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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(54)【発明の名称】部品を生成製造する設備および方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/153 20170101AFI20220323BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20220323BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220323BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220323BHJP
   B29C 64/336 20170101ALI20220323BHJP
【FI】
B29C64/153
B29C64/245
B33Y30/00
B33Y10/00
B29C64/336
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545935
(86)(22)【出願日】2020-01-13
(85)【翻訳文提出日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2020050699
(87)【国際公開番号】W WO2020160876
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】102019201494.1
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ディーター ホルツ
(72)【発明者】
【氏名】マルティン シェプフ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】アルネ シュテファン フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】マリウス ヴィンター
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213AR07
4F213AR08
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL12
4F213WL24
4F213WL35
4F213WL67
4F213WL73
4F213WL87
4F213WL96
(57)【要約】
材料粉末から部品(2)を生成製造する設備(1)は、部品(2)の造形に用いられる造形プラットフォーム(11)と、造形プラットフォーム(11)上に粉末層(12)を積層する少なくとも1つの積層区間と、粉末層(12)に対し選択的に照射を行う少なくとも1つの照射区間(17)と、運搬ユニット(7)とを備え、運搬ユニット(7)は、造形プラットフォーム(11)を設備空間(4)内で運搬路に沿って移動かつ/または走行させるように形成されており、積層区間および照射区間(17)は、運搬路に沿って離間かつ/または隣接している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料粉末から部品(2)を生成製造する設備(1)であって、
前記部品(2)の造形に用いられる造形プラットフォーム(11)と、
前記造形プラットフォーム(11)上に粉末層(12)を積層する少なくとも1つの積層区間と、
前記粉末層(12)に対し選択的に照射を行う少なくとも1つの照射区間(17)と、
を備える設備(1)において、
運搬ユニット(7)を備え、
前記運搬ユニット(7)は、前記造形プラットフォーム(11)を設備空間(4)内で運搬路に沿って移動かつ/または走行させるように形成されており、
前記積層区間および前記照射区間(17)は、前記運搬路に沿って離間かつ/または隣接している、
ことを特徴とする、材料粉末から部品(2)を生成製造する設備(1)。
【請求項2】
複数の積層区間と複数の照射区間(17)とを備え、
前記複数の積層区間および前記複数の照射区間(17)は、前記運搬路に沿って離間している、
ことを特徴とする、請求項1記載の設備(1)。
【請求項3】
