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特表2022-520338100%リサイクル可能で交換可能な環境に優しいPETリップスティック構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(54)【発明の名称】100%リサイクル可能で交換可能な環境に優しいPETリップスティック構造
(51)【国際特許分類】
   A45D 40/00 20060101AFI20220323BHJP
   A45D 40/06 20060101ALI20220323BHJP
【FI】
A45D40/00 Z
A45D40/06 A
A45D40/06 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544748
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(85)【翻訳文提出日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 CN2020131667
(87)【国際公開番号】W WO2021139423
(87)【国際公開日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】202020034014.6
(32)【優先日】2020-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011324002.8
(32)【優先日】2020-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521338570
【氏名又は名称】有淳包装科技(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】RIFE PLUS (SHANGHAI) CO. LTD
【住所又は居所原語表記】2F, No.10, Land 255, Xiao Tong Road Road, Feng Xian District Shanghai China
(74)【代理人】
【識別番号】100194124
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 まゆみ
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(72)【発明者】
【氏名】▲銭▼佳宏
(57)【要約】
芯管と、外側に回転するよう係合するカバーと、芯管内部に軸方向にスライド可能に係合する口紅筒と、カバーの内壁に有する螺旋溝と、芯管の軸方向に沿って有するガイド溝と、口紅筒の外表面に設けられる突起した係合ピンと、を含み、係合ピンは芯管のガイド溝とカバーの内壁の螺旋溝を通りスライドして係合し、芯管後端の外周は一部が把持部であり、把持部部分に近い芯管の後端の外周にはリングビードが設けられ、カバーと芯管のリング溝が互いに係合する部分の内周には互いに回転可能なリング溝が適切に配置され、カバー、芯管及び口紅筒は全てPETを用いて製造される、100%リサイクル可能で交換可能な環境に優しいPETリップスティック構造を開示する。本発明は、構造が新規、安全で衛生的、透明で明るい、操作がスムーズであり、かつ環境保護基準を満たす。全体の三つの部品の材料は一致し、内容物は使用後にリサイクルを行い分別する必要が無く、環境保護の要件を満たしている。全ての材料は無害な材料であり、従来技術における金属ばねの汚染リスクを回避する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐型の芯管と、前記芯管の外側に回転するよう係合する円管状のカバーと、前記芯管内部に軸方向にスライド可能に係合する口紅筒と、前記カバーの内壁に作られる螺旋溝と、前記芯管の軸方向に沿って作られるガイド溝と、前記口紅筒の外表面に設けられる突起した係合ピンと、を含み、
前記係合ピンは、前記芯管の前記ガイド溝を通り、前記カバーの内壁の前記螺旋溝とスライドして係合し、
前記芯管後端の外周は一部が把持部であり、前記把持部部分に近い前記芯管の後端の外周には少なくとも1つのリング溝\リングビードが設けられ、前記カバーと前記芯管の前記リング溝\前記リングビードが互いに係合する部分の内周には互いに回転可能な前記リングビード\前記リング溝が適切に配置され、
