(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(54)【発明の名称】硬質ポリイソシアヌレートおよびポリウレタンフォーム、ならびにこれらの調製方法
(51)【国際特許分類】
C08G 18/00 20060101AFI20220323BHJP
C08G 18/08 20060101ALI20220323BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20220323BHJP
C08K 5/5419 20060101ALI20220323BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20220323BHJP
【FI】
C08G18/00 L
C08G18/08 038
C08L75/04
C08K5/5419
C08G101:00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532152
(86)(22)【出願日】2018-12-14
(85)【翻訳文提出日】2021-06-04
(86)【国際出願番号】 CN2018121007
(87)【国際公開番号】W WO2020118646
(87)【国際公開日】2020-06-18
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】フォン、ヤンリー
(72)【発明者】
【氏名】トート、シモン
(72)【発明者】
【氏名】イー、リー
(72)【発明者】
【氏名】タン、ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ナンクオ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J034
【Fターム(参考)】
4J002CK021
4J002EX036
4J002FD206
4J002GL00
4J002GN00
4J034CA04
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034DF16
4J034DF20
4J034DF22
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG23
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC13
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034JA42
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC02
4J034KD02
4J034KD12
4J034KE02
4J034MA17
4J034NA03
4J034NA06
4J034QB01
4J034QB14
4J034QB16
4J034QB19
4J034QC01
4J034RA10
4J034RA14
(57)【要約】
A)イソシアネート反応性成分と、B)ポリイソシアネート成分と、C)少なくとも3つのトリメチルシロキシ基を含む分岐シロキサンと、を含む、ポリイソシアヌレートおよびポリウレタンフォームを調製するための組成物が提供される。ポリイソシアヌレートおよびポリウレタンフォームを調製するための方法、ならびにそれにより調製されたフォームもまた提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアヌレートおよびポリウレタンフォームを調製するための組成物であって、
A)1つ以上のポリオールを含むイソシアネート反応性成分と、
B)少なくとも2つのイソシアネート基を有する1つ以上の化合物を含むポリイソシアネート成分と、
C)式1で表されるシロキサンと、を含み、
【化1】
式中、R
1、R2、R
3、およびR
4の各々が、独立してC
1-C
4アルキル、トリメチルシロキシ、トリ(トリメチルシロキシ)シロキシ、ジ(トリメチルシロキシ)メチルシロキシ、(トリメチルシロキシ)ジ(メチル)シロキシ、式2によって表される置換基、
【化2】
(式中、nが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の整数であり、*が、結合点をす)、および
式3で表される置換基、
【化3】
(式中、mが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の整数であり、*が、結合点を表す)からなる群から選択され、
R
1、R
2、R
3、およびR
4のC
1-C
4アルキルまたはメチル基における1個以上の水素原子が、メチルまたはトリメチルシロキシで任意に置換され、
但し、R
1、R
2、R
3、およびR
4のうちの最大で3つが、C
1-C
4アルキルであり、シロキサンが、少なくとも3つのトリメチルシロキシ基を含むということを条件とする、組成物。
【請求項2】
前記シロキサンが、3~50個のトリメチルシロキシ基および3~50個のケイ素原子を含み、R
1、R
2、R
3、およびR
4のうちの最大で2つが、C
1-C
4アルキルであるか、またはR
1、R
2、R
3、およびR
4のうちの最大で1つが、C
1-C
4アルキルであるか、またはR
1、R
2、R
3、およびR
4のいずれもC
1-C
4アルキルでなく、C
1-C
4アルキルが、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、およびt-ブチルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記シロキサンが、以下の式のいずれか1つによって表され、
【化4】
式中、nおよびmの各々が、独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の整数を表す、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリオールが、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC2-C16脂肪族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC6-C15脂環式または芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC7-C15アラリファティック(araliphatic)多価アルコール、100~10,000の分子量を有するポリエステルポリオール、100~4000の分子量を有するポリエーテルポリオール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも2つのイソシアネート基を含む化合物は、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
