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特表2022-520399塩化モノマー粉末及び粉末凝集方法におけるその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(54)【発明の名称】塩化モノマー粉末及び粉末凝集方法におけるその使用
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/04 20060101AFI20220323BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20220323BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220323BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20220323BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20220323BHJP
【FI】
C08G69/04
B29C64/153
B33Y10/00
B33Y80/00
B33Y70/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547186
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(85)【翻訳文提出日】2021-10-04
(86)【国際出願番号】 FR2020050263
(87)【国際公開番号】W WO2020165541
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】1901433
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カマージュ,ジョフロワ
【テーマコード(参考)】
4F213
4J001
【Fターム(参考)】
4F213AA29
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL23
4J001DA01
4J001EA16
4J001EA17
4J001EB04
4J001EB06
4J001EB08
4J001EB09
4J001EB10
4J001EB14
4J001EB36
4J001EB37
4J001EB46
4J001EB55
4J001EC04
4J001EC05
4J001EC06
4J001EC07
4J001EC08
4J001EC09
4J001EC14
4J001EC46
4J001EC47
4J001EC48
4J001GA01
4J001GA02
4J001GA12
4J001GA20
4J001GB02
4J001JA01
4J001JA20
4J001JC01
(57)【要約】
本発明は、付加的製造方法における、少なくとも1つの塩化モノマー粉末の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加的製造方法における少なくとも1つの塩化モノマー粉末の使用。
【請求項2】
前記塩化モノマー粉末が、500μm以下の体積中位径D50を有する、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記塩化モノマー粉末が、5μm~250μmの体積中位径D50を有する、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
前記塩化モノマーが、少なくとも1つのアミノ酸の塩又は少なくとも1つのジカルボン酸と少なくとも1つのジアミンとの塩である、請求項1~3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
前記アミノ酸が、11-アミノウンデカン酸又は12-アミノドデカン酸である、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記ジカルボン酸が、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シユウ酸、1,4-ブタン二酸、1,6-ヘキサン二酸、1,8-オクタン二酸、シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、及びテトラデカン二酸並びにシクロヘキサンジカルボン酸、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載の使用。
【請求項7】
前記ジアミンが、1,2-エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン及び1,4-シクロヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン並びにp-キシリレンジアミン、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項4に記載の使用。
【請求項8】
請求項1~7に記載の少なくとも1つの塩化モノマー粉末が原材料として使用される、物体の付加的製造のための方法。
【請求項9】
