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特表2022-520358給電鉄道架線の懸架接触ワイヤを支持するハンガとハンガを包含する給電鉄道架線
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  • 特表-給電鉄道架線の懸架接触ワイヤを支持するハンガとハンガを包含する給電鉄道架線 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(54)【発明の名称】給電鉄道架線の懸架接触ワイヤを支持するハンガとハンガを包含する給電鉄道架線
(51)【国際特許分類】
   B60M 1/234 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
B60M1/234 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021545991
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(85)【翻訳文提出日】2021-10-04
(86)【国際出願番号】 IB2020050967
(87)【国際公開番号】W WO2020161670
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】102019000001731
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519025714
【氏名又は名称】オフィシナ フラテリ ベルトロッチ エスピーエー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルケシエロ,ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】ガリバルディ,ルイジ
(72)【発明者】
【氏名】ファサナ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】アナスタシオ,ダリオ
(57)【要約】
【要約】 給電鉄道架線(5)は複数のハンガ(10)を有して、その各々が、支持要素(7)に固定されるのに適応した締結部材(12)と、締結部材(12)に結合される支持フレーム(25)と、鉄道車両(2)のパンタグラフ(4)を備える接触ワイヤ(8)の一部分に結合されるのに適応した締結末端部(13)と、接触ワイヤ(8)に伝達される外的破壊作用の存在下で第1方向(22)と反対向きに支持フレーム(25)に対して可動である部材(32)と、部材(12)と末端部(13)との間に介在配置されて、支持フレーム(25)の弾性変形部品から成る弾性手段(30)を有する弾性装置(14)と有し、支持フレーム(25)の可動部材(32)と弾性変形部品(30)との間に接続ロッド(33)が設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用時に鉄道車両パンタグラフが当接する接触ワイヤを包含する給電鉄道架線のためのハンガであって、
支持要素に固定されるのに適応した締結部材と、
前記締結部材に結合される金属支持フレームと、
前記接触ワイヤの一部分に結合されるのに適応した締結末端部と、
前記鉄道車両パンタグラフの通過中に前記締結末端部により前記接触ワイヤに伝達される外的破壊作用の存在下で第1方向と反対の方向に前記支持フレームに対して可動である部材と、
前記可動部材と関連する機械的摩擦ダンパと、
前記締結部材と前記末端部との間に介在配置されるとともに前記外的破壊作用を少なくとも減衰するように構成される弾性装置であって、前記可動部材と前記締結末端部との間で圧縮される第1弾性要素と、前記第1方向に対して横向きである第2方向での作用を前記可動部材に加えるのに適応した一対の第2弾性要素とを包含する弾性装置であり、前記第2弾性要素が前記支持フレームの弾性変形部品を構成することと、前記可動部材を前記支持フレームの前記弾性変形部品に直接的または間接的に接続するための結合ロッドを包含することとを特徴とする弾性装置と、
を包含するハンガ。
【請求項2】
前記締結部材と前記結合部分から片持ち梁方式で延出する二つのアームとに結合するための結合部分を前記支持フレームが包含し、前記締結部分と前記アームの少なくとも一方が前記弾性変形部品を構成することを特徴とする、請求項1に記載のハンガ。