前記芯管の前記リング溝\前記リングビードの前端部分には弾性を有するアーチ型のばねシートがあり、前記ばねシートの付け根と前記芯管の壁部は一体に連結し、前記ばねシートの端部は外に向かって跳ね上がり前記芯管表面より突出しており、前記ばねシートは組み立てられた後、前記芯管と前記カバーが分離することを防止するために、前記カバー内側に対応して設置された溝に嵌められる、ことを特徴とする100%リサイクル可能で交換可能な環境に優しいPETリップスティック構造。
【請求項2】
前記カバーの内壁の前記螺旋溝は均一に分布された二重ねじであり、前記芯管の前記ガイド溝は、対称する2つの真っ直ぐな溝であり、前記口紅筒の外表面にある突起した係合ピンは、2つの真っ直ぐな溝に対応する対称二か所に位置することを特徴とする、請求項1に記載の100%リサイクル可能で交換可能な環境に優しいPETリップスティック構造。
【請求項3】
前記ガイド溝の両端にはそれぞれ横向きの一段のサイド溝が伸展しており、前記サイド溝が伸びる方向は、連結している前記ガイド溝の回転方向と反対であり、前記サイド溝の開口部には弧状の隆起点があり、前記隆起点から前記サイド溝の開口部のもう一方側までの幅は前記係合ピンの直径よりもやや小さいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の100%リサイクル可能で交換可能な環境に優しいPETリップスティック構造。
【請求項4】
前記螺旋溝の螺旋傾角は、25°~35°であることを特徴とする、請求項3に記載の100%リサイクル可能で交換可能な環境に優しいPETリップスティック構造。
【請求項5】
前記突起した係合ピンと前記口紅筒は射出成形により製造された一体成形構造であり、前記カバー、前記芯管及び前記口紅筒は全て食品パッケージ級の無害な材料PETを用いて製造され、かつ表面の一部は、無色かつ透明又は半透明の構造にするため、艶消し方法で処理されることを特徴とする、請求項4に記載の100%リサイクル可能で交換可能な環境に優しいPETリップスティック構造。
【請求項6】
前記芯管後端の外周は一部が前記把持部であり、前記把持部の外周には長方形又はひし形の模様が設けられることを特徴とする、請求項5に記載の100%リサイクル可能で交換可能な環境に優しいPETリップスティック構造。
【請求項7】
前記口紅筒の内表面に、軸方向に沿って複数の補強リブが設けられることを特徴とする、請求項6に記載の100%リサイクル可能で交換可能な環境に優しいPETリップスティック構造。
【請求項8】
前記ガイド溝の中部から前端の部分は、両端それぞれに伸展する横向きの一段の前記サイド溝と並列に他のいくつかの前記サイド溝が設けられ、かつ前記いくつかのサイド溝が伸びる方向は前端の前記サイド溝と同方向であり、また、前記把持部部分に近い前記芯管の後端の前記リングビードは3つあり、3つの前記リングビードの間はそれぞれ一定の距離を有し、前記カバーの前記リング溝は2つあり、2つの前記リング溝の間はそれぞれ一定の幅を有し、3つの前記リングビードと2つの前記リング溝が係合した後は一定の軸方向の隙間を備え、前記芯管と前記カバーは前記隙間を利用し軸方向に沿って一定の相対的なスライド距離を有することができることを特徴とする、請求項7に記載の100%リサイクル可能で交換可能な環境に優しいPETリップスティック構造。
【請求項9】
前記カバーの外部には蓋が設けられ、前記蓋は前蓋と後蓋が係合することにより構成されることを特徴とする、請求項7に記載の100%リサイクル可能で交換可能な環境に優しいPETリップスティック構造。
【請求項10】
