(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(54)【発明の名称】アブレーションプローブ
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20220323BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547414
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(85)【翻訳文提出日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 EP2020053819
(87)【国際公開番号】W WO2020165375
(87)【国際公開日】2020-08-20
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517393570
【氏名又は名称】ナショナル ユニバーシティ オブ アイルランド ゴールウェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イートン-イバンス ジミー
(72)【発明者】
【氏名】ルビオ ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】ブーシャー-ヘイズ ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】オハロラン マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ブルッツィ マーク
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK13
4C160MM32
4C160NN01
(57)【要約】
アブレーションプローブ(100;200)は、周辺組織を加熱するために放射線を照射するアプリケータ(102;202)と、アプリケータに電磁エネルギーを供給するように設けられる給電ケーブル(104;204)と、冷媒供給回路を形成する冷媒流路(106、108)と、給電ケーブル(104;204)の少なくとも一部を収容する管状部(112;212)であって、冷媒流路の一部が給電ケーブルと管状部との間の空間によって規定される管状部と、結合体(114)とを備える。結合体は、アプリケータ(102;204)が少なくとも部分的に封入される空洞(116)と、結合体(114)が管状部に結合される結合インターフェース(118)と、組織を穿刺する先端の尖った遠位先端部(114a)とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺組織を加熱するために放射線を照射するアプリケータと、
前記アプリケータに電磁エネルギーを供給するように設けられる給電ケーブルと、
冷媒供給回路を形成する冷媒流路と、
前記給電ケーブルの少なくとも一部を収容する管状部と、
結合体と、を備え、
前記結合体は、
前記アプリケータが少なくとも部分的に封入される空洞と
前記結合体が前記管状部に結合される結合インターフェースと、
組織を穿刺する先端の尖った遠位先端部と、を備え、
前記結合体は、前記アプリケータと前記管状部とを構造的に結合するように構成される、アブレーションプローブ。
【請求項2】
請求項1に記載のアブレーションプローブであって、
前記管状部の少なくとも一部を取り囲む変形可能部をさらに備え、
前記変形可能部は、挿入構成と展開構成との間で移動するように設けられ、
前記冷媒流路の一部は、前記変形可能部が前記展開構成である場合に、前記変形可能部と前記管状部との間に規定され、
前記結合体は、前記結合体が前記変形可能部と結合される前記結合インターフェースを備える、アブレーションプローブ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアブレーションプローブであって、
前記結合体は、少なくとも一部がプラスチック材料により形成されている、アブレーションプローブ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のアブレーションプローブであって、
a)前記結合体の少なくとも一部が、1~50kJ/m
2の範囲のシャルピーノッチ衝撃強度を有する材料から形成されること、
b)前記結合体の少なくとも一部が、10~50の範囲のロックウェル硬度(m-スケール)を有する材料から形成されること、
c)前記結合体の少なくとも一部が、1~50GPaの範囲の曲げ弾性率を有する材料で形成されること、
d)前記結合体の少なくとも一部が、1.8MPaで80~400℃の範囲の過重たわみ温度を有する材料から形成されること、
e)前記結合体の少なくとも一部が、透明な材料から形成されてもよいこと、
f)請求項2に従属する場合には、前記変形可能部と、前記結合体が前記変形可能部と結合される前記結合インターフェースを形成する前記結合体の少なくとも一部とが、共に熱溶接に適合した材料から形成されること、
g)前記結合体が、5よりも大きい、好ましくは20よりも大きい誘電率を有する材料により形成されていること、
のうちの1つ以上の特徴を備える、アブレーションプローブ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のアブレーションプローブであって、
前記結合体は、少なくもその一部が、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ナイロン、ガラス強化ナイロン、液晶ポリマー(LCP)、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、または、ポリイミドのうちのいずれかにより形成されている、アブレーションプローブ。
【請求項6】
請求項5に記載のアブレーションプローブであって、
a)前記結合体は、ナイロンまたはガラス強化ナイロンにより形成され、前記管状部の少なくとも一部が、ナイロン、ペバックス、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはPEEKなどの高分子材料から形成されていること、
b)請求項2に従属する場合には、前記結合体がナイロンまたはガラス強化ナイロンにより形成され、前記変形可能部が少なくとも部分的にナイロンにより形成されていること、
の一方または両方の特徴を備える、アブレーションプローブ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のアブレーションプローブであって、
前記アプリケータは、アプリケータ本体とアンテナ導体とを備え、
前記アプリケータ本体は、前記アンテナ導体を受容するチャネルを有する外面を備え、
任意選択的に、前記チャネルは、前記アンテナ本体の中心軸の周りの螺旋状の経路に沿って延在する、アブレーションプローブ。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載のアブレーションプローブであって、
前記アプリケータは、アプリケータ本体とアンテナ導体とを備え、
前記アンテナ導体は、前記アプリケータ本体の外面に設けられ、前記アンテナ導体を所定の位置に固定するために注封部材または接着剤が設けられ、
任意選択的に、前記アンテナ導体は、前記アプリケータの外面の周りに螺旋状の経路に沿って延在する、アブレーションプローブ。
【請求項9】
請求項7または8に記載のアブレーションプローブであって、
前記給電ケーブルは、内部導体、外部導体、および、それらの間の誘電体材料を備え、
前記アンテナ導体は、前記給電ケーブルの前記内部導体の一部により形成され、
任意選択的に、前記アンテナ導体の長手方向の一部は、前記アンテナ本体の内部に形成された軸方向の貫通孔内において、前記外部導体の遠位端から遠位方向に延伸している、アブレーションプローブ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のアブレーションプローブであって、
前記アプリケータと前記結合体との間に、注封化合物または接着剤が設けられる、アブレーションプローブ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載のアブレーションプローブであって、
a)前記結合体は、前記アプリケータの周りに挿入形成されること、
b)前記結合体が前記管状部に結合される前記結合インターフェースは、前記管状部の内部または周囲に延伸する前記結合体との重なり部を備えることにより、相互に重なり合うこと、
c)前記結合体と前記管状部との間に、溶接またはリフローされた結合が形成されること、
のうちの1つ以上の特徴を備える、アブレーションプローブ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載のアブレーションプローブであって、
前記結合体の尖った先端部が覆われる第1の位置と、前記尖った先端部が露出する第2の位置との間で移動可能な覆い部をさらに備える、アブレーションプローブ。
【請求項13】
請求項12に記載のアブレーションプローブであって、
前記覆い部は、前記アブレーションプローブの遠位端と近位端との間で、前記アブレーションプローブの長手方向に沿って部分的に延在し、
前記アブレーションプローブは、前記覆い部と接続された制御線であって、前記覆い部と前記アブレーションプローブの近位端またはその近傍との間で前記アブレーションプローブの長手方向に沿って延伸する1本または複数の制御線を備え、
任意選択的に、前記1本または複数の制御線は、前記覆い部の遠位端またはその近傍で接続され、
前記覆い部は、その遠位端に補強リングを有するチューブを備え、前記1本または複数の制御線が、前記補強リングに接続されている、アブレーションプローブ。
【請求項14】
請求項13に記載のアブレーションプローブであって、
前記アブレーションプローブは、その近位端またはその近傍に設けられるハンドルと摺動可能に結合され、
前記1本または複数の制御線は、前記ハンドルと前記覆い部との間に接続され、
前記制御線は、前記ハンドルから離れる遠位方向への前記覆い部の移動範囲を制限するように配置されている、アブレーションプローブ。
【請求項15】
請求項12から14のいずれか1項に記載のアブレーションプローブであって、
a)請求項13に従属する場合には、前記アブレーションプローブは、前記冷媒流路の一部が含まれる外側カテーテルチューブを備え、前記1本または複数の制御線は、前記外側カテーテルチューブに形成されたチャネルまたは管腔内に延伸すること、
b)前記覆い部は、周囲に延在する前記アブレーションプローブの本体と摩擦嵌合を形成し、および/または、前記覆い部を遠位方向に偏らせるように配置されたバイアス部材を備えること、
c)前記覆い部は、前記覆い部が前記第1の位置にある場合に前記尖った先端部を覆うように配置されるカバー部材を備え、前記覆い部が前記第1の位置から前記の第2位置に移動する場合に前記カバー部材が前記尖った先端部により貫通されることにより、前記尖った先端部が露出すること、
のうちの1つ以上の特徴を備える、アブレーションプローブ。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載のアブレーションプローブであって、
前記冷媒流路を形成する1つまたは複数のチャネルの内壁を離間させるように設けられる1つまたは複数のスペーサ部をさらに備え、
前記冷媒流路を形成する1つまたは複数のチャネルは、断面が略環状であり、
前記1つまたは複数のスペーサ部のそれぞれの少なくとも一部は、略螺旋状である、アブレーションプローブ。
【請求項17】
請求項16に記載のアブレーションプローブであって、
前記冷媒流路は、第1冷媒流路および第2冷媒流路を備え、
前記第1および第2冷媒流路は、前記第1および第2冷媒流路を形成する前記チャネルの壁を貫通して延伸する1つまたは複数の連結孔によって、流体的に接続され、
前記1つまたは複数のスペーサ部の1つは、前記1つまたは複数の連通孔と重なる位置に配置される、アブレーションプローブ。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載のアブレーションプローブであって、
前記給電ケーブルは、長手方向の一部が長手方向に隣接する近位部分と比較して相対的に高い柔軟性を有し、
前記柔軟性が相対的に高い部分は、前記給電ケーブルの遠位領域に設けられ、
任意選択的に、前記柔軟性が相対的に高い部分は、前記給電ケーブルを形成する外部導体の脆弱部分により形成される、アブレーションプローブ。
【請求項19】
請求項18に記載のアブレーションプローブであって、
前記柔軟性の高い部分は、前記給電ケーブルの前記外部導体に形成された切れ込みまたはスロットからなり、
前記切れ込みまたはスロットは、前記給電ケーブルの長手方向に沿った螺旋状の経路に沿って延伸する、アブレーションプローブ。
【請求項20】
請求項1から請求項19のいずれか1項に記載のアブレーションプローブであって、
前記給電ケーブルは、前記給電ケーブルと前記アプリケータとの接続点またはその近傍の位置から前記給電ケーブルの長手方向に沿って延びる張力緩和部を備え、
前記張力緩和部は、前記給電ケーブルの長手方向に沿って前記アプリケータに向かって遠位方向に移動する場合に柔軟性が低下する長手方向の前記給電ケーブルによって形成されている、アブレーションプローブ。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか1項に記載のアブレーションプローブであって、
前記アプリケータは、遠位端と近位端との間に延在し、
前記アブレーションプローブは、前記アプリケータの遠位端または近位端に隣接する位置から延伸する柔軟性変化部をさらに備え、
前記柔軟性変化部は、前記アブレーションプローブの延伸する長手方向において、前記アプリケータに最も近いところで最小の柔軟性を有し、前記アプリケータから離れると柔軟性が増す前記アブレーションプローブの領域を備える、アブレーションプローブ。
【請求項22】
請求項21に記載のアブレーションプローブであって、
前記柔軟性変化部は、補強材を備える前記アブレーションプローブの一部により形成され、
前記補強材は、前記柔軟性変化部の柔軟性を変化させるために、形状および/または分布が変化するように設けられ、