【請求項3】
前記結合部分と前記アームの少なくとも一方がシートまたはプレート要素から成ることを特徴とする、請求項2に記載のハンガ。
【請求項4】
前記支持フレームが逆向きU形状を有することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のハンガ。
【請求項5】
前記アームが、前記第1方向の両側で互いに対向する位置に延在して、前記破壊作用が印加される時に当該の末端区分が前記第1方向から離間するとともに前記第1方向に近接する振動を行うように構成されることを特徴とする、請求項2から4のいずれか一項に記載のハンガ。
【請求項6】
前記ロッドの各々が、前記可動部材にヒンジ接続されて第1ヒンジ軸線を中心に振動する端部と、関連する前記アームの自由末端部分にヒンジ接続されて前記第1ヒンジ軸線と平行な第2ヒンジ軸線を中心に回転する反対端部とを有することを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載のハンガ。
【請求項7】
前記第1方向における前記可動部材の位置を連続的に調整する調整手段を包含することを特徴とする、請求項1に記載のハンガ。
【請求項8】
少なくとも前記第1弾性要素の予荷重を変化させるように前記調整手段が構成されることを特徴とする、請求項7に記載のハンガ。
【請求項9】
前記第2弾性要素の予荷重を変化させるように前記調整手段が構成されることを特徴とする、請求項7に記載のハンガ。
【請求項10】
前記接触ワイヤにより前記締結末端部へ伝達される前記破壊が変化する際に、二つの行程端部位置の間で、そして前記締結末端部が破壊作用を伝達しない時には前記第1ヒンジ軸線および前記第2ヒンジ軸線が前記第2方向と交差するニュートラルまたは静的安定位置を介して、前記可動部材を前記第1方向に平行移動させるように、前記調整手段と前記第1弾性要素と前記第2弾性要素とが構成されることを特徴とする、請求項6または7に記載のハンガ。
【請求項11】
前記第1方向に延在するとともに前記支持フレームに安定的に接続されるガイドをさらに包含し、前記可動部材が前記ガイドに沿って両方向に可動であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のハンガ。
【請求項12】
前記機械的摩擦ダンパが前記固定ガイドと前記可動部材との間に介在配置されることを特徴とする、請求項11に記載のハンガ。
【請求項13】
前記締結部材と前記支持フレームとの間に介在配置されるヒンジを包含して、前記第1方向に直交する別のヒンジ軸線を前記ヒンジが有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のハンガ。
【請求項14】
前記締結末端部が前記接触ワイヤに装着されていない時に前記別のヒンジ軸線を中心に前記締結部材に対して前記フレームを回転させるように構成される、前記ヒンジと関連する弾性手段を包含することを特徴とする、請求項13に記載のハンガ。
【請求項15】
鉄道車両の給電鉄道架線であって、支持要素と、使用時に鉄道車両パンタグラフが当接する緩みなく張られた接触ワイヤと、前記支持要素に結合される締結部材と前記接触ワイヤに接続される締結末端部とを各々が有する複数のハンガとを包含する架線であり、前記ハンガの少なくとも一つが請求項1に記載の特徴を有することを特徴とする、給電鉄道架線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本特許出願は、2019年2月6日に出願されたイタリア特許出願第102019000001731号の優先権を主張し、この特許出願の開示全体が参照により本願に援用される。
【0002】
本発明は、給電鉄道架線の懸架接触ワイヤを支持するハンガと、このハンガを包含する給電鉄道架線とに関する。
【背景技術】
【0003】
周知のように、給電鉄道架線の電気接触ワイヤは互いに離間した複数のハンガにより支持され、ハンガの各々は支持電線から懸架され、そしてハンガから懸架された電気接触ワイヤを支承している。
【0004】
列車のパンタグラフは使用時に、列車の電気駆動アセンブリと、必要であれば列車の他の搭載装置に電力を供給するように電気接触ワイヤに当接する。
【0005】