前記塩化モノマー粉末が、前記塩化モノマー粉末の融解温度以下の温度まで加熱されたチャンバーに配置される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記塩化モノマー粉末が、150℃~175℃の温度まで加熱されたチャンバーに配置される、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記塩化モノマー粉末を重合させる工程を含む、請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
3D構築の工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記塩化モノマー粉末を重合させる工程と前記3D構築の工程とを同時に行う、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記物体が、一旦製造された後に前記塩化モノマー粉末から分離され、前記塩化モノマー粉末が回収され、そして物体の付加的製造のための方法において再利用される、請求項8~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~7のいずれか1項に記載の少なくとも1つの塩化モノマー粉末を用いて製造された、3D印刷製品。
【請求項16】
請求項8~14に記載の付加的製造方法にしたがって製造された、請求項15に記載の3D印刷製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、塩化モノマー粉末及び粉末凝集方法におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
技術背景
電磁放射線、例えばレーザービームの下でポリアミド粉末を凝集させるための技術は、立体物体、例えばプロトタイプ及びモデルを、詳細には、自動車分野、船舶分野、航空機分野、航空宇宙科学分野、医療(プロステーシス、聴覚系、細胞組織など)分野、織物分野、被服分野、ファッション分野、装飾分野、電子工学筐体分野、電話分野、ホームオートメーション分野、コンピューター分野又は照明分野において、製造するために使用される。
【0003】
この技術はまた、従来の鋳造技術では達成不可能な、繊細かつ複雑な幾何形状を達成することを可能にする。
【0004】
レーザー焼結の場合、ポリアミド粉末の薄層が、ポリアミド粉末の結晶化温度Tcと融解温度との間である温度まで加熱されたチャンバーにおいて維持された水平板上に、堆積する。レーザーは、例えば、3D物体の形状を保存し、そしてその形状を2D薄片の形態で再生産するコンピューターを用いて、レーザーの通過後にゆっくりと物体に相当する幾何形状で結晶化する層の様々な個所において、粉末粒子を融合させることを可能にする。その後、水平板は、粉末層の厚み(例えば0.05~2mmの間であり、一般的に、0.1mmの桁)に相当する値まで下がり、次いで、新たな粉末層が堆積し、レーザーは、レーザーの通過後にゆっくりと物体などに相当する幾何形状で結晶化するこの新たな層に相当する幾何形状で粉末粒子を融合させることを可能にする。物体全体が作り上げられるまで、この手順が繰り返される。粉末に囲まれた物体が、チャンバー内に得られる。したがって、凝集していない部分は、粉末状態のままである。完全に冷却した後、物体が粉末から分離され、この粉末は別の操作のために再利用され得る。
【0005】
しかし、ポリアミド粉末を用いる付加的製造方法について、いくつかの問題が存在する。実際、このようなポリアミド粉末の使用は、製造後の処理を必要とする可能性のある、製造部分及び物体の多孔の存在をもたらす。さらに、未使用のポリアミド粉末の再利用は、レーザー焼結方法の間に粉末の一部がしばしば化学変化し、そして凝集し始めるので、常に可能なわけではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、凝集方法において、より製造が容易な原材料であって、かつこの材料に良好な結合力を可能にする、ポリアミド粉末に替わる原材料を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要旨
塩化モノマー粉末、詳細には塩化カルボン酸及びアミンの粉末が、対応するポリアミドよりも容易に粉末形態で得られ得、そして凝集方法における原材料として直接使用され得るという、本発明者らによる予期せぬ証明により、本発明がもたらされる。この塩化モノマー粉末は、通常の粉末と比較して、非常に良好な結合力をもたらす。
【0008】
したがって、本発明は、付加的製造方法における少なくとも1つの塩化モノマー粉末の使用に関連する。
【0009】
本発明はまた、上で規定した少なくとも1つの塩化モノマー粉末が原材料として使用されている物体の付加的製造のための方法にも関する。
【0010】
本発明はまた、上で規定した少なくとも1つの塩化モノマー粉末を用いて製造された3D印刷製品にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