前記ばねシートは、1つ又は1つより多い透かし細工構造であり、前記ばねシートが1つの時、前記芯管の外側側壁を一周取り囲み、前記ばねシートが1つより多い時、前記芯管の外側側壁に均等に分散され、前記透かし細工構造はいくつかの仕切りを含み、中間に位置する仕切りの付け根と前記芯管の壁部は連結し、中間に位置する仕切りの付け根の硬さと厚さは他の仕切りよりも大きく、前記中間に位置する仕切りの端部には外に向かって突起部が設けられ、前記突起部は前記カバーの内側側壁をしっかりと支え、前記突起部は外に向かうほど厚さは薄くなり、形状は牛の角コームの背部に類似し、前記把持部の底部には1つの突出した外縁が設けられ、前記突出した外縁は前記把持部部分の外周にある前記リング溝\前記リングビードが、カバーにある前記リングビード\前記リング溝とちょうど互いに回転する位置に設けられることを特徴とする、請求項1に記載の100%リサイクル可能で交換可能な環境に優しいPETリップスティック構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品パッケージに関し、特に新型のエコ口紅容器の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
社会の発展に伴い、スティックファンデーション、スティックアイシャドウ、スティックチーク、スティックコンシーラー、リップクリーム、デオドラントスティック、スティック型練り香水等ペースト状の化粧品を含む化粧品及びスキンケア製品は、広義で口紅と総称され、今日、口紅の使用は、一般の人々の生活において普遍的なものとなっている。口紅におけるリップグロス、リップスティックは、唇を赤くさせつやつやな光沢を与えることで、潤いを与え、唇を保護し、顔の美感を高め、また唇の輪郭を補正し、引き立たせる作用を有する製品である。また、関連するペースト状の化粧品及びスキンケア製品は女性にとって不可欠な美容化粧品の一つともなり、女性の美しさ、艶やかさを表すことができるものとなった。口紅や関連するペースト状の化粧品及びスキンケア製品は、通常使いやすさと耐性を十分に具えているという利点があり、かつ持ち運びやすさや使いやすさから多くの女性に好まれている。しかし、従来の口紅パッケージ用品は、構造が複雑で製造コストが大きい、汚染された金属ばねを使用している、外観が不透明で内容物の色が見分けにくい、不適切な構造により使用しにくい、といった様々な問題がある他、特に容器本体の各部品に用いる材料が混ざり合っているためリサイクルすることができない、という問題が存在する。
【0003】
現在の世界では、環境汚染が非常に深刻で、資源が不足していることはよく知られているが、特に化粧品の分野では、プラスチック製品のパッケージを応用することが特に多く、また従来の化粧品パッケージは、例えば口紅容器の中にバネを用いて復位機構としているため、廃棄する口紅容器パッケージはリサイクルすることができなかった。しかし、環境保護のため、また省エネ及び再利用のためにも、リサイクル可能な化粧品パッケージの製造は、社会の発展に必要なものとなっている。
【0004】
現在の国際環境情勢から見ると、世界は二酸化炭素削減を求めており、現在、EU諸国と米国は、2029年までにプラスチックの90%をリサイクルしなければならないと定めている。現在使用されているプラスチックPETは、リサイクルに最も適したプラスチックと認められており、用途も非常に広く、リサイクルすることでPCR、PETプラスチック及び衣料産業用の織物用糸にすることができる。しかし、従来の市販の口紅容器は、構造設計と性能の制限により、構成される各部品にそれぞれ多種の異なる材質の材料、つまり例えばPOM、PSプラスチックを混合して構成されるような混合材料を使用していることから、直接回収することができず、これは早急に解決すべき環境問題でもある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、従来技術の口紅容器に存在する構造及び環境保護等の様々な問題を解決し、構造が新規、安全で内部汚染がなく衛生的、透明で明るく鮮やか、口紅を繰り出す長さが調整可能、かつペーストを使い終わった後パッケージ全体をリサイクルできる、といった環境に優しく経済的な口紅容器構造を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の目的は、以下の技術手段により実現される。
【0007】