任意選択的に、前記補強材は、ピッチが変化する螺旋状の繊維またはワイヤを備え、前記ピッチが前記アブレーションプローブの長手方向に沿って、前記アプリケータに向かう方向に小さくなる、アブレーションプローブ。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか1項に記載のアブレーションプローブであって、
前記冷媒流路の一部は、前記給電ケーブルと前記管状部との間の空間により規定される、アブレーションプローブ。
【請求項24】
ハンドルと
前記ハンドルに対して伸長位置と収縮位置との間で移動可能に結合されたアブレーションプローブと、を備えるアブレーションプローブアセンブリであって、
放射線を照射して周囲の組織を加熱するアプリケータと、
前記アプリケータに電磁エネルギーを供給するように設けられた給電ケーブルと、
組織を穿刺する先端の尖った遠位の先端部と、
前記尖った先端部を囲む第1の位置と、前記尖った先端部を露出させる第2の位置との間で移動可能な覆い部であって、前記アブレーションプローブの長手方向に沿って、前記アブレーションプローブの遠位端と近位端との間で部分的に延在するように設けられた覆い部と、
前記覆い部に接続された1本または複数の制御線であって、前記覆い部と前記ハンドルとの間で前記アブレーションプローブの長手方向に沿って延伸し、前記ハンドルに対する前記アブレーションプローブの前記収縮位置から前記伸長位置への移動により、前記覆い部が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動される制御線と、を備える、アブレーションプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、アブレーションプローブに関する。特に、本出願は、組織内に熱を発生させて組織増殖を破壊するために使用することができるアブレーションプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
熱アブレーションは、悪性の可能性のある体内の組織増殖を破壊するために使用される。現在のアブレーションシステムでは、アプリケータの先端を囲む組織に高周波(RF)エネルギー(またはマイクロ波エネルギー)を供給するアプリケータを使用している。これにより、局所的に加熱され、悪性細胞が破壊される。これらのアプリケータは、経皮的な搬送のために設計されているため、比較的長さが短く、直径が大きい。しかし、多くの疾患部位は、安全かつ容易に経皮的にアクセスすることができない。例えば、膵臓は肝臓の後ろに位置しているため、経皮的にアクセスすることは困難である。同様に、胸壁を介して肺にアクセスすると気胸の原因となる。また、直径の大きいアプリケータは、挿入時に組織に望ましくない損傷を与える可能性がある。そのため、既存の経皮的アプリケータを使って熱アブレーションを成功させることができる適応範囲は限られている。
【0003】
自然の開口部を通って操作することで、体内のさまざまな部位にアクセスすることができる。例えば、肺ナビゲーションシステムや内視鏡のようなデバイスを使って、気道ネットワークを介して作業チャネルをターゲットに導くことで、肺の周辺部にアクセスすることができる。これにより、病気の診断や治療のために、デバイスの作業チャネルを通じて治療法を提供することができる。マイクロ波によるアブレーションは、これらのシステムを介して行われる。しかし、長尺で柔軟性のあるアブレーション用カテーテルは、その放射先端に十分な電力を供給することができなければならない。周知のマイクロ波システムでは、電力を供給するために同軸ケーブルが使用されており、直径の大きいケーブルを使用すると小さいサイズのケーブルに比べて電気的損失が少なくなる。しかし、小径のケーブルは柔軟性が高く、挿入時のプロファイルが小さくなり、搬送中に塑性変形してもまっすぐにするための力が少なくて済む。小さなケーブル(例えば、直径0.7mm未満)を多くのターゲット部位(例えば、肺では1m以上)に到達するのに必要な長さにわたって引き回すのは、電気的損失が大きすぎて、過剰な加熱効果や十分な電力供給が得られない(結果的に治療期間が過剰に長くなる)可能性があるため、現実的ではない。
【0004】
2017年3月31日に出願された本出願人の先願である欧州特許出願公開第EP17164403.2号明細書では、アプリケータに電磁エネルギーを供給するように配置された給電ケーブルを有するマイクロ波アブレーションプローブが開示されている。給電ケーブルは、互いに異なる断面サイズを持つ近位部と遠位部を備える。また、給電ケーブルの遠位部と近位部を機械的・電気的に接続するためのコネクタも設けられている。また、EP17164403.2には、冷媒が流れる冷媒経路を提供する変形可能部の使用が開示されている。
【0005】
このような周知のアブレーションプローブは、内視鏡や電磁誘導式気管支内視鏡(ENB)などの搬送装置で効率的に使用できるような改良が望まれている。人体中の曲がりくねったルートをたどることができるように、適切なレベルの柔軟性(例えば、曲げ半径10mm以下)を持たせなければならない。また、アブレーションプローブは、狭い作業チャネル(例えば、直径2mm)で使用できるように、コンパクトなサイズでなければならない。アブレーションプローブのサイズを小さくすると、搬送時や治療時にデバイスが故障しないように機械的強度を維持することが難しくなる。そのため、部品間の確実な接続が望まれるが、部品が互換性のない異なる材料で形成される場合は、実現が困難な場合がある。さらに、製造を支援し、大量生産と信頼性を可能にするために、単純な形状が望まれている。全体のアセンブリは、曲がりくねった道を通って疾患の場所に搬送するのに十分な柔軟性が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、本願発明は、アブレーションプローブを提供するものである。このアブレーションプローブは、
周辺組織を加熱するために放射線を照射するアプリケータと、
アプリケータに電磁エネルギーを供給するために配置された給電ケーブルと、
冷媒供給回路を形成する冷媒流路と、
給電ケーブルの少なくとも一部を収容する管状部であって、給電ケーブルと管状部との間の空間によって冷媒流路の一部(例えば、第1の部分)が規定される管状部と、を備える結合体であって、結合体は、
アプリケータが少なくとも部分的に封入されている空洞と、
結合体が管状部に結合される結合インターフェースと、
組織を穿刺するのに適した先端の尖った遠位先端部と、
のいずれかまたは複数の構成を備える。
【0007】
第2の態様では、本願発明は、アブレーションプローブを提供するものである。このアブレーションプローブは、
周辺組織を加熱するために放射線を照射するように配置されたアプリケータと、
アプリケータに電磁エネルギーを供給するための給電ケーブルと、
冷媒供給回路を形成する冷媒流路と、
給電ケーブルの少なくとも一部を収容する管状部と、
結合体と、を備え、結合体は、
アプリケータが少なくとも部分的に封入されている空洞と、
結合体が管状部に結合される結合インターフェースと、
組織を穿刺するのに適した尖った遠位先端部と、を備え、結合体は、アプリケータと管状部とを構造的に結合するように適合されている。
【0008】
結合体は、アプリケータと管状部が一緒に固定される単一の部品として機能する。アプリケータを結合体内に封入することにより、接着剤に依存することなく、アプリケータ(誘電体で形成されてもよい)を複雑な形状に加工することなく、アプリケータとの機械的接続を確実にすることができる。結合体の材料は、アプリケータの材料とは異なるため、組み立て時にアブレーションプローブの他の部分と結合するのに適している。
【0009】
以下の特徴は、第1の態様と第2の態様に適用できる。
【0010】
任意選択的に、アブレーションプローブは、管状部の少なくとも一部を取り囲む変形可能部をさらに備えてもよく、変形可能部は、挿入構成と展開構成との間で移動するように配置され、変形可能部が展開構成にあるときに、変形可能部と管状部との間に冷媒経路の一部(例えば第2の部分)が規定され、結合体は、結合体が変形可能部に結合される結合インターフェースを備えている。
【0011】
任意選択的に、結合体の少なくとも一部をプラスチック材料で形成することができる。これにより、製造が容易になり、望ましい柔軟性と強靭性を持ち、また、管状部および/または変形可能部と結合するのに適した材料を提供することができる。
【0012】
結合体が形成される材料は、以下の記述a)~f)のいずれか1つまたは組み合わせで定義されてもよい。
【0013】
a)任意選択的に、結合体は、1~50kJ/m2の範囲のシャルピーノッチ衝撃強度を有する材料から少なくとも部分的に形成してもよい。
b)任意選択的に、結合体は、ロックウェル硬度(m-スケール)が10から50の範囲にある材料から少なくとも部分的に形成してもよい。
c)任意選択的に、結合体の少なくとも一部を、1~50GPaの範囲の曲げ弾性率を有する材料で形成してもよい。
d)任意選択的に、結合体は、1.8MPaで80℃から400℃の範囲の過重たわみ温度を有する材料から少なくとも部分的に形成してもよい。
e)任意選択的に、結合体の少なくとも一部を透明な素材で形成してもよい。
f)任意選択的に、変形可能部と、結合体が変形可能部に結合される結合インターフェースを形成する結合体の少なくとも一部とが、共に熱溶接に適合する材料から形成されてもよい。これには、同等または類似の融点を持つ材料(例えば、融点が互いに100度以内または50度以内)が含まれてもよい。
g)任意選択的に、結合体は、5より大きい、好ましくは20より大きい誘電率を有する材料から形成してもよい。これにより、アプリケータの機能への干渉を減らすことができる。誘電率は100未満であってもよく、例えば、5~100または20~100の範囲であってもよい。
【0014】
任意選択的に、結合体は、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ナイロン(ナイロン6など)、ガラス強化ナイロン(ガラス強化ナイロン6など)、液晶ポリマー(LCP)、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、または熱硬化性材料(ポリイミドなど)のいずれかを用いて少なくとも部分的に形成してもよい。
【0015】
任意選択的に、結合体はナイロンまたはガラス強化ナイロンにより形成され、管状部は少なくとも一部をナイロン、ペバックスまたはPEEKなどの高分子材料で形成されてもよい。このような構成は、結合体と管状部の熱溶接に役立ち得る。
【0016】
任意選択的に、結合体はナイロンまたはガラス強化ナイロンにより形成され、変形可能部は少なくとも部分的にナイロンにより形成されてもよい。このような構成は、結合体と変形可能部の熱溶接に役立ち得る。
【0017】
任意選択的に、アプリケータは、アンテナ(またはアプリケータ)本体とアンテナ導体を備えてもよく、アンテナ本体は、アンテナ導体を受容するチャネルを有する外面を備える。アンテナ導体は、細長いワイヤ状の部品により形成してもよく、外面の周りおよび/または外面に沿った経路をたどるチャネルは、アンテナ導体がたどる経路の形状に対応する(例えば、同じ)形状を有している。そのため、チャネルはアンテナ導体の形状を維持するように調整されている。
【0018】
任意選択的に、チャネルは、アンテナ本体の中心軸を中心とした螺旋状の経路に沿って延伸してもよい。
【0019】
任意選択的に、アプリケータはアプリケータ本体とアンテナ導体を備えてもよい。なお、アンテナ導体はアプリケータ本体の外面に配置されてもよい。また、アンテナ導体を固定するために、注封部材や接着剤が設けられてもよい。これにより、アプリケータ本体のチャネルの機械加工を避けることができる。
【0020】
アンテナ導体は、アプリケータ本体の外周に螺旋状に沿って延伸してもよい。
【0021】
任意選択的に、給電ケーブルは、内部導体、外部導体、およびそれらの間の誘電体材料から構成することができ、アンテナ導体は、給電ケーブルの内部導体の一部により形成される。
【0022】
任意選択的に、アンテナ導体の長手方向の一部は、アンテナ本体に形成された軸方向の貫通孔内において、外部導体の遠位端から遠位方向に延伸している。
【0023】
任意選択的に、アプリケータと結合体の間には、注封化合物や接着剤が設けられている。
【0024】
任意選択的に、結合体はアプリケータの周りに挿入成形されている。
【0025】
任意選択的に、結合体が管状部に結合される結合インターフェースは、互いに重なるように管状部内または周囲に延伸する結合体の重なり部を備えてもよい。
【0026】
任意選択的に、重なり部は、管状部と重なる結合体の厚さが減少した部分を形成する。これにより、この結合の柔軟性を高めたり、歪みを解消したりすることができる。
【0027】
任意選択的に、結合体と管状部の間に溶接またはリフローされた結合が形成される。これにより、部品間を強固で安全に結合させることができる。
【0028】
任意選択的に、結合体の尖った遠位先端部は、結合体の遠位端に結合された別個の先端部によって構成されてもよい。先端部は、結合体の遠位端に設けられたインターロッキングプロファイル(例えば、ソケット)を介して結合してもよい。先端部は、金属、金属合金、セラミックなどで形成されてもよい。
【0029】
任意選択的に、アブレーションプローブは、結合体の尖った先端部を囲む第1の位置と、尖った先端部が露出している第2の位置との間で移動可能な覆い部をさらに備える。
【0030】
任意選択的に、覆い部は、アブレーションプローブの遠位端と近位端の間でアブレーションプローブの長手方向に沿って部分的に延在していてもよく、アブレーションプローブは、覆い部と接続された1本または複数の制御線を備え、制御線は、覆い部とアブレーションプローブの近位端またはその近傍の位置との間でアブレーションプローブの長手方向に沿って延伸している。
【0031】
任意選択的に、1つまたは複数の制御線は、覆い部の遠位端またはその近くで接続されてれもよい。
【0032】
任意選択的に、覆い部は、遠位端に補強リングを有するチューブにより形成され、1つまたは複数の制御線が補強リングに接続される。
【0033】
任意選択的に、アブレーションプローブは、その近位端またはその近傍に設けられたハンドルに摺動可能に結合され、1本または複数の制御線がハンドルと覆い部との間に接続され、制御線は、ハンドルから離れる近位方向への覆い部の移動範囲を制限するように配置される。
【0034】
任意選択的に、アブレーションプローブは、冷媒流路の一部が含まれる外側カテーテルチューブを備え、1本または複数の制御線は、外側カテーテルチューブに形成されたチャネルまたは管腔内に延伸する。
