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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(54)【発明の名称】チャイルドレジスタント包装体
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/03 20060101AFI20220323BHJP
   B65D 75/36 20060101ALI20220323BHJP
   B65D 83/04 20060101ALN20220323BHJP
【FI】
A61J1/03 370
B65D75/36
B65D83/04 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547570
(86)(22)【出願日】2020-02-12
(85)【翻訳文提出日】2021-10-08
(86)【国際出願番号】 EP2020053624
(87)【国際公開番号】W WO2020165267
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】19156838.5
(32)【優先日】2019-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521358176
【氏名又は名称】イデーヴィス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッツァー、フィリップ
【テーマコード(参考)】
3E067
4C047
【Fターム(参考)】
3E067AA17
3E067AB82
3E067AC04
3E067BA15A
3E067BB14A
3E067BC04A
3E067CA05
3E067EA32
3E067EB19
3E067EB29
3E067EE02
3E067FB02
3E067FB04
3E067GA30
3E067GB20
4C047AA25
4C047BB04
4C047BB08
4C047BB13
4C047BB17
4C047BB19
4C047BB22
4C047BB25
4C047BB28
4C047BB35
4C047CC15
4C047DD22
4C047GG23
(57)【要約】
【課題】従来のブリスター包装体の欠点を回避可能なチャイルドレジスタント包装体を提供する。
【解決手段】支持フィルム(20)とカバーフィルム(30)を備える少なくとも1つのそれ自体既知のブリスターシート(10)を含むチャイルドレジスタント包装体。支持フィルム(20)は包装品(40)を収容するための少なくとも1つのブリスターキャビティ部(25)を有し、ブリスターシート(10)の上側(11)を形成する。カバーフィルム(30)は支持フィルム(20)とフラットに結合し、包装品(40)が収容されたブリスターキャビティ部(25)を閉鎖し、ブリスターシート(10)の上側(11)に対向して位置する下側(12)を形成する。ブリスターシート(10)の対向して位置する2つの側辺(15,16)又は側縁部分(17,18)は少なくとも1つの下側シート(50)に可動に結合する。下側シート(50)は安全位置(70)においてブリスターシート(10)の下側(12)にフラットに当接し、封入された包装品(40)を意図せぬ取出に対し保護する。下側シート(50)は対向して位置する2つの包装体部分(5,6)の反対向きで同じ大きさの同時押圧(91,92)による外力の作用(90)によって取出位置(80)へと移行される。外力の作用(90)中下側シート(50)はブリスターシート(10)の下側(12)から離隔して包装体内部空間(100)を形成する。包装品(40)はカバーフィルム(30)のプッシュスルーによって包装体内部空間(100)へ放出され、そこから取り出されることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのブリスターシートを含むチャイルドレジスタント包装体、とりわけ医薬品包装体、であって、
該ブリスターシート(10)は2つのフィルムを含み、一方のフィルムは包装品(40)を収容するための、とりわけタブレット(41)のような医薬作用物質製剤を収容するための、少なくとも1つのブリスターキャビティ部(25)を有する支持フィルム(20)として構成されかつ該ブリスターシート(10)の上側(11)を形成し、他方のフィルムはプッシュスルー可能なカバーフィルム(30)として構成されており、
前記カバーフィルム(30)は、前記少なくとも1つのブリスターキャビティ部(25)が開口している前記支持フィルム(20)に少なくとも部分的にフラットに結合しかつ前記ブリスターシート(10)の前記上側(11)の反対側に位置する下側(12)を少なくとも部分的に形成し、
前記カバーフィルム(30)は包装品(40)が封入された前記少なくとも1つのブリスターキャビティ部(25)を閉鎖しており、
前記ブリスターシート(10)の対向して位置する2つの側辺(15,16)に又は対向して位置する2つの側縁部分(17,18)に、少なくとも1つの下側シート(50)が可動に結合されており、この下側シート(50)は、安全位置(70)において前記ブリスターシート(10)の下側(12)に少なくとも部分的にフラットに当接し、その際、封入された包装品(40)の意図せぬ取り出しに対して及び前記カバーフィルム(30)のプッシュスルー(35)に対して保護するよう構成されており、
前記下側シート(50)は、互いに対向して位置しかつ互いに対し離隔(7,8)されており運動によってリンクしている2つの包装体部分(5,6)の反対向きで同じ大きさの同時押圧(91,92)による外力の作用(90)によって、前記安全位置(70)から取出位置(80)へ可逆的に移行可能であり、
互いに対し離隔(7,8)された包装体部分(5,6)に外力の作用が行われない前記安全位置(70)と外力の作用(90)によって固定される前記取出位置(80)の間で移行する運動は、可逆的な双方向運動であり、
前記支持フィルム(20)は、少なくとも1つの屈曲辺(22)及び/又は弱め線(23)としての少なくとも1つのミシン目(23)を有し、この定められた屈曲辺(22)及び/又は弱め線(23)に沿って折り畳まれ、折り曲げられ又は反らされることが可能であり、及び、
外力の作用(90)によって固定された前記取出位置(80)にある間に、前記少なくとも1つの下側シート(50)は、前記ブリスターシート(10)の下側(12)から離隔して、少なくとも1つの包装品取出開口(110)を有する包装体内部空間(100)を形成し、該取出位置(80)において、包装品(40)は前記カバーフィルム(30)のプッシュスルー(35)によって前記包装体内部空間(100)へ放出され、該少なくとも1つの包装品取出開口(110)を通り抜けて該包装体内部空間(100)から取出可能であること
を特徴とする包装体。
【請求項2】
請求項1に記載の包装体において、
前記少なくとも1つの下側シート(50)は、支持フィルム(55)を含むか又は支持フィルム(55)から構成されていること
を特徴とする包装体。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の包装体において、
前記少なくとも1つのブリスターシート(10)及び前記少なくとも1つの下側シート(50)は夫々矩形の形に構成されており、
該下側シート(50)は、該ブリスターシート(10)の長手側(13)の対向して位置する2つの側辺(15,16)に又は対向して位置する2つの側縁部分(17,18)において結合されていること
を特徴とする包装体。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の包装体において、
前記少なくとも1つの下側シート(50)は、好ましくは直列的に配置された複数の結合ブリッジを有する、結合フラップ(65)によって、前記ブリスターシート(10)の対向して位置する2つの側縁部分(17,18)に可動に結合していること
を特徴とする包装体。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の包装体において、
前記ブリスターシート(10)及び/又は前記下側シート(50)には少なくとも1つのラベリングフラップ(120)が結合されていること
を特徴とする包装体。
【請求項6】
請求項5に記載の包装体において、
前記少なくとも1つのラベリングフラップ(120)は、前記ブリスターシート(10)の側辺(15,16)又は側縁部分(17,18)に結合されており、該ブリスターシート(10)から延出していること
を特徴とする包装体。
【請求項7】
請求項1~6の何れかに記載の包装体において、
前記包装体内部空間(100)の前記包装品取出開口(110)に対向して位置する側は、閉鎖フラップ(60)によって閉鎖可能であること
を特徴とする包装体。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載の包装体において、
前記包装体内部空間(100)の前記少なくとも1つの包装品取出開口(110)は、閉鎖フラップ(60)によって閉鎖可能であること
を特徴とする包装体。
【請求項9】
請求項1~8の何れかに記載の包装体において、
前記少なくとも1つの下側シート(50)は、支持フィルム(55)と、包装品(40)を収容するための、とりわけタブレット(41)のような医薬作用物質製剤を収容するための、少なくとも1つのブリスターキャビティ部(57)と、カバーフィルム(58)とを有する更なるブリスターシート(56)であること、
少なくとも1つの更なるブリスターシート(56)は、その支持フィルム(55)が包装体(1)の外面(2)を形成し、かつ、そのカバーフィルム(58)が包装体内部空間(100)に向かって配向されるよう、配されていること
を特徴とする包装体。
【請求項10】
請求項9に記載の包装体において、
前記安全位置(70)では、互いに当接している2つのブリスターシート(10,56)の包装品(40)が封入されたブリスターキャビティ部(25,57)は上下に合同的に重なるよう配置されていること
を特徴とする包装体。
【請求項11】
請求項9に記載の包装体において、
前記安全位置(70)では、互いに当接している2つのブリスターシート(10,56)の包装品(40)が封入されたブリスターキャビティ部(25,57)は互いに対しずらされて配置されていること
を特徴とする包装体。
【請求項12】
請求項1~11の何れかに記載の包装体において、
該包装体(1)は枕形状に構成されており、
該包装体(1)の2つの外面(2)は、第1のブリスターシート(10)とブリスターキャビティ部(25,57)に封入された包装品(40)を有する更なるブリスターシート(56)によって、又は代替的に、ブリスターシート(10)と包装品を有しない対向して位置する下側シート(50)によって形成されており、該ブリスターシート(10)の対向して位置する2つの側辺(15,16)において互いに結合されており、
該側辺(15,16)は該包装体(1)の長手側(3)を形成しており、該ブリスターシート(10)の互いに対向して位置する短手側(14)に夫々反対向きで同一に重なり合う閉鎖フラップ(60)が結合されていること
