(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-29
(54)【発明の名称】皮膚生検用装置
(51)【国際特許分類】
A61B 10/02 20060101AFI20220322BHJP
A61B 10/00 20060101ALI20220322BHJP
【FI】
A61B10/02 110H
A61B10/02 110Z
A61B10/00 Q
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547109
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(85)【翻訳文提出日】2021-09-07
(86)【国際出願番号】 SG2020050065
(87)【国際公開番号】W WO2020167250
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】10201901144Y
(32)【優先日】2019-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508000700
【氏名又は名称】シンガポール・ヘルス・サービシーズ・ピーティーイー・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】515126721
【氏名又は名称】シンガポール・ユニバーシティ・オブ・テクノロジー・アンド・デザイン
【氏名又は名称原語表記】Singapore University of Technology and Design
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チ・ユアン・イアン・ロ
(72)【発明者】
【氏名】ユシン・エヴリン・タイ
(72)【発明者】
【氏名】スブラジ・カルップパサミー
(72)【発明者】
【氏名】トミー・アーデン・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ミン・イウ・シム
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ウン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント・シン
(57)【要約】
皮膚生検装置および皮膚生検装置の操作方法が開示されている。皮膚生検装置は、皮膚表面に配置されるように構成されたベース部材と、 ベース部材によって受け入れられ、皮膚表面に実質的に直交する方向にベース部材に対して移動可能であるように構成された切断部材と、切削部材を駆動して、前記方向に所定の速度で所定の距離を移動するように構成された作動部材とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚生検装置であって、
皮膚表面上に配置されるよう構成されたベース部材と、
前記ベース部材に受け入れられ、前記皮膚表面に略直交する方向に前記ベース部材に対して移動可能であるよう構成された切断部材と、
前記方向に所定の速度で所定の距離を移動するように前記切断部材を駆動するよう構成された作動部材と、
を備える、皮膚生検装置。
【請求項2】
前記ベース部材が透明な材料で作られている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ベース部材が前記皮膚表面の切開の形に前記切断部材を位置合わせする位置合わせ要素を有する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記ベース部材は、前記皮膚表面に対して移動可能であり、前記ベース部材は、前記皮膚表面に張力を生成するよう構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記切断部材は、カートリッジに取り付けられ、前記カートリッジは、前記ベース部材によって受け入れられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記切断部材は、約3対1の長さ対幅の比を有する紡錘状プロファイルを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記紡錘状プロファイルが約30度の頂角を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記切断部材が既定の間隙によって分離された一対の整合するジグザグラインを有するプロファイルを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記切断部材が少なくとも1つのジグザグラインを有するプロファイル備え、前記少なくとも1つのジグザグラインが鈍角