【0035】
任意選択的に、覆い部は、その周囲に延伸するアブレーションプローブの本体と摩擦嵌合を形成し、および/または、覆い部を遠位方向に偏らせるように配置されたバイアス部材を備える。
【0036】
任意選択的に、覆い部は、覆い部が第1の位置にある場合に尖った先端部を覆うように配置されたカバー部材を含んでもよく、覆い部が第1の位置から第2の位置に移動して尖った先端を露出させたときに、カバー部材は尖った先端により貫通される。カバー部材は、覆い部の遠位端と交差する方向に延在する膜であってもよい。
【0037】
任意選択的に、アブレーションプローブは、冷媒流路を形成する1つまたは複数のチャネルの内壁を隔てるように配置された1つまたは複数のスペーサ部をさらに含んでもよい。冷媒流路を形成する1つまたは複数のチャネルは、断面が環状になっていてもよい。1つまたは複数のスペーサ部のそれぞれの少なくとも一部は、概して螺旋状の形状を呈することができる。螺旋状のスペーサ部は、その中に対応する螺旋状の冷媒流路を形成することができる。スペーサ部の螺旋状の形状は、柔軟性と冷媒の流量を維持しつつ、アブレーションプローブが曲げられたときに冷媒チャネルが変形するリスクを低減することができる。
【0038】
任意選択的に、冷媒流路は、第1の冷媒流路と第2の冷媒流路を備える。第1および第2の冷媒流路は、第1および第2の冷媒流路を形成するチャネルのそれぞれの壁を貫通して延伸する1つまたは複数の連結穴によって流体的に接続することができる。なお、1つまたは複数のスペーサ部の1つは、1つまたは複数の連結穴と重なる位置に配置されてもよい。これにより、穴が開いていると変形しやすい位置にある冷媒チャネルの変形を防ぐことができる。
【0039】
任意選択的に、給電ケーブルは、その長手方向の一部が、その長手方向に隣接する近位部分と比較して、相対的に高い柔軟性を有しており、この柔軟性が相対的に高い部分は、給電ケーブルとアプリケータとの間の接続点またはその付近(すなわち、給電ケーブルの遠位領域)に位置している。任意選択的に、この柔軟性が相対的に高い部分は、給電ケーブルを形成する外部導体の脆弱部分により形成されている。ケーブルの柔軟性を高めることで、曲がりくねった解剖学的構造に挿入されたアブレーションプローブの形状の変化による抵抗を抑制することができ、また、アブレーションプローブが曲がっても元の形状に戻ることができる。これは特に、使用時に組織内に挿入される給電ケーブルの部分で有利になり得る。
【0040】
柔軟性の高い部分は、給電ケーブルを形成する外部導体の脆弱部分で形成されてもよい。柔軟性の高い部分は、給電ケーブルの外部導体に形成された窪みやスロットを備えてもよい。窪みやスロットは、給電ケーブルの長手方向に沿った螺旋状の経路に沿って延伸することができる。
【0041】
柔軟性が相対的に高い部分は、給電ケーブルの長手方向に沿って柔軟性が変化してもよい。柔軟性は、給電ケーブルの隣接する近位部との境界で滑らかに変化してもよい。
【0042】
任意選択的に、給電ケーブルは、給電ケーブルとアプリケータの接続部に近い位置から給電ケーブルの長手方向に沿って伸びる張力緩和部を備える。張力緩和部は、給電ケーブルの長手方向に沿って遠位方向においてアプリケータに向かって移動するときに、柔軟性が低下する長手方向の給電ケーブルによって形成されてもよい。これにより、異なるレベルの柔軟性を持つアブレーションプローブのパーツ間の移行がよりスムーズになり得る。張力緩和部は、関連付けられた給電ケーブルの長手方向に沿って、柔軟度の硬柔の度合いを変えて形成されてもよい。いくつかの実施形態では、張力緩和部とより大きな柔軟性を持つ部分の両方が設けられる。このような実施形態では、張力緩和部はアプリケータと柔軟性の相対的に高い部分の間に位置している。
【0043】
任意選択的に、アプリケータは、遠位端と近位端の間に延在していてもよい。アブレーションプローブは、アプリケータの遠位端または近位端に隣接する(または同じ高さにある)位置からその長手方向に沿って延伸する柔軟性変化部をさらに備えてもよい。柔軟性変化部は、アブレーションプローブの延伸する長手方向において、アプリケータに最も近いところで最小の柔軟性を持ち、アプリケータから離れると柔軟性が増加するアブレーションプローブの領域を備えてもよい。これにより、アプリケータが配置されているアブレーションプローブの領域において、柔軟性のよりスムーズな変化を実現することができる。柔軟性変化部は、結合体または管状部の一部として設けられてもよい。
【0044】
任意選択的に、柔軟性変化部は、補強材を備えるアブレーションプローブの一部によって形成されてもよい。補強材は、柔軟性変化部の柔軟性を変化させるために、形状および/または分布が変化するように設けられてもよい。
【0045】
任意選択的に、補強材は、ピッチを有する螺旋状の繊維またはワイヤを備え、ピッチが、アブレーションプローブの長手方向に沿って、アプリケータに向かう方向に小さくなる(すなわち、螺旋のターンの間の軸方向の間隔は、アプリケータに近づくほど小さくなる)。これにより、アプリケータが配置されているアブレーションプローブの領域の境界に向かって、柔軟性の所望の変化を実現することができる。
【0046】
第3の態様では、本願発明は、アブレーションプローブを提供するものである。このアブレーションプローブは、
周辺組織を加熱するために放射線を照射するアプリケータと、
アプリケータに電磁エネルギーを供給するために配置された給電ケーブルと、
組織への穿刺に適した先の尖った遠位先端部と、
先の尖った先端部を囲む第1の位置と、先の尖った先端部が露出する第2の位置との間で移動可能な覆い部であって、アブレーションプローブの遠位端および近位端の間で、アブレーションプローブの長手方向に沿って、部分的に延在する覆い部と、
覆い部に接続された1本または複数の制御線であって、覆い部とアブレーションプローブの近位端の位置との間のアブレーションプローブの長手方向に沿って延伸する制御線と、
のいずれかまたは複数の構成を備える。
【0047】
第4の態様では、本願発明は、アブレーションプローブアセンブリを提供するものである。このアブレーションプローブアセンブリは、
ハンドルと、
ハンドルに対して伸長位置と収縮位置の間で移動可能に結合されたアブレーションプローブを備える。アブレーションプローブは、
放射線を照射して周辺組織を加熱するアプリケータと、
アプリケータに電磁エネルギーを供給するように設けられた給電ケーブルと、
組織を穿刺する先端の尖った遠位の先端部と、
尖った先端部を囲む第1の位置と、尖った先端部が露出する第2の位置との間で移動可能な覆い部であって、アブレーションプローブの長手方向に沿って、アブレーションプローブの遠位端および近位端部分的に延伸する覆い部と、
覆い部に接続された1本または複数の制御線であって、覆い部とハンドルとの間でアブレーションプローブの長手方向に沿って延伸し、ハンドルに対するアブレーションプローブの収縮位置から伸長位置への移動により、覆い部が第1の位置から第2の位置へ移動される覆い部と、を備える。
【0048】
1本または複数の制御線を介して覆い部を結合することで、それが長手方向に移動する場合に、アブレーションプローブの全長にわたって近位端まで戻ることなく、覆い部の位置を制御することができる。これにより、当該装置を使用する搬送装置の作業チャネル内で当該装置が占める空間を小さくすることができる。
【0049】
以下の特徴は、第3の態様と第4の態様に適用できる。
【0050】
任意選択的に、1本または複数の制御線は、覆い部の遠位端またはその近くで接続されてもよい。
【0051】
任意選択的に、覆い部は、遠位端に補強リングを有するチューブを備え、1本または複数の制御線が補強リングに接続される。
【0052】
任意選択的に、アブレーションプローブは、その近位端またはその近傍に設けられたハンドルに摺動可能に結合され、1本または複数の制御線がハンドルと覆い部との間に接続され、制御線は、ハンドルから離れる近位方向への覆い部の移動範囲を制限するように配置される。
【0053】
任意選択的に、アブレーションプローブは、冷媒流路の一部が含まれる外側カテーテルチューブを備え、1本または複数の制御線は、外側カテーテルチューブに形成されたチャネルまたは管腔内に延伸する。
【0054】
任意選択的に、覆い部は、その周囲に延伸するアブレーションプローブの本体と摩擦嵌合を形成し、および/または、覆い部を遠位方向に偏らせるように配置されたバイアス部材を備える。
【0055】
任意選択的に、覆い部は、覆い部が第1の位置にあるときに尖った先端を覆うように配置されたカバー部材を含んでもよく、覆い部が第1の位置から第2の位置に移動して尖った先端を露出させたときに、カバー部材は尖った先端により貫通される。カバー部材は、覆い部の遠位端を横切って延伸する膜であってもよい。
【0056】
第5の態様では、アブレーションプローブが提供される。このアブレーションプローブは、
周辺組織を加熱するために放射線を照射するアプリケータと、
アプリケータに電磁エネルギーを供給するために配置された給電ケーブルと、
冷媒供給回路を形成する冷媒流路であって、1つまたは複数のチャネルの内壁によって定められる冷媒流路と、
1つまたは複数のチャネルの内壁を離間するように設けられる1つまたは複数のスペーサ部と、を備え、
冷媒流路を形成する1つまたは複数のチャネルは、断面が概ね環状であり、1つまたは複数のスペーサ部のそれぞれの少なくとも一部は、概ね螺旋状である。
【0057】
第5の態様のスペーサ部は、本明細書の他の箇所で定義されている態様であってもよい。スペーサ部は、アプリケータに電気的に結合され、給電ケーブルの周囲に延在するチョークに加え、または、それとは別に設けてもよい。スペーサ部は、間隔を空けるように配置されたチャネル壁の間に電気的な結合を与えないように電気的に絶縁されてもよく、または、チョークとして動作しないようにアプリケータから近位に設けてもよい。
【0058】
1つの態様に関連して上記の記述(または本明細書の他の場所)に開示されている特徴のいずれかを、任意の別の態様と組み合わせて提供してもよい。
【0059】
添付の特許請求の範囲は、特定の特徴の組み合わせに向けられているが、本願発明の開示範囲には、任意の請求項で請求されているのと同じ発明に関連するかどうか、また、本発明と同じ技術的問題の一部または全部を軽減するかどうかにかかわらず、本明細書で明示的または暗示的に開示されている任意の新規の特徴または特徴の新規の組み合わせ、またはその一般化も含まれることを理解する必要がある。
【0060】
別々の実施形態の文脈で説明されている特徴は、単一の実施形態で組み合わせて提供されることもある。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明されている様々な特徴は、別々に、または任意の適切な部分的組合せで提供することもできる。当該出願人は、本出願またはそこから派生するさらなる出願の過程において、そのような特徴および/またはそのような特徴の組み合わせから新たな請求項が形成される可能性があることをここに通知する。
【0061】
完全を期すため、「含む」、「構成する」、「からなる」(comprising)という用語は他の要素やステップを除外するものではなく、単数を示す冠詞(「a」または「an」)は複数を除外するものではない。
【0062】
次に、本発明の実施形態を、例示としてのみ、添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【
図1】
図1は、一実施形態によるアブレーションプローブの側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したアブレーションプローブの一部を示す分解図である。
【
図3】
図3は、
図1に示したアブレーションプローブの一部を示す断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示したアブレーションプローブの一部を示す別の断面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示したアブレーションプローブのアプリケータの拡大図である。
【
図6】
図6は、別の実施形態によるアブレーションプローブのアプリケータ周辺の領域を拡大した断面図である。
【
図7】
図7は、別の実施形態によるアブレーションプローブのアプリケータ周辺の領域を拡大した断面図である。
【
図8】
図8は、柔軟性変化部を有するアブレーションプローブの実施形態を示す拡大側面図である。
【
図9】
図9は、柔軟性変化部を有するアブレーションプローブの実施形態を示す拡大側面図である。
【
図10a】
図10aは、別の実施形態のアブレーションプローブの給電ケーブルの遠位端をクローズアップした断面図である。
【
図10b】
図10bは、
図10aに示した実施形態の給電ケーブルをそれぞれクローズアップした側面図および断面図である。
【
図10c】
図10cは、
図10aに示した実施形態の給電ケーブルをそれぞれクローズアップした側面図および断面図である。
【
図10d】
図10dは、アブレーションプローブの別の実施形態による給電ケーブルの遠位端の別のクローズアップ断面図である。
【
図11】
図11は、
図1に示したアブレーションプローブの針部とカテーテル部の境界を示すクローズアップ断面図である。
【
図12a】
図12aは、スペーサ部を有するアブレーションプローブの一実施形態の断面図である。
【
図12b】
図12bは、スペーサ部を有するアブレーションプローブの別の実施形態の分解図である。
【
図13】
図13は、他の実施形態によるスペーサ部のクローズアップ断面図である。
【
図14】
図14は、他の実施形態によるスペーサ部のクローズアップ断面図である。
【
図15】
図15は、チョークと一緒に配置されたスペーサ部を有する実施形態を示すクローズアップ断面図である。
【
図16a】
図16aは、別の実施形態による覆い部を有するアブレーションプローブの側面図である。
【
図16b】
図16bは、別の実施形態による覆い部を有するアブレーションプローブの側面図である。
【
図17】
図17は、
図16a、16bに示したアブレーションプローブの覆い部をクローズアップした断面図である。
【
図18a】
図18aは、
図16aに示されたアブレーションプローブを、アブレーションプローブが結合されたハンドルに対して相対的に移動させた状態を示す側面図である。
【
図18b】
図18bは、
図16aに示されたアブレーションプローブを、アブレーションプローブが結合されたハンドルに対して相対的に移動させた状態を示す側面図である。