を特徴とする包装体。
【請求項13】
請求項1~11の何れかに記載の包装体において、
該包装体(1)は、偶数個の外面(2)を有する角柱プリズムとして構成されていること、
該外面(2)は、ブリスターキャビティ部(25,57)に封入された包装品(40)を有する1つの又は複数のブリスターシート(10)によって、又は代替的に少なくとも1つのブリスターシート(56)と包装品を有しない1つの又は複数の下側シート(50)によって形成されており、対向して位置するそれらの側辺(15,16)において並列的に並べられて結合しており、該包装体(1)の長手側(3)を形成していること
を特徴とする包装体。
【請求項14】
請求項1~13の何れかに記載の包装体において、
前記安全位置(70)において互いに対向して位置する包装体部分(5,6)の間の距離(7)は、前記取出位置(80)における互いに対向して位置する同じ包装体部分(5,6)の間の距離(8)よりもより大きいこと
を特徴とする包装体。
【請求項15】
請求項1~14の何れかに記載の包装体において、
前記少なくとも1つの下側シート(50)は、前記ブリスターシート(10)の支持フィルム(20)の一部分から構成されており、該ブリスターシート(10)と該下側シート(50)の支持フィルム(20,55)は一体的に互いに結合していること
を特徴とする包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのブリスターシートを含むチャイルドレジスタント包装体、とりわけ医薬品包装体、であって、該ブリスターシートは2つのフィルムを含み、一方のフィルムは包装品を収容するための、とりわけタブレットのような医薬作用物質製剤を収容するための、少なくとも1つのブリスターキャビティ部を有する支持フィルムとして構成されかつ該ブリスターシートの上側を形成し、他方のフィルムはプッシュスルー可能なカバーフィルムとして構成されており、前記カバーフィルムは、前記少なくとも1つのブリスターキャビティ部が開口している前記支持フィルムに少なくとも部分的にフラットに結合しかつ前記ブリスターシートの前記上側の反対側に位置する下側を少なくとも部分的に形成し、前記カバーフィルムは包装品が封入された前記少なくとも1つのブリスターキャビティ部を閉鎖している、包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
チャイルドレジスタント及び/又はシニアフレンドリーとして認められる包装体の種々の実例は既に従来技術において既知である。
【0003】
DIN EN 14375の2016年9月の現行規格によれば、欧州では、医薬品のための再閉鎖不能型包装体は、42~51月齢の小児の試験群の少なくとも85%が、提供された少なくとも10個の投与単位即ち例えばタブレット(錠剤)、カプセル又は糖衣錠のうちの9個以上に10分以内にアクセスするに至ることができない場合に、「チャイルドレジスタント」として認められる。1分間試験において成人の試験群の少なくとも90%が投与単位(複数)の少なくとも1つにアクセスするに至る場合、包装体はシニアフレンドリーとして認められる。
【0004】
米国におけるこれに関連する規則は、これらは「毒物予防包装法(Poisons Prevention Packaging Act(PPPA))」に規定されているが、比較的遥かにより厳格である。この場合、小児は、「チャイルドレジスタント」包装体において、深刻な障害を引き起こし得る1回分に対するアクセスもすることが許されない。これは、極端な場合、1つのタブレットないし1つの投与単位のみを取り出す場合に既に可能であり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】DE 20 2004 003 781 U1
【特許文献2】DE 10 2004 062 864 A1
【特許文献3】DE 20 2006 007 553 U1
【特許文献4】DE 44 29 503 C2
【特許文献5】EP 2 055 649 A1
【特許文献6】GB 2 352 231 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、DE 20 2004 003 781 U1は、互いに結合している2つのフィルムからなる矩形状のチャイルドレジスタント包装体を記載している。この場合、フラットな閉鎖領域が充填物のための少なくとも1つの収容空間を取り囲んでいる。開放して、充填物、例えばタブレットを取り出すために、収容空間はマーキングされた弱め線に沿って又はフィルムの(1つの)縁部分を除去することによって開放される。
【0007】
同様に、DE 10 2004 062 864 A1は、互いに結合された2つのフィルムと充填物のための複数の収容室とを有するフィルム容器を示しており、この場合、2つのフィルムの少なくとも1つは、フィルムの引き裂きのためのマーキングを備えている。マーキングはフィルムの折り曲げ後に解除され、その後、フィルムの引き裂きによって充填物をフィルム容器から取り出すことができる。
【0008】
引き裂き式包装体のこれらの既知の実例の欠点は少なくとも、大抵は金属フィルムとして形成されている引き裂き可能部分を有するフィルムの製造は面倒であるという点にある。更に、そのような引き裂き式包装体の場合、小児によって複数の投与単位が同時に取り出されることも可能であり、そのため、このタイプの引き裂き式包装体は少なくとも米国では「チャイルドレジスタント」として認められないという事態を排除することができない。
【0009】
更に、いわゆるウォレット型包装体も従来技術から既に知られている。例えば、文献DE 20 2006 007 553 U1、DE 44 29 503 C2及びEP 2 055 649 A1は、ブリスターストリップないしブリスターシートとしてのブリスター包装体が包装品のための一次包装体として使用され、これと例えば折り畳み式カートンからなる二次包装体と結合している包装体を記載している。従って、この場合、チャイルドレジスタンス的な保護のために、例えば包装品としてのタブレットは、それ自体既知の方法で、結合された折畳み式ボックス又は折り畳み式カートンの内部において溶接されたブリスターストリップないしブリスターシートのキャビティ部内にある。ブリスターカードは、そのために、外部の二次包装体に例えば接着、封止、鋲接又はラベル(Etiketten)で固定されることができ、又はその代わりに、二次包装体の区画(複数)内に取り出し可能に装填されることができる。チャイルドレジスタンスのために、使用態様に応じて、大抵は折畳み式ボックスの形の外部の二次包装体は、内部にあるブリスターシートへのアクセスが困難になるように、形成されている。
【0010】
文献GB 2 352 231 Aも、タブレットが装填されたブリスターシート全体が二次包装体から取り出し可能に構成されたウォレット型包装体を記載している。ブリスターシートは、そのために、二次包装体の側部のスリットを介して該二次包装体の中から引き出される。
【0011】
そのようなウォレット型包装体の場合も、小児が外部の折畳み式ボックス型包装体を開いた後その内部にあるブリスターシートから複数の投与単位を取り出すことが可能であることは排除されていない。そのうえ、種々異なる複数の包装材料を含むそのようなマルチレイヤー式包装体の製造は面倒である。
【0012】
タブレット、カプセル及び糖衣錠のような医薬のためのブリスター包装体はずっと以前から知られており、視覚的に魅力的かつ使用上安全である必要がある。ブリスター包装体(ブリスターパック)という概念は、通常、可視性包装体、即ち顧客ないし購入者が包装された製品を視認することを可能にする製品包装体として理解されるものである。
【0013】
例えばタブレットのような医薬作用物質製剤を包装するためのブリスター包装体は広く普及している応用例である。そのような包装体はプッシュスルー包装体とも称され、通常は、ストリップないしカートンの形で製造される。1つのブリスターシートないしブリスターストリップは、通常、2つのフィルムを含み、そのうち一方は支持フィルムであり、大抵は、透明なプラスチックからなる。支持フィルムには、複数の個別凹部、いわゆるブリスターキャビティ部が形成されており、その中には、包装品が、大抵はタブレット、カプセル又は糖衣錠の個別投与単位が装填されており、例えばアルミニウムからなる(他方の)カバーフィルムによってシールされる。例えば、裏側でシールされたアルミニウムカバーフィルムを有する深絞りプラスチックトレーがタブレットの包装のために使用される。
【0014】
この種のブリスター包装体は、ガラス又はプラスチック瓶と比べて複数の利点を提供する。これらはより衛生的であり、使用されるフィルム材料に応じて、そのようなブリスター包装体は、高い湿気又は汚染のような不所望の影響を排除することができ、包装体内に残っている投与単位の残量もより容易に確認することができる。特殊なブリスターは、包装体に服用計画を記載することも可能にする。例えば、多くの経口避妊薬の包装体には曜日がプリントされる。これによって、実行される服用をコントロールすることが可能になるだけではなく、種々のタブレットを月経周期の所定の日々(月経期間)に確実に割り当てることもできる。
【0015】
しかしながら、優先的な(上位の)包装体の課題に加えて、「チャイルドレジスタント」であるブリスター包装体はシニア適合的に作られている必要があるが、これらの2つのユーザ群の要求は互いに反対である。なぜなら、小児を保護するためのチャイルドレジスタント包装体は、他面では、シニア(高齢者)にとっては克服し難い障害となり得るからである。
【0016】
例えば、ブリスター包装体が引き離し可能な(剥離可能な)安全フィルムを有すると同時に、「チャイルドレジスタント」に構成されているいわゆる「ピール・プッシュ・ブリスター」が使用されているが、この場合、相応の投与量がカバーフィルムを突き抜けて包装体の中から押し出されることができるようになる前に、まず、プッシュスルー保護部材としての引き離し可能フィルムがカバーフィルムから引き離される必要がある。しかしながら、そのような引き離し可能安全フィルムを掴んで除去可能にすることは、高齢者にとってしばしば困難である。
【0017】
更に、従来既知のブリスター包装体では、ブリスターカードを用いても盲者は問題となる薬剤を区別することができないという点において、しばしば不利である。しかしながら、この問題は、盲者又は視覚障害者についてのみ生じるのではない。大抵は、ブリスターシートには、薬剤の製品名及び会社名が、シール層に、即ち大抵はアルミニウムフィルムであるカバーフィルムにプリントされる。ブリスターシートの複数の投与単位がカバーフィルムのプッシュスルーによって取り出されると直ちに、大抵は、薬剤の名称のプリントは最早認識できないか又は認識するのが一層困難になり、そのため、好ましくない取り違えの危険が大きくなる。
【0018】