必要であればニッケルまたはケイ素が追加される周知の銅合金で好ましくは製作される末端部によって、ハンガが接触ワイヤに接続される。末端部は好ましくは逃げ溝を備える接触ワイヤの上方部分に固定され、ゆえに下方接触部分が自由になるので、パンタグラフがここに摺嵌できる。
【0006】
列車が走行している間、例えば200Km/時を超える高速で列車が走行している時にはとりわけ、パンタグラフと懸架接触ワイヤとの間の全ての脱離を最小にし、可能であれば回避するという強固な必要性がある。
【0007】
上記の必要性を部分的に満たすハンガは、本出願人により所有される特許文献1に開示されている。前記の特許文献1に記載されているハンガは、使用時に支持体に固定されるのに適応した剛性フレームと、接触ワイヤに締結される締結末端部と、剛性フレームと締結末端部との間に配置される弾性減衰装置とを包含する。そして弾性装置は複数の可動コンポーネントまたは部材を包含し、これらは、パンタグラフの通過中に接触ワイヤの移動方向に対して横向きである方向に摺動するように当該の摩擦摺動ジョイントによってフレームに結合される。各可動部品とフレームとの間には、関連の圧縮コイルばねが介在配置される。
【0008】
上に記載のハンガは、効率的で信頼性があるにも関わらず、多数の細部、そしてとりわけ多数のコイルばねを有するので完全に満足できるものではなく、これは一方ではその製造および組立を複雑にし、他方では比較的高い製造および保守費用を招く。
【0009】
コイルばねは、接触ワイヤとパンタグラフとの間で交わされる作用を受けて、その弾性挙動を時間とともに変化させ、ゆえに設計段階で確立された理想または基準作動状態と異なる作動状態がハンガ全体に徐々に見られることが試験から分かっている。
【0010】
最後に、ハンガ設置段階では、支持線上のどの位置でも各ハンガが所定のニュートラル作動位置に達するように、すべてのコイルばねの予荷重が単純かつ迅速な方法で調整される必要があることが試験から分かっている。実際に、支持電線上での位置に基づいて、すなわち支持電線および/または接触ワイヤの変形に応じて、ハンガの静的予荷重状態が変化する。上に記載した周知のハンガでは、ハンガの製造をさらに複雑にしてその費用を制限することなくこれらの調整を短時間で行うことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際出願番号 PCT/IB2017/054474号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、起こりうるいかなる使用状態でも、また列車に生じうるいかなる速度でも、パンタグラフと給電接触ワイヤとの間のすべての脱離を減少させて可能であれば回避するように、上記の課題を単純かつ経済的な方式で解決できるハンガを提供すること、そして特に、単純かつ経済的な方式での製造が可能であって効率および信頼性の高いハンガを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、請求項1に記載の支持ハンガが提供される。
【0014】
本発明はさらに、給電鉄道架線に関する。
【0015】
本発明によれば、請求項15に記載の給電鉄道架線が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の非限定的な実施形態を示す添付図面を参照して、本発明がこれから説明される。
図1】本発明による給電架線を備える鉄道網部分の概略図である。
図2】本発明により製造される図1のハンガの好適な実施形態を大縮尺の側面図で示す。
図3図2と類似しており、二つの異なる機能状態における図2のハンガを部分的に示す。
図4図2と類似しており、二つの異なる機能状態における図2のハンガを部分的に示す。
図5図2から4のハンガの細部をそれぞれ側面図と平面図で示す。
図6図2から4のハンガの細部をそれぞれ側面図と平面図で示す。
図7図1と類似しており、非機能状態でのハンガを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1において、数字1は、使用時に全体として5で示された鉄道車両2に電力供給するための給電架線との接触状態で摺動するパンタグラフ4を備えて軌道3上を走行する周知の鉄道車両2の通過のための鉄道網部分を全体として示す。
【0018】