【
図19】
図19は、別の実施形態による覆いを有するアブレーションプローブを示す。される。
【発明を実施するための形態】
【0064】
一実施形態によるアブレーションプローブ100を
図1に模式的に示す。本開示のアブレーションプローブ100は、悪性組織の増殖などの所望の治療部位に到達するために、体内に挿入するのに適している。所望の治療部位に到達するために、アブレーションプローブは、内部解剖学的アクセスデバイスの作業チャネル(導管)を介して挿入するのに適している。内部解剖学的アクセスデバイスとは、患者の解剖学的構造の中に配置される可能性を有するあらゆるデバイスを意味し、このデバイスは、体内の所望の位置に器具を挿入するための作業チャネルを有している。内部解剖学的装置は、患者の解剖学的な内腔(例えば、気管や肺の気管支の経路、または食道)に沿って搬送されるように配置された内腔内搬送装置であってもよい。アブレーションプローブ100は、例えば、体内の様々な疾患部位に到達するために、内視鏡的またはENBシステムを用いて使用することができる。そのため、アブレーションプローブは、内視鏡の作業チャネルに挿入できるような全体的な柔軟性を有することができる。他の実施形態では、アブレーションプローブは、特定の種類の内視鏡(例えば、気管支鏡)や、肺ナビゲーションシステム(例えば、ENBシステム)などのナビゲーションシステムなど、他の種類の管腔内搬送装置と共に使用することができる。他の例では、アブレーションプローブ100は、経皮的に、または他の任意の適切な技術を用いて、例えば、身体の既存の開口部から挿入して使用することもできる。経皮的に使用する場合、アブレーションプローブは、挿入できるように全体的に硬くなっている。
【0065】
アブレーションプローブは、近位端100aと遠位端100bとの間に延伸している。「遠位」および「近位」という用語は、アブレーションプローブを使用するために配置したときに、アブレーションプローブを操作するユーザと治療部位とを相対的に捉えたものであり、アブレーションプローブ100の遠位端100bは、治療部位に最も近いものであり、近位端100aは、ユーザに最も近いものである。アブレーションプローブ100の近位端にはハンドル101が設けられており、ユーザが操作して位置決めできるようになっている。遠位端100bは、内視鏡または同様の装置の作業チャネルを介して供給され、目標とする切除部位に到達することができる。
【0066】
アブレーションプローブ100の遠位端の分解図と断面図をそれぞれ
図2、3に示す。
【0067】
アブレーションプローブ100は、周辺組織を加熱するために放射線を照射するように配置されたアプリケータ102を備えている。適用される放射線は、アプリケータ102の周囲または近傍の悪性細胞の局所的な加熱および破壊を引き起こすように適合されてもよい。アプリケータ102は、所望の加熱が引き起こされるように、任意の適切な形態の放射線を周辺組織に照射するように構成してもよい。アプリケータ102は、例えば、マイクロ波やRF放射を発するように構成してもよいし、所望の加熱を引き起こすために他の適切な放射線を発してもよい。アプリケータ102は、治療対象の組織に対して所望の位置に配置できるように、アブレーションプローブ100の遠位端またはその近傍に配置されている。アプリケータ102は、照射されるエネルギーに応じて、適切な誘電特性を有するセラミック材料(例えば、ジルコニア)により形成されてもよい。
【0068】
アブレーションプローブ100は、アプリケータ102に電磁エネルギーを供給するように配置された給電ケーブル104をさらに備えている。
図2と
図3には、給電ケーブルの長手方向の一部のみが示されている。給電ケーブル104は、アプリケータに電磁エネルギーを供給するのに適した任意の細長い部材(例えば、導体)であってもよい。給電ケーブル104は、アブレーションプローブ100の長手方向の少なくとも一部または全部に沿って延在し、アプリケータ102にエネルギーを供給することができる。説明される実施形態では、給電ケーブル104の遠位端がアプリケータ102の近位端に結合され、給電ケーブル104の近位端(
図2および
図3には示されていない)が、アプリケータ102にエネルギーを供給するための所望の信号を生成するのに適した生成手段(これも図には示されていない)に結合されている。
【0069】
アブレーションプローブは、冷媒供給回路を形成する冷媒回路流路をさらに備えている。
図3には、冷媒の流れが矢印で示されている。冷媒回路流路は、第1冷媒経路106を備えている。説明される実施形態では、第1冷媒経路は、冷媒がアプリケータ102に向かう方向に流れることが可能な冷媒送達経路である。例えば、冷媒送達経路106は、アブレーションプローブ100の近位端で冷媒送達経路106に結合された冷媒供給手段(不図示)から、アブレーションプローブ100の遠位端に向けて冷媒の流れを送り届けてもよい。冷媒の流れは、使用中のアブレーションプローブ100の温度制御に役立ち得る。これにより、アブレーションプローブ100が過熱して破損したり、健康な組織に損傷を与えたりすることなく、長時間にわたって周辺組織にエネルギーを供給することができる。冷媒は流体であってもよく、水、生理食塩水、極低温ガス、または当技術分野で知られているその他の適切な冷媒であってもよい。
【0070】
冷媒回路流路は、第2冷媒経路108をさらに備えている。説明される実施形態では、第2冷媒経路108は、冷媒がアプリケータから戻ることができる冷媒戻り経路である。したがって、冷媒戻り経路108は、冷媒の供給をアブレーションプローブ100の遠位端から近位端に戻すことができ得る。
【0071】
アブレーションプローブ100は、アブレーションプローブ100の挿入が容易になる挿入構成と展開構成(
図3に示す)との間で移動するように構成された変形可能部110をさらに備える。展開構成では、冷媒戻り経路108は、変形可能部110により設けられる。ある実施形態では、変形可能部が挿入構成にあるときに、冷媒戻り経路は設けられなくてもよい。これにより、アブレーションプローブのプロファイルを最小化することができる。他の実施形態では、変形可能部が挿入構成にあるときに、戻り経路が完全に設けられないことはないかもしれない。したがって、挿入構成は、アブレーションプローブ100が体内の所望の位置に搬送されるのに適した構成を提供する。挿入構成は、例えば、望ましくない組織損傷のリスクを低減しながら挿入できるように適合された適切なサイズおよび/または形状と対応するものであってもよい。挿入構成の場合、アブレーションプローブ100は、例えば、傷をつけずに組織を介して挿入することや、内視鏡の作業チャネルを介して挿入することを容易にするために、低プロファイル(例えば、小さな断面サイズ)となってもよい。
【0072】
他の実施形態では、第1冷媒経路106は、冷媒戻り経路として機能することができる。当該実施形態では、第1冷媒経路106は、アプリケータから離れる方向に冷媒の流れを運ぶように構成されている。当該実施形態では、第2冷媒経路108は、アプリケータに向かう方向に冷媒の流れを運ぶように構成された冷媒送達経路として機能してもよい。したがって、第1および第2の冷媒経路の組み合わせは、アプリケータに向かう方向およびアプリケータから離れる方向に冷媒の流れを運ぶように構成された冷媒回路を形成することができ、冷媒は、第1および第2の冷媒経路のそれぞれに沿っていずれかの方向に流れることができる。
【0073】
変形可能部110が挿入構成にある間に、アブレーションプローブ100を所望の場所に搬送することができる。所望の位置に到着したら、変形可能部110を展開構成に移動させて、アプリケータ102から冷媒を流すことができるようにしてもよい。その後、冷媒は、冷媒供給経路および戻り経路を介して流れ、使用中のアブレーションプローブ100を冷却することができる。そのため、変形可能部110は、冷媒の流れが必要とされない場合に、切除部位への搬送に適した挿入構成を提供することができる。アブレーションプローブの位置が決まると、変形可能部110は、アプリケータ102からエネルギーが供給されている間に必要とされる冷媒の流れを提供するのに適した構成に移動することができる。変形可能部が挿入構成にある場合、アブレーションプローブの全体的な直径は、約13~25ゲージ(約2.5~0.5mm)になる。そうすることで、簡単に挿入することができる。
【0074】
図2および
図3に示されるように、冷媒戻り経路110は、アブレーションプローブ100の長手方向の少なくとも一部に沿って、変形可能部のみによって設けられてもよい。例えば、アブレーションプローブ100の長手方向の少なくとも一部に沿って、変形可能部110によって形成された冷媒戻り経路108に加えて、戻り冷媒を運ぶための他のチャネルまたは導管が設けられなくてもよい。これにより、変形可能部が挿入構成にあるときに、アブレーションプローブ100の断面サイズを小さくできる。
【0075】
いくつかの実施形態では、変形可能部が設けられなくてもよい。そのような実施形態では、非変形性の管状部または同様の適切な部品が、冷媒戻り経路110を収容するために設けられてもよい。他の実施形態では、管状部の内部または外部でアブレーションプローブの長手方向に沿って冷媒を運ぶために、他の適切な導管が設けられてもよい。冷媒流路は、給電ケーブル自体に設けられた導管や、管状部112の内部または外部を走る別のチューブによって設けられてもよい。
【0076】
アブレーションプローブは、給電ケーブル104の長手方向の少なくとも一部を収容するように配置された管状部112(例えば、ハイポチューブ、またはブレード/コイル強化チューブ)をさらに備える。管状部112は、アブレーションプローブを組織内に挿入するのに十分な剛性を有する金属材料から形成されてもよい。他の実施形態では、管状部112は、他の任意の適切な材料から形成されてもよく、例えばニチノールなどの超弾性材料から形成されてもよい。
【0077】
他の実施形態では、管状部112は、弾性材料(特に超弾性材料ではない)により形成されてもよい。弾性(または超弾性の)素材でチューブを形成することで、作業チャネルの曲がりくねった経路を通って搬送された後の恒久的な変形に耐えることができる。アブレーションプローブは作業チャネルから延伸しているため、作業チャネルの形状により材料が変形することで生じる湾曲した経路をたどるのではなく、結果的に直線的な経路をたどりうる。これにより、アブレーションプローブの遠位先端部を目的の位置に容易に誘導することができる。
【0078】
現在説明されている実施形態では、冷媒送達流路106は、給電ケーブル104と管状部112の内壁との間に形成されたチャネルにより構成される。例えば、給電ケーブル104と管状部112の内壁との間の隙間は、冷媒が流れるための空間を構成することができる。他の実施形態では、冷媒が流れることができる空間を構成するために、管状部112の内壁にスロットを切り込んでもよい。隙間の量は、給電ケーブルの電力容量を最大化しつつ、適切な冷却の流れを確保するように定めればよい。
【0079】
管状部112は、変形可能部110内の冷媒回路流路の第1の部分と、管状部内の冷媒回路流路の第2の部分との間で冷媒が流れることが可能な1つまたは複数の穴112aを備えてもよい。穴112aは、アプリケータ102において、またはアプリケータ102の近くで冷媒の流れを提供するために、管状部の遠位端に、またはその近くに配置されてもよい。
【0080】
変形可能部110は、変形可能部110が挿入構成にあるときの収縮した構成と、変形可能部110が展開構成にあるときの膨張した構成との間で移動するように配置された膨張可能部材によって形成されている。したがって、膨張可能部材は、冷媒の流れによって膨張するバルーンを形成してもよい(例えば、膨張可能部材は、冷媒の圧力によって膨張することができる)。説明される実施形態では、膨張可能部材は、それを取り囲む管状部112の外径と一致する内径を有する。膨張可能部材は、冷却装置が加圧されると、より大きな直径に膨張する。したがって、これにより、冷却流体がアプリケータ102から戻るための導管を形成することができる。膨張構成に移行する際には、膨張可能部材の一部または全部が形状を変えて(例えば、膨張して)、冷媒が流れるための空間を確保することができる。膨張部材を収縮させると、アブレーションプローブ100の挿入時のプロファイルが小さくなり(例えば、最小化)、目標とするアブレーション部位への搬送を助けることができる。切除治療が完了したら、膨張部材を収縮させて元の直径に戻し、取り外しやすくすることができる。
【0081】
アブレーションプローブ100は、結合体114をさらに備えている。結合体は、アプリケータ、管状部、変形可能部(設けられている場合)を構造的に結合するように適合されている。結合体114は、アプリケータ104が少なくとも部分的に封入された空洞116を備える。アプリケータを収容するために、結合体114は、その近位端から延伸する穴(例えば、軸方向のボアホール)を構成することができる。穴はアプリケータ102を収容する大きさであればよい。本実施形態では、アプリケータ102の全てが、結合体114内に収容されるように、空洞116に挿入される。給電ケーブル104は、空洞116の長手方向に沿って延伸し、アプリケータ102への接続を可能にするように、その開放端から出ている。
【0082】
管状部112は、アプリケータ給電点と整列するように、および/またはアプリケータ給電点の近位に位置するように、結合体114の上に(または中に)組み立ててもよい。アプリケータ給電点とは、給電ケーブルがアプリケータに接続される点(後述するように給電ケーブルの内部導体がアプリケータに挿入される点)である。アプリケータ102は、ケーブル外部導体を収容し、アプリケータ102と管状部112との間にオーバーラップが形成されることを保証するために、近位側に、ザグリ(カウンターボア)の凹部を備えてもよい。ザグリの凹部は、後述するように、管状部の結合インターフェースや給電ケーブルのインターフェースを形成することができる。
【0083】
ある実施形態では、結合体114は、アプリケータ102の周りに(例えば、挿入成形プロセスを用いて)成形して、封入するようにしてもよく、したがって、組み立てにおける接着剤の必要性を低減することができる。結合体がこのように成形されている場合、アプリケータの周りにしっかりとフィットして、両者の間に隙間がない状態になる。他の実施形態では、アプリケータ102と結合体114との間に、注封化合物または接着剤115を設けることができる。このようにアプリケータ102を結合体114内に封入することにより、アプリケータ102と結合体114とが確実に接続することができ得る。
