるようにする工程。
【0107】
本発明のさらに別の実施態様は、以下の工程を含む、高度に効率的な真核細胞トランスフェクション(HECT)方法を提供する;
細胞トランスフェクションに適した容器に収容された、精製された無傷の外因性核酸を得る工程;
真核細胞へのトランスフェクションをメディエートすることができる、例えば本明細書に記載の本発明の培地に従って、正に荷電したポリマーでプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を得る工程;
プレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を、容器中の精製された無傷の外因性の核酸と組み合わせて、核酸を補充されたプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を生成する工程;および
真核細胞を、精製された無傷の外因性の核酸を含むプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地と組み合わせて、精製された無傷の外因性の核酸が、非常に効率的な様式で真核細胞にトランスフェクトされるようにする工程。
【0108】
本発明の方法の特定の実施態様において、培地は、表Bに列挙される成分の任意の組み合わせを含む(プレコンディショニングされる前):
【表B-1】
【表B-2】
【表B-3】
【表B-4】
【表B-5】
【0109】
本発明の方法の特定の実施態様において、培地は、表Cに列挙される成分のいずれかを含む(プレコンディショニングされる前):
【表C-1】
【表C-2】
【表C-3】
【0110】
本発明の方法の特定の実施態様において、培地は、表Dに列挙される成分のいずれかを含む(プレコンディショニングされる前):
【表D-1】
【表D-2】
【表D-3】
【表D-4】
【0111】
本発明の方法のある態様において、正に荷電したポリマーはポリエチレンイミンである。特定の実施態様では、ポリエチレンイミンが直鎖または分枝鎖である。特定の実施態様では、ポリエチレンイミンは直鎖である。特定の実施態様において、ポリエチレンイミンは、分子量が少なくとも10 KDaである。特定の実施態様では、ポリエチレンイミンが分子量25 KDaである。別の特定の実施態様では、ポリエチレンイミンが分子量10 KDaである。別の特定の実施態様では、ポリエチレンイミンが分子量40 KDaである。特定の実施態様において、10、25および40 KDのポリエチレンイミンの組み合わせを、細胞のトランスフェクションを効率的にメディエートする目的のためのプレコンディショニングされた培地において実用的かつ有用であることが見出されるように、互いに対する重量比の任意の組み合わせ(例えば、1:1:1、1:2:1、1:3:1、3:1:1など)で使用し得る。
【0112】
本発明の方法の特定の実施態様において、真核細胞は、一過性にトランスフェクトされる。
【0113】
本発明の方法の特定の実施態様において、真核細胞は、安定にトランスフェクトされる。
【0114】
本発明の方法の特定の実施態様において、プレコンディショニングされたトランスフェクション培地は低温安定性であり、ここで、培地は少なくとも35日間4℃で保持され、精製された無傷の外因性核酸で少なくとも10%のレシピエント真核細胞のトランスフェクションをメディエートする能力を保持することができ(図8)、一方、例えば、少なくとも28日間4℃で保存された場合、IgG抗体について少なくとも60mg/Lの発現収量も提供する(図9)。
【0115】
本発明の方法の特定の実施態様において、プレコンディショニングされたトランスフェクション培地は凍結安定性であり、ここで、培地は少なくとも35日間-22℃で凍結され、精製された無傷の外因性核酸で少なくとも10%のレシピエント真核細胞のトランスフェクションをメディエートする能力を保持することができ(図8)、一方、例えば、少なくとも28日間-22℃で保存された場合、IgG抗体について少なくとも60mg/Lの発現収量も提供する(図9)。
【0116】
特定の実施態様では、培地が分子量25 KDaのポリエチレンイミンを含む。特定の実施態様では、培地が分子量10 KDaのポリエチレンイミンを含む。
【0117】
本発明の方法の特定の実施態様において、真核細胞は、哺乳動物細胞、魚細胞、昆虫細胞、および鳥類細胞からなる群より選択される。特定の実施態様では、真核細胞は哺乳動物細胞である。
【0118】
本発明の方法の特定の実施態様では、真核細胞は哺乳動物細胞である。特定の実施態様において、哺乳動物細胞は動物、ハムスター、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から、ヒト、例えばヒト胚性腎臓細胞、ヒト子宮頸癌細胞、ヒト前立腺癌細胞、ヒト副腎皮質癌細胞、ヒト慢性骨髄性白血病細胞、ヒト前立腺癌細胞、ヒト乳癌細胞、ヒト骨癌細胞、ヒト神経芽腫細胞、ヒト急性骨髄性白血病細胞、またはヒト神経膠芽腫細胞から、サル、例えばサル腎臓上皮細胞から、マウス、例えばマウス胚性頭蓋冠細胞から、ラット、例えばラット下垂体腫瘍細胞またはラット褐色細胞腫細胞から、およびイヌ、例えばイヌ腎臓上皮細胞から、単離された始原細胞から選択される。
【0119】
特定の実施態様では、哺乳動物細胞はCHO細胞である。特定の実施態様において、CHO細胞は、CHOExpress細胞であるか、またはCHO-S細胞である(図7)。特定の実施態様では、CHO細胞がCHO K1由来細胞、CHO S由来細胞、CHO DG44由来細胞、CHOExpressTM細胞、およびCHO DUKX B11由来細胞からなる群より選択される。
【0120】
本発明の方法の特定の実施態様では、真核細胞は昆虫細胞である。本発明の方法の特定の実施態様において、昆虫細胞は、S2細胞(ショウジョウバエ)、SF9細胞、SF21細胞(Spodoptera frugiperda)、またはHiFive細胞(Trichoplusia ni)から選択される。本発明の特定の実施態様において、選択された細胞は、SF9細胞である(図10および図11)。本発明の特定の実施態様において、選択された細胞はS2細胞である(図11)。