架線5は、複数の支柱またはポータル6と、軌道3上で懸架されるように支柱6により支承されるブラケットに固定される支持ロープ7と、周知の接触ワイヤ8とを包含する。接触ワイヤ8は、パンタグラフ4が摺嵌し、複数のハンガ10によって支持ロープ7に接続される自由下方部分9を有する。ハンガ10がとりわけ支柱またはポータル6の近くまたはそのエリアに配設されることで、既存の架線のアーキテクチャとの一体化を可能にすると好都合であるが、必ずしも必要ではない。
【0019】
架線5はさらに、二つの隣接ハンガ10の間での接触ワイヤ8の静的撓みを軽減するように、支持ロープ7と接触ワイヤ8の両方を伸張させるつりあいおもり(不図示)を包含する。
【0020】
図2を参照すると、各ハンガ10は、支持ロープ7に締結される関連の締結末端部12と、接触ワイヤ8に締結される関連の周知の締結末端部13と、末端部12および13の間に介在配置されて振動を減衰し、鉄道車両2の通過中にハンガ10に伝達される破壊作用を受けてもパンタグラフ4と接触ワイヤ8との間の接触を維持する関連の弾性減衰アセンブリ14とを包含する。
【0021】
図2および7を参照すると、末端部12は、支持ロープ7に確実に接続される上方把持部15と、弾性アセンブリ14に確実に接続される下方締結体16とを包含する。
【0022】
下方体16と上方把持部15との間には、好ましくは、接触ワイヤ8に水平および平行であるヒンジ軸線19を中心に下方体16を上方把持部15に対して回転させるのに適応した周知のヒンジ18が設けられる。予荷重を受けたねじりコイルばね20とヒンジ18が関連していると好都合であり、ねじりコイルばねは、末端部13が接触ワイヤ8に接続されて、軸線19に直交する接触ワイヤ8の基本的に垂直な振動方向22において下方締結体16と把持部15とが互いに整合される図2に図示の作動位置と、末端部13が接触ワイヤ8から分離されてパンタグラフ4を妨害しないような側を向く位置に配置される図7に図示の安全離間位置との間で、ヒンジ軸線19を中心に把持部15に対して下方締結体16を回転させるように構成される。
【0023】
本願に示されない変形によれば、把持部15と下方体16とが互いに確実に接続される。
【0024】
再び図2を参照すると、弾性アセンブリ14は、末端部13が接触ワイヤ8に接続された時に方向22と同軸に延在して、外側にねじ形成されるとともに下方体13のねじ穴に部分的にねじ接続される上方末端区分24と、金属材料で製作されると好都合である円筒形下方区分24Aとを有する懸架ロッド23を包含する。
【0025】
弾性アセンブリ14はさらに、弾性的に撓曲して、図示されて本願に記載される特定の例では逆向きUの形状を実質的に有する平形バーから成る金属フレーム25を包含する。全範囲にわたって一定である矩形断面をフレーム25が有することが好ましいが、必ずしも必要ではない。フレーム25は単体として製造される一つの塊体から成ると好都合である。代替的に、本願に示されない変形によれば、フレーム25は、可変断面を持つ一以上の区分を有する。さらに代替的に、脆弱な弾性変形部品により互いに接続される一定または可変断面の区分をフレーム25が有する。加えて、同じ材料または異なる材料で製作されて、互いに確実に接続されるか解除可能な状態で互いに接続される要素または部分でフレーム25が製造されてもよい。どのように製造されるかに関係なく、フレーム25は弾性特性を有する。言い換えると、フレーム25は全体的または少なくとも部分的に、形状記憶を伴って変形可能である。フレーム25は好ましくは、全体的または少なくとも部分的に調和鋼すなわちばね鋼で製作される。
【0026】
代替的に、フレーム25は全体的または部分的にステンレス鋼、例えばSAE 304ステンレス鋼で製作される。
【0027】
使用される材料に関係なく、フレーム25は、本願に示される特定の例では直線状であるが湾曲状または何らかの形状でもよく、末端区分24が通過しうる中間の中央貫通孔27を備える上方部分26を包含する。その幾何学形状に関係なく、上方末端区分24にねじ接続されて区分24および24Aを互いに接合する軸方向当接部29に部分26を係止するねじナット28によって、上方部分26がロッド23に確実に接続される。
【0028】
フレーム25はさらに、互いに対向してロッド23の両側に配置される二つの直線アーム30を包含する。上方部分26の当該の両側末端部分にアーム30を接合する当該の湾曲区分31から始まって、アーム30は下向きに延出する。フレーム25が非変形状態に配置される時には少なくとも、アーム30が互いに向かって収束すると好都合である。本願に示される特定の事例において、アーム30は互いに向かって、下向きに、そしてロッド23の区分24Aに向かって収束する。