2つの照射区間(17)間にそれぞれ少なくとも1つの積層区間が配置されていることを特徴とする、請求項2記載の設備(1)。
【請求項4】
複数ある前記積層区間の第1の積層区間において第1の材料粉末を積層する第1の積層装置(10,10a,10b)と、複数ある前記積層区間の第2の積層区間において第2の材料粉末を積層する第2の積層装置(10,10b,10c)とを備え、
第1および第2の材料粉末は、相違するように形成されているかつ/または相違する組成を有している、
ことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の設備(1)。
【請求項5】
前記部品(2)は、複層部品を形成し、かつ複数の層から構成されており、
前記設備(1)は、少なくとも層の数の照射区間(17)および/または少なくとも層の数の積層区間を備える、
ことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の設備(1)。
【請求項6】
前記造形プラットフォーム(11)は、前記運搬ユニット(7)に包含されており、かつ/または前記造形プラットフォーム(11)は、前記運搬ユニット(7)を形成していることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の設備(1)。
【請求項7】
前記運搬ユニット(7)および/または前記造形プラットフォーム(11)は、搬送ベルトを形成していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の設備(1)。
【請求項8】
加工チャンバを備え、
少なくとも1つの前記照射区間(17)および少なくとも1つの前記積層区間は、前記加工チャンバ内に配置されている、
ことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の設備(1)。
【請求項9】
前記加工チャンバは、入口ロック区間(5)と出口ロック区間(6)とを有し、
前記運搬路は、前記入口ロック区間(5)から前記出口ロック区間(6)に通じている、
ことを特徴とする、請求項8記載の設備(1)。
【請求項10】
未使用の材料粉末を搬出する少なくとも1つの粉末除去ユニット(18,18a~c)を備えることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の設備(1)。
【請求項11】
前記粉末除去ユニット(18,18a~c)は、2つの積層区間の間に素材切り換えのために配置されていることを特徴とする、請求項10記載の設備(1)。
【請求項12】
前記運搬ユニット(7)は、前記造形プラットフォーム(11)を連続的に移動かつ/または一定の速度で移動させるように形成されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の設備(1)。
【請求項13】
前記部品(2)は、平坦な部品を形成していることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の設備(1)。
【請求項14】
前記部品(2)は、バイポーラプレートを形成していることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の設備(1)。
【請求項15】
部品(2)を特に請求項1から14までのいずれか1項記載の設備(1)を用いて製造する方法であって、粉末層(12)を造形プラットフォーム(11)上に積層し、続いて前記粉末層(12)に対し選択的に照射を行い、このとき、前記粉末層の積層と、前記粉末層(12)の照射とを空間的に隔てて行う、部品(2)を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
粉末状の材料粉末から部品を生成製造する設備は、部品の造形に用いられる造形プラットフォームと、造形プラットフォーム上に粉末層を積層する少なくとも1つの積層区間と、粉末層に対し選択的に照射を行う少なくとも1つの照射区間とを備えている。
【0002】
部品を加法的(付加的)に造形、例えば3Dプリントする粉末床ベースの設備は、従来技術において公知である。このような設備は、リニアに構成されており、すなわち、粉末被覆は、プロセスチャンバ内で並進的に機能しており、加法的な製造プロセスの総生産性を大幅に低下させてしまう停止時間を招く。選択性を向上させるために、従来技術では、例えば1つのプロセスチャンバ内で複数の部品を造形すべく同時に複数のレーザビームが使用されるマルチレーザ設備が使用される。