従来のブリスター包装体の更なる欠点は、投与単位はプッシュスルーによってブリスター包装体から通常は患者の手の中に又は例えばテーブル面のような台(ないし下地:Unterlage)上に押し出されるという点にある。しかしながら、この場合、取り出された1つ又は複数の投与単位、例えばタブレットは、不所望な態様で床に落下し得るが、これはとりわけ高齢者にとっては問題である。そのうえ、手による取り出しは、大抵は、衛生的には可能ではない。このことは、とりわけその仕事時間中においても一定の時間間隔でタブレットを取り出す必要があり、そのためその都度手を洗うことができない人の場合に当てはまる。ここでは、例えば、場合によっては汚れた手によってタブレットを従来の医薬包装体から取り出して掴まなければならないこともある者として建設作業員や職人が挙げられる。
【0019】
それゆえ、本発明の課題は、同時にシニアフレンドリーでもありかつ従来技術の上記の欠点が回避されるチャイルドレジスタント包装体、とりわけチャイルドレジスタント医薬包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この課題は、請求項1の上位概念(前置部)に応じたチャイルドレジスタント包装体において、請求項1の特徴部の特徴によって解決される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
従属請求項は本発明の更なる有利な実施形態に関する。
【0022】
少なくとも1つのブリスターシートを含む本発明に応じたチャイルドレジスタント包装体、とりわけ本発明に応じた医薬品包装体において、ブリスターシートが2つのフィルムを含み、一方のフィルムが包装品を収容するための、とりわけタブレット(錠剤)のような医薬作用物質製剤を収容するための、少なくとも1つのブリスターキャビティ部を有する支持フィルムとして構成されかつブリスターシートの上側を形成し、他方のフィルムがプッシュスルー可能なカバーフィルムとして構成されており、カバーフィルムが、少なくとも1つのブリスターキャビティ部が開口(ないし空間を形成)している支持フィルムに少なくとも部分的にフラットに(面一に)結合しかつブリスターシートの前記上側の反対側に位置する下側を少なくとも部分的に形成し、カバーフィルムが包装品が封入された少なくとも1つのブリスターキャビティ部を閉鎖している。該包装体においては、ブリスターシートの対向して位置する2つの側辺に又は対向して位置する2つの側縁部分に少なくとも1つの下側シートが可動に結合されており、この下側シートは、安全位置においてブリスターシートの下側に少なくとも部分的にフラットに当接し、その際、封入された包装品の意図せぬ取り出しに対して及びカバーフィルムのプッシュスルー(貫通押し出し:Durchdruecken)に対して保護するよう構成されており、下側シートは、互いに対向して位置しかつ互いに対し離隔されている2つの包装体部分の反対向きで同じ大きさの同時押圧による外力の作用によって、安全位置から取出位置へ可逆的に移行可能であり、外力の作用によって固定される取出位置にある間に、少なくとも1つの下側シートは、ブリスターシートの下側から離隔して、少なくとも1つの包装品取出開口を有する包装体内部空間を形成し、取出位置において、包装品はカバーフィルムのプッシュスルーによって包装体内部空間へ放出され、少なくとも1つの包装品取出開口を通り抜けて包装体内部空間から取り出されることができる。
【0023】
ブリスターシートの支持フィルムは、1つ又は複数の屈曲辺及び/又は弱め線としての1つ又は複数のミシン目を有し、この定められた屈曲辺ないし弱め線に沿って折り畳まれ、折り曲げられ又は反らされる(湾曲される)ことが可能である。これによって、互いに対し離隔された包装体部分に外力の作用が行われない安全位置と外力の作用中に固定される(固定的に規定される)取出位置の間で移行する運動は、包装体の材料の選択に殆ど依存することなく(無関係に)、可逆的な双方向(往復)運動(Hin-und-Her-Bewegung)となることが保証される。構造に応じて、ブリスターシートの支持フィルムの1つ又は複数の屈曲辺は、包装体が当該屈曲辺のために十分な安定性ないし曲げ強さを有することも実現することができる。
【0024】
有利なことに、そのような包装体では、小児に対し、包装品への、とりわけタブレットのような包装された医薬作用物質製剤へのアクセスは妨げられている。なぜなら、包装体は、互いに対向して位置し安全位置から取出位置へ包装体が移行するために手で反対向きの同じ大きさで同時に押圧しなければならない包装体部分を小児が手で掴むことができないように、構成されているからである。そのため、互いに対向して位置し同時押圧されなければならない2つの包装体部分は、一人の小児がこの操作を手で遂行することができない程に大きく互いに対し離隔していると有利である。包装体は、外力の作用中に反対向きで同じ大きさの同時押圧によって固定される取出位置においてブリスターキャビティ部から包装品ないしタブレットをブリスターシートのカバーフィルムのプッシュスルーによって取り出されることができるよう、包装体がこの取出位置においてのみ十分に堅固であるよう、構成されている。従って、いずれにせよ、包装体の両手での同時操作が必要となる。即ち、一方の手によって、包装体を同時押圧して取出位置へもたらし、この取出位置で固定しなければならず、これによって、同時に、他方のフリーな手によって、1つ又は複数の包装品単位を対応するブリスターキャビティ部から包装体内部空間へプッシュスルーする(押し出す)ことができる。
【0025】
従って、2つの操作が同時に実行されなければならないが、これは、DIN EN 14375に応じて規定された42~51月の試験年齢の小児にとっては、その運動能力及びその手の大きさのために、実際上不可能である。取出位置の可逆的固定のために一方の手で同時押圧しなければならないが、これによって、同時に、第2の手による包装品のブリスターシートからのプッシュスルーを可能にする対向して位置する包装体部分(複数)に対する押圧点(複数)間の距離を適切に選択することによって、個別の要求に応じて、所定の年齢群の小児による包装内容物ないし包装品へのあり得るアクセスを確実に阻止することが可能になる。従って、本発明の包装体の構成では、対向して位置する包装体部分に対する、これらを同時押圧するための押圧点間の距離が、小児(の手)がこれらを片手では同時押圧することができない程十分に大きく互いに対し離隔されていることについて考慮する必要がある。
【0026】
これの寸法即ち本発明の包装体の対向して位置する包装体部分に対する押圧点間の距離を適切に選択することによって、及び、包装品のプッシュスルーないし取り出しのためのプッシュスルー力(貫通押し出し力)を変更可能にするそれ自体既知のブリスターカバーフィルムを適切に選択することによって、格別にフレキシブルに、本発明の包装体は、その時時の現行の安全規定に格別にフレキシブルに適合することができる。かくして、例えば、チャイルドレジスタント包装体について米国のPPPAの実際の要求に応じ、本発明の包装体を、小児がこの包装体を外部の工具を利用することなくその手のみによっては開けることができないよう、構成することが可能になる。同時に、本発明の包装体の試作品の試験の際に、被験者としての高齢者施設の高齢者が、何の問題もなく、包装体を一方の手で掴んで同時押圧し、それによって、この包装体をその取出位置に固定しかつ高齢者にとってそれ自体既知の方法で他方の手で個別タブレットを包装体のブリスターシートから取り出すことができたことが分かった。更に、ブリスターシートのここで選択された概念は、同様に通常の名称であるブリスターストリップと同じ意味で、例えばタブレットのような包装品単位のためのブリスター包装体として理解することが可能である。
【0027】
ブリスターカバーフィルムの材料選択及び積層構造に応じて、例えば、包装品のプッシュスルーないし取り出しのためのプッシュスルー力を凡そ20N~120Nの範囲で変更することが可能である。これらのプッシュスルー力は、直径10.5mmのいわゆるファーマピン(Pharma Pin)を用いた試験において求められた。従って、包装されるべき製品に応じないしは包装品中の医薬作用物質のリスクポテンシャルに応じて、安全性適合的な本発明の包装体の格別にフレキシブルかつ個別の形態のために少なくとも2つのパラメータが使用される。
【0028】
従来技術からそれ自体既知のすべての材料がブリスターフィルムとして使用可能である。支持フィルム及びカバーフィルムは単層又は多層で構成可能である。カバーフィルムは支持フィルムと例えば接着、溶接又はシール(Versiegeln)によって密封的に結合される。支持フィルムのための典型的な材料としては、例えば、ポリアミド(PA)、ポリエステル(UP)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリ塩化ビニル(PVC)又は相応のコポリマーのようなプラスチックを使用することができる。例えば、紙層又はボール紙層を有する1つ又は複数のプラスチックフィルムのような複合材料も支持フィルムとして使用可能である。カバーフィルムとしては、例えば、アルミニウムフィルム又はアルミニウムと例えばプラスチックで製造されているアルミニウム複合フィルムのような金属フィルムが使用される。同様に、例えばアルミニウム蒸着複合フィルム又はアルミニウム貼着ペーパーフィルムもカバーフィルムとして使用可能である。
【0029】
包装体の安全位置においてチャイルドレジスタントな取出保護部材として、包装品が封入された少なくとも1つの又は複数のブリスターシートの下側に当接する少なくとも1つの下側シートは選択的に単層又は多層で構成可能である。下側シートは、少なくとも1つのブリスターシートが製造されているのと同じ材料で又は―多層構造の場合―同じ複数の材料で構成可能であると目的に適する。同様に、下側シートがブリスターシートを構成するために使用される材料と異なる材料で製造されることも、本発明の枠内において可能である。
【0030】
単純な一実施形態では、例えば相応のスチフネスを有する透明プラスチックからなる単層ないし一層の強化層を下側シートとして使用することができる。同様に、下側シートは本発明の枠内において多層強化プレートとして構成可能である。
【0031】
下側シートは、更なる好ましい一実施形態では、第1のブリスターシートに対し反対向きで同様に配置されておりかつ該ブリスターシートに可動に結合されており及び夫々のプッシュスルー可能なカバーフィルムが互いに対し向かい合うように内部にある包装体内部空間に向かって配向されている更なるブリスターシートでもあり得る。従って、包装体の外側のその両外面には夫々包装品を外部に対して保護する頑丈な支持フィルムが配置されていることになる。
【0032】
従って、本発明の枠内において、下側シート(ないし裏打ちシート)という概念は、包装体の実施態様に応じて、1つ又は複数のブリスターシートとほぼ同じ寸法の、単層又は多層として構成可能な強化層又は強化プレートとして理解されるものである。下側シートは、例えばブリスターシートの場合にも備えられている支持フィルムから構成可能であり、或いは、選択的にそれ自体も、包装品を収容するための相応のブリスターキャビティ部を有するブリスターシートであり得る。
【0033】