を形成するセグメントを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記切断部材がステンレス鋼で作られている、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記作動部材がバネ負荷機構を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記バネ負荷機構がダンパを備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記作動部材がガス動力機構を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記作動部材が約130Nの力を提供するよう構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記作動部材が、ピストルおよびトリガー形態を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記所定の距離が少なくとも6mmである、請求項1~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
ベース部材、切断部材および作動部材を備える皮膚生検装置を動作させる方法であって、
前記ベース部材を皮膚表面上に配置するステップと、
前記切断部材が前記皮膚表面に略直交する方向に前記ベース部材に対して移動可能となるように前記切断部材を前記ベース部材に配置するステップと、
所定の速度で前記方向に所定の距離を井戸するように前記切断部材を駆動するために前記作動部材を動作させるステップと、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排他的ではないが、皮膚生検用の装置に広く関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚生検は、皮膚病変部を除去し、病理医または皮膚科医に送り、顕微鏡で診断を下す生検法である。皮膚生検は、ジレンマの場合の診断に役立つだけでなく、日常業務で異常な何かを見つける機会も提供する。皮膚生検は通常、局所麻酔下で行われるため、皮膚科医は、生検の適切な解釈を確実にするために、正しい病変部を選択し、生検を実行するための適切な技術を適応させるという課題に直面する可能性がある。皮膚生検では、古典的で整形式の、(引っかき傷や局所塗布により)改変されていない病変を選択するのが古典的な見解である。
【0003】
皮膚生検の三種類の一つは、病変の性質を評価するために行われる。第1のタイプの皮膚生検は、医師が病変の薄層を手動で除去して病理医が顕微鏡で観察する薄片生検である。この手順は、皮膚病変の周りを円に切りとる円形パンチを使用して行われ、その後、皮膚の必要な部分が除去され、縫い合わされる。第2のタイプの生検手順は、切除生検と呼ばれ、医師(通常は美容外科医または皮膚科医)がメスを使用して対象領域を外科的に切除し、再び病理医が診察する方法である。しかし、外科医のスキルと病変の大きさによっては、この手順では大きくて見苦しい傷跡が残る可能性があり、適切に治癒するには何度も縫う必要がある場合がある。第3のタイプの生検はパンチ生検と呼ばれ、円形のカッティングヘッドを有するデバイスを病変に押し込んで回転させ、皮膚のコア部分を除去して組織学的に再評価するものである。パンチ生検は、専門家のスキルを必要とせず、通常の医師の診察中に短時間で最小限の不快感で行うことができるため、最近では好ましい生検方法になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
典型的な円形パンチ生検装置は、
図1に示されている。典型的なパンチ生検装置の改変されたメスのハンドルの管状切断刃の単純さにより、製造が安価になり、操作が容易になる。しかし、
図1の装置の欠点は、患者に目立つ傷跡が残ることである。病変の周りの皮膚の円形部分を取り除くことにより、接合するエッジがないため、創傷を閉じることが困難になる。このような傷を閉じると、閉じた円の両端に「犬の耳」と呼ばれる隆起したエッジが現れる。「犬の耳」は、縫合の結果として過剰な皮膚が上向きに形成されることと定義される。さらに、「犬の耳」は、円形または非対称の創傷が閉じた結果であり、周囲の皮膚が創傷部位に圧力をかけ、皮膚のたるみを上向きおよび外向きに押し出すことになる
【0005】
皮膚生検はまた、瘢痕修正手術中に行われることがある。瘢痕修正手術は、瘢痕の長さと複雑さにもよるが、約1~3時間かかる。手術中、外科医は瘢痕を切除しながら、それぞれ約5mmから7mmの正確で小さな切開を行う。しかし、現在傷跡の修正に使用されている市販のブレードは、大きくて扱いにくいものが多い。さらに、デザインと切開のプロセスは手術時間の大部分を要し、瘢痕の閉鎖と創傷の治癒には通常、顔の瘢痕の場合約5~7日かかる。したがって、不正確な切開および切開デザインは、好ましくない結果を引き起こす可能性があり、手術時間および創傷治癒を遅らせる可能性がある。