4~C
12脂肪族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
6~C
15脂環族または芳香族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
7-C
15芳香脂肪族ポリイソシアネート、およびイソシアネートプレポリマーからなる群から選択され、前記イソシアネートプレポリマーは、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
4-C
12の脂肪族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
6-C
15脂環式または芳香族ポリイソシアネート、または少なくとも2つのイソシアネート基を含むC
7-C
15芳香脂肪族ポリイソシアネートを、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブテンジオール、1,4-ブチンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ビス(ヒドロキシ-メチル)シクロヘキサン、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコールおよびポリブチレングリコールからなる群から選択される1つまたは複数のイソシアネート反応性化合物と反応させて得られる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、前記組成物の総量に基づいて、20~70重量%、または30~60重量%、または30~50重量%の前記イソシアネート反応性成分A)と、30~80重量%、または40~80重量%、または50~80重量%の前記ポリイソシアネート成分B)と、を含み、
前記組成物が、前記組成物の総重量から前記ポリイソシアネート成分B)の重量を引いたものに基づいて、0.5重量%~8重量%、または0.7重量%~5重量%、または1重量%~3重量%の式1で表されるシロキサンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、水、炭化水素、およびハイドロフルオロカーボンからなる群から選択される発泡剤D)を含み、
前記発泡剤の量D)が、前記組成物の総重量から前記ポリイソシアネート成分B)の重量を引いたものに基づいて、0.01重量%~40重量%、または10重量%~25重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、三級アミン、三級ホスフィン、金属キレート、塩化第二鉄、塩化第二スズ、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Pb、Mn、Co、NiおよびCuの有機酸性塩、4価のスズ、3価および5価のAs、SbおよびBiの金属錯体、ならびに鉄およびコバルトの金属カルボニルからなる群から選択される触媒E)を含み、
前記触媒E)の量が、前記組成物の総重量から前記ポリイソシアネート成分B)の重量を引いたものに基づいて、0.01重量%~10重量%、または0.5重量%~5重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
助触媒、界面活性剤、強化剤、流動改質剤、接着促進剤、希釈剤、安定剤、可塑剤、触媒失活剤、難燃剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される添加剤をさらに含み、
前記添加剤の総量が、前記組成物の総重量から前記ポリイソシアネート成分B)の重量を引いたものに基づいて、0.01重量%~10重量%、または0.5重量%~5重量%である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
シロキサンC)の存在下で、前記イソシアネート反応性成分A)を前記ポリイソシアネート成分B)と反応させることによって形成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物を用いて調製される、ポリイソシアヌレートおよびポリウレタンフォーム。
【請求項11】
前記シロキサンC)の存在下で、前記イソシアネート反応性成分A)を前記ポリイソシアネート成分B)と反応させる工程を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物を用いてポリイソシアヌレートおよびポリウレタンフォームを調製するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、断熱硬質フォームおよびプロセスの分野に関する。より具体的には、本開示は、優れた断熱性および圧縮強度などの良好な機械的特性を示す硬質ポリイソシアヌレート(PIR)およびポリウレタン(PUR)フォームを生成するためのシロキサンを含むプロセスおよび組成物に関する。
【0002】
序論
硬質ポリイソシアヌレート(PIR)およびポリウレタン(PUR)フォームは、優れた断熱性能を備えているため、建築および建設、屋根、タンク、パイプ、コールドチェーン、電化製品などの様々な用途に使用することができる。これらの独自な特徴の理由は、それらの細胞構造である。より優れた断熱製品に対する市場の需要、ならびにこれまで以上に高いエネルギー効率に関する政府の規制により、PIR/PUR硬質フォームシステムの断熱性能をさらに改善することが決定的に必要とされている。そのような解決策の1つは、セルサイズをより細かくして、より低いKファクタを達成することである。より良好な断熱性およびより良好な機械的特性を同時に達成する必要性が、依然として存在する。
【発明の概要】
【0003】
本開示の目的は、硬質ポリイソシアヌレート(PIR)およびポリウレタン(PUR)フォームを生成するための組成物を提供することである。本開示は、分岐構造を有する液体シロキサンが、良好な機械的強度を維持しながら、得られる硬質PIR/PURフォームのKファクタを効果的に減少させることができるという驚くべき発見に基づいている。
【0004】
本開示の第1の態様において、本開示は、硬質ポリイソシアヌレート(PIR)および/またはポリウレタン(PUR)フォームを調製するための組成物を提供し、当該組成物は、
A)1つ以上のポリオールを含むイソシアネート反応性成分と、