【0084】
結合体114は、結合体114が管状部112に結合される管状部結合インターフェース118をさらに備えている。管状部結合インターフェース118は、結合体114の近位端に配置され得る。管状部結合インターフェース118は、いくつかの異なる形態をとることができ、これは、後でより詳細に説明するように、管状部112と結合体114との間の重ね合わせ結合部を含み得る。例えば、ラップ結合(重ね継手)、バット結合(突合せ継手)、ラップ・バット・ハイブリッド結合(重ね・突合せの混合継手)など、溶接性を高めるためにインターフェースの形状や長さを最適化することができる。また、他のタイプの結合方法を使用してもよい。結合インターフェース120における結合体114の重なり部分118の壁の厚さは、最適な機械的応答を作り出すために選択または変化させることができる。これには、アプリケータ102と管状部112との間に、段階的な剛性または張力緩和効果を作り出すことが含まれる。
【0085】
結合体114は、結合体114が変形可能部110に結合される変形可能部の結合インターフェース120をさらに備える。変形可能部の結合インターフェース120は、後でより詳細に説明するように、変形可能部110および結合体を形成するために使用される材料に応じて、異なる形態をとることができる。結合インターフェースは、例えば、接着剤や溶接された結合で構成されている。例えば、ラップ結合、バット結合、ラップ・バット・ハイブリッド結合など、溶接性を高めるためにインターフェースの形状や長さを最適化することができる。また、他のタイプの結合方法を使用してもよい。
【0086】
結合体114は、組織を貫通するように適合された尖った遠位先端部114aをさらに備える。結合体114の尖った遠位先端部は、アブレーションプローブ100の遠位先端部を形成し、組織を貫通するための任意の適切な形状を有してよい。例えば、3面トロカール形状、円錐形状、ベベルカットなどである。これらは、成形、研磨、またはアブレーションのプロセスによって形成することができる。
【0087】
結合体114は、アプリケータ104を封入して、変形可能部110と管状部112との確実な結合を提供するように作用する。アプリケータが形成されている材料(例えばセラミック)は、機械加工が難しく、異なる材料で形成された他の部品との接合が難しい場合がある。アプリケータを封入することで、アプリケータと変形可能部や管状部との間の直接的な接続が必要とされなくなる。結合体を介して間接的に結合することで、機械的強度を向上させると同時に、複雑性を減らして、望ましいレベルの柔軟性を確保しながら製造を容易にすることができる。
【0088】
アンテナを囲む結合体の部分は、アプリケータの動作を損なわないように、適切に薄肉にすることができる。アプリケータを囲む結合体の部分は、例えば、50μmから150μmの間の壁厚としてもよい。1つの実施形態では、それは80μmであってもよい。アプリケータと重なる部分の結合体の誘電率と相対的な壁の厚さは、電力供給の性能を制御するために重要である。
【0089】
また、給電ケーブル104と結合体114との間に結合インターフェース122を設けてもよい。これは、アプリケータ102、給電ケーブル104および結合体114の間の結合の強度を高めることができる。給電ケーブル結合インターフェース122は、給電ケーブル104の外面と、空洞116の内面との間の接着剤(例えば、UV硬化またはシアノアクリレート接着剤)または注封化合物(例えば、エポキシ)の形態をとることができる。他の実施形態では、給電ケーブル104と結合体114との間に他のタイプの結合インターフェースを設けてもよい。いくつかの実施形態では、確実な結合を保証するために、部品間に機械的なロックを形成してもよい。さらに別の実施形態では、給電ケーブルと結合体114との間に直接的な結合が設けられていなくてもよい。
【0090】
結合体114は、少なくとも一部がプラスチック材料で形成されてもよい。これにより、アプリケータ104のセラミックと比較して、変形可能部110と管状部112とを接着するためのより好ましい代替材料を提供することができる。いくつかの実施形態では、結合体のすべてがプラスチック材料により形成されてもよい。
【0091】
結合体114と、変形可能部110、管状部112、アプリケータ104および給電ケーブルとの間の結合インターフェース118、120、122は、
図4においてクロスハッチのパターン化された領域として示されている。使用する接着剤の種類は、後述するように、接着される部品の材質や、望ましい強度と柔軟性のレベルに合わせて調整してもよい。ある実施形態では、確実な結合を保証するために、部品間に機械的なロックを形成することができる。
【0092】
結合体114を形成するために使用される材料は、最適な機械的強度と柔軟性、耐熱性、および加工への適合性を提供するように選択してもよい。結合体を形成するために使用される材料は、次の段落の特性のうちのどれかまたは複数を有してもよい。
【0093】
例えば、材料は、高い機械的靭性(例えば、1~50kJ/m2の範囲のシャルピーノッチ衝撃強度)を有するものを選択して、管状部結合インターフェース118における高い歪みに耐えられるようにすることができる。また、遠位先端部の切れ味や組織への刺さりやすさを向上させるために、ロックウェル硬度(ロックウェルハーネス(m-Scale)が10~50の範囲)や曲げ弾性率(1~50GPaの範囲)の高い材料を選択してもよい。材料は、加療中にアプリケータ104から発生する加熱効果(摂氏100度を超えることもある)に確実に耐えられるように、耐熱性(例えば、1.8MPaで摂氏80~400度の範囲の過重たわみ温度)に基づいて選択してもよい。材料は、そのレオロジー特性と、薄い壁部(例えば、壁部の厚さが0.15mm未満、典型的には0.08mm)を持つ形状の成形に適しているかどうかに基づいて選択してもよい。結合体は、誘電率が5以上、好ましくは20以上の材料で形成してもよい。これにより、アプリケータの機能への干渉を減らすことができる。
【0094】
結合体の材料は、これらの特性の最適な組み合わせを提供することができる。そのため、結合体は、ガラス充填(例えば30%ガラス充填)のナイロン6、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリカーボネート(PC)、熱硬化性材料(例えばポリイミド)、ポリスチレン、PETなどで形成することができる。他の適切な材料を使用してもよい。
【0095】
一実施形態では、結合体114の少なくとも一部は、透明プラスチック材料(例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリスチレン)などの透明材料により形成されてもよい。結合体を透明な材料で形成することにより、結合体114とそれが結合されている部品との間の結合が、組み立て後に看視できる。これにより、部品間の結合に紫外線硬化型接着剤を使用できる。例えば、変形可能部110、管状部112、給電ケーブル104との結合インターフェースのいずれかまたは複数を形成する、またはアプリケータ102を取り囲む結合体114の領域を、透明なプラスチック材料により形成することができる。いくつかの実施形態では、結合体114のすべてが、透明なプラスチック材料により形成されてもよい。
【0096】
一実施形態では、結合体の少なくとも一部がナイロンまたはガラス強化ナイロンで形成されてもよい。例えば、変形可能部110、管状部112、給電ケーブルとの結合インターフェースのいずれかまたは複数を形成する結合体114の領域、またはアプリケータ104を取り囲む領域は、ガラス強化ナイロンにより形成されてもよい。いくつかの実施形態では、結合体114のすべてがガラス強化ナイロンにより形成されてもよい。
【0097】
結合体との互換性を得るために、変形可能部110は、結合体114と同一または類似の材料により形成してもよい。変形可能部と、変形可能部の結合インターフェースを形成する結合体の少なくとも一部とは、例えば、互換性のある融点を有する材料により形成してもよい。互換性があるとは、溶接された結合を形成するのに適していることを意味し、融点が等しいまたは同様であってもよい(例えば、両者の差が100度(または50度)以下である)。
【0098】
例えば、変形可能部がナイロン6で形成されている場合、結合体もナイロン6、またはガラス強化ナイロン6で形成されてもよい。そして、変形可能部の結合インターフェース120は、結合体と変形可能部を形成する材料の溶融によって形成される溶接された結合によって形成されてもよい。溶接された結合は、リフロー、レーザーまたは超音波溶接プロセス、または他の適切なプロセスによって形成することができる。これにより、両者の結合が改善される可能性がある。管状部が高分子材料(例えば、ナイロン、ペバックス、PEEKまたは他の高分子材料)により形成されている場合には、同様の溶接プロセスを使用して、結合体114と管状部112とを結合してもよい。
【0099】
結合体114は、単一の一体部品から形成することができる。つまり、同一素材の連続したピースから形成された単一の部品である場合もある。これにより、機械的強度が向上し、製造が容易になる。他の実施形態では、結合体の異なる部分が異なる材料で形成されてもよい。例えば、アプリケータを囲む結合体の領域を透明にしたり、変形可能部の結合インターフェースを形成する結合体の領域をガラス強化ナイロンで形成して、溶接された結合を形成してもよい。いくつかの実施形態では、尖った先端を形成する結合体の一部を、結合体の他の部分とは異なる材料で形成してもよい。尖った先端部分は、優れた組織穿孔特性を持つ非高分子材料(例えば、金属やセラミック)で形成してもよい。本実施形態では、結合体は、先の尖った先端部を形成する別個の部品を受容または係合するための幾何学的またはインターロック的な形状を含み得る。これにより、先の尖った部品を結合体にしっかりと固定することができる(例えば、接着剤や挿入成形プロセスを使用する)。
【0100】
図2に示されるように、アプリケータ102は、概ね円筒形の形状を有するアンテナ本体102aを備える。また、
図5には、アンテナ本体102aの拡大図が示されており、アプリケータ102と給電ケーブル104の接続部分のみが示されている。アプリケータ102は、アンテナ導体124をさらに含み得る。アンテナ導体124は、給電ケーブル104と電気的に接続されている、または給電ケーブル104の一部である導電性の要素(例えば、ワイヤ)により形成されている。現在説明している実施形態では、給電ケーブル104は、内部導体104a、外部導体104b、およびこれらの間の誘電体材料から構成されている。アンテナ導体124は、給電ケーブル104の内部導体104aのうち、誘電体材料および外部導体104bの遠位端を超えて延伸する部分から形成されている。他の実施形態では、別個の導電線を給電ケーブル104に結合して、アンテナ導体を形成してもよい。
【0101】
再び
図2、及び、特に
図5を参照すると、アンテナ本体102aは、アンテナ導体124が受容されるチャネル126を備える外面を有する。チャネルは、アンテナ本体102aの中心軸を中心とした螺旋状の経路に沿って延伸し、螺旋状のアンテナ導体124を形成し得る。アンテナ導体124の他の形状は、アンテナ本体の外面の周りに対応する形状の経路を使用することによって構成されてもよい。アンテナ本体102aのチャネルは、アンテナ導体124を所望の形状に維持するのに役立ち得る。また、アンテナ導体124を結合体114の空洞116内にコンパクトに収めることができることもある。アンテナ導体124は、例えば、アンテナの表面に堆積した導電材料を用いてアンテナ導体124を形成する場合に比べて、製造が容易となり得る。
【0102】
また、アンテナ導体124は、アンテナ本体104aに形成された軸方向の貫通孔128を通るように延伸してもよい。アンテナ導体124は、アプリケータ本体102aの中心軸に沿って、アプリケータ本体を貫通して、アプリケータ本体102aの遠位端にある穴130から外へと延伸してもよい。そして、アンテナ導体124は、アンテナ本体内において、その長手方向の一部と重なるように、アブレーションプローブの長手方向に沿って後方に延伸してもよい。これにより、アンテナ導体124がアプリケータ本体102aと確実な接続を形成することができる。この配置は、製造の助けにもなる。例えば、アンテナ導体124は、アンテナ本体102aを貫通して加工された複雑な通路を必要とすることなく、アンテナ本体への出し入れに好適な経路を提供することができる。
【0103】
図5に示す実施形態では、アンテナ導体124は、アプリケータ本体102aのチャネル126内に配置されている。
図6に示される代替的な実施形態では、アンテナ導体124は、アプリケータ本体102aの外面に配置されている(例えば、上に形成されているか、巻かれている)。
図6では、説明を容易にするために、対応する参照番号を使用している。アプリケータ本体102aと結合体114の周囲の内面との間に形成される空洞内には、注封部材115や接着剤が設けられている。注封部材は、アンテナ導体124のターンを所望の形状と位置に保持するように配置されている。アプリケータ本体102aの外周にアンテナ導体124を配置することで、チャネル126は必要なくなる。これは、アンテナ本体102aを形成する材料(例えば、セラミック)が加工しにくい場合があるため、製造を容易にできるものである。このような配置でアンテナ導体124を収容するために、結合体114は、結合体114がアプリケータ本体102aを取り囲む領域において、直径が大きくなった拡大部分またはフレア部114aを備える。拡大部分114aにより、アプリケータ本体102aの外面と結合体114の内面との間に、より大きな隙間が設けられる。これにより、アンテナ導体124のターンと、注封部材115との間に十分な隙間が確保される。他の実施形態では、アプリケータ本体114の壁の厚さを変更することによって、拡大部分114aが設けることなく、アンテナ導体128のための適切な隙間が設けられるように、アプリケータ102が収容される空洞のサイズが大きくてなってもよい。
【0104】
再び
図3および