下側シートは、ブリスターシートのカバーフィルムを保護するためのライニング手段ないし保護手段として役立ち、包装体の安全位置においてブリスターシートのカバーフィルムがプッシュスルー又は損傷され得ることを妨げることが想定されている。従って、下側シートは、それに割り当てられた(対応付けられた)ブリスターシートの下側において対向して位置するカバーフィルをカバーないし保護するためのカバーシートとして機能する。カバーフィルムの保護のために当該カバーフィルムに直接的に貼り付けられておりかつこのカバーフィルムから再び剥ぎ取らなければならない既述の既知の引き離し可能(剥離可能)な安全フィルムとは異なり、下側シートは、それに割り当てられ対向して位置するブリスターシートの保護されるべきカバーフィルムから離れた包装体の独自の部分を形成する。下側シートは、安全位置において対向して配置されているカバーフィルムを保護するために当該カバーフィルムに当接しているが、該カバーフィルムに付着していない。下側シートは、相応の同時押圧によって包装体の取出位置において―包装体の実施態様に応じて―カバーフィルムから離隔した位置へと運動、シフト(変位)、旋回、折れ曲り及び/又は枢動することができる。そのために、カバーフィルムからの下側シートの引き離し又は剥離が不要であると有利である。1つ又は複数のブリスターシートと1つ又は複数の下側シートによって包囲されている内側にある包装体(内部)空間は、固定された取出位置においてカバーフィルムのプッシュスルーによって対応するブリスターキャビティ部から押し出された例えばタブレットのような包装品は、まず、包装体の包装体内部空間に到達し、取出開口を通り抜けて包装体内部空間から取り出されることができる。
【0034】
かくして、タブレットが従来のブリスター包装体からテーブルのような外部の台へと押し出されなければならず、その際、紛失し得るという事態を有利に回避することができる。更に、包装体取出開口の相応の形状によって、該取出開口は、例えばタブレットを包装体内部空間から患者の口内に直接的に送り込むことができ、そのため、このタブレットを手で掴む必要がないように、構成されることができる。
【0035】
本発明に応じ、下側シートは、互いに対向して位置しかつ互いに対し離隔されている2つの包装体部分の反対向きで同じ大きさの同時押圧による外力の作用によって、可逆的に安全位置から取出位置へ移行可能に構成されている。これは、少なくとも1つの下側シートがそれ自体単独で又は少なくとも1つの対応するブリスターシート又は更なる下側シートとの組み合わせで、包装体を開こうとする操作者の片手による同時押圧による外力の作用によって安全位置から取出位置へ移行することができるよう、包装体が構成されていると理解することができる。この運動過程は、安全位置―互いに対し離隔している包装体部分に対する外力の作用がない状態―と取出位置―互いに対し離隔している包装体部分に対する外力の作用中の状態―との間の双方向(往復)運動(Hin-und-Her-Bewegung)として可逆的であると理解することができる。互いに対向して位置しかつ互いに対し離隔されている対応する2つの包装体部分は、包装体の実施態様及び適用に応じて、例えば色でマーキングされること及び/又は例えば刻印、表面の凹凸又はけばのような構造的又は触覚的形態を有することができる。
【0036】
包装体の実施態様及び構造に応じては、包装体内部空間への包装品の投与単位のプッシュスルー後、その際包装体は同時押圧によってその取出位置に固定されているが、続けて、包装体内部空間を空にするために、再度の包装体(の周囲)の掴み(握り:Umgreifen)を実行しなければならないことが必要になり得る。これが、例えば、包装体をその安全位置からその取出位置へ移行するために短手側(複数)のサイドフラップを同時押圧しなければならない場合のことであり得る。尤も、包装体内部空間を空にするために、1つの(一方の)短手側においてサイドフラップが開かれる必要があり、そのため、包装体の再度の掴みが必要になり得ることが想定され得る。この更なる付加的な操作プロセスは、小児の意図せぬ操作に対する包装体の操作安全性を更に改善することができる。
【0037】
ブリスターシートの対向して位置する2つの側辺又は対向して位置する2つの側縁部分における少なくとも1つの下側シートの運動可能な結合によって、これらの包装体部分は運動によって(bewegungsmaessig)互いにリンクされている。
【0038】
本発明の包装体は、如何なる意味においても、医薬作用物質を含む包装品の収容に即ち医薬包装体に限定されていない。同様に、本発明の包装体においては、例えばそのサイズのために小児にとって危険であり、小児によって飲み込まれ得るほど小さい任意の単位の包装品が収納可能である。全くの例示であるが、ニコチンチューイングガムのような栄養補助食品、チューイングガム又はチュアブル錠の他にも、電子小部品、交換部品、取付工具、使い捨て投与器具、使い捨て針等も同様に本発明の包装体において安全に収納されることができるものとして列記される。かくして、例えば極めて小さく、小児によって飲み込まれ得る電子タバコ又はLEDランプのための交換部品が本発明の包装体にチャイルドレジスタント的に収納される場合、有利であり得る。
【0039】
更に、本書において、例えば「水平」、「垂直」、「水平方向」、「垂直方向」、「上」、「下」、「内」、「外」、「前」、「その下」、「その上」等のような場所、位置又は方向に関する所定の概念の分類(割当て)は専ら単純化のために選択されたものであり、これらの記載は場合によっては図面の記載に係るものであるが、必ずしも本発明の包装体の使用ないし保管位置に係るものではない。本発明の包装体の意図された使用状態においてブリスターシートの保護されるべきカバーフィルムが包装体内部空間に向かって内方に配向されていることを明確にするために、カバーフィルムによって少なくとも部分的にカバーされるブリスターシートの下側は包装体の包装体内部空間との関連においてブリスターシートの内側に相当するものとする。
【0040】
本発明の包装体において、少なくとも1つの下側シートは、支持フィルムを含むか又は支持フィルムから構成されている場合、格別に目的に適合し得る。
【0041】
既述のように、下側シートは、何れにせよ、包装品ないしタブレットをカバーフィルムを突き抜けるプッシュスルーによる意図せぬ取出から保護するために、ブリスターシートの機械的保護手段として役立つ。そのため、本発明の格別に単純かつコスト的に好都合な変形形態では、ブリスターシートには、支持フィルムからなる又はそのような支持フィルムを含む少なくとも1つの下側シートが可動に結合されることができる。支持フィルムを含むこのような下側シートは、安全位置においてブリスターシートの下側に少なくとも部分的にフラットに当接し、その際、封入した包装品を意図せぬ取出に対し及びカバーフィルムのプッシュスルーに対し保護するよう、構成されている。
【0042】
格別に有利には、本発明に応じた包装体において、少なくとも1つのブリスターシートと少なくとも1つの下側シートは夫々矩形の形に構成されており、
下側シートは、ブリスターシートの長手側の対向して位置する2つの側辺に又は対向して位置する2つの側縁部分において結合されていることが可能である。
【0043】
本発明のこの変形形態では、包装品単位を収容するためのブリスターキャビティ部(複数)は矩形状のブリスターシートのサイズに応じて相応に列をなして又はマトリックス状に配置されることができる。少なくとも1つの下側シートは、同様に矩形状に構成され、その保護のために下側シートが設けられている対応するブリスターシートと実質的に同じ寸法を有すると、目的に適合的である。これらの両シートはそれらの対向して位置する長手側に沿って互いに可動に結合されている。実施態様に応じ、これらの両シートは、それらの長手側辺において直接的に又はそれらの長手側辺に沿った側縁部分に沿って互いに結合されることができる。ブリスターキャビティ部から既に押し出された包装品のブリスターシートと対応する下側シートの間の包装体内部空間からの取り出しは、包装体の取出位置においてその短手側(複数)の一方において行われる。
【0044】
本発明の有利な一発展形態では、包装体において、少なくとも1つの下側シートは結合フラップによって、好ましくは列状に(serial)配置された複数の結合ブリッジ(Verbindungssteg)によって、ブリスターシートの対向して位置する2つの側縁部分に可動に結合されることができる。
【0045】
この実施形態では、包装体内部空間は、側部においては、可動の結合フラップ又は結合ブリッジによって境界が形成される(画成される)。これらの結合フラップ又は結合ブリッジは、包装体の安全位置と取出位置の間でのブリスターシートとこれに対応する下側シートの可逆的(リバーシブル)な並進運動ないし相対運動を可能にするよう、配置されている。
【0046】
格別に有利には、本発明の包装体において、ブリスターシート及び/又は下側シートに少なくとも1つのラベリングフラップが結合されることができる。
【0047】
包装体における少なくとも1つのラベリングフラップによって、表示例えば包装品ないし医薬の製品名及び/又は会社名は何時でも良好に読み取ることができる。ラベリングは、盲者又は視覚障害者が包装された製品又は薬剤の何れが目的のものであるかを包装体において直接的にかつ既に取り出された投与単位ないし包装品単位の程度に依存することなく認識できるようにするために、例えばブライユ点字で行うことも可能である。ラベリングフラップは包装体の片側又は両側に配設可能である。
【0048】
例えば、ブリスターシート及び/又は下側シートに直接的に結合されている1つ又は複数のラベリングフラップに、例えば包装された投与単位の取出時間間隔の指示をプリントすることができる。
【0049】
本発明の枠内において、取出時間間隔に対する個別の指示を備えた包装体を構成可能にするために、1つ又は複数のラベリングフラップはプリント可能に又は刻印可能に構成されることも想定されている。
【0050】
本発明に応じた包装体において、少なくとも1つのラベリングフラップは、ブリスターシートの側辺又は側縁部分に結合されており、該ブリスターシートから延出する場合、有利であり得る。
【0051】
この実施形態では、1つのラベリングフラップ又は複数の離隔するラベリングフラップは、格別に簡単に読み取り可能であるだけではなく、当該ラベリングフラップによって包装体の同時押圧従って包装体の安全位置から取出位置への移行が小児の手にとって更に困難になるよう構成されることもできる。これは、例えばラベリングフラップの外辺のザラザラに及び/又はギザギザにされた部分によって達成することができる。この部分は、小児がその小さい手で掴むには不快であり、従ってまさにこの包装体部分における同時押圧を妨げる。
【0052】
包装体内部空間の包装品取出開口に対向して位置する側が閉鎖フラップによって閉鎖可能である場合、本発明の包装体は格別に使用安全的に構成されることができる。
【0053】
この変形形態では、包装品ないしタブレットは専ら包装品取出開口を通って包装体内部空間から取り出されることができる。そのため、包装体内部空間からの包装品の意図せぬ取り出し又は脱落を上首尾に阻止することができる。
【0054】
本発明に応じた包装体の更なる有利な変形形態では、包装体内部空間の少なくとも1つの包装品取出開口は閉鎖フラップによって閉鎖可能に構成されることができる。包装体のこの変形形態では、包装体内部空間に既に存在する包装品を包装体から取り出し可能にするために、包装品取出開口の閉鎖フラップは追加的に開かれなければならず、このため、包装品の喪失保護性は更に向上する。