B)少なくとも2つのイソシアネート基を含む脂肪族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含む芳香族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含む脂環式ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むアラリファティック(araliphatic)ポリイソシアネート、およびプレポリマーまたはそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリイソシアネート成分と、
C)式1で表される液体分岐シロキサンと、を含み、
【化1】
式中、R
1、R
2、R
3およびR
4の各々は、C
1-C
4アルキル、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチルまたはt-ブチル、トリメチルシロキシ、トリ(トリメチルシロキシ)シロキシ、ジ(トリメチルシロキシ)メチルシロキシ、(トリメチルシロキシ)ジ(メチル)シロキシ、式2で表される置換基、
【化2】
(式中、nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の整数であり、*は、式2の基が式1に示す中心のケイ素原子に結合している点を表す)、および
式3で表される置換基
【化3】
(式中、mは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の整数であり、*は、式3の基が式1に示されるケイ素原子に結合している点を表す)から成る群から選択され、
上記の置換基のメチル基中の1つ以上の水素原子は、メチルまたはトリメチルシロキシで任意に置換され、
但し、R
1、R
2、R
3、およびR
4のうちの最大で3つは、C
1-C
4アルキルであり、好ましくはR
1、R
2、R
3、およびR
4のうちの最大で2つは、C
1-C
4アルキルであり、より好ましくは、R
1、R
2、R
3およびR
4のうちの最大で1つは、C
1-C
4アルキルであり、より好ましくは、R
1、R
2、R
3、およびR
4のいずれもC
1-C
4アルキルではなく、シロキサンは、少なくとも3つのトリメチルシロキシ基を含むというということを条件とする。
【0005】
好ましくは、ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシ基を含む脂肪族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含む脂環式または芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むアラリファティック多価アルコール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0006】
本開示の第2の態様において、本開示は、本開示の組成物で調製されたポリイソシアヌレートおよびポリウレタンフォームを提供し、ポリイソシアネートおよびポリウレタンフォームは、シロキサンの存在下で、イソシアネート反応性成分をポリイソシアネート成分と反応させることによって形成される。
【0007】
本開示の第3の態様において、本開示は、シロキサンの存在下で、イソシアネート反応性成分をポリイソシアネート成分と反応させる工程を含む、本開示の組成物を用いてポリイソシアヌレートおよびポリウレタンフォームを調製するための方法を提供する。
【0008】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求されるように、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。また、本明細書に記載されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照により組み込まれる。
【0010】
本明細書に開示されるように、「組成物」、「配合物」、または「混合物」という用語は、物理的な方法によって異なる成分を単に混合することによって得られる、異なる成分の物理的なブレンドを指す。
【0011】
本明細書で開示されるように、「および/または」は、「および、または代替として」を意味する。特に記載がない限り、すべての範囲は端点を含む。
【0012】
様々な実施形態において、各分子に2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート成分、イソシアネート基と反応することができるポリオールを含むイソシアネート反応性成分、および高度に分岐した液体シロキサンを含む、硬質ポリイソシアネート(PIR)およびポリウレタン(PUR)フォームを生成するための組成物が提供される。
【0013】
理論に拘束されることなく、ポリイソシアネート成分とイソシアネート反応性成分は、一般に、それらが一緒にブレンドされ、イソシアネート基とヒドロキシル基との間の重合反応を受けてポリイソシアネートとポリウレタンを形成する瞬間まで、別々の容器に保管される。ポリウレタンとは、イソシアネート基とヒドロキシル基との間の反応に由来する繰り返し単位(-NH-C(O)-O-)によって形成される主鎖を含むポリマーを指し、一方、ポリイソシアヌレートは、イソシアネート基の三量体化によって形成されるポリイソシアヌレート環構造を含む。
【0014】
本明細書で使用される場合、「ポリイソシアヌレートおよびポリウレタン」、「ポリイソシアヌレートまたはポリウレタン」、「PIRおよびPUR」、「PIRまたはPUR」および「PIR/PUR」という用語は交換可能に使用され、ポリウレタン鎖およびポリイソシアヌレート基の両方を含むポリマー系を指し、その相対的な比率は、基本的に、原材料に含まれるポリイソシアヌレート化合物およびポリオール化合物の化学量論比に依存する。さらに、触媒および他の添加剤などの成分、ならびに温度、反応時間などの処理条件も、最終発泡製品中のPURおよびPIRの相対量にわずかに影響し得る。したがって、本発明の文脈で述べられるポリイソシアヌレートおよびポリウレタンフォーム(PIR/PURフォーム)は、上記のポリイソシアネートと、イソシアネート反応性基を有する化合物、特にポリオールとの間の反応の生成物として得られるフォームを指す。その上、追加の官能基、例えば、アロファネート、ビウレットまたは尿素が反応中に形成され得る。PIR/PURフォームは、好ましくは硬質フォームである。
【0015】
本開示の組成物は、触媒、発泡剤、および他の添加剤をさらに含み得る。
【0016】