【0003】
おそらく最も近似した従来技術をなした独国特許出願公開第102016211799号明細書には、粉末材料からワークを製造する装置が記載されている。この装置は、粉末状の材料のための少なくとも1つの造形容器を有するキャリア装置を備え、粉末状の材料から、ワークは、加工ビームによる選択的な溶融と、続いての凝固とにより造形容器内で製造可能である。少なくとも1つの貯蔵容器が、別体の分配要素を有し、分配要素は、位置固定に配置されるキャリア装置に対して相対的に軸線回りに回転可能である。
【0004】
本発明の一思想は、部品の造形時間ならびに設備の停止時間および待機時間が減じられる設備を提供することである。
【0005】
発明の開示
請求項1の特徴を備える、部品を生成製造する設備を提案する。さらに、請求項15の特徴を備える、部品を生成製造する方法を提案する。本発明の好ましいかつ/または有利な実施の形態は、従属請求項、明細書および添付の図面から看取可能である。
【0006】
粉末状の材料粉末から部品を生成製造する設備を提案する。この設備は、特に粉末床ベースの造形方法、好ましくは粉末床ベースのプリント方法を実施するように形成されている。この設備は、例えば3Dプリント設備を形成している。部品および/または材料粉末は、金属材料、セラミック材料および/またはプラスチック材料を包含かつ/または形成し得る。特にこの設備は、選択的レーザメルティング設備(SLM)、電子ビームベースの造形設備(EBM)またはイオンビーム造形方法として形成されている。この設備は、特に設備空間を備えている。設備空間は、例えば設備のハウジングにより包囲かつ/または画定されて(いて)もよい。部品は、好ましくは成層部品であり、2層より多くの層および/または100層未満の層を有している。好ましくは、部品は、平坦な部品を形成している。粉末状の材料粉末は、例えば金属粉末、セラミック粉末またはプラスチック粉末である。特に材料粉末は、バインダを含んでいてもよい。
【0007】
この設備は、部品の造形に用いられる少なくとも1つの造形プラットフォームを備えている。造形プラットフォームは、少なくとも1つの平面状の区間を有している。造形プラットフォームおよび/またはその平面状の区間は、好ましくは平らに形成されている。特に造形プラットフォームは、金属キャリアを形成していてもよい。例えば造形プラットフォームは、金属プレート、プラスチックプレートまたはセラミックプレートとして形成されている。特に造形プラットフォームは、エンドレス材料、例えばロールからのシートとして形成されていてもよい。
【0008】
この設備は、少なくとも1つの積層区間を備えている。積層区間は、特に設備空間の平面状の区画または容積区画である。特に積層区間と造形プラットフォームとは、少なくとも一時的にオーバラップを有している。積層区間では、粉末層が造形プラットフォーム上に積層可能である。特に粉末層は、造形プラットフォームと自由表面との間の介在層に積層可能である。例えば既に1つ前の粉末層が照射かつ/または硬化されており、その結果、この粉末層の積層は、前の粉末層上に実施される。例えばこの設備は、このために粉末積層装置を備えている。粉末積層装置は、材料粉末および/または粉末のためのリザーバを有していてもよい。粉末層は、特に材料粉末から作成される。このために、特に材料粉末は、粉末の形態で平面状に積層される。特に積層装置は、このためにドクタおよび/または均し器を有している。粉末層は、造形プラットフォームを完全に埋めることができ、代替的には、粉末層は、造形プラットフォームの一部領域のみに積層される。粉末層は、特に任意の粉末層厚さを有している。積層区間は、特に設備空間内に配置されている。
【0009】
この設備は、少なくとも1つの照射区間をさらに備えている。照射区間は、好ましくは、設備空間内の平面状の区間であり、代替的には、照射区間は、照射空間の容積区間である。造形プラットフォームおよび/または積層された粉末層は、好ましくは、少なくとも一時的に照射区間内に配置されており、かつ/または配置可能である。この設備は、例えば照射装置を備え、照射装置は、粉末層を選択的に照射することができる。照射は、例えばレーザビーム、イオンビームまたは電子ビームの照射として実施され得る。例えばこのために照射装置は、レーザ、イオン源または電子源を有している。選択的な照射により、粉末層は、特に選択的に、点状に、線状にかつ/または平面状に溶融される。照射後、好ましくは凝固ステップが実施され、その結果、溶融された粉末層は、凝固し、固化することができる。