分岐型の芯管と、芯管の外側に回転するよう係合する円管状のカバーと、芯管内部に軸方向にスライド可能に係合する口紅筒と、カバーの内壁に作られる螺旋溝と、芯管の軸方向に沿って作られるガイド溝と、口紅筒の外表面に設けられる突起した係合ピンと、を含み、係合ピンは、芯管のガイド溝を通り、カバーの内壁の螺旋溝とスライドして係合し、芯管後端の外周は一部が把持部であり、把持部部分に近い芯管の後端の外周には少なくとも1つのリング溝\リングビードが設けられ、カバーと芯管のリング溝\前記リングビードが互いに係合する部分の内周には互いに回転可能なリングビード\リング溝が適切に配置され、芯管のリング溝\リングビードの前端部分には弾性を有するアーチ型のばねシートがあり、ばねシートの付け根と芯管の壁部は一体に連結し、ばねシートの端部は外に向かって跳ね上がり芯管表面より突出しており、回転時のトルクを上げ、回転がよりスムーズになるよう、ばねシートは組み立てられた後に、カバー内側に対応して設置された溝に嵌められる、ことを特徴とする100%リサイクル可能で交換可能な環境に優しいPETリップスティック構造である。またカバー、芯管及び口紅筒は全て食品パッケージ級の無害な材料PETを用いて製造され、かつ表面の一部は、無色かつ透明又は半透明の構造にするため、適切な艶消し方法で処理される。
【0008】
芯管とカバーを相対的に回転させることで、カバーの螺旋溝は係合ピンを押し動かし、係合ピンもまた芯管のガイド溝の逆推力作用を受けて、両者の力が合わさることで係合ピンはガイド溝に沿って移動するよう促される。係合ピンと口紅筒は一体に連結することから、係合ピンはガイド溝に沿って移動し、つまり口紅筒を軸方向に沿って移動させる。
【0009】
把持部部分に近い芯管の後端とカバーはリング溝とリングビードにより係合し、芯管とカバーはリング溝とリングビードにより係合することで互いに回転し、かつ外れることはない。リング溝とリングビードの係合は適切な押し出しにより実現される。
【0010】
本装置全ての部品はいずれも無色透明のPET材料から製造されたものであるため、元の口紅の色を直接観察することができ、生産、管理、購入又は選択のいずれに対しても便利であり、また製品をより輝かせることができる。全体の3つの部品はいずれもPET材料を使用し、内容物は使用後に完全にリサイクルが可能で分別する必要が無い上、無色、つまり非着色性で、環境保護基準の要件を十分に満たす。前記PET材料とは即ちポリエチレンテレフタレートで、無毒無臭の材料であり、衛生と安全性に優れている。また、気体と水蒸気の透過率が低く、優れた気体、水、油へのバリア性、及び臭気性能、高耐性、低温性能、高透明性を有し、紫外線を遮断することができ、光沢が良いという利点がある。さらに、PETは伝統的な技術で用いられるPS等他の材料よりも硬度が高く、対応する力学的強度も高いため、PETを用いて芯管を製造することで、材料を完全にリサイクルできるという強みを発揮することができ、本装置は構造において伝統的な技術の口紅容器と異なることができる。
【0011】
本装置は同時に、従来技術における金属ばねの使用により引き起こされる内部の汚染のリスクを回避する。
【0012】
好ましい態様において、カバーの内壁の螺旋溝は均一に分布された二重ねじであり、芯管のガイド溝は対称する2つの真っ直ぐな溝であり、口紅筒の外表面にある突起した係合ピンは、2つの真っ直ぐな溝に対応する対称二か所に位置する。
【0013】
好ましい態様において、ガイド溝の両端にはそれぞれ横向きの一段のサイド溝が伸展しており、サイド溝が伸びる方向は、連結しているガイド溝の回転方向と反対である。サイド溝の開口部には弧状の隆起点があり、前記隆起点からサイド溝開口部のもう一方側までの幅は前記係合ピンの直径よりもやや小さい。
【0014】
係合ピンがサイド溝開口部を通る時、押し出されることにより、サイド溝開口部の関連構造には弾性変形が生じる。また、係合ピンの表面層及びサイド溝開口部の両側の表面層にはいずれも弾性変形が生じる。変形の総合効果は係合ピンがサイド溝開口部を十分押せるまでとし、係合ピンがサイド溝開口部を押した後、各関連構造と各表面層の全ての弾性は元に戻る。また、押す時の押し出す力と慣性により係合ピンが前に移動し続け、サイド溝の底部または側壁にぶつかる可能性があり、弾性が元に戻りぶつかることにより振動が起こり「カチッ」という音を出す。その音により使用者は動作の状態を理解することができる。サイド溝開口部の隆起点は弧状構造を採用することで押し出しによる変形の拡大と摩損の減少に有利となり、かつ時間も短い。
【0015】
好ましい態様において、螺旋溝の螺旋傾角は25°~35°である。
【0016】