【0121】
本発明の方法の特定の実施態様において、精製された無傷の外因性核酸は、タンパク質、カチオン性脂質、カチオン性ポリマー、リポソーム形成成分、リン酸カルシウム、塩化カルシウム、ナノ粒子、金属、ポリマー遺伝子キャリア、デンドリマー、およびシクロデキストリン、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含まない。
【0122】
本発明の方法の特定の実施態様において、精製された無傷の外因性核酸は、DNA、RNA、PNA、LNA、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0123】
本発明の特定の実施態様では、精製された無傷の外因性核酸はDNAである。特定の実施態様では、DNAは環状である。特定の実施態様では、DNAはスーパーコイルDNAである。別の特定の実施態様では、DNAは直鎖状である。別の特定の実施態様では、精製された無傷の外因性核酸が直鎖状および/または環状DNAおよび/またはスーパーコイルDNAの混合物である。さらに別の実施態様では、精製された無傷の外因性核酸が剪断DNAをさらに含む。
【0124】
本発明の方法の特定の実施態様では、精製された無傷の外因性核酸はRNAである。特定の実施態様において、RNAは、mRNA、rRNA、hn-RNA、mi-RNA、sn-RNA、核小体低分子RNA、長鎖非翻訳RNA、ガイドRNA、マイクロRNA、CRISPR RNA、アンチセンスRNA、低分子干渉RNA、ショートヘアピンRNA、エンハンサー領域RNA、遺伝子発現を妨害することができる任意のRNA、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0125】
IV. 本発明の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)キット
【0126】
本発明の系はさらに、真核細胞の高効率トランスフェクションにおける使用のためのキットとしてパッケージングされ得る。したがって、本発明の別の実施態様は、本発明の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムを含む真核細胞の高効率トランスフェクションのためのキットを提供し、以下を含む;
PEI、例えば、10KDa PEIまたは25 KDa PEIまたは40 KDa PEIを含むプレコンディショニングされたトランスフェクション培地;
真核細胞が、哺乳動物細胞、昆虫細胞、魚細胞および鳥類細胞からなる群から選択される、HECTシステムのプレコンディショニングされたトランスフェクション培地に適合する真核細胞;
ならびに、
前記真核細胞に適合するDNA発現ベクター。
【0127】
特定の実施態様では、キットが使用説明書と共に包装される。特定の実施態様では、使用説明書が使用を指示する、容器または包装に関連付けられる。
【0128】
本発明のキットの特定の実施態様では、真核細胞は哺乳動物細胞である。特定の実施態様において、哺乳動物細胞は動物、ハムスター、例えばチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞から、ヒト、例えばヒト胚性腎臓細胞、ヒト子宮頸癌細胞、ヒト前立腺癌細胞、ヒト副腎皮質癌細胞、ヒト慢性骨髄性白血病細胞、ヒト前立腺癌細胞、ヒト乳癌細胞、ヒト骨癌細胞、ヒト神経芽腫細胞、ヒト急性骨髄性白血病細胞、またはヒト神経膠芽腫細胞から、サル、例えばサル腎臓上皮細胞から、マウス、例えばマウス胚性頭蓋冠細胞から、ラット、例えばラット下垂体腫瘍細胞またはラット褐色細胞腫細胞から、およびイヌ、例えばイヌ腎臓上皮細胞から単離された始原細胞から選択される。
【0129】
特定の実施態様では、哺乳動物細胞はCHO細胞である。特定の実施態様では、CHO細胞がCHO K1由来細胞、CHO S由来細胞、CHO DG44由来細胞、CHOExpressTM細胞、およびCHO DUKX B11由来細胞からなる群より選択される。
【実施例
【0130】
特定の実施態様では本発明の高効率細胞トランスフェクションシステム、方法、およびプレコンディショニングされた培地を利用する真核細胞、例えば哺乳動物細胞、例えばCHO細胞種のトランスフェクションは以下の手順に従って実施することができる。
【0131】
当業者は、本明細書に開示される発明に照らして、本明細書に記載されるものと同様の手順が様々な核酸(例えば、DNA、例えば、プラスミドDNA)を使用して、真核細胞(例えば、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞または動物細胞、例えば、CHO細胞種)のトランスフェクションを達成するために使用され得、そして本明細書に記載される高効率真核細胞トランスフェクションシステム、方法およびプレコンディショニングされた培地を利用することを知っている。
【0132】
実施例1
PEIプレコンディショニングされたCHO細胞トランスフェクション培地
【0133】
A. CHOM4Tx(登録商標):PEIプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地
調製直後、CHOM4Tx(登録商標)を0.22mmフィルター(Millipore #SCGPT05RE)を通して濾過滅菌し、使用するまで4℃または-20℃で保存した。特定の例において、培地は保存の前に、8つの10mlおよび100ml容量に等分された。
【0134】
B. CHOM4Tx(登録商標)-1(TM)は、PEIプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地である
調製直後、CHOM4Tx(登録商標)-1トランスフェクション培地を、0.22mmフィルター(ミリポア#SCGPT05RE)を通して濾過滅菌し、使用するまで4℃または-20℃で保存した。特定の例において、培地は、保存前に8つの10mLおよび100mL容量に等分された。
【0135】
C. PEI溶液の調製