以下の実施例の記載を含む本発明の本記載において、「体積中位径」とも呼ばれるD50は、調べた粒子の集団を正確に2つに分ける粒子サイズの値に相当する。D50は、規格9276-第1~6部:「粒子サイズ分析の結果の表示」に従って測定される。本記載において、レーザー粒子サイズアナライザー(Sympatec Helos)及びソフトウェア(Fraunhofer)が、粉末の粒子サイズ分布を得るため、及びそこからD50を導き出すために、使用される。
【0012】
ポリアミドの熱特性の分析は、規格ISO11357-3「プラスチック-示差走査熱量測定(DSC)第3部:融解及び結晶化の温度及びエンタルピーの決定」にしたがうDSCによってなされる。本明細書中で本発明により詳細に関わる温度は、第1熱融解温度(Tm1)、結晶化温度(Tc)及び融合のエンタルピーである。
【0013】
塩化モノマー粉末
本発明による塩化モノマー粉末は、少なくとも1つのジアミン及び少なくとも1つのジカルボン酸又は少なくとも1つのアミノ酸から形成され得る。1つの実施形態に従い、塩化モノマーは、少なくとも1つのアミノ酸の塩又は少なくとも1つのジカルボン酸と少なくとも1つのジアミンとの塩である。本発明によるモノマー粉末は、2以上のジカルボン酸を含み得る。本発明によるジカルボン酸は、脂肪族酸であっても、芳香族酸であっても、又は脂肪族酸と芳香族酸との混合であってもよい。
【0014】
好ましくは、本発明による芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル-4,4’-ジカルボン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、5-ヒドロキシイソフタル酸、5-スルホイソフタル酸の塩、フランジカルボン酸、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0015】
本発明による脂肪族ジカルボン酸は、非環式、直鎖状若しくは分枝鎖状ジカルボン酸、又は環式ジカルボン酸あるいはそれらの組み合わせであってもよい。本発明による脂肪族ジカルボン酸は、2~14の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸であってもよい。
【0016】
好ましくは、本発明による脂肪族ジカルボン酸は、シユウ酸、1,4-ブタン二酸、1,6-ヘキサン二酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,8-オクタン二酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、及びテトラデカン二酸、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0017】
本発明の1つの実施形態において、カルボン酸は、以下からなる:
(a)芳香族ジカルボン酸、及び(b)任意選択的に脂肪族ジカルボン酸、並びに(c)任意選択的に別のジカルボン酸。
【0018】
本発明によるジアミンは、2以上のジアミンの混合物からなってもよい。本発明によるジアミンは、脂肪族であっても、アリール脂肪族であっても、又はそれらの混合物であってもよい。アリール脂肪族ジアミンは、アミン基のそれぞれが、脂肪族部分に直接結合していて、この脂肪族部分はまた、芳香族部分に結合しているジアミンであり、例えば、m-キシレンジアミン及びp-キシレンジアミンである。
【0019】
脂肪族ジアミンは、直鎖状脂肪族ジアミン、分枝鎖状脂肪族ジアミン又はシクロ脂肪族ジアミン、あるいはそれらの組み合わせを含んでもよい。脂肪族ジアミンは、好ましくは、2~15の炭素原子を有するジアミンを含む。C2-C15脂肪族ジアミンは、1,2-エチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、ピペラジン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、メチル-1,5-ペンタンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,9-ノナンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、4,4’-メチレンビス(ジシクロヘキシルアミン)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、p-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン及びp-キシリレンジアミン又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0020】
好ましくは、ジアミンは、C4-C10直鎖状ジアミンを含み、より詳細には、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、メチル-1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及び1,10-デカンジアミン、又はそれらの組み合わせを含む。
【0021】
本発明の1つの実施形態において、塩化モノマー粉末は、少なくとも1つのアミノ酸、例えば、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸、N-ヘプチルアミノウンデカン酸を含む。好ましくは、アミノ酸は、11-アミノウンデカン酸である。
【0022】