好ましい態様において、前記突起した係合ピンと口紅筒は射出成形により製造された一体成形であり、前記カバー、芯管及び口紅筒は全て食品パッケージ級の無害な材料PETを用いて製造され、かつ表面の一部は、無色かつ透明又は半透明の構造にするため、艶消し方法で処理される。
【0017】
好ましい態様において、芯管後端の外周は一部が把持部であり、前記把持部の外周には長方形又はひし形の模様が設けられる。
【0018】
好ましい態様において、口紅筒の内表面には軸方向に沿って複数の補強リブが設けられる。
【0019】
好ましい態様において、ガイド溝の中部から前端の部分は、両端それぞれに伸展する横向きの一段のサイド溝と並列に別のいくつかのサイド溝が設けられ、かつ前記いくつかのサイド溝が伸びる方向は前端のサイド溝と同方向である。また、把持部部分に近い芯管の後端のリングビードは3つあり、3つのリングビードの間はそれぞれ一定の距離を有する。カバーのリング溝は2つあり、2つのリング溝の間はそれぞれ一定の幅を有する。前記3つのリングビードと2つのリング溝が係合した後は一定の軸方向の隙間を備える。芯管とカバーは前記隙間を利用し軸方向に沿って一定の相対的なスライド距離を有する。
【0020】
好ましい態様において、前記ばねシートは1つ又は1つより多い透かし細工構造であり、ばねシートが1つの時、前記芯管の外側側壁を一周取り囲み、ばねシートが1つより多い時、前記芯管の外側側壁に均等に分散される。前記透かし細工構造はいくつかの仕切りを含み、中間に位置する仕切りの付け根と前記芯管の壁部は連結し、中間に位置する仕切りの付け根の硬さと厚さは他の仕切りよりも大きい。前記中間に位置する仕切りの端部には外に向かって突起部が設けられ、前記突起部は前記カバーの内側側壁をしっかりと支える。前記突起部は外に向かうほど厚さは薄くなり、形状は牛の角コームの背部に類似する。前記把持部の底部には1つの突出した外縁が設けられ、前記突出した外縁は把持部部分の外周にあるリング溝\リングビードが、カバーにあるリングビード\リング溝とちょうど互いに回転する位置に設けられる。ばねシートの中間に位置する仕切りの主な作用は三つあり、1つ目は、芯管とカバーを固定する作用、2つ目はばねシートの中間に位置する仕切りの直径は芯管の他の部分の直径よりも大きいため、芯管がカバーの中に嵌り、手で把持部を回転させる時、芯管壁部の他の部分とカバーとの間には接触や摩擦が多すぎて回転が困難になることはないため、使用者は回転時に適切な回転力を感じ、使い心地も楽になること、3つ目は、ばねシートの中間に位置する仕切りの牛の角コームの背部に類似する形状の設計自体が、芯管壁部とカバーの内側側壁との間の摩擦力を低減することである。突出した外縁は限位作用を有し、つまり芯管のばねシートの中間に位置する仕切りはカバーの内側側壁に嵌り、また、さらに把持部に突出した外縁の限位作用により、芯管をカバー内にしっかりと固定することができ、かつ相対的に回転させることができる。
【0021】
新製品の口紅容器は常に最も多くの口紅で満たされ、口紅の長さも最も長い状態にあるが、もし前端部のサイド溝のみによって口紅筒の繰り出る長さを決めると、新しく取り付けられた口紅は芯管の端部が明らかに突出しすぎる。また、もし螺旋溝中間の適当な部分で係合ピン及び口紅容器が位置づけられれば、不安定な状態になり、使用に影響する。複数の並列したサイド溝を設けることで、口紅筒は異なる位置を選択することができ、使用者は必要に応じて、口紅筒を芯管の端部の適切な長さまで繰り出すよう操作することができる。
【0022】
好ましい態様において、カバーの外部には蓋が設けられ、蓋の前端底部は密閉結合であり、蓋は前蓋と後蓋が係合することにより構成される。
【0023】
本発明の有益な効果は、以下の通りである。
1、 本発明の口紅容器はコンパクトで完結な構造で、わずか3つの部品から完全に構成されている。全ての部品はいずれも射出成形により大量に製造することができ、コストが低く、射出成形の部品は二次加工の必要がなく、組み立ては非常に便利で速い。特に、直接カバー内表面に螺旋溝を設けることで、従来の部品分離の使用による弊害を回避することができる。
2、 全ての部品は無色透明で、元の口紅の色を直接観察することができ、生産、管理、購入、選択のいずれに対しても便利で、また製品をより輝かせることができる。
3、 前記部品の表面の一部は、無色にするため適切な艶消し方法で処理され、また透明又は半透明の構造は金型の関連する表面を適切に処理することにより達成され、製造が便利である。