【0010】
この設備は、運搬ユニットを備えている。運搬ユニットは、造形プラットフォームを設備空間内で移動、摺動かつ/または走行させるように形成されている。運搬ユニットにより、造形プラットフォームは、運搬路に沿って移動可能かつ/または走行可能である。運搬路は、好ましくは真っ直ぐな路であり、代替的かつ/または補足的に、運搬路は、折れた、曲がったかつ/または枝分かれした運搬路を形成していてもよい。好ましくは、運搬路は、完全に設備空間内に配置されている。代替的には、運搬路の一部が設備空間外に配置されていてもよい。運搬ユニットは、造形プラットフォームを積層区間から照射区間に運搬するように形成されている。この設備が、複数の積層区間および/または複数の照射区間を備えている場合、運搬ユニットは、特に、造形プラットフォームを1つの積層区間から1つの照射区間に、そしてこの照射区間からさらに別の積層区間および/または照射区間に運搬するように形成されている。
【0011】
本発明により、積層区間および照射区間は、離間して、相前後してかつ/または互いに隣接して配置されている。特に積層区間および照射区間は、運搬路に沿って離間している。積層区間および照射区間は、別の区間により互いに隔てられていてもよく、代替的には、照射区間および積層区間は、移行部なく互いに隣接している。
【0012】
本発明の一思想は、生成的製造方法により部品をより効率的かつ/またはより迅速に製造する設備を提供することである。特に一思想は、停止時間、切り換え時間および/または準備時間を減じ、かつ/またはこれらを統合することである。このことは、特に被覆と照射とが時間的かつ/または空間的に互いに切り離されていることで成就する。従来のように造形プラットフォームを造形プロセス中定まった一箇所にとどめ置き、場合によってはプレートを下降させるだけの代わりに、造形プラットフォームを造形中設備内で摺動させることによって、粉末を積層し、かつ露光をシーケンシャルに配し、用いることができる。特にこれにより、部品毎に造形にかかる時間は、もはや全被覆工程および露光工程の純然たる合計として与えられているのではなく、個々の露光工程の時間のみから特定される。
【0013】
本発明の一構成によれば、この設備は、複数の積層区間と複数の照射区間とを備えている。好ましくは、積層区間の数は、照射区間の数に等しい。例えば全積層区間および全照射区間は、設備の1つの共通のハウジング内に、ひいては1つの共通の設備空間内に配置されている。積層区間および照射区間は、運搬路に沿って配置されている。特に積層区間および照射区間は、交互に運搬路に沿って配置されている。運搬路は、特に第1の積層区間から第1の照射区間に、第1の照射区間から第2の積層区間に、そして、さらなる照射区間および積層区間がある場合は、その最後の照射区間まで通じている。照射区間および積層区間は、特にリニアなかつ/または真っ直ぐな運搬路に沿って配置されている。運搬ユニットは、複数の積層区間と複数の照射区間とを結んでいる。
【0014】
特に好ましくは、2つの照射区間の間にそれぞれ少なくとも1つの積層区間が配置されている。代替的には、1つの照射区間に続けて別の照射区間が、例えば別のレーザビーム、例えば別の波長または出力のレーザビームを用いて粉末層をさらに加工、溶融かつ/または構造化させるべく、設けられていてもよい。
【0015】
特に好ましくは、この設備は、第1の材料粉末により粉末層を積層する第1の積層装置と、第2の材料粉末により第2の積層区間で粉末層を積層する第2の積層装置とを備えている。特にこの設備は、第1の積層区間と第2の積層区間とで異なる材料粉末が使用されるように形成されていてもよい。第1の材料粉末と第2の材料粉末とは、異なる物理的特性、化学的特性および/または組成を有している。本構成の根底にある思想は、部品が複数の異なる粉末層、特に材料粉末から製造可能であり、これらの異なる材料粉末が、運搬路にわたって互いに間隔を置いた複数の異なる積層区間で積層される設備を提供することである。特に、而して複数の材料粉末が混ざってしまうことは、回避され得る。