図4を参照すると、結合体114が管状部に結合される結合インターフェース118は、重ね合わせ結合(例えば、ラップ結合)を備える。結合は、管状部112内に延在する結合体114の重なり部118aから、互いに重なり合うように形成されている。結合体114の重なり部118aの外周面と管状部112の内周面との間には、結合界面が形成されている。これにより、接続面積が大きくなり、双方がしっかりと結合することができる。なお、結合体114の重なり部118aは、ハーフラップ結合を形成するために、厚みを減らしてもよい。これにより、2つの部品間の結合の全体的なサイズが小さくなる可能性がある。結合体と管状部112との間の結合は、2つの部品間の接触面において接着剤によって形成することができる。他の実施形態では、溶接による結合を用いてもよい。説明した実施形態では、管状部112は、重なり部118aの外側に収まっている。他の実施形態では、逆に、結合体の重なり部118aが管状部112の周りに延在してもよい。重なり部は、柔軟性が比較的低いアプリケータとアブレーションプローブの柔軟性の比較的高い部分(例えば、チューブ状の部材と給電ケーブル)との間の界面でのねじれを防ぐのに役立つ。なお、管状部112と結合体114との間は、溶接またはリフローによって結合させてもよい。このタイプの結合は、前述の重ね合わせ(重ね継手)結合やバット結合など、どのような形態の結合にも使用できる。リフローされた結合119の例は、
図7に示されており、結合部114および管状部112を形成する材料が、溶接またはリフローによって、連続した接続部に形成されている。
【0105】
重なり部の厚さは、50μmから150μmの間の範囲であってもよい。一実施形態では、それは80μmであってもよい。これにより、望ましいレベルの柔軟性が得られ得る。一実施形態では、重なり部の厚さをその長手方向に沿って変化させることで、剛性の制御性を向上させてもよい。
【0106】
図8は、管状部112が、アプリケータ本体102aの近位端に隣接する位置(または軸方向に並んでいる、なお、軸方向はアブレーションプローブの長手方向に沿っている)からその長手方向に沿って延伸する柔軟性変化部112aを備える実施形態を示している。柔軟性変化部は、アプリケータが封入されているアブレーションプローブ112bの領域との境界から延伸している。説明した実施形態では、これは、管状部112の近位端に相当する。柔軟性変化部112aは、アブレーションプローブの軸方向の長手方向に沿って柔軟性が変化するアブレーションプローブのセクションまたは領域を定義する。柔軟性は、柔軟性変化部112aの近位端(アプリケータから最も遠い)における最大の柔軟性から、柔軟性変化部112aの遠位端(アプリケータに最も近い)における最小の柔軟性まで変化する。このようにアプリケータ本体の近位端に向かって柔軟性が漸減することで、アブレーションプローブが挿入中に曲がったときに、管状部112がねじれるリスクが低減される。本発明者らは、アプリケータ本体の端部(すなわち、アプリケータ本体102aが配置されているアブレーションプローブの柔軟性のない領域112bと、アプリケータ本体のないアブレーションプローブのより柔軟性のある領域との間の境界部)における柔軟性の滑らかな移行が、ねじれのリスクを低減することを見出した。
【0107】
説明した実施形態では、管状部112は、柔軟性変化部を備えている。他の実施形態では、アプリケータ本体が配置されているアブレーションプローブの領域の近位または遠位の範囲に対応する位置から延伸する任意の他の部品は、柔軟性変化部を有してもよい。例えば、アプリケータ本体104aの遠位端または近位端に隣接する点または沿った点から遠位方向に延伸する結合体114の領域は、同様の柔軟性変化部を有してもよい。
【0108】
説明した実施形態では、柔軟性変化部112aは、管状部112に含まれる補強材113の量を変化させて形成されている。管状部112においては、強度を高め、柔軟性を低下させるために、その表面に補強材113が塗布されている。
図8に示す実施形態では、補強材113は、管状部112の外周面に適用された螺旋状に巻かれた繊維またはワイヤによって形成されている。柔軟性変化部112aの遠位端に向かって螺旋状コイルのピッチを徐々に減少させる(例えば、アプリケータが配置されている領域との境界に向かってアブレーションプローブの長手方向に沿って螺旋のターン間の離間幅を減少させる)ことにより、管状部112の全体的な柔軟性をそれに応じて徐々に減少させることができる。
【0109】
他の補強材のパターンや配置を用いてもよい。例えば、
図9に示すように、2つのヘリカルコイルが重なり合って形成された組みひもを設けてもよい。この場合、柔軟性のレベルを下げるために、組みひもを形成する繊維は、柔軟性変化部の一端で互いに接近している。他の実施形態では、補強材の形状および/または分布を変化させる他の方法を用いてもよい。例えば、柔軟性変化部の遠位端に、軸方向の間隔が遠位近位端に比べて相対的に小さい補強リングを設けてもよい。
【0110】
他の実施形態では、補強材113は、表面にあるのではなく、管状部112に埋め込まれていてもよい。補強材113は、金属であってもよい。いくつかの実施形態では、金属はニチノールであってもよい。これにより、有利な形状記憶特性を得ることができる。また、他の金属や適切な補強材を使用してもよい。さらに他の実施形態では、任意の他の適切な手段を用いて、柔軟性変化部を形成する材料の柔軟性をその長手方向に沿って変化させてもよい。例えば、他の種類の変化する補強材を使用してもよいし、材料の密度を変化させてもよい。いくつかの実施形態では、連続的な変化ではなく、離散的な単位またはステップでの柔軟性の変化を提供することができる。
【0111】
いくつかの実施形態では、給電ケーブルの柔軟性は、その長手方向に沿って変化する。
図10a~
図10cを参照すると、一実施形態では、給電ケーブル104は、その全長の遠位領域(例えば、その遠位端(すなわち、給電ケーブル104とアプリケータ本体102aとの間の結合部)またはその近傍)に、柔軟性制御部404を備える。給電ケーブル104の柔軟性制御部404は、給電ケーブルの隣接する近位部分406(または長さの残りの部分)と比較して、相対的に大きな可撓性を有する長手方向の一部を構成している。柔軟性制御部は、使用時に組織に挿入される給電ケーブルの部分の柔軟性を高める。これは、給電ケーブルの全長のうち、遠位50~200mm(または約100mm)の部分であってもよい。この部分の柔軟性を高めることで、組織への挿入時にたわんだケーブルが元の形状に戻りやすくなる。本発明者らは、給電ケーブルの柔軟性が増すことで、弾力的に変形可能な周囲の管状部112が、給電ケーブルを曲げた後に元の形状に戻すことがより容易になることを見出した。
【0112】
柔軟性制御部404は、給電ケーブル104の構造をその長手方向の関連部分に沿って脆弱にすることで形成してもよい。図l0b及び
図10cに示す実施形態では、柔軟性制御部404は、給電ケーブル104の外部導体104bに設けられた窪み405によって形成されている。図l0bおよび
図10cの窪みは、外部導体104bの外周面に螺旋状の経路に沿って延伸する溝によって形成されている。これにより、1回の切削で窪みを容易に加工できる可能性がある。他の実施形態では、給電ケーブル104の構造を所望の程度まで弱めるために、他の形状またはパターンの窪みを使用してもよい。いくつかの実施形態では、外部導体104bは、柔軟性を高めるために、その厚さのすべての部分に溝(スロット)が切られていてもよい。当業者であれば、給電ケーブル104に形成された溝または窪みは、所望のレベルの電気伝導度およびインピーダンスが依然として実現できるものであることを理解できるであろう。いくつかの実施形態では、給電ケーブルの他の部分(例えば、絶縁体104cまたは内部導体104bまたは他の絶縁層)は、より大きなレベルの柔軟性を実現するために変更されてもよい。
【0113】
図10aに示す実施形態では、給電ケーブル104の柔軟性制御部404は、その長手方向に沿って一定の柔軟性を有している(その一定の柔軟性は、給電ケーブル104の隣接する近位部分406よりも大きい)。他の実施形態では、柔軟性制御部の柔軟性は、その長手方向に沿って変化してもよい。いくつかの実施形態では、給電ケーブル104の長手方向に沿って、柔軟性が滑らかな移行するように構成される。これは、柔軟性が、柔軟性制御部404と給電ケーブル104の隣接する近位部分406との間の境界で滑らかに変化することを意味する。他の実施形態では、柔軟性の離散的または段階的な変化が、柔軟性制御部404と給電ケーブルの近位部分406との境界で実現されてもよい。様々なレベルの柔軟性を実現するために、給電ケーブルに形成された窪みやスロットは、後述するように、その長手方向に沿って様々な間隔を備えている。
【0114】
いくつかの実施形態では、給電ケーブルは、
図10dに示されているように、張力緩和部408をさらに備えている。張力緩和部は、アプリケータ本体102aとの接続点またはその近傍の位置から、給電ケーブル104の長手方向に沿って延伸している。張力緩和部408は、給電ケーブルの長手方向に沿って遠位方向に移動すると柔軟性が低下する(すなわち、アプリケータ本体に近いほど硬くなる)給電ケーブルの長手方向の一部によって形成されている。張力緩和部の柔軟性は、アプリケータ本体に近い遠位端で最も低くなる。張力緩和部は、柔軟性の低いアプリケータ本体と給電ケーブルが接する部分で、異なる柔軟性の間の移行をよりスムーズにすることで、給電ケーブルのねじれのリスクを軽減するように配置されている。
【0115】
張力緩和部408の柔軟性の変化は、アプリケータ本体に近いほど硬くなるように、給電ケーブルに様々なレベルの補強を加えることで作り出すことができる。
図10dに示す実施形態では、上述した給電ケーブル104の脆弱化を抑えることで、張力緩和部408が形成されている。
図10dに示すように、柔軟性制御部404に設けられた外部導体の螺旋状の窪みのピッチは、給電ケーブル104の長手方向に沿ってアプリケータ本体102aとの接続点に向かって大きくなり、張力緩和部408を形成している(すなわち、螺旋のターンはアプリケータに近いほど離間している)。螺旋状の窪みのターンが離間していくにつれて、給電ケーブルからより多くの材料が取り除かれ、その柔軟性が徐々に低下していく。これにより、柔軟性制御部404および張力緩和部408の製造を容易にすることができる。柔軟性の同様の変化は、柔軟性制御部404の長手方向に沿って構成されてもよく、これにより、給電ケーブルの隣接する近位部分406との滑らかな移行を実現することができる。他の実施形態では、柔軟性を他の方法で変化させてもよい。例えば、アプリケータに近い部分の窪みや溝の厚さや深さを徐々に増やし、給電ケーブルの全体的な柔軟性を高めてもよい。
【0116】
再び
図1を参照すると、アブレーションプローブ100は、一般的に、針部132とカテーテル部134の2つの部分を備える。針部132は、アブレーションプローブ100の遠位端に配置されてもよく、所望のアブレーション位置に到達するために使用中に組織内に挿入されるように適合されている。カテーテル部134は、アブレーションプローブ100の近位端に設けられていてもよく、針部132との間で電磁エネルギーや冷媒の流れを供給するように配置されている。カテーテル部134は、内視鏡的な使用のために延長可能な長さと柔軟性を有していてもよい。他の実施形態では、経皮的な使用のために、より短く、より剛性の高いカテーテル部134が設けられてもよい。
【0117】
いくつかの実施形態では、針部132は、アブレーションプローブの全長のごく一部を形成していてもよい。例えば、針部の長さは5mm~2000mmであり、好ましくは70mm程度であってもよい。針部132の長さは、アクセスする解剖学的構造に応じて選択してもよい。例えば、膵臓や肺などの臓器に治療を行う場合には、針部の長さは約10~100mm、経皮的に治療を行う場合には、より長い長さ(例えば、長さ100~400mm)とすることができる。例えば、肺の一部にアクセスするには、針部の長さが長い方が適している場合がある。カテーテル部の長さは、1000mm~2000mm程度、好ましくは1400mm程度であってもよい。カテーテル部の長さは、到達しなければならない切除部位の位置に応じて選択してもよい。
【0118】
他の実施形態では、アブレーションプローブの針部132(例えば、変形可能部を有する部分)が、アブレーションプローブの長さのより大きな割合を形成してもよい。いくつかの実施形態では、アブレーションプローブの全長は、針部132によって形成してもよい(すなわち、別個に定義されたカテーテル部が存在しないような)。このような実施形態では、針部132に設けられている変形可能部110は、アブレーションプローブの長手方向の大部分またはすべてに沿って延在してもよい。このような実施形態では、カテーテル部は必要とされない可能性がある。例えば、アブレーションプローブを経皮的に使用する場合、カテーテル部134は内視鏡的に使用する場合よりも短くてもよいし、必要とされなくてもよい。
【0119】
針部132とカテーテル部134との結合を
図11に示す。針部132は、変形可能部110、アプリケータ102、給電ケーブルの遠位部105、冷媒送達経路106の遠位部、および冷媒戻り経路108(変形可能部内に設けられている)から構成されている。カテーテル部134は、給電ケーブルの近位部105’と、冷媒送達経路106’の近位部と、カテーテル部(または第2)冷媒戻り経路108’とを備える。冷媒送達経路106’の近位部分は、給電ケーブルの近位部105’を収容する第1または内側のカテーテルチューブ136と、給電ケーブル104の近位部分との間の空間によって形成される。第2の冷媒戻り経路108’は、第1のカテーテルチューブ136と、それを取り囲む第2または外側のカテーテルチューブ138との間の空間によって形成される。第1および第2のカテーテルチューブ136、138の両方は、針部132内に設けられた折り畳み可能な冷媒送達流路とは対照的に、変形可能でなくてもよい。他の実施形態では、任意の他の適切な配置のチャネルまたは導管が、カテーテル部134内の冷媒戻り経路および冷媒送達経路を形成するために設けられてもよい。
【0120】
針部132の最大断面サイズは、カテーテル部134の最大断面サイズよりも小さくてもよい(変形可能部が挿入構成にある場合)。言い換えれば、最大点における針部132の断面サイズ(例えば直径)は、最大点におけるカテーテル部134の断面サイズ(例えば直径)よりも小さくてもよい。これにより、針部がアブレーション部位にアクセスすることができ、組織を損傷する可能性を低減することができる。一方、カテーテル部は、使用する機器の作業チャネルに合わせたサイズとなり得る。
【0121】
説明される実施形態では、給電ケーブル104は、針部132とカテーテル部134との間の境界で接合された2つの長さのケーブル(遠位部105および近位部105’)によって形成されている。