【0055】
本発明に応じた包装体において、少なくとも1つの下側シートは、支持フィルムと、包装品を収容するための、とりわけタブレットのような医薬作用物質製剤を収容するための、少なくとも1つのブリスターキャビティ部と、カバーフィルムとを有する更なるブリスターシートであり、少なくとも1つの更なるブリスターシートは、その支持フィルムが包装体の外面を形成し、かつ、そのカバーフィルムが包装体内部空間に向かって配向されるよう、配されることが可能であると、格別に目的に適合的である。
【0056】
この包装体の実施形態は、少なくとも1つの更なるブリスターシートが少なくとも1つの「第1の」ブリスターシートを保護するための下側シートとして使用されるという利点を提供する。かくして、少なくとも2つのブリスターシートが反対向きで同一に互いに向かって配置され、安全位置において、それらの互いに境を接して位置するカバーフィルムを、ブリスターキャビティ部からの包装品の意図せぬ押圧抜け出しに対し相互に保護する。この実施形態は、下側シートとしての機能を有する更なるブリスターシートが少なくとも1つの「第1の」ブリスターシートと同じ1つ又は複数の材料で構成可能であるため、格別に経済的である。本発明の包装体の形態に応じては、包装体において、少なくとも1つの「第1の」ブリスターシートと下側シートとして役立つ1つ又は複数の更なるブリスターシートの好ましくは配置又は位置が識別(区別)可能でないことがあり得る。この好ましい実施形態では、互いに結合するブリスターシートは例えば同一に構成されること及び/又は包装体軸及び/又は包装体面について対称的に配置されることが可能である。2つ以上のブリスターシートを備えた包装体は、小さな包装体空間で、ブリスターシートに可及的に多くの包装品の投与単位を包装することができるため、更なる利点を提供する。
【0057】
本発明に応じた包装体において、安全位置では、互いに当接している2つのブリスターシートの包装品が封入されたブリスターキャビティ部は上下に合同的に重なるよう配置されることができると、格別に目的に適合的である。この実施形態では、包装体の安全位置においてそれらのカバーフィルムが互いに当接している対応する2つのブリスターカードのブリスターキャビティ部は合同的に上下に重なっている。包装体のこの実施形態は、カバーフィルムの意図せぬプッシュスルーに対して保護されている包装品の格別に安全な収納を可能にすることができる。
【0058】
代替的に、本発明の枠内において、安全位置では、互いに当接している2つのブリスターシートの包装品が封入されたブリスターキャビティ部は互いに対しずらされて配置されることも可能である。包装体のこの実施形態においても、包装品は、カバーフィルムの意図せぬプッシュスルーに対して確実に保護されることができる。
【0059】
本発明の包装体の格別に形状的に優れた実施形態では、包装体は枕形状に(polsterfoermig)構成可能であり、この包装体の2つの外面は、第1のブリスターシートとブリスターキャビティ部に封入された包装品を有する更なるブリスターシートによって、又は代替的に、ブリスターシートと包装品を有しない対向して位置する下側シートによって形成され、該ブリスターシートの対向して位置する2つの側辺において互いに結合されており、該側辺は包装体の長手側を形成しており、ブリスターシートの互いに対向して位置する短手側に夫々反対向きで同一に重なり合う閉鎖フラップが結合されている。
【0060】
包装体の短手側における反対向きで同一に重なり合う閉鎖フラップは、この場合、互いに対向して位置しかつ互いに対し離隔されており、その取出位置において枕形状の包装体を固定するために同じ大きさで反対向きに同時押圧される必要がある第1及び第2包装体部分として利用可能であると有利である。安全位置では、包装体は実質的にフラットであり、両方の外面ないし外側はそれらの内側が互いに当接している。包装体の短手側における同時押圧によって、この包装体は枕形状に丸く膨らみ、取出位置において、ほぼ卵形の横断面を有する包装体内部空間を形成する。包装体の短手側の閉鎖フラップも相応に卵形に面取りされるよう形成されると目的に適合的である。
【0061】
本発明に応じた更なる1つの形状的に優れた包装体は、偶数個の外面を有する角柱プリズムとして構成可能であり、
外面は、ブリスターキャビティ部に封入された包装品を有する1つの又は複数のブリスターシートによって、又は代替的に少なくとも1つのブリスターシートと包装品を有しない1つの又は複数の下側シートによって形成されており、対向して位置するそれらの側辺において並列的に並べられて結合しており、及び、包装体の長手側を形成している。
【0062】
かくして、例えば、4つ、6つ又は8つのブリスターシートは、又は代替的に包装品を含まない下側シートも、ストリップ状に(ストライプ状に)角柱プリズムの外面として組み合わせられることができる。この場合、ブリスターシート及び/又は下側シートはそれらの長手側辺において夫々隣のブリスターシート及び/又は下側シートと結合している。ストリップ状に(ストライプ状に)並置されたブリスターシート及び/又は下側シートの可動性を向上するために、それらの長手側辺は屈曲辺として構成され及び/又は支持フィルムの材料を弱めるためのミシン目を有する。
【0063】
包装体に対する要求に応じて、包装体プリズムの単独の、複数の又は全部の外面は、ブリスターシートとして構成されることが可能であり、同じ又は異なる個数のブリスターキャビティ部を有することができる。例えば、外面は1つおきにブリスターキャビティ部を有するストリップ状ブリスターシートとして構成され、交互に2つのブリスターシート間に夫々位置する外面はブリスターキャビティ部を有しない下側シートとして構成されることができる。
【0064】
本発明に応じた一包装体において、安全位置において互いに対向して位置する包装体部分の間の距離は、取出位置における互いに対向して位置する同じ包装体部分の間の距離よりもより大きい場合、格別に有利であり得る。既述のように、包装体の寸法を適切に設定することによって、例えば運動、シフト(変位)、枢動及び/又は旋回によって包装体を取出位置へ移行するために同時押圧される必要がある安全位置において互いに対向して位置する包装体部分の間の距離は、これらの2つの包装体部分が小児の(片)手によって掴む(挟む)ことができないようにするために十分に大きいことを保証することができる。
【0065】
この変形形態では、取出位置において互いに対向して位置する包装体部分間の距離は安全位置におけるものよりも小さいので、高齢者又は盲者ないし視覚障害者もまた、包装体が今まさに可逆的な2つの位置の何れにあるかを容易に認識することができる。かくして、有利なことに、包装体の操作フレンドリー性は更に向上される。
【0066】
例えば、安全位置における互いに対向して位置する包装体部分間の距離は少なくとも8cm、好ましくは少なくとも10cmである場合、チャイルドレジスタント包装体にとって目的に適合的であり得る。包装体をその取出位置へと移行するために同時押圧されなければならない互いに対向して位置する包装体部分間の安全位置におけるこの安全距離は、本出願人の現在の知識によれば小児の手にとって十分に大きいように思われる。尤も、高齢者にとっては、この安全距離を片手のスパンで掴む(挟む)ことができる状態にあることが望ましいであろう。
【0067】
本発明の更なる詳細、特徴及び利点は、各図面に夫々模式的に記載された夫々医薬のための本発明に応じた包装体の実施例についての以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
図1】枕型の本発明の包装体の第1実施例を前方から見た斜視図。図示の包装体は包装体上側に包装品を収容するためのブリスターキャビティ部を備えたブリスターシートを有し、ブリスターシートは包装体下側において下側シート(Unterlagekarte)によって保護されて、包装体内部空間を形成している。
図2A】枕型の本発明の包装体の第2実施例の短手側の断面図。この包装体では、包装体上側に包装品を収容するためのブリスターキャビティ部を備えたブリスターシートが配されており、包装体下側には、包装体の安全位置においてブリスターシートに当接しているブリスターキャビティ部を備えない下側シートが設けられている。
図2B図1に示した包装体の構造の短手側を横から見た断面図。この包装体では、包装体上側に、包装品を収容するためのブリスターキャビティ部を備えたブリスターシートが配されており、包装体下側には、更なるブリスターシートが下側シートとして設けられている。
図3】枕型の本発明の包装体の図1ないし図2Bに示した実施例の長手側を横から見た断面図。この図では、包装体はその安全位置にある。
図4図2Bないし図3に示した枕型の包装体の前方から見た斜視図。この図では、包装体は同時押圧によって固定されたその取出位置にある。
図5図4に示した包装体の包装体内部空間を上方から見た斜視図。この図では、包装体は同時押圧によって固定されたその排出位置にある。
図6図4及び図5に示した包装体であって、包装品の投与単位としてのタブレットを包装体内部空間から排出した後のものを上方から見た斜視図。
図7】枕型の本発明の包装体の更なる一実施例を上方から見た斜視図。この場合、閉鎖フラップは包装体の紙面左側の短手側において互いに溶接されている。
図8】本発明の包装体の更なる一実施例を上方から見た斜視図。この包装体では、包装体下側において、下側シートが直列配置された複数の結合ブリッジの形の結合フラップによってブリスターシートの対向して位置する2つの側縁部分に可動に結合されている。
図9図8に示した包装体の細部の、図8に記載された切断線IX-IXに沿って切った断面を横から見た図。
図10】包装体の安全位置から取出位置へ移行した際の、図8及び図9に示した包装体の長手側の斜視図。
図11図8図10に示した包装体であって同時押圧されたその取出位置にあるものの長手側の斜視図。
図12】六角柱プリズムの形の本発明の包装体の更なる一実施例であってフラットに広げられた安全位置にあるものを上から見た斜視図。
図13図12に示した包装体であって同時押圧されたその取出位置にあるものを横から見た斜視図。プリズム型の包装体の包装体内部空間への視界が開かれている。
図14図13に示した包装体であってその閉鎖フラップが包装体の短手側において折り返されている(折り曲げられている)ものを上から見た斜視図。
図15図12図14に示した包装体であって同時押圧されたその取出位置にあるものの側面図。
図16】本発明の包装体の更なる一実施例の細部を横から見た斜視図。この包装体では、2つのブリスターシートは、その安全位置において合同であるが鏡像反転的に(左右対称上下反転的ないし点対称的に)上下に位置しており、それらの両方の長手側辺に沿ってブリスターシートの側縁部分を構成するラベリングフラップと結合している。
図17図16に示した包装体であって同時押圧されたその取出位置にある者の短手側の側面図。
図18】枕型の本発明の包装体の更なる一実施例の正面図。包装体はその安全位置にある状態が示されており、包装体の上側には包装品のための取出開口がこの場合上に位置する支持フィルムに打ち抜き形成されている。