500mlのUHP水を、エンドトキシンを含まない無菌の1リットルボトルに添加した。液体を、予め滅菌したマグネチックバーの助けを借りて撹拌した。重量で1000mgのPEIを液体に添加した(注:PEIの凝集したコンシステンシーは、1gを正確に秤量することを困難にした)。
【0136】
清浄なpHプローブを液体中に導入し、観察し、pH値を次の工程の間に得た。タイマーを始動させ、直ちに3.7% HCl溶液を滴下して、最終的に2.6-2.7のpH値を得た。(注:HCl溶液の容量は約10mlであるべきである)。
【0137】
溶液を15分間撹拌し、そこで、より高いpH値にドリフトした場合、2.6-2.7のpH値が得られるまで、より多くのHCl溶液を添加した。撹拌を45分の時間が経過するまで続けた。pHを前述のように再び目標値に調整した。全てのPEIが完全に溶解したら、pH7.0が得られるまで(7-8ml)、撹拌しながら1M NaOH溶液を滴下した。約400mlのUHP水を添加し、pHをチェックした。短時間後にpHがpH 7.0よりわずかに低いことが見出されたとき、少量のNaOHを再び添加してpH 7.0に調整した。最後に、1000mlの容量のUHP水を添加した。
【0138】
全体積を、好ましくは「Steri-Top」500ml単位(例えば、Millipore/Merckまたは同等によって提供される)を使用して、層流フード下で0.22μmフィルターを通過させて、滅菌1Lボトルに入れた。層流フード保護下で、PEI溶液のアリコートを、5ml、10mlまたは20mlなどの都合のよい体積で生成した。
【0139】
実施例2
PEIプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を用いたCHO細胞の高効率一過性トランスフェクション
【0140】
A. CHOExpressTM、CHO-S、またはCHO-K1種系列細胞培養物の調製
ProCHO5TM培地(Lonza、CAT #BE02-041Q)中で37℃、5% CO2、および90%湿度で振盪(180rpm)しながら活発に増殖するCHOExpressTM、CHO-S、またはCHO-K1細胞が使用された。細胞濃度を測定し、約0.5×106細胞/mlを含む容量を除去し、3000×gで3-5分間遠心分離し、ペレット化した細胞を、新鮮な、予め温めた(37℃)ProCHO5TM培地(ロンザ、CAT #BE02-041Q)に再懸濁した。細胞を、37℃、5% CO2、および90%湿度で、振盪(180rpm)しながら3日間増殖させて、約3.5-6×106細胞/mlの濃度に到達させた。
【0141】
B.トランスフェクション用の細胞の調製
3日目、細胞トランスフェクションの約24時間前に、種系列(シードトレイン)細胞の密度を測定した。約2×106細胞/mlを含む細胞の容量を取り除き、遠心分離し、ペレット化された細胞を、新鮮で事前加温された37℃ ProCHO5TM培地(Lonza, CAT #BE02-041Q)で再懸濁した。細胞を、振盪(180 RPM)しながら、37℃、5% CO2、および90%湿度で一晩増殖させ、少なくとも5×106細胞/mlの密度に達した。
【0142】
トランスフェクションの日に、細胞計数を一晩培養物で行った。各トランスフェクションについて、適切な容量の細胞を除去し、遠心分離し、2mlまたは4mlのプレコンディショニングされたCHOM4Tx(登録商標)トランスフェクション培地またはPEIプレコンディショニングされたCHOM4Tx(登録商標)-1TMトランスフェクション培地に再懸濁した。5mlのトランスフェクションのために、除去され、遠心分離された細胞の体積は、2mlのCHOM4Tx(登録商標)若しくはCHOM4Tx(登録商標)-1TM PEIプレコンディショニングされた培地に再懸濁された場合、10×106細胞/mlの濃度をもたらした細胞の体積であった。10mlのトランスフェクションのために、除去および遠心分離された細胞の体積は、4mlのCHOM4Tx(登録商標) 若しくはCHOM4Tx(登録商標)-1TMPEIプレコンディショニングされた培地に再懸濁された場合、10×106細胞/mlの濃度を生じた細胞の体積であった。
【0143】
C.トランスフェクション
トランスフェクションに適し、目的の遺伝子を含むCHOExpress(登録商標)、CHO-S、またはCHO-K1細胞(図4)における発現をサポートするプラスミドDNA発現ベクターp4Tx(登録商標)(pXLG4Tx(登録商標)とも呼ばれる)(したがって、p4Tx(登録商標)-HCおよびp4Tx(登録商標)-LC(抗体タンパク質が発現されると考えられる場合)などの適切な名称で改名された)を、標準条件下で細菌中で予め増殖させ、当技術分野で周知の標準DNA抽出方法を使用して細菌細胞から精製した。
【0144】
1つの例において、目的のDNAは、免疫グロブリンG(IgG)をコードし、そして各々が重鎖(HC)構築物または軽鎖(LC)構築物のいずれかを含む2つのベクターが提供された。緑色蛍光タンパク質(GFP)レポーター遺伝子、pEGFP-N1(図3)を含むCHOExpressTM、CHO-S、またはCHO-K1細胞において発現するのに適した第3のプラスミドも調製し、p4Tx(登録商標)でのトランスフェクションに使用した(図4)。
【0145】
精製したDNAをTE緩衝剤に1mg/mlの濃度まで再懸濁し (それぞれ重量比で4.5:4.5:1のp4Tx(登録商標)-HC: p4Tx(登録商標)-LC: pEGFP-N1を含む)、かくして、精製された無傷の核酸の溶液を生成する。各トランスフェクションのための適切な容量のDNAを、50mlのコニカルチューブにアリコートした。
【0146】
i.CHOM4Tx(登録商標)培地におけるトランスフェクション:
5mlのトランスフェクションのために、約26μlの精製p4Tx(登録商標)DNA溶液、すなわち約26μgのDNAをチューブに添加した。10mlのトランスフェクションのために、約52μlの精製DNA溶液、すなわち約52μgのDNAをチューブに添加した。
【0147】
ii.CHOM4Tx(登録商標)-1TM培地中でのトランスフェクション:
5mlのトランスフェクションのために、約24μlの精製p4Tx(登録商標)DNA溶液、すなわち約24μgのDNAをチューブに添加した。10mlのトランスフェクションのために、約48μlの精製DNA溶液、すなわち約48μgのDNAをチューブに添加した。
【0148】
CHOM4Tx(登録商標)培地またはCHOM4Tx(登録商標)-1TMトランスフェクション培地に懸濁したCHOExpress(登録商標)、CHO-S、またはCHO-K1細胞を、DNA含有チューブに移し、穏やかに混合した。全ての細胞を、振盪(180rpm)しながら、31℃、5% CO2、および90%湿度で3時間インキュベートした。3時間のインキュベーション後、予め温めたCHO4Tx(登録商標)PM(ExcellGene SA)をトランスフェクトした細胞(トランスフェクト細胞、トランスフェクトした細胞若しくはトランスフェクトされた細胞ともいう。以下同様)に添加した。3または6mlのCHO4Tx(登録商標)PM培地を、それぞれ5または10ml容量のトランスフェクト細胞(トランスフェクトされた細胞若しくはトランスフェクトした細胞ともいう。以下同様)に添加した。CHO4Tx(登録商標)PM(ExcellGene SA)は、トランスフェクションのために最適化された強化生産培地である。それを0.22μmフィルター(ミリポア#SCGPT05RE)を通して濾過滅菌し、4週間まで4℃で保存する。
【0149】
D. 製造
トランスフェクトした細胞を、記載の条件下でインキュベートし、そして種々の時点でサンプリングして、目的の遺伝子の発現をモニターした。典型的には、トランスフェクションの1日後、3日後、7日後、および14日後に細胞をサンプリングした。
【0150】
E. 対照
対照CHOExpressTM、CHO-S、またはCHO-K1細胞のトランスフェクションは、PEIで前もって調整されていない(プレコンデイションされていない)細胞培養培地を使い、上記の条件を用いて実施した。
【0151】
F. 結果
CHOM4Tx(登録商標)培地でトランスフェクトしたCHO-K1細胞は優れた細胞生存率、84%-91%の生存率、および5.3-7.0×106細胞/mlの範囲の最大増殖を示し、約7%-16%の細胞がGFPレポーター遺伝子を発現した。7日目に、トランスフェクトされた細胞からのIgG発現は、約29-50mg/Lタンパク質の範囲であった。14日目に、トランスフェクトされた細胞からのIgG発現は、約37-130mg/Lタンパク質の範囲であった(データは示さず)。
【0152】
CHOM4Tx(登録商標)-1TM培地でトランスフェクトしたCHO-S細胞は、優れた細胞生存率、95%-ほぼ100%の生存率、および4.7-5.6×106細胞/mlの範囲の最大増殖を示し、約10%-30%の細胞がGFPレポーター遺伝子を発現した。7日目に、トランスフェクトされた細胞からのIgG発現は、約30-160mg/Lタンパク質の範囲であった。14日目に、トランスフェクトされた細胞からのIgG発現は、約25-290mg/Lタンパク質の範囲であった(データは示さず)。
【0153】
PEIを含まない培地(プレコンディショニングされていない)中で実施された対照トランスフェクションは0mg/LのIgGタンパク質をもたらし、GFPレポーター遺伝子発現は観察されなかった(データは示さず)。プレコンディショニングされた培地を用いない対照トランスフェクションの参照については、図6を参照されたい。
【0154】
同様の実験を、異なるトランスフェクション培地、例えば、PEI、例えば、10 KDa PEI、もしくは、例えば、25 KDa PEIもしくは例えば、40 KDa、または例えば、これらのPEI調製物の2つもしくは3つの混合物でプレコンディショニングされたFreestyleTM培地又はCD-CHO培地)を用いて行った。CHOM4Tx(登録商標)およびCHOM4Tx(登録商標)-1TM培地と同様に、PEIでプレコンディショニングされたCDCHO(ThermoFisher Scientific)およびFreestyleTM(ThermoFisher Scientific)培地は、レシピエント細胞の少なくとも10%への、精製された無傷の核酸(例えば、DNA)のトランスフェクションを容易にし、CHO S細胞において約50mg/LおよびCHOExpress細胞において150mg/Lを超える抗体収率をもたらした(図7)。
【0155】
実施例3
保存されたPEIプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を用いたCHO細胞の高効率一過性トランスフェクション
【0156】
A. 種系列細胞培養の調製
ProCHO5TM培地(Lonza、CAT #BE02-041Q)中で活発に増殖している種系列CHOExpressTM、CHO-S、またはCHO-K1細胞を調製し、記載のように使用した。CHOExpressTM細胞もまた、ExcellGeneの化学的に規定されたFlexicho(登録商標)培地中で種系列により培養した。
【0157】
B. トランスフェクション用の細胞の調製
種系列(シードトレイン)細胞から収集したCHOExpressTM、CHO-S、またはCHO-K1細胞を、記載のように調製した。各トランスフェクションについて、適切な容量の細胞を除去し、遠心分離し、そして2mlまたは4mlの予め凍結および解凍したCHOM4Tx(登録商標)培地またはCHOM4Tx(登録商標)-1TM培地に再懸濁した。
【0158】
C. トランスフェクション
目的の遺伝子を含むプラスミドDNAを、大腸菌細菌中で予め産生し、そして上記のように精製した。5mlのトランスフェクションのために、約24μlの精製DNA溶液、すなわち約24μgのDNAをチューブに添加した。10mlのトランスフェクションのために、約48μlの精製DNA溶液、すなわち約48μgのDNAをチューブに添加した。予め凍結および解凍したCHOM4Tx(登録商標)培地またはCHOM4Tx(登録商標)-1培地に懸濁した細胞をDNA含有チューブに移し、穏やかに混合した。いくつかの試料では、硫酸デキストラン(DS)を細胞に終濃度1g/Lまで添加し、DNAを培地/細胞混合物中に懸濁した。細胞を、振盪(180rpm)しながら、31℃、5% CO2、および90%湿度で3時間インキュベートした。3時間のインキュベーションの後、予め温めたCHO4Tx(登録商標)PMを、上記のように、トランスフェクトされた細胞に添加した。