【0006】
したがって、上記の問題のいくつかに対処しようとする皮膚生検のための装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様によれば、皮膚生検装置であって、皮膚表面上に配置されるように構成されたベース部材と、ベース部材によって受け入れられ、皮膚表面に略直交する方向にベース部材に対して移動可能であるように構成された切断部材と、前記方向に所定の速度で所定の距離を移動するように切断部材を駆動するよう構成された作動部材と、を備える皮膚生検装置が提供される。
【0008】
一実施形態において、ベース部材は、透明な材料で作られてもよい。
【0009】
一実施形態において、ベース部材は、皮膚表面上の切開の形状に切断部材を位置合わせする位置合わせ要素を有することができる。
【0010】
一実施形態において、ベース部材は、皮膚表面に対して移動可能であり、前記ベース部材は、皮膚表面に張力を生成するように構成されてもよい。
【0011】
一実施形態では、切断部材がカートリッジに取り付けられてもよく、カートリッジは、ベース部材によって受け入れられる。
【0012】
一実施形態では、切断部材は、約3対1の長さ対幅の比を有する紡錘状プロファイルを含むことができる。
【0013】
一実施形態では、紡錘状プロファイルは、約30度の頂角を含むことができる。
【0014】
一実施形態では、切断部材は、所定のギャップで分離される一対の一致するジグザグ線を有するプロファイルを含むことができる。
【0015】
一実施形態では、切断部材は、少なくとも一つのジグザグ線を有するプロファイルを含むことができ、前記少なくとも1つのジグザグ線が鈍角を画定するセグメントを含む。
【0016】
一実施形態では、切断部材は、ステンレス鋼で作ることができる。
【0017】
一実施形態において、作動部材は、バネ負荷機構を備えることができる。
【0018】
一実施形態では、バネ負荷機構は、ダンパを含むことができる。
【0019】
一実施形態において、作動部材は、ガス動力機構を含むことができる。
【0020】
一実施形態において、作動部材は、約130Nの力を提供するように構成されてもよい。
【0021】
一実施形態において、作動部材は、ピストルおよびトリガー形状を有していてもよい。
【0022】
実施形態では、所定の距離は少なくとも6ミリメートルであってもよい。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、ベース部材と、切断部材および作動部材とを備える皮膚生検装置を動作させる方法が提供され、方法は、皮膚表面上にベース部材を配置するステップと、切断部材が皮膚表面に略直交する方向に、ベース部材に対して移動可能であるように、切断部材をベース部材内に配置するステップと、前記方向に所定の速度で所定の距離を移動させるように切断部材を駆動するために作動部材を動作させるステップと、を含む。
【0024】
本発明の実施形態は、図面と併せて以下の書面による説明から、例示としてのみ、当業者にはよりよく理解され、容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】典型的な円形パンチ生検装置の平面図を示す。
【
図2】例示的な実施形態による皮膚生検装置の側面図を示す。
【
図3】例示的な実施形態による
図2の装置のベース部材の斜視図を示す。
【
図4】例示的な実施形態による
図2の装置の切断部材の斜視図を示す。
【
図5A】例示的な実施形態による、W-形成術手順のために使用される
図4のブレードのブレード端部の平面図を示す。
【
図5B】例示的な実施形態による、W-形成術手順のために使用される
図4のブレードの中間ブレードの平面図を示す。
【
図5C】例示的な実施形態による、Z-形成術手順のために使用される
図4のブレードの中間ブレードの平面図を示す。
【
図5D】例示的な実施形態による、Z-形成術手順のために使用される
図4のブレードのブレード端部の平面図を示す。
【
図5E】例示的な実施形態による、Z-形成術手順のために使用される別の中間ブレードの平面図を示す。
【
図6】例示的な実施形態によるベース部材により受け入れられる切断部材の斜視図を示す。
【
図7A】例示的な実施形態による作動部材の平面図を示す。
【
図7B】例示的な実施形態による作動部材の側面図を示す。
【