少なくとも1つのジカルボン酸及び少なくとも1つのジアミン、又は少なくとも1つのアミノ酸を含む、本発明による塩化モノマー粉末は、「カルボン酸アンモニウム塩」とも呼ばれる。
【0023】
本発明による塩化モノマー粉末は、好ましくは、ジカルボン酸をジアミンと又はアミノ酸から結合させることによって、得られる。本発明による塩化モノマー粉末は、好ましくは、ジカルボン酸とジアミンとの間の中性化反応の結果である。
【0024】
好ましくは、カルボン酸アンモニウム塩は、ジアミンにジカルボン酸粉末を飽和させることによって形成される。好ましくは、カルボン酸粉末は、ジカルボン酸の融解温度以下の温度で撹拌される。また、好ましくは、カルボン酸粉末は、塩の融解温度未満かつジアミンの融解温度以上の温度で撹拌される。
【0025】
好ましくは、反応温度は、カルボン酸アンモニウム塩の融解温度より40℃低く、より好ましくは、カルボン酸アンモニウム塩の融解温度より60℃低い。
【0026】
好ましくは、反応温度は、220℃未満、好ましくは100℃~210℃、より好ましくは130℃~150℃である。反応温度はまた、0℃~20℃であってもよい。
【0027】
好ましくは、本発明において使用されるジカルボン酸の融解点は、100℃より高い。
【0028】
好ましくは、本発明において使用されるジアミンの融解点は、25℃~200℃である。
【0029】
ジカルボン酸粉末の撹拌は、機械的撹拌又はガス流動撹拌などの、当業者に周知の任意の手段によって実施され得る。
【0030】
ジアミンは、当業者に公知の任意の手段によって、ジカルボン酸粉末に加えられ得る。例えば、撹拌されているジカルボン酸粉末中にジアミンを噴霧するか、又は滴下することによって、ジアミンはジカルボン酸粉末に加えられてもよい。好ましくは、ジアミンは、ジカルボン酸粉末に徐々に加えられる。好ましくは、ジアミンの添加速度は、添加されるジアミンの総量に対して1分間あたり0.07質量%~6.7質量%である。
【0031】
反応は、水の存在下で実施されてもよい。好ましくは、水の量は、ジカルボン酸粉末とジアミンとの総量に対して、1質量%~10質量%の間である。より好ましくは、水の量は、ジカルボン酸粉末とジアミンとの総量に対して5質量%以下である。水は、塩の形成の間、蒸発によって除去されてもよい。
【0032】
連鎖制限剤(chain limiter)又は重合触媒が、ジカルボン酸及びジアミン粉末に加えられてもよい。用語「連鎖制限剤」は、ポリマーの末端官能基の末端をブロッキング可能な薬剤を意味すると理解される。このような末端ブロッキング剤の例としては、酢酸、ラウリン酸、安息香酸、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン及びアニリンが、挙げられる。好ましくは、連鎖制限剤は、ジカルボン酸粉末及びジアミンの総モル数に対して5mol%以下の量で加えられる。
【0033】
重合触媒の例としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸及びこれらの酸の塩が挙げられる。使用される重合触媒の量は、好ましくは、ジカルボン酸粉末及びジアミンの総モル数に対して2mol%以下である。
【0034】
添加剤もまた、塩の生成の任意の段階で、本発明にしたがうジアミン及びジカルボン酸塩の粉末に添加され得る。このような添加剤の例として、フィルター又は安定化剤、色素、染料、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、抗酸化剤、UV安定化剤、又は他の可塑剤に言及し得る。使用される添加剤(1種又は複数種)の量は、好ましくは、ジカルボン酸粉末及びジアミンの総質量に対して20質量%以下である。
【0035】
好ましくは、本発明による塩化モノマー粉末(「カルボン酸アンモニウム塩」とも呼ぶ)の粒子の体積中位径D50は、500μm以下である。好ましくは、塩化モノマー粉末(「カルボン酸アンモニウム塩」とも呼ぶ)の粒子の体積中位径D50は、5μm~250μmの間である。また、好ましくは、塩化モノマー粉末(「カルボン酸アンモニウム塩」とも呼ぶ)の粒子の体積中位径D50は、30μm~80μmの間である。
【0036】
本発明によるモノマー塩粉末の重合によって得られ得るポリアミドの例として、以下が挙げられる:
- PA11:11-アミノウンデカン酸から作られるポリウンデカンアミド;
- PA12:12-アミノドデカン酸から作られるポリラウロアミド;
- PA4.6:1,4-ブタンジアミン及びアジピン酸から作られるポリテトラメチレンアジパミド;
- PA6.6:ヘキサメチレンジアミン及びアジピン酸から作られるポリヘキサメチレンアジパミド;
- PA6.9:ヘキサメチレンジアミン及び1,9-ノナン二酸から作られるポリヘキサメチレンノナンジアミド;
- PA6.10:ヘキサメチレンジアミン及びセバシン酸から作られるポリヘキサメチレンセバカミド;
- PA6.12:ヘキサメチレンジアミン及び1,12-ドデカン二酸から作られるポリヘキサメチレンドデカンジアミド;
- PA10.10:デカンジアミン及びセバシン酸から作られるポリデカメチレンセバカミド;
- PA10.12:デカンジアミン及び1,12-ドデカン二酸から作られるポリデカメチレンセバカミド;