【0159】
D. 製造
トランスフェクトされた細胞を、上記の条件下でインキュベートし、そして種々の時点でサンプリングして、目的の遺伝子の発現をモニターした。典型的には、トランスフェクションの1日後、3日後、7日後、および14日後に細胞をサンプリングした。
【0160】
E. 対照
保存MTx培地(4℃, -22℃)と比較した対照トランスフェクションを、新しく調製したCHOM4Tx(登録商標)培地またはCHOM4Tx(登録商標)-1培地を利用して、上記の状態で行った。
【0161】
F. 結果
CHOM4Tx(登録商標)培地でトランスフェクトされたCHOExpressTM細胞を、0(対照、新しく調製したトランスフェクション培地)、又は7、14、21、28または35日の間について4℃または-22℃で間保存したところ、優れた細胞生存率、約90%-ほぼ100%の生存率が実証され、約30%-45%の細胞がGFPレポーター遺伝子を発現していた(図8)。4℃または-22℃で0、7、14、21、28日間保存した培地において、トランスフェクション後7日目にサンプリングしたトランスフェクト細胞からのIgG発現は、約80mg/L(80-100mg/L)蛋白質であった(図9)。4℃で約1および7日間保存した培地において、トランスフェクション後14日目にサンプリングしたトランスフェクト細胞からのIgG発現は、約150mg/L蛋白質であった(データは、グラフに示さず)。
【0162】
CHOM4Tx(登録商標)培地でトランスフェクトされ、0、7、14、21、28または35日間、4℃若しくは-22℃で保存されたCHOExpressTM細胞は、そこではデキストラン硫酸も補充された、優れた細胞生存率、約90%-ほぼ100%の生存率を示し、約15%-45%の細胞がGFPレポーター遺伝子を発現していた(データには示されていない)。4℃で約1、7および14日間保存した培地において、トランスフェクション後7日目にサンプリングしたトランスフェクト細胞からのIgG発現は、約80mg/L蛋白質であった。4℃で約1および7日間保存した培地において、トランスフェクション後14日目にサンプリングしたトランスフェクト細胞からのIgG発現は、それぞれ約150mg/Lおよび300mg/L蛋白質の範囲であった。
【0163】
-22℃で約0、7、14、21、28または35日間保存したCHOM4Tx(登録商標)-1培地でトランスフェクトしたCHOExpressTM細胞は、優れた細胞生存率、約95%-ほぼ100%の生存率を示し、約30%-45%の細胞がGFPレポーター遺伝子を発現した。-22℃で約1、7および14日間保存されたトランスフェクション(プレコンディショニングされた)培地サンプルにおいて、トランスフェクション後7日目にサンプリングされたトランスフェクト細胞からのIgG発現は、約180mg/L蛋白質であった。-22℃で1日間および7日間保存した培地サンプルにおいて、トランスフェクション後14日目にサンプリングしたトランスフェクト細胞からのIgG発現は、それぞれ約425mg/Lおよび450mg/L蛋白質であった(データはグラフで示さず)。
【0164】
他の実験において、CHOM4Tx(登録商標)およびCHOM4Tx(登録商標)-1培地は、30日より長く、例えば60日まで、または例えば90日まで、またはそれより長く、4℃または-20℃で保存され、そして形質移入(トランスフェクション、ともいう)実験において使用される。CHOM4Tx(登録商標)およびCHOM4Tx(登録商標)-1培地は60日まで、または90日まで、またはそれ以上の間、4℃または-22℃で保存され、レシピエント真核細胞集団の少なくとも5%、例えば、少なくとも10%への精製された外因性核酸の形質移入をもたらす能力を保持する(データは、グラフで示さず)。
【0165】
実施例4
PEIプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を用いた昆虫細胞の高効率一過性トランスフェクション
【0166】
少なくとも3つの異なる昆虫細胞系、例えば、ショウジョウバエ・メラノガスター(Drosophila melanogaster)由来の細胞系、例えば、Schneider 2(S2)細胞、Spodoptera frugiperda、例えば、Sf9細胞、例えば、Sf21細胞またはTrichoplusia ni、例えば、High Five細胞を、本発明の真核生物系、方法およびプレコンディショニングされた培地を利用して、精製された無傷の外因性核酸、例えば、DNAでトランスフェクトする。昆虫細胞培養培地を、約4-約15g/LのPEI、例えば、10 KDaのPEIまたは例えば、25 KDaのPEIまたは40 KDaのPEIでプレコンディショニングし、Fly-M4Tx(登録商標)1、Fly-M4Tx(登録商標)2、FlyM4Tx(登録商標)3(ExcellGene SA)と呼ぶ。
【0167】
A. 種系列(シードトレイン)細胞培養物
S2、SF9またはHi-5細胞の種系列培養物を、FlexiFly(登録商標)培地(それぞれ、S2、SF9、HiFive)で、50mlのOrbShakeチューブ〔10mlの作業容量、インキュベーターシェーカー中180rpmで振盪、50mmの容積半径(displacement radius) 〕において、28℃で維持した (ExcellGene)。
【0168】
B. トランスフェクションおよびトランスフェクションのための細胞の調製
種系列培養物(3日目)から回収したS2、SF9またはHi-5細胞が、次のように調製された:
トランスフェクションの日に、各トランスフェクションについて、適切な容量の細胞を除去し、遠心分離し、そして2×106細胞/mlの密度で、プレコンディショニングされたFly-MTx(登録商標)-1(S2)、Fly-M4Tx(登録商標)-2(Sf9)またはFly-M4Tx(登録商標)-3(HiFive)培地(それぞれ、トランスフェクションのための宿主に依存する)に再懸濁した。