図8】例示的な実施形態による皮膚生検方法を示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の詳細な説明は本質的に単なる例示であり、本発明又は本発明の用途および使用を限定することを意図していない。さらに、本発明の前述の背景または以下の詳細な説明に提示された理論に拘束される意図はない。ここでは、皮膚生検用のデバイスが本実施形態に従って提示され、これは、高速パンチを提供し、楕円形ブレードに運動量を送って、皮膚に楕円形の創傷を穿刺し、それにより、手術中に最小限の手動力を使用して皮膚を貫通するという利点を有し得る。また、パンチ生検プロセス中の瘢痕を最小限に抑えることができ、二次的な組織の損傷を最小限に抑えたクリーンカットの生検標本を生成することもできる。この装置は簡単に使用でき、滅菌および再利用できるため、無駄を最小限に抑えることができる。
【0027】
図2は、例示的な実施形態による皮膚生検装置100の側面図を示す。装置100は、ベース部材102、切断部材104、および作動部材106を含む。ベース部材102は、皮膚表面上に配置されるように構成され、切断部材104は、ベース部材102によって受け入れられ、皮膚表面に実質的に直交する方向にベース部材102に対して移動可能であるように構成される。作動部材106は、切断部材104を駆動して、皮膚表面に実質的に直交する方向に所定の速度で所定の距離、例えば6mm以上を移動するように構成される。ベース部材102、切断部材104、および作動部材106の詳細図は、
図3~
図7Bに示され、以下でより詳細に説明される。
【0028】
図3は、例示的な実施形態による
図2の装置100のベース部材102の斜視図を示す。
図3に示すように、ベース部材102は、例えば、ポリエチレンプラスチックなどの透明材料で形成されている治具であってもよい。透明であることにより、ベース部材102は、切断領域の視覚的補助を提供することができ、皮膚生検装置100のユーザーは、作動部材106から放出されるエネルギーを使用して切断部材104が切断を行う前に切断領域を見ることができる。これは、ユーザーが作動部材106を正確に配置することができる可能性があるため、切断の精度を高めることができる。ベース部材102は、切断部材104を受け入れるためのブレード受容部302を含み得る。ベース部材102はまた、支持体304を含むことができ、支持体304の底面が皮膚表面上に配置され得る。
【0029】
ベース部材102は、皮膚表面上の切開の形状に切断部材104を位置合わせするための位置合わせ要素(図示せず)を有することができる。位置合わせ要素の例としては、コラーゲンラインアライナーがある。ベース部材102は、皮膚表面に対して移動可能であり、また、皮膚表面に張力を生成するように構成され得る。ベース部材102は、作動運動量を解放して皮膚に穿刺するために作動部材106(例えば、ガン)がベース部材102に向けられている間、切断部材104を所定の位置に保持することができる。さらに、ベース部材102は、切開を行う場合に切断部材104が皮膚に深く刺さりすぎないように、深さ制御ツールとしても機能することができる。
【0030】
図4は、例示的な実施形態による
図2の装置100の切断部材104の斜視図を示す。切断部材104は、きれいで鋭い切断を提供することができる真っ直ぐで先の尖ったブレードのプロファイルを有するブレード402を含むことができる。真っ直ぐで先の尖ったブレードのプロファイルによって作られた切開は、創傷の縫い合わせ中に直線を形成するために交わることができる2つの均一な縁を有することができるため、真っ直ぐで先の尖ったブレードのプロファイルは、従来のパンチ生検に関連する瘢痕を軽減する可能性がある。
【0031】
閉鎖創傷の治癒は、切開の大きさおよび形状と創傷にかかる応力の分布および大きさなどの要因によって影響される。円形の傷は治癒が最も悪く、最大応力は、他の形状よりも40%から62%大きくなる。楕円形の切除部では、最大逆応力が少なく、紡錘状の切除部では最小応力となる。高い逆応力は、創傷周辺の微小循環に悪影響を及ぼし、創傷の治癒を遅らせる。切開をランガーライン(すなわち、人体のトポロジーライン)に沿って位置合わせすると、創傷を閉じる際の応力が小さくなり、それによって皮膚の治癒と瘢痕化が減少することがわかった。さらに、「犬の耳」の形成に外科的技術が大きく影響する。たとえば、不適切な外科的手法により、創傷部位に過剰な組織が存在する可能性がある。これは、外科医が90°の適切な切断角度から逸脱する傾向があるために起こる場合がある。一実施形態によれば、ブレード402はまた、約3:1の長さ対幅の比を有する紡錘形プロファイルとすることができる。紡錘状のプロファイルは、約30度の頂角を有することができる。
【0032】