【0016】
特に部品は、複数の層を有する複層部品を形成している。層の数は、特に、部品の造形に必要な粉末層の数に等しい。好ましくは、層の数は2層より多い、特に5層より多い。さらに好ましくは、層の数は20層より少ない。任意選択的には、この設備は、部品の層の数に等しい複数の照射区間および/または積層区間を備えている。本構成の根底にある思想は、部品の造形に必要なすべての層を1つのラインで生成かつ/または創成可能な製造設備を提供することである。
【0017】
本発明の一構成によれば、造形プラットフォームは、運搬ユニットに包含されており、かつ/または造形プラットフォームは、運搬ユニットを形成している。例えばこのために、造形プラットフォームは、任意の機構、例えばリンクまたはロープにより、造形プラットフォームが設備空間内で摺動可能、移動可能かつ/または走行可能であるように結合されている。特に運搬ユニットに包含された造形プラットフォームは、再利用可能な造形プラットフォームであり、この造形プラットフォームは、部品の造形後、再び新たな別の部品の造形のために使用可能である。例えば造形プラットフォームは、部品造形の完成後、運搬路の始点に再び提供かつ/または使用される。
【0018】
特に好ましくは、運搬ユニットおよび/または造形プラットフォームは、搬送ベルトを形成している。例えば造形プラットフォームは、金属ベルトを形成し、その上に粉末層が積層され、部品が造形される。造形プラットフォームおよび/または搬送ベルトは、これにより特に無端ベルトを形成し、無端ベルトは、ループ状にかつ/または閉じられて配置されている。特に好ましくは、造形プラットフォームは、その上に部品が直接積層かつ/または造形されるように形成されている。例えば造形プラットフォームおよび/または搬送ベルトは、部品のベース材料および/またはベース層を形成している。例えば造形された部品は、続いて造形プラットフォームおよび/または搬送ベルトから打ち抜かれ、かつ/またはそこから個別化され得る。
【0019】
この設備は、好ましくは加工チャンバを備えている。加工チャンバは、例えば設備のハウジングにより形成されている。特に設備空間は、加工チャンバ内に配置されている。例えば少なくとも1つのかつ/またはすべての照射区間は、加工チャンバ内に配置されている。さらに好ましくは、少なくとも1つのまたはすべての積層区間は、加工チャンバ内に配置されている。特に加工チャンバ内は、シールドガス雰囲気が支配的となっている。例えばこの設備は、このために雰囲気提供装置を備え、雰囲気提供装置は、シールドガスを導入かつ/または導出する。加工チャンバは、特に周囲および/または雰囲気に対するシールドガス雰囲気のためのバリアを形成している。好ましくは、運搬路は、かつ/または運搬路全体は、加工チャンバ内に配置されている。
【0020】
本発明の一構成によれば、加工チャンバは、入口ロック区間と出口ロック区間とを有している。運搬路は、好ましくは、入口ロック区間から出口ロック区間にかけて延在している。入口ロック区間および/または出口ロック区間は、例えばスリットとしてハウジングおよび/または加工チャンバ内に形成されている。好ましくは、スリットの高さは、運搬ユニット上において入口ロック区間では造形プラットフォームが進入でき、出口ロック区間では部品が退出できるように寸法設定されている。入口ロック区間および出口ロック区間は、加工チャンバを周囲に対して開放するために用いられると同時に、シールドガス雰囲気を維持するように努めている。例えば加工チャンバ内には、シールドガス正圧が支配しており、その結果、入口ロック区間および出口ロック区間は、正圧および/またはシールドガスを逃がすために用いられ、その結果、加工チャンバ内は、常にシールドガス雰囲気が支配的となっている。
【0021】
特に好ましくは、この設備は、少なくとも1つの粉末除去ユニットを備えている。粉末除去ユニットは、例えば吸い込みユニットとして、または磁化ユニットとして、または電界を発生させるユニットとして形成されている。粉末除去ユニットは、好ましくは、照射区間の後に配置されている。粉末除去ユニットにより、溶融されなかったかつ/または使用されなかった粉末は、搬出かつ/または吸引され得る。特に粉末を吸引する代わりにかつ/またはそれに加えて、金属および/または別種の粉末の場合、帯電および/または電気分離によって搬出を行っても、磁化によって搬出を行ってもよい。本構成の根底にある思想は、省資源型の設備を提供することであり、その結果、例えば使用されなかった粉末状の材料粉末を後で再利用し、これを使用することができる。