【0122】
給電ケーブル104は、アプリケータ102に電磁エネルギーを供給するための電気回路を形成するために、2本の長さの同軸ケーブルで形成されてもよい。遠位部105は、既に説明した内部導体104a、外部導体104b、誘電体104cを備える。近位部105’も同様に、内部導体104a’、外部導体104b’および誘電体104c’を備える。
【0123】
他の実施形態では、遠位部と近位部を形成するために異なる厚さの領域を持つ1つの給電ケーブルを使用してもよい。他の実施形態では、アプリケータ102に適切な電磁エネルギーの供給を行うために、任意の他の適切な導体が用いられてもよい。アブレーションプローブ100は、給電ケーブル105の遠位部分を給電ケーブル105’の近位部分に機械的および電気的に接続するように配置されたコネクタ140をさらに含んでもよい。コネクタ140は、効果的なインピーダンスマッチを維持し、電気損失を最小限に抑え、アブレーションプローブ100のコンパクトな構成を確保しながら、給電ケーブルの異なる部分を接続し得る。
【0124】
説明される実施形態では、給電ケーブル105の遠位部分は、対応する遠位断面サイズを有し、給電ケーブル105’の近位部分は、対応する近位断面サイズを有し、遠位断面サイズは近位断面サイズよりも小さい。したがって、導体のサイズ(例えば直径)は、アブレーションプローブ100内の位置に基づいて最適化されている。断面サイズは、給電ケーブルの電力処理を最適化(例えば最大化)するとともに、電気損失を低減し、アブレーション装置100の機械的強度を最適化するように選択されてもよい。言い換えれば、アブレーションプローブ100の外側の一部である針部132については、大きい断面の給電ケーブル(例えば、より高効率のケーブル)に接続されることで、給電ケーブルの小さい断面部分の長さを最小化できる。アブレーションプローブ100の大きな断面の部分は、組織に挿入される必要がないため、プロファイルの小ささはそれほど重要ではない。そのため、断面積の小ささがあまり重要でない部分において、カテーテル部134の給電ケーブルの断面積を大きくして、電力損失を低減することができる。
【0125】
そのため、アブレーションプローブの針部は、カテーテル部と比較して、全体の断面サイズが小さくなり得る。これにより、針部は組織への挿入に最適となりえる。一方で、カテーテル部は、挿入されるデバイスの作業チャネルの長手方向にわたって電力を供給するのに最適である。使用時には、針部のみが、アブレーションプローブが挿入される作業チャネルから突出してもよい。そのため、組織の損傷を軽減するためには、針部の断面積を比較的小さくすることが重要である。カテーテル部については、比較的大きな断面サイズを使用することができる。カテーテル部は、針部に比べて、作業チャネルの長手方向に沿って電力を供給するのに最適な構造になっている。一例では、変形可能部が挿入構成にあるときの針部は、その最大点で全体の直径が1mmであってもよい。カテーテル部は、その最大点で2mm以下の全体的な直径を有していてもよい。
【0126】
他の実施形態では、給電ケーブルの遠位部と近位部の断面サイズが同じであってもよい。この場合でも、変形可能部を使用することで、カテーテル部に比べて針部の全体的なサイズを小さくすることができる。
【0127】
説明される実施形態では、変形可能部110は、図に示すように、針部132の長さの少なくとも一部に沿って延伸している。変形可能部110は、例えば、針部132とカテーテル部134との間の境界部またはその近傍から延伸し、アプリケータ102の遠位端(例えば、変形可能部の結合インターフェース120によって結合される場所)またはその近傍で終端してもよい。したがって、冷媒は、アブレーションプローブの長手方向に沿って変形可能部110を通って流れてもよい(例えば、変形可能部の入口と出口との間に冷媒の流れが設けられてもよく、入口と出口はアブレーションプローブの長手方向に沿って間隔を空けて配置される)。変形可能部110は、針部132とカテーテル部134との間の境界で、変形不可能な第2のカテーテルチューブ138に流体的に接続されてもよい。したがって、冷媒は、変形可能部110(展開構成の場合)を通って、次にカテーテル部134の変形不可能な外側のカテーテルチューブ138を通って流れ、アブレーションプローブ100の近位端に到達してもよい。
【0128】
図12aを参照すると、いくつかの実施形態では、アブレーションプローブ100は、アブレーションプローブの長手方向に沿って冷媒を運ぶ冷媒流路106、106’、108、108’を形成する部品の内壁が離間するように設けられたスペーサ部142a~fをさらに備える。スペーサ部142a~fはそれぞれ、冷媒流路106、106’、108、108’を形成する部品間の間隔を維持するように配置されている。スペーサ部142a~fはそれぞれ、適切な冷媒の流量を可能にするように、冷媒が流れる1つまたは複数の通路144a~fを構成している。
【0129】
説明される実施形態では、一組の内側スペーサ部142a、142b、142cが、内側カテーテルチューブ136(または、アブレーションプローブの長手方向におけるそれぞれの位置に応じた管状部112)の内周面と、給電ケーブル104の外周面との間に配置されている。また、一組の外側スペーサ部142d、142e、142fが、第1のカテーテルチューブ136の外面と、それを取り囲む第2または外側のカテーテルチューブ138の内面との間の空間に設けられている。内側のセットと外側のセットのそれぞれに、任意の数のスペーサ部を設けてもよい。なお、3つの内側スペーサ部142a、142b、142cと、3つの外側スペーサ部142d、142e、142fは、あくまでも一例として示されている。いくつかの実施形態では、内側または外側のスペーサ部のセットのうち、一方のみが設けられ、他方のセットは存在しなくてもよい。さらに他の実施形態では、
図12aに示すような配置で、冷媒流路を規定する他の部品間にスペーサ部を設けてもよい。
【0130】
スペーサ部142a~fは、冷媒流路を規定するそれぞれの表面の間において延在し、冷媒流路の壁が離間されるのを維持するために、圧縮性が比較的低い構造または材料により形成される。したがって、スペーサ部142a~fは、使用中のアブレーションプローブの屈曲に起因する冷媒流路106、106’、108、108’の形状の変形(例えば、ねじれや楕円化)を防止するのに役立つ。冷媒流路の変形リスクを低減することで、曲がりくねった解剖学的構造にアブレーションプローブを挿入した際の屈曲によって冷媒の流れが影響を受けることはない。スペーサ部142a~fは、
図12aに示すように、アブレーションプローブの長手方向に沿って離散的な位置に設けられてもよい。説明される実施形態では、スペーサ部142a~fは、アブレーションプローブの長手方向に沿って等間隔で設けられている。他の実施形態では、スペーサ部142a~fは、例えば、冷媒流路の損傷が起こりやすい任意の適切な位置に設けてもよい。さらに他の実施形態では、冷媒流路の長手方向の実質的にすべてに沿って、連続的なスペーサ要素が設けられてもよい。
【0131】
再び
図12aを参照すると、冷媒流路106、106’、108、108’を形成する流路は、断面が概ね環状である。スペーサ部142a~fのそれぞれは、冷媒流路の環状形状を維持するために、螺旋状の部品により形成されている。スペーサ部142a~fは、それぞれ、アブレーションプローブの長手方向の中心軸の周りに延伸するターンを有する。螺旋状のスペーサ部142a~fの内径は、スペーサ部のそれぞれの位置に応じて、給電ケーブル104、管状部112、または内側管状部136の外面の直径(すなわち、それぞれの冷媒導管の内径)に対応するものである。螺旋状のスペーサ部142a~fの外径は、同様にスペーサ部の位置(すなわち、それぞれの冷媒導管の外径)に応じて、管状部112または外側管状部138の内周面の直径に対応している。螺旋状のスペーサ部142a~fのそれぞれは、それらが配置されている冷媒流路の流れを維持するために冷媒が流れることができるそれぞれの螺旋状の通路144a~fを定める。本発明者らは、スペーサ部142a~fをこのように形成することにより、アブレーションプローブを形成する管状部のねじりを低減することができ、かつ、アブレーションプローブの容易な屈曲を可能にすることを見出した。螺旋状の形状は、冷媒を十分に流しながらも、スペーサ部の屈曲を促進する。
【0132】
螺旋状のスペーサ部を含むアブレーションプローブの別の実施形態を
図12bに示す。本実施形態では、給電ケーブル105の遠位部は、スペーサ部142aによって管状部112から間隔を空けて配置されている。給電ケーブル105’の近位部は、スペーサ部142bによって第1のカテーテルチューブ136から離間している。管状部112は、スペーサ部142cによって、(
図12aの変形可能部110の代わりに)チューブ111から離間している。第1の内側カテーテルチューブは、スペーサ部142dによって第2の外側カテーテルチューブ138から離間している。
図12bの分解図では、アブレーションプローブの長手方向の軸を中心に回転するスペーサ部の螺旋形状がより明確に示されている。
【0133】
他の実施形態として、他の形状のスペーサ部を設けてもよい。スペーサ部は、例えば、冷媒の流れを可能にするための軸方向の通路を有する環状形状の部品で形成されてもよい。他の実施形態では、スペーサ部は、完全な環状体で形成されるのではなく、一部が環状の形状であってもよい。いくつかの実施形態では、スペーサ部のそれぞれが同じ形状を有していてもよい。他の実施形態では、スペーサ部の形状は、例えば、アブレーションプローブの長手方向に沿ったそれぞれの位置に応じて変化してもよい。
【0134】
いくつかの実施形態では、スペーサ部142gは、冷媒流路の壁に開口部または穴112aが設けられている位置に配置されており、穴は冷媒チャネル間の流れを可能にするものである。その一例を
図13に示す。本実施形態では、管状部112に穴112aが設けられており、冷媒供給回路を形成する2つの別々の冷媒チャネルの間を冷媒が流れるようになっている(すなわち、
図3に示す第1および第2の冷媒流路106、108の間を流れるようになっている)。穴112aは、給電ケーブル104と管状部112の内周面、および管状部112の外周面と変形可能部110の内周面との間に規定された冷媒チャネルの間を冷媒が流れるようにする。
図13に示すスペーサ部142gは、穴112aの位置に重なっている。本発明者らは、管状部112に設けられた穴112aなどの構造によって作られた冷媒のためのチャネルが、構造的な弱化を引き起こし、その時点でアブレーションプローブがねじれやすくなることを見出した。これにより、冷媒流路が変形し、冷媒流量が減少する可能性がある。本発明者らは、この箇所にスペーサ部を配置することで、このように冷媒流路が変形してしまうリスクを軽減できることを見出した。
【0135】
スペーサ部は、冷媒流路を形成する壁が脆弱となる原因となるスロットや穴を介して冷媒流路間を冷媒が流れる任意の位置に設けることができる。
図14に示す実施形態では、管状部112およびアプリケータ本体114にそれぞれ整列した穴112a、112bが形成され、第1および第2の冷媒流路の間を冷媒が流れるようになっている。これらのスロットの位置には、給電ケーブル104の外周面とアプリケータ本体114の内周面との間に、スペーサ部142hが設けられている。変形可能部110を剛性の高い管状部に置き換えた実施形態では、同様のスペーサ部を第2の流路108に穴112a、112bの位置に設けられてもよい。
【0136】
図13および
図14に示すスペーサ部は、
図12aまたは
図12bに関連して説明したものと同様であってよい。そのため、冷媒を流しながら冷媒流路を支持し、全体的に柔軟性を持たせるために、螺旋状の形状になっていてもよい。
【0137】
いくつかの実施形態では、アブレーションプローブは、チョーク146を備える。チョーク146は、アプリケータ本体102aとの接続部の近位にて給電ケーブルから間隔を空けてその周囲に延在しているアブレーションプローブの電気伝導性領域によって形成され、アプリケータ本体102aとの接続点から近位に離間する点で給電ケーブル104の外部導体に電気的に接続されている。このようなチョークの例を、
図15ではハッチング領域146として示している。本実施形態では、チョークは、給電ケーブルの外部導体で構成された金属製のくぼみ部と、給電ケーブル112の周囲の導電部と、電気的に接続するベース部材148とから形成されている。ベース部材148は、アプリケータから近距離に離間した箇所で、第1の冷媒流路を挟んで、管状部112と給電ケーブル104の外部導体とを電気的に接続する。ベース部材148は、冷媒を流すための流路150を備える。本実施形態では、チョーク146内にスペーサ部142iが配置されている。スペーサ部142iは、既に上述したものと同様であり、また、螺旋状の形状を有している。本実施形態では、スペーサ部142iは、電気絶縁性の材料から形成されている。これにより、チョーク146の機能に支障をきたさないようになっている。ここに記載されているスペーサ部がチョークの外側に配置されている場合、それらは電気的に絶縁性の材料または導電性の材料のいずれかで形成することができる。
【0138】
上記にて定義されたスペーサ部は、結合体114を含むアブレーションプローブと一緒に使用する場合について説明されている。しかし、スペーサ部は、
図12aまたは
図12bに示すような冷媒チャネルの同様の配置を有する任意のアブレーションプローブに使用してもよい。スペーサ部は、他のアブレーションプローブと組み合わせて使用してもよく、例えば、本明細書に記載されている変形可能部および/または結合体が存在しないアブレーションプローブと組み合わせて使用することができる。
【0139】
アブレーションプローブ200の別の実施形態を図l6a~l8bに示す。図l6a~図l8bに示すアブレーションプローブは、既に説明した実施形態に対応する特徴を有する。それに伴い、対応する参照番号が使用されている。アブレーションプローブ200は、針部232とカテーテル部234とを備える。上述したように、針部232は、変形可能部210、アプリケータ、給電ケーブルの遠位部、冷媒送達経路の遠位部、および冷媒戻り経路(変形可能部内に設けられている)を備える。カテーテル部は、給電ケーブルの近位部、冷媒供給経路の近位部、およびカテーテル(または第2)冷媒戻り経路を備える。冷媒供給経路の近位部は、給電ケーブルの近位部を収容する第1または内側のカテーテルチューブと給電ケーブルとの間の空間によって形成される。カテーテルの冷媒戻り流路は、第1のカテーテルチューブと、その周囲の第2または外側のカテーテルチューブ238との間の空間によって形成される。