ブレード402は、ステンレス鋼で作ることがでる。一実施形態では、ステンレス鋼ブレード402は、304ステンレス鋼を使用して作製され得る。例えば、ブレードを作るために、ウォータージェットを使用して、大きなプレートから長さ2.64cm、幅4cmを切り出す。ブレード402のエッジは、最初に予備ベベルに研磨される。その後、Lansky5ストーンデラックスシャープニングシステムを使用して、より細かい粒度の研磨を行う。70、120、280、600から1000グリットまで、さまざまな粒度を使用できる。1000グリットに達した後、異なる石を使用して、ブレード402の鋭さおよび表面仕上げを改善することができる。代替の実施形態では、ブレード402は、高炭素鋼でできていてもよい。高炭素鋼のブレード402は硬く、通常の鋼のブレードよりも長い間研削された刃先を保持できる可能性がある。これにより、1回の使用で鈍くならない鋭いブレードになる場合がある。高炭素鋼のブレード402は、紙を押し切ることができるようになるまで研いだ後、楕円形に曲げてもよい。また、代替の製造方法と曲げ方法により、鋭いエッジを維持し、正確な形状を実現し、錆びないブレードを提供できることも理解できるだろう。実装例では、ブレード402の熱処理は、ブロートーチを使用して実行することができる。より具体的には、ブレード402は、加熱され、曲げられ、冷却され、プロセスが繰り返される。このような熱処理方法により、ブレードのエッジをより長く維持できる場合がある。切断部材104は、ブレード402が取り付けられている透明なアクリルの複数の(例えば4つの)層からなるブレードホルダー404を含み得る。ブレードホルダー404のアクリル片は、ブレード402に圧縮フィットを提供するスロットで切断されている。透明アクリルブレードホルダ404は、ユーザーの視覚ウィンドウとして作用することができる。さらに、ブレードホルダー404は、ベース部材102のブレード受容部302に適合するように寸法が決められている。
【0033】
図5Aは、例示的な実施形態による、
図4のブレードのブレード端部500の平面図を示す、
図5Bは、W-形成術手順のために使用される
図4のブレードの中間ブレードの平面図を示す。図に示すブレードは、瘢痕修正(または瘢痕治癒)のW形成術で使用できる。一実施形態では、ブレードは、
図5Aの符号504、506、および508がそれぞれ表す、6mm、120°、および60°の寸法を有するブレード端部500を有するジグザグの幾何学的破線からなり得る。中間ブレード550の寸法は、6mm、9.24mm、60°および21.63mmであり、
図5Bの符号512、514、516および518がそれぞれ示す。一実施形態では、ブレードは、所定の間隙によって分離された一対の一致するジグザグ線を有するプロファイルを含み得る。ブレードはまた、鈍角を形成するためにそれぞれの端部で結合する一対のジグザグ線を有するプロファイルを含み得る。
【0034】
代替の実施形態では、ブレードは、Z形成術処置のために使用することができる。この例では、ブレードは、
図5Cに符号522、524、および526で示される、60°、6mm、および17mm寸法の中間ブレード570を有し得る。Z形成術に使用されるブレードのブレード端部575が
図5Dに示され、Z形成術に使用される代替の中間ブレード580が
図5Eに示される。
図5A~
図5Eを参照して説明したように、ブレードを形成するジグザグラインの寸法と数は、代替の実施形態では異なる可能性があることを理解されたい。
【0035】
図5A~
図5Eを参照して説明されたブレードプロファイルは、瘢痕の外観を改善または軽減するために、瘢痕修正(または瘢痕治癒)手術で選択的に使用することができる。以下のテクニックは、体のさまざまな場所、特に目立つ場所である顔に、好ましくない傷跡を形成する場合に一般的に使用される。瘢痕の修正は、W形成技術または幾何学的な破線の閉鎖を使用して実行することができる。これは、美容のために好ましくない瘢痕を不規則化するための外科的処置である。線状の傷跡を不規則にすると、光が不規則に散乱し、傷跡の個々の辺が7mm未満に短くなり、人間の目で見た場合に目立たなくなる。Z形成術は、瘢痕の修正を行うためにも使用することができ、これは、瘢痕を不規則化するだけでなく、収縮した(短縮した)瘢痕を長くする。Z形成術は、周囲の構造への歪みや機能の制限を引き起こしている瘢痕を解放して長くするために使用できる。また、不規則化によって傷跡の外観を改善することができる。
【0036】
図5A~
図5Eに示される実施形態における寸法および設計を有するブレードは、装置100の単一の切断で瘢痕の設計および切除が行われることを可能にすることにより、外科的プロセスを節約することができる。ブレードは、1つのブレードを使用してデザインの端をカットし、1つのブレードをボディに使用するなど、順次使用することができる。ボディ切断ブレードを連続して使用することで、傷跡の長さに合わせてデザインを長くすることができる。ブレードはまた、瘢痕の切除を可能にし、ベース部材102によって所定の位置に保持される。ベース部材102は、切り込みの深さを制限しながら、ブレードの正確な配置を可能にすることができる。次に、作動装置106は、ブレードが皮膚をきれいに切断することを可能にする瞬間的な駆動力を提供することができる。これにより、手術の設計および切開段階に使用される手術時間を節約でき、手術の設計および切開部分における人為的ミスを取り除くことができる。傷口の根元を組織ハサミで切り、傷跡を切除する。その後、通常の方法を使用して傷を閉じることができる。