【0022】
任意選択的には、粉末除去ユニットは、相違する材料粉体あるいは材料粉末が使用される複数の積層区間の間に配置されている。例えば第1の積層区間では第1の材料粉末が使用され、第2の積層区間では別種の材料粉末が使用され、このとき、第1の材料粉末のための照射区間後、粉末除去ユニットが、使われなかった第1の材料粉末を吸引した後で初めて、さらなる材料粉末が積層される。本構成の根底にある思想は、材料粉末の切り換えの際、設備内において材料粉末の種類が混ざってしまわないようにすることを可能にすることであり、その結果、各材料粉末は、特に引き続き利用可能かつ/またはリサイクル可能である。
【0023】
特に好ましくは、運搬ユニットは、造形プラットフォームの運搬を連続的に実施するように形成されている。例えばこの場合、造形プラットフォームは、一定の速度で運搬路に沿って連続的に搬送される。本構成の根底にある思想は、連続的な加工を可能にし、かつ/または而して粉末層のずれ、すべりおよび/またはかじりを回避することができるようにすることである。代替的には、運搬ユニットは、造形プラットフォームを不連続的に、例えば漸進的に運搬するように形成されている。例えばこの場合、造形プラットフォームの運搬は、それぞれ、予め決められた並進路に沿って、予め決められたかつ/または調整可能な長さで実施される。
【0024】
任意選択的には、部品は、平坦な部品を形成し、設備は、平坦な部品を製造する設備を形成している。特にこの設備は、この場合、出口ロック区間および/または入口ロック区間が平坦な部品に合わせて構成されているように方向付けられ、かつ/または構成されている。平坦な部品の例は、例えば10層未満の層および/または5センチメートル未満の高さを有する部品である。特に部品は、構造部品、面および/または冷却体を形成している。
【0025】
特に好ましくは、部品は、燃料電池用のバイポーラプレートおよび/またはフローフィールドを形成している。例えば部品は、PEM燃料電池用のバイポーラプレートである。例えばPEM燃料電池用のフローフィールドおよび/またはバイポーラプレートは、5~10層の層を有している。この場合、一思想は、例えば燃料電池パーツおよび/またはバイポーラプレートを設備内でバイポーラプレート1枚あたり1~2秒のサイクルタイムで生成することができるようにすることである。
【0026】
本発明のさらなる対象をなしているのは、生成的製造プロセスで部品を製造する方法である。特にこの方法の実施は、前述したような設備を用いて実施される。部品を製造するために、粉末層を造形プラットフォーム上に積層し、続いて粉末層に対し選択的に照射を行う。この方法では、粉末積層は、照射とは空間的に隔てられてかつ/または離間させられて実施される。このために、例えば造形プラットフォームを積層区間から照射区間に運搬する。この方法によれば、その際、例えば粉末積層と露光とを空間的に隔て、その結果、加工時間の短縮が可能である。
【0027】
さらなる利点、作用および構成は、添付の図面と、図面の説明とから看取可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】部品を生成製造する設備の一実施例を示す図である。
図2】部品を生成製造する設備の別の一実施例を示す図である。
図3】部品を生成製造する設備の第3の実施の形態を示す図である。
【0029】
図1は、部品2を生成製造する設備1の第1の実施例を概略的に示している。この設備は、粉末床ベースの製造方法および/または加法的な製造方法を実施する設備として形成されている。例えば設備1は、選択的レーザ溶融に用いられる設備として形成されている。設備1は、ここでは部品2をリニアに搬送かつ/または製造する製造設備等の設備として形成されている。部品2は、この場合、好ましくは平坦な部品を形成し、平坦な部品は、複数の層から構成されている。これらの層は、同じ材料組成を有していても、異なる材料組成を有していてもよい。部品2は、3D部品を形成し、3D部品は、特に3次元の構造を有している。例えば部品2は、燃料電池用のバイポーラプレートを形成している。
【0030】