図19図18に示した包装体であって同時押圧によって固定されたその取出位置にあるものの斜視図。
図20】枕型の本発明の包装体の更なる一実施例の正面から見た詳細図。包装体はその取出位置にある状態が示されており、上側には包装品のための取出開口がこの場合上に位置する支持フィルムに打ち抜き形成されている。
図21】枕型の本発明の包装体の更なる一実施例の細部の斜視図。包装品のための取出開口がこの場合上に位置する支持フィルムに打ち抜き形成されており、対向して位置する下側の支持フィルムは深絞りされている。
図22】枕型の本発明の包装体の更なる一実施例の細部の斜視図。包装体はこの場合その取出位置にある状態が示されており、包装品のための取出開口は互いに対向して位置する2つの支持フィルムを貫通するよう打ち抜き形成されている。
図23】枕型の本発明の包装体の更なる一実施例の側面図。ラベリングフラップには折畳み展開可能な添付文書が結合されている。
図24】枕型の本発明の包装体の更なる一実施例の正面図。包装体はその安全位置にある状態が示されており、ラベリングフラップは引き裂き可能な取出防止手段を備えている。
図25】枕型の本発明の包装体の更なる一実施例の前方から見た詳細図。図示の包装体はその取出位置にある状態が示されており、包装体上側には、取出開口が包装品のための閉鎖フラップと共に上に位置する支持フィルムに打ち抜き形成されている。
【実施例
【0069】
以下の包括的な図面の説明は一般的に図面のすべてに関係する。以下において、異なる実施形態(実施例)について夫々同じ図面参照符号は包装体の同じないし比肩可能な構成要素に対して使用される。
【0070】
図1図7には、何れも枕形状の包装体1の夫々異なる形態が示されている。包装体1は、包装体1の(2つの)長手側(長辺)3に沿って互いに結合されている包装体1の2つの外面2ないし外側2を有する。対向して位置する短手(ないし奥行)側(短辺)4には(夫々)閉鎖フラップ(Verschlusslaschen)が設けられており、対向して位置する短手側4は、互いに対向して位置する包装体部分、即ち第1包装体部分5及びこれに対向して位置する第2包装体部分6と称される。これらの包装体部分5,6は、包装体1を安全位置70から取出位置80へ移行するために、手作業で同時に(一緒に)押圧される(押し込まれる)必要がある。包装体の実施態様及び適用例に応じて、包装体部分5,6は直接的にマークが付され、操作部分として明示されることができる。その代わりに、これらの包装体部分5,6は包装体の操作のための別途に添付される使用説明書においてのみ(その旨)明示されることも可能であり、これによって、そのような包装体のチャイルドレジスタント(小児安全性的)な実施が更に向上される。包装体部分5,6は、包装体において直接的にかつ使用説明書において明示可能であることは勿論である。
【0071】
枕形状の包装体1は、上側11と下側12を有するブリスターシート10を含む。冒頭において既に確認的に記載したように、ブリスターシート10の上側11及び該上側11に対向して位置する下側12の以下において選択される図面参照符号は、専らこれらの上側及び下側の割当て(分類)の簡単化及び明確化のために用いられている。ブリスターシート10は、その上側11がブリスターシート10の外側11ないし包装体1の外面2を形成するよう、包装体1に関連付けられて配置されている。反対に、ブリスターシート10の下側12は包装体1の内側を形成する。
【0072】
図1に示したブリスターシート10はこの場合実質的に矩形に形成されており、長手側13と短手側14を有する。ブリスターシート10は、図1においてブリスターシート10の上側11ないし外側11に配置され、従って、包装体1の外面2をも形成する支持フィルム(シート)20を含む。支持フィルム20は、例えば透明なプラスチックから製造されており、例えば凡そ200μm(マイクロメートル)のフィルム厚21を有する。支持フィルム20は、屈曲辺(エッジ)(Falzkanten)22及び/又はミシン目(Perforationen)23ないし弱め線(Schwaechungslinien)23を有し、そのため、これらの定められた辺部ないし弱め線に沿って折り畳んだり、(ぱたんと)折り曲げたり又は反らしたりすることができる。支持フィルム20は、包装品40を収容するためのブリスターキャビティ部25を有する。図1に示された包装体1の場合、例えば、ブリスターシート10上の2つの平行な列に夫々5個のブリスターキャビティ部25において包装品40を収容する全部で10個のブリスターキャビティ部25が設けられている。包装品40はこの場合簡単化のために夫々個別のタブレット(錠剤)41として図示されている。
【0073】
ブリスターシート10の下側12には例えばアルミニウムからなるカバーフィルム30が配されており、カバーフィルム30は凡そ20μm(マイクロメートル)の例示的フィルム厚31を有する。カバーフィルム30は、ブリスターキャビティ部25が開放(ないし空間:Freilassung)状態にある支持フィルム20に少なくとも部分的にフラットに結合されている。例えば、カバーフィルム30はシール又は接着によって支持フィルム20に結合されている。矢印35はカバーフィルム30のプッシュスルー(貫通押し出し)方向(Durchdrueckrichtung)35を表しており、支持フィルム20のブリスターキャビティ部25に対し矢印35の方向に上からないし外側から圧力を印加することによって、ブリスターキャビティ部25内にあるタブレット41はカバーフィルム30を突き抜けてブリスターシート10から取り出される。その際、カバーフィルム30は破れる。
【0074】
包装品40ないしタブレット41が例えば小児によって意図せぬ又は許可なく取り出され得ることを阻止するために、本発明に応じ、ブリスターシート10の対向して位置する2つの側辺15,16には、ブリスターシート10のカバーフィルム30を保護するための下側シート(ないし裏打ちシート)50がこれに対し可動に結合されている。第1側辺15は、この場合、図1図7に示されている実施例では、ブリスターシート10の第1長手側辺15である。同様に、第2側辺16は、ブリスターシート10の第2長手側辺16である。包装体1の短手側4には、夫々、閉鎖フラップ60が設けられている。
【0075】
図2Aは、枕型の本発明の包装体1の一例を示す。この包装体では、包装体上側にタブレット(複数)41を収容するための一列のブリスターキャビティ部(複数)25を有するブリスターシート10が配置されており、包装体下側にはブリスターキャビティ部を有しない下側シート50が設けられている。下側シート50は、包装体1の安全位置70では、ブリスターシート10の下側12において、そこに配されたカバーフィルム30に当接している。従って、下側シート50は、安全位置70では、ブリスターシート10の下側12において敏感な(壊れやすい)カバーフィルム30の保護のためのカバーシートとして役立つ。この場合、下側シート50は、この場合ブリスターシート10の支持フィルム20と同じ材料から製造されており、かつ、第1長手側辺15に沿って及び第2長手側辺16に沿ってこの支持フィルム20と結合している支持フィルム55から構成されている。下側シート50は、包装体1の外面2を形成する上側51ないし外側51を有する。下側シート50は、包装体の内側52を形成する上側51に対向して位置する下側52を有する。
【0076】
本発明の枠内において、例えば、下側シート50はブリスターシート10の支持フィルム20の一部分から構成され、そのため、ブリスターシート10の支持フィルムと下側シート50の支持フィルムは互いに一体的に結合されるようにも構成される。ブリスターシート10のカバーフィルム30の保護のための下側シート50を形成する支持フィルム部分は、例えば、屈曲辺22を形成しているブリスターシート10の一方の側辺15において折り返され、ブリスターシート10の反対側の側辺16においてその支持フィルム20と接着又は溶接されることができる。
【0077】
図2Bは、図1に示したこの包装体1の構造の短手側4を側面図で示す。包装体上側には、タブレット41を収容するためのブリスターキャビティ部(複数)25を備えたブリスターシート10が配されており、包装体下側には更なるブリスターシート56が下側シート50として設けられている。
【0078】
この更なるブリスターシート56には、同様に、タブレット41を収容するためのブリスターキャビティ部(複数)57が平行な2つの列に並べられて設けられている。ブリスターシート56は、この場合ブリスターシート10の支持フィルム20と一体的に結合している支持フィルム55を有する。包装体1の第1長手側辺15に沿って、支持フィルム20及び55は、カバーフィルム30及び58に対して横方向に所定の距離だけ離れた所で折り返されて屈曲辺22を形成している。それに対向して位置する第2長手側辺16の領域では、これらの2つの支持フィルム20及び55は互いに溶接されてラベリングフラップ(Beschriftungslasche)120を形成している。支持フィルム20及び55はこの場合例えば透明で透光性のプラスチックで製造されている。カバーフォルム30及び58は例えばアルミニウム系フィルムで製造されている。これらの2つのブリスターシート10及び56の反対向きで同じ(面対称的な)配置によって―敏感な(壊れやすい)カバーフィルム30及び58は包装体の内部において互いに対し向かい合うように配向されて保護される―外側に位置する支持フィルム55を有する更なるブリスターシート56は、ブリスターシート10の下側12の敏感なカバーフィルム30を保護するための及びそれ自身のカバーフィルム58を保護するためのカバーシートとして役立つ。支持フィルム20は、屈曲辺22及び/又はミシン目23ないし弱め線23を有し、そのため、これらの定められた辺部ないし弱め線に沿って折り畳んだり、(ぱたんと)折り曲げたり又は反らしたりすることができる。
【0079】
図3は、枕型の本発明の包装体1の図1ないし図2Bに示した実施例の長手側3を示す。この図では包装体1はその安全位置70にある。この場合下側シート50として役立つ更なるブリスターシート56のカバーフィルム58はブリスターシート10の対向して位置するカバーフィルム30に当接している。外部からプッシュスルー方向35へのブリスターキャビティ部25,57のプッシュスルーはこの安全位置70では可能ではない。包装体1の対向して位置する(2つの)短手側4における互いに対向して位置する2つの包装体部分5と6はフラットな安全位置70では所定の距離7をなして互いに対し最大に離隔している。
【0080】