【0037】
図6は、例示的な実施形態によるベース部材102によって受け入れられる切断部材104の斜視
図600を示す。ブレード402は、ベース部材102のブレード受容部302にぴったりとはまるように、ブレードホルダー404に取り付けることができる。ブレードホルダー404およびベース部材102の透明な材料は、作動装置106を始動する前に、ユーザーに視覚的な補助を提供することができる。これにより、切開プロセス中のカットの精度が向上する可能性がある。
【0038】
図7Aは、例示的な実施形態による作動部材106の平面図を示し、
図7Bは、作動部材の側面図を示す。図に示されているように、作動部材106は、ガンなどのピストルおよびトリガー形態であり得る。作動部材106は、線形ガイド702、視覚補助のための表示窓704、トリガー710、およびハンドルグリップ712を含み得る。作動部材106は、ダンパ(図示せず)、ハンマーロッド706および/または線形コッキングロッド708を含むバネ式機構を含み得る。パンチ生検の機能要件を達成するためバネはより費用効率が高いので、バネ式機構は、切断部材104を解放する前にエネルギーを蓄えることができる。バネ式機構は、許容誤差が低く、気密設計を必要とせず、パンチに外部流体を再装填する必要がない。
【0039】
ロック・アンド・ロード機構は、切断部材104の解放のために使用することができる。パンチ生検は1回の試行で済むため、ユーザーが制御して解放できるという利点がある。バネのコッキングは、ハンマーロッド706が作動部材106のキャッチ(図示せず)に押し戻されることのみを必要とする。ハンドルグリップ712は、ユーザーにとって人間工学的であり、その結果、パンチのより良い照準およびより高い精度をもたらし得る。さらに、トリガー710は、トリガー710を押すのに最小限の力が必要とされるように配置することができる。
【0040】
代替実施形態では、作動部材106は、エネルギー蓄積のためのバネの代わりにガス動力機構を含んでいてもよく、これにより、負荷をかける必要のないユーザーにとっては容易なものとなり得る。バネ仕掛けの機構および/またはガス動力機構は、約130Nの力を提供するように構成することができる。エネルギー貯蔵は、油圧ピストンおよび/または加圧空気機構にすることもできる。切断部材104の解放は、装填および解放の単一の動作を含む連続運動機構、および/またはパンチの装填および解放を含む直接解放機構とすることができる。代替の実施形態では、ハンドルグリップ712は、パームダウングリップ、ペンシルグリップ、またはアイスピックグリップであり得る。
【0041】
他の実施形態では、ハンマーロッド706と切断部材104を保持するカートリッジとの間のインターフェースは、カートリッジを打撃するハンマーロッド706の比較的大きな音を除去するために、表面積を増加させ、衝撃を減衰させることによって改善することができ、また、発射の精度を高めるためにカートリッジへの力の分配を改善することができる。
【0042】
皮膚生検のためのさまざまな方法がある。皮膚生検の1つの方法は、バレルに取り付けられたブレードを皮膚表面に解放することを含む、マウントカットである。このような方法は、適度な照準精度とユーザーによる片手操作の利点を提供する可能性がある。皮膚生検のもう1つの方法は、外部に配置されたブレードを使用する外部カットである。外部カット方式は、カットする領域がユーザーに見えるため、狙いの精度が高くなる場合がある。皮膚生検の3番目の方法は、ブレードを直接使用して皮膚を切断する直接切断である。これは、そのような方法で使用される装置が単純な設計を持つという利点を提供する可能性がある。好ましい実施形態では、外部カット構成が使用される。これは、治具(またはベース部材102)およびブレードカートリッジ(または切断部材104)の形態で実施することができる。
【0043】
外部カットするための典型的な方法は、切断すべき領域に治具を適用し、ブレードを挿入し、ガンで撃つことである。外部カットの深さ制御は、ガンの前部バレルの形状と治具およびブレードの高さを制限することで実現できる。さらに、治具を患者の皮膚に押し付けている間、回転の自由度があり、楕円形のブレードを治具と一緒に回転させて、頂角を皮膚のコラーゲンラインに合わせることができる。これにより、後の段階で瘢痕の修正(または瘢痕の治癒)がさらに改善される可能性がある。
【0044】