設備1は、ハウジング3を備え、ハウジング3は、加工チャンバを規定している。ハウジングは、設備空間4を規定し、設備空間4は、ハウジング3の内部に存在している。ハウジング3は、入口ロック区間5と出口ロック区間6とを有している。入口ロック区間5と出口ロック区間6とは、ハウジング3内に設けられた開口として形成され、好ましくはスリット状に形成されている。出口ロック開口6の寸法設定は、特に、このスリットの高さが、製造したい部品2の高さより大きく、しかし、好ましくは部品2の高さの2倍よりは小さい高さを有しているように選択されている。
【0031】
設備1は、運搬ユニット7を備えている。運搬ユニット7は、搬送ベルトとして形成されている。搬送ベルトは、搬送装置8によって搬送される。本来の搬送ベルトの搬送は、その際、好ましくは連続的に均一の速度で実施される。搬送ベルトおよび/または運搬ユニット7は、特に入口ロック区間5から出口ロック区間6にかけて延在している。ハウジング3、ひいては設備空間4内には、シールドガス雰囲気が存在している。このためにシールドガス発生装置によって規則的にシールドガス9が供給され、その結果、加工チャンバおよび/または設備空間内は、連続的なシールドガス雰囲気が支配している。特にシールドガス雰囲気は、かつ/またはシールドガス9の送り込みは、正圧が支配して、その結果、シールドガスが入口ロック区間5および出口ロック区間6において少しずつ流れ出すように選択されている。
【0032】
設備1は、3つの積層装置10を備え、積層装置10は、設備空間4内に配置されており、運搬路に沿って存在している。運搬路は、運搬ユニット7、特に搬送ベルトにより規定かつ/または確定される。運搬路は、入口ロック区間5から出口ロック区間6にかけて延在している。積層装置10は、材料粉末を粉末層として運搬ユニット、特に造形プラットフォーム11上に積層するように形成されている。造形プラットフォームは、例えば金属プレート、プラスチックプレートまたはセラミックプレートであり、部品2のための造形ベースとして用いられる。造形プラットフォーム11は、搬送ベルト上に配置されており、運搬ユニット7により運搬路に沿って運搬される。積層装置10は、それぞれ1つの粉末層12を積層する。運搬路において最初の積層装置10は、粉末層を造形プラットフォーム上に積層し、後続の積層装置10は、粉末層を1つ前の粉末層、場合によっては溶融された粉末層上に積層する。粉末層の高さ方向プロファイルは、入口ロック区間から出口ロック区間にかけて積層装置10毎に増大し、特にこれらの粉末層は、段状に高さ方向プロファイル内に配置されている。例えば材料粉末の積層は、例えば造形プラットフォーム11が連続的に同じ速度で運搬ユニット7により搬送されるとき、積層装置10によって連続的に実施される。
【0033】
設備1は、照射ユニット13を備えている。照射ユニット13は、ここではレーザとして形成されており、レーザは、主レーザビーム14を出力する。レーザビーム14は、ハウジング3および/または設備空間4内の少なくとも一部区間でガイドされる。設備1は、スキャナ装置15を備え、スキャナ装置15は、レーザビーム14を部分レーザビーム16に分割するように形成されている。部分レーザビーム(単にレーザビームとも略称する)は、照射区間17へガイドされる。照射区間17は、特にそれぞれ積層区間の後に位置している。照射区間17において、粉末層12は、レーザビーム16により選択的に溶融される。溶融された粉末は、続いて冷却され、固化される。冷却かつ/または固化された部分および溶融されなかった粉末層の上には、後続の積層装置10において、次なる粉末層が積層され、続いて次の照射区間17において照射かつ/または溶融される。積層区間と照射区間17とを相前後して配置し、かつ複数の照射区間および/または複数の積層区間を使用したことで、部品2のより迅速なプロセッシングおよび/または製造が実施可能である。
【0034】
設備1は、粉末除去ユニット18を備えている。粉末除去ユニット18は、ハウジング3内に配置されている。特に粉末除去ユニット18は、運搬路に沿って最後の照射区間17の後に配置されている。粉末除去ユニット18は、使用されなかった、溶融されなかったかつ/またはリサイクル可能な材料粉末を吸引するように形成されている。これにより、部品2の露出および/またはクリーニングが実施される。さらに、積層粉末を粉末除去ユニット18により吸引かつ/または除去することで、材料粉末のリサイクルが実施され、材料粉末は、積層装置10に戻すことが可能である。