図4は、図2Bないし図3に示した枕型の包装体1を示す。この図では、包装体1は、矢印方向90への手操作での同時押圧(押し込み)によって固定されたその取出位置80にある。反対向きで同じ大きさの同時押圧による外力の作用(外部の力作用)90は、例えば包装体1のユーザの手の親指と人差し指によって押し込み方向を表すことを意図している反対向きの2つの矢印91及び92によって象徴的に示されている。図3に示した安全位置70における距離7と比べると、この図4においては、取出位置80における2つの対向する包装体部分5と6の間の距離8ははっきりと減少ないし短縮されている。ここで図示された枕型包装体では同時に押圧される必要がある2つの包装体部分5及び6は夫々側部の閉鎖フラップ60である。外力の作用90によって、枕形状の包装体1は丸く膨らんで包装体内部空間100を形成する。このため、外部からの(2つの)閉鎖フラップ60の同時押圧90中には、従って包装体1が手操作でその取出位置80に固定されている間、ブリスターシート10と下側シート50ないしこの場合更なるブリスターシート56はそれらの下側ないし内側12及び52においては互いに当接しておらず、そのため、タブレット41はブリスターキャビティ部25,57の中から他方の自由な手によるプッシュスルー35によってブリスターシートないしブリスターストリップから取り出されることが可能になる。
【0081】
図5は、図4に示した包装体1の包装体内部空間100を斜め上方から見た様子を示す。この図では、包装体は側部の同時押圧によって固定されたその排出位置130にある。既述のように取出位置80において既にブリスターシートから取り出され、包装体内部空間100内へ押し出されていたタブレット41は、包装体1の排出位置130において側部の閉鎖フラップ60を(周囲を)掴んで開いた後、排出されることができる。この排出位置130に包装体1を固定するために、包装体はその(2つの)長手側辺15,16において、2つの逆向きの矢印140で象徴的に示されている押圧方向140へ同時に(一緒に)押圧される必要がある。
【0082】
開かれた閉鎖フラップ60は、この場合、包装品40のためのほぼ卵形の取出開口110を形成する。そのため、実用的には、タブレット41は包装体内部空間100から支障なくユーザの口内へ排出されることができる。
【0083】
図6は、包装品の投与単位としての(1つの)タブレット41を包装体内部空間100から排出した後の包装体1を示す。
【0084】
図7は、枕型の本発明の包装体1の更なる一実施例を示す。この場合、閉鎖フラップ60は包装体の紙面左側の短手側4において(複数の)断片部分61で互いに溶接されている。従って、包装体の紙面右側の短手側4の閉鎖フラップ60のみがその開放後取出開口110として用いられることができる。
【0085】
図8図11は本発明の包装体の更なる一実施例を示す。この場合、包装体下側には、下側シート50が、ブリスターシート10の対向して位置する2つの側縁部分17及び18に夫々設けられた一列に配置された複数の結合ブリッジ(Verbindungsstegen)の形の結合フラップ(複数)(Verbindungslaschen)65によって開閉可能に(klappbar)運動するよう結合されている。
【0086】
図8は、この包装体1のその安全位置70にある状態を示す。ブリスターシート10も、この場合更なるブリスターシート56を構成する下側シート50も、夫々、それらの長手側辺に沿って第1側縁領域17とこれに対向して位置する第2側縁領域18を有し、複数の結合フラップ65はこれらの側縁領域17及び18においてブリスターシート10と下側シート50の間に結合されている。これらの結合フラップ65ないし結合ブリッジの長さに応じて、互いに結合された2つの構成要素即ちブリスターシート10と下側シート50は第1包装体部分5と第2包装体部分6における側部の同時押圧によってその安全位置70から、図11に示されているその取出位置80へ移行されることができる。ブリスターシート10と下側シート50は夫々U字(コ字)の輪郭の形で形成されており、包装体1の長手方向において互いに対し平行に延伸する屈曲辺(複数)22はブリスターシート10ないし下側シート50の強度の向上に役立つ。
【0087】
図9は、側方から見た図8に示した包装体1の一細部を、図8に示した矢視IX-IX断面図で示す。ブリスターシート10ないし図中において上側に位置するブリスターシート10のための下側シート50としての機能を有する更なるブリスターシート56のカバーフィルム30と58は安全位置70においては直接的に当接している。全く模式的な図9においては、専ら説明の明確性のために、ブリスターシート10と下側シート50の間には外見上の空間ないし距離が記載されている。この安全位置70において、外部からのブリスターキャビティ部25ないし57のプッシュスルー35によってタブレット41が包装体1から取り出そうと試みられても、いずれにせよ、2つのカバーフィルム30と58は当接しており、これらがプッシュスルーされるまでは、交互にかつ相互に安定化ないし支える。上記の説明は図2A図2B図12及び図16についても同義的に妥当する。これらの図においても、その安全位置70における包装体の機能の説明をより分かり易くするために、ブリスターシート10及びこれに対向する対応下側シート50の互いに接している位置(状態)は、外見上は、それらの間に間隔があるよう図示されている。これは、既述のように、専ら、図示と包装体の個々の構成要素と個々の位置の対応関係をより簡単にするためである。
【0088】
図10は、図8及び図9に示した包装体1の長手側の、包装体1の安全位置70から取出位置80への移行時の状態を示す。ユーザの(片)手の2つの指による反対向きで同じ大きさの同時押圧ないしシフト(変位)91,92による外力の作用90によって引き起こされるこの運動方向95は二重(双方向)矢印95によって象徴的に示されている。
【0089】
図11は、同時押圧されたその取出位置80における図8図10に示した包装体1の長手側を示す。紙面上側のブリスターシート10は、この場合、下側シート50から離隔して包装体内部空間100を形成している。
【0090】
図12図15は、6角柱プリズムの形の本発明の包装体1の更なる一実施例に関する。
【0091】
図12は、6角柱プリズムの形の本発明のこの包装体1の(押し)広げてフラットにされた安全位置70にある状態を示す。帯状(ストリップ状)に並置された複数のブリスターシート10及び/又は下側シート50,56の運動性(可動性)を高めるために、長手側辺(複数)は屈曲辺22として構成されている。代替的に又は屈曲辺22に加えて(補充的に)、支持フィルム20,55の材料を弱めるためにミシン目23ないし弱め線23も設けることができる。
【0092】
図13は、この包装体1の同時押圧された取出位置にある状態を示す。この場合、プリズム形の包装体1の包装体内部空間100が見えるように図示されている。
【0093】
図14は、この包装体1と包装体1の短手側において折り返された閉鎖フラップ60を示す。この排出位置130に包装体1を固定するためには、包装体はその長手側辺15,16において、反対向きの2つの矢印140で象徴的に示されている押圧方向140へ同時に押圧される必要がある。
【0094】
図15は、図12図14に示した包装体の同時押圧されたその取出位置80にある状態を側面図で示す。
【0095】
図16図17は何れも、ブリスターシート10及び同様に更なるブリスターシート56として構成されている下側シート50の形での本発明の包装体1の更なる一実施例に関する。2つのブリスターシート10と56は、その安全位置70においては、合同であるが鏡像反転的に(左右対称上下反転的ないし点対称的に:spiegelverkehrt)重なり合っており(上下に位置しており)、それらの両方の長手側辺15,16に沿って、ブリスターシート10及び56の側縁部分17,18を形成するラベリングフラップ120と結合している。
【0096】
図16は、本発明のこの包装体1のその安全位置70にある状態を示す。
【0097】
図17は、図16に示した包装体の短手側の同時押圧されたその取出位置80にある状態を側面図で示す。更に、有利には、両方のラベリングフラップ120は、これらをユーザがより容易に握って同時押圧できるようにするために、例えば粗面化されることができる。同時に、これらのラベリングフラップ120は、小児がこれらを触ったときに不快なものとして感じるように、例えば比較的鋭い外側長手エッジのような相応の形状形成措置によって形成されることも可能である。かくして、小児は、不快なものとして理解し得るラベリングフラップ120の同時押圧による包装体1の同時押圧をすることが付加的に妨げられる。
【0098】
本書に示した包装体1は何れも、実質的に矩形状の輪郭を有するブリスターシート10ないし下側シート50を含む。しかしながら、本発明は、矩形状ないし帯状のブリスターシート10ないし下側シート50に限定されず、例えば方形、円形又は楕円形のブリスターシート10ないし下側シート50も本発明の包装体1のために勿論使用することができる。
【0099】
以下に、更なる図18図25について詳細に説明する。
【0100】
図18は、枕型の本発明の包装体1の更なる一実施例を示す。この場合、包装体1はその安全位置70にある状態が示されている。包装体1の上側ないしブリスターシート10の上側11において、この場合上側に位置する支持フィルム20内に包装品のための取出開口110が打ち抜き形成されている。対向して位置する2つの長手側辺15,16に沿ってブリスターシート10に結合されておりかつ安全位置70においてブリスターシート10の下側12ないし内側に当接している下側シート50は、ブリスターシート10の支持フィルム20の一部分から構成されている。ブリスターシート10及び下側シート50の支持フィルム20,25は互いに一体的に結合している。図において上側に(紙面手前側に)あるブリスターシート10は、この場合例えば包装品40を収容するための2列のブリスターキャビティ部25を有する。具体的には、この場合例えば7個のタブレット41が上側に(紙面手前側に)あるブリスターシート10に包装されている。上側に(紙面手前側に)ある支持フィルム20の取出開口110はこの場合円形に打ち抜き形成されており、2つの支持フィルム20と55を溶接して側部のラベリングフラップ120を形成する前に既に、ブリスターシート10の支持フィルム20の相応の部分に設けられる。下側シート50の支持フィルム55のそれに対応し対向して位置する部分は、この実施例では、打ち抜き形成又は成形(変形)されていない。取出開口110は、この場合、打ち抜き形成された取出開口110の一部分が、例えば円形の取出開口110の(横)断面(面積)のほぼ半分が、側部のラベリングフラップ120の領域に配置されているよう、位置付けられていると有利である。これは、それによって、取出開口110の残っている他方のほぼ半分のみが包装品40を取り出すための空の断面として使用可能であり、かつ、包装体1の安全位置70においては取出開口110が確実に閉鎖されているという利点を提供する。包装体1の互いに対向して位置する2つの短手側4の側部の閉鎖フラップ(複数)60は夫々部分61に沿って互いに溶接されている。従って、打ち抜き形成された取出開口110は包装品取出のための包装体1の唯一の開口である。
【0101】
図19に示されているような、包装体1の取出位置80では、取出開口110は、この場合、ほぼ半円の形でラベリングフラップ120に境を接してブリスターシート10の領域において開口している。これは、取出開口110を可及的に小さくすることにより、ただ1つの包装品40ないしただ1つのタブレット41の取出のみが保証されるという利点を有する。支持フィルム20の選択されたフィルム厚21に応じて、ラベリングフラップ120の領域において下側シート50の支持フィルム55と溶接されている、打ち抜き形成された円形の取出開口110の半分部分のエッジは、取り出される包装品40のための制限エッジ(Begrenzungsrand)として作用する。