- PA6.T:1,6-ヘキサンジアミン及びテレフタル酸から作られる;
- PA4.T/6.T:1,4-ブタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン及びテレフタル酸から作られる;
- PA6.T/10.T:1,6-ヘキサンジアミン、1,10-デカンジアミン及びテレフタル酸から作られる;
- PA4.T/10.T:1,4-ブタンジアミン、1,10-デカンジアミン及びテレフタル酸から作られる;
- PA6.6/6.T:ヘキサメチレンジアミン、アジピン酸、1,6-ヘキサンジアミン及びテレフタル酸から作られる;
- PA4.T/DACH.T:トランス-1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ブタンジアミン及びテレフタル酸から作られる;
- PAMXD.6:m-キシレンジアミン及びアジピン酸から作られる;
- PAMXD.10:m-キシレンジアミン及びセバシン酸から作られる;
- PABMACM.10:ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン及びセバシン酸から作られる;
- PAPACM.12:p-アミノシクロヘキシルメタン及びドデカン二酸から作られる。
【0037】
使用
本発明は、付加的製造方法における本発明による塩化モノマー粉末の使用に関する。付加的製造方法は、塩化モノマー粉末の凝集によって物体を製造するための方法を意味すると理解される。
【0038】
凝集技術における本発明による塩化モノマー粉末の使用は、通常の粉末と比較して材料の非常に良好な結合力を提供するがゆえに、特に有益である。
【0039】
本発明による塩化モノマー粉末は、レーザービーム(レーザー焼結)、IR照射又はUV照射によって起きる融解によって物体を製造するための方法において、使用され得る。レーザー焼結技術は、詳細には、特許出願EP1571173において記載される。
【0040】
さらに、本発明による塩化モノマー粉末はまた、混成物、基材コーティング、転写紙において使用されてもよく、又は、化粧品組成物の製造にために使用されてもよい。
【0041】
付加的製造方法
本発明はまた、本発明による塩化モノマー粉末の凝集によって物体を製造するための方法にも関する。好ましくは、本発明による塩化モノマー粉末は、塩化モノマー粉末の融解温度以下の温度まで加熱されたチャンバー内に配置される。
【0042】
好ましくは、チャンバーの温度は、110℃~175℃、より好ましくは、チャンバーの温度は、130℃~175℃である。なおより好ましくは、チャンバーの温度は、150℃~175℃である。
【0043】
本発明による塩化モノマー粉末の凝集によって物体を製造するための方法は、塩化モノマー粉末を重合させる工程を含む。本発明による塩化モノマー粉末の凝集によって物体を製造するための方法は、3D構築の工程をさらに含む。好ましくは、塩化モノマー粉末を重合させる工程及び3D構築の工程は、同時に実施される。
【0044】
好ましくは、重合は、融解状態のみならず固形状態でも、残りの構築の間中続く。
【0045】
本発明はまた、以下の間に、本発明による塩化モノマー粉末の凝集によって物体を製造するための方法にも関する:
a. 本発明による塩化モノマー粉末の薄層(層1)が、塩化モノマー粉末の融解温度未満の温度まで加熱されたチャンバー内で維持された水平板上に堆積する;
b. レーザーを用いることにより、塩化モノマー粉末(層1)が、融解し、重合し、そして同時に、製造される物体に相当する幾何形状に凝集する;
c. 水平板が、本発明による塩化モノマー粉末の層の厚みに相当する値まで下がり、次いで、本発明による塩化モノマー粉末の新たな層が、堆積する(層2);
d. 塩化モノマー粉末層(層2)が、融解し、重合し、そして同時に、製造される物体の新たな薄片に相当する幾何形状に凝集する;
e. 水平板が、本発明による塩化モノマー粉末の層の厚みに相当する値まで下がり、次いで、本発明による塩化モノマー粉末の新たな層(層3)が堆積する;
f. 塩化モノマー粉末層(層3)が融解し、重合し、そして同時に、製造される物体の新たな薄片に相当する幾何形状に凝集する;
g. 物体が完成するまで、上記の工程が繰り返される;
h. チャンバーが、好ましくはゆっくりと冷却される。
【0046】
冷却の完了後、物体と粉末とが離される。
【0047】
本発明の1つの実施形態において、使用されていない塩化モノマー粉末は、回収され、そして別の操作のために再利用される。
【0048】
別の局面に従い、本発明は、上で規定された付加的製造方法に従って製造された3D印刷製品に関する。
【0049】
本発明は、以下の実施例を用いて、非限定の様式でさらに説明される。
【実施例
【0050】
本発明による塩化モノマー粉末の特性について、粉末凝集方法において試験を行う。
【0051】
1.塩化モノマー粉末
粒子の体積中位径D50が50μmである塩化11-アミノウンデカン酸粉末(Arkemaから市販されている商品)を、使用する。
【0052】
2.使用
この粉末を、粉末を融解させないために175℃未満であるがレーザーの通過後であっても重合を促進させるために150℃を上回る、作業及び構築チャンバー内温度を用いて、LS機器で使用する。
【0053】
良質な部品が得られる。
【国際調査報告】