【0140】
アブレーションプローブ200は、覆い部250を備えている。覆い部250は、結合体214の尖った先端部214aを取り囲む第1の位置(すなわち、覆われた位置)と、尖った先端部214aが覆い部250によって覆われていない、または、露出している第2の位置(すなわち、覆われていない位置)との間で移動可能である。図l6aは、覆い部250が第1の位置にある状態を示し、第2の位置は図l6bに示されている。覆い部250は、第1の位置と第2の位置との間でアブレーションプローブの長手方向で移動させてもよい。近位方向への移動では、第1の位置から第2の位置への移動が行われ、遠位方向への移動では、第2の位置から第1の位置への移動が行われる。そのため、覆い部は、内視鏡などの作業チャネルを介してアブレーションプローブを搬送する際に、その尖った先端部と重なることがある。これにより、尖った先端部による内視鏡(またはナビゲーションシステム)の作業路の内面の損傷を防ぐことができる。覆い部250を第2の位置に移動させることにより、尖った先端部214aが(例えばENBシステムの)作業チャネルを出た後に露出させ、デバイスが対象の病変部に突き刺すことを可能にする。
【0141】
覆い部250は、アブレーションプローブの本体の周囲にフィットする、または周囲を取り囲む管状部により形成される。覆い部は、アブレーションプローブの外側の層を形成し、アブレーションプローブとそれが使用される搬送装置の作業チャネルとの間に外側の保護バリアを形成するようにしてもよい。覆い部250は、尖った先端部214aによる貫通に耐えるのに適した材料から形成することができるが、曲がりくねった経路に沿ってアブレーションプローブを搬送できるような所望の柔軟性を有していてもよい。覆い部150は、例えば、プラスチック材料(例えば、ペバックスまたはナイロン)またはブレード/コイル強化ポリマーチューブにより形成されてもよい。
【0142】
図16aおよび16bに見られるように、覆い部250は、遠位端と近位端との間でアブレーションプローブ200の長手方向に沿って途中まで延伸している。アブレーションプローブ200は、覆い部250に接続された1本または複数の固定ワイヤまたは制御線252をさらに備える。制御線は、アブレーションプローブの長さに沿った細長いワイヤやケーブルであってもよい。例えば、プルワイヤと表現されることもある。固定ワイヤは、覆い部250と、アブレーションプローブ200の近位端またはその近傍の位置との間で、アブレーションプローブの長手方向に沿って延伸している。固定ワイヤは、覆い部250の位置の制御を可能にし、覆われた位置と覆われていない位置との間の移動を容易にするように適合されている。固定ワイヤは、内視鏡や気管支鏡、ENBシステムなどの搬送システムに直接接続するハンドルの部分に接続してもよい。これにより、搬送システムに対して遠方に移動できないようになっている。ハンドルは、相互に対して移動可能な2つの部分、すなわち、アブレーションプローブに結合され得る第1の部分、および、搬送システムに結合され(作業チャネルに対して固定され)得る第2の部分を有してもよい。アブレーションプローブ200は、ハンドルの可動部(すなわち第1の部分)に接続されており、覆いに対して前方に移動して対象の病変部に入ることができる。
【0143】
固定ワイヤ252は、任意の適切な細長い部材によって形成されてもよい。例えば、金属やプラスチックのワイヤで形成されてもよい。制御線は、その長手方向の一部または全部に沿ってロッドまたは同様の構造により形成されてもよい。ロッドは、ハンドルシステムがアプリケータ102の上で覆い250を遠位に移動させるために使用される場合、座屈しないように構成されてもよい。
【0144】
アブレーションプローブの長手方向の一部だけを覆うように覆い部250を設けることで、覆い部が占める空間を小さくすることができる。これにより、よりコンパクトな配置が可能となり、作動チャネル内の空間が限られている内視鏡などでアブレーションプローブを使用する場合に、特に有利となり得る。覆いがデバイスの近位端まで完全に延在しており使用時の位置決めがされているのではなく、覆い部250の長手方向の一部が、固定ワイヤ252によって実質的に置き換えられている。このようにして、よりコンパクトなアブレーションプローブを提供することができる。冷媒流路や給電ケーブルは、挿入される流路のサイズ制限内であれば、より多くの空間を確保することができる。
【0145】
なお、1つまたは複数の固定ワイヤ252は、覆い部250の遠位端またはその近傍で接続されてもよい。これにより、覆い部250の動作の制御性が向上する可能性がある。一実施形態では、覆い部250は、その遠位端に補強リング254を含んでもよい。このような実施形態の一例を
図17に示す。本実施形態では、1本または複数の固定ワイヤ252は、補強リング254に接続されている。いくつかの実施形態では、複数の固定ワイヤを設けることができる。なお、複数の固定ワイヤは、均等な力を加えるように、覆い部152の周囲に均等に(例えば、その周方向に均等に、あるいは、補強リングの周方向に均等に)配されていてもよい。
【0146】
図18aおよび
図18bを参照すると、アブレーションプローブは、その近位端またはその近くでハンドル201に結合されている。アブレーションプローブ200およびハンドル201は、一体となってアブレーションプローブアセンブリを形成してもよい。ハンドル201は、使用中のアブレーションプローブの操作を可能にするように適合されている。アブレーションプローブは、ハンドル201にスライド可能に結合されており、ハンドルに対して伸長位置と収縮位置の間で相対的に移動できるようになっている(
図18bの矢印で示す)。収縮した状態を図l8aに、伸長した状態を
図18bに示している。ハンドル部102は、ハンドル201が、アブレーションプローブ200が使用される搬送装置(例えば、内視鏡)に接続可能な接続機構201aを構成している。接続されると、ハンドル201は、搬送装置の作業チャネルに対して固定されてもよい。このように固定されると、ハンドル201に対するアブレーションプローブ200のスライド移動により、作業チャネルの長さに沿ってアブレーションプローブ200がスライド移動する。これにより、搬送装置が体内の必要な位置に配置されたときに、アブレーションプローブ200の遠位端が作業チャネルの遠位端から延伸して組織にアクセスすることができる。
【0147】
本実施形態では、1または複数の固定ワイヤ252は、ハンドル201と覆い部250との間に接続されている。固定ワイヤは、ハンドル201から離れる近位方向への覆い部250の移動範囲を制限するように配置されている。したがって、覆い部250は、ハンドル201から離れる近位方向へのアブレーションプローブ200の長手方向に沿った移動が、固定ワイヤ252の長さによって定められる最大距離によって制限される。固定ワイヤは、覆いを引き戻すことができるように、実質的に非弾性であってもよい。つまり、ハンドル201に対するアブレーションプローブの移動により、覆い部250が覆われた構成から覆われていない構成へと移動することになる。これにより、アブレーションプローブの遠位端を作業チャネルから遠ざけるのと同じ動作で、アブレーションプローブの覆いをなくすことができ、使い勝手がよくなる。既に説明したように、1つまたは複数の固定ワイヤ252は、アブレーションプローブの長手方向に沿って延伸している。
【0148】
説明される実施形態では、1つまたは複数の固定ワイヤ252は、アブレーションプローブの長手方向に沿って伸長している。説明される実施形態では、固定ワイヤ252は、外側カテーテルチューブに形成されたチャネル256または管腔内に延伸している。これにより、固定ワイヤが占める空間が小さくなり、コンパクトに配置できる可能性がある。制御線252を収容するチャネルまたは管腔は、カテーテルチューブの壁に形成することができるし、チューブの外面に設けられた突起に形成することができる。
【0149】
覆い部250は、それを取り囲むアブレーションプローブの本体と摩擦嵌合を形成してもよい。例えば、変形可能部210またはカテーテルの任意の部分(例えば、変形可能部から離れたアブレーションプローブの他の適切な外側部分)と摩擦嵌合を形成することができる。摩擦嵌合は、曲がりくねった経路を通って搬送される間、固定ワイヤを使用して後退させるまで、覆い部250を覆いの位置に保持するように作用することができる。これにより、作業チャネルへの挿入時に覆い部250を覆いの位置に保つことができる場合がある。
【0150】
アブレーションプローブは、覆い部250を覆いの位置に向けて偏らせるように配置されたバイアス部材258を含んでもよい。バイアス部材258は、アブレーションプローブ200の長手方向に沿って覆い部250を遠位方向に向けて偏らせることができる。バイアス部材258は、アブレーションプローブの本体の周りに配置されたコイル状のスプリングであってもよい。しかし、他のタイプのバイアス部材を使用してもよい。バイアス部材は、摩擦嵌合に加えて、または代わりに設けてもよい。バイアス部材258の剛性は、使いやすさを考慮して最適化してもよい。病変部から引き抜く際には、鋭利な先端部が再び覆われるようにすること(すなわち、必要に応じて覆いを覆われていない位置から覆われた位置に移動させるのに十分な力を与えること)。
【0151】
覆い部は、覆い部が第1の位置にあるときに、尖った先端部を覆うように配置されたカバー部材260を含んでもよい。カバー部材は、覆い部が第1の位置から第2の位置に移動して先の尖った先端を露出させたときに、先の尖った先端によって貫かれるように適合されている(すなわち、壊れやすい)。カバー部材は、
図17に示すように、覆い部の遠位端を覆う膜から形成することができる。膜は、覆い部から露出しているときにのみ、アブレーションプローブの尖った先端によって貫かれる。制御線が引き戻され、覆い部が覆われた位置から覆われていない位置にスライドすると、先端の尖った先端部が膜を貫通する。カバー部材は、覆い部が作業チャネルに沿って移動する際に、覆い部を所定の位置に維持するのに役立つ。制御線が覆いに力を加えると、先の尖った先端部が膜を貫通し、覆いがスライドして先の尖った先端部が露出する。
【0152】
図16a~18bに示す実施形態では、覆い部250は、
図1~15を参照して説明したアブレーションプローブと組み合わせて使用される。しかし、覆い部は、他のアブレーションプローブと組み合わせて使用することができ、例えば、変形可能部および/または結合体が存在しないものもある。
【0153】
覆い部は、例えば、放射線を照射して周辺組織を加熱するアプリケータと、アプリケータに電磁エネルギーを供給する給電ケーブルと、組織を穿刺するのに適した先の尖った遠位先端部とを有するアブレーションプローブに使用してもよい。このような実施形態の一例は、
図19に模式的に示されており、アプリケータ302からなるアブレーションプローブ300を示している。アプリケータ302は、他の実施形態に関連して説明したように、放射線を適用して周辺組織を加熱するように配置されている。アブレーションプローブ300は、アプリケータ302に電磁エネルギーを供給するように配置された給電ケーブル304を備えている。アブレーションプローブの遠位端は、組織への穿刺に適した先の尖った遠位端314aを備える。先の尖った先端部は、アブレーションプローブの遠位端を形成する部品に設けられていてもよく、それは既に説明したような結合体であってもよく、あるいはアプリケータの先の尖った先端部や別個の先端部の部品であってもよい。アブレーションプローブは、尖った先端部を取り囲む第1の位置と、尖った先端部314aを露出させる第2の位置との間で移動可能な覆い部350をさらに備える。覆い部350は、アブレーションプローブの遠位端と近位端の間で、アブレーションプローブの長さに沿って部分的に延伸している。アブレーションプローブは、覆い部に接続された1本または複数の固定ワイヤ352を備えている。固定ワイヤは、覆い部とアブレーションプローブの近位端またはその近傍の位置との間で、アブレーションプローブの長さに沿って延伸している。
【0154】
アブレーションプローブ300は、図l6a~図l8bに関連して上述したように、ハンドル301に結合することができる。固定ワイヤ352は、ハンドルとの相対的な移動によって覆い部が覆われた位置と覆われていない位置との間で移動するように、覆い部350とハンドル301との間で接続されていてもよい。図l6a~l8bの実施形態に関連して説明した特徴のいずれも、
図19の実施形態で提供することができる。
【0155】
当業者であれば、特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な変更が明らかである。ある実施形態に関連して開示された任意の特徴は、別の実施形態の特徴と組み合わせて使用することができる。
【0156】
添付の特許請求の範囲は、特定の特徴の組み合わせに向けられているが、本発明の開示範囲には、任意の請求項で現在請求されているのと同じ発明に関連するかどうか、また、本発明と同じ技術的問題の一部または全部を軽減するかどうかにかかわらず、本明細書で明示的または暗示的に開示されている任意の新規の特徴または特徴の新規の組み合わせ、またはその一般化も含まれることを理解する必要がある。
【0157】
別々の実施形態の文脈で説明されている特徴は、単一の実施形態で組み合わせて提供されることもある。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明されている様々な特徴は、別々に、または任意の適切な部分的組合せで提供することもできる。当該出願人は、本出願またはそこから派生するさらなる出願の過程において、そのような特徴および/またはそのような特徴の組み合わせから新たな請求項が形成される可能性があることをここに通知する。
【0158】
完全を期すために、以下のことも言明する。「構成する」、「含む」、「からなる」(comprising)という用語は他の要素またはステップを除外しない。単数を示す冠詞(「a」または「an」)は複数を除外するものではない。単一のプロセッサまたは他のユニットが請求項に記載されている機能を果たすことができる。請求項内の参照記号は、請求項の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【国際調査報告】