【0102】
実施例に応じて、支持フィルム20に打ち抜き形成される取出開口110は円形とは異なることも可能であり、例えば矩形、方形、楕円形又は多辺連続曲線(polygon Kurvenzug)の形で成形されることができる。同様に、完成した包装体1の溶接された状態においてラベリングフラップ120の領域に位置し、従って包装品の本来的な取出のための空の断面としては利用可能ではない取出開口110の個数も変更することができる。例えば、取出開口110は、ラベリングフラップ120を形成せず、現実に空の(自由な)取出断面として包装体内部空間100が利用可能な、ブリスターシート10の支持フィルム20の部分に完全に配されることが可能である。同様に、取出開口110の特定の部分のみが、例えば打ち抜き形成された取出開口110の面積の4分の1又は3分の1のみがラベリングフラップ120の領域にあるが、残りの空の(自由な)断面部分は包装体内部空間100からの包装品40の本来的な取出のために利用可能であるように、取出開口110を位置付けることは好都合であり得る。
【0103】
図20は、枕型の本発明の包装体1の更なる一実施例を前方から見たその詳細部を示す。この場合、包装体1はその取出位置80にある状態が図示されており、上側においてブリスターシート10の上側に(紙面手前側に)ある支持フィルム20内へ包装品40のための取出開口110が打ち抜き形成されている。この包装体1の場合、紙面右側に延出しているラベリングフラップ120にも、包装体1の対向して位置する短手側4における閉鎖フラップ60にも情報が記載されている。情報は、例えば、包装体の支持フィルムないし外面2に直接的にプリント又は貼着されることができる。短手側4における側部の閉鎖フラップ60は部分61に沿って互いに溶接(によって結合)されている。打ち抜き形成された取出開口110は、この実施例では、包装品取出のための唯一の開口である。
【0104】
図21は、枕型の本発明の包装体1の更なる一実施例の詳細を示す。この場合、ブリスターシート10の上側に(紙面手前側に)位置する支持フィルム20には、包装品40のための取出開口110が打ち抜き形成されている。支持フィルム20における取出開口110に対応する、下側シート50の対向して位置する下側の(紙面奥側の)支持フィルム55の部分は、この場合、深絞りされており、有利には、包装品40のためのシュートを構成する。図18を参照すると、この場合も、取出開口110は、打ち抜き形成された取出開口110のほぼ半分が側部のラベリングフラップ120の領域に配置されているように、位置付けられていると有利である。
【0105】
個別包装品40、例えばタブレット41は個別にのみ取出開口110から取り出されることができるが、その際、個別包装品40のためのシュート又は滑走路として作用する、ラベリングフラップ120の領域における支持フィルム55の深絞り部分へ到達する。下側(内側)の支持フィルム55の深絞りされた穴部のエッジは、その際、包装品40のための堰(Wehr)のように作用し、取り出される包装品40をユーザが捕まえないうちに、取出中のこの包装品40の意図せぬ喪失を妨げる。
【0106】
図22は、枕型の本発明の包装体1の更なる一実施例の詳細部を斜視図で示す。該包装体1はその取出位置80にある状態が示されている。互いに対向して位置する2つの支持フィルム20,55は、この場合、ラベリングフラップ120の積層化後に打ち抜きが行われている。取出開口110は、この場合、打ち抜き形成された取出開口110の一部分が、例えば円形の取出開口110の半分が側部のラベリングフラップ120の領域に配置されているように、位置付けられている。そのため、両方の支持フィルム20,55の打ち抜きによって形成される取出開口110は、ラベリングフラップ120の自由長手辺が取出開口の領域においても連続しているという利点を提供する。これによって、取出位置80において、その都度1つの個別包装品40ないし1つの個別タブレットのみが取出開口110を通り抜けて包装体1から取出可能であることが保証される。ラベリングフラップ120の連続する自由長手辺は、その際、取出開口110の内部に丁度存在する包装品40ないしタブレット41のためのブラケット(Buegel)のように作用する。そのため、ラベリングフラップ120の領域に位置付けられている取出開口110の選択された位置及び個数に応じて、取出開口110からの包装品40の不所望の脱落も阻止することができる。チャイルドレジスタント包装体1としての安全性を更に向上するために、ラベリングフラップ120の連続する自由長手辺は、この場合、例えばギザギザにされ又はラフに(でこぼこに)構造化されるように構成されるが、これらは、とりわけ子供が包装体を掴む場合、不快なものとして感じられる。
【0107】
図23は、枕型の本発明の包装体1の更なる一実施例を側面図で示す。この場合、ラベリングフラップ120には、展開可能な添付文書(Beipacktext)121が結合されている。添付文書121はこの場合例えば接着フィルムによってラベリングフラップ120に喪失防止可能に付着されており、アコーディオン(蛇腹)のように伸縮可能に折り畳まれている。図23は、既に展開された状態にある添付文書121を示している。
【0108】
図24は、枕型の本発明の包装体1の更なる一実施例を正面図で示す。この場合、包装体1はその安全位置70にある状態が示されており、ラベリングフラップ120は引き裂き可能な取出防止部(手段)125を備えて構成されている。取出防止部125は、取出防止部125が除去ないし開放されるまでの間、包装体1がその安全位置70に保持されるために役立つ。ラベリングフラップ120は、接続領域において、ブリスターシート10ないしその下側に(裏側に)配置された下側シート50の長手側辺16に沿って夫々、包装体1の互いに対向して位置する短手側4から長手側辺16の一部分に沿って延伸する支持フィルム20,55のミシン目23ないし弱め線23を、取出防止部125として有する。長手側辺16に沿ったミシン目23ないし弱め線23のこの部分が最初に引き裂かれる必要があり、その後、包装体1は、既述の態様・方法で、互いに対向して位置する2つの包装体部分5,6の反対向きで同じ大きさの同時押圧91,92による外力の作用90によってその取出位置80へ移行され、それによって、上側の(表側の)支持フィルム20に打ち抜き形成された取出開口110も開放される。短手側4の側部閉鎖フラップ60は部分61に沿って互いに溶接(によって結合)される。打ち抜き形成された取出開口110は、この実施例では、包装品取出のための唯一の開口である。
【0109】
ラベリングフラップ120の両方の外翼ないし外側部分は、長手側辺16に沿ったミシン目23の引き裂き後に続けて、例えばラベリングフラップ120の自由長手辺の方向へ斜めに延在する弱め線23に沿って更に引き裂くことによって、除去されることができる。図24では、ラベリングフラップ120は、この場合、その長手方向のほぼ中央に、例えば販売用スタンドに包装体1を吊下するために役立つ吊下用開口126を有する。
【0110】
図25は、枕型の本発明の包装体1の更なる一実施例の詳細を示す。この場合、包装体1はその取出位置80にある状態が示されており、包装体上側において、包装品のための取出開口110が上側(表側ないし紙面手前側)にある支持フィルム20に打ち抜き形成されている。取出開口110は、この場合、包装体の長手方向に対し横方向に配向されていることが好ましく、例えばほぼ矩形の輪郭を有する。取出開口110は、この変形例では、3つの辺に沿ってのみ所定のマージン(辺からの距離)を維持しつつ支持フィルム20から打ち抜き形成されている。第4の辺は、好ましくは矩形状輪郭の長手辺(長辺)は、打ち抜きないし穿孔されておらず、単に、支持フィルム20の弱め線23ないしミシン目23が形成されるよう加工されている。代替的に又はミシン目23に補充的に、(取出開口110の)輪郭はこの第4の辺に沿って屈曲辺22を備えることも可能である。そのため、屈曲辺22及び/又はミシン目線23が形成されている取出開口110の1つの辺に沿ってこれに境を接する支持フィルム20と結合した状態に維持される折り曲げ(枢動)可能な可動閉鎖フラップ60が取出開口110の内部に残置される。この折り曲げ可能な閉鎖フラップ60は、包装体1がその安全位置70にある場合、取出開口110を閉鎖する。包装体1が互いに対向して位置する2つの包装体部分5,6の反対向きで同じ大きさの同時押圧91,92による外力の作用90の結果として取出位置80へ移行されると直ぐに、上側(表側)の支持フィルム20に打ち抜き形成された取出開口110は開放され、折り曲げ可能な閉鎖フラップ60は弱め線23ないしミシン目23及び/又は屈曲辺22に沿って内側へ折れ曲って包装体内部空間100内へ入り、それによって、取出開口110を自動的に開放する。
【0111】
【符号の説明】
【0112】
1 包装体
2 包装体の外面(ないし外側)
3 包装体の長手側(長辺)
4 包装体の短手側(短辺)
5 第1包装体部分
6 第2包装体部分
7 安全位置における第1及び第2包装体部分間の距離
8 取出位置における第1及び第2包装体部分間の距離
10 ブリスターシート
11 ブリスターシートの上側ないし外側
12 ブリスターシートの下側ないし内側
13 ブリスターシートの長手側(長辺)
14 ブリスターシートの短手側(短辺)
15 ブリスターシートの第1側辺(ないし長手側辺)
16 ブリスターシートの第2側辺(ないし長手側辺)
17 ブリスターシートの第1側縁部分
18 ブリスターシートの第2側縁部分
20 支持フィルム
21 支持フィルムのフィルム厚
22 支持フィルムの屈曲辺(エッジ)
23 支持フィルムのミシン目ないし弱め線
25 ブリスターキャビティ部
30 カバーフィルム
31 カバーフィルムのフィルム厚
35 カバーフィルムのプッシュスルー方向(矢印)
40 包装品
41 タブレット
50 下側シート(Unterlagekarte)
51 下側シートの上側ないし外側
52 下側シートの下側ないし内側
53 下側シートの長手側(長辺)
54 下側シートの短手側(短辺)
55 支持フィルム
56 (更なる)ブリスターシート
57 ブリスターキャビティ部
58 カバーフィルム
60 閉鎖フラップ
61 閉鎖フラップの溶接結合部分
65 結合フラップ、結合ブリッジ
70 (第1)安全位置
80 (第2)取出位置
90 取出位置にある間の外力の作用(矢印)
91 反対向きで同じ大きさの同時押圧の(第1)押圧方向(矢印)
92 反対向きで同じ大きさの同時押圧の(第2)押圧方向(矢印)
95 安全位置と取出位置の間の運動方向(二重(双方向)矢印)
100 包装体内部空間
110 包装品のための取出開口、包装品取出開口
120 ラベリングフラップ
121 添付文書
125 取出防止部(手段)
126 吊下用開口
130 排出位置
140 排出位置にある間の押圧方向(矢印)
図1
図2A
図2B
図3
図4
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【国際調査報告】