4、 全体の三つの部品の材料は一致し、内容物は使用後にリサイクルを行い分別する必要が無く、環境保護の要件を満たしている。
5、 全ての材料は無害な材料であり、従来技術における金属ばねの汚染リスクを回避する。
6、 ガイド溝と原動源としての螺旋溝は対称に配置されることで、回転時のトルクバランスが良く、回転が安定する。
7、 芯管のリング溝\リングビードの前端部分は弾性を有するアーチ型のばねシートがあり、ばねシートの付け根と芯管の壁部は一体に連結し、ばねシートの端部は外に向かって跳ね上がり芯管表面より適切に突出しており、ばねシートは組み立てられた後、芯管とカバーが分離することを防止するために、カバー内側の対応する設置された溝に嵌められる。
8、 ガイド溝の両端部には横向きのサイド溝が伸びており、口紅を塗布する時に口紅容器が緩みまた退縮することで塗布に影響することを防ぐために、前端は口紅容器をロックすることができる。後端は、カバーにトルクが作用しない時に、口紅容器が自動的に前方にスライドしないように保証する。
9、 ガイド溝の中部から前端の部分は、両端のサイド溝と並列に別のいくつかのサイド溝が設けられ、複数のサイド溝により口紅筒は異なる位置を選択できるようになり、使用者は必要に応じて、口紅筒を芯管の端部の適切な長さまで繰り出すよう操作することができる。
10、 サイド溝の開口部には弧状の隆起点があり、前記隆起点からサイド溝開口部のもう一方側までの幅は前記係合ピンの直径よりもやや小さい。このようにすることで、係合ピンは押し出しによってのみサイド溝に挿入することができるため、確実な位置決定を実現することができる。隆起点があることで、状態を知らせるために押し出す過程において音が出る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は本発明の実施例の構成を示す概略図である。
図2図2は本発明の実施例の分解を示す概略図である。
図3図3は口紅容器の断面を示す概略図である。
図4図4は口紅容器の斜視図を示す概略図である。
図5図5は芯管の断面を示す概略図である。
図6図6は芯管の斜視図を示す概略図である。
図7図7はカバーの断面を示す概略図である。
図8図8はカバーの斜視図を示す概略図である。
図9図9は係合ピンの受ける力を示す概略図である。
図10図10は第二実施例における芯管の構造を示す概略図である。
図11図11は第二実施例におけるカバーの構造を示す概略図である。
図12図12は第二実施例における組み立てを示す概略図である。
図13図13はさらに別の実施例の構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施例は、本発明の技術方案を前提に実施され、詳細な実施方式及び具体的な操作過程を提供するが、本発明の請求の範囲は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0026】
図1図2を参照すると、100%リサイクル可能で交換可能な環境に優しいPETリップスティック構造は、分岐型の芯管1と、芯管1の外側に回転するよう係合する円管状のカバー2と、芯管1内部に軸方向にスライド可能に係合する口紅筒3と、カバー2の内壁に作られる螺旋溝21と、芯管1の軸方向に沿って作られるガイド溝11と、を含む。
【0027】
口紅筒3の外表面には突起した係合ピン31が設けられ、係合ピン31と口紅筒3は射出成形により製造された一体成形である。図3図4を参照。
【0028】
係合ピン31は芯管1のガイド溝11を通り、カバー2の内壁の螺旋溝21とスライドして係合し、芯管1後端の外周は一部が把持部12であり、芯管1の後端に近い把持部12部分の外周には2つのリングビード13が設けられ、カバー2と芯管1のリングビード13が互いに係合する部分の内周には互いに回転可能なリング溝22が適切に配置される。芯管1とカバー2はリング溝22とリングビード13により係合することで、唯一1つの自由度を有する、つまり両者は互いに回転することしかできず、軸方向に沿って移動することはない。芯管1のリングビード13の前端部分には弾性を有するアーチ型のばねシート14があり、ばねシート14の付け根と芯管1の壁部は一体に連結し、ばねシート14の端部は跳ね上がり芯管1表面より突出しており、ばねシート14は組み立てられた後に、カバー2内側に対応して設置された溝にはめ込まれ、芯管1とカバー2が分離することを防止する。組み立て又は必要時の分解を容易にするため、ばねシート14の端部の外側は、前向きの傾斜面構造又は両面傾斜、つまり人字構造に設計されている。図5図6を参照。