【0169】
トランスフェクションのためのDNA、すなわち、GFPおよびTNFR-Fcをコードする昆虫細胞トランスフェクションベクターの混合物(図5)を、S2細胞およびSF-9細胞のそれぞれの細胞懸濁液を含有するプレコンディショニングされたトランスフェクション培地に移す前に、50mlのOrbShakeチューブにプレロードした。続いて、細胞を、上記のように、28℃で14日までインキュベートした。トランスフェクション効率を4日目に決定し、タンパク質収率を10日目に決定した。
【0170】
C. 対照(コントロール)
PEIプレコンディショニングされたFly-MTx培地での全てのトランスフェクションは、非PEIプレコンディショニングされた(PEIプレコンディショニングされない)培地でのトランスフェクションのためのプロトコールに厳密に従うことによって制御した。
【0171】
D. 結果
昆虫細胞Fly-M4Tx(登録商標)-2(Sf9)(ExcellGene SA)のための化学的に規定された培地中でトランスフェクションを実施した。10日目に、24℃でトランスフェクション製造後の段階を実施した場合、77mg/Lのタンパク質収率が観察されたが、トランスフェクション効率は4日目に24%であることが観察された(図10)。
【0172】
同等のトランスフェクションを、S2細胞およびHiFive細胞中で実行し、それぞれ、個別にプレコンディショニングされた昆虫細胞培地中で行い、実施例に示すように同様の結果を得た(データはグラフに示さず)。プレコンディショニングされたFly-M4Tx(登録商標)-1(S2)およびFly-M4Tx(登録商標)-3(HiFive)(ExcellGene SA)をそれぞれ使用した。すべての場合において、>20%(day2-day4)のトランスフェクション効率および>30mg/Lの産物収量が観察された。
【0173】
記載されるように、SF9およびS2昆虫細胞を、種培養物を得た後に、プレコンディショニングされたFly-M4Tx(登録商標)培地でトランスフェクトした。トランスフェクションは、細胞のGFP染色(3日目)によって測定されるように、40または60%のトランスフェクション効率をもたらし、10日目までに20または70mg/Lのタンパク質(TNFR-Fc)を提供した(図11)。非PEI培地を用いた対照(コントロール)トランスフェクションは、産物合成を生じず(0mg/L)、緑色蛍光タンパク質発現細胞を全く示さなかった。
【0174】
参考引用
本明細書に引用される全ての特許、公開された特許出願および他の参考文献の全内容は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0175】
均等物
本発明の詳細な実施態様をここに開示するが、開示された実施態様は様々な形態で実施され得る本発明の単なる例示であることを理解されたい。加えて、本発明の様々な実施態様に関連して与えられた実施例の各々は例示的なものであり、限定的なものではないことが意図されている。当業者は、本明細書に記載された特定の手順に対する多数の当量を認識するか、またはルーチンの実験のみを使用して確認することができる。そのような当量は、本発明の範囲内にあると考えられ、以下の特許請求の範囲によってカバーされる。さらに、本明細書で提供される任意の数値またはアルファベットの範囲は、それらの範囲の上限値および下限値の両方を含むことが意図される。さらに、任意のリストまたはグループ化は少なくとも1つの実施態様では独立した実施態様をリストする簡潔または便利な方法を表すことを意図しており、したがって、リストの各メンバは、別個の実施態様とみなされるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2021-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正に荷電したポリマーでプレコンディショニングされた(予め調整された、ともいう)細胞トランスフェクション培地を含む真核細胞への、精製された無傷の外因性核酸のトランスフェクションを、メディエート(媒介ともいう)することができる高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項2】
前記真核細胞が、懸濁培養物または接着増殖培養物中にある、請求項1に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項3】
請求項1に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムであって、
ここで、該細胞トランスフェクション培地は、以下を含む:
5-200mg/L CaCl2(無水);
15-70mg/L MgCl2(無水);
0-0.08mg/L Fe(NO3)39H2O;
20-110mg/L MgSO4(無水);
30-100mg/L Na2HPO4;
30-300mg/L NaH2PO4 H2O;
0.002-0.07mg/L SeNa2O3;
280-500 mg/L KCL;
40-1050mg/L L-アスパラギンH2O;
20-1000mg/L L-アスパラギン酸;
50-1000mg/L L-イソロイシン;
50-1200mg/L L-ロイシン;
50-500mg/L L-メチオニン;
100-1000mg/L L-バリン;
25-1000mg/L L-フェニルアラニン;
25-430mg/L L-チロシン, 2Na, 2H2O;
100-1200mg/L L-リジン 塩酸;
50-1050mg/L L-スレオニン;
100-500mg/L L-ヒスチジン;
50-500mg/L L-セリン;
2-500mg/L L-トリプトファン;
200-5000mg/L L-アルギニン 塩酸;
25-250mg/L L-システイン;
15-150mg/L L-システイン 2塩酸;
0.003-1mg/L D-ビオチン;
0.05-5mg/L ビタミンB12;