本開示の一実施形態によれば、本開示の組成物は、一般に、2つの別個の「パッケージ」、すなわち、ポリイソシアネート成分のみを含むイソシアネートパッケージおよび任意の他の成分を含むポリオールパッケージとして調製および保存される。すなわち、イソシアネート反応性成分、シロキサン、触媒、発泡剤および他の添加剤を一緒に混合して「ポリオールパッケージ」を得ることができ、これを次にイソシアネートパッケージとブレンドして、PUR/PIRフォームを生成する。本開示の様々な実施形態によれば、イソシアネート反応性成分およびポリイソシアネート成分の量、含有量または濃度は、組成物の総重量、すなわち「ポリオールパッケージ」および「イソシアネートパッケージ」の合計重量に基づいて計算され、一方、他の成分、例えばシロキサン、触媒、発泡剤および他の添加剤の含有量は、「ポリオールパッケージ」の重量、すなわち、ポリイソシアネート成分を除くすべての成分の合計重量または組成物の総重量から、ポリイソシアネート成分の重量を差し引いたものに基づく。代替的な実施形態では、シロキサン、触媒、発泡剤および他の添加剤は、イソシアネート反応性成分と混合されず、独立した流れとして添加されるが、それらの含有量は、「ポリオールパッケージ」の合計重量に基づいて計算される。
【0017】
イソシアネート反応性成分
本開示の様々な実施形態において、イソシアネート反応性成分は、少なくとも2つのヒドロキシ基を含む脂肪族多価アルコールからなる群から選択される1つ以上のポリオール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含む脂環式または芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびそれらの混合物。好ましくは、ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC2-C16脂肪族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC6-C15脂環式または芳香族多価アルコール、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むC7-C15アラリファティック多価アルコール、分子量が300~5,000のポリエステルポリオール、分子量が300~5,000のポリエーテルポリオール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0018】
好ましい実施形態では、イソシアネート反応性成分は、2つ以上のポリエーテルポリオールの混合物、2つ以上のポリエステルポリオールの混合物、または少なくとも1つのポリエステルポリオールとの少なくとも1つのポリエーテルポリオールの混合物などの2つ以上の異なるポリオールの混合物を含む。イソシアネート反応性成分は、少なくとも2.0の官能性(ポリオール分子中のイソシアネート反応性基、特にヒドロキシル基の平均数)および80~2,000mg KOH/g、好ましくは150~1,000mgKOH/g、より好ましくは200~500mg KOH/gのOH数を有する。
【0019】
ポリエステルポリオールは、典型的には、2~12個の炭素原子、好ましくは2~6個の炭素原子を有する多官能性アルコールと、2~12個の炭素原子、好ましくは2~6個の炭素原子を有する多官能性カルボン酸との縮合によって得られる。ポリエステルポリオールを調製するための典型的な多官能性アルコールは、好ましくはジオールまたはトリオールであり、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、またはヘキシレングリコールが含まれる。典型的な多官能性カルボン酸は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、好ましくはフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、異性体ナフタレンジカルボン酸、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。ポリエステルポリオールは、好ましくは、少なくとも2つのヒドロキシル基で終端している。好ましい実施形態において、ポリエステルポリオールは、2~10、好ましくは2~6のヒドロキシル官能基を有する。別の実施形態では、ポリエステルポリオールは、80~2000mg KOH/g、好ましくは150~1,000mg KOH/g、より好ましくは200~500mg KOH/gのOH数を有する。ポリエステルポリオールには様々な分子量が企図される。例えば、ポリエステルポリオールは、約100g/mol~約4,000g/mol、好ましくは約150g/mol~約3,000g/mol、好ましくは約200g/mol~約2,000g/mol、好ましくは約250g/mol~約1,000g/mol、好ましくは約280g/mol~約500g/mol、より好ましくは約300g/mol~約350g/molの数平均分子量を有し得る。
【0020】
ポリエーテルポリオールは、通常、2~8、特に2~6のヒドロキシル官能基を有し、一般に、触媒の存在下で、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、およびそれらの混合物から選択される1つ以上のアルキレンオキシドの、適切なスタータ分子との重合によって調整される。典型的なスタータ分子には、分子内に少なくとも2つ、好ましくは4~8のヒドロキシル基を有するか、または2つ以上の一級アミン基を有する化合物が含まれる。好適なスタータ分子は、例えば、アニリン、EDA、TDA、MDAおよびPMDAを含む群から、より好ましくはTDAおよびPMDAを含む群から、最も好ましくはTDAから選択される。TDAを使用する場合、すべての異性体が、単独で、または任意の所望の混合物において使用することができる。例えば、2,4-TDA、2,6-TDA、2,4-TDAと2,6-TDAの混合物、2,3-TDA、3,4-TDA、3,4-TDAと2,3-TDAの混合物、および上記のすべての異性体の混合物も使用することができる。分子中に少なくとも2つ、好ましくは2~8のヒドロキシル基を有するスタータ分子として、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ヒマシ油、糖化合物、例えば、グルコース、ソルビトール、マンニトールおよびスクロース、多価フェノール、フェノールとホルムアルデヒドのオリゴマー縮合生成物などのレゾール、ならびによびフェノール、ホルムアルデヒドおよびジアルカノールアミンのマンニッヒ縮合物、ならびにまたメラミンを使用することが好ましい。ポリエーテルポリオールを調製するための触媒には、アニオン重合用の水酸化カリウムなどのアルカリ触媒、またはカチオン重合用の三フッ化ホウ素などのルイス酸触媒が含まれ得る。好適な重合触媒には、水酸化カリウム、水酸化セシウム、三フッ化ホウ素、またはヘキサシアノコバルト酸亜鉛または第四ホスファゼニウム化合物などの二重シアン化物錯体(DMC)触媒が含まれ得る。ポリエーテルポリオールは、好ましくは100~10,000g/モルの範囲、好ましくは200~8000g/モルの範囲、より好ましくは300~6000g/モルの範囲、より好ましくは400~4,000g/モルの範囲、より好ましくは500~3,000g/モルの範囲の数平均分子量を有する。一実施形態では、ポリエーテルポリオールは、80~2,000mgKOH/g、好ましくは150~1,000mgKOH/g、より好ましくは200~500mgKOH/gのOH数を有する。