【0029】
螺旋溝21の回転は右回りであり、右回りを採用するのは、大多数の使用者は右手で回転を操作するという習慣に適応させるためである。もちろん左回り構造を少量採用することもできるが、説明書において明記する必要がある。図7図8を参照。
【0030】
カバー2の内壁の螺旋溝21は均一に分布された二重ねじであり、芯管1のガイド溝11は対称する2つの溝であり、口紅筒3の外表面にある突起した係合ピン31は2つの溝に対応する対称二か所に位置する。
【0031】
ガイド溝11の両端にはそれぞれ横向きの一段のサイド溝15が伸展しており、サイド溝15が伸びる方向は、前記螺旋溝21の回転方向と反対である。また、口紅筒3の組み立てを容易にするため、前端は1つのサイド溝15と芯管1端部との間に小さな開口部を有する。サイド溝15の開口部には弧状の隆起点16があり、前記隆起点16からサイド溝15開口部のもう一方側までの幅は前記係合ピン31の直径よりもやや小さい。ガイド溝11の前端と芯管1前端部分との間には組み立てやすいように細隙17が設けられ、前記細隙17は口紅筒3の係合ピン31と芯管1を容易に組み立てるために用いられる。
【0032】
螺旋溝21の螺旋傾角は28°である。角度の大きさは移動速度と移動抵抗を考慮する必要があり、角度が大きすぎると、ねじの回転抵抗が増加することで引っかかり、システムの自己ロックが引き起こされる。
【0033】
芯管1後端にある把持部12の外周には、長方形又はひし形の模様が設けられる。材料の節約とスペース占用の削減を考慮し、把持部12の長さは常にいくらか短くなるよう設計しなければならない。しかし、そうすることで把持の作用力に影響する恐れがあるため、模様を設置することで、芯管1を手で持ち芯管1とカバー2を相対的に回転させやすくする。さらに、螺旋溝21とガイド溝11の合わせた作用力を利用し、口紅筒3を押し動かし軸方向に沿って移動させる。
【0034】
図9は係合ピンの受ける力の合成を示す図である。図において、螺旋溝21の傾角は30°であり、つまりガイド溝11と螺旋溝21の展開線の挟み角は60°である。f1はカバー2にある螺旋溝21の係合ピン31に対する推力である。f2は芯管1にあるガイド溝11の係合ピン31に対する逆推力である。係合ピン31と螺旋溝21は表面が滑らかに接触し、同様に係合ピン31とガイド溝11も表面が滑らかに接触することから、係合ピン31と螺旋溝21、及び係合ピン31とガイド溝11の作用力方向は必ずそれぞれ表面の方向を指し示す、つまりf1方向は螺旋溝21の壁面に垂直であり、f2方向はガイド溝11の壁面に垂直である、と確定することができる。f1とf2の合力はf3であり、各力の方向を図9に示す。合力f3は前方を向き、f3は係合ピンを押し動かし口紅筒も前方に移動させる。
【0035】
口紅筒3の内表面は軸方向に沿って12個の補強リブ32が均一に分布される。補強リブ32の設置は、口紅筒3の強度を上げるためであり、同時に口紅が口紅筒3の中から滑り落ちることを防ぐ機能を有するためでもある。
【0036】
芯管1、カバー2及び口紅筒3を含む本装置の部品は全て食品パッケージ級の無害な材料PETを用いて製造され、かつ表面の一部は、無色かつ透明又は半透明の構造にするため、適切な艶消し方法で処理される。口紅の色がはっきり見えるように適応し、識別しやすく、無害且つ安全で衛生的なことから全体を回収することができ、環境保護基準の要件を満たす。色がはっきり見えることで商品の外観の良さが高まることにもなる。
【実施例2】
【0037】
ガイド溝11の中部から前端の部分は、前記両端それぞれに伸展する横向きの一段のサイド溝15と並列に別のいくつかのサイド溝が設けられ、かつ前記いくつかのサイド溝が伸びる方向は前端のサイド溝15と同方向である。また、把持部12部分に近い芯管1の後端のリングビード13は3つあり、3つのリングビード13の間はそれぞれ一定の距離を有する。図10を参照。
【0038】
カバー2のリング溝22は2つあり、2つのリング溝22の間はそれぞれ一定の幅を有する。図11を参照。