【0029】
変形によれば、アーム30は互いに向かって、そして部分26および区分24に向かって収束する。
【0030】
図2を再び参照すると、ロッド23の区分24Aで摺動するようにスリーブ32がこの区分24Aそのものに配置される。スリーブ32と区分24Aとの間には、摺動摩擦を伴って作動して減衰機能を果たす機械的結合ジョイントが配置される。
【0031】
スリーブ32は、33で表された二つの接続ロッドによって、アーム30の各々の自由末端区分に接続される。各接続ロッド33は、片側で関連のラジアルヒンジピン34によってスリーブ32に、そして反対側ではヒンジピン35によって関連のアーム30にヒンジ接続される。スリーブ32に支承されるラジアルピン34は、軸線19に平行である共通ヒンジ軸線36と同軸に延在するのに対して、ピン35は、軸線36に平行であるとともに方向22に直交する当該のヒンジ軸線37と同軸に延在する。
【0032】
各接続ロッド33は好ましくは、互いに対向するとともにスリーブ32の両側に配置される一対の平形ロッド38と、対応のアーム30の内側に確実に接続されて関連のピン35が通過するガセットプレートとから成る。
【0033】
図2を再び参照すると、弾性アセンブリ14はさらに、ロッド23の区分24Aを囲繞して、片側ではスリーブ32の円筒形の管形突部41に、反対側では径方向間隙を伴ってロッド23を囲繞する管形プッシュヘッド43の円筒形の環状突部42に接続されるばね40を包含する。このようにして、ばね40は状態に応じて引っ張られるか圧縮されうる。
【0034】
管形ヘッド43よりも突出するロッド23の自由末端区分は、二以上―または二未満―の管形金属部材を包含して、管形ヘッド43がねじ接続される端部を有する管形体45へ挿入される。一方で管形体45の反対端部は、末端部13に結合される。
【0035】
上述した管形体45の二つの部材の間に、フレーム25および締結末端部12へ電流が流れるのを防止するのに適応した電気絶縁材料の胴部45Aが介在配置されると好都合である。
【0036】
変形によれば、管形体45が胴部45Aを包含しない。
【0037】
接触ワイヤ8の逃げ溝に締結される締結把持部46(図2)と、管形体45に締結される締結柄部47とを末端部13が包含すると、好都合である。柄部47と把持部46との間に、ロッド23の軸線に平行であるかこれと一致する軸線を中心に把持部46に対して柄部47を回転させるのに適応したヒンジが設けられる。以下でより詳しく説明されるように、スリーブ32と接触ワイヤ8との間の距離とともに、ばね40および/またはフレーム25の弾性部分の予荷重を調整するように構成される調整装置48によって末端部13が管形体45に結合されると、好都合である。調整装置48は好ましくはねじ調整装置であり、管形体45の末端区分にねじ接続される外ねじと柄部47の末端ねじ区分に係合する内ねじとを有する管形結合部49を包含する。結合部49から突出して結合部49そのものに締め付けられる柄部47の中間ねじ区分に、ロックナット50がねじ接続される。
【0038】
理想的な減衰作用のため、各ハンガ10は、支持ロープ7と接触ワイヤ8とに接続された時に、関連の弾性アセンブリ14を、図3に示されている「ニュートラル」または静的安定機能状態にしなければならない。このニュートラル状態で、軸線36,37は、方向22およびロッド23に直交する方向51において互いに離間して方向51と交差し、接続ロッド33に圧縮作用を印加するようにアーム30は弾性的に変形されるか屈曲し、ロッド23およびフレーム25に対してスリーブ32を静止状態に保つような均衡作用を加えるように、ばね40が圧縮される。
【0039】
末端部12,13の接続に続いて、接触ワイヤ8により加えられる作用が一以上のハンガ10の弾性アセンブリ14をニュートラルまたは静的安定状態以外の機能状態へ移行させる場合には、各ハンガ10について微調整または校正動作が行われる。上に規定されたニュートラル機能状態に装置14が戻るまで、装置48に作用を加えて、把持部46と管形体45との間の距離とともにばね40の予荷重を変化させることにより、この調整動作が実施される。
【0040】