【0021】
一般に、本明細書で使用されるポリオール成分の濃度は、PUR/PIRフォームを調製するための組成物中のすべての成分の総重量に基づいて、約20重量%~約70重量%、好ましくは約30重量%~約60重量%、さらに約35重量%~約50重量%の範囲であり得る。
【0022】
ポリイソシアネート成分
様々な実施形態において、ポリイソシアネート成分は、少なくとも約2.0、好ましくは約2~10、より好ましくは約2~約8、最も好ましくは約2~約6の平均官能基を有する。いくつかの実施形態において、ポリイソシアネート成分は、少なくとも2つのイソシアネート基を含むポリイソシアネート化合物を含む。好適なポリイソシアネート化合物には、2つ以上のイソシアネート基を有する芳香族、脂肪族、脂環式およびアラリファティックポリイソシアネートが含まれる。好ましい実施形態において、ポリイソシアネート成分は、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC4-C12脂肪族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC6-C15脂環式または芳香族ポリイソシアネート、少なくとも2つのイソシアネート基を含むC7-C15アラリファティックポリイソシアネート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるポリイソシアネート化合物を含む。別の好ましい実施形態では、好適なポリイソシアネート化合物には、m-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネートおよび/または2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の様々な異性体、カルボジイミド修飾MDI生成物、ヘキサメチレン-1、6-ジイソシアネート、テトラメチレン-1,4-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、水素化MDI、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、またはそれらの混合物が含まれる。
【0023】
代替的または追加的に、ポリイソシアネート成分はまた、2~10、好ましくは2~8、より好ましくは2~6の範囲のイソシアネート官能基を有するイソシアネートプレポリマーも含み得る。イソシアネートプレポリマーは、上記のモノマーイソシアネート成分を、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1、4-ブテンジオール、1,4-ブチンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなどのビス(ヒドロキシ-メチル)シクロヘキサン、2-メチルプロパン-1,3-ジオール、メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、およびポリブチレングリコールからなる群より選択される1つ以上のイソシアネート反応性化合物と反応させることによって得ることができる。ポリイソシアネート成分として使用するために好適なプレポリマーは、2~40重量パーセント、より好ましくは4~30重量パーセントのNCO基含有量を有するプレポリマーである。これらのプレポリマーは、好ましくは、ジおよび/またはポリイソシアネートと、より低分子量のジオールおよびトリオールを含む材料との反応によって調製される。個々の例には、好ましくは、ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートと、例えば、約800以下の分子量を有する低分子量のジオール、トリオール、オキシアルキレングリコール、ジオキシアルキレングリコール、またはポリオキシアルキレングリコールとの反応によって得られる、好ましくは、5~40重量%、より好ましくは20~35重量パーセントのNCO含量を有するウレタン基を含む芳香族ポリイソシアネートが含まれる。これらのポリオールは、ジ-および/またはポリオキシアルキレングリコールとして、個別にまたは混合物として使用することができる。例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコールおよびポリオキシプロピレンポリオキシエチレングリコールを使用できる。ポリエステルポリオール、ならびにブタンジオール等のアルキルジオールもまた使用することができる。また有用な他のジオールとしては、ビスヒドロキシエチル-またはビスヒドロキシプロピル-ビスフェノールA、シクロヘキサンジメタノール、およびビスヒドロキシエチルヒドロキノンが含まれる。
【0024】
ポリイソシアネート成分にも有利に使用されるものは、いわゆる修飾多官能性イソシアネート、すなわち、上記のイソシアネート化合物の化学反応によって得られる生成物である。例示的なものは、エステル、尿素、ビウレット、アロファン酸、好ましくはカルボジイミドおよび/またはウレトネイミンを含むポリイソシアネートである。カルボジイミド基、ウレトネイミン基および/またはイソシアヌレート環を含み、120~40重量パーセント、より好ましくは20~35重量パーセントのイソシアネート基(NCO)含有量を有する液体ポリイソシアネートも使用することができる。これらには、例えば、4,4’-2,4’-および/または2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネートに基づくポリイソシアネートおよび対応する異性体混合物、2,4-および/または2,6-トルエンジイソシアネートおよび対応する異性体混合物;ジフェニルメタンジイソシアネートとPMDIの混合物;ならびにトルエンジイソシアネートとPMDIおよび/またはジフェニルメタンジイソシアネートの混合物が含まれる。
【0025】
一般に、ポリイソシアヌレート成分の量は、硬質PIR/PURフォームの最終用途に基づいて変化し得る。例えば、1つの例示的な実施形態として、ポリイソシアネート成分の濃度は、硬質PIR/PURフォームを調製するための組成物中のすべての成分の総重量に基づいて、約30重量%~約80重量%、好ましくは約40重量%~約80重量%であり得る。より好ましくは、約50重量%~約80重量%である。