0.05-5mg/L リボフラビン;
0.5-20mg/L 塩酸チアミン;
0.1-7mg/L D-カルシウムパントテン酸塩;
0.5-30mg/L 塩酸ピリドキシン;
1-20mg/L 葉酸;
1-150mg/L 塩化コリン;
10-1000mg/L ミオ-イノシトール;
2-100mg/L 塩酸エタノールアミン;
0.025-6mg/L プトレシン 2塩酸;
0.03-1mg/L DL-α-リポ酸;
0.01-2mg/L リノール酸;
500-8000mg/L D-グルコース;
0.001-0.02mg/L CuSO4 5H2O;
0-2mg/L FeSO4 7H2O;
0.4-2mg/L ZnSO4 7H2O;
0.00007-4.5mg/L MnSO4 H2O;
5000-7500mg/L NaCl;
0-1000mg/L L-プロリン;
0-1000mg/L L-グルタミン酸;
0-500mg/L グリシン;
0-1000mg/L ピルビン酸ナトリウム;
0-20mg/L NaOH 1Mにおけるヒポキサンチン;
0-3mg/L NaOH 1Mにおけるチミジン;
0-150mg/L L-アラニン;
0-100mg/L ベータ-アラニン;
0-100mg/L L-オルニチン;
0-1000mg/L L-タウリン;
0.9-1.1mg/L L-α-ホスファチジルコリン(任意);
0.009-0.011mg/L ヒドロコルチゾン(任意);
5300-6600mg/L HEPES(任意);
0-1100mg/L Lutrol(登録商標)またはプルロニック(登録商標)F-68;
0-7mg/L グルコン酸鉄, 2H2O;
0-200mg/L クエン酸鉄アンモニウム;
0.001-0.10mg/L CoCl2 6H2O(任意);
0.001-0.005mg/L (NH4)6Mo7O264H2O(任意);
0.000025-0.0005mg/L NiSO4 6H2O(任意);
0.02-0.4mg/L Na2SiO3 9H2O(任意);
0.000025-0.0005mg/L SnCl2 2H2O(任意);
0.0001-0.0025mg/L NH4VO3(任意);
0.5-30mg/L ニコチンアミド(B3)(任意)
0.1-20mg/L p-アミノ安息香酸(任意);
500-650mg/L L-グルタミン(任意);
2000-2200mg/L NaHCO3 (任意);
0-110mg/L クエン酸第二鉄;
0-20000mg/L 植物加水分解物;
0-20000mg/L 動物加水分解物;
0-10%mg/L血清、
またはこれらの組み合わせ。
ここで、上記記述化合物の参照リスト表は以下である;
【表1-1】
【表1-2】

【表1-3】
【請求項4】
前記正電荷ポリマーが、ポリエチレンイミンである請求項1に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項5】
前記ポリエチレンイミンが、直鎖、分枝鎖、または超分枝鎖である、請求項4に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項6】
前記ポリエチレンイミンが、少なくとも10 KDaの重量である、請求項5に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項7】
前記ポリエチレンイミンが、25 KDaの重量である、請求項6に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項8】
前記真核細胞が、哺乳動物細胞、魚細胞、昆虫細胞、鳥類細胞、後生動物細胞、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項9】
前記哺乳動物細胞が、哺乳動物から単離された始原細胞からなる群から選択されるか、または不死化細胞株として確立された細胞である、請求項8に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項10】
前記哺乳動物細胞が、CHO細胞である、請求項9に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項11】
前記精製された無傷の外因性核酸が、タンパク質、カチオン性脂質、カチオン性ポリマー、リポソーム形成成分、リン酸カルシウム、塩化カルシウム、ナノ粒子、金属、ポリマー遺伝子キャリア、デンドリマー、シクロデキストリン、およびそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される成分の1つ以上を含まない、請求項1に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項15】
前記精製された無傷の外因性核酸が、DNA、RNA、PNA、LNA、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項11に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システム。
【請求項13】
真核細胞をトランスフェクトする高効率の方法であって、
精製された無傷の外因性の核酸の真核細胞へのトランスフェクションをメディエートすることができる、正に荷電したポリマーでプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を得るステップと、
真核細胞を前記プレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地と組み合わせて、細胞補充された(cell-supplemented)プレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を生成するステップと、
前記精製された無傷の外因性の核酸が高効率の方法で前記真核細胞にトランスフェクトされるように、前記細胞を補充されたプレコンディショニングされた細胞トランスフェクション培地を精製された無傷の外因性の核酸と組み合わせるステップとを含む、