【0035】
図2は、設備1の別の一構成を示している。設備1は、図1に示した設備1と実質的に同じに形成されている。図2に示した設備1は、主として、造形プラットフォーム11が運搬ユニット7の搬送ベルトとして直接用いられる点で相違している。この場合、造形プラットフォーム11としてのベースシートが運搬路に沿って直接搬送される。ベースシート11は、複数の積層装置10を通して案内され、このとき、最初の積層装置10によって粉末層が搬送ベルト、ここではベースシート上に直接積層される。最初の積層装置10の後の照射区間17において、この粉末層の溶融が実施される。その際、特に部分的に、溶融された粉末層は、ベースシート、ひいては造形プラットフォーム11に結合される。ベースシートは、この場合、而して製造したい部品2の一部を形成している。さらなる粉末層の後続の積層と、さらなる溶融とは、既に先んじて積層された粉末層および/または溶融された部分上で実施される。最後の溶融区間後、部品2は、粉末除去ユニット18により粉末除去される。部品2は、続いて運搬路に沿って加工チャンバの外へ案内される。粉末除去され、外へ案内された後、部品2は、ベースシートあるいは造形プラットフォームから個別化される。例えば、このために部品2は、打ち抜かれ、切り抜かれ、または別の方法で分離される。特に分離、切り抜きおよび/または打ち抜きは、ベースシートあるいは造形プラットフォームの一部が部品2の一部にとどまるように実施される。本構成の根底にある思想は、造形プラットフォームを直接搬送すること、例えばモータ、プル装置またはプッシュ装置を用いた駆動により直接搬送することである。これにより、別体の搬送ベルトは省略され、その摩耗は生じない。特にベースシートは、エンドレス材料として提供されていてもよく、部品は、続けて個別化および/または打ち抜き/切り抜きを行うことで獲得できる。
【0036】
図3は、部品2を生成製造する設備1の第3の実施の形態を示している。図3に示した設備1は、図1および2に示したその他の両実施の形態と実質的に類似して形成されている。前の実施の形態との主な相違点は、積層装置10a,10bおよび10cがそれぞれ別の材料粉末を積層するように形成されていることにある。而して第1の積層装置10aは、第1の材料粉末を粉末層として積層する。この粉末層は、照射区間で溶融される。この照射後、使用されなかった第1の材料粉末の吸引が、粉末除去ユニット18aにより実施される。粉末除去ユニット18aにより、使用されなかった材料粉末は、除去され、これにより種類が交雑してしまうことなく積層装置10aに戻すことが可能である。粉末除去された部分上には、粉末除去ユニット18aの後の積層装置10bによって、第2の材料粉末が積層される。第2の材料粉末は、その組成および/またはその物理化学的特性の点で、前に使用した材料粉末とは相違している。こうして積層された第2の材料粉末からなる粉末層は、後続の照射で溶融、特に選択的に溶融される。溶融後、場合によっては冷却後、使用されなかった第2の材料粉末は、粉末除去ユニット18bにより除去される。粉末除去ユニット18bにより除去された材料粉末は、やはり、種類が交雑してしまうことなく積層装置10bに戻すことが可能である。後続の積層装置10c内で第3の材料粉末が粉末層として積層される。第3の材料粉末の組成および/または物理化学的特性は、特に第2の材料粉末の組成および/または物理化学的特性とは異なっている。第3の材料粉末の積層された粉末層は、続いて同じく選択的に溶融かつ/または照射される。使用されなかった第3の材料粉末は、粉末除去ユニット18cにより除去される。除去された第3の材料粉末は、粉末除去ユニット18cから積層装置10cに戻すことが可能である。
【0037】
本構成の根底にある思想は、相違する材料組成および/または特性を有する複数の層をもって部品を生成製造することが可能であることにある。積層装置10a,10bおよび10cを相前後して配置したことで、粉末および/または材料の切り換えが省略可能であり、プロセスは連続的に行うことができる。溶融の度に、消費されなかった粉末を吸引することで、種類が交雑してしまうことなく粉末を再利用することが、保証可能である。
図1
図2
図3
【国際調査報告】