【0026】
ポリイソシアネート成分のイソシアネート基とイソシアネート反応性成分のヒドロキシル基との化学量論比は、約1.0~6、好ましくは1.1~6、より好ましくは1.2~4である。
【0027】
シロキサン
理論に拘束されることなく、分岐構造を有するシロキサンは、PUR/PIRフォームにおける優れた多孔質構造の形成を効果的に促進し、したがってその断熱特性を改善することができると考えられている。
【0028】
典型的な線状および非分岐シロキサンは、次の構造Aで表すことができ、この構造では、-(Si(CH
3)
2-O)-の繰り返し単位で構成される主鎖が、各末端において、トリ(メチル)シロキサン基で終端しており、pは、例えば、1~100の整数であるため、非分岐シロキサン分子は2つのトリ(メチル)シロキサン基のみを含み、1つのシロキサン分子のトリ(メチル)シロキサン基の数を使用して、シロキサンが分岐しているかどうかを判断することができる。
【化4】
【0029】
非分岐シロキサンの例は、DOWから入手した商品化された製品D10であり、次の式で表すことができる。
【化5】
【0030】
本明細書で使用される場合、「分岐シロキサン」、「分岐構造を有するシロキサン」、および「分岐機能を有するシロキサン」という用語は、交換可能に使用され得、その分子構造中に少なくとも3つのトリ(メチル)シロキシ基を含むシロキサンを指す。驚くべきことに、1つの分岐シロキサンは望ましい効果を達成することができるが、非分岐シロキサンは達成することができないことが分かった。特に、本開示で使用できるシロキサンは、式1で表される構造を有し、
【化6】
式中、R
1、R
2、R
3、およびR
4の各々は、独立して、C
1-C
4アルキル、トリメチルシロキシ、トリ(トリメチルシロキシ)シロキシ、ジ(トリメチルシロキシ)メチルシロキシ、(トリメチルシロキシ)ジ(メチル)シロキシ、式2で表される置換基、
【化7】
(式中、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の整数であり、*は式2の置換基が式1に示す中心のケイ素原子に結合している点を表す)、および
式3で表される置換基
【化8】
(式中、mは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の整数であり、*は、式3の置換基が式1に示される中心のケイ素原子に結合する点を表す)からなる群から選択され、但し、R
1、R
2、R
3、およびR
4が、同時にC
1-C
4アルキル(好ましくは、メチル)であることができず、シロキサンが分岐されており、すなわち、それは、少なくとも3つのトリメチルシロキシ基を含むということを条件とする。本出願の好ましい実施形態によれば、R
1、R
2、R
3およびR
4のうちのうちの最大で3つ、最大で2つ、または最大で1つはC
1-C
4アルキルであり、一方、式1の中央のケイ素原子に直接結合した他の置換基は、上記の他の選択肢を表している。代替的な実施形態では、R
1、R
2、R
3およびR
4のいずれも、C
1-C
4アルキルではない。
【0031】
本開示の一実施形態によれば、R1、R2、R3、およびR4の上記の置換基は、例えば、メチルまたはトリメチルシロキシでさらに置換され得る。例えば、R1がメチル基であると仮定すると、メチル中の水素原子の少なくとも1つは、メチルまたはトリメチルシロキシで置き換えられ得る。さらに、メチルは、メチル以外の上記のすべての置換基の部分として含まれ、これらの置換基のいずれかのメチル部分の少なくとも1つの水素原子は、同様にメチルまたはトリメチルシロキシで置換され得ることが分かる。
【0032】
本出願の一実施形態によれば、分枝シロキサンは、3~50のトリメチルシロキシ基、好ましくは4~20のトリメチルシロキシ基、より好ましくは4~10のトリメチルシロキシ基、より好ましくは4~6のトリメチルシロキシ基を含む。本出願の代替的な実施形態によれば、分岐シロキサンは、少なくとも3個のケイ素原子、好ましくは3~50個のケイ素原子、より好ましくは4~20個のケイ素原子、最も好ましくは4~10個のケイ素原子を含む。
【0033】
本開示の一実施形態によれば、分枝シロキサンは、以下の式のうちのいずれか1つによって表すことができる。
【化9】
式中、nおよびmの各々は、独立して1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の整数を表す。
【0034】
本開示の一実施形態によれば、分岐シロキサンは、別個の流れとして、またはイソシアネート反応性成分の流れの中に加えることができる。本開示の一実施形態では、分岐シロキサンの量は、イソシアネート成分以外のすべての原材料の総重量に基づいて、0.1重量%~5重量%、好ましくは0.3重量%~3重量%、より好ましくは0.5重量%~2重量%である。
【0035】
発泡剤
様々な実施形態において、発泡剤は、最終フォームの所望の密度に少なくとも部分的に基づいて選択され得る。ポリオールパッケージがポリイソシアネート成分と組み合わされる前に、発泡剤をポリオールパッケージに添加することができる。理論に拘束されることなく、発泡剤は、イソシアネート成分とイソシアネート反応性化合物との組み合わせの発熱反応から熱を吸収し、気化して、ポリウレタンフォームをより低い密度に膨張させるために有用な追加のガスを提供し得る。様々な実施形態において、発泡剤は、炭化水素であり得る。いくつかの実施形態では、炭化水素またはフッ素含有ハイドロハロカーボン発泡剤を使用することができる。炭化水素は、例えば、ハイドロフルオロオレフィン炭素であり得る。発泡剤は、限定ではなく例として、ブタン、イソブタン、2,3-ジメチルブタン、n-およびi-ペンタン異性体、ヘキサン異性体、ヘプタン異性体、シクロペンタン(c-ペンタン)、シクロヘキサン、シクロヘプタン、およびそれらの組み合わせ、HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン、HFC-365mfc(1,1,1,3,3-ペンタ-フルオロブタン)、HFC-227ea(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)、HFC-134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、それらの組み合わせなどを含むシクロアルカンを含み得る。一実施形態において、発泡剤は水である。様々な実施形態において、発泡剤の量は、「ポリオールパッケージ」の総重量に基づいて、約0.01重量%~約40重量%、より好ましくは3重量%~約30重量%、より好ましくは5重量%~28重量%、最も好ましくは10重量%~25重量%である。
【0036】
触媒