真核細胞をプレコンディショニングする高効率の方法。
【請求項14】
前記正に荷電したポリマーが、ポリエチレンイミンである、請求項13に記載の真核細胞をトランスフェクトする高効率の方法。
【請求項15】
前記細胞トランスフェクション培地が、以下を含む、請求項13に記載の方法;
5-200mg/L CaCl2(無水);
15-70mg/L MgCl2(無水);
0-0.08mg/L Fe(NO3)39H2O;
20-110mg/L MgSO4(無水);
30-100mg/L Na2HPO4;
30-300mg/L NaH2PO4 H2O;
0.002-0.07mg/L SeNa2O3;
280-500 mg/L KCL;
40-1050mg/L L-アスパラギンH2O;
20-1000mg/L L-アスパラギン酸;
50-1000mg/L L-イソロイシン;
50-1200mg/L L-ロイシン;
50-500mg/L L-メチオニン;
100-1000mg/L L-バリン;
25-1000mg/L L-フェニルアラニン;
25-430mg/L L-チロシン, 2Na, 2H2O;
100-1200mg/L L-リジン 塩酸;
50-1050mg/L L-スレオニン;
100-500mg/L L-ヒスチジン;
50-500mg/L L-セリン;
2-500mg/L L-トリプトファン;
200-5000mg/L L-アルギニン 塩酸;
25-250mg/L L-システイン;
15-150mg/L L-システイン 2塩酸;
0.003-1mg/L D-ビオチン;
0.05-5mg/L ビタミンB12;
0.05-5mg/L リボフラビン;
0.5-20mg/L 塩酸チアミン;
0.1-7mg/L D-カルシウムパントテン酸塩;
0.5-30mg/L 塩酸ピリドキシン;
1-20mg/L 葉酸;
1-150mg/L 塩化コリン;
10-1000mg/L ミオ-イノシトール;
2-100mg/L 塩酸エタノールアミン;
0.025-6mg/L プトレシンン 2塩酸;
0.03-1mg/L DL-α-リポ酸;
0.01-2mg/L リノール酸;
500-12000mg/L D-グルコース;
0.001-0.02mg/L CuSO4 5H2O;
0-2mg/L FeSO4 7H2O;
0.4-2mg/L ZnSO4 7H2O;
0.00007-4.5mg/L MnSO4 H2O;
5000-7500mg/L NaCl;
0-1000mg/L L-プロリン;
0-1000mg/L L-グルタミン酸;
0-500mg/L グリシン;
0-1000mg/L ピルビン酸ナトリウム;
0-20mg/L NaOH 1Mにおけるヒポキサンチン;
0-3mg/L NaOH 1Mにおけるチミジン;
0-150mg/L L-アラニン;
0-100mg/L L-オルニチン;
0-1000mg/L L-タウリン;
0.9-1.1mg/L L-α-ホスファチジルコリン(任意);
0.009-0.011mg/L ヒドロコルチゾン(任意);
5300-6600mg/L HEPES(任意);
900-1100mg/L Lutrol(登録商標)またはプルロニック(登録商標)F-68;
0-7mg/L グルコン酸鉄, 2H2O(任意);
0-200mg/L クエン酸鉄アンモニウム(任意);
0.001-0.10mg/L CoCl2 6H2O(任意);
0.001-0.005mg/L (NH4)6Mo7O264H2O(任意);
0.000025-0.0005mg/L NiSO4 6H2O(任意);
0.02-0.4mg/L Na2SiO3 9H2O(任意);
0.000025-0.0005mg/L SnCl2 2H2O(任意);
0.0001-0.0025mg/L NH4VO3(任意);
0.5-30mg/L ニコチンアミド(B3)(任意)
0.1-20mg/L p-アミノ安息香酸(任意);
500-650mg/L L-グルタミン(任意);
2000-2200mg/L NaHCO3 (任意);
0-110mg/L クエン酸第二鉄;
100-20000mg/L 植物加水分解物(任意);
100-20000mg/L 動物加水分解物(任意);
0.1-10%mg/L血清(任意)、
またはこれらの組み合わせ。
ここで、上記記述化合物の参照リスト表は以下である;
【表2-1】

【表2-2】
【表2-3】
【請求項16】
前記プレコンディショニングされたトランスフェクション培地が、低温安定性であり、前記培地がさらに少なくとも30日間4℃に保持され、精製された無傷の外因性核酸によるレシピエント真核細胞の少なくとも10パーセントのトランスフェクションをメディエートする能力を保持することができる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記培地が、凍結安定性であり、前記プレコンディショニングされたトランスフェクション培地が、少なくとも30日間凍結され、精製された無傷の外因性核酸による少なくとも10パーセントのレシピエント真核細胞のトランスフェクションをメディエートする能力をさらに保持することができる、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記培地が、凍結安定性であり、前記プレコンディショニングされたトランスフェクション培地が、少なくとも30日間凍結され、精製された無傷の外因性核酸による少なくとも10パーセントのレシピエント真核細胞のトランスフェクションをメディエートする能力をさらに保持することができる、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
以下を含む請求項7に記載の高効率真核細胞トランスフェクション(HECT)システムを含む真核細胞の高効率トランスフェクションのためのキット;
真核細胞が、哺乳動物細胞、昆虫細胞、魚細胞および鳥細胞からなる群より選択される、HECTシステムのプレコンディショニングされたトランスフェクション培地に適合する真核細胞;および、
前記真核細胞に適合するDNAベクター。
【請求項20】
前記真核細胞が、哺乳動物細胞である、請求項19に記載のキット。

【国際調査報告】