【0039】
前記3つのリングビード13と2つのリング溝22が係合した後は一定の軸方向の隙間aを備える。芯管とカバーは前記隙間を利用し軸方向に沿って一定の相対的なスライド距離を有する。使用者が芯管の把持部を片手で持ち、カバーをもう一方の手で持ち、両者を相対的に回転させる時、もしこの時に3つのリングビード13の後方が2つのリング溝22の後縁に押し付けられている場合、係合ピン31はまず第一サイド溝に挿入され、次にやや逆回転され、係合ピン31が第一サイド溝を退出し、正回転しながら同時にカバーに対し適切な引張り力が加えられる、係合ピン31が第一サイド溝を飛び越え前方に移動しながら第二サイド溝に挿入される、そして最後に端部のサイド溝に挿入されるまでこの規律に従う。もし初めから係合ピン31を第二サイド溝に挿入させることを選択する場合、カバー2に対し回転トルクが加えられ、係合ピンが第一サイド溝開口部に近づくと同時に引張り力が加えられる。係合ピン31が移動し、引張り力の作用により第一サイド溝を跳び越えた後、引張り力は停止し、つまり回転するのみで引張られないため、係合ピン31は前に進みながら第二サイド溝に挿入されることができる。複数のサイド溝の位置を選択できることから、使用者は必要に応じて、口紅筒3を芯管1の端部の適切な長さまで繰り出すよう操作することができる。図12を参照。
【0040】
その他の構造は実施例1と同様である。
【実施例3】
【0041】
カバー2の外部には蓋4が設けられ、蓋4は前蓋41と後蓋42が係合することにより構成される。その他の構造は実施例1と同様である。図13を参照。
【実施例4】
【0042】
ばねシート14は1つ又は1つより多い透かし細工構造であり、ばねシート14が1つの時、芯管1の外側側壁を一周取り囲み、ばねシート14が1つより多い時、芯管1の外側側壁に均等に分散される。透かし細工構造はいくつかの仕切りを含み、中間に位置する仕切りの付け根と芯管1の壁部は連結し、中間に位置する仕切りの付け根の硬さと厚さは他の仕切りよりも大きい。中間に位置する仕切りの端部には外に向かって突起部が設けられ、前記突起部はカバー1の内側側壁をしっかりと支える。突起部は外に向かうほど厚さは薄くなり、形状は牛の角コームの背部に類似する。把持部12の底部には1つの突出した外縁が設けられ、前記突出した外縁は把持部12の外周にあるリング溝\リングビードが、カバー2にあるリングビード\リング溝とちょうど互いに回転する位置に設けられる。
【0043】
ばねシートの中間に位置する仕切りの主な役割は三つあり、1つ目は、芯管とカバーを固定する役割、2つ目はばねシートの中間に位置する仕切りの直径は芯管の他の部分の直径よりも大きいため、芯管がカバーの中に嵌り、手で把持部を回転させる時、芯管壁部の他の部分とカバーとの間には接触や摩擦が起こることはないため、使用者は回転時に回転力が小さく感じられ、使い心地も楽になること、3つ目は、ばねシートの中間に位置する仕切りの牛の角コームの背部に類似する形状の設計自体が、芯管壁部とカバーの内側側壁との間の摩擦力を低減することである。
【0044】
突出した外縁は限位作用を有し、つまり芯管のばねシートの中間に位置する仕切りはカバーの内側側壁に嵌り、また、さらに把持部に突出した外縁の限位作用により、芯管をカバー内にしっかりと固定することができ、かつ相対的に回転させることができる。
【0045】
以上により、本発明の基本メカニズム、主な特徴、本発明の利点を示して、記載した。当業者は、本発明が上記の実施例に制限されず、上記実施例及び明細書の記載は本発明のメカニズムを説明するためのものみであり、本発明及び範囲から脱離されない前提の下、本発明には更に各種変更及び改善を行ってよく、それらの変更及び改善は本願の請求する範囲内にある、と理解すべきである。本願の請求する範囲は、添付の請求の範囲及びその同等物に限定される。
【符号の説明】
【0046】
1 芯管
11 ガイド溝
12 把持部
13 リングビード
14 ばねシート
15 サイド溝
16 隆起点
17 細隙
2 カバー
21 螺旋溝
22 リング溝
3 口紅筒
31 係合ピン
32 補強リブ
4 蓋
41 前蓋
42 後蓋
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】