触媒には、ウレタン反応触媒およびイソシアネート三量体化反応触媒が含まれ得る。
【0037】
三量体化触媒は、有機イソシアネート化合物の三量体化を触媒する当該技術分野で知られている任意の三量体化触媒であり得る。イソシアネートの三量体化は、ポリウレタンフォーム内にポリイソシアヌレート化合物を生成し得る。理論に限定されることなく、ポリイソシアヌレート化合物は、ポリウレタンフォームをより剛性にし、火災に対する反応の改善を提供し得る。三量化触媒は、例えば、グリシン塩、三級アミン三量化触媒、アルカリ金属カルボン酸塩、およびそれらの混合物を含むことができる。いくつかの実施形態において、ナトリウムN-2-ヒドロキシ-5-ノニルフェニル-メチル-N-メチルグリシネートを使用することができる。使用される場合、三量体化触媒は、「ポリオールパッケージ」の0.5~2重量%、好ましくは0.8~1.5重量%の量で存在し得る。
【0038】
三級アミン触媒は、少なくとも1つの三級窒素原子を含有し、イソシアネート成分とイソシアネート反応混合物との間のヒドロキシル/イソシアネート反応を触媒することができる有機化合物を含む。三級アミン触媒には、例としてであり、限定されないが、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルピペラジン、ピペラジン、N-エチルモルホリン、2-メチルプロパンジアミン、メチルトリエチレンジアミン、2,4,6-トリジメチルアミノ-メチル)フェノール、N、N’、N”-トリス(ジメチルアミノ-プロピル)sym-ヘキサヒドロトリアジン、およびそれらの混合物が含まれ得る。使用される場合、三級アミン触媒は、「ポリオールパッケージ」の0.5~2重量%、好ましくは0.8~1.5重量%の量で存在し得る。
【0039】
本開示の組成物は、以下の触媒をさらに含み得る。トリアルキルホスフィンおよびジアルキルベンジルホスフィンなどの第三級ホスフィン;アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、アセト酢酸エチルなどから得られるものなどの様々な金属のキレート、およびBe、Mg、Zn、Cd、Pd、Ti、Zr、Sn、As、Bi、Cr、Mo、Mn、Fe、CoならびにNiなどの金属とのキレート;塩化第二鉄、塩化第二スズなどの強酸の酸性金属塩;有機酸と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Sn、Pb、Mn、Co、Ni、Cuなどのさまざまな金属との塩;有機カルボン酸のスズ(II)塩(例えば、ジ酢酸スズ(II)、ジオクタン酸スズ(II)、ジエチルヘキサノエートスズ(II)、およびジラウリン酸スズ(II))、および有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩(例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレートおよびジオクチルスズジアセテート)などの有機スズ化合物;有機カルボン酸のビスマス塩(例えば、オクタン酸ビスマス);3価および5価のAs、Sb、Biの有機金属誘導体、および鉄とコバルトの金属カルボニル。
【0040】
本明細書で使用される触媒成分の総量は、一般に、一実施形態ではポリオールパッケージで約0.01重量%~約10重量%、別の実施形態ではポリオールパッケージで0.5重量%~約5重量%の範囲であり得る。
【0041】
他の添加剤
本発明の組成物に添加され得る他の任意の化合物または添加剤は、例えば、他の助触媒、界面活性剤、強化剤、流動改質剤、接着促進剤、希釈剤、安定剤、可塑剤、触媒失活剤、分散剤、難燃剤、およびそれらの混合物を含み得る。
【0042】
様々な実施形態において、防火性能は、1つ以上の難燃剤を含むことによって増強され得る。難燃剤は、臭素化または非臭素化することができ、例としてであるが、非限定的に、トリス(1,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(2-クロロエチル)ホスフェート、トリス(2-クロロプロピル)ホスフェート、ジアンモニウムホスフェート、様々なハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミナ三水和物、およびそれらの組み合わせが挙げられる。使用される場合、難燃剤は、ポリオールパッケージの0.1重量%~約10重量%、または約0.5重量%~約5重量%の量で存在し得る。
【0043】
界面活性剤、特に有機界面活性剤を添加して、セル安定剤として機能させることができる。いくつかの代表的な界面活性剤には、ポリオキシ-エチレン-ポリオキシブチレンブロックコポリマーを含む有機界面活性剤が含まれる。発泡反応混合物が硬化するまで安定化させるために、少量の界面活性剤を使用することが特に望ましい。本明細書で有用であり得る他の界面活性剤は、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、長鎖アリル酸硫酸エステルの三級アミンまたはアルカノールアミン塩、アルキルスルホン酸エステル、アルキルアリールスルホン酸、およびそれらの組み合わせである。このような界面活性剤は、崩壊および大きい不均一なセルの形成に対して発泡反応を安定化するために十分な量で使用される。典型的には、ポリオールパッケージの量に基づいて、約0.2~約3重量%の界面活性剤の総量が、この目的のために十分である。
【0044】
充填剤および顔料などの他の添加剤は、本発明の硬質PIR/PURフォーム組成物に含まれ得る。このような充填剤および顔料は、非限定的な実施形態において、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、グラファイト、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化鉄、ミクロスフェア、アルミナ三水和物、ウォラストナイト、ガラス繊維、ポリエステル繊維、他のポリマー繊維、それらの組み合わせなどを含み得る。
【0045】
製造技術
様々な実施形態において、PIR/PURフォームは、イソシアネート反応性成分、シロキサン、触媒、発泡剤、および「ポリオールパッケージ」の他の任意の添加剤を含む反応成分を、室温でまたは30~120℃の高温で、好ましくは40~90℃の高温で、より好ましくは50~70℃の高温で、例えば、10秒~10時間、好ましくは2分~3時間、より好ましくは10分~60分の持続時間の間、イソシアネートパッケージと混合することによって調製される。いくつかの実施形態では、イソシアネート反応性化合物、発泡剤、およびシロキサンは、イソシアネート成分に添加する前または添加時に混合することができる。発泡剤を添加する前に、触媒、難燃剤、および界面活性剤を含む他の添加剤をポリオールパッケージに添加することができる。混合は、噴霧装置、混合ヘッド、または容器内で実施することができる。混合に続いて、混合物をスプレーするか、さもなければ基板上または開いた型に堆積させることができる。代替的に、混合物は、パネルの形状または他の任意の適切な形状で、空洞内に注入され得る。この空洞は、任意に大気圧に保つか、または部分的に大気圧未満の圧力に排気することができる。