この点で、鉄道車両2の通過中に、パンタグラフ4は接触ワイヤ8に作用を加えることで、方向22での接触ワイヤ8の振動を発生させる。この振動は弾性アセンブリ14により減衰され、そのスリーブ32は、摩擦を克服して、図2および4に示されているニュートラル位置の近傍と、二つの軸方向行程終端位置の間での移動を開始し、図3および4に破線で示されているようにアーム30を屈曲させ、ばね40の圧縮を変化させる。
【0041】
上述した二つの軸方向行程終端位置の間での、そして図3にPで記されている軸方向反対の死点を通るスリーブ32の移動は、接触ワイヤ8の振動動作の原因となるエネルギーを減衰または散逸させる減衰または散逸成分を接触ワイヤ8に発生させて、鉄道車両2の高速状態、すなわち高い脈動作用が方向22で接触ワイヤ8に伝達される時でも、パンタグラフ4が接触ワイヤ8から離脱するのを防止する。
【0042】
また、ロッド23へのスリーブ32の結合によっても摩擦散逸成分が加えられる。この散逸作用は、スリーブ22とロッド23との間の摩擦係数を変化させることにより調整される。
【0043】
上記から、弾性フレーム25が例として上に記載されたものと異なる手法で製造されうるか、接続ロッド33に加えられる弾性作用がアーム30の弾性変形ばかりでなく湾曲部分31および/または部分26の変形の、またはこの変形のみの結果であるようなサイズを持つかそのように製造されうることは明白である。言い換えると、フレーム25全体が接触ワイヤ8により加えられる作用により弾性変形して、一つの点と他の点での変形が異なりうるのである。本願に記載の例では、変形する部品の大部分がアーム30から成る。
【0044】
さらに、上記から、周知の解決法と比較すると、本願に記載のハンガ10ではコンポーネントの数と互いに相対移動する部品の数が少なく、ゆえに容易で費用効果の高い方法での製造が可能であって短時間で組み立てられることが明白である。
【0045】
これは基本的に、フレーム25が支持体と弾性要素の両方として作用するという事実による。その弾性ゆえに、フレーム25は、スリーブ32とロッド33との間の摩擦から生じる動的減衰作用に付加される動的減衰作用を発生させるのに役立つ。
【0046】
加えて、本願に記載のハンガ10は、コンポーネントが少数であることと、フレーム25の弾性部品が一般的な板ばね部材に匹敵しうるという事実の両方により、高い機能的効率と時間を経ても基本的に同じままである機能性とを有することが試験から分かっている。
【0047】
最後に、周知の解決法と比較して、本願に記載のハンガ10は「設定可能」ハンガである、すなわち、支持ロープ7、接触ワイヤ8、またはその両方が取る垂直位置に関係なく、理想的な作動状態になりうる。実際に、支持ロープ7と接触ワイヤ8との間の距離の変化時に微調整装置48はハンガ10を調整または調節する。
【0048】
さらに、ヒンジ18とばね20の存在により、締結末端部13が接触ワイヤ8から分離された時には締結末端部13が離間するとともに、最大延出状態に配置された時にはパンタグラフ4の通過エリアの外側のエリアに締結末端部13が置かれうる。
【0049】
最後に、上記から、この理由で独立請求項に規定の保護範囲を逸脱することのない変更および変形を上に記載のフレーム25および調整装置が受けうることが明白である。特に、フレームまたはロッドは、例として本願に記されたものとは異なる材料で製作されてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 鉄道網部分
2 鉄道車両
3 軌道
4 パンタグラフ
5 架線
6 支柱
7 支持ロープ
8 接触ワイヤ
9 自由下方部分
10 ハンガ
12 締結部材
13 締結末端部
14 減衰アセンブリ
15 上方把持部
16 下方締結体
18 ヒンジ
19 ヒンジ軸線
20 ねじりコイルばね
22 垂直方向
23 懸架ロッド
24 上方末端区分
24A 円筒形下方区分
25 フレーム
26 上方部分
27 貫通孔
28 ねじナット
29 軸方向当接部
30 アーム
31 湾曲部
32 スリーブ
33 接続ロッド
34 ラジアルピン
35 ヒンジピン
36 ヒンジ軸線
37 ヒンジ軸線
38 平形ロッド
40 ばね
41 突部
42 突部
43 管形ヘッド
45 管形体
45A 胴部
46 把持部
47 柄部
48 調整装置
49 管形結合部
50 止めナット
51 方向
P 死点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】