図8は、例示的な実施形態による、皮膚生検のための方法を示すフローチャート800を示す。ステップ802において、方法は、切開される領域が中央にはっきりと見えるようにベース部材102を配置するステップを含む。ステップ804で、方法は、切断部材104をベース部材102に位置合わせして配置するステップを含む。ユーザーはまた、ベース部材102のアクリル片を通して見ることによって、切断部材104が適切に位置合わせされていることを確認することができる。ステップ806において、方法は、ベース部材102を保持しながら、作動部材106をベース部材102および切断部材104の上部に垂直に配置するステップを含む。ユーザーは、皮膚に一定の張力がかかるように、ベース部材102に一定の下向きの力を確保することができ、これにより、均一で正確な切断が可能になり得る。ステップ808において、方法は、作動部材106に負荷をかけ、作動部材106に蓄積されたエネルギーを解放するステップを含み、これは、一人で実行することができる。切断部材104は、上記のステップで少なくとも6mmの距離を移動することができる。ステップ810において、方法は、ベース部材102および切断部材104を除去するステップを含む。その後、ユーザーは鉗子とメスを使用して必要に応じて皮膚標本を切り取り、標本を取り出して創傷の縫合を進めることができる。
【0045】
別の実施形態では、以下のような皮膚生検の方法が説明される。第1のステップでは、方法は、切開される領域が中央にはっきりと見えるようにベース部材102を配置するステップを含む。第2のステップでは、方法は、ベース部材102内の視覚補助を通して見ることによって切断部材104が適切に位置合わせされることを保証しながら、切断部材104をベース部材102に位置合わせおよび配置するステップを含む。第3のステップでは、方法は、皮膚に一定の張力がかかるように、ベース部材102に一定の下向きの力を確保するために、ベース部材102を保持するステップを含む。これにより、均一で正確なカットが可能になる。第4のステップでは、方法は、作動部材106をベース部材102および切断部材104の上部に垂直に配置するステップを含む。第5のステップでは、方法は、作動部材106のトリガーを解放して、蓄積されたエネルギーを解放するステップを含む。このステップは、一人で行うことができ、切断部材104は、上記のステップで少なくとも6mmの距離を移動することができる。第6のステップでは、方法は、ベース部材102および切断部材104を取り外すステップを含む。第7のステップでは、標本の深部表面の切断を完了するために鉗子とメス/はさみを使用するステップを含む。第8のステップでは、方法は、標本を取り出して縫合を進めるステップを含む。
【0046】
本明細書に記載されるように、皮膚生検のための装置は、皮膚表面上の疑わしい増殖を切除するために使用することができる。この装置は、生検の端に30度の楕円形の角を作成して、端から端まで直接閉じることができ、「犬の耳」の形成を最小限に抑えることができる場合もある。この装置は、簡単に製造でき、費用効果が高く、滅菌可能で、使い捨てで、人間工学的に健全で使いやすいものである。本発明の実施形態は、皮膚上に比率1:3の楕円形のカットを一貫して生成することができる高速パンチを提供することができる。さらに、上記の高速カットコンセプトを使用すると、縫合された抽出皮膚領域は「犬の耳」の形成が少なくなる。
【0047】
例示的な実施形態は、本発明の前述の詳細な説明で提示してきたが、多数の変形が存在することを理解されたい。
【0048】
なお、さらなる例示的な実施形態は単なる例であり、決して本発明の範囲、適用性、操作性、または構成を限定するものではないことを理解すべきである。むしろ、前述の詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を実施するための便利なロードマップを当業者に提供し、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態に記載されている要素および動作方法の機能および配置に様々な変更を加えることができることが理解されるだろう。
【0049】
また、広く記載される本発明の精神または範囲から逸脱することなく、特定の実施形態に示すように、多数の変形及び/又は修正が本発明に対してなされ得ることが当業者によって理解されるであろう。したがって、本実施形態は、すべての点で例示的であり、限定的ではないと見なされるべきである。
【符号の説明】
【0050】
100 皮膚生検装置
102 ベース部材
104 切断部材
106 作動部材
302 ブレード受容部
304 支持体
402 ブレード
404 ブレードホルダー
500 ブレード端部
550 中間ブレード
570 中間ブレード
575 ブレード端部
580 中間ブレード
702 線形ガイド
704 表示窓
706 ハンマーロッド
708 線形コッキングロッド
710 トリガー
712 ハンドルグリップ
【国際調査報告】