【0046】
反応すると、混合物は型の形状を採るか、基材に付着してPIR/PURフォームを生成し、これを部分的にまたは完全に、のいずれかで硬化させる。PIR/PURポリマーの硬化を促進するための好適な条件には、約20℃~約150℃の温度が含まれる。いくつかの実施形態では、硬化は、約35℃~約75℃の温度で実施される。他の実施形態では、硬化は、約45℃~約55℃の温度で実施される。様々な実施形態では、硬化のための温度は、PUR/PIRポリマーが、その温度でゲル化および/または硬化するために必要な持続時間に少なくとも部分的に基づいて選択され得る。硬化時間はまた、例えば、特定の成分(例えば、触媒およびその量)、ならびに製造される物品のサイズおよび形状を含む他の要因に依存する。
【0047】
上記の説明は、一般的であることを意図しており、本発明のすべての可能な実施形態を含むことを意図していない。同様に、以下の実施例は、例示のみを目的として提供されており、いかなる方法でも本発明を規定または制限することを意図するものではない。当業者は、特許請求の範囲内の他の実施形態が、本明細書に開示される本発明の明細書および/または実施の検討から明らかになることを十分に認識している。そのような他の実施形態は、特定の成分および構成要素ならびにそれらの比率の選択;混合および反応条件、容器、展開装置、およびプロトコル;性能および選択性;生成物および副産物の識別;その後の処理およびその使用などを含み得、当業者は、そのようなものが、本明細書に添付された特許請求の範囲内で変更され得ることを認識する。
【実施例】
【0048】
本発明のいくつかの実施形態は、以下の実施例においてここに記載され、すべての部およびパーセンテージは、他に特定されない限り、重量による。
【0049】
実施例で使用された原料の情報を以下の表1に示す:すべての原料は、さらに精製することなく、受け取ったままの状態で直接使用し、水は蒸留水である。
【表1】
【0050】
すべての発明実施例および比較例は、紙コップ中で表2の配合に従って、イソシクネート反応性成分、シロキサン(もしあれば)、界面活性剤、難燃剤、触媒および水を秤量する工程、および、それらを高速ミキサ(Heidolph製)で2000r/mの回転速度で3分間混合して、「ポリオールパッケージ」を生成する工程、完全に混合しながら、目標量の発泡剤を紙コップに加える工程、続いて、所望の量のポリイソシアネート成分を紙コップに加える工程を含む手発泡技術によって実施された。紙コップ内のすべての物質は、高速ミキサによって3000r/mの速度で5秒間すぐに混合され、60℃に予熱された10cm×20cm×30cmのサイズの型に注ぎ、発泡のために長さ方向に沿って垂直に配置した。約30分後にフォームを金型から取り出し、ラボベンチに一晩置いてから、得られたフォーム製品の物理的特性の試験を行った。
【0051】
得られた硬質PIR/PURフォームの熱伝導率(Kファクタ)、密度、および圧縮強度を特性評価するための技術を以下に説明する。
【0052】
熱伝導率(Kファクタ)
20cm×20cm×2.5cmのサイズのフォーム試験片を、フォームが生成されてから約24時間後にフォームの中心位置から切り取り、SDCのASTMC518-04に準拠して、HC-074熱流量計装置(EKO Instrument Trading Co.,Ltd.)、10℃(下部プレート温度18℃および上部プレート温度2℃)および23℃(下部プレート温度36℃および上部プレート温度10℃)での特性評価に供した。Kファクタの測定値は±0.1mW/mKの分散を示す。
【0053】
発泡密度
硬質フォームの密度は、ASTM1622-03に従って測定した。特に、フォームが生成されてから約24時間後に、フォームの中心位置から20cm×20cm×2.5cmを測定してフォーム試験片を切り取った。サンプルの重量と正確な寸法を測定し、それに応じて密度を計算した。フォーム密度の測定値は0.1±kg/m3の周りの分散を示す。
【0054】
圧縮強度
圧縮強度は、EN826に従って5cm×5cm×5cmのサイズの硬質フォームで測定した。
【0055】
比較例1から4および発明実施例1~3は、表2に示される配合物を使用することによって実施した。すべての比較例および発明実施例の配合は、4.27の同一のNCO指数を達成するように特に設計された。本発明の実施例は、分岐シロキサンb、cおよびdを使用することによって実施したが、比較実施例1~4は、分岐シロキサンを含まなかった。特に、比較例3および4は、非分岐シロキサンであるD10を含んでいた。得られた硬質PIR/PURフォームの熱伝導率(Kファクタ)、密度、および圧縮強度を特性評価し、表2にもまとめ、各成分の量の単位はグラムであった。
【0056】
表2発明実施例(IE)1~3および比較例(CE)1~4の配合および特性評価の結果、DC5374はVORASURFDC 5374の略であり、B8421はTegostab B8421の略である。
【表2】
【0057】
表2の特性評価結果から、線状シロキサンD10流体を含むCE3およびCE4は、Kファクタにおいて、シロキサン成分を含まないCE1およびCE2よりも改善を示さなかったことが分かる。一方、分岐シロキサンb、c、dを含むIE1、IE2、IE3は、同等の圧縮強度(厚さ)を維持しながら、CE1~CE4よりも改善された(すなわち、低い)Kファクタを示した。
【0058】
「好ましくは」、「一般に」、「一般的に」、および「典型的に」などの用語は、特許請求される発明の範囲を限定するために、またはある特定の特徴が、特許請求される発明の構造もしくは機能にとって重大である、必要不可欠である、もしくはさらに重要であることを意味するために本明細書で用いられるのではないことにさらに留意されたい。むしろ、これらの用語は、本開示の特定の実施形態において利用されてもまたは利用されなくてもよい代替的または追加的な特徴を強調することを単に意図するものである。
【0059】
添付の特許請求の範囲に定義される本開示の範囲から逸脱することなく、修正および変更が可能であることは明らかである。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、本明細書において好ましいかまたは特に有利であると認定されているが、本開示は、必ずしもこれらの態様に限定されないことが企図される。